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#1
第061回国会 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第7号
昭和四十四年六月四日(水曜日)
    午前十一時八分開議
 出席委員
   委員長 齋藤 邦吉君
   理事 奧野 誠亮君 理事 鍛冶 良作君
   理事 四宮 久吉君 理事 渡海元三郎君
   理事 福田  一君 理事 島上善五郎君
   理事 門司  亮君
      菅  太郎君    白浜 仁吉君
      永山 忠則君    丹羽喬四郎君
      松澤 雄藏君    松野 頼三君
      加藤 清二君    松本 七郎君
      山本 幸一君    山下 榮二君
      伏木 和雄君
 出席国務大臣
        自 治 大 臣 野田 武夫君
 出席政府委員
        自治省行政局長 長野 士郎君
        自治省行政局選
        挙部長     皆川 迪夫君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 公職選挙法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第一〇九号)
     ――――◇―――――
#2
○齋藤委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出の公職選挙法の一部を改正する法律案を議題といたします。
#3
○齋藤委員長 まず、趣旨の説明を聴取いたします。野田自治大臣。
#4
○野田国務大臣 ただいま議題となりました公職選挙法の一部を改正する法律案について、その提案の理由と内容の概略を御説明申し上げます。
 選挙制度の改善につきましては、第五次選挙制度審議会の答申にかんがみ、昨年の第五十八回国会に公職選挙法の一部を改正する法律案を提出いたしましたが、審議未了となりましたことは、御承知のとおりであります。政府といたしましては、その後も引き続き選挙制度の改善について、最近の選挙の実態をも考慮して、あらゆる角度から検討を加え、さしあたって現行選挙制度の改善に関し講ずることが適当な措置について、公職選挙法に所要の改正を行なうため、この法律案を提出いたした次第であります。
 次に、この法律案の内容について、御説明申し上げます。
 第一に、立候補制度について、最近の選挙の実態にかんがみ、立候補の届け出期間を二日間に短縮することとしたほか、各選挙について供託金の額を引き上げることといたしました。
 第二に、選挙運動について、その合理化をはかることといたしました。
 まず、都道府県議会議員及び指定都市の議会議員の選挙運動期間を十二日間に短縮することといたしました。
 次に、選挙運動のための連呼行為の制限を緩和し、衆議院議員、参議院議員及び都道府県知事の選挙以外の選挙についても、車上の連呼を認めることとしたほか、街頭演説のできる時間を車上の連呼の時間と同様、午前七時から午後八時までといたしました。
 文書図画による選挙運動につきましては、選挙事務所を表示するためにその場所において使用する文書図画の規格を拡大するとともに、いわゆる置き去り文書の撤去義務を明記することといたしたほか、居住者等の承諾を得ないで掲示されたポスターは、居住者等において撤去できる旨の規定を設ける等、その合理化をはかることといたしました。
 また、言論による選挙運動につきましては、衆議院議員、参議院地方選出議員及び都道府県知事の選挙における個人演説会の回数制限を撤廃し、これらの選挙においては、候補者は、その個人演説会の開催中、都道府県の選挙管理委員会の定める表示をした立て札または看板の類を掲示しなければならないことといたしました。
 これに伴い、個人演説会場を表示するための公営立て札の制度を廃止し、個人演説会の会場外に掲示することができる文書図画は、一定の立て札または看板の類に限ることとする反面、これらの立て札及び看板の類は、演説会場以外のいずれの場所にも掲示することができることといたしました。
 さらに、最近の選挙の実態を考慮して、公職の候補者の政見をより効果的に国民の間に浸透させるため、衆議院議員、参議院議員及び都道府県知事の選挙において、新たにテレビジョンによる公営の政見放送を実施することとしたほか、日本放送協会または一般放送事業者が行なう選挙に関する放送番組編集の自由、その他立ち会い演説会の実況放送の実施について規定の整備をはかることといたしたのであります。
 第三に、ポスター掲示場の投票区ごとの配置、選挙公報の提出期限及び立ち会い演説会の開催回数を実情に即するよう改めることとする等、選挙公営制度の合理化をはかることといたしました。
 第四に、選挙運動員等に対する実費弁償等の基準額を実情に即するよう改めることといたしました。
 第五に、政党等のいわゆる確認団体が選挙運動期間中に行なう政治活動については、政談演説会の開催回数を現行の二倍に増加するとともに、ビラの頒布を自由化し、街頭演説をすることができる時間を、選挙運動のための街頭演説の時間に合わせる等、その合理化をはかることといたしました。
 第六に、立ち会い演説会等選挙に関する演説を多衆により妨害した者を処罰することとしたほか、当選を得させないため虚偽の事項を公にした者の刑を引き上げるとともに、政見放送または選挙公報においてこの罪を犯した者については、さらに刑を加重し、また、政見放送または選挙公報において営業上の宣伝をした者をも処罰することといたしました。
 最後に、この改正の施行につきましては、テレビによる政見放送の準備の都合もあり、公布の日から三月以内に政令で定めることといたしました。
 なお、市町村の合併が行なわれた場合における衆議院議員の選挙区の特例については、一定の条件を満たす場合においては、公職選挙法の原則に戻す道を開くことが適当であると考え、そのため、市町村の合併の特例に関する法律に所要の規定を設けることといたしたのであります。
 以上がこの法律案の要旨であります。何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#5
○齋藤委員長 以上で本案の趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#6
○齋藤委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。島上善五郎君。
#7
○島上委員 大臣に二、三お伺いしたいと思いますが、今回の改正案は、選挙制度審議会の第五次の答申を受けて出したものと趣旨説明でもおっしゃっておりますが、その事実は認めますけれども、この審議会の答申の中で、なおこの改正に取り上げられていない部分が相当ありまするが、これに対しては、政府は改正の方向に向かって引き続き検討するという含みを残しているのか、取り上げなかった分は適当でない、こうお考えになって取り上げなかったのか、その点をお伺いいたします。
#8
○野田国務大臣 今回の改正案は、御指摘のとおり、一昨年十一月の第五次選挙制度審議会の答申を基礎としてつくったものでございます。その答申の内容全部を網羅していないことも事実でございますが、とりあえず、この選挙制度の基本的な問題というものはやはり今後十分検討しなければならぬし、また答申の内容にもそういう点が相当あることも存じております。したがって、今回の改正案はさしあたって現行選挙制度の改善に要する事項というふうに限ったものでございまして、今後やはりこれらの問題について検討を続けまして、そうして漸次その必要なものについては改正いたしたい、こう考えております。
#9
○島上委員 そうしますと、答申されて今回の改正案に取り上げられなかった部分については、その他の事項と関連して第六次審議会に再度諮問するというお考えなのか、すでに答申された部分は答申として生きておる、こういう御解釈に立つのか、この点伺っておきたい。
 私も実は第六次審議会の委員ですから、今度取り上げなかった部分を、その他の改正とあわせてさらに諮問なりあるいは意見の提出を求める、こういうのであれば、その他の改正もまだたくさんありますから、含みで審議するということに当然なりましょうし、すでに答申した部分については、答申として生きておって尊重する、ただし、今度の改正にはさしあたって必要な最小限度を出したので、今度の改正については間に合わなかったが、次回の改正については、答申された部分を尊重し、実現するような前向きの姿勢で取り扱いをするというお考えなのか、これを承っておきたい。
#10
○野田国務大臣 今回第六次の選挙制度審議会につきましては、島上委員も御承知のとおり、参議院制度についての諮問をいたしております。したがって、いま御指摘になりました第五次選挙制度審議会の答申内容で今回の改正案に盛ってないものをあらためて諮問するかということでございましたが、いまのところあらためて諮問する意向は持っておりませんが、第五次審議会の答申の内容というものはもちろん生きている、したがって、私どもはこれを尊重して今後の改正の場合において十分検討する、こういう考え方でございます。
#11
○島上委員 そこで私、今度の改正で取り上げられない二、三の気がついている点がありますが、今後の改正あるいは今後の第六次審議会の審議の御参考に大臣の意見を承っておきたいのですけれども、一つはテレビの放送です。
 今度は、候補者個人個人に二回ないし三回テレビの放送を許すことを認めることになりますが、イギリスやドイツなんかの例を見ますると、政党中心の選挙ですから政党にそれぞれ時間を、選挙運動期間中四十分であるとか三十分であるとか、政党により多少の差がつけてありますけれども、政党に時間を与えて、その時間中、政党は自主的に番組をつくったり党首の演説をしたり、その与えられた時間内で有効にこれを使うというやり方をしているのです。私も、いまの日本はまだ完全な政党本位の選挙になっていませんから、候補者にテレビ放送を許すことも必要だと思いますが、同時に、政党に二十日間のうちに三十分とか五十分とか一定の時間を与えて、党首が演説をする、番組をつくって放送するということもより必要ではないかと思うのです。つまり、個人本位の、候補者個人の選挙から政党本位の選挙に移るためには、そういう考え方でなければならぬ、こう思うのです。そらして、その反面、いま政党が金を出して、選挙が近づくと、あるいは選挙期間中でもやっておりますが、スポットといいますか、テレビでやっておりますね。ああいうことは少なくとも選挙運動期間中は遠慮してもらう。いま言ったような方式で、割り当ての時間だけ政党がテレビ放送をするというふうにすべきものではないかと思うのですが、どうでしょうか。
#12
○野田国務大臣 私は、考え方としては同感であります。やはりできるだけ政党本位の選挙ということに持っていかなければならぬと思っております。
 そこで、今度のテレビ放送の問題も、実は政党でやるか、あるいは個人でやるかということは相当検討いたしました。しかし、いま島上さんおっしゃるとおり、まだどうも政党本位に割り切ってやるまで少し行ってないのじゃないかというので、実はいまお話しのとおり、個人のテレビ放送をやらせる。そこで、私も、将来やはりできるだけ先ほど申しましたとおり、選挙は政党本位――政治活動をするのも政党本位の政治活動になりますし、現在では政党の政治活動を相当自由に認めております。いま直ちに公営でもって政党本位の選挙に移行するかということは、まだ多少の困難さがあるようでございます。しかし、考え方の基本としては、私は全く同感であります。
#13
○島上委員 私も、いま言ったように、政党本位の選挙にするためには、その他の事項もありますけれども、そういう方向に向って進んでいかなければいけないと思います。たとえば、今度の改正のちょっと中途はんぱだと思いますのは、政党の政談演説会はいままでの倍にする、こうありますね。これは本来、政党の政談演説会は無制限にさすべきものだと思うのです、政党にとって選挙運動というのは最大の戦いですから。それが、政党の行なう政談演説会が規制されるというようなことは、これも私は中途はんぱだと思うのです。ですから、段階的に政党本位に持っていくという気持ちはわからぬでもありませんけれども、しかし、いま言ったように、政党本位にするためには、テレビ放送も政党に一定の時間を割り当てる、政党の政談演説会は無制限にするといったような方向に進むべきものだと思います。
 もう一つこの機会に伺っておきたいのは新聞広告です。新聞広告は候補者に認められておりますが、そのかわり候補者は、一定の認められた範囲の広告しかできないわけです。ところが、政党のほうはしり抜けなんです。認めていないかわりに規制がない。ですから、ある党は候補者の正規の法定の広告の下に新聞三段くらい――おそらく一回、どんなに安くても三百万ないしは五百万は取られると思うのですが、そういう三段抜きの党の広告を出しておる。これはみな各党とも全部出せばいいようなものですけれども、しかし、金のある党は極端に言えば毎日でもできるのです、いまの法律でいえば。選挙運動期間中毎日でも三段抜きで党のアピール、党の政策の広告ができる。これなどは、個人については二回ないしは参議院は三回ですか、こういう取りきめがあるのに、政党はしり抜けであるために、何回でも候補者と抱き合わせで広告できるというようなことなどは、やはりおかしいと思うのです。むしろこれは一定の回数、政党に公営で認めるというふうにするほうが、公正な競争のルールが確立されるということになると思うのですが、どうでしょう。
#14
○皆川政府委員 ただいまの政党と候補者の新聞広告の抱き合わせの事実があることは御承知のとおりでありまして、実態上いろいろ問題になっておりますので、現在は候補者の回数が制限されておるために、候補者と抱き合わせの政党の広告というものはおのずから制限さるべきものだ、政党単独の広告というものをどこまで制限するか、これはいろいろ議論があるところだろうと思うのです。政党といいましてもいろいろな段階があろうかと思いますが、それを規制するということになりますとその具体的な方法――もちろん基本的にはそれを規制したらいいかどうかという問題もあろうかと思いますが、規制のしかたについてもいろいろ検討しなければならぬことがあるのじゃないかというふうに思っておりますし、現在まだ具体的な案は持っておりません。
#15
○島上委員 私は必ずしも政党の広告を規制しろと言っておるのではないのです。各党とも公平に、同じに一定回数公営で認めたらどうか。公営でかりに五回認めるということになれば、それ以外は運動期間中はしてはならぬ。これは単なる規制ではなくて一定の回数までは全部公営で認める、こういうことですから、それだけ党の選挙費用もほかの方面に有効に回せるわけです。あの広告は相当高額なものだと私は思うのです。社会党のような貧乏政党にはちょっと手が出ないです。ですから、抱き合わせということばは適当でないかもしらぬけれども、片方にその政党の候補者の法定の広告が載っておって、その下の欄に、あるいはそのわきに党の広告を載せることは自由ですから、候補者のことさえ個々の固有名詞を使っていなければ自由なんですから、それを最近はかなりやっておるのでしょう。以前は気がつかなかったのかあまりやりませんでしたが、最近は競争してやるようになった。そうすると、極端に言えば選挙運動期間中、毎日三大新聞か五大新聞に広告を載せるということも、いまの法律からいって可能なんでしょう。私は、いまの法律ではこれは一種の抜け穴だと思いますけれども、毎日やることも可能だと解釈する。そうすると、どうしても公正な競争というルールがその面だけはおかしくなってくる、こういわざるを得ない。どうですか、もう一ぺん。
#16
○野田国務大臣 大体、考え方の基本が私は島上委員と同じ傾向なものですから、実は私も率直に言いますと、公営をもう少し拡張して、できるだけそういう言論、文書というものは公営でもって自由にやる。そのかわり、もちろん規制があるわけですから、そこで演説会も、先ほど御指摘がありましたが、個人演説会は制限しない。政党のほうは回数を倍加する。それからテレビのほうもさっきお話しいたしたんですが、新聞広告も同様な考え方でいく。私は、御指摘になったような問題は非常に重要な問題で、今後考えなくちゃならぬ。ただ、いま政党という、いわゆる確認団体と申しますか、これがなかなかむずかしい。どこまでどうするかということが、一面また政党法なんという意見も出ておりますが、これはまた別といたしまして、そういうところに、政党本位の選挙をやる場合に、まだ考え方をきめる場合にもいろんな事情がありますので、そこまではまだこの選挙法改正では、いわゆる政党本位にやることにできるだけ移行したいという考えはあっても踏み切れなかった。そこで、専来の問題として、やはりそういうものは重要な検討をすべきことだと私は思っております。私は非常にいまの御意見を参考にして、尊重してひとつ今後の検討に当たりたい、こう思っております。
#17
○島上委員 ぜひそのように……。今度の改正は一歩前進であることは認めますけれども、政党本位の選挙にはまだほど遠いという感じが強いので、前向きに御検討願いたいということを御希望申し上げておきます。
 それから、この機会に承っておきたいのは、例の政治資金規正法です。この改正案で取り上げられた答申の以前に、緊急に措置すべき事項として答申したものが、いまだにたな上げ。まあ私はいままでのことをいろいろ言いたくないけれども、小骨一本抜きませんと言ってみえを切ったのが、小骨どころではない、背骨まで抜いたものを出して、それをなくなった小沢委員長は審議もしないで廃案にしてしまった。今度は、仄聞するところによると、これは野田大臣の努力の結果だと思いますが、持ち回り閣議でたしか一カ月ほど前に提案をきめたはず。それが自民党の国対委員会であたためられたままになっておるということは、いかにもふしぎ千万、不可解千万と申しましょうか、国会へ出した結果がどうなるかということは、私たちはあの内容についてはもちろん満足しませんけれども、少なくとも国会へ政府は出すという公約をしておったし、出そうということも閣議できめたわけですから、今国会の場合すみやかに出して、この場所で論議をする。国民の関心も高まりましょうし、現に都議会選挙の事前運動が花盛りですが、私たち、都議会選挙が済んだら国会のほらの選挙の事前運動がこれまた花盛りになるのではないかとひそかに心配しておりますが、おそるべきものですよ、あの事前運動の態様を見ておると。ですから、選挙法を改正して選挙運動の面ももっときれいに自粛するようにすることが必要であると同時に、政治資金の規正という面からも、もっと徹底的に考えなければならぬのじゃないかと思います。
 せんだって総理大臣は、本会議だったから私もあまりこまかく質問することができませんでしたが、ただいま党のほうで、国対で預かって検討しておる、こういうことでしたが、それは、党のほうで預かって検討しておるということは逃げことばであって、総理大臣及び担当大臣としては閣議できめた以上、百五十日の会期のうちに提案しないこと自体も私はけしからぬと思いますが、延長国会の今日まだ提案の気配もないということは、いかに政治資金規正法に対して党が熱意ないのか、政府が熱意ないのか、あるいは両方とも熱意がないのか、私は世間からこれは疑われると思うのです。大臣、これはどのように措置されるお考えですか。
#18
○野田国務大臣 私はしばしば申し上げておりますとおり、政治資金規正法は今国会に提出して御審議を願いたい、したがって、私たちといたしましてはその手続をとって、そうしていま党の国対に国会提出を要望しております。いまお話しの、政府も党も熱意がないというように観測されるというおことばですが、熱意があるとかないとかではなく、現実に提案をすべく全部手続を終了しておりますから、私は公約どおりやっておりますが、しかし、党のほらでいまいろいろの問題をかかえ、ことに島上さんも御承知のとおり、国会正常化もやっときょう正常化になっておるので、私は党のほうはよく知りません、国対の内容は知りませんが、これも仄聞ですが、なかなか取り扱いにいろいろと頭をひねっておるだろうと思っておりますが、政府といたしましては、やはりできるだけ早くひとつ提案するように重ねて要望したい、こう考えております。
#19
○島上委員 これは党とさんざん話し合いをした上で、私たちから見れば、大骨も小骨ももう肉までなくなってしまったようなそういうものにされてしまって、党と政府との意見が一致してこの前の国会に出したものです。それと同じものを今度出そうというわけですが、それを党が握りっぱなしということは、きょうは佐藤さんじゃないからあなたにそう言ってもしようがないかもしれませんけれども、佐藤総理だったから同時に総裁ですから、党を指導する責任があるのですから、これは私は、世間に対する公約、野党に対する公約、国会答弁のいきさつ等からしましても、政府があの案でよろしいというならよろしいですよ、この国会の土俵に早く乗せて論議すべきだと思うのです。私たちには私たちの考えがありますから、その際はっきりする。それをあの問題をこの論議の土俵に乗せないで、もしこの国会中に出さなかったら政府としてどうしますか。この延長国会中に必ず成立をめどとして、成立を期して提案するわけでしょう。その点をもう少しはっきりと御答弁いただきたい。
#20
○野田国務大臣 しばしば申し上げておりますとおり、私どもは、政府といたしましては、政治資金規正法をうやむやにしようということは考えておりません。また、いま総理に対するお考えを述べておられますが、私のそんたくするところによりますと、総理も、できるだけ早くひとつ国会に提案して審議したいという考え方を持っております。したがって、今国会に私は当然出してもらう、出すべきだという考え方を捨てておりませんで、むしろ私はこれを希望いたしておりますから、そのために諸般の手続も完了して、提案するように要望して今日まで来た態度を変えておりません。当然さらに、この点は、島上さんおっしゃるとおり、やはりわれわれの公約でありますし、できるだけ早くひとつ提案するように重ねて要望したい、こう思っております。
#21
○島上委員 この委員会はきょう提案された法律一つですから、私たちは、国会が軌道に乗った以上はこの法案の審議をなるべく早く進めよう、こういう協力の考え方を持っているのですから、そうすると、あと法案がないのです。政治資金規正法が出てくることを、私たちは待ちに待っておるのです。もっと言うなら、手ぐすね引いて待っておるのです。
 とにかく、ぜひ出していただくことを要求して、もう一点だけ伺いますが、第六次審議会の委員の選考にずいぶんもたもたしまして、三月中に発足するというのが五月の末にやっと発足した。私はこのことについても言いたいけれども、まあきょうは言わぬでおきましょう。言わぬでおきますが、この委員の選考事情についてちょっと伺っておきたいことがあるのです。
 前の委員で再任されなかった委員が相当数ありますね。十二、三名かありますね。ですから、十二、三名は新しい委員。私がそんたくするのに、一年以上もかかって、多忙な仕事を持っている人たちが、それをほうってでも一生懸命に、政府が尊重してくれるものと期待して審議して答申を出したのにさっぱり尊重しない、これにもうあいそをつかして委員を受けなかった人が相当数あると思うのです。大部分そうじゃないかと思うのです。再任しなかった人は再任を辞退した事情、それから新しく選考した事情について私はそう思っているのです。そうじゃありませんか。
#22
○野田国務大臣 いま島上さんはいろいろ勘ぐってそういう御質問があるようですが、事実はだいぶん違います。それは、答申尊重は別として、物理的にどうしても忙しい仕事のためにできないという前からの申し出のあった方もあるし、この問題の折衝の場合に、この前答申を尊重しなかったからやらないということは一人も聞いておりません。したがって、多数の前の委員の方に御就任願っております。これは一人一人のことでございますから、個人のことをここで言うわけにいきませんが、いまの島上さんの憶測か何かというものは、私が折衝した範囲においてはそう当たっておりませんから、その点は御了承願いたいと思っております。
#23
○島上委員 これでおしまいですが、御了承しないですよ。あなたは直接当たってないから、あなたの耳にはそういうふうにしか入ってこないでしょう。私のところにちゃんと入ってきているのですよ、辞退した人から。ばかばかしい、一生懸命やったってちっとも尊重しないじゃないか――一人だけじゃない、何人も入ってきているのですよ。私は無理もないと思うのです。今後、いま申しました政治資金規正法をはじめ、積極的に尊重するという姿勢を示さないと、第六次審議会の審議もほんとうに身の入った、熱意のこもった審議になるかならぬかということに重大な影響があると思うのですよ。そこで聞いているのです。ほんとうはあなたの耳に入っていないだろうし、あなたはこの公式の場所で、尊重しないからあいそをつかして受けなかった、こうは答弁できないでしょう。しかし、実際は大部分そうなんです。ですから、第六次審議会にほんとうによき答申を期待するならば、いままでの答申を尊重するという姿勢を積極的に示すことが何より必要だ。これは答弁要りませんから、強く御希望申し上げておきます。
#24
○齋藤委員長 門司亮君。
#25
○門司委員 最初に聞いておきたいのは、いま島上委員から申し上げましたことに関連してですが、衆議院における選挙法の改正の当委員会でありますので、大臣からこの際、政府が第六次選挙制度審議会に諮問された事項をこの委員会としてひとつ明らかにしておいていただきたいと思います。
#26
○野田国務大臣 第六次の選挙制度審議会の諮問事項は、参議院議員の制度に関しての諮問でございます。
#27
○門司委員 そうすると、こう解釈してよろしいのでございますか、第六次の選挙制度審議会は参議院の選挙に関する問題であって、その他の問題には触れておられない、したがって、第五次の審議会の決定された選挙資金の規正法については、それはそのまま生きているのだという解釈でよろしゅうございますか。これは念を押しておくのです。私どもはそう解釈しているのです。
#28
○野田国務大臣 それは門司さんの御意見で私も尽きていると思っております。
#29
○門司委員 そういたしますと、ここで大臣にはっきりしておいていただきたいと思いますことは、選挙が非常に悪くなっているということが言われておることは、私は事実だと思う。その悪くなった原因の一つがこの選挙の資金の問題だ。いわゆるお金がかかり過ぎる、同時に、いろいろな方面に非常に大きな弊害を及ぼしておるということから出たものだと考えております。そうすると、それの国会の提案こそが、国会議員みずからが選挙を粛正するという誠意のあらわれだと思う。国民に対する非常に大きな責任があると私は思う。それをいつまでたっても出してこられないということは、選挙に対する国民の不信感というものがますます増大してくる。選挙に対する不信感はやがて政治に対する不信感でありまして、いま、日本の民主政治というものが根底からくつがえされる一つの大きな、大まかに言って、時期に来ているような気がする。それはどうお考えになります。私は、政治責任においてむしろ政府が、選挙の公正等を期することのためにひとつ努力してもらいたいと思うのです。お出しになるか出さないかということはいま島上委員の質問で聞きましたので、それ以上私が聞く必要はないと思いますが、私は、そういう気持ちで政府がやらない限りはどうにもならないと思うのですが、大臣のお考えはどうなのですか。
#30
○野田国務大臣 大体選挙の公正ということが基本であります。これには選挙制度の問題といいますか、選挙法自体の問題がありますと同時に、やはり選挙法の一環として政治資金規正法というものは重要な選挙に関する問題であって、これはいまお話しのとおり、金のかからない選挙というのが一つ目標でございますから、選挙資金規正法というものはやはりできるだけ早く提案して御審議を願いたい。私はその意味において、先ほど島上委員からもお話がありましたが、まじめに、今国会に提案いたしまして、御審議願いたいという姿勢を持っております。だから、門司さんの御指摘どおり私も同感であります。
#31
○門司委員 そうすると、選挙資金に対する規正法案を政府がこの国会に提出して成立を期しておるということが、政府の正しい意向であるというふうに聞いておいてよろしいと私は思います。しかし、いまからいきますと時間的にも、非常に大きな問題でありますことのために、私は――そのために七十二日延ばしたのかわかりませんが、せっかく延ばされた国会でこれが審議できないという、あるいは通過することが不可能だということになると、あげて政府の責任だということにこの際ひとつはっきりしておきたいと思うのですが、そういう解釈でよろしゅうございますか。
#32
○野田国務大臣 私がしばしば申しましたとおり、この政治資金規正法をぜひこの国会で御審議を願いたいという――この審議の結果は、委員会の御審議ですからかれこれ私予測はできませんが、やはり審議をお願いする以上は結論を早目に得たいという考えを持っております。同時に、この問題につきましては、実はもっと率直に申し上げますと、今国会会期中ということはもちろんでございますが、しばしば私から党の国対には要望を繰り返しております。したがって、私はっきり申し上げておりますとおり、ぜひひとつ今国会で御審議を願いたいという考え方は変わっておりませんし、またそうすべきだ、こう考えております。
#33
○門司委員 私が先にそれを確めましたのは、実はこの規正法の政府の原案というのは、どう考えてみても、この前出されたのと同じだとすれば、審議会の答申とはほど遠いですね。審議会の答申とほど遠いものをこの国会でぜひ成立させるということになると、これは私ども、国会で直ちにそれを承認するわけにいかないということになろうかと思います。事選挙法に関するものが多数決で、しかも強行採決がされるというような事態があってはならないと私は思う。そのためにさっきから念を押しておるのでありますが、政府の原案をのめということではないでしょうな。これは、私の考え方は、政府の原案と選挙制度審議会からの答申を比較してみて、選挙制度審議会の答申に近いものでなければ選挙制度審議会を尊重したなんということは言えた義理じゃありませんので、それをそのまま承認するわけにいかぬですよ。出されるものはどうなんですか。この前と同じですか、それとも内容は変わっておりますか。
#34
○野田国務大臣 大体この前と同じ内容のものを出すつもりであります。
#35
○門司委員 そうすると、こういうことになるのですか。この前と同じだということになると、選挙制度審議会の答申とはほど遠いものだと解釈しておいてよろしゅうございますね。大臣としてはそのとおりであるとは言えないでしょうが、大体私どもとしてはそう解釈する以外にないのです。答弁がしにくいというお話なら、されなくても私はけっこうだと思うのです。しかし、われわれの考えとしては、そういうことでは政府は全く誠意のないものだというふうに私ども解釈せざるを得ない。きょうは時間があまりございませんから、これ以上押し問答することは避けたいと思いますが、その辺は、大臣としては良心的にぜひ扱っていただきたい。この前と同じものが出るということになれば、私どもは、答申案を国会に出されたのではなくして、政府の原案を出されたものと受け取る以外に方法はない。どう考えても答申案はあんなことじゃなかったはずだから、それを政府が答申案を尊重して出しましたなんというごまかしは、私どもこの際ひとつやめていただきたいと思います。それだけ申し上げておきます。
 それからもう一つ、内容の問題で将来疑義があっては困ると思いますので触れておきたいと思いますことは、例の百四十五条になりますか、書いてあります、他人の工作物について承諾がなくしてポスターその他を張ったものは、居住者等でこれをはずすことができるという居住者というものですが、これは一体何をさすのですか。これは私は必ず疑義を起こすと思う。たとえば、おやじさんがいないときに細君がおられて、その人の承諾を得て張った。おやじさんが帰ってきてけしからぬと言ったときにどうなるか。あるいは家族の承諾を得て張った。居住者というのは何をさすのですか。必ずこれは問題を起こすと思う。これはどう解釈すればいいのですか。これを明らかにしておかぬと、いよいよ選挙になったときに、必ず問題を起こします。単に居住者と書いてあれば、その家の持ち主なのかどうかということ。
#36
○皆川政府委員 これは現在の規定でも、他人の工作物に張る場合には承諾をとらなければならないというのが一般の原則であろうと考えますが、今回そういった通常の原則を法律の上に明らかにして、所有者の承諾を得なければならない、こういうことを明らかにしたわけでございます。そしてその承諾を得ないものについては、所有者でございますから本来からいえば一人であるわけでございますけれども、同一家族である場合には、所有者の承諾を得ないものについてはそこの家族がはずしてもいい、こういうようにいたしておるわけでありまして、法律はそれを「居住者等」という表現で百四十五条の第三項に規定いたした。ただ、実際問題として、法律上は所有者の承諾を得なければならぬ、それを所有者でなくて奥さんの承諾を得たという場合になりますと、これは現在の規定とは違ってきて、従来の一種の常識的な慣行によって処理をされた扱いになるだろうと思います。法律的にいえば所有者の承諾を得て張らなければならないことになっておりますが、それが同居人の場合には、所有者にかわってその承諾を与える場合もあろうと思います。その辺は、実際上社会生活の法律秩序の常識に従って処理をしていくべきであろうと思います。
#37
○門司委員 この規定は、もう少しはっきりしておかぬと、単なる居住者ということばだけでは必ず問題が起こると思います。ごく極端な例をいえば、この衆議院の中にどこかに泊まっておいでになる方がある。この人はここの居住者であります。そうすると、居住者の承諾を得れば、この衆議院にだれがポスターを張ってもしようがない。建物の所有者とは全然違う。公の建物、ビルでもみんなそうなんです。だから、居住者だけをこういう形に出すと必ずそういう問題が起こってきて、あとで解釈でごたごたする。だから、この辺は、やはり所有者なら所有者あるいは所有者を代理する者であれば代理する者というようにはっきりしておかぬと、法律があいまいであればあいまいであるほど混乱を起こしてきて、公の建物であろうと何であろうと、居住者の承諾を得たんじゃないかということになるとどうにもならなくなる。居住者であることに間違いはないのですから。
#38
○皆川政府委員 現在の百四十五条の第二項に、ポスターを張る場合には、「その居住者、居住者がない場合にはその管理者、管理者がない場合にはその所有者の承諾を得なければならない。」こうなっておりまして、その承諾を得ていないものについては撤去できる。それを改正法の中にも「居住者等」という表現で総称しておるわけであります。したがって、法律的には現在と同じように、居住者、管理者あるいは所有者、こういう段階で承諾を得ればいい、こういうことになっております。ただ、もちろん、所有関係と居住関係において、そういうものを張っては困るということが所有者と居住者の間に行なわれておる場合には、居住者がかってに、この法律があるからといって承諾を与えていいということにはならない。それは別な法律関係において、居住者と所有者の間にそういう権限を与えておらなければやれないだろうと思います。
#39
○門司委員 かなりややこしい規定になろうかと思います。実情を御存じないからそういうことになっておると思いますが、各いつの選挙でもトラブルが必ず起こります。おやじさんが帰ってきてけしからぬと言ったからはずしますと選挙事務所に言ってきても、一ぺん張ったんだからなかなかはずしに行かない。そういうことでごたごたする実例はたくさんある。だから、法律を書く場合にはその辺は明確にしておかぬと、いろいろな問題が起ころうかと思います。したがって、これはあとの通達か何かでもいいから、この辺ははっきりしておいていただきたいと思います。
 それから、もう一つ聞いておきたいと思いますことは、この選挙法の改正の中に、いま非常に国民から指弾を受けております事前運動に対する問題で何も書いてない。これはどういうことですか。いま国民の中から最も大きく声に出ているのは、事前運動に対する批判であります。これが選挙資金の規正法にもつながるわけであります。これはこの中には何ら規定が改められていないが、どういうわけですか。
#40
○皆川政府委員 事前運動の取り締まりの効果的な規定をどういうふうに置いたらいいかというようなことは、実はいろいろと研究をしてきたわけであります。ただ、御承知のように、事前運動の法律的な概念が非常にはっきりしない――選挙が特定をするとか立候補の意見があるとか、そういった非常に概念がはっきりしていないために、法律で具体的にいろいろ書きましても、現実の行為が事前運動になるかならないかということになりますと、いつも同じ問題になって、結論としては、直ちに法律的にいい表現がとれないということで今回の改正案には載せなかったわけでありまして、この点はさらに検討をいたしまして、行政上の措置で、実際上もう少し効果のあるようなことをやっていきたい、こういう努力を続けてまいりたいと思います。
#41
○門司委員 これは選挙法全体に言えることですけれども、日本の選挙法の中には、ほとんど選挙民に対する啓蒙という問題が触れられてないのですね。本来選挙というものは、そういうものに触れるということが、実は私はおかしいと思っておるのです。公正で自由でなければならないのに、規制を加えるなんということは、あまりいいことじゃないと思う。しかし、やむを得ぬ、いまの日本の国情では何とか事前の活動を制限するというか、あるいはこれを明らかにしておかないと、結局は選挙が、巷間伝えられているように、選挙の始まったときにはほとんど中盤戦を過ぎているんだという批評を甘んじて受けなければならぬ。したがって、その選挙というものがどういう形になって出てくるかというと、個人本位の選挙になっておる。政党本位の選挙法に直そうという努力をする、政党政治だといっておる。しかし、選挙自体は個人を中心とした選挙であることに間違いがない、こういうことで、選挙法を改正しようという方向と選挙の実態というものは、全く百八十度と言っていいほど逆な方向に進んでおるのが日本の現状だと思う。政党本位の政治をすることがよろしいというなら、選挙法自身もやはりそういう形でものを考えた上で選挙法を制定しないと、いつまでたっても、法律は政党本位だ、政党本位だといいながら、実際の選挙運動は個人中心の運動でなければ当選ができないという、こういう結果になっておるのが私は現状だと思う。したがって、これについて何らの規定もなければ考え方もないというなら、これは選挙法の法の改正というよりは、むしろ選挙法の執行の技術的な改正にすぎないと言っても差しつかえないじゃないかというふうに、酷評する必要がありはしないか。これについて、一体それではいつごろすべての問題の改正をされますか。一方では公営を進める、政党本位でいくといいながら、選挙の実態は個人中心の選挙になりつつあるという、こういうギャップをどういう形で埋めるかということについて、大臣のお考えは何かありますか。
#42
○野田国務大臣 私は、門司さんと同様に、やはり選挙は政党本位にできるだけ移行していくべきだ、原則はほんとにそう考えております。それで今度の改正案の内容につきましても、先ほど島上委員からも御指摘がありましたとおり、たとえば政党活動の範囲とかその政党活動の本質的な検討というものがやはり欠けております。しかし、いま門司さん、これは非常に技術的な改正案じゃないかと言われます。大体そういう御批判があっても、それをそうじゃないと言い切れない点もございますが、いずれにしても第五次の選挙制度審議会の答申の内容をこちらが取り上げまして、一応できるものからやろうということでございます。そこで、これは一般論といたしましても、またわれわれ実際選挙をやっている者から見ましても、やはりひとつ早く政党本位に持っていきたいということはもう通説でございますし、また常識になっておりますが、いよいよ改正案にかかってみますと、政党というものの扱い方、この各般のいろいろなことをいまここにあげるということは差し控えますが、いわゆる確認団体というものの取り扱い方と申しますか、それにぶつかる。先ほど島上さんにもお答えしたのですが、たとえばテレビ放送でも個人よりも政党放送がいいじゃないか、私どもも大体それがいいという考え方もありましたけれども、公平に政党本位に持ってくいという、その公平化といいますか、そういうところにおいてぶつかる点がまだ残っておりますので、結局は、選挙法を改正いたします場合には、どうしてもやはり個人に偏した改正案におちいる傾向を私も認めております。しかし、こうあってはならない。どうしてもこれは公営を非常に強化して、その強化する裏づけとしてこれを政党本位の選挙に切りかえる。これはやはりそこに考え方の基本を持っていかなくちゃならぬと私自身も考えております。また役所で事務的にもずいぶんそれらの検討をいたしましたけれども、なかなかわれわれの企図ずるような改正案ができなかった。今後はそういう方向で、そういう考え方に基づいて私は逐次改正案をつくっていくべきだ、こう考えております。
#43
○門司委員 これは非常にむずかしいのでありまして、政党本位の選挙だと言っておりますけれども、政党本位の選挙を徹底させようとすれば比例代表制以外にないのであります。したがって、いまの日本の憲法の範囲内でこういうものがやれるかどうかということについては、非常に大きな問題があります。しかし、だからといって、いまのように政党が影をひそめて――と言うとおこられるかもしれませんが、大体個人を中心とした選挙であることのために選挙が腐敗しているという一つの大きな当面の問題の解決をするには、少なくとも私がさっきお尋ねいたしましたように、政党本位の選挙だからということに中心を置いた選挙法の改正でなければ、結局効果はないと思います。幾ら改正したところで、やはり個人が中心になってやられると考えておりますが、長くなりますので、私、もう一つだけ内容について聞いておきます。
 この内容の中には、政見放送または選挙公報において営業に関する宣伝をした者を処罰する、こう書いてありますが、これも将来疑義を生む関係がございます。それはどういうところにあるかというと、現在の職業あるいは経歴を書かせないわけにはいかぬですね。私は何々業をやっておりますということを書く。これは書かせないわけにはいかぬ。書くと、これが書き方によっては広告になる可能性があるということですね。たとえば当たりさわりのないことを言えば、これが公務員であるとかなんとかいうことになれば別に問題はございませんが、土建業者なら土建業者が立候補する。ただ土建業者と書いてあればそれで済むかもしれぬが、その下にこういう仕事をやっておりますということをちょっとでも書けば、それは広告になるということをいわざるを得ない。しかし、本人からいえば、それはわしの一つの営業であって、これは履歴書だ、現職だといわれてもしようがないのですね。商人ではあるが、しかしその内容はまんじゅう屋をやっております、何々まんじゅうでございますと書かれても、これはうそだとはいえぬ。広告でないとはいえない、広告であるともいえない。この辺は選挙法を改正する場合に、そういう疑義は、笑い話のようであっても、できるだけただしておかないとあとで文句が出ますので、事選挙に関する限りは。そこで聞いておきたいのですが、これはどういう範囲までこの中に入れられるつもりですか。
#44
○皆川政府委員 ここに書いてありますのは、およそ国会議員なりあるいは知事として立候補されて政見を国民に訴える、こういう方でございますから、もちろんその職業なり経歴ということも出てくると思います。しかし、そういうものを考えておるのではなくて、およそ政見の放送としてふさわしくないような、極端なそういうものを予定いたしておるわけでございます。観念的に考えれば、確かにこれは限界が非常にむずかしい問題があろうかと思います。しかし、実際問題としてはそうきわどい問題というか、かなり激しいものについてこれは適用していっていいのじゃないか、通常のそういった自分の職業の公表という程度においては、積極的な営業の宣伝という概念には入ってこない、こういうように考えます。
#45
○門司委員 これ以上、時間もありませんからお聞きはいたしませんが、これは必ずしも、しまいには裁判所の判定にまかせるようなことがないとは限りませんよ、実際問題として。さっき言いましたように、おれはまんじゅう屋だからまんじゅう屋と書いて何が悪いと言われれば、これはどうにもならない。これは、ある意味においては営業の広告であることには間違いない。しかし、履歴書の中に、現職というところにそれを書いたからといったところで、現在の商売がそうだからと言われればやむを得ないのじゃないか。ただそういうものを、商業だとか工業だとかあるいは公務員だとか工員だとか、ばく然とした一つの名称で、それでなければならぬというなら、それはそれでよろしい。しかし、明細にそれを書くということならそういうものが書ける、現行の法律では書けないわけではないということです。うっかり書いていると、それが選挙違反にひっかかったということになるとこれまたたいへんだ、しかもその判定が、ここではっきりしておかなければ、勢い裁判所の問題にしまいにはなるということですね。選挙法に非常にそういう疑義があるようなことを書いておくと、結局選挙の公正を期せられないということが当然出てくるわけであります。何でも悪知恵のある人が勝つという結果が、結局生まれてくるということであります。だから選挙の公正を期そうとするならば、私は選挙法自身についてもひとつそういう点を明確にしておいていただきたいと思ったのだが、いまの御答弁だけでこれが明確になったとは考えられません。おそらく立案者としても、そこまで考えておいでになったかどうかということは私にはわからぬわけでありますけれども、その点はひとつ十分将来も気をつけて、そうして何かの形でやはりある程度明示しておかないと、あとで必ず問題を起こすということが言えるわけであります。こういうことがやはり泡沫候補を押えるための一つの――私は、泡沫候補を押えるということは反対なんです。泡沫候補であろうと何であろうと、日本人としての人格を持った人が立候補する、資格を持った人が立候補することを妨げるような考え方で法律をこしらえるのは大きな誤りだと思っております。しかし、現状においてそういう選挙目当てでなくて、広告目当ての選挙が行なわれるということになると、これはまた選挙を冒涜する一つの大きな問題でありますので、両方考え合わせれば、ある程度こういうことが必要じゃないかということが考えられる。しかし、それにしても何かもう少し――さっきの居住の問題とこれの二つの問題だけは明確にしておかぬと必ず問題が起こる、あいまいな文章だと私は考えておりますので、これは実際の施行にあたっては、ひとつ十分考えていただきたいということを希望申し上げておきます。
 質問を終わります。
#46
○齋藤委員長 伏木和雄君。
#47
○伏木委員 公職選挙法の一部改正にあたりまして、二、三基本的な問題でお伺いしておきたいと思います。
 その一つは、今度の改正が第五次選挙制度審議会の答申を踏襲しての改正であるということになると思いますが、いままでもお話がございましたように、政治資金規正法も同じく答申されたわけでございます。大臣は先ほどから、今国会で通過させていただきたい、また御審議を願いたいという御答弁が出ておりますが、審議をしろ、通過させろといっても、法案が出てこないことにはわれわれどうすることもできないのでありまして、一体いつごろまでにこれを出していただけるのか、会期が七十二日間も延長ざれたからゆっくり出すのだというお考えなのか、もう間もなく国会に提出されるのか、この点をまずお伺いいしたいと思います。
#48
○野田国務大臣 私は、しばしばお答えいたしておりますとおり、なるべく早く国会に提案できるようにしてもらいたいというので、諸般の準備をいたしまして、いま党のほうと折衝いたしておるところでございます。いつごろ出すかということは、やはり党側の法案取り扱いの順序等もありましょうから、私はここで明言はできませんが、政府といたしましては、いま申しますとおり、できるだけ早く提案して御審議を願いたいという方針は変わっておりません。さらにその点につきましてもひとつ党側にもあらためて要望したい、こう考えております。
#49
○伏木委員 どうもその御答弁は私ちょっと理解できないのですが、提出者はどなたで、法案はどこへ提出をされるのでしょうか。
#50
○野田国務大臣 これは御承知のとおり、いまの国会運営上、法案はもちろん国会に提出するのですが、その取り扱いは党の国対でいろいろ順序等をきめております。たとえばいろいろな国会の紛糾があれば、これは議長がやればいいことですが、やはり御承知のとおり、各党の国会対策委員長会議とか執行部会議とか、議長だけでは裁断ができないというような現状は、もう伏木さんもよく御存じのとおりでありまして、これが慣例でございまして、これがいいとか悪いとかいうことは私からいまさら批判できない。国会運営上はいろいろのしきたりもございますし、慣習もございますから、これは御了承願っておると思っております。
#51
○伏木委員 いまの御答弁ですと、何か提出ざれる法案は自民党がその扱いをきめるような御発言ですけれども、提出された法案は国会が取り扱うのである。提出された以後において各党どういう態度を出すかということは別問題としまして、政府は提出権があり、その政府は早く出したいという。それを国会に提出するかどうかということは、党の問題でなくて政府の問題である。政党政治のたてまえといえばそれまでですが、政府が立法するまでに与党と十分打ち合わせをするということなら話はわかりますが、すでに閣議で決定された政府の態度がきまったものを国会に提出するのに自民党の許可がなければ出せない、これはちょっとおかしいのじゃないでしょうか。そういう大臣の御答弁になりますと、政府は出したいのだ、ぜひ通過させてほしい、押えているのは自由民主党だ、自由民主党が審議を拒否し、自由民主党がこの法案について引き延ばしをやっている、こういう結果になるのですが、この点はどうなんでしょうか。
#52
○野田国務大臣 別に自民党がこの法案の引き延ばしをやっているとは考えておりませんけれども、またその意思もないと思っておりますが、相当長期の延長になってきたものですから、その次の段取りをしておると思っておりますが、いまのことは御承知のとおり――私は四角ばって言わぬつもりでしたけれども、政党内閣でございますから、やはり政府と与党というものは一体になっていかなければならぬので、もう少し時間的に見ているからと言われれば、どうもそこまでわれわれは思い切ってやれないし、だから、さらに二度も三度も強く要望して、早くやってくれというように話し合っていく、これはいままでの法案の取り扱いの慣習で、これが基本的にどうこうという議論になりますと、これは伏木さんの御意見もよくわかりますけれども、そういうことでひとつできるだけ早く出したいということを重ねて要望したい、こう思っております。
#53
○伏木委員 先日も本会議において、たしか逓信委員長の解任要求の際でしたか、審議してほしい審議してほしいというのにちっとも審議していただけなかったのだ、これは一方的に野党が悪いのだ、こういうような発言があったわけです。われわれ政治資金に関しては、早く国会に提出するように、早く審議を始めようではないか、こう言っているにもかかわらず、政府は何とかして早く通してほしいというのに自由民主党が押えているということになると、一方的な審議引き延ばしということは、野党のやっていることではなく、これは与党もやっているのじゃないか。大臣の御発言によるとそういう結果になる。今日、政治資金規正法が国会に提出されないのは、政府が熱意があるにもかかわらず、自由買主党が審議を引き延ばしている結果だ、こらわれわれは理解してよろしいでしょうか。
#54
○野田国務大臣 先ほども申しましたとおり、別に自民党がこれを引き延ばしておる、またその審議を阻止しているというようには私は解釈しておりません。いろいろ法案の取り扱いの順序があるし、御承知のとおり、非常に重要法案も次々とあるし、会期も相当余裕があることだからということをおそらく党のほうでも考えておりますし、ことさらに意識的に審議を阻止したり引き延ばすという意思はない、私はそう考えておりますし、またそう解釈しております。
#55
○伏木委員 ここで幾ら議論してもしかたがないと思いますが、閣議できまったものであれば、これはすみやかに国会に提出すべきだ、それが政府の責任ではないかということを強く要望をいたしておきます。
 それと同時に、この内容についてでございますが、先ほど来の御答弁では前回と全く同じものだということが、審議会の答申は、これは尊重しますという総理の発言があったわけですが、この審議会の答申を尊重するという精神は、いまだに担当大臣として残っているのかどうか、この点を明確にしておいていただきたい、私はこら考える次第ですが、御答弁をお願いします。
#56
○野田国務大臣 審議会の答申は、もちろん尊重すべきことだと思っております。また、たてまえからしても、そうあるのがほんとうだと思います。しかし、答申があったから全部それをそのまま政府が取り上げるかどうかということは、これは政府のほうの判断によって内容がきまることだと思います。
 政治資金規正法につきましては、できるだけ答申の線に沿うて立案すべきだということで従来から案ができております。私の提案前にも、相当内容を検討してみましたけれども、これが内容的に前の案とことさらに変えていくという点もそう見出せなかったし、したがって、大体前の案と同じような案を提案しておる次第であります。これは審議の過程においていろいろと御意見も拝聴し、われわれがこれに対して考えなくちゃならぬ点は考えるし、したがって、ひとつ早く御審議を願いたい、こう考えております。
#57
○伏木委員 これもあとに議論を譲りますが、一点だけ伺っておきたいのは、ただいまも、答申の線は極力尊重していきたい、全部が全部とは言わないけれども、尊重していきたい、こういうことですが、あの第五次選挙制度審議会の政治資金規正法についての答申の最も基本となっている点、これはどこにあって、今回政府で提案しようとしている線がそれにどこまで近いものであるか、どこまで努力したものであるか、その根本的な点について伺っておきたいと思います。どれだけ政府が努力されたか。
#58
○皆川政府委員 御承知のように、現在の政治資金規正法は、政治資金規正という名前がございますけれども、実態は政治資金公開法、具体的な金額の制限というものはないわけでございます。それをどういう形で制限しようかという考え方でございますけれども、もちろん、第五次審議会の答申のように、総額をきめていくという角度から見てどれだけ近づいているのであるかということになりますと、非常に遠いのじゃないかという御意見もあろうかと思いますが、少なくとも、現行の制度から見れば、政治資金の量的な制限をするということにつきましては非常に飛躍的な進歩じゃなかろうか、実質的な大きな進歩じゃないだろうかということによりまして、あの制度の改正等によって選挙の実態を徐々に変えていって、最終的にはそういった理想的な姿にしたいというふうに考えているわけでございまして、第五次審議会の答申の線に、現状から見れば相当程度近づいているというふうに見ていいのじゃないだろうかと思っております。
#59
○伏木委員 そういうことを言われると私は聞かなければならぬのですが、第五次選挙制度の答申の限度額は幾らで、今度、たとえば東京電力等の、あの程度の資本金の会社の限度額はどのくらいになりますか。
#60
○皆川政府委員 東京電力についてはちょっと資料を持っておりませんが、限度額は非常に変わっております。
#61
○伏木委員 答申の限度額は幾らですか。
#62
○皆川政府委員 二千万円でございます。
#63
○伏木委員 八幡・富士の合併を想定してわれわれ試算してみますと、二億数千万円の政治献金ができる、こういう結果になりまず。ところが、答申はわずか二千万円です。一体どれだけ答申を尊重して努力したのか。すでに過去の政治資金の届け出を見ても、これほど高額の政治資金が献金されている例はないほどの限度額です。したがって、いま局長が言われた量的規制をやったということは、全くこれは詭弁にひとしいということであって、何ら量的規制が行なわれていない、こういうふうに言えると私は思います。この点については、時間もありませんから次の機会に譲るとして、先ほど来の、答申は尊重するという政府の意向は全くこの法案には反映されていない、こう言えると思います。
 それはその程度にしまして、次に何っておきたい点はこの選挙運動ですが、今日の投票率というものは、下回ることはあってもなかなか上回っていかない、これが現状ではないかと思います。この原因については、一番大きく言われていることは、何といっても複雑な選挙の規制だ。自由化は大幅に進めていかなければならない、こういうことでさまざまな議論が提出されておりますが、この選挙運動を暗くしている中で、一番の問題は戸別訪問ではないか、われわれはこのように感じておりますが、他人の家へ行っても――世間ではあげて選挙をやっている。外ではどんどんどんどん街頭演説の車もある。玄関の先にはポスターも張ってある。しかし、その家へ入った人が外の音を聞きつけて、自分の支持している候補者のことも話ができない。これでは、選挙運動というものは多少の緩和をしたからといって、これで自由化に進んでいるという議論は全く成り立たない、私はこのように思いますが、この自由化の方向をたどるについて唯一の道は戸別訪問ではないか、こう考える次第ですが、大臣は、今回は別として、今後この問題にどう取り組まれていくか、お聞かせ願いたいと思います。
#64
○野田国務大臣 選挙の自由化の問題に取り組みます場合に、いま御指摘になりました戸別訪問は非常に重要な問題でありますが、これに対しては、戸別訪問は今回踏み切って制度を設けたらいいという議論も相当ございます。また、これに対するいろいろ異説も出ておりますが、今回の法案には戸別訪問の問題は入っておりません。しかし、いま伏木さんおっしゃったとおり、どうしても選挙の自由化ということになりますと、戸別訪問という問題を除いて考えるべきではない。当然この問題は出てくる、将来は重点的に検討すべき問題だ、こう考えております。
#65
○伏木委員 将来検討されるということですが、最近次々に裁判所において戸別訪問の無罪の判決が出ている。一昨年ですか、東京地裁においても無罪の判決、あるいは昨年は和歌山県の妙寺簡易裁判所でも無罪、あるいは松江地裁が、これは本年に入ってからも戸別訪問は無罪、これは憲法で保障したところの言論の封殺であるということで、憲法を中心としての無罪判決が出ておりますが、こうした法の上でもって規制をしておりながら、一たび事件になるとそれがこのように無罪になっていくということは、もう立法自体に無理があるんじゃないか。もう時代は、戸別訪問はすみやかに自由にすべきだというところまで来ているんではないか。われわれ、裁判所のことは詳しいことはわかりませんが、とにかくこのように判決が無罪になって出てくるというところに、この立法に無理があるんじゃないか。ですから、遠い将来ということでなくて、すみやかにこの問題を解決していかなくてはならない。したがって、戸別訪問の問題が出ますとその弊害ということがすぐ論じられますが、一部の弊害をおそれて、大多数の自由化の効果、その効力というもの、またその必要性というものを見失ってはならない。その効果、その必要性を高く評価して、そしてあとはその弊害をいかにすべきかという問題を詰めるべきであって、一部の弊害によってこの戸別訪問の自由化がおくれるというようなことがあってはならない、私はこう考えるわけですが、この点について大臣の御見解を賜わりたいと思います。
#66
○野田国務大臣 先ほどもお答えいたしましたとおり、この法案作成にあたりましても、戸別訪問の問題は大きく取り上げてまいりました。いま御指摘の弊害もあるという説も出てまいりましたが、大半としてはやはり戸別訪問というものは、この制度は確立したほうがいいという方向にだいぶ進んできております。現在の日本の選挙全体を考えていろいろ意見がございます。しかし、大局から申しますと、選挙運動というものはできるだけ規制を少なくしていく、自由に伸び伸びとやれるのが一番選挙運動の基本だと私は思います。したがって、私自身も、この法案とは別ですが、いま伏木さんのお話しのその意味におきましては、戸別訪問という問題は、やはり自由にやれるように方向づけるのが、もともと選挙の自由化という考え方からして、それが近いものではないか。そこで、私が将来検討しますというのは、いいかげんななおざりのことばでございませんで、おそらく今後この問題は重要な改正案の内容として検討すべき問題だ、また各方面とも検討される、こう考えております。
#67
○伏木委員 これは大臣が、ここだけの話じゃなくて、真剣に検討されるということですからこの程度にしておきまして、この公職選挙法というものは選挙の公平という問題、このために法律があるのでありまして、ただこの法律があるから必ずしも公平だということは言えないと思います。ということは、これは参議院の選挙の場合に特にこの問題が顕著でございますが、いま第六次選挙制度審議会で参議院の定数の是正について審議をしていただいているわけですが、おそらくその答申待ちということになると思います。しかし、ここで言えることは、たとえて申しますと東京地方区の例をとりますと、前回次点になった方は六十三万九千票です。ところが佐賀県では十三万三千票で当選しております。こういう結果になっております。また、定員一名について三倍、四倍という人口のアンバランスがございます。これを早く是正しなければ、いかに運動を公平にしたといっても、そこから選出される議員の数自体が不公平だということになっております。もちろん地域性の問題もあるとは思いますが、こうした問題を解決するために審議会の答申をいただいておるわけです。たとえば鳥取県のように一回の選挙に有権者十五万について一名の候補。三年おきとすれば二名ということになっておりますが、一回の選挙に定員が一名。東京都のように七十八万で一名ということになると、これを是正するということになれば、どうしても人口の少ないところから多いところへ持ってくる。というと鳥取県あるいは佐賀県、ああいう山陰あるいは小さな県になりますと、これは一名ですから削りようがない。そうすると、二県あるいは三県で一名の候補者にする、そして人口の多いところに回すか、あるいは定数そのものをふやすか、二つに一つしか公平を期すためには道がない、こういう結果になってまいりますが、選挙の公平を期すために、運動だけでなくてこうした基本的な問題について、定数を是正するなりあるいは二県、三県まとまって一名の候補というようなことも、定数是正のためにはやむを得ない、こういうお考えをお持ちでしょうか。この点を承っておきたいと思います。
#68
○野田国務大臣 いまお示しになりました参議院の地方区の定員と人口の関係、非常にアンバランスが出ておることは知っております。そういうことがございますので、今回急いで第六次選挙制度審議会に諮問いたしておるのであります。参議院の制度全体についての御意見も承りたいが、特に地方区の定員のアンバランスの問題ということは申し上げてあります。これは定員を増すのかどうするかということは、審議会の答申を待ちませんと私ども何とも申し上げられません。ただ御参考に申し上げますと、これは参議院とか衆議院ではありませんが、東京都の都議会議員の定数につきましても、これは伏木さんのほうの公明党、社会党、民社党、共産党も自民党も入って、皆さんから私は御要望を一斉に受けて、今回の都議選挙に対して六名の定員を増したということもございますし、これはそのときの実情といろいろなことを勘案しまして定員を増すのかどうするかということに出てまいりますが、今日私の立場とすれば、いまどうします、してもらいたいとも言えないし、審議会の御審議を待つ。しかし、そういうこともあったということを御参考に申し上げておきます。
#69
○伏木委員 答申が出てこない前に大臣が御発言するということは困難かもしれませんが、ただいま申し上げたように、定数をいじらないか、あるいは少ないほらは二県、三県で一名、そうして人口の多いところへ回すか、または定数そのものを拡大するか、これ以外にはないわけなんです。定数を是正ずるということには、これはもう何回かこのアンバランスをなくします、定数は是正いたします、こういう答弁がある以上は、二、三県を一つの選挙区にするかまたは定数をふやす以外にない、こういうことになるわけです。定数を是正する場合はそういうこともあり得る、こう理解しておいてよろしいでしょうか。
#70
○野田国務大臣 伏木さん御存じのとおり、参議院は全国区と地方区とがあります。そのバランスもありますが、いまのアンバランスをどら是正していくかという場合に、私はやはり、意見の一つとして定員を増したほうがいいんじゃないかという意見が出てくる、いろいろな場合があり得ると思います。それはわれわれ決して拒否することもなければ、審議会の答申によって十分考慮していきたい、こう思っております。
#71
○伏木委員 けっこうです。
#72
○齋藤委員長 この際、暫時休憩いたします。
   午後零時四十二分休憩
     ――――◇―――――
  〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕
ソース: 国立国会図書館
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