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#1
第061回国会 建設委員会 第29号
昭和四十四年六月二十七日(金曜日)
    午前十時四十五分開議
 出席委員
   委員長 始関 伊平君
   理事 天野 光晴君 理事 大野  明君
   理事 金丸  信君 理事 草野一郎平君
   理事 田村 良平君 理事 井上 普方君
   理事 佐野 憲治君 理事 吉田 之久君
      伊藤宗一郎君    池田 清志君
     稻村左近四郎君    中川 一郎君
      丹羽喬四郎君    葉梨 信行君
      廣瀬 正雄君    森下 國雄君
      山口 敏夫君    阿部 昭吾君
      金丸 徳重君    島上善五郎君
      福岡 義登君    山崎 始男君
      渡辺 惣蔵君    内海  清君
      小川新一郎君
 出席国務大臣
        建 設 大 臣 坪川 信三君
 出席政府委員
        内閣法制局第二
        部長      田中 康民君
        建設政務次官  渡辺 栄一君
        建設省計画局長 川島  博君
        建設省道路局長 蓑輪健二郎君
        建設省住宅局長 大津留 温君
 委員外の出席者
        法務省民事局参
        事官      宮脇 幸彦君
        会計検査院事務
        総長      宇ノ沢智雄君
        専  門  員 曾田  忠君
    ―――――――――――――
六月二十六日
 委員伊藤宗一郎君、葉梨信行君及び伏木和雄君
 辞任につき、その補欠として遠藤三郎君、中川
 一郎君及び北側義一君が議長の指名で委員に選
 任された。
同日
 委員遠藤三郎君及び中川一郎君辞任につき、そ
 の補欠として伊藤宗一郎君及び葉梨信行君が議
 長の指名で委員に選任された。
同月二十七日
 委員古屋亨君辞任につき、その補欠として中川
 一郎君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員中川一郎君辞任につき、その補欠として古
 屋亨君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
六月二十五日
 建設業法の一部を改正する法律案反対等に関す
 る請願(伊賀定盛君紹介)(第九三六三号)
 同(石野久男君紹介)(第九三六四号)
 同(小川三男君紹介)(第九三六五号)
 同(大出俊君紹介)(第九三六六号)
 同(勝間田清一君紹介)(第九三六七号)
 同(神近市子君紹介)(第九三六八号)
 同(唐橋東君紹介)(第九三六九号)
 同(小林信一君紹介)(第九三七〇号)
 同(島上善五郎君紹介)(第九三七一号)
 同(田中武夫君紹介)(第九三七二号)
 同外一件(田原春次君紹介)(第九三七三号)
 同(帆足計君紹介)(第九三七四号)
 同(山本政弘君紹介)(第九三七五号)
 同(石川次夫君紹介)(第九四八一号)
 同(加藤万吉君紹介)(第九四八二号)
 同(神近市子君紹介)(第九四八三号)
 同外四件(平岡忠次郎君紹介)(第九四八四
 号)
 同(八木一男君紹介)(第九四八五号)
 同(大原亨君紹介)(第九五一九号)
 同外十一件(岡田利春君紹介)(第九五二〇
 号)
 同外十件(折小野良一君紹介)(第九五二一
 号)
 同(田原春次君紹介)(第九五二二号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 建築基準法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第一〇五号)
 自転車道の整備等に関する法律案起草の件
 北海道防寒住宅建設等促進法の一部を改正する
 法律案起草の件
 不動産鑑定士特例試験及び不動産鑑定士補特例
 試験に関する法律案起草の件
 建設行政の基本施策に関する件
 小委員長からの報告聴取
     ――――◇―――――
#2
○始関委員長 これより会議を開きます。
 建設行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
 この際、建設大臣から発言を求められておりますのでこれを許します。坪川建設大臣。
#3
○坪川国務大臣 御審議を願うに先立ちまして、六月二十五日から二十六日の集中豪雨による被害の状況を御報告さしていただきたいと存じます。
 概要につきましては、六月二十五日、発達した低気圧が九州西方海上から東北東進するに伴い、中部以西の西日本各地に二十五日から二十六日にかけて強風と集中豪雨が発生し、岐阜県坂下町等において、死者五名、行くえ不明四名、負傷十三名の人的被害をはじめ、公共施設等にかなりの被害を発生いたしましたような次第でございます。とうとい死者五名の方々の御冥福を祈り、つつしんで弔意を表し上げますとともに、負傷者各位の全快の一日もすみやかならんことを祈念してやまない次第でございます。
 次に、被害状況でございますが、建設省所管の公共土木施設等の被害は栃木県外十八府県に及び、イ、公共土木施設、直轄災害といたしましては、河川、大淀川外一河川七カ所九千万円、砂防、小渋川一カ所六千五百万円、道路、一般国道九号線一カ所二百万円、計九カ所、一億五千七百万円の被害でございます。補助災害、栃木県外十八府県でございまして、一千七十二カ所、九億七千二百万円、合計千八十一カ所、十一億二千九百万円でございます。
 住宅の全壊は七棟、半壊が一棟、床上浸水が四百三十七棟、床下浸水が一万二千二百七十五棟、一部破損が十三棟、計一万二千七百三十三種でございます。
 これに対する対策といたしましては、
 イ、一般国道及び都道府県道の交通不能個所は、一般国道の指定区間外で一カ所、都道府県道で十一カ所、計十二カ所生じましたが、直ちに応急工事に着手し、おおむね二十八日中には交通が確保できる見込みでございます。
 ロ、山腹崩壊により死者三名の被害が発生した岐阜県には、被害状況の調査並びに対策の指導に当たらせるため、二十六日災害査定官を派遣いたしました。
 ハ、緊急に復旧を必要とする個所については、工法協議により直ちに復旧工事を実施いたします。
 ニ、静岡県東伊豆町片瀬地先の崩壊については、緊急急傾斜地崩壊対策事業として採択をいま検討しているような次第でございます。
 以上、災害の報告並びにそれに対する対策等の概況につきまして御報告申し上げます。
     ――――◇―――――
#4
○始関委員長 次に、道路及び住宅等に関する小委員長から、小委員会の調査の経過並びに結果について報告いたしたいとの申し出がありますので、これを許します。金丸信君。
#5
○金丸(信)委員 道路及び住宅等に関する小委員会における調査の経過について御報告申し上げます。
 本小委員会におきましては、自転車道の整備等に関する法律案、北海道防寒住宅建設等促進法の一部を改正する法律案、並びに、不動産鑑定士特例試験及び不動産鑑定士補特例試験に関する法律案の起草に関し、先般来、協議、検討を進めてまいりました結果、ただいまお手元に配付いたしてあります草案をまとめましたので、簡単にその趣旨を御説明申し上げます。
 まず、自転車道の整備等に関する法律案について申し上げます。
 本案は、わが国における道路交通事故の防止と交通の円滑化をはかるため、自転車が安全に通行することのできる自転車道等の整備に関し、国及び地方公共団体の責務、自転車道の計画的整備、自転車専用道路等の設置、自転車の通行の安全を確保するための交通規制等の措置を定めますとともに、附則において交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法の一部を改正し、歩道と同じく自転車道の設置を交通安全施設等整備事業とすることができることとしたものであります。
 次に、北海道防寒住宅建設等促進法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、北海道における住宅の特殊事情にかんがみ、その建設の促進をはかろうとするもので、その内容は、第一に、北海道の区域内においては、耐火構造の住宅及び簡易耐火構造の住宅以外の住宅等についても、防火性能を有する構造の防寒住宅等であれば、住宅金融公庫がその建設に必要な資金を貸し付けることができることとしたこと、第二に、防火性能を有する構造について必要な技術的事項については、建設省令、大蔵省令で定めることとしたこと、第三に、これらの改正に関連して、所要の規定の整備を行なうことといたしたものであります。
 最後に、不動産鑑定士特例試験及び不動産鑑定士補特例試験に関する法律案について申し上げます。
 本案は、最近における不動産鑑定評価の急激な需要の増加の実情等にかんがみまして、不動産鑑定士制度の充実をはかるため、昭和四十五年及び昭和四十六年に限り、不動産鑑定士特例試験等を行ない、同試験の合格者は不動産鑑定士等の資格を有するものといたすほか、同試験の受験資格等について所要の規定を整備したものであります。
 以上でありますが、つきましては、この際、各草案を本委員会の成案とし、これを委員会提出の法律案としてお取り計らいくださるようお願いを申し上げます。
 委員各位の御賛同をお願いする次第であります。
#6
○始関委員長 以上で小委員長の報告は終わりました。
     ――――◇―――――
#7
○始関委員長 それでは、まず、自転車道の整備等に関する法律案起草の件、並びに、北海道防寒住宅建設等促進法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。
#8
○始関委員長 両件につきましては、金丸小委員長から報告のとおり、趣旨並びに案文がお手元に配付になっておりますので、御了承願うことといたします。
 両件については別に御発言もないようであります。
 この際、政府において意見があれば、これを許します。坪川建設大臣。
#9
○坪川国務大臣 ただいまの二法案につきましては、その趣旨につきまして十分そんたくを申し上げたいと存じておる次第でございます。
#10
○始関委員長 おはかりいたします。
 お手元に配付いたしてあります自転車道の整備等に関する法律案起草の件につきましては、お手元に配付の案を本委員会の成案として、委員会提出の法律案とするに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#11
○始関委員長 起立総員。よって、さよう決しました。
 次に、おはかりいたします。北海道防寒住宅建設等促進法の一部を改正する法律案の起草の件につきましては、お手元に配付の案を本委員会の成案として、委員会提出の法律案とするに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#12
○始関委員長 起立総員。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
#13
○始関委員長 次に、不動産鑑定士特例試験及び不動産鑑定士補特例試験に関する法律案起草の件について、議事を進めます。
#14
○始関委員長 本件につきましても、金丸小委員長から報告のあったとおり、趣旨並びに案文はお手元に配付になっておりますので、御了承願うことといたします。
 本件について別に御発言がないようであります。
 この際、衆議院規則第四十八条の二の規定により、本案について内閣の意見を聴取することといたします。坪川建設大臣。
#15
○坪川国務大臣 本法案の制定に関しましては、やむを得ない措置として、内閣といたしましては十分そんたん申し上げたいと存じます。
#16
○始関委員長 おはかりいたします。
 お手元に配付いたしてあります本案を委員会の成案として、委員会提出の法律案とするに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成法起立〕
#17
○始関委員長 起立総員。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
#18
○始関委員長 なお、ただいま議決されました各法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#19
○始関委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
     ――――◇―――――
#20
○始関委員長 建築基準法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
 質疑の通告がありますので、順次これを許します。井上普方君。
#21
○井上(普)委員 まず住宅局長にお伺いしますが、鉄筋コンクリートの建物というものは、耐用年数は何年になっておりますか。
#22
○大津留政府委員 鉄筋コンクリート造にもいろいろございまして、一律には言えませんけれども、鉄筋コンクリートのアパートの場合には七十年というふうに見ております。
#23
○井上(普)委員 この法律によりますと、特定街区を指定する場合、すなわち、建築基準法によりまして特定街区を設定することができることに相なっておりますが、この特定街区、五十九条の三、これはだれが手続を要請するのでありますか、お伺いいたしたい。
#24
○大津留政府委員 特定街区は都市計画として決定いたしますので、都市計画法上に定めますその決定の手続によるわけでございますが、特定街区につきましては、現行法では、市町村長の申し出に基づきまして知事が決定することになっております。
#25
○井上(普)委員 私がここでお尋ねいたしたいのは、例の、ここから見えますところの霞が関ビルのことでございます。霞が関ビルは――霞が関三丁目は特定街区として設定せられておるのでございますが、これは都知事の申し出によってなされたのでございますか、どうでございますか。
#26
○大津留政府委員 霞が関三丁目特定街区の決定は改正前の規定に基づきますので、都知事の申し出に基づきまして建設大臣が決定いたしました。
#27
○井上(普)委員 そこで私はお伺いいたしたいのでございますが、霞が関ビルのこの三丁目の特定街区の容積率は九一〇%と承っておるのでございますが、間違いございませんか。そしてまた、霞が関ビルの容積は一体幾らになっておるのか、そしてまた、霞が関の三井不動産が持っておりますところの敷地は一体幾らあるのか、この点ひとつ数字であらわしていただきたいと思う。
#28
○大津留政府委員 本地区の容積率は、A地区とB地区に分かちましてそれぞれ定められております。A地区につきましては五〇〇%以下、B地区につきましては九一〇%以下となっております。A地区と申しますのは、会計検査院が所在している敷地に該当する部分でございます。B地区は、霞が関ビル等が存在する地区のことでございます。都市計画の決定は以上のとおりでございますが、三井霞が関ビル等の存在しておりますB地区におきましての実際の容積率は、九〇九%になっております。敷地面積一万六千百八十四平方メートル、建築面積が、本館が五千九百二十三平方メートル、別館が二千五百七十七平方メートル、延べ床面積は、本館が十三万四千二百十八平方メートル、別館が一万二千九百九十七平方メートルでございます。その結果、容積率は、先ほど申しましたように九〇九%でございます。
#29
○井上(普)委員 局長、あなたのおっしゃるのはわからないのですが、特定街区の指定によりまして、A地区、すなわち会計検査院のあるところは容積率を五〇〇%以下に指定しておる、B地区を九一〇%以下に指定しておるわけですが、これはなぜこういうようにA地区とB地区とに分けたのでございますか。といいますのは、あなたがおっしゃいましたように、B地区それ自体をとりましたら九〇九%でございますか。どうでございますか。
#30
○大津留政府委員 御質問のとおり、B地区におきます現に建物が建っております延べ面積を見ますと、容積率が九〇九%になっておる、こういうわけでございます。
#31
○井上(普)委員 そこで、この街区をつくります際に、街区全体といたしまして、A地区を五〇〇%以下にして、B地区を九一〇%以下にした理由は一体どこにあるのでしょうか。
#32
○大津留政府委員 このA地区は、国会を中心といたしました中央官公庁の都市計画におきまして、容積率五〇〇%と定められております。この地区にいわばダブって入っておるわけでございます。したがいまして、この特定街区を定めました場合に、A地区とB地区を分けまして、A地区につきましては五〇〇%、B地区につきましては九一〇%、こういうことにいたしたわけでございます。
 そこで、B地区につきまして九一〇%とした根拠でございますが、特定街区が、御承知のように、街路に囲まれた一街区で、その中に相当な空地をとることによりまして建物の高さを高いものを許そうという趣旨でございますので、この地区は、そういう特定街区ということがなければ、おおむね七〇〇%程度の容積率がふさわしい地区とみなされるわけでございますが、特定街区によりまして相当な空地を設けるという関係上、一定の基準によりまして容積率を高めるという措置をとっておるわけでございます。このB地区の場合は、基準に照らしまして三割の容積率のアップを見たという関係で、九一〇%という容積率を出したわけでございます。
#33
○井上(普)委員 そこでお伺いしたいのは、何ゆえにこのB地区のみに特定街区を指定しなかったかということです。この会計検査院のあるところは官庁街として都市計画がきまっているのでしょう。それをダブってなぜここに特定街区を指定しなければならなかったのか。
#34
○大津留政府委員 このB地区だけでも特定街区に指定する要件には合致しておるわけでございますが、御承知のように、特定街区というのは、できるだけ広い範囲でかけるほうがより効果である、特にこの場合、会計検査院を含めまして、周囲の道路との交通状況を見た場合に、これを取り込んで一体として計画したほうが道路網として非常にベターな計画ができるということで、検査院とも協議の上、同意がなされまして、それで計画に取り込まれた、こういう経緯になっております。
#35
○井上(普)委員 特に会計検査院でありますがゆえに私は申し上げる。一つの街区において、特に会計検査院がダブって特定街区にこの場合は指定があっておる。この三井霞が関ビルを建てる際には、これは会計検査院は同意を与えている。同意を与えているということは、会計検査院の建物が老朽化して、あるいはまた、会計検査院の空中権と申しますか、それを放棄しておるものと考えますが、どうでございますか。
#36
○大津留政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、会計検査院が所在しますA地区は、中央官衙計画とダブっておる関係で、地区を分けて五〇〇%という容積率が定められたわけでございますが、その結果、検査院のある部分の空中権を三井のほうに譲ったとか利用させたとか、そういう関係は全くございません。
#37
○井上(普)委員 どう考えましても、あの敷地、すなわち三井霞が関の敷地の中においてあれだけの容積を出すことは、すなわち、九一〇%の容積率をかけるということは、都市の美観上も、また都市計画上も、私はどうも不適当であると思う。しかも、その周辺はどうかといいますと、霞山会館であるとか教育会館であるとか、あるいはまた、ごたごたした建物がある。私どもがこれを見ましたならば、一つの街区の中に会計検査院が五〇〇%に押えられておるがゆえに、空中権をこの三井霞が関ビルに譲ったとしか思えない。
 それで、もう一度お伺いします。これは確実にお答え願いたい。それじゃ、会計検査院が将来――いまは五階建てではございますけれども、これを十階あるいは二十階にするときには、これは現行法規の中において全然差しつかえございませんね。
#38
○大津留政府委員 この特定街区の都市計画におきまして、A地区におきます建物の建築の限度というものが定められております。それによりますと、容積率は四七六%で、建物の高さ三十五メートル以下、地上九階ということになっております。現在が六階建てでございますから、将来これを建て直すという場合には、ただいま申しましたようなところまで建築できる、こういうことに相なるわけでございます。
#39
○井上(普)委員 同じ特定街区でありながら、片や百何十メートルまでいくし、片や三十五メートルに高さを押えるというのは、一体どこに根拠があるのです。中央官庁街とかなんとか言われますけれども、容積率においてもこれだけの差をつけるのは一体どこに理由があるのですか。
#40
○大津留政府委員 国会を中心とした中央官庁街がここに集まっておるわけでございますが、これらを中心といたしまして東京都都市計画一団地の官公庁施設計画というのが定められております。それによりまして、先ほども申し上げましたように、容積率は五〇〇%以下、建蔽率は五〇%以下ということに決定されております。その地区内に入っておる関係でただいま申し上げたような計画になる、こういう関係でございます。
#41
○井上(普)委員 ここにダブらしたところにおかしげなものがあると私は思うのです。納得できないところがあります。中央官庁街としての都市計画上の指定区域の中に会計検査院の建物は入っておる。ところが、片一方において霞が関の特定街区としてこれまでもダブって指定しているわけです。ここに不明朗なものがあると私は思う。私らとして、一般人としては納得しがたいものがある。現にこの特定街区を指定する際には、東京都の建築局長あたりはかなりがんばったはずなんです。ところが、会計検査院はこれに同意を与えておる。すなわち、建築基準法にいうところの隣人の権利としてのことも含めるのでございましょうが、同意を与えておるはずなんです。会計検査院は同意を与えていませんか。どうでございますか。
#42
○宇ノ沢会計検査院説明員 同意いたしております。
#43
○井上(普)委員 同意を与えなければこれは建たないのです。そうでしょう。三井霞が関ビルは、会計検査院の同意がなければ建たないのでしょう。どうなんです。
#44
○大津留政府委員 特定街区の都市計画の申請をします場合には、権利者の同意を求めるということにはなっております。したがいまして、同意がなければ特定街区の中に含めることができないということには相なります。この霞が関ビルの場合は、検査院の地区を含めませんで、いわゆるB地区だけで特定街区の申請があったといたしましても、これは特定街区の要件に十分かなうものでございますので、指定せられたであろうというふうに考えられます。その場合に、容積率ははたして九一〇%になったかということでございますが、この敷地の面積並びに建築計画から見まして、九一〇%の容積率にするということは、基準に照らして相当だと考えます。
#45
○井上(普)委員 そこまではっきりしておるのであれば、国の会計検査院というのは、われわれから見れば非常に清潔であるべき役所なんですが、なぜこれをはずして指定しなかったのです。町の一つの計画とかなんとかいうよりも、むしろ会計検査院に疑惑を持たすほうが国民にとっては非常な大きい打撃になると私は思う。なぜここを切り離してやらなかったのです。そこまであなたが自信がありとするのであれば、会計検査院の同意を与えずに――同意は要らないのでしょう、B地区だけであれだけの建物をするのであれば。そしてまた、なぜそれだけを特定街区に指定しなかったのですか。
#46
○大津留政府委員 先生もあの付近の状況は御承知と思いますが、霞が関の前面に補助一号線という道路が走っております。それから三井ビルの横に幅十一メートルの都道が走っております。それから会計検査院と大蔵省の間に幅十五メートルの中央官衙九号線という道路が走っております。特定街区といたしまして三井ビルだけの敷地でも基準には合うわけでございますが、会計検査院の敷地も含めましてその周囲に道路をつけることができますならば、これは特に道路の関係上より一そういい計画になるわけでございます。したがいまして、できるならば、そういう幅広い範囲内で、しかも道路の関係がよりいい形でできることが望ましいということがございます。それに加えまして、検査院といたしましても、南側に通路を設けることができますならば、あの敷地がより一そう有効に活用できて、別館の新築等も可能になるということがございましたので、同意がなされたものというふうに私どもは聞いております。
#47
○井上(普)委員 道路といいましても、便利な道路というのは、あの裏の幅何メートルかの道路ですね。しかも、この道路がつくられなければ、三井ビルというのは建築基準法に違反するでしょう。つくらなければならないのですよ。結果論ばかりをおっしゃる。しかも、あなたがおっしゃっているのは裏側の道ですよ。ここらあたり、会計検査院が同意を与えたことに対して私らも再三聞くのです。あれは建築基準法違反じゃないだろうか、国民は疑惑を持って見ておるわけなんですよ。しかも会計検査院があるから、特定街区として一緒に包含しておるから、これであれだけの建物ができたのだというような考え方になっておる。私は、会計検査院というのは最も清潔なところでなければならぬと思う。それが疑惑で見られるようなことは厳に慎まなければならないと思う。しかも、あなたのほうが同意を与えてこれを建てた。会計検査院はもう少し姿勢を正して、特に三井不動産であるとか、鹿島建設であるとかいうような、利権の巣くつみたいなところとやる場合には、もっと慎重にやってほしいと思うのです。この点ひとつ会計検査院の御答弁を承りたい。
#48
○宇ノ沢会計検査院説明員 お答えいたします。
 少し前座が長くなるかと思いますが、ちょっとこれに関連して申し上げたいと思います。
 私のほうの旧庁舎のほうは、昭和十年に建築されまして、当時三百人くらいの人員があそこで執務しておったわけでございます。その後、戦時中に文部省のほうへ移りまして、そこの五階、六階におった。ところが、終戦後、その人員が約四倍にふえまして千二百人になったわけでございますが、その千二百人の職員が昭和三十四年に現在の旧庁舎に帰ってまいったわけでございます。そうしますと勢い庁舎の面積が不足するということで、かねがね増築したいという強い希望を持っておったのでございます。
 現地をごらんになっていただければおわかりですが、先ほど建設省から御説明がございましたように、かりに特定街区の指定がなされないとしますと、現に建っております別館といいますか、新庁舎と、三井ビルの間に道路ができる、そうすると、今度新庁舎を建てようとします場合には、それよりさらに何メートルか後退しなくちゃいかぬということで、現地の実情から見ましてとても物理的に建築ができないということで、私のほうも非常に苦慮しておったわけでございます。ところが、たまたま当時、三十九年ですか、都のほうから、特定街区の指定にしたいが、どうかという申し出がございまして、それでいろいろ検討いたしましたところ、特定街区の地区という中に検査院も入れば、現敷地の中に現在建っておるような別館も建設が可能だということがわかりましたので、やはり狭い土地を有効的に利用することが可能だということでありますれば、あながち都知事の申し出に対してこれを拒否することもなかろうということで、現在のような庁舎が建つことができたということが、同意をするに至った大体の概要でございます。
#49
○井上(普)委員 事務総長、あなたはいかにもそれによって利益があるがごとくおっしゃっておられますが、この地図を見まして、あなたのほうは一体どこにメリットがあるんですか。裏の道路だけじゃないですか。裏の道路だって、三井がこの建物を建てるためにつくらなければならない道路なんですよ。道路をつくらなければこの建築はできませんよ。いかにももっともらしい言いわけをなさっておられますが、会計検査院というのは、あらゆる利権を摘発するのがあなた方の任務だと思うんです。予算がいかに忠実に執行されておるか、国民が不利益を与えられていないか、こういうことを厳重に検査するのが会計検査院でしょう。でありますから、会計検査院みずからが姿勢を正さなければならない。三井不動産社長の江戸英雄さんは、いろいろな審議会、政府機関に関与している。こういうような方々のときは、特にあなた方は注意してやっていただかなければならぬ。いま国民の中にはそういう疑惑が渦巻いておるんです。このたびの会計検査院の処置というものは、違法とは申しませんけれども、まことに軽率きわまりないということを申し上げまして、この問題につきましてはこれで質問を終わりたいと思うのでございますが、私がただいま申し上げたことについて、会計検査院の任務とか使命とかいう問題とこのたびの処置について、いかが御反省になっておられるか、ひとつ御所見を表明していただきたいと思います。
#50
○宇ノ沢会計検査院説明員 同意を与えましたのは、ただいま私が御説明申し上げたようなことでございます。
 なお、会計検査院の姿勢についていろいろ御批判がございましたが、こういう点につきましては、今後誤解のないように十分考えて善処したい、かように考えております。
#51
○井上(普)委員 続きまして伺いたいのでございますが、先日来建築基準法の改正案につきまして局長のほうからいろいろと御説明がありました。現在の建築基準法の違反というものは、先日の参考人の石井首都整備局長の言われましたように、非常に数が多いと同時に、その施工主、あるいはまた、だれが主体であるか、建築をやっている業者はだれであるかということが非常に不明である、これに対してパトロールをやりましても明らかにするのに時間がかかるのだ、こういうお話でございました。そこで、今度公示制度が取り入れられるわけでございますけれども、この公示制度につきましても、あなたは、福岡委員の質問に対しまして、氏名不詳のまま公示をすることができるというようなお話でございましたが、一体、氏名不詳のまま違反建築物の前に看板を公示したことが法的に有効でございますか。この第九条との関係において有効かどうか。この点について判例なんかがございますか。
#52
○大津留政府委員 九条の違反是正命令を出す場合に、相手方が名前をあかさない、あるいは住所をあかさないということのために、氏名不詳あるいは住所不詳ということで命令を出せるわけでございます。したがいまして、この命令を出しましたときは、それを受けてこれを公示するということでございますので、その公示も当然に有効になってくる、こういうふうに考えております。
 判例等はちょっといま手元に用意がございませんが、たとえば犯罪人にいたしましても、黙秘いたしまして氏名をあかさないという場合におきましては、番号等によって刑罰が科せられておるということから見ましても、この点について可能であろうというふうに考えております。
#53
○井上(普)委員 可能であろうじゃ困るのです。しかも第九条の第二項には、「特定行政庁は、前項の措置を命じようとする場合においては、あらかじめ、その措置を命じようとする者に対して、その命じようとする措置及びその事由を記載した通知書を交付しなければならない。」とあるのです。これはだいぶ膨大なる文書になると思うのでございますが、どうでございます。
#54
○大津留政府委員 相手がわからないということに備えまして、たとえば九条の七項であるとか、あるいは十一項という規定がそれぞれあるわけでございますが、二項の通知書の交付、これは通知書を交付することによって、その措置の前置的な手続として行なわれるわけでございますけれども、たとえば、受け取らないというような場合には、これを交付し得る状態あるいは相手に到達する状態に置けば足りるということで運用しております。
#55
○井上(普)委員 相手に渡さなければならない。この建築主事なり監視員はそれを渡す努力をしなければならないのでしょう、基本的人権のいまの憲法下において。その努力をしなければならないので非常に手間を食っているのですね。それを、この九条だけでも氏名不詳のままいけますか。実際それであなたは停止命令をやって公判維持をする自信ありますか、どうです。
#56
○大津留政府委員 裁判になりましてもこれは有効だというふうに私は確信いたしております。
#57
○井上(普)委員 あなたが確信するにはその根拠がなければならない。根拠をひとつ示していただきたい。何かそれらの判例でもありますか、どうでございます。
#58
○大津留政府委員 相手が逃げ回っておる状態におきましては、第一線の職員がたいへん努力し苦労するということは、御指摘のとおりでございます。しかし、この規定は、相手が氏名をあかさない、あるいは通知書を交付しようとした場合に、それを受け取らないで逃げ回るというときには、効力がない、執行できないという趣旨ではございませんで、そういう場合には、交付し得る状態に置けば足りる、また、氏名、住所等が不詳のまま命令が出せる、こういうふうに考えております。ちょっと判例等の用意がいまございませんけれども、従来からそういうふうに解釈し、運用してまいっておるわけでございます。
#59
○井上(普)委員 そういうような姓名不詳のままいままで是正命令を出したことがございますか、どうです。
#60
○大津留政府委員 そういう実例があるかどうか、ちょっと明らかに承知しておりません。
#61
○井上(普)委員 現行法規はこのまま置くのですよ。いままで住所氏名が不詳のまま出したこともないでしょう。それをあなたはいまここで、できます、確信がありますという根拠を全然お示しにならない。その点非常にごまかしがある。この法律さえ通ればいいという局長の態度じゃございませんか。局長、どうなんです。
#62
○大津留政府委員 この規定に類似の規定はほかにもいろいろあるわけでございますが、その相手がはっきりわかっている、この男だということがわかっておる場合には、氏名が明らかでなくても有効に命令ができるということは、他の法律についても同様に解釈が確立されておるように承っておるわけでございます。
#63
○井上(普)委員 ほかにもいろいろあるというのは、何々あるのですか。それからまた、やっておる主体がわかっておるのであれば、氏名もわからなければならないでしょう。あなたの言うことには矛盾がありませんか。
#64
○大津留政府委員 たとえば刑法に基づく犯罪でございますが、だれかが暴行なり窃盗なりという犯罪をやったことが明らかな場合には、その男の住所なり氏名がたとえ明らかでなくとも、法律が有効に作用して逮捕あるいは処罰することができる、こういうことでございますので、それらの一連のことと解釈いたしまして、有効に作用し得ると考えておるわけでございます。
#65
○井上(普)委員 あなたはいま刑事罰のことを例にあげましたけれども、行政罰でそういうことが現在の法体系の中でできますかというのです。
#66
○大津留政府委員 建設省所管の例を申しますと、たとえば土地収用法による命令、これは相手の氏名がわからなくても出せる、こういうことでございますので、ほかにも例があろうと思います。
#67
○井上(普)委員 土地収用法という法律は、行政執行法がなくなった現在において、行政法としては国家権力の最も強い法律ですよ。その法律にあるからこの基準法に適用できるという考え方には、論理の飛躍があると思うのですが、どうです。
#68
○大津留政府委員 見解の相違ということに相なろうかと思いますが、行政命令におきましてはそういうことができるというふうに私どもは解釈しております。
#69
○井上(普)委員 あなたが解釈したところで、行政官が解釈したところで、これは公正にして客観性を持たなければ行政罰の対象にならないのですよ。あなたはできるとおっしゃるけれども、私は疑念があるから聞いておるのです。ここら煮詰めてほしいのです。判例なり、そういうものがありましたら私は納得いたしましょう。それはありますかと言うのです。土地収用法というのを例に出されますけれども、土地収用法という法律は、これは行政法の中においても最も強い法律なんですよ。それとこれとを一緒にして考えるというわけには私はまいらないと思う。
#70
○大津留政府委員 判例をちょうど持ち合わしておりませんので、私はそういう解釈で間違いないと思いますけれども、さらに判例等を調べまして後ほどお答えいたします。
#71
○井上(普)委員 そこで、姓名不詳のまま違反建築がどんどんと進んでいく場合に、昨日でございましたか、自民党さんは実は修正案を御提出になりました。この建築基準法をよりよきものにしようとする自民党理事あるいは党の態度に対しましては、私はある程度敬意を表するものでございます。しかし、この修正案の中に出てまいりました点におきまして、行政代執行の特例をここに入れようとしておるのでございます。それは「行政代執行法第二条の規定にかかわらず、」と、こうある。行政代執行法の第二条は、御承知のように、これは「法律により直接に命ぜられ、又は法律に基き行政庁により命ぜられた行為について義務者がこれを履行しない場合、他の手段によつてその履行を確保することが困難であり、且つその不履行を放置することが著しく公益に反すると認められるときは、」初めて発動ができるのであります。そこで、この問題これ自体についても問題があります。が、特殊な例として、しかも、特殊じゃなくしてそれがほとんどである姓名不詳の事件に対して、こういう代執行が行なえるかということについてひとつお伺いいたしたい。
#72
○大津留政府委員 現行の九条の第十一項に、第一項によって必要な是正命令をした場合におきまして、その命ぜられるべき者がわからない、また、その違反をそのまま放置しておくことが著しく公益に反すると認められる場合には、特定行政庁はその者にかわってみずからそういう内容のことをやる、つまり代執行ができるという規定がございます。したがいまして、今回修正をなさるように承っております代執行の特例は、現行代執行法の第二条の規定のうち「著しく公益に反すると認められるとき」というその限定を除こうという趣旨のように承っておりますけれども、現行十一項で、ただいま申し上げましたような、相手がわからなくてもできるということでございますので、もしこの修正ができましたならば、相手がわからなくても、かつ、著しく公益に反するということがかりに認められなくても、違反建築につきましては是正の代執行ができるもの、こういうことになるものと解釈しております。
#73
○井上(普)委員 この修正案の修正の要綱のことは別におきまして、姓名不詳のままにはたして代執行ができるかという点につきましても疑問を抱かざるを得ない。といいますのは、私も知っておりますが、九条の十一項にこういう規定はあります。しかし、この規定は昭和三十六年に改正になっておるわけです。昭和三十六年に改正になって以来現在に至るまで八年間ですか、八年間にこの十一項の規定を適用した例がありますか。何件ありますか。それと同時に、代執行をなす場合には、代執行法第三条で、はっきり「代執行をなすべき旨を、予め文書で戒告しなければならない。」とある。そしてその第二項におきましては、執行者の代執行に要する費用の概算の見積もりを義務者に通知しなければならないのでしょう。第三項におきましては、緊急の場合においてはこの手続を経ないことができるけれども、「非常の場合又は危険切迫の場合」この二つです。それ以外は、義務者に対しては代執行による経費までも通知しなければならないという規定になっています。それで姓名不詳のままにいけますか、どうです。
#74
○大津留政府委員 先生御指摘の九条の第十一項というのが、いわば行政代執行法の三条の特例をなしているものというふうに私は解しております。したがいまして、建築基準法違反の是正命令に対しましては、十一項によりまして、相手がわからなくても、したがって、この戒告とか見積もりの通知ということを省略して代執行ができる、こういうふうに解釈しております。
#75
○井上(普)委員 省略することはできないですよ。十一項では、公告しなければならないですよ。
 それから、昭和三十六年から何件やったのです。こういう改正までできておるのに、八年間何件やったのです。氏名不詳のままにこの十一項の規定によって代執行をやった件数が幾らあるのです。
#76
○大津留政府委員 十一項で、相手がわからない状態のまま代執行したという例はございません。
#77
○井上(普)委員 いままで姓名不詳のままやったことはないとおっしゃる。しかし、姓名不詳のままの違反建築が多いのが実態なんです。先日も小川君がここで説明されましたように、あるいは石井首都整備局長が申しましたように、建てかけて、つかまるということでそのまま逃げてしまって、だれが所有者であるか、だれが施工者であるかわからない、こういうものが非常に困っておるのですよ。それが大体違反の七〇%を占めておるのじゃございませんか。建て売り住宅のこういうケースが非常に多く、また、これによって被害をこうむっておる国民大衆というものが非常に多いのです。だから、これを押えようとするのが、私らの先日来の理事会でのねらいでもある。ところが、自民党側から修正案は出てきましたけれども、この修正案の「代執行法第二条の規定にかかわらず、」ということは、十一項にきちっと書いてあるのです。できるようになっておるのです。読んでみなさい。「第二条の規定にかかわらず、」なんということは、条文の中にはっきりうたえますか、どうです。
#78
○大津留政府委員 行政代執行をやります場合に、著しく公益を害すると認められる場合という限定を特に課する必要がないじゃないかという御趣旨かと承っております。おそらく、そういう趣旨を条文にされるときにおきましては、これは衆議院の法制局等におきまして御研究いただくわけでございますが、特定行政庁は、第一項の規定により必要な措置を命じた場合において、その措置を命ぜられた者がその措置を履行しないとき、履行しても十分でないとき、または履行しても第一項の期限までに完了する見込みがないときは、行政代執行法の定めるところに従い、みずから義務者のなすべき行為をし、または第三者をしてこれをなさせることができる、こういうような表現になるのではなかろうかと思います。したがいまして、法文の文言の上におきましては、「第二条の規定にかかわらず、」というような文言でなく、第二条の文言のうち、著しく公益を害すると認められるときという文言を除いた表現が、この基準法の中に特例として定められる、こういうふうに私としては考えておるわけでございます。
#79
○井上(普)委員 ただいま局長が言われたような趣旨のことは、第九条関係に全部あるのじゃございませんか。特に第七項、第十項、第十一項にその趣旨が書き込まれておるのじゃございませんか。どうでございます。
#80
○大津留政府委員 違反建築の是正のためにいろいろ苦心をして、従来、改正においていろいろな規定が加えられて措置が行なわれておりますが、いま御指摘の七項というのは、緊急の必要がある場合に仮の中止命令を出すことができる、それで仮に一応中止をさしておいて、その間に成規の手続をとるということ、それから十項におきましては、工事中の建築物についてこれを停止、禁止という命令でございまして、第一項にあります除却とか移転、改築、増築、修繕、模様がえあるいは使用禁止というようなもののすべてを含んでおるわけではございません。それから十一項は、先ほど申し上げたし、またお触れになりましたように、相手がだれかわからないというときに、代執行法の特例として特定行政庁が執行できるという規定でございますので、ただいま修正によって加えられるというお話が進んでおるやに聞いております代執行法の第二条の特例、これはやはり現行の規定に加えてそういうものの必要性が十分ある規定だと思います。
#81
○佐野(憲)委員 関連。少し井上委員との質疑応答の中でただしておきたいと思いますが、「行政代執行法第二条の規定にかかわらず、」こういう規定を持っておる法律がありますか。その点ちょっと……。
#82
○大津留政府委員 代執行法の第二条の特例を規定したものはございますけれども、「第二条の規定にかかわらず、」という法文上の表現を用いたものはないだろうと思います。
#83
○佐野(憲)委員 官房長官も、しばしば、土地収用法の中にそういう文言があるじゃないか、こういうことを言われるのですけれども、なるほど、土地収用法の中にはあると思います。それから土地収用法の中に明文化されているのは、百二条の二の第五項ですね。ここの中に「行政代執行法第二条の規定にかかわらず、」こういう規定を置いてありますがね。
#84
○大津留政府委員 御指摘のとおりでございます。
#85
○佐野(憲)委員 そのことと、ここに置いている規定と――いま井上さんが指摘になっている「行政代執行の特例」、建築基準法の一部改正案の修正案要綱この中に「行政代執行法の第二条の規定にかかわらず、」こう規定しておるのと、この土地収用法の中における「かかわらず、」とは、異質なものだということをお認めになりますか、どうですか。
#86
○大津留政府委員 土地収用法百二条の二の第五項に、御指摘のように、「行政代執行法第二条の規定にかかわらず、」という文言がございます。これは、今回修正をされようとしておられる「第二条の規定にかかわらず、」というのとは意味が違うと思いますが、同じ百二条の二の第二項に、行政代執行法のいわば特例がございます。これと類似の内容であるというふうに理解しております。
#87
○佐野(憲)委員 法制局の方は来ておられますか。――では、法制局の方にお尋ねしておきたいと思うのですけれども、この行政代執行法が国会に提案されましたのは第二回国会だったと思いますが、第二回国会における法制局長官の佐藤達夫さんと井伊誠一さんとの質疑応答、並びに提案理由その他のことについてお尋ねをしておきたいと思うのですが、行政執行法が廃止されたときに、新しい憲法に照らして、いろいろな意味において暗い印象を与えておるし、過去における行政権の乱用その他の暗さを払拭して、根本的に必要なものは必要として認めていく、そのために行政代執行法というものを取り上げたのだ、こういう点がありすね。特に、執行罰については、一般法としてはこれは除いていく、しかしながら、特別法の中ではこれはやはり生きていくのだ、こういう説明もありますが、一番大切な点は、この代執行法におきまして、第二条ですね、他に方法がない、もう一つは、著しく公共の利益に反する、この二つの条件が、いわゆる権利の乱用を戒める歯どめだ、この点を指摘しておりますね。それから第二の点としては、訴願並びに異議の申し立てがある、この意味で私権を確保しておるのだ、この二つのことがあるから、過去のような暗いイメージなり印象を払拭することができるし、新しい憲法に照らしても必要性を強調してあるわけですね。繰り返し佐藤さんが述べておられるのは、第二条の二つの条件、他に方法がない、著しく公益を害する、このことが明らかにされることによって乱用を戒めておるのだ。それから、訴願並びに異議の申し立て――、これは第七条は他の関係上消えてきましたが、当時は第七条に訴願並びに異議の申し立てということを明らかにいたしておるわけですね。この二つがあるから、戦前のような行政執行法における乱用というものは歯どめができておるんだ、こういうぐあいになっておりますね。
 そこで問題になってまいりますのは、いま井上さんとの質疑応答の中で問題になってまいりますことは、土地収用法における行政代執行法第二条というのは、先ほど申しました第二条とは異質な、他の手続上の問題で第三者に対する云々ということにつながっていくのですから、これは問題はないといたしまして、特例として「第二条の規定にかかわらず、」こうなってまいりますと、単なる第二条の後段に示されておることに対する「かかわらず、」ではなくて、二つの条件にもかかわらずもしこういう規定を置いたとするならば、どうお考えになりますか。
#88
○田中(康)政府委員 行政代執行法の第二条で、いま先生が仰せられましたように、「他の手段によつてその履行を確保することが困難であり、且つその不履行を放置することが著しく公益に反する」この二条件が定められておりまして、その要件に該当しない場合には行政代執行ができないということにつきましては、私もそのとおりと考えます。また、一般法である行政代執行法というものでありますから、それぞれの具体的な各法律で条件がきまっているような義務違反ではございませんから、すべていまのような要件をかぶせることは必要があると私も考えておるわけでございます。
 ところで、この二つの要件を形式的に書かなくても、他の法律が大体これと同じような条件になってきておるというような状態にある事犯につきまして、この条件を除いて行政代執行法のような手段をとることが可能ではないかというふうに実は私は考えるわけでございます。そこで、いま申し述べましたのは一つの例でございますが、いま仰せになりましたような行政代執行法の二条件が必ず形式的に備わらなければならないということではなくて、それと同じような条件が他の特別法におきまして備えられておるというような場合におきましては、それにつきまして行政代執行法のあとの手続がかかってくるということはあり得ることであるというふうに考えるわけでございます。
 ただ、いまの修正案につきましては、私のほうの担当ではございませんで、これは衆議院の法制局の担当でございますので、私からいろいろ申し上げることではございませんが、一般論としてはそういうふうに考えでおります。
#89
○佐野(憲)委員 私は一般論として――あなたは何か予見を持って言っておられるんじゃないかと思うのです。第二条の規定にかかわらず、みずからが義務者の行為をなすということで、「第二条の規定にかかわらず、」というのは、単なる第三者として云々ということではなくして、いま申し上げましたように、確保するための他の方法がない、公共のために著しく利益を害しておる、この二つの要件、これが行政代執行法の目的となっておるわけですね、これはどうでもいいんだということでもし行なわれとするならば、これはたいへんなことじゃないですか。憲法違反の問題であると同時に、国会に提案された趣旨――乱用をいかにして防止する歯どめとなっておるか、この目的があるから歯どめができておるんだ、しかも私権に対するところの保護規定がもう一つ設けられておるんだ、この保護規定と二つの条件があるから、憲法違反ではないんだ、新しい憲法の趣旨に沿うんだ、こういうぐあいに一般法として規定いたしておるわけですね。特別法によって、これはどうでもいいんだ、「かかわらず、」ですから、どうでもいいんだ、こういう行政目的の恣意によって、一般法である行政代執行法が空洞化されてしまう、そこに権利の乱用に対するところの担保がどこにあるのですか。そこであなたは憂慮されておるかもしれない。いろいろな問題を予見されておると思うのですが、すなおに、行政代執行法の第二条の規定にかかわらず、二つの条件はいいんだ、こういうことが許されると思いますか。その点をもう少し明確にしてください。
#90
○田中(康)政府委員 私は、行政代執行法のいまお述べになりましたような条件は、憲法上必ずあの条件が整わなければすべて憲法違反になるというような意味であるかどうかにつきましては、そこまでは実は考えておらないのでございます。当然、義務違反、一定の義務がかぶせられている場合に、その義務が履行されないということを放置しておくことは、社会生活上許されないことであるというふうに考えられます。そこで、そういうものを除去する手段としていかなるものがあるかということになりますが、当然、その社会悪を除去する手段と、それから、それによって私権が侵害されるわけでございますから、それとが比例を伴っていなければならないというふうにもちろん考えるわけでございまして、その比例がある限りにおきましては、いま言ったような要件がたとえ形式的に書かれなかったといたしましても、私は憲法上の要請は満たしておるというように考えるわけでございます。
 ところで……。
#91
○佐野(憲)委員 それはおかしいと思うのですよ。憲法の第三十一条によって、御存じのとおり、刑事あるいは民事関係に対してきびしい手続が規定されておりますね。それによって、刑事訴訟法なり民事訴訟法によって私権が擁護されておりますね。しかしながら、行政手続においてこういうことがもし許されるとするなら、刑事問題においても民事の場合においても、訴訟法によって一定の私権が救済されて、その中で――一体、第二国会における提案の趣旨と全然違ったことをあなたは言っておられる。あなたはその資料をお読みになりましたか。第二国会においてどういうことが一体論議されておるか。法制局長官佐藤さんが、新しい憲法に照らして、このことが人権を擁護し、憲法の精神に合致するのだということで、二つの条件を出しておるでしょう。それをあなたは――そうなってきますと、行政権の恣意なり乱用というものを一体どこで歯どめをしていくのですか。しかも二条の規定にかかわらず――一般法として行政代執行法によってこの二つの要件を満たしておる場合におきましては、法律上の形式的なことは述べなくてもその道筋につながっていく、これはわかりますが、しかし、あなたのように、第二条はどうでもいいんだ、憲法上問題がないんだ、人権侵害その他過去の行政執行法と同じようなことをやられてもいいんだ――行政権の乱用、その歯どめになるのが第二条の二つの条件じゃないですか。当然、私権の救済の他の道があるからこそ、このような行政権というものは許されておるのじゃないですか。私権に対する保護はどうでもいいんだ――土地収用法その他にはそれぞれ私権の保護がありますね。あるいは、独立の行政委員会として独立の権限を行使する、そのためには、所属するたとえば県知事の指揮命令を受けない独立の行政組織だという権限のもとにおいて、明け渡し裁決なり、いろいろなことが決定されてくるわけですね。これは私権擁護の手続において非常に吟味されておる。刑事訴訟法におきましても民事訴訟法におきましても、非常に吟味された手続法が存在しておるわけです。日本においては残念ながら行政手続法がない。あなたはアメリカの行政手続法の第四条をお読みになって、日本の行政手続というものとの比較をされたこともおありになるだろうと思いますけれども、こういう中において、行政代執行法の第二条はどうでもいいんだ、こんな考え方を乱暴に――それは憲法違反にならないのだ、第二条はどうでもいいということになりますと、一体どこに行政の乱用の歯どめを置くか、どこに私権を救済する道があるのか、この点をもう少し明確にしておいていただきたい。
#92
○田中(康)政府委員 私は、いまの行政代執行法の要件を全部書かないにしても、それでいいのだと言っているわけではございません。
#93
○佐野(憲)委員 そうじゃないですよ。書く書かないでなくて、第二条はどうでもいいということを書くということを言っておるわけですよ。書く書かないは別問題ですよ。しかしながら、そういう要件を満たしておる、だからこれはつながっていくんだ。たとえば、それに対して是正命令を出す場合がある、あるいは不作為義務に対して執行罰をかける、それでもなお工事を続ける。執行罰はついており、継続しております。ここにきてその是正命令なり移転命令なりを出す。それに対する聴聞なりいろいろな手続がとられてくる。そのことがある程度――ある程度ですよ、入ってまいりますと、第二条の目的に沿った手続が大体積まれておる、こういう中でどうつながっていくか、これはあると思います。しかしながら、第二条の条件にかかわらず、こうなってまいりますと、どうなりますか。それでもいいというわけですか。第二条の条件は、どうも他に方法がないのだ、しかも公共のために著しく利益を侵害するんだ、この二つの条件があり、かつ、私権の救済の措置が残されておるから、行政権に対してある程度の権限は付与しているわけでしょう。それは二条はどうでもいいんだ、こういう解釈と、そういう手続、の中でこの条件が満たされてきておるんだ、だからここにつながるのにはという法律技術の問題があると思います。技術の問題を問うておるのじゃないですよ。二条の条件はどでもいいんだ、こういう考え方がもし憲法上許されておるとするならば、他の法令はがらっと変わってきますよ。行政官の恣意裁量によって、これ以外方法がないじゃないか、これは公共の利益に反しておるとおれたちは考えたんだ、だから代執行の条件はどうでもいいんだ、こういう解釈でもし手続をとられだとすると、それでもあなたは憲法違反でないと言いますか。これはたいへんな問題ですよ。
#94
○田中(康)政府委員 私は、いまの「第二条の規定にかかわらず、」ということを書く書かないにかかわらず、そういうことが憲法の精神として許されるか、こういう御質問だと思いますが……。
#95
○佐野(憲)委員 私は書く書かないを言っておるのじゃないですよ。行政代執行法は一般法としてあるのですから、これにつながるいろいろな手続において私権が擁護されておる。それにつながるから、書く書かぬという問題じゃなくて、逆に、そうじゃないんだ、そういう二条の条件は要らないんだ、「第二条の規定にかかわらず、」こういう明文化をするということはどうだということなんです。これを言っておるのですよ。書く書かないじゃない。そうでしょう。問題が違うと思うのですよ。趣旨はどうでもいいんだという規定を置くのだ、代執行という手続の目的に沿わなくてもやれるのだ、目的はどうでもいい、こういうことを明文化した場合に、一般法である行政代執行法というのは一体どうなってしまうのですか。どこに一体人権の担保があるのですか。
#96
○田中(康)政府委員 わかりました。
 そこで、いまの二つの条件が形式的に書かれなければいけないという意味ではなくて、実質的にその二つの条件が書かれなければ、憲法を尊重したことにならないではないかということではないかと思いますが、私もその点についてはそうだと思います。ところで、二つの条件が必ず書かれると同じ状態がある特定の法律でもって実現しております場合に、そういう実現しております状態を踏まえまして新しく行政代執行法の手続を進めていくということでありますれば、これは違憲ではない、私はこういうように考えておるわけでございます。
#97
○佐野(憲)委員 どうもおかしいですね。もう少しすなおな形で考えていただきたいと思うのです。政府委員は予見を持っておられるからおかしな答弁になってくるんだろうと思うのですけれども、第二国会の司法委員会に提案され、そこで行なわれた質疑応答や、本会議における討論なり、その報告なりを読んでみますと、その中に、やはりいかに行政執行法によって人権がじゅうりんされたか、それをどう防ぐか、しかしながら、この代執行法というものは必要だ、新しい憲法の考えに立って行政代執行法を提案した、他のものは、調整の問題あるものはすべて廃止している、この問題だけは新しい憲法に照らして実は一般法としてつくるんだ、その中で、過去に見られた行政代執行における行政官の権利の乱用や拡大解釈を防ぐために、いわゆる第二条においてそのことを明確にした、その上、訴願なり異議の申し立てによって救済の道も講じて、行政官の恣意というものをここで押えておるんだ、だから権利乱用の歯どめはここにあるんだ、この二つのことを抜きにすれば法の意味がないんだ、こうまで答弁している。これは佐藤達夫さんが法制局長官として答弁されておるのです。だから、この行政代執行法は新しい憲法の精神に合致する運用が行なわれるんだ、こう言っておられるわけです。そのことをあなたは一体肯定するのかどうかということです。その点をまず最初にはっきり答えてほしい。
#98
○田中(康)政府委員 この行政代執行法が制定されましたときの当時の佐藤法制局長官の答弁は、当然私たちもまたこれを引用しておるわけでありまして、そのとおりの見解に立っております。
#99
○佐野(憲)委員 そこで、あなたは、「第二条の規定にかかわらず、」規定はどうでもいいんだ、こういうことに対しては一体どうお考えになりますか。第二条の二つの条件はどうでもいいんだ……。
#100
○田中(康)政府委員 私はどうでもいいというふうに申しているわけではございませんで……。
#101
○佐野(憲)委員 そのことについてどう考えておるかということを聞いておるんだ。あなたの主観は要らない。そのことに対してどう考えておるか。「第二条の規定にかかわらず、」……。
#102
○田中(康)政府委員 二つの条件はどうでもいいということはございません。
#103
○佐野(憲)委員 ならば、どうですか。そういう規定はどうなりますか。法制局はどういう見解を持ちますか。明文化して「第二条の規定にかかわらず、」どうでもいいんだ、こういう規定を置いたらどうなりますか。そして、この法律が特別法で規定しているから、これは行政官は自由にやれるんだという考え方に立つならば、過去の行政執行法と何ら変わらない行政官に対する権限を付与することにならないですか。第一条から第四条における行政検束だって、新たな形を持って出てまいりますよ。行政検束と同じことが――第一条から第四条、他の法律でそれは吸収されておりますけれども、あなたのような解釈、いままでのような解釈でやってくると、保護のために行政検束だって可能になってしまいますよ。そうでしょう。
#104
○田中(康)政府委員 行政検束その他につきましては、これは憲法三十一条その他の問題がございまして、憲法上できないことは明らかでございます。
#105
○佐野(憲)委員 そんなことはないですよ。警察官職務執行法が出てまいりましたときに、私、当時の委員でありまして、保護検束その他の議論が新しい改正案として出てまいりましたね。職務質問する、そこに自殺のおそれある者あるいはいろいろなことがあるから、保護検束することができる、留置することができる、これと同じ解釈が再び出てまいりますよ。だからこそ、第二条において規定を設けて、これは憲法の精神に合致する第二条の規定だぞ。この規定はどうでもいいんだということになってまいりますと、行政権というものを拡大するのをどこで歯どめするのですか。だから、もしそういうことがあるとするならば、これは明らかに憲法違反でしょう。そういうことをやるかやらぬかは別としてですよ。あなたはそういう予見を持って、建設省と何との間には、この文言ではない、何かの文言を考えておるんだろう、こういう解釈を持っておられるから、私は、そういうことを抜きにして、すなおな形におけるしろうとの考え方として、一般に言われておることを、委員会なり理事会で論議されておる素朴なことばとして、第二条の規定、こんなものはどうでもいいじゃないかという考え方でもしそういうものを法文化したら一体どうなりますか、こういうことを言っておるのですよ。純然たる法律と憲法との問題で、第二条はどうでもいいということを明記した場合に、一体どうなるかと言っているのです。
#106
○田中(康)政府委員 一般論といたしまして、憲法上の要請といたしましては、一般法においていまの要件がかぶっておるのに、なぜこの建築基準法だけはそういう要件をかぶせないでどんどん代執行ができるということが許されるかどうか、そこが私は要点だと思います。そこで、そういう……。
#107
○佐野(憲)委員 そこまでは言っていない。それは後ほど改正案が出てまいりましたときに論議さるべき問題で、要綱として、まだ明文化されていないですね。そういう中で一応見解を聞いておきたいわけなんです。そういうものを明文化した場合に一体どうだということを聞いておるのです。建築基準法なんということは聞いてないですよ。明文化した場合にどうなんだ。それでもいいんだ、行政権としてはやれるんだ、こう考えられるかどうかということです。
#108
○田中(康)政府委員 だから、二要件がすでに充足されておるような状態におきまして……。
#109
○佐野(憲)委員 充足されているかされていないかは別の問題だ。
#110
○田中(康)政府委員 それは立法の段階におきまして……。
#111
○佐野(憲)委員 「規定にかかわらず、」ということを聞いているのです。
#112
○始関委員長 ちょっと区切りをつけてください。
#113
○田中(康)政府委員 これは立法論の問題でございますから、いろいろ立法のことばが書かれると思います。立法に書かれましたところに従って、さらに代執行ということがそのうしろについていくということになりますから、その立法が書かれた状態において一体いまの二要件が充足されておるかどうかということが――もしあるとするならば、そのときには代執行がそのままかぶったっていいではないか、こういう見解であります。
#114
○佐野(憲)委員 これから私は、理事会で懇談しましたことをやはり本委員会において逐次質疑の中で問題点を明らかにしていきたい。そのためにこれは重大な問題であります。今後明文化するためにも大きな問題だと思います。
 ですから、私が聞いておるのは、どうも法制局のほうは予見を持っていろいろなことを想定しておられるからなんで、もう少し率直に、そういう要件があるかないかわからない――第二条の要件が満たされておる、そういうことから法律技術的につながっていく、これはあり得ると思うのですよ。ただ、それがあるかないかは別として、法の中に、行政代執行法の第二条はどうあろうともということばが入った場合どうかということなんです。入るか入らないかということより、入った場合はどうだ、こう聞いておる。
#115
○田中(康)政府委員 「第二条の規定にかかわらず、」というものが入りました場合に、明らかにその第二条のすべてのいまの要件が充足されないにもかかわらず代執行以下の手続がかかるというような意味で書かれているといたしまするならば、これは相当問題があると思います。
#116
○佐野(憲)委員 憲法上どうかということです。
#117
○田中(康)政府委員 これは憲法上の問題があるのでございますが、その場合に、はたして、いまの一つの条件である著しく公益に反するということをすべて達しなければいけないかどうかというその幅の問題が私はややあるのではないかという気はいたしますけれども、いずれにいたしましても、その二要件をある程度かぶせなければいけないことは、これは明らかだと思います。
#118
○佐野(憲)委員 最後に、では、公共の利益、あるいは公共の福祉でもいいですが、こういうのは一体どうですか。警察あたりは、法律上熟したことばだというのです。法務省の方も来ておられるようですが、どうですか。最高裁判所あたりで、公共の福祉とは一体何であるか、そういう概念というものを明らかにしたことはありますか。いろいろな問題が起こって、これが公共の福祉かどうかという判断をやったという判例も私はよく見ておりますけれども、公共の福祉とは何だという、こういう概念を明確にした最高裁の判例はありますか。
#119
○田中(康)政府委員 私は、絶対にないかとおっしゃられますと、そこまでの自信はございませんが、訴訟というものは、およそ、ある一定の事実に即して、その事実の救済ということを目的としているものでございますので、一般的に、公共の福祉が何であるかということをいうことがおそらく必要がないために、いわれてないのではないかというふうに思います。個々の具体的事案に即して、その場合におけるこれは公共の福祉であるということはいっておりますけれども、一般的には、大体いうことにならないのではないかというように思います。
#120
○佐野(憲)委員 建設省の法律の一つのなには、めんどうな問題はすべて、公共の福祉のためにという形で目的の中に入れ込んでおるわけですね。私は、こういうことは公共の福祉に反するかどうか、こういう形でやはりもっと具体的に特定されなければならぬと思うのです。しかしながら、いまのように、公共の福祉に著しく反するということになりますと、もう少し吟味された、特定されたものがないと、一行政官の恣意によって、建築主事なら建築主事の恣意によって、これが公共の福祉を著しく害するかどうかということでやられる、こういうことでは、相当問題があると思います。
 そこで、一体いかに私権というものをここで救済すべきかという手続の問題が出てまいりますけれども、そういう前提があるにもかかわらず、ここでいわゆる行政代執行法第二条、特に行政代執行をささえておる大黒柱を、どうでもいいのだという形の法文化というものに対して、これは私は憲法上の問題が派生するなと言っても派生すると思いますが、そういうことだけを言って、井上さんの関連質問でありますので、また次の私の質疑のときにもう少し突っ込まさせていただくことにして、この程度にさせていただきます。
#121
○井上(普)委員 ただいま佐野委員から詳く、代執行が行なわれる場合には、第二条の二つの要件が満たされなければならないというようなことを申されました。これに法制局も大体同意したようでございますが、これは学説としても定着しておるようであります。私が田中二郎さんの「行政法総論」という本を見ましても、まず第一番に「行政代執行法によって代執行をなし得べき場合は、建築物の改築・除却、交通障害物の除去、消毒方法の施行等、法律により直接に命ぜられ、又は法律に基き行政庁により命ぜられた行為について義務者がこれを履行しない場合、他の手段によってその履行を確保することが困難であり、且つその不履行を放置することが、著しく公益に反すると認められるときに限る。」これが一般の代執行の定説のようであります。そして「代替的作為義務の不履行がある場合に、常に、直ちに、代執行をなし得るものと考えてはならない。」というのが、日本の法学界における一般通則になっておる。学説になっておる。これを第二条のこの規定にかかわらず、法文に書かれておるにかかわらずということでこの第二条の規定の精神に反しようとするような立法措置というものはできない。これは憲法三十一条との関係において私はできないと思う。法律に書き込むことは、おそらくや、この建築基準法の九条関係くらいのことしか書けないのではないか、私はこのように考えるのです。行政官のあなた方は、専門家であるあなた方は、とかく小手先を弄して、法律さえ通ればいいわというような態度でもってこの法案の審議に当たってもらっては困る。法律をつくったならば、それを確実に履行するという態度でなければならないのです。先ほども申しましたように、昭和三十六年にこの第九条の第十一項が改正せられてから、これの適用がないのでしょう。こういうところで、建築基準法がざる法といわれる。あるいはこの規定をつくったけれども、法手続上は代執行に持っていけないのかもしれない。こういう点につきまして、先ほども申しましたが、第十一項の規定によって代執行をやったことはないのでしょう。ないですね。ないのに、また新たにこういう規定を、「行政代執行法第二条の規定にかかわらず、」というようなことを明文化するか、あるいはそういう意図を盛り込んだ法律をつくったところで、これまた死文化してしまう。ただいたずらに行政官の何か言いのがれになるか、あるいはまた、これをやろうとするときには行政官の権限強化になる可能性もある。ここらをひとつ明確にしておいていただきたい。それよりも、自民党さんが私どもに提示されました修正の要綱のこの行政代執行の特例というのは、ただいま佐野さんの御意見あるいは質疑応答の中から、意味がないという結論に大体達したようでありますので、私はこれ以上申しませんが、ただここでこの代執行にかわるべき方法は――われわれとしては違反の建築に対してこれをきびしく監視し、これを処置しなければならないと考えるのです。だから、この方法は一体何があるかということを私どもは模索している。現にあなた方の昨年の十一月十五日に出された建築基準法改正原案によると、第一に執行罰を入れようとしたでしょう。それがいつの間にかなくなってしまっておる。このようにあなた方はともかく姿勢においてふらふらしておると言わざるを得ないと思うのです。
 ここで大臣にお伺いする。建築審議会、この会長は岩佐凱実という人ですが、この人から、昭和四十二年十二月十三日に、当時の建設大臣の保利茂さんに対して一次答申を出しておりますが、大臣、あなたはこの一次答申を読まれましたか。そして、これがこの法律の中に盛り込まれておるとお考えになりますか。どうでございます。
#122
○坪川国務大臣 岩佐会長の審議会の答申につきましては、私も私なりに十分拝承いたしており、また、趣旨につきましても、御期待に沿い得ない点もあるということは私決して否定はいたしませんが、かなり多くの趣旨をやはりそんたくいたしましたことだけは御了解いただけるものと考えておる次第であります。
#123
○井上(普)委員 先ほど申しましたように、いかにして違反建築を是正するか、そして違反建築を少なくするか、それには、このたびのように、いままでの違反建築物を正当化しようというのじゃなしに、これをいかにして少なくしていくか、なくするかということに努力したいと思うのです。それで、理事会におきましても、先ほど申し上げましたように、各党いずれもその手段を模索中なんです。ところが、それをごまかすような役人の態度というものは、私は許すことができないと思うのであります。大臣、こういう方法もあるのです。あなた方の岩佐建築審議会で答申として大臣に出しておるものにこういうことをいっておるのです。「是正命令、工事中止命令等の遵守を確保するため必要な措置。例えば執行罰の採用を含む罰則強化を行なうこと、封印による工事中止を制度化し封印破棄罪の適用があるものとすること」という具体例まで実は建築審議会は書いておるわけなんです。私どもは、理事会におきまして、社会党案といたしまして、間接強制の道を切り開こうといたしたのでございますが、これとてもだめだ、それじゃ代案としてどうするかということを考えると、先ほど自民党側から修正要綱の第二項を御提示になったのですが、これとても法文化することは困難である。間接強制の道につきましては、これまた佐野委員から後ほど質問があろうかと思いますが、そのほかの、封印による工事中止を制度化して封印破棄罪の適用を条文の中にうたったらどうか。封印による工事中止を制度化するということになりますと、違反工事を発見した段階において、なわを張ってそこに工事中止を命令する。この封印がもし破られた場合には、封印破棄罪という法律を適用する。いま違反建築を発見して工事中止命令を出そうとしても、その氏名あるいは住所がわからないときにはどんどんと進んでいく段階においては、私は一つの手段ではないかと思うのですが、大臣、これを適用するお気持ちはございませんか、どうです。
#124
○坪川国務大臣 いま御指摘になりました答申の内容等を検討されました上に立っての井上委員の御意見、また、これらに対する非常に適切なお考えは、もっともだと思う次第でございます。何と申しましても、本建築基準法の改正をお願いいたしておりますことは、いま御指摘のとおり、違反建築物の頻発に対応するところの厳正な法執行の態度をさらに推進するということが大きな目標でございますので、これらに対するところの監督処分の強化、あるいは先ほどから御指摘になっておりますところのいわゆる行政代執行、あるいは告発等の積極的な行動を行なうということ等、十分私は配慮いたしまして改正をお願いいたしたような次第でございます。今後も私はそうした法の立法、改正の主眼に沿うような態度で厳正に強く推し進めてまいりたい、こういうようなことで、いまの答申に伴うところのそれぞれの措置もある程度私は踏まえましてそれらの改正点に生かしておることも御理解を賜わりたい、こう考えておる次第であります。
#125
○井上(普)委員 大臣、総論みたいなことを言ったってだめですよ。もう各論に入っているんだ。そして、いかにして違法建築をともかく押えようかということは、各党一致して理事会において真剣に論議が集中しておるのです。そして、現在の法規、改正案ではだめじゃないか、ざる法といわれる建築基準法を一体いかにして国民の皆さん方に守っていただくような法律にするかということを考えて、ここでわれわれは暗中模索しているのです。大臣のように総論的におっしゃられても話になりません。もうわれわれは各論に入っているのです。いかにして少なくするかということを考えているのです。
 そこで、もう大臣はよろしゅうございますから、局長にお尋ねしますが、なぜ封印による工事中止を制度化することができなかったのです。何か法律的な根拠でもあるのですか。どこに不都合があってこれができなかったのです。
#126
○大津留政府委員 御承知のように、改正案におきましては、一般是正命令を出した場合はこれを公告いたします。その際に、現場に表示板を立てましてこれを一般に公示するという方途をとったわけでございます。これは審議会の答申の封印という措置のお考えを取り入れましてそういう形になったわけでございますが、封印によるという方法も確かに考えられます。しかし、建築がほぼでき上がって出入口が特定しているようなときに、そこに封印する、出入りができないということでございますと、工事続行がそこでとめられるということもございますけれども、まだ土台の段階あるいは骨組みだけの段階、いろいろな段階によりまして、封印ということがはたして技術的にうまくいくだろうかどうかという問題もございます。したがいまして、改正案にありますような公示という方法が実際的であり、効果を発揮するであろう、この公示をかってに引き抜いたりこわしたりしますと、公文書毀棄の罰則を受けますから、そういう形で取り上げたような次第であります。
#127
○井上(普)委員 私は公示制度も一つの方法であると思います。しかし、先日来から明らかになっておりますのは、建築主がわからない、あるいは業者がわからないというような違反建築、すなわち、建て売り業者の密集した建物を何とか押えていかなければならぬ、しかもそれは現場の監督者等に聞いてみますと、氏名もわからないのだ、住所もわからないのだ、だからあなたは、氏名不詳のままで公示する制度を考えますと先ほど来おっしゃいましたけれども、それがはたしてどこまで効力があるか。一番最初に聞きましたのはそのことです。いままでそういうような判例もない。あなたが頭の中でできますと言ったところで、これは客観性は乏しいのです。氏名不詳のまま公示板が公文書として認められるかどうかという点につきましても疑問があるのです。九条の二項にいう通知書になるやいなやという点につきましては、これは判例もないことであり、しかもこれは法律をつくってから八年もたっておるのです。法律をつくられたのは昭和三十四年でしょう。昭和三十六年に最後に改正になっておるのですね。それからこういう方法もあるのです。その当時におきましては、この法律をいじらない限り、あなた方は氏名不詳のままいままでも公示ができたのでしょう。いままでもできておるにもかかわらずそれをやらなかったのは一体何なんだ。これはあなた方の熱意の不足かもしらぬ。あるいはまた、法律的にその効力の有無について疑問があるのかもしらぬ。これはあなた方の考え方だから、私らそんたくするわけにいきませんが、ともかくそういうような、あなたに言わせれば、氏名不詳のまま公示板を立てることができるのは、昭和三十六年以来制度化されて、できておるはずなんです。公示ということは何にしても、氏名不詳のまま行なえるという体制はできておるはずなんですよ。それがいままで全然できていない。今度は表示板をつくって、その表示板がはたして効力を持つかどうかということについても非常に客観性が乏しいのです。そうなってくると、私が先ほど来申しますように、これをいかにして是正するかということをわれわれは真剣に考えておる。しかも建築審議会のほうにおいて、封印によるところの工事中止をやったらどうであろうかという一つの提案が出てきておるのです。これが技術的に不可能というのでありましたならば、私は何をか言わんやでありますが、土台ができたところにおいても封印というものは私はできると思う。こういう方法をひとつ制度化するお気持ちはございませんか。封印による工事中止を制度化する。封印破棄罪という法律のほうが、むしろ国民にはわかりやすいと思うのでございますが、どうでございます。ともかく法律というものが国民になじまなきゃだめですよ。そういう面からすると、このほうがやりやすいし、国民の目にもわかりやすいと思うのでございますが、どうでございます。
#128
○大津留政府委員 違反の取り締まりを第一線で行なう者がいろいろ苦労しておる実情、そういう観点からいろいろ御指摘をいただきました。私どもも全くその点、悪質の業者が抜け穴をくぐって違反を免れる、それをどうやって防ぐかということに一番腐心したような次第でございます。従来、やっと違反者を突き詰めまして命令を出しましても、それが翌日はすでに請負業者がかわっているとか、あるいは所有者がかわっているということで、逃げ回られるということがございました。そこで現場にこういう表示をいたしましたならば、権利を継承した者が、自分は知らなかったとか、あるいはそういうことは聞いていないとかいうことの言いのがれがここで防げるというふうに考えたわけでございます。そういたしまして、建築主もあるいは請負人も、下請業者も、現場で働く職人も、そういう命令に従わねばならぬということにいたしますならば、これは効果があがるのじゃなかろうか。さらに、今回修正の御議論をいただいております質問権、現場におる工事人とか監督、こういう者に対して質問をして、それに答えてもらう。これを答えないとか、うその答えをするという者に対しましては刑罰をもって臨むということができますならば、これはさらに一そうその辺を有効に取り締まることができるだろう、こういうふうに考えておるような次第でございます。
#129
○井上(普)委員 私は、いまの公示制度そのものが一つの効果を発揮することを期待いたすものではございます。しかし、それのみではなくて、もう一つの方法としてもこういう例示が審議会から出されておるのです。これをなぜ取り上げなかったか、これを聞いているのです。どこに問題があるのです。どうして建設省は改正案の中にそれを織り込まなかったのか、その点をお伺いしているのです。
#130
○大津留政府委員 取り締まりが非常にしり抜けになっている、これをいかにして有効にするかということは、まさに私どもの最大の課題でございます。したがいまして、審議会から御答申いただきましたことはすべて、また、それ以外のことにつきましても、法律上可能であり、かつ、実際にやって効果があるというものは残らず取り上げたいということで検討を進めたわけであります。御指摘の封印という制度は、先ほども申し上げましたように、でき上がった状態の建築物を押える場合にはこれが有効かと思いますけれども、基礎の段階あるいは骨組みの段階におきましては必ずしもそうもいきがたい面もございます。したがいまして、先ほども申すように、現場表示ということによってこれにかわる作用を期待するといいますか、そういうことにいたしたようなわけであります。
#131
○井上(普)委員 それは私らも望むのでございますが、せんだって来、あなたは、告示を棄損した場合は公文書毀棄罪になる、こういうお話でございました。これを私どもには提示されたわけでありますが、この公示板が公文書であるということについては、これまた判断というか、裁判所で争われる要件の一つにもなろうかと思うのです。それから、公文書毀棄罪という法律が作用したことは非常に少ないと思うのです。先日も判例があるかということをお伺いしましたが、昭和三十六年この法律の改正以降何件ありましたか。これは昭和三十六年にはありませんよ。公示板の制度がないことはわかっておって言っておるのです。昭和三十六年以降公文書毀棄罪というのは何件ありましたか、ひとつ御答弁をお願いします。
#132
○大津留政府委員 公文書毀棄罪が昭和三十六年以降何件あったか、ちょっと私のほうではそういう資料を持ち合わせておりませんので、法務省に問い合わせて、後ほどお答えいたします。
#133
○井上(普)委員 それは、この前も私お伺いしましたが、終戦以来、すなわち、新憲法が制定せられて以来、公文書毀棄罪は一体何件ありましたか、その例数は何件で、どういう場合がありましたか、詳細に御説明を願いたい。
#134
○大津留政府委員 法務省に問い合わせまして、後ほどお答えいたします。
#135
○井上(普)委員 法務省に問い合わすと言うが、私はこの件はこの前も関連質問で問いただしました。後ほど御報告申し上げますと、あなた方はここで答弁しておるはずだ。局長、それをまた法務省に問い合わすというのは、どういうことです。何日かかっておるのです。
#136
○大津留政府委員 さっそく調べましてお答えいたします。
#137
○井上(普)委員 公文書毀棄罪になるかならぬかということが法律のきめ手だとあなた方は言っているのです。それについく十日も前に私は関連質問で、その公文書毀棄罪という法律の判例は一体何件あるか、これをあなたに聞いたところが、あなたは、即答できない、後ほどお答えしますとおっしゃったじゃないか。あれから何日たっています。それで法律通す通すといっても、これは通すわけにはまいりませんよ。これはあなたのいう公文書毀棄罪というのが改正原案の大きなきめ手じゃないですか。それを、例数についてまだ言えないというのは、十日間あなたは何をしていたのです。こんなことでは審議できませんよ。
#138
○坪川国務大臣 いまの資料の点につきましては、おくれましたことをまことにおわび申し上げたいと思います。さっそく手配いたしまして、でき得る限りの早さでひとつお答えいたしたいと、こう思いますので、御容赦を願いたいと思います。
#139
○井上(普)委員 大臣、言われますが、この告示をするというのは、改正案の一つの大きいきめ手になっているのです。これによって違反建築物を押えようとしているのです。それで、これを取り除かれた場合には公文書毀棄罪になりますよというお話なんです。今度の場合ここに歯どめがあるのです。この告示の効力がはたしてあるかないかというのを私ら疑問に思うから、十日ほど前に私は、このことについて、関連して、一体幾らその公文書毀棄罪という判例があるのかということを実は聞いておるわけなんです。それについて、いまになって、お答えできません、これから調べますというのでは、怠慢そのものじゃないですか。こんなことで審議しろといったって、審議できませんよ。これが最後の歯どめじゃないですか。委員長、善処していただきたいと思うのです。
#140
○始関委員長 ただいまの井上君の申し出につきましては、早急に返答するように委員長において善処いたします。
#141
○井上(普)委員 六月十三日の金曜、いまから二週間前ですね。二週間前に、小川君の質問に関連して私がここにおいて質問をしたわけです。その際にやっているのです。六月十三日――会議録ありますよ。判例の件数は何件あるのだ、公文書毀棄罪というものは何件やっているのだ、重大だと思ったから、関連質問でわざわざ聞いているのですよ。それをいまになって――自民党さんは、来週の水曜日にあげてくれとかいうようなことまでおっしゃっておる現段階において、最もこの歯どめとなっておる公文書毀棄罪が一体何件あったのかということがまだ出てこぬというのはどういうことなんです。こんなことで審議しろといったって、これは審議できませんよ。新憲法下の判例というのは一体何件あるのかということを聞いているのです。それについての御答弁がないということ、これは歯どめをはずしておるということになりますから、われわれは良心的にこれは審議できません。
#142
○始関委員長 ちょっと速記をとめてください。
  〔速記中止〕
#143
○始関委員長 速記を始めてください。
 井上君、質疑を続行してください。
#144
○井上(普)委員 それがはっきりしなければ、質問の組み立て上、これはできませんよ。委員長においては小休せられんことを望みます。
#145
○始関委員長 速記をとめてください。
  〔速記中止〕
#146
○始関委員長 速記を始めてください。
#147
○大津留政府委員 どうもおそくなりまして申しわけございません。
 四十一年度に公文書毀棄罪として処罰された件数は、九十二件ございます。
#148
○井上(普)委員 九十二件ありますというだけでは私どもはわからないので、一体木札によって――木札が問題なんだ。木札で告示してほうむられたという件で一体公文書毀棄罪になるかどうかというところが問題なんです。この問題は、鉄道のどこか行く先を消しただけとか、鉄道貨車の横っ腹にあったやつをほうったのが公文書毀棄罪になったという話でございますが、私どもはこれと類似のものの公文書毀棄罪があったかどうかということを聞いているのです。これはどうです。これはあなたはまだ調べておらぬでしょう。幾らくらいあったのですか。いま電話で聞いて、昭和四十一年に公文書毀棄罪が九十二件あった。それは、役所に乱入して文書をほうったりしたことも公文書毀棄罪になるでしょう。あるいは安田講堂の中における公文書、これも公文書毀棄罪で起訴できるでしょう。そういうのとは意味が違ってくると思うのです。木札によっての告示がはたして公文書になるやいなやということについて私ども疑問を持っておるのです。だから、そこのところの判例があるかないということを聞いているのです。
#149
○大津留政府委員 改正案を立案する過程におきまして、現場に立て札等の掲示板をした場合に、これをかってに引き抜いたりこわしたりされたのでは目的が達せられません。したがって、これらを無断で引き抜いたりこわしたりというものに対しましては特別の罰則を設けようという考えで、関係当局に折衝したわけでございますが、法務当局並びに法制局の見解といたしまして、それは公文書に該当するから、公文書毀棄罪が適用される、したがって、そういう行為に対して新たな別の規定を設ける必要はないという見解が示されましたので、特別の規定は置かなかった、こういう経緯がございますので、私どもといたしましては、この現場における掲示板等は公文書として扱われるということにいささかも疑念を持っていないわけでございます。
#150
○井上(普)委員 法務省の方、来られているでしょう。
#151
○宮脇説明員 実は私ども民事局でございますので……。
#152
○井上(普)委員 それでは法制局のほう、そういう見解ではたして公判維持ができますか、どうでございますか。そこまでの話でなければこの話は成立しないのです。
#153
○田中(康)政府委員 私たちが審議いたしました過程におきましては、公文書毀棄罪が成立するということで、公判維持はできるものと考えてこの立法をいたしたわけでございます。
#154
○井上(普)委員 お伺いするのですが、こういう場合に氏名不詳の公示が非常に多くなってくるのですよ。しかもだれが抜いたかわからない、あるいはまた、このごろの建築でございますから、カバーをかぶせてわからないようにすることもできるのですね。この場合はどうなりますか。いま鉄筋を建てておるときに、何々土建とか何々建設というようなカバーをかけて、物が落下するのを防いでいる建築物がたくさんあるでしょう。あの中に隠された場合、どうなりますか。法的に毀棄罪にもならぬでしょう。どうです。
#155
○田中(康)政府委員 具体的な問題につきましては法務当局に御質問をいただいほうがいいと思いますが、いま具体的な事案といたしまして、幕か何かがありまして、それで隠したというようなときには、毀棄にならないものと私は考えております。
#156
○井上(普)委員 隠れた場合、こういう場合が一番多いのです。移転させた場合にも毀棄罪にならぬでしょう。看板を移転させた場合、どうです。
#157
○田中(康)政府委員 移転をさせるのにもいろいろあると思います。移転をしてどこかに持っていって、全くその効用がなくなるという場合には、毀棄になる。しかし、そうでなくて、その効用が依然として果たされるようなところに置いておく場合には、毀棄までにはならないのではないかと思います。
#158
○井上(普)委員 そのとおりだと思うのです。そうなりますと、こういうケースが非常に多くなるのです。こういうケースが非常に多くなるからわれわれ聞いているのです。しかも、できてしまって、これがカバーで隠されたとしますか。隠されたまま、あるいはほかのところに移転されたまま建築がどんどん進んで、人間が入ってしまえば、それで終わりなんです。人間の住居に供した場合には、この改正案でもこれを歯どめすることができないでしょう。どうです。しかもその所有権が移っている場合……。
#159
○大津留政府委員 九条一項の是正命令に違反をいたしました所有者、占有者、管理者、建築主、工事人、これらは処罰の対象になります。また、違反建築物そのものは、だれの所有になっておりましょうとも、これは違反しておる部分の除却あるいは改築等の命令は出せます。したがいまして、必要によりましては、先ほど御論議の行政代執行によって必要な部分について除却するということが行なわれるわけでございます。
#160
○井上(普)委員 私は、木札が一体どれだけ効用があるかということについて疑問を持つのです。法制局もだいじょうぶだ、こう言いますけれども、これについてはそれが大きい歯どめの一つになっておる。それが公文書毀棄罪に適用される。それにカバーをかぶせた場合には公文書毀棄罪になるぞという説もあるのです。ここらがあいまいなんです。しかも大きい歯どめでしょう。そこでこういうことを聞いているのです。非常にこまかいように思われますが、そういうことではなしに、一つの方法といたしまして、私どもは、社会党が提議いたしました裁判所関与の方法をとったらどうか。すなわち、いまも労働委員会が命令を下した場合には直ちに裁判所がこれに対して仮執行を命ずることができるような方策を講じたならば、できるのじゃないか。それには、やはり建築審議会もしくは建築委員会というような行政委員会をつくらなければならないと思うのです。すなわち、あなた方から独立した行政委員会をつくることによって、裁判所の関与によることができると思うのです。
 そこで大臣にお伺いするのですが、独立の行政委員会としての建築委員会、これは名前はどうでもよろしゅうございますが、労働委員会的な、中央労働委員会あるいはまた地方の労働委員会のような性格を持たしたものをつくるならば、これは裁判所はすなおに入っていって、仮処分というのか、緊急命令を出すことができるし、また仮処分と同じゃり方でストップさせることができると思うのです。いままでの基準法というのがざる法といわれたが、これを防ぐためにはこれも一つの方法ではないかと思うのです。それには金が要ります。予算が要る。ただ予算が要るからというだけで代執行法を効果がないようにするよりは、むしろそういうものを行政機関として独立さしたほうが効力があると私は思うのですが、どうでございます。しかも、これはこの審議会の答申の中にも、もう少し銭を出すようにしろということを明確に書いてあるのですね。それで、一つの方法としては、行政委員会としての建築委員会、あるいはまた建設委員会でもよろしゅうございますが、独立した委員会をつくったならば、違反是正について適切なる処置がとれると思うのですが、どうでございます。
#161
○坪川国務大臣 建築違反に対するところの厳正な態度で強化するという基本線につきましては、私は全く同感でございます。したがいまして、これらに関連するいまの一つの行政機関としての委員会の持ち方ということも、私は傾聴すべき御意見として検討を十分加えたい。いろいろな問題点を、先ほどから井上委員も、また佐野委員も御提示になっております。これら貴重な御意見につきましては、やはり十分検討いたすべき当然の必要性を私も痛感いたしておりますので、これらの点につきましては、貴重な御意見として今後検討いたしまして法の執行に当たりたい、こう考えておる次第でございます。
#162
○井上(普)委員 いまは改正案を審議する最中で、来週の水曜日にでも採決に持ち込みたいという要求があるときに、検討ということでは困るのです。こういう新しい機関をつくることによって、とめることができると思うのです。スムーズにやれると思うのです。しかし、この改正案の中には、いまも盛り込まれておる歯どめが幾つかございますけれども、結局これは私は効力は十分に発揮することができぬと思います。同じように、いままでの建築基準法がざる法といわれたゆえんがそのまま存続すると、私は結論的に申さざるを得ないのです。それはいろいろと方法は講じておりますけれども、この改正案を読めば読むほど、この内容というものは空疎なもので、空洞化しておる。しかも、先ほど自民党さんのほうから御提示になりました行政代執行の特例ということも、あまり意味がなくなってくるということになります。これはもう歯どめというものはほとんどないにひとしいと言っても差しつかえないほどでございます。
 そこで、なぜ私はこういうことを申すかといいますと、建築審議会の答申においてももう少しこの方法を幾つか書かれておる。その中にも、第二項といたしまして、建築規制事務は知事、市長等の行政庁の事務であることを明確にせいということを明確にいっておるのです。先般来佐野委員から指摘されましたように、建築基準法というのは、特定行政庁は機関委任事務になっておる。建築審議会の答申では、固有事務として取り扱えということを書かれておるのです。それが一つの方法だということを審議会のほうでも答申されておる。それを何ゆえに――このたびの改正には、ここの役人の都合のいいことばかりちょぼちょぼつまみ食いして、あまり実効のあがらない改正案が出てきておるのです。一例をあげますならば、まことに不備なる改正案の一例として、今度理事会の中において論議されました結果、第一の違反表示板の設置についても、自民党の修正案要綱の中には「敷地の所有者、管理者又は占有者は、表示板の設置を拒み、又は妨げてはならない。」ということを入れなければならないということで、それを建設省当局は忘れておるのです。忘れておるのは、怠慢か何か知りませんけれども、とにかくこういうような内容で出されてきて、あわてて、われわれ真剣に討議をした中で、これが落ちているじゃないか、こんなことじゃ効果はあらわせないのじゃないかということで、これを入れることになったのです。まだまだこの改正案というものは、しろうとのわれわれの目についただけでもこういう欠陥が数多くあるのです。したがって、あなたは、今後行政委員会としての独立権限を持った建築審査会あるいはまた建築委員会というものをつくったらどうかということを真剣に御検討になるとおっしゃいましたが、いつまでにその結論を出されますか。これは今国会において成立しましたならばこの建築基準法というのは施行されますが、施行されても依然として違反建築はまた数多く続出すると私は思います。そのときに、スムーズにこの法律を国民になじませながらやっていく方法は一体何かというと、一つの方法としてはこの独立した行政委員会じゃないかと思うのです。大臣は検討されると言いますが、一体いつまでにそういうことは検討されるのです。
#163
○坪川国務大臣 先ほどから申し上げておりますがごとく、まことに適切な、しかも貴重な御意見として、私は、その実行といいますか、方針に、非常に賛同といいますか、当然の問題として真剣に取り組むべきであるという考えで検討をいたしたいということで、ただその場の言いのがれの立場で申し上げることでなくて、前向きの姿勢でこれを真剣に取り上げて、その方針を実行に移すよう最善の努力をいたしたい、こういうことで御理解いただきたいと思います。
#164
○井上(普)委員 この改正案につきましては数多くの問題点があるわけですが、その一つといたしまして、現在の違反建築物によって被害を受けておるのはだれか、こう言いますと、被害を受けておるのは、先日小川委員も指摘されましたように、宅建業者において建てた住宅がたくさんできております。そして図面を見せて、頭金を三分の二くらい出すと、あとは銀行ローンか何かで払っていくような方法にするから、ひとつ判こをついてくれということで判こをついた、しかし、できてくるものが何かといったら、これは違反建築だ。特定行政庁はこれを罰則で押えるということになると、しかも業者というものは夜のうちに逃げてしまう、こういうケースが非常に多いのです。そして、なけなしの金で一生に一度家を建てるというような勤労大衆が、これによって被害をこうむるということが非常に多いのです。契約を読んで判を押さなければいいじゃないか、こういうことを言ってしまえばそれまでですけれども、しかし、そういうのを規則する方法としてはどういう方法をお考えになっておられるか、ひとつお伺いしたいのです。
#165
○大津留政府委員 住宅その他の不動産の取引に関しまして不誠意な業者が多いということは、御指摘のとおりで、善良なる市民が非常に泣かされている。私どもとしても非常に公憤を感ずるわけでございます。これらにつきましては、御承知のとおり、宅建業法というものがございまして、それぞれ監督処分あるいは刑事処分の道がございます。したがいまして、そういう事実を発見いたしましたならば、残らずそれらの処分をするということが一番有効な方法だろう、こういうふうに考えます。
#166
○井上(普)委員 現在でも法律があるのでございますが、それでそういう悪質な宅建業者に対し一体何件やったのでありますか。四十二年ぐらいの実績はおわかりでございましょう。ひとつお示し願いたいと思います。
#167
○大津留政府委員 三十四年から四十三年までに監督処分を行ないました件数が、八千八百三十五件でございます。
#168
○井上(普)委員 監督処分の内容はどういうのでございますか。
#169
○大津留政府委員 免許の取り消しが七百三十九件、業務停止が四百五十一件、指導または指示を行ないましたのが七千四百五十五件、告発いたしましたのが百九十件でございます。
#170
○井上(普)委員 それがまる十年間の実績でございましょう。しかも違反建築物というのは、先日もお話がございましたが、大体年間にどれくらい、昭和四十三年にはどれくらいあったのですか、
#171
○大津留政府委員 四十二年度の調査でございますが、年間三万八千二百九十六件でございます。
#172
○井上(普)委員 委員一年間に大体三万件あるのですね。そのうちで、ただいまの数字から承りますと、業者の登録を取り消したものが一年間に七十件ですね。ために、一般大衆がなけなしの金を吸い上げられて困っておるというのはあとを断たない。あるいは盗人と真砂は尽くるところを知らずということかもしれませんけれども、善良なる第三者が被害を受ける、これを何とかして救済する方法を考えなければならぬと思うのです。この改正案につきましてはその点の配慮というものが非常に乏しいと思うのでございますが、どうでございますか。
#173
○大津留政府委員 御指摘の宅建業者、また建設業者あるいは建築士につきましては、それぞれ宅建業法、建設業法、建築士法というのがございまして、そこに、御指摘のような不誠実の行為がありました場合には、それぞれ監督処分できる規定がございます。したがいまして、それを適切に運用されますならば、特に基準法に書く必要がなかろうと実は考えたわけでございますが、しかし、御指摘のように、これをほんとうに徹底させるためには、違反建築をあえて建設した、あるいは取引したという業者に対しましては、漏れなく監督処分あるいは刑事処分ができるように、建築基準法におきましても他の法律との関連性を明確にしたほうがより適切であろうというふうに考えます。
#174
○井上(普)委員 これらの点につきましては私ども同感でございます。特に各党一致した修正案要綱が提示せられておるので、その背景というものもやはり委員会の議事録にはっきりさせておきませんと、これがどういうところから出てきたのか明確になりませんので、あえて私は御質問申し上げたものでございます。
 しかし、いままでの建設省当局のやり方というものが、これはある人に言わすと、業者の擁護のためにある建築基準法の改正である。この問参考人の方も言われました。有泉さんが言いましたよ。これは、いままでの建築基準法というものが非常にざる法であった、しかもこの執行体制が不十分であった、そうしてその執行を行なうにあたりまして、現場職員の意欲をそぐような行為が非常に多かった、こういうようなところに私はあったんだろうと思うのです。
 特にそこで問題になりますのは、建築主事と、それから監視員との関係です。建築主事というのは、いま二千三百人ですか、三千三百人ですか、いる。これは年一回試験をすることになっておりますけれども、非常に数が少ないんじゃございませんか。東京都の場合でございますと、建築主事が何人あって、監視員というのは東京都の場合どれくらい必要とあなたはお考えになるのか。そしてその監視員の制度をこの法律にうたうことによって、先般来佐野委員が言われておりますように、交付税の対象にもなる、こう思うのでございますが、どうでございますか。
#175
○大津留政府委員 建築行政に携わっております職員は、全国で約三千名おります。このうち、建築主事の資格を持って建築主事としての職務を行なっておりますのが七百名でございます。今回建築監視員という制度を設けまして、これが建築現場をパトロールいたしまして、違反を発見いたしましたならばその場で工事中止等の命令ができるということで、違反対策上非常に有効な効果をあげるだろうということを期待しておるわけでございますが、全国三千人の職員では現実になかなか人が足りません。したがいまして、私どもとしましては、建築監視員を中心として人員の増強をはかってまいりたい、三年計画ないし五年計画で少なくとも四千五百人程度にいたしたいというふうにもくろんでおるわけでございます。そういうことによりまして現場を見回る職員の数もふやすし、また、これらの取り締まり上有効な権限を付与するということによって効果をあげてまいりたい、こういう考えでおります。
#176
○井上(普)委員 建築監視員制度を新たに導入するについて、予算措置としてはどういう方法を講じますか。地方自治体においては御承知のように財政不如意、ことしはよかったとかいいますけれども、実際に個々の町村あるいはまた特定行政庁に当たってみますと、少しでも数を減らしたいというのが実態じゃございませんか。その原因はどこにあるかというと、予算配分が少ないというところに原因があると思います。それはどういうように措置されるおつもりでございますか。
#177
○大津留政府委員 御指摘のように、財政的な裏づけがございませんければ地方庁としても非常に困惑するわけでございます。それで、自治省とも相談いたしまして、これらの人員の拡充に要する経費につきましては地方交付税においてめんどおうを見るということについて確約を得ておるわけでございます。
#178
○井上(普)委員 ただいま本会議の予鈴も鳴りましたので、私はまだあとだいぶ質問事項も残っておりますが、質問を保留いたしまして、本日はこの程度にいたしたいと思います。
#179
○佐野(憲)委員 関連。実は井上委員の質疑によりましても、いろいろな資料がなくては審議できない重大な問題を痛感しておるのです。そこで、私が先般要求いたしました資料は一体どうなっておるかということです。
 一つは、ドイツにおける執行罰に関する現行法規の全訳を要求しておいたわけです。
 第二は、ドイツ行政法の三大学者であるといわれるオットーマイヤー、フライヤー並びにフオルンユトホク、この三学者の執行罰に対する見解は一体どうなっておるか。何もドイツのまねをしなくてもいいじゃないかという御意見もありますけれども、やはり日本の行政体系というのはドイツ法の影響を非常に受けておる。と同時に、新しい制度を取り入れるかどうかという場合には、やはり比較法の立場で検討しなければならぬと思います。有名なチーテルマンのことばに、法比較は解決への宝庫なりということばがあるが、行政罰がはたしてどうだろうかという場合には、現行ドイツ法でも執行罰をやっておるわけですから、これの全訳がどうしても必要だと思います。部分訳ならあるわけです。全訳がほしい。それから三人の学者はどういう意味において執行罰の実効性を学説的にただしておるか。これは日本の行政体系の中に入り込める問題だと思うのです。私たちは修正案として委員会で審議するためにこういうものがどうしても必要になってくる。それから、他山の石もって玉をみがくべしというふうな、比較法研究所の所長の杉山直治郎のことばもあるわけです。そういう意味で私どもは非常に重大な問題だと思うのです。執行罰が実効性があるかどうか、あるいは不利益なのかどうかという単なる抽象的な論議でなくて、実際にどういうふうにドイツにおいて執行されておるかどうか。
 もう一つは、英米法の中においても最近採用されておりますが、アメリカの最近における執行罰がどのような法律の中に生かされてきておるか。この資料を、ぜひとも審議していくためにほしい。
 それを要求したのに対して、委員長は善処すると言った。建設省は一体それに対する準備ができておるのかどうか。次に私質疑にあたりますためにもぜひ必要があるので、いつごろこの資料が出てまいるかという点をこの機会に伺いたい。次の委員会で、実はというのじゃ、これは審議にならないから、そのために、前もって要求したことに対する準備はできているかどうか、聞いているわけです。
#180
○大津留政府委員 いろいろお出しできるように調べましたが、第一の、ドイツにおける執行罰の法規の全訳、これは来週の初めごろには出せると思います。それからドイツの行政学者の三人の学説、見解でございますが、これも本から抜粋してまとめ得ると思います。
 アメリカにおける執行罰制度は、残念ながら、資料が見当たりませんので、これはいつというお約束はちょっといたしかねます。
 それから行政執行法の廃止の経過これはお出しできると思います。
 それからドイツにおける電気、ガス、水道の供給停止に関する違憲判決というのは、ちょっと材料がまだ見当たりませんので、いつというお約束はできません。
#181
○佐野(憲)委員 最高裁の事務局にありますよ。
#182
○大津留政府委員 それから西村前建設大臣時代の、告発、代執行の運営に関する次官通達、これは出せます。
#183
○佐野(憲)委員 わかりました。
#184
○始関委員長 次回は、来たる七月二日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後一時五十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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