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#1
第061回国会 逓信委員会 第9号
昭和四十四年三月十八日(火曜日)
   午前十時七分開議
 出席委員
   委員長 井原 岸高君
   理事 小渕 恵三君 理事 加藤常太郎君
   理事 加藤 六月君 理事 亀岡 高夫君
   理事 志賀健次郎君 理事 中井徳次郎君
   理事 森本  靖君 理事 小沢 貞孝君
      齋藤 憲三君    高橋清一郎君
      内藤  隆君    福永 健司君
      古川 丈吉君    水野  清君
    早稻田柳右エ門君    小川新一郎君
      田代 文久君
 出席国務大臣
        郵 政 大 臣 河本 敏夫君
 出席政府委員
        郵政大臣官房長 溝呂木 繁君
        郵政省電波監理
        局長      石川 忠夫君
 委員外の出席者
        参  考  人
        (日本放送協会
        会長)     前田 義徳君
        参  考  人
        (日本放送協会
        副会長)    小野 吉郎君
        参  考  人
        (日本放送協会
        専務理事)   野村 達治君
        参  考  人
        (日本放送協会
        専務理事)   竹中 重敏君
        参  考  人
        (日本放送協会
        専務理事)   川上 行蔵君
        参  考  人
        (日本放送協会
        専務理事)   志賀 正信君
        参  考  人
        (日本放送協会
        専務理事)   長沢 泰治君
        参  考  人
        (日本放送協会
        専務理事)   佐野 弘吉君
        参  考  人
        (日本放送協会
        経営企画室経営
        主幹)     野村 忠夫君
        専  門  員 水田  誠君
三月十八日
 委員中野明君辞任につき、その補欠として小川
 新一郎君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認
 を求めるの件(内閣提出、承認第一号)
     ――――◇―――――
#2
○井原委員長 これより会議を開きます。
 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、前回に引き続き質疑を続行いたします。中井徳次郎君。
#3
○中井委員 NHKの予算につきまして、前回私は簡単に二、三の質問をいたしたのでありますが、その中で一点だけ、NHKの前田会長ではそういう立場にもないし、それほどの力もないし、また、すべきでないというまことに謙虚な御答弁があった点がございますので、これは郵政大臣にお尋ねをするということでペンディングにいたしております問題が一つございました。
 非常に簡単なことでありますが、きょう結論的には何も御返事をいただこうとは思っておりませんが、実は前の小林大臣以来、UHFテレビ、それからFM、それからまたカラーテレビと、NHKを中心にしまして各放送局で盛んにやられる。ところが、肝心のカラーテレビを一日八時間出すというようなことがありましても、たいへん高くて、普及率は必ずしも――まあ、NHKでは予定どおりでございましょうけれども、八時間も出しておられるならば、もっとふえなければ意味がない。われわれは、白黒で見ておりまして、カラーになりますと少しぼんやりする。逆効果みたいなことになる。それからまた、UHFなど普及しますと、オールウェーブというか、その受像機が要る。ところがこれは、その方面の関係は全く通産省の所管になっていまして、それで、メーカーが各自計画は立てておるけれども、それはかってな推測をしていたというふうなことで、どうもちぐはぐの感がある。これは、郵政大臣も頭脳明晰な方でありまするから、よくその辺のところはお気がついていらっしゃると思うのです。
 そこでこの際、私は、やはり政府が音頭をとってその辺の調節をすべきでないか。アメリカあたりでは、そういうことをやってもなかなかむずかしいというような話も聞きますが、むずかしくてもよろしいから、何もまとまる必要はないのだが、いまのままではいけない。私としましては、まず第一に、カラーテレビの料金をもっと下げるように努力してもらいたい。それはそれで量産でもってカバーすればいいわけですから。それからオールウェーブのといいますか、受像機ですね、UHFのコンバーターなんかつけなくてもいいものをもっと積極的に出していただきたいというふうなことについて、さっそく郵政大臣が提唱されて、そうしてそういう会議をひとつお持ちになる。それは臨時でございましょう。計画ができればいいのですから、そういうことを、ぜひ私は国会議員の一人として強く政府に要望したいと思うのです。その辺についての郵政大臣のお考えを聞かしていただきたい。きょう、どういう構想だというところまではわからぬと思いますが、よく御研究なさるならば、近い機会にこういうことでやりたい、あるいは、ひとつ声明でも出されて業界をリードしてもらいたい。それはもちろん通産大臣大平君ともよく相談してもらいたいと思いますが、実は非常に重要なことではないかと思う。国政のロスをなくするという意味、それからやはり物価の問題とも関係してきます。ここでひとつ物価の値上げの歯止めをする一つの有力な根拠にすべきであるというふうに、実は私は考えております。見解を伺っておきたい。
#4
○河本国務大臣 お話の御趣旨には全く賛成でございます。
 特にカラーテレビの価格の問題につきましては、これは最近生産も激増しておることでございまするし、メーカーのあげておる利潤その他から勘案しまして、私は当然下げられる余地はあると考えます。それから同時に、オールチャンネルの受像機の価格につきましても、これも、ここ数カ月の生産を見ておりますと、たいへんな勢いでふえております。ですから、これだけ飛躍的に数がふえ、量産をするということになりますと、これも当然大幅に下がってしかるべきであろう、こういうふうに考えます。コンバーターにいたしましてもしかりでございます、これもわずか数カ月の間に数倍にふえておるわけですから。
 いずれにいたしましても、お話のような品々の大幅な価格の値下げにつきましては、私は可能であろうと考えますので、通産大臣ともよく打ち合わせいたしまして、御趣旨に沿って善処したいと思います。
#5
○中井委員 御趣旨はわかりましたが、ぜひこれはそういう会合を持ってもらいたい。それから実際に入りますと、通産省との間に、基本的な問題で、自由主義の今日でありますから必ず問題が出ると思いますが、それはやはり皆さんの政治力でそんなことは押し切ってもらいたいと私は思うのです。いまの御答弁では、善処するということであるが、最も近い機会にひとつ会合を持たれてやってもらいたい。これに対するお考えを重ねて聞いておきたい。
#6
○河本国務大臣 善処するという意味は、やり方につきましてこれからよく相談をする、こういう意味でございます。
#7
○中井委員 重ねて言いますが、相談も何もない。ひとつやってください。私は野党だからこれは残念ながらやれないから――皆さん、少しおとなし過ぎるというふうに私は思うのです。何もそんなことで遠慮をすることはありませんから、大いに積極的にやってもらうことを期待いたします。来年になりましてもまだそういうことができておらぬということになれば、はっきり言いますと、私どもおこりたい、そういう心境でありまするから、これはひとつぜひお願いをしたいと思います。
 以上で終わります。
#8
○井原委員長 これにて本件に対する質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#9
○井原委員長 これより討論に入ります。
 討論の通告がありますので、順次これを許します。小渕恵三君。
#10
○小渕委員 ただいま議題となりましたNHKの昭和四十四年度収支予算等につき、私は、自由民主党を代表して、これを承認するに賛成の意を表するものであります。
 この昭和四十四年度の収支予算等は、NHKの第三次長期構想の第二年度分に相当するものでありまして、当年度の事業計画は、そのおもなものとしては、ラジオ・テレビ両放送網の建設、カラー番組の強化を含む放送番組の拡充、教育番組の利用をはじめとする番組利用の促進、受信契約者の開発維持、調査研究の充実、経営管理の効率化等の施策を積極的に推進するほか、新たに秋田のラジオ大電力局や東京、大阪のUHFテレビ局等の建設に着手することなどとなっております。かように、当年度の事業計画は、従来からの事業の基本路線に新規の諸施策を織り込んだものでありまして、これはNHKの使命や放送の新情勢に照らしておおむね適当な計画と認められます。また、この計画の裏づけとなる収支予算も、事業、資本両収支を合わせて一千五十二億円、前年度に比し約三%の増となっており、まずまず手がたい規模の予算であると思われます。わが党はこうした判断によって、このNHKの収支予算等については、これを承認することに賛成いたす次第であります。
 本件については、別途、附帯決議案の用意もありますので、おもな要望はこれに譲り、ここでは本収支予算等の執行にあたり、NHK当局が附帯決議の趣旨はもとより、本案審査の動向等をも参酌して、その適正を期し、よく国民の負託にこたえられるよう希望を申し添えて、私の賛成討論を終わることといたします。
#11
○井原委員長 森本靖君。
#12
○森本委員 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となっております放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件につき、これに承認を与えるに賛成の意を表するものでございます。
 この議案の内容をなす昭和四十四年度のNHK収支予算等は、放送事業の変革期に処するNHKの施策を示すものとして注目をせられるところでありますが、わが党はこの点に着目をし、先般来の委員会において収支予算や事業計画の内容はもちろん、その背景にわたっても詳細な質疑を行なったわけでございますが、その質疑を通じて、わが党としては、この収支予算等は、NHKの使命や放送界におけるNHKの役割等に照らしておおむね妥当と判断し、その適正な執行を条件としてこれに賛成するものでございます。
 この際、政府並びにNHK当局に対し、若干の希望を申し述べておきたいと思います。
 まず第一は、放送の公平と不偏不党性の問題でございます。
 ややもすると、一九七〇年の安保問題を控えて、政府権力があらゆるマスコミ界に陰に陽に介入しようとしている際、NHKこそ、放送法の精神にのっとり業務の円滑なる推進をはかることであり、政府もまたこれに関与することがあっては絶対なりません。
 次は、助成金等の支出についてでございます。
 提出資料にありますとおり、NHKは現在、日本放送協会学園のほか、数団体にかなり多額の助成金等を支出いたしておりますが、質疑において指摘せられましたように、これらの助成金の中には、せっかくの支出が必ずしも有効に使われていないかに見られる節があり、はなはだ遺憾に思われるところでございます。NHKとしては、今後かかる種類の支出を行なうにあたっては、NHKの収支が受信者の負担にかかるものであることを顧み、慎重、かつ厳格に処理をしてもらいたいと思うものでございます。
 第三は、テレビ政見放送の実施についてでございます。
 今日、選挙とテレビとは不可分の関係にあり、テレビによる政見放送の実施はいまや国民的願望ともなっているのでございまして、早急にその実施をはかるべきであろうと存じます。政府においては、県域テレビの完全置局をまつまでもなく、未設置県については、NHK、民放それぞれに担当地域を割り当てるなどの措置を講じ、その実現をはかっていただきたいのでございます。
 次に、増収の処理に関してでございます。
 来年度の事業計画を見ますると、幸いにして受信契約者数の伸びは昨年の見込みをやや上回る状態であり、将来に向かっても増大の期待が持てると思われるので、NHKにおいては、受信料収入が経常費をまかなってなお余裕のある場合には受信者の負担隆域をはかることば当然でございます。
 なお、従事する職員の待遇についても、他の類似産業等に見劣りのしないよう、NHK当局は十分配慮すべきでございます。
 以上、若干の希望を述べて、私の賛成討論を終わります。
#13
○井原委員長 小沢貞孝君。
#14
○小沢(貞)委員 私は、民社党を代表して討論をいたしたいと思います。
 党の態度については、このNHKの収支予算、事業計画、資金計画、これについて、前田会長以下、放送協会の幹部の方、あるいは先般大臣に質問をいたしましたが、問題点が二つ三つあろうと思います。
 一つは、国民の国内問題上の一番大きな物価政策の中におけるNHKの受信料の位置づけ、こういった観点からの問題であります。
 御承知のように、いま国鉄料金値上げ等をめぐって国内世論はたいへん沸騰をしております。そういうのは、政府の主導によって物価が上がるんだ、こういう印象を国民が受けていることは当然であります。NHKの料金もまた公共料金の一つであります。NHKの存在もまた国民とともにあるべきであります。したがって、NHKとしては、今日置かれたところの国民のこの立場を理解をして、最善を尽くして受信料を下げることに努力をしていただかなければならないのではないか、こういうふうに考えます。特に、大臣の新聞談話等にもありますように、大臣の所管する郵便貯金は、普通ならば三%、多くて五%、こういう利子であります。それを、物価は政府の計画においてさえ五%、現実にはそれをこえるんではないか、こういうことが見通される今年の経済状況にあるわけです。こういうときにあっては、不可能を可能にするような努力をもって公共料金の引き下げに政府は力をいたさなければならない、こういうように考えるわけであります。
 そういう観点からことしの収支予算、事業計画、資金計画等を見るならば、私は、次のような三つ、四つの観点から、できるならばやはり料金を引き下げて収支予算を出すべきだ、こういう観点に立っておるわけです。
 一つは何かというと、カラーの受信者の伸びであります。昨年も予定をこえました。おそらくことし百十万がさらにこえるであろう、料金の高いカラーの受信者は計画を上回って伸びるであろう、そういう点が第一点であります。
 第二点は、四十二年からの繰り越しもありました。四十三年度決算においては予算よりもさらに繰り越し金が多いであろう、こういうことは三月現在において想定されるわけであります。したがって、ことしの予算というものは、四十三年からの繰り越し金を含めて余裕ができるのではなかろうか、これが第二点であります。
 第三点は、私はかねがね申し上げておりますが、いかなる公共的な企業においても、将来の受益者から建設費というものはまかなうべきだ、こういう基本的な観点に立っております。しかるに、現在の受信者から将来受益するための建設費が出されるということについては、私はこれはたいへん不満であるわけであります。
 次に第四点としては、一般の税金と違って、受信料というものは、何千万という所得者もあるいは生活保護に近いような人も一律に料金を取られる、こういうところに私は大きな意義があろうと思いますので、できるならば、わずかな額でもよいから国民に引き下げの効果を与える、こういうことが必要ではないか、こういうように考えまして、いろいろ検討したところが、ことしの予算の中から、カラーテレビは四百六十五円を四百四十円くらいに、白黒三百十五円が三百円くらいに、こういうように引き下げ得るであろう、数字的にも事業計画を変更することなくそれが可能である、その収入減は約四十億円で、五%弱であろうと思います。これは十分まかなえるだろう、私はこういう見通しをつけたわけであります。
 さて、しからば、それについて国会は放送法に基づいてこの予算の修正権がありやいなや、こういう問題になると、たいへん問題を含んでおるように私は感じます。衆議院法制局はできそうでもあり、できるということになっても、国会そのものがそういう事務的機能というものがあるかいなか、こういう問題になると不可能に近い、こういう問題になってくるわけであります。したがって、そういう立場からこの予算案を検討すると、否決をしてしまって、国会の意思に基づいてNHKが再提出をする、こういう過程を経なければならないようにも感ぜられるわけであります。そういう場合になってくると、すでに三月半ばも過ぎまして、四月一日からのNHKの事業の運営に大きな支障を来たすというような点を考慮いたしまして、私が日ごろ考えておりますところの、カラーの受信者が伸びたならば料金を引き下げる、こういうことが附帯決議に織り込まれたという点と、NHKばかりでなく、一般民放も農村や僻地に行けば難視聴地帯がたくさんあるわけでありますが、そういうことに対して政府が特段の力をいたす、こういうような問題について特に附帯決議に盛り込むことができましたので、この際は次の二点を要望いたします。
 一つは、ことしのカラーの受信者が伸びたならば、来年度は、ぜひとも五%程度受信料を引き下げるように強く要望する、それが第一点。第二点といたしましては、先ほど来いろいろの角度から討論がありますが、一九七〇年の前年であります。国民の放送としてのNHKは、国家的な目標、国民的な合意、こういうものを求めて会長以下が努力をされる、この二点を強く要望をいたしまして、民社党を代表して私は賛成をいたしたい、こういうように考えます。
 以上をもちまして、討論を終わります。
#15
○井原委員長 小川新一郎君。
#16
○小川(新)委員 日本放送協会昭和四十四年度収支予算並びに事業計画の概要につきまして、公明党を代表いたしまして、強い希望意見を付して賛成の討論をいたします。
 昨年、テレビのカラー料金と白黒料金の改定にあたりましての審議のおりにも強く要望しておきましたごとく、カラーテレビが長期構想を上回った場合には聴視料金等の減免についても検討を加える旨、附帯決議をつけました。今年もまた、諸般の情勢に照らして、カラーテレビの増加率が予想を上回ることは確実であります。したがって、四十五年度においては二年続いて構想を上回ることになり、当然、料金の減額等を検討すべきであると思うのであります。
 また、審議の過程で明らかにされたごとく、資産の減価償却率の検討、固定資産の売却代金の適正化、経営の合理化に一そう力を注ぎ、聴視者に利益還元の措置を講ぜられるよう一段の努力を要望するものであります。
 第三に、難視聴地域の解消はNHKに課せられた最大の使命であることを再認識し、さらに強力な難視聴の解消に尽力していただきたい点であります。
 第四は、大学紛争による大学問題の再検討が叫ばれているおりから、現在行なっている教育放送番組をさらに充実強化につとめ、国民のための放送という観点から国民の教育に貢献するよう格段の努力を要望するものであります。
 さらに、VHFからUHFへの切りかえという電波行政の大転換期を迎えておりますが、合理的かつ慎重な計画のもと、業務の遂行に当たっていただきたい。
 以上の諸点を強く要望するとともに、放送法の精神にのっとり厳正中立、不偏不党の態度をどこまでも堅持されることを強調して、四十四年度予算案並びに事業計画の概要の賛成討論を終わります。
#17
○井原委員長 田代文久君。
#18
○田代委員 私は、日本共産党を代表して、NHK昭和四十四年度予算案に対し、不承認の態度を表明いたします。
 第一に、建設費五十五億一千万円に含まれておる東京、大阪UHFテレビ局の建設の問題であります。
 これは従来の難視聴地域に対するUHFの利用とは異なって、圧倒的多数の視聴者が集中している東京、大阪から着手し、やがて全国的にUHFへの切りかえを開始するものであります。NHK自体としては、現在、VHFを主体として全国九六%以上の地域をカバーしている実情から見て、テレビ放送の波を全面的にUHFに切りかえる理由は何もありません。私の質問に対する前田会長の答弁によれば、このUHFへの全国的切りかえは、国策に沿うためとのことであります。しかし、この国策なるものの内容は明らかにされなかったのであります。
 一体、その国策とは何でありましょうか。一つには、UHFテレビ受像機及びこの放送施設を製造する独占メーカーに市場を提供して、巨額な利潤を与えるためであり、また一つには、VHF帯利用の一過迫を理由にテレビをUHF帯に移し、いままでテレビが使用していたVHF帯を警察などの移動無線に利用するためであります。このことは、現在VHF帯が主として自衛隊、警察などに使用されておる事実や、小林前郵政大臣が警察などに利用すると明言した事実でも明らかであり、多くの専門家もこの点を重視しているのであります。一方、二千万をこえる広範な聴視者は、一万円以上もするコンバーターの設置とか、新たにオールチャンネルテレビを買いかえるとか、巨額の出費をしいられるのであります。しかも、UHF放送のためのばく大な建設資金は、現在の聴視者の契約料の値上げによってまかなわれるのであります。私は、山村などの難視聴地域におけるUHF電波による放送を否定するものではありません。しかし、このようにテレビ放送を全面的にUHFに切りかえることには、強く反対いたします。
 NHKがかかる自民党佐藤内閣の反動的電波行政に対し、国策の名によって、テレビ放送を全面的にUHFに切りかえることは、自主、不偏不党をたてまえとした放送法の精神からしても、また、NHKが一般聴視者の契約料によって運営されているその性格からいっても、断じて許せないところであります。
 第二に、設備の近代化、合理化と称して、大多数を占める白黒テレビの聴視者の負担においてカラーテレビ放送施設にばく大な設備投資を行なう反面、充実を要する国内放送の経費の割合を低下させていることであります。すなわち、事業支出に対する国内放送費の割合は、昭和四十年度三三%、四十一年度以降三一%となり、本年度予算案では二九%に低下しておるのであります。これは諸外国の例から見てもきわめて低いといわねばなりません。
 第三に、減価償却費百二十七億九千万円は、全予算の一三%に及び、これがそのまま建設資金につぎ込まれるのであります。前田会長は、減価償却率は法人税法に基づいて行なっておると答弁いたしておりますが、この法人税法の減価償却率は、民間の営利法人組織の資本蓄積を助けるためのものであって、NHKのごとく、国民の契約料によって運営されておる組織にあっては、本来当てはまらないものであります。真に減価償却は、技術、設備の利用状況など、事実に即して民主的に行なうならば、はるかに少なくなることは明らかであり、これにより契約料を引き下げ、難視聴地域の料金を減免することも可能であります。
 第四に、NHKは、その研究設備を利用して幾多の新技術、特許を開発し、これを独占メーカーに引き渡し、独占の利益に奉仕しております。NHKが営利企業でないことは当然でありますが、独占メーカーだけに利益を与えることは適当ではありません。
 わが党は、現在の段階でVHFテレビを全面的にUHFテレビに移行することに反対し、NHKの経営を民主化して、契約料を引き下げ、米軍、自衛隊の基地、高層ビルなどによって生じた難視聴地域住民の契約料を大幅に減免することを要求いたします。また、合理化による労働者の強制的職場配転、労働強化に反対し、賃金を引き上げ、専属芸能人の待遇を改善することを要求いたします。同時に、番組編成が真に広範な国民のために行なわれるよう強く主張するものであります。
 特に放送内容について指摘しなければならないことは、いま重大化している大学問題についての放送についてであります。
 わが党のたび重なる申し入れにもかかわらず、NHKは、学生組織の正確な呼称を用いず、学生運動を一方的に日共系とか反日共系などと放送し、視聴者に誤った印象を与えようとしています。これは、私がすでに質問でも明らかにしているように、事実に反しており、放送法の精神にもとるものであって、政府・自民党の反共宣伝に協力する役割りを果たす結果となっておることであります。この際私は、学生組織の名称を正しく報道するよう重ねて要求いたします。
 以上のように、本予算案は、自民党佐藤内閣の反動的政策に協力する重要な問題が含まれており、わが党は承認することができません。
 これをもって、私の討論を終わります。
#19
○井原委員長 これにて討論は終局いたしました。
 これより採決に入ります。
 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件について採決いたします。
 本件を承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#20
○井原委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
#21
○井原委員長 この際、加藤六月君外三名より、本件に附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 趣旨説明を求めます。加藤六月君。
#22
○加藤(六)委員 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。
 まず案文を朗読いたします。
    放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対する附帯決議(案)
  政府並びに日本放送協会は、次の各項の実施につとむべきである。
 一、テレビジョン放送のUHF帯移行を円滑に推進すること。
 一、一般放送事業者の放送を含め難視聴の救済、とくに都市におけるテレビ難視聴問題の解決をはかること。
 一、音声放送の再編成を計画的に遂行すること。
 一、放送法の精神にのっとり、放送による表現の自由と放送の不偏不党を確保すること。
 一、協会は、経営の近代化をはかり、職員の待遇改善に資すること。
 一、協会は、受信者の増加等により計画を上回る増収があった場合においては、放送内容の充実など受信者への利益還元の措置を講ずるとともに、将来の受信料の減額についても検討すること。
  右決議する。
この決議案は、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党の四党共同提案にかかるものであり、また、この案文は先般来の審査の経過を参酌して起草いたしたものでありますから、あらためて御説明するまでもないと存じますが、簡単にその要旨を申し上げます。
 第一は、テレビジョン放送のUHF帯移行に関しての要望であります。
 昨秋明らかにされたテレビ放送のUHF帯移行案は実現の方向に向かっており、このNHKの事業計画においても東京、大阪にUHFの大電力テレビ局を建設する計画があげられておりますが、御案内のとおり、このテレビジョンの周波数帯変更は、放送事業者はもとより、多数の受信者に対してもかなりの負担をかけるものでありますから、その実施については慎重を期し、円滑にその移行をはかっていくよう、政府の配慮とNHKの協力を望んでおこうというのであります。
 第二は、難視聴、特に都市におけるテレビ難視聴の救済に関する要望であります。
 難視聴問題は、放送の宿命的課題といえるほど多年の懸案であり、政府、NHKともにその解決に努力してきたところでありますが、特に近年においては僻地の難視聴のほか、都市のテレビ難視聴がきわめて深刻化してきており、早急にその救済をはかる必要があります。ついては政府においては、要すれば立法措置等をも含めたその根本的な解決策を急ぎ確立されたいのであり、また、NHKにおいては、民放等とも相はかって、この政府の方針に沿って救済の実現に当たられたいというのであります。
 第三は、音声放送の再編成についての要望でございます。
 政府は、さきのFMチャンネルプランの決定にあたり、昭和五十一年度完了を目途として、中波、FM放送を総合した音声放送の再編成を行なう方針を明らかにしたのでありますが、この再編成計画は、現在の放送秩序、特に民放の体制をかなり大きく変えるものであるばかりでなく、受信者の側においても、FM受信機の普及が現在一千万台前後であることなどから見て、相当の影響をこうむることになると見られますので、これらの事情を勘案しながら計画的にこれを遂行せねばならないと存ずるのでありまして、かかる点を政府並びにNHKに要望しておこうというのであります。
 第四は、放送法の目的にうたわれた放送による表現の自由の保障と放送の不偏不党の確保に関する要望であります。
 当委員会においては、前年度予算に対する附帯決議でも同趣旨の要望を行なったのでありますが、最近における政治、社会情勢の動向に顧みて、公正な世論の形成が一そう必要となってきたと思われますので、この際、さらにあらためて放送法の本旨の再確認を政府並びにNHKに望んでおこうというのであります。
 第五は、職員の待遇に関してでありまして、NHKの経営の現状等より見て今後における職員の待遇改善は、経営近代化の果実をもって行なわるべきであり、NHKにおいてはEDPSの多角的な活用など、経営の近代化を一そう徹底し、待遇改善に資するようされたいというのであります。
 第六は、受信者の増加等によって計画を上回る増収があった場合の処置についての要望でありまして、かかる場合においては、NHKは放送内容の充実などによって受信者への利益還元の措置を講ずるとともに、カラー、普通両契約を通じて、将来の受信料の減額についても検討すべきであるという趣旨であります。
 以上、簡単ながら附帯決議案の提案趣旨を御説明いたしましたが、何とぞ全会一致御賛成くださいますようお願い申し上げます。
#23
○井原委員長 これにて趣旨説明は終わりました。
 採決いたします。
 加藤六月君外三名提出の動議のとおり、本件に附帯決議を付するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#24
○井原委員長 起立多数。よって、附帯決議を付するに決しました。
 なお、ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#25
○井原委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
#26
○井原委員長 この際、河本郵政大臣及び前田日本放送協会会長から発言を求められておりますので、これを許します。河本郵政大臣。
#27
○河本国務大臣 本件に関しましては、慎重なる御審議の上、ただいま御承認をいただきましたことを厚く御礼を申し上げます。
 ただいまの附帯決議につきましては、政府といたしましても、今後の放送行政にあたりまして、その御趣旨を十分尊重してまいりたいと存じます。
#28
○井原委員長 前田日本放送協会会長。
#29
○前田参考人 連日、きわめて御熱心かつ慎重な御審議の結果、日本放送協会四十四年度予算、事業計画並びに資金計画について御承認をいただきましたことについて、厚く御礼を申し上げます。
 特に、ただいま議決されました附帯決議六項目については、私たちといたしましても、これを今後の経営の指針といたし、全力を投じて御期待に沿いたいと考えます。
 また、御審議及び討論を通じて、きわめて多角的かつ重要な御意見の発表がございましたが、われわれは、これらの点についても、日常経営の中にわれわれの施策の背景として十分考慮してまいりたいと思います。
 まことにありがとうございました。
#30
○井原委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
    午前十時四十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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