くにさくロゴ
【PR】姉妹サイト
 
#1
第061回国会 予算委員会第二分科会 第4号
昭和四十四年二月二十七日(木曜日)
    午前十時三分開議
 出席分科員
   主査 足立 篤郎君
      荒舩清十郎君    倉成  正君
      櫻内 義雄君    川崎 寛治君
      佐野  進君    楢崎弥之助君
      平林  剛君    帆足  計君
      八木 一男君    竹本 孫一君
   兼務 大原  亨君 兼務 田中 武夫君
   兼務 広沢 賢一君 兼務 堀  昌雄君
   兼務 浅井 美幸君 兼務 伊藤惣助丸君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 福田 赳夫君
 出席政府委員
        内閣法制局第一
        部長      真田 秀夫君
        大蔵政務次官  上村千一郎君
        大蔵大臣官房会
        計課長     阪上 行雄君
        日本専売公社監
        理官      平井 廸郎君
        大蔵省主計局次
        長       船後 正道君
        大蔵省主税局長 吉國 二郎君
        大蔵省理財局長 青山  俊君
        大蔵省証券局長 広瀬 駿二君
        大蔵省銀行局長 澄田  智君
        大蔵省国際金融
        局長      村井 七郎君
        中小企業庁次長 新田 庚一君
 分科員外の出席者
        大蔵省主計局給
        与課長     相原 三郎君
        大蔵省主計局主
        計官      秋吉 良雄君
        大蔵省銀行局保
        険部長     新保 實生君
        日本専売公社総
        裁       東海林武雄君
    ―――――――――――――
二月二十七日
 分科員川崎寛治君、北山愛郎君及び麻生良方君
 委員辞任につき、その補欠として八木一男君、
 帆足計君及び受田新吉君が委員長の指名で分科
 員に選任された。
同日
 分科員帆足計君、八木一男君及び受田新吉君委
 員辞任につき、その補欠として平林剛君、川崎
 寛治君及び折小野良一君が委員長の指名で分科
 員に選任された。
同日
 分科員平林剛君及び折小野良一君委員辞任につ
 き、その補欠として佐野進君及び稲富稜人君が
 委員長の指名で分科員に選任された。
同日
 分科員佐野進君及び稲富稜人君委員辞任につき、
 その補欠として北山愛郎君及び吉田賢一君が委
 員長の指名で分科員に選任された。
同日
 分科員吉田賢一君委員辞任につき、その補欠と
 して竹本孫一君が委員長の指名で分科員に選任
 された。
同日
 分科員竹本孫一君委員辞任につき、その補欠と
 して折小野良一君が委員長の指名で分科員に選
 任された。
同日
 分科員折小野良一君委員辞任につき、その補欠
 として麻生良方君が委員長の指名で分科員に選
 任された。
同日
 第三分科員大原亨君、浅井美幸君、伊藤惣助丸
 君、第四分科員田中武夫君、第五分科員広沢賢
 一君及び堀昌雄君が本分科兼務となつた。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和四十四年度一般会計予算中大蔵省所管
 昭和四十四年度特別会計予算中大蔵省所管
 昭和四十四年度政府関係機関予算中大蔵省所管
     ――――◇―――――
#2
○足立主査 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。
 昭和四十四年度一般会計予算中大蔵省所管、昭和四十四年度特別会計予算中大蔵省所管、昭和四十四年度政府関係機関予算中大蔵省関係を議題とし、説明を求めます。上村大蔵政務次官。
#3
○上村政府委員 ただいまから、昭和四十四年度一般会計歳入予算並びに大蔵省所管の一般会計歳出予算、各特別会計歳入歳出予算及び各政府関係機関収入支出予算につきまして、去る一月二十七日内閣から提出した予算書に基づいて御説明いたします。
 まず、一般会計歳入予算額は六兆七千三百九十五億七千四百万円でありまして、これを前年度予算額五兆八千百八十五億九千八百万円に比較いたしますと九千二百九億七千五百万円の増加となっております。
 以下、歳入予算額のうち、おもな事項について内容を御説明いたします。
 第一に、租税及び印紙収入は五兆七千三百八十一億二千四百万円でありまして、前年度予算額に比較いたしますと一兆四百二億七千二百万円の増加となっております。
 この予算額は、昭和四十四年度の政府経済見通し、最近の課税実績、収入状況等を基礎として見積もった租税及び印紙収入見込み額五兆八千八百八十四億三千万円から、今次の税制改正における所得税減税、租税特別措置の拡充合理化等による減収見込み額一千五百三十八億四千二百万円を差し引き、これに租税特別措置の整理合理化による増収見込み額三十五億三千六百万円を加算したものであります。
 次に、各税目別におもなものを申し上げます。
 まず、所得税につきましては、今次の税制改正における給与所得者を中心とする中小所得者の負担軽減に重点を置いた課税最低額の引き上げ、給与所得控除の適用範囲の拡大及び税率の緩和等による減収額一千五百七億六百万円を見込み、一兆九千五億七千二百万円を計上いたしました。
 法人税につきましては、今次の税制改正における住宅対策の拡充、公害対策の促進、原子力発電の推進、中小企業の構造改善等の措置を講ずることによる減収額二十七億二千五百万円及び交際費課税の強化等租税特別措置の整理合理化による増収額三十五億三千六百万円を見込み、一兆八千五百八十億三千百万円を計上いたしました。
 印紙収入につきましては、今次の税制改正における登録免許税の一部軽減による減収額四億一千百万円を見込み、一千七百七十九億一千四百万円を計上いたしました。
 以上、申し述べました税目のほか、酒税五千六百七十億五千万円、揮発油税四千三百十億三千三百万円、物品税三千一億八千四百万円、関税三千百十五億四千四百万円及びその他の各税目を加え、租税及び印紙収入の合計額は五兆七千三百八十一億二千四百万円となっております。
 第二に、専売納付金は二千四百五十八億九千七百万円でありまして、前年度予算額に比較いたしますと百四十一億六百万円の増加となっております。
 これは、日本専売公社納付金において製造たばこ売り上げ高の増加等により百三十四億六千四百万円、アルコール専売事業特別会計納付金において六億四千二百万円、それぞれ増加することによるものであります。
 第三に、官業益金及び官業収入は二十八億二千五百万円で、前年度予算額に比較いたしますと二億四千九百万円の増加となっております。
 これは、印刷局特別会計受け入れ金において二億五千九百万円増加いたしますが、病院収入において一千万円減少することによるものであります。
 第四に、政府資産整理収入は百八十八億四千百万円で、前年度予算額に比較いたしますと三十億七千四百万円の減少となっております。
 この収入のうち、おもなものは国有財産売り払い収入百二十三億七千三百万円、地方債証券償還収入四十三億二百万円等であります。
 第五に、雑収入は二千百六十四億九千万円で、前年度予算額に比較いたしますと四百三十七億六千二百万円の増加となっております。
 この収入のうち、おもなものは、日本銀行納付金一千二十五億六百万円、日本中央競馬会納付金二百八十五億一千万円、懲罰及び没収金三百十五億三千三百万円等であります。
 第六に、公債金は四千九百億円で、前年度予算額に比較いたしますと一千五百億円の減少となっております。
 この公債金は、財政法第四条第一項ただし書きの規定により、公共事業費、出資金及び貸し付け金の財源に充てるため発行する公債の収入を見込んだものであります。
 最後に、前年度剰余金受け入れにおきましては、昭和四十二年度の決算によって同年度に新たに生じた剰余金二百七十三億九千四百万円を計上いたした次第であります。
 次に、当省所管一般会計歳出予算額は六千四百八十六億一千六百万円でありまして、これを前年度予算額五千五百五十一億八千七百万円に比較いたしますと九百三十四億二千八百万円の増加となっております。これは、国債費において七百七十五億七千七百万円、政府出資において百八十四億円、経済協力費において二十八億五千七百万円、産業投資特別会計への繰り入れにおいて百八十五億円増加いたしましたが、他方、海運業再建整備費において二十三億六千万円、特殊対外債務等処理費において四十八億九千百万円、予備費において三百億円の減少を見たこと等によるものであります。
 この歳出予算額を、まず組織ごとに分けますと、大蔵本省五千四百七十二億三千三百万円財務局百九億五千五百万円税関九十四億三千八百万円、国税庁八百九億八千九百万円となっております。以下、この歳出予算額のうちおもな事項について内容を御説明いたします。
 まず国債費につきましては二千七百八十八億三千八百万円を計上いたしておりますが、この経費は、一般会計の負担に属する国債の償還、国債の利子及び大蔵省証券割引料の支払い並びにこれらの事務取り扱いに必要な経費を国債整理基金特別会計へ繰り入れるものであります。この内訳は、国債の償還費として、前年度首国債総額の百分の一・六に相当する額二百六十三億六千八百万円、財政法第六条の規定に基づく四十二年度決算上の剰余金の二分の一に相当する額百十四億一千三百万円及びその他国債償還に必要な額八百四十一億五千二百万円計一千二百十九億三千四百万円、国債利子及び大蔵省証券割引料として一千五百三十二億二千百万円、その他国債事務取り扱い費として三十六億八千三百万円であります。
 公務員宿命施設費につきましては九十八億七千九百万円を計上いたしておりますが、この経費は、国家公務員に貸与する宿舎の建設に必要な経費でありまして、公務員宿舎の現況にかんがみ、前年度と同程度の戸数を確保し、その充足をはかろうとするものであります。
 政府出資につきましては、中小企業信用保険公庫等三機関に対し、一般会計から出資するため必要な経費として三百六十九億円を計上いたしておりますが、その内訳は中小企業信用保険公庫百五億円、海外経済協力基金二百二十四億円、新東京国際空港公団四十億円であります。
 海運業再建整備費につきましては九億五百万円を計上いたしておりますが、この経費は、海運業の再建整備に関する臨時措置法に基づき、日本開発銀行が整備計画を実施中の会社に対し、外航船舶の建造融資にかかわる利子の支払いを猶予することに伴い、その猶予する利子相当額を日本開発銀行に交付するものであります。
 特殊対外債務等処理費につきましては二百九十四億三千四百万円を計上いたしておりますが、その内訳は、賠償等特殊債務処理特別会計法第一条に規定する賠償等特殊債務の処理に充てるための財源を、同特別会計へ繰り入れるために必要な経費百四十一億八百万円、日本国とビルマ連邦との間の経済及び技術協力に関する協定に基づいて負担する債務の処理に必要な経費四十二億一千二百万円、財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定に基づいて負担する債務の処理に必要な経費九十一億五千三百万円、日本国とマレーシアとの間の一九六七年九月二十一日の協定に基づいて負担する債務の処理に必要な経費九億八千万円及び日本国とシンガポール共和国との間の一九六七年九月二十一日の協定に基づいて負担する債務の処理に必要な経費九億八千万円となっております。
#4
○足立主査 大蔵省関係の予算内容の説明中でございますが、お手元に印刷物が配付されておりますので、以下の説明を省略し、記録にとどめることといたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○足立主査 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 以上をもちまして、大蔵省所管の予算の説明を終わりました。
    ―――――――――――――
  〔上村政府委員の説明を省略した部分〕
 経済協力費につきましては六十四億三百万円を計上いたしておりますが、この内訳は、ラオス外国為替操作基金に対する拠出金六億一千二百万円、ナムグム開発基金に対する拠出金三億六千万円、発展途上国の食糧問題解決に寄与するために行なう援助に必要な経費五十一億四千八百万円、アジア開発銀行が行なう技術援助に対し協力するための拠出金七千二百万円及びプレクトノット計画に対して行なう援助に必要な経費二億一千万円であります。
 産業投資特別会計へ繰り入れにつきましては七百八十一億円を計上いたしておりますが、この経費は、産業投資特別会計において行なう産業投資支出の財源に充てるため、一般会計から同特別会計へ繰り入れるものであります。
 アジア開発銀行出資につきましては三十六億円を計上いたしておりますが、この経費は、アジア開発銀行を設立する協定第五条及び第六条の規定に基づき、同銀行に対し出資するため必要な経費であります。
 予備費につきましては、予見しがたい予算の不足に充てるため九百億円を計上いたしております。
 以上が、大蔵本省に計上された歳出予算額のおもなものでありますが、財務局、税関及び国税庁につきましては、その歳出予算額の大部分は、これらの機関の人件費その他事務処理に必要な経費であります。
 次に、当省所管の特別会計といたしましては、造幣局特別会計をはじめ、十の特別会計がありますが、そのうちのおもな会計につきまして、その概略を御説明いたします。
 まず、造幣局特別会計におきましては歳入、歳出とも七十九億三千万円でありまして、前年度予算額に比し、いずれも二億七千七百万円の増加となっておりますが、これは、補助貨幣等の製造経費の増加によるものであります。
 印刷局特別会計におきましては歳入百八十九億九千三百万円、歳出百六十三億八千四百万円、差し引き二十六億九百万円の歳入超過であります。歳出におきましては、前年度予算額に比し、七億八千九百万円の増加となっておりますが、これは、日本銀行券等の製造経費の増加によるものであります。
 資金運用部特別会計におきましては歳入、歳出とも六千八百二十八億九千三百万円でありまして、前年度予算額に比し、いずれも一千三百四十一億六千九百万円の増加となっておりますが、これは、主として歳入においては、資金の運用に伴う利子収入、歳出においては、預託金に対する支払い利子に必要な経費がそれぞれ増加することによるものであります。
 国債整理基金特別会計におきましては歳入、歳出とも一兆八千百七十七億七千万円でありまして、前年度予算額に比し、いずれも四千九百六十四億七千三百万円の増加となっております。これは、国債償還、短期証券償還、借入金返償、国債利子及び食糧証券等短期証券割引料等に必要な経費の増加によるものであります。
 貴金属特別会計におきましては歳入、歳出とも二百二十九億六千三百万円でありまして、前年度予算額に比し、いずれも百五十四億八百万円の増加となっておりますが、これは、主として産業用金地金の需給調整による金地金の買い入れ及び売り払いがそれぞれ増加することによるものであります。
 産業投資特別会計におきましては歳入、歳出とも一千百四十七億八千九百万円でありまして、前年度予算額に比し、いずれも二百五億六百万円の増加となっております。これは歳出において、産業投資支出等が増加したためであります。
 この会計の投資計画のうち、出資金につきましては、日本輸出入銀行ほか七機関に対し総額八百八十五億円の出資を行なうこととし、貸し付け金につきましては、電源開発株式会社に対し二十四億円の貸し付けを行なうことといたしております。その財源といたしましては、一般会計から七百八十一億円を受け入れるほか、株式売り払い収入八十六億四千九百万円等を予定いたしております。
 特定国有財産整備特別会計は、国有財産特殊整理資金特別会計法及び国の庁舎等の使用調整等に関する特別措置法の一部を改正する法律案に基づき、国有財産特殊整理資金特別会計を改めるものでありまして歳入百二億五千九百万円歳出八十一億七千九百万円差引き二十億八千万円の歳入超過であります。歳入におきましては、特定施設売り払い収入、前年度剰余金受け入れ、歳出におきましては、特定施設整備費、特定空港施設整備費がおもなものとなっております。
 以上、申し述べました各特別会計のほか、外国為替資金、賠償等特殊債務処理及び地震再保険の各特別会計につきましては、お手元の予算関係書類によりましてごらんいただきたいと存じます。
 最後に、当省関係の各政府関係機関の収入支出予算につきまして、簡単に御説明いたします。
 まず、日本専売公社におきましては収入七千八百三十一億百万円、支出五千五百六十一億六百万円、差し引き二千二百六十八億九千五百万円の収入超過であり、専売納付金は二千四百三十八億九千五百万円を見込んでおります。
 これを前年度予算額に比較いたしますと、収入は七百五億三千七百万円、支出は三百七十四億七千二百万円の増加であり、専売納付金は、百三十四億六千四百万円の増加を見込んでおります。
 なお、日本専売公社の事業のうち、たばこ事業につきましては、本年度の製造たばこ国内販売数量は前年度に比し九十七億本を増加し、二千百九億本を見込んでおります。
 次に、国民金融公庫、住宅金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫、北海道東北開発公庫、公営企業金融公庫、中小企業信用保険公庫、医療金融公庫、環境衛生金融公庫、日本開発銀行及び日本輸出入銀行の各機関につきましては、収入支出予算は、主として、これら機関の事業の運営に伴う貸し付け金利息収入並びに借入金の支払い利息及びこれらに必要な事務費等を計上したものでありますが、前年度に比し、各機関とも事業量の増加を見込みましたことに伴い、収入、支出とも増加いたしております。
 これら各機関の収入支出予算額等につきましては、お手元の予算関係書類によりまして、ごらんいただきたいと存じます。
 以上をもちまして、大蔵省関係の予算の概略について説明を終わります。
    ―――――――――――――
#6
○足立主査 この際、分科員各位に申し上げます。
 質疑の持ち時間は、一応本務員は一時間程度、兼務員もしくは交代して分科員となられた方は三十分程度にとどめ、議事進行に御協力願いたいと存じます。
 なお、政府当局に申し上げます。質疑時間が限られておりますので、答弁は的確に要領よく簡潔に行なうよう、特に御注意申し上げます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大原亨君。
#7
○大原分科員 私は、戦争中の毒ガス製造工場における患者の被害問題につきまして、主として質問いたしたいと思います。
 これは、大体御承知のように、私の選挙区じゃないわけですが、広島県の豊田郡忠海町にございます大久野島というところで、昭和二年ころから工場が開かれまして、昭和二十年戦争が終わるまで毒ガスの製造をいたしておりました。その毒ガスの製造を陸軍の忠海工場がやっておったわけでございますが、これは毒ガスであるという性質上、一般の地図からも大久野島という島は抹殺をされまして、秘密裏にやっておったわけでございます。したがって、事後の処置におきましても、毒ガスの製造であるということと、日本が全面的に敗戦になりました結果アメリカ軍が進駐いたしてまいりましたので、そのことの戦争犯罪の追及その他の問題とも関連をいたしまして、事の真相が表面化しない、あるいは軍の解体等によりまして、患者に対する実態の把握や対策が非常に手おくれになり、あるいは非常に大きな欠陥を生じておった。こういう問題から戦後二十四年、今日これを議論することはまことに遺憾なことでありますが、戦争犠牲者に対する救援あるいは人道上の観点から、事は小さな範囲でございましてもやはり公平を期する必要があるのではないか、こういうことから取り上げるわけであります。
 まず第一にお尋ねしたいことは、大久野島の毒ガス工場で何人くらい働いていて、そして現在大蔵省管轄の旧令共済の規定を活用いたしまして救済措置がなされておるそういう患者の数についてお答えいただきたいと思います。
#8
○相原説明員 お答え申し上げます。
 従業員全体の数は千人とも二千人とも三千人ともいわれておりますが、一応二千人程度ということが広くいわれているようでございます。現在いろいろな認定をいたしました実績を申しますと、二月二十日現在で、現在までに申し立てがありましたものが六百九十二人、このうち審査しておりますのが六百二十九人で、未処理が六十三人ございます。この処理人員の六百二十九人のうち療養を要するものと認定いたしましたものが二百十六人、該当しないとして却下されたものが百四十九人、保留になっておりますものが百二十五人、審査中のものが百三十九人、こういう数字になっております。
#9
○大原分科員 毒ガス島で働いた人の人数につきまして、千人とも二千人ともというふうなことでしたが、これは毒ガス島であったということからもそうですが、徴用工や女子挺身隊等を動員いたしましたが、たとえば、徴用工は二年間という期限を切るわけであります。一応は二年間切りまして、ひとつ二年間だけ働きに行ってくれというふうにして徴用をかけます。それが済みましてから、帰るのは――これは若干あれかもしれない。あるいは徴兵等でとられるのがあるかもしれないが、またこの徴用延期を一方的にかけてまいります。それから希望で就職いたしました者も、一たん就職いたしますと、秘密裏にやるわけですから、憲兵等の監視下でやるわけです。二十四時間の生活にわたって軍が監督をしてやるわけですから、実際にそこで働いた人の数を掌握することはむずかしいかもしれませんが、実際には四千名とも五千名ともいわれておるわけですが、五千名くらいはそこで働いた人があるのではないか。つまりイペリットやルイサイトなどの毒ガス等の製造に従事をした。つまり防毒面や防毒衣をつけて働いておるわけですが、しかし防毒面や防毒衣程度で毒の被害を受けないような毒ガスをつくったのでは毒ガスの役に立たぬわけですから、そういうものをやっておりましてもからだに浸透し、特に気管支その他に対しまして、あるいはわき下とか股間とかいろいろやわらかいところがびらんをいたす、こういうこと等が生ずるわけですが、ともかくもそういう工場の実態から見まして、実際にそこで働いておった人は少なくとも五千名前後はあるのではないか、私はこういうふうに、各方面の資料を集めまして推定いたしておりますが、いかがでしょう。
#10
○相原説明員 これは四十一年に広島県が調査した数字でございますが、二千二百人というぐあいになっております。
#11
○大原分科員 その実態がわからぬということは、これはなぜわからないのですか。二千名どころではない、こういっておるわけです。広島県も調査いたしまして、確実にわかっておるのが二千三百名といっておりますが、実態がわからなかったというのは、資料を焼却したからですか。あとつかみようがないというわけですか。それとも調査をしたことがないのですか。当時の軍人で所長その他がいるはずですね。当時監督をしておった人がいるはずですが、これは大蔵省はできるだけ数が少ないほうがいい、こういうことでつかもうとしなかったのか、あるいはつかむ方法がなかったのか、いかがですか。
#12
○相原説明員 これは資料が必ずしも完全でなかったという面もあったと思います。その数は広島県が調査したものでございますが、私たちの認定いたします場合の委員会のやり方を見ましても、やはり当時の工場長なりあるいは管理職にあった人たちの記憶をたよりにやっておる面が多いものでございますから、資料として非常に不完全であることは申し上げられると思います。
#13
○大原分科員 忠海町の大久野島の毒ガス工場は陸軍管轄ですが、空軍はありませんが、海軍等の管轄の毒ガス製造工場は他にあったのですか。たとえば神奈川県にあったとかいう話がありますが、御承知ですか。
#14
○相原説明員 私は存じませんが、たしかしばらく前の新聞にそういうようなことが出ていたことを見た記憶がございます。
#15
○大原分科員 それは何人おってどういうふうになっているということは実態把握していませんか。
#16
○相原説明員 把握いたしておりません。
#17
○大原分科員 この毒ガスによる障害はどういうふうな障害であるというふうに御理解になっておるわけですか。つまり毒ガスは、専門家の意見によりますと、特に手弁当で広島大学の医学部の和田内科というところがずっとやっておられたわけです。和田教授がやっておられたのですが、たとえば呼吸器とか消化器系のガンにおかされる、その毒ガス障害者は大体一、二年でほとんど死亡している。一般の死亡者よりも三十倍の死亡率であった、当時そういうふうに推定した資料があります。たとえば、和田教授などの論文で、これは医学の専門家ですから非常にシビアにやられるわけですが、毒ガスによる気管支ガンはイペリットを長期にわたって反復吸入したためである、こういうふうに因果関係について書かれている文章がここにございます。毒ガスの影響はどういうふうなものか、後遺症はどうかというふうなことについて、税金を取ったり予算を組んだりすることをやっている大蔵省は管轄できぬと思うのです。だからなかなか実態が把握できないし、被害者やあるいは町の人や県の当事者が非常に歯がゆく思う。実態がわかればわかるほど歯がゆく思うがなかなか対策が進まないということがあるわけです。たとえば、原爆については昭和三十二年以来、この毒ガスの問題は昭和二十九年以来議論になったのですが、毒ガスの患者に対するいろいろな手を打つということを法律で書くということは、どうも法律としてはおかしい、こういうこと等があって行政措置になったと思いますが、しかしそれにいたしましても、原爆症の問題等にいたしましても、原爆症とは、原爆による放射能被害とは何かということで、相当各方面から詰めていって、ある程度一定のものがあるわけですが、毒ガスについての一つの盲点は、大蔵省の給与課で、旧令共済のいうなればあと始末として仕事を行政上しておられる。やってこられたことが悪いというわけじゃないのですが、やはり被害の実態が、専門家がおるわけじゃないからわからない。それから毒ガスという性質上、この取り扱い方が非常に微妙である。できるだけ小さくしたいという希望がある。そういうこと等で大蔵省が扱われるのであるならば、厚生省との関係をどうするか、あるいはこの問題は原爆症などと同じように公衆衛生局でやってはどうか、こういうような議論が出てくるわけであります。ですからこの実態は、毒ガスの被害とは何かということがわからなければ私は対策は立たないと思うわけです。このことは一つ問題がありますから、私は厚生省のだれか一人出席しておってもらいたい、こういうふうに言ってあるわけですが、見えておりませんか。
 法制局にちょっとお尋ねしますが、これは私も国際法規を調べてみたわけですが、毒ガスの使用は国際法違反であります。製造が違反とは書いてないわけです。ヘーグの陸戦法規その他を見ましても、製造が違反とは書いてない。製造をやった者は戦犯だとか書いてない。国際法上の犯罪行為だというふうには書いてない。使用が国際法違反の行為というふうに書いてあるわけです。その面からの国際法違反行為だというふうな論議のしかたには一定の限界があって、道義的な問題でありますが、これは民法上、刑法上、国の行為によって非人道的な被害を命令で、あるいは軍の憲兵その他の指揮下で受けた者に対しまして、被害者はどのような救済措置で対抗することができるかという法律的な問題について、ひとつ法制局のお考えを聞かしてもらいたい。
#18
○真田政府委員 お答えを申し上げます。
 先生が御指摘の大久野島の当該事件についての具体的な事実関係は承知しておりませんので、一般論としてお答えを申し上げます。
 国の施設として、お話によりますと、毒ガスの製造をした、そのために、そこで働いておった人がいろんな障害を受けた、その救済はどうなるのかというような御質問だと思いますが、まずただいまおっしゃいました国際法規との関係から申しますと、これは毒ガスの使用なり製造なりが国際的に禁止されておるとかどうとかいうこととは全く関係がないというふうに存じます。毒ガスであろうと、また適法な武器であろうと何であろうと、国の製造過程において軽過失があってそのために被害を受けた人があれば、これは国内法の民法なりあるいは国家賠償法の問題として救済の措置がはかられるべきであって、そこでつくられているものが国際的に違法なものであるとかどうであるということは一応関係がないというふうに理解をいたします。
 それから国内法的な救済の面につきましては、大体民法の不法行為とそれから国家賠償法と二つ現在法律がございますが、まず国家賠償法につきましては、御承知のとおりこれは新憲法施行のときにつくられた法律でございまして、旧憲法時代の国の行為については従前の例によるというふうになっております。御承知のとおりだと存じます。したがいまして、その点についてやや問題があろうかと存じます。それから民法上の救済につきましては、民法の七〇九条の不法行為の要件に当たれば、もちろん民法によって国に対して損害賠償を請求することができるわけでございます。ただ当該事件につきましては、なおそのためには被害者のほうで国の行為についての故意過失を立証しなければならないとかあるいは御指摘の事件につきましては、また時効というようなことも問題になろうかと存じます。
 いずれにいたしましても、性質上は民法の不法行為になじまないわけではない、性質上は乗っかり得るものである。もちろん請求が立つかどうかは別といたしまして、法律上の性質はそういうものであるというふうにお答えいたします。
#19
○大原分科員 それでやや法律関係は明確になったと思うのですが、少なくとも民法上の不法行為ということで、たとえば徴用工で権力動員、命令動員をされた、あるいは一たん就職した以上は、これは秘密工場ですから、通勤についても制限があるし、寮等についても自由の非常な制約があった。あるいは防毒面や防毒衣等にいたしましても、これをつけておりましても、その間から、これはガスですから、みな入っていろんな障害を及ぼしておる。それに対しては適正な救済措置を要求することもできなかったし、その後はっきりと後遺症が残っているということがわかっている。その損害が継続している。こういうこと等で不法行為を被害者が立証すれば、いわゆる言うなれば国に対する救済措置、損害賠償を民法上の問題として争うことができるということも、いまのことでは少なくともそこまではいけるのだ、こういう点がはっきりいたしたわけであります。これは、するかどうかということは、それぞれ人々の判断といたしましてであります。
 そこでやはり私は思うのですが、ちょっと話を進めてまいりまして、そこで最近各方面から、広島県や県議会その他関係町村から非常な熱心な要望が出ておるわけですが、最近この救済措置について改善をされた点についてひとつ御報告をいただきたい。
#20
○相原説明員 この療養の給付を認定いたします場合には、まず調査会というのがございます。この調査会と申しますのは、その方が毒ガスの工場の中で現に毒ガスをかぶり得るような状態で働いていたかどうかという身分上の問題あるいは働く場所の認定をするわけです。そこでパスされた方は、今度は審査会というものがありまして、この審査会と申しますのは、先ほど先生が申されました毒ガスの権威といわれております和田教授も参加されまして、毒ガスの障害であるかどうかという認定をするわけです。こういう二つの関所を通っているというのが実態でありますが、この前段階の調査会におきましては、従来はこの従業員がたとえば守衛さんとか女の方とかの場合には、毒ガスを製造するところに直接入っていないという理由で、もうそこでオミットされておったわけです。これはその後の研究によりますと、必ずしも直接毒ガスの製造にタッチしていなくてもその工場にいたというだけで、汚染といいますか、毒ガスに触れるチャンスがあるということがだんだんいわれてまいりましたものですから、昨年の十月以降、こういう門前払いをなくそうということで、とにかくそこの工場につとめていたということがわかればよろしい、必ずしも毒ガスの製造に直接タッチしていなくてもよろしいというぐあいに直したわけです。これは県その他から門前払いは困るという非常に強い要望がありましたものですから、そういう点を直して、調査会ではとにかく工場につとめていたということがわかればよろしいというぐあいにしたわけであります。
 そこで、そういうふうに制度を変えましてから、十一月と二月と二回調査会をやりまして、相当大幅にパスして、いま医療のほうの審査会に送り込んでおります。なおこの医療のほうの審査会におきましても、先ほど先生お話しになりましたように、毒ガスによって呼吸器の障害が起こるということで審査しているわけでございますが、だんだんやはり認定の範囲も、従来どおりにはいかないのじゃなかろうかという話も出ております。この辺は和田先生はじめ皆さんの御意見によりまして、その基準につきましては実態に合うようにしていくこともけっこうだろうと思っております。
#21
○大原分科員 その一つは、問題はたくさんありますが、調査会という受付の窓口をやはり実情に合わして広げていく、そうしてそれを通って審査会で専門的な審査を受けるということですが、この調査会に申請をしている人と、それからいま申請中のもの、すでに処理したもの、その数字をひとつ発表していただきたい。
#22
○相原説明員 先ほどお話ししましたように、申し立てた方が六百九十二人ありまして、現在調査会で保留になっておりますものが八十名保留になっております。調査会で非該当とされました者が三十一名あります。そのほかにまだ調査会にかかる段階までいっていないというものが六十三名あるわけでございます。
#23
○大原分科員 残りは全部審査会へ行っているのですか。
#24
○相原説明員 あとは全部審査会のほうに送り込まれ、審査会の段階で採択され、あるいは該当とされ、非該当とされ、さらに保留されているという数字でございます。
#25
○大原分科員 保留が八十名ですね。
#26
○相原説明員 調査会で八十名。
#27
○大原分科員 あとは全部一応処理した……。
#28
○相原説明員 調査会で通りました百三十九名がこれから審査会のほうに回って、お医者さんの審査を受けるわけです。
#29
○大原分科員 六百九十二名ほど受理したというのは、いま認定された人を含んでいるのですか。審査会をパスした人を含んでいるのですか。
#30
○相原説明員 含んでおります。
#31
○大原分科員 その八十名については、いつやるわけですか、保留の八十名については。
#32
○相原説明員 これは保留になった要件が、たとえば書類が不備であるとか、あるいは事実がはっきりしないとかいうことに相なっておりますから、そういう書類が整備された時点、あるいは留保になりました事由がはっきりした時点でまた再調査するということになると思います。
#33
○大原分科員 そのことが一つあるわけですが、もう一つ本質的な問題は審査会ですが、審査会は和田教授その他がおられるわけですが、しかし昔の毒ガス工場の所長なども中にはおられるのじゃないですか。それからそういう人がおられるからチェックするというわけではありませんが、たとえば和田教授なら和田教授という専門家にいたしましても、認定患者ということで毒ガスと病気との因果関係が明確でなければ認定しない、そういう専門家の判定の限界があるわけです。つまり一番問題になるのは、毒ガスをたくさん受けて、そしてからだが弱いしあるいは気管支その他に障害があるというふうな人であっても、これは毒ガスを原因としてこういう病気になったのだということの立証が医学上できなければ、学者としてはオーケーと言うわけにはいかないという限界があるわけです。これはこういう毒ガスとか原爆症等ではいつも問題になるわけです。そこで疑わしきについては許可しない、こういう審査会のきびしい基準というものが、どうしても制度上の問題として議論をされるわけであります。したがって原爆等では、かなりの放射能を受けるという条件にあった人は、現在かなりの健康体であっても特別手帳を給付いたしまして、社会保険の残りを国が見ていくというふうな救済措置をいたしておるわけです。この制度は行政上非常に便宜的になされているということがございまして、認定患者以外の救済措置がない。健康管理についての手だてがしてない。たとえば、特別手帳を支給して、年何回か健康診断をするなりあるいはこの人はかなり気管支をおかされ、あるいは胃やその他の食道機能をおかされている、あるいは心臓その他にも影響があるわけですから、たとえば原爆の場合でしたら治癒能力が劣っている特別被爆者といいますか、いわゆる認定患者の外淵にあるものは、治癒能力が劣っておるということで特別手帳をもらっている。その人の病気がどんな病気であっても見ていこう、こういう制度でありますが、そういう制度がないのが一つの非常に大きな不満であり、不安であります。問題はたくさんありますが、これは一つの集中的な問題であります。
 認定患者の制度については、原爆の被爆者の対策を準用した形で、たとえば特別手当月一万円等が出ておりますが、医療手当も出ておるわけですが、しかし介護手当とかあるいは健康管理手当は、特別手帳がないからないわけですけれども、問題は、認定をされた患者以外に、毒ガス島で働いておってイペリットやルイサイト等の毒ガスを多量に受けておって、その人がいま元気であるから、発病してないからあるいは発病の程度が低い、こういうことで認定をされない人々の健康管理を含めてどのような保護をしていくかという問題で、原爆被爆者の対策とはおくれているわけです。ですからそれのバランスをとってもらいたいというのが一つあるわけですが、特別手帳を支給する範囲をどうするかということになりますると、たとえば大久野島という毒ガス島全体が草木がはえなかったわけです。だから工場で働いていた人は、その毒ガス工場に出入りしておったわけです。全く事務系統におって、半カ年ぐらいでやめたという人なんか別にいたしまして、かなり長期間おったような人は毒ガスを吸収しているわけで、これは人数においても限られたものですから、特別手帳、特別患者の制度を認定患者の外淵につくって健康管理をして、社会保険の残りを国が見ていくような制度を考えるべきではないか、こう思うわけです。これは大蔵大臣に一ぺんに質問をいたしましても、たくさん事を所管しておられるのでいかがかと思うのですが、しかしこれはかなり議論を積んできたし、私も原爆の問題についてはうそを言っているわけでも何でもないわけですから、私はそういう点で非常に不満があるという点で、五千人なら五千人、――県が把握している二千三百人、あなたのほうは二千二百人と言ったけれども、そういう患者についてはやはりこういう当時の実態を調査して、たとえば広島、長崎等でありましたら三日以内に爆心地から二キロ以内に入った人は特別被爆者にしておるわけですから、そのことを考えながら、そういう毒ガス工場の中にいた人あるいはそこに出入りをした人あるいは相当長期間にわたって毒ガス島で働いておった人、そういうような者については健康管理ができるような特別患者の制度をつくってもらいたい、こういうのがささやかですが切実な要求なりあるいは不安になっておるわけであります。その点について私は大蔵大臣の御答弁をいただきたいと思うのですが、その点はひとつ頭に入れて十分答弁していただきたい、前向きで検討していただきたい、こういうふうに思いますが、いかがでしょう。
#34
○福田国務大臣 たいへん具体的な問題なんで、ここで直ちにこういたしますというお答えはできませんが、あらゆる角度からいまお話しの筋につきまして検討いたしたい。(大原分科員「前向きで」と呼ぶ)前向きで検討してみることにいたします。
#35
○大原分科員 それで、問題はまだ残るわけです。たとえば毒ガス島を閉鎖いたしましたが、その直後、そこで働いておった人が出てきてばたばた死にました。現在、和田教授はじめ専門家は、これは毒ガスの影響によるのだということになっておるわけです。たとえば、気管支やあるいは食道系統の災症を起こしたりガンを起こしたりして死んだという人があるわけですが、そういう人に対しては、軍の工場であったものですから共済組合でない。ただいま、徴用工その他厚生省の援護法との関係もあるわけですが、私はそういう因果関係が今日となって明確となったものについては措置すべきではないか、こういうふうに思うのですが、その点はいかがでしょう。大蔵大臣でなしにあなたのほうでけっこうです。――つまり工場を閉鎖したあと、昭和二十二、三、四年ころ、いま考えてみても当時で考えてみても、明らかに毒ガスの後遺症あるいは影響でばたばたと死んだわけですが、これは秘密だからというのでほおかむりで逃げておったのが、いまになってはっきりすればそういうことではないかと思うのですが、その点はいかがですか。その点を現在の段階で措置すべきではないか、こう思うのですが、いかがですか。
#36
○相原説明員 そういう場合、終戦直後になくなられた方につきましては認定のしようがないわけです。毒ガスによるということの認定のしようがないので、国家公務員共済組合連合会が旧陸軍から引き継いだ段階では、残念ながら認定のしようがないというのが現状でございます。
#37
○大原分科員 締めくくりますが、毒ガスの後遺症について健康管理をする当事者能力というか、そういう能力は大蔵省にないわけですよ。だから、審査会等の専門的な意見を聞くというわけですが、審査会にも限界がある。あるいはその周辺の問題については、やはり学者やその担当の行政上の措置をとっておる人が協力しなければならぬと思うのです。厚生省も、園田厚生大臣は、たとえこれが大蔵省の管轄の事項ではあっても、そういう人道上の、いうならば公害以上のはっきりしたそういう被害があるという問題については、被害の研究や対策の樹立については被害者の立場に立って厚生省は措置をするということをあの人ははっきり言ったわけです。あの人は比較的そういうことは、管轄でないことでも積極的な発言をする人でありました。それは一年ごとに厚生大臣かわるのですから、その次はおれは厚生大臣でないだろうと思って発言したかもしらぬ、いま考えてみると。なかなか巧妙な男といってはなんですが、人でありますから、そういう政治性のあった人でありますが、しかしそれはもっともなことを言っておるわけです。ですから私は、この後遺症等の検査については厚生省とも十分連絡をとりながらこれは私は特別立法を当然すべきだったと思うのですが、しかし小さな範囲であるということと、毒ガスであったという、当時の昭和二十九年のころの衆参両院の議論になったことを私は調べてみましても、そういうことが配慮されて今日に至っておるわけですから、旧令共済をやっておる大蔵省の主計局の給与課がやる以外はないと思いますが、しかし、それにいたしましても、厚生省のそういう面との連絡も密にしていただいて、この施策上のバランスをとってやってもらいたい、その点をひとつ大蔵大臣に要請をして見解を聞きたいと思います。
#38
○福田国務大臣 大原さんのお話、よく御趣旨はわかりました。またごもっともなことと思いますから、私どもも前向きでこの問題に取り組んでいきます。
#39
○足立主査 田中武夫君。
#40
○田中(武)分科員 まず最初に銀行局長にお伺いいたしますけれども、昨年の年末ごろに、こういう陳情書というか、要望書が相当数あなたのところに来ておると思います。これは交通傷害保険セットの交通安全定期預金についてということでそれの陳情書なんです。そこで私お伺いいたしたいことは、このようにして交通傷害保険と定期預金をミックスさすといいますか、そういうことがいまほとんどの金融機関で行なわれております。これが保険会社の代理店等に大きな影響を与えておる。大げさに言うならば、これら代理店の死活の問題である、こういうこともいわれております。そうしていろいろと銀行はこれの宣伝をいたしておるわけですが、たとえば「ふやす預金に守る保険をセット」といったような、こういうパンフレット、あるいは説明書、マッチ、新聞広告あるいは店頭におけるポスター、銀行員の定期預金勧誘の中で、といったようにいろいろな方法で行なわれておりますが、そのことが私は保険募集の取締に関する法律、募取法の九条から若干の疑いを持つものであります。まず、このような銀行の行為、これが募取法九条の募集行為として見られるか、見られないのか。さらにこれは銀行局としてはうまく逃げられると思うのですが、銀行がこのような保険募集といったような行為、これは銀行法五条ですか、銀行の他の業務を禁止するという禁止規定との関係でどうなるのか、この二つの面からまず御答弁をお願いいたします。
#41
○澄田政府委員 御質問の第一点の保険募集の取締に関する法律の第九条と、現在の交通傷害、交通事故の傷害保険つき定期預金として定期預金が募集されているということとの関係でございますが、この点につきましては法律上の問題といたしましては保険募集の取締に関する法律の第二条で、「この法律において「募集」とは、保険契約の締結の代理又は媒介をなすことをいう。」、こういうふうに規定されておるわけであります。したがって、これは保険契約の締結の代理または媒介、こういうことになりまして、したがって、そういうことができるものは保険会社か損害保険の代理店、こういうことに規定されておるわけでありますが、この場合の保険契約の締結ということになりますと、この場合の保険契約というのはこれは団体の保険でありまして、それぞれの定期預金をいたしたものからなる団体と保険会社の間の契約、こういうことになるわけでありまして、その場合におきましては、いずれの場合にも代理店が入りまして、そうしてその団体と保険会社との間に契約を締結する、こういう形になっている。したがって、その募集という行為は、その団体と保険会社の間にある、こういう解釈になるわけでございます。銀行がいたしておりますのは、預金の勧誘ということになりまして、これは団体の会員になる、そうしてそうなりますと、この傷害保険の被保険者になる、こういうことで契約を締結するのではなくて、被保険者になるところの預金者を勧誘をする、こういうことになる。こういう法律上のたてまえになります。
 第二点の、銀行の業務でございますが、これは定期預金の受け入れと、それから保険料に当たる部分を預金の利子とすりかえて払い込む、こういう仕事でございますので、これは銀行が当然行なう業務、こういうことになるわけであります。
#42
○田中(武)分科員 銀行法五条については、私もそう疑問を持っておりません。ただ募取法九条と二条三項との関係において、いまのあなたがおっしゃったように、保険契約の締結と媒介行為ですね。保険契約は団体ということにしても、これはあとで触れますが、団体と保険会社との間あるいは代理店を通じて契約を結んだから保険契約を行なうということではない。しかし、この行為は私は媒介行為には違いないと思うのです。少なくとも保険会社と団体というか、団体にも問題があるが、個人との間を結ぶ行為になる。そうでしょう。少なくとも結ぶ行為です。一体媒介とはどういうことか。第三者の意思なりあるいは行為なりによって関係のない甲と乙とを結ばす、言うなら橋渡しをする、そういうことが私は媒介行為であろうと思うのです。その点いかがです。
#43
○澄田政府委員 媒介とは、法律行為が成立するように第三者が法律行為の当事者の間に立ってこれをあっせんといいますか、あっせん尽力、そういうことをする、これが一般の定義だと思います。そこで、ただいまお話しに出ました保険募集の取締に関する法律の二条三項におきまして「保険契約の締結の代理又は媒介」これは保険契約の締結の媒介、こうつながるわけでございますので、やはり保険契約締結が成立するように両者の間に立って――両者というのは保険会社と団体との間に立つ、こういうことでありまして、そのことは代理店がいま行なわれております場合に、その間に立ってそういった媒介行為をやる、こういう仕組みになっております。
#44
○田中(武)分科員 いやいや、その保険会社と団体――この団体にも疑問がありますが、これはあとでやることにしますが、契約は団体と保険会社が行なうと思います。こういうことはその契約の仲立ちをする行為でしょう。違いますか。こういう募集方法だとか、定期預金をせられるならばその十倍の傷害保険がかかります、言うならば十倍に金が動きますから、私のところで傷害保険つきの積み立て貯金というか定期預金にお入りなさいということ、これは媒介行為ですよ。違いますか。
#45
○新保説明員 保険募集の取締に関する法律の第二条第三項で代理ということばと媒介ということばがございます。代理というのは民法でいう代理そのものでございまして、損害保険事業の場合の代理店は……(田中(武)分科員「民法のことはいい、お互いにわかっているのだから。」と呼ぶ)そこで媒介ということばでございますけれども、これは一応生命保険の募集行為でございますが、これは法律的に申しますと、保険の外交員そのものには代理権は与えられておりません。それを想定して媒介ということばを使っておる。もちろん損害保険の場合にも媒介という行為があり得ると思いますけれども、あくまでもここで考えておりますのは法律行為、つまり保険契約の成立を第三者が間に立ってお世話をする、そういう意味で法律行為というのは団体保険契約そのものを私ども考えておるわけでございます。
#46
○田中(武)分科員 いや、その団体保険契約の当事者は保険会社と団体なんですね。それはわかっているのですよ。少なくともその団体に加入する、そのことを――たとえばそれじゃ新聞広告でするときはどうなんです。こういうパンフレットを渡すことはどうなんです。あるいは銀行員が家庭訪問をして勧める行為はどうなんです。私はやはり媒介だと思うのですね。私はやはりあくまで媒介とは橋渡しだと思う。保険契約、法律行為をなすにあたっての橋渡しをする。きょうは法制局は呼んでいなかったのでなんですが、これは幾らやっても私とあなたのほうでは見解が並行線をたどるのではないかと思うのです。そこで具体的にこの行為、この行為、この行為とやりたいのですが、時間もない。一体それじゃ媒介というのはどういうことかといえば、いわゆる法律行為すなわち保険契約を結ぶことについての意思を喚起さす行動だと思うのですね。意思を喚起さす行動、それは広告であるときもありましょう。それを見てそういうのがあるなら入ってみようということもありましょう。そういうことだとか、店頭にパンフレットを置いておくというのは取る人が自由に取るのだからいいだろう、こういうことで解釈できるということもあると思うのです。また大きな看板を店頭なりどこかに掲げるということ。少なくとも積み立てあるいは定期預金を勧誘に行く、これは現に銀行員がやっていますよ。そのときにこの定期預金にお入りになれば百万円が一千万円に働きますよ、そういうことを言うことはいかがです。これは少なくとも媒介行為である、私はこう思うのです。どうでしょう。
#47
○新保説明員 媒介の解釈でございますが、従来私どもとしましては保険契約の成立を第三者が間に立ってお世話をする、そういうふうに解釈いたしております。したがいまして、現在の団体契約の場合は非常にそういうケースが多うございまして、たとえば、大蔵省なら大蔵省で職場で団体契約に入るという場合に、大蔵省の厚生関係の代表者が代理店を通しまして保険会社と団体契約を締結いたします。そして厚生担当の職員が大蔵省内部の職員に対しまして、こういう保険の、法律的に申しますと被保険者にならないかということを、まあ勧誘するわけでございますが、そのこと自体は私どもは保険の募集あるいは保険の媒介、第二条第三項でいう媒介、そういうふうには解釈しておらないわけでございます。団体保険というものは非常に多うございますけれども、被保険者となることを勧誘するというのは、第二条でいう媒介でない、そういう解釈でやっておるわけでございます。
#48
○田中(武)分科員 被保険者となることを勧誘することが媒介でないというのはちょっと私は聞こえないのですがね。ここで幾らやっておってもらちがあかないと思います。このことについて大臣何か御意見がございましたら承りたいと思います。さらに私はこれは法制局等の見解も大蔵省と私と立ち会いの上でただしたい。いま言ったような、こじつけたような答弁でお逃げになると思わなかったので法制局を呼ばなかったのです。法制局を呼んでおれば――しかし法律論争ばかりやっておったら三十分なんてまたたく間に終わりますから、これはそういうように見解が違うということで、一応もの別れにしておきましょう。大臣いかがでしょうか。
#49
○福田国務大臣 さようお願い申し上げます。
#50
○田中(武)分科員 次に、団体扱いの問題なんですね。なるほど一つの職域、何々会社あるいは役所の中、いわゆる職域あるいは地域等で、われわれも国会議員の保険に入っています。これは団体保険です。団体保険は掛け金が三割まけてもらえる。そういうことで団体加盟ということはこれはいいことだと思います。しかしこの場合一体団体とは何なのか。少なくとも何々会社何工場、あるいは何々省何出張所といったようなものがまずある。いわゆる団体、これは法人、法人人格を持たないもの、いろいろありますが、地域青年団、消防団に至るまで私はそうだと思いますが、そういうのはまず団体が存在するわけなんです。そして団体が契約をするにあたって団員なり団体員に対して呼びかける。このことは私はいいと思うのです。この場合まずそもそも、たとえばAという銀行がこれを始めた。B、Cと同じようにやってきた。最初始めるときに、団体はどういう団体が存在しておったのです。それが一点。さらに、団体とは少なくとも規約があることを条件としないとしても、団体の運営等に関する申し合わせあるいは規約等々が存在することが必要だと思うのです。そしてその団体の目的あるいは団体の代表者の選び方、あるいはまたその団体の構成の範囲、こういうものが明確になっておるものが団体だ。この場合はまず募集して一人二人から集めたわけですよ。それが団体を構成しているかどうかということが一つ。おそらくその団体の目的は何かといえば、A銀行というところにたまたまこの種の定期預金をする。そのことによって団体保険に加盟するという、そのことでつながると思うのです。そのことが許されるとするならば、たまたま一つの列車に乗り合わせた。鉄道では三十名以上か何かが団体扱いになっております。これは特定なんです。この場合は不特定多数なんです。たまたま一つの列車に乗り合わせた、だからこの箱に乗っておる者全部は団体だから団体扱いにしてくれということが可能になるという考え方が出てくるわけですが、この団体の解釈についてはいかがでしょう。
#51
○新保説明員 まずお尋ねの第一点でございますが、そもそもこの団体保険制度が始まりましたのは、某都市銀行が始めたわけでございます。その場合にどういう団体が存在しておったかという点でございますが、ちょっと正確な名前は忘れましたが、交通安全協力会というような名前で、それは前から存在いたしておりまして、たとえば小学生が新しく学校に入るというような場合に、交通安全の黄色い腕章を寄贈するとか、そういう交通安全事業をやる、同時に新たに追加をいたしまして、そこの会員に対しましては団体保険の被保険者となってもらう、そういう事業、これに付帯する事業、そういう事業をやろう、そういう団体であったわけでございます。その後非常に各銀行に御承知のように伝染をしていったわけでありますけれども、その場合にもやはり保険加入だけを目的とするそういう団体ではなくて、やはり交通安全事業に協力するとか、あるいは銀行によりましては、友の会とかなんとかいうような、そもそもその母体になるような事業がございまして、そういうものにあわせて会員のために、被保険者として一種の団体扱いになりますと保険料が安くなるので、その意味では加入者にとっては一つの魅力でございます。そういう事情をあわせ付加してやる、そういう団体が存在しておるわけであります。
 仰せのように、そもそもそういうのは団体といえるか、ある意味で不特定多数じゃないか、こういうことで、最初沿革的に申しますと、保険の分野で団体扱いが始まりましたのは、職場単位とかあるいは何々同業組合とか弁護士会とかそういう団体、あるいはそれがだんだん発展いたしまして、町内会とか団地の自治会あるいは県人会、PTA、宗教団体、ロータリークラブ、ライオンズクラブとか、いろいろな団体があるわけであります。この場合は、仰せのように、こういった、いま私が例示しましたような団体と若干性格的に異なるところがあるわけでございますけれども、ただこの点保険の上では団体扱いになった場合にどういうメリットがあるかというと、保険料が三割引きになる……。
#52
○田中(武)分科員 それはわかっている、団体の定義です。
#53
○新保説明員 そういうことでございます。
#54
○田中(武)分科員 納得できないのですがね。
 大臣、お聞きのように、私は、団体とは少なくともまずその団体の設立せられた趣旨、目的が必要だ、そしてあらかじめ会員になる者の範囲がきまっておると思うのです、地域的なりあるいは職域的に。それが一つだと思うのです。それから代表者を選ぶ方法とか、そういうことも必要だと思うのです。それからこの場合は、あるいは一つの何とか安全協会というのが母体になったところもあろうと思います。しかし、すべてがそうではないと思うのです。この場合はあくまでもその団体構成員は不特定多数である、私はそう思うわけであります。そういうことでありますので、このことについても、私は短い時間であなた方の納得できる説明があるとは思わない、これもこの程度にして私は次に入ります。
 この団体というものについて一つでもよろしい――それではどこかの名前を言いましょうか。どこかの銀行がそういうことをやっているのを、大体の規約なり、その団体の構成メンバーなりがどうなっているのかということを、ひとつ資料で出してくれませんか。
#55
○新保説明員 かしこまりました。
#56
○田中(武)分科員 さらにこのことが許されるとするならば、逆に、一つの代理店を通じて保険契約をする場合、これを千人なら千人まとめることにより団体扱いできるのではないか、こういうことがいえると思うのですが、その点はどうですか。
#57
○新保説明員 団体の定義づけでございますけれども、保険の分野で団体というのは、要するにまとめて処理ができて、事務費、経費がよけいにかからない、そういう実態を備えておるかどうかという点に実は着目いたしておるわけでございます。団体というものは、いろいろと社会制度が複雑になってまいりますので、いろいろなものが将来発生するだろうと思いますが、保険料の軽減ができるかどうか、割引ができるかどうか、割引ができるという実態はどこにあるかというと、団体の側でまとめて保険料を集金してくれるか、そういう集金機構があるかどうか、そこが一つの保険の角度から見た場合の問題となる点でございます。今度の場合も、従来の典型的な団体という概念から若干はずれる点があるかもしれませんけれども、そういう集金機構があって、保険の代理店あるいは保険会社の手間が省けるかどうか、そういう実態を備えておるかどうかという点が実はポイントなのであります。したがいまして、いま先生の御質問をいただきました代理店が構成したような場合どうなるかという点、これももしそういう実態があったならば可能である、こういうことになるわけであります。
#58
○田中(武)分科員 少なくとも銀行を通じての場合、お互いに団体構成員となっている人たちは知らないと思うのです。どういう人が加盟しておって、その人がどういう仕事をしておって、現在幾らくらいの人がおるのかということも知らないと思うのです。したがって、この団体ということについても疑問を残しますが、次にまいります。
 そこで大臣、この法律的な解釈とか事務的な扱いについては今後銀行局当局あるいは保険部長等々と話をするといたしまして、いま私の申し上げておることは、これは見解が違うということになろうと思いますが、銀行が預金集めのため事実上保険募集行為をしているということで、保険募集取締法、公取法違反の疑いがあるということ、それから一律三割引きという特典のある団体扱いをしていることについて、その団体の基準、いわゆる団体としての一般的常識からいって疑問がある。しかし私は、交通戦争といわれ、交通事故多発の今日、この種の保険を宣伝し、普及していくことはいいことだと思うのです。そのことは否定いたしません。こういう方法によって少しでも保険料が安くなることも私はいいと思います。しかし、定期預金ができるだけの人であれば救われるが、それができないような人に対しては、これは多くの問題を残すのではないか、もしやるとするなら法律的に疑問のないように、法なり令なりを改正せられてやったほうがいいのではないか、そういう気持ちを持っておるわけです。
 それから私は何か保険のことはよくわかりませんが、新代理店制度というので何かはっきりいっておられるようなんですね。こういう扱いをやることは、この新代理店制度と逆行して、一般の代理店に強い圧迫と不信感を与える、こういう結果になっておるわけなんです。総じて申しますならば、代理店はおおむね中小企業であります。大企業ともいうべき、あるいは経済的な大きな力を持っておる銀行がこういうことをやることは、一つはやはり反対面から見た場合には、中小企業政策の面として考える必要があるのではないだろうか。さらにこれはまた公取を呼ばなくては議論にならないと思いますが、経済的地位の優越を利用して、契約を直接には結ばないが、契約を結ぶような媒介ではないかということですが、そういう行為、これは一つの不公正行為ではなかろうかといったような疑問を持っております。
 そこでこまかいことは別といたしまして、大蔵大臣、ひとつ政治的にどうお考えになりますか。それからきょう中小企業庁、来てもらっておりますが、いま私が申し上げていることは、いわゆる一つの中小企業である代理店、これの中小企業対策の面からも考えねばならない問題があろうと思うのです。ひとつ大臣から政治的答弁、及び中小企業庁長官からは中小企業という上に立っての御答弁をお願いいたします。
#59
○福田国務大臣 たいへん造詣の深い御見解を承りましてありがとうございました。銀行局長は銀行行政もやっておりますし、同時に保険行政もやっております。さようなことでございますが、御意見のほどはよく銀行保険行政運営上参考にさしていただきたいと思っております。ありがとうございました。
#60
○新田政府委員 ただいまの問題になっておりますこと、実は不勉強のわけで、中小の代理店に大きな影響を与えておるというふうにはいまのところは聞いておりませんけれども、実情を勉強しまして、もし問題がありますれば大蔵省と相談して善処したいと思います。
#61
○田中(武)分科員 中小企業庁もこの問題を研究していただく、それからいま言ったようにこまかい法理的の解釈とか、その問題については事務当局、これは法制局の意見も聞いて相談したいと思います。
 最後に一点だけですが、実は問題が変わるわけですけれども、貴金属特別会計を見ました場合に、四十四年度で金地金の輸入予算として二百十五億九千五百四十万四千円というのが歳出に計上せられておるわけです。これは外国から金地金を輸入するわけですが、これは一体グラム幾らでどこから輸入するという計算の上に立ってやられたかということが一点、それから今度逆に歳入のほうで二百一億六千七百五十万円、これは貴金属売り払い代金として計上されております。これはおそらくグラム六百六十円で払い下げるのだろうと思うのです。これを計算すると三十一トン半くらいになるわけです。そうすると輸入と払い下げとの間に、相当な金の保有といいますか、政府保有が残るわけですね。これは外貨準備が三十億ドルに近くなっておる。その中において約一割ほどしか現在は金保有がないといわれる。したがって、輸入をして払い下げ、その差の金は外貨準備の中の金保有の量が上がると理解していいのか、そういうような点をひとつまとめて御答弁をお願いします。
#62
○村井政府委員 御指摘のように四十四年度は四十五トン輸入する予定でございます。国内の払い下げが三十トン予定しておりますので、差の十五トンというものは貴金属特別会計の保有増ということになるわけでございますが、いまのところこれは、貴金属特別会計が民間の産業用金の需給状況を勘案いたしまして三十トンでは足りない場合に、その予備といたしまして、わりあい根強いそういう産業用金の需要があるものでございますから、そういう需要の補充、予備といたしましてストックとして持つという考えでございます。
 ところで外貨準備との関係でございますが、私どもはとにかく金の価格が国際的に安定を保つということが国際通貨不安の除去という観点からもきわめて大事なことであるという考えを持っておりまして、そういった意味におきまして、通貨問題につきましてはできる限りの国際協力というものをしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。これがひいては日本の国益にもはね返ってくるというふうに私たちは信じておりますので、そういった意味におきましても、国際的な協力、金価格の国際的な価値維持という観点をも考えますと、いまのところその差の十五トンというものを直ちに外貨準備の金保有高というものに繰り入れることを考えてはおりません。
#63
○田中(武)分科員 もう一点だけ。
 大臣、いまの御答弁のように十五トンばかり輸入と払い下げの間にあるわけです。これは少なくともこのままであると、貴金属特別会計に残るわけですね。しかし外貨準備も去年あたりからいえば順調に伸びてきた。もう三十億ドル台になるのも近いと言われておる。しかし私は、金万能とは考えないとしても、少なくとも三分の一ぐらいは金保有が必要じゃないか。たまたまどれだけ需要があって十五トンを追加払い下げをしなければいけないことになるかどうかわかりませんが、その中からでもやはり金保有のほうへ回したらどうか、こういうふうに思うのですが、最後に大臣から御答弁願って終わります。
#64
○福田国務大臣 大方針としては全く御意見のとおり考えなければならぬと思います。私も外貨保有高全体がふえてきた、そうすると、いままでのような二十対三というような状態をこの際改善する基礎ができてきた、こういうふうに考えるのです。ただ、いま御承知のような国際的に二重価格制ということで、金を外貨準備に組み入れることについては制約があります。そういうような制約がなくなるというようなことがありますれば、逐次ただいま申し上げたような考え方を実行していきたい、かように考えております。
#65
○足立主査 八木一男君。
#66
○八木(一)分科員 大蔵大臣はじめ大蔵省の政府委員に御質問を申し上げたいと思います。おもにこの前予算委員会の一般質問で御質問申し上げた問題を、あのときに時間が少なかったわけでございますから、もう少し詳しく御質問を申し上げたいというふうに考えておるところであります。
  〔主査退席、楢崎主査代理着席〕
 この前、予算委員会の一般質問では、大蔵省が常に閣議に要請をされて、その方法でやっておられます、翌年度の予算編成にあたって各省で二五%増どまりの要求にとめてもらいたい、そのようなことで閣議決定に持ち出されて、そしてそういう実行をされておるわけであります。そのことが各省の政府全体の政策のアクセントを失って、国民の要望にこたえることではないということを私申し上げました。そのことは、予算総ワクをでたらめにふやすということではありませんで、総ワクは財政経済政策によってある程度にもちろん押えなければなりませんけれども、各省で押えることによって、アクセントがなくなる。たとえば、例として厚生省であれば、健康保険の問題もあれば年金の問題もあり、また障害者対策の問題、公害対策もある。みんな新しく資金を増大をして対処をしなければならない問題でありますから、そこ自体でやることによって、年金を伸ばそうとすれば健康保険を押えなければならないというようなことになりますので、政府全体でそのアクセントを考え、どれが一番重要で、どれが一番緊急であるかということを考えるべきである。それは各省の要求を第一次で押えることなく全部出さして、大蔵省またその中の中心の主計局が各省と折衝、また閣議においていろいろ御勘案になって、最も緊急のものは緊急、大事なものは大事なものとして完全に対処されるような予算編成方針を出されるということが必要だろうということを申し上げたわけであります。そこで要求をされる各省のほうの大臣は、福田さんもおられましたけれども、それについて賛成の意を表せられました、間接ではありますが。反対の意思があったら発言をしていただきたい、発言をしない者は賛成とみなすということで、時間をおいておりましたけれども、一切発言はありませんでしたから、各省大臣全部賛成であります。ただ、大蔵大臣だけは財政の責任者でありますからやや慎重な答弁をなさいました。そのことはわかるけれども、にわかには賛成できないというような、大蔵大臣としての、いまのしきたりの政治の中の大蔵大臣としては良心的な御発言をなさいました。ただ、ほんとの政治の姿からいえば、非常に前向きに良心的であるとは私は思えない。いままでのしきたりを破るのはなかなかむずかしいですから、大蔵大臣がそういう発言をされたのはかなりの御努力だったと思います。この問題が至急に閣議で提議をされなければならないというふうに御質問を申し上げました。再度分科会で、各大臣に詰めた。したがってその問題が閣議で――約束どおりであって、ほかの国務大臣が政治家としての責任を持っておられるならば、早急な閣議でそれは提議をされ、論議をされなければならないと思う。
 そこで、福田大蔵大臣は、りっぱな政治家として、大事な仕事を持っておりますけれども、一つの大蔵省の主計局なり、そのような立場でなしに、日本の政治を担当される立場で、いままでやってきたことであるけれども、そのような欠点があったら改めるというような考え方をぜひ持って、そういう問題に、閣議で各同僚の国務大臣と論議をしていただきたいと思います。実際上大蔵省というのは非常に権威が強くて、また福田さんは各国務大臣の中で非常に貫禄のある方でございますから、福田さんが意地を張って、いやだめだというと、なかなかこれがいい方向に進みにくいと思う。主計局の次長、主計官おられますけれども、この人たちも、ただ旧来の陋習を守るのじゃなしに、そしてまた自分たちが忙しさをのがれようというのじゃなしに、忙しければ人員の予算要求をする、主計局の人員をふやしたらいいのですから、そういうことで前向きに政治を進めていただくように、ひとつ大蔵大臣の御決意のほどを伺っておきたいと思います。
#67
○福田国務大臣 いま、予算の編成にあたりまして対前年度二五%予算増という要求をするようにというワクをはめておる、これは二つ趣旨があるのです。一つは事務の簡素化でございます。もうどうせ見込みのない、だれかの顔を立てようというようなわけで持ってきて、しかもそれをお互いに調べ合わなければならぬ。紙も筆も使わなければならぬ。これは全く行政能率から見ると問題にならぬ話である。そういう点を除去しよう、こういうことと、もう一つは、いまほうっておきますと、これは悪いことではございますけれども、各省において緩急順序というものをあまり検討しないままに大蔵省に持ち込む、こういうことになりがちであります。事実そういう傾向があるのです。この二つの問題をとらえまして、あるワクを設けたほうがよろしい、こういうふうに判断し、閣議にはかり、そういう趣旨を御説明すると、皆さんがそれはそうだとおっしゃるわけです。さようなことでやっておりますが、国政全体を広く見て、そうしてそこに緩急優先の序列を間違わしめない、これはもう八木さんのおっしゃるとおり、まことに大事なことであります。まあ二五%前の年よりふえるという要求なら、たいがいなものがそこへ包摂、カバーできるのですから、まあ二五%増という問題でそう批判されるところはないんじゃないか。お気持ちはわかりますけれども、これを変えるという考え方、それには賛成はいたしかねるような気持ちでございます。
#68
○八木(一)分科員 その二五%の方針を打ち出された御説明の趣旨は、私も政治家であります。財政のこともわからないわけではありませんから、わかりますけれども、それはほんとうに二義的、主義的の意味を持っていることだと思います。事務の簡素化ということは全般的に必要であります。全般に必要でありますけれども、国民の非常に大切な税金でばく大な金を配分されるときに、それが有効に、最も必要なところに早く行くという事務は、非常に大切な事務であります。事務の簡素化ということで、それに不十分な点があっては、これはほんとうに国民に対して申しわけがない。一般的に事務の簡素化といわれますけれども、主計局の予算編成の仕事は大事な仕事で、人員をふやす必要があるのにふやさないということのために何百億、何十億の予算が、ゆっくりしていいところに先に回ったり、先にやらなければならぬところに先に回らなかったらたいへんですから、財政の編成というものは非常に重大だという立場から、事務の簡素化ということは、これはむちゃくちゃに広げる必要はありませんけれども、これは三義的なことだというふうに思います。その次に各省が順位をつける。これはいいと思います。順位をつけるということであれば、各省で予算要求を二五%に抑えないで、その中で順位をつけてこられる。各省の順位は必ずしも内閣の順位でない。あるAの省が一から五まで全部大事なものがある。Aの省では五番目であっても、他の省のトップよりは先行順位にならなければならないものもあるわけです。それが各省別になったら、各省の立場もメンツもありますから、わが省の第一は必ず入れてくれ、ほかの省の三位なんかあとにしろということになりがちであります。そういうことじゃなしに、各省別にその順位をつけて、各省のたとい十番目であっても、それが内閣全体の十一番目になることもあるということでなければならないと思う。いまの方式はそういう点でブレーキがかかる。アクセントが落ちるおそれがある。大蔵大臣なり主計局の人が非常に熱意を持っておられますから、そういうアクセントは消えないように配慮はしておられるとは思いますけれども、しかし各省というのは一つの大きか省ですから、たとえば厚生省の五番目よりうちのほうの第一のほうがおそくなったら、メンツにかけても承知できないというような浪花節的なことをいう方もあってくると思う。またそういう状態もあると思う。それで閣議でも、ある省の五番目まで入れてある省の一番目の予算を取れないとなったら、その大臣はその省の中で無能大臣として評判が悪くなるし、ほんとうは国政全体としては控えてもよいと思っても立場上そういうことを主張されるということがあると思う。そういうことで、国政全体のアクセントを出すために、二五%、三〇%、五〇%の時代もありましたけれども、それを撤去していただきたいと思う。全体の予算のワクに押えるのは、これは財政を十二分に勘案してやっていただけばいいと思う。それから二〇%、二五%というのは、やはり各省の中でやるときに、各省の中にも各局があるのでやはりなにがあると思います。片方が二〇%要求して片方が一%だったら、その局は今度はその局長がメンツが立たないということになりますから、そういう制約をなしにして、必要だと確信を持つものを出す。そこで大蔵省の主計局が担当されるときに、大蔵省として、こんなものを非常にたくさん要求してくるのは不当じゃないかという論戦は十二分にやられていいと思いますけれども、そういうことでやっていただきたいと思います。非常に長年の慣習でありますから、非常に実力者である福田さんでも、これは主計局の主計局長から次長から主計官、なかなか若手ですけれども、またいまの方針がいいと思っている人はないと思うけれども、そういう人があったり、大蔵大臣がやる方向に抵抗する人があるかもしれぬ。しかしほんとうの国政の立場からいわれれば、それはりっぱな大蔵大臣の指導のもとでそんな抵抗をするような主計官は、主計官として不適任。そんな者はどんどん何か処置をなされて、断じてその方針を貫いていかれなければならない。日本の国政をほんとうに進めていく点で、いままでの陋習、と言ったら言い過ぎかもしれませんけれども、欠陥のある習慣を改めて、ほんとうの習慣でやっていくというふうに、ぜひその点を検討していただきたいと思う。大蔵省は要求する各省と違って立場が苦しいことはわかります。各省の大臣には分科会で全部言いますが、それを提起しないならば、それを主張できないならば、国務大臣の資格がない。全部辞職しろ、退職要求をする。これは分科会だから、これだけで終わるということじゃない。総括質問で社会党の大原君に、もしそれまでにそのような態度が見えなかったら、取り上げてもらう。社会党が取り上げなくても民社党も公明党も取り上げるかもしれないし、自由民主党の方も、ほんとうに国政が大事だと思えば同じく取り上げられるだろうと思う。そういう意味で、この予算審議の期間が終わるまでに、その問題が前向きにされるような方向をぜひ御努力を願いたい。各省大臣が出さなくても、福田さんが提起をされてもいいと思う。これはこういうことを言うけれども考えてみたらこういうほうがいい、ほかの国務大臣が出さなくても私は考えていい、そう思うなら閣議に提起する、それが一番りっぱだと思う。一番困難なところを、それを乗り越えてやるという態度が一番りっぱだと思う。そういうことで、ぜひ大蔵大臣はそういうことについて前向きに対処を急速にしていただきたいと思う。さらにそれを伺っておきたいと思います。
#69
○福田国務大臣 非常に御熱心な御意見ですが、私はあなたのお話そのままここで賛成だという気持ちにはなりません。ただあなたのおっしゃる国政に緩急の順序をつけなければならぬ、大事な仕事は幾ら金をつぎ込んでもやっていけ、こういう考え方そのものは大賛成です。ですから、かりに二五%というワクをはめておりましても、これは内閣全体で考えて、これはどうしてもやろうというならば増額査定、こういうこともあり得るわけです。しかしある程度のワクがありませんと、先ほど申し上げましたように非常に仕事が繁雑になる。また同時に各省ごとの緩急の順序の検討というものがおろそかになる。そういうようなことを考えてあるワクを置く必要はある。あなたの言われる御趣旨、その根本は私も賛成です。ですから、かりに要求は増ワク――それは制限はありますけれども、しかし国政全体から考えて、これは大事なことだから二五%をこえて差をつけなければならない、こういう場合もあっても当然しかるべきじゃないか、かように考えます。
#70
○八木(一)分科員 たいへん大蔵大臣の御答弁は不満でありますが、その趣旨は賛成だというふうに言われた点に、大蔵大臣の政治的な良心の一端を理解いたします。
 防戦する大蔵省ですから、私は、福田さんは、船後君がいたって辻君がいたって鳩山君がいたって、いいものだったらほんとうにやれと言う大蔵大臣であろうと思うけれども、しかし主計局は人間が大ぜいいますから、大臣そんなこと簡単に答弁してもらったら困るという暗々の圧力なり索制力なりあると思う。しかし福田さんは、そんな役所の抵抗なしに政治の本道でやっていくという気持ちを持っていただける人であろうと思う。要求するほうの各省の大臣のへっぴり腰はけしからぬ。各分科会で一人残らずこれからその問題でしばいてまいります。この次の総括までにそれに対する努力の態度ができなければ、その大臣は国務大臣としての資格はないとして退職を要求する必要があろうと考えております。ですから、各大臣がなまくらでなければ提起をしてもらいたい。そこで大蔵省は一つの省だけれども、隠然として持っている勢力を生かして、それから理屈に合わないことや変えなければならないことを変えないでがんばるようなことがあれば、これは大蔵大臣は国務大臣の資格がないということになろうと思います。そういう点で、ほんとうに前向きに対処をしていただきたいと思います。
 時間の関係がありますから次の点に移ります。そういうことのあおりを受けて、非常に国政が渋滞をしているわけであります。あと問題を二つ言いたいので、大急ぎでやります。例をたくさんあげたいけれども、この前一つあげたことを重ねて申し上げます。それについては大蔵省から連絡がありましたので、大蔵大臣にこの資料をお持ちになるように要求しておきましたけれども、この資料お持ちですか。国民年金法の一部を改正する法律案に対する附帯決議、別紙という、そこの一枚目の一番しまいのところに五というのがありますね。「拠出制年金加入前の障害についても障害年金の支給対象とすること。」という項目がございますね。その前のそれを制約している文章、それを推進している文章では、「時に左の具体的事項については、可及的すみやかに実現すべきである。」ということで、この項目があるわけです。この附帯決議は、五年間ぶっ続けについている。この前だけじゃないのです。ところが大蔵省でこれについての厚生省の予算要求がなかったと、こう言われる。これは船後君に、あったかなかったか、時間がないから、あったかなかったかだけ簡単にお答え願いたい。
#71
○船後政府委員 その点につきましての要求はございません。
#72
○八木(一)分科員 こういうことでございます。この問題は、この前提起しましたように、生まれつき目の全然見えない人、十歳で目が見えなくなった人、十八歳で目が見えなくなった人、二十二歳で目が見えなくなった人、二十五歳で目が見えなくなった人というのがありますね。気の毒な点については、一般の人間の理解を持ったら、十六歳で目が見えたくなった人のほうが二十二歳で目が見えなくなった人よりも、気の毒だということになろうと思います。特にねじけている人は、年をとってから目が見えなくなったら、点字や何か習うのはめんどうくさいし、そのほうが気の毒だというむちゃくちゃな議論をする人が、世の中に百万人に一人ぐらいありますけれども、大蔵大臣はそんなばかな議論はなさらないと思います。とにかく気の毒なことは、早くから全盲になった人が気の毒だ、少なくとも同じ程度以上に気の毒だということになります。
 ところが、いまの国民年令法では、二十歳になってから後に、一年間の保険料を納めた後にそういう一級障害になったときには、無拠出の金額の比較的に高い障害年金が支給されるということになっておるわけです。ところが十八歳なり十六歳でめくらになった人――めくらといっては気の毒ですが、視力障害、完全な一級障害になった人、あるいはその他の障害も同じですが、そういう人がどんなに年金を熱望し、年金制度に協力を誓っても、いまの法律では障害福祉年金というはるかに少ない年金しか支給にならない。しかもそれは所得制限の対象になっている。本人に幾ぶんの収入があったり家族に収入があったらそれは支給されない。これは非常に不均衡であることは、福田さんもすぐおわかりだと思います。
 ところがこれは、福田さんや船後君なりあるいは鳩山君――鳩山君はおられないけれども、それが出されたならば、これはよほど主計局がねじけた人でなければ、これはそうだ、その予算要求は認めましょうと、百のうち九十九まで言えることだと思うんです。言えないような主計官だったら、これはまた主計官の資格はない。それは船後さんも辻さんもよく聞いておいてもらいたい、そういうことなんです。それを、衆議院と参議院で四回も続けて、自民、社会、民社、公明――共産党の議員もいたこともありますが、満場一致で何回も決議をしても、予算要求も厚生省がしない、そこに問題があるわけです。というのは、その二五%に関係があるわけです。二五%押えられるから、自縄自縛でいくじなしの厚生省が、自分のほうで予算要求を押える。そうなれば、健康保険もあるし公害もあるし年金のほうも押えなければならぬ。当然やらなければならないことを、予算要求もしないということが起こるわけです。こういうところに、さっきの予算編成方針の欠陥があるわけです。こういうことをよくひとつ御理解をいただきたいと思う。欠陥を根本的に直さなければいけないけれども、こういうことについては附帯決議などというものは、主計局は各省全般のことを研究しておられるが、よく研究されて、こんな筋の通ったものを出してこないで、筋の通らない要求ばかりしているのはおかしいじゃないかというような意見を言うくらいのことがあってもしかるべきである。主計局というのは、予算を平均的にぶった切るだけが商売だと思ったら大間違いだ。いいものは予算要求を慫慂してもいいわけだ。こういうことなんです。ですから福田さん、御答弁聞かなくても、これは不当だということがおわかりだと思う。予算要求も出さぬような厚生省の役人のへっぴり腰、これは厚生省が一番いかぬが、へっぴり腰のもとは善意であったかもしれぬけれども、大蔵省の隠然たる権限と隠然たる勢力のために、憶病者の厚生省が要求を出さない。そういうことを取っ払ってもらわなければほんとうの国民のための政治ができない。
 そこでこの問題については、いま社会保障制度審議会に本日かかります。意見が出ましたときに、この問題について厚生省や厚生大臣にはこの間きびしく言っておきました。意見が出たことをたたき台として政府は原案を修正して出すのがあたりまえだ。大きな意見についてはもちろんだけれども、具体的にこれをやるということで直して出すのがあたりまえだ。それを直して出さなければ社会保障制度審議会の設置法第二条第二項違反で、政府案が確定して一つも動かせないということであれば、あらかじめ社会保障に対する企画、立法、運営の大綱をはからなければならないということの違反だ。違反でないことをするために、具体的に指摘されたことは、議案を直して提出をすべきだということを厚生大臣に昨日申しました。厚生大臣はそのことをするという意思表示をなさいました。そのときに当然大蔵省と相談があろうと思う。そのときに大蔵省は、いままでの厚生省の怠慢、へっぴり腰については前から言ってこないのはだめじゃないかという点の文句は言われてもけっこうだけれども、しかし、あやまちを正そうとする厚生省、正さなければならない法律に基づいた制度審議会の答申、そういうものについて大蔵省がもうきまったからそんなものは許せない、そんなことを言ったら大蔵省は違法になる、そういうことをやってはならない。これは一例だ。そういうことについて大蔵省は、いままで大蔵省の財政の二五%という方針によって、こういうひずみが出ておるという点をひとつ理解をされて、そのひずみを至急に直す。直すためにそういう法案を幾ぶんでも手直ししたいということになったら、それについて積極的に好意を持って協力をするということが必要だろうと思う。そのことに対する福田大蔵大臣の前向きの答弁を伺いたいと思う。
#73
○福田国務大臣 その具体的な案件、いきさつ、私はよく存じませんが、いずれそういう際に厚生大臣から相談があろうと思います。とくと相談をいたします。
#74
○八木(一)分科員 時間がないので、同和問題に移りたいと思います。
 同和対策については何回も御質問申し上げました。大蔵大臣は前向きに対処をするということを御答弁になっておられるわけです。しかしながら、ことしの予算の編成、予算の決定では、この予算は前からの大蔵大臣も少し関係があるかもしれないけれども、大蔵省としては同対審の答申を完全実施をするという政府の固い約束、それに背反した態度をとっておるといわざるを得ないわけです。同和予算全体について大体二〇何%くらいの増大を示しているようでございますが、このことについては、前からの岸内閣以来の政府と国会を通じての国民の約束で、非常に総合的にしなければならないから、審議会を置いてそこで十二分に検討して、一生懸命出したものについてはそれに従って、ここで飛躍的に予算を増大して、完全に問題を解決するためにそこから急速に大幅にスタートをする、そのことについて予算の制約はさせないということが昭和三十三年以来国会を通じての国民の約束になっておる。それについてことしの各省の予算要求がはなはだ少ないことは、各省の非常な怠慢、非常な怠慢でありますが、その少ない予算を大蔵省が査定をしておる、それを値切っておられるということは、これは私どもは許しがたいことだと思う。政府が国民に約束したことをほんとうに実行しておらない。この問題について例を申し上げますれば、ほんとうにいまのような予算ではなしに、けたがうんと違ったものを出してこなければならない。それを大蔵省が積極的に全部そのとおり賛成されて予算が編成されなければならないのに、いまのほんとうに問題にならないような予算要求を、たとえほかよりも査定率は少ないとおっしゃっても、ただの一文でも値切られることは、これは政府の公約に反すると思うわけです。そういうことをぜひ改めていただかなければならないし、そういうことによってごくわずかの予算しか出なかったことについては、今後財政上のあらゆる点で、たとえば、予備費を使うなり、補正予算の機会なりに、そういうあらゆる点で対処をして、本年度の誤りを正すとともに、明年度においてはそのような誤りは一切やらないという点についての福田大蔵大臣の前向きな、政府の公約に従った御答弁をいただきたい。
#75
○福田大蔵大臣 佐藤内閣は総理大臣が非常に同和問題に熱心であります。それでありますから、そのとっている施策も前進しつつあるわけでございますが、予算の問題で、第一に、八木さんが、厚生省から持ってきたのは一万円も動かしちゃ困るのだ、こういうお話、これはそういうわけにはまいりません。いろいろな経費のバランスを見まして、そうしてその数字が動くということはあり得る。しかしこの問題は非常に重要な問題である。いま法律案につきまして四党と相談をしております。それともずいぶん関連を持ってくるわけでありますが、その法律案等を見まして前向きで今後とも善処していく、こういう考えでございます。
#76
○八木(一)分科員 実はことし、予算要求が、政府の資料によりましたら要求額が百四億あって、大蔵省査定額が七十五億、その中に建設省の同和対策であるか、ほかの一般の住宅対策であるか、わけのわからないものが込めてありますから、はっきりとしたものは約五十億ぐらい減るわけであります、要求のほうも査定のほうも。はっきり同和対策というところまでは二十六億ということになる。そういうようなことでありまして、この予算は大阪府、市の出している予算の三分の一から四分の一ぐらいです。地方自治体が苦しい中から、これを大事なこととして一生懸命対処しているのに対して、同和問題に取っ組むと称した岸内閣が、昭和三十二年十一月から同和対策に取り組むという決定をしておりますが、それから十数年たち、同対審ができたときに、府、市の三分の一、四分の一の予算、そんなことではほんとうに話にならぬと思う。しかもこれは、出さないのが悪いと言われるかもしれないけれども、出してきたその問題において予算を削減するということは、それは大蔵省も各省と同様、いやより以上に政府の約束をほんとうはやらない、国民の要望にほんとうにこたえないのだということを事実をもって示していることになる。ほんとうに福田さんが言われるように内閣がやるつもりなら、また内閣の方針に従って財政的に大蔵省が対処される気があったら、これはどうあってもびた一文も削減をしたら、その精神を逸脱をし、公約に違反したといわざるを得ない。これが猛烈にたくさん――われわれはたくさんとは思いませんが、たとえば十兆の要求が出た、それを五兆に削減したというのなら、これは話はわかります。十兆の要求があって五兆に削減したというのなら、国家財政全体のワクからわかりますが、こんなちっぽけな百億円の要求を予算のワクからいっても二十五億円削減している。本筋の予算からいえば四十億の要求を二十六億に削減しているということになる。削減率もそんなに少ないものではない。ずいぶん削減をしている。これだけの十何年間の公約を実行するときに、あの百四億の予算をあっさり削減している。あとで財政調整のために何百億かおあげになったでしょう。ああいう団体の要求にこたえるためにそんな余裕があったのです。ですから今後これが何兆円ということになれば別ですが、来年度はもっともっとふやした要求をしなければなりませんけれども、少なくともこの要求が政府財政の予想を越えた猛烈な金額にならない限りは、一切削減をしないという方針でやっていただかなければ公約どおりやっていただいたということにならないと思う。大蔵大臣はこの前から経験はおありになりますが、昨年の暮れに再び就任なさったわけでございますから、前の大臣にも責任があると思います。しかしこれから続けて大蔵大臣に相当な期間すわられる。来年こういうようなことがあったならば大蔵大臣は相当よく――こういうことをやろうとするときには自分が国民の指弾を受けて政治家としての生命をなくすような覚悟でやっていただきたい。そんなことであってはならないと思う。そうではなしに前向きに、どんなに無理解な連中がいても、どんなにわけのわからない、たとえば有能であっても、北海道出身の主計官がそんなもの要らぬ、そんなもの削減だと言ったら、そんな者断じて職場を転換さして、断固としてびた一文も削減をさせないという方針でやっていただかなければならない。そしてことしの残念ながら誤りをおかしたことについては、あらゆる点で、補正なり予備費を使うなりそういうことでこの少ない点をできる限りカバーするということについて、全力を尽くして政府の公約を果たすためにやっていただきたいと思います。ぜひ大蔵大臣の前向きの御決意を伺っておきたいと思います。
#77
○福田国務大臣 各省から出てきた要求を少しも動かしては困る、こういうことにつきましては、これは賛成いたしかねます。しかし同和問題、これは大事な問題とよく承知していますから、前向きで取り組みます。
#78
○八木(一)分科員 いま各省からというのは、さっきの社会保障との問題の関連であれば、これは別の問題で、同和問題だけです。同和問題の中で各省の出してきた問題ですね。何かの問題を解決しようというときに、たとえば就職対策でこういうものとこういう予算をつけてもらいたいというときに、大蔵省の考え方で、同じ目的を果たすためにこれのほうがより有効で、これのほうがより政策的にいいという御意見があったときに、そのやり方を変えることを各省と協議されることは、これは主計局や大蔵省の大事な任務ですから、それはけっこうです。ただ、そのやり方を変えたとしても、変えることによって予算を減らすということは、この問題の性質上公約を果たしたことにならない。もっとふやしてやろう、各省から出てきたら、出方が少なかったら、内閣の方針はもっとやるのにおまえさんたちのところの準備が足らなくてこんなことではおかしいじゃないか、もっと出したらどうだというような態度をぜひやっていただきたいし、項目を変えるときも、金額を減らすために変えるのではなしに、より有効な方法で、たとえば就職対策をやるときに意見を出された、そして話がまとまったら項目が変わっている、そのときにそれをより有効にやるために、そのとき予算を動かしておられても、減らすというのじゃなしに、むしろふやすという方向で動かすということは当然大蔵省がやっていただいてしかるべきだと思います。そういう点では前向きに対処してというようなことを、ぜひもう一回答弁してください。
#79
○福田国務大臣 どうも御返事が同じになりますが、各省から出てきた要求の審査ですね、これを十分することが大蔵省の任務なんです。その審査した結果、ふえることもありましょう、また減ることもありましょう。変動はあり得るのです。しかし基本方針として同和対策は、あなたは熱心に長年やっておられますが、その考え方、これには佐藤内閣は非常に深い理解を持っておるわけです。したがいましてこの予算の取り組み方につきましても前向き、積極的にやっていきたい、かように考えております。
#80
○八木(一)分科員 私の申し上げたことと、ことばでちょっとニュアンスが違うけれども、私の申し上げたことの精神でやっていただけると私は理解をいたしたいと思います。もしそれが違うのだったらまた議論をしなければならないので、委員長、ひとつ重大な問題でありますから、ほかの委員の方もおられるけれども、もう少し時間を延ばしていただきたいと思います。そういうように理解さしていただきたいと思います。特に首を縦に少し振っておられましたし、横に振っておられませんので、そういうように理解をいたします。あとから笑って肩をもみほぐされたことは、これは審議と関係がありませんので、前の縦に振られたことが審議と関係がありますことを確認いたしておきます。
 その次に、いま同和対策特別措置法の問題で、四党で話を前向きにいたしておりまして、かなり協議が煮詰まってきております。またこの前、総理大臣のお約束で、四党の協議がまとまらない場合にも総理府の責任で提出をされると約束された。そのときにいろいろの内容について、もう御相談が済んでしまっておるかもしれませんけれども、大蔵省に、こういう方法でやるからという御連絡がある場合もあると思います。そのときには大蔵省自体が、この理由はさんざん申し上げましたから福田さんも各政務次官も政府委員も御存じだと思いますが、同和問題の完全解決のための精神で、地方が超過負担がなくてどんどん進められるように積極的に前向きに御協力を願って、さらにその点について、こういう法案だったらそれではまだ少ないじゃないか、これをもっとよくして、もっと内閣の公約どおりいけるようにしようじゃないか、そういうような意味で、法律についての御相談があったときに対処をしていただきたいと思う。そういうことについての大蔵大臣の前向きの御決意をひとつ伺っておきたい。
#81
○福田国務大臣 まだ、四党の話し合いのまとまりですね、それにつきましては話を聞いておりません。おりませんが、この四党の話し合いに対する当省の意見を求められれば率直に述べるつもりです。四党がきめられることでございますから、おきめになりますれば、その決定に従っていくほかはない、かように考えます。それで、この四党の話し合いがそもそもできるときに、私は自由民主党の幹事長といたしましてこれに関与もしておりますので、政府のほうで単独で立案するということにならないで、四党協定がまとまるようにということを念願しております。八木さん、有力なる推進者でございますから、ひとつ御協力のほどをお願いいたします。
#82
○八木(一)分科員 いまの御答弁、八分どおりけっこうでございますが、率直に意見を申し上げますということは、これはこの問題をほんとうに解決するために福田さん――ちょっと時間を延ばしてください。この問題を解決するために前向きな点で率直な有力な御意見を出されるというふうに理解をいたしておきたいと思います。それから、少なくとも四党でまとまった、あるいは総理府でこうやりたいということについては、それをもちろんそのとおり賛成をなさると同時に、それを具体的にもっとよりよくするためには、ひとつよりよいほうの意見を出していただきたい。ブレーキをかけるようなことはないというふうに要請をしておきたいと思います。首を縦に振られましたので、お約束をされました。これで終わります。
#83
○楢崎主査代理 それでは午前中の審議はこれで終わりまして、午後の分科会は本会議散会後直ちに再開することとし、これにて休憩いたします。
   午後零時八分休憩
     ――――◇―――――
   午後三時十二分開議
#84
○足立主査 休憩前に引き続き会議を開きます。
 大蔵省所管について質疑を続行いたします。堀昌雄君。
#85
○堀分科員 大蔵大臣にたいへん初歩的なことを伺って恐縮ですが、大蔵大臣は、金融というのは一体どのくらいの範囲をもって金融というふうにお考えになっておるか、ちょっと金融の範囲を最初に一ぺんお答えいただきたいと思うのです。
#86
○福田国務大臣 金融の範囲いかんということですと、非常に幅が広いですが、いわゆる直接金融あり、間接金融あり、それを全部ひっくるめての意味もあります。それから狭義にこれを言うときには、直接金融を除外しましたいわゆる間接金融ということをさして言うようでありますが、これは大蔵省の立場からいえば、直接間接を問わず全部金の流れ、こういうことであります。
#87
○堀分科員 おっしゃるとおり、金融ということばの中には確かに、きわめて狭義に間接金融だけをさす場合と、直接金融を含めた金融ということばがあると思います。
 そこで、私は現在の金融の問題という中では、ポリシーミックスというような段階に来ておりますし、さらに経済は国際的な関連も出てまいっておりますから、国内の金融だけではなくて、国内金融はまた国際的な金融の影響も受ける。こういう点では、私は現代の金融というものは、理解のしかたは狭義に理解し得るものとしても、狭義の金融そのものもそれだけでは独立できないで、広義の金融の中での部分として機能しておる、こういう性格のものだと思いますが、いかがでございましょうか。
#88
○福田国務大臣 そういうように思います。つまり金融というものはその機能のしかたによりましては、直接金融、間接金融、また金融の主体となるものがだれであるかというのに従って財政までもそこに入ってくる。パブリックファイナンスですね。これも金融、つまりファイナンス、そこまで行くわけで、非常に広めていきますと、経済機構全体のからくりの全部にわたるようなことのようであります。
#89
○堀分科員 そこで、実は大蔵省に金融制度調査会というのが設けられておりますが、これは実は銀行局という一つの局の内部における諮問機関のようなかっこうになっておると思うのです。いまのお話のように、私は現在の金融というものを考えますときに、大蔵省に所管のある局ですね、原局でこれに関係のあるものは、いまのお話のようなパブリックファイナンスということからいいますと、これは主計局ももちろん入るのでありますが、そのほか少し具体的に関係のある局は、御承知のように理財局は国債、政保債を発行し、あるいは資金運用部資金を扱っておるということで、これは当然入ってまいらなければなりませんし、銀行局は、これはいまの間接金融の直接的な部分を扱っておるわけでありますから、これも当然そうでございます。それから今度は、公社債なり資本市場の関係というのは、これはやはり長期金融という関係では当然入ってまいるわけでございますから、証券局がこれまた金融としては当然入ってまいりますし、さっき申し上げた国際金融にも、要するに国際的な金融の問題というものもあるわけですから、金融制度という問題を議論をするときには、これは当然そういう各局おのおのの立場から総合的に問題を処理しなければならぬ、こういう性格になってくるのではないのか、こう考えますけれども、その点、大臣いかがでございましょうか。
#90
○福田国務大臣 理屈の上からはそういうふうに考えます。ただ大蔵省では審議会、調査会が各局にある。こういうような関係上、金融制度調査会は銀行局が主になる、こういう傾向は持ちますが、私、大臣といたしましては、銀行局の立場からだけでこれを見てはおりません。省全体、国の財務を統括するという立場から見ておる次第であります。
#91
○堀分科員 大臣のお立場はそうですが、現実の姿を見ておりますと、やはり原局に関係のある部分がどうしても比重が高くなる。そこで、現在金融制度調査会という名前はついておりますけれども、私の感じは、金融機関制度調査会というならちょうどいいのじゃないかという感じがしてしかたがないのです。金融制度というのは、金融機関の制度ではなくて、やはり金融の制度でありますから、当然それはもっと広義なものの形で実は発想がなければならないわけですが、見ておりますと、やや狭義な金融機関サイドからものを見る、あるいは金融機関サイドでものを見よう、こういうような発想が、実はいまの金融制度調査会では非常にこれが色がこいと思うのです。いまちょっとお触れになりましたけれども、そういう意味で主計局は財政制度審議会、主税局は税制調査会、それから銀行局は金融制度調査会、それから証券局は証取審議会、各局一つずつ自分のところの審議会なり調査会を持って、そうして自分がストレートに言わないときはここを経由して、ここまでと、PRして、それを巧みに大蔵省は受けましたというような、まことに微に入り細にわたった、なかなかうまい演出効果があるわけですが、私に言わせると、そういうことになっておることのもとには、やはり大蔵省のセクト主義ですね、各局セクト主義というものがややもすると出やすい傾向がある。ですから金融制度調査会で、こっちで何かやっていると、今度はそれに対してやや牽制的に証取審議会でものをやってみたり、今度は財政制度審議会で何かやると、それに対しては税制調査会で別の意見を出してみたりという、ややそれはセクトができるのはある程度やむを得ませんけれども、もう少し福田さんのようなベテランの大蔵省出身の大臣がおられるときに――この間金融機関の合併・転換法というのをやりまして、金融機関相互間の垣根を低くしようということを大いにやったわけですね。大蔵省も少し各局の垣根を低くして、いまのセクトをもう少し取り払うということが私はきわめて重要じゃないかと思うのですが、大臣どうでしょうか。
#92
○福田国務大臣 たいへん大事な御注意と思って、そのような心持ちで今後の省の運営に当たっていきたいと思います。
#93
○堀分科員 ですから、私はいまの金融制度調査会の問題も、すなおに考えますと、非常に幅の広いものですから、金融機関制度調査会は銀行局でいいけれども、金融制度調査会というものは当然官房に置かれないと、全体のバランス上ちょっと総括的になりにくいという感じがいたしますので、ことばのことはどうでもいいですが、いまの金融制度調査会を大臣のおっしゃるように運営するというかまえをまず第一点に考えていただきたい。それでないと、どうもとかく見ておりますと、金融機関のことが中心になり過ぎておる。これを私は第一点としてはっきり申し上げておきたいということです。
 それから第二点は、いまいろいろ議論になっております中に、効率的な競争をやるということが出てきておるわけですね。私も実は長年にわたって大蔵委員会で、社会党ではありますけれども、競争原理を尊重するというたてまえなんです。私は、競争原理がないところには将来に対する発展なり、そういうものに対するインセンティブを欠いていきますから、どうしても、経済体制のいかんを問わず、そういう競争原理が生きるような体制がいまの人類社会では必要なんじゃないかという気持ちを持っておるわけなんでございますけれども、いろいろやってきて、今度澄田さんが局長になられて、この競争原理を効率化しようという努力をされておることについては非常に敬意を表しておるわけです。その点はいいのですが、ただ問題になりますのは、都市銀行とそれからたとえば地方銀行、信用金庫のようなものとを同一の場で競争させようという発想が、どうも私は都市銀行側にあるような気がしてしかたがないわけです。しかしいまの日本経済を見ておりますと、この金融制度の問題をやりますときに、国際化時代だからひとつ安い金利の良質の金融をやろうではないかということが片方に一つあったと思います。しかし同時に、今日過密過疎という問題が非常にはっきり出てきまして、その格差が、過密過疎で地方と大都市の間がどんどん広がることが将来の日本のためにいいかというと、そうではありません。やはりバランスのとれた発展をさせることが当然必要なことは、これは大蔵大臣よくお考えになっておると思います。そうすると、過疎地帯といいますか、そういうところの発展をになうのは、そういう地域における地方銀行、信用金庫ではないのか。これらにはそういう地方的な責任、公共的な責任が課せられておって、みだりにただ競争で自分たちだけが大きくなったり、もうけたりしたらいいということにはならない。ですから、そこにおのずから都市銀行と信用金庫や地方銀行との間には、基本的な性格の相違を認めていかないと日本経済の発展に対して問題が生ずる、こう考えますけれども、大蔵大臣いかがですか。
#94
○福田国務大臣 全くそのとおりのように思います。地域性において差別がある。それからまた地域ばかりじゃありません、その資金を提供する目的に従いましても、機関としての差別もある。そういうのは銀行の種類に従いまして、任務達成のために全力が傾注し得るように配意していかなければならぬわけです。しかし、そういう配意をしておるもとにおいての自由競争、競争原理、そういうことでなければいかぬ、かように思います。
#95
○堀分科員 私の考えと大臣御一緒なので、私も非常にけっこうだと思います。そこで、そうなりましたときには、都市銀行はある程度コマーシャルベースに徹していかなければなりませんし、これは要するに国際資本との競争のための大企業に対する資金を提供しておるわけでありますから、少なくとも都市銀行については――もちろんみなそうでありますけれども、特に都市銀行については、安い金利の資金をできるだけ潤沢に供給ができるということがきわめて重要な要件になってくる。そのためには都市銀行には店舗のリプレースを認めるとか、いろいろな方法によってそういう預金を集めやすい条件を考えるということが私は必要だと思うのです。その点やはり都市銀行は、どちらかといえばそういうことによって安い金利の資金を供給することが必要だとは思いますが、その点はいかがでございましょうか。
#96
○福田国務大臣 その点も全く同感でございます。
#97
○堀分科員 今度は地方銀行、信用金庫の立場になりますと、これは過疎地帯――過疎地帯でなくても、そういう大都市地帯でなければ、どちらかというと大企業が少なくて中小企業が大体その域地における産業基盤になっておる、こう考えるわけであります。ところが日本では、御承知のように大企業には比較的安い金利の資金が行きますけれども、中小企業はどちらかというと、大企業に比べて高い金利の資金を使わざるを得ないという資金上の問題がこれまでもあって、現在もあるわけです。ですから地方にもできるだけ、そういう信用金庫や地方銀行の能力の範囲ではありますが、能力の範囲において、ほかからの要素によって金利が高くなるようなことが起きないような方法を私は金融全般に講ずべきであると考えますが、この点はいかがでありますか。
#98
○福田国務大臣 これは中小企業金融の本質問題にくる問題ですが、私は中小企業金融は、お話しのように、まかしておくと大企業よりは条件の悪い金融を受けざるを得ない、こういうことになっていると思うのです。これは経済原理から自然にそうなると思うのです。そこで政府がいろいろ意を用いなければならぬ問題が起きてくると思うのです。それで中小企業に対して、中小企業金融三機関といわれるような低利、安定資金を出す。またそれだけでも足らぬというので、さらに濃密な政府金融を考える。近代化資金とかなんとかいろいろな制度が考えられておりますが、そういう措置で補っている。これが現状ではないかと思いますが、私はいまの大企業と中小企業に対する金融のやり方、仕組みを改善し、合理化していけば、大体バランスのとれた結果が出てくるのではないか、そんなふうにいま見ております。
#99
○堀分科員 いま三機関のことをおっしゃったので、ちょっと横道にそれますが、三機関というのは本来、法律にも書いてございますけれども、民間金融機関の要するに補完的な役割りをしろということになっているわけですね。私は、こういう公共的な機関の性格として、こういう発想を持っておるわけです。民間金融機関は、リスクがあってもなお要するに信用保証などをつけて貸しておりますね。ところが政府の機関は、ややもしますと、これは国の金だから、回収が不可能になるようなところには貸したくないということになりますと、民間金融機関が本来貸したくないようなところには一切いかないということになって、ややいいようなところにばかり貸して、そしてこげつきませんということが何かいいように感じられておるような気がしてならないのです。しかし私は逆でして、公的なところはある程度リスクがあっても貸して、もしこげついてもこれはしかたがない。それはこげつかすのが目的じゃありませんよ。しかしこげついてもしかたがない。要するに片方の責任で、どうもむずかしいようなところを補完するのがたてまえでなければいかぬと思うのですが、実際はどうもそうなっていないのですね。これは大臣、やはり指導理念としては、要するにこげつかないことをもって誇りとするようなことでは、私は政府三機閥はそれが満点な姿ではないと思うのですね。だから多少はそういうことが起きても、なおかつ民間金融機関が、政府金融機関は自分たちの補完としてよくやってくれておるという気持ちになり、同時に中小企業なり零細側が、三機関のおかげでしたということになるようなものの考え方をはっきり確立していただかないと、三機関と民間が一緒に競争して、いいところを取り合っているというのは私はナンセンスだと思いますが、その点一言……。
#100
○福田国務大臣 考え方は堀さんのおっしゃるとおりだと思います。それから実際も、堀さんがおっしゃるような考え方が逆になってしまうというような行き方にはなっておらないのじゃないか。やっぱり三機関のほうは赤字会社の救済であってはならないと思います。しかし立ち上がりとか、立ち直りとか、そういうための金融、こういうものにはかなり貢献をしておる、こういうふうに思いますが、なお政府機関としての使命に徹すべく努力してもらいたいと注意をいたします。
#101
○堀分科員 そこで、私はいまここまで話を進めてまいりましたのは、実は最近都市銀行のほうから問題が出されております中に、CDという譲渡可能の定期預金証書、これをひとつ取り入れたらどうか、これが一つ。あるいは二、三年ものの定期を新設したらどうか、この二つの問題が出ておる。これは都銀というところが公式にお出しになっておるから大蔵省も御承知だと思います。まずCDという問題は、これはやや問題があろうかと思います。私はいろいろと証券界の皆さんなんかと折衝する機会もありまして聞いておりますと、最近大企業が社債なんかを出しまして手元に資金が入りますね。社債を出したからといって、それをすぐ使いません。計画に基づいてお使いになる。手元に資金がある。これまでですと銀行に一時通知預金か何かになっただろうと思いますが、最近は債券類を短期に持っておられて銀行に預けないということが起きているらしいですね。そこで銀行側としては、せっかく社債を発行して資金が入っているのだから、その資金でひとつ預金してもらえばこれは銀行もたいへんけっこうだからというのだけれども、預金はしてもらえないから、これをいまのCDで吸い上げたい、こういうような発想のようです。しかし、どうも聞いていますと、事業会社側は銀行に預金をしますと、引き出すときに、そう引き出さずに置いておいてくださいと言われると、いろいろな関係があって引き出しにくい。せっかく流動性を持ちたいにもかかわらず流動性が持てない。こういうことのためにいまの流動性にかわる債券類を持つ。これはいつでも売れて拘束がない。こういうことが現実に行なわれておるんですね。だから私はこのCDの発想というものの一つは、銀行がもっと事業会社の立場になって、要するに預金というものは出し入れは御自由ですということになっておれば――そうならないところにやっぱりちょっと銀行側に問題があるところに、さらにまたそれをCDで拘束しようということでは、金融サイド、銀行側が少し行き過ぎではないか。銀行というのは事業会社に対するサービスの機関であり、国民に対する預金を預かるサービスの機関であって、金融機関が営業としてともかくもうければいいのだというような発想が土台になったのでは、私は金融機関というものは問題があると思うのですが、大臣いかがですか。
#102
○澄田政府委員 CDの技術的な問題等もございますので、ちょっと私からお答えいたします。
 CDにつきましては、いまお話しのように企業の余裕金をCDという形で拘束するというようなものであってはCDという性格は全くないのじゃないか。御承知の、申すまでもなく譲渡可能の定期預金にしよう、こういうわけでございますから、譲渡可能でなければならぬということは流動化ができなければならない、そういうものでなければ導入の意味もない、こういう問題だろうと思います。私たちそういう点を含めてこの問題は検討しなければならぬ、さように考えております。
#103
○堀分科員 そこで、いま譲渡可能という話を強調されましたが、アメリカならば第二市場というのがあって、市場でオープンに売買できるわけです。日本には市場がないから、譲渡可能といってもどこにも売るところがないのです。その銀行に買い取らせる以外に買い取りようがないということでは、譲渡可能ということは成り立たない。対銀行と相対的に売れないものはだめだ、こうなるわけですから。もちろんそういう点も問題がありますから、これはにわかに行ない得ない条件だと思っておりますが、これはあまりほかに影響しない、地方には影響しないのですが、非常に影響するのはいま二、三年ものの定期の発想だと思います。実は現在一般預金の中に占める定期預金の比率は、都市銀行が大体四〇%内外だろうと思います。それから信用金庫にいきますと八〇%くらい定期預金を持っているわけです。地方銀行はその中間でたしか五〇%少し上でしたか、くらいだと思うが、そうなりますと、同じように定期を三年なら三年ものにしますと金利は上がりますね。ところが定期の多いところほどたくさん――三年もの定期が八〇%あれば、同じようにみな自分のところの定期の中の一割ずつが三年ものに振りかわったとしましても、八〇%は八%にかわる、四〇%のところは四%しか振りかわらないということになりますから、要するに定期比率の高いところほどいまの金利が高くなってしまう、支払い金利が高くなる。支払い金利が高くなればそれだけ貸し出し金利も高くなる。だからどうしても都市銀行が貸し出しをするのに資金が足りなくて困るというならともかく、現在はコロガシで一二%ですね。それから証書貸し付け一二%。都市銀行二四%くらいがやや中期の金融をしておるわけですから、四〇%の定期預金があれば現在のコンピューターを使って底だまりの計算なんかは正確にできるようになりますから、これもにわかにそういうことは必要なくて、これを導入することによって都市銀行の金利は高なる。しかしもっと地方銀行や信用金庫が高くなる。そうするとさっき私が申し上げたように、地方の中小企業金融をやるのに、そういう制度を導入したばかりに高い金利が出てくる。銀行局の側としては、中小企業に少し長期の資金を供給するということも必要だとおっしゃっておりますが、八〇%も底だまりがあれば、これをかなり中期に運用する方法は私は幾らでもあると思う。私は私なりの発想も持っておるし、銀行局の皆さんにも申し上げておるわけですが、きょうは分科会で時間がありませんから触れませんけれども……。ですからこの問題も、いまこいだけ定期預金があるときには、にわかにこれもいますぐ導入をしなければならぬという問題にならないのではないか。要するに、いわれておるように、都市銀行がそれをつくったから自分のところだけが預金がふえるように思うのは大間違いで、これはそういう定期預金を持っておる全金融機関の中で起こることですけれども、それをつくったから都市銀行の預金がふえるとは思わない。実は昭和三十三年と四十三年で比較しますと、都市銀行の場合には全預金者の中に占める個人の割合というのは三〇%くらいで、同じです。定期の比率は、私の資料で見ると四四から五四に一〇%上がっておる。定期預金比率は上がっておりますから、全体がそうやって定期比率は上がりつつあるわけで、都市銀行だけがそれでもうかるということにならないと思いますので、ここらはやはり現状から見たら、いまのCDをあわせて、これは慎重な検討を必要とする性格のものだろう、こう考えておるのです。前段で申し上げましたような貸し出し金利を高くしないという意味からそう考えておりますが、大臣いかがでございましょうか。
#104
○福田国務大臣 CDであるとか、あるいは二、三年ものの定期だとか、いまちょっとかなり活発な議論が展開されようとしておるところなんです。いま堀さんが利害得失の荒筋をお話しがありましたが、これはお話しのとおり利害得失いろいろの面があります。そういう面を十分検討しなければならぬというふうに考えておりまして、金融制度調査会なんかはいい場であろうと思われるので、この辺で十分議論を戦わしてもらった上で、また御意見を承らせていただく、かように考えております。
#105
○堀分科員 それでわかりました。大臣のおっしゃることで私もけっこうだと思います。ただ金融制度の問題を論じますときに、いまのような基本的なところ、柱がどこかへ行ってしまうと困る。だから都市銀行の場合には、国際競争力のためには安い良質の金利をやるということ、また地方銀行、信用金庫という地域のものは、地域開発なり中小企業対策なり、そういう任務があるという本来的な柱をかなり明確にしてやっていただいておらないと、いつの間にかだんだん小さいところの議論をやっていきますと、肝心なところが、森に入って森を見ずということになりまして、だんだん本来のところと離れてくるということがとかく起こりやすいので、私は、本日時間のない中で、特にこの問題を取り上げてお話をしておりますのは、そういう問題です。
 それで最後に、ちょっと時間が不十分なんですけれども、もう一つの問題として、預金保険という問題が実はかなりクローズアップされてきました。ところが、この預金保険は御承知のように、すでにこの前、預金保障基金法案というのが、第二十六回国会に提案をされて、審議をされないままに継続審議になり、引き続き二十七回国会継続審議、二十八回国会審議未了、廃案という経過が実はあるのです。私は、これに類似をした発想のものをお出しになることについては反対なんです。大蔵委員会というのは、やはり一つの継続的な性格を持っておりますから、これにすでに三回の国会、引き続き審議もされないで廃案にしたというふうな法案は、私、いま商工委員会におりますけれども、やがてまた古巣の大蔵委員会に帰りますから、そういう継続して廃案にした法案というのは、大蔵委員会としてはもうだめですということを言った法案ですから、一事不再議ではないけれども、出されてきても、これは実はだめなんです。
 だめな理由を簡単に申し上げますと、都市銀行というのは、預貸率一〇〇%をこえていて、本来つぶれておらなければならない銀行がたくさんあるのです、普通の常識で言えば。ところが、日本銀行が金を貸してつぶさないだけのことです。片方に日本銀行がついていてつぶれない銀行を置いておきながら、信用金庫や相互銀行や地方銀行なうつぶしますよ。そんなばかな片手落ちなことは日本の世の中でやるべきでない、こう思っておるのです。大蔵大臣、どうでしょうか。あなたも、免許をして、監督権を持っていらっしゃって、銀行をほんとうにつぶすぞ、競争をさせた結果、倒れた敗者は退くべきだ、つぶすぞ、ということをここでおっしゃるわけにいかぬでしょう。どうです。
#106
○福田国務大臣 それはなかかなむずかしい問題でありまして、大蔵省は、金融機関をいやしくも監督しておるわけです。その監督しておる金融機関が預金について保険をかける、こういうのですから、考え方によると、まっ正面から矛盾しておるような行為をするわけなんです。しかし、そこにまた預金保険というものを導入しなければならぬというようなすき間というか、それもないわけではないと思います。つまり、監督とは言うけれども、これは国家管理じゃないんで、これはまあ上っつらというか、上っつらと言ったら語弊がありますが、そうとことんまで管理命令をしょっちゅうやっているわけじゃない。また、ぐるぐると年じゅう回って歩いているわけでもない。そういうようなことで、すき間があるわけなんですね。そういうことから、預金者に不測の損害を与えるというような事態がないかどうか、こういう問題なんです。どうも、観念上から言うと、矛盾したことをやるようなかっこうなんですが、また、実際問題とすると、そういう一面もある。そこで、これはなかなか理論的にも実際的にもむずかしい問題ですが、これも時の話題となってきておるのです。慎重に議論を尽くしてみたい、かように思います。
#107
○堀分科員 これで終わりますが、実は、いますき間があるとおっしゃったのは、私は、むちゃくちゃな競争をさせれば何が起こるかわかりませんが、そんな競争を金融機関にさせちゃいけないと思うのです、さっき申し上げたように。それは、競争は必要ですけれども、しかし、地方銀行や信用金庫がばたばた倒れるような競争をさせてはならぬことは当然なんです。そこには、おのずから節度のある競争、その節度ある競争の結果、じりじりと悪くなるのは、これはもう検査権があったらわかるわけで、それでぽこっと引っかかるのは、導入預金のような、フェアでないことをやった分は、これはしようがない。しかし、そんなものは預金保険で見るべき性格のものではなくて、そんなところに金を入れさせないようにしなければいけないわけですから、そこで、私は、導入預金のために預金保険をつくるなんということは大体筋でないと思う。競争原理の結果脱落するもののためにやりたいというならば、私は、免許をしておいて、監督をしておればできることで、もう一年に二回検査をすれば、これはおかしいなと思うところは、少し緻密にやればいいのでして、もうわかることですから、私はそれよりも、考え方としては、たとえば信用金庫や相互銀行が相互保証協定的なものをやっておるのを、これをオーソライズして、仲間同士で守り合って、事故が起きても心配のないような考え方をとらせるという誘導方法が――やはり何でも国や何かが前へ出ていって、ちゃんとお仕着せでこれをのめというんじゃなくて、やはり民間の自主的な発想で、しかし、補完する部分は補完をして、そうして、きちんとしたもので処置するというようなことのほうが私は望ましい姿ではないか、こう思いますが、いかがでございましょうか。
#108
○福田国務大臣 よく承って検討いたします。
#109
○堀分科員 終わります。
#110
○足立主査 帆足計君。――帆足君に申し上げますが、あなたの御要求になりました労働基準局長あるいはその代理者は、突然のことで、ただいま石神井で会議中だそうであります。急いで帰りましても、あなたの質問時間中に間に合うかどうか危ぶまれるそうでありますが、帰ってくるそうでありますから……。
#111
○帆足分科員 あとで要旨を申し上げますから、あとで御答弁願います。
#112
○足立主査 そのことを御承知の上で御発言願います。
 帆足君。
#113
○帆足分科員 私は、ただいま物価対策委員長をつとめておりますので、実は、インフレーションのことを非常に心配しておりまして、このまま推移いたしますと、五カ年後には、昭和四十年を基準として一五〇をはるかに越すのではないか、そうなれば容易ならざる事態であろう。いずれこのことにつきましては、委員長の職責におきまして、大蔵大臣にアドバイスをする意味も兼ねまして申し上げたいと思いますけれども、分科会でございますから、限られた時間は三十分しかありません。したがいまして、せっかく御質問いたしまして、竜頭蛇尾に終わっては恐縮でございますから、最初は実務的なことをお尋ねいたしまして、最後にこの問題にちょっと触れておいて、今後御協力いたしたいと思います。
 かねて大蔵大臣の御答弁を承っておりますと、立場の相違はございますけれども、専門の知識に詳しく、頭脳明晰であられることには私は前から敬意を表しております。したがいまして、わずかな時間でございますから、初めは処女のごとく終わりは脱兎のごとし、こういう段取りで質問いたしますから、委員長もよく御良察を願います。
 最初は、生命保険のことについてお尋ねいたしますが、生命保険は、ただいまの社会におきまして、社会保険、社会保障等の足らざるところを補うことについて非常な重要な意味がございます。労働者でも、一ぱいのしょうちゅうをバーでうさばらしで飲みますれば、百円や百五十円かかりますし、白い手が一つ重なれば、まあ三千五百円ぐらいは取られるのでございます。それだけの金を妻のために生命保険に入れれば、それはすばらしいことでございまして、私は、生命保険ほどとうとい職業はないと考えております。生命保険に入って後悔した者はおりません。したがいまして、生命保険のまた第一線は外交、外勤でございますから、外勤の各位が健康をいたわり、そうして誇りを持って仕事をされることを切望いたしますが、だとすれば、大蔵省当局も、外勤の方たちをいたわって、そうして大いに指導援助につとむべきであると思います。生命保険会社は、内勤も重要ですけれども、外勤によってささえられておることを片時も忘れてはならない。
 しかるに、わが国の保険事業の封建性からいたしまして、私は、日本の生命保険の最初の創立者の一人である矢野恒太の子供をよく知っておりますが、いずれも安田善次郎型の立志伝中の人物でございますが、その封建性の濃厚なことは実に腰を抜かさんばかりの封建性、その封建性と近代性とがどうしてかくもうまく結びついておるか、まさに日本資本主議の象徴そのものであると青年時代に感じた次第でございます。同じことは外交にもあらわれておりまして、外交員の諸君が勧誘をいたしますときには主として縁故関係、未亡人ないしは団地婦人の内職とされ、縁故関係を一わたり済んでしまうと手のつけようがない。そして陣営から去っていく。その数年に三十万人に達し、常雇いとして安定した生活をしておる人はわずかに数万しかないと思います。
 今日インフレーションになり、一方物価騰貴もありまして、収入は年々変わってきましたし、貯蓄の目標も変わってまいります。また平均年齢も増加いたしまして、五十代、六十代といいましても、まだ青年といえるほど元気でございます。したがいまして、保険に入るのは二十代、三十代のみではなくして、五十代、六十代の方々も追加保険に入る余地は大いにあるのであります。しからば、この方々にどういう保険に入ってもらえばよいかというと、保険の種類がいろいろさまざまにありまして、その職業、環境、年齢等に応じまして適切な保険を選ぶというのには、専門の知識と専門の啓蒙が必要でございます。したがいまして、私はまず第一に、政府当局に対して望みたいことは、保険会社に対する内面指導におきまして、保険外交を非常に尊重し、そして保険外交員をただ弊履のごとく捨てていくというようなニコヨン型にせずに、エスキモーをして冷蔵庫を買わしむる外交技術ということばがアメリカにありますけれども、まさにエスキモーをして、あるいはまたことばをかえれば、すでに六十の青年政治家になった私をして追加保険に加入せしむるほどの技術を持たねばならぬ。縁故関係ではもうこれは限界でありまして、その技術をよく説明すれば、平均年齢は女子七十五歳、今後やがては平均八十歳までいくでありましょうから、それらのことも説明して、不時のこと、災難に備える。それには専門の知識が要りますから、専門の知識を与えるように内面指導させ、それを前提といたしまして、保険外交員は、やがては縁故の者は例外であって、そして経済上非常に安定して、専門家としていかなる事態、いかなる職業、いかなる年齢に対しても十分説明し得る保険外交員を養成する。その人たちを、現在は登録制になっておると聞いておりますが、免許制度にいたしまして、安定した保険業者、保険勧誘従業員諸君が安定した形で働き得るようにするのが今後の目標でなくてはならぬ。だとすれば、そういう職員に対しては安定した待遇も保障し、また失業保険、また健康保険等も、すべて内勤と同じように免許を受けた保険外交員に対しては与える、それに近づかしむるという方向に御指導をしていただきたい。これをまず御要望いたしたいのでございます。議員というものは質問をするのが任務のようにいわれておりますが、これは錯覚でありまして、われわれは何も福田さんに授業料を払っておるわけではありません。われわれは巨万の投票を得まして、みずから戦いとった国民の代表として国民の要望を申し上げ、政府に問いただし、その要望のうち合理的なものは取り上げ、実施せしむるというのが民主政治の要諦でございますから、これを参考にいたしまして、どういう御所見であるかを一括して伺い、そして私のことばにして合理的、実際的なものはこれを取り上げ、また実際化するのに多少の時間のかかるものは順を追ってこれを実際化していただきたいと思います。
 第二に、各種の政府の審議会におきましては、労働省におきましても、厚生省におきましても、審議会には労働代表が入っております。しかるに保険関係の審議会には労働代表がふしぎなことに入っておりません。これほどの苦労をしておる労働者、その総意を代表して、審議会の中に適当な人物を適当数入れることは――特に保険の労働組合は私は平素つき合って存じておりますが、非常に良識のある労働組合でありまして、中立労連に属しております。そして、ゲバ棒を持ちヘルメットをかぶって審議会に出席するような者は一人もおりませんから、この常識、経験、創意を活用せられんことを大臣に要望する次第でございます。
 第三には、最近保険額は増大し、これはインフレーションのために増大したものもあります。これは政府の罪でございますが、罪深き点については最後に申し上げますが、そのために所得税、地方税、相続税等において払い込み保険料の控除額をもう少し増加する必要があろうと思います。なぜこれに適切にお気づきにならなかったのか、ことしの税制改正においてこれを深くお取り上げにならなかったのか確かめ、この次にはぜひとも、特にインフレーションを考慮に置き、物価値上がりを考慮に置きまして御考慮を願いたいと思うのでございます。これは生命保険協会からも提出されておりますし、生命保険の労働組合からも要望されておりまして、労使共通の意見でございますが、私は妥当であると考えておる次第であります。
 最後に、国民健康保険の問題は生命保険と不可分の関係でございまして、一般の庶民は国民健康保険によって生活をして健康のささえとしておりますが、本年百七十四億の追加予算を計上されましたことはけっこうでございますけれども、当初の予算がどうしてそう少なかったのか、また、この増加しました百七十四億というものはどういう内容をもって追加せられましたか。もし担当官がおられませんでしたら、実務的な問題でございますから、後ほどお答えなさってけっこうで、最初の四問につきましては大蔵大臣の御答弁を願います。
 ただ、時間の節約上一緒に申し上げますが、生命保険には伝統的に矢野恒太流封建性が残っておりまして、残業手当が従来ごくわずかしか出されておりませんで、生命保険につとめる女子の諸君などは、六時まで働かせてうどん一ぱいにもならないわといって嘆いておるのをしばしば耳にいたしました。その後、昨年強い要求が組合側から出まして多少の修正が行なわれたかのように伺いますけれども、今日生命保険は、その獲得した保険収入をもちまして有効に投資し、相当の内部蓄積を物的形態、証券的形態において持っておる次第でありますから、残業手当が出得ないはずのものではありません。ただ、生命保険の仕事は最近とみに合理化されまして、一日実働時間六時間でございます。したがいまして、会社側では短時間働いておるのであるから、あと任意課長の命令で残業させても、これは残業手当は要るまいというような伝統がありまして、その残業に対しましては幾らも払ってないというのが現状でございます。私はこれは当然その二時間に対しましては、六時間労働に対しまする適切なものを払い、またそれより延長されたものに対しましては、それにふさわしい合理的な金額をおきめになるように、政府及び労働基準局側においても内面指導されることが適切であろうと思うのでございます。
 ついでに、最初の十五分間を保険専門に使いたいと思いますので続けて申し上げますが、損害保険の問題でございます。最近損害保険の中で、交通地獄のために交通傷害保険が非常に苦しい立場にございます。しかし、保険会社は全体をプールいたしまして、民間のペースで何とか切り抜けて今日に参っておる次第でございます。私は傷害保険に対しましては大いにこれを宣伝する必要があろうかと思いますけれども、これを郵政省の簡易保険にゆだねるという風評を耳にいたしました。近時損害保険の重要性はよく存じておりますけれども、ひとたび官営の保険が損害保険に出てまいりますと、損害保険は当初プラスになりませんから、次第に他の保険のほうに進出して、プールをしてその均衡をはからねばならぬということになりまして、おのずから官庁業務が複雑になってくる。私は、官業は民業の及ばざるところにみずからの分界をきめる、簡易生命保険と一般生命保険とが唇噛輔車の関係にあると同じことでございますから、とどめるべきでありまして、目前の現象を見まして交通傷害保険に直ちに簡易保険が進出することには賛成いたしかねます。この風評を耳にいたしましたので、このようなことでは無用な官民競争の端をつくることになりはしないか。電子計算機も発達した今日におきまして、新たな屋舎を増築し、新たな専門家を養成し、新たな機械を購入いたしますよりも、従来の損害保険を督励監督いたしまして、その職責を全からしむることのほうが適切でなかろうかと思うのでございます。
 以上の諸点につきまして大臣の御所見を承りたい。
#114
○福田国務大臣 お答えいたします。
 第一は、保険制度の重要性を力説されまして、特にこれを推進しておる外務員を大事にせよというお話でございますが、まことに適切なお考えかと思うので、さような配慮でやっていきたいというふうに思います。
 それから第二は、保険審議会の構成についてのお考えでありますが、これも建設的な御意見というふうに理解いたしまして、よく考えさしていただきます。
 それから保険控除の引き上げ、これについての御所見でありますが、これは今度の四十四年度の税制改正では取り上げておりません。しかし保険制度は非常に大事な制度でございますので、これが育成に控除制度がかなり役立ってきておる、こういうことは率直にそう考えております。他の税制とのバランスも考えなければならぬことでございますが、そういう全体の税制の仕組みの中で、保険控除制度が尽くしてきた役割りというものを十分評価しながら考えていきたい、かように考えます。
 それから国民健康保険に対しまして、今度の補正予算におきまして百七十余億円を追加繰り入れしたのですが、そのほかに三十二億円を予備費から繰り入れいたしております。二百億余りになるのでございますが、これは昭和四十三年度の不足額を補てんするものであります。そのほかさらに予備費から四十二年度の精算不足分、これを百億余りを入れておるのでございます。合計すると本年度の予備費、補正その他で三百億入れることになるわけです。なぜそうなるかと申しますと、やっぱり付保件数が予想よりはるかに多くなっている、そういうことかと思います。
 それから残業手当の問題でありますが、これは私ども役所としてこの問題に口を出すのはちょっと適当でない、こういうふうに見えるのであります。
 損害保険につきましてもいろいろな御意見でございますが、いま損害保険につきましては、自動車事故、ああいうものに関連いたしまして、何か簡易保険のほうでも少しそういう仕事に進出できないかという話があるのです。それで私どもといたしましても、簡易保険が郵便局で仕事を行なっておる、非常に普及性があるわけです。そういうようなことで、軽微な傷害事故、そういうようなものにつきましては簡易保険がこれを行なうということにするのも一つの考え方かなというふうに考えておるわけでございます。しかし民営損害保険、また官営の簡易保険、これが相おかすようなことになったんじゃいけない、相助け合って万全を期すということでなければならないというふうに考え、注意してやっていきたい、かように考えておる次第でございます。
 これで全部お答えしたと思います。
#115
○帆足分科員 定着いたしました保険外交員の方に失業保険をやがて適用してもらいたいということと、それから残業手当の問題につきましては、労働基準局の方が出席しておられませんので、この速記録をごらんになり、またはお聞きの方が要点を書きとどめられまして、いずれあとで御返答をいただきたいと思います。
 さすがに大蔵大臣頭脳明晰で、私の申し上げましたことを虚心たんかいに御理解くださいまして、簡単なお答えでございましたが要を得た御答弁で、私は満足いたしております。
 ただ、簡易保険が損害保険に進出いたしますことの利害得失につきましては、重ねて申しませんから慎重に願いまして、私の要望をいれていただくように、官庁の仕事が大きくなることは望ましくございませんから、よく御考慮のほどを願いたいと思います。
 これで半分の質問が済みましたから、後半の質問を申し上げます。
 後半は二つございまして、第一は俸給生活者の税の負担の比較的重いことについて、たびたび本会議、予算委員会等において御議論になりました。ただ、たまたま小南君、亀田君たちが実務の中心となりましてサラリーマンユニオンをつくられ、またサラリーマン同盟等の機構もでき、また総評との間に互いに協定して、無理のない減税を、合理的な減税をということで世論に訴え、世論も大いにこれに期待をいたしておりますが、残念なことには、今年度の税制改正に間に合わなかったのか、大山鳴動してネズミ一匹ほどの成果しかないことを、私も俸給生活者、すなわち主として俸給によって生きる者の一人として遺憾に思った次第でございます。今日ホワイトカラー、すなわちサラリーマンとブルーカラーとの差も小さくなってまいりました。いわば中産階級の没落ともいうべき現象を見ております。かつて健保や社会保障がなくても、私どもは自分でけっこうやれましたし、また入社早々でも部下の数名ぐらいは焼き鳥屋に案内して、何ら交際費などという不愉快なものを使わないでも済んだのでございます。しかるに現状におきましては、かつては末は博士か大臣かと言われましたけれども、その大学教授諸君、また同窓の博士各位、原子物理学等を専攻しております国際的水準の学究の友人と食事をともにいたしましても、出入りの八百屋のおやじが、一流とは申しませんけれども、二流に近い料理店でめしを食っておるのに、この優秀なる大脳を持っておる人たちが新宿、渋谷の屋台店で、名前は瓢亭でも京都の瓢亭と違いまして、豚の肝を賞味して瓢亭でうさを晴らしている。こういう風景はまことに見るにたえない風景である。学者、技術者、技能者に対する社会的敬意を失した待遇であるとかねて思っております。したがいまして、この問題をもっと系統的、理論的、実際的に整理いたして、その対策のヒントを大臣に進言したいと思うのでございます。
 まず第一に、サラリーマンとは何ぞや、と申しましても、サラリーマン層も約三つの層がございまして、第一は、かつて社会運動で一般使用人と申しておりました一般の比較的給料の安いサラリーマン諸君でございます。この層につきましては、総評の大木君がいつも主張しておりますように、最低免除率をきめること、すなわち月十万円くらいは免税にしてもらいたいという要望が提起されております。第二の範疇は、すなわち中級の部課長サラリーマン諸君でございます。第三の範疇は、学者、重役、科学者、技術者、経営技能者、大学教授等を含めました高級な――高級なと申しますか、複雑な熟練の要る仕事に従事しておるサラリーマンでございまして、その労働は非常に苛烈なものでございます。政治家もその一部に入るかもしれません。この層の苦しみは、まず最初は生活が口をのりするに足らず、部長になりましても交際費などが要りますために、かえって課長時代のほうをなつかしむ。会社の交際費をむだ使いしないというような高潔な心境を持っております部課長であるならば、下僚との交際にも事欠く。また大学教授でも、雑文に時間を空費しない大学教授でありましたならば、生徒を自宅に呼んで土曜ごとに師弟の友情を通わすということもできかねるのでございます。
 またこの層の苦しみは、健康をよるべにかろうじて健康保険の恩恵をも受けておるのでございます。かつて私は経団連におりましたが、七十円で経団連に入社いたしましたときに、ホワイトカラーである以上は健康保険にかかるのはちょっと気恥ずかしいというような思いがしたことを思い出しますが、いまは健康保険に入りますために――別にここの医務室がやぶというわけではありません。特に腕がふれたときなどはすぐヨードチンキなどを塗っていただきますし、またかぜなどひき始めたときなど非常に便利でございますけれども、それをもって主治医とし、それをもって家庭医となっていただくことは地理的に困難でございます。したがいまして、どこかの会社の嘱託でもいたしまして健康保険に入るというような例もしばしば聞くところでございます。また、住宅難は、偶然によって早く家を借りていたか、偶然によって郊外に二百坪、三百坪のうちがありました場合には非常な幸運でありますけれども、公団の総裁になりましても、偶然疎開したときに武蔵野の土地千坪をぼくは売ってしまった、いまとなるとどうすることもできない、全くこのような嘆きはしばしば聞くところでございます。教育費に至りましては、相当できのよい子でも、及落の境になりますると、いまは高い入学金を寄付いたして、学校は協同組合のように考えまして、出資者であるからむすこは入れてくれというような場合も少なくはなく、その他授業料の負担も並みたいていのことではございません。
 したがいまして、病気に対する費用、住宅、家賃、地代及び教育費は控除してもらいたいというのが大きな痛切な叫びでありまして、必ずしも全額控除じゃなくても、合理的控除は必要であろう。病気のほうは控除しておるではないかといわれましても、あれは所得の何%をこえるということになっておりますので、よほどの大病をしなければこの恩典にあずかれないのでございます。一昨年の暮れ私は胆石を手術いたしまして、いい部屋に寝かしてもらいましたために四十万円以上の入院費を払いました。そこで光栄ある恩典に初めて浴しまして、大病になったことを大いに祝って乾杯したような次第であります。したがいまして、五万や十万の病気ぐらいでは家内に迷惑をかけるだけでありまして、皆さまもどうせ病気になるならば、私のように四十万円以上の病気になっていただくことを切望せざるを得ないという事情でございますから、病気の費用の控除というものも、必ずしも今日現在の制度は適切でない。もう少し病気の控除を優遇していただきたい。
 この三つの点が解決しますれば、実は総評の要求の一般サラリーマンにも及びますし、他の中級サラリーマンにもその恩恵が及びますが、さらに先ほど申し上げました熟練した技能を持っている職能的サラリーマン、または非常に複雑な技能を持っておる経営者、経営補助者等は、その学習に、また世間に対する見聞を広めますために旅行または参考書、それから内外の書物を購入する費用等が要ります。私は、こういうような費用は、特に大学教授、科学者などを例に引いてみますると、これは職能手当にしたらいかがか、こう思うのでございます。サラリーとは何ぞやというと、これは妻と子供たちのいる家庭に持って帰る金がサラリーでありまして、そうしてたとえば党費として取られるのは、これは同業組合に取られるようなものでありまして、われらの手には入らないのでございます。社会党は貧乏でございますから、手取りは毎月十万円ぐらいでございます。税金で十二、三万円取られ、党及び党関係の団体から十数万円取られ、家に持って帰る金は十万円ぐらいでございまして、ボーナスといえど、三十万円いただくそうでございますが、手取りは大体十五万円にもなっていない。長女にこのことを聞かれまして、うちのパパは演説はうまいけれども案外サラリーは少ないのね、これじゃうちの亭主のほうがまだパパよりも有能だ、そういうような結果になるのでございます。したがいまして、私はそういうものは職能手当にしたらいかがであろうというのも大臣に申し上げる一つのヒントでございます。
 ここで幾つかのヒントを大臣に差し上げましたが、どうかこれらを参考にいたしまして、そして俸給生活者が恥ずかしくない生活ができるように御配慮願います。衣食足って礼節を知るとは古来アジアの有名なことばでございますが、衣食足りなければどうしてもわれわれ礼節を欠くのでございまして、われといえども、ときにはゲバ棒に魅力を感ずるような気分に、ちょっとかぜなど引いて熱など出ますとそういう気分になりがちでございますから、そういう気持ちにならないためにも、国の中堅階級であるサラリーマンの生活に対して、このインフレーションに直面してもっと深い御配慮のほどをお願いする次第でございます。
 それから最後に、時間がありませんから、これがほんとうの本論ですけれども、私は物価対策委員長としていずれ大臣にゆっくりお目にかかる機会を持ちたいのでございますが、現在のインフレーションは、四十年に比べまして消費生活物資で一一七、一七%の騰貴になっております。この勢いをもってすれば、五年後には一六〇ぐらいの数字になるとするならば、国民が苦労してためた預貯金も、積み上げた生命保険も、または期待した年金も水のあわである。百万円貯金しておったものはこれは四十万円にすぎないということに気がついたならば、私は、学園内のゲバ棒なら事は軽くて済むでしょうけれども、社会全体が、霧雨のように降っているインフレーションがいまや汗のようになってワイシャツにしみ込み、インフレーションとなって社会不安を起こすであろうことは必至であると憂慮いたす者の一人でございます。したがいまして、かつて私が経団連におりましたころ、文章を書くのが早いというので高橋大蔵大臣の速記係をしていたことがありますが、高橋大蔵大臣が軍とわずか五百万円か一千万円ぐらいの予算を争うために、この一戦だけは守らねばならぬ、この一戦に敗るるならばデフレーションからインフレーションになるというので、彼が数晩徹夜いたしましたことは大蔵大臣よく御存じのことと思いますが、彼はそれによって命を捨てたのでございます。
 今日の時代を昭和元禄と言う者がおりますが、これは歴史を知らざるやからの言うことでございまして、元禄時代にはまだ勇武の気性もあり、豪快な気性もありまして、当時は忠臣蔵の物語も出で、俳人松尾芭蕉も出で、日本のシェークスピアといわれる近松門左衛門は男女の恋のせつなさを三味線のばちも折れよとばかり浄瑠璃にうたい上げた人情厚き時代でありました。しかるにその後、文化、文政の時代になると、貨幣の改鋳がたびたび行なわれまして、インフレーションは進み、米の値段は高くなり、人情紙のごとし。まさに今日は昭和の文化、文政の末期と言うべきときであると私は憂慮いたすのでございます。そうして大塩平八郎が、当時ならば大阪天満の与力、今日でいえば公安調査庁、わからず屋の荒木さんの下の大阪支店長、次長というところでしょう、警視庁大阪次長、公安調査庁大阪次長あたり。大塩平八郎が、彼は陽明学を奉じておりましたまじめな官吏でありましたが、なぜ決起したか。彼はそのときこう言いました。一万両のにせ金をつくる者は獄死に処せられ、百万両のにせ金をつくる者はてんとして恥ずることなく、イザナギ景気と言ったかどうか知りませんけれども、景気を謳歌しておるじゃないか。武士の気魄はすたれ、町人は投機に走っており、そしてついに思い余って庶民のために、彼は敗るる戦いと知りながら決起し、討ち死にいたしましたのは、明治維新を隔たるちょうど三十年前のことでございました。
 時移り星変わりましたけれども、文化、文政のあの人心の退廃はどこから起こってきたかというと、一つは貨幣のつくり直し、悪貨の鋳造が良貨を駆逐したのでございまして、今日の諸悪の根源は何かというならば、すなわちこれインフレーションが諸悪の根源であります。インフレーションこそは諸悪の根源でありまして、大学問題も、人の心の薄きことも、派閥ができて行ったり来たりすることも、大政治家が財界の前に頭の上がらぬことも、また政治家の風貌どころか、大学教授の風貌すら衰えて、小学校の先生と大学の学長さんとときどき間違うような風貌になってしまったことも、これことごとくインフレーションの産物であると私は思います。
 このインフレに対する対策は、もはや待つことはできません。したがいまして、物価対策委員会におきましては、たまたま私は不敏にして委員長を引き受けまして力至らぬ者でありますけれども、理事並びに委員各位が超党派的にこの委員会だけはやろうじゃないか、そうしてインフレーションを食いとめようじゃないかという熱意に実は感激いたしておる次第でございます。このためにはすべて不急不要の物心両面の支出は控え、そして同時に支出せねばならぬ金は、国民の物心両面の厚生に役立つ支出はこれを支出し、国民経済全体として均衡ある発展をせしめる。今日日本は工業世界第二位といわれますけれども、しかし、国民生活の水準は人口で割るとボリビアの下の二十二番目であるとよくいわれますが、これは俗説でありまして、実際は国民生活を出しますのには過去の蓄積、われわれの民需の住宅や民需の歩道や、小さな公園や魚をつる川や、それから貯金や、そういうものの総額を割って比較しなければほんとうの比較になりません。
 たとえばその一例といたしまして、われわれの歩道をもし人口の数で割ったならば、ラクダが針の穴をくぐっておるような現象を呈するでございましょう。もし大蔵大臣がクリスチャンであるならば天国に行かれるからまことに御同慶の至りでありますけれども、しかし国民をして針の穴から天国に行かせるなどということは、ラクダが針の穴を通るような思いをしながら電信柱の陰に隠れて道を通らねばならぬなどというようなことは、これはインフレーションによって得たところの資金と重税によって得たところの資金が、ただ自然発生的に本能的に復興、復興と重工業に積まれまして、国民経済全体の均衡というものをわれ人ともについ忘れていたためであろうと思うのでございます。
#116
○足立主査 帆足君に申し上げますが、申し合わせの時間がもう十分余り経過しておりますから、恐縮でありますが、その辺で締めくくりをお願いいたします。
#117
○帆足分科員 よく承知しました。
 そこで、その責任の一半は、私は社会党にもあると思うのです。社会党が、いやしくも社会主義とヒューマニズムを主張するわれわれに派閥などというものがあって、その徳広く、その政策実際的でなく、国民の九割は勤労者、六割までは赤貧洗うがごとしであるのに、自民党のほうがやはり多数になってわれわれが少数である、こういうようになっておるのは、人を恨むことはない、われわれが反省しなければならぬところでありますけれども、しかし自民党さんが現在与党として政権を持っておられる以上は、自重自戒されまして、インフレーションを来年の予算においては食いとめ、そして福利民福にもう少し力を注ぎまして、断固としてインフレーションをとめるという決意がなければ、霧のように降っておるインフレーションの霧はやがてインフルエンザとなって蔓延するであろうこと、これは明らかであります。私は主査にどんなにしかられましても、このことは一時間くらい繰り返して、平素おとなしい帆足計がついにインフレーションのために怒って、大臣に切々として大塩平八郎の例まであげて申し上げたということが、世人に、国民に伝わることを切望する次第でありますが、しかし規則は守らねばなりませんから、以上をもって大臣に対する御質問にかえる決第であります。心中のほど御了察のほどお願いしたいのでございます。
 一言御答弁をいただけば幸いでございます。
#118
○福田国務大臣 最後に帆足さんからお話を承りましたが、まことに大蔵大臣に与うる訓辞というような気持ちで承りました。
 私はお考えには全く同感でございます。あなたからいまたいへん御批判を受けましたが、昭和元禄というのは私が言い出したのです。言い出した意味は、あなたが理解されたような意味ではないのです。一体これでいいのか、こういう意味で言い出したのです。あなたのお考えと同じようなことを、そういうことばで言い出したわけであります。
 サラリーマン減税でいろいろな御提言がありました。ありがとうございました。ただ病気の場合の控除は、これはやっておるのですが、住宅だとか教育だとか、そういうことになりますと、これはなかなか実行がむずかしいのです。それよりもむしろ一般の課税最低限の引き上げという方法とか、あるいは税率一般の引き下げとか、そういう方向で、みんなが潤っていくような方向はどうだろうかというふうに考えておるのです。
 インフレーションを断固断ち切るということに対しては、深く共鳴いたします。ありがとうございます。
#119
○帆足分科員 以上で終わりといたします。
 先ほど申しおくれました件で、中流の、上層の職能的技術者に対しまして、急テンポの税制の税率を差し控えていただきたい。百万長者でなくて、財産によって食っているのではなくて、勤労によって食べておる者に対しまして、急激な税率の段階を緩和していただきたいということも、あわせてお願いいたします。
#120
○足立主査 平林剛君。
#121
○平林分科員 私はきょうの分科会におきまして、三つの問題を取り上げたいと思っておるわけでございまして、最初の問題は、今後の公債政策についての政府の考え方をお尋ねいたしたいと思う次第であります。
 公債政策をひっさげて、新財政という形で登場いたしました福田さんの評価につきましては、いろいろの議論がございますけれども、きょうはそうした本格的な議論をするだけの時間の余裕がございません。そこでこの問題につきましては、一点だけお伺いすることにとどめたいと思うのであります。
 初めにここ数年来、昭和四十四年、昭和四十五年、昭和四十六年、昭和四十七年、昭和四十八年、大体五年程度の期間に期限が到来する公債の総額が、年度別に幾らになるかということをお示しをいただきたいと思うのです。――それでは時間がないからあとにいたしまして、いずれ正確な数字につきましては、別に政府から提出を求めたいと思います。
 ただ私が言わんとするのは、ここ数年間において国債の償還期限になるものは、おおよその数字でありますが、昭和四十三年度に六百億円、四十四年度に五百億円、四十五年度に六百億円、四十六年度は八百億円、そして昭和四十七年にはまず最初のいわゆる赤字公債の期限がまいりまして、これが三千億円加わるわけであります。また昭和四十八年にはいわゆる建設公債というものが加わりまして八千億円、昭和四十九年におきましてはおおよそ八千五百億円から九千億円の公債の償還期限がくるということであります。
 そこで私は、大蔵大臣にお尋ねをしたいのであります。この公債の償還期限、まだかなり時期はありますけれども、大蔵大臣は基本的にはどうお考えになっておりますか。この償還期限のきたものを、従来どおり借りかえ借りかえでいくのか、それともこの公債につきましては、償還期限の切れたものは、そのときの情勢にもよりますけれども、これをまさしく償還していくという考え方に立つのか、現在における基本的な考え方を明らかにしてもらいたい。
#122
○福田国務大臣 私が公債政策を取り入れたときに考えた数字に比べますと、今日の公債の発行額はわりあいに少なく済んだ、こういうふうに考えております。少なく済みましたが、その公債の期限がやがてはやってくる、その際に一体どうするか、こういうことでありますが、そのときの時点において平準化いたしまして、これを償還していきたい、そういうふうに考えております。
#123
○平林分科員 私はそこで、従来の借りかえというような措置を安易にとってまいりますと、この公債をこれからも発行する、そして償還期限のくるものについては平準化して償還すると言いますが、実際にお目にかかった場合には、借りかえが多かった、こういうようなことに相ならぬとも限りません。そのときは、新財政として登場をされた福田さんの真の意味の真価が問われるときである。
 ところが、先回二月の十七日、大蔵委員会でわが党の広瀬委員の質問に答えまして、公債に依存する率をだんだんこれから五%というぐあいに目標に向かって下げていくけれども、今日の景気の上昇が続いていくときに、この公債発行の額はゼロの方向に向かって努力するのかどうかという質問に対し、大蔵大臣は、まあ火種として二千億円か三千億円残しておきたい、ここ数年来そういうつもりであるというお答えをしておるわけであります。私が今日お尋ねをいたしましたのは、この点なんであります。数年後、すなわち昭和四十八年、四十九年になってまいりますと、一兆円に近い公債の償還金額がくる。そのときになお二千億円、三千億円の火種を残しておくという考え方は、公債の火種ということでなくて、私はインフレの火種になるおそれがある。そこで、さような御見解はいかがなものであろうか、むしろ今日の景気拡大の状況が続き、そうして縮小できるべき状態であるならば、積極的にゼロにするというような心組みでいって初めて数年後の状態を、インフレの火種を残さないような財政に持っていけるのではないか。この点、この間の大蔵大臣の答弁、私は非常に心配をしておるわけです。大蔵大臣に再度この御見解を承りたい。
#124
○福田国務大臣 いま日本の経済は非常な発展期にあるわけです。これからも当分の間逐年成長拡大の方向をたどるであろう、またたどらせなければいかぬ、こういうふうに考えておるわけです。そういう際に、政府の国家経営における役割り、これは非常に重きを加えてくる。これはつまり裏から言えば財政の需要がだんだんとふえてくる、こういうふうに思うのです。そのふえてくる財源をどうやって調達するか。私は、有史以来初めていくさに負けたわが日本、これは戦争を通じて会社もあるいは個人も大きく蓄積を失っていると思うのです。ちょうど、先ほど帆足さんが、日本の一人当たりの国民所得は二十一番目だ、こういうような話だが、しかしこの考え方は蓄積というものを入れて考えておらない。蓄積というものを考えに入れるときは、わが日本というものは諸外国に比べてたいへんおくれておるというふうな形であります。そこで私は考えるのです。そういうふうにふえていく財政の需要というものを税ですっかりまかなっていくという考え方の方式を当面とっていくか。そうなると、私はそれは適切ではないと思う。むしろ政府は借金しても企業だとかあるいは家庭にこそ蓄積を与えるべきである、そういうことでことしも借金をします、公債も出しますが、同時に減税もとり行なう、こういうことまでやるわけなんです。それで私は当分の間そういう考え方を続けていったほうがいいと思うのです。
 そこで、それともう一つの問題がある。何だと言うと、景気に波の高低が激しくてはいけない。これは国民経済的に非常なロスになる。そこでやはり、私は谷間のない経済成長というふうに言っておりますが、あまり高いのはよろしくない。しかし谷の深いという事態は断じて避けなければならぬ。それにはどうするかというと、金融政策ではどうもやり切れない。財政が出動しなければならぬ。財政が出動する方法いかん、これは税で伸び縮みさせる、こんなことはとうていできませんから、やはり弾力を与えるものは公債だ、この火を消してはいかぬ、こういうふうに思うのです。私はここ数年の間どういう財政方針をとっていくかというふうに聞かれれば、公債漸減方式をとる、こういうふうに申し上げます。しかしその先は一体どういうふうにするのかというふうに聞かれれば、この火種は消しません、こう申し上げるのです。そういう意味であります。
#125
○平林分科員 私は、大蔵大臣は公債にとりつかれているのじゃないかと思うのです。日本の経済の今後の問題を考えまして、財源を求めるときにどこに求めるのか。税金だけにたよるというのは適当でないと言うけれども、今日のわが国の税制に根本的な改革なりあるいはそこに財源を求めるような措置、その努力をせずしてそういうことをおっしゃるというのは、公債にとりつかれている大蔵大臣、私はこう思うのです。これは本格的に議論すると長くなってしまう。そうしてまた財政の仕組み等について検討すべき見解をわれわれは持っておりますし、政治の姿勢そのものに対しても反省すべき点がございますから、私は公債だけが今後においてもそういう役立つものであるという大蔵大臣の執念というものは、必ずしも賛成しがたいわけです。むしろ今日の状態が続くならば公債の依存率を下げていって、そしてなるべく早い時期に漸減方式から一歩進んでゼロにしていくような努力をするのが正しい姿勢ではないだろうかと私は考えるわけであります。特にあの大蔵委員会で大蔵大臣が答えられましたのは、この公債火種論については景気調整、財政の機能調整をするためにいまお話しになったように金融だけではだめだから財政でやるというならば、幸いといいますか、公債の期限が到来したものが八千億円、九千億円とあるのです。これを償還するかあるいは借りかえするかということによって十分財政の調整機能はできるのじゃないですか。私はそういうことを考えますと、むしろ漸減方式を一歩進めて、そうして公債をゼロにする努力をするというのが真の意味の財政でないか、こう思うのです。まあこれを議論すると長くなりますが、もう一度ひとつお考えを承りたい。
#126
○福田国務大臣 あなたのいまおっしゃられることは、一面において正しいのだろうと思います。思いますが、私が申し上げていることがまだ完全に理解されておらないのは、私は景気調整ということばかり言っておるのじゃないのです。企業にもまた家庭にも蓄積を与える。これは日本経済、日本の国づくりとして非常に大事なことだ。この点もまた考えておる。両方のことを考えて、ひとつ御批判のほどをお願いします。
#127
○平林分科員 蓄積というのは金額のかさだけではございません。企業あるいは個人にも蓄積を与えるというけれども、蓄積は金額ではない。その金額がどういうふうに使われて価値あるものであるかという貨幣価値の問題、そこに私は大蔵大臣の公債政策についてインフレ傾向を助長する心配がある。
  〔主査退席、倉成主査代理着席〕
こういう点で絶えず議論をしてきているわけでありますが、きょうはあまりこれに時間をとるとあとの問題ができませんから、十分お考えおきを願いたいということだけを申し上げて、次の問題に移ります。
 第二は、当面の塩業政策についてでございます。専売公社に主として行ない、大臣からも御見解を承りたいと考えます。
 専売公社はいま新しい技術、イオン交換樹脂膜を利用する海水濃縮技術を導入いたしまして国内塩業の合理化を推進しておるわけであります。その現状と、イオン方式による塩業政策の目標はどういうところに置かれておるか、まず御説明をいただきたいと思います。
#128
○東海林説明員 御承知のとおりに、日本の塩というものは全体から見ますと国内の製塩は九十二万五千トンの限度量を持っておりますが、それ以外の塩というものは五百万トン、膨大な塩というものを輸入に仰いでおる現状でございます。われわれとしましては、日本の地理的条件からして塩をつくるということの困難さというものはありますけれども、近い将来において、どうしてもある程度の輸入塩を防ぐという意味からいきましても、自給体制をとるべきではないかということで、長年これは考えてまいりました。一昨年からイオン交換樹脂膜の試験的な操業をやってまいりましたが、これは五企業に対しまして試験操業させましたところが、予想以上の好成績があがっておりますので、今後イオン交換樹脂膜による製法というものを押し進めていくためにはどういう方向をとったらよかろうか。もちろんこの場合にはいろいろな問題が付随して起こりますので、いまも政策並びに対策につきまして塩業審議会を開催中でございますので、この審議会の答申を待ちましてわれわれの今後の方針をきめていきたい、かように考えている次第でございます。
#129
○平林分科員 塩の審議会の答申はいつごろ出る予定でございます。
#130
○東海林説明員 これは審議会といたしましては、今後の方針につきましてすでに諮問してございますが、さらにその細部にわたりまして委員会を設けておりますので、その答申が六月ごろには出るだろう、かように考えております。
#131
○平林分科員 国内塩の収納価格は、いまトン当たり一万二千五百円、主としてソーダ工業塩としての輸入塩はトン当たり十・五ドル、日本貨に直して三千六百円くらいである。いまお話しのように、輸入塩五百万トンを貴重な外貨に依存しておる。これを将来におきましては、自給体制その他について考えていかねばならぬという御方針を総裁から承りましたけれども、それでは、この輸入塩に対抗するため、現時点においてのイオン交換樹脂膜による製塩によって、一体目標価格をどの程度に置いて考えているのか、また将来の目標はどの程度までいき得ると考えておるのか、この点についてお示しをいただきたいと思います。
#132
○東海林説明員 これはいまお説のとおりに、輸入塩は十ドル近辺で入っておりますことはそのとおりでありますが、一万二千五百円と比較いたしますとたいへんな差があるようでありますが、輸入工業塩のソーダ工業塩がそのまま一万二千五百円と比較になるわけじゃございませんので、われわれの目標価格としましては、あるいは六千円とか七千円とか、そういう目標価格を一応掲げてありますが、これはイオン交換膜の現在の段階におきましては、規模の大小に応じまして、たとえば十万トンプラントの場合には七千円、二十万トンの場合にはそれより安くなるのだ、あるいは三十万トンになれば六千円台になるんだというような大ざっぱな見当はついております。しかし、これにつきましては、イオン交換膜を製造しておる各社の首脳部をこの間呼びまして、どのくらいの見込みでいくんだということを確かめておりますが、まず四、五年先には外国塩と対抗できるところまでいくんだという証言がありますので、われわれは、一応その最終の目標としましては、外国輸入塩と対抗できるところまでいこう、こういうことを考えておる次第でございます。
#133
○平林分科員 ただいまお話しのように、イオン交換樹脂膜による製塩方式も、その生産の規模を大型化していかなければ外国の輸入塩に対抗し得ない。つまり採算ベースに乗ることができない。そのため工業塩を目ざすものは少なくとも三十万トン程度の規模がなければならぬというのが私の承知しておるところであります。また輸送その他を考えて国内塩のことを頭に入れましても、最低十万トンや二十万トン程度の規模がなければ困難だ。この程度が適当であるというのも一応の水準にして議論されておることは御承知のとおりでございます。そうなりますと、現在、国内塩の需要量は百万トン程度といたしますと、五つか六つ程度の製塩企業で足りるということになると思うのですが、いかがでしょう。
#134
○東海林説明員 そのとおりでございます。
#135
○平林分科員 さてそこで、イオン方式の塩業に転換することによりましてどういう問題が起きてくるかというと、塩業者大よそ全国で千八百、その大半が離職する結果に相なるわけであります。また現在、製塩企業二十六工場の労務者は四千名から四千五百名、これも同じようにその五〇%は職を失うことに相なるわけであります。いま石炭産業の危機が叫ばれておりまして、その転換は大きな社会問題となっておることは御承知のとおりであります。政府においても必要な財政援助を含む諸政策を迫られておるわけでございまして、こうした石炭、すなわち黒の問題に対しまして、規模は小さいけれども、塩業、塩、すなわち白の問題は、やがて社会問題になってくるだろうと私は懸念をいたしておるわけであります。これに対して、すなわち塩業者とか転換製塩企業の労務者等に対しまして、私は何らかの助成措置が必要であると思う。すなわち、黒と同じように、規模は小さいけれども、白に対しても何らかの財政的助成措置は必要である、こう考えておるわけでありますが、これに対する対策について、専売公社総裁はどういう御見解をお持ちになっておりますか。
#136
○東海林説明員 これはごもっともな質問でございまして、現在、いまのイオン交換膜の方向をとるという、いわゆる塩業政策に対しての考え方というものは申し上げたとおりでありますが、私は、この政策をやっていく場合には、その塩業者あるいは塩業従事の労働者に対する対策というものが裏づけになければならぬ、こういうことを考えております。したがいまして、この委員会のほうでも、その両面の政策に対する、あるいは対策に対する方針というものを十分くみ取っていただきたい。そういう答申を待っていくつもりでございますが、基本的に申しますと、これらによって離職される方々に対しては、私は、十分な考えを持っていかなければいけない、かように考えておる次第でございます。
#137
○平林分科員 いまから十年前、当時の専売公社の塩業政策が、国内需要を越える過剰塩の問題が起こりまして、塩田を整理することになりました。当時の製塩方式は枝条架という方式によりまして製塩をしておったのでありますけれども、国内塩の見込み百万トンと見ておったのに対し、おおよそ百四十万トン超過いたした余剰塩という問題が起こりました。ここで国会は、臨時塩業整備特別措置法案というのをまとめまして助成措置をとり、救済したことがございます。今回の場合も、いわば革命的なイオン製塩方式の導入による政策によりまして、離職、転職を余儀なくされる人々が多いわけでございます。これに対して、私どもも大いに努力をせねばならぬし、総裁のただいまの御言明も私は多とするわけでございますが、大蔵大臣、政府としても、とるべき措置につきまして十分お考えをいただかねばならぬと思いますので、その御見解を承っておきたいと思います。
#138
○福田国務大臣 ただいまの専売公社総裁の答えを聞いておりまして、これならだいじょうぶだろうと、こういうふうに感じました。政府としても万全を期します。
#139
○平林分科員 いずれ具体的措置につきましては、私どもよく検討さしていただきたいと考えております。
 もう一つ、この問題について、この機会に公社総裁のお考えをただしておきたいと思います。
 塩業審議会の答申が六月に出る。専売公社の塩業政策の転換が行なわれる。そしてイオン交換樹脂膜による製塩体制への移行という段階におきまして、大蔵大臣、政府におきましても、総裁と同じ気持ちで何らかの措置をとるようにつとめる、こういうお話でございますが、その段階において、専売公社は塩専売事業を変えるつもりを持っておるか、あるいはその段階におきまして、なお塩専売制はとる必要をお感じになっておるか、この点を明確にしておいていただきたい。
#140
○東海林説明員 先ほど申し上げましたように、その答申が六月ごろ出てくるだろうと期待しておりますけれども、あれが出ましても、実際の生産状態が整備されるということは、その先になるだろうと思うのです。それから、それに伴って流通機構の整備というものが生産の形態に伴って行なわれるということが、これは当然起こってくるだろうと思います。したがって生産方式の確立と流通形態の確立があって初めて塩事業が安定するということになりますので、そういう時期が到来するまでは専売法は廃止すべきじゃないと私は考えております。
#141
○平林分科員 なお私は、当面する塩の収納価格の問題、いろいろ議論したいのでありますけれども、時間がございません。また、俗にいう斜陽の立場において、現在においても塩専売、塩事業に携わっておる労務者の待遇をそれではどうするか。斜陽であるからほうっていいというものではございませんので、そういう時期においてはなお何らかの配慮が必要であるということを考えますので、こうした立場に置かれておる製塩工場労務者の労働条件の維持、改善につきましては、また場を改めて議論をしてまいりたいと思いますから、塩業政策についての質問はこれで終わりたいと思います。
 最後に、第三の問題でございますが、これは給与所得に対する源泉徴収制度の問題についてであります。給与所得に対する源泉徴収の制度は憲法違反ではないかという問題につきまして、私は政府の見解を承っておきたいと思います。
 給与所得に対する所得税は、一体納めるものか徴収されるものか、納めるものか取られるものかという素朴な感じですね。これは最近一般の勤労者の中にも起きておる素朴な疑問でございます。所得税法第五条によりますと「居住者は、この法律により、所得税を納める義務がある。」と書いてありますから、納めるということは納税の義務、納めるということで、取られることじゃないというふうには書いてありますが、実際の納税者である給与所得者の大部分は源泉徴収制度によって徴収される、つまり取られるという形になっておるわけであります。納税者である給与所得者の大部分は会社または雇い主、事業団体等から月給袋を受け取ったときにすでに徴収されてしまっておる、俗なことばで言うと、取られてしまっておるわけです。これは本人が承知するしないにかかわらず、所得税法第六条の規定によって、給与等の支払いをする者に対し源泉徴収をする義務を課しているからこういうことに相なるわけであります。私は、わが国の税法の基本的考え方は自主計算、自主申告、こういうたてまえであるのに、勤労者だけは源泉徴収義務者から所得税を徴収されてしまって、他の納税者と比較すると明らかに差別待遇を受けておる。これは憲法第十四条のすべて国民は、法の下に平等であって、社会的身分により、政治的、経済的または社会的関係において、差別されないということに反するものである。憲法第十八条、第二十九条に関連する財産権の侵害にもなるし、これは給与所得者である勤労者の圧倒的な不満でもあると私は思う。また素朴な疑問でもある。素朴なる疑問だけではなくて、憲法から見て当然の主張ではないかという見解もございます。これにつきまして御見解をひとつ承りたい。
#142
○福田国務大臣 この点はしばしば申し上げておるところでありまするが、裁判所の判決まであるくらいで、これが合憲であるということについては何らの疑いを持ちません。
 ただ、いま税の問題がサラリーマンを中心にしてなかなか論議が高潮しているわけですね。それはどうかというと、私は税率の問題があると思うのです。税制改正のかじのとり方ですね。これが課税最低限の引き上げにあまりに急――あまりに急というか、これに偏しておって、税率の調整というものがおろそかにされてきた、そこにいまの税の論議の焦点があるのだろう、こういうふうに見ておるのです。
 それに付随しましてこの源泉徴収問題というのが出てきておると思いますが、私はそもそも税というものは、第一は公平だ、第二は応能である、第三はこれは摩擦のないようにする、この三つのことを常に心しなければならぬというふうに考えるわけでありますが、摩擦をなくするというような第三の問題から考えまするときに、源泉徴収というのは、先進各国でもみんなやっておりますが、摩擦なく税務執行するというためには非常にすぐれた長所を持っている、こういうふうに思います。
 サラリーマンの俸給を申告税制でやるということになったら、さあ一体どういうことになりますか、なかなかこれはたいへんなことになるんじゃないかというふうに思います。しかし今後とも、いま行なわれている税制論議というようなものにはよく耳を傾けて、また今後の税制と取り組んでいきたい、かように考えております。
#143
○平林分科員 大臣は私の質問に対して正しく答えておらない。ある意味においては、かってな解釈をつけましてかわそうとしておりますが、そうはいかない。たとえば裁判所の判例のことがあると言いますが、これは今日までの裁判所の判例というものは、ちょっと違った角度の議論を進めておったために起きた結論でありまして、私は、現在の規定そのものが憲法違反であるというまっ正面からの議論はまだ正確にはされておらない、こう考えておりますから、結論がついておらないのであります。
 それから、一体この源泉徴収制度を廃止したらどうなりますかと反問をされましたけれども、大体千八百万もの納税者をつくったことに問題がある。いや今日は千八百万どころか二千万をこえておる。ここで申告納税にそのまま取り扱えば、今日の税務職員ではたいへんに混乱が起きるという説はまさしくそのとおりでありますが、ひるがえって考えてみると、納税人口の問題は課税最低限が低過ぎるからということになるわけでありまして、必ずしも税率そのものだけの問題ではございません。戦前の昭和九年ないし十一年所得税の納税者が八十万程度であった時代、いまは高校卒業したらすぐ取られるというようなところに問題があるので、数が少なければ、源泉徴収制度を自主申告制に改めたってそんなに混乱が起きるものではない。諸外国の例をお話しになりましたけれども、諸外国におきましても、たてまえとしてはアメリカにおきましても給与所得申告税制度になっておる。イギリス、ドイツ、フランスでも選択制度をとられております。また経費問題の関連で多くの前段控除が認められておるわけでございまして、日本とは全く違うわけであります。
 この源泉徴収制度を廃止したら一体どのような混乱が起きるとお考えになっておりますか、これは専門家のほうにお尋ねしておきます。
#144
○吉國(二)政府委員 ただいま御指摘がございましたが、この源泉徴収制度は英、米、仏、独いずれもやっておるわけでございまして、ただいま選択制と言われましたのは経費の控除の問題だと思います。源泉徴収はすべてやっております。ただアメリカの場合は、最後の年末調整というものはやりませんから最後に申告を提出するという形になっておりますが、これのためにアメリカは非常な手数がかかりますので、御承知のように電子計算機の導入ということによってこれに対処しておるのが実情でございます。
 どんな混乱が起こるかという点、これは考えてみますと、ただいまの源泉徴収制度というのは、ある意味では九五%以上の給与所得納税義務者にとっては申告手続が要らないという結果になっておるわけであります。この申告手続というのは、この二月、三月になるとしばしば非常に大きな問題になるように、たいへんな手続でございます。現在申告納税義務者全国で三百万くらいあるかと思います。このために一カ月税務署側と納税者との間に起きるいろいろな問題、これは枚挙にいとまがないと思います。これをすべて、源泉徴収の結果を申告納税制度に切りかえるということになれば、数から申しましてもそれに数倍をするわけであります。よほどの制度の改革をしないと間に合わないのではないかという問題。それから、よく給与所得者にも滞納の権利を与えろといわれますけれども、実際に私どもが考えましても、源泉徴収制度が廃止された場合に滞納が増加するということは、やはり確率として相当多いのではないかということも考えられるわけでございます。いまの申告納税の税額に対する滞納割合を考えてみますと、それほどでないにしても、相当な額の滞納が出て、せっかく順調に納まっておるものが滞納という結果になってきます。またその滞納処分のために多数の人員を要するという結果にもなるかと思います。そういう意味では、いろいろな点がございましょうが、これが納税者の便宜という点、国の便宜という点、両方から見ても、これを廃止した場合の混乱というのは、現在に比べれば数倍をするということは容易に想像されることではないかと思うわけでございます。
#145
○平林分科員 給与所得者すなわち勤労者、サラリーマンは、年間の収入は、一般が十二月末に確定するのに、給与所得者は税金を前払いしちゃっておるわけです。これをためておいて、だれかほかの人に預けておいて運用をして利息をやれば、もっと安くできるわけであります。月給の袋からみんな前取りされてしまう。また、給与所得者は所得全部に課税をされて、税額が交渉できない。一般の所得者の場合には経費その他の問題で折衝の機会が与えられておるのに、給与所得者にはこれがない。また、現在の所得税法では若干の給与所得控除はあるけれども、給与所得者だけには必要経費が認められていない。また、給与所得者は自分の労働力を商品として売る立場にあるわけでありますが、その労働力の生産をするための経費も控除されていない。
  〔倉成主査代理退席、櫻内主査代理着席〕
与えられておる恩典は、いやめんどうくさいことをやらないで済むというけれども、そんなもの、めんどうくさくたってやります、そうしたら。選択制度でやればいいわけです。それをだれでもできないというような仕組みになっておるところが、給与所得者と他の納税者との差別待遇をしておるという意味では、憲法違反の疑いありと私は考えておるわけであります。もう一回これにつきまして質問主意書でも提出しましょうか。
 私は、したがって、こうした不権衡は単に税率の調整だけにとどまるというお考え方だけではなくて、これに見合うべきもの、合理的な説明が政府において行なわれなければ、勤労者の不満はとどまるところを知らず、燎原の火のごとく広がっていくであろう、こう思うのであります。バランスのとれた合理的な措置につきまして、大蔵大臣真剣に御検討する用意がございませんか。
#146
○福田国務大臣 先ほど申し上げましたような方向でひとつこの問題に取り組んでみたい、かように考えております。
#147
○平林分科員 たいへん不満な答弁でございますけれども、私の与えられた時間がなくなりました。いずれあらためてゆっくりこの問題は議論することにいたしまして、私の質問を終わります。
#148
○櫻内主査代理 次に、広沢賢一君。
#149
○広沢(賢)分科員 簡単に同和対策の予算についてお聞きしますが、その前に、大蔵大臣食事してないそうで、事務局から言われましたから、私、大蔵委員というわけではないのですが、簡単に重要な点二つだけ大蔵大臣に聞きまして、あと主計局にお聞きします。
 一つは、今度の同和対策予算をいろいろ調べましたが、おかげさまで同和対策事業特別措置法については大臣が幹事長のときにいろいろお骨折りをいただきまして、もうあと一息でこの法律ができる段階に入っていますが、予算のほうは至って少ない。この少ない予算について、各省でいろいろ聞きますと、この七十五億のお金が各省では十カ年計画の第一年度として認識している、認識不足の方々が多いのです。そうじゃなくて、これは同和対策事業特別措置法ができて、その結果同和対策審議会でもってはっきりと答申案で何回も断わっておるように、十カ年計画を総理府の手元でいろいろ調整したり、実態を調べたりして、つくりなさい。その十カ年計画ができて、その第一年度というふうにしなければならないわけです。そうしますと、今度の七十五億というのは各省がまちまちに要求した、推定の根拠が非常に薄弱な省もあるのです。それに基づいて百四億出してきたのを七十五億に削っておるわけです。それで大阪府でもって出したお金で、地方自治体だけですよ、これが五十八億円なんですよ。これは八木さんも触れたと思いますが、各都道府県を全部私どものほうで集計してみますと、大体地方自治体は現在でも五百億円出しておるのです。ところが国の政府は七十五億円しか出していない。こういう状況では第一年度とはとうてい申せないわけです。これを大体二分の一補助というように考えてみても、つまり一対一と考えてみても、地方が五百億出すならば中央も五百億くらい出さなければならぬと考えますと、これは画期的に予算も組まなければならぬと思いますが、大臣どうですかという問題です。
 ひとつ時間を短縮しますが、これはいろいろと聞いたあと予算の推定根拠が非常に薄弱だという問題が出てきますが、それについて私としての新しい提案があるのですよ。つまり現在の予算の査定は、よくいわれるように予算ぶんどり合戦というのです。力の強い者にいく。看護婦さんとか、保育所の方々とか、もう人権問題、それから命にかかわる問題であるにもかかわらず、これはこの前のほかの分科会の質問でもはっきりしましたが、そういう問題があるにもかかわらず、そういうところはあまりお金が回っていない。そこで、美濃部さんが革新都政でもってこういうことをやっておるのですよ。歩道橋一つつけるにも統計調査に基づいて順位をきめる。情実や陳情で左右されないで、そういう形でもってやる。いわゆる圧力団体でなくて、科学的、合理的な予算のきめ方をするということがあるのです。
 それから私、町の庶民の方々といろいろ話します。そうすると、先ほど言われた税金が非常に重いと言うのですね、重いように感ずる。だれでも、零細企業だったらみんなそう言います。その人たちがせめて、税金を払う、これは当然国民の義務であるけれども、払ったからには、それについていろいろの自分が払ってよかったと思うようなことをしてくれなければ困る。ところが、これは個々の問題でいろいろと要求しても、通り一ぺんの返事しかない。区会議員や都会議員を通さなければだめだというので、こういう提案をしていました。私の提案じゃないのですが、税金を払うときには、国や地方自治体への文句があったら、要求があったら全部書き入れる、税金のいろいろな申告書や何かに。具体的な個々の問題は政府、自治体から答えを出す。一般的な問題については整理してこれを国会、地方議会に報告をして、電子計算機のある時代ですから、その統計数字に基づいて予算の順位をきめる。美濃部さんが、たとえば歩道橋をつくったときに、この地区はこれだけ非常に交通量が多い、非常に危険度が多いということに基づいて、みんなを説得すると、だれでも納得して帰る。どんなに力の強い人、国会議員が言ったって全然受け付けない。こういう形にすると、大蔵大臣もやりいいし、政治に科学性と合理性が入ってくると思いますが、こういう点について、電子計算機の世の中ですから、いろいろお考えになると思いますが、この二つについてお聞きします。
#150
○福田国務大臣 同和対策につきまして地方でずいぶん金を出しておるというお話ですが、そのようでございます。問題は、地方でよけい持った、中央でよけい持ったじゃなく、そのトータルが一体どれくらいになるんだ、こういうところが問題になると思うのです。やはり中央、地方、そのときの財政の強弱というようなことがあります。これをどういうふうに配分するか、地方で何割持ち、また中央で何割補助するかというようなことは、そういう観点からもきまるわけですから、大事なところは中央地方を通ずる総量なんだ、こういうことに御理解を願いたいと思うのです。しかし、先ほど八木さんにも申し上げたのですが、中央財政としてもこの問題は非常に重要視しておりますから、特に気をつけてまいることはもちろんでございます。
 それから国の財政運営というか、電子計算機の時代だ、予算にそういうものを使うとかいろいろ科学的なデータに基づいて運営すべし、これはまことにごもっともな話です。アメリカが非常に進んでおるといわれておるのですが、アメリカでは、予算の作成にあたりまして、ある一つの結論を出そうとする、それにはこういういろんな方法がある、そのいろんな方法を並べ立てて、これは電子計管機によって回答を求めるわけなんです。PPBSといわれておりますが、わが国でもそういうような考え方を取り入れることは必要である。もうほんとうに科学がものをいう、合理性がまかり通るんだという時代をつくり上げていかなければならない、こういうふうに思いまして、来年の予算なんかにも多少その経費は見ておりますが、そういう事実を少し学びとらなければいかぬというために、アメリカに人を出すとか、そういういろいろのことを考えておるのです。一方、そういうようなことも考えながら、四十四年度の予算書を見て御承知のように、電子計算機のコードナンバーを全部入れるようにしてあります。とにかく、電子計算機時代に応ずる行政体制ということを常に考えていかなければならぬ時代に来ておる、こういうふうに思って精進をしてまいりたいと思っております。
#151
○広沢(賢)分科員 さっきのお約束のとおり――ですから、大蔵大臣にもう質問しませんが、私の意見を言いますと、同和対策の問題については総量でもってきめるという形ですが、一般の経費と違って地方自治体がまず第一番目にぎりぎりまで要求されて積み上げてきたものです。国の責任でやるという。今度の法律の趣旨というのは、国が、明治以来百年のこれについて、自分が責任を負うんだということですね。それをはっきり明示しているわけですから、したがって、やはり国がその大きな部分を背負う、第一年度はこの次からだということをはっきりさせなければだめなんです。もう私が言うまでもなく、八木さんがずっと話しましたから、それについては言いませんが、その点は、総量でやるなんという考えでなくて、きちんと、国のほうがむしろ多いというくらいにならなければ、ほんとうに国の責任ということにならないです。地方自治体が積み上げてきたのだから、法の精神がそうなっておるのだから、ひとつその点はよく善処していただきたいと思います。
 主計局長にお尋ねしますが、以上のとおりでして、主計局長も、いつもいろいろと私たちとお話し合いをして、理解をされていると思うのです。ところが各省の中では全然理解してないのですね。理解度が薄いのです。だから「同和対策長期計画の策定方針に関する意見」という、わざわざ堀木さんが、あの年寄りが、一生懸命になってつくった答申があるのですが、そこにも各省の熱意によってまちまちなところがあるというふうに書いてあるのです。それからもう一つは、至るところに、これの数字の算定の基礎になる実態調査、それからその実態調査のやり方のむずかしさ、その把握が問題である、そういう形でずっと出しています。
 その中で、第一番目に、総理府は事前に各省庁の調査の項目の意見聴取をはかって、総理府の責任でこれをまとめて、それで主計局と相談することになっているのですが、いまの予算の査定のやり方、これはいろいろまとめてやると思うのですが、それはどこの権限で、どういうふうにやっておられますか。
#152
○船後政府委員 一般論といたしまして、予算要求は、各省がそれぞれ所管の行政につきまして翌年度の見積もりを大蔵省のほうに提出する、大蔵省でこれをしかるべく調整をはかるということでございますので、各省と大蔵省との話し合いで予算編成作業を進めるというわけでございます。
#153
○広沢(賢)分科員 そうしますと、策定に関する意見という、これについて考えますと、それは同対協の十カ年計画にはまだ入っていないのだ、これからだ。今度、今国会で法案が成立する。その法律に基づいて、いろいろ、交付金の問題、補助率の問題、これは予想と違ってくるわけですね。一般の法律と違ってくる。それは国の責任だからです。先ほど私が強調しました、国の責任です。違ってきて、それに基づいて今度新しく組み直すというと、十カ年計画で来年から非常に大きな金額になると思いますが、どう思いますか。
#154
○船後政府委員 同和対策に関するこの長期計画につきましては、先ほど広沢先生御指摘のとおり、同和対策協議会の御意見に基づきまして各省で調査をし、各省でそれぞれ案を作成いたしまして昨年同対協へ提出して、同対協で目下これを種々御検討しておられるというような段階でございます。
 他方、御指摘の特別措置法の問題につきましても、最近四党間の話し合いもかなり進んでおるようにわれわれ承っておりますので、明年度以降、特に四十五年度からだろうと思いますけれども、同和対策に関する予算は従来とはかなり異なった進展を見せるのではないか、かように考えております。
#155
○広沢(賢)分科員 画期的なんですよ。漸進するのではなくて、飛躍的に、画期的に、新しい進展なんです。異なったよりか、全然飛躍した進展なんです。
 今度の予算のいろいろなやり方を見ましても、こういうことがあるのですよ。たとえば建設関係で査定されましたときに、この建設関係の予算ですが、大体住宅地区改良の三十億を十二億に削りました。その削った中で、これは純然たる同和対策住宅改良の数と、それから一般住宅改良と、これとの混合があると思いますが、その点についてはどうですか。
#156
○船後政府委員 私、直接建設関係は担当いたしておりませんが、従来から建設省所管の改良住宅関係につきましては実施計画によりましてこれを配分することになっておりまして、四十四年度の分につきましてはまだ確定数字がきまったというふうには聞いておりません。今後の問題であろうと考えます。
#157
○広沢(賢)分科員 実際に聞いてみますと、そういう形で同和対策予算は七十五億ですと返事しながら、そういう混淆しているものをずっといろいろ考えますと、驚くべきことには二十八億じゃないかということがいわれておるのです。というと去年が五十八億だ、ことしが七十五億だといっていても、やってます、やってますというのは紙の上のことになってしまって、どのくらいほんとうに責任を持ってやっているか、これは主計局の責任ばかりじゃないけれども、主として主計局の責任です。それで一般に見ますと、これはたいへんなんですよ。どういうことかといいますと、一つの例をあげますと、中小企業庁の中の小規模事業対策推進費というのがある。その中に同和指導事業補助金というのがありますが、経営指導員五十一名が五十六名、わずか五名ふえただけなんです。ところが、実態調査したりなんかしていろいろ御意見を聞くと、経営指導員の名前さえ知らない人がいるのです。地区で広報活動も何もやっていないのです。各省がサボっているということ、各地区で地方自治体に密着するところでは夢中になってやっているけれども、天下りでやっているのはほんの、たとえば各省で違うのですよ、対象数が。そういうところは大蔵省は対象数についていろいろ各省に尋ねて違っていることに気づいていると思うのですが、気づいておりますか、どうですか。
#158
○船後政府委員 初めに建設省関係の問題でございますが、これは広沢先生御承知のとおり、従来から実施計画策定段階におきまして同和対策関係費とその他の一般的な施策というふうに分けておりますので、やはりそれが確定いたさなければ全体といたしましての同和対策予算の額というものははっきり申し上げられないわけでございます。その点は御了承願いたいと思います。
 次に、通産省所管の問題でございますが、各省ごとによりまして同和対策事業としてどういうものを取り上げるかということにつきましては、必ずしも歩調が同一ではないということはわれわれも考えておったところでございます。従来厚生省関係が大体同和対策関係をやっておるというような行き方で進んでまいりましたので、中小企業に関する問題でも、厚生省でもって一部をやっているというような傾向もあったわけでございますけれども、長期計画の策定等の問題もございまして、今後はそういった各省所管間にアンバランスが生じないように総合的に進めていく必要があろうと存じますので、総理府のほうとも連絡をいたしまして今後とも善処いたしてまいりたいと思います。
#159
○広沢(賢)分科員 そのとおり総理府が各省の掌握とか基準とかその他について、行政基準ですね、シビルミニマムというのですか、憲法で保障された最低の行政水準をきめなければいけないと思うのですが、これも大蔵大臣に聞こうと思ったのだけれども、それ以上に増して今度は国の責任なんです。ということになると、責任のがれじゃなくて各省がどういうことをやるかこれは法律に出ます。法律にこうこう、こういうことが必要だということが出る。それに基づいて今度掛け算すれば単位が必要だ。その対象はどのくらいか、中小企業はどう、社会教育関係だったらどうというものが出てこなければいけないと思うのです。その点は総理府にあとで質問、追及しなければならぬのですが、その数を把握してきちっとした――いや、ことしはこうだったけれども来年はどういうふうに変わるかわからぬというのではなくて、十カ年計画ということになると最初五年、あとの五年、それについての単価はどうだという形になると思うのです。それで初めて物価が上がったときにどのくらい上がるかという計算や何かできる。でありますから恣意的でなくてそういう方向に向かっていくと思うのです。
 それでもう一つお伺いしたいのですが、たとえばもう一つの例ですね。例として、私たちのほうの案としましては、同和対策の金融公庫が必要だというのです。農林漁業、中小企業、零細企業の指導など特別にいろいろやるから必要だというのです。それで四党協議会でさんざっぱらいろいろ話をしました。その話の中で、大蔵省の主計局ではないのですけれども、銀行局が猛烈な抵抗をする。銀行行政の上からいってということで抵抗する。そこでそれじゃほかに案があるのではないかということになったのです。それで、たとえば国民金融公庫が全国にあるから国民金融公庫の支店で特別の融資ワクをつくって、そこでさっき言った経営指導員がいろいろ指定した事業については特別の安い利子で貸し出す、長期に貸し出すということについてはどうかということでいろいろ議論されておるのですが、そういう場合に各委員がさんざん知恵をしぼっていいものを出すけれども、それについては、いや、これは大蔵省という壁があるからというのがみんなの頭にぴんとくるんですよ。これは何も主計局長ばかりの責任じゃないけれども、大体大蔵省というのはそういうふうに見られておる。そういう場合にやはり今度は法律に基づいて――佐藤総理が直接非常に熱心に推進したという八木さんの話もあったと思いますが、そういう点で、こういう名案が出た場合には、大蔵省としてはチェックしないで、進んで受け入れるという点についてはどうですか。
#160
○上村政府委員 私も総理府にかつておりまして、同和対策につきましてはいろいろと御要望をよく存じております。なお、四党の代表の方々が同和対策に出まして、私も自民党の一員としまして先生とも御一緒に出ておりましてよく存じております。いま四党間でも非常に煮詰めておるわけですね。それで先ほど大臣から申されましたように前向きで十分検討していきたい、こう思っております。
#161
○広沢(賢)分科員 ほっとしました。安心はできぬけれども、やはり一歩一歩前進するというので涙が出るくらいうれしいのですが、なお油断できませんから四党協議会でしっかりしたいいものをつくるようにお互いに努力しようと思うのです。
 最後に、大蔵大臣がいまいないのですが、先ほど私が言ったことでちょっと気にかかったことが一つあるのですが、大蔵大臣は庶民の声を聞いて、世論調査もしくはみんなの――私が言ったのは、税金に書き入れるときにそれと結びつけて文句のありったけ書けと言っている。もちろん税務署の紙に書いたら、最近の税務署はかんかんになっておこるかもしれないけれども、しかしそういうことくらいしなければ税金を納めておる零細企業のやるせなさというものは解決しない、そういうことをすれば一挙両得だろうということを言ったのですが、下から吸い上げるということは言わないで、大蔵大臣は電子計算機を使えば何でもわかると言うのですが、電子計算機は単位のとり方で違うのですね。単位の取り方の中に主観が入る。主観が入ってとられて、下のほうを向いていないで上のほうばかりを向いている人たちが、単位の取り方をちょっと違えると全然違った答えが出るのです。だから私がさっき質問をしたのは、庶民の声なき声を全部聞いて、それを美濃部さんがやったようにシビルミニマムの基準として、そしてそれを統計数字にはっきりさして、物価、住宅、減税とやったら、防衛費なんか一番うしろにいってしまうと思うのです。そういう形にしたものを数字にして、こういうことだからこういうような査定をしたということなら話がわかる。みんな納得する。そういうことを言ったのです。だから大蔵大臣が帰ってこられたあとで政務次官から、近代化、合理化といっても、人間を無視した近代化、合理化であってはならないという点についてはよろしくお伝えください。
 以上で終わります。
#162
○櫻内主査代理 次に、佐野進君。
#163
○佐野(進)分科員 私は中小企業問題について、財政面と税制面について大蔵大臣に質問をしたいと思います。
 私は、社会党のほうの中小企業対策の政策の事務局長と運動のほうの副委員長という形で、みずから中小企業問題に取り組んでおりまして、去年の暮れでしたかことしの初め、大臣に会ってお願いしたのですが、あまりぱっとした結果も出なかったのですが、それはそれといたしまして、逐次ひとつ質問を続けていきたいと思います。
 まず第一に、本年度の予算は非常に大型で、全体的な予算の伸びは一五・八%になったということで、財政が日本経済の発展に即応して逐次大型化していくということは、まあ私どもとしてもこれを認めるにやぶさかでないわけです。ただこれに比較いたしまして、ことしの各省にわたる中小企業関係の予算を全部足して計算してみますと、政府のほうから出した資料によりましても四百三十億八千四百万円。いわゆる一般財政の伸びが、予算の伸びが一五・八%に対して、中小企業関係は政府全体の各省を集めた金でも一二・八%にしかすぎなかった。しかもこれは全予算に対して〇・六%だ。今日、日本の産業構造の中で大臣をはじめ政府の方々は、非常に経済が大型化してきたというような形の中で謳歌されておりますけれども、その経済が大型化する過程の中で中小企業者の置かれておる立場というのは、ますますいろいろな諸条件がふえてきて非常に困難をきわめておる。こういう形の中で〇・六%、いわゆる一二・八%、一般会計の伸びに比較してきわめて低い伸びしか示しておらない。こういう予算編成は大蔵省としては、結論的に言えば中小企業対策軽視、中小企業者軽視の考え方がこの予算案にあらわれておるのじゃないか、こう思うのですが、基本的に大臣の見解をひとつお聞きしておきたいと思うのです。
#164
○福田国務大臣 中小企業はわが国経済の中で特殊な地位を持っておる、こういうふうに見ております。この中小企業のわが国経済における地位はきわめて重大であるというふうに見ておるのですが、これに対する対策は一般予算の歳出とそうなじまない傾向を持っておるのでありまして、どうしてもこれは税と金融、これが中小企業対策の主軸になっていくのではないだろうか、こういうふうに見ておるわけであります。さようなことで、一般財源のほうで伸びが少ないというお話でございまするけれども、税とそれから金融におきましては特別に手厚い対策をいたしております。
#165
○佐野(進)分科員 大臣の特別に手厚いということは、どういうところにその根拠があるのか、これから逐次お聞きしてまいりたいと思います。私はやはり中小企業対策というものが今日政府の、いわゆる政治における最大課題の一つである、こういう観点に立つならば、金融の面においてはもちろん、税制の面でももちろんでありますが、具体的な個々の施策の面においても、こういういわゆる中小企業関係に対する予算の面について十分な対策がとられていかなければいけないのだ。たとえば今日社会的な問題で一番大きな課題になっておるのは公害、いわゆる経済の急成長に伴って発生した公害をどうやって除去するか。これはまさに欧米先進国の公害対策、あるいはそれらに基づく都市の現況と比較すると、日本の公害対策のおくれていることは、いまさら論をまつまでもないことであります。したがってこういうような公害対策、これは一例でありますが、これについても、それではどの程度の融資が行なわれ、どの程度の減税が行なわれたかということになると、あとから触れますが、非常に心細い状況であります。いわんや構造的な変化あるいは流通機構の急激な膨張に対する対応、そういうような対策が、具体的に金融や税制だけで解決されない、政府の施策として行なわなければならぬ、そういう面も非常に多いと思うのです。だからこそ政府関係機関の予算要求、各省の予算要求も大蔵省にことしは相当多かったと思うのですが、それらについては相当程度削られて、結論的には全体的な伸びが一二・八%、少なくとも私は一般会計の伸び程度の対策がこの予算の中に盛り込まれてしかるべきじゃないかと思うわけです。そういう点について、今年度は一応そういう形であったとしても、今後における対策としてどのような心がまえで臨まれるか。いわゆる金融と税制の面はあとから触れますけれども、一般対策としての面においての御見解をこの際お伺いしておきたい。
#166
○福田国務大臣 ただいま申し上げましたとおり、まず金融ですね。金融は政府三機関において貸し出し規模でいうと一八・〇%の増加、たいへんな増加になるわけです。貸し出し規模は八千五百億、もう一兆円に手が届くというところまでいくわけです。そういうふうな金融対策ですね。それからそれに加えて信用補完機能を強化しております。これはもうことごとく中小企業向けの対策であります。
 それから、いま一般的に中小企業近代化ということを進めておるわけですが、もう佐野さん御承知のように、各地に新しい団地なんかできておる。もうすばらしい中小企業の躍進が見られるわけであります。中小企業事業団、これの資金を充実する、そういうようなことがその推進に役立っておるわけでございますが、そういう近代化、合理化、構造改善を行なう中小企業に対して、特別割り増し償却を行なうというような対策を今度新しくつけ加えるとか、いままでも中小企業に対する特別措置はずいぶんあるわけでありますが、とにかく中小企業の近代化、これはわが国の特異な存在である中小企業の地位を安定させると同時に、当面非常に大きな問題になっておる物価対策、大きな目から見てこの物価対策にも大きく貢献するゆえんであろう、かような認識を持っておるわけであります。
#167
○佐野(進)分科員 ここでいつまでも時間をとっておるわけにはまいりませんが、ただ一般対策費についても、いわゆる政府予算の伸びに対応して今後も増額されるよう、格別な配慮をしていただきたいという要望を申し上げておきます。
 そこで、金融対策に入りたいと思うのでありますが、いま大臣もお話しになりましたが、政府は今年度、いわゆる財政投融資を通じて、政府関係各金融機関に対して大幅な出資をなされておるということに対して、私ども敬意を表しておるわけです。しかし、これはまだまだ実際上の問題として足りない。足りないけれども、これは今後の情勢の推移を見ながら対応することができるわけですから、それはいいといたしまして、私、この際政府関係金融機関、特に国民金融公庫に関係する問題について大臣の見解をお聞きしておきたいと思うのであります。
 これは御承知のとおり、最も零細小規模企業者を対象としてこの制度が運用されておるわけで、今日この制度により、どれだけ多くの小規模零細企業者が恩恵を受けておるかわからないと思うのであります。しかしこの国民金融公庫、もちろんほかの機関もそれぞれあれしておりますが、特に国民金融公庫につきましては、今日いわゆる最高の貸し付け限度額というものはきわめて低い。それから、いわゆる無担保、無保証、それに近い形の中で貸し出しを受ける条件等についてもきわめて配慮が行なわれておりますけれども、しかし全体的な金額のワクがきめられておるがゆえに、つい選別融資が行なわれて、なかなか思うように――申し込みから借り受けまでの間の時間、あるいは実際上借り受ける場合においてそれが削られるというような形の中において、たいへんいい制度であるけれども、困っておる方々が多いわけであります。したがって、経済が膨張し、日本経済の成長率に伴って財政インフレ的な、これはお気に入らないだろうけれども、そういうような形の中で、相当程度多額の金を融資してもらわなければならぬ人たちにとっては、きわめて心細い金融対策になる場合があるわけであります。したがって、これについては限度額を引き上げてくれとわれわれも強く要望したのですが、なかなかその要望が聞き入れられなかったわけですが、今後貸し付け金利並びに無担保、無保証の拡大、さらに限度額の引き上げ等についてどのようなお考えがあるか、この際ひとつお伺いしておきたいと思います。
#168
○福田国務大臣 金利につきましては、これは四十年の不況時にかなり引き下げたわけであります。まあぎりぎりのところまできておると思うのです。なかなかこれ以上ということはむずかしいのじゃあるまいか、さように考えております。無担保、無保証の限度、それから貸し出しの規模、こういうものにつきましては、そのときの情勢に応じて弾力的に考えていいと思うのです。ことに貸し出しの問題は、これを引き上げますと融資対象が制限される、こういうことになりますが、その辺のころ合いをよくあんばいをして、どっちがいいか、それは弾力的に考えていきたい、かように考えます。
#169
○佐野(進)分科員 これは庶民、いわゆる零細小規模企業者の最大の願いでありますので、今日の経済情勢に見合う限度額について、ぜひ十分考慮して取り組んでいただきたいと思います。
 次に、いまのは政府金融機関に対する関係ですが、一般金融機関について、いまは比較的金融がゆるんでおるといわれており、ここしばらくは比較的倒産件数が減っておるというふうに報ぜられておりますが、戦後における金融引き締めによって中小零細企業者の受ける困難というものは、その時点時点において非常に大きいものがある。その中で一番中小企業者が困難を感ずることは、いわゆる歩積み両建ての問題です。この歩積み両建てが民間金融機関において廃止されるということ、それに対する行政指導が強力に行なわれて、歩積み両建てがなくなったということになれば、これは中小企業者としては一大福音だと思うのでありますが、現実においては、大蔵委員会においても予算委員会等においても追及が行なわれても、なかなか行なわれない。その制度が相変わらず存置されておる。われわれが町の金融機関に行っても、やはり借りる場合においては、では幾ら積んでいただけますかということが公々然と行なわれている。こういうことは大臣もよく御承知のとおりでありますが、これらについて、もう少し中小企業対策の金融面における対策として、何か行政的な措置が強力に打てないものかどうか、大臣の決意が全体にしみ渡ると思うので、この際その決意をお聞かせ願いたいと思います。
#170
○福田国務大臣 歩積み両建てにつきましては、昭和四十年の不況のとき、これが非常にうるさい問題として提起されたわけです。それに対しまして、国会からの御注文もあり、大蔵委員会では特に小委員会まで設けてこれを検討されたのですが、歩積み両建てを整理する計画を立てまして、これを着実に実行したのであります。第一ラウンドが終わりまして、いま第二ラウンドの計画を立てまして、またこれを進めておるわけでございますが、大蔵省といたしましては、この計画が完全に実行できるように、十分金融機関を指導していきたい、かように考えております。
#171
○佐野(進)分科員 大蔵大臣のいまの御説明で私も満足いたしましたが、そこでこれと関連して、中小企業が直接金融を受けるのは、政府関係の金融機関といっても、しいて言うならば、零小規模のほうを対象にしていえば国民金融公庫あるいは町の信用金庫、信用組合、さらには相互銀行というような金融機関だろうと思うのであります。こういうようなところに対するいわゆる大蔵省の行政指導というものが、零細小規模企業者に対して非常に大きな影響を与えると思うのです。事実上の問題として、私どもそういう点は幾多見聞しておるわけです。たとえば大蔵省の監査があるとかどうとかいうことになると、ぴりぴりして――ぴりぴりすることがいいということではございませんが、そういうような真剣な態度で、帳簿の整理その他行政指導を金融対策の面についてもいろいろやっておられる実情をわれわれ見聞きするわけです。
 そこで、一つの具体的な例を引いて、私はこういうような場合どう取り組んでいただけるかということについて御質問してみたいと思うのであります。これは私も一年ぐらい前の商工委員会で質問して、善処方を要望したのですが、ついにそれが解決できずして、いま裁判になりつつある一つの実例なんですが、約二年前、いわゆる善意なる中小企業者が、善意なるがゆえに、金融機関――相互銀行なんですが、金融機関の支店長の示唆に基づいて、他の金融機関からあらゆる方法をもって金を集めて、その集めた金によって、その裏づけによって融資を受けようとした。その指導を支店長は強力にその企業者に対して行なったわけです。金を借りることができればということで、ほかの信用金庫に対して、ほかの人たちに対して無理算段して金を集めて入れた。そうしたところが、金を貸してくれない、金を預かったけれども金は貸してくれないということで、その企業は倒産した事実がある。その金融機関の指導というか、金融機関の取り扱いに基づいて倒産した。そのために数億の債権が残り、関連した中小企業者の相当多くの人たちが泣いておる現実があるわけです。これは何もこれだけではなくて、いろいろな条件がありますが、いわゆる金融機関の指導によって倒産さした、それはいわゆる預金量をふやすと同時に、他の金融機関に迷惑をかける形の中でその企業を倒産に追い込んだという一つの珍しいケースなんです。こういうことに対して、当時私は大蔵省に対しても強い要請いたしたのでありますが、本人は当時、話し合いがついておりますからというようなことであったのですが、その話し合いがついていないということで裁判になっております。こういう点についても、大蔵省は少なくとも、中小企業者はいま倒産が下火になったとはいいながら、なお昨年は一万件以上の倒産があるといわれておるときに、倒産対策に対して、金融機関の指導によって同じ金融機関同士が迷惑をかける状態の中で、自己の金融機関だけが残ればいいというような指導の中でこの企業を倒産さしていくということを、大蔵省はそういう事実がわかっていながら、なお見のがしておるということに対して、私はたいへん残念だ、こう思うわけであります。こういう点について大蔵大臣の見解、並びにこういう金融機関の指導に基づく倒産というようなことに対しては何らかこれを防止するような措置が講じられないものかどいうか、大臣の見解をこの際聞いておきたい。
#172
○福田国務大臣 金融機関の行なう個々の融資、これをこうしろとかあるいはしてはならないとか、そういう指導は大蔵省としてはできないのです。これをやるということになったら、これはたいへんな問題を起こすということになります。大蔵省の行なう指導というようなものは、これは一般的、抽象的なものであります。その一般的、抽象的な指導方針に照らして銀行運営が行なわれているかどうか、あと銀行検査というようなことで調査をするということはあるのですが、一つ一つの行動を命令する、こういうわけにはいかないわけなんです。それはそういうふうに御了承願いたいと思いますが、いま御指摘の具体的の案件につきましては、私もどうもちょっと片すみをのぞかしていただきたいというだけで、これをどういうふうにすべきかという判断は申し上げることはできません。
#173
○佐野(進)分科員 それについてはあとでまたよくお聞きになって、そういう例も一つの例として、多くの人たちに迷惑をかける、いわゆる金融機関を監督される立場において善処されんことをお願いします。
 そこで私は、そういう問題に関連するわけではございませんが、今日一つの企業が倒産することによって多くの関連した企業に影響を与えて、倒産ないし、いわゆる個人的な場合には倒産しなくてももう再起不能の状態におちいる、そういうような例が非常に多いわけであります。したがって、政府においてもいろいろな対策を立てられて、いわゆる倒産関連融資というような形の施策も講じられておるわけでありますが、これらについては、いまいわゆる政府関係において、指定基準に該当する場合は、十億円以上の場合これに融資するというような形が講じられておるわけです。これについてはいま少しく金額を安く、たとえば五億にするとかあるいは実情によっては三億――原則としてこれは十億だけれども、五億にするという場合もあるという形になっておりますけれども、こういう場合において関連倒産企業に対する救済をする必要があるのじゃないかと思うわけでありますが、その点が一つであります。
 それからもう一つは、いまの倒産の大部分がいわゆる不渡り手形が出たということが原因で倒産に追い込まれて、その金額はたとえば五億、全額の負債は五億であっても、一千万円の負債を出すことによって倒産をする、倒産という現実はさらに連鎖反応を呼ぶということでありますから、この際この倒産という現実に追い込まれる直前における対策ないしは直後における対策ということが非常に大切だと思うのであります。こういう点について、不渡り手形が出た際における救済措置、こういうようなことについて、あるいはそういう企業が出たならば、そういう企業そのものを一度何か政府なり各公共団体なりに権限を移譲して、それらの中で一応救済すべき措置を講ずるランクを設けるべきじゃないかと思うわけですが、それが無理としても、そういうような段階に至った不渡り手形、たとえば五億に対して一千万や二千万の負債であったとするならば、それを倒産に追い込まないで救済する措置を講ずる特定の機関というものを設置したら、非常に倒産件数も減るし関連企業に対する影響も少なくなるのじゃないか、こう思うのですが、見解をひとつお願いしたい。
#174
○福田国務大臣 いま御指摘のその問題も、これは四十年の不況のとき非常に論議をされた問題なんです。それで、倒産会社を調べてみますと、今日でもそうですが、その多くが経済情勢だとかあるいは経済政策だとか、そういうものから倒産が出てくる、こういうのじゃない。大体におきましてその経営者の責任に帰する、こういう事態が多いわけであります。しかし倒産する会社と取引を持ちあるいは手形関係を持つとかなんとかいう人は、これまた無実というか非常に気の毒な同情すべき立場であるという場合も多いので、中小企業信用保険法において、倒産関連中小企業者に対して特例を認めております。それでありまするから、まあそのもとを、もとの倒産を防止せい、これを未然に防げ、こういう御提言に対しましては、これは何か経営のずさんとかなんとか、そういうようなことがある場合は、その企業者、これはまあとがめられるべきでありますが、その及ぼす影響等も考慮いたしまして、お話しのようなことになればそれに越したことはないのです。そこで、どうもあの会社は怪しいなという際には、まず地方通産局の中に、名前は何といいましたか、企業倒産対策室といいましたか、そういう機構があるのです。そこへ大蔵省では財務局の者等が集まりまして、ある問題が起こりましたら何か未然に防止する対策はないか、こういう相談をするわけです。相談をしても、どうしてもこれは倒産やむを得ないという場合におきましては、その波及が最小限になるようにというまた努力をする、そういう一連の仕組みがあるわけなんでございまするが、なおそれを徹底さしていきたい、さように存じます。
 それから御提言の第二の問題である十億円、五億円という額の問題、これはさらに私のほうも検討してみることにいたします。
#175
○佐野(進)分科員 時間が迫ってまいりましたからそのほかに聞きたいことがありますが、税金対策について若干お聞きしたいと思います。時間がありませんので、二点については御見解だけをひとつお聞きしてみたいと思うのです。
 それは先ほど言った公害対策であります。これは今日、中小企業特に小規模企業者にとっては、公害をなくせということで、設備を入れなければならぬ、あるいはいろいろな制約があるわけです。たいへん苦しむのです。もう一つは労働力の定着の問題であります。労働者が定着しないということで、そのためにまた倒産するというような状態が出てきておる。いずれも設備ないしそれに関連する問題として、それを充実することによって労働者の定着もあるじゃないかという条件もあるわけでしょう。したがって、こういう面については融資の方面でいろいろ対策を立てておりますが、税制の面ではいまだそう多く見るべきものがないようです。今日税制対策としてこれらの面について相当程度中小企業対策の一環として御配慮を願わなければ、大企業と違ってなかなかたいへんな課題になってくると思うので、この点について税金対策上ひとつ善処をお願いしたい。具体的にいろいろあるのですけれども、時間がありませんからひとつ総括的にお願いいたしたいと思います。
#176
○福田国務大臣 公害につきましては、まず金融でありまするが、公害防止事業団の活動ですが、これは中小企業へ非常に大きく響いているわけであります。中小企業の方にはぜひこれを御活用願いたい、かように考えております。
 それから税制といたしましては、今度特別措置でお願いをするのですが、中小企業が公害対策をした場合に、その償却年限を短縮する、そういう内容の特別措置を提案いたしておるわけでありますが、中小企業は、公害と申しましても、なかなか資力が弱いですからやりにくいと思いますが、そういう税も金融もという方向でこれを助成していきたい、かように考えております。
#177
○佐野(進)分科員 それでは最後に、二つの点について質問して終わりたいと思います。
 その一つは、私は、今日いわゆる中小企業問題が論ぜられるとき、低開発国の追い上げ、あるいは構造改善、さらには流通機構の近代化、その他、いろいろ現在中小企業者の置かれておる国際的、国内的な環境の変化に対応して、ああもしなければならぬ、こうもしなければならぬという課題が非常に多いと思う。したがってそれだけに、政府の対策も非常に一生懸命やってもらわなければならぬと思うわけですが、そういう問題の中で、一番苦労しながら企業を維持、発展さしていかなければならないのは、小規模の零細企業者だと思う。この中には小工場もあれば、あるいは商店もあれば、それはいろいろあると思うのです。こういう方々に対して、さっき申し上げたとおり、国民金融公庫等を通じての融資の道をもっと開いていただくとかどうとか、あるいは町の金融機関を通じての融資が円滑に行なわれるようにしてもらうとか、いろいろありますが、まず何といっても税制上の対策として、ここにもっともっとあたたかい思いやりをひとつしてもらえないものかと思うのです。
 ということは、一般勤労者世帯については、大臣たびたび言われるように、四十五年度から標準世帯百万円まで無税にする、こう言われておりますが、そういう考え方は、小規模零細企業者、いわゆる個人事業者に対してはほとんどといっていいほど無視されているのですね。いわゆる専従者控除その他いろいろな形の中で対策が立てられておりますけれども、少なくともその企業を維持し発展する中心にいる人たちに対して、その税対策として、いま言われたと同じような考え方に基づいて処置してやろうというあたたかい思いやりがないと思うのです。
 いい例は、ことしも――去年は若干変わりました。しかし、事業主控除がことしは二十七万円で押えられているわけですね。これは地方税の関係ということにもなるでしょう、いわゆる所得税の関係ということになるでしょうけれども、いわゆる小規模零細企業者の税対策、特に生活給に類する税対策については、もう少しあたたかい思いやりがあってしかるべきじゃなかったか。特にことし二十七万円に財政的に抑えなければならぬ、それは白色申告者の問題、いろいろありますが、時間がありませんから省略いたしますけれども、その一点について、ことしはどうしてそれが押えられたのか、これから来年度以降、それらについては、いわゆる百万円の無税の問題と関連してどう措置されるのか、この点をひとつお聞きしておきたいと思います。
#178
○吉國(二)政府委員 ただいまの事業税の事業主控除の問題であります。大蔵省の所管じゃございませんが、御承知のように、ことしは事業税、住民税につきまして、専従者控除を青色につきましては完全給与制をとり、それから白色につきましても一挙に四万円の引き上げをやるというようなこともございまして、ことしは事業主控除に手をつけなかったわけでございますけれども、いま申し上げたように、青色の完全給与制という問題などは相当思い切ったものだと思いますので、地方税としてもかなりの踏み切りではないか、かように考えております。
#179
○佐野(進)分科員 それでは、たいへんいろいろな問題を出して恐縮でございましたが、いわゆる中小企業対策ということ、特に零細小規模企業者対策ということについては、財政的にも税制の面においても非常に重要な問題で、みんな期待しておりますので、私ども、そういう方面で、去年も大臣のところへ何回も行ったのですが、どうもあまり――いろいろやった、こう言われるのですが、これからもひとつしっかりやっていただきたいということをお願いして、質問を終わります。
#180
○櫻内主査代理 次に竹本孫一君。
#181
○竹本分科員 世界各国の経済が、経済の国際化と、きびしい経済戦争のあらしの過程にこれから入っていくと思います。そういうあらしの過程の中で、日本の経済も従来のやり方を一てきいたしまして、新しい決意と新しい構想で、このきびしい経済競争あるいは経済戦争に立ち向かっていかなければならぬと思うわけであります。そういう意味で、最近の大型合併の問題も、私はそれに対処しようとする一つの努力であると思っております。これとあわせて、わが国の一つの悩みであります資本コストをいかに切り下げるかということも、やはり新しい段階で新しい決意と構想を要請する重大な問題ではないかと思いますので、最近問題になっております時価発行の問題を中心に二、三お尋ねをいたしてみたいと思うわけであります。
 日本楽器が今度大量の時価発行をやりまして、わが国の経済界各方面から非常な注目を浴びておるわけでございますけれども、一応これは成功的なすべり出しをやったようでありますから、これからこの問題が相当大きな問題になってくると思いますので、そうした問題をお尋ねしたいと思うわけでございます。
 まず最初にお伺いいたしたいことは、売り上げ高純利益率を二、三調べてみますと、たとえば米国のデュポンにしましても、IBMにいたしましても、GMにいたしましても、みな一〇%から一三%くらいのところまでいっております。これに対しまして、いま欧州経済の没落というような問題を取り上げ、アメリカの挑戦を問題にいたしております、シュレベール等の書いたものを見ますと、EEC各国は、大体その純利益率は売り上げに対しまして三%台である。これに比較して日本は、一九六七年の数字でございますし、年々変わるでありましょうが、売り上げ高純利益率なんというものは三・八%前後である。アメリカに比べると問題にならず低く、弱い経済体制が問題になっておるEECにむしろ近い。これだけの高い成長率を示しておる日本としては、非常にふかしぎにも見えるわけでございますけれども、その原因は那辺にあるとお考えであるかということについて、ひとつ伺ってみたいと思います。
#182
○広瀬政府委員 ただいま御指摘の売り上げ高利益率の数字は、先生御指摘のとおりでございますが、これは、わが国の企業の利益率が総体的に低いということは、企業の資金調達総額に占めます内部資金の割合が、日本の場合はアメリカ等に比べてかなり低くなっております。そのために金利の負担が高くなっているということです。
 それからもう一つは、わが国の企業の減価償却の割合が高いことというふうに考えられます。
#183
○竹本分科員 資本金に対する純利益率を見ましても、これもまた日本が低いわけであります。これもいま御指摘のありましたように、借り入れ金が非常に多いということが一つの大きな原因であろうと思うのでございますけれども、それにしましても、やはり数字は大ざっぱなところで、アメリカが一二%ぐらい、フランスが四%ぐらい、EECが五%ぐらいというのに対して、日本では一体どのくらいになっておるか。その場合に、財務比率の問題でございますけれども、資本金だけの場合と総資本に対する場合と、何か数字があれば教えていただきたい。
#184
○広瀬政府委員 総資本純利益率の数字を持っておりますけれども、それは一九六六年でございますが、ただいま先生のおっしゃったアメリカ一二%、イギリスは九・二、それから西ドイツ六・六というような数字でございまして、日本の数字が一九六六年三・八、一九六七年に四・四というような数字でございます。
#185
○竹本分科員 最近、設備投資に必要とする資金調達の面では、だいぶ内部資金の比率が上がっておるようでございますけれども、設備投資並びに運転資金両面を押えての資金調達に占める内部資金の比率というものが、日本でははなはだしく低い。日本は三〇%以下である。米国や西ドイツが七〇%以上あるいは前後を占めておるのに比べて、半分以下である。これは日本の国際競争力の面から見ると、著しく競争力を弱めるものだというふうに考えますが、いかがでございますか。
#186
○広瀬政府委員 ただいまの資金調達総額における内部資金の比率は、御指摘の数字のとおりでございます。これが日本の企業の外部に対する競争力の点で問題があるという点もおっしゃるとおりでございまして、これは日本の経済が非常に高度成長いたしました関係上、内部資金の蓄積でもってまかなうことができずに、外部の借り入れ金等にたよらざるを得なかった、またそういうことで有効に資金を活用していったということが言えるかと思いますが、そういうような結果でございます。
#187
○竹本分科員 そこで、大臣にちょっとお伺いしたいのでございますけれども、いまお聞きのように、日本の国際競争力をこれから強めなければならぬという課題に直面しておるこの際において、実は逆に、日本の産業あるいは企業の財務比率あるいは体質というものは、そうした資金調達面から非常な苦しい矛盾に悩んでおるというわけでございますので、先ほど私が申しましたように、これからの経済の世界化に対処していく上においては、一方で大型合併等の問題もありますが、他面にいかにして資本コストを下げるか、特にこれから日本では設備拡張も大いにやっていかなければならぬわけでございますから、増資コストをいかに引き下げていくかということが、これからの非常に大きな課題であると思いますけれども、いかがでございますか。
#188
○福田国務大臣 私も、いま日本の企業の実態を見まして、憂慮にたえないのです。何とか資本構成を強化したい、こういうふうに考え、これは税の関係がかなりあるのじゃないか、さように考えている次第です。
 それからもう一つの問題は、いまお話がありましたが、日本楽器ですか、時価発行をやって非常に成績がよかったという話ですが、そういうようなことができるような条件がまだ日本経済に整ってない、こういう点なんかあるんじゃあるまいか。とにかく私はずいぶん企業の蓄積ということにつきましては意を用いているつもりでありまするが、毎年毎年の統計を見ますと、逐次自己資本の比率が下がってくる、がく然としておる、こういうわけであります。今後もいろいろくふうをこらしまして、この傾向が逆転をするようにと念願をしておる次第です。
#189
○竹本分科員 設備投資の計画化といった問題につきましては、われわれはわれわれ独自の考え方を持っておりますし、ただいま大臣御指摘の税の問題も、確かにそのとおりだと思いますけれども、これの解決もなかなかむずかしい問題があります。とりあえず各企業の努力次第ではやれるという問題は、やはり増資のコストを引き下げるために、時価発行に移行するということが非常に大きな課題になっておると私思います。
 そこで、局長にお伺いしますけれども、時価発行をやる場合には、どの程度増資コストの引き下げが可能であるか、またどういう面からそれが可能であるかということをちょっとお教えを願いたいと思います。
#190
○広瀬政府委員 増資コストにつきましての諸外国との比較につきまして、しっかりした統計がございませんので、正確なことは申し上げられませんけれども、一般的にわが国の企業の発行時の増資コストは大体一五%ぐらいというふうにいわれております。これに対しまして、アメリカでは約六%、イギリスが一〇%ぐらいというふうにいわれております。これはどうしてこういうような差があって高くなっているかと申しますと、先生の問題になさっております払い込み金額に対する配当金額の割合が、日本の増資の慣行としまして、額面発行という慣行があるためでございます。そのために、払い込み金額に対する配当金額の割合が高くなっているということに主たる原因があるというふうに考えられます。
 そこで、時価発行にすればどうなるかということでございますが、時価発行にいたしますれば、払い込み金額に対する配当金額の割合は当然減少することになりますので、発行時の増資コストはその分だけ減るわけでございます。アメリカの制度にならって、時価より一割程度低いところで普通発行価格をきめておるわけでございますけれども、これにならって計算をいたしますと、発行時の増資コストは約五、六%程度軽減されるのではないか。これもそうしっかりした計算ができるわけじゃございませんけれども、大体われわれ試算をいたしますと、そんなようなぐあいになります。ただ、これは発行時の増資コストでございまして、時価発行をした会社が、その後プレミアムをだんだんに株主に還元するということになりますると、その分だけ株式会社の配当負担はふえてまいりますから、結局長い期間をとってみますれば、額面発行の場合とそんなに違わないものと思います。しかし、当初の発行コスト、増資コストとしましては、いま申しましたような額面発行の場合一五%ぐらいのものが、五、六%下がって一〇%前後になるんじゃないかというような感じでございます。
#191
○竹本分科員 その一六%あるいは一五%という問題でございますけれども、これが五、六%下がるということは、企業にとっては非常に重要な影響があると思いますから、私ども時価発行について真剣に取り組みたいと思うわけでありますが、ちょっと関連してお伺いします。
 山一証券の調査によりますと、三月期の配当率は大体一〇・八%、九月期には一一%に向上するであろうというようなことが出ておりますが、この率というものは、国際的な比較ではどの程度、高過ぎるものか、低いものか、その辺はどうでしょう。
#192
○広瀬政府委員 外国との比較でございますが、これは日本に対しましては、アメリカのほうが低くなっているということでございます。
#193
○竹本分科員 配当比率の問題は別の機会に論議をすることにいたします。
 そこで、時価発行そのものにつきましては、これをやるという場合に、一時新聞等では非常に騒ぎが大きかったようであります。そのうちの一つに、株主にはいわゆる期待権があるんだ、プレミアムの問題でございますけれども、これをみんな会社に持っていかれて、株主のほうの期待権は無視される、これは法律上重大な問題があるんではないかというような意見も相当強く出ておりました。しかし、私ども調べたところでは、それは期待権と称する権利ではなくて、従来の一つの慣行に伴う反射的利益にすぎないと解釈すべきであって、まあ経済上は、先ほどお話のありましたあとにつける無償その他の問題がありますから、たいした損にならないだろう、またそれが当然だろうと思いますけれども、法律論として、こういう権利がはたしてあるのか、それは単なる反射的利益であるのか、その辺について大蔵省の見解を聞かしていただきたい。
#194
○広瀬政府委員 そういう法律上の権利があるというふうには考えておりません。おっしゃるような長い間の慣行として、株価がそういうふうに形成されていたのでございまして、急激に時価発行制度をとるということになりますと、そのために株価が大幅に下落するということはあり得るわけでございますけれども、それはいまおっしゃったプレミアムの還元というような方法等をとりまして漸次行なうということによれば、そういう弊害も起こらないかと思っております。
#195
○竹本分科員 この点、非常に明快な御答弁をいただきましてありがとうございました。
 次に進みますが、すべて制度にはメリットとデメリット、長所と短所必ずあるのでございますが、この時価発行に伴うメリットは、ここに先ほど来議論になりました点でございますからもうけっこうでございますが、デメリットのほうはどういう点を、あるいは企業主に対して、あるいは株主に対して、あるいは一般経済、あるいは証券市場等に対して、特にデメリットとして、これからの増資を進められる上からも注意をしていただかなければならぬ点として受けとめておられるか、その辺を伺いたい。
#196
○広瀬政府委員 メリットのほうはよろしいとおっしゃいましたのですが、お許しを得て申し上げますと、メリットは、結局低いコストの資金が調達できるということ、これが企業の立場としてのメリットだと思います。
 こういう企業の立場以上に、証券市場の立場としまして、発行市場と流通市場との有機的な関連が出て、そこにプライスメカニズムが働いてくる。そうしますと、そのプライスメカニズムによりまして、増資が自動的な調整を受ける。これが非常に大きなメリットじゃないかと思います。過去におきまして非常に多くの増資が殺到しまして、それが暴落したというのは、この市場におけるプライスメカニズムが働かなかった。これが是正されていくということが非常に大きな意味がありやしないか。
 それからまたもう一つのメリットとしましては、不確定な増資期待に基づきまして株価が形成されている場合に、かなりこれは異常な変動が起こり得るわけでありますが、そういうようなことがなくなってきやしないか。それから企業としましても、むしろ株主尊重という精神が生まれてきまして、自分の会社の株価に重大な関心を持つようになる。そういう方向での経営の努力が行なわれてくることは、非常にいいことではないか。また証券会社のアンダーライターの機能の充実強化ということにも役立ってくるのではないか、そういうふうに私ども証券行政の立場としまして、非常に多くのメリットを認められるわけであります。
 デメリットのほうは、ただいまの先生の御指摘の、主として企業主の立場からの問題でありまして、わが国の株価というものが、長年にわたって額面発行、株主割り当てという慣行の上に形成されてきた。これは非常に長い間の慣行でございます。
  〔櫻内主査代理退席、倉成主査代理着席〕
したがって、これに急激な衝撃を与えるということになりますと、株主の期待権ではないにしましても、御期待に対しまして大きな裏切りということになりまして、そのために株価の下落を招き、また企業の経営者に対する不信の観念を醸成するということになりますので、この辺が最大のデメリットということになろうかと思います。したがって、株主の利益を擁護するためのいろいろな措置をとって、このメリットの発揮を十分できるような方向で考えていかなければならぬ、そういうふうに考えております。
#197
○竹本分科員 その株主の利益を守るために今後どういうことをなさろうというお考えであるかということも伺いたいし、それからあわせて、いまアンダーライターの話が出ましたけれども、時価発行でもやるということにしなければ、実際問題として、日本のアンダーライターの存在を確固たる基礎の上に置くという契機というものはほとんどないのではないかと思いますが、その二点についてお伺いしたい。
#198
○広瀬政府委員 株主の利益を擁護するための措置ということでございますが、これは時価発行へ移行する場合には、まず安定配当の維持ということ、それから無償交付等による増資プレミアムの株主への還元、そういうようなことを通じまして、株主の利益を十分尊重する慣行を漸次醸成していくということが必要になってくると存じます。また、それにあわせまして、時価発行の円滑な移行をはかるためには、そのほかにも、たとえばいまのような時価発行をするにつきまして、それをやる会社は、株主に対しましていきなりだしぬけにやるということでなくて、時価発行についての予告をするというような措置も必要かと思いますし、また、公募を行なう場合に、株主優先募集でやるということが望ましいんじゃないか。それからまた、もっと根本的かと思いますけれども、どんな会社について時価発行をやるかということでございますが、この辺が一番大事で、将来プレミアムを還元できるような十分収益力のある会社を選定していく、そういうことだと思います。そこで、その選定をするというのは、これはアンダーライターの仕事でございまして、アンダーライターの機能は、現在、株主割り当て、額面発行では、まさに先生の御指摘になっておられますように、ほとんどその機能を発揮する余地はないわけでございます。いきなり発行会社が株主に割り当てられまして、株主はその増資の払い込み資金を銀行に払い込むだけで、証券会社、アンダーライター業務が入り込むすきはないわけでありますが、ほんのわずかな失権分につきまして、アンダーライターがそれを引き受けて一般に資金を求めるということでございます。したがって、時価発行に移り得ますと、これは非常に大きな責任、リスクもありますけれども、また、それによって大きく機能し得るという面にアンダーライターが出てまいります。そういうことではないかというふうに私ども考えております。
#199
○竹本分科員 株主の擁護というものは、もちろん大切な問題でございますし、いま御指摘になりましたような事前の予告だとか、無償交付だとか、いろいろ配慮をすべきものであるというふうに私も考えまして、同感であります。ただ、この際、私はちょっと特に念を押しておきたいのは、時価発行をやる、日楽さんがやった場合でもそうでございますが、新聞、雑誌にいろいろ出ておるのでございますが、プレミアムの還元計画について、無償交付の問題が非常に騒がれたらしいんですね。しかし、これは一時プレミアム十数億なら十数億の金を経営者に預けておくというふうに解釈すべきであって、それから次にはまた幾ら、次には幾らというふうにして、初めから還元計画を全部出せ、出さなければ応じないといったようなやり方をやれば、それこそ、社債になるか何になるか、時価発行の本質的な意義というものはほとんど失われる。そういう意味においては、今回の場合には無償はつけましたけれども、そのプレミアムを無償交付、何回かの計画でこういうふうにして全部お返ししますということについては、会社の社長さんとその他関係者がやはりかたくなにまでがんばったということは、私は一つの見識である。もしその線をくずせば、何のための時価発行かわからなくなる。これからまた時価発行いろいろ出るでありましょうが、そういう意味において、今回の事例は非常に注目をされたんだろうと思います。特にそういう意味で、時価発行という場合には、これはある意味において経営者を信頼して、そのプレミアム分だけは一応預けておく、将来それがコストを引き下げて会社の経営を非常に好転さした場合には、もちろん経常の倫理としても当然これは還元すべきものであろうけれども、初めからそれを全部還元計画を出せ、あるいはその一札をとらなければこれに応じないというようなことは、むしろ時価発行を全く有名無実なものにするものであると言いたいと思いますけれども、いかがでありますか。
#200
○広瀬政府委員 まことに御指摘のとおりだと思います。やはりそういうようなプレミアムを還元しろ、しかも計画的に出せというような議論が出ますのは、株主と経営者との間の信頼関係がないためでありまして、これがお互いに因となり果となり合って、不信感が醸成されているのが現在の正直な状況じゃないかと思います。それが、ほんとうに経営者が株主優遇の態度をとり、経営方針をとり、そしてまた、株主もそれを信頼するような形になってまいりますれば、そのようなことは全く杞憂に終わるはずでございます。時価発行がだんだんに普及していくというような情勢になりますれば、次第にそういうふうな状態になっていくんじゃないかというふうに私どもは考えております。
#201
○竹本分科員 いま局長の御答弁にもありましたけれども、雑誌、新聞等いろいろいっておりますが、日楽の成功をきっかけにいたしまして、これから時価発行ということが相当行なわれるのではないかと思われます。現にそういう考えを持っておる会社がどの程度あるか、おわかりでありましたら……。
#202
○広瀬政府委員 まだはっきりしたものは出ておりません。ただ、証券会社のほうとしましては、アンダーライターの機能を一そう推進して、できるだけそういう方向に持っていきたいという気持ちはございます。それからなお、証券界としましては、証団協、証券団体協議会と申しますけれども、そういうようなところで、時価発行についての統一見解をすでに一昨年ですかまとめておりまして、だんだんにそちらのほうに移行していく、そのためには、先ほど来議論のありましたような株主への配慮も、だんだんに慣行として醸成することが望ましいというふうな意見も出しております。昨年は生命保険協会ではやや時期尚早だという意見もございましたが、やはり根本的には賛成の態度でありました。それから、全銀協等も似たような見解で、大体根本の趣旨には賛成、ただし、そう急にやってはいかぬ、漸を追うてやるべきではないか、そして株主への対策を十分に尽くして、だんだんにやっていくというような意見が発表されておりますので、今年度もある程度出てくるのではないかというふうに考えております。
#203
○竹本分科員 最後に、大臣のお考えを承っておきたいと思うのでございますけれども、以上簡単に論議いたしました点でも明確になってまいりました。資本のコストを下げるというような意味において、ぜひこれをやりたいというお考えも大蔵省にあるようでございますけれども、念のために、大臣として、この時価発行について、これを推し進める方向で今後お考えになるのか、どういう形で、どういう方向で対処をされるのかということをお伺いしたいことが一つ。
 それから、時間がありませんので、私のほうから申し上げますが、もし推し進めるとしても、その問題のねらいをどこに置くかという問題だと思うのです。私の考えるところでは、もちろんコストが下がるとかいろいろ問題――当然のことでございますけれども、私は少し角度を変えて、あるいは次元を高めて、特に言いたいことは、この時価発行を契機として、経営者の経営倫理というものを確立したい。もちろん、株価というものは、常に経営者の勤務評定みたいなものでございますけれども、しかし、このプレミアムを、たくさんの金を無利子で預かっておるということを一つの契機にいたしまして、経営者はより以上真剣に経営に取り組んで、そのプレミアムをさらに拡大再生産して、これを株主に還元すべき道義的な責任を背負わされるわけです。そういう意味において、時価発行というものは、新聞等もあまりまだ指摘しておりませんけれども、私は、経営倫理の革命につながるものであり、またそういう見地から、これを推進したいということが一つです。
 それからもう一つは、やはりコストを下げるということの中に入っておるわけでございますけれども、これからの経済競争、きびしい国際経済戦を考えますときに、これはいままでのように――いままでは高度成長で日本も非常に伸びてまいりました。世界で二番目とか三番目とかいうところまで伸びてきたのですけれども、これから伸びる次の段階を考えると、経済の成長発展ということは、従来の戦後の段階とはまるきり違った形で、きびしさが増してくる。もう一つ言うならば、事業経営の利益率というのはぐんぐん落ちてくると思うのです。そういう意味で、コストの切り下げということは、よほど真剣に取り組まなければならぬという問題であって、そのコスト切り下げの一つの有力な方法として資本コストの切り下げだということがなければ、日本の民族産業の国際競争場裏における立場というものは著しく弱められる。
 でありまするから、第二の私の観点は、これは一つの民族産業擁護につながる問題である、そういうきびしい国際経済競争に対する大きな、次元の高いところからこの問題をとらえてまいりたい。
 この二つを、特に私は、普通にいわれておる事務的な見解以上に、政治的な考え方として、第一は、これをきっかけに経営者の倫理をきびしく革新をしなければならぬということ、第二は、これをきっかけにして日本の民族産業の国際的競争力をほんとうに強めていくのだ、こういう観点から特にとらえてまいりたいと思いますが、大臣のお考えを承りたいと思います。
#204
○福田国務大臣 私は、いま竹本さんのいろいろな分析を伺っていまして、大体同感でございます。
 第一点は時価発行問題、これは前向き、積極的に取り組んでいきたい、かように考えます。私は、財政演説の中で、企業体質の改善、こう申し上げておりますのも、こういう点も考えていこう、こういうふうに御了解願いたい。
 それでは何をするのだ、こういうお話でございますが、これはやはりこれが広く取り入れられるような環境の整備、これを大蔵省としてはやっていかなければならぬ、かように考えます。お話しのように、これは経営倫理の問題にも自然つながっていく問題でありまするし、またこれができれば、いま自由化だの、世界経済の開放だとかいう、こういう中において、わが国の企業体質改善、これに大きく役立つ、かように思いまして、せっかく努力してみたいと考えます。
#205
○竹本分科員 前向きの御努力を期待いたしまして、質問を終わります。
#206
○倉成主査代理 伊藤惣助丸君。
#207
○伊藤(惣)分科員 沖繩問題について、いまほど論議されているときはありません。政治、経済、軍事、さまざまな問題がこの沖繩に集約されて論議されているわけです。しかし、沖繩の本土一体化の政策、これを推進する上において、沖繩の通貨問題、経済問題の点については真空状態ではないか。この点の解明がなされていない。沖繩が返還されるに伴って、沖繩の流通秩序が混乱されることになっては困る。そして沖繩経済が本土経済と融合していくために、いまからこの面の一体化政策が推し進められなければならないということを指摘しておきたいわけです。
 まず初めに、この沖繩通貨の現状について、大蔵大臣はどのような見解を持っておられるか、お伺いしたいと思います。
#208
○福田国務大臣 沖繩はいまドル経済が行なわれておるわけであります。いま沖繩はアメリカの施政権下にありますから余儀ないことと存じます。したがいまして、それはそれとして、そういう状態であるほかはありませんけれども、しかし、ことしの秋には総理が訪米をして、そして沖繩返還の時期についてのめどをつけるということになっております。おそらく返還はいつ実現するのだという目標がきまると思うのです。そういうことを目ざしまして、経済、通貨、諸般の問題、いま一体化ということを言っておりますが、そういう方向で事を考えていかなければならない、かように考えております。
#209
○伊藤(惣)分科員 沖繩の通貨の実態について二、三伺いたいのですが、現在は米ドルなのか、あるいはまた日本円、軍票というようなものの三本立てになっているのか、その点について伺います。
#210
○村井政府委員 目下のところ、米ドルだけと承知いたしております。
#211
○伊藤(惣)分科員 軍票は出てないですか。
#212
○村井政府委員 米ドルだけでございます。軍票は使用されていないというふうに聞いております。
#213
○伊藤(惣)分科員 この通貨量でございますが、米ドルの通貨量は全体でどのくらいありますか。
#214
○村井政府委員 実はこちらへ参ります前にあっちこっちの文献を調べたのでございますが、何ぶんにもあれはアメリカの連邦準備銀行から直接に、グリーンバックと申しますが、ドルの銀行券が送付されておりまして、沖繩の琉球銀行等は全然関与していないという状況でございますので、どの程度グリーンバックの流通量があるかという数字がどうしても把握できない状況でございます。
#215
○伊藤(惣)分科員 それじゃ、いわゆる琉球政府が独自で外貨を保有しておるかどうかということですが……。
#216
○村井政府委員 外貨準備の必要は、もしそういうことでございますと――いわば経済的にはアメリカの一つの州のようなかっこうでございますので、その必要がないんじゃないかというふうに想像いたします。
#217
○伊藤(惣)分科員 それじゃ対外決済の実情はどうなっていますか。
#218
○村井政府委員 そういうことで沖繩はドル圏でございますので、ドルで対外決済をするというふうになっておるようでございます。
#219
○伊藤(惣)分科員 この一体化の問題については、かつて閣議においても、制度上の問題についてはすみやかに三カ年ぐらいでやるということが決定されているわけですよ。この間の沖繩委員会において、床次総理府総務長官も、財政援助の拡大だけが一体化ではない、制度の一体化が推進されなければならないのだ、総理府でいまやっておるんだ、こういうふうに答弁されているわけですよ。私も、この問題については、はっきり申し上げてわからないわけです。いま言ったようなことは、一体化政策が打ち出されている面から、積極的に把握していくのが当然じゃないかと思うのです。大臣、この点どうですか。
#220
○福田国務大臣 一体化というのは、まず第一が政治体制の一体化です。これは国会参加とか、そういう問題ですね。それから第二は、行政の一体化ということを考えております。つまり、行政水準の問題ですね。それから第三に経済の一体化、こういうことを考えております。
 いま伊藤さんのおっしゃられる通貨問題は、経済のほうの問題だろうと思いますが、これは御承知のように、奄美大島でもそうですし、あるいは小笠原でもそうなんですが、もうこの日に日本へ移管だというときに、通貨がぱっと日本円に切りかえになって支障なく動くわけなんです。ですから、いつになるかわかりませんけれども、おそくとも沖繩が日本に返るその日にはどうしても切りかえにならなければならぬわけでございますが、どういうような手順でするかという問題は、ずいぶん先の話になると思いますけれども、いまから考えておきたいと思います。
#221
○伊藤(惣)分科員 四十四年度の援助額も二百二十七億くらいきまっておるわけです。この援助費の支出については、どういうような形で向こうに出されるのですか。
#222
○村井政府委員 予算に組みました援助資金は、日本の銀行に支出になりまして、私たちは自由円と呼んでおりますけれども、ドルに交換される円という勘定になります。したがいまして、振り込んだその円は交換可能な自由円勘定に入るわけでありますので、沖繩政府がそれを使用いたしますときは、その円は交換可能通貨なものでございますから、円をドルにして、そして使用しておる。あるいは直接円でもって決済しておる。私たちのほうから見ますと、ドルで決済されてもドルに交換し得る自由円で決済されてもいい、そういう仕組みになっております。
#223
○伊藤(惣)分科員 先ほどから局長の話を聞いておりまして、このくらいのことは、一体化政策が打ち出されたときから、たとえまだ具体的にやる段階ではないとしても、前もって調べておくのが、私は当然じゃないかと思うのです。きょうは、その上でいろいろと考えてきている問題がたくさんあります。いま円でも決済があるというお話を聞きましたが、確かに、私もこの間行ってきまして、はっきり申し上げまして、現に円が通用するわけですよ。あなた、軍票がないと言いますけれども、実際軍の中ではあるわけです。そういう点の実態の把握もしないで、米ドルだけである、そう言いながら、円の決済もあるのだというようなことをおっしゃるわけです。
 そこで、いまいろいろなことを聞いたわけですが、やはり当然一体化政策の上において大事なことは、返還時においては、特に通貨の問題についてはとても混乱するわけですよ。ですから、それには具体的に返還時からさかのぼって、こういう問題については何年かかるんだ――たとえば現在銀行があります。生命保険の会社もあります。いろいろな保険会社があります。そういうものの引き継ぎはどうするのか。さらにまた、産業をこれから非常に拡大しなくちゃならぬということであっても、現在外国という関係にあっては、資金の投入ということがうまくいかない。たとえば産業でいうならば、日本円を持っていって耕うん機を月賦で買うとか、さらに機械類を日本円で決済できるとなれば、日本の仕組みをそのまま沖繩にも適用することができるということにもなるわけです。そういう面から、現地住民は円建てということを非常に望んでおるわけです。返還になってそれからというのでは非常におそくなるわけですよ。ですから、そのことを返還前に早くやるべきではないか。現在の複雑な沖繩の通貨体制を考えてみたときに、じゃどれぐらいあったら円建てにすることができるか、その見通しを伺いたいわけです。
#224
○村井政府委員 伊藤先生のおっしゃるとおりであろうと思います。私たちも、早く沖繩の返還が実現いたしまして、そのときには当然円通貨圏に入るわけでありますから、その移行に支障を来たすということが万々一あってはならないというふうに思っておりますし、その準備はおさおさ怠りなくいたしたいと思っております。奄美大島にいたしましても、小笠原にいたしましても、私たちといたしましてはそういう経験があるわけでありますから、その経験も生かして、何ら支障なく円経済への移行をやっていくということにしたいと思います。ただ、それをいまやったらどうかということは、これは先ほど来たびたびお話がございますように、いま施政権というものが向こうにあり、経済的に申しますとドル圏でもございますので、こちらからとやかくなかなか通貨圏の指図もできにくいという関係にあることは、先生も御承知の上の御質問だとは思いますけれども、その点御了察願いたいと思います。
#225
○伊藤(惣)分科員 だから、私はここを重大に取り上げているわけですよ。小笠原なんか四十二世帯、二百人ですよ。それは簡単ですよ。奄美大島なんてたった五万人くらいじゃないですか。沖繩は百万ですよ。しかも、いろいろ複雑な要素があるわけですよ。やったことがあるから簡単だというような考え方では、私は問題だと思うのです。私はここで沖繩に行っても感ずることは、現に日本円がもうすでに流通しておる、軍票も流通しておる、こういう実態があるわけです。ですから、何も米ドル、そしてまた円というふうにすぐにかわらないかもしれない。しかし、旅行した場合にも、買いものをする場合でも、何でも日本でそれをドルに交換し、さらに向こうで使う。こっちに持ってきてドルから日本円にする。こういう旅行者はみんな考えている。同じ日本じゃないか、二時間で行けるじゃないか、だから、もう円で認めてやったらいいじゃないか。しかも、返還されることは、おそかれ早かれ、基地の態様については返還時のことは白紙だと言っているけれども、ほぼきまっておるといっていいのじゃないかと思います。ですから、私たちは、その点については、もうここらで円も認めていいのじゃないかと思うのですが、大臣、その点の見解を伺いたいわけです。
#226
○福田国務大臣 まだ円を認めるということは時期尚早だと思います。つまり、施政権が向こうにある。そこに大事な日本円の管理をまかせる、こういう態度はどうかという疑問を持つ。これはやはり施政権と一緒に最終的には持ってくる。その前にいろいろな手順はきめてておかなければなりませんけれども、いま着手をするのは早いというふうに考えております。
#227
○伊藤(惣)分科員 それじゃ沖繩通貨と日本円の切りかえについての具体的構想といいますか、そういう点、たとえば逆算すればわかると思うのですね。大体、一体化政策というのは、ことしから始まって三年後というふうにいわれております。ですから、その中で、通貨は無理だ、あるいはまた条件さえそろえばやるんだ、また、返還が始まってから、それから手をつけるのかという点で、みんな考えているわけですね。その点に対する具体的な構想ですか、いまからいろいろの措置をとらなければたいへんなわけです。その点について……。
#228
○福田国務大臣 いまから手をつけなければたいへんだとは考えておりません。これは十一月になれば、いつ返還になるのかというめどもきまります。そうしますと、具体的なスケジュールがいろいろきまってくるわけです。その中の一こまといたしまして通貨の問題も取り上げる。しかし、これが完全に円区域になるというのは、私は施政権の返還のその日になるというのが、これは常識的な見方だろう、かように考えております。
#229
○伊藤(惣)分科員 じゃ時間の関係で前に進みますが、できる限り早く円建てができるように、また、その時期がたとえ返還前であっても、一体化という面からできることを住民は望んでおるわけです。そのことを一応検討するということで要望したいと思うのです。
 次に伺いたいのは、最近沖繩にアメリカ資本のラッシュということがあるわけです。これが沖繩問題の一つの盲点じゃないかと思うわけですが、今後は石油ばかりじゃなくて、自動車や電気というものがどんどん入ってくる。そういう外国資本の進出が十分予想されるわけです。現在の沖繩にはどんな外資の沖繩進出があるのか、その概況を簡単に伺いたいわけです。
#230
○村井政府委員 いま沖繩に対する外資の導入は、いわゆる米国の民政府の布令というものによって規制されているわけでございます。ちょうど先生御承知のように、わが国では外資に関する法律というもので外資導入を規制しているわけでございますけれども、それと同様なもので、米政府の布令でもって琉球における外国人の投資というものを抑制しているわけでございますが、私たちがいろいろな報道でもって承知いたします限りにおきましては、わりあいゆるやかな規制といいますか、非常に日本に比べまして導入を容易にしているような、そういう規制になっているようでございます。それで石油とか自動車とかが進出を企てているようでございます。その他いろいろの企業が沖繩進出を企てている。ことにそのソースは米本国が多いというふうに私たち聞いているわけでございます。
#231
○伊藤(惣)分科員 私たちが行って調べてきたのですが、現在、沖繩に石油精製事業認可の免許が交付されておりますね。それはガルフという日産十万バーレルぐらい生産できる大きな石油会社、またカイザーという石油会社、これも日産三万五千バーレル、さらにカルテックス、これは四万バーレル生産する会社、エッソ、これは日産八万バーレル、このような大きな米国の石油会社が入っているわけですね。そうしてそれらの会社の総計を見ていきますと、二十五万五千バーレルに達する。これは日本の石油精製能力の日産二百三十万バーレルの一割強だ。こんな大きな石油会社が次々といまできつつあるわけです。そうして、こういう大きい石油会社ができても、とうていいま沖繩では操業ができないわけですが、その実態をどうお考えになりますか。
#232
○村井政府委員 おっしゃるとおり、これが今後返還になりましたときは、かなりわが国産業との調整問題というものが問題になろうかと思いますが、結局私たちとしては、国内需要を満たした上は極力輸出をするということを考えるよりないわけでございまして、ことに石油資本が非常に多額に入ってきているということは、石油の輸出がどの程度できるかということと、それから日本内地、現在の日本でございますが、かなり石油の輸入をやっておりますが、その振りかえがどの程度できるかということも関連いたしましょうし、かなりいろいろな問題が出てくるとは思いますが、これはこれからもなおひとつ返還を目途にもっともっと研究していかなければならぬと、先生の御指摘のようにいま考えております。
#233
○伊藤(惣)分科員 こういう沖繩における石油の要需なんというものを調べていきますと、一日に三万か四万バーレルぐらいしか需要がないわけです。いままで申し上げました石油会社は、世界の七大石油企業に数えられているそれぞれの石油会社ですから、これが沖繩にどうしてそんなに意欲を持って投資をして進出しているか、この点なんかどういう見方かされているか。特に現在の日本の産業政策または石油業法からしますと、その資本の構成だとか設備能力の点からいっても、これらの外国系資本の進出は日本本土では認められないわけです。いろんなふうに考えていきますと、そういうふうに沖繩に乗り込んだということは、逆に沖繩への一つの既得権をつくっておいて、そうして返還と同時にそれを認めさして、日本上陸ということも考えられるわけです。しかも、石油会社だけではなくて、ほかにも、自動車会社だとか電気だとかいうような企業もねらっているわけですよ。それに対して日本政府としても、そういう実態を調査し、またはその理由を聞かずに、そのまま放置していいのかどうか。やはりこうしたことについては、平和憲法もそのまま適用される、総理もそう答弁しておりますが、いろいろな意味で一体化ということがいわれておるわけです。そういう一つの現況から、大蔵大臣はこの問題についてどう考えておられるのか、今後どう措置されるのかということに、沖繩住民、また日本国民としても、大きな関心を持っておるわけです。その点について大臣から伺いたい。
#234
○福田国務大臣 沖繩へのアメリカの資本の進出、これは私どもは重大なる関心を持って見ておるわけです。しかし、見ておるというだけで、有効なるコントロールの手段というものは持たないのです。ですから、モーラルな意味において、アメリカ側を牽制するというにとどまる。また、この問題のそういうような進め方については、沖繩政府の協力も得ながらやっていく、こういうことでございますが、私どものそういう考え方が全然響かないということはないのです。多少の響きは持っておる。しかし、決定的なものはない。しかし、これはしようがないという状態でございます。
#235
○伊藤(惣)分科員 この問題は、経済問題としては非常に大きな問題だと思います。それで、たとえば沖繩復帰に対して非常な障害になりかねないのじゃないかということを考えるわけです。日本では、資本の自由化ということを非常にきびしくやっているわけですね。しかし、沖繩返還と同時にくずれるんじゃないかというような極端な見方もあるわけです。たとえそれをチェックするとしても、既得権というものを認めなければいけない、非常に消極的なチェックをしなければならないということもあり得ると思うわけです。そして、たとえるならば、本土では許さない待遇をもし許したとなると、わが国は諸外国といろいろな通商航海条約を結んでいるわけですが、最恵国待遇の国との関連で、やはりこれも大きな問題になってくると思うのですが、大臣の見解をお伺いしたい。
#236
○福田国務大臣 いずれにしても、アメリカがいま、たとえば石油の精製業というようなものについて、沖繩に進出しておる。これが沖繩返還のときに一体どうなるのであろうかということは、そのときになってなかなかやっかいな問題であろうと、私どもは警戒しながらこの問題をながめております。
#237
○伊藤(惣)分科員 局長も全然前向きな答弁がというよりも、実態をつかんでいないわけですよ、はっきり申し上げて。大臣からも、何のことはない、そのときになってからじゃないと……、いまから考えたい、こういうようなことは、いままで何回も聞いておるわけです。はっきり申し上げますと、要するに全然なっちゃないと思うのですよ。これは非常に大事な問題ですよ。援助はもちろんするが、援助費だって少ない。さらに、沖繩は返還後の経済が大事だ、返還がきまってからでは間に合わぬ。だからいまからやらなければいけないのだ、そう言ったのは政府じゃありませんか。そういう面からいっても、こういう点は積極的に、大蔵大臣があとになってから後手後手をとるのでなく、政策でも消極的なチェックをするのでなく、いまから前向きにやるべきじゃないか、こう思うのですが、大臣の所見を伺いたい。
#238
○福田国務大臣 いまから前向きでやっておるのです。最善を尽くしておる。しかし、外国の施政権下の問題でありますので、手に負えない面が多い。しかし、なおそれ以上の努力をいたします。
#239
○伊藤(惣)分科員 ですから、私一つ提案しておきます。要するに、本土復帰に際しては、非常に経済混乱を予想される。それは防止しなくてはいけない。また、ドル経済から円経済に切りかえる時期をいつにするか、そういった問題を検討しなくてはいけない。さらにまた、産業構造上のひずみの是正だとか、所得格差の解消だとか、いろいろな問題があるわけですよ。そこで、私が言いたいことは、たとえばお金のほうだったならば、沖繩総合開発銀行というような形で、これは仮称でけっこうですけれども、そういうものを設置して、いろいろな資金の援助だとか、または現在沖繩にあるいろいろな公社の金融機関を統合するような方向にするとか、あるいはまた一切の経済または産業についての一つのビジョン、長期的ないろいろな問題を策定するために、沖繩経済総合開発調査会というようなものをつくって、そういったものを諮問して、大蔵大臣でもいいし、総理大臣でもいいし、いまから検討する、独自にそういうものをつくって専門にやっていく、こういうことを私は感じておるわけですが、大臣の考えを伺います。
#240
○福田国務大臣 いずれそういう時期が来ると思います。しかし、いま沖繩問題等懇談会、沖懇というのがありますが、そのあとなんですね。つまり、どういう形で返すめどをつけるのか、これが当面の問題で、その先の沖繩の受け入れの問題、これはそれのめどがついてからは、御説のとおり、そういう方向でいろいろなスケジュールをつくらなければいけない、こう考えております。
#241
○伊藤(惣)分科員 大臣の前向きで対処するという考えを、どうか具体的に今後の沖繩問題についてやっていただきたい、そのことをお願いしておきます。
 最後に二、三問聞きたいのですが、豊島区池袋の東口に大蔵省の造幣局がございます。この概況について簡単に伺いたいのです。
#242
○阪上政府委員 ただいまお話がありましたが、造幣局の東京支局が東京都の豊島区池袋にございまして、この敷地面積は二万七千平米、建物面積が延べで二万二千平米、大体二百八十五人の職員が働いておりまして、ここで御案内のとおり補助貨幣の製造とか、あるいは勲章類の製造及び金地金の品位証明等の作業を行なっておるわけでございます。
#243
○伊藤(惣)分科員 大臣に聞いていただきたいのですが、東京は非常に過密化されておりまして、その対策として都市再開発ということがいわれております。特に池袋、新宿、渋谷等というのは副都心というふうにいわれまして、独自の開発をしているわけです。御存じのように、この造幣局の隣には現在東京拘置所があるわけですが、これが近々移転いたします。今回の予算が通れば、その移転の作業は五月ごろから着手する、こういわれております。そのあとには何ができるか、都市再開発の上から、三十六階建ての高層ビルが二むね建つ、言うならば、霞が関ビルの四倍もの大きな建物が建つようになっております。その隣が造幣局ということなんです。いわば豊島区池袋、副都心の中心に三十六階ビルがなるわけです。その隣でお金をつくっているということは、だれが見ましても非常におかしいわけです。しかも、現在ですら坪四十万から五十万、一説には六十万から七十万ぐらいするだろうといわれる。それで、いわば都市のどまん中に造幣局があるということになるわけなんですが、この点について地元の人たちは、三十六階のビルができると同時に、それらの建物を処分して、そうしてそこには文化的な会館であるとか、または公園であるとかをつくっていただきたい。これは区長も地元の有力な人たちもみな口をそろえて言っているわけです。その造幣局の移転について、大臣どのように考えているか、伺いたいのです。
#244
○福田国務大臣 これは伊藤さんからお話もありましたので、相談会を開いたのです。その相談会の結果は、遺憾ながら、仕事の性質上、ただいまこれを廃棄するというわけにはいかぬ、こういうのがいままでの相談の結論でございます。
#245
○伊藤(惣)分科員 最後に一問だけ。そのことは、地元の要望であり、もしそれをそのままに放置しておきますと、国会にまでデモをして移転問題を何としても検討してもらう、していただきたい、こういう声があることを承知をしていただいて、今後その問題をさらに慎重に検討していただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。
#246
○倉成主査代理 浅井美幸君。
#247
○浅井分科員 私は、公営地下鉄の問題と保育所の問題、二点に話をしぼって、大臣も長時間にわたってお疲れだと思いますので、答弁も簡単に率直にお願いしたいと思います。
 まず、公営地下鉄の建設に伴う財政援助でございますけれども、現在いろいろと工事が進められておりますが、地方の公営企業の問題点としては、もっと資金の援助を求めておるわけであります。今回四十四年度予算案におきましても、地元のいろいろな要望はかなえてもらえなかった。そういうことで非常にがっかりしておりますけれども、この公営地下鉄の建設というものは、現在の過密化してくる大都市、これは必然的な推移でありますし、また道路事情等も大臣御存じのように非常に圧迫されております。したがって、そのような混雑緩和等の立場の上からも、これはぜひとも検討しなければならない大きな事業であります。これに対する補助の考え方をまず最初にお伺いしたいと思うのであります。
#248
○福田国務大臣 地下鉄というものは、これから交通政策の中で非常に重要な地位を占めてくると思うのです。つまり、自動車がどんどんふえる。路面交通が行き詰まる。これをどうやって置きかえていくかというと、いまわれわれが知恵のつく限りにおいては、地下鉄以外にはないわけなんです。そういう意味合いにおいて、地下鉄のこれから交通政策の中で占める地位というものは、非常に重大なものになってくるという認識であります。
#249
○浅井分科員 いま大臣も、強いそういう必然性というものをお認めになったわけであります。現在、道路の建設にあたっては三分の二の国庫補助がございます。ところが、この公営地下鉄、すなわち、いま大阪市をはじめ――大阪なんかは万博を控えまして非常に建設を急いでおります。ところが、これに対する補助については、何回かこれは地方自治団体から要求があり、あるいは要望があり、要請があっても、いまだにまだ建設費の約八%、すなわち運輸省案、これしかいま通っていないのですが、これについて、この八%をどうしてこれはふやせないか。この辺をお聞きしたいのであります。
#250
○福田国務大臣 そういう認識に立ちまして、地下鉄事業というものは、これを助成していきたいという考えなんです。それで、今度の予算編成にあたりましても、いま浅井さんの御指摘の運輸省方式で、金はかなりふやしたのです。しかし、それでも足らない、こういうふうに実は考えておるのです。そこで、ことしは融資をふやしましてつなぎますが、四十五年度には新しい援助方式を考えたい、こういう気持ちを持っておるのです。
 率直に申し上げますと、運輸大臣、それから自治大臣、私と三人の間で、この問題で覚え書きができておるのですが、第一点は、「地下鉄の財政問題については、都市交通における地下鉄の重要性にかんがみ、現行措置の改善を検討し昭和四十五年度予算において実現するよう努めるものとする。」それから第二点、「公営地下鉄事業の負担を軽減するため、公営企業金融公庫の融資対象事業および融資対象団体の制限から地下鉄事業を除くこととする。」こういうことになっております。
 それで、いま相談を始めようとしておるところでありますが、特に大阪が市の財政が非常に窮屈なんです。この問題の発端は、大阪市の財政にあるわけなんですが、大阪の地下鉄の状況をほうっておくわけにはまいらぬ。しかし、大阪の処置をすれば、名古屋も東京も横浜もということになりまして、これは全体の問題になるわけなんですが、何とか四十五年には新しい方式を打ち出していきたい、こういう考えであります。
#251
○浅井分科員 いま大臣から非常に積極的なお話がございましたが、私も実は大阪で、非常にこの問題が地元で大問題となっておりまして、大阪市の非常な悩みとなっております。大臣も御承知のように、いま国鉄料金の値上げの問題が大きく騒がれておりますが、騒がれておる原因は、やはり設備投資によってその利子が重なってきた。そうして大きな赤字になって、いま財政再建計画をやっておる。大阪市あるいはほかの各六大都市における――札幌も今度地下鉄をやるそうでありますが、これらの財政を圧迫するのは、これが起債において行なわれております。したがって、将来必ずこの利子あるいは元金の返済にあたって大きく企業会計を圧迫する、そのことによって、必ずまたそれが地下鉄料金の値上げという解決の方法をとらなければならなくなるということは、これはいまの国鉄の方式と同じであると思うのです。物価の安定の上から、あるいは国民生活の安定の上からも、このような公共料金の値上げがまた将来起こるわけであります。これについて、いま現行措置の改善を検討するという御答弁でございましたけれども、この前、この予算を組まれる前に、自治省から要求がございました建設費のうち、構築物の六四%のトンネル部分がございます。これらの部分にかけるところの三分の二というその方式、この計算によりますと、建設費の約五〇%の元金や利子の補給ができると思うのです。この方式を前向きに、いわゆる現行措置の改善を検討されるという意味に解していいでしょうか。
#252
○福田国務大臣 そこはまだ白紙で考えるという意味であります。つまり、人によりましては、これは道路じゃないか、道路をつくるときには国であれだけの補助をするじゃないか、道路を地下につくるようなものだから、同じ率の補助をするのが当然じゃないかと言います。しかし、他面、国鉄を見て見ると、新幹線をつくります。何の補助もしておりません。その中間的な性格を持っておるのが地下鉄だ、こんなふうな感じがするわけであります。自治省からいってきた方式ですね。これに対して、御承知と思いますが、また運輸省から別の案が出ておるわけです。どっちがいいのか、あるいは別の第三の案がいいのか、その辺を関係省でよく打ち合わせる、こういう趣旨であります。
#253
○浅井分科員 その建設費でありますけれども、いま大臣がおっしゃいましたけれども、名神高速道路で大体一キロメートル当たりが六億三千万円、新幹線でも七億四千万円です。ところが、地下鉄になりますと、それが四十七億から五十億、このようにいわれております。したがって、いわゆる工事単価といいますか、建設費に対する金額は、地方財政ではまかない切れないわけです。したがって、いろいろと方式を検討されるということでありますけれども、大臣として、いわゆるどのくらいの姿に持っていくのが適当なのか、どのように考えておられるか。
#254
○福田国務大臣 まだどの程度と申し上げるところまでいかないのですが、とにかく最初に申し上げたように、地上鉄は非常に重要なものだ、そういう認識で考えております。
#255
○浅井分科員 それから、先ほど第二点のところで、公営企業金融公庫の融資対象事業及び融資対象団体の制限から地下鉄事業を除かれる、これはいつからこの地下鉄事業を除くことになるのでしょうか。
#256
○秋吉説明員 この問題につきましては、前提といたしまして、公営企業金融公庫の機能の強化という意味からいたしまして、現在自治省を中心にいたしまして、公営競技団体の売り上げがございますが、その売り上げの一定率を資金源に充てまして、公営公庫の資金の充実、それから金利の低下ということに充てる案をいま検討しております。その制度ができました暁において、ただいま大臣が申されました公営企業金融公庫の融資対象、また融資団体の制限からはずすということになると思います。
#257
○浅井分科員 その制度がいま改善されるそうですが、いつごろを目標にしてその制度の改善をなさる予定なのですか。
#258
○秋吉説明員 ただいま自治省において、鋭意地方公共団体ともいろいろ協議打ち合わせ中と聞いております。まだいつごろということは、私ども責任ある答弁はできませんが、できるだけすみやかにということで、自治省は鋭意検討努力をしておると聞いております。
#259
○浅井分科員 いずれにせよ、いまいろいろなお話がございましたけれども、この問題は、大蔵省が財源の問題で非常に渋い、こういう話を聞くわけでありますので、今回、いま重要な認識に立っておりますと、このように大臣もお述べになったのでありますので、昭和四十五年度の予算、すなわち、明年度、四十五年になりますけれども、これは積極的な姿勢をどうか示していただきたい、私はこのように強く要望したいと思うのです。
 それで、次の私の問題点でございますけれども、保育所の問題でございます。
 これは近来物価の非常な高騰によって生活を圧迫されておる国民は、どうしても生活費の必要性から共かせぎが多くなっております。したがって、共かせぎによるところの子供の養育という問題で、保育所というものは非常に要請がふえております。これに対して、保育所不足が非常に国民の声となってきております。また、母親の切実な願いとなって私たちにはね返ってきているわけであります。
 この保育所の建設費でありますけれども、児童福祉法の第五十二条では、二分の一を国庫で補助するとありますけれども、市町村では、この二分の一について、保育所不足解消のためこれを増額を要求しておりますけれども、この点についてはどうでしょう。
#260
○船後政府委員 保育所の建設費につきましては、厚生省の予算の中の社会福祉施設整備の補助金でもって、他の老人ホームでございますとか、あるいは心身障害児の収容施設でございますとか、この種の施設と同じ項目でしているわけでございます。その配分につきましては、予算の実行段階におきまして、いろいろな施設に対する社会的需要の強弱ということを勘案いたしまして、配分するわけでございます。
 同時に、お尋ねの保育所に関する補助基準の問題も、やはり実施段階におきまして、物価の状況でございますとか、あるいは個所数の問題とか、こういった状況等も勘案いたしまして、毎年きめてまいったわけであります。四十四年度につきましても、厚生省から保育所の補助基準の問題につきましていずれ御協議があるはずでございます。その段階で十分検討いたしまして、この社会福祉施設整備費の効率的な配分につとめてまいりたいと思います。
#261
○浅井分科員 大阪市の場合、現在保育所が公立が七十五カ所でございます。私立等は八十三カ所であります。この収容人員が公立で四千九百二十八人、私立のほうで八千三百十九人、合わせまして一万三千二百四十七人がいま収容されておるのです。大阪市で調べておりますいろいろな調査によりますと、この収容対象の児童数というものは四万一千人ある。これを見ましても、二万七千人の不足を来たしておるのです。しかるに、いまあなたが仰せになった社会福祉施設整備の中で、心身障害施設等のいろいろなほかの施設も必要であります。これも急務であります。保育所がこれだけ、四万一千人大阪市において必要であるといいながらも、二万七千人の不足に対しては何カ所保育所が必要であるか、あなた御存じでしょう。いま二分の一というお話が、これは児童福祉法の中でちゃんときめられておる。ところが、昨年も、大阪市において昭和四十三年度十カ所これを申請したのです。ところが、六カ所に補助対象を厚生省で減らされておる。そしてその六カ所は、いわゆるその二分の一という基準なんです。幾らか、百万なんだ。わずかたった百万円です。建設費は一体幾らかかりますか。
#262
○船後政府委員 四十四年度の社会福祉施設設備費は、四十三年度の三十六億に対しまして七億円増加いたしております。最近でも最も伸び額の著しい予算の計上をいたしております。四十四年度の実施過程で、先ほど申しましたような各種の社会福祉施設の配分にあたりましても、十分各地方団体等の要望点は満たしていけるのではないかと考えます。
#263
○浅井分科員 ごまかしてはいかぬ、ごまかしては。二百万円で保育所が建つかと私は聞いておるのです、土地の収用から、用地費から、あるいは建物を建てて二百万円で建ちますか。
#264
○船後政府委員 用地費は現在補助の対象には考えておりません。保育所の建物のうち、補助対象を限定いたしまして、四十三年度は、先生御指摘のとおり、一カ所百万円ということで実施いたしたのでございますけれども、四十四年度につきましては、先ほども申しましたとおり、実施段階におきまして十分検討いたしたいと存じます。
#265
○浅井分科員 十分検討とおっしゃいますけれども、いま保育所を建てるのに一カ所二千万かかっておるのですよ。用地費もゼロじゃないですか。そうして保育所新設の場合においては、児童福祉法に基づく厚生省の省令の中に、最低基準は育児一名につき〇・六坪必要なんだ。そうして六十名以上がないと認可されない。それだけの範囲がなければ認可されない保育所が、一体その用地を取得するのにどのくらい費用がかかるか。その用地費に対する補助はゼロであります。じゃ建設費に対してはどうなんですか。建設費がその二百万で建つとおっしゃるのか。また、来年度、四十四年度は検討して、五百万も六百万も伸びるとあなたはおっしゃるのですか。二分の一というものは国庫で補助するんじゃないですか。児童福祉法というのは一体どういう法律ですか。
#266
○船後政府委員 一般的に、このような社会福祉施設に対する問題、あるいは社会教育施設等、いずれも用地費は現在補助対象とはいたしておりません。いわゆる施設費の系統につきまして補助対象として考えております。しかも、それも施設の種類によりますけれども、補助対象を限定的に考えておるというものもあるわけでございます。先ほども申し上げておりますとおり、厚生省の施設につきまして、毎年度実施計画の段階で、厚生省のほうでいろんな要素を勘案の上で案を立てる、私どものほうでその相談を受けてきめるということになっておりますので、四十四年度の実施単価がどうなりますか、現在、この席上で申し上げるわけにはいかないのでございますけれども、厚生省から御相談がありますれば、十分検討いたしてまいりたいと存じます。
#267
○浅井分科員 いまあなたは、厚生省から相談があれば十分検討するとおっしゃる。じゃ、厚生省がまたさらに予備費を流用して、このいわゆる社会福祉施設整備費が足りなかったらふやすとおっしゃるわけですか。
#268
○船後政府委員 私は、社会福祉施設整備費の実施計画を相談するという段階において十分協議いたしたい、かように申し上げたわけでございます。
#269
○浅井分科員 実施計画というのと、私の質問に対するあなたの先ほどの答弁はごまかしですよ。予算の大ワクというものはきまっておる。予算の大ワクというものはきまっていながら、それを中でどのようにしたって、足りないものは足りないのですよ。いままで、四十三年度は二百万しかなかったやつが、ことしはじゃ五百万あるいは六百万組める予算になっておるかと聞いておるのです。大臣、どうですか。
#270
○福田国務大臣 それは、去年と同じ仕組みならば、ふえる仕組みになっておるわけですね。絶対額で二割くらいの予算がふえておる。これは非常な激増です。ただ、浅井さんおっしゃるのは、一体二百万円で保育所が一つできるか、こうおっしゃるのでありますが、これは、いま政府が補助するという対象の中には土地は入れてないです。建物だけなんです。しかも、厚生省がその与えられた予算をどういうふうに配分しようかという考えを持っておるわけなんです。もし厚生省が、数は減らしてもいいんだ、一カ所当たりの補助額をふやしたいんだという考えを持つようになるというようなことであれば、その考え方を聞き、相談には乗る、こういうふうにいま次長が申し上げておるわけです。
#271
○浅井分科員 児童福祉法では、法律において、二分の一を国庫で補助するとあるんですよ、大臣。そうすると、いま建設費がいわゆる一カ所二千万円かかるんですね。これは用地はないとおっしゃった。これはどうしようもない。これは何ぼ議論しても、ないとおっしゃるのだからやむを得ない。ですが、現実は保育所をふやしたい。ふやすにあたって、大阪市はつくりたい。ところが、つくりたいけれども、これだけの財源がかかるので、どうしようもないというわけです、はっきり言えば。そこで、いわゆるこの児童福祉法にうたわれているのは、法律では二分の一を国庫で補助すると規定している。実際問題としてかかるのは、用地を入れないで建物だけで、二千万円はかからないとしても、一千万あるいは千二百万かかるわけですよ。なぜかならば、土地が〇・六坪、六十名以上ということがもうワクできめられておるわけです。それだけの用地を確保しなければならぬ。ここら辺は全然改善をされてないのだから、この施設の費用のほうは二分の一見てもらえないわけですよ。この点の矛盾を大臣お考えになりませんかというわけです。
#272
○福田国務大臣 予算はあくまで予算で、法律との関係は一体どうなるか、法律違反じゃないかというようなお話ですが、法律では、予算の範囲内で二分の一までの補助をすることができる、こういうので、法律論からこられるとちょっと弱るのですが、しかし、実際問題として百万円でできるか、百万円の補助なら、二百万円で建物が建てられるかというと、私は、これは困難だろうと思います。ですから、厚生省が全国を見回しまして、建物を建てる数を重しとするか、あるいは個所はそうはきばらぬが、質でいこうというような考え方をとりますか、これが決定的な要因になってくるわけです。それで、浅井さんのいまのお話を承っておりますと、非常に頭にあるのは、どうも補助金が少ないので、これは地方団体が超過負担になる、これで因るんじゃないかというようなことじゃないかと思いますが、大阪市というのは、財政的に非常に窮乏しておるというふうに見られておるのであります。大阪市に例をとりますと、なかなか――なかなかというか、浅井さんのおっしゃるような気分がぴたっと出てくるわけなんです。しかし、全国的に見ますと、そうでもない。その辺にこの問題のさばきのむずかしさというようなものがあるように思いますが、とにかく厚生省と十分に話し合いまして結論を得たい、かように考えております。
#273
○浅井分科員 いま私は予算の範囲内で二分の一の補助ができるというふうにお聞きしたのですけれども、いわゆる二分の一の国庫補助をしなければならないのか、それとも、いわゆる二分の一の国庫補助というのはうたい文句であって、あくまでも予算の範囲内なんだというのか。とすると、この二分の一というのは、あくまでも目標であって、これ以下であっても何ら差しつかえない、こういうふうに解釈していいのでしょうか。
#274
○福田国務大臣 法的には目標ということになろうかと思います。
#275
○浅井分科員 そうすると、違法ということを大臣――予算に関係があると大臣は言いたい、金はそんなにたくさんないと言いたいけれども、あまりにもこの児童福祉法にうたってあるうたい文句と内容が違い過ぎませんか。いわゆる二百万円といいますと、一千万円の大体五分の一です。二分の一と五分の一では、これはもう話がてんで違うわけです。四十四年度予算において大臣はいわゆる社会保障に力を入れた、ほんとうに今度の予算は社会保障に十分な進展を見せたと言いながらも、現実は、いま二割アップですか、というぐらいでは、これはまだまだ大臣が胸を張るほどのことではない。いわゆる地方においては、大阪市において、あるいはその他の都市においても、その保育所設置について非常な悩みとなっておる。この問題を前向きにどのようにして解決なさろうとしておるのか。私は、今回の予算を見て、社会保障は進んだということは、これはいままであまりにもおくれ過ぎておって話にならないので、ほんのちょぴりだけ進んだという、そういうにしかとっていないわけです。しかるに、いま大臣は、二分の一の国庫補助というものは違法であるということはわかりつつも、これをそのまま押しつけて、地方が要求しておることについて押しつけて、あるいは厚生省の弱い要求をけっ飛ばしてやっているのじゃないか、このように言われているわけです。どうでしょう。
#276
○福田国務大臣 これはもう先ほどから申し上げておるように違法とは考えないのです。ただ、目標に到達しない。そういう点で残念なことだと思いますが、しかし、これは大蔵省だけの見解できまる問題ではなくて、これはどうしても、これにアクションをとるのは厚生省なんです。厚生省が量をとるのか――量というか、個所をふやそうとするのか、あるいは一カ所当たりの単価をふやしていこうとする考え方をとるのか、これがかなり大きな要因になっていくのじゃないか、そういうふうに考えます。まあ保育所保育所といって、保育所ばかりおっしゃいますが、保育所ばかりが社会保障ではないんで、社会保障全体としてずいぶんことしは勉強しております。これだけはひとつ御了解願いたいと思います。
#277
○浅井分科員 厚生省がアクションを握っておるとおっしゃいますが、そのネックになっておるのは大蔵省なんです。予算を要求するのは、厚生省は精一ぱい要求しておるわけです。そのいわゆる予算を大蔵省でチェックなさるわけでしょう。減額なさるわけです。厚生省の予算そのまま全部を受け入れるわけではないでしょう。したがって、あとの配分は厚生省でやれとおっしゃるかもしれないが、そのネックになっているのは大蔵省なんです。大蔵省自身がやはり――いま大臣は、保育所ばかりはできない。保育所のことは一例です。重度心身障害児の施設においても、あるいは老人福祉司、老人ホームについても、あるいは母子ホームにおいても、いろいろな問題がたくさん山積みしておるのです。その山積みしておるところの中の一例を私はあげたわけです。ですから、あなたが保育所ばかりをつくるわけにはいかぬとおっしゃるけれども、これは国民の大きな要望なんですよ。ですから、これに対するあなた方の考え方を私はただしたいし、また、その地方に対する圧迫をもっともっと緩和するためにも、あなたがおっしゃったいわゆる超過負担を解消するためにも、前向きな姿勢をとらなければいかぬのじゃないか、こういうふうに私は思っておるわけですよ。
 最後にお伺いしたいのですけれども、このように地方財源を非常に圧迫しながら、今回の来年度地方交付税六百九十億を国が借金したということになっております。この借金は吸い上げっぱなしなんですか、それともちゃんとお返しになるのですか。
#278
○福田国務大臣 四十五年度以降大体三カ年くらいの間に返す、こういうことになりましょうが、これはしかし、借りた、返すという関係じゃないのです。ことし、四十四年は地方交付税の交付する額を減額をした、それから四十五年度以降において交付する額を逆に増額をする、こういう関係でございます。
#279
○浅井分科員 交付する額を少なくしたのですけれども、これはあくまでも国の借金みたいな形だと思うのです。当然与えなければならないものであると思うのです、地方自治を守る立場において。ですから、いま三カ年間でお返しになると言われたのですけれども、これは確かに三カ年間の計画でいわゆるお返しになる、その六百九十億の三カ年間の返済計画というものは、四十五年度からどのような金額でお返しになるのか、明確にお答え願いたい。
#280
○福田国務大臣 できれば四十五年度に一挙にと思います。しかし、そのときの中央、地方の財政の状況を相談し合って、これは三年に分けるほうがいいということでありますれば、三年に分ける、分ける財源は一般の自然増収、そういうものが引き当てになるわけであります。
#281
○浅井分科員 地下鉄の国庫補助あるいはいまの保育所の国庫補助とともに、これは前向きに国がやらないと、地方財政をますます圧迫することになりますので、私は、大臣に、この点についての前向きな姿勢をもって今後とも臨んでもらいたいし、また四十四年度、あれほどの大型予算になりながら、それらの点について充足できなかった予算であるということをよく御認識いただいて、四十五年度の予算においてこれらに対する予算の編成を進めていただきたいということを要望しておきます。
 ありがとうございました。
#282
○倉成主査代理 これにて大蔵省所管に対する質疑はすべて終了いたしました。
 明二十八日午前十時より開会し、防衛庁所管について審査を行なうこととし、本日は、これにて散会いたします。
   午後七時五十四分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
【PR】姉妹サイト