くにさくロゴ
1949/04/22 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 在外同胞引揚問題に関する特別委員会 第20号
姉妹サイト
 
1949/04/22 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 在外同胞引揚問題に関する特別委員会 第20号

#1
第005回国会 在外同胞引揚問題に関する特別委員会 第20号
昭和二十四年四月二十二日(金曜日)
   午後一時三十六分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○証人喚問に関する件
○引揚促進の決議案に関する件
○帰還者に対する失業保險法適用に関
 する件
  ―――――――――――――
#2
○委員長(紅露みつ君) それではこれから委員会を開会いたします。
 私昨日舞鶴の視察から帰つて参りましたが、留守中に何か新聞記事について問題であつたそうでございますので、一應経緯を申上げたいと思います。後程この新聞を御覽頂けば直ぐお分りになることと存じますが、十四日の晩に立ちまして、それから十五、十六と舞鶴を視察いたしたのでございますが、この間に二回新聞記者に会いました。それは施設を視察しておりますときに三人程見えましたし、その十五日の夜分に一組見えましたが、いずれも私一人で記者に会つたことはございません。むしろ同行の草葉委員からお話がありましたが、私の談として出ておりましたので、京都新聞が一つ書いておりましたので、私はそれを丁度持つて帰つたものですから、これを御覽頂けば、何か毎日新聞が問題になつたそうですが、これとお比べ頂けば分ると思いまして、これは回覽いたしたいと存じます。それから放送のことも御心配頂いたそうでございますが、私は徳島に一日おりました。ちよつと用事がございまして縣廳に顏を出しましたけれども、それは福祉課に顏を出しましただけで、福祉課との打合せがありましたために縣廳に寄りましたので、記者團会見というようなことが言われたそうでございますが、私は記者團とは一遍も会見いたしておりません。それからその放送を私聽いておりませんし、一向それは私の責任ではないと存じますので、一應経緯を申上げた次第でございます。あとでお手の空いたときに一つこれを御覽願いたいと思います。その晝間三社程の方に会つたその記事が京都新聞に出ております。それが舞鶴の暴行事件とごつちやになつてこちらの毎日新聞に載つておるかの感がありますので、これは後程御覽頂きます。
 それで今日の案件は、帰還者に対する失業保險適用に関する件、それから引揚者の行政整理に関する件、それから人民裁判及び吉村隊事件の証人喚問の日時に関する件でございますが、都合によりまして、最後の人民裁判及び吉村隊事件の証人喚問の日時に関する件、これを先に審議したいと存じます。
#3
○岡元義人君 その前に御報告いたして置きますが、先程各委員にお配りいたしました吉村隊事件の速記録は二十五日に完成するようになつておりましたのでありますが、その後事務当局を鞭撻いたしまして、徹夜して頂きまして、大体今日中に完成するようになりましたので、一應御報告いたしておきます。それから今議題となつております吉村隊の証人喚問の日取の決定の件でございますが、少くとも会期中に結論と申しますか、委員会としての締括りを付ける必要上、できるならば速かに処置しなければならないと思のでありますが、まだ渡邊廣太郎の住所が現在まで判明いたしておりません。今明日中には各方面から電報が入るようになつておりますが、今のところまだ確たる住所が判明いたしませんので、できますならば二十九日が休みになつております。三十日があるのでありますが、一日が休み、三日が休み、五日が休み、こういう工合になつておりまして、全連の方からも御意見があるかと思いますが、京都において、いろいろ大会等の催しがあるようでありますから、どうしても実情から推して参りますと五月の四日、六日しかできないのじやないか、こういう工合に考えられるのであります。で五月の四日に若しできましたとすけば、何とかして十日以前に大体の締括りができ上るのではなかろうかと考えられますし、又当委員会といたしまして、まだ残つております今会期中に是非とも処置しなければならない案件が特別未帰還者法の一部改正、その外今日問題になつておりますところの失業保險法の改正に漏れておりますので、こういう問題の解決は少くともこの会期中にやらなければならないと思うのであります。そういう点を勘案いたしまして、どうしても五月の四日頃がぎりぎりの日にちではないかと考えられますので、この点意見を申上げます。
#4
○北條秀一君 五月四日ということでございますが、五月五日は休みでありますので、委員各位は相当都合で出られるのじやないかと思います。
#5
○岡元義人君 五日は休みですよ。
#6
○北條秀一君 だから五日に休みだから皆出る可能性が多いから、四日は無理じやないかと私は思います。從つて六日以後に、一日二日のことですから、六日以後にすれば最もよいのじやないかというふうに考えますが、御相談願いたいと思います。
#7
○岡元義人君 それはもう実に事情は今の北條委員の言われる通りなんですが、ただ企画の関係から申上げますと、できるだけ早く上げたい。でなければ案を纒めますだけでも、どうしてもやはり三、四日かかりますので、それからその外に法案関係がありまして、今期中に、而も会期は十五日が休みなんです。そういたしますと一日、十六日しかありませんので、十四日までに大体のことを完成しなければならん、こういうような状況にありますから、休みも大体二十八、九日から三日間ばかりまでやつて、四日は一つ無理でも特別委が会の方には出席して頂いてやつて頂く、又人民裁判と重なつて参りますので、人民裁判の日取も考えなければならんし、そういう点も考えまして、できれば四日にして頂きたい。できなければ六日に私は訂正いたしますが、そういう実情だけお汲取願いたいと思います。
#8
○北條秀一君 岡元委員にお伺いしますが、この前の吉村隊の事件の関係と、人民裁判に関する証人喚問と、二つ別にするのですか。
#9
○岡元義人君 別にしなければ……
#10
○北條秀一君 そうすると、両方別に企画の方で考えられたら……。日取りの方を発表して頂きたいと思います。そうしないと……
#11
○岡元義人君 若し吉村隊の方の証人喚問が四日にできれば、人民裁判は六日にやつて、ここで一遍に締括りを付けたいと、こういうふうに考えておりました。
#12
○北條秀一君 四日と六日にやつて、直ぐその締括りを付けるというのは速記録の関係を恐らく考慮してのことであると思いますが、先程私が申したように六日、七日にやつて、八日、九日、二日に分けて纒め上げることは、十分可能だと思います。必ずしも速記録は出て來なくても、我々は十分吉村隊の事件及び人民裁判の問題について結末を付けることはできると考えますので、委員会としては本会議に報告する問題は八日、九日或いは十一日、これだけの日があれば可能であると考えますので、やはり四日にやるということは無理だと私は思います。
#13
○矢野酉雄君 それはどちらでも理窟があるから、大体こういうふうにしたらどうですか、五日が休みでしよう。子供の日ですか。六日に吉村隊のまだ残された問題の喚問をやつて、そうして七日、八日と引続いて人民裁判、或いは一日で纏める。そうすると六日、七日とやつてしまつたら、六日吉村隊、七日は人民裁判、そうしたらそれでいいじやないかと思います。
#14
○岡元義人君 六日、七日で、それは私別に同執しない。ただこの際各委員に一つ理解して頂きたいことがありますが、実は前の休会中の各出張の報告書を幾たびもお願いしたが、まだ提出させて頂いておらない。それから今度の出張報告その他殆んど実際事務的処理が私共の企画としてはやり切れないくらい滞積しております。各委員においてもその点一つ御同意を頂いて、前の整理の分だけ御協力を一つして頂くならば六、七日でも我々は会期中に完成する。何とかしてやり遂げて行きたい、こういうふうに考えます。ただ北條委員にも申上げて置きますが、問題は單に先程あなたの方の関係の法案も言つておりましたが、この際相当陳情、請願が多いので、何とか会期中にけりを付けるようにして置かなければならんと思う。その点は十分勘案して十四日まで実際の審議ができない、本会議を十四日までに片付ける、こういうふうに運ばなければならんと思います。だから六、七日でも私は別に差支ありませんので、この点一つ各委員にも御協力を願うということで、その点説明して置きたいと思います。
#15
○穗積眞六郎君 岡元委員にお伺いしますが、人民裁判のあのときの決議はどうなつておりますか、日にちのことについていろいろ皆さんからの意見がありまして、結局はどういうことになつておりますか。
#16
○岡元義人君 あのとき委員から、とにかくやることはこれで決定したが、その日取りに関しては中の委員の方から、これは在外が始まつてもやつたらどうかというような御意見があつたわけであります。
#17
○矢野酉雄君 御意見もあつた……
#18
○岡元義人君 御意見もあつたわけであります。
 併しながら問題として、これはそのときの状況から本國会中の問題でありまして、若しその後にやるというのであつたならば、今度の國会というふうに決定する必要はないと私は思います。
#19
○穗積眞六郎君 だけどそれは岡元さんの御意見ではないですか、結局のところはどう決まつたか、こう言つて伺つておるのです。
#20
○矢野酉雄君 今それは僕にも関連するから申上げます。今僕は大体の見通しとして、一概に吉村隊や何かと、人民裁判をやるとすれば、会期の残されたものから見通して見て、大体済むだろうということで、まだ正式に決定する途は……何か七日か八日と改めて動議を出して諮るべきであつて、大体の見通しから言つて僕はまあ七日にやつたらよかろうというわけであります。それから最前の調査書類を出さないという点……。ちよつと速記を止めて。
#21
○委員長(紅露みつ君) 速記を止めて……
   〔速記中止〕
#22
○委員長(紅露みつ君) 速記を始めて……
#23
○北條秀一君 私は先般の委員会に止むを得ず欠席いたしましたので、その内容について知らないので、先程岡元委員の報告によつて私は先程來発言をしておりました。人民裁判の関係の証人を喚問するかどうかという点について、当時の委員会に私は出席できませんでしたので、私はこれについて主張なしという意見書を穗積委員に託しておつたのでありますが、先の委員会におきまして、すでに決定したものだというふうに考えておりましたが、今矢野委員のお話しによりまして、何かその間に多少まだゆとりがあるようなお話しでありますが、その点をはつきりして頂きたいと思います。
#24
○岡元義人君 今穗積委員の御質問がございましたから、一應私先程は吉村隊と切離して申上げたわけなんです。勿論日取りの決定ということに関連いたしまして、今穗積委員から御発言があつたというふうな問題も意見が出ておるわけなんであります。だからこの点におきましては、日取りの決定と一緒になつて檢討されれば結局いいわけであります。それでやるということに対する決定は終つておりますので、とにかく日取に対して各委員から御意見が出まして、そうして決めて頂けば自然と解決が付くのじやないか、こう考えます。
#25
○北條秀一君 私はなぜそういうふうに言うかと言いますと、前に吉村隊の事件で証人を喚問いたしまして、そうして人民裁判に関する問題は人民裁判に関する問題として別個にこれを取上げるというふうに私了解をしていなかつたものですから、吉村隊事件の関連であると考えておりましたから、從つて先程のような発言をしたのでありますので、先訪來お話を聽いておりますと、吉村隊事件とは関係を離して、新らしく人民裁判の問題をここで証人を喚問して究明するというふうに、先程の岡元委員、或いは矢野委員の話を聽いたものですから、私はそういうふうに申上げたのです。その点をはつきりして頂きたい。吉村隊の問題は一應終つて、新らしく人民裁判の問題をここに取上げて、証人を喚問してそれを檢討するのか、吉村隊の関連として人民裁判の問題を取上げて行くのか、どつちなのかはつきりして頂きたい。
#26
○岡元義人君 北條委員はこの間出ておられませんでしたので、吉村隊といわゆる人民裁判とは別個になる、全然関連ではなくて別個になつておるわけです。それははつきり決まつたわけなんです。
#27
○北條秀一君 それはこの前の委員会においては……、それがはつきりすれば私はいいのです。ただその報告を聽いていないものですから、それに速記録をまだ見ていないのですから、はつきりして頂きたいということを申上げたのです。それじや日時を至急決定して頂きたいと思います。で私は各議員の皆さんの御都合もありますから、四月にということになりますと、議員が帰つてしまうとかで、四日に開いて人が少なければ、出席議員が非常に少なければ委員会としても非常に権威に拘わりますから、成るべく皆さんのお帰りの日を選ぶべきであるというふうに考えて、六日以後にやることがいいと思います。
#28
○矢野酉雄君 それでそれは最前岡元委員も了承したので、大体吉村隊の残されたる証人喚問は六日にして、それから人民裁判の日取は今日決定しない方がいいと思うのであります。一應それは吉村隊の問題は証言なしでやるということが決定しているのだから、片一方の人民裁判をいつやるかについての二、三の御意見があつたのですから、やることには確定しておるけれども、そのやる時期についての意見があつたので、もう少し委員諸君の多数がお集まりになつたときがいいだろうと思いますから、ちよつとこれは非常に急を要するけれども……
#29
○委員長(紅露みつ君) ちよつと速記を止めて……
   〔速記中止〕
#30
○委員長(紅露みつ君) 速記を始めて下さい。
#31
○矢野酉雄君 議院運営委員会でこうした問題を議題に供して檢討して、然る後に特別委員会においてこれを審議すべきであるというような意見は、私が議院運営委員会の委員をしておりまるので、そういうことは絶対ないと思います。又それを議院運営委員会が要求するとするならば、それは法的根拠がないので、何か懇談とか、その他のプライベートの問題であつて、そういうことは決して氣兼ねする必要はないと思います。法務委員会において昨日も日野原君とかその他昭電に関係のある諸君を証人として喚問したり、予算委員会において各方面の証人の出頭を求めて証言を求めるというようなのは、それぞれ参議院規則の規定による常任委員会の規則によつて所管事項としての権限でありますから、それは絶対にやる必要はない、むしろそういうことにまで議院運営委員会が関與することは、今の法制においては私は行き過ぎだと思つておるくらいであります。そこでこの前のこの特別委員会において決定せられたことは、いわゆる正式の会議の議題として参議院公報にこれを予告し、そうして正式の手続の下に行われた合法的な運営の方法によつて結論が出たのでありますから、いわゆる人民裁判は我が特別委員会において調査するということは決定した。そこでそのときの申合せとしては、もつと強く言うならば、決定事項としては人民裁判を我が特別委員会で調査するが、その事前に委員長及び理事において予めどういうような方法でこれを調査するか、日時その他の方法等においても予め愼重な打合せをして、一つの草案を委員会に提出して、これによつて再び我が特別委員会はこれを議題としてその意思を決定しようというように決定しておりますので、今日まだその草案も委員長から何ら提示がないのでありまするから、最前私が申上げましたように、今日ここで即決することはその決定せられた事項の手前から言つても遠慮すべきだと思いますから、吉村隊の問題だけ六日というふうに岡元委員も御賛同願つておりますから、それを一應委員長は各委員の意向を聽いて、然るべく採決せらるべきだと私は思います。
#32
○岡元義人君 運営委員会の問題はまだ矢野委員に連絡を取りませんでしたが、門屋委員から今朝程申入れがありまして、これは運営委員会で取上げるということを主張されたわけなんです。まだ決定でも何でもないわけですが、そういう声もありますので、この際その場合において委員会としての態度をまあ考えるべきじやないかという御意見を承わつて置きたいと、こういうわけだつたのです。門屋さん非常に強硬な御意見でありましたけれども、ただここで例えば地方行政と、治安関係におきましても岡本委員長とも連絡を取りますが、各関係の委員長との今までの経過におきましても、当然特別委員会がこれは取上げるべきであるという意見を承わりまして、先日もこの議案は出しているわけであります。外の委員会においてはこれは取上げられないので、当然特別委員会がこういう問題こそ取上げるべきであるというのが岡本委員長あたりの強い要求であります。この点も御報告いたして置きます。
#33
○矢野酉雄君 了承しましたが、門屋君はそれは結局議院運営委員の一人ではあるけれども、それは一種のプライベートな立場からの要望であつて、議院運営委員としての公式の際における門屋運営委員としての発言ではないから、一應今ぐらいの程度で、私最前そういうふうに述べて置きましたので、それでよかろうかと思います。又若し問題が出たら私達、岡元委員も議院運営委員の有力なメンバーでありますから、私達の態度はそれぞれの委員会の主管事項としてその委員会の独立を尊重しなければなりません。そういうような態度で私は議院運営委員会に臨んだらいいと思つております。
#34
○細川嘉六君 私人民裁判について二つのことを申したいと思うのですが、その前に岡元委員が、人民裁判を特別委員会としてすることについては、議院運営委員会にかけなければならんという門屋運営委員の強硬な申入があつたというが、それはどういう内容ですか。
#35
○岡元義人君 これは私の推断でありますが、とにかくそういうことをすることによつて引揚促進が遅れるか遅れないかということを先ず判断したい、こういうようにちよつと漏らしたのであります。非常な重要な問題であるからというような御意見であります。
#36
○細川嘉六君 人民裁判について先程岡元委員がその筋と話合わされたということであるが、こういう問題までもその筋に持つて行かねばならんという理由はないと思うのですが。これは我我の委員会において自主的に採決し、そうしてそれぞれ行つて來てよろしいことであると思います。こういうことをやると、一々委員会、延いて國会の自主性を失うという悪い習慣を作ることになりますから……。それから人民裁判について、さつき岡元委員なり他の委員のお話から出て來ることは、國民は人民裁判を喜んでいないという断定がありましたが、これは早まつたことだと思うのです。そう言つていいのか悪いのか、それがための決定をするために、今度の調査会を開くというのですから、その前から國民は喜んでいないということで委員会がやるとすれば、一つの予断を以て調査をするということになるのだから、結局調査を一つの方向にリードして行くということであつて調査の目的を達しません。これは不公平になつて來ると思います。それでありますから、私は大体人民裁判なるものは帰還兵士が自然に旧軍閥に対する、軍國主義に対する反感から止むを得ずに起した運動であつて、自然な運動であつて、これを抑えるということは無理だと考えるのであります。それでありますから、先日の津村証人が言うたことに間違いないとすれば、私はあれは間違いないと思うのでありますが、人民裁判というものを更に調査する理由はないと思います。併しながらここでは調査するということに皆さんお決めになつたのだから、これはおやりになつた方がいいと思う。ただ初めから國民がこれを喜ばんとか何とかという予断を以てやつてはいかんと思う。その点を申述べたい。
#37
○岡元義人君 もう細川委員は、それこそ先を行かれたわけでありまして、私が申上げたことは、國民が喜ばないというようなことになつたということであつて、これは決して断定的に喜ばないのだということは申上げていないのですから、その点御了承願います。
#38
○穗積眞六郎君 今問題になつておるのは、人民裁判の日取りを今決めるかどうかということだと存じます。それでこれについては先程矢野委員が言われたように、あのときは人民裁判に対してもう一遍証人喚問の必要なしという意見と、必要があるがそれは今度の送還開始以後に開くべしという説と、それから今直ちに開くべしという説があります。決を採られたのは、とにかくやることがいいか悪いかというだけでありまして、そうして今度の送還開始以後にするかしないかということについては、先程矢野さんのおつしやつたように、委員長、理事の方で案を立て、そうして又諮られる、こういうことになつていたのでございます。從つて今それを諮るのだとおつしやれば、その理由になるかも知れませんけれども、もう少し御愼重に願つて、これは別の日にお諮りになるのが僕は穏当だと存じます。
#39
○北條秀一君 この吉村隊事件の当時、本委員会におきましては御承知のように吉村隊事件の証人を喚問するかどうかという採決は五対六で、吉村隊事件の証人を喚問しようということが決定したのであります。当時私が申しましたことは、これは日本人の問題であつて、この事件を新聞或いはその他一般の國民裁判によつてこの事件が叫ばれておる過程にあつて、特に國会としてこれは証人喚問する必要なしと私は当時主張したのであります。併し今回の吉村隊の証人喚問によりまして、非常に日本民族に大きな反省を與えたということは大きなプラスというふうに考えます。併しながら他面國際的に考えますと、日本人の残忍制と復讐心、而も日本人が非常に卑怯だ、こういう三つの点を民族の弱点として世界に暴露したものだと考えるのであります。その後この問題につきましては甲論乙駁がありまして、いろいろな批判があつたのでありましようが、批判は勿論自由であります。然るに今回人民裁判の証人を喚問するという点につきましては、再び本委員会におきまして三対三で更に委員長がこの証人を喚問しろということを決めたいというふうに今朝私は伺つたのであります。それ程までにこの問題は國際的にも或いは國内的にも愼重に考えなくちやならん問題であるのでありまして、從つて先程來各委員からそれぞれの角度から御発言があつたものと思いますが、すでに先程の委員会におきまして採決のときは三対四でありますけれども、委員会が正当に成立して採決の結果決定したとすれば、そうはどういうふうに、いつどういう方法でやるかということについては愼重に考えるということで、私は進めて行くのが委員会としての当然の立場だと思うのであります。ただ私は穗積委員を通じまして、この前委員会に、不在中でありましたので発言して頂きましたように、吉村隊事件ににつきまして、週刊朝日の「週間放言」の執筆者を是非証人に呼んで頂きたいということを申上げたのでありますが、と申しますのは、天下の朝日が編集しております週刊朝日の「週間放言」というのは、國民の感情に非常に強く訴えるものがあるわけであります。而もあの週刊朝日「週間放言」は、非常に断定的な記事でありまして、これは眞僞の程は知りませんが、その執筆者から我々委員のうちのどなたかに弁明されたという話を聞いたのであります。どういうような弁明であつたか知りませんが、併し少くともああした世論を指導する機関の執筆者の意見を我々が徴して、吉村隊の結末を付ける有力な参考になるということは必要だと思いますので、何故朝日の執筆者を呼んで頂きたいということについて本委員会で否定されたか、その点を私はこの際伺つて置きたいと思います。
#40
○岡元義人君 取敢えず先程矢野さんの御意見もありましたので、勿論お説の通りでありまして、実は本日二時に今日の委員会にこの両方の日取決定を公報に出しまする点についてお詫を申上げて置きたいと思うのでありますが、実は昨日舞鶴、函館の関係書類全部が到着いたすつもりでおつたわけであります。ところが予定が遅れまして、今日の午後二時にしか着かない。わざわざ人を派してあるわけであります。そういうような関係から理事と委員長の打合せも時間がなくて、こういう多少食違いができておりますが、今矢野委員の御発言のように、取敢えず先に決められました方針に基いて次の委員会でやるということに私は賛成いたします。それから今北條委員の御発言がございましたが、書面を以ていきなり当委員会に後の証人は喚問する必要なしというようなことをば、手続でお取りになることが妥当であるかないかという点は、これは考えなければならないと思うのであります。我々委員会が檢討している間に、ああそうだ、この証人を当然呼ばなければならぬというような判断も亦変つて來る場合があるわけであります。それをいきなり書類を以て呼ぶ必要なし、そういうような意思表示をされるということは、私は非常に遺憾に思うのであります。と申しますのは、あの証人はいろいろ意見がございましたが、只今あなたの御要求なすつたところの朝日新聞のいわゆる週刊朝日の証人を呼べということに対しましては、これは多少時期が早いのじやないか。要するにまだ委員会としての結論は出ていないのであります。まして今度呼びます証人に対しても、恐らく北條委員の御判断によつて妥当であるかないかということは、当然私は御了解なさると思うのでありますが、この前の証人はすべて吉村隊直属の関係者だけを呼んでおつたわけであります。而もウランバートルに二十二の收容所があるわけでありまして、すぐその近所にも收容所があるわけです。そういう他の收容所から見た吉村隊というものをあのときに同時に喚問するということは、当然運営上も困難であつて呼んでないのであります。その隣りの收容所の所長を今度の証人の一人として呼ぶのであります。それからあのウランバートルの全体の收容所の日本人を收容いたしますところの病院というものは、全然呼んでなかつたわけです。当然あの問題の性質上、そのウランバートル全体の收容所の日本人を收容いたしたところの病院側の者を呼ぶ。これは我々委員会が権威を持つてこの問題を愼重に審議する上において、どこからどなたから批判されても、委員会が愼重を期しておるということを認めて頂けると思います。そういう証人でありましたならば、あなたは恐らく反対されないと思う。それを俺は書類で以て他の者を呼ぶ必要なしていうようなことは、私は考うべき点があるのじやないか。それで一應外部から見た吉村隊というものを纏めまして、その上において朝日新聞のやつたことが果して妥当であるかないかという点をあなたがお突きになるのが筋道じやないかと思いましたので、そういうことに取計りました。
#41
○北條秀一君 今のお話ですが、小生が書面で以て意見を出すということは、これは私の……。
#42
○矢野酉雄君 もう御遠慮なさい。
#43
○北條秀一君 私の自由であり、又私の方の親切であると思うのであります。私が欠席するから意見を書面に書いて出した。而も何故に証人を喚問する必要なしと書いてありますか。必要ありという理由を私は述べるならば、それだけの親切さと行動をすればよかつたんですが、結論だけ私は穗積委員に託したのであります。私は今後共そういう処置を取りたいと思います。それから先程、吉村隊の事件は非常に愼重にやられるそうであります。先程岡元委員が本第五國会に、一應結末を本会議に報告しなければならないということを言われましたが、私はその報告をする際に、週間朝日の執筆者を呼んで、その証言を求めるということが、最後の結末を付ける上において重要であるというふうに考えたのであります。だから本会議に吉村隊事件の報告を急げば急ぐ程、週間朝日の執筆者を証人として出て來て貰つて、その考えを聽くということは、我々には非常に大きな参考になるというふうにも考えますから、私は是非それを呼んだらいいだろう、呼ぶべきだということを書面で以つて、欠席いたしましたので書面を以つて、そういう主張を明らかにしたのであります。その点は十分御了解願いたいと思います。
#44
○矢野酉雄君 北條君は非常に物分りのいい人と思つたのですが、非常に物分りが事実においてよくないような主張をされる。それで御遠慮なさいと言つて、プライベートの立場から申上げたのですが、僕の友情が入れられないで、公式の速記に載るようなことをおつしやるので、それならば開き直つて物を申し上げたいと思います。書面で自分の意見を述べ、それが採決の結果入れられなかつたのに、次の正式委員会において、それについて更に要求するこいうことは、これは出席せざるところの、いわゆる権利と義務を放棄した人が、それ以上言うべきところの私は権限は常識上においても法規的にもないと思う。新たに動議を出すならば別問題。併し前回欠席して置きながら、その書面を託したが故にということを限拠として言う何らの法規的根拠はありません。これは委員長も明らかにこれを決定する必要があれば決定して頂きたいが、そこまで行く必要はないと思う。それから最前の穗積委員の御意見は、いささか私は解せないところがある。それは若しもあの決定が本会期中において行わないというものであるならば、これは私の常識を以つてしては解釈できません。本会期中にいわゆる人民裁判を取上げるという一つの前提があつたればこそ、その証人の喚問を肯定したのであつて、それが本会期中再開がなければ、どうせ本会議が過ぎてしまつて後に、いわゆる再開が実現したというような場合には、これは然全取上げることもできないと思う。少くともあすこの結論として証人を喚問するというその結論が出たのは、いわゆる本会期中の問題である。次期の國会において、而も予測せられざる、推定せられざる次の國会の問題にまで亘つてこの会期中において、そういうことを決定することは、いささ常規を失すると思うのでありますから、その御理由をお述べになりましたが、その御理由は私としては了承することができません。それから次には、最前、細川委員が岡元委員の御意見をおつしやつておつたようでありますが、而もその中に明かにああいうような、人民裁判が行われたというゆえんのものは、旧軍閥に対する一つの反抗であつて、これは自然の動きである。これこそ正に十分の物指を以て一つの問題を断定せんとするところの仕方であります。而もこの委員会においては、自分としては、もうそういう人民裁判の調査をやる必要はないと言い、又新たなる意見を決定したることに対して持ち出して、そうしてこの委員会において何かそこに思想鬪爭をするというような形で以て臨まれることは、前委員会において決定したことを更に覆えして、そうして自分の一つの思想的のものをここに主張しようというような意図なんです。この点は非常に遺憾に堪えんのであつて、我々は少くとも委員会としても、委員としても、又一つの人民裁判の問題にせよ、或いは吉村隊の調査にせよ、全然自分の一つの仮定したるところの物指を以て判断するというようなのではなくて、一應お互いに虚心坦懷に、白紙を以て委員会としても、委員としても臨むべきことが、何人も認めらるべき私は妥当な態度であると思いますので、いろいろなそうした條件を付せないで、ただ決定せられたることをどうして、民主的にこの委員会において決定するかというふうに運ぶべきものでありますから、本日の議題となつておる問題は、いわゆる吉村隊の調査をいつやるか。更に人民裁判を取上げると決定したけれども、それはその決定の際に再開を見てから後にやりたいという御意見の向きもあつたので、更にそのときの附帶決議として決定せられたるものは、最前申上げたように委員長並びに理事の間において草案を立てて、そしてその草案に基いて委員会が愼重にその期日及び方法を決定しようというようなふうに、ちやんとすでに決められておるのでありまするから、だから私最前動議に出しましたように、六日に吉村隊の残りの証人を喚問するというふうにして、人民裁判の方は然るべく委員長と理事の諸君において草案を立てて頂くというふうに運んで頂くように、私は重ねて要請するのであります。
   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
#45
○北條秀一君 今矢野委員から民忠告がありまして感謝に堪えないのでありますが、本日の速記録を御覧になりましてもお分りになりますように、先程私の見解を委員長に穗積委員を通じて述べて置いた。別に書類を出すか出さんかという問題については、私は國会法を一應は知つておりますので、その國会法に從つて行動しておるつもりであります。從つてこの前の委員会において私の見解を述べたとすれば、書類を見て呉れた人、即ち穗積委員或いは当時委員長をしておりました岡元委員が、私の見解を本委員会に発表して呉れたものと思うのであります。(矢野酉雄君「それは発表したのです」と述ぶ)その点の忠告は多少違いますが、その点は十分了解して頂きたい。ただ先程私が申上げました点について、改めて岡元委員に承わりたいのですが、第五回國会中に吉村隊の報告をされる、それを非常に急ぐということでありますが、先程のお話を聽いておりますと、愼重にやるために週間朝日の問題は一旦考えたけれども、それは更に次にやるのだというお話であります。そうなりますと、第五回國会中に吉村隊の報告をしないつもりであるかどうか。その点を明かに承わりたいと思います。
#46
○岡元義人君 どうも多少北條委員は何といいますか、どうも理窟つぽくなつて來たと思うのでありますが、要するにそのときにおられなかつたからお分りになつていないのでありますが、証人を呼べというのは外にも相当な要求があつたのであります。その証人を呼ぶ必要なしという御意見も、先程あなたが発表になつたようにあつたわけであります。そこでどちらから見ても妥当であるという中を捉えたのでありまして……
#47
○北條秀一君 それなら分るが、ちよつと一言、岡元君の話では、それが朝日の執筆者を呼ぶということを考えての岡元君の意見であつたものですから、私はそこに引つ掛かつておつた。呼ばないと決まつたならば、私は別に発言しません。
#48
○岡元義人君 どうもまだすつきりしないのですが、とにかく北條委員に申上げて置きたいのは、これは私一人の意見でありますけれども、却つて私はあなたに対しては多少親切な氣持でやつておつたつもりであります。あなたは、とにかく今第五國会中にそれを報告するということをするならば、朝日の何を呼ばなければできないのではないかというお話がありました。それはあなただけの考え方であつて、要するにこの委員会におけるところの纏まりが、それがそのまま発表されること自体が、一つのいわゆる朝日に対するところのあなたの考えておられる目的にも副うて行くのではないかという点も考えられる。是非ともじやあ呼ばなければならんということは、これはまだ檢討の余地がある。ただあの際にですね、朝日を呼ぶということは、これは先程私が述べました通りに、まだしつかりこの間の証言というものは、委員会に対しては、それに対するはつきりした裏付けというものをまだ纏め上げる段階には至つていないわけであります。そこへ持つて來て、どうこうと批判することは、段階ではないと、こういう工合に考えたので、それは悪氣でも何でもなくて、先程言つたような理由で、これはまだ早いのじやないかというような考え方を持つておることは事実であります。
#49
○北條秀一君 ちよつと速記を止めて下さい。
#50
○委員長(紅露みつ君) 速記を止めて……。
   〔速記中止〕
#51
○委員長(紅露みつ君) それでは速記を始めて。先刻矢野委員から御提案になつております吉村隊の証人は、これを五月六日に喚問することにしまして、人民裁判の方の時期、日時につきましては、まだその草案を作成する処理なども不備でございますし、かたがたこの次の委員会において取決めることにいたしたいと、こういう御提案でございますので、御異議がなければそのようにして、あとの問題に移りたいと存じますが……
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#52
○委員長(紅露みつ君) それではさよう決定いたします。
  ―――――――――――――
#53
○岡元義人君 この際、私非常に大事な問題でありますので、実はこの委員会といたしまして、再開が非常に遅れておることは、もうすでに御承知だと思いますが、我々委員会が、これに対して何らかの処置をしなければならないのじやないかという点が考えられるのであります。この点について委員長から各委員にお諮りを願いたい。
#54
○委員長(紅露みつ君) 只今岡元委員からの御提案でありますが、私もこの点については何らか皆さんに御相談申上げなければならないと考えておりましたので、引揚再開が遅れておりますことにつきまして、委員会として何らか動きたいと思いますが、御意見を伺いたいと存じます。
#55
○北條秀一君 当委員会は、三月中に四月の引揚再開を大体想定して、引揚促進に関する國会としての意思を発表しようじやないかというふうに私共は相談をして決めたと思いますが、それを今日までやらなかつたのは如何なる理由によるのか、それを委員長から承わりたいと思います。
#56
○岡元義人君 これは非常に企画の方が責任がありますので、お答えして置きますが、お説の通りなんであります。それで衆議院におきましても、近く上程されようということも伺つておつたわけであります。併しながらたまたま吉村隊或いは人民裁判、ああいうような問題がありましたので、当委員会がこれを取上げて、その意味を加味した、いわゆる從來の單なる促進の決議というのではなくて、多少中味のある決議案を上程するのがいいんじやないかということを考えましたので、時日を多少遷延さしているというような点のあることは、この際御了承を願いたいと思います。
#57
○北條秀一君 この言葉の端に囚われるわけでありませんが、中味というのがどういうのか、私は岡元君に聽きたい。中味があるとかないとかいうことですが、今回岡元君がどういう企画をしているか知りませんが、中味というのは何だい。
#58
○岡元義人君 單に引揚促進ということは毎年第一國会以來やつて來たわけであります。併し本年度の輸送の促進ということは、ただ促進と言えばそれまででありますが、何としても本年度は、どうしても帰して貰いたい、その年内完了ができるように、いわゆる協定に基をばできる筈でありまして、從來のいわゆる國会の取扱つた促進よりも、内容的にもその点を十分含めたいわゆる決議案の上程があつていいんじやないかということが考えられます。尚もう一つは、一番我々が心配いたしますのは死歿者であります。そういう点も今年は当然問題になるということも考えられますから、その線に沿うて、今第二國会の運営の計画の当初の線に沿うて運営されているわけでありますが、その運営の間におきましていろいろな問題を十分檢討されつつあるわけでありまして、その点を考えた上で決議案を上程する。こういうふうな方に運んで行くべきじやないか。これは勿論今北條委員は、なぜ今までやならかつたのだ、こういうふうなお説があるのですが、特にそういう引揚促進の決議というような案件を、あなたからも、あの中に書面で以て申出されておるのでありますから、そういう点で、これを早く出さなければならんというときには、委員会に出席されておるのですから、あなたからそういう御発言があつてよいと思うのです。さようなことが、どうも後から後から責任を追究されるというようなことになると非常に困るのですが、この点一つ北條委員に、むしろ私の上からそういうふうな事情があつて、どうしてもその途中にあつたので、どうしてもそのとき出さなければならなかつたという点があれば、その事情を一つ伺つて置きたい。
#59
○北條秀一君 こういう議論を繰返していても切りがないのですが、岡元君の方で、三月には決議案を準備するからということだつたから、私は放つて置いたのです。当然向うでおやりになると思つたから放つて置いたので、私は委員会に用事がありまして欠席した場合、委員会で決定した問題についてあとからとやかく言うつもりは毛頭ありません。その点はお分り願えると思うのですが、從つて既往のことについてとやかく言いませんが、三月そういう計画をされましたのを今日まで延して來たということは甚だ遺憾とするところでありまするが、衆議院と歩調を合せて、早急にその処置を取るようにやりたいというのが私の希望であります。できれば今週中でも纏めまして、四月の末乃至は五月の初めに本会議に上程するというふうに図らつて頂きたいと思います。
#60
○矢野酉雄君 これは僕自身も、実は今までのような決議案ならば、実際の効果を見るというと、この一回、二回、三回、四回と、殊に第一回は、僕は特別委員会として、あの八月十五日に、僕は世界に向つて訴えたつもりであるが、どうもさまで効果がなかつたようであるがそういうような経験があつたので、三月決議案を上程することについては、僕もさまで熱意がなかつたものとみずから今考えておる。併し今日は私の心境は全然違う。人道上から言つても、ポツダム宣言のあの條項に明文として謳われておる、その精神から言つても、それから我が日本の同胞として、四年、四度の冬を迎えたこの兄弟達を迎えるという氣持から言つても、二回、三回とあの決議をしたときと、又違う切々たるものがあるから、今度は相当委員会各位の御意見を十分に発表して頂いて、そうして今までと違つた内容を持つた法的根拠においても、或いは國際道義という立場から言つても、柔らかく、而も強く、正義を主張するのに一歩も遠慮をしないというような内容を持つたものを、今回は私は決議文として早々によく檢討して、そうして上程したいと思います。勿論その間、関係当局との十二分の連絡を取ることは常識上これは当然でありますから、私の意見としては、今北條委員が、三月になぜ上程しなかつたかという意見を十分尊敬申上げて、尊重して、そうしてこれを早く一つ上程するように、参議院の特別委員会は運んで行きたいというふうな希望を持つております。而も内容上においても各委員諸君の御意見を十分盛つて行く、皆が心を合せて参議院の総意にまで盛上げて行くというようにしたいような氣持であります。
#61
○岡元義人君 今の矢野先生の御発言御尤もなんですが、実はやりますならば、昨年の例から行きますと五月七日なんですが、これは見込ないのです。非常に今國会としては大事なときであります。若しやるならば一日を爭いますときであります。明日の本会にでも……そういう点を私は十分考慮されたい、その点一つ委員長からも各委員にお諮り願いたい。それから北條委員に、あとのことでありますけれども、どうもあなたもお忘れになつておつて、ああいうことを持つて來られると思うのでありますが、決してこれは疎そかにしておつたわけじやないのです。ということは、この引揚促進の決議案に代るものとして、あなたにもこの間お話を申上げて、緊急質問の形を一つは取つたのです。この点もあなたは忘れてしまつておられる。だから決してこれを疎そかにしたというようなことは決してないのです。その点は各委員にもあの緊急質問の問題については、相当草葉委員等も愼重にそれを含めたものとしてやつたわけであります。この点御了承願いたいと思います。
#62
○細川嘉六君 私は簡單に一言申上げます。この引揚に早く完遂したいということは私共も切に願つておることであります。併し何分にも見当違いのことをやつておる。今までのやり方というものはこれを効果がありません。第一に反ソ宣傳をやるようではこれはいけません。相手の國(「それは米國だよ」と呼ぶ者あり)連合國の一國である。それにソ連に対しても同情も好感も持ち得ないようなことをやつておるようではこれはできません。(「反ソ問題があるかのごとく取られるじやないか」「速記を、速記を」と呼ぶ者あり)速記というのはこれはお互いに言うことを速記するのが当り前であります。それについての責任を私は取るのだ。(「委員会全体の責任だ」「それを細川委員が言つたあと否定すればいい」「そんな議論をする必要はない」と呼ぶ者あり)このポツダム宣言、これを矢野委員も申されたが、ポツダム宣言というのは日本の軍國主義を徹底的に掃蕩するということである。それが宣言の根本精神であります。こういうことを十分に我々やらずして、それの條章を云云するということは我々には資格がありません。(「引揚促進をやらんのか」と呼ぶ者あり)引揚促進を早く完成するにはこの軍國主義を絶滅する運動を起す。そうして日本の民主主義を徹底させる、これに限る。(笑声)これは如何なる國と誰も我々の態度に対しては同情せざるを得ない。理解せざを得ない。現に今日の日本の民主主義政治というものは、旧來の思想、思潮というものがそのまま残つておる。現に松本副議長(「脱線々々」と呼ぶ者あり)脱線じやない。これを追拂つている。これが今日の状態である。(「委員会で鬪爭をやるのを委員長止めさせなさい」と呼ぶ者あり)ポツダム宣言をどうのこうのと言えたものじやない。
#63
○委員長(紅露みつ君) 細川委員に申上げます。何だかどうも脱線のような氣がするのですが……
#64
○細川嘉六君 脱線ではありません。
#65
○委員長(紅露みつ君) 併しそういうようなことを言つてらしたら問題は進行しませんよ。
#66
○細川嘉六君 重大なことを皆さん忘れていられる。(「委員長禁止なさい」と呼ぶ者あり)
#67
○委員長(紅露みつ君) 余り脱線なさらないように……
#68
○細川嘉六君 この点を皆さんにおいてはつきりさして貰いたい。そうすると引揚は必ず促進される。(笑声)現に舞鶴の問題にしましてもどんどんやつておる。(「頭を冷して來い」「雜巾で顔を拭け」と呼ぶ者あり)暴力の問題、食糧の問題、これは十分に徹底的に檢討されておりません、その長の言うがままにそれをのたくつておる。この状態ではどうしても駄目であります。私は大事なことだけを申上げて置きます。
#69
○北條秀一君 細川議員が自己の主張をされることは極めて結構でありますけれども、その発言の方法について、常に氣を付けて頂きたいと思います。と言いますのは、今の細川委員の御発言の、当委員会は細川委員を除いて、本日出席の各委員は、すべて先程細川委員が指摘されたような考を持つておるというふうに聞こえるのですが、それは甚だ不当である。私自身は細川委員に対して抗議を申込みます。勿論細川委員の指摘されるような考えを持たれる委員があるかも知れませんが、それはどうか常に言葉においては十分愼んで頂きたいということを申上げたいのであります。
#70
○矢野酉雄君 細川君と議論する價値も私はないと思つております。いわゆるポツダム宣言の中に、戰爭終了後、そうしていわゆる今までの軍人軍属を成るべく早く平和な産業に從事せしめよということはちやんとポツダム宣言の中に書いてある。それは(「協定がある」と呼ぶ者あり)はつきりソ連当國自体が欣然としてこれに判を捺しておるのだ。(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり)それを君の否定するかのごとき考え自体が実は帰還を非常に遅らせておる。何たる今の暴言である。而も細川君一人がこの帰還促進をやつたがごとくにして、恰も我々は皆ポツダム宣言に反して軍國主義を高調したのかごとくこの委員会に主張しておる。貴下が言われるところの速記録を見て御覧なさい。すべて一つの物指を以て全部を律しようとしておる考え自体は御反省を願いたい。この前の委員会の終了後、我々の非常に尊敬しておる某々委員のごときも非常に公憤を漏させておる。こういう大事な、帰還促進を一日も早くいたしたいというその会議において、恰も反ソ的思想を持ち、反ソ的行動をするかのごときこの実態がここにあるかのごとき前提の下に発言を求めるということは実に不謹愼である。而も委員長自体がこれに対してのうのうとしてその発言を続行させるがごときことは実に遺憾である。(「脱線々々」と呼ぶ者あり)もつと十二分にこの点強く委員長の與えられておる権限において御行動を願いたいと思います。以上。
#71
○細川嘉六君 北條委員が言われたことは私は御尤もと思います。すべてそうだというわけではない。全体として私はそういう疑いを持つ。それで申しておる。それから今矢野委員が細川委員の言うところは論ずるに足らんと大いに言われたが、私も矢野委員のお言葉は一々取上げる値打はないと思う。(笑声)成る程ポツダム宣言の條項はその通り書いてある。私は全体を通じての精神を言つておるので、これを行わずして一つだけをかれこれ言うというこの無智な卑怯な態度はよくないと思う。ですから私はこれ以上は申しません。(笑声、「懲罰だ」「懲罰動議を出して懲罰するか、余り乱暴だよ」と呼ぶ者あり)
#72
○北條秀一君 早速引揚促進に関する措置をどうするかやつて頂きたいと思う。明日の本会議以後、來月まで本会議をやらないというように議院運営委員会が決めたら止むを得ません。(「そうなつていない」と呼ぶ者あり)併しながら我々としては、よしんば議院運営委員会がそう決めましても、特にこの引揚促進が先程矢野委員、細川委員、両方の角度から考えておられるように、引揚促進が今日の最も緊急な問題ならば、臨時に日程を作つて本会議を開いてやるべきだと思う。(「賛成」と呼ぶ者あり)
#73
○岡元義人君 実は今日私がここに発言いたしましたのは、すでに昨年の例から取つて、大体引揚者留守家族は、昨年の例に倣つて五月七日頃からは帰つて來る、こういう工合に考えておつたのです。ところがすでに御承知の通りに二週間前に通告がない限り船は行かないのです。でこの日にちはずれて來た。この際全國この問題に対しては非常に杞憂しておるわけです。この際に一日、二日遅れるということは非常に大事な時でありますから、特に今日の委員会で愼重に檢討されて、速かにこの機会に決議案を上程するということが、いわゆる國会が、特に参議院としてもこの問題に対して、引揚者留守家族に対する國会の有り方というものも知らせると同時に、そうして何とかしてこの引揚の再開をば解決できるように持つて行かなければ、今までこの委員会を参議院の中に設けて今日まで來たそれ自体が権威のないものになつてしまう。それでこの際機を逸せず決議案を上程したらどうか、こういうつもりで私発言を求めたのであります。
#74
○淺岡信夫君 決議案の上程という問題は、これは論議の余地はないと思います。今日のこの國内のあらゆる上にこれ以上の大きな問題はないと思います。だから即時この問題に対しては決議案の上程という運びにお諮り願いたいと思います。
#75
○矢野酉雄君 淺岡委員に申上げますが、そのことは殆んど賛成ですが、今までのいわゆる決議案でなくて、人道上から言つても、或いはポツダム宣言の中に列記してあるいわゆる協定事項から言つても、当然これは実現を見なければならないので、今までのいわゆる決議案の内容と違つたいわゆる柔らかく、正しく正義を飽くまでも徹底的にこれを人道に訴え、國際公法に訴えるというような内容を私は盛つて貰いたい。であるから各委員の御意見をそれぞれお聽きして、早くこれを早急に上程するようなふうに、各委員のどういう内容を盛られるかの御意見をむしろ承わつて置く段階であるのに、たまたま細川君から非常なお叱りを受けたところでした。
#76
○委員長(紅露みつ君) それでは決議案を提出するということには御異議がないようでございますので、各委員の意向を、矢野委員の言われるように、柔らかく、正しく、強くそういうふうな内容に……。
#77
○矢野酉雄君 委員長、上程を決めたらどうですか。
#78
○委員長(紅露みつ君) それでは決議案に上程は改めてお諮りするまでもないと思いますが、一應念のためにお諮りいたします。皆樣御異議ございませんでしようね。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#79
○岡元義人君 最も早く。
#80
○矢野酉雄君 全会一致かどうかちよつと問うて見て下さい。
#81
○委員長(紅露みつ君) それでは挙手に問います。
#82
○北條秀一君 議事進行について……只今はつきりしないのですが、引揚促進と不可分の関係にある受入態勢の強化ということはあるわけですから、その内容はそうすると、今の話では引揚促進だけということでしたが、引揚促進と受入態勢の強化ということについてその内容を言うということでいい。
#83
○淺岡信夫君 この問題は簡明率直にその内容をどう盛るかということは今後の問題である。引揚促進一本で決議案の上程をお願いしたいと思います。(「賛成」と呼ぶ者あり)
#84
○委員長(紅露みつ君) それではお諮りいたします。受入態勢というようなことはあとのことにして、今一本槍で促進を決議する。こういう行き方で御異議はありませんか。
   〔「異議なし」「條件附賛成」と呼ぶ者あり〕
#85
○委員長(紅露みつ君) それではこれも挙手に問います……。速記を止めて。
   〔速記中止〕
#86
○委員長(紅露みつ君) 速記を始めて下さい。只今の決議案を上程するということについて御賛成の委員の御挙手を願います。
   〔挙手者多数〕
#87
○委員長(紅露みつ君) 細川委員を除いて全部決議案の上程に賛成ということに決定いたしました。
  ―――――――――――――
#88
○委員長(紅露みつ君) それでは次の案件に移ります。帰還者に対する失業保險法適用に関する件、どうぞ御審議を願います。
#89
○岡元義人君 それは簡單に、労働省から見えておりますから、経過だけ御報告して頂いたらいいと思います。
#90
○委員長(紅露みつ君) 労働者から失業保險課の遠藤正夫氏が見えております。一つ御説明を……
#91
○説明員(遠藤正夫君) 今日課長が関係筋へ出掛けまして、あいにくこちらへ出席できませんから、私代りまして只今岡元委員の質問にお答え申上げます。先般から本委員会の御要請に基きまして、未復員者並びに特別未帰還者に対しまして失業保險法を適用するという問題につきましては、復員局との関係とも連絡いたしまして檢討を進めておつたのでございますが、その中途におきまして予算の問題の解決が付きませんために頓挫してしまいまして、すでに予算も成立しておることでありますし、この問題が解決付かない限り、適用という問題は不可能になつておる現状であります。簡單に御説明申上げました。
#92
○岡元義人君 主計局次長に伺いますが、これは次長も我々がお願いに行つたとき立会つておられまして、あれ程我々委員が熱心に懇請いたしまして、ここにおられる淺岡委員も厚生省の政務次官という立場からも一緒に御足労願つてお願いしたいのです。併しその後何らのこれに対して、どうなつたとか、こうなつたとか返事一つも與えられなかつた。それがあれだけ全國、引揚再開を前にして、そうして今年度帰つて來る人達に対しては、先程いろいろ意見も出ておりましたようですが、その受入態勢のうち何とかしてやらなければならないのだというこの問題について、私は眞劍にそういう努力が拂われたというようなことをその後聞かないのです。この点について主計局のお考えを述べて頂きたい。特に臨時國会等もありますし、そういうこれに対するところの追加予算というようなものも十分檢討されておる際でありますから、どういうお氣持でおられるのか。その当時局長から、これは失業手当法で行くべきが妥当ではないかと考えられるというような御意見も出ましたが、併しながらその後の経過というものについては、まだ白紙なんです。どうぞ御説明願いたい。
#93
○政府委員(阪田泰二君) 只今失業保險適用問題の経過について、その後の状況を御報告申上げておりませんで、お叱りを蒙りまして恐縮でございますが、この問題につきましても、我々も御承知のように、昭和二十四年度の予算の編成に当りまして、非常に重要な一つの問題でありますので、檢討しておりましたわけでありますが、何分にもおいでになりました節に申上げましたように、現在の失業保險法が直ちにそのままで引揚者に対して適用があるというふうに解釈するのにはいろいろの問題がありまして、この問題が簡單に解決できない、こういうような状況でありましたので、勿論法律上当然支出すべき経費であるということになれば、これは予算に盛られなければならない問題であります。併しながら予算が纒まります当時におきましては、その辺につきましてまだはつきりした結論を得るに至りませんでしたので、今回の予算には遂に予算化するということはできなかつたわけであります。それで只今お話がございましたように、今後の檢討によりまして、失業保險法が当然引揚者に対しても適用せられる、こういうようなことにはつきり決定いたしますれば、これは当然國の債務と申しますか、義務でありまするから、これに要するものは支出しなければなりません。從つてそれに要する予算措置も必要と相成つて参るわけであります。又これは失業保險法が必ずしも適用がない、併しこれに類する失業手当法のようなものを別途國会に提出して決定するという方向にでも参りますれば、これに要する予算措置が必要になると思います。それらの問題がいろいろ解決に参りませんために、現在の予算においてはかようなことになつておりますことは誠に止むを得ない次第であると思いますが、それならば將來これに対して何らかの必要が起きた場合に、今の予算が直せるか、或いは追加できるか、この問題でございますが、これにつきましては、大藏大臣もたびたび國会で声明いたしておりますように、今後の問題としましては追加予算、要するに積極的に今回の本予算の枠よりも金額を全体として殖すというような、そういうような意味の追加予算を出すことは、大体本年度としては先ずないものと考えなければならない。ただまあ復員関係の経費のみについて見ましても、今後の経過によりまして、予算にも一應の見込みを以て盛られました経費には、或いは余裕がでぎて來ることは可能であります。更に進んでその他の経費につきまして何らかの余裕が出て來ることは考えられます。或いは決業保險関係におきまして、これは相当の失業者が出て参つても大丈夫のような組み方をしてございますが、その方が余裕ができれば、その方で支給することも失業保險の方の形としては可能なことになります。ただこの問題につきましては、政府が何と申しますか、雇用主として、或いは政府として保險料の三分の一と合計三分の二を負担しなければならないのですが、そういうような問題が引つ掛かつて参りますので、必ずしも失業保險会計だけでは片が付かない、さような面につきまして、一般会計の方で何らか先程申上げましたように、現行の予算の範囲内で補正をするというような措置でありますれば可能であると思います。ただ補正予算を提出して実施すべきものであるか、或いは現行予算の範囲内で流用とかいつたような措置で可能なものであるか、その辺のところは、具体的の方向が決まりまして、その結果どれだけの経費が、どういう形において必要となつて参るかという点の見通しが付かないで、はつきりしたことを申上げかねます。現状といたしましては、我々の事務当局から申上げ得る点はこの程度のことでございます。御了承願いたいと思います。
#94
○岡元義人君 非常に形通りの御説明であつたのですが、これは要するに、そのときにおきましては、退職手当というものが筋途であり、こういう工合に考えられるという御説明があつたんです。で勿論法案を改正さえできれば、我々の方はそれに從つて予算を組む、これは常識上考えて誰でも分る。法案を改正するに当つて予算を伴う。要するに問題は先程労働省から説明があつたごとくに壁にぶつかつておる、そこのところを解決すべく我々はわざわざ足を運んで行つておる。この点について今のような次長の御説明ですと、これは通り一遍の御説明としか承われないのでありまして、特に來年度という問題はもうないのであります。本年度の引揚者で完了するというのであつたならば、何物も他のものはおいてでも、この問題だけは特にそれを強調してよかつたと思う。で今から他の余裕が出た、財源があればこれを考えるというようなことでございますならば、これは成る程財源の出る目当は我我にも考えられます。併しながら財源が出てからやるのではもうすでに私は遅いと思うんです。当然次のいわゆる補正予算等の問題に関連して、尚この解決に大藏当局は積極的に努力をされる必要があると思うんです。というのは先程その法案が改正されていないということでございますが、これは関係方面も了解して呉れた問題でありまして、ただその予算的措置がないから棚上げになつておる、これだけなんです。これだけが明瞭なんであります。この点はもう少し局長にも、次長にも私は責任を以てやつて頂きたい、特にお願いして置きます。
#95
○千田正君 それに附随して、さつきからの次長の御説明によるというと、池田藏相はこの予算を更に現行予算内においては殆んど何ら見込みがない、尚且つ追加予算というようなものが出るという、これはとても予断ができない、恐らく今度通過した予算の範囲内において今後の行政的な措置ができないとするならば、これは殆んど不可能に近い、不可能として断言しても差支えないとも私は思いますが、この点について、これは不可能と我々は断言してもいいのですか、予算的措置という意味から言えば、殆んど不可能のような言い方をあなたはなさつておつたようでありますが、現在の予算以上の追加予算なり、或いは補正予算なりという範囲内では殆んど見込みがないようなお話のように私は伺つておりますが、そこに何らか果して希望的なものがふるかどうかということを、もう一言一つ強くあなたに希望するんですが、答えて頂きます。
#96
○政府委員(阪田泰二君) 只今現在の予算内で認めることは不可能であるというような物の言い方をいたしましたようなお尋ねでありましたが、さような趣旨ではございませんわけであつたんです。追加予算の提出が見込みがないということは、これは御承知のように、今年度の予算がまあ要するに歳出予算につきましては相当切詰められておる面がありますが、併し非常に見込みを以て枠を與えるというような仕組みで組まれておる面も相当あります。從つてこの予算を枠の範囲内で今後実行をやつて行くのだというような考え方が根本にあるわけであります。從いまして歳入財源の面から考えましても、いろいろの面から考えましても、これ以上に予算の全体としての枠が廣まるという追加予算はあり得ないだろうということを申上げたわけであります。それで予算というものは結局実施の過程におきまして、何と申しましても、年度開始前に見込みを立てて計上されるものでありますから、或る事項につきましては剩余が生じ、或る事項については不足を生ずるということはどうしても起るわけであります。かような場合に補正予算、要するに或る事項、或る所管、或る部局等につきまして予算を減額して他の部局なり、他の事項の予算を増加する。こういうものを補正予算と申しておるのでありますが、そういうような形において必要なる経費が支出できる途が開かれるということは、これも又將來のことでありますから、今責任を以て何とも申上げることはできないわけでありますが、さような形の補正予算であるならば不可能というようなことはないので、今後におきましても或る程度予想される事柄ではないか。こういうふうに先程申上げたわけであります。
#97
○千田正君 私は補正予算の説明は、私自身が決算委員会の一員でありますからよく分つております。補正予算の説明を聽くのではない。これにおいては殆んど出しようがないとあなたがそういうふうに思われておられるかどうか。あなたは政府当局の一員として補正予算が、補正すべきことは分つております。ただそれはどこからか持つて來るか、或いはここから持つて來てここに出すというような補正予算はよく分つておる。ただ問題は引揚げがこの五月から十月までしか考えていない。この間に我々は行わなければならん問題であるが故に補正予算などもう待つておる時期ではない。それで当局としては必ずこの枠内においてやれるだけのことをやるという意思があるかどうかということを聽きたいのが我々の要望なんです。その点においてはどういうふうにあなたは考えられるか、どうしても今のような返事だとなまくら返事で、與えられた予算の中で何とかするより外に……それじやもう補正のときにしかどうにもならないというふうにしか考えられない。政府当局としてはこの問題を重視して、重点的にこの枠内において当初の予算の中に折込まれるかどうかということを、あなた方の責任において答えられるかどうかということを要求しておるわけです。その点はどうなんですか。
#98
○政府委員(阪田泰二君) 先程岡元委員に法律のことにつきましてお答え申上げましたときに、もうそれは非常に当り前のことであるというお言葉を受けたのでありますが、現在予算におきまして引揚者に失業保險金或いは失業手当を支給するということを見込まれて計上していないことは、これは甚だ残念でありますが、はつきりしておることでありますから、これを現在の予算から何とかして出そうということを考えますには、やはり法的関係が明確にならない限り、我々事務当局としては殆んど方法がないということに帰着せざるを得ないのです。即ち失業保險法が引揚者に適用があるということがはつきりと決定いたされますか、或いは失業手当法というようなものがこの國会で決定いたされますか、さような要素がございませんと、現在の予算で何らかの措置をするということは、事務的に私の立場から申上げましてこれはまあ不可能と言つてよいと思います。
#99
○岡元義人君 今の坂田次長の御答弁は実に私は遺憾に思う。それは若し答弁を訂正されればいいのですがそれではお聽きしますが、一体失業保險の適用がないという根拠はどこにございますか。何故給與を拂つておりますか。未復員者に……あなたは勝手にそういうことを自分で断定してそういうことを言われたのですか。どこにあるのですか。その根拠を説明して下さい。これ程氣の毒な人達をいわゆる一般の失業保險、一般内地におけるところの雇用関係の人はこれは皆貰つている。而も國の……雇用者を雇つた國が給料を拂つているのです。それを無理にどうしても改正しよう、多少明確にしようというので労働省が非常に努力されているということは我々も認める。併しながらはつきり引揚者を失業保險の対象者にするというような、そういうことを必らず謳わなければならないという根拠はないと私は思う。だから若し局長の言われるように失業保險の適用でなくして、失業保險の從來の六ケ月のいわゆる退職手当を支給するのが筋道なんです。それを支給しない事実をあなたにもう一回その点を明らかにして頂きたい。
#100
○政府委員(阪田泰二君) この点は岡元先生にもたびたび申上げましたのではつきりと御承知のことと思うのでありますが、失業保險法の適用につきましては、やはり現在の引揚者に対しては國家から確かに手当等が出ておりますが、併しやはり一般の國の職員その他とは相当違つた関係がございますので、我々といたしましてはやはりまだ確信を以て確かに失業保險法の適用があるというわけには申しかねる点が相当にあるわけであります。ただ例えば失業保險法によりますれば、過去六ケ月間の被保險者というような條件があるわけでありますが、今までのところは失業保險料を取るようなやり方をやつておりますが、又官廳職員につきましては御承知のように告示を以て失業保險法の適用を除外しておりますので、官廳職員というふうにみなすとすれば、失業保險の適用はないというような形になつておる。從つてこの場合には失業保險としては支給ができないことになるわけであります。まあいろいろさような問題が……その外細かいことを申上げて恐縮ですが、いろいろございまして、まあ我々として事務的に考えましてまだはつきり適用があるというふうには、非常に明々白々に適用があるというふうには、まだちよつと申上げるだけの自信がないという状態であることを御承知願いたいと思います。
#101
○岡元義人君 今までの経過が非常に濁されて來ましたので、この際明らかにして置きますが、坂田次長が言われたように、非常に分らないところがあるというので、関係方面に公式に連絡をいたしました結果、それは失業保險の適用を受けていいのだということが明確に答えがあつたわけです。その後において予算措置ができないから、いわゆるレーバー・セクションにおいてもこれをば一時棚上げにしておるというような現在の段階なんです。その点については一應明白にされているのです。尚私が言うのは、法案ができたら我々の方で予算を組む、それはもう不可分な関係にある。関連しているのであつて、予算が解決付かないでは、法案の方が根拠の方も解決付かない、こういう段階に來ておる。その点を一つ……。今までのあなたの御説明を聽いておると全然なかつた。白紙の前の時代に帰つて來ているのです。そうじやない。もう段階を踏んで來ておるのですから、その点を一つ混同させないようにして頂かないと、我々は委員会で何遍か努力したのが又第一歩に帰つているような形になつていますから……
#102
○矢野酉雄君 これは次長さんにお願いして置きますがね。今失業手当法という法律がある、その一つの法律の形式から行つたら、今全然失業手当を貰うところの形式的な條件を具備しておる。これはもう分り切つています。ちやんとこれは米窪君が、上程するときに参議院において我々が可決した後にはつきりと言明したですよ。この法律には当然適用しなければならなかつたけれども、いろいろな事情……というのはこれは予算が先程のようにそれまで取れなかつた、併しながらソ連に留置されておるところの諸君が、当然失業手当の、その法の恩典に浴する実質的の資格者であるということはこれは間違いない。これはもうその当時から大臣が明答しておる。明らかに答弁しておるのですから、そこから前進して行かなきやならないのに、最前の御説明は実に開き直つて言われるけれども、法的形式論から言われたので、であつたら米窪君が言つたときに逆戻りしておる。我々はそれからずつと前進してやつて來ておるわけですから、だから希くは、そういう形式が備わつていないから貰われんというのではなく、どうして形式を変えたら実質的の失業保險を貰うべき、或いは災害補償を貰うべきところの資格者たちが未だ何らの恩典に浴していないというのは、公正の権利、平等の権利から言つても決してこれは妥当でない。だから何とかしてこれを適用せしめるような有資格者にして上げるように、いわゆる行政府としても、一つ進んで友情を以てやつて行こうというお氣持がなかつたら、行政府としては適用のために責任が果せませんよ。立法はその一本の一つの原則に從つてずつと行つておりますから、これに一つ積極的に協力するような態度を取つて下さい。これは私がお願いしますどうぞ、どうぞ切に……
#103
○細川嘉六君 こういう重要な問題は事務当局に求めても無理だと思います。これは主管の大臣を呼んで、そこでイエス、ノーを聽く方がよろしいと思います。
#104
○矢野酉雄君 それは細川君の御意見は御尤もだけれども、今申上げたような工合に、第一回の通すとき自体においても、米窪労働大臣は当然すべきであると言つて、それから後ずつと政府の関係大臣が言つておるのだから、実際にこれをやるのはいわゆる実務に当つておるところの事務に責任のある諸君ですから、事務の諸君が本当にこれに対して熱情と、やりたいという実践意思というものがなかつたら、この実現は困難ですから、特別に私は事務の責任にあられる次長さんにもつともつと熱を示して下さいという懇請をしたのです。
#105
○千田正君 どうも次長は長々として頭がいいものだから、風を柳と受け流すが、卵が本当か鶏が本当かという議論になるので、この問題は原則はすでに通過してGHQのOKを取つて、如何にすべきかという段階に來て、ただ予算措置のみが残つておるという段階であるということを明確に考えて頂きたいのであつて、その点から特にスタートして頂きたいということを敢て御注意申上げて、明確なる措置を願いたい、こう申上げて私の質問を終ります。
  ―――――――――――――
#106
○委員長(紅露みつ君) それでは只今の問題は一應これを打切りまして、先程の促進決議案上程の件でございますが、定足数が揃つておりますので、採択をいたします。賛成の方は御挙手を願います。
   〔総員挙手〕
#107
○委員長(紅露みつ君) それでは満場一致決議案を上程することに決定いたしました。
  ―――――――――――――
#108
○委員長(紅露みつ君) それから第三の引揚者行政整理に関する件でございますが、これは政府委員の出席がございませんので、本日はこれを以て閉じたいと思いますが、御異議ございませんか。
#109
○北條秀一君 先程來決議案を上程するという問題について大分私を非難されたのですが、今の決議をやるということを決めるのに、誰がどうするかということを決めなければ委員会を解散できないと思う。ですからその点についてははつきりとここで決めたいと思います。
#110
○委員長(紅露みつ君) それではお諮りいたします。決議案をどういうふうにして出すかということの具体策でございますが、御意見を伺います。ちよつと速記を止めて。
   〔速記中止〕
#111
○委員長(紅露みつ君) 速記を始めて。それでは決議案につきましては、委員長理事の協議によりまして案文を作り、そうして明朝の委員会にかける、こういうことでよろしゆうございますか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#112
○委員長(紅露みつ君) それではさようにいたします。本日はこれを以て散会いたします。
   午後三時三十九分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     紅露 みつ君
   理事      岡元 義人君
   委員
           淺岡 信夫君
           水久保甚作君
           伊東 隆治君
           木内キヤウ君
           北條 秀一君
           穗積眞六郎君
           矢野 酉雄君
           細川 嘉六君
           千田  正君
  政府委員
   大藏事務官
   (主計局次長) 阪田 泰二君
  説明員
   労働事務官
   (職業安定局失
  業保險課勤務)  遠藤 正夫君
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト