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#1
第061回国会 科学技術振興対策特別委員会 第12号
昭和四十四年六月五日(木曜日)
    午前十時四十三分開議
 出席委員
   委員長 石田幸四郎君
  理事 小宮山重四郎君 理事 佐々木義武君
   理事 齋藤 憲三君 理事 田川 誠一君
   理事 福井  勇君 理事 石川 次夫君
   理事 三木 喜夫君
      木野 晴夫君    世耕 政隆君
      渡辺美智雄君    井上 普方君
      小林 信一君    長谷川正三君
      吉田 之久君    近江巳記夫君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      木内 四郎君
 出席政府委員
        科学技術庁長官
        官房長     馬場 一也君
        科学技術庁計画
        局長      鈴木 春夫君
        科学技術庁原子
        力局長     梅澤 邦臣君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 科学技術振興対策に関する件
     ――――◇―――――
#2
○石田委員長 これより会議を開きます。
 科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますのでこれを許します。石川次夫君。
#3
○石川委員 実は当委員会において前々から宇宙開発事業団法案の審議に専念をした形でございまして、科学技術行政一般についての質問がほとんど行なわれておらなかったわけでございます。ところで、第六十一回国会における科学技術庁の長官の所信表明が実にことしの一月に行なわれておるわけでありまして、それに対して、わが党といたしましては、ただの一回も質問ができなくて今日に至ってしまったということになっております。それで、私は前々から質問をしようと思っておりましたことが、もう五カ月も経過したので、多少色あせた感じになってしまいました。きょうは記憶をたどりながら要点だけを質問します。それで、その要点について答弁をいただいて、それをまたもとにいたしまして、あらためてそれぞれの分野における質問を掘り下げてやり直したい、こういうことでありますので、簡潔にひとつ御答弁を願いたいと思っております。
 それは、国民総生産が世界の第二位となって、急速な経済発展が行なわれたけれども、わが国においては外国からの技術導入に負うところが多かった。しかし、本格的な開放経済体制を迎えた今日においては、自主技術開発を一そう強力に推進していかなければならないということで、この白書におきましても、この所信表明におきましても、そういう関係で貫かれておることは、国民がひとしく同調するところであろうと思うのであります。
 ところで、御承知のように、科学技術の水準というものをはかる点におきましては、技術の輸出、輸入の比率というものが一応の目安になる。そこで、アメリカあたりでは輸入を一〇〇にした場合には輸出が九二〇、英国は非常に技術を尊重するというたてまえで、外貨獲得の関係もあって、これは二〇、輸入より輸出のほうが多い。フランスあたりが八〇、ドイツが三八ということで、かなり高い技術輸出を行なっておるわけでありますけれども、御承知のように、日本ではわずか一一%にすぎない、こういうていたらくになっておるわけであります。金額で言いますと、昭和四十二年に技術輸入が二億四千万ドル、それから輸出が二千六百万ドル。非常な片寄った形になっておる。この技術輸入というものは、御承知のように、貿易の自由化あるいは資本の自由化ということに伴いまして、技術と資本あるいは設備というものが一緒に上陸をするという傾向が非常に強まっておるという段階においては、どうしても技術の輸入というものについては限界ができるし、自主開発というものの力をつけらければならぬということ、これはどなたも異存がないところであろうと思うのであります。
 そこで、まず長官にお伺いしたいのでありますけれども、これは非常に大ざっぱな質問になって恐縮でありますけれども、製造業が過去十年間に生産を増加をした中で、四〇%は技術進歩によって増加をしておる。そうして現在、二十年前にないものが、四〇%の製品があって、これから二十年たつと現在ないものが六〇%にも及ぶであろうというくらい、技術革新というものは非常な激しい勢いで行なわれておる。特に化学工業の関係あるいは輸送機械の開係というものは、資本や労働力を輸入するよりむしろ技術というものを高めなければならぬというようなことになっておりまして、そういう段階における科学技術の水準を向上するための一番のかぎとなるものは一体何であろうか、こういう疑問をまず素朴に持たざるを得ないわけであります。そこで、科学技術庁長官の所信をひとつ伺いたいと思います。
#4
○木内国務大臣 石川委員のいまお触れになったことは非常に重要な問題で、私どもも日夜心を砕いておるところであります。御案内のように、わが国は明治百年のスタートにおいて非常におくれておったわけであります。おくれておりましたが、幸いにして、国民の努力、また研究心が旺盛でありましたので、諸外国の技術を導入し、これに自主開発を加えて今日の水準まで持ってきた。科学技術の水準としては、白書でも述べておりますように、相当な水準に立ち至ったのです。けれども、自主開発能力のほうは遺憾ながら非常におくれておる。そこで、何としても自主開発能力というものを増進していかなければならぬというのが私どもの考えたところでありまして、白書にもそのことを詳しく書いておることは、いま御説明のとおりでございます。
 そこで、われわれとしては、先ほどもお話がありましたように、研究投資――国民の努力はありますけれども、やはり研究の投資をふやしていくことがまず第一だ、非常に大事なことである、こう思いまして、これを科学技術会議などにはかりましたところ、国民所得の二・五%くらいまでは持っていくようにひとつ努力したらいいだろう、こういうことでありまして、私どもはそれを目途として努力をいたしておるわけであります。諸外国に比べまして少ない点はありますけれども、いま申しましたように、当面これを目途として研究投資を増額していきたい。しかし、これをただ単に増額していく努力をするというだけでは、やはり実際的ではありませんので、長期的展望に立って科学技術振興の基本的な方策を立てて、また、これに伴うところの実行計画を立てて、それを基礎にしてひとつこの増額をはかっていきたい。また、これは政府だけではありません。民間の投資も増額しなければなりませんが、民間の投資につきましては、特別な税制あるいは助成策、こういうものを講じまして、民間の研究投資の増額をはかっていくようにしてまいりたい、かように考えております。
#5
○石川委員 これはたいへん議論の多いところで、簡単に御答弁というわけにいかないだろうという事情はわかるのですけれども、これはいまここで申し上げては釈迦に説法でありますが、御承知のように、研究投資額が昭和三十二年に比べて昭和四十二年、十年後では大体六倍にふえておるというくらい、非常に投資額がふえておる。六千六十億。これは前年に比べると二四%も増加をしておるということで、飛躍的に伸びておることは認めるのにやぶさかではありませんけれども、しかし、国民所得の中に占める割合は、御承知のようにわずかに一・八%、これはアメリカの三・一六%、ソ連の三・二%というようなものに比べて、まだまだきわめて低いということはお認めになっておりますね。
 それで、この国民所得の中で研究投資額は一体どのくらいであるべきか、それをいつごろまでに達成するか、こういう目標を一応立てるということが、まず基本的に必要なのではなかろうか、これが第一の質問であります。
 それから、あと一つは、国の研究投資の負担額が全体の中で占める割合が日本の場合にはわずかに三一%、これは御承知のように、先進国では六〇%以上というのが常識であります。アメリカでは六四%、あるいはフランスは六四%、カナダが五五尾というように、どこでも国の研究投資の負担というものは半分以上を占めておるというのが先進国の常識の形になっておる。ところが、日本ではわずかに三一%。でありますから、結局国民所得の中で占める目標としては、一体どのくらいのパーセントを、いつごろまでに達成するのだ、こういう目標をまずきちっと立てなくてはいかぬのじゃないか。しかも、研究投資の中で政府の投資というものがわずかに三一%しかない、これを少なくともどのくらいまで持っていきたいというような、これはきわめてむずかしい問題ではありますけれども、そういう抱負あるいは設計というのをひとつつくって、それに近づけるという努力がまず基本的になされないというと、科学技術振興の基本的な方針が立ったということはいえないのではないか、こう私は思うのでありますが、それに対して何か具体的なプランニングがございますか。
#6
○木内国務大臣 いまの御質問、先ほど私はちょっとそれに触れたと思うのですが、国民所得に対する当面の目標としては、科学技術会議などの御意見、正式なあれではありませんけれども、そういう御意見などがありまして、二・五%くらい、当面、四十五、六年ころにはその程度までひとつ持っていくようにいたしたい、こういう考えを持っております。
 それから、政府の投資が諸外国に比べてわりあい少ない。これは確かにそのとおりだと思うのです。諸外国の例を見ますというと、やはりそのうちには、軍事関係のものが相当多く含まれておるように思うのです。それも国情の相違で、これはしかたない点もあると思いますが、それを別にしましても、必ずしも、政府のものは民間のものより多くならなくちゃならぬという筋合いでもないのじゃないかというふうに私は考えるのですが、さればといって、別に国の投資をふやさないでいいというわけじゃありません。ふやすことに極力努力にいたしますが、わが国の民間の投資が最近急激にふえたということは、やはり民間の非常な努力によって、産業または工業の発達によりまして民間の投資が急に非常にふえてきた。そこで政府の投資が、ふやしたけれども、これは三分の一程度になっているという実情だと思うのです。予算確保等のことはありますけれども、今後ともできるだけの増額をはかっていくように努力をいたしたいと思います。
#7
○石川委員 確かに外国での政府の投資が多いということは、原子力、宇宙というものが非常に大きな割合を占めておる、こういう先導的な巨大科学のほうに占める費用というものは非常にばく大なものでありますから、そういう点でわかるのでありますけれども、しかし、これが直ちに軍事ということに限定をされる性質のものではないと思うので、逆に言うと、原子力、宇宙の関係では非常に立ちおくれておる、こういう認識も反面出てくるのではないかという感じがするわけです。したがって、私は、この三一%が六〇%であってほしいということをいきなり望むことは無理ではあろうけれども、この分類というものを詳細に分析して、やはり五〇%程度のものは国でもって出すようにしなければならぬのだ、その年度は一体いつごろがいいのだろうかというようなことも、ひとつ政府のほうではぜひ御検討をしていただかなければならぬと思うのです。その点を御要望申し上げておきます。
 それで、あと一つ。これは施政方針演説ではなくて、白書の中できわめて重要な問題が一つ提起をされておると私は思うのです。それはどういうことかといいますと、基礎研究費と応用研究費あるいは開発研究費こう三つの分類を行なっております。そこでいわれることは、基礎研究費はアメリカの十分の一である、応用研究費はアメリカの十七分の一である。そうして開発研究費はアメリカの四十分の一だという分類になっておる。それで、基礎研究費のほうは、日本では研究投資総額の三〇%を占めておる。そうして、欧米諸国にも類を見ないくらい、研究投資総額の中に占める基礎研究費の割合が多い。したがって、この白書からとれるニュアンスとしては、基礎研究費というものを相当重視はしているけれども、応用研究費、開発研究費のほうが軽視をされる、あるいはまた、基礎研究にずいぶん金をつぎ込んではおるけれども、それは応用研究、開発研究のほうに波及してこない、こういうようなニュアンスを持った白書になっておるのでありますけれども、この点はどうお考えになっておりますか。
#8
○木内国務大臣 いまお示しの統計は、確かにそのとおりだと思います。この研究は基礎から応用から開発まで調和のとれたものでなければならぬし、しかも、それが有機的に緊密な関連をもって行なわれていかなければならぬことは、お説のとおりでございます。
 そこで、政府におきましても、たとえば原子力関係の事業団等につきましては、一定の目標を定めて、それに対して詳細な計画を立てて、そうして基礎研究から応用研究、開発研究までを一貫して、調和のとれた、しかも時間的に十分に調和のとれたところの計画を立てて行なうようにしています。今度、宇宙開発につきましても同様な計画を持っておるわけであります。その他の面におきましても、基礎研究の成果が応用あるいは開発のほうに利用された点は私は多々あると思うのですが、こまかなことは、また、もし御要求があれば政府委員のほうから答弁させますが、そういうわけで、政府としても、基礎から応用、開発まで有機的な関連を持たしてやっていく。現在、基礎研究のほうがわりあいに多いですけれども、それはいま申したように、いろいろな意味において、今日のわが国の経済の発展に貢献するように、開発する面においても大いに利用されておる、私どもはかように考えておりますが、今後におきましては、一そうこの基礎から応用、開発までの有機的の関連を考えてひとつ進めてまいりたい、かように考えております。
#9
○石川委員 私はそういう答弁を期待したわけじゃないのです。それは基礎研究、応用研究、開発研究と分けて、この三つが有機的に関連をし、調和のとれた方向でいかなければならぬということは常識的にわかります。私の言いたいのは、基礎研究には相当金をつぎ込んでおるのだというこの考え方自体が正しいのかどうかということを相当掘り下げて検討しなければならぬではないか。ということは、御承知のとおり、大学における目的、テーマを持たない自由な科学研究費というものは、わずか五十億からことしは六十億にふえましたが、全部で六十億です。こんなものでは未開国にも劣るような基礎研究費ではなかろうかという不満が非常に強いわけですね。それから、いわれるように、リサーチ・アンド・デベロップメント、それからサイエンス・アンド・テクノロージー、こうなる場合に、いつもサイエンスとリサーチが忘れられて、日本の場合にはテクノロジーとデベロップメントばかり力が入っているじゃないかというのがわれわれの常識であったわけです。それをくつがえすようなことが白書に出ている。白書のていさい、内容、組み立て方は非常に進歩していると私は評価しておりますけれども、この点についてだけは、どうしても納得がいかない。たとえば、六十億ぐらいの科学研究費といいますけれども、医学部関係の学会の予算、費用は一体幾らかかっているか。大体一年間に五十億です。これは国から金を出しているわけじゃないのです。残念ながら製薬会社がほとんど持っております。医学部だけでもそのくらいの基礎研究の費用が要る。ところが、大学全体にまたがる基礎研究費というのはわずかにことし六十億、非常にふやしたつもりでも六十億です。とてもこんな基礎研究費では十分な基礎研究はできないということは、学者連中がひとしく認めておる。にもかかわらず、これは、絶対額が全部少ないんだということがその根底にはあるのですけれども、この基礎研究費がかなり恵まれておるんだというような考え方で、今後の科学技術の振興がはたしてはかれるものかどうか。この点に非常に疑問を感じて、この内容を分析しようと思ったのですけれども、実はなかなかわれわれの力ではできないのです。
 たとえば、一つ質問申し上げますけれども、大学の研究費は全部基礎研究というふうにお考えになりますか。
#10
○鈴木(春)政府委員 大学の研究につきましては、従来は一本で、基礎研究という考え方で統計上とっておりました。昨年度から、特に本年度の白書におきましては、大学における研究のうち、純粋の研究と間接的に目標を持った研究というふうな観点で二つに分けまして整理してございます。その分け方につきましては、文部省のほうでも的確な資料がないように承っておりますので、諸外国、特にフランスとかイギリスとか、こういった国の実情を見て、八〇%と二〇%に分けてございます。二〇%分が応用研究、八〇%の分が純粋基礎研究というような観点でこの白書の数字は整理してございます。
#11
○石川委員 基礎研究というものをほんとうに重視しなければ、日本の創造力というものは生まれてこない。これが日本の一番の弱点だということがしょっちゅういわれておったのに、白書では、基礎研究があたかも非常に重視されておるというような印象を与えることは、今後の科学技術の施策の上において非常な影響を与えるのじゃないかということを私は懸念している。それで、いま言ったように、八〇%、二〇%というような大ざっぱな分け方は、基礎研究と応用、開発を分ける基準としては非常に雑過ぎると思うのです。そういうものを土台にして、しかも、基礎研究のほうがかなり恵まれておるというふうな結論が出るということになれば、たいへんなあやまちをおかすのじゃないか。たとえば、東大の宇宙航空研究所の予算というのは、どこに分類しましたか。
#12
○鈴木(春)政府委員 ただいま申し上げましたように、個々の研究について整理したものではございません。全体として案分比例というような観点で整理したものでございます。従来一本でやっておりましたので、それではあまり実情に沿わないのじゃないかというような観点で整理したものでございます。
#13
○石川委員 いまのは、局長、たいへん重要な問題だと思うのですよ。われわれはどう考えても基礎研究を重視するところから出直さないと、いつでも外国の技術導入ばかりに依存をすることに追われて、日本独自の技術が出てこない。日本人は確かにそういう能力を本来持ちながら、研究環境が十分でないということと、予算が十分でないということと、あるいはその方向づけとして誌礎研究より応用、開発のほうへいっちゃっている。そういうことが日本の独創力の芽をつんでいるのではないかということを心配しておったのに、絶対額はどちらにしても外国に比較にならぬほど、少ないわけでございますけれども、基礎研究のほうがわりあいに優遇されているんだ、こういう考え方に立ってしまうと、また応用研究、開発研究、そのほうにだけ重点がいっちゃって、基礎研究のほうがないがしろになるという重大なる危険な要素をはらんでいるのじゃないか、そういうような点が、この白書の中では一番問題になるのじゃないかということを心配しているのです。たとえば、東大の宇宙航空研究所なんというのは基礎研究とはいえないと私は思うのです。ああいうものまでひっくるめて基礎研究というものに入れているのはないかという不安が実はあったので、あなたに御質問したわけです。
 それで、私、要望したいのですけれども、基礎研究、応用研究、それから開発研究、この六千六十億の研究投資額の中で、これをこういうふうに分類しても、これは分類が非常に不十分だと思うのです。これを再検討してもらえませんか。そして、基礎研究というものは十分ではないんだという結論が出なければおかしいと思うのです。もっとも、最近は昔に比べまして基礎研究がずっと充実されているというような結果が出てくれば、基礎研究というものは直ちに成果が生まれるものではありませんから、これは最近の状態でこうなったんだ、かつてはそうでなかったんだということになれば、まだ説明がつくと思うのですけれども、どう考えても、大学における科学技術研究費が六十億なんというべらぼうなことがあるかという考え方がわれわれの頭から抜け切れない。さっきも言ったように、医学部だけでも一年間に五十億も使っているのですけれども、これは政府の予算でも何でもないというような状態の中で、非常に苦しい基礎研究で四苦八苦しているというのがいまの若い学徒の悩みである。また、それが大学紛争の一つのきっかけにもなっている。基礎研究が無視されているという不満が充満しておるという実態を私は知らなければならぬと思うのです。この白書では、評価をされる点はたくさんありますけれども、基礎研究の関係はよほど考え直して、重点をそこにまたしぼっていくというところから出発をしないと、ほんとうの日本の科学技術振興の基盤というものはでき得ないんだということを私は痛感しておるので、この白書というものを見直して再検討してもらいたい、こう思っておるわけでありますが、その点、長官はどうお考えになりますか。
#14
○木内国務大臣 いまお話しの点は大いに傾聴すべき点があるのですが、私どもは、いままでの統計のやり方、それに、いま政府委員から答弁しました多少の修正を加えた統計のとり方で、それを白書のほうで考えたわけでありますが、基礎研究の重要であることはお説のとおりであります。私ども、今後におきましては基礎研究に大いに力を入れていきたい。ただし、基礎研究だけではいけないのでありまして、応用と開発、その間に調和のとれた、しかも、有機的の関連のあるような、生きた研究をやって、その成果を国民生活の向上、産業の発展のほうに役立つようにいたしたい、かように考えております。
#15
○石川委員 何回もくどいようですけれども、とにかく基礎研究から出直さなければ、日本の研究体制あるいは日本の研究の基盤というもの、あるいはまた、独創力というものの基本はでき上がらない。これはどうしても認めていかなければならないと思うのです。各大学の基礎研究をやっている人たちは非常に冷遇されておる。応用、開発のほうはビッグサイエンスにつながって、何とかかんとか精彩を保っておるというかっこうでありますけれども、基礎研究は実にじみです。私もそういう人たちといろいろ話をしておるのでありますけれども、ほんとうに恵まれない生活で、自分が良心的に研究に従事しておる姿、しかも予算がほんとうにない。応用、開発のほうでありますと、どこかの事業所と結びついていろいろな便宜をはかってもらうということもできますけれども、基礎研究だけはそういうところが全然ない。そういうものが冷遇されておるということが、日本の独創力、科学技術における進歩を非常に阻害しておるという点は、何としても私はぬぐいがたい大きな欠陥だというふうに思っておる。そういう点で、この白書がこういうふうな結論を出すことは、これは非常な即断だ、これはたいへんなあやまちをおかす。この点だけは私は白書の中でどうしても納得できがたい点であります。
 でありますから、学術会議のほうでもこのことが問題になっておるようです。学術会議といたしましては、基礎研究、応用あるいは開発、こういうものの分類はいま少しこまかに分析して、ほんとうの分類がどうなっているかということを検討する、こういう考え方が基本となって、基礎研究のほうが軽視されることになったらたいへんな問題だということを非常に重視しておるという点をひとつ御認識願いたいと思います。そういう点で、学術会議のほうでも、この分類を始めるということをいっておりますけれども、あなたのほうでも、どういうふうな結果になりますか、その分類を急いでいただいて、基礎研究をいま少し重視するという方向に転換をしてもらわなければならぬ。もちろん、この調和をはかるということは必要でしょう。日本の経済発展というものが非常に著しいのは、応用、開発に相当力を入れたというその功績を私は否定するわけではない。しかし、いつまでもそうはやっていけないという、資本自由化に備えての現状でありますので、そういう点に備えての基礎研究を見直すという立場でひとつ白書というものを再検討してもらいたいということをお願いしたいと思うのです。
 あと質問したいことは、こまかいことでたくさんあるのですけれども、きょうは私もちょっと個人的な用件があるので簡単に申し上げますが、この所信表明の中で交通事故防止ということが二回出てくるのです。これは、そもそもの緒論のところで「公害、自然災害の防除、交通事故防止等社会開発の種々の面におきましても、研究開発の画期的な推進を図る」、こういうことが出ておる。それから一、二、三、四、五と書いて、第五の中に「自然災害の防除、交通事故の防止」ということが書いてある。交通事故対策を科学技術庁でどういうふうにおやりになっておるか、不敏にして私聞いたことがないのです。そういう点はどういうふうになっておりますか。
#16
○鈴木(春)政府委員 白書におきます公害防止技術、これの内容につきましては、科学技術庁だけでやっている事項ではございません。政府全般のいろいろな研究開発、科学技術事項につきまして公害防止、これの技術はどういうふうに行なわれているかというような点で白書として発表したものでございます。
#17
○石川委員 私が申し上げたいのは、ここに「公害、自然災害の防除、交通事故の防止」――これは全部国会の中で特別委員会ができておるわけです。災害対策あるいは産業公害対策あるいは交通安全対策という特別委員会ができております。だから、そこでそれらの問題を扱えばよろしいんだということになるかどうかという点でひとつ御意見を聞きたいと思っておるのでありますけれども、これはもちろん、それぞれ、運輸省があり、あるいは建設省がありというようなことで、そういうこととの関連は十分にあります。ありますけれども、御承知のように、OECDなんかで見ますと、これらの問題は全部科学技術委員会の中に含まれております。この科学技術委員会の中で科学的にどうして交通事故を防止するか、あるいはどうして災害を未然に防ぐことができるか、あるいはまた、産業公害というものをどうして防止するかというようなことは、科学技術の分野でやっておる仕事なんです。国会にできておりますいろいろな特別委員会がもちろんそういう点については検討するでありましょうけれども、そういうところは、いわば行政的にどう対処するか、法律案件をどう処置するかというようなことがむしろ重点なんです。ということになれば、むしろ科学技術庁の任務としては、これは科学技術の問題として、科学的にこれにどう対処するかという基本的な問題については、やはりこの委員会がやるのだ、こういう気持ちを持たなければいかぬ、それだけの責任があるのではないかと私は考えておるわけなんです。それは長官どうお考えになりますか。
#18
○木内国務大臣 お説の点、ごもっともな点もありますけれども、やはりたとえば交通の問題になれば運輸省の関係というように、各行政ごとにその所管の役所がありまするので、それをすべてここでやるというわけにはいきませんが、私のほうとして、科学技術に関することは私のほうでいろいろ調整をはかっていかなければならぬ。そこで御案内の特別研究促進調整費、こういうものを必要な場合には出して、それらの項目についての研究を進める、あるいは予算の要求の際にもいろいろ調整をはかる、こういうようなことをやりまして、私のほうではその任務を遂行してまいりたい、かように考えております。
#19
○石川委員 これはここで解決できる問題でもないし、正確な回答をいただけるとは思わないのですけれども、考え方としては、行政的な対策をそれぞれの委員会や各省庁でやるにしても、基本的な技術的な問題としては、やはり科学技術庁でやるというくらいの気魄をひとつ持ってもらわなければならぬのじゃないかという感じがしてならない。防災センターは、いま科学技術庁のほうに所属しておりますね。そういうこともありますけれども、行政的な問題じゃなくて基本的な問題、科学的に分析をしなければならぬ問題、こういうのはむしろ科学技術庁が中心になってやるということであってほしいというのは、一つは、この科学技術庁はとかくビッグサイエンスだけをやっている官庁だというふうに理解をされがちです。それから、科学技術の進歩に伴っていま盛んにいわれておることは過疎、過密、あるいは技術革新に伴って人間性が職場においても疎外をされておる。そういうところからだんだん人間がゆがめられて、非行少年も出る、あるいは大学問題も出る、いろいろな問題が出ているのも、これは、もとをただせば科学技術の進歩というものが原因になっておるということは定説です。だからといって、科学技術の進歩をとめるというわけにいかぬ。そうなると、人間性をどう回復するかという問題を科学技術行政の中の中核に据えなければならぬのですけれども、そこまでいかないにしても、人間の生命と健康というものは、何とか科学技術の進歩の中でも食いとめていかなければならぬ、こういう責任は行政の中に当然出てこなければいかぬ性質のものだろうと思うのです。そういう点からいって、科学技術庁としては、ただ単に科学技術が進歩すればよろしい、あるいはまた、巨大サイエンスだけが発展すればそれでよろしいんだという感覚でとらえられがちないまの印象を払拭する意味においても、どうしてももっと人間を尊重するという面での科学技術の進歩ということを並行して進めていかないと、非常にゆがんだ形になってくるのではないかということを私は心配しておるのです。そういう点で、長官、どうお考えになっておりますか。
#20
○木内国務大臣 いまお話しのとおりだと思うのでありまして、科学技術が進歩してくる。それに伴って産業が非常に発達してくる。そうすると、いろいろ産業上の公害などが出てくる。そうすると、それを所管しておる役所においてもいろいろやりまするけれども、科学的の対策の面はやはり科学技術庁においてもっぱら主掌して今後研究してまいるべきものだと思います。
#21
○石川委員 OECDあたりは、科学委員会というものがそういうものを基本的には全部やっておりますね。日本はとかく法律でもってものを解決していこうという習慣があって、すぐ何か行政的に、法律的にという考え方が先にありますけれども、やはりこういう問題の基本は科学で解決をする。一体、人間が疎外をされておる科学技術の進歩なら、その罪滅ぼしということではありませんけれども、並行して人間の生命と健康というものは守っていくんだというような科学が同時に発展をしなければ、非常な片輪のものになる。われわれは、科学技術だけが進歩してそれが人間に不幸をもたらすというのだったら、こんな振興委員会なんか要らぬと思うのです。そういう点ではよほど――これは車の両輪と考えて、それを両方並行していくんだという、この基本的な態度というものをしっかりきめてかかってもらわなければ困る。このことを強く要望したいと思うのです。
 あとは、私が申し上げたいことは、こまかい点はたくさんあるのですけれども、その二つの点にしぼって、基礎研究の問題と、人間尊重の科学というものをやはりここが中心になってやるんだという方向づけをはっきり持ってもらいたい。もちろん、ほかの特別委員会の分野をおかすとかなんとかいうことではありませんけれども、そういう責任というか、そういうものはひとつしっかり記憶をしてもらわなければならぬということを申し上げたいと思うのです。
 あと、こまかいことがほかにたくさんあるのですけれども、きょうはアップツーデートな今日的な問題で報告だけ、これは原子力局長に伺いたい。
 その一つは、御承知のように、ウラン濃縮ですね。これがどうやらめどが立った、というところまでにはいかないのだろうと思うのでありますけれども、いままでアルゴンでやっていたものが、ウランでもってある程度の成果を見たということで、現在の成果というものは一体どの程度のもので、今後はどの程度の明るい見通しが持てるかということが一つ。
 それから、これは齋藤憲三さんがたいへん関心を持っておられたわけですけれども、ソビエトにおいて核融合が成果を見た――成果を見たというところまでいっているかどうかわかりませんが、どのぐらいにこれを価値評価できるものかどうか。この核融合というものがある程度見通しが立つということになれば、これはたいへんなことだと思うのです。いままで一生懸命濃縮ウランにたよっていたものが、核融合が成功するということになれば、いままでの原子力の研究というものはがらっと変わっていくと思うのです。これは緒についたばかりだということでもありましょうし、何といっても、核融合についてアメリカは正面突破ができなくて、結局それはもとに戻って、プラズマの研究、プラズマの解明というものに逆戻り、基礎研究から出発をしたということになっておったわけでありますけれども、まあソビエトの核融合の研究所は相当りっぱなもののようです。したがって、その中から今度のような成果が生まれたのだと思いますが、これはどういうふうに位置づけができるものなのか。濃縮ウランにたよっていたものが、将来核融合でできるということになれば、海水から無限にとれるということにもなるわけです。しかし、これの温度が大体一億度をこすということになると材料面の問題なんか相当今後に残された問題で前途遼遠だと思うのでありますけれども、これをどういうふうに評価したらいいかということを一応きょう御報告だけ原子力局長に伺って、これはあらためてこの次に専門家、参考人を呼んでゆっくり説明を聞かなければならぬ問題だろうと思うのですけれども、一応の御報告だけ伺っておきたいと思います。
#22
○梅澤政府委員 初めにウラン濃縮の問題でございますが、これにつきましては先般来ガス拡散の問題が出ました。これは一応膜の問題としての成功と申しますか、ある実験段階の答えが出ました。しかし、それの関連の材質の問題あるいは加工技術の問題、そういう点についてはまだいろいろ問題が残っております。それから、最近出ました遠心分離機の問題でございますが、これは動燃の二号機と称しておりますが、非常に小さい形でございます。これで初めて、アルゴンでやっていたのを六弗化ウランでやってみました。そのデータをとりますと、今度の小さいものでやりましたところのデータは、われわれのほうの情報からいきますと、効率があるというところのことがわかった程度と判断いたしております。
 したがいまして、われわれのほうが、これから先この両者をどうするかということにつきましては、前々から原子力委員会で四十七年にチェック・アンド・レビューをするということになっております。したがいまして、先般から専門家の集まりをつくりまして、四十七年にチェック・アンド・レビューができるように、関連技術の開発、たとえば腐食の問題、加工の問題、そういう関連技術も総合的にやっていきませんと、チェック・アンド・レビューできないのではないか、その関係でどういう研究を早急に進めるべきかということをいま体制づけているところでございます。それで、その研究を本年度に続き来年度から強化していきまして、四十七年にはチェック・アンド・レビューをして、そのときに、でき得るならばどちらか一方を取り上げてやるという希望は持っておりますが、そういう考え方で現在進んでいるのがウラン濃縮の考え方であります。
 それから、核融合でございますが、ソ連の核融合につきましては、ソ連では研究所が五つぐらいございます。核融合の研究所はクルチャトフ原子力研究所、ヨッフェ物理工学研究所、カルコフ物理工学研究所、電気物理装置研究所、そこで研究を進めております。いままでそこで総合的にやっておりますのは、向こうでいっておりますトコマック法と称します装置でやっております。これは磁場の置き方のかっこうで違っている方式でございます。その実験データが去年の八月にノボシビルスクの会議で発表されました。しかしその測定の結果につきましては問題があるということで、英国のカラム研究所ですか、そこが参加するという形でいったわけでございます。そこでの情報でございましたが、先般記者団が向こうへ行かれて得ました情報でいきますと、それから先の情報を発表したのだろう、そうとってます。
 しかし、その情報で出てきましたデータで見ますと、向こうでもって三号機を利用しまして一立方センチ当たりのイオンの密度が十の十四乗個、それから絶対温度が四百万度、それからプラズマが五十分の一秒保持できたというデータが出ております。これはわれわれのほうのトーラス型といいますか、そういうものでやった場合の理論値、理論でこういくだろうという数字に非常に近寄ってきている数字ではあるという解釈ができると思います。現有のところは、まだその程度のところまでの情報でございますが、進んでいることには間違いない、かように思います。
#23
○石川委員 これはいずれあらためて――これはたいへんなエネルギー革命、革命も革命、たいへんな革命ですから、向こうは相当進んでいるんだが、日本の核融合の研究体制は一体どの程度になっておりますか。プラズマの研究所が名古屋大学あたりにはありますけれども、とてもソビエト、アメリカなんかと比較にならぬほど、核融合の研究というものはおくれているのではないか。それから、濃縮の問題にしても、わずかに三号機、四号機という程度の研究のしかたで、これはドイツやそのほかの国の実態なんかを見てもたいへんなおくれ方をしておるという心配をしておるわけなんですが、その比較は一体どんなものですか。
#24
○梅澤政府委員 濃縮ウランにつきましては、ヨーロッパの三国が一緒になって、これから遠心分離機の研究を進めるという情報がございます。その点からいきまして、そっちのほうの設備等からいきますと、向こうのほうがある程度進んでいるんじゃないかという学者さん方の考え方が多うございます。しかし、現在日本でやりましたデータのとれ方、そこからいきますと、そのやり方でまだまだおくれを取り戻すことはできるという考え方であります。
 それから、プラズマにつきましては、おっしゃるとおりでございますが、日本では特定総合研究に、原子力委員会といたしまして工業技術院の電気試験所、理化学研究所、それから原子力研究所の三者が合体して共同体制で進んでおります。これは装置と申しますか、装置の研究、測定方法の研究等で、まだ実際的にはおくれております。しかし、やはりこの研究は下から積み上げていくという形で、金をどっと出してすぐ装置をつくっていくという形にいきませんので、その点は、検討会をつくっておりまして、そこで研究の積み上げ方ということで進んでおるわけでございます。
#25
○石川委員 あらためて聞きます。きょうはこのぐらいにしておきます。
#26
○石田委員長 関連で、井上普方君。
#27
○井上(普)委員 私は実はきょう質問する予定で
 はございませんでしたのですが、ただいま石川委員からいろいろと基礎研究についてのお話があり、これに対する御見解を示されまして、特に政府側の科学技術に対する対策が、何と申しますか、考え違いをしておるんじゃないか、このように考えましたので、実はお伺いいたすのであります。
 私は、このたび、大学問題につきましていろいろと調査をいたしたのでございます。私なりに勉強をしてみました。
 それで、大学問題がなぜこういうように起こっておるかという一つの大きい流れとしましては、世界的な動きもありましょうけれども、もう一つの大きい流れといたしましては、教育体制、研究体制に若い学生さん、あるいはまた若手研究者が大きい不満を持っておるところに大きい原因があると私は考えます。
 その証拠に申し上げますならば、この大学紛争を見てみましても、一つには大学に医学部があるところ、もう一つは、日大のごとく汚職があるとか、こういうようなところは別にいたしまして、正常に学業が行なわれておるところで起こっておるのは神学部、神さんの学部のあるところに起こっておるわけです。キリスト教の大学に多いのです。こういうような分類を考えてみますと、結局研究者の封建性というところに一つ大きい問題があると私どもには考えられるのであります。
 そこで、自然科学分野における研究につきましては、私はある程度わかりますが、しかし文科系統、人文科学系統においてどういうような研究がなされ、どういうような教育体制がなされておるのかということは、私は十分わからない。おそらく法文系あるいはまた人文科学をやられた方々は、自然科学の研究体制がどうなっておるか、教育体制がどうなっておるかということも、これまた、からだにじかに感じられないだろうと思います。
 そういうようなことから私は、自然科学の分野における研究体制を調べていきますと、どういたしましても研究費の不足というところに突き当たるわけです。基礎研究に研究費の三〇%が充てられておるということを白書に出されておるのでございますけれども、大学の研究の中で八〇%も、はたして基礎研究に流れておるかといいますと、自然科学の分野においては私は流れていない、こう断定してはばからないものです。あるいはまた、政府が出されておる班研究費、これなんかを見てみますと、一つの研究に二百万円出した。しかしその二百万円の研究費が六カ所、七カ所の大学に分配せられていくのです。そうしますと、一つの大学に、あるいは一つの医学部あるいはまた工学部の教室、各大学の教室に班研究費が渡されるのは二十万ないし三十万という少額に細分化されていきます。そうしますと、二十万、三十万の――三十万といたしましょうか、そうしますと、一つの教室で三十万の研究費といいますと、一つ論文を書きましても、無料で載せるわけにまいりませんから、印刷費を学者諸君、研究者諸君が受け持たなければなりません。一部大体持たなければなりませんから、一つの論文を書きますと、印刷費だけでも十万円は現在飛んでしまいます。それから、学会がある、あるいはまた、各種の班研究の交流をやるということになりますと、これまた、旅費で十万円やそこらは飛んでしまうのです。実際問題としてほんとうの科学技術研究に使われる金額というものは、三十万円渡しても十万円しか使われない、あるいは一つの研究に班研究として渡されております金額が三百万円でございましても、実際に研究に使われる金というものは百万円であるというのが実態なんです。こういうようなことを考えますと、皆さんがた科学技術庁がお考えになっておる、基礎科学研究費というものは大学の研究費の八〇%を占めておるとおっしゃいますけれども、実は八〇%はいっていない。旅費であるとか、あるいは印刷費というものにかなり大きく食われるわけです。しかも、学者諸君には旅費というものは非常に安く出されておりますから、大学の旅費なんというのは、年に二回くらい東京に来る旅費とか、あるいは学会出張旅費というものしか組まれておりません。そんなところからしますと、そちらのほうに食われる率がどうしても多くなりまして、実際の研究に使われるものは研究費の三分の一くらいに落ち込んでおるのが実情でないか、私が体験したところからしても、そういうことがいえるのでございます。先日来、私も科学技術庁あるいは厚生省、通産省及び文部省からの研究費を全部拾い上げまして調べて、実はいま私自身も分類をし、どういう研究が行なわれておるか、自分自身で調べておるのでございますが、ともかく出されておる白書の数字というものは非常にグローブな数字であって、実際にはこの三〇%にも及んでおらないということを私は強調いたしたいのであります。
 ここで、意見になりましてまことに申しわけないのでありますが、質問になるかどうかわかりませんけれども、白書の中に三〇%、三一%が基礎研究であるというのを見まして、私も石川議員の質問をお聞きしながら実はびっくりいたしたのでありますが、しかも、その科学技術の研究費の配分を科学技術会議におまかせになるように科学技術庁はお考えになっておりますが、しかし私はこれはおかしいと思うのです。これは学術会議という民主的な団体が一応これに携わるべきでないか、これは文部省の関係かもしれませんが、大臣、いかにお考えになりますか、御答弁をお願いしたいのです。
#28
○木内国務大臣 いま研究費を学術会議で分けるというようなお話でありますが、私も初めて伺ったのですが、大学のほうの研究は文部省のほうですね。従来の事情、また将来の研究その他を勘案しまして分けておる。もちろん学術会議で、ある種の研究に対して金が足らぬからどうとかという意見を述べておられることは、ある新聞で拝見していますけれども、いまお話しの点は多少誤解しておられるのじゃないか。文部省のほうで分けるように聞いております。
#29
○井上(普)委員 しかし、あなたは石川議員の質問に対しまして、科学技術会議によって配分等々をお考えになっておるのだというようなお話だったから私は申し上げる。政府全体の態度として、文部省は科学技術会議というものを重視して、これに配分をまかせておるようです。これは私にもわかりますが、あなたとしてももう少し民主的にやられるために、学術会議というものを文部省あるいはまた内閣全体で強調される必要があるのじゃございませんか。たとえば科学技術会議というものも、おそらくお年寄りばかりでつくられておると思うのです。明治の方々ばかりでつくられておると思うのです。どうでございます。
#30
○木内国務大臣 いろいろ問題がこんがらかっておるようでありますが、さっき申しましたように、文部省は大学に対する予算の配分をしますが、その際にいろいろ学術会議のほうの意見などを聞くことはもちろんあり得ると思います。それから、さっき私が石川委員にお答えしたのは、国民所得の二・五%くらいの研究投資が必要だろうというような意見が出たのは科学技術のほうの会議であります。それが両方一緒になっておるようでございます。ただ科学技術会議では、研究投資は国民所得の二・五%くらいまであげていくことが大事だ、こういうことをいっておるわけであります。
#31
○井上(普)委員 学術会議の話を文部省は聞いておるといいますが、実際は聞いておらぬのです。そして、学術会議をボイコットしてわざわざ審議会なるものをつくって、それで配分しておるというのが実態なんです。ここらあたりにも非民主的なものがあると思うのでございますが、しかしこの審議会というものも、調べてみますと、これまた非常にお年寄りが多くて、どうも現在の体制にマッチできない。しかもその方々は、既成の学者諸君は、自分の地位を守るためにきゅうきゅうとしておる。佐藤総理大臣の主治医であるといわれる上田英雄東大教授、この人の研究を私は四十二年のを全部調べてみました。そうしますと、何と一年間に百六十八編の論文を書いておる。梶山季之あるいはまた松本清張以上に論文を書いておる。二日に一つの論文なんてできるわけはありませんよ。それを書いておる。ところがあそこに百五十人に近い医局員がおりますが、その医局員が書いておる論文は六十一なんです。すなわち部下が、あるいは手下がやった仕事というものを吸い上げてこれを発表しておるというのが現在の古い封建制の学界でのあらわれである。でございますから、ここから不満が出てきて、大学紛争も出てきておるわけです。ところが、自民党政府は、諮問をするといいますと、いつも明治生まれの方々ばかりをどうも重視されまして、そして、科学技術の分野においてもこれらの人々を重視するがゆえに、現在の日本の科学技術というものが非常に進歩しない原因はここにあるのではないか、このように思うのです。大臣、いかがでございます。御感想を承りたい。
#32
○木内国務大臣 いろいろ私どもの承知しないことを教えていただきましたが、私どものほうでは別に古い人ばかりを集めているつもりはありません。古い人でも、年はとってもなかなか頭の若い人もおります。そういう人も使っております。それから、若い学者の人もだいぶ私どもの開発委員会などにも来ていただいております。私は、年寄りの動脈硬化したような者ばかりを並べて、動脈硬化的なあれをやっておるというふうには決して考えません。御意見の点は、貴重な御意見ですから、私ども今後大いに参考にしていきたいと思っております。
#33
○井上(普)委員 大臣、明治生まれの方々が動脈硬化を来たしておる――あなたは動脈硬化ということをおっしゃられましたので、私らに言わせると、実は阪大に基礎工学部というのができております。ところが基礎工学部というものをつくる際にも非常に大きな抵抗があった。そしてまた、今度は社会工学部というのを阪大につくった。ことしの予算で文部省はつくっております。ところがこの際に、阪大は正田さんとかあるいは赤堀さんというような優秀な方がおられまして、人間工学という面、先ほど石川議員から言われておりましたように、人間疎外ということ、これを直そうじゃないか、機械に人間が使われるのじゃなしに、人間が機械を使うような、そして、人間性を回復するような工学を形成しなければいかぬというのが世界の潮流にいまなりつつあるのです。フランスにおきましても、あるいはまた西ドイツにおきましても、人間工学ということが非常に大きい問題になりまして、そういう方向に進みつつあるのです。せんだっての国鉄の機関士の助士を廃止するという際にも、進歩した学者の間では人間工学会というのが発表したでございましょう。ひとり助士を廃止することに反対したのは実は人間工学会の工学を勉強した人たちばかりなんです。ところが、その人間工学部を阪大につくろうというので文部省に持ってまいりますと、大学設置審議会というものがありまして、これまた明治生まれの方々で、大体平均年齢六十七、八歳です。名誉教授、学長を済ましたような方々ばかりが集まって、人間工学というのはけしからぬ、これはまあせめて社会工学だということで、社会工学部という名前に変えられたという事実がございます。ともかく世界の潮流すらもお感じにならないようなことで、この研究が行なわれておるのが実態なんです。
 私も見てみますというと、理論と応用というもの、これがこん然一体になるような研究方向に進んでおるのです。カリフォルニア大学においては、もうすでに理論と応用というものをミックスして、また応用のほうからむしろ理論というもの、ものごとを見ていこうというような傾向にも進んでおるのでありますが、日本の科学技術は、遺憾ながらそういう点において非常におくれておる。それはどこがおくれておるかというと、やはり日本の大学における研究体制というものが非常に閉鎖的、封建的なところに原因があるのではないか、私はこのように考えるのですが、大臣、実際この研究体制をどうしたら新しい体制に進められるか、あなたの御意見を拝聴いたしたいと思うのです。まあ大臣はお年寄りではありますけれども、脳動脈の硬化症も来たしておらぬし、脳細砲の硬化症も来たしておらぬと思いますので、ひとつ若々しい御答弁をお願いいたしたいと思います。
#34
○木内国務大臣 いまの御質問に私はお答えできるかどうかわかりませんが、むしろこれは教育制度の問題あるいは研究制度の問題で、文部省が、この基礎研究などについて、いまお話しの大学の研究などについては考えるべき問題で、どうも科学技術庁長官として、文部省の制度までどうとかと言うことはできませんけれども、さっき私が申しましたように、何としてもこの基磯研究から応用、開発まで各段階、これはやはり調和がとれたものでなくてはならぬ。基礎だけ進んでおって、応用にいかない、開発にいかないというのじゃいけない。さればといって、いまちょっとお話がありましたが、開発とかあるいは応用の面だけやって、基礎研究をおろそかにしてしまっちゃいかぬ。これはさっき石川委員からも懇々とお話がありましたが、私はそのとおりだと思う。基礎、応用、開発、各段階とも大いに進めなければならぬし、また、この間に調和がとれていかなければならぬ。しかも、調和だけでない、有機的の調和がとれていかなければならぬ。そういうふうに私ども考えておるわけです。
 そこで、基礎研究の経費が足らないじゃないか、これはごもっともな点で、すべてが足らないのですが、ことに私どもは基礎研究に今後大いに力を入れていかなければならぬ。しかも、自主開発能力の向上というためには、どうしても基礎研究に大いに力を入れていかなければならぬ。さればといって、応用と開発はおろそかにはできない、調和のとれたものでなければならぬ、こう私どもは考えております。
#35
○井上(普)委員 大臣、私がこれから申し上げますのは、実際あなたが所管しておるところにまで、研究体制の問題は入っていっているのです。御承知のように、原子工学の若手研究者において、医学部における青医連のごとき団体ができつつあることを御存じでありますか。その点は、どうでございますか。
#36
○木内国務大臣 医学部におきまして、いまお話しのようなものができておることは、私も承知いたしております。
#37
○井上(普)委員 原子工学の分野においても、全国的に横断的に若い研究者グループの連合体ができつつある。それはあなたの原子力研究所の中においても、また、至るところの研究所においても横の連絡をとった連合体が、若い、三十以下の諸君の中においてつくられつつあるこの実態は、あなたの所管しておる研究所においてもこういう運動があるということは、いまの学問研究体制の古さを示すものです。これは、私は、おそらく自民党政府はこの原子工学にこういう連合体ができておることについては大きい驚愕の念を持っておるのだろうと思いますが、しかし、私は現在の日本の学界の体制からしては、生まれるべくして生まれてきた団体であるといわざるを得ないのです。こういうような点について、大臣は、しかも、若い研究者の諸君が原子工学においてもなぜこういう連合体をつくらなければならないかということを、大臣自身が真剣にお考えになる時期であろうと思いますから、御質問申し上げておるのです。それには研究体制の古さということと、もう一つはこの基礎研究費が少ないというところに原因があるのです。原子工学の若い人たちがどんどんと、あるいはまた、物理学の若い研究者がどんどんと海外へ流出しておるのも、一つには基礎研究費の少なさということと、研究体制の古さというところに問題があると私は思うのです。これを真剣に考えなければ、あなたが幾らビッグサイエンスの原子工学に力を入れようといたしましても、若い諸君からそっぽを向かれたならば、日本の原子工学の発達というものはあり得ないと思うのです。でございますから、大臣に対しまして特にこの点の注意を私は喚起すると同時に、あなたがいま真剣に考えられておる日本の原子工学を発達させるためにはどうすればいいかということを、あなた自身がお考えになる時期が来ておる。また、われわれ自身もこれに真剣に取り組まなければならない時期が来ておると私は考えるのです。したがって、大臣に対してこのことを申し上げて、大臣の御所見を承りたいのです。
#38
○木内国務大臣 いまの御意見は貴重な御意見でありまして、私どもも、研究費が足らない、それに伴っていろいろな問題が起こってくる。また、研究の層が若くなってきて、それらの人々の考え方が従来のやり方あるいは考え方には満足していなくて、さらにこの考え方を変えていかなければならぬという若い層の人々の考え方、これも確かにわれわれば大いに注意して、今後の研究体制の改革といいますか、進歩発達をはかっていくためには、頭に置いてやっていかなければならぬことだと思っております。御意見の点は十分に尊重して今後検討してまいりたいと思っております。
#39
○井上(普)委員 大臣、現在、もうすでに起こっておるのですよ。医学部に青医連という団体をつくられまして、そして、今日のあの激しい――医学部の研究体制というのはいま大体ストップしています。もう約一年間医学部における研究というものは実質上動いていないのじゃないかと私どもには想像されるのです。いままた、この原子工学において全国に横断的に、青医連のような団体がつくられつつあるのです。これらの人の不満を解消するための手を先に打つのが政治じゃございませんか。行政じゃございませんか。いま私どもはここで真剣に新しい研究体制のビジョンを考えなければならないときでしょう。漫然としておれば、医学部のような姿に原子工学も来ますよ。一年間あるいは二年間のストップという事態も来ますよ。そこで心配して私は申しておるのです。日本の科学技術をおくらさぬためにはどうすればいいかということを考えるならば、若い諸君の不満を解消する方法を政府自身あるいは政治自身が先手、先手と打っていかなければならないと思うのです。これから考えますというのでは、おそ過ぎるのです。でございますから、さっそくにでも、どうすればいいかという研究団体でもひとつつくられて、若い諸君があるいは海外に流出する、あるいはまた、研究室の内部において造反運動を起こして研究がストップするというような事態を起こさないためにはどうすればいいかということを、早急に研究する必要があると思うのですが、どうでございますか。それをやる御意思がございますか。
#40
○木内国務大臣 いまお話しになった問題、なかなかこれはむずかしい問題であり、かつ複雑な問題です。私ども科学技術庁内部だけの問題ならばわりあいに簡単ですけれども、これはいまお話しのように、全国の各研究機関あるいは産業の各面にそういうことがあるということになれば、なかなか容易ならぬ問題でもありますし、また、その解決をはかるために、これも非常に複雑な問題ですから、私がいまここで直ちに、こうするとかああするということを申し上げることはできませんけれども、非常に重要な問題でありまするので、私だけではありません、役所の各局長、担当している者も頭に置きまして、今後慎重に検討していきたい、かように思っております。
#41
○井上(普)委員 慎重にやられるのもけっこうです。しかし、もうすでに局長さんなんかでも、その事態は御存じでしょう。おそらく原子力局長なんかは、この事態、動きということを御存じのはずだと思うのです。しかし、それに対して手を打っていないじゃありませんか。でございますので、私は心配して申すのです。複雑な問題を含んでおります。複雑な問題を含んでおりますけれども、一体その若い諸君は何が不満であるか、どこに問題の所在点があるかということをひとつここで真剣に科学技術庁は考えるべきだろうと思うのです。文部省とあなたの意見が違ってもいいじゃありませんか。日本の科学技術をいかにして振興するかということをあなたは中心に考えるべきでしょう。でございますから、あなたの頭が動脈硬化を来たしておるのであれば、もっと若々しい頭脳をブレーンに置いて、どうすれば若い研究者の不満を解消することができるか、あるいは研究体制をどういうようにすればいいかということを真剣にここで考えるのが、日本の科学技術庁長官の使命であると私は思うのです。各民間会社あるいはまた大学というようなところにまでこの運動は及んでおりますけれども、日本の科学技術をともかく進めるという大きい命題を持っておるあなたとしては、それは真剣に考えていただきたい、こういうことを私は申し上げるのです。大臣の御所見を承りたいのです。
#42
○木内国務大臣 いまお話にありましたように、なかなか複雑であり、また、重要な問題でありまするので、私どもこれを頭に置きまして、それに対して必要な対策を十分に研究してまいりたい、かように思っております。
#43
○井上(普)委員 時間が参りましたので、そういう動きがあるし、将来これが燎原の火のごとく広がった場合に、日本の科学技術あるいは研究体制が根底からくつがえるおそれがあるし、また、研究もストップしてしまう、いまの一年は将来の十年、二十年にも匹敵するような事態にならぬとも限りません。そういうことを憂えるあまり、私はこのことを御注意を喚起いたしまして、私の質問を終えたいと存じます。
#44
○石田委員長 次に、近江巳記夫君。
#45
○近江委員 この四月の上旬に、私は、原電の作業員が作業中汚染されまして、そして衣服まで汚染された、それが全然発見されずに、長い間東海村を中心として一般住民の中で汚染された人々が生活をしておった、重大な安全管理という点にミスがあるという事実をここで明らかにしたわけでございますが、そういう点で科学技術庁も、この安全管理については重視して、全力をあげてそれに当たっていく、このように言われたわけであります。しかしながら、その直後にまた重大な事故が発生しておるわけです。それをひた隠しにいままでまた隠してきた。こういうことが何回も繰り返されていいものであるかどうかという問題なんです。
 御承知のように、原研の再処理開発試験室におけるプルトニウム廃液容器の破裂による汚染事故、これははっきり、いつ破裂したということもわからない。まあ日時は大体五日から十日過ぎの間であろうともいわれておりますが、施設内に保管中であった五リットル入りのポリエチレンびんが破裂して、大部分の廃液が床にこぼれ、部屋全体に汚染が広がるという事故が発生している。プルトニウムの総量は二十ミリグラムといわれておるけれども、このプルトニウムは非常に毒性が強い。〇・六マイクログラムが一人の許容量、このようにいわれておりますが、そうすれば二十ミリグラムというのはその三十万倍に相当する。こういうような大きな事故がありながら、私たちがあれだけ安全管理という問題についてはきびしく皆さん方に要望してきた。それから何回も委員会は開かれておる。あなた方もいろいろと話したいこともあろうと思いますから、まず、その事故の概要について報告を聞きたいと思います。
#46
○梅澤政府委員 ただいまのお話でございますが、実は五リットル入りのびんの中に――これはポリエチレンのびんでございますが、その中に再処理の分析の試料として、ケロシン、硝酸等との混合体として、おっしゃるとおりプルトニウムの入ったものが保管してございます。その保管する場合には、当然人の入らない部屋に保管したわけでございます。そのポリエチレンのびんは、現在までこういうものに入れておいていいという形で進んでおります。ところが今度の場合、それを保管して、人の入らないところに置きましたところ、定期的に巡回してそれを調べておりますが、調べに入りましたところ、びんに亀裂が入りまして、その亀裂で四リットルほど外に流れました。流れたので、さっそく調べましたところ、壁、それから天井に一部、それから床に流れておりました。それから出ます放射能につきましては、これはいま先生おっしゃいましたプルトニウムをそのままどういうことからいけば別でございますが、それが毎秒人間に対してどうかと考えれば、それは職業人の範囲としてはだいじょうぶでございます。
 ただ、そういうびんの中で割れるようになったということは確かに問題でございます。したがって、保管から考えますと、当然人の入らないところにそれを保管して、分析用の試料として使うということでございます。そこで、今度はその試料をあまりにも厳格に密閉し過ぎていて割れたのではないかというのが一つございます。したがいまして、口をゆるめるというかわりに、今度はそれをグローブボックスの中に全部保管してしまおうという形で管理を変えております。研究用として当然こういう試料を扱うわけでございますが、人の入らない部屋に置いて――割れるはずがなかったびんが割れたという点においては確かに申しわけないことだと思います。しかし、これを経験にしまして、今後はグローブボックスの中に入れることにして、そのびんの置き方についても、びんの口の締め方についても十分気をつけるということで対処していきたいと思います。
#47
○近江委員 このポリエチレンのびんは、それに入れて保管しておいていい、このように言われた。それが現実には破裂しておった。これは皆さん方がたとえ――この前、日立港から大量の使用済み核燃料を英国に向けて輸送する、そのときの安全基準等はもう絶対のものである。容器に至るまで絶対間違いがない、あなたはそのように言われた。規則に基づいてちゃんとやっております。間違いありませんということであった。これだってちゃんと規則に基づいてこのポリびんを使用している。それがそのように破裂をして、これだけの危険な放射能がまき散らされておる。こういう点、ただ割れましたから次かえましたという問題では済まぬわけですよ。だから、なぜ割れたかというその原因を当然――科学技術庁なんですから、原因結果を追及していくのが科学でしょう。したがって、なぜ割れたかということをもう少し科学的に答えていただきたいと思うのです。
#48
○梅澤政府委員 やはり原子力研究でございますので、将来の関係、再処理の問題等の考え方からいろんな化合物をつくって研究しております。したがいまして、今度の場合も硝酸と、それからケロシン、それにいまのプルトニウムが入っておるわけでございますが、そういうものを分析して、分析の測定方法をはっきりさせて持っていく。したがいまして、これからは研究の途中の段階で、あり得ると申しては悪うございますが、確かにこういう危険物を取り扱う場合がございます。
 ただ、それを入れる容器といたしましては、これが一番いい容器でありますので、この容器を使ったわけでございます。
 それで、なぜ割れたかという原因でございますが、これにつきましては、その間から出てきました亜硝酸とスルファミン酸が化学反応を起こしまして内圧を上げたのではないか。ところが、ふたをきつくしておりましたので、この内圧が上がりまして、それでひびが入ったということを原因としては突きとめております。したがって、先ほど申しましたように内圧がある程度上がった場合には、びんの口をゆるめておいてその調整をする。そのかわり、それはグローブボックスの中に完全に厳重に保管しておくという方法を考えだしたわけでございます。
#49
○近江委員 そういう化学反応を起こしたとか、密閉しておれば圧力が加わってふたを持ち上げるなり、ふたがきつくしてあれば当然亀裂を起こす、こんなことは科学者であればわかるはずですよ。だから、そういう危険なものを、普通のちょっとした科学に知識のある者だったらわかるはずですよ、それをこういう状態に放置しておるということ自体が、安全管理する、安全管理すると言うことは口ばかりで、ほんとうに真剣にやらないということがここに出ているわけですよ。そういう口ばかりの安全管理というようなことについては、もうあきあきしております。原因は、いま科学の面からいけば、ほんとうに小学生でも考えられるような原因のもとにこういう亀裂が起きている。ということは、いかに安全管理に対する姿勢というものがずさんなものであるかということが、私はこれではっきりしていると思うのです。
 室内の汚染状況はどのようになっているのですか。
#50
○梅澤政府委員 まことに申しわけないのですが、いま先生、小学生でもわかるとおっしゃいましたのですけれども、実は硝酸から亜硝酸に変わるという場合には、普通考えました場合に、その間に金属か何か関与するのではないかという考え方でおります。今度の場合などは混合物でございますから、何か変わったのではないか。この点、確かにいま研究用として――その辺まで知らないということは常識が悪いというお話でございますが、やはりこの点は研究としてある程度むずかしさのあるということだけは御了承いただきたいと思います。
 それから、なお御質問のことでございますが、汚染いたしましたので、そのあと全部、天井、それから床、これは清掃いたしました。そして、もとどおりにいたしまして、置いてございます。
#51
○近江委員 ちょっと答弁が聞きにくいから、関係者の人は前へ出てくださいよ。
#52
○梅澤政府委員 続けますが、汚染の状況を申し上げますと、汚染の状況ですが、壁は
  1×10マイナス四乗マイクロキュリー・パー・平方センチメートル
でございます。それから天井が
  1×10マイナス四乗マイクロキュリー・パー・平方センチメートル
それから床が
  5×10マイナス四乗マイクロキュリー・パー・平方センチメートル
でございます。それで、床が一番よごれておりましたが、これにつきまして、ここは人の入らないところでございましたが、さっそくこの汚染を除去してきれいにしたわけでございます。
#53
○近江委員 人が入らないところだといいますが、操作するためには当然この部屋に入るわけですよ。全然わからないでぼっと入って、そこで汚染されたらどうなるかという問題なんです。あなたのいまの報告をそのままお聞きしますけれども、こういうような危険なずさんな管理ということが至るところにまだまだあると私は思う。ですから、いま、ただ容器だけは今後こうしていきます、このように言われましたけれども、あとまだこういうような状況のところがたくさんあると思うのですよ。それについて、全体的に今後安全管理というのを具体的にどのようにやっていくのですか、いま容器だけは聞きましたけれども。
#54
○梅澤政府委員 先般来先生から言われまして、もちろんわれわれのほうも大臣から厳重な御命令をいただきまして、この前御答弁いたしましたように、原研の安全管理規程、それに伴います実施細目と申しますか、それを十分にするようにということで、もう間もなくでき上がりますが、その検討を進めています。そういう形で、安全管理は絶対的に持っていくという方向で理事長以下一生懸命現在進めておるところでございますし、それから、こまかい点につきましても、保物関係のほうから管理あるいは観測を十分進めるという体制をとっております。
#55
○近江委員 これはケースが違いますけれども、日立港から使用済みの核燃料を大量に輸送するわけですけれども、こういうような事故が出てきますと、何もかもこれは信用できなくなりますよ。あなたは何回も、まずい点があれば総点検をやって、これからチェックをして改善をしていくというが、こういうようなことが次から次に出てくると、これは信用できませんよ。この際そういう使用済み燃料の輸送容器、あるいはもうあらゆる点で、研究所あるいは原電のそうした施設をほんとうに総点検をやって、あらゆる点をチェックして安全管理をやっていかなければいけないと思うのです。その点、討議をしましたか、この事件が起きて。どうですか。
#56
○梅澤政府委員 私たちのほうも毎年、年度の初めにはわれわれのほうから係官も参りますし、一応点検いたします。それを現在実施したところでございます。
#57
○近江委員 それから、私がいまこの量のことに
 ついてプルトニウムの総量は二十ミリグラム、そうした毒性のことなんか言いましたけれども、これについてまだ何か言うことがありますか。
#58
○梅澤政府委員 さっき言い忘れましたけれども、先生は二十ミリグラムとおっしゃいましたが、この五リットル全部で計算いたしますと、たしか私の計算では、こぼれたほうに七十ミリグラムがあり得るという計算だと思います。
#59
○近江委員 そうすれば、なおさらその危険性は増してきているわけです。ですから、それだけの強烈な危険なものを、そういう化学的な反応等も考えられる状態において、そういうように保管を許しておいたということは、これはたいへんな責任問題だと私は思うのです。最も私がここで申し上げたいことは、あれだけマスコミなどで問題になったわけですよ。そういう直後にこれだけの事件が起きておりながら、どうして本委員会等においても報告しなかったのですか。そういう秘密性ということについて私は絶対によくない、一切を明らかにして、そうしてその対策というものを考えていかなければいけないと言っておったわけです。それから何回も委員会が開かれておる。なぜ黙っていたんです、いままで。
#60
○梅澤政府委員 決して私たちは黙っているわけではございませんが、一応保安管理規程からいきまして保安しておりまして、その間で研究用の途中としてやはり強力なものを使いますが、それが外へ出て、一般の方方に非常に申しわけないことをしたという場合は、もちろん早くあれしますが、その研究の途上として、こういうものが研究室の中で起こって、それがさっそく片づけられて、しかも、その経験に基づいて次の管理をうまくやっていくという、いわば研究の途中のことでございます。したがいまして、これを隠しているわけではございませんが、まあこういうことはあっては悪うございますが、こういう点は、あまりこれで悪い、これで悪いということで研究の意欲といいますか、そういうものを落としても困ります。そういう関係から、私たちのほうはこれを隠しはいたしませんが、これをふるって、事故があった、事故があったということで出す範囲ではないと存じまして、しなかったわけでございます。
#61
○近江委員 それは研究の途上というけれども、こんなものは研究の途上じゃないよ。こんなものは管理の問題じゃないですか。しろうとが考えたって危険であるということはわかりますよ。ですから、研究所の中とあなたは言われますけれども、たとえばこの事件だって研究所の問題ですよ。これは電気通信大学で電子顕微鏡のオペレーター村田氏が急性白血病で死亡した。これは五月四日です。三十歳だったそうです。数年前にも、東大の農学部でも電子顕微鏡のオペレーター、この人が同じ急性白血病で死亡している。電子顕微鏡から五千カウントの放射能が漏れておった。そういうように、単なる研究所の中だから――重大なこれは人命事故なんですよ。顕微鏡からでも五千カウントの放射能が出て、それで白血病で死んでいるじゃないですか。それだけの重大な人命に関係のあるものを、全般にそれはありませんから言いませんでした――どんなささいなことでも言うてもらいたいと私たちは言っている。そういう態度は問題ですよ。どうなんですか、これは。
#62
○梅澤政府委員 私、いま研究所内と申し上げたのは申しわけございません。実はこれはやはり研究所の中には強力な管理をすべきところ、それから危険物を取り扱うところ、これはちゃんときめてございます。それで研究者しか入れないところ、これはだれが入るところときめられたところで、これは普通は入れず、保物の人が定期検査する場合にそのきまった人が管理するという立場の、いわば研究室の中で実際にやっているところの問題でございまして、したがいまして、先ほどのようなことを申し上げましたが、私たちのほうももちろんこういうことをなくすことで、できるだけのことは申し上げたいと思います。しかし、どの辺のところまでをいつもここで申し上げるかということは問題で、その点につきまして私がわかりましたら、当然できるだけ今後は申し上げたい、こういうように思っております。
#63
○近江委員 それは清掃の人あるいは作業員、そういう科学に知識のない人が入るかもわからない。たとえばこの前の原電の汚染事故だって、立ち入り禁止のところへ何のチェックも受けずに平気で入っているわけですよ。入らぬことになっておりますと言ったって、だれが入るかわからない。現実にそういうことが前にも何回か起きている。それをただ研究室内だ、研究所内のできごとだということで済ませる問題じゃないですよ。これは単なる研究所の問題じゃありませんよ。重大な安全管理という大きな問題です。これからまたチェックをしてちゃんとやっていきます、そんな繰り返しばかりでは、私は聞きたくない。これだけ大きな事故を発生さしておいて、もういままでのような行き方では納得できませんよ。これから原子力発電所にしても全国各地に設けられる。企業であればますます秘密性というものを重んじてくる。どのような重大な事故にそれがまた発展するかわからない。最初のスタートです。原研においても、原電においても。だから、私はやかましく言う。こういう安全管理ということについては、どんなささいなことでもそれがどういう重大なことに発展するかわからない。だから私は言うのです。一番最初だからこそ、一番やかましいことを言うわけです。これはしつこいように聞こえるか知れませんけれども、私は国民の立場から言っているのです。不安ですよ、こんなことをほっておかれては。あとになって、これはたいしたことはありませんから、ほかのほうはちゃんとやっています――小さいことができずして、ほかのことができますか。ほかのことだって、どういうミスがあってそれが大事故に至るかわからないじゃないですか。こういう一つ一つのことがなおざりにされておるということが重大な事故発生の要因になるのです。それは、研究の実際の実験の途上で思わないような結果が出た、そういう場合なら理解できますよ。これは安全管理の問題じゃないですか。それをそのまま、あくまで研究所側に立って容認していこうというような態度では、だれがそれを取り締まっていくのですか。いうなら、子供の不始末は親がちゃんと注意をして監督をして、今後こうしていきなさいと言うのがあなた方科学技術庁の立場じゃないですか。それを、何となしに子供をかばうような言い方ばかりして、どうやって子供がよくなりますか。こんなことじゃだめですよ。全体の、原電あるいは原研の安全管理という問題について、今後どういうようにやっていきますか。局長と大臣と答弁してください。
#64
○梅澤政府委員 前々から私たちのほうも安全管理については、大臣から言われまして厳格にしております。もちろんこの問題が出ましたときに、その点につきましては、研究所のほうがおこるくらいに厳格にわれわれのほうは指示し、早急にその原因を追及していくということで、さっきの結果を出して御報告したわけでございます。その点については、先生に負けず私たちのほうもできるだけの監督、われわれのほうからの指導ということでがんばっておるところでございます。その中でこういうことが起こったと言われれば、まことに申しわけないことと思います。
 それから、これはへ理屈ではございますが、先ほどの場所は、実はロックがしてある部屋でなければこれを置けないことになっております。それで、この前の原電のように、ぽっと飛び込めるというような場所ではございませんで、ロックを保物で持っておりまして、それでなければ入れないという形になっていたことは幸いだったと思います。今後とも、できるだけこういうことがないように進めさせていただきたいと思っております。
#65
○木内国務大臣 いま安全管理の問題につきましていろいろお話がありました。私はまことにごもっともだと思うのです。私はかねてから申しますように、安全管理を第一にしていかなければならぬ、こういうふうに考えまして、局長あるいは関係のその機関に対して厳重にこれを言い渡しております。
 ところで、これは別に言いわけではありませんけれども、私ども中央におりまして朝から晩まで何から何まで全部報告させるというわけにはいきません。そこで、いろいろな間違いが研究の途中にあったような場合においても、一定の限度をきめまして、これから上の問題はこちらのほうにすぐ報告する、それから下の問題は向こうで処理する、こういうふうにしていかなければ、何もかも朝から晩まで全部報告させるというわけにはまいらないので、この程度の問題は直ちにその日に、報告はなかったんでしょう。(梅澤政府委員「ございました」と呼ぶ)あったのですか。あったにしても、そういう問題もありますので、一定の基準によって報告させることにしておるのです。今後はなるべく厳重にやりまして、そうして、御心配のないようにひとつやってまいるようにいたしたい、かように思っております。
#66
○近江委員 朝から晩まで報告を受けたらというが、長官が何も受けなくたっていいじゃないですか。局長もいらっしゃるし、部長さんも課長さんもいらっしゃるのですから、少なくとも、これを担当する方が詳細漏らさず把握していくことが私は大事だと思うのですよ。その辺の考え方――それでは、どういう基準なんですか。どういう事故以上だったら報告するわけですか。これから考えると言われるかもしれませんけれども、私は、そういう、ここからのレベルだったら報告するという、そこに問題があるのですよ。小さいことが見のがされていくから、大きなことがぽかんと出てから、いつもそういうような同じ姿勢をとらなければいけないことになるのですよ。だから、事詳細に至るまで私は把握をしてもらいたいと思うのです。その点、局長と長官、まず局長から答弁してもらいたいと思います。
#67
○梅澤政府委員 前々から保安管理――規制法に基づきまして、あれに基準がございますが、それに入るものは必ず報告することということになっております。しかし、いろいろございますので、最近はささいなことでも必ずわれわれのほうに連絡をすることということで、現在はほとんど、向こうで何かの異状がございましたときには、こちらに報告をとりあえずしてもらうという形をとっておるわけでございます。
#68
○木内国務大臣 いま局長が申しましたように、やはり法律には一定の基準がありまして、こういうことがあったらすぐに報告をしろ、こういうことになっておりまして、比較的ささいな問題は、これにその機関において適当に処理しろ、なるべくすみやかに処理しろ、こういうことになっておりますけれども、いろいろ御注意もあったりしておりますので、できるだけこまかにこちらのほうに報告をさせまして、間違いのないようにいたしてまいりたい、かように思います。
#69
○近江委員 それで、詳細に至るまで今後把握されるということがわかったわけです。しかし、科学技術庁の皆さんと同時に、われわれも国民の代表として、そういう点はやはりこれからも知ってもいきたいし、また、それで気づいた点は皆さんに申し上げて、さらにまた改良もしていただきたい、このように思うわけです。そういう点で、国会に対して今後、私たちへの報告の態度、これも何かそういう基準を設けて、これは伏せておいて、これは言う。事実この事故だって、もうその翌日に聞いておると、あなたは先ほどおっしゃった。なぜそれを報告しなかったのですか。どこにそういう基準があるのですか。この種の事故だったら報告していい、この種の事故だったら報告してはいけない、どこできめるのですか、それは。私は詳細漏らさず何もこの国会で一々言うてもらう必要はないけれども、資料なら資料を委員会のときでも配って、こういうことがありました、そういうような方法とか、それはあなた方が考えればいい。なぜ報告しなかったのか、これが一点と、今後国会に対してどのように報告していくか、そのあり方について、局長と長官にお聞きしたいと思います。
#70
○梅澤政府委員 これは私の考えでございますが、私はやはり研究所の中でも、研究室と申しますか、研究室そのものでやっている場合にはいろいろございます。先ほど先生は、研究の途中で爆発とか何かは別とおっしゃいましたけれども、こういう研究、分析する場合に、やはりそのそばに置いて常にその分析用に使うとかいうことがございまして、一般の人が絶対に入らないところでやって、研究の途上ということがございまして、そこでやって、しかも今度の場合は、先ほど申し上げましたように研究意欲というようなことから、もちろん公開しないということではございませんが、十分注意をしてくれということで、研究所にわれわれ厳重に申し込んだ程度でおいたわけでございます。
 今後につきましては、できるだけのことを――基準も何もございませんので、わかり次第御連絡はできるだけとりたいと思っております。
#71
○木内国務大臣 いま局長の申しましたとおりでありまして、われわれのほうに、報告にも基準があるのですから、できるだけこまかに報告をさせておるわけです。そのうちで必要と認めるものは、ひとつ国会のほうに報告するようにいたしたいと思います。
#72
○近江委員 それから、この室内の汚染されたところのそれを消すことについて、それはちゃんとできたのですか、どうなんですか。
#73
○梅澤政府委員 これは前々からの経過がございますので、全部汚染は取り除いてございます。
#74
○近江委員 いろいろなケースが考えられるわけです。たとえば原電の道路なんか汚染されたところは消しようがない。それを隠すためかどうか知りませんが、さらにアスファルトを上から敷いてしまってそういう放射能を消している。そういうようなぶざまなことをしなければ放射能を隠すことができない。いろいろなケースがあるわけです。ですから、そういう事故があったときに対するあとの方法についても、これは今後考えないと私はまた問題だと思うのです。それについて、局長、どう思われますか。
#75
○梅澤政府委員 それはもちろん、私たちはこの報告を受けまして一番先にそれを考えます。したがいまして、あとどう処理できるか。壁なら、たとえばはがし取るあるいは化合物として抜き取るという方法もございます。そういう方法で今度はここをきれいにできたということでございます。
#76
○近江委員 それから、先ほど、今後の対策について話されたので、私は、一応今後の皆さん方の誠意あるそういう善処をこれから強く特に要望しておきます。
 それから、同じく安全問題でありますけれども、その後のJRR3の問題でありますが、重水精製をやったけれども成果がない。このJRR3は、破損燃料による極度の重水汚染によって最終サイクルの運転中止後、重水精製に全力をあげてきた。この四月十五日、五月二十七日に、精製の成果を見るためにこの原子炉の運転をして遅発中性子の測定をした。そして精製装置のフル運転によって七十時間の精製を行なった。しかし、この四月十五日の時点から全くよくなっていない。この燃料大破損による重水汚染は依然として変わってない。それではその汚染されたところを今後どうするかという問題なんです。原子力委員会から運転中止命令が出たときの状態から、この原子炉の状態が少しも好転しておらない現状である。当然この六月からの運転再開は非常に無理ではないかと思うのです。そうすれば、数サイクルおくれることは当然考えられることです。したがって、こういう点からいけば、この重水精製というものは、現在のところ全くお手あげの状態ではないかと思う。これについて、あなたのほうでも把握されておると思いますし、どうなんですか、この重水精製の問題について……。
#77
○梅澤政府委員 先般のJRR3の問題で、これはおそくも六月半ばごろまでには整備するという予定で整備を進めております。その中で一番問題は、先生がいまおっしゃいました重水の問題でございます。重水につきましては、一ミクロン以上のメッシュのフィルターでとれるということで、初めやりました。しかし、われわれのほうから、重水を最もきれいにするようにということで、そのあと考慮いたしまして、遠心分離装置をつけまして、遠心分離装置でもう一度重水をもっときれいにしてみようということをやりました。しかし、現在までのデータでは、遠心分離機でそれほどよくならないようなデータでございます。したがいまして、今度はもう一度先ほどのフィルターを――せとものです。特殊の陶器製のろ過フィルター、これでもってやろうということで、いまその実験中でございます。これのほかにも、もちろん化学的にイオン化してとる方法等がございますが、一応そういう方向で現在重水の精製をいたしております。もちろんこの重水の精製が使えるところまで持ってきません限りは、やはりJRR3を動かすのは非常に無理だと思いますが、目下全力をあげて重水の精製に当たっておるわけでございます。
#78
○近江委員 いろいろと苦慮されておるようでありますけれども、技術的にいけば、最悪の状態は、炉心に入っておる重水二十八トン全部を交換することも考えられるんじゃないか。しかし混入ウランの相当部分というものが系内に付着している、このように常識で考えられます。そうすると、こういう現状からいったときに、たとえ炉心の重水二十八トンを全部交換したとしても、根本的な解決になるかどうかという問題なんです。この二十八日から百時間の昼夜連続の精製作業に入っておるわけですから、その後どういう結果が出るかという問題がありますが、しかし、現在の方法ではこういう系内に付着したウランを除去するということはおそらく不可能だと私は思うのです。そうなってくるならば、汚染対策というのは全くお手上げだということになる。そういう室内の事故あるいは原電の汚染事故、これは同じことですよ。だから、いかに放射能汚染というものが危険なものであるか、技術的にも困難なものであるかということはこれでもはっきりしているわけです。この六月十日からの運転を間近に控えているわけですが、こんな状態で運転をやれるんですか、どうするのですか。
#79
○梅澤政府委員 もちろんこの前もお約束いたしましたとおり、もともとの、十分に使えるものになるというところでなければ動かせませんので、重水がこの限りにおきましては延ばさざるを得ない、こう思っております。
#80
○近江委員 あなたのほうでもいろいろ考えておられて、原子炉はそのように運転をとめなければならない、これも安全管理という点においてずさんが招いた結果なんです。ひいては国民の膨大な血税をつぎ込んだ研究がこのようにストップしてしまう、こんな残念なことはないと私は思うのです。ですから、一つのことをおろそかにした場合にはこういうような事故が起きるわけです。ですから、国民にこたえる意味において研究成果をあげていかなければならない。そういうような面からいっても、あらゆる人命尊重という面からいっても、安全管理という点においてはどれだけ力を入れても入れ過ぎるということはないわけです。ですから、いままでの事故を一つの契機として、これからもさらに安全管理等の問題について真剣にやっていただきたいと思うのです。今後運転をとめざるを得ないといっただけではしょうがないでしょう。今後重水についてはだめだということになっておるわけです。ですから、あとどういうふうな方法を考えておるわけですか。
#81
○梅澤政府委員 だめだと思っておりません。私もしろうとでございますが、聞いているところでは、陶製のろ過でとれることはとれるのですが、ただ穴詰まりが早くするということがございまして早くいかないという点がございます。したがいまして、もう少しこれをやってみる。当然いままでのフィルター、遠心分離、こういう方法でもちろん前よりはずっときれいになるわけでございます。しかし、十分にきれいにするということで努力中でございまして、その点においては可能性を十分持っておるわけでございます。その点でよろしく御判断をいただきたいと思います。
#82
○近江委員 今後さらに最高の効果があがるように研究し、一日も早く原子炉の運転ができるようにやっていただきたいと思います。
 総括的に最後に長官から安全管理の問題あるいは原子炉の今後の運転等についての決意のほどを聞かせてもらいたいと思います。
#83
○木内国務大臣 お答えいたしますが、安全管理の問題は、もう私が再三申し上げておるように、これから原子力の利用が広くなってくるにつれて最も大事な問題だと思いまして、局長その他関係者に対しても厳重にその点を注意しており、今後も十分に注意してまいりたい、かように思っておりまするし、いまの国産一号炉、これは研究用に使うのですから、間違いがあってはいけませんけれども、ときには多少の失敗はすることがあるかもしれませんが、それにしましても、安全管理の面においては十分にひとつ注意をしていくつもりでおります。どうぞひとつその点は御理解願いたいと思います。
#84
○近江委員 これで終わります。
#85
○石田委員長 次回は来たる六月十一日水曜日午後一時より理事会、一時三十分より委員会を開くこととし、本日はこれにて散会をいたします。
   午後零時三十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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