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1949/04/06 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 在外同胞引揚問題に関する特別委員会 第13号
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1949/04/06 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 在外同胞引揚問題に関する特別委員会 第13号

#1
第005回国会 在外同胞引揚問題に関する特別委員会 第13号
昭和二十四年四月六日(水曜日)
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○昭和二十三年十一月初旬の舞鶴にお
 ける引揚者暴行事件に関する件
  ―――――――――――――
   午後二時五十五分開会
#2
○委員長(紅露みつ君) 委員会を開会いたします。
 議題は先だつての証人の問題、昭和二十三年十一月初旬の舞鶴における引揚者暴行事件に関する件でございます。
#3
○岡元義人君 先だつて当委員会におきまして、細川委員から申出でのありました英彦丸暴行事件に関しましては十分に調査を完了いたしたわけであります。勿論細川委員は調査は完了していないというようなことを申しておられますが、大体委員会におきましては各委員多数で以てこういう工合に解釈してもいいように思えるのでありますが、併しながら單に英彦丸事件をそのままに証言を取つただけでありまして、その結論は当委員会において皆さん十分意見を出して頂いてこれを結ぶと、こういうことになつておつたわけであります。そこで私は問題が細川委員から出されたものでありまして、細川委員か本会議においてもこの趣旨をば情報を受けている。又委員会においては情報という言葉もなく殆んどそういうことがあつたかのごとく申しておられるのであります。尚この点につきましては先日の証言によりまして二十一名の証人が違うと、事実そういうものがあつたという反証を挙げるところの証言は一つもなかつたわけでありまして、事実無限である、但し舞鶴の援護局内におきまするところのそういう暴行事件は、これはあつたということは分るのでありますが、問題の、とにかく海中に投ぜられた、そうして死亡して行方不明になつたというような者は一人もない、又舞鶴における暴行事件も一人も死人は出していないということが明らかにされたわけであります。で私が細川委員にこの際お尋ねしたいことは、これは一体どこからそういう情報を得てここに提出されたものであるか、その責任を明らかにして頂きたい。一旦この委員会が取上げました以上は、何らか根拠なくして細川委員がそういう発言をされるわけはないと思うのであります。又この権威ある國会の代でああいう言動をば発言されたということは、これは細川委員も十分責任あつて然るべきだと考えるのでありまして、この点細川委員から御回答を願いたいのであります。尚もう一点、これは細川委員直接関係はありませんが、いわゆる共産党の機関紙であるところのあの「アカハタ」に当日の証人喚問に当りまして、これを公聽会であるというようなことをば書いております。併しながら決して公聽会ではないのでありまして、証人喚問であつた筈であります。もう一つは、あれ程明ら樣に各委員に点檢されましたところの乘船名簿に対しまして、「アカハタ」には全然乘船名簿はなかつた、提出はなかつたと、こういう工合に記載されておるのでありまして、この点は実に遺憾に堪えないと思うのであります。この点につきましては、若し細川委員から何らかの御弁明があるのであつたならば承わりたいと思うのでありますが、併しながら直接お聽きしたいのは第一点の私の質問であります。この点についてお伺いしたいと思います。
#4
○細川嘉六君 今岡元委員が本委員会において、私が十三名の訊問の不足、三名が死亡しておるという報道について述べた際に、恰もこれが事実であるかのごとくに述べられたと言われるが、私は初めから本会議で述べておつたように、これは報道して受取つておるのである。その点については岡元君はどう言うたからと言われるのは私には了解できないのであります。報道は、当時舞鶴から東京へ着いた帰還者の間から、幾日間かに亘つて下りておるのだから、その人たちの間から傳わつて來ておるのであります。初めはそれについては、誰が、どこで、いつ言うたか、そういうところまで突き詰めていなかつたのでありますが、そういうことが一般に言われて來ておるということであります。それから、それは東京ばかりでなしに、大阪の方面だとか、京都方面、そういう方面においてもそういう報道が帰還者の間から出ておつた次第であつて、それらの報道を捨てて置いてはいけないというので取上げただけのものであります。私としましても、去年の六月舞鶴でリンチ事件があり、それがために委員会においても問題にした次第であります。舞鶴へ七月他の議員諸君と視察に行つたときも、これについては十分調べようとしたものであります。それは十分にできなかつた、遺憾ながらできなかつた。そういうわけでリンチ事件というものは、去年の十一月初めて起きたものではない。一昨年十一月にも起きておる、ずつと続いておる。それについては当局にも警告した、或いは注意した、そういうこともあつたことは御存じのことと思うのであります。でありまするから、今度の報道は、私らとしましては、今まで申したように、そういうようにして断続して行われておることであります。事柄が非常に大きく、非常に極端なところまで來たわけであります。それであるから問題にせずにはおられないということから、私当委員会において提案したものであります。それが事実であるか、ないか、これは調査でなければ、確かなる調査でなければ決定しかねることでありまして、それであればこそこの特別委員会の問題として取上げて、取上げなければならなかつたし、又取上げられたものと思うのであります。先程岡元君は、この間の二日間の調査で、事は事実無根であつたということを断定しておられるのであります。それはその当時私も議院においても、これた断定し得ないということを主張したものであります。今日尚この問題は断定すべきものではない、事実無根であると断定すべきものではない。それには我々には少くとも私には確かなる根拠は持つていなければならない。第一に、この間の証人喚問調査会については、証人の選定は一應現在の我々の知つておる範囲で、外の委員はどうであつたか知らんが、私としてはこれは試驗的にやつて見るということしか考えられなかつたのであります。一回の調査委員会を開けば、ここで何かの手掛かりを得て、更に証人、本当の事態を語り得るものを掴む手掛かりになりはしないかというのが、私のこの間の委員会を準備するときの考えでありました。それでここで一々詳しいことは申しませんが、選ばれた証人というものについては、私は全く適当であるとすべて断定するわけに行かないのであります。それから議事の、調査の進行について、これは相当に不公平でありました。これは私がここで言うことで決まることではありません。速記録がこれを示しておる。又その当時傍聽者も沢山おつた。現に新聞記者で、あの調べは一方的であるから記事にならんと言つて帰つた者もあると聞いておるのであります。これは私がここで一人よがりを言うのでなしに、一体に見て、あの訊問の進行というものは不公平であつたと断言するものであります。現に千田委員は、あの当時第二日目激烈な口調でやはり発言を要求し、証人の陳述をもつとやらした方がいいと主張されたことは皆さんも御存じであると思うのであります。この点について私は何も更に詳しく申しますまい。それから私として証人にはもつと聽きたかつた。その機会は時間も短かかつたために、殊に二日目には一時半から開くというのが二時まで延て三十分も時間を空費した。一人の証人は個人的意見の多い、主観的意見の多い陳述を三十分もやつたとか、そういうようなわけで、私も時間がありませんでした。警察の証人、警察局から來ておられる証人、援護局から來ておられる証人、それから國立病院から來ておられる証人、これらの人々についても私はもつと十分質問をして、同答を得たいものが沢山あつたのであります。それができなかつた。そういうようなわけで、私としましては非常にある調査委員会というものは不満足なものである。併しあの不完全な中にも拘わらず、こういうことが言えると思うのであります。その範囲では十三人の……が足らなかつたということ、それから三人が死んだということ、これについてはある調査の範囲では否定されておる。これは私は認めます。それに対しては私は無理やりにあの調査会においての結論に対しては私は反対するものではありません。ただそれだけのことであります。問題はこれが事実であつたとすれば重大問題である。事実でないならば、ないということをはつきりして置く必要がある。沢山の人が心配しているのでありますから……。この際ついでに申しますが、あなたたちの理事会、理事諸君から印刷されて調査会の当日配られた書類の中に、横浜ソ連帰還者同盟会というパンフレットがある。それなんかも恰も私が知つておるかのごとく、又私の知つておる引揚者同盟の連中に関係あるかのごとく、そういうふうに取られるということは私は遺憾であります。事実こちらは何も知らないものであります。それ程にああいう報道が傳わつておるということを却つてそれは証明しているわけであります。それでありますから、要するに私はこの機会においてこの報道を打消すには、又これを聞いた者が納得が行けるような程のものは出ていないという結論であります。先ずそれだけ申上げます。
#5
○草葉隆圓君 舞鶴暴行事件の証人喚問についての問題が、只今岡元委員並びに細川委員からそれぞれお話がありました。実は私共この証人喚問の問題は、この委員会としては相当重大な問題として眞劍に取扱つて來た次第であります。即ち去る十一月十三日に初めて細川君からナホトカからの引揚船並びに上陸地における暴行事件についての発言が委員会であり、或いは同様の質問趣意書がありましたから、十三人の人が行方不明になり、そのうち三名が亡くなつたというこのことは最も大きい問題としてこれを究明するために、これを中心に究明するために遂に先般の証人喚問ということに相成つたのでありまして、これは細川君の只今の御発言にもありましたように、各種の情報なり、引揚者の報告などを取入れた情報によつて、この十三人が行方不明になり三人が死んでおるから、これを詳細に調査をせねばならんという御趣旨によつてこの委員会が取上げた次第であります。その結果只今細川委員もお話になりましたが、不足したことはない、死んだこともないということを別に否定する心持はないのだというお話でありましたので、これは各証人から出ました話の中にもありましたが、この委員会としては証人の発言にもあつた通り行方不明者もあつたのではないし、死亡者も一人もあつたのではない。それぞれの引揚者が上陸地に上陸した。ただその上陸後において暴行事件があつた。これだけのことははつきりこの証人喚問によつて我々は肯定すべきものだと思います。で本日はこのことを先ずこの委員会がはつきり肯定をして、ややもすると只今お話のように巷間流布されております疑惑を、この委員会ははつきりさようなことはなかつたのだ、行方不明も死亡者もなかつたのだということを委員会で決定して置く必要が強くあると存じますので、この点をお諮りを願いたいという動議を出したいのであります。
#6
○細川嘉六君 只今草葉委員は十三人の不足、三人の死亡、こういうことはなかつた。細川も認めるというようなお言葉のように聞えますが、これは先程申しました私の意味とは違つております。私はあの不完全な調査委員会、ここにおいてはこの報道を肯定するものはなかつたと、この調査会においてはなかつたということを私は認めるのであります。さればといつてこの報道がこの調査を以て全然これはなかつたと断定し得るかということになりますというと、私はそれはこの事件の重大なるに鑑みてそうはできないと、こういうことを言うたわけであります。
#7
○草葉隆圓君 先般の三月二十四日、二十五日の委員会が、この委員会において正式に取上げて証人もそれぞれの方法によつて正しく決定をして、殊に証人喚問については細川委員の証人は全部これを取上げてやつて、そうして私共はその運営において將來考究すべき点はあつても、とにかくこの証人喚問の委員会というものは嚴然と行われたものであると存じます。從つてこの委員会における三月二十四日、二十五日の委員会における問題は、この証人喚問は、このことによつて一應結論付けて行くべきものである。どうもあれではいかない、これではいかないというようなことは、更に今後若しやそういう問題がありましたら更に新らしい提案として取上くべきものであつて、とにかく一番最初は昨年の十一月十三日の細川委員の御発言にあり、それをいよいよ証人喚問と二月十八日に決定いたしまするまで、いろいろとこの問題が重大であるために協議を進めて、その間証人喚問、或いは方法等も十分打合せてあるのでありまするから、從つて三月二十四日、二十五日のこの証人喚問についての問題は、ここで一應結論付けて行くべきものである。そのやり方、或いはその方法において個々の質問があつたり、或いは答弁が十分でなかつたりというようなことについての派生的の問題については今後の運営について尚大いに考究したらいいのでありまして、この問題の核心である十三名が不足しておつた、或いは三名が死んだという問題については、この三月二十四日、二十五日の委員会はこれを認めないということにおいては、何ら只今の細川委員の御発言もこれと食違いは私はないと思う。それでこれはいくら繰返しておりましても、結局委員会としては何のために、そうすると三月二十四日、二十五日のあのような嚴粛な意味においての証人喚問をしたかということすら、お互いにみずからがみずからを疑わざるを得ないことになるわけであります。この委員会自体がみずからを疑うことになりますので、三月二十四、二十五日の本件に関しまする証人喚問の結論としては、十三人の行方不明者並びに三名の死亡者もないということにおいて私は結論付ける。更に尚將來疑義があるという点がありましたら、これは改めて細川委員からなり、又疑義をお持ちになる方がお取上げになることが私は妥当ではないか、かように思います。
#8
○細川嘉六君 大体草葉委員と私とは考え方はそう喰違つておらんように承わつたのでありますが、三月二十四、二十五日の委員会ではこうした條件が付けられれば、私はその点においては問題はない。それから又今後新たな証人を以て更にこの問題を究明されるということが起きましたならば、そのときの問題として扱うことも穩当なことだと私は思います。私は現にこういうことがある。英彦丸ではない。英彦丸だけに船中に暴行があつたといつた問題ではない。他の船において事件があり、これも事件があると断定はできない。事件があるということを傳えておる。その証人もこちらに喚問するために非常に骨が折れました。併しながら日本全体に亘り反ソデマに怯えておる。名を名乘ることを恐れておる。ないことはない。あることはあると言えるような世の中ならいいのだけれども言えない。現にそういう人たちをここに引張ることについて並大抵ではない。骨を折り費用もかかることである。又他の例もあります。政府がこういうことを確実な証拠によりて、法律で決定するには相当の時間を要することだと思います。「曉に祈る」のあの事件にしましても、四年くらいかかつております。いろいろの暴行を受けた、死んだ。それらのことは今日になつて漸く問題になつて來ておる。こういう事件というものは軽々に取扱われないと考えるのであります。その点私はあの三月二十四、二十五日の訊問調査会ではという言葉を付けておる。ですから喰違いはないように思います。
#9
○草葉隆圓君 その点私は三月二十四、二十五日の証人喚問の特別委員会においては從來から疑惑を受けておりました。只今の細川委員の御心配の発言として最初にされました問題は、十三名の行方不明並びに三名の死亡者はなかつた、こういうことをこの委員会が決定して頂く。同時に私はここで申上げて置きたいと思いますが、若しや今後そういうことが、更に新らしい事件が起りましたらその際取上げる。これが我々が今考えておる範囲においては、三月二十四、二十五日のあの委員会においてやつたやり方が、先ずオールマイテイとは申せませんが、外に方法がない。あれが委員会としては最大の方法である。これ以上にやつたら結局浮説を取上げてやつて來ることになつて、委員会としての議事運営或は審議を究明するというのは一應あれで私は委員会としては十分じやないか。今後若しや新らしい事実が、あのときに対する問題が、去年の十一月一日、二日の問題に対する新らしい事実が発生いたしましたら、そのときに新らしく考えるべきものであつて、今のこの委員会としては去る三月二十四日、二十五日に各委員の同意によつてやられた方法で最善なり、かように私は考えます。
#10
○委員長(紅露みつ君) お諮りいたしたいと思います。先刻から草葉委員の動議にかかります去る三月の二十四、五日の両日に亘りまして証人喚問をいたしました舞鶴リンチ事件の結論でございますが、十三名の行方不明者、三名の死亡者、そういうことが言われておつたのでございまするが、物的証拠によりましても、又証人全員の証言によりましてもこれを肯定する何物もなかつた、即ちそうした事実は全然無根の噂さであつた、こういうことに結論をすることと、こういう動議についてお諮りいたします。
#11
○岡元義人君 まだ動議は成つていないのですがね。委員長が動議を諮るのは間違いだ。先程の草葉委員のいわゆる発言は動議としてお出しになつたのでありますが、結局二十四、五とこの問題に関するそういうような何は私は要らないと思う。とにかく英彦丸、惠山丸、高砂丸の暴行事件に関しては、とにかく十三名の行方不明者と三名の死亡者はなかつたのだ。それは外のことは一切私はこれに付ける必要はないと考えるのです。でないと細川委員が申出られるようにいろいろな問題がこれに食付いて來るわけですから、結局はつきりこれはしているわけなんです。勿論あれでも不満足だとか何とかということは、細川委員のお申出は勝手だと思うのですが、私はもつと簡單に要点だけで、もうそういう何を付けないで採択するならする、こういう方向に進んで頂きたい。
#12
○北條秀一君 今の岡元委員の採択するという問題は、内容がよく分らないのですが、恐らく私は右か左か、白か黒かという問題の際に、特に今回の問題は結論としては細川委員のごときは最後まで……私は先程細川委員が言つたような條件付、あの喚問した証人の証言の範囲内においては、これはそういう事実はなかつたということを飽くまでも細川委員は頑張ると思います。ですから本委員会としては多数の見解はこうなつておつた。決を採ろうと採るまいと同じことですが、多数の見解はこうなつたということ以外に私はないと思います。元來そういうことを言いますと非常に長くなりますから今まで言わなかつたのですが、細川委員がこの問題について問題を取上げたのですが、その前に細川委員は政府に対して質問書を発して、政府はその質問書に対して責任ある答弁をして來たわけです。で我々はその政府の答弁をこれは権威あるものとして考えました。私は考えた。何らそこに疑う余地がなかつたのであります。然るにも拘わらず本委員会におきまして細川委員の発言によつてあの証人喚問が行われた。勿論國会においては証人喚問の権限がありますから証人を喚問したわけでありますけれどもそうなりますと内閣の総理大臣が責任を以て回答したものに対して、國会はどうもこれはおかしい、一應当つて見ようということから出発したことになるわけであります。從つて私個人としては証人喚問の前に、内閣総理大臣が参議院に報告した報告書を私は全幅的に信頼しておつたのであります。從つて私はそれ以上必要としなかつたのでありますけれども、細川委員の要求によりまして本委員会が証人を喚問したのでありまするが、その喚問の結果二十四日、二十五日の証人喚問の経緯に鑑みまして、恐らく私は細川委員及び他にあるかも知れませんが、他の殆んど大多数の委員諸君があの証人の喚問について十分に事実が、吉田総理大臣が責任を以て報告した事実が間違いなかつたということを確認されたと思うのです。併し細川委員は、或いは他の委員もあるかも知れませんが、自分にはそこまでまだ確信を以て承服できないと言われれば、これはそういつまでも引つかかつてはいけない。我々としてはそこで本特別委員会におきましては多数の意見は……少数の反対の意見はそれを明記すればいいのです。これこれの人間はこの証人喚問の結果はこういう結果だつたということを私共が確認すれば、それで事足りると思うのです。
#13
○岡元義人君 北條委員と少し意見が違うのです。それは少くともこの証人喚問に対してそういう事実はなかつたのだということに対しては、例えばここで反対意見の議員があつたとするならば、それは飽くまで追及すべきである。一人でもいわゆるあの証人によつてそれは違うということがあるならば、これは私はこの問題だけは、恐らくこの委員会の人が全会一致で、要するにこれは決が取れるというのが私は当り前だと思うのです。若しそれは違う、これは認められないという人があるならば十分責任を私は追及していい、どういうところがとにかく違うのだということだけは究明する必要があると私は思う。
#14
○草葉隆圓君 これは最初の問題からが、実は只今北條委員のお話しの通りに、政府の答弁書をお互いに信じて來ましたが、ただ細川委員だけが、実際申上げるところ事実を大変心配されて、そうして強い証人の調査の要求があつたからこの委員会で取上げた。從つてその中心である細川委員が、先も大体二十四、五日の証言ではそれは死人もなかつた、行方不明もなかつたということになつております。又そういう御発言がありましたから、それで今までの政府の答弁書等をそのまま御了承願つたことと存じます。内容の合法とはこれ又別でございますが、從つて二十四日、二十五日の証言の問題においては、少くとも私は細川委員も納得されたことだと思う。この委員会は実は全委員が納得した形においてこの問題を解決して頂き方が私は結構じやないか、かように思うのです。從來よりも細川委員の御発言のたびに全委員が全力を盡して究明したのです。この点を一つどうぞ御了承願いたいのです。
#15
○水久保甚作君 私はこの委員会に出席しておりませんでした関係上、詳しくこのことを知りませんけれども、本事件が細川委員において提案されたならば、この委員会において証人を喚問する前において事前調査を私はされなければならなかつたと、こう思うのです。事前調査に欠陷があつて、かくのごとき多数の証人を呼んで、そうして今まで疑いを残しておるということは委員会としての責任があるのではないかと思うのであります。そこでそれでありますから、今日になつては止むを得ませんから、やはり十三名の行方不明者、三名の死亡者はないということでありましたならば、この際これを解決して、さつき岡元君の動議がありましたが解決して、そうして更に又新らしい事実がありましたならば、又噂が外に出て來て、或いは確実な又見通しが付いたということでありましたならば、それに対しても調査をして、そうしてこれを解決しなければならないということならば、そのとき又新らしく解決するとし、この際はこの事件は解決すべきものである、決定すべきものである、そうしていずれもこの証人の証言によつて、これを証拠にそういうことはなかつたということに、この委員会は決定すべきものであるという岡元委員の先の動議に賛成いたします。
#16
○北條秀一君 先程草葉委員が言われましたところが私は今日の話の筋であると思うのであります。いや信じます。ただ草葉委員が言われました細川委員があれで納得された納得して貰いたいというこの納得は、細川委員に常に言葉の端を掴まれるのです。先程細川委員が言いましたように二十四日、二十五両日に亘つて証人を呼んだ、権威を以て呼んだ、その呼んだ証人の証言は、細川委員が証人を喚問する要求をしたような事実はなかつた、それで簡單であります。ここではそれで私は解決しておると思うのであります。水久保委員のお話がありましたが、この水久保委員のお話は、岡元委員の発言でとにかくびんから切りまで全面的にこれを肯定しよう。細川委員は肯定すべきであるというような話になりますといつまでも引つかかつて來るわけなんです。そこで私は草葉委員の言われた通り、ただ一点納得という言葉が氣になる。それはそういうふうに了承したというふうに直されれば、それは十分であると考えます。從つて草葉委員の御発言に私は賛成であります。恐らくそれには細川委員も賛成することと考えますので、委員長のおいて然るべく議事を進められんことを希望いたします。
#17
○岡元義人君 大事な問題ですから、今の北條君の意見に対して私は違つた意見を持つておるのです。というのは、この委員会が取上げたのは本当の事実を、とにかく噂が流布された、いろいろな問題で非常に心配しておる。だから國会がその與えられた権限において証言を強要して、そうして本当の眞相を、ありのままの姿を國民の前に知らせる、こういう意味において、この委員会において私は取上げられた問題だと思う。而も細川委員が自分で、いわゆるこの提案者であるところの細川委員に一切証人に関してはお任せしたのである。だから少なくとも十一月から本日に至るまで相当の月日を経過しておるにも拘わらず、何縣のどこの誰が十三人と三人と、一人じやない、相当数の人間がいるのに何縣何郡のどこの誰々がとにかくまだ帰つておらない。一緒におつたのが帰つておらない。そういうようなあれさえもない。而もこの間証人として呼ばれた中には共産党の会たちもおるわけなんです。そういう人たちが十分な組織細胞を以ていろいろお調べになつた事実があるとするならば、もう月日を経つておるのに分る筈である。そういう確かな言い方でなくて、この問題に関する限りは十分に細川委員のおつしやる通りにあなたの方で選択された、出されたわけです。尚それで疑義があるというようなことはあり得ないと思う。その点は十分細川委員の良心に訴えて、事実この問題はこの問題でピリオドを打つべきではないかと私は考えます。若しあなたが更にこれから先もいろいろな問題があると思うが、こういうことをおつしやるならば、もうすでに何ケ月も経つておつて、いい加減な根拠でなくて國会に持つ出されるならば、どこの何縣の何が本当に船に一緒に乘つておつた、それを証言する。それが帰つておらんじやないか、行方不明というふうな話ならば筋は分る。それが何らそこに何も示しておらない。二十四、五日の証人喚問が行われたが、而もあなたの方がお選びになつた証人が、全然そういうことはなかつたということを、飽くまで反証を挙げますかと言えば、そういうことはない、反証を挙げる者は一人もなかつた。ここに至つてまだこの問題についてどうこうと言うことは私はおかしいと思う。だから先程私が提案いたしましたように、この英彦丸、高砂丸、惠山丸という事件に対する問題になつた十三人の行方不明はなかつたという、こういう工合に私は決すべきである。それであつてこそ委員会が取上げて國民の前に眞実を発表することができる、こういう工合に考える。
#18
○細川嘉六君 私はこの問題について先程來述べたこと以上に述べる必要はないと思います。私は前の主張したことを更にここで再び確認します。今先程から私が私の意見を述べました以後においていろいろのことが起きておる。それについて一應お答えして置く方がいいと思います。北條君が私の質問に対する政府答弁は信頼すべきものであると言われたが、あれは杜撰極まるものであります。というのは援護局へ行つて我々が実地に見て、姓不詳、階級が分らんとか、住所が分らんということはあり得ない。それが所々にあの答弁書に載つておる。そういうわけであるが、それはその後政府は修正したか、しやしない。それからこの間の調査委員会に來ている人の一人が暴行者である。暴行者が暴行者の中に入れてない。政府当局では、まあこれは一二の例でありますけれども、あれは杜撰です。それは政府答弁のなつてないということを今述べたわけです。
#19
○北條秀一君 その点について只今政府の答弁書は杜撰であるという話でありましたが、私は政府はその後修正をいたしましたし、あの質問書に対して答弁書は一週間以内に出すということで、政府はそれだけの準備をしてあれば直ちに出しますけれども、準備がないときには一週間以内に出す義務がありまして、その際には止むを得ず中間報告的のものを出しますから、後で修正したのであります。杜撰でない。細川委員の今の御指摘に対してはつきりと反駁いたします。
#20
○細川嘉六君 政府のその後の訂正があつたにせよ、あれを一々見廻して見ると問題はいろいろ出て來るので、それで私は杜撰であると言つておるのであります。どこまで訂正を求めてあるのか、そういうようなわけで私はこの答弁書はなつてないと思う。第一に暴行者についてあれだけの怪我人を出しておる。それが説諭を加えたとか、それから檢察廳に送つたとか、まあいろいろそういうことを書いてありますけれども、事実は私はこの間の調査委員会で十分これを追及し得なかつたのでありますが、説諭してもそれで帰しちやつたというようなこともあの答弁書に出ておらん。それから暴行者というものは現場で勝手に掴えて、申出て掴えている。あの証言によると申出によつて二人とも暴行者になつておる。それから個人的に懺悔した男が殴られた、殴つて呉れと言うので殴つて、殴つた方が暴行者の方に入つている。そういうふうなわけで一々それを突つつくとあの答弁者というものは文字通りに取れないということを、一々ここで言つたつて仕方がありません。更に水久保委員は、私の事前調査をなぜやらなかつたかということを責められる。事前調査というものは我々はやつておる、力が及ばない。併し一生懸命やつておる。事前調査をやるべきものは細川だけであつて、他の者はやらんでいいか、これはお互いの責任じやありませんか。やらないのは細川の方が怠慢であるといつて、委員会としての各人のこの問題に対するそれぞれの責任というものがある筈です。それから岡元委員は先程申されたが、一切証人は私に任した、こうおつしやつたのは間違い。私の選んだのは四人、私の記憶では最初は二名出して、次に又二回目に二人出そうというので始めて、一回で終るとは思わなかつたので、幾つか、二つに分けた筈ですが、皆出しておるわけではない。それもその呼び出し得る証人の中でも、最も確かなものだと我々が鑑定されるものではなかつた。いずれも似たものである。その中から選んでおる。それでありますから先程申しましたように、これは一回目は更に確実な調査をなすための手がかりを得るための役をなすだろうというので、私はあの委員会の構成に参加したわけであります。一切お任せしたのではありません。殊に十何名という者はあなた方の方で選ばれたわけです。皆証人を……ですからそれは間違いです。
#21
○水久保甚作君 只今事前調査ということについて細川委員より反駁がありましたが、私は細川委員がこれこれの証人を出せば、どこどこの何縣の何町村の何某という者が所在不明ということが分るということで、私はその証人を申請しなければならん。こう思うておるのであります。それでこの調査会に細川委員が申出がありましたならば、これは委員長の権限においてこれは事前調査をすべきものである。こう思うのです。この場合多数の人を呼んで、國家の費用を出して、そうして途方もない証人を呼んでなすがごときは、これは調査委員会に欠陷があつたと申すのでありまして、決して細川委員が調査をされたということに私は欠陷があつたというわけではありません。この調査委員会が、あなたがそういう動議を出されましたならば、委員長はこれに対して事前調査をなすなら事前調査をすつかりやつて、いよいよこの問題は呼ばなければならんということに達しなければならん。そこまで行かずして細川委員の申出をそのまま採択したから、こういうような何事もないことが、ただ噂のみが起る問題につきまして、この委員会において取上げなければならんということになつたのでありまして、誠に私は今更この点について非常に遺憾に思うのであります。
#22
○岡元義人君 もう討論もし盡して、採択に入つてもいい段階だろうと思うのですが、定員数が足りないので、だからこの問題は今日はこれで打切つて頂いて、そうして次の機会に採決をして頂く。それから次にまだ案件が一つ二つ残つておりますし、又本会議も間もなく開かれそうですから、あと一つ二つの案件を解決付けて、そうして問題は一應打切りにして頂くという動議を提出いたします。
#23
○委員長(紅露みつ君) 御意見がなければ……。
#24
○北條秀一君 岡元委員から採決について話がありましたが、これは今後の吉村隊の証人喚問の事件もありますし、明日の赤鹿理氏の証人喚問の事件もあるわけですが、從つて証人喚問の際に、如何なる意味において採決するかという問題は非常に愼重に考えなければならないと私は思うのであります。その点についてどういうふうに考えておられるか、皆さんの御意見を伺いたいと思います。
#25
○岡元義人君 当然、とにかくいろいろ結論を出すということが問題であつて、その証人喚問の性質によつて結論を必要としないものもあります。併しながらこの英彦丸事件に関しましては、当然結論を出さなければならん性質のものと考えるのであります。それで私は採決を要求いたします。
#26
○北條秀一君 それでは私が先程話しましたことを岡元議員はよく聽いておられないからいかんのでありますが、採決とは全会一致で決定する場合があるし、多数決で決める場合がある。從つて私は先程言いますように、飽くまでもこの本委員会は全員の全会一致を強制する訳には行かん。それですから私は先程言いますように私共の意見はこうである。少数反対意見とか、少数の意見はこういう意見もあつたということで、採決するということについては直ぐだつていいじやないかということを私は先程言つたのであります。延ばさんでもいいと思います。今日やつたらいいと思います。
#27
○草葉隆圓君 その問題については、すでに先程來細川委員も十三名の行方不明並びに三名の死亡者はなかつたということを確認されたのでありますから、その意味において、今日は定員が足らんでもその意味においての、ここで確認をして決定をして置くことにはちつとも差支えない、かように考えます。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#28
○細川嘉六君 草葉君のことについて附加えなければならん。あの調査会では、私のいうのは、それだけ附加えれば私は異議ない。
#29
○岡元義人君 細川委員に簡單に一言ですから……あれは公聽会ではなかつたのだということと、それから乘船名簿は委員会に提示されたということに対して、細川委員はこれに対して違うと思つていらつしやるか、その点伺つて置きたい。
#30
○細川嘉六君 「アカハタ」のことは、私は責任者でありませんから……。
#31
○岡元義人君 そんなことは関係なし。
#32
○細川嘉六君 併しながらちよつと聽きまして、私も見ましたら表題は公聽会となつている。それは編輯者が悪い、中身は調査委員会、それから今指摘なさつた乘船名簿が提出されなかつたということについては、私はあの記事について記憶はありませんが、若しそういうことを言つたとすれば、調査についてはああして提出されたものがそのままそれでいいのか、更にナホトカにおいて同じ作られたものはある筈だ。ソヴエト大使館にもあろうと思う。そういうものがなかつたという意味ではないかと、こういうふうに考えるわけであります。
#33
○委員長(紅露みつ君) お諮りいたします。大概議論も出盡したと思いますので本件については十三名の行方不明、三名の死亡者はなかつた。こういう結論をこの間の証人喚問で得たと思います。御異議のない方は御挙手をして頂きましよう。
   〔挙手者……〕
#34
○委員長(紅露みつ君) 全員挙手と認めます。これは死亡者も行方不明者もなかつたということを本委員会において確認されました。
#35
○委員長(紅露みつ君) 速記を止めて……。
   〔速記中止〕
#36
○委員長(紅露みつ君) 速記を始めて……。
#37
○岡元義人君 この問題はあらゆる機関をして國民に知らしめるということが一番委員会の当初においてはつきりしたわけです。ところでこういう特殊な問題はその結果をば各議員にも、ただ委員会だけで取上げたというだけでなく、本会議において、その結末をば十分各議員にも報告し、又全國民にその内容を報告するという措置が取られて然るべきだと思う。それを國会で報告する、そういうような内容と内容が違うと思う。
#38
○北條秀一君 議員、國民に知らすということは速記録もあるから差支ないと思う。
#39
○細川嘉六君 委員長のさつきの取極めについては、繰返しますが、あの二日間の調査委員会ではということを附加えることを絶対に必要なものであると思います。あなたの言葉にはそれが拔けておつた。
#40
○委員長(紅露みつ君) それでは一言申上げますが、あの委員会を通じて結論を得るということは、これは断わるまでもないことと思います。あれより外に、私共外に出て調査するとか何とかということはない筈で、断わる必要はないと思います。委員会の結論なんで、そんなことを書く必要もなかろうと思います。勿論あの委員会によつての結論だと思いますから……。
#41
○細川嘉六君 それは事柄を、非常に條件付のものを絶対的なものに振替えておる。
#42
○委員長(紅露みつ君) そんなことはないでしよう。
#43
○細川嘉六君 あの委員会ではという附け文句は絶対的に主張します。
#44
○委員長(紅露みつ君) あの委員会より外に何によつて私共は結論を得ておりますか。そんなことを言うなら、どの委員会でもこの委員会においてはと断わらなければならないと思います。
#45
○北條秀一君 それは論理学を言いますが、論理の問題ですが、このことについては委員会がそういう最後の委員会の権威を以て、これはこうだというふうに結論付けて、それは飽くまでも全員を拘束するというだけの権限が委員会にあるならばそれは別ですが、あの問題についてはあの委員会にはそういう権限はないのです。ですからその点は細川委員の言われた点を我々は寛容にこれを理解しなければならん。
#46
○委員長(紅露みつ君) 私はそれを断わる必要はちつともないと思います。とにかくあの神聖な委員会において宣誓をして貰つて、その証言で、又その証拠によつて結論をここに全委員が認めた以上、この委員会で、と断わらなければならないのはちよつと……。
#47
○草葉隆圓君 もうその話は先に挙手で以て話が済んだ後で、又ごたごたしておりますのですから、これは決定したものと私は認めます。從つて本日はこれを以て散会されたいという動議を出します。
#48
○委員長(紅露みつ君) 本日はこれを以て散会いたします。
   午後四時一分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     紅露 みつ君
   理事
           天田 勝正君
           草葉 隆圓君
           岡元 義人君
   委員
           水久保甚作君
           北條 秀一君
           穗積眞六郎君
           矢野 酉雄君
           細川 嘉六君
           千田  正君
ソース: 国立国会図書館
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