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#1
第061回国会 交通安全対策特別委員会 第10号
昭和四十四年四月二十四日(木曜日)
    午前十時三十五分開議
 出席委員
   委員長 内海  清君
  理事 稻村左近四郎君 理事 大竹 太郎君
   理事 斎藤 寿夫君 理事 田中 榮一君
   理事 山田 耻目君 理事 河村  勝君
      加藤 六月君    亀山 孝一君
      川野 芳滿君    太田 一夫君
      古川 喜一君    松本 忠助君
 出席政府委員
        総理府総務副長
        官       鯨岡 兵輔君
        内閣総理大臣官
        房陸上交通安全調
        査室長     宮崎 清文君
        法務政務次官  小澤 太郎君
        運輸省自動車局
        長       黒住 忠行君
 委員外の出席者
        警察庁刑事局保
        安部外勤課長  井口 孝文君
        警察庁交通局運
        転免許課長   西川 芳雄君
        法務省刑事局刑
        事課長     石原 一彦君
        運輸省海運局参
        事官      須賀貞之助君
        運輸省船舶局首
        席船舶検査官  高田  健君
        海上保安庁警備
        救難監     猪口 猛夫君
        建設省道路局企
        画課長     井上  孝君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 交通安全対策に関する件
     ――――◇―――――
#2
○内海委員長 これより会議を開きます。
 交通安全対策に関する件について調査を進めます。
 質疑の通告がありますので順次これを許します。田中榮一君。
#3
○田中(榮)委員 最近交通事故の頻発は、われわれも統計を見ましてもまことに身の毛のよだつようなものがございます。昭和四十三年度におきまして交通事故によって死亡した数は一万四千数百となっております。それから交通事故によって負傷した者が八十二万数千という数にのぼっておるような、まことにおびただしい数字でございますが、私は本日は特に交通事故によって死亡した者の刑事裁判による判決の状況について少しばかり批判をさせていただきたいと思うのであります。
 われわれは立法府に属しておりまして、司法府のやっておりまする判決についてわれわれが一つ一つについてどうということは言い得ないのでありますが、ただ私どものところへ、交通事故によって相手を死亡さした、そしてその判決によっていろいろと処分を受けるわけでありまするが、その処分の内容につきまして非常に差等があるというので、何とかこういうことはもう少し平等にしていただけぬだろうかという国民の声として書面が来たり、あるいは私のところへ参りましていろいろ訴える者があるのでありますが、そういう意味におきまして私はきょうはむしろこの民の声を、国民の声をこの国会を通じて、ひとつそれぞれの関係官庁のほうへお訴えをしまして、そしてこれによって将来十分お考えをいただきたいということを冒頭に申し上げまして、あえて立法権が司法権を侵害するとか、立法府が司法府に対して干渉するとかそういう意味で申し上げることでないことを冒頭に一応申し上げておいて、以下質問をいたしたいと思います。
 ことに、この交通事故の発生というものは、おそらく故意で発生させる者はほとんどありません。その全部か注意義務を怠った、つまり過失によって交通事故を起こした事例が多いと思います。
 そこで、一般犯罪と異なり過失によって起こることはいずれも軌を同じくしておるが、交通事故発生の現場の状況、道路、市街地、農村の区別、事故発生時の時間、車両の種類、運転者自身の状況、被害者の過失かあるいは車両の無謀運転か、その状況は一件一件ほとんど異なっています。したがってこれらの交通事故事件に公平な平等な判決を下すことは、私は物理的にきわめて困難な点があると思います。
 しかしながら、万人は法の前に平等でかつ公平でなくてはならぬという憲法の規定から申しましても、すべて判決というものは被害の程度に応じて平等でかつ公平でなくてはならぬことは当然であります。しかし判決例その他幾多の事例を参酌しまして、私は御参考までに二、三の判決例、それは私の周辺に関係した事件のことにつきまして申し上げてみたいと思います。
 そこで私はいま刑事局長にお尋ねしたいと思っていることは、刑事局長お見えになりませんが、課長がお見えになっていらっしゃるので……。これは裁判所のやる判決の基準でございますから、法務省にお伺いすることは門違いと私は思っております。あなたから御答弁をいただきましても、これはちょっと門違いじゃないか。また、答弁されるお立場においてもたいへん苦しいんじゃないかと思いますので、その辺は私もよ、わかっております。検察庁が起訴をし求刑をする際の刑罰の基準というものはどういうふうになっておるか。これは法務省関係でございますから、まずひとつお聞きしたいと思います。これは特に自動車事故で死亡事故の場合だけを限定して御質問いたしたいと思います。負傷は別です。
#4
○石原説明員 先生御指摘のように、司法の威信を高めます面におきましては、やはり国民が納得していただかなければならないということは当然のことでございまして、私ども司法権行使に検察が役立つという面から、その面についての努力は常に怠らずやっているところでございます。ただいま御指摘の求刑あるいは起訴の基準でございますが、この点は最高検で一応取りまとめの仕事をいたしております。ところが、事件にはそれぞれ個性があるわけでございまして、具体的妥当性の問題がございますので、そう画一的な基準はやはりできかねるのでございます。そこで、私どもといたしましては、会同等を年に交通関係で二回はやることにいたしておりまして、そのほか、次席検事会同あるいは長官会同をいたしますものですから、各地からいろいろな資料を集めまして、あるいは統計等を集めまして、実刑率、その反面の執行猶予率あるいは無罪率等を会同員に示すとともに、説明をいたしまして、不均衡のないようにということを指導いたしております。
 なお、裁判官の個人的な感覚によりまして非常なアンバランスがあるということは許されないことでございますので、そうした不合理な判決、検察官から見まして妥当性を欠く判決がおりましたときには、上訴の方法によりまして是正をはかるという方法をとっておる次第でございます。
#5
○田中(榮)委員 私もそのような方法で刑罰の基準を大体内定していらっしゃると思っております。同じように、裁判所関係におきましても判決を下される場合において、各地方裁判所あるいは高等裁判所においても、同様な刑罰の基準というものを設けて、そうして実地調査しかつそれに裁判官の主観を入れて、ケース・バイ・ケースによって公平な判決を下されておると私は信じておるのであります。
 そこで、私はこれから二、三の例をあげて、はたしてこれで公平であるかどうかということをひとつ批判をしてみたいと思うのです。決して干渉ではありませんから、あらかじめ申し上げておきたいと思います。
 私の親友、これは名前を伏せます。K君は、昭和四十一年八月二日午前五時ごろ、平塚市の高浜台湘南遊歩道路において、早起き会に参加せんとして走って横断中のある主婦に衝突して、これを死亡せしめました。たまたまK夫妻が同乗しておりましたので、直ちにこれを介抱し、もよりの病院に運び、その後K夫妻はほとんどそれにつき切りで看護をいたしましたが、ついに死亡いたしました。その後、葬儀その他の全部の費用を持ち、その家庭を何回も訪問し、あとの世話をしておりました。遺族も好意を持ち、夫君はみずから裁判所に出向いて減刑の嘆願書を提出いたしました。Kは非常に性格が豊かな人であり、また非常に人格のとうとい人でありましたので、私も嘆願書を提出した一人でございます。一審は禁錮八カ月、そこでさらに二審の東京高裁におきましては、被告はいたくその非を反省して改俊の情を認めるということで、禁錮五カ月の減刑の恩典に浴したのであります。K君は、私は人を一人殺したのであるからして禁錮五カ月まことにありがとうございました。喜んで私は刑に服しますといって、五カ月間彼はまじめに模範囚として刑に服して、すでに出獄せられておるのであります。そのときに私は、せめて執行猶予がつくかと思ったのでありますが、ついに執行猶予はつきませんでした。
 それからもう一つ、昭和四十四年二月十二日、港区内の某酒類販売会社の社長S氏より私の手元に、このような印刷された書類が配布されました。これはおそらく多数の人々にこれが配布されたと思うのであります。この内容をちょっと御披露いたします。これも匿名で社長S氏と一応言っておきます。
 S社長の従業員Iは、昭和四十二年七月二十六日午前十一時二十分ごろ、品川区荏原四丁目六番地先にて、左側のガソリンスタンドより突如ライトバンがガソリンを詰め終わって道路を横断せんとして出てきたので、驚いてハンドルを左に切ったところ、たまたまその左側を並んでO君が運転していた原動機付自転車が進行していたのに気づかず左に急転回したので、O君を自転車ごとひいて死に至らしめた事件に対し、社長S氏は被害者の家族と直ちに示談に入り、見舞い金等一千七十四万円を早急に支払うことになり、円満示談解決をしたのであります。しかしながら一方、刑事事件として第一審におきましては求刑どおり禁錮十カ月の判決を受けました。第二審におきましても控訴棄却されまして、禁錮十カ月執行猶予なしという判決を受けたのであります。
 このことにつきまして、このS社長から私に来ました書面のおもなることは……。
  〔田中(榮)委員、石原説明員に書類を示す〕
これは京都の読売新聞だと思います。十二月二十五日付の京都の読売新聞に「遺族の直訴でポンと慰謝料」という題名で松下電器の松下さんが直訴を受けたので、損害賠償千七百万円、見舞い金二百万円を渡した。そこで急転直下示談が解決して、判決も禁錮六カ月になり、執行猶予二年というまことにありがたい判決が下されたのであります。これは京都の五条通りで松下電工株式会社の下請の丸正運送店の自動車が前にとまっておった車に追突いたしまして、その車がはずみで前方に突き出していって、市電、バスと正面衝突して、乗っておった運転手が死んだ、こういうことであります。その死んだ運転手の家族、妻子が非常に生活に困って、兄が十カ月ほど示談をやっておったが、ちっともらちがあかない。そこでやむを得ず、妻子の生活の困窮を見るに見かねて、松下幸之助氏あてに直接直訴の手紙を出した。松下会長はこれをごらんになって、まことに気の毒である、そういうことで、何とか早く解決しろというツルの一声で、いままでの示談が急転直下解決いたしまして、一千七百万円の損害賠償と二百万円の児舞い金を出されることになって、遺族の方もたいへん喜んで、これが解決して、判決もおそらく六カ月になり執行猶予もついたんだと思います。しかしS社長の考えは自分のところは、一千七十万円の金は中小企業で非常につらい。一千七十万円の金を出すにも非常につらいんだ。それも遺族のことを考えてぽんと出した。片方は天下の松下電器であり、自分はほんの一中小企業にすぎない。それが一千七十万円出したにかかわらず、このように違った待遇を受けるのかというのがこの書面のあらましであります。この京都の判決の中には、この会社の誠意を認める、こういうことが一カ条判決文にうたっておる。会社の誠意を認めるというのは、すなわち会社が損害賠償千七百万円、見舞い金二百万円を投げ出したから会社の誠意を認めた、だから禁錮六カ月にし、それからまた執行猶予になった、こう考えざるを得ない。ところが自分のほうは中小企業であるけれども、非常につらい、がしかし一千万円以上の金を出した。だけれども会社の誠意は一つも認めてくれない。依然として禁錮十カ月の実刑に服して、いまではやはり刑務所に入っておる、こういう考え方でありまして、ただいま習志野刑務所に服役中であります。
 ちょっと書いてあるところを読み上げますと、「この小社の終始示した誠心誠意は、人道を尽くした行動は最高のものであったと自負しております。しかしこれらの小社の善意は当然のこととして当局には少しも認められることなく、それのみならず模範社員であり温厚篤実な運転手は、全社員の心からなる減刑署名運動をしたのにもかかわらず、全く無視された形で当人は禁錮十カ月という長い体刑を宣告され、本年九月二十七日より習志野刑務所に収容され服役中であります。」これにつきまして当局にお伺いしたいのは、一体どのように会社の誠意というものを認めておるかというような意味の文書が配布されて、これはおそらく方々に配布されたと思うのであります。
 そこで、私もその事実を調査せねばならぬと思いまして、私自身が京都の裁判所に出頭いたしました。そして係の裁判官にお会いしまして、せめてその心境なり――私はむしろこの恩典に浴していただいたことをたいへんに喜んでいる。むしろ裁判官にお礼でもいたしたいという感謝の気持ちで参ったのでありまするが、そのときの係の諸君のお考えでは、立法権が司法権に関与してはならないんだという、最初の電話ではそういうお話でありました。私も一国会議員でございますから、その辺の事情はよくわかっているはずです。ただ私は個人的に一ぺんお会いして、その間の事情をお伺いしたいんだと私はこのことを申しました。私の親友奥野健一という最高裁の裁判長は、八海事件を審理して判決を下した。全部無罪にした。その瞬間に、彼は新聞記者にインタビューして、自分の心境を発表いたしております。裁判長がこのように民主的に、自分の判決を下した心境を公々然と新聞記者にインタビューして発表されている事実もある。だからこうした事件について、むしろ国会議員が感謝の意を表して訪問したにかかわらず、全然面会もさせないで玄関払いを食らわしたというのは、少し私は礼を失したやり方ではないか、こう考える。だから裁判所というものはとかく民衆から離隔されるのだ、離れているようなことになる。私はこういう点で、いま少し裁判所というものが民主的に民衆の声、民の声を聞いていただきたい。これは法務省の方に申し上げてもどうにもならぬことです。これはいずれ速記録によって裁判所の方々もお読みになると思います。この事件はそういうことであります。
 それから、もう一例を申し上げます。これは非常に知名度の高い――名前を発表するのを避けますが、ある知名度の高い動物学者であります。Hと申します。H氏は、昭和四十一年二月十九日午後十時三十分ころ、普通乗用車、これは外車で左ハンバルです。これを運転して山梨県富士吉田市付近の国道吉原−大月線を大月方面から富士吉田に向けて走行中、これは十時三十分ですから夜ですよ。先行する貨物自動車を追い越さんとして、スピードを出して貨物自動車の右側に出てほぼ並行になったのであるが、そのとき道路前方に対向してくるM君の乗った第二種原動機付自転車の前照灯を発見したが、夜間のため同車と自車との距離等が十分に確認できない状態であったが、この場合自動車運転者としては直ちに追い越しを断念して貨物自動車の後方につき従う業務上の注意義務があるのにかかわらず、これを怠り、そのまま継続して運転してバイクと衝突して、Mをバイクもろともそばのみぞに突き落として、頭部強打で即死させた。第一審の判決は罰金四万円です。私は、加害者が注意義務を怠って、しかも人間一人を殺しておって判決が罰金四万円だ、少々軽きに失しやしないかと思っておったのですが、これは東京都下の新聞に堂々と出ました。さらに被告H氏は――H氏というのは人格者であり、私もH氏を尊敬いたしております。H氏の個人的なことについては申し上げません。これはりっぱな方であります。H氏はその職を直ちに辞して改悛の情ありと認められたのでありますが、その第二審におきましては何とこれが無罪になったのであります。もちろんその状況によりまして、人を殺して無罪になるということも、これは交通事故のたてまえで相手方に重大なる過失のある場合においては当然無罪になるのもよろしいと思います。そこで私は、どうもこの事件についてやや不審に思いまして、私の秘書を現場に派遣しまして、関係の警察署の係官のお立ち会いを願って現場で実地調査をさせてみたのでありますが、どうも警察署の係官の言うことによりますと、外車でありますから左ハンドルです。左ハンドルで抜こうとするときには、なかなか前方が見にくいことは御承知のとおりであります。しかも夜の十時半、しかも未知の土地です。抜いた向こうから自転車が来た。それならば、当然それを断念するのが普通でありますが、そのまま突っ走って衝突した。しかも自動車と側溝との間が一メートル二十くらいしかないのです。現場で調べたところが、一メート二十から多くて一メートル半、夜間で一メートル半、しかも大きな目玉のヘッドライトが四つくる。こうこうとしたヘッドライトに向かって、一メートル二十の側溝と自動車のそこに突っ走ることがだれでもできるかどうか、物理的に。これが問題だと思います。その辺について私は、H氏が注意義務を怠ったことは事実じゃないかと思うのでありますが、この弁護に立った方は私の親友です。それは相当りっぱな弁護士でございます。その方が弁護されまして、この弁護力が相当制圧しましてついにこれは無罪になったと思います。これはしかたがないと思います。罰金四万円が、とうとい人の一命を奪って、そうして無罪になっておる、こういう判決がある。私はこの三つの判決をちょっと見まして、どれが公平を欠いておるか、そういうことは申し上げません。ただ交通事故の状況というものは、いずれも大体状況が全部過失により、しかも環境がほぼ同じような状況であります。ケース・バイ・ケースにとりますと、それぞれ異ったケースでございまするが、いわゆる最大公約数におきましては大体同じようなものが出てくると思います。こうした場合におきまして、東西土地を異にした裁判所における判決がこのように異なって出されるということは、憲法十四条によるところの、万人は法の前に平等でなくてはならぬ、判決も法律と同じような効力があります。そうした判決に対して国民は平等でなければならない、公平な取り扱いを受けなくちゃならぬというのでありますが、私はこの点についていささか疑義を持ったのでありますが、こういう場合においてわれわれ国民の与えられたる道は、法によって上級裁判所にあくまで争うということであります。しかしながら、お考えくださいませ。中小企業の人々か一体一審で判決を受けて――まあS氏のごときは二審までいっておりますが、普通第二審まで弁護士をお願いして、それだけやる勇気と財力がはたしてあるかどうか、おそらく私は、第一審でおそれ入りましたといってそれに服するのが当然じゃないかと思うのであります。そういうことを考えますと、私は、判決というものは、ことに交通事故というような判決につきましては、これは絶対に公平でありかつ平等でなくてはならぬという感じを持つのでありますが、政務次官いかがでございましょうか。
#6
○小澤(太)政府委員 田中先生の具体的な例をあげての御質問でございまして、伺っておりますと、それぞれのケースによって判決が非常にまちまちである、これがいわゆる大衆の正義感というようなことからいかがなものであろうかという御質問でありまして、私もそういう事態を拝聴いたしますと、そのような共感を覚えるわけでございます。しかし、ひるがえってみますと、検察の立場から申し上げるわけではございませんけれども、被害者の立場から見ました場合に、仰せのとおり事実の認定とかあるいは量刑上について納得できない判決があることは事実のようでございます。しかし、これまた、ケース・バイ・ケースとおっしゃったように、刑事事件は非常に個性的なものでございますので、外見上似通った事件でありましても、量刑上差異が生ずるということもありましょうし、また特に過失犯の場合はその立証が非常に困難な点もございますので、事実認定の判断について検察官と裁判官との間に意見が異なる場合がある。これもまた事実でございます。しかし、私どもといたしましては、検察の立場からは十分に実態をつかむことを努力いたしまして、大体求刑の場合にバランスのとれたことをいたす、このようなことで指導をいたしておるわけでございます。また裁判官の個人的な考え方の相違によりまして、判決が非常に違うというようなことは好ましくないことでございますので、検察の側では、量刑とかあるいは事実認定について妥当を欠くと思われるようなのは、判決に対しまして検察官上訴をいたしておるというような状態でございます。
 事裁判につきましては、私のほうで何とも申し上げかねるわけでございます。
#7
○田中(榮)委員 私は、これからこういうことがあってはいけないのでありますが、そういうことのなからぬことを念願いたしておりますが、交通事故によって人を死亡させるというケースはこれからふえる可能性があるのではないかということを実は心配いたしておるのであります。そういう場合におきまして、一つの判決が、そのケースについて考えている以上に重過ぎるということは、これは加害者に対する人権を侵害することになる。また、同時に、その判決が非常に軽過ぎるということになりますと、これは被害者の遺族というものに対するいろいろな関係において、これは少しどうかと思うのであります。だから、判決というものは、軽からず、重からず、やはり適正な判決が……。法は万人にとって公平でなくてはならぬというのは、そこをいうのではないかと思うのであります。
 そこで、私どもは、今後こうした裁判上の判決並びに求刑の場合におきましても、求刑、判決、このコースにおきまして、ひとつよく事態を認識されまして、誤りなきを期していただきたい。これが国民の、求刑に対する検察当局の態度並びに裁判、裁判所に対する、信頼を得る一つの道ではないかと考えております。
 たとえば、こういうのがございます。本年二月二十七日の毎日新聞紙上で見たのでありますが、同僚をかばったかえ玉が二審でやっとわかったということですね。一審ではかえ玉が被告になって判決を受けた。二審でもって、どうもおかしいというので、五歳の子供に聞いてみたところが、いや、おとうちゃんは私をだっこしておったよというので、その当時その人が運転してなかったということがその五歳の子供の証言によってわかって、かえ玉ということが二審ではっきりわかったというような事実がありました。こういうことが新聞に載りますと、検察当局並びに裁判の公正というか権威を失うことがおびただしいのではないかと私は考えております。こういうことは絶対にあってはならぬと思うのであります。
 そこで私は一つ法務政務次官に提案したいことがあるのです。最近コンピューターというものが相当はやっております。この間私は法務省の方にもお伺いしたのでありますが、法務省も近くコンピューターを導入して、電子計算機によって能率をあげたいという話を聞いたのであります。私は、交通事故による判決のごときは――一般刑法犯、殺人をしたとか、人を傷害したとか、詐欺、横領であるとか、そうした犯罪というものは、これはきわめて複雑でございまして、しかも故意が入っております。故意による犯罪というものはきわめて複雑であります。あるいは人を殺すにしても、怨恨によるか、痴情によるか、物取りによるか、いろいろ状態が異なっております。したがって、これを直ちにコンピューターにかませることは非常に困難でありまするが、交通事故によって人を死亡させたというケースにつきましては、そのデータは環境が違っているだけでありまして、全部これは過失であります。したがって、年に一万四千件から一万五千件出るというようなこのケースを、一度ひとつ判決なら判決のいままでのものを全部コンピューターにかましていただいて、そしてそのような類似のケースがあったなら、コンピューターにかけたら一分以内にそのケースが出てくるわけである。私は、そのコンピューターに出た回答を裁判官はそのままやる必要はないと思います。裁判官には裁判官としての一つの主観があり権威がありますからね。裁判官は裁判官として当然自己の判定によって判決を下すのが、これが権利でありまた義務でありますので、何もコンピューターを参考にする必要はないと思うのですが、ただ量刑の一つの参考資料として、たとえば医者がわれわれの健康珍断をするときに、心電図によってこの男はどうかといったような、心電図を参考資料とするといったような、ああいうような考え方で率直にコンピューターでも使って、判決の類似のものからはじき出す。それを土台にして、検事は求刑の資料にして、検事としての独自の立場において御判断を願う。裁判官はそれを土台にして、独自の判断によって自主的な判決をお下しになるということになりますと、公平さというものがある程度確保できるんじゃないかということも、実は私は考えるのであります。先だって私はある電子計算機のメーカーの工場を拝見しました。相当高い技術を持った技術者に面談しまして、どうだろうか、こういうものは判決とかそういうところに利用できないものかなと聞きましたところが、すでにアメリカなんかにおいてはこれを利用されておるということを、技師の方は言っておりました。それなら一番適当でしょうということを言っておりましたが、やはりそうした合理的な一つのメソッドを用いることも、将来裁判制度というものを公平に、かつりっぱに明快にさしていく上において非常に役立つのじゃないかということを考えるのであります。これは私の一つの思いつきのようなものでありますが、それには相当専門家の意見も聞いてみた、それから私の同僚の代議士諸公の意見も聞きました。それはできるだろうが、やるほうでやる意思があるかどうか、それによるんじゃないでしょうかということを同僚の議員の皆さん方もおっしゃっておったのでありますが、その辺、政務次官としてはどういう御感想でございましょうか。
#8
○小澤(太)政府委員 警察の大先輩であり、かつ専門家であられる田中先生の御提案、私傾聴いたしておった次第でございます。こういうような情報時代にコンピューターを利用するということは、おそらく一般的な傾向を大体察知するに適当な機能かとも思います。なおこれは十分研究さしていただきたいと思います。
#9
○田中(榮)委員 政審から呼び出しがございましたので、ちょっと中断さしていただき、法務関係の私の質問はこれで終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
#10
○内海委員長 太田一夫君。
#11
○太田委員 あまり長い時間やりませんが、テーマは二つほどございます。
 最初に、きょうの私鉄のストライキに関連いたしまして運輸省にお尋ねをいたしますが、東京付近において五百万ないし六百万の通勤客が足を奪われるということになりますと、マイカーないしはタクシー、ハイヤー等では輸送が間に合いません。したがって、きょうのテレビを見ますと、代行輸送はほろをかぶせた大型のトラック等が利用されております。したがって大型のトラックで、許可を受けておると思うのでありますが、これで間に合わせの従業員の輸送をして、それが途中で転覆いたしまして、死傷者が出た場合の自賠法の適用はいかが相なりますか。それをまずお尋ねいたしたいと思います。
#12
○黒住政府委員 自賠法の規定によりますと、運行によって、他人の生命、身体を傷つけた場合におきまして責任があるものでございます。したがいまして、生命または身体を害された人が他人であるかどうかにあるだろうと思います。他人であります場合におきましては、自賠法第三条によりまして、運行供用者の賠償の責任が生ずる、こういうことでございます。
#13
○太田委員 これは自動車局長さん、ほんとうによろしいですか。運行の用に供したと言うけれども、白ナンバートラックなどというものは、普通貨物輸送をするものであるし、それがかりに青ナンバーであったところで、常時物資を輸送する路線トラックというものは、これは人を乗せて走るというたてまえじゃありませんね。それがこういう非常時の際に、やむを得ず応急の策として人を乗せるのでありますから、その場合も第三条に準拠して、これが、完全無欠な条件を備え、払われるものなり、こういうことでよろしゅうございますか。
#14
○黒住政府委員 この三条の関係は、その車が運送事業用の車であるか自家用であるかということは問わないわけでございます。そしてまた常時貨物運搬をしているか、旅客運搬するかということも問わないわけでございまして、自動車を運行の用に供する者の責任を規定したものでございます。
#15
○太田委員 そうすると、自賠保険の保険料の問題に関連するわけですね。バスは常時人を乗せるから、一年三万六千九百二十円、自家用の場合は九千三十円、タクシーは、人を多く乗せるから、県においては三万一千九百円というところもあり、それから東京のような特別区は五万四十円、トラックは営業川トラックが三万九千十円、これはよく人を死傷させる、あぶないということでございましょう。しかし、小型の場合は一千六百二十円、こうなっておるわけであります。そこで、私ども、このトラック、それから自家用車等の保険料の算定の基礎というのは、あくまでもトラックは荷物を運ぶものであり、そして道路上の通行者を死傷させるという前提のもとに、こういう計算がなされておると思うのでありますが、保険料はこのこととは関係がございませんか。
#16
○黒住政府委員 この保険料は当該車の種別、営業、自家用あるいはトラック、乗用車という種別に応じまして、各車の全体の年間におきますところの危険率、これを総合的に過去の統計数理によって計算いたしまして算定をしたものでございます。それで、例外的に貨物を運ぶべき車が人を運んでおるというようなことで起こる事故もあるかと思いますけれども、全体といたしましては全部の車両につきまして過去の数理統計によって算出したものでございますので、将来の算定の場合におきまして、過去の事故が反映するということはあり得ると思いますけれども、大きな料率に対するウエートにはならないかと思います。
#17
○太田委員 小型トラックの場合に、一万六百二十円の年間保険料で、十何人も乗せるということがあったとして、これが死傷事故を起こせば何千万円というような賠償を支払わなくちゃならぬでしょうが、たまにしかないことだからそれはよかろうということでありますか。保険数理上これは合法的な保険料でありますか。
#18
○黒住政府委員 年間の保険は、現在におきましては千三百億から四百億でございますので、その中におきます異例の事故の保険料に対する反映の度合いはきわめて少ないかと思います。
#19
○太田委員 そういうことならわかりました。
 それでは次の問題に移りますが、これは、四月二十日の日曜日に海津において、ゴールデンウィークの前の陽気のいいときでございましたから、ノリ舟に超満員の潮干狩りのお客が乗って、それが水路に出たとたんに浸水をして沈没をして、船頭さん一人、それからあと乗客三人がなくなったという事故があったわけです。これは私はまことに痛ましい事故だと思うのですが、レジャーブームの時代におきまして、こういう事故が起きる可能性というのは、予見をされていたと思うのです。それで運輸省にお尋ねいたしますが、船舶安全法では、こういうノリ舟というのは船とは見なさないということでございますか。
#20
○高田説明員 船舶安全法では、この舟は実は櫓かいをもって運転する舟でございまして、エンジンがついておりません。それで船舶安全法では、このような舟は適用除外をしております。
#21
○太田委員 船というものは、運輸省の監督指導等対象となさる船は、これは櫓かいを用いないものであるとか、トン数が何トン以上であるとか、いわば大型船に対して規制を加え、監督をしていらっしゃる。ある程度安全な船に対して監督をしていらっしゃる。砂利舟だとか、あるいはノリ舟のような小さな舟は逆に船でない。何と考えていらっしゃるのか知りませんが、何か容器のごとくに考えていらっしゃる節があるのですが、今日においてもなおこういうノリ舟のごとく、櫓かいによって運航される舟は船ではないということが正しいとお考えでございましょうか。
#22
○高田説明員 船ではないと考えておらないのではございません。船ではございますけれども、このような小さいものは、それを扱う人の考え方といいますか、扱い方に期待するということで、法をもって規制するということをしていないということでございます。
#23
○太田委員 総理府の関係の方、どなたでもいいからお答えいただきたいのですが、こういう櫓かいをもって人を運搬する舟というものは、船ではない、安全の対象にならないというふうに考えることが妥当であるとお考えであるかどうか、お答えをいただきたい。
#24
○宮崎(清)政府委員 政府委員非常に抽象的に申しますと、海上交通におきまして、およそ社会通念上の船舟類による交通は、すべて海上交通に含まれると考えております。したがいまして、海上交通の安全も、抽象的にはそのようなおよそ社会通念上の船舟類に属するものによる交通安全というものは、当然考慮すべきものと考えます。
#25
○太田委員 そうすると、いまの船舶安全法の第二条でございますか、この除外規定というものを緩和いたしまして――船というものは自分一人だけ乗る、たらいのごときものを船と見ることは必要ないでしょうね。一寸法師の乗る舟、たらいではないが……。その他人間が乗り、または他の家族等を乗せるごとき場合、あるいは共同作業者を乗せる船は、櫓かいをもって運航されておろうと、おるまいと、これは船舶と規定すべきだ、こういう意見であると聞いておいてよろしいですか。
#26
○宮崎(清)政府委員 その船舶の安全性の問題につきましては、先ほど運輸省からお答えいたしましたように、法律でどこまで規制をするかという問題があろうかと存じます。したがいまして、船舶安全法にいう船舶と、私が先ほど申し上げた社会通念上の船舟類とは、必ずしもその範囲が一致しない場合もあり得るんじゃないか。ただ交通の安全という観点から見ました場合には、そのような船舟類の安全をどういう形で規制するかは、別の問題でございまして、交通安全上それを考慮することは必要である、こういう趣旨で申し上げたわけでございます。
#27
○太田委員 あやふやであってどうもわからないのでありますが、そうすると、船というのは――私もあまり船の勉強をしたことありませんので、わからないのですが、水の中にもぐる船もあるわけですね。潜水艦のようなもの。何も水が入っちゃいかぬというわけではないと思うのですが、水が船の中に入っても、海の底に行けば人命がそこなわれるような船は、船として認めちゃいかぬわけですね。そうでしょう。だから渡し船にしても、いまのノリ採取舟にしても、人を乗せるんでしょう。ノリ採取するには共同作業するから……。海上交通安全の立場からいえば、船として見なしたわけだが、運輸省のごとく監督指導する立場からは、船の対象として認められないということをいままでずっとやってこられたとすると、いささか人命尊重という立場から考えて、政府側の考え方に相違があるような気がしてしようがないと思うのですが、どうでしょうね。船舶局の考え方というものは、どうしてそういう小さな櫓かいをもって運行する舟は、船として監督しなくなっちゃったんでしょうね。
#28
○高田説明員 実は船舶安全法が全く放棄しておるわけでございませんで、安全法の適用のない船につきましては、都道府県規則でこれを取り締まってもらうように考えております。そのために船舶安全法の二十九条に、都道府県知事が規制をもちまして、これを規制することができるようになっております。
#29
○太田委員 二十九条によって規制することができるということは、しなければならないとは違うわけでありますが、どれくらいつくっておりますか。
#30
○高田説明員 現在までにこの安全規則ができております県は三県ございます。茨城県、神奈川県、滋賀県でございます。運輸省といたしましては、昭和四十二年以来、運輸大臣から各知事あてに、このような安全規則をつくられるように、大いに文書をもっておすすめをしております。各県が規則を制定されましたときには、またその写しを他の府県にも地方海運局を通してお配りをして、これにならって規則を制定していただくように、常々心がけておるところでございます。
#31
○太田委員 常々心がけていらっしゃったら、いま時分になって四十六都道府県の中でわずか三県というような微々たるものにならないでしょう。私はそういう面のことはいささか手抜かりだ。つくってもいいということでありまして、つくらなくてもかまわないわけで、したがって、いまのおっしゃった三県以外のところは、四十三都道府県は、これをつくっておらないわけです。この吉良海岸の場合におきましても、こういうことが伝えられておりますね。「愛知県水産課では小型船の監督を強化するため、先月末から条例をつくる準備を始め、その参考にするため各市町村に小型遊船の数、設備、料金の実態調査を依頼したばかりだった。」とありますが、これはまさにそうなんですね。ちょっと前に考えたということになっておりますが、真偽のほどはさだかではありませんけれども、とにかく野放しだったことだけは事実だ。海上保安庁ではこういうような船は、どういうふうに考えていらっしゃったのですか。
#32
○猪口説明員 この種の船は、先ほど船舶局のほうから答弁いたしましたように、船舶法あるいは船舶安全法等の適用除外船になっております。いわゆる単なる作業船でございますので、旅客その他のものを運搬する船舶ではないわけでございます。しかし本件につきましては、それを犯したと申しますか、それに反しまして、その船が物理的に搭載し得る員数よりも、約倍に近い人間を乗せておったというような事実があるわけでございます。先生のおっしゃいましたこの船をどう考えるかと言われますと、どうもそれ以上お答えするあれはないのでございますが、私たちは、先ほど船舶局のほうからお話しのありましたように、取り締まりやすいように何か制度的に考慮していただければ、私どもの立場としては非常に好都合だと思っている次第でございます。しかし何ぶんにもこの種の〇・六トンくらいの舟に船舶安全法が要求するようないろいろな設備あるいは施設、そういうようなものを要求することは技術的に困難ではないかと思いますので、先ほどお話しがありましたように、海上交通的な面で取り締まるということは別といたしましても船舶法とか船舶安全法的な立場でこれを云々することがなかなか技術的に困難だと思量している次第でございます。
#33
○太田委員 数が多過ぎて対象にしたらたいへんだということだと思うんですね。総定員法で五十万七千人ときまってしまって、こんな小さな舟までやれといわれちゃどうにもならぬというところでしょうね。そうでしょう。もう一回それを考え直して、総定員法も――船舶安全法をひとつ徹底的に強化するということが必要じゃありませんか。船舶安全法第二条には十三項目の必要施設の義務づけがあるわけです。その二項の二号には「櫓擢ヲ以テ運転スル舟其ノ他主務大臣ニ於テ特ニ定ムル船舶」はこれを適用しない、こうなっておるわけですね。ここから出て安全設備というものが無視され、軽視され、それから監督上の対象となることもなかった、こういう結論になると思うんです。それで二十九条等におきましても、それは「主務大臣ノ認可ヲ受ケ必要ナル規制ヲ設クルコトヲ得」というので、門は狭いのだから、三県ぐらいしかやれないということはよくわかるのですよ。しかもこれはかたかなの法律でありまして、施行昭和九年三月一日、古いですね。いまの時代に合わぬじゃありませんか、レジャー時代に。人命がこのように簡単に失われていく。運輸省としてはこういうものを対象として、人命尊重とか、あるいはレジャーの規制というとおかしいですが、レジャー時代に備えて、そういう小さな舟も今後少なくとも何らかの形で、十三項目全部を云々ということじゃないんだが、最小限度の規制を加え、そしてそれに対して監督権を発動するというようなことをお考えになる必要があると思いますが、御所見はいかがですか。
#34
○高田説明員 このような小さい舟はその形、用途いろいろございます。その使い方がその地域によって非常に違っております。それで、そのような特殊事情を考えますと、画一的な施設基準をきめるのは無理である、そういうふうに考えて、できるだけその地域地域で密接な取り扱いをしていただく、府県にお願いする考えでおりまして、現在府県で用意をなさっていらっしゃるところは、ほかにも愛知県を含めまして三県あるように伺っております。船舶局といたしましては地方海運局を通じて一そうその規則の徹底をお願いするように努力を続けてまいる所存でございます。なお安全法自体といたしましても、小型の船舶についての規則の整備をはかっていくつもりでございます。
#35
○太田委員 したがって、それをもうちょっと展望いたしてみて、こう理解してよろしゅうございますか。残る四十三都道府県に対しまして、運輸省としては必ず近き将来にしかるべき条例等をつくらせまして、監督権を強化して人命の尊重に遺憾なきを期する所存である、そのような指導をいたします、こういう決意であるというふうに受け取ってよろしゅうございますか。
#36
○高田説明員 できるだけ努力するつもりでおります。
#37
○太田委員 運輸大臣がいらっしゃらないから、最後知らぬとおっしゃっても困ると思うのですが、これは総体的な安全に対しては総理府ですから、宮崎さん、あなたも全体の立場からいって、いまおっしゃったような気持ち、これをすみやかに具体化して、二度とこのような事故が起きないように、現在の法体系のもとにおいては各地方自治体の規定する条例等によらざるを得ないのでありますから、その条例を早急に制定して、実情に合った安全対策の確立を期するということについて、運輸省と協力してすみやかなる実現をはかられるということについては御異議はございませんか。
#38
○宮崎(清)政府委員 先生御指摘のとおり、また先ほど運輸当局がお答えした方向で努力いたしたいと存じます。
#39
○太田委員 ぜせお願いいたします。
 そこで今度は少し先ほどの自賠法によく似たお話でございますが、船客傷害賠償保険というのがございますね、航路の認可を受ける場合においては、この船客傷害賠償保険に入るというのが条件つきでございましょう。でございますから、これは船の定員等によって違うのですが、船客傷害賠償保険にこれはおそらく入っておられないと思います、認可を受けてた航路じゃありませんから。この船客傷害賠償保険に自動的に――こういうような事故の場合に、何か見舞い金を出すとかいう規定はございませんか。どなたかわかりますか。
#40
○須賀説明員 現在のところございません。
#41
○太田委員 そうすると、この責任はどこにあるのですか。だれか答える人ありますか。
#42
○須賀説明員 一般論で解決するよりしようがないかと思います。
#43
○太田委員 そうすると、船頭は死んでしまったから、業務上過失致死傷罪の対象にもならない、損害賠償も持っていきようがない、死に損でございますか。
#44
○須賀説明員 いたしかたないと思います。
#45
○太田委員 法体系上いかんともしがたい問題である。そうすると、これは警察庁というのは雑踏取り締まりというようなものが警備関係の警察任務としてあると思うのですが、それを十分やらなかったという警察の責任はありませんか。
#46
○井口説明員 警察といたしましては、一般的な任務としての生命、身体、財産の保護という任務を課せられておりまして、そのためにできる範囲内でできるだけの努力はいたしておるわけでございます。その点について十分に手が及んでおらないということになれば、その範囲の責任はあろうかと思います。
#47
○太田委員 それをもっと具体化しますと、被害者に対する賠償責任まで出てくる見通しでございますか、単なる取り締まりですか、監督者に対する義務履行の不十分ということに対して懲戒されるという趣旨のものでございますか。
#48
○井口説明員 一般的の任務としまして、個人の生命、身体、財産の保護ということについて努力すべき立場にあるかと思います。ただそのことについて、たとえば今回のような問題につきまして具体的に何らかの監督権を持っている、あるいは具体的な権限がある、そういった立場にはございません。一般的にたとえば国民に対して広報によって自覚を促す、また現に危険の状態にあると見た場合に、それを救う努力をするという責任の範囲であろうと思います。
#49
○太田委員 海上交通安全法というものができておるわけではない、そういたしますと、いまの海上交通の安全というようなことは、あちらこちら実に不備な点が一ぱいあるような気がいたしますから、この際これは運輸省にお願いしたほうがいいか、総理府にお願いしたほうがいいかわかりませんが、統括する総理府といたしまして、陸上交通じゃなくて海も空もということでございますから、海の安全ということについてもうちょっと力を入れるべきじゃなかろうか。陸ならほうり出されてもけがを負ってということはありますが、海は泳げない者は大体死ぬものにきまっていますね。海の中にほうり出されても絶対に死なないというような携帯用の何か救命具でもつくられればそれはいいかもしれませんが、そういうことは考えられないのですから、すみやかに人命尊重、安全確保のための施策を何か講じていただきたい、私はそういうことを思うのです。いまの船客傷害賠償保険というものは、この場合適用されぬということもまことに残念なことだと思いますけれども、海上保安庁とか運輸省は見舞い金ぐらいは出してもいいじゃありませんか。いままでそういうものはあまり問題にしなかったが、昭和九年現在の時点において問題にしなくてよかったのであって、戦後の、それから三十五年もたった今日において、立法当時の海上交通の要素そのままをいまなお堅持をしておるということについては問題である。このあなたのほうの運輸省自身の責任、義務という点からいうたならば、法理上あなたのほうに賠償の責任があるわけじゃないが、見舞い金ぐらい出してもいいと思うのですが、どうですか。どうしてすみやかに船舶安全法の改善、少なくともそれができるまでの間は各都道府県の条例等の規定等を促す、こういうふうな措置を講ぜられる必要があると思うのですが、見舞いということも考えられませんか、いかがですか。――まあ返事ができなければ相談して、大臣見舞いでも船舶局長見舞いでもいいです、何か考えなければそれはあまりにも水くさい話だと思う。
 それから船客傷害賠償保険というものは自動的に何かかかり得るというような、そういう自動発動規定もつくっていいと思いますので、船を持っている人は必ず保険に入らなければならないというふうに、自動車と同じように扱う必要が今後あると思うのですね。これはどうでしょう。自動車は小型自動車でもスクーターでも入らなければいけないでしょう、陸上交通の場合。海の場合は小さい舟は入らぬでもいいというのはちょっとおかしい。全部対象にしたらどうですか。
#50
○須賀説明員 現在は旅客船の事業として免許あるいは許可をとっている事業者の相互扶助のために相互救済、相互保険といった意味においてこういう制度ができておるわけでございまして、旅客船だけでありまして、貨物船も含まれておらないのが現状でございます。
#51
○太田委員 だから保険制度というものを、いままでの長い歴史はそうであったでしょう。しかし、いまば陸上ではオートバイでも小さな二輪車でもみなそれが入っておるわけですから、この際人を乗せるという要件がある限りにおいては、必ずそれに入るというように一ぺん考えてみてはどうか、こういう提案です。まあひとつお考えくださいよ。考えるぶんにはいいでしょう。進歩的なことを考えるのですから神さまだってほめてくださいますよ。
#52
○須賀説明員 考えてみます。
#53
○太田委員 では船の問題を終わってバスの問題に入ります。
 これも最近やはり事故が非常に続いているのですね。大分県において超満員のバスが転落して百二十一人の負傷、それから新入社員十四人を満載いたしましたマイクロバスがい転覆いたしまして、これも十四人のけがをしたというような事故も続いて起きているのでありますが、特に大分県のバスの場合、私は思うのですが、定員超過という点が一つ問題がある。常日ごろそんなに乗るバスではないでしょう。あの辺は大分県の鶴崎地内の県道でございますから、これはそんなに常日ごろ乗らないのであって、これがそのときたまたまハイキングに行きました生徒さんたちがどかどかっと乗ったために超満員になったわけです。そういうことでございますから、常日ごろは過疎地域のバスとしてあまり乗らない。そこにこういう問題が起きた原因は何でございますか。
#54
○黒住政府委員 今回のバスの事故は、現場の地点を二十キロの速度で進行中にハンドルをとられまして左側の路肩に乗り入れたために路肩がくずれまして落差四・六メートル下のたんぼに転落いたして重軽傷者を出したわけでございます。
#55
○太田委員 路肩がくずれたということになると道が悪いということですが、建設省はそれに対してどういう報告を受けていらっしゃいますか。これは県道でございますから、あなたの直轄道路ではないと思いますけれども、どういう状態だったわけですか。
#56
○井上説明員 この路線は大分県の主要地方道大分−臼杵線という県道でございます。この転落しました地点は未改良道路でございまして、幅が三メートル六十ぐらい、未改良道路でございます。県当局に照会いたしましたところ、この地点は今年度県の単独事業で改良する予定だそうでございます。
 なお、この路線はずっと大分寄りに本年度から国庫補助の改良事業を行なう予定でございます。
 以上でございます。
#57
○太田委員 そうすると、建設省のいまの御報告を聞きますと、三メートル五十や六十という非常に狭いところを直角に回ったわけでございますね。バスが川を越えて左に直角に回った。そうすると路肩の柔かいところに、どちらかの前輪なら前輪、後輪なら後輪が落ちたというか、その上に乗って、あまりにも超満員のためにその道が持ちこたえられなくてくずれた、こういうことだと思うのですが、ガードレールでもつけておけばまだよかったと思うのですが、そういう安全施設が何らなかった。だったらば、バスの通行は、ほんとうを言うと禁止すべきではなかったですか。
#58
○黒住政府委員 これは定期路線の道路でございまして、必ずしも道路状況はいいというわけではございません。当時二、三日前に大雨がございましたために道路状況はよくはございませんが、一応この道路につきましては幅員が三・五メートルで、ぎりぎりではございますが、定期路線といたしまして免許をいたしておる道路でございます。
#59
○太田委員 しかし、これは三メートル五十でありますから、この上り下りは両方一緒にすれ違いができないという道ですから、どこか待避所をつくって免許したような道でしょうね。
#60
○黒住政府委員 これらの道路につきまして免許いたします場合には、道路管理者とも相談いたしまして、適当な間隔に待避所を設けまして事故を防ぐというふうに相なっておるわけでございます。
#61
○太田委員 建設省にお尋ねしますが、この際の川にかかっていた橋、いわゆるバスが渡ってきた橋と道との角度は何度ぐらいになっていたのですか。
#62
○井上説明員 角度は実はまだ調べておりません。後ほど調べて御報告いたしたいと思います。
#63
○太田委員 私もこのバスが落ちた理由については、なるほど常日ごろは軽いバスが通っていたから危険な路肩が危険でなかった。その日に限って非常にたくさんの、定員の倍のような多くの方が乗ったためにその重量に耐えかねて崩壊をしたと思うのです。ですから、道そのもののつくり方、橋のたもとのつくり方にもいささか無理があったのではなかろうかというような気がしてしようがない。そのような満員のバスを運転しておる運転手さんが特に満員であるから気がゆるんだということはあり得ないはずですから、そうすると道そのものの構造に問題があったんじゃないでしょうか。そういう点の原因の追及をひとつやってもらいたいと思いますが、建設省いかがですか。
#64
○井上説明員 道路管理者は大分県知事でございます。さっそく指示いたしまして原因の追及をさせます。
#65
○太田委員 自動車局長さんにちょっとお尋ねしますが、路線バスというものはずいぶん山間僻地にも路線を延ばしておるわけですね。その山間僻地にはずいぶん無理な道路があるんです。普通のところは非常に広いけれども、特殊のところが非常に狭い。しかしその狭いところも実は道が非常に固くて道の路盤というのは岩盤の上に乗っておるとかなんとかいうときにはそこはバスが通ることを認めたりして、おそらく認可されておると思うのですが、今後符に山間僻地等におきましてはそういう転落事故を防ぐための措置というものについて十分な確認をしておく、こういうことを私は路線免許の必須条件として考えるべきじゃないかと思うのですね。道が広いからと安心はできないと思うのですね。路肩が非常に広くあぶないところもあれば狭いからといって不安定じゃない、安全なところもあるわけです。一律に何メートルの幅員があるからよろしいというものじゃないと思う。道の確認、路線の確認というのは十分徹底的におやりになるべきだと思いますが、御決意はいかがでございます。
#66
○黒住政府委員 交通機関は安全ということが第一でございますから、安全の確保の面にはあらゆる手段を尽くすべきだと思います。地方における過疎地域におきます路線につきましては、いま御指摘のような場合もあるわけでございます。免許にあたりまして、そしてまた運行にあたりましては、道路管理者等の御協力を得まして、ただ道路が広いからというだけではなくして道路に関す、る標識その他も整備していただいたり、いろいろの措置を講ずるということは必要だと思います。また運転をするほうにつきましても、そういうふうな道路に対しますふだんからの知識、教養というふうなものにつきましては特段の注意を要するところでございまして、これらにつきましては今後さらに厳重に関係事業者を指導してまいりたいと思っております。
#67
○太田委員 そうすると大分バスは路線の強弱の判定に不十分なところがあったという御意味でございますか。
#68
○黒住政府委員 いまは原則的に申し上げたわけでございまして、大分交通につきましては法定の十二カ月、三カ月、一カ月の各点検は実施している模様でございます。今回の車につきましても一応仕業点検におきましても異常はない。しかしふだんからの運行管理の状況が十分であったかどうか、それらの点につきましては近く関係の陸運事務所で監査をやりまして将来遺憾なきを期するというふうに措置をするつもりでございます。
#69
○太田委員 いまのように三十三人も重傷を負ったというような事故については、すみやかに即日実地検査をして、警察だけじゃなくして陸運局としても、路肩の弱かったということについて、これが人知の想像を絶するものであるならばやむを得ないものでしょうが、人知をもって推測し得る弱さのところに輪を持っていったということになるならこれは問題じゃないでしょうか。同時にまたそういうところが、よほど無理をしなければ路肩を避けて通ることはできないような道路の構造であるならば、路線免許した運輸省に問題があり、そういうような橋や道をつくった県当局に問題があるわけです。道路管理者の責任もあると思うのです。ですからすみやかに真の原因を探求してもらいたいと思う。これはいずれまたお調べの上ほんとうに事故再発防止のために何らかの御報告はいただけるのでしょうね。
#70
○黒住政府委員 事故がありましたときに、直ちに事務所とそれから陸運局の車両課長を現地に派遣いたしまして調査を実施いたしました。先ほど申し上げました特別の保安監査でございますが、これは二十三日と四日に行なわれまして、その報告が近く本省にも参るということに相なっております。この原因等さらに警察も調査をされておりますし、道路管理者のほうでも調査をされておりますので、それらを総合いたしましてさらに詳細を把握してまいりたい。その結果御報告を申し上げたいと思います。
#71
○太田委員 終わります。
#72
○内海委員長 田中榮一君。
#73
○田中(榮)委員 ちょっと中断いたしましたので質問を続行させていただきたいと思います。
 運転免許証と精神病者との関係について御質問したいのですが、警察庁に御質問したらよろしゅうございますか。
#74
○内海委員長 西川運転免許課長が見えております。
#75
○田中(榮)委員 私は新聞で見たのですが、二月に東名高速道路を精神病者が猛スピードで検問を突破したという記事を拝見しました。それから四月三日、前橋市でつかまった窃盗容疑者は精神病院に数回入院経歴を持ったりっぱな精神病者で、しかもそれが自動車運転免許証を持っておったということですね。それから越えて四月十一日、愛知県半田市で精神病者の運転していた車が民家に飛び込んで二人即死さして五人重軽傷の大惨事を起こしたという事実。それから越えて四月の十五日、東京武蔵野市で大型ダンプカーの運転手が赤信号で停車していた二台の車を追い越そうとして、前から来た自動車に衝突して運転手に一カ月の重傷を負わした。この男がなんとてんかん持ちであったということなんですね。現在の道交法八十八条によりますと、精神病者、精神薄弱者、てんかん病者等には運転免許証は与えないとはっきり規定されておるわけですね。それでかつて昭和四十二年でありましたか、運転免許証の切りかえのときあるいは紛失して再申請をするようなときに、一応精神病者であるかどうかという医師の診断書を添付することにしたけれども、どうもさっぱり実効があがらぬので四十三年からそれをやめたということです。それはそうでしょう。運転免許証を取るときに、お医者さんに行って、私は気違いですかどうですかという診断書をもらうなんということはだれだってこれはいやですよ。だからこれはとても私は無理じゃないかと思うのです。結局実効があがらなくてやめたということなんです。
 それからもう一つは、事故を起こしたそのつど、ドライバーの挙動に不審な点があるならば、一応精神病者の疑いで精神診断を受けさせた。そこでこの診断で四十二年には四百五十五人、四十三年には四百三十六人の精神病運転者が発見されたということなんです。これは事実かどうかわかりません、私はこれは新聞で見たことですから。もしはたしてそうであるとするならば、一カ年に四百五十人の精神病者がれっきとした運転免許証を持っていたことがあとから検査の結果わかったということは、まだまだ相当な精神病者の人々がれっきとした運転免許証を持っておるんじゃないか、こう考えられます。新聞の報ずるところによりますと、麻薬患者それからほんとうのアルコール中毒患者、そういった者を全部含めますと全国で約十六万人に近い。これらの人を精神病者とすぐ断定することはむずかしいと思います。麻薬中毒患者であるとかあるいはアルコール、メチル患者のようなものをすぐ精神病者と断定することは無理だと思いますけれども、かりにそういう者を精神病者と仮定した場合におきましては、全国で推定の数が十六万人あるということなんです。そこで警察庁におかれては、日本精神神経学会と協力して、目下その対策を検討中であるということが載っておるのですが、この検討しておるという対策について何かいい名案をお持ちなのであるならば、ひとつそれを教えていただきたいと思うのであります。
#76
○西川説明員 ただいま先生のお話の中にもございましたように、精神病者が免許をとらないようにできるだけ事前に発見をいたしたいということで、一昨年診断書制度を行ないましたけれども、実効があがらなかったという点もございまして廃止をいたしました。しかし、そのときに私どもは、やはり精神病者が運転免許を持つということは非常に危険でございますし、何とかこれは今後も発見するための方策というものを研究しなければいかぬということで、実は四十二年十一月に、私どものほうから日本精神神経学会に対しまして、いわゆる免許を受けに来る者、あるいは更新で切りかえに来る者が年間約九百万人おりますから、こういう多量な人の中から警察職員が容易に容疑者を発見できるような方策を学会も真剣にひとつ検討してもらいたいということで申し入れを行なったわけです。で、当時の時点におきましては、神経学会も、有効適切な方策は現状においてはなかなかない、しかし、学会としてもこれは重要なことであるということで、専門委員会を学会自体が組織をして、いまいろいろな資料を収集、分析をいたしておるということでございます。私どもは、できるだけ早くそういう結果によるいい方策が発見されて、私どもに御協力いただけることをいま期待をいたしておるという現状でございます。
#77
○田中(榮)委員 よくわかりました。交通事故、人身事故を起こしたとか、そういう場合における事故発生のつど精神病の診断をされるといういままでのやり方については、これは私は非常に適当な策じゃないかと思いますので、これをぜひ励行されて――年に四百数十人の精神病者を発見されているのでありますから、とにかく数は別としまして、できるだけそれを励行していただくことと、いまの日本精神神経学会との協議を一日も早く進めて、この対策をまとめ上げるように希望いたしたいと思います。
 それから自動車局長にちょっとお伺いいたしますが、実は私のところによく私の友人や何かから夜十時、十一時ごろ電話がかかってくるのです。それは乗車拒否をされた者から何とかならぬものかということで参考に電話をかけてくるわけなんですが、そんなおそくまでそういうところにうろちょろしているから、おまえさんの罪だと私は笑っていなしているのです。しかしそう何回もかかってきますと、あまり黙っているわけにもいかないわけです。それもいろいろな人からかかってくるのです。
 そこで、最近新聞紙で拝見しますと、自動車局長におかれまして、今度タクシー運転手の登録制度を実施して登録をやりたいということ、それから、もし乗車拒否等をやった場合において、そうした不良運転手、雲助運転手は登録から排除をしてしまって、会社としてもそういう未登録の者は雇わぬことにするというようなお話を聞いたのですが、私は非常にいいと思うのです。
 それから、特に最近の会社の状況を見ますと、運転手を募集しましてもなかなか運転手が来ないということで、やむを得ず雲助運転手、日雇い運転手、臨時運転手、そういう者を雇い上げて、それで車を運転させておる。こういう連中は全く会社との関係もありませんし、きわめて無責任な勤務状況でありまして、これらがいずれも乗車拒否をする。私はタクシー会社の常雇いの運転手というのは比較的みんなまじめじゃないかと思うのです。乗車拒否をやるというのは、むしろこうした日雇い労働者的の無責任な運転手の連中が相当乗車拒否をしているのじゃないか。私もそのタクシー会社の社長なんか知っておりますからいろいろ開いてみますと、会社としっかりした契約のある運転手、会社で雇っておる常勤のしっかりした運転手そのものはほとんど乗車拒否はないようですけれども、しかし無責任なそうした臨時雇いの運転手の中に雲助根性でタクシーの乗車拒否をする者があるということですが、こうした問題につきましてひとつ早急に不正な運転手、乗車拒否を常習的にやっているような運転手を放逐する、締め出すというような何とかいい方法がないものでありましょうか。それについて名案があったらひとつ教えていただきたい。
#78
○黒住政府委員 タクシーの乗車拒否、ことに大都市におきましてこの問題があとを断たないことは非常に遺憾なことでございまして、憂慮しておる次第でございます。
 いま先生が御指摘の日雇い、日々雇い入れるというものはこれは運転手として雇用してはいけない、選任してはいけないということに相なっておるわけでありますけれども、その違反の状況等はあとを断たない状況にございます。それで警察当局等の御協力も得ましてこれを摘発し、処分をいたしております。その会社に対しまして車両の停止処分等をいたしておるわけでありますけれども、やはり制度といたしまして良質運転手を確保するということを検討する必要があると思いまして、現在検討中のものがタクシー運転手センターというものでございまして、これは法人タクシーの運転手を登録いたしまして、悪質な乗車拒否を行なう者は登録を取り消す等によりまして排除をしていきたい。また同時に、良質運転手を確保いたしますために、このセンターで運転手の養成、指導というふうなものを行なう。同時に福利厚生施設等の設置等もこういうところで行なわせたらどうか。その制度はあくまで中立的な色彩でなければなりません。したがいまして、経営者側も運転手側も十分この制度を理解してやらなければなりませんので、現在この制度につきまして経営者側と運転手側の意見を徴しつつ、いい制度として発足するようにいたしたいということで、現在検討を進めておる次第であります。われわれといたしましてはタクシーの乗車拒否は、原因は非常な広範なもの、多々あると思いますけれども、その原因に立脚いたしまして総合的な政策を打ち立てていきたいというふうに考える次第であります。その一環といたしましていま申し上げましたような制度を研究しておる次第でございます。
#79
○田中(榮)委員 四十四年度の予算におきまして、運転手管理センターの運営の費用を今度とられまして、違反歴、事故歴その他の資料の集中管理をされることになっているようでありますが、これは運輸省の関係でありますか、ぜひひとつ一日も早く実現して、いわゆるコンピューターによってそういうものをはじき出して、もし不良の運転手があるならばこれを会社方面にすぐ伝達して、そういうものを共同でもって締め出していくというような方法を講ずるならば、私は非常にいいのじゃないかと思うのですね。こういう雲助運転手というのは、昼間何にもやらない。ばくちばっかりやっている。そして夜になると出てきて銀座の角に立って客のより好みをやる。まじめな運転手、朝からつとめている運転手は絶対に乗車拒否はしないはずなんです。こういう運転手は夜だけ働く一発屋といいますか、そういう運転手だと思っておりますので、その辺十分おわかりだと思いますので、今後ともひとつ乗車拒否の不良運転手の駆逐に一段と御努力願いたいと思います。
 それから鯨岡副長官にぜひお願いしたいのですが、実は昨年の交通委員会で、一われわれは国道筋、それからハイウェーですね。高速道路寄りのドライブインの酒類販売については、相当取り締まりをしてもらいたいということをお願いしたわけなんです。それで、御存じかもしれませんけれども、社会党の戸叶里子氏が、去年自動車事故を起こされたのです。これはドライブインで運転手が酒を七、八本飲んでドライブインから出てきて十分くらいで、すぐ戸叶さんらの乗っている自動車にぶつけて、御夫妻、えらい負傷をされたわけなんですね。そのときは私もすぐ交通委員会に参りまして、ドライブインの取り締まりを強化してもらいたいということをお願いしたわけなんですが、実際問題としてむずかしいわけなんですね。国道筋のドライブインといったって、通り一つ裏に入ったならば、国道筋ではありませんから、そこのレストランで酒を売ったってしようがない。だから実際上取り締まりが非常に困難であると私は思っていました。その後どうなったかよくわからないのですけれども、ことしの予算委員会の分科会におきまして、社会党のある代議士の方から質問されまして、原田運輸大臣も、これは確かにごもっともだから何とか対策を講じようじゃないかというので、至急に関係省を集めて対策を講じられたということを聞いているのですが、これにつきまして、何か対策ができたのでしょうか、どうでしょうか、ちょっとお伺いしておきたいと思います。
#80
○鯨岡政府委員 お答えいたします前に、原田運輸大臣から閣議等にもそういうお話が出たことがありましたが、その後いろいろ検討いたしました結果、先生の御指摘の高速自動車の国道のドライブインにつきましては、お酒は売らせておりません。これははっきり売っていないはずですが、いま御指摘のとおり、その他のドライブインについては、せっかく行政指導をして運転手に酒を売らないようにというようなことをやっておるのですが、一方法律でこれを定めるというようなことになりますと、もうすでに理由は申し上げないでもおわかりのように、いろいろな困難な面がたくさんあるわけです。しかしこの種の問題が続出をしておるという時点にかんがみて、せっかく検討をいたしておるわけでありますが、なかなかむずかしい状態であります。再度申し上げますが、高速自動車の国道寄りのトライブインは、酒は売っていない。その他のところは、せっかく行政指導をしている。立法措置はなかなかむずかしい問題が横たわっているがいま検討中である、こういうことであります。
#81
○田中(榮)委員 高速道路のドライブインにおいて酒を売らないということは、もう昨年からもその方針がきまりまして、私ども海老名のレストランなんかに視察に行きましたが、あそこは売ってない、それから大津のレストランも売ってない、これはわかるのですが、国道筋あるいは国道に寄ったところのトライブインにおいて酒を売らないということは、これはなかなか法律ではむずかしいと思うのですね。私はこの前からも、これは行政措置、行政指導でやるほかないのじゃないだろうかということなんです。それで行政官庁がもしその気になってくれるならば、ある程度効果があるのじゃないかと思うのです。たとえば白バイの諸君がスピード違反だけでなくして、たとえばレストランの前にとまっておって、そして外からのぞいてみて運転をしていたものが酒を飲み、ビールを飲んでおったならば、出てきたときに、君、あぶないぞ、何も摘発する必要はないのですから、行政指導的に酒を飲んではならない、あぶないよ、といった注意をする。それからたとえば厚生省関係の各都道府県の衛生部ですか、通達でも出していただいて、保健所のほうでそれを視察していただいて、保健所の職員が――これはレストランが保健所の管轄なんですよ。保健所のほうからも、できるだけお酒は売らぬようにしてくれ、店内に掲示板くらい、ひとつ出してくれよという行政指導でも、私は相当の効果があるのではないかと思うのです。現在それもあまりやっていないのではないかと思うのです。だから私は、関係官庁が何も法律をつくらなければならぬという考え方を捨てて、要するに行政指導でできる面は行政指導でやってみようという努力と誠意を持ってやってくれたならば――むずかしいむずかしいと思って、これは法律でなくてはできないのだという観念を捨て去って、とにかく人命尊重の立場からひとつ行政指導、行政措置によってそれを何とかしようではないかという努力をしていただく必要があるのではないかと思うのですが、これは副長官等がその中心になって関係省を集めて、その後どうなったといって、関係官庁をみな呼んで督促をしていただくとか、あるいはその対策の達成を促進するとか、何とかひとつやっていただく必要があるのではないでしょうか。今月の末から来月の初めにかけまして祭日とか休日が飛び石伝いにございます。そうすると、マイカー族はみんな出かけまして、必ずそういう国道筋で飲酒運転で事故が発生することが考えられると思うのです。そういうことをできるだけ未然に早く防止する必要があるのではないかと思いますが、それについて御意見を承ります。
#82
○鯨岡政府委員 さきにも申し上げましたが、閣議でこの問題が出たときに、私の記憶に誤りがなければ、荒木国家公安委員長が特に発言を求めて、そういう酔っ払い運転みたいなものがあると思って町に出て、おまわりさんと一紙に実施に検分したそうです。そうすると、たまたまべろんべろんに酔っ払っていた者がおったということで、何かこういうことを厳重にやらなければ、このことによって起こる交通事故がかなりあってばかにならない。スピードだけではないというような御発言もあって、閣僚の間でぜひ考えなければならぬというようなこともあったようでありますので、それを受けてせっかく検討いたしておるわけであります。ただそのときもお話にも出ておりましたが、ドライブインというのはよく観光バスなんかがとまりまして、観光バスのお客さんが運転するのではないのですから、これが全部飲めなくなっては困るのではなかろうかというようなお話もありまして、これは考えなければならぬ問題だと思います。そのときからずっと考えておるのですが、熱意と努力と先生おっしゃいましたが、熱意と努力に加えて何かくふうはないものか、やはりくふうは先生のおっしゃる熱意と努力の中から出てくるに違いないのですが、たとえば運転する人ば記章をつけたらどうだろうか、運転免許証を持っていればいいというのではなしに、同時に運転するときは記章をつけている。運転しないときには記章をつけていない。ドライブインに入った場合にも、記章をつけている者には酒を売らない。何か検問を受けて酒のにおいがしたときに、記章をつけていない場合には単に酔っ払い運転だけではなしに、罰も加わるようにしたらどうであろうかという話も出ましたが、それもあるいは欠点があれば、なかなかうまくいくまいというようなことであります。
 御趣旨もございましたので、私どものほうで中心になって、せっかくくふうをし、熱意を持って努力いたしたいと考えております。
#83
○田中(榮)委員 昨年の交通対策委員会におきまして、社会党議員の諸君から、これについて、数名の方から同じ質問がされたと思うわけです。私もたまたま参りまして、当時、板川正吾君がやっておりましたけれども、板川君の御了解を得まして、関連質問でその点について質問させていただいたのです。そのときにも、社会党の諸君なり民社の諸君なり、それから公明党の諸君からも、おそらく同様の御意見があったと思うのですが、対策を早くやってくれぬかという非常に熱心な要望があったわけです。しかも、それがそのままできずに、おそらくたまりかねて、予算委員会の分科会で社会党の方から、どうなっておるかという質問が重ねてあったと思うのですね。私は、この委員会においてわれわれが質問していることについては、国民の声を受けて皆さんが質問しておるのでございますから、要望しておるのでございますから、ひとつ関係の各省においても、法律をつくらなくちゃできないんだとか、そういう態度でなくして、いわゆる行政措置としてできることばどしどしやっていただくという熱意と努力を、いま鯨岡副長官のおっしゃったようなことでやっていただきたいと思うのです。これは宮崎君、君もその含みでぜひやっていただきたい。あなたは行政の連絡の中枢にあるんだから、ただ、わかりました、承りました、研究しましょうで、じんぜんこのまま費やすことは、あまりにもわれわれの意見を、軽視しているんじゃないかと思うのですよ。去年私が来まして、社会党の方々がもう熱心に、一時間、二時間にわたってそれを専門にやっておられる。私もたまりかねて、それでもって関連質問したわけですから、それについて全然いまだかつて、こういうことができましたというお答えも承っていないし、中間報告もないし、何にもない。それで原田運輸大臣が驚いて閣議で報告したということになっておるわけですから、ひとつできるだけ人命尊重の意味において、それで非常に私はむずかしいと思いますけれども、これだけは何とかとりあえずの措置としてこういうものをやってみたいがというような中間報告をこの委員会においてやっていただきたい。いずれまたあらためて私は質問いたしますけれども、それだけ希望を申し述べまして、私の質問を終わらせていただきたいと存じます。
#84
○内海委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
   午後零時二十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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