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#1
第061回国会 予算委員会第三分科会 第1号
本分科会は昭和四十四年二月二十日(木曜日)委
員会において、設置することに決した。
二月二十二日
 本分科員は委員長の指名で、次の通り選任され
 た。
      赤澤 正道君    小坂善太郎君
      竹内 黎一君    中野 四郎君
      灘尾 弘吉君    八木 徹雄君
      大原  亨君    阪上安太郎君
      山内  広君    伏木 和雄君
二月二十二日
 赤澤正道君が委員長の指名で、主査に選任され
 た。
―――――――――――――――――――――
昭和四十四年二月二十四日(月曜日)
    午前十時四分開議
 出席分科員
   主査 赤澤 正道君
      小坂善太郎君    竹内 黎一君
      中野 四郎君    八木 徹雄君
      大原  亨君    兒玉 末男君
      田邊  誠君    山内  広君
      山口 鶴男君    大橋 敏雄君
   兼務 角屋堅次郎君 兼務 田中 武夫君
   兼務 田原 春次君 兼務 高田 富之君
   兼務 山中 吾郎君 兼務 岡沢 完治君
   兼務 玉置 一徳君 兼務 松本 忠助君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 斎藤  昇君
 出席政府委員
        内閣法制次長  吉國 一郎君
        公正取引委員会
        委員長     山田 精一君
        警察庁刑事局長 内海  倫君
        厚生政務次官  粟山 ひで君
        厚生大臣官房長 戸澤 政方君
        厚生大臣官房会
        計課長     横田 陽吉君
        厚生省公衆衛生
        局長      村中 俊明君
        厚生省環境衛生
        局長      金光 克己君
        厚生省医務局長 松尾 正雄君
        厚生省薬務局長 坂元貞一郎君
        厚生省社会局長 今村  譲君
        厚生省児童家庭
        局長      渥美 節夫君
        厚生省保険局長 梅本 純正君
        厚生省年金局長 伊部 英男君
        厚生省援護局長 実本 博次君
        社会保険庁長官 熊崎 正夫君
        社会保険庁年金
        保険部長    中村 一成君
        消防庁長官   佐久間 彊君
 分科員外の出席者
        内閣総理大臣官
        房参事官    野村 正幸君
        大蔵省主計局主
        計官      辻  敬一君
        労働省労働基準
        局安全衛生部労
        働衛生課長   伊集院兼和君
    ―――――――――――――
二月二十四日
 委員阪上安太郎君、山内広君及び伏木和雄君委
 員辞任につき、その補欠として山口鶴男君、田
 邊誠君及び北側義一君が委員長の指名で分科員
 に選任された。
同日
 委員田邊誠君、山口鶴男君及び北側義一君委員
 辞任につき、その補欠として山内広君、兒玉末
 男君及び大橋敏雄君が委員長の指名で分科員に
 選任された。
同日
 委員兒玉末男君及び大橋敏雄君委員辞任につき、
 その補欠として阪上安太郎君及び山田太郎君が
 委員長の指名で分科員に選任された。
同日
 委員山田太郎君委員辞任につき、その補欠とし
 て伏木和雄君が委員長の指名で分科員に選任さ
 れた。
同日
 第一分科員山中吾郎君、第二分科員田原春次君、
 岡沢完治君、第四分科員角屋堅次郎君、田中武
 夫君、高田富之君、玉置一徳君及び第五分科員
 松本忠助君が本分科兼務となった。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和四十四年度一般会計予算中厚生省所管
 昭和四十四年度特別会計予算中厚生省所管
     ――――◇―――――
#2
○赤澤主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。
 私が第三分科会の主査をつとめることになりましたので、よろしくお願い申し上げます。
 本分科会は、昭和四十四年度一般会計予算中、厚生省、労働省及び自治省、並びに昭和四十四年度特別会計予算中、厚生省、労働省及び自治省所管について審査を行なうことになっております。
 本分科会の審査日程につきましては、お手元に配付いたしました日程表により審査を進めてまいりたいと存じますので、御了承願います。
 昭和四十四年度一般会計予算及び昭和四十四年度特別会計予算中、厚生省所管を議題といたします。
 政府から説明を求めます。斎藤厚生大臣。
#3
○斎藤国務大臣 昭和四十四年度厚生省所管一般会計及び特別会計予算案の概要について御説明申し上げます。
 厚生行政は、各位の御協力により着実にその進展が見られていることに対して、まず厚く御礼を申し上げます。
 昭和四十四年度厚生省所管一般会計予算の総額は九千三十九億三千百七十四万一千円でありまして、これを前年度の昭和四十三年度当初予算七千六百八十六億七千五百四十一万六千円に比較いたしますと、一千三百五十二億五千六百三十二万五千円の増加と相なり、一七・六%の増加率を示しており、また、一般会計予算総額に占める構成比率は一三・四%と相なっております。
 以下、主要な事項について、その概要を御説明申し上げます。
 第一は、生活保護費関係の経費であります。
 生活扶助につきましては、その基準額を一三%引き上げることといたしており、また、教育扶助及び葬祭扶助等につきましても、それぞれその改善をはかるなど、生活保護費として総額一千八百二十九億六千四百余万円を計上いたしており、前年度予算に比し、百八十九億四千三百余万円の増加となっております。
 第二は、社会福祉費関係の経費であります。
 社会福祉施設における処遇改善及び施設整備費につきましては、収容施設等の飲食物費、日常諸費等の改善を行なうほか、施設職員の増員と、その給与改善を行ない、さらに俸給の調整額を創設するなど、その処遇の改善をはかるための経費を計上いたしており、また、社会福祉施設の整備につきましては、特別養護老人ホームをはじめとし、老人福祉施設、保育所及び老朽民間社会福祉施設等の整備に必要な経費として四十三億円を計上いたしております。
 老人福祉費につきましては、近年における老齢人口の増加、核家族化傾向等に対処するため、従来の施策をさらに強化するとともに、新たに、寝たきり老人対策として、訪問健康診査、家庭奉仕員の派遣等を実施することとし、百四十二億五千五百余万円を計上いたしております。
 児童保護費につきましては、児童保護措置費の大幅増額をはかるとともに、心身障害児に対する従来の施策をさらに強化するほか、フォコメリー児に対する電動式義手の交付等を行ない、また、親なきあとの心身障害児の生活安定のための心身障害児扶養保険制度の助成とその合理的運営をはかるため、所要の経費を計上いたしております。
 なお、母子保健対策の強化をはかるため、妊産婦、乳幼児を通じて一貫した保健管理体制を確立するなど児童保護費として五百五十一億五千五百余万円を計上いたしております。
 このほか、身体障害者の福祉対策としては、新たに重度障害者に対する特殊浴槽等を支給するほか、国立身体障害者更生指導所に補装具研究所を付置するなど、所要の経費を計上いたしております。
 また、新たに中高年寡婦に対し、福祉資金の貸し付けを行なうこととするほか、母子福祉費、児童扶養手当等の経費もそれぞれ増額することとしております。
 これらもろもろの施策に必要な社会福祉費として総額八百八十四億五千四百余万円を計上しており、前年度予算に比し、百七十六億一千八百余万円の増額となっております。
 第三は、社会保険費関係の経費であります。
 社会保険国庫負担金は、医療保険につきましては、暫時健康保険法及び船員保険法の臨時特例法の延長をはかることとし、これに伴い財政の健全化に資するため二百三十一億円を計上いたしており、日雇労働者健康保険については、傷病手当及び療養の給付期間の延長、保険料の適正化等を行なうこととし、所要の経費を計上いたしております。
 年金制度につきましては、財政再計算期にあたり二万円年金を実現すべく、厚生年金保険の大幅な給付改善を行なうなど所要の経費を計上しており、社会保険国庫負担金として六百八十八億一千六百余万円を計上いたしております。
 国民年金国庫負担金は、拠出制国民年金につきましては、老齢年金について厚生年金保険に見合い、夫婦二万円年金の実現、十年年金の優遇措置を講ずるほか、障害、母子年金等についても給付額を引き上げ、また、高齢者の再加入の道を講ずるなどの改善を行なうこととして、所要額を計上いたしております。
 福祉年金につきましては、老齢福祉年金の年金額を月額百円、障害福祉年金、母子福祉年金等の年金額をそれぞれ月額二百円引き上げるとともに、夫婦受給制限の撤廃等の支給制限の緩和をはかるなどの改善を行なうこととして所要額を計上しており、国民年金国庫負担金として一千百八十億二千二百余万円を計上いたしております。
 国民健康保険助成費につきましては、医療費の増高に即して所要額を計上するとともに、分べん給付の改善、事務費補助金の単価の引き上げなど、国民健康保険助成費として二千七百九十二億三千余万円を計上しており、社会保険費として総額四千六百七十六億七千八百余万円を計上しており、前年度予算に比し、七百九十四億二千二百余万円の増額となっております。
 第四は、保健衛生対策費関係の経費であります。
 原爆障害対策につきましては、新たに、特別被爆者が死亡した場合に葬祭料を支給することとし、また、医療保険における被用者本人の一部負担金の公費負担を行なうとともに、特別被爆者の範囲の拡大及び特別手当の支給制限の緩和など被爆者対策の充実をはかることとして、六十億二千五百余万円を計上いたしております。
 救急医療対策につきましては、救急医療施設の整備、医師の研修など施策の充実をはかるための所要額を計上しております。
 僻地医療対策につきましては、従来からの施策を推進するとともに、特に患者輸送車等機動力の強化を主眼とした施策の充実をはかることとして、所要額を計上しております。
 結核医療費は三百九十三億九千三百余万円、精神衛生費は二百七十六億六千八百余万円をそれぞれ計上するなど、保健衛生対策費として総額一千二百二十億三百余万円を計上いたしており、前年度予算に比し百四十億六千九百余万円の増額となっております。
 第五は、遺族及び留守家族等援護費であります。
 恩給の改正に準じて、障害年金、遺族年金等の年金額を増額することとし、また、援護の未処遇に対する改善をはかるため勤務関連で死亡した被徴用者等の遺族に対し年金を支給し、戦傷病者等の妻に対する特別給付金及び戦没者の父母等に対する特別給付金等の支給範囲を拡大するなど、遺族及び留守家族等援護費として総額二百二十二億三千三百余万円を計上いたしており、前年度予算に比し十五億五千五百余万円の増額となっております。
 第六は、生活環境施設整備費であります。
 水道水源開発等施設整備費補助金として対前年度六億六千五百余万円増の十五億五百万円を計上して水源の確保をはかることとし、簡易水道等施設整備費補助金については、対前年度三億六千万円増の二十一億百万円を計上し、清掃施設整備費補助金については、五カ年計画の第三年次分として三十二億九千百万円を計上いたしており、生活環境施設整備費として総額六十八億九千七百万円を計上いたしており、前年度予算に比し十三億三千八百余万円の増額となっております。
 第七は、公害防止対策等の経費であります。
 公害防止対策は、従来の施策を一そう充実するとともに、地方公害防止体制の強化をはかるため、地方公害監視設備等を整備するほか、新たに、保健所に公害担当職員を設置し、公害問題の処理機能の充実をはかることといたしております。また、公害による被害の円滑な救済をはかるため、公害被害救済制度の確立をはかることとし、所要の経費を計上いたしております。
 公害防止事業団に対しましても、出資金一億円を計上するほか、前年度に引き続き貸付金の金利の引き下げをはかるなど、公害防止対策に必要な経費として七億四千八百余万円を計上いたしております。
 医師臨床研修費につきましては、研修制度の円滑な運用を期するため、公私立大学附属病院及び指定病院における助成措置の拡充をはかるなど、臨床研修に必要な経費として十一億二百余万円を計上いたしております。
 以上、昭和四十四年度厚生省所管一般会計予算案についてその概要を御説明申し上げました。
 次に、昭和四十四年度厚生省所管特別会計予算案の大要について御説明申し上げます。第一は、厚生保険特別会計についてであります。
 一般会計より六百六十七億四千百十万五千円の繰り入れを行ない、各勘定の歳入歳出予算をそれぞれ計上いたしております。
 第二は、船員保険特別会計についてであります。
 一般会計より二十億七千五百七十六万二千円の繰り入れを行ない、歳入四百二十一億四千六百十四万四千円、歳出二百七十七億八千四百三十万四千円を計上いたしております。第三は、国立病院特別会計についてであります。病院勘定は、一般会計より七十三億四千百八十三万七千円の繰り入れを行ない、歳入歳出とも五百二十四億二千百六十万二千円を計上いたしております。
 療養所勘定は、一般会計より二百二十四億二千百五十六万円の繰り入れを行ない、歳入歳出とも四百六十三億五百九十一万五千円を計上いたしております。
 第四は、国民年金特別会計についてであります。
 一般会計より一千百八十億二千二百二十八万八千円の繰り入れを行ない、各勘定の歳入歳出予算をそれぞれ計上いたしております。
 最後に、あへん特別会計についてであります。
 歳入歳出とも九億九千九百九十四万一千円を計上いたしております。
 以上、昭和四十四年度の厚生省所管特別会計の予算案について、その概要を御説明申し上げました。
 何とぞ本予算案の成立につきましては、格別の御協力をお願いたす次第であります。
#4
○赤澤主査 以上で説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#5
○赤澤主査 質疑の申し出がありますので、これを許します。田中君。
#6
○田中(武)分科員 私は、まず厚生省に対しまして、薬事行政について若干お伺いをいたします。
 医薬品等につきましては、薬事法に詳細の規定があり、医薬品の定義は、薬事法第二条第一項に定められております。その二号に「人又は動物の疾病の診断、治療又は予防」こういうことばが使われているわけであります。人間と動物というのは、これはまず区別はすぐつくだろうと思うのですが、治療薬と予防薬、これは認許可にあたってはあらかじめ区別をして認許可をするのか、あるいは一本の認許可であって、その薬の内容によって予防薬となり治療薬になるのか。そしてよく家庭薬といわれますが、保健薬とかあるいは強壮剤等々の名目で売られている、これはいわゆる予防薬なのか治療薬なのか。こういう点について、薬局へ行って、あるいは店頭で消費者が買う場合に、これは予防薬なのか治療薬なのかということがすぐわかるような方法になっているのかどうか、お伺いいたします。
#7
○坂元政府委員 薬品の定義につきましては、いまお読みいただいたように、法律の中に書いてあるのでございます。ただ、私どものほうといたしましては、お尋ねの、いわゆる治療薬なのか、いわゆる予防薬なのか、こういう点についての考え方をはっきりする必要があるかどうかという点について、従来からいろいろ研究をいたしてまいったわけでございます。
 法律上は、いま御指摘のように、同じ一本の法律になっておりますが、考え方としましては、やはり治療専門の薬と、それからいわゆる予防薬的なそういうものと、あるいはまた、一般の大衆の方が医師の指示なくして使用できるようないわゆる大衆薬、こういうようないろいろな概念につきまして、ある程度はっきりさしたいということで、実は一昨年から私どものほうで行政指導としまして、医者が専門的に使うようないわゆる治療薬と、それから、そうでない、医者の指示等によらないでも一般大衆の方がしろうとの判断で使っても差しつかえないようないわゆる大衆薬、こういうような区別を事実上いたしまして、現在取扱いをやっております。
 それから第二点の、市販されておる中に、いろいろ大衆保健薬といわれるものがあるけれども、これはどちらのグループに属するのかというお尋ねでございますが、この点につきましては、私どもはっきりした科学的な基準というものがございませんので、明確な科学的な説明というものは非常にできにくいわけでございますが、現在いわれております大衆保健薬というものは、健康保持等のために使ういわば予防薬的なグループに属するものが非常に多いということだけはいえるのじゃないか、かように思っておるわけでございます。
#8
○田中(武)分科員 法律では「診断、治療」と「又は」で分けてあるわけですな。したがって私は、診断、治療用の薬は、これは専門家用である、予防は一般的だ、こういえると思うのです。したがって、これを明確に区別をする必要があるのじゃなかろうか。それからまた、その区別が明確になれば、その上に立って、広告、宣伝等も、治療あるいは診断用は医師あるいは薬剤師といった専門家に広告、宣伝をする、こういうようにしたらどうかと思うのですが、そういう点はいかがですか。
#9
○坂元政府委員 御指摘のように、かりに医療機関等で専門的に使うような、いわゆる先生のおことばをかりますと、治療薬といわれるグループのものと……
#10
○田中(武)分科員 私のことばではない。法律上、治療薬になっておる。
#11
○坂元政府委員 これは治療薬といいますよりも、治療の目的のために使う薬、こういう意味でございますので、かりにそういうようなグループのものと、そうでない一般の国民が薬局等で自由に買えるというような薬との区別というものがはっきりできますれば、確かに私どももいろんな面において好都合かと思いますが、われわれは、先ほども申しましたように、行政指導の形でそういうような運用をやっているわけでございます。
 そこで、医師等が専門的に使うようないわゆる治療薬というものにつきましては、従来から広告、宣伝というものは差し控えていただくということにして指導を徹底さしていることは、御承知のとおりでございます。
#12
○田中(武)分科員 わずか三十分ですから、議論の時間がありませんので、尋ねるという態度だけで進めたいと思います。
 この新薬の認許可にあたっては、いわゆる新薬の場合は、薬事審議会の審査を経て厚生大臣が指定する。そうでない、新成分でない一般大衆薬というか家庭薬等は、その配合剤が、そういう新薬でないものを配合してやった場合、これは薬事専門家に聞いてみると、課長、課長補佐クラスの人などが調べて、局長決裁ということで認許可がされておる、こういうたてまえになっておると聞いておるのですが、一般にいわれておるのは、厚生省は、薬は害にならなければ何でも認可をする、こういうようにいわれておるわけなんです。この薬の認許可にあたりましては、積極的にたとえばこの薬がかぜならかぜにきくのかどうか、こういうような検査をしておられますか。あるいはビタミン剤ならビタミン剤がこれこれの保健用にきく、こういう効能を書いておりますが、それが積極的にきくのかどうかという検査をされた上で認可を与えられておるのか、いかがでしょうか。
#13
○坂元政府委員 薬の効能効果についてのお尋ねでございますが、薬の効能効果は、やはり薬の生命として一番大事な問題でございますし、また一方、薬の安全性、これとこの効能効果の両面、これは確かに薬として一番大事な点でございますので、この両面から私どもは従来から厳重に審査をいたしておるわけでございます。
 そこで、いまお尋ねの効能効果についての積極的な検査をやっているかという点でございますが、薬を許可する際、いまお話がございましたように、専門の薬事審議会等にはかってやっておるものと、それから一定の基準――薬事審議会等できめられた一定の基準によってやる場合と両方ございますが、いずれの場合にしましても、その際厳重な資料要求をやっております。効能効果の面と副作用の面と資料要求をやっております。そこで、その資料要求に基づきまして、専門の学者等の御意見を聞いてやっております。それから特別の医薬品については、国立の衛生試験所等が試験をやって、そうしてこれは妥当であるという最終的な結論に基づきまして許可をやる、こういう事情に相なっております。
#14
○田中(武)分科員 現在生産されておる薬は二万四千六十九種ある。そしてメーカーといいますか、薬屋さんは二千百九十社あります。そしてその中には、月産百万円以下のいわゆる中小メーカーといいますか、これが千四百八十六社あります。こういうふうな状態だといわれております。そこで、同じような目的、同じような効用といいますかを持った薬が多過ぎる。はんらんし過ぎておる。そこで、お互いに過当競争が起こる。そこにいわゆる宣伝合戦、あるいは毎年ちょっと内容を変えて、あるいは変えなくともラベルだけを変えて、ゴールドだとか新薬というような名をつけて売り出すというようなこともあるわけなのです。少しでも他社より早く認許可がとりたい、早く売り出したい、そういうようなところがいろんなおかしな問題を生んでおるのじゃなかろうか。ずばり言いまして、最近厚生省で好ましくない汚職事件が起こりました。こういうところも、私は、薬が多過ぎる、過当競争になる、つまらぬ宣伝合戦あるいは先陣争いをやる、ここに厚生省の最近起こった例のような事件が起こる温床がある、このように思うわけなんです。
 そこでまず、簡単でけっこうでございますが、薬の申請から認許可に至るまでの手続、これは先ほど申しましたように、新薬とそうでないのとちょっと違いましょうが、それとさらに同じような目的を持つ薬はコントロールできないのか、少しは調整できないのか、この二点について、時間がありませんから簡単にお答え願います。
#15
○坂元政府委員 簡単に申し上げます。
 手続の点につきましては、メーカーのほうから一定の書類なりデータを取りそろえまして、都道府県知事のほうに申請をしまして、都道府県知事で予備審査をいたしまして、厚生省のほうに出してもらい、厚生省のほうでは、先ほど申しましたように、新医薬品とかあるいはガンの薬等の特別な医薬品とか、それぞれその中身によって薬事審議会のほうの扱いなり何なりが違っておりますが、いずれにしましても、手続的にはそういうようなことになっておるわけでございます。
 それから、似たような薬が多過ぎるという現状認識の点につきましては、私どもも全く同感でございまして、確かに日本の場合は、多くのメーカーが数多い類似品というものを生産、販売しているというのが日本の現状でございますので、私どもも、従来から、その類似品、いわゆる模倣品というようなものについて、何とかしてこれを調整をしていきたいということで、一昨年から実は配合剤というようなものについては簡単に今後は許可をしない、配合の特別の理由がない限りは許可をしないという厳重な方針を打ち出してきておりますので、最近においては配合剤の種類は非常に減ってまいっております。したがいまして、いま御指摘のように、こういう類似品なり模倣品なりというものは、できる限り今後正しい姿においてメーカーが生産できるような方向を考えてまいりたい、こういうようなことでいろいろ現在、大臣の御指示もありまして、対策を考えている段階でございます。
#16
○田中(武)分科員 聞くところによると、毎年新薬、新しい薬の申請が八千件もある。そして早くても三、四カ月あるいは一年かかる。そのうち四千件、半分くらいが許認可になる。そこで、どっと厚生省の薬事専門官のところに押しかける。それが今度のようなあの忌まわしい汚職を招いたと思います。しかも、聞くところによると、この人は薬事課でただ一人の薬事専門官であったそうですね。そういうところに私、問題があると思うのですが、厚生大臣、あのような問題は氷山の一角だといわれておりますが、そのことについてどのように内部を改善して、そういうことの起こらないように考えていくのか。
 さらに、この薬事専門官、名前はあえて申しませんが、この人はある会社の――これは佐藤製薬ですか、ある会社の産業スパイまでやっておった、こういわれておるわけなんです。このようなことが今後起こらないように、厚生大臣は内部の体制をどう考えていくのか。
 さらにまた、一年もかかるというところに過当競争がある。そこで、製薬会社は厚生省のお役人を顧問だとかあるいは天下りを受け入れて、少しでも厚生省とコネをつくろうとしている、こういう問題もそういうところにあると思うのです。このような問題を含めて厚生大臣の決意を伺います。
 さらに、警察庁に来ていただいておりますのでちょっと一緒にお伺いいたしますが、この厚生省の汚職問題につきまして警視庁捜査第二課は、これはほんの永山の一角である、製薬会社と厚生省のくされ縁はなかなかこんなことでは切れない、この際徹底的に捜査を進めて、このくされ縁にメスを入れる、こういうようなことも警視庁捜査第二課が言っておると新聞で見ました。そういうことについて、警視庁のほうから警察庁のほうにどのような連絡があったか。あるいはまた、そのことに対して、警察庁の刑事局長さんに来ていただいておりますが、どういうようなお考えを持ち、今後どのようにしようと考えておられますか、あわせてお伺いいたします。
#17
○斎藤国務大臣 先般、厚生省に不祥事件を生みましたことは、まことに遺憾でございます。日ごろの監督の不行き届きにつきまして、おわびを申し上げる次第でございます。
 ただいまお尋ねの中で、薬事審査官は一人だとおっしゃいましたが、そうではなくて……
#18
○田中(武)分科員 薬事課において、新聞にそう出ていた。
#19
○斎藤国務大臣 五人いるわけであります。あれ一人ではございません。そして、そういうことのないように特殊の会社とのくされ縁のないようにという配意から、いままでもあまり長く同一ポストに置かないということにいたしておったそうでありますが、今後もさらに一そうそういうようにやってまいりたいと思う次第でござます。
 何といっても、ただいま御意見にありましたように、新薬の申請が非常に数が多い。中には模倣品やあるいはちょっと中身を変えるというようなものが多いので、こういうようなものの数を少なくするような方法について、いまいろいろと専門的に研究をさせておる次第でございます。同時に、関係係官の数をもっと増しまして、早くさばきますと同時に、同じところに長くとどめて置かないようにというやり方も必要であろうと考えております。
 製薬会社へ退職後入るというようなことなども、いままでも厳重に審査をしておったと思いますし、御承知のように、人事院の認可が必要でございます。しかし、今後もさらに特にそういう点には配慮をしてまいりまして、ああいったようなことのないようにいたしたい、かように考えております。
#20
○内海政府委員 現在、捜査をいたしております事件につきましては、警視庁のほうからその捜査の着手あるいは捜査の経過はその報告を聞いておりますけれども、それ以外特にただいまお話のありましたような事柄については、私どもこれを聞いておりません。
 また、一線の警察が捜査をいたします場合は、これは犯罪の容疑があれば必ず捜査をいたしますが、それはどこまでもそういうふうな犯罪の容疑を解明するために行なうものでございます。今後におきましても、いずれの官庁あるいはいずれの業界でございましても、そこに犯罪の容疑を警察側において持ちます限り、その実態を解明し、もし犯罪があれば必要な手続を踏んで措置をとるということが私どもの使命でございます。その点だけ申し上げておきます。
#21
○田中(武)分科員 時間がないので議論はやらないことにします。次へ参ります。
 最近、見せかけだけの漢方薬というのがたくさん出ておると聞いております。たとえばニンニクとかクコとかハブ草、ササの葉等々、これをカプセルにするとか粉末あるいは錠剤、ドロップ等々にいたしまして、そして強壮剤だとか美容健康によくきく、こういうようなことを宣伝をいたしております。これはいわゆる薬品でなくて食品類に入るのではなかろうかと思うのです。そこで、この医薬品と食品衛生法ですか、これの範疇に入るものとがすぐにわかるような方法をひとつ考えてもらう必要があるんじゃなかろうか。消費者のほうですぐに、これは薬なのか薬でないのかということがわかるように、これは基礎の法律が違うんですからね、考えてもらう必要があると思うのです。薬事法には、六十六条に誇大広告の禁止の規定がある。しかし、この条文が動いたということばあまり聞いておりません。この六十六条の誇大広告の禁止の規定が実際どのように運用せられておるのか。
 それから、さらに一例をあげますと、これはある信州の保健用の酒、こういうことになっている。名前を言ってもよろしいが、これだけ言えばわかると思います。それが、かつては信州赤まむし酒ということでどんどん宣伝いたしておりました。ところが、いつの間にかまむし酒というまむしは消えまして、十種類余りの、いま言った漢方薬の何というのですか基礎というのですか、漢方薬の草木等を並べまして宣伝をいたしております。しかし、従来といまのと中身が変わったということは聞いておりません。そうするならば、おそらくや不当表示防止にひっかかるので、いままで赤まむしといっておったのを引っ込めたんだと思うのです。現在やっているのがほんとうであるならば、過去にやっていたことはうそであった、こう言わなければならないわけなんです。
 それから、おもちゃ類にいろいろと有害なものがついておる。現在、食品衛生法では、赤ちゃんが直接口にするものについての規定がある。しかし、その以外は野放しになっておる。こういう点についても食品衛生法を再検討する必要があるのじゃなかろうか。いま言ったように、薬事法と食品衛生法との接点というところがわからなくなっている。これを明確にし、なお薬事法を検討し直す必要があるのじゃなかろうかと思うわけです。
 公取委員長が来ていただいておりますのでお伺いいたしますが、この種のいわゆる薬と、いわゆる食品衛生法に基づくもの、この効能とか、あるいは一見していかにも美容強壮にきくとかいうような宣伝方法、これは明らかに不当表示防止法にかかる行為、該当する行為ではなかろうかと思うのですが、これらの点について、公取委員長さんには不当景品類及び不当表示防止法との観点からどのように考え、あるいは公取としてはどうすべきかをお尋ねいたします。
#22
○赤澤主査 答弁は簡単に願います。
#23
○坂元政府委員 医薬品と食品との区別、確かにこれは現在市販されているまぎらわしいものに関してその実態を見ますと、一般の消費者の方がわかりにくい点があるということは、まことに残念ながら事実のようでございます。法律論的には、医薬品か食品かということについては、ある程度はっきりいたしているわけでありますが、市販されている商品の中にはその区別ができないというものがありますので、私どもとしましては、特に昨年の秋からそういう医薬品か食品かのまぎらわしいものについて徹底的に取り締まり、監督をやるように各都道府県に指示をいたし、現に東京都あたりは本年に入りましてからその取り締まりに努力をいたしているわけでございます。
 それから第二の、薬事法の誇大広告禁止の規定の活用状況でございますが、これは私どもとしましては、最大限この条文を活用いたしているわけでございます。そこで、たとえば昭和四十二年におきましては、誇大広告違反件数は千三百三十八件摘発をいたしております。
 それから、漢方薬等というような名称のもとにおいて、医薬品と食品との区別がまぎらわしいというようなものがあるようでございますが、この点につきましても、冒頭に申しましたように、食品と医薬品との区別という観点から取り締まりをいまやっている最中でございます。
#24
○金光政府委員 おもちゃ等に関連しまして、おもちゃにつけますいろいろの物資、食品等の問題でございますが、これは御指摘のように食品衛生法で規制してございます。しかし、規格基準がまだ定めてございませんので、この四十四年度の予算にも計上いたしまして、規格基準を設定することにいたしております。その他のおもちゃにつきましての有害物資等につきましては、食品衛生法におきましては、食品という立場から規制いたしておりますので、そういう立場から問題があるものにつきましては検討してまいりたい、かように考えます。
#25
○山田政府委員 単なる食品でありながら医薬品であるかのごとき表示をいたしておりますものは、明らかに不当表示であると心得ております。法律では「商品又は役務の品質、規格その他の内容について、実際のもの又は当該事業者と競争関係にある他の事業者に係るものよりも著しく優良であると一般消費者に誤認されるため、不当に顧客を誘引し、公正な競争を阻害するおそれがあると認められる表示」と書いてございます。これを適用いたすことになると考えます。また現に、直接医薬品ではございませんが、先般医療器具であるかのごとき表示をいたしました、たとえば背のたけが伸びるとか鼻が高くなるとかいうような商品につきましては適当な処置をいたしたのでございますが、今後ともその方針でまいりたいと考えております。
#26
○田中(武)分科員 明らかに不当表示だと思いますので、公正取引委員会のほうにおかれても十分なる監視あるいは摘発が必要であろうと思います。
 ここでこういうことを聞くのはちょっと筋違いですが、せっかく公正取引委員長に来ていただいておりますので、本格的な議論は公正取引委員会の分科会あるいは締めくくり総括質問の中で行ないますけれども、きょう一斉に各紙は、富士、八幡両社の合併について、きょう公取委員会が両社の専務か何かを呼んで何かを言われるということが報じられておるわけです。そこで、その通告といいますか、その内容はどんなことなのか、あるいはその通告は独禁法上どのような法的効果を持つものなのか、ひとつお伺いしておきたいと思います。
 私は先日、予算の総括質問のときに、これこれの点について問題がある、こういうことについてはそのことによって関係当該者がその点を修正する、そうして今度は正式に十五条二項による届けを出したときにフリーパスをさす、こうではなかろうか、こういうようなことを私はあなたに申し上げたと思う。あくまでこれは正式の届け出を受けてちゃんとした独禁法上の審査をやる、このように考えておりますので、詳しいことはまたあらためて申しますが、簡単でけっこうですから……。
#27
○山田政府委員 前段のお尋ねでございますが、新聞には各種の報道が出ておりますが、これは今後さらに委員会を開きまして審議をいたさなければ、何ともまだ決定をいたしておりませんわけでございます。
 それから第二点のお尋ねの、正式な届け出がございました場合には、その届け出の内容に即しまして正式の審査をいたす、かように心得ております。
#28
○田中(武)分科員 厚生省か労働省にお伺いしますが、最近、神戸大学の医学部の喜田村教授が、市販のガソリン、燃料用のガソリン――これはよく油を使う職場等で油をふいたり、手をふいたり、あるいは印刷機械、印刷のインキを洗い落とすようなことに使用しておる。その結果、その職場で四アルキル鉛の中毒症状が起こり、発狂したりあるいは死ぬことがある。こういうことを神戸大学の喜田村教授が明らかにしておりますが、これについて厚生省は御存じなのか、御存じだったら、どういうようなことを対策として考えておらえるのか。労働省はそのことを、いわゆる四アルキル鉛中毒は職業病として認定せられますか、いかがですか。その点をお伺いいたします。
 時間がありませんから、もう一点お伺いして終わります。
 これは厚生省にですけれども、検疫について、これはわが国に伝染病が上がってこないようにするために重要な制度であります。しかし、この検疫体制というか、これが十分でないので、船が入ってきましても、検疫のために待たされる待ち時間が日本では多過ぎるということであります。ことに日本船では、何カ月かの航海をして早く家族に会いたいというのが、八時間も六時間も待たされる、こういうことを言っております。たとえば日本船舶では六時間が平均くらい、大型タンカーでは八時間といわれている。そしてその滞船料は定期貨物船で一日百万円、それから専用船で二百万円、大型タンカーで四百万円である。検疫のために停船してそれだけ多くの停船料を払う。そういたしますと、それが運賃にはね返ることは当然、その結果は結局物価にはね返るというようなことになろうと思います。そこで、厚生省の検疫体制はどうなっておるのか、その人員及び本年度の予算はどうなっておるのか、お伺いいたします。
#29
○伊集院説明員 四アルキル鉛中毒につきましては、三十五年に四アルキル鉛の被害防止の規則を制定してございまして、当時以来四アルキル鉛を業務に使用いたしまして中毒が発生いたしましたものにつきましては、業務上の疾病として取り扱っております。
 なお、ただいま御指摘の四アルキル鉛を含みます場合、燃料用のガソリンをオフセット印刷の場合に使いました例につきまして御指摘いただいたのでございますが、手を洗う等につきましては、その規則の中で厳重に禁止をいたしておりますが、オフセット印刷等の業務用の払拭用に使いまする場合につきましては、局所の排気装置あるいは保護手袋の使用等の厳重な規制を設けております。御指摘の件につきましてさっそく調査いたしました結果では、それらの措置について不十分な点がございます。
 ただ、昨年の八月に四アルキル鉛中毒の症状を有する労働者の発生がございました。当時印刷業におきましてはそれらの使用を禁止いたしておりますが、なお喜田村教授の指摘等もございましたので、さっそくに大阪労働基準局では、当該事業場についての監督調査を実施いたしております。ただいま当該事業場の全従業員二十名について、大阪市立大学の堀内教授のほうに応援を求めまして調査を実施いたしておるところでございます。
#30
○赤澤主査 簡単に願います。
  〔田中(武)分科員「職業病として認定するかどうか」と呼ぶ〕
#31
○伊集院説明員 最初に申しましたように、業務上の疾病として取り扱っております。本案件の業務によりますことが明らかになり、四アルキル鉛中毒ということであれば、さっそく業務上の疾病として取り扱うことにいたしております。ただ、現在まだほかのアルコール中毒の症状がございますので、それらのことが判明いたし次第そのように取り扱いをいたしたいと思います。
#32
○村中政府委員 検疫関係の体制について御説明申し上げます。
 現在、検疫所は、支所、出張所、本所を入れまして約七十カ所余りでございまして、ここで働いている所員が七百五十名余で、毎年――四十四年度についても予算書に出ておりますが、四カ所、それから前年におきましても四カ所の出張所を新たに設けております。
 ただいまの御指摘のように、運輸関係、それから経済状態の発展、転換に伴って、その体制に応じきれない実態、これが経済的な損失に影響があるのではないかという点についての御指摘でございますが、これも私ども現在検疫法の改正ということについて、たとえば着岸検疫の問題、あるいは最近変わってまいりましたコンテナ輸送の問題、そのような問題につきまして検疫法の改正の中で検討いたしたいと考えておりますが、国際検疫法という親法がございまして、これの改定も現在WHOで検討されております。この中でただいまの御指摘の事項につきまして十分考えながら検討を加えていることを申し上げたいと思います。
#33
○斎藤国務大臣 ただいまお尋ねの神戸の喜田村教授の御意見というような点につきまして、ただいまのところではもっぱら労働省のほうで検討してもらっておりますので、厚生省はまだ手をつけていないそうであります。
#34
○田中(武)分科員 それじゃこれでおきますけれども、この市販のガソリンを油洗いとかあるいは業務用の器物を洗うときに使った、そうして中毒を起こす、発狂する、死亡するという事例があるということであるなら、むろん労働省のほうで検討願うと同時に、私は、公衆衛生の立場から厚生省においても御検討願いたいと思う。全然やってないということはちょっと遺憾でありますが、時間が来ましたので終わります。
#35
○赤澤主査 山中君。
#36
○山中(吾)分科員 私は、酒害対策と医学教育の二点にしぼって聞きたいと思います。
 厚生大臣は御承知ないと思いますけれども、酒害対策については、私、三カ年にわたって質問をし続けてきておるものです。非常にアルコール中毒が多いし、酔っぱらいの交通事故、その他犯罪においても酔っぱらい中の犯罪が非常に多いので、それに対する対策を厚生行政の中でやるべきであったが、それについての予算はゼロであった。そこで、坊さんのときからようやく酒害調査費として三百万、昨年の予算で計上された。園田厚生大臣のときには、アル中矯正施設は何としても何とかしたいということを私の質問に対して明確に答えられたのでありますが、今度の予算には依然として昨年の三百万程度の調査費だけがあって、何もないようでありますが、厚生大臣に園田厚生大臣から何かの申し送りがあったかどうか、お聞きしたいと思います。
#37
○斎藤国務大臣 ただいまお尋ねの、いわゆる酒害、酒の弊害、交通事故のもとになるとか、いろいろ酒による犯罪とかございますが、これは酒の害の宣伝ということを普及させることが第一だということで、昨年から三百万の予算をとっております。本年も三百万の予算をとって、そのことを宣伝いたしたいと思っております。
 もう一点のアル中を直して、そして健康な姿にする。やり方は違うわけですね。アル中患者につきましては、これの矯正施設と申しますか、そういった施設が若干ございますが、今日、その施設に入って直したいという希望者が多いのに施設が少なくて困るという状態ではないようでありますけれども、しかし、そういう人たちもできるだけそういう施設に入るように、これからすすめていかなければならぬと思います。本年は国立病院の中で四十ベッド、さらにそういった施設をふやしたい。いま三百ベッドくらいあるようでありますが、さらに四十ベッドくらいふやしたい。同時に、そういう施設に入って、そうしてアル中を直したいという意欲を出してもらうように、ひとつ宣伝をいたしたいと思っております。
 それから、私は引き継ぎは受けておりません。
#38
○山中(吾)分科員 精神病院にアル中を入れても、精神病人取り扱いで入れておるだけで、いわゆる社会防衛の立場で隔離しているだけで、治療はないのですね。だから私は、これから施設があれば――やはり自分で酒をやめたいと思いながら、意志薄弱でやめられない。ところが、奥さんに逃げていかれる、家庭は崩壊するということがずいぶんある。だから、それをむしろ発見をして、こちらからそういう思想を普及して収容してやるというのが厚生行政の姿勢でなければならぬと思うので、非常に消極的だと思う。
 そこで、それはあとにしますが、申し送りを受けていない。大臣が半年ごとに交代をして、責任のある答弁をして、少しも申し送りがないまま行政が断絶を続けながら来ておるというのは、まことに遺憾だと思うのであります。これは厚生大臣、あなたが次に厚生大臣をいつおやめになるかわからぬですが、少なくとも国会で約束したことは次の大臣に申し送っていただきたいと思うのです。
 参考に申し上げますと、私のそういう施設を置くことについて提案をしながら要望したことに対して園田厚生大臣は、これは速記録です。坊大臣のときに約束したのを知らなかった、申し送りを受けなかったというので、私に対して、「私も予算折衝の場合に、これは財政当局の責任ではなくて、私自身が、つい、この問題について、重点を払い、強く主張いたしませんでしたことを正直におわび申し上げます。」と書いてある。去年ですが、おわびいたしますと一国の厚生大臣が答えているのですよ。さらに、酒害の状況を私だいぶ述べたのですが、それに対して園田厚生大臣は、「御意見全くそのとおりでありまして、その害はうんと大きいわけでありまして、一言もございません。いままでの手落ちをおわび申し上げるとともに、明年度の予算については必ず責任を持ってそのような諸施設に第一歩を踏み出すことを誓います。」全部とは言わないが、「第一歩を踏み出すことを誓います。」と言っている。そういう答弁があった。申し送りはなく、そうしていくのであれば、国会の審議というものは意味がないのではないか。私はまことに遺憾に思うのです。これらの政策、それから現在の日本の酔っぱらいからくる交通事故から、犯罪から、家庭の問題から、世相の全体の荒廃の中に、非常に小さな問題であるかのようであって、政治のモラルとして重要な課題であると私は考えておるので、この一点にしぼって三カ年言ってまいりました。こういう答弁があるにかかわらず、一歩もそこに踏み出していないということはまことに遺憾である。厚生大臣はかわっても、人格はかわっても行政は連続しているはずである。それについて大臣の御所見をお聞きいたしたい。
#39
○斎藤国務大臣 ごもっともな御意見だと存じます。特に大臣から引き継ぎがございませんでも、事務当局はその大臣の意を受けてやっておったのでございます。園田厚生大臣も在任中予算の要求をなさいまして、その中に、御承知のように酒害防止協会がございますが、山中先生も理事をやっておられますあの財団法人でそういった施設をつくってもらったらどうだろうかという構想のもとに、たしか五千万円の予算要求をいたしていたわけであります。これは前大臣のときに、前大臣の御意見も強くあったと思います。ところが、その酒害防止協会ですか、その財団法人がはたしてそれをやるだけの十分なものがあるだろうかという点につきまして、いろいろ検討の結果、もう少し検討する必要があるのじゃないかということで予算が通らなかったといういきさつであったそうであります。
 そういうわけで、前大臣も、また局長以下事務当局も、前大臣の申しましたことについていろいろと努力はいたしたわけであります。今後もまた努力をいたしてまいると思いますし、私も、いまおっしゃいますような方法で、目的を実現するためにいい方法を、さらに山中先生とも御相談申し上げて、これならいけるというところでひとつ発想いたしたい、かように思います。
#40
○山中(吾)委員 行政のモラルとして私はきつく要望しておきたいと思うのであります。
 その酒害防止協会というものについては、これは厚生大臣の認可の協会です。悪ければ悪いで御叱正をなさる責任がある。それからその施設というものができなければ、第一歩を踏み出すと言うなら、まず大都市その他に指導と助言を含んだ酒害相談所でも開設して、中間的な施設をするくらいのことは当然なすべきであると私は思うので、非常に怠慢なんです。いままでの経過からいいますと、これは一昨年厚生省から大蔵省に要求した第一次案の中に、アルコール中毒防止普及事業等については八百五十三万円の要請をし、アルコール中毒調査研究費には二百九十七万円、これだけ計上されておって、これに対して一方に、各民間のそういうヒューマニズム運動ですから、選挙にあまり影響ないので政治家はあまり熱を持たないのですが、酒害相談所の開設を要望した要望書が明文をもって行っているわけです。私は、もう少し知恵を出していただいて、そういう団体について、よい点があるならば積極的な指導をされるし、それがまだできなければ少なくとも相談施設を考えてやるとか、これは具体的に厚生大臣がお考えになってやらなければいけない。最近日本酒だけではなくて洋酒を飲むようになったから、ヨーロッパ水準にアル中というものが出てきそうだから、事前に対策を立てるのが非常に大事ではないか、少なくとも相談所開設ぐらいはしてやったらどうだろうか、これは具体的な話としてお聞きしておきたい。
#41
○斎藤国務大臣 ただいまの酒害相談所ですか、非常にけっこうなお考えじゃないかと考えます。また、先生の御意見がいろいろおありでございましょうが、後刻あらためて、公の機会でなくてもけっこうでありますから、私おたずねいたしてもよろしゅうございます。お時間のあるときにいろいろとお考えを伺わせていただきまして、できるだけ実現をはかってまいりたいと思います。
#42
○山中(吾)分科員 この機会に、この問題についての基本的な考え方は、やはりお互いに認識を深めておく必要があると思うので、前回にもお聞きしたのですが、大蔵省の主計官に、本年度の酒税、それといままでの経過を、ちょっと私に、予算折衝の関係で言える範囲のことは言ってもらいたい。どういうことになっておるか。
#43
○辻説明員 四十四年度の予算案におきます酒税収入の額でございますが、五千六百七十億五千万円でございます。
 それから、ただいまの問題でございますが、これにつきましては、かねてより御指摘をいただいておるところでございまして、従来から、先ほど厚生大臣もお述べになりましたように、治療面におきましては国立療養所、あるいは研究面におきましては国立精神衛生研究所でございますとか、また研究費の補助を通じまして施策をやってまいったところでございます。四十三年度におきましては、先ほど御指摘がございましたように、特に予防思想普及のための広報費を約三百万円新規に計上いたしたわけでございます。四十四年度におきましては、引き続き広報費を計上いたしますとともに、国立精神療養所の中におきましてベッドの増床等を検討いたしまして、施策を総合的に進めてまいりたいと考えておるわけでございます。
 なお、先ほどの社会復帰の問題でございますけれども、患者の社会復帰の問題全般につきまして、いろいろとむずかしい問題がございます。たとえば、精神病患者の社会復帰につきましても問題がございますので、四十四年度におきましては、精神衛生制度の調査費を新規に計上いたしまして、社会復帰の問題もその一環といたしまして検討することになっております。
 アルコール中毒患者の社会復帰につきましては、現に国立療養所の中におきまして作業療法等の社会復帰のための療法も行なわれているように承知いたしております。どのような方法が効果的でございますか、その点につきまして今後の検討とさせていただきたい、かように考えておる次第であります。
#44
○山中(吾)分科員 主計官も認識を相当深めてまじめにお考えのようですから、厚生省とこの辺は何とかもう少し事前に――早いほどこういう対策はいいのですから、アル中などがびまんしたあとではどうにもならぬのですから、いまたいして必要でないと思っておるときに対策を立てることが一番国税の活用になると思うので、ことしは予算を計上されてしまってたった三百万円だけなんですから、来年は何か知恵を出して二歩くらいは前進するように切望いたしておきたいと思います。
 この機会に厚生大臣の認識をひとつ深めていただきたいと思うのですが、私いつもこういうことを主張しておるわけです。いま主計官が本年度の酒税の見込みが五千六百七十億、昨年は五千五百三十三億、本年度の増収は百三十七億ある。これだけの酒の税金を飲み助から取っておるのであるから、そのうちの千分の一を還元したらどうであろうか。千分の一を還元してもことしは五億六千七十万円くらい対策費に使える、税の還元の思想はこれくらいは持ってもいいのではないかということを盛んに主張するのです。ガソリン税などは圧力団体があると直ちにすっといってしまうのですが、酒飲みは圧力でないですから、しかもこれだけの税金がどんどん毎年のように税率を上げたり何かするような中でふえておるのですから、千分の一で五億ですから――計上しておるのは酒害対策費たった三百万、万分の一か何分の一になるか知りませんが、これくらいは考えなければならぬ。だから、酒の課税と政治というものを考えますと、私は何かそこに不健全なものが集約されたような感じがしておるわけであります。まず、その点の考え方についてお聞きしたいのですけれども、酒に税金を課しておる政治的な動機というものは一体何ですか。主計官にお聞きしますが、酒税の動機というものは何ですか。なぜ酒に税金を課すと思いますか。
#45
○辻説明員 私、直接の担当でございませんので、よいお答えを申し上げられないと思いますが、御承知のように、諸税につきましては、所得税、法人税、いろいろな税金があるわけでございまして……。
#46
○山中(吾)分科員 法律上はわかっておるから、行政的動機は何ですか。
#47
○辻説明員 そういういろいろな税金の一つの種類として酒税を課しておる、そういうように承知いたしておりますが、なお詳しい問題につきましては、直接担当いたしておりませんので、お答えできなくて申しわけございません。
#48
○山中(吾)分科員 おそらく厚生大臣にお聞きすれば、国民の健康管理から、あまり酒が安ければ飲み過ぎて困るから税金を高くしておる、健康管理上高い課税をしておるのだとお答えになると思うのです、常識で。そうじゃないですか。
#49
○斎藤国務大臣 酒税はあまり酒を飲ませないために取っておるとは私は思いません。むしろ税源としては取りやすくて相当大量に入るというので、これは各国とも酒税というものは相当間接税としては重きを置いた税源ではなかろうか、かように思っております。
#50
○山中(吾)分科員 そうすると、純粋に財源として取りやすいから取っておる、そういう税とおっしゃるのですね。そうしますと、そういう純粋の財源を獲得するのに取りやすいという、いわゆる間接税の中でも特に取っておるならば、それに弊害というものを考えて、よほどそれに対する酒害防止の行政というものが並行すべきではないかと思うのです。そういう思想ならば、健康管理からといったところで、三度のおまんまを二度にしたって飲みたい者は飲むのですから、高くても節酒というものはとてもできない。私も昔は酒飲みだったのでよく知っておるのですが。それと、そういう弱点につけ込んで、増税をするときに必ず酒の税が出てくる。酒の税金は高くしても需要は減らないから、飲み助はやめないから、一番増税の誘惑を感ずるのは酒税である。それから、高くても飲み助は飲む。そこで、酒をたくさん飲んだ者がアルコール中毒になる、高いがために、奥さんは安ければ家計のベースに乗せられるから、晩酌の二、三本はそうそう家計に影響ないから出すけれども、高いものだから、一本つけろと言うとごきげんが悪いから、今度は家庭外で飲む。あらゆる悪循環が加わって一つの世相というもののルールをつくっておるのではないか。また少年の不良化するコースは、最初はたばこ、それから酒。酒を飲むところには女性がおる、女性がおれば金が要る、窃盗、強盗になっていくということは、これはもう教育学、心理学の報告において、少年の不良化のコースとして確定されるほど明確になった一つのコースなのです。そういうことを考えてみたときに、酒税というものを純財源的に考えていくならば、少なくともそれに対応する行政というものをよほど手厚く考えていく国の責任があるのではないか。それはわれわれは厚生大臣の行政責任だと思うのですが、いかがでしょう。
#51
○斎藤国務大臣 いまもおっしゃいましたように、たばこも同じことだと思いますが……。
#52
○山中(吾)分科員 たばこはたいして害ないですよ。御本人だけで外に迷惑がない。
#53
○斎藤国務大臣 いずれにいたしましても、税金を取るということと、それから酒の害をよくPRして、いわゆる中毒患者はおろか、すべてのいろいろ悪い現象が酒から来るということを宣伝をして、そういう運用のしかたの内容にしているということは、これは税金を取っておるとおらぬにかかわらず、私は必要なことだと思うのです。たばこも同様であって、たばこの弊害がある。昔は、修身で、酒の害、たばこの害というものがずいぶんいわれたわけでありますが、そういうように、ことに未成年者には飲ませないということを厳守させますとともに、おとなといえども酒は慎むようにという宣伝は大事だと私は思います。ただ、税金を取るからやる必要があるじゃないかということですが、私は税金と関係がないと思います。
#54
○山中(吾)分科員 厚生大臣としての論議でなくて、これは市民と市民の論議になるのですが、厚生大臣としてその考えは、私は異議があると思います。税を取る場合に受益者負担という思想を最近大蔵大臣が言い出したのですが、加害者負担という思想も行政の中に入るべきだ。これは酒税の場合には国が加害者だと思います。行政的にそういう因果関係を考えて、――酒害対策は一つの行政的責任だと考える。それは関係ないとおっしゃるのでは、そういうところからは行政のモラルが出てこないのじゃないか。美濃部知事のギャンブル廃止の問題にしても、財源というものを純粋に取るためには何でもいいという、そういう思想というものを、厚生大臣といえども国務大臣ですからお持ちになれば、政治がどこまで退廃するかわからぬ。そういう市民的な意見で終わってはならぬと私は思います。ここでそういう論議はいたしませんけれども、少なくとも全体の行政の中で――いままでの経過もあるのですから、各大臣が言いっ放しで終わりというようなことでなく、これも行政上の問題であるので、特に厚生大臣在任中に、ただいままでのとおりでない、一歩進んでこの酒害対策について、先ほどお話があったように、少なくとも受け入れ体制がりっぱにできれば、酒害の相談所の開設、そういう社会復帰の施設をするということだけは明確にひとつお約束なさってやっていただきたいと思います。
#55
○斎藤国務大臣 ちょっと私が先ほど申しましたことで誤解があるといけませんから申し上げておきますが、厚生大臣としては、酒の害をなくしていくということは、これは税金を取る取らないにかかわらず、やらなければならぬ仕事ですから、それは大いにやりますと、こう申し上げておりますので、誤解のないようにお願いしたい。
 それから、酒害相談所の設置、それから受け入れ体制、アルコール中毒のリハビリテーションの施設、これは前向きに考えてまいりたい、こうはっきり申し上げておきます。
#56
○山中(吾)分科員 厚生大臣の御答弁を信頼して、来年度までには一歩二歩前進するということを期待して、これについての質問は終わります。
 それで医学教育のことについてですが、これは厚生行政と文部行政と交錯した問題で、非常に複雑な医師行政のことについて政治問題化しているので、私は、予算委員会において一つの提案をしながら問題を取り上げてあるのでありますが、厚生省のほうから御意見を聞いておきたいと思います。
 それは、医師の養成はいわゆる文部省管轄の教育でもう完結すべきではないか。そこで、大学を卒業し医師の免状を取ったあと、条件つきというのですか、インターン制度、これを改正して、現在研修医、あるいは今度登録医ということばを使っておられますが、完全な医師の免状でなくて、条件つき医師というふうな姿で厚生行政にのぼっているが、それが医師及びインターンあるいはその他の関係の者から非常な反対を受けて、国が一定の財政措置をしておっても、それに対して満足をしていないという現状を考えたときに、医学教育の中で臨床も全部完結して、無条件に医師として文部省が社会に責任を持って送り出す制度をとる。一方において、医学は日進月歩でありますから、人間の命を担当する医師であるので、絶えず再教育すべきであるから、その点については厚生大臣が責任を持って医師の再教育制度を考える。医師の養成は大学において明確に考える。そして、その中間の研修医と登録医という制度をむしろとってしまったらどうかというふうに思うのですが、厚生行政側の御意見をお伺いしておきたいと思います。
#57
○松尾政府委員 医師の養成につきまして、ただいま教育課程全体の中で完結するという御提案があったわけでありますが、ただいまの制度のいきさつ等につきましては、時間の関係がありますので触れませんが、これは先生御承知のとおりだと存じますが、医師の教育の中で従来一番問題になっておりますのは、やはり臨床経験、臨床技術というものをいかにして与えるかというところが、ほかの学科と一番違った、むずかしい特異性を持っているのではないかと思います。今回、いわゆるインターン制度という、医師の資格なしに横から見ているというような教育を、医師の資格を持ちまして、医師としての責任において患者と接触して治療していくという中から医学倫理その他の問題も解決していく、こういうところに一つの医学教育の特有の問題があると考えられるわけであります。したがいまして、私どもとしましては、そういうよき倫理、技術を十分習得した医師というものが育ってくることを期待していることは言うまでもございませんが、ただいま申し上げましたように、その実際の臨床研修、臨床訓練というものをどのような形で与えていくか。特に、学部教育というものの中におきまして、医師の免許を持たないで研修をやっているということになりますと、相当その臨床技術の体得ということにはやはり一種の制約があるのではなかろうかという気がしておるのであります。私どもといたしましても、医学教育全般について、従来からも、やはりそういった臨床的な学部内における教育が日本では不十分であるという声もありますので、十分ひとつ慎重に検討を進めさせていただきたい、かように思うわけであります。
#58
○山中(吾)分科員 最後に私、意見を述べて、厚生大臣に御意見を聞いて終わりたいと思いますが、医師は人間の命を守る職業ですから、高次な知識と技術が必要であることと、特に命は平等ですから、佐藤総理大臣を見る医師は医学博士で、農民の命を守るのは医学士でいい、そういう制度であってはならない。全部同等の医師がすべての命を担当する制度でなければならぬ、私は根本にそう思うわけです。そういうことを考えてみると、やはり学位程度、ドクターというぐらいの称号だけの高い学術を身につけ、臨床を身につけた者にやはり医師の免状を与えるべきである、そう考えますので、いま局長が言ったように、不十分な臨床医学も含んで、現代の大学学部、それから博士コースの大学院を一つにした八カ年の医科大学という制度に、必要なら七年でも八年でもいいが、そういうドクター大学というか、博士大学というものを一本にして、臨床も与えて、出るときは、あとでそんなしっぽがついたような、研修とかなんとかなしに完全に出す。大体医師というのは、ドクターは全部学位を持っておるわけなんです。全部博士大学を出た者が医師の免状を付与される。医師の免状を持った者は博士なのです。全部博士なら博士で同じですから、したがって、博士を獲得するためのいわゆる無給医局員とか、そういう弊害も自然解消する。それから、インターン制度で三万円程度の給与を渡しても、これは不平不満が出るし、何の効果もない。そういうものを払拭して、七カ年ないし八カ年のドクターコースぐらいの水準の大学、そのほかに臨床も入れて卒業さしていく、これで完結をするんだ、そういうふうな私の教育制度における提案なんです。厚生省のほうについては、インターンとか研修とかいうふうなものに関係なく、三年、四年たてば、医学は進歩して、手術も技術も古くなるのだから、完全なる医師を再教育する。厚生行政としては再教育制度を国の費用で考えるということが私の提案なんですが、それを一つの教育制度として論議をするということに厚生省からまた異議が出れば、それぞれ研修のほうは厚生省で管轄して、この制度はやはりわれわれは厚生行政として必要とするんだと言うとまた混乱すると思うのですが、こういう一つの提案について厚生大臣はどういうふうにお考えになるのでしょうか。それをお聞きをして私は質問を終わります。
#59
○斎藤国務大臣 山中先生の御意見も一応うなづけると私は思いますが、十分検討をいたしまして、先ほども局長が申し上げておりますように、医師の免許状を持たないで臨床をやらせることがどうかというのが一つの問題のポイントのようでございます。また、医者として脈をとる資格のないのにどうして臨床をさせるか、実験をさせるか、臨床経験を積ませるかという問題をどう解決していくかということであろうか、理論の点ではかように思います。しかし、できるだけ医師の経験、それからりっぱな医者をつくり上げていくということが肝要でございますから、御意見も十分伺わしていただきまして、文部省と一緒になって、いい医者を数多くつくっていくという方向に進んでまいりたいと思います。
#60
○赤澤主査 山口鶴男君。
#61
○山口(鶴)分科員 私は、一億国民の中でも一番みじめな状態と申しますか、日の当たらない状態にありますらい患者、正しくはハンセン氏病患者と申すべきでしょうが、ハンセン氏病患者の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。
 佐藤内閣は、以前から、社会開発と並んで、人間尊重ということを言っておられるわけであります。ハンセン氏病患者も人間であります。したがいまして、人間尊重ということをたてまえにいたしますならば、ほんとうに日の当たらぬところにありますハンセン氏病患者の切実な問題を一つ一つ解決をしていくということは、政治の最も重要な課題でなければならぬ、かように考える次第であります。
 さてそこで、いただきました厚生省の予算関係書類を拝見をいたしたのでありますが、らい予防対策費は、昭和四十三年度予算額四十一億六千三百万円に対しまして四十七億三百万円、五億四千万円の増額になっています。ところが比率を計算いたしてみますと、二二%程度しか伸びておりません。本年度の一般会計は一五・八%伸びておるわけでありますから、ハンセン氏病対策に対する経費というものは、国の一般会計の伸びをはるかに下回った。たいへん遺憾に存ずる次第であります。
 昭和四十四年度の予算編成が終わりましたあと、ある週刊誌が、予算獲得に血道をあげました、いわゆる圧力団体の番付表を発表しておられました。東の大関がたしか軍人恩給関係の団体だったようでありますが、このようないわば圧力団体が大いに活躍をされる経費は伸びるけれども、佐藤内閣が看板に掲げておる人間尊重、しかも一番底辺で悩んでおられる人たちの予算というものが、もちろん厚生大臣が努力したことは私もよく承知いたしておりますが、結果的に数字的に十分伸びていなかったということは、非常に遺憾であります。このハンセン氏病対策全般について、まず厚生大臣として、四十四年度予算の反省と今後に対する御抱負を述べていただきたいと思います。
#62
○斎藤国務大臣 ただいま御意見のように、ハンセン氏病関係の予算の伸びば一般に比べまして低うございます。ただ私どもは、各予算の内容につきまして検討をいたしまして、たとえばハンセン氏病関係については、今度はこの点を重点にいかなければならないというようなことから予算をきめていくわけでございますので、総額全体でどうという比較をされますと、いまおっしゃるようなことになると思います。患者数にいたしましても五%減じているわけでありますし、そういう関係もございます。しかしこのたびは、患者の方々の見舞い金といいますか、お小づかいに該当するもの、ことに年金受給者と福祉年金受給者との相違というような事柄をなくしてまいりまして、同じ療養所内でできるだけ気持ちよくやっていただけるようにということを特に主にして努力をいたしたわけでございましたが、十分御期待に沿うことができなかったのは遺憾でございます。しかし私といたしましても、相当力を入れたつもりでございます。今後も特に、不遇な境遇におられる方々でありますから、そういう方々のしあわせになるように、さらに努力をいたしてまいりたいというふうに思っております。
#63
○山口(鶴)分科員 努力をしたが現実には十分の成果をあげることができなかったというお答えであります。実はこの点は、私どもも力が足らなかったことを反省をいたしております。特にハンセン氏病対策につきましては、別に社会党とかいう党にこだわらず、与野党を通じまして、ハンセン氏病対策の議員連盟を結成いたしまして、私もその世話人の一人をいたしておるわけでありますが、私ども国会議員全体としてこういった問題に対しての取り組みがやはり十分でなかったということを、私どもも反省をいたしております。しかし、今後の問題といたしまして、ぜひとも解決をいただきたい具体的な問題について、一、二お伺いいたしたいと思うわけです。
 実は昨年の予算委員会分科会で、私は、患者の皆さんに対する日用品費が、結核の生保患者の日用品費に比べて著しく格差があることを指摘をいたしました。当時の園田厚生大臣から、これに対して、格差をなくするように善処いたしますと明快なお答えをいただいたのであります。幸い厚生大臣の御努力もございまして、この日用品費の問題につきましては生保患者と同等になったことは、私、非常にうれしいと思っております。
 ただ問題は、現在九千五百人の患者の皆さんがおるわけでありますが、このうち不自由者といわれる方が約六千人、それから軽症者の方が三千五百名おるわけであります。そうして軽症者の方に対するところの日用品の経費というものは、他の不自由者の皆さんの生保並みの三千四百四十七円に比較いたしまして、千七百四十七円でありますから、たいへんこの点については格差があるわけであります。結核の方の日用品費、ちょうどうい患者の皆さんの軽症者に相当するような経費につきましては、現実どういうことになっておりますか、そこに格差はありませんか、お尋ねをいたします。
#64
○松尾政府委員 生活保護法による入院患者の日用品費は、生活保護につきましては差がないと考えております。
#65
○山口(鶴)分科員 それならけっこうであります。
 ただ、次にお尋ねいたしたいのは、患者の皆さんから特に出ておりましたのは、年金の格差の問題であります。不自由者の方が五千九百四十八人おるわけでありますが、このうち障害拠出年金六千円に該当いたします方が二百四十六名。大多数の方々は、障害年金をもらっておりましても、拠出制ではなしに、福祉年金のほうをもらっておるわけであります。しかも現実に不自由者ということでは同じわけでありまして、同じ病棟で、しかも同じ病室で療養しておられるという場合が間々あるわけであります。そういたしますと、結局は、五十歳という年齢制限あるいは入所いたしました時期、こういった全く不自由の度合いとば関係のない条件によりまして、片や六千円を支給され、片や二千七百円である。そこに三千三百円の差があるわけであります。こういうことは何としても不届きではないか、人道的にも何とかしてこの点を解消いただけないかというのが願いでございました。これにつきまして、一応今回、生活保護の障害者加算を二千七百円つけていただきまして、ある程度の差は解消いたしたのでありますけれども、しかし現実に拠出年金を支給されております方の現金支給額は七千二百円、これに対しまして福祉年金受給の方は五千六百円、こういう形でいまなお千六百円の格差があるわけであります。これにつきましては、本年度一歩前進をいたしました努力は認めるわけでありますが、しかし依然としてこのような差がございます。
 これを解消する方法は私は二つあると思う。一つは、この障害の認定に対して、こういったハンセン氏病患者という特殊的な事情を考慮いただいて、そうして認定の際に十分その実情を考慮いただくということ、いま一つは、拠出、無拠出といいましても、ハンセン氏病の患者の皆さんは別に拠出をしているのじゃないのでありまして、これは国がかわっているわけであります。要は入所その他の事情によって差があるわけでありますから、その間は特別措置として全く同額の手当を支給するような措置をとっていただく、このいずれか一つが問題解決のかぎだと私は思うのでありますが、これに対する厚生省としてのお考えをお聞かせをいただきたいと思います。
#66
○中村(一)政府委員 ただいま先生のお話にございました拠出障害年金の受給者の数は、その後増加いたしまして、この一月で三百五十六名に相なっております。昨年先生の御質問がございました後、約百名ほどふえておるわけであります。これらの方々は、認定の具体的な方法につきまして、拠出のほうに切りかえることとしたものが大部分でございます。ただいまお話のございましたように、療養所内におけるところのアンバランスの問題は、私ども十分承知いたしておるところでございまして、まず国民年金のサイドからいきましては、先生のおっしゃいます認定方法につきまして、初診日の問題あるいは起因障害の関連の問題等につきましては、今後とも十分に実情に即していたしたい、こういうふうに考えております。
#67
○山口(鶴)分科員 この点は、昭和四十一年第五十一国会の社会労働委員会の附帯決議もございます。一つは、認定のサイドからひとつ十分実情に即するように処理をいただきたいと思うのですが、いま一つは、大臣、結局そういう形で拾っていきましても、これは完全に拾うというわけにはまいらぬと私は思うのです。したがいまして、そういう意味から厚生省も、ことしは生保の障害者加算二千七百円に準じた額を今度御措置になったと思うのですが、これをさらに高めていって、そうしてこの二千七百円と六千円との差というものを埋める、こういう努力をいただく以外にないと思うわけですが、この点いかがでしょうか。
#68
○斎藤国務大臣 本年もその点でずいぶん苦労をいたしまして、いろいろまたごやっかいにも相なりました。今後さらに努力をいたしまして、またお知恵もかりまして、そういうことの埋まっていくように、差額の埋まっていくような方法を知恵をしぼってまいりたいと考えております。またよろしく御指導をお願いしたいと思います。
#69
○山口(鶴)分科員 私もその点につきましては、国民年金審議会の有澤会長さんにも――とにかくハンセン氏病患者の場合は、同じ場所におって、ふところから掛け金をかけたというような人ではなしに、みんなかけない同じ方が現実におるわけですね。そうしてこの発病の日にち等の関係から格差がある。そういうことではこの患者の皆さんも不愉快な気持ちもするだろうし、現に十一あります国立療養所の園長さんも、こういうことでは所内が非常に運営に差しさわりがある、何とかしてくれというお願いもしておるのである。国民年金審議会としても、こういう特殊な例というのは他にはないだろう、したがって、この問題については十分考慮いだたきたいという実は要請もいたしておるわけでありますが、ぜひともこの点につきましては、厚生省、国民年金審議会一体となりまして、とにかく日の当たらないこの患者諸君の切実な願いでありますので、善処されるように心からお願いをいたしておきたいと思うのです。
 それから、特にこの際お願いをしたいのは盲人の方の問題であります。ハンセン氏病患者の諸君の中には盲人の方が多数おるわけでありますが、実は盲人の患者の方から私は幾つか手紙をいただいております。その代表的なものをちょっと読んでみたいと思うのですが、「私たち盲人は手足にも強度の後遺症を有し、加えて難聴、口角障害、あるいは全身に及ぶ麻痺などにより、日常人の手を借りねばいっときも過ごされない状態にあります。私どものようにきわめて重度な障害を二重三重に持つ者が所内での生活はすべて平等、一律の処遇であります。」御案内のように、普通の盲人と違って、盲人でありしかも知覚が非常にないわけなんでありますから、他の盲人の方とは非常に違った、いわば二重、三重の苦に悩まされているというのはおわかりいただけると思います。そういう状態でありますが、盲人手当はわずか月額百円が視力一級者にのみ支給されている状態である。せめてこれをそういった状況を考えて千円程度に増額をしていただけぬか、きわめてつつましい要求であります。他の盲人の方々全体たいへんだとは思いますが、一般の盲人の方と違っていろいろな意味で二重、三重の障害を持っておる。このハンセン氏病患者であります盲人の方々に対して、さらに盲人手当という面で一そうの努力をいただくのは当然ではないかと思うのですが、この点はいかがでしょうか。
#70
○松尾政府委員 らいの療養所の療養者の方の中でも、特に御指摘の盲人の方々はいろいろ御不自由が多いと思います。従来からその処遇を改善いたしますようにつとめております。特に、いまお話がございましたように、人手を借りなければならない、こういう問題も多いわけでございまして、一応そういう不自由者を含んでおりますけれども、その中でも盲人の方々は特に代表的なものだろうと思うのでありまして、そういう方に対しますところの付き添いの人員をことしさらに増員をお願いしたり、あるいは盲導鈴を道路につけまして、それによって安全に歩行ができるような、そういう方向をいたさせますような設備をまず設けましたり、あるいは教養文化費というようなものも引き続き計上いたしまして、盲人対策全体に遺憾のないように特につとめてまいっておるつもりであります。御指摘の千円の問題、百円の問題をどうするかということは、先ほど来お話の全体の手当とのバランスもあろうかと存じますけれども、今後そういうバランスの中でいろいろと検討させていただきたいと存じます。
#71
○山口(鶴)分科員 手当のみならず、いろいろの施設の面で盲人の人たちに対する措置は必要だと思いますが、同時に、私が述べましたような状況も十分勘案いただきまして、御努力をいただきたいと思います。
 さてそこで、沖繩の方の問題でありますが、沖繩にはたいへんこの患者の方が多いと聞いております。しかも在宅患者の率が非常に高いということを聞いておるわけでありますが、沖繩のハンセン氏病患者数並びに在宅、入所の数字がおわかりでしたら、ひとつお知らせをいただきたいと思います。
 そこで、一体化ということがいわれておりますが、こういった非常に日の当たらない状況にあるハンセン氏病患者の皆さんこそは、一日も早く本土の患者の皆さんと同じように措置することが、日本政府として当然なさねばならぬ最大の義務ではないかと思うのであります。障害福祉年金につきましては、昨年の七月から沖繩でもほぼ発足をいたしておると聞いておるわけであります。この年金の支給は当然措置をされておると思いますけれども、同時に入院しておられます患者の本土内における日用品費と同じような程度の経費が、沖繩の現に入所しております患者の方々には一体どうなっておるのか。それからまた、やがてこの障害拠出年金も沖繩において実施をせられるようになると思いますが、そうなりました場合のハンセン氏病患者の皆さんにおける福祉並びに拠出制年金の差についてどのような措置をおとりになろうとお考えでありますか。特に沖繩のハンセン氏病の患者のことにつきましてお尋ねをしたいと思います。
#72
○村中政府委員 沖繩のらいの状況について申し上げます。
 WHOの推定では、大体二千名前後だろうという数字が出ております。現在、これは多少古くなりますが、昭和四十二年で報告されておりますのは、患者数が千七百三十二名、この中で入院患者が千八十九名。この千八十九名のうちで、本土の療養所に入っている患者が百七名。それから新しく発見されている患者が、昭和三十八年で八十五名、昭和三十九年七十六名、昭和四十年では九十九名、こういう数字が出ております。
 それからついでに申し上げますが、日用品費につきましては、その他の、たとえば原爆被爆者の措置、こういった問題につきましても、予算措置あるいは法律改正、こういうものがありますのは、特連局を通じまして、沖繩と本土とが見合う同じような形で患者の対象者に行くような手当てが講じられております。四十四年度では、予算のふえた分につきましても、特連局を通じまして、その辺の差の起きないような、そういう体制をとるように指導してまいりたい、こう考えております。
#73
○山口(鶴)分科員 日用品費は現在そういう措置がとられておるわけですね。やがて年金の問題も当然本土と同じように起きてくると思うのです。したがいまして、これはまた沖繩におきましては、福祉年金のほうは発足しておりますが、拠出制のほうもやがて二、三年後に発足することになると思うのです。その際やはりそういう意味におきましても、本土との一体化という点で努力が必要であるということを指摘をしておきたいと思います。
 それから社会復帰の問題であります。最近は科学技術の進歩によりまして、無菌状態、治癒をする状態になっております患者の皆さんがどんどんふえておりますことは、慶賀にたえないわけであります。ところが、社会復帰に対しましてどれだけの措置がされておるかというのを調べてみましたら、就労助成金、技能習得資金という形で三万円、それから退所支度金という形で一万二千三百円、合計四万二千三百円、これだけが支給されるにすぎないのであります。らい予防法によりまして、患者の皆さんはいわば強制的に国家の要請で隔離されたわけであります。しかも、いまなお日本には遺伝ではないかという偏見も残っております。二十年あるいは三十年前はまさにそういう偏見が日本国じゅうをおおっておったわけでありますから、いわば名前を隠し、逃げるようにしてこの所内に入られたという方が多いと思うのです。そういう意味では、結局、らい予防という国家的の要請によって、家族とも別れて所内に住まうという状態だと思うのです。そういう方が社会復帰をいたしました場合には、もう少しそういった国家的な見地から家族と強制隔離したということも考えてそして社会復帰のためのあたたかい手だてが必要ではないだろうかと私は思うのであります。特に、こういう偏見の残っております際には、官公庁等が率先してこういう方を雇用するということも一つの方法ではないかと思うのですが、その点はいかがですか。
#74
○村中政府委員 昭和三十九年から四十二年までの約三百五十名についての就労状況の調査がございますが、これは専門的な技術を身につけて事業を主にしておる者が三一・三%、農林漁業の従事者が二一・一%、一般単純労務者が一五・一%、洋裁編みもの関係が一五・四%、商工業関係が一〇・三%、事務職員、店員、これに該当するかと存じますのが四・八%、その他二%というふうな数字があります。今後とも、ただいまの御指摘、昨年の予算委員会でも御指摘をいただきましたし――ただ問題は、こういったハンセン氏病の患者につきましては、いろいろ社会との適応性の問題がありまして、はたしてどういう職種が適当なのかというふうな本人の希望ということも当然出てまいろうかと思います。御趣旨の点につきましては十分考えてまいりたいと存じます。
#75
○山口(鶴)分科員 もう時間がないようでありますから、最後にこれで終わりたいと思いますけれども、結局いまのお答えを聞きますと、いわば自家営業なり農業なり単純労務なりという方が大半だということですね。確かにハンセン氏病患者の皆さんは、治癒したといいましても、汗をかくところがどうしても障害が残るそうでありまして、普通の完全な健康人というわけにはまいらぬという状況も私は承知いたしております。しかし、やはり私が先ほど申し上げたように、国が国家的な見地から強制隔離をした人たちですね、そういう方が社会復帰をするという場合には、もう少し手厚い施策というものを考えるべきではないかと思うのです。藤楓協会等でいろいろ御努力をしておられることも承知をいたしておりますけれども、いかにもこれでは不備ではないか、そういうことをこの際強く指摘をいたしたいと思います。
 それからあと、療養所の医師や付添看護の方の問題でありますが、医師につきましては、どこの園に行きましても定員が非常に欠けておる。充足率が非常に悪い。無理もないと思います。ああいう特殊な療養所に参りまして、そして献身的に医療に従事しようという方がなかなかいにくいということは、私もよくわかります。行ってまいりますと、定員は欠けておる、しかも非常に老齢なお医者さんが多いというのが現状でございます。このお医者さんの待遇につきましても、こういった特殊な園のお医者さんに対しては、抜本的な待遇の改善等もやはり必要ではないかと思うのでありますが、今後の医師の充足対策、あるいは付添看護、これも非常におくれておるようであります。これに対する対策を特に承っておきたいと思うのです。
 最後に、全般といたしまして、一億の国民の中から九千五百人ということになれば、確かに少ない人数かもしれません。しかしこの少ない人たちでありましても、やはり先ほど申し上げたように、国全体の衛生対策の面から所内に強制隔離された方々の問題であり、他の社会の人たちから比べれば非常にみじめな状態で生活をしておられる方々の問題であります。触れませんでしたが、作業賃等もまだ非常に低いですね。平均が四千七百三十八円だそうでありまして、労働時間の関係もありましょうが、一カ月の作業賃としてはいかにも少ないということが問題であります。そういうことも含めまして、待遇の改善についてさらに厚生省として御努力をいただくと同時に、いま触れましたような医師並びに付添看護の整備の問題につきましても、ぜひともひとつお骨折りをいただきたいと思います。承りまして、質問を終わりたいと思います。
#76
○松尾政府委員 ただいまのところ医師に欠員がありますことは、やはり御指摘のとおりでございまして、大体百十七名程度の中で百名が現員であるということでありますので、約一割程度の欠員を持っております。この問題につきましては、御承知のとおりだろうと存じますが、なかなかこういう面に興味を持ってくださる方が少ないということが何よりの悩みでございます。待遇等につきましては、従来からも格別高い調整号俸等をいただいております。そのほかにやはり研究所等との研究交流ということも必要だろうと存じます。それからなお、療養所でございますので、やはり患者の治療というものに主体を置いていく必要が当然あると思います。だんだん老齢化等いたしまして、従来のらい療養所に見られないような疾病等もいろいろ併発してまいりますので、今後は国立医療機関と他の機関との提携ということも十分考慮いたしまして、治療の万全を期したいと念願しておるわけでございます。
 なお、不自由者等の付き添いにつきましても、御指摘のとおりなかなかやれないのでありますが、その中におきましても、不自由者の付き添いは一応計画が終わったことになっておりまして、さらにその後の実態に応じまして増員等もはかっておりますので、引き続き努力をさせていただきたいと思います。
#77
○赤澤主査 玉置一徳君。
#78
○玉置分科員 私は、この際、海外の戦没者及び遺骨の収集の状況、保育所、健保の期間延長、公害の問題等につきまして、所見をただしたいと思います。
 なぜ私がこういうことを申し上げるかと申しますと、神戸の西岡さん、この方は、政府の手が行き届かないので、自費でもって二、三人の同志とともに一生懸命に遺骨の収集をされまして、京都の妙心寺の管長山田無文先生に、これが慰霊の法要を行なっていただきたいということを申し出られまして、先生はこの遺族の方々の心情に打たれまして、このことをお約束されまして、去る二月十四日だったと思いますが、無文先生を団長といたしまして、ほかに僧侶二名、それから遺族の方々数名が西ニューギニアにお行きになりまして、本二十四日お帰りになるのじゃないかと私は思っております。これにつきまして、厚生省の四十四年二月一日調べでは、海外でなくなられました方々は二百二十八万一千七十五柱となっておりまして、遺骨のすでに収集されましたのが七十三万二千九百四十となっておりますが、なお百五十四万八千百三十五柱というものがまだ未収集でありますし、その収集率はわずかに三二%というのが現状であるように報告を受けております。この対象地域にいたしましても、二十九地区にわたっておりますのに、いまだに手がつかないのは九地区ある。これには政治的にむずかしい問題もありましょうが、あるいはお墓ができまして、墓参を許されておるという地域もあるように見受けますけれども、遺族に対する手厚いいろんな施策とともに並行して、この問題の処理をすみやかにされることが望ましいんじゃないか、こういう観点から御質問申し上げたいと思います。
 従来、政府が行なってまいりました海外戦没者の遺骨収集は、何年ごろから始めて、どういう経過をたどっておるか、今後、明年度からどういうようにしようと思っておるか、この点について明らかにしていただきたいと思います。
#79
○実本政府委員 いま先生のお尋ねの遺骨収集、主として海外の戦没者の遺骨収集の問題でございますが、これは占領行政が解けました直後、政府といたしましては昭和二十八年に、旧主要戦域に遺骨収集団を派遣いたしまして約五年間、昭和三十三年までに、一応実施可能の地域につきまして、遺骨収集と現地慰霊を行なったわけでございます。
 ただ、何ぶんにいたしましても、先ほど先生もおっしゃったように、相当な広い地区にわたっております。南太平洋のほうまで延びておりますような状態でございまして、限られた日数と人員とでその遺骨収集を行なったものでございますので、その後、またあちこちの山野に未処理の遺骨が発見されたというふうな事例も見受けられるようになりました。従来の遺骨収集を補完するということが必要になってまいりまして、あらためて昭和四十二年度から、計画的な遺骨収集を実施してまいっておるところでございます。すでに、一番戦没者の多かったフィリピン、それからマリアナ諸島につきましては、その四十二年度からの計画が実施されまして、相当な成果をあげておるわけでございますが、この計画につきましては、今後も引き続いて実施してまいる予定でございます。明年度につきましては、小笠原諸島が本土に復帰いたしましたのに伴いまして、硫黄島について遺骨収集を実施するほか、まだ残っておりますフィリピンの地域、セブ島、ミンダナオ島でございますが、これを主とした地域、それから先生がいまお話しのニューギニアの東部のウェワクそれからラエの両地区について実施いたしてまいる予定でございます。まだ相当の地区が、国交の回復といったような条件も完備しなければならぬわけでございますが、そういう地区も含めまして、その後も残された地域につきましては、もう何と申しましても戦後二十数年たっておりますので、一日も早くそういう計画を実施して完了したい、かように考えておるところでございます。
#80
○玉置分科員 そこで、ただいま私が申しました二十地区の遺骨を収集されたという地区も、当時十分なことができ得なかったのもやむを得ないと思いますけれども、すでに今日そういう国々とも外交交渉その他も円滑にでき得るような状況になっておるところが多いんじゃないか、こう思いますので、現地住民の感情等も考慮せなければなりませんけれども、何らかの措置を講じまして、前にお行きになりましたときには非常に小さい、ほんの名ばかりの慰霊碑をお建てになったものもありますように承っておりますから、まあそこを、ある程度かっこうのつきましたものを設置して法要してくるというぐあいに、すみやかにこの遺骨収集を進めていただきたい、かように思います。
 そこで、今回お行きになりました方々の訪問ビサをもらうときにもありましたのでありますが、僧侶三人の分の入国を非常に渋られたように聞きまして、私が外務省へ折衝した経緯があるわけでありますが、こういう民間の方々の遺骨の収集、戦跡の訪問、慰霊というようなものにつきましては、今後とも厚生省からも外務省によく連絡されまして、現地住民の感情をそこなわない範囲におきまして、なるべく自由に現地訪問ができるような措置を講じていただきたいと思いますが、どうでありますか。
#81
○実本政府委員 民間団体の方々等によります遺骨の収集、あるいは戦跡訪問なり現地慰霊という問題につきましては、いろいろ遺族の方々からの御要望も反映いたしまして、なかなか熱心に行なわれているわけでございますが、だた、ここではっきりしておきたいと思いますことは、遺骨収集と申しますと、やはり相手の国にとにかく立ち入って、相手の国土の中の相当な地域を掘りさがして回るというふうなことをやりますものですから、やはり受け入れ体制のほうの国の条件からいいますと、いろんなものが再三再四来てやられるということは、非常に迷惑をしておるようでございまして、これは、とにかくはっきり政府が責任を持ってやって来るのならその入国は認めるが、政府以外の団体が、それがたとえ遺族を中心とした団体であろうと、そういったものが入れかわり立ちかわり来られても困るということを、はっきり向こうの方針としてきめておる場合が多うございます。また事柄の性質上、遺骨の収集はやはり当然政府の手で、政府が直接やるべきが筋合いでございますから、これは民間団体のお手伝いを願うというわけにはまいりませんので、そういう意味のお世話は私どものほうがお断わりしているわけでございます。
 ただ、現地を戦跡訪問したり現地慰霊をして回られる、こういうことについては、大いにひとつ政府の足らざるところ補っていただくという意味で、できるだけそういうふうな団体の御便宜をはかるようなたてまえで進んでまいっております。したがいまして、外務省も、民間団体が遺骨収集に出るのだという目的ではビザは出しませんが、現地慰霊とか戦跡訪問とかいうことでございますと、普通の観光ビザですいすいと出すように、外務省とも話し合っておるところでございます。そういう趣旨で民間団体の方々の御協力を進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#82
○玉置分科員 政府が手ぎわよく全地域にわたって遺骨の収集並びに慰霊法要が済ませれば、民間の方々がそこまで行かれないわけですから、これは政府の責任だと私は思います。したがって、今後何カ年おかかりになるのか、遺骨の収集並びに慰霊の法要は。それから、佐藤総理も申しておりますように、沖繩の返還が実現を見なければ戦後の処理はできていないということばもありますが、なおさらこういう問題は、沖繩の問題があと二、三年のめどとすれば、二、三年のうちに片、、つけるくらいな予算措置を当然に講ずべきじゃないか、こう思うのですが、大臣の所見を承りたい。
#83
○斎藤国務大臣 おっしゃいますように、遺骨の収集は戦後処理の問題としてまことに大事な問題だと思っております。それが今日まだこういう状況にありますことは、いろいろな諸般の情勢もあったことでございますが、今後一そう、ただいま玉置先生のおっしゃいます趣旨に沿いまして、一日も早く収集を終わるように努力をいたしたいと存じております。
#84
○玉置分科員 次に、健康保険の問題に移りたいと思います。
 分べん給付の改善でありますが、私たちは前々から出産という問題を非常に重視いたしまして、公的費用でもってこれをまかなうべきである。政府ば、これを健康保険の現金給付という形の支給しかしにくいというお話であります。そこで問題は、政府の財政負担によりまして健保にこれを組み入れまして、そして健保から支給するという方法も一つの方法だと思いますけれども、この抜本的改正まで待つ間を、今回のような相当思い切った給付内容に改正されたんだと思います。そのことにつきましては、私たちは心から敬意を表しておるわけでありますが、抜本的改正の場合には、現物給付というものに思い切って切りかえるような前向きの検討の決意があるかどうか、この一点だけを聞いておきたいと思います。
#85
○梅本政府委員 ただいまの点でございますが、分べんの給付を、ただいま現行の健康保険法の関係におきましては現金給付になっております。それを現物給付、すなわち一般の疾病と同じような形でやる決意ありやいなや、こういうことでございますが、御承知のように、わが国の健康保険制度におきましては、この制度が発足します四十年前から、分べん、特に正常分べんにつきましては――異常分べんはもう現物給付化されておりますことは御承知のとおりでございます。正常分べんにつきましては、現物給付からはずしてきております。したがいまして、問題点は、正常分べんにおける場合に、それに要する費用につきましては、この制度発足以来自由になっております。したがいまして、お医者さんであれば協定料金、あるいは助産婦さんが扱うという場合には、またやはり協定料金なり慣行料金、こういうことでまいっておりますので、このいわゆる分べん介助料といわれますこういう費用につきましては、全国的に見まして、いわゆる地域的にも自然な自由な料金でございましたので、ばらばらでございますのと、それから、やはり施設によりまして区々でございます。そういう点がございますので、この点を現物化するにつきましては、今回現物給付化も努力をいたしましたけれども、やはり非常に困難がございます。
 それから、専門的で御承知と思いますけれども、現在点数表は、お医者さんがやりました行為につきまして点数表はございますけれでも、分べんを取り込みます場合には、助産婦さんの行為というものを独立して点数化するというような問題もございまして、この辺いろいろ技術的にも問題がございますのと、またもう少し、こういう重大なことにつきましては、この分べんというものを中心にしました分べん周辺期のいろいろな対策との関連におきまして、保険というものの分べんの位置を検討するということもございますが、技術的に非常にむずかしい点がございますけれども、厚生省がこの分べん対策を打ち出しましたときの要綱にもはっきりうたってございますように、できるだけ努力をいたしまして、現物給付の方向に向かっていきたいというふうに思っております。
#86
○玉置分科員 それから、健保の特例法の問題についてでありますが、政府はこの特例法を二年延長しようということで、現在社会保険審議会に諮問されておるわけであります。このことは、前の特例法をこしらえましたいきさつから見まして、国会としてはまことに遺憾の意を表さざるを得ないと思います。そこで、健保特例法が本年八月までの期限で国会修正によりこれの実現を見ましたのは、その間に抜本的大改正を必ず実現するように、ある意味では政府に義務づけたということも一言い得るのではないか。そういう意味からいいまして、私は政府の責任は非常に重いのではないか、こう思いますが、これに関連いたしまして、二つの事項をお伺いしたいと思います。
 一つは大臣からお答えいただきたいのですが、抜本対策の今後の見通しは、たとえば、それが二年延長されれば必ず二年間に実現できるかどうか。二年後に再び特例法を延長するようなことに絶対ならないという約束がいまできるかどうか。これは出てからの話になりますから、予想でまことに恐縮でございますが……
 それからもう一つは、たとえば二年間とされましても、そのことを一年以内に実現し得る場合には一年で実現するように努力されるかどうか、この点をお答えいただきたいと思います。
#87
○斎藤国務大臣 抜本改正がおくれておりますために、特例法をさらに二カ年間延長をお願いしなければならぬということは、政府といたしましても一、私はまことに申しわけのない次第だと思っております。したがいまして、このたび特例法のさらに二カ年延長をお願いいたしたいと思っておりますが、その二カ年の期間内にはどんなことがあっても実現をさせなければならぬと強く決意を固めております。これは一厚生大臣のみならず、政府全体としてその気持ちをはっきりと持っておるわけでございます。ただ、これを進めてまいりますのは私のほうの省の責任でございますから、したがって、事務的におくれないだけの最善の努力をいたしたい、かように考えております。
 ただ、本問題は、御承知のように、関係するところ非常に広うございますから、関係委員会におかれましても相当御議論も出るだろうと思います。しかし、各方面の御意見を伺いながら、いま党のほうで最善の案を考えてもらっておりますし、私のほうも寄り寄り考えておりますが、各方面の御意見はおおよそわかっておりますので、したがいまして、原案と申しますかそういった要綱は、各方面の御意向も織り込んだ上で審議会に諮問をいたしたい。それでも相当日数を要すると思いますが、最善を尽くまして、少なくとも二カ年以内には実現のできるようにいたしたいとかたく決心をいたしている次第でございます。
 同時に、もし関係審議会等におかれても比較的短時日の間に御審議を賜わりますれば、抜本改正の完全実施に至るまでは二カ年を要するかもわかりませんが、少なくとも来年度にはこの法案を通していただいて、そして完全実施への移行をやっていただきたい、かように思っておるのでございます。
#88
○玉置分科員 その間に、経過措置として出産給付を抜本的に向上されましたことにつきましては、先ほど申しましたように深く多とするところでございますが、同様に、これまた二年延長されますということになりますと、政府管掌保険のうち家族給付の問題でありますが、現在五割であります。ところが、組合健保はそれぞれの組合におきまして付加給付をしておいでになりますので、おおむね七割ないし八割くらいになっておるんじゃないかと思います。国保におきましても、二年前、御承知のとおり、七割になったわけでありますので、ひとり政府管掌保険のみが家族給付五割ということは、あまりにも格差があり過ぎる。その格差の期間がまた二年延長するということになれば、犠牲をこうむるのは政府管掌保険の家族であるといわざるを得ないと思います。こういうような意味におきまして、抜本改正を待つ間に、出産給付に手当を加えられたと同じような意味で、家族給付五割を少なくとも七割に持っていくような方途を講ずべきだと思いますが、これに対する政府の見解をお伺いしたいと思います。
#89
○斎藤国務大臣 各保険間における給付のアンバランスの是正は、抜本改正の眼目の一つの大きな要点でございます。したがいまして、家族給付の率だけを取り上げるのもいかがであろうかという感じがいたしまして、出産手当は全保険についていたしたいと思ったわけでありますが、そういうようなわけで、家族給付のアンバランスだけをこの際是正をしておくのも一つの手であったかもわかりませんが、他の給付もまとめてという考えで、これはようしなかったわけでございます。御了承をいただきたいと思います。
#90
○玉置分科員 特に経過措置中、目につくところでございますので、いずれ特例法が国会に正式に提案されました席で国会の修正をするようなことになるかもわかりませんが、前向きにひとつ御検討しておいていただきたいと思います。
 次に、保育所の問題でありますが、保育所は、ずいぶん御苦労をいただいておる経過もよくわかるわけでございますが、特に三歳児以下の保育所の不足というものが非常に訴えられております。しかも、労働力の需給状況を見ますと、ことに縫工場等におきましては、家庭内の主婦に工場に出ていただくという可能性は非常に大きくなってくるんじゃないか、こう思うのです。したがって、三歳児以下の保育所の整備充実にもっと力を入れていただきたい。
 その点につきまして、あわせてお伺いしますのは、学齢一年前で保育所にお入りになっているのが非常に率が高くなっております。これは文部省所管との関係もございますけれども、そこまで率が上がりますと、これは義務教育の年限を一年繰り上げてほんとうの教育をしたほうがいいんじゃないかというようなこともぼつぼつ考える時期に来ているんじゃないか、こういうように思います。この点につきましては、政府はどうお考えになっておるか。
 一つは、三歳児以下の保育所の整備充実の問題、二つ目には、学齢一年前の児童の保育所に通う率が非常に向上いたしましたので、きょうまでのこれの大きな効果はそのまま率直に認めますけれども、ここまでくると、ある意味ではほんとうの教育という場に切りかえなければならない時点に来つつあるのではないかという感じがいたしますが、この二点につきまして、政府の所見をお伺いしたいと思います。
#91
○渥美政府委員 先生御指摘のとおり、最近におきまして若い夫婦が都会に集中してまいります。あるいは核家族化が非常に進行してまいります。したがいまして、特に幼少の、つまり三歳児あるいは三歳未満児の保育所の充実というものは急務と思います。したがいまして、厚生省におきましても保育所に対しまして、特に三歳未満児につきまして、一つの保育所に少なくとも二割くらいは入れるようにすべきである、こういうような指導を強くしております。と同時に、一歳児、零歳児、こういった年齢の低い子供たちに対しましても、一割程度は確保して保育所に通わせるという指導をしておるわけでありますが、このためには、どうしてもやはり保母さんの確保といいますか、保母さんが取り扱う子供の数を減らしてあげるという必要もございます。したがいまして、昭和四十三年度におきましては、三歳未満児に対しまして六人に一人ということにいたしたわけでありますが、四十四年度におきましては、三歳児につきましては、子供二十五人に一人であったものを二十人に一人に改善をして運営をしてまいりたいと思います。と同時に、特に大都会等におきまして零歳児の保育の必要性が非常に叫ばれております観点から、四十四年度におきましては特定の保育所を指定いたしまして零歳児の保育を積極的にやってみたい、かように考えておるわけでございます。
 次に、第二点の御質問でございますが、五歳の子供あるいは四歳の子供、そろそろ入学間近になっておるという子供の対策でございます。保育所におきましては、御承知のように保育に欠ける児童を保育するというたてまえでございます。そしてまた、保育所自体が非常な不足の状況にございますので、私どもといたしましては、ともかく保育所づくりをいまのところ一生懸命やっております。しかしながら、内容的にも向上する必要がございます。保育所におきますところの保育教育内容は、幼稚園の教育要領に準じたことをやっておりまして、その点におきましてはさらにその教育内容の向上をはかりたいと考えております。そういうふうな状況でございまして、幼稚園と保育所の一元化というような問題につきまして、あるいは教育内容の向上という点につきましては、さらに文部省関係当局との調整もございますので、これは今後の問題といたしまして検討する必要がある、かように考えるところでございます。
#92
○玉置分科員 最後に二点、大臣に要望いたしておきまして終わりたいと思います。
 一点は、先ほどの保育所の学齢一年前の子供の保育は、私の見るところ十分じゃございません。したがって、これはぼつぼつ考えるべき時期じゃないか、こう思います。
 二点目には、公害対策につきまして非常に御苦労いただいておるわけでありまして、ここ一、二年の厚生省の英断というものに私は非常に敬意を表しておりますが、公害の、脱硫装置という問題で、今度国をあげましてそういう公害が起こらないように、その予防に取り組まなければなりませんから、この点につきましても国務大臣としての厚生大臣は、ひとつ十分な指導性を御発揮いただきますことをお願いをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
#93
○赤澤主査 大原亨君。
#94
○大原分科員 私は二つの点について質問をいたしたいと思います。
 一つは、戦後の占領という特殊事情の中で、全く放置されておりました旧防空法関係の犠牲者の問題であります。もう一つは、最近問題になりました薬務行政の問題であります。時間の関係もありますので、以上二点にしぼりまして質問をいたします。
 第一に旧防空法関係の犠牲者の問題については、この二、三年来政府の各省庁における資料を総ざらいしていただきまして議論をしてきたところであります。これは、ちょうど都合のいいことには、きょうは主査が赤澤さんです。赤澤さんが自治大臣をやっておられまして、消防庁の所管でございましたときに議論をした問題でございまして、今年も予算にちょっと出ております。それから、もう一つ都合のいいことは、斎藤厚生大臣は、当時、私が調査いたしましたところでは、内務大臣を本部長とする防空総本部における三局長の一人でございました。それがくしき因縁と申しましょうか、回り回ってここへ厚生大臣で御出席になっておる、こういうことでございます。
 経過を簡単に申し上げますと、これは斎藤さんはよく御承知だと思うのですが、敗戦になりましてから、防空隣組が婦女子その他を戦闘に動員したということは国際法上問題である、こういうふうな風説や懸念から、内務省を解体する前に防空総本部を解体をいたしました。そうして、私が直接関係者から聞いた話ですが、防空関係の資料は、政府はもちろんですが、末端都道府県、市町村に至るまで全部焼却を命じました。そういうことで、内務省解体等もございまして、旧防空法の犠牲者は全部放置されたままでございました。それで私は、御承知のように、広島に関係深いというだけでなしに、東京の大空襲その他もずっと調査をいたしましたが、何と申しましても広島、長崎の原爆によりまして、防空関係の犠牲者が多大に出ておって、そうして、それが直ちに終戦にすべり込んだものですから、防空法とそれに伴う勅令であります防空従事者扶助令というものが発動されていない、こういう状況が起きているところに一つの問題の発端があったわけであります。このことは、社会労働委員会で、援護法、原爆被爆者の特別措置法等を議論いたします際に、再三にわたって議論をいたしまして、附帯決議が付されたところでございます。
 そこで、最初にちょっと厚生大臣にお尋ねするのですが、終戦前後におきまして、いつからいつごろまで何をしていらっしゃいましたか、ひとつお答えを願います。
#95
○斎藤国務大臣 大原委員のおっしゃいますように、私はたしか終戦のときには防空総本部の総務局長でございました。昭和二十年の四月から終戦までで、防空総本部が解体になる前に私は他に転出をいたしました。(大原委員「終戦までですね。」と呼ぶ)いや、終戦になってからでありますが、なって直ちに解体されたのではありません。若干日時がございます。八月の二十七日ごろでしたでしょうか、私が転出いたしましたのは。解体になったのはもうちょっと後であったんじゃなかろうかと思います。
#96
○大原分科員 いずれにいたしましても、内務省が解体する前に防空総本部が解体になりました。その当時、あなたと一緒に本部長をやっておられました内務大臣はどなたでございましたか。山崎巖さんですか、安倍源基さんですか。あなたは一緒にやっておられたからわかるでしょう。
#97
○斎藤国務大臣 後ほど……。
#98
○大原分科員 けっこうです。それから、もし御記憶でございましたら、あなたが防空総本部の総務局長になられた前後、国民義勇隊令が出ましたね。これは沖繩にアメリカの兵隊が上陸いたしましてから、サイパン、テニアンとずっと負けて、沖繩がぎりぎりになりまして、本度決戦の段階で国民義勇隊本部ができまして、それから内務大臣が本部長になる経過では、軍部と内務省がかなり対立をして、けんかをしたということが伝わっておりますが、国民義勇隊はいつごろできたか、御記憶になっておりますか。
#99
○斎藤国務大臣 国民義勇隊は防空総本部とは関係がなかったものですから、私いまここでいつごろどうだったかという記憶はございません。
#100
○大原分科員 しかし結局は、内務大臣が国民義勇隊の本部長になったのでしょう。防空本部の本部長も内務大臣でしょう。
#101
○斎藤国務大臣 防空本部の本部長は、当時今井君だったと思います。内務大臣が防空本部長を兼ねておりませんでした。
#102
○大原分科員 それは違うんです。あなたはことさら忘れようとしておられるわけじゃないでしょうが、それは違うのです。私はやはり新聞を見ましたが、これは朝日か毎日だったか、その日の新聞に、たとえば総理官邸の庭を掘り起こして、食糧増産だったからイモ畑にした、それと一緒に記事が出ておりましたけれども、国民義勇隊の本部長はもめにもめて――当時は大本営発表以外は書けないが、そういうことがありまして、国民義勇隊の本部長も内務大臣、防空本部長も内務大臣、その下であなたは総務局長、こういうことです。これは間違いありません。これは、私がその点はそれが正しいということをお教えすると言ってはなんですが、お知らせしておきます。
 そこで、私がここで議論しようと思うのは、今度現実の問題に返ってまいります。これは時間も限られておるので、またそこへ返りますけれども、いろいろ議論いたしまして、密封されておった閣議決定や閣議了解を、私、去年全部出していただきました。これは、防空関係は全部焼いてしまえということですが、閣議決定まで焼くわけにいかないので、閣議決定等は出していただきました。これは相当膨大なもので、かなりの件数があります。つまり、当時の閣議決定や閣議了解というふうなものは、これは勅令にかわるべきものです。あるいは法律にかわるべきもので、万能だったのです。何でもできたのです。総動員法等もできまして何でもできた。国会を開いて法律をつくるひまがありませんから、何でもできたわけです。
 そこで、いろいろな経過はございましたが、本年、旧防空法関係の犠牲者に対しまして、何らかの援護措置がとられた点につきまして、ひとつ関係各省からお答えをいただきます。
#103
○佐久間政府委員 私のほうの所管といたしましては、戦時中防空業務に従事して殉職された方のうち、警防団員につきまして、一時金を支給するという措置をとることにいたしました。殉職者につきましては、一人当たり七万円で千四百九十人、障害者に対しましては一人当たり五万円で十四人、合計いたしまして一億五百万円を四十四年度予算に計上いたしております。
#104
○実本政府委員 厚生省といたしましては、旧防空法の防空従事者、防空監視隊員につきまして、その業務の実施中に死亡された方の御遺族、あるいは業務実施中に障害を受けられた方々に対しまして、これを戦傷病者戦没者遺族援護法の中の準軍属として処遇するというふうに、四十四年度の今回の法律改正で提案いたしておるところでございます。
#105
○大原分科員 何人ですか。
#106
○実本政府委員 これは十名でございます。
#107
○大原分科員 たとえば広島の市役所の上では、軍隊と警察官とそれから防空法によって動員された防空監視員が全部一緒で防空監視しておりまして、B29が原爆を落としたときには警戒警報はなかったわけですが、突然炸裂いたしまして吹っ飛んだわけですね。これもいままでほっておいたわけですが、今回、戦傷病者戦没者遺族援護法に掲上されて準軍属になった、こういうことであります。
 そこで、防空法関係の犠牲者の中には、七項目も八項目もあるわけです。ずらっと並んでいるわけですが、防空監視員については、来年度の予算で準軍属として法律改正を提案されることになりました。それから警防団員につきましては、お話しのように、死没者の遺族に対しまして、大きい小さいは別にいたしまして、七万円の弔慰金ということになりました。第三に、やはりこれと同じように、防空法上それぞれ各級の防空本部長から、たとえばこれは知事ですが、知事から個人個人に対して防空従事令書を出した中に、警防団員以外に医療従事者というのがあるわけであります。医療従事者は、御承知のように、医師、歯科医師、看護婦、助産婦、保健婦、落ちておりましたら補っていただきたいのですが、そういう人々も、一定の地域を離れてはならぬという厳命を受けまして、疎開が禁止されまして、そして命令に違反をした場合には、御承知のように一年以下の懲役、当時一千円ですからいまでいえば数十万円ですが、一千円以下の罰金、こういう刑罰の法規がありまして、任務に従事させられたわけです。この医療従事者に対しましてはどのような段階にあるか、どのような考えを持っておられるか、このことについてお答えをいただきたい。
#108
○実本政府委員 防空法の第六条の従事者命令に従いまして動いた人たちの中には、先ほど申し上げました防空監視隊員のほかに、先生御指摘のような医療従事者というものがあるわけでございます。それももちろん警防団員と同じ措置をされる筋合いのものであると考えられますので、それは警防団員を措置するために実態調査をやりましたそのときに、同じく実態調査をやったわけでございます。これは四十三年の四月とそれから四十三年の六月に、厚生省と消防庁の両方で、旧防空法による防空従事者の業務上の死亡及び障害者の状況についての全国的調査を行なった結果、医療従事者については十分な調査の成果があがらなくて、まだ目下調査のやり直しと申しますか、再調査をいたしている段階でございます。これが出てまいりました暁には、はっきりした調査ができ上がりましたところで、ことし警防団員にとっております措置を当然とるべきである、こういうふうに考えておるところでございます。
#109
○大原分科員 医療従業者の範囲はいかがですか。個人個人に従事令書が出ておるその範囲はいかがですか。
#110
○実本政府委員 法律上のたてまえといたしましては、そういった特殊の医療技術を持った、あるいは医療行為の補助をする技術を持った方々ということになっておりますが、現実にどういう人がそういう被害者になっておられるかということの調査が、実は完全なものが出てまいっておりませんので、先生御指摘のように、医者及び看護婦というところが主たる被害者の区分になると思います。
#111
○大原分科員 ちょっと資料があったら言ってください。医者、看護婦だけじゃないのだ。
#112
○実本政府委員 形式的には、医師、それから歯科医師、獣医師、それから薬剤師、いまでいう助産婦、ここでは産姿と書いてございますが、産姿、それから保健婦及び看護婦、こういうふうになっております。
#113
○大原分科員 そうですね。大蔵省主計官、それは御承知ですね。いまの経過は御承知ですね。あなたのほうでクレームをつけたり、だめだということはないでしょう。
#114
○辻説明員 経過は承知いたしております。
#115
○大原分科員 そこでお尋ねするわけですが、吉國さんは見えていますね、法制局の次長さん。今度高辻さんのあとを継がれる人ですが、去年の議論で、あなたから法制上非常に明快な御答弁をいただきました。私が提起をいたしましたのは、これは斎藤さんもひとつ記憶を新たにしてもらいたいと思うのですが、昭和二十年三月二十三日に国民義勇隊組織に関する閣議決定がございました。これは沖繩が落ちて本土決戦に臨むということで、空襲その他に対処するために一億火の玉でということで、総動員ということでやったわけです。これは軍の補助から後方の業務から全部です。それでその後昭和二十年の四月十三日に閣議了解事項というのがございまして、「警防団ハ之ヲ国民義勇隊ノ組織二一体化スルコトヲ目途トシ一面警防ニ聊モ間隙支障ナカラシムルコトヲ確保シツツ必要ナル措置ヲ講スルモノトス」こうあるのです。つまり、国民義勇隊に対する軍部の要求が本土決戦に備えて出てまいりまして、そしていままでの防空本部との関係をどうするか、所管をどうするかということで内務省と軍部が非常にけんかをいたしました。そのことはあなたの同僚の、当時の書記官長の迫水さんがよく知っておられます、その間の調整に入った人ですから。それで大げんかをいたしました。結果は、内務大臣が国民義勇隊の本部長もやるし、防空本部の本部長もやるということになりまして、防空という空襲に対処する仕事としてはダブってまいりますから、その調整をしたのが閣議了解事項でございます。
 しかしながら、戦傷病者戦没者遺族援護法等では、防空法関係は全部これは除外をいたしました。これは資料がない。あるいは終戦直後のそういうふうな事情等で資料を焼いたとか、あるいは占領中であったとかいうことでありました。しかし法律上は、あるいは実態上もこれを差別することはいけない。国民義勇隊は準軍属といたしまして援護法の適用を受けておるわけですから、いけない。私はこういう法律上の根拠を求めていままで議論をしてきたわけですが、そのことにつきまして法制次長はきわめて明快な御答弁をされたのであります。警防団は国民義勇隊と差別して扱うべきではない、法制上も実質的にも全く一体のものである、こういう点で御答弁になっております。その後時間がたっておりますが、この見解が変わったとかなんとかというようなことを――最近だんだん変わることがはやっておるわけですが、変わったことはないと思いますが、念のためにひとつ明快な御答弁をいただきたい。
#116
○吉國(一)政府委員 一昨年の十二月の半ばごろでございましたか、予算委員会で御質疑を受けまして、ただいまお話しのございましたような点を踏まえつつ、国民義勇隊として活動した者と、防空法のもとにおきまして防空の実施に従事すべき旨の下命を受けて活動した者との間には、実質的には差はないではないか、これは同様に取り扱うべきものではないかというような御趣旨の御質疑がございました。それに対して私は、事は政策の問題にわたりますので、法制局としてお答えすることはあまり適当でないかもしれませんが、ということで留保いたしつつお答え申したつもりでございました。
 御指摘の国民義勇隊として活動した者と、防空従事者として防空法によりまして下命を受けて活動した者との間には、実質的には差はないという大原委員の御指摘は、まことにそのとおりであるということをお答え申し上げました。その線に沿いまして、おそらく厚生省もいろいろ検討をいたしたものと思います。その結果といたしまして、このたび国会に戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部改正の提案をいたしまして、その中で、先ほど申し上げましたような措置をとる改正を企図いたしております。
 また消防庁は、この法律改正によっては救われない面につきまして、必要な措置を講ずるようにしておると思います。その残りの問題につきましても、今後なお検討を進めまして、これを措置しないという方向でなしに、同様な措置がとられますように、私どもといたしましても推進をしてまいりたいと思います。
#117
○大原分科員 非常に明快な御答弁です。一年前の答弁と寸分、ほとんど変わりはない。これは珍しい法制局の見解であります。これは憲法論でありませんから別ですが。
 そこで、防空監視員については準軍属としての措置がとられました。それから警防団につきましては、消防庁は初めは非常に避けて通りたいというお気持ちがあったのですが、赤澤自治大臣が、戦争中、警防団の役員をしておられた、そういうことが記事の中に出てまいりました。まことにりっぱな警防団の役員であったと思いますが、非常に御熱心に佐久間長官その他にお話しいただきまして、消防庁の方々も非常に熱意をもっておやりいただいたと思います。しかし七万円というのですから、これは私は賛否を表明するような立場にはないわけです。率直にいえば、全然問題にならぬと言いたいところですが、しかし非常に努力をされました。いま法制局の吉國次長の見解がはっきりいたしましたように、これは消防庁を離れまして、金一封の場合は、現在の消防庁の先輩である警防団あるいは防空従事者、こういうことで非常に御熱心におやりになられました。長崎大学のこともありまして、文部省その他でやられました。これはこの席をかりまして非常に敬意を表しておきます。消防庁は非常によくおやりになりました。先輩に対して、そういうことでしょうから。
 問題は、厚生大臣、今度は援護法であります。しかも、あなたは防空総本部の三局長の筆頭局長として、当時、敏腕をふるわれたかどうかわかりませんが、非常に御努力になったことでございますので、そこで、私はこれにひとつ締めくくりをつけていただきたい、こういうわけであります。これは法律上も当然でございます。そこで私は、こういうことがしかるべきではないか。防空監視員、これは閣議了解がございましたが、警防団とそれから医療従事者については、やはりこれはさしあたり準軍属としていただき、国民義勇隊と同じように扱う、これが一つです。いかがでしょうか。その点につきまして、ひとつ厚生大臣は体験を通じてはっきりした――援護局長は黙っていなさい。援護局長は言わぬでください。
#118
○斎藤国務大臣 私も当時の事柄を考えまして、警防団やあるいは防空要員の方々がほんとうに防空のために尽くしてくださったことを感謝をいたしております。来年度の予算で防空監視員を準軍属にし、そうでない者にはそこまでいかなかったという点につきましては、さらに検討する余地はないかを事務当局と検討いたしたのでございます。防空監視員は専属的に、ほとんど職業的に防空監視に従事してもらったわけでありますので、差別もつくのはやむを得ないという結果になったわけでありますが、さらによく検討をいたしまして、ただいま大原先生の御趣旨の次第もありますので、私もできたらさように取り計らいたいと考えますので、さらに検討を進めてまいりたい、かように思います。
 なお、私のおりましたときの大臣は安倍源基さんでありまして、たしかおっしゃるように、防空総本部の本部長を兼ねておられたのでありましょう。今井久さんともう一人あげましたのは、その下で防空総本部の次長をしておられました。私はその下におった、かように記憶を呼び起こしました。
#119
○大原分科員 それではっきりいたしました。検討するというのはよく言われることですが、これは実施するように検討する。法制局も法律上の見解をいままで二回にわたってはっきり言っておるのです。医療従事者については、調査の上で金一封、七万円の弔慰金を出す、こういう方針を言われました。大蔵省もその経過を認められました。このことは、数からいえば全国的にも大したことはないのです。たまたま防空本部が解体されて、それから防空法が昭和二十一年一月三十一日かに廃止になっておるのですが、扶助規定は残っておったわけです。残っておったが、取り扱いの官庁がなかったから法的に放置されておったわけであります。ですから私は、時効云々という議論をした人がありますが、これは問題にならないと思う。政府側が支給する体制になかったわけでありますから、情勢が変わっておりますから、非戦闘員であるからといって、防空法関係に一線を引いてこれを放置することはいけないと思う。これは前向きにひとつ実施するよう御検討をいただくというように了解してよろしいかどうか。
#120
○斎藤国務大臣 前向きでとくと検討をいたし、できるだけ御趣旨に沿うように考えてみたいと思います。
#121
○大原分科員 そこで、こういうことになります。防空監視員については、本年準軍属として国民義勇隊と同じように大体扱われるという法律上の措置がとられる改正案が出る。それから、警防団については七万円の弔慰金が出た。医療従事者についても調査中であって、来年は当然その方針に従う。この三つについては、たとえば国民義勇隊は、いろいろな場合を考えてみまして、家屋疎開その他で広島なら広島に動員した、長崎なら長崎に動員した、空襲のあったところに動員したというふうに、国民義勇隊として近郊から動員をされているわけです。その母体は警防団その他ほとんど同じです。動員されるときに国民義勇隊の形として出ているわけです。二十年三月三十一日以降は出ている。ですから、常時国民義勇隊は同じことばかりやっておったわけではないのです。命令によって出てきたわけです。警防団と変わりはないわけです。そのとおりなんです。ですから、そういう点につきましては閣議了解もございますし、法制局の見解のとおりでございまして、これは経過から見まして差別をつける理由はない。このことは準軍属として前向きに努力をしていただく、こういうふうに了解をいたします。
 ただ、問題は一つ残っておるわけであります。というのは、防空従事者の中に、防空法の資料を葬った一つの大きな材料になりましたが、隣組でバケツリレーなんかやった人がおるわけです。婦女子、老人その他、これも動員したわけです。たとえば、これは隣組の防空で、町内会の組織の下です。これは大政翼賛運動その他に関係いたしまして、追放その他のことで資料を散逸させたわけです。私は従来から言っているのですが、戦争犠牲者に対する救済というものは公平でなければならぬ。たとえば大将と兵隊の差が、恩給でもひどいじゃないか、こういう議論を私はしておるわけです。それはともかくといたしまして、戦闘員と非戦闘員を本質的に分けることはできないのじゃないか、こういうことを言っている。この最終段階においては全部軍隊が入ってきて、知事や市長を通じましてやったわけですから、かってに動いたならば懲役だ、罰金だというようなことで実は法律をつくったわけです。だから、私はむちゃなことは言わない。隣組の防空その他にいたしましても、非戦闘員に対しまして、非戦闘員で家を焼かれた人までとは言わないが、生命を失った人や、一生働けないようなけがをした人に対しましては――これは軍人、軍属、公務員を除きましては、そうたいした量ではないと思うのです。たとえば警防団に出しました七万円の弔慰金の前例があるし、長崎医大の学生に出しました七万円の例が昨年はございますが、私は、金一封でもいいから弔慰金でしかるべき措置を非戦闘員に対してとるべきではないか。これは吉國次長は、防空従事者について私が言いましたことについてそう差を設けなかった、私は差を設けて言っている。個人個人に対しては従事令書、命令が出た者につきましては、三項目につきましては分け隔てしていないのですね。その他に対しましては、一括いたしまして名簿を警察や軍隊に提示をいたしまして、それでこの名簿の者が、かってにこの命令を聞かなかった場合には一年以下の懲役、一千円以下の罰金ということがあったわけですから、非戦闘員を、国との権力関係がないからといって放てきすることはいけない、こういう点であります。この点は私は一ぺんにどうこう言いませんが、この点も、こちらのほうが準軍属になるのだったら、こちらに対しましても私はしかるべき弔意を国家としては表すべきではないか、こういう議論であります。私の主張に対しましてはどういうふうなお考えでありましょうか。
#122
○実本政府委員 先生のおっしゃること、ごもっともでございますが、やはりあくまで戦闘員になれという法律上根拠がある命令が出ている者についてのみ考えるという趣旨では、先生もその線はお引きになると思いますが、その場合に、警防団そのものがまるがかえでそういうふうな処遇を受けるということは、防空法上どこからも出てまいりません。先生御承知のとおり、第六条の第二項の「地方長官ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ防空ノ實施ニ關スル特別ノ教育訓練ヲ受ケタル者ヲシテ防空ノ實施二従事セシムルコトヲ得」、こういう命令が、出た者についてのみそういう処遇を考えるか考えないか、こうなるわけでございましょうから、だから警防団そのものであったからということではなくて、警防団の中からこういう命令を受けた者について考える、こういうふうな御趣旨だろうと思いますが、その点何か……。
#123
○大原分科員 あなたは私に質問する権利はないのですよ。
#124
○実本政府委員 それについての先生の御了解をひとつ……。
#125
○大原分科員 いや、了解ではない。そんな質問をする権利はないよ。あなたはもとに返ってはいかぬですよ、警防団は前向きに善処するということになっているのだから。警防団は団を組織しまして、そしてその前にやっていたのですから、直前までやっていたのですから。そういう事態がありましたら、警戒警報があろうがなかろうが、たとえば広島の例で言いましたら、そういう事態があればぴしゃっと何をほうっても出ていかなければならぬわけでありますから、それはもうそういうことについては警防団を組織されて、それぞれの、たとえば東京の空襲などでは防空従事者扶助令という勅令が、どたんばではないからかなり適用になっておるわけであります。どたんばであるならば、焼夷弾の場合であっても、それで命をなくしたというものがありましたらそれはやるべきである、それは当時の状況に即してやるべきであります、そこに拘束されておるのですから。問題はその他のバケツリレーをやったり、警戒警報が発令されましたら全部出てきた、そういう人々も防空従事者ですから、これは命令を聞かなかったら、個別的ではない、包括的なんです。そういうものに対しては、二十四年たってこのことを議論するのは非常に残念だが、このことは、厚生大臣は非常に時を得たというか適正な人がなられたわけですから、私は十分検討してもらいたいということを申し上げておきます。これはもうそれ以上の議論はあとにいたします。ただし吉國さんの議論は分け隔てなしに、防空関係の防空従事者の犠牲者というものは、これはやはり国民義勇隊などと同じように罰則、刑罰法規もあり、やはり国の拘束を受ける特別命令関係、特別権力関係、こういうものにあったということについて、これは一億全部そうですが、そういうことについては防空法関係についての法律関係は認められたわけでありますから、私はそれ以上議論いたしませんが、これはひとつ私の意見といたしまして申し上げておきます。
 そこで所定の時間が来たわけでありますが、私はレギュラーですから、一時間あるわけでございますが……
#126
○赤澤主査 この次に……。
#127
○大原分科員 それでは、薬務行政についてやりたいところですが、これはひとつ私が締めくくりの総括のときにやりますから、そのときに私直載簡明に質問をいたしたい。これは保留しておきましょう。主査に協力いたします。
#128
○斎藤国務大臣 ただいまの防空従事者に対する御所見は、まことに御貴重だと存じますから、御所見の趣旨に沿いまして、何らかの道を、私も先ほど申し上げましたように前向きに検討いたしたいと思います。
#129
○赤澤主査 児玉君。
#130
○兒玉分科員 厚生省のほうにお伺いしたいのでありますが、まず、過疎地域における医療保健対策と保育所関係についてお尋ねしたいと思います。
 第一点の、過疎地域における医療保健対策というのが今日きわめて重大な政治問題であり、社会問題として提起をされ、急患発生等の場合におきましても、医者がないために、とうとい人命を失うという例がたくさん発生をしておるわけでございますが、まず第一点、過疎地域における医療対策についてどういうふうな措置をとられておるのか、お伺いしたいと思います。
#131
○松尾政府委員 御指摘の過疎地区というものにつきまして、厚生省ではいわゆる僻地医療という形でこれをとらえておるわけでございます。医療機関のないそういう地域におきまして、医療上の不安を解消するということはきわめて困難でありますけれども、大事な問題でございます。昭和三十一年以来第一次、第二次という五カ年計画を立て、さらに昭和四十三年から第三次計画を立ててこの解消につとめてまいっておるわけでございます。
 その要点といたしましては、そういう僻地の医者のおりませんところに、ある地区では診療所を設置するというためにいろいろ補助金を出し、またそういう診療所におきまして、整備するのみならず、運営上もいろいろ困難がございますので、そういう運営費の補助をしていく、こういう形でございます。
 それから第二の点は、さような施策を講じましても、現実になかなか医者が得られないという問題等もございます。かたがた交通事情あるいは道路といったものの整備がだんだん進んでまいりましたことに着目いたしまして、機動力を発揮して医療の確保にあたる、こういう方針のもとに、患者輸送車あるいはこれが島の場合には患者の船ということに相なるわけでございます。そういう患者さん方が、医療機関のあるところにバスを利用して行ける、こういう車の整備ということを考えておるわけでございます。
 それから第三といたしましては、そのほかその間を埋めるものといたしまして、巡回診療の車あるいは船というものを整備いたしまして、これによって巡回をするということにいたしておりますが、こういうことを柱にしてやってまいっております。
 診療所としては現在までに約四百七カ所、患者輸送車は船を含めまして二百四十一台、巡回診療車としては二百四台ということになっております。もちろん雪の深いところでは、雪上車にこれをかえております。
 こういう施策、こういう形におきまして僻地の医療を確保したいということで、努力を続けてきておるわけでございます。
#132
○兒玉分科員 現実的に私の宮崎県の場合におきましても、せっかく町なり村が相当無理をして診療所等をつくりましても、肝心のお医者さんが来てくれない。おりましても、一年かそこらでみんな出て行ってしまう。こういう例が多々あるわけですが、いま局長の言われました、厚生省の言っている僻地において、医者のいまおらない地区なり、あるいはいま言われたようなそういう診療車等が現実に配置をされてない地域というものは、どの程度あるのか。もしその数字がわかっておったらお知らせいただきたい。
#133
○松尾政府委員 無医地区というもののとらえ方にもいろいろ見方があろうかと存じますが、厚生省で調査をいたしておりますのは、半径四キロメートルというところに人口が五十人以上住んでおるような地域で医療機関がないという、こういう地域をまず無医地区というとらえ方をいたしておるわけでございます。四十一年の調査でございますが、その数は、全国で二千九百二十カ所というふうにあがっております。ただし、そのすべてにつきまして、こまかい手を打つということは、必ずしも容易ではございませんし、またいろいろの実態から見まして、ただそれだけで具体的な対策を立てる対象というふうにしほることは、必ずしも妥当ではございません。たとえば、そういうところでございましても、きわめて交通事情に恵まれておりますようなところ、あるいは一般の開業医の進出が期待されるような地区は一応除外いたしまして、やはり僻地性の非常に強いところというふうにしぼってまいる、それをさらに人口階層によって分けておりまして、三百人以上の人口が、ただいま申しました半径四キロメートルのところにある、しかも医者がいない、交通事情またきわめて不便である、こういう地区がそのときの調査で六百十三ございます。それからこれに準ずる地区が五百九十という状態でございます。したがいまして、ただいま申しましたような診療所四百カ所に、あるいは雪上車、あるいは巡回診療車、患者輸送車、そういったようなものを、それぞれ手当てしたわけでございますが、引き続き同じような方式で来年度もその整備をはかってまいりたい、こういう方針で臨んでおるわけでございます。
#134
○兒玉分科員 いま局長の言われました内容から申しますと、結局、今日医者がなくて、急患の場合等に間に合わない、恵まれない地帯というのが二千九百二十カ所でございますね。先ほどの数字でも明らかにされておるわけですが、こういう状態を解消するために、関係の地方自治体から厚生省当局に対しましても、相当数の対策、要求というのが出ていようと思うわけでございますが、このような無医村地区なりあるいは巡回診療車等、こういう要求に対応する解決策というものはどういうふうに考えておられるのか、明らかにしていただきたい。
#135
○松尾政府委員 ただいま申し上げましたように、年次計画をもちまして、年々そういう整備をはかっているということでございます。都道府県からの大体の御要望にはほぼ年々――府県の予算か市町村の予算かという問題もあろうかと思いますが、大体この程度で対応できているということでございます。
#136
○兒玉分科員 特にいままでの事例から見ましても、急患等の場合に間に合わないという問題、さらにはこの巡回をする診療車でございますか、この回数が少ないという苦情は相当出ておるわけです。しかもこれは、おそらく厚生省自身が十分把握されていると思うのですけれども、そういう巡回診療等に対しましても、いま少し言われたところの巡回診療車等の増配ということがきわめて必要じゃないか。しかも、年々道路網は整備されているわけでございますけれども、主要地方道以下の一般地方道なり町村道の場合には、こういう診療車等が行ったり、あるいは救急車等がかけつけることのできない地域というものが、まだ相当あるわけでございます。そういう対策には、もう少し積極的な策が必要だと思うのですが、その点はどういうふうにお考えでございますか。
#137
○松尾政府委員 ただいま御指摘になりましたような事態がございますことを、私ども非常に残念だと思います。私どもも、そういう地方のたいへん若労しておられる実態もしばしばお伺いしております。私自身も、地方に参りましたときは、できるだけ僻地の中に飛び込んでいくということで、その実態を拝見させていただいているわけでございますが、やはり一つには、いま先生も御指摘のように、こういう救急体制というものを確立いたしますために、私どもそういう車その他を十分手当てするというのが基本だと思います。しかし、そのほかに、やはり通信関係の整備ということも、実態としては非常に大事であるということを痛感いたしておりまして、各地方におきましても、そういう御尽力を賜わりますように、私どもも前々からもお願いをしているような次第でございます。
 なお、ただいまのように、巡回車がありましても回数が少ない、これもやはり協力していただける範囲がまだ狭いということに尽きるかと思います。したがいまして、私どもはやはり大きな地域全体の御協力をいただかねばならないのじゃないかというふうに考えております。たとえば宮崎県のような場合にも、医師会のほうから自発的に協力をするという体制というものを、現地といろいろお話しになっているというようなこともお聞きしておりますが、そういうような各地方における医師会等の積極的な御協力というものを得ませんと、車だけつけても、なかなか思うような回数で参らないという実態等もあろうかと思いますが、おっしゃるような方向で検討してまいりたいと思います。
 なお、国立病院や療養所というところも、積極的にこういう医師の派遣に協力すべきでございます。国立病院等においても、非常勤の職員の用意もいたしまして、特に困難な地域に配置をして御援助申し上げるという対策もとっているわけでございます。
#138
○兒玉分科員 これは話が小さいかもしれませんけれども、同じ国民健康保険料をかげながら、医療を受けるために、全く一日がかりで治療に行かなければならないという非常に恵まれない地域に相当数の人たちがいるわけです。この点等については、やはり負担の公平という原則から考えましても、何らかの具体策というものを検討すべきではないかと考えております。
 第二点は、これは私のほうの地域だけではなく、医療法上の重大な問題であり、人命に関する問題でございますけれども、急患等の場合に対する対応措置として、特に関係の機関が認めた場合というきわめてきびしい条件でもいいわけですけれども、たとえば長年の看護婦の経験者なり、あるいは保健婦等に対して、そういうような緊急に対応する治療行為というもの等についての対策、こういうもの等の検討はできないものかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
#139
○松尾政府委員 こういう僻地の場合に、保健婦さんが存在しておられるということが、医療上の連絡指示、あるいはただいま先生御指摘のような救急の場合の手当てということに、非常に有効に働いておりますことは、私も現場へ参りましてそういうところの保健婦さんとも会い、また住民の方の御意見もお聞きいたしまして、非常に強い感じを受けております。したがいまして、今後の一つの施策といたしましては、やはり保健婦をどのようにそういうところに配置するかということが、大事な問題であるというふうに考えております。ただ、その保健婦に、特別にそういう医師の行ないますことを、保健婦助産婦看護婦法のほうで認めるかどうかということにつきましては、なお慎重に検討を続けさせていただきたいと思いますが、ただし、きわめて緊急避難のようなことがございましたときは、これは現在でもある程度法令では認められておるかと考えておる次第でございます。
#140
○兒玉分科員 医療関係は、あと一点だけにしたいと思いますが、とにかくいいお医者さんがいなかのほうには来ない。せっかく宿舎をつくり、かなりの待遇をしても、なかなか定着をしていただけない。そういうふうな原因が那辺にあるのか、この点と、さらに、そういう定着するような対策ばいかにすべきか、この点をどういうふうに御検討され処置されようとするのか、医療関係について最後にお伺いしたいと思います。
#141
○松尾政府委員 まことにむずかしい問題でございまして、一つは日本全体の医師というものが、最近の非常に増大いたしました医療需要と相対的に比較をいたしまして足らなくなってきた、したがいまして、大都会の病院等におきましても、実は相当多忙をきわめるという実態になっております。基本的には全般的に見てなお総体的医者不足という問題が底辺にあるかと思います。かたがたそれに加えまして、僻地におきますところのいろいろな生活環境も、あるいは子弟の教育なりその他というものが、かなり医者という職業から見まして、そういう家族的なもの、あるいは自分の周辺のものに、なお隘路があるという感じが強いということでございます。私どもも、今回十分に成果を見るに至っておりませんけれども、若い人の中には、そういうことに非常に熱情を持っておられる方もあるわけであります。現実に大学の学生中に、大学の診療班として、僻地等に毎年出かけておるような大学生も相当数ございます。そういう方々の熱意を一方では十分育てていくということを将来にわたって何か考えたい。今回は十分そういうところまでまいりませんでしたが、そういうことが第一点に必要かと思います。
 それから第二点は、やはりそういう偏在を是正するというだけでは、近い将来の解決はどうしてもできにくいんじゃないか。やはり先ほど来申し上げました機動力の活用ということにもっと力を入れていただいて、医者を確保するというよりも医療を確保するという観点に立って重点を指向するのが現実的ではないかと考えておる次第でございます。
#142
○兒玉分科員 次に、保育所関係についてお伺いしたいと思います。
 最近の労働力の不足なり、あるいは家庭経済といいますか、家庭生活を維持する関係から、どうしても共かせぎをしなければいけないという傾向なり、あるいは農家等の場合においても、農家所得だけでできないために、やはりかなり副業的な仕事に参加する主婦というのがふえておるわけでございますが、現実的に、今日保育を必要とする数につきましても、全国で大体、乳児保育の場合でも九万六千人を数えておるわけでございますが、実際に認可された保育所における収容数というのはわずか二%だと聞いております。これに対しても、本年度の予算内容を見ましても全く微々たるものでございますけれども、今後の対策として、この強い要請である乳児保育対策というものは、どういうふうに解決をし対処していくのか、第一点としてお伺いしたいと思います。
#143
○渥美政府委員 保育所の現状でございますが、現在と申しますか、昨年の八月現在におきまして保育所の数が約一万二千六百、定員といたしまして百三万一千人、かようになっております。このうち零歳児、それから一歳児、こういった小さな子供さんが二万七千人収容保育されております。先生が御指摘の零歳児につきましては、この時点の調査では非常に数が少なく、約千八百名弱ということになっております。しかしながら、御指摘のように、最近のような都市化の進行でございますとか、あるいは核家族化の進行というふうなことによりまして、若い御夫婦が非常に多く働くようになりました。したがいまして零歳児、一歳児、二歳児、あるいは三歳児といった、こういった小さい方々を保育する必要性がとみに高まっております。したがいまして、昭和四十四年度におきまして厚生省におきましては、特定の施設、たとえば一定の設備を持っておる、あるいは一定の機械器具、そういったものを整備しておるようなところ約三十三カ所を指定いたしまして、そういった保育所におきましては保母さんの数を現在よりふやす、つまり子供さん三人につきまして一人の保母さんを配置するということで、新たに乳児保育制度といいますか、乳児保育所の制度を実施いたしたい、かように思っております。特に、いま申し上げましたような大都会等におきまして、乳児保育の要請がきわめて強いというふうなところにつきまして、これを出発さしていきたいと思っております。先生御承知のように、こういった赤ちゃんにつきましては、家庭におきましておかあさんのおっぱいを飲みながら保育されるというのが、これが心理学的な、あるいは教育学的な原理であろうと思います。しかしながら、そういうふうなことが社会的な要請として許されませんので、相当厳重なといいますか、将来の子供さんの人格形成あるいは健康のあり方等を考えまして、ともかくこのような構想によりまして乳児保育を発足させたいと思っております。しかしながら、これをさらに四十五年以降におきましても充実してまいりたい、かように考えておるところでございます。
#144
○兒玉分科員 特に零歳児、一歳児等の乳児の保育対策というのは、先ほど局長が答弁された以上に非常に管理の面においても特殊な技術を必要とするわけですが、問題は、この乳児保育に対する人の面における保母さんの待遇ということが、最大の課題ではないかと私は思うわけでございます。この保母の待遇改善対策なり保母の確保ということについては、相当積極的な指導が必要だと思うのですが、これらの保母対策についてはどういうような措置をとっておいでになるか、お伺いしたい。
#145
○渥美政府委員 こういった社会福祉施設あるいは児童福祉施設に働きます保母さんの確保がたいへんむずかしいことは言うまでもございません。したがいまして、まずこの保母さんの確保といたしましての第一は、その養成にあるわけでございます。最近私どもも、いろいろと、都道府県なりと相談をしながら、保母養成所の数をふやしていくということが第一だと思います。昭和四十三年度におきましては、こういった保母の養成所の数は、前年であります昭和四十二年度に比しまして三十六カ所ふえており、合計百九十二カ所、こういうふうなことになっております。それからまた都道府県知事が行ないますところの保母の試験につきましても、これは県によりましては年一回というふうなところが多かったのでございますが、最近におきましては年二回やっていただきまして保母の資格を取得させるということも講じておるところでございます。
 しかしながら、何といいましても、保母さんの確保対策の一番大きな問題は、保母の処遇の改善でございます。保母の処遇の改善は二つに分けられると思うのでございますが、一点はその給与の改善でございます。第二点はその労働環境の改善ということになろうかと思います。
 第一点の給与の問題につきましては、昭和四十四年度以降、そのあるべき給与の姿に改善をしていくということで、おおむね国家公務員の現実の給与のところまで給与を改善していこうということを考えておるところでございます。
 それから第二の保母さんの労働条件の改善の問題でございますが、この点につきましては、やはり預かる子供の数を少なくしてあげるということが大きな問題だと思います。昭和四十四年度におきましては、特に三歳児という取り扱いが非常に困難な子供さんにつきましては、従来二十五人の子供を一人の保母で保育しておったのでございますが、これを二十人の子供に対しまして保母一人というふうに改善をしたのでございます。
 そのほかいろいろと考えるべきことは検討しながら、このような保母さんの確保にはさらに一段の力を注いでまいりたい、かように考えておるところでございます。
#146
○兒玉分科員 次に、無認可保育所対策の件でございますけれども、私たちの知り得た資料によりますと、保育所の許可条件というのが、これはもちろん非常に大事なことでございますから、厳格でなくてはいけないわけでございますけれども、四十三年度の場合においても、約百カ所程度の予算が組まれておるのに、実際の申請件数というのは六〇%程度しか申請がされてない、こういうように聞いておるわけでございますが、その条件等なり、あるいはこの申請件数というのが予算どおりいかないというのはどこに問題があるのか、その点どういうふうに分析されておるのか、お伺いしたいと思います。
#147
○渥美政府委員 無認可保育所につきましては、実は昭和四十一年に調査を行ないました。全国で二千二百カ所、そこに保育されておる子供の数が約十一万五千という数字が出ているわけでございますが、この無認可保育所の経営主体でございますとか、規模でございますとか、保育内容とか、あるいはそこで従事している保母さんの方々の資格の問題その他千差万別でございました。特に都会、あるいは都会の周辺地におきまして、無認可保育所が存在し、その機能があるということは、十分評価すべきものでございましたので、いま先生が御指摘のように、その一つの解決策といたしまして、従来の保育所よりも収容定員が少なくてもこれを認可するというふうなたてまえで、小規模保育所制度というものを発足させたところでございます。予算といたしましては百カ所でございますが、この二月一日現在におきましては六十六カ所の承認申請が参ってきておりまして、このうちすでに二十七カ所は承認をいたしておるわけでございますが、その他のところにつきましては現在申請中でございます。
 なぜこのように必要があるのにかかわらず小規模保育所がまだ全部承認されないのか、百カ所しか承認されないかという理由につきましては、一つの問題といたしましては経営主体の問題があると思います。それは保育所の経営主体は、従来からの私どもの方針といたしまして、社会福祉法人または財団法人によってこれを経営していただくということに取り扱いをきめておりますが、この法人の設立につきましてやや時間がかかっておるというのが大きな問題ではなかろうかと思っております。と申しますのは、小規模保育所制度を実施いたしましたのは、昨年の十月一日でございました。この法人の申請あるいは許可の手続というのが、一般の法人の認可と同じように相当時間がかかるというふうなこともあると思います。そういうふうな観点で多少おくれておりますが、私どもの推定では本年度内には百カ所まではこの小規模保育所の認可ができるのではなかろうか、かように考えております。一度これが軌道に乗ってしまいますれば、社会の必要も非常に強いわけでございますので、この制度は十分円滑に運営されるものであろう、かように考えておるところでございます。
#148
○兒玉分科員 いまの、厚生省が昭和四十二度からでございましたか五カ年計画による保育所の緊急整備計画というのが実行に移されているわけですが、大体第一次五カ年計画でどの程度対象数に対して解消できるのか。
 それから、これを推進する上において一番問題になっているのは、たとえば保育所の新設に対しまして全国平均大体六百万円から七百万円、大きいところは二千万円から三千万円もかかるということがいわれておるのでございます。もちろんこれはその規模の内容にもよるわけでございますけれども、これに対して補助対策はわずかに百万円と聞いているのですが、これでは五カ年計画の実行ということはなかなか困難ではないか。加えて土地の取得については全然補助対策がないと聞いているわけですが、このような問題点について、この緊急性から考えましても、やはりもう少し補助対策なり、特に土地取得ということは、今日地価対策がいまだにできていない時点から考えましても、十分検討し、対処すべき課題ではないかと思うのですが、この点についての御所見を承りたい。
#149
○渥美政府委員 昭和四十二年度から、おおむね五年間の計画で始められました保育所の整備計画でございます。この整備計画の目標は、九十一万人の収容能力を百二十一万人にする、三十万人の子供を五カ年間で収容するという計画でございました。この計画を実施に移しましてから本年で三年目を迎えるところでございますが、私どもも当初相当心配しておりましたけれども、現在の状況におきましては、ほぼ予定の線に従いまして進行しております。したがいまして、昭和四十六年度におきましてはこの目標は達成される、かように考えておるところでございます。
 もちろん、いま先生の御指摘のように、二つの問題におきまして隘路があるということは認めざるを得ないわけでございまして、第二の御質問の補助額の問題でございますけれども、補助額の金額にいたしましても逐年少し、ずつ改善をしておりまして、昭和四十三年度におきましては、新設の場合においては百万円というふうなことになったのでございます。もちろん百万円はたいへん少ない金額でございます。したがいまして、昭和四十四年度におきましては、現在実行の段階におきましていろいろ検討中でございますが、この金額はさらに増額をするということで、そのような観点に立ちまして進めてまいりたい、かように思います。
 それから第三点の土地の問題でございますが、国庫補助をつけますときに、土地の取得につきましては一般的にいいまして補助はつけておりません。したがいまして、はなはだ残念でございますが、保育所を設置する場合の土地の取得につきましての補助はできないわけでございます。しかしながら、特に必要な場合におきましては、たとえば国民年金の還元融資等によりまして、この土地取得の原資を確保するということを考えておりますし、一部このような方法で土地の取得に対しましての貸し付けを行なっておるというのが現状でございます。
#150
○赤澤主査 この際、午後二時三十分に再開することとし、暫時休憩いたします。
   午後一時四十九分休憩
     ――――◇―――――
   午後二時三十五分開議
#151
○赤澤主査 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。角屋堅次郎君。
#152
○角屋分科員 本日は、当分科会におきまして、公害問題にしぼって数点お尋ねをいたしたいと思います。
 このたび同県の斎藤さんが、国民の生命、健康あるいは福祉、こういうものを重要な責務といたしております厚生大臣に御就任になったわけですけれども、公害の問題については、四日市の現地の実態、あるいは全国を回られて――公害対策に厚生省は、特に先ほど申しましたような立場から真剣に取り組んでもらわなければならない、こういうふうに思っているわけでございます。私も党の公害対策特別委員長をやっておりまして、基本法以来公害問題に取り組んでおるわけですけれども、公害総点検という立場から、近くそれぞれ重要な各県にも回りたいと思っております。私これまでにも新潟、富山のイタイイタイ病、あるいは姫路の出光進出問題、あるいは静岡の浜岡の原子力発電所問題、あるいは宮崎その他、今日までに公害に関連のある現地の調査をやってまいりました。このたび厚生省所管として公害医療救済法案を御提出になる。新聞その他でも非常にきびしく批判をされておりますように、厚生省は折衝過程では相当努力されたのだと思いますけれども、現実に公害に悩む患者の皆さん、あるいは従来公害病の指定を受けなくても、公害の病気で呻吟をしておる関係者から見ますと、近く提出をされます法案の構想では、これは現実に公害の要請にこたえ得ないのではないか、率直にそういうふうに思うのです。
 まずこの構想の中で、承りますと所得制限というふうなことで四人家族で年収九十三万円というふうなお話も聞いておりますが、なぜ所得制限を設けるようなことに結局後退をしたのか、まずこの点からお伺いいたします。
#153
○金光政府委員 医療救済法案につきましては、現在準備いたしておりまして近く提出したいという考えでございます。
 ただいま御指摘のありました所得制限の問題でございますが、これにつきまして、大蔵省はじめ関係省と厚生省がいろいろと協議いたしまして、現在もなお細部につきましては法制局等とも検討をいたしておるというようなことでございます。それで所得制限につきましては、やはり関連のいろいろの方策、施策等とも考えあわせまして、ある程度の所得制限というものが必要なものについてはすることが必要ではないか、かような考え方に現在立ってなお協議を進めておるというような段階でございます。
#154
○角屋分科員 いまの答弁では全然説明にならないわけですけれども、これは法案審議の過程では修正をしなければ、公害のこの種救済法案の立法の趣旨から見て基本的に問題である、こういうふうに思います。
 それから近く出される救済法案では、せいぜいこれまでに社会的にも非常に問題になった二つの水俣病、あるいは富田山のイタイイタイ病、あるいは四日市のぜんそく、こういう限ぎられた公害病の患者に対して医療救済が行なわれるということに相なるんじゃないかということがいわれておるわけでありますけれども、これは今日日本は、三十年代以降の高度成長の中で、全国各地に非常に公害問題が広範に起こってきておる。そしてまた公害にかかわる患者というものが相当増大をしてきておるという中で、ごく限定されたものだけに医療救済をやっていこうということでは、本来公害対策基本法が所期した救済制度の問題、あるいは紛争処理制度の問題というその基本法の趣旨から見て非常に大きく後退をするし、その本来の公害医療救済の立法のたてまえにならないんじゃないか、こう思うのですけれども、具体的にはどういう構想になるわけですか。
#155
○金光政府委員 この医療救済制度でございますが、対象といたしましては、現在公害医療研究費によりまして公害病と認定された患者に対しまして、いろいろと医療の研究あるいは医療面の援助をいたしておるわけでございますが、さような考えでまいっておりまして、今回の医療救済法案につきましても、現段階におきましては一部を――大気汚染によるぜんそくとか、慢性気管支炎、それから水質汚濁に伴います水銀中毒、あるいはカドミウムによるイタイイタイ病のような患者、かような者を一応対象として昭和四十四年度は予算的にも考えておるわけでございます。
 それで、内容といたしましては、考え方としまして、この公害患者につきましては、原因者がわかれば、原因者が医療費なりその他を補償すべき立場にあるわけでございますが、やはり原因につきましてもなかなかはっきりわからない。またわかるにいたしましても相当の時間を要するというようなことで、その間におきまして、医療費等におきまして自己負担できないようなものにつきましては救済を行なおう、かような考え方でございます。したがいまして、入院に対する手当、通院に対する手当、あるいは在宅介護手当等も考えておるわけでございます。
 それで、非常に限られておるという御指摘でございますが、公害病というものはやはり今後新しい問題も提起されてくるかもしれませんが、現在のところでは、いままで公害病として考えてまいりましたものを当面扱っていこう、さような考えでございます。
#156
○角屋分科員 原子力の平和利用という問題とも関連をいたしまして、各地において問題の生起はしておりますけれども、原子力研究所の設置、あるいは動力炉・核燃料開発事業団が今後想定をしております核燃料再処理工場というふうな問題とも関連をいたしまして、放射性物質による大気汚染、あるいは水質の汚濁による疾病という問題が当然想定をされてまいるわけでございます。この点については本年の二月の六日に、総理の諮問機関であります放射線審議会におきまして、放射性廃液の海洋放出に関する基本的な考え方という答申を出されたわけでございますが、今度の救済立法において、放射性物質による大気汚染または水質の汚濁による疾病を除外をする。そうしますと、これは具体的には、そういう問題についての公害の救済はどういう方法で除外をしてやろうというのですか。この点お答え願いたいと思います。
#157
○金光政府委員 放射性物質等によります環境汚染の防止等につきましては、科学技術庁が御承知のように扱っておるわけでございまして、これにつきまして……
#158
○角屋分科員 救済立法は厚生省でしょう。
#159
○金光政府委員 まあ救済の面におきましても、現段階ではまだ問題は取り上げてないわけでございます。これは今後の問題として研究したい、かように考えます。
#160
○角屋分科員 救済立法そのものが、非常にみすぼらしい内容と限定された対象に対してやろうというところに基本的に私は問題があると思いますけれども、いわゆる発生源といわれる事業者の負担も、これは公害防止事業団に事業者団体が拠出契約をして一定の金を出す、こういう考え方をとろうとしておるわけですけれども、これはいずれ通産、厚生両大臣から、事業者、対象の業種については指定をするというのですが、そうすると、かりに当面公害医療救済の法案が、先ほど申しましたような対象ですべり出すと、一応政府が構想するのを提案として受け取りますと、そういう対象の事業者だけから拠出を願うという考え方なのか。あるいはそうでなくて、拠出そのものはもう少し広範囲なところから拠出を願って、現実の運営の問題としては、先ほど説明のありましたものをまず対象としてすべり出そうということか、その辺のところは具体的にどう考えておられますか。
#161
○斎藤国務大臣 ただいま伺いますように、限定された公害源発生者というよりも、もっと広い範囲から拠出をしていただくということに考えておる次第であります。
 それから、先ほどの放射性物質による公害、これは御承知のように公害基本法の中でも除いておりますから、それでいま一応はずしておりますが、しかし、おっしゃいますような患者に対してやらなければならないというような段階がまいりましたら、私のほうからも、その際は厚生省所管にするかどこにするかわかりませんが、公害防止基本法と別個の体系におきまして、しかし厚生省も無関係でなくやってまいりたい、かように考えております。
#162
○角屋分科員 私も党の関係の紛争処理制度の法案、あるいは公害医療救済立法をいま鋭意作成中であります。討議の中でずいぶん苦労しておりますけれども、ただ、たとえばこの救済の問題について、事業者から金を出させるというのを考えます場合に、いずれ発生源として事業者が明確になれば、全部金を出さなければならぬという問題との二重払い議論というのが、一応はやはり議論としてはございます。拠出としても出しておる、そして紛争処理制度のルートなり、あるいは訴訟のルートなりで明確になれば、そこでも責任をもって損害賠償しなければならぬ、そういう点で二重払議論というのは一応議論としてはあるわけですけれども、そういう点は、今度の事業者に拠出をさせるという点で、どういうふうに理解をしておられるわけですか。
#163
○金光政府委員 救済の医療費につきましては、救済法案に基づきまして、原因がわかるまではこの救済法案に基づいて医療費の自己負担分をめんどうを見る、かようなことになるわけでございますが、公害に関します原因者がはっきりいたしますれば、これは返還させるという形をとっておるのでございます。そういうような形で一応支出いたしておきまして、きまれば返還させる、わからなければ出す、かような形になっていくわけでございます。
#164
○角屋分科員 今日まで、たとえば二つの水俣の関係、あるいはイタイイタイ病、四日市ぜんそくで公害病患者の指定ですが、たとえば二つの水俣病の関係は、私の手元の数字では九十六人、イタイイタイ病が百二人、四日市ぜんそくが三百九十二人というふうに一応メモとしては控えたわけですけれども、今度この救済立法がすべり出すときに、地域を指定するとかいろいろな関係できびしくやりますと、これがはずれるという危険性はないわけですか。これは必ず入って運営されるという構想であるというふうに明言ができるわけですか。いかがです。
#165
○金光政府委員 公害医療費を交付する場合に、地域の指定をいたしますとか、患者の認定もいたすわけでございますが、現在公害医療研究費ということで公害病患者に対しまして医療研究費を交付いたしておる地域につきましては、その中に含むことにいたしております。
#166
○角屋分科員 現実にいま地域的な関係で、大きく国民が承知しております大原ぜんそく、あるいは過般新聞紙上でも、川崎の郵便局につとめておった人の長期ぜんそくで悩んでおる問題が報道されましたけれども、こういう大原のぜんそく、あるいは川崎、尼崎等、大気汚染の問題でも非常に大きな問題を社会的に持っております。そういうところは、政府が出そうとしておる救済立法の関係では、考え方として含むのですか、含まないのですか。
#167
○金光政府委員 現在のところ、先ほど申し上げましたように、公害医療研究費の対象にしております地域以外の大気汚染に基づくぜんそく、あるいは慢性気管支炎等の問題でございますが、これにつきましては、いろいろと健康調査等の資料を整備いたしまして、それに基づきまして必要なものにつきましては今後地域の指定、患者の認定というようなことをやっていきたい、かような考え方でございます。
#168
○角屋分科員 この点は大臣、そういうことで間違いないのですか。
#169
○斎藤国務大臣 間違いございません。今後も公害病と認定をいたします地域もふえてくるだろうと思います。また、いま大原ぜんそくとおっしゃいましたが、これは一酸化炭素のあれですが、一酸化炭素のほうも同様に進めてまいりたい。このほうは若干おくれるかもわからないと思っておりますけれども、考え方としてはずっと広めてまいる所存でございます。
#170
○角屋分科員 総務長官にはおいで願わなかったのですが、それは了承いたしまして、紛争処理法案の関係で一、二点お伺いをいたしたいと思います。
 結局、この公害紛争の問題の委員会をつくるとすれば国家行政組織法の三条機関としてつくるか、あるいは八条機関としてつくるかというのが公害対策基本法のときの中央、地方の機関をつくる場合の基本論でございました。これはなぜ八条機関に格下げをされたのかということが第一点。
 それから、いわば公害裁判所として、裁判所的な性格として、一応行政の舞台では最終と思われる仲裁という問題については、双方の合意ということを前提にしておるわけですけれども、そういうことになりますと、結局、実際は行政的に処理するというのはなかなか重要な問題についてはできなくて、最後は裁判でございます、ということを前提にして考えておられるのかどうか。
 それから立ち入り検査の問題を私たちこれからの立法の中では中央、地方を含めて、いわゆる中央と県段階を含めてこれは当然考えなければならないというふうに思っておるわけでございますけれども、特に中央公害審査委員会だけになぜ限定をして後退をしたか、これはやはり県の機関といえども権威を持ってやらなければならぬ。すべての問題が中央に集まるというわけにはなかなか――事務の処理上も、やはりこなせるものは県段階で相当程度こなすということを前提に考えなければならぬ、そういう点から見ても、立ち入り検査の問題について中央にだけ後退をしたのはどういう理由によるのか、これらの点について簡潔にお伺いをいたしておきたいと思います。
#171
○斎藤国務大臣 三条機関か八条機関かの問題は、私も相当関心を持って論議をしたのでありますが、三条機関は行管が非常にやかましく言うものですから、とにかく実効があがればよろしい、八条機関でも十分実効があがる、かように思ったものですから、一応八条機関ということにいたしました。
 それから仲裁の場合に、両者の同意がなければ、これはやはりもとはといえば民事訴訟法になるべき問題でありますから、したがって、これを法律で、本人の同意なしに強制仲裁に持っていくということは法体系としていかがであろうか、かように考えたわけでございます。
 それから立ち入り検査を中央だけに限ったという点につきましては政府委員から……。
#172
○金光政府委員 立ち入り検査につきまして、中央公害審査会にだけ権限を与えるという点でございますが、中央公害審査会におきましては、地方におきまして扱うのが困難であろうと思われる重大な事件につきましては全部中央公害審査会にあげる、かような考え方でございますので、そういう意味で中央公害審査会に対して権限を与える、かように考えておるわけでございます。
#173
○角屋分科員 公害地域では非常に関心のありました亜硫酸ガスの環境基準の運営問題、これは御承知の昨年七月の生活環境審議会の答申に基づいて、その後経団連からの強硬な申し入れその他も途中の経過でございまして、率直に言って運営上現地の期待を裏切るという強い印象を与えておるわけでございますが、私はこの機会に厚生大臣にお伺いしておきたいと思うのでありますけれども、公害対策基本法を、政府からも出され、われわれ各党の関係からも出して真剣に議論をしたときに、私も政府案の修正の責任を持っております。その修正の中で、第二章公害の防止に関する基本的施策の第一節の環境基準第九条、この関係の中で特にわれわれの強い要請によって第九条の第三項というのが加わりました。それは「第一項の基準については、常に適切な科学的判断が加えられ、必要な改定がなされなければならない。」つまり環境基準のレベルアップということを強くわれわれのほうからも法修正を要請し、これが受け入れられたわけであります。いわゆる一たんきめる環境基準というものは永久固定のものではないわけです。国民の生命、健康の基本にしながら、これは公害防除技術その他の問題もありましょうけれども、絶えずレベルアップするのだ。そして人間の生命、健康を第一義的に公害対策は考えるのだというふうに修正をして現行法になっておるわけでありますけれども、そういう精神から見ますと、五年ないし十年というふうなことで、いま非常に深刻な事態にある現地側の要請から見ると、経団連その他産業界の強い要請で大きく後退した印象は払拭し切れないと思うのであります。今後、こういう問題については、具体的にどういう基本的な考え方でこの問題に当たられるか、これは重要ですから大臣から……。
#174
○斎藤国務大臣 環境基準のきめ方が、何といいますか、低過ぎたといいますか、非常に失望を与えたとおっしゃいますが、私は、あの環境基準そのものは、これは相当評価してもらっていいものだ、世界的に見てもそう恥ずかしいものではありません。ただ、これは十年というのは長過ぎる、五年も長過ぎるということは私はごもっともだろうと思います。これは日本の重油の供給関係から、いわゆる低硫黄重油をはたして十分供給できるかどうかということとも関係があるものですから、したがって、最もおそくとも十年以内にはなし遂げたい、こう考えておりますが、しかし、低硫黄を一日も早く拡張し、そして早く、少なくとも現在の二分の一くらいの硫黄の重油に持っていきたいということで、通産省にも全力をあげてもらっております。そういう状況をも勘案をし、十年をもっとあとう限り短くできることは理想だと考えて努力をいたすつもりでございます。また、基準自身も、今後さらにもっと引き下げる必要が起こってくるという状況があれば、引き下げてまいりたい、さように思っておるわけであります。御了承をいただきたいと思います。
#175
○角屋分科員 環境基準の問題と関連をして、先ほど申しました経団連の植村会長以下関係者が、厚生、通産両省に申し入れをやった。その中で、環境基準問題は、これは行政上の努力目標であって、この環境基準に地方自治体が基本を置いて、既存の工場地帯で新増設する際に、この基準をこのまま適用するということになると、業界としては問題があるというふうなことを述べておるような報道が伝えられております。私は、一定の環境基準を一定の年限の中で達成をするというふうな前提に立ちます場合、新たにこの環境基準に悪化原因のプラス要因というふうな工場の新設問題、あるいはさらに工場を増設するということによって悪化原因を増大をするというふうな問題は、少なくとも厚生省が考える立場からいくならば、それは抑制するというのが基本方針であろうと思うのです。そういう点において、新しい開発地域であれば、そこに設定したものに基づいてやるということでありましょうけれども、既存の工場地帯においての環境基準設定、あるいはそれを達成する過程における新増設問題の運営をどう考えるのかという点についての大臣のお考えを承りたいと思います。
#176
○斎藤国務大臣 第一種地域と申しますか、たとえば亜硫酸ガスならば四日市、川崎というような場所におきましては、この環境基準に基づいて各工場の排出基準をきめます。それは現在ある工場の排出基準です。それから、それに増設する場合には、それよりももっと低い排出基準を守れるようなものでなければ認めないというように持ってまいりたい、かように思っておるわけでございます。
#177
○角屋分科員 要するに、前提条件は、環境基準はこれはもうマキシマムのものであるという前提と思います。
 時間が参りましたので、最後に、最近新聞にも報道されました群馬県の安中市の東邦亜鉛安中製錬所問題について少しくお伺いをいたしたいと思います。
 これはすでに御承知の岡山大学の小林教授、これは富山のイタイイタイ病の場合に、現地の婦中町の荻野医師とともにイタイイタイ病の原因究明で非常に大きな貢献をされた方でございます。これが昨年の四月、十月の調査に基づいて、この製錬所からの排煙あるいは製錬所からの排水の現地調査を行なった結果、イタイイタイ病の事実がやはり現実に起こってきておる、こういうことを発表しております。近くこの点については三月末に日本公衆衛生学会総会で調査結果を発表する、こういうふうにいわれておるわけでありますが、同時に、現地の高崎中央病院もこれにタイアップをいたしまして、そのイタイイタイ病の状況というものを認めておるというふうに私どもは報道で承知しておるわけであります。ところが、厚生省は、昨年の十二月に、農作物についてはこれを食べても心配がないというふうなことを発表して、現地側に、一体どちらがどうなのかという不安も与えておるわけであります。かねて新潟県の問題にいたしましても、富山の問題にいたしましても、あるいはさかのぼれば熊本の水俣病の問題にいたしましても、問題の発生源といわれる事業あるいはそれをバックアップする通産省というのは、よほど科学的に事実が明確になってこないと、それまでの間は激しく抵抗する。その中にあって、厚生省は、むしろ健康、生命を守る立場から良心的にやるというのが従来の経緯であったと思うわけですけれども、これはすでに富山のイタイイタイ病の関係でも現地に一つのトレースが出ておるわけでありまして、この問題について、厚生省は従来どういうふうに取り組み、それからどういう方針でこの問題が今後いわゆるイタイイタイ病という方向へ進まぬように手を打つのか、この点のお考えを承っておきたいと思います。
#178
○斎藤国務大臣 従来の問題は局長から答えさせますが、おっしゃいますように、厚生省といたしましては、われわれの健康を守るという立場でありますから、そういう遺憾なことのないように最善の努力をいたしてまいりたいと考えております。
 安中の問題につきましても、私特に関心を持っておりますので、今後も部局を督励をいたしまして、御趣旨のように最善を尽くさせるようにいたしたいと思います。
#179
○金光政府委員 安中の製錬所の問題につきましては、カドミウムによります中毒患者が問題になりましてから、カドミウムを排出する鉱山関係につきまして調査を始めておるわけでございます。この安中の製錬所につきましては、昨年から公害の委託研究費をもちまして、日本公衆衛生協会に委託して調査をいたしております。金沢大学等も参画いたしておるわけでございます。そういうことでございますが、なお、この結果につきましては、三月一ぱいには中間報告をいただくことになっております。
 これと、なお新聞紙上にも報道されておりますが、患者も疑わしき患者が出ておるというような報道もございますが、これは高崎の中央病院で診断を受けた結果ということでございますが、県におきましても、独自で約四千人を対象にいたしまして、現在健康診断を引き続きやっておるところでございますから、これも近々に結果が出るはずでございます。したがいまして、近々に排出廃水の検査あるいは植物の検査等につきましての結果が出ますし、患者に関する実態も出てくると思います。この出てまいりました結果を合わせまして、最善の対策を講じていきたいという考えでございます。
 もう一つは、何と申しましても、現段階におきましては、カドミウムが排出されないようにするということが大切でございまして、これにつきましては、工場におきましてもかなりりっぱな施設を現在では整備しておるわけでございますが、かりに患者があったといたしますと、これは過去に排出されたということである。なお土壌等汚染が続いておるというような問題に関連するわけでありますが、神通川等におきますほどの汚染状況はまずないと私は思っております。しかし、カドミウムが排出されておりますので資料等を待ちまして、調査、検討して善処したいと考えております。
#180
○角屋分科員 時間が参りましたのでこれで終わりますけれども、公害対策の問題は、よくいわれますように、公害の予防、公害の排除、公害の救済、この三つが兼ね備わらなければならぬ。特にこいねがわくは、公害の救済に至らざる以前において、いままでのカドミウム問題にしろ、あるいは水俣病問題にしろ、これから予想される問題にしても、科学技術陣を動員して、再びそういう問題が人間モルモット的に起こらぬという点については、特に厚生省の場合には万全の措置を講じてもらわなければいかぬ。これは経営陣が報道としてどう言おうと、通産省がどういうサイドでものを言おうと、やはりそういう点については、厚生省は国民の側に立って、き然としてこれらの問題には臨んでいただきたい。いま申しました安中の問題は、私、現地に行っておりませんので、十分な状況は知りませんけれども、イタイイタイ病のあの悲惨な状況を見ていた立場から、そういうことの再来になっては断じていけないということを考えておりますので、善処するように御要望申し上げておきます。
#181
○赤澤主査 大橋敏雄君。
#182
○大橋(敏)分科員 私は、三十分というきわめて限定された短い時間の中で、大きく分けて、保育所の問題と、それから病院の基準寝具の問題を取り上げてお尋ねしたいと思いますので、答えのほうは要領よくまとめてお願いしたいと思います。
 現在、保育所問題は、重大な社会問題化してきている、こう言って過言ではないと思います。それだけに保育所の役割りが重視されまして、いわゆる幼児保育というその声はきわめて高いと思います。これに対しまして、厚生省としてどのような計画をお持ちであるか、まず、それを要領よく要点を聞かしていただきたいと思います。
#183
○渥美政府委員 保育所の整備拡充につきましては、その施設をふやすという問題と、それからその中で働いておる職員、特に保母の質の向上あるいは労働環境の改善、こういうふうな二つの面から拡充してまいりたい、かように考えております。
#184
○大橋(敏)分科員 漏れ聞くところによりますと、ことしは五百カ所、それから三十人以下の小規模保育所が百とか百五十とか聞くのですが、この点はどうですか。
#185
○渥美政府委員 保育所の増設につきましては、四十四年度におきまして、国庫補助によりましておおむね五百カ所、その他の資金によりまして二百数十カ所、この増設を考えております。それから小規模保育所におきましては、四十四年百五十カ所程度認可をいたして、推進してまいりたい、かように考えております。
#186
○大橋(敏)分科員 実は、保育所緊急整備五カ年計画というものがあるわけでございますが、その計画案とことしの案と対比してどう思われますか。
#187
○渥美政府委員 保育所の緊急整備計画は、昭和三十九年の資料に基づきまして、昭和四十二年から昭和四十六年まで、おおむね五カ年の間に三十万人の子供さんを保育所に通わせる、かような計画でございます。したがって、子供さんの数にいたしまして一年間に約六万人、保育所の数にいたしまして約七百五十カ所、年次別にかように相なるわけでございます。この計画は、昭和四十二年発足以来、私どもの考え方では、いろいろな問題点はありますけれども、おおむね所期の目標に向かって進んでおる、かように考えております。
#188
○大橋(敏)分科員 おおむね所期の目的にかなっているというお話でございますが、現実はなかなかそうではなさそうであります。というのは、まず今回とられております三十人以下の小規模保育所、これが百五十カ所だということで計画されておるようでありますが、計画がなされても、現実には認可されていない、こういうことを聞くのですが、予算のほうはとられても現実に認可されない。たとえば、人数のほうは、いままでは認可基準として六十人であった、それが三十人に減らされてはおるものの、現実にほかの基準が変えられないために認可されない、こういうことを聞くのですけれども、この点についてはどう思われますか。
#189
○渥美政府委員 小規模保育所の認可にあたりまして、昭和四十三年におおむね百カ所を予定しておりました。この制度は、昨年の十月一日から発足したわけでございますが、保育所が認可されます場合においては、いろいろな条件があるわけでありまして、たとえば設置主体の問題、設備構造の問題あるいは保母の資格の問題、かようにいろいろ問題点がございますが、私ども現在この制度を進めておりますときに、経営主体の問題が一つの隘路といいますか、一つの問題になっているということを承知しております。保育所の認可につきましては、従来からそれを経営するものが社会福祉法人であり、あるいはまた財団法人であるということを原則にいたしております。したがいまして、この制度が発足いたしましてから、法人の認可につきましてやや時間をとっているわけでごごいます。したがって、十月一日以降現在までで約六十数件の認可申請がございまして、そのうち二十七件を承認いたしたわけでございます。あと残りの分につきまして審査中でございます。なお、三月末には所定の百カ所ばかりは認可することができる見込みでございます。
#190
○大橋(敏)分科員 厚生省の調査によりますと、無認可保育所が二千二百カ所もあるということです。また、いま説明がありましたように、要保育児が推定三十万人だと聞いております。したがいまして、その施設も三千九百四十カ所程度は不足していることになるのだ。こういうことでございますけれども、私は、この現実を踏まえまして、法律の一端から見た場合に、これは国及び地方公共団体は法律上の義務違反をやっているのではないか、こう感ずるわけであります。というのは、児童福祉法第二十四条には「市町村長は、保護者の労働又は疾病等の事由により、その監護すべき乳児、幼児又は第三十九条第二項に規定する児童の保育に欠けるところがあると認めるときは、それらの児童を保育所に入所させて保育しなければならない。但し、附近に保育所がない等やむを得ない事由があるときは、その他の適切な保護を加えなければならない。」このような条文がはっきりあるわけでございますが、いまのような状態からこれをどう考えられているか、これは大臣の所感を聞いてみたい。
#191
○斎藤国務大臣 先ほど御説明申し上げておりました五カ年計画は、昭和三十九年の事実から発足して三十万人という予定で進んでおるのでございますが、実際は、その当時の想定よりももっともっと必要なことになってきていると思います。したがいまして、この計画自身も再検討する必要はあろう、かように考えているわけでございます。
 ただいまお読みになられました条文は、措置児童であろうと思いますが、この措置児童すらも収容できないということでありましては相ならぬ、かように考えます。おそらく措置児童くらいは五カ年計画までには必ず入所できるようにいたしたい、かように思っているわけでございます。
#192
○大橋(敏)分科員 いま三十人以下の保育所は、世間では、ミニ保育所なんという表現でいわれておりますが、これは非常に大事な立場にあると思いますので、これは本気になって認可の態勢に入っていただきたい、これを強く要望しておきます。
 それからもう一つの問題点ですが、保育所の新増設に対しまして国庫補助額が非常に低い。現在保育所一カ所当たり百万円だということになっておりますが、これは実情に即していないと私は考えるのです。これを引き上げる考えがあるかどうか、ひとつ大臣にお答え願いたいと思います。
#193
○斎藤国務大臣 前々からただいまのことは伺っておりまして、四十四年度からは相当程度引き上げたいと、いま計画全体の中で勘案をいたしております。少なくとも前年よりは引き上げたいということを言明を申し上げることができると思っております。
#194
○大橋(敏)分科員 相当程度――少なくとも倍額くらいはできるでしょうね。その点どうですか。
#195
○渥美政府委員 昭和四十二年から四十三年にかけましては、その補助額を七十万円から百万円と、三十万円ばかり改善いたしました。したがいまして、先ほど大臣がお答え申し上げましたように、設備費のワクは全体のワクできまっておりますので、その中で実行の段階におきまして検討さしていただきまして、少なくとも四十二年から四十三年の上げ幅あるいはそれ以上までは考えなければならない、かように考えております。
#196
○大橋(敏)分科員 時間がございませんので次に移りますが、保母あるいは雇用人等の増員について今後の方針はどうか。たとえば三歳児に対しては現在二十五人に一人ついているわけですけれども、これを十五人に一人ぐらいの割りに改める考えはないかということ、それから三歳児未満に対してはどうか、四歳児以上はどうか、その点、お願いします。
#197
○渥美政府委員 子供に対しますところの保母の定数の改善の問題でございますが、原則的に申し上げますと、昭和三十七年に中央児童福祉審議会におきまして、保母が取り扱う子供さん方の数につきまして御審議をいただいて、意見が出されております。その線に従いまして、毎年度予算のときにおきましていろいろ検討しておるのでございまして、昭和四十四年度におきましては、三歳児につきましては、子供二十五人に一人を二十人に一人と改善するということにいたしたわけでございます。それから零歳児保育につきましては、特定の保育所につきましては乳児三人につきまして一人ということにいたしたい、かように考えております。その他の点につきましては、さらに中央児童福祉審議会等におきましての御意見をいただきまして、検討さしていただきたい、かように考えております。
#198
○大橋(敏)分科員 大臣にお尋ねしますが、実は三歳児というのは非常に手がかかる子供らしいのです。したがいまして、実際に保育に当たっている人々の切実なる声ですけれども、十五人が限度である。今回は二十人に一人というふうに改められているようでありますが、これを十五人に一人というふうにさらに考えを改められる意思はないかどうかということです。
#199
○斎藤国務大臣 三歳児につきましては、私も実情を知っております。できるだけ御趣旨に沿うようにいたしたいと思っております。
#200
○大橋(敏)分科員 規模の大きい保育所については調理士が必要ではないかという声が強いのですけれども、その点はどう考えられますか。
#201
○渥美政府委員 確かにその必要はあると思いますが、現在のところは雇用人という職種の中で調理士を現実に置いて、調理の実際を取り扱っていただいているわけでございます。これもやはり将来の問題といたしまして検討しなければならない、かようには思っております。
#202
○大橋(敏)分科員 その場合、調理士が必要だということになれば、雇用人の中から切り離して考えるかどうか。
#203
○渥美政府委員 その点もあわせて今後の問題といたしまして検討しなければならない、かように思っております。
#204
○大橋(敏)分科員 これはもう断じて切り離す方法で検討していただきたい、これを強く要望します。保育所問題はこれで終わります。
 次に、寝具問題に移りますが、いま病院に基準寝具の制度ができまして、患者は安心して入院することができるわけでございますが、実際の運営の上においては改善していく問題が多々あろうかと思います。そこでお尋ねいたしますけれども、基準寝具の中に、リネン類、いわゆるシーツとか、包布とか、まくらカバー、これなどは週一回ぐらいの定期交換で洗たくがされたり整備されているということでありますけれども、寝具の本質である敷きぶとんあるいはかけぶとん、毛布、まくらそのもの、その管理はどうなっているのか、お尋ねいたします。
#205
○梅本政府委員 管理とおっしゃいましたので、その点少しポイントがはずれるかと思いますが、基準寝具におきます制度をとっておりますが、これはその保温力、それから洗たく、消毒等につきまして十分に考慮される必要があるという観点に立ちまして制度を立てております。いまおっしゃいました基準寝具の承認要領の中には必要のつど行なうというふうなことでございますが、これにつきましての問題を御指摘かと思いますけれども、これにつきましては、必要のつどといいますのは、やはり各医療機関におきます立地条件、あるいは病床の形、あるいは寝具の程度というふうに一律にきめがたいというふうなことで、必要のつどというふうにしておるわけでございまして、結局、この基準寝具の制度につきましては、寝具が患者に不快の念を持たせないように、また同時に衛生的であるようにというふうに管理するよう指導いたしております。
#206
○大橋(敏)分科員 いまの必要のつどというのは、私は退院のつどと、こういうふうに理解したいのですが、よろしいですか。
#207
○梅本政府委員 ただいまの退院のつどという点でございますが、これは現在の要領におきましてはそういうふうな形にしておりませんで、やはり患者の状況によりまして、この指導要領におきましては、先ほど申しましたように、患者に不快の念を持たせないよう衛生的に十分に管理するということでございまして、われわれのほうの指導といたしましては、やはり先ほど申しましたいろいろのタイプがございますので、そういう末端までこうせい、ああせいというところまでは指導いたしませんで、医療機関におきまして、やはり医療機関は患者を預かっておるところでございますので、十分な良識をもちましてやり得るということで、その医療機関のほうにまかしてあるという考え方でございます。
#208
○大橋(敏)分科員 私は、これを何回も聞くようでございますが、患者が退院したあと、前の入院患者の敷きぶとんやかけぶとんをそのまま使用するなんということは、これは常識からいっても考えられないことだと思います。したがいまして、やはり必要のつどということは、特別に汚れたとか、もちろんそれも入りますが、やはり患者が退院していったとき、そのつど消毒や脱臭、乾燥の処理を含むべきだと私は思うのですが、これについてどう考えられますか。
#209
○梅本政府委員 ただいま申しましたように、病院の形態なりベッドの形態なり患者の状態、いわゆる血ぶんが出る患者もございましょうし、発汗の多い患者だったら毎日取りかえなければならないという事情もございます。そういうことで、こちらの基準といたしましては、そのつど取りかえるという指示をいたしておりまして、あとは医療機関でございますので、先生御指摘のような、そういう場合におきましては、必要な限度におきまして、退院されて新しい入院がありました場合には、十分新しい寝具を提供するというふうにやっておると考えております。
#210
○大橋(敏)分科員 大臣に聞きますが、いまのことを義務づける意思はないかということです。
#211
○斎藤国務大臣 よく検討してみたいと思います。
#212
○大橋(敏)分科員 それでは次にお尋ねしますが、つまり、先ほどのお話の中に、患者に不快の念を抱かせぬように配慮をすることが必要である。ところが、その男女、老若の区別だとかあるいはベッドの上の排尿、排便あるいは患者の発汁による汚染、入浴をほとんどの者が限定されているわけでありますが、それから起こる体脂、からだから出るあぶら、いろいろな湿気、あるいはまた死亡した場合、とにかくいろいろな問題が考えられるわけでありますが、くどいようですけれども、これは必ず、そうした患者がかわる場合には不快の念を抱かせないだけの消毒、脱臭、乾燥を含めた内容の義務づけをぜひとも実施をしてもらいたい、これは強い要望であります。
 その次にお尋ねをしたいことば、いま社会保険で入院サービスを基準寝具と区別しまして、一定の基準に達したものには入院料に対する加算料、一日一人甲乙表とも五十円を認めているはずであります。したがいまして、その加算料が病院へ各保険から支払われているわけでありますけれども、この五十円の中に寝具の消毒、脱臭、乾燥料は含まれているのかいないのかということです。
#213
○梅本政府委員 先ほど申しましたように、衛生的であるということで、われわれのほうは五点という加算を認めているわけでありまして、われわれとしては、この現在の五点というのは十分な措置であると考えております。したがいまして、そういう中身としまして、先ほど先生がおっしゃいましたいろいろな形がございますので、本省としましては、そういういろいろのケースを網羅して義務づけるという形よりも、当然患者に不快の念を抱かせないで、しかも医療機関でございますから衛生的な観点はよくわかっておりますので、衛生的にやるということで、全部含まれておるというふうに考えております。
#214
○大橋(敏)分科員 私がいま聞いているのは、その加算料の五十円の中に寝具の消毒、脱臭、乾燥料は含まれているのかと聞いているのです。
#215
○梅本政府委員 そういうものは寝具に当然付随するものでございますので全部含まれております。
#216
○大橋(敏)分科員 現在委託業者に、寝具の貸与料と、あるいは洗たく、補修料が、一日一人、三十七円ないしは三十円が各病院から契約によって支払われているわけであります。この料金の中には、寝具の、いま言った消毒や、あるいは脱臭及び乾燥料金は含まれていないと私は思うのですが、その点はどう理解しておりますか。
#217
○梅本政府委員 先ほど申し上げましたのは、その加算の五点の中にすべての観念が含まれておりますが、これは医療機関がそういうサービスをしました場合に、支払いを請求し得べき点でございます。ただ、個々の医療機関につきまして、こういうものを委託契約によりまして外部に委託してやってもらう場合の個々の契約につきましては、医療機関のほうの委託契約にまかされておりますので、その個々の契約の中に含まれておるかどうかということにつきましては、われわれのほうではお答えはできません。
#218
○大橋(敏)分科員 どうもそれはおかしいですね。不快の念を抱かせない寝具にするためには、いま言った消毒や脱臭やあるいは乾燥等は当然含まれていると思うのです。私は、先ほど聞いたように、五十円の加算料は、そういうものを満たすために支給されるのであって、当然のことだと思う。いま私がさらに聞いていることは、現在委託業者がもらっておる洗たく料やあるいは補修料は三十円から三十七円だ、あとの残りの金は病院の収益になっているわけですよ。それだけの収益があるのだから、むしろはっきりと乾燥やあるいは消毒、脱臭等もやるべきではないか。その業者の話によれば、わずか三円ぐらいの経費でできるのだそうですよ、乾燥、脱臭は。それを惜しみなくとにかくやるべきではないか。私はこう考えているわけですが、その点どうですか。
#219
○梅本政府委員 基準寝具の制度につきましては、御承知のように、各医療機関で、自分で寝具をととのえて、原則としてそういう洗たく施設は自分で持つという原則の立て方でございます。そのうちの洗たくその他を委託契約をして外部にお願いをするということも、例外的措置として認めております。したがいまして、私が先ほど申しましたのは、三十円ないし三十数円とおっしゃいましたが、これは御承知のように五点でございますから五十円でございます。その病院でやる部門と外注する部面とおのずから分かれておると思いますので、個々の契約を見なければわからぬと申し上げましたけれども、やはり洗たくの関係でございますれば、乾燥、脱臭というものは当然ついておりますので、おそらく各個々の医療機関が業者にいたします委託契約の中には、それは当然含まれているというふうに考えられます。
#220
○大橋(敏)分科員 いま実際乾燥の作業はどういう姿であるか、御承知でしょうか。
#221
○梅本政府委員 実際の姿につきましては、われわれのほうは十分承知いたしておりません。
#222
○大橋(敏)分科員 ほとんどの地方の医療担当官の話によれば、それは日光乾燥である、日干しをしておる。あるいは一部分は機械乾燥であるというようなことですけれども、非常に聞き捨てならぬことを聞いたのですが、各病院では、別段現在何らの指示や指導もないので、寝具類の管理はいたさなくてもよろしい、また利益がなくなるからしない、こういうふうな話を耳にするのですよ。厚生省のほうから、乾燥や脱臭の仕事をはっきりやれ、かっちりした指示があるならば別だ、いまのところないのだから適当にやっておこうというようなふうに私は印象を受けるのです。これは強い行政指導が必要である、こう思うのです。これは大臣にお尋ねをするわけですが、この点しっかりと指導してもらいたいと思いますが、どうですか。
#223
○斎藤国務大臣 大体医療機関としては、そういうおっしゃるようにやるのが当然だ、かように思うわけでありますが、それが十分できていないということであれば、行政指導はもちろんのこと、必要によっては義務づけなければなるまいかと考えております。実情をよく調査してみたいと思います。
#224
○大橋(敏)分科員 私の地元ですけれども、福岡県で、ある寝具管理業者が特殊乾燥車の車内でそれを実施する事業をやりたいということで、県のほうにお伺いを立てたのであります。ところが、福岡県の民生部の保険課長は、ある日公文書をもって、そういう仕事の内容はわれわれの関与する事項ではない。県の医師会、具体的には福岡県の病院協会だそうですが、と話し合ってもらいたい、こういう回答をしているのですがね。確かに一人の業者にやらせなさいという指示は、これは与えられるものではないと思いますが、仕事の内容について、もう少し親切にそれを検討すべきではないかと思うのです。
 もう一つ、ぼくがここで疑問に思うことは、委託業者を認定するときに、いままで病院の事務長がこれを認定しているようでありますが、これは間違いじゃないでしょうか。
#225
○梅本政府委員 事務長といいましても、病院の組織でございますので、その病院の中の権限によりまして事務長が代行しておられ、あるいはいろいろ会議を開いてきめられ、あるいは院長がおやりになる、あるいは開設者がやっておられるというようなことであると思いますが、特別に間違い、どうこうということはちょっと申し上げられません。
#226
○大橋(敏)分科員 病院関係は、私は指導する立場であると思うのです。そのことは承認基準の中に書いてありますよ。認可の権限はない。私は、これはやはり厚生省ないしはその地方の医療担当官がはっきりとそれを認可するとかしないとか、そういう立場をとるべきであると思うのですが、大臣、これをどう思いますか。
#227
○斎藤国務大臣 いまの受託者に寝具を洗たくをしたり乾燥したりすることを委託するというのは、それは個々の病院がやることであろう、かように考えますが……
  〔主査退席、竹内主査代理着席〕
その病院がやる場合に、その権限を、事務長にやらせるか、院長みずからやるか、それは病院の自由ではないか、かように考えるわけです。
#228
○大橋(敏)分科員 病院は、自分らが委託をして、それに十分こたえ得る施設や条件を整えているかどうかが問題でありまして、したがいまして、承認基準の中に「委託契約に定めるべき事項」として、「洗濯物の委託契約においては次の事項が定められている事が必要である。」(イ)、(ロ)、(ハ)とありますが、その(ハ)の部分に、「受託者が、その洗濯施設について委託者である病院の指導を受けて管理運営する旨」とあります。ですから、この業者はいいとか悪いとかはその内容の問題であって、それを委託業者にするしないという権限は、私はやはり厚生省ないしはいま言った地方の医療担当官にあるのではないか。私はこれは非常に大事なことだと思うのですがね。
#229
○梅本政府委員 いまおっしゃいました点で、業者の選定ということと、その委託関係の指導、監督ということとに分けました場合に、これはやはり医療機関が自分で全部直接やるか、あるいは一部を外部に委託するかという問題がまず第一点でございまして、委託させるならば、どういうところに委託させるかということが一つの問題でございます。そういう条件を整えたものを都道府県知事に認可申請してまいりますので、都道府県知事におきましての中心点は、その委託関係というものが寝具のいわゆる基準に合致しておるかどうかということが監督し指導する中心でございまして、おっしゃるその業者の問題まで都道府県におきましては指導すべきものではないというふうに思っております。しかし、その業者との関係におきまして、いまお読みになりましたようにはっきりと病院の指導監督するような形の業者ということが、病院として委託契約先として選ばれておるかどうかという観点から、その基準に合致しておるかどうかということが判断のことになりますけれども、各病院から申請してきます前に甲乙丙丁というような業者が合致するかどうかというのは、都道府県のきめるべき問題ではないというふうに考えます。
#230
○竹内主査代理 大橋君、所定の時間が迫っておりますので、結論を急いでください。
#231
○大橋(敏)分科員 時間が過ぎましたので、最後に一言お願いします。
 保険課長との話し合いの中で、これは懇談なんですけれども、乾燥などはやる必要はないんだというようなことばが飛び出しているわけですよ。これは正式の懇談会の中でのことなんです。これは話によれば、申請した業者とそうした課長さん等の感情問題も非常に入っているようなことも聞きましたけれども、感情等で事務処理がなされてはたいへんだということを考えますと、福岡県のこうした問題をよく調べられた上で善処していただきたい。これは要望して終わりたいと思います。
#232
○竹内主査代理 次に、高田富之君。
#233
○高田分科員 最初にひとつお伺いしておきたいと思いますことは、食品衛生法の改正についてのお考えをただしたいと思うのでありますが、最近いろいろなまぎらわしい食品、ごまかし食品などといわれておるわけでありますが、牛乳分の非常に少ない色もの牛乳とか、サバやイワシでつくった花カツオとか、あるいは牛肉と称して、かん詰めの中身は馬肉であるとか、いろんなそういう例がありまして、前からずいぶん問題にはなっておるわけなんですが、これを取り締まって、そうして消費者を保護していくという消費者行政の強化という立場から、ただいまの、害がなければかまわないという式の食品衛生法ではなしに、中身と表示とがぴったり合って、そうして正しい品物であるというふうなところまで目の届いた法律に改正すべきではないかという議論は前からあったはずでございます。また、当面非常にこれは大事なことであり、いまの生産方面は非常に野方図といいますか、どんどん新しい製品は出てきますし、競争は激烈であります。一方、消費者は、そういうものに対しまして、ただ宣伝や広告を信頼するだけで、何らそれに対して保護されておらぬ。これは非常に片ちんばなわけなんで、先般、消費者保護基本法なんというのができたのもそこに着眼したからだと思うのですね。今日非常に手の抜けております消費者の立場からこれを守るという行政を強化する立場から、食品衛生法というものを改正をすべきだ、こういう声が非常に強い。これについて厚生大臣はどのようにお考えであるのか。そういう改正をおやりになる意思があるかどうか。
#234
○斎藤国務大臣 御承知のように、現在の食品衛生法は、健康に害があるかどうかという点を重点にして取り締まっていくという、一種の取り締まり法でございます。したがって、農林省の所管いたしております食品万般について、看板と中身と偽りがあるかないかとかというような点まで進むことは、実際問題として非常に困難ではなかろうかと考えておるのであります。農林省では、そういった方面の規格なりまた取り締まりを農業食品に関係して今後十分にやっていきたいというので、農林省は改正案をいま準備中のようでございます。これは厚生省とも関係をもってやっております。
 厚生省としましては、もう一つ栄養改善法がございますが、これとの関連におきまして、そうしていろいろ添加物その他についても問題がございますから、そういう方面に力を入れて、そうして食品衛生法の改正をいたしたいという方向でただいま検討中でございます。農林省の扱う食品全般についてというところまでは、ちょっとあまりに手が伸び過ぎるんじゃないだろうかと思って、その点は、農林省と連絡をとりながら消費者に御迷惑のかからぬように、消費者の便宜のようにやってまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#235
○高田分科員 そうしますと、さような趣旨に基づく改正については目下農林省などと連携をとりながら検討を進めておる、こういうことでございますので、おおよその見通しとして、今国会に出すのに間に合うか、次の国会にはぜひ間に合わせたいということでやっておられるのか。
#236
○斎藤国務大臣 農林省のほうは今国会に間に合うべくそう遠くない期間内に提出されることと考えております。
#237
○高田分科員 ぜひひとつこれは早く実現するように、特に強く要望しておきます。
 それから、これと関連のありますことをもう一つ伺っておきたいのですが、これは前に国会でも問題になったことがあるわけでありますけれども、酒、日本酒の防腐剤のサリチル酸が有害なものだということが指摘され、これはすでに国際機関におきましても問題になっておるわけでございまして、日本では相当古くから使われておりますことではありますけれども、国際的にはそういう酒類は日本酒しかないわけであります。したがって、サリチル酸の入っている日本酒は輸出ができないという大損害も実はあるわけでありますし、一たび有害だということが指摘され、厚生省もお認めになったわけでありますから、なった以上は、これはすみやかに有害なものはおやめになったらいいと思うのですが、なぜおやめにならないのでありますか。
#238
○金光政府委員 酒の中のサリチル酸は、清酒と、それから合成酒、果実酒に含まれることが食品衛生法で認められておるわけでございます。これは一応化学的にはやはり薬理作用があるわけでございます。したがって、ないほうがいいということになるわけでございますが、これは清酒の醸造におきまして他に適切な薬品もない。また、量を制限すれば特別な害はないという観点に立ちまして、量を制限して認めているわけでございます。したがいまして、これにつきましては現在国立衛生試験所でもいろいろ検討いたしておるわけでございますが、できるだけ前向きの姿勢で、なるべく早くいい他にかわるものができることを期待いたしておりますし、また、国立衛生試験所における慢性毒性試験等の結果に基づきましては必要な措置を考えてまいりたい、かように考えております。
#239
○高田分科員 酒をたくさん飲むと肝臓を悪くするとか、からだをこわすとかいうことがいわれておりますが、酒そのものの害なのか、中に入っているサリチル酸の害なのかはっきりしないというような点もあって、一たび有害だということが判定されました以上は、これはもう一刻も早くやめていくということで推進していただかなければならぬと思うのであります。
 さて、そこでかわるべきものですね。しからばこれにかわるべき、サリチル酸にかわるべきものの開発は進んでおるのでありますか。
#240
○金光政府委員 現在、これにかわるものにつきまして申請が出ております。これにつきまして慢性毒性試験等を実施して、その結果によりまして認めていく、かような考え方にいたしておりますが、これはなおここ若干の日数がかかると思います。
#241
○高田分科員 それは私の承知いたしておりますEBPEというようなもので、その一種類だけですか、現在。ほかにもあるのですか。
#242
○金光政府委員 現在一種類でございます。
#243
○高田分科員 この一種類のかわり得べきものにつきましては、現在どの程度の厚生省の試験検査の段階にございますか。
#244
○金光政府委員 申請を受け付けたのは最近でございまして、これを国立衛生試験所あるいは千葉大学、順天堂大学等におきまして試験検査を実施中でございます。これについて、やはり毒性試験におきましては約二年間ぐらいどうしても日数がかかる、かように考えております。
#245
○高田分科員 新しいものを開発することでございますから、拙速をよしとはいたしませんけれども、それは慎重にこしたことはないと思いますが、しかし、いま使っておるものが有毒であるということがわかっております以上は、できるだけすみやかに、しかも慎重にすみやかに、かつ厳密にこれはひとつ大いに力を入れて早くやるようにしていただきたいと思います。ちょっと念のためにもう一度これからの見通しについて御答弁を。
#246
○金光政府委員 やはり毒性試験等につきましては慎重に検討しなければならぬということで、その試験期間は少なくとも二年間ぐらいはどうしてもかかるわけでございます。しかしながら、できるだけ早急に結果が出るようにその推進をはかってまいりたい、かように考えております。
#247
○高田分科員 次に、私はこの間総括質問のときに、現在大量に市販されております大衆保健薬と称する一連の薬品について、これが薬としての効果がないのではないかという有力な意見が専門家の間からも出ており、また諸般の状況を検討してみますと、私ども全くのしろうとではありますが、十分疑いを持ち得るいろいろな状況があるわけでありまして、この点について御質問申し上げましたところ、総理は、これは非常に重大な問題である、ぜひひとつこの私の指摘しました大衆保健薬がきくかきかないか、薬としての価値があるものかないものかということについては慎重に検討するということをお約束されておるわけでございます。したがいまして、私は事は非常に重大だと思うのでございます、この問題は。何しろ大衆保健薬というような名前でアリナミンほかたくさんのものが出ております。これはちょっと異常現象というほどのものなんで、この問題について総理がああいうふうにお答えになりました以上は、厚生大臣としては相当の御決意をもって迅速にかなり徹底した大衆保健薬の総ざらい、洗い直しをおやりになられるものと私は期待しているのでありますが、大臣のこの問題に関する御方針をお聞かせ願いたいと思います。
#248
○斎藤国務大臣 大衆保健薬総ざらいということになりますと、あまりにもその規模が大きくなりますので、まず先般おあげになられましたような問題につきましてとくと早急に検討をいたしてまいり、逐次進めてまいりたい、かように思っております。
#249
○高田分科員 大体大衆保健薬なんというような通称で呼ばれるような種類のたくさんの薬が市販され、また服用されているということは、わが国以外に世界にどこか例がございますか。
#250
○坂元政府委員 おっしゃられる大衆保健薬ということば自体が問題になるわけでございますが、これにつきましては、現在のわが国においてもそうでございますように、いろいろまだ学説なり意見がございまして、大衆保健薬なるものの定義、科学的な定義というものがはっきりいたしていないわけでございます。現在日本でいわれております大衆保健薬というものの一番代表的なものはビタミン剤だろうと思いますが、このビタミン剤につきましては、御承知のように世界各国ですでにつくっておりますし、また販売もされている、かような感触になっております。
#251
○高田分科員 世界でつくっていると言われますけれども、日本のように、いろいろな名称でいろいろなビタミン剤が、あのように大量に、東京都民の二軒に一軒は飲んでいるというような状況は、私はまさに異常だと思うのであります。そういう例は外国にはないと思いますが、あるかないか、どうですか。
#252
○坂元政府委員 わが国のビタミン剤、特に一般的に問題視されておりますのはいわゆる活性ビタミンB1の誘導体でございますが、この誘導体製剤につきましては、ここ数年ばかり非常に生産が活発化しております。こういうような活性氏の誘導体製剤につきましては、確かに日本が一番生産量が多いようでございますけれども、これに類するようなものにつきましては諸外国でも行なわれている、かように思っております。また同時に、わが国の活性B1の誘導体につきましては、技術輸出なりあるいはバルクの輸出というような形で外国にも出しておりますので、諸外国と完全に一致はしておりませんけれども、外国の場合にも大体そういう製品はある。ただ日本の場合は、おそらくそういうことをお考えで御質問なさっておられると思いますが、製品の種類が非常に数が多い、つまり類似品みたいなものが非常に多いということが日本の現在の一番の特徴でございますと同時に、また大きな問題点でございます。こういう点につきましては、確かに諸外国はこういう類似品なり模倣品というものはほとんど見られていない。この点は外国と違っている大きな点でございます。
#253
○高田分科員 私は全然しろうとなんです。しろうとなんですが、私が非常に残念に思いますことは、こういう重大な問題を、日本の薬学界あるいはお医者さんとか、そういう専門家の中から声を大にして問題を提起する方がきわめて少ない。私のようなずぶのしろうとがいろんな点から不審に思って問題を提起せざるを得ないほど、それほどさようにこの問題は根が深いし、私は非常に遺憾に思っておるのでございます。いまもお話にございましたけれども、アメリカあたりでは、ビタミン剤のラベルに健康人は飲む必要なしとちゃんと書かしてあるそうですね。そういう事実がございますか。
#254
○坂元政府委員 たしか以前そういうような情報がアメリカ等から流れてきたことは承知しております。ただしその後、この問題についてはまだ完全に実施をされていない。といいますのは、アメリカにおきましても、学界なりあるいは業界等からいろいろまた意見が出てまいりまして、完全にその問題についての実施体制まで進んでいない、かように伝えられているということを承知しております。
#255
○高田分科員 この種のいわゆる大衆保健薬というものは、日本の薬の全体の生産量の中の――これは大まかな話ですが、大衆保健薬と称せられるようなものを概括して、日本の現在の薬の生産量の中の何割くらいを占めているのですか。
#256
○坂元政府委員 前提としまして、大衆保健薬といわれるものの定義がはっきりいたしませんが、通常、ビタミン剤とかあるいはビタミン剤以外の代謝性の医薬品、こういうものが大衆保健薬といわれるもののおもなものだ、こういうふうにいわれておりますので、この二種類をとってまいりますと、昭和四十二年の場合は、ビタミン剤が全体の生産額の一四%、それから代謝性の医薬品が九%でございます。もちろんお医者さんや医療機関等が専用で使うものもこの中に入っております。それから、いま御指摘のように、一般の薬局等で一般の国民が買っておりますものも入っておりますが、そこらあたりの区別を厳密にしないと、はっきりしたデータが出てまいりませんが、全生産額の中におけるビタミン剤なり代謝性の医薬品が占める比率は、いま申しました程度でございます。
#257
○高田分科員 そうすると大体二〇%ぐらいという話なんですが、お説のとおり範囲がはっきりしないというわけです。高橋という東大の講師が書いた本の中には、アリナミン、ハイシー、ユベロン、リポビタンD、ほかにドリンク剤、マミアン、アスパラ、グロンサン、チオクタンS、パロチン、パント、総合ホルモン薬、その他となっておりまして、相当のものが入っておるし、新しい名前でどんどんたくさんのものが出ておるわけなんですが、かなり大きな比重を占めておると私は思う。そこで、日本人の薬品を使う量、これは国民所得に対する薬品使用のパーセンテージというものは、よく本なんか見ると出ておるのですが、日本がずば抜けて世界一ということでございますが、これは事実でございますか。
#258
○坂元政府委員 国際比較の点につきましては、諸外国の例は最近の例がございませんので、一応とりました年次は若干国によってばらばらでございますが、私どもの手元にあります国民一人当たりの医薬品の消費額、これを調べてございます。それによりますと、アメリカが一人当たり日本円にしまして七千二百四十円、フランスが五千八百七十円、西ドイツが四千九百円、その次に日本が四千七百九十円。ただ、これはもちろんなまの数字でございますので、一人当たりの国民所得に対する割合というものを出しませんと、ほんとうの正確な数字は出てまいりませんが、一人当たりの国民所得に対する一人当たりの医薬品消費額というものを計算いたしますと、日本の場合が一・八%、アメリカが〇・七%、フランスが一・一%ということで、一人当たりの国民所得に対する割合から見ますと、日本の場合が一・八ということでございますので、世界的に非常に高い率になっている、こういうことは言えるかと思います。
#259
○高田分科員 ですから、世界的にもずば抜けて一番比率にしては多いということは事実なんですね。そして、これだけ大きな生産をし、国内でこれだけ消費されているにもかかわらず、輸出がほとんどない。この間の御答弁では四%ということでしたが、おそらく大衆保健薬なんかはゼロにひとしいんだろう、在留邦人が少し使うぐらいということを私は聞きましたが、この間の御答弁によってもそれは大体事実だなということがわかった。そういう環境から見まして、私はしろうとではありますが、これは相当厳密に洗い直す必要がある。さっきの食品衛生法ではありませんけれども、害がなければ何でも許可しているのではないかな。そういう感じさえするわけですよ。これは相当私は重大だと思う。この間は汚職事件が起こった。さっき田中君からも質問したそうですが、新薬の許可にあたって汚職事件が起こった。これはたいへんな問題なんですが、何でもかまわず害がなければいいやというので、ばたばた許可の判こを押されたのでは、これはたいへんなことになる。薬ですから、きかなければ意味がないのです。害がないだけでは薬にならない。今度の汚職事件に関連いたしまして、非常に問題の根が深いと思うのです。これは大臣、こういう事件が起こった、ただ遺憾ですでは済まないと思うのでありまして、こういうことをなくするためには、いまの検査の方法、それから業界と官庁の人的関係はもちろんの話でありますが、検査の方法も考えなければならぬでしょう。それから申請の数が膨大に多いということなんですが、それなども、同じ物質については、一つ許したら、名前を変えて、配合を変えてどんじゃか、どんじゃか、いろいろなものが出てくるということは許さないとか、そういう基本的な許可のあり方、制度というものについてさえも、根本的にこれは考え直す必要があるんじゃないですか。いかがでしょう。
#260
○斎藤国務大臣 予算委員会でも申し上げましたように、薬は害がなければいいというものでなしに、きかなければこれを許可しない。きくかきかないかは、臨床の実験データ等もつけさして、そうしてさらに、新薬については薬事審議会の審議にゆだねて許可をするという形になっておるわけであります。ただ、そのデータが怪しいではないか、イカサマではないかというような点になってまいりますると、これをどういうようにやっていったらいいかということをさらに検討してみなければなりません。すでに先ほどお話しになられましたいわゆる大衆保健薬も、きかないんだというようなことがはっきりいたしますれば、それは許可を取り消しますと同時に、そういうきかないものをきくというようなデータがどうして集まったかということに突き進んで、根本的に考え直していかなければなるまいかと、かように思います。
 それから、類似品あるいは模倣品、そういったものにつきましては、私も何かもっと制限する方法がないかと、かように考えまして、事務当局とも話をしたのでありますが、事務当局もすでにその考えのもとで案をつくり、薬事審議会とも相談をしようという段階のようでございます。したがって、先ほどお述べになられました、いかにも日本に多い類似品や、ちょっと配合剤を変えて別の名前で売り出すというような弊風は、何らかの方法でどうしてもこれは改めてまいらなければならない問題であると存じます。
 また、製薬許可に関係をいたします官吏につきましては、今後もさらに、そういうことのないように、まず人数を増しますと同時に、特殊の会社との関係を持っていないかどうかを常時監督をしてまいらなければなりませんし、同一ポストに長く置くというようなことも考えていかなければならない、かように考えまして、あらゆる点から改善を考えてまいりたい、かように思っておるわけでございます。
#261
○高田分科員 新薬の許可をどういう方法でやるかということをこの前お尋ねいたしましたら、大臣は、二重盲検法というものを使ってやっておるというお話なんですが、これはいつからそういう方法を使うようになりましたか。この方法になってから、これによってどういうものを許可されましたか。
#262
○坂元政府委員 ダブルブラインドテストといわれるものは、国際的に見ましても、ごく最近から各国が採用しているようでございます。確かに、医薬品のような場合の薬の効果の科学的な評価という点につきましては、非常にやり方がむずかしいわけでございます。そこで二重盲検法といわれるようなものが日本でも採用されているわけでございますが、この方法を私どもとしまして正式に採用するようにいたしましたのは、一昨年の秋からでございます。その前もメーカーによっては、こういうような二重盲検法みたいなものでデータを自発的に持ってくるというようなことがございましたが、今後は必ず二重盲検法のデータというものを製薬許可の際の必要書類ということにしたいということで方針をきめましたのが、一昨年の秋からでございます。
 そこで、これが現在までどうなっているかということでございますが、二重盲検法につきまして、一番現状においてやりやすい医薬品といいますのは、やはり精神・神経系統の薬剤が二重盲検法に適するというふうにいわれているわけでございます。精神・神経系統の薬剤について、一昨年から、いまここに手元に資料がございませんが、若干のものが許可されている。それからさらに結核薬、こういうものも二重盲検法に適しております。鎮痛剤みたいなものも二重盲検法の対象になり得るというようなことでございまして、今後は、精神・神経系の薬剤なり、そういうようなものについて逐次この方針を軌道に乗せてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
#263
○高田分科員 私、専門家でないのでよくわかりませんけれども、それを特定のものに限らないで、きくかきかないかわからないといわれているようなものについては、たとえばビタミン剤その他についても何かこういうものを適用するということは必要なんじゃないでしょうか。どうですか。
#264
○坂元政府委員 確かに、理論的には必要であるということは学者の意見でございますが、ただ現実に、二重盲検法という方法をやる場合は、いわゆる偽薬――うその薬と申しますか、偽薬と、それから実験したいというほんとうの薬と、それぞれ患者なりあるいは担当の医師もわからないような状態で実験を行なうというのが二重盲検法でございます。ビタミン剤等の効果判定としましてこの二重盲検法が現実にとれるかどうか、この点については非常に学者の間に現在異論がございます。意見が相当分かれるところでございます。そこで私どもとしましては、全部の薬についてなかなかまだ科学的なそういう調査究明が十分でない段階において一挙にやるということは困難である、したがって、現在少なくともやれるような、先ほど申しましたような疾病に用いられる医薬品等についてやれるものからやっていこう、こういう態度でいま学界なり薬事審議会等で相談をして、逐次そのものを軌道に乗せている、こういう事情でございます。
#265
○高田分科員 時間があまりございませんのであれですが、医療保険制度の抜本改正の問題で、いずれにしましても非常な赤字でもうどうにもならぬ。その中身を洗ってみますと、医師の技術料ではなくて、薬代で食われておるという実情が明らかになっておる。これはこの前も質問したとおりでありますが、これまた世界じゅうで日本が一番ずば抜けて薬をたくさん保険の中に持ち込んでおりますから、これは財政的にたまらないですよ。そこで一つは、いま申しましたように、薬そのものを洗い直すという大事業は、これはぜひやってもらわなければならない問題がありますと同時に、この保険財政を健全化するための一つの方法として、医師は医者の技術料を取るのが当然でございまして、お医者さんが薬の小売り屋になって、そうして健康保険の中で薬代をもらうことによって、そのさやで立っていくなんというばかな制度は、これはまことに理論的にもなってないと思うのであります。諸外国にも、おそらく文明国でそういう例はあまりないんじゃないかと思うんです。ですから、ここらで医薬分業をやって、お医者さんは技術だけで立っていく、そして薬のほうは処方せんに基づいて薬剤師がやる。大衆的に宣伝して、直接大衆が宣伝広告を見て薬屋に飛んでいって買うというような、こういうことをやめていくという方向に持っていくためには、つまり大衆保健薬というきくかきかないかわからないようなものが大量に出回るということを防ぐ意味からも、また保険財政そのものを健全化して、お医者さんにお医者さんとしての技能を十分発揮させる本来の制度に持っていくためにも、この際医薬分業ということを考えずしては、保険制度の抜本改正はあり得ないのではないかというように私は感ずるのですが、大臣はどうお考えですか。
#266
○斎藤国務大臣 お説のように、医薬分業は医療保険抜本改正の一つの大きな眼目だ、かように考えております。できるだけそういう方向に一日も早く持っていきたい、かように考えております。
#267
○高田分科員 もうこれで終わります。
 いわゆるドリンク剤というものは、薬として売られておるものと一部清涼飲料みたいに売られておるものとがあるようですが、一体清涼飲料水とドリンク剤というのはどこがどれだけ違うのか。厚生省としては、清涼飲料水と同じものであるからあれは薬として扱うべきではないというお考えを持って、これに物品税を課するという御方針をとられたと聞いておるのでありますが、これはどういうふうになっておりますか。
#268
○坂元政府委員 昭和四十一年の物品税法の施行令の改正で、いわゆるドリンク剤というものについては、五十CC以上のものについて、いま御指摘のように物品税を課するということになっていたわけでございますが、その後私ども厚生省としましては、少なくとも現在医薬品として許可されているものについて物品税が課せられるという基本的態度は問題があるということで関係方面と折衝をいたしました結果、四十三年度からでございますが、一定の基準に従いまして清涼飲料水と医薬品たるドリンク剤とについて区別をはっきりする。つまり、広告等を含めた販売の方法等が、きちんと両者区別できるというような条件のもとにおいて、物品税を課するか、かけないかという一つのめどにしようということで政令改正が行なわれましたので、それに基づきまして、現在医薬品たるドリンク剤につきましては清涼飲料水と区別をする、つまり表示のしかた、それから保管の方法、販売の方法、そういうもの等について区別をして、外見上から、少なくとも医薬品であるか清涼飲料水であるか、はっきりわかるような形状にしてこの問題を片づける、こういうことで、したがいまして、結論的に申しますと、清涼飲料水とまぎらわしくないという状態に置かれたものに限り物品税を課さない、こういうことになって現状に及んでおるわけでございます。
#269
○高田分科員 非常におかしいと思うのですがね。それは、中身がこっちは薬、こっちは清涼飲料水というならわかりますよ。中身はちっとも区別がつかないのを、売り方だの宣伝方法が違うからそれを区別しなさい、こっちは薬だから特別扱い、こっちは清涼飲料水として税金をかける、それはおかしいと思うのです。やはり全部ドリンク剤は清涼飲料水として物品税の対象にすべきじゃないか。どうなんですか。
#270
○坂元政府委員 成分の中身からいいましたら、薬と医薬品とには相当違いがございます。したがいまして、薬事法なり食品衛生法でそれぞれ成分を入れていけないものが、それぞれの法律によってきまっております。ただ、いわゆる先ほど来から問題になっておりますビタミン類の成分が両者に共通に入っておる場合が非常に多うございますが、少なくとも清涼飲料水のほうには、イカリ草なり、麝香なり、そのような医薬品としての効能、効果を持つようなものは、従来入っておりましたけれども、今後は成分として入れない、成分的にもこの点をきちんとさしていこうということで両者を分けた、こういうことになっております。
#271
○高田分科員 それは取り扱いとか法律的な区別にはなるかもしれませんけれども、本質的な区別にはちっともなってないと思うんですよ。これは要するに、物品税をかけられたのじゃたまらない、薬のイメージが消えちまうというので、業者が大反対をやったのでとうとう引っ込んじゃったのでしょう、せっかくいいお考えがついたのに。これは徹底的に、当初の考えが正しいのですから、厚生省はどこまでも――これは清涼飲料水そのものなんですから、薬と名をつけて、清涼飲料水を薬まがいにして高く売っているにすぎないじゃないですか。これは徹底的に高く税金をかけて、そういうものを大衆にも啓蒙しなければならないのですよ。業者が言うと一歩一歩後退する、そういうことでははなはだいかぬと思うのです。
 大臣、最後に、時間ないから申し上げますけれども、しろうとの私が持っておるこの疑問は、これは相当の専門家もみんな持っておるのですよ。ただ表面に出ないだけなんです。私は権威ある人人からずいぶん陰で話も聞いておりますし、投書もいただいておるわけです。この間ある権威ある経営雑誌社で、不肖私と、これを書きました東大の高橋講師と、それから評論家と、それから日本の大メーカー八社の社長に集まってもらって、座談会をするということになったのです。ところが八社の社長さんは、全部ちょうどその日はやむにやまれぬ用事がございましてというので、みんな断わってしまったのです。私と大学の高橋先生、評論家だけの会合になってしまって、非常に残念なんです。私はやはり一ぺんこれは、こういうことをお書きになる大学の先生と、それからああいうものを大量に宣伝して売っておる大会社の社長さんとに来ていただいて、国会で、あなたの目の前でいろいろディスカッションをしていただく。そういうのを一つの口火にして、そうして学者の間、病院などの間にも大いに世論を起こしてもらって、徹底的に検討する。そして厚生省では、権威ある洗い直しの機関でも何でもつくって、これは着手していただきたいと思うのですよ。事はきわめて重大でございます。もしこれがにせものであるならば――にせものでないなら、来てぼくらに説明したらいいのですよ。逃げなくたっていい。もしきかないことを承知して宣伝して売っているとしたら、こんな大きな詐欺行為はない。年間何百億円の詐欺をしていることになる。これは三億円のどろぼうとはけたが違いますよ。これを毎年毎年やっているのですから、企業の社会的責任からいっても、これはゆるがせにできない問題です。一番利潤率が高くて、一番成長率の早い薬品業界が社会的な欺瞞の上に立っているということになったら、これは一大事じゃないですか。ですからどうかこの問題については、厚生大臣が先頭に立って黒白をつけていただきたい。世界に類例のない異常現象です。一つも輸出ができない。ききもしない薬ばかり飲んでいる。保険財政がこれでこわれているんじゃないですか。総理も約束されたのですから、ぜひひとつ真剣に、早急に取り組んでいただきますことを強く要望いたします。
 また別の機会にその後の経過についてはお尋ねすることにしまして、きょうは時間がありませんから、この程度にいたします。
#272
○竹内主査代理 田原春次君。
#273
○田原分科員 近来、東洋医学つまり漢方による治療の効果があがり、ブームが発生しつつある。新聞雑誌に漢方のことを書けば飛ぶように売れるそうだし、著書もよく出ているそうである。衆議院、参議院両院の議員七百名のうち現に漢方薬を飲んでいる者が、私の推定では四百人といわれておる。大臣の中にも、私の知っている限り、現職大臣三名が現に漢方医の治療を受けておる。前内閣の大臣四名も治療を受けております。元大臣も少なくとも三名は、私の知っている漢方医にかかっております。いずれも病気が軽くなり、または全快するからであります。慢性病、たとえば神経痛、リウマチス、糖尿病、じん臓病、高血圧、動脈硬化、アレルギー、ノイローゼ等につきましては、現代医学つまり西洋医学では単に対症療法だけであって、的確な根本治療法がないといわれております。だから患者本位に考えるならば、現に多数の患者が信頼している漢方医学をもう少し奨励すべきではないかと思いますが、厚生大臣はどういうふうにお考えになりますか。
#274
○斎藤国務大臣 漢方医学は、御承知のように、ただいまおっしゃいますとおり、日本でも最近非常に評価をされてまいっております。私は、西洋医学ともども漢方医学も発展をさせていくべきではないか。ことに、漢方医学が日本に入ってからだいぶ長いのでありますが、いま一ぺん漢方医学の見直しといいますか、そういうことをやっていいのではないかという感じを切に持っております。
#275
○田原分科員 ところで、漢方医学について私の貧弱な経験ですが、新聞雑誌から集めた資料をこの際読み上げて、厚生大臣の御参考に資したいと思います。医務局長も知っていることと思いますが、ここで繰り返します。
 第一は、明治四十三年に、和田啓十郎医師が「医界の鉄椎」という本をあらわして、漢方が治療医学としていかにすぐれているかを強調しました。第二は、この書物で眼を開かれた医師湯本求真は、昭和二年「皇漢医学」という本、全三巻をあらわし、現代医学の立場から漢方医学が治療にすぐれている点を強調した。第三は、馬場辰二医師は、東京大学医学部学生時代に、この「医界の鉄椎」を読んで感動し、銀時計で卒業するや直ちに漢方医を開業し、後、吉田元首相の主治医となり、またその推薦で鳩山首相の主治医となったことは御承知のとおりであります。第四、東大医学部の生理学教授からもとの一高校長となった文部大臣橋田邦彦博士もこの「医界の鉄椎」に感動し、ドイツ留学にも携えて行き、日本医学の講演に使ったという。橋田博士は常に、わが国に古来から伝えられ進展した東洋医学は、病気の治療についてははるかに現代医学にまさっておる、日本医学をこれから樹立しようと言ったといわれております。第五点、薬学では長井長義博士が漢方の生薬を研究し、麻黄から有名なるエフェドリンを抽出して使っておることは御承知のとおりであります。第六点、薬理学の猪子吉人博士が、漢薬の作用を研究し、現代医学の立場から多くの業績を残しております。第七点、国立千葉病院では東西医学研究会なるものをつくり、松下、伊藤、藤平等の九人の博士が一年間研究をし、「生薬投与の効果に関する研究」を発表をしたが、結論を見ますと、慢性疾患に対する東洋医学の治療は、西洋医学の治療とともに用いることは有効である、また東洋医学の治療を単独に施しても有効であると言っております。この研究には厚生省からわずか四十万円の補助金が出たそうであります。金額は問題でありませんが厚生省もようやく注目しているということが、これでもわかる。第八点、大阪大学教授沢潟久敬博士は「医学概論」の中で言っていわく、漢方医学の治療効果を知らずに非難することは非科学的である、西洋医学のみを身につけた者は漢方一般の研究をする必要がある、漢方の講義を行なうことは国立大学に課せられた使命であると言われて、そういうことを書いております。また第九点、杏雲堂病院のもとの院長でありました佐々木隆興博士、彼はガン研の吉田富三博士の師匠格であります。昭和二十八年、日本内科学会で、医学には縦の両面がある、東洋医学と西洋医学である、この長短を取捨し、よりよい治療をせなければならぬと言っております。佐々木博士は、その後文化勲章を受けたことも御承知のとおりであります。第十点、名古屋大学のもとの総長、勝沼精荘博士はいわく、三浦謹之助博士は杏仁チンキという漢方薬をぜんそくに用いた、また甘草を胃かいように用いて卓効をあげておる、ドイツでも甘草を使っている、生薬に対する真剣な反省を求めると言っております。第十一点、東大物療内科の大島良雄博士は、昭和三十五年、テレビで次のように言っております。漢方では証を見て治療ができる、西洋医学の盲点が漢方医学の得意とするところであると言っております。第十二点、順天堂大学教授小川鼎三博士は、昭和三十八年、西洋医学は万能とは言えない、分析だけではだめで総合が大切だ、漢方の主眼は病人をなおすことである、ヒポクラテスの精神と一致しておるではないかと言っております。第十三点、ストレス説のカナダのハンス・セリエ博士は、私も会いましたが、先年東京へ来て東大での学術講演で、東洋医学を理解し体系化することは日本の医学者の責務であると言っております。第十四点、ドイツのヘルベルト・シュミット博士は著書で、漢方は西洋では新しい将来性のある医学であると言っておられます。第十五点、フランスのマルセル博士は、私は日本の知識人が代々伝わった精神的遺産をすっかり投げ出すのではないかとおそれると言っております。
 以上の点について、技術的な面は医務局長、それから政治的面は厚生大臣から、それぞれ御答弁をいただきたいと思います。
#276
○松尾政府委員 いわゆる東洋医学といわれているものと、それからいわゆる西洋医学といわれているもの、それぞれ、その発想なり方法なりにおきまして、多少いろいろな相違を持っていることは、先生御承知のとおりであります。長い歴史を持ってまいりましたいわゆる東洋医学的な治療の中身が、今日のいわゆる近代医学といわれているものから見ましても、決して効果がないなんていうことじゃない、そういう意味のことが多くの先生方の御研究なり御意見としてあらわれたものだと私ども理解いたしております。したがいまして、先ほど来御指摘のような、いわゆる生薬といわれているような薬の中からも、なぜそれがきくのだろうかということから、新しい物質が抽出されたという例もあるわけであります。私どもは、単にその薬効を否定するというようなことでなく、今日の日本でいえば、進んでまいりました医学の中に、従来のそういう東洋医学的な治療方法というものも十分検討して、ひとつこれを結合させるべきじゃなかろうか、こんなふうに考えております。したがいまして、厚生省では、先ほど来千葉のほうのお話がございましたように、そのあともまた引き続いて、慢性疾患に対するいわゆる漢方医学的な方法による研究というものをお願いしたような次第であるわけでございます。
#277
○斎藤国務大臣 先ほど私も申し上げましたように、東洋医学というものをもう少し研究し、そうして西洋医学と相ともどもにわれわれの保健、医療に役立たせるように努力をいたしてまいりたい、かように考えております。
#278
○田原分科員 現在、私の知っている限りでは、漢方医を開業している者が全国に大体二百人ぐらいいるのじゃないかと思います。このすべての人は、正規に各大学の医学部を卒業し、つまり、医師免状を持ち、それから漢方個人教授等を受けて、現に漢方に転向しているのであります。たとえば、日本東洋医学会というものをつくっているものもあります。東亜医学協会というものもつくっております。しかしそれが正規の内科学会や外科学会に同等に扱われていない。あるいは医師法では、内科だとか小児科だとかいうことを列記しているけれども、漢方科ということを名のることはできない。これらの医師は、東洋堂医院であるとか温知堂医院というふうに名のるだけで、漢方科を正式に名のることはできない。なぜそういうのけもの扱いをするか。いま医務局長や厚生大臣の説明を聞けば、その内容については、御答弁にかなり傾聴すべきものがありますけれども、それならば、なお一歩を進めて、漢方を公然と名のることができるようにすべきではないかと思います。たとえば私の知っておるところでは、鹿児島大学の寺師博士であるとか、あるいは千葉大学の藤平博士であるとか、あるいは慶応大学の相見博士であるとか、あるいは熊本医大の大塚博士であるとか、あるいは東京医科大学の矢数博士であるとか、まだたくさん知っておりますが、みな正規のお医者さんでありまして、正規の医学に満足せず、自分で十年くらい開業した結果、西洋医学は単に対症療法である、熱が上がれば熱をとり、痛いところがあればそれを切ってとるというだけであって、根本的なからだの治療というものについてはやはり漢方でなければならぬという結論に達したのであります。過去二千年から日本の総計何億の日本人が親しんでおった漢方医学でありますが、明治御一新のときに、西洋医学、特に軍事医学、外科医学を取り入れるのに急なあまり、ドイツやイギリスの医学を入れました。それはよかった。しかし、慢性病に対して特効のあるものをなぜ一挙に棄損するような態度に出たか、これは大きな政治問題であります。私は武見太郎さんとも会ったのですが、意見は同じであります。開業医もみな腹ではそう思っている。あとは法律がそうなっておりますからというだけなんです。しからば、厚生省の所管になると思いまするが、医師法の改正等も、きょうあすすぐやれというわけじゃないが、よく検討して実情に即したようにしなければならぬのではないか、こういうことについての御見解をあらためて承りたいと思います。
#279
○斎藤国務大臣 私もこの方面にはしろうとでございますが、日本の医療体系はほとんど西洋医学を医療体系にしていると思うのです。その中に東洋医学、漢方体系をどう取り入れていくかという、一つの制度としての問題もあろうと思います。だから、これは非常にむずかしい問題だ。しかし、むずかしい問題だといって、そんな大事な問題を捨ておくわけにはまいりません。これからそういった権威の方々の御意見も伺って、そして日本の医療体系の中にどう取り入れていったらいいかを研究をいたしたい、かように考えますので、田原先生の日ごろの御検討の結果もまた個人的にも伺わしていただきまして、日本の医療全体の発展のために寄与さしていただきたい、かように思うわけでございます。
#280
○田原分科員 現在の医師免許規程は、明治八年の文部省令と明治九年の内務省令で医術開業試験通達が公布されたのに始まっております。当時内務省の衛生局長だった長与専斎氏が、ドイツ医学に心酔のあまり、試験科目も、物理、化学、解剖、生理、病理、内・外科及び薬剤の七科目に限定したために、それまでの数千年間親しまれておった、病気の治療に当たっておった漢方医学が試験科目からはずされたところに原因があると思うのです。近来、先ほど申しましたように、ドイツ、フランス、アメリカ、ソビエト等では、東洋医学、つまり漢方が再認識され、研究されておるときであるから、明治百年を記念して、医師法の一部を改正して漢方の医学を公認するときがきたと思います。私の友人の灘尾弘吉君、文部大臣もやり厚生大臣もやったのでありまするが、彼は、昭和十八年、内務省の衛生局長時代に、東洋医学研究会というものの予算を政府に五万円要求した。当時の大蔵省の主計局長であった植木庚子郎君が二万五千円を出した。いまの金にすれば二千五百万円ぐらいになります。この灘尾弘吉君も植木庚子郎君も、私の意見に双手をあげて賛成しておる。どうか斎藤厚生大臣も、あなたがいつまで大臣をやっておるか知らぬけれども、非常に重要な問題だと言ってあとに延ばすことなく、ではおれの代に片づけようかという気持ちになって、必要な法律の改正、あるいは予算の獲得、あるいは各大学を勧誘すること、文部省とも交渉すること、こういうふうにやりまして、一日も早く多くの国民が親しんでおる漢方医学が堂々と公然と看板が出せ、そして病気をなおせるようにしたいと思います。これに対する大臣の御答弁をいただきまして私の質問を終わります。
#281
○斎藤国務大臣 ただいま灘尾、植木両氏の名前を漢方の点で伺って、私も非常にいいことを聞かしていただいたと考えております。私の間に制度自身の改正をするというまでの自信はちょっと持てませんけれども、少なくともそういう足がかりになるような方向に向けてまいりたい、かように考えます。
#282
○竹内主査代理 次に、田邊誠君。
#283
○田邊分科員 現在、医療の問題は非常に国民的な反響を呼んでおるわけですけれども、その中でいろいろ難関が数多くあります。特に医療従事者の絶対的な数の不足、その配置の不均等、養成機関の非常に不十分な体制というような問題がその隘路になっておることは、御案内のとおりであります。現在お医者さんは人口十万人当たりに対して大体どのくらいおいでですか。
#284
○松尾政府委員 ただいま四十二年末で十一万二千人でございますので、人口十万対約百十一人でございます。
#285
○田邊分科員 ところが、四十年の末の調査によりましても、七大都市においては医師は十万人につき百五十一・四人、その他の市は百二十五・二人、町村は六十五・四人、こういうように非常に大きな格差が大都市と農山村では生じておるわけですけれども、この格差をなくす具体的な方策というか、計画というのは一体何でございますか。
#286
○松尾政府委員 そういう格差の実情は、御指摘のとおりの実情でございます。やはり基本的には医師の絶対数が不足しておるというふうに私どもは感じております。先ほど来人口対比のお話もございましたが、患者数の非常な増加というようなものもございまして、そういう需要というものに対応して医師全体がやはり不足をしておる、これを緩和していくことがまず大事ではなかろうかと感じております。したがいまして、そのためには、基本的には医学部定数をふやしていくということしかないわけでございますので、厚生省では、三十六年ごろから文部省にもお願いをいたしまして、医学部定数の増加ということをやっていただいたわけでございます。三十六年当時の医学部定数は二千八百四十人でございまして、四十三年の医学部定員は三千九百八十名、ことしの四月にはさらにそれを六十名上回りまして四千四十名程度になろうかと思います。大体三十六年ごろの約四割ほど入学定員をふやしていただいた、こういうことで、基本的には絶対数の不足、全体の不足をまずカバーしなければならぬと存じております。
 ただ、いま御指摘の中の一番端的な例といたしまして、僻地におきます医者のいないこと、こういうものにつきましては、いわゆる僻地対策といたしまして、医師の確保と申しますよりもむしろ医療の確保というふうに申し上げたほうがよろしいかと思いますが、機動力の整備その他によりまして僻地の医療を確保するという努力を計画的にやっておるような次第でございます。
#287
○田邊分科員 いま、三十六年に二千八百四十人であった医学部定員を四十三年には三千九百八十人、こういうふうに約四〇%増しになってきたというお話でありますけれども、罹病率、それに基づく受診率の増加傾向からいいますと、その差は縮まっておるどころか、実は拡大しておるという実情は、すでに御案内のとおりであります。したがって、ただ単にいまの状態の中で逐年医学部教育を幾らか定員増をしたという程度では、将来におけるところの医者不足を補うことは絶対的にできぬのじゃないか、実は私はそう悲観的に見ておるのですが、その見通しはどうでしょう。
#288
○松尾政府委員 まことに御指摘のとおりでございまして、非常に患者数が伸びてきた。たとえば一日当たりで三十一年に入院患者が四十八万人であったものが最近は八十四万人、外来も二百三十六万人から五百五十万人に増加いたしました。したがいまして、医者はふえてまいりましたけれども、医師一人当たりの受け持ち患者というものは、入院、外来ともにその数字に比例いたしまして増加いたしておるわけであります。そこが、人口万対などで諸外国と比較してみましてもそう差がないと思われるにもかかわりませず、日本におきましては医師が相対的に非常に不足しておるというように考えておるわけであります。ただ、そのために医学部定員をふやしていくということは非常に限度がございまして、医学部教育というものはなかなか一挙に多数はできない。研修施設その他の問題もございまして、なかなか一挙に多くふやせないという悩みがございますけれども、その中でも、ただいま申し上げましたように、増員という形で基本的にふやしていきたいということでとってまいりましたが、今後これをその数字の上で急速に解消していけるということは非常に困難だと存じます。
 ただ、医療におけるいろいろな機械化の問題、合理化の問題、こういったようなものは、そういった観点からも積極的に取り上げなければならないと存じます。また先生も御存じだと存じますが、医療機関相互の間のいろいろな提携というものが不十分なために、方々で二重手間、三重手間というものがかかっておるとすれば、こういったこともやはり検討いたしまして提携される道を講ずべきである。そのほか、いろいろなパラメディカルな要員といわれるものが大きくなってきますことが、医者の不足をある意味で緩和する、能率化するという方向につながっていく、さようなことを総合的に考えて対策を立てて進めていく以外にはないのではないかと考えております。
#289
○田邊分科員 医学教育の問題は、いまの大学紛争のいわば起因をなしておる問題ですから、私どもとしてはたいへんな関心を払っておるわけでございますけれども、それをお伺いする前に、いま僻地の問題に対して、何か最近、医者の配置よりも医療の問題として、巡回車の配置とか患者の輸送車の配置とかいう計画がされて、四十三年でしたか、二十三台かの輸送車を配置したというような話がございますけれども、一体これは活用されておりますか、どうですか。その活用度は来年はどんな心組みですか。
#290
○松尾政府委員 僻地対策につきましては、三十一年以来、厚生省として第一次、第二次というような順序を踏みました計画で進めてまいっております。最初のころは御案内のとおりだと存じますが、おもに診療所を設置するということを中心にして進めてまいったわけでございますが、これでかなり成功したところもございます。しかし率直に申しまして、その補助金によってできたものが四百七くらいあるわけでございますが、そのごぐ一部は、医者不足のために十分な活動ができないというものがございますことは、そのとおりでございます。そういったような経験もございまして、さらにその後、道路等の発達というものも考慮いたしまして、地域地域の特性に応じるわけでございますけれども、患者の輸送車というもの、あるいは巡回診療車というようなものを配置する。来年輸送車は八十三台、巡回のほうが二十八台でございますが、かようなことでずっと年次的に進めてまいりました。
 その実績でございますけれども、個々にいろいろ地域的な評価をいたしますことはなかなかむずかしいかと存じますけれども、現実に私どもそういう場所へ参りまして、特に患者輸送車というものがそれらの地区の人のために非常に喜ばれているということは、現実に目の前で承知をいたしておりますから、相当私は効果をあげているものだというふうに考えておるわけでございます。
#291
○田邊分科員 年度途中ですけれども、いままで患者輸送車は一台について一体どのくらい働いておりますか。
#292
○松尾政府委員 残念ながら、どれくらいの稼働率になっているかは、ただいま承知しておりません。
#293
○田邊分科員 あとでひとつ資料を出してください。
 最初は診療所の設置、しかしそれは思うように医療担当者が行かぬということで、実は便法的にいまのようなことを考えついたのですね。ところが私は、やはり基地がなければ、つまり根拠地がなければ、それは実際にはほんとうの医療にならぬと思うのですよ。私は実は具体的な例を知っているのです。きょうは申し上げる時間もございませんけれども、巡回車にしてもきわめて通り一ぺんの形でもっていま過ごされておる。このことは、やはり医療にほんとうに僻地でもって真剣に取り組むという姿に、ほど遠いのじゃないかと思うのです。必要ないとは言いませんけれども。ですから、そういった点から言うと、やはり医者が僻地に定着をする方法というものを――いま局長は答弁がなかったけれども、これはやはり将来に向かってこの辺で考えなければどうにもならぬ事態が来るのじゃないかと思うのですよ。医者は僻地に行かぬ、大学病院の周辺にどうしても集中する、こういう状態であります。これに対して医学教育の面からいっても、給費制度を設けるなり、ある程度僻地にも行くという義務制度をしくなり、それに対して政府が手当てを講ずる、こういうことがなければ私はいかぬのじゃないかと思うのですが、大臣、これはやはりそういう政治的な解決の方法をとらぬと、やるやると大体同じようなことを言っておるけれども、実際にはどうにもならぬという状態に来ておる。どうでしょう。
#294
○斎藤国務大臣 まことに僻地における医療対策はむずかしい問題でございますから、いまおっしゃいますような線に沿って最善の努力をいたしてまいりたいと思います。
#295
○田邊分科員 昨年医師法の改正がありまして、いわば医学教育、それから医師の養成については、きわめて戦後画期的なといわれる改正が行なわれたわけであります。実はその後の状態を私どもつまびらかにいたしておらないのでありますけれども、昨年医師の国家試験を受けたのは一体どのくらいですか。それで合格した者の中でこの臨床研修制度に実際に従事している者は一体どのくらいでございますか。
#296
○松尾政府委員 新しい医師法ができまして以来、六月と十月でありますか、二回にわたりまして国家試験を実施いたしましたが、その合格者は五千四百七名ございました。これは御承知のとおり前に少したまっておりました方々が受験いたしましたので、したがいまして、前期と後期というような二通りのものがございますので、多少がたがたしておるようでございますけれども、私どもが掌握いたしましたところでは、国立大学、それから公私立の大学あるいは指定病院というものも含めまして、現在研修に入っておる、少なくとも私どものほうにはっきりそういうふうな形で報告をいただいておりますものが、五千四百七名のうち八百三名でございます。したがいまして、なおこれから少し増加をするという見通しはございますけれども、まだ大学の状態があのようでございまして、確実な数字というものをつかみ得ておりませんので、ほぼその程度のところまで入ってはきておるというふうに理解をしておるわけでございます。
#297
○田邊分科員 一五%程度が研修に携わっている状態は、これはもう異常なものであります。そうすると、昨年の医師法改正による臨床研修制度というものは、まさに定着をしていない、まさに十分な理解と協力を得ておらない、こういう異常な事態であります。しかし、この方針というものを私どもが国会できめてやる以上、何としてもこれが十分な活用をしなければならぬのじゃないかと私は思うのですけれども、どうでしょう、来年度におけるこの制度の活用はどんなふうな見込みでございますか。
#298
○松尾政府委員 私どもがいまつかんでおります基本的な、まずたぶん間違いないと考えておる情勢といいますのは、ただいま申し上げましたように、正式な報告ではわずかでございますけれども、この国家試験を受けました方々がいわゆる臨床研修――研修というものが必要でないという観点には立っていない。やはりみな必要だという前提に立っておるようでございます。
 しかしながら、御承知のとおり、大学の医学部にみな残りたいのだ、こう言っておられますけれども、その残る形が、いわゆる医局問題等がございまして、医局に入局をしたような形ではいやだというように、いわば大学医学部の改革の一つの課題としていろいろこれがもめておるように私どもは理解しているわけでございます。基本的には、研修というものは要らないのだという態度では皆さんはおられないというふうに私どもは理解いたしておりますので、だんだん大学問題の正常化に伴い、また、こういう研修というものの必要性を認めておりますこと、また若干ではございますけれども、いろいろな内容も改善されてきたという方向で、逐次軌道に乗ってくるのではないかというふうに考えております。ただこういう問題は、あまり短気に私どもは考えてはいきたくない、時間がかかりましてもじっくり考えていきたいというような基本的な態度で臨んでおるわけでございます。
#299
○田邊分科員 したがって、いまの状態でいきますならば、二年後の研修を経たあとにおける、いわば最初から考えられた登録ですね、そういうような条件になるまでは、ここ数年の間は非常に少ないという憂うべき状態が来ますね。これだけはもう間違いない事実ですね。やむを得ないという御認識でございますか。
#300
○松尾政府委員 二年以上という法律に従いまして、その課程を終わり、そしていわゆる病院長から報告をされるという形のものは、このスタートがこういうふうにおくれておる現状でございますので、御指摘のとおり、二年以後になりましたときはまだ少ないとは存じます。しかし、だんだん軌道に乗ってくるという見通しに立って私たちも努力しておるわけでございます。二年後に少ないといたしましても、この事態はいまのところやむを得ないというふうに考えておるわけでございます。
#301
○田邊分科員 したがって、私どもはこの研修制度をより改善をし、より理解と認識を得られるような条件をつくっていかなければならぬと思うのです。その努力を怠ってはならない、私はこういうように思っておるわけです。
 そこで、昨年の医師法改正のときに私も質問をいたしました。昨年の三月に、社会労働委員会で質問をいたしたのでありますけれども、研修医といいましょうか、研修に携わる者の身分、給与は非常にまちまちであります。厚生省の場合、国立病院なりは、この制度に携わる者については国家国務員の非常勤職員とし、文部省の場合はいわゆる研修生と称している。それから、民間の場合は準職員かあるいは正規の職員としている。したがって、これは一体どういう状態なのかということで、労働省も人事院も含めて統一見解を出していただくことをお願いしておきました。前厚生大臣はこれに対して、私の指摘した研修中の医師の処遇並びにその地位は、統一することが望ましいものと考えますというお話をされて、これが医師法改正の際の一つの問題点だったのでありますが、一体この身分は、来年度においてはどのようなぐあいに統一をされようとしておるのか、大臣からお考えを承りたい。
#302
○斎藤国務大臣 前大臣が申し上げましたように、身分を統一することは非常に望ましいことだと思います。どうしてもそういうように持っていきたいと思うのでありますが、御承知のように、大学と国立病院と、それから公私の病院と、その体系が違うものでありますから、そこの職員としての扱いというものが変わってまいるのは、これはやむを得ないことだと思うわけでありまして、文部大臣ともよく、大学問題で忙しいだろうが、ひとつこの問題でとっくりと話し合おうじゃないか、こう言っておるわけでございます。できるだけ御趣旨に沿うようには持ってまいりたいと思っております。
#303
○田邊分科員 大臣、もうちょっと認識を新たにしていただきたいのですが、一体どういうふうに統一されようとするのか、その方針があなたのほうになければ、統一統一といったってできません。それは形態が違いますけれども、携わる者は同じ条件の者です。したがって、研修に携わる者を主体として、それで一体どういうふうに統一するかということでなければならぬのでありまして、態様が違うとすれば、態様をそれに合わさなければならない。これは当然の話です。それが統一されていないところに、今日の研修制度に対する一つの大きな疑惑、疑念が払拭できない、こういう要因があることは十分御認識になると思うのですが、どういうふうなぐあいに統一されようとするのですか。
#304
○斎藤国務大臣 これは何といいますか、職員サイドで統一をしていくというようにはからっていきたいと思うのであります。そういう意味で、文部大臣とも話し合いたい、かように思っております。
#305
○田邊分科員 いわゆる国家公務員の非常勤職員、こういう意味でございますか。
#306
○斎藤国務大臣 さようでございます。
#307
○田邊分科員 これはたびたびいわれていることですけれども、一般職の職員の給与に関する法律第二十二条の規定によりまして、当然それは給与も支給をし、国家公務員として取り扱うというのが人事院の解釈であります。したがって、いま大臣が言われた方針で、国家公務員のいわゆる非常勤職員、それをだんだんに正規の職員化する、そういう状態にすることが当然なことなんですね。しかし、当然だといっても、問題は予算が伴わなければいかぬのです。そこで医務局長、たとえば六年制の大学を出て国家公務員の試験を受かったとすれば、大体四年制が多いですけれども、初任給は一体どのくらいになるというふうにあなたは踏んでいらっしゃいますか。――わからなければ、あとでひとつお答えいただきましょう。昨年の状態でも、大体国立病院において三万三千八百円、調整手当が五千円から一万円というのが初任給の状態でございますね。したがって、それと比較をして、大学を出て国家公務員試験を受かった、それで臨床研修制度に携わっている医師、研修医と称しましょう。これの待遇、これを比較されて、来年度は一体どのくらいになっていますか。比較された状態の中ではまずまずだ、こういうふうに大臣はお考えになりますか。
#308
○松尾政府委員 新しい給与法によって、医者の場合三万七千七百円程度でございます。来年度の研修生の国立病院の手当が二万七千五百円。御指摘のように、その点から見ますとまだ不足をしておるというふうに感じております。
#309
○田邊分科員 これはあれでしょうか。昨年から比べて幾らかふやしたとかなんとか――もちろん文部省とも統一をしてきたようでありますけれども、いわば半歩の半歩ぐらい前進なわけですね。しかし、これだけではどうにもならぬじゃないかと私は思うのです。しかも研修医に対しては、文部省の場合はたしか授業料を取ってますね。そういうことから見ますと、一体この研修医の身分と待遇というものに対しては、一人前という意味にどうしても扱ってないですね。その場合に、診療を受ける患者に対しては医師として診察に当たるという、こういう状態になっても差しつかえないものでございますか。
#310
○松尾政府委員 先ほどの文部省の問題でございますけれども、研修生が授業料を払うということはないと存じます。大学院生は別だと存じますが、研修生ではないと思います。
 それから、ただいま処遇の問題で低いということでございますけれども、これにはいろいろな見方はあるかと存じます。一面研修ということでいろいろ勉強をする。その者は、完全な、一人前といっては変でございますが、診療だけに従事するという形の医者とは違うというような、いろいろな見方はあるかと思いますが、しかしながら、処遇が二万七千五百円ではなはだ不十分ではございましても、医師としての資格は十分に一人前でございますので、その医師としての能力に応じた、責任に応じた診療に従事しながら、その間に勉強をしていく、こういうのが今度の新しい制度だというふうに考えております。
#311
○田邊分科員 これは議論になりますから、あとに私は譲りたいと思います。問題は、国民の側から見れば診療を受けるわけですから、一体その診療をきちんとしてもらっているのか、あるいは研修の道具にされるのか、そういう認識を国民の側に与えるという一つの大きな問題もあるわけです。そのためにも、やはり研修生に対して一定の待遇を与えるのが至当である、こういうふうに私どもは考えるわけです。しかし、それにはいま局長が言われたように、当然医局制度がからんでまいります。無給医局員をどうするかという問題がからんでまいります。これは、待遇は三万五千円ぐらいに上がったような話を聞いているのですが、一体どのくらい定員化しているわけですか。
#312
○松尾政府委員 文部省のほうの関係でございますので……。
#313
○田邊分科員 そうすると、それ以外の、定員化されない者についてはどういうようになっておりますか。
#314
○松尾政府委員 文部省のほうの問題でございますけれども、私が知っている範囲でお答え申し上げれば、逐次無給医局員を解消するということで定員化している。しかしながら、まだ全部が解消できるというところまで至ってない。大部分につい部ては、おそらく無給医局員のままで残るものと考えます。
#315
○田邊分科員 これは早急に是正する方向に行ってもらわないと、医局制度全体の改善のためにどうしても欠くべからざる要素になる。これは、やはり医療の問題全体に響いてくるということは疑いない事実であります。
 時間がありませんから、医療従事者のもう一つの問題は看護婦の不足でありまして、これは数字を実はお聞きしたいのでありますけれども、それはやめにします。非常に不足している。ところが、人事院の勧告がありまして、最近一病棟夜勤は二人以上必要である、月八回以内におさめなければならない、こういうふうになっているそうでありますけれども、これは実施されておりますか。たとえば、群馬県の県立病院なんかでは、私の調査したところでは、月十回はどうしても必要であるということでやっておる。民間はそれ以上だ。こういう状態を私は調査しておるわけですけれども、実情はどうでございますか。
#316
○松尾政府委員 看護婦の数がまだ十分でございませんので、一カ月に八回とか、あるいは必要な場合には二人夜勤というような勧告がされておりますけれども、必ずしもそれが十分実現できる体制にはなっていないと存じます。また、それが実情でございます。
 来年につきましても、逐次それを解消するという方向で、国立等は臨んでまいりたいと考えます。
#317
○田邊分科員 そこで、非常に労働過重であったりしますので、そのことも原因をして、だんだん看護婦がやめていくわけですね。ところが、結婚をしたりしましてある程度の年月がたつと、また再採用してもいいような条件が出てくるわけです。現在そういうことでやめておる、いわゆる潜在的な看護婦の資格を持っている者、これは一体どのくらいおって、将来にわたってそれの再採用がどのくらい可能なものか、調査をされたことがございますか。
#318
○松尾政府委員 看護婦の免許を持っておる者という形でとらえますと、ただいまの就業看護婦、准看も含めまして二十五万三千人、それが現実に就業している看護婦さんでありますが、それに匹敵する程度の二十五万程度の者は、いまおっしゃいました潜在看護婦として家庭等にいるというふうに考えられます。
 この方々がどの程度出てくるかということは、なかなかその存在自体もつかみにくいという問題もございますけれども、私どもも、やはりこういう方々に戻ってきてもらいたいということで、四十一年から四十三年にかけまして、この潜在看護婦の講習会というものを開催しております。そのときの第一年目の成績を申し上げますと、最初のことでございましたので、わずか三百五十六名程度が全国で受講いたしております。その中で、その後判明いたしました就職者が約百名、三分の一近い就職者がございました。もちろん、これはそういう希望があって受講された方でございますので、非常に積極的な意欲を持っておられたと思います。したがって、比較的高い就業率が得られたのではないかと存じますが、さような成績もございますので、今後もひとつぜひこの在宅の看護婦さん方に出ていただく。そのためには、いろいろと聞いてみますと、新しい技術が発達をした、最近しばらく離れておるということで、つとめたいけれども何か不安があるというふうなお気持ちがだいぶあるようでございます。したがいまして、そういう不安を最初の短期間に講習会その他で除いてあげれば、また就職できる道が開かれてくるのではないか、かように思いまして、都道府県等を通じましても、ぜひ積極的にやっていただきたいとお願いをしておるわけでございます。
#319
○田邊分科員 私の群馬県で、最近在宅資格者の実態調査をしまして、退職する人については、一体結婚や育児や転職などでやめていくのか、その退職の理由も調べて、かなり科学的に調査しようという試みがあるのですが、これは私は非常にけっこうなことじゃないかと思うのです。だからそういう調査を、ただアウトラインだけつかむのではなくて、そういう可能な者が一体どのくらいあるのかという実態調査をおやりになったらどうか、こういうふうに私はおすすめをいたします。それと同時に、いま局長が言われたように、そういう在宅の有資格者に対する定期的な講習、これをやはりやっていただかなければならぬと思う。
 最後に聞きたいのは、そういうことで再採用になるけれども、実際にはやはり科学の日進月歩によって、いまお話しのあったとおり非常におくれておるのではないかという心配が私はあると思うのです。それは看護婦さんの側にも心配があると同時に、かかる患者の側においても大いにそういう心配があるわけであります、そういう看護婦さんに付き添ってもらうと。これについては、再採用直後において、やはり講習なり研修なり、そういうものを必ずやる、こういうことが必要じゃないかと思うのですが、そういうことをおやりになっていらっしゃいますか、あるいはその体制がございますか、どういう御計画でございますか。
#320
○松尾政府委員 いままで私どものほうとしまして、再就職された方だけを対象にした研修ということはやっておらないわけでございます。
 ただ、先ほど来申し上げましたように、いろいろ不安を持っておる、それから、御指摘のようにいろいろな技術上の差もある。それを、病院側で採られます場合も、何とかあたたかい気持ちのいろいろな配慮も必要じゃないかと思います。いきなりむずかしい看護を持ってくるというのではなくて、同じ病院の中でも、逐次なれていくようなポジションもあろうかと思います。そういう配慮をいたすことがまず必要かと思います。そういう方々がどんどん出てまいりますれば、私どももいろいろな形の再教育の機会を持っておりますので、積極的に加わっていただくように措置してまいりたいと考えております。
#321
○田邊分科員 研修制度の問題にしても、あるいはいまの看護婦の再教育にいたしましても、さらに科学的な調査とそれに基づく検討をしなければならぬじゃないか、こういうように思うのでありまして、ひとつ今後の早急な御努力を特にお願いしなければならぬ、こういうふうに思います。
 終わります。
#322
○竹内主査代理 次に、岡沢完治君。
#323
○岡沢分科員 私は、きょうは主として進行性筋ジストロフィーについてお尋ねいたしますけれども、その前に一般論として、重症心身障害児の問題と結びつけて、大臣には釈迦に説法でございますけれども、憲法第二十五条というのがございます。「すべて國民は、健康で文化的な最低限度の生活を營む権利を有する。」私の解釈では、この憲法二十五条の一番大事な意味は、「すべて」というところにあるのじゃないかと思います。いわゆる恵まれた者、健康な者、お金のある者、そういう者が健康で文化的な生活が保障される、これは当然なことだと思いますけれども、そうではなしに、恵まれない人、不幸な人、ことに精神薄弱者あるいは身体障害者、こういう方々にも人間らしい生活を営んでいただくというのが憲法二十五条の精神であり、また、政治の責任でもあろうかと思います。そういう意味から、現在の日本が、幸いに敗戦国でありながら戦後二十四、五年を経まして、俗に昭和元禄といわれるくらいの経済的な豊かさを一方で持ちながら、一方で、いまだに人間らしい生活を全く味わえないで、本人はもとよりその家族も毎日暗い生活を送っておられる多数の方々があるわけでございます。そういう意味からも、私は、心身障害者の方々の保護といいますか、これに対する政治の責任というものはきわめて重いと思うのでございます。この心身障害児対策について、斎藤大臣はどういうようにお考えになっておられるか、冒頭にお尋ねいたします。
#324
○斎藤国務大臣 岡沢委員のおっしゃいますように、日本の憲法第二十五条は、まさしくそういう意味であろうと思います。日本国民である以上は、一人でも不幸な中で泣いているというような者がないようにせい、こういう精神だと考えます。したがいまして、心身障害児あるいは心身障害者の方々に対しましては、そういう観点からもできるだけあたたかい手を差し伸べて、そして国民としての喜びを味わってもらえるというように持っていかなければならぬものだと考えております。
#325
○岡沢分科員 すでに本年度の予算編成は終わっておりますので、今後の対策として私からお願いしておきたいのは、やはり来年度は自然増収が一兆二千億をこえる、いわば財源的にはきわめて恵まれた年度に当たっておると思うのです。こういうときに、一方で、これは性質は違いますけれども、防衛庁の予算関係では、F104ファントムの場合に、一機で二十億円近い支出がある。その操縦士を一人養成するのに七千万円もかかる。それに比較いたしますと、厚生省関係の予算額というのは、大臣の御努力にもかかわらずきわめて小さい数字が、しかも、みんなの努力によってようやくかちとられるという現状であります。私は、安全とか防衛とかいう問題につきましても、いわゆる軍事的な面以上に国民生活の安定ということ自体が、わが国の国防上も、安全上もきわめて大切な要素を占めると思うだけに、大臣として今後とも、この恵まれない人々への予算獲得に御努力を願いたいということを最初にお願い申し上げておきます。
 実は、私、昨年の秋でございましたけれども、大阪で開かれました進行性筋萎縮症児、筋ジストロフィーと俗にいわれております病気の保護者の方々の大会に偶然出席させてもらいました。その悲惨さが身にしみまして、きょうこうしてその問題を取り上げて御質問申し上げるわけであります。
 この筋ジストローフィーというものについて、他の病気と違った特色があるように私は聞いておりますけれども、医学的にこの筋ジストロフィーの特色をどういうふうに見られるか、医務局長からでけっこうでございますから、お尋ねいたします。
#326
○渥美政府委員 進行性筋萎縮症の中にもいろいろなタイプの疾病がございますけれども、一番お気の毒であり、しかも進行性が早く、しかも生命に危険であり、さらにまた二十歳ぐらいになればなくなられるという例が多い進行性筋ジストロフィー症のことについて申し上げますると、要するに、筋の代謝異常によりまして筋の実質がだんだん崩壊してまいる、したがって、最後には運動機能障害を起こす、そしてそういった段階におきまして肺炎であるとか、心臓衰弱、こういったふうな合併症によりまして死亡する、こういうふうな特徴を持っておるというふうにいえると思います。
#327
○岡沢分科員 症状はいま局長のお答え、なさったとおりだと思いますけれども、私の理解しております範囲では、いまだにその病気の原因がわからない。原因がわからないから対策がわからない。しかも、大体死亡が当然予想される病気である。しかも、精神のほうは全く異常がない。そういう意味から、一そう私は非常に悲惨な病気ではないかという感じがするわけです。この病気の原因について、医学的にどの程度の究明がなされておるのか。また、それに対する努力はどういう方向で現在わが国内において行なわれておるか。もしわかりましたら、外国の例等もあわせてお答えいただきたいと思います。
#328
○渥美政府委員 この進行性筋ジストロフィー症につきましては、実は、もういまから百年前、一八五〇年にこういった症例が報告されておるわけでございますが、その原因につきましては、いまだ究明がされていないという現状であります。もちろん、この発生原因につきましては、遺伝性の因子が強いというふうなことはいわれておりますが、しかし、まだ明確にはその原因はつかめていない。これは外国におきましても、目下真剣にその追及がされておるわけでございます。したがいまして、この治療方法につきましても、いまだ確定的のものがないというふうなたいへんおそろしい病気であると思います。
 わが国におきましても、昭和三十八、九年ごろから若干の研究費を大学の研究者に差し上げて研究を始めたのでございますが、昭和四十三年、昨年からは相当大型の研究費を計上いたしまして、虎の門共済病院の沖中先生をチーフといたしまする研究班によりまして、これが原因の究明に当たっておるというのが現状でございます。
#329
○岡沢分科員 現在日本で、いわゆる死亡原因となるような病気で、しかもその死因といいますか、病気の原因というものが究明されていない病気には、他にどういうものがございますか。
#330
○渥美政府委員 こういった子供の関係の疾病といたしましては、たとえば、子供のガンの問題でございますとか、あるいは血友病の問題でございますとか、あるいはもう少し広くまいりますと、未熟児でありますとか早産児、それからウィルソン氏病でありますとか無ガンマ・グロブリン症というような先天性代謝異常、こういった疾病につきましては、まだはっきりその原因が突きとめられたとはいえないと思います。
#331
○岡沢分科員 先ほど、わが国においては三十八年、九年ごろから研究助成費が出されるようになった。きわめて新しく学会その他で取り上げられた病気だと思うのでございますけれども、現在わが国にはどれくらいの患者数がおられるのか。それは実際全部つかまえておられるのか、確認数、未確認数。それからもう一つ、外国の場合に、たとえば先進国、後進国に分けましてどちらの国のほうにより多いか、もしそういう数字がわかっておりましたら、傾向がわかっておりましたら、お答えいただきたいと思います。
#332
○渥美政府委員 この筋ジストロフィー症の発生の状況でございますが、これはおそらく世界各国とも明確にはつかめておらないのではないかと思います。私どもは、一応アメリカのウィスコンシン州で研究されましたデータによりまして、大体人口百万人につきまして五十名ないし二十五名という数字によりまして推定をしておるわけでございます。また一方、こういった筋ジストロフィー症の親御さん方の会がございまして、そのメンバーの数等から推定いたしまして、わが国全体といたしまして大体五千名程度、そのうち子供さんが大体七割の三千五百名程度、かように推定いたしております。
 また、御指摘の世界の国々によってあるいは地域によってこの発生状況が、あるいは発生率が違うか同じかということについても、明確にはされておりません。
#333
○岡沢分科員 わが国で切めて発生したのはいつごろであるか。それからその数字の経緯。それから、いま推定数の御報告がありましたが、これはあくまで推定数なのか、あるいはある程度確認された数字であるのか。確認する努力をされておるのか。病気が病気であるだけに、家族も隠す場合があろうと思いますし、また、そういう病気についての原因がわからないままに、あるいは宗教的な手段によって、あるいは迷信のようなかっこうで放置されている場合もあり得ると思うのでございますけれども、そういう実態について、おわかりの範囲内でお答えいただきたいと思います。
#334
○渥美政府委員 まあ世界的な推定値をわが国に適用いたしますると、ある程度の数になろうということは申し上げたわけでございますが、同時に、進行性筋ジストロフィー症の親の会でありますところのメンバーが約二千名おるわけでございます。そういうふうなことから考えましても、大体おとなと子供合わせまして五千名というのが、相当確実性のある数字ではなかろうかと思います。と申しますのは、先ほど御説明申し上げましたように、進行性筋ジストロフィー症という疾病名で死亡することが確認されるよりも、むしろその合併症でありますところの心臓衰弱であるとか、肺炎であるとか、あるいは胃腸障害であるとか、こういうふうなことで死亡の判定がされるというふうなこともございます。また、疾病自体が相当むずかしい疾病でもございますので、これを正確につかむことはなかなか困難だと思いますが、いま申しましたような数字を対象といたしまして、私どもは福祉対策を展開しておるということでございます。
#335
○岡沢分科員 年間の死亡数がわかりましたら、お答えいただきたいということが一つ。
 それから、先ほど虎の門病院の沖中先生の名前が出ましたが、わが国の学者で、専門的にこの筋ジストロフィーの研究をしていただいておる方々が何人くらいおられるか。また、それに対する助成措置等についてお尋ねしたいと思います。ことに私は、非常に恵まれない人々に対して、しかも、おそらくそれを見ていただくお医者さん、現段階では採算の合わない研究に努力をいただいている医者の専門家の方々に対しては、最大の保護をするということがやはり政治の責任ではないか。ほかの患者数の多い病気でございましたら、世間からも注目され、あるいは経済的にも恵まれることもあろうかと思いますが、こういう特別な病気で、しかも原因がわからない。患者あるいは患者の家族にとりましては、月の世界まで人間の力が及ぶときに、いまだに病因もわからない病気、しかも死亡がほとんど確定的に予知されるような病気ということについては、たまらない気持ちだろうと思うのですが、それだけに、思い切った財政的な措置が国として必要ではないかと思いますだけに、その研究に従事していただいている方の実態を中心にお尋ねしたいと思います。
#336
○渥美政府委員 先ほど申し上げましたように、進行性筋ジストロフィー症という病名におきまして死亡が診断されない場合もありますので、年間にこの病気によりまして何人なくなられたかという的確な数字はつかめないのでございますが、進行性筋ジストロフィー症の親の会の状況によりますると、毎年その会員の中から、二十名内外の子供さんがなくなられておるということを承っております。
 なお、研究の問題でございますが、三十九年から発足いたしましたが、四十三年度におきましては、このような特別研究助成費という費目のもとに、沖中先生を中心といたしまして、九州大学、東京大学、徳島大学、このような専門の医学陣を中心といたしまして、研究を大がかりに実施いたしております。その金額は、おおむね約二千万円程度が支出されておりまして、これで相当程度この研究を継続することによりまして、相当な点まで研究が進むのではなかろうか、かように思います。
#337
○岡沢分科員 最近、国立療養所にこの進行性筋萎縮症児の病床を用意していただいておるようでございますが、その実態等についてお尋ねいたします。
#338
○松尾政府委員 三十九年度からその収容を開始するように対策を進めてまいりました。四十三年度末におきまして、全国で十一の施設、国立療養所で十一、ベッド数では八百二十名という予定でございますが、ことしの一月現在、すでにこの中で五百八十床が完成をいたしまして、五百八十ベッドの中で五百六十八名がすでに入所いたしております。なお、来年度においてさらに二百八十床を整備したい、こう考えておるわけでございます。
 このほかに、御承知と存じますけれども、この児童に対しましては養護学級というものを併設いたしまして、治療とともにあわせて教育ができるという配慮をやっておるわけでございます。
#339
○岡沢分科員 だいぶ努力はしていただいておるようでございますけれども、先ほどの渥美局長のお答えでは、約五千人推定患者数がおる。いまの数字とはやはりだいぶ開きがあるわけでございますが、希望者は大体入所できるのかどうか。その経済的負担はどうなっておるのか。ことに、家庭の事情で入所希望して入れない患者もおるのか、その辺のところをお尋ねいたします。
#340
○渥美政府委員 先ほど申し上げました数字に比べまして、まだ国立療養所におきまするベッドの整備状況は進んでおりません。昭和四十四年度予算に計上されました分を含めますと、約一千百床が用意されるわけでございます。したがいまして、在宅の方々が相当いらっしゃるわけで、こういった方々に対しては、療育についての相談事業などもやっておりますし、また、きわめて低所得な方には特別児童扶養手当の支給等も行なわれておりますが、なおまだ不足しておりますので、さらにこのベッドの増床につきましては努力を傾けなければいけないと思います。
 なお、先ほど研究費のところで申し足りませんでしたが、九州大学におきましては勝木司馬之助先生、東京大学におきましては中尾喜久先生、徳島大学におきましては三好和夫先生、その他この関係の教室におきまして相当意欲的な研究が行なわれております。
#341
○岡沢分科員 念のためにもう一度。経済的な理由のために、いまお答えをいただきました病床の利用できない方があるのか。私は、冒頭に申し上げましたように、心身障害児に対する保護というのは、一個人の家庭ではなかなかむずかしい問題であるだけに、国が政治上果たすべき大きな対象部門ではないかと思うだけに、せめてこういう方方には、これは完全な設備を整えましたところで、普通のわれわれ健康体の者に比べて非常に不幸な方々であるだけに、やはり家族は同じような悲惨な環境におられるだけに、これは最大限の保護を与えて、やっと憲法二十五条の精神がある程度生かされるという対象であるだけに、経済的な理由でせっかくの施設が利用できないという人が一人でもないように、数も限定されているだけに、してあげることが政治の責任であると思うので、重ねてお尋ねいたします。
#342
○渥美政府委員 国立療養所におきまして療養中の方々に対しましては、その所得に応じまして、一部または全部の徴収を減免しております。そして、国立療養所におきまするその子供さん方を療育する運営費といたしまして、二億五千百十二万八千円ばかり計上いたしておりますので、このことによりまして運営されております。
 なお、まだこの病床に入れない方々がおりますが、こういった方々に対しましても、家庭的に非常に困難な方でありますとか、あるいは経済的に恵まれない方、こういった方を優先的に取り上げまして、都道府県の児童相談所長のもとにおきまして判断いたしまして、その優先性をよく判断いたしまして入所をさせておる、こういうのが実情でございます。
#343
○岡沢分科員 わかりました。
 あわせまして、病床の用意とか格別の御配慮はありがたいと思うのでございますけれども、一般的に看護婦さんの不足ということは、おそらくけさからずっと議論になったところだと思いますが、こういう症状の看護というのはよけいある意味で希望者が少ないし、また、それに当たられる看護婦さんあるいは付き添いの方々の苦労というのは人一倍大きいかと思います。それだけに人手不足の問題が、私が出席しました大阪の会でも大きく取り上げられておりました。この辺の措置について、現状なり対策なりをお尋ねいたします。
#344
○松尾政府委員 このような子供さんたちを――主として子供でございますが、療養所に預かりましても、非常に手間がかかります。したがいまして、看護婦だけというわけにもまいりませんので、保母なり児童関係の職員、医師はもちろんでございますが、一緒にチームを組んでお世話ができるようにということで、療養所の中におきましても最も厚い人員配置を考える、こういう方針で従来からも運営されてまいっております。さらに人間のほうにつきましても、従来よりもやはり手厚くするような措置を講じまして、入所された上での福祉ということに遺憾がないように考えているような次第であります。
#345
○岡沢分科員 先ほど原因の究明がなされていないということをお答えいただきました。そうなると、むずかしい問題になりますけれども、この悲惨な病気の発生を防止するのにどういう対策が考えられるか。やはり一人でもこれは未然に防ぐことが最大の急務かと思いますが、お尋ねいたします。
#346
○渥美政府委員 この疾病に対しまする原因が、いまだ究明されておらないという点に非常に問題があるわけでございますが、遺伝的な因子によって起こるのではないかという意見も相当あるわけでございます。そうなりますれば、当然これは優生学的な結婚指導ということが始められなければならないのではないかと思います。
 それから、最近におきましては発病した後におきましても、いろいろな薬剤、たとえば内科的にはアミノ酸の療法でございますとか、そういう療法も試みられておりますし、また、外科的にも手術をいたしまして筋肉の是正をはかる、こういうふうなこともやられております。しかしながら、いずれにいたしましても原因の究明が非常に大切でございますので、その点を重点といたしまして、大型研究を開始したというのが実情なのでございます。
#347
○岡沢分科員 最後に厚生大臣、いままでお聞きいただいたとおりの筋ジストロフィー患者の問題を含めまして、冒頭にもお尋ねいたしましたけれども、重症心身障害児、ことに原因不明の小児ガンあるいはジストロフィーの患者等に対する、政府のこの問題に対する最高責任者としての御姿勢なり、御抱負をお聞かせいただいて質問を終わりたいと思います。
#348
○斎藤国務大臣 私も、この筋ジストロフィーあるいは小児性麻痺から来た重症の心身障害児の方々の施設等も視察をいたしてまいりました。その以前からも承知をいたしておりました。この親御さんの方々にもお目にかかり、どんなにお気の毒かという気持ちで一ぱいでおるわけであります。したがいまして、今後そういった原因の究明、治療の方法、それから事前に予防をする方法ということにつきましては、全力をあげたい、かように考えております。
#349
○岡沢分科員 できましたら、たとえば病室にテレビでも常置してあげるとか、ほかの患者さん以上に生命の希望のない、しかも、先ほど申しましたように精神的にはきわめて障害のない方々だけに、法の許す範囲の最大限の御援助をお願い申し上げまして質問を終わります。
#350
○竹内主査代理 次に、松本忠助君。
#351
○松本(忠)分科員 私は厚生省所管の問題、特に公立保育園の問題、それから生活保護制度の問題に関しまして、厚生大臣並びに関係の局長に質問をいたします。
 最初に大臣に伺いたいのでありますが、公立保育園の絶対数が不足しているということは十分御承知のことと思うわけでございます。いま実例をもって申し上げてみたいと思うのでありますが、現在、東京都の北区におきましては公立保育園が十三カ所、ただいま建設中のものが二カ所、それから私立の保育園が十三カ所ございます。したがいまして、現在二十六の保育園が経営をされているわけでありますが、そこに収容される定員は二千五百五十二名でございます。非常に入園を希望する者が多うございまして、ことしの四月の入園希望者を募りましたところ、現在申し込みが千八百名ございます。その中で、入園できる者は何名かといいますと七百二十名でございます。結局、千八十名ほどが入園できないことになります。結局、入園できなかった子供たちの親は保育園の増設を非常に希望してくるわけでございます。もう一例は東京都の板橋区に富士見町というところがあります。ここに昭和三十八年に都営の団地ができまして、約七百世帯が居住しておりますが、ここにも保育園がございませんので、特にこの団地は保育園の設置を強く強く要望しております。請願等も提出されておりますが、今日に至るも建設されない状態でございます。
 こういうような現状からいたしまして、東京都において保育園が建設されない主たる原因は何であるか、この点についてまず当局のお考えを聞きたいわけであります。
#352
○渥美政府委員 保育所の需要は非常にすさまじいものであると思います。特に、都会におきましては働く若い夫婦の流入という事情もございます。あるいはまた核家族化の進行ということもあるかと思います。特にまた都会におきましては、従来からも保育所の数が他の都市以外の地域に比べまして少ないという実情であると思います。都会におきまして設置が非常に困難だという問題につきましては、やはり都会における土地の取得という問題もあろうか、かように思っております。
#353
○松本(忠)分科員 いま御答弁があったように、まず第一に考えられるのは、何としても土地の入手難、現実に保育園をつくりたいといっても、用地の取得難ということが建設の第一の難関になっている。そこで、都市の場合に、保育園の用地の取得難に対する助成策について、厚生省としてはどのようにお考えになるか、この点大臣から承っておきたい。
#354
○渥美政府委員 都会におきます土地の問題につきましては、大問題だと思っております。国といたしましては、土地の取得につきましては、その設置される地方公共団体の御努力にまつ、建物につきましては、それに対する国庫補助を考えてまいります。さらに、運営等につきましては国からの助成を行なっていく。こういうふうな考え方でございます。土地の取得が非常に困難であろうということはわかっておりますが、それは地方公共団体の積極的な姿勢に期待するという態度でございます。
#355
○松本(忠)分科員 それでは、次の保育園の建設について伺いたいわけでありますが、国庫から補助があるといういまお話しがございました。しかし、国庫の補助額につきましてはあまりにも実情に沿わないのではないか、現実離れしているのではないか、このように思うわけであります。
 実例をもって申し上げてみますと、東京都の北区の東十条というところに保育園が建つことになっておりますが、区立の東十条保育園の土地の購入額は約四千万円でございます。これもなかなか取得できなかったのを、ただいまお話しのあったように、地方公共団体、区役所が中心となって、そして公明党議員も非常に努力をしてこれを獲得できた。問題は建物であります。鉄筋コンクリートの二階建てをつくろうということですが、これが約四千万円かかる。しかも、初度調弁費が約五百万円。そうしますと、八千五百万円ここに金がつぎ込まれるわけであります。いま問題になっているのがいわゆる国からの助成額、これがわずかに百万円。これでは、もう三割自治といわれる地方自治体はどうにもならないわけであります。保育園の建設にあたって、この国庫補助の基本額が一件百万円、これを実情に合ったように増額をする考えはないか。あまりにも実情に合わない。そういうものをおいでおいでも、これはもういかぬのじゃないか。もっと積極的に実情に合った方向にいくべきではなかろうか。わずか一件百万円程度では、物価高のおりから、ほんとうにスズメの涙だ、こういうわけであります。何とかこの点はならないか、こう思うわけであります。
#356
○渥美政府委員 保育所に入れる必要のある子供さん方の数に対しまして、保育所が非常に少ないという一面の問題がございます。したがいまして、きめられました施設整備費の中で、いわば質より量といいますか、量のほうにいままで、そしてまたこれからも相当大きな努力を傾けなければならないというふうな観点もございまして、いま御指摘のような、一件当たりの補助額が非常に少ないということも事実だと思います。
 この補助額につきましては、従来からも少しずつその増額をはかり、改善を意図しておるわけでございまして、昭和四十二年から昭和四十三年にかけましては、一件当たりの補助単価を七十万円から百万円というふうな、三十万円ばかりアップしたのでございますが、昭和四十四年度におきましても、これが実行にあたりましてはその単価の改善を、少なくともその額以上には考えてまいらなければならない、かように考えております。
#357
○松本(忠)分科員 四十四年度においては百万以上のものを考えられる、こういうわけでありますか。
#358
○渥美政府委員 そのように努力してまいりたいと考えます。
#359
○松本(忠)分科員 大体、たとえば四十二年度あたりに七十万あるいは四十三年度百万、四十四年度はそれ以上というふうに考えておられるようでありますけれども、大体四十二年度においては何件ぐらい件数として補助をされているのか。四十二年、四十三年あるいは新規のこの四十四年度においては、何件ぐらいやる御予定なのか、その点をひとつ聞かせてもらいたい。
#360
○渥美政府委員 これは昭和四十二年度から、おおむね五カ年計画で三十万人の保育児童をふやすという計画がございまして、その観点から考えまして、昭和四十二年度におきましては国庫補助分といたしまして約四百五十カ所、昭和四十三年度におきましては五百カ所、このように実施をいたしたのでございますが、昭和四十四年度におきましても、約五百カ所程度の国庫補助を行ないたい、かように考えております。
#361
○松本(忠)分科員 何とかひとつこれは、改善方についてとくと御考慮を願いたいと思うわけであります。
 それでは次に移りまして、生活保護制度の問題でありますが、これはもういつも問題になるのが、いわゆるボーダーライン層の問題であります。これらの人々は生活保護制度によって保護されることもなく、しかも、実質的には保護家庭と何ら変わらない現状に置かれていると思うのです。これらのボーダーライン層の保護も重要な社会保障問題であろうと思うわけでありますが、この点について厚生大臣としてはどのようにお考えか。
#362
○斎藤国務大臣 生活保護基準をきめます際に、できるだけボーダーラインを引き上げてまいりたい、かように考えておるのでございますが、御承知のように、最近、毎年一三%あるいはその前後の引き上げを行なっておりますが、しかし、一般の勤労者の生活水準全局まってまいりますので、したがって、ボーダーラインをさらに引き上げるというほどにはなっておりませんけれども、しかし、昭和三十五年当時の平均的勤労者世帯と保護基準との格差が三八%でございましたが、昨年、一昨年あたりからこれが五二%程度の格差になってまいった。ということは、それだけ引き上がってまいったわけであります。本年度は、この格差の引き上げにはあまり役立たなかったと思いますが、一%か二%程度引き上げられるであろうか、かように考えております。
#363
○松本(忠)分科員 いまのお話は、三十五年には、要するに一般のものを一〇〇とした場合、それが大体三八くらいだ、こういうわけですね。
#364
○斎藤国務大臣 さようでございます。
#365
○松本(忠)分科員 非常に上がってくる、また上げる努力をしているということについては、われわれもたいへんけっこうなことだと思うわけであります。しかし、せめてわれわれの考えるところは、三分の二くらいまではいかないか、六六%くらいまではいかないか、こう考えるのであります。むずかしい問題を持ち出すわけでもございませんけれども、憲法の二十五条にも、「すべて國民は、健康で文化的な最低限度の生活を營む権利を有する。」こう明記されております。最低限度の生活を営むにはあまりにもいまの状態ではかわいそうだ、低過ぎる。また、憲法二十五条の第二項では、「國は、すべての生活部面について、社會福祉、社會保障及び公衆衞生の向上及び増進に努めなければならない。」こう明記されている点から考えましても、少なくとも現在の五二%を六六%程度まで、三分の二くらいまでは持っていってやってもらいたい、こう思うわけでありますが、この点についてどうでしょうか。
#366
○斎藤国務大臣 三分の二ということになれば、これは非常に上がったことになりますが、私どもは少なくとも五五、六%程度までには近づけたい、かように思っておるのであります。これはまた審議会等におきましても、その程度は目標としてなるべく早く近づけるが望ましいじゃないかというような意見もいただいておるわけであります。
#367
○松本(忠)分科員 四十三年度と四十四年度を比べますと、何%くらい上げることになっているのですか。
#368
○今村(譲)政府委員 お答え申し上げます。
 四十三年度、一級地、これは東京、大阪とか大都市でございますが、一級地の標準四人世帯の生活扶助単価が二万六千五百円でございまして、それが四十四年度は二万九千九百四十五円、三万円をちょっと切れるということで、一二%上がることに相なっております。
#369
○松本(忠)分科員 もう一ぺん。四十二年度は二万六百六十二円だったと思いますが……。
#370
○今村(譲)政府委員 四十二年度は、一級地だと、東京のようなところで標準世帯で二万三千四百五十一円、それから四十三年度は二万六千五百円、これは一二%上げました。それから四十四年度は二万九千九百四十五円、これも一三%でございます。
#371
○松本(忠)分科員 これは、言うならば標準家庭なんですね。現実に東京あたりは物価が非常に高くなってきているわけです。わが国の経済の高度の発展につれて、国民一般の生活水準は非常に高くなっているわけですし、消費の内容も質的に大きな変化を遂げていると思うわけであります。でございますにもかかわらず、保護費の支給基準がなかなかついていけない。御当局の努力によって一三%前年より上がるといっても、実際問題として物価がもうそれ以上に上がっていってしまう。たとえば、いまのような二三%分の内訳をいろいろお話を伺ってみると、物価については五%、また水準に近寄せるための作用として八%。ですけれども、実際問題として五%の物価の値上がりどころではないわけです。ですから、この点はもう少し努力をしていただきたい、こう思うわけです。
 そこで、物価の変動や生活様式の変化に応じて、その生活の実情に合ったところの支給基準を確立する。ぜひともそういうふうにしてもらいたい。物価の変動に応じてスライドしていくような方式は考えられないのか、この点についてはどうでしょうか。
#372
○今村(譲)政府委員 お答え申し上げます。
 たとえば物価の問題、これは消費者物価指数というものがございます。それで、三十八年からずっと物価の推移、対前年比四・六とか、四十年は六・四とかいろいろございます。ただ来年度は五・〇、それから四十三年度の、まだできておりませんが、推定が五・四ということになっております。これは経企庁の当初の見込みでは四・八でございました。それが五・四でおさまるだろうという最近の趨勢でございます。ただ、おっしゃいますように、物価が、いわゆる低所得階層に響く割合というと、テレビや何かというのは低所得階層にそれほど響かない。野菜とか、ほんとうの日常生活用品は五%ではおさまらない点が相当あるので、私どもは、ほんとうを言いますと――国民を五分位階層とか十分位階層とに分けまして、たとえば十分位階層をとりますと、下から一千万人でございます。それに対する物価のインパクトといいますか、影響力といいますものが実はほしいのでございます。ところが、これは非常に膨大な計算になりまして、その辺のはっきりした数字が出てこない。平均的な数値しか出てこない。御承知のとおり、物価が五%上がったということは、実際の圧力感というものはもっと強いと思いますが、実際、なかなかそこに確定した数字は出てこないという問題がございます。ただ、たとえば生活保護アップ一三%の場合に、物価が五という経企庁の経済見通しとなりますと、残り八%というのが大体実質内容の改善である。それが一般国民生活の向上にマッチして、さらに少しでも格差を縮めていく。いま大臣が仰せられました五二%というようなものが、五二・五でも五三でも、一般の勤労世帯との格差を少しでも上げていく。ただ一挙に六六%というかっこう――一%上げるだけでもたいへんな問題でございますので、それにつきましては年々最高――三十六年なら一八%という時期もございました。一六とか一二とかいろいろございます。ここ三、四年ほど一三・五、一三・五、一三・〇と、こう来ておりまして、とうとう三十八年には五〇を飛び越して五二を少し上回る最近の情勢であるというかっこうで努力いたしておりますので、その辺御了承いただきたいと思います。
#373
○松本(忠)分科員 努力の点については私も大いにけっこうだと思います。しかし、先ほども申し上げたように、憲法の面においても最低の生活が保障されなければならない、こういうたてまえからいっても、現状では非常にかわいそうではないかと思うわけであります。そこで、この点については一そう当局としても配慮をしていただきたいということを要望して、質問を終わります。
#374
○竹内主査代理 次回は明二十五日火曜日午前十時から開会し、労働省所管について審査を行なうこととし、本日はこれにて散会いたします。
   午後六時四分散会
ソース: 国立国会図書館
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