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#1
第061回国会 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第3号
昭和四十四年二月十八日(火曜日)
    午前十一時四分開議
 出席委員
   委員長 中村 寅太君
   理事 宇野 宗佑君 理事 臼井 莊一君
   理事 小渕 恵三君 理事 川崎 寛治君
   理事 美濃 政市君 理事 永末 英一君
      大村 襄治君    中川 一郎君
      福田 篤泰君    山田 久就君
      井上  泉君    中谷 鉄也君
      西風  勲君    伊藤惣助丸君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 愛知 揆一君
        国 務 大 臣
        (総理府総務長
        官)      床次 徳二君
 出席政府委員
        総理府特別地域
        連絡局長    山野 幸吉君
        外務政務次官  田中 六助君
        外務省アメリカ
        局長      東郷 文彦君
        外務省欧亜局長 有田 圭輔君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 沖繩及び北方問題に関する件
     ――――◇―――――
#2
○中村委員長 これより会議を開きます。
 沖繩及び北方問題に関する件について調査を進めます。
 この際、沖繩及び北方問題に関する政府の施策並びに沖繩援助費等について説明を求めます。床次総務長官。
#3
○床次国務大臣 私は、この際、沖繩問題及び北方問題について所信の一端を述べさせていただきたいと存じます。
 まず、沖繩の施政権返還問題についてでありますが、佐藤総理大臣は、本国会冒頭の施政方針演説におきまして、「早期返還を願う国民世論を背景として、今年こそその実現に向かって大きく前進をはからねばならないとかたく決心しております。私は、今年後半の適当な時期に訪米し、ニクソン大統領と率直に話し合って、日米両国政府及び国民の相互理解と友好協力のもと、祖国復帰の時期を取りきめたいと思います。」とその決意を述べられたのであります。
 私は、今秋の日米首脳会談を成功に導くため、総務長官として万全の準備と努力をいたしたいと思います。私といたしましては、沖繩の本土復帰の日に備えて、政府の基本方針である本土と沖繩の一体化を進めるため、沖繩同胞の意向を十分にくみ入れつつ、昨年十一月五日に閣議決定を見ました本土と沖繩との一体化に関する基本方針の線に沿って、引き続き、沖繩住民の経済的、社会的福祉を増進するための措置をより一そう強力に推進していく所存であります。
 去る一月十三日に開催されました第十七回の日米協議委員会において、琉球政府の一九七〇会計年度(昭和四十四年七月一日から昭和四十五年六月三十日まで)中に支出される総額二百二十七億四千九百万円余の日本政府の対沖繩援助計画が合意されました。言うまでもなく、この日本政府の対沖繩援助計画は、日本政府予算が成立することを条件とされているわけでありますが、日本本土と琉球政府との会計年度の相違を考慮して、援助計画中、百五十七億九千九百万円余は昭和四十四年度予算に計上され、残額の六十九億五千万円余は昭和四十五年度予算に計上を予定いたす計画であります。合意された援助計画は、琉球政府の意向を十分考慮しつつ、日米琉諮問委員会の勧告の実施、特に教育、保健及び社会福祉、産業基盤の整備、市町村行財政の強化等の分野における一体化の促進のために重点を置くなど、前述の政府の一体化の基本方針に沿って、財政事情の許す範囲内で最大限の努力をいたしたわけであります。
 なお、明年度沖繩関係予算の中で、多年の懸案でありました沖繩住民の持っている日本郵便貯金等の払い戻し問題の解決のための措置がなされていることをあわせて御報告申し上げます。
 最近、沖繩住民の間に、B52の撤去、原潜寄港阻止、総合労働布令の撤廃等を求めて、ゼネストに訴えようとする事態にあったのでありますが、幸いにして沖繩住民の良識によってゼネストが回避されましたことに対し、屋良主席はじめ関係者の誠意あふれる努力の結果と私は衷心から敬意を表するとともに、沖繩住民の心情を肝に銘じつつ、沖繩住民が当面する諸問題を前向きに解決する方向で最大の努力を払ってまいりたいと考えております。
 なお、総合労働布令につきましては、政府部内のこれまでの検討の結果に基づき、とりあえず第十条につきまして、同条が労働関係と無関係の一般住民に対する規制を含んでおり、通常の労働法の規制範囲を越えているものと考えられるので、同条のこれらの規定は削除等再検討すべきであるとの日本政府の見解を去る二月十三日に米側に伝えたのであります。同時に、その他の点についても、追って米側に通報する考えである旨をあわせて米側に通報いたした次第であります。
 また、本土、沖繩の一体化施策として、沖繩における各種資格試験等に基づく資格免許制度と本土のそれとの一体化をはかるための措置を講じたいと考えているのでありまして、そのために必要な法案についても今国会に提案する予定といたしております。
 次に、北方領土の問題につきましては、日ソ両国の基本的な考え方の相違があり、その解決には容易ならぬ困難が予想されます。しかし、沖繩問題の解決に対する国民的熱意と努力は、同時に北方領土問題の解決にも注がれなければなりません。
 政府は、北方問題の解決のため、北方領土問題に対する国民世論の喚起をはかるとともに、引き揚げ旧島民の生活の安定、産業活動に対する助成及び漁船の安全操業等の諸問題の解決のために努力する所存であります。このため政府といたしましては、新たに特殊法人を設立し、北方領土問題の解決のための積極的活動をこれに行なわせるとともに、北方協会の業務をこれに吸収させることとし、これが所要の法案を今国会に提案いたしたいと考えております。
 以上、簡単ではありますが、私の説明を終わります。
 次に、昭和四十四年度の沖繩援助費についてその概要を説明いたします。
 さきに所信表明において触れましたごとく、明年度対沖繩援助費の総額は、昭和四十五年度に計上する予定のものを含めまして、二百二十七億四千九百万円余でございます。
 その内訳を申し上げますと、一般会計分が、百七十四億四千九百万円余、財政投融資計画分が五十三億円となっております。
 政府といたしましては、明年度の沖繩援助費について日米間の合意を行なうにあたり、昨年五月に実施されました一体化調査団の調査結果を基礎とし、かつ日米琉諮問委員会の活動の成果を踏まえ、本土と沖繩の一体化施策は、特に教育、社会福祉、産業基盤整備、市町村行財政等に重点を置くこととし、明年度以降おおむね三年間で完了するという基本方針を閣議で決定いたし、この方針に沿いまして、明年度の援助費を大幅に拡充することにいたしたのであります。
 幸い、日米両政府及び琉球政府の間において緊密な事前の非公式協議が重ねられたので、琉球政府の意向と沖繩住民の要望が十分日米間の合意の中に反映することができたと考えております。
 私は、明年度の援助費が、その総額において、本年度の援助額を大幅に上回るばかりでなく、これによりまして沖繩の教育水準の向上、社会保障の充実、産業基盤の整備、市町村行財政の強化がはかられることとなり、沖繩の百万同胞の民生福祉の向上と産業経済の進展に寄与いたすとともに、本土と沖繩の一体化の促進に一段と役立つものと期待いたしております。
 なお、沖繩援助費のほか、本土と沖繩との一体化施策推進のための諸経費及び北方領土問題対策費等の所要経費を二億九千万円余計上いたしたことを補足しておきます。
 援助費の具体的内容については、山野特連局長から説明いたさせます。
#4
○中村委員長 田中外務政務次官。
#5
○川崎(寛)委員 それは外務大臣が当然すべきことです。私たち、次官のことで、これは田中さんにはたいへん恐縮ですけれども、理事会で了承しておりませんよ。予算委員会が開かれていないんだから、外務大臣が出られないということはないはずなんで、そういうのを、最初からすっと理事会抜きでやられるというのは承服できませんね。
#6
○田中(六)政府委員 内閣委員会がちょうどあっておりますから、大臣はそちらのほうに行っております。しかし、それは委員会の決定でいいですが……。
#7
○中村委員長 ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#8
○中村委員長 速記を始めて。
 山野特連局長。
#9
○山野政府委員 昭和四十四年度の沖繩援助費につきまして、総務長官の説明を補足して御説明申し上げます。
 昭和四十四年度の沖繩援助費の内容につきまして、お手元に配付いたしました資料に基づきまして御説明申し上げます。
 先ほど総務長官が申されましたとおり、明年度の沖繩援助費の総額は、本年度の援助額百五十三億七千七百万円余を七十二億円余り上回ります二百二十七億四千九百万円余でございまして、その対前年度伸び率は四八%になっております。
 その内訳について申し上げますと、一般会計分が百七十四億四千九百万円余で、その対前年度伸び率は三九%、財政投融資計画分が五十三億円で、その対前年度伸び率は八九%となっております。
 次に、その内容の主要なものについて順次御説明申し上げます。
 国土保全及び開発に関する援助につきましては、本年度に引き続きまして、土地改良、農業施設、道路、港湾、漁港、森林開発、治山治水、護岸、天然ガス開発、空港整備等の諸事業につきまして援助を行なうことといたしております。これらの事業のうち、特に沖繩経済の振興に重要な役割りを果たす那覇新港の建設につきましては、事業計画の第二年次として、工事の大幅な進捗をはかるために、約十一億円の援助費を計上いたしております。
 また、漁港につきましては、糸満港等三港の継続工事のほか、新たに、遠洋漁業の根拠地といたしましてその重要性を増しております泊港の整備及び近海漁業の振興のために必要な石垣港の新設について援助を行なう乙とといたしております。
 道路につきましては、本部半島、久米島及び西表島の三路線の改良新設工事を計画いたしますほか、新たに、那覇新港地区開発の一環として実施される都市計画事業についても援助を行なうことといたしております。なお、戦禍によって記載事項がきわめて不正確な土地公図及び公簿の整備を促進するために、琉球政府が従来単独事業として実施しておりました土地調査について、新たにこれを援助対象とすることにいたしました。
 次に、社会福祉、医療等に関する援助について申し上げます。
 明年度の社会福祉、医療等に関する援助費の額は四十四億一千七百万円余で、本年度の二十七億二千六百万円余に比べまして、約六十二%の大幅な伸びを示しております。
 援助費の内容について、まず生活保護事業から説明いたしますと、明年度におきましては、現行の沖繩の生活扶助基準をほぼ本土並みの水準まで引き上げることができるように援助費の増額を行なうことといたしました。
 また、現在沖繩で逐次整備されつつある社会保険制度につきましては、本土における社会保険の国庫負担制度に準じた援助を行なうことにより、その財政基盤の強化をはかることにいたしました。すなわち、国民年金制度につきましては、本年度に引き続いて無拠出の福祉年金の給付に必要な経費について援助いたすとともに、近く実施が予定されております拠出制年金につきましても国庫負担に準ずる援助を実施いたし、さらに、現に琉球政府の一部負担によって運営されております公務員退職年金、失業保険に対しましても、同様な考え方に基づきまして援助費の導入をはかることといたしたのでございます。
 また、社会福祉面では、身体障害者福祉対策の充実をはかるとともに、特に児童福祉措置については、民間立の施設に入所する児童のみならず、政府立の施設に入所する者についても援助対象に加えることとするほか、最近発足いたしました児童手当制度について高率の援助を行ない、かつ、重度身体障害者収容施設及び精神薄弱児通園施設の新設、保育所十カ所の増設及び老人ホーム三カ所の増改築に要する経費についても援助を行なうことといたしております。
 さらに、医療対策といたしましては、今年度に引き続き、無医地区医師の派遣、結核及びハンセン氏病対策、精神衛生措置、原爆被爆者対策等を実施するとともに、琉大保健学部実習施設並びに地域医療センターとしてその早急な完成が期待されております新那覇病院の建設を促進するため、七億八千万円余を計上いたしました。
 また、本土に比べまして住宅難が著しい沖繩の住宅事情を考慮いたし、明年度は公営住宅二百七十五戸の建設について援助するほか、後に申し上げます財政投融資計画におきましても三十六億二千万円余の資金を供給することによって、融資住宅の建設を促進することにいたしております。
 なお、現地で強い要望のありました軍雇用離職者対策については、軍雇用の不安定性にかんがみ、本土に準ずる制度を沖繩においても実施し得るように所要の援助措置を講ずることとし、また、離島辺地の電力事情を向上するため、これら地域の発電施設の改善に要する経費についても援助を行なうことといたしております。
 第三に、教育に関する援助措置について申し上げます。
 明年度の教育に関する援助費は六十二億七百万円余で、援助総額の中で最大のウエートを占めております。
 その援助内容について申し上げますと、明年度におきましても、従来に引き続き、教職員給与の半額負担、教科書無償給与、公立義務教育諸学校等の施設及び備品の整備、琉大の施設等の整備、国費学生の招致、育英資金の充実、私立学校助成、モデル幼稚園の建設等について援助が行なわれることになっておりますが、特に小中学校の施設につきましては、特別教室、屋内体操場、プール等を中心に大幅な整備を行なうことといたしております。また、新規事業といたしましては、特殊学校就学奨励制度の運営に必要な経費について援助するほか、視聴覚ライブラリー、総合体育館、中央公民館及び第二青年の家の建設並びに埋蔵文化財の発掘調査について援助を行なうことといたしております。
 第四に、産業開発及び財政投融資計画に関する援助について申し上げます。
 産業開発につきましては、さきに国土開発に関連して説明いたしました諸事項に加え、前年度に引き続きまして肉牛生産を中心とする畜産の振興、沖繩経済開発研究所の強化、糖業の振興のための援助を行ないますほか、新たに農業構造改善事業の推進、水産研究所の整備、中小企業会館の建設等について援助をいたし、また、西表島に産業開発青年訓練センターを設けることといたしております。財政投融資計画につきましては、本年度のほぼ二倍に近い五十三億円を予定いたしておりますことはさきに申し上げたとおりでございますが、その内訳について御説明を加えますと、本年度に引き続き農林漁業及び中小企業資金の供給を行なうとともに、特に産業開発資金については、本年度と同額の投融資資金を援助することといたしております。住宅資金につきましては、住宅対策の強力な推進をはかるため融資額の大幅な増加をはかることといたしました。また、明年度においては、財政投融資資金を電気通信事業及び郵政事業についても活用する道を開くことにいたしております。
 最後に、市町村行財政等に関する援助について申し上げます。
 市町村行財政の強化をはかるための援助は、本年度初めて十億円が計上されたのでありますが、昭和四十四年度におきましてはこれを十八億円に大幅に増額いたし、沖繩の市町村の行財政の一そうの充実強化をはかってまいる考えであります。
 以上のほか、本年度に引き続きまして気象、灯台施設の整備を行ないますとともに、離島地区の民生安定をはかるため、救難艇の建造、警察通信施設等の整備、特別少年院の建設についても援助をいたし、また、昨年九月の台風第十六号による災害復旧事業についても学校、病院、護岸等公共施設を中心に援助するとともに、琉球政府の行政事務の改善と職員の資質向上等をはかるための各般の技術援助並びに南方同胞援護会を通ずる社会福祉関係の助成措置についても、本年度同様援助することにしております。
 以上説明しました沖繩援助費の予算計上につきましては、日本政府と琉球政府の会計年度の相違等を考慮いたしまして、昭和四十四年度分として一般会計百二十億九千九百万円余、財政投融資計画三十七億円、昭和四十五年度分として一般会計五十三億五千一万円、財政投融資計画十六億円とそれぞれ区分して計上いたしております。なお、昭和四十四年度の一般会計の沖繩援助費の総額は、さきに申し上げました百二十億九千九百万円余と本年度において昭和四十四年度分として計上されました三十二億九千四百万円余を合算いたしました百五十三億九千三百万円余となっております。
 次に、以上御説明申しましたほか、本土と沖繩との一体化施策推進のため、資格免許試験二百七十万円余、沖繩経済振興会議の設置運営費二百四十万円余、尖閣列島資源調査費九百四十万円余の新規経費を含め所要の経費を計上いたし、また、今後北方領土問題の解決を一そう強力に推進するため、新たに、中央に北方協会を吸収した北方領土問題対策協会(仮称)を設置し、北方地域に関する諸問題の解決を促進するための必要な調査研究、啓蒙宣伝を行なわせるとともに、北方地域旧漁業権者等に対する資金の貸し付け等の業務をもあわせて行なわしめることとし、同協会に対し一千八百六十三万円の補助を行なうことにいたしておりまして、これらの経費について合計二億九千万円余の計上をいたした次第でございます。
 以上をもちまして私の補足説明を終わります。
    ―――――――――――――
#10
○中村委員長 それでは外務大臣。
#11
○愛知国務大臣 私から、外務省の所管事項につきまして、その概略を御説明申し上げたいと思います。
 当面、沖繩施政権返還問題が、日米両国間において最も重要な問題となっておりますことは御高承のとおりであります。政府は、日米相互信頼関係の基礎の上に立った話し合いによる解決こそ沖繩問題解決のための最善にして最短の道であると確信し、米側との話し合いを進めております。
 佐藤総理大臣は、本国会冒頭の施政方針演説におきまして、今年こそその実現に向かって大きく前進をはからなければならないとの強い決意を表明されております。政府は、これまで一昨年の佐藤総理大臣とジョンソン前米国大統領との会談の成果を基礎にして、沖繩の早期返還の実現をはかるべく米国との話し合いを続けておりますが、本年は私の訪米あるいは日米貿易経済合同委員会等を含むあらゆる機会を通じて、この話し合いをさらに積極的に進め、もって今年後半に予定される佐藤総理大臣とニクソン大統領との会談を成功に導くよう努力してまいる決意でございます。
 沖繩問題は、民族的悲願の達成という重要な意味を持つとともに、今後長期にわたるわが国の安全という重大な国益にもかかわる問題であります。政府としては、わが国の国益にとって何が最も正しいかという判断に立って、この問題の早期解決につとめてまいる決意であります。関係各位の御理解と御支援をここにお願いいたします。
 沖繩現地におきましては、B52移駐、原潜寄港、総合労働布令の公布等沖繩住民の社会生活に影響を及ぼす種々の問題があり、先般これらの問題をめぐりゼネストに訴えようとする動きがありました。幸いにして屋良主席をはじめ沖繩の各方面の指導者の良識と努力によりゼネストのごとき過激な手段に訴える事態を回避し得ましたが、政府としましては、これらの諸問題に対する沖繩住民の不安あるいは疑惑については十分理解し得るところでありますので、つとに、米国政府に対しかかる沖繩住民の不安あるいは疑惑の解消に配慮するよう申し入れてきており、今後とも米側に対しこの面における配慮を求めていく所存でございます。
 北方領土問題につきましては、一昨年末以来中川駐ソ大使を通じてのいわゆる中間交渉において、わが国にとっての最大懸案として今まで数回にわたり話し合いを行ないましたが、今日までのところ、ソ連側は領土問題は一連の国際協定によって解決済みとの従来の態度を変えておりません。交渉の概要につきましては後に説明させることといたしたいと存じます。
    ―――――――――――――
#12
○中村委員長 この際、田中外務政務次官より発言を求められております。これを許します。田中外務政務次官。
#13
○田中(六)政府委員 私、このたび外務政務次官を拝命いたしましたので、よろしくお願いいたします。(拍手)
#14
○中村委員長 東郷アメリカ局長の補足説明を求めます。
#15
○東郷政府委員 ただいまの大臣の御説明を若干補足させていただきます。
 B52の問題につきましては、一月二十八日外務省より在日米国大使館に対し、アメリカ側が沖繩をB52の恒久基地化する意図なき旨を再確認するとともに、日本政府としては、アメリカ側がB52を自主的に撤去することを可能にする情勢の早期到来を強く期待する旨を申し入れた次第であります。政府としては、今後とも沖繩住民の不安を取り除くよう努力してまいる考えであります。
 沖繩における原子力艦艇の寄港に伴う安全の問題につきましては、政府としても、日本国民たる沖繩住民の生活に影響する問題として、本土と同様の強い関心を持っております。
 沖繩現地においては、米国民政府は、すでに米国原子力艦艇の日本港湾並びに海域における航行に関連して、アメリカのとるすべての安全措置及び方法は沖繩の港湾並びに海域でも厳重に守られている旨を発表しており、また、原潜寄港のつど米国民政府、琉球政府とが合同で寄港地点付近の海水及び海底泥のサンプルを採取し、これを米本土の権威ある研究所に送付、分析の上その結果を発表しており、また、近く琉球政府が独自の調査を始める計画もあるとも聞いております。
 さらに、この方法により、これまでに沖繩で検出された放射能の数値は、一般に認められている人体の許容量に比較してきわめて微量であると聞いております。
 政府としては、沖繩が米国の施政権下にあることにかんがみ、現在沖繩で行なわれている米琉合同調査の仕組みを通じて、沖繩における原潜寄港に伴う安全の問題に対処していくことが一番適当な方法と考えておりますが、米琉両政府の協議の結果として、放射能検出に対する技術的協力を要請された場合には、それに協力する用意がある次第であります。
 去る一月十一日に公布されました総合労働布令につきましては、お手元に配布いたしました資料「総合労働布令に関する米国政府に対する意見の提示」に述べられておりますように、政府は、同布令公布以来米国政府の説明を求めつつ、同政府とともにその内容を協議検討してまいりました。この結果、非合法活動に関する同布令第十条につきましては、同布令上の労働関係とは無関係の一般人に対し、通常の労働法の規制範囲を越えているものとの結論に達しましたので、二月十三日外務省より在日米国大使館に対し、第十条の規定は、第一条に規定する目的にかんがみ不適当であり、これらの規定は削除等再検討すべきであるとの日本政府の見解を伝え、アメリカ側も協議検討方同意した次第であります。政府としては、その他の点につきましても追って米側に通報する考えであり、この旨アメリカ側にも伝えておる次第でございます。他方、この総合労働布令の施行期日が延期され、三月一日までに沖繩の関係諸団体が意見や提言を書面をもって米国民政府に提出することが求められておりますことでもあり、政府としては、琉球政府を含め、沖繩の関係者が米国民政府に対し、本布令に関する建設的意見を提出することを期待している次第であり、アメリカ側に対してもこれら意見を十分検討し、できる限りそれを取り入れるよう努力方要望している次第であります。
 以上でございます。
#16
○中村委員長 有田欧亜局長の補足説明を求めます。
#17
○有田政府委員 日ソ共同宣言が調印されましてからすでに十数年になっておりますが、全般的には日ソ関係も逐次改善を見せております。しかし、遺憾ながら北方領土問題、北方水域における安全操業問題等につきましては進展はなく、満足な解決を見ておりません。しかしながら、これらの問題は、日ソ間の長期的な善隣関係の確立のためにはぜひとも解決しなければならない問題であり、あらゆる機会にわがほうの主張をソ側に伝え、また、わがほうの当然の立場について、ソ側の理解を得るように説得を続けております。
 大臣から御説明申し上げましたとおり、一昨年来中川駐ソ大使を通じて行なっております中間交渉でありますが、これにおきましても北方領土問題の解決を最も重要な目的として交渉に臨んでおります。しかし、遺憾ながら、ソ側の態度から判断いたしまして、現在の段階におきましては、早急に領土返還の目途をつけることはいささか困難な状態にあります。したがいまして、目下のところは長期的な視野に立ちまして、領土問題を含め、両国間の懸案について幅広く話し合いを行ない、両国関係を一歩一歩前進せしめて相互理解を深め、これによって領土問題の解決に資することにしたい、このような方針でおります。
 わがほうといたしましては、従来から政府が一貫してとってまいりました立場、すなわち国後、択捉、歯舞群島、色丹島はわが国固有の領土であり、戦時中及び戦後の諸協定より見ても当然わが国に返還すべきであるとの立場を堅持いたしまして、国内世論の支持を得て、粘り強く交渉を続けていく方針であります。
 北方水域における安全操業問題につきましては、この問題の解決のため従来からあらゆる努力を重ねてまいりました次第でありますが、中間交渉の一環といたしまして本件を実際的に解決する何らかの方式を見出すよう、今後も引き続き努力していく方針でございます。
 昨年の秋以来のソ側との接触を通じまして、ソ側は、安全操業問題について、わがほうから具体的な何らかの提案があればこれを検討する用意があるとの態度を示しておりますので、わがほうといたしましても、ソ側に今後どのようにアプローチすべきかについて、十分慎重に検討したいと考えております。
 以上をもって御説明を終わります。
#18
○中村委員長 質疑は次回に行なうことといたします。
 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
    午前十一時四十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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