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1949/03/31 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 労働委員会 第3号
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1949/03/31 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 労働委員会 第3号

#1
第005回国会 労働委員会 第3号
昭和二十四年三月三十一日(木曜日)
   午後二時二十四分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○一般労働問題に関する調査
  ―――――――――――――
#2
○委員長(山田節男君) 只今から労働委員会を開催いたします。
 過日の労働委員会で今回労働委員会から視察いたしました調査報告に基きまして、政府委員に質問をいたしたのでありますが、その際労働者災害補償保險の事業の概況、それから失業保險の事業の概況、これが残つておりましたので、本日政府委員が見えておりますので、先ず労働者災害補償保險事業の概況について寺本労働基準監督局長から御説明願うことにいたします。
#3
○政府委員(寺本広作君) 労働者災害補償保險は御承知の通り曾て健康保險、年金保險並びに労働者災害扶助責任保險などに分散しておりましたものを統一いたしまして、基準法で保障されました労働者の災害補償を受ける権利を完全に代行する保險として、基準法の裏付としての二十二年の九月から発足いたしておる保險でございます。從來健康保險、年金保險などでやつておりました当時に比べまして、補償の金額が相当増額されたということ、並びに補償の内容が充実してきたということ並びに補償が適確迅速に行われるという点におきまして、労資双方から比較的喜ばれておりまする保險であると考えております。從つて他の社会保險に比べまして、適用事業の数なども著しく殖えております。現在では適用事業も十九万を超えておる状況でございます。保險料收入の徴收成績も、事業主が保險に入つていなければ基準法による補償も負担しなければならないという裏付がございますので、非常によく納まつておりますので、現在では本年度の給與水準の増加に伴いまして保險料の徴收総額も相当増加しております。約八三%以上も徴收が済んでおるというような状況でございます。保險の支出状況はほかの社会保險に比べまして利用率が非常に高いのでありまして、月々約六万件以上の件数に対して二億円以上の補償をいたしております。ただ社会保險と違いまして、利用度が非常に高く、從つて積立金その他として残るものは殆んどないという状況でございます。二十三年度中に補償されまする保險の金額は、約二十四億と推定されておるのでございます。現在におきまして、約十七億の支拂を済ましておるのでございます。事業の支出が非常に金額が只今申上げます通り、月々多額に上つておりますので、將來における保險経済に聊か不安があるのでありまするが、この点は賃金ベースが上りますのに從つて、保險金の納入の基礎になります概算報告の督励をいたしておりまして、時々保險料の完納運動をやつて、大体現在までは十分賄つて來ておるような状況であります。來年度予算では、総額約五十八億を見込んで、この保險の收支に遺憾なきを期したい。こういうように考えております。保險では、單に保險料を徴收して労働者が業務上の病院をいたしました場合の療養をするとか、休業補償を拂うとか、それから將來不具になります場合の傷害補償をやるとか、死んだ場合の遺族補償をやるというような、金錢給付乃至は実物給付をいたしておりますばかりでありませず、不具廢疾になりましたものに、義眼とか、義肢とか、義足の給付をするというような保險施設を初め、各種の保險施設をいたしております。その主なるものを申上げますと、廢疾扶養として、傷害等級の六級以上のものに対して廢疾扶養として温泉保養をやらせるとか、それから全國の著名な病院に委託しまして、委託療養をやらせるとか、それから災害病院を九州と東京に作りまして、特殊の外科措置をやらせるというようなこと、それから職業再教育の施設として不具廢疾になりましたものに職場に帰るための再教育をして、現在女子のこういう廢疾傷疾者に対して東京の烏山で職業の再教育をやつております。その他医藥品の配付であるとか、それから災害予防の前の安全衞生に対する協力というような施設をいたしております。又昨年は金属鉱山に見られますところの珪肺の予防についても、療養所を作り、療養対策を始めるということで事業に著手いたしております。まだ現在でも十分動いてはおりませんけれども、昨年度からこの仕事を初めるということになつております。以上のような保險施設と保險給付を以てこの事業が非常に活溌に動いておりまするので、一般の労働者並に使用者から非常な関心を以てこの保險が迎えられておるだけでなく、他の社会保險に対しても相当いい刺戟を與えておるのではなかろうかと考えておる次第でございます。以上が極めて大雜把でありまするが、労災保險の現状に関する概畧でございます。
#4
○委員長(山田節男君) 只今の寺本政府委員からの説明に対して御質疑ございませんですか。
#5
○村尾重雄君 温泉保養のところで六級と言われましたが、このプリントでは八級となつておりますか……。
#6
○政府委員(寺本広作君) 間違いました。八級でございます。
#7
○委員長(山田節男君) 事業の收支状況を見ると、二億円千二百八十万ですか黒字になつておるようですが、相当各府縣に対して赤字を予想されて、労災保險料を非常に徴收された結果ですか。
#8
○政府委員(寺本広作君) 徴收の成績の惡いところでは一部支拂いを、一、二ケ月やつて貰うというような実情もありますので、現在数字になつておるほどの黒字ではございません。
#9
○水橋藤作君 この割当と申しますか、仮に岡山なら岡山、廣島なら廣島に幾ら徴收しろといつたような天下り式なああいう指令みたいなのが來ておるということを聞きますが、そういう方法で徴收しておるのですか、どういうのですか。保險料を徴收する場合ですが。
#10
○政府委員(寺本広作君) 保險料を徴收いたします場合には、大体保險料は各企業で拂います一ケ年間の賃金総額を予想して決めるのでありまして、監督官が監督に行きまして一般事業の賃金総額の見当をつけまして、その賃金総額に比例して保險料率が各事業別に決まつておりますので、それに割当てまして目標額を作りまして、その目標額で各府縣で大体やらせております。
#11
○田村文吉君 滯納の問題でありますが、賃金の支拂がないために滯納になるのでございますか。
#12
○政府委員(寺本広作君) この労災保險は、外の社会保險と違いまして使用者側からだけ保險金を取つておるのでございます。從いまして賃金を拂わなくても……これは大体毎月々々取るものではございませんで、一年四期に分けましてその賃金総額で取るわけでございますので、労働者に賃金を拂わなくても、予定された賃金総額を取つておる状況であります。
#13
○田村文吉君 相当の額になるのでございましようが、毎月お取りになるというようなことになすつた方が、滯納が少いというようになるのじやありませんか。
#14
○政府委員(寺本広作君) 毎月取りますと事務的にも非常に複雜になつて参りまするし、又請負事業などのように、一定の期間がありまして、賃金総額が事業費の中に幾らというのもありますので、そういうのは賃金総額が正確に掴めますので、大体賃金総額を採るということになつております。大体事業計画を立てられます場合には賃金総額というものがありますので、失業保險や健康保險と違いまして、一人一人の労働者から取るのではございませんので、やはり三ケ月とか四ケ月とか纏めて取る方が徴收成績もいいように考えております。
#15
○竹下豐次君 さつきの御質問に関連しておるのですが、保險料を徴收される割当がないかという御質問でしたが、よく税務署あたりではこのような噂が專らなんですね、何々税務署においては所得税何億取立てろ。それか標準になつて、署長はどうしてもその責任を果さなくちやならないので、相当に重い課税をするべく余儀なくされておるという非難が非常に多いのですが、業者の滯納を見込んで課税される、それが適当であるべきですが、そういう割当でもあるものだとすれば、そこに非常に無理が行くということになるのですが、税務署みたいなことはないのでしようね。
#16
○政府委員(寺本広作君) さつき御説明申上げました通り各事業の賃金支拂総額が賃金台帳の備付けその他で掴めますので、これは各事業事業に賃金台帳の備付けを要求いたしておりますので、税務署のように言うと、税務署の方に差支えがありますが、これは各事業の賃金総額を基礎にして保險料率を掛けて見当をつける、ということをいたしておりますので、見当違いの割当というようなことはないと思います。
#17
○水橋藤作君 只今の御説明は私はそれを信じたいのですが、地方へ行きますと、幾ら幾ら徴收しろ、去年よりも今年は幾ら幾ら徴收しなければいかんという一つの命令が來るということを実際に聞いて來たのです。併しそれはあなたの今の御説明は私は信じますが、それは下部にそれが徹底していない、それを命令に來た人が無理にこれだけどうしても取らなければならないのだというふうな氣持を持つているらしい。だから、それはこういう基準が岡山縣なら岡山縣はこれだけ取るのだということが徹底しないのではないか、というふうな一應考えたのですが、あなたの説明は信じますけれども、地方へ行けばそれを無理矢理にこれだけ徴收しろということの命令が來たというふうに解釈する嫌いがあるのです。その点を徹底させて頂きたいということをお願いいたします。
#18
○政府委員(寺本広作君) 只今申上げました通り目標額は作つておつたのです。その目標額を採出した基礎に根拠があるということを申上げておるのでございまして、目標額は作つて府縣に渡しております。殊に去年のように年度半ばに賃金ベースが二度も変るというような場合には、そのベースの変つたのに應じまして各業種別に賃金の統計が出て参りますので、何所の府縣にはどういう事業がどれだけあつて賃金ベースはどれだけ上つておるということが明らかになりますれば、それを基礎にして料率を掛けまして、総額が出て参ります。その目標額を地方に言つてやる。目標額がありますので、地方ではやはりその責任額を果そうというところからどうしても第一線で無理が出たと思いますが、目額の意味をよく了解させまして無理が出ないようにいたしたいと思います。
#19
○委員長(山田節男君) この労災保險の施行状況ですが、出先機関での実際の状況を見ますと、成るほど非常に労災保險をよく利用している。余りよく利用し過ぎて、この保險料の請求と言いますか、件数が余り多いので、現在の基準監督署の係官の数ではとてもこれを檢査する暇もないというようなことで、やや労災保險が濫用されている傾向があるのじやないかということを我々は感じたのですが、この問題について保險出先機関の係官の数が少いということは勿論でありませうし、その他予算が根本的に少いということも言えるでせうが、こういうような労災保險の濫用と言うか、意識的或いは無意識的な濫用というものに対する防止の対策を今政府として何かお考えになつておりますか。
#20
○政府委員(寺本広作君) 御指摘の通りのように弊害が保險局の面で現われつつあるというふうに考えております。この労災保險の出発当初から迅速に的確に拂うということをモツトーにして仕事をいたして参つて來たのでございますが、労災保險の職員は保險給付の取扱い件数に比べて非常に少ないのであります。他の社会保險と比較いたす場合には、それが特にまだ少ないことが明らかになつておるのであります。從いまして労働者側の請求書が出てくる、この場合にその内容を詳細に調査して支給するというような余裕がないために、ややもすると要求通りに拂うということから濫給の弊害が現われ始めておるというふうに考えております。これにつきましては、昨年の年度半ば以來支出を的確にやるように指示を数回もやつて参つておりますけれども、何分にも人手不足で請求件数の中で怪しいと思いながらも数件を調べるというような余裕がないために、こういうことになつたと思つております。從いまして請求書を適確に調べることができれば相当数支出を締めることができるのではなかろうか、こう考えまして、本年度予算編成に当りましては、一般の行政整理のさ中ではございますが、労災保險につきましては支出抑制の意味で人間を殖せば支出が減ることがほぼ確実であるという見通しがつきましたので、大藏当局にもその旨交渉いたしまして、関係方面でも労災保險に関しては無理からんことであるということで、了解的な措置が採られまして、只今準備されつつあります。予算では約二百名前後の増員が見込まれておる次第であります。これだれの人間が殖えました曉には、十件中一件乃至二件は少くとも現地調査をやるというような余裕ができますので、支出の不当な要求に対しては適確な調査をして、適確な支出をすることができるだろう、こういうふうに考えておる次第であります。
#21
○竹下豐次君 先程の問題に重ねてお尋ねいたしますが、目標をお示しになつておるということですが、これはやはり税務署の方とその割当ということにおいて実質は同じに結果がなつてしまうのじやないかと、こう思いますが、各業者の方に帳簿があつて、それを監督されますが、行つて調べて、それに法律によつて決めた率を乘じて行けば当然その額が出てくるわけでありますから、何も目標を示さないでもいいじやないかという氣持がしますが、何か目標を示さなければならない理由があるだろうとは思いますが、それを一つお示しを願いたい。
#22
○説明員(寺本広作君) 目標を示すという必要がないではないかということでありますが、保險料は先取りするものでございまして、拂つてその後でとるのでございませんので、三月なり四月なりの賃金支拂の計画を見て取る。取り過ぎたということであれば、後で精算して返すということになりますが、やはり一應とります際には予定の額を見るのでございますから計画を作る必要があろうと思います。
#23
○竹下豐次君 それにしても、出先地方官憲の方で先に計算して、本省の方に報告すればそれでいいのであつて、本省の方から目標を向うにお示しになるということは、何だか逆のような氣がいたします。それじやいけませんのですか。
#24
○説明員(寺本広作君) お話の趣旨がちよつと……
#25
○竹下豐次君 地方で先に取つておくにしても、基礎になるのは地方の帳簿なのですから、業者のそれが一番早くわかるのは地方の官憲であつて、本省の方ではないのです。あなたの方、本省の方としては予め予算を取るというようないろいろな関係があるから、こつちの方からいくら取れというようなことで目標を示すのではなくして、向うで計算させて報告すればそれでいいじやないか。それじやいけませんか。
#26
○政府委員(寺本広作君) お話の前提として、報告書が必ず正確なものが出て來るということが前提になつておるのではないかと思いますが、現在では業者の申告制度を採つております。ところが申告必ずしも適確なので出て参らんのでございまして、申告があつた後を調査して直すということもありますし、大体かく大観いたします場合には、管内における事業の種別、事業場の数、その事業の賃金水準というようなもので、凡その見当がつきますので、申告が來ました際にその申告が凡そ適当であるかどうかということを審査いたしますためにも、この審査いたします方に目標を與えておく必要があろうかと考えております。
#27
○水橋藤作君 配布医藥品でありますが、これを配布するのは非常に衞生方面から考えまして結構だと思いますが、これを配布する、つまり、配布する場所とか或いは何と云いますか、個人及び工場、或いは職業、そういう方面に公平に配るためには、どういう方法によつてこれを配布されておりますか。その方法をお伺いしたいのです。これは非常に不公平になる恐れがないか知らんと思うのです。
#28
○政府委員(寺本広作君) 労災保險課長から説明させて頂きます。
#29
○説明員(池邊道隆君) 私からお答え申し上げます。医療品の配給につきまして、現在我々としてやつております点は、屋外労働関係の事業場にこれを配布するのであります。その理由といたしましては、大体山間僻陬の地にあるところの事業場におきましては、ちよつとした怪我にいたしましても、傷の手当を受ける場合に、相当遠隔の土地にあるところの医者のところに行かなければならん。そうして常備藥がないために、ちよつとした怪我すらも膿ましたり、あるいは傷の手当を怠つたために、そうしたところから大きな災害になつて來るというような事例がございますので、医療藥品といたしましては、むしろ保險の場合のように、單なる各個人の常備藥というのではなくして、むしろ救急藥、救急処置に用うるところの藥品を凾に詰めまして、そういう事業場に送つてやる次第であります。尚又健康保險とか、その他の保險制度におけるいろいろの医療藥品の配布は、大体工場事業場においてはそういうものが配布されておるのでありますが、屋外関係の方面は、そうした保險制度は適用されておりませんので、この保險の施設としては、やはり他の労働者よりも惠まれないような屋外労働関係の労働者に配布した方が適切ではなかろうかと、こういつたような考え方で、大体屋外の土建とか事業方面に配布しております。
#30
○水橋藤作君 屋外労働者に配布するということ、まあ結構だと思います。これは配布する場合に、どういう方法によつて配布されておりますか。屋外労働者にこれだけの配布藥品を、各個人に渡すには、どういうふうに行政廳としてやつておられるのですか。それをお伺いいたします。
#31
○説明員(池邊道隆君) 大体予算として決められたのは、二十三年度におきましては七百三十五万というのですが、その間でここに書いてありますような藥品の交付数量というものが限定されるわけであります。実際配付いたす場合には、各都道府縣の屋外労働と申しますものは、大体機関を持つておりますものですから、そういう土木とか林業につきましての事業場数を調べまして、それに比例配分いたしまして、あと都道府縣の基準局長にその配布先については委しております。
#32
○水橋藤作君 分りました。
#33
○委員長(山田節男君) 外に御質問はありませんか。――私からもう一つお伺いいたしますが、どうも健康保險として健康保險医にかかる者のうち、労災保險で当然受けるべき者が相当居るということを各所で聞きのです。これはいろいろ又この労災保險の適用を受ける認定の問題、或いは手続の点において、私は健康保險の方が簡便であるということ、そういう特徴があるのではないかと思うのですが、これに対して、労災保險の運用状態について、何か施策を考えておられるかどうかお聞きしたいと思います。
#34
○政府委員(寺本広作君) 労災保險で面倒を見るべき業務上の負傷疾病に罹つた者が健康保險に相当行つているという御意見でありますが、若干そういうものがあろうかと考えております。と申しますのは、少額の、三百円未満の治療代で済む業務上の疾病傷害などは、労災保險では支出しないということで、使用者が直接支出すべきことになつておるのであります。それが、労働者の半額負担しておりますところの健康保險に紛れ込んで行くのではないかと思いますが、これは一般監督に当つて、当然使用者が負担すべきものを健康保險が肩替りしているということのないように氣を付けて行かなければならん、こういうふうに考えておるわけであります。
#35
○委員長(山田節男君) 別に御質問はございませんか。
#36
○門屋盛一君 災害保險のあれをやられるのでございましたら、ちよつと政府委員に聞いて置きたいのですが、災害補償の建前から、將來ともやはり災害保險は今のように事業主負担だけでやつた方がいいか、それとも労働者が自主的にやはり幾分の保險料を負担した方がいいかということについての御研究をなさつたことがあるか、又なさる意思があるかどうか伺いたい。
#37
○政府委員(寺本広作君) 労働者災害補償保險の対象になつておりますのは、御承知の通り業務上の疾病、業務上の負傷でありまして、これは本來事業主が損害賠償の一種として拂うべきものであるという法の建前になつておりまするので、これをその費用を労働者に負担させるのは法律の建前からいつて如何かと考えまするし、各國の立法の例から見ましても、この災害補償保險を労働者に負担させておるという事例はないように考えるのでございます。尤も労働者に一部を負担させた方が怪我の率を少くするためにいいではないかという御意見は御尤もでございますが、これは、職場の中におきまする就業規則その他で、安全衞生に関する労働者の義務を規定し得ることになりますので、そういう職場内の秩序の維持といつたようなことで、労働者の安全衞生に関する義務観念を高揚して行くようにした方が適当ではなかろうかと考えておる次第であります。
#38
○門屋盛一君 余り私の言葉が短かかつたから、金を負担しているということによつて注意するというふうに簡單にお取りになつているようでありますけれども、この災害保險の今の法的根拠のお話があつたが、災害保險を我が國で初めて施行します折にも、これは、全部事業主負担の保險制度を採るか、事業主と、労働者と政府、國家と三つが負担する制度を採るかということは、相当問題になつたことなんです。私の今言わんとするところは、災害防止に対して事業主側の……、私は土建のことはやつたことがあるので知つているのですが、事業主側が保險の方はやつているが、これに対する労働者側の発言権が実際問題として極めて薄いのです。だから保險料を若干でも負担しておれば、その点において労働者側の発言権は相当に認めて、こういう防止施設をしなければならん、こういうふうにしなければならんということを自主的にやつて方が根本的にこの災害が減るという私は考え方を持つているのです。私の質問はこれに対して、御研究になつたことがあるか、又將來御研究になる御意思があるかということを聞いたのです。今のお話では、立法の根拠がこうなつているのだというのでは、私の方からとりますと、研究されたこともないし、研究する意思もないというふうにとつていいのですか。これは災害防止の建前から非常に大きな問題になるのです。
#39
○政府委員(寺本広作君) 研究する意思はないかというお話でございますが……
#40
○門屋盛一君 質問はそうだつたのです。
#41
○政府委員(寺本広作君) 災害補償は使用者の義務であるという建前から出発いたしておりますので、労働者にその費用を負担させるというのは立法過程においても考えたことはございません。
#42
○門屋盛一君 それは立法過程にあるのですよ。それはよくお調べにならないと……災害保險は実は労働者自体の作つたものだから、立法過程においては絶対にあるのです。大野緑一郎さんが立法をやつておるときの……
#43
○政府委員(寺本広作君) 今度の災害補償に……
#44
○門屋盛一君 今やつておることでやられてはいけない。前からの歴史を考えての研究が足りないからそんなことを云うのだ。立法過程になかつたということはない。はつきりとある。
#45
○政府委員(寺本広作君) 今度の立法を申しております。前の立法を申してあるわけではございません。それから労働者が負担をしないから安全設備について発言ができないというふうには考えておりません。安全衞生の問題は労働條件の一つでございまして、これについては労働者として当然、安全衞生の施設の改善の金を負担しておらなくても要求し得るものだというふうに考えております。
#46
○門屋盛一君 恐らくそれは考えておるでしようけれども、実際上やはり金が事業主負担になつているので、労働者の関心が非常に薄いのです。この問題は研究なさる意思はないととつていいわけですね。私は研究の余地があると思う。
#47
○政府委員(宿谷榮一君) 只今門屋委員の御質問の点に関しましては、研究する意思がないと申上げるのではなく、そういう御意見も出ております。又見方によつては労働者が一面負担するということによつても労災保險の効果が挙ろうと思うというようなお考えも出て参ります。尚労働省といたしましては、御注意の点に鑑みまして研究を一應して見たいとかように考えております。
#48
○門屋盛一君 尚、費用の負担をせんということは、これは我々は労働者から上つて來ておりますから、費用は出したくないのだけれども、労働者の方がいくらか負担しておらないと、災害に罹つた者が或る程度まで治つておつても、非常に怠ける期間が長いのです。それを労働組合自体で負担すれば、我々の負担にも属しておるのだからというので、これは怠けないで仕事ができるのではないかということが云い得る実情にあるのですから、是非これは御研究課題に入れて置いて貰いたい。
#49
○政府委員(宿谷榮一君) よく分りました。
#50
○委員長(山田節男君) そうすると只今の労働保險に対する質問は宣しゆうございますか。問屋委員。
#51
○門屋盛一君 まあ、いいです。
#52
○委員長(山田節男君) 御満足ですか。
#53
○門屋盛一君 これは認めておいてやつて貰つてもいい、大体でき上つた法律だけに片寄つてやつて行こうということでは何時まで経つても労働民主化はできないのです。この法律を拵えた人は余り労働問題を知らない人が拵えておる。法律が多いものですから、日本の労働組合を自主的に導くことのできていないのも、そういうところに欠陥がある。これを研究して貰わなければならん。
#54
○委員長(山田節男君) それでは続いて齋藤職業安定局長から失業保險の事業会計について御説明を求めることにいたします。
#55
○政府委員(齋藤邦吉君) 私から最近の失業保險事業の概況について一つ簡單に御説明申上げたいと存じます。なお本日失業保險関係の業務の状況の刷り物を実は準備しておつたのでありまするが、間に合いませんでしたので、できるだけ速かな機会にこちらの方にお配りいたすように考えておる次第でございます。その点を御了承願いたいと思います。
 本年一月末までの失業保險の適用事業所はどういう数になつておるかということを申しますと、適用事業所の数が十二万三千程の工場事業場に相成つておるのであります。この十二万三千の適用事業所に勤務いたしております労働者で被保險者となつております者の総数が五百四十一万でございまして、その中、女子が百四十五万という数字に相成つておるのでございます。次に失業保險料の徴収の状況を御説明申上げたいと存ずるのであります。失業保險料は御承知のように労働者の賃金の千分の十一を労働者が納め、事業主がそれと同額のものを納めるということになるのでございまして、即ち民間から保險料として徴収いたします額は労働者賃金の千分の二十二となるわけでございます。そこでこの保險料の徴収の状況でありますが、この法律は御承知の一昨年の十一月から始まつたわけでありますが、最初保險料徴収の事務を公共職業安定所において行わしめて参つたのでありますけれども、安定所は御承知のサーヴィス機関本來として行くべきものであるという立場から、滞納処分の権力を伴いがちな保險料徴収の事務を安定所でやることはよろしくないということになりまして、昨年の六月安定所の事務を取り上げまして、府縣の職業課でこれを直接縣應で行うということにいたしたのであります。そして主要な府縣に失業保險徴収課というものを設置いたしまして、ここで失業保險徴収の事務を專管して今日まで参つておる次第でございます。そういう機構の改革等のために昨年の八月頃までは保險料の徴収の成績は極めて惡かつたのでありますけれども、司令部当局等の御援助もあり、その後逐次この保險料徴収の努力を続けて参りまして、最近におきましては殆ど一〇〇%に近いまでの成績を示して参つておるのであります。そこで昨年の十月・十一月・十二月、非常にいい成績を示しておりまして、一月末までの総計を申上げますると、保險料徴収の決定額が大ざつぱに申しまして四十八億五千七百万円でございまして、この中、収納いたしました額が約四十一億六千五百万円という数字に相成つておりまして、この徴収決定額と収納額との比率は八六%という数字になつております。併しながらこれは報告等が遅れております関係上、今日まで収納成績が八六%ということになりますのでありますが、九月、十月、十一月の三ケ月の如きは一〇〇%の成績を示しておりますので、統計が全部集つて参りますれば、恐らく一月末までにおきましても九〇%を越しておるものと考えておるような次第であるのであります。これだけが民間から徴収いたしております保險料の総額でありまして、これが一月末でありますが、二月、三月の二ケ月分を加えますと、本年三月末までに約五十億程度の保險料徴収が完納するのではないかと想像いたします。これに対しまして失業保險金の給付につきましては、現行失業保險法におきましては離職当時の賃金の平均六〇%をず業保險の給付として支給することになつておりまして、大体現在のところ平均を六〇%におきまして、賃金の安い者は離職当時の賃金の八〇%まで行く、俸給の高いものは四〇まで下げる、即ち平均を百分の六〇にいたしまして、百分の八〇、百分の四〇、逓増逓減のやり方で保險金の支給をいたしておりまして、この給付につきましては國庫は三分の一の義務負担をいたしておるのであります。そうしてこの状況を申上げますと、保險金として支給いたしました額は今日まで極めて僅かでありのであります。即ち本年一月までに支給いたしました額は二億円であるのであります。この三分の一は國庫の負担に相成つておりますけれども、給付の総額は僅か二億という状況であります。これは一昨年片山内閣当時成立いたしました法律でありまして、当時企業整備が非常にやかましく云われておりましたのでありますけれども、その企業整備が時間的にずれて來ておつたということも一つの理由であるかと存ずるのでありますけれども、この企業整備の収況におきましては極めて近時深刻化して來ておる状況であります。これは又後程申上げたいと思いますが、企業整備がずれておるということがこの給付が極めて少いという原因かと存じます。
 それからもう一つの問題は、私共安安所の仕事をやつております者として、責任を感じておるのでありますが、やはり一般國民の中に、公共職業安定所に行きますと、自分の欲しくない厭な仕事に強制的に職労を命ぜられはせんだろうかという誤解があるために、折角こうした保險金を貰える権利のある労働者の方々が余り安定所に來ないということも、或いは一つの原因としてあるのではないだろうかと考えるのでありまして、この点につきましては私共ふだんから、安定所はそういうことをするものじやないということを組合の諸君の方々にもよく連絡を取り、又安定所の職員にもそういうことがあつてはならないということを指導いたしておりまして、將來共そうした指導を続けて参りたいと思うのであります。
 それから第三番目には、この失業保險金の金額が現在のインフレ下におきます生活を維持するに足る最低の金額かどうかという問題も、やはり一つの研究の問題じやないかと思つておるのでありまして、即ち安定所にわざわざ一週間に二度参りまして僅かな失業保險金を貰うよりも、何かしら俗な言葉で申しますれば闇でもやつた方が得だといつたふうなことから、安定所を利用するということが或いは少いのではないだろうか、こういうふうに考えられるのでありまするけれども、併しいずれにせよ今日までそう深刻な企業整備もまだ行われておりませんので、やはりこの程度のものかとも存じておるような次第でございます。要するに一月末までの失業保險の給付の状況は金額として二億であります。この保險金によりました現実に失業保險の給付を受けた者、即ち失業保險法の言葉で申しまする初級受給者の数は一月末までに五万五千人に達しておるのでございます。現実に勿論給付を受けておりまする期間の長短はあろうかと思いますが、一回でも二回でもこの失業保險の給付を受けた初級受給者数は一月末までで五万五千人あるのでありまして、そのうち女子は一万三千人の失業労働者がこの給付の恩惠を受けておるような次第であるのであります。尚こういうふうな状況でありまして、極めて数としては少い数字になつておりますが、昨年の十一月当時からこの失業保險給付を受ける人員が極めて顯著な率を以て増加しておることを見逃すことができないのであります。即ち昨年の十一月におきましては初給受給者数が二万五千人に飛躍的に上つて参りました。その前までは二万五千という数字ではありませんでしたけれども、極めて十一月に顯著に二万五千と上りました。それが十二月に保險金を受けた数が三万になつております。一ケ月で五千人十二月に増加いたしております。更に本年一月になりまするというと、三万から三万八千に伸びておるような次第であるのでありまして、ほぼ二五%程度の率で十一月から今年の一月までに進んでおるのであります。このこと自体が相当企業整備が昨年の十一月頃から起りつつあるという姿を現実に物語つておるものではないかと考えておりまして、この趨勢で参りますれば本年三月末までの失業保險金の給付は約三億を超すのではないだろうかと、かように考えるのであります。即ち大雜把に申しますと本年三月末までには保險料徴收としては約五十億、保險金の給付といたしましては約三億程度のものになるのではないだろうかと、かように考えておるような次第であるのであります。從いまして將來企業整備が深刻になりましても、この五十億という一つのファンドが明年度に繰越されて参りますれば、保險経済としては極めて強固な資本を持つておるものではないだろうかと、こういうふうに存ずる次第でございます。大体甚だ簡單でございましたが、失業保險の一月末までの適用、事業主、被保險者、保險料徴收、給付の状況につきまして御説明申上げたのでありま4が、この点につきましてはいずれ近いうちに詳細な資料を印刷いたしまして委員の方々にお配りいたしたいと、かように存じておる次第でございます。
#56
○委員長(山田節男君) 只今の齋藤政府委員からの御説明に対して御質疑ございましようか。
#57
○水橋藤作君 只今齋藤さんの説明で大体総て了解したのですが、この保險料を九〇%或いは今月、來月辺り一〇〇%まで徴收できる見込みだと言われるのは誠に結構なんですが、これを徴收するには地方で非常に苦労しておるのですね。何と申しますか手不足なんですね。そういうことから考えまして、今政府の考えておるところの行政整理に関連いたしまして保險の人員の首切りですか、これに対して労働省としてはどういうふうなあれを持つておられるかお伺いしたいのです。
#58
○政府委員(齋藤邦吉君) 只今お話がありましたように現在、失業保險の徴收に現実に從事しておまする職員は、大体、縣のいわゆる失業保險の徴收課でありますが、二千四百人程度の職員がおることに相成つておりますが、これだけでは私共十分一杯だとは、足りるとは私共考えておりません。併しながらこうした問題につきましては、私共の方といたしましてもやはり事務の簡素化ということを考えておる。少ない人数で能率的な仕事をやつて行くということを考えるのも一つの方法かと考えておりまして、今回失業保險法の改正を目下事務当局で研究したしておるのでありますが、これによりまして申告納入の制度に改めてみたい、こういうふうに考えております。この申告納入の制度によりまして、現在のやり方ではいわゆる納入告知票を発行してやつて行く、こういうやり方でありまして、これを労災と同じに申告納入の制度に改めまして、事務の簡素化を図るということを一つやつてみたい。
 それから尚、人の問題につきましては、今度の行政整理の問題でありますが、これは普通の行政整理の基準から申しますると、まあ三割乃至二割という行政整理を受くべき性質の仕事のものでありますけれども、本日も行政管理廳でその会議があつたのでありますが、失業保險の職員だけは特別でありますので、一つ一〇%程度までで辛棒する氣はないだろうかというようなことで、大体失業保險の職員につきましては目下のところやはり一〇%程度の欠員はあるのじやないか、こういうふうに考えておりますので、これを事務の簡素化と睨み合せて進んで参りますならば、何とかこの際としてはやれるのじやないだろうか、こういうふうに考えておる次第であります。
#59
○水橋藤作君 私が言うまでもなく局長のよく御存じの筈ですが、これは事務的な者よりも集金その他で外で歩く人間が非常に苦労しておるのですから、現場でやつておる人間を、一〇〇%徴收するために、人を殖やせばとて減らすことのないように努力して頂くことをお願いして置きます。
#60
○門屋盛一君 今齋藤局長の言われた現在の失業保險の資金の見透しについて強固な安定基礎があるからと、五十億を指して言うておるようだけれども、これは始終失業問題に対しては労働省と私は見解をいつも異にしておるが、本当の企業整備が徹底していつて、それからデフレ状態に入つて行つて闇屋ができなくなれば、僕はこんなことじや、五十億ぐらいで強固な安定基礎があるなんということは大きな間違いじやないかと思つておる。それで警告を発して置きたい。というのは、根本論として企業整備と行政整理の結果できる失業者の数が、どうしても私の考えておるのと喰違いがある。これは今日時間がありませんが、本質的にそう決めてもいいと思いますが、新聞なんかで散見しても僅かに百二十万だとか、百三十万だとか、こういうことを言つておるが、そういうことは考えられない。そういう小さな数で考えて失業対策を樹てて行くというところに大きな社会不安が残されておる。実際上そう考えておるのか。何かの辻褄を合わせるために考えておられるのか。今度いよいよ本当の行政整理にかかつていつて眞劍な問題になるのだが、大丈夫か。即ちそれが今度五十億ぐらいのところで安定だということを見れば、お尋ねするまでもなく極く少数の失業者しか出さんように労働省は考えておるのか。それで何百万の労働者の指導とサービスを受持つておる労働省としては大きな間違いがあるのじやないか。一番不安なんです。
#61
○政府委員(齋藤邦吉君) 明年の保險経済の大体予算として決つておるもの、それから又大体方針として考えておることを申上げたいと思うのですが、ざつくばらんに一つ申上げたいと思いますが、即ち今年大体五十億の金が残ると仮りにいたしまして、その五十億を明年度の深刻な失業で出す、金を全部使い切ると仮りにいたしました場合は、政府は五十億に対する二分の一、二十五億を負担いたしますから、七十五億の保險給付金額になる。それから明年度の保險料の徴收その他を考えまして、明年度の特別会計の、保險経済は百二十億になるのであります。百二十億になりまして、國の負担はその百二十億の三分の一の四十億、それから残りの八十億は保險料徴收ということで合計百二十億になりますが、來年度の予算といたしましては、百二十億の特別会計及び一般会計の繰入れが四十億になるのが筋でありますけれども、それはむしろ財政の都合もありますが、これは義務負担でありますので、國の負担分は一應は二十億ということにいたしております。これは併し義務負担でありますが、どんどん失業者が殖えれば出すということになつております。明年度の保險料徴收の総額と、それから本年度の五十億を今さらけ出して使つてしまうということになると、明年度の失業保險給付の特別会計は百九十五億になるのであります。この百九十五億によつてどの程度の職員を、労働者を救済することができるかと見ますと、大体二百万でありますから、これが百万人程度の失業者を救済することができる。即ち現在の保險法の、保險給付六ケ月といたしまして約百万人、それを今度は帶にして計算いたして見ますると、即ち明年度の四月一日から明後年の三月までの間に、毎日安定所の窓口で金を貰える数が五十万人の帶で繋いでもいいという勘定になるわけでございます。五十万人、実人員にして、それが半年で仮に切れるといたしまして、それが百万人という数字に相成るのでございまして、例えばこの失業保險の現在の被保險者の総数は五百四十一万の被保險者の総数でありまして、これが百万人この中から出るとは私共は一つも考えていないのでありまして、仮に百万人出ましても、本年度五十億使い切つても、明年度一杯は、百万人の失業者を立派にやつて行くことができると、こういうふうに一應考えておるわけであります。保險経済としては、即ち失業保險は、御承知のように工場、鉱山に働くところの労働者を対象としては、保險経済としては、私共はこれで不安はないと考えております。むしろこれによつて失業労働者の最低生活を保障することに足るよう、現在の失業保險制度の不備をこの際改正して行くというように目下のところ準備を進めておる次第であります。
#62
○門屋盛一君 数の方は一應肯けるのですが、そうすると基本になる給付金額はどの位に考えておりますか。
#63
○政府委員(齋藤邦吉君) 現在の保險給付は、先程も申しましたように、平均六〇%でありまして、賃金の高い者は百分の四十まで、賃金の安い者は百分の八十、こういうふうになつております。これを一般の平均に直しますと、大体五四%程度になるのじやないかと思うのでございます。
#64
○門屋盛一君 五四%を金額にすればなんぼになるのですか。
#65
○政府委員(齋藤邦吉君) そうしますと、仮りに一万円の俸給の者は大体五千四百円程度貰うというような平均になりまするが、この平均六〇%というものを事務当局といたしましては百分の六十という一本に今回これを改正しようとして、事務当局としては準備をしておるわけでございます。而もこの百分の六十につきましては税金は一文も掛りません。而も元になる賃金につきましては、いわゆる本俸のほかに家族手当等も含めた賃金総額、その百分の六十ということになりますので、恐らく百分の六十という事務当局の案が今若し通りますといたしますれば、國会の御審議等によりましてそうしたことになりますとすれば、今はつきりした数字を持つて参りませんでしたが、現在の離職当時の手取賃金の七十二、三%程度になるのじやないだろうか。こういうふうに目下のところ考えておる次第でございます。これは今関係方面とも一應、纒まるところは纒めまして、進捗に努めておりまして、近い將來國会に提出いたしまして、宜しくお願いいたしたい、かように考えておる次第でございます。
#66
○門屋盛一君 この失業保險というのは実際むつかしい保險でして、これを徹底して、先程お話になつたように、安定所の窓口がうるさいとか、厄介だというので、今の間は給付を受ける人が少いので、それを徹底して行つて、今の話のように一万円貰つておつた者が遊んでおつても七千二、三百円貰えるということでは、こんなものに引掛つてしまいますと仕事をする氣がなくなつてしまうので、この保險を徹底させなきや社会不安になるし、徹底さすと怠け者が殖えるという、これは非常にむつかしい保險なんですが、それでまあ今日は失業保險のことを檢討しているのだからいいのですが、私はどうしてもこれは怠け者を養成するところの失業保險に力を入れるよりも、ここに百九十五億というものが、仮りにこれを義務負担とした場合には更にこれが多くなりまして二百四十億……、義務負担が三分の一の義務負担だと四十億と勘定した場合には、二十四年度において本年度の使い残りを入れると二百四十億というものになる。これはそこまで行くと、非常に何も仕事をさせずにそれだけの人間を遊ばして置くということは、日本が破産しているのに、その破産している國に遊ぶ人間を殖やすということは面白くないのです。だから失業者に対する安定政策としては、もう少しこの保險によらざる施策の方に金を持つて行くというふうに考えなければ、九原則の目的とは合わないのぢやないかということを考えます。私はこれは失業保險はやらなければならないことであるし、それからこれで徹底すれば、必ず今までの健康保險にしても、何にしても、あとになると洗練されて來るとよくなるのだが、一時健康保險でも怠け者が殖えたのですから、健康保險の発達過程において……。災害保險においても、先程申上げますように、もう傷が治つて働くのに差支えないようになつても、尚怠け者はどんどん遊んでおつても貰えるから遊んでおる。今度のも体は健康であり、失業しておつて、窓口へ行くのはうるさいけれども、今はそこへ行くより闇の方に行つた方がいいというけれども、闇へ行くよりもそこへ行つて、七二%も三%も呉れるということになると、どんどん押し寄せて行く。これは余る方がいいのです。余る方がいいのですが、押し寄せて來る。そうなると必ずしもこの百九十五億では足りない。百九十五億円というのは、申請者が適正なりや否や。それから二十四年度は労働者が減つて來るのですから、非常にここのところは極めてむずかしい問題が起ると思うのです。
#67
○委員長(山田節男君) 外にこの失業保險について、御質疑はございませんか。
#68
○門屋盛一君 それで失業保險の方で行けるか、失業保險以外に労働省として失業対策の安定、失業に対する安定施策として、失業保險のみによつておるのか。これを他の官廳とタイアツプして失業対策の安定施策を外に考えていることがあるかないかということをお尋ねしたいのです。
#69
○委員長(山田節男君) 只今門屋委員の御質問ですが、これは実は今回のこの経済九原則で、公共企業、それから失業保險の方の関係費用も非常に削減されて來たのですが、そういう意味で今の門屋委員の御質問は、これはもう全國民が非常にこれに対して注目しておるのでありますが、これは一つ宿谷政務次官、或いは齋藤政府委員から成るべく具体的にどうするのだということを、一つ概畧を御説明願いたいのであります。
#70
○政府委員(齋藤邦吉君) それでは私供の今考えております失業の数字並びに失業対策につきまして、まだ決まらん点もございますが、大ざつぱな点を申上げさせて頂きたい、かように存ずる次第であります。ここ近い將來においてどの程度の失業者が出るかという問題から、私共事務当局といたしましていろいろな資料に基きまして、研究をいたしておるものを御説明申上げたいと思います。この近く発生を予想されると申しますのは、今までここ一年間程度の間に発生を予想されるというふうに考えております数字でございます。ここ一年の間に発生を予想される離職者、この近く発生を予想されます離職者の数は結論的に申しますと約百二十万乃至百七十万の離職者が出るのではないかと推定をいたしておるのであります。この内訳につきまして簡單に申しますれば先ず第一に行政整理の者があるのでございます。行政整理にいわゆる中央官廳並びに地方廳或いは市町村或いは鉱山、いろいろありますけれども、これも合せて申しまするとこの行政整理によります離職者の総数は四十万という数字に相成つております。これは先般行政整理に関しまする閣議決定の二割、三割という線を嚴重にやるとすればという前提の下の数字が四十万という数字に相成つておるのであります。
 次は企業合理化に伴う民間企業の問題があるのでありますが、これにつきましては三十万乃至六十万と推定をいたしております。この数字につきましては、いろいろと意見はあると思つております。大体のところ大ざつぱに申しまして、私共のこの三十万乃至六十万という数字を出しました氣持を申しますと、現在の我が國の製造工業、鉱工業等の労働人口は昭和五―九年次の労働人口とほぼ同じであるのでございます。にも拘わりませず、生産力はどうかと申しますると、昭和八年から十年を一〇〇と計算いたしまして、昨年の九月の鉱工業その他の生産指数は六六・五%に相成つておるのでございます。約七〇%と見て結構だと思つております。即ちそこに形式的に判断いたして見ますると、昭和五―九年次と比較いたしまして、形式的に水増し雇傭は三〇%あると言えると思うのであります。併しながらこの三〇%が全部が全部私共水増し雇傭とも考えていないのであります。即ちあの当時の産生の実情と今日の鉱工業の生産の事情はすつかり変つております。機械も荒廃に帰しております。更に又基準法の施行等によりまして、一人当りの労働時間も極めて短縮されておるという実情を考えまして、昭和五―九年次程度の労働生産性を元にして考えて見れば、大体のところ、あの当時のことを考えて見れば、大体現在の労働人口の一〇%程度前後のものが純粹の過剩水増雇傭ではないだろうかということを言われております。経済安定本部等が昨年の暮にいろいろ調査したものがありますが、これによると殆んどいろんな理由によつて水増し雇傭がない、特に終戰後に会社工場等の官廳関係統計事務が非常に殖えたということも挙げられておるのでありますが、水増し雇傭が殆んどないのだということを言つておりますが、私共の方としては一應三十万乃至六十万というものが企業合理化によつて出るのではないだろうかと、かように私共は今一應推定をいたしておるような次第であります。
 それから第三番目には引揚人であります。引揚人が内地に帰つて來ることも、これも一つの過程において考えておりますが、四月から引揚が再開されるといたしまして、四月から八ケ月間に毎月四万人程度の引揚者が帰つて來ると仮定いたしまして、失業人口に入るものは二十万と推定いたしておるのでございます。
 次に潜在失業の顯在化という問題であるのでございます。一昨年の十月の國勢調査によりますると、農村方面における潜在失業の数が約二百万程度と言われておりますが、これは部分就業者という統計で出ておるのであります。二百万も潜在失業があると言われております。これが將來の経済九原則の強行によりまして、或程度の顯在化というものが避け難き状態にあるのではないかと考えております。その大体一〇%乃至二〇%が失業者として現われるものと推定、仮定いたして、これが二十万乃至四十万と推定いたしておるのであります。それから次に新規学校卒業者の問題でありますが、これは詳細は勿論不明でありまするけれども、私共の安定所の窓口におきまして、最近受付けた数字で掴んだ数だけで、つまり新規学校卒業としての中の未就職に終るものと想像されますものが、十万人と見込んでおるような次第であります。そうしますると、離職者の総数が百二十万乃至百七十万と相成るのであります。この百二十万乃至百七十万の離職の中、例えば行政整理によるもの、企業合理化等によるものがその中心でありまするが、これは行政整理、企業合理化によりまして、自分で田舍に帰つて仕事をしようというものもありましよう。即ち労働人口として再就職を希望するものとして出て來る失業者というものは、全部が全部だとは考えられませんので、そうしたことをいろいろ統計的に計算いたしてみまして、この百二十万乃至百七十万の中から再就職を希望する眞のいわゆる失業者という姿で労働市場に現われるものが百万乃至百四十万という数字に相成つておるのであります。百万乃至百四十万という数字に一應推定をいたしております。この推定は申上げるまでもなく、大体何時どういう程度にこれが出るか、これは勿論分らんことでありますが、最高七十万―百二十万―、純失業者として最高百四十万―百万という数字を予想いたしております。行政整理等におきましても、そうしたことを考えまして、次々にやつて頂くようにお願いをいたしておりまして、一齊に労働市場に吐き出されるということのないようにできるだけお願いをいたしておりまして、そういう線で参つております。それから引揚人等につきましても、逐次参るものであります。それから潜在失業の顯在問題につきましても、逐次出るところの数字であるのであります。勿論この数字が全部中るかどうか分りませんけれども、一應いろいろな統計に基きまして、そういう推計をいたしております。このはつきりは勿論出來ない推計に対しまして、私共が確実にここに政府の政策として掴んでおる数字だけを具体的に申上げてみたいと思うのでありまして、これを受入れまするために、はつきり決まつておりまする数字は、失業保險によつて大体四十二万を救済いたしたいという考え方を持つております。即ち先程保險経済といたしましては帶にして五十万、それを一年間に分けますると、実人員の百万と申しておりまするけれども、これはそういう余力があるということを言うておるだけでありまして、即ち失業保險の失業労働者と申しまするのは、企業合理化に伴つて出るところの失業者のみが対象になるのであります。即ち企業合理化に伴つて出る失業者は三十万乃至六十万、その中、失業者となるものは二十一万乃至四十二万と見るのでありますので、その企業合理化による失業者は、一應失業保險によつて仮りに賄うといたしまして四十二万というものがはつきり出ております。この問題につきましては、今回の國会の提出いたしたいと思いまして、いろいろ失業保險の内容の改善整備につきまして目下事務当局として研究いたしまして、差当りこの人人が、先程門屋委員からもお話がありました怠け者を作るなというお話でありましたが、そういう氣持じやなしに最低生活を保証するに足るような改善を加えて行く、こういうような意味で今努力いたしておりますが、それによつて今四十二万ということを考えております。
 それかに二番目に政策としてはつきりいたしておりますのは、日傭失業保險制度を創設して参りたいというので今事務当局で準備をいたしております。御承知のように失業者が深刻になりますれば日傭というものに落ちて参ります。日傭に落ちて参りますとなかなか救済をすることは困難でありまするので、何か日傭労働を救うために、日傭失業保險制度というものを考えて見たいというので目下努力をいたしておりますが、若しその日傭保險制度が國会におきまして認められますると、それによつて十三万の日傭失業者を一應救済するという計算になつております。これが保險制度によりまして一應確実なる数字になりましてこれが五十五万となります。
 次は一般のいわゆる顯在化して行く失業者、或いはそういつたものをどうするかという問題につきましては、あくまでこれは雇傭量の増大を図るということ以外にはないと考えております。この雇傭量を拡大するということは、一つは民間の企業の振興であり、一つは財政的負担におきまする雇傭量の拡充かと存ずるのでありまして、一方の民間企業につきましては、これは一應の推計でありますが、輸出産業その他民需産業のおける増加の雇傭量を大体約四十万程度と私共は見込んでおるのであります。御承知のように、二十三年度の我が國の貿易は二億五千万ドル、ドルとして二億五千万ドル輸出計画を実施いたされておりますが、明年度におきましては五億ドルの輸出計画というものを二十四年度に実行することに相成つております。もとよりそれも一つの計画でありますが、それによりますと輸出産業の貿易は倍になるのでありますけれども、この貿易の倍ということによつて労務雇傭量が倍になるとは考えておりません。そこで私共はこうした倍加の貿易計画というものがありましても、雇傭量としてはせいぜいその程度の、二、三十万程度の雇傭量より増加は見込めない、むしろ昭和二十五年におきまして大体八十万程度の雇傭量の増加がある、二十四年はせいぜい二、三十万の雇傭量の増加、その他に、いわゆるその他の流通部門等の雇傭量の増加を多少加えますと、輸出産業振興その他の民需産業の雇傭量は四十万と、一應推定をいたしております。これは推定でございます。次が財政的負担によりまして施設をいたしておりまするものでありますが、これは勿論まだ國会に正式に提出されておりませんので、私どもが事務的に盛られておる数字を元にいたしまして計画されておりますることを率直に申上げさして頂きますれば、今回の予算に大体八億程度の失業対策事業費というものが見込まれております。これは失業が先ほども申上げましたように、一齊に出るものじやない、徐々に出るものである。それから失業保險によりまして五十数万というものが現実に確実に把握出來るという情勢である。失業が出たときは、もつと出すということにして、一應の基本的な金額を見込もうというので、八億程度入つているように承つておりますが、これによりまして大体四、五万程度の労働者を就労せしめることが出來るということに相成つております。
 それから職業補導施設の問題でありますが、この職業補導施設によりましていわゆる將來の産業中堅層の養成という問題から、從來の職業補導につきましての不評判或いはまずい点等をも是正いたしまして、本年度中に大体職業補導として五万人ほど吸收いたしまして、産業の中堅層の育成というものをもやつて参りたい、こういうふうに考えるのであります。こういうふうに考えて見ますると、ここに一應百万という数字は完全に吸收出來る数字になつております。この百万という数字は産業の振興という雇傭量の増加、これは推定でありますが、残りは財政的に裏付けられる確実なものだと私は考えております。すなわち將來の失業人口として予想されるものは百万乃至百四十万というのを一應推定いたしておりますが、これに対しましてほぼ確実に吸收し得るものとしては、まあ百十万程度のものが掴める、こういうことに相成つておるのであります。尚、將來失業の情勢が深刻になりますれば、その都度々々の情勢に應じた財政的な支出というものをお願いいたしたいというふうに、私ども事務当局としては、目下のところ考えておるような次第であるのであります。大体私どもが今事務当局として目下考えておりますこと、勿論この中には法律の改正をお願いしなくてはならぬ問題もあります。それから予算等におきましても、國会にお願いをいたさなければならぬ問題でありますので、そうしたものが仮にという前提もありますけれども、大体そうした失業者としては百万乃至百四十万、受入れとしては最低百万乃至百十万というのがここにあるというふうに私どもは今事務的に準備を進めているような次第であります。
#71
○政府委員(宿谷榮一君) 失業対策問題は今の政府当局といたしましては、一番重大な問題で門屋委員の御指摘になつている通りであります。労働省のなし得る範囲といたしましての方針は只今局長から御説明申上げましたが、これは政府全体にかかつての重大なことでもありまするし、今朝新聞で多分発表になつたと思いますが、只今総務の方に確めましたところ、内閣の中に失業対策審議会というものが生れるそうです。ここが中心になつて大綱を定め檢討されることであろうと思いますが、近くこれが具体化するように聞いております。尚、労働省は自分の省としてのなし得る失業保險とか或いはその他出來得る職業の補導所ですとかそういう点の活用も十分いたしまするが、問題は何といたしましても、民間産業の発展ということを期するのでなければ恒久的な安定は生れと参りませんし、失業対策関係の内の失業保險というようなものも、これは全く一時的な消極的なものでありまして、五ケ月か六ケ月経て金を貰つてしまつたら、今度は完全失業というものが生れて來るのですから、これはほんの半年かそこらだけの対策にしか過ぎないのでありまして、結局輸出産業を旺盛にしてやはり國内の購買力が出て來て民間産業も盛んになる、又公共事業としての建設的な土木その他の建設省関係のものも盛んに起して來る必要がありまするし、尚私どもとしましては、商工省、安本その他建設省とも十分な連絡を取りまして、失業者がどつと一遍に出てこないように、又その半面産業を起しつつ建設も出來るようにやつて行きたい、かように考えておりますが、併し予算その他の措置も、この中には必要でありますから、いろいろ労働省としては失業者を余り困らせないような方法を是非省内で協力したいと思つております。
#72
○門屋盛一君 ちよつと職業安定局長にお尋ねしたいのですが、この今お挙げになつてところの予算失業人員、一ケ年間におけるところの予算人員の数字の見方については、関係方面は大体どんなふうに見ておられますか。
#73
○委員長(山田節男君) 速記を止めて……
   〔速記中止〕
#74
○委員長(山田節男君) 速記を始めて……
#75
○門屋盛一君 私は安定局長のいわれた数字を聽いただけでは潜在失業の見方が非常に違うのであります。これは農村における二百万の潜在失業者は、これは同意いたします。けれども、これは一〇%、二〇%が本当の失業者になる、後は元に戻るという見方が根本的に間違つている。現在の農村の過剩人員は非常に多い。外に行けないから百万も二百万も全部が失業者になるのです。終戰前の耕地面積と終戰後の耕地の面積と比較して見ましても、又終戰前の農業と終戰後の農業は機械の應用率も違うのである。今は幾らかかつても作ればよいというのでかかつているのですが、これは赤字産業ができないと農業も同じになる。引き合う農業をやらなければならんということになると、なるたけ手を少くして、或いは電力化或いは機械化ということになる。恐らく二百万の現在の潜在失業者は六〇%乃至は八〇%の失業者になるというふうに考えております。ここに落ちているが、闇はどこにも入つていない、卑近な例として列車に乘つている担ぎ屋は、これはデフレ状態になつたら食つて行けない。この失業者の根本的な見方が……領土も減つて耕作面積も殖えていないし、産業の係数は五―九年度より殖える氣遺いがない。又労働基準法の設定によつて、幾らか必要な人間が殖えたというようなことは、これは一時的なことである。これは少い労銀の人を余計使うということはいけない。労働者の生活が安定をするために收入は殖えなければならない。收入のよくなるにつれて能率がよくならなければならない。今能率が上らないで基準法ができているから基準法の評判が惡いのだ。労働の能率がよくなると、基準法はよい法律になる。そのときには基準法を適用されている人間が余計要るという見方は狂つて來る。どつちにしましても軍というものがなくなつて常備軍が二百万かなくなる。軍に関連した軍需産業の工場がなくなり、それに海外から引揚げて來る人を入れて、どうしても敗戰による殖える人口は八百万になる。この八百万人が賄い得られるかということになるので、本当に昭和五―九年程度の日本の経済状態に戻されても、どこから勘定しても六百万以上の失業者が出る。それは一方産業が興つて行くが、私は最低三百万に抑えて行くことは非常に危險があるということはどうしても考えて行かなければならんと思う。もう一つ危險性がある。失業者をどつと出さない、ぼつぼつ出そうとするけれども、この九原則は大手術で荒療治をかけている。これに対しては麻酔剤も輸血の方法も講じていない。どつと出る。予想し得ない悲惨な状態になる。そういうことになつたら担ぎ屋は眞つ先きに倒れちやう。品物が安くてそういうようになる。そういうように見方が違うと思うのですが、今日は時間もない。この問題は一時間や二時間で片附く問題でない。労働省だけでやるべき仕事でなくて、ここに國務大臣が來ておられないが、今日は労働大臣がお見えになるという話でしたが、お見えになつていないから止むを得ない。今の國内に行政整理の衝に当つている國務大臣が堂々と公開の席上或いは新聞記者に放言なさつていることは、行政整理で失業者が出るのは当り前だと言われている。いくら労働省なり労働大臣が労働者の味方になつてサーヴイスでやろうとしても、そういうことが閣内にあつたとしたら、果して失業をどつと出さないように、つまり労働行政とマツチしたところの運営ができるかどうかということが疑問になつて來るわけであります。しかし今日はこれ位にしておきましよう。この問題はこれでやめます。
#76
○委員長(山田節男君) それでは本日の労災保險の状況並びに失業保險の事業概要の政府委員の説明に対する質疑を終えたことにいたします。一應これを以て労働委員会を散会いたします。
   午後三時五十九分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     山田 節男君
   理事
           早川 愼一君
   委員
           村尾 重雄君
           門屋 盛一君
           竹下 豐次君
           田村 文吉君
           水橋 藤作君
  政府委員
   労働政務次官  宿谷 榮一君
   労働基準監督官
   (労働基準局
   長)      寺本 広作君
   労働事務官
   (職業安定局
   長)      齋藤 邦吉君
  説明員
   労働事務官
   (労災補償課
   長)      池邊 道隆君
ソース: 国立国会図書館
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