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#1
第061回国会 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第2号
昭和四十四年二月十二日(水曜日)
    午前十一時九分開議
 出席委員
   委員長 中村 寅太君
   理事 宇野 宗佑君 理事 臼井 莊一君
   理事 小渕 恵三君 理事 大村 襄治君
   理事 八木 徹雄君 理事 川崎 寛治君
   理事 中谷 鉄也君 理事 永末 英一君
      上林山榮吉君    中川 一郎君
      古屋  亨君    箕輪  登君
      西風  勲君    依田 圭五君
      沖本 泰幸君
 出席政府委員
        総理府総務副長
        官       鯨岡 兵輔君
        総理府特別地域
        連絡局長    山野 幸吉君
    ―――――――――――――
二月十二日
 委員伊藤惣助丸君辞任につき、その補欠として
 沖本泰幸君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員沖本泰幸君辞任につき、その補欠として伊
 藤惣助丸君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 理事大村襄治君、中谷鉄也君及び吉田泰造君同
 日理事辞任につき、その補欠として臼井莊一君、
 川崎寛治君及び永末英一君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の辞任及び補欠選任
 沖繩及び北方問題に関する件
     ――――◇―――――
#2
○中村委員長 これより会議を開きます。
 理事辞任の件についておはかりいたします。
 理事大村襄治君、中谷鉄也君及び吉田泰造君からそれぞれ理事辞任の申し出がありました。これを許可するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○中村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 引き続き、理事の補欠選任を行ないます。
 ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、委員長において指名するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○中村委員長 御異議なしと認めます。よって、委員長は、理事に臼井莊一君、川崎寛治君、永末英一君を指名いたします。
     ――――◇―――――
#5
○中村委員長 沖繩及び北方問題に関する件について調査を進めます。
 先般、本院より沖繩の現地事情視察のため派遣されました議員団の調査概要について、小渕恵三君から発言を求められておりますので、この際、これを許可いたします。
#6
○小渕委員 この際、先般の衆議院沖繩派遣議員団を代表して、私から調査の概要について申し上げます。
 派遣団は、委員長中村寅太君を団長として、理事の本名武君、宇野宗佑君、八木徹雄君、美濃政市君、大村襄治君、吉田泰造君、中谷鉄也君と私及び伊藤惣助丸君の十名で、一月十六日から十九日までの四日間、沖繩本島、宮古島、石垣島について現地事情を調査してまいりました。
 個別に面談しましたのは、表敬、あいさつを主に、屋良琉球政府行政主席、星立法院議長、平田高等裁判所首席判事、米国民政府カーペンター民政官であり、日米琉諮問委員会高瀬日本政府代表とも話し合いの機会を持ちました。
 各界代表との懇談は、那覇においてまず立法院議員、琉球政府の首脳部と二つの会合、それから経済団体、経済開発研究所、復帰問題研究会、市町村会の各代表との懇談、並びに沖繩県祖国復帰協議会、沖繩教職員会、原水爆禁止沖繩県協議会、生命を守る県民共闘会議の四団体代表者との懇談会の四つの会合を催しました。
 宮古島、石垣島では、それぞれ宮古支庁長、八重山支庁長を中心に各群島の町村会長、教育長、産業関係代表から要望を聴取し、懇談を行ないました。
 おもな視察個所は、本島では那覇新港(安謝港)、嘉手納空軍基地及び基地周辺地区、平安座島の石油中継基地等であり、宮古島は製糖工場、学校施設、平良港、農林業施設、放送局等であり、石垣島では石垣港西側の埋め立て地の状況、旧国有地の管理状況、パイン、キビ作の状況その他であります。
 近く、団長から議長あてに派遣団の報告書が提出され、議員各位のお手元に配付されることになっておりますので、詳細についてはそれをごらんいただきたいと存じます。
 派遣団の所見のまとめを朗読いたします。
  施政権、基地並びに住民心理について。
  沖繩住民が基本的重要性を認めかつ最大の関心とするところは、祖国復帰・施政権返還の問題である。
  本年秋には、首相訪米において返還時期が明らかにされる情勢にあるので、派遣団は、祖国復帰に伴う諸施策の動向並びに沖繩に関し山積する諸問題の具体的解決方策は本年を転機として、急速に促進されなければならないものと考える。
  沖繩住民にとっては、今次大戦が全県民の生活の中で戦われ、その後日本の統治権からの分離と絶対的権力を一持つ高等弁務官施政の下に、日本及び極東の安全を守る極東最大といわれる米軍基地の存在と、基地をめぐる人権問題、布令、布告の制約等によって鬱積した矛盾感と堪えがたい不満を抱いてきたことは否めない。
  ヴェトナム戦の激化と極東情勢の変動に伴ない、B52の駐留と墜落爆発事故、原子力潜水艦の寄港と海水汚染、その他、基地公害が複雑化し多様化する傾向を示してくるにつれ、関係住民の不安、恐怖はいまや生命財産の危機感にまで高められ、B52の撤去、原潜の寄港阻止、核基地撤去等の問題が二・四ゼネストの決意という緊急事態を生むに至っているものと考える。
  沖繩の各界とくに琉球政府首脳は、米側の態度に関し、沖繩における高等弁務官が「米軍基地の効果的維持とその運営確保の責任」を強調し、「住民の不安動揺についてはこれを認めるが、B52、原潜の撤去や総合労働布令の廃止等の要請は弁務官の権限外」とし、「これらは、日米のより上層において対処すべき事項である」との立場を堅持していると見ている。したがって沖繩住民は日米外交折衝に重大左関心と期待をかけているものと見られる。派遣団は、同じ日本国民として、これらの沖繩住民の苦衷を理解しとくに政府において深甚な配慮をもって対処すべきものと認める。
  また、かねてからその廃止と民立法への移行を要望されていた布令一二八号に代えて、米側は一月十一日「総合労働布令」を一方的抜打的に公布し、二十五日施行を発表した。
  屋良主席はこれに対し「施行延期」を弁務官に進言したという。さらに内容に関し、労働関係法として重要な疑義を含み治安立法的内容を有すると見て深い疑惑と強い反発を示している。基本的人権の回復、自治権拡大、布令布告の民立法移行促進を強く意識している沖繩住民に対し、この布令公布は真向からの挑戦を受けたとの印象すら与え、二・四ゼネストへの刺戟を増幅したとも受取られるのである。
  平和条約三条に基づく、アメリカの沖繩統治と米軍基地をめぐる多様な住民不安が「不測のエネルギー」となって結集されかつその「爆発」による不測の事態に対し、不要の混乱と摩擦を避け、これを未然に防ぐため、日本政府はつねに民心の動向を把握し、あらゆる点においてその措置を誤らないよう対処すべきであると考える。
  派遣団は、現下の変転極まりない国際情勢の下にあって、日本及び極東の安全確保に関し、沖繩の米軍基地が果す重要な役割を強調する政府の立場に関して、沖繩住民の理解と協力を得られる具体的方策については、その困難をいとうことなく、渾身の勇を振って、全力を傾注すべきであることを痛感した。
  産業経済について。
  沖繩経済は近年かなりの高度成長を示しているが、これは日米援助と砂糖、パインの特産物輸出と観光等の収入の支えも加ったためであるが、戦後引続き米軍基地及びその関連収入に大きく依存する経済構造は変っていない。
  貿易自由化の波から見れば、現在の基幹産業である砂糖、パインの占める相対的地位に自ら限界があるものと認められる。
  沖繩の施政権返還が具体的日程に上りつつある現在、祖国復帰に当り産業経済の混乱と摩擦をできるだけ少くすることと、日本経済の一環としての沖繩経済の位置づけを明確にし、日米琉三者がその具体案を作成することは、政治情勢の如何に拘わらず緊急性をもつものと認められる。
  この点に関し、現在のところ将来における基地関係収入の縮小の程度を予測することは困難であり、復帰後の産業経済の展望も極めて大まかなため、経済振興の特別措置法の作成に関しても抽象的な着想に止まっている。
  これ等は沖繩の現状からやむを得ないものがあると推測されるが、官民を通じ施政権返還をめざす準備について一段の努力を要するものが認められる。
  復帰に当っては、沖繩の既存企業はほとんど本土の中小企業関係法規の恩恵に浴するものとみなし、その近代化と基盤強化を企図しつつも、基地縮小に伴うアフターケアー並びに新らしい構想について具体的意見に乏しい。また、恒常的資金不足に悩むため沖繩県民の税金では達成されがたい公共的施設は国の仕事として十分な面倒をみて欲しいとの要望がある。
  一方では、沖繩的フリーゾーンはどうあるべきか、沖繩に適した先導的産業又はビッグビジネスは何か、さらに先行投資をなし、それが実効を上げうるために前提処理を要する幾多の問題は何か等、新規の着想とその具体化の道程に介在する問題点を積極的に見出し、かつ処理をする個別的及び総合的な作業を組織化することが当面まず必要と認められる。
  これ等を通じ、本土経済と沖繩経済の機能的分担に基づいた潜在的又は顕在的可能性についての検討と整理を急ぎ、これを総合的な計画として樹立することは最も差迫った問題と思われる。このような立場から沖繩県民の意欲を盛り上げて、現地側の建設的な意向を適切に組入れた地域開発計画の早急なまとめが何より肝要と認められる。そのような計画について政府がこれを認知すれば、本土からの投融資又は援助がし易くなるという見地からして、現地が強く要請している沖繩開発庁はさらに検討すべき課題と見られる。
  なお、沖繩の地理的地形的条件の活用に関し、米国ガルフ社の石油施設工事は、三〇万トンタンカーによる海上輸送費の経済性を軸とした沖繩における臨海工業の可能性につき示唆に富む大きな計画と認められる。
  また沖繩海岸の特徴をなすサンゴ礁地帯の活用に関し、平安座島と勝連半島間の干潮時トラック輸送の実例と、石垣島と西表島との連絡道路の可能性調査等がある。
  このことはさらに、新旧護岸の築造等に当り、これ等サンゴ礁地帯における有用土地の造成と港湾その他の施設形成等、当該地域における海象、海岸地形等のもつ利用可能性の活用を示唆するものと考えられる。
  また、近年、沖繩本島南部における天然ガス資源の数年にわたる地質学的調査はその成果により沖繩住民に明るい期待を抱かせるものがある。沖繩のもつ開発可能性に関する評価に関し科学技術的調査の必要をさらに示唆するものとして西表島の未利用資源ならびに尖閣列島の海底資源の活用問題がある。これに関しても必要な学術的調査を適切に配慮し、国家的見地からする沖繩地域の開発計画を考究すべきである。
  将来の総合開発計画の調整に当っては、巨大な離島又は離島群ともいえる沖繩の交通、通信及び産業立地に関し、十分な配慮をなし、沖繩の占める立場、条件を極力活用すべきであると考える。
  派遣団は、沖繩の産業経済の将来像について、沖繩住民が希望と期待をもって建設的努力を傾注できるものとなるよう政府がとくに配慮し、祖国復帰の悲願に答えるべきであると確信するものである。
  一体化及び財政援助について。
  本土と沖繩との社会、経済、行政制度等の一体化及び沖繩援助に関しては、日米琉諮問委員会及び日米琉政府ベースで鋭意検討中であるが、米施政権、米軍基地に関連する沖繩住民の心を汲み、沖繩の立地及び環境条件に適合し沖繩産業、経済の健全な成長をめざす適切な開発計画との間に総合的な施策の均衡を保つ一体化施策については、積極的な推進を期待されているものと認められる。
 沖繩援助予算について、これが逐年増大するにつれ琉球政府予算における対応費の増をもたらし、琉球立法院の自主的予算審議権限が狭められるとの訴えがなされた。これと共に、国家事務に要する経費は日本政府の全面負担とし、実質的な交付税方式に当る援助を要望している。この外、終戦処理的事項に当る諸経費ならびに例年の台風災害に対応する公共事業費等に関しても日本政府がその財政的負担につき検討すべきものがあると認められる。
  また、基地周辺対策及び地域開発計画等に関しては、その具体的事情を十分に勘案し、日米両国による適切な援助施策につき政府が特別の配慮をすべきであると考えられる。国政参加について。
  国政参加に関しては、表決権のないオブザーバー方式といわれるものならば、同じ日本国民、日本領土の一部でありながら沖繩県民と本土の他県とをあくまで差別し、施政権が近く返還されようとしている時期において、さらに新たな摩擦を与えるものとの意見がある。このような見地から、沖繩代表の扱いを法律技術論ではなく、政治姿勢、立場の問題として、国内並みをあくまで実現されたい旨の主張が一貫して強調されていた。
  その他について。
  派遣団は限られた滞在日数の間に、折から盛り上ったB52撤去、原潜寄港反対の二・四ゼネストの機運に米側が総合労働布令の抜打公布という緊迫した状況の中で各界の意見聴取及び視察を行った。
  本土住民と沖繩住民との間には、戦後二十四年間における生活体験の差に基づく事態の切実感に関し、その受けとめ方にはずれがあり、沖繩本島と離島との間にもずれが感じられる。その間隙を埋める何らかの方途を講ずる必要があるものと認められる。
  政府が沖繩問題に対処するに当っては、これ等を適切に把握し、問題処理に遺憾のないようきめ細かい配慮を要するものと認められる。沖繩の位置と沖繩住民の置かれた特殊な立場は、アメリカの施政権と米軍基地の存在に要約され、ここから「即時無条件全面返還」というスローガンへの住民心理の傾斜はよく理解される。しかし生活実体面では祖国復帰のための具体的準備がいかに進められるかに極めて大きな関心がもたれていることもよく把握できた。
  二・四ゼネストは日、米、琉三政府の努力で何とか回避したいとの気持は相当に強いものがあると見受けられたが、沖繩県民はゼネストを実施することによって日米両政府が住民のつきつめた気持をいかに理解してくれるかという悲壮な矛盾感に困惑している感じも受けとれた。――政府は、いまや沖繩住民が抱く矛盾感が不安、不満から危機感にまで高まっている事態の動きの中に、現地住民のきびしい意識を深く理解し、米国の沖繩統治の従来の態度に大きな転回を迫り、特に自治権拡大、渡航制限、裁判権の民移管、基地公害、人権尊重、本土との一体化策等に関し、「一日も早く祖国復帰を」と熱望する住民感情の帰趨を「本土並み」又は「沖繩の長所を生かした開発」を助長する方向へと一層の努力を致す必要があり、このことをなくしては、基地の維持管理にも影響を及ぼす懸念がないとはいえない。
  沖繩本島をはじめ、宮古群島、八重山群島における派遣団への強い要望は前述のとおりであるが、時間の関係から十二分に意見を聞き得ないうらみはあったが、派遣団一同は真剣に耳を傾け、現地の要望は肌身に触れて受け止め得たと考えるものである。また沖繩住民が国会なかんずく「沖繩及び北方問題に関する特別委員会」の党派を超えた活動に期待するところが大きいものがあることを切実に感じた。
  今回の訪問に当り、終始派遣団に御協力下さった各方面の方々に深く感謝申し上げるとともに、祖国復帰のための諸準備は一刻も早く促進されるよう政府はじめ関係者の格段の御努力を切望すると共に、沖繩問題解決に役立つ事項は積極的に推進を図るよう一層の努力を払うことを決意するものである。
以上であります。
#7
○中村委員長 本日はこの程度にとどめ、次回は公報をもってお知らせすることとし、これにて散会いたします。
   午前十一時二十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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