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1949/04/12 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 両院法規委員委員会 第6号
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1949/04/12 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 両院法規委員委員会 第6号

#1
第005回国会 両院法規委員委員会 第6号
昭和二十四年四月十二日(火曜日)
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○懲罰権の適用範囲に関する件
○参議院議員選挙に全國区制を存置す
 る勧告案に関する件
  ―――――――――――――
   午前十時四十一分開会
#2
○委員長(藤井新一君) 只今より参議院両院法規委員会を開きます。問題が沢山ございますが、先ず懲罰権の適用範囲に関する件について、懲罰委員長太田敏兄君から昨今まで研究されたものについての御意見を伺いたいと思います。
#3
○委員外議員(太田敏兄君) 過日藤井委員長から、両院法規委員会で懲罰権問題について説明を求められました。実は懲罰委員会は、目下懲罰権の適用範囲に関する調査をいたしておる途中でありまして、まだ所期の結論に到達しておらんのでありますが、從つて本日は遺憾ながら確定的な意見を申し上げる段階に至つておらないのであります。そこで本日は一應今日までの調査の経過と、審理中の主なる意見を申し上げまして御参考に供することにしたいと思います。先ず懲罰権の適用に関する調査を始めました理由でありますが、この懲罰権に関する事項は、御承知のように憲法第五十八條を初め、國会法及び参議院規則中に規定されておりますが、その中で、具体的にこれこれの行爲は懲罰事犯に該当するということが明らかにされておりまする條項もありまするし、又抽象的に表現されておるものもございまして、解釈上幾多の疑義がありましたので、今ここに懲罰権の適用範囲に関する調査を始めたようなわけであります。その主たる疑義の点は、懲罰事犯として取り上げるについての内容の問題と、それから時間的の問題及び場所的の問題というようなものがまあ附随して來るので、いろいろ研究を要する点ができたのであります。そうしてこの懲罰事犯が國会法の第百二十一條の規定に基きまして、議員の動議によつて提起される場合のものは多くは議場内における問題であります。從つて比較的それは処理しやすいのでありますが、前に申しましたように、抽象的な表現を用いられておりまする議院の品位を傷つけたとか、或いは議院の体面を汚したというような場合のごときは、果してどういう行爲が、又どの程度のものがこれに当るかということになると、なかなか取扱上むづかしいのであります。而もそういう行爲が端的に、若しくは衆人環視の中で行われたような場合であり、そうしてそれが國会開会中のことであれば、議員から動議を提出するということになれば、簡單に処理できると思いますが、併しそういう今の議院の品位を傷つけたとか、或いは体面を汚したというようなことが隠微の間に行われた、そうして而もそれが從つて或る時間を経過した後にそういうことが一般に知れるというような場合は、最早や議員の動議として提出することはできないのであります。そうなると議員の動議は先程申しましたように、事犯のあつた日から三日以内に提出するとこうなつておりますので、すでにその事犯があつてから三日以上経過しておりますと、もはや議員の動議としてこれを提出することができない。そこでもう議員の方からは動議を出せないから、今度は議長の発議で懲罰委員に付託されることになるのでありますが、ところがその議長が懲罰委員会に職権を以てこれを付託するという場合には別段の期日の定めはないので、いつでもできるのでありますが、その場合にも前に申しましたように、場所的な関係、或いは時間的な問題、そういうものが絡んで來るのであります。そういうような事情から、一應そうした事柄に対しまして、何らかの基準がなければならんということからこの調査が始まつたのでありまして、從つてこの調査の範囲はこれを三つの点に分けまして、第一は懲罰事犯の内容に関するもの、第二は場所的な関係、第三は時間的な関係、この三点に要約いたしまして調査をいたしておるのであります。で我々が前國会中に委員会又は打合会を開きまして、研究しました詳細のことはお手許に配付せられておると思いまするが、過日私の手許から議長の手許に出しました調査報告書と、それから委員会の速記録によつて御了承願いたいと思うのでありますが。今ここにその大要を申上げたいと思います。
 で、この懲罰権の根拠は、言うまでもなく憲法第五十八條の規定に基くのでありまして、同條の第二項に「両議院は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め、又、院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。」云々とありまして、各種の懲罰事犯もすべてこの院内の秩序ということにかかつて來るのであります。そうしてこの憲法第五十八條の院内秩序の維持ということを受けまして、國会法及び参議院規則中の懲罰関係の諸條項ができているのであります。
 先ず問題の第一点であります内容の問題につきましては、先に申しましたように、國会法又は参議院規則で具体的に指示されておりまする事項は、これは文字通りに解釈すればいいと思うのでありますが、從つて問題ではありませんが、ここで一番問題となりますのは、参議院規則第二百四十五條の「議院の体面を汚し、」という一項がありまするし、それから衆議院規則の同じく二百四十五條では、議院の品位を傷つけたる者という言葉で現わされておるのでありますが、これにつきましては、國会法の第百十六條では「議長は、これを警戒し、又は制止し、」云々とあるのみで、別段懲罰に付すべきものとはしてないのでありますが、併しまあそういつたような行爲が直接或いは間接に憲法第五十八條の規定の、院内の秩序をみだすということになるのでありますから、これは当然懲罰に付することができることになるのであります。まあそういうような関係で、この内容の問題が非常にむずかしい問題であると思うのであります。その内容をどの程度に限界して行くことがいいかどうかということが問題になると思うのであります。
 次にこの懲罰権の適用の限界の問題でありますが、即ち場所的の問題から申しますると、憲法第五十八條は「院内の秩序」という文字を使つておるのであります。これを受けまして、参議院の規則の第二百三十二條に「会議において懲罰事犯があるときは、」云々、同じく二百三十四條に「会議又は委員会において」云々、とありまして、大体この法規上明らかになつておりますのは、本会議の議場又は委員会の議場内で起つた事件が懲罰権の適用を受けるということは、これは條文から見まして明らかでありますが、この議場以外で起つた事件についてどうかということがここで問題となるのであります。從來の衆議院及び貴族院の懲罰慣行から申しますると、この場所的な関係を両院とも非常に狹く解釈しておつたというふうに考えられるのであります。最初はこの本会議の議場及び委員会の議場に限つて懲罰事犯に挙げられておつた。ところが、いつのことでありましたか、衆議院で議場内の喧嘩が廊下にまで飛出しまして、そうして廊下で乱闘騒ぎが起つた。そのときに廊下で起つた事件が懲罰権の適用を受けるかどうかということが問題になりました。ところがまだ廊下で起つた事件に対して懲罰権を適用した先例がなかつたというので、そのときまあ衆議院の方で議院規則を改正してか、或いは拡張解釈してかしまして、まあ從來の議場というのを廊下まで含むということにして、廊下における懲罰事犯を懲罰に付したということを聞いておるのでありますが、かようにしまして、從來は懲罰事犯と言えば本会議の議場若しくは委員会の中において起つた事件に限つておつたのであります。そういうふうに從前は空間的に非常に狭く解しておつたのでありますが、これの理由といたしましては、議員が與えられた職権を行使する場所は議場内である。故に議場内の秩序を維持するということが第一に考えられるわけなんでありまして、從つてこの懲罰権の適用の範囲も主として議場内においての問題として考えられておつたということも一應無理もないことであると思うのでありますが、これはまあ議員の不逮捕特権、或いは院外の免責特権というようなものと関連して考えられるわけでありますが、まあそういうような観点から、今でも院外では一般の刑法が適用されることであるからその必要はないというふうな議論もあるわけであります。ところが最近ではこの議院関係の廳舍や各種の建物も多くなりましたし、又院外への出張も最近は非常に殖えておるのであります。又帝國憲法時代と違いまして、新憲法による國会議員の地位或いは権限というものは非常に大きくなつておりまして、從つて懲罰権適用の範囲に関しましても、徒らに旧憲法時代の先例や慣行にのみなずんでその範囲を決定すべきものではないということも考えられるわけであります。殊にそういうふうに新憲法下における國会議員の地位権限に鑑みましても、議員の品位の問題は、これはただ議場の中でさえ保つておれば、一歩議場外に出たら何をしても構わんというふうなわけにも行かないと思うのであります。言うまでもなく、今日の國会議員は國民の主権を代表しておる國権の最高機関のメンバーでありまするから、從つてそれらの國会議員は國民から有形無形の大なる信託を受けておるわけであります。そうした國家的な地位にある議員が、いわば陋巷の匹夫にも劣るようなことをしてよいのであるかどうかというようなことも、つまりその議員の行動そのものが参議院の、或いは國会の権威に関するような場合に、國民からその議員が信頼をせられないようになつた場合には、即ち國民のその國会に対する信頼の念が薄くなつた場合には、延いて國政の円満なる運営をする上にも大きなる故障になると考えるのであります。從つて私は、議員としての品位、愼しみというものは、ただ單に会議場のみでなくして、一般的にも議員は苟くも社会から指彈を受けるような者であつてはならないということも一應考えられると思うのであります。
 これにつきまして、外國の事例を見てみましても、アメリカ等では相当そういう議会の品位という問題を大幅に取上げておるようであります。即ち合衆國憲法の第一條では、各院はその議事規則を定め、無秩序な言動を理由として議員を懲罰し、且つ三分の二以上の同意を以て議員を除名することができるといつたように規定しておりまして、ここでは普通の懲罰事犯につきましては、議事規則を基礎としまして、議場内における無秩序な言動に対しては議員を懲罰することができると、これは議場内における一つの規律でありまするが、且つ三分の二以上の同意を以て議員を除名することができるということにつきましては、必ずしも議場内とも限つておらないと解釈できると思うのであります。学説的にも議員の言動を目して、議員が市民から負荷しておる信託と義務とに違背すると認める限り、如何なる非行についてもその除名権を行使することができる。各院は理由の如何に拘わらず議員を除名し得べき権限を持つておる。例えば議員が院外で破廉恥罪を犯したというような場合にも、それが議員の除名の理由とされておりまして、そういう事例は幾多あるようであります。それから英國の憲法でも、除名に関しまして特別の明文はありませんが、併し御承知のように、英國の憲法は、一般に慣習法が発達しておる國でありまするから、從つてこういう除名処分等に関しましても、はつきりした成文律はなくとも、從來の一つの慣行によつて処置しておるようでありまして、一般に議員として議席を持つことを不適当たらしめる犯行、並びにたとえ処罰されないにしても、延いて議会に不信をもたらすがごとき犯行を理由として除名が実際行われておるようであります。でこの英國の場合ですが、除名処分を行う條項の中です。これは明文ではありませんが公務員又は紳士として、ふさわしからざる行爲というようなことを書いておるものがあるのでありますが、公務員若しくは紳士としてふさわしからざる行爲をした者は、これを除名処分をすることができる。こういうふうな関係になつておるようであります。從つて、先にも申上げましたように、この内容の問題は、どこまでを紳士として、若しくは議員として、或いは國民の代表としてふさわしからざる者であるかという内容の問題がやはり問題となるのでありますが、そういうふうに、アメリカでも、或いは英國でも議員として恥ずべきような、國民から指彈されるような行爲とした者は除名に値するというふうに、おのずから内容が規定されておるようであります。尚これらの問題につきましては、今材料を蒐集中でありまして、いづれ英米その他欧洲関係のこういう処罰権に関する規定なり、或いは事例の材料が揃いましたら、追つて詳細の具体的な報告を申上げる機会があると思いますが、先ずこれらの英米の扱い方から見ましても、場所的に何ら制限をいたしていない、即ち從來の日本の両院がやつておつたように、必ずしもこの建物の中の本会議議場若しくは委員会の中でというような狭い解釈をしないで、極めて常識的に、議員は國民の重大な信託を受けるにふさわしい品位を保たなければならないというようなことが常識的になつておるようであります。そういうことに違反したような議員は、これを除名処分に付することができるというふうになつておるようであります。尚ここで、日本のそういう内容の問題に関しまして、從來問題となりますのは、日本の憲法第五十八條には、院内の秩序ということがありますので、從つてこの院内の文字の解釈が、一つのハウスの、院というのを一つのハウスと解する。こういうふうな考え方が從來行われておつたのじやないかと思うのであります。從つてこの懲罰権の適用範囲は、このハウスの中で起つた出來事というように解釈されておるようでありまするが、併しこの英訳の憲法を見ますると、この文字を見ますると、インターナルという文字が使つてありまして、このインターナルという文字の解釈を、これを日本では院内と訳して使つておるようでありますが、併しこの文字は必ずしもハウスの内部においてという意味でなくして、もつと本質的な意義を持つているのではないかと思うであります。即ち院それ自身においてといつたような本質的な意味を含んでおるので、必ずしもハウスという物理的なものではないと思われるのであります。この点を十分御研究願いたいと思うのであります。
 最後に、この時間的の問題でありますが、これはいわゆる会期不継続の原則が懲罰事犯にも適用されるかどうかという問題でありますが、國会法の第六十八條の規定によりますると、「会期中に議決に至らなかつた案件は、後会に継続しない。」と、こうありますのと、実は会期不継続の原則を主張する人は、その会期に起つたことは、その会期中に処罰するのであつて、後会に継続しないという、こういう主張をされるのでありますが、併しこの國会法第六十八條は、会期中に議決に至らなかつた案件は、後会に継続しないということで、私はこれは文字通りに解釈しまして、その会期中に審議があつた議案は、閉会になつた場合は同時に審議未了で打切られて、そして後会においてはこれを継続しない。若し後会にこれを持出すならば、次の国会において採決すべきものである。こういうように議事が継続しないということを規定したものであつて、必ずしも懲罰事犯のごときものが、前の國会に起つた事犯は次の國会では問題とすべきでないというような、本質的に制限を加えた條項ではないと思うのであります。併しこの会期不継続の原則を主張する人は、懲罰事犯についてもそれが適用されるので、前の國会にあつた事件をこの國会において取上げるのは、会期不継続の原則の反するというようなことを主張する人もあるのであります。
 それからもう一つの問題は、議員の懲罰の動議は、事犯があつた日から三日以内となつておりますが、それによつて議員が動議を提出する場合の期間は明瞭に規定されておりますが、議長或いは委員長が、議長が本会議における議場において起つたこと、或いは委員長が委員会において起つた事犯について、これを提起するものについては別段の規定が定めてないのであります。從つてそういう懲罰事犯が起つたときに、議員側が動議を出す場合は、その事犯が起つてから三日以内において出さなければならないが、その外議長はその職権において出すことができる。こういうことになるのであります。こういう場合に議長が、前の國会においてあつた事柄を次の國会において委員会に付託することができるかどうかということが、この会期不継続の問題から問題になつて來るわけであります。ところがこれは、そういうように解釈しますと、例えば秘密漏洩事件というようなことは、会期中に秘密を漏洩してはならないという規定はありませんので、秘密漏洩をその議員がしたというようなことはですね。これは会期中でなく、或いは閉会中にもあり得ることであります。又次の國会において、前の國会中の秘密を漏洩しておつたということを発見することもあり得ると思います。そういうようなことがあとで分つて來る。或いは議員が派遣されて、不当の行爲があつたと、こういうことも必ずしも直ぐは分らないで、後に分つて來る。そういうことが知れるためには相当の日子を要するということが考え得られることでありまして、そういう場合にも、前の國会に秘密を漏洩したと、或いは前の國会中に派遣議員が、いろいろ懲罰事犯に当るようなことをしでかしたというようなことについて、これも後会不継続で問題にし得ないということになると、私は非常に不自然なことが起つて來ると思うのであります。私はこの後会不継続の原則ということはそういう意味では問題にならないが、ただ前國会中にあつたことを次の國会でこれを問題として取上げ得るか否かということは、むしろ私は、問題それ自身の大小軽重によつて特に取扱い方が分れるのではないかと思うのであります。例えば酒氣を帶びて入場したとか、或いは暴言を吐いたとか、或いは人をぶんなぐつたというような、極めて簡單明瞭な問題は、その國会でできるだけ処分をする。次の國会若しくはその次々の國会で、去年の國会でこういうことがあつた、人を殴つたとか、或いは酒氣を帶びて入場したというようなことを後の國会でそつくりそれを提起して問題にするというようなことになりますると、いつまでもそういう不安が消されない。又こういう場合もあり得ると思うのであります。或いは少数党のときには問題にし得なかつたが、多数党になつたときに、それを急に問題にするというようなこともあると思うのであります。反対派の議員のそういう事犯に対して、少数党のときは默つていて、いよいよ多数党になつたときにそれをやるというようなこともできると思うのであります。そういうようなことで、こうしたような暴言を吐いたとか、或いは人を殴つたとか、酒氣を帶びて入場したとかいうような簡單明瞭、直載的な事犯に対しては、これはでき得る限りその会期中に処分をして、そうしてその会期中に問題としなかつたならば、それは一種の時効にかかつたものであるというふうに考えて、後ではこれを取上げないということにすべきではないかと思うのでありますが、ただ問題は、そういうふうなことが、或いは秘密漏洩とか、或いは院外において重大な不都合があつたというようなことが後で発言した場合、若しくは人格的に重大な問題であるというようなことは、そうしてそれが議院全体の品位を傷つける、或いは議院全体の体面を汚したというような問題は、必ずしもその会期中には処分できないでも、その後の國会におきましても、そういう会期にかかわりなく、これを提起し、処罰することができる、こうあるべきものではないかと思うのであります。これが考えられるわけであります。この点につきましてはいろいろ議論がありまして、まだ結論に到達していないのであります。そういう工合で、大体懲罰権の適用範囲に関する調査としましては、さつき申しましたように懲罰対象の内容の関する問題、それから時間的な問題、場所的な問題、この三点に要約したしまして研究いたしておりまして、只今申しましたごとく大雜把でございますので、質問がありましたら、後でお答えすることにいたしまして、大体この程度で打切りまして、皆さん
のお手許におかれましても、十分御研究を願いたいと思うのであります。
#4
○委員長(藤井新一君) 何か御発言はありませんか。ちよつとお伺いします。イギリスのことをあなたは例に取りましたが、紳士としてふさわしからざる行爲ということは、それは議場以外の、英國國土、その土地を踏んでいるときを意味するのですか。その研究は……。
#5
○委員外議員(太田敏兄君) その詳しい材料はまだ手に入れておりませんが、書いたものを見ましたので、大体そういうふうに了承いたしております。それからアメリカでもイギリスでも、例えば詐欺であるとか、或いは横領であるとか、そういうことで裁判所で判決を受けて処罰された。そういうものは、日本では議員が失格するような規定がある、向うはそういうものは除名している。
#6
○委員長(藤井新一君) 彈劾裁判のごとき……。
#7
○委員外議員(太田敏兄君) 当然、その規定によつて失格するのでなしに、そういう場合は除名している。
#8
○委員長(藤井新一君) もう一度お聞きしますが、閉会中に議員が刑法上の犯罪を犯した場合は、それは次の会期において問題とすべきでありますか。
#9
○委員外議員(太田敏兄君) 日本の場合ですか。
#10
○委員長(藤井新一君) 例えばこの会期が終つて臨時國会との間の閉会中に、その間において議員が刑法上の犯罪を犯した、そういう場合には閉会中だから放りつぱなしにするというのですか。それは次の会期で懲罰として取上げて行くのですか。
#11
○委員外議員(太田敏兄君) そういうことは問題です。本会議若しくは委員会を狭義に解釈すると、閉会中という言葉から言つて問題にならない。併しそういう事柄が、そういう行爲が、議院の品位を傷付け若しくは議院の体面を汚すということになれば、当然問題として取上げるべきじやないかと思うのです。
#12
○委員長(藤井新一君) どうですか、田中さん、あなたこの問題についてどうですか。
#13
○田中耕太郎君 今懲罰委員長のお話のようなふうに僕も感じたのですが……。会期不継続の問題とはこれは全然関係のない性質のものです。会期不継続というのは、つまり法案その他実質的の審査の問題に関係するので、会期が改まれば情勢も亦いろいろ変る。政府も場合によつては変るということもあり得る。そういうような政策的な問題の決定と懲罰問題は、これは全然話は違うんじやないか、常識的に考えて現行の精神から言つてもそう言えるんじやないかというふうに僕は考えております。
#14
○新谷寅三郎君 私も田中さんと同じように考えておるのですがね。ただ懲罰事件が、例えば本國会で審議されるとしますね。それが本國会で結論に至らないで、そうして閉会になつたという場合には、やはり懲罰事犯、懲罰事件も会期不継続の原則のあの條文にかかるんじやないかと思うのですがね。とにかく國会法で行くと、非常に、審議された事案が……とあるので、その内容が決まつていないのですからね。その懲罰事件が事犯として審議された場合には、会期不継続の原則に引つかかつて來るように思うのですね。
#15
○委員長(藤井新一君) その場合に政党の、多数党の場合は乗り切れますが、少数党の場合には乗り切れんと思います。会期不継続の問題になつたときに……。
#16
○委員外議員(太田敏兄君) 今の問題は、私はお説の通りと思うのですが、議案はやはり閉会と同時に審議未了になつてしまいます。それを又後会へ出すならば、又改めて後会へ問題を提起するということになりますね。
#17
○田中耕太郎君 只今の議案は処理の問題については、やはり会期が改まれば、改めて提出し直すというふうに考える新谷説は僕は正しいんじやないかと思うのです。併しその場合に、前に起つたことだから、これはもう時効によつて消減しておるんだというふうな、そういうふうなことは言えないんじやないかという意味です。
#18
○委員外議員(太田敏兄君) 時間的の問題は、これは研究問題的にお話したのでありますが、今の人を殴つた、酒氣を帯びたというようなことは、実は今から三回前の國会で、奴を醉拂つて殴つてやつたというようなことを、今國会で取上げるのは本当はどうかと思うのですがね。そういう問題は、その会期中議員が動議を出さず、或いは議長も委員会に付託しなかつたら、一應時効にかかつたものとして、時効の生じたものといたしまして、これは民法でも刑法でも時効の問題は、或いは短い一年くらいのもある、五年くらいのもある、十年くらいのもあるが、懲罰事犯についてはその会期で問題にならなかつたら、それは一應時効にかかつたものとみなすというようなものもあり、それから併し懲罰事犯の内容によつては、必ずしもその國会中に提起しないでも、次の國会でも問題にし得るというように、懲罰事犯についても一種の時効の問題を考えてよいんじやないかと思うのです。
#19
○田中耕太郎君 懲罰委員長の御意見極めて常識的で妥当であると思うのですが、ただそれを規定の上に現わすということは、非常に煩瑣になつて困難じやないかと思う。この場合にはやはり公平な常識、そういうような判断で以て、そういうものは取上げないという慣習で行くのですね。
#20
○委員外議員(太田敏兄君) 慣習でね……。
#21
○田中耕太郎君 ええ、だから取計らいで処理したらよいじやないかと思うのです。
#22
○委員外議員(太田敏兄君) もう一つ今度は議員の動議の提出権ですが、これが前の衆議院の参議院の取扱いのように、本会議若しくは委員会におけるというような、非常に場所的に制限して考えた場合には、議場でどうしたとか、委員会でこうしたということが、議員、若しくは委員の目の前でできた場合には、それから三日以内に動議を出さなければ、それはもう不問に附したものとするというように解釈できるから、そういうふうに非常に場所的に狭く考えておつた場合に、若しそういうふうに狭く解釈すべきものとすれば、議員の動議提出の期限は三日以内でよいのですが、これを場所的に、ハウスの中でなしに、或いは出張議員が、派遣議員が、東北若しくは九州で起した事犯であるとか、或いは出張先でなくても議員としてふさわしからんような行爲をしたという場合には、事犯後三日目というようなことになると、それ以後に大抵議員の耳に入る、委員長の耳に入るということが多いので、委員、若しくは議員は事犯として動議に付することができんということになりますし、そうするとその場合に議長が職権を以つて委員会に付託するならなんですけれでも、そうでないと議員は少しも論議することができない、併し議長は付託することができる、そうすると議長の責任が非常に大きくなつて來る。それから懲罰委員会でも議長から付託されれば審議するが、議長から付託されないものは取上げることができないというような建前から行くとすれば、議長の責任というもうは非常に大きくなり、それに対して議員は何らの発言をすることもできないということになるので、從つて場所的にも或いは時間的にも廣く事犯を考えるということになれば、三日以内に動議という三日というものがあつて、そうしてこれも今の直接的な行動である、殴つたとかどうとかいうような問題は三日以内に大体提起することだが、事苟しくも重大な問題については、それは必ずしもそういう期間の制限を置かないで、議員からも動議が提出し得るというふうにならなくてはいかんと思うのですが、私はそういうふうな手続上の條文が手に入つておりませんからよく分りませんけれども、外國のこういう書いたものを見ましても、そういう重大な問題は必ずしも三日間というような期限でなしに、そういう重大なものについては、いつでも提起できるというふうになつているのではないかと思うのですが、この問題は手続法を取り寄せまして、どこか探して見れば分ると思うのであります。
#23
○田中耕太君 私も今懲罰委員長のお考えのような方向は非常に結構だと思うのですが、それには新たな制度の改正について考慮して頂きたいと、私個人的に思うのです。こういう点は問題になりませんか、英國式のさつきの問題について学ぶべきこと、英國で紳士たるべき品位を傷つけた場合には、三分の二以下で除名し得る。現在日本の制度を作つて行く場合において、議員としての行動、その資格で以て行動している場合と、そうでない全然議員としての行動に関係のない一般國民としてやつた行動というものを区別して考えるべきかどうか、例えば出張先で調査中に不正なことだとか、或いは品位を傷つけるようなことがあつた場合、一般の私生活上の全く議員としての活動に関係がない場合、つまり職務の執行に関してやつた場合と、関しない場合というようなことを区別すべきかどうかという問題が、ここにありはしないかと思うのですが。
#24
○委員外議員(太田敏兄君) 多少は考え方に区別があるでしようね。
#25
○田中耕太郎君 その段階を考えるかどうか。英國式にゼントルマン・ライク……ということになれば、これは両方共包括してしまつて簡單明瞭ですね。
#26
○委員外議員(太田敏兄君) 英國あたりでは一般の刑事問題になり、裁判所が有罪の判決を行なつた場合、そういうものは議院の品位を傷つけたというので除名処分に付しますね。議員としての処罰も加えるのですね。そういう場合があるし、又同時に裁判所では有罪になつて、判決を受けて処罰されたが、議院としては何らそれに対して処置を加えないという場合もあるし、裁判所では無罪の判決を受けたけれども、その場合でもやはり議院としてそれに対して処罰を行なつたという場合もありますね。やはり議院という観点から見て処罰する、ただ今の出張先における行動も、やはり言葉から起ることであつても、或ることが議院の内部であつたら些細なことでも問題になるが、向うでやれば多少扱い方が違うでしようから、その点を常識的に……。
#27
○田中耕太郎君 議員としての品位を害するような行爲があつたならば、例えば委員会においてなされた行爲と雖も、そして議員としての職責を遂行するに当つてなされた行爲でなくとも取上げることができるというふうなことになれば國会議員の品位を守るのに万全ではないか。
#28
○委員長(藤井新一君) 同感ですね。私は閉会中と雖もやつた議員はやはり次の会期に罰するということもいいと思いますがね。大野君どうですか。
#29
○大野幸一君 私は懲罰委員会の結論に賛成しましたから……。
#30
○田中耕太郎君 今の起訴猶予ですね、形式的には取上げなくても、こちらとしては議院ということの品位の問題として取上げるというふうにしたいと思う。
#31
○委員長(藤井新一君) 私は田中君と同じ意見ですね。
#32
○委員外議員(太田敏兄君) 実はこういう調査を始めましたのは、実際問題としていろいろの問題がありましても、議員としてはその事犯があつてから三日を経過した後に問題となつたのだから、議員としては動議を提出しない。そうすれば議長は職権を以て付託し、我々はそれを審議する。そういう問題は殴つたとか何とかいう問題と違つて、議院の品位を傷つけることか、体面を汚すとかいう問題になりますと、それを議長が職権を以て委員会に付託するというふうになりますと、その結果は直ちに除名というような処分になる。そうするとこれは非常に重大問題で、それを議長が職権を以てなにするということもちよつとしかねる。ところで先程申上げましたような内容の問題、或いは時間的罰則によつて、いろいろの個々の議論があるとしますと、議論があるとして……、そこでこういう調査をして、一つのこういう場合はこうこうあるべきものだという基準ができますれば、それを、こういうことを法規委員会の方でお決め願つて、條交の改正をされる場合もありましようい、或いは條文の改正まで行かんでも一つの内部紀律として一つの基準ができれば、その基準によつてその基準を議院として承認して、そうしてその基準によつて今後措置して行こうということになれば誠にいいと思いますが、何らかの基準を決めませんと、議論がいろいろあるので、そういうわけで、一定の一つの基準を決められれば決めようじやないかということから、こういうことが始まつたのでありまだす。
#33
○新谷寅三郎君 それから勧告を出された場合に今まで勧告を何遍されても一向勧告の効果が現われない、つまり採用されないのが大部分で殆んど見て呉れない人もあるじやないか、折角ここで研究して勧告を出された以上成べく実行して貰いたいと思う、それには委員長なり代理者が関係の常任委員会へ行つてその趣旨を十分説明して、成るべくこの勧告の趣旨に副うようにやはりこの委員会としても努力した方がいいと思うのです。前の勧告もありますけれども、これは委員長の方で適当に常任委員会への連絡についてお考を願いたい。
#34
○委員長(藤井新一君) 了承いたしました。次回は金曜日の午後一時に開きますが、その折に國会議員の任期、選挙期日に関する件を議題といたしまして審議いたします。本日はこれにて散会いたします。
   午後零時五分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     藤井 新一君
   理事
           新谷寅三郎君
   委員
           大野 幸一君
           田中耕太郎君
           松村眞一郎君
  委員外議員
   懲罰委員長   太田 敏兄君
ソース: 国立国会図書館
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