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1949/05/06 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 内閣・文部連合委員会 第1号
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1949/05/06 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 内閣・文部連合委員会 第1号

#1
第005回国会 内閣・文部連合委員会 第1号
昭和二十四年五月六日(金曜日)
   午前十一時十一分開会
  ―――――――――――――
 委員氏名
  内閣委員
   委員長     河井 彌八君
   理事      カニエ邦彦君
   理事      中川 幸平君
   理事      藤森 眞治君
           河崎 ナツ君
           荒井 八郎君
           城  義臣君
           栗栖 赳夫君
           佐々木鹿藏君
           市來 乙彦君
           岩本 月洲君
           下條 康麿君
           町村 敬貴君
           堀  眞琴君
           三好  始君
  文部委員
   委員長     田中耕太郎君
   理事      松野 喜内君
   理事      高良 とみ君
   理事      岩間 正男君
           梅津 錦一君
           河野 正夫君
           若木 勝藏君
           小野 光洋君
           左藤 義詮君
           大隈 信幸君
           木内キヤウ君
           梅原 眞隆君
           堀越 儀郎君
           三島 通陽君
           山本 勇造君
           藤田 芳雄君
           鈴木 憲一君
           西田 天香君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○文部省設置法案(内閣送付)
  ―――――――――――――
   〔河井彌八君委員長席に着く〕
#2
○委員長(河井彌八君) これより内閣文部両委員の連合会を開会いたします。
 先ず文部省設置法案につきまして、これを議題といたしまして、政府より説明を求めます。
#3
○政府委員(左藤義詮君) 只今議題となりました文部省設置法案につきまして、大臣が衆議院の方へ参つておりますので代りましてその提案の理由を御説明申し上げます。
 先般政府の行政機構刷新の方針が確立され、それに即應しまして文部省の機構を簡素化することと、戰後の教育の民主化を推進するにふさわしい中央教育行政機構を設ける必要から、今回この文部省設置法案を立案いたした次第であります。御承知の通り、文部省の機構改革の根本方針は、從來の中央集権的監督行政の色彩を一新して、教育、学術、文化のあらゆる面について指導助言を與え、又これを助長育成する機関たらしめる点にあるのであります。
 次に機構改革の大要を申上げますと、從來の官房、学校教育局、社会教育局、科学教育局、体育局、教科書局、調査局及び教育施設局の一官房七局を、官房、初等中等教育局、大学学術局、社会教育局、調査普及局及び教育施設部を含む監理局の一官房五局一部といたした次第であります。初等中等教育局は、高等学校以下の学校の教育を所掌し、尚現在の教科書局所管の教科書の編修・改訂事務、体育局所管の保健衞生事務、科学教育局所管の科学教育事務等を含ましめることにいたしました。大学学術局は、現在の学校教育局の大学教育の面と、科学教育局の研究事務を所掌することになりましたが、これは文部省で所掌いたします学術に関する事務は、基礎科学の研究と其の應用の研究でありますので、主として大学及び研究機関に関連いたします関係上、一局に一元化いたしたわけであります、社会教育局は、大体において現在通りでありますが、体育局の運動競技関係事務が加わり、著作権関係事務が監理局に移つたこと等が異なつております。調査普及局は、新らしい文部省に極度に必要とされる調査研究及び統計調査の外、文部省の各種出版物等の利用による文教政策の普及を行うことといたした外、國語の調査研究及びその結果の普及をも合せ行うことといたしました。監理局は、文部省の管理的行政事務を内容面の指導をする部局から分離して一元化するために設けたものであり、更に現在の教育施設局を部として合体せしめました。尚、現在の体育局及び教科学局の所掌事務の重要なることは勿論でありますが、対象別による内容的指導面の一元化のため、及び指導と管理を顯別するためそれぞれの局に分属せしめた次第であります。
 次に所轄機関でありますが、國立の学校は、その特殊性によりまして、別途に國立学校設置法案として提出いたしたいと存じております。その他の國立博物館以下八機関につきましては、大体において從來通りとして必要な規定を設けておりますが、ただ、國立博物館以下五機関につきましては、その民主的運営を図るため助言機関としてそれぞれ評議員会を設けることといたしました。更に地方支部分局としまして、現在の文部省教育施設局出張所を文部省教育施設部出張所と改称して現在通り設けることにいたしております。尚、新らしい教育行政の過渡的段階として文部省に属する事務等が若干ありますので、それに必要な経過的規定を附則に設けた次第であります。
 以上が今回の文部省機構改革の大要であります。何とぞ愼重御審議の上速かに可決せられんことをお願いいたします。
#4
○政府委員(森田孝君) 只今提案の理由を御説明申上げましたが、若干文部省設置法案につきまして御説明を附加えて申上げたいと思うのであります。只今提案の理由に御説明申上げましたように文部省改組の重点が簡素能率化と、教育の民主化の方向に從う中央行政機関といたしましての任務を達成するということ、その二つの点が重点になつておるのであります。この点が各省の設置法と、文部省の設置法との体樣の違う原因をなしておりますので、その点を若干御説明申上げて置きたいと思うのであります。文部省は御承知の通り地方教育委員会が発足いたしまして、地方教育行政は地方教育委員会の責任において遂行せられることになつたのであります。又大学につきましては、將來この文部行政の地方分権化の方向に從つて何らかの措置が講ぜられることを期待しておるのであります。このようにいたしまして学校に関する教育行政につきましては、文部省がこれを行なつておりました從來の中央集権的な色彩が拂拭せられて來るのでありますので、文部省の教育に関する行政の任務というものは非常に限定的になつて來るのであります。只今の提案理由の説明の中にもありましたように、指導助言と援助助成ということが文部行政の中心になりますので、その任務を具体的に書く必要があります。從いまして設置法第四條に書いてあります文部省の任務は、各省の設置法が非常に包括的な表現を用いて書いてありますのに反しまして、文部省は具体的にこれを掲げておるのであります。尚第五條の文部省の権限につきましても同樣のことが申上げられるのでありますが、特に第二項を設けまして、第二章本省というところの直前に書いてありますが、第二項を設けまして、「文部省は、その権限の行使に当つて、法律に別段の定がある場合を除いては、行政上及び運営上の監督を行わない」ということがはつきり明示せられておるのであります。又この点は文部省の機構の上においても同樣の趣旨が盛られておるのでありまして、第六條に本省の機構が載つておるのでありますが、その中の調査普及局は、只今提案理由の説明にありました通り、文部省の指導助言なり援助助成の基礎的な任務を果すための調査並びに普及を行うのでありますが、その他の局につきましては、初等中等教育局、大学学術局、社会教育局は内容面に関しまする指導助言が中心の局であります。この指導助言は飽くまでも從來の中央集権的な時代とは違いまして、文部省が指揮命令をするという色彩を拂拭しなけけばならん関係上、権力的なもの或いは権力を附随せしむる虞れのあるような行政事務は、この初等中等教育局、大学学術局並びに社会教育局には持たせないという方針であります。從つてかかる事務は官房及び監理局にこれを集約してあるのであります。金の面につきましては、官房の会計課で行うようになり、又物の面、及び法令に基きますところの権力的な権限行爲というようなものにつきましては、監理局に集約する方針を取つたのであります。尚この内容面を取扱います三局を作りました考え方は、社会のそれぞれの層に即應する局を作つて本省の仕事を國民全般から見ましても、簡素に簡明にこれが分るというようにいたすことが一つであります。從つて地方教育委員会で所管いたすことになりました小学校、中学校、高等学校、その他の公立或いは私立の高等学校以下の学校につきましては、初等中等教育局でこれを所掌する、又大学及び研究機関に関しましては、大学学術局でこれを所掌し、その他の一般の社会層に関しましては社会教育局でこれを所掌するというような方針で三局を分けたのであります。尚先程提案理由の御説明の中にもありましたが、研究所に評議員会を設ける。諮問機関として評議員会を設けますのは、國立教育研究所と國立博物館、國立科学博物館、統計数理研究所、國立遺傳学研究所であります。その他の緯度観測所、國立國語研究所及び日本芸術院につきましては、本法にその評議員会の規定がないのであります。その理由は緯度観測所は緯度を観測するという國際的な事業を行なつておるところでありまして、その運営につきましては、國際的な関連性をあるという意味におきまして、評議員会を設けなかつたのであります。又國立國語研究所は別に國立國語研究所設置法という法律によつて定められておりますので、本法におきましてはその規定を設けなかつたのであります。日本芸術院は芸術上の功績顯著な芸術家を優遇するためにの機関でありまして、ここにおいて特別の事業なり、或いは又行政なりを行う機関ではないのでありますので、評議員会をおきましてこの運営につきまして審議する必要を認めなかつたので、これを置かなかつたのであります。尚評議員会は諮問機関ではありますけれども、從來の一般の評議員会とは異なりまして、政令によりまして機関の事業計画、経費の見積、人事その他の運営管理につきまして、相当の強い権限を持たせたいと考えておるのであります。そういう意味におきまして、かかる研究所の研究指導の独立性をでき得る限り保全して参りたいと思つておるのであります。甚だ簡單でありますが…。尚附加えて申上げて置きますが、二十四條に文部省に設けられました審議会の一覧表が載つておるのであります。この審議会は他省所管の審議会と比べますというと、非常に数が多くなつておるのであります。これは一面におきまして文部行政をできるだけ民主的に運営いたすために、あらゆる面におきまして審議会を構成いたしまして、廣くそれぞれの適性者の御意見を十分に参酌いたしまして、運営をいたして行きたい考えを以て相当多くの審議会が設けられてあるのであります。尚文部省にはこの沢山の審議会でも尚十分に包括し切れない程のいろいろの委員会なり審議会を設けたい意向を持つておりますし、又從來も設けられておつたのであります。從つてこれらの審議会には他省とは違いまして、その第二項に規定してありますように分科会を置くということを法律によつて明示いたしまして、この分科会におきまして非常に沢山ありますところの委員会なり調査会、或いは審議会等を、ここに掲げてあります審議会にそれぞれ所属いたすことにいたしまして、運営上の全きを期したいと思つております。以上において簡單に説明を終ります。
   〔委員長退席、内閣委員会理事中川幸平君委員長席に著く〕
#5
○委員長代理(中川幸平君) 委員長が今常任委員長の懇談会で参りまして、暫く代ります。どうぞ質疑を……
#6
○田中耕太郎君 本設置法案につきまして二、三お尋ねいたしたいと思います。
 先ず文部省設置法案の中で、文部省の科学研究に関する権限が相当廣くなつておるようであります。でこれにつきましては科学研究について文部省が全部権限を持つておるようにも見られないことはないので、ところで他方すでに法律で以て日本学術会議というものが設置せられておるわけで、現に発足いたしておる、その学術会議との関係について具体的な説明を願いたいと思います。
 尚文部省設置法案第二十四條の中に、学術獎励審議会というものが規定されております。この内容、又日本学術会議との関係について明瞭な御説明を願いたいと思います。
 次にユネスコの問題が、第七條の第二、大臣官房の所管に規定せられておる第一号でございます。このユネスコにつきましては、これは渉外局の関係方面から考えて見て、外務省も所管官廳になつておるのではないかと思われます。そういう点について文部省と外務省との権限の関係がどうなつておるかということについて説明を願いたいと思います。
 それから最後に、七條の第二項第四号に宗教に関する事項が加わつております。勿論宗教に関しては特に文部省が從來の監督的建前は去つて助長とか、或いは世話をやくとか、助長というのは僭越な話で、世話をやくという意味において規定を設けておることと思うのでありますけれども、併し文部省の所管に宗教が入つておるということであるならば、かような疑義を抱く者もないとは限らない。この点について世話をやくという方面に文部省の所管が限られるといたしますならば、これは宗教界において非常に便宜を得ることと、大変結構なことだと思うのであります。一体どの程度の規模において文部省が世話をやかれるのか、或いは官房の中に一つの課を設けて從來通りの程度でやられるのか、或いはもつと縮小されるのか、そういう点についての見通しを伺いたいのであります。私の質疑は以上の四点であります。
#7
○政府委員(森田孝君) 只今田中委員から御質問になりました四点につきまして、お答えいたしたいと思います。
 第一点の文部省の所掌いたします科学研究に関する権限につきましてでありますが、新らしく文部省は教育だけではなく学術、文化の重要性をも考慮したことは、部局の編成などから見られる通りでありまして、科学研究の振興につきましては、指導と援助を與える使命を有するものであることは明らかでありますが、新らしく文部省が、そのすべてを行うという意図は毛頭ないのでありまして、從來通り文部省でやつていた所掌事務につきましての範囲内で行いたいと思つておるのであります。從いまして、他の政府機関が、それぞれの所掌事務の範囲及び権限の中で、特定の事項に関する科学研究、特にその應用的、実用的研究を行うということは、本法によりまして何ら変更を加えるものではないと考えております。ただ他の行政機関で行いますところの研究は、それぞれの事業目的に必要な限りにおいて、行われるわけでありまして、文部省はこれとはやや意味を異にいたしまして、科学の基礎的な研究なり、或いはそれに関連いたします應用研究の方面の、一般的な振興を目標としておるのであります。從つて文部省におきましては、他の省とは異りまして、特にその目的は限定されておらないのであります。
 尚日本学術会議との関係につきましては、日本学術会議は、その設置法にも定められております通りに、日本の学術振興のために必要な基本的な方針に関し、その諮問に應じ、或いは勧告をなされる機関であります。從つて文部省におきましても、これらの研究の振興を促進する上におきましては、日本学術会議の意向を十分に尊重いたしまして、これが具体的な施策に当つても、この方針に基いて行なつて行きたいと思つておるのであります。又科学技術行政協議会は内閣に設置せられておるのでありますが、文部省におきましても、この科学技術行政協議会におきまして、日本学術会議から傳えられまして意向が、処理せられることと考えるのでありますが、その処理せられました方針に基いて、文部省が実施をいたして行くのでありますので、これらの会議における諸機関と、文部省の持つております権限との間に、紛糾を來すことはないと考えておるのであります。
 それから第二の点につきまして、文部省の設置法の第二十四條に、学術奬励審議会というものが設けられることになつておるのでありますが、この審議会につきましては、先程御説明申上げました通りに、非常に數が多くなりますので、いろいろ現在、或いは又將來文部省に置かるべき審議会なり、委員会なりというものを、分科会の形を以て包括いたすような方針を採つておりますので、学術奬励審議会という言葉が、日本学術会議なり、その他と相紛糾を來すような意味に取られる虞れがあるかも知れないので、この席においてその内容を申上げて置きたいと思うのでありますが、ここの日本学術会議なり、或いは又科学技術行政協議会の意見を尊重して、文部省が具体的に実施して行くということは、先程申しましたのでありますが、その具体的な施策を行うにつきましては、文部省におきましてもそれぞれその目的に適当な審議機関を設けまして、その意見に基いてやつて行きたいと考えております。從つて学術奬励審議会におきましては、例えば科学研究費等を配分いたします場合におきましても、日本学術会議から答申せられました方針を尊重することは勿論でありますが、その具体的な審議には尚文部省の独断でこれを行わないで、審議会を設けまして学術奬励審議会の分科会として、そのための審議会を設けまして、その意見を尊重して行なつて行きたいと思つておるのであります。又学術の普及につきましては、現在も文部省には学術用語の調査会が設けられておるのであります。又科学映画製作につきましても、現在科学映画製作審議会というものが設けられておるのであります。その他学術文献につきましても文献の紹介、或いは外國文献の輸入等についての審議会が設けられておるのでありますが、これらの審議会を学術奨励審議会の会科会として、尚今後も存置いたして、そうしてそれらの意見に基きまして、文部省の施策の適正を基して参りたいと思つておるのであります。学術奬励審議会は、これらの審議会を包括して簡素化するために設けた審議会であります。
 次にユネスコの問題でありますが、外務省におきましてもユネスコに関する所掌事務が或いは載つておることと存じますが、外務省において行いますユネスコに関する事務は、その省の目的から申しまして、諸外國において行われますところのユネスコ活動との連絡に当たられるということが主たる任務でありまして、文部省におきますところのユネスコ活動は、國内におきますところのユネスコに関する各種の協力会なり、或いは又ユネスコに関する外國との連絡なり、或いは交流に必要な、國内的な諸活動に関しますところの事務を、文部省において行いたいと思うのであります。從いまして、それらの事務を遂行するに当りましては、外務省と文部省が一体になりまして、相協力して、連繋を密にし、それらの仕事の遂行に、遺憾なきを期して参りたいと思うのであります。
 第四番目は、宗教に関する問題でありますが、文部省におきましては、從來と異りまして、宗教に関しましては、お示しの通り、第七條の第二項の第四号に「宗教に関する情報、資料を收集し、及び宗教團体に関し、連絡すること。」という、この事務に限られるのであります。ただここに具体的に宗教に関して、特に現われて参りませんが、宗教に関する法令案の作成というのは、文部省の任務の第四條によつてお分りのように、文部省におきましても、これらに関する法令案の作成につきましては、行い得ると考えておるのであります。又宗教に関します民法法人、民法第三十四條の規定によります民法法人につきましても、宗教に関する文部省の認可権があると考えておるのであります。これはこの法律の第十二條の第二号によりまして、文部省において所管することを、文部省の所掌事務に関する法人の設立の認可等を行うことという、この條文によりまして、監理局においてこれを行うことになるのでありますが、文部省において行う所掌事務の中にあると考えるのであります。併しながら、これらの文部省において行う仕事の範囲を限定しましたゆえんは、從來のように宗教に関して、文部省が何らかの意味においても、指導統制的な意味の行政を絶対に行わないというために、限定的にここに書いたのでありまして、宗教が一般的に考えまして、普及振興するために必要な、物的な援助なり、その他の援助、助成に関しましては、文部省がその所掌事務として、宗教をも行うという意味の内容の中には、これらの援助、助成も十分に入つておるということを、申上げて置きたいと思うのであります。尚本省におきまして宗教に関して、從來通り課を存置するか否かということにつきましては、目下研究中でありまして、でき得る限り從來通り課を存置したいという希望は持つておりますが、尚決定的な結論には至つていないのであります。
#8
○岩間正男君 先ず伺いますが、中央教育委員会ができるかできないかというようなことが、去年あたり大分論議されたのでありますが、現在これがどのような状態になつているか、若しできるとすれば今後新らしく設置されるところの文部省とはどういうふうな連関を持つかということを伺いたい。
 それから第二に、文部機構の簡素化をこの法案は狙つておると言われておるのでありますが、具体的に人員の面においてどういうふうな異動があるか、その二点について先ず伺いたいと思ます。
#9
○政府委員(森田孝君) 中央教育委員会というのは、教育刷新委員会の意見の中に確かあつたと心得えておりますが、文部省におきまして今具体的に中央教育委員会の設置、或いは又從つてその構想等につきまして考えておらないのであります。
 第二の点の人員の問題につきましては、定員法においてこれは指定されるのでありまして。只今人員の配置を如何にするかということについては研究中でありまして、まだ結論に達しておらないのであります。
#10
○岩間正男君 中央教育委員会について今あつさり答弁があつたのでありますが、それは中央教育委員会に対する要望というものは非常にあるのではないか。現在地方の教育委員会が皆発足して、殆んど文部省が中心になつてこれが行われているというような実情ではないかと思つております。ところがこれに対しまして今までの從來の古い文部省の形と、新らしい教育委員会との間の運営の面において食い違いがある。どうしてもここにやはり人民的な公選の機構に立つ、そのような機関を中央を置いて確立して、それによつて今まで從來とかく問題のあつた文部行政というものを民主化しなければならないという要求が起つているわけであります。それに対して文部省の側としては、ともするというと從來の文部省の指導権、或いは権限というものを温存したいと考えるのは当り前なので、文部省自身としてはそういう中央教育委員会を作るというようなことが考えられて……成るたけ作らないように考えられているのではないかというふうに思われるのでありますが、こういう点についてこれは今度の設置される文部省だけで、教育が果して人民の手に解放されたという要求が満たされたと考えているか、この点を伺いたい。
#11
○政府委員(森田孝君) 先程提案理由の説明なり、或いは又私の概括説明において申上げました通り、文部省は行政上及び運営上の監督を行うには、國会によつて定められた法律に定められる以外は行わないということにいたしておるのであります。從いまして法律に基かない行政上、或いは運営上の監督は行わないのでありますから、その点につてきましては中央教育委員会の設置が必要なりや否やの問題とは別個に、今後は十分に保障せられて行くと一應考えておるのであります。
#12
○堀越儀郎君 先程田中委員から質問されました第七條の第二項第四号の問題でありますが、宗教に関する情報、資料等について收集し、宗教團体に対する連絡を取ること、これに限定されておりますが、そうなりますと從前の宗教法人との関係はどうなるのでありますか。それからこの際に宗教法人というものは解散されるというようなことも聞くのでありますが、そのために非常に各宗教團体は不安を感じている虞れがありますので、そういう点に関して態度をはつきり説明をして頂きたいと思います。
#13
○政府委員(森田孝君) 宗教法人令に基きます宗教法人につきましては、只今その後の実施後の実續に徴しまして、その必要な部分の改正を要するかどうかを研究中でありまして、從いましてその改正の場合におきまして、宗教法人令を宗教法人法としまして國会の御決定によりましてこの内容を決めて参りたいと思いまして、目下研究をいたしておるのであります。從いまして宗教法人そのものを廃止するという意思は今のところ持つておらないのであります。
#14
○山本勇造君 あのちよつとお尋ねしますが、この十條ですがね、社会教育局のことがありますが、これの第九のところに「國宝、重要美術品、史跡名勝天然記念物その他の文化財の保存、維持及び利用に関する事務を処理すること。」というのが記してありますが、恐らく文部省側でも御存じだろうと思いますが、参議院で、我々の間で今文化財保護法というふうな、これはまあ仮称でありますけれども、そういうふうなものを立案中なんでありまして、これが恐らくはそう日が経たんうちに提出されるようなことになるだろうと思うのでありますが、そういうふうな場合には、ここの問題はどういうふうになりますですか。若しそれが通るような場合には……
#15
○政府委員(左藤義詮君) 只今お示しの法律が通過をいたしますれば、それに対應いたしますように國会においてこの條項を御修正頂きたいと存じます。
#16
○山本勇造君 それからもう一つ、この十一條ですか、調査普及局のところで、第七と十三とで國語に関係のことが規定されておるようでありますが、先程の御説明だと、課というものは置くか置かないかまだ未定だとかというふうなお話でありましたが、こういうふうな文部省がこの調査普及局ですか、ここでやつて行くのに、そうするとどういうふうな建前でこういうふうにばらばらになつているものをまとめて行くのですか。若し課がないというふうなことになりますと……
#17
○政府委員(森田孝君) 御質問の点ちよつと……國語につきまして課を置かないということを私が申上げましたという……
#18
○山本勇造君 そういう意味じやないのです。國語課を置く置かないということは別として、何か課を置かないというような意味のことをさつきちよつと御説明があつたのじやないか……
#19
○政府委員(森田孝君) 申上げたのですが、課のことにつきましては只今研究中でありまして、まだ結論に達していないということを申上げたのです。
#20
○山本勇造君 どつちか分らんという意味でしよう研究中ということは……そういうふうに研究中ならば、或いは置くかも知れないけれども、置かないという場合には、こんな問題をどういうふうに処理して行かれるか。片つ方には課のあるものもあるし、七の方でも「用語及び用語法を審査し、文体を定め」とかいろいろ書いてありますが、どんなふうにやつて行くおつもりなんですか。若しない場合には……
#21
○政府委員(森田孝君) 國語につきましては恐らく課は設けられるだろうと私は想像いたすのでありますが、設けられないような場合が万々一生じました場合には、この事務が一つにまとまつた何らかの組織で行えるように処置して参りたいと思つております。
#22
○岩間正男君 次に伺いたいのは今度の文部省の性格というものが今までの行政監督というふうなものが非常に制限されて、教育確立、文化のあらゆる面について指導助言を與える、或いは助長育成する、そういう機関にするというので、性格の上に相当の変化がこの法文では起つておることになるのです。そこで指導助言の場合でありますが、これはむしろ現実に起つた問題について聞きたいのでありますが、この前東大の附属の看護婦さん達の養成学校でハンガーストライキが起つた。こういうような場合について、どのように文部省がこれを調査し、それからどのような処置を考えていられるかということを伺つたのでありますが、そのときは、これは文部省は何らこれに対して監督するとか、それに対していろいろな容喙をする意思は少しもないのであるから、從つてまあ関係者を呼んで聞いた程度であるということを伺つた。そうしますときに指導助言というようなことが、一体どういうような権限で行われるかということが、非常に重要な問題だと思う。今言つたような場合、例えば一方が五人もの女の人達がハンガーストライキに入つた。そうして生命の危險に曝らされておるというような場合においても、文部省が傍観的な態度で、係の者を一部呼び集めて話を聞くという程度に留めるという意味ですか。この点を伺つて置きたい。
#23
○政府委員(森田孝君) 指導助言の程度でありますけれども、これは具体的な場合におきまして、それぞれ違つた形で以て現われて参りますので、ここで描象的に御説明をすることは困難だろうと思うのでありますが、指揮命令と指導助言を比べて頂きまして、つまり強制的なことはできない、勧告或いは又意見の開陳をするというような意味においてこれが行われるのでありまして、これが具体的にその勧告を受け、或いは又助言を受けた人々がそれに対してどの程度にこれを受け取つて解釈すべきかは、これを受け取る人の立場と又その具体的な場合によつて異つて來ると思うのであります。從いまして指導助言をなすということは文部省が強制的にこれをすべてのことを強制的に行わないということを主として含んでおるのであります。その点につきましては只今例に申されましたような場合においても、強制的にこれをなさしめることは困難だという意味におきまして指導助言を與えて置くと申上げたと思うのであります。
#24
○岩間正男君 私のお聞きしたいことは、文部省の方から発動して指導助言を與えるようなことをまあ原則とするか、それとも指導助言を求められた場合にこれを受けて立つというような形でこれをやるかどうか。この点を伺いたい。
#25
○政府委員(森田孝君) 第四條の第一項の第二号に「民主教育の体系を確立するための最低基準に関する法令案その他教育の向上及び普及に必要な法令案を作成すること。」というような條文があるのでありますが、文部省におきましては、民主教育を確立するために必要な最低の基準に関しましては、必要と考える場合におきまして法令案を作成いたしまして、國会その他必要な手続によりまして、その同意を得た場合には、これが成立した場合におきましては文部省の方からその基準を示し指導をいたすのであります。その他の問題につきましては、その他の場合におきましては、求められた場合においてこれに対して指導助言を與えるということになると思うのであります。
#26
○岩間正男君 今の具体的な例を引きますが、そうするというと、今の場合非常に当局者だけでなかなかこれで收拾がつかない。そして指導が必要だというふうに思われても、これに対しては文部省の方から積極的にこれを指導するというようなことが行われない。こういう意味ですか。
#27
○政府委員(森田孝君) 只今も御説明申上げました通り、法令に基く以外は積極的な指導助言は勿論與えないのでありますが、お示しの例の場合を考えますというと、これが法令に基きまして、採用の権限が文部大臣から委任せられておるのであります。從いまして、一應その委任に基く権限を遂行するものにつきましては、文部省においてこれが積極的にそれに対する指導助言を行わないのは当然だと思うのであります。但し本來は委任された権限てありますので、必要に應じましては、文部大臣がこれに対して積極的な助言を與えることはお示しの場合におきましては、可能であると考えるのであります。
#28
○岩間正男君 具体的にこの法案ができてから性格が或いは変るかも知れんのでありますが、この前の問題について文部省はその後どういうような処置をとられたかちよつと伺いたい。
#29
○政府委員(左藤義詮君) 只今所管の当局関係の者がおりませんので、後刻御答弁申上げます。
#30
○城義臣君 私は内閣委員の立場からお伺いしたいのでありますが、この文部省の機構改革の基本方針というのを拜見いたしますと。七項目に分けて、例えば教育行政権の問題であるとか、文部省の新らしい性格がどうであるかというふうに説明が出ておりますが、私の考え方は古いかも知れませんが、私共の了解する教育というのは、古い説明のし方でしようが、知育とか、徳育、体育等、こういうような面から一つ見ることも一つの見方だと思うのであります。ところが今日の日本の世相を考えるときどうもこの徳育というふうな面に対する文部当局の考え方が甚だ影が薄い。社会的の個々の現象を見ましても、最近公共の貴重な建物が火事で燒けた。例えば東京駅八重州口、これなども漏電とか、いろいろな事情もありましようが、これは精神的な弛緩的な面、こういうのがやはり禍しておるのではないか、そういうふうなことを具体的に言うと長くなりますが、大体文字の上では学術の振興云々とか、文化の向上はどうか、体育行政とか、いろいろありますが、肝心の徳育という面の文字がないのみか、どうもそういつた点が、軽くあしらわれておるような感じを受けるのであります。問題は私の伺い方が非常に教育一般というような面から伺うので、御答弁ができにくいかも知れませんが、この折角の機構の改革の面、そういう面をどこの部局が取上げてどうしようとしているのか、そういう点を伺いたいと思うのであります。
#31
○政府委員(森田孝君) 只今の知育、徳育という点に関しまして、新らしい教育、或いは又民主的な教育というものは、御承知の通りに、それぞれ具体的な人間、個々の人間というものが人間として完成して行くということを助長して行くということであります。從いまして知育とか。徳育、体育というものをそれを拔き出して行うという方針は新らしい教育においては行なつておらないのであります。併しながらそれだからといつて、知育、特に徳育を新らしい教育において無視しておるかというのでなしに、むしろその具体的な実効の挙るように、あらゆる面において徳育を考えて参るということが新らしい方針であるのであります。從いまして徳育を特にこの設置法の中に、どこかに謳うということを我々は考えたのではなく、むしろ教育の全般におきまして、あらゆる面において徳育というものが人間の完成を目ざす根本的なものと考えておるために、文字の上にこれを現わしてなくても、実効の上において、その目的を達成するように文部省の行政全般がこれを目ざしておるというように御解釈を願いたいと思います。
#32
○城義臣君 特に一つ次官にそれに対する御信念をお伺したいのですが、文字に現わせんでも、全般にこれを具体的にいろいろな面で生かすようにというふうな政府委員の御答弁も御尤もだと思うが、民主化するというようなことは今の時代の流行で誰も言うことでありますが、内容を見るとどうも私共は不満足なものを感んずるのであります。幸いに政務次官は宗教家でもあるので、この辺私が言外に含んで今日の教育の最も大きな欠陷の一つを衝いておるつもりでありますが、こういう点について一つこの機構でそういうことを具体的にどうしようということを承わりたいと思います。
#33
○政府委員(左藤義詮君) 文部省が國民道義の向上という点におきまして念願しております点は、只今政府委員から御説明申上げましたように、形の上よりもむしろ教育全般、文部省の今後努力して参ります目標全体の上に廣く深く実効を期して行きたいと思うのでありまして、又具体的の問題につきましては、純潔教育の委員会でありますとか、或いは宗教教育に関する委員会とか、各方面の施策を実現して行きたいと存じておる次第であります。
#34
○城義臣君 それでは結論的にお願いを申上げるのは、私の考えるところによるというと、教育というのが單なる片々たる智識の集積、例えば百科辞典的な頭を如何に教育して見ても私は大した期待を持ち得ない一人であります。そうした意味でやはり魂を入れ替えるという立場からして、徳育の面を大いに重点的に考えて貰いたい。從つてこの教育と宗教というものの結び付き、これを私共は重大視して考えなければならんと思うのでありますが、先程宗教に関する質疑に対してどうも私としては何かこれを敬遠するような感じを、私は個人的な感情ですから分りませんが、私はそういう印象を以て御答弁を承つたものの一人でありますが、こういう点、当局としては十分力を入れてやつて頂きたいということを結論的に要望いたして置きます。
#35
○委員長代理(中川幸平君) お諮りいたします。折角の連合委員会ですけれども、午前中で連合委員会を打切つて、午後内閣委員会の予定になつております。つきましてはこの機構について特に文部委員の方々の質疑を続行して頂こうと思います。どうかよろしくお願いいたします。
#36
○若木勝藏君 質問はこれで打切りですか。
#37
○委員長代理(中川幸平君) いやそうではありません。文部委員の方に特にやつて頂きたいと思います。
#38
○岩間正男君 今の徳育の問題もございますし、私の特に指導助言というような見解をできるだけ明確にしたいという希望とも共に連関するのであります。文部省の性格がこの設置法案によつて私はこのように変つたというふうに自分では考えているのでありますが、これに対して文部省はどういう見解を持つておられるか伺いたい。というのは今までの教育内容というものに直接タツチしない。これも指導助成するというような、いわば間接的なものであります。ところが從來の文部省そのものはどうかというと、むしろそういうような内容的なものに直接タツチして、そうしてそれが國民の思想、それからそういうような徳育とか、そういうような問題、精神内容の問題を全部そこで指導する機関を一手に引受ける。そういうような中央的な機関として役割を果して、これが戰爭中においてはもつともつと強化されて、そうして言論統制、思想統制というような役割を果して、而も今度の戰爭では重大な影響を持つている。つまり内務省が官僚機構の中で果されたと同じように文部省が果した役割は、言論上におけるそのような特高警察的な統制機構であつたというところに大きな今までの性格があつた。併し全然そういうような性格を拂拭して、今言つてたころの教育面におけるところの仕事だけをやつている。教育の精神的ないろいろな内容に直接タツチしないというところに文部省の新らしい性格があるというふうに私は考えているのでありますが、この点について文部省はどのような見解を持つているか、はつきり伺つて置きたいと思います。
#39
○政府委員(左藤義詮君) 最低基準というものはこの法律にも謳つてございますが、これ以上にお示しのような過去の誤りを繰り返えさないようにという点については御趣旨に同感であります。
#40
○岩間正男君 從つてまま今まで、これは何んと言いますか、新らしい機構ができないで、それまでの過渡的な状態と思うのでありますが、実際問題として文部省の古い考え方がともするとちよいちよいと顔を出して來て、そうしていろいろな学生運動とか、それから教員の思想問題とか、そういうようなことについて、文部省の見解が公式並びに非公式という形で表現されている。そういうことについて、まだ本当に民主化されていないところの、十分に民主化されていない面において、從來の文部省の権限が残されているという形で何か権限を持つている。例えば次官通牒というようなものが何ら法律的なものでないにも拘わらず、或る場合には法律と同等、法律以上の権限みたいなものを持つて行われているという実情が、地方でよく見るのであります。そういう点から考えて、そういうような性格というものを完全に拂拭されることに文部省は努めて、そうして今までの古い形というものを完全に脱却する。そうして思想統制、言論統制に直接、絶対にタッチしない。こういうふうに考えられているか、その点をお伺いいたします。
#41
○政府委員(左藤義詮君) お示しのような方向に努力すべきでございますが、受取る方の心理状態と申しますか、そういう方面も段々進歩と申しますか、或いは解放されるべきものでありまして、漸を追うて只今御趣旨のような方向に文部省としては進んで行きたいと存ずる次第であります。
#42
○河野正夫君 細かいことですが、教育職員免許というものが一方に出ているのでありますが、今從前やつておつた教育職員の免許の免許状を授與するものは、授與権者は文部省にあるか、都道府縣の教育委員会にあるか、それがはつきりしていないので、その事務がこの設置法の方ではつきりしていないと思いますが、その点如何でありますか。
#43
○政府委員(左藤義詮君) それは教育委員会の所管でございます。
#44
○河野正夫君 國立の直轄学校の附属の高等学校とか、中学校、小学校もあるわけですね。そういうような場合は如何ですか。
#45
○政府委員(左藤義詮君) 大学には資格の問題がございますが、附属の高等学校以下につきましては、やはり教育委員会の所管になつております。
#46
○河野正夫君 文部省は全然タッチしない……
#47
○政府委員(左藤義詮君) はあ。
#48
○河野正夫君 もう一つ。どこか私條文を今読んでおつて忘れたのですが、どこか監理局の、所属になつているかどうか分りませんが、教科書の編修という事務は、文部省設置法案で、どこかに属しておつたと思いますが、將來も特定教科書を編修する意思を持つているかどうか、今の用紙事情から來て暫定的なものであるかどうか、その点を伺います。
#49
○政府委員(森田孝君) 附則の七項、八項、九項に今の点が規定しておるのでありまして、昭和二十三年度において、つまり昨年度において編修を計画したところの社会科と理科と國史及び習字の教科用図書の編修が終るまで文部省が行うのであつて、その以後においては行われない。それからその他の改訂におきましても、年の需要が一万部を越えるものについてだけ改訂を行えると限定して書いてあります。それから盲ろうの教科書は、特殊性がありまして非常に数が少い関係上、なかなか檢定なり編修を引受けて貰うところが少い関係もありまして、当分の間文部省で行いますが、これも將來は他の教科書と同じように檢定で行きたいと考えております。
#50
○堀越儀郎君 第五條の第二項でありますが、「文部省は、その権限の行使に当つて、法律(これに基く令命を含む。)に別段の定がある場合を除いては、行政上及び運営上の監督を行わないものとする。」こういうこの問題ですけれども、憲法の第八十九條との関連において、私立学校に対する行政上運営上の監督は行えないということになるわけでありますが、そうすると、今後國の私立学校に対する補助というものはどうなりますか。私立学校に対する補助というものが今よりもつと非常に拡大されなければならない。私学の持つ使命が非常に大きいのであります。そういう場合に、今後この五條と関連して、私学に対して援助をされるのかどうか、その点をはつきりお伺いして置きたいと思うのであります。
#51
○委員長代理(中川幸平君) ちよつと速記を止めて下さい。
   〔速記中止〕
   〔委員長代理中川幸平君退席、委員長着席〕
#52
○委員長(河井彌八君) 速記を始めて。
#53
○高良とみ君 先程席を外しました間に御質問が出たのだそうでありますが、承わりませんでしたが、この文部省機構改革の基本方針の中の五番目に、文化の向上ということが謳つてありまして、「文化の向上はわが國の至上命令であり、社会教育局において社会教育と文化の概念を」ということが書いてありますが、この社会教育局の仕事を常に注意いたしておるのでありますが、私はこれは飜訳の間違いも余程あるのじやないかというふうに常に心配しておることがあるので、その点文部省の御意向を伺いたいと思うのであります。それは文化という言葉を訳すとカルチュアという言葉でありますが、それを先程他の委員から御質問のあつた道義、或いは道徳性の教育というものを含まないかのような文化という言葉にしてしまうと、日本の今の概念ではそうなり易いと思うのであります。そこで私の希望といたしましては、お終いのところにあります「從來以上に文化の助長保護に」というと、如何にもこの社会教育局の仕事は文化事業、いわゆる対物質的な文化というふうな面が非常に強いと思いまするので、一つ教養という言葉を入れて頂きたいと思うのであります。つまりカルチュアという言葉は、物に対する――絵だの音樂だのという文化でなく、教養ということになるだろうと思うのでありまして、それを從來の言葉では、さつき岩間委員から御指摘のあつたような文部省が道徳教育をする、モラルの教育をするということになれば、非常な統制みたいになりますけれども、教養の向上ということをもつと文部省が取入れて頂くことを社会教育方面に希望したいのであります。その点如何でしようか。
#54
○政府委員(森田孝君) 只今の高良委員の御説誠に御尤もでありまして、文部省におきまするところの文化に関します任務も正にお話の通りだと思うのであります。ただ文化という言葉は、御承知のように、非常に一面においては漠然といたしておりまして、その内容がはつきりいたさない、又文化的教養という言葉にしましても、それに関しますところの内容は、文部省において当然に行わなければならない仕事の範囲として我々も考えておるのでありますが、法文の上において文化的教養ということになりますと、その解釈によりまして非常に廣くなつたり挾くなつたりするというとがありますので、戰後におけるところの文部省の新らしい文部行政の行き方から考えまして、でき得る限りこれを具体的な言葉を以て表現して行くという方針を採つております関係上、文化的な教養という言葉を使わなかつたのであります。内容面におきましては誠に御尤もの仰せでありまして、文部省においても十分にその点は今後とも考えて参りたいと思います。
#55
○河崎ナツ君 ちよつと他に行つておりましたので、或いは皆さんから御質問があつて重複いたすようなことがあるかも存じませんが、文部省が社会教育というものに重きを段々置いていらつしやることにつきましては、大変結構だと思つておるのでありますが、その社会教育課の方で、その仕事の中で、青少年の教育、或いは勤労者の教育、それからこの婦人の教育、そういうふうなところに目標を置いてなさつていらつしやいます。又労働省に婦人少年局がございまして、やはりあすこに婦人課があつて、それが実際は地方においては、二つがいろいろ地方の婦人に……この頃婦人は婦人團体を持つておりますが、婦人團体に両方が働き掛けておつて、そのうちの向うに出ておる出先のそういう人達が、力の強い人が主になつて働いておる。実際に婦人は両方からいろいろ呼び掛けられて、いろいろたすきを両方掛けなければならんというような形になつておるのですが、その辺は、労働省の婦人少年局の婦人課と社会教育局の担当の間にどういう話合いになつておりますのですか。その辺のことにつきまして、今度の機構改革のときに当りまして、はつきりして頂きたい。殊に今までは学校教育に重きを置いておりましたが、大衆としての婦人、殊に婦人は遅れております。婦人をどう結集して、どう社会人として推進するかということは非常に大きな日本の問題であります。よその國はもうそういうことは通つてしまつております。日本はそういうことを現段階として通つておるのでありますが、そういうことにつきまして、どちらの方が主となつてなさつておりますか。それにつきまして、文部省の方でもしつかり御意見を打ち立てて頂きたいと思いますが、伺わさして頂きます。
#56
○政府委員(森田孝君) その点につきまして、具体的に話合いをいたしたことのあるのは、いわゆる設置法にもありますが、労働者教育という点につきまして、労働省と折衝いたしたことがあるだけでありまして、その他の点につきまして、具体的に折衝はいたさなかつたわけでありますが、我々の方の解釈といたしましては、労働省において主管せられる婦人なり少年に関する行政は、これはいわゆる労働教育でありまして、労働者としての立場からの教育なり、或いは援助なり援護なりということをいたされるのであります。文部省におけるところの婦人又は青少年というものについては、一般人としての一般的教養の向上ということを目差していたしておるのであります。從いまして、お示しの通り現場に参りますというと、両者が協力をしてやれば非常に効力があるのでありますが、それがお示しの通り、力のある者が結局余計出て來るということが現実としてはあり得ると思うのでありますが、それぞれにおきまして、主眼点が両者が異つておりますので、仕事の内容面において衝突を來すことはないと考えます。ただ相協力して、これを行わなければならんということが言い得ると思います。
#57
○城義臣君 只今私の質疑に対して、関連のあるような御発言があつたので、それに対して政府の答弁がですね。どうも僕は納得が行かないので、重ねて伺いますが、この文部省設置法の第一章ですね。第二條に明らかに、「この法律の解釈に関しては、左の定義に從うものとする。」として、文化というものは、どういうものだという規定がある。その中に、今のカルチュアとモラルの話がありましたけれども、道義とか道徳とかいうような言葉は全然出ておりません。尚手許に配付して頂いておりますその頁の最後に、「この法律で單に「教育」という場合には、学術及び文化を含むものとする」ということを明らかにこれは明記してあるのであります。して見るというと文化というものの中には教養だとか、その中に、廣い意味の文化の中には勿論モラルというものも含んでおるという御答弁はその場限りの御答弁としか私には受け取れないのであります。この定義の解釈について、どういう一体御見解をお持ちですか。
#58
○政府委員(森田孝君) 只今の御質問の意味が私は分りかねましたのですが、第二條の第一項第二号における文化というものの定義の中には、教養という、文化的教養というものが我々は入つておる。これで十分現わされておると考えておるのでありますが、それが現われていないと考える、こういう意味ですか。
#59
○城義臣君 私の力点は、モラルという意味が十分にここに盛られていないということを指摘して、今回の行政機構改革に当つてどういうことをお考えになつていらつしやるかということを御質問申上げました。それに対して、高良委員が先程モラルというようなことは廣義の文化の中に入つておるかということを質問されたが、その通りだとあなたは言われた。その通りだと言うけれども、法律の中に、「左の定義に從う」と明らかに書いてある。その中に「芸術及び國民娯樂、國宝、重要美術品、史跡名勝天然記念物その他の文化財」ということを書いてある。モラルという言葉は全然出ておりません。するならば、私はこの定義によつて解釈して、この文部省のその言葉に対する解釈が甚だどうも軽視しているというような私は結論に到達せざるを得ないのであります。私は高良委員の御質問に対して、文化という意味を廣義に解釈して、その中には教養とか徳育というものを含まれていると解釈したいが、そうなつておらないところに多少文部省の口頭禪になるような私は感じを受けるのであります。
#60
○政府委員(森田孝君) 私の先程御説明申上げましたのは、只今お話になりましたような、徳育とか、或いはモラルというようなことは、これは言葉の上で現わすものというよりも、生活の実態の中において現わすべきものでありまして、從いましてそれだけを拔き出して、特にこれを掲げるということよりも、文部省の教育なり文化なり、或いは学術なりのすべての点において、その徳育というものが非常に重要な部分を占めて含まれていると御解釈を願いたいと思います。又我々としては、そういう意味において、文部行政を今後遂行して行きたいと考えます。そういうことを申上げたのであります。
#61
○田中耕太郎君 今の教育のうちに、学術及び文化を含むことになつていると、その点について、文化という意味が從來普通に考えられているところと違いやせんか。そこでですね、第二條のそれぞれの條項の定義的の列記ですが、教育という場合には、学術及び文化も含むんだという意味に解することができないか。或いは原案はそういう意味に書かれているのでないかどうかということを伺いたい。つまり教育は勿論道徳教育を離れてない筈です。やはり教育本來の中に道徳というものは入るんだ。併しさような意味以外に、尚学術とか文化なんかも、ここにいう、この法律でいうところの教養の中に入るんだという意味を書かれているのではないかどうかということを伺いたい。
#62
○政府委員(森田孝君) 田中委員の言われる通りでありまして、第二條第二項は、本法律における約束でありますから、殊に本法律でこういう場合にはということを含めて書いたんだということを現わしただけであります。
#63
○城義臣君 これ以上は質疑じやなくて、問答になりますから、私は打切ります。
#64
○委員長(河井彌八君) 如何でしようか。連合委員会はこの程度でよろしうございますか。まだ御質問がありますか。
#65
○河野正夫君 私はもう必要がないと思いますが、ただ城委員の御発言に、ただ内閣委員会でこれの修正を御決定になるそうですから、文部委員会としての関連が今のような非常にあるのですから、一言だけ発言させて頂きたいと思います。というのは今田中委員長がおつしやつた通りでありまして、教育というものは当然にモラルというものを含んでおる。含んでいない教育というものはあり得ない。それで教育基本法でもそのことは明瞭になつておるのです。殊更に教養、文化云々は怪しからんということは、どうも文部委員の立場から言うと少しおかしいではないか。原案はそれで差支ないだろうが、妙なものができ上るのではないかということです。これは質問であるか、意見であるかちよつと分らないですが……
#66
○高良とみ君 只今の皆様の御議論は非常に今の國民の要望が裏にあるということは私は思うのであります。それは教育行政が地方教育委員会に移りましたことと、文部省が今まで教育の省みたようであつたのに、その主な教育監督や教育行政のことを手放されるために、今度新らしく組織替えされるところの文部省というものが、学術と文化の方面に力が行つて、肝心な教育の本筋を……そうでなくても民主主義下における日本の教育というものが非常に問題を釀しておりますために、國民が非常に心配していると思うのでありますが、その点特に文部省におかれては、今後運営上教育のことは地方の教育委員に委して、或いは親なりP・T・Aなりに委して、先生に対するところの統制力もない、教科書も手放されるということになると、学術も文化も結構でありますが、新らしい教育改革におきまして道義の教育というような方面が非常に今根本的の危機にあるということを代表して皆さんの御質問の根本が出るのだと思いまして、特にそれは言葉の上ではなしに、どうか口頭禪にならないようにやつて貰いたいというのが私共の希望だと思いますので、一言附加えさして頂きます。
#67
○委員長(河井彌八君) それでは連合委員会はこれを以て終了することにいたしまして御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#68
○委員長(河井彌八君) それではこれを以て散会いたします。
   午後零時三十三分散会
 出席者は左の通り。
  内閣委員
   委員長     河井 彌八君
   理事
           中川 幸平君
   委員
           河崎 ナツ君
           荒井 八郎君
           城  義臣君
           岩本 月洲君
           下條 康麿君
           三好  始君
  文部委員
   委員長     田中耕太郎君
   理事
           高良 とみ君
           岩間 正男君
   委員
           河野 正夫君
           若木 勝藏君
           左藤 義詮君
           堀越 儀郎君
           山本 勇造君
           鈴木 憲一君
  政府委員
   文部政務次官  左藤 義詮君
   文部事務官
   (大臣官房文書
   課長)     森田  孝君
ソース: 国立国会図書館
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