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#1
第061回国会 科学技術振興対策特別委員会 第16号
昭和四十四年六月二十六日(木曜日)
    午前十時四十六分開議
 出席委員
   委員長 石田幸四郎君
  理事 木野 晴夫君 理事 小宮山重四郎君
   理事 佐々木義武君 理事 齋藤 憲三君
   理事 石川 次夫君 理事 三木 喜夫君
      大石 八治君    田川 誠一君
      長谷川正三君    森  義視君
      吉田 之久君    近江巳記夫君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      木内 四郎君
 出席政府委員
        科学技術庁計画
        局長      鈴木 春夫君
        科学技術庁研究
        調整局長    石川 晃夫君
        科学技術庁原子
        力局長     梅澤 邦臣君
        通商産業省企業
        局立地公害部長 矢島 嗣郎君
 委員外の出席者
        経済企画庁国民
        生活局参事官  宮内  宏君
        厚生省環境衛生
        局公害部公害課
        長       橋本 道夫君
        林野庁指導部長 松本 守雄君
        建設省河川局開
        発課長     川崎 精一君
    ―――――――――――――
五月二十六日
 委員松前重義君辞任につき、その補欠として森
 義視君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員森義視君辞任につき、その補欠として松前
 重義君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 科学技術振興対策に関する件
     ――――◇―――――
#2
○石田委員長 これより会議を開きます。
 科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。石川次夫君。
#3
○石川委員 実は私もよく事情、いきさつがわからないのでありますけれども、けさ、茨城県の県会のほうから連絡がありまして、木内長官が東海に行ったときの発言というものが、たいへんな問題になる気配が濃厚でございます。
 それで、木内長官にお伺いをしたいのでありますけれども、再処理工場にからんでの、東海か水戸かよくわかりませんけれども、どういう発言をされたのか、それをまずお伺いしたいと思います。
#4
○木内国務大臣 いろいろ御心配をかけておるようでありますが、私はあまり御心配をかけるような発言をしたつもりは毛頭ないのですが、この間東海村に参りました際に、県庁に寄りまして記者会見をしました。そのとき質問がありまして、東海村に再処理工場を建てたいということになっておるが、そのことの進行状況はどうだというような意味の質問がありました。そこで私は、この問題については、原子力委員会の安全審査の委員会の決定が出ていますね。それによると、安全性は十分に確保できるということが書いてある。そういう報告を見て、茨城県議会においてもいろいろ検討されたらしい。そして、茨城県議会としては、それに対して、その点はよくわかった。しかし、射爆場と一緒では困る。こういう趣旨の決議をされたようであります。そういうことを私は申し上げた。そこで、その決議の御趣旨は十分尊重していきたい、こういうことを第一点として申しました。それに対して、新聞によっては、多少書き方が、ちょっと誤解を与えるような書き方をしておったような新聞もありますけれども、朝日新聞などは、私の言った趣旨を大体間違いないように書いておったように記憶いたしております。
#5
○石川委員 けさ私どもへ連絡のあったところによりますと、これは新聞情報かどうか、それはよくわかりませんけれども、大体安全審査部会で、再処理の問題は安全であるということは確認をされた。したがって、ことしの十月から着工できる。したがって、茨城県民は御協力を願いたい、こういうことが新聞にも報道されている。そういうことを言ったことはないですか。
#6
○木内国務大臣 私から別に十月着工できるということを言いだしたわけではありませんが、そのときの質問に、動燃のほうから十月着工したいというようなことが出ているようだがどうかという話がありました。そこで私は、いま申しましたように、それについては一番先大事なことは安全の問題だ。ところが、この安全の問題については、いまお話ししたように、安全審査の委員会のほうで、これは安全を確保できるという報告が出ている。この問題は県議会においても大体御了解願っておるようであるので、そこで私は、ただその安全ということを、科学的に安全だといっただけではいかぬ。社会的に安全ということを地元の方にも御了解願わなければいけない問題だ。そこで、そういうことは私は常々、この委員会でも、ほかの委員会でも絶えず言っております。科学的に安全だけではない。社会的に安全性を確保しなければならぬ。茨城県議会におかれても、その点に着目していっておられることだろうと思います。そこで、そういう点を十分に尊重して、できるだけ早い機会に、再処理工場というのはなるべく早いほうがいいのだから、なるべく早く着工できるようにひとつお願いしたいものだ、こういうことを言ったわけです。
#7
○石川委員 さっき長官からも話がありましたように、射爆場の問題とはこれは不可分の問題、そういう問題に全然触れずに、着工のことについては社会的な安全性があればいいのだということだけでお話をされたということが非常な誤解を生んだのじゃないか。いまのお答えを聞いて、そういうことを痛感したわけです。私は、射爆場がある限り、これは茨城県民の総員の意見でありますが、射爆場がある限りは断じて再処理工場は併置はしない。これは決定的なものです。これは絶対にゆがめてもらっては困る。たとえば、安全審査部会の報告を私読みました。非常につぶさに専門的な立場から検討されたとは思うのでありますけれども、しかしながら、私は安全性の問題にはいま触れない。射爆場がある限りにおいては、そういうことは論外である、こういう立場をとっております。射爆場がある限りにおいては、どんなに安全だといっても、安全とか不安全とかということは私は触れたくはないのです。ということは、あの安全審査部会の報告を見ても、再処理工場オンリーの安全性だけです。あの東海村全体の総合的な安全性というものには全然触れておらない。たとえば、最近、公害の問題が非常にうるさくなっておりますけれども、個々の出口規制でもって、個々の亜硫酸ガスはどうだという規制はしますけれども、それが四日市のように全部総合された場合にどうなんだ。こういう安全性の問題は、最近、にわかにクローズアップをされて非常に大きな問題になっておるわけです。ところが、今度の安全審査部会で再処理工場の安全性が答申をされておりまして、これは非常に緻密な調査をされたとは思うのでありますけれども、総合的な安全審査ではないわけです。それで、東海というのは、日本では一番原子力の密集地帯である。したがって、それを総合的に勘案した場合どうなんだというようなことは、全然安全審査部会の対象にはなっておらぬわけです。しかし、私はそれは触れない。射爆場がある限りにおいては、安全性の問題は全然触れる必要はない。射爆場の問題もケリがつかぬうちに、安全性の審査の結果が出、しかも、その中で飛行機が落ちてもだいじょうぶだというような、いかにも政治的な意味を含めた答申が出ているということは、これはわれわれとしてはどうしても納得できがたい点が多々あるわけです。しかし、私はいままでこの委員会でもって再処理の問題について全然触れたことはない。ということは、射爆場がある限りにおいては、そういうことは問題ではない。こういう意味で、私は再処理のあれだけの大きな問題をあえてこの委員会では一言も発言をしたことはないわけなんです。ところが、この東海村へ行っての長官の発言は、そういうことを十分承知しておりながら、安全というものは大体保障されておる、しかしながら、社会的な安全性は保障されてないというようなことで、早くつくりたいし、つくってもいいのだと思われるような発言をしたということは、これは問題だと思う。
 いま射爆場の移転の問題が出ておりますが、移転の問題は私は触れたことはないのです。これは、社会党の立場としては、御承知のように、安保は絶対反対で、国内に軍事基地があることは反対で、したがって、どこに移転するとかしないとかいうことは、社会党の立場では論外です。ただ問題にしたいことは、これは非常に話が飛躍して恐縮なんでありますけれども、ここで安保論議をするつもりはないのでありますが、御承知のように、アイゼンハワーが大統領を辞任するときの発言、軍事産業と軍人というものが密着した場合――これはアメリカにおいてはそういうかっこうになっております。これは政治の力をもって押えることはできない。したがって、アメリカの軍事産業というものは非常な発展力を示している。これを維持発展させるためには、世界のどこかで紛争がなければいかぬ。したがって、ベトナムに手を出す、あるいは朝鮮にも動乱を起こす気配が濃厚です。これは、アメリカにおいては政治の力をもっては押えることができない、こういう状態になっておる。したがって、日本が安保に組み入れられ、そして、日本の国内にアメリカの軍事基地があるということは、どう考えても、われわれとしては納得できない、そういう信念を持っております。したがって、どこに移転されようが、そんなことは論外である。ただ私も茨城県人でありますから、茨城県には少なくともあってもらいたくない、あるいは原子力の密集する地帯の近所に射爆場があるなんということは、これは論外なんです。したがって、どうしてもこれはどこかに行ってもらわなければならぬ。そこで、たとえばいま新島に移転の問題が出ているわけです。これは、防衛庁の長官は一生懸命いろいろ航空路の問題や何か検討されておりますけれども、木内さんはまかせっぱなしですね。自分から出て行ってアメリカと交渉するなんということは一回もやっておりません。私も、その点についてかねがね不満は持っておりますけれども、しかしながら、そのことについて、われわれは言う立場ではないわけです。この移転の問題について、念のために、参考までに伺いますが、現在どうなっておりますか。
#8
○木内国務大臣 射爆場の問題について私は別に誤解を受けるようなことを少しも言ったつもりはありませんし、そういうことは言っておりません。射爆場の問題についてもあとから質問があって答えましたけれども、私は初めから、県議会においてはこういう決議があるのだから、この問題は非常に大事な問題だ、さっき私が申し上げました社会的な安全性の問題にこれが含まって非常に大事な問題であるということも話しておるのでありまして、ただ触れたとすれば、いま有田防衛庁長官が非常にこれは骨折っておる。この射爆場の問題は防衛庁長官の所管の問題であるから、私は閣議においても隣におるし、機会あるごとに、顔を合わせるごとに、この問題は有田防衛庁長官に促進方を催促しておる。ところで、この問題が目鼻がついたなら、射爆場はよそに移ってしまわなくても、目鼻がついたなら、再処理工場のほうはひとつ着工するようにして、ただ再処理工場が稼働するようになるときには射爆場はよそに移っていく、少なくともそうしなければならぬということを私は説明したのであって、射爆場の問題を軽く見ているなんということは毛頭ないのでありまして、私の発言によって大きな誤解を生ずるなんということは私はあり得ないと思っております。しかし、新聞の記事その他であるいは多少の誤解を生じておるかもしれませんが、そんなようなわけです。
 そこで、いまの射爆場の進行状況は、これはいま私がみずから出ていってやれというお話がありましたが、これはやはり防衛庁の長官が先方と折衝して、あるいはよそへ移すとか、廃止の問題とか、そういう問題を熱心にやっている際に、所管外の私が出て行く筋合いではないというふうに考えます。防衛庁長官を督促して、鞭撻して、なるべくすみやかに解決してもらいたい、こういう方向で努力しておるわけです。
#9
○石川委員 新島移転の問題は、アメリカと四つの条件について検討しているようでありますけれども、わずか一つしか了解点に達しておりません。したがって、あとの三つはほとんど了解点に達することが不可能ではないかと思われるくらい困難な交渉状況になっておることは、木内さんもおそらく御存じだろうと思う。しかし、私は、この射爆場の新島移転の問題は、あまり突っ込んだ話をすると、党内から相当な批判も受けざるを得ないというような事情がありますから、これ以上言いませんけれども、もし科学技術庁あるいは防衛庁の立場で、移転をするという気持ちがあるなら、いまのような交渉状況では全然これは交渉は成立いたしません。もっとトップレベルで、もっと政治的な判断で積極的にやらざる限りは移転問題は絶対に解決はしないということを見越して、再処理工場が東海にできるかできないかということは非常な暗礁に乗り上げていると思う。そういうことを見越した上での対策というものは何かお持ちですか。
#10
○木内国務大臣 いまの問題、私は非常に困難はあると思うのですけれども、防衛庁長官は、いまの段階では自分のほうで最善の努力をするから、何とかひとつ目鼻をつけたいといっているのに、私は、そのできない場合のことについてとやこういま言う段階じゃない、かように思っております。
#11
○石川委員 いま防衛庁とアメリカ軍の日本の司令長官やなんかといろいろ話をしているようでありますけれども、いまの状態では、了解点を求めることは不可能ではないかと私は思っております。したがって、もっと高度の政治判断で、高度の折衝で、外務大臣が出るなり総理大臣が出るなり、特に科学技術庁が中心になって働きかけるなり、そういうふうなことをやってみた上で、できるかできないかの判断が出ると思うのでありますけれども、いまのレベルでの交渉では、これは了解点に達することはほとんど不可能だと私は判断します。したがって、東海村に、社会的な安全性という立場からいって、再処理工場ができるかできないかということは、大きな暗礁に乗り上げているというのが私の判断です。そういうことを知っているか知っていないかわかりませんが、社会的な安全性が解決をされれば早く着工したいというのは、認識不足もはなはだしいと私は考える。そういうことをよく考えていただいて、新島に移転をしろと私は言っているわけじゃないのですよ。とにかく基地は撤廃しなければならぬという私の信条ですから。しかし、少なくとも茨城県においては、射爆場という問題が全然解決されないで、具体的な、理論的な安全性なんということはナンセンスです。そういうことをよく踏まえた上で、この再処理の問題には対処してもらわなければ困る。これは茨城県民全体の総意であるということをよく御認識を願いたいと思うのです。これを理解しないで簡単な発言をされると、非常な誤解を生む。あの辺の連中は、すわり込みをやって、飛行機の飛べないような方法はないかということを検討し始めている。飛行機の飛べないような方法というのは、アドバルーンぐらい上げたんじゃだめだ、何か具体的な方法はないかというようなところまで、いま話をし始めているような段階なんです。そういう時点で、再処理施設はつくるんだとか、社会的な安全性が保証されればやってもいいんだというようなことをいうことは、茨城県においては非常な誤解を与えるということを十分認識した上で、茨城県のほうに行くときは対処してもらわなければ困る。このことだけはっきり申し上げて、ほんとうは実は情報産業のことでだいぶ科学技術庁が立ちおくれて取り残されているという問題がありますので、その質問をしたかったわけでありますけれども、そのことだけで、きょうはやめておきます。よく考えておいていただきたいと思います。
#12
○石田委員長 次に、吉田之久君。
#13
○吉田(之)委員 いま石川委員から、水戸射爆場の移転の問題をめぐって、軽率な発言あるいは地元にいろいろな誤解、動揺を招くような発言は厳に慎まれたいというような趣旨の御質問があったのでございますけれども、私もこの機会に、特に科学技術庁に対しまして、同じような観点から一つの問題を申し上げたいと思うのです。
 それは、去る六月十三日の朝日新聞の大阪のほうの記事に、「第二次紀ノ川開発計画 科学技術庁」という見出しで、相当膨大な計画、かつ非常に着目すべき内容を含んだ紀ノ川の総合開発計画案というものが載せられておりました。その内容を少し申し上げますと、「科学技術庁の「第二次紀ノ川総合開発計画」が十三日、東京・共済会館で開かれる資源調査会地域開発特別部会の西日本小委員会ではじめて明らかにされる。」この十三日の新聞に、その日明らかにされるということが書かれております。「これは、紀ノ川上流に多目的の大ダムをつくり、琵琶湖総合開発計画に匹敵する水を生み出し、近畿の水不足を解消しようというもの。これには、水没世帯の生活再建のため、都市部で代替地を提供する案が盛られており、各地で水没補償交渉が難航しているときだけに、注目される。」こういう前書きから、いろいろとその内容が書かれているわけであります。
 いろいろと順を追って聞いてまいりたいと思いますが、この科学技術庁の資源調査会地域開発特別部会の西日本小委員会というものは十三日に開かれたはずでございますけれども、どういう内容を討議されたか、また、特にこの問題についてどのような論議がなされたかということから伺っていきたいと思います。
#14
○木内国務大臣 いまお話しになった点についてお答えしますが、この資源調査会におきましては、あらゆる資源の有効利用について研究しているのですが、その中に地域開発特別部会というのがありまして、その中にまた西日本担当の小委員会というものが設けられております。そこで、西日本の地域の広域の開発のために、あるいは水資源の利用などについていま研究しているわけであります。水資源の開発あるいは地域の広域の開発の問題について研究しておりますが、その中で、研究費が一つの大きな構想を考えておる。いまお話しのような、あるいは琵琶湖の水に匹敵するような水の利用の方法について研究員の一人が一つの研究の案をつくった。それをその小委員会に出して、その小委員会に報告したということは聞いております。しかし、これはまだ小委員会の段階の一つの構想でありまして、開発計画と銘打って発表したわけでもありません。ただ、このごろの新聞社の方々は非常な活動をされまして、その一つの構想が抜かれたわけでありまして、そして、それが新聞に書かれた。こういうものだと私は了解しております。決してこの委員会で発表したものではありませんし、小委員会で発表したものでもありません。
#15
○吉田(之)委員 いろいろ研究員が将来の水資源の開発等について研究される、構想を持っておられるということは大事なことだと思うのです。しかしながら、そういう構想がどういうことで漏れたのか知りませんけれども、一人の研究員の構想というものが大々的に新聞に発表されている。科学技術庁長官は、これは科学技術庁としての公式な発表ではございませんとおっしゃることはよくわかります。しかし、事実活字になって新聞で発表された内容というものは、公式であろうがなかろうが、それは非常に大きな影響力を持っているということぐらいは、長官としても十分御承知のことだと思うのです。したがって、こういうものがスクープされると申しますが、何らかの形で研究員がその自分の構想、メモを流すというふうなことがあり得ていいのかどうか。そういう場合の責任はだれがとられるのか。流しほうだいで、だれでも自分のメモを新聞に渡してもいいのかどうか。まず、こういうことについて……。
#16
○木内国務大臣 この点は、いま申しましたように、これは実は資源調査会で発表したものでもなし、地域開発特別部会で発表したものでもありませんし、小委員会で発表したものでもないのですが、それがたまたま抜かれた。そして、ごく一部の新聞といいいますか、一つの新聞に掲載されたわけですが、とにかくこれが抜かれたということは非常に遺憾なことではあるのですけれども、どういう経路でこれが漏れたかということは、実はまだ私のほうで明らかになっておりません。いずれにしても、こういう役所の文書が外へ漏れるということは非常に遺憾なことであると思います。
#17
○吉田(之)委員 そういう遺憾であるというだけでは問題は済まないと思うのですね。いままでもこういうことがあったかどうか、また、こういうことがあった場合にはどういう措置をしてこられたかということについて伺いたい。
#18
○鈴木(春)政府委員 資源調査会におきます正式の発表といたしましては、資源調査会の本会議で決定されますと、長官あてに書簡で報告がございます。そういった段階で当庁から新聞報道機関に発表するのが通常の手続でございます。
 今回はまだこれは小委員会の席に提出されるための資料を準備しておる段階で外に出たものでございまして、その点、ただいま長官からお話ございましたように、たいへん遺憾に存ずるわけでございますが、しかし、小委員会としましても、この会議の内容は決して秘密でやっているという性質のものでもございません。しかし、こういった秩序を保てないということはたいへん遺憾に存ずる次第でございます。この関係は、一応部会の中の小委員会でございますから、部会長あるいは小委員長において、そういった関係は十分御留意いただくということになっておりますし、また、この資料の準備につきましては、これの庶務を扱っておりますわれわれのほうで十分慎重に扱わねばならぬ問題であると思います。今後このようなことがないように十分気をつけていきたい、こう考えております。
#19
○吉田(之)委員 いま局長が、秘密でやっているわけではない。秘密でやっていないものは漏れていくということは当然あり得ることなんですね。したがって、これがどういうルートで渡ったのか知りませんけれども、それを記事にした新聞社の責任ではない。しかし、それが新聞に出ることによって非常に大きな影響を与える、これまた事実なんです。こういろことは今後も大いにあり得ることだと思うのですね、秘密会でない以上。しかも、いろいろな構想が出され、非常に着目すべき構想であるならば、新聞は取り上げる。それを読んだ住民はいろいろと判断し、自分たちで対策を講じようとする。現に行なわれている計画に対しても微妙な反応を示す、これは大いにあり得ることなんです。それで迷惑するのは一体だれなんでしょう。もちろん住民もいろいろと混乱におちいりますけれども、現に一つの計画が農林省や建設省において進められているわけなんです。その計画に重要なそごを来たすということが現に奈良県で起こっているわけです。長官、こういう点について今後何らかの方法を考えられるべきではないか。十分各省庁と相談をして、協議して一つの構想がセットしたあげく公式に発表されることはいいですけれども、それまでは、こういう途中での個々の構想というものが漏れていかない配慮ということが非常に重要ではないか。これからのいろいろ建設行政、開発行政を進めていく点で非常に重要な点だと思うのですが、今後その点どのようにお考えになりますか。
#20
○木内国務大臣 いまお話しの点、ごもっともの点があるのですが、それは非常にむずかしいところで、全部かぶしていれば秘密主義だといわれるし、全部出せばまだ出し過ぎたといわれる。そこのほど合いが非常にむずかしい問題だと私は思いますけれども、これを読むほうの人も、これは一つの研究の案だというふうにひとつ了解を願うようなレベルまで私はいっていただきたいと思うのです。それでないと、何でもかんでも役所のものは全部かぶしておかなければならぬということになっても、これもまた非常に秘密主義ということになって困りますし、それは非常にむずかしい問題だと思いますけれども、非常な衝撃を与えるような方法でそれが発表されたり、また書かれたりするということは非常に困ったことでありますので、そういう点については今後十分にひとつ注意をしてまいりたい、かように思っております。
#21
○吉田(之)委員 これも研究の一つの案である、そういう意味で、よしんば新聞に載ったって気楽に読んでくれたらいいじゃないか、せめてそれくらいまでレベルアップしてもらいたいものだという長官のお話。長官としてのお気持ちはわかりますけれども、実際の住民のこういう問題に対する反応の敏感さというものは、決してそういう学者やお役所でいろいろと構想を練っておられる程度の安易なものではないと思うのです。生活がかかっているわけなんです。実に神経過敏になっているわけなんです。そういう中で建設省やあるいは県や市町村が最大の努力をして、やっと一つのダム建設ならば、それをまとめ上げようとしている段階においてこういうものがぽかんと出されたのでは、もう火に油を注いだような状態になるということは、これは長官としても御想像いただけると思うのです。したがって、こういう重要な影響力を与えるメモあるいは構想というものの取り扱いについては、よほどこれから慎重にやってもらわないと、これは非常に重要なそごをきたすという点をまず申し上げておきたいと思います。
 いずれにいたしましても、こういうものがすでに新聞に出、一つの社会の問題となって提起されている以上、私はこの点についてもう少しその経過をフォローしていかなければならないと思うのです。また、先ほど来おっしゃいましたように、決して完全な秘密主義でやっているわけではないといわれている以上、この構想について、現時点において、科学技術庁の責任ある皆さん方がどういう程度の価値判断をしておられるかということにつきまして、さらに御質問しておきます。
#22
○鈴木(春)政府委員 御指摘のこの案件につきましては、先ほど長官からお述べになりましたように、まだ小委員会でアイデアを集めている段階でございます。その一つとして提案されたものがこの計画でございます。したがいまして、先日、十三日の小委員会におきましては、この内容の紹介があっただけでございまして、今後その内容につき討議が行なわれるわけでございます。この小委員会はいろいろな各方面の方が多数参画されております。そういった方々がいろいろな観点から十分慎重に審議され結論が出されることと、こういうふうに考えておるわけでございまして、現段階におきましてはまだその結論が調査会で出ているわけでございませんので、科学技術庁のほうといたしましてはこれに対してどういうふうな意見があるかということを申し上げるにはちょっと時期が早いのではないか、こういうふうに考える次第でございます。
#23
○吉田(之)委員 ちょっとこの機会に計画局長に聞いておきたいのですけれども、こういう大きな構想というものは大体どういう手順で検討され、どういうふうに案がまとめられ、そして、他の関係省庁とどういう交渉をしていかれるか。それから、たとえばこのアイデアは、紀ノ川開発計画の一つのアイデアにすぎないというふうにおっしゃいましたけれども、現にどのぐらいのアイデアが出ているか、また、研究員と申されますけれども、それは役所の人なのか、学者を動員してのことなのか、あるいはこういう一つのアイデアにしろ、その構想を発表するからには、相当長期間にわたって研究調査がなされなければ、全くの無責任なデスクプランに終わってしまうと思うのです。その辺を少し、将来のためにも詳しく説明をしていただきたいと思います。
#24
○鈴木(春)政府委員 この紀ノ川における水資源開発の問題につきましては、資源調査会の地域開発特別部会にございます西日本小委員会におきまして、昭和三十九年の十月から実施しております西日本における地域構造とその開発方策に関する総合調査、これの一環として四十四年の四月からこの調査を始めているものでございます。この近畿圏の広域利水とこの地域開発に関する調査、こういった調査の一部としてこの紀ノ川の問題が検討案にのぼっているわけでございます。この先日出ました案といいますのは、調査会の調査作業の段階でございまして、まず専門委員からいろいろアイデアが集められまして、そういったものを小委員会で審議いたします。その小委員会で大体案が固まったところで部会に移す、部会で審議されたものが最後に調査会の本委員会にかかる、そこで決定される。大体三段階の過程を経て報告書がまとまるというような手続になっております。
 それで、この小委員会のメンバーの内容を申し上げますと、大学関係の方が二十三名、民間学識経験者の方が二十二名、それから公団等官庁を含めた関係で十八名、合計六十三名、こういうような非常に各方面の方々に御参加いただいているわけでございます。したがいまして、この結論は相当長期間かかるわけでございまして、その間十分に慎重な調査がなされる、かように考えておる次第でございます。
#25
○吉田(之)委員 六十三人ものそれぞれ専門家が集まって小委員会というのを構成されているんでしょう。その小委員会にかけられる構想の一つがこれであったということは事実ですね。先ほど来お聞きしているんですが、こういうアイデアは幾つあったのですか。その場合、一つではないんですか。それとも三つも五つもあるんですか。
#26
○鈴木(春)政府委員 この調査は、先ほど申し上げましたように、西日本における地域構造とその開発方策に関する総合調査の一環でございます。その中の近畿圏の広域利水と地域開発に関する調査、これの一つの内容として紀ノ川における新規水資源開発の構想とかあるいは広域利水と地域開発の効果、こういうような関係のことを逐次調査を進めて、全体の西日本の総合開発、この関係の調査を全般的に進めていく、こういうことでございまして、この中にはいろいろな各面の調査が含まれるわけでございます。その中の一つの紀ノ川の関係は、近畿圏では非常に大きなウエートがあるものですから、特に取り上げてここで一つの審議案件になっている次第でございます。
#27
○吉田(之)委員 何べん聞いても問題の焦点をぼやかされるんですが、私が聞きたいのは、こういう一つのなかなかに壮大な構想ですね。私はこれなりによくまとまっていると思うのです。できるできないは別ですよ。実現性の有無等についてはいろいろと疑問を感じますけれども、一つの可能なるプランとしてはなかなかに得がたい計画の一つだというふうに私は思います。したがって、われわれの想像からいえば、これは六十数名の学者やあるいは民間人や役所の皆さん方が集まって、ある程度練られた上ででき上がった相当重要な一つのアイデアではないか。したがって、そういう過程を踏んでいるとするならば、ある程度権威あるものではないかというふうに判断するわけです。ところが、皆さん方の答弁を聞いていますと、単なるアイデアの一つにすぎません、決して公式発表ではございません。何か五十も百もいろいろな案があって、そのうちの一番珍しそうなものが新聞にスクープされて、おもしろいじゃないかと書かれた程度のものにすぎないというふうな印象も受けます。この辺ずいぶん大きな違いが出てくると思うのですね。そこをもう少し詳しく説明してください。
#28
○鈴木(春)政府委員 この構想をつくられたのは、この委員会に属している専門委員の方で、従来この関係を非常に研究されておった方でございます。その方が、従来の構想をもとに、この委員会の資料としてつくられたものでございまして、まだ小委員会といったところで、調査会として審議を経たものではございません。一委員の構想として出された検討資料でございます。そういうふうに御了解いただきたいと思います。
#29
○吉田(之)委員 そうすると、すぐれた一研究員の出された検討の資料、したがって、それは六十三分の一の一つの価値ある資料にすぎないというふうに判断できますね。
 それはそれでわかりましたが、現に大滝ダムというものがいろいろな紆余曲折を経てようやく地域住民との合意点に達して、いま補償問題の交渉に差しかかろうとしている段階だ。こういう構想が出されたものですから、奈良県の奥田知事もあるいは大阪府の企画部次長の丸山という方も全く寝耳に水だ。その構想そのものは確かに得がたいものだと思うし、また、紀ノ川の水というのは大いに活用しなければならないとは思うけれども、しかし、あまりにも唐突な話で、われわれは判断のしようがない。それよりも何よりも、いまやっと苦労してたどりついた大滝ダムというものが、この構想ができるものならば上流にあるダムですから水没してしまう。完全な二重投資になる。むしろこの記事によりますと、科学技術庁としては、いまやろうとしている大滝ダムにストップをかけようということを考えているんだというふうにこの構想では示されております。大問題だと思います。したがって、そういう関係府県の混乱や誤解を解く意味で、何らかの措置がなされなければならないというふうに私は判断いたします。政治的にこの際、科学技術庁としては大滝ダムにストップをかける気持ちは現在ございませんとか、あるいはこの計画は場合によれば実現するかもしれないので、しばらく大滝ダムのほうはストップをしてほしい、ついては早急に建設省や農林省ともいろいろ相談をしなければならないという態度を表明されるか、その辺のところをはっきりしないと、もしも二重投資になれば、これは重大な責任だと思うのです。もしもこのことでストップをかけたりはずしたりというふうなことになれば、地域の発展に与える影響というものは、これまた重要であります。その辺、どういうふうに判断されますか。
#30
○木内国務大臣 私どもはいまお話しの建設中のタムにストップをかけるとか、じゃましようなんという考えは毛頭ないのであります。この西日本小委員会においても毛頭そういう考えはないと思うのです。ただ、しかし、このごろは、広域的に資源の有効なる利用ということを研究しなくちゃならぬ重大な問題が私はあると思うのですが、ダムをいま一方でつくっているから、それよりもさらに広域的なよい案の研究をやってはならぬということは、これは私どもは言えないのでありまして、当然研究を進めるべきものだと思うのです。ただ、それが時期の悪いときに漏れたために、いまお話しのダムの建設にじゃまになるというようなことになると、これは非常に遺憾なことでありまするので、そういう点は私ども十分注意しなくてはならぬと思いまするし、同時に、これは一つの小委員会の案でありまして、それが部会あるいは調査会の審議を経て私のほうへ答申される、私のほうから関係各省にこれを回す、関係各省は、これは非常にいい案だけれども、しかし、これはこうこうこういうわけで実行できぬから当分は見送るよりしかたないとか、そういうことは今度は各官庁のきめるべきことでありまして、私どものはうでいまどうこう言うわけではありません。私どものほうとしては、資源調査会では水資源の利用のために最も適している案、広域的にこれを利用するに適当な案というものはやはり研究してもらっていいと思いまするし、今後とも研究を続けてまいるだろうと思うのですが、ただ、現在建設中のダムの建設に支障を来たすというようなことがあると、これは非常に遺憾ですから、そういうことのないように十分に注意をしてまいりたい、かように思っております。
#31
○吉田(之)委員 おっしゃるとおり、科学技術庁がこういう重要な問題について、いろいろな計画があるからといって、独自の研究をしてはならないということは全くないと私も思います。したがって、大いに研究はされなくてはならないし、してもらわなくてはいけません。しかし、いまも申しましたように、その研究の過程がすこぶる慎重でなければ、こういうふうについつい中途はんぱなものが途中で漏れてまいりますと、非常な混乱を来たし、計画に対して支障を招くということでございますので、この点につきましては、いまも大臣御確認いただきましたように、あくまでも今後ひとつ慎重な方法を講じてもらいたい。現に、いまこういうふうに漏れてしまった以上、しかたがございませんので、これはこういう程度のものである、また、現に進行中の建設計画に対してわれわれがブレーキをかけたりストップをかけたりする意図は現在は持ち合わせていないということを、何らかの方法で明らかにされるべきであると思います。したがって、関係省庁との関係も、こういう問題が起これば、即座に十分ひとつ連絡をとり合って、その責任をはっきりしてもらう、あるいは思わざるいろいろなメモが漏れた場合には、その処置を明確にしておいてもらうということを特にこの機会に申し添えておきたいと思います。
 なお、こういう問題に非常に詳しい森委員があと質問を予定されておりますので、私の質問はこれで終わります。
#32
○石田委員長 次に、森義視君。
#33
○森委員 ただいま同僚の吉田委員から質問のありました第二次紀ノ川開発計画をさらに掘り下げてお尋ねをしたいわけです。
 いまの質問の中で、朝日新聞に載った記事は、小委員会に研究員が試案として出したものであって、まだこれはこれから検討する段階である、しかし、そのことが不用意にして漏れてしまった、こういう長官の答弁がございました。まさにそのとおりだと思います。ところが、吉田君からも主張されましたように、現地に及ぼす影響というものはきわめて大きいわけです。あの予定されておる間ノ原地帯は大体ダム恐慌地帯であります。たくさんのダムがあの地域に現在計画が進行しておる。あるいは水利ダムがつくられ、猿谷ダム、大迫ダム、大滝ダムの三つがあの地域に現在進行中、あるいは最近でき上がっている、こういう地帯であります。大迫ダムの補償交渉がようやく終わって着工の段階に入り、大滝ダムがようやくこれから補償交渉に入ろう、こういうやさきに民心がダム恐慌で混乱しておるときに、それにおっかぶせた大きなダム計画が突如として新聞に発表された。このことで地元は大混乱を来たしておるわけです。
 したがって、私は、地元民の要請にこたえて、国会でぜひ明らかにしておきたいことは、この小委員会で出された、いわゆる一研究員の案なるものが不用意にして漏れた、それだけで終わってしまうのではなくて、ぜひ現地へ行って、この新聞に漏れた計画というものは、いま私たちに説明されましたような内容であるということについて、地元民に納得のいく説明会を開いてもらいたい、こういうように思いますが、いかがですか。
#34
○木内国務大臣 いろいろ御心配をかけて、むしろ恐縮ですけれども、どんなものがつくられておろうとも、さらにそれよりもよりよい利用方法について研究するのがやはり科学技術庁の使命だと思いますし、資源調査会の使命でもあると思います。私どもはそれをとめるということは絶対いたしません。大いに研究すべきだと思います。ただ、それがまだ小委員会において検討されておるものだ、そうして、これはまだ小委員会の議を経ているものではない、あるいはまた、したがって部会の議を経たものでもないし、資源調査会の議を経たものでもない、一つの研究のものだということは、先ほど来お答えしておるとおりであります。そういう事実を明らかにすることはできますけれども、その雄大な広域的な水資源の利用の方法に対してストップをかけるなどということは、私はやるべきことではないと思いますし、科学技術庁としては決してできることではありませんし、やるべきことではないと思っております。
#35
○森委員 研究されることは自由でありますし、大いにやってもらいたいと思います。それから、そういう研究を、いま違った構想が進行しておるからストップせよ、こういうことを言っておるのではありません。大いに研究していただいてけっこうだと思います。ただ、そのことが不安、動揺しておる地元民に与える影響というものは、これは長官が想像しておられるよりももっと深刻なものがあるわけです。これが新聞に漏れたということは、やはりその小委員会のミスだと私は思う。そういう重大な案が、民心に動揺を及ぼすような案が漏れるというような形の中でこの小委員会が開かれたということは、やはり一つのミスだと思います。だから、小委員会の責任において、実はまだまだそういうものでなくて、科学技術庁というものはこういう役所であって、こういう研究をしているのだ、その一研究者の研究が漏れたのであって、これが本物になるかどうなるかということは、これからの各種の審議を経た経過の中で明らかになることであって、そういう説明はやはり当然する義務があると思う。いま私たちに答弁しておられます説明を、やはり地元民にする義務が当然ある。それで、地元へ行ってそういう説明会を開くということが、科学技術庁として、今後のいろいろな問題の研究にブレーキをかけるような形になってはいかぬから、できないとおっしゃるならば違った方法を考えてもらいたい。たとえば、文章で、そういうものを新聞で明らかにする。こういう構想があって地元民にたいへん不安と動揺を与えているようだけれども、科学技術庁としては、こういう問題についてはかくかくしかじかの経過を経てこういうことになったのであって、地元民の皆さんに突如としてこういう計画を押しつけて強行するのだというような意思は毛頭ないのだということぐらいは明らかにする必要がある。そういう点はいかがですか。
#36
○木内国務大臣 いまお話しの点、ごもっともな点もあると思いますが、私どもは、先ほど来申しましたように、これは別に発表したものでもないし、たまたまこれは新聞に抜かれて、一つの新聞がこれを書いた。そのために地元に非常な動揺を与えているということは遺憾でありますが、私が申しましたように、こういう研究はストップをかけるべきものでもなし、大いに研究していいものだと思うのです。ただ、これが非常に民心に動揺を与えるというような点は、われわれとしても十分気をつけなければならぬことだと思います。地元へ行ってこれを説明するというようなことになると、かえって影響が大きくなるおそれもあるようにも考えまするので、知事を通じたりなどして、できるだけのことはいたしたいと思っております。
#37
○森委員 この問題は、千八百戸の水没。それは奈良県でたくさんのダムをつくりましたけれども、こんな大きな水没というものは実は初めてである。知事も談話の中で発表しているように、千八百戸の水没に対しては、泉南地域でいわゆる不用ため池をつぶして代替地を提供する。実にこまかいことを書いている。長官、この新聞記事をお読みになりましたか。新聞記事を読まれますと、ずっと十数年前からダム問題で非常な恐慌におちいっているそういう地域にとって、これはたいした大きな衝撃なんです。一研究員の研究試案なるものが何もないところへぽこっと出てきた、こういうことを考えているようだというふうに聞き流せるような地元の状態ではないわけです。猿谷ダムからこちらへ二十年近く、ダム問題ばかりで現地ではいろいろな混乱が起きているわけであります。そのさなかにこういう大きな構想が、しかも、その内容はきわめて微に入り細にわたって書かれてある。ただ単なる構想として、まぼろしのような計画を考えていることがぽこっと漏れたというのではなくして、その計画の小委員会に出された案がそのまま書かれているのではないか。詳しい小委員会の研究者の発表なるものが文書として入手され、その中から抜粋して書かれたものだと思う。それでなければ、こういうこまかい構想が、新聞記者の判断で、あるいは研究員との単なる対話の中で取り上げられるような問題じゃありませんよ。これは文章で提出されたものが漏れたに違いない。それを、その中で重要な要点を新聞社の感覚で書き、しかも関係知事府県の意見まで聞いて出されておる。これは簡単に、そういうダムの経験を持っていない地域でそういう構想を見て、学者というものはいろいろ考えるものだなというふうに聞き流せるような、そういう地域に出された問題じゃないのです。それだけに、やはりその地域の動揺というものを防ぎとめる何らかのあれが必要であろう。現に、大滝ダムの補償問題について、そんな補償にもう応ずる必要はない、さらに大きな間ノ原ダムができるそうだからという意見が地元では出ているわけです。それがいわゆる新聞に出たダム建設の構想なるものは、従来からの経過を言うならば、何ぼ地元で反対しても必ずそれを強行するというのが今日までの、建設省にしても、あるいは農林省にしても、あるいは電発にしても、ダム建設の過程の中でいろいろ今日までとってきた手段です。したがって、ぽっとこういう正式の文書が出ますと、これはもう完全にやられる。時期はいつかわからないけれども、やられる。そういうことを、従来の経験の中から地域住民は敏感にくみ取っているわけなんです。それだけに、私は、この構想なるものが、大滝ダムのいまの補償交渉に大きな障害になるような形になるのじゃないか、こういう不安を持つわけなんです。したがって、この漏れたということは、単に一研究者の意見が漏れたのだというふうな形でしまってしまうような問題では、地元ではありません。したがって、いま長官がおっしゃるように、地元へ出て行って説明会を開くことが、ますます混乱をさせる――そういう混乱をさせる心配はありません。私はないと思います。しかし、混乱さすというそういう御配慮があるならば、新聞記事等で、科学技術庁の公式の発表として、間ノ原ダムの問題については、いや、第二次紀ノ川総合開発の問題については、かくかくの段階にあることがたまたま新聞に掲載されて、地域住民の皆さんに不安と動揺を与えていることについては今後十分配慮するというぐらいのことは発表をする義務がある。その点について、もう一回長官の決意のほどを承りたい。
#38
○木内国務大臣 私、たびたび申し上げておるように、抜かれたということは非常に遺憾なことであるのでありますが、私どものほうで、この研究は促進させても、とめるということはできないと思うのです。したがって、私どもが今度現地へ行って説明するとなれば、この計画はもっと促進していく、研究は促進していくんだなんということを説明すると、かえって地元民に一そうのあれを与えることになりはしないか。そこで知事などがこの問題について、これはまだこういう研究の段階にあるもので、当分そういうことは実現は考えられないだろうとか、いろいろな知事などの考え方で説明される。私自身が行って説明するとなると、研究は大いにやっていくのですから、そのことを言わないわけにはいかないのです。事実を曲げて言うわけにはいかないのです。そんなことをしたら、かえって動揺を与えることになる。そこで、私はさっき吉田委員にもお答えをしたのですが、そういうことはしたくない。しかし、この事態というものはこういう性質のものだということをよく御理解願えば、私は自然にそういう不安は解消するものだと思いますので、それは知事などの段階においてひとつよく説明されるようにしていただきたい。それからまた、先生方も地元に御関係があるのだから、よくそのことを理解されるようにひとつ御説明願いたいと思います。
#39
○森委員 長官が現地へ行って地元民の説得に当たると、むしろ逆に研究を促進したいという立場にある長官からの発言では混乱を大きくするんじゃないか、そういうことから、この事態の経過というものを知事等を通じて、地元民に動揺しないように説得してもらう、こういう方法がいいんじゃないか、その方法について、長官のほうから、実はこの問題で地元に大きな動揺を来たしているそうだが、こういうことなんだということを文書で知事に出されますか。知事が説明に行くにしましても、科学技術庁の考え方というものが、構想というものが、この新聞に発表された経緯というものがわからなかったら、全然説明できぬでしょう。だから、経緯というものはこういうものなんだ、科学技術庁としては、こういう見地からこういう総合開発の研究を進めておるということについて、知事が地元の動揺を押えられるような、説明するに足る資料を科学技術庁は出されますか。
#40
○木内国務大臣 それはもう方法論でありまして、私のほうから知事に出て来てもらってもいいし、非常に動揺を与えておるからということで、知事さんのほうから来られてもいいし、いずれにしても、よく了解して、適当な方法は知事さんのほうでも考えてもらえるだろうと思います。これは不安を解消するためには、できるだけのことはいたしたい、かように思います。
#41
○森委員 それでは、時間もありませんので、この点について要望しておきたいと思うのです。
 知事が地元民の動揺を押えられるような説明に足る経過というものを、科学技術庁のほうから何らかの方法で連絡を願いたい。これは要望として申し上げます。
 それから、この案がいま小委員会にぽっとかかった段階ですが、大体従来からの経過からいって、いわゆる地域開発の資源調査会で最終的な結論が出るのは、見通しはどうでしょうか。
#42
○鈴木(春)政府委員 ただいまの計画といたしましては、来年度末、四十六年三月までにこの関係の調査を完結したい、こういう計画にはなっております。しかし、いつもそのとおりになるとは限りませんで、多少おくれる場合もございますが、一応そういう計画で進めておる状況でございます。
#43
○森委員 来年度末というと、来年十二月までですか、それとも再来年四月までですか。
#44
○鈴木(春)政府委員 再来年の三月でございます。
#45
○森委員 それから、ちょっとお聞きしておきたいのですが、この案をつくられた研究員のお名前を聞きたいのですが、発表できますか。
#46
○鈴木(春)政府委員 この資料を直接執筆されましたのは華山謙さんといわれる専門員でございます。これのアイデアを出された方は新沢嘉芽統さんという方でございます。いずれも大学に関係された学者でございます。
#47
○森委員 あとで、その名前を、間違ってはいけませんので、華山謙さんという専門員とアイデアを出された新沢嘉芽統さんの名前を書いて資料としてください。
 それで、関連して建設省にお伺いしたいのですが、いま問題になっております間ノ原ダムの科学技術庁の計画の地域は、現在大滝ダムの補償交渉にまさに入ろうとしておるところであります。この計画が、いまお聞きのように、大体来年度末に調査が完了する、そうすると、その段階は、まさに補償交渉の山場になると思います。そこで、この計画がいいということになれば、大滝ダムはどうなるのか。その点、建設省はどう考えておられるか。
#48
○川崎説明員 実は、先ほどから御説明のありましたように、まだ正式に資源調査会の報告として私どもには連絡がございませんので、私も新聞程度でしか承知していないわけでございます。私どもといたしましては、御承知のように、大滝ダムもすでに三十四年来ほとんど十年近くかかりまして、ようやく緒についてきたというような感じでございます。新聞紙上で見ますと、大体千八百戸くらいの水没戸数がある、それから、いろいろ水のコストに対する考え方とか、現在の行政に照らしてみますと、かなり問題があるようでございますし、実現に至るのには当面相当期間がかかるのではないかと思います。したがって、かりにそういった構想がいいといたしまして、現在の奈良とか和歌山とか、そういった逼迫しております水事情、それから治水上の問題、こういったものを解決するのには、やはり現在の大滝ダムを既定方針どおり私どもの段階では進めていきたい、こういうふうに考えております。
#49
○森委員 そういうことになりますと、この間ノ原ダムの構想が、かりに実現可能なものにまとまる見通しがついても、ずいぶん先の話だから、大滝ダムは強行する、こういうことですね。そういうふうに理解していいですね。
#50
○川崎説明員 強行するとか、そういったような考え方は持っていないわけでございますけれども、先ほども申し上げましたように、水没戸数の問題が、大滝ダムの約三倍以上あろうかと思います。それから、地質その他につきましても、これも大滝ダムは数年かかって現地のいろいろな地質調査をやっておるわけです。今後はやはり、そういった行政上の実施のための順序というものもあろうかと思いますし、そういったものを考えますと、当面大滝ダムを進めていっても、別に支障はないのではないかというふうに考えております。
#51
○森委員 来年の末に結論が大体出るんですよ。大滝ダムの完成予定はいつですか。
#52
○川崎説明員 順調に用地交渉が進みましてから、やはり三年ないし四年でございますから、大体四十八年か九年ごろになろうかと思います。
#53
○森委員 だから、私が言っておりますように、この間ノ原ダムの構想が大体見通しがつく段階は、大滝ダムでは補償交渉のまっ最中です。その補償交渉のまっ最中に間ノ原ダムの構想が出てきて、大体結論らしい、この事業を遂行しようという計画まできたときに、どうなんです。当然、いやそんな構想があろうと、しかもその構想が実現可能であり、長期見通しに立った今度の地域開発に大滝ダムの構想よりもずっといいんだということになった場合においては、大滝ダムを遂行することにはならないでしょう。だから、場合によっては大滝ダムを中止することもあり得るということでしょう、そうじゃないですか。現在はまだ海のものとも山のものともわからないから、十年間かかって準備してきたこの大滝ダムは既定方針どおり遂行するけれども、この間ノ原の構想が出て、それが補償交渉の途中において、そのほうがより公益にとって有利である、こういうふうな判断が出た場合においては、この大滝ダムの遂行を中止することもあり得る、こういうことじゃないですか。
#54
○川崎説明員 来年四十五年度末に、いまお話を聞きますと、出るそうでございますが、かりに科学技術庁からの構想として、いろいろなアイデアとして報告書が出るのだろうと思いますが、しかし、今度はそれをどういうふうに実現するか、実現する場合に在来からの手戻りをどういうふうにするかとか、行政上、政治上のいろいろな問題があろうかと思います。したがって、出た時点で一番最善の方法を国として考えるべきでないか、そういうふうに考えます。
#55
○森委員 だから、私が言っておりますように、最良の方法を考えた結果、大滝ダムを中止することもあり得るということは、そのことばの裏から判断できるわけですが、いかがですか。
#56
○川崎説明員 私どもの段階では、先生が裏返しておっしゃるようなお返事はちょっといたしかねますが、われわれとしましても、別に科学技術庁の報告書がいまの姿で出るかどうかということも、これからいろいろ審議の過程を経て出てくるのじゃないかと思います。したがって、御質問の御趣旨は、いまの姿のままでかりに出たらという仮定じゃないかと思いますのですが、そういった段階で私どもがいまどういうふうに中止をするとかなんとかということは、ちょっと私の立場とすればお返事いたしかねます。その時点では、またやはり総合的な判断があるいは必要になってくるかもしれないと思います。
#57
○森委員 いまの答弁で私はやはり、総合的な判断に立って間ノ原ダムなり実施すべきであるということになれば、これは総合的な判断で大滝ダムを中止することもあり得るというふうに理解をいたします。この問題について論議をしておっても、これ以上あなたから答弁を引き出せるあれがありませんので……。
 そこで林野庁、実はこの地帯は、いわゆる奈良県の吉野郡の川上、東吉野という日本屈指の林業地帯であります。大滝ダムあるいは大迫ダムでどんどんと水没をしていくわけですが、ここにさらに間ノ原ダムで千八百戸水没する。林業資源を守るという見地に立って、あるいは総合開発のそういう水資源の問題との兼ね合いにおいて、林野庁はどういうふうにお考えですか、こういうダムの建設について。
  〔委員長退席、石川委員長代理着席〕
#58
○松本説明員 お答えいたします。
 吉野地帯の優秀な林業地がつぶれるということにつきましては、まことに残念でございます。ただ、一方、水資源というものも今後いよいよ重要になってまいります。その水資源確保のために一部の林業地がつぶれるという場合には、一般論としてこれはやむを得ない、このように考えております。
#59
○森委員 御承知のように、ことし民有林の生産は五千三百万立米を保っておったのがついに四千八百万立米に落ちたわけです。木材の生産がさらに拡大を要請されておるときに、民有林の生産が大きく減退したことは大問題なんです。そのやさきに、いわゆる日本じゅうで一番林業の宝庫といわれる地域に、これまた水没の計画が進められておる。そういう問題について、全体の見地からいってやむを得ないということだけで、林野庁は日本の林業を守る番人としてその役割りを果たせますか。
#60
○松本説明員 日本全体の木材の需給問題でございますが、お説のように、確かに不足をしております。一方国内生産も停滞をしております。五千二百万立米が四千八百万立米になった、そういうことが四十三年度には起こりましたが、これも国内の森林資源が戦前戦後非常に乱伐を受けた、現在伐期に達しておる適当な林分が少なくなってきておるということも関係をしておるわけでありますが、林野庁として、今後そういう国内供給を確保するという面から林道の整備、造林の拡充ということをいまつとめて指導しておる次第でございます。
#61
○森委員 もうあなたからそれ以上の答弁を必要としませんので、林野庁長官にまたあらためて聞きますけれども、あなたらのようなことを言うておったら、日本の林業は海から木材をとって、山から木材をとらないようになりますよ、外材に依存して。海から木材をとる、山が国土の三分の二を占めながら、日本の必要な木材は海からとらなければならないようになる。そういうことについては林野庁長官に聞きますが、私はここでダムの補償の問題等で林野庁にぜひ研究してもらいたい問題があるわけです。これは木内長官も、今後ダムを建設される場合にお考えいただきたいことなんです。
 ダムの話が出ますと、必ず林業家はもう山の手入れをやめ、そして木を切らない。というのは、補償は立木一本について幾らという補償なんですね。だから、手入れするだけの人夫賃が惜しいわけです。とにかく絶対に木を切らない。そうすると、補償でもうける、そうなりますと、林業地帯の労働者は失業するわけです。この失業――長期にわたって補償交渉が行なわれておる。その補償交渉が結論がついてからの失業補償はありますよ。それまでの四年間、五年間、大滝ダムなんかは十年間失業する。この間そういう林業家が森林資源に手入れをしない、いわゆる補償対象としての立木をそのまま残しておくということで、枝打ちも下刈りもしない、いわんや伐採はしない、こういうことが林業労働者に及ぼす影響というものに対する補償はないのです。したがって、もうダムをつくるといわれただけで、その地域の林業労働者はずんずん失業していくわけです。そして、補償交渉の段階で、とにかく借金ができて、何ぼでもいいから金をもらってどこかに出ていく、自然に長期にわたって追い出される状態に今日まで持ってこられておるわけです。そういう問題について、これは大迫ダムの補償交渉の中で、近畿農政局とぼくたちやりました。そういう実態があるということはつかめる、しかし補償の要綱というものは、閣議決定できまっておるので、その要綱の中にはないから、補償できないのだということで、結局つかみの交渉で話をつけたわけなんですが、大滝ダムはそれを許さぬ、これからの補償交渉の中で。したがって、補償要綱の中に、ダム建設によって失業していく労働者のそういう補償というものを、ダム交渉の話が出た段階から、労働者の作業上に起きたそういう変化に対する補償というものを補償要綱の中に入れるのだということ、このことをぼくはしっかりと考えていただきたい。これはダムをつくられる側に立っても、現地の実態はそういうものなんだ、いわゆる補償交渉が終わって、それから失業をしていく労働者には補償はあります。しかし、それまでの労働者が失業していく問題については、補償の要綱の中にはないわけであります。そういう問題も現地では起きておりますので、これはダムを計画される側並びにその影響を受ける林野庁は、ぜひともその問題については、閣議決定の補償要綱の中に――そういう具体的な事実があるんだから、それに伴った補償はやるということを要綱の中に入れてもらう、そういうような御検討をいただきたいと思うのですが、いかがですか。
#62
○松本説明員 いまの御質問でございますが、確かに林業関係の補償につきましては、そこにある土地と立木に対する直接の損害、これに対する補償が規定されております。それ以外の間接的な損害につきましては、補償は規定されておりません。非常にむずかしい問題であろうかと思います。今後の問題として十分検討をさせていただきたいと思います。
#63
○森委員 あなた、事実そういう変化があるということを私から聞いて初めて知られたのですか、それとも、いままでもそういうものがあると思っておられたのですか。
#64
○松本説明員 いままでは、山がほかの用途に転用されるというために、ある一定面積が森林でなくなるという場合に、そこで働く労働者の方に対する配慮、国有林の場合でありますと、そのほかに移動していただいて同じような仕事を続けていただく方法もございます。民有林の場合ですと、経営の大きな森林所有者でありますれば、そういうことも可能でありますが、小さな経営の場合はなかなかむずかしいかと思います。しかし、いま全国的に林業労働というものは枯渇、不足を来たしております。一つのダムが水没することによって失なわれる職場というものは、現時点ではほかに同じような職場をお世話できるのではないか、また、同じような仕事がほかもあるということを考えますと、これに対してどう補償するかということも非常にむずかしい、このように考えるわけでございます。
#65
○森委員 時間の制限がありまして、約束を守りたいと思うのですが、いまのような答弁では、これは私の質問の答弁になりません。あらためて農林水産委員会で私は質問いたしますが、林地と立木に対する、いわめる山林地主に対する補償は、これは手厚過ぎるほどあるのです。ただ、そこで働いておる労働者に対しては、補償交渉が終わる段階では借金でその補償交渉の金を早くもらって出ていかなければならぬ状態まで追い詰められておる。あなたは簡単に、ほかの仕事があればと言うが、山の労働者は、その附近にほかに簡単に仕事がありますか。そんなことを言っておるんじゃ林業担当の林野庁の答弁にはならない。したがって、これはあらためて林野庁長官にお尋ねすることにいたしまして、質問を終わります。
#66
○石川委員長代理 次に、石田幸四郎君。
#67
○石田(幸)委員 私は、木曽川の水質汚濁の問題についてこれから質問をするわけでございますが、これは科学技術特別委員会の立場から私は非常に重要な問題だと思いましたので、本委員会で取り上げるわけでございます。科学技術庁に対しましては、最後に、公害に対する取り組み方の問題についてお伺いをいたしますので、さよう御承知願いたいと思います。
 問題の発生しましたのは、この十五日、十六日に木曽川の水質の汚濁によって、アユが十万匹から約十六万匹が死亡した事件から大きな問題になっているわけでございます。地元の各紙では一面に取り上げまして、連日この報道がなされております。
 なぜ問題になるかといいますと、このアユの損害ばかりでなくて、名古屋市二百万、犬山市約六万の人々の水道源がこの木曽川でございまして、この事件が起こった近辺に水道の取水口があるのでございます。そういうところから、この問題が非常に大きな問題へと今日発展をいたしておるのであります。
 まず、当然問題になりますのは、このアユの死因でございます。死亡したアユを、愛知県の衛生研究所がいろいろと検査をしました結果、そのアユの臓物から、一キログラム当たりカドミウムが〇・四PPM検出をされる。また、亜鉛が二六〇PPM検出をされたということでございます。他の河川のアユを調べてみますと〇・二PPMでございますから、木曽川がカドミウムによってかなり汚染されていることが一つ実証されるのであります。さらに、研究所の発表によりますれば、珪藻類からは太田橋の近辺で採取したものについては〇・五七PPM、それから愛岐大橋の近辺で採取したものについては〇・六一PPMというような数字が発表されたのでございます。しかし、このアユの死因は、必ずしもカドミウムではないのではないかというような結論がいま出かかっております。それは、私も現場を調べまして十分了解をいたしたのでございますが、カドミウムが死因であるならば、現在小さなアユ、生き残ったアユがまだつれておりますので、そういうような状態であっては、カドミウムだけがアユの死亡の原因ではない、このようなことがある程度これは言い得ると思うのでございます。しかしながら、アユの死因でなければ、これはまたさらに逆に大きな問題なのでございます。いわゆる群馬県のカドミウムの問題にいたしましても、もみから検出されたものは〇・四PPMで、しかも、稲の育ち方が非常に悪いというようなことで、これまた問題になっています。いわゆる群馬県の安中事件がこれでありますが、こういたしますと、この木曽川がカドミウムによってかなり汚染されているという問題が、さらにまたこの汚染度が増加する、そういうような危険性があるということが言い得るのでありまして、その点から、これは一つ問題であります。
 しからば、アユは一体何によって死んだのかといいますと、これはいろいろな大学の教授に問い合わせたこともあるらしいのでございますけれども、これは一時的に工場廃液の毒性の強いものが流されたのではないか、こういうようなことがいま推定をされておるのであります。私も、これが的を射ていると思うのでございますが、カドミウムは、この木曽川には、自然的なものと工場廃液からのものと二つありますけれども、いま申し上げたような経過でございまして、これが直接の死因とはなかなか考えられない。ただ、その発生場所について、現在愛知県警がいろいろと取り調べを行なっているようでございますが、私は、その問題について若干関連がございますので、状況を申し上げておきます。
 アユの死んだ場所は、いわゆるあの木曽川のライン大橋から愛岐大橋にかけて約十六万平方メートルというふうにいわれております。
 もしこれが、上流からカドミウム等が、あるいは工場廃液が流されてアユが多量に死亡したのであれば、この愛岐大橋の両わきに愛知県、岐阜県、両県にわたる農業用水が取得をされておるわけでございます。上流からアユが弱りながら死んできたのであれば、この両方の農業用水の中に、死んだアユがかなり発見をされなければならないのでございますが、これはほとんど皆無であります。したがって、上流から弱りながら死亡してきたということは、これは考えられません。
 そういたしますと、このライン大橋から愛岐大橋にかけての問題点を調べなければならないと思うのでございます。この前後のライン大橋のあのダムのところの流水量を調べてみますと、十二日に二百二十トン、十三日に百八十二トン、十四日百六十六トン、十五日百三トン、最低を記録しております。その後逐次ふえまして、十六日が百十九トン、十七日が百二十六トン、十八日が百四十八トン、このようにふえておる。そうしますと、十五日におそらくこの工場廃液が流れたと推察をされておりますので、一番流水量の少ない、ふだんの二分の一以下の流水量のときに強い工場廃液が流されたためにアユの大量の死亡事件があった、こう私たちは推定をいたしておるのであります。そのほかに、十五日に白い廃液が流されてきて急にアユがつれなくなったというようなことを言っている人もおります。私は、そういう意味からいきまして、このライン大橋近辺の工場から強度の廃液が流されたためにこのアユの多量死亡事件になった、このように考えておるわけでございます。
 まず、厚生省にお伺いいたしますが、名古屋市におきましては、水質調査をしてカドミウムを検出されない、その他のシアン化化合物ですか、こういうものの検出もなかったというふうにいいまして、水道は安全である、こういうふうに発表をしておるのでございますけれども、健康保全の責任を持たれる厚生省においては、同じような見解をとっておられるのかどうか、ひとつお伺いしたいと思います。
#68
○橋本説明員 いま先生の御質問のありました件につきましては、現地から名古屋市の水道局の局長はじめ職員が参りまして、六月十四日と六月二十日と検査をしておりますが、六月二十日は特にこまかな検査をいたしております。その検査の結果を見ますと、原水のほうでは亜鉛が〇・一八PPM……。
#69
○石田(幸)委員 わかっていますから、簡単に言ってください。
#70
○橋本説明員 原水の検査では心配はございません。給水の検査でも心配はございません。特に魚のチェックをいたしておりますが、これも全く被害を受けておりません。
#71
○石田(幸)委員 そういうふうに厚生省では断定をしていらっしゃるようでございますけれども、これは一体いつの原水をとってだいじょうぶだと断言をされるのか。いま私が申し上げましたように、これは私、名古屋市の調査のあれをもらっておりますけれども、十六日の原水をとってだいじょうぶだ、だいじょうぶだと言っておりますけれども、いま申し上げましたように一日にかなりの流水量がある。われわれの推定では、十五日夜半にかけていわゆる工場廃液が流されておるわけですから、その水が水道の取得口に流れ込んだ危険性は多分にある。十五日の事件を十六日の水をとって調べて、それで安全だというようなことは私は言えないと思うのです。この点、厚生省はどういうお考えですか。
#72
○橋本説明員 給水のほうの検査は定期によっていたしておりますから、このほうは心配ございませんが、原水のほうは、先生の御指摘のような日にはとっておりません。ただ、ここは魚を常時飼っておりまして、その魚が影響を受けるか受けないかということで極力早く毒性をチェックするという、全国でも非常に進んだやり方をいたしておりますので、その点におきましては、水道においてテストとして飼っておる魚は被害を受けなかったということはいえると思います。排水のほうの検査もいたしております。
#73
○石田(幸)委員 そこら辺の問題につきましては私もなお不満がありますけれども、あまり時間がありませんので先へ進みます。
 さらに、この木曽川のこういった水質の汚濁につきまして、通産省におきましては重金属類の排水基準というものが全然ないと聞いております。特に岐阜県等におきましては、それがないために、なかなかこういった河川公害の問題について厳重な取り締まりができないで弱っております、こういうふうにいっております。また、これは名古屋市等においても今度の問題が起こっているわけでございますから、おそらく通産省あたりにもそういう要望がいったのだと私は思いますけれども、この重金属の排水基準の問題について現在どうなっているか、また、今後どういうふうな処置を対策としてなさるのか、そこら辺のことについて御答弁をお願いします。
#74
○矢島政府委員 先生のおっしゃいますように、この木曽川上流地域につきましては重金属以外の規制、たとえばCODとか、そういうようなものについては規制をやっておりますが、先生のおっしゃるとおりに、問題のカドミウム等の重金属については、水質保全法に基づく法的規制はやってございません。私どもといたしましても、重金属、特にカドミウム等は方々でもって問題になっておるので、こういうものが万一厚生省のお調べあるいは名古屋市等のお調べの結果、上水道に非常に問題を起こすおそれがある、しかも、そういうものが厳重な法的規制をやらなければなかなか達成できないというようなおそれがある場合におきましては、何らかの法的規制を考えなければならぬと思っておりますが、現在までに厚生省なりあるいは名古屋市からの話では、そこまではいっていない。先ほど厚生省から御説明がございましたけれども、いっていない、こういうことで、いま現在においては法的の規制に踏み切るつもりはないわけでございます。
 しかしながら、こういうものはやはり事前によく調査いたしまして、法的規制は別といたしまして、行政指導ベースで遺憾なきを期するということは当然通産省として考えるべきであると思っております。
 それで、これは製造工場に限らず、鉱山について非常に問題になっているわけでございますが、そういうものにつきましては、一応現在基準と考えられておりますWHOの利水地点における、たとえばカドミウムにつきましては〇・〇一PPMというのがございますので、その利水地点におきましてそれをこえることが絶対にないような措置だけは行政指導としてやらなければならぬ、かように考えまして、この問題になりました木曽川上流につきましては、たとえば、先生御存じと思いますが、川崎重工の航空機部品、バスボディー製造工場がございますから、そういうものにつきましても、それだけは守るように行政指導をやっているわけでございまして、今回問題が起こりましたにつきまして、さっそく最近の排水におけるカドミウムの含有量その他については調べておるわけでございますが、その範囲内においてはとりあえず問題がない、かように判断しているわけでございます。
#75
○石田(幸)委員 現在その規制法がないことについてはわかりますけれども、今後これを行政指導でなくて、法的に何らかの裏づけをつくった、そういう規制措置を講ずる、そういう議論というものは通産省の中で出ているのですか。
#76
○矢島政府委員 まず第一は、上水道の取り入れ口等の利水地点において問題がありそうだという、厚生省なり名古屋市当局等の利水側の問題点があるということがまず第一。それから、工場を見まして、工場の処理施設その他から見てどうも法的規制をかけなければあぶない、こういう判断、利水地点の問題と排水口との両方を洗ってみまして、どうしても法的規制をかけなければならぬという事態が判明いたしますれば、水質保全法その他のいろいろの手続がございますが、そういう手続によりまして専門家にもさらに研究していただいてそういうことをやる必要があるかと思いますが、先ほども申し上げましたように、利水地点の問題と排水口の両方を考えまして、現状におきましては法的規制をやらなければならぬというふうには考えておりません。
#77
○石田(幸)委員 通産省のお話でございますけれども、私は納得がいかない。と申しますのは、美濃加茂市のある工場を私は視察いたしました。これは活性炭をつくっておるのですが、活性炭それ自体はそう害のあるものじゃございませんけれども、あそこの工場を視察しますと、約三百平米かそこらの、排水が流れて出るところの川の周辺は、活性炭のためだと思いますけれども、まっ黒になっておる。したがって、そこに魚が住むはずもないし、また、そういったことを十年間も放置しておる。十年間もそういう状態が続きながら、何らそういった規制ができないということは、通産省としては、年々そういうような工場が、こういった水道を取得する河川の周辺にできていくのですから、やはりこういうものは人命を守る立場からも厳重な法的な規制措置というものを考えていかなければならないのじゃないかと思うのです。そういうことが通産省で全く議論されていないということは私は大問題だと思うのです。これはあなたに言ってもしようがありませんので私はやめますけれども、新聞発表によりますれば、木曽川の総点検をやることが発表されておりますけれども、通産省はこれについてどういう責任を持ち、また、実際に通産省が木曽川周辺の工場については総点検をやるのかどうか、あるいは各県にやらせるのかどうか、そこら辺の御答弁を願いたい。
#78
○矢島政府委員 今回の問題が起こりました趣旨から、木曽川の総点検、もしくはそういうようなことに類することは当然やるべきであると思っております。すでにアユ十万尾が斃死したという記事が出ると、直ちに現地におきましては名古屋通産局、それから愛知県、岐阜県、それから建設省の中部地建、この四者をもって協議会が発足しておるわけでございます。そして、これは両県にまたがる問題でございますので、それぞれの県のいろいろな問題もあるかと思うので、やはりその地方機関である通産局と中部地建がイニシアチブをとらなければいかぬというようなことで、通産局と中部地建がむしろこの両者を集めてイニシアチブをとりまして、公害対策協議会というものが直ちに発足しているわけでございまして、いわゆる木曽川の総点検というようなものは、こういう協議会の場によりましてすでにやっておるというふうに私は考えておりますが、さらにこの機関を利用してやるべきだと思っております。なお、その中の通産局の役割りといたしましては、木曽川上流の愛知県側も、それから岐阜県側も、両方の工場について、まずもってその操業状況、排水状況を調べなければならぬということで、非常に大ざっぱでございますが、すでに第一回の調査は終わった次第でございます。
#79
○石田(幸)委員 厚生省にお尋ねしますけれども、いま通産省が主導権を握ってこの調査をやられるそうですが、しかし、こういった水魚が死んでいく問題、あるいは人命に関係のある健康問題から見ますと、私は厚生省が主導権を握ってこれらの問題の究明を行なわなければならぬと思うのですけれども、一体、厚生省は、この木曽川の総点検をどういうふうにやるのか、あるいは、いまの御答弁に対して厚生省はどう考えるのか、御答弁願いたいと思います。
#80
○橋本説明員 厚生省の行政といたしましては、基本的に、県あるいは市を中心として行政をやるという原則になっておりまして、権限あるいは設備の整備等もそこに重点を置いております。そこで、県、市から相談を持ってきたものにつきまして、現在技術指導をやっておるという段階でございまして、私どもが直接現地に出向いて調査をするということをいますぐするという考え方は、現在のところは持っておりません。やはり自治体自身がそれに取り組めるという能力を強めるのが最も必要なことである、こういうぐあいに考えております。
#81
○石田(幸)委員 自治体が自主的にやるべき問題だと言いますけれども、これは国の一級河川ですよ、建設省指定の。そういう立場からいきましても、しかも、健康保全のための措置が一番大事なんであって、厚生省がそういうような態度ではしようがないじゃないですか。愛知県がやっているから、岐阜県がやっているからいいというような感じではならないと思うのです。そういう感じではないのかもしれませんけれども……。もっと積極的な問題の取り組み方をしてもらいたいと思う。というのは、各紙の報道をあなたは東京で御存じないかもしれませんけれども、あの中部本社版、いわゆる毎日、朝日あるいは中日新聞その他の新聞におきましては、ほとんどこれは連日一面に取り上げられている問題なんですよ。あるいはテレビ等においても、毎日のようにこの木曽川汚染の問題が報道されているような状況の中にあって、厚生省がそういうのんきな態度ではだめだと思うんですよ。一体、厚生省では、愛知県を督促するにしても、この木曽川の総点検についてどういうような具体的な検査の方法をするのか、その辺のところはどうですか。それだけでいいですから……。
#82
○橋本説明員 カドミウムの環境汚染という観点から全国的に厚生省は調べておりまして、その全国的な汚染地域と対照地域とを盛ったデータを県、市に提供いたして、それで判断をするというやり方をいたしております。現在排出源調査のほうは通産省がやっておりますし、おのおのの自治体もやっておりますので、それにつきまして私どもの判断では、カドミウムの濃度だけでこの汚染を判断するわけにはいかないという考え方でございますが、亜鉛につきましては濃度が異常に高いのではないかという考え方をもって対処しておりますので、さらにこまかな調査の指導の要求があればこれに応じたい、こういうぐあいに思っております。
#83
○石田(幸)委員 この問題について私は検査のポイントを尋ねているのであって、いまおっしゃったようなことについて私は答弁を求めているわけではない。というのは、これはだれが推論してもわかりますように、他の河川におけるカドミウムは〇・二PPMぐらい、木曽川のカドミウムについては〇・四、しかも、その珪藻類を調べてみれば〇・六一PPMあるわけですよ。私はその珪藻類を調べぬということは大きな問題だと思うのです。いわゆる天然のものだけであれば問題はないのでございますけれども、その工場の廃液の流れているところの珪藻類を調べれば、これはどこの工場がそういったカドミウム類を流しているのか、私はかなり明確な線が出てくるのじゃないかと思う。そういうようなポイントについて明確な何らかの指導をしているのか、そこのところを伺っておるわけです。
#84
○橋本説明員 いま先生の御指摘の点につきましては、カドミウム環境汚染暫定対策要綱というものを現在作成いたしておりますが、その基本の考え方につきましては、生物汚染等も全部チェックをしていくという形のものを、主管課長会議及び県、市に全部流しております。それによりまして、魚もあるいは植物も土壌も全部点検する体系はすでに指導いたしております。
#85
○石田(幸)委員 そういった全体的な問題についてはわかりますけれども、木曽川の問題については、いま私が言った珪藻類なんかを調べるのですか、そこのところの答弁を……。
#86
○橋本説明員 木曽川の件につきましては、現地の衛生研究所のほうで水生植物あるいは水棲生物というものについて分析をいたしておりまして、それにつきましての相談に現在応じております。
#87
○石田(幸)委員 私が言ったのは、カドミウムがこのように流れていく危険性があるのだから、この衛研の結果によってもわかるように、珪藻類も幾つか取得をしておりまして、そこで検出されたカドミウムの数値というものはばらばらなんです。それは当然なことでしょう。それがばらばらだということを考えると、むしろ各工場の排水口のすぐそばのそういった珪藻類を調べてみれば明確にわかるはずじゃないですか。そこら辺をやらせるのかどうかということを聞いているのです。
#88
○橋本説明員 おっしゃるように、自治体のほうがそれをやるように私どもは十分指導をいたしたいと思っております。
#89
○石田(幸)委員 では、その問題はそれだけにしておきましょう。
 それから、あまり時間がありませんので、一応大臣にお伺いをしたいのでございますが、こういった水質汚濁に対しまして、科学技術庁では、お伺いをしますと、二つの省ないし三つの省にまたがるこういったいろいろな研究問題について予算を出されるのだ、こういうふうに聞いておりますが、科学技術庁としては、公害問題に対してはどういうような取り組み方をしているのか、どこら辺までが科学技術庁の範囲であられるのか、そういった問題についてお答えをいただきたいと思います。
#90
○木内国務大臣 公害の問題、ただいま御質問の問題、非常に重要な問題でありまして、各省ともこれに非常に熱心に取り組んでおられることは、いま答弁でおわかり願ったと思うのであります。たとえば、いまの木曽川の問題などにしますというと、カドミウムの問題が出てきております。このカドミウムの予防対策につきまして、四十二年に科学技術庁の特調費、特別研究促進調整費を通産省と厚生省のほうに出しまして、御研究を願って、相当の成果をあげてきておるわけであります。今後これをどうするかということは、これからの問題でありますが、科学技術庁といたしましては、公害対策の問題は、たとえば今度の問題にしましても、魚の汚染ならば、これは農林省のほうで重大な関心を持っておられる、また厚生省でも関心を持っておられる。また、カドミウムによるとすると、これはどこから出たかというと、いまお話しのように、通産省のほうでも熱心にこれを追及しておられるというようなわけでありまして、おのおの行政の所管の庁において研究を十分にしておられるのでありますが、予算の面において足らぬというような場合におきましては、私どものほうに、いま申しましたような特調費というものがありまして、それによって予算の足らないところを、必要があればこれを補いまして、そして御研究願っておるというのが現状でございます。
#91
○石田(幸)委員 いまお話を承った範囲内では、かなり消極的な取り組み方ではないかと私は思うのでございますが、今後こういう公害問題が非常に続発してまいると思います。公害処理のいろいろな問題について、むしろ世界に、そういった機械を発明した場合、大きな輸出産業になるんじゃないかというようなこともいわれておるわけでございまして、こういうような問題を十分研究されて、それをむしろ各省庁に積極的に流されるくらいのものがなければならない。研究は無理だとしても、一応情報等を十分集めて、こういう対策がある、ああいう対策があるというものを各省庁に流してやるぐらいの積極的な姿勢がほしいというふうに思うわけでございます。と申しますのは、この前、ここにいらっしゃる齋藤先生の御紹介で東海大学のお話をいろいろ承ったのでございますが、排水の問題について、その実験が成功しておる、非常に大きな効果があがっているということもお話を承りました。これがそういったものに実際の設備として活用される段階にはまだなかなかなっていないと思うのです。こういうような情報をやはり科学技術庁あたりで積極的に集めて、そうして、さらに各省庁に研究してもらうとか、あるいは大学等で研究してもらうとか、そういうような積極的な姿勢の取り組み方があっていいのじゃないか、こういうふうに思うのでございますが、いかがでしょう。
#92
○木内国務大臣 公害と一口に言いましても、これは非常に複雑でありまして、今度はカドミウムの問題ですけれども、そのほかにいろいろな問題があります。そこで、それを見ますというと、それに対して直接扱う行政官庁というようなものは、さっきも申しましたように、農林省もあり、厚生省もあり、またあるいは通産省もあり、あるいはまた運輸省もあるというような、非常に複雑なものでありまして、それを一律にどうも私どものほうで処理するというわけにはまいりません。しかし、科学的のいろいろな調査というものは、私どものほうで、施設がある限り、これは当然研究すべきだと思います。この公害対策の問題については、近時非常にやかましくなるというか、問題が大きくなってまいりまして、きょうの新聞などでもごらんのように、何かひとつここで行政上の組織についても考えなければならぬのじゃないかというような段階にきているのじゃないかと思います。そういう意味で、今後科学技術庁としてだけでなく、政府全体として大いに検討すべき段階にきているのじゃないか、かように思っております。
#93
○石田(幸)委員 国務大臣からそういう答弁をいただきましたので、ぜひともこれは閣議で取り上げていただきたい、こういう問題について大いなる議論をしていただきたい、このように要望をいたしておきます。
 最後に、カドミウムのほうへ話が発展したのでございますけれども、一体厚生省あたりで考えておられるのは――いま大体公害の、水質汚濁の範囲を指定したのでございますが、これは私は現場も見ましたし、あの周辺の方々のお話も十分に聞きました。さらにまた、四十三年ぐらいですか、この辺に、実際にかなりアユの死んだ事例というものがありますね。四十三年四月の十六日、これは東洋紡の廃液によって多くの魚が死んでいる。こういうようなことを考えますと、私は、かなり明確な答えが出てこなければならぬはずだと思うのです。特に、私がいま範囲を指摘しましたのは、上流のほうからいろいろのものが流されて、そうして死んだのであれば、両方の農業用水のほうにも死骸が浮かぶはずである。ところが、それが浮かんでおらない。範囲というものはきわめて限定されるのではないか。いま愛知県等で調査をしておるのは、上流のほうのカドミウムじゃないか、あるいは亜鉛じゃないか、あるいはその他の工場廃液じゃないか。上流ばかり追っておりますけれども、これは私は間違いだと思う。そこらの辺の問題について、厚生省ではどのように考えておられるのか、承りたい。
#94
○橋本説明員 いま先生の御指摘のように、あの川の影響を及ぼす流域は、愛知県サイドと上流の岐阜県サイドとがございまして、私どもは上流の岐阜県サイドも徹底的に一応調べてみなければならぬという考え方を持っております。ただ、おっしゃいましたように、影響圏はある程度限られておるのではないかという論議はあろうかと思われますが、木曽川全体の保全、二度とこういう事故を起こさないという観点からは、木曽川沿岸全体にわたって、カドミウムを出す工場、亜鉛を出す工場を一斉に押えるべきものである、そういうふうに思っております。
#95
○石田(幸)委員 そういうお話はわかりますけれども、厚生省としては、かなり長期にわたってこういうような問題について原因の究明まで積極的になさるのかどうか、御答弁願いたいと思うのです。
 それから、通産省に、これは御要望になるかもしれませんけれども、いま、工場廃液等につきまして私がいろいろ調べて、あるいは話を聞いているこの段階におきまして、いわゆる昼間工場廃液を流すところもありますけれども、濃度の濃いようなものは夜中に流している傾向が非常に強い。したがって、幾ら水質基準をきめておいても、それを監督する人はいないわけであります。周辺の住民にしても、夜中は寝ておりますし、そういうようなところへどんどんどんどん工場廃液が流されているということは、これはゆゆしき問題だと思う。川は流れておりますから、水の中で汚染度というものはどんどんどんどん薄まっていくことはわかります。わかりますけれども、夜中にそういう工場廃液をどんどん流すなんということは、人道的に見てもゆゆしき問題だと思うのです。そこら辺の責任について、一体通産省のほうではどうお考えなのか、ここら辺の問題を厳重に監視するのか、そういうような問題についてお伺いをしたいと思うのです。
#96
○矢島政府委員 いま先生御指摘の夜の件でございますが、木曽川に限らず、私どもが見聞きした関係では、ほかの地域におきましても、夜において濃いやつを流すという不届きな企業は間々あるわけであります。これはやはり徹底的に追及しなければならぬ。それには、監督官が昼間だけ監督するというようなやり方でなくて、たまには夜も不意打ちに行って監督する、そういうことによって違反を摘発するというような方法でやるべきものだと考えております。
#97
○石田(幸)委員 通産省にもう一間お伺いしますが、工場廃液の会社の記録は一体どういうふうになっておるのですか。いま、ある会社では、こういうような事件が起こったからかもしれませんけれども、どんどん排水装置を拡大しなければならぬとあわてて工事をしておりますし、いままで従業員を二交代させたものを三交代というふうにしまして、幹部がつきっきりで排水のためにやっておるというような話も聞いておるのですよ。その会社もきわめて怪しいと私は思いますけれども、いわゆる工場の中で排水をされる記録というものはずっととってあって、これをチェックできるのかどうか、そういうようになっておるのかどうか、その点はどうですか。
#98
○矢島政府委員 工場排水法によりまして規制する限りにおきましては、その規制項目については、会社としては測定記録を保存するという義務はあるものと私は思っております。
#99
○石田(幸)委員 それは、委員会の審議において必要であればその提出を求められますか。
#100
○矢島政府委員 おそらく先生の御質問は、今回の木曽川上流の二、三の工場についての御要求かと思いますが、一応現地の通産局等に照会いたしまして、後ほど御返事いたしたいと思います。
#101
○橋本説明員 原因の追求につきましては、私どもできるだけ県、市、水道をバックアップいたしまして、極力援助いたしたいと思っております。
#102
○石田(幸)委員 最後にもう一度大臣に、これはお願いのようになりますが、御要望申し上げたいと思います。
 カドミウムの水質検査にいたしましても、水を採取して蒸発をさして濃度をずっと高めてから検査をするわけでございまして、現在毎日検査をするというようなことにはまいらぬわけです。さらにまた、いま申し上げたような状態で、非常に長期の時間がかかるということで、こういったものの研究体制というものは非常に不備であろうと私は思います。こういった問題について、ぜひとも科学技術庁のほうで係を置かれまして、各関係の機関を督促されるような、そういう研究の成果を督促されるような制度をつくっていただいたらいいんじゃないか、こういうような考え方を持っておるわけなんですけれども、先ほどの答弁からいけばちょっと無理だと思いますが、おそらく科学技術庁におかれましても、係の人は非常に少ないんじゃないかと思います。しかし、これから拡大する工場公害等につきまして、そういった面の係といいますか、担当といいますか、そういうものを一体科学技術庁の中に置くのか、あるいは経企庁の中に置くのか、厚生省の中に置くのか、通産省の中に置くのか、それはわかりませんけれども、閣議等におきまして公害に対するもっと積極的な取り組み方をお願いしておきたい、こういうふうに思うわけです。これは御答弁は無理だと思いますので、けっこうでございますが、よろしくお願いいたします。
#103
○木内国務大臣 さっきから申し上げておりますように、この問題は関係各省非常に熱心に取り組んでおりまするけれども、いま御要望の点などにつきましても、今後関係各省ともよく連絡をとりまして、あまり御心配をかけないように、政府としてもできるだけのことはいたしたいと思っております。
#104
○石田(幸)委員 終わります。
#105
○石川委員長代理 関連で、齋藤憲三君。
#106
○齋藤(憲)委員 ついでですからちょっと伺っておきたいのですが、たいへん幼稚な質問で恐縮に存じますが、実は、先ほど前質問者から私の水質汚濁に関するお話が出ましたので、厚生省に伺いたいのです。
 水道に塩素を入れるのですが、あれの人体に対する影響ですね。これはもちろん害毒がないというたてまえで、殺菌作用その他において塩素をぶち込むのだろうと思うのですよ。大体塩素というのは、工場においては、空気中にもある一定量以上を含むようになったらば、これは、通産省のほうでは取り締まらなければならぬものになっているわけですね。昨年のことでございますけれども、私の知っている家で、子供が何百と飼っているヒゴイと金魚が、水道の水を流しているために一晩で全滅してしまったのです。そうすると、いまの川のアユが死んだのと、現象においては同じなんです。いやしくも魚類が水道の水によって一晩のうちに何百と死んでしまうという水道を人間が飲まなければならないとすれば、これはやはり相当――生命の危険というまでにはいかないとしても、人体に対しては相当影響があるというふうに考えなければならぬのです。これはまあいろいろ規制をしておられるでありましょうけれども、おそらく厚生省の方もお認めになっておられると思いますが、ある場合には非常に塩素のにおいの強い水道の水が流れておるということは事実なんですね。こういうものに対する規制を一体どうお考えになっているか。あの強い塩素臭のする水道というものは人体に影響がないのかどうか、そうして、それに対する規制の方法というものはどうお考えになっているか、これをひとつ伺いたいと思います。
#107
○橋本説明員 いま先生のおっしゃいました点につきましては、水道法の施行規則の十六条に、滅菌に用いる塩素の濃度を規定いたしております。「給水せんにおける水が、遊離残留塩素を〇・一PPM以上保持するように塩素消毒をすること。」ということと、それからもう一つは、汚染を疑わせるような生物もしくは物質を多量に含むおそれのある場合には〇・二PPM以上というような形になっております。
 先生のおっしゃった魚が死ぬという点につきましては、確かに仰せのような事態がときどき――もともと、水道の水をなまで魚を飼うことに使うということは、普通はあまりやらなくて、一応塩素を放出させて、それから使うということが基本だと思っておりますが、私ども、いままでの長い経験では、塩素によって問題が起きたという事態は、国際的にいずれの国にもないということで、これに対処しておるわけでございますけれども、もう一度水道の専門家に、その点につきましては、こういうような御疑問があったがということを伝えて、先生にまた個別にお答えをいたしたいと思います。私どもは危険はないというように思っております。
#108
○齋藤(憲)委員 それは〇・一PPMとか〇・二PPMですね。それじゃ生物には害毒がないということになっているんでしょうけれども、これは普通、水道の水をそのまま金魚鉢に入れればあぶないぞ、一晩置いとけとか、あるいは半日太陽にさらしてから使えというのは、これは常識なんです。ですから、私が伺っているのは、金魚とかヒゴイ、そういうものが死ぬ水道の水というものは、人体には害がないのか、害があるのか、どっちなんです。
#109
○橋本説明員 害があったという事実を私は存じておりません。
#110
○齋藤(憲)委員 それはあれですか、害がないということですか。厚生省は、たとえば金魚やヒゴイが死ぬだけの量が水道の中に入っておっても、それを人間が毎日飲んでおって害がないんですな。
#111
○橋本説明員 私どもは害がないと思っております。ただ、どれだけの濃度が一時に入った場合があるかということの論議につきましては、学問的な論争は起こり得る可能性はあると思いますが、私どもは害はないというぐあいに思っております。
#112
○齋藤(憲)委員 そうすれば、たとえばカドミウムあるいは亜鉛が含まれたためにアユが十何万死んだ。だけれども、それは、魚が死んだのなら人間には害がないということも言えるのですか。それは塩素だから害がないので、カドミウムとかあるいは有機水銀とかあるいはその他のもので魚が死んだのなら、それは害があるのですか。
#113
○橋本説明員 これはおのおの生物によって感受性が異なっておりまして、私どもは、カドミウムの場合は、魚の種類によってどの程度で影響が起こるかということのいままでの学術的な資料は、小数点一位の数字かあるいは正数一位の数字で起こっております。
 そういうような水を長く飲んでおったらどうか、これは確かに、長く飲んでおれば害が起こります。長く飲んでおれば害が起こりますが、食中毒のような亜急性あるいは急性中毒としては非常に高い濃度でございますし、私どもの水道関係の基準といいますのは、〇・〇一PPMというところで押えておりまして、どれだけのカドミウムが一日に体内に摂取されるかというような観点から水道関係のカドミウムを押えております。
 そこで、死んだ魚につきまして、その死んだ魚のカドミウムを食べてだいじょうぶかという御質問も一部に入っておられるのではないかと思いますが、一つは、事件で死んだ魚というのはそもそもどんな理由があれ、食うべきものではないという前提を一つ置きまして、あの内臓の中にあったカドミウムの〇・四ないし〇・六PPMというものを食べておってだいじょうぶか、こう聞かれますと、学術的にはその点は全く心配はない。これは、アユの摂取量その他から全部計算いたしますと、その点の心配はないということははっきり言えます。また、それだけの濃度で亜急性中毒あるいは急性の中毒を起こす量では全くございません。
#114
○齋藤(憲)委員 これは人体に一番影響のある飲料水の問題なんですが、飲料水政策として、非常に安全な飲料水の供給を受ける道というのは一体どういうふうに考えておるわけですか。あなたのほうでは、さらし粉が入っておっても、それは法律に規制されたとおりの塩素消毒をやっておられればいいけれども、あるいは誤ってそれをよけい流してしまう人もいる。よけい流していなければああいう事態というのは起きないのじゃないか。一晩のうちに魚が何百も死んでしまうというのでは、それから、人が口に含んでも、ああこれはくさい、ああこれはひどいさらし粉が入っているなというような状態ですね。そういうような状態があるのですから。それは規制は規制でやっているかもしらぬけれども、あるいはアユの問題でも、工場排水にはある規制を加えておっても、お話しのように、夜濃厚な廃液を流す場合もあるかもしれない。ですから、そういう事態が起きてくるというと、飲料水というものに対して人間は安心して飲めるということにはならないんじゃないかと思う。私の知っている家なんかは、一晩で金魚やヒゴイが死んだものですから、今度は水道に恐怖心を起こしている。これはほんとうに飲んでもいい水だろうかということを考えるようになるのですね。ですから、ちょうど一酸化炭素がよけい出る工場にはみなカナリヤが飼ってある。その空気中に一酸化炭素がどれだけ含まれているかということがわからぬものだから、カナリヤを方々へ飼っておって、カナリヤが死ぬと、これはあぶないぞというように、カナリアを命のバロメーターにして工場経営をやっている工場もあるんですね。そういうふうに考えてみると、いろいろな事象が起きてくると、これが非常に安全な水だというて安心して飲める水というものの供給を、今度はいわゆる近代文明国としては考えなければいけない。そういうことを考えておられますか。
#115
○橋本説明員 いまおっしゃいました点につきましては、給水の水質基準というのがございます。先ほどの衛生措置とまた別に。その中での塩素イオン濃度はマキシマムでも二百PPM以下でなければならないという押え方になっております。それをこの水道法で要求しております定期的な水道のタップの検査を毎日抜き取りでやっておりますが、それによって私どもは維持管理をされておると存じますが、先生のおっしゃいますような具体的な、魚が死んだから心配だというような方もおられるやもしれませんので、その点につきましては、水道のほうでの維持管理についてのより一そうの注意ということと、正しい理解につきましての普及ということにつきまして、十分水道の行政のほうに申しておきたいと思っております。
#116
○齋藤(憲)委員 通産省にも伺いますが、工場の廃液ですね、全国の工場の廃液というものは一応調査は届いておるのですか。これは通産省直接でおやりになるのか、あるいは県でやるのか、あるいはどこでやるのかわかりませんが、一つの工場がありますね、そうすると、その工場の性質と、それから、それによって生ずる廃液と、そういうものの調査というのはできているのですか。
#117
○矢島政府委員 結論から申しますと、日本全国何千、何百、何万の工場全部の工場廃液の調査があるかといわれると、これはないと申し上げます。
#118
○齋藤(憲)委員 ないんですか。
#119
○矢島政府委員 ないです。それが端的なお答えだと思います。
 それで、実際問題といたしましては、現在の水質保全法のたてまえといたしましては、まず水域を指定して――問題があるところがありますね。上水道に影響を与えるおそれがある、あるいは魚に影響があるというようなところは慎重に調査をいたしまして、これは経済企画庁が中心になりまして、通産省も協力して調査をやるわけですが、それで水域を指定して、それについては厳重な規制をやる。これはさらにその規制の法的根拠があるという意味において調査が一番行き届いておると思います。
 その次に、ここには経済企画庁の方もおられますので、私、誤っておったら訂正していただきたいと思いますけれども、いまの指定水域以外に、さらに問題のありそうなものについて毎年計画を立てて調査をしているわけです。その限りにおきましては、そういう水域につきましては、これは調査が行き届いているということはいえます。
 しかし、そういう調査計画にも載っていない川、そういうものが相当あるわけです。そういうところにつきましては調査はないというのが詳しいお答えだと思います。
#120
○齋藤(憲)委員 工場経営というものは、表向きの工場経営の体制と、その工場の中にある研究室の体制というものは違うのですね。研究室というものはあらゆる研究を行なうのです。表向きの工場経営というものと、その会社の中にある研究室の体制というものは違うわけですね。ですから、表向きこの会社はこういう仕事をやっているんだといったって、廃液の中には何が入っているかわからないです。今日のように、有機水銀の問題とかカドミウムの問題、あるいはその他いろいろな廃液によって人命が脅かされるということになりますと、やはり工場それ自体の一切の廃液というものは一ぺんそこで浄化作用を行なって流すという取り締まり体制でないと、あの会社はせとものをつくっているのだから廃液に有害なものはないのだなんといったって、研究室でもって何を使っているかわからないのですね。ですから、私は、やはり通産省としては、この工場取り締まりに対して廃液問題は、一切の廃液というものは一ぺん処理して、それで流していくという体制をとらないと、こういう問題は解決しないと思うのです。カドミウムだとか、あるいは有機水銀だとか、その他、塩素であるとか、砒素であるとか、これは人間に害毒を及ぼすということは明らかなのですから、そういうものの取り締まりをひとつ強化することを考えていただきたい、そう思うのですが、どうですか。
#121
○矢島政府委員 私、先ほどきわめて正直にお答えいたしたわけでございますが、たとえばいまの先生の御指摘のメチル水銀、こういうことに関しては、全国全部の工場について完全なる調査が行き届いておりまして、同時に、先ほど申し上げました水域を指定した規制が行なわれておるわけでございます。
 それから、カドミウムにつきましても、これまた非常に問題が出ておるわけでございますので、カドミウムを出す可能性のある全国五十五の鉱山につきましては、これまた十分な調査が行なわれておるわけです。これはまだ法的規制までいっておりませんけれども、行政指導をしておりますが、それと同様な効果のあるものがございます。
 そういう意味におきまして、問題になるものについては十分なる調査が行なわれていると思いますけれども、そういうものを出す可能性のない工場について、たとえばCODが幾らかというようなことを全国の全部の工場にやっているかというと、そういうことはやっていないわけでございます。
 もう一つ申し上げたいわけですが、やはり工場の廃液が問題になるというのは、大きな工業地帯について一番問題が起こるわけで、しかも、これはいま現在の工業地帯ということではなくて、三年後、五年後に大きくなる、あるいは現在よりもさらに大きくなる、そういうような工業地帯について事前に手を打つということが大事なわけです。工場の計画段階からそれをチェックしていくという必要がある。実はこれは非常に大事だと思うのです。群馬県のいなかとか、あるいはいなかの工場よりも今後発展する工業地帯における工場の廃液が三年後、五年後にどうなるだろうか、こういうことはやはります取り上げなければならぬ問題ですが、そういう観点で、通産省では逐次事前調査と称するものを、工場から計画を出されまして、その場合に、それが操業した場合においてどういう廃液を出すのか、水域の汚染を来たすかというような調査もやっているわけでございまして、こういう点もわれわれの行政の一つの重点として御記憶願いたいと思います。
#122
○齋藤(憲)委員 これは、メチル水銀とかカドミウム、こういうものを完全に処置して汚水に安全性を保たせるというようなことは、実際の処置としてなかなかむずかしいのですね。たとえて言えば、活性炭とかイオン交換樹脂というものは非常に金がかかる。活性炭を使ってろ過装置をやってみても、それは初めのうちは非常に効率的にいくけれども、あれは、御承知のとおり、非常に緻密なものであるから、少し使っていると、もう作用をしなくなってくる。イオン交換樹脂を使ったって非常に金がかかるから、つい粗漏な処置を講じてしまう。それはいいのです。だけれども、私らの考えているのは、それはそういう取り締まり方法というものはきまるけれども、実際に効果ある方法というものが一体世の中にあるのかないのかということに重点を置かなければいけないということなのです。それはどんなにりっぱな取り締まりの法律をつくったって、その取り締まりの実があがらないようじゃ――そうでしょう、いまそうなのだ。そうでなければ問題は起きないわけなんだ。阿賀野川の問題だって、水俣病の問題だって、あれだけの事態が起きているのにかかわらず、まだアユが死んだりカドミウムの問題というのが起きてくるじゃないか。だから、一体どうしたならば水質汚濁の問題を完全に解決できるかということが、それが問題なんだ。それは総合的にやはり科学技術庁なら科学技術庁というものを中心として各関係省庁が集まって、そして、これならば完全だという方法を明示して、これを実行させるところにぼくは行政力というものがあるのだろうと思う。ただ法律をつくってこういうようにしてやれといったって、その実があがらなければ空文にひとしい。行政というものは実行すれば必ずその効果があがるというところに一番大きな重点がなければならないのではないか。そういうものがあるか、こう言うのです。そういう水質汚濁に対して、適確に水質汚濁の害毒を除いて、各工場の汚水から一般の水質汚濁の問題を解決するような適確な方法が一体あるのかということです。あるのですか、それは。
#123
○宮内説明員 水質保全法をつかさどっているのは経済企画庁であります。公共用水域の水をお守りしているわけでございます。それぞれの工場なり下水から排除される水が川の中でどういうふうに薄まるか、要するに、川の中の水の量でその負荷重を勘案しまして、この工場はどれだけの水を出してもよろしいというふうなことに相なるわけでございます。したがいまして、ただ完全にきれいな水を出せというだけでは不備でございまして、その水の利用のしかた、たとえば上水道でございましたらBODが三PPMというふうなことを目標に工場を押えていく、そういうやり方をやっているわけであります。
#124
○齋藤(憲)委員 関連質問ですからやめますが、先ほどお話に出ました東海大学の汚水処理ですが、あれは一ぺん科学技術庁長官も注目をしていただきたいと思う。私もまだ見ていないのですけれども。日産三百トンの東海大学の汚水を、目標はプールに返すというのです。ですから、水洗便所から一切の実験室の汚水を浄化して、その水をプールに返すというのです。もしそういうことができるとすれば、それを小さくしたものを各家庭にずっとつけておけば安全な水が飲めるのではないか、こう思ったのです。それで委員長にもお話を聞いていただいたのですが、東海大学の香山という教授が研究して実際にそれをつくっておられるわけです。私らの考え方といたしましては、大気汚染というものは、ある意味においては、何か解決する方法があるかもしれない。騒音あるいは臭気というものは、まあ直接人体には生命の危険は及ぼさないと思う。しかし、水は飲まなければならぬのですから、これは一番大きな問題だと思う。ですから、この水をどうしてきれいにするか、安全な水をどうして飲むか。テレビなんか見ていますと、最近は各家庭においていかにしてきれいな水を飲むかという装置をだいぶ宣伝しておるようですが、私は、究極、近代国家における衛生的な生活というものは、安心して飲める水を確保するということが非常に大きな問題ではないかと思うのです。それにはやはり各家庭において、どんな水が配給されようと、さらし粉くさいような水なんというものは飲んでおられないのですから、これを精製して安全に飲める水を供給するということがやはり非常に大きな問題じゃないか。ですから、科学技術庁においても、こういうものが一番大きな総合的な問題となってくるのではないかと思いますから、どうして水質汚濁の問題を解決するかというような点に対して、長官、前向きにひとつ取り組んで、各官庁と連携を保ちつつ解決の方向に向かって努力をしていただきたい、こう思うのですが、ひとつこれに対する御所信を承りたい。
#125
○木内国務大臣 齋藤先生のお話しの問題、非常に大事な問題でありまして、先生は常々この問題を非常に御勉強になっておるようでございまして、いまお話しの東海大学の問題なども、私どもの関係から至急ひとつ調査をさしたいと思います。
 なお、これを政府全体として適当に処理しろというお話でありますが、これも先ほどお答えいたしましたように、この公害の問題、全体の扱い方についていろいろ検討すべき段階にきておりまするので、よくひとつ相談して、御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。
#126
○石川委員長代理 次回は来たる七月二日水曜日午後一時より理事会、一時三十分より委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。
   午後一時十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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