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1949/05/19 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 在外同胞引揚問題に関する特別委員会 第27号
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1949/05/19 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 在外同胞引揚問題に関する特別委員会 第27号

#1
第005回国会 在外同胞引揚問題に関する特別委員会 第27号
昭和二十四年五月十九日(木曜日)
   午前十一時十分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○吉村隊事件
  ―――――――――――――
#2
○委員長(紅露みつ君) 只今より委員会を開会いたします。本日は吉村隊事件に関する調査報告書案を議題といたします。速記を止めて。
   午前十一時十一分速記中止
   ―――――・―――――
   午後五時十分速記開始
#3
○委員長(紅露みつ君) 速記を入れて。
#4
○草葉隆圓君 それでは昨日は一、二の点が討論を要するということでございました。從つて本案は全部委員長理事に一任ということになつておりますので、討論を要する一、二点という点を、討論を要求される方からおつしやつて頂いて、それに向つて討論を順序を立ててお願いいたしたいと思います。
#5
○委員長(紅露みつ君) 葉草委員の発言の通り、これが昨日の委員会の決定でございますので、その方針で、これから討論につき御希望のおありの方から順次発言を許すことにいたします。
#6
○星野芳樹君 北條君の案ですね、これは満場一致で決定する趣旨を盛つたと思うのです。そのときに、私は最後の点については聊か意見を述べて速記にとどめたい、それがなければこちらへ移れないということを申上げて、そうして速記を呼ぶことになつたのです。それで速記がついたので、私は最後のことについて一言申述べたい。
   〔「賛成と」呼ぶ者あり〕
#7
○委員長(紅露みつ君) 一應先程決まつたことでございますけれども、もう一遍更めてああいう御意見が出ております。
#8
○星野芳樹君 更めてじやないのです。その意見の前提の下に……
#9
○委員長(紅露みつ君) 一應決定したのです。
#10
○星野芳樹君 それに対して保留があるということを言つておるのです。
#11
○委員長(紅露みつ君) だから、それはおつしやつただけで、それに対する決定をしておりませんから、そう承知いたしましたとは申上げておりません。
#12
○星野芳樹君 委員長が抹殺しただけです。
#13
○委員長(紅露みつ君) そのときは、もう決定した後にあなたが御発言になつたのです。無茶をおつしやつちや困ります。そう横車を押しちや困ります。
#14
○星野芳樹君 そうすると、発言を許さないのですか。
#15
○委員長(紅露みつ君) 時間がありましたら……
#16
○北條秀一君 ここは寛大な氣持で各位に御了解を得たいのですが、今星野君の言われたように、一言で纏るというので、そう長い時間はかからないと思いますので、発言を許されたらどうかと思います。
#17
○矢野酉雄君 僕は絶対に反対する。理由が全然なつていない。委員長がはつきりといわゆる採決の方法によつて決定した後に、星野君自身は発言を求めて、その後に今のようなことを言われたので、私の生きておる耳は、委員長は、御意見として承つて置きますと、こう言つておる。何もそれに対する條件を承認していない。でありますから、一應今星野君が出しておりますから、皆さんにお諮り下さい。星野君の意見をどうしますかということを、折角ですから諮つて下さい。そうして決しましよう。
   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
#18
○委員長(紅露みつ君) それでは賛成がございますので、お諮りいたしますが、先程決定後お申出があつたので、御意見として伺つて置いたのでございますけれども、(「決定後じやない」と呼ぶ者あり)默つていて頂きます。折角の何でございますので、極く簡單にお済ましになるそうでありますから……
#19
○岡元義人君 そうではなくて、先程この案は一應このままお預けにして置いて、そうしてこちらに移るということをお諮りになつて決定したと、そのときに、星野委員から、この一番最後の方に自分は附加したいものがあるということでありましたから、この問題については、一應委員長から、聞いて置きますと、こういう工合になつて、これをやるということはすでに決定したのです。それで又元へ戻すと……、だから今の許すとか許さんとかいうことではない。その点は矢野委員から、そうであつたかどうか委員長はお聞きなさいというように御発言があつたのです。
#20
○矢野酉雄君 折角のことだから許しなさいというのではない。許せば、一事不再理の原則をこの委員会自体が無視するでしよう。それ程暴力的な一つの結論はない。一つの原則として、本会議も、委員会も、一事不再理の原則は根本原理ですから、それを更めて同じことを審議することは不都合である。併し折角の星野君の御発言であるから、どうしますかということをお諮り下さいと言つておる。
#21
○委員長(紅露みつ君) それでは只今お聞きの通りで、星野委員のお申出をお許しすべきかどうかという点ですが、委員の皆さんどうお考えでありますか、お諮りいたします。
   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
#22
○委員長(紅露みつ君) 反対の方の挙手を願います。
   〔「許さんかどうかというのですから賛成を」と呼ぶ者あり〕
#23
○委員長(紅露みつ君) それでは賛成の方の挙手を願います。
   〔「昨日決つたことを、そんなことを言う必要なし」「進行々々」と呼ぶ者あり〕
#24
○木下源吾君 どうも混乱しておるのですが、星野君が何を言うのか、我々は分らんのです。從つて、委員会を開いて発言を求められている以上は、外に支障がない以上許されたらどうか。(「支障がある」と呼ぶ者あり)今星野君が何を言うのか分らないのですから、やはり会議である以上、言うことを聞いて、内容によつては委員長の権限で差止められたらよいと、こう考えます。
#25
○矢野酉雄君 木下君は最前御承知にならないが、今発言を求めておられるのは、全部で委員会が決定をして、これは今取扱わないで、こちらの方を審議するということに確定したのです。そのとき御本人としてはその確定に御不服で、これをそういう決定をする前に最後に自分として附加すべきことがある、それは速記者を付けて僕は言いたいと、併しながら、そのときには一人の賛成者も何もなくて、委員長は、御意見として承つて置きますと、故に、最前決定しておるのを若しも発言を許したら、覆すことになるからして、それは今までの有機的連関をお考えになつて、ただそれだけをぽつこりお考えになれば御理由が立つようでありますけれども、そういう事情ですから、同じことを二度委員会が採決するということになると、これは根本的に民主的運営を委員会がみずから壞すことになるので、それで更めてこれと一緒になつたときに、どうするかというときに、星野君は正当な手続で発言を求められたら結構だろうと思う。これを無理に通そうとなさると、却つて御自身で全体の委員会の意思を無視するということになります。御本人としては正規にそういう御希望があつたでしようけれども、委員長はそれを諮つて御採決にも何もなつておりませんから、初めの採決は法的にも確実に成立しておるわけであります。でありますから、敢て二度の採決は……
#26
○木下源吾君 であるから、ここで御発言を許すか許さんかということを諮る必要はないことになります。それを我々に轉嫁せられることは非常に迷惑になりますから、委員長の権限でおやりになつて下さい。
#27
○委員長(紅露みつ君) それでは進行いたします。討論に入りますから、御希望の方はどうぞ。
#28
○星野芳樹君 議事進行について、この三十一頁の岡元案を審議する前に、私は一言申述べさして頂きたいと思うのですが、それは北條案の中にある、最後に國会、政府共に最善を盡して引揚げ完了に当らねばならんということがありまして、これは根本的には私は大いに賛成でありますが、常にこういうことがお決り文句として入られておる。ところが事実は國会も政府も最善を盡して引揚げ完了に当るというよりも、ときによつては最善を盡して引揚げを阻害するがごとき行動も今まであつたのであります。例えば政府がやつておる愛の運動なども、表面は……
#29
○委員長(紅露みつ君) 星野委員に申上げます。そういう穩やかでないことをおつしやるからいけないのです。そんな内容をお述べになつたり、そんな言葉を使つてはいけません。発言を禁止いたしますよ。
#30
○星野芳樹君 そういう意味において、單に引揚げをどんな方法でも最善を盡すというのではなく、本当に最善な方法を探求して引揚完了に盡くせという意味において賛成するので……
#31
○委員長(紅露みつ君) 勿論そうです。
#32
○星野芳樹君 今までの愛の運動等の、ああいうような方法を以てすることをもつとやつて呉れというのではないということを附加して、これに賛成するということを速記に留めて置くという意味で発言したのであります。
#33
○矢野酉雄君 してやられた。だから委員長は発言を禁止しなければいかん。(「議事進行」「議事進行とは違う」と呼ぶ者あり)
#34
○委員長(紅露みつ君) 進行も何もないですね。もう星野委員には発言を許すことができませんね。
#35
○星野芳樹君 発言を許さないならば、私は退席いたします。
#36
○委員長(紅露みつ君) 発言を許しません。もう結構です。
#37
○星野芳樹君 あなたの方が……、聞き置くとか何とかいつて発言させないならば……
#38
○委員長(紅露みつ君) 発言を禁止いたします。
 議事進行をいたします。討論に移ります。この箇所でございますけれども、二十七頁の、先程御承知の、「ここにも我が國民性の一偶に反省を加えなければならぬ点が存在すると思われる次第であります。」ここのところが討論の箇所になつておりました。どうぞ……
#39
○岡元義人君 これは提案者じやありませんけれども、勿論簡單なこの問題をばどうこうというわけではございませんが、別にこれを、若しこの字句に差支えがあるといたしますならば、これを全部削つてしまつても私は問題じやないと思います。で議事進行を図る上から、できますならばここをば、いろいろそういう疑議があり、いろいろ問題が多いといたしますならば、ここのところだけ削つてしまつてもいいということを私申上げて置きます。
#40
○矢野酉雄君 その動議を出したらいい。
#41
○北條秀一君 その点は明らかにして置きたいと考えるのでありますが、これは今までの議事進行を見ておりますと、この一点だけでなくして、全般に関係して來る問題であります。どうも議事の進行のし方に私は合理性を欠く点があると考えるのでありますが、この点について今後の運営に万全を期して頂きたいという希望を申上げまして、今の二十七頁のことはいかん。この点については次のように修正をすべきであるという意見を五月十五日の委員会に私は出したのであります。これは一度速記を取つた筈でありますが、もう一度申上げますと、以上の点より総合して考えると、指揮者の吉村隊長が旧態依然たる封建的旧軍隊秩序を維持していたことと、同時に隊員も亦これと同樣のものを持ち、隊長に屈從していたことが因となる果となつて本件のごとき事件となつたのであつて、我が國民として十分反省すべき点と考えるのであります。
#42
○矢野酉雄君 北條君それはどこかね。
#43
○北條秀一君 聞いて頂きたいのであります。二十七頁の最後の確か三行目だと思います。
#44
○矢野酉雄君 そうすると今岡元君が……
#45
○北條秀一君 発言いたしますから聞いて頂きたいと思います。二十七頁の最後から五行であります。ここにも我が國民性云々があります。これは原案は我が民族性となつておつたと私は思います。それをどういうのか知りませんが、國民性と直つております。
#46
○矢野酉雄君 直すと誰か言つたじやないか。
#47
○北條秀一君 先程申しましたようにかく修正すべきであると私は主張いたしまして、当時おられました十人の委員の方の御賛同を得たのであります。これの原案につきましては、この以後の結論の第一の点と、第二の点までは委員会が正式に成立しておりました、それ以後の委員会は正式に成立していないと先に認めた通りであります。先程要求がありましたので、以下二十七頁のところの点を私の見解を申上げて皆樣の御参考に供したいと思います。
#48
○矢野酉雄君 只今岡元委員から「ここにも」というところから削除してよろしいという修正の意見が出ましたが、僕もそれに賛成しますので、無理に無理を重ねたと結論をせざるを得ない、それだけで打切つてそれ以後全部三行を抹殺するということに賛意を表します。
#49
○委員長(紅露みつ君) お諮りいたします。岡元委員原案者からのここの問題のところ、我が國民性以下というところを削除してもよろしいという御意見が出まして、そして矢野委員から賛成がありましたが御異議ございませんか。
#50
○北條秀一君 異議あり。
#51
○木下源吾君 私はどこのところをどういうふうに修正するか、討論の問題はどこに集中されておるかは具体的には分りませんけれども、只今聞くところによりますと、二十七頁の部分のものを削つたからと言つても、これは全体の関連があるからして、余り意味をなさんと思うのでありますが、併しながらお委せした側でこれを削るというならこれはよろしう思うのであります。併し私はこの機会に私の考えを申上げて置きたいのは、一体この吉村隊事件を我々が調査する目的は、先程委員長が言われたところで明白であります。そこでこれを要約すると、今日まで從來吉村隊事件というものが極めてジャーナリステイックに扱われて、留守のものやら家族の人々が非常に不安を感じておつたというところが一点でありましよう。然らばこれはそういうように流布され、或いは報道されておるようなものであつたかなかつたかということのありのままの調査をされた点を明確にすべきであると私も考えるのであります。
 それからもう一つはこの帰還の促進ということでありますが、この点についてはなかなか直接この事件からこれに結付けるということは困難でありますけれどもだ、とも角にもああいう取調べをしておる間に、向うにおる人達は本当に皆んな帰りたいというようなこのことがその事件の中から明瞭になつたらば、そういうことをどうにかせにやなるまいと私は思うことと、更に現在残つておる人々は何か向うの法律で罰を受けておるような人々、そういう人々のために、又帰られないというような点があるのかどうかというようなこともこれは明らかにすべきだと思うのであります。尚又向うへ行つて捕虜になつておる人達は、向うの國策によつてこれは帰されないでおるのか、或いは捕虜として徴用されておるのであるかというようなことも、この調査事件の中から我々は事実を何らかのもので抜き出すことができるならば、そういうことが事実としてこの中に今度の中に報告といいますか、結論の中に明らかにできればしたいと思うのであります。これらのことはすべてが主観とか批判でなく、事実ありのままに、そういうことの質問があつたならば、こういう質問があつたのに対して、どういうふうに誰が答えた。それはもう細々しく三日間のようなことでなく、今のようなことに重点をおいて、そうすればこれは誰しも御異議がない筈であります。ところがややともすれば主観からこの問題を取上げて、いろいろにやるということになりますから、ここで議論が多くなると思うのであります。併し私は諸君の努力によつてでき上つておるところのこの報告書に、何も文句をつける者ではありませんけれども、希くは委員長の報告書を御覧になつても分り通り、どの委員がどのように聽いて、こういうふうに政府が答えたというようなことが報告にあるのであります。それで私はそういうような体裁でいい、ただ併しながらその取上げる事件がこれは不必要である、この必要のウエイトが多いというようなことは、ここで研究せらるべき問題であろうと思いますけれども、とに角にもいろいろのむずかしいことも要らんし、主観でこれを非難することも何もいらんと思います。さように今後纏め上げられる機会があるならば、是非そういうように一つお願いしたい。何頁のどの部分がどうだと言つても、一貫して貫かれておる、表現の主観的なつまり部分はどうしても拭い去ることはできないのでありまして、そういうように今後御修正になるなり、いろいろの機会があるならば、私の意見も取上げて頂きたいと、かように考えております。
#52
○岡元義人君 木下委員に申上げておきますが、この原稿は、非常に慌てまして、これは誰々の証言、誰々の証言、何月何日の何ということは原稿にはそのままつけて書いてありますが、これに書いてないので誤解を受けたのだと思いますが、これは委員長が纏める時の原稿には全部証言、即ち誰々の証言ということは書いてございます。
#53
○木下源吾君 幸いに起案者がそういうような用意をしておられるというのでありますから、私は細かく全部書いて呉れというのではありません。只今申上げるように、非常に世間にショックを與えて、不安を與えておる点がある。証言一つでこれが取除かれるというようなことがあるならば、これは書いて貰いたいと思いますが、それが事実であるならばそれは事実であるという表現でこれはよろしいと思います。ですからこの問題の項目の、つまり取上げ方については、これは不必要だ、これは重要視しなければならんというようなことは、これは皆さんで御討議が必要だと思うのであります。そういう意味であります。
#54
○矢野酉雄君 木下君の御意見は、それは今も欲しいのでありますが、前も欲しかつた。殆んどおつしやるようなことはですね。恐らく全委員が考えて、帰還促進をやろうというような初めの御希望も、初めから殆んど全部その態度に即應された。ただ事件を見る見方の根本観念が非常に違つておる人がそれぞれあるものですから、そこで同じ事実を見るのにも、私が見る見方と、他の方が見る見方が違いますから、そのことは仕方がないわけですから、恐らくあなたの御意見の幾つかの條件を十分これは檢討いたしまして、大体御趣旨に副うように僕達を微力を盡して來たつもりであります。
#55
○委員長(紅露みつ君) それでは先程これをお諮りしておつたのでございまするが、「我が國民性の一偶に」と只今木下委員からも御意見がありましたが、(「御賛成であつた」と呼ぶ者あり)ですからこれは取ることにいたしましよう。
#56
○北條秀一君 速記を止めて下さい。
#57
○委員長(紅露みつ君) 速記を止めて。
   〔速記中止〕
#58
○委員長(紅露みつ君) 速記を入れて下さい。改めてお諮りいたしますが、ここのところを削除いたしましようか。削除することに御異議はございませんか。
#59
○北條秀一君 定足数がない。(星野芳樹君「定足数がなければ止めようじやないか」と述ぶ)
#60
○矢野酉雄君 委員長適当に……。(星野芳樹君「定足数がなくて、一方的意見では駄目だ」と述ぶ)
#61
○委員長(紅露みつ君) じや十分程休憩いたします。
   午後五時三十七分休憩
   ―――――・―――――
   午後五時五十四分開会
#62
○委員長(紅露みつ君) それでは再開いたします。
#63
○北條秀一君 五月十五日の委員会におきまして、正式に委員会が成立して、十人の委員が原案を朗読を聞いて、それを修正しました際に、この二十七頁の「ここに」以下だけにつきましては、これは討論の形で、速記を附けてやろう、こういうことであつたのであります。勿論他の修正すべき個所にも速記を附けて討議すべきでありますけれども、それらの点については各委員の御承解を得て、その点だけにしよう、そうして目的を早く片附けるために、そういう便法を取つたのであります。でありますから先程私は修正案を申しましたように、あの通りにやつて行くことが正しい行き方であると、私はそう考えます。それを御採択願えればよいと思います。あの個所についてですよ。
#64
○木下源吾君 それは別として、先程からの私の何に引続いてちよつと関連して申上げます。それは、それでは何案といわれる大きい方のつまり案が決定しておるものならば、あとはこれを附けるか附加えなかつたという問題が残つて、附けるということになつたのでありますのであれば、先のものには決定しておるものを何もかれこれするという必要はないと私は考えるのですが、その点はどういうことになつたおるのですか。
#65
○矢野酉雄君 それは最前北條君からもお話があつて、二十七頁の「ここにも」というところがこの機会に問題になるように話を進められておる。ところが岡元君からこの修正の意見が出て、「ここにも我が國民性の一遇に」というところから最後の「次第であります」までは、これを削除した修正案が出たので、矢野がこれに賛成して、草葉君も賛成したわけです。だからこれをお諮りになりさえすればよいわけです。
#66
○木下源吾君 そうすると、今の修正の点は正式に委員会から委託を受けたその権限でおやりになつたことを、ここに御報告なさつておると了解していいのですか。
#67
○岡元義人君 そこに間違いがあるようです。こちらの方の問題については修正と、それから又中に挿入するところがあるのです。そういうもの一切を委員長、理事に昨日委員会で委してしまう。委せつ切りなんです。ということに決定しておる。但し一点だけは、この点だけは討論をするということが残してある。この一つだけは條件があつた。外のことは全部委員長、理事に一任されているわけです。
#68
○木下源吾君 外の問題は無條件に委員長、理事に一任して、委員長、理事の決定通り委員会は異議ないものと了解してよろしいですか。
#69
○委員長(紅露みつ君) 結局はそういうことになりますけれども、これは初めに全部の委員が疑問のところにチェックしまして、そうしてその委員の御意思のように、協議して委員会で直しました。そういう関係もございますので、あとはもうそうむずかしい場所がないものと、こうみなして今おつしやるように理事と委員長に一任されたと、こういうわけなんでございます。
#70
○木下源吾君 異議があるかないかということをお考えになることは別といたしまして、この委員会で、この部分以外は委員長、理事に一任して、もう委員会に諮る必要がない、委せられた、こういうように了解して差支ありませんか。
#71
○委員長(紅露みつ君) そうです。
#72
○木下源吾君 それでは、この最後の部分を討論してと言いますが、一体理事会においてはその部分はどういうような取計らいが、審議がされたのか、その点を一つ御報告を願います。
#73
○岡元義人君 これはそういう工合に、討論すると思いますから、いじらずに、これがここに問題となつておるわけであります。それから私が先程申上げましたのは、この問題は三十頁の一番最後の行のところに同じようなことが書いてございますから、ここではもう削除してもいいのではないかということを提案したわけなんです。
#74
○木下源吾君 今、委員長並びに岡元君のお話を聞けば、その点をここで論議すればそれでもう問題はない、こういうことになつておるのでありますか。
#75
○委員長(紅露みつ君) そうです。
#76
○木下源吾君 それでは今の論議の焦点になつておるところを削除するということで、皆異議がないということに決定すればいいわけなんですね。そういうふうにお取計らい願います。(星野芳樹君「定足数に足りないですよ」と述ぶ)
#77
○岡元義人君 取敢えず先程からの議事を進めて頂きます。(星野芳樹君「私がさつきから委員長々々々と発言を求めてもちつとも返事をしないで、岡元君がちよつと言えば直ぐそういう方向に議事を持つて行く、定足数が足りないのにそんな勝手な会議はないです。」と述ぶ)
#78
○委員長(紅露みつ君) 星野委員に申上げますが、これは問題が変つて來ましたから発言を許しますが、併しあなたそんなにかさにかかつて來るということはどういうわけですか。そんなにかさにかからなくたつていいじやありませんか。そういうことを言い始めれば切りがないから、あなたのように秩序を紊してそこで平然として……
#79
○星野芳樹君 ちつとも秩序を紊してなんかいませんよ。理事会における……
#80
○委員長(紅露みつ君) 秩序を紊しているじやありませんか。この委員会が決定した後においてあなたは……(「決定じやない」と呼ぶ者のあり)あなたの言い分は伺つておらないが、併し……
#81
○矢野酉雄君 委員長済んだことはもういいじやないですか。
#82
○委員長(紅露みつ君) 済んだことだから、これでも置きますが、あなた良心に少しお問いなさい。委員長が女だと思つて失礼な、何ですか。もつと強い線にかかつて御覧なさい。何ですか、委員長、委員長と言つて秩序を紊して……
#83
○星野芳樹君 併し委員長が私に発言を許さないから……
#84
○委員長(紅露みつ君) あなたに改めて定足数に足りないことですから発言を許しましよう。(笑声)
#85
○星野芳樹君 定足数が足りないですがどういたしましようか。(笑声)
#86
○委員長(紅露みつ君) それは先程了解があるでしよう。そういうこと自体があなた秩序を紊すものでしよう。これは習慣上皆さんに御了解を願つて、そうして一應皆さんが御承諾下さつたのでしよう。あなた一人が、そういうことを言われるのは……
#87
○星野芳樹君 定足数が満たないのなら、委員長が公平なる運用をなさり、出席してない委員の了解を求めるのが原則になつておる、ところが委員長がこのような問題になつておつたということに……
#88
○委員長(紅露みつ君) 問題について発言して頂きましよう。
#89
○星野芳樹君 木下委員に説明いたしますけれども、このいわゆる三十一頁のあれですね。これのきさつはこれで惡いところをチエツクして、これの討議は終えた。併しまだ附加するとも附加してないとも、理事会に付託されたと同所に理事会を開催しても、なぜか岡元委員などは出られない、その結果附加するという問題はまだ何ら決定していないので、これは決定ばかりでなくただ原案として……
#90
○委員長(紅露みつ君) 星野委員に申上げます。今お諮りしようとしておりますから……
#91
○木下源吾君 重大な発言をいたします。この問題が随分長い間かかつておりますが、私は自己のためにしばしば欠席しておるということは非常に慚愧に堪えないのですが、とにかくこの問題がこういうようなことで揉めてごたごだやつておるために、もう外の方では特別委員会を廃止しようじやないかというような声が起つて來ておるのであります。実に委員会は外部的には自分達の殼の中で、お互いがやつておるだけで、外の方を見ないということがあつては、これは誠に我々遺憾の結果を來すと思うのであります。でありますから我々は、お話の通り委員長は御婦人であるしそうして不慣れな点もあります故に、できるだけ御協力を申上げてこの委員会の運用がうまく行くように考えておりますけれども、併しながら結果から見てこの委員会の運営についで皆でどういうようにやるということについては、これは委員長みずからも一つ十分反省して頂かなければならんと私は考えます。今のようなこの状態が続くならば、この委員会がみずからの基礎をなくしてしまう、かように私は考えますので、委員長はその点十分御留意願つて、帰還促進のためにもつと御盡力を願いたい。かように考えます。
#92
○委員長(紅露みつ君) 御忠言有難うございました。
#93
○草葉隆圓君 議事進行について発言したいと存じます。若き國民の云々のことが、これを討論の対象にしよう、一方においては決定した、削除していいという動議が出ております。私も削除に賛成いたしますが、ただこの一点に討論を集中したというのは、恐らくこの討論を希望せられる方が、この一点において、この吉村隊についての問題を論じようとされるのであろうと存じまして、この討論の一点を時間を切つて私共は実は賛成いたしたのであります。この文から言いますと、削除して結構でありますが、そういう意味において討論の要がありますならば、討論をなさつて、そうして終結されることの動議を提出いたします。さようにお願い申上げます。
#94
○委員長(紅露みつ君) 動議についてお諮りしておつたのでありますが、只今草葉委員から新らしい御提案が出まして、やはりこれは討論をした方がいいではないかという御意見が出ておりますので……
#95
○矢野酉雄君 その御意見は一應御尤もでありますが、これを削除するというこれの修正の意見を出して、そうして矢野も賛成し動議も成立しておりますから、成立する資格を持つておりますので、そうしてこれは又理事及び委員長に全部お委せすることに決定しておりますので……、特に星野君のごときは理事であり、又理事委員長代議には希望者はこれに参加せしめ、十分討論をさせていいというふうにして、そこはそう改訂して、これは一応動議は成立しておるのでお諮りをお願いいたします。
#96
○委員長(紅露みつ君) それじやお諮りいたします。二十七頁のおしまいから五行目、この三行につきまして、削除することに賛成の委員の挙手を願います。
   〔挙手者多数〕
#97
○委員長(紅露みつ君) それじや多数でございますから、削除することに決定いたしました。
#98
○矢野酉雄君 最前の木下委員の意見は、木下君御自身に対する御内省の言葉と承知し、又僕みずからの言葉としても頂載しますが、そういう氣持で誰でもやつておるつもりですが、委員長のみならず、お互い大いに反省しなければならん。そこで昨日の決定のごとく大変御苦労でありますが、委員長及び理事諸君、更に希望者の方は、御意見を出したい方々は、愼重にその会合にお出でになつて、一つ十分御討議下さいまして、そうして結論を出して頂きたいと私は要請を申上げます。どうぞその際に、結局北條君などもやつて呉れましたのもどういうふうに取扱うか、よく御相談を願いたいと思います。
#99
○草葉隆圓君 委員長、理事に御一任になりましたので、報告の内容、それから報告の方法、報告の文章、そういうのは一切委員長並びに理事に御一任願えますかという点を、改めてお諮りを願います。
#100
○木下源吾君 從來本委員会は特別の性格を持つておる故に、余り定規にはまつたようなことがなされなかつたような嫌いがありますが、併しながらこのような結末にまでになつておるのでありますから、私はやはり愼重におやりを願いたいと考える点は、我々が理事、委員長その他に御一任することは、我々のこの会議の中におけるところの意見、希望、そういう点、意思が十分にそこに反映されなければならないということであります。これを無視してはいつまで経つてもこの運営はうまく行かんと考えます。是非この委員会において、或いは反対もあろうし、或いは不満もあろうし、そういう点をも十分に委された諸君の方では参酌せられ、そうしておやりを願いたいとかように考えます。
#101
○細川嘉六君 今委員会及び理事に委されるということであるが、委された後はどうなるのですか。委された後はどういうことになるのですか。
#102
○委員長(紅露みつ君) それはこれから又理事、委員長でもつて懇談をいたしまして、よく取決めます。
#103
○細川嘉六君 取決めた後どうなるのですか。案ができるでしよう。そうすると、それはどういうことになるのです。
#104
○委員長(紅露みつ君) それは一應又お諮りすることになるでしよう。
#105
○岡元義人君 細川委員の申出は、それは少数意見は別に出されればいいわけです。
#106
○細川嘉六君 ここでこの全体について討論する機会がないのですか。與えられていないのですか。私は今まで與えられたもんとして残つておるんですがね。
#107
○委員長(紅露みつ君) 併しこれが削除されましたし、自然これは消滅してしまつたわけでございますので、どうぞさよう御承知下さい。
#108
○北條秀一君 私はこの議事の運営が、昨日決めたことを今日又むし返してやつたり、行きつ戻りつしておりますから、非常に混乱して來ておると考えます。ですから、理事諸君にお委せした、昨日多数決でお委せしたんですから、お委せした方はそれはそれで処理をして頂きたい。それから昨日理事において諮つてそうして原案を今日の委員会に持ち出すという別の小さい方の案、その案の始末をどうするかということを、今日は新らしい問題として決めて置く必要があるので、そうして頂けば今日はそれで済むと思います。
#109
○木下源吾君 昨日の委員会ではそれをも含めておると私は了解しておつたのですが……。而も委員長、理事というのは、委員長の資格、理事の資格ではなく、これはその結果からして細川君も入つて頂くというようなことで、これは小委員会であります。でこの小委員会にはやはり速記を附けられて堂堂と一つ論議をして貰つて、そうしておやり下さつた方がいいと、私は昨日のはそう考えております。私共が小委員会にお委せして、又この委員会で繰返していろいろなことをやるというならば、むしろお委せしないで我々はやるものでありますけれども、お委せしたゆえんのものはそういうように了解しておるので、是非そういうように一つおやりを願いたいと思います。
#110
○委員長(紅露みつ君) 速記を止めて……
   午後六時十六分速記中止
   ―――――・―――――
   午後六時三十八分速記開始
#111
○委員長(紅露みつ君) それでは速記を始めて下さい。昨日の委員会の決定に基いて理事会において檢討の案に対して討論を願います。
#112
○細川嘉六君 私は原案に対して根本的な反対をなさなければならないのであります。というのは、第一にはこの報告書は表現を不当な取扱いをやつております。第二に小林証人が二十一年の一月から二十二年五月の給與状態について、二十一年一月、二月の三〇%から三月から七〇%乃至八〇%或いは一〇〇%に改善されたことを述べておりますがる、そのことはこの提出されておる報告書十一頁に出ております。この後に続いてすぐに阿部証人が吉村隊に轉入して石切作業に参加して、そうして吉村隊の給與の極惡状態について、「轉んでいる煉瓦一つが」云々と述べているところを速記されておるのでありますが、そうするとこの阿部証人が吉村隊に入つたのは二十二年のことでありますから、年代が違つておるものであります。年代の違つておるものを二つ合して記述されておる、それが一つの例であります。それから提出された報告書十八頁から十九頁においては吉村隊の特殊な極惡な管理の状態について書いてある、これが外蒙各收容所の状態であると記述しておるのであります。そこには「外蒙側には俘虜に関する最高の統轄機関の下に作業監督、」云々と述べられております。吉村隊は外蒙においても特殊な部隊であります。特殊な状態を現わした部隊でありまして、そのことを一般化して蒙古全体のことに見ております。これは取扱が非常に不当であります。こういうようなことについては更にこの報告書から幾らも引けるのでありまするが、証言の扱いが惡い。でありまするから議論を立てて行くのに誠に無理な手段をとつております。それでありまするから正当な事実に即した正当な結論には達し得ない。何か予想されたる考え方を以て証言を取扱つておるということになつて來ております。それについては更に具体的なことを申しましよう。第一にこの報告書の起草者は作業のノルマと給與のノルマについて正当な理解を持つていない、作業のノルマの完遂は給與ノルマを伴つております。併しながら作業のノルマが天候或いは予定外な困難等のためにできなかつたという正当な理由がある場合には、完遂ができなくても給與ノルマが支給される。これがノルマ設定の原則であります。それにも拘わらず、報告書十三頁には「同胞に課せられましたる作業量の増減は概ね給養の増減と平行致して居るのでありますが」云々と言つて、作業と食糧とはその増減の関係が関連しておるもののように書いてあります。それで長谷川証人が十二日に述べた速記録の十一頁には「作業量によつて食糧が不足になるということはありませんでした。」こう言つております。これは正当な理由を附せれば作業の遂行においてそれが十分でない場合にも食糧は得られるというのであります。このことはノルマと給與に関しての報告書における考え方というものは間違つておるのであります。更にこの報告書には十五頁、「当時」、これはこの文章のあるところから察すると、昭和二十二年のことと思いまするが、「外蒙の各收容所におきましてはこの慢性的飢餓状態を救う一手段と致しまして與えられました基準作業量の遂行以外に特別に報酬を支拂われますところの諸作業による賃金の獲得或は作業基準量の超過による給食量の増加によらんと致して居るのでありますが」、これは必ずしも作業ノルマを遂行しておれば何も作業以外の特別の作業に加わつてノルマ以上のことをやらなくちやならんというような事柄ではないのを、こういうように述べておるのであります。それは簡單にして置きまして、こういうようなことを書いて、如何にも食糧に困窮しておつたような状態をこの報告書は述べておるのであります。速記録十三日第八頁、それによりますと、原田証人は、他の收容所では多くの部遂長は超過ノルマ、それは蒙古人の收容所長あたりが單独で課した場合のことでありまするが、これを拒絶したがために投獄された人が多いと述べておる。「吉村隊におきましてはいわゆる蒙古側末端部の独断による超過ノルマは勿論快諾しております。尚その外に」云々と「自ら進んでノルマの超過を申出て、これを許可をして兵隊に申渡した。」と、こういうふうな実情を述べておるのであります。それから阿部証人は十四日の速記録の十頁にこう述べております。そんなにノルマが強化されなければならないということは、他の工場においてはなかつたのであります。できないときは止むを得んとみなされたときは何ら処罰がされなかつたのである。だからこれはノルマ以外の作業をやるとか、或いは超過ノルマをやるとかいうことは、池田隊長のなしたことであつて、独断的になしたところであつて、他の作業場にないことである。それにも拘わらず、報告書はそれは止むを得ないことである、同情すべきことであるよう述べられておるのであります。更にこの報告書では、蒙古の收容所というものは一般的に組織が惡い、それで困難したということが述べられておるのであります。併しこれは吉村隊について言われることであつて、他の隊にはそういうことは証言に出ていないのであります。吉村隊におきましても、そういう内部がごたごたしておつたからと言いますが、証言には十分に出てないのであります。若しごたごたしておつたとすれば、それは隊長がそれらの各收容所の組織について、收容所の所長との間に十分な提携がなかつた、盡力するところがなかつたというところから來ておるのであります。それから第三の例としまして、吉村隊は軍人、軍属、それ以外の民間人が集まつておつて、非常に混雜した統制の取れない隊であつた、それがために吉村隊長も苦労したろう、そういうようなことが述べられております。併しこの点においても、これは吉村隊長の立場を報告者が庇つておるものである。入蒙当時長谷川隊長は部下に対して、身体まで毀して作業することはない。それでとかく職場では兵隊と蒙古人とが衝突しておつた。その際疲れたときは彼らを犬畜生と思えば腹の立つことも我慢ができると言つて部下に言うておつたというようなことが十二日の速記録八ページか六ページのところかにありますが、併しながら長谷川部隊は作業能率が上らなくつて蒙古側から指揮を受けたものではないということを長谷川隊長は証言の中で述べております。「自分の部下は吉村の部下に比べて作業能率という点では絶対に負けておりませんでした。」長谷川の証言であります。それに対し池田隊長、即ち吉村隊長は、先ず第一に考えなくちやならんのは、まじめに仕事をやつて收容所長の同情を得ることではなかろうか。二番目は、作業をまじめにやつて、日本人をソ連人の方或いは蒙古人の方或いは一般の方の信用を得ることではないかと述べております。十二日の速記録の十五ページ、こういうことを言つて、先ずこれは日本人へは早く帰れないのだから何とかして自分の立場を得ようというように努めております。それは自分だけのことでなしに隊全体のことのように述べております。これに対して長谷川隊長は、我々は捕虜の身であるから、又ソ連は捕虜である我々を飢えで死なせることもないからという考えから、先程申したような態度をしておつた。この二つの方針の間で多少の困難があつたと思われます。若し部隊内に困難があつたとすれば混成隊であつたがためでなしに、こういう部隊長間の方針の対立、そこからごたごたが起きておると言わなければならんのであります。そういうような三つの点について述べましたが、これらの点について報告書は池田の、即ち吉村隊長の今日の地位というものを庇つているようなことが報告書に述べられておるのであります。これはどういうわけであるか、冷靜にこの事件を考察し判定すべきことがいいんだが、こういう態度をとつておられるのは解しかねることである。この報告ではこの事件が起つた客観的諸條件、即ち惡條件を評價すると言つて述べられておると同時に、今申すような色をつけて述べておるのであります。今申したようなこと、簡單に今申したわけでありますが、外蒙との関係においてどういうことになるか、外蒙との関係において事実に即しないこれらの点を挙げておられるのだから、外蒙を非難するということになります。外蒙政府は困難な、殊に終戰後三年そこら、食糧その他において困難をしておる、それにも拘わらず、今申したような作業所とか、給與とか、そういう原則を守ることに努めておつた、その他先程申しました二つの点から見まして、こういう非難をされるということは外蒙に対して、これは誹謗するということとなります。委員会においては吉村隊長があれ程のことをやつたことについては、外蒙がやらせたんじやないか、更にソ連がやらせたんじやないかというような疑いから、いろいろ調べられたんでありますが、結局ソ連は吉村隊長に何も命じていないていうことははつきりしておる。外蒙については一部は命令である、他の一部は吉村隊長のやつたことだというように証言がありましたが、それについても報告書には一部と一部と命令について比較しておつて本当のことは明らかにされていない。併しながら吉村隊長は四十一名の者を蒙古側の指図によつて処罰しておる。これは池田隊長が述べておることで分りますが、併し他の証人達は百数十名の者が処罰されておると言つて証言は食違つておりまするが、この数を対比して見まするというと、報告書が一部と一部と対比してけりをつけておるが、これは吉村隊長の処罰は蒙古側の指図によつてなされた処罰よりも、何倍ものものをやつておるということが考えられるのであります。そういうことははつきり出ていないのであります。それで原田証人の証言によりますと、十三日の速記録第八ページ、蒙古側の方針は戰勝國の利害関係のある犯罪を犯した場合、例えば逃亡とか、窃盗とか、そういうような場合には隊長に命じて処罰させるが、收容所内におけるいわゆる日本人同士の間における問題は、一切不干渉主義をとつていたということを述べております。事実收容所内のことは、その他の阿部証人の陳述を見ましても、日本人に委せてあつたものであります。これは他の蒙古の收容所においても同樣なことだということは、他の証人によつても証言されております。でこういうところから見ましても、外蒙の收容所、吉村隊の事件で問題になつておるその收容所においても、今申した幾つかの場合を除いては、全く日本人の自治に委かされておつたということがはつきりしております。報告書には外蒙のような遠いところでは、俘虜の管理は不完全であるということを指摘されておりまするが、隊内の生活については全く日本人委せであるという、この自由は私は日本人が他の俘虜を扱かつた場合、どうであろうかと考えますと、非常に進歩したものであると思うのであります。民主主義的な原則が、この隊内に行われておると思うのであります。でこの吉村隊の事件については、兵隊に対する処罰というものについては、隊長が非常に強暴な独裁力を振つて行つたと言わなければならないのでありますが、簡單に申しますが、速記録十四日の十一ページから十二の間に原田証人が述べておることがあります。一つの例を申しましよう。モチョグに替つてバズルスルンが收容所長となつて來たときに、処罰については吉村氏に委せるが、その処罰の場合には事前に必ず收容所長のところに報告しろという條件を附けております。私は当初は吉村氏の命を受けて、このことを毎晩事前に收容所長に報告しました云々と書いてあります。更にこの吉村隊長の処罰することが段々激しくなるというと、なつた頃のことでありますが、その約束と反対に報告しておらん。原田氏の言葉を見て見ますと、尚確か二十二年の一月だつたと思いますが、夜十二時頃收容所長が余りに刑罰が続くので、わざわざ私を連れて各現場を見廻りに來ました。蒙古側の警備隊の日直に当つております下士官が、前後四回に亘りまして夜中に私を起しに來ております云々と述べております。それで蒙古側からこの処罰が激しいので、起して注意して行こというふうに激しく注意するものですから、結局こういうことになつた來た。これは原田氏の言ですが、併し或る場合には非常にうるさく、夜中の二時、三時という頃に蒙古の歩哨がそれを言つて來ましたので、うるさがつて云々と、日本人が日本人を処分するのであるから仮に生命にどういうことがあろうとも、決してあなた方に迷惑は掛けないと、だから放つて置いと呉れということを答えたということを言うております。そういうようにして吉村隊長はその隊に対しては強い、殆んどこれは強いという言葉では十分でない独裁力を以て隊員を処罰して來た。指揮して來たということは爭われないことであります。如何にこの事件が沢山の犠牲者を出したか。その数字のことについて私はここに詳しく述べませんが、この報告書に不思議に落ちていることがあります。これは証人――医者の方の証人の酒井証人か、一方は高橋証人か、その証人の証言を採用するに当つて酒井証人の方に引用されて使われておることと思いますが、高橋証人によりますと、入院者約三百名、これは吉村隊から運ばれた入院患者であります。それが主として重体患者であつたと述べておる。更にそのうち死亡者は五十名から百名の間の者が死んでおるということが述べてある。更に吉村隊から死体が搬入されたものが四十体、半分は凍死ということを記述しております。それで報告書は二十二ページ屋外留置のため凍死したものは、はつきりしたものは二名程、作業場における殴打致死は三名、こういうふうになつておりますが、このあたりの記述もこれは両者を比較してなさなければならないと思いますが、いずれかというと吉村隊長の今日の立場に比較しておるのでありますが、こういう比較が取られておらんのであります。そこで問題はこの事件の本当の核心はどこにあるかについて話を進めましよう。私はこの報告書が今申したように、いろいろ客観的な惡條件を並べて、吉村氏の地位を軽く、吉村氏のこの大それたことをやつた……、私から見れば大それたことであると思のでありますが、やつたことを軽く評價して來ております。件し吉村氏はこの証言で日本人は近い時期には帰れないのだから、外蒙人の、或いはソ連人の信用を得なけりやならん、そうすることによつて早く帰れるようなことになるというようなことを申しておりまするが、それは表面のことであつて、実は憲兵隊の者であり、憲兵隊であるということが吉村氏に非常に深い恐怖心を起さしております。ここから問題が起きて來るのであると言わなけりやなりません。承徳で編成替のときに、これは池田証人の言葉でありまするが、「当時の特務機関長齋藤中佐殿が身分を隠すようにと言われまして」云々と、速記録第一日の十二ページに述べてあります。それから又承徳での取調べの際、こういうことも述べております。次いで更にこういうふうにして述べております。「私は最初のときは歩兵伍長で通しておりました。」翌る日今度は歩兵曹長に変えました。電氣を通じて取調べてを受けました。それから二回に亘つてやはり曹長で通していた、こういうふうに述べております。十二日の速記録十六ページ、それが蒙古でばれ、憲兵隊の者であるということがばれたことについて池田氏はこういうように証言をしております。二十一年八月の三日だつたと思います。調べたのはバッタ大佐云々というようなのに、君はとにかく隠しておることがあるからと言つて、そこでピストルを出して、本心を言わなければ殺すからと言われました。十三日の速記録三ページであります。でこの発覚について原田証人はこう述べております。憲兵であることが発覚した場合に重労働或いは銃殺或いはモスクワ送りというようなことが一應デマとなつて乱れ飛びましたけれども、事実においてはそういうことはありませんでした云々、これは見えざる影におののいたというのが吉村氏の自白の心境であつたと思います。十三日の速記録九ページ、この自分が憲兵である前身がばれたときの心配は相当深刻なものであつたということを認めなければなりません。それが元でここに起きたことは恐ろしいスパイ網であります。スパイ網を收容所内に作つたことである。これは憲兵的な警察的なスパイ網といつたものではないが、とにかく理想的なものを作つたということはできるのであります。池田氏がなかなかこれは巧みな作り方をしております。その例を引きましよう。鎌谷証人はこういうように証言しております。吉村隊のいわゆる吉村氏の方針に盲從しておつた者、これが各職場の専從者であります。それから吉村氏の眼となり耳となる者の横の連絡は全然なつておらず、羊毛工場の誰それと全部自分が、吉村氏自身がつ握ておつたわけであります。横の連絡を與えないで縱の連絡ですべて握つておつたということは、これは今申したような並大抵ではないスパイ網を作つておつたということであります。笠原証人はこう述べております。これはその話しておることが直ぐ吉村隊長の身に入つてしまうという状態でありまして、そのスパイ網というものは各班内に拡がつておりました。それに極度の個人主義、自分だけしか信用できないというような状態に置かれたのであります。十三日の速記録十二ページであります。更に如何に隊員がおののいていたかということについて酒井幸次証人はこう述ベております。勿論私共の周囲は誰がスパイやら隣に寢ておる戰友がスパイであるか、そのスパイ網の巧妙さにおいては実に巧妙なものがありました。誰がスパイであるということは実に分らなかつたのであります。若しもやつつけるなら一千名おる場合なら一千名、自分の命と取換えなければならない状態であつたのであります。やるなら自分一人でやるより方法がなかつたと述べておるのであります。十四日速記録十五ページ。この池田氏の自分の地位が如何に苦してものであつたか、これは報告書には少しも出ていない。池田隊長が如何に残忍なことを隊員にやつたか、処罰において、作業の命令において、その他においてやつたかということの秘密は、ここにあります。それがこの……。(「進行進行」と呼ぶ者あり)で私はこの報告書が如何にも甘く、吉村隊長に同情しておるかは不思議でなりません。同情すべきものは同情したがいいが、そういう筋合のものでないのに、事実を曲げて同情するというのは、何かの意味がないと言えるか。でこの吉村隊長の残虐なやり方については、実際その周囲の者は、一緒に生活しておつた者は恐れおののいて、どうとも手が出せなかつたのであるが、それが國へ帰つて來て、初めて声を出して、こういう問題を提起して来るということに深い意味があるわけであります。大体この日本人というものは、正義感というものを大分失つて來ております。そうしてなかなか起ち上るという力を欠いておるのでありますが、これが今度こそこの問題を取上げて、起たねばならんという氣持になつたということは、例えば小峰証人が言うておるがごとく、阿部証人が言つておるがごとく、如何に残虐な生活を体驗して來たか、見て來たか、その状態が如何にひどいものであつたかということを表明しておると言わなければなりません。報告書は併しながら今私が述べたようには問題の核心を衝いておりません。報告書十四ページには、生きるためには隊長を初め下に至るまで盗みをいたしましたと告白しておりますごとく云々收容後間もなく慢性的な飢餓状態から心身に頽廃の兆しを示しておりましたことは、私共といたしまして看過することのできない点であります。こう述べられております。更にこういう弁護の言葉は他にも見受けるのでありまして、これは一つの例であります。それから、勿論大きな責任を負わされ、而も自分捕虜の身分である隊長として、かかる状況の下に如何に処するか、確かにその困難なる実情については同情すべきでありますが、隊長として至らなかつたことは明らかであります。報告書二十四ページから二十七ページであります。それから吉村隊の統率、部隊管理の実情は、一にも二にも作業の完隊を重視し……外蒙側の要求を充たすに汲々たるのみならず、ときとしては不当なる要求量の上に増加して隊員に課する結果ともなり、隊員に大なる苦痛を與え、その頽廃を招くこととなつたと認めざるを得ないのであります。かかる結果となりました原因の一つとして、隊長個人の性格によりますことはもとより云々、指揮の幼稚なりしことは勿論、その地位に立つべき力なき者が無理にその地位を保持せんとしてみずからの背景として外蒙則の威勢を借りつつ無理に無理を重ねた結果と言わざるを得ない次第でありますというような述べ方をして、本当に吉村隊長なる者を動かしておつた。今私は核心と言いましたが、その核心を外して一方或る程度責め、そうしてそれに同情し、ちやんぽんにこう書いておるのであります。この吉村隊長が同じ日本國民に対して、こういうスパイ制度を取り、それからこれは述べますまいが、超過ノルマだとか、ノルマ作業以外の作業だとか、そういうようなことで兵隊に稼がせた、金はいろいろまあ弁解もされておりますが、それを独裁的に使つて來ておる、本当に隊の者を思うならば、こんなことがやる得るものではありません。それは報告書には吉村隊長について贅沢な噂も云々と書いております。噂と書いてありますが、噂どころではない、実際は誠に蒙古天皇と言われた程の権力を振つておつたものであります。兵隊をいろいろの名において、名義において残虐に使つて來た、そうしてその收益を独裁的に使つておつた。それから以後自分の周囲にスパイ以外に通訳の原田氏だとか、或いは医者の酒井氏だとかいろいろの人達を周囲においておる。いろいろ顧問役としての機関を持つておる。そういう手なんかなかなか大したものである。で、これは言葉で申しますというと、憲兵上りであるこの人は縱横に自分の憲兵の間に養われた手腕を使つて自分の身を保つためには至れり盡せりの程度まで身を保護する策を廻らしておる。それを又遠慮会釈もなしに行なつて來たというものと言わなければなりません。蒙古天皇という言葉は、それはただのしやれ語でなしに、実際にそういう程の力を持つておつたということを示しておると思うのであります。そこでこの報告書について見ますと、委員会は何を反省しておる、こういう事件に対して何を反省すべきかということについてどの程度のことを述べておるか、報告書三ページには「詳細にその眞相を極め」云々とある。七ページには、「この種の事態の発生の経緯を省みて、平和國家として進むべき我が國の將來に鑑み、我が民族性について深き反省の要あること」云々と書いてある。三十一ページには、「我が民族の將來の就き独り教育の面のみならず、全ゆる施策に自他個人の尊嚴性の維持尊重、環境の惡條件を克服するに足る毅然たる道徳性振起こそは平和國家として進むべき我が國の將來に鑑み特に必要緊急の事項であると断ぜざるを得ない云々と書いてある。こういうような抽象的なことを述べて、成る程これを見て見るというとなかなか結構なことであるのでありますが、何を言つているのかはつきりしていない。何を言つているのかはつきりしないということは、吉村隊事件の核心が掴まれていないから、そこに起因しているのであります。こういう抽象的なことは一種の義憤、知識階級の義憤から出ますけれども、本当に何が何であるか掴んでいないのであります。それはこれによく現われております。それで原文はやめて……、人民裁判の連中はソヴィエト背景にして他を彈圧した。これは民主主義かというような考え方、そんな考え方を持つている者が吉村隊事件になると、外蒙の力を借りて吉村隊長は外蒙の收容所長だとかその他に贈賄したりして大したことをやつている。蒙古人まで遠慮したり怖れたりしているようなところもあつたと酒井幸次証人であつたか述べておりますが、そういうように背景を作つてそうしてあの残虐な事件を起したというようなことと似たもののごとく考えられておる。他の、おるところの國の背景にして暴虐といいますか、人の権利を無視したような行動をしているということをこの報告ではそういう見方がとられていることははつきりしている。そこには如何に権力の、即ち軍隊で言えば將校達に引廻わされた兵隊がこの敗戰後外國でその人としての自由を得て奮激に起ち上つて自分らの人権を盛り立てて行こうというこの情熱は、この理想はこういう見方では分りません。そうして又こういう見方では吉村隊事件の何であるかということも十分に把握できない。吉村隊事件というものは、人民裁判とか兵士大会とか、そういうものとは反対に上の奴が日本の軍國主義の徹底したひどいことをやつた例であります。全く反対のものであります。それにも拘わらずこの二つのものが区別されずに取扱われんとしておる。この態度は報告者の態度であります。それでは大体これで止めることにします。
#113
○星野芳樹君 私は速記の方々の御苦労もあると思いますから、細川さんの言われたところとダブらないように、ほんの十分間申上げたいと思います。本当の事を申上げますれば、本当の事をお嫌いな方には神経にさわるかも知れませんが、又発言中に何か言われますと時間がかかりますから、その場合は保証しないことを前置きして始めたいと思います。
 私は特に初めの約束である……まあ押付けられた約束でしたが、この原案の二十七ページの、我が國民性の一部とあるところを本に問題を討論いたします。この我が國民性というところを除いたそれでいいというような意見がありましたが、むしろこれは、これにこそいろいろなことを盛り込まなければならなかつたものと思うのであります。何故と言うと、この報告書全体におきまして、これは細川さんもいろいろ点で指摘されましたが、吉村隊長の行動を、單に環境で止むを得なく、ただ努力が足りなかつたという程度にまとめてあるのであります。併しながら実際においては、これは明らかに諸証人の証言を聞きますれば、吉村隊長に重大な道徳的な錯誤があつたということが確かであります。それは隊長の統制が幼稚だというのではなく、甚だ功妙であり、或る者には二人前の食糧を與えながら外の者は飢えさせたというような事実で、幼稚である、努力が足りないというより全く道徳的に欠如していたのであり、而も「その根源となつたものは、この吉村隊長を生んだ從來の日本の軍國主義的な封建的なものが、こうした吉村というような奇怪な人物を生んだということを根本的に摘発して、初めてこれが國民性の反省となるものであるのに拘わらず」、この全文においては、全体としてがそうでなくて、結局これは吉村隊長の行爲は、すべて蒙古側の命令であつたという断行を下し、これによつてすべてを蒙古、更にソヴィエトの責任であるということを断定して、そうしてこれを攻撃を下すということを目的としている人々によつてこの筋が書かれているということが明らかであります。これは引揚促進という立場から甚だ由々しき問題であります。その点では私もこの原文の二ページのところのシーボルド議長の問題を特にここに取上げたことを指摘したところが、これは天田委員はソ連当局は大國であつて感情には刺戟されないということを言いましたが、これは感情というのでなくて、ソヴィエトが政治的に軍事的に何を最も重点的に考えているかと言えば、これは明らかに米ソ関係である。これに対して日本においてこうしたすべての責任を一方的にソヴィエトに負わせようという空氣が議会内にあるということを冷靜に向うで判断したならば、これは軍事、政治的に引揚という問題を考えざるを得ないということから考えましても、これは重大なることであると思うのであります。而もこれはそうした意図があると共に、又この討論の過程においては、私共が確認いたしました点は、こうした主張をなさる方には、吉村隊長と甚だ相通ずる思想を持つていられる議員があつたようであります。例えば淺岡委員が曉に祈られた人の数においては、他の証人はすべて一致して百数十名と言つているのに対して、吉村隊長のみ四十二人ということに対して、これは隊長が宣誓したからこれを信用しなければならんというような、実に非常に常識外れのことを言つておられるというような点から見ても、明らかにこれは吉村隊長と甚だ心情が相通ずる者が、「或る人々がこの國会にもあつたということを証明しているものであり、」我が國民性の一部に反省を加えるというのが、実にこの点であり、これは單に外蒙ウランバートルにおいて、吉村隊長が軍國主義的な影響下にこうした思想を持つているというのでなく、実に今日、この日本國土において、而も政治の中枢である國会の中にも、こうした軍國主義的な影響下に、或る人々があるということを実に結論せざるを得ないのであります。この意味において、本当に國会、政府が眞に引揚促進に有効な手段を取るとしたならば、むしろかかる議員を、而もこれが政府與党の議員であり、そうした與党議員を出すがごとき政府、内閣はこれは速かに辞職することが、最も引揚促進であり、又本國会として最も引揚促進に有効な方法としては、極力この敵本的な報告書を盛らんとして、押し通さんとした、ここにおらないので、指摘しにくいのですが、ここにおられたならもつと言うのですが、淺岡議員、矢野議員、岡元議員、こうした反動的議員を除名する決議をすることが、これが最も引揚促進に有効な手段と断ぜざるを得ないのであります。かかる意味において、この國民性の反省というのが、國内においてこうした反動勢力が未だ存在し、これを除去すること、これが最も引揚促進に重大であるということを結論として加えなければならんと思うのであります。併しながら現実の政治情勢として一朝一夕にかかる反動勢力を我々が除去ができません。できませんのに拘わらず、我々は引揚促進を懇請するというのは、甚だ心苦しいのでありますが、併し私は飽くまでもソ連当局に対しても、世界平和の大局に立つて、引揚促進、残留同胞を帰還の道に帰えさせて貰うことを飽くまでも懇請するつもりであります。同時に私共はこういうことをはつきりと、國内のこうした反動的分子の除去ということをはつきりと謳つて行かなければ、これは実効の伴わない、甚だ困難であるということを認めざるを得ないと思うのであります。私はもつと縷縷述べたいと思いますが、僅かに制限された時間であり、速記の方にも迷惑でございますので、それだけにして置きます。
#114
○草葉隆圓君 私も縷縷細川並びに星野議員の説と反対の点を申上げたいのでありまするが、時間も大分進んでおりますから、私お話の中で中心になる点だけをつかんで私の意見を申上げます。
 細川議員の御発表の中でいろいろ原報告の間違つた点をお話しになりました。間違つた点は結構でありますが、意見において証人喚問の証言の中から來る問題と違つた点があると存じます。この点はどうしてもここで申上げて置かなければならんと思います。その最も中心点は、この報告書は外蒙との関係において事実に即していないから外蒙を非難しているという点は、これは私共は承服し難いのであります。我々はこの吉村隊の証人喚問における吉村事件の調査は決して外蒙及びソ連を非難攻撃する意思は毛頭ない筈だ、然るに只今外蒙を非難しておるということは我々はこの報告書には、さような意味は毛頭持つておらないので、こういうことは妥当ではないと存じます。私詳細に亘つてここで縷縷申上げたいのでありまするが、それは一つもう時間がありませんので割愛いたします。ただ星野議員の只今の御討論の中にありました、隊長に道徳的な錯誤があつた、これは私も同樣同感であります。ただ幼稚な努力が足りなかつたというだけではなく、道徳的な錯誤が確かにあつたのである。併しその後にこれも星野議員が蒙古、ソ連、星野議員は特に、ソ連を言うておられます。細川議員はソ連は言わずに蒙古だけに限定されましたが、星野議員は蒙古並びにソ連の責任を攻撃する人々から書かれたという意味を申しておられましたが、これはこの吉村隊の問題の眞僞については、討論の範囲を超えた問題ではないか、決して報告書を作成し、委員会が出しまする、誰が書いても委員会が承認して出します以上は、決して報告書そのものは蒙古並びにソ連の責任を攻撃する意思は毛頭ないのであるということを私は理事の一人としてはつきりとここで申上げて置きたいと思います。そうして更に星野議員は吉村隊長に通ずる主張、心境を持つておられる議員がある、殊に吉村隊長と心境が相通ずる人々が國会にあるということ、政治の中心の國会の中にも軍國主義の影響下にある云々、かかる議員を以て政府が、與党議員を出しておるというような政府は、内閣は総辞職をすべきものであるということ、殊にその次に、この反動議員は淺岡、矢野、岡元であるという言葉を出しておられまするのは、これは私は不穏当であると思います。いずれ速記録を詳細に調べまして、委員長は適当な処置を講じられたいということを討論の最後に附加えまして私の討論を終ります。
#115
○岡元義人君 その原案について、いろいろ小さな点においては、何分各自各樣の考え方がございますので、それはいろいろ皆さんの御意見の中にも、例えば細川議員の説の中にも私としても全然反対であるというようなところはないので、一部においては同感の点もあるのであります。併しながらただ私が一言申上げて置きたいことは、この報告書はいわゆる証人の証言に基きまして、その証言を基礎として、決して決定的なものとして作り上げられていない、我々は現地を知らないのでありますから、その証言によつてこうであろう、これはこういう工合に判定せられる、こういうようないわゆる書き方で、尚詳細な点について疑義のある点は本人がこう述べておる、併し片一方ではこういう工合に述べておるという工合に書いてあるのであります。この点については聊かもこれに色を塗つたというような点は私はないんじやないかと考えております。
 最後に私が特に申上げて置きたいことは、吉村隊事件を取上げたということに対しては、いろいろ各議員からも異論がございました。併し一旦取上げましたからは委員会としては、当然何らかの收穫を得たいということは各委員ともひたすらな念願であつたところであります。当然委員長が証人喚問の冒頭の日にこの訳を明らかにされたのでありますが、私は目的の全般とは申しませんが相当の目的が達し得たのじやないかということを考えておるのでありますが、一旦この証人喚問の審査が終りました後の委員会におきまして、徹頭徹尾苟くもこのことをばこの事件を取上げました委員会を撹乱するようないわゆる行動のあつたということをば心から遺憾に思つておるのであります。又先程星野委員から、誠に私はよくもああいうことがこの國会の中で委員会の中で平然と述べられたということは、良識を疑わざるを得ないのであります。幸いにして私でありますからテーブルを叩きはいたしませんけれども、併しながら反動であるとか、軍國主義者である、何を以て基準にしておられるのか、この点を疑わざるを得ない。又いつも星野委員や皆さんの申上げられるように、我々の同胞が一日も早く來て貰うということを我々は念願しておるのであります。これは外の委員も皆同じであります。併しながら本年もすでにもう一ケ月は確実に遅れた。又而も何の通報もない。それを常に何かあると、引揚げの問題に関連して結び付けてこれを逆に利用されようとしておる点が我々には観取される。もつと具体的にそれならば我々議員が実際にこうしてというこういう問題は取上げなかつた。それはもうどうして帰すかということを確信を以て、責任を負うという点については、この点を逃げられた。それは又できないことです。お互いに最善を盡して考えておることを述べておるわけで、若し星野委員のおつしやるような方法が本当にいいということであれば、私は各委員ともこういう議論は撤回するということに吝かでないと思う。皆帰するところは一つなのである。この在外特別委員会というものは先程木下委員からお話もありましたが、もつと大きな使命を負わされておる。その使命に対して帰するところが一つである。一應は議論することは議論して、そして目的だけは達成するのが、私は本当の在留同胞に対する途じやないか、徒らに攪乱して、そしてこれを混乱に陷れて、そして済ましておるならば、私はその良識を疑います。これが私の最後の意見であります。
#116
○委員長(紅露みつ君) 本吉村隊事件につきましては一ケ月余に亘る委員各位の御努力に対して深く感謝を申上げます。先程草葉委員から御指摘になりましたように、星野委員の発言中における不穩な点につきましては、後刻速記を調査いたしまして、委員長はこれに善処いたしたいと存じます。それでは委員会はこれを以て散会いたします。
   午後八時四分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     紅露 みつ君
   理事
           草葉 隆圓君
           岡元 義人君
           星野 芳樹君
   委員
           木下 源吾君
           水久保甚作君
           木内キヤウ君
           北條 秀一君
           穗積眞六郎君
           矢野 酉雄君
           細川 嘉六君
           千田  正君
ソース: 国立国会図書館
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