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#1
第061回国会 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第8号
昭和四十四年四月八日(火曜日)
    午前十時三十八分開議
 出席委員
   委員長 中村 寅太君
   理事 小渕 恵三君 理事 本名  武君
   理事 川崎 寛治君 理事 美濃 政市君
      中川 一郎君    福田 篤泰君
      古屋  亨君    箕輪  登君
      山田 久就君    井上  泉君
      岡田 利春君    中谷 鉄也君
      依田 圭五君    渡部 一郎君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (総理府総務長
        官)      床次 徳二君
 出席政府委員
        総理府特別地域
        連絡局長    山野 幸吉君
        法務省民事局長 新谷 正夫君
        外務省欧亜局長 有田 圭輔君
 委員外の出席者
        法務省民事局参
        事官      味村  治君
        文部省初等中等
        教育局教科書検
        定課長     宮野 禮一君
        水産庁漁政部長 安福 数夫君
        水産庁生産部海
        洋第一課長   角道 謙一君
        海上保安庁警備
        救難監     猪口 猛夫君
        建設省国土地理
        院地図部長   村岡 一男君
        自治大臣官房
        参事官    佐々木喜久治君
    ―――――――――――――
四月八日
 委員岡田春夫君及び伊藤惣助丸君辞任につき、
 その補欠として岡田利春君及び渡部一郎君が議
 長の指名で委員に選任された。
同日
 委員岡田利春君辞任につき、その補欠として岡
 田春夫君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
三月三十一日
 沖繩における免許試験及び免許資格の特例に関
 する暫定措置法案(内閣提出第八九号)
は本委員会に付託された。
四月三日
 沖繩県における公職選挙法の適用の暫定措置に
 関する法律案(第五十五回国会衆法第一三号)
 の提出者「川崎寛治君外九名提出」は「川崎寛
 治君外八名提出」に、沖繩に対する財政措置そ
 の他の援助に関する臨時措置法案(第五十五回
 国会衆法第三三号)の提出者「多賀谷真稔君外
 七名提出」は「多賀谷真稔君外六名提出」にそ
 れぞれ訂正された。
    ―――――――――――――
四月七日
 沖繩のB52爆撃機即時撤去に関する陳情書(
 琉球政府立法院議長星克外四名)(第二七三
 号)
 沖繩の総合労働布令撤回及び労働基本権の確立
 に関する陳情書(琉球政府立法院議長星克外四
 名)(第二七四号)
 同(沖繩那覇市議会議長高良一)(第三一四
 号)
 沖繩のB52爆撃機即時撤去等に関する陳情書
 (沖繩那覇市松尾B52撤去・原潜寄港阻止県
 民共闘会議議長亀甲康吉)(第二七五号)
 同(沖繩那覇市松尾二〇八沖繩人権協会理事長
 比嘉利盛)(第三一三号)
 沖繩の総合労働布令撤回に関する陳情書(沖繩
 那覇市下泉二の三六沖繩県労働組合協議会議長
 亀甲康吉外一名)(第二七六号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 北方領土問題対策協会法案(内閣提出第七九
 号)
 沖繩における免許試験及び免許資格の特例に関
 する暫定措置法案(内閣提出第八九号)
     ――――◇―――――
#2
○中村委員長 これより会議を開きます。
 沖繩における免許試験及び免許資格の特例に関する暫定措置法案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。床次総務長官。
#3
○床次国務大臣 ただいま議題となりました沖繩における免許試験及び免許資格の特例に関する暫定措置法案につきまして、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。
 政府は、沖繩の本土復帰の日に備えて、本土と沖繩の一体化をはかり、沖繩住民の経済的、社会的福祉を増進するための各般の施策を講じてきたのでありますが、今回、これら施策の一環として、沖繩と本土との各種免許資格の一体化につき成案を得ましたので、ここに法律案を提出することとした次第であります。
 この法律案による免許資格の一体化措置の趣旨とするところは、沖繩が復帰するまでの暫定措置として、本邦の免許資格にかかる試験を沖繩で行ない、また沖繩の免許資格者に本邦の免許資格を与えることにより、沖繩が復帰する際に起こる摩擦をできる限りなくそうとするものであります。
 沖繩と本邦の免許資格制度の間には、その趣旨または運営において現に相違のあるものもありますので、これら諸般の事情をしんしゃくいたしまして慎重に検討した結果、政府といたしましては、さしあたり、司法試験、公認会計士試験等十八種類につき本邦の試験を沖繩で行ない、また、土地家屋調査士、公認会計士等二十七種類につき沖繩の免許資格者に本邦の免許資格を与える等、特別の措置をとることとしたのでありますが、沖繩の免許資格者に本邦の免許資格を与えるに際し、税理士等の場合に見られるように沖繩と本土との制度に若干の相違のある免許資格につきましては、一定の講習の受講を条件として与えることといたしております。
 また、この法律案で措置したもののほか、立法措置によらず、政令以下の命令によって免許資格の一体化措置を講ずることができるものにつきましては、必要な準備が整い次第逐次実施してまいる考えであります。
 次に、免許資格の一体化のために必要な手続につきましては、沖繩において行なう本邦の試験にかかる願書の受理または沖繩で本邦の免許資格を得るための申請に関する事務を日本政府沖繩事務所で行なうこととする等、沖繩における受験者、申請者の便宜をはかった次第であります。このような本土政府のとる措置に対応して、琉球政府においてもしかるべき措置がとられることになっております。すなわち、日米琉三政府の代表をもって構成され、那覇に設置されております琉球列島高等弁務官に対する諮問委員会は、昨年六月四日日本政府及び琉球政府の免許資格の一体化の必要性を認め、高等弁務官に対し必要な措置をとるべき旨を勧告いたしており、琉球政府としては、本土政府の措置と並行してこの勧告の内容を実現するための必要な措置につき鋭意検討を進めていると承知いたしております。また、この法律施行のために必要な各種の通知、試験の広報等の行政措置につきましても、琉球政府の協力を得て行なうことといたしております。
 最後に、今回措置いたしたもの以外の免許資格につきましても、条件が整備され次第順次本法律案第三条の規定に基づき政令で指定し、または所要の立法措置をとることにより、本土と沖繩との免許資格の一体化の促進をはかってまいる所存であります。
 何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。
#4
○中村委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。
     ――――◇―――――
#5
○中村委員長 次に、北方領土問題対策協会法案を議題とし、審査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中川一郎君。
#6
○中川(一)委員 佐藤総理が沖繩に参りまして、沖繩の返還なくして日本の戦後はないという名せりふを吐かれました。自来、沖繩問題は非常な話題を呼び、明るい見通しもあるのではないかというところまで来たことは、まことに御同慶にたえないところでありますが、その陰に隠れて、沖繩問題より以上大きな北方問題が今日まで等閑視されてきたことは、まことに遺憾であり、この問題を解決せずしてまさに日本の戦後はないという感じがいたすわけであります。
 そういった背景の中に今回北方領土問題対策協会法案が提案されたということは、その一歩前進としてこれまた同慶にたえないところであり、また、政府の熱意には敬意を表するものであります。しかしながら、沖繩問題に比べて北方問題に対しては、政府当局はまだ冷ややかなものがあるような感じがいたすわけであります。基本的に、外交問題でありますから相手があり、なかなかむずかしい問題ではあると思いますけれども、国内でできる措置が、まだ十分なされていないような感じがいたすわけであります。
 それらの点について政府の見解をこの際お尋ねいたしたいと思うのでありますが、まず領土問題について、日本政府としては、歯舞、色丹はもちろんのこと、国後、択捉までが日本の固有領土であるという見解をとっておると思うのでありますが、この点については間違いがないか、まず確認をいたしたいと思います。
#7
○床次国務大臣 御意見のとおり、歯舞群島、色丹、国後、択捉、この四つの島はわが国の固有の領土でありまして、なおその法的根拠といたしましても、この四つの島は、日魯通好条約以来わが国が治めるところでありますと同時に、今日まで一度も外国の施政下にあったことがない。また、地理的に、伝統的に、歴史的に、文化的に申しまして、わが国とのつながりが非常に深いのであります。また、平和条約第二条におきましても、いわゆる北千島等はこれを放棄いたしておりまするが、この四つの歯舞群島、色丹、国後、択捉につきましては、本土の固有の領土といたしまして放棄せずに、そのままわが国の固有領土として取り扱って保有しておる次第でありまして、したがって、御意見のとおり、この四つの島は、本来の固有の島としてわれわれはまず返還に努力いたしたいと考えておる次第であります。
#8
○中川(一)委員 関連をいたしますので、固有の領土という場合、沖繩の島もやはり固有の領土、いまの四つの島と同じ考え方でよろしいわけですか。
#9
○床次国務大臣 沖繩は、やはり固有の日本の領土でございます。ただし、現状におきましては、平和条約三条によりまして施政権がアメリカにあるという差があるわけで、領土としましてはわが国の領土、すなわち潜在主権を持っておるといわれるゆえんであります。
#10
○中川(一)委員 そういった場合、日本の面積というのは一体どこからどこまでを言うのか。私は、固有の領土であるならば、沖繩も含めていまの四つの島の面積も入って日本の領土という感じがいたすのですが、日本の面積とは一体どことどこをさしておるのか。その中に沖繩、そして北方領土、四つの固有の領土が入っておるかどうか。この点、どこが担当か、建設省かどこかだと思いますが、この点についてお伺いをいたしたいわけであります。
#11
○山野政府委員 御指摘のように、わが国の固有の領土である北方領土、沖繩は、わが国の面積の中に入るべきものと考えております。ただ、従来は、ただいま長官から御答弁がありましたように、施政権をアメリカに渡しておる地域である沖繩、それからソ連が不法に占拠しておる北方領土については、必ずしもその点明確に面積が明示されていなかったというような問題がありまして、目下国土地理院を中心としまして関係各省で検討いたしておるわけでありますが、詳細は国土地理院のほうから御答弁申し上げます。
#12
○村岡説明員 ただいまのことについて少し説明させていただきたいと思います。
 その前に、国土地理院で面積を算定しました「全国都道府県市区町村別面積調」という調書を出しております。この経緯を先にお話ししたほうがおわかりになっていただけると思いますので、簡単に説明させていただきたいと思います。
 私どもで出しておりますこの調書は、もともとは戦前内閣統計局が、当時の陸地測量部の指導でもって調書を作製しておりました「全国市町村別面積調」という調書がございまして、昭和十年に作製されたものがわれわれの手元に残っておりました、それの形式、内容を踏襲したものであります。戦後において、昭和二十五年に国勢調査が行なわれたときに、この古い調書を基礎にして、その後のいろいろな変化を加えて調書を作製しました。それからなお昭和三十年、その次の国勢調査には、当時発行していました五万分の一地形図から市町村別に面積を新しく、地図の上でございますが、測定し直しまして、調書を作製したわけであります。なお下って三十五年も同様なことをしたわけでありますが、それ以降は、毎年市町村の異動を補正しつつ、当該年度の資料として現在に至っているわけです。
 いまもちょっと触れましたが、そのつくり方は、われわれが刊行しております五万分の一の地形図をもとにしまして、その上でプラニメーターという面積をはかる器械がございまして、それではかって面積値を出しておるわけであります。したがいまして、現在測量が実施できないところは、地形図は出していないわけであります。これははかることができないわけで、調書には載せておりません。それで今後としまして、いままで話題にのぼりましたような地区の面積値についてどうなっているのだという御要望がありますので、われわれの資料は古い資料しかございませんが、その資料をかりまして、別表の形で、漏れているところをまとめ上げまして、それで参考資料として今後は載せていきたいというふうに考えております。
#13
○中川(一)委員 いまの四つの島、歯舞、色丹、択捉、国後、それと沖繩、これは五万分の一の地図が、古いものであるけれどもあるわけでしょう。
#14
○村岡説明員 古いものはございます。
#15
○中川(一)委員 そうすると、その後修正できないから除いてある、こういうわけですね。
#16
○村岡説明員 そうでございます。
#17
○中川(一)委員 そんなばかな話はないと私は思うのですね。日本の領土であるものを、その後測量ができないから領土からはずしてある、こういう姿勢についてあなたはどういうふうに考えますか、そういうものの考え方について。
#18
○村岡説明員 私どもの立場としては、全く技術的に、規格のとれたものをつくるという態度で昔から来ておりまして、それで測量がし直せるたびに新しいものをつくるということで、その中身についても、行政上御利用なさる向きでいろいろ取捨選択、あんばいされて使っていただくという態度でございまして、技術的にだけしかわれわれは考えておりません。
#19
○中川(一)委員 こちらは地図部長さんですから技術屋さんでございまして、こちらに質問しても回答はないと思うのですが、大臣、あなたはふしぎだとは思いませんか。その点大臣からひとつ……。
#20
○床次国務大臣 ただいまの問題は、事務的な処置のためにおくれておったということはまことに遺憾だと思うのです。したがって、北方問題につきましては、北方問題の各省の連絡会議を開きまして、そうしてその取り扱いに対しましてすでに相談をいたしまして、政府といたしまして、北方問題につきましては、五万分の一地図でありますけれども、これを基礎にいたしまして面積を大体はかることができるという形、したがって、これを本土の面積に取り入れるという処置を計らうべく、今日方針を定めまして進めておる次第であります。したがって、関連してまいりまするが、北海道の中に北方面積が入ってくる、同時に、面積が入りまするとこれが交付税の基礎になる、大体こういう関連性を持ちまして取り計らうという方針を確定して、それぞれ各省に手配いたしておる次第であります。
#21
○中川(一)委員 いま地理院の人が言うところによると、参考として入れたい、これがまず気に食わないということであります。堂々と入れてもらいたい、本土並みに入れてもらいたい。といいますのは、ソビエトの地図を見ますと、ソビエトですら認めておる択捉、国後――日本側は択捉、国後まで含んでおると言っておりますが、ソビエトは、歯舞、色丹については固有の領土だと向こうは認めておる。その認めておる歯舞、色丹を含めて択捉、国後、あそこをがっちりとかいて、北海道の花咲の先っちょ、あそこに太い境界線が入って、ここからはソビエトの領土である、これから先は外国である、日本の領土である、こういうふうにはっきりかいてあるわけです。自分の領土でない一時不法占領しているところですらガギッと地図にかいてあるのに、日本が当然の領土であるものをいままでやらずにおいて、しかも今回やるにあたっては参考としてつけたい、こういうことになっては国民は納得しませんし、姿勢としてはよくないのじゃないか。北方領土と取り組む根本的な問題でありますから、この点はがっちりと本土並みに扱うということを言明していただきたいと存じます。
#22
○山野政府委員 ただいま国土地理院のほうでお答えになりましたのは、在来の資料によって面積を推定する、古い調査はございますから、したがいまして、それによって推定するという意味からいうと、厳密に最近の調査時点による全国の面積と同じレベルで合わせることができるかできないかという意味の非常に良心的な立場からの御発言で、参考とかいうような、あるいは別表とかいう表現をされたと思うわけであります。したがいまして、私どもも国土地理院のほうへ御相談申し上げていますが、調査時点はたとえ古くても、やはり面積を何らかの形で提示していただきまして、それを北海道の面積として明示していただきたいということを御相談しておるわけでございまして、まあ方向としては、大体そういう方向で話し合いがつくものと考えておるわけでございます。
#23
○中川(一)委員 そうすると、日本のいまの総面積は幾らですか、そうして古い資料ではあっても歯舞、択捉、国後、色丹の、その島の面積は幾らか、それに加えて沖繩もひとつ……。
#24
○村岡説明員 ただいま話題に出ました沖繩及び歯舞、色丹等を除いたものは約三十七万方キロでございます。(中山(一)委員「約じゃなく、きっちりと」と呼ぶ)三十六万九千九百九十一・六一方キロでございます。それから沖繩等の分が七千三百七十九万キロ、これはただいまのデータでは方キロ以下は出ておりません。合計しますと三十七万七千三百七十万キロ、こう相なります。
#25
○中川(一)委員 それから古い資料による北方領土四島の面積は……。
#26
○村岡説明員 四千九百九十五方キロでございます。
#27
○中川(一)委員 そうしますと、沖繩については日本の領土の約五%に相当いたすようであります。また北方領土も一・何%、約二%に近い領土。これは相当な面積といわざるを得ないわけです。これらのものをいままで地図の中に、日本の面積の中に入れておらなかった。これは大いに反省してもらい、いま長官が、これは今後入れることにしておる、そういうことで進めておるということでありますから、了解いたします。
 文部省来ておりますか。――いままで文部省の、学校で教える地図の中に、沖繩と北方四つの問題についてはどういう扱いをしてきたのか、また今後どういう扱いをしていくつもりであるか、文部省のお考え方を聞きたいと思います。
#28
○宮野説明員 沖繩と北方領土の問題でございますが、沖繩と北方領土、おっしゃっておられます歯舞、色丹、国後、択捉、これらの島は日本の領土という考えでおりますので、私のほうの教科書の検定におきましても、日本の領土ということで処理させていただいております。
#29
○中川(一)委員 教科書の地図では、沖繩も北方領土の四つの島も、本土並みに地図で塗って日本の領土だと教えていますか。
#30
○宮野説明員 小学校から高等学校まで社会科に地図帳というのがございますが、わが国の領土を通常明示します場合に、御承知のように赤い色で表示しておりますが、沖繩もそれからいま申し上げた歯舞、色丹、国後、択捉まで赤い色で表示させるようにしております。
#31
○中川(一)委員 しておりますという話でありますけれども、現実問題として私たちの聞いているのでは、入っておらないというふうに聞いているわけですが、あなたは、その地図をして、しておりますということではなくて、しておりますということが現実の問題としてなっておるかどうか、間違いなくそうなっておりますと言い切れますか。
#32
○宮野説明員 歯舞、色丹、国後、択捉まで赤くなっております。赤い色で塗っております。
#33
○中川(一)委員 ほかのところはどういう色になっていますか。本土のほうはどうなっていますか。
#34
○宮野説明員 本土と同じ赤い色での表示をしておる、こういうことでございます。
#35
○中川(一)委員 それは間違いありませんか。私たちの聞いたところではそうなっておらない。無責任なことを言ってもらっちゃ困るのですよ。ぼくも地図を持ってこなかったから、その点あれですけれども……。
#36
○宮野説明員 ここに一、二冊持ってまいりましたので、ごらんいただきたいと思いますけれども、
  〔宮野説明員、中川(一)委員に地図を示す〕
ただ、図が小さいのでおわかりにくいかと思いますけれども……。
#37
○中川(一)委員 これは色を塗ってありますけれども、日本列島の端からは地図の外に出ちゃってるのです。地図は半分しか載っていない。
#38
○宮野説明員 その地図のこちらのほうに……。これはここに書くと技術的に図がおさまらないという、印刷的な問題だと思います。
#39
○中川(一)委員 それからもう一つ。この地図は、なるほど本土並みの扱いになっております。これは訂正いたしますが、全部の教科書はこうなっておりますか。
#40
○宮野説明員 私どものほうでは、目の届く限りそういう方針でやっておりまして、全部そうなっておると思いますが……。
#41
○中川(一)委員 これは最近世論が出てきたのでこうなったのか、戦後ずっと学校の教科書はこのように統一してきたのか、その点はどうなっておりますか。
#42
○宮野説明員 戦後ずっとそうなっていたわけではございませんので、実はだいぶ前の時点におきましては、不十分な教科書もあったことは事実であります。最近十年ぐらいそういう方針で統一してやっております。
#43
○中川(一)委員 やっぱりあなたはうそを言っている。表紙のほうはそうなっておるけれども、こっちのほうの土地利用関係のほうへいくと、樺太の色と国後の色と同じ色にしてある。この辺もおかしい。
#44
○宮野説明員 私のほうで検定をいたします場合に、先ほど申し上げましたように領土の色を赤色で表示することにつきましては、先ほど申し上げたとおり、わが国の領土はどの部分も同じ取り扱いをしろという方針でやっております。ただ、先生の御質問のあとのほうにあります土地利用図というようなのは、地図帳におきましては通常特図と言っておりますが、そういう特図のところになりますと、資料等が不足な場合がございまして、必ずしも本土と同じような表示を要求してはおりません。
#45
○中川(一)委員 あっちこっちの地図を見ますと、この前私の見た地図等はまことに領土意識がない。日本の領土はここまでなんだ。ソビエトの地図は、もう地図の色よりも境界線のほうが色濃くガギッと引いてある。日本の地図は、そのようでもあるし、ないようでもあるし、わけわからぬような全く領土意識のない地図であります。表面のほう、あるいはところどころの択捉、国後を含めて、北方領土が日本の島のように書いてあるところもありますが、そうでないところもある。特に沖繩の問題になりますが、境界線は沖繩をはずして、ガギッと太い線で書いてある。これは一体どういうことなんですか。
#46
○宮野説明員 ただいま御指摘の線は県の境の線だと思いますが……。
#47
○中川(一)委員 そうすると、領土の境はどこに書いてあるのですか。――まあいいや。それは教科書検定課長、この次まで保留いたしますが、学校の先生方が生徒に教える場合には、歯舞、色丹、国後、択捉は日本の領土であると言って教えているのか。一説によると、日教組の先生方は、あれは日本が不法な戦争をしたのでソビエトに取られたのはあたりまえであって、日本の領土ではありませんという教育をされておるということをあちらこちらで聞くのですが、それは現実に聞いておる。子供についてそういう教育を受けた人がいる。その点についてどういう方針を文部省がとっておるか。
#48
○宮野説明員 学校教育におきまして、どういう方針で領土を取り扱うかという御質問でございますが、一般的に申し上げますと、文部省のほうで小学校から高等学校まで学習指導要領というのを定めておりまして、その学習指導要領の線に沿って教育をするようにということになっておるわけでございます。それで学習指導要領では、実はこれは大筋のことをきめてあるだけでありますから、領土の問題は、領土はここからここまでが日本の領土であるというようなことまで、詳しくは学習指導要領等ではもちろんきめてないわけでございます。
 そこで、具体的に私どものほうでやっております教科書で一、二の例で申し上げますと、私どものほうで取り扱っております検定では、先ほど申し上げました地図の場合と同じように、歯舞、色丹、国後、択捉というのは日本領土という考え方でおりますので、そのことにつきましては日本領であるということで検定を行なっているわけでございます。したがいまして、教科書におきまして歯舞、色丹、国後、択捉、あの方面のところの記述が出てくる場合には、これは日本領土であるというふうに記述されております。
 一つの例を申し上げますと、その辺が一番詳しく出ておりますのは中学校の社会科の地理の本でございますが、これは抜き刷りでございますが、「千島列島は大小三〇あまりの島からなり、戦後ソ連に占領されているが、択捉島・国後島・歯舞諸島などの島々は日本固有の領土であるので、その返還を要求している。」これは中学校社会科地理のある社の教科書の記述でございますが、大体ほかの社も、歯舞、色丹等につきましてはそういう考え方でなっておると思います。
#49
○中川(一)委員 これは沖繩についてはどういう教え方をしておるわけですか。
#50
○宮野説明員 沖繩につきましても、先ほど申し上げました国後、択捉等と同じように日本の固有の領土であるという方針でおりますし、社会科の地理の教科書にもそのことが明記されております。
#51
○中川(一)委員 それはひとつ徹底をしてもらって、いやしくも学校の先生が日本人である以上は、歯舞、色丹、択捉、国後は日本が戦争してソビエトに取られるのが当然だというような教育がないように、なければけっこうなんですが、われわれの耳に入ってこないように今後やってもらいたいということが一つと、もう一つは、地図についてはなるほど大見出しのところには択捉、国後まで入っておりますが、小さなところへいくと大体忘れてしまっておる。ソビエトの地図を見ますと、どんなものでも、気象問題でもあるいは地質の問題を扱ったやつでも、ガギッと色丹、歯舞まで入れて、ここからが境界線であると太い線が入っております。あなたは検定課長として地図はめんどうくさいかもしれぬが、表紙だけは入っているけれども、中へ入っていくと、択捉、国後がまず除かれておる。この点については、やはり領土意識からいって、資料のないものはしかたないとしても、地図の上にはがっちり残しておいてもらいたいと思いますが、今後の方針をお尋ねしたい。
#52
○宮野説明員 私どもの方針は、先ほど申し上げましたとおり、御質問のありました国後、択捉までが日本領であるという考え方で検定を行なっておりますので、今後もその点につきましては堅持してまいりたいと思っております。それから先ほど申し上げましたように、いろいろいわゆる特図関係になりますと、資料等特にございませんので、そういう意味で必ずしも出てないところがありますが、できるだけ改めたいと思っております。
#53
○床次国務大臣 ただいまの御意見どおりでありまして、文部省といたしましては検定の際には確かに注意をしておると思う。しかし、一般市販のものは少なくないのでありまして、その市販のものにつきましてはこの点誤ったものがあり得ると考えておりまして、実際にあるように私ども見ておりますので、こういうものに対しましても行政指導でもってできるだけ徹底させていきたい。さような意味の思想宣伝等におきましては、やはり新しい団体等が思想宣伝、啓蒙等にも私は大いに役立つのじゃないか、政府といたしましても各省とよく連絡いたしまして、その趣旨のはっきりいたしますように努力いたしたいと思う次第であります。
 なお、検定につきましても、やはり古く検定したものでその後のものは直ってないものもあるのじゃないか、特に北のほうにつきましては不十分ではないかと思うのでありますが、この点につきましては、すでに各省の連絡協議会を開きまして、徹底させるようにいたしております。今後とも私は、こういう問題がやはり北方領土返還運動に対して大事な基礎づくりであると考えております。
#54
○中川(一)委員 時間がないようですが、これはほんとうに改めてもらいたいと思うのですね。ソビエトの地図を見ましても、ソビエトの地図の境界線、ソビエトとアジアの付近に書いてありますが、朝鮮との間には、太い線でもってここが国境だと海の中に書いてあります。ところが千島列島にいくと、どこが国境なのか一つも書いてない。樺太の境界にも入ってない。これではソビエトからつけねらわれるのは当然なんですよ。一、二カ所赤い線が書いてあるからけっこうだなんというような簡単なことでもって、ソビエトから領土を返してくれということは言えないと思う。だから今回、この領土をつくったことはまことにけっこうでありますが、こういうところから姿勢を改めていかなければ国民的な世論も出てまいりませんし、相手に対する圧力も出てこない。ひとつ文部省あたりはしっかり地図のことをやってもらいたいし、地理院は技術屋だからいいけれども、政治的に考えるとその後修正できませんから、地図からはずしてありますというようなことでは、国民も納得いたさないところであります。
 いろいろありますが、このことについて最後にもう一点。自治省も、日本の領土であるにもかかわらず、われわれが毎年平衡交付金なり何なり(「いま平衡交付金というものはないよ」と呼ぶ者あり)特別交付税その他いろいろとお願いしてきましたが、むざんにも削ってきた。この点の過去の振り返りと、これから一体どういう姿勢で臨むのか。若干の金の問題ではないのです。日本国民としての悲願であるというところからいくならば、当然ほかの地域以上に考えるべきだと思うが、自治省の見解をただします。
#55
○佐々木説明員 地方交付税は、市町村なり都道府県なりの地方団体の標準的な財政需要、収入を計算いたしまして、その必要な財源を保障するという制度でございます。したがいまして、現在この北方地域の諸島のうち歯舞諸島は除きまして、国後、択捉、色丹島につきましては、現在いずれの市町村にも属しないということになっております。そこに地方団体がないという意味で、この地方交付税の計算が行なわれておらない。また現在、通常の行政経費を必要としておらないということになっておりますので、普通交付税の計算はしておらないわけでございます。ただ、現実問題としまして、北方領土復帰対策であるとか、あるいは北洋の安全操業対策でありますとか、あるいは拿捕船対策といったような諸経費につきましては、関係地方団体につきまして特別交付税の算定は行なっておるわけでございます。
#56
○中川(一)委員 その点は、根室市に択捉、国後が入っておらないというところから計算できない技術的な問題はありますけれども、これは技術的な問題として解決すべきことではなくして、実際千島から引き揚げてきた人の事務は、根室市がかわってやっておるわけなんです。そういう実態もあり、領土の中に含んでおるという意思をあらわすためにも、北海道に助成するものは北海道に、根室市にできるものはできるように拡張解釈をしてやるべきであるというふうに思いますので、最近はそういう方向でやってくれているということでありますからいいんでありますが、まだ改善すべき余地があると思います。この点について私の意見が間違っておるかどうか。自治省のあなた、責任者であり、日本人ですから、これからの姿勢について、自治省を代表して決意のほどを伺いたい。
#57
○佐々木説明員 国後、択捉等の島が根室市に属するかどうかという点につきましては、これは地方団体の構成に関する問題でございます。そういう意味におきまして、地方団体の面積の中に加えるかどうかという点につきましては、非常に現在の地方自治法上から問題があるだろう。ただ、これらの諸島に関します行政経費が、どういう形でどういう地方団体に要るかということになりますと、それぞれ必要な経費については十分算定されますように、私どもとしましても将来とも検討してまいりたい、かように考えております。
#58
○中川(一)委員 それでは時間もまいりましたので以上をもって終わりますが、その他財産の問題、戸籍の問題、当然日本の領土としてなされるべき事務がなされておらない、これらの点については同僚委員から、あるいはまた私もあらためて御質問したいと思いますが、床次長官、こういったことについては、今度の協会法案もまことにありがたいことでありますが、やはり国内でできることはどんどん進めていくという姿勢をとっていただきたいことを要望いたします。
 以上をもって質問を終わります。
#59
○中村委員長 関連して発言を求められておりますので、この際これを許します。井上泉君。
#60
○井上(泉)委員 文部省に。いま中川委員からの質問の中に出ておった学校教育における沖繩あるいは北方領土の問題に対する取り扱い方について、これは小学校一年から中学校、高校、それぞれの社会科で、沖繩、北方領土の問題に関してどういうふうに社会科の教科書の中に書かれているのか、それを取りまとめて資料として出してもらいたいと思うのですが、その資料提出についての文部省としての意見を聞きたい。
#61
○宮野説明員 資料提出でございますか。
#62
○井上(泉)委員 そうです。出せるでしょう、すぐ。すぐといってもきょうでなくていいですよ、あしたでも。
#63
○宮野説明員 実は私、所管でございませんので、学習指導要領で小学校から中学校、高等学校……。
#64
○井上(泉)委員 学習指導要領じゃないですよ。教科書の中に書いてあるから、三年の教科書では沖繩の問題はこう書いてあるのだという、その書いてあるものを出したらいいのですから、簡単なものですよ。
#65
○宮野説明員 では提出いたします。
#66
○井上(泉)委員 それでは、その資料の提出を委員長のほうからも要請していただいて、その資料をも一とにして後日質問さしていただきます。
#67
○床次国務大臣 先ほど中川委員から御意見がありましたが、政府といたしましても全く同感でございます。すでに各君の連絡会議におきまして話題といたしてそれぞれ検討いたさせることになっておりますが、まだ実行がおくれておるものもあるかと思うのであります。御趣旨に沿いましてできるだけすみやかにその趣旨が実現いたしますように、各省のできますことについてはやっていく。なお、一般の普及宣伝等の問題につきましては、新しい団体が担当いたしますが、その団体が発足いたすまでは、やはり従来それぞれ北方問題を担当いたしました北方協会あるいは南方同胞援護会等がありますので、十分遺憾のないように努力を続けたいと思います。
#68
○中村委員長 箕輪君。
#69
○箕輪委員 北方領土復帰の実現は、戦後二十四年にわたりまして、引き揚げ島民はもとより、国民のひとしく悲願としてきた最も重要な国家的課題でございます。今回政府は、北方領土の早期復帰の実現と領土問題未解決のために起こるところの諸問題解決のために内政的措置を整備する方針のもとに、昨年十一月、田中前総務長官の北方領土視察に伴い、政府部内に北方問題各省連絡会議設置の閣議決定をされてこれに対処する一方、特殊法人、仮称北方領土問題対策協会を設立いたしまして広く国民に啓発をするとともに、北方領土諸問題の解決を促進されようとして立法化の提案を見たところでございます。
 私は、昨年の四月二十二日に本委員会におきまして、北方領土問題に対処するために特殊法人の単独立法化について政府にお尋ねいたしたのでありますが、その趣旨に賛同して前向きに検討する旨の御答弁をいただいたのであります。そうした観点と経緯から、この法案の目的なり、また御提出については心から賛意と敬意を表する次第であります。そこで、特殊法人の計画するところの業務の範囲などを中心といたしまして、お尋ねいたしたいと思う次第でございます。
 まず第一に、従来政府は、北方地域の諸問題については特殊法人南方同胞援護会にもっぱら処理させていたのであります。すなわち、南方同胞援護会は、沖繩・小笠原など南方諸島に関する諸問題について調査研究、啓発宣伝を行なうとともに、同地域に居住する日本国民の援護措置を講じ、あわせて施政権返還などについても民間運動を推進するため、昭和三十一年十一月十五日財団法人として設立されたのであります。その後この会の重要性が認識されまして、翌三十二年六月一日南方同胞援護会法の制定によって、昭和三十二年九月一日から特殊法人として発足を見たものであります。さらに、昭和三十四年三月二十日南方同胞援護会法が一部改正されまして、その附則をもって、業務に関する暫定措置として、政令で定める北方地域に関しても南方と同種の業務を行なうことができることとなったものでございます。自来十年間、もっぱらこの南方同胞援護会で北方の諸問題に対処するという施策がとり進められてまいったのであります。今回新しい法案を見ますときに、大筋はこの従来の南方同胞援護会の北方関係事業を承継したことと、昭和三十六年北方地域旧漁業権者等に対する特別措置に関する法律に基づいた北方協会の事業をそのまま承継し、この二つを合わせて北方領土問題対策協会という新しい人格を設置する、このように私は理解いたしておるのであります。
 そこで、新法人は十月一日設置の予定と承知いたしておりますけれども、その事業などの内容に、この二つの団体が従来実施してきたものと異なる格別違ったものがその事業の範囲の中で見られないのであります。全くこの従来の二つの団体が行なってきたものを一つに取りまとめた、そういうふうに解釈しておりますが、その二つの事業が行なった以外の何か新しい、特記するような格別のものが範囲の中で見られないのであります。したがって、初年度ということもありましょうけれども、予算の面で見ましても一千八百万円、上半期における南方同胞援護会の北方関係費を含めてみましても、わずか二千四百万円程度と承知しておるわけであります。管理費を除くとほとんど事業として実施するものがないのではないかと私どもは心配するのであります。それでは国民の要望するところの、全国的規模から見たところの北方領土復帰運動なり広範かつ多角的な北方領土諸問題の処理は不可能で、とうてい所期の目的は期待し得ないのではないかというように憂慮いたしておるのでございますけれども、この点について、簡単でけっこうでございますから、ひとつ御説明をいただきたいと思うわけであります。
#70
○床次国務大臣 お説のとおり、従来ありました南方同胞援護会並びに北方協会の業務といたしましたものをそのまま吸収しておるわけでありますが、しかし、特に政府が北方という名称を冠しまして、そうして事業をいたすということ、これは本格的に北方領土問題に取り組む姿勢を示しておるものと思うのであります。なお、本年度は初年度でありますので、その予算は必ずしも多いとはいえないと思うのでありますが、今後やはり独自の立場に立って事業を行ない、またそういうふうに発展すべきものと考えておる次第でありまして、従来足らなかったものに対しまして拡充強化することはもとより、必要と考えられまする事業につきましては、今後とも十分検討してまいりたいと思っておる次第であります。
#71
○箕輪委員 それでは次に、この新しい協会の事業、すなわち、法案の中に書いております業務実施に要するところの経費について伺いたいと思いますが、申すまでもなく、特殊法人は国策上あるいは公共の利益のために設置されるものでありますから、南方同胞援護会法の第二十八条に書かれております「国は、必要があると認めるときは、政令の定めるところにより、援護会に対し、補助金を支出し、又は通常の条件よりも援護会に有利な条件で、貸付金を支出し、若しくはその他の財産を貸し付けることができる。」、はっきり国が補助金を出せるということを明示いたしているのであります。しかし、今度の新しい法律案では、監督命令などはいたしますが、助成については何ら規定されていないのはどのような方針でこういうふうになったか、お伺いいたしたいのであります。このことについて、主務省令をもって、経費の国庫補助金あるいは一般寄付金、指定寄付金または通常の条件よりもこの協会に有利な条件の貸し付け金及びその他財産の貸し付けなどを省令によって明示したいとしても、法や政令の規定がない以上不可能と思うのであります。これでは南方同胞援護会法に示すところの国の積極的な財務に関する姿勢から著しく後退したものと私どもは考えなければならない、かように思うのでありますが、これに対する御見解をいただきたいと思います。
#72
○床次国務大臣 今回の協会法におきましては、補助に対する規定を欠いておるのであります。したがって、一見いたしますと、御指摘のように、今後の事業において非常に不安定じゃないかという御意見をお持ちになると思うのでありますが、これは最近の、実は事務的なものとしてお考えをいただきたいと思いますが、法制局の立法例等におきましては、こういうふうに事業を特殊法人として設立して実行させますものに対しまして予算を補助いたします際におきまして、一々法律的な規定を設けなくても、その性質上、当然これは国から予算を出して補助を実行させるということに解釈をいたし、そういうふうな取り扱いをするようになりました。したがって、この法案におきましては、ただいまのような補助規定を欠いておるわけであります。しかし、内容におきましては従来と少しも変わらない運営、またその精神でもって取り扱ってまいる考えであります。
#73
○箕輪委員 もう一度、くどいようでありますが、お尋ねいたしたいと思います。
 従来と少しも変わらないんだ、こういう御説明でありますが、従来は、いま言ったように国の補助ということがはっきりと明示されておりますし、今度は明示をされていない。どうなるんだかわからない。たとえば、いままで北方領土問題の対策のために北海道や根室市が多額の金を出しております。それらと比べてみて、国の四十四年度の予算なども非常に少ないわけでございます。そういうふうに考えてみますと、やっぱり国は、こういうふうに一つの新しい立法によって新しい協会をつくるのだけれども、従来と変わらないとすれば、何かやろうとするとまた北海道や、そしてまた根室から拠出金を出させるような、そういう姿勢にとられる向きがあると私は思うわけであります。その点についてもはっきりした御答弁をいただきたいと考えます。
#74
○床次国務大臣 ただいまの点、実は事務的な処理であったわけでありますが、会として将来について疑念のないように、私ども当然さような趣旨において設立たしたわけでありますが、なおその具体的な問題、きわめて事務的な問題でありますが、局長からこの機会に御説明申し上げておきたいと思います。
#75
○山野政府委員 ただいま御指摘になりました補助規定の問題ですが、これは事務段階で法律を立案する過程で非常に議論になった問題でございますけれども、まあ最近の立法例は、こういう政府関係機関に準じた特殊法人をつくる場合の任意の補助規定は、書かないのを例にしておるようでございます。また一方、この協会の運営につきましては、この法律にもございますように、毎年度事業計画は主務大臣の認可を受けるということになっておりまして、その認可を受けた事業計画については、政府の予算で全額負担するということは、これは私どもは当然のたてまえと考えておるわけでございますので、その二つの理由からこの法律には補助規定を設けなかったわけでございます。
 ただ、後段に御指摘になりましたように、いろいろその地元に寄付金をお願いしたり、いろいろな地方負担をかけるようなことは生じないかという点でございますが、私どもは、極力そういうことを避けまして、政府の認可する事業計画の中で、国費でもってこの領土対策の諸活動を行なうように極力つとめてまいりたいと考えておるわけでございます。
#76
○箕輪委員 それでは次に、協会は貸し付け業務にかかわるところの経理についての特別規定を設けているわけでありますが、従来の北方協会にかかわるところの例の十億円の国債の交付については、北方地域の施策について存する特殊事情及びこれに基因して北方地域旧漁業権者などの置かれている特殊な地位などにかんがみまして、特定の法対象者を定めて行なう特別措置であるから当然の規定であると思いますが、これらの運用について利害関係の全くない新法人の役員、評議員会などで意思決定をされるものかどうか。もしそういうことであるならば、従来の経過などからも運用上混乱を招くのみでなく、適正かつ可及的急を要する融資事業の運用に支障を来たすおそれが出てまいると考えるわけでございます。したがって、こうした可及的急を要するところの融資事業の運用に支障を来たさないようにする、これを防止するために、北方協会の現在の評議員会や執行体制にすべて委任するのが適切であると考えるわけでありますが、政府のお考えをお尋ねいたしたいと思います。
#77
○床次国務大臣 仰せのとおり、従来から北方協会の行なってまいりました貸し付け業務は、これはまことに特殊な措置であると思う。したがって、この目的といたしますところの事業は、やはり今後も引き続き尊重しなければならないと思っております。したがって、今回新協会を設立いたしまして、いわゆる旧北方協会を吸収することになりますが、北方協会が運営してまいりましたところの事業の運営に支障のないようにいたしたい。したがって、事務所等におきましてもやはり特に北海道に支所を置きまして、そうしてその事務を取り扱わせることにいたし、また、協会の役職員も、できる限り旧北方協会の責任者を承継して、そうして事業が行なわれるようにいたしたい。若干人数の減りますものもあると思いますが、しかし、事業そのものは、これを尊重する趣旨におきまして、今後の役職員の構成等は十分考慮してまいりたいと思っております。
#78
○箕輪委員 外務省の欧亜局長さんが時間がないそうでありますから、それでは先に外務省にお尋ねをいたしまして、大臣のほうはちょっとお待ちをいただきたいと思います。
 それでは外務省にお尋ねをいたします。
 最近千島海域、カムチャッカ海域または沿海州海域の公海上におきまして、ソ連邦によるところの爆撃、水中爆発実験あるいは射撃訓練が断続的に繰返されておることは、外務省も御承知だと思います。このために漁業生産活動が著しく阻害されておるのでありまして、政府におかれましては、公海上のこれらの海域におけるところの操業の安全を確保するために、ソ連邦に対して、私は次の事項を強力に申し入れをしていただきたいと要望するものであります。
 一つは、これらの海域は、本土漁船が多数操業いたしておるところの海域でありますので、この種の実験、訓練は行なわないようにソ連邦に対して強力に申し入れをしていただくということであります。次は、どうしてもやむを得ずこれを行なう場合には、これら海域におけるところの盛漁期は絶対に避けていただきたい、かように考えるわけであります。その場合に、正式な外交ルートによって、漁業者に周知せしめ得る相当の期間を置いて、具体的に時間や場所を通報することが大切だと考えるのであります。
 以上三点について、ソ連に対しまして強力な申し入れをしていただけるかどうか、御決意をお聞きしたいと考えるわけであります。
#79
○有田政府委員 ただいま御指摘になりました点の北方海域における爆撃並びに水中爆発の実験についてでありますが、これは御承知のように、昨年の十二月からことしの三月にかけまして、前後六回ほどにわたって御指摘のように断続的に行なわれております。それで、その際、わが国の漁船が多数当該海域において操業しておるような場合には、これは影響するところが非常に大きいのでありまして、直ちにソ連側に対しましてこの実験を中止するように要請してまいりました。これは遺憾ながらソ連側のほうで、取りやめるというような返事はいたしておりません。ソ連側のほうでは、公海上であるので、自分のほうとしても一定の実験等は先例もあることであり、する権利がある、このように反論してまいりました。そこでわれわれのほうは、ただいま箕輪議員から御指摘のありましたように、それは公海使用の自由という原則からは一応認められる点であっても、通報をなるべく早くしてほしいという点、それからこれは合理的な範囲で最小限度にしてほしい、これは日時の点あるいは使用時間の点について制限するようにという点は、重々ソ連側のほうに指摘しております。また、この海域の選定につきましても、これが北方のわが国にとってきわめて有利な漁場でありますので、わが国の漁船が出る場合が多いのでございますから、この点も十分考慮するようにと再三申し入れております。外務省といたしましては、今後もこのような実験が繰り返される場合においては、十分その点を指摘いたしまして、わがほうに障害の生じないように善処するよう強く申し入れる所存でございます。
#80
○箕輪委員 次に、北方三団体や――北方三団体はおわかりだと思いますが、根室市、北海道水産会などをもって組織いたしております北方問題対策北海道協議会などから再三にわたって要望されておりましたところのものでありますが、私ども、本特別委員会で昨年現地調査をいたしました。そのおりにも要請を受けた点でございます。特殊法人北方協会の行なう業務の拡充に必要な措置、北方地域周辺海域におけるところの漁業権補償など、未解決にしてきわめて対策の急を要する問題がございます。つきましては、昭和三十六年の十二月に発足した北方協会は、その主たる業務であるところの資金貸し付け事業の実施以来、満七年を経過いたしました現在までに、法対象者二千二百八十九人に対しまして六億五千万円の融資を実施いたしてきたのでありますが、これは法対象者総体に対する充足率が約一四%にすぎない状態であります。また設立当時に比較いたしまして、経済価値の上昇や資金需要の増大、さらには法対象者の拡大など、法律目的の事業の拡大、伸長が要望されているのであります。また反面、昭和三十八年に北海道漁業信用基金協会から昭和四十五年までに買い戻し条件つきの譲渡をした一億円の国債の買い戻しを実施いたしますと、現在の一億三千万円ないしは一億五千万円の貸し付けのワクが維持できないという問題も起きてくるわけでございます。そこで、この一億円の買い戻しを実際やるのか、さらに延長しようとお考えなのか、さらにまた、この国債十億円の原資については、御承知のように昭和四十六年には償還期限の十年目が来るわけでございますので、期限後の措置をどうするかという問題等につきましても、この際明確にしておく必要があると思いますので、政府の所見をあわせてお願いする次第でございます。また、これらに総合的に対応するためにも、現地からは、最低二億円の繰り上げ償還の要望が出ていることも御承知だと思います。あわせて政府のお考えを聞かしていただきたいと思います。
#81
○床次国務大臣 ただいまお話しの北方協会の基金となりますところの十億円の国債の取り扱いでありますが、これは明後四十六年に償還期がまいるわけであります。しかし、これをどうするかということにつきましては、その償還されました時点において考えてまいりたいと思います。しかし、いずれにいたしましても、今日まで営んでまいりました事業の重要性、特殊性は、十分私ども考えなければならぬと思っております。
 なお、先ほど御指摘になりましたところの、一億円のためにある程度まで事業資金が逼迫するではないかというお話でありますが、この点もまことにもっともな御意見だ。したがって、そういう資金運用の事業費のあり方そのものにつきましてはよく検討してまいりたい。
 なお、さらに増ワクしろ、増ワクに対する御意見も出ていることは承知いたしておりますが、十分今後検討いたしまして進めてまいりたいと存じております。
 もし詳細必要がありますれば、局長から申し上げます。
#82
○箕輪委員 あまり時間がございませんから、ひとつ要望申し上げておきます。どうかそうした融資事業について支障のないように、また、そういう心配を皆さん持っておられるわけでありますから、早くその心配が解消するように、政府の方針を早目に御決定いただきたい、かように要望しておきたいと思います。
 次に、北方領土の復帰運動につきましては、従来北海道や、そしてまた根室市、根室支庁管内の町村などが、財政投資を長年にわたって相当多額に行なっているわけであります。北海道は、昭和四十四年度の当初予算でも、六千二百万円予算を組みました。また今後、拿捕漁船あるいは墓参関係、そういったものが実現してまいりますと、これを加えて約八千四百万円、さっきの政府の二千何百万円の額に比べまして、かなり多額の予算を組んでいるわけであります。八千四百万円。また根室市は、四十四年度の当初予算で九百万円、さらに関係団体などに対する助成にいたしましても、北海道は、例の外務大臣の認可の社団法人であります北方領土復帰期成同盟に対しまして千四百五十万円、またこれに対し、国はわずか六百六十万円であります。引き揚げ者唯一の団体であります総理府認可の社団法人千島歯舞居住者連盟に対しまして、北海道は四百八十万円の補助金、また根室市や根室支庁管内の町村に対しましても、相当補助をしている実情でございます。このことは、地方自治体といたしましては、行政区域の関係、また元居住者の地域内居住などの関係から、北海道においても領土復帰北方漁業対策本部を、根室市においては領土対策係を、それぞれ行政機構として整備し、北方地域の復帰対策の推進、北方海域における安全操業の確立と、抑留漁船員の早期釈放とその救済対策、元居住者の援護対策の推進関係団体の育成、指導、関係資料の調査収集などを、名実ともに実施いたしておると思うのでございます。これに対しまして、先ほども指摘いたしましたように、国の財政的措置なり施策は、必ずしも積極性を示しているとはいえないのではないか。私から申すまでもなく、北方領土に関する諸問題は、単に引き揚げ者島民や北海道の問題だけではなくて、国政の問題であることは間違いないのであります。国の問題として取り上げ、対処するのでなければ、国内問題の解決はもとより、領土復帰の実現はとうてい解決でき得ないと思うのでございます。
 そこで、政府は、いま北海道が北方領土対策本部を設けておるし、また根室市も、一係ではありまするけれども、先ほど申し上げたような係を根室市が設けておるのでありまして、だんだんと調べてみますと、こうした北方の領土の問題に関する扱いを、政府としては総理府特連局の監理渡航課で扱われる。人が住んでいない所で監理渡航もへったくれもないのであります。監理渡航課で扱うのはおかしいのじゃないか。もっと積極的にやるならば、特連局の中に北方課とかあるいは南方課とかいうような、北方課のようなものをつくるのが私は積極的な姿勢を示す一つの考え方ではないか、かように考えるわけでございます。そういう機構改革のお考えがあるかないか、この点についてもお尋ねをいたしたいと考えるわけであります。
#83
○床次国務大臣 北方対策に対しまして、国のほうの施策が十分でない今日までの間、御指摘の関係諸団体並びに北海道及び支庁、根室市その他の公共団体等、非常な御努力を払っていただいたことに対しまして、心から敬意を表しておる次第でございます。今後とも、中央に協会ができましてもまだまだ関係団体として協力いたしまして、なおその方針を一つにいたしまして、結束いたしまして目的の達成に努力しなければならないと考えておる次第であります。したがって、中央におきまする新しい協会を拡充いたしますことはもとより、政府当局におきましても、必要でありまするならば事務機構等の拡充を考えてみたいと思いますが、ただ名前が監理渡航――監理という意味で、広い意味におきまして北方問題を取り扱っておったわけでありますが、政府といたしまして、十分機能の発揮できますように考慮いたしたいと思います。
 なお、地方の問題につきましては、先ほど特別交付金のお話がありましたが、なお普通交付金といたしましても考慮する余地があるのではないか。これは面積が北海道に入りますならば、それに応じた作用も出てまいりますわけであります。種々、その点につきましては関係省と積極的に連絡をいたしてまいりたいと思います。
 なお、各団体につきましても、やはりそれぞれの会の特色を発揮して運動に参加し、それぞれ一翼を分担していただくことがよいのではないかと思うので、したがって、そういう情勢等につきましても十分検討いたしたいと思っておる次第であります。
#84
○箕輪委員 ただいま長官がおっしゃったことでよろしいのでありますが、特に私の質問以外に御発言されました特別交付金や普通交付金の問題等について、若干御質問をしてみたいと思います。
 私は、たしか三月二十八日だと覚えておりますが、「われらの北方領土」の番組を注意深く拝見した一人であります。この番組の中で総務長官は、これらに対処するために、歯舞、色丹、択捉、国後については、日本固有の領土であるから、国土地理院作製の地図に明示させる、また、これらの島の面積は、算定して北海道の所属とする、普通交付税の基礎とする、このように説明されたと私は理解いたしておるのであります。これは間違いございませんね。
#85
○床次国務大臣 この問題は、先ほどもお話しがありました北方問題連絡協議会におきまして検討された問題でありまして、今日自治省が担当して前向きに努力しておる次第でありますが、その点につきましては自治省からお答えがあるかと思います。
#86
○箕輪委員 ここに一枚刷りの資料を持っておるのでありますが、「官庁速報」、昭和四十四年三月十七日の発行であります。ここで自治省は、「普通交付税は増額されない」、「北方領土を日本地図に加えても」という見出しで、「自治省は歯舞、色丹、国後、択捉の北方領土が国土地理院発行の四十四年版日本地図に書き込まれても、北海道庁に対する地方交付税の中の普通交付税が増額されることは考えられないとの見解をとっている。これは日本地図に書き込んだだけでは、普通交付税算定上の財政需要額が増加することにはならないからである。」自治省が言いたいのは、交付額が非常に多くなる、しかも恒久性と義務的な性格ができるとの懸念から、まだこうした理屈をつけて普通交付税を出さないという意見だと私は考えるわけでありますが、いまの長官の御答弁と自治省の三月十七日付のこの見解は、著しく違うところがあるように考えるのであります。
 そこで、自治省からこういうものが出ているのだが、長官とのお考えは違うようであるけれども、この考えを堅持するのか、あるいは長官のおっしゃったように前向きに検討するのか、それを伺いたいと思います。どうも両省庁の間に意見の食い違いがあるように思います。自治省からどうぞ。
#87
○佐々木説明員 先ほど中川委員の御質問にお答え申し上げましたとおり、この北方領土関係地域のうちで歯舞群島につきましては、現在根室市の区域になっております。この部分につきましては、現在根室市の面積並びに北海道の面積として、交付税計算上の基準財政需要額の場合は、通常の地域と同じ扱いになっております。それで国後、択捉、色丹、この地域が現在いずれの市町村にも属さない、こういうことになっておりますが、この取り扱いについてどうすべきかということを私どもただいま検討中でございますが、これが北海道に所属するということになります場合におきましては、既定の計算に従いまして基準財政需要額の算定の基礎には入ることになるだろうと思いますが、基準財政需要額の計算に入ったから当然に交付税額がふえるかどうかということは、これは収入額との関係になるわけでございます。交付税の増額になるかどうかということはわからないわけです。ただ、私どもが、基準財政需要額計算には入れないというような方針を決定したことはございません。いまこの取り扱いにつきまして、関係省との打ち合わせもいたしまして、できるだけ前向きで検討を進めておるという段階でございます。
#88
○箕輪委員 そうすると、基準算定のときにはそれは当然入るが、普通交付税は交付できない、こういうことですか。
#89
○佐々木説明員 交付税額は、御承知のように、基準財政需要額と基準財政収入額の差額について財源補償するという制度でございます。したがいまして、基準財政需要額がふえましても、基準財政収入がまたそれを上回るだけの増加があります場合には、交付税額自体はふえないわけです。ただ、現実問題として、この地域におきましてはおそらく収入額の増加する要因がございませんので、基準財政需要額の計算になりますと、その需要額の計算がふえた分だけ交付税額がふえるということにはなるかと思います。ただ、現実に北海道の交付税額がどれだけふえるかということは、これはちょっと私ども計算はできないと思います。
#90
○箕輪委員 同じ官庁速報でありますが、最後のほうに、「ただ北方領土の復帰運動、だ捕漁船の救出などのため北海道庁や根室市に特別の財政需要があれば、普通交付税の問題とは別に従来どおり特別交付税の対象となる。」こういっておるわけです。しかし、私どもの考え方では、特別交付税はいわゆる見込み交付でありまして、確定された基礎を持たないのでございます。そのつど裁量をするものと考えているわけであります。そういうことで従来ずっとやってきたのだから、そのとおりまたやるのだということでは、恒久的な復帰運動や北方領土対策はできないと考えるわけでございます。いまもお話しのございましたように、同じく行政権の妨げられている歯舞群島は北海道の面積として算入されております。ところが政府は、官報の一万二千五百七十六号付録として、昭和四十三年の十一月十三日付官報で、「これら四島の面積を加えた面積を北海道の面積として算定する。」と発表しております。これは私どもは普通交付税という意味にとっているのでありますが、私の考えが間違いかどうか、これも自治省から御見解をいただきたいと思います。
#91
○佐々木説明員 御承知のように、地方交付税は、地方団体におけるその財源についてその補償をする制度でございます。したがいまして、その財政需要の算定の基礎に、通常財政需要が発生すると見られる面積なりあるいは人口なりというものを一つのめどとして、需要額の計算をしておるわけでございます。現在地方交付税の普通交付税の分は、毎年四月一日現在の面積なり人口なりによって計算をするのをたてまえにいたしております。この地域が、基礎的な地方団体であります市町村のないという点についてやや問題があるわけでありますけれども、私どもとしましては、現実に相当程度の財政需要があるということを前提にいたしまして、できるならば北海道という大きい地方団体の財政需要に計算をしていくというような方向でいま検討してまいっておる、こういうことでやっておるわけであります。
#92
○箕輪委員 大体それでわかりました。これから北海道という大きな立場から財政需要があると思って、検討していくということで理解してよろしゅうございますね。
#93
○佐々木説明員 お説のとおりでございます。
#94
○箕輪委員 それでは、法務省は来ておるのですか。ちょっとお尋ねいたします。
 元居住者などの転籍にあたりまして、根室市に戸籍事務所を設けて北方地域に本籍を置くことができるよう措置されたい。これはもうだいぶ前から要望されていたところであります。御承知だと思います。もう一件、北方地域における不動産の登記事務を再開いたして、登記簿謄本、抄本の交付または閲覧及び相続登記ができるように措置をされたい。これもまあ引き揚げ者の方々の希望でございます。これについて、いまの時点に立って――昔のことはよく聞いておりますから、説明はされなくてもけっこうでありますけれども、どのように対処されるおつもりか、法務省のお考えをお尋ねしたいと思います。
#95
○新谷政府委員 戸籍関係からまず申し上げますが、現在、北方領土地域にかつて本籍を持っておられた方々は北海道あるいは本土に籍を移しておられまして、実際生活上は特段の不便はない、こういう現状でございます。そこで、沖繩関係戸籍事務所と同様の事務所を別に設けたらどうかという問題でございますが、実際問題として一般の生活に支障がないということでありまして、同時に、沖繩の場合と若干事情が違うことは、これはもう十分御承知のことと思うわけでございます。こういう状況下で立法措置をとって特別の事務所を設けるということになりますと、現状から一歩後退するような感じにならないかという問題が実はあるわけであります。沖繩の場合におきましては、当時占領下において、司令部の指示に基づいてポツダム政令によって向こうの施政権下にある行政事務を一部こちらで取り扱うことを認められた結果、あのような措置を講じたのであります。ところが北方領土におきましては、そのような関係が現在はございません。ただソ連側に事実上占拠されているという状況下で市町村の機能を果たしていない、それを前提にして事務所を設けるということについて問題があるのではないか、こういう考えを持っておりますために、この事務所の設置については、私どものほうとしましては現在考えていないのでございます。
 それから不動産関係でございますが、登記事務は、これもまた事実上行政権が行使できない状況にございまして、現地の調査、測量等ができません。したがいまして、登記事務は原則的にとり行ない得ない現状にございます。しかし、財産権が一体どうなっておるかという問題になりますと、これは日本政府側は日本固有の領土であるという主張をいたしておるのでございまして、そこにソ連が入っておりましょうとも日本側の法秩序はやはりそこにある、こう観念せざるを得ないだろうと思うのでございます。したがいまして、土地の所有権がなくなったというふうに観念することはできないだろう、こう考えるのであります。したがいまして、実体法の問題としましては、相続はもちろん行なわれておるのでございますけれども、手続的な登記の仕事はこれを行ない得ないのでございます。相続発記をするということにはちょっと問題があると思います。そうかと申しまして、従来の登記簿上の状況はどうなっておるかということについて、全く登記事務を行ない得ないかということになりますと、登記簿は少なくともこちらに引き上げてございますので、関係者の御要望があればその閲覧も認めておりますし、また記載事項の証明書等も交付しておるというのが実情でございます。復帰いたしますれば、もちろん登記事務が再開されますことは十分考えられます。
#96
○箕輪委員 いまの問題についてももう少しお尋ねをいたしたいと思いますが、いかんせん時間がございませんし、ただいまも何か手紙が来まして、このあと岡田先生が質問します。これは野党の方々に大いに質問をしてもらいたいと思いますので、私は、この問題については留保いたしまして、また次の機会にいたしたいと思います。
 最後に、長官にお願いをいたしておきたいと思います。
 昨年、前長官の田中先生が在任中に根室まで行っていただきました。これは戦後初めてであります。そしてあのみさきから北方領土を見ていただいて、現地の要望等もたくさん聞いていただきました。やはり大臣が行って帰ってきてから政府の連絡協議会もできた、今日のこういう領土対策協会という新しい立法措置も講ぜられるように前進してまいったと思うのであります。そこで私どもの念願でありますが、総理府の長官におなりになりますと一番先に沖繩へ参ります。けっこうだと思います。沖繩問題も大切であります。しかし、沖繩にだけ行って北方に行かずに終わってしまうのが、いままでの通例でありました。もうしょっちゅう、長官におなりになる前に大臣は行っておられるわけでありまするけれども、今度は長官として、大臣として行かれた場合には、これを迎えるほうの現地の方々も、ほんとうに心から喜んで大臣をお迎えいただけるものと考えているわけであります。どうか田中長官に負けずに、ぜひ早い機会に根室に行っていただくことを心からお願いしたいと思います。それについて、必ず行くぞという御回答、そしていつごろになるかもしれぬけれども行くぞという御回答があれば、たいへんありがたいと思うのでございますが、大臣の御答弁をお願いしたいと思います。
#97
○床次国務大臣 担当大臣として現地を視察し、なお現地の方々の御意見を直接伺うということ、これはまことに大事なことだと思います。特に今回は、新しい団体を改組、新設すると同時に、国全体といたしましても、真剣にこの問題に取り組もうというときであります。私といたしましても、できるだけすみやかに現地に参りまして、そして御趣旨に沿いたいと思っております。
#98
○箕輪委員 どうもたいへんありがとうございます。一日も早くそれが実現いたしますことを心から念願してやみません。
 なおまた、委員長にお願いがございます。本日は、おりあしく外務大臣がお見えになっておりません。実は外務大臣に対しましてどうしてもお聞きしたいことが一、二点あったのでありますが、これは明日外務大臣がお見えになるそうでございますので、明日に、たいした時間ではございません、十分くらいでけっこうでありますから、留保いたしますのでそのようにお取り計らいいただきたい、かように申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
#99
○中村委員長 外務大臣の件は了承いたしました。
 岡田利春君。
#100
○岡田(利)委員 本法案の提案理由の説明がすでに行なわれているわけでありますが、この提案理由の説明の中で、北方領土とは歯舞群島、色丹島、国後島及び択捉島、このように提案なされておられます。この北方領土の提案の見解をまとめたのはいつであるか、戦後一貫してこの方針をとってきたといわれるのか、この点の見解を承りたい。
#101
○床次国務大臣 これは外務大臣からお答えすべきことだと思いますが、北方問題に対しまして日ソが交渉を持ちましたのは日ソ協同宣言の際、あの際におきまして、色丹、歯舞の両島につきましては大体の了承を得たわけでありますが、なお固有の領土として考えられております国後、択捉につきましては、そのときにおきまして話がつかずに、松本・グロムイコ会談という形によりまして、問題の解決があとに残されたわけであります。したがって、その当時から四つの問題は、わが国の基本的な要求すべき固有の領土だということが明らかになっておるものと思われるのであります。なお、その前におきましてもいろいろあったと思いますが、少なくともその時点におきましては、四つの島がはっきりと浮かび上がっておると思います。
#102
○岡田(利)委員 そういたしますと、わが国の固有の領土について政府が統一的な見解をまとめたというのが、いまの答弁では昭和三十一年の、いわゆる日ソ共同宣言の交渉に当たるに際して政府はそういう見解を統一をした、こういう理解でよろしゅうございますか。
#103
○床次国務大臣 ただいまの問題は、外務省からさらに具体的にお答え申し上げます。
#104
○有田政府委員 この統一見解と申しますと、いささか何が統一見解かということにつきましていろいろ問題があるかと思いますが、少なくともその当時交渉に臨みました政府の立場といたしましてはそのように理解いたしまして、そのために、平和条約でなくて共同宣言方式というものをとりまして、そして領土問題については引き続き継続審議ということで今日に至っておるわけであります。それから、その後におきまして、御承知のように、北方領土問題というのは日ソ間の最も基本的な、最も重要な問題であります。したがって、自来、上層部において接触いたしますつど、この問題をソ連側に提起しております。その際におきます考え方も、これは国後、択捉、歯舞群島、色丹島に加えて日本の固有の領土である、ソ連が引き続きこれを占拠しているということについては何ら理由はないという立場で、この返還を強く要求しておるわけであります。
#105
○岡田(利)委員 政府が統一見解を示したというのは一九六一年十月六日、北方領土に関する統一見解というものを政府は発表したわけです。これは御存じだと思うわけです。しかもまた、日ソ共同宣言の調印にあたり、松本全権はグロムイコ外相に書簡を出して、この島についてはわが国の固有の領土であるという書簡を送ったことも確かであります。いわば北方領土については、政府がわざわざ昭和三十六年十月六日に統一見解を出さざるを得なかった、これはいまから七年前、統一見解を出したといういきさつ、この面から考えて、戦後二十三年間を経ているわけですが、北方領土に対する長年の保守党の認識、こういうものは、言うなれば共同宣言以降大体日本の態度が明らかになってきた、日本の政府の見解というものが統一されてきた、このように私は考えざるを得ないわけです。そういたしますと、当然、長年の間政権を担当してきた保守党として、与党として、また政府として、この北方領土に関するいままでの取り扱いについてきびしい反省があってしかるべきではないか、こう私は思うのですが、この点はいかがですか。
#106
○有田政府委員 もちろん、この北方領土問題と申しますのは、先ほど申し上げたように、日ソ間の最大の基本的な問題でございます。したがいまして、政府といたしましては、これは十分なる国民的世論をバックにして交渉いたさねばなりません。ことにソ連のような国に対しましてこのような問題を解決するためには、このような国民的な盛り上がりということが必要でございます。したがいまして、いま御指摘のありました政府のはっきりした立場を明らかにする、あるいはまた、今回、ただいま提案されております北方領土問題対策協会というようなものをつくって、そうしてさらにこの国民的世論を盛り上げてまいりますというようなことは、きわめて時宜に適した必要なことであると思います。
 従来の政府の立場について御批判がございましたが、これは日ソの平和条約締結交渉ないしは共同宣言の成立というものの過程におきまして、いろいろな考え方あるいはその交渉の過程におけるやりとりもございまして、私どもの承知しておりますところでも、最初は、日本側としましてもいろいろ、かなり広範な要求をソ連側にしたこともございます。しかし、せんじ詰めて申し上げれば、この国後、択捉、歯舞群島、色丹島というのは、この委員会の当初におきまして総務長官から御説明申し上げたように、いつの時点においても他国民の支配を受けたことのない、当初から日本の領土であったという点で、まさしくわれわれが固有の領土と称するに適切なるところでございます。これらは最小限度の要望として、今後引き続き領土返還の対象として、強力に進めていくということで対処いたしたいと思います。従来の点について、この点がはっきりしておらなかったのではないかというようなあるいは御批判があるかと思いますが、私の承知する限りでは、対ソ交渉の段階において、この点がぐらついたというような点は承知しておりません。
#107
○岡田(利)委員 私は、北方領土の取り扱いでわが国がどう取り扱ってきたか、こういう経過というものは、これからの対ソ交渉の場合非常に問題点として出てくる問題だ、このように考えざるを得ないわけです。そういたしますと、そういう反省についてはあまり具体的に述べられていないわけですが、私は、固有の領土であるということについては一点の疑義もないわけです。この点は完全に一致するわけです。ただ、そうなりますと、この北方領土の問題は、一九五一年のサンフランシスコ平和条約においてこれは規定をされておるわけです。二条の(C)項で千島列島の放棄が定められておるわけです。このときの条約の当事国であるアメリカ代表のダレス氏の、二条(C)項に対する認識はどのようであったか、この点はいかがですか。
#108
○有田政府委員 御質問の趣旨は、ダレス氏がこの二条(C)項をどう考えておるかというお話であると思いますが、これは要するに二条(C)項にありますとおり、この千島を日本側が放棄するという点、そしてまた、放棄の相手方についてはこれを定めてないということで明らかでございます。この千島列島の範囲いかんという問題については、この平和条約によりましても、その地理的範囲については定めがございません。これにつきましては、その後におきましてアメリカ側の見解も確かめたことがございまして、この国後、択捉が千島列島の中に含まれないという見解には、米側もはっきり同意しております。わがほうの立場からいたしますれば、これは平和条約に地理的な限定がない以上、やはりほかのいろいろな資料で、この千島というのはいかなるものかということを判定する必要があるのであります。その点につきましては、日魯通好条約一八五五年、あるいは樺太千島交換条約等において、この千島の範囲というものは、日本側の立場からすればきわめて明確に、これらの国後、択捉は含まれないという点がはっきりしておるのでございまして、政府の見解といたしましては、これはこの平和条約二条(C)項による放棄の対象にはなっていない、こういうことで一貫しておるのでございます。
#109
○岡田(利)委員 ダレス氏は、一九五一年九月五日、オペラハウスで、第二回の総会で次の演説をしているわけです。「第二条(C)に記載された千島列島という地理的名称が歯舞諸島を含むかどうかについて若干の質問がありました。歯舞を含まないというのが合衆国の見解であります。」こう述べておるわけです。ですから、歯舞は含まない、わざわざ千島に歯舞は含まないのだ、これは質問があって合衆国の見解です。歯舞を除く千島列島は(C)項で放棄をしたという見解を代表の演説で述べておるわけです。それと同時に、後半にまいりまして「人口の少い土地台湾は五十五年間に合計約三十五万の日本人人口を吸収しました。一九〇五年以来日本の統治下にあった朝鮮は、合計約六十五万人の日本人を吸収しました。南樺太には三十五万の日本人、千島には約一万一千人の日本人がおりました。」こう述べておるわけです。そして、この平和条約で定める領土に限定されても、この程度の人口であるからそう問題はない、こうダレス氏は述べておるわけです。
 千島の一万一千人の日本人はどこにおったのですか。
#110
○有田政府委員 御指摘の一万一千というのは特定のどこの島か、私記憶しておりませんが、終戦前におきまして、国後、択捉、歯舞、色丹、あの地域から引き揚げてきた人たちの数が総数で一万七千人ですか、その程度にのぼっているということは承知しております。あの終戦前後の期間におきまして、状況に応じて引き揚げさしたということは承知しております。
#111
○岡田(利)委員 これらの問題、あらためて外務大臣に質問することといたしたいと思います。
 わが国が連合国に占領されて、連合国最高司令官は、あの千島の海峡、納沙布と貝殻島の間に、マッカーサー命令によってマッカーサーラインというものが引かれたことは御存じだと思うのです。御存じですか。
#112
○有田政府委員 マッカーサーラインというのは、私、いま記憶しておりませんが、終戦の場合における占領下の行政命令において、この一部の地域を本土のほうの施政権下に入れ、他を別途便宜切り離したということは、この地区のみならずほかの地区にもございましたので、その点は承知いたしております。
#113
○岡田(利)委員 平和条約か締結をされて――この平和条約に対しては、ソビエトは参加をしなかったわけです。そこで、平和条約が締結され、これが批准をされて発効する、その時点でソビエト側は、この旧マッカーサーラインをブルガーニンライン、このように設定したことについては御承知ですか。
#114
○有田政府委員 ブルガーニンラインというのは、あれですか、漁業水域の問題ですか。
#115
○岡田(利)委員 ソビエト側がマッカーサーラインを……。
#116
○有田政府委員 漁業水域の問題ですか。
#117
○岡田(利)委員 漁業水域じゃないです。
#118
○有田政府委員 島の問題ですか。それは承知しておりません。
#119
○岡田(利)委員 昭和二十七年五月、政府は閣議決定をしまして、拿捕防止に関して漁業危険推定ラインというものを引いたわけです。二十七年の五月、閣議決定しておるわけです。この漁業危険推定ラインとマッカーサーラインとはほぼ同じでありますか。
#120
○有田政府委員 いまの御指摘の点は、要するに水域を制限して、その中に入って操業してはならぬ、いわゆるブルガーニンラインのお話だと思います。
#121
○岡田(利)委員 昭和二十七年の五月に、政府は漁業の危険推定ラインというものを閣議決定しておるわけです。これより行ったら危険だというラインをきめたわけです。この日本の政府が二十七年五月に閣議決定したラインというのは、マッカーサーライン、ブルガーニンラインと同じかどうか。
#122
○有田政府委員 これはただいま資料がないので、確実に同一であるとは、私ここではっきりお答えはできませんが、御指摘の点は、おそらく平和条約の交渉が、共同宣言ができる以前の時点におきまして、ソ連側がブルガーニンラインを引きまして、その後これが漁業交渉の発端になったことだと思います。それで、当時ブルガーニンラインを引かれれば、 これは先方が、その中に入ってはいかぬ、入れば拿捕する――現在におきましても同様な現象は多少見られると思います。したがいまして、それに応じて当時の政府が一定の措置をとったのではないか、このように考えます。
#123
○岡田(利)委員 海上保安庁、来ておりますか。――私のいまの質問を聞いておったと思うのですが、この危険推定ラインというのはどのように引いておりますか。閣議決定はどうなっておりますか。
#124
○猪口説明員 ただいま欧亜局長から御答弁になりましたように、必ずしも閣議決定にいう推定危険ラインというのとマッカーサーラインというのは一致していないと思います。ただし、そのマッカーサーラインの大部分の線が危険推定ラインに一致していることも、私ども業務執行上これを確認せざるを得ないと思います。
 それから、先ほどブルガーニンラィンのことをちょっとおっしゃったのでございますが、ブルガーニンラインとマッカーサーラインあるいは推定危険ライン等につきましては、ブルガーニンラインとはだいぶ違ったものではないかと思われます。御承知のように、ブルガーニンラインは、サケ、マスの漁業規制区域でございますので、これは相当北太平洋に張り出しました大きな規制海域でございます。ブルガーニンラインにつきましては、マッカーサーラインあるいは推定危険ラインとはだいぶ違った水域だと思います。
#125
○岡田(利)委員 危険推定ラインは、国後、択捉、歯舞、色丹、これに対してどのように引かれていますか。
#126
○猪口説明員 推定危険ラインの引き方は、昭和二十一年四月以降拿捕が始まりまして以後におきますその拿捕状況に基づきましてプロットしたものでございますので、いろいろございますが、おおむね野付水道あるいは根室海峡等を除きますると、十二海里内外の線が危険推定ラインになっていると思います。根室海峡、野付水道におきましては、ほぼその海峡または水道の中心が推定危険ラインになっております。
#127
○岡田(利)委員 その後危険推定ラインは変えたことがありますか。
#128
○猪口説明員 私たちの立場で申し上げますると、予防する線はなるべく早目にやったほうがよろしいのでございますので、事実、国後の北方方面におきましては、最初根室海峡の中心線付近で拿捕されておりましたのが、最近では非常に国後の沿岸近くになりまして拿捕される傾向があるようでございますが、私どもの哨戒ラインといたしましては、依然閣議決定の線でやっているわけでございます。しかし、これは御承知のように、操業関係を妨害しようとか、あるいは積極的に危険ラインに入って、わが国の固有の領海内であるから大いにやれとかいうことではございませんので、その点は十分注意して哨戒しているわけでございます。
#129
○岡田(利)委員 最近、拿捕の実情にかんがみて、根室海峡、特に羅臼寄りの国後沿岸、この国後から三海里内で拿捕された事件がありますか。
#130
○猪口説明員 具体的な事例をちょっとここで申し上げにくいのでございますが、――上げにくいというのは、私が資料を持ってないから申し上げることができないのでございますが、三海里内外のところで拿捕されたケースはあります。
#131
○岡田(利)委員 ここに海峡の地図があるわけですが、私の調査したところでは、国後の羅臼側の三海里内で拿捕のケースは出てないと思うのです。外ですね。そうしますと、根室海峡の納沙布のみさきと貝殻との間にマッカーサーラインが引かれて、危険推定ラインがいま引かれています。そうですね。この太平洋側の延長についてはどうなっていますか。
#132
○猪口説明員 延長につきましては、珸瑤瑁水道の中央線を抜けまして、それから勇留島ですか、それらから今度は、ほぼ十二海里外のラインでは北上して曲がっておると思います。
#133
○岡田(利)委員 問題は根室海峡から秋勇留島なんですが、歯舞群島及び色丹島は、平和条約を締結すれば、日ソ共同宣言でこれは日本に返還をするということが明記をされておるわけです。しかも国後側の羅臼寄りは三海里外では拿捕されていない。そういたしますと、秋勇留島から三海里外で、すでに現実に拿捕が行なわれておると思うのです。この安全操業について、こういう事実経過にかんがみて、政府はソビエト側と話をしたことありますか。
#134
○有田政府委員 申し上げられますことは、安全操業につきまして政府としても非常な関心を持っております。したがいまして、ソ連側から拿捕についての通報がありますと同時に、あるいはそれなしにでもこちらに情報があります場合には直ちにソ連側に連絡いたしまして、それについての釈放、これが不法であるからすみやかに釈放するようにということで交渉しております。これは、いまの地点のいろいろきわめてこまかい御指摘がありましたが、これについてはその拿捕一件ごとに、あるいは十二海里内であったとかあるいは三海里周辺であったとか、いろいろそのつどケースによって違っております。これを集約しまして、一定の結論はいまだ出しておりません。
 ただ、安全操業の問題を取り扱う場合に私ども一つ関心を持たなければならないのは、これは御承知のように、過去一千二百隻ですか、一万人以上の者が拿捕、抑留されておりますわけですが、このケースを大体統計的に調べてみますと、やはり最近においては国後、択捉、歯舞群島、色丹島、この周辺水域で約七割ないし八割と、非常に多い拿捕ケースになっておりまして、この点は、ひとつ十分安全操業問題に対処する場合に考慮しなければならない一つの要素であるというふうに考えております。
#135
○岡田(利)委員 この北方問題を扱うにあたって、日ソ間の懸案事項、日本側、ソビエト側の懸案事項というものは何々なんですか。
#136
○有田政府委員 先ほど来申し上げましたように、日ソ間の最大の最も基本的な問題は、いわゆる北方領土問題であります。
 これに次ぎまして、安全操業の問題であります。これは非常に多くの人が毎年毎年抑留されております。最近領事条約ができましたので、この領事条約に基づきまして、十日以内にはソ連側から義務的にこの拿捕、抑留について通報しなければならないということになっております。われわれもこの抑留者の方々の通報については、この条約上の根拠のみならず、あらゆる機会を通じて情報入手につとめております。
 この安全操業の問題が次に来ますし、それから北方地域につきましては、御承知のように、遺族については当然の要望でございますが、墓参の問題がございます。
 それから御承知のように、これは戦前からの問題でありますが、日ソ間における漁業問題があります。これは北洋が戦前からわがほうの非常な漁場でありまして、これは戦前からも常に日ソ間の問題であり、紛争も時として起こったかのように承知しております。サケ、マス、最近ではカニあるいはその他のニシンというような魚種についても交渉が行なわれております。かつ、この交渉は、ソ連側の態度によって長期的な取りきめができませんので、毎年毎年きわめて長期交渉が行なわれている次第であります。
 それ以外につきましては、御承知のように、最近の事態の進展に基づきまして、いわゆるシベリア上空の開放問題もございます。これは幸いにして一応解決のめどがつきまして、明年の四月以降には、日本側の乗り組み員による東京−モスクワないし東京−モスクワ以遠ヨーロッパへつながる路線の開設ということのめどがついております。また、これに関連してソ連側は、地方的なライン、すなわちハバロフスク−日本の間を結ぶ線の定期航路の開設ということを非常に強く要望しております。これも明年四月以降には開設の運びになる次第でございます。
 そのほか、あげますれば、たとえば文化取りきめの問題その他いろいろございますが、以上が最も基本的、かつ、日本側にとって重要な問題のように考えます。
#137
○岡田(利)委員 私はいまの答弁について全く同感であります。
 そこで、カニ交渉がまだ最終妥結していないわけですが、ほぼ妥結に近づいている。あとは大陸だなの問題を、向こうは認めさせようとするし、こちらは認めないということで最後の詰めがおくれているわけです。しかし、船団はすでに漁場に向かって港を出発する、こういう事態になっているわけです。
 いま言われた懸案事項の中で、日ソ共同宣言と同時に締結された日ソ漁業条約、これはいま自動延長下にあることはすでに御存じのとおりであります。しかもいまの交渉も、これからまた東京で行なわれるサケ、マスの交渉についても、自動延長下で行なわれるわけです。しかし、今日の日ソ漁業交渉の経緯についてここ二、三年の傾向を見ますと、私は、北方の海域における安定操業といいますか長期安定の方向を見出すためには、そういう長期的な具体的な取りきめをすべきでないのか。毎年毎年出漁に関係してきていることは、皆さん御存じのとおりであります。そう考えますと、この際条約の改定を行なって北方海域におけるわけが国の漁業の安定をはかる、こういう姿勢が大事ではないか、こう思うわけです。この点については、日本側は交渉する意思があるのですか、ないのですか。さらに、自動延長下でこのまま見送っていくという考えでありますか。
#138
○有田政府委員 ただいまの点については、外務省のみならず水産庁のほうの意見とも十分調整しなければならない問題でございます。基本的には、御承知のように、この日ソの漁業条約というものは目下自動延長下にございます。しかしながら、日ソの漁業条約の立て方の内容自体については、これは双方にとって必ずしも異議のあるものではございません。ただ、御指摘のように、その条約のもとにおいて毎年毎年、昔は百日交渉といわれまして、最近は多少その事態は改善されましたが、今回のカニの交渉によってまた百日交渉というような事態になりつつあるわけでありますから、そのような事態を改善して、そして長期的に安定した話し合いをつけるということは、これは非常に望ましいことでございます。しかしながら、現在の状況においては、ソ連側の立場が、一応この科学資源の評価に基づいた一つの交渉というような立て方にはなっておりますけれども、やはり傾向的にはだんだんと日本側の操業実績というものを縮めて、相対的にソ連側の操業実績を上げていこうというような基本姿勢にございますので、その話し合いについては、なかなかその点の見通しが立たない状況でございます。したがいまして、いつの時点においてこの問題についてさらに詰めた交渉をするかという点については、せっかく関係省とも調整いたしまして、御趣旨のほどは十分承知しておりますので、十分対処の方針をきめていきたい、このように考えております。
#139
○岡田(利)委員 水産庁が来ておると思うのですが、日米漁業協定におけるカニの漁獲量の協定は、ここ数年の実績に比べて今度の協定ではどの程度いきましたか。
#140
○角道説明員 いまの御質問は、昨年の秋に改定いたしました日米タラバガニ協定の第三次改定の内容だと思います。当初結ばれましたのはたしか二十三万五千箱、これが第一次だと思います。これが一九六四年でございます。これは二年ごとに改定するたてまえになっておりまして、資源状況の悪化ということもございましたので、第二回目では、六六年でございますが、このときは十六万三千箱。昨年の改定では、タラバガニ協定は八万五千箱であります。同時に、最近ズワイガニというのがございまして、これは従来タラバガニ以外は商業価値がないということで利用しておりませんでしたが、最近タラバガニが減ってきたということもございまして、ズワイガニの開発に日本の業者が進んでいった、その結果ズワイガニについて商業的漁獲を始めたということもございまして、昨年からズワイガニをタラバガニ協定の中に含めるということになりましたが、ただ、資源状況については、何ぶん開発がごく最近なものでございますから、まだ内容については十分わからないということで、協定上は、日本側が資源状況に悪影響を与えないように慎重に操業するというような内容になっております。
#141
○岡田(利)委員 私は今日の日ソ・カニ漁業協定の交渉に際して指摘をしておったわけですが、対米関係では半減したわけですね。日本の過去の実績に比べて、二十一万箱が八万箱台に落ちた。半減いたしたわけです。しかも大陸だな問題が、その当時もアメリカから出された。それはたな上げになって協定した。ズワイについても従来と違って、この点が問題になった。この傾向は対ソ交渉にも必ず響くだろう、こう指摘したわけです。全くそのとおりなんですね。しかし、相当な長期の交渉を続けて、一応漁獲の量については了解点に達した。こういう国際的な漁業関係を分析し、検討する場合に、対米漁業協定なり、あるいはまたアメリカとソビエトの米ソ漁業協定なり、こういうものが傾向として私は必ず米ソ交渉の中にあらわれてくると思うわけです。そういう私は理解をしているわけです。案の定出てきているわけです。ですから、結局これからの国際漁業条約交渉というのは、単に水産界のいわばそれぞれの要望等を基礎にして動くのではなくして、国際環境がいま国際漁業では変わりつつあるわけですから、これに対応して外交的にどう対処していくか、こういう一貫性がなければ常に問題が出るわけです。私は、そういう点についてやはり国際漁業条約の問題は改善されなければならないし、日ソ間の問題についてもそういう国際的な立場に立ってこれに対処し、問題に取り組む、こういう姿勢が確立しない限り、このような傾向というものは次々と出てくるのではないか、こういう見解を持っておるわけです。おもにこれは水産庁がこの交渉に当たっておりますし、民間人を委嘱して全権をきめておるわけですが、その点はそうお思いになりませんか。どうですか。
#142
○有田政府委員 漁業問題については、広く他国の動向を見きわめて交渉に臨むということは、御指摘のとおりであろうと思います。カニの問題につきましても、ソ連側が大陸だな条約を基礎にかなり強い態度で出てきておりますことは、過去に日米タラバガニ協定というもの、これは大陸だなをたな上げにはしておりますけれども、そのような交渉が行なわれた経緯からも、ソ連側が非常にこの点の交渉を要望したということは、御指摘のとおりでございます。したがいまして、今後対ソ交渉のみならず、すべての漁業交渉につきましても、十分この点を勘案して国益の確保ができるように私どもも考えていきたいと思います。
 また、今回のカニの交渉につきましての代表のお話が出ましたが、これは政府代表の中には外務省の欧亜局の参事官も参加しておりますし、水産庁の生産部長、責任者も入っておりまして、いわば各方面からの適任者を集めて対ソ交渉をお願いしておるわけであります。また首席代表の藤田さんは、御承知のようにこの問題を長年手がけておりますし、そういう点でわれわれとしても十分の信頼を置いて、単に技術的な面のみならず、過去の経緯、ソ連側の動き等についても十分の洞察と見識を持っておられる方と存じておりまして、外務省といたしましても全幅の信頼を置いておる次第でございます。
#143
○角道説明員 先ほど申し上げました日米タラバガニ協定の漁獲量について、若干間違いがありましたので訂正さしていただきます。
 第一次協定は昭和三十九年に結びましたもので、これはかん詰めが十八万五千箱でございます。第二次のものが先ほど申し上げましたとおり十六万三千箱、これはいずれも半ポンドかん四十八個入りの数量でございます。
#144
○岡田(利)委員 この際、ことしはサケ・マスの豊漁年でありますけれども、この交渉にあたって日本の漁獲量はどの程度主張するのですか。
#145
○有田政府委員 ただいませっかくこの委員会において交渉が行なわれておりますので、具体的の数字についてはここで申し上げるのを差し控えさせていただきたいと思いますが、日本側の考え方といたしましては、これは御指摘のように昨年は不漁年でございましたので、ことしは豊漁年でございます。これがまず一点。したがいまして、昨年の漁獲数量と比較するのではなくして、一昨年の数量に比較しなければならないという点が一つでございます。それから、あくまでも資源状態の判定というものをまず行ないまして、その上に立っていかなる数量が適正であるかということで議論してまいる所存でございます。したがいまして、その点については数量の上限と下限というものはおのずから明らかでありまして、われわれといたしましては、過去の実績に即してできるだけ多くの漁獲量を確保するようにつとめたい、このように考えております。
#146
○岡田(利)委員 羅臼に籍を持つ第十一進洋丸事件というのは御存じですか。
#147
○角道説明員 第十一進洋丸事件というのはよく存じておりませんか、事件の内容等をお伺いできれば、あるいはわかるかと思います。
#148
○岡田(利)委員 これはあとからまた。いいです。
 今度の法案提出にあたって、北方協会を吸収するわけですが、もとの法律の名前は、北方地域旧漁業権者等に対する特別措置に関する法律であったわけですね。この中に北方協会があったわけです。そして協会には十億の国債を交付してその利子でこれらの人々に対する対策を立ててきたという経過で、二年後にはこれが償還をされるわけですが、この前私は予算委員会で指摘をしておりますけれども、この際、北方地域における漁業権の補償、資産の補償を政府は一度行なう考えはないかどうか。もう二十四年も経過したわけです。これからこの問題が解決するまでどの程度かかるか、予想もつかぬわけです。そういう検討をしたことがあるかないか。また、現時点でこれを推定する場合には、どの程度の漁業権の補償になるのか、やるやらないは別にしてですね。こういう点についてお伺いしたいと思います。
#149
○安福説明員 北方地域の法的な特殊な地位ということは十分御承知だと思うのでございますけれども、昭和二十一年の一月二十九日にメモランダムが出まして、わが国の行政権が分離された、こういう事実がございます。その時点におきまして、日本の法令がそういう関係であそこに適用できない、そういう事態になって今日まで及んだということでございます。かたがた、それより前にソ連の実力行使によります占領状態が続いておる、それが今日に及んでおることは御存じのとおりです。したがいまして、わが国の法令はその時点において適用できないと同時に、漁業権につきましてもその時点において一応消滅した、こういうふうに考えざるを得ない、こういうことでございます。先ほど問題になっております漁業権の補償がからみます行政制度の改革というものが、二十五年から二十七年にわたりまして実施されたわけでございますが、その時点がちょうどそういう期間に該当するわけでございます。したがいまして、そういう関係があって漁業権補償がそこに行なわれていない、こういうことでございます。ただ、国の行政といたしましてそれを考えますと、終戦後そういうところで生業を営んでおりましたものが、一切根こそぎ破壊された結果本土のほうに引き揚げた、こういうことでございます。したがいまして、そういったことの政治的な配慮、行政的な配慮を考えますと、それに対する何らかの措置はやるべきである。こういうことが契機となりまして北方協会というものが設立されて、そういった北方からお帰りになりました方々の生業の安定と同時に生活の安定、そういう角度から北方協会がそういう方々に対して融資事業を行なう、そういうことを通じまして生業の安定、生活の安定、そういった措置がやられたわけでございます。そういうことで、いわゆる行政制度の改革、改正に伴います漁業権の補償との一応均衡――と申しますと語弊があるかと思いますけれども、そういう措置をとって現在に至っておるということでございます。
#150
○岡田(利)委員 当時の水産庁の漁政課長の説明では、十億の根拠は、昭和二十四年から二十七年の間、いわゆる内地といいますか、日本国で漁業補償を行なった。この場合の北海道の補償額が五十二億であった。この北海道の五十二億を基礎にしていまの北方水域の漁業権等を考えると、大体過去の実績を見ればほぼ七億五千万程度になる。そしてこれに旧島民の資産、こういう面を勘案して、こういう措置をとるにあたって、大体積算的なめどというのはそういう組み立て方で十億という金がきまった、こういう説明を受けておるわけです。したがって、この十億という国債が償還をされた場合に、すでに昭和二十四年から二十七年の五十二億に対応する七億五千万が入っておるから、この償還で漁業補償は終わりだというお考え方はありますかないですか。
#151
○安福説明員 行政制度の改革によります漁業権の補償というものは、先ほど申し上げましたような形で行なわれないし、われわれも現在の時点においてわが国の法令上それができないのじゃないだろうか、こういう考えを持っております。ただ、条理といたしまして、先ほど来申し上げておりますようなことがございますので、将来ここに行政権が返ってくる、領土が返ってくるという時点におきまして、この地域における漁業権が具体的な問題として出てくるだろうと思います。したがいまして、現在の十億の措置なりそういったものをどうするかという問題、これは先ほど総務長官のほうからも若干説明があったかと思います。そういったものをひっくるめましてこの地域の漁業振興施策、その漁場に依存します漁民の方々の生業はどうあるべきか、そういう観点から、水産行政の一環としてそこの人たちをどう措置するかということでこの問題は解決すべきではないだろうか、こういうふうに考えております。
#152
○岡田(利)委員 歯舞、色丹、国後、択捉に所在していた旧漁業協同組合が、これらの地域で過去設定されていた共同漁業権の設定について、要望があったと思うのです。政府としては、これに対しては、施政権の及ばないところであるので共同漁業権の設定を認めるわけにはまいらない、こういう見解を出した経過が過去にあると私は思うのです。この点御存じですか。
#153
○安福説明員 いつどういう答弁があったかということは私詳細に承知いたしておりませんけれども、漁業権というものは一部地域が公海にある、わが国の法令が及ぶ、そういうところがあるから漁業権がそこで設定できるという問題じゃなくて、やはり海岸線から一体のものとして漁業権というものが観念されているわけでございます。またそういうものであろうとわれわれは思っております。したがいまして、現実にわが国の法令をそこで適用することは不可能であるという事態においては、そういう漁業権を設定するということは技術的にもちょっと不可能じゃないだろうか、そういうふうに考えられます。
#154
○岡田(利)委員 わが国の行政権が及んでいない歯舞、色丹、国後、択捉の十二海里あるいはまた三海里であるとを問わずして、許可を持っている漁船が操業することについては法律的には問題がない。極端にいえば波打ちぎわまで行ってもいいんだ、法律的には問題がない、こういう見解を水産庁はとっておるわけですが、そのことについて、現実にわが国の行政権は及んでいない、占有されているわけですね。その法律的見解と、これからの安全操業に対する政府の指導はどのように調整をされているのか。一方、危険推定ラインというものが設定されているわけですね。また、占有しているソビエト側は一応七海里とか三海里、こういうところで入ってくるものは領海侵犯として拿捕するというケースが続いているわけです。しかし、行政権の及ばないこの水域に対する水産庁の法律的見解としては、十二海里だろうと三海里だろうと、極端にいえば波打ちぎわまで行ってもいいんだ、これは法律上何も問題はない、こう答弁をされているわけですが、この閣議決定の危険推定ラインに入ってはならないという指導と、水産庁のそういう見解というものが、政策としては当然調整されなければならぬのじゃないか、こう私は考えるわけです。そういう点について調整したことがありますかありませんか。
#155
○安福説明員 法律的に、たとえば許可を持っている漁船がこの北方地域にどこまで近づけるか、こういう問題と現実的な問題というものを、われわれとしてはやはり行政を進める場合に、指導方針としても考えざるを得ないんだろうと思います。この北方地域について、拿捕なりそういった漁業上の問題がいろいろ起きております。その時点におきましても、われわれは法律的にはそういう三海里の中に入り得る、こういう見解はとらざるを得ないと思います。しかし、現実の問題といたしまして、実力的にソ連がそこを占領してまいる。それから日本がとっております領海三海里説に対して、ソ連が十二海里をかなり前からとっているわけでございます。そういう基本的な対立もございます。そういう現実的な問題をわれわれとしては考えざるを得ない。そういうことから、地域によっては危険がある、こういうことは十分漁民に知らす義務は、行政庁としてはあるのだろうと思います。その点、そういう現実と法律論とは、行政をやっていく場合に一応わきまえて、そういう心づもりでやっているつもりでございます。
#156
○岡田(利)委員 時間がありませんから、質問をあと留保して終わりたいと思いますが、法律的見解見解と、こう言われますけれども、国民はその法律的見解にむしろ依拠する、こういう傾向はあるだろうと思うのですよ。極端にいえば、わが国は領海三海里だから、それ以外は他国の専管水域についても領海三海里以上は認めないのだ、こういう一方的な立場に立ってものごとを考えるとすれば、アメリカであろうが、インド洋であろうが、アフリカであろうが、どこであろうが、わが国の認めている三海里以内までは、許可を受けている漁船は魚をとるためには入ってもいいのだ、そこで操業してもいいのだということになると思うのです、法律的にいえば。そういうかたくなな一方的なたてまえをとれば、そうなると思うのですよ、法理論的には。しかも、国際環境から見れば、領海十二海里、専管水域十二海里は別にして、これを含んで十二海里というものは絶対に沿岸国の多数ですよ。アメリカさえも三海里、十二海里をとっているわけですから、絶対なる多数です。そうして、一方においてインドネシアの内水面の入漁料を払ってやるとか、あるいはまた今度はスペインと交渉するとか、いろいろあるわけですね。これに対処して、政府は専管水域の問題を検討しておる、検討しておるとは言うけれども、そうむずかしい問題ではないのであって、この漁業専管水域の設定は、国際的にこれらに対処する見解というものはぴしっと打ち立てられなければならない時期に来ているのではないか、こう思うのですが、この点、検討の作業というものは進んでおるのですか。
 以上で終わります。
#157
○安福説明員 領海の三海里なり十二海里なり、いろいろその国々によりまして立場の違いがあるわけでございますけれども、今日まで世界の海法会議なり、そういったものが二度ばかり行なわれております。そういう経緯はございますけれども、確立された国際上の原則といたしまして、やはり三海里というものが客観的に存在している、これが事実でございます。したがいまして、わが国といたしましては、世界の情勢がいろいろその後変化してまいっているという事実もございますし、そういう事実にわれわれ自身いたずらに目をおおうというつもりはございませんけれども、従来からのわが国の姿勢というものは、やはり現段階においては堅持すべきものだろう、こう思います。ただ、各国、そういったところで具体的な問題としてだんだん出てまいっております。その場合にも、政府が出てまいります交渉もございます、あるいは民間で話し合いをやっているというケースもございます。しかし、政府が出てまいる場合には、やはりいわゆる三海里説という立場に立った交渉を現段階でやっております。ただ、先ほども御指摘になりましたような世界の情勢というものがございます。したがいまして、そういった国との関係等も政府としては十分考えて、理論的な立場、それから実益的な立場といったものを十分わきまえた検討を慎重にやりまして結論を出すべきものだ、このように考えております。そういった問題についての検討をわれわれ自身やっているということは事実でございますけれども、現在まだこういうことを申し上げる立場の段階ではないということでございます。
#158
○中村委員長 本日はこの程度にとどめ、次回は明九日、午後三時二十分理事会、三時三十分委員会を開会することとし、これにて散会いたします。
   午後一時十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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