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#1
第061回国会 予算委員会第三分科会 第3号
昭和四十四年二月二十六日(水曜日)
    午前十時開議
 出席分科員
   主査 赤澤 正道君
      竹内 黎一君    中野 四郎君
      八木 徹雄君    大原  亨君
      佐野  進君    只松 祐治君
      中村 重光君    武藤 山治君
      八木 一男君    山内  広君
      渡辺 芳男君    伏木 和雄君
   兼務 板川 正吾君 兼務 久保 三郎君
   兼務 広沢 賢一君 兼務 堀  昌雄君
   兼務 山下 榮二君 兼務 岡本 富夫君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 斎藤  昇君
        労 働 大 臣 原 健三郎君
        自 治 大 臣 野田 武夫君
 出席政府委員
        警察庁長官官房
        会計課長    渡部 正郎君
        警察庁交通局長 鈴木 光一君
        大蔵省主計局次
        長       船後 正道君
        厚生政務次官  粟山 ひで君
        厚生大臣官房長 戸澤 政方君
        厚生大臣官房会
        計課長     横田 陽吉君
        厚生省公衆衛生
        局長      村中 俊明君
        厚生省環境衛生
        局長      金光 克己君
        厚生省医務局長 松尾 正雄君
        厚生省薬務局長 坂元貞一郎君
        厚生省社会局長 今村  譲君
        厚生省児童家庭
        局長      渥美 節夫君
        厚生省保険局長 梅本 純正君
        厚生省年金局長 伊部 英男君
        労働政務次官  小山 省二君
        労働大臣官房長 岡部 實夫君
        労働大臣官房会
        計課長     藤繩 正勝君
        労働省労政局長 松永 正男君
        労働省労働基準
        局長      和田 勝美君
        労働省婦人少年
        局長      高橋 展子君
        労働省職業安定
        局長      村上 茂利君
        労働省職業訓練
        局長      石黒 拓爾君
        自治政務次官  砂田 重民君
        自治大臣官房長 宮澤  弘君
        自治大臣官房会
        計課長     鈴木  博君
        自治省行政局長 長野 士郎君
        自治省財政局長 細郷 道一君
        自治省税務局長 松島 五郎君
 分科員外の出席者
        大蔵省主計局主
        計官      辻  敬一君
        厚生大臣官房統
        計調査部長   浦田 純一君
        厚生省環境衛生
        局公害部公害課
        長       橋本 道夫君
    ―――――――――――――
二月二十六日
 分科員阪上安太郎君、山内広君及び伏木和雄君
 委員辞任につき、その補欠として八木一男君、
 佐野進君及び小川新一郎君が委員長の指名で分
 科員に選任された。
同日
 分科員佐野進君、八木一男君及び小川新一郎君
 委員辞任につき、その補欠として中村重光君、
 阪上安太郎君及び近江巳記夫君が委員長の指名
 で分科員に選任された。
同日
 分科員中村重光君及び近江巳記夫君委員辞任に
 つき、その補欠として只松祐治君及び伏木和雄
 君が委員長の指名で分科員に選任された。
同日
 分科員只松祐治君委員辞任につき、その補欠と
 して武藤山治君が委員長の指名で分科員に選任
 された。
同日
 分科員武藤山治君委員辞任につき、その補欠と
 して渡辺芳男君が委員長の指名で分科員に選任
 された。
同日
 分科員渡辺芳男君委員辞任につき、その補欠と
 して山内広君が委員長の指名で分科員に選任さ
 れた。
同日
 第二分科員広沢賢一君、山下榮二君、第四分科
 員板川正吾君、第五分科員久保三郎君、堀昌雄
 君及び岡本富夫君が本分科兼務となった。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和四十四年度一般会計予算中、厚生省、労働
 省及び自治省所管
 昭和四十四年度特別会計予算中、厚生省、労働
 省及び自治省所管
     ――――◇―――――
#2
○赤澤主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。
 昭和四十四年度一般会計予算及び昭和四十四年度特別会計予算中、厚生省、労働省及び自治省所管を一括して議題といたします。
 厚生省及び労働省所管につきましては、すでに説明を聴取いたしておりますので、この際自治省所管について説明を聴取いたします。野田自治大臣。
#3
○野田国務大臣 昭和四十四年度の自治省関係歳入歳出予算につきまして、概要を御説明申し上げます。
 第一に、一般会計予算でありますが、昭和四十四年度の一般会計予算は、歳入二千五百万円、歳出一兆三千八百三億六千七百万円であります。
 歳出予算額は、前年度の当初予算額一兆一千三百八十六億六千九百万円と比較し、二千四百十六億九千八百万円を増額して計上しております。
 また、この歳出予算額の組織別の額を申し上げますと、自治本省一兆三千七百八十一億六千八百万円、消防庁二十一億九千九百万円となっております。
 以下この歳出予算額のうち、おもな事項につきまして、内容の御説明を申し上げます。
 最初に自治本省につきまして、御説明を申し上げます。
 まず、地方交付税交付金財源の繰り入れに必要な経費でありますが、一兆三千三百三十三億三千九百万円を計上いたしております。
 この経費は、昭和四十四年度の所得税、法人税及び酒税の収入見込み額のそれぞれ百分の三十二に相当する金額の合算額と、昭和四十二年度の地方交付税に相当する金額のうちの未繰り入れの額と、昭和四十三年度の特例措置に伴う加算額との合計額から、昭和四十四年度の特例措置を講ずることによる減額分六百九十億円を減じた額に相当する金額を、交付税及び譲与税配付金特別会計へ繰り入れるために必要な経費であります。
 次に、特別事業債償還交付金財源の繰り入れに必要な経費百三億円を計上いたしております。
 これは、公共事業費等特定の事業費の財源に充てるため、昭和四十一年度において特別に発行を許可された地方債の昭和四十四年度分の元利償還金のうち、交付団体にかかる元利償還金に相当する金額を、特別事業債償還交付金財源として、交付税及び譲与税配付金特別会計へ繰り入れるために必要な経費であります。
 次に、選挙に関する常時啓発に必要な経費でありますが、五億一千万円となっております。
 この経費は、選挙が明るく正しく行なわれるよう、常時、選挙人の政治常識の向上をはかるための啓発に必要な経費であります。
 次に、広域市町村圏の振興整備の促進に必要な経費八千万円を計上いたしておりますが、これは、広域市町村圏の振興整備を促進するため、その計画策定に要する経費について補助するために必要な経費であります。
 次に、奄美群島振興事業に必要な経費でありますが、その額は、十八億九千百万円であります。
 この経費は、奄美群島における主要産業の振興、公共土木施設の整備等の振興事業に要する経費等について補助するために必要な経費及び奄美群島振興信用基金の融資資金の増加に充てる出資をするために必要な経費であります。
 次に、小笠原諸島復興事業に必要な経費六億二千五百万円を計上いたしております。
 この経費は、小笠原諸島の復帰に伴いまして、同島の復興をはかるため、公共土木施設の整備等の復興事業に要する経費等について補助するために必要な経費であります。
 次に、国有提供施設等所在市町村助成交付金に必要な経費につきましては、二十六億円を計上いたしております。
 これは、いわゆる基地交付金として交付するものでありますが、米軍及び自衛隊が使用する国有提供施設等の所在する都及び市町村に対しまして助成交付金を交付するために必要な経費であります。
 次に、交通安全対策特別交付金に必要な経費でありますが、百十七億三千六百万円となっております。
 これは、交通安全対策の一環として、反則金にかかる収入額に相当する金額を、道路交通安全施設の設置に要する費用に充てるため、都道府県及び市町村に対し、特別交付金として交付するために必要な経費であります。
 次に、小災害地方債の元利補給に必要な経費につきましては、二十億三百万円を計上いたしております。
 この経費は、昭和三十四年及び昭和三十六年以降昭和四十三年までに発生した公共土木施設及び農地等の小災害にかかる地方債に対する昭和四十四年度分の元利償還金に相当する金額の全部または一部を、当該地方公共団体に交付するために必要な経費であります。
 次に、市町村民税臨時減税補てん債の元利補給に必要な経費につきましては、百十一億一千五百万円を計上いたしております。
 これは、市町村民税の課税方式の統一等に伴う市町村民税の減収を補てんするため、昭和三十九年度以降昭和四十三年度までの各年度に起こした地方債及び昭和四十四年度に新たに起こす地方債につきまして、昭和四十四年度分の元利償還金の三分の二に相当する金額を、関係市町村に交付するために必要な経費であります。
 次に、新産業都市等建設事業債調整分の利子補給に必要な経費十一億九千万円を計上いたしております。
 この経費は、新産業都市、工業整備特別地域等の建設、整備の促進をはかるため、建設事業債の特別調整分について、利子補給金を交付するために必要な経費であります。
 次に、地方公営企業再建債の利子補給に必要な経費につきましては、十七億一千二百万円を計上いたしております。
 これは、地方公営企業の財政再建を促進するため、再建企業を経営する地方公共団体が起こす財政再建債について、利子補給金を交付するために必要な経費であります。
 次に、公営企業金融公庫の補給金に必要な経費でありますが、一億六千九百万円となっております。
 これは、公営企業金融公庫の水道事業及び下水道事業に対する貸し付け利率の引き下げに関連し、同公庫に対し補給金を交付するために必要な経費であります。
 なお、公営企業金融公庫につきましては、同公庫に対する出資金を増額するための経費二億円が、別に、大蔵省所管産業投資特別会計に計上されております。
 以上が、自治本省についてでありますが、次に、消防庁につきまして、御説明を申し上げます。
 まず、消防施設等整備費補助に必要な経費でありますが、十六億二千八百万円を計上いたしております。
 これは、消防ポンプ自動車、小型動力ポンプ、防火水槽等の消防施設、化学車、はしご車、消防艇等の科学消防施設、救急業務施設、防災施設等の整備に要する経費の一部を、地方公共団体に対し補助するために必要な経費であります。
 次に、防空に従事して死傷した警防団員の遺族等に対する特別支出金に必要な経費一億五百万円を計上いたしております。
 この経費は、戦時中旧防空法に基づき防空に従事した警防団員のうち、防空に従事したことにより死傷した者の遺族等で、旧防空従事者扶助令に基づく扶助金の支給を受けることができなかった者に対しまして、特別支出金を支給するために必要な経費であります。
 第二に、特別会計予算につきまして、御説明を申し上げます。
 自治省関係の特別会計といたしましては、大蔵省及び自治省所管交付税及び譲与税配付金特別会計がありますが、この特別会計の昭和四十四年度の歳入歳出予定額は、歳入一兆四千五百十七億一千百万円、歳出一兆四千五百十七億一千百万円となっております。
 歳入は、地方交付税交付金、特別事業債償還交付金等の財源に充てるための一般会計からの受け入れ見込み額、地方道路税の収入見込み額、石油ガス税収入見込み額の二分の一に相当する額、特別とん税の収入見込み額、借り入れ金の借り入れ見込み額及び前年度の決算上の剰余金見込み額等を計上いたしております。
 歳出は、地方交付税交付金、特別事業債償還交付金、地方譲与税譲与金及び借り入れ金の償還財源等の国債整理基金特別会計への繰り入れ等に必要な経費であります。
 以上、昭和四十四年度の自治省関係の一般会計予算及び特別会計予算の概要を御説明申し上げました。
 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
#4
○赤澤主査 これにて説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#5
○赤澤主査 この際、分科員各位に申し上げます。質疑の持ち時間は一人三十分程度におとどめ願うことになっておりますので、御協力をお願いいたします。なお、政府当局におかれましても、答弁は簡単明瞭にお願いいたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。八木一男君。
#6
○八木(一)分科員 厚生大臣の時間があるようでございますから、最初厚生大臣から御質問を申し上げます。
 先般、予算委員会の一般質問で、内閣総理大臣はじめ厚生大臣を含む各大臣に御質問を申し上げた。そのときに、厚生大臣がいままでのやり方について重大な反省をされて、強い決意を持って進まれなければならないという点について指摘を申し上げたわけであります。
 まず第一に、国の予算を編成する際に大蔵省が、第一次予算要求を各省なべて二五%以上になってもらったら困る、それ以下に各省でやってくれということの方法がとられているけれども、これであれば、たとえば厚生省のように、すべてのものが、医療保障にしても、所得保障にしても、あるいは障害者対策にしても、公害対策にしても、ありとあらゆるものが、非常に資金を要し、新しく大きく発足しなければならない省では、自分みずからがそれに制約されてしまって、政治全体のアクセントがそこに消え去ってしまう、そういうことが非常に不当だということについて申し上げました。大蔵大臣はそれについてはいささか反省の意を見せておられたようでございますが、いままでやってきた、踏襲した問題について、ややそれを踏襲していきたいような反省が足りない態度をとっておられたわけであります。予算を要求する各省としては、特に重大な問題をかかえている厚生省としては、そのようないまの間違った閣議決定の方法を改めて、ほんとうの国の予算のアクセントが出るように、そのアクセントの中の大事な社会保障が伸びるように、強い決意を持って当たっていかなければならないわけでございます。あそこでは、次の閣議において、このような誤った方法をとるごとについて、職を賭してそれを改める努力をされたいということを申し上げたわけであります。それについての厚生大臣のその後の決意、その後どのように対処されたか、簡単明瞭にひとつ伺っておきたい。
#7
○斎藤国務大臣 先般、予算委員会における八木先生の御質問を伺っておりまして、私は、厚生省として来年度たとえば二五%というような線が出てきた場合に、それでは厚生行政はやっていけない、こういうことであれば、私は特別に留保をいたし、ここまではどうしても認めてもらわなければやっていけないという事情を話をして、そしてそういう特別の例外を認めてもらわなければならない、こう決心を私はいたしておるわけであります。いろいろ来年度やらなければならぬということを考えますと、社会保障制度審議会の御意見もございますし、そうでない今日の現状から考えましても、ある一定のワクでおさめろといっても、それで無理だという場合には、いまおっしゃるように、職を賭してといえば大げさでありますけれども、必ずそういう考えで善処をいたしたい、そしてまたそれが総理も大蔵大臣も聞いてもらえる、かように思っております。
#8
○八木(一)分科員 厚生大臣はその点について、半分ほど理解して半分ほど決心されたようであります。予算委員会で申し上げたのは、次の閣議で、厚生大臣や、またあとで御質問申し上げますが、労働大臣や自治大臣や、あらゆる大臣が、大蔵大臣のやり方、大蔵省のやり方が、主計局がこの作業がやりやすいということだけの理由のために国政のアクセントを消されることについて、そのようなことがあってはならないというので、次の会議で問題を提起をしてそのような方針をいまから改めるということを要請をしたわけであります。そのことを、次の予算委員会でどのようにやったかということを御答弁願ってというような要請をしたわけであります。予算委員会にはまた総括質問があります。同僚がその質問をいたします。それまでに、厚生大臣なり、またあとで労働大臣、自治大臣に伺いますけれども、そのような努力がどのようにされたかということを、時間がありませんから各省に伺いに参ります。そのような努力が足りなければ、いまの御答弁もほんとうに性根が入っていないということで、総括質問のときに、徹底的に、国務大臣としての適性を持っておられるかどうか、そういうことについて追及してもらうことに決心をいたしております。その点で、そうではなしに、厚生大臣はよくやられたというようなことを短時日にぜひやっていただきたいと思う。
 次に、いま厚生省の諸法案が、社会保障制度審議会や、その前の専門審議会であります社会保険審議会なり、あるいは国民年金審議会なり、公害の関係の審議会なり、そういうところで審議をされております。そのような審議会の審議について、政府がたたき台としての原案を出されたものを、そこでこのようにすべきであるという意見が出たら、そのとおり直して、それから政府案を確定をして国会に提出されなければ、これは審議会というものが有効に尊重されておらないし、有効に活用されておらないということになろうと思う。審議会の中には問題があり、また政府には予算の総額がきまっている制約もございまするから、たとえばその中で、将来の大きな展望を示す意味のものもあるでございましょうけれども、直ちにことしからこのようにしなければならないというような具体的な御意見も出てくることがあろうと思う。少なくともその具体的な御意見については、それを直して、そして提出をする。そこにいささかのいろいろの抵抗があっても、これはその主管大臣が、これはそういうように直すのだというほんとうの決意を持って押し切って、閣法をそれで制定して出していく、そういうことが必要だろうと思います。それについてほんとうの決意を持っておられるかどうか。この前社会保障制度審議会で私は斎藤さんにそのことを伺いました。斎藤さんはそのことについて前向きの決意を示されましたけれども、制度審議会に示されるのでなしに、国会を通じて国民に、そのような審議会において十分の審議をした以上、それを尊重して政府の案の不十分なところを十分にして出すのだ、そのようなことをひとつ表明をしていただきたいと思う。
#9
○斎藤国務大臣 御意見の次第もごもっともと思いますが、いまも御意見の中にありましたように、今後の厚生行政のあり方、あるいはこういう事柄についてはどういうようにやっていったらいいかというような諮問に対する答申は、できるだけ政府の実情に合わせてそれを実現をしてまいりたい、これはそのとおりに思っております。ただいま御諮問申し上げております諸案件は、平常からの御意見も伺いながら、同時に政府のやり方として、予算できまったものをこういうように実現をいたしたいということで、これはたたき台ではなしにほんとうの具体案として御諮問を申し上げておるわけでございまするので、したがって、一般的な事項に対する御答申あるいは御意見、これはもうできるだけ最善の努力をもって前向きに実施をするように努力をいたしてまいりたいと思いまするし、また具体的な問題で、この国会でこういたしたいと思いますがいかがでございましょうという御諮問案に対しましては、できるだけひとつ諸般の情勢を御判断いただいて、そうして御答申をいただきたいと思っておるわけでございますが、その御答申の結果、これはどうしてもなるほどと思えば、やはり御答申に従いたいと思います。しかし、私らといたしましては、国会に提案をするという直前になった諮問の場合には、いろいろの条件もございますので、すべてそのとおり従うと申し上げたいのでありますが、私はうそは言いたくありませんので、できるだけ尊重はいたしたいという気持ちには変わりはございません。変わりはございませんが、御答申をいただいて、その結果、そういうような考え方で考慮をさしていただいて、そうして提案の本物にいたしたい、こう考えております。
#10
○八木(一)分科員 かなり誠意をもってお答えになったと思うのです。正直なのはけっこうであります。斎藤さんは正直な政治家でおられるので、その点は信頼をいたしたいと思います。しかし正直より以上に、法律に従う、憲法に従うということが大事であります。憲法に従わないで、法律に従わないで、その従わない気持ちが正直と言われては、それは政治家としては許されないことです。それは十分斎藤さん御存じであります。社会保障制度審議会設置法の第二条、いま、これは時間があって追及すれば、先生は御存じないと思う。そこをよくお読みになってください。政府案が確定をして、それから社会保障制度審議会に諮問を求めるのでは、これは法律違反であります。企画と立法と行政の運営の大綱についてはあらかじめはからなければならない。それを確定してはかることでは、社会保障制度審議会設置法第二条の完全な違反です。国会でしばしば問題になって、そのようなことをやらなかっために、制度審議会でその法律が二カ月延びたこともあるんです。政府案が確定して、動かせないとして、どんないい意見があっても、動かせないからごかんべん願いたいということは、これは通用しない。それから、制度審議会の答申があって、それを直した例は五、六年前に何回もあります。ところが、それから後の内閣なり後の大臣が、それを十二分把握していない。そういういい習慣が悪い習慣のほうに変わりつつある。ですから、今度社会保障制度審議会の答申で――あそこは政府の各省次官もおられます。それからまた、非常にものわかりがよ過ぎる人がおられます。政府は困るだろうというようなことばっかりやる人がおります。ですから、それほどびっくりぎょうてんするものは出ません。大綱の方法と、いまこれなら直せるというものを分けて出すことがある。いまこれなら直せるという方法は、斎藤さんが法律に基づいて決心をされればできる方法です。そういうことについては、少なくとも完全に手直しをして政府案を出す、そういうことをしていただかなければ、斎藤さんの、法律を尊重しない精神、それについて追及をして、これは国務大臣としての資格について徹底的に追及していかなければならない。斎藤さんはそういう方ではないと思う。そのような意味でいま半分ほど誠意を示されました。完全な誠意を示されるかどうか、次の質問の時間がありますから、一分間、一秒間でひとつお答えになってください。
#11
○斎藤国務大臣 まだ、いま御諮問申し上げておるものは、政府案として確定はいたしておりません。決定はいたしておりません。したがいまして、先ほど申しますように、審議会の法律に従って、できるだけ御答申を尊重はいたしたいと思っております。
#12
○赤澤主査 厚生大臣は……。
#13
○八木(一)分科員 非常に残念ですけれども、三十分に――ちょっと、待ってください。さっき斎藤さんにお会いしてからで、二十七分までやります。それから走っていってください。
 それで、いろんな問題を申し上げなければならないけれども、この前、予算委員会の一般質問で私の申し上げた、一つだけしか例をあげなかったけれども、これは聞いておられたからわかると思うので、その例をひとつ。その例の点だけで言いますが、たとえば、零歳で、十歳で、十八歳で完全な視力障害、全盲になった人と、二十一歳か二十二歳で全盲になった人とどちらが気の毒かという問題は、前のころから全盲になった人が気の毒であることは明らかであろうと思う。その人たちの状態に対して所得保障をするときに、いまの国民年金法では、二十歳をこえた後一年間保険料を払った後の障害については、金額の多い、所得制限のない、条件のいい障害年金が給付をされる。ところが、その前にこのような障害になった人は、どんなに年金を望んでも、年金制度に協力を誓っても、障害福祉年金という、はるかに金額が少なくて所得制限のある、そういうものしかもらえない。こういうことは社会保障の理念からしてはなはだ間違いであるということは、再三申し上げて御存じだと思う。それについて、厚生省が要求して大蔵省がけったのでしたら大蔵省のやり方について徹底的にやらなければならないが、厚生省自体が予算要求をしていない、そういうことについて強い反省をされなければなりませんし、そのような大きな失敗をなさったので、この問題については、たとえば制度審議会の意向がついたならば、また、そうでなくとも衆議院、参議院の附帯決議についているのですから、いまからでも改心をなさって、その問題を入れるように、そのように努力なさらなければならないと思う。こういう問題がたくさんありますけれども、時間がないからあれですが、その点について、前向きの努力をされるかどうか。されないならば、これは、そのような社会保障を重視されないとして、私は、予算委員会の総括で大原君がやりますから、この問題で徹底的に追及してもらいますけれども、ぜひ前向きに取っ組んででも、いまから最大の努力をして、これは予算措置を――たとえば予算をいじくらないで来年からやるという方法だってある。法律の修正だってある。そういうことについてあらん限りの努力をされるかいなか、それについてひとつ前向きの答弁を明快に願いたいと思う。
#14
○斎藤国務大臣 先般も予算委員会で御質問がございまして、総理に対する御質問でございましたが、私も一応御意見ごもっとものように思いまするので、よく検討をいたしまして善処をいたしたいと思っております。
#15
○赤澤主査 厚生大臣、御退席を願ってけっこうです。
#16
○八木(一)分科員 自治大臣、労働大臣、お待たせをして済みませんでした。
 いま厚生大臣に申し上げたことは、両大臣にも共通のことでございます。特に、予算のワクの問題について、労働省としては、労働といういまの時代に最も対処をしなければならないことが多い、そういう省を原さんは所管をされている。福祉という問題については一般的にやられていますけれども、労働者自体の、働いている、国をしょっていられる人の福祉というものが、ほとんどいままで取り上げられておられないというような問題があります。また、今度失業保険法の改正案が用意されておるようでございますが、それについても不十分な点がたくさんあるというような点であります。そういうことも勘案をされて――それが一般的な予算に制約をされる部分が非常に多い。失業保険は独立会計で、一般会計予算に要求することをなまけて、失業保険自体に金が足りないということで、よけいなことを考えて、小さなワクの中で失業保険を縮めようというような計画をされているようでありますが、これは一般会計に堂々と要求されれば、そんなことを心配されることは少しもない。――黒字のことはわかっておりますよ。そういうことの御説明はいいです。そういうことで、いまさっき厚生大臣に申し上げたような、こういう大切な省を預かっておられる主管大臣として、二五%の予算のワクという問題について、大蔵省が、自分が作業がやりやすいというだけのため、主計局がやりやすいというようなサボタージュ的な考えのために、ほかの省を預かっておられる方々を苦しませ、そうしてそこで前向きの政策のアクセントを消そうというようなことについて、それに対して反対の決意を持たれて、いま厚生大臣に申し上げたように、至急にそのような予算編成のやり方の間違いを閣議で改めていただきたいと思う。それについて労働大臣の前向きの御見解を伺っておきたい。
#17
○原国務大臣 労働行政についていま八木先生から、非常に御理解のある、また激励のことばをいただき、まことにありがたく存ずる次第であります。
 大蔵省から二五%というような指示があったというお話でございますが、私どもといたしましては、これは一律一体に二五%以下というようなことはあまり好ましくないので、たとえば社会保障とか、労働行政でも社会保障的な色彩を持ったものというものに、もうちょっと弾力性を持たしてもらったほうが好ましいと私は思います。ものによりけりでありまして、大いに縮減していいものは縮減する。必要なものは伸ばしてもらう。どれが必要か、どれが必要でないか、こういうことは判断はむずかしいのですが、少なくともいまの時代においては、国民大衆が生活を維持していける、福祉の向上をやっていけるような政策が一番大事であると思いますので、お説には賛成でございまして、大いに前向きで善処いたしたい、こう思っております。
#18
○八木(一)分科員 自治大臣と両方に同じ御質問を重ねてしませんので、自治大臣にいまの続きで伺いたいと思いますが、いまと同じことを自治大臣に御質問をして御答弁をいただきたいわけでございますが、なおよく説明しますと、予算の総ワクに入れなければならないということは、私も大事なことだと思っているわけです。ですから、それは全部各省が二五%にとらわれずに、必要だと思う予算要求をなさって、それを大蔵省で全部出そろったところで、どれが緊急に必要であるか、どれがより国民のために必要であるかということで、予算の総ワクにおさめられることは必要だろうと思う。それを頭から押えると、大事なものをかかえている省は、自縄自縛、自分のところでつぶさなければならない。大事なものを持ってない、予算に関係ない――ほかについては大事であっても、予算に関係してはあまり大事なことを持ってない省は、一つも制約を受けないで伸びるということになって、国政の大事なアクセントが消えるということをこの前も申し上げたわけであります。労働大臣がお答えになりましたけれども、自治大臣もひとつ、あらゆる予算で査定をされて迷惑をこうむっておられる省の代表として、特に自治省は、地方自治体が住民に直結した大事なことをやろうとするときに、そのもとのことをやっておられて、直接でないけれども間接に非常に大事なことを持っておられる省でございますから、そういうことについて、原大臣やあるいは斎藤大臣と一緒に閣議で至急取り上げられて、そのあやまった予算編成方針を改められるという決意をひとつお伺いしておきたいと思います。
#19
○野田国務大臣 予算編成のやり方、制度は、いまお示しになったように、前から非常に批判されております。どうしても必要なものということであっても、やはりいまのお話しのとおり、やむを得なく圧縮されるという場合がよくあります。これはただ単に、先ほどお話がございましたが、大蔵省の主計局の方針とかなんとかは別として、私は基本的には予算編成の制度にもあると思っております。これは今後の最も妥当な正しい政治のあり方から申しますと、やはり制度問題も十分考えなければいかぬ。私はいま八木さんのお話はよくわかります。今後これらにつきましても、少なくとも最も国民の納得のいく、大事な問題というものについての取り扱いを、やはり政府にある者としては当然考えていかなければならない。それに基本的な問題もございますから、すぐきょうあすそれが実現するかどうかということは多少私も疑問に思います。これは八木先生も御承知のとおり、予算編成のやり方と申しますか、非常に議論された問題でありまして、私は当然考えなければならぬ問題であると思います。私も大体御意見のように感じております。
#20
○八木(一)分科員 いま両大臣の御意見、前向きな答弁だと思います。私の性格としては、もっとかっちりと申し上げてかっちりと御答弁をいただかないと満足しないのですが、時間に制約されて残念です。前向きのことでやや満足しながら、なお、たとえば次の閣議で三人そろって提起されるというような決意がほしいわけであります。それはひとつお願いをしておきます。各大臣の御努力のほどを私伺わしていただいて、総括でさらに大原さんに詰めていただくかどうか、詰めなくても政府がやっていただけるという信頼を置けるかどうか、ぜひ前向きなあれで……。
 予算の編成方針なり予算の問題全体については、ほかにもたくさんございます。たとえば与党の方が予算編成のときにいろいろと相談にあずかられるということは間違いであろうと思う。役所で要求されて役所で査定されて、その予算案が早く出てきて、関係法案が同時に提出されて、関係法案と予算案が審議された段階において、関係法案でこれはやり過ぎだ、これは少ないというようなことが論議された後、それに従って予算修正が国会で行なわれなければならない。与党の有力な、有能な方がおられるのに、前にちょっとだけ予算編成に関連したから、予算の変更に関しては一切与党の有力な議員が発言できないというようなことは、国会自体の首つり行為であります。
 そういうようなことがありますけれども、この短い時間では残念でございますから、後刻機会を得て内閣総理大臣を相手にして、そういう問題については討議をいたしたいと思いますが、そういうことについても、野田さん、原さんは非常に御定見をお持ちでございますから、討議をしなくてもそういうことが直るように、ひとつ閣内において、また与党内の有力な議員としてやっていただきたいと思います。主査の先生にも、そういう大事なことが予算委員会で、時間制約とか各党割り当てなんということでなくて、十二分に討議をされる場を持っていただくように、ひとつお願いしておきたいと思います。
 次に具体的な問題に、労働省、自治省、ちょっとずつ入ります。
 労働省の今度の問題で、失業保険の改正案あるいはまたその他の法案がございます。時間がありませんが、失業保険の改正案について、これは職業安定審議会と社会保障制度審議会にかかっておる。それについても、先ほど厚生大臣に申し上げたとおり、このような審議会で有効な意見が出たときには、それを十二分に尊重されて、その中の具体的な問題については法律案を直していかれる。将来の大きな展望については、将来大きく御努力なさるということでやっていただく必要があろうと思います。それについての労働大臣の前向きな、明確な御答弁をいただきたい。
#21
○原国務大臣 失業保険の改正案を今国会に提出いたしたいと思っております。そのときは十分御審議願いたいのですが、いまお尋ねのありました審議会の答申は前向きで十分尊重していきたいと思っております。
#22
○八木(一)分科員 失業保険法について、これはどっちみち社会労働委員会で審議しますからあれですけれども、大臣も各局長や関係者も非常に努力をされる向きは見えるのですが、実は大蔵省なりほかのほうの関係なりに、少し遠慮され過ぎているような気がするわけであります。失業保険会計はいま黒字であります。ところがいま用意されているのは、〇・一%保険料の値下げを用意されているようであります。それはその向きで値下げならいいように見えますけれども、問題は、このような社会保障は、それに対応するような気の毒な状態にある方に条件を緩和してたくさんの給付金を差し上げて、そしてそれの完成を期するのが本筋であります。それを、この絶好な機会に、そのことについてはごく微温的な配慮しかしておられない。たとえば失業保険金給付が、いろいろなプラスアルファはついていますが、原則として賃金の六〇%で計算されている。そういうふうに、何か失業保険金給付が普通の生活の六〇でいいというような間違った概念が定着し始めておる。こういうことは一つも理由がないわけであります。特に日本のような低賃金や生活水準が低いときに、たとえば失業で、たとえば病気で、たとえば御主人がなくなって遺族が困るとか、いろいろの場合に、もとの生活費が少ないのですから、それを一割削減されても苦しい。二割削減されても苦しい。ところが、休業補償というようなものは四割削減されてあたりまえだというような、一つも理屈に合わないようなことがあって、労働省がこれを直そうとすれば、ほかの省のそれとバランスがとれない。悪いバランスに縛られて、その問題ができない状態が多いわけであります。こういうものについては、六割が不十分であれば、失業保険金給付を全面的に七割にするとか、あるいは八割にするとかしなければなりませんが、特に労働省は先進的な省として、このような黒字の機会に、このような六割という、意味のない、けしからぬ壁を財政的にも破れるのですから破って、基本的にそういう六〇を七〇なり八〇にする。家族給付の引き上げというような内容があって、プラスアルファがそういう生活費によってはあることはけっこうです。だけれども、そのことだけではなしに、私は、基本的に間違った六〇をこの機会に突破をしなければならない、それについてぜひひとつ前向きな努力を願いたいと思う。その内容については局長から御説明があるでしょうし、私も十二分にまたあとで私どもの考え方を説明にあがってもいいと思う。それについてひとつ前向きに検討、御努力になっていただく決意を伺っておきたい。
#23
○原国務大臣 いま八木先生からお話がありまして、現在の失業保険は内容は黒字で非常によくいっております。それで保険料率の千分の一引き下げというようなこともいたしましたし、といっても、給付の各項目にわたっては、給付の改善はやはりやっております。特に低所得者層とか中高年齢者層については、格別の改善と配慮をいたしておる次第であります。
 それで、いま御指摘のありました六〇%にもうちょっとというのでございますが、それはお気持ちはよくわかりますが、私はいま即座によろしゅうございます、七〇%にしますと言うわけにもいきません。他の手当その他に非常に波及し、影響するところが非常に大きいのでありますから、御高説はよく拝聴いたします。
#24
○八木(一)分科員 比較的前向きな御答弁でけっこうでありますが、この非常な陋習である六割というようなことを突破するには、ことしが絶好な機会なのであります。特に先進的な労働省がそれを先がけられなければならない。五人未満の事業所の社会保険の適用についても、これは労働省のほうが先行しておられまして、ものによっては厚生省のほうが先行しておられると思われるけれども、そういうところで労働省はなかなか先進的に考えてこられた。一番大事なことで、この絶好のチャンスにそういうことをやられる必要があろうと思います。なおひとつ前向きに強力に検討、努力をしていただきたい。
#25
○原国務大臣 はい。
#26
○八木(一)分科員 それでは、時間がなくて、各大臣三十分ずつお願いしたのですが、非常に制約されて十分詰めることができませんで残念ですが、同和問題に移りたいと思います。
#27
○赤澤主査 八木君、簡単に願います。同和問題というのはなかなか広範だから、時間がすでに過ぎておりますから簡単に願います。公党の申し合わせですから。
#28
○八木(一)分科員 同和問題で労働省の予算が前年度の一七%増しということであります。こういうことは、労働省もこの点についてははなはだ怠慢を示していると思うのです。一七%しか伸びておらない。これは幾ら聞かれても、一七%しか伸びておらないからあれですが……。
 ところで、前に予算委員会の総括質問、一般質問でお聞き取りを願ったと思いますけれども、この問題の四百年の積弊を、特に明治以後の百年間さらに貧乏にした状態を直そうということで、本格的に今明年から始まるわけです。前年度の予算の何%増しというようなことにとらわれては、これは百年河清を待つことになります。そういうことではなしに、同対審の答申が出て、そして五カ年計画をするときに、本格的に取っかかるということになるのですから、前年度予算なんということにひっかかっておっては、全然それにブレーキをかけることになる。そのことを労働大臣も、それから関係の人もよく認識をされて、勇敢にひとつ、それが必要であれば、こんなものは、予算ワクはさっきの問題より以上に――たとえば三十割増しであっても、それから百割増しであっても、たとえば五十倍の予算要求をしても、百倍の要求をしても、これはしかるべきものであって、そのことについては大蔵大臣に、この間からこの問題について、普通の査定率ということになってはならぬ、各省が予算を要求したときにこんなに少なくていいのか、もっと出したらどうか、主計局というのは予算をぶった切るだけが商売ではない、仕事の中からいいものをたくさんやろうという意思もあるのです、原局が出してこなければ何もならないじゃないかということで、大蔵省はそういう態度でやるということのお約束をいただいているわけであります。ほんとうに労働省のほうでそういう要求をなさらなければそういうことがスムーズになりませんから、そういういまのワクを離れて、問題にほんとうに本格的に対処されたものを、予算要求なり施策を実行されるというような、ひとつ前向きな御決意を明確に伺っておきたい。
#29
○原国務大臣 八木先生のこの予算関係についての質問は、総括質問のときによく拝聴しまして、総理大臣及び大蔵大臣からも、前向きにやるということを言明いただましたし、私もその線に沿いまして、来年度から大いに予算要求をしっかり力を入れてやる決意でございます。
#30
○八木(一)分科員 自治大臣にお伺いをいたします。
 この前もお伺いをいたしましたが、同和問題の実行をするのは大部分が地方自治体であります。したがって、自治省に関係することが非常に多いわけであります。それで、この前も少し申し上げましたけれども、この問題は、問題の山積しているとか、そういう点の度合いが、各自治体で猛烈に濃度が違うわけであります。たとえば北海道には同和問題はございません。ところが近畿には非常に濃度が厚くございます。その中の市町村でも大いに違うわけであります。和歌山県の御坊市というのは、人口の三分の一が同和地区住民であります。奈良県の御所市は、四分の一が同和地区住民であります。したがって、そこでは、環境改善その他いろいろなことに対処しなければならないことが、山積いたしておるわけであります。
 普通地方自治体の非常に困っている問題として超過負担の問題があります。一生懸命やろうとしても、超過負担があるために問題が進まないという問題があります。特にこの問題は、地域的に濃度の差が非常に多うございますから、超過負担というものがあっては、やるように見せかけて実際は何もできないということになるわけであります。その点で自治省が同和問題の推進の大きなかぎを握っておられるわけであります。その超過負担というものをなくすために、国庫負担率を大きく上げるとか、あるいはまた補助裏について優先して起債をさせるとか、あるいは元利の補給をさせるとか、それから交付税をどんどん一般交付税で増すとか、あるいはそこでできないものであっても、たとえば不交付団体であっても、この問題があって、その問題を推進するためにほかの一般行政ができないということになると、そこで混乱が起こり差別が起こりますから、こういう問題に関しては、山谷と同じように対処をされて、特別交付税を進められるというような問題なり、あるいは補助単価をきめるときに実質単価でやらなければならないという問題なり、あるいは補助対象をきめるときに、補助が一部に及んでその計画全体に及ばなければそこでとだえるという問題。たとえば隣保館に対する建物の補助が出ても、土地の購入、整地についての補助ができなければ、実際は問題は動かないという問題もあります。そういう問題を総括して、この大事な国政で約束になった問題を強力に進めるために、地方自治体が超過負担に悩まないでどんどんできるように対処をしていただく必要があろうと思います。
 こまかいことはけっこうであります。時間がだいぶあれですから、総体的に自治大臣が、そういう私の申し上げたようなことを、さらに私が申し上げてなくとも、自治省としてもっとこういうことも必要だということがありましたならば、そういうことについて全面的に前向きに取っ組まれるということをぜひ御表明を願いたいと思うわけでございます。
#31
○野田国務大臣 同和対策事業は、お話しのとおり、主として地方公共団体が実施いたしております。これに関連して、財源問題は御承知のとおり地方債、特別交付税でやっておりますが、いま御指摘になりました超過負担は、もう私も何とかしてこれを早く解消したい。現に進んで調査をやっておりまして、一応の一般的のものは三カ年でひとつこれを解消しようという計画をやっておりますが、特にいまお示しになりましたこの超過負担の関係で思うように仕事ができないということもありますから、いま全く御意見どおり、ひとつ積極的にこれの対策を考えてみたいと思っております。
#32
○赤澤主査 佐野進君……
#33
○八木(一)分科員 もう一回だけで終わりますから……もうこれで結論にします。
#34
○赤澤主査 では、八木君。
#35
○八木(一)分科員 いま自治大臣の御決意を伺って、非常に御決意が前向きでございまして、満足をいたしております。いまこの問題において、自民、社会、民社、公明四党で同和の特別措置法の問題でいろいろと協議をしている状態であります。協議がまとまればその線に従って、協議がまとまらないときには、総理府の、政府の責任で三月の上旬までに御提出を願うということを総理大臣が確約をしておられるわけであります。どちらにしても法律をつくらなければならない。どちらにしてもまた法律に基づいていろいろと進める方針について御討議なさらなければならないと思いますが、どうかいまお答えになりました線で――四党協議会でも、議員間の協議であれば不十分なところもあろうと思う。また総理府でやられるときにも、その前に、総理府だけではお考えの及ばない点もあろうと思いますので、自治大臣がいまおっしゃったような線で、まとまった線や総理府のやろうとする線にブレーキをかけるということは一切なさらずに、そうではなしに、積極的にもっとよくしよう、もっとそれを法律的にもはっきりさせようということで、最大の御努力をぜひお願いをいたしまして、私の質問を終わらしていただきたいと思います。
#36
○赤澤主査 佐野進君。
#37
○佐野(進)分科員 私は、自治大臣、厚生大臣、労働大臣に質問する通告をいたしておるわけですが、厚生大臣がまだお見えになっておられないようですから、自治大臣、労働大臣にまず御質問をしたいと思います。
 私は、自治大臣に対しては、地方公営企業対策、特に都市交通関係について、時間がありませんのできわめて簡単に質問をいたしたいと思います。
 今日の地方公営企業のうち、なかんずく交通事業はたいへん困難な条件に直面していることは御承知のとおりであります。今年度、これらの交通事業対策についてどのような措置をおとりになっておるか、総括的にひとつ御説明を願いたいと思います。
#38
○野田国務大臣 都市交通は、特に現状を見ますると、だれでも寒心にたえない状態であります。これは、交通政策はひとり自治省だけの問題じゃございませんが、しかし、地域住民のいわゆる安全性、それから福祉と申しますか、生活を守るといいますか、そういうものからして、特に過密地帯の都市交通については、自治省といたしましても積極的な方策を講じたいと思っておりますが、何しろこの公営企業の内容が非常に苦しゅうございまして、思うような計画はやっていけません。しかし、特に最近とりました一つの考え方といたしましては、たとえば過密地帯における地下鉄の問題これは現在の工事が一キロ六十億もかかるということですから、こういうことではとてもいかないというので、本年の末から来年度予算編成にあたりまして積極的な補助政策をとろう。これはいま運輸省へまいっております。自治省としてもこの地下鉄工事がもう少しスムーズにいくようにやりたい。いろいろな事情で一応運輸省の補助関係で進みました。しかしその間、大蔵大臣、運輸大臣、私のほうと覚え書きを交換しまして、そして四十五年からはいわゆる補助を拡大するという趣旨の申し合わせをいたしました。それから公営企業金融公庫の相当の金を使うとか、いろいろなことを考えております。そこで現在におきましては起債ワクを増大する。そして特に地下鉄は、来年度からこれを実現して貸し付け条件等も非常に改善していこう。そしてできるだけすみやかに稠密地帯の住民の足を安全に運ぶようにやりたい、こういう考えでおります。
#39
○佐野(進)分科員 今日、地方公営企業の中における特に交通関係が、財政的にも、またその運営の内容においても、非常に困難に逢着しておることは自治大臣もよく御存じのとおりです。したがって、これらに対して自治省としての指導その他については、地方公営企業法その他に基づいて適切にそれぞれ対策を立てられておると思うのでありますが、それらの地方公営企業の実情を悪化させておる条件は、いわゆる外的な要因と内的な要因、社会の構造的な変化、こういうものによってもたらされてきた条件と、内部的な条件、いわゆる合理化の不足であるとか、その他いろいろな内面的な条件があるのですが、昭和四十四年という現在の時点をとらえて、自治大臣は一体どちらの条件が多いというぐあいにお考えになっておるか。対策を立てるに重要な問題だと思うので、この際お伺いしておきたいと思います。
#40
○野田国務大臣 いまお話しのとおり、外部的な条件、内部的な条件、大まかに申しますと両方あると思うのであります。これは、主として内部的にも合理化するとか、いろいろな方法がありますが、どうしても外部的条件がずっと変化が激しいものですから、ただ内部的な合理化だけでは対応できない事情が一日一日増してきておるのじゃないか、こう考えております。
#41
○佐野(進)分科員 そこで私は、自治省当局が、先ほど大臣のお話しになられたように、地下鉄の建設をはじめいわゆる建設的な部面に対して積極的にお取り組みになっておるということについては、否定するものではないわけであります。しかし、その部面における努力というものが、本来ともすれば外的な悪い条件を排除するということに向けられないで、内的な要因に対する方向にのみいわゆる行政的な指導ということが過度に行なわれ、その結果、悪い一つの公営企業対策というものに発展しつつあるのではないか、こういうような点は幾つも指摘することができると思われます。時間がありませんから、そういう点についていろいろ申し上げるわけにはまいりませんのでたいへん残念ですが、私はここでひとつ、都市交通に対する財政再建というものに対する具体的な指導方針というものについて、数多くあると思いますが、重点的に一つ、二つ、自治大臣はどうお考えになっておるか、財政再建対策についてお伺いしたいと思います。
#42
○細郷政府委員 財政再建の方策としましては、一つは内部の経営の合理化、それからいま一つは負担区分の是正、それに再建金融につきましては再建債を認め利子補給をする、こういう行き方でいま再建計画をつくり、実行いたしております。
#43
○佐野(進)分科員 私は、そういうように実行しつつあるという過程の中でも、すでに発生しつつある赤字は巨額にのぼり、これが減少するという情勢は、いまのところの段階ではなかなか簡単に予測できる状況でないと思うのであります。しかも、先ほど言われた外部的な条件におけるところのいろいろな悪条件は、必然的にこの現在の財政状況をますます悪化させるような諸条件があるわけです。そうしたとき、自治省財政当局の対策は主として企業内におけるところの合理化というところに力点を置き過ぎる、こういうような形の中で、一昨四十一年の法律改正後は当然でありますが、その以前においても、非常にきびしい条件を地方公共団体に、特に関係企業者に対して強く与えておる。いわゆる財政再建団体に対してはそういうような方針で臨まれておるわけでありますが、これは財政局長ではたいへんどうも――きょうは大臣にこれは聞きたいと思ってきているのですが、財政局長、答弁しましたから、今後このような方針を持続して、いわゆる合理化という形の中における――これはもう地方交通公営企業における合理化というものは、非常に長い歴史的経過で、もう合理化する余地のないほど、これはもうやめてしまわなければという、そういう段階にまで到達しておる現状は、あなたよくわかっておると思うのですが、いわゆる合理化という名のもとに、外部的な条件によって発生したものを内部的な条件で解決するためには、公営企業を廃止する、やめてしまう、こういうところまで向かわなければならぬような現在の状況であります。一体そういうような方針をいまの自治省当局はおとりになるのかどうか、この点についてひとつお聞かせ願いたいと思います。
#44
○野田国務大臣 大事な問題ですから、あとでまた政府委員から詳しくは申しますが、私の気持ちだけ申し上げておきます。
 実は四十四年度の予算編成にあたりまして、いま問題になっておる公営企業の問題は自治省としては非常に重大に考えまして、全くお話のとおり、このままほおっておくと事業そのものが成り立たぬというか、もうつぶれてしまう、こういう考え方を深く持っております。したがって、ただいま財政局長から申し上げましたのは、従来とってきた方針でございます。私は、四十四年度の予算編成における感触を申しますと、合理化はもちろん好ましいことでありまして、これは合理化する必要はないなとと毛頭考えておりません。大綱としてまいりたいと思いますが、現時点におきましては、いまお示しの外部事情、これに対応するにはどうしても基本的な財政処置、これがなければいかぬということで、内部の経営の合理化、近代化、こういうものも必要でございますが、より重要に、私どものこの編成方針としては、やはり外部の事情に対しての一種の戦いですよ、これは一日も――こういう状態でございますから、公営企業については、いわゆる外部の事情から来る原因について、これを何とかしてひとつ助成していかなければならぬ。それにはやはりひとつ財政措置を強化しよう、こういう考えでございますから、基本的には両方ありますけれども、重点はそっちのほうに置いたということだけ特に申し上げておきます。
#45
○佐野(進)分科員 時間がありませんから、財政局長にまたお会いしていろいろお話しすることもあろうと思います。大臣のいまの答弁で一応いまの問題については満足したいと思います。
 そこで、そういう形の中で当面するいわゆる大都市交通行政の中で問題になってくることは、外的な条件を除去する、財政再建を具体的に進める、こういう事業をやるとともに、いま現にその企業に働く人たちの生活をどう安定さしていくかということ、これもまた企業運営の上に重要な要素になろうと思うのです。いま現実の問題としては、交通事業には、もう都市のバス事業に女子車掌が集まらないとか、運転手が集まらないとか、いろいろいわれているように、かつての情勢とは全く激変した状態の中で、労働力の確保にもこと欠くような現状がいまあらわれつつあるわけです。
 そういうような状況の中で、いままで働いておる人たちに対する対策というものも、財政が赤字だからということで非常に切り詰めた対策をとられてきておるわけです。しかしそれではがまんできない。いま九賃です。すでに十賃の戦いが始まろうという中で八賃がかろうじて制定されたという状況で、これをどうするかということは、そこで働く人たちの労働意欲あるいは住民サービス、そういう面からも非常に大きな問題になろうとしており、特に東京都では来月中旬においては一日にわたるストライキを計画する、こういうような情勢になるということはたいへんなことであります。
 かつてはこれらの問題については、都知事なりなんなり地方公共団体の長がそれに対処すればいいわけでありましたが、いまは財政再建団体という形の中で、政府みずからがこれらについて重大な責任を負うべき立場に変りつつある現状において――私は時間がありませんから、この問題についていろいろ申し上げたいこともありますが、これらを回避するために、これらに対する積極的な対策をひとつ自治当局としてもお立て願いたい、こう考えるわけですが、大臣の御見解をお聞きして質問を終わりたいと思うわけです。
#46
○野田国務大臣 私、全く佐野さんと同感であります。先ほど申しましたとおりのことを繰り返すわけですが、もちろんこの問題は、ただ地方自治団体だけにまかせる、あるいは自治省だけでもってこれをカバーしていくというのではなくて、これはやはり広く大きな政治問題になっておりますから、全体的構想のもとにこの公営企業の現状をどうして打開していくかということには、もう自治省全体として、基本といたしまして積極的に取り組みたい、こう思っております。
#47
○佐野(進)分科員 厚生大臣はまだお見えになりませんから、労働大臣に御質問申し上げたいと思います。
 私は社会党の中小企業対策の副委員長ということで、中小企業問題に積極的に取り組んでおるわけでございます。その見地から二つばかり御質問をしてみたいと思います。
 今日の中小企業者の持つ悩みというものは数多くあるわけであります。しかし一番大きな問題となりつつあるのは、金融あるいは税金、そういうものと並んで、いわゆる労働力をどのように確保するかということが、今日、中小企業者、特に零に通ずる企業者の最大の関心事になりつつあるわけです。労働当局がこれらの面に対して当然積極的な取り組みをしておられると思うのでありますが、時間がございませんから簡単でけっこうですが、重点的にどのような施策を講じておられるか、ひとつお示しを願いたい。
#48
○原国務大臣 佐野さんの御指摘のように、いまの中小企業の問題は人手不足になってまいりました。労働省で調べたところによると、昭和五十年になりますと百十七万というので、現在よりかなり激減してくる傾向でございますので、いよいよいまからこの対策を講じなければならない。不足の度合いの低い中高年労働者、婦人に積極的に労働に参加してもらうことも一つの手でございますが、具体的に申し上げますと、一番やりたいと思っておることは、やはり中小企業を魅力のある職場にすることが大事でありまして、そこにことに若年労働者、技能労働者等が定着してもらうようにするために、どうしても魅力ある職場にいたしたい、こう思っております。
 それで、一番大きな対策として労働省で考えておりますし、また現にやっていることは、第一は職業の訓練であります。この国会にも職業訓練法の全面的改正の法案を提出して善処いたしたいと思いますので、その節はどうぞよろしく御審議を願いたいと思います。それから、この訓練所において訓練をしていただくということのほかに、中小企業による共同職業訓練というのを今度はやっていただきまして、運営費の補助を倍増するとかいう措置をとっております。そして中小企業自身においても職業訓練をやっていただく。いままでは大企業は自分でもやっていましたが、こういうことをやっていただきたい。
 それから第二は、魅力ある職場にするためには、どうしても大企業に比べて中小企業は住宅その他いろいろなことにおいて福祉施設が劣っております。それで、その充実をいたしたいと思いまして、労働省で考えておりますのは、中小企業レクリエーションセンターの設置あるいは勤労青少年のセンター、これはいずれも予算がついております。その次は勤労青少年ホームを全国的に拡大強化していきたい、こういうような共同施設の充実に力を入れていきたいと考えておる次第であります。それから、中小企業が自分で自主的に福祉施設をやっていただくために、雇用促進融資の便宜もはかりたいと思っております、等々いろいろやりまして、むろん第三には職業紹介もございますが、これもいま職業紹介の技術、設備等を非常に完備して高能率でやっておるところであります。こういうふうにいたしまして、中小企業対策を、ほんとうに労働力不足に直面してまいりましたので、万遣漏なきを期して現在もやっておりますが、なお一そう力を入れてやっていきたいと思っております。
#49
○佐野(進)分科員 私は、労働省が行なう施策は、たいへん各般にわたり、それぞれ重要なものであることは、当然のこととしてこれを認めるものでありますが、やはり時代の進展に即応した対策というものも当然重視し、これを取り上げていかなければならぬと思います。
 そういう面からすると、日本の産業構造並びに経済界の状況を見ると、これからの最大の課題は、いわゆる労働力をどのようにして確保し、これを適正に配置するか、こういうことになってくると思うのであります。そういう面における対策はいまのところ旧態依然たるもので、ただ人手が少なくなってからどうやって集めるかというだけで、いわゆる長期的な展望に立った具体的な対策、なかんずく、中小企業者にも中、小、零とありますけれども、そういうような企業を存続させる、発展させるという見地における対策は、私は何か不足しておるように感ずるわけでありますので、そういう点については積極的な取り組みをひとつ願いたいと思うわけであります。
 特に、今日人手不足を叫ばれている中におきましては、もうレジャー産業、いわゆる安易なる形において、きれいで、そう苦労しない産業に対する就労人口というものは、決して不足しておらない。むしろ第一次、第二次産業から逐次その方面へ人が流出する。いわゆる中小企業に働く人々は、昔は制度としていろいろな面で不足があったにしても、そこに一つの商店なら商店に働くことによって、五年なり十年しんぼうすれば独立した店舗を持ち得るという夢と希望を持ち得る中で定着もあった。しかし、今日の巨大産業の進出による中小零細企業に対する圧迫は、そういう希望を失わしめた。したがって、そういうような粘り強い定着した形の中において一つの新しい夢と希望を実現させようということでなくして、瞬間的な、みずからその瞬間における楽な、きれいな形の中において就労しようという意欲が非常に強くなりつつある状況であります。それで、施策としてそういう面に対する対策を立てざる限り、この傾向はますます広がっていくのではないか、こう思うわけです。外国などへ行った場合においては、いわゆるサービス人口といいますか、レジャー産業に従事している人たちは非常に少なく、いわゆるセルフサービス的な形の中における企業というものが多いわけでありますけれども、日本はその点逆で、サービス過剰人口といいますか、過剰労働力といいますか、そういうものが非常に多いわけでありますので、これらの点については、ひとつ労働行政として十分取り扱っていただきたいと思います。その見解を聞いて質問を終わりたいと思います。
#50
○原国務大臣 ただいまの佐野さんの御説まことにごもっともで、これは新しい時代にふさわしいような労働力の確保あるいは適正配置ということはごもっともでございまして、そういう観点に立ちまして、労働省におきまして雇用の基本計画を策定いたしまして、いまそれに従いまして府県等とも連絡して、その根本的雇用基本計画の線に沿うて、こういう労働力確保をやっております。
 それから第二は、どうも中小企業に働く人にだんだん魅力がなくなり定着しないという御説ごもっともで、私が労働大臣になって以来、特にそこに着眼いたしまして、学歴偏重及びホワイトカラー偏重を打破して、ブルーカラーをもっと尊重すべしということを強力に叫んでまいりました。これはかなり反響を呼びまして、雇用対策協議会という経営者の代表的な人の集まりでもこれを主張いたしましたところが、賛成である。現にいまやりつつある、ソニーとかその他の会社でやっておるが、これを全面的に賛成してもらって、これからひとつ、まだ序の口ではあるが、だんだんやりたい。そのときにも申し上げたのですが、そういう風潮をやはりこしらえて、みんながそういう気持ちになることがきわめて大事であるので、われわれ何回でもこれを宣伝し、強力に推し進めるから、あなた方経営者も十分決意を新たにしてやってもらいたいということを言いましたところが、賛成の意を表されました。
 それから、働く場合においても、どうしても青天井人事管理方式というのを採用してくれということを叫びまして、どうも天井が低くて、学歴がないために、ブルーカラーは係長以上にせぬとかいうとんでもないことがある。能力のある者については遠慮なく、そんな学歴とかいうものにかかわりなく、青天井で突き抜いて工場長にすべし、また重役にすベし、社長でもよろしいということを叫びまして、それも賛成でありました。
 外国ではずいぶんその例が多いそうでありますが、日本でもだんだんそういう傾向になるから、労働省とそういう経営者が相ともに手を携えてやるべきであると、このように申し合わせをした次第で、これは一回や二回ではいけませんが、私は、そういう時代の転換がいま来つつあるし、また佐野さんのおっしゃったように、世間のそういう要望もありますから、そこにぴったりはまるようにだんだんやっていきたい、こう決意を新たにいたしております。
#51
○佐野(進)分科員 厚生大臣まだ見えておりませんが、もう来るということでありますから――環境衛生局長来ていますね。あなたに質問をしておきたいと思います。
 今日、環衛業の問題は非常に大きな社会問題といいますか、いわゆる料金問題においても、衛生問題においても、それぞれ社会生活に与える影響がきわめて大きいわけであります。そういう中で環営法ができて、環営法第一条の目的に沿いながらそれぞれ厚生省としては指導しておられるわけでありますが、今日のいわゆるこれまた社会構造の変化に即応す環衛業の現状、特に大資本からのこれら対象業種に対する種々なる圧迫というか影響こういうものに対してどのような対策をとられておるか。この際ひとつ、これは大臣に聞いたほうがいいと思うのですが、あなたから一応原則的なことを聞いておきたいと思います。
#52
○金光政府委員 環衛業の実情でございますが、御指摘のように、大企業との関係というものもございますけれども、全般的に中小企業、むしろ小企業の分野が多いわけでございます。そういうことでございますので、私どもの立場では、環営法に基づきまして、衛生水準を守らせるための経営合理化という立場で指導いたしておりますけれども、それに加えまして、中小企業近代化促進法等との関連も密接にいたしまして、経営の合理化というものを推進いたしておるわけでございます。
 そういうことでございますが、実態は設備過剰とかあるいは店舗の数も多いというような問題で、現実にはいろいろと問題があるわけでございます。そういう実情でございますので、たとえば昨年もクリーニングにつきましては、中小企業近代化審議会に諮問いたしまして、その近代化の方法を答申を得たというようなことで、指導いたしております。その内容といたしましては、たとえば大企業と小企業が協業化を行なっていくということが必要であろう、こういうような答申でございました。そういうことで、現在合理化をはかろうということで進めております。
 それからもう一つには、御承知のように、昭和四十二年度に環境衛生金融公庫ができまして、この関係業種につきましては、衛生施設等につきまして低利の融資が行なわれることになっております。さような方法によりまして、経営の合理化、健全化をはかっていこう、かようなことで進めておるわけでございます。
#53
○佐野(進)分科員 私はいまの答弁では、いわゆる厚生大臣の答弁でないからやむを得ないとしても、非常に不満だと思うのです。不足だと思うのです。環営法をつくり第一条の目的に沿って厚生当局が取り組むとするならば、ことしの四十四年度の対策としてもっといろいろ積極的なものを出さなければならない。ただ惰性の上に行政を進めているのだということで言わざるを得ないということになると思うのです。
 たとえば、具体的に言うならば、今日、環衛業の中にはいろいろな業種がありますけれども、巨大なる資本がこれらの業種、たとえば一つの食品関係で言うと、おすし屋さんでもいい、おそば屋さんでもいい、そういう食品業種が環衛業の中に入っておるが、そういうことについても、これが利益になるということになれば、巨大なる資本力をもってそういう食品提供の施設をつくろうとしていま計画を立てているわけです。これは大きければいいということだけでなく、現実に一つの店舗を張り、それらの店舗に基づいて出前なり何なりしていま経営をしておる、歴史的な役割りを果たしてきた人たちが、その中においては、結局その巨大な資本の中で埋没してしまって経営が成り立たなくなるということが当然予測されるわけです。これは飲食業だけでなく、旅館業、クリーニング業にしても何にしても、そういうことがあると思うのです。したがって、そういう面については、当然これからの情勢の中で、世界的な動きあるいは日本の経済構造の変化に対応する情勢の中において、予測し対策を立てなければならぬ、そういうものではないか、こう思うわけであります。
 たとえばおふろ屋さんの問題にしても、今日においては、都心部においてはその経営が成り立たないということでどんどんやめて、それがいわゆるサウナぶろとか、そういう多額な金を持たなければならないような施設に転換しつつあるか、あるいはビル、マンションにかわりつつある。これも時代の趨勢ですと言って済まされる問題ではないわけです。いわゆる庶民はそれによってどれほど迷惑を受けるかはわからない問題である。したがって、そういう中において、そういうような社会構造の変化に対応する対策ということで、もう少し積極的に対策を立ててもらい、積極的に取り組みをしてもらいたい、こう思うわけでございますが、これについて、時間がありませんから、簡単に決意だけでいいですから、お示しを願いたい。
#54
○金光政府委員 御指摘のとおりでございまして、経営の合理化等につきましても非常に複雑な問題を含んでおりまして、現在でも決して十分でないということでございますので、今後十分努力してまいりたい、かように考えております。
#55
○佐野(進)分科員 それでは、大資本というか、いわゆる構造変化に対する協業化ないし合同というようなことをあなたは言いましたけれども、これは言うはやすくて、なかなか環衛業に関する限りはむずかしいのです。おそば屋さんが二軒一緒になって一つの店になりなさいといって指導してみたってしようがない。また、大きくなることだけが住民サービスにつながるかということになれば、そうはっきりは言い切れない面があるわけです。したがって現在の情勢の中で環境をよくし、住民サービスをよくするということを最大限の一つの方法として守っていくことも必要だと思うのです。
 そういう点については十分配慮していただくとともに、二つ目に問題になるのは、私はいわゆる過当競争だと思うのです。これは今度零細な、いわゆる環営法が示しておる第一条の目的に合致するかしないかわかりませんけれども、すれすれの状況の中において、屋台を引っぱって生業をしている人もいるでしょう。あるいはいまの環境の中で生活を維持するためにいろいろなことをやっている人もいるだろうと思うのですが、これが比較的自立するという形の中においてやり得る場合もありまするけれども、またこれを大資本という形の中においてやり得る場合もあるわけですね。たとえば、一つの店がチェーン化して、資本は一人の人が出し、そこに使われるという形の中で、小さな店がほんとうに腰かけを置くだけで食品を提供するというような店がどんどん出ておる。あるいは店の軒先に取り次ぎ所を置くということだけで、環衛業の条項に合うか合わないかわからないけれども、ただそのことによって営業が成り立つという、たとえばクリーニングの場合における取り次ぎ店の問題、そういうような問題がやはりどんどん出てきつつあるわけです。いわゆる過当競争ないし衛生の確保あるいは環境の改善というような目的に合致しないこういうような問題については、これからは特にいろいろの面で対策を立てていかなければならぬと思うわけでありますが、これらに対する現在のあなた方の考え方についてひとつお示しを願いたいと思います。
#56
○金光政府委員 ただいまの問題は、小さい店舗等の飲食店関係の営業の問題だろうと思うのでございますが、たとえば露店業というものがございます。さようのものは、一応府県におきまして施設基準をつくり、指導はいたしておるわけでございますが、やはり相当注意して指導してまいりませんと、衛生の安全というものは守りがたい面もあるわけでございます。また、ああいうような形態からさらに近代的な形態に変わることが望ましいわけでございますので、やはり考え方としては、さような方向に進むように全般的な体制の中で指導していく、かような考えで進んでおります。
#57
○佐野(進)分科員 ですから、いわゆる過当競争対策について、既存の業者を守るということのみに力点を置いて、自由なる競争を阻害していくということがいいと私は言っているのじゃないのです。ただ、それらがいわゆる自然発生的にその生活を維持し、みずからその営業に一生を捧げようという気持ちの中でそれぞれ経営をされるということについては私どもは非常に尊重しなければならないけれども、これらの関係と既存業者との関係の中において、いわゆる過当競争がお互いの足を引っぱり合うという形の中において、サービスの低下ないし環境の悪化というようなことが起こらないような対策、これらも厚生省当局としては当然十分なる配慮と指導をしなければならない、こう思うわけです。そういう気持ちがあるかないかということをお聞きしているわけです。
#58
○金光政府委員 これは従来も非常に問題として考えておる点でございまして、現在までの施策は決してまだ十分だとは言えませんけれども、今後積極的な考え方で進んでまいりたい、かように考えております。
#59
○赤澤主査 佐野君、厚生大臣が出ましてからまた一問だけ御質問願うことにして、この際交代してください。
#60
○佐野(進)分科員 そういうことでありますので、それでは暫時……。
#61
○赤澤主査 広沢賢一君。
#62
○広沢(賢)分科員 私の質問は看護婦さん、お医者さんに関係のあることですから、厚生大臣が早く来るようにお願いしたいと思います。
 厚生大臣が来る前に労働大臣にお聞きしますが、職業病の問題です。最近オートメーションがじゃんじゃん進みますね。電子計算機や何か進みます。そうするとキーパンチャー病というのが、大臣もよく御承知と思いますが、はやっていると思うのです。虎の門病院なんかにもそういう病気の人がずいぶん来る。神経的に障害を起こす。特許庁で働いているお役人さんの中では、神経的に参ってしまって自殺者が出ている。これについての研究。それからもう一つは、最近、ビルディングで働いている、たとえば現場の新聞労働者なんというのに腰椎病というのが非常にはやっています。こういう問題が新しい産業構造の中から生まれてくると思うのですが、それについて研究し、それからさらに、これについて労災保険を適用するとか、その他についての処置研究は考えておられますか。
#63
○和田政府委員 私からお答え申し上げます。
 ただいま御指摘のありましたキーパンチャー問題につきましては、大体三十六年ごろからこの問題が出てまいりまして、労働省といたしましていろいろ研究をいたしました結果、三十九年に、基準局長に対しまして健康管理の問題としての一定の基準を示しまして、それにつきましては専門家各位の御意見を伺いました上にこういう通達を出しております。なお、同じ月に業務上の取り扱い問題に関しましても通達を出しまして、こういう場合には業務上障害になる、ただしそのときには専門医の意見をよく伺ってやるように、こういうようなことでやりまして、今日では、キーパンチャーにつきましては、当時よりは状態がだいぶ改善をされてきておるように考えております。
 それからなお腰痛の問題でございますが、これは最近、先生御指摘のように、非常に問題が出てまいっております。これにつきましては、腰痛は御存じのようになかなかむずかしい要素がございますので、現在専門家の方にお願いをいたしましていろいろ検討をいたしておりますが、大体二年がかりくらいでやっておるのでございますが、なかなか結論が出にくいわけでございます。労働省といたしましては、業務上の取り扱いにつきましても、昨年取り扱いを変えまして、できるだけ業務上の問題の認定をしやすいものに変えるというようなことで、新しい職業病――厳格な意味で職業病と言えるかどうか問題なものもございますが、そういう問題については、いま申しましたようなことで具体的に対策を立て、これを実行しておるということでございます。
#64
○赤澤主査 広沢君、御質問中恐縮ですけれども、約束ですから、佐野君に五分間質問を許します。
#65
○佐野(進)分科員 厚生大臣、先ほど来質問をしておるのですが、あなたがいないと、やはり基本的な政策の問題であったものですから、環衛局長にはたいへん迷惑をかけたのですが、いまお聞きになったと思うのですが、私は社会党のほうで中小企業問題の責任者の一人でありますから、そういう面から中小企業問題について質問をしておるわけです。特に環衛業に関係する問題として、今日、環営法第一条の目的に合致する業種ですね、そういう人たちの置かれておる立場というものは、非常に微妙な問題がいろいろある。特に大資本の圧迫、あるいは過当競争に対する不安、こういうものをどう除去しながら健全なる発展をしていくかということが重大な課題になりつつあるのです。そういう点について、もう時間がございませんから、お聞きになっておると思うので、大臣からひとつ総括的な御見解をここでお聞かせを願いたいと思います。
#66
○斎藤国務大臣 中小企業の育成強化の問題は、わが国として非常に重要な問題だと考えております。主として通産省でやってもらっておりますけれども、私のほうの所管のいまお話しの環衛関係の事業も、大部分は中小企業でございます。したがいまして、通産省と連絡をとりながら、今後中小企業の育成強化――いろいろ要望がございますが、また佐野先生はそのほうの専門家でいらっしゃいますが、いろいろ御意見を伺い、それを実際の政治に生かしてまいりたい。特に厚生省といたしましては、環衛金融公庫の制度を御承知のように設けていただきまして、来年度五百億余りの融資ワクを持っておるわけであります。もちろんこれは衛生という見地からの問題でありますが、同時にこれはやはりそういった中小企業の育成にも大きく役立つと考えまするので、そういう方向で今後一そう進めてまいりたい、かように考えております。
#67
○佐野(進)分科員 私はさっき質問申し上げて、局長に決意を聞いたのですが、それらについてはひとつ大臣も、いわゆる大資本の圧迫における中小企業の基盤、特に環衛業界の基盤が崩壊に瀕することのないような対策については十分積極的にやってもらいたい。それから過当競争、いわゆる自由なる競争を阻害するということでなくして、大資本系列からの過当競争、またいろいろ既存の業者を圧迫するような不当な体制については、やはり厳重な処置をするよう前向きに取り組んでいただきたいということを先ほど申し上げたのですが、そのことについてもひとつ決意を伺いたいと思います。
 それからもう一つ、環衛公庫の問題がいま出ましたが、私どもこの環衛公庫の問題については、党内にいろいろ意見がございましたが、これは中小企業対策として必要だという判断で、国会の法律制定の際は賛成をいたしました。その際いろいろ条件をつけて、どうせつくるからには、積極的にこれをひとつ拡充強化していくということにいたしましたが、そのできたところの経過あるいはその後における実施の段階の中において、われわれまだ幾多の不満な問題があるわけであります。たとえば貸し付けの額がことし五百億になりました。相当伸びておるわけでありますが、まだまだ不足ではないかと考えておるわけであります。こういうことに今後努力をしていただきたい。
 それから金利の問題については、いわゆる大企業に対する開銀その他の融資に比較すると、中小企業であるがゆえにということではないでしょうが、まだまだ相当高金利をもって貸し付けられておる現状であります。さらにまた限度額についても一千万まで貸し付けられておりますが、先ほどから申し上げておるように、一千万という限度では、協業化ないしいわゆる集約化というような、いまの厚生省の指導方針に合致してその事業を行なおうとする場合においては、とうていその事業を行なうにふさわしい体制をつくり上げていくことはできないわけであります。こういうことについては、限度額の引き上げ、あるいはそういうような指導等とも関連した対策というものが当然考えられる。こういう面について私は前向きにひとつ取り組んでもらいたいのですが、時間がたいへんどうもオーバーして申しわけないと思っておるのですけれども、そういう面とも関連して大臣の誠意ある御答弁をお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
#68
○斎藤国務大臣 ただいまおっしゃいますように、中小企業に対する大資本の圧迫、それからいろいろ新しい企業形式が出てくるというようなことから、中小企業の育成、これをさらに強化していくということは、なかなかむずかしいと思いますが、しかし、われわれとしては、全力をそそぎまして、中小企業は育成強化をしていかなければなりませんので、そういう圧迫あるいはそういういろいろな問題に対しましては、おっしゃるとおり積極的に私は取り組んでまいりたいと思います。
 環衛金融公庫の問題は、まだ制度ができましてから日もあまり長くたっていませんので、その運用の方法等におきましても、まだ十分でない点もあることは私も認めております。したがって、そういうことのないようにいたしたい。金利の点もまたそのとおりでありますし、貸し付けワクの限度の問題にいたしましても、実情に即しましてこの制度を生かして、そして中小企業の育成に役立てていきたい、かように思っておりますので、今後ともひとつ御協力をお願い申し上げたいと思います。
#69
○佐野(進)分科員 終わります。
#70
○赤澤主査 広沢君、御迷惑でしたが、続いて御質問を願います。
#71
○広沢(賢)分科員 腰痛病のことについてはあと回しにしますが、非常に不満な答弁です、職業病かどうかまだわからないというのは。ずいぶん問題が出てからそういうことを言っているのですね。
 看護婦の問題について厚生大臣にお聞きしたいのですが、いま看護婦さんが不足で、たいへん人道上の問題になっているということは、厚生大臣よく御承知だと思うのです。新聞の投書欄にも一ぱい書いてあります。これは朝日新聞に病院の事務長が投書したやつで、五十歳、もう人道問題になっているということを書いておりますが、たとえば一つこういう例があります。「健康保険の支払う基準看護料は一日に二百十円でしかありません。四人分で八百四十円ですが、一方、看護婦一人に要する費用は給与を含めて一日に二千円を上回ります。これでは勘定の合うはずがありません。」ということが書いてありますが、これは事実ですか。
#72
○斎藤国務大臣 いまお尋ねの点は事実だと思います。看護婦の方々が非常に労働強化の中でやっていただいている、私もその実情を存じております。少なくとも人事院勧告の線にまで下げてまいりまして、夜勤等ももっと少なくできるようにいたしたい、私は衷心からさように思っております。
#73
○広沢(賢)分科員 そうすると、今度は人事院判定で夜勤を月に八日間、複数夜勤にしろという判定が出ております。ところが実情は全く違う。
 そこで、ひとつお伺いしたいのですが、大臣は、看護婦さんが就職して、それでやはりやめていく、しかも、そのやめる理由は何かということについて、調査したりアンケートをとったりしたことはございますか。
#74
○松尾政府委員 私からお答えいたします。
 全国の医療機関等を網羅いたしまして調査をするということは、なかなか困難でございまして、ございませんけれども、いろいろ部分的に調べましたものはございます。おもに女性の職業でございますので、大きな理由はやはり家庭の問題、それから育児の問題、こういうことに関連いたしまして、退職していかれる方が最も多いというふうに理解いたしております。
#75
○広沢(賢)分科員 それはいろいろの調査だと違うのですね。たとえば、東京都の六大病院の六百八十人の看護婦さんを調べたアンケートがあるのですが、やめようと思うというのが九〇%。その内訳で、理由は、先ほど私が申し上げました夜勤がつらい、これが三六%、給与が安いが三四%、それから健康上の理由が一六%で、毎日の勤務がつらいというのが一三%。つまり、家庭上というのはこういう問題から派生しての理由なんですよ。ほんとうの理由はこういうところにあると思いますが、どうですか。その認識の度合いについてお答えください。
#76
○斎藤国務大臣 私も、先般テレビで看護婦の組合の方々と対談をいたしました。いまおっしゃいますようなことも訴えを聞きましたし、そのほか陳情等も受けております。大体それが真相であろう、かように考えております。
#77
○広沢(賢)分科員 そうしますと、第一番目に、夜勤を人事院の判定どおりのことにするという計画や何かは立てておりますか。人事院判定どおりにしたら、どのくらいになるかという計画は立てておりますか。
#78
○松尾政府委員 人事院の判定は、御承知だと存じますけれども、夜勤日数につきましても、ほかの条件を改善しながら、一応月八日ということを計画的に持っていく、こういうような線でもあります。また、一人夜勤という問題を二人夜勤にする問題につきましても、特にそういう必要性があるものについてはそういうふうにはかっていくべきである、こういうような問題でございます。ただいま御指摘のように、非常に厳密な意味で、各病院の二人夜勤の数等を、それぞれの実態に応じて合わせるということは、非常に困難かと存じます。たとえば、国立病院等におきましても、病床等の実態に合わせまして、これを解消していきたいということで、年次的に計画を進めておるというわけでございます。
#79
○広沢(賢)分科員 予算委員会ですからもっと具体的に考えますと、文部省、看護業務要員の充実で、看護婦定数の百三十五人増、看護業務要員の二百四十五人増、そのうち、四十四年度を初年度として看護婦の二人夜勤、複数夜勤ですね、それから月八日を五カ年計画で達成するものとするという計画を立てております。厚生省はよく御承知だと思いますが、どう思いますか。
#80
○松尾政府委員 国立の機関、国立病院、療養所におきましてもいろいろな計画を立てております。大体、二人夜勤を必要とするところに二人夜勤を配置する。また、八日ということにいたしました場合、大体二千百人程度の人員を必要とするであろう。これは国立病院、療養所についてでございます。それはいろいろと積み上げをいたしまして、そういう計画を持っておるわけでございます。
#81
○広沢(賢)分科員 これについて、強力に大蔵省に要求するという問題についてはあとでお聞きしますが、次に、看護婦さんの質の問題です。どういうことかというと、正看護婦さんと准看護婦さんがいますが、最近、正看護婦さんが減るような――減るというか、一生懸命厚生省は増員要求をして、大蔵省にぶったたかれながらやっておるのですが、その中で、正看護婦と准看護婦とどっちが比率からいって伸びていくか。それから、資格のない人たちが病院で働いていますが、そういう人たちがだんだんとふえていく傾向にある。そういう傾向は厚生大臣よく御存じですか。
#82
○斎藤国務大臣 大体、そういう傾向だと存じております。
#83
○広沢(賢)分科員 これはたいへんなことなんですね。つまり、資格のない人がいろいろと手伝うということは、だんだん仕事が忙しくなると、看護婦さんですら、静脈注射をやることはいけないことであるのにやって、いろいろ看護婦さんに責任がかかってくるということがある。まして准看護婦さんのほうが多くなってきて、だんだん看護婦さんの質が落ちていくということを防ぐ具体的な対策は、どういうふうにおとりになりますか。
#84
○斎藤国務大臣 ふえ方が准看のほうが多いということで、正看が実数が減っておるわけではございません。したがいまして、正看もふえてはおりますが、准看のふえ方のほうが多いと申し上げておるわけであります。しかしながら、今後正看の養成をもっとよけいやって、正看をふやすような努力をいたしておるのであります。
#85
○広沢(賢)分科員 そうすると、まず正看をふやすということですね。これはやはり一番努力しなければならぬ。
 その正看をふやす予算についてお聞きしたいのですが、ことしの予算の中で、看護婦等養成所施設整備費というのがありますね。これは新設はどのくらいで、金額はどのくらいになっておりますか。厚生大臣、よく御承知ですか。
#86
○松尾政府委員 養成所の施設を整備いたします補助金といたしましては、四十四年度は一億三千七百十九万四千円でございます。予定といたします新設の個所数は、大体十五カ所を予定いたしております。そのほか、この中で増築を八カ所、一応予算ではそういう計画のもとに、ただいま申し上げた額を計上いたしております。
#87
○広沢(賢)分科員 そのほかの項目にわたってとても少ない。これじゃしようがないというふうにお思いになりませんか、どうですか。
#88
○松尾政府委員 御指摘のように、決してこれで十分だと私ども感じておるわけでもございませんが、全体といたしまして、そのほかに国立病院あるいは国立療養所等におきますところのいろいろな養成もやっておりますので、そういうものを含めまして、一般会計、特会含めますと、厚生省関係では約十四億という看護婦養成の費用を計上しているということになります。
#89
○広沢(賢)分科員 ところが、細目で見ますと、看護婦等貸費生貸与補助金がわずかに九千六百万円ですね。それから削られた分では、看護婦等養成所運営費の補助金ですね。これは専任教員も不足しておるから、そこから始めなければいけないのですが、これを交付税でなくて補助金にしろという要求があったと思うのですが、これはゼロですね。それから看護婦委託養成費の補助金、わずかの額だと思うのですが、これもゼロ。それから潜在看護力活用講習会費、これも相当少なくなっておる。
 大蔵省の主計官にお尋ねします。大体、自衛隊をうんと増加したからけしからぬと言うと何かぴんとこないと思うので、もっとこまかいことで聞きますが、北方領土問題に関する宣伝啓蒙の費用が一千八百万計上されています。それから万国博覧会に対して百十九億計上されておるのですよ。ところが、看護婦さんの問題については削ること削ること、これは大蔵大臣にあとの機会に質問しようと思うのですが、つまり、シビルミニマムというものですね。憲法で規定されている最低にして健康で文化的な生活というもの、国民が税金を払っていれば、国はこの行政水準をぎりぎり守る義務がある。ところが看護婦さんにこんなに人道問題を一ぱい起こしているということは、さっきお聞きしまして十分厚生大臣は承知しているというのですね。それでしたら、やはり人事院が判定して、それで看護婦さんがもうやめたいという気持ちになる夜勤の問題もう月のうち半分夜勤なんだということがあるから、どうしたって家庭争議になってしまうのです。したがって、この問題について、大蔵省としてはどうしても要望にこたえなければならぬ。文部省はちゃんと案をつくっちゃったのですから。厚生省と相談したのか、文部省が早くつくったのか、つくって五カ年計画を立てているというのですから、そういう五カ年計画は、もうできるだけ尊重するということでやらなければ、国の責務は果たせないと思うが、どうですか。
#90
○辻説明員 一般的な看護婦さんの確保の問題と、それから国立病院、療養所におきます看護婦さんの問題と、二つ問題があろうかと思います。
 第一の、一般的な看護婦の確保対策につきましては、先ほどもお話がありましたように、養成施設の整備でございますとか、あるいは就学資金でございますとか、あるいは直接国立病院あるいは療養所におきます看護婦の養成でございますとか、そういう施策を従来からやっておりまして、先ほど厚生省からお答えいたしましたように、四十四年度予算におきましては、一般会計、特別会計合わせますと十四億一千六百万円計上しております。前年が十二億九千二百万程度でございますので、一億二千四百万くらいの増額になっております。
 それから、第二の国立病院、国立療養所におきます看護婦さんの勤務体制の改善につきましても、従来から勤務環境改善のためのいろいろな施設の整備をいたしましたり、あるいは夜間看護手当を計上いたしましたり、いろんなことをやってまいりましたが、四十四年度におきましては、新たにこのための増員といたしまして二百六十一名看護婦さんを増員いたしておるわけでございます。このような増員措置とあわせまして、欠員の補充でございますとか、あるいは職員の配置の適正化でございますとか、あるいはまた病院の病棟の集約をはかりまして、看護婦さんの勤務体制を合理化いたしますとか、いろいろな施策とあわせまして人事院判定の趣旨に沿うようつとめてまいりたい、かように考えているわけでございます。
#91
○広沢(賢)分科員 判定に沿うようつとめていきたいというのですから、そうすれば文部省が出した五カ年計画、これは厚生省としても極力大蔵省に対して、国の義務として要求することは必要だと思いますが、厚生大臣の御所見と、それからもう一回、この五カ年計画について全力をあげてやるというのがさつきの答弁の趣旨ですから、具体的にその点についてお伺いしたいと思います。五カ年計画を三カ年計画にしてもいいんですよ、もっと早くしても。
#92
○松尾政府委員 私どもといたしましては、病棟のいろいろな合理的な配分等もあわせて進め、また環境条件というものの改善、それから患者収容の合理化というような面もいろいろと考慮いたしまして、できるだけ早い機会にそういうふうな条件の改善をはかりたい、こういう点で進めてまいるつもりでございます。
#93
○広沢(賢)分科員 時間がないからそれを強く要望しまして、その次に、病院経営というのは非常に非合理的な点が多いと思うのです。たとえば、ここの中に一つありますが、看護婦の賃金をいかに低く押えるかが病院経営で赤字を出さないことに結びつく。つまり、人件費の支出が大体収入の四六%から四七%、その中で看護婦さんの賃金が三分の一ということだから、結局、健康保険制度の改正や何かとも全部からむのです。こういうような状況であるということは、厚生大臣としてどうお考えになりますか。
#94
○斎藤国務大臣 御意見のとおり、病院経営には人件費を相当要します。したがいまして、それに相当する診療報酬も必要であると思います。
#95
○広沢(賢)分科員 そういう実情を調べて、健康保険制度の改正のときに抜本的に改正しないと、看護婦さんの給与というのは低いということはさっきありましたけれども、民間の初任給と比べたらどのくらいか、比較したことはございますか。その数字をあげていただきたいと思うのです。
#96
○斎藤国務大臣 私は、比較した数字を持っておりませんが、それらの点も十分調べまして、それに合うような措置をとってまいりたい。国の看護婦等につきましても、私は、看護婦の給料は少し安過ぎるのではないかということを、人事院に検討してもらうようにということを、事務当局に指示を与えております。
#97
○広沢(賢)分科員 看護婦さんの給与というのは、民間の初任給と比較して低いから、みんな外へ行ってしまうということについては、厚生大臣もお認めになったと思うのです。
 そこでもう一つ、病院の経営問題での不都合な点をいろいろお聞きしたいと思うのです。お医者さんに、もうかっているお医者さんともうかっていないお医者さんがあると思うのですよ。これは、健康保険の抜本的改正のところでいろいろひっかかっている問題だと思うのですが、まじめな保険医の方々は、ほんとうにいまの状態でやっていけない。ところが、いろいろ病院がありますが、ある病院のお医者さんたちが、政府が技術料を認めないからやみの技術料でいろいろやっているということは、厚生大臣御存じですか。そしてそれはどのくらい、万の単位か二けたか三けたか、そういうことはよく御存じですか。「白い巨塔」という小説にも出ていますね。どうぞお答えください。
#98
○斎藤国務大臣 診療報酬は、ほんとうにまじめなお医者さんでもやっていけるというような診療報酬にしなければならない。それにつきましては、中医協で抜本改正の際に、診療報酬も抜本的に考えていただきたい、こう思っております。
 まじめなお医者さんとふまじめなお医者さんの割合はどうかといまお尋ねですね。そうでしょう。
#99
○広沢(賢)分科員 やみの技術料です。
#100
○斎藤国務大臣 だからやみの技術料、これはふまじめなお医者さんということになるわけでしょう、やみをやっているということであれば。その割合につきましては、私は正確にどの程度ということは把握いたしておりません。おりませんが、しかし、ふまじめといわなくても、診療報酬制度が適当でないから、したがって、やむなくこういうことになるということも私はあろうかと思います。いま中医協で、医療機関あるいは医療従事者の実態調査をやっておりまして、近くその結論が出るはずであります。そういうところにもあらわれてくるかと思っているわけですが、コンピューターにかけて、そのうちそういった全国の医療機関の実態調査が明らかになるであろう、かように考えております。
#101
○広沢(賢)分科員 コンピューターにかけてもだめなんですよ。厚生大臣よく御存じじゃないですか。つまり、いまの病院はふまじめということではなくて、いまの状態、厚生大臣がおっしゃったように、いまの健康保険制度その他のシステムが不合理なためにしわ寄せされているのです。大体、いろいろの病院で高い技術を持っているお医者さん、これはふまじめじゃないのですが、そのお医者さんは万の二けた、万の二けたといったら十万、二十万、三十万ですよ。それを一人の患者から技術料だとして入れて、それを今度は大学の研究室へ拠出するのですよ。そうすると大学の研究室は、無給だといわれるけれども、それをえらいボスがみなちゃんと分配するわけです。国家がちゃんと支出したり何かして要請したりすることをしない。そういうものを削るから、東大みたいなあんな大騒ぎになってしまうのです。そのやり方がきわめて封建的なんです。学閥、結婚閥なんというのもある。そういう形でゆがめられているから、東大の医局が爆発するし、それから、たとえばまじめなお医者さんは、公立、国立の病院でもってサラリーマンとして一生懸命になってやっても、貧しい人にはやってやれないのです。貧しい人は結局健康保険で行けばあと回しにされる。ガンの治療なんかはあと回しにされる。ところが、そうじゃなくて金持ちは、裏でもってやみの技術料を出せば命が助かる、貧乏人は助かる命が助からない、こういうことで、これは予算の支出や何かの問題じゃないですよ。これについてメスを入れなければたいへんなことになるでしょう。まじめに国立病院で働いているお医者さんというのは気の毒です。気の毒だし、そういう傾向で、さっきの看護婦さんの場合と同じように、看護婦さんの資格がない人が個人病院でだんだんふえていくという形になる。そういう点について抜本的にメスをふるわなければならない。これが健康保険制度改革の大前提だと思いますが、厚生大臣の御所見はいかがですか。
#102
○斎藤国務大臣 おっしゃいますことは、まことに大事なことだと思っております。したがって、技術料をどういうようにして評価をしていくかということが、診療報酬、点数表改正の一番の重点になるだろう。また、その方針で、その方向で中医協においても審議をしていただけるもの、かように考えております。
#103
○広沢(賢)分科員 それで、たとえばお医者さんですね。お医者さんはどういうように報酬があるかということ。厚生省のほうは、お医者さんのほうが返事をしてくれないのだということで一年問ぐるぐる回って、その間に健康保険制度は赤字がふえるとかなんとかで大騒ぎしている。大蔵省はぶった切ることばかり考えているでしょう。それじゃ問題は解決しないですから、医療の技術料の問題とか、その他の医者の収入の問題なんか、早くやらないといかぬ。大蔵省は、大きな独占企業の租税特別措置はそのままにしておいて、お医者さんの必要経費の税金の控除ばかり目をつけて、大蔵委員のほうには、医者はもうかっている、もうかっているという宣伝ばかりしてくるのですよ。必要経費の控除や何かは、点数表とか診療報酬の問題とからめてやるということになっているでしょう。その点、大蔵省主税局は来年度もはずそうと考えているかもわからないから、どうしても抜本的改正をしなければならぬということについて、厚生大臣、決意をお伺いしたい。
#104
○斎藤国務大臣 中医協に対しましても、できるだけ早く結論を出していただく、審議を急いでいただくように、いつもお願いをいたしておるわけであります。御所見のように考えております。
#105
○広沢(賢)分科員 もう一つだけ看護婦さんを定着させるようにいろいろ努力がありますが、その一つとして保育所ですね。病院の近くに保育所をつくる。いままでの経験ある有資格者というのは、御承知のとおり五十万人ぐらいいると思うのですがね。その人たちをずっと集めて、それで、子供ができた看護婦さんでも安心してちゃんとつとめることができるようにすれば、一方で一生懸命金をかけて養成するわけですが、同時にそっちのほうもずいぶん解決すると思うのです。保育所を病院のところに設置したり、特別にいろいろ配慮するということは来年度の予算の中で考慮すべきだと思いますが、いかがですか。
#106
○斎藤国務大臣 私も実はその点は認識不足であったのであります。看護婦さんは独身の方が多いかと実は思っておったのですが、ところがだんだん伺ってみると、既婚の方が多い、子供を持っておられる方が多い、またこれから産みそうな方もおるということを伺いまして、いまおっしゃいますように、やはり病院の近辺あるいは中にそういった保育所施設というものも必要だというような感じを私はただいまいたしております。本年度の予算要求は済みましたけれども、来年度はぜひそういう方面にもこまかい配慮をいたしたい、かように考えます。
#107
○広沢(賢)分科員 それでは、いまのは感じですが、その感じをほんとに科学的に確かめていただきたい。材料はいろいろあるんですよ。東京の例で、保育室があった豊島病院は、五十九人ふえて、やめていったのが二十一人。保育室がなかった広尾病院の場合は、五十五人ふえて五十五人近くやめてしまったのです。だからそういう材料は調査すればいろいろ出てきます。それに基づいて大蔵省に頑強にがんばらなければいかぬと思うのです。さっき言った五カ年計画、文部省でせっかくつくっているんですから、五カ年計画で人事院判定どおりのことをやる。これがシビルミニマムだと思うのです。シビルミニマムを踏み切ったり、人事院判定を踏みにじったりするようなことをやったときには、最低行政基準をきちっときめて、これからは断じて引かない、こういう形にしていただければ、私どもは日本国憲法に沿った厚生大臣ということで非常に高く評価しますが、大蔵省に対して今度予算要求するときには、最低行政水準というものを厚生省できちっとつくって要求していただきたいと思います。
 以上で終わります。
#108
○赤澤主査 山下榮二君。
#109
○山下(榮)分科員 自治大臣、大蔵大臣、厚生大臣、三人おそろいでございますから、それぞれの面についてお伺いをいたしたいと思うのであります。
 まず最初に自治大臣に伺いたいと思うのございますが、府県市町村、すなわち地方自治体が行なっている公営企業に対しましては、独立採算制という一つの原則があると思うのですが、最近の人口の移動、都市への集中、いろいろな観点からいたしまして、なかなかそれは無理ではないかと思う節も数多くあるのであります。したがいまして、地方公共団体の公営企業に対して、独立採算制というものは何とか回避をすべき時期に来ておるのではないか、こういう考え方があると思うのですが、これに対する自治大臣の御所見を伺いたいと思うのであります。
#110
○野田国務大臣 地方公営企業のあり方については、いまお示しのとおり独立採算制のたてまえをとっております。しかし実態は全く私も同感でございまして、独立採算制では経営がやっていけません。これを、その理論的根拠をなくするかどうかということは、原則としては、私はできるならば独立採算制でいけるように持っていきたい。しかし事実は非常に困難であります。そこで、そのなには、いわゆる独立採算制の原則のもとに、負担区分の合理化で補っていくという考え方を持っております。
#111
○山下(榮)分科員 申し上げますことは、御承知のごとく、地方公共団体の行なう公営企業というものは公共事業でありますから、この公共事業の料金が値上げになりますと、引き続いてその他の諸物価に影響することは論を待たないのであります。たとえば水道料金に例をとってみますると、水道料金はこの二、三年の間に、神戸も大阪も東京も、私が住む尼崎なんぞは二年間も続いて値上げが行なわれてまいってきておるのであります。こういうことから考えまして、これがひいては、いま申し上げる諸物価に影響する。水道料の値上げは直ちに浴場の値上げとなり、あるいはクリーニング屋、洗たく屋の値上げにも響いてくる、こういう結果を招いてくるのでありますが、これらに対しての対策というのは、一体いかようにお考えになっておるのでありましょうか。特に水道だけを取り上げましたが、バスにおいても同じことだと思うのです、夢、特に水道料等についていかようなお考えを持っておるか、伺っておきたいと思うのであります。
  〔主査退席、竹内主査代理着席〕
#112
○野田国務大臣 たとえば、おあげになった料金値上げをいたしましたところは、これはもう全く過密地帯と申しますか、いまの公営企業の原則論の独立採算制といっても、なかなか需要が多いのでありますから、それは非常に困難でありますことは事実であります。上水道等につきましても、やはり起債に対して政府資金を増加する、あるいは金利の補給ということをやっております。また今後のこの公営企業の問題は、全体としてどういうふうに指導していって、どうして安全経営に向かって進むように持っていくかということは、非常にいま苦心のあるところでございまして、政府委員から、いろいろ案をいま考えておることをちょっと申し上げます。大事な問題でございますから。
#113
○細郷政府委員 料金については、やはり企業がペイする適正な料金が必要だろうと思いますが、最近の情勢の変化で、たとえば広域水道であるとか、あるいは立地上非常に高い水を飲まなければならないといったようなところもございますので、そういうものにつきましては、国の補助を出すほか、地方交付税上も措置をいたしまして、直ちにそのものが料金にはね返らないようにしてまいりたい、こういうふうに考えております。
#114
○山下(榮)分科員 それではかように解していいんですか、いままでは、御承知のごとく、簡易水道に対しては国庫の補助が行なわれておる。上水道に対しては国庫補助が行なわれていない、そこで私どもの考えは、上水道等に対しましては、国の資金である厚生年金とかあるいは簡易保険とかいうような金利の融資を行なわしめる。そしてあるいは国の補助政策を行なう、あるいは公募債等は非常に金利が高いようでありますが、公募債等をどうやっても行なわなければならぬような問題には、利子補給を政府がやる。こういうこと等を行なって水道料というものの一定の安定策というものを立てる、こういうことがきわめて必要ではないか。かように思っておるんですが、これらに対して一体どうお考えになっておられますか。
#115
○細郷政府委員 大体お考えのような線で、それぞれの対策を講ずべきであると思っております。現に広域水道につきましては、厚生省のほうから補助金が出ておりますし、それから先ほど申し上げましたように、非常に立地上高い水道料金を払わなければならぬというようなものにつきましては、当該団体に対する交付税の措置によって補給を認めていく、そういうような方向をいまとっておるのございまして、四十四年度におきまして、その額を増額をしてまいりたい、こう思っております。
#116
○山下(榮)分科員 具体的に伺いますが、そうしますと、私が申し上げたことは自治省としても大体了承できる、こうおっしやるのでありますが、具体的に、たとえば償還の年限を非常に延長して五十年ぐらいにする。あるいは、いま私が補給ということばを使いましたが、少なくとも金利を年五分ぐらいに押える。こういうような体制をとるならば、私は、水道事業というものの一定の安定策が行なわれるのではないか、こう考えておるのですが、そういうことを行なうという決意があるかどうか、大臣の所見を伺っておきたいと思うのであります。
#117
○野田国務大臣 いま具体的にお示しのありました償還年限五十年ということございましたが、これはいまの実態から考えで、やはり償還年限はできるだけ伸ばすという考え方でもっていかなくちゃならぬと思っております。ただ、年限がどのくらいになるかということは、水道の債務の償還だけでなくて、他の一般的なこともございますから年限をどこまで持っていくということははっきり申し上げられませんが、やはりそういうふうに努力したいと思っております。
 金利でございますが、確かにお示しのとおり、いままでの金利は高い。たとえば私どもがいまいろいろ考えております公営企業金融公庫の金利でも、その目的からすれば相当高いのです。これも何らかの方法でできるだけ引き下げたいと考えております。それが五分までいくということは、すぐ簡単にそこまで下がるかどうか言い切れませんが、金利の引き下げということは、企業の性質から考えて非常に大事なことだと思っています。そういう方向にいま自治省としてもあらゆる考慮を払っているところでございます。
#118
○山下(榮)分科員 そういう方向というあいまいなことでは私は承知いたしかねるのですけれども、大臣は明年度予算等の編成については、私が申し上げた線で大いに大蔵省にがんばっていただきたい。これを申し上げておきたいと思うのであります。
 もう一つ申し上げたいと思うのは、水道料金の問題と切り離すことのできない問題は何であるかと申し上げますると、水源地の問題である。御承知のごとく最近は、産業の発達に伴いまして、都市近郷の河川その他が非常に汚濁されてまいって、飲料に供することが困難になってまいってきておる。だんだんと水源地というのは山奥へ山奥へと持っていかなければなりません。こういう関係になってまいりますと、いまどきのはやりじゃございませんけれども、広域行政の面で水道事業の運営が行なわれる、こういう結果になっておることは御承知であろうと思うのであります。したがいまして、これらの広域企業で行なうことが非常にいいとお考えになるか、これを推進されようとお考えになっておるかどうか。あるいは水源地等に対して、おそらく都市近郷から取るということは困難になっておるのでありますが、産業の発達に伴って河川その他が汚濁されるのを防止する対策としてどういうお考えを持っておられるのであるか、この点について伺いたいと思うのであります。
#119
○野田国務大臣 お話のとおり、もう都市の水というのは近くからはほとんど取れないので、だんだん奥のほうに入っていく。現に東京、神奈川なんかも相当広域的な考え方でやっておりますし、私はいまのお話のとおり、水道の広域化によって水資源を確保するということはけっこうだと思っております。(山下(榮)分科員「はっきりわからなかったのですが」と呼ぶ)つまり、そいうう場合には広域行政に基づいて、いまのお話のとおり、広域な、広い範囲内でできるだけ住民が不自由しないようにやるためには、広域行政の考え方で水資源を取るということは賛成いたしております。
#120
○山下(榮)分科員 広域行政の運営に対しては大臣が賛成であるというお答えをいただきました。
 時間がございませんから、次に厚生大臣に伺いたいと思うのであります。
 いまも申し上げましたように、水道事業は国民生活と切り離すことのできない重大な問題であることは、御承知のとおりであります。したがいまして、いま自治大臣に伺ったのでありますけれども、厚生省といたしましては、一体水道事業というものに対して、いかような助成策でいかような普及をいたしていこうとお考えになっておるのでありますか。先ほども申し上げましたように、農村における近代化、農村の文化向上を目ざして簡易水道を普及される。簡易水道には国庫補助を行なっておられることは御承知のとおりであります。しかし、先ほども申し上げましたように、人口が都市へ都市へと集中いたしまして、都市の水道事業というのは、年々歳々拡張に拡張を重ねていかなければならないのがその実情であります。こういうことに対して、厚生省としては一定の画然たる方針がなければならぬ、行き当たりばったりでは困ると思うのですが、厚生省の御所見を伺いたいと思うのであります。
#121
○斎藤国務大臣 水道事業の普及はまことに重要な行政だと思っております。ことに近年の諸般の情勢から考えまして、もっともっと水道事業が、少なくとも地方で要望のあるものは、これは国の補助金がないからとかいうことで阻止をしないでやっていけるようにいたしたい、かように考えております。先ほどから自治省から御答弁がありましたように、広域水道に対する補助金の制度も昭和四十二年度からできまして、四十三年度は補助金の額は十一億でありましたが、四十四年度は二十億というように、約倍近い補助金を大蔵省で認めてもらいました。それから簡易水道も、四十三年度は十七億でありましたが、これも二十一億と、いままでにない増額をしたわけでございます。今後ももっともっと進めてまいりたい、かように考えております。
#122
○山下(榮)分科員 それでは時間がありませんから、水道問題はそれくらいにいたしまして、最後に厚生大臣に伺いたいと思うのは、環境衛生の施設について伺いたいと思うのであります。
 いまも申し上げましたように、人口が都市に集中いたしますると、いわゆる過密都市、過疎化対策等がいろいろやかましくいわれておることは、御承知のとおりであります。結局、過密化いたしますると環境が悪くなることは、これは当然であります。そこで、今日の地方自治体で一番困っておるし尿処理等の対策について、一体厚生省としてはいかなるお考えを持っておられるか、伺いたいと思うのであります。
#123
○斎藤国務大臣 おっしゃいますように、し尿処理、それからおそらくあとでもおっしゃるのじゃないかと思いますが、ごみ処理、これは当面している問題であり、今後大いにやっていかなければならない問題でございまして、御承知のように、昭和四十二年度を起点とする五カ年計画を策定をすることになっておるわけであります。先般閣議でこれを決定をいたしまして、四十六年までにその五カ年計画を完成をいたしたい。これが完成をいたしますると、し尿処理は計画内にありまする約九千三百万の総人口に対しまして、全部処理ができるという計画でございまして、今後物価の値上がりその他によりまして、当時策定をいたしました金額をもう少し上回るのじゃないだろうかと思っておりますが、しかしその計画に基づきまして来年度予算に要求をいたしておるわけであります。
#124
○山下(榮)分科員 し尿処理等については、東京都はいかなることをやっておるかわかりませんが、その他の中小都市では海上投棄をやっておると思うのでありますけれども、これは非常な危険なことだと私はかねがね考えておるのです。そのためにし尿処理場というものが最近やかましくなってまいってきたと思うのであります。海上投棄等に対しましては、これは禁止されておりますか、それとも従来のままの姿でありますか、いかようになっておりますか。
#125
○金光政府委員 海上投棄につきましては、年々減少してまいっておるわけでございます。海上投棄は、御承知のように、清掃法におきまして禁止区域を政令できめておりまして、そしてその地域以外に投棄させないようにいたしておるのでございます。そういうことでございますが、だんだんに施設も伸びてまいりましたので、いまの五カ年計画ができますれば、もう完全に海上投棄がなくなる、かように考えております。
#126
○山下(榮)分科員 し尿処理と並行して、都市で一番困る問題は、ごみの処理でございます。し尿とごみの処理の完ぺきを期さなければ都市の環境というものがよくならないことは、御承知のとおりであります。したがいまして、このごみ処理に対しましては、一体いかような対策を立てておられますか、伺いたい。
#127
○斎藤国務大臣 ごみ処理に対しましても、し尿処理と同様に、五カ年計画を立てまして、これは特別清掃地域の九千万余りの総人口に対して七五%を五カ年内に処理をする。四十六年までには少なくとも七五%のごみの処理ができる。全国のごみの処理問題は、一般に考えられている以上に私は大事な問題だと思っておるわけでございますので、したがって、今後厚生行政といたしましては、ごみ処理にもうんと力を入れてまいらなければならぬと私は心底からそう考えておるのでございます。
#128
○山下(榮)分科員 時間が参ったようでありますから、結論を申し上げたいと思うのですが、し尿処理あるいはごみ処理等の施設に対して国庫補助は一体何%行なっておるのでありますか。ちょっと伺いたいと思います。
#129
○金光政府委員 し尿処理施設につきましては三分の一でございます。それからごみ処理施設につきましては四分の一でございます。
#130
○山下(榮)分科員 御承知のごとく、最近の市町村の財政事情等から考えまして、これらの施設に四分の一ないしは三分の一というような補助率では、市町村はとうてい完全な施設を行なうことは非常に困難であると思うのであります。少なくとも三分の二くらいの補助を行なう、厚生省はこのくらいの決意を固められなければ、各市町村に対して環境衛生上の完ぺきを期することはとうてい不可能ではないか、こう思っておるのであります。かようなことに対して、厚生省の考え方はどういうのでしょうか。
#131
○斎藤国務大臣 私は、ごみ処理、し尿処理、これは本来自治体の仕事だと考えておるのであります。自治体が自分のところのごみやし尿の処理をするということはもう当然のことだ。ただ、国のほうからもそれを促進をしなければならぬという考え方から、補助をつけておるわけでございます。したがいまして、私は、自治体の財源の許す限りは、少なくともこの程度の補助でやっていただけるようにお願いしたいと思っておりますが、自治体の財政の状況もございましょう。自治大臣とも御相談を申し上げたい。ただ、財源の中で補助金以外のものは、低利の資金を融通をいたしているわけでございます。しかし地方の財政状態等考えまして、必要があれば自治大臣とも御相談申し上げたいと思いますが、その低利資金の貸し付け、補助金の制度、これについて、私のほうから、いまもう少し補助金額を増そうという考えは、率直のところ持っておりません。
#132
○山下(榮)分科員 私は、大臣のいまの御答弁、まことに遺憾に思います。都市の人口集中化というものは国の施策のしからしめるところであると思っておるのであります。もっと政府の政策のよろしきを得て人口の分散の体制をとるならば、私は、いま大臣のおっしゃるようなことで順序が進んでまいるであろうと思うのであります。しかるに都市にめちゃくちゃに人口が集中してくるということは、これは国の政策の上からくる結果でございまして、これに対しては地方自治のやるべきものであるからまあ知らぬぞとはおっしゃってないけれども、補助は出しておられるのですから。しかしこれらに対しては、もう少し思い切った処置をとっていただかなければならぬのが当然である、かように考えております。そのことは答弁は要りませんが、私の意見として申し上げておきたいと思うのであります。
 最後に、先ほども申し上げましたように、産業の発展に伴いまして、河川等が非常に汚濁してまいっておる。非常に悪臭を放ってまいる。ことに私の住む尼崎等はひどいのでございます。これらに対し一体どういう対策を考えておられるか、厚生省の方針を伺いたい。
#133
○斎藤国務大臣 河川の汚染、ことに尼崎近辺の神崎川か武庫川でしたか、私も十分承知しておりますが、悪臭と、それから汚染、これには十分対処をしてまいりたい、かように考えまして、本年度も若干の予算をもらってこれに対処をいたしてまいりたいと考えております。
#134
○山下(榮)分科員 労働大臣が見えたようでありますから、私は御通知は申し上げていないが、労働大臣に一つだけ伺っておきたいと思うのであります。
 御承知のとおり、新聞で見ますと、八幡製鉄と富士製鉄がどうやら合併の態勢になってまいったようであります。最近御承知のごとく、産業がだんだん大型化といいますか、マンモス化してまいることは、これは世の中の趨勢であると私は考えておるのであります。もし八幡、富士というような大企業が合併をしてまいるということになりますと、これは会社は資本的にあるいは企業的に合併は何ら支障なくうまく進むでございましょう。しかし、そこで働く労働者というものの考え方、賃金体系がいかように違うか、労働条件がどう食い違っているか、その調整等に対し労働大臣は一体いかようなお考えを持っておられるのでありますか。かつて鐘紡と東洋紡ですかの合併等については、労働組合の労働条件の問題から合併が御破算になったことも御承知であろうと思うのでございます。企業合併といえども、労働問題と切り離してものを考えるわけにはまいらないのが、今日の実情であると思うのであります。これらの点について労働大臣としての所信を伺っておきたいと思います。
#135
○原国務大臣 原則といたしましては、合併する前に労使間でよく話し合いをしていただいて、そういう話を調整されることが適当であると考えます。私の聞いておる限りでは、鉄鋼労連のほうでは賛意を表しておるということを聞いておりますので、万支障なかろうと存じております。
#136
○山下(榮)分科員 時間がありませんから多くは追及いたしませんが、富士、八幡のような大型化した、しかも最高の労働条件、労働賃金にあるところは、いまおっしゃるような関係にあると思うのであります。しかし、今後行なわれるであろうところの多くのもろもろの合併というものは、さようにはまいらないと思うのであります。労働条件の非常に低いところと高いところもありましょう。あるいは賃金の格差のひどいところもあるでありましょう。これらの問題に対して、調整等について、労働省としてはどういう方針をおとりになるつもりであるか、そこら辺の将来の問題を私は伺っているのであります。
#137
○原国務大臣 いま山下さんの御説のごとく、労働条件がいま言われたように劣悪なところの合併等々、将来いろいろあろうかと存じます。そういう場合におきましても、原則としては労使間においてよく話し合いをして、適当な話し合いができますようにわれわれとしては指導もしていきたい、こう思っております。
#138
○山下(榮)分科員 それでは時間が参りましたからこれで終わりますが、ただ労使間で話し合いと、こういうだけでは、世の中はおさまらないのが今日の実情であります。労働省がこれに対する一定の方針を今日から確立されて、そうして話し合いを進められる方法をおとりになることがきわめて必要である、こう私は考えておるのであります。どうか今後さような問題に対処する労働省としての一つの心がまえ、方針というものをひとつお考えおきをいただきたい、このことを希望いたしまして、私の質問を終わります。
#139
○竹内主査代理 次に、中村重光君。
#140
○中村(重)分科員 厚生大臣にお尋ねします。
 宮城県、群馬県、長崎県の三県のそれぞれの地区でカドミウム汚染の調査をおやりになったと思うのでございますが、その調査結果はどういうことになっておりますか、簡潔にお答え願いたいと思います。
#141
○金光政府委員 ただいまの御質問にございましたような調査を行なっておるわけでございますが、三月一ぱいには調査結果が出るという状態でございます。
#142
○中村(重)分科員 長崎県の場合に、問題の対馬のイタイイタイ病の調査は、地元で障害調査委員会が設けられて、四十四名の患者に対して検査を行なった。骨の変化を調べた結果、三十八名の者がカドミウムにおかされているというような疑いがある。いまの三月末ぐらいに大体結論が出るであろう、こういわれているのであります。ところが、けさの新聞でありますが、カドミウム汚染があることは決定的、川や井戸水、田畑から検出された、人体に対する影響は来月中に結論を出す、こういうことでございます。これから想像されることは、カドミウムの汚染はもう間違いはないのだ、こういうことになろうと思うのでございますが、結論としては来月末でございましょうけれども、いま住民は相当な不安を持っているのですね。きょうの新聞でそういうことが報道されたんです。根拠がないのにそういう報道がされるはずはありません。したがって、いま少しく、対策を含めて、このカドミウム汚染の事実等についてひとつお答えを願います。
#143
○金光政府委員 長崎県の対馬の、ただいまのカドミウム汚染の問題でございますが、けさほど調査の一部につきまして新聞に載ったということを聞きまして、県にも問い合わせたのでございますが、県が公表したわけではないのでございまして、調査の結果につきましては、一部資料が漏れたと申しますか、掲載されたということでございます。
 そこで、ただいまのお話のように、対馬の厳原、樫根等の地区でございますが、カドミウムによりまして汚染されておるということにつきましては、あそこは長年の鉱山でございますので、すでに汚染されておるということは事実でございますが、四十年、四十一年度の健康調査におきましても、はっきりした患者は発見されてないということでございまして、今回いろいろと検診が行なわれておりまして、レントゲンの検査等も行なわれておるわけでございますが、これはまだ、やはり非常に学問的にもむずかしい面もございますので、そういった十分検討した上での結果を持たないと、軽々には説明はできないという事情でございます。しかしながら、現地におきましては、対策といたしましては、もう飲料水は水道をつくっておりますし、四十一年度に調べました米にも若干含まれておるわけでございますが、しかし、このような点につきましても心配がないような指導が行なわれておるわけであります。現在の実情におきましては、新しく患者が発生するような事態のないような指導はいたしておる。かようなことでございまして、過去におきます原因によりまして、長年の経過において患者があったかどうかということにつきましては、いままでのところはないわけでございますが、その調査結果にまつということでございます。
#144
○中村(重)分科員 カドミウムが検査の結果検出されたことは事実だ、こういうことでございます。なるほど、私がけさの新聞にそういうことが報道されたと申し上げた中に、人体に対する影響については来月中に結論を出す、こういうことでございますから、いまの答弁の線と大きくは変わらない。しかし、カドミウムが川や井戸水、田畑から検出されたということは、これは農作物に対するそうした汚染というものがあるということは事実だということになってまいります。そうなってまいりますと、人体に対する問題が、さらにまたこの田畑から検出された被害よりもさらに重大であるということは申し上げるまでもありません。お互いに農作物を食べて生活しておる住民にとってはたいへんな不安であろうと思います。したがいまして、調査というものはきわめて慎重を期していかなければならないということになるのでありますけれども、慎重を期するということが、こうした事実を隠蔽するということに通じてまいりますと、たいへんなことであろうと思います。したがいまして、相当長期間にわたっているわけでありますから、予算等にいたしましてもあまりちゃちな予算で委託しておやりになるということは、それなりに必要な面もありましょうけれども、厚生省はもっと積極的にこの調査に取り組んでいくという態度が私は望ましいと思う。あまりにも期間がかかり過ぎる。それだけにこの住民の不安というものは非常に高まってきておる。それで、それが解消の方向であるのならばいいのですけれども、次から次にこの調査の結果というものは、いまもお答えがありましたように、カドミウムの汚染があるということが明らかになった、こういうことでございます。したがいまして、いままでお進めになりました調査、そういうことに対しまして、もっと積極的におやりになるという態度をお持ちなのかどうか、これをひとつ伺ってみたい。
#145
○金光政府委員 調査につきましては若干時間がかかると申し上げましたが、これにつきましては、やはり新しい病気でもございます。また、カドミウムの検査方法等につきましても、やはり新しい学問と申しますか、さようなものでございまして、検査方法あるいは調査方法等を厳密にやりませんと、ほんとうの実態が出てこないというような問題でございます。そういうものでございまして、四十年以来続けて調査をいたしておるわけでございますが、今度調査結果が出ますれば、根本的な考え方というものが解明されるのではないか、かように考えておるわけでございます。厚生省といたしましては、いずれにいたしましてもこれが安心であるというような方向に対策も講じ、もし問題があれば対策を講ずるということが必要でございますので、この点につきましては積極的に取り組んでまいりたい、かように考えております。
#146
○中村(重)分科員 川や井戸水あるいは農作物等の調査、そういうととと並行して進めていかなければならないことは、問題の対州鉱山の鉱害防止の設備ということが十分なのかどうかということですね。これは通産省の担当になるわけでありますけれども、こうした問題については、これは通産省だ、こっちは厚生省だ、農林省だなんということでは、どうにもなりません。これは各省十分緊密な連携をとって調査を進めていかなければならない。私が通産省の鉱山保安局長から聞いたところによりますと、対州鉱山の鉱害防止設備というものはもう十分だ、こういうことを言っておるのでありますが、その点、厚生省としてはどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
#147
○金光政府委員 厚生省もそういった点につきましては通産省と十分連絡をとってやっておるわけであります。厚生省といたしましても、この廃水処理につきましては、非常にカドミウムの量も少のうございまして、かなりりっぱに施設しておる、かように考えております。
#148
○中村(重)分科員 連絡をとってやっている、こういうことなんですね。その結果はどうなのかということが問題なんですよ。だから通産省の鉱山保安局長が言われるように、現在の鉱山からはそうした有毒性のものが放出されるということはあり得ないということです。そうなってまいりますと、いまあなたがお答えになりましたように、あの山は徳川時代からの山なんです。そこでからみが堆積しておりますね。そのからみの上に家が建っておるのですよ。ところが、雨が降りますと、そのからみから有毒性のものがずっと地下に浸入してまいりまして、いわゆる地下水の中に入る、こういうことでしょう。そうなってまいりますと、これはきわめて重大な問題で、いま農作物等についてそうしたカドミウムが検出されたということでございますから、だからその原因を除去していくということでなければならないと思うのです。そこで通産省の鉱山保安局のほうでは、現在の対州鉱山からはそうした有毒性のいわゆるカドミウムが放出されることはあり得ない、こう言っている。それならば、いまいう徳川時代からのからみの堆積をどうするかという問題が並行して検討されていかなければならぬと私は思います。そうしなければ住民の不安というものは除去されない。こういうことになってまいりますが、その点はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
#149
○金光政府委員 ただいま御指摘の、長年の間に堆積された土壌の中に含まれておる廃液、この含まれておるという問題につきましてはなかなかむずかしい問題でございまして、根本的には先生のおっしゃるように、この問題を解決しなければならぬという問題でございますが、これにつきましては、今回の調査結果等とも相まちまして、今後の問題として通産当局とも十分連絡をとりながら対策を考えるというようにしてまいりたいと考えております。
#150
○中村(重)分科員 通産省が言うように、現在の対州鉱山からのそうした有毒性の廃液の放出がない。こういうことになってまいりますと、いま私が申し上げましたように昔からのからみの堆積が原因ではないかということになってまいります。そうなってまいりますと、現在の対州鉱山に責任を問うということは、法的にも実際問題としてもなかなかむずかしいということになってくるんじゃないか。この責任は国が負うということにならなければならないと私は思うのでありますが、その点いかがですか。
#151
○斎藤国務大臣 ただいまの御質問、また政府当局の答弁の中で私も概要をつかんだようなわけでございますが、いまおっしゃいますからみを何とかしなければならぬというような結論になりました場合には、私は、国もあるいは県も、また現在やっている事業とどういう関係になっておるかわかりませんが、それらの点も十分検討をいたしまして、そしてそういうことのないような措置のできるようにしなければならぬ、かように考えております。
#152
○中村(重)分科員 またもとに戻るのですが、けさ新聞に報道されたということになってまいりますと、これはある程度あなたのほうの調査結果というものはまとまっておるのではないかと思うのですね。これは県が公表したものではないということですが、県のほうで漏れているのか、あるいは厚生省のほうから漏れているのか、いずれにしてもこうした問題を報道機関が無責任に、単に想像でもって報道するということは考えられません。そうなってまいりますと、来月の末ということになってまいりますと、一カ月以上かかります。したがって、まとまっておるのであれば早く現在の調査結果を公表する、それに基づいてさらに対策を立てていくという態度をおとりになるのでなければ私はならぬと思うのです。いたずらにこうした問題を隠蔽して、もう新聞に出てしまったのだから、不安をさらに高めていくということは私は避けなければならぬと思いますが、その点大臣いかがでしょう。
#153
○斎藤国務大臣 なるべく早く調査結果をいただいて、そうして対策におくれをとらないようにと私も念願をいたします。しかし、まだ調査結果がまとまらぬというのを途中でもらっても何にもなりませんから、したがって、結論を早く出していただけるようにさらに推進をいたしたいと思います。
#154
○中村(重)分科員 いろいろありますが、何しろ時間がありませんから議論をするいとまはありません。
 いま大臣がお答えになりましたように、まとまっていないものを、きわめて重要でありますから、これを軽はずみに発表するということは慎重を期していかなければならぬということはよくわかります。しかし、私が申し上げましたように、もうまとまっておるというように考えられるのですよ。来月末発表というのはずいぶん前から言っているんですね。一つのスケジュールによって、こう発表したからそうするのだという態度であっては私はならぬと思う。だからできるだけ早く結論を出す、そうしてできるだけ早く発表する、同時にもう次の対策を立てる、こういうことが必要である。
 それからもう一つ、申し上げたように、そうした農作物であるとか人体に対するところの検査だけをやっておりますと、肝心の対策というものが並行して行なわれないといううらみがあるように思います。いままでずっとそういう実績を見ておるとそういう感じがいたします。だから申し上げたように、通産省のほうで、現在の鉱山からの廃液ではないのだ、こう言っているのですね。そうなっておりますと、それではからみの堆積かということになるのですから、そういうことが通産省の頭の中で考えられているということではだめだと私は思う。そうですね。だから、それならば何かということを次から次にそうした原因の究明をやる、同時にそれに対するところの対策を立てる、こういうことでなければならぬと思います。よく言われるお役所仕事というようなことでは私はならぬと思います。こういうことで、最後にひとついま一度厚生大臣の決意を伺ってこの問題を終わりたいと思います。
#155
○斎藤国務大臣 いわゆるお役所仕事というようなそしりのないようなやり方をやってまいりたいと思います。したがって、調査の結論もできているなら早く出してもらいたい。まだできていないなら一日も早く結論を出してもらうように、実際の進行の度合いをよく聞きただしまして善処をいたしたいと思います。
#156
○中村(重)分科員 次にABCCの、広島、長崎にありますものの再編成か撤収か存続かという問題についてお尋ねいたします。
 村中公衆衛生局長が一昨日ABCCの評議員会に出席をされたということが伝えられておるのでありますが、実はいまいろいろと新聞にも報道されておりますし、またABCCの年報にも実は載っておるのでありますが、アメリカ側がABCCの再編成をやる、この再編成をやる中には、政治的あるいは財政的な点から、日本側に対して、その責任の大半をひとつ担当してもらいたいというような底意があるように感じられるのでありますが、この点最近の状況、アメリカ側の動きはどういうようになっておるのか、また日本政府としての考え方はどうなのか、伺ってみたいと思います。
#157
○村中政府委員 お尋ねのABCCの問題についてでございますが、二十四日に日本側の評議会がございまして、これは私欠席をいたしましたが、会の様子を伺いますと、専門的な事項について一件、それからABCCの所長のドクター・ダーリングが昨年の暮れに本国へ帰りまして、ただいま御指摘のようなABCCの問題につきまして政府当局といろいろ意見交換をしたようでございます。その結果の報告が評議会でなされたようでございます。
 なお、アメリカ本国でダーリング所長がセットしました内容につきましては、一九六七年から八年にかけた年報の巻頭の言の中にこの点の問題について若干触れているわけでございますが、これを要約して申し上げますと、ダーリング所長が個人の考え方として、米政府及びABCCの諮問委員会に意見を述べまして、その意見が最終的に政府及びABCCの諮問委員会で了承された。こういう内容のものでありまして、ちょっと読み上げますと、「米国政府が、ABCCにおける研究の優先性、管理機構、職員の確保と配置及び運営資金について日本政府の意向を確かめた上、研究の科学的必要性が認められるならば、さらに二十年間研究の継続を保証する新しい協力実施に関する同意書が締結されることを期待する。」これがダーリング所長が米政府及び委員会に提案した事項であります。この際「ABCCを日本の法律のもとで法人として再編成し、専門的指導、職員派遣、財政的支援に対する責任分担の再配分をはかるべきであるかもしれない。」こういうことが年報に巻頭の言として載っております。私どももこの範囲で承知をいたしております。
#158
○中村(重)分科員 私も年報を読んだのですが、そのとおりですね。ところ、が、これは向こうが意見として言った、ここまで意見として出ているのですから、日本政府に対しても何らかの申入れというのか、協議というのか、そういうものが行なわれているじゃないかと思います。その点いかが
 でございましょうか。
#159
○村中政府委員 この巻頭の言につきまして、実は昨年の秋個人的な形で私とABCCのダーリング所長が会っておるのです。このときに出ました話題が二つございます。第一点は、現在いろいろな研究調査の資料があるわけでございますが、この資料は将来日本のしかるべく活用できる機関に差し上げたいと思うけれども、これについてどこが適当か、もしも意見があったら聞きたい、こういうのが一点。もう一点は、現在のABCCを将来日本に差し上げたいと思うけれどもこれについて、という話で、このとき私、端的に申し上げたのでございますが、ABCCの将来の問題を私個人に意見を聞かれても、これは回答ができないわけで、ABCCの発足当時のいきさつを考えると、政府の正式の話し合いの中でこういう問題は議論されるべき問題であって、私個人として意見を申し上げられないという趣旨の話をいたしました。この点につきましては、ダーリング所長も了解していたようでございます。こういうことでございます。
#160
○中村(重)分科員 私の伺ったところによりますと、七〇年の予算には、こうした動きの中から計上されないこともあり得るのではないか、見通しがわからないというようなことが伝えられているということが一点であります。そのことについてひとつ伺いたいと思います。
 いま一つは、厚生省としては、このABCCの中に予防衛生研究所の支所を設置していらっしゃる。共同研究という形で実はなされておると私は思うのです。実はいろいろと、現地ですから、事情、不満も知っているのですが、研究のあり方に対して、ほんとうの意味の共同研究体制が確立していないような感じがしてならない。その問題は、時間の関係がありますから、あらためて伺うことにはいたしますが、厚生省としては、この共同研究としてのABCCの存続というものの必要性をお認めになっていらっしゃるのかどうか、希望しておられるのかということでございます。ひとつその二点を一応伺ってみたいと思います。
#161
○村中政府委員 第一点の、一九七〇年の予算が打ち切られるのではないかという点についてのお尋ねでございますが、これはただいま申し上げましたように、昨年の暮れアメリカへ帰りましたダーリング所長が、米国政府当局及び諮問委員会で提案した中で、先ほど読み上げましたとおり、研究の科学的必要性が認められるならば、今後さらに二十年間研究の継続を保証する新しい協約を結ぶことを期待するという趣旨のことを申しておりまして、この点についてはアメリカ政府も提案を支持するという結果のようでございますので、私は七〇年度の予算が打ち切られるというふうには聞いておりませんし、この件の米国での話も、聞きました範囲内では、そういうことはないものと判断をいたしておる次第でございます。
 もう一点の、厚生省のABCCとの共同研究、具体的に申し上げますと、予防衛生研究の支所とABCCの共同の研究体制がしっくりいっていないんではないか、しかもABCCの研究の必要性というものを厚生省としては認めるかどうかという点についてのお尋ねでございますが、これも現在実施いたしております調査は、御承知のとおり昭和三十三年ですか、ABCCの所長と予防衛生研究所の所長とが同意書を取りかわしまして、加齢現象、それから病理調査及びガンの研究というふうな成人病健康調査、こういうふうな一連の調査を、総合的に固定集団を対象にして実施をするという形の調査を現在やっております。この仕事は相当長期にわたる追跡を必要とするところと思いますし、私どもといたしましても、被爆者の加齢の問題あるいは病理学的にどういう変化を被爆者が内臓その他について起こすのかというふうな研究は非常に大事なものだと考えております。この点については、私は反論するものではございません。
#162
○中村(重)分科員 ABCCを撤去させろという人を中心としてのいろいろ議論になるわけですけれども、また事実そういう点もなきにしもあらずと考えられる点は、どうもABCCを存置させていくために予研の支所を置くということはカムフラージュだなどという声が相当強かった。私は、あの中で、この研究の意議というものを感じて真剣に取り組んでおる職員の人たちに対しても全く気の毒だ。だから、そのためには、この予防衛生研究所というもののほんとうの意味の共同研究体制は、むしろ日本側がウエートを持つ研究体制でなければならない、こういうように私は思います。向こうさんが秘密にしなければならぬ、日本側に与えていけないと思うような貴重な研究資料は、アメリカだけが押えておくというような、そういうことであってはいけない。だからもっと、二十年もたっております今日、さらに今後二十年存続が必要であるというようなこともアメリカ側も言っているということになってまいりますと、日本側のウエートを持った、いわゆる主導性を持った研究というような形に、強力に推進されていかなければならないと私は思います。同時に、職員の人たちは、予防衛生研究所があるために、アメリカ側から雇われた職員であるということよりも、日本政府の使用人である、研究員であるというような、そうした気持ちを実は持っておるわけです。万一アメリカ側がこれを撤収するといったような場合に、いま局長の答弁からいたしますと、その研究の必要性というものを感じておられるということでございますから、いわゆる日本側の主導性の中にあるいは移管を受けるということでありますならば、そうした体制の中において職員の身分は保障されるべきものであると私は思うのでありますけれども、いかなる形でありましても、このABCCに働く職員の身分というものは、日本政府は責任を持って保障されていかなければならぬと思いますが、その点はどのようにお考えになりますか。
#163
○村中政府委員 事務的な点について申し上げますと、現在ABCCで雇用されている日本人の雇用関係は、在日外国商社と雇用契約を結んで雇用されている日本人と同様である。米人従業員は、原子力委員会と契約条件に基づいて米国学士院によって雇用される。この日本人従業員につきましては、ABCCの所長によって雇用される。こういう雇用関係があるわけでございまして、その限りにおきましては、私はABCCの内部の問題であるというふうに理解をいたし、ただいま御指摘のように万が一これが閉鎖をするというふうな場合に、職員の身分の問題についての考えはいかがかという点についてのお尋ねでございますが、これは先ほど来ABCCの所長が米政府に提案している事項を申し上げておりますように、研究の必要性というのは、米政府も十分このダーリング所長の意見を支持しておる。今後二十年間は継続する必要があるだろうということについても同意をいたしております。この点については、ABCCが一方的に廃止になる、あるいは引き揚げるというふうな事態は、私は起らないというふうに周囲の事情から判断をいたしております。
#164
○中村(重)分科員 現状においての雇用関係というものはおっしゃるとおりだと思います。しかし、私が申し上げましたように、予研の支所があるというような点等からいたしまして、駐留軍労務者等の場合とこれは同じように取り扱うべき筋合いのものではないのだ。駐留軍労務者の場合におきましても、私は日本政府の責任というものは、これはあるというような判断の上に立っておりますけれども、このABCCの場合におきましては、その内容からいたしまして特にその点の責任というものを考えて対処されるのでなければならぬと思います。いま局長のお答えのように、アメリカ側も二十年存続というようなことを希望しておられるということでございますが、いろいろと、いわゆる政治的、財政的――年報では、あなたが読み上げられましたような動きがあるということは、これは事実でございましょう。ですから、その後アメリカ側から何らかの申し入れというものも、これはあるであろうということは考えられるわけです。そういう場合に、職員の身分の問題等も念頭に置きながら、真剣にこの問題に対処していくという心がまえであるのかどうか、これはひとつ大臣からお答えをいただきたい。
#165
○斎藤国務大臣 万一そういうような場合が起こったといたしました場合には、やはり雇用されている者は日本人でありますから、雇用の問題については遺憾のないように助言をいたしたいと思います。
#166
○中村(重)分科員 これで厚生省の質問を終わります。
 次に労働省に、時間がございませんから二、三お尋ねをいたします。
 港湾労働法に関係する問題でございますが、港湾労働法は、御承知のとおり、成立、実施されましてから二年たつわけです。ところが、港湾ごとに港湾労働者の定数について策定をする、こういうことになっておる。業者が労働者を雇用する順序は、私からいまさら申し上げるまでもなく、常用労働者、次に日雇い登録労働者、それの雇用が不可能な場合に職安の窓口を通じての紹介、直接雇用、こういう形になっておると思うのでございますけれども、現実にはそういうことになっていない。どうもその日雇い労働者を登録さしたけれども、ただ登録したというだけで、使う使わぬは業者の都合だ、こういうことで便宜的にその日雇い労働者というものの雇用が扱われておるというようなことが事実のようであります。さらにまた、常用労働者の雇用についての規定づけがない。そのために届け出制でございますから、常用労働者として届け出をしたほうがよろしい、こういうことになってまいりますと、季節労働者は言うまでもなく、きわめて短期間の労働者を常用という名のもとに雇用していく、こういう傾向があるのであります。これでは何のために港湾労働法をつくったのか、何のために定数の策定をするのか、さっぱりどうも法制定の意義というものが失われておるような感じがしてなりません。したがいまして、常用の擬装雇用というものをなくすために、日雇いの登録された労働者の優先雇用というものが行われるために――あるいはまた、調整手当が、二カ月で二十六枚の印紙を張らなければならぬということもあり、私がいま申し上げましたようなことで、日雇い登録労働者というものの職場というものが狭められてきて、就職の機会が失われてきておる。こういうようなことでございますけれども、毎日職安には出て行かなければならない。だがしかし、そういうことで、何というのですか、二十六日の雇用なんというようなことではなくて、十日あるいはそれ以下というような状態では、調整手当というものも事実上今後非常に低いものになっていく。こういうことでございますから、これらの問題もひとつ改善していく必要があるのではないか。
 以上申し上げましたようなことを改善実施をするということになってまいりますと、十六条のただし書きを削除する、それから擬装雇用をなくするために二十一条も削除していく、それから三十条の雇用調整手当の項を、改善するために直していく、こういうことでなければならぬと思いますが、これらの点に対しての考え方をこの際ひとつ聞かしていただきたいと思います。
#167
○村上政府委員 いろいろ御指摘がございましたが、港湾労働の非常に複雑な実態から見まして、問題があることは私どもも承知いたしております。ただ、取り扱い方といたしましては、港湾調整審議会という審議会がございまして、昨年の秋十月も答申をいただいたような次第でございます。そこで私ども港湾労働の問題を処理するにあたりましては、港湾調整審議会の意見に基づいていろいろ施策を講じているような次第でございます。一々の条文について御指摘がございましたが、今後の行政運営の方針も示されておりますことでもありますので、審議会の答申に基づいてさらに施策を進めたいと考えているわけでございます。基本的には登録労働者の出動日も少ない、したがって就労日も少ない、こういう実情でございますが、この背景には、港湾荷役の作業形態が機械化等に伴いまして変わってきた、必ずしも――登録労働者の作業能力がそれに合わないといったような点から、訓練を必要とするとか、いろいろな問題があろうかと思います。総合的に処理していかざるを得ないと存じております。
#168
○中村(重)分科員 いまあなたがおっしゃるような点は確かにあると思います。倉庫に対するところの技能労働、これは機械化していく、それから荷役作業というものも機械化していく、それらも狭められたものであると思います。しかし、私が申し上げたように、定数というものもきめられ、その順位というものもきまっている。ところが、その日雇い労働者を雇用しなければならぬのに、これをしない。それで直接雇用をやる。それから常用の定義づけがないということを悪用して、これはあなたの前任の局長がお出しになったわけですけれども、二カ月以上の期間雇用、これは常用として認める、こういう通牒をお出しになっていらっしゃるから、それを悪用してこの直接雇用という形に拍車をかけているという傾向がある。だから、登録制をおとりになったのであるならば、優先雇用制を法で認めているわけだから、そのことが実施されるということでなければならぬと思います。いまあなたがおっしゃるように、機械化ということで狭められてきたということは、これはやむを得ないとしましても、あるべきそうした業者の、法を守らないで擬装雇用をやるとか、あるいは直接雇用をやるとか、こういう違法行為によって狭められているということは、これは許されてはならないと思います。だから、そういうことについては行政指導をどうしているとか、こういう違法行為に対しは罰則規定を強化するとか、いろいろ実施されなければならぬと思います。それに対してどのような調査をしているか、これに対しどういうような対策をお講じになるのかということでございます。
#169
○村上政府委員 幾つかの問題がございますが、常用形態につきまして、二カ月という基準は、法律にございまして、通牒でやっているわけではございません。その動機は別といたしまして、形態としては常用形態が雇用の安定ということから望ましいことは疑いがないのでありますが、その動機の点でいろいろ問題がある、擬装じゃないかという御指摘がございます。この点につきましては、私ども十分注意をいたしまして、今後指導してまいりたいと思っております。ただ、直接雇い入れにつきましても、数字の面では六万から三万というふうにかなりの減少を見せておりますので、この点につきまして、直接雇い入れをさらに厳重に規制していくという方向で、法改正の前の段階として実態的に規制していくという努力を私どもも払わなければならぬと思っておりまして、来年度におきましてもその点で努力していきたい、かように考えております。
#170
○竹内主査代理 中村君、所定の時間が参っております。
#171
○中村(重)分科員 時間がございませんので……。
 二カ月以下というのは、日雇い労働者は二カ月以下ということになっている。ところが、通牒をお出しになったのは、二カ月以上の期間の雇用ということを常用としていいのだということをわざわざお出しになった。法律があるのだったら、わざわざ通牒をお出しになる必要はないと思う。ところが、それが業者の擬装雇用をすることについて拍車をかけてきたという結果が出ておることを私は指摘をいたしておるわけであります。それから、直接雇用の問題にいたしましても、たとえば山谷に労働者がおる。これは当然法に基づいて職安に行って職安の紹介を受けなければならぬ。ところが、バスをぼんぼん持っていって、賃金もかってにきめて、そして連れていく。しかもそれが二百円も三百円も高いということになりますと、職安の窓口によるところの紹介ではなく、直接雇用がいいということになって、そして直接雇用という形になる。あとは適当に事務的なことは処理していく。こういうことでありますと、港湾労働法というものを何のためにつくったかさっぱりわからぬ。だから、私は労働省に希望したいことは、本省からでも乗り込んで行って実態を調査する、そういうくらいの心がまえがなければならぬと思います。同時に、法的に罰則というものがないにひとしい。だから、そういったような場合におきましては、ほんとうにこの法を業者に守らせるように十分な指導というものがなければならぬと思います。それから、私が申し上げたようなことは、職安というものは知っておるはずでありますから、そういう場合においてはきびしくそういうものを取り締まっていく、こういうことがなければならぬと思います。そういうことが弱い。事実上なされてない。これらの点に対して労働大臣、どのようにお考えになりますか。
#172
○原国務大臣 私もこれは若干知っておるのでございますが、港湾労働法施行してまだ二年ほどで、その間にいま先生のおっしゃったようにいろいろの問題が惹起いたしており、まことに遺憾であります。擬装常用が盛んにふえてきておるというようなことで、結局いまお説にもございましたが、労働省から、すみやかにもっと実態を調査して、実情に合うように行政指導を強力にやりたいと思っております。法改正は、まだつくったばかりで、そのほうはもうしばらく御猶予いただくことを御了承願いたいと思っております。
#173
○中村(重)分科員 これでやめますが、法改正は、いまだつくったばかりだからしばらく待てと言うが、労働大臣、そうお考えにならないで、事情を御存じでしたら、朝令暮改というそしりも、いい方面に変えていくのだったらそういう非難は起こらないのじゃないでしょうか。実態を御存じなって、非常に遺憾だとおっしゃったことは、よろしくない、だからその点、行政指導によって悪い点が改善されれば非常にいいと思います。ですけれども、この十六条のただし書きとか二十一条の擬装雇用の道を開いている問題とか、それから機械化等の実施ということによって雇用調整手当というものも事情は大きく変化したと思います。ですから、そういう問題についてもやはり改めていかなければならない。
 それから、非常に罰則が軽いのだから、こういうことについては、きかなければしようがない。やはり伝家の宝刀はいつでも抜く必要はありますまいが、とにかくこれもきかすという立場になりますと、若干語弊がありますけれども、適切な罰則規定というものは、やはりこの際きちっとしておかなければならぬと思うのです。そういう点については、待てとおっしゃるのでなくて、取り組み、そうして結論が出たならばすみやかに法改正等に乗り出していくという態度が、労働大臣として正しい行き方ではないかと私は思います。その点をひとつ……。
#174
○原国務大臣 お説ごもっともであります。お説のようにすみやかに実態調査をやりたいと思っております。そうしておことばの点を参考にして善処いたしたいと思います。
#175
○竹内主査代理 この際午後二時十分に再開することとし、暫時休憩いたします。
   午後一時二十四分休憩
     ――――◇―――――
   午後二時十二分開議
#176
○竹内主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。久保三郎君。
#177
○久保分科員 最初に労働省関係をお尋ねしたいと思います。
 御案内のとおり、実は三十分で三つの省にまたがって質疑するわけで、総括質問のときに多少漏れたものをと思っておりますので、懇切丁寧に簡潔にお願いしたいと思います。
 まず第一に労働大臣にお伺いしたいのは、いま考えられておる労働省設置法の改正、これはいわゆる都道府県にある労働基準局、こういうものを廃止して都道府県に移管する。当然その中には婦人少年室もありますが、それも持っていくということなんであります。このいろいろな理由は、私は短い時間の中でお伺いするつもりはないのであります。ただ問題は、こういうことは何かあまりにも便宜主義だし、あまりにも時代の進運に逆行するような気持ちでいるわけなんです。これは思いとどまる御意思はないか、こう聞きたいところです。それはもちろん御返答は、そういう考えは毛頭ないという返事になろうかと思うのでありますが、少なくとも現在までの基準行政一つとってみましても、昭和二十四年にはたしか基準監督官というのは二千七百十五名おりました。いま、といってもいまのはちょっと手元にありませんが、四十二年の数字を見ますと二千六百三十八人ということで、頭数は減っておるわけであります。これに対して事業場というか、そういうものは四倍にもふくれ上っている。従業する労働者の数は三倍以上になっている。これはすでに労働大臣も御案内のとおりであります。しかも基準行政は、いわゆる「ひんぱん且つ完全に監督を実施しなければならない」という原則をうたったILO八十一号条約をわれわれは批准しているわけです。その精神は、その条約があるなしにかかわらず、私は守るべきだと思うのであります。しかも、いま特に労働力の不足ということでいろいろな問題が出てまいっていることは、もう言うまでもありません。片方では、言うならば労働基準法違反というか、いわゆる最低限の労働基準というのをおかすことはあたりまえのようなことになっている。片方には、御承知のように、婦人のパートタイマーというものが不安定雇用のままに放置されているわけであります。あるいは年少者の深夜作業というか、禁止作業に従事する者も多くなっているわけですね。こんなものを考えると、どうもやっていることと自体おかしいのじゃないかと思うのです。これはILO八十一号条約には違反しないとおっしゃるのかどうか、まず一つ。
 それからもう一つは、基準行政は、こうやってメリットは私はないと思うのですね。後退だと思うのです。後退でないというならば、その一つの例――たくさんおあげになっても時間がありませんから、一つの例をおあげになっていただきたい、こういうふうに思います。まずそれをお伺いします。
#178
○原国務大臣 第一点の、ILO条約の精神に反しないか、これは非常に問題のある重大なところでございますので、労働省といたしましても十分研究をいたしました。いわゆるILO条約における全国的共通性あるいは公正性、こういうものは今度の機構改革の中においても失わないようにやる考えであります。すなわち、中央に労働省あり、それから各ブロックごとに地方労働局を置くし、それからほんとうに基準行政をやる第一線の労働基準官というのは、現在のままで労働省の直轄でやらす考えでございます。ただ各都道府県の労働基準局だけが県に入るというのでございますから、第一点はILO条約には少しももとるものではなかろうと存じております。
 第二に、メリットが何かあるか、一つだけということです。くどくど申しませんが、まず一番大きいのは、いままで都道府県に独立した労働部というものがあるのはわずかに八都道府県でございます。残余のところは、たとえば社会労働部とか商工労働部というようなものの中にわずかにあります。全然ないところもあります。御承知のように、一億総勤労者の時代がまさに実現いたそうとしておるときでございますので、私どもは、労働行政をもっと拡大強化しなければならぬ、もっときめこまかくやらねばならぬということを深く痛感いたしております。その精神にのっとって行政改革を政府もやると言っておりますから、この機会にやるにあらざれば、こういうことはできない。大都市だけでなく、これから地方に行きましても勤労者、労働者の時代があらわれてまいりますので、いままで労働行政なんか他人ごとのように思っている都道府県の中においても、労働行政を中央の指導のもと各都道府県においてやってもらいたい。これが非常にやっぱり収穫であります。それで、さいぜんおっしゃったように、中央と一貫性、共通性というILO条約の精神を実現するためにも、地方労働局というのを今度新設いたします。そして東京の本省と地方労働局と県当局、さらに労働基準行政も、これは労働行政の中心でございますが、これの第一線を強化していきたい。数日来の質問を通じて非常に感じましたことですが、労働基準官がはなはだ乏しい、だからこれを強化することが一番能率をあげることであるという結論に達しました。地方へ労働基準局を委譲しても、それなら一線における労働基準官を増強してやらせれば、これは補ってなお余りあるというので、私も大いに賛意を表した。来年度予算にはぜひ例外として、いま御指摘のように、労働基準官はあまりふえておりませんで減っているようでもありますので、これをふやすように予算折衝をやるし、いまからその工作をやって短を補いたい、こう思っておりますので、よろしく御了承願います。
#179
○久保分科員 おことばを返すようでありますが、各都道府県に労働部がないから労働部をつくる。労働部があるなしにかかわらず中身がお粗末なんですよ。たとえばいまある都道府県の内容を見ても、一番独自の立場でやらなければならない労政部門の行政というか、そんなものがだんだんと後退しているのです。ほんとうはこれは指導しなければいかぬのですね。それがだんだん縮小しているのですよ。そういうものを補強するのがまず都道府県の現状を強化することではないかと私は思うのです。各都道府県にあるところの労働省直轄の基準局を吸収して労働部をつくってみたところで、これは何もなりません。たいへん失礼なんですが、足して二で割るというのが好きだそうでありますから、足して二で割ってその結果どうなるのかというと、二で割ってしまうのですから、それは絶対的な力というものは少なくなるのです。むしろ足さないほうがいいのです。私はそういう考えをします。これはなかなか承服しかねるし、大臣が最後におっしゃったように、来年度予算で強化するいわゆる監督官ですね、それをことし提案してくれればいいわけですよ。それをやらぬで、まん中の労働部を――各都道府県になくて何かまん中でやるというのは、ちょっと私は話が違うと思うし、労働力不足だからといって、地方に基準監督のいわゆる行政の一端でも譲ることは、私はILOの精神に反する結果が出てくるというふうに心配をしている。だから私はどうも承服しかねる。もう一つくふうをされたほうがいいと思う。
 それからもう一つは職安の問題です。地方における問題は地方の労働部――労働部はないそうでありますが、もう一つ、労働行政のほかに職安行政をもう少し強化することなんです。ところが、年々歳々これが減ってくるんじゃないですか。ふえますか。ふえましたのでしたら、間違いであるから取り消しておきますよ。こんなものをあまりふやしておかぬで――それは部長の一人や二人つくったところで、これはどうにもなりません。ですから、これはひとつおやめになるほうが一番いいんじゃないかと私は思うのです。もしもこれが国際的な問題になったら恥ですよ。だからこれはやはり十分考えてもらわなければいけません。時間がありませんから次の問題に移りますが、ふえているのならふえていると言ってください。もっとふやすつもりなのかどうか。
 それから次に労災の問題を一つ申し上げましょう。いま、労災の遺族補償というか、そういうものは、一時金の問題もあると思いますが、これはたしか千日分だそうですね。最低補償なんですね。――違うのですか。では、ちょっと説明してください。
#180
○和田政府委員 労災の遺族補償につきましては、昭和四十年の改正までは、先生御指摘のように千日分でございました。四十年以降は年金制度に改めております。
#181
○久保分科員 その年金制度というのは、最低限度の年金でしょう。最低は幾らですか。
#182
○和田政府委員 年金制度は、その者が取っております賃金の二五%を基準にいたしまして、扶養家族その他によって調整をいたしてまいります。大体平均的に見ますと、平均日額の三八%くらいが遺族補償として年金で支給されるようになっております。
#183
○久保分科員 そうしますと、三八%というと、
 一万円の場合が三千八百円ですね。
 それじゃお聞きしますが、それが最低限ですね。
#184
○和田政府委員 平均でございます。
#185
○久保分科員 平均では少し……。
 労働大臣、一万円の月給というのはあまりないでしょうが。二倍にしたところで七千六百円ですよ。これは遺族年金ですよ。遺族年金としてはあまりにもひど過ぎやしないか。基準をもう少し上げたらどうか。最近の傾向を見ておりますと、人間の命というものに対する代償というものを金で換算する。これは人間を冒涜する面があるのでありますが、現実はやはり金に換算するほかない。ところが、こういう制度がありながら、制度はきちんとしているようだが、中身はお粗末きわまりない。だからもう少し人間の命を大切にするくふうをしてもらいたと思う。これは上げる意思はありますか。
#186
○原国務大臣 御説の点はよく各方面からも聞いて存じておるのですが、今度審議会に答申を求めておりますので、それが出ましたときに善処いたしたいと思っております。
#187
○久保分科員 それはおおよそいつのころを考えておられるか。
 それから、この答申を求めているというのだが、どういうものに基準を置くか。これは、たとえば自動車で死んだ場合は、御承知のように一時金でありますが、自賠責では最低限三百万ですよ。今度は五百万か六百万に上げようということになっているのです。自動車で殺されたのに対してそうでしょう。仕事についている者がそれ以下であっては、どう考えても理屈が合わぬ。だから、それはその事業者のやはり責任ということですよ。それに耐えられないというならば、その企業はやめてもらうという以外に方法はないと思うのです。そういうものの判断から、ひとつこの基準は上げることにくふうしてほしいが、どうですか。
#188
○和田政府委員 ただいま大臣からお答え申し上げました審議会で、昨年の六月ごろから、この全体的な労災保険制度の改正問題につきまして意見交換が始まりまして、いまの見込みでは、審議会の意向としては大体年内に一応の結論を出したい、こういうことでございます。
 いま先生のお話のありましたことにつきましては、使用者の無過失賠償責任の範囲とか、民事上の損害賠償の範囲とか、いろいろ法律上の問題もからんでおりますが、実際的には金額の御指摘のようなこともございますので、審議会のほうで十分検討いたしたいと思っております。
#189
○久保分科員 そこで、たいへん調子がいいと言ったら悪いですが、答弁としてはやや前向きの御答弁をいただいたのでありますが、どうもなかなか信用するのにむずかしいのです。というのは、先ほどお話があったように、四十年に改正したときに、強制適用事業でないものについて、すべての事業について労災の制度の中に組み込むということも検討することになって、二年以内に結論を得るというが、いまだに結論を得てない。暦の上では昭和四十四年、まさに二月は暮れようとするわけです。その点はいかがですか。
#190
○和田政府委員 先生ただいま御指摘の四十年のときに、附則で御指摘のような条文がございまして、政府としましては、二年間検討いたしました結果に基づきまして、実は全面適用に関する法案を国会に出しましたが、残念ながら廃案になっております。この国会にも間もなくその関係の法案を出したいと思っておるので、御了承いただきたいと思います。
#191
○久保分科員 なぜ廃案になったか、反省されておりますか。
#192
○和田政府委員 私どもからいいますと、そのときには、全面適用にいたしまして、その間に多少段階的な適用拡大をという問題がございますので、政府としては、適当だ、こういう考えで出したわけでございますが、いろいろの御事情はおありだったと思いますが、廃案になったわけでございます。
#193
○久保分科員 そのいろいろな御事情について反省がなければ、それは同じものを出したってだめですよ。その答弁だけでは何か国会が悪いような話になりますが、それではいけません。それは独断でありますから、十分反省されて、通過できるようなものに持っていったらいいです。
 時間がありませんから、労働大臣はすなおに御解釈いただけると思いますから、ぜひそういうことで人間の命だけはまず第一番目に大事に考えていくことにお願いしたいと思います。
 次に、厚生大臣。お並びになった順序に御質問をいたします。
 まず第一には、ろうあ者に対する対策の一つでありますが、御承知のように、ろうあ者は、最近ろう学校等で、口話法というか、そういうものも多少普及をしております。あるいは筆談はもちろんできます。しかしながら、学校を出てから、最近のような労働力の実態になりますと、一般社会の中に組み込まれて雇用されるというか、労働する機会が多くなってまいりました。また、そうすることが、ろうあ者の福祉のために一番いいと思うのです。ところが残念ながら、そういう一般社会の中では、どうしてもろうあ者の身体的な障害というのが大きなハンディキャップになりまして、そこには要らざるトラブルも出てくる。でありますから、理解のある雇用主あるいは同僚がいても、定着性を欠くきらいがあります。そこで、就職の問題一つをとりまして申し上げたのでありますが、たとえば結婚の問題等もありましょうね。こういう人生にとっては非常に大事な問題でありますが、これまたどうも意思の疎通を欠くきらいがある。あるいは社会的に近所隣といっては語弊があるが、おつき合いの中でもそういうものがいろいろな形で出てくるわけです。盲人の場合には、耳が聞こえ、口もきけるからいいのでありますが、ろうあ者の場合には、残念ながら機能するものは目だけであります。でありますから、どうしてもそういう閉鎖的なところに追い詰められてしまってなかなかうまくいかぬ。
 そこで、これに対する福祉司の扱いですが、たとえば相談に行っても、残念ながらなかなか意思の疎通ができませんから、どこへ行っても相談の相手にはならぬということであります。これでは困るので、われわれのいままで聞いておる範囲では、ろうあ者に対して手話法というのですか、手で話をする記号みたいなのがあるそうですが、そういうものができる福祉司をぜひ各県に一名ぐらいずつは置いてほしいものだという切なる願いが数年来あるわけであります。これについては、もちろん厚生省としまして知らないはずはないのであります。それならば、手で話ができる、そういう教育を福祉司にされたらどうかということも一つであります。しかしこれは必ずしも簡単ではない。私はいずれとも言いませんけれども、ろうあ者に対するそういう特殊な福祉司を設置するように各都道府県に対して指導していくとか、あるいは制度的に確立するとか、あるいはそういう手話法を福祉司に教育するための制度を確立するとか、何かくふうはないものかということで実はお尋ねするわけでありますが、どうでしょう。
#194
○斎藤国務大臣 ただいまおっしゃいますように、ろうあ者の更生あるいは就職あるいは結婚その他、これは非常に大事な問題だと思います。福祉司にそういう適任者を得ることがまず一番いい方法だと思いますが、これはなかなか全国の福祉事務所に一人というわけにはまいらないと思いますし、いまおっしゃいますようなことも進めてまいりたいと思いますが、御承知のように、いま身体障害者相談員を三千名、身体障害者の中から選んでいるわけでありますが、その中でろうあ者の方の相談員になっておられるのは、約六百名しかございません。本年度でまず一千人の予定でございますから、できるだけろうあ者の中で適当なお方にそういった相談員になっていただけるように、各地方で配慮をされて、相談の相手になっていただくような方法が、まず一番手近かではなかろうかと考えます。いずれにいたしましても、いまおっしゃいますような方向でさらに検討を続けてまいりたいと思います。
#195
○久保分科員 ろうあ者の中からそういう相談員を置いても、これは意味をなさないと思うのですよ。それはそれなりの機能はありますが、私が申し上げているのはそうではなくて、一般人との間のいわゆる意思疎通をはかってもらう、そのための相談員というか、福祉司というか、そういうものが必要だと思う。だから手っとり早く言うならば、ろう学校にはそれをやれる先生がおられますが、そういう先生の兼務でもいいから、差しあたり一人ぐらい福祉司というか、そういう肩書きをつけておいて、いろいろな相談に乗らせたらどうかというのが一つです。これはいかがでしょうか。
#196
○斎藤国務大臣 ただいまの点も、私は事務当局と話しておるのでありますが、ろうあ学校の先生には、ろうあ者でない方で手話法や口話法のやれる方、つまりろうあ者の方々とも意思疎通ができる、一般の人々ともできるという人が一番望ましいと思いますから、そういうこともできるようにひとつ進めてまいりたいと思います。
#197
○久保分科員 それでは時間がありませんから、次に移ります。
 なお、厚生省の問題でありますが、先般、硫黄酸化物にかかる環境基準について閣議決定をなされましたが、特にてまえどもの地方には、鹿島地帯という新しい開発地帯ができております。これに関連してお尋ねするわけでありますが、この基準というか、これは現に大規模の工業開発が進行している地域で著しい大気汚染が生じつつあるか、またそのおそれのある地域にあっては、五年前後を目途にしてそういう計画を立てるということになっているようでありますが、これは私どもよく中身を承知しないままで質問をするのはたいへん失礼でありますけれども、どうも五年前後を目途としてそういう計画を立てるのはどうかと思うのです。もう入ってくることはわかっておるのでありますから、この鹿島地区におけるところの基準、計画というものは、当然いま立てて、それに合うように企業を指導し設置していくということでなかろうかと思うのですが、これはそういう意味ですか。それにしては、五年前後を目途というのはどうかと思うのですが、いかがですか。
#198
○斎藤国務大臣 ただいま鹿島地区を例にあげられましたが、鹿島地区が、先般政府できめました環境基準よりも低いものであれば、それに達しないように前もってやってもらわなければなりませんが、それにすれすれ、あるいは若干越しているというようなことであれば、それを引き下げてもらわなければなりません。鹿島地区におきましては、おそらくすでにもう計画をされている事業もございましょうが、それらについては、今後規制の相当きくものでなければ許さないというような方針になっていくだろう、かように思います。
#199
○久保分科員 そうしますと、基準というか、そういうものは、いま立てなくてもいいとおっしゃるのですか。これは、専門の局長さんかどなたか来ておられるならば――われわれは、しろうとで、PPMなんていうのはよくわからないのですが、いま大臣がおっしゃることは、何か一つの基準に合うもの以外は許さぬのである、こういう御答弁のようですが、それはそのとおりですか。
  〔竹内主査代理退席、山内主査代理着席〕
#200
○橋本説明員 いまの御質問の点についてこまかく申し上げますと、鹿島の地域につきましては、建設が現に進行しているわけでございます。一部の企業は操業しようとしておりますが、その条件をいろいろ点検してみますと、いまのままでやれば、ひょっとすると環境基準を越えるかもしれない、一部の計画変更をしなければならないというような判断を、厚生省、通産省、両省持ったわけであります。それに対しまして、非常にきびしい基準のしかたをしなければならないということで、コンビナートが全部完成した時点が最も不利な条件でやった場合には、一時間で〇・二五PPMというワクの中に閉じ込めるということが今回の閣議で決定されて、それに基づいて大気汚染防止法の三条二項を適用して進むことが一番適切であるということでございます。途中で基準を越えるということを考えているわけではございませんが、計画変更をやるということを念頭に置いてやったわけでございます。
#201
○久保分科員 よくわかりませんからもう一ぺんお尋ねするのですが、そうしますと、五年前後を目途とする云々というのは、いまのお話には関係がないわけですか。
  〔山内主査代理退席、主査着席〕
#202
○橋本説明員 五年前後の間に狂うことがあるかということでございますが、私どもは、まず五年前後の間に狂うことはないと思っております。ただ一部の変更などをやる必要があると思われましたので、念のため五年前後ということを入れたまででございます。
#203
○久保分科員 そうしますと、いまのきめた基準以内で、全部そのワクで許していくのだ。だから、その五年前後の目途というのは、そのあとでやるのはそんなに重要なものではない、一つ一つが基準に合うものだけを許していくのだ、こういうことですか。
#204
○橋本説明員 いまの御質問の点でございますが、いまの一時間〇・二五PPMというワク内で業種別、施設別の分割が行なわれます。その基準につきましては、〇・二五PPMというのは、きびしく縛っておるということでございます。御心配の点はまずないと思っていただけばよろしいかと思います。
#205
○久保分科員 時間でありますから、自治大臣並びに警察庁にはたいへん失礼でありますが、質問ができませんが、一言だけ申し上げておきますと、都市交通に対して、いまの道路交通法のたてまえからいって、いわゆる混雑緩和の面からいって、大量交通機関を確保しなければならぬ事態にもう来ていると思うのですね。これに対しては、警察庁の持っている権限、道路交通法の範囲内でできるかどうか。もしできないとするならば、自治省がこれは各自治体の権限として何か規制の措置をとらさなければならぬのじゃないかとわれわれは思うのです。きょう委員長席におられる赤澤先生が大臣のときにも、これは申し上げてあるわけです。いまだに何も返答がないようでありますから、これは早急に検討をしてほしいということを要望しておきます。
 それからもう一つは、都市交通を建設する場合に、いつか藤枝大臣の時代だったと思ったのですが、われわれの方針のように、建設費は、少なくともトンネル部分ぐらいは道路並みに扱ったらどうかという案がありました。それはそのとおりだと思う。いまのままで財政投融資の少しばかりやったって、だれがやったって、できっこない。イデオロギーの問題じゃないのです。これはやはり国として大きな観点から考えななければいかぬ。最近、財政制度審議会などはむちゃなことを言っていますよ。道路と鉄道は大体違うのだから、道路のほうから金をとれるだろう、そんなことを言っている。そんなことはできるはずがないですよ。だから、道路なら道路にいわゆる都市交通というのは合わせるというのが、まず現実じゃないかと私は思うのです。どうかそういう意味で御尽力いただきたいと思います。
 以上で終わります。
#206
○赤澤主査 只松祐治君。
#207
○只松分科員 いま資本主義日本の中ではたくさんの欠陥、矛盾がございます。そういう中で、ある面から見れば一番大きな社会矛盾ともいうべき問題すなわちわが国の若年定年制、定年が非常に早いという問題があります。しかし、この問題はあまりにも問題が大き過ぎ、あるいは多岐にわたり過ぎるということもあるかと思いますが、なかなか国会においてもまっ正面からこれが取り上げられているということが少ない。私はそういう中で、あらゆる角度からこの問題に取り組んできておる一人であります。あとでおいおい話しますけれども、たとえば、悪い面の高級官僚の天下り問題にしろ、あるいは公社、公団等の増設の問題にしろ、あらゆるどの面をとっても、とにかく若年停年制というものと結びつかない問題はないと思うのです。私はこの問題を、昔、うば捨て山ということでばばを捨てたけれども、いまのこの若年定年制は昭和のじじ捨て山である、こういうことを言っておる。これは決して過言ではないわけです。そういうことで去年も本委員会でいろいろ討議をいたしました。強く要望をいたしまして、私の意見には、各大臣も例年、同感です、賛成です。しかし、幾ら賛成、同感しても、何もしなければ、これは同感しなかったことと同じなんです。賛成しなかったことと同じなんです。具体的に問題をどう進めるかという角度からいろいろ質問したい。
 そこで、その一つの問題として、実態を確実にとらえてないではないか。いろんな具体策を立てる上からも、まず調査から始めよということです。ひとつそういうものに対して調査をしたらどうだということで強く迫まりまして、ぜひ調査をする、こういう約束をいただきました。去年の六月、まあ私のことだけではないと思いますが、そういうことで、定年到達者の就業と生活の実態というものを労働省で調査をしていただきました。私はこれは感謝にたえない。ひとつこの概要について、時間がありませんから、そう詳しくはけっこうでございますが、御説明をいただくとともに、これに対する御意見がございましたら、ひとつお伺いをいたしたい、このように思います。
#208
○松永政府委員 ただいま先生の御指摘になりました定年到達者の就業と生活の実態でございますが、これは昭和四十三年の六月に結果をまとめまして公表したものでございます。調査対象といたしましては、業種として主要の八産業を対象といたしまして、昭和三十九年度及び四十一年度に定年に到達した男子労働者を対象として、この中から四千二百人を抽出いたしまして調査をいたしましたものでございます。この調査の結果の概要をごくかいつまんで申し上げます。また、それとあわせまして、同じく労働省におきまして、雇用管理に関する調査というものをいたしまして、それは定年制だけではございませんで、その他のいろいろな雇用管理の項目があるわけでありますが、この中に定年制の項目がございます。この二つの調査が最近のわれわれの調査でございます。
 その概要を申し上げますと、まず民間企業におきましては、企業規模が大きいほど、定年制を設けておる企業の割合いが非常に高いという傾向が一つ出ております。規模五百人以上の大企業におきましては、ほとんど全部が定年制を持っておるというこでございます。それから百人以下三十人以上の企業におきましても、約半数が定年制を持っておるという結果が出ております。それから定年の年齢でございますが、これは規模のいかんを問わず、一番多いのが五十五歳でございます。全体の約六割以上が五十五歳定年ということになっております。それから、これに次ぎまして多いのが、大企業では五十七歳、それから七十歳、それぞれ一七%、一四%というような比率でありますが、中小企業では、むしろ五十五歳の次には六十歳という年齢が高率を占めております。これが二六%というような数字でございます。それから最近の雇用事情等に伴いまして、定年制の改定が行なわれております。その改定をいたしました企業の割合は、調査いたしました全体の企業に対しまして、九%に当たる企業が改定をいたしております。改定の内容といたしましては、五十五歳から五十六歳に定年を上げておる、あるいは五十七歳に上げたいというようなものが多うございます。中小企業では、むしろ六十歳に定年を上げるというものが多くなっております。
 それから、定年に到達した者の取り扱いでございますが、これは大きく分けて二つございまして、その到達者に当たりまして、さらに継続して勤務をさせるという方式と、それから一ぺん解雇をいたまして再雇用するという方式とございます。いずれにしましても、そのような方法によりまして、定年に達した者についてさらに何らかの形で勤務をさせるという企業が相当多うございます。この勤務を延長させるというやり方をとっておりますのが約三五%、それと、一ぺん解雇をいたしまして、再雇用をするというものが五三%というような率になっております。
#209
○赤澤主査 松永君簡単に、時間が長くなりますから。
#210
○松永政府委員 もうすぐ終わります。
 定年到達者の状況でございますが、定年に到達した者の約七割が、定年後も雇用労働者として働いております。それから約一割が会社を経営したり個人営業に従事するというようなことでございます。それから働く必要がない、あるいは働けないというような人たちはごくわずかであるというのが、かいつまんだ現状でございます。以上簡単でございますが……。
#211
○只松分科員 なかなか答弁の要領がむずかしいと思いますが、むしろ私がお尋ねしたいのは、その中身の中でも、就職に困っておる、こういう人がある。その中で働かないと生活に困るというのが七三%も出てきております。あるいは定年退職をされた到達者のうち、四八%が在学中の扶養家族を持っておる。これは単に大学だけでなくて、高校、中学あるいは小学校もある、こういう状態。こういうのは、これはもう皆さんの報告書の中にも書いてありますが、一番問題になるところ、いわゆる定年者の生活状態ということ、こういういろいろなことから私は事実を指摘してやまない。こういうことです。
 論議はさておきまして、若干質問を続けていきたいと思いますが、それでは、こういう状況に対して、現在の平均余命はことし何歳になってきておりますか。厚生省のほうからひとつお答えをいただきたい。
#212
○浦田説明員 昭和四十二年の簡易生命表の結果でございますが、これによりますと、五十五歳で、男では十九・六六、それから女が二十三・三一となっております。
#213
○只松分科員 ちょっとゼロ歳と二十歳を言ってください。
#214
○浦田説明員 ゼロ歳は男で六十八・九一、男の二十歳が五十一・〇六、女のゼロ歳が七十四・一九、女の二十歳が五十五・八二、以上でございます。
#215
○只松分科員 これは先進資本主義国の中で何番目ぐらいになりますか、そこらをちょっと言ってください。
#216
○浦田説明員 作成期間が必ずしも一致しておりませんが、平均寿命で申し上げますが、日本よりも平均寿命の長い国はスウェーデン、デンマーク、ノルウェー等北欧三国、それからオランダなどでございまして、ほぼ日本と同じ水準にあると思われますのは、フランス、スイス、イングランド、ウェールズ、アメリカ、これは白人のみでございます。イスラエル、ドイツ連邦共和国並びに東ドイツ、それからソビエトの数字はちょっと小数点以下が出ておりませんが、大体ソビエト、これらの諸国が日本と同一水準にあると思います。したがいまして、日本は中の上というところでないかと思います。
#217
○只松分科員 中の上と言いましたが、大体ABCグループに分けると、Aグループに近づいてきつつある、こういうことがいまの平均余命にも言えるわけです。そういう状況の中にあって、それでは、いま述べられたような国の平均退職年齢は幾つでございますか。労働省のほうひとつ。
#218
○松永政府委員 詳しくは私ども調査をいたしておりませんが、欧米主要各国におきます公的年金の受給開始の年齢というものと退職の年齢というものが、大体合っておると考えられますが、六十歳から六十五歳というのが一般的な年齢のようであります。
#219
○只松分科員 いま大体おわかりのように、わが国の雇用の中における定年制の問題、それから諸外国の状況、こういうものを総合いたしますと、大体平均余命はほとんど先進資本主義諸国家と変わらない、こういうことが明らかなわけですね。しかし定年は大体五歳から十歳、アメリカの事務部門で七十五歳というものもありますし、こういうものに比較すると二十歳低いわけです。明治の太政官布告以来、その当時四十二、三歳の平均余命であったときに五十五歳の勧奨退職が行なわれた。それが、このゼロ歳からの平均余命、成年に達した者は七十一歳をこすというような状況の中でも依然として五十五歳。いま御説明がありましたように、若干長くなりつつはあるといっても、一歳かせいぜい二歳、それもその後再雇用というような形態がとられておる。私はきょう三十分の時間ですから、詳しい論戦はできないわけでありますが、こういう状態を労働大臣はどういうふうにお考えでございますか。
#220
○原国務大臣 労働大臣としましては、いま御承知のように、経済の一大発展途上において、非常に労働力に不足を来たしております。わけても若年労働力の不足が顕著であります。こういうときでございますから、やはり中高年齢者の就職、あるいは再雇用、あるいは定年延長等々によって労働力不足を補っていきたい、またそういう指導も現にやっているところでございます。中高年齢者の再就職する人々については、職業訓練をやる、あるいはそのまま定年を延長してもらう等々、労働力不足を補っていきたい、こういう方針で現に指導を続けております。
#221
○只松分科員 労働力不足とか当面のそういうことだけじゃなくて、いま私が多少基本問題からお尋ねしておるというのはそういうことであります。世界の六十歳、六十五歳、七十歳、七十五歳というような、こういう定年制に対して日本は非常に若い。これは単に労働省だけの問題でなしに政治全般の問題。あまりにもこの問題は大き過ぎるのです。したがって、年金の問題から何から全部からんでくるわけです。厚生省から全部そういうところも関係してくるわけですが、とにかくこうやって若年定年制ということはあらゆる社会のひずみを起こしておるわけです。ここにもありますように、天下り官僚の問題を論議しようと、あるいはほかのいろいろな官僚の腐敗や何かの問題を論議しようと、五十四、五歳で首になるということになって、小学校、高校の子供をかかえ、どうやって生活していくか。あなた方お見えになっている方、みんなそういう心境でしょう。これは他人ごとではないのですよ。みんな定年に達してきた場合にはそのことを感じる。社会の大問題なんですよ。そういう問題に対して、当面の問題でなくてもっと抜本的に、いまお聞きのように基本的にどうお考えになりますか、あわせて厚生大臣のほうからもお考えをお聞きしたい。
#222
○原国務大臣 一般論から申し上げまして、いま日本及び諸外国等の年齢延長等々、あるいは外国の定年の年齢が日本以上であること等々考えあわせまして、今日の情勢では、いわゆる若年定年でなくて、定年をもっと延ばす、こういう風潮があるし、また、そこへだんだん行っておる実情にもありますので、私はそれが延びることが好ましいことである、こう思っております。
#223
○斎藤国務大臣 私はやはり働ける間だけは働いてもらうのが適当だと思うわけであります。しかしながら、各会社あるいは役所等において定年制の問題が現にある。それは、そこの職制の関係上、いろいろな事情もあるだろうと思いまするし、年をとってまいれば、そこで働いてもらっても、しかし職種も変えたほうがいいという事情もありまするから、いろいろな条件があるだろうと思います。それは各職場における条件によって定年制をしくか、しかぬかという問題になってくるだろうと思います。
#224
○只松分科員 日本人は年とったってそんなに老いぼれるわけじゃないですよ。あなた方政治家だって、わたしだって六十過ぎてもまだ若い、わしは元気だと選挙民にいばるでしょうが。しかし、政治家はいばったって、官僚や一般の労働者は、五十五になったら、おまえ年とって老いぼれたらしようがないのだ、いまの答弁は半分はそういうことですよ。そういうことじゃなくて、こうやって先進諸外国と同じように平均余命が延びたならば、抜本的に雇用対策、定年制の問題を考えなければならないでしょう。ただ、日本の年功序列賃金、あるいは日本のいま社会保障制度の問題、そういういろいろな問題と関連して、一年や二年でそう簡単にできないということ、しかし基本方向としてはやはりいまの社会状態――社会状態と言ったって、人間は生きているわけですから、人間の安心立命の境地をつくるのが政治家の使命でしょう。われわれの任務ですよ。そうであるならば、いま若い人やなんかは、ある程度賃金が上がる、あるいはまた労働組合で賃上げを要求していくことができる。しかし、定年後にはそういうものが組織されておりませんし――時間があれば年金の問題やなんかをお尋ねしますけれども、いまのあなたたちのとっているインフレ経済のもとで、どうしようもない悲惨な状態におちいっているんですよ。ただ、その定年後の人の問題というのは、いま声が出てこないんですよ。だから表面上出た失業者というものはないけれども、新たな老人対策ということで、非常な悲惨な問題が出てきているんですよ。そのことを政治の問題として大きく取り上げなければならないのです。しかし、あまりにも問題が大き過ぎるのと、多少いま再雇用という形である程度まで救われておりますから、それほど社会問題化しておらないわけですけれども、これはなかなか大きな問題なんです。だから政治姿勢として抜本的にこれと取り組む。たとえば私たちが大蔵委員会において、常に百万円なら百万円の目標に課税最低限を引き上げてきた、こういうふうに、たとえば六十歳なら六十歳というものをめどにやはり定年制というものを施行していく、こういうことぐらいは、資本主義社会の皆さん方であろうと、やはり確立していく必要がある、こう思うんですよ。
 それじゃ具体的にお聞きいたしますが、日本で六十歳を目標に定年制を進めていく、こういうことは日本ではきわめて困難だ、六十歳なんて高過ぎる、こういうふうにお思いでしょうか。いまの世界の情勢から見たら、私は決してそんなことはない、一番低いのが六十歳ですから、とりあえず六十歳ぐらいを目標に労働省もそういう努力をしていく、また調査もずっと具体的に進めていただきたいと思います。しかし、やはり調査だけではなくて、ある程度調査ができたならば、具体的なそういう目標に向かっていくべきであると思います。もうぼつぼつそういう段階に来ておると思いますが、いかがでございますか、労働大臣。
#225
○原国務大臣 話がだんだん煮詰まってまいりまして、私は基本方針としては、定年制がむしろ引き上がるほうが好ましいし、今日の労働環境から申しましても、労働力不足のときでございますから、定年制を引き上げるのがよろしい、こういうことは好ましいと思います。では、六十歳がいいか、あるいは五十七歳がいいか、こう質問されますと、これはいろいろ影響するところが非常に多うございまして、もう六十歳に一ぺん閣議できまりまして、六十歳できまって、やりましょうというのでしたら、非常に話がわかりやすいのですが、(只松分科員「労働大臣個人でいいよ」と呼ぶ)個人といたしましては、五十五歳というのはちょっと若過ぎる。なるべくだんだん上がっていくほうが好ましい。結局、個々の企業については、個々の企業でそういうことを話し合っておきめ願うと、こういうところでございますので、よろしくお願いいたします。
#226
○只松分科員 だからある程度の目標を――七十歳とか七十五歳ということを言っておるわけじゃない。しかし諸外国では、きちんとそうやって公務員法や何かで規定しているところがたくさんあるのですよ。いまは労働の大きな変動期でありますけれども、一応の目標を六十歳なら六十歳くらい、諸外国の最低くらいに――世界で一番高生産だ、生産率は伸びている、総生産だけは第二位になったと、いろいろなことを宣伝しておいて、税金は取るわ、定年制は依然として五十五で、あと食えなかったら再雇用で来いでは、あまりにもひどいじゃないですか。それが先進資本主義国の実態ですか。そういうものは、資本主義、社会主義の差は別にしても、もう少し一般的なことをおやりになったらどうですか。あなたは労働大臣をいつまでおやりになっているか知りませんが、その間に自分が六十歳の定年を施行したくらいの誇りを持っておやりになったらどうですか。
#227
○原国務大臣 六十歳くらいをめどにすると申し上げたいところでございますが、どうもいろいろ各企業に及ぼす影響もございますし、各企業において自主的にそういう定年制を定めるというような方針でございますので、私はさいぜんから申し上げますように、五十五歳では若年定年で少し若過ぎる、もっと定年の年齢を引き上げるべきものである、これが好ましい。それが幾つであるかは、もうちょっと研究してから言わしていただきたいと思います。
#228
○只松分科員 まあ五十五歳では若過ぎるということは明確に断言をされたわけであります。六十歳と言いたいところだがということばも出ましたから、きょうはその程度にしておきますけれども、まあ二度、三度と労働大臣をおやりになるかどうか知りませんが、やはり日本の雇用形態に一つのエポックを画す、あるいは社会全体の問題を――これは単に雇用問題、労働問題だけじゃないんですね。大きな進歩の姿を示すものとして、ぜひひとつ定年制の延長に努力をしてもらいたと思うのです。
 この調査もまだ簡単なもので不十分でありますから、今度はこ差関連して――私が調査を要求したのは年功序列賃金の問題あるいは年金との関係の問題退職金の問題、いろいろなそういう問題が出てまいります。そういうようなものも、やはりあわせて実態調査をしていくということが必要だと思いますので、ぜひひとつそういう面のさらに一歩進んだ調査を本年度はお願いをいたしたいと思いますが、よろしゅうございますか。
#229
○松永政府委員 ただいま申し上げましたような調査があるわけでございますが、当然いろいろ事情が変わってまいります面もありますので、これに引き続き調査をやりたいと思います。
#230
○只松分科員 それから、こういうものと関連していろいろな問題が出てくる。そういうものの一つの例として、たとえば、いまみたいなインフレ経済のもとにおいて、わずかな二百万、三百万の退職金。五百万まで退職金を非課税にしたわけですが、なかなかそこまでもらっておる人は少ない。税金の問題は一応片づきましたが、しかしインフレ経済のもとで、どうしてわずかな退職金をもって、ことしからだったらあと三百万で十年食える、こう思っておったのが、貨幣価値がどんどん下落していきますと、それが八年か七年か五年になってしまう。こういういろいろ拘束された金の問題。それから、老後のために生命保険やいろいろなものをかけております。これも非常に苦しい中からかけている。国民の預貯蓄は、御承知のように、世界で二〇%をこすというような国はないのに、日本は二〇%をこしております。大体ほかの先進資本主義国家では、四%ないし八%が国民の貯蓄高です。これも、若年定年というものが基本的にあるわけですけれども、こんなに一生懸命貯蓄をしましても、子供の問題、教育の問題、あるいは病気や何か、いろいろな社会保障制度が低いという問題が出てまいります。したがいまして、こういういわゆる拘束された金あるいは長期的な貯蓄――私は予算委員会において福田大蔵大臣に対しても質問したが、こういう問題に対してスライドするなりなんなり考えるべきである。生命保険については、若干そういう趣旨のものが生まれようといたしております。したがって、これは直接定年なり雇用の問題とは関係しませんけれども、たまたまそういうものを担当している労働大臣、厚生大臣あるいは自治大臣がお見えでございますから、定年後の問題としてこういう問題については、福田大蔵大臣は努力すると言っているわけですから、閣議等においてそういう話でも出たらぜひひとつ御協力をいただきたと思いますが、いかがですか。
#231
○原国務大臣 仰せのとおり、閣議その他そういう機会におきまして、大蔵大臣に協力して善処いたしたいと思います。
#232
○只松分科員 時間がなくなりましたから、最後に自治大臣にお伺いをいたしますが、いまいろいろお聞きいたしましたように、世界各国は六十歳をこした定年制でございます。そういう中で、今度自治省においては、定年制をしこうというような強い考えでございます。これは前から何回か出されてきた法案でございますけれども、ずっと流産になってまいりました。こういう状態の中で出せば、いま言うように最低六十歳――六十歳というような基準をお示しになったりなんかするとこれは多少変わってきますけれども、いまのところ各地方団体にまかせる。各地方自治団体は大体五十七、八歳をめどにしている、こういうように仄聞をいたしております。こういうことになりますと、世界の大勢に経済の成長率やそういうものだけがついていっておりながら、雇用関係なりなんなりは、昔のまま、封建制のままになっておる。その残滓が強く残っておる。そこでまた、いま労働大臣がおっしゃったように、六十歳とはっきりは言えないけれども、そのくらいのことにしなければならないというときに、自治省で五十七、八歳という形の線を出されると、これは、その問題をストップさせたり、あるいは逆行させることになりはしないか。もちろん公務員は定年制という法律がございませんから、したがって国家公務員の場合は、五十四歳で勧奨されて五十五歳で退職というのが多いわけです。地方自治団体の場合は、六十歳、七十歳という方もおいでになります。そういう面の矛盾というものを何とかしょうということも、私たちも全然わからぬというわけではありませんけれども、ただ一律にこうやって定年制をおっかぶせてきますと、いま私が質問したようなことと逆行する憂いがあるので、十分ひとつ配慮をしていただきたい。結論から言うならば、出されてから引っ込めなさいということは、言ってもはいとはおっしゃらないかと思いますけれども、ひとつあまり無理をしないようにしていただきたいと思いますが、いかがでございますか。
#233
○野田国務大臣 ただいまの御意見、私拝聴いたしておりまして、ざっくばらんのことを申し上げますと、確かに五十五歳は少し若い定年制だと感じます。それから、もうよく御存じのとおり、自治省で提案いたしました地方公務員定年制は、一応年齢は、いまお話のあった五十五歳、現在普通行なわれているものよりも少し高いほうがいい。それが五十七歳なり八歳になりますか、一般の定年制が自然に六十に近くなれば、いま現在の定年制といわれている五十五歳というものは少し低過ぎるという考え方で指導したほうがいいと思います。
 それからもう一つは、先ほど労働省の調査のお話がありました。これはやはり退職後の生活というものを考えるという点、再雇用の道を開き、そうしてこれはやはり特別職で働いていてもらう。またその場合には退職年金も支給をやっていただいてけっこうだというようなことで、しかもこれは御存じのとおり法律じゃございませんから、その自治体の裁量によっておきめになってけっこうだ、こういう考え方でございます。
#234
○只松分科員 それでは、時間がありませんからこれで終わりますが、繰り返し言いますが、あまりに問題が大き過ぎて、国会で正面から論議されることが少ないわけでございます。しかし、ある面から見れば、これは日本の社会のひずみの最大の問題であるわけですから、関係閣僚として皆さん方が格段の御協力をしていただきますよう心からお願いいたしまして、私の質問を終わります。
#235
○赤澤主査 岡本富夫君。
#236
○岡本(富)分科員 私は、ちょうど三大臣そろっておりますので、各省に分けて質問し、わずかな時間ですから、簡潔に答弁してもらいたいと、最初に申し上げておきます。
 最初に厚生省。群馬県の安中市におけるところの東邦亜鉛付近の公害問題につきまして、昨日現地に行ってきましたけれども、現実に人体被害というところまでは調査できなかった。しかし、腰が痛いとか、あるいは仕事中に手が動かなくなった、こういうような現状があった。また農産物被害が非常に大きい。お米が非常にとれない。また、ホウレンソウやイモあるいは野菜は全然と言っていいくらいとれなくて、農家で野菜を買っておるというような状態。また、養蚕をしておりましたが、桑の被害によって、桑に鉱毒が入って、その桑を食わすと蚕が小さなうちにみんな死んでしまう。こういうような状態を調査してきましたけれども、向こうの現地に行きますと、橋本公害課長が行って、そして談話を発表しておる。カドミウム公害は心配ない、こういうような談話を発表しておりますが、七人の研究班を厚生省から依頼して三月に結論を出す、こう言っておるにかかわらず、いまから行って、もう心配ないのだ、こういうことはおかしいと思うのですが、厚生省のほうから答弁を求めます。
#237
○金光政府委員 安中の東邦亜鉛のカドミウムの問題でございますが、これにつきましては、ただいま御説明がございましたように、厚生省の委託によりまして、研究班をつくりまして調査しておるわけでございます。そういう状態でございまして、昨年の十二月、橋本課長が参りましていろいろ実情を調査したわけでございますが、その時点におきましては、少なくとも患者というはっきりしたものも出てこないわけでございますし、それから工場の廃液処理等につきましても、かなりりっぱに処理されておるというようなこと。それと、患者が発生いたしました富山の神通川付近におきますいろいろの汚染状況等を勘案いたしまして、現時点においてはそんなに心配する必要はない、しかし、調査をしてその結果によって、対策は根本的に考える必要があれば考える、かようなことで説明したはずでございます。
#238
○岡本(富)分科員 いま現実に、農産物あるいは森林の立木、また近所の桜が六本も大きい二尺くらいのやつが枯れておる。こういうものを見ますと、神通川のほうは大体水に含まれておる。これはぼくもよく知っておりますけれども、今度は大気中に相当あるのじゃないか、こういうことが考えられるわけです。フランスにおいて一九四〇年に、大気中のカドミウムによって骨折が非常に多く出る、こういうような文献があるわけですから、大気中の調査もしなければならぬ。したがって、橋本公害課長のお話は次のときにまた追及するとしまして、事実、工場に行きましても、落雷、要するに雷が落ちる、あるいは電圧がドロップする、そのときに工場の中で爆発事故を起こす、そういうときには相当煙が出てくるわけですね。事実カドミウムを取っている会社ですから、そこから出ないわけはない。したがって、私は結論として言いたいことは、近くこの徹底した調査をするかどうか。農林省にも働きかけて、農産物あるいはまた人体の調査を徹底してやるかどうか、これをひとつお聞きしたいのですが、どうですか。
#239
○金光政府委員 先ほど申し上げましたように、現在調査しておる結果はこの三月末までには出ると思いますが、その調査の結果によりまして、全般の問題に関しましても十分検討し、今後の必要な措置を考えてまいりたい。これは四十四年度のうちに考えてまいりたい、かように思います。
#240
○岡本(富)分科員 それで、いまのところでは、どういうような調査をやっているか、またやろうとしているか。必要な措置とはどういうことをやるのか。この安中の問題はもう早くから出ておりまして、そして私が先国会だったか、このカドミウムを出しているそういう工場の総点検をやったらどうかということを提唱して、そして、七月からことしの三月にかけてやろうとしておるに違いないのですけれども、これを見ますと、大体水の検討が非常に多い。あるいは土壌の検査が非常に多い。農産物の検査が入っていない。こういうように思われるわけですが、もう少し具体的に、どういう調査をやるのか、あるいはどういう機構でやるのか、これをひとつお聞きしたい。
#241
○金光政府委員 現在調査をやっておるわけでございまして、その調査につきましては、工場の廃液、それから水、土壌、それから農作物につきましてはお米についてやっております。それから空気等について調査いたしております。これは国の委託研究としてやっておるわけですが、それ以外に、県の立場におきまして住民の健康診断を進めておるということでございまして、この結果に基づきまして、その内容を十分分析し検討いたしまして、その結論に基づいて、必要な範囲におきまして、四十四年度におきましても総合的な調査をやっていきたい、かように考えております。
#242
○岡本(富)分科員 新聞報道によると、小林教授の談話あるいはまたデータが若干出ているように見えますが、小林教授はすでにデータを出している。これをひとつ私のほうに出してもらいたいと思うのですが、どうでしょうか。
#243
○金光政府委員 小林教授がいままでに発表されたといいますか、まあ発表された内容でございますが、それは小林教授が個人的にやられた調査の範囲だと思います。小林教授は厚生省で委託費をもって委託研究をやっておる研究班の一員でございます。したがいまして、この研究班のデータは研究班員によって検討されなければならぬわけでございます。したがいまして、小林先生のデータそのものにつきましては、私どももとやかく言うわけにまいりませんが、調査班全般の結果が出ないと、これは公表できないわけでございます。
#244
○岡本(富)分科員 最後に厚生大臣に。県では非常に公害対策は弱い。きのうも県に行ってみましたけれども、向こうの県会でやかましく追及して初めて少しやろうかという状態です。しかも、群馬県の公害対策審議会というのがあるが、これには東邦亜鉛の支所長が一緒に入っておる。こういうことではりっぱな公害調査はできない、こういうように思われるわけですが、この行政指導を厚生大臣のほうからするかどうかお聞きしたい。
#245
○斎藤国務大臣 そういった地域的な特殊の公害につきましては、私は、国よりもむしろ県あるいは当該市町村が、最も熱心に早くからやってもらう必要があるだろうと思うのでございます。国はそれに対して助長をするというのが普通の行き方だと思うわけでございますから、今後さらに県当局においてもっと熱心に――もし不熱心にやっているということであるならば、熱心にやって事を運ぶようにお願いをいたす所存でございます。
 公害対策審議会に当該の会社の社長あるいは責任者が入っておるというのはどうかというお尋ねでございますが、私は、これはやはり当該会社の者も入れて、そして検討をするということが一番いい、こういう考えで入れておると思うのであります。会社の者を抜きにしてやるよりも、入れたほうがいろいろ公害対策を講じる場合にも適当だ、こういう考え方であろう、かように思いますが、その会社の社長の発言に左右されてということであれば、その対策審議会はいかにも弱いものであって、そうでない住民側を代表する人と学識経験者も入れて、そして十分やっていくべきだ、かように思います。
#246
○岡本(富)分科員 大体こういう地方は、会社が税金をよけい払っていますから、したがって非常に弱い。しかも東邦亜鉛は、聞くところによると、厚生省が最初調べたときに入れない、立ち入り検査させない、そういうようなことがある。したがって、通産省ともよく連絡をとって、そして強力にやりませんと、あのイタイイタイ病のような悲惨な状態が出てから、それから厚生省が手をつけるようなことでは、非常に弱い。ひとつ強くやってもらいたい。これは厚生大臣に要求しておきまして、次に労働大臣に一つ。
 労働省が担当しておりますところの労災保険、この支払いが非常におそい。この例を一つ一つあげますと切りがないんですが、これは大阪の労働基準局の話でありますけれども、この方が会社でけがをした。そして会社では立てかえるような金がない。したがって基準局の監督署へ行って事情を説明した。非常に生活に困っている。ところが六月から九月、約三カ月その書類は一担当官の引き出しに入れたまま。担当官が忙しくてできなかったんだろう。じゃ、この担当官の一つの姿を見ますと、十二時に食事に行って一時四十分になってもまだ帰ってこぬ。このくらいのんきな食事のとり方をやっている。また大阪の天満の労働基準監督署においては約一年かかる。それも机の下にほうり込んだまま。こういうように現実に、労災保険をかけて、そして職場でけがした人が支払いを受けるのに非常に困っている。こういう面の促進を、あなたが労働大臣になってからひとつしっかりやるかどうか、御答弁願いたい。
#247
○原国務大臣 岡本さんの大阪の例でございますが、それはいずれ係をして実情を調査し、問題の点を検討したいと思います。
 御承知のように、被災労働者がございまして、その請求があった場合に、労働基準監督署においてこれをいろいろ調査して、支給決定をやって支給することになっております。なるべく早く調査は十分にやるし、支払いは早くやる。これが原則で、けっこうなことでございます。それでいままで労働省で調べたところによりますと、この所要日数はおよそ全国平均で二十二日前後になっておるそうでございます。遺族の方々にすれば、早く支給されたいということもありますので、御希望に沿うように、二十二日平均がもっと早くならないものであろうか、この点については善処いたしたいと思います。大阪の事例は、あとでいただきましたら、もっと具体的に調べてみたいと思います。
#248
○岡本(富)分科員 いま二十二日くらいの間に全部できるというようなことを言われておりますけれども、これはあちこちから相当私、陳情を聞きますが、そんな簡単に行なわれていない。それは報告でしょうから、現実は違う。
 そこで私、提案ですが、この労災保険の支払いについて、この権限を都道府県におろしたらどうか、そして被害者の救済を早くやったらどうか、このことを主張するのですが、大臣の考えはどうですか。
#249
○原国務大臣 労働基準監督署でこれを監督して、これが事実支払いをやる場合を決定する。それを法律によって労働基準監督署の監督官がやる、しろうとではないのでございます。これを県へ委譲をして、また支払いも県にやらせるようになると、全く二重になって、よけいおくれるのではないかと心配するのですが、岡本さんには、たいへんおくれたのだけを持っていって、早く済んだのは持っていかないので、一年以上かかるという印象があるのはごもっともですが、そういう事例があったら知らせていただいて、個々に実情を調べて私どもの参考にしたいと思っております。
#250
○岡本(富)分科員 次に、最近、中小企業が非常に困っておりますのは、労働者の対策であります。大企業にみな吸い上げられてしまって、中小企業の労働者対策が非常におくれておる。これに対する大臣の抜本的な方針をひとつお伺いしたいのですが、どうですか。
#251
○原国務大臣 御承知のように、近来、数カ年引き続いて日本の経済が大いに発展したが、その反面におきまして、労働力不足という現象が最近起こってまいりました。珍しい現象でございます。それで、わけても岡本さんが御指摘のような中小企業には労働力不足がはなはだしく、昔は金融、金融といっておりましたが、金融がちょっとよくなったかと思うと、今度は労働力不足ということで、わけても若年労働者が不足しておる。これが中小企業に非常に影響を及ぼしております。いまどういうことを抜本的にやっておるかといいますと、何とか中小企業が魅力ある職場になるように、それでないと、どうも若年労働者が定着しない。中小企業でも、工場もあれば、あるいは商業をやる人もございますが、職場環境がよくないとどうしても魅力がなくなって、定着せずにやめてしまう例がかなり多くあります。
 それで、労働省がやろうと思っている第一は、職業訓練で若年者に技能をつけてやりたい。それで、この訓練法の内容のよくない点もありますので、今国会に職業訓練法の全面改正案を提出して、皆さま方の御審議を願いたいと思っております。それから中小企業が共同でやる職業訓練に関する運営費の補助を、倍増するというようなこともやっております。
 まず、職業訓練によって技能をつけてやるということが第一であります。第二は職業紹介所であります。これも近来職業紹介の実があがってきておりますが、さらにこれをやりたいと存じます。第三は、環境の福祉施設の充実でございます。中小企業が大企業に比べておくれておるのは、福祉施設の欠如であります。いま中小企業レクリエーションセンターの増設とか、勤労者青少年センター、これはいよいよ去年から始まって東京の中野へ七、八十億くらいの巨費を投じて新たなる構想でやるものであります。それからまた、勤労青少年ホームというような公共施設をやりたい。これまた促進のために融資をはかりまして、企業が自分で福祉施設をやるのに融資をやってやりたいと考えております。第四には、ことに私が主張している学歴偏重を打破し、ホワイトカラーの偏重を打破して、ブルーカラーをもっと尊重すべし。そういう風潮をもっとみなぎらしたい。さらに青天井人事管理方式ということで、そういう学歴がなかったり、勤労者であるがために、たとえば工場長にしない、あるいは重役にしない、社長にしない、こういうことをなくして、青天井にして、どこまでも伸び伸びと成長し、成功していくようにしてやりたい、こういうことを私が提唱して反響を呼んでおります。過般も雇用促進協議会という日本の経営者の代表の集まりでこれを提案しましたら、現にいまやりつつあるし、いい機会だから、これからやるという賛成も得ております。
 そういうことをいろいろあれやこれややりまして、中小企業の労働力不足を補っていきたい、こういうふうに思っておりますから、よろしくお願いします。
#252
○岡本(富)分科員 大臣から、中小企業レクリエーションセンターを設置する、こういうお話がありましたが、ことしはどれだけ予算をつけてあるのですか、全国で。
#253
○村上政府委員 全国的にいろいろ候補地がありまして、希望も多うございますし、今年度は調査という形で現在二カ所の調査を予定いたしております。
#254
○岡本(富)分科員 阪神問に中小企業のレクリエーションセンターを設置してもらいたい、こういうような陳情が来ておったはずですけれども、ことしは聞くところによると、まだ一つもできないのだ、こういうように私は聞いているわけですが、大臣、ひとつ阪神間に中小企業レクリエーションセンターを設置することを約束するかどうか、伺いたいと思います。
#255
○原国務大臣 いま事務当局から聞きましたら、昭和四十五年度からつくることになりますから、正式の書類をひとつ市及び県を通して出していただきましたら、よく調査し、善処したい、こういうことであります。
#256
○赤澤主査 岡本君、あと五分ですから、そのつもりで……。
#257
○村上政府委員 たいへん具体的な質問でございますから私から申し上げますが、正式に聞いておりません。正式に聞いておりますのは、港湾の福祉施設をつくってもらいたい。これは来年度設置する予定であります。いろいろ御希望があるかも存じませんが、正式に出てこないと何とも言えません。いま大臣のお答えもそういった観点からお答えをされておると存じます。
#258
○岡本(富)分科員 大臣、あとでこれを見てください。正式にいっておるはずです。
 そこで、いま職業安定所はうまくいっておる。職業安定所を通じて中小企業の労務対策をやるんだ、こういう話でありますが、これもまたひとつ現地の例をとりますと、兵庫県の三田市です。これは相当工場誘致も進んでおりますが、ここには職業安定所がない。ここに職業安定所を設置するかどうか、あなたの選挙区ですよ。
#259
○原国務大臣 事務当局から答弁いたさせます。
#260
○村上政府委員 これもいわゆるオフィシャルな立場から承っておりませんが、あの地区には尼崎とか西宮とか、ずっと連続して職業安定所があるところであります。したがって、御指摘の点については、現在管轄しております安定所の工場数、労働者数、そういったものを考えまして、バランスをとって処理していかなければなりませんので、現在のところ私ども消極的に考えております。
#261
○岡本(富)分科員 それは早急に調査して、大臣はやりますね。どうですか。
#262
○原国務大臣 さいぜんも申し上げましたように、三田市にないことは私もよく存じております。芦屋にも、あの辺では西宮、尼崎、伊丹とかなりたくさんありますが、三田市を通し、県を通して書類を出していただきましたら、その時点で善処いたしたいと思います。
#263
○岡本(富)分科員 ひとつ労働大臣になったのですから、強力に、何も聞いていなかったとか、あるいはあなたは向こうのことはよく知っておるはずですから、出てこなければ何もしない、こういうような消極的なことでなくして、積極的にやるべきである、こういうように要求しておきます。
 次に、これは自治大臣にお伺いしたいのですが、今度の地方公共団体に対するところの地方交付税につきまして、大きな水害があったりして非常に困っているところに対しては、その実態をよく加味して、地方交付税を増加するかどうか、これをひとつ自治大臣に……。
#264
○野田国務大臣 被災の状況及び地方公共団体の財政事情を勘案いたしまして、特別交付税を重点的に配分したい、こう考えております。
#265
○岡本(富)分科員 これも三田市で私、現地視察しまして、困っておりましたから、ひとつよろしく……。
 次に、警視庁に――私のすぐ近所に兵庫県の警察学校があるわけでありますが、この状態を見ますと、警察学校か、あるいはまたバンガローかわからない。すなわち山の上に増設、増設でずっと建てていたような学校でありまして、その上に芦屋学園というりっぱな学校ができております。警察学校がここへ入るようになると、学校を間違うてしまうというぐらいのよくない状態でありまして、この状態を見ますと、一部屋に六人というようなところに八人入っておったり、あるいは道場、これが狭くて、芦屋市の青少年センターのところを借りたりして、両方会場の取り合いをする、こういうようなことで非常に困っているわけですが、こうした状態ではりっぱな警官ができない。したがって、ピストルの暴発があったり、いろんな事故がある。また民主的の警察官ができない、こういうように私はいつも見ております。したがって、この校舎、あるいはまた諸施設の大幅な改造をやっていただきたいと思うのですが、警察庁の意見を聞きたい。どうですか。
#266
○渡部政府委員 お答えいたします。
 兵庫県の警察学校につきましては、御指摘のように、いろいろ望ましくない状態にあることは承知しておりますが、このたびお願いしております四十四年度の予算には計上されておりません。しかし明年度以降につきまして、実情はよくわかっておりますので、できるだけ考えて善処したいと思っております。
#267
○岡本(富)分科員 それから、この警察学校の上のほうに射撃場がある。この射撃場の裏に学校がある。芦屋学園という学校があって、その運動場がある。もしも間違って誤射した場合に、非常な事故が起こるんじゃないかというので、これだけはひとつ早急にやっていただきたいと思うのですが、どうですか。
#268
○渡部政府委員 実情をよく調査いたしまして、応急の措置を講じたいと思っております。
#269
○岡本(富)分科員 最後に聞きたいことは、今度定員が相当ふえておる。また学校らしい学校をつくるために自治省のほうも協力をして、治安維持のためにやっていただきたいと思いますが、自治大臣にひとつ最後に……。
#270
○野田国務大臣 事態を、現実を見まして、できるだけ協力をいたします。
#271
○岡本(富)分科員 では終わります。
#272
○赤澤主査 武藤山治君。
#273
○武藤(山)分科員 最初に、自治省の行政局長に実態をちょっとお尋ねをいたしたいと思いますが、現在各市町村に、町内会とか自治会とかいう、そういう町内の自治組織、これはいま名称は全国大体統一されておるのですか、どうですか。
#274
○長野政府委員 名称は統一されておりません。個々の場所で適当の名称をつけておると思います。
#275
○武藤(山)分科員 いまでも何々町内会と呼んでおる場所と、自治会という名称と、大体二通りあるわけですが、どちらが大体数が多いようですか。
#276
○長野政府委員 新しく団地とか、そういうものができて、新しい人たちが組織するような場合には、どちらかといえば自治会ということばをお使いのようでございます。それから、従来の町の区域の中でできておりますものは、大体町内会というような言い方をしておると思います。それから農村部にいきますと、部落会とかそういう名前も使っておるようでございます。
#277
○武藤(山)分科員 私、きょうここで大臣にちょっとお考えいただきたいと思って質問をするのでありますが、町内会とか自治会が、それぞれ研修所とか、青少年ホームとか、あるいは自治会館、そういう町内所有の建物が、最近非常にあちこちで建てられておるわけですね。全国ではたいへんな数になると思うのですが、そういうのは自治省ではわかっておりませんか、いまどのくらいできておるか。
#278
○長野政府委員 そういう町内会等の施設がどの程度あるかということは、詳細にはわかっておりません。
#279
○武藤(山)分科員 私の町の例で申しますと、足利市という市で、八百二ばかり自治会があります。この町では全部自治会と称しておるわけですが、町内別に自治会ができておる。この自治会で、自分たちで金を出して、自治会館をみなつくっておるわけです。かなりりっぱなものをつくっておるところもあるし、ほんの町内会の会議ができる程度の建物をつくっているところもある。大半の町内が、いまそういうものを持ちつつあるわけです。私の町では、大体半分の町内がすでにつくって一つのブームになっておる。そこで困ったことは、そういう町内の所有物ができた際の登記なんであります。いまは何も自治会なり町内会なりに対する法人格を与えられていないし、登記の特例法もないし、結局、個人の所有に登記する以外にないわけです。そうすると、町内会長個人名で登記する。だから登記税も全く個人の財産の登記と同じで、しかもその会長は二年で交代するとか、あるいは長いので十年で交代するとか、いずれにしても交代することがあるわけですね。交代しても古い昔の人がそのまま所有権者になっている。これがぽっくり死んだ場合、その登記がえができない。そのときには全部の判も必要だ。なかなかやっかいな問題が発生しているわけであります。そこで、自治省としてこういう実態をどうスムーズにしてやるか、改正してやるか、当然検討してしかるべきできないかと私は思うのでございます。
 そこで、大臣にそういう場合、どうしたらいいかというお考えをひとつきょうは聞きたい。自治省の指導で登記のほうの法律をいじるか、新たな法律を、特例法を設けるか、どちらかになると思うのでありますが、いまの話を聞いて、大臣のお考えはどうでしょう。
#280
○野田国務大臣 確かにお話しのとおり、町内会、自治会が法制化されておりませんから、なるほど登記が戸惑うだろうと思うのですが、しかしこれは、社会的に相当機能を発揮しておりまして、地域住民のためには非常にいいことでございます。これはいま法制化云々よりも、自治省といたしまして、やはり都道府県に対して、必要があれば個別に、何か適切な指導をするというほうが――私、いまお聞きしておりまして、ほっておけない、何か適切な指導をしたほうがいいのじゃないか、こう考えております。もちろんこれが法制化できますればきわめて簡単でございますが、現在のところ、まだ法制化の準備もできていないところでございます。都道府県に対しての適切な指導といいますのは、いま言われたようなことがやはりできるだけ避けられるような方法、何か指導する方法はないか、こう考えております。
#281
○武藤(山)分科員 行政局長の、先ほどの実態を把握していないのに実は私は驚いたのであります。私は質問通告の中に、きょうは全国の町内会、自治会というものがどういう状況にあるかということを聞くのだということを、一週間前に通告してあるわけですよ。行政局長としては、当然実態を把握しておらぬといかぬですよ。怠慢ですよ。だから早急に全国の町内会と呼んでいるものはどのくらい、自治会はどのくらい、そして建物は、町内会固有の建物を持っているもの、それはどのくらいあるかという実態をお調べいただきたい。
 いま大臣は、個別指導と言いましたけれども、もうこれは個別指導ではとても処理しきれないのであります。私の町だけで自治会館が百カ所もできたのですから。これは個別指導で、登記はただにしてやる、税金も免税、固定資産は取らない、そういう個別の事情を聞いてやろうなんていうことは、全国的ないまの趨勢にマッチせぬと思うのであります。やはりこれは自治省として、法務省とも十分話し合って考えなければいかぬと思うのであります。まず、そういう調査をこれからやって、適切な指導をやるという決断を大臣お持ちになられるかどうか、御決意のほどを伺っておきます。
#282
○野田国務大臣 私もだいぶあっちこっちの事実を知っております。しからば、町に何百あるかということはわかりませんけれども、どんどんできております。私は武藤さんの御意見のとおり、調査しまして、これはひとつ組織的に行政上の考え方をしなければならぬと思っております。
#283
○武藤(山)分科員 そういう法人格のない町内の青少年ホーム、あるいは集会所、自治会館、研修所、こういうもので、公のためにのみ使われる建物が建った場合に、固定質産税は免税になるというはっきりした法律規定がございますか。
#284
○松島政府委員 現在、地方税法には、公益上その他の事由により必要がある場合においては、課税を免除し、あるいは不均一の課税をすることができるという規定がございます。ただいまお尋ねの問題は、個々の町村のまさに内部の問題でございまして、実態がそういうものであるということであれば、市町村の条例をもって免除することができます。
#285
○武藤(山)分科員 それは法文の何条にあるか、明らかにしてください。
#286
○松島政府委員 地方税法第六条でございます。第六条を読んでみますと「地方団体は、公益上その他の事由に因り課税を不適当とする場合においては、課税をしないことができる。地方団体は、公益上その他の事由に因り必要がある場合においては、不均一の課税をすることができる。」こういう規定でございます。
#287
○武藤(山)分科員 大臣、いまのように、公益のために専門に使うということが明らかならば、税法のほうではすでにそういう恩典が与えられるようになっている。ところが、登記のほうは全くそういう措置がなされていない。したがって、早急に法務省ともこれらの問題についてはひとつ詰めていただきたい。そういう希望を強く申し上げておいて、大臣も誠意をもって調査し、検討するということでありますから、期待いたしておきます。
 次に、厚生大臣にお尋ねいたしますが、厚生省が現在、年金福祉事業団を通じて融資をさせておるわけでありますが、その融資の中で一番長い長期融資は何年ですか。
#288
○伊部政府委員 新築資金につきましては二十五年でございます。
#289
○武藤(山)分科員 私に配られたあなたのほうから出した資料では、賃貸住宅で三十年というのがございますが、これは間違いですか。――時間がもったいないから、三十分で二問しゃべるのは容易でないから、わかったら答えることにして……。
 この資料によると、三十年が賃貸住宅で最高ですね。それから据え置き期間で一番長いのは何年でありますか。
#290
○伊部政府委員 病院の二年でございます。
#291
○武藤(山)分科員 そうすると、この表の厚生福祉施設の場合、共同給食は三年、こうなっておるけれども、これはどういうことになるのか。二年と三年では一年据え置き期間が違うけれども、これはあなたのほうから持ってきてくれた資料ですよ。
#292
○伊部政府委員 調べておきますが、私の資料では、六カ月になっております。
#293
○武藤(山)分科員 あなたのほうが私に持ってきてくれた資料は、うその資料になりますか。これは年金福祉事業団から持ってきたのですよ、この質問をするので。ここに三年と書いてある。間違いないわけですね。必要と認めるならば最高三年。
#294
○伊部政府委員 特に必要と認めるときは三年とすることができる、こうあります。
#295
○武藤(山)分科員 厚生大臣、年金福祉事業団がそれぞれ融資しておりますが、特に私はきょう取り上げたいのは、公的医療機関、日赤病院ですね。日本赤十字、あるいは済生会、そういう利益追求を目的としない病院の融資の問題なのであります。この前大蔵委員会で、私、厚生省と大蔵省の係官に質問をして、医療機械の借り入れについては従来よりも条件を緩和し、据え置き期間を延ばしてくれたわけです。それを去年から実施してくれた。日赤も済生会も非常に喜んでおります。ところが、その後いろいろ調べてみると、日本の赤十字病院というのは、大体もう地方のものは老朽化して、がたがたびしびしで、歩けば病人が休んでおれないという病院がたくさんあるわけです。ちょうどいまその建てかえの時期にきている。そしてかなり膨大な資金を必要としているわけですね。三億、四億の借り入れをして鉄筋に建てかえをする、いまこういう日赤の建てかえの時期が非常に多いと思うのであります。ところが、その日赤の必要とする資金を借りる場合、据え置き期間が一年六カ月なんですね。三億から、あるいは五億借りて、一年半たったらもう返済しなければならぬ。これじゃちょっと返済までの据え置きが短過ぎるのではないか。給食の施設が、必要によっては三年まで認められ、またはその他の法人の設置する会館は二年間据え置きが認められておる。そういうものと公的医療機関とを比較勘案をして考えてみると、日赤病院の一年半というのは短過ぎるのではなかろうか。これをもうちょっと、三年、もし資金量その他の条件から可能ならば、五年くらいまでは日赤病院の場合は据え置き期間を認めてやっていいのではないか、こういう気がするものですから、大臣にひとつこの問題については本気で検討してみてやろうという返事がもらえるかどうか、ひとつ大臣の見解を伺っておきたいのであります。
#296
○伊部政府委員 年金福祉事業団の貸し付け金の条件につきましては、それぞれ貸し付け金の条件に従って定められておるのでございまして、特に療養施設につきましては、厚生施設の大部分のものより有利な扱いをされておるのでございます。御要望の点につきましては、他の同じ関係して行なわれております特別地方債、あるいは他の政府関係機関等の関連もございまして、いろいろむずかしい問題もございますが、なお十分検討さしていただきたい、かように思います。
#297
○武藤(山)分科員 そのなおむずかしい条件があると思うんだがという、そのなおむずかしい条件というのは、一体何をさしているわけですか。
#298
○斎藤国務大臣 時間もないようでございますから、私、事務当局から、このむずかしい条件を個個に聞きまして、そして十分御趣旨に沿うように努力をいたしたいと思います。
#299
○武藤(山)分科員 大臣のいまの答弁なら、私、納得いたします。というのは、共同給食の場合は三年認めているのですよ。必要とあらば認める。それからさらに会館をつくる場合には――法人が、会社がですよ。民間の利益追求を目的とする会社が、その会社内で会館をつくる場合には二年、共同給食の場合は三年、そういう条件になっているなら、当然いまの医療の問題は、医療費が高騰しないように、あるいは国民の健康を守っていくためにとか、いろんな見地から、私は公的医療機関というものは充実し、患者にサービスができ、しかも、経営難であまり医療を押しつぶさないような、経営難を解消する手だても必要だとか、私は、いろんな見地から、当然いま厚生大臣がお答えになったような前向きの姿勢でこの据え置き期間の問題は検討すべきだと思うのであります。ここに医者の堀先生がおるから、医者の実情はよく知っておるのでありますが、いずれにしても一年六カ月では、最初の負担がたいへんなんです。私はきょう時間があれば、ここにこう表をつくってみて、一年半で返済を始めた場合の経営の圧迫の度合い、それから五年据え置きをして、返済方法もいまのような返済方法でなくて、元利均等償還という方法でやった場合の病院の経営内容、そういうものを、こういろいろなグラフをつくって検討してみたわけです。本来ならばその償還金額の条件についても、この際据え置き期間と同時に、病院という特殊事情から再検討すべきだ、こう思います。
 最後にもう一回、日赤病院、済生会病院という公的機関であるから、ひとつ特段に力を入れて早急に結論を出すかどうか、それをひとつ大臣に伺ってやめたいと思います。
#300
○斎藤国務大臣 いろいろと貸し付け条件、あるいは据え置き期間の計算の開始等について、資金間において何か相違があるようでございます。十分理由があるかないかよく検討いたしまして、いまおっしゃいますように同じ医療機関でありながら不利なことであればないように、ぜひ改めるように努力をいたしたいと思います。
#301
○武藤(山)分科員 時間ですから終わります。
#302
○赤澤主査 板川正吾君。
#303
○板川分科員 厚生大臣に、埼玉県庄和町に医療法人の南埼病院という収容ベッド七百十八床を持つ県下でも第三に大きい病院がありますが、ここの問題についてひとつ厚生当局の見解を伺っておきたいと思います。
  〔主査退席、竹内主査代理着席〕
 この病院は、地元の患者はあまりない。外来の入院患者が大部分だといわれております。その上に、病院経営者の乱脈な管理から、地域住民のひんしゅくを買い、また事ごとに問題を起こして有名な病院であるようであります。先日ある東京の新聞が、「まさに無法地帯、傷害、汚職大っぴら」と題して、特集号で報道をいたしておるのでありますが、その見出しにこういう記事があります。「「うまいものをくわせてやる」とドヤ街から患者を狩り集めては医療費を水増しする。患者をあっせんしてくれた役人には贈賄する。平気でニセ医者に診療させる。患者たちにはドンチャン騒ぎを許し、殺人や傷害事件が続発する。「選挙には不在投票」の権利を悪用してインチキ票をつくる――こんな公共施設が「病院」の名を借りてこの世に存在していたという。埼玉県北葛飾郡庄和町大衾五一六、医療法人南埼病院。結核、精神病患者約五百人を収容し、厚生省から結核予防法に基づく指定を受けているレッキとした大病院である。あまりの乱脈ぶりに厚生省、県衛生当局も監査に乗り出し、近く最後の立ち入り調査を行なうことになっている」、こういうような見出しでいろいろ過去に起こった事実を詳細に報道しております。
 時間の関係がありますから、私は事実関係についてここで申し上げることは省略しましょう。しかし、ここでは厚生省と県とが共同して調査をしておるようでありますから、この新聞報道の調査の内容とがどういうような食い違いがあるかないか。この報道どおりであるかどうか、こういう点をひとつ、これは局長でもいいです、答弁してください。
#304
○斎藤国務大臣 時間の都合で私から簡単にお答えいたしますが、大体新聞に出ておるのは事実であります。私もあきれた病院だと思っております。したがいまして、県と共同いたしまして、すでに結核病院の指定と、生活保護の指定をいま取り消しの手続中でございます。これは知事が全部やるわけでございますので、知事にやるように話をし、知事のほうもやるということで、いまいわゆる公聴会というのですか、何かその手続をもうすでに進めております。
#305
○板川分科員 南埼病院の実情については、いま言ったように、大体この新聞報道が事実だ、こういうことでありますが、私がここで申し上げる趣旨は、誤解のないように一言申し上げておきますが、入院患者の大部分であるといわれております山谷の人たちがけしからぬという意味で取り上げているのでは私はありません。たとえ言わるるように山谷の人たちが多くても、ほんとうに病人であれば、これは日本国民として、健康で文化的な生活ができる権利を持っておるのでありますから、その人たちに健康的な生活ができるような措置をすることは、私は当然だと思うのであります。しかし、病院経営者が、患者に法の基準に基づいた良心的医療もしない、責任ある医療管理もしない、患者のやりたいままに放置して、どうせ公費で支払われるのだからとして引き延ばし療養をさせる、そして不当な利益をむさぼるという悪徳医師や病院経営者であるならば、社会の敵として糾弾さるべきである、こういう趣旨で私は申し上げておるのであります。しかも、そうした乱脈な管理では、病人に気の毒じゃないだろうか。病人はそこに病気をなおすために入っておるのであって、それが医療法に基づいた正しい医療を受けない乱脈な経営をさして、管理をさしておるというところに、病気が長引きますし、また正当な医療を受けないために、病気が進行するという人もあるだろう、こう思います。
 そこで伺いたいのでありますが、南埼病院の医師は、日本医師会に入っておられるかどうか、日本医師会のメンバーであるかどうか。また病院は、日本の病院団体があると思いますが、こうした団体に加入しておるのかどうか、伺っておきたいのであります。まあ有名な医師会長の武見さんは、医師の権威というものを社会に主張しておりますが、これが医師会に入っておるならば、私はそうした悪徳医師を教育してもらいたいものだな、こう思うわけであります。また医師会自身が、そういう報道されているような悪徳行為を行なった医師があるなら、やはりこれを教育をし、教導するということもお互いにあるのじゃないか、こう思うのでありますが、そういう点で医師が医師会に入っておるのか、病院が病院の団体に加入しておるのかどうか、その事実関係を伺っておきたいと思います。
#306
○松尾政府委員 この病院の医者の全員というわけではございません。一人は埼玉県医師会に加入しているということは承知いたしております。それから、病院団体のほうは、私ども必ずしもつまびらかにしておりません。
#307
○板川分科員 この新聞報道の記事によりますと、医師が七人おる、こういうことになっていますが、医師会に入っておる医師は一人だけだ、こういうことですか。
#308
○松尾政府委員 一人でございます。
#309
○板川分科員 それから、これは時間がありませんから私のほうで申し上げますが、同病院にどのくらい患者が入っておるかというと、結核患者が二百六十五名、精神病患者が二百九十六名、一般患者が十名、計五百七十一人、昨年十二月末に入院をしておられます。そして公的な費用で入院しておる数はどのくらいかといいますと、埼玉県だけで結核患者が百二十一人、生活保護法を受けている者が百四十一人、健康保険の者が四十人、計三百二人となっているようであります。そしてどのくらいの金額を払っているかといいますと、埼玉県の調べによりますと、昨年十二月分として結核患者の分六百六十七万円、生活保護者分六百七十七万円、健康保険分二百二万円で、千五百四十六万円。これを十二カ月分にしますと、約二億円近く公費で支払われておる。その八割は国家が負担ということになっております。したがって、こういう指定機関の病院の監督指導は知事にあることはおっしゃるとおりでありますが、しかし公費の八〇%を負担する国、厚生省においても私は指導上の責任があるだろう、こう思います。このような指定機関が、法に定められた適正な医療をしなかったときには、どのような処分といいますか、制裁といいますか、ことがあるのでありますか。これは指定取り消しというばかでなくて、他の方法もあるだろうと思いますが、いかがですか。
#310
○村中政府委員 結核予防法の関係につきましては、指導監査というのがございまして、患者の診療について診療基準に従って適正に行なわれているかどうか。不正不当があるかないか。それから病院の患者の管理上に問題があるかないか。こういう面の監査をいたしまして、問題があれば指導を行なうというのが一応のたてまえになっております。その指導の結果、問題がある場合には、それを指摘をして改善命令を出します。その改善命令がたびたびで、しかもなお改善が行なわれないというとき、最終的には指定の取り消しを行なうという方法があります。
#311
○板川分科員 そのほか、生活保護法七十九条で水増しに対しては補助金の返還請求、そういうこともできるでしょう。結核予防法四十二条によって診療報酬の一時差しとめということもありますね。ですから、そういう次善というようなことも考えつつ、悪徳医師あるいは病院経営者というものをこの際強力に指導すべきではないかと私は思います。
 埼玉県でも副知事を責任者として対策委員会を設けております。厚生省と県と共同で立ち入り調査をして、その結果さらに数々の不正不当の事実がある、こう対策委員長の副知事が言っておりますが、近く病院側の弁明も求めた上で処断する方法を考えたい、こう言っておるのであります。指定機関の取り消しをするという場合には、あるいは病院経営者が反省がなければそういうことも当然あるかと思いますが、その場合問題なのは患者の扱いであります。患者がそのために治療する場所を失うということがあってはならないのであって、そういうようなことが万一起こる場合には、患者に対してはぜひ手落ちのないような親切な措置をとってもらいたいと思いますが、いかがですか。
#312
○今村(譲)政府委員 結核、生活保護と二つあると思いますけれども、これは県と十分打ち合わせをいたしておりまして、たとえば生活保護でありますならば、東京都から行っている入院患者は四、五十名おりますが、これは東京都のほうで全部必要な病院に収容するという手はずをやっております。それから埼玉県下の問題につきましては、県内の病院を全部当たっておりまして、県の民生部としては遺憾のないようにするつもりであるということで努力いたしております。
#313
○板川分科員 それはぜひひとつ、私の取り上げた趣旨は、患者の問題ではない、悪徳病院経営者の問題でありますから、その点をひとつ念頭に置きまして、患者に対しては親切な処置をしてもらいたいということを要望いたします。
 そこで質問の第二点は、ひとつ労働大臣に伺います。時間の関係がありますから労働大臣の質問に入りますが、問題は産炭地の私鉄労働者の問題なんです。大臣あてに私鉄総連の委員長から、炭鉱の閉山によって関連する私鉄が不幸にして廃止か縮小のやむなきに至ったときは、石炭と同様、労働者の退職金、未払い賃金等を保障し、離職者にも炭鉱離職者と同様な措置をとってほしい、こういう要請が出ておると思いますが、その点でひとつ大臣の御意見をこの際伺っておきたいと思うのであります。
 大臣も御承知と思いますが、第四次石炭再建案によりまして、炭鉱の合理化が促進されることに対する労働対策が幾つか行なわれ、強化されようとしておるのであります。たとえば、第一は、石炭合理化措置法の一部改正によって、新たに特別閉山交付金が交付されることになりました。これは、企業ぐるみ石炭をやめて閉山した場合に、労働者の退職金、未払い賃金等の七五%を政府資金をもって保障する、こういう制度であります。またこれに従来から離職金という制度が設けられておりまして、離職者に対しては一カ月分の給料のほかに勤続に比例しまして一万五千円ないし十万円の離職金が支払われております。さらにまた炭鉱離職者には、離職者臨時措置法という法律があって、離職者の職業訓練や転職についての諸種の援護措置がとられておりますことは御承知のとおりであります。しかるに石炭を運搬する私鉄の労働者は、それらの援護措置が残念ながら一つもないのであります。北海道の炭鉱、まあいま問題になっているのは主として北海道の炭鉱でありますが、北海道の炭鉱は歴史的に見ましても、まず炭山が発見され、開発される、それを搬出するために鉱山が鉄道を敷設してまいったのであります。ですから、もともと石炭を運ぶ鉄道は鉱山の一部分であったのであります。ですから、資金的にも、人的支配の面においても、事業的支配の面においても、鉄道は親会社である炭鉱に支配されてきたのであります。ただ、石炭の場合には通産省が監督官庁であり、鉄道の場合は運輸省が監督官庁であるというふうなこと等がありまして、鉄道が独立するということが行なわれてきたのであります。ですからこの鉄道と鉱山の閉山対策に実は差別があってはならない。鉄道は鉱山の全く一貫した作業部面を担当しているのであって、差別があってはいけない、こういうふうに私鉄の労働者は考えておるのであります。労働行政からいいましても、廃山された炭鉱の労働者にはこういう措置がとられて、それを直接輸送しておった企業的にも資金的にも同じ会社である鉄道部面の者には、監督官庁が違うからといって差別をするということは、労働行政の面においても私は妥当な措置ではない、こういうふうに考えるのでありますが、大臣の見解をまず承っておきます。
#314
○原国務大臣 ただいまの御説、すでに総評その他から最近陳情をいただいてよく存じております。この炭鉱部門と鉄道部門と同じ会社の場合もあるし、別々の会社の場合もあるし、いろいろなのでありますが、炭鉱が閉山して、また私鉄がそれの影響を受けて会社がつぶれるというような場合において、その労働者の労働条件は、現行法では非常に差のあることは御指摘のとおりであります。それで、石炭鉱山や労働者の保護については、すでに委員会のほうへ法律案を提出いたしております。それで、大体石炭と私鉄の労働者と同じようなところにおりまして、一つは特別扱いをする、一つはそのままほっておく、まことにお気の毒で、事情はよく存じております。それで、現行法のままではいけないから、どうしようかということで、いま通産省と運輸省、労働省の三省の間で協議することになっております。それでどういうことになりますか、とにかく急いで御期待に沿うように努力いたします。
#315
○板川分科員 ぜひひとつ労働大臣がイニシアをとって、この問題解決のために骨を折っていただきたいと思いますが、こういうことになるんですね、いままでの例でいきますと。石炭山が急に廃山をする、こういうことになります。廃山をするということになると、来月一日からもう炭は出さないということを突然きめる。そして会社は、政府の合理化救済措置によって、石炭山の従業員については、やがて資金がおりて救済の道があるから自宅待機をしておってくれ、こういうことになるだろうと思います。ところが一方、それをいままで搬出しておった、運輸しておった鉄道部門は、急に鉄道の輸送が必要なくなってしまう。しかし山の奥に人が何千人と住んでおるのでありますから、唯一の交通機関である鉄道はやはり運行を続けていないと、これは土地の人は困るのであります。ですからぜひ運行してくれという要請がありますと、私鉄は、石炭部門はなくなったけれども、やはり運行せざるを得ません。そのうちに、石炭労働者の場合には七五%なりの退職金が支給され、さらにいろいろの手当がついて他に職を求めて移転をしていきます。その移転をしていく間は、やはり鉄道は運行を継続しておらなくちゃならない。収入は激減し赤字は累積をする。そうして全部転業を終わった時分になって、もう必要ないというときになると、私鉄の経営は全く行き詰まってしまう、まあそうなっちゃうんですね。そして退職金を払おうと思っても、退職金を払う金もありません。あるいは社会保険料を払おう、こういうことになっても、会社が使い込んでおって納めてないために、失業保険ももらえなかったという時期が一時あったんです。会社が全部使い込んで払い込まないのですから。そういうことになると、私は労働行政の面からいっても、そういう形は好ましいものじゃないんじゃないだろうか。まして鉄道と石炭というのは、作業面で一体化しておるのでありますから、そういう差別をとるべきじゃないのであって、鉄道部門の労働者も炭鉱部門の労働者と同じように扱うべきではないか、こういうふうに実情を申し上げる次第であります。ただ、ある官庁によると、もし私鉄にそれを適用するとなれば、町の床屋――まあ床屋は別として、下請企業にも払わなくちゃならないのじゃないかというような波及論が出てまいります。しかし、下請に払えるなら払ってけっこうでありますが、下請と鉄道とはまた違うのであります。下請の場合には、そのつど随時契約で注文に応じて仕事をしてもらおうということでありましょう。短期の契約でありましょう。あるいは注文が少なくなったら減らすということもあるでしょう。しかし鉄道の場合には、掘れば掘っただけ必ず鉄道で運び出すという関係にあったのでありますから、そういう意味で、鉄道に同じ待遇をしたから、下請にも、あるいはことによると床屋にも、町の商店にも全部やらなくちゃならないんじゃないかという議論は、少しオーバーじゃないかという感じがします。従来、第三次答申までは閉山交付金というものがありました。今度は特別閉山交付金ですが、いままでは閉山交付金です。普通の閉山交付金というのは、可採埋蔵量、掘ればあるだろうと思う埋蔵量に対して、一トン二千四百円で買い上げて、その金を労働者が半分取り、そのほかの債務に半分支払う、こういうことになっておったのです。ですから、従来の閉山交付金では、確かに炭鉱の労使がそういう合理化に対する援護措置をとってもらった。そこへ私鉄が入り込んで、その金の半分のうち幾分分けてくれということになると、取り分が少なくなりますから反対だという空気が従来はあったのです。ところが、今度の特別閉山交付金というものは、それに関係ないのです。そこに働いておった労働者の退職金と未払い賃金と労務負債、これの七五%は幾らでも制限なく優先的に払います、国が保証します、こういうことでありますから、山分け論は今回は特別閉山交付金にはないのです。ですから、そういう意味で私は話がたいへんしやすいというふうに考えておるのであります。ただいま大臣から、三省間で協議をしてできるだけ希望に沿うようにと答弁がありましたから、ひとつその結果を私どもは見守っていきたいと思います。
 もう一つ、これは法律関係ですから事務局で答弁してもいいのですが、炭鉱離職者臨時措置法というのがありまして、炭鉱離職者に対して職業訓練や再就職の援護措置を行なうということになっておりますが、この法律は私鉄の場合に適用されておりません。しかし私は、この法律の二条の定義等を拡大解釈をすれば一これは法律上の期限等もありますが、この二条にはこう書いてあります。「この法律で「炭鉱労働者」とは、」「石炭の掘採又はこれに附属する選炭その他の業務に従事する労働者をいう。」こういうふうに、掘り出す労働者、選炭をする者、その他の業務に従事する労働者をいうということになっておりまして、従来閉山交付金なんかもらってない組夫も、炭鉱労働者ということで取り扱いを受けておるのであります。したがって、このその他の業務に従事する者という解釈か、あるいは選炭の次に運送を担当する者とか、何か拡大解釈するか、あるいは若干の解釈をすれば、同一企業で鉄道部門を担当した人にも、この炭鉱離職者臨時措置法というので援護措置がとられるのではないか、こう思うのであります。この点で法の拡大解釈か、ともかく適用できるような措置を講じてもらいたいと思いますが、この点いかがですか。
#316
○村上政府委員 法律の解釈の問題ですから、これは先生のお気持ちはわかりますけれども、客観的に存在する法規範の解釈でございますから、その点はお含みおきいただきたいと思うのですが、二条には「鉱区又は租鉱区における」云々というくくりがついております。しこうして、「石炭の掘採又はこれに附属する選炭その他の」、こうなっております。したがいまして、組夫という場合にはこれに該当するという解釈は成り立つわけなんですが、しかし運搬をするといったような段階になりますと、こういった鉱区におけるしぼりその他等から見まして、これを拡大解釈するにいたしましても、おのずから文理上限界があろうと思うのであります。お気持ちはわかりますけれども、やはり客観的に存在します法規範の解釈といたしましては、おのずから限界があろうかと思います。特にこういう席でございますので、私といたしましては従来の解釈に従わざるを得ない、かように申し上げておきたいと思います。
#317
○板川分科員 適用するとなれば、これはあるいは若干の法律改正が必要になるかもわかりません。それではそのような考え方をとります。
 それから、これは御承知と思いますが、産炭地の私鉄の労働者が政府に平等な待遇を要求して、二十四日、二十五日と四十八時間のストライキを行ないました。そこで労働省が中心となって、三省間で前向きの検討を約束いたしましたので、一応二日間で中止をして、三省間の検討と動きに注目をしておるのであります。しかし、もし政府が炭鉱労働者との差別を従来どおりする、私鉄労働者に対しては何らの援護措置をとらないということであれば私鉄の労働者は無期限全面ストを行なうという方針をとっておるようでありますし、場合によっては、どうせ先へいって山がつぶれて退職金も払えないというような状態がくるのならば、いまのうちに全部やめてしまおうじゃないか、いまのうちにやめて退職金を払ってもらおうじゃないかというような決意を持っておるのであります。もし長期の鉄道ストが行なわれ、あるいは退職者が続出をするということになれば、政府の、五年間で四千二百億円という膨大な資金を投じて三千六百万トンの石炭を掘り出そうという石炭政策も、その辺から一つ行き詰まる可能性があるだろうと思います。われわれちょっと計算したところによりますと、たとえば特別閉山交付金というもので私鉄の労働者が全部やめたといっても、わずか五億円前後の手当てだろうといわれておるのであります。従業員が全部やめても千八百人なんです。北海道地域においての私鉄というのはごくわずかなんです。ですからこの際、こういうものに労働行政からも援護の措置をとられて、そしてまた政府がとっておる石炭政策を完全に遂行できるようにするためには、私はそうした措置をとってもらいたいというふうに考えるものでありまして、時間が来たからこれ以上申し上げませんが、大臣から一言答弁をいただきたいと思います。
#318
○村上政府委員 いろいろ現地における実態的な問題と、それから法律的な問題があるわけでございまして、私どもも事情は聞いておりますけれども、何ぶんにも政府といたしましては、国会に法案を提出し、労働省関係の法案につきましては、昨日提案理由の説明をいたしたというような段階にございます。労使間の問題も、それにつきましては多角的な配慮が必要でございましょうけれども、提出いたしました法案に関する限りにおきましては、政府の態度というのはおのずからきまっておるわけでございます。先ほど大臣から三省で協議したいというおことばがございましたけれども、労使の紛争などをめぐりまして、関係省でお話しするということは、先ほど大臣の御答弁もございましたので、事務的にはこれは行なうわけでございますが、そういった諸般の問題がありますので、私どもとしても慎重に処理してまいりたい。
#319
○板川分科員 いずれ石炭特別委員会なり通産関係の委員会におきましても、私どもはそうした主張をしてまいりたいと思いますし、何らかの措置を講ぜらるものと期待をいたしまして、本日は時間がありませんから、これで質問を終わります。
#320
○竹内主査代理 次に、堀昌雄君。
#321
○堀分科員 きょうは厚生大臣に三点ばかり伺いますが、最初の一点は、今朝来の新聞の伝えるところによりますと、昨日厚生大臣は参議院の社会労働委員会において、私どもの同僚であるところの大橋参議院議員の質問にお答えになって、医療費の値上げもやむを得ないというような趣旨の御発言があったように新聞は伝えておりますので、いま医療協というものも開かれておる時期でございますから、大臣としての立場がやや微妙な点であることは、私も了解をいたしておりますけれども、重ねてちょっと真意をお伺いいたします。
#322
○斎藤国務大臣 私が、昨日参議院の社会労働委員会で、大橋委員からの御質問に対してお答えをいたしましたのは、読売新聞に非常に大きく取り上げられ、しかもそれが相当真意を伝えていない実情であるので、私は驚いておるわけでございます。大橋委員の質問は、病院の職員の給料も上げざるを得ない状態になってきておる、また、だんだん諸物価も上がってきている、そうすれば診療費というものも上がってくるべきものと思うがどうかという、そういう一般的な質問でございましたから、それは、そういうように上がってくれば診療費も上がってくるものであろう。しかしながら、これが診療報酬制の点数にどうはね返ってくるかということは、私は専門家でもありませんし、これは中央医療協議会において慎重に検討をしていただく問題だ。特に私は、いまかかっております医療費の値上げ問題について、とやかく申し上げておるわけではないわけであります。今朝の読売では、医師会から要求をいたしておりまするその値上げが、厚生大臣としてはいかにも目的であるかのような記事が出ておりますけれども、私はさようには思っておりません。全部この際に上げてもらうのが当然だ、上がるのが当然だ、医師会の要求がそのまま正しいのだとは、私は決して申しておりません。中医協は、御承知のように、医者側の代表の方、労働者の代表の方、支払い者の代表の方々が寄って、そしてこの際にどういうような結論を出したらいいかということをいま慎重に審議していただいているわけでありますから、私は当初から、具体的な診療費の値上げ、あるいは点数改正問題は、一切中医協におまかせをいたします、中医協で最も妥当だという結論をお出しいただきたい、こう申し上げておるわけでありまして、今日まで具体的に審議をしてもらっております。その問題につきまして、厚生省としての意見は、特に私としての意見は申し上げるべきではない、さように、もうずっと前から考えておるわけであります。
#323
○堀分科員 ああいう形に出ましたから、一生懸命いま厚生大臣が水をかけにかかったような答弁をされたわけですが、一体医療費の問題というのは――私も専門的にやってきておりますからよくわかっておりますが、周囲の物価が上がってきて、人件費も上がってきますと、いまの体制では正常な診療がやれなくなるというのが、実はいまの一つの問題点でございます。特にいま御指摘になったように、病院の場合には、特に入院料などというのは、常識で考えられないほど低いところに実は置かれておるわけですね。厚生省事務当局、いま病院の社会保険における入院料は幾らですか。――じゃ時間がもったいないですから……。
 そこで私は、いま大臣のおっしゃったことの中に、上げ方の仕組みですね、どこを幾ら変えることによってどう上げるかということは、なるほど私は医療協議会におまかせする性格のものだと思うのですけれども、政府は、もし医療協議会がすべてを決定するということになれば、予算上の措置その他については、これはもう予備費でなければ措置できないという財政上の問題になってくるのではないかと思うのです。厚生省として――幾ら上げるかは別ですよ。上げ幅だとかいろいろなことは多少別としても、この一年間の医療費をどうするかということが当初に何ら考えられていない、はやりことばでいえば、白紙だなんということになったら、私はこれは財政当局は困るだろうと思うのですよ。主計局の次長、どうでしょうかね。いまの私の発言ですね。厚生省のことしの予算を見ますると、医療費の値上げに対する予算が組まれていないと思うのですよ。どうでしょうか。
#324
○船後政府委員 四十四年度の医療関係予算は現行の診療報酬を前提といたして組んでおりますので、したがいまして、診療報酬の引き上げは含んでおりません。
#325
○堀分科員 私もちゃんと見ていますから、承知しているわけです。大体総合予算主義という形は、当初に見込めるものは見込もうという考え方が土台にあるのではないでしょうかね。これは私は、この間の予算委員会でもいろいろものを言ってきているわけだけれども、だから人件費すら、今度はそういうことで食い込むということになってきておる。ところが、この物価情勢のさなかにあって、国が関与しておるから公共料金という話もあるが――私は公共料金ではないと思うのですけれども、国が関与するものではあるけれども、これはきわめて自由な形態で許されておる、医療の社会に対して。ともかく何年も医療費はちっとも上げません。そうして御承知のように薬価基準の改定は行なう。私は薬価基準の改定を行なうことはいいと思うのです。そういうものは、経済行為の中で、薬価が下がったら当然それに見合った報酬をやることはやむを得ない。しかし、物価が上がるさなかに、収入の減る方向の処置だけがとられて、そのままでいいなんということは、経済行為としては、私はおかしなことだと思うのです。いま大臣が手をおあげになっておりましたが、大臣は、一体総合予算主義という今日のたてまえの中で、少なくとも幾らかでも四十四年度値上げをしないで済むのなら別ですが、しないでずっとこれからいけるような状況でしょうか、どうですか。
#326
○斎藤国務大臣 医療費の予算は、その査定のときの条件でいままで算定をいたしておるわけであります。本年もまた薬価基準の引き下げを、毎年やるということになっておりますから、行なわなければならぬと思いますが、これもそれを見込んで何ぼ引き下げるという予定では予算要求をいたしておりません。去年の十一月三十日でしたか、十二月一日に告示をしたその基準でやっております。これがまたもう一度年末には下げなければならぬかもわかりませんが、あるいは下げることもあるべし、あるであろうという見込は見込んでおりません。同様に、上げるほうも中医協で御審議をしていただいておりますが、どういう結論が出ますかわかりませんし、予算で何%上げるということであれば、それをすでに政府が予定をしているというようなことが、中医協のいろいろな御審議にもやはり差しさわりが来るかもわかりませんし、これは中医協で答申をいただいたら、あるいは建議をいただいたら、その段階で考えていかなければならぬ、こういうように考えています。
#327
○堀分科員 ちょっと主計局に伺いますが、大臣のいま言われることは、これまでの予算の組み方ならそれでよかったと思うのです。しかし総合予算主義という、当初に見込まれる範囲のものを見込むというときに、その年度における医療費を上げなければならないのかどうかということが、完全に中央医療協議会という諮問機関の判断だけにまかされて、政府自身はもう全く中立的で、そこが上げるといえば上げますし、上げないというなら上げません、そんなことでいまの医療行政が前へ進むとは思わないのです。こういう物価上昇の中で、財政当局は、いまの総合予算主義のたてまえでも、いまのようなことでいいのか。これは考え方の問題ですが、もうすでにできていることですから、考え方としては、たとえば今年ある程度上げるということを考えるならば、それはどこで組むか一応別としても、ある程度手当てをしなければ、総合予算主義という考えからいけば、その分だけ予備費からぽんと抜けたということになるとすれば、これはちょっと問題があるのではないかという気がしますが、財政当局はどういうふうに考えていますか。
#328
○船後政府委員 四十三年度予算から総合予算主義の原則、このもとに予算編成を進めておるわけでございますが、この場合、予算編成時において、従来から予測し得る恒例的な補正要因の解消ということにつとめたわけでございまして、その恒例的な補正要因の一番大きなものといたしましては、公務員給与の改定、食管問題、こういったもの、がありますが、これらにつきましては、あるいは当予算にこれを見込む、あるいは予備費に計上する、こういったことで措置してまいったわけでございます。
 お尋ねの医療費の改定でございますが、この問題は、やはり当初予算編成の際には全然見当もつかない問題であろう、かように考えますので、四十四年度予算には、医療費の問題については何らかのことがあるべしということを前提に置いて編成はしていないということでございます。
#329
○堀分科員 実は、いま次長が答えられたように、補正要因の中の最大のものは、公務員ベースと、それから米価関係ということになるわけですね。ところが御承知のように、公務員ベースは物価の上昇につれて、民間ベースが上がれば人事院勧告で出てくる。今日継続的にこれだけの物価上昇のある中で、いまの医療費の体系からしますと、病院なんかで人をたくさん使っているところでは、人件費が上がったら医療費も上がらなければ、どうしてやっていったらいいかということになる。これは常識で、大臣もおわかりでしょうね。当然人件費に見合う分というのは上げなければならない。ほかのものは別としても、これだけは上げなければ解決つかないですね。
 そこで、特にここで大臣に考えておいていただかなければならぬことは、いま抜本改正とかいろいろ言っておりますけれども、そんな全体をやろうとすれば、なかなか時間がかかって、簡単にはできっこないわけです。いま一番何をやっておかなければならないかというと、そういう医療費の部分の合理的な処置をしておかないと医療がねじ曲がるということなんですよ。やはり医師も、経営をしていくためには、自分たちも食っていかなければならぬし、人件費も払っていかなければならぬ。そのためには、本来の必要なことだけをやっていたのでは、どうしてもいま問題の赤字が出てくる。これを防ぐためには、多少必要でなくても、それをやることによって収入を得なければならぬという問題が、経済的な問題から起きてくるわけです。医療というのは本来科学ですから、科学の必要な範囲以上はやるべきではないんです。その必要な範囲、やるべきところのことをやるためには、いまのような経済的な矛盾――特に一般的な内科の問題を例にとれば、いま人件費は上がっていく。こういうカーブで上がっていく。一〇%程度は上がっていく。ところが薬価というものはずっと下がる傾向にあるわけです。これは合理化をやって生産性が上がれば薬価は下がる。その下がるものにリンクして、上がった人件費が医療費という形で支払われているという矛盾を早急に解決しなければ、医療全体が混乱して、その混乱した結果は国民全部が負う。そのことの意味はおわかりだと思います。だから、抜本策にはいろいろありますが、まず、そういうような肝心なところだけはすみやかに処置しなければならぬわけです。だから、いまの医療費の中身の中で、物にリンクしているものと技術料とを、何らかの形で早く分離して――その発想の一つとして再診療問題が出ていると私は思うのですけれども、そういうところの部分にできるだけ比重をかけて、あとの今後の値上げをするときの上げ方を、物にリンクするようなかっこうのところはできるだけ遮断して、技術料部分になるところだけをまず上げることによって、できるだけここを遮断したかっこうである程度の整理ができたら、その部分を――たとえば、公務員賃金だとか、あるいは消費者物価指数だとか、あるいはいろいろなそういう医療品と人件費に関係する上昇のカーブが幾らか考えられるでしょうから、そういうものを総合的に考えて、技術料の分だけリンクをさせて、そこだけは、毎年上がったら自動的にこれだけ上がります、それ以外の部分は、合理化によって減らされる部分もありましょうから、それはまた別としても、少なくてもそういう体制を早急に整えなければ、日本の医療は私は荒廃すると思います。だから、そうなれば、いまのような総合予算主義のもとにあるときにも、当然その部分だけは当初予算に組めるようなものになるわけです。しかし、いまのようなかっこうでは実は当初予算には一円も組まれなくて、中央医療協議会に全部まかせなければならないということになっておりますから、そういう意味で、医療費のうちでも特に人件費に該当する部分、この上昇、このカーブはどうしても避けられない問題ですから、これについて早急に対策を講ずべきだと思いますが、大臣いかがですか。
#330
○斎藤国務大臣 予算委員会でも確かに御意見を交えて御質問があったと思いますが、私はただいまの御意見は、まことに達識だと思います。と申しますのは、りっぱな御意見だと思います。私も、そういうようないわゆる医療費の算定のしかたをしてもらうことはけっこうだ。ただいまいろいろ緊急是正の問題で取り組んでもらっておりますから、この問題が片づきましたら、いまおっしゃいますような、根本的に医療費のほんとうのあり方というものを検討していただいて、そして、ただいまおっしゃるようなとおりになるかならぬかしりませんが、そういう事柄を十分念頭に置いていただいてやっていただくことは、将来の医療行政、ことに医療保険行政に不可欠な、必要な問題である、したがって、緊急是正問題が済みましたら、そういう抜本的な改正について取り組んでいただくようにお願いをしたいと私は思っております。
#331
○堀分科員 この問題の最後に、昨日の発言を結果として打ち消すようなかっこうになってはまずいので、ちょっと裏側から伺いたいと思うのですが、いま緊急是正問題が出ております。どういうふうに上げるかということは中央医療協議会にまかしてあるわけですが、大臣も、この一年問いまのような医療費をこのままでいいとは思っておられないでしょう。何らかの処置は必要だ、どうでしょうか。
#332
○斎藤国務大臣 ただいま審議中の医療協議会にどんな波紋を持つか、私は何でもないと思った事柄が、中医協に大きな紛争の種をまくだろうというような記事も見ますし、公の答弁としてはよほど慎まないとたいへんなことになる、こう思っておるのであります。本旨は、先ほど申し上げましたように、医療協議会に達識の方がおられるわけでございますから、出されると思います。裏から申しますれば、ことし一年間ほったらかしておくというわけにはいかぬという考えで皆さんやってくださっていらっしゃるのではなかろうか、かように思っております。
#333
○堀分科員 そこらにしておきましょう。
 次に、重症身障児問題をちょっと最初にやっておきたいのですが、いまこの重症身障児施設をやるのは初年度が何年で、何年計画になっておるのですか。
#334
○渥美政府委員 重症心身障害児の調査の時点が昭和四十年でございます。その調査の結果によりまして、おとな、子供含めまして一万六千五百人の方々を収容したい、かように考えまして、おおむね四十三年から四十九年ぐらいまでの七カ年計画というところで施設の整備をはかっておるということでございます。
#335
○堀分科員 その七カ年計画というのは、かなり計画らしい計画なんですか。ガイドラインといいますか、まあそこらでいこうかというような非常に甘いものですか。どっちですか。
#336
○渥美政府委員 七年間に一万六千五百名を収容するということでございますので、毎年約千五百名から二千名ぐらい収容することになるわけでございます。理想的な形では進んでおるとは申せないと思いますが、それに近いような形で進んでおる。たとえば昭和四十四年度の予算におきましては、国立療養所の委託ベッドといたしまして約九百六十床、あるいは公立または法人立、こういうところに補助をいたしまして施設を整備する病床数が約六百、かように相なるわけでございますので、千五百床程度は四十四年度におきましても整備できる、かように考えまして、可能な限り昭和四十九年までにこの一万六千五百名の重症の方々を収容したい、かように思っております。
#337
○堀分科員 実はいまあなたのおっしゃった一万六千五百床というのは、七年間に均等に割りますと二千三百五十七床ぐらいになるのです。いいですか。しかしこれまでの実施状況を見ると、四十三年、四十四年ともにこれは著しく下回っていますね。もうすでに二年たったわけですね。その分はだからこれからは上積みになるわけですよ。いいですか。だから私は、どうもこの進捗ぐあいというのは、片や高度経済成長で、ともかくGNPは資本主義社会でアメリカに次いで二番になるなどという声が聞かれておるときに、六兆七千億からの予算が組まれておるときに、やや不十分なような気がしてしかたがないので、これはひとつ財政当局に伺いたいのですが、財政当局は四十九年までに一万六千五百床のものをつくるということについてはどう考えておられるのですか。この計画そのものが問題があると、こう考えておられるのか。その一万六千五百床を七年間にやることは、いまの社会的諸条件から見て、それは必要がある、こう考えておられるのか。そこをちょっと伺いたいのです。
#338
○船後政府委員 重症心身障害児の収容の問題は、最近の社会保障の中でも非常に重要な問題でございます。私どももできる限り配慮しておるところでございますが、ただいま厚生省からお述べになりました七カ年計画、行政の衝にある者といたしましては、計画的に整備するという一定の目標を掲げることは当然だろうと思います。しかし、いわゆる何とか五カ年計画といったような性質のものとして、財政当局との間にセットされたものでもございません。しかし、できる限り整備するという方向でもって従来から来たわけでございます。今後とも財政の許す範囲内で緊急整備には努力したいと考えております。
#339
○堀分科員 船後さん、私もこれで財政面はずいぶんやっているから、いま財政の許す限りとおっしゃったのですけれども、これはものの比重のかけ方だと思うのですね。どこに幾ら金を出して、どこに金を出すかという問題なんですからね。やはり人間の不幸の中で、今日われわれ住んでおります社会で不幸はたくさんありますけれども、この重症身障児をかかえておる家庭ほど不幸なものはない。ということは、この前御承知のようにむすこさんを殺したお医者さんがいましたね。裁判の結果この方は無罪になりました。なぜ無罪になったかといったら、それを収容する施設が十分にないから無罪になったというのが、実は判例の示しておるところなんですね。私はその問題について、これだけ高度成長をして、そのための費用はずいぶん使われておるという中で、わずか一万六千五百人の者を、それも七年にわたってやるということだが、財政当局を含めてみんなでやろうということにならなければ、実は間違いじゃないかと思うのですね。だからこれは船後さん、あなたにわざわざ来ていただいたのは、技術問題ではなくてやはり財政当局としてのものの考え方をここで確立をしてもらいたいということで実はおいでを願ったわけです。いまの一万六千五百人、七年というのは、私は非常に不十分だと思っている。しかし、なおかつ厚生省当局の計画ですから譲歩をして、それだけはひとつ七年間に完全に建てたいと思うのですよ。財政当局としても、コンクリートになっていないという話ですが、斎藤厚生大臣も、これがよその計画と同じように、こんな重要なものが財政当局との中で正式の計画になっていないというところに、私は厚生省当局もやや怠慢があると思うのです。ひとつ早急に、あと五年しかないのですから、これを正式の計画にするということで一ぺんお考えを願いたいと思うのです、財政当局と詰めてもらって。いかがでしょう。
#340
○斎藤国務大臣 福田大蔵大臣も、身障者のためには金目を惜しまない、こう言っておられまするので、御趣旨のように財政当局と将来の計画をはっきり打ち合わせて実行いたしたいと考えております。
#341
○堀分科員 私、また機会があれば大蔵大臣ともそういう問題をやりますけれども、まあひとつ主計局におかれても、これは厚生行政の中で私は一番考えてもらわなければならぬ問題の一つだと思いますので、ひとつどうか十分頭に入れて、今後厚生当局と七カ年計画についての打ち合わせを進めて、やはり年度別にきちんとやって、一日も早くこれらのほんとうに困っておられる人たちを救ってあげてもらいたい。
 そうして、その施設に行ってみますと、非常に献身的に皆さんがやっておられるのですが、もう一つの問題は人間の問題なんですね。これは非常にむずかしいことなんです。むずかしいことなんですけれども、やらなければならぬことなんですね。それはやはり国がやらなければならないことなんです。国がやる場合に、いまの問題は、結核療養所に付設をされておりますから、この人たちのローテーションによって――身障者ばかりを一年じゅう見ていたらノイローゼになってしまうんですね、本気でやっていたら。だから、そのためにこの人たちは、一カ月なら一カ月身障病棟におれば、あとの三カ月は結核病棟で普通にやり、また一カ月来るというローテーションの結果、かろうじてささえられているというのがいまの介護の実態だと私は思うのです。ですからそういう問題は、単に病床数だけじゃなくて、人的配置についても特別の配慮をしなければならぬ問題があると考えているわけです。私は、もし来年も予算委員会で質問ができる機会があれば、来年に特にこの問題にしぼって総理の見解をただすことにしたいと思うのですが、どうかひとつ来年度予算においては、私がまた総理といろいろとやらなくても済むように、厚生省も財政当局も前向きでこの問題の検討を進めてもらいたいと思います。
#342
○斎藤国務大臣 ただいまおっしゃいますように、七年計画で私も一番心配しておりますのは人の問題であります。建物は金があれば建てられますけれども、人はなかなか得られません。そこで、七年計画ももう一ぺん腹にはまるように、ほんとうに人を得るのにどういうふうにやっていったらいいかということとマッチさせてやらなきゃなりませんので、よく検討をしまして、前向きに進みたいと思います。
#343
○堀分科員 時間がありませんから最後に。
 実は、献血の問題をずっとここ何回かの分科会で取り上げてまいりましたけれども、この献血の制度というものは、もともと売血の制度から日本では不幸にして始まっておりますために、要するに、売る人のための費用というものが血液の売価の中に含まれてきたというのが過去の経緯であります。ところが、今日八五%くらいが善意の献血によってまかなわれることになりますと、この矛盾は献血をする人の側にとっては非常に大きな問題なんですね。最初のころは、五百円だったのですが、売血をする人には五百円が行く。献血をする人にはその五百円が要らないわけですが、血液を買う側は同じ費用で買っている。費用なくして献血した者のこの差額は一体どうなっているんだということは、献血をした国民にとってきわめて重要な問題であったわけですが、この問題の解決は、毎年厚生省では、来年からは、来年からはと言いながら、実は実施をされてこなかったというのが経緯なんです。もういよいよ献血が八五%になった今日、ここらではっきりした方針を明らかにしておいてもらいたいと思うのですが、厚生省、いかがでしょうか。
#344
○坂元政府委員 ただいま御指摘の問題は、前々から問題になっていた懸案事項でございます。私どもも、何とか早急に血液の供給価格を改定しようということで努力してまいったわけでございますが、最近斎藤大臣になりましてから、強くこのことを指示を受けましたので、新年度、四十四年度当初から血液の供給価格の改定をするということで、大体省内の審議は終わりまして、いま関係方面とそういうことで折衝中でございまして、おそらく新年度から実施できるという運びになろうかと思います。
#345
○堀分科員 薬務局長、きょうになってまだ、おそらく実施できるだろうと思うなんということでは困りますよ。ここでひとつ実施すると答えてください、これはもう三年目だから。私は、来年からとおととし言われて、そうかと思って、大衆の前でそうなると言ったら、ならなかった。去年また、そうなると言うから、ことしはだいじょうぶだろうと言ったら、まただめだ。ことしは、三度目の正直ということがありますから、ちょっとはっきりそれだけ答えてください。
#346
○坂元政府委員 大臣の強い御指示もございますので、決意をもって新年度から実施するように努力をいたします。
#347
○堀分科員 そこで大臣、時間がありませんけれども、実はいまの血液関係の法律や規則は、そもそもスタートは売血のときにつくられたものなんですね。ところが日本の血液問題は、今日売血からもう献血が全体だというところへ変わってきているわけです。そこで、この新しい献血の時代、血液の時代に応じた総合的なきちんとした法律体制の整備というものが、この際、私は当然必要と思うのです。
 まず第一点として、この問題をひとつ、新たな段階における血液諸関係の法律をまとめたかっこうで、現在はちょっとばらばらになっていますから、まとめたかっこうで統一的な処理をするということ。
 第二点は、たとえば新鮮血というものを使用いたしますときにも、基準が明らかでないために、病院によっては、どれもこれも新鮮血でないと困るというようなところがあったりして、せっかく保存血がありながら新鮮血を供給するというのは、たいへん手数もかかるし、実は困るんですよ。効率はよくないわけなのです。そういう場合における新鮮血の使用基準といいますか、少なくとも、こういう病気でこういうときは一応新鮮血で、それ以外はおおむね保存血を使ってくださいとか、そういうルールなり、そういうものを少し整備をしていただかないと、献血をしておる善意の人たちにちょっと答えられない問題がいろいろ派生的に出ておるというのが現状なのです。
 これらを含めて御答弁をいただいて私の質問を終わりたいと思います。
#348
○斎藤国務大臣 血液関係の法律規則は、実は私は、どこでどうなっておるのか、よく知らぬのであります。いま伺いますと、相当重要な面を含んでおるようでありますから、事務当局に十分検討させまして、私も勉強いたしまして、必要があれば改定をいたし、時代の要請に沿うようにいたしたいと思います。
#349
○坂元政府委員 後段のほうの新鮮血の問題でございます。これは御指摘のとおりでございまして、私どもも、前から非常にこの問題について問題意識を強く持って、いま実態を調査中でございます。どの程度新鮮血といわれるものが全国的に使用されているかというような実態も調査し、そういう実態を調査した上で、明確にこの問題についての一つの基準をつくってまいりたい。ただ、おそらくこの問題につきましては立法措置等も関連してくるかと思いますので、そういうものを含めまして、前向きにいま検討を進めている段階でございます。
#350
○堀分科員 終わります。
#351
○竹内主査代理 次に、渡辺芳男君。
#352
○渡辺(芳)分科員 昨年の十一月七日に、私が産業公害対策特別委員会で、当時の厚生大臣の園田さんに、富士地区の大気汚染防止対策について、いろいろと当時の現状を質問をしましたが、当時の厚生大臣は、近く富士地区については大気汚染防止法による指定地域にしたい。その時期がいっだと聞きましたら、十一月の中旬だと言われた。現在まだ正式な防止法の指定地域になっておりません。全国的にも追加指定があると思いますが、一体いつ正式に大気汚染防止法の指定地域になりますか、ひとつ厚生大臣からお答えを願いたい。
#353
○斎藤国務大臣 富士地区は三月中に指定を行ないたいと事務当局が申しておりますので、間違いのないようにいたしたいと思います。
#354
○渡辺(芳)分科員 今度は間違いないんですね。全国的には、指定地域は一体どのくらい追加するのですか。
#355
○金光政府委員 大体七カ所の予定になっております。
#356
○渡辺(芳)分科員 場所を言ってください。
#357
○金光政府委員 京都市、千葉県の木更津・君津地区、広島県の呉、和歌山県の和歌山・海南、大阪府の一部、宮崎県の延岡、愛媛県の新居浜の七カ所、富士を入れて以上八カ所でございます。
#358
○渡辺(芳)分科員 これは同時にやるのですね。
#359
○金光政府委員 同時でございます。
#360
○渡辺(芳)分科員 そこで、最近、富士地区で発表された大気汚染の状態のデータによりますと、たいへん汚染度が進行しているということがわかりました。昨年私が質問をしたときには、当時橋本公害課長が、Bクラスの地域に指定をする、こういうお話がありました。その後ずっと現地でそれぞれ観測をしておりますが、現在富士市内の七カ所の地区で観測した結果が、特に大企業である大昭和製紙鈴川工場付近に元吉原中学というのがありますが、この観測点なぞは、局地的ですけれども、大体四日市市の大気汚染に相当するような、大体九月から十二月に至る平均値が〇・一二PPMの汚染度を記録している、こういうわけで、ますます激しくなってきた。またその他の地域でも、〇・二PPM以下の時間数が年間総時間数の九九%以上維持されることが必要だといわれておりますが、これにとても満たないというようなデータが発表されております。おそらく厚生省でもこの点は知っておると思います。一つは煙突が低いという特殊事情もあって、大工揚が質の悪い重油を燃やしておりますから、その周辺というのは特に汚染度が非常に高まっているわけであります。一番いま現地で問題になっているのは、約三百七十カ所の重油専焼工場がありますが、大体十五工場ぐらいが全体量の七五%程度の二千二百トンぐらい重油を燃やしておるわけですね。ですから、大工場が率先をして空をきれいにするという姿勢をとれば、大気汚染の状況というものは相当改善されるわけですね。これらの手がどうしても打てない。先般厚生省からも現地へ来て、大気汚染防止法によるB地域の指定があるというような前提で説明会があったようですが、中小企業の経営者からすれば、私ども十ぱ一からげにいわれておるけれども、実際問題として大工場をやるような行政指導ができないだろうか、こういうことが強くいわれました。現実に私もそう思うのです。この改善策について、重点的にやはりそういう行政指導をやらなければいけないと思うのですが、その点はどうでしょうか。
#361
○金光政府委員 大工場を特に規制すればいいのではないかということでございますが、御承知のように、排出地域を指定いたしますと、工場ごとに排出基準をきめることになるわけでございますが、大工場につきましてきめる場合に、各工場ごとに一律に一様の地上における濃度できめますので、大工場におきましては当然きびしく規制がかけられるという結果にはなってくるわけでございます。
#362
○渡辺(芳)分科員 いまお話がありましたが、確かに事務的な進め方としてはそうなりますね。しかし、現実問題の解決策として、やはり一番汚染源の大きいところを率先してやらせるようなやり方をせぬと、まだ産業公害に対し、必ずしも東京や横浜のような姿勢を自治体がとっておらないのですから、これは改善をしろというても、全く十ぱ一からげのようなやり方をすると進まない。この点はやり方として、やはりそういう指導を、君のところだけだめじゃないかという言い方はないけれども、同じような筋でやるというふうな行き方ではだめだと思うのですよ。特に最近汚染度の強まったところについては、私はそういうふうなことを痛感しているのです。この点は、あらためてでなくして、私のほうから強く要望しておきます。よろしゅうございますね。
 次に、富士川の河口の左岸に、昨年三月、東京電力が百五万キロワットの重油専焼の火力発電所をつくりたい、こういう申し入れをしてから、率直に申し上げまして、周辺の市や町の自治体、それから富士市内の各種団体が、現在たいへんな大気汚染の状況にあるにもかかわらず、一日四千トンの重油を燃やすという火力発電所が来るとたいへんなことになる、こういうわけでいま反対運動が非常に激しくなっている。これは新聞にもたびたび報道されている状況にありますが、たとえば火力発電所を設置した場合に、これはA地区、B地区、C地区というクラスがあるようですが、それはどういうふうな基準をもってやられているか私も存じませんけれども、厚生省として大気汚染防止法を運用する意味では、おそらくA地区になると思うのですね。川崎やあるいは四日市や、一番汚染度の強いような都市と同じようになると思うのですね。その点はそういうふうに考えられていますか。
#363
○金光政府委員 火力発電所の問題でございますが、A地区、B地区、C地区にかかわらず、火力発電所には規制としては特に大きくかかる、こういうことになっております。
#364
○渡辺(芳)分科員 環境が悪化してまいりますから、現実に現地での反対の声が非常に強いのでありまして、端的に言いますと、こういう汚染地域にさらに大気汚染が倍加されるようなものを持ってきては困る。しかも太平洋ベルト地帯でありますから、当然人口は急増している地域です。こういう地域に、しかも人口密集地帯に火力発電所をつくるというふうなことは、現実の問題として避けたほうがいいのじゃないか。どこの地域でも最近はそういう傾向があるのですが、端的に言えば、人口の希薄な地域にこういう火力発電所をつくるならつくる。もう一歩進めて、最近新聞にも出てまいりましたが、ガス発電というのがありますね。燃料をガスにするということをいわれておりますが、この問題はやはり積極的に取り上げていったほうがいいのじゃないか。きょうは通商産業大臣がいませんからなんですけれども、厚生大臣、それから自治大臣も、そういう意味ではどういうふうにお考えですか。
#365
○金光政府委員 ただいまの天然ガスの発電でございますが、これを使えば御指摘のようにSO2の問題は出ないわけでございます。実際に現在横浜に東京電力の南横浜火力発電所が建設中でございますけれども、問題は天然ガスをいかように確保し加工するかという問題でございます。それから天然ガスを貯蔵いたしましてそれを利用しなきゃならぬわけでございます。そういった関係にないと、これを利用することができないというような問題がありまして、これはやはり将来の問題として研究をするという問題であろうかと思います。
#366
○渡辺(芳)分科員 時間がございませんから、あの地域に現実にぜんそくが蔓延をしているというようなことについては、いずれまた別の機会にします。
 次に、東京都と横浜市が特に公害防止対策に熱心に取り組んでいるということがよくいわれておりますが、大気汚染の改善について、東京都なり横浜市がそれぞれ具体的に取り組んでいる事項が幾つかあります。私は特に横浜の関係では、参りましていろいろ勉強してまいりました。しかし、こまかいことはやめますけれども、特に六つの項目にわたっていろいろと規制をいたしております。
 厚生大臣と自治大臣にそれぞれお伺いをしますが、環境基準が最近きまりましたが、独自の基準をそれぞれ東京の場合も横浜の場合もお持ちのようですね。国を上回っているような基準を持っておるようですが、こういうふうなことについても、積極的に支援体制あるいはデータの報告をさせるなり公開をさせる。また立ち入り検査を認めさせる。あるいは監視体制を強化するために別の委員会なり何なりの組織をつくる。ないしは行政機関が直接当たる。あるいは被害者といいますか、地域市民代表の参加によってそれぞれの改善委員会等を設けるというふうな積極策をとらない限り、今日の大気汚染の防止というものはなかなか改善しないのではないか、こういうふうに私は痛感しております。しかし、こんな取り組み方はどこでもまだやっているというわけではない。特に産業公害がきびしくなってきてから、いろいろこれがいわれ出してきている。こういう問題にいま東京都なり横浜市なりがそれぞれ取り組んでおられるようですが、自治省でも、あるいは厚生省でも、そういう立場で積極的に取り組むということをしてもらいたい。この点はいかがですか。
#367
○斎藤国務大臣 先ほどおっしゃいました東京、横浜できめております環境基準は、先般政府できめたよりは高いとおっしゃいましたが、環境基準はどこもきめておりません。政府もこれはなかなか事実上きめられません。それは個々の排出基準であろうと考えます。排出基準はそれをもっと上回ってきめられこそすれ、それよりも低いものをきめるというようなことはしないつもりでございます。
 なお、大気汚染をなくしていくための政策は、いまおっしゃいますように、きめこまかくこれからやっていかなければなりませんので、できるだけわれわれ考えられる手段を次から次へと考えてまいりたい。いまおっしゃいますような方向でまいりたい、かように考えているわけでございます。
#368
○野田国務大臣 地方自治においては、一応国の基準を上回らないような条例ができておりますが、いまお話しのとおり、環境基準というものはいわゆる地域によって異なってまいります。ことに東京とか横浜は非常にひどい。こういうことで東京、横浜は企業側と個別の協定をした。その内容は多少違いますが、いま渡辺さんのお話しのように、国の規制がどうだということも、これは一つのめどでございますが、地方公共団体がその実情に即応して企業側と協定を結んで、そして企業側もこれを承諾するものということでさらに公害防止の進め方が非常にうまくいくということになれば、これは自治省としてもちっとも差しつかえない。やはりお互いの合意ですることですから、これについては、できるならばそういうふうにして、ただ、理屈を言わないで実情に沿ってやっていただいたほうが、目的に近くなるというような指導でいくつもりであります。
#369
○渡辺(芳)分科員 次に騒音の関係についてお尋ねしますが、工場と人家が非常に雑居しているといいますか、そういう地区の騒音防止対策がたいへんむずかしいことはわかるのですが、特にパルプや紙の工場に隣接する住宅というものは、これはもう昔から争いが絶えないのですね。それぞれの騒音規制の基準が設けられましたけれども、いままた地方自治体でも、静岡あたりでも、県では条例を改正しまして、それから基準を少しきびしくしたようです。そう言っても、人口十万以上をとりあえず規制をするということになっておりますね。十万以上のところは、積極的に取り組めばだんだんよくなると思いますが、しかし大気汚染防止ほどの熱意で取り組むというのには、率直にいって、これは周辺の一部の人間になりますから、なかなかむずかしいと思うのです。そういうわけで、まだ、会社と工場と、それから周辺の住民との争いというものがなかなか解決しにくいし、苦情が非常に多いわけですよ。具体的にこの解決方策というものをどういうふうにとられますか。
#370
○金光政府委員 そうした騒音の紛争につきましては、御承知のように、紛争処理制度を現在検討中でございますので、そういった問題とも関連いたしまして、仲介等の立場で解決したいというふうに考えております。
#371
○渡辺(芳)分科員 そういう程度ではなかなか解決しないですよ。まあ騒音防止のへいをつくるとかなんとかいうふうな指導までいかないと、紛争処理だけでは必ずしも即刻解決するわけにはいかない。昔は工場の周辺に旅館があったけれども、工場を拡張したためにいたたまれない、営業もだめだ、こんなことが年じゅうあるのですね。具体的なことを言うと時間が長くなりますからやめますが、これはひとつ、紛争処理だけにまかすということでは私はなかなか解決しないと思いますから、積極的にこういう基準はこれこれしかじかということを具体的にやってもらいたいと思うのです。
 それから工場内の騒音ですね。製紙工場などは非常に騒音度が高い。やかましい。こういうわけで、最近基準監督署から、長時間の勤務、特に八時間労働以上に時間をオーバーしては非常に有害であるから、超過勤務など恒常的にやること自身が労働基準法に違反するのだけれども、いままでやっておったことをそういう意味から忠告をしているのですね。これはけしからぬ、こう言っているわけです。中小企業の多い紙工場などは、経営者があわてているわけです。ましてや労働力の不足している今日でありますから、一体どうしたらこの解決策になるかというふうなことを盛んにいま心配しているようです。基準監督署でそういうふうな忠告なり指導というものに乗り出すときに、これはどこで受け持つか私は存じませんが、騒音防止のそれぞれの施設をつくったらどうだという親切なやり方をしないといけないと思っているのですが、この点はどういうふうにやられるのですか。
#372
○和田政府委員 工場内の騒音防止につきましては、基準法に基づきます安全衛生規則で、強烈な騒音を出す場合には、騒音防止の隔壁をつくるなり、労働者に耳せんを着用させるなり、こういう措置を講じなければならないということになっておりますので、そういう点につきましては、監督というかっこうでやりますとともに、企業の実情に合わせて指導を兼ねて行なっておるということでございます。
#373
○渡辺(芳)分科員 具体的にはまたいずれ伺います。
 最後に少し労働大臣にお伺いしますが、労働力がたいへん不足していることは、別に紙パルプ産業だけが言うているわけじゃありませんが、特に紙工場などは昼夜操業なんですから、労働条件もあまりいいほうではないですね。しかも中小企業の場合はきわめて劣悪な労働条件下に置かれています。極端なことをいえば、ここ数カ月でどうも労務倒産をする会社が出てくるのではないかというふうな深刻な状況にあるわけです。
 そういうわけで、いろいろ業界では悩んでいるようですが、労働力確保について、いままでやられてきました厚生施設の充実やあるいはいろいろなサービスなどだけでは済まなくなってまいりましたので、いろいろと業界でも考えているようですが、一番大事なことは労働条件の改善でしょう。そうすれば集まってくるのです。なかなかそこまでは――逐次やっているようですが、うまく進んでいません。私どもも地域で心配しておりますが、その対策の進めようがいまのところあまりありません。おそらく労働省あたりへもそれぞれ協力要請なり陳情なりというものがあると思います。ですからこの点を、君たちは労働力確保についてこうしなさい、ああしなさい、こういう融資の条件がありますとか、こういうふうなことを、ひとつ親切に協力要請がきたときに応じてもらいたい。結論からいえばそれ以外にはないという気がいたします。何か格別な対策というものをお持ちでありましたら、その点をひとつ御披露願いたい。
#374
○原国務大臣 そういう特別のものに対しましては、雇用促進事業団から厚生施設をやる融資もありますし、その他、さいぜん申しました隔壁をつくって騒音防止をやる、こういうのに対しましては融資その他減税等と、はなはだ微温的なことでございますが、そういう業界の内容の悪いところにつきましては、職業安定所、それから基準監督官等と力を合わせていろいろ相談しながらいたしたい。こまかいことは局長から答弁させます。
#375
○村上政府委員 御指摘の点はたいへんむずかしい問題でございますけれども、私どもは、職安の窓口を通じての措置、たとえば集団求人方式によりまして処理をする、あるいはパートタイマー、中高年者の就職といったような点におきまして、いろいろ配慮いたしておるわけでありますが、先生御指摘の融資制度とか、あるいは今後は共同福祉施設とか、いろいろあるのでございますが、中小企業の方々が存じないために、そういう制度の利用に欠けておるというのがあろうと思いますので、今後そういう点の普及啓蒙にもつとめまして、せっかくございます施設でございますから、融資その他活用していただくように、職業紹介の場と相並びまして、御利用をはかるように進めたいと思います。
#376
○竹内主査代理 これにて昭和四十四年度一般会計予算及び昭和四十四年度特別会計予算中、労働省所管に対する質疑は一応終了いたしました。
 次回は明二十七日木曜日午前十時から開会し、自治省所管について審査を行なうこととし、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時四十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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