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1949/04/19 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 在外同胞引揚問題に関する特別委員会 第19号
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1949/04/19 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 在外同胞引揚問題に関する特別委員会 第19号

#1
第005回国会 在外同胞引揚問題に関する特別委員会 第19号
昭和二十四年四月十九日(火曜日)
   午前十一時四分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○吉村隊事件
○人民裁判の件
  ―――――――――――――
#2
○理事(岡元義人君) では只今から委員会を開会いたします。先ず御報告いたして置きますが、前の委員会において印刷物の促進を要請されましたのでありますが、御手許に配付いたしましたような進行状況でありまして、完成いたしますのは二十五日、こういうことになつておるわけであります。この二十五日を章きましたならば二十三日に完了して頂きように只今尚、更に折衝中でございますので、その点御了承願いたいと思うのであります。
 それから大体先だつての証言の中で出て参りました石切現場においての死亡者の関係者にて、伊東邦義、並びに渡邊廣太郎、この二人についての大体住所その他の調査をいたしておりましたところが、伊東邦義は昨年の十月心臓麻痺にてすでに死亡しておることが分つたのであります。で大体伊東邦義は家にあつては、殆んで元隊員の訪ねて來ることを非常に好まないようであつた。その理由をば親が聞いても何も語らなかつた。その死亡に対しましては警察が立会つてその死因を十分調査してあるようでありまして、大体間違いのない死亡と、死亡が確信されておるようであります。もう一人の渡邊廣太郎につきましては、只今住所をば調査中でありますので、判明次第御報告いたしたいと思つております。本日は前の委員会におきまして吉村隊の証人を更に喚問して結末を出すか、その点がまだ本日の委員会に持越されておるわけであります。その点と、もう一つ人民裁判を証人喚株して更に今後やるか、この二点について各委員にお諮りしたいと思うのであります。
#3
○天田勝正君 第一の吉村隊事件の証人喚問を続行するか否かの問題でありますが、このことは淺岡委員が喚問することを強烈に主張しておるのでありますが、私をして言わしむれば、当委員会が黒白をつけて吉村隊長を委員会の名によつて告発するというような申合せ、或いは決議によつて今回の喚問がなされたならば、更に喚問を必要とするだろうと思うのであります。ところが決してそうした目的で喚問したのではなくして、如何なる点にこの引揚促進が阻害されておるかということを明らかにいたしまして、当委員会はその対策を講ずるというのが目的であつたと思うのであります。そういたしまするならば、すでに吉村隊を通じての引揚阻害という問題は事明らかになつたのでありまして、私はこれ以上吉村隊事件に関しての証人喚問は必要なしと、かように断定申上げます。そこでこの件は更に淺岡委員のお出でを願つたところで採決を願いたいと存じます。
 尚人民裁判の件でありますが、これは過日の証人喚問によりましても、人民裁判を主張したところの津村君の証言によりましても、五十名くらいナホトカから逆輸送されたということがほぼ明らかにされております。尚これに関して相当世間の噂が誤当を生んでおるという点も多々ありまするので、これを明らかにすることによつて、若しさような事実がないとするならば留守家族は非常に胸撫で下すでございましようし、若しそうした事実がありとするならば、これ又関係当局等を通じまして要請しなければならない、こういうような点もあり、且つ又各收容所によつて非常にいわゆる民主化したというところ、並びにその逆の点があるということが証言されておる以上、これも又これに関連して明らかにすることが当委員会として最も妥当ではないか、かように考えますので、第一の吉村隊事件の証人喚問続行という点は反対、人民裁判並びに各收容所の実態を更に調査するという意味の証人喚問には賛成、こう申上げたいと存じます。
#4
○理事(岡元義人君) 只今天田委員から御発言があつたのでありますが、一應更に吉村隊の証人を喚問する点は淺岡委員が間もなく出席されるそうでありますから、その上で決を採ることにいたします。
#5
○理事(岡元義人君) 次に人民裁判についての証言に対して何か御発言はございますか。
#6
○千田正君 この人民裁判、いわゆる兵士大会なるものは、若しも只今天田委員のように必要としてこれを証人喚問して再びそういう問題をやるとするならば、相当の、証人に対して十分の調査をしてからでなければ僕はその喚問に不賛成であります。若しやるとするならば、相当の証人としてのどういう立場であるとかということをはつきり十分に委員諸君も調査の上で喚問するならそういう方法を採つて貰いたい。この委員会としてはやはり権威付けた一つの結論を出さなければならない立場にありますので、簡單にこれがどう言うたからどうだとか、あれがこういう評が出ておるからというのではなくて、しつかりした、証人を呼ぶなら十分御調査の上呼ぶようにして貰いたい。その点だけ要望して置きます。
#7
○星野芳樹君 このいわゆる人民裁判に対して喚問するについての私の意見は、喚問するとすればこの委員会は権威ある結論を出さなければならない。併し本委員会の根本的目的は引揚促進であり、受入態勢の整備である。この受入態勢には一應参考になるが、まあ引揚促進に関係することですが、この際人民裁判を審議することが引揚促進に果して好影響を持つものであるか、悪影響を持つものであるかということを根本的に考えたいと思います。そういたしますとむしろこのことをトピツクとして取上げて喚問することは、無論全体としてはソヴイエトを友好的に動かして引揚数を増加せしめるという点についてはむしろ逆効果の方が多くはないか。併し現実にいわゆる人民裁判によつて後に廻される人があるということがあるのではないかというのが委員諸君の問題になつておる点だと思いますが、そういう人が後に廻されることがあつても、全体の引揚数としては大体それをどうこうしても変るものではないので、むしろ現在は全体の引揚数を増加することに集中して、大多数の人々が帰つちやつてからそういうものが残されたという際に問題にすべきであるので、現在いわゆる人民裁判ということに対して喚問するのは時機にあらずとこう考える者であります。
#8
○草葉隆圓君 人民裁判の問題は、この間の証人喚問で私は大体一應のやつておつた事実、その他については証言を求め得たのではないか。從つて本委が会においては一應それに基いた委員会独自の立場からの檢討を加えられて、その檢討で異論がまちまちになるなら更にその異論を正すために証人を御喚問になることも結構と思いますが、一應は先日の証言を基にして委員会はこれを檢討する立場にお移りになつて、その上で必要があれば証人喚問ということもいいと思います。そういう意味においてこの委員会がこの間の証言を中心にして人民裁判の件をはつきりと一つ御検討願い、その上での問題にお進め願いたい、かように思います。
#9
○理事(岡元義人君) 他に御意見ございませんか。
#10
○細川嘉六君 いわゆる人民裁判について言う前に私は星野委員にお伺いしたいのですが、星野委員はさつきいわゆる人民裁判を問題にする場合、ソ連当局の感情を刺戟しないかというようなことを言われたが、その理由がどういうところにあるか御説明を願いたいのであります。
#11
○星野芳樹君 それはあの我々委員会の何というのですか、構成による現実の結果を私は推測しておるのであります。人民裁判、いわゆる人民裁判或いは兵士大会、これの本質が公正なる立場で以て判断されたらば、或いは何らか刺戟しないかも知れません。併し特別にこれを取上げるということですと、現在の委員会の空氣によつて取上げることが、それは刺戟する結果になるか、刺戟する結果にならないかは断定はできませんけれども、取上げることが引揚促進に特に有利だという点は何ら見出されない。取上げたことが不利になるという虞れはある。数十万の同胞の運命のことですから虞れになることはある。こう考えるのであります。
#12
○細川嘉六君 今星野君の御説明で星野君がこの委員会の構成などから見てどういう結果になるか。悪い結果になりはせんかということを心配なさるその御懸念は私も同感であります。取上げ方次第によつてはこういう懸念が実際に現われないとも限らないことは、委員会の今までのいろいろの調査において根拠のあることであります。私はいわゆる人民裁判、これについては先日津村証人が述べたことで十分主要点がはつきりしておると思うので、私としてはこの問題を取上げる必要はないと思います。併しながら委員諸君が是非これを取上げることが引揚促進のためによいという御決定になればこれ又私はそれに反対するものではない。正々堂々とこの問題を扱つて欲しい。今星野君が言われたような懸念というものは毛頭行われることなしに行われて欲しい。ただ一つ條件は、いわゆる人民裁判を主張した者、肯定する者、それからこれに反対する者、これはどつちともはつきりした者を選ぶ。同数で選ぶ。あやふやな者を選んで事柄をいい加減に抛つてしまうということはいけませんから、主張のはつきりした者を集めて、そうしてそれから証言を求めて、我々は公正なる普遍妥当な立場でこれを冷靜に判断する、そういうことであつて欲しいということを私は、やられるならばそうあつて欲しいという條件を出します。
#13
○矢野酉雄君 人民裁判の更に審査を公正に明らかにするということはこれは非常に大切なことでありまして、是非細川委員が言われたような公正なる証人を、いや証人を公正なる立場からよく愼重に調査をして喚問することも賛成であります。ただ今までの、然らば委員会において証人の喚問等が非常にルーズに行われたかというとこれは私は絶対そうは思つておりません。何回も何回も愼重にこれを檢討して、英彦丸の証人の喚問のときは、細川君が眞に要望せられた証人が恐らく七、八名は喚問されておると私は思うのでありますから、いわゆる各縁風会とか、民自党とかいう会派の数によつてその要望を入れるということでなくて、或いは委員長、理事の会合において先ず予めこれを檢討し、然る後に委員会全体にこれを諮つて決定しておるのでありますから、今までのような大体手続を経て、そうして証人を先ず選考して、そうして委員会を開催すると共にこの委員会において、御賛同が得るならば、前の委員会の際淺岡委員から、いわゆる世にいう吉村隊の証人喚問について、更に七名か八名かの証人の名を挙げてその喚問の必要を頻りに強調せられておられるようでありますが、実際から申しますというと、まだもう一歩突込んだならば我々委員として釈然としてその事実を明らかにすることのできる余地は確かに残されていると私は思つているのでありますが、さてどれだけ選ぶかということについては、どれだれ選ぶことについての委員長、理事の会をやり、委員会をやつて決定したのでありますから、やつて見て更に不十分であつたというので、新たに証人を喚問するとすれば、決して前の選考の手続が軽卒であつたという断定は下されないのでありまして、成るべく私は嚴密にやるならば選考して少数の人でよかろうというような氣持を持つているのであります。そのことは、私は後で來たので問題が或いは離れているかも知れません。
   〔理事岡元義人君退席、理事草葉隆圓君委員長席に著く〕
#14
○理事(草葉隆圓君) これは後で……。
#15
○矢野酉雄君 人民裁判の私見だけを述べて置きます。
#16
○星野芳樹君 いわゆる人民裁判の問題については、私は現在の時機は、五月から引揚げが再開されるか如何、これは再開されるものと存じますが、まだはつきりとしていない。これが一番重点の第一である。このときに人民裁判というものを審議して、それがこれにプラスになるかどうか、人民裁判をここで審議したから引揚げが再開されるという理由は何らない。そしてその取上げ方如何によつては却つてこれの障碍になる虞れがある、若し障碍になつたならばこの委員会、引揚げ促進のための委員会が引揚げ妨害の委員会になつてしまう。そういうことから考えて、現在は全くその時機でない。問題の本質を究明するのは、何でも問題の本質を究明することは結構なことなんですが、それは究明する時がある、それは今の時ではない。問題は五月からの引揚げの再開を確保すること、これが重点である。こう思つております。
#17
○伊東隆治君 私結論を申しますと、喚問しない方がよいという意見であります。あの三日に引続いて人民裁判をもつと究明するというのでしたならば、それはもう二日ぐらい続いてやつてもよかつたのでありますが、一應ここで中絶をいたしているのに殊更にここに話を起してやるということは、星野委員の懸念も確かに或る面にありましようし、又丁度私が言わんとするところを星野委員も言つたのでありますが、五月から丁度引揚げも始まるのでありますし、その前特に話を戻してここに喚問をやるということは、ちよつと大したことではないかとも思いますが、差控えた方がよい、こう思います。若しどうしても究明したいという委員の方々が、相当ありますれば、さつき草葉さんのおつしやつた通りもう一遍委員会の方で自由な討議をして見て、そうして又話をしてもよい、この点はそう思います。できるならば、これで一應打切つてしまいたい。
#18
○岡元義人君 我々委員会は終始第一國会以來引揚の促進を念頭に置きながら、各委員熱心にこの問題については檢討されて來た問題であります。そうして只今星野委員と又伊東委員からも御懸念のありました点を十分斟酌いたしまして、そうしてできる限り刺戟を與えないように、そうして人情にすがり、道義に訴えてこの引揚促進を念願しながら我々はやつて來たのであります。併しながら尚且つ四年の年月をここに経過しまして、我々の同胞がまだ四十数万残つているのであります。でこの委員会の性格を我々委員は十分この際自覚する必要がある。それは人民裁判というものは一体日本の現在の機構の中でどの機関が取上げる力を持つているか。例えば吉村隊のごときはこれは檢察廳においても、或いは外の方法においても取調べるには取調べる方法が採り得るのであります。併しながら人民裁判に関する限りこの特別委員会以外には取上げる機関は一つもないのであります。この点を我々は十分この際考えるべきである。それともう一つ、この人民裁判は果して合法的な手段であるかないかということは、今こそこれをば明らかにしまして國民の批判に訴える時機であると私は思うのであります。そうして日本の國民が嫌うなら世界の如何なる國であつても今日続行するということは考えられないのであります。苟くも五年の冬を迎えさせるということがあつてはならないのであります。今年に帰還を完了させるためには少くもこの問題を取上げて一人でも残さない。いわゆる日本の國民の全体がそういうことを嫌つているということをばはつきり知つて貰つて、そうして一人も残ることがないことにしたい。人民裁判を取上げるがいいと思うのであります。各委員におきましては或る程度から考えるならば、引揚再開を眼の前に控えてどうこうということを考えられますが、併しながら裏からも考えなければならない。これは一人々々の主観の違いでありますから、その点は株は何とも申されませんが、できるならばこの人民裁判をこの委員会が十分檢討して、そうして我々の同胞が今年も残されるというようなことがないようにしたい。こういう工合に取計らつて頂きたいと思うのであります。
#19
○鈴木憲一君 吉村隊の問題は淺岡委員が列席されてから採決されて然るべきだと思います。人民裁判の件については意見ももう大分出たようでありますから、この辺で採決を願いたいと思います。
#20
○千田正君 私はこの人民裁判を仮に取上げるとするならば、五月からいよいよ引揚が再開する予定になつておりますので、第一回若しくは第二回のソ連から引揚げて來る我々の同胞が入つて來てから現実に今どういうふうな状態においてそういう問題がやられておるか、尚継続されて相当深刻の問題になつておるか、一應そういうことを聞いて取上げて見た方が却つていいのじやないか。やるならばそうしたらいいし、やらないならば打切るという方法を採つて貰いたい。
#21
○天田勝正君 各委員の話を聽いておりますと、人民裁判を取上げない方がいいという御意見の方は、別段根本的にこれに反対だ、こういうのではなくして、ただそれをやることによつてソ連当局を刺戟しやしないか。こういうことに理由があるのであります。私はそれ程一体末稍神経を過敏に働かせる必要がどうしてあるのか分らない。ソ連とても大國であります。世界の大國である以上は、この程度のことを取上げて、それに癪に障つたから、日本人を帰す帰さない。そんなけちなことはよもあるまいと思う。又どういうことが多少そこにあればとて、如何に戰敗國といいながら、そこまで日本人が卑屈になる必要がどこにあるかと思う。これを取上げてどうしてどこを刺戟する。逆に考えてごらんなさい。これは相当これによつて帰えされておるという噂を各委員とも耳にされておるであろうと思うのです。そうしたならば、若しそうした不当なる事実がないということを明らかにすることはむしろ逆にソ連当局は、喜びこそすれ、憤慨する筋道は一つもありません。こういうことからして、物事は正しいことは正しいと明らかにいつの場合でも言い得るのがいわゆる民主主義の徹底でありますから、そういう観点からいたしましても、僕はその事態を明らかにすることに決して卑怯であつてはならんという観点から、少くとも仮にそれが過日の証言によりまして、ソ連当局の一向命令ではない、けれども、このことは行われておる、そのために、とにかく過日の証言によりましても、五十名の人は少くとも返されたと言われておる。從つてこのことを明らかにするために、あれだけの人々の証言で、誰も私は十分と断言し得る人はないと思う。こういうことから、この事態を明らかにするために喚問する方が適当であろうと、こう考えます。ただその時期の取上げ方の愼重さについては、それは相当千田委員のおつしやるような考え方もこれ亦十分考えて見なければならないと存じます。そうした愼重な取扱の上に喚問されんことをば再び要望いたします。
#22
○鈴木憲一君 先程の動議につきまして意見のいろいろあるところから、動議の取上げ方、採決の仕方を三色に願いたいと思うのです。第一はこれを取上げない、第二は取上げる、第三としましては、時期を見てこれを計るべきである、こういう三つにお願いしたいと思うのであります。
#23
○穗積眞六郎君 この問題は二つ目的があるのかも知れません。一つは、こういう事実があつたかどうかということであります。一つは、將來の帰還に対してこういう事実をあらしめたくない、こういうことだろうと思います。一番必要なのは、これからの帰還にそういう事実をあらしめたくない、こういうことだろうと思います。これには私は今即時にやるということが絶対に影響がないと言い切ることはできないと思います。私は、先程の千田委員の御意見のように、この新らしき帰還の再開があつて一、二回の後に、その事実をよく調べて見た上で、今の問題を又取上げるのが本当ではないかと思います。
#24
○矢野酉雄君 穗積委員の御意見は、あるかないかを調べて見るというような御意見ですが、津村君の証言によつても、確かに五十名余の諸君が、折角懐かしい祖國を、この海が敦賀に、函館に続くというところまで返されているのは、儼然たるこれは事実である。その他英彦丸等三丸の証人喚問、更に過般の吉村隊の喚問の際にも、あちらこちらの証人からの証言の中からそれをピツク・アツプして蒐集したことによつても、確かに日本人の手によつて、それが正当な帰還でも、何でもなさそうに見えることで結局抑留されている。僕の現に身近な者さえも、満洲國の警察におつたがために、山田という刑事さんが、結局ナホトカまで來て警察官なるが故にというので人民裁判で返されたということも私は傳聞し、細君は今神戸の方で非常に生活に困窮しながら待ち佗びている。こういうのはもう分りますから、だからそれがどういうようにして、この時期の違い或いは年の違いによつてそれぞれ私は違つた方法も採られていると思いますので、その結論を正しく公正に結んで、そうして連合國の対日理事会なら対日理事会という正式の機関、シーボルト議長を通じ、或いはソ連の正式の機関に対してその結論を得たものを、若しくは委員会によつてこういう方法が適当であるという結論に達したならば、その結論に從つて、かかる人民裁判のような、兵士大会というようなのが行われて、これは結論として、どうもソ連の親心と全く違つているようだから、是非ソ連の当局の手で是正して欲しいということをお願いする道ができると思います。反対される方の御意見は、その前提として人民裁判をやれば結局再開されるであろうと予想せられているところのその帰還が、そのために障碍を受けるというその御杞憂が非常に濃厚のようでありますが、私はその杞憂に一つも囚われないで最も公正な民主的な立場からあり得べからざることをなくして帰還促進を大いに一歩を前進さしたい。その千田委員の御意見、これも一つの方法としては正に御意見通りで私も同調して結構であります。ところが五月に帰すというところの公式の通牒はまだ日本政府にはない筈だと思います。委員長は、この問題については、後で政府当局と御連絡の上で御答弁を願いますが、果して然りとするならば、再開の期日が公式に決定し予測せられざる以上、五月或いは六月と言われるけれども、私は四月の下旬からでも是非再開して欲しい。そのために、この人民裁判の証人喚問の委員会の結論をそういうふうに話して行きたいという立場から、先ず鈴木委員の言われた第二の案を一つ決定しい頂いて、そうして方法は、更に懇談の上で、期日、手続等の問題は結合をして頂いて結構だと思いますから、そういうつもりで御採決を願いたいのであります。
#25
○岡元義人君 私は今の三つの方法でも結構でありますが、ただ一言だけ、要するに引揚げの状況を見てから取上げるというのは、少しもつと外の解釈をすべきじやないかと思うのであります。現に今まで人民裁判というものは行われて來たのであります。これをば、我々今後の日本の將來におきまして、このままこれが放置される場合においては、これは日本國民が合法的手段であつた、こういうことを認めたという結果になると思うのであります。むしろその結果だけを見て、これをば我々が檢討するというのではなくて、少くとも未然に防ぐという効果がなければ何にもならんと思う。で、この人民裁判が、先の津村証人の証言によりますと、これは我々日本人同士だけで以てやつていたのだということをはつきり言つておるのであります。それであればある程我々はこれをば未然に防ぎ、而も今度帰つて來る人が、一ヶ月も二ヶ月も模樣を見るのでありますならば、その一ヶ月二ヶ月に人民裁判によつて奧地に残されたという人に対しましては、見殺しにするということである、そういうようなことは過去においてあつたと思います。ですから、今後は一つもないようにして貰いたいというのが取上げるところの一番大きな理由でなければならんと思う。それを途中からやり始めて模樣を見てからやる、そういうような性質のものでないと思う。少くともやるからには、引揚促進の前に私は事実をできるだけ……資料の蒐集等に対するところの事実というものは、これは当然必要であります。併しながら再開を前にしてこの問題を取上げなければ意味がないと思います。
   〔「採決々々」と呼ぶ者あり〕
#26
○理事(草葉隆圓君) お諮りいたします。先程鈴木委員から人民裁判を更に委員会で詳細調査をする、そのために証人喚問をすることについての可であるか、否であるか、その時期についていつにするかという動議が提出されましたが、この動議を採択することに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#27
○理事(草葉隆圓君) それではこの動議について委員各位の採否を決したいと存じます。人民裁判の問題につきましては、吉村隊のときにすでにこの委員会が取上げてやつて参つたのでありまするが、更に人民裁判だけを一つの委員会の中心議題として、これに対しての証人を喚問することに御賛成の方方の挙手を願います。
   〔挙手者多数〕
#28
○理事(草葉隆圓君) 七名、過半数と認めます。それではこの時期についてのことは理事並びに委員長にその原案を御一任を願つて、その原案について委員会の承諾を求め決定するということに決定して御異議ありませんか。
   〔「異議なし」「不賛成」と呼ぶ者あり〕
#29
○千田正君 私の賛成する理由は、人民裁判問題に対し、人民裁判の問題は再開してから後にならば私は賛成します。それでなければ私は絶対不賛成です。
#30
○矢野酉雄君 それは今委員長の諮られたのは少し窮屈過ぎるのであつて、理事それから委員長の間で原案を作つて、委員会に承認を求めるというのでなくて、草案を作つて委員会の問題としてそこでもう一度よく練つて、皆樣の御意見を出して貰う、そうして到達する結論を見付けるというふうにしないと、委員長並びに委員会の原案が余り強く出過ぎたものですから、いろいろな問題が起るので、その点を御配慮願いたい。
#31
○理事(草葉隆圓君) 只今の問題は、矢野君のお説のような取計らいをするつもりでございます。
#32
○星野芳樹君 時期を延ばせというような動議が出て、それを採決しろと言つているのだから、現在は直ちに取上げないということを採決して……。
#33
○理事(草葉隆圓君) 人民裁判について、これを新らしく取上げて証人を喚問するということについては決定いたしました。併しその時期について異論がありますので、時期はこれを直ちにやるか、更に再開後やるかということについて意見が分れております。直ちに委員長並びに理事において原案を作り、これを委員会に諮つて御相談して決定するということに御異議はございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#34
○理事(草葉隆圓君) それではさよう決定いたします。それでは速記を止めて。
   午前十一時四十四分速記中止
   ―――――・―――――
   午後零時二十四分速記開始
#35
○理事(草葉隆圓君) 速記を始めて。本日はこれにて散会いたします。
   午後零時二十五分散会
 出席者は左の通り。
   理事
           天田 勝正君
           草葉 隆圓君
           岡元 義人君
           星野 芳樹君
           鈴木 憲一君
   委員
           淺岡 信夫君
           水久保甚作君
           伊東 隆治君
           木内キヤウ君
           穗積眞六郎君
           矢野 酉雄君
           細川 嘉六君
           千田  正君
ソース: 国立国会図書館
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