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#1
第061回国会 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第4号
昭和四十四年二月二十五日(火曜日)
    午後三時三十四分開議
 出席委員
   委員長 中村 寅太君
   理事 臼井 莊一君 理事 小渕 恵三君
   理事 本名  武君 理事 八木 徹雄君
   理事 川崎 寛治君 理事 美濃 政市君
   理事 永末 英一君
      大村 襄治君    中川 一郎君
      岡田 春夫君    中谷 鉄也君
      西風  勲君    依田 圭五君
      伊藤惣助丸君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (総理府総務長
        官)      床次 徳二君
 出席政府委員
        総理府特別地域
        連絡局長    山野 幸吉君
        外務政務次官  田中 六助君
        農林水産技術会
        議事務局長   横尾 正之君
 委員外の出席者
        外務省アメリカ
        局外務参事官  大河原良雄君
        大蔵省主計局主
        計官      秋吉 良雄君
        大蔵省理財局資
        金課長     岩瀬 義郎君
        農林大臣官房調
        査官      結城 庄吉君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 沖繩及び北方問題に関する件
     ――――◇―――――
#2
○中村委員長 これより会議を開きます。
 沖繩及び北方問題に関する件について調査を進めます。
 質疑を許します。大村襄治君。
#3
○大村委員 私は、四十四年度沖繩緩助計画その他これに関する問題について、政府にお尋ねをしたいと思います。
  〔委員長退席、本名委員長代理着席〕
 第一に、昨年の十一月、政府は閣議決定により一体化を推進するという基本方針を決定されました。また昨年の国会においては、今後の援助計画を策定するにあたって、日本側及び沖繩の現地の意向を尊重するという趣旨の決議を行なっております。そこで、今回の援助項目及び計画において、政府はこの国会の附帯決議、また昨年末の基本方針を尊重しながらどのように配意したか、その点をまずお尋ねいたしたいと思います。
#4
○床次国務大臣 沖繩に対する本土の援助計画の内容の決定方法でありまするが、従来はとかく日米間の話し合いが中心になりがちであったと思います。しかし、将来の一体化推進のためを考えまして、なお特に明年度は一体化推進の初年度でありまするために、その項目の個別選択、どういう費目を選ぶかということにつきましては、地元の琉球政府の要請というものを基礎といたしました。なお、その根拠になりますものは、日米一体化の調査団の調査項目あるいは諮問委員会等の答申、勧告等を尊重いたしました。そうして地元の要望をいれながら、作成いたしたのであります。
 すなわち、第一段といたしまして教育、第二段に社会福祉、それから産業基盤の整備、市町村行財政の強化という四点に分かれておるのでありますが、教育問題におきましては、学校の施設、備品等にまず重点を置いたわけでありまして、社会福祉のほうの問題におきましては、拠出制の国民年金、公務員退職年金、失業保険、児童扶養手当、軍関係離職者対策等に対して援助を新たに行なうことにいたしました。生活保護、児童福祉、精神衛生、身体障害者の福祉、住宅建設等の費用の拡大をはかりました。なお、産業基盤の中におきましては、当面の急務でありますところの道路の整備、港湾、漁港の整備、森林開発等に重点を置きましてその項目を選んだのであります。それから、市町村財政につきましては、市町村交付税の拡大というところに重点を置きまして、行財政能力の充実をはかりました。そのほか産業資金の充実、民生安定の諸政策等の援助に対しまして、一体化において特に緊急なものというものを中心にして選びました。
 この点におきましては、相当委員会の御要望によりまするところの住民の要望というものが優先的に組み込まれておると考えておる次第であります。
#5
○大村委員 次に、本土との格差是正について、今回の予算の際、どのような考えで進められたかお尋ねしたいと思うのであります。
 いままでの政府側の説明によりましても、類似県に比べて、沖繩を府県とみなした場合の財政規模は七割強、七五%くらい、市町村もこの程度の水準であるということであります。また、県民一人当たりの個人所得を見ましても、本土の全府県の平均に比べますと六割程度というような数字もかってあるわけでございます。そういった過去において相当の開きがある格差を引き上げることが現下の急務であると思うのでありますが、援助費を策定するにあたりまして、この点はどのような見当をつけながら援助費を組んだのであるか、この点を総務長官にお尋ねしたいと思うのであります。
#6
○床次国務大臣 一体化によるところの格差の是正につきましては、ただいまお話のありましたごとく各方面に格差があったのでありますが、しかし、その中におきまして、制度上また財政上におきまして特に要望の強い点から選んだのでありまして、教育関係におきましては、特にその施設の面に重点を置きまして、格差の解消をはかるように努力いたしたのであります。
 それから、社会福祉の面におきましては、現在未実施の拠出制国民年金、これは早く実施することがいいのではないか、明年四月から実施するための援助を新たに行ないました。さらに、生活保護基準も明年度において実質が本土並みになりますように水準の引き上げをいたしたのであります。
 なお、社会福祉の面におきましては、おくれておりますところの保育所と老人ホームの増設に援助をいたしました。なお、将来の国民皆保険、医療の徹底を考慮いたしまして、那覇病院の建設を促進するための援助をいたしましたのであります。
 それから市町村の関係におきましては、先ほども申し上げましたように、この格差をできるだけ解消したいという努力をいたしたのであります。なお、特に公共土木、港湾設備につきましては、著しく立ちおくれているのと、現在那覇港、泊港がその能力がフルになっておりますので、貨物の渋滞がはなはだしいために、那覇市に新港を建設する計画を立てまして、四十三年度から財政援助をいたしまして、明年度は本格的な修築工事に入るようなわけであります。全体の関係から申しますると、お示しになりましたように、府県関係におきましては大体八割八分、九割近くのもの、それから町村におきましては従来の率から八割近くに引き上がってまいっておると思うのであります。これは単に数字のみをもっていえない、制度の改善と伴って一体化が行なわれているというふうに私ども考えておる次第でございます。
#7
○大村委員 次に、現年度の財政運営についてお尋ねしたいと思います。
 最近の現地における報道を見ておりますと、現年度、すなわち一九六九会計年度予算において、琉球政府におきましては減額補正の問題が出てきておるように聞いておりますが、その実態はどうであるか、また、これに対する本土政府の見解はどうであるか、お尋ねをしたいと思います。
#8
○床次国務大臣 新聞によりまして相当大きな赤字ができておる、二千万ドルと新聞に出ておりました。まだ直接琉球政府からの具体的な報告を得ておりませんが、しかし、大体推察いたしまするのに、今年度の予算編成後の経済情勢の変化のために、当初見積もりと比べまして税収入の相当の減収が予想されるのであります。
 なお、歳出面におきましては、いわゆる公務員のベースアップに伴うところの人件費が増加いたしました。
 それから、もう一つの特別な要因といたしまして、米国政府の援助が、費目の交換によりまするところの事業費の追加計上というような必要性に迫られまして、年度内の予算編成の補正を行なう必要ができたのではないかと推察されております。
 税の問題につきましては、沖繩の経済が多少渋滞ぎみでありますので、税収入の所得税、法人税等においての減収は、これまたあるのではないかという懸念を持っておるのでありますが、御承知のごとく、現在は、沖繩で申しますと会計年度のちょうど途中でありまして、はっきりとした状態はありません。今後の動向によりまして、決算等の状態によりましてできるだけひとつ財政の見通しを立てまして、必要な補正をいたしていきたいと思っておるわけであります。琉球政府におきましても、現在まで徴税に対して努力を払っておるようでありますが、若干は回復できるのではないか。また歳出の面におきましても、ある程度まで節減を行ないますと同時に能率的執行ということも期待できるし、やむを得なければ繰り延べということにもなると考えられる。あるいは借り入れ金等も考えられると思いまするが、この点につきましては琉球政府の報告を待ちまして、われわれといたしましてもできるだけひとつ指導をいたしまして、そうして財政状況の悪化を防いでまいりたいと思っておる次第であります。
#9
○大村委員 一体化の直前の年度である現年度の予算執行が予定どおり進行しないということになりますると、いろいろあとに尾を引いてうまくなくなるおそれがありますので、政府におきましてはすみやかに実態を把握されて、これに対する適切なる対策を立てられるよう要望いたしまして、次の質問に入ります。
 次に、沖繩の現状にかんがみまして、一体化施策と関連しつつ、沖繩全体に対する財政援助の方式を、従来のような個別援助方式から本土の都道府県に対する国の財政支出のやり方、都道府県に対する交付税のような方式によるべしという意見が、先般現地に参りましても相当強い要望が出ております。また、行く行くはそういったことを講じたほうがいいのではないかという気もするのでありますが、政府におきましてはこの問題を現在どのようにお考えであるか、お尋ねをしたいのであります。
#10
○床次国務大臣 援助の方式を個別方式から他の方式を考慮するということにつきましては、私どもも考えて検討中であるわけであります。いままでは大体個別方式においてやっておりました。しかし、今日におきましては、本土との一体化が相当進行しつつあります過程である。同時に、それに伴いまして援助額もかなり増加しておる、しかも日本政府の援助割合がふえておるということ、この点につきましては従来とはだいぶ異なっております。したがって、個々の費目別の援助方式よりも、むしろ財政全般から見て考慮することが必要ではないかと思うのであります。そのために一体化の進行がおくれるようなことではいけないのではないか。この意味におきまして、いままでの個別費目による援助方式、これでは不十分で、もう検討すべきときではないか、御意見のように私どももいま考え中であります。
 しかし、現在の沖繩におきましては、一体化が相当進みましたとはいいながら、今日において、まだいわゆる国費に当たりますところの政府の国政事務相当の経費並びに県政相当の事務費というものが混在しております。それから、税制におきましても、いまだ本土と異なっておりますし、なお、琉球政府と市町村との間の事務配分というものも相違がありますし、米国政府の援助というものがまた別にあるわけでありまして、この点は、本土の府県、公共団体と同じような扱い方をすることはなかなか困難だと思うのであります。しかし、ある程度までの固有財源を持ちながら仕事をするということ、これもまた必要だと思われるのでありまして、この点は、本土の各都道府県に対する財政支出の制度と準じたものとするということはなかなかむずかしいのでありまするが、しかし、考えなければならぬことだと思います。したがいまして、今後この点につきましては十二分に検討いたしまして、新しい援助方式というものにつきまして、どういう形がいいかということを私どもは検討いたしたいと思う次第であります。
#11
○大村委員 総務長官としては、そういった新しい方式をできるだけ早くとれるようにしたいというお気持ちのようでございますが、重ねてお尋ねしておきたいのであります。
 昨年十一月の一体化の基本方針、三年間で本土となるべく同じようにするということをねらいにしておられるようであります。事務配分なり税源の配分、そういった点が同じようにならないと交付税方式は直ちに採用できないと思うのでありますが、大体この三年間の一体化が進みますると、そういった新しい方式に移行できるような基盤ができるのではないかという気もいたしますが、その辺はどのようにお考えであるか。あるいはきょうは大蔵省御出席かどうか知りませんが、とりあえず総務長官にお尋ねしておきます。
#12
○床次国務大臣 できるだけ三年間でもって一体化の仕事が進むように努力いたしたいと思います。これが閣議決定の趣旨でありますが、まず初年度におきましては、先ほどもお答え申し上げましたように、地元において非常に要望の強いものから取り上げられる。なお将来を考えて制度的に早くから準備をしなければならないもの、かような意味におきまして諮問委員会においても取り上げる。琉球政府においても取り上げてきておるわけであります。数学的には必ずしも一体化が――全体の第一年次として、数字的に計画的な数字では必ずしもないと思うのでありますが、本年の実績、実施をいたしました状況等からさらに明年度の予算というものを検討し、そうして再来年度というふうに努力いたしまして、三年後におきましては大体本土の府県並みというものにいたし、なお、将来の振興計画そのものにつきましては、いわゆる沖繩振興五カ年計画あるいは十カ年計画というようなものを樹立いたしまして、過去において打撃を受けておりました、あるいは非常に窮迫をしておりましたところの公共事業その他の振興をはかる、大体さような考え方で来ておるのでありまして、今日総理府におきましてもいわゆる三年計画の具体的な検討に入っておる次第であります。
#13
○大村委員 次に、市町村財政充実費についてお尋ねいたします。
 援助費総額が四十四年度二百二十七億円、前年比四八%の増加を示しておりますが、その中で、市町村財政充実費が本年度の十億円から明年度は十八億円に、倍近くにふえております。この点は、政府の努力を多とするものであります。しかしながら、沖繩の市町村の財政の状況を見ますると、なかなか苦しい点も見受けられるのでありまして、一体この程度の増額で沖繩の市町村自治の向上にどの程度の寄与をするか、どのように政府は判断されておるか、この点をお尋ねしたいと思います。
#14
○床次国務大臣 市町村に対する交付金の市町村財政に対する寄与率とでも申しますか、お話がありましたが、本年度は六四%になっております。市町村の財政の実質が本土に比べまして六四%、本土の類似府県の鳥取、徳島、高知、佐賀、宮崎等の町村に比較しますとそういう割合でありますが、お話しのことしの十八億円交付によりまして、実質八〇%にこれが上がる見込みだと思っております。しかし、現在の市町村行財政は、先ほども申しましたように、琉球政府と市町村との事務の配分が適正でないものも少なくない。琉球政府で握っておるものもあります。反面におきまして、市町村の規模が非常に小さいために、市町村行財政として発展のおくれておる非常な障害になっておる点もあると思うので、この点につきましては、一面において行財政等における積極的な充実に努力するとともに、形式的には、いわゆる小さい市町村の合併というような合理化も行なっていかなければならないのではないか。事務運営の適正化と合わせまして、そういう方面の整備を行なってまいりたいと思っている次第であります。できるだけ早く本土並みの市町村ができるということを目標に、引き続き援助をふやしてまいりたいと思います。
#15
○大村委員 次に、財政投融資計画についてお尋ねいたします。
 前国会で資金貸し付けの特別措置法案を審議の際に、政府は、四十三年度の財政投融資計画の二十八億円は、琉球政府の要望に沿った緊急暫定措置であるという説明をされております。また、本委員会では附帯決議を付しております。明年度の計画額は五十三億円で、かなり増額されております。項目は、一々見てみますると、おおむね昨年同様のように見受けられるのでありますが、本委員会の附帯決議の趣旨をどのように具体化されたのであるか、その点をまずお尋ねいたします。
#16
○床次国務大臣 本委員会におきまして附帯決議をおつけいただきまして、財政の実施状況に関していろいろ御意見をいただいたのでありまするが、これに伴いまして、昨年九月、政府におきましては、八木総理府総務副長官を団長といたしまする経済調査団を派遣いたしまして、経済振興のために基本的な方向、動向を調査する等のことをいたさせたのでありまして、振興方策等もあらためて検討いたしました。そうして、沖繩におきまして必要とするところの資金量等も考えまして、一応の目的を設定いたしたのであります。今回の予算におきましても、さような意味におきまして五十三億円を融資することになったのであります。
 なお、その内訳等につきましては、産業開発資金、漁船建造資金、新しく郵政事業資金、それから住宅建設資金――これも相当大幅に動いております。それから農林漁業資金、中小企業資金、電信電話公社資金――これは新しいものですが、以上が考えられておるわけであります。
 なお、融資の条件等につきましても附帯決議において御意見があったのでありますが、大体前年度並みを考えておるわけでありまするが、各機関の資金の均衝を考えながら、同じ種類の資金の均衡を考えながら、今後さらにその実態に即しまして検討いたしてまいりたいと思う次第であります。
#17
○大村委員 次に、財政投融資計画の基盤となる計画並びに貸し付けの対象、貸し付けの条件、長期性資金の需給の状況など、この基礎的な問題をどのようにお考えになっておいでになるか、これをお尋ねしたいと思います。
#18
○床次国務大臣 貸し付けの基本的なものといたしましては、琉球政府を通じて貸し付けられる諸事業の対象として、産業開発資金、漁船建造資金、住宅建設資金、農林漁業資金、中小企業資金、郵政及び電電資金ということをいま申し上げたのでありまするが、これらの貸し付け条件につきましては、いままでありましたこれらの機関の融資条件等を考慮して具体的にきめることになると思います。
 なお、長期の産業開発資金といたしましては、本土からの借り入れ金をもちまして、とりあえず産業開発資金融通特別会計をこしらえまして、なお、従来からありまするところの米国民政府機関の琉球開発金融公社、これと二つで預かることになります。
 なお、産業開発資金融通特別会計につきましては、本年度から融資を始めるのでありまして、制度の新設等のために多少おくれておりまするが、昨年末以来それぞれ申し込みを受け付けております結果、二月の十五日現在で、すでに、十八億のワクに対して十五億の申し込みもあるわけでありまして、これらの資金の要望額はなかなか多いわけであります。
 なお、一方、開発金融公社のほうの状態を申し上げますると、このほうで調査いたしました沖繩の金融業におけるところの財投計画額は約百億円であります。そのうち三十四億円につきましては自己資金で充てる予定でありまして、残る六十六億円につきましては、民間の金融機関、それから政府系の金融機関に対する融資を受けることになっておりまするが、同公社といたしましては、六九年度におきましては約二十六億円の貸し付けを予定していますが、最近米民政府からの出資七十五万ドル、これは二億七千万円貸されたのでありまして、大体さようなわけでもって何とか都合がつくと思っております。
#19
○大村委員 いままでの状況についてはよくわかりました。
 今後の見通しでありますが、沖繩の経済を基地経済から脱却して産業基盤を強化するようにするためには、今後ますます財政投融資計画が重要な意義を占めてくると思うのであります。将来の青写真におきましては、最近琉球政府におきましては新たに長期経済計画の策定を急いでおるようでありますし、また、最近においては日米琉三政府共同で沖繩経済振興会議を設けるというようないろいろな企てがあるようでございますが、そういったますます重要な役割りを演ずべきこの財政投融資計画について、今後政府はどのようにすべきだとお考えであるか、あわせてお尋ねしておきます。
#20
○床次国務大臣 今後の資金の需要の問題でありますが、現在の基地依存経済から自立経済に移行しなければならない、これは非常に大きな命題であります。しかし、どういうものがどういうふうな形でもって動くべきかということに対して、まだ十分な確定的な結論を得ておりません。この点につきましては、今後の振興計画の樹立を待ちたいというふうに考えておるのと同時に、復帰の見通し等も、これは非常に大きな関係があるのでありまして、そういうものを見ながらやってまいりたいと思います。
 本年度からは、御承知のごとく、長期産業資金十八億、来年度も引き続き同様の資金を沖繩産業に貸し付けておるのでありまして、とりあえずこういう形で進んでまいりたいと思いますが、将来の問題につきましては、十分に地元の要望等も考えながら、積極的に産業の振興と申しますか、自立経済への移行の道を開くように努力いたしたいと思っておる次第であります。
#21
○大村委員 財政投融資計画に関連してお尋ねします。
 たしか昨年の春だと記憶しておりますが、この委員会で開発金融公社を母体にして産業開発金融公庫を創設し、そこを通して融資するというのが方針であるということの答弁が政府委員からあったのでありますが、この問題について、その後の経緯はどうなっておるか。当時山野局長が説明されたので、その後の経緯を本日は山野局長から聞かせていただきたいと思います。
#22
○山野政府委員 確かに、昨年の時点におきまして、この財政投融資の資金を開発金融公社のほうへ貸し付けて、そして産業資金に充ててもらいたいという構想であるということを申し上げたのであります。ただ、その後開発金融公社の琉政移管の問題につきまして、地元に置かれています日米琉諮問委員会のほうで勧告が出されまして、鈴木日銀監事を団長とする調査団を現地に派遣してもらって、その調査団の報告の結果によってこの問題に対処したいということに相なったのであります。その後鈴木調査団は現地におもむかれまして、また東京でも現地の人を呼んで御調査になりまして、目下その報告書を作成中でございまして、そう遠いうちではないと思いますが、まだいまのところいつ報告書が出るか、はっきりしておりません。したがいまして、現年度の財政投融資につきましては、さしあたり琉政の特別会計に繰り入れまして貸し付けまして、その特別会計から琉銀等の市中金融機関に委託をいたしまして融資を行なっておるような状況でございます。しかし、いずれにしましても遠からずその報告書が出ると思いますので、やはりこの開発金融公社の取り扱いについての基本的な方針が打ち出されると思いますので、その時点においてあらためてその問題を検討していきたい、かように考えております。
#23
○大村委員 せっかく昨年度から本土の貴重な資金を導入するにあたって、かくあるべしというルートが予定されておるのでありますので、すみやかに実現されるように、引き続いて政府としても努力していただきたいと思います。
 次に、農業関係について若干お尋ねいたします。
 沖繩の農業は、現在サトウキビ、パインあるいは最近においては肉牛、そういった点に重点を置いて行なわれているのでありますが、いずれも生産性においてあまりに低い水準にある。これをどうしても前進せしめるためには、農業基盤の整備、農道でありますとか水の問題でありますとか、そういった点について総合的な施策を急ぐ必要があると考えるのでありますが、これに対する政府の方針はどうであるか、総務長官にお尋ねいたします。
#24
○床次国務大臣 沖繩の将来の農業の振興に対しましては、お話しのごとく従来のサトウキビ、パインのほかに、あるいは畜産とかあるいは園芸とかいう方面について積極的に検討する必要があると思いますが、何と申しましても現在におきましてはサトウキビ、パインが多いのでありますが、しかし、その状態を見ましても、いわゆる基盤整備といいますか、これを根本的に行なうことが大切だと思っております。
 明年度におきましては、土地改良事業及び農業施設整備事業のための援助を増額しております。なおそのほかに、新たに農業構造改善の一環としての土地基盤整備に対して援助を行なうことになっております。
 なお、これらの基盤整備事業に関しましては、従来から沖繩農業全般の振興方策の一環として計画的に実施することの必要性が強調されておりまして、琉球政府においても明年度から土地改良事業の全体計画の策定に着手することになっております。その際におきまして、本土から技術援助を実施いたしまして、そうして基本的な改良計画の樹立につとめたいと思っておる次第であります。
#25
○大村委員 次に、熱帯農業研究所についてお尋ねいたします。
 先日農林省設置法改正案の説明を聞いておりましたら、熱帯農業研究所の支所を沖繩に置くという構想の説明があったのでございます。この点について、農林省の政府委員御出席のようですから、農林省から熱帯農業研究所の支所の構想について説明をお願いいたします。
#26
○横尾政府委員 ただいまお話しのございましたように、ただいま国会に提案中の農林省設置法の一部改正によりまして、熱帯農業研究センターを農林省の付属機関として設置いたしたい、こういうことになっております。
 この熱帯農業研究センターを設置いたします趣旨は、わが国の国際的な地位にかんがみまして、熱帯地域におきます農林畜産業の技術上の諸点を解決してまいるという観点から、研究を推進してまいる必要があるということでございます。
 対象地域といたしましては、熱帯地域のみならず、亜熱帯地帯をも含めて、既存の試験研究の成果を十分に活用しつつその推進をはかってまいりたい、こういうことでございます。
 そこで、本所は東京都に置くことを考えておりますが、一方、亜熱帯地域をも含みます、沖繩をも含みます亜熱帯地域等にかかる試験研究の施設を設けて、できるだけ効率的に進めていくという観点からいたしまして沖繩に支所を設置する、こういうふうに考えておるのであります。
 そこで、支所におきます試験研究といたしましては、熱帯地域とも共通性を持ちますところの、たとえばサトウキビでありますとかパイナップルでありますとか飼料作物でありますとか等々、必要な作目を重点的に取り上げまして、これにつきまして生理、生態の研究あるいは病害虫の生態ないしは防除に関する研究等を組織的に取り上げまして試験研究を推進してまいり、そのことを通じまして、沖繩農業自体にも資すところが非常にあるというふうに考えている次第でございます。
 ただいまの予定では、設置法が通過をいたしましたならばできるだけ早急に調査を取りまとめ、十月一日には支所を開設し、所要の研究を進めるような体制を整えてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
#27
○大村委員 大体わかりましたが、二点を重ねてお尋ねいたします。
 沖繩の支所は、沖繩の農業の研究をやるのか、それとも沖繩以外の、たとえば台湾とかあの近くのほうのところまで研究の対象にするのか。それからもう一点は、沖繩が主だとした場合、現地の琉球政府の現在の試験場あたりとの関係はどうなのか。この二点をお尋ねします。
#28
○横尾政府委員 ただいまも申し上げましたとおりに、熱帯農業研究センターの目的は、熱帯または亜熱帯地域にかかわる農林畜産業の技術上の試験研究を行なうという趣旨でございますから、沖繩をも含めますが、より広範な目的を追求するたてまえになっております。したがいまして、沖繩の農業振興に資する側面も十分にいたさなければなりませんけれども、センター、そうしてその一つの組織でございます支所の活動の領域というものは、より広範でございます。ただ、そのことを通じて沖繩農業にも資するという側面が非常にあるということを、私どもは考えてやってまいりたいということでございます。
 なお、そういった観点から、御指摘のございました第二の沖繩におきます農業試験場でございますとか、あるいは畜産試験場との関係でございますけれども、いま申し上げましたような熱帯農業研究センターの研究を通じまして、そこで生まれました成果は、これをできるだけ普及ないし指導につなぎ得るように、農業試験場、畜産試験場と必要な連絡をとりまして生かしてまいるということを配慮していきたいというふうに考えておる次第でございます。
#29
○大村委員 次に、長期経済計画についてお尋ねいたします。
 これは見通しをつけるにあたりましての前提となる事項がいろいろたくさんありますので、いますぐコンクリートなものをつくれといっても、なかなか問題があろうかと思うのでありますが、私は二度にわたってこの委員会から現地に参りまして視察しました結果、少なくとも先行投資になるような公共投資の面においては、しっかりした計画を立てて実行に移すべきではないか。たとえば道路、港湾その他産業基盤の整備については、一体化政策と照らし合わせながら長期計画を策定し、できるものから実行に移すべきであると思うのでありますが、この点について、総務長官どう思われますか。
#30
○床次国務大臣 御意見のごとく、将来の沖繩の方向を考えまする場合に、公共事業を計画的に実施するということはまことに必要なことだと思います。特におくれておりまする道路、港湾等につきましては、この点が多いのでございます。しかし、反面におきまして、現在予算が単年度で、毎年毎年決定するというような形で、実施上もかなり不便を感じておるのであります。したがって、御意見のごとく、長期の計画をつくることが必要だと思うのでありまするが、しかし現在、将来のめど等がなかなかつきません。いわゆる継続費的な形によりまして予算を確定するところまでまいらないのが援助費の一つの性質であります。しかし、将来におきましては、できる限りこれを計画的に整備する、また財源等におきましても、これを考慮することができますように検討いたしたい。この点におきましては、地元も部分的には年間計画を持っておりますようでありまするが、やはり本土において、十分その計画の樹立に援助しながら、将来の実現に役立つ経費的な援助をするというふうな裏づけを考えながら進めていく必要があるのではないかと考えておる次第であります。
#31
○大村委員 最後に、総合労働布令についてお尋ねいたします。
 二月十三日に外務省からアメリカの大使館あてに、総合労働布令第十条のこれらの規定は、削除等を再検討すべきであるという見解を口頭で伝達し、米側も協議検討方に同意したと、先日そういった資料の配付もあったのでありますが、その後の経緯はどうであるか。また、あわせて、その際の資料にも載っておりましたように、その他の点についても追って日本政府の見解を通報する、琉球政府を含め沖繩の関係者が、沖繩の米国民政府に対し建設的意見を提出することを期待する云々というふうにされておりますが、その他の点についてもその後どうなっているか。以上二点をお尋ねいたします。
#32
○床次国務大臣 労働布令の問題につきましては、先般外務省からアメリカのほうへ申し入れをいたしました。十条につきましては、削除方を再検討してもらいたいという申し入れをいたしたのでありますが、その他の問題につきましても、鋭意検討中であります。
 なお、御承知のごとく、アメリカ民政府等においても、地元におけるところの各種団体並びに地元琉球政府の意見を積極的に取り入れたい、意見並びに提言を歓迎するということを申しております。それぞれ出したようにも新聞紙上で拝見しておりますが、私どもは、地元の要望というものを十分知りました上におきまして、本土におきまして、まとめた意見を出したい、かように考えておるのでありまして、地元の要望等を聞きました後におきまして、従来から検討しておりましたその他の事項と合わせまして、まとめまして、そうしてその見解をアメリカ側のほうへ申し入れたいというふうに考えている次第であります。
 したがって、時間的には、地元からの意見等の到着を待って取りまとめに入りますので、多少時間がかかるかと思いますが、アメリカ側におきましては、この法案に対する今後の重要な参考資料にするだろうと確信している次第であります。
#33
○大村委員 総務長官のお話で大体わかりましたが、一たん向こうは延ばしているのですが、これはそういつまでもほうっておいてもいいものと思わないのです。国内の法律ではないので、施行の期限とかタイムリミットもよくわからないのでありますが、一体この交渉のめどをどこに置いておられるのか、この点もあわせて伺いたいのであります。
#34
○床次国務大臣 アメリカ側におきましては、三月一日までに意見並びに提言を受けるということを申しておりますので、私どもといたしましても、前回中間的な申し入れをいたしておりますので、その後の取りまとめを、大体その時分をめどといたしまてし申し入れ、相手方におきましても、本土政府から申し入れが来ることにつきまして予想しているものと考えている次第であります。
#35
○大村委員 三月一日までにこちらから意見をまとめて出す、こういうお話でございますか。
#36
○床次国務大臣 地元のほうの意見を三月一日までに受けると言っておりますから、本土政府からはその前後になると思います。幅はあることを御承知おき願いたいと思います。
#37
○大村委員 そうすると、十条の削除の申り入れの点も含めて日本側の申し入れに対する返事は、三月一日よりもおそくなる、それからまた、ある程度の期間をおいて先方の返事があるというふうに考えてよろしゅうございますか。
#38
○床次国務大臣 三月一日前後というふうにお考えおきをいただきたいと思います。
#39
○大村委員 予定した質問は一応終えたのでありますが、大蔵省の係官が御出席のようでありますので、先ほど総務長官に主としてお尋ねしました一体化政策に伴う援助計画の策定、あるいは長期経済計画、特に公共投資の問題、さらには沖繩に対する財政援助を包括的な本土の交付税方式にすることについての問題、そういった点につきましての大蔵省の現在の考え方あるいは見通しでもけっこうですが、聞かせていただきたいと思います。
#40
○秋吉説明員 沖繩に対する財政援助の問題につきましては、ただいま長官からるる御説明がございましたように、四十二年十一月の佐藤・ジョンソン声明、あるいは昨年の十一月閣議決定を見ました本土と沖繩の一体化の方針に基づきまして、今後おおむね三カ年間で一体化が完了することをめどにいたしまして、着実に援助費を伸ばすという考え方のもとに、御案内のような二百二十七億、財投を含めましての援助費を計上しておるわけでございます。今後とも一体化の問題につきましては、十分着実に積極的に援助費をひとつ配慮してまいりたい、かように考えております。
 なお、交付税方式の問題につきましては、長官からも御説明がございましたが、何せ交付税方式ということになりますと、やはり三税の収入がつまり日本の一般会計の歳入になるというような問題もございまして、問題は、それを推定して援助費を出すかどうかという問題かと思いますけれども、何せ沖繩琉球政府の業務は国税事務と県税事務が混在しております。なおまた、税制におきましても、たとえて申しますと事業税は市町村税であったり、あるいは府県税でなかったりしております。それから関税に相当する日本みたいな制度もないというように、税制においても相当日本と状況を異にしておる点が多々あるわけでございます。のみならず、県の事務と市町村事務につきましても、特に社会福祉関係につきましては日本の場合と異にしておるというような面も多々ございまして、何せそういった税制、あるいは片やアメリカの援助費、あるいはそういった事務自体に、日本とまだ一体化していない、相当乖離している面が多々あるわけでございます。そういった面も踏まえて、交付税方式がいいかどうかということは、なお技術的な問題のみらず、慎重な検討を要する問題かと思いますが、いろいろな面でこの問題については総理府当局とも十分相談をし、慎重に検討いたしたいと考えます。
 いずれにいたしましても、沖繩援助につきましては、実情に即応するよう着実な配慮をしてまいりたい、かように考えております。
#41
○大村委員 終わります。
#42
○本名委員長代理 伊藤惣助丸君。
#43
○伊藤(惣)委員 沖繩に対する本土政府の当面の施策の重点は一体化政策である、こう明言しておりますが、この点について若干の質問を行ないます。
  〔本名委員長代理退席、小渕委員長代理着席〕
 一体化政策は、一九六七年十一月の日米首脳会談で、復帰の際の摩擦を最小限にするため合意され、その後、日米琉諮問委員会の設置、また本土沖繩一体化調査団の派遣、さらには、向こう三カ年間で一体化を完了する、来年度援助は大幅にふやすなどを内容とする一体化基本方針を閣議で決定しているわけでありますが、まず、昭和四十三年度援助は、昭和四十二年度に比べて約五〇%も援助額がふえております。しかし、四十四年度、これは一体化三カ年計画の初年度に当たるわけですが、その伸び率は約三五%であります。これは一体どういうわけなのか、その点を伺いたいのです。
#44
○床次国務大臣 一体化は、ただいまお話しのように、われわれ極力進めてまいりたいと思う次第でありますが、しかし、単に財政的な援助のワクの増大だけが一体化ではないのでありまして、制度の改善と合わせまして一体化を進めてまいる。なお、本土政府自体のいろいろ制度の改善もあるわけであります。そういうものを考えまして初年度を計上いたしたわけであります。二百二十七億は決して大きい数字ではないとは思いますが、しかし、初年度といたしまして十二分に役立つものと思っておる次第であります。なお、現在の初年度、四十四年度の実績等を考慮して、この次に必要なものは何かということを考えながら第二年次を検討し、最後に第三年次を計上するという段階によりまして、予算の要求を進めてまいりたいと思います。
#45
○伊藤(惣)委員 閣議決定された一体化の基本方針を見ますと、一体化の対象は、一つは教育、二番目に社会福祉、三番目に経済開発、四番目に地方財政の強化、こういうことであります。これらのものはすべてかなりの予算、つまり援助費を必要とするわけでありますが、一体化を推進しようとするならば、それだけの予算の裏づけを当然必要とすることは言うまでもないことであります。しかし、いま大臣の答弁によれば十分である。または、その伸び率が前年度に比べて一五%も低いわけですよ。その点が非常におかしいじゃないかというわけです。一体化政策については、そのような予算の比率の上からいっても、当然初年度から始まって二年度、三年度と、こういくわけでありますけれども、特に初年度においてはその額が多くなければ、三カ年計画の中の援助は十分達成されたとはいえない、こう思うわけですが、いかがですか。
#46
○床次国務大臣 御意見もありますが、実は一体化の中に、先ほど申し上げましたように、事業費の数字だけでもってそれを遂行すればできるというものではないのでありまして、やはり制度等が伴いまして実行できるものもある。そういうことから、緩急それぞれ勘案しまして、最初大村委員からも御意見がありましたが、地元の要望等を取捨選択と申しますか、優先的に取り上げまして、同じ教育費におきましても何を取り上げるかというところから施設と備品等の充実をはかるというようなこと、あるいは将来の国民健康保険を考えまして、医師の充実の準備をいまからやるというような取り合わせをいまからいたしまして努力してまいったのでありまして、数字そのものにつきましては決して十分だとは申せないと思いまするが、今日におきましては適当な数字であると考えておる次第であります。
#47
○伊藤(惣)委員 一つは、一体化を推進する上において、財政援助の問題について大蔵大臣と総務長官との話しい合いがあったと思うのですが、その点について伺いたいと思います。
#48
○床次国務大臣 一体化につきましてはすでに閣議決定をいたしておるのでありまして、閣議決定の線によりまして大蔵省と折衝いたしまして、そうして最後的な数字を確定いたしたような次第であります。
#49
○伊藤(惣)委員 私が言いたいことは、一体化を推進する上において初年度が一番必要じゃないかと思うわけです。先ほど制度等にもよると言いましたが、問題をあげていけば、先ほど言ったようにたくさんあるわけですね。ですから、大幅な援助が必要であったのに、少なかった。総務長官は、先ほど来の答弁から聞いていきますと、もうこれでいいのだという考え方。しかし沖繩では、非常に少ない、こういう声があるわけです。ですから、その認識が非常に甘いのじゃないか、率直に申し上げてそう思うわけです。ですから、今年度の予算の編成にいたしましても、そういう面では何らかの形で援助を増額するとか、または地元の沖繩の人たちがいろんな面で足りない、または不十分であるという点について、さらに前向きで検討する考えはないか、そのことを総務長官から伺いたいわけです。
#50
○床次国務大臣 この際予算を追加増額するという考え方はございませんけれども、しかし、沖繩の振興のためにいろいろと講ずべき施策はあると考えておるわけであります。今度の予算等におきましても、郵便貯金の解決等によります資金の貸し付け等もあります。いろいろと私ども考慮いたしまして、できるだけ一体化というものを促進することのできますように、今後とも考慮してまいりたいと思います。
#51
○伊藤(惣)委員 いまのような政府の一体化政策について、沖繩では大きな不満というものがあるわけです。これはやはり、今後政府はこの点については十分に声を聞き、そしてあたたかい援助の手を積極的に伸ばしていただきたい、そう希望いたします。
 それから、沖繩の日常生活でいま切実な問題として人権問題があります。あるいは裁判権問題があります。それから基地問題があります。本土との差別があるわけでありますが、一体化政策といっても、一番大事なこういう問題が全部除外されているわけです。ですから、一体化政策といっても、重要な基地問題だとか裁判権問題が抜けているために有名無実じゃないか、こういう声もあるわけです。この中の何点かについて聞いていきたいわけですが、特に人権問題については、日本政府とアメリカ政府が話し合って、今後人権問題の差別をなくすような話し合いをすべきだと思いますが、その点についての長官の考えをお伺いしたい。
#52
○床次国務大臣 基本人権の尊重ということ、これはもうかねがね言われておることであります。現在の琉球政府のあり方というものに、制度的に申しますると、権限が十分に委任されていないということによって人権の十分な確保ができないという点もある。裁判権のごときはそういうことに関係しておるのでありまして、本土政府といたしまして日米間において話し合いますと同時に、米国側におきましても、いわゆる権限を琉球政府に移譲する、これは自治の拡大と私ども考えておりますが、そういう形によりまして、ずいぶん補うこともできると考えておる次第であります。最終的には私どもは施政権の返還ということを目ざしておりますが、その道程におきましても、ただいま申しますように、自治権の拡大を通じまして、また人権尊重、社会福祉という立場からも努力をいたしてまいりたいと思っておる次第であります。
#53
○伊藤(惣)委員 私たちは即時無条件全面返還を主張しているわけでありますが、政府では、段階復帰あるいは一体化政策を推進しながら最後には施政権返還、こう言っているわけですね。その中でいろんな問題を取り上げ、そしてそれを徐々に本土並みにするという考え方が政府の政策であるわけでありますけれども、その大事な人権問題いまいろいろ聞きましたが、こういった話し合いをいつするのかということが非常に関心の的になっておるわけです。ですから、この問題について日本政府はいつアメリカ側と話をする用意があるのか、その点をお伺いしたいと思います。
#54
○床次国務大臣 いつ話をするかということを具体的に申し上げることはできないと思いまするが、しかし、先ほど申し上げましたように、すでに話題となっておりますところの自治権の拡大ということを取り上げましても、これは直接関係しておる、また住民の福祉ということを考えましても、すぐにこれは触れておる問題でありまして、この点は絶えず進めてまいりたい。根本的には日米間の折衝で進めるわけでありまするが、今日まであらゆる機会を通じましてアメリカとも話し合っておるわけであります。すでに弁務官とも話し合い、あるいは米大使とも、日米協議委員会等で会います際におきましては、いつもそういうことが話題となっておるのであります。本土政府といたしまして要望を続けておることはおわかりをいただきたいと思います。
#55
○伊藤(惣)委員 ですから、私が聞きたいことは、自治権の拡大の中の一環としてそういった問題があるわけですね。主席公選も行なわれましたし、さらにまた、次の国政参加のほうもいま具体的になりつつあります。その次はやはり裁判権の問題になろうかと思うわけです。ですから、この点もいつごろをめどに話し合いをなさるのか。やはりそれは大臣が勇断をもって、これはもう自治権の拡大の中でも非常に大事な問題である、そういう認識があれば、私は即刻、最終的な取りきめは別として、大臣のその勇断によって早くその問題の話し合いの機会をつくることができるのじゃないかと思うわけです。その点について、もう一回お伺いします。
#56
○床次国務大臣 御意見がありましたが、根本的には施政権の問題に関係するので返還を待たなければなりませんけれども、返還を待つまでもなく、先ほども申し上げましたように、私どもはあらゆる機会をとらえまして人権の擁護と申しますか、自治権の拡大に対して努力してまいっております。今日それぞれ米国の関係者と会います際におきましては、常にそれが話題となって、日本側の意向として申し入れがされておることであります。したがって、いつ話し込むか、いつまでに実現するかということにつきましては、最終的には復帰のときになりまするが、日本側の要望というものは絶えずアメリカ側に通ぜられておる。私どもも、機会を見まして努力をいたしたいと思っております。
#57
○伊藤(惣)委員 その機会はいつごろでしょう。
#58
○床次国務大臣 これは外務省でアメリカ関係者と会う場合、あるいは私どもが会います際、これはもうあらゆる機会がしょっちゅうありますので、たとえば私が沖繩に参りました機会などというものも例だと思います。また、日米会談の機会とか正式の機会もありましょうし、あらゆる機会をとらえてこの点は努力をいたしたいと思います。
#59
○伊藤(惣)委員 要するになぜそういうことを言うかといいますと、この間も報道がありましたけれども、とにかく事件が起きても琉球の警察はどうにもならない。何かコザ市で沖繩の人が殺された、そういう問題があります。ところが日本には裁判権がないわけです。ですから、事故が起きましても、どのように処理されるのか非常に不安がっているわけです。
 たとえば、米軍及び家族が起こした米軍犯罪に対する琉球政府の警察権、裁判権、これは布令の第八十七号によって大幅に制限されているわけです。そして地位協定を結んでいる本土とは大きな隔たりがあるわけです。ですから琉球警察が逮捕権を持たないわけですから、現行犯でつかまっても、また、たとえば現行犯をつかまえたとしても、それは米側官憲がいなかったときに限られるという、こういう一つの事実があるわけです。さらにまた、犯人がつかまった場合でも、その裁判権は基地内の軍法会議で行なわれるのです。またはその軍法会議があっても、その内容が全然公表されないわけです。したがって、琉球政府側には全然裁判権も、それから内容を明らかにすることもできないわけです。刑の執行というものも確認はできないわけです。
 また、損害賠償にしても、本土から見ていままでの補償は非常に低いわけです。たとえば四十年の六月に訓練中誤投下があったわけですが、そのときの事故死でも、何と百七十万くらいしか払われなかったという事実があるわけです。こういう事件またはこういう一つの問題が、これはもう大小はともかく、しょっちゅう起こるわけです。ですから、その点についても話し合いをする、特にこの際そういう問題が一つの契機とはなるんじゃないかと思うわけです。ですから長官、機会なんと言わずに、事件が起きているわけですから、この時点から積極的に裁判権の問題についても話し合いすべきじゃないか、そう思うわけですが、総務長官……。
#60
○床次国務大臣 ただいまいろいろ御意見を承りましたが、基本的には、何と申しましても施政権の返還ということに私どもは帰結すると思うので、目下それに対して政府が努力しておりますことは御承知のとおりでありまするが、なおしかし、具体的なこまかい問題は、やはり関連した問題として別な形でもって私はどんどん解決できるんじゃないか。先ほど申しましたように、自治権の拡大とかあるいは福祉の増進という立場においても、保護できるものはだいぶ保護できると思うのです。そういう努力をいたしながら一日も早く施政権の返還をわれわれは実現したい、これに対していま努力をしておる次第であります。したがって、あらゆる機会を――あらゆるということを申し上げますが、努力をいたす次第であります。
#61
○伊藤(惣)委員 やはり問題は一つ一つ分けて言わないと話が進まないと思うのですが、確かに福祉のことも大事ですし、いまおっしゃったことも大事だと思うのです。やはり裁判権の問題に私は限って言っているわけです。ですから、この件はどうか積極的に、あらゆる機会にとおっしゃるのですけれども、あらゆる機会に早く現在のような裁判権、治外法権みたいな状態を解決するように努力していただきたい。もちろん、私たちは施政権全面返還を要望いたしておりますが、返還に至るまでの過程というのがあります。その間に積極的にやるのが本土としてのとるべき処置じゃないか、そう思うわけです。
 次に、労働布令のことについて伺いたいのです。これは一つは、新労働総合布令というのは治安維持的な性格がある、これが指摘されておりまして、政府が現在照会していると思いますが、その後の経過について簡単に伺いたいと思います。
#62
○床次国務大臣 政府としては、先般とりあえず第十条、これが一番目につく法案でありますので、これに対して削除方の再検討をすることを申し入れいたしたのでありまして、アメリカのほうにおきましても、本土政府の申し入れに対して十分理解を持って受理したのであります。なお、その他の問題に対しましても、先ほど申し上げましたが、本土におきましていろいろと検討を加えました。しかし、本土政府だけの意見でもって申し入れをするよりも、やはり地元の意見というものも聞いた上で申し入れをすることがよいのではないか、かような考え方を持っております。しこうして地元側の申し入れというのは、先方は三月一日までに提案、提言を受けるということになっておりますので、それぞれ還球政府あるいは労働団体等からも受け入れておるようでありますが、私どもは、その地元の政府並びに団体の申し入れましたものをやはり本土、こちらにももらいまして、そういう意見を十分参酌いたしまして本土政府としてはまとめたものを申し入れたい、かように考えておる次第であります。
#63
○伊藤(惣)委員 この労働布令については、たとえその施行が延期になっても施行されるということであれば、これはたいへんな問題であるわけです。そしていま沖繩の特に軍労関係あるいは県民共闘会議等においては、これはもう完全に撤廃すべきである、あらゆる闘争を通じて、また死文化とかいうものをしなければならぬ。これは、私たちが沖繩に行ったときに強く主張しているわけです。そういったことを長官が十分考えた上で、その住民の声である労働布令の撤廃というものをもって当たるということであれば、非常にこれはいいと思うのですが、その点間違いありませんか。
#64
○床次国務大臣 ただいまいろいろ御意見がありましたが、これは地元の意見というものも十分私どもは検討いたしまして、その上適切と考えられまするところの申し入れをいたしたいと思っておる次第であります。
#65
○伊藤(惣)委員 政府の現在の見解は、十条の解釈について、これは一部新聞に出ておりましたが、これはやはり撤回させるべきである、こうとってよろしいのですか。
#66
○床次国務大臣 十条について申し入れました趣旨は、十条の中におきましてあらゆる人に対して禁止項目を含んでおるのでありまして、この点は、あらゆるというふうに規定しておりますことは労働布令として適当ではないんじゃないかというふうに考えるということを申し入れてあるわけでございます。したがって、その点につきまして削除方を検討することを申し入れたというふうにお考えいただきたいと思います。
#67
○伊藤(惣)委員 次に、沖繩の渡航の問題ですが、いま沖繩に行く方々は渡航の申請をしてから三週間くらいかかる。渡航の自由がない、これで基本的人権が守られるのか、こういうような声が高いわけです。実際にいま言ったような三週間かかっている状況、さらに渡航制限の撤廃について国民は非常に関心を強くしているわけですが、この点についてもっと簡単にならないのか、あるいはまた、渡航の制限についてもなくして、だれでも簡単に行けるような方法ができないのか、この点を伺っておきたいと思います。
#68
○床次国務大臣 渡航の制限につきましては、本土政府としては全く制限いたしておりません。ただ、アメリカ民政府といたしましては入国の関係上調査をいたす。この手続でおくれておるわけでありまするが、全般的に申しますとずいぶん早くなった。また手続の簡素化が行なわれておりますが、具体的の模様等につきましては特連局長から申し上げさせます。
#69
○山野政府委員 ただいま総務長官から御答弁ございましたように、渡航の制限の問題につきましては、私ども定期に米側、民政府のほうと会議を持ちまして、その簡素化に努力してきているわけでございます。
 いま御指摘もございましたが、三週間かかるというお話でございましたが、大部分のものは、もう二週間以内で許可になっておるのが実情でございます。それは本土側から見ましたら、全く自由になることが一番望ましいことでございますけれども、施政権を持つ米側のほうで、一定の規制をすることもまたやむを得ないと思うのでございます。したがいまして、私どもも、今後ともひとつスピーディーに事務が簡素化されるように格別の努力をいたしたいと考えております。
#70
○伊藤(惣)委員 それから、現在沖繩に軍用道路があります。この軍用道路は一般にも一応開放されておりますが、労働布令ともからみまして非常に問題があるわけですね。これはやはり返還前に、少なくとも軍用道路は返還させるべきではないか、こういうお話でありますが、その点について総務長官のお考えを伺います。
#71
○床次国務大臣 沖繩の軍用道路と申しますと、相当主要な幹線も実は軍用道路で、基地と基地との間の連絡に使う軍用道路があるわけでございます。一号道路もたしか軍用道路だったと思います。したがいまして、これをどう扱うかにつきましては、返還後ずいぶんこれは国民生活にも影響の大きいことであります。なお、お話のありましたところの労働運動の規制等も基地との関連性がありまして、道路上の運動がどうなるか、いろいろと意見もあるわけであります。布令の解釈におきましても問題になりましたが、今回の布令の際におきましては、基地に関係のない遠いところでやっているやつは、これは影響がないんだという意見を持っておるようであります。そういう解釈をとっておるようでありました。しかし、いずれにいたしましても今後の返還を受けました際におきまして、軍用道路が国民生活にどういうふうな影響があるということに対しましては、これは十分に返還の際において検討すべきだと考えておるのであります。県民生活に支障のないように、反面におきましては基地は基地としての機能もあると思いますが、そこをよく調節いたしたいと考えております。これは将来の問題として検討させていただきます。
#72
○伊藤(惣)委員 要するに、現在ではたとえ軍用道路であっても、沖繩住民の公道として現在使われておるわけですね。ですから、万が一その道路に労働布令が適用されて封鎖するとかまたは遮断されるということになりますと、一般の住民に対してたいへんな問題として起き上がってくるわけですね。ですから、そういう形の中で沖繩住民が住んでおるということは、これは世界に類例のないことであると思うわけです。ですから、労働布令の撤廃という問題と合わせて、この問題は積極的に、日本政府はアメリカ政府に対して不要な部分から、また、全然使ってないといっていいくらい使ってない部分もあるわけですから、その点の返還交渉をすべきだと思うのですが、大臣から……。
#73
○床次国務大臣 軍用道路の問題は、一つの基地みたいな取り扱いを受けておるのが現状であろうと思うのです。したがって非常に広範囲にわたっておりますが、しかし、お話のごとく県民もこれを使っておる。県民の立場も考えなければなりません。同時に軍事基地としての機能を阻害しないようにしなければならないということも、現在においては一つの要請であると思います。この点を十分考えながらいくべきであろう。したがって、将来におきましては、軍事基地の返還後のあり方というものにつきましては慎重に検討いたしまして、県民に対して支障のないようにいたしたい。これは将来の問題として私どもも検討いたしたいと思います。
#74
○伊藤(惣)委員 終わります。
#75
○小渕委員長代理 美濃政市君。
#76
○美濃委員 きょうは時間もありませんから、過般調査に参りまして、検討もしくは措置しなければならぬではないかと考えた点について、四つほど質問いたします。
 まず第一は、ことし若干予算をつけて援助をしておりますが、沖繩における土地の連絡調査の問題であります。いまの進捗率は約半分くらい終わっておるということになっておる。めんどうなところを除外して、やりやすいところを先にやっておりますから、表面の面積的な進捗率は約半分くらい終わったということになっておるが、今後残されためんどうな調査を考えると、四〇%に達していないのではないか。これについて援助費をもっとふやす必要がある。ということは、終戦のときに法務局に保管されておった図面、それから土地台帳というようなものは占領行政で破棄されておりますから、当時の、これはおれの土地だというようなことでそういうものを境界、あるいはかろうじて残っておった役場の税台帳というようなものをもとにして、かろうじて秩序を保っておりますけれども、現在、沖繩の民事訴訟の四〇%は境界紛争である。これは非常に住民も気の毒だと思うのです。作為的にやるのではなく、わからぬわけです。民事訴訟の四〇%が土地境界紛争だということは、非常に気の毒だと思うのです。これは早期達成しなければならぬと思うのですが、その中でアメリカ側は、基地に立ち入る連絡測量を拒んでおるということです。そうすると、基地周辺は的確な境界画定ができない。連絡測量というものは、一定の部分を除くと、それからずっと遠いところは別として、その周辺の境界画定が非常に困難になる、こういうことなんですが、まずこの予算関係をふやして、いまの援助体制でいくとまだ当分かかりますね。これは五年も六年も行って話を聞いてみると、気の毒でほうっておけないと思うのです。ことしじゅうにといっても無理ですけれども、できるだけ二年か、長くても三年以内に完結しませんと非常に問題が多いわけでありますから、これに対する考え方と、軍事基地に連絡測量が立ち入れるようにアメリカ側との交渉、これはどうお考えになりますか。
#77
○床次国務大臣 沖繩の土地問題、まことにお話しのとおりで、至急解決すべき問題だと思います。特に非軍事基地の接収等を受けておりますので、よけい狭いところでもって紛争が起きやすいことは御承知のとおりでありまして、この点につきましてでき得る限り土地測量を進めたいというので、本年におきましては八千万円の予算を計上しております。できるだけ早く終わらせるようにいたしたいと思います。
 なお、ただいまの基地関係その他の関連につきましては、特連局長からお答え申し上げます。
#78
○山野政府委員 沖繩の土地調査全体が非常におくれているという御指摘は、もうそのとおりでございます。従来、実は土地調査につきましては、琉球政府の一般財源でここ二、三年やってもらっていたわけでございますが、明年度は、土地調査の重要性が非常に強く新政府から要請されましたし、それから一般財源自体も苦しいということでございましたので、特に土地調査の重要性にかんがみて八千万円を本年度から援助することにしたわけでございます。したがいまして、琉球政府のほうでも従来相当額負担してこられましたのですから、若干でもひとつこれに継ぎ足されて計画的にやっていただきたい、これは先生の御意見と全く一緒でございます。
 それから確かに、土地調査を非常にやりやすい部面から始めて、困難な土地調査の部分が残されている、これも御指摘のとおりだと思います。その中ではいろいろ基地との関係等もあると思いますが、私どもも、実はその具体的な詳細は明らかにしておりません。おりませんが、御指摘になるようなそういう基地関係の問題等がございますれば、ひとつ琉球政府の意見を十分聞きまして私ども十分考えてまいりたい、かように考えます。
#79
○美濃委員 それじゃ、そのようにこれはひとつ十分考えてもらいまして、予算原価が足らなければ明年度はもっと予算をふやすようにして、先ほど申し上げたいわゆる両三年以内に、まあ三年以内に完成するようにしてもらいたいと思いますが、長官からもう一ぺんその考え方を年限的な……。
#80
○床次国務大臣 この点につきましては、でき得る限り努力をいたしたいと思います。
#81
○美濃委員 次に、沖繩を見まして、これはやはり主体は琉球政府が立てるべきでありますけれども、あのようにまだ経済の大宗はかなりの部分が基地経済になっておって、非常に農業の面を見てもあるいは状況を見ても、本土に復帰後にはやはり経済の体制あるいは開発計画がある程度変わるだろう、また変えなければならぬ面がかなりある、こういうふうにも見れるわけです。そこで、いわゆる財政投融資を沖繩に、たとえば農業部門あたりにも出すようにする、これは非常にいいことでありますが、しかし、こういう資金を出すにあたって、まずある程度見通しをつけた沖繩の開発計画といいますか、こういうものをもって資金を出さなければならぬのではないか。たとえば年限の長い長期資金を出して復旧をする、これではだめだということで状態が変わるようになります。その資金を投じた部分の投資効果はゼロになる、かえってなまじっかのことをやらぬほうがよかった、償還は残っておる、計画変更しなければならぬ、こういうことでは相ならぬ。社会保障や何かの財政援助は当然現況救済ですから、これはけっこうだと思います。けれども、特に長期資金を貸し付ける関係においては、やはり長期的な事業の計画を立てて、それに従って資金効率が確実にあがり、将来大幅な変更が起きて投下した資金が死んでしまうというようなことのないようにしなければならぬと思うのです。その点についてどうお考えになっておりますか。
#82
○床次国務大臣 御意見のとおり、交渉いたしました際におきまして、将来の需要のためにこれがむだになるということは十分警戒しなければなりませんが、お話しのごとく、将来の計画を立てることに対して非常に不確定要素が多いために、今日困難をいたしておるという状態であります。何よりも早く復帰のめどをつけて、そして復帰の態様というものがわかり、いつごろになるかということがきまることが必要なのではないかと思っておりますが、しかし、現在におきましても、民間におきましても経済の将来のための計画の懇談会ができておるが、政府間におきましても、将来の検討をいたしたいという考えを持っております。また諮問委員会等もそういう作業に当たっておりますので、当面の必要なものにつきましては、そういう意見を取り入れて漸次こなしておるという状態かと思います。お説のとおり、確定的なものを一日も早くつかんで、そして計画的に、しかも効率的にこれが実行できるように努力したいというふうに考えております。
#83
○美濃委員 次に、沖繩側の要請の中で、家畜防疫所をつくってくれという要請があったわけであります。しかし、このことを検討してみますと、本来は種畜を家畜改良用のために他の国から輸入する場合に防疫所が必要であります。その防疫所がほしいという要請の原因は何かというと、御存じのように、かなり肉牛の生産に力を入れてきておりますから、本土へ肉牛を売るためにほしいと、こういうのであります。
 それともう一つは、現在の本土側の肉牛の受け入れ体制は、沖繩に家畜保健所をつくって法定伝染病の有無の確認が行なわれておりません。したがって本土へ入ったものは家畜防疫所に入る。競走馬であるとか種畜であれば、これは現在日本でも輸入しておりますけれども、特定のそういう目的で輸入したものは、一週間あるいは二週間家畜防疫所に入れて、それで法定伝染病がないという確認をして係留するということは、これはやむを得ないと思うのですけれども、肉用の動物あたりをああいう保健所に入れてああいうことをすると、その期間の経費の問題、非常に高い。横浜とかああいうところで検疫をやるわけですから非常に管理が高くつく、あるいは管理を十分にしなければその期間にかなり肉量が落ちる、こういう問題が出るわけでありまして、これは防疫所でなくて、もうすみやかに連帯する家畜保健所をつくって、そして法定伝染病の有無を確認して、防疫検査を通さないで持ってくる、この方式をとらなければならぬと思うのです。向こうで検疫所をほしいというのは、将来沖繩がそういう種畜関係を海外から輸入する目的で保健所をつくるのならいいですけれども、肉牛を本土に、まあいまのことばでいえば、輸出するために必要だというものは防疫所ではないと思うのですよ。向こうの防疫所で検査したって、それで目的は達成されません。連帯する保健所をつくって、こちらからも技術屋をやって、法定伝染病がないということを確認すれば、そのまま輸送して持ってきていいわけです。こっちへ来ると、すぐ陸揚げして屠場へ入れていいわけですからね。この措置をすみやかにやらなければならぬと思う。これはどの程度そういう対策を進めておるか。
#84
○床次国務大臣 具体的には農林省の政府委員からお答え申し上げたいと思いますが、沖繩の農業から申しまして、畜産の振興ということは非常に大事なことでございまして、単に地元で必要だというのでなしに、肉用の供給地として非常に必要だと思います。しかし、現在は二重検疫――出すときと受け入れのときに検疫の手数が非常にかかります。これを解消してもっと簡素化したいという意味におきまして技術援助をしたい、さような立場から畜産の技術官を派遣するようにいたしておりますが、なお具体的には農林省から御説明申し上げます。
#85
○結城説明員 ただいまの家畜防疫所の要望の点につきましては、御指摘のとおり、動物検疫所の問題と国内におきます家畜保健所の問題の両方があると思うのでございますが、家畜検疫の問題につきましては、ただいま長官からお答え申し上げましたように、四十四年度から検疫の一体化ということを進めることにおいて対処してまいることになっておるわけでございます。
 国内の衛生面におきます保健所につきましては、お説のとおり、今後の沖繩の産業開発の面におきます畜産振興にウエートを置くという観点から申しまして、今後の家畜の飼養頭数の増加あるいは飼養技術の向上というような関連におきまして、当然衛生面にも配慮してまいらなければならないだろうと思うわけでございます。したがいまして、将来の問題といたしましては、家畜保健所の設置というようなことも考えられるわけでございますが、当面沖繩の現状を見ますと、従事いたします獣医師の需給の面におきまして、沖繩に現在養成機関がございません。現在の沖繩の獣医師の実態といたしましては、戦前日本におきまして資格をとった獣医師の方々、あるいはその後アメリカ等の外国におきまして獣医師の資格をとった方々等がおられる程度でございまして、そういうふうな現状からいたしますと、当面は獣医師の養成あるいは技術の向上というようなことに努力してまいる必要があるのじゃなかろうかというふうに考えるわけでございます。
#86
○美濃委員 とりあえずは、どのようにいたしますか。それは向こうは急いでおるのです。いわゆる肉牛が本土に入りやすくする措置、本土の防疫所に入れるということは非常に大きな問題があるわけです。たとえば向こうに簡易な、技術屋を送って――全体的な保健衛生その他はちょっと時間がかかるので、いますぐやるという問題ではないと思いますけれども、しかし、それは長くはほっておけぬと思うのです。ほっておくべきではないが、本土には獣医師はたくさんいるわけですから、とにかく派遣して、最も簡易な方法で検疫を済ましてスムーズに目的が達成される、いわゆる肉牛等の輸送目的が達成される、こちらに来てこちらの防疫所に入れる必要はないというとりあえずの体制は、すぐやらなければならぬと思うのです。
#87
○結城説明員 検疫の問題につきましては、前々から二重検疫というようなことで問題になっているわけでございますが、これに対処する姿といたしまして、四十四年度の日政援助から技術者を一人向こうに常駐させまして、現在あります沖繩の検疫体制と一体化して輸出にあたっての検疫をする、それをすることによりまして、屠場直行の場合には本土側におきます検疫はやめる、省略するという方向で四十四年から実行してまいるつもりでございまして、現在それらにつきましての打ち合わせをすでにいたしておる次第でございます。
#88
○美濃委員 あわせて技術問題が出ましたが、農業試験場あるいは農業研究の問題ですが、これはかなり本土からも技術屋が向こうへ行っておりますけれども、かなり条件が違います。たとえば本土にはパイナップルが、たくさんありませんから現在も条件が違うし、これからも農作条件というのはかなり違っていくと思うのです。そうすると、学問的な、学説的な問題は別といたしまして、いわゆる試験場なり圃場実験、こういうものについては長期の期間が要ると思うのです。本土内におけるように、技術関係、家畜の関係は別でありますけれども、農作関係の技術はあまり本土との交流をしても、新たに行った人は全然作目が違うわけですから、本土では優秀なトップクラスの指導的能力を持っておる農業技術屋であっても、作目が違うと経験が全く未知数になりますから、この点、やはり派遣する技術屋に対する状態を勘案して、あまり短い年限で交流したのでは技術指導援助の目的にならないと思うのです。復帰後についてもこの問題は同様だと思いますけれども、そういう点について農林省はどう配慮しているか。農業試験場にこっちからも行っておりますね。その体制はいまどう考えて派遣しておるか。
#89
○山野政府委員 御指摘の点につきましては、現在那覇に模範農場が置かれておりまして、五名の技術官が行っていろいろ指導しておるわけでございます。これは沖繩事務所の職員になっておりまして、これが二年あるいは三年と指導しておるわけであります。今度熱帯農研の出張所ができるというような問題もございまして、さらに専門の技術官が現地に参ります。したがいまして、沖繩の農業関係の方々と協力してこれらの機構を有機的に運営することがまず第一であろうと思うわけでございます。基本的には、いま御指摘の点はまことにごもっともでございますが、私どもも復帰後における沖繩農業をどうするか、いまの砂糖をどうするか、パインをどうするか、あるいは畜産の将来をどうするか、そういうことを合わせまして、ひとつ復帰後の体制を頭に入れながらこれらの各研究機関を十分有機的に活用してまいりたい、こういうぐあいに考えておるわけでございます。
#90
○美濃委員 私の尋ねておるのは、純然たる技術指導の問題なんですがね。いまのお話はそれでいいのですか、純然たる技術というのは、技術指導の職員と行政職とは違いますからね。行政官は二年か三年で交代しても、行政ですからいいですが、ものを改良する、育てるという技術は、作目が変わると、体験がないと二年や三年――こちらでは優秀な技術屋であっても二年や三年は役に立ちませんから、向こうに行ってもほんとうに初歩の研究に没頭しなければならぬというわけです。だから、そういう技術屋を二年や三年の年限で取りかえる、本土と交流するようでは現在もだめだし、将来もだめだ。やはり中長期的な考え方で行く人も行ってもらわなければならぬ。配置する場合も、そういう構想に基づかなければならぬと思う。いまその体制をどう考えておるかということです。
#91
○結城説明員 現在長期的に技術者を派遣しておりますのは、先ほど特連局長からお答えがありましたように模範農場におきます技術者でありまして、これらにつきましては、御指摘のとおりのような方法で長く駐在させる方針でおります。今後におきましても、そういう方向でまいりたいというふうに考えるわけでございます。ただ、沖繩の技術水準を急速にレベルアップしていくというためには、短期的に指導助言というような形で派遣せざるを得ない面もございまするので、これらは純然たる模範農場等の技術者とは区別いたしまして、それぞれ必要に応じて派遣をするという方向でまいるつもりでございます。
  〔小渕委員長代理退席、本名委員長代理着席〕
#92
○美濃委員 最後に、農地制度の問題をお尋ねしたい。これはたいへんな問題だと思うのですね。本土は農地改革が行なわれて小作がない。しかし、沖繩は農地改革をやってない。調べてみると、かなりの率で小作農家がおる。地主は、小数ですけれども、本土におりますね。関西のほうにおるようです。全く不在地主で、旧態依然たる農地制度そのままである。農地の秩序を守る法律は、昭和十三年に制定されておる農地調整法が現在でも唯一の法律である、こういうふうになりますが、これは復帰後においても、土地改良なり土地の区画整理なり、ああいう状況ですから、そういうものを進める過程でああいう――全く土地を投機的資産として保有して、その土地がどういう状況であるか、そんなことに対してはあまり関心を持たない状態の中では、非常に困る問題ができると思うのですね。それからまた、本土に復帰して農業振興を進めるとしても、あの状態であると、ある程度の人は自小作率というものもかなり高いし、純然たる小作農もかなりおります。そうすると、純然たる農業復興資金等をもっと大幅にして農業の構造改善を進める。いまの本土の農林の金融システムが、土地を持っていない農家は信用力がないから貸さないというシステム。そうすると小作農には貸してない。貸してないということが、一部最低の保有制限以内の小作地は本土にもありますけれども、まだ現在の専業農家で、本土にはその経営面積の大半が小作地というものはないわけですね。一部法律上の保有制限以内の小作地は若干残っております向こうは、そういうのがだいぶ多いのです。大部分です。この状況を調査されておりますか。沖繩の農地はどのくらいあって、自作地はどのくらいで小作地はどのくらい、それから農家の自小作率はどのくらい、純然たる小作農はどのくらいおる、調査されておりますか。
#93
○結城説明員 ただいま農家の自作あるいは自小作、小作というような現況がどういう形になっておるかというお尋ねでございますが、現在沖繩に七万四千二百六十九戸の農家がございます。この中で五四%が自作農家でございまして、自作兼小作という農家が三二%、小作農家が一二%でございます。
#94
○床次国務大臣 復帰いたします場合におきまして、本土との摩擦を避けたいということを考えておりまするが、本土の制度と沖繩の現在の制度と非常に差のありますものの大きなものは、農法の関係だと思います。この点に関してはやはり復帰の際におきまして、十分慎重に考慮していきたいと思っております。今日のところ、これはもう少し研究させていただきたいと思います。
#95
○美濃委員 これは、復帰の際よりも、その前にそろそろ農地改革をやったらどうか。いまの現況で琉球政府の法律で農地改革をやったほうが、私はやりやすいのではないかと思うのであります。本土に返ってくると、いま農地法の改正案が今国会に出ようとしておりますが、そうするとこれはうまくいかぬのではないですか。
#96
○床次国務大臣 これはまことに重大な問題でありまして、いまの琉球政府にそういう考えがはたしてあるかどうかということも考えなければならぬし、いろいろ事情があると思いますので、この点は十分検討した上でもって結論を出させていただきたいと思います。
#97
○美濃委員 きょうの場合は検討でいいのですが、どのくらいの期間でこれは検討できますか。この問題は重要問題だから、期間はある程度切って、検討した結果をはっきりしてもらわないと私はいけないと思う。こういう大きな制度上の差が全くあるということですから、これはもうどういう時点で、どういう方法でやるという政策だけは、明確にしておいていただきたい。きょうの場合は検討でいい。即答は無理ですからね。しかし、どのくらいの期間でやるのか。そんなに長くては、もうちょいちょい大臣もかわるわけですから、検討が終わらないうちにまたかわるということでは困りますから、どのくらいのめどで結論を出すということで検討されるか。それは、きょうは検討ということも即答は困難な問題ですから、若干の伸び縮みということはやむを得ないと思いますけれども、一応どのくらいの期間でこの検討はできるということを明確にしてもらいたい。
#98
○床次国務大臣 いつまでに調査ができて検討の結論が出るかということにつきましては、きょうのところは非常にむずかしい問題でありますが、この点は地元の実情というもの並びに琉球政府の意向等も十分聞かなければなりませんし、なお、それに関連いたしまして、事務的その他関連した事項も非常に少なくない、したがって、そういうことも十分考え合わせの上結論を出すべきものと考えておりまして、慎重に取り扱っていきたいと思います。しかし、いずれにいたしましても、復帰いたします際におきまして放任することのできない問題であるということは御指摘のとおりでございまして、その点は十分御意見を頭に入れまして、今後とも努力していきたいと思います。
#99
○美濃委員 この問題は、今後も絶えずどうなったかということを聞きますから、できるだけ早く結論を出していただきたいと思います。
 これで終わります。
#100
○本名委員長代理 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会をいたします。
    午後五時二十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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