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#1
第061回国会 科学技術振興対策特別委員会 第18号
昭和四十四年七月三日(木曜日)
    午前十時四十一分開議
 出席委員
   委員長 石田幸四郎君
  理事 木野 晴夫君 理事 小宮山重四郎君
   理事 佐々木義武君 理事 三木 喜夫君
      大石 八治君    海部 俊樹君
      世耕 政隆君    田川 誠一君
      小林 信一君    山内  広君
      吉田 之久君    近江巳記夫君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      木内 四郎君
 出席政府委員
        科学技術政務次
        官       平泉  渉君
        科学技術庁長官
        官房長     馬場 一也君
        科学技術庁研究
        調整局長    石川 晃夫君
 委員外の出席者
        厚生省環境衛生
        局食品化学課長 小島 康平君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 科学技術振興対策に関する件(環境科学技術に
 関する問題)
     ――――◇―――――
#2
○石田委員長 これより会議を開きます。
 科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。近江巳記夫君。
#3
○近江委員 きょうは限られた非常に短い時間でありますので、ほんのわずかな部分しか聞けませんが、合成洗剤のごく一部の点についてお聞きしたいと思うのです。
 六月二日付の読売紙を見ましたところが、園田前厚生大臣は、合成洗剤の毒性について非常に疑念を持っている、諸外国の例から見ても、必ずしも無害とは言い切れない、事務当局に再検討を命じてある、このように昨年五月十七日の参議院物価対策委員会で答弁している。この旨が載っておりますが、これに対して事務当局は、「三十七年の膨大な答申結果以外に、ABSの毒性研究の余地はない。大臣には資料を提出してよく説明してある」、このように言っております。
 ここで、まずお聞きしたいのは、厚生大臣の指示をどうして忠実に履行することをやらないか、この点が一点です。まず、この点について。
#4
○小島説明員 これは昨年厚生大臣が参議院の物価対策特別委員会で、いま先生のおっしゃったような御発言をなさいまして、私ども所管をいたしております課といたしましては、厚生大臣に、どのような処置をとるべきか詳細御協議したわけでございますが、厚生大臣の私どもに対する指示といたしましては、もしいままでにやった試験を検討した結果、安全性に疑念があれば再検討するようにという御指示でございました。私ども、学者先生方と御相談いたしました結果、それまでの試験結果で十分であるというようなお答えを得まして、その結果を厚生大臣に御報告いたしました。それならばよろしいということでございまして、その結果、試験はあらためて行なわないということにしたわけでございます。
#5
○近江委員 同紙によりますと、園田前厚生大臣は、昨年の答弁の直後に、食品衛生調査会の学者が大挙してやってきて、合成洗剤に毒性がないと判定したのに、あなたの発言は非常に個人的なものだ、再調査というのは国費のむだづかいだと言った、このように言ったということが載っておったわけですが、これはほんとうですか。
#6
○小島説明員 食品衛生調査会の学者が大挙してやってまいったというようなお話でございますが、その点は、大挙してということはございませんで、大臣の御答弁があって以後におきまして、食品衛生調査会の小林委員長が大臣にお会いをいたしまして、そして、従来の答申の過程というようなものを御説明申し上げた事実がございます。
#7
○近江委員 そうすると、マスコミに書いてあることはオーバーであるということですか。どうなんですか。
#8
○小島説明員 そのとおりでございます。
#9
○近江委員 それは、そのまま受けたとしまして、事務当局が学者をけしかけていやがらせをやったとしか思えない、こういうようなことがずっといわれているわけです。それについてはどう思いますか。
#10
○小島説明員 私ども、中性洗剤の問題を担当いたしまして、この問題は国民の健康上の問題ということで、真剣に取り組んでおりまして、実は科学技術庁の特調費をいただきまして試験をいたしました件につきましても、相当膨大な予算を使っておりまして、私どもとしては、実は昨年のこういった大臣の御発言を機会に、もし必要があれば予算を要求してということで、実は予算を組む作業まである程度やったわけでございます。しかし、学者先生方の御意見をいろいろ伺った結果によれば、あらためて同じ試験をするというのは、学者にとっても必要がないと思うしというようなお話もございましたので、私ども取りやめたくらいの次第でございまして、私どもとしては、やはり相当真剣に、慎重にやりました結果といたしまして、十分安全性は確認されたという考え方を持っている次第でございます。
#11
○近江委員 たくさんの学者といって、全部の学者を網羅したのですか。反対の学者もたくさんおるのです。そういう賛否両論の意見がある場合においては、大臣自体もそのように再調査を命じておるわけですよ。これは特に国民の生命、健康に重大な関係があるわけです。当然それをすなおにやっていくのがあなた方の立場じゃないかと私は思うのです。
 そうすると、厚生省の事務当局というのは、園田さんの発言は誤りだとはっきり認めているのですか。また、大臣として公式の発言とは認めないのですか、この点ははっきり答えてもらいたい。
#12
○小島説明員 大臣にその御発言の趣旨をお尋ねいたしましたところ、大臣は安全性に疑念があれば再検討するようにということであるというようなお話でございまして、私ども安全性について検討しろというおことばを守りまして、検討いたしました結果、あらためて再実験の必要はないということでございました。その点につきましては大臣にも御説明申し上げました。
#13
○近江委員 これは、私は、園田さんだけが言っているから言うのと違うのですよ。歴代の厚生大臣が発言している。昭和四十年四月十三日、参議院社労委員会において、時の厚生大臣は神田さんですが、中性洗剤は有毒性である、こういうように答えていますよ。これも個人的な見解というんですか。厚生大臣が、二人までが中性洗剤の毒性についてこうした認めた発言をしている。それをあなた方は、ただ一部のそういう学者のそれだけを聞いて、無害だとはっきり断定できるのですか。
#14
○小島説明員 中性洗剤は、量によりましては有害でございまして、この濃厚溶液を、たとえば子供さんたちが飲んだりというようなことがございますと、重大な事故を起こすおそれがあるのでございます。そのために、私どもとしては、その取り扱いについては十分注意するようにというようなことで、標示等については指導しておるわけでございますが、食品衛生調査会の答申によりますれば、通常の使用という面では安全であるということでございまして、私どもとしては通常の洗浄の目的で使う場合においては安全であるということで、先生方の御答申の結果を守ってやっておるわけでございます。
#15
○近江委員 そうすると、食品衛生調査会の学者が無害と判定したから、厚生省もそのまま無害である、このように認定するかどうか、この点が一点。
 それから、食品衛生調査会はいかなるデータに基づいてこのような判定をしたのか、これが二点。
 三点は、種々の実験データに基づいてということが必ず出てくると思いますが、そうすると、そのデータの全部が完全に無害であるという結果であったかどうか。
 この三点についてお聞きしたいと思います。
#16
○小島説明員 第一点でございますが、食品衛生調査会の御答申を私どもが尊重してまいりたいということは、これは、食品衛生上の重要事項については食品衛生調査会に諮問をするということで、私どものほうの食品衛生法で食品衛生調査会は大臣の諮問機関ということになっておりますので、その御答申に私どもは従うということで行政をやっておる次第でございます。
 第二点と第三点でございますが、行ないました試験は、これは食品衛生調査会以外の先生方もおやりいただいておるわけでございますが、動物を用いました慢性毒性試験、それから大学病院の皮膚科におきます皮膚に対する試験等でございまして、その結果から安全量を計算いたしますと、通常私どもが洗浄その他の結果から体内に吸収いたします量は安全量以下であるという計算をいたしまして、安全であると判定しておる結果でございます。
#17
○近江委員 そうすると、データも、いろいろな意見もあるわけですよ。一つは、なぜほかのデータも、それを調査しなかったか、参考にしなかったか。この問題が一点です。
 それからあなたも知っておられると思いますが、柳沢文正、山越邦彦、柳沢文徳、この三氏の共作の「台所の恐怖」、この著書によれば、合成洗剤の毒性について非常に詳細なデータが載せられておるわけです。こういうデータをなぜ無視したのですか。
#18
○小島説明員 食品衛生調査会がこの問題を判定いたします際には、諸外国におきまする慢性毒性試験等の資料も十分に検討してございます。それから、食品衛生調査会におきましては、実は柳沢博士の文献につきまして御説明を求めるために、柳沢先生を調査会にお呼びしたことがございますが、その際には、何度か柳沢先生の御都合をお尋ねしたのでございますが、御出席いただけないということがございまして、ついに詳細な検討はできなかったのでございますが、柳沢先生のお書きになりましたものにつきましては検討いたしまして、同様な実験で問題がないという御判定を得ておる次第でございます。
#19
○近江委員 諸外国のいろいろな意見も聞いた。それではどうしてそれだけの反対の意見をもっと尊重しようとしないのですか。調査会の開催の日にちはあなた方がきめることじゃないですか。日にちが悪ければ、また日にちを変えればいいじゃないですか。こういう異なった意見を聞いていってこそ初めて事務当局はフェアな立場だといえるのじゃないですか。一応のゼスチュアだけを示しておいて、ああ、御出席になりませんでした、だから意見は聴取できませんでした、そんなやり方がありますか。もう一ぺん答えなさい。
#20
○小島説明員 その点につきましては、柳沢先生のほうの御都合もお伺いしたのですが、ついに御出席をいただけなかったわけであります。それから、食品衛生調査会としては、柳沢先生のおやりになったものについて十分御検討いただいたというふうに存じております。
#21
○近江委員 そうすると、これらの人々が述べられた有害説というものはでたらめだ、だから採用しなかった、こういう見解ですか。
 それからまた、でたらめでないとあなたはお答えになるかもわからないが、そうであるなら、どうしてそういう異なった意見があるのに、これを無視して、そして、はっきりと無害説ということを厚生省はとるのですか。その点、科学技術庁と二人答えてください。
#22
○小島説明員 柳沢先生のおやりになった実験結果につきましては、調査会の意見といたしましては、取り上げるに足らないというようなことであったと存じます。
#23
○石川(晃)政府委員 科学技術庁といたしましては、昭和三十七年におきまして特調費を支出いたしまして、この研究につきまして厚生省にお願いしたわけでございます。私たちの研究調査いたしました結果は、厚生省に御送付申し上げまして、厚生省の、先ほどお話ありました食品衛生調査会というところでその研究結果の御判断を願ったわけでございます。
#24
○近江委員 少なくとも私は、こうした自然科学的な真理というものは非常に探求をしていかなくてはならない、そういう態度が一番大事だと思うのです。そうすると、このような異なったデータがこのように提出されている、併存しているわけです。そうであるなら、一方的なそういう意見だけを聞いて、そうだからと従う、それではたして国民の健康を守り、生命を守る立場に立つ厚生省の態度といえますか。たとえ大多数の意見がそうであっても、そこでそれだけの反対の意見が述べられておる。これはたいへんな問題である、再調査を当然すべきである、こういう態度をとるのがあたりまえじゃないですか。国民は疑っておりますよ、そういうメーカーと厚生省と何らかの関係があるのじゃないかと。むしろこういうような危険なことに関する内容ですよ。そうであるなら、当然少数意見を尊重して政府が責任をもってそれを調査するのがあたりまえじゃないですか。その点。
#25
○小島説明員 もし疑念があるならば、私どもは当然検討しなければならないと存じます。柳沢先生たちが、中性洗剤についていろいろなものをお書きになったり、あるいは説を御発表になっておりますが、私どもとしては、その内容については十分検討いたしました。それで私どもとしては取り上げるに足らないというような結論を学者先生方からいただいたものでございますので、私どもとしては、試験を行なうのには膨大な費用を要する。これがもし必要なら、幾ら膨大な費用を要しましても、やらなければならないのでございますが、私どもは国民の方たちの税金を使って行政をやっているわけでございまして、むだづかいはできないわけでございます。もし柳沢先生たちのおっしゃることが、どうしても実験をやって再検討しなければならないということならば、やらなければいけないと存じますが、そういう必要はないと私どもは判断したわけでございます。私どもは、国民の行政をあずかります立場として決して業者等と関係があったというようなことはございません。非常に公正な立場でやっております。
#26
○近江委員 これは、あなたは、いささかでも疑念があれば、そういう調査を前向きでやっていくのは当然である。いま一点言われた、とるに足らない、そんな侮辱した言い方がありますか。少なくとも三名のこれだけの学者が言っているのじゃないですか。調査するのがなぜ国費のむだづかいですか。それで明らかにすればはっきりするわけでしょう。ほんとうに国民の生命と健康を守るという、そういう精神に徹しておるならば、幾ら金をかけたっていいじゃないですか。何がむだづかいですか。あなたの考えはなっとらぬ。それから、科学技術庁長官。
#27
○小島説明員 私どもは検討する必要があると考えて、昭和三十七年科学技術庁から特調費の御支出をいただきまして、その結果万全の試験をやったわけでございます。その結果安全と判定したわけでございまして、おっしゃるように、疑点があったから三十七年にやったわけでございます。その後、私どもとしては、柳沢先生たちのいろいろな御説を拝見いたしましても、昭和三十七年における科学技術庁の特調費でやりました試験結果によって、その安全性は確認されたという立場をとっているわけでございます。
#28
○木内国務大臣 私のほうの所管の問題ではないようでございます。いまの中性洗剤の問題につきまして、これは非常に大事な問題でありますので、それを調査しようというので、厚生省のほうから御要求がありまして、科学技術庁のほうから特調費を配分いたしまして、これによって御調査を願ったわけでありますが、私は厚生省が非常に慎重な態度をもってこの問題の結論を出されたものと、かように考えております。
#29
○近江委員 長官、私の所管でないなんて、そんなことを言うこと自体がおかしいですよ。科学技術庁は何にも関係がない、そんなことが言えた義理じゃないですよ。その点だけ、まずはっきりしたいと思います。局長、もう一ぺんそこのところ、大臣のおっしゃったのは間違いないのか、重大な問題ですから、私お聞きします。所管でない、関係ないというのか、その点、はっきりしなさい。
#30
○石川(晃)政府委員 科学技術庁といたしましては、先ほど申し上げましたように、特調費によりましてこの研究を行なったわけでございまして、この私たちの研究の成果というものは、それぞれの関係行政機関においての行政判断の資料としてお配りするわけでございまして、そういう意味合におきましては、この行政措置あるいは行政判断というものについては、当庁の所管ではないというふうに考えていたと存じます。
#31
○近江委員 少なくとも科学技術庁の予算をそこで配分をして、その結果に基づいて、これからの行政を進めていく。予算の全責任を大臣が負うのはあたりまえですよ、科学技術庁は。何回も私は食品添加物とかいろいろな問題も取り上げてやっておりますけれども、そういうあなた方自身が、ただ金だけを出しておけばいいんだ、その辺に問題があるのです。あなた方が重点としている項目をいろいろ見てみますけれども、食品添加物の問題とか、そういう問題については、今後重点的に食品衛生化学についてはやっていくとおっしゃっているのは、それじゃうそですか。何とか金だけ、名目だけちょこっとつけておけばあとは知らぬと、そういう態度でいくのですか。言ったこととたてまえと本音と違うのですか、科学技術庁は。
#32
○木内国務大臣 それは何か誤解していられるのじゃないかと思うのですけれども、この食品衛生の問題は、厚生省のほうでお扱いになっておる、そのほうの調査の予算がなかったものですから、そこでわれわれの特調費を配分いたしまして、厚生省のほうにおいて食品衛生調査課ですか、それによりまして慎重な御検討を願って、そしておきめになった、こういうことでございまして、私どものほうはみずからこれをやったというわけではないのでありまして、その行政上の判断は慎重な厚生省の判断にまかせるべきものである、かように私は考えております。
#33
○近江委員 第一線と違う立場なんだ、その辺のニュアンスをおっしゃったわけですね。責任は別にある、こういう意味でおっしゃったことではないのですね。責任としては政府として一貫として持っていくけれども、ただその実際の執行の場面において、現場と、そしてあるいはまとめと、その辺のところのニュアンスが違う、こういう意味であって、責任はないという意味の発言ではないのですね。その点もう一度確認します。
#34
○木内国務大臣 政府としてはもちろん責任があるわけでありますけれども、この食品の衛生調査、しかも、それに基づくところの行政上の第一線の判断は、これは厚生省のほうでお願いしておる、こういうことでございます。
#35
○近江委員 それで理解できました。
 それから、先ほどの柳沢説は、食品衛生調査会の学者は非常に独断的にこのように否定しておるが、この食品衛生調査会のメンバーである小谷新太郎順天堂大学の教授は、公衆衛生学会雑誌第七巻九号に、「市販中性洗剤の皮膚に及ぼす影響について」という論文を発表しておりますが、ラットに洗剤を筆で塗布し、原液群は十五日までにほとんど死亡した、こういうようなデータをあげておる。そうすると、この無害説をとる学者みずからがこのような死亡データを発表している、この辺のことをあなたはどう考えますか。
#36
○小島説明員 すべて物質には、量によりまして有害無害がございまして、量が少なければ人間に有益であるものも、量が多ければ有害なものが多いわけでございます。私どもとしては、ですから量を問題にいたしまして、中性洗剤の場合は、通常の使用量では安全であるというように考えておる次第でございます。
#37
○近江委員 この量という問題でありますが、少なくともこれで有害であるということがはっきりしているじゃないですか。
 それから、厚生省が無害説をとるに至った、要するに、食品衛生調査会の答申、この昭和三十七年十一月十四日の答申についてお聞きしますが、この主文は洗浄の目的からはなはだしく逸脱しない限り、人の健康をそこなうおそれがない、このようにありますが、その解説によりますと、人の健康をそこなうおそれがないというのは、中性洗剤を野菜等の洗浄に使って食品衛生上無害ということである、このようにしるされているわけですが、この食品衛生上無害という意味は、急性毒性がないという意味であるか、これが一点です。そして、慢性毒性はないと厚生省は判断しているのか、まずこれを二点お聞きします。
#38
○小島説明員 通常の使用にあたりましては、急性毒性のおそれもないし、それから、慢性毒性のおそれもないというように判断しておる次第でございます。
#39
○近江委員 この柳沢博士らが立証しているような危険はないという証明は、それでははっきり出されたわけですか、納得できるようなその証明は。
#40
○小島説明員 慢性毒性につきましては、これは国連のFAOとWHOが定めておる基準がございまして、食品添加物、農薬等につきましては、動物を用いましてその一生涯にわたる試験を行ないまして、動物に対する安全量を算出いたしまして、それの百分の一というものを人間の安全量にするということが定まっております。私どもは、そういうやり方によりまして計算をいたしました結果は、通常の人間の摂取量、つまり野菜等の洗浄に用いました結果人間のからだに摂取される量に比べてみて、安全であるというような考え方をとっておるわけでございます。
#41
○近江委員 この洗浄の目的というのは、常識的な普通の使い方の意味である、このようにして、〇・二五から一%の濃度で洗う時間は数分間内外と示しているのですよ、これは。どう思いますか、この点。
#42
○小島説明員 これは通常の使用方法は、そういった普通洗剤の使用方法に書かれたものを考えておるわけでございますが、実際に毒性の計算にあたりましては、そういった条件を加味いたしまして、最大量、いろいろな条件、非常に悪い条件という計算をいたしましても、安全量を越えることはないという考えをとっておられるわけでございまして、それは科学技術庁のほうでお出しになった非常に大きな報告の中に出ております。
#43
○近江委員 一%以上の濃度より濃い場合は、そうすると有害ということであるかどうかという問題。
 それから、数分間内外と指定しておるけれども、そうすると、これを三十分もかけた場合ということは、もう完全に有害である、学校給食など見ますと、一時間もつけたり、あるいはつけもの工場では一晩つけたりしておる例もあるのです。そうすると、これはたいへんな問題ですよ。
 またさらに、必ず水洗いしなくても危険でないと、きわめて楽観的なことをいっているけれども、そのように手放しでいえる根拠というのはあるのですか、その辺のところ。
#44
○小島説明員 これは先ほど申し上げました国連の委員会での百分の一という安全率の出し方は、たとえば非常に大量をあやまって使うような場合、これは飲んだり何かするというような――誤用は別といたしまして、ある程度普通の常識を多少逸脱をするような場合があってもだいじょうぶな安全度を見てあるというような解釈をとっております。
 それからまた、慢性毒性につきましては、これは普通労働衛生ではそういう考え方をとっておるわけでございますが、一年間にならしまして、平均一日量がオーバーしなければ問題はないという立場をとっておりますので、たまたま多少高い濃度のものを摂取いたしましたといたしましても、これが長い間に平均してならしますれば、慢性毒性の点では安全率を越すことがなくて心配はない、そういうような解釈をとっております。私どももそういう立場をとってやっております。
#45
○近江委員 この昭和三十七年十一月三十日環食第二百八十三号、食品衛生課長から都道府県部長あて通達に、容器の記載事項に関する指示、望ましい記載事項として、あとで水洗いしてくださいと、このようにあげられておるけれども、先ほどの、必ず水洗いしなくとも危険でない、と一体どっちが正しいのですか、これは。食い違いがあるじゃないか、あなた方は。
#46
○小島説明員 お話のような趣旨でございますが、こういったものは、もちろんできるだけ人体に入る機会を少なくしたほうがよろしいわけでございますので、こういうものは当然あとで水洗いをして少なく入ったほうが、人体にとって決してこれは必要なものではございませんので、できるだけ取り除いて少なくしたほうがよろしいという趣旨でございます。
#47
○近江委員 はなはだしく逸脱する、このようにいっておるわけですが、あまり高い濃度や長い時間使うことはあまり好ましくないということである、このようにいっておるけれども、非常に遠慮した言い方だとぼくは思いますが、とすると、この上記のように逸脱するとやはり危険ということなんですね、これは。
#48
○小島説明員 これは逸脱すれば当然危険でございまして、たとえば洗剤の溶液をつくりまして飲むというようなことをなさいますれば、決して健康にはよくございません。
#49
○近江委員 好ましくないというのは、どういう結果になるから好ましくないのですか、これは。
#50
○小島説明員 たとえば非常に濃厚な溶液をお使いになりまして、素手でこれをお使いになりますと手が荒れたり、その結果湿疹になったりというようなことがございます。ですから、やはり適当な濃度で、また、これは非常に洗浄力も強くて皮膚のあぶら等をとってしまうものでございますから、ゴム手袋等を使っていただければ、それに越したことはないわけでございます。
#51
○近江委員 この洗剤の誤飲によっておとなが死亡した事件、このことについては「関係当局に照会し、その回答によりその事件の一部を知り得たが、詳しいことは司法上の問題となっているためいまだ回答を受けていない。今後その結果が明らかにされた場合でも本日の答申は変わらない。」と、きわめて高姿勢の答申であるわけでありますが、わずか三十ccのものをおとながあやまって飲んで二時間後に死亡しておる。この監察医の解剖所見ではABSの急性中毒としている。これで人の健康を害するおそれがないというなら、はっきりとした根拠を示してください、われわれが納得できる。
#52
○小島説明員 いま先生のおっしゃった事故でございますが、実はこれは現在司法上の問題になっておりますが、はたしてこれが中性洗剤によって死亡したものであるかどうかという点には疑点があるわけでございます。また、飲みました量等につきましても確実な調査というものが、あとになってしまったわけで、できなかったわけでございます。それで、私どもの行ないましたといいますか、これは特調費をいただきまして行ないました試験によりますれば、そういう量では死ぬわけはないというような結果を得ておるわけでございます。あくまでも私どもとしては、事件の真相というものは、あとになってはっきり知ることができないわけでございます。そういった量ではいわゆる生命に危険はないというように考えておる次第でございます。
#53
○近江委員 監察医の解剖所見は、先ほど申し上げましたがABSの急性中毒、このはっきりとした見解を出しているわけですよ。ですから、このくらいの量で――量もはっきりしない。死人にあなたはおっかぶせているわけですけれども、三十ccくらいのものとはっきりわかっているんですよ。このくらいの量で二時間くらいで死亡している。これであなた猛毒でないといえますか。こういうような事実が積み重なっている例は幾らでもあるわけであって、それを無害ときめるという根拠というのはどこにあるのですか。どうですか、これは。
#54
○小島説明員 私どもとしては、昭和三十七年にこの中性洗剤について行ないました実験の結果によりまして、通常の使用では無害であるという立場をとっておるわけでございます。
 それから、この中性洗剤は世界じゅうで使われておりまして、アメリカ等では食品添加物として食品の洗浄に使うということが許されておるものでございまして、私どもとしては世界的にも安全であるというような意見を参考にいたしまして、この使用は安全であるというような立場をとっているわけでございます。
#55
○近江委員 某洗剤会社がその製品をあやまって飲んだという事故申告を集計したものがあるわけですが、それを見ますと、昭和三十七年九月から三十九年九月までの二年間に五十三例がリストされておる。この住所氏名、事例が全部はっきり出ているわけですけれども、それを見ますと、会社は胃洗浄の処置をとらしているわけですよ。会社自身が猛毒並みの処置をさせている。これはあなた方こういう話を聞いていませんか。
#56
○小島説明員 先生のおっしゃったようなその数については、私まことに申しわけないのですが、聞いておりませんが、誤飲をしたということがあるということは聞いております。そういう場合には当然安全を期して、できるだけこういったものは胃洗浄をして排除すべきだというふうに考えております。
#57
○近江委員 だから、無責任だというのですよ。そういうような生産しておるところの全部の調査もあなた方はやっていない。それで学者に相反する意見がある。しかも現実に死亡した人もある。そういう徹底的な調査もせずして、ただ学者がこう言うからということで、危険だという学者の説も無視をする。こういうようないろんな事例が積み重なっておる状態の中で平然としておる、そういう態度自体に問題があるのです。真剣に国民の健康と生命を考えるならば、あらゆる、これだけの積み重ねをしましたというものがあってしかるべきじゃないですか。これは、私、問題を次々といろいろ出していきますけれども、この一点でも、あなた方はこういう問題を非常に軽視している。これは大問題ですよ。時間があれば私はずっとやりたいのですが、きょうはどうしても時間がありませんので、このあと時間を見て中性洗剤についてはもう一回やりたいと思いますが、いずれにしても、いまのそういう態度、そういうような製造会社の調査も全然やっていない。ただ、たまたまぽつぽつと一、二の例を聞いておるだけである、こういう態度自体に、いかに生命と健康を軽視しておるか、はっきり出ておるわけです。非常によくないと思います。そういうようなあなた方のとっている態度を今後改める気があるかどうか。厚生省並びに科学技術庁の局長、長官、三人からまず根本的な問題についてお聞きしたいと思うのです。
#58
○小島説明員 先生のおっしゃることでございますが、私どもとしては非常に真剣にやっておるわけでございまして、私どもはできればもう一回実験を繰り返して同じような安全という結果を得れば、先生にこうやって国会で御質問を受けて、おまえたちはどうしてそういう態度をとっているかと言われることもなしに済みますし、そのほうがよろしいというふうに個人的には私も考えますけれども、しかし、ほんとうに実験がいままで完全に行なわれていて、安全だということが立証されるならば、私どもとしては、実験を繰り返すということは、学者にとっても時間のむだでございますし、費用を使うということもむだだと存じますので、完全に安全だということが立証されておるという立場を私どもはとっておるわけでございます。しかし将来、もし、またいろいろな説が出て、ほんとうに疑点があるというようなことが新しい学問の上で起きてくるならば、やはりそういうものは学問的に実証していかなければならない。私どもは、あくまでも科学技術というものの基礎に立った上の行政をやっていかなければならないというふうに覚悟しております。
#59
○石川(晃)政府委員 科学技術庁といたしましては、この問題につきまして三十七年に特調費によりましていろいろ調査していただいたわけでございます。その結果につきましては、ただいま厚生省からもお話がありましたように、私たちとしては厚生省の意見を尊重していきたいと思います。ただ、最近非常に公害の問題がクローズアップされてまいりましたので、またいろいろな研究調査というものが今後進むこともあるかとも存じますが、その時点におきましては、また厚生省とよく相談いたしまして、新しい時点が発見されました場合には、それについての調査ということもやぶさかではございません。
#60
○木内国務大臣 いま厚生省のほうからお答えがありましたし、また、私のほうの局長からいまお答えいたしましたとおりであります。これは人命に関することでありますれば、今後においても慎重に取り扱ってまいらなければならぬと思います。
 ただ、私はいまいろいろお話を聞いておりまして、安全性に関連して使用の量の問題などが非常に問題になってくるのではないか。安全なものでありましても、不注意によって非常に大量のものを使うというようなことがあれば、どんなに安全性が確保されておるものでも間違いを起こす危険性があるものでありますから、官庁のほうにおいても気をつけなければならないし、また、使用する人も十分これについては注意をしていかなければならぬ問題であると思っております。
#61
○近江委員 きょうは非常に残念でありますけれども、もう時間がございませんのでこれで一応終わらしていただきます。後日また政府の方々に考えをただしていきたいと思っておりますから、本日はこれにて終わらしていただきます。
#62
○石田委員長 ちょっと速記をとめてください。
  〔速記中止〕
#63
○石田委員長 速記を始めて。
 次回は来たる七月九日水曜日午後一時より理事会、一時三十分より委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時三十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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