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#1
第061回国会 石炭対策特別委員会 第10号
昭和四十四年四月十七日(木曜日)
    午前十時四十五分開議
 出席委員
   委員長 平岡忠次郎君
   理事 神田  博君 理事 菅波  茂君
   理事 三原 朝雄君 理事 岡田 利春君
   理事 八木  昇君 理事 田畑 金光君
      桂木 鉄夫君    金子 岩三君
      佐々木秀世君    澁谷 直藏君
      進藤 一馬君    田澤 吉郎君
      塚田  徹君    西岡 武夫君
      八田 貞義君    藤波 孝生君
      古屋  亨君    三池  信君
      多賀谷真稔君    中村 重光君
      細谷 治嘉君    渡辺 惣蔵君
      大橋 敏雄君
 出席国務大臣
        通商産業大臣  大平 正芳君
        労 働 大 臣 原 健三郎君
 出席政府委員
        通商産業政務次
        官       藤尾 正行君
        通商産業省鉱山
        石炭局長    中川理一郎君
        通商産業省鉱山
        石炭局石炭部長 長橋  尚君
        通商産業省鉱山
        保安局長    橋本 徳男君
        労働政務次官  小山 省二君
        労働省職業安定
        局長      住  榮作君
 委員外の出席者
        通商産業省鉱山
        石炭局石炭部鉱
        害課長     佐々木茂行君
        労働省職業安定
        局失業対策部長 上原誠之輔君
        労働省職業訓練
        局訓練政策課長 塩田  晋君
    ―――――――――――――
四月十七日
 委員佐藤洋之助君、南條徳男君、西岡武夫君、
 廣瀬正雄君及び三池信君辞任につき、その補欠
 として桂木鉄夫君、田澤吉郎君、古屋亨君、藤
 波孝生君及び塚田徹君が議長の指名で委員に選
 任された。
同日
 委員桂木鉄夫君、田澤吉郎君、塚田徹君、古屋
 亨君、及び藤波孝生君辞任につき、その補欠と
 して佐藤洋之助君、南條徳男君、三池信君、西
 岡武夫君及び廣瀬正雄君が議長の指名で委員に
 選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 石炭鉱業経理規制臨時措置法の一部を改正する
 法律案(内閣提出第四五号)
 炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案
 (内閣提出第四〇号)
 石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法
 律案(内閣提出第三六号)
 石炭鉱業再建整備臨時措置法の一部を改正する
 法律案(内閣提出第三七号)
     ――――◇―――――
#2
○平岡委員長 これより会議を開きます。
 炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案、石炭鉱業経理規制臨時措置法の一部を改正する法律案、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案、石炭鉱業再建整備臨時措置法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。
 質疑の通告がありますので、これを許します。岡田利春君。
#3
○岡田(利)委員 第四次答申が去る十二月の二十五日に出されて、政府はこれを受けて一月の十日閣議決定をし、本委員会に石炭関係法案それぞれが提出をされておるわけです。しかも今日までの議論を通じて、石炭問題というのはいわば体制問題である、そういう問題意識の上に立ってこれからの石炭対策を進めなければならぬ、こういう基本的な考え方については政府と私どもはほぼその認識が一致いたしておるものと考えるわけです。したがって、その認識を今後体制問題としてどのように具体化していくつもりなのか、こういう点についてよりその認識を具体的にこの際お聞かせ願いたいと思うわけです。
#4
○中川(理)政府委員 今回の石炭鉱業審議会の答申に基づきまして、また本委員会で各委員から賜わりました御意見を十分勘考いたしまして、私どもとしては石炭鉱業審議会の中に体制委員会とでも申すべきものを新設いたしまして、石炭鉱業の体制整備に関する問題を積極的に審議していくことといたしたいと考えております。
 この委員会には石炭鉱業再編成小委員会、鉱区調整等小委員会の二つを設けまして、前者のほうにつきましては企業の統合、販売機構の合理化等、石炭鉱業全体にわたります体制面の基本構想というものを検討していただくということにいたしたい。その際の小委員会の人員構成につきましては学識経験者を中心にいたしまして、労使の代表をこれに加えまして小委員会を構成する。そして来年の八月ごろまでには何がしかの結論を出していただくように審議をお願いする、こういうことにいたしたいと思っております。委員の人選、審議スケジュール等の詳細は至急に私のほうで進めたい、こう考えております。
 なお、鉱区調整等小委員会におきましては、いま申しました再編成小委員会で全体的な基本構想というものを御審議していただくつもりでおりますので、それらの基本構想についての結論が出ます間漫然と時間を過ごすということではなくて、鉱区の調整、施設の効率的な利用といった面で、生産流通面にわたる具体的な――全体の基本構想から申しますと部分的かはしりませんけれども、具体的な案を中心に検討を願って、できるものから実施に移してまいりたい、かように考えております。
#5
○岡田(利)委員 今回の石炭政策の中で、特に新しい制度として合理化臨時措置法の改正案の中に俗にいう企業ぐるみ閉山、こういう問題が提起をされてまいったわけです。特にこの企業ぐるみ閉山の場合には、いままでの政府の説明によりますと、労働債務については七五%、金融債務については五〇%、さらに一般債務、鉱害債務についてはそれぞれ相当の交付金をその場合交付する、こういう説明が今日まで行なわれてまいったわけです。しかし労働債務の把握のしかたというのは、私はいろいろな把握のしかたがあると思うわけです。いわば従来の慣例として閉山が行なわれた場合支給される諸手当、未払い賃金、これを総括的に把握をするのか、あるいはまた部分的にある程度内容を整理をして把握するのか、このことによって非常に大きく違ってくるわけです。いわば慣行の総括的な把握というものはどうも具体性が欠けておるのではないか、私はかように考えるわけです。したがってむしろこの際、政府が交付するのでありますから、問題点を整理をして、それぞれ最も労働者の実感に即応するような措置をとることが、今日賢明であろうし、そのことがひいては残る炭鉱側の労働者に安心感を与えることによって労働力の安定確保をはかる、こういう方向が石炭の前向きの立場に立つ場合には最も賢明でなかろうかと私は思うわけです。この際そういう立場でひとつ労働債務をどのように把握をし、具体的にどう処置をされるのか、その内容について明確にお答え願いたいと思います。
#6
○中川(理)政府委員 御指摘のとおり、いままで当委員会で政府の考え方としてお答えいたしておりましたのは、他の債務よりは労働債務に対しましてはより手厚い交付金の交付を考えるべきであるということを、他の債権に対しまして五〇%という表現をとっておりましたのに対比いたしまして七五%という感じでお答えをしておったのでございますが、これはしからばいままでの閉山の際の労働者諸君が受ける退職金というものから見て、具体的にどういうことであるかということについてはさだかではなかったわけでございます。政省令段階で明らかにするというつもりでおったのでございますけれども、いろいろ御意見等を拝聴いたしまして、この際なるべく具体的にかつ早く明瞭にすることが、御趣旨のような角度で必要であろうと存じまして、ただいまのところ政府といたしましては次のように考えております。
 一つは特別交付金によります退職金の手当につきまして、当該企業の過去の一定時点までに定められておりました退職金の支給規程というものをある程度尊重いたしたい。そうすることが具体的な個々の労働者にとりまして、おそらく頭の中で自分がやめるとすると幾らもらえるのだと考えておりました予想に的確に答え得ることにはなるのではなかろうか、こう考えまして昨年のある時点に有効であって、今後も有効である退職金支給規程というものに基づきまして、その退職金規程の中で自己都合で退職をする場合の退職金の全額に相当するものを第一番目の項目として考えたいと思います。ただしこれは非常に具体的であり、かつ明瞭ではございますけれども、それぞれの企業の退職金規程に基づいておりますので、かなり計算のしかたあるいはその金額等において差等がございます、格差がございます。そこで国としてはある程度特別交付金によって退職金を支給してあげるということでございますために、国の立場といたしまして今回の特別交付金による閉山によって職を離れる労働者というものに対しましてある程度公平な扱いをいたしたいという気持ちが反面ございますので、自己都合分で計算するものは個々の退職金規程によることといたしますけれども、退職金支給規程の中には会社の都合によって退職をする場合の加給の制度があるのが一般的でございます。この加給金の計算に対しましてはいま申し述べましたような公平さといった観点から若干の修正をいたしたい、こう考えておりまして、大手の石炭企業をベースといたしました平均値に準拠いたしまして算定した金額を交付いたしたい、こう考えております。
 第三番目でございますが、解雇予告手当という形で過去三カ月間の平均賃金の三十日分というものを交付いたすことにいたしたい、かように考えております。なお、このほかに通常閉山の場合に受けております期末手当の見合い分というものに着目いたしまして一律一人五万円の特別加給をいたしたい、かように考えております。その他、未払い賃金、社内預金というものが過去のものとしてございますものにつきましては、それの七五%というものを交付することといたしたいと考えております。
 以上のものの総合計を頭の中に置きますと、それぞれの会社がいままで閉山をしました場合に既存の退職金規程のほかに、閉山の際にそのつど結んでおります協定によって支給される額の実績から見まして、従来御説明しておりました大体七五%ぐらいに相当するものを具体的な項目として明定いたすということに相なろうかと思うわけでございます。
 くどいようでございますが、あるものにつきましては一〇〇%見、あるものについては標準的なもので考える。その他、各社にございます閉山の際のそのつど協定による諸種の加給というものを整理いたしまして、その中で政府として最小限見なければいかぬだろうと判断いたしたものを、以上申し述べましたように計上して、これを政省令段階で具体的に明確にいたしたいと考えている次第であります。
#7
○岡田(利)委員 山が閉山になっていま政府が述べられたそれぞれの交付金が個人個人に支給されるわけですが、今日の労働事情あるいはまた炭鉱の社会的な置かれている実情等を勘案いたしますと、いわゆる労働力の流動性を確保する、促進をしていくという立場に立ちますと、やはりそういう交付されるものが現実に即して消化されなければならぬのではないか、こういう判断を私はするわけです。いわば本委員会に政府が説明しておりますように、すべての交付金は昭和四十四年、四十年度二カ年に半額ずつ分けられて交付される予算上の措置がなされているわけです。しかし、山が閉山されて、山から去る人も数多く出てまいるわけですから、そのためには次へ転進の費用等もいろいろかかる。こうなってまいりますと、そういう現実に即した措置をとることがこの際政策的には最も望ましいのではないか、こういう見解を私どもは持っているわけです。こういう点について特にいま述べられた問題をどのように具体化されていくのか、見解を承りたいと思います。
#8
○中川(理)政府委員 御指摘のように予算の制度上ではいまお答えいたしました退職金を二カ年に分けまして分割して交付するということに定めております。これは御承知のように特別会計の収入の状況から見ましてやむを得ずとりました措置でございますが、御指摘のように退職金がなるべく早く労務者の手に渡るようにということはいろいろな角度で望ましいことでございます。そこで事業団から交付金を交付いたします場合も事務的に交付額を確定するということには若干の期間もかかることになろうかと思いまして、その点、何らか便法を考える必要があるのではなかろうかと考えておる次第でございます。この趣旨から見ましてただいま鋭意検討を進めておりますことは、交付額のうちの一定限度の金額につきまして金融機関からの融資によって早急に本人に手渡す、そうして確定がございまして事業団から交付いたすときに金融機関が本人にかわって代理受領ができるということを承認いたしますならば比較的早く、一定限度の金額という制限はございましょうけれども、お渡しすることができる。それによって転職その他いろいろな面で便宜がはかれるという感じがいたしておりますので、この方向につきまして至急検討の上で善処いたしたいと考えておる次第でございます。
#9
○岡田(利)委員 この際、過去の閉山に伴ういわば労働債務の支払いの方法等を見ますと、その属する道県等の協力を得て、その金額の調達方法等について便宜をはかろう、いわば合理化事業団で確定したものを本人にそれぞれ通知するわけですから、そういう方法がとられているわけです。特に政府として、この問題の消化の場合にはこういう点について努力すべきだ、私はこういう見解を持っておりますが、この点についてはいかがでしょう。
#10
○中川(理)政府委員 御趣旨のように私ども考えております。なお若干折衝をする余地がございますので、そのとおりに相なるということをいまお答えするわけにはいきませんけれども、場所によりましては、労働金庫の資金力に不足なところもございますし、地元の地方銀行等から融資をさせるという上で、たとえば当該県の県のほうから預託をさせる等の方法によりまして、いまの融資額が具体的に働き得るような努力というものはいたしたいと考え、目下それぞれのところと御相談をいたしておる状況でございます。
#11
○岡田(利)委員 明治鉱業の閉山は九州三山、北海道二山でございまして、特に今度の企業ぐるみ閉山にあたって明治鉱業としては出炭量の半分以下のワク内において九州の三山を分離し、新会社においてこの点についてはそのワク内において石炭の仕事が継続される、こういう方向が本委員会でも説明になっておるわけです。しかし、北海道の昭和、本岐についていろいろ論争してまいりましたし、また一応出先機関ではこれらの山については調査をしたという経過もございまして、いわばこの存廃については政府の調査団を派遣してその上で存廃をきめるということが最も妥当ではないか、しばしばこういう意見を述べてまいったわけですが、この点について政府の見解を承りたいと思います。
#12
○中川(理)政府委員 本委員会でたびたび同様の御趣旨の御意見を承ったのではございますけれども、北海道の二山を残し得るかどうかということにつきましては、会社側の判断、あるいはこれを引き受けようとする企業の有無ということを考えますと客観的情勢といたしましてはもはや炭鉱の存続決定のために政府調査団を派遣するというような余裕がない、これは無理であるということで判断をいたしております。
#13
○岡田(利)委員 杵島炭鉱及び明治鉱業所はいずれも四月一日をもって閉山をしたい、そういう意思表示が労働者側あるいは通産省側にも述べられておったわけであります。しかし新政策がどのように実施されていくか、どのようにきまっていくかというような国会審議の状況等もございましたし、その間、労使の交渉等もございまして今日まで延びてまいっておるわけです。しかもいま政府が述べられましたように、北海道二山については、今日の客観的な情勢から判断して調査団を派遣するという点については、もうその時期を逸しておるという見解も述べられておるわけですが、特に東京はきょうも雪が降っておりますように、昭和炭鉱はいま雪に埋もれておる、あるいは北海道の寒冷地の実情等もあるわけです。したがって、やはりここらの面については労使が話し合いがきまり、閉山をしていくという前提に立つ場合には、その実情に即した配慮を必要とするのではないか、あるいは過去の経過の実態にどう対処するか、こういう問題も考慮せざるを得ないのではないか、私はかように考えるわけですが、この点についての見解を聞きたい。
#14
○中川(理)政府委員 いろいろの御希望、期待があったにもかかわらず、明治鉱業の本岐と昭和は閉山せざるを得ないという判断をいたしておるということをただいまお答えいたしたわけでございますが、それにいたしましても、当初会社側が考えておりました四月一日の閉山ということが、労使間の話し合いになお時間を必要とした状況でございまして、現在の時点までまだ話がついておらない、近く話はつくものと私どもは期待しておりますが、事実問題としていままで延びてきたということがございまして、この間の賃金支払いというものを否認して事態の円滑な解決がはかられるという期待はできないと存じます。しかも一方明治鉱業にいたしましても、杵島にいたしましてもこの分の賃金支払いをするだけの余裕がないところがら四月一日の閉山ということを提案してきたという事情を考え合わせますと、事態の円滑な解決をはかるためには私どもとして国の立場から若干の応援を必要とするのではなかろうか、こう考える次第でございます。
 なお昭和、本岐には先ほど申しましたいろいろの期待と希望があったのを閉山に持ち込まざるを得ないという状況と、九州地区と違いまして確かに積雪地の中で四月の初めに閉山、解雇というようなことを行なうことは、実際問題として労働者各位にとって非常に困難と苦痛を与えることであることは間違いのないことでございますので、私どもは大蔵省と協議をいたしました上で、杵島と明治鉱業の九州三山につきましては半月分、四月一日から十五日までの半月分、明治鉱業の本岐と昭和両鉱の分につきましては四月一ぱいまでの一カ月分を経過金融の追加ということによりまして善処をいたしたい、これによって円満なる事態の解決をはかっていただきたいという気持ちでおります。
#15
○岡田(利)委員 新政策のもとに今後石炭政策を進め得る上で最も重要な問題は数多くありますが、その一つとしてやはり金融対策というものをどのようにするか、この問題が非常に重要な課題であります。すでに政府は今年度予算において市中銀行にあまり多くの期待ができないという現状の中で、無利子金融制度を新しく合理化事業団の手によって行なう予算措置をいたしたわけです。しかし一方において肩がわりが行なわれ、しかもその期待としてはその場合に担保を抜いて担保能力のあるものを今後の運転資金等に使う、こういう方向で金融の円滑化をはかりたいという説明が行なわれてまいったわけです。しかし、この金融対策については、そう政府は言いますけれども、なかなか多くの困難というものがすでに予測されておるのではないか、こう考えます場合に、今後の金融措置について特に政府自体としても配慮を加えざるを得ない状況になるだろうと判断をいたしておるわけです。したがって、金融措置についてはどういう考えを持たれておるか、この際見解をひとつ承っておきたいと思うのです。
#16
○中川(理)政府委員 昨年の石炭鉱業審議会における審議の中で最も困難かつ重要な問題でございましたものの一つが、石炭鉱業に対する金融の逼迫といった事態を制度的にどう解決するかという事柄であったのでございます。結論といたしまして、御指摘のような合理化事業団による無利子融資制度というものを大幅に拡大いたしまして、石炭鉱業が必要とする長期資金の確保をはかる、さらに一千億円程度の再建交付金の交付によりまして約定に従って刻々と返済を迫られてくる既借り入れ金の返済のための資金繰りの困難というものを再建交付金制度によって解決をしてやる。しかも、この再建交付金制度に際しまして、担保抜きの措置を講じ得る制度を講ずるということによりまして、企業の資金繰りというものについてのおおよその見定めをいたしたわけでございます。
 短期の運転資金につきましては、出炭が予想どおりに出てまいりますならば、炭代見合いということで所要の資金融通は受け得るもの、こういうふうに判断をいたしたのでございまして、このような観点から考えますと、今回の制度の中で制度的に打ち出されておらないのは短期資金の問題である。これは炭代見合いで市中銀行が協力してくれるものという前提に立っておるわけでございます。不測の事態、たとえば災害でございますとか、採掘の状態によって一時的に断層が出てまいりまして短期間の出炭が思うように出ないというようなことも、これは石炭鉱業の通性といたしまして避けがたい事態であるということも考えられないわけではない。そのことによって運転資金のショートから、たとえば一時的に賃金等の支払いにこと欠くというようなこともあり得ないことではないと私どもは予想いたしております。そのような際には、事情に応じまして、政府といたしましても適宜金融のあっせんに積極的に努力をするということをもって対処いたしてまいりたいと考えておる次第でございます。
#17
○岡田(利)委員 けさの新聞によりますと、麻生産業も五月一日から閉山を行ないたいということを労・職の組合に態度を表明したということが報道されているわけです。この点については、労・職にそういう意思表示をすると同時に、政府に対してもそういう意思表示がなされたのではないか、こう思うのでありますが、この点についてどのようになっておるのか、承っておきたいと思います。
#18
○中川(理)政府委員 麻生産業につきましては、特別交付金制度の具体的な適用の説明、その他諸種の事実行為としての相談はいままで受けてまいりましたけれども、閉山についての正式の申し出というものはきょうの状態ではまだ私どもは受けておりません。新聞の報道は私も読んだのでございますが、推測といたしましては、近い時点にそういう話が正式に出てくる可能性は大いに強いわけでございますので、あながち根も葉もない報道であるとは思っておりません。
#19
○岡田(利)委員 閉山に伴って、私どもはこの委員会で組夫に対する離職金を支払うべきじゃないかという問題を提起をしてまいりました。私ども今日の炭鉱における組夫の実態についていろいろ調査等もいたしたのでありますが、いわば保安法規に定められておりますように、組夫を使用する場合については届け出をするということになっておるわけです。しかし、今日の組夫の状態というのは、個々の山によっては非常に安定度の高いものと、あるいはまた非常に人がかわるというところ、いろいろ実態はずいぶん差があるのではないか、こういう受けとめ方を実は調査の結果いたしたわけです。しかし、いずれにしても、やはり炭鉱労働者でありますから、災害等を考える場合に、この組夫の把握のしかたというものについて、さらに政府としてもより具体的な適切なる対策が講じられなければいかぬのではないか、そしてまたそれに伴う離職金等についても、その上に立って十分検討されなければならぬ問題だと私は思うわけです。一方において、すでに杵島炭鉱並びに明治鉱業が企業ぐるみ閉山をするということになりますと、それと同時に組夫も山から離れなければならないという事態になるわけです。したがって、今日すでに提案されておる面については、しかしそういう趣旨を生かして、その企業においてできるだけの措置をとることが望ましいのではないか、私はこう思いますし、またこれからのあり方としての組夫の実態を明確に把握し、そういう上に立って制度を検討するという点についてはやぶさかであってはならないと思うのですが、この点についての見解を承っておきたいと思います。
#20
○中川(理)政府委員 今日歴史と伝統のある大手会社の解散という事態に遭遇いたしまして、いろいろ調べてみますと、かねがね私どもは組夫問題というのはたいへんやっかいかつむずかしい問題であるとは承知しておったのでありますが、予想以上になかなか問題点が多いという感じを抱いたわけでございます。急速の間には合いませんけれども、法律的に制度としてできております組夫の承認制度につきましてももっと考え直すことが必要であるかもしれません。また石炭鉱業の実態からいたしますと、そのことがどうなるにせよ、ある限度の組夫の使用というものがまた実際上必要であるという実態もある。この辺のところは、今後組夫の使用承認の問題というものをどう割り切っていったらよいか、いろいろ検討とくふうを必要とする事項が多かろうかと存じております。
 なお、その中で、組夫に対する離職金の交付という問題も、御指摘のように、両点あわせて考えるべき問題があろうかと考えております。この問題は、今日ただいまの急場の間には合いませんので、はなはだ残念でございますけれども、今後御指摘の方向でひとつ積極的な検討を至急にいたしたいと考えております。しかし、そういうことではございますけれども、杵島炭鉱、明治鉱業の両社の解散にあたりまして、実際の問題としての組夫の処遇については何がしかの実態的な措置をとることは事態の円満解決ということに必要であると考えておりますので、政府のほうでできるだけの協力をいたしまして、実態的に離職金の交付に該当するようなことを実行させるということを両社の間にかたい約束を取りかわしておりますので、事実問題として今回の際は解決をさしていただきたいと考えます。
#21
○岡田(利)委員 北海道の産炭地鉄道の問題についてこの際伺いたいのでありますが、いわば北海道は御承知のように水産と石炭の開発によって北海道の開発が進められた。そういう中で石炭開発というものがいち早く取り上げられてまいったわけです。しかも国鉄、私鉄等がございませんでしたから、勢い石炭を掘るためにはまず鉄道を敷く。しかも歴史的な経過の中でそういう鉄道が国鉄に吸収をされる。なおかつ遠隔の地に炭鉱がございますから、それぞれの炭鉱が専用鉄道で石炭を運搬する体制を確保しなければならない、こういう歴史的な経過があるわけです。したがって、北海道の特殊事情として九つの産炭地鉄道があることは御承知のとおりであります。したがって、産炭地鉄道の場合にそういう実情がございますから、炭鉱が閉山をするということになりますと、炭鉱とともに産炭地鉄道も閉鎖を余儀なくされる、こういう事態があるわけです。そういうことによってそれぞれの債務あるいは労働者の退職金等が確保できれば問題はないのでありますけれども、急激に山とともに鉄道もやめなければならないという場合には、やはり地域に相当の混乱が起こることが実は容易に予測されるわけです。しかしいずれにしてもほとんどの炭鉱の場合には、地域の発展に伴って鉄道は分離したけれども、もとは炭鉱の労働者としていわゆる炭鉱企業の中に包括されておった。それが最近の地域開発等の面を見て、一応分離形式をとって新たに鉄道だけの会社が創立されておる、こういう面が非常に大きいのであります。したがって、これらについては、山が閉山をする場合には鉄道も閉鎖をしなければならぬという事態の場合には、当然そういう面で企業がその中でともにやめなければならぬという場合に、一緒になってやめるという事態もあるでありましょうし、またそうでない場合も特殊な例としてあるでありましょうけれども、いずれにしてもこういう問題に対処して運用上措置をしなければならぬ面が出てくるのではないかと私は思うわけです。この点が第一点として、どういう考え方を持たれておるか。
 さらにまた、産炭地鉄道自体も、今日の石炭の実情の中でなかなか運賃料金を上げることもできない。コストアップの要因につながるという面で、そういう点については資本がほぼ似通っておりますから、この問題を割り切っていくことはなかなか困難な問題もございます。しかし機関車や貨車等の場合には、純然たる炭鉱の石炭を輸送することにのみ機関車、石炭貨車等が使われておるというような現状もございますし、あるいはまた産炭地鉄道でございますから産炭地域であることは間違いのないことでありまして、ある一方においては、産炭地振興のために鉄道がある程度寄与する場合に、むしろ積極的に歓迎されるべき性格もある、こういういろいろなことが想定されるわけでありますが、こういう産炭地鉄道に対していままでの委員会で問題になってきたわけですが、政府の考え方をこの際承っておきたいと思います。
#22
○中川(理)政府委員 御指摘のように、産炭地鉄道の問題はなかなかむずかしい問題でございます。実態は私どもも非常によくわかるのでございますけれども、石炭政策という範疇の中で、どこまで処理し得るかということになりますと、いろいろと限界がございまして、次のように申し上げる以外に道がないのではないかと考えております。結論といたしまして、炭鉱と経営を異にする産炭地鉄道の従業員を炭鉱労働者に準じて措置するということは、関係各省とも鋭意検討はいたしましたが、きわめて困難であると申し上げるよりほかないのでございますが、御指摘のように沿革的にもと炭鉱の輸送部門としてあったという実態がございますので、もし両者の意思が一致いたしましてこのもとの状態にもう一度復するというようなことが事実上可能でありますならば、その形の中である程度のことは考え得るのではなかろうかと、こう考えております。
 第二点の産炭地鉄道に対する融資という点でございますが、御承知のように合理化事業団は石炭企業にしか融資をいたすわけにはまいらないのでございます。と申しますことは、経営を異にしております産炭地鉄道そのものに対して直接融資の道というのはないのでございますが、御指摘のように実態的には炭鉱経営の輸送部門であるという実態があるわけでございますので、機関車、貨車等の更新でございますとか、あるいは合理化でございますとかいう実態が起こりました場合に、炭鉱に融資をいたしまして、炭鉱会社の社有車として私鉄に運営をゆだねるとか、あるいは賃貸しするとか、いろんな形態があり得るだろうと思いますので、そういう制度の限界内でできますことはできるだけ努力をいたしたいと考えております。また、産炭地域振興事業団の融資の道も考え得るわけでございます。これは制度的には炭鉱会社そのものに融資するのはなかなかむずかしいかと思いますが、私鉄がたとえば産炭地振興に寄与するような形での事業の上に必要とする資金というものがございました場合、たとえばバス路線を新たに行なうといった場合、産炭地振興の趣旨に合致するというものでありますならば融資の道も開け得るのではなかろうか、このような観点から、制度上、それから両事業団の資金上の制約はございましょうけれども、実質的に私鉄の資金援助というものができる範囲におきましては、実行上制度の活用ということを私どもといたしましても促進をいたしたいと考えております。
#23
○岡田(利)委員 炭鉱の労働力の確保ということは、特に先ほど述べましたように非常に緊急かつ適切な施策が望まれるわけです。しかし炭鉱の所在地は大半いわば市街地から離れておる、遠隔の地にあるという実情等を考え、また地下労働であるという面では炭鉱体制が普通制度化されておりますので、住宅問題等が実は一番労働者確保の面で重要な事項として取り上げられ、対策が進められなければならぬわけです。今回の予算では合理化事業団の無利子融資の中に住宅融資というものを行なうということで予算説明が行なわれておるわけですが、しかし私はそれだけではなかなか問題は解決しないのではないかと思う。もちろん国は、いろいろの制度もございますし、それを総合的に運用し、住宅を確保するという面でもう少し深く検討されてその対策が講じらるべきだという点についても意見を述べてまいりましたけれども、この点についてのその後の検討の結果について伺っておきたいと思います。
#24
○中川(理)政府委員 雇用の安定を確保するという意味で、御指摘の点はまことに重要なことと考えております。石炭鉱業合理化事業団が行なう無利子貸し付けの一環に炭住の改善事業を組み込むことといたしておりますことは、いままでにお答えしてきたところでございますけれども、炭鉱住宅の新築につきましても、年金福祉事業団、住宅金融公庫等、国の諸制度の多元的な利用と活用をはかるという御指摘はまことにもっともなことだと存じます。目下この両制度あるいは建設省の行なっております不良住宅の改良事業といったもの等とのからみで総合的多角的に積極的な融資というものを推進すべく、かなり具体的に検討を進めておる状況でございます。
#25
○岡田(利)委員 先ほど、石炭鉱業審議会の中に体制委員会を設け、その中に鉱区調整の小委員会を設けて、現実に鉱区の調整を必要とする個所については具体的にこの問題について検討していく、こういう答弁がなされたわけです。しかし私は、将来の日本の石炭産業のあり方、また、ある程度長期的な視点に立って展望する場合には、鉱区問題というものがより合理的に調整されてまいらなければならぬ不可欠の要件だと思うわけです。それぞれの単位炭鉱は施業案を出すわけですが、その施業案というものは、総合的に見た場合に、総合的に採掘するほうがより合理的であり、経営をまたより総合的に安定化するという場合には、積極的にそれを進めなければならぬと思うわけです。私どもは、できれば今度の法律を施行する場合には、その条件として鉱区というものは、むしろいろいろ商法上の問題はあるでしょうけれども、いわば端的に申し上げますと政府に供出をする、このくらいの受けとめ方でこの問題に対処すべきだ、こういう見解を実は持っておるわけですが、非常に石炭鉱業のあり方の基本に関する問題でありますので、この際見解を承っておきたいと思います。
#26
○中川(理)政府委員 鉱区調整の積極的な運用ということはかねがね私どもも努力をいたしてまいったところであります。ただいまの御提案は、何がしかの基準に基づいて鉱区の供出義務というものを課するほど積極的に考える必要があるのではないかということだと存じますが、この問題は基本的な問題でもございますので、今後、先ほど申し述べました体制委員会におきましての検討で慎重に審議をしていただくつもりでございますが、さしあたりましては、鉱区の再編、調整がきわめて合理的であると認められる場合等におきまして、合理化臨時措置法上の勧告、決定等の規定を積極的に活用いたしまして、御趣旨に沿った体制の整備につとめたいと考えます。
#27
○岡田(利)委員 すでに数多くの炭鉱が閉山をされておるわけですが、閉山されたあとの産炭地振興というものもまた今日ようやく軌道に乗り始めたと言うことができるのではないかと思うわけです。しかしながら、閉山された炭鉱は、従来の制度ですといわば担保が解決をしない、大正鉱業の場合にはまた別な面で長期的にあと地が利用できないという面もあります。あるいはまた、担保には入っていないけれども、その土地を利用するというような面で自治体のいろいろな要望等も積極的に出されて、あるいはまた産炭地域振興事業団が計画を立案し、これを実施する場合についてもそれが優先的に活用されて、地域全体に奉仕ができ得る方向というものがより望ましいと私は思うわけです。しかも、石炭政策に対してはそういう一つの政府の政策下にございますし、また、産炭地振興についても多額の資金を導入して、その地域の再開発政策を進めておるわけですから、いわば炭鉱のあと地については、そういういわば地方自治団体とか産炭地域振興事業団、こういう計画に乗る場合には最優先的にこれらが供出され――もちろん適正価格の契約等もございましょうけれども、考え方としてはそういう積極的な姿勢の確立が望ましいのではないか、こう私は判断をするわけです。したがって、そういう点については、さらに肩がわりを行なうような場合に、特にその面を明確に所有炭鉱会社に対しても協力を要請するという積極的な姿勢が私は大事だと思うわけです。先般大平大臣も私の質問に対して、この趣旨には全く同感である、そういう方向で進めたいという答弁がございましたけれども、この際この件についても政府の見解を明確に承っておきたいと思います。
#28
○中川(理)政府委員 閉山炭鉱のあとの地の処理にあたりましては、法制上、担保権者や債権者の権利まで制限するということはできないのではございますけれども、このあと地の公共的利用をはかるという御趣旨につきましては、私どもは全面的に賛成でございますので、個々のケースに応じまして、積極的な指導あるいは調整、あっせんということにつとめたいと考えております。
#29
○岡田(利)委員 今日の商法上のたてまえからいいますと、いわば炭鉱企業は関連会社を含めて総合的な経営が行なわれておる、こういう実態にございますけれども、しかし長期的な視点に立つと、私は次のような心配があると思うわけです。いわば総合性が確立した会社はむしろ炭鉱だけを分離してしまうというようなこととか、あるいはまた、いままで炭鉱が所有しておったあらゆる施設を利用して、その中で新しい会社組織をその炭鉱会社がつくっていく。こういう場合にこれらの経営上の組織形態の整理ということがやはりどうしても考えられてくるのではないかという見解を実は持っておるわけです。しかしそれが無秩序に行なわれてまいりますと、私は、炭鉱そのものが形骸化してしまう、いわば将来の石炭政策を進める場合において大きな障害となりかねない場合が予想されるのではないか、こういう心配を実はいたしておるわけです。したがって、石炭産業の安定を進めていく場合において、これらの問題についても十分配慮し、指導なされなければならない。むしろそういう重大な組織の変更については通産大臣の許可を必要とするというくらいの立場が明確にされてしかるべきではないか、こう思うのでありますが、この点についての見解を承っておきたいと思います。
#30
○中川(理)政府委員 炭鉱会社の重大な組織の変更につきましては、これら石炭会社に対して政府から多額の助成が与えられておるのでございますので、そういった会社の重大な組織の変更というものは、政府にとっても石炭政策を所期どおり進めていくという観点からいたしまして、大きな関心を持つ事柄でありますことは御指摘のとおりでございます。現在の石炭関係法律の中では、こういった重大な組織の変更というものを、そのものとして直接的に規制の対象として取り上げておる規定はないのではございますけれども、実は重大な組織の変更というものは必ず重要な会社財産の移動を伴うことになるはずのものでございます。このような面では再建整備法や経理規制法で財産の移動を伴う事柄についての規定がございますので、この規定に基づきまして遺漏のないよう規制できる仕組みになっておるのでございますから、それを活用いたしまして、御趣旨に沿うようにいたしたいと考えております。
#31
○岡田(利)委員 第四次答申に基づく石炭政策のキャラクター、性格といいますか、基本方向というものはいわば原料炭確保が戦略的に位置づけられておるように私どもは了解をいたしておるわけです。もちろんわが国の原料炭炭鉱は一〇〇%原料炭が出るところはありません。大体最高は八六、七%、普通一般的には五〇%から六〇%程度。したがって、随伴して一般炭が出される、こういう実情にあることは私どもよく承知をいたしておりますけれども、しかし純然たる一般炭の果たす役割りについてもわれわれは重大な配慮を払う必要があるのではなかろうかと思うわけです。特に最近の公害防止の、いわば産業を取り巻く環境の変化というものが、今国会の議論を通じても非常に高まってまいりましたし、政府としてもこの社会的な要望に具体的に対処するという方針も、しばしば関係委員会で説明もされておるわけです。しかしながらわが国のエネルギーの長期的な需給の見通しに立って、これをどう一体確保するのかと−いうことになってまいりますと、どうしても原重油というものが主体になってまいるわけですから、その原重油のわが国の伸び率に対して供給する体制はいろいろ海外開発等について供給源の分散化等も行なっておりますけれども、しかし結果的にやはり何といっても中近東の供給というものがどうしても大きなウエートを占めていくという
 ことは、これまたいなめない事実であろうかと思うわけです。先般アラビア石油の場合についても、
 この原油の引き取りについて、サルファが非常に多いという点についてユーザーのほうから問題点も提起されておるという実情がすでにあるわけであります。ですから私は、先般美濃部知事と木川
 田東電社長の間において、これを補うためには現在重油・石炭混焼火力あるいは石炭専焼火力については、石炭の場合に大体〇・二から〇・八%程度――特に純然たる一般炭地帯の石炭というものはサルファは〇・二%から〇・三、四程度という面がございますので、これをたいて、亜硫酸ガスの放出について積極的な規制を行なうという点が約束されたことも承っておるわけです。いわば石炭政策を立案する審議過程以降、急速に公害問題を中心にして環境というものが変わってきておることは率直に認めざるを得ないのではないかと思うわけです。そういたしますと、わが国の、特にビルドアップ炭鉱といわれる三池炭鉱あるいは松島、常磐炭鉱――電力会社の場合に、今日の制度でも、サルファの多い面については特殊炭としてその値段等についても規制をされておるという面がございますので、高硫黄分の石炭のウエートというものは高まっている、このように実は理解をいたしておるわけです。そういたしますと、結局これらの情勢に対処するためには、低硫黄分の一般炭の確保、そのことによってその数量を確保することによって、いわばブレンドをして利用者側の期待にこたえる体制をつくり上げるということが可能になってくるわけですから、特に低サルファの一般炭の確保については十分配慮しなければならぬ問題だと私は理解をいたしているわけです。しばしば本委員会でもこの点を問題にしてまいったわけですが、この面についての政府の見解を承っておきたいと思います。
#32
○中川(理)政府委員 御意見のように、最近の公害面から見ますと、従来考えておりましたようなことをさらに低硫黄化という意味合いにおいて努力しなければならない実態がだんだん強まっておるわけでございます。御指摘のアラビア石油の引き取りの困難性という点から見ましても、アラビア石油におきましてもフート油田というローサルファ層の開発にようやく成功いたしまして、カフジの硫黄分の高いものとブレンドをするという努力をいまいたしておるわけでございます。石炭政策におきましても、私ども原料炭もさることながら、一般炭の中における低硫黄炭の果たす役割りというものは十分評価いたしたつもりでございますけれども、事態がいよいよそのようなことを必要としておる状況でございますので、電力用炭の需要を長期的に確保するという上から見ますと、低硫黄分の石炭というものの確保というのはだんだん緊要度を高めてくると考えております。実際上この要請にこたえる手段といたしましては、合理化事業団における無利子融資制度の実行の上で低硫黄炭に十分な配慮を加えて運用をいたしたいという考えております。
#33
○岡田(利)委員 産炭地振興対策についてこの機会に承っておきたいと思うのですが、さらに今度の新政策で炭鉱の終閉山というものが進められて、より一そう産炭地域経済の疲弊というものは予測できるわけです。したがって政府は今年度予算において、石炭特会の中から、特に産炭地自治体に対しては産炭地の振興のための臨時交付金制度を設けて、十億円の予算がすでに今国会で通過をいたしておるという面もあるわけです。このことは、そういう自治体認識の上に立ってこの措置をとられたものと私は考えるわけです。しかしながらこういう方向というものは、より具体的に煮詰められてまいらなければなりませんし、また公共事業のいわば割り振りといいますか、あるいはまた産炭地振興、より健全な産業開発を進めていくという意味では、中核企業というものを導入するという点についてはなお一そう努力をしなければならぬ問題ではなかろうかとも考えるわけです。あるいは本委員会でもしばしば問題になりましたように、産炭地域の旧炭鉱の住宅をそのまま住宅として供せられて、そうしてそれがスラム化している、あるいはまた失業者が非常に多く、かつ生活保護者も増大の傾向にある、これは所管は違いますけれども、これらの青少年対策としては、補導員をふやすとか、あるいはまた教育上についてより他の地域とは違った配慮をする、こういう点がやはり総括的に進められなければならないと思うわけです。この内容にはいろいろ関係各省の関係もございますけれども、今日この政策を進めるにあたって、産炭地域振興対策についてはどのような見解を持たれておるか、承っておきたいと思います。
#34
○中川(理)政府委員 産炭地域自治体に対する財政援助につきましては、当省といたしまして御指摘の新しい産炭地域振興臨時交付金の予算を設けた次第でございます。これによって特別の措置を講ずることといたしておりますが、十億円の当交付金によりましてすべての問題が解決するわけではないことはもとよりでございます。したがいまして地方交付税の配分にあたりましても、自治省に対しまして優先的な配慮を払うようかねていろいろと要請もいたしておりますし、今後もそうして実際適切な配分をいたしていただく所存でございます。また公共事業費の割り振りにつきましても、それぞれの事業所管の関係省の従来以上の積極的な協力を求めてまいりたいと考えております。
 第二に、産炭地域振興のための中核企業の導入といった問題につきましては、国がこれに積極的に努力すべきことは御指摘のとおりでございます。産炭地域振興事業団の機能の強化と相まちまして、企業の誘致活動を活発にいたす等、一そうの努力をいたしたいと考えております。
#35
○藤尾政府委員 御質問の内容が、ただいま中川局長から申し上げましたとおり、予算を伴いますいろいろ事務的に詰まった問題でございますけれども、御質問の要旨はその問題だけに尽きませんで、非常に広範な政治的な問題を含んでおると思います。したがいまして、私どもといたしましてはただいま局長から申し上げましたように、十億円をもってすべて足れりというような意図は毛頭持っておりません。この問題につきましては、自治省のみならず、厚生省あるいは労働省、文部省その他関係各省にまたがる非常に広範な問題を含んでおりますので、それら各省との間で緊密に連絡をいたしまして、実情を把握いたしました上で適切な処置をとってまいりたいという覚悟でございます。
#36
○岡田(利)委員 この際私は、保安問題について見解を承っておきたいと思うわけです。
 すでに保安問題はしばしば本委員会でも論議をされておりまして、先般雄別炭鉱茂尻鉱のガス爆発によって十八名のとうとい人命を失うという悲惨事があり、本委員会としても調査団を派遣いたしました。その後また、空知炭鉱においては坑道掘さくのハッパ施工時、これが地表に近い地点で抜けて、五名の者が封じ込められた。幸いにして、人命に異常がなかったことは不幸中の幸いだと思います。しかし技術的に見ますと、こういうところでいわばこういう災害が起きるという点については非常に私どもは大きな問題だと思うわけです。単に測量の誤りなどで済まされるような問題ではないと思います。もしこれが、五名の人命を失ったとするならば、きわめて私は重大な問題になったろうとも考えておるわけです。言うならば、生産と保安というものは車の両輪と言いますけれども、石炭産業ほどまた生産と保安の関係というものをかけ離して考えることのできないものはないわけです。茂尻鉱の爆発によって、他の安定的な炭鉱においても労働者は不安を感じて山を離職する。単に労働者の労働条件を高めれば労働力が安定するというのでなくして、安全な職場をつくらなければ労働力の確保、労働者が定着をするということはできないのでありまして、今後も石炭政策を進める以上、保安対策というものは非常に重大な使命をさらに一そう加えてまいるものと理解をいたしておるわけです。すでに保安問題については、通産大臣の諮問に基づいて中央保安協議会は答申を出しておりますが、この石炭政策を進めるにあたって、これらの災害における経緯等も十分勘案して、この際保安確保についての政府の見解を総括的に承っておきたいと思います。
#37
○橋本政府委員 ただいま御質問のございました生産と保安の問題は確かに不可分の問題でございまして、われわれとしましても保安の確保なくして石炭の再建問題は論ぜられないという強い確信を持っておる次第でございます。
 この保安問題につきましては、一つには技術的な解決の問題と、もう一つはこの経営に当たるいわゆる経営者並びにそれに対して監督をしておりますわれわれの態度、こういった二つの側面があるのではないかという気持ちを持っております。それで石炭保安答申にもございますように、一つにはやはり石炭産業全体の安定ということが、労使双方にとりましていろいろな面で保安の確保上不可欠な条件である、これは現在御審議いただいております石炭政策によりまして安定をはかっていくというふうな方向でやっておりますし、もう一つの大きな問題としまして、いわゆる経営者の保安に取り組む姿勢、これはいろいろな問題がございますが、これを確立することが基本的に必要だろうという考え方を持っております。そういったいわゆる経営の中における、いかなる姿勢で保安に取り組むかというふうなことを具体的な問題として、これを施策の面であらわしていくということがわれわれの責務だと考えまして、御承知のように一つには、今回の再建整備法の中にもございますが、いわゆる再建計画の一環といたしまして、長期にわたりまするいろいろな生産計画とあわせまして、長期の保安計画を聴取する、そういたしまして、いわゆる長期的なビジョンに立ちまして、いろいろな自然条件あるいはいろいろな将来における会社経営の中における保安の位置づけというふうなものを明確化さしてまいりたい、これが明らかに保安に対する取り組み方というものの一つの会社の姿勢であろうと思うのでございます。そうしてその姿勢を具体的に毎年実施していくために、労働災害防止計画あるいは保安法に基づきまする毎年の保安計画というものをとりまして、これによってそういった長期的なビジョンが毎年の実施の中に明らかにいかに具体化されているかということを把握し、必要に応じこれについての改善指示等も行ないまして、十分なる保安の体制を確立していきたいという考え方を持っております。
 さらには、いわゆる合理化事業団の融資の操作によりまして、計画の実行が必ずしも所期の目的どおり行なわれてないというふうな場合におきましては、いわゆる危険な状態においての生産の継続はより危険を倍加いたしますので、これを安全なる体制に持っていかせるというふうな考え方を持っております。こういった一連の措置に合わせまして、各種のいわゆる技術的な対策を十分加味した体制で保安の確保をやっていく。したがいまして、こういった長期計画におきましても、そういった保安の姿勢が十分読みとれないという場合には、再建交付金等の交付もあるいは解除せざるを得ないだろうというふうな気持ちまで持っている次第でございます。そういった方向によりまして災害の撲滅をはかっていきたいという気持ちを持っております。
#38
○岡田(利)委員 茂尻鉱の際にあたって、雄別鉱業株式会社はその社会的責任をとるという意味で、みずから進んで保安統括者を解任いたしたという点が本委員会にも報告されておるわけです。厳正に執行されなければならぬと思いますし、自主的にそういう責任をとるということは当然であり、私どもその態度については了承いたしておるところでありますが、今後保安法規の違反というものが反復されていく場合においては、当然そういう点についてきびしい処置というものが、今度の答申の中にも盛られておるように、とられなければならぬと思うわけです。この点についての当局の見解をこの機会に承っておきたいと思います。
#39
○橋本政府委員 先生御承知のように、保安法規におきまして、法規上の違反に対しまして鉱業権の停止、作業の一時停止、それから保安統括者の解任等、いろいろのいわゆる罰則が規定されておるわけでございます。したがいまして、こういった措置は、いわゆる他山の石といいますか、将来における災害を撲滅するために、経営者の責任追及という意味において最も効果的な方法をとっていきたいという考え方を持っております。したがいまして、今回の茂尻の災害の場合におきましても、具体的な問題は特に示すことなく、要するに会社経営者としてこの重要な時期においての災害というものについて会社みずからが反省し、これを他の会社においてもその規範とする態度をとってほしいということを強く要請いたしまして、会社の発案としてああいう形になったわけでございます。この点につきまして権利の乱用はわれわれとしてあくまでも十分考えなければならないと思いますが、反面また経営者のいわゆる保安責任というものについては強い態度で臨んでいく。しかも、それが将来の労使双方のいわゆる協力一致しての再建というものに役立つような形においての措置をとってまいりたいというふうに考えております。
#40
○岡田(利)委員 私は今度の第四次答申並びに政府が示している新石策に対して一連の批判をいたしてまいりました。その中で具体的な問題として、特に大手各社の動向等を分析する場合に、明治鉱業の問題を一体どう処理するのか、さらにまた、今日置かれておる雄別炭鉱株式会社の現状を見ると、この雄別の再建の方向というものをどう確定するのか、具体的にはこの二つを乗り越えないと、いわば石炭政策というものは、当初からなだれ閉山とか、当初から混乱をし瓦解をするおそれがあるというようなことを、しばしば指摘をしてまいりました。特に雄別炭鉱につきましては、いま質問しましたように、茂尻鉱がガス爆発災害を起こすそれ以前には、私どもの承知している範囲では、茂尻炭鉱は原料炭の山であるから、これを分離して、茂尻鉱の再建、残る雄別三山についての再建の方向というものが、会社側でもしばしば検討されておったように承知をいたしておるわけです。しかし、茂尻鉱の災害を契機にして、さらに茂尻鉱について一体どう対処していくのか、あるいはまた雄別炭鉱全体の再建というものにどう対処するのかという命題は、より一そうきびしい形でまだ未解決のままで残されていると理解をしているわけです。もちろん、企業の計画あるいはあり方については、経営者みずからがその態度を決するということは当然でありましょうけれども、しかしながら、そういう意味では、政府自体もむしろ自主性、独自性というものを十分発揮し、これらに対して対処をしていくという姿勢がないと、雄別再建はおぼつかなく、さらに企業ぐるみ閉山ということになれば、私が指摘したとおり、大なだれ閉山という現象で、この政策すべり出し当初から混乱をいたすわけです。したがって、そういう点について、私は政府の注意を喚起いたしたいと同時に、これに対する基本的な考え方、あるいはまた決意というものを、この機会に承っておきたいと思うわけです。
#41
○中川(理)政府委員 雄別問題につきましては、当委員会で藤尾政務次官からも再度御答弁を願っておる事柄でございますが、簡潔に通産省のいま考えております気持ちを申し上げますと、第一には、さしあたって茂尻鉱を災害前の状態に引き戻すということについては最大限の努力をいたしたいと思っておるわけでございます。これは御遺族に対する補償問題その他いろいろなことがございますが、これを支障なくやれるような努力をいたすつもりでございまして、おおよその目安は、ただいまのところつけ得たと考えております。
 御指摘のように、災害前、すでに雄別の今後の問題につきまして、関係者の間でいろいろと検討が進められ、あるいは議論、意見が漏らされておったということは事実でございます。政務次官もおっしゃいましたように、茂尻鉱を含めての雄別の再建につきまして、ほんとうの意味で客観性のある、だれもが聞いてもっともだと思われるような再建策というものが出ておったとは、私どもはいまだ存じません。いろいろ試案めいた話は出ておりますけれども、徹底した吟味に耐えるようなものはまだ出ておらないという感じでございます。今後そういった客観性のある再建策というものを至急まとめるように、会社側に強力に指示をいたしたいと考えております。
 しかし、一方、御指摘のように、この問題に対しまして通産省が相当に積極的に取り組む必要があることは、御指摘のとおりであります。考え方といたしまして、まず会社にほんとうにひとつ真剣に考えてもらうということをいたしませんと、すべて政府に依存するというようなことになるといけませんので、第一段は、ただいま申しましたような客観性のある再建策をまとめるように、まず指示をいたしたい。それに基づきまして、しかるべきものが出てまいりましたならば、その不足を補い、あるいは欠陥を指摘し、また積極的なアドバイスをするという意味合いにおきまして、できるだけ好意的な検討というものをいたしたいというのが、大臣にも私御相談いたしまして、政務次官にも御相談いたしまして、出ておる結論でございます。
#42
○岡田(利)委員 従来の委員会の質問から見て、相当総括的に政府の新石炭政策に対する態度というものが私の質問の中で明らかになってまいったと思います。もちろん、中にはより具体的に運用面で掘り下げて検討しなければならぬものも数多くございます。いずれにしても、今日石炭鉱業は、いわばエネルギー革命下においてどう一体石炭の歴史的な使命を果たさせるか、このことは政治的にも社会的にも、各面から検討いたしましても重要な問題でありますので、ただいま答弁された点について、より一そう実効のある方向で政府としても鋭意努力されることを強く要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
#43
○平岡委員長 大橋君。
#44
○大橋(敏)委員 私は、まず経理規制法、案の問題に関連いたしましてお伺いいたしますが、きのう中村委員、田畑委員のほうから、ほとんどその質問が出尽くされた感じでありますが、その重複を避けまして一、二点お尋ねしてみたいと思います。
 今度の改正案を見ますと、前一年間において石炭鉱業安定補給金の交付を受けた会社、または前一年間の出炭量が十五万トン以上であるところ、そういう会社は全部規制の対象になる。きのうの局長さんの答弁では、従来この規制に関係していた会社はわずか四社であった、今回の改正によれば四十七社くらいこれに該当するのだ、このようなお話でありましたが、安定補給金としまして、昨年は二十三億、ことしは約五倍の百二十億というばく大なお金が投入されるわけであります。この規制の適用は当然だろうと思いますけれども、この監督また監査、それに対して、従来にない体制が組まれていると思うのですが、その点についてお答え願いたいと思います。
#45
○中川(理)政府委員 昨日中村委員にお答えいたしましたように、今回の経理規制法の改正は、新しい石炭政策によりまして、安定補給金の制度が大幅に改善されまして、従来に比較いたしまして多額の安定補給金が交付され、しかもその対象も、従来よりは広がったということにかんがみまして、従来の経理規制法の対象となっておりました指定会社の範囲を広げる必要があるというのが、改正案の趣旨でございます。このことは、指定会社をふやして経理規制法の対象にいたすということは、厳格なる経理規制を行ないたいという趣旨でございますので、当然のことといたしまして、法の規定に基づきます監査――利益金の処分等につきましても、従来にも増して厳正な法の運用をはかるということが必要だと考えておる次第でございます。
#46
○大橋(敏)委員 具体的に監査委員がどの程度ふえるのか、またどのようなところに特に配慮が払われたのか、その点を聞いておるわけです。
#47
○中川(理)政府委員 今回の経理規制法の対象を追加する改正に伴いまして、何がしか法運用上必要な通産側の定員について、格別の措置をとったかという御質問かと存じますが、今回法改正に伴いまして、特別の定員増加は行なっておりません。しかしながら、いままでにも増して、厳正な執行ということを行ないたいと申しておりますゆえんのものは、私どもが持っております人員を全面的に活用いたしたいということでございます。従来行なっておりました監査班の陣容と資金班の陣容は、総計が大体十二、三名あろうかと思いますが、今度加えることに相なりますのは、実態的には中小炭鉱がおもでございます。中小炭鉱の実態は、大手と異なりまして、より深く実情を把握しておるのは通産局でございますので、これら中小炭鉱に対する今後の監査にあたりましては、通産局の職員を十二分に活用して、所期の目的を遂げたいと思います。
#48
○大橋(敏)委員 特に今回利益金の処分については認可制度がとられるということを聞いておりますが、これを具体的に御説明願いたいと思います。
#49
○中川(理)政府委員 利益金の処分は、実は現在の法律の第三条に定めてあるところでございまして、今回特別な改正をいたすわけではございませんけれども、指定会社の範囲がふえますことによりまして、利益金の処分について、通産大臣の認可を受けなければ効力が発生しないということに相なる会社が増加いたすわけでございます。しかも、いままでこの法律の適用対象になっておりました会社が、宇部興産、日鉄鉱業、松島炭鉱、太平洋炭鉱という大手の四社でありまして、しかも松島、太平洋を除きますと、兼業事業のほうがウエートが大きいという会社でございます。今回は中小炭鉱の相当のものが入ってくる。そうなりますと、数はそう多くはございませんけれども、今回の安定補給金の増額によりまして、相当の利益を得る可能性を持っておる会社も出てくるということになろうかと予想されますので、これだけの助成を加えながら、利益金処分の認可にあたりまして、一定の制限を加えないということが問題になろうかと考えられますので、この際は、一割をこえる配当は認めないということを認可基準にいたしたい。そういう意味では従来よりもきびしい規制をいたしたいと考えております。
#50
○大橋(敏)委員 いずれにしましても、多額の国家資金が投入されることでありますし、いまのような利益金の処分については、この認可制度が死文化されないように、つまり単なる名目だけのものでないように十分配慮して、今後の監査指導に当たってもらいたいと強く要望して、この法案についての質問を終わります。
#51
○平岡委員長 ただいま議題となっております各案中、石炭鉱業経理規制臨時措置法の一部を改正する法律案に対する質疑はこれにて終了いたしました。
    ―――――――――――――
#52
○平岡委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の通告もありませんので、直ちに採決に入ります。
 石炭鉱業経理規制臨時措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#53
○平岡委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
    ―――――――――――――
#54
○平岡委員長 ただいま議決いたしました法律案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#55
○平岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
#56
○平岡委員長 炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案及び石炭鉱業再建整備臨時措置法の一部を改正する法律案の各案について、質疑を続行いたします。大橋敏雄君。
#57
○大橋(敏)委員 昨日私は、炭鉱離職者臨時措置法に関連いたしまして、離職の発生源となる閉山問題に関連していろいろとお尋ねしたわけでありますが、特に大手三山の閉山問題につきまして、いろいろお尋ねしたわけであります。局長さんから、従業員の退職金その他の問題についてはかなり内容を煮詰め、成文化しつつあるという話があったわけでございますけれども、きょう岡田委員の質問に具体的にお答えになりましたので、大体理解したわけでありますが、それに関連しまして一、二点お尋ねいたします。
 従業員の退職金については目一ぱい配慮しよう、また社内預金あるいは従業員賃金についても七五%を政府が保障する、こういうお話を聞いて非常に心強く感じたわけでありますが、一般閉山による閉山、それから特別閉山による閉山という閉山のあり方があるわけであります。いまの退職金にせよ、社内預金、従業員賃金というものは、どちらの閉山についても同じような配慮がなされるのかどうか、その点についてお答え願います。
#58
○中川(理)政府委員 先ほど岡田委員の御質問に私がお答えいたしました、退職金の支払いについての御答弁は、特別交付金制度による場合の従業員に対する交付金の具体的内容をお答えいたしたわけでございます。ただいまの御質問は、一般閉山交付金による場合も同様のことになるのか、こういうことでございますが、これは違うのでございまして、特別交付金の場合にはいまのようなそれぞれの内容を政省令の段階で明定いたしまして、これに従ってお渡しするわけでございます。一般交付金のほうは、御承知のように鉱量でございますとか坑道の評価に基づきまして、交付額がきまります。そしてきまりました交付額につきまして、通産省が指示いたしております大きなワク組みの分配比率によりまして、従業員債務、一般債務、鉱害債務等に充当させるという仕組みでございますから、全くその仕組みを異にいたしておるのでございますけれども、前々から申しておりますように、この両交付金の制度はどちらを選ぶかを会社側が選んできてよろしいという制度に今回の法律ではいたしておるわけでございます。と申しますことは、特別交付金で具体的に出しますものを一般交付金を受けて実態的に出せるということでなければ、むしろ特別交付金を選んでくるはずでございますので、一般交付金で処理できるということは、鉱量、坑道評価で出る額によって、それぞれの債務にリンクしております。特別交付金で受けるよりも有利な解決ができるという実態があるから一般交付金のほうを望んでくる、こういうことであると一般的に御理解をいただいて差しつかえないのではなかろうかと考えます。
 昨日大橋委員から御質問のございました、たとえば日尾の閉山の場合でございますと、これはもちろん会社が存続いたしておるわけでございますので、もともと特別交付金の対象にはならないのではございますけれども、一般交付金の中で従業員にどれくらいの支払いをしておるかという実態、内容を見ますと、この特別交付金の交付を受けまして、杵島なり明治なりが処理する状況よりも、ものによってはよりよい処遇をいたしております。たとえば期末手当見合いで一律五万円の特別加給を今回いたすつもりであるということを先ほどもお答えしたわけでございます。日尾の場合は労使間の協定でこれを六万二千二百円に定めておるという状況でございます。中小炭鉱の場合には大体一社一山という場合が多いのでございます。これは古河鉱業の場合と違いまして、どちらも選べるわけでございますけれども、一般交付金のほうを望んでくるということは、実態的に特別交付金制度を選ばなくても十分処理ができるという判断を経営者がいたしておるからでございますし、もしそうでなかった場合には従業員組合のほうが満足しなくて、経営者に特別交付金のほうを選びなさいということを言うはずでございます。労使間の話し合いが終わって一般交付金の交付を申請してくるということは、御指摘のような御心配はないということだと御理解をしていただいて間違いはないと思います。
#59
○大橋(敏)委員 一般閉山をとるか、特別閉山をとるかは会社の選択である、一般閉山をとるほうは、いま言う制度が退職金七五%あるいはそれ以上の手厚い配慮がなされたことに劣るようなことはないのだ、まずその点は心配ない、このように理解していいということですか。
 もう一回確認のためにお尋ねいたしますが、一般閉山にせよ特別閉山にせよ、離職していく従業員の不安というものは同じであろう。特別閉山の場合にはすべて政府が責任を持って支払いのほうもやっていくので、安心度が濃いと思います。そのわりに一般閉山になりますと、どういいますか、そういう点の不安が従業員にあるのではないか、こういう立場からいまお尋ねしているわけであります。もう一回ひとつお願いします。
#60
○中川(理)政府委員 一般交付金につきましても、今回はいままでトン当たり二千四百円ということで考えておりましたものを、三千三百円程度に増額いたすことに予算で処置をいたしておるわけでございます。地区によって若干異なりますけれども、賃金債務の配合割合も従来の五〇%という線を大体七〇%くらいに上げるということに相なっております。したがいまして、上記の措置によって大手の一般閉山の場合には平均して退職金の七五%相当分というものは確保できるように仕組まれておるわけでございます。それから特別交付金の場合に比較して、政府が直接的にこまかくきめている特別交付金の考え方からいって、一般交付金のほうはやや荒い仕組みに相なっておりますので、総ワクで差し上げて中の配分割合をきめるということにいたしておりますので、その間に何か不安が生じはしないかという御心配でございますけれども、実はこの一般交付金によります労働者に支払うものも、一般交付金の場合でございましてもこれは合理化事業団が留保しておりまして、直接払うという仕組みをとっておりますので、事業団が執行いたします以上、特別交付金の場合も事業団から払うということでございまして、この間に事業団がきちんと処理をいたしてくれますので、相違はない。これはもし地元に御心配がございましたならば、私どもも通産局等を指導いたしまして十分徹底させるようにいたすつもりでございます。先生方のほうでもひとつ御理解をいただきたいと思います。
#61
○大橋(敏)委員 政府が保障する退職金だとか離職金、従業員賃金、これは退職と同時にみんないただけるのかどうか。それとも一年とか二年とか長期にわたってさみだれ式に支給されるのか、こういう不安が地元の従業員にありましたが、この点について明快に答えていただきたいと思います。
#62
○中川(理)政府委員 先ほどお答えいたしましたように、特別交付金の従業員債権に対する交付は二カ年にわたりまして分割して交付いたすという仕組みにいたしております。しかも事業団の事務といたしましてそれぞれの交付額を決定するのには、どういたしましても若干の事務的な日時がかかるということでございまして、一回目の支払いそのものも実際問題としてそう離職されたと同時に金が出るというようなわけにはいかないわけでございますので、この間交付いたすべきものの一定割合を腰だめにしておきまして、これを早く渡せるようにするのが一番交付を早める手段であろうと思うわけでございますが、こういうことを考えますと、正式に交付金が出るまでの金の都合をいたさなければならぬということに相なりますので、先ほどお答えいたしましたように労働金庫でございますとか、地元の銀行でございますとかというところから融資を受けまして、そしてそれが実際に交付されるものよりも上回っておりますとあとで問題が起こりますので、下目の一定限度で先にお渡ししておく、そのかわり正式に交付金が出る段階になりましたときに、本人に直接交付をいたしますと、先にいわばたてかえ払い式に銀行が渡したものが戻ってこないというトラブルも起こり得ますので、金融機関等に本人にかわって受領権限を与える、それはもちろん先に渡した範囲まででございます。残りのものはもちろん本人にお渡しする。こういう仕組みをつくることが、早期に退職者御本人にお金をお渡しする一番いい方法だと考えておりまして、いま鋭意方法を詰めると同時に、それぞれそういう協力をしてくれそうな金融機関との相談をいたそう、こういうことで、努力をいたしておる状況でございます。
#63
○大橋(敏)委員 要するに、離職者が離職したときに自分の手元にどれだけの現金が握れるか、これは非常に重大な事柄だろうと私は思うのです。次の再就職の手だてにもなりましょうし、またそのほか仕事を始めるにしても、何といいましても資金が問題ですから、できるだけ大きく本人の手元にいけるように、それも早い時期にいけるように、今後とも十分に配慮していただきたい。これは要望でとどめておきます。
 労働省関係があるそうですから……。
#64
○平岡委員長 岡田君。
#65
○岡田(利)委員 炭鉱離職者臨時措置法関係について、二点御質問申し上げます。
 第一点は、炭鉱離職者臨時措置法第九条の二でありますが、炭鉱労働力確保の見地から、炭鉱へ再就職した者が合理化によって再び離職した場合には、手帳の再発給の道を開いておるのでありますが、もし前炭鉱を離職後、炭鉱以外の安定した職業につくことなく、さらに炭鉱に就職した場合には手帳の再発給が受けられないという仕組みになっています。しかしながら、現実には炭鉱以外の職業についても、その賃金が安いため生活ができないとか、あるいは長年地下労働になじんできた者にとって、その職業が適応性がなかったというような理由で、再び炭鉱に戻る者は少なくないのであります。このようなものは、すでにこれは安定した職業についたという理由だけで、今後合理化離職する場合、手帳の発給が受けられないという点については問題があろうかと思います。したがって、非常に賃金が安いとか炭鉱離職者が適応できないで短期間でやめざるを得ないような場合は、その職業は安定した職業として見ること自体が問題だと思います。したがって、法第九条の二の運用については、炭鉱労働力確保の見地から、この際再検討していただいて、特段の配慮を加えて運用すべきである、かように考えるわけです。この点について、見解を承りたい。
#66
○小山政府委員 御意見のとおり、法第九条の二は炭鉱労働力確保のために設けられたものでございますが、炭鉱労働者以外の安定した職業についた者は、今後合理化により再離職した場合でも、すでに他産業の安定した職業に対する適応性を身につけているので、その再就職はそれほど困難ではないという理由から、手帳の発給対象としないものと従来考えておったわけであります。この場合、御意見にありますように、賃金が一般水準よりも不当に低くて、生活ができない、あるいは炭鉱離職者がその職業に適応できず、短期間にやめざるを得ないような職業とかを真にこれを安定した職業であると見ることにつきましては、さきに述べた趣旨から考えましても問題があろうと存じますので、炭鉱労働力確保の見地からも、安定した職業の判断につきましては、十分ひとつ検討を加えまして、慎重を期してまいる考えでございます。
#67
○岡田(利)委員 石炭の新政策で、いわゆる合理化臨時措置法の改正により企業ぐるみ閉山という新しい制度が提案されておるわけです。したがって今後企業ぐるみ閉山というものが予想されてまいりますが、炭鉱離職者求職手帳の発給をその場合に受けられない本社とか支社、いわば本店関係といいますか、こういうところに多数の職員がおりまして、この職員も企業ぐるみ閉山で離職することになるわけです。しかも炭鉱の場合には、これらの職員の多くは従来から都会に住み、都会地本社または支社に勤務している者も多数ございますが、中には長年山元で働いている。技術屋などは何十年と働いている。そして石炭政策の中で技術屋を派遣する必要があるので、本社等にそういう職員が派遣されている、いわゆる転勤しているという問題があるわけです。したがって、これは山元におる職員と全く同じ経歴を持ちながら、ただ一時的にそのときいなかったというだけの理由で手帳が発給されないという気の毒な例が実はあるわけです。このような特殊な事例については政府は特にその実態に即応して万全の措置をとるべきである、こう考えるわけです。この点について見解を承っておきたいと思います。
#68
○小山政府委員 お答え申し上げます。
 炭鉱離職者に対しましては、御承知のとおり、その特殊な作業環境及び生活環境にかんがみまして、再就職が特に困難であるという理由から、他産業からの離職者と比較して特別な対策を講じているわけでございますが、職員層からの離職者のうち山元の職員につきましては、御承知のとおり、従来から手帳発給の給象としてまいっておるわけでございますが、大都市等におきます本社、支社あるいは営業所の職員につきましては、ただいま申し上げましたように、炭鉱離職者の特殊性を有していないものでありますから、これらのものに対しては手帳を発給する必要性はないものと実は考えておったわけであります。しかしながら、御質問のように、永年にわたり山元で働いておりまして、最近本社または支社に転勤になったため炭鉱労働者としての適用を受けられなくなったという気の毒な職員の方々につきましては、閉山にあたり特に会社による再就職のあっせん等の措置を期待いたしますと同時に、政府といたしましても、その個別的な事情に即して炭鉱労働者と同様にきめこまかいところの再就職促進につとめ、また各種の援護措置の適用につきましては万全を期してまいりたい、かように考えておる次第であります。
#69
○岡田(利)委員 終わります。
#70
○平岡委員長 大橋君。
#71
○大橋(敏)委員 それでは労働省関係にお尋ねいたします。
 きのう職業訓練所に関係いたしましてお尋ねしていたわけですが、たまたま私が手に入れました飯塚と八幡の総合訓練所のパンフレットの入所案内の内容に統一していくべきではないかということが感じられましたので、具体的にいろいろとその問題を取り上げて聞いたわけですが、そのあとそのパンフレットをお見せしておりますので、その内容はもうすでにおわかりかと思いますが、同じようなことであろうが名称が非常にばらばらに表現されているということと、それから支給金額等がよく似た金額が列記されまして、それもどうも理解しにくいという感じを受けたわけです。こういう点についてどういうふうなことなのか、まずお答え願いたいと思います。
#72
○塩田説明員 御説明申し上げます。
 先生がお持ちの八幡総合職業訓練所と飯塚総合職業訓練所のパンフレットを両方しさいに検討いたしましたところ、八幡総合訓練所のパンフレットは昭和四十一年に作成されたものでございます。また飯塚総合訓練所のパンフレットは昭和四十二年に作成されたものでございます。ちょうど四十一年の七月に雇用対策法の施行がございまして、これによりまして手当の名称が若干変更がございます。
 それから金額につきましては、毎年増額が行なわれてまいっておりますので、その年度の違いによりまして、両総訓の。パンフレットの名称及び額の違いがあったものと考えられます。
 こういったパンフレットを外部に提供いたしまして説明する場合には、最新のものを、誤解のないようにお配りするように、今後とも気をつけていきたい、こう思います。
#73
○大橋(敏)委員 私はこのパンフレットを通しまして監督官庁である労働省の指導のずさんさを感ずるわけです。私は現地に参りまして、そこの署長さんあるいは部長さん等と懇談したわけですが、それはもう非常に熱心な意欲的な働きをなさっておりました。それに引き比べて施設の不十分さ、またその訓練所で使われております機械とか工具の老朽的なものを見まして、中で働いているそうした方々の意欲とはあまりにもかけ離れた内容である。もっともっと労働省はこうした職業訓練、特に総合職業訓練所は炭鉱離職者等も含めての訓練所ですので、十分に配慮さるべきではないか、手を打つべきではないか、このように感じたわけです。こういう点についてどのようにお考えになりますか。
#74
○小山政府委員 たいへん訓練所の施設が老朽化しているというような点でおしかりをいただいて恐縮でございます。確かに訓練所の施設は、今日の技術革新時代にふさわしい施設であるというふうには私どもも実は感じておらないわけであります。従来そうした方面に労働省として全力をあげることができなかったことはたいへん遺憾でありますが、今日職業訓練の重要性はおそらくかってないほど重要性を帯びた時代に直面していると私ども考えております。したがって、早急に計画的にその施設を改善するための処置を講じまして、御期待に沿うようにいたしたいと思います。
#75
○大橋(敏)委員 小さいことですけれども、パンフレットはそこの訓練所がそこの特色を生かしていろいろと表現された内容が盛り込まれているわけでありますけれども、当然総合訓練所は労働省の所管にあって、統一された内容で指導されていくべきであろうと思いますので、こうした。パンフレットを作成するようなときには、共通するものはやはり表現も金額も一切整えたほうが、それを見る者の立場からして便利である、こういうように思います。いま申し上げましたように、パンフレットの特色は当然のことですけれども、共通点はやはり労働省としてがっちり指導した上で、古いものは役に立たないと思いますので、どんどん変えさせるように、そういうふうに思います。
 それで次に移りますが、炭鉱離職者手帳に関係いたしまして、いまも岡田委員からいろいろと要望がありましたが、発給要件が法律の八条、九条、九条の二といろいろと示されて、われわれでも非常に複雑さを感ずるわけです。これがたくさん離職してくる従業員にはたして理解されるであろうか、このような懸念を抱くわけでございますが、これについて労働省としてはどのような対策をとられているのかお尋ねいたします。
#76
○住政府委員 御指摘のとおり手帳の発給についての要件は法律で事こまかに規定されておるわけでございます。炭鉱離職者には各種の援護措置がとられておりまして、手帳はその基礎になるものですから、非常に詳細にきめておるわけでございまして、なかなか理解が困難だという面も御指摘のとおりあろうかと思います。そこで、私どもとしましては、安定所で炭鉱離職者の再就職の促進に当たる専門の職業指導官を置いておるわけであります。そういう指導官が炭鉱離職者に手帳のそういう要件なり各種の援護措置を十分説明しておるわけでございますが、なおこれが徹底すればするほどいいことでございますので、今後は、たとえば、山が全山閉山する、あるいは多数の離職者が出るというような場合は、安定所が出かけてまいりまして、事前にそういう発給要件なり各種の援護措置の徹底をはかる、あるいはまた会社関係者、組合関係者等にもその間の事情を説明いたしまして、十分援護措置あるいは手帳の発給要件の内容の徹底をはかってまいりたいと考えております。
#77
○大橋(敏)委員 とにかくこの複雑な発給要件を理解させるためには、かなりの努力が要ろうと思います。しかし、万一にも従業員が認識不足のためにせっかくの制度、恩典を受けられないなどということになるとみじめであります。そういう意味で、さらに努力をなさいまして、この周知徹底をはかっていただきたいという要望をつけ加えまして、私の質問を終わります。
#78
○平岡委員長 多賀谷真稔君。
#79
○多賀谷委員 通産省並びに労働省に炭鉱離職者臨時措置法の一部改正について質問をいたしたいと思います。簡単に質問をいたします。
 第八条の炭鉱離職者求職手帳の発給についての条件であります。これは全く宝くじを引くようなものでして、昭和三十七年の三月三十一日現在にいた炭鉱労働者、昭和四十一年の八月三十一日現在にいた炭鉱労働者、それから今度改正になります四十三年の十二月三十一日現在にいた炭鉱労働者、これしか実は発給の資格がないのですね。そこで、昭和四十四年の一月一日以降に雇われた者は、山が閉山をしても発給の資格がない。これは全く法律としてもきわめて奇妙な法律だ、こういうように私は感ずるのです。
 そこで労働省よりもむしろ私は通産省にお聞きしたいのですけれども、あなたのほうは炭鉱労働者を確保する、こういうことを言っておるけれども、ことしの一月一日以降に雇われた人は、将来の閉山とかあるいは合理化によって整理をされることがあっても、この手帳の資格がないんですね。ですから、いまから炭鉱労働者を募集をする場合には、もうあなた方は資格がありませんよ、こう言わなければいかぬ。一体これで炭鉱に労働者が集まると思っておるかどうか、まず通産省からお聞かせ願いたい。
#80
○藤尾政府委員 御指摘の点は、私は法規は十二分に知りませんけれども、そういうしゃくし定木な運用であってはならないと思います。したがいまして、十二分の弾力性をもちまして、炭鉱労働者が十二分に集まり得るようにこれの運用を期したい。もちろん関係省に対しましては強く要望いたしまして、私どもの主張を通します。
#81
○多賀谷委員 しかし、政務次官なかなか前向きな御答弁でしたが、残念ながら運用じゃできない。法律できわめて明記をされておるんです。四十三年の十二月三十一日現在にいないと、残念ながら適用がない。ですから今後、四十四年一月一日からずっと後に入ってきた人は、残念ながらやめる際はこの手帳の発給がないのですよ。そういう仕組みになっておる。ですから、次官は大臣にかわって非常にいい答弁をいただいたけれども、残念ながら――そういうようにするかとうか、これは労働大臣も見えておるのですが、いま関係各省と話して運用でやるとおっしゃるけれどもできるのかどうか、これをお聞かせ願いたい。
#82
○藤尾政府委員 これはここに労働大臣お見えでございますから、ここで私がお願いをいたしましてもそうしていただきますから、あとですぐ直ちに労働大臣にお聞きをいただきたいと思います。
#83
○平岡委員長 この際暫時休憩いたします。
    午後一時十三分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時三十二分開議
#84
○平岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。多賀谷真稔君。
#85
○多賀谷委員 労働大臣お聞き及びのように、昭和四十三年の十二月三十一日現在におる労働者以外は適用できない、こういうことになっておる。そこで四十四年の一月一日から炭鉱に入り、そうして一年以上つとめたけれども、不幸にして黒い手帳の発給ができないという労働者が出てくるわけです。これについてどう善処されるかお聞かせ願いたい。
#86
○原国務大臣 多賀谷先生の御質問にお答え申し上げます。
 御指摘をいただきました昭和四十四年一月一日以降、炭鉱に就職した者に対する取り扱いにつきましては、今後一年間の推移を見て、善処いたしたいと思っております。
#87
○平岡委員長 ただいま議題となっております各案中、炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案に対する質疑はこれにて終了いたしました。
    ―――――――――――――
#88
○平岡委員長 本法律案に対しまして、三原朝雄君外六名から修正案が提出されております。
#89
○平岡委員長 この際、提出者の趣旨説明を求めます。三原朝雄君。
#90
○三原委員 ただいま議題となりました炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案に対する修正案の趣旨の説明を申し上げます。
 案文はお手元に配付してありますので、朗読は省略さしていただきます。
 次に、要旨を簡単に申し上げます。
 本修正は、昭和四十四年四月一日以降、閉山によって再び離職する炭鉱離職者に対して発給する炭鉱離職者求職手帳の有効期間が一年に満たない場合には、一年間を限り有効なものとするものであります。本修正案の趣旨については、すでに質疑の過程に明らかにされておりますが、要は、新石炭対策に伴い、離職を余儀なくされた炭鉱離職者の再就職並びに生活の安定について、万全を期そうとするものであります。
 以上が、本修正案を提出した理由であります。
 何とぞよろしく御賛同をお願いいたしたいのであります。
#91
○平岡委員長 これにて修正案の趣旨説明は終わりました。
 ほかに御質疑もないようでありますので、修正案に対する質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#92
○平岡委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 まず、三原朝雄君外六名提出の修正案について採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#93
○平岡委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。
 次にただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。
 これを可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#94
○平岡委員長 起立総員。よって、本案は修正議決いたしました。
    ―――――――――――――
#95
○平岡委員長 次に、本案に対し、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党の各派共同提出にかかる、岡田利春君外六名より、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 まず、提出者の趣旨説明を求めます。岡田利春君。
#96
○岡田(利)委員 ただいま提案されました四党共同提案にかかる、附帯決議の趣旨の御説明を申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
   炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
 政府は、この法律の施行にあたり、次の点について適切な措置を講ずべきである。一、鉱区又は租鉱区において石炭の輸送業務に従事する産炭地の地方鉄道の労働者が、炭鉱の合理化の直接的影響により離職を余儀なくされた 場合には、その者の再就職の促進及びその援護措置に万全を期すること。
二、従前炭鉱に再就職する際、移住資金の支給を受けた者が合理化により再離職を余儀なくされた場合には、今後、炭鉱に再就職する際に移住資金の支給を受ける者との均衡を失しないよう配慮すること。
以上であります。
 次に、趣旨の御説明でございますけれども、本件については、本委員会で質疑を通じて明らかなところでございますので、省略をいたしたいと思います。
 以上で説明を終わります。よろしく御賛同をお願いいたします。
#97
○平岡委員長 これにて提出者の趣旨説明は終わりました。
 これより採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#98
○平岡委員長 起立総員。よって、本動議のごとく、附帯決議を付することに決しました。
 この際、ただいまの附帯決議について、政府の所信を承ることといたします。原労働大臣。
#99
○原国務大臣 炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、ただいま可決いただきまして、まことにありがたく存ずる次第でございます。
 今後新石炭政策の実施に伴い、多数の炭鉱離職者の発生が予想されますが、労働省といたしましては、従来の経験に照らし、さらにきめこまかい対策を講じつつ、全力をあげてその再就職に努力する決意でございます。
 また、ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重をいたしまして、善処いたしたいと存じております。
    ―――――――――――――
#100
○平岡委員長 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#101
○平岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
#102
○平岡委員長 この際、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。
 ただいま本委員会において審査中の石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案及び石炭鉱業再建整備臨時措置法の一部を改正する法律案について、明十八日、参考人の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#103
○平岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 なお、参考人の人選等につきましては、委員長にすべて御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#104
○平岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 本会議散会後委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。
    午後一時四十一分休憩
    ―――――――――――――
    午後五時四十一分開議
#105
○平岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案及び石炭鉱業再建整備臨時措置法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
 質疑を続行いたします。多賀谷真稔君。
#106
○多賀谷委員 政策的な質問は、大臣も見えておられませんからやめまして、きわめて技術的な事務的な質問を行ないたいと思います。
 まず最初に、石炭鉱業再建整備臨時措置法の一部改正について質問いたしたいと思いますが、第三条の二の「掘採可能鉱量が通商産業省令で定める基準に該当するもの」というものはどういうものを考えられておるか、お答え願いたい。
#107
○長橋政府委員 ただいま御指摘の点につきましては、通産省令におきまして、採掘可能量をおおむね十年以上有しているものについて対象となる資格を与える方針でただいま検討いたしております。炭量十年以上と申しますのは、前回の元利補給契約の際の基準と同一のものでございます。
#108
○多賀谷委員 御存じのように大日本炭鉱といい、大辻炭鉱といい、十年以上掘採可能炭量があるといって申請をしてから一年足らずして可採炭量なしということでつぶれたわけですね。現実は掘るところがないからどうにもなりませんと、こう言ったわけです。ですから、現行法の第二条にいう「掘採可能鉱量が通商産業省令で定める基準」というものについて、率直にいいますと私ども疑問を持つわけです。この前も言ったけれども、同じ基準でしかも一年足らずして閉山せざるを得なかった。一体今後もこういうような状態になると、石炭政策に対する不信感が外部から出てくる。そういうことを非常におそれておるわけであります。
 そこで、これは一体どういうように調査をしてやるのか。現実、御存じのように、十年ありますといってやった炭鉱が鉱量がなくなったというのは、大日本炭鉱の場合も大辻炭鉱の場合も同じですね。ですから、少なくとも採掘可能な鉱量がなくなったということでありますから、その基準を書いて現実にそれを査定する場合には、一体どういう方法でおやりになるのか、お聞かせ願いたい。
#109
○長橋政府委員 採掘可能炭量につきましては、一定の客観的な基準をもちまして把握するわけでございますが、ただいま御指摘の大日本炭鉱のケースにつきましては、採掘可能炭量は非常に客観的なものでございますが、同時に、それを掘る事業主体といたしましての経理基盤というものがどうしても成り立たない、こういう状態になりました場合には、この物理的な採掘可能鉱量がなお相当年数分残るといたしましても企業として成り立たない、かような事態に相なるわけでございまして、大日本炭鉱等に伝えられました盤ぶくれとかいろいろな事情を経理状況の悪化というふうなことで閉山のやむなきに至ったものと承知いたしております。
 今後、御指摘のような点につきましては、政令の定め方及び再建整備計画の認定にあたりまして十分に慎重な審査を行なうということで対処いたしたいと考えております。
#110
○多賀谷委員 十年なんてそういう理想的なことを言うから間違いが起こるので、五年でいいでしょう。昭和四十四年から始まって四十八年で終わる。大体計画ですからね。五年ぐらい以上は、いまの日本の炭鉱で見通しがきかないのじゃないですか。それで大日本炭鉱の盤ぶくれといいましても、第一、大日本炭鉱の社長が本委員会に見えて、大日本炭鉱としては今後操業していく道は鉱区の合併以外にはないのだということを再三再四強調をしておられたわけですね。ですから、鉱区の合併が高萩炭鉱その他で鉱量がなくなってできなかったわけですから……。大辻炭鉱の場合は確かに役所のほうは、まあことばが悪いけれどもだまされたかもしれない。その閉山をしました昨年の四月ですね、私どもが参りまして、労働組合にも職員組合にもぜひひとつ操業を続けてもらいたいということを要請をして、労働組合も職員組合もやるという気になっておったけれども、現実はかなりあいまいな報告を役所にしておって、そうして四月一日からホーベルを入れた切り羽に実は石炭がなかった、ですからどうにもなりません、こう言って経営者のほうでいわば新政策を前にして野たれ死にをしたわけですね。ですから、私はそう理想的なことを――十年まで鉱量がなければならぬというけれども、現実十年後の将来を見通し得る炭鉱というのはそうないですよ。ですから、あっさりこの際は、五年なら五年、四十四年から始まって四十八年に一応その計画が終わるわけですから、四十九年度からは新しい計画になるのですから、私は五年なら五年と言ったほうが親切だと思うのですよ。こんなときに十年以上鉱量がないとなんという役人のような、役所のいままでやってきた慣例に基づいてやはり十年以上なければ再建整備資金を出さないんだというようなことは、現状から事実問題としてそれはうそになる。それは国会並びに政府に対する不信感を外部から抱かせるだけです。ですから、むしろ五年なら五年確実にあれば、それだけ生きておった、日本経済に寄与したわけですから、十年後の将来なんという――エネルギーそのものがどうなるかわからぬような情勢の中で、やはり長期的な、あまり長い話をしても意味がないじゃないか、こういうように思うのですがね。
#111
○中川(理)政府委員 実際的な判断と申しますか、実際的な運用としまして、ただいま多賀谷委員がおっしゃったことは、私も首肯し得るものがきわめて多いのでございますが、何せ御承知のように再建交付金の交付期間は十五年というように定めておりますこととの関連から申しまして、一応はやはりそれでもまだ――いま十年と申しますのは、五年間、どっちみち同じことじゃないかという御指摘もあろうかと思いますが、実際上の運用は、十年と申しましても、さきの五年について的確さがあれば、あとの五年はある程度大まかに考えていくというくらいに私どもも判断いたすつもりでございますので、その点は実態運営の上で、御趣旨は私どもよくわかりますので、さように処置をいたしたいと思います。
#112
○多賀谷委員 事情が十分わかっての答弁でありますが、そういう点は、外部から十年あるといって金は貸したけれども実は一年でつぶれたとか、あるいは五年以内でつぶれたということ、これは私どもを含めて政治に携わる者に不信感を抱かせる、それはよくないと思う。ですから初めから一応五年なら五年ということでやって、それを御存じのようにその五年の間に操業ができなくなった場合には、これまた減額補償という面があるわけですからね。ですから、そういうことが当然に予定をされているわけですから、私は五年なら五年ということで一応この基準を省令で定められたらどうか、こういうように思うのです。何か実態に沿わないようなことばかりやって、そうして次から次へと無理が重なって、そうして石炭政策は全くうまくいかなかったという印象を与えるのはよくないと思うのです。次官、ひとつ勇断を持って――さっきからの答弁を聞いていますと、なかなか勇断があるのですが、これはやはり為政者としてははっきりしておく必要があると思うのです。実際五年以上なんというのは、いまの情勢でそう考えられないのです。あるいは原料炭等の値段が上がって、ことに豪州とかカナダとかアメリカという労働力不足の地点から日本は原料炭を買っておる。そうしてしかも通産省の発表によると一億一千万トンに鉄鋼の生産はなる、そういうことを発表した、それに対して八幡製鉄の社長の稲山さんは、いま労働力の面から、もう一つは原料炭の手当ての面から、それはとても無理であって九千万トン程度しか出ないだろうということを鉄鋼の経営者として言った。要するに原料炭が、鉄鋼の生産が伸びるかどうかという一つのポイントです。ですから、私はとにかく十年という将来を見通すことがなかなか困難である現状においては、新しい、新鉱開発は別として、既往の炭鉱を維持していくというならば、一応五年という区切りを置いたらどうか、こういうように考えるのですが。
#113
○中川(理)政府委員 非常によくわかります。前回の元利補給契約を結んだ会社が目の前で計画にそごを来たして倒産をしたという事例が、石炭政策が、できもしないことを計算上つけておるから不信を招く結果になるという御指摘はよくわかりますが、そのことは炭量の要件を見誤ったからそうなったのではなくて、むしろ五年間における事業計画、資金計画というものがくずれたということでございまして、不信を買ったということも私、事実だと存じますけれども、それは生産計画、資金計画の面で破綻を来たしたこと、そこに矛盾があったことが主体であろうかと思いますので、私どもは炭量要件はそれほどシビアーには考えておりませんで、むしろ五カ年の中における計画そのものについて、前回の処理についていろいろと御批判ありましたことは私ども自身もたいへん反省しておる次第でございまして、今回の案は必ずそうなるということではなくて、その間に計画にそごを来たすことあるやもしれずということを、むしろ非常に正直に率直に前提といたしまして、その中でそういう事態が起こった場合の措置も並び講ずるということにいたしておるわけでございますので、計画面での五カ年間というものを的確にとらえ、そこを無理に背伸びをした甘い計画でなければ受けない、再建交付金の交付をいたさないというようなきつい考え方をとろうとは存じておりませんので、計画は真実に近いものを正直に出してもらって、その計画から見ますと、五年間もつということ自身きわめて確実でないと思われる場合でもこれを認めていこう、要するに、考えたことと実際とがあまり隔たらないという意味で、多賀谷委員御指摘の点はできるだけ正直に今回の計画は処理したいという考え方でございますので、御理解をいただきたいと思う次第であまりす。
#114
○多賀谷委員 大日本炭鉱とか大辻炭鉱というものは、外部にはわからなかったでしょうけれども、経営者自体は鉱量がない、こういうような判断に立っておった。ですからこれはそこにやはり無理があっておる、かように思うわけです。いまの明治鉱業のような場合は、あるいは鉱量がないとはいえないでしょうね。これは確かに資金問題あるいはその実績問題という問題がある。しかし、いま申しました二社は、少なくとも鉱量がなかった、こういわざるを得ないのですが、弾力的に運用するということであればけっこうですが、あまり高い理想を掲げて実際がいかないという場合には政策そのものに不信感を抱かすということになりますから、御注意を願いたい、かように思います。
 そこで、次に質問をしていきたいと思いますが、再建交付金交付契約の基礎になるもの、第四条の二の一号に掲げておりますが、これを平たく御説明を願いたいと思います。
#115
○長橋政府委員 第四条の二におきましては、再建交付金の交付契約の締結に関する規定を置いておるわけでございます。第一号で規定しておりますのは、再建交付金の交付の対象になります債務のうち、昭和四十三年九月三十日以前において借り入れ、かつ昭和四十四年五月一日現在において借り入れ残高のある借り入れ金を再建交付金の交付対象債務として掲げたものでございます。これはただしまず第一に、長期借り入れ金でなければならないということで、据え置き期間を含みます償還期間が一年以内のものを除くということにいたしております。
 それから第二点といたしまして、合理化事業団から借り入れました資金のうちで、近代化資金と開発資金、それから再建資金のうち四十二年四月一日以後に借り入れましたものを除くことにいたしております。
 以上の債務は、石炭対策特別会計から合理化事業団に出資されました資金を原資として、貸し付けられているものでございます。また同時に金利につきましても、無利子扱いというものでございます。この原資が特別会計の収入であるというふうな特殊性にかんがみまして、これを除くことにいたしたものでございます。あとそれ以外に、財政金融機関からの借り入れ金につきましては、第四条におきまして、特定のものに限って対象にされておることは申し上げるまでもないわけでございまして、日本開発銀行、中小企業金融公庫、石炭鉱業合理化事業団から借り入れたものに限られているわけでございます。その石炭鉱業合理化事業団の融資の中で、石炭対策特別会計からの借り入れ分からの受け入れ金を原資とした無利子金融分を除いております。
 以上の債務につきまして、本年の五月一日現在におきます借り入れ金銭高につきまして、通産省令で定める計算の方法により計算した率を乗じた額を対象に考えているわけでございます。この通産省令で定める方法につきましては、石炭鉱業審議会の答申におきましても、今回は過去の債務の残高というものだけに基準を設けない。むしろ出炭量を積極的に基準として取り入れるべきであるという、こういうふうなことでございました。その線に沿いまして、出炭量と、それから以上の長期金融債務の残高という二つの基準で、それぞれの企業ごとのシェアを計算するということを考えております。そういった形で各企業ごとの対象債務が計算されるわけでございます。
#116
○多賀谷委員 再建資金のうち四十二年四月一日以降に借りた分は基礎から除くということですか。あなたのほうの条文は、カッコが二つも三つも中に入っておるから非常に読みにくい。
#117
○長橋政府委員 再建資金につきましては、昭和四十二年四月一日までは資金運用部資金からの借り入れ金を軸にして、事業団から借り入れてきたというわけでございます。同日以降、つまり四十二年度からは石炭対策特別会計が新たに設けられまして、特別会計の収入を再建資金の原資とする、こういうふうに改まりました。そこで、それ以後に再建資金として借り入れた分は交付金の対象債務から除外をいたしたものでございます。
#118
○多賀谷委員 わかりました。これは近代化資金、開発資金、その再建資金ですね、先ほどありました昭和四十二年四月以降の――これはなぜ除くのですか、第二肩がわりから除く理由。
#119
○長橋政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、無利子金融を行なっておるものにつきましては、再建交付金の対象から除外をすることにいたしたのでございます。
#120
○多賀谷委員 一般会計からすでに支出している金額ですね、これらの金額は。ですから、むしろ国はもうすでにその犠牲を覚悟して、一般会計から合理化事業団を通じて出しておるわけだから、これこそなるほど利子はつかないけれども、元金から肩がわりの対象にしたらどうですか。どうもこれは投資をした分については、めんどうを見てやらぬけれども、いままで何かわからぬで借金をしたものについては、めんどうを見てやるという感じだと思うのです。ただ利子がつかないという問題があるけれども……。なぜ区別をするか、それは短期はいいですよ。このうち短期資金については、私はわかります。それから四十二年四月以降はかなり情勢が、いわば新しい情勢を察知して再建資金を借りたというので、あるいは若干便乗があるのではないかという点で除外をすることもわからないことはない。しかし、ほんとうに石炭に投資をした近代化資金とか開発資金とかを除外をする意味が政策的にわからない。というのは、あなたのほうで――過去の債務について社外投資をしたものもあるでしょう。銀行から借り入れて、あるいは経営がだらしがなくて起こった借金もあるでしょう、こういうようにいろいろあるわけですよ。いろいろあるわけであるけれども、それらは一応対象の中に入れる。しかし、近代化資金とか開発資金ば入れないということが、ただ利子がつかないということだけでは私は理解ができないと思うのですが、どうですか。どこに使うかわからぬやつは見ておるのに、石炭につぎ込んだものは見てやらぬ。
#121
○長橋政府委員 再建交付金は限られた額でございます。その効率をできるだけ高めるという観点からいたしますと、まず損益面におきまして、再建交付金によって金利が事業の負担から免れる。それからまた同時に、資金繰りの面で返済負担から免れる、こういう問題がございますが、損益面におきます無利子効果というものが非常に大きな意味合いを持つものと考えているわけでございます。そこで同時に近代化資金あるいは再建資金といったようなものは、あるいはまた開発資金につきましては、相当長期にわたる返済を前提にした借り入れ契約になっているわけでございます。そういう両面から考えまして、無利子の合理化事業団からの金融繰りにつきましては、限られた再建交付金の予算の総ワクというものをできるだけ効率的に使用するために除外いたした次第でございます。
#122
○多賀谷委員 私は、どうもまじめな者が損をするようなしかけになっているという感じがするんですよ。なぜかといいますと、あなたのほうで全部正確に調査をして、これは炭鉱に投資をしたそのものについては、開発銀行から利子の要る金を借りている、あるいは市中銀行から借りておるから、肩がわりの対象にするというならわかるけれども、事実上調査ができない。だから、いわばマクロ的に現在残高が幾らということで、その借り入れ残高に応じて計数をかけておる。そうすると、ここにきわめて明確に投資をしたことがわかる近代化資金とか開発資金とかいうものについて除外をするという意味が政策的にわからぬ。しかも、これは一般会計からすでに支出をしておる。ですから、これはなるほど合理化事業団としては、返済をあてにはしておるけれども、しかし国家の財政としては、一般会計で支出しておるわけですから、財投とはおのずから違う。なぜこういうものを対象にしてやらなかったか、こういうことです。それらを借りて投資をした人は、まじめに投資をしている。またいいかげんに投資をした場合には、あなたのほうで金を出していない。ですから、私は、そういう点が、これは利子がつかないから対象外にはずすというそういう政策がわからぬというのです。これはとにかく社外投資か何かをして、ホテルやその他にどんどん投資をして、そしてその借金になったものを見てやるという形になるのですよ、現実は。そこで不公平な政治じゃないですか、こういうわけです。どうですか、これは。
#123
○中川(理)政府委員 これはお説のような御議論も成り立つと思いますし、私もその事柄自身に反対を申し上げる筋合いではございませんけれども、何せ特別会計の収入の中で再建交付金を含めました新しい対策費用というものを配分しなければいけないという収入面での限定というものが一つの前提に相なっております。そこで多賀谷先生の御議論として、合理化事業団等から出したものは、使途も明確であるし、まさに的確に設備投資をやっておるという点をおっしゃっておりますことは、そのとおりでございますが、先ほどおっしゃいましたように、短期性のものを排除しておる等々のことから考えますと、その他の、今回の対象にしております長期の借り入れ金というものは、御指摘のように、多少経営状態をよくするための借り入れというものもあろうかと存じますけれども、概していえば、やはり投資そのものに使われたものだと概括的には理解してよろしいのではないか。反面、各石炭会社の借り入れの実態を見ますと、例外はもちろんございますけれども、市中金融機関から借り入れている額がむやみと大きくて、合理化事業団から借り入れているものがむやみに少ないというような形あるいはその逆の形というものは、さほどないのでございます。そうだとすれば、元金を返済してという政策のねらい、投資に力を入れた人のその借り入れ金を償還してやるという観点から申しますと、多賀谷先生のおっしゃるとおりの御議論が成り立つわけでございますが、その議論ともう一つ、やはり当面再建交付金を考えました一つの理由といたしまして、先ほど長橋部長からお答えいたしましたように、市中金融機関から借り入れたというものについては、実際問題として約定返済期限というものについて、なかなか猶予その他はしてもらえない。返済に追われる。そのことが資金繰りを苦しくする。かつまた、それらのものを、元利補給契約で解消をしていきませんと、金利負担がかさんで収支的になかなかいい状態は出てこない。再建交付金の制度は、先生おっしゃるような石炭の合理化のために投資をしたものについてかわってやるということのほかに、もう一つ相並びまして、やはり当面の資金繰りを楽にしてやる、金利負担からの収支上の好転を期待するという目的をもかね備えておるのでございまして、先ほど石炭部長から効率的使用と申しましたのは、二つの目的を考え、かっ全体の石炭対策に回し得る財源というものが限られているという全体から考えましてこのようにいたしたわけでございまして、もしこのような収入面の前提がなければ、おっしゃるようなことも考えなければならなかったかと思うのでございますが、それらの限定のある状態での苦肉の策だということでひとつ御理解をいただきたいわけでございます。
#124
○多賀谷委員 政策がみな次へ押せ押せの政策になっておりますね。そしてそのときだけを考えて、結局まじめな企業家が、あるいは近代化や開発の資金を使ったけれども、うまくいかなかったという事態には致命的なものになる。今度、明治炭鉱が企業ぐるみ閉山という状態になったのも、一つはやはり北海道における庶路の開発ですね。これに二十億つぎ込んだけれども、結局一銭にもならなかった、こういう面もあるわけですね。ですから、石炭の開発というのは、非常に大きなリスクを伴う。そのことをやはり考えていかなければならないと思うのです。それがほかの会社にばけて、石炭以外の企業になっている、その資金も実は銀行から炭鉱が借りれば、当然今度再建交付金の対象になるわけです。しかし、それを借りたのは炭鉱が借りたのだけれども、現状はどうかといえば、もう別会社になっているという例だって幾らもある。それはチェックのしようがない。ですから、政策としては、ほんとうに炭鉱につぎ込んだ借金はやはり見てやるというのが政策の本旨ではないか、こういうように考えるわけです。十分な答弁を得られませんけれども、政策としてはそういうことを十分配慮していかなければならない、かように思うわけです。
 そこで、もうすでに質問があったと思いますが、今度の第二次肩がわりというのは、これは市中銀行よりも財投のほうが恩恵を受けるわけですね。それから、いま予定をされている大手十社で一体どのくらい借り入れ金があって、そのうち市中銀行と財投とがどのくらいの関係になるのか、これをお聞かせいただきたい。
#125
○長橋政府委員 お答え申し上げます。
 再建交付金一千億円ベースで申し上げますと、その再建交付金対象として予想されます借り入れ金残高のうち財政分が約六百五十億、市中分が約三百十億円でございまして、その比率といたしましては財政分が七〇%弱、市中分が三〇%強というふうな割合になります。
#126
○多賀谷委員 大臣が時間がないそうですから一言だけ質問をしておきたいと思います。
 炭鉱が他の産業を経営しておる場合に炭鉱の経営がだんだん悪化していく。法律の恩恵を全面的に受けたいという場合に他の企業の分離をやるんですね。現実にもう分離をやった会社もある。そうして今度企業分離、閉山の申請をしようとしておる、あるいはまた今後も石炭がだんだん赤字になると、他の企業がやはり発展をしないというわけで、他の企業を分離をする、いわば植村構想とちょうど逆ですね。植村さんのほうは、石炭を第二会社にして全部集めようという。ところがそうでなくて、石炭はやっぱりいまの会社にして、そしてそのままいくけれども、他の分野を分離をしていく、こういう形が漸次出てくると思うのです。そうしてそれは企業分離、最終的には閉山という恩恵を受けることになる。ところが一般住民としては、非常に納得がいかない幾多の問題があるのですね。今度でも企業分離、閉山になりますと、一般の中小企業の人々も五〇%程度しか最大の場合に売り掛け金の確保ができない。あるいは鉱害の被害者も年々賠償が十分もらえない。やがてその企業は無資力になる。そうなりますと、一方同じ企業、いな一昨年までは同一企業であった企業が、同じ地域に現存をしておるという。隆々とまでいかなくとも、かなり維持をしておるということになると、どうも住民感情としても奇妙な形になる。ある品物を納めましても、一方の他産業の分野に振り分けられておる場合には支払いを受けるでしょうけれども、石炭側に仕分けをされたほうは、十分に債権の確保ができないということになる。これは非常に矛盾をした状態である。なるほど株式会社というものは、別個の法人であれば全然関係がないかもしれない。しかし一般の債権者としては、債権の確保ができない以上、非常な怒りを感ずるのです。これを一体どういうようにお考えになるか。そのことは、私は過去だけではないと思う。今後も起こり得る問題である、こういうように考えるわけです。
 そこで逆にいえば、経営者がその気でやるならば、石炭部門だけ集めたほうが、今後投資をするについてもむだに投資をされないで有効だと思う。そこで問題は、企業として存続をするか、産業として存続するかという問題にもなる。ですから経営者のほうが、もうそれだけ炭鉱の資本から逃避をしていくならば、政策として何もそれを追っていく必要はない、こういうように考えるのですが、大臣どういうようにお考えですか。
#127
○大平国務大臣 石炭の位置づけ、エネルギー資源としての位置づけをどうとらえるかということが根本にあると思います。いろいろなそういう企業意識の弛緩あるいは動揺というようなものが起こる危険性も、やはり石炭産業というものの位置づけに無関係であるとはいえないと思うのでございます。いま正直に申しまして、固有のエネルギー資源としての石炭が、どういう位取りをとるべきかということにつきましては、たいへんむずかしい問題であると思います。将来の展望を考えてみても、ますますわが国が手当てをしなければならぬ資源が多く期待されなければいかぬのでございますけれども、それだけできるかできないかがまず問題であろうと思いますし、鉱害がこのようなやっかいな段階になってまいりました場合に、新しい評価を石炭にしなければならぬような事態がくるかもしれませんし、また技術の革新は、この分野でどのように起こってまいりますか。そういったことも、いまにわかに的確な判断を持つことができないのでございます。
 そこでその問題につきましては、各党ともいろいろお話し合いをいただきましたラインに沿いまして、ここしばらくの間、鉱業審議会に討議の場を設けまして、この石炭産業の位置づけ、そしてそれにからむ本格的な体制の問題の、掘り下げた検討をいたさなければならぬと思うのでございます。そういうことを一方において鋭意やりつつ、多賀谷委員がいま御指摘のような問題は、しかしそれまで待つことができないわけでございまして、いつ分離の意思が表明されるかもしれぬという問題でございます。私どもとしては、そういう経過期間におきましては、その実態をよく究明いたしまして、石炭政策の本旨に沿うように、可能な限りの行政措置を考えなければならぬと思います。非常に手ぎわよく分離して逃げ切るというようなことが、一応考えられますけれども、分離には当然既存の資産の移動、それに伴う既存の株主に期待された権利の侵食を伴うことになるわけでございますから、法律的な問題といたしましてはいろいろな問題があると思いますけれども、行政的な問題といたしましては実態を克明に究明いたしまして、石炭政策の本旨に合致したような強力な指導をいたす。そういうことを受けとめて経営者が十分確立したモラルの上に立って――石炭政策の遂行のにない手として当たっていくというモラルの確立を極力促し、それに応じないような場合につきましては私どもといたしましてもきびしい態度でこれに対処してまいるようにいたしたいと思うのでございます。問題は具体的な場合の具体的な処置の問題でございますけれども、私がいま頭にある方針といたしましては、いま申し上げますような気持ちできびしく対処しつつ、その間に本格的な体制問題は石炭の位置づけの究明とあわせて討議を進めてまいらなければならぬし、そしてそれは必ずわれわれの努力と英知を傾けてまいりますならばできないことはないのではないかと考えております。
#128
○多賀谷委員 現実に債権者から言いますと詐害行為のような、要するに債権が十分確保できないような行為が現実に行なわれたし、今後も行なわれる心配が非常に強い。石炭企業として石炭部門に補助金を受けながらある程度他産業の分野に進出をする、その他産業の分野が一応独立さしてもいけるようになると独立さす、こういうことが十分考えられるわけです。現在もかなりの炭鉱にそういうことを――過去においてした例も非常に多い。ですから、そういうようになってきますと、石炭産業自体につとめておる者と、それから石炭産業用資材を納入をする者、これはもう全く炭鉱に対する不信だけが募る、私はこういうように考えるわけです。これは法律的にチェックする方法があるのですか、どうですか。
#129
○中川(理)政府委員 御指摘のようにいろいろ好ましからざる形での分離ということもやりようによってはやれるのかもしれないという御心配だと思います。先生御自身おっしゃいましたように、まずやはり分離に際しまして資産に見合うような負債をもっていかない限りは、法律的には債権者の側から見て詐害行為という民法上の救済手段が一つ考えられるわけでございます。これが実際問題として不十分にしか行なわれないということは、御指摘のように考えられると思います。しかしながら、片方再建整備法をごらんいただきますとわかりますように、資産の移動につきましては通産大臣への届け出事項と相なっておりますので、いま大臣からお答えいただきましたように、こういった場合におきましては十分に調査はできますし、その間指導を加えることができると考えております。
#130
○多賀谷委員 まあ届け出なら効果がないのですね。ひとつ大臣、この点にやはりぜひ留意をしていただきたい。そしてやはり次の再編成のできるまでそういう動揺が比較的ないようにお願いしたい、かように思います。
 そこで続けて局長並びに部長に質問いたしたいと思いますが、いま大手十六社の借り入れ金の内容について市中銀行と財投とお話がありましたが、結局市中銀行は第一次の肩がわりでかなり肩がわりを受け、さらに担保を持っている。しかも担保はかなり有力な担保を持っている。ところが財政投融資のほうは、どちらかといいますと、開発銀行にしても合理化事業団にしても、担保の比較的薄いほうの優先順位あるいは抵当しかとっていないというところで、これまあ次官、大蔵省が第二次肩がわりをぱっと認めたというのは、どうも大蔵省の金が必ず回収できるように、そこに責任者が犠牲者が出ないように、こういう考え方もあるのじゃないですか。これはどうですか。
#131
○中川(理)政府委員 これは基本的に申しまして、今回の対策を打ちます場合に、再度このような、前回の肩がわりあるいは再建交付金の交付というような事態が起こらない、借金をしておけばまた行き詰まったときに国の側からめんどうを見るのだという気持ちで安易な経営をされては困るというのが、審議会の審議の段階におきましても大方の御意見でございました。その意味におきまして特別会計の収入と無関係な財投原資あるいは市中からの借り入れというものに無制限に手をつけられまして、あとまたしりぬぐいという形になることを避けるという意味合いが、審議会の答申の中で強く反映されておったことは事実でございまして、合理化事業団の無利子融資を中心に考えていこう、市中金融機関には運転資金を期待し、長期資金はプラスアルファでやるというふうに観念していこう、開銀融資というものも大宗を合理化事業団に譲っていこう、こう考えましたのは、特別会計の収入の中で適正な政策を行なっていく、こういう見地から出ておるのでございます。その意味においては、今後はかりに返済不能あるいは会社の解散ということがあったといたしましても、特別会計の出資による合理化事業団の貸し付けに穴があいたということで再度また特別会計からめんどうを見るという実態はない。ここいらに政策の一つのポイントを置いたのでございまして、その際、これからのこういう政策のスタートにあたりまして、再建交付金について市中並びに開銀の借り入れ残というものについてある程度始末をつける、十五年間かかって始末をつけるという考え方をとりましたのは、今後の特別会計のあり方というものにつきましていまのような考え方が一つあったということを御理解いただければ、考えました考え方というものにある程度の御理解をいただけるのではなかろうかと思う次第でございます。
#132
○多賀谷委員 続いて質問いたしたいと思いますが、契約の内容を変更をしてそうして四条の二の一項の一号ですか、イ、ロ、ハ、ニとこういう契約の変更をやることが書いてあるのですが、たとえば利率の年三分という契約をやるという場合に、実は七分で貸しておった、そうするとあとの三分については金融機関としては当該会社に追求ができるのですか、できないのですか。法律的にそれはできないということを含めて契約の更改をやらそうとしておるのか、これは任意でやるのか、法律上それは追求できないと考えていいのか、これをお聞かせ願いたい。
#133
○長橋政府委員 これは金融機関と、そこから借り入れております石炭企業との間で金利につきまして年三分という契約更改が行なわれたという前提の上に立ちまして、再建交付金の交付契約が結ばれるわけでございまして、法律的に三分を上回るものを徴収できないことになっております。
#134
○多賀谷委員 そうすると契約の内容が変更をされる、すなわち七分が三分ということになるという前提でないとその交付契約は政府は結ばない、こういうように理解してよろしいですか。
#135
○中川(理)政府委員 そのとおりでございます。法律の条文で申しますと「当該借入契約の内容を変更して、その変更に係る部分の内容を次のイ、ロ、ハ及びニに適合するものとすること。」これをしたことを前提にして契約を結ぶということであります。
#136
○多賀谷委員 そうすると、その範囲においては当該炭鉱は債務を免れる、こういうことになるわけですね。
#137
○中川(理)政府委員 そのとおりでございます。
 それから審議会の答申もそのことを意図して金融機関側が応分の犠牲を負うという前提でこの再建交付金の制度を提案したわけでございます。
#138
○多賀谷委員 では次に従業員あるいは従業員であった者の賃金の支払い債務並びに貯蓄金についてお聞きいたしたいのですが、この債務の内容を変更して、それから償還期間その他の方法について適合するように改める、こういうことが書いてあるのですが、債務の償還期間というのは一体どういうように考えられておるのか、これをお聞かせ願いたい。
 と申しますのは、本来管理貯金というのは必ず即時支払いをしなければならない。こういうことが労働省の省令で基準法を受けてできておるわけですね。もしその請求をした場合に返済のできないような場合ならばその管理貯金の認可そのものができない。しかし事実上はそのことがなかなか困難であることも経営上知っておりますけれども、しかし直ちに払わなければならないものか、一体債務の償還期間というものの契約ができるのかどうか、変更の契約ができるのかどうか、これらをあわせてお聞かせ願いたい。
#139
○長橋政府委員 従業員関係債務、社内預金も含めまして元利補給契約の対象債務にいたしましたのは、審議会の審議の過程におきまして従業員の側にとりましての自分の債権をめぐる不安感というものを除去する道として考えられたわけでございます。そこでこの従業員債務を再建交付金の契約対象にするかどうかは経営者と従業員との間の話し合いに基づくものでございまして、もしも御指摘のような不安が従業員の側に残るといたしますれば、経営者として別途従業員の安心感を確保するような道を考えざるを得なくなるわけでございます。そこでその話し合いが整いまして、これだけの額について再建交付金の契約対象にしようということになりました場合には、まず再建交付金の半年賦払いで続けてまいるわけでございますが、石炭企業としては国から受けました交付金をまず他の金融債務に先立ちまして優先弁済をするというたてまえになっているわけでございます。そして従業員債務の優先弁済が終わった後に一般の金融債務の弁済が始まっていく。その間は一般の金融債務につきましては据え置き期間、これは第一号のロに規定されているわけでありまして、据え置き期間ということで金融機関との契約を結ばなければならぬということに相なっているわけであります。
 なお金利につきましては、金融機関の場合と異なりまして、金利が三%になるような契約更改が行なわれなければならぬということは従業員債務におきまして要件とされておりません。ただし国が利子補給の対象として行なうのは三%までです。かような規定になっている次第でございます。
#140
○多賀谷委員 これは貯金という考え方ではもうなくなるわけですね。普通の債務の変更というように見るのですか。というのは、基準法の十八条、要するに委託管理貯金というのは「労働者がその返還を請求したときは、遅滞なく、これを返還しなければならない。」特別にこういうことになっているのですね。ですからいわば定期預金のようなものに管理貯金というのはできないことになっているわけですね。ですからこの法律で管理貯金の返済ということになりますれば基準法違反の法律になる。ですから貯金という一応概念を捨てて、ある債務だ、それの返還をするのだという観念になるのかどうか。あるいはこの法律については基準法の排除規定が必要ではないか、そういう点どういうように考えているのか、ちょっとお聞きしたい。
#141
○中川(理)政府委員 実態的には貯蓄金でございましても、会社がなかなか払えないという実態であることを考えましてこの措置をとったわけでございまして、もし即時返還、即時払い戻しという預け入れた側の権利を剥奪するところまでやりますと、いま多賀谷先生おっしゃったようにいろいろ問題が生ずるわけでございますので、そこは双方の合意にゆだねておるわけでございます。いつでも払い戻せるという状態にしておきたい、肩がわりの対象にしておきたくないという預け入れ者側の判断があればそうせざるを得ないのでございます。反面そうでもない、そういう法律的な権利としてはあっても、実態としてなかなか払ってもらえないというものをこの措置に乗せたわけでございますので、その意味では、実態的に貯蓄金から一種の債権のように運用上は考えるということに相なろうと思いますが、法律概念といたしましては、法律にいっておりますように、貯蓄金の返済の債務、こういうことばを使っておりますので、これは事柄の実態からいって必ずしもいまの基準法上の制度に対して排除規定を入れておかなければならないというほどのことではないと考えておる次第であります。
#142
○多賀谷委員 だいぶおそくなって、早くやめないかという陰の声がありますから、法律論は実態をよく知っておる私としてはあまりしないでやめたいと思いますけれども、やはりこういう点が立法論としては一つひっかかる。
 そこで、債務の償還期間というのは、優先的に支払うというが、具体的には一体何年くらい考えているのですか。
#143
○長橋政府委員 これは現実に三分の債務につきまして、特に第一号の一般金融債務と第三号の従業員債務につきまして、経営者が片や金融機関、片や従業員との間で契約の更改をどのようにまとめるかというふうなことにかかっておりますので、何年以内ということはあえてここでは想定いたしておりませんが、おおむね二、三年程度。長い従業員債務をたくさんかかえ、従業者としてもここで不払いもあえて辞さないで確実な償還を求めるという場合には、五、六年というケースもあるいは出てくるかもしれない。かように想定いたしております。
#144
○多賀谷委員 次に十条の新たにつけ加えられました三つの項について質問いたしたいと思います。
 従業員に対する損失補償、これと企業ぐるみ閉山の場合とどういうように関連があるのか。要するに、十条はたしか炭鉱の操業を中止した場合の規定だと思うのですが、元本額の二分の一に相当する額を出す、こういう規定があります。そうすると一方、企業ぐるみ閉山という制度ができておる。ですから、石炭生産の事業の廃止をしたときに相当の債務が残っておるとするならば、企業はおそらく企業ぐるみ閉山の方向にいく。そうすると、企業ぐるみ閉山であれば、先ほどいろいろ御答弁のありました方法をとられるということになるわけですが、その点といま私が指摘をいたしました点との関連について御答弁願いたい。
#145
○長橋政府委員 企業ぐるみ閉山と金融機関に対する損失補償規定との関連でございますが、申し上げるまでもなく、企業ぐるみ閉山制度は二年間の臨時的な制度ということに相なっておりますが、ここで企業ぐるみ閉山を希望する企業が出、かつ交付金の交付が決定されました場合に、金融債務につきましては、この再建整備法に基づいて元利補給契約全体の肩がわりを受けているような企業の場合には、肩がわり対象となっている金融債務につきましては、この再建整備法の規定に基づきまして、金融機関の回収不能分の二分の一が政府から補償されるわけでございます。
 それから非肩がわり債務につきましては、今度は企業ぐるみ閉山制度の金融債務に対する交付金といたしまして、これは政令段階で定められる問題でございますが、やはり再建整備法の損失補償の場合と同じように、当該金融機関の非肩がわり債務に対する不能分の二分の一を交付金として交付することに相なっております。金融債務に対します取り扱いは、両者軌を一にする予定でございます。
#146
○多賀谷委員 従業員のことを聞いている。金融機関を聞いているのではない。従業員の補償。私が申しましたのは、第十条の今度加えられました三項「第一項の規定により従業員等に対し補償する損失は、当該従業員等が当該債務についてその履行を請求した日から三月を経過してもなお取り立てることができなかった元本の額の二分の一に相当する金額とする。」これと企業ぐるみ閉山におけるその労働者の債務の弁済との関係。
#147
○長橋政府委員 失礼申し上げました。
 従業員債務につきましては、再建交付金の対象になりました分に対しましてはこの規定に基づいて補償が行なわれるわけでございますが、別途企業ぐるみ閉山制度のほうにつきまして、従業員に対する賃金債務等に対しまして一定限度内の交付金が交付されるわけでございまして、企業ぐるみ閉山制度によって交付されます従業員債務関係の交付金から再建整備法に基づきます従業員に対する損失補償金を差し引く形で調整をいたす考え方をとっております。
#148
○多賀谷委員 ものの考え方としては、再建交付金のほうがまず先で、そのあとに企業ぐるみ閉山の適用を受けてその企業ぐるみ閉山の交付金がいくのか、それともその債務の履行を請求した日から三ヵ月を経過してもなお取り立てができない、そこで結局特別交付金を受けてなお差額が出る場合にこの適用を受けるのか、どっちが先なんですか。それによってもらう金が違う。
#149
○長橋政府委員 企業ぐるみ閉山交付金を申請するという場合が生じましたときは、計算上は企業ぐるみ閉山交付金の算定のほうが先でございまして、換言いたしますれば、特別閉山交付金の交付決定額から再建整備法に基づきます労働債務に対する損失補償金を控除して最終額を決定する、かような考え方でございます。
#150
○多賀谷委員 私は申請の時期を言っているのではないのですが、いまの答弁によると、企業ぐるみ閉山のときの特別交付金というのは、再建交付金を先に発動して、控除して後の金額について企業ぐるみ交付金を出す、こういうような考え方ですか。
#151
○長橋政府委員 まず再建整備法に基づきます損失補償金が一つ計算されるわけでございます。そして特別閉山交付金の従業員関係交付額からそれを差し引く、言いかえますれば再建交付金を受けていないで、企業ぐるみ閉山をする場合と、受けて申請する場合と同じように扱う、かような考え方でございます。
#152
○多賀谷委員 同じようにならぬでしょう。全額出すということが前提であれば同じようになるけれども、ある率ということになると同じようにならぬわけですよ。たとえば貯金の場合を言いますと、今度岡田君が質問をしてあなたのほうで答弁があったのも、やはり既往の分については七五%という特別交付金の方法が示された。そうしますと、再建交付金の対象になっておる山について、最初まず二分の一再建交付金から出て、残りが二分の一出ておった場合の七五%と、今度は逆に七五%を特別交付金で見て、あとの二五%の二分の一という場合とは数字が違うわけです。ですから、私はどっちを先に発動するのですかと聞いておるのです。ものの考え方はどっちを先にやるのだと聞いておるのです。
#153
○藤尾政府委員 事務的な問題でございますから、なお検討いたさせまして、明日にでもお答えをいたさせますけれども、私の考えますところでは、再建交付金といいまするものは再建のために出すわけでございます。再建をいたす可能性のあるものに対して、まず再建交付金を出す。ところがそれが所期の目的と反して、今度は閉山せざるを得ないというときになって、初めて閉山交付金に変わるわけですから、考え方といたしましては再建交付金が先行をするというような順序に考えるのが至当であろう、私はかように考えます。
#154
○長橋政府委員 例示で申し上げさしていただきますと、当該従業員が十万円の貯蓄金を持っているといたします場合に、再建交付金の対象扱いを受けないで、企業ぐるみ閉山の事態に遭遇したという場合に七万五千円、七五%手に入る、こういたしますと、今度再建交付金の対象になりました従業員が閉山時までに十万円の貯金のうち三万円払ってもらって、そうして七万五千円に対しては三万五千円残っていた……。
#155
○多賀谷委員 要するに閉山する時点において同じ金額で説明してください。すでに少しずつ払っておったけれども、やめる時点においての十万円なら十万円で計算したほうがわかりやすい。――これは必ず起こるんだよ。二年のうちにうまくいかなかったらどっちを適用するかということが必ず出てくる――あしたでいい。
#156
○長橋政府委員 ただいまの問題につきましては、至急検討いたします。
#157
○多賀谷委員 では次に、合理化臨時措置法の一部改正についてお聞かせ願いたいと思うのですが、局長はこの前政令の内容として、一般債務については五〇%程度を確保する。それは大体トン当たり千円程度考えておる。次に鉱害については、鉱害の年々賠償分及び金銭賠償分の全額及び三年程度の復旧費の納付金を考えておる。その金額がトン当たり千五百円程度である。こうおっしゃったわけです。これは間違いありませんか。
#158
○長橋政府委員 一般債務につきましては、一般債権者の取り立て不能額の二分の一または閉山トン数トン当たり一千円をかけた額のいずれか低いほうというような御説明を申し上げたと思います。
#159
○多賀谷委員 いやそんなことは言わぬ。いずれかという話はなかったですよ。この前の局長の話は、いかにも一般債務の五〇%がトン当たり千円になり、それからいま申しましたように鉱害のほうは鉱害の金銭賠償の全額並びに三ヵ年の復旧費の納付金が大体千五百円、こうおっしゃって、いずれをとるとか低いほうをとるという話がなかったから聞いておるのです。一体どちらを確定したものと考えていいのか。たとえば一般債務が五〇%とするならば千五百円要る、こういうように考えて、それは千五百円にしていただけるのかどうか。それから逆に一般債務のトン当たり千円というならば三〇%にしかならないが、それは三〇%で押えるつもりであるのかどうか、この点を明確にお答えを願いたい。
#160
○中川(理)政府委員 いま先生そうおっしゃいますと、議事録その他点検してみませんとさだかではございませんけれども、その後当委員会、参議院の委員会いろいろなところで申しておりますが、いま部長が答弁いたしましたように、いずれか低きほうということでお答えしておるはずでございます。実態的には大体そう大きな開きはないという説明はいたしておると思いますけれども、そちらの角度でお答えをいたしたつもりでございます。
#161
○多賀谷委員 最初の大臣の補足説明のときにそういうようにおっしゃって、きわめて明確でなかったわけです。その後同僚の質問に対して答弁があったらけっこうですが、それはいずれどちらかという場合は低きほうというのは政策上ちょっとないでしょう。高きほうというのはわかるけれども、低きほうというのは……。
#162
○中川(理)政府委員 実はこのようなことを申し上げますのは、たいへん不信感を前提にした話になっておりまして、まことに答えにくいのでございますけれども、一般債務というものの性格からいたしますと、解散まぎわのかけ込み擬装というようなものが起こりはしないかという懸念が政府部内で非常に議論がございまして、先生おっしゃることもわかるのでございますけれども、いずれか低きほう、こういうことにいたしたわけでございます。
#163
○多賀谷委員 そうすると、鉱害の場合はどうですか。
#164
○中川(理)政府委員 鉱害課長に説明させます。
#165
○佐々木説明員 お答え申し上げます。
 鉱害賠償債務の返済につきましては、金銭賠償に相当するものは全額、それから年々賠償は大体最新年度が基準になると思いますが、それのおおむね三年分、それから復旧費につきましては残存鉱害分につきましての権者負担額の十分の三。十分の三といたしましたのは、それが今後十年間で復旧するとすれば三年分に相当するという趣旨でございます。その三つの合計額とそれからトン当たり千五百円とのいずれか低きほうということでございます。
#166
○多賀谷委員 これも低いほう……。
#167
○佐々木説明員 そうでございます。
#168
○多賀谷委員 そこで、金銭賠償とは一体どういうものか。
#169
○佐々木説明員 一番代表的なものは、家屋等につきまして閉山のときに金銭で打ち切り賠償するというような場合であろうかと思います。そういった打ち切り賠償で片づけるもの、そういったものを主として考えております。
#170
○多賀谷委員 その金銭賠償の債務の発生をする時期はいつです。
#171
○佐々木説明員 これは特別閉山交付金の会社が申請いたしますと、その後一定期間内に債務者のほうから申し立てをすることになっておりますので、特別閉山交付金の申請をいたした時点におきます鉱害につきまして、その賠償債務をこういう方法で計算をするということであろうかと思います。
#172
○多賀谷委員 年々賠償の既応の未払い分、これは金銭賠償として考えているのか。と申しますのは、年々賠償三年分とおっしゃったから、その既応分は金銭賠償と考えているのかどうか。
#173
○佐々木説明員 ちょっと御質問の趣旨がよくわかりませんが、年々賠償の既応で未払いになっているもの、こういう趣旨でございますか。――既応で未払いになっております分は、実際上全体の金額からいけばそれほど大きなウエートは占めておらないと思います。この辺の金銭賠償のところにカウントするかどうかということはただいま検討中でございますが、そこのところは全体の額からいきますとほとんど大差はないだろうというふうに考えております。
#174
○多賀谷委員 問題は金銭賠償が将来に向かって発生する場合が非常に多いという点で、非常にむずかしいと思うのです。たとえば水道をとりますと、水道を新しくつけるということになりますと、いままで井戸が枯渇しておるために炭鉱がただで水を供給をしておる。そうすると、町が水道をつけるということになると、料金を払わなければならぬ。しかし井戸は出ない。しかもその地域は井戸で十分だという場合に、被害者のほうからはひとつ十年分の水道料金をよこせ、こういう要求に変わるわけですね。そうすると、まだ今後十年分というのは債務が発生していないわけです。ですから、この金銭賠償が将来にわたって発生する場合が非常に多いということ、それから家屋の復旧等による店舗の移転の問題、移転に要する費用あるいは商売がその間できないという休業補償という問題、そういう問題が一体留保できるのかどうか、これをお聞かせ願いたい。
#175
○佐々木説明員 最初のほうの水道の問題につきましては、先生御指摘のように非常にむずかしい問題があろうかと思います。ただ、いままでの閉山交付金の例によりますと、そういう場合には打ち切り賠償額を同意いたしましたならば、その同意額をもって一般閉山交付金から交付しておるのが通例でございますので、そういった事例にならいまして、たとえば水道で打ち切り補償をするといたしましたら、そういった同意額に相当する打ち切り賠償額というものを金銭賠償額としてカウントしたい、こういうふうに考えております。
 それから次に復旧費の点でございますが、復旧費の点につきましては、確かにこれは実際上実施計画を作成いたしませんと、はたしてそこの農地なり家屋なりの復旧費が幾らで済むかということはわからないわけでございます。したがいまして、閉山時におきまして実際そこまで精密にやろうとするならば、一軒一軒の家屋、一件一件の農地につきまして全部実施計画をつくらなければ正確な残存量の負担額は出てこないのでございますけれども、そういたしますと実際に適合しないことになりますので、それは現在大体復旧のルールとしておりますような通常のベースで判断をして、そこでもってたとえば合理化事業団なら合理化事業団が査定をした残存鉱害量の負担額、こういうようになろうかと思います。
#176
○多賀谷委員 その金をリザーブしておくのですか。
#177
○佐々木説明員 そういった算定額とトン当たり千五百円というものを比較いたしましていずれか低いほうでございますから、その合計額が千五百円をこえましたならばその千五百円のところで打ち切ってリザーブをしておく、そういうことになろうと思います。
#178
○多賀谷委員 ぼくは年々賠償についてもおそらく復旧がいま予想される明治にしてもあるいは麻生の吉隈炭鉱にしても何十億という鉱害がある。そうしますと、それは五年や六年で復旧ができない。ましてや平山炭鉱はさらに操業を続けるというならば、不安定鉱害期間というものは相当長い期間になる。そこで年々賠償の支給しなければならぬ年次がかなり要るわけですね。そこで今度はあなたのほうで三年なら三年とこういうように言われても、現実としてなかなか処理ができない。ですから私はあえて言うならば、もう予定をされる金銭賠償というものを、合理化事業団でけっこうですから、あらかじめリザーブしておいて、そして復旧計画に大体見合うようにしておく。そこで金はトン当たり千五百円しかないわけですから、そういたしますと結局どういうことになるかといいますと、復旧の納付金というものをもう二年なら二年くらいでやらざるを得ない。二年くらいで無資力に落とさざるを得ない。こういうように考えないと、これは権利関係があってたいへん紛争するだろうと思うのです。ですから将来の無資力鉱害の復旧あるいは水道のいろいろな問題等あらかじめ予定をして金銭賠償分をまずリザーブしておく。そして残った範囲内においてこの鉱害の復旧の納付金を出す。それが多いところならば、一年で無資力に落ちるかもしれない。あるいは一年半でいくかもしれない、こういうように考えざるを得ない、現実しなきゃいけないんじゃないかと思うのですがね、どうですか。
#179
○佐々木説明員 先生御指摘のとおりでございまして、特別閉山交付金制度が固まりました以降、われわれも各事業団と相談いたしまして、それの実際上の配分のしかたというものをいままで研究をしてまいったわけでございます。先生御指摘のとおり、これが全額を満たしておりませんから当然どこかで切ることになるわけであります。そこで、いままでの一般閉山交付金の配分の方法でございますと、二年なり三年なり、全体の片がつくまでリザーブをしておりまして、全体の配分の計画のきまったところで出す、こういうやり方をやっておったわけです。しかしこの特別閉山交付金制度の場合に、そういうやり方をいたしますと、二年なり三年なりの間配分ができない、こういうことになりますので、先生の御指摘のように、われわれが考えておりましたのは、まずリザーブいたしておりますトン千五百円の全体の金額を何べんかに分けて出す。その分けて出します場合に、第一年度の年々賠償、第一年度の復旧費の納付金相当額というものを優先的に出す。それから金銭賠償につきましては、打ち切り賠償相当額は同意額に沿って優先的に出す、こういうことにいたしたいと思います。
 そういたしますと、残りの部分が、先生御指摘のように、三年間もつかどうかということはわからないわけでございます。なおまた、その千五百円という頭打ちがあるわけですから、いずれか低いほうでございますから、こちらのほうの計算は三年分ということになっておりましても、千五百円で頭打ちになります結果、三年間はもたないということもあり得るわけでございますから、その場合、場合によりましては二年間でおしまい、あるいは二年半もつというようなケースも出てくるだろうと思います。したがいまして、二年間ないし二年半なりで全部おしまいになりましたならば、あとは無資力の復旧、無資力の鉱害対策のルールに乗せまして、無資力鉱害として処理をいたしていきたい、こういうことでございます。
#180
○多賀谷委員 金銭賠償が、無資力の場合にも十分手当てができるというならば、私はあえてそういう質問をしないのです。しかし大蔵省はなかなか渋くて原状回復についてはやるけれども、金銭賠償まではやれませんなんと言うから、ですから金銭賠償分だけは初めリザーブしておったらどうか、こういうわけです。ですから、そういうように現実処理をしていかなければならぬということと、もう一つは、年々賠償の一つの変型ですけれども、無資力の場合の調整交付金というのがある。しかしこれは頭打ちがあるわけでしょう。一人について一年間二十万円ですか。それからまだ金額が、現実にいまいわれておる企業ぐるみの明治とか麻生よりもずっと低い基準だ。無資力というのは、御存じのようにほとんど――大手が無資力になるなんということはあり得なかったし、実際無資力になるような炭鉱は、既往分も払ってない炭鉱が無資力になったわけですから、その基準というものはきわめて低いところに基準が置かれておったことも事実ですね。しかし、現実に御存じのような情勢の中で閉山をしていくわけですから、やはり年々賠償というものを相当考えてやらなければいかぬ。そうすると、無資力調整交付金というものを上げるか、しからずんば初めから年々賠償分をリザーブしておくか、この二つしか方法はないと思うのです。ですからそれはどういうようにされるつもりであるか。これは局長じゃないとちょっと無理ですかね、調整交付金を上げるかどうかです。
#181
○佐々木説明員 先生十分御承知のとおり、まさに御指摘のとおり、現在実施いたしております無資力調整交付金の金額は、確かに、現在大手炭鉱が平均的に行なっております年々賠償に比較しますと、かなり低いベースにあるわけです。ただ年々賠償をきめるにあたりましては、いろいろ先生方、学識経験者をわずらわしましてルールをつくって、それできめましたような経緯もございまして、これを簡単に変えるわけにはなかなかいかないのでございますが、先生御承知のような実態でもございますので、これの改善については現在検討しておるわけでございます。でき得べくんば合理的な範囲内で改善をしていきたいということでございます。
#182
○藤尾政府委員 この問題につきましては、重大な問題でございます。元来鉱害を引き起こされました被鉱害者、これに対しては、ほんとういうと一〇〇%賠償しなければならぬ、これは当然の考え方でございます。しかしながら事実問題といたしましてそれができない。そこでいま鉱害課長が申し上げましたようないろいろな手順を踏んでおるわけであります。しかしながら、いま申し上げましたようないままでの考え方、それでは不十分である、これはだれが見ても不十分でございます。したがいまして、この点につきましては、これは予算の関係を伴いますので、なお大蔵との間に十二分に折衝いたさなければならない。そういった問題を踏まえながら前向きに検討してまいります。
#183
○多賀谷委員 いま企業ぐるみ閉山が行なわれてもすぐ処理をする必要はありません。時間もかなり十分あると思うのであります。それで、いま次官がおっしゃいましたようにひとつ努力をしていただいて、どういうように解決するか、被害者の負担にならないようにぜひ考えていただきたいと思います。
 そこで、本日はこれで一応質問を終わります。
#184
○平岡委員長 次回は、明十八日金曜日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後七時二十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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