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#1
第061回国会 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第11号
昭和四十四年四月十七日(木曜日)
   午前十時三十三分開議
 出席委員
   委員長 中村 寅太君
   理事 小渕 恵三君 理事 本名  武君
   理事 八木 徹雄君 理事 川崎 寛治君
      大村 襄治君    中川 一郎君
      中野 四郎君    福田 篤泰君
      古屋  亨君    箕輪  登君
      山田 久就君    依田 圭五君
      麻生 良方君    渡部 一郎君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (総理府総務長
        官)      床次 徳二君
 出席政府委員
        総理府特別地域
        連絡局長    山野 幸吉君
        総理府特別地域
        連絡局参事官  加藤 泰守君
 委員外の出席者
        法務省民事局参
        事官      味村  治君
        水産庁漁政部協
        同組合課長   鶴  哲夫君
        水産庁漁政部漁
        船保険課長   小関 信章君
        水産庁生産部海
        洋第二課長   吉崎 司郎君
        海上保安庁警備
        救難監     猪口 猛夫君
    ―――――――――――――
四月十七日
 委員永末英一君辞任につき、その補欠として麻
 生良方君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員麻生良方君辞任につき、その補欠として永
 末英一君が議長の指名で委員に選任された。
四月十六日
 沖繩の早期復帰実現に関する請願(大村襄治君
 紹介)(第四四三五号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 北方領土問題対策協会法案(内閣提出第七九号)
     ――――◇―――――
#2
○中村委員長 これより会議を開きます。
 北方領土問題対策協会法案を議題とし、審査を進めます。
#3
○川崎(寛)委員 資料要求をいたしたいと思います。
 それは、政府が一体化三カ年計画その他いろいろと進めておるわけでありますが、先般総務長官が沖繩の現地で、そういうものの案を示されたようにわれわれは新聞報道で伺っておるわけです。そこで、これをひとつ資料として、われわれも検討したいと思いますから、いただきたい。
 それから次には、いま各省が、相当各部門にわたる現地の調査を行なっていると思うのです。つまり、総理府が総括の機関としてこれまでやってきたわけだけれども、しかし、現在においては、それをさらに広げて各省で行なっておると思いますので、これはある期間を切ってでけっこうですから、ことしならことしに入ってからでも各省がどれくらいの調査団を出しておるのか、それから、各省が出しておる調査団の調査の項目、また中間報告の出せるものがあるならば、中間報告を出す。われわれとしては、最後の結論だけをこの委員会で審議するということであってはならぬと思いますので、そうした各省の出しておる調査団の構成なり人員なり、それから項目、そして中間報告の出せるものは中間報告、こういうことで、ひとつ各省からのものを総理府のほうで取りまとめて委員会に提出をしてもらいたい、こう思います。
#4
○床次国務大臣 先般沖繩に参りまして交渉してまいりましたところの一体化の大綱につきましては、各省の調整というものがまだ十分でございませんので、終わり次第、その大綱につきまして委員会のほうへ御報告するようにいたしたいと思っております。
 なお、現在沖繩の各方面にわたって調査をいたしておるものにつきましては、取りまとめまして、大要につきましては御報告ができるかと思います。詳細につきましては、局長からこの点御説明申し上げたいと思います。
#5
○山野政府委員 いま御指摘がありました各省の調査でございますが、これは全体として総理府が取りまとめまして、各省に依頼して調査をしてもらっております。その調査の中には、諮問委員会の要請に応じて調査を行なっておるのが相当ございます。それからまた、自主的に総理府のほうが発案して、各省と相談して調査しているものがございます。いずれにしましても、そういう調査の内容、調査団、調査項目あるいは中間的な報告等は、至急ひとつ取りまとめまして、適当な機会にできるだけ早く御報告申し上げるようにしたいと思います。
#6
○川崎(寛)委員 歴代総務長官は、どうも沖繩に行くと口が軽くなってか、こちら側では出さないものも向こうに行くとよく出すわけです。これは歴代そういうことがあって、いざ資料を要求すると、いやそれはまだ検討中でしてなんということでお茶を濁しておる点が多いわけですから、その点はひとつきちっとしていただきたい、こういうふうに思います。
#7
○床次国務大臣 沖繩に参りまして話し合うものは今後の対策でありますので、あらかじめ民政府のほうとも連絡をとりまして進めていきたいものがあるために、今後こういう方針でやっていくのについて、それに対して民政府側の協力を要請するという意味において話し合っておりますが、こちらのものが確定案ではなしに話し合っておる次第でありまして、必要なものにつきましては、十分国会のほうに資料は提出いたす考えであります。
#8
○川崎(寛)委員 終わります。
#9
○中村委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。渡部一郎君。
#10
○渡部委員 それでは、北方領土問題対策協会法案に関しての質疑を、前回に続きましてもう一回いたしたいと存じます。
 前回きわめて不明瞭でありました、会長及び副会長の両方が代表権を持たれているという問題について、もう一回御説明を願いたいと思います。
#11
○床次国務大臣 会長はもちろん会の代表権を持っておりますが、副会長は、会長の命令を受けまして、その分に関しまして代表し得るようになっております。したがって、副会長の代表権は、会長と矛盾するものではなくして、会長の命令と申しますか意思に従った代表権であるべきであります。それに異なるものは代表し得ないと思います。
#12
○渡部委員 それでは、「昭和二十年八月十五日において北方地域に生活の本拠を有していた者に対し必要な援護を行なうこと。」と規定されておりますが、これについて具体的にどういう必要な援護を与えられるのか、それを伺いたいと思います。
#13
○床次国務大臣 要するに、戦争中と申しますか、戦前におきまして生活しておった方々の生活の援護を考えておるわけでありますが、具体的にとりました措置につきましては、簡易水産の加工、漁船幹部要員養成、それから肉畜飼養管理及び郷土民芸品製作等のいわゆる生業研修の実施をいたしたわけです。
    〔委員長退席、小渕委員長代理着席〕
並びに南方同胞援護会が従来千島会館という会館を経営しておりまして、北方地域の居住者に対して宿泊、集会の場といたしまして、その福祉厚生をはかるようににいたしておったのでありますが、こういうことをいうわけであります。
#14
○渡部委員 この「必要な援護」というのは、その「必要な」といわれるのは、単に援護を与えているだけではなくて、今度の法案においてはさらに充実された援護が与えられる、こういう意味だと存じますけれども、そうすると、いままでの北方協会等で行なわれた援護あるいは南方同胞援護会で行なわれた援護とどのような差があり、どういうような量的、質的な充実が行なわれるか、それを伺いたいと思います。
#15
○床次国務大臣 従来から行なってまいりました元居住者に対する、先ほど申し上げましたような種類の援護を、引き続き継続してまいりたいと思います。なお、特に必要なものがありますならば、その援護をふやすということも考える余地があると思います。
#16
○渡部委員 それは具体的に申しまして、どの程度までその援護は拡大され得るのか。その辺のこと、ある程度きまっておりましたらお話し願いたいと存じます。
#17
○床次国務大臣 この点につきましては、具体的にどういう援護が必要であるかということを、実情を見まして、なおこれは予算にも関係してまいりますので、予算の裏づけをいたしまして実施してまいりたいと思います。
#18
○渡部委員 そうすると、現在、南方同胞援護会において、北方地域に生活本拠を有しておられた方に対する援護は、毎年毎年どの程度の援護が行なわれていたか、また、今年度予算においては幾らが見積もられているのか、それだけひとつお示し願いたい。
#19
○床次国務大臣 具体的な援助の金額その他につきましては、政府委員からお答えいたします。
#20
○山野政府委員 南方同胞援護会が北方関係に対します援護事業を含めました全体の経費のここ数年の動きは、昭和四十一年度が三百九万六千円、四十二年度が三百九万六千円、四十三年度も大体これに近い三百万前後の仕事をしております。ただいま長官から御説明がありましたように、南方同胞援護会がやってきました援護事業としましては、各種の生業研修をやっております。それから千島会館を建設しまして、そして集会、宿泊に使っておりますが、それの運営を南方同胞援護会でやってきました。それをそのまま引き継ぐ。実は今年度は、御承知のように十月一日から半年でございまして、まだ発足当初でございますので、従来南方同胞援護会でやってきた援護事務を一応そのまま引き継ぐという形にしまして、明年度から地元の要請等も十分聞きまして、予算編成のときにさらに前進した形の援護事務を行ないたい、かように考えておるわけでございます。
#21
○渡部委員 局長、ちょっと伺いますけれども、生活本拠を有していた方として、この業務の対象となるべき人は、どれくらいの人々がおられるのですか、また、北海道内にはどのくらいおられるのか。
#22
○山野政府委員 全体で約一万六千人でございます。その八七、八%が北海道におられると承知しております。
#23
○渡部委員 そうしますと、この三百九万円ないし三百十万円ということは、対象者一人当たりにしますと毎年二百円ずっということでございますね。そうすると必要な援護というのは、一人二百円ずつ出せば十分だとお考えでしょうか、それとも、いままではこれは全然不満足なものであって、今後においては抜本的な援護をお考えでしょうか。
#24
○山野政府委員 経常的な援護費はそうなっておりますが、千島会館の建設費等の場合は八百万程度の支出をいたしております。それから実は、このほかにも、御指摘がありました北方協会で貸し付け業務その他もやっております。しかし内容は、いま御指摘にありましたように、必ずしも十分な対策とは言えない分野もあるかと思いますので、今後は、御指摘の点も十分考えまして、ひとつ援護事務の充実をはかってまいりたい、かように考えております。
#25
○渡部委員 いま局長がおっしゃったことについては、今後の問題として期待することといたします。法文上は非常にすばらしいことが書いてあるけれども、必要な援護どころか、一人当たり二百円なんという援助費は、これは極言して言えばないと同じである。それがこういうものになって出てくると、しかもすぐに援助が行なわれたみたいになっていることがよくないと私は思うわけでありまして、今後ひとつよろしくお願いしたいと思います。
 それから、同じ業務の範囲内で、「必要な啓もう宣伝」あるいは「調査研究を行なう」とありますけれども、必要な啓蒙宣伝、調査研究というのはどういうような内容を含んでおられるのか、それをひとつお願いいたします。
#26
○床次国務大臣 ここに掲げられておりまするごとく、定期刊行物とか印刷物の発行とか、あるいは講演会、講習会、展示会というようなものがありまするが、なおほかの例といたしましては、たとえば映画のごときものも相当効果的であろうと思いますし、なお各種大会等も時々開いております。また、新聞、テレビ、ラジオ等のマスコミに対しまして、広く啓蒙宣伝も行なっておるわけであります。
 なお、調査研究につきましては、北方領土に対するところの古い文献あるいは史料の調査整備ということもなお必要であろうかと思いまするし、なお現在、この運動を実施いたしますのと並行いたしまして世論調査を実行していく。また、現在本土におきまして生活しておりまする元居住者の実態調査等も、やはり一連の事業として考えられておる次第であります。
#27
○渡部委員 私は前と同じようなことを伺うわけでありますが、いままで映画は一体何本つくられたのか、そして、きわめて簡単な十六ミリ等の映画しかできていなかったのではないかと私は了承しているわけです。それから大会についても、ほとんど大会らしいものが実際には行なわれていなかった。いままでの実情はどうだったかということを局長に伺いたい。どのくらいの費用を出して何回ずつやって、どんなものが出ておったか、映画あるいは大会の開催、マスコミ向けにどういうことをなさったのか。
#28
○山野政府委員 実は映画につきましては、いままで総理府が直接、あるいは南方同胞援護会が北方領土についての映画を国の経費で作製したことはございません。北海道がつくられたことはございます。
 それから一般的に啓蒙宣伝はどういう事業があるかというお話でございますが、大きい事業としましては、年一回北方領土に関する国民大会を毎年東京で開いております。それから北方領土の資料展覧会を東京で一回、それから去年は大阪で開きました。ことしは名古屋で開くことにしておりまして、これは相当盛大な資料展でございまして、北方領土に対する関心を集めるには非常に効果がある。その他北海道独自の啓蒙宣伝と申しますか、そういう意味からキャラバン隊を出されたこともありますが、現在まではあまりこういう協会もございませんから、総理府自体で事業を積極的にやってきてはおりません。したがいまして、いま長官の説明されましたように、今年度からはひとつ地方で、北海道その他の団体と協力しながら、積極的な啓蒙宣伝をやろうと考えておるわけでございます。
#29
○渡部委員 これは長官にわかっていただきたいと私は思うのでありまするが、北方領土関係の問題というのは、要するに知られていなかったということだけではなくて、いままでのシステムの中では、これは全くもうほとんどと言っていいほど手がつけられていなかったのじゃないか、こう思うわけです。沖繩と比較するわけではありませんけれども、沖繩のほうの対マスコミ宣伝なんかに比べれば、ほとんどネグリジブルなものであります。したがって、たとえば国民大会が行なわれておる。東京で一回行なわれた。私も二度ばかり行ったことがあるのですけれども、せいぜい集まるのは、最後まですわっている人は五十人である。しかもアトラクションつきでそのような状態であります。こういう大会があって北方領土問題に関する多大の成果があがったとはいえないと私は思うのです。また、北方領土に関する資料展にいたしましても、年間、ちょっとやったというそれだけで、もう話にも何にもなっていない。
 要するに、私が北海道に参りまして痛感することは、みんなが絶望しておる。政府はあまり本気じゃないんだ。ほんとうの腹の中をいえば、北方領土を取り返す気も、私たちを守ってくれる気もないんじゃないかというような気持ちが、根室あたりでは非常に濃厚に私は感じられる。ですから、もしも現在のような規模のものがたとえ倍になったとしても、「必要な啓もう宣伝」にはならない。これは要するにスタイルだけの、見かけだけの啓蒙宣伝、調査に終わってしまう。実際の仕事というものをおやりになる節には、これは抜本的というか、いままでと断絶した画期的な啓蒙宣伝あるいは調査研究というものが行なわれなければならない。そうでなかったらこれは単なることばだけで終わる、私はこう思うのですけれども、長官のお考えを聞かしていただきたい。
#30
○床次国務大臣 御意見がありましたごとく、今日までの経過を見ますると、北方問題と沖繩問題との問に著しい差があったと思います。基本的には、これは政府自体の態度もありましたし、国際情勢その他から見ましてもそういう結果があるし、なお、地元の関係から申しましても十分でなかったと思います。さような点にかんがみまして、今回におきましては、何と申しましても南方に匹敵する、以上の十分な活動をすべき本体がなければならないという意味におきまして新しく北方領土問題対策協会を設立することになったのでありまして、ただいま御意見に出ましたような過去の経過というものを十分考えまして、その上で必要に応じてつくられるもので、決してこれだけの規模また予算でもって私どもは十分とは考えておりません、一そう充実いたしたいと思いますが、しかし、基本になりますことは、やはり国のこれに取り組むところの姿勢そのものと同時に、国民の領土に対する理解というものが盛り上がってくることがやはり必要であろうと思うのであります。この点は、国民に理解を求めるだけの努力が足らなかった点につきまして、政府自体といたしましても十分反省をいたしたい。今日、沖繩問題においてわが国の領土問題というものが非常に徹底をしてまいりました機会におきまして、ひとつ十二分に並行して努力してまいりたい。これはもう単に協会だけの仕事でなしに、外交姿勢その
 のと互いに提携するし、同時に、外交姿勢がそれだけ強くなりますのには、国民の世論というもののバックアップもなければばならぬ、両々相まって努力してまいりたいと思う次第でございます。
#31
○渡部委員 あと附則について伺いたいのですが、附則の第三条で、「主務大臣は、設立委員を命じて、協会の設立に関する事務を処理させる。」ことになっておるのですが、設立委員としてどのような人を任命することになっておるのか伺いたいと思います。これは名前というよりもその立場というもの、そういった意味で、どういう人々を人選されるかが実際には大きな方向を全部きめると思いますので、伺いたいと思います。
#32
○床次国務大臣 かような特殊な法人でありますので、その設立に際しましては、まず設立委員といたしまして、政府の関係行政機関の代表の者並びに特にこういう問題に関係の深い関係団体の代表者という方々を選んで委嘱いたしまして、設立委員をお願いするということにいたしたいと思います。
#33
○渡部委員 できましたらもうちょっと詳しくお願いしたいと思います。
#34
○山野政府委員 この関係行政機関としましては、これはまだきめてはおりませんけれども、総理府あるいは農林省あるいは外務省等が考えられると思いますが、そのほかにも関係行政機関がございます。それから北海道とかあるいは北方領土の近くの根室市とか、その他北方領土問題に関連して結成されています領土対策の民間の団体等がございます。そういうものが考えられるのじゃないかと思います。
#35
○渡部委員 では、附則第三条の二項にまいりますが、設立委員は、協会の設立の準備を完了したときは、その事務を会長に引き継ぐことになっておりますが、これらの設立委員がそのまま副会長及び理事に居すわるというようなことはないのでしょうか。
#36
○床次国務大臣 設立委員は、ここにありますごとく設立の準備事務の実施を担当するわけでございますが、会長、副会長の任命につきましては、一昨日お話し申し上げましたように、第九条によりまして「会長及び監事は、主務大臣が任命する。」ということになります。「副会長及び理事は、会長が主務大臣の認可を受けて任命する。」これは九条の二項にありますが、この規定によりまして行なわれるわけであります。したがって、今日の設立委員がそのまま居すわるというわけではなく、全然新しい任命行為によりましてそれぞれ会長、副会長に就任することになっております。
#37
○渡部委員 私が伺っているのは、その新しい方法によって任命されるということではなくて、同一の人物がそのまま居すわるという場合があるかないか、それを伺っているのですが、その点はどうでしょうか。
    〔小渕委員長代理退席、委員長着席〕
#38
○床次国務大臣 設立委員の中には行政機関の代表者が入っておりますが、こういう人たちは当然入るわけではない。全部これはお世話をするだけになります。それから関係団体の方々、これはどういう方を関係団体が推薦されるかということによってきまるわけでありまするが、設立委員になっておったから当然その方はあとで役員として残るということにもならない。別個の任命行為でありますので、たてまえとして居すわるというものではないというふうに御理解をいただきたいと思います。
#39
○渡部委員 そうすると、長官がいま言われたのは、必ずしも居すわらせるという意味ではないけれども、居すわる場合もある、こういう意味でございますか。
#40
○床次国務大臣 各団体の代表としてどういう人を選ぶかということ、それから会長、副会長というもの、これは役員の問題でありますので、今日までのところまだわかっておりません。これは当然居すわるものというふうに考えることはむしろできない。別個のものでありますので、この点は御理解いただきたいと思います。
#41
○渡部委員 それではもう一つ伺いたいのですが、長官、第十九条に「北方領土問題その他北方地域」ということばがございますね。「協会は、第一条の目的を達成するため、次の業務を行なう。」ということで、「北方領土問題その他北方地域(政令で定める北方の地域をいう。以下同じ。」とありますけれども、ここにありますところの「北方領土問題その他北方地域」のうちの「北方地域」というのは一体何をさしておられるのか、これを伺いたいと存じます。
#42
○床次国務大臣 今日北方領土問題の対象としております地域を申しますると、歯舞群島、色丹、国後、択捉という地域でありますが、領土問題となりますので、問題は外交的の問題としていろいろ取り扱うことになるわけであります。その他北方地域に関する諸問題これも地域は「政令で定める北方の地域」ということになっておりますが、これはやはり、地域といたしましてはいまの四つの地点、歯舞群島、色丹、国後、択捉ということになっております。ただし、その仕事の対象は国内的の問題でありますので、先ごろ以来北方協会その他の事業等によりまして対象になっておりますわけでございます。ただ、取り扱いの対象は違ってくるということであります。
#43
○渡部委員 長官に伺いたいのですけれども、いま歯舞、色丹、国後、択捉が北方地域だとおっしゃったわけですか。
#44
○床次国務大臣 具体的の地域といたしましては、そういう地域になるわけであります。したがって、北方領土の固有領土として対象になっている四つの島と同じことになるわけでありますが、片方は領土問題としてこれは取り扱われ、片方はいわゆる国内の問題として取り扱ってまいりましたので、そこに差があるということを申し上げた次第であります。
#45
○渡部委員 この「政令で定める北方の地域をいう。」というのは、政令は何の政令でございますか。
#46
○床次国務大臣 従来は北方領土ということばを使っておりませんので、北方地域ということばを従来から使っております。その区域につきましては、これは昭和三十四年に総理府設置法の規定によって設けた政令でありまするが、総理府が所管する区域についても、「北方地域は、歯舞群島、色丹島、国後島、択捉島及び内閣総理大臣が定めるその他の北方の地域」ということになっております。
#47
○渡部委員 長官が読み上げてくださった、その他の内閣総理大臣がきめる地域とございますね。その他に、内閣総理大臣はどういうようにきめられたのですか。
#48
○床次国務大臣 その他の地域につきましては定めておりませんので、結局四つの島が該当するということになります。
#49
○渡部委員 つまり、その政令できめる北方の地域というのは、その政令でさすものであるといたしますとどういうことになるかというと、将来ですね――これはちょっと穴のある言い方なんで恐縮なんですけれども、将来日本の政府は、昭和三十四年の総理府設置法の政令を依拠として、北方地域というものはもっと広かった地域であるというふうに説明をなさる余地があるということで私は伺っているのです。
#50
○床次国務大臣 総理府所管としての北方地域につきましては、私はこの程度であろうと思っております。将来の外交問題等の対象としては、あるいは伸びるかどうかにつきましてはわかりませんが、今日におきましては、いわゆる領土問題の対象としまするものにつきましても、政府の態度といたしましては、四つの島の区域とはっきり区切った次第でございます。かねがね北方問題としていわれておりますものにつきましては、相当広い範囲にわたって、平和条約二条によって放棄しました区域等もいわゆる北方問題ということばでいわれておりましたが、しかし、今日におきましては、その輪郭が非常にはっきりしてきたという意味におきまして、こういうことばが使われておるわけです。
#51
○渡部委員 私は、この辺を長官にわかっていただきたいと存ずるのでありますが、昭和三十四年の総理府設置法の政令当時には、いま御自分でもおっしゃいましたけれども、北方領土の輪郭というものははっきりしていなかった。そして将来の含みを残しておった。ところが、去年におけるところの、総理大臣の予算委員会における御返答におきましては、このうしろのその他の総理大臣のきめる地域というのを全部削り落として、前の歯舞、色丹、国後、択捉となさった。日本政府のこの政令で定める北方地域に関する解釈というのは、非常にそういうあいまいなものであって、いまお持ちの解釈というものは、去年総理大臣が言われたものである、総理大臣の解釈である、こういうことになるわけですね。
 ですから、この北方地域というのは、わざわざ「(政令で定める北方の地域をいう。以下同じ。)」とここにカッコをしております意味は、私は非常に理解しがたい。一つは、この昭和三十四年の総理府設置法の政令をいつまでも生かしておいて、将来、北方領土に対する総理大臣の解釈によって、幕は幾らでも範囲を縮小する、そういう余地があるから、そのためにこういうことをなさったのか。そうでなければ、この政令で定める北方地域というのは、そういう解釈上の相違ではなくて、新たな政令を予定して、それによって北方の地域というのをこれだというふうに指定なさるおつもりなのか。これはきわめてあいまいな規定なんであります 協会法において、こんなあいまいなものをおよそ見たことがない。こういういいかげんなことを書いておけばおくほど、外交交渉の上でも、その他の上でも、流動的な日本政府の解釈というものは固まらないということを証明するものであって、対外的にはきわめてまずいものではないか。その点では、これは外交センスに非常に欠けた言い方ではないかと私は思うのですが、いかがですか。
#52
○床次国務大臣 北方領土問題は、いわゆる対外的の問題として表にはっきり出てまいったものであります。北方地域の問題につきましては、従来から漁業権者その他に対する措置としてこういうことばを使ってまいりましたものでありますから、そのことばをそのまま使っておる。いわば対内的のことばとして、措置として使っている。領土問題については、はっきり出てまいりましたのは今回が初めてだと思います。法律的にはっきり出てまいりましたのは初めてであります。したがって、その対象とするものにつきましては、先ほど申し上げました区域であるわけです。結果におきまして、北方地域と結局同じ四つの島であるわけであります。
#53
○渡部委員 もう一つ。北方地域というのは、島をさすのですか、海域をさすのですか、空域をさすのですか。水域をさすのですか、つまり領域をさすのですか、それとも島だけをさすのですか。海面のほうは全然ほうってあるのですか。
#54
○床次国務大臣 この点は、周辺海域も入っております。漁業権その他の問題も含まっていると考えます。
#55
○渡部委員 そうすると、北方地域とこれには書いてありますけれども、領域と同じような意味合いにおいて、その地域全体、その水域全体、その空域全体をさすと了解してよろしゅうございますか。
#56
○床次国務大臣 ええ。
#57
○渡部委員 そうすると、その範囲はどこからどこまでをさすのか。歯舞、色丹、国後、択捉ではなくて、歯舞、色丹その他の島の回りの何海里、何平方メートルの、どの辺の大きさをさすのですか。これは全然指定がないじゃないじゃないですか。ずいぶんいいかげんと違いますか。
#58
○床次国務大臣 その点は、当然領海の範囲であると考えております。
#59
○渡部委員 領海の範囲だったら、その領海外のお魚の問題など、この協会は扱わないのですか。
#60
○床次国務大臣 公海の問題につきましては、ここでは関与しておりません。領海におけるところの漁業権その他の問題がありますので、領海の問題も現実の問題において存在している。また、領海において漁業をしております者の援護の問題も含んでおりますので、ここに従来からも取り上げているのでこういう字句で書いたわけであります。
#61
○渡部委員 この際、この地域はサケ・マス漁船が山ほど出ているのです。御存じでしょうけれども、鮭鱒船が大量に出ていて、イカ釣り船も何千隻と出てくる。その問題はいまでも扱わなければならぬ問題だし、この北方領土問題対策協会については当然扱わざるを得ない問題になってくると思うのです。ところが、そういう問題について、いわゆる歯舞、色丹、国後、択捉の領海、領空、領土、それだけを扱うとおっしゃるような言い方をもしなさるならば、ほとんど仕事はなくなってしまうのです。そういう意味では、この北方地域という全体もおかしいし、北方地域ということばもおかしいし、ちょっとこれはひど過ぎるのではないですか。
#62
○床次国務大臣 御指摘のことは、いわゆる安全操業と漁業の問題も関連しておると思うのでありますが、そういう問題につきましては、北方領土問題の基本問題等とも全部これは関連しているわけであります。したがって、北方領土問題というもの。が非常に取り上げられておりますので、それに関連した事項といたしまして、今後ともやはり啓豪宣伝し、また安全交渉等の問題も引き続いてやっていくわけであります。
#63
○渡部委員 そうすると、この地域における漁業問題はどっちになるのですか。北方領土の問題ですか、北方地域の問題ですか。先ほど、国内的な問題は北方地域の問題で扱うと言われましたが、この地域で魚をとるということになりますと、昔この地域において漁業権をお持ちになっていらっしゃった方のその潜在漁業権については、どっちの話になるのですか。
#64
○山野政府委員 北方漁業の安全操業とか、そういういわゆる行政上の問題は、国のそれぞれの担当の所管庁が直接権限に基づいてなさるわけでございまして、ここで考えておりますのは、広く北方領土の問題に関する行政上の問題ではなくて、やはり一般的にこの北方領土を中心とする諸問題の啓蒙宣伝、そういうことをさしておるわけでございます。
#65
○渡部委員 要するに、そういうばく然たる御返事しかできないということは、いままでそういう問題があまり考えられていない証拠だと私は思うのです。ですから、むしろこの法律案なら法律案でもけっこうだと思うけれども、研究が不十分なんじゃないでしょうか。もうちょっとかっちりきめておかなければ、何もかもあいまいになってしまう。そして何もかもあいまいになるだけではなくて、実際の行政上には非常な混乱が起こる。私はその点、もうこの間からこの法案については何回も申し上げているけれども、穴だらけじゃないか。よく考えられていない。大体やっておけというふうになっているが、それでは実際の業務上に非常な差しつかえがある。ですから、十分検討をしていただきたい。
 これはもう最後の要望なんですが、長官、お忙しいところまことに恐縮なんですけれども、もう一つ妙な話を一テーマだけお願いしたいと思います。
 それは、このたび、もと国後、択捉、歯舞、色丹等の島におられた方々が、どうしても自分の故郷というものに対して――これらの島々に戸籍を移したいということで、根室市のほうにそういう転籍の申請をなさった。ところが、これに対して法務局から不適当だという御返事があった。いままで、もう何回もこれらの島々に関する戸籍事務所をつくってくれという要求があったけれども、これはやってくれなかった。ところが今回、これらの島々に対して、日本の領土であるということ、政府が正式に北方地域として認められている以上は、戸籍をその地域に移すということも当然考えられてしかるべきじゃないか。それを不適当だということちょっとわからないのだけれども、どうかという要望が非常にあるのです。総務長官は、これについてどうお考えでしょうか。
#66
○床次国務大臣 先ほどもお話がありましたが、非常に北方問題の処置等においてあいまいじゃないかという御意見、まことにそのとおりであります。それはなぜかと申しますると、わが国といたしましては固有の領土と主張しておりますが、現実にはソ連が占有しておるというところに問題があるわけでありまして、この点、取り扱い等において明瞭にいたしかねておるというのが実情でございます。
 ただいまお話しの戸籍の問題につきましても、引き揚げられてまいりました方々は、それぞれ本土の市町村に戸籍を皆さん移しておられるわけであります。したがって、現実においては不自由はないわけですが、その戸籍をさらにもとの国後なら国後に、択捉なら択捉に移したいということを御要望になりましても、現実において今日ソ連が占有しておるという事実がありますので、戸籍は移しかねておるというのが現実の状態でございます。
 なお、この戸籍の取り扱い等につきましては、法務省からお答えを申し上げます。
#67
○渡部委員 法務省の方が来ていらっしゃらないようですからしょうがないですが、この問題を長官にわかっておいていただきたいのですけれども、実は歯舞に関しては歯舞村となっておりまして、これについては戸籍をつくれるようになっております。それはどういうわけかと申しますと、歯舞島につきましては昔歯舞村となっていた。この歯舞村というのは、いま根室市の行政圏の中に入れてあるわけです。それで歯舞村に関しては、戸籍をそこへ移すことは可能なんです。そして現に行なわれているわけです。ところが国後の留夜別村、泊村、択捉の紗那村、振別村、蕊取村、色丹の色丹村、この六村に関してはもうだめである、こういう差がついているんですね。しかも、これはどういう事情でそうなったかというと、この両者を分ける決定的な要因になったものは、歯舞村の村役場というのが根室市の端っこの、それこそ海の端っこのほうにあった。その役場があったというだけで、いまこういう処置がとられているわけです。ところが、こちらのほうの六村については、村役場がなかったというだけでこうなった。したがって、こういう一村だけは戸籍を移すことができるのに、そのほかの国後、択捉、色丹に関してはだめだというのはうなずけないではないか、こういうふうに地元の人々は強力に言っているわけです。これをひとつ総務長官のほうで十分お考えの上――私はいま御意見を伺おうというのではありません。十分お考えの上、これに対して――地元の人々は何も実際的なことを要求しているのではなくて、象徴的な、自分の父祖の土地に対する要求ですから、それを十分考えていただいて、この要求が満たされるように処理していただきたい、こう思いますが、いかがですか。
#68
○床次国務大臣 ただいまの問題は、村がなくなったためにいろいろ法律的な取り扱いに差が出てきた。これはほかの問題にもいろいろ影響しておりますので、十分検討させていただきたいと思います。
#69
○渡部委員 ひとつ前向きで検討していただきたい、このことを私は重ねてお願いしたいと存じます。これについては、法務局からは、内容もなく、ただ不適当だというお話があったので、地元の人たちは非常な衝撃を受けている最中です。しかし、地元においては、国後、択捉、色丹の三島の村については、これを歯舞村と同じように根室市に合併したいという意見まで出ているようです。こういうような意見まで出てきて抵抗が試みられているその心情というものを十分察していただきたい、これを重ねてお願いいたしまして、長官に対する質問は終わります。
 それでは海上保安庁の方、水産庁の方にお伺いしたいのでありますが、現在の北洋海域におけるところの船舶の拿捕状況並びに人間の抑留状況、そういったものについて御説明願いたいと存じます。
#70
○猪口説明員 わが国の北方海域におきます主としてソ連による日本漁船の拿捕は、御承知のように昭和二十一年から始っておるのでございますが、その後、昭和三十一年十二月には日ソ国交回復等も行なわれましたが、引き続き拿捕問題は依然として継続をしておりまして、昭和四十三年におきましては四十隻拿捕されております。いままでの累計では、千二百七十五隻が拿捕され、人間は一万七百六十三人抑留されていたわけでございます。このうち七百九十八隻、一万六百八十二名につきましては、内地に帰還しております。また、十九隻、二十人につきましては、破損、沈没等によりまして船が滅失しております。差し引き四百五十八隻、六十一人が未帰還の状況でございます。
 その拿捕されました地域は、主として国後、択捉、歯舞、色丹島に集中しておりまして、いずれも御承知のように、ソ連は、自分たちの主張しております十二海里領海を主張いたしまして、その領海内に不法操業しているという容疑で拿捕されておるわけでございます。
#71
○渡部委員 それでは、まず保安庁のほうに伺うのでありますけれども、この海域におけるところの海上保安庁の巡視船、巡視艇あるいは飛行機によるところの巡視、そういうような警備状況はどうなっておりますか。
#72
○猪口説明員 現在、海上保安庁は、北海道周辺に十三隻の巡視船艇を配置しております。そのほか、固定翼の飛行機が現在一機、それから回転翼、要するにヘリコプターですが、これが二機配置をしております。四十四年度中には、固定翼機がなお一機増強されることになっておるわけでございます。
 拿捕防止のための日常哨戒状況は、次のようでございます。
 主としてソ連艦艇により拿捕されると思われる危険線がございますので、その危険ラインに巡視船艇は毎日一ないし二隻哨戒配備しておりまして、その危険線を突破する船を発見した際には、それらにその危険性を注意を喚起するというような体制をとっておる次第でございます。
#73
○渡部委員 いませっかくのお答えでありますけれども、北海道周辺に十三隻おるのはわかっておりますけれども、根室海域、根室から今度は千島面に関しては、これは何隻いるのですか。そうして飛行機は何機ありますか。
#74
○猪口説明員 御承知のように、巡視船艇、航空機というのは、その性能上非常に機動力を持っておりますので、根室方面に全部集中しなくても、北海道周辺のそれぞれの基地に十三隻配置しておきますれば、いつでも緊急の場合にはその機動力を活用できるわけでございますが、しかし、毎日の、日常の哨戒隻数といたしましては、先ほど申し述べましたように、国後、択捉、千島水域におきましては、拿捕の危険のある推定線に一隻ないし二隻の巡視船を常時哨戒配備しておる次第でございます。
#75
○渡部委員 私が言いたいことは、この地域はイカ釣り船だけでも三千隻、四千隻という隻数でございますね。その上、鮭鱒船が数千隻また時期になれば出ます。また、この地域においては、氷の海で、しばしば氷の中に遭難船が沈没してしまって救難が間に合わない場合もうんとある。私は、現地の救難課の皆さん方から何回も言われてまいりました。ですから、この際、この飛行機にしても、現地では飛行艇があったなら、あとまた巡視船艇に搭載できるヘリをという、そういう要求は非常に強い。また、そういうような意味において、この装備をもっと増強するように保安庁自身が強く要求なさったらどうかと私は思うのですけれども、どうお考えですか。
#76
○猪口説明員 仰せのとおりでございまして、私たちも、極力増強整備したいと思いまして、年々それぞれの関係省庁と協議折衝しているわけでございますが、現在の情勢としましては、現在の国家財政のワクからしましても最善の努力をしているつもりでございます。
 また、ただいまお話しのありましたように、ヘリコプターを搭載できるような巡視船、または目下開発途上にあります飛行艇を採用してはどうかということにつきましても、私たちの理想的な海上保安体制といたしましては好ましいものでございまするが、予算規模あるいはその他の関係から、早急には実現しにくい要素がたくさんありますので、鋭意努力はいたしておりまするが、なかなか実現の運びに至らない実情でございます。
 つけ加えておきまするが、飛行艇につきましては目下開発途上のものでございまして、航空法によります耐空証明の問題とか、あるいは私たちのほうでそれをもし利用するとしますれば、単に着水離水できるのみでなく、水陸両用の性能を持っていなければ飛行場等の問題がございますので、そういう機能的な開発の問題、あるいは現在の飛行艇の製造価格が、海上保安庁の航空機及び巡視船艇の全体の整備費のワクの二倍ぐらいもかかるというような規模でございますので、そういうようなものから勘案いたしますと、なかなかむずかしい、困難な状況にあると思われます。そういうものを十分研究した上で、それらの採用等につきましては検討していきたいという考え方を持っておる次第でございます。
#77
○渡部委員 私は、猪口救難監に特に申し上げさしていただきたいのですけれども、お金がないといってそのワクを締められてたいへんなことは、私はよくわかっているのです。いまそこまで、ワクのないことをくどくどと御説明なさる必要はないのです。ここはあなたの要求をおっしゃればいい。ですから、巡視船のスピードがおそくて、いつもソ連船に出し抜かれてみんな苦労しているとか、そのために私たちは高速巡視船を求めているとか、いまの予算規模では飛行機を飛ばすのがやっとで、ときどき休養さしておかなければだめだとか、こわれたらどうしようもないとか、そういうたくさんのお話があるんで、皆さんがそれだけ苦労なさっているのはわかっているのだから、どれくらいあったらうまくいくかということをまず話していただきたい。そうしなければ、予算のワクで締められてたいへんだということをここでおっしゃる必要はない。それは対大蔵省の問題だったらそこらの問題ですから、あなた方現場の人としては、どれくらいあったら、どういうふうにしてくれたら理想的にうまくいくというようなことを、私はあなたにここで言ってもらいたい。ようございますか、予算ワクがなくてとか国家財政全体のバランスを考えるというのは、それはあなたの言うことじゃないので、あなたは大蔵省の役人じゃないのですよ。
#78
○猪口説明員 私たち、与えられました責務を達成するための一つの規模といたしましては、現在の巡視船八十八隻はあと十隻ふやしていただきたい、九十八隻にしていただきたい、あるいは巡視艇二百二十隻は約二百八十隻にというような整備目標は持っております。ただ、私が先ほど来申し上げましたのは、そういう増強目標に対しましてのいままでの経験なり現実がこうである、あるいはPXに対してはこういう問題があるということだけをお話ししたまででございまして、私たちがそういう整備目標を断念するとか、そういうことではございません。ただ現在までの実績なり経験、あるいは現在当面している問題点のみをつけ加えただけでございます。その点は誤解のないようにお願いしたいと思う次第でございます。
#79
○渡部委員 今度は水産庁関係の方に私伺いたいと存じます。
 それは、船体保険及び拿捕保険等、当該海域におけるところの漁業の遭難者、あるいは拿捕者、あるいは抑留者に対するところの補償あるいは援護的な現在までの措置はどうなっておるのか、また実情はどういうふうになっておるのか、その辺、順次お答え願いたいと思います。
#80
○小関説明員 お答えします。
 こちらのほうの問題で出てまいりますのは、保険関係で申し上げますと特殊保険関係、これは先生御指摘の拿捕保険、こう言われておりますが、同じでございます。それ以外に漁船乗り組み員の給与保険、この二つの問題がございます。
 四十三年度の実績につきましてはまだ確定を見ておりませんが、四十二年度の数字を若干申し上げてみますと、特殊保険の支払いでございますが、三十件、金額にいたしまして一億四千二百九十四万一千円、これだけの保険金の支払いをいたしております。これのうちの九掛けが、国が支払っている分になるわけであります。
 それから、いま一つ給与保険のほうの問題でございますが、これにつきまして四十二年度にお支払いした額でございますが、件数といたしましては二百七十九件、これは延べでございます。それで乗り組み員の総数ですが、これが一千四十六人、これは月々お払いしておりますから、これは先ほどの六十一人という現在未帰還になっておるあれとの関係は――ですから、これは実数ではございませんけれども、ちょっと違った数字で出ております。支払い保険金の総額が三千七百三十三万八千円、これの九掛けが国が支払ったということになっております。
#81
○吉崎説明員 拿捕された乗り組み員の見舞い金について御説明申し上げます。
 抑留された漁船の乗り組み員に対しましては、六十日以上抑留されている場合には一人月一万円のお見舞い金を出しております。それから不幸にして死亡した場合、一時金としまして特別交付金一人当たり七万五千円を交付しております。四十三年度は、これらを合計しますと、ソ連関係の支出では三百十五万円になっております。
#82
○渡部委員 この拿捕保険の現状については、いま伺った特殊保険、給与保険、あるいは吉崎さんのいまおっしゃったのは、これはお見舞い金になるわけですか、こういったようなものを伺いましたのですけれども、これで現状として、現在拿捕あるいは抑留されておる人々に対する給与としては、保険としては十分であるとお考えかどうか、小関さんひとつお話しになってください。
#83
○小関説明員 お答えします。
 保険関係でございますから、一応一定の対価をいただきまして、それに対する保険の一般的な理論に基づいてのお支払いでございますので、われわれのほうとしては、一応これでまずまず十分なものというように考えております。
#84
○渡部委員 これは現実的に現場に参りますと、抑留者に対するたとえば月一万円のお見舞い金あるいは給与保険から出てくるところの保険金というものが、現場のほうに渡されてまいりますと四万円、五万円、六万円ぐらいのものになってまいります。ところが現実的には、一番働かなければならない時期、そして一番収入の多い時期にこうやって一家の収入の主体者が奪われてくるわけですから、これは金額的にも、ようやくかつかつで生きていくだけのものになってしまうと私は思います。また現実にそうであります。これは特連局長に最後に、私は長官のかわりにお願いしておくのですけれども、こういう実情をよく見ていただいて、これらのお見舞い金その他の増額を、物価も値上がりしておることでありますし、特にお願いしておきたい。検討していただきたい、そういうようにお願いしておきます。
#85
○山野政府委員 関係省庁と十分今後研究、検討してまいりたいと思っております。
#86
○渡部委員 味村参事官が来られているそうでありますので、一言伺っておきたいのであります。
 先ほど総務長官に私は御質疑をいたしたのですが、歯舞、色丹、国後、択捉、そちらの方面の話です。この戸籍の問題が、いま現地で非常な問題になっております。現地の人々の、自分の失われた故郷に対するところの強い要求として問題が紛糾しているわけであります。それはどういう問題かというと、歯舞村に関しては、これは戸籍をこの地域に持ち込むことはオーケーだ。ところが国後、択捉、色丹の三島に関して、六村あるわけなんですが、行かれないことは同じでありますけれども、この六村に関しては、戸籍を移すことはいけないというように法務省関係からお返事があった、こういうふうに現地の市役所等では言っております。ところがこれは、不適当というだけで、法務省関係からのお返事に関しては、理由が不明であるというので地元では非常な不満を持っているわけであります。総務長官に、これは将来的には、関係省間において協定をなさっていただいて、解決の方向で検討していただくと先ほど約束していただきましたけれども、現在どういう理由でこれを不適当とせられているか、それについて理由がはっきり向こうに伝わってないというのはあまり感心したことでもないし、この際、ここである程度お話ししていただいたらよろしいのじゃないか。それで御質問しているわけであります。
#87
○味村説明員 お答えいたします。
 戸籍事務の管掌は市町村長が行なうということになっておりまして、現在、御指摘のような国後、択捉等には市町村がございませんがために、戸籍法のたてまえ上国後、択捉等に戸籍を置くことはできないということになっているわけでございます。法律的にはもうそういう次第でございますが、ではもっと問題をさかのぼらせまして、沖繩あるいは小笠原等につきましては戸籍事務所を設けまして、沖繩に本籍のある方の戸籍事務を福岡にあります戸籍事務所で取り扱っている、こういうこともやっているわけでございます。
 それで、それと同じような取り扱いがどうして国後、択捉等にできないのかということが問題であろうかと思います。これは現在の法律制度のワク内での問題ではございませんで、今後の問題と申しますか、そういうことでございます。それで、実は沖繩の戸籍事務所を設けましたのは占領中でございまして、占領中に占領軍の命令によりまして政令をつくりまして、沖繩では特に戸籍事務所を設けまして、戸籍事務所の所長が市町村長にかわりまして戸籍事務を管掌するというふうにしてあるわけでございます。これは当時占領軍の命令があったのでそういたしたのでございますが、北方地域につきましてはそういう命令がなかったわけでございます。したがって、占領中の状態がそのまま現在にまで続いているということになっているわけでございます。
 それで、現実の問題といたしまして、戸籍を北方地域に置かないことによる不便とかいうものがあるだろうかということになるわけでございますが、すでに北方地域に戸籍を有していた方々は、そのほとんどが就籍なりあるいは転籍という手続によりまして、それぞれ現在いらっしゃるところなりに本籍を移されているというふうに考えております。したがって、実生活上は特段の不便はないというふうに考えておりますので、ただいまのところでは国後、択捉等につきまして、特に沖繩と同様に戸籍事務所を設けるというような必要はないのではなかろうか、このように考えておる次第でございます。
#88
○渡部委員 法律上の見解、いままでの様子についてはよくわかりましたが、実生活上の不便はないかといいますと、この人々にとっては、実生活上の不便というより、自分のなくなった父、母の島に戸籍を移したい、こういう生活感情としての問題がございます。その問題を無視して、利害だけでこれは判断さるべきものではない。そういう意味で、今後この戸籍に関してはそういう日本民族の民族感情を尊重していただいて、またこの地域の返還への強い希望を皆さん持っていらっしゃることを考慮して検討していただきたい、こういうように要望しておきます。
#89
○味村説明員 ただいま先生のお話しのように、従来北方地域に戸籍を持っていた方々の生活感情の問題として、非常にそこに本籍を置くことを希望するという気持ちは、私どもとしても十分理解することができるところでございます。ただ、この問題は、先ほど申し上げましたように戸籍法についての例外をつくるわけでございますので、その点は非常に慎重な検討が必要ではあるまいかというように思っている次第でございます。そういう気持ちを体しまして、そういう措置をとるかどうかということにつきましては、上司等にも報告いたしまして慎重に検討させていただきたいと思います。
#90
○中村委員長 他に御発言もなければ、本案に対する質疑はこれにて終了いたしました。
 なお、本日の理事会の決定のとおり、次回の委員会において本案について議決いたしますので、各党において御準備をお願いいたします。
 本日はこの程度にとどめ、次回の委員会は来たる二十二日に開会することとし、これにて散会いたします。
    午前十一時四十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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