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#1
第061回国会 商工委員会 第6号
昭和四十四年三月五日(水曜日)
    午前十時四十九分開議
 出席委員
   委員長 大久保武雄君
   理事 宇野 宗佑君 理事 浦野 幸男君
  理事 小宮山重四郎君 理事 藤井 勝志君
   理事 武藤 嘉文君 理事 中村 重光君
   理事 堀  昌雄君 理事 玉置 一徳君
      天野 公義君    遠藤 三郎君
      小笠 公韶君    大橋 武夫君
      海部 俊樹君    神田  博君
      鴨田 宗一君    黒金 泰美君
      坂本三十次君    田中 榮一君
      丹羽 久章君    橋口  隆君
      石川 次夫君    加藤 清二君
      勝澤 芳雄君    佐野  進君
      中谷 鉄也君    古川 喜一君
      武藤 山治君    塚本 三郎君
      近江巳記夫君    岡本 富夫君
 出席政府委員
        公正取引委員会
        事務局長    柿沼幸一郎君
        通商産業政務次
        官       藤尾 正行君
        通商産業省企業
        局長      大慈彌嘉久君
        通商産業省重工
        業局長     吉光  久君
 委員外の出席者
        公正取引委員会
        委員      菊池 淳一君
        公正取引委員会
        委員      梅田 孝久君
        公正取引委員会
        委員      亀岡 康夫君
        公正取引委員会
        委員      有賀美智子君
        運輸省鉄道監督
        局国有鉄道部施
        設課長     高野 宗司君
        建設省計画局参
        事官      佐土 侠夫君
        建設省計画局建
        設資材労務調査
        室長      浅間  隆君
        日本国有鉄道常
        務理事     小林 正知君
        専  門  員 椎野 幸雄君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 通商産業の基本施策に関する件
 私的独占の禁止及び公正取引に関する件
     ――――◇―――――
#2
○大久保委員長 これより会議を開きます。
 通商産業の基本施策に関する件及び経済総合計画に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中村重光君。
#3
○中村(重)委員 八幡、富士の合併の問題で公取の各委員にお尋ねをいたします。
 全員の委員の方々にお尋ねをしたいのですが、まず菊池委員と亀岡委員にお尋ねをいたします。
 十カ月間事前審査をおやりになったようでございますが、その間八幡、富士との交渉というものはなかったのかどうか、ひとつお答えを願います。
#4
○菊池説明員 お答え申し上げます。十カ月と申しましても、実際審査を始めましたのは秋口になってからでございますが、その間交渉というようなものは全然ございません。ただ会社といたしましては、自分は十五条に違反しないという趣旨の意見書を出しておりますし、それについての説明はございましたけれども、交渉とか何かメモをしてどうするこうするというようなことはございません。
#5
○亀岡説明員 お答え申し上げます。十カ月間、八幡、富士の合併につきまして慎重審議してまいったのでございますが、実質的には、その間王子三社の合併の問題がございましたので、実は昨年の十月中旬以降本格的に審議をやった、こういうことでございます。
 そこで、その間両会社と交渉があったかというお尋ねでございますが、両会社から直接われわれが合併の内容につきまして説明を聞きましたのは、たしか三回ぐらい説明を承りました。しかしそれに対しては別段交渉というような内容のものではございません。
#6
○中村(重)委員 菊池委員、あなたは通産省の御出身だと思うのですが、この通産省との交渉というのか、そういうことを菊池委員が主として担当しておったということが伝えられている。そういう事実がなかったかどうか、その点ひとつ菊池さんからお答え願います。
#7
○菊池説明員 お答え申し上げます。本件の問題は、交渉というような内容が伴う事件ではございませんで、会社が堂々と天下に合併を公表いたしまして、それで公正取引委員会としての法律的見解を尋ねてまいりまして、それが十五条に触れるかどうかという点についての意見を求めてまいっておるわけでございます。交渉と申しますことがどういう意味か理解しがたいのでございますが、そういうことは事件の本来の性質上あり得ないのではないかと存じております。
#8
○中村(重)委員 私がこうして申し上げているのは、通産省と事前審査の段階において相当連携をとってこられたというようなことをそれなりに調査をして承知をして質問いたしておる。まあしかし肯定なさらない。さらに、この菊池委員と亀岡委員は合併当事者の両会社の合併担当専務と赤坂の料亭その他において会合が重ねられたと伝えられているのですが、それは事実無根なのか。
#9
○菊池説明員 その事実は全く無根でございます。実は、先ほども申しましたように、この事件の性質上、法律の解釈とそれから事実の認定ということがございまして、事実の認定につきましては、私どもの委員会の事務局でずいぶん精密な分厚い報告をしておりますが、そういう事実につきまして、われわれ経験もございませんから、会社の方から説明を受けるということは、先ほど亀岡委員が申しましたように、ございますが、そういう場所で何か取引をするあるいは交渉する、そういうことは事件の本来の性質上あり得ないことかと存じます。
#10
○亀岡説明員 ただいまのお尋ね、そういうことは絶対ございません。
#11
○中村(重)委員 菊池委員にお尋ねしますが、この合併のいわゆる事前審査の進行状態、そうした状況が新聞に絶えず報道されてまいりました。それは報道機関があらゆる努力をして取材をされるわけでありますから、そのこと自体については、これは取材権でありますから、いろいろ申し上げる筋合いのものではありません。ところが、報道機関で取材をして進行の状態について報道されてきたこと、それから内示の内容等についても、公取が内示をされる前に一つの情報として伝えられてきたことが、あまりにもぴったりしたということですね。私どももそれなりに関心を持ってまいりましたから、絶えずその進行状態についてそれなりにいろいろな情報をとってまいりましたが、どうも公取の事務局に行ってそうした進行状態について尋ねることよりも、両会社のほうへ行って情報をとることのほうがこれはもう正確だ、非常に詳しいということが伝えられてまいりました。またあなた方も、絶えず新聞等に報道されておる内容について、いつもお読みになって、それなりに関心をお持ちになったんだろうと思います。そうした報道と実際の進行状態、それから最終的に委員会で内示をお示しになったそのことと事前の情報とがぴったりしたということについて、関心をお払いにならなかったか。どういったような感触でそれを受けとめられたか、ひとつお聞かせ願いたい。
#12
○菊池説明員 新聞の報道につきましては、ずいぶん以前からいろいろ報道がございまして、おそらくいろいろの情報から推測を交えて報道されておったのかと思います。と申しますことは、各新聞によってずいぶん見方が違う、ニュアンスが違うということもございますし、まあベテランの新聞記者の方が相当実態的なこともお調べになりまして、内部でいろいろ担当の方とも御相談の上一つの方針を出していかれたのかと思いますが、しかし必ずしも事実を正確に伝えられているとは考えておりません。
#13
○中村(重)委員 それは情報ですから、ぴったりしたものがなかった、あるいはぴったり合致したということだってあるのですね。だからこの問題については、事前審査の段階も長期間であったし、新聞報道というものもそれに伴ってずっと報道されてきたのです。あなた方はその内容は秘密を守ってきた。ところがそれがずっと情報として漏れてきたということについて少しも注意をお払いにならなかったのか。それからいまあなたは正確を得たものではないとおっしゃった。ところが先ほど申し上げましたように、この内示ということを委員会がはっきりされる前に新聞情報ではもうそれがすでに出ておったということです。これは正確を得ているのです。そういうことについては、どこかに情報が漏れているのじゃなかろうかという関心を少しもお払いにならなかったのか、どうですか。
#14
○菊池説明員 実は新聞社の方も非常に取材に関しましては関心を持っておられまして、私ども会議が終わりますと、もう廊下に大ぜい待っておられて、どうだったんだこうだったんだということの御質問を、私だけではなくて各委員にも、あるいは事務局の職員にもそういうことは多々あったかと存じます。間違った情報が流れますことはいろいろ世間に誤解も与えますので、公正取引委員会といたしましては、事務局長がスポークスマンとなりまして、会議のあとに言える範囲のことは発表するということにしておりましたが、やはりなかなか言えないことが事柄の性質上たくさんございますので、それではなかなか記者諸君も満足できないというようなこともありまして、なおさらに聞きたいというようなことで参られたことがほとんど毎晩のようにございまして、各委員はばらばらにはものを言わないように申し合わせのようなことをいたしておりますが、やはり顔色とか何かで、いろいろかまをかけられたりいたしますと、察しの早い記者諸君が、それで内容をある程度想像されるというようなことはあったかと存じます。
#15
○中村(重)委員 内容に入ってまいります。この事前審査は独禁法の四十条に基づいておやりになったのかどうか。
#16
○菊池説明員 お答え申し上げます。独禁法の四十条と申しますのは一般的な調査権限でございますが、この事前審査と申しますのは、独禁法で申しますと三十五条の三の二号に、こう報に関することということが官房の所掌事務として定められておりまして、いろいろ相談がございます。簡単なことはその総務課でお答えしておりますが、総務課だけでお答えできないことは、内部で関係の部長に相談して答えるということになっておりまして、ことに今回のような大きな問題につきましては、これは委員会として相談しなければ部局で答える問題ではございませんので、そういう関係でいわゆる事前相談、行政相談ということをやっておりますので、四十条ということは、この事前相談とは直接関係がないわけでございます。
#17
○中村(重)委員 苦しい答弁をなさらぬで、そのものずばりお答えください。私は四十条によるいわゆる強制権限に基づく調査をやったのかと聞いたのだから、やらなかったならやらなかったと、ほかの条文でやったのならやったと、そうでなくて独禁法によらないで、いわゆる法律相談でああいうふうなことを任意でおやりになったのならなったと私にそうお答え願えればけっこうです。
#18
○菊池説明員 御質問の意味を取り違えまして、失礼を申し上げました。今回の調査におきましては四十条の強制調査はやっておりません。
#19
○中村(重)委員 それでは任意でおやりになった……。
#20
○菊池説明員 任意と申します意味、また取り違えては申しわけないわけでございますが、私どもの仕事は、必ずしも違反事件であっても全部強制権限――これは罰則が伴うものでございますから、特にこの四十条につきましては違反者でも何でもない一般的な調査権限で、場所もきまっておるわけでございますから、これを発動するには、よほど必要があるということでないと、従来も発動しておりません。審査の違反事件につきましても、任意審査というものもございまして、すべてにこの強権を発動しているわけではないのでございます。今回の事前相談につきましては、各方面にいろいろな角度から調査をいたしておりますので、いままでその措置を、四十条の発動はしておりません。
#21
○中村(重)委員 独禁法の、法の根拠に基づいてやったのかどうかということです。やったのなら何条に基づいてやったのか。
#22
○菊池説明員 独禁法の強制的な権限ではやっておりません。
#23
○中村(重)委員 独禁法のいわゆる法の根拠に基ついてやったのではない、こういうことになってくると、何によっておやりになったのですか。十カ月問そのまままるまるやったわけではないとおっしゃるのだけれども、伝えられる十カ月、相当長期間に、しかも真剣に、慎重におやりになったのだろうと思う。その間、再販問題にいたしましても、不当表示の問題にいたしましても、その他審判、審査案件というものは山積みしている。私はそれを犠牲にしてでもおやりになったのだと思うのだ。ならば独禁法のいわゆる一つの根拠に基づいておやりになったのではないか、こう思っているのだが、それはどうなのかと言っている。だからそういう必要はないということならば、その根拠は何か。
#24
○菊池説明員 ただいまの御質問の中には、予備審査そのものが独禁法のどういう法文に基づいておるかというお尋ねと、独禁法の審査あるいは審議の対象になっている資料をどういうふうにして、どういう根拠で集めたのかという御質問と二つあったように存じますが、独禁法による事前審査と申しますのは、条文といたしまして、先ほど申しましたようにこう報ということでやっておりますが、これは合併という事の性質上、従来もこの予備審査ということは行なわれておりました。と申しますのは、もし合併契約を結び、株主総会を開いて届け出いたしてまいるということになりまして、もしそれが法律に触れるということになりますと、無用な手続的な混乱も起きますし、またわれわれといたしましても、三十日延ばしましても、限度があるわけでございますが、そういう大きな問題を扱うのには、なお慎重に内容を調査できるわけでございますから、そういう意味において従来もずっと慣例として行なわれておりまして、これは非常に有効に働いておったかと存じます。
 なお、その資料につきましては、先ほど申しましたように、いろいろな資料がございまして、われわれといたしましては、判断をするに足る資料がありますれば、必ずしも強制権限で集めた資料だけに基づいて判断をするというわけではございませんで、任意の審査事件についてさえもそういう審査がございますが、要するにわれわれとしては、事実を正確に認識し判断できればよろしいわけでございますから、いろいろ統計資料等もございますし、また需要家から聞きました、販売業者から聞きましたり、ずいぶん広範囲にわたりまして膨大なヒヤリングをいたしております。現在のところ、そういう資料で判断できると存じ、特に四十条を発動して強制的に出させるということの必要を感じませんで、現在まで発動しておりません。
#25
○中村(重)委員 尋ねないことまでお答えになったが、事前審査を法に基づかないでやっているわけだ。独禁法に基づいてやるといろいろ混乱がある、また期間の制約もある、そういうことをおっしゃった。期間の制約があるのだから、制約のないような方法をおとりになればよろしい。なるほど、あなたがおっしゃるように、事前審査というものは今日までやってきた。やってきたけれども、それは中小企業等の合併件数が非常に多い、これを処理するには事前審査というものが必要であるということで、いわゆる市場支配的な弊害を生ずるものでないから、したがってそういう便宜的な方法をお選びになってきたということがあるのです。大型合併については、先般の王子製紙の合併の際にその道をお選びになった。これは私ども問題があると考えておった。ところが、また今度八幡、富士に対して事前審査ということをおやりになったのだが、いまあなたがお答えになった事前審査でやらなければいけなかった、いわゆる独禁法に基づいてやるということは混乱が生ずるのだと言うが、どういう混乱で生ずるのか。それから制約があるとおっしゃるのだが、制約がないような方法というのはあるのでしょう。四十九条の審判の道をお選びになれば、何も期限の制約なんというのはないじゃありませんか。なぜにそういう道をお選びにならなかったか。いまあなたが言われるように、非常に重要な合併案件であるとするならば、あなた方は事前審査なんという安易な道、いろいろな問題が介入してくるおそれのある道をお選びになるのではなくて、厳正な一つの審判という形をもって国民の前にいささかも疑念や疑惑を持たれるようなことがないような道をお選びになることが正しかったのじゃないか。なぜにそういう道をおとりにならなかったのですか。
#26
○菊池説明員 お答え申し上げます。事前審査というものにつきまして疑惑を持たれるというおことばでございましたが、これは先ほどから申し上げておりますように、個々のネゴシエーションとか取引とかなんとかではございませんで、はっきりと大きな会社が合併したい、それに関するいろいろな資料は統計的にもたくさんございまして、それが独禁法に該当するかどうかということを審査いたしますのにも一人でやるわけではございません、委員会できめておるわけでございまして、そこに疑惑が生ずるということを私どもは十分納得することができないわけでございます。
 それで、審判手続ということもございましたが、審判手続と申しますのは、独禁法に違反する事実があると思われるときに審判手続をするわけでございまして、違反するかどうかわからないけれども、ともかく審判にかけてやってみようということではないわけでございます。最初にある四十八条のほうで勧告するか、あるいは勧告のかわりに審判開始をするという手続がございまして、いきなり審判手続にすれば公明であるというお話でございますが、それはこちらが違反すると認めたものについても、なおそれでもこれは実行するのだ、争うつもりで実行するのだということでありますれば、そういう届け出が出てまいりますれば審判手続ということになるわけでございますが、会社側が、自分は違反する合併はするつもりはありません、違反しないつもりではありますが、もし違反するのだったらこれは指摘してください、こういうことでいっておりますものを、いきなり審判手続に付してしまうということは独禁法の制度上むずかしいかと存じます。
#27
○中村(重)委員 それはおかしいのだ。八幡、富士が生産しておるレール、これが一〇〇%であるということは、あなた方が今日までやってきた集中度の調査の中において資料としてはっきり出ているのでしょう。ブリキでもそうです。鋼矢板でも九六%なんというのは今度事前審査をやって明るみに出てきたのじゃないのです。あなた方がつくられた資料を持ってきてお答えを願ってもけっこうですけれども、公取はそのくらいのことはわかっておったのだ。大体三〇%程度というのが市場支配の一つのめどになる。しかし、それが一〇〇%であるとか九六%であるとか、両社が合併をするということになってくると、これは明らかに独禁法違反であるというようなことは明るみに出るのじゃありませんか。あなた方が黒ということで出された三つ、そのことは何も事前審査をしなくたってわかっている。そういうはっきりした大型企業の合併というような場合においては、法に基づいてやられることが一番よかったのじゃありませんか。期限の制約があるからということですが、申し上げたように、四十九条は期限の制約はありません。なぜに堂々とやれなかったのですか。
#28
○菊池説明員 先ほど期限の制約ということをちょっと申し上げましたけれども、これは別に本質的な問題ではなくて、従来そういうことも行なわれてきたということを蛇足ながらつけ加えたわけでございます。法律上の根拠に基づいて申し上げますと、事前相談ということは、正式に合併の届け出を出す前に意見を聞いてきておるわけでございますから、会社側の正式な届け出の受理からいろいろ期間が始まりましたり、いろいろ法律効果が始まるわけでございます。それの前に、非公式に相談してきているという段階で、しかも会社はあくまで違反の合併をやろうということをいっておるわけではございません。なるほど御指摘のように、シェアは高い品目もございますが、この十五条の判断をいたしますときに、シェアそのものももちろん一つの大きな判断の材料、ファクターになりますけれども、ただそれだけで全部割り切る、算術計算してある限度以上のものはいかぬというように簡単に割り切れる問題ではございませんので、いろいろそこに実態も調べ、また何もレールだけのために時間がかかったわけではございませんで、たくさん品目がございますから、それを一つ一つ入念にやってまいりますと、すぐ何カ月というものがかかってしまったわけでございます。
#29
○中村(重)委員 事前審査で十分な資料が入手できますか。
#30
○菊池説明員 十分と申します意味いかんによりますけれども、私どもは判断するに必要な資料は集まっておると考えております。
#31
○中村(重)委員 あなた方が必要と判断した資料は入手できたというと、八幡、富士に対して資料をお求めになったと思うのですが、要求した資料は全部入手できましたか。
#32
○菊池説明員 八幡、富士に注文したもの全部が集まっているかどうか、ちょっといま具体的には承知しておりませんが、たとえばこちらが知りたいと思うようなことでも、事の性質上できないというようなこともありましょうし、またいろいろ商売上の仁義と申しますか、そういうことで出せないものがあったかもわかりませんが、それを補って余りある資料を別の方法で集めて、判断をいたしております。
#33
○中村(重)委員 会社を中心に合併するのですか。あるいは日本の鉄鋼業の発展、日本の経済の発展をはかるということを目的として、そういうことのために合併をお認めになるのですか。どっちですか。
#34
○菊池説明員 私どもは、積極的に合併を認めるとか認めないとかということはないわけでございまして、法律に違反する合併は認められない、逆に法律で禁じられてない合併を阻止するいわれもないということでございます。昔の独禁法においては、生産とか販売とか経営の合理化にならない合併はいけないとか、そういう規定もございまして、合併のメリットがどうということが法律上の要件にもなっておりましたが、現在はそういうものが削除されておりまして、競争の実質的制限になるかならないか、あるいは不公正な取引方法によって行なわれているかどうかということが、十五条で判断すべき基準になっておると存じます。
#35
○中村(重)委員 長い間御調査になったのだから、そこで正式な届け出が出て、その内容が全く同じであれば、あらためて調査をする必要はないのでしょう。どうですか。
#36
○菊池説明員 いまの御質問の趣旨は、一応問題点を指摘したにもかかわらず、前に出してきた案と同じもので出してきたらばそれを認めるかどうか、こういう御質問でございますか。ちょっと質問の内容を……。おそれ入ります。
#37
○中村(重)委員 あなた方は調査をしてきましたね。事前相談という形でもって調査してきたのです。それで今度正式届け出をしてきましょう。問題を指摘しましたね。指摘してきたことが対応策としてそれが解明されるという形が整ってさえおれば、あらためて調査はやらないでしょう。
#38
○菊池説明員 お答え申し上げます。まだ対応策が出てまいりませんから、具体的にどういうものが出てくるか、仮定の問題でございますが、正式にきめます前に公聴会というようなことも一応考えておりますので、いまここでそれを認めるかどうかということを最終的にお答え申し上げることは困難でございますが、ただ、独禁法上問題がない合併は、これはとめることはできないかと存じます。
#39
○中村(重)委員 委員長の答弁は二転、三転したのだけれども、委員長の記者会見の中でも、前のと全く同じであればあらためてやる必要はありません、違ったのがあれば、これは厳正にやります、当委員会で武藤委員の質問に対してもそのとおりお答えになったわけです。だから、前のと全く同じであればあらためてやる必要はありません、違ったのがあれば厳正にこれをやりますという委員長の答弁、そのとおりお認めになりますか。――わからなければもう一ぺん言います。
#40
○菊池説明員 申しわけございません。ちょっと御質問の意味を理解いたしかねましたので……。
#41
○中村(重)委員 事前審査をして内示した。そこでそれに対する対応策というものが出てくるということになれば、あなた方は合併を認めようという態度でしょう。どうですか。
#42
○菊池説明員 お答え申し上げます。その対応策が独禁法上の問題を解消しているものであれば、それを禁止することはできないわけでございます。
#43
○中村(重)委員 独禁法上の問題を解消しておればという、独禁法上の問題というのはどういうことですか。
#44
○菊池説明員 独禁法上の問題と申しますのは、十五条で規定されております、一定の取引分野における競争を実質的に制限するかどうか――不公正の取引の問題もございますが、さしあたりはこの問題が中心でございます。
#45
○中村(重)委員 その問題はあとからまた尋ねますが、先ほどお尋ねした、事前審査の段階で書類を出してきましたね。そこで、あなた方が指摘したことが対応策として出てくる、それが独禁法上問題でないということであれば、それ以外やらないのだから、あなた方が内示の段階で示したことに対する対応策が出てくるわけだから、いわゆる三品種を中心にしてですね。その他の資料としていままで出してきて、あなた方が会社から出してきた資料を中心にしてやったのだから、その他いろいろなものはあったでしょうけれども。だから、そうした資料でやったのだから、その対応策さえ出てきたら、それが独禁法上問題にならないというふうに判断すれば、あらためて調査のやり直しはしないのでしょう。それならわかるでしょう。
#46
○菊池説明員 従来の調査資料で判断してまいりまして、特に四十条の発動もしてまいりません、いまごろになって何か別のことを考えるということは趣旨も一貫いたしませんし、御指摘のとおりだろうと思います。
#47
○中村(重)委員 それではお尋ねいたします。
 あなたは先ほど私の質問に対して、必要な資料は入手いたしましたか、こう聞いたところが、事柄の性質上全部が全部というわけにはまいりません、商売上はやはりいろいろ出せないものもありましょう、こうおっしゃった。ということは、向こうに都合の悪い書類は出してない、八幡、富士に都合のいい書類ばかりが出てきたということになるわけだ。そういう不十分、不完全な資料をもとにして白、黒、灰色なんていうお答えをお出しになったんだ。そこで、その三つの品種に対する対応策が出てきたら、それでこれは独禁法上問題でないということが言えますか。
#48
○菊池説明員 先ほど、会社に要求したものが全部出たとは申しませんということを申し上げましたが、それはそういう特別な事情があって出せないということでございまして、会社は自分の都合のいいものだけを出して都合の悪いものは隠す、そういう前提で考えますとそういう疑義はございますが、しかし大体鉄鋼業というようなものにつきましては、いろいろな統計がございますので、そういうことはできません。もうすぐわかることでございます。なおそれにかわる、あるいはそれを補って余りある別途の調査、たとえば販売先がどうだこうだという内訳になりますと、販売先に対するいろいろ会社同士の問題でございますからデリケートな問題があるかもわかりませんが、そういう場合に需要者のほうからとりますればこれがよくわかるというようなことで、いろいろな方法を合わせまして判断いたしましたわけで、会社の都合のいいものだけを基礎にして、都合の悪いものはわからないままに判断したと、こうわれわれは考えておりません。
#49
○中村(重)委員 あなたは八幡、富士の社長じゃないんですよ。都合の悪いものを出したか都合の悪くないものを出したか、あなたがわかりますか。わからぬでしょう。必要だから要求したんでしょう。いいですか、要求した資料を得ないで十分な調査ができたということが言えますか。必要だから要求した以上は、当該合併会社からその資料を提出をさせて、そしてこそ初めて十分な調査ができるんじゃありませんか、どうですか。
#50
○菊池説明員 お答え申し上げます。大体会社に要求いたしました資料はずいぶん分厚いもので詳細に出ておるわけでございます。ただ特定の問題についてそういうことがあった――私詳しく全部いま承知しておりませんが、たとえば個別品種の原価計算というようなことになりますと、これは原価計算の方式がいろいろございまして、個別品種に分けて幾らかということは非常にむずかしい作業でございます。しかもそれは各社みんな別々にやっておれば各社を比較することもできないというような、そういう特別な問題につきましてでございまして、一般的には、会社は協力して分厚い資料を出してきておるのであります。それをいろいろな角度から検討しましても、私は経営者でございませんけれども、会社に都合の悪いものを隠してというような性質の資料、そういうことがあればすぐいろいろな角度から調べておりますので、わかるわけでございます。そういう偽りがあったとかあるいは隠してあったとかいうようなことは、いままでわれわれとしては全然……。
  〔「要求したものは全部出したかということな
  んだ」と呼ぶ者あり〕
#51
○中村(重)委員 そう会社の立場に立ったようなことをお答えにならぬで、求めた資料を会社から断られたんでしょう。それでは十分な調査ができないじゃありませんか。あなた方は何も相談しなくたって、一人一人独立の権限を持っているんだ。だから責任を持ってお答えなさい。
  〔「会社の茶坊主じゃないぞ」と呼ぶ者あり〕
#52
○菊池説明員 決して会社の代弁をしておるわけではございませんで、われわれとして判断するに必要な資料は集まっていると考えましたので、四十条を発動しなかったわけであります。
#53
○中村(重)委員 必要と認めて要求した資料が断わられたのだから、それじゃ必要な資料は集まっていないじゃないですか。
#54
○菊池説明員 お答え申し上げます。実は、最初にいろいろ資料を要求いたしましたのにはいろんな資料がございまして、まず問題がはっきりしますれば、その問題の確認のために必要なものといってはっきりできるわけでありますが、全体の全貌をつかむということがありまして、いろいろな関係のものを一応要求した。これはどうしても出さなければいかぬ、あるいはほかの方法がないということではございませんで、いろんな範囲のものを要求したわけでございまして、それが必ずしも全部提出できるかどうかということを、出せれば出してもらいたいということで、そういう性質の資料も――出なかったものにつきましては、十分それにかわる措置を講じておるわけでございまして、そのものをわからないままで済ましておるというわけではございません。
#55
○中村(重)委員 私が、強制調査を四十条に基づいておやりなさい、なぜにやらなかったのか、こう言ったのは、そういう問題が起こるから、四十条に基づいて職権調査をやれば起こってこないのだ、だからなぜにそういう道をお選びにならなかったのか。国民の前にそういうあいまいな態度で納得してもらうことができると考えるのか、あなた方は。もう一度お答え願います。
#56
○菊池説明員 私どもはいままで出ております資料で判断できると確信しておるわけでございます。
#57
○中村(重)委員 要求をしたのでしょう。断わられたのでしょう。要求は不必要なものは要求しないのですよ。必要だから要求したのですよ。それを断わられたのですよ。断わられておいて、十分な調査ができたということが言えますか。しかも武藤委員の質問に対して、山田委員長は、前と同じような資料、内容、そういうものであれば、あらためてやる必要はないということを答えた。記者会見の中でもそういうことを言っておる。私は新聞の切り抜きを持っておる。ならば、不十分な資料でやっておいて、前と同じならばあらためてやる必要はありません、そういうことが言えますか。
#58
○菊池説明員 必要とする資料が欠けたままで判断したわけではございませんので、それを補って余りあるいろいろの角度から十分な調査をいたしたわけでございます。決して、それを断わられて、そのままでわからないままに事を済ましているわけではございません。
#59
○中村(重)委員 そうした資料の要求というようなことをやって、断わられるということを防止するためにも、公明正大、厳正公平に調査をするためにも独禁法に基づいて調査をする、こういうことであればよかったのだ。その必要は認めませんでしたか。
#60
○菊池説明員 先ほども申し上げましたように、公正取引委員会の仕事で判断いたします上に、いろいろ資料を集めたり調査をいたしますけれども、これを四十条の罰則を伴う強制調査でやっておるというようなことはございませんで、事実上そういう必要な資料は集まっておるわけでございます。したがって、四十条を発動しない資料は信頼できない、不明朗であるということはないかと存じます。
#61
○中村(重)委員 そういうことでわれわれの質問に対して正確に答えることになりますか。必要な資料を得なかったのでしょう。求めたけれども、断わられたのですよ。不必要な資料を要求したのですか。
#62
○菊池説明員 必要ないものを求めることはございませんけれども、しかし、こちらは自分で資料をつくるわけでございませんから、あるいはできないものというものがあるかもわかりませんし、あるいはは必要なものを要求して断わられた――断わられたと申しましても、それを補って余りあるほかの方法で十分それを調べたわけでございますから、それを考えに入れますれば、ただ対会社関係だけで要求した資料だけで判断しているわけではございませんで、非常に膨大な関連業界から、販売段階からずいぶんいろいろ資料を集めておりますので、必要な資料なしに判断したということは私ども絶対に考えておりません。
#63
○中村(重)委員 答弁にならないのだ、そういうことでは。八幡、富士に求めなければならぬ資料であったから、審査をする上において必要であったから求めた、ところが断わられた。何でそれがほかで満たされることができますか。そういうあいまいな答弁では、われわれが納得できないし、もちろん国民だって納得できないでしょう。もっと責任をもって答弁しなさいよ。
#64
○菊池説明員 たとえば、販売先のことに関する事項でありましたら、売り手から調べましても買い手から調べましてもわかるわけでございまして、そういうようにいろいろの角度からの調べ方がございますので、そういう点を不十分にしてやったということはないと責任をもって考えております。
#65
○中村(重)委員 思いつきみたいな答弁をしないで、まともに答弁してもらわなければ困る。あなた方は私が言っているいわゆる独禁法四十条に基つく強制調査をやるべきである。それがより正確により公正に調査ができる。あえてあなた方はできることをやらなかった。四十九条の審判、現に石川中央青果の場合だって、石川魚市場の場合だって、それをやっておる。それが八幡、富士に対してどうしてできないのか。そうしてしかも、そうした任意という形でやって十分な資料が得られておればまた別、得られない。そういうことでは、あなたが答弁している法に基づいてやらないで任意審査でやることのいわゆる効果というようなものは、これはもう全然考えられないじゃありませんか。どうですか。
#66
○菊池説明員 お答え申し上げます。ただいま御質問の中に名前のあがりました、たとえば石川青果市場の問題等は、こちらがそれは問題があると指摘したにもかかわらず実行したということで審判手続になっておるわけでございます。こういう例は非常に希有の例でございまして、審判ということは、非常に時間もかかりますし、裁判で争うにはなお時間がかかる。合併問題でそういうことをやる例は非常に少のうございまして、(「何のために法律に書いてあるのだ、審判するように」と呼ぶ者あり)そういう場合には審判手続をやるわけでございますが、それ以外の点につきまして、四十条の強制調査で得た資料以外は信頼できないということは私ども考えておりません。もし四十条でなければ信頼できないということであれば、初めから四十条でいくべき問題かとも思いますが、われわれとしては、四十条以外の資料につまましても、従来判断の資料として十分役立って集いっておるわけでございます。
#67
○中村(重)委員 求めた資料を断わられておいて信頼ができると言えますか。それから石川の場合においては、それはいわゆる違反になる、こう考えたからやった、そういう答弁だったでしょう。八幡、富士の場合だって、明らかに独禁法違反になるということは、これは調査をしない前からはっきりわかっている。だからして四十条に基づいて強制調査をする、四十九条に基づいて審判をやる、それが一番正しかったんじゃないですか。
#68
○菊池説明員 お答え申し上げます。石川県の青果市場につきましては、こちらがいかぬというのに向こうが実行してしまったわけでございます。それで審判開始の手続をとったのでございまして、向こうがそれでは違反になるからやめますといってやめるものを、こちらが審判手続でなお追及するということはないわけでございます。
#69
○中村(重)委員 いずれにしても、法に基づいて強制調査をやっておれば、必要な資料というものをあなた方はどんどん入手することができる。立ち入り検査だって何だってできる。それをやらなかったから、それができなかった。だから向こうからも断わられて何とも言えなかった。それでは不十分な調査ということになるのです。完全なものではない。不完全なものでやって、前と同じ内容であればあらためてやる必要はない、そういう不十分、不完全なものでやって白を出したり黒を出したり灰色を出したり、そんな無責任な公取がありますか。独立した権限を持ってあなた方は職責を全うしておるということが考えられますか。しかし、この問題にばかり時間をとってもしようがない。委員長、こういう答弁ではしようがない。だから、そこはあなたのほうで配慮してもらいたい。
 それから、内示されたんだが、どうしてこの内示をするというような積極的な態度をおとりになったのです。
#70
○菊池説明員 内示は、向こうから意見を聞いて、これでどうですかという内相談がありましたので、それに対する回答でございまして、積極的にどうしろこうしろということではございません。
#71
○中村(重)委員 いわゆる法律相談をやったのですよ。これとこれは黒でございますぞ、これは灰色ですよ、これは白ですよといって、あなた方は積極的に合併に対するいわゆる必要要件を満たす対応策を出す、そのことをお示しになったんだから、それは積極的じゃありませんか。これが積極的ということばでなくて何があるのです。教えてください。(「入学試験のときに試験の答案を教えたと一緒じゃないか。何を言っているか。入学試験の前に試験の答案を教えるばかがどこにある」と呼ぶ者あり)
#72
○菊池説明員 この事前相談と申しますのは、あらかじめ法律違反になるかどうかということを尋ねてまいって、それに回答することでございますから、公取の法律上の見解とか、そういうことを回答するために行なわれるものでございまして、ただいまちょっと入学試験の問題もございましたが、入学試験の問題というのは、お互いに競争さして、公平な試験によって、そして合格者をきめるという制度でございまして、(「試験の競争よりこの競争のほうがきつい」と呼び、その他発言する者あり)ある一部のものに答案を教えるということは、これは不公平なことでございますが……
  〔発言する者あり〕
#73
○大久保委員長 不規則発言は慎んでください。
#74
○菊池説明員 この問題は別に向こうが、当事会社が法律も何もわからないで、公取の考え方もわからないで、ただ合併の申請を出す、それがだめになる一だめになってもやるというつもりならば別でございますが、法律に違反するものはしない、したくないということで聞いてきておりますものに、これはこういうことだから問題がある、そういう違反をするような合併はさせないようにするということは、試験問題を教えるというようなこととは全く別に、法律の違反がないように予防と申しますか、そういう意味もございまして、しごく当然のことで、批判されるようなことはないと私どもは考えております。
#75
○中村(重)委員 それは試験問題に対する答案を教えたと同じじゃないか。合併をすることに対していわゆる法律相談、内相談という形でやった。そうしてこれとこれは合併することについて違反になるぞ、これを直してこなければだめだぞ。ああそうでございますかといってそれを直してくる。それをあなた方は認める。それは試験の答案とどう違うか。どこが違うか、それを教えてください。
#76
○菊池説明員 お答え申し上げます。そもそも合併ということが、ちょうどカルテルのように、たとえば価格協定するというように、そのものが悪いということでありましたら、何かカルテルをこっそり結びたい、それに対して法律にひっかからないような、脱法はないか、こういう質問でございましたならば、これはわれわれとしては答えるどころか、それをとめなければいけないわけでございますが、合併というのはどこでもみんな会社があっちこっちやっておるわけでございまして、法律上合併そのものには違法性はないわけでございます。したがいまして、法律でも従来認可制であったものが届け出制になり、合併を公取が審査する基準も法律の改正で変わってきておるわけでございます。法律に触れる合併はいけない、触れない合併はいいということでありまして、やみカルテルの何か脱法のしかたを教えておるのと、この合併の事前相談ということは全く違う性質のものである、こういうふうに考えるわけでございます。
#77
○中村(重)委員 さっぱりわからないんだ、あなた方は。だから、そういうまぎらわしい、試験の答案を教えたというような批判を免れるためにも、堂々と法律に基づいてやればそういうことが起こらなかったんですよ。明らかに試験の答案じやありませんか。私がどうして内示という積極的な道をお選びになったのですかということに対して、それは当然だ、こうお答えになった。それならば聞きますよ。条件つき認可とは何ですか。
#78
○菊池説明員 お答え申し上げます。条件つき認可ということはちょっと私理解しかねるわけでございます。
#79
○中村(重)委員 条件つき認可、理解しかねる。あなたは新聞を読んでおるんでしょう。この合併の問題については無関心じゃないでしょう。条件つき認可はあり得ない。法にもない、こういうことが盛んに議論されておる。委員会でも記者会見の中でもそれが盛んに言われておる。それならば条件つき認可とは何かといえば、どんなものかというお答えはできません、私はわかりません、そんなばかなことはないでしょう。やぶから棒に私はそういう条件つき認可の問題をお尋ねしたのじゃないのですよ。
#80
○菊池説明員 私が条件つき認可はわかりませんと申しますのは、法律上どういうことを考えて人が使われておるのかということがわからないというわけでございまして、認可ということはそもそもないわけでございます。昔は認可ということがございましたが、いまは届け出になりまして、受理してから一定の期間たてば成立するわけでございまして、そもそも認可ということがないわけでございます。その上に条件つきと申しますのは、認可ということがないわけでございますから、条件つき認可ということも、これは世上新聞には……
  〔発言する者あり〕
#81
○大久保委員長 不規則発言は慎んでください。
#82
○菊池説明員 ただいまの御質問は、条件つき認可とはどうかとお尋ねになりましたので、条件つき認可ということは法律上ない、第一認可ということがないというふうにお答えしたわけでございます。新聞であるいは書かれておるかもわかりませんが、それは、おそらくある条件が排除されて、独禁法上問題がなくなれば認可になるだろうという、一つ先を読んでそういうことばを使っておるんじゃないかと存じます。私どもは条件つき認可ということばを使ったことは一ぺんもございません。
#83
○中村(重)委員 そういう形式論を私は尋ねておるのじゃないんだ。ノーと言えば合併はできないんですよ。王子の場合そうでしょう。事前審査の場合で、あなた方がノーという態度だったから、これは合併ということに進まなかったのだ。八幡、富士の場合だって、あなた方がノーと言えば合併はできないのですよ。オーケーと言うから合併できるんです。だからオーケーと言う条件は、あなた方が答案を教えてきたんだから、それが出さえすれば、これはあなた方はその合併を認めるのですよ。法律用語に認可があるとかないとかという、そういう形式論をここで議論をしているのじゃない。実体論で議論したらどうですか。それじゃ、あなた方は、届け出をして、一つの期間がたてばそのまま認められるのだというならば、八幡、富士のためになぜ事前審査をしているのですか。十五条は何のためにあるのです。
#84
○菊池説明員 お答え申し上げます。十五条は、すべての合併を――ちょっとこれは形式的に申しますと、すべての合併がいいわけではなくて、一定の取引分野の競争を実質的に制限する場合にはいかぬ、われわれはそれを厳重に監視していく職務を持っておるわけでございます。ただこれは一定の取引分野を制限しない合併まで禁止することはできないわけでございまして、ただ最初から合併は悪いものだ、あるいはいいものだときめてかかることは、この制度上できないということを申し上げただけでございまして、その点何もルーズに取引をして、実際には競争制限になるけれども目をつぶろう、合併を成立させようということは、全然公正取引委員会としては考えておりません。
#85
○中村(重)委員 十五条の問題はあとから尋ねます。
 あなたは先ほど、私が内示という形の積極的なことをおやりになったのかと聞いたのに対して、少しも積極的ではありませんとお答えになったわけです。私は、あえてそれを申し上げているのは、私が前に質問をしたときに、公取委員長が、こちらから積極的に指示をするようなことはないであろう、けれども聞かれれば、事前相談であるからある程度のことは言うかもしれないこともあり得る、こういうような答弁をしておるんだ。だから、ここで私が、積極的にどうして内示というような態度をおとりになったのか、こう言っているのは、内示、それに対する対応策が出てきたらば合併を認めることになるわけですから、このくらい積極的なものはないのですよ。山田委員長が私の質問に対して答えておるとおりであるならば、これとこれはだめなんですよというようなはっきりしたものを内示するということは、前の答弁に対して、これを否定することになるんですよ。どうですか。
#86
○菊池説明員 お答え申し上げます。私その速記を読んでおりませんけれども、いまお聞きいたしますところによりますと、積極的にどういう対応策をとれとか、そういうことは指示しないけれども、向こうから相談をかけて、聞いてきておるわけですから、聞かれれば返事をする、ただ首を横に振って、黙って、だめだあるいはいいというんじゃなくて、そこにどういう法律上の問題でどこに問題があるかということを聞かれて回答した、たのまれたので回答したということであろうかと存じます。
#87
○中村(重)委員 たのまれたんだからある程度のことを何かぼやかしたような形で言うたんじゃないですよ。はっきり食カン用ブリキ、鉄道用レール、鋳物用銑鉄、これは黒だ、鋼矢板については警告というような形にとれるですね。稻山さん、この合併当事者は、これを警告程度で済んでほっとした、こう言っているのですよ。しかも、対応策がなくて困っておったんだけれども警告程度にとどまるのでほっとしたと言っているのは、あなた方がまだ内示する前ですよ、両方の会社がそうした談話を発表しているのはね。だからある程度のことでも何でもないのですよ。もうはっきりしているのですよ。これがどうして積極的ではないですか。山田委員長が私に答弁したこととは違うじゃありませんか。
#88
○菊池説明員 山田委員長がどういう御趣旨でお話しになりましたか、私そこまで伺っておりませんので、かわりに責任をもってお答え申し上げることはできませんけれども、独禁法に違反になるかならないかという事前相談、違反になることはしたくない、違反にならないならばしたい、どうですかというふうに意見を尋ねられたときに、ただだめだというのでは、どこがだめなのか――やはりそこにわれわれとしての法律上の見解ということを聞いてまいっておりまして、またほかの独禁法の相談におきましても、何か相談を受けて、ただ理由も言わずに首を横に振ったり縦に振ったりということではなくて、やはり独禁法上の問題をよく理解していただくために説明するということは幾らでもある例でございまして、それを積極的に、ではこうしなさい、ああしなさい、こういうふうにして合併しなさいというようなことを申しますれば、これは積極的な助言になる――と申しますか、そういうことになりますけれども、どういうところに問題があるか、問題がなくなるならば、問題のない合併を禁止しておる規定は独禁法にはないわけでありますから、それを何か公取が無理に違法になる合併を成立させるというような感じに受けとられますことは、公取の私どもといたしましては本意ではないわけでございます。中村(重)委員 事前相談、内示、対応策、認可――これは認可ということばは使わぬが、合併を認める、それでは条件つき合併承認ということになるじゃありませんか。だからさっき条件つきとは何ですかと、私はそれを尋ねておるのです。条件つき認可はあり得ないと法律学者の山田さんが言っておるのだから、あえてそういうことばを使って差しつかえないと思うが、だから条件つきというのはどこから生まれてきますか、こういう場合以外に。委員会でも何回も条件つき認可はあり得ない、こう言っておる。予算委員会でも私の質問に対してそう答えておる。もう一回繰り返すと、事前相談、内示、対応策、これでこれこれをしたら認めますよ、こういうことですよ。それが条件つきではなくて何が条件つきです。
#89
○菊池説明員 お答え申し上げます。条件つき認可ということばのあれにつきましては、山田委員長がどういう意味でお答えになったかわかりませんが、そもそも法律の十五条には、こういう合併はいけない、それ以外に別に――合併は届け出で受理する、こういう法律上のたてまえでございますから、そういう法律に触れる条件がなければよろしいという、そもそもそういう広い意味においては、全部が条件つきで合併はできるかできないかということになるわけでございまして、その点につきまして、この八幡、富士の合併だけが特に条件つきでどうこうというふうな趣旨ではおそらく委員長も申されたのではないと存じます。
 なお、内示と申しますのは内示でございまして、最終的な判断は公聴会が済んで最後にするわけでございますが、おそらく委員長が言われましたのは、いままでも十分時間をかけて慎重にやってまいりましたので、そういう唐突なあれがなければそうなるだろうという一つの推測を申されたのかもわかりませんけれども、いま私がここで最終的にどうなるということを、一委員の身分で、しかも将来のことを申し上げることはできないわけでございます。
#90
○中村(重)委員 時間の関係があるから、この点は保留にして、ほかの問題を質問しますが、正式に届け出があれば、四十九条の審判を開始いたしますか。
#91
○菊池説明員 お答え申し上げます。四十九条の審判は、「前条第一項の場合において、事件を審判手続に付することが公共の利益に適合すると認めるとき」ということで、その場合には審判手続を開始することができるという規定でございまして、四十八条の一項には、いろいろ条文がございますが、十五条第一項の合併の制限の規定に違反する行為があると認める場合には、当該違反行為をしているものに対して適当な措置をとるべきことを勧告することができる。まず勧告ということも考えられるし、公共利益に適合すると認められるときは審判手続を開始することもできるということでありまして、違反する行為があると認めるときには当然勧告なり審判手続なりがとられなければならないと思いますが、違反行為がないという場合にこういう手続をとることは、法律上ちょっととり得ないことかと存じます。
#92
○中村(重)委員 どうしてとり得ないのです。対応策というのは将来の問題ですよ。現実にあなた方が黒と指摘しているように、あるいは灰色といっているように問題があるのですよ。これは違反ですよ。対応策というのは将来起こってくるのだから、明らかに違反ですよ。それならば四十九条を適用して審判をやることがあたりまえじゃありませんか。
#93
○菊池説明員 お答え申し上げます。最初に出してきました案と同じ形であれば、もちろんこれは審判手続なり勧告なりに付さなければならない。私どもがここに問題ありと指摘したものがそのまま残っておれば、これは当然問題になるわけでございますが、どんな対応策が出てくるかわからないわけでございます。したがって、いまここで私が審判手続にするのだということを確言することはできないわけでございます。対応策は将来の問題じゃないかという御発言もありましたけれども、われわれは現在だけを見ているのではなくて、どうせ合併というものは、合併した結果どうなるかという将来のことを考えているわけでございますから、それはただ根拠のない一つの想像であってはなりませんけれども、合理的な蓋然性ということで将来を考えているわけでございますから、その対応策を見なければわかりません。それを見た上で判断すべきことかと存じます。
#94
○中村(重)委員 新規参入の問題も将来を予見するのです。役員の系列会社からの引き揚げとか、あるいは株式を放棄するとか、短時日の間にできるものもありましょう、一部の問題は。その大半は、対応策はいわゆる将来を予見する。いいですか、あなた方がしっかりしてもらわなければならぬことは、合併を認めたならば分割はできないのだ、ここに問題があるのです。だから私は、任意調査なんという、事前相談なんというあいまいなことをやるのではなくて、これほど重大な合併であるから、このことについては法に基づいて厳正におやりなさい、やらなければならないのだ、こういうことを強調しているのはそのことなんです。審判手続というのは、審判開始をやると公開が原則なんだから、国民の前に堂々とこの合併について議論をして、これを認める場合は認める、認めるべきでなければこれを否定するというような態度をおとりになるということが当然であります。どうしてあなた方はそうまでこの八幡、富士の合併についてかたくなな態度をとるのですか。正式に書類が出てきたら法律の何条何条を適用しますか。
#95
○菊池説明員 お答え申し上げます。私どもは、特に八幡、富士の合併だけについて特別な考えを持って処理することは許されないことでございまして、ただいまの審判手続を開始することが必要じゃないかというお話は四十九条の条文をお考えになってお聞きになったわけでございますが、四十九条の条文は、四十八条の第一項の場合にこうしろということでございまして、違反行為等があると認める場合にはということでございますから、違反すると認めるか認めないかは今後対応策が出てきてからわれわれの判断すべきことでございまして、いまその対応策を見ない前に、これはもう違反だから審判手続にかけるのだとか、違反しないからそのまま受理するのだということを申し上げるわけにはいかない段階でございます。
#96
○中村(重)委員 だがら何条何条を適用するのか。
#97
○菊池説明員 それは十五条の規定によってわれわれは判断して、違反する行為があると認めるか認めないかということを判断するわけでございます。
#98
○中村(重)委員 あなた十五条ばかり言っていて一条は一回も口にしないのだが、十五条ばかり口にして一条を口にしないというのは、一条が念頭にないということだ。あなたに一条を朗読してもらう。だから今度は十五条でやる場合に、四十条から四十九条まで、まだあるが、すべてこれは合併についての関連した条文がここにあるわけだから、四十九条についてはこれは前条、四十八条に基づいて――四十八条だってたくさんあるんだから一項にはいろいろ関係してくる。それから違反でない違反でないとあなたは言っているが、黒だといっているのは違反があるんですよ。はっきりしているのです。しかもどうして白になるのかというと、紙に書いた紙切れで何が白になったということが言えますか。将来の予見ですよ。それならば、そういうことは四十九条の審判で、いままで入手できなかった資料等も入手して堂々とやる、これが一番正しい道じゃありませんか。公取という職務をあなた方は何と心得ているのですか。独禁政策というものの重要性をどのように認識しているのです。その条文をはっきりしてください。十五条ばかり言ったって、十五条はわかり切った話です、合併の問題を書いているということは。だから具体的な手続は正式に申請が出てから法律に基づいておやりになるのだろうから、法律に基づいてやらぬならやらぬ、やるのなら何条何条を適用してやる。四十九条があなたはいかぬというなら、それ以外に何をするのですか。
#99
○菊池説明員 お答え申し上げます。まず第一条の関係でございますが、第一条は法律の根本の趣旨を示している規定でございまして、われわれは十分に読んで承知しているつもりでございます。ただ、この十五条の規定というもの、それ以外のものも累次にわたっていろいろ改正がございましたが、一条は全然改正がないわけでございます。ということは、一条は一つの方向、大方針を示しているわけでございますが、われわれといたしましてはやはり実定的な規定に即して考えなければならないわけでございまして、もし十五条の規定が改正されておりましたら改正されたあとの規定で読まなければならぬということでございまして、そういう一条の趣旨というものは解釈の上において全然関係がないということは申せませんけれども、やはり実定法を無視して考えることはできない。こういう意味におきまして十五条十五条と申し上げたわけでございますが、これは決して第一条を無視しているわけではございません。
 それから、具体的に出てきたらどうするかというお話でございますが、いま私は、その出てきたものはどうかわらないのでありますから、いまここで審判手続にするとかあるいはそのまま受理するとかいうことは申し上げられないわけでございまして、もし違反すると認められることがなくなりましたらば、その評価はまた将来のことでございますから、どういうふうに評価するか、どういうふうに判断するかという問題はもちろんわれわれの仕事でございます。それはわれわれの任務とするところでございますが、それで問題が二つに抽象的に分かれまして、問題がなければ受理する、問題があれば勧告なり審判手続という第四十八条、四十九条に乗っていくということになろうかと思います。
#100
○中村(重)委員 先ほどあなたは答弁の中に、公聴会をやるということを答えた。それは四十二条じゃないか。答弁が支離滅裂ですよ。さっきは四十二条という条文はおっしゃらなかったけれども、公聴会をやると言ったんですよ。あなたは思いつきみたいに答弁をするから支離滅裂になるのですよ。だから私は尋ねるのだ。四十二条だけではなくて、具体的にはどの条文を当てはめて職権調査をおやりになるのですか。職権調査をやることは間違いないでしょうからね。どうですか。
#101
○菊池説明員 お答え申し上げます。ただいま四十二条の公聴会のことを申し落としました。四十八条、四十九条のことと限定して考えておりましたので、申し落としたわけでございまして、それは、四十二条の公聴会は行なわれるだろうと思います。それ以外のことは私個人でいまここでお答え申し上げることは権限以上であると存じますので、委員会で最終的な事柄が出ましたときに、これをどうするかということを相談して決定すべきものと存じます。
#102
○中村(重)委員 それじゃ、あなたが答弁できるのは四十二条の公聴会をやるということだけ、それ以外は答弁できないというのですか。
#103
○菊池説明員 お答え申し上げます。ただいま対応策が出てまいっておりませんので、われわれは、これが独禁法に違反する合併であるかどうかということは判断できないわけでございますから、それにつきましても何らお答えすることができないわけでございます。かりに違反しなければどうだ、違反すればどうだというような仮定で手続をお答え申し上げる以外にないわけでございます。
#104
○中村(重)委員 内示をしたわけだから、それに基づいて対応策が出てくるわけだから、対応策が出てきたらば強制調査をしなければならぬということだけは間違いないでしょよ。
#105
○菊池説明員 お答え申し上げます。先ほどから繰り返し申し上げておりますように、われわれは、強制調査の資料だけが唯一の信頼できるもので、それ以外は信頼できないというようには考えておりませんので、これは罰則の伴います重要な規定でございますので、私がこここでいま発動するしないということを一人の考えで申し上げることはできかねる次第でございます。
#106
○中村(重)委員 この点は保留して、通産省に質問しますが、鋼矢板であるとかあるいは珪素鋼板であるとか、新規参入の見通しがありますか。
#107
○吉光政府委員 鋼矢板につきましては、すでに御承知のとおり川崎製鉄が最近新規参入いたしました。またその前に、日本鋼管が参入いたしておったわけでございますが、いま私どもの情勢判断といたしまして、これら二社以外の社がいますから新たに新規参入するというふうな話は伺っておりません。
#108
○中村(重)委員 珪素鋼板は御承知のとおり六四・六%のシェア、鋼矢板は九六%のシェア、これを片や灰色にし、片や白にしたのはどういうことですか。
#109
○菊池説明員 お答え申し上げます。ただいま御質問の事由は個々の内容にわたってまいりますので、私がここでその事実あるいは法律適用についてのあれを申し上げることはむずかしいかと存じます。
#110
○中村(重)委員 われわれは国政調査をやっているのですよ。いいですか。だてや酔狂であなた方にここへ来てもらっているのじゃないのです。あなた方が三つを黒にし、鋼矢板を灰色にし、ほかの五品種を白にしたのですよ。その対応策が出てきたら、大型合併、巨大企業である新日本製鉄ができ上がるのですよ。そうして日本の鉄鋼業に、国民経済の上に重大な影響をもたらすのですよ。ここで、灰色にしたのは、それを私は言えません、白にしたのは言えませんとは何ということですか。いいかげんに、この委員会の審査というものをあなた方は嘲弄するような、そういう態度ではだめなんです。
#111
○菊池説明員 お答え申し上げます。私ども委員会組織になっておりまして、合議でいろいろきめるわけでございまして、各委員の個人的な見解というものをそれぞれ発表するということは適当でないということで、法律におきましてもそれを禁じられているわけでございます。
 それからもう一つは、これから公聴会を経て最終結論に達するわけでございますが、その前に断定的にある事実あるいはその法律の適用につきまして発表するということは、そういう関連からも適当ではないと思いまして、ちょっと私は申し上げかねるわけでございます。
#112
○中村(重)委員 山田委員長は、いいですか、新規参入も条件としてあげたのですよ。いろいろあげられておる。蓋然性とかいろいろあげているのです。あなたがどうして言えないのですか。そういう答弁をした山田委員長は不適当だったのですか。どうですか。山田さんが言えてどうしてあなたが言えないのですか。
#113
○菊池説明員 山田公取委員が、蓋然性を考える場合に、新規参入とか輸入とか、そういうことをあげられましたのは、一般論としてお答えになったのか、あるいは個々の具体的な品目についてお答えになったのか、私承知しておりませんけれども、個々の具体的品目につきましてのお尋ねがあったと存じますので、それにつきましてはいま私がそれを申し上げることはできないと申し上げたわけでございます。
#114
○中村(重)委員 あなた方は当事者である八幡、富士に言えたことがこの委員会で言えないのですか。
#115
○菊池説明員 お答え申し上げます。私どもは会社に対しましても、鋼矢板がどうだとかあるいは電気鋼板がどうだということは申しておりません。ただ、問題になる点がこれこれだということを指摘しただけでございます。
#116
○中村(重)委員 だからブリキとレールとそれから鋳物用銑鉄、この三つは法に触れるから、こういうことをお示しになった。こうこうこういう理由で法に触れる、鋼矢板についてはこれも疑いなきにあらずということを――あなた方は疑いなきにあらずということを言っているのです。だから八幡、富士は警告程度にとどまった。これはほかの製品を生産をするのだから、実は対応策に苦慮しておったのだから、これでほっとした、こう言っているのです。具体的に教えたから。珪素鋼板は六四・六%です。これは白にしたのです。それがどうして秘密ですか。ここでどうして言えないのですか。
#117
○菊池説明員 お答え申し上げます。繰り返して申し上げますように、まだこれは内示の段階でございまして、公聴会の手続等を経て最終的には将来きまることでございますから、いま先入観念、固定観念を持ってわれわれがものを言い、きめてしまうということは不適当かと存じます。
#118
○中村(重)委員 新規参入ということが、灰色にするとかあるいは黒にしたとかということについての大きなウエートを占めている。そのことは間違いありませんね。――わからなければもう一ぺん言いますよ。この新規参入があるということですね、鋼矢板の場合。これは新聞にも書かれているのだ。珪素鋼板の場合だってそういうことが報道されているのだから。これまたあなた方はそのことを会社に言っているから。いいですか、委員長もまたそういう意味の答弁をされた。だからあなた方は、その新規参入というようなものがあれば、あるいはあるから、これは対応策としてこの合併を認めてもよろしい、こういうようなことになるのでしょう。全然新規参入というものがなければこれはだめだ、こういうことになるわけでしょう。
#119
○菊池説明員 一般論といたしましては、新規参入ということを大きな要素として考慮に入れるということは、これは経済理論家もあるいは独禁法の学者においても一般に認めるところでありますし、また私ども従来からそういう方針でまいっておるわけでございます。ただ、新規参入と申しましても、いろいろ品物によって違うわけでございまして、技術的に非常に容易である、あるいは設備に金もかからない、だれでも参入できるという場合と、そうでなくて、技術的にあるいは資金的に制約があって、ある程度限定されたものでなければできないというようないろいろ程度がございますけれども、そういう品物に応じまして、どこまでを、どういう事態を新規参入の考慮に入れるか、どうそれを評価するかということは、これは品目ごとに違うわけでございますけれども、一般論といたしましては、新規参入ということは考慮に入れておるわけでございます。
#120
○中村(重)委員 鋳物用銑鉄が五四・二%で黒になっておる。鋼矢板が九六%で灰色になっておる。珪素鋼板が六四・六%で白になっておる。このことについて、いわゆる新規参入というようなことが灰色にしたり白にしたりすることの要件になっていることは間違いないでしょうが。それが言えないのですか。
#121
○菊池説明員 先ほど一般論として申し上げましたが、新規参入ということは具体的品目によって評価のしかたが違いますけれども、それは考慮に入っていることは事実でございます。
#122
○中村(重)委員 それが大きな要件であることは問題いありませんね。
#123
○菊池説明員 そのとおり、大きな要件でございますが、全部の要件ではございませんし、いろいろ考えなければならないことがございますので、そのうちの一つの要件であろうと思います。
#124
○中村(重)委員 大きな要件であることに間違いない。そうすると、お尋ねをいたしますが、王子製紙の合併を認めなかったのはどういうことですか。
#125
○菊池説明員 王子製紙を認めなかったということはございませんで、会社側が取り下げたわけでございます。
#126
○中村(重)委員 そんな子供だましみたいな答弁をしてはだめですよ。事前審査の段階で、大昭和製紙というものがあったけれども、合併を認めたら市場支配というような形がやはり存在するからだめだと、あなた方は事前審査その他の段階で難色を示したから、この合併は認められないというので王子製紙は取り下げたのです。あきらめたんでしょう。どうですか。
#127
○菊池説明員 王子製紙はどういう判断で取り下げたか、あるいはこれは非常にむずかしそうだと思って取り下げたのかもわかりませんけれども、私どもとしましては、王子製紙について正式に委員会できめたことはございません。その前の段階で取り下げたわけでございます。
#128
○中村(重)委員 事前審査の段階で王子製紙の場合は、あなた方はこれは市場支配になるということで、いわゆる十五条に基づくところの競争を実質的に制限をする、こういうことだからこれは見込みがないというので王子製紙はあきらめた。ところが八幡、富士の場合においては、鋼矢板が九六%、珪素鋼板が六四・六%だけれども、川鉄であるとかあるいは日本鋼管であるとか、先ほど局長が答弁をしたようにそういう新規参入がある、将来予見される、だから市場支配にならないであろうということでこれを認めた。王子製紙の場合は、大昭和製紙という競争会社があったけれども、あなた方は実質的に競争制限をするということからこれは難色を示したのでしょう。王子製紙の場合と八幡、富士の場合とは扱いが違うじゃありませんか。どうしてこういう矛盾する扱いをするのです。
#129
○菊池説明員 王子製紙の場合には、先ほども申し上げましたように、私ども委員会として結論は出しておりません。その前の段階で取り下げた。これはほんとうの事実でございます。
#130
○中村(重)委員 だから事前審査の段階でおそらく八幡、富士も、王子製紙と同じように、これは独禁法の第一条の目的によって、さらにまた十五条を狭く解釈するというようなことはなくて第一条の精神を生かすならば、十五条というものはただ合併をする当事者――しかもそうした生産する品目だけを中心にして個別審査をするのではなくて、市場支配、実質的な競争制限をするというような観点からおそらくこれは難色を示すであろう、こういう期待というものが近代経済学者にはあった。あるいは非常にカルテル性の高いそういう性格を持っている鉄の場合においては、これは管理価格を形成するというようなことから国民は大きな不安を持って、あなた方がこれを黒とするということを期待しておった。ところが王子製紙に示したような難色を、あなた方は八幡、富士の場合においては、たいへん鉄に弱くてお示しにならなかった。鉄がかたくて、あなた方が弱かった、そうでしょうが。心の中ではそうですと思っているんでしょう、口に出さぬだけで。非常にあいまいですが、時間の関係もありますから私はこれを保留して、政府にお尋ねをいたします。
 この対応策についていろいろ新聞に報道されておりますが、通産省並びに運輸省、建設省はどういった取り組みをしておるのですか。新聞に報道されておるようないわゆる行政指導、これは通産大臣がそう答弁をしておるわけですからおそらく否定されぬでしょうが、どのような対応策、行政指導をしておりますか。それぞれの省からお答えを願います。
#131
○吉光政府委員 指摘されました事項につきましてそれを解消いたしますこと、これは指摘された両当事者がこの問題の解消に当たるべきことは当然でございますけれども、両当事者としていまどういうことを考えておるかということにつきまして私どものほうにはまだ最終的な連絡がございませんけれども、それぞれの会社及び両当事者が一緒になっていろいろと検討しておられるように聞いております。
 なお、政府サイドの問題でございますけれども、私どもといたしましては、実は両当事者の問題とは別の話といたしまして、現在合併が認められるかどうかということは、これは公正取引委員会で御判断いただく問題でございますので、そういう意味におきまして私どもが対応策を考えるというふうなことはないわけでございます。ただ、これがもし認められるというふうなことが出てまいりました場合、これはかりにの問題でございますが、出てまいるというふうになりますと、こういうふうな特別の供給形態をとっておるような品物について、むしろ需要家サイドに不利益が起こるということを予防するためにはどういうふうなことが考えられるかということにつきまして、実は勉強をいたしておるわけでございます。これはあくまでもまだ内々の勉強の問題でございます。
#132
○高野説明員 運輸省からお答えをいたします。運輸省といたしましては、大手の大口消費者である国鉄及び私鉄を所管しておるところでございますが、いずれ富士及び八幡両社が公正取引委員会に合併の申請をなさるようなことでございますが、それについての判断は当然公正取引委員会のほうで慎重に御審議なさることだと思います。私どものほうといたしましては、主としてレールでございますけれども、レールのユーザーの立場というものを当然考えていかなければならないわけでございまして、いずれにいたしましても、これについては将来必要があれば当然そういったことは考えていかなければいけないというふうにして関心を持っておるところでございます。
#133
○佐土説明員 建設省でございますが、ことに鋼矢板の問題につきましては、ほとんど一〇〇%の大口需要家でございますので、非常に重大な関心を持っておるところでありまして、まだ対応策等も出ておりませんので、いろいろ申し上げることもできないわけでございますが、重大な関心を持っておりますので、十分検討をいたしたいと思っております。
#134
○中村(重)委員 吉光局長、通産大臣はそれぞれ行政指導をするというような意味の答弁をしている。新聞にも出ているでしょう。このレールの問題にしても、届け出価格制であるとか、運輸省の場合は何とか、何か苦情処理委員会をつくるだとか、それぞれいろいろその対応策を考えて補強する方法、それからレールは独禁法のワク外としてこれを買い上げをするとか、いろいろな対応策をそれなりに関係省ではやって検討しておるのではありませんか。それから通産大臣と運輸大臣は閣議でもこの対応策についての協力要請、そういうことの発言もしておられるのでしょう。明らかなことはそのままお認めになったらどうですか。
#135
○藤尾政府委員 おそらく大臣が申されましたのは、この問題は当事者の問題であるということがまず前提になっております。しかしながら、それだけではいかぬのだ、もし政府で何か考えなければならないことが出てきた場合には、そういう問題が出てきた場合には、それぞれにおいて十二分に考慮をするということの例示としておあげになったのではないか、かように考えております。
#136
○中村(重)委員 それではレールを届け出価格制にするとか、独禁法のワク外でやるとかいうような、あなた方が全く夢さら考えていないようなことが、こうして新聞に報道されるのですか。
#137
○吉光政府委員 御指摘のような記事が新聞に載っておりますことを私も承知いたしております。おそらくそれは新聞で類推されてお書きになったのではないかと思うわけでございますが、検討いたしております素材として、そういうふうなものも素材の中にはあるということは申し上げられるわけでございますが、いまなお結論を持っておるわけではないわけでございまして、したがいまして、これは内々に勉強中であるというのが現状でございます。
#138
○中村(重)委員 それではこれは内々検討している素材になっていることは間違いない。レールの届け出価格制であるとか、それから独禁法のワク外でやるとかいうようなことが素材としてでもなり得ますか。
#139
○吉光政府委員 いま申し上げましたのは、私どもの勉強の中のいろいろな材料の中にいろいろとございますので、そういう意味で申し上げたわけでございまして、いろいろの材料を集めまして、そしてそれがどういうふうなことになれば利用者のほうの不利益が避けることができるかどうかということで勉強をいたしておるところでございます。
#140
○中村(重)委員 勉強しているという一点ばりであなた方はおっしゃる。私から申し上げておきますが、届け出制なんというのは、公販制度を考えてみてもこれは全く無意味だということだけはおかわりのとおり。それから独禁法のワク外だなんということは、この法律を知っておるならば全く考えられないことだ。この法律のワク内でやろうとすれば独禁法のワク外なんということはあり得ません。さらにまた苦情処理委員会であるとかなんとか、そういうようなことも全く意味がないし、むしろへたに機関をつくって、そして生産をふやしたり減らしたりする調整なんかやるということになると、これは独禁法違反のカルテル行為です。これはいままでおかしたあやまちを再びやってまいるということになります。そういうことはやるべきではない。ましてやこの合併の問題についていまきわめて重要な段階でしょう。そういう際にこれを促進するかのごとく、促進するかのごとくというより事実上それは促進することになる、そういうことはやるべきじゃありませんよ。大平通産大臣は、この問題については通産省がいろいろやるべきじゃないということを数回当委員会で答弁しておられる。そういう態底が一貫して事務当局においても持たれておらなければならぬと私は思う。このことは、私は建設省でも運輸省でも言えることだと思います。だからそのような行政指導などというようなことは絶対にやるべきではない。さらにまた国鉄の場合におけるところのレールの価格の硬直性、鋼矢板、これも同じであります。
 時間の関係がありますから、私は保留をしてこの程度でやめますけれども、いずれ公取に対しましても政府に対しましても具体的にお尋ねをしてまいりたいと考えております。だからして私はこの際、そうした動きに対して強く警告を申し上げておきたいと思います。
 それでは時間の関係がありますから保留をしまして、一応これできょうは質問を終わります。
 それから一点だけ公取に尋ねておきます。新聞に六十日以内でこの合併を承認するというふうなことが伝えられております。これは一カ月以上九十日というのが審判を開始しない場合でも当然の期間として認められる。これを六十日にするということになってまいりますと、これはいわゆる八幡、富士の合併スケジュールに合わせるという形になってまいります。こういうことが話の中に出たのかどうか、検討されたのかどうか、こういうことを考えているのかどうか、この際ひとつお答えを願っておきます。
#141
○柿沼政府委員 会社側で六月一日に合併をするという場合のスケジュールにA案とB案という二つの案が出ております。私ども事前の相談といたしましては、会社の要望があればそれに沿えるという態度をできるだけとってまいったわけでございますけれども、このB案の中に六十日という数字が出ております。それで、具体的に届け出が出てまいりました場合に、委員会としてどういうふうにするかということはまだ決定いたしておりません。
#142
○大久保委員長 午後二時から再開することとし、この際休憩いたします。
   午後零時四十分休憩
     ――――◇―――――
   午後二時二十二分開議
#143
○大久保委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 通商産業の基本施策に関する件及び経済総合計画に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について質疑を続行いたします。石川次夫君。
#144
○石川委員 午前中、中村委員のほうからいろいろ質問がございましたけれども、鉄鋼の合併は国民の非常な注目の的でありまして、この合併ができるかできないかということが、ひいては公取の存在価値を認めるかどうかということに非常な関連があると思うのであります。そこで経済学者――近代経済学者とそれから計量経済学者百十名ほどアンケートを出しましたところが、九十名ほどがこの趣旨に賛同する。御承知のように、学者というのはそれぞれ一家の言を持っておりまして、他人まかせで声明文をつくるということに賛成をするというようなことはなかなかやらぬことでありますけれども、ところが事の重大さに気がつきまして、どうしてもこれは声明書を学者として出さざるを得ないという学者の良心に基づいて声明書が出されましたことは皆さん方も御承知のとおりであります。この経済学者はいずれも近代経済学者、計量経済学者でございまして、いわゆる体制内の学者でございます。反体制の学者じゃございません。そのことをひとつ十分御認識をいただきたいと思うし、したがって、この学者の意見が全然取り入れられないままに通産省が積極的に推進をはかって鉄鋼の合併が成り立ったというようなことになるとすれば、一体公取はどこの立場でものを判断しているかということに帰着せざるを得ないと思うのであります。端的に申し上げますと、この鉄鋼の合併がすらすらといってしまうということになれば、あと王子の合併であろうが何の合併であろうが、合併は思うがままだということは、国民のだれもが危惧の念を抱いている。こういうことを通じて日本の自由競争というものは抑圧をされ、独占がだんだん強化をされ、価格が非常に高位安定の形でもって形成をされていくということに対して公取は何らの権能も発揮することができない。公取の存亡の危機に立っているといっても決して過言でないのです。端的に言いますと、もうこの合併ができてしまえば、あと公取のやる仕事は何かというと、レモン水の中にレモンが入っているかどうかとか、あるいはレッテルに偽りがあるかないかというようなこと、このくらいしかもう仕事はないのじゃないですか。そういう点で、よほどこの合併については皆さん方は決意を新たにして臨んでもらいたかったと思うのです。
 まず最初に、午前中、中村委員のほうから質問がございましたけれども、資料の提供を求めたところがなかなか思うように必ずしも資料は集まらなかった。その中の例として原価計算書が集まらなかったように聞いておりますけれども、この原価計算書はおとりになりましたか。
#145
○菊池説明員 私その点を午前中お答え申し上げたのでありますが、私は具体的にどういう項目を最初に要求して、どういう項目が出てこなかったということを現在承知しておりませんで、たとえば出にくいようなものは、そういうようなことがあるのではないかと、こういう趣旨で午前中申し上げておるのであります。
#146
○石川委員 それでは原価計算書は出なかったわけですね。たとえばこれが出なかったというふうなことをおっしゃった、それで私は伺いたい。ものの値段というものは原価計算を基礎にした上に立っていろいろな価格というものができ上がってくる、これは常識であります。公取委員の方は、そういってはたいへん失礼でありますけれども、原価計算の経験者は一人もございません。全部役所の代表として出ておられる方ばかりで、原価計算それ自体の実務というものに関係した方は一人もないと思うのであります。私は工場でだいぶ長いこと原価計算をやっております。したがって、原価計算による計算によってどうにでも価格を左右できるものだということを私は身をもって知っておるわけであります。その実態を知らないで、それでこの価格が独占管理価格を形成するおそれがあるかどうかというようなことの判断をされたということは、どうしても私は合点がいかない。この点御意見があれば伺いたいのです。
#147
○菊池説明員 ただいまも申し上げましたとおり、具体的にどういう品目、どういう項目についてということを私いま承知しておりません。したがいまして、たとえばそういうようなものということを想像して申し上げましたので、その点誤解のおそれがある発言をしましたことをつつしんでおわび申し上げます。
#148
○石川委員 さっぱり答弁にならないですね。原価計算をごらんになりましたかどうですかということを伺ったら、それに対しては何らの答弁もないのです。その点はどうなんですか。――どう引答弁ができないことばかり多くて、非常に私は不満なんですけれども、大体原価計算も見ないで管理価格を形成するかどうかということの判断の基礎が何もないじゃないですか。ただ単なる抽象的なシェアだけを見て管理価格を形成するおそれがあるかどうか判断できないじゃありませんか。そういうこともやらないでおいて、それは管理価格を形成するおそれがありませんとかなんとかいう決断がどうして出るのか、私は何としても納得できません。その点はどういう判断のもとに管理価格を形成するおそれなしという断定をされたのか、それをひとつ伺いたいと思います。
#149
○菊池説明員 ただいまもお答え申し上げましたとおり、項目は具体的には存じませんので、その点つつしんでおわび申し上げますが、ただ管理価格ができるかどうかというような点につきましては、まず法律問題として管理価格というものをどう考えるかという問題がございます。それから事実認定といたしましては、構造上の問題として一々個別原価計算をとるということにいたしましても、これは非常に個別原価計算のつくり方というものは、いまお話がございましたように、会社それぞれの方式と、いろいろな、ことに割りかけ費の配分等はむずかしい問題がございまして、必ずしもそれがなくても、構造上の問題あるいは過去の価格の動向を調べるというようなことで判断ができるかと存じますが、まず問題は、法律上の問題といたしまして、管理価格ができるかどうかという基本的な問題を条文上どう解釈するかという問題が残されているかと思います。
#150
○石川委員 ですから、公取の方々の今度の判断の基礎になったのは、実態ではなくて、単なる法文にこだわった解釈だけであって、木を見て山を見ないというのがもっぱらの定評です。そういう点で、たとえば一つの例として私は原価計算を申し上げたのでありますけれども、最近の産業は、技術革新で相当進んでまいりますと、いわゆる共通部門というのはだんだんふえていくわけです。直接原価計算をする場合に、ごく単純に申し上げますと、直接材料費、それに直接作業にかかわった人件費というもののほかは、全部これは間接費であります。間接費の割合がどんどんふえていく。その間接費の割合が、鉄鋼産業の場合にはどのくらいの。パーセンテージを占めておりますか。これは企業局長でもあるいは重工業局長でも、お知らせ願いたいと思います。
#151
○吉光政府委員 昭和四十三年の上期におきます有価証券報告書の中から鉄鋼専業四社について調査したものがございますので、それに基づきましてお答え申し上げます。
 構成比でございますけれども、材料費が全体の総原価の五三%を占めております。それから労務費が二・四%でございます。それから経費、これは減価償却費その他全部含みまして二一・六%、それからいま御質問の一般管理費でございますが、これが八・八%でございます。さらに実質支払い利息が五・二、原価計算構成の全体の比率はそういうふうになっております。
#152
○石川委員 それは原価計算の構成比じゃないですよ。全体の項目別に分けただけのことであって、たとえば厚板なら厚板、薄板なら薄板というものの原価計算の場合にはそういう中身にはなってこないのです。たとえば材料費の中あるいは人件費の中でも、共通部門、間接部門というのは相当の部分を占めておるはずなんです。これはずっと横にして、材料費幾ら、人件費幾らというのを出せばそういうふうな出し方になりますけれども、実は原価計算の個々のものについては間接費はもっと多くなると私は判断いたします。そういうことになりますと、端的な例を申し上げますと、独占的な製品が一つある、それからこれから新分野を開拓しなければならぬという新しい製品がある、この二つに割りかかるべき間接費をどういうふうに配分するかということが原価計算上一番の問題点になるわけです。そのときに、政策的なものを加えないまでも、これは共通に同じような割合で、あるいは材料費あるいはまた人件費というものに共通して同じ比率で割りかけるというやり方を、間々にしてやるわけです。ほんとうは新しい分野を開拓しなければならないほうの新製品の分野には相当の人件費あるいはいろんな不良対策費とか、そういった費用がかかっている。独占的なものは、ずっと流れている作業でありますから、これに対してはそう間接費は多くかからないのでありますけれども、これを平均してかけてしまいますと、独占的な製品については不当に高い値段が出てまいります。それから新しい分野を開拓しなければならぬという製品については不当に安い値段が出てくる。こういうことで、原価計算の中身を吟味しないと、管理価格とかなんとかという実態をとらえる場合においてその実態が十分に把握できないという点を、公取委員の方はひとつよく御理解を願いたいと思うのです。そういう実態も知らないでおいて、そういうことで、独占的なものが片っ方にあれば、ほっといても流れるという形にしてあれば、新製品のほうは不当に安い値段でどんどん新分野を門拓する、こっちは不当に高い値段で独占価格が形成されるという可能性が幾らでもできるのです。そういうふうな計算上のからくりも何もわからないで、正当な価格が形成されているというふうな前提に立って、抽象的なシェアのほうだけを考えながら今度の判断をした、しかもその判断のしかたが法律上の一条一条の解釈にこだわったものの考え方である、全体としての総合的な判断は何もやってない。こういうふうな、私はこの公取委員会の審査の過程において非常な欠陥があったというふうにしか考えられないわけです。そういうふうなことについて、あと次に進めますけれども、このように原価の価格の構成のしかたというものがどうなっているかという実態を知らないでおいて、それで公取委員会がとかくの論議をしたということ自体が、砂上の楼閣であります。また全体を通じてのわれわれの見方としては、木を見て山を見ない、法文にこだわったものの解釈であって、全体的な、総合的な判断は何もやっておらぬ、こういうふうな判断にわれわれは立たざるを得ないということを申し上げておきたと思うのであります。
 そこで、次に申し上げておきますけれども、合併の場合に、八幡、富士の両社の「合併趣旨」というもの、が出ておりますね。法文の解釈ではなくて、これはもちろんこの趣旨に基づいて審査をしたわけでしょう。そうするとその一番目の理由としてあげられましたのは、技術革新の結果設備単位の大型化と需要増加との間の矛盾の問題であるということから書き出して、これをやるというと、伸び率がいまのところ大体粗鋼にして八千万トン、いままでは伸び率が年間一八%くらいの割合で相当伸びてきたけれども、ここら辺でもう伸びがとまるだろう、八千万トンくらいが大体頭打ちに近いのではなかろうかという判断でやったというのが今度の合併の趣旨だと思うのでありますけれども、この判断は正しいのですか。どなたでもけっこうです。
#153
○菊池説明員 お答え申し上げます。将来の需要の伸びというものにつきましては、いろいろな角度からのいろいろな見方がございまして、それぞれの品目につきまして、八幡は八幡、富士は富士というふうに各会社で見通しを立てる。また通産省も一つの見通を立てておられます。私どもは、その八幡の出された数字が確実にそういう見通しになるということが前提で必ずしもものを考えているわけではございませんが、従来の伸び率、たとえば十年前と比較しまして五倍、五年前と比較しまして二倍というような急速な、これは粗鋼の出産でございますが、というテンポでいくかどう弧ということについては問題があると思いますけれども、その需要の伸びの数字は直接私どもの法律の判断とは関係しておらないわけでございます。
#154
○石川委員 この資料として「合併の趣旨」が出て、これを届け出たわけですね。そうすると、その趣旨を一応判定の基準にしなければ――直ちに法律に入っちゃったんですか。これは判定の基準にしなかったらおかしいのじゃないですか。向こうがこういう理由で合併したいのだといえば、この理由を一々分析するということから出発するのがほんとうであって、直ちに独禁法の第何条とかなんとかにこだわるという見方は、これはぼくは本末転倒じゃないかと思うのです。御承知のように川鉄が千葉工場を始めるときは、これはとてつもない計画だということで、当時の一萬田総裁は川鉄の千葉工場にペンペン草を生やしてやる、こういうことを言ったという有名な話があります。それがきっかけになって、どんどんいわゆる鉄鋼戦争といわれるような激烈な競争を経て、そして今日の鉄鋼というものは世界でも盤石の地位を築いた。大体この伸び率は一年一八%くらいでありますから、大きな新鋭設備をつくるだけの伸び率というものが今日まで毎年きているし、それから日本の場合は、建物といい、公共投資のおくれといい、いろいろな点でまだまだ鉄鋼を充足をしなければならぬ。おくれているものはまだたくさん残されておるわけであります。輸出だけではなくて、そういう需要の分野というものは、まだまだ日本ではそう頭打ちになっているとは考えられない。そういうときに、八幡、富士が、これが頭打ちになるのだということをうのみにしたことの前提に立って今度の公取委の判定に至ったということになりますと、これは私は前提条件で非常な誤りをおかしているのじゃないか、こういう感じがしてならないのであります。その点どうお考えになりますか。
#155
○菊池説明員 お答え申し上げます。現在の法律の十五条では、一定の取引分野の競争を実質的に制限するかどうかということが、公取が判断すべき大きな項目でございまして、その合併がメリットがあるかどうかというようなことは法律の範囲外の問題でございます。木を見て森を見ないということにつきましては、もちろん全体を見ておるわけでございますが、一定の取引分野と申しますと、これをどう見るかということが問題でございますが、これにはいろいろ意見がございまして、鉄鋼業のようなものにつきましては、一つのロールでいろいろなものがひけるということで、一つの設備で考えたらどうかというような考えもございましょうけれども、われわれとしましては、原則として市場にあらわれております一つの品種というようなものでつかまえておりますと、問題として実質上取引制限があるかどうかということになりますと、個々の品目が答えとして出てまいります。しかしそれは、たまたま結果はそういう品目が出てきたからといって森を見ていないというふうには私どもは考えておらないわけでございます。
 なお、経済論につきましてはいろいろ意見がございます。経済学者の意見もわれわれ書きもので承知しております。また一方では、寡占化が進むことは、こういう国際競争力を培養しなければならぬ、そういう国際的なすべてのものの自由化が進められておりますときに一つの必然的な方向じゃないか、あまり条文にこだわらずに、もっと国際的な視野から判断していくべきだといういろいろな意見もございます。いろいろな意見もございますが、われわれとしては、この法律に従って厳正に判断するという立場をとってまいったわけでございます。
#156
○石川委員 どうもピントのはずれた答弁ばかりいただくのですが、国際競争力という問題は第三に出てきますよ。それがいまの答弁の中にありましたから、ちょっと先回りしてお話ししますけれども、国際競争力の面から言いますと、昭和四十三年五月十一日の朝日新聞に書いてあります。稲山社長が言っております。「ムダな競争をやめて、利益を蓄積することにある。国際競争力を強めるためだ、などといったことはない。国際競争力は十分にある」これは稲山社長の言明です。御存じですか、このことを。提案にはこうなっておりますけれども、実際だれが考えても現在の八幡、現在の富士あるいは川鉄、住友金属が国際競争力が不十分だなんて思っている人は一人もございません。それが堂々と第三の理由として国際競争力の強化というのが出ておるけれども、彼個人の談話としては、国際競争力は十分にあるので、国際競争力を強めるなどということは言った覚えがない。ところがあなたは、国際競争力を強めるという。そういうことにこだわったわけじゃございませんでしょうけれども、十分に頭の中に入れながら今度の判断をしている。これは少しおかしいと思う。でなくて、あなたは、いまの答弁の中では十五条だけにこだわっている。十五条だけの判断にこだわっておりますけれども、これは何回も言われておりますように、第一条には「公正且つ自由な競争を促進し、事業者の創意を発揮させ、事業活動を盛んに」させるというのが大目的として第一条に出ているわけです。
  〔委員長退席、浦野委員長代理着席〕
これをいつの間にか忘れて、第十五条だけに、非常に狭い範囲、高裁の判例が出ているというようなことで、そこに安易に寄りかかろうとしている。その結果、今後の日本経済にたいへんな変革を与える危険性をもたらしているということは、あなたはその責任を感じてもらわなければならぬと思うのです。
 二番目の理由としては技術開発力の強化ということが出ております。これは企業局長でもけっこうでありますけれども、大型化すれば技術開発力というのは促進をされるのですか。
#157
○大慈彌政府委員 一般論として申し上げますと、大型化をいたしますと、技術の開発力は強化をされると思います。従来分かれておりましたときは重複をして研究をしておることもありますし、それを一本にまとめますと重複を排除することもできる、あるいは技術者を有効に活用することができる。それから研究の単位そのものも非常に大きくなるということで、一般論としてはそう申し上げられると思います。
#158
○石川委員 きわめて一般論ですね。私は、日本の技術開発の問題については、これだけ申し上げましてもまだまだ時間がかかりますから申し上げませんけれども、これは民間にあまりに依存し過ぎて国の研究投資が少ない、あるいは研究体制が不十分であるというようなことが基本的には大きな問題であろうと思うのです。この大型合併によって研究の二重投資を省くというのは一応論拠としてはわかりますけれども、しかし御承知のように、終戦のときに日本が財閥解体になりまして、集中排除あるいは独禁法というような三本の法律に基づいて、われわれ非常に危惧したわけでありますけれども、財閥というものがもう完全に分解させられたわけです。将来どうなるのだという不安を持っておりましたが、そのために新しい企業というものがどんどん出てきたじゃないですか。たとえばソニーとか本田とかいうもの、昔の独占企業体制であったならばああいう新しい技術は生まれなかった。それがああいう新しい技術が生まれたということは財閥解体のおかげであるという評価がなされておるわけです。したがって大きければいいということにはならない。しかも適正規模というものがあって、私も大きな会社におりましたけれども、あまり大き過ぎると目が届かない。やはり適正な規模で、技術開発の面であろうが経営の面であろうがやるべきであるという一つの規模が私はあると思うのです。大きければそれでいいということには絶対にならない。しかしこの技術の開発の面については、大きいことによって単なる経費の間の二重研究投資というものが省けるような感じは受けますけれども、現実の問題としては、小さいところのほうが上部の目が徹底をするというふうなこともありましょうし、いろいろな事情があって、技術開発というものを促進するための合併ということは全然私は論拠にならないと思うのです。この点、これは公取の方に意見を聞いてもしかたがないのでありましょうけれども、この点はどう御判断になりますか。
#159
○菊池説明員 先ほど国際競争力のことを申し上げましたが、私どもがそれを考慮しておるという趣旨ではございませんで、国際競争力というような観点から寡占化が必然であるということで、同じ寡占化に対してもそういうことの必要性を強調される見方と、その寡占からくる競争の減少という観点からする見方といろいろあるということを申し上げたかったわけでございまして、私どもとしましては、その会社の合併の趣旨がメリットがあるかどうかというようなことは十五条の問題外といたしまして、われわれとしては、構造的にそういう会社ができましたらば市場の競争が実質的に制限されるかどうかという観点でまいりませんと、政策論としていろいろな政策に振り回されては厳正な法律の施行ができないということで、法律の忠実な解釈をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
#160
○石川委員 どうも私はそんなことを――さっきは質問しましたけれども、いま質問したのは技術開発力の問題を聞いたのです。その点については何も返事してないですね。合併趣旨というものがちゃんと出ておりますが、合併趣旨というものは審査の対象にしなかったのですか。ただ単なる独禁法十五条ばかり後生大事にしがみついて何とか簡単にわかりやすくやっつけよう、こういう魂胆だったのですか。この合併趣旨というものに全然触れないで、ほんとうに法律の番人といいますか、木を見て山を見ないというか、十五条だけにこだわった判定としか思えないですね。国民経済が将来どうなるか、あるいは価格形成、価格競争をほんとうに正当に促進するために独禁法というものがきわめて重要な柱である、こういう誇りというものが全然感じられない。非常に私は残念だと思う。技術開発力についての御意見だけ一応伺います。
#161
○菊池説明員 技術開発の問題につきましては、先ほども申し上げましたように、法律に、企業の側における生産、販売その他経営の合理化に役立つものということが条件でありますれば、そういうふうに役立つかどうかということを検討しなければならないわけでございますが、そういう規定は落ちておりますので、われわれとしては競争の制限になるかどうかという観点から判断をいたしたわけでございます。公正取引委員会として別に技術の専門家がおるわけでもございませんし、それを研究した研究者もおるわけでもございませんし、それがどうかということはいろいろ見方がございまして、一般的にいえば、ただいま企業局長のお話しのような、大型化すればどれだけ研究の効率が上がるという見方もございますし、また、いや、小さな会社でもすぐれた研究をしているというような反論もございますし、私どもといたしましてはその点について断定はいたしておりません。
#162
○石川委員 法律にこだわって合併が是か非かということをきめる前の資料としての向こうの合併趣旨というものを十分にそしゃくしなければ、これはほんとうに、何回も申し上げるように、単なる法律解釈だけでその判断ができるような簡単な事柄ではないということを私は申し上げたいのです。今後の日本の経済のあり方に対してきわめて重要な影響を与えるおそれがあるからこそ、本質的な問題を十分に見きわめた上でその法文の解釈に取り組んでもらいたい。いま伺いますと、この合併趣旨の向こうからいってきていることなんかは、一応目を通したのかもしれませんけれども、全然考慮外なんですね。ただ単なる独禁法十五条だけにしがみついたような判断のしかた、これではこの非常に影響を与えると思われる大事件を判断する資格はぼくはないと思うのです。この技術開発力の問題についてもいろいろありますけれども、たとえば酸素転炉製鋼法なんというものはオーストリアでできまして、一等先に取り上げたのは中小企業ですね。USスチールとかその他の大企業では十年もたってからやっとそれを取り入れるということで、これに対する反応は非常に鈍かったわけです。こういうふうなことがあって、大きければいいのだということは技術開発の面でも適用されないということを申し上げたい。だから合併の趣旨というものは、第一の場合でも第二の場合でも、さらにまた第三の、先ほど申し上げた国際競争力の強化というような面では、稲山社長みずから否定をしているわけです。こういうふうに第一、第二、第三の理由が、これは私の一方的な意見だといわれるかもしれませんが、そういう意見が十分に存在をしている。これに反駁するだけの十分な論拠がある。にもかかわらず、この合併をなぜやらなければならなかったかという趣旨はどうなのか、企業局長あるいは重工業局長、またここで梅田さんにもひとつ見解を聞きたいと思うのです。
#163
○吉光政府委員 ただいま御指摘ございましたように、わが国の鉄鋼業が現状におきまして、技術の面においてもあるいは設備の面においても、世界的に一流の水準にございまして、したがいまして鋼材の品質、価格両面におきまして商品として国際競争力を持っておる、そういう商品を生産しておる企業体であるという点につきましては、お話のあったとおりだと思うわけでございます。先ほど来お話ございましたように、このように鉄鋼業が伸びてまいりました原因というものは、非常に強い需要にささえられて、その強い需要の伸びの中で大型の高炉あるいはその他の設備が非常に効率的にテンポよく取り入れられた、そういう大きな需要の伸びがあり、その需要の伸びにミートした形でそういう設備ができたということが競争力を非常に強くした大きな理由ではないであろうかと思っております。と同時に、また新技術の導入につきましても、新しい技術を外国から導入するということが非常に自由にできた、こういうふうな基礎的な背景がさらにこれに拍車をかけておったのではないかと思うわけでございます。ただ、先ほどお話ございましたように、技術につきまして、実は現在持っております導入技術等を中心にした技術は世界的に一流であるわけでございますけれども、まだまだこれはあくまでも導入技術でございまして、自分で開発した技術は、原理的なものにつきましてはまだほとんど持っておらないわけでございます。しかも鉄鋼の技術開発につきましては相当大きな研究資金を必要とするというふうな事情もございまして、そういう意味での技術開発力が非常に弱いということは鉄鋼業の持っておる一つの宿命ではないであろうかと思っております。と同時、また財務比率も、借入金を中心にいたしまして新しい設備を建設いたしました関係上、相当弱体化いたしておるわけでございまして、端的に自己資本比率を一つとってまいりましても、アメリカの場合におきましては大体六〇から六五%が自己資本で資金調達をいたしておりますが、日本の場合は二〇%前後というのが普通の姿でございます。そういうふうに経理的にも非常に弱い面を現在持っておりますが、他方、欧米における鉄鋼業界の現在の再編成、あるいは体質改善のための設備投資をアメリカも最近相当大幅につぎ込んでおりますが、そういうふうな国際経済の中で見ました場合に、ヨーロッパないしアメリカがいま再編成あるいは大型の設備投資をつぎ込むことによりまして、新鋭の製鉄所をどんどん建設しつつあるというふうな状況から判断いたしますと、将来の競争力という点から考えますれば、まだまだ日本の鉄鋼業界も努力しなければならない余地が相当残っておるのではないか、このように考えております。
#164
○梅田説明員 お答えといたしましては角度がちょっと違うかもしれませんけれども、技術開発の問題につきましては、十五条の「一定の取引分野における競争を実質的に制限する」かどうかという場面におきまして、当事会社あるいは競争会社の競争力を考える場合に、当然そういう要素は考慮いたしたわけでございます。私、ただ一介の法律屋でございまして、技術開発と合併との関係という点はちょっと私お答えする資格がございませんので、ごかんべん願いたいと思います。
#165
○石川委員 梅田委員の説明で、はしなくもこういう大問題を判定する能力がないというふうに私は思いますね。日本の経済の将来を動かさなければならぬような大問題に取り組むためには、そういう総合判断なくして、ただ小さなワクの法律解釈だけにこだわっておるということは大問題ですよ。
 それに、いま重工業局長から説明がありましたけれども、自己資本比率が少ないとか、多いとか、これは鉄鋼だけに限ったことではないでしょう。大型合併したら自己資本の比率が多くなるということにはつながらないわけですからね。そんなことは理由にならないのですよ。
 それからあと一つは、研究開発投資をやらなければならぬということでありますけれども、これは企業の問題でなくして、私は国家の問題だと思っておるのです。ということは、それは鉄鋼関係だけじゃありません。どこの分野でも日本は、技術の輸出入を一〇〇といたしますと、九三までは輸入ですよ。輸出が七しかない。これは日本だけです。こういうようなことはいつまでも続けておってはいかぬから、自主的に技術開発をやらなければならぬし、そのためにはまず基礎研究から出発しなければならぬというようなことがいまあらためて見直されておる段階です。鉄鋼でもやはり応用開発だけにうき身をやつしているという段階ではなくなってきておるのではないかと思うのです。そういう点は、別に大型合併をしたから研究開発が促進されるということには、イコールにはならないのです。そういう本質的な問題を忘れて、末端だけの現象にとらわれてそういうことを言ったって、それは大型合併の理由には少しもならぬと私は思うのです。それどころではなくて、小さなところほど鉄鋼関係あたりについても利益率は高いし、競争的にも非常にファイトを燃やして、現在、御承知のように、私いまさら申し上げるまでもないと思いますけれども、新鋭能力の工場が寄与しておる比率は、大体粗鋼生産の場合に例をとりますと、新鋭大型工場が寄与しておる率というのは八幡が二二%、それから富士が二六%、それに対しまして川鉄は九八%、住金が七六%、特に川鉄の新しい四日市の工場ですか、それから住金の鹿島工場、これはたいへんな設備をいま準備しているわけですね。新鋭設備というものの寄与する率というものは富士や八幡に比べて格段に高い。その結果といたしまして、川鉄、住金の利益率は三五%であるけれども、八幡、富士というのは二五%に落ちておるわけです。いままで鉄鋼戦争といわれて相当熾烈な企業間の戦争が行なわれたわけでありまして、これが合併をするというときになって、もう国民は非常にあっけにとられておる。どうしてこういうことになったのかという奇異の念に打たれましたけれども、そのときにこの川鉄、住金がどういう態度でこれに臨んだか。大歓迎です。なぜ歓迎するのですか。こういう大企業ができて、力の強い企業が生まれた場合に、その競争相手であるところの会社が双手をあげてこれを歓迎するのはどう考えても合点がいかない。なぜ歓迎したのですか。これは梅田さんあたりひとつ御意見を伺いたいのです。
#166
○梅田説明員 川鉄、住金が歓迎をしたという点につきまして、いかなる意味で歓迎したのか私承知いたしておりませんので、的確にお答えするわけにはいかないわけでございます。
#167
○石川委員 あなたの答弁を聞いていると全然無能力ですね。この問題については全然無能力ですよ。そういうことで区々たる法文をいじって、この合併は白だとか黒だとか言っていること自体がナンセンス。私は本質的な問題をいえば、通産省が、この合併を迎えて弾力的な独禁法の運用をしろというようなことを盛んに言っておる。弾力的にやれということは独禁法を何とかねじ伏せろということにつながるわけですね。独禁法の趣旨とは沿わないということがわかっているからこそ、弾力的弾力的ということを盛んに強調したと思うのです。こういうことで、いま答弁はできなかったようでありますけれども、そういうことすらわからぬということでは、ほんとうに私は情けないと思うのであります。奔命に疲れたというのが実態ですよ。鉄鋼競争はもうくたびれた、この辺でひとつ休戦しようじゃないかということでありますから、能率の低い八幡、富士というのが合併をしてプライスリーダーというものの立場を確保するということになると、それに右へならえをしていけば、これは高い独占価格というものを維持できるという意味での管理価格は当然ここで出てくると思うのです。稲山さんはあと一つこういうことを言っておりますね。カルテルによってコストプラス適正利潤の線で鉄鋼価格の安定をはかることは、需要業界のためであり、国のためであるということを言っております。経済的に見れば、カルテルによって安定価格をつくるということは、これは管理価格の一形態ですよ。ですから、この合併によって富士と八幡が一つの価格を指示すれば、利益率の高い、そして新鋭工場の非常に寄与率の高い住友あるいは川鉄あたりは、それに右へならえをしていけばいいのです。ここで完全な管理価格というものが生まれる危険性がきわめて高いということは、容易に私はうなずけると思うのです。これは否定できません。それだからこそ、この川鉄、住金あたりは双手をあげてこの大企業の出現というものに対して歓迎をするという立場をとったわけなんです。この管理価格というものはどういう価格かという本質的な問題は、原価計算の中で私が先ほど申し上げたように、政策的にやろうと思うとどうにでも操作できる価格なんです。これをまず、能率の低い、ずうたいばかり大きくなった八幡、富士というものが一応きめれば、右へならえしていけば、そう価格の上で競争しなくても済むのだということを通じて、カルテルというものができ、管理価格というものができる。そのことが日本の経済にどれだけの影響を与えるか、そういうことをお考えにならなかったのですか。公取委員の方皆さんの意見を聞きたい。四人の方ひとつ答弁してください。
#168
○菊池説明員 お答え申し上げます。いま御指摘の競争会社である川鉄とか鋼管がどういう意図であったかというようなことは、それは私、私なりに想像することはできますけれども、確信を持って申し上げるべき筋合いではございません。
 それから、管理価格ができるかもわからないじゃないかというお話でございますが、それは、各取引分野ごとにどういう競争の実質的制限が起こるかということは、もちろん検討しておるわけでございまして、単にシェアとか何かだけでもまいりませんし、大きな拡張をやって売り込もうとしておるわけでございますから、必ずあるいは蓋然性として管理価格ができるという証明をすることは非常に困難かと存じます。
#169
○梅田説明員 管理価格ができるかどうか、それがまた一定の取引分野における競争の実質的制限に当たるか当たらないかという判断におきまして、私の十五条の適用という観点からまいりますと、これはその事件あるいはその品種ごとにいろいろ具体的に考えていかなければならないと考えるのでございます。かつて、公取が東宝・スバル事件におきまして高裁に答弁書を差し出しておりますが、それにその間のことが簡潔に書いてあるわけです。業種、市場の状況とか競争の態様等、種々の事情を総合して、個々に具体的に判断すべきことである、この考え方はいまもって続いておるわけです。ただ、かく申し上げましても、それは一介の法律屋の考えじゃないかという御疑問を直ちにお持ちになると思いますけれども、この法律的に考えるかあるいは経済の立場から考えるかということにつきましては、ここにおられる、アメリカの独禁法をよく研究されております有賀委員があるいはあとでお話しになるかもしれませんけれども、その二つの考え方がアメリカでも問題になって、解決されておりません。ドイツの独禁法の運用におきましてもやはり二つの考えがございます。やはり各国とも悩んでおるような次第でございます。
 おまえはどうかという御意見でありますが、私、先ほどの高裁に出しました答弁書に基づきまして、個々的に考える問題だ、そうお答えいたしておきます。
#170
○有賀説明員 お答え申し上げます。管理価格の形成の問題について、今回の八幡、富士の合併に関連いたしまして、競争会社である鋼管あるいは川鉄がたいへん歓迎をしたという報道が伝えられておるようでございますが、それがどういう意味で歓迎されたかということにつきましては、いまお教えいただきましたように、管理価格が形成されて、高い価格に追随することが可能であるからというように私は拝承したのでございますが、独禁法上、ことに合併に関連して、そのこと自体についてどう対処することができるかどうかという問題は非常にむずかしいかと存じます。私自身非常にむずかしいことではないかと思っておりまして、一般的な問題としてはいわれるかもしれませんけれども、問題は商品の一つ一つについていわれるべきものでございますので、商品につきましてはそれぞれの市場状況、成長の度合い、いろいろなものを勘案しなければわかりません。したがって、価格が一つになるかどうかをこれから予測するということは、いろいろな事態を十分認識した上でないとできません。
 先ほど梅田委員からちょっとお話がございましたので、それについて加えさせていただきますと、管理価格の問題は、アメリカでもたいへんむずかしい問題として、二度に期間を分けまして、ことに物価上昇の問題とあわせて非常な問題で研究をされましたけれども、それに関連して、売ります企業の行動を――企業自体は活動の自由を基本的に持っているのでございます。したがって、それを法律上制限するということのためには十分な理由がなければなりません。つまり立証することが必要でございます。したがって、その立証をどうするかということはついにアメリカでも今日までできないでいるのでございます。管理価格の問題は公正取引委員会では別途に調査研究いたしておりますけれども、具体的な本件につきまして、これが一定取引分野の実質的制限になるかいなかという観点に立ちまして私どもの判断をいたしたのでございます。おわかりいただける答弁になったかどうかはちょっと心配でございますけれども……。
#171
○亀岡説明員 お答えいたします。ただいま三名の公正取引委員会の委員から大体御説明いたしましたので、私から申し上げる点はとりわけないのでございますが、ただ、お尋ねの点に関しましてわれわれがいままで非常に勉強いたしましていろいろな角度から検討したということ、この管理価格の問題と合併に関しまして、お説のように経済的に見ればこういう事態であればこういうことが起こるだろう、それから法律的に見れば、こういう場合には法律のどの条項に抵触するであろうというようなこと、これはもちろんただいま有賀委員、梅田委員からお話ししましたとおり、アメリカの法制、ドイツの法制、あらゆるものを調べまして、そういう研究をいたしまして、そして日本にあります現行法である独占禁止法に当てはめて、おしかりをこうむるかも存じませんが、十五条を解釈する場合に、もちろん目的規定でございます一条というようなことを考えると、これは当然なことといたしまして、日本のこういう現実の合併に法規を照らして当てはめてみる場合に、どういうことになるのかということを種々研究考慮いたしましていままでやってきたわけでございますので、その点だけひとつお含み願いまして私の答弁にかえさせていただきたいと思います。
#172
○石川委員 管理価格の問題は、アメリカなどでも結論が出ない、非常に難渋をきわめておる問題であることは私もよく理解いたします。理解いたしますけれども、しかし、少なくともこの第一条にある公正かつ自由な競争を促進したということに抵触する危険性はきわめて多い。これだけは認めねばならぬと思います。したがって、法文解釈でなくて精神に照らして、ほんとうに第一条の精神を十分に生かすということになれば、各社長の言っていることをずっと総合して考えると、鉄鋼戦争はもう疲れた、ここら辺で手を打ちたいというようなことで、能率の比較的低い八幡、富士がきめた値段についていけばおれのほうは十分採算がとれるのだ、これでもいいんだというところから、いわゆる業者の協調とかあるいはまた低位安定価格というふうなことを言っておりますけれども、これが結局は管理価格を形成する、そしてまた鉄鋼業界がこれで萎靡沈滞、停滞を続けていくということにつながらなければいいがという懸念を持っているのは、私だけではないと思うのであります。そういう点で公取委員は盛んに十五条十五条ということを言われますけれども、この第一条の精神に戻った判断のしかたがどうしてできなかったか、これを繰り返して私は申し上げたいのです。
 そこで、その十五条というのは、私から申し上げるまでもなしに、昭和二十八年の東宝・新東宝事件のときに、この十五条の新しい判例というものが出た。リーダー企業がきめた価格に右へならえ程度のものでは違反ではないんだ、どうしてもついていかなければならないということになった場合にはじめて独禁法十五条の違反になるんだというような判断が出て、これに基づいて今度の作業を進められたと思うのです。しかし公取委員会というものは行政委員会です。裁判所じゃないわけですよ。したがって、裁判所は二十八年の時点においてそういう判例を下したとしても、公取委員会というのは行政委員会としての自分の持つ使命感というものに燃えて、独自な判断をすべきではなかったのか、こういうことを申し上げたいのです。
 それで一応念のために伺いますけれども、この二十八年の東宝・新東宝事件でできたところの判例の中で、競争の実質的制限というものはどういうふうになったのか、そしてまた現在どういうふうに皆さん方は理解をされて十五条に取り組んだか、これをひとつ御説明を願いたいと思うのです。菊池さん、ひとつお願いします。
#173
○菊池説明員 ちょっと御質問の意味をはっきりとりかねましたので、あるいは想像が入るかもわかりませんが、判例でいう競争の実質的制限とはどういう意味に解しているかというお尋ねかと思いますが、それは判例がいろいろ説明しておりまして、しかも三回にわたって三つの判決において説明しており、またそれは十五条だけではなしに法律の全般的な、あちらこちらへ出てまいります実質的制限とはこういうものだということで説示しております文句も、三回ともほとんど同じ文句を使っております。そういう内容と理解しております。
#174
○石川委員 その判例の趣旨でいえば、企業が価格操作による市場支配力を発揮できる状態となって、他の企業は好むと好まざるにかかわらずこれに追随せざるを得なくなるという場合が競争の実質的制限であるというふうな判例が出ておるようであります。しかしこれは私は間違っているんじゃないかと思うのです。たとえばビールの場合、他が追随せざるを得なくなるのではなくて、喜んで追随したわけですね。これはあらかじめ打ち合わせしてあったということは火を見るより明らかでありますけれども、その物的な証拠がないということでそれをつかまえるわけにいかなかったのでしょうけれども、他の企業が、好むと好まざるにかかわらずじゃなくて、これはある程度高い値段というものが出れば好んでこれに追随をする、こういうことが競争の実質的制限というふうに理解をしなければ、公正取引委員会の判定はできないのではないかと思うのです。この点はどうお考えになりますか。どなたでもけっこうです。
#175
○菊池説明員 好むと好まざるとにかかわらずということは、客観的な市場構造ということから考えられるわけでございます。ただ、いろいろの各業種におきまして、必ずしも寡占は競争制限的になるということはございませんで、現に学者でも、寡占になったら必ず協調的寡占になる、競争的でなくなるということは言っておりませんで、現にまた競争的な寡占もたくさんございます。
 そこで、自分の意思で任意に従うかどうかということは企業のビヘービアでございまして、将来かりに非常な大きな地位を得ても管理価格をつくって国民経済に害を与えるというようなこと声決してしないというものがおりましても、それは一つのビヘービアでありまして、やはり客観的にこれを判断していかなければならない。そういう客観的判断をするには、一言でいえば市場構造――いろいろな要素が含まれますけれども、そういうもので判断しなければ、人の意思でどうするか、従うか従わないかということをただモデルケースで考えて具体的に適用することは非常に困難かと考えます。
#176
○石川委員 私の言いたかったのは、好むと好まざるにかかわらずというふうな表現が裁判所の判例で出たわけですけれども、いま言った好むと好まざるにかかわらずじゃなくて、これは高い値段が出れば当然それに右へならえという状態が出てくる可能性が非常に多いわけです。そういう可能性を期待しながら今後の合併が促進をされたということは、客観的には明らかであります。したがって、実質的制限という裁制所の判例のようなものにこだわることなしにひとつ判断してもらいたいということで申し上げたわけでございますけれども、独占禁止法というのはGHQの指令でもって相当強硬に進められましたけれども、二十六年、二十七年のころから独占禁止法というものは悪法である、何とかこれはゆるめていかなければならぬ、こういう客観的な背景の中でこの判例は生まれたという歴史的事実も見のがすことができないと思うのです。その証拠には、昭和二十八年には第四条が――それまでは企業の共同の行為は全面禁止をしている。ところがカルテル規制というものは緩和をするということで、不況カルテルというものは一定条件が認めるというふうな法律解釈ができたのも昭和二十八年であります。そういうふうな客観的な情勢を背景としてこの判例が出てきておることも、ひとつ考えておいてもらわなければならぬ。
 それで、この一定の取引分野ということは、御説明を受けるまでもないと思うのでありますけれども、ここで問題になりますのは、たとえば粗鋼なんというのは商品としての一定の取引市場がないわけです。しかしながら、八幡と富士の合併によって三五%のシェアを持つことになる。これは、三〇%という危険台を越しておるという点では当然問題にしなければならぬ点でありますけれども、この点については一応質問は差し控えます。
 それから、それまでの競争を制限するおそれがあるという文句が「こととなる場合」というふうに変更をされましたけれども、この点についての解釈の違いはどういうふうに把握をされておられるか。この点について伺いたいのです。
#177
○菊池説明員 お答え申し上げます。この解釈につきましては、いろいろな解釈があると思いますが、私は、ただ御指摘のありました立法の改正の経緯にかんがみまして、わざわざおそれがあるというところを削りましたことは、蓋然性を要求されているというふうに考えております。なお、独禁法の他の規定にもおそれがあるということが出てくるところがございますけれども、そういういろいろな関連を考えまして蓋然性を要求されているものと解釈しております。
#178
○石川委員 それまでの、競争を制限するおそれという、可能性という問題から、「こととなる」という場合には、今度は現実的にそうなった場合なんだという解釈のしかたをとかくしたがる向きがあるものですから、念のために伺ったわけでありますけれども、「市場を支配する可能性を有する企業が成立することになる可能性」というのが、こととなるおそれがあるという場合に該当するし、それから「市場を支配する可能性を有する企業が成立することとなる」ということが、「こととなる」という場合に適合するというふうに私は理解する。これは定説のようであります。したがって、単なるおそれから「「こととなる」ということのほうがきつくなったということではなくて、裁判所の判例の中にもありますように、「競争を実質的に制限するとは、競争自体が減少して、特定の事業者または事業者集団がその意思で、ある程度自由に、価格、品質、数量その他各般の条件を左右することによって、市場を支配することができる状態をもたらすことをいう」」。市場を支配することができる状態をもたらすことであって、この状態から抜け出して実際に行動するかどうかということではないのですね。これは、市場を支配することができるような状態になれば、そこですでに第五十五条にひっかかるわけです。状態から一歩踏み出すかどうかということまでは言っていないわけです。この十五条によって判断をしますと、富士と八幡の状態はまさにその市場を支配することができる状態になる。そうするかどうかは別問題ですけれども、状態になるという判断はされなかったのかどうか、それをひとつ伺いたいと思います。
#179
○菊池説明員 ただいま仰せになりましたように、支配することができる状態をもたらすということで、ここに具体的に支配する行為をするということを必要とするのではないかということは、われわれ共通した認識でございます。
#180
○石川委員 そういう解釈からいいまして、市場支配をするかどうかということは別問題ですね。支配することのできる状態になったかどうかという、これは判断なんです。その場合に、あなた方はそういう状態には特定の品種を除いてはなり得ないという判断をしたのだろうと思うのでありますけれども、珪素鋼板はどうなんですか。珪素鋼板は川鉄が相当な競争相手になっていることは知っておりますけれども、これも下方硬直性で、値段はなかなか下がりませんね。これは、こういうふうな大企業が出ることによって、一つの例として申し上げるのでありますけれども、珪素鋼板が白になって鋳物用銑鉄なんかが黒になったという違いはどこから出たのですか。
#181
○梅田説明員 その点は、判例の趣旨にのっとりまして十分検討いたしたのがございますが、個々の品種について判断の理由を示すということは、残念でございますが、三十八条によりましてちょっとお答えいたしかねる次第でございます。
#182
○石川委員 たいへん不信ですね。ぼくは法律はさっぱりわからないのですよ。三十八条によってなんて言っても、いまから見ないとわからないので、その趣旨をひとつ説明してください。私は法律は全然しろうとです。
#183
○梅田説明員 三十八条を読み上げます。
 「委員長、委員及び公正取引委員会の職員は、事件に関する事実の有無又は法令の適用について、意見を外部に発表してはならない。」。
 以上でございます。
#184
○石川委員 ブリキは六〇・〇、鉄道用のレールは相当の高いあれを示しておりますけれども、鋳物用銑鉄は五七・三%、それで珪素鋼板が六四・六%ですね。こういう高い寡占率を示しておるものが、いまの三十八条だと、何も言ってはいけないから言わないのだということになりますと、国民は納得しませんよ。なぜこの珪素鋼板は白になったのですか。これは言えない事情が何かあるのですか。
#185
○梅田説明員 私個人について、特に事情はございません。ただ、先ほども申しましたように、個々の品種につきまして市場の状況、競争の態様等、種々事情を総合して判断いたしましたので、たとえシェアが甲品種が乙品種と同じであっても、あるいは結論が違う場合がございます。また、甲品種よりも乙品種がシェアが高くても結論が異なるということはあり得ると、こう申し上げた次第であります。
#186
○石川委員 そういうあり得るということはわかりますよ。ただ、鋳物用銑鉄は、これはわりあい対応策が立てやすいということが言えますね。珪素鋼板は対応策がつけにくいと私は判断しているのです。対応策のつけにくいものは、外部に発表してはならぬという三十八条で逃げておいて、白にしておいて、対応策の立てやすいものだけ黒にしたという印象はどうもぬぐいがたいのです。いま少し具体的に珪素鋼板が白になったという事情を説明してください。それでないと、なかなか納得できません。
#187
○梅田説明員 対応策を立てやすいか立てにくいかということで判断をしたのではございませんので、さっきからも申し上げますように、各品種が十五条に当たるかどうかということで判断いたした次第でございます。
 なお、珪素鋼板についての理由を言えというお話でございますが、それはどうぞ、三十八条の関係で、ひとつ差し控えさしていただきたいと思います。
#188
○石川委員 どうも三十八条にひっかけられてものが言えないということになると、ぼくらはさっぱりその事情がわからないのですね。どうもぼくは、対応策との関係があるというふうにしか判断できないのですよ。川鉄がもちろんこの珪素鋼板については、新規参入じゃありませんけれども、相当力を持ってきて、ある程度競争相手になり得るというふうな要素があるということはわかりますよ。わかりますけれども、鋳物用銑鉄以上にこれがそういう条件に当てはまるかどうかという納得がなかなかしにくい。これは結局競争の自主的制限というものをしなくても済むようになると御判断になったのかどうか。その点、抽象的なことでもいいから、ちょっと言ってください。いまの説明じゃとてもわかりません。
#189
○梅田説明員 お答えいたします。先ほど申しましたように、個々の品種につきましての事由でございますから、それだけはごかんべん願いたいのでございます。繰り返し申しますけれども、対応策を先に立てまして、それで考えたということは絶対ございません。
#190
○石川委員 これはさっぱりだめだな。国会というところは、国民を代表してその疑問を率直に解明しなければならぬ責任があるわけですよ。ところが三十八条にひっかけられたら、何もこれは事実を究明できない、解明できない。こういうことじゃ、ぼくら国民に対して負託にこたえることはできないわけですよ。これはいずれまたあらためて――時間がありませんから、次へ移りますけれども、どうもぼくは対応策が先に出ているような感じがしてしかたがない。そういう疑問は国民の中で非常に濃いということをひとつ考えておいてもらいたい。いまのような説明で、三十八条でございますからというようなことでこれだけの大問題が国民の前に解明されないということは、何としても納得できないわけです。いま少し具体的に説明できるはずだと思うのですが……。
 それじゃ次に移りますけれども、北島元公取委員長は、一位のものが合併するか、合併して一位になるときは、競争制限の可能性があるからということで、これに対して非常に警戒的な態度を示しておったということは、われわれもよく理解をしております。この場合もそのことはお考えになりませんでしたか。一位のもの、が合併する、あるいは合併して一位になってしまうというような場合には、これは前の公取委員長の言われておるような三〇%近い生産能力という警戒ラインも考慮の前提としてあるのでございましょうけれども、こういう場合には競争制限の可能性がある、こういうことを言い切っておるわけですね。この点についてはどうお考えになっておりますか。
#191
○菊池説明員 お答え申し上げます。北島委員長のおっしゃったことは、たぶん、推測でございますが、三〇%以上になって、しかも一位になるというような場合には、警戒ラインと申しますか、注意をしなければならないということで、それ以上は競争制限的になるという趣旨ではないと存じます。私どももそういう場合には十分注意をして調べたつもりでございます。
#192
○石川委員 合併の申請をして、いままで違反にした事例というものが一回でも何かございますか。
#193
○柿沼政府委員 正式に届け出があったものについては、ございません。
#194
○石川委員 そうでしょう。どうも公取委員会は、過当競争は悪であるけれども、合併については非常に手ぬるい感じがするのです。まあそれぞれの事情があって違反にする必要がなかったという説明は一つ一つつくのでありましょうけれども、違反にした事例はいまだかつて一件もございません。それが特に雪印乳業、クローバー乳業、これは北海道の道民の非常に熾烈な要望であったということも背景にあったでありましょうけれども、これは非常に高いシェアのものが昭和三十三年に合併を認められてしまう。次いで中央繊維と帝国製麻、あるいは三菱三重工というものも全部無条件で合併を認めておるというようなていたらくです。これで一体公取委員会の存在の理由があるだろうかというようなことすら国民の間から批判が出ておるということを、ひとつ十分考えの中に入れておいてもらわなければ、私はこれから困ると思うのです。
 それで、先ほど申し上げましたように、富士鉄と八幡が、無条件的ではありませんけれども、もうゆうゆうと合併をしてしまうということになれば、公取の使命はこれで終わりです。念のために申し上げますけれども、この八幡と富士鉄の合併は、御承知のように、国際競争力を強めるという大義名分から出発をした。そういう点からいいますと、王子三社は、これは当然認める結果になるだろうということは、国民がひとしく考えておるところですね。これは個人的な見解でけっこうです、これは別に委員会でもって打ち合わせたことじゃないでしょうから。御意見を承りたい。別に責任をとらせませんから、いいですよ。
#195
○菊池説明員 これも、ただいまの御質問の意味、あるいは取り違えているかもわかりませんが、王子系三社の合併も同じようなものであったから、これを認めるならば王子のほうのも認めるというふうに国民は考えておるというような前提のお話であったかのように承りましたけれども、王子の問題は、先ほどから繰り返し申し上げたように、われわれとしましては結論を出しておりません。結論を出す委員会の前にやめておるわけでございます。先ほど正式に届け出て事実上実現できなかった合併はないというふうに事務局長から御答弁申し上げましたけれども、何でもかんでもうのみにしているというわけではございませんで、公式の事前相談の前に、考えたけれどもやめるというふうなケースもございまして、独禁法十五条の存在というものはそういう意味においてりっぱな基準になっているかと思います。
#196
○石川委員 十五条は単に存在しているだけですよ。そんな受け付けたもので一件も違反した事項がないなんということ自体がそのことを示しておると思うのであります。
 そこで、ちょっと私参考までにお伺いしたいのでありますが、アメリカでは御承知のように六、七年前だと思うのでありますけれども、ベスレヘムとヤングスタウン、これは第二位と第六位ですね。これの合併の申請が出たときに、この合併を否決するという審決を米国の司法省で行なっているのです。この判決の理由はどういうところにありましたか。どなたかわかる方でけっこうです。
#197
○有賀説明員 御指摘をいただきましたけれども、あまり正確に覚えておりませんので、間違っておりましたら後ほどまた訂正させていただきますけれども、あの二柱間の合併はクレートン法の七条に基づきました手続でございまして、司法省がその合併をまず差しとめようとして事件を裁判所に提起したのに始まります。そして、地法裁判所の判決におきまして、手続の関係だけを申し上げますと、七条の違反になるという判決をいたしましたので、したがって原告である司法省は勝訴をいたしました。そこで当事会社はこれを控訴することなく判決が確定したのでございます。判決の内容につきましては、取引分野につきまして、これは地理的な取引分野、それから商品についての取引分野などについてのいろいろなこまかな論争がございましたけれども、要するに一番焦点になりましたところは、一方の会社がある二次製品の原料を他の業者に提供をいたしておりました。そして、その二次製品を合併の一方の会社が供給を受けていた関係でございます。それからこれはべスレヘムのほうでございますが、ベスレヘムはこの製品の原料から二次製品に至るまで一貫的に生産をいたしておりました。その一貫メーカーと、それから原料を供給してエンド商品を受けております会社との関係の合併が、結局二次製品をつくるために原料を受けておりましたユーザー側の立場というのが合併によって非常に困った立場に置かれるのではないかということが判定の一つの重要な根拠になったように承知いたしております。まだほかにもあるかもしれませんけれども、取引分野についてのとり方についてはいろいろございましたけれども、裁判所はそういう判決をいたしたと思います。
#198
○石川委員 ありがとうございました。
 いまのベスレヘムとヤングスタウン、二位と六位でありますから、大体粗鋼のシェアでいきますと、ベスレヘムが一六%、ヤングスタウンが四%、合わせても二〇%、こういう程度の合併ですら、いろんな事情がいま伺ったようにあったにいたしましても、き然として合併は却下されたわけです。こういうことを見ますと、これに比べますと、今度の場合の合併は比較にならぬほど巨大であるというような点で、日本の公取委員会はもう少し峻厳な態度でひとつ臨んでもらわなければならないと思うのです。
 それで、御承知のように、価格政策としては、日本では独禁政策と、それから最近いわれておる所得政策というものが取り入れられなければならぬということを、だいぶ大蔵省や経済企画庁あたりでは言っておるわけでありますけれども、この所得政策のほうは、時期尚早、あるいは労働組合側からの反発などがあってなかなか実現しないということになれば、価格政策の主要な柱は独禁法にあるという点で使命感に燃えてもらわなければならない。そのためには、管理価格あるいは競争制限というものを排除する方向で、単なる法律の番頭というかっこうではなくて、法律の解釈ということではなくて、総合的な判断の上に立って今後の経済政策の重要な変革をもたらす可能性のあるこの合併については対処してもらわなければならぬと思うのでありますけれども、どうもいまの公取委員皆さん方の説明を聞きますと、そういう本質的なものの把握というものがなされていない。こんなことでこれだけの大事件を簡単に白黒をきめたということについては、国民の一人といたしまして私は憤りを感ずるのです。山田公取委員長はきょうはお見えになっておらないわけですけれども、前々から言っておりますように、経済政策としては独禁政策と産業政策と金融政策この三つが柱にならなければならぬ、こういうことをいつも強調されておったわけでありますが、その独禁政策がいまのようなていたらくであったのでは、初めに申し上げたように、レモン水の中にレモンが入っているかどうかということだけを結果としてはやるようなかっこうになりますね。それで日本の経済産業構造というものは大きく変革をして、国民の利益に反する、公正取引を失わせる、そして自由な競争というものを失わせるような形にいく足がかりをあなた方は与えておるということを十分認識してもらいたいと思う。
 まだまだ質問したいことはたくさんございますけれども、実は問題点がだいぶ多過ぎて整理がつかないままにここへ参ったものですから、質問が非常に支離滅裂になった点を心からおわびいたします。いずれ日をあらためて、いまの答弁をもとにして再度質問する機会を与えてもらいたいと思います。いまの答弁では全然われわれは満足できません。
 きわめて重要な問題でありますので、最後に一つ伺いたいのでありますけれども、どうしても審判をして審決をするという態度をとらない限り、国民は満足しないと思う。いままでは単なる公聴会を三回やっておりますね。この公聴会等でお茶を濁すということに対する学者あたりの批判も非常にきびしいものがあることは皆さんも御承知のとおりです。今度の場合は、いままでとはスケールが全然違います。日本の産業政策の根本的な変革をもたらすかもしれない可能性を持っておるこの問題については、どうしても審判をし、審決をするというガラス張りの中での討議というものをひとつやってもらわなければ国民が納得しない。その点で審判をやるかどうか。これは仮定の問題だとお答えになるかもしれませんけれども、いよいよとなればやる、こういう決意をひとつ示してもらいたいと思う。
#199
○菊池説明員 お答え申し上げます。審判手続につきましては、法律に定められた手続でございますから、法律の要件を満たす場合にはやらなければなりませんし、法律の要件を満たさなければ実施することはできません。これは一に対応策と申しますか、正式に出してくる届け出が独禁法に違反するかどうかという観点から審査されて、それ以下の結論にまつところと考えております。
#200
○石川委員 私、時間がありませんからこれでやめますけれども、対応策がどうなるかという点について私は非常にいろいろな疑問を感じているのです。ただ単に株を放したとかなんとかというふうなことだけでいままでのつながりが排除できるなどということはとうてい考えられない。これはわれわれも会社にいたことがありますからよくわかるのでありますけれども、そういう形式的な対応策で本質的な問題の解決ができたと考えることは非常に甘いと思うのです。そういう点でこの対応策――三品種だけが黒で鋼矢板だけが灰色だというふうな判断のしかたそれ自体に非常な誤りがある。本質的に総合的な判断でもって独禁法に完全に抵触をするという見方を私はしているわけであります。これは百歩譲って皆さん方の見解をもとにするといたしましても、この対応策というものは形式的なものになってしまうのではないか。形式的に一応整っているからいいんだという判断をあなた方がするのではないだろうか、こういう疑念を解消するわけにいかないのです。したがって、今後の態度いかんによっては、絶対に審判に持っていき、国民の疑問をちゃんと解明するように審決をするというき然たる態度を持ってもらいたいということを最後に申し上げて、私の質問を終わります。
#201
○浦野委員長代理 中谷鉄也君。
#202
○中谷委員 実は合併の問題は非常に大事な問題ですので、さらに理事会にお願いして、私は第三回目の質問をさせていただきたいというふうに考えておりますので、きょうは一応時間をあまりいただかずにお尋ねをいたします。審決集の三、審決集の八、それから「東洋経済」の三月八日号と三月十一日の「エコノミスト」を委員の方にお願いをして用意をしていただきました。そこで私は、従来から統一解釈といわれているものについてかなり問題があると思いますので、お尋ねをいたします。
 すなわち、審決集の三、一七五ページ、そこには公取委員会の反論としての準備書面の一節が判決に引用されております。
  〔浦野委員長代理退席、委員長着席〕
そうして一八三ページから一八四ページまでには「競争の実質的制限とは、原告のいうような個々の行為そのものをいうのではなく、競争自体が減少して、特定の事業者または事業者集団が、その意思で、ある程度自由に、価格、品質数量、その他各般の条件を左右することによって、市場を支配することができる形態が現われているか、または少くとも現われようとする程度に至っている状態をいうのである。」こういうふうに判示されていることは梅田委員前回御答弁をいただき、先ほどからも何べんも御引用になったところだと思います。要するに、十五条に関する競争制限の意味というのはこの判例の立場だというふうに従来から何べんも御答弁がありましたが、あらためて確認をいたしたいと思います。梅田委員、いかがでございましょうか。
#203
○梅田説明員 十五条の解釈につきまして、その趣旨にのっとったということは間違いありません。
#204
○中谷委員 判例の立場と変わらないんだという御答弁が前回あったと記憶いたしますが、趣旨にのっとったということと判例の立場に従ったということとは違うのでしょうか、同じ趣旨なのでしょうか。
#205
○梅田説明員 私、前回さように申しましたかちょっと失念いたしましたが、言わんとするところは同じでございまして、ただ判例の文字にだけ従ったというのではなしに、趣旨に従ったということでございます。
#206
○中谷委員 そうすると、前回私が引用させていただきましたいわゆる十五条の統一解釈なるものについて、新聞あるいは先ほど御用意をいただきました雑誌等によって若干違うと思いますので、念のためにお尋ねをいたしたいと思います。
 しかし、その前にいろいろ巷間伝えられております統一見解なるものは、一月二十七日公正取引委員会の終了後、事務局長柿沼さんが記者会見の席上で質問に答えられながら明らかにしたものが、いわゆる統一見解として伝えられているというふうに記載されている雑誌がありますが、そのようなものとしてお伺いしてよろしいでしょうか。
#207
○柿沼政府委員 新聞なり雑誌なりの用語と非常に厳密な意味での判例の用語なり法令の用語なりには若干違いがあると思いますけれども、いわゆる統一見解として世上伝えられているものにつきましては、ただいま御指摘のとおりだと思います。
#208
○中谷委員 そこで、問題になっている点は次のような点です。すなわちこれはもうだれでも気がついたことだし、だれもが問題にした点でありますが、たとえば三月十一日号の「エコノミスト」で正田さんが「公取委の「内示」と独禁法」というレポートをお書きになっています。そこで従来の判例と統一見解なるものは違うということが盛んにこのレポートの中に指摘をされておりますし、われわれもそのようなものとして今日まで理解をしてきたわけです。ところが、前回私の質問に対して梅田委員は、たしか私の記憶によれば、判例の場合とは何ら変わらないということでございました。そこで、たとえばある新聞によれば「「競争の実質的制限」とは、合併した企業が価格操作など市場支配力を発揮できるようになって、他の企業は好むと好まざるとにかかわらず、これに追随せざるを得ない状態をさす。」ということになっております。そこで問題の焦点は、二つの判決の中で、先ほど引用させていただきましたとおり「ある程度自由に、価格、品質、数量、その他各般の条件を左右することによって、」とあることばと、いまの私が引用いたしました新聞の「実質的制限とは」との文句は同じなのかどうか。要するに、「ある程度」ということの解釈は、現在なお公取は法解釈としておとりになっているのかどうか、この点でございます。
#209
○梅田説明員 「ある程度」に関しては現在も解釈としてとっております。
#210
○中谷委員 大事な点ですので、念のためにさらにお尋ねを続けます。そうすると、たとえば「東洋経済」の一八ページに記載されております「独法第十五条の統一解釈」、「「競争の実質的制限」とは、合併企業が自由意思で価格、品質、数量などを操作して市場支配力を発揮できる状態をいい、」とあるのは、「ある程度自由に、価格、品質、数量その他、各般の条件を左右することによって市場を支配することができる」形態があらわれているという判例と、「ある程度」ということばはこの「東洋経済」の文言の中には出ておらないけれども、全く同一内容であるということになるのでしょうか。「ある程度」ということばに非常に重点を置いて理解している人がおりますが、そうすると、たとえば「東洋経済」の一八ページの記載は、「ある程度」と読めばいいわけですね。
#211
○梅田説明員 さようでございます。
#212
○中谷委員 次に、大事な点ですので念のために三月十一日「エコノミスト」三四ページ、その「第十五条の統一解釈」の中に、「「競争の実質的制限」は、東宝・新東宝事件に関する高裁判決にしたがって判断する。(その内容は、(1)特定事業者がある程度自由に価格、品質等を操作し、市場支配ができる状態)」とありますが、これと判例の立場とは全く一致するわけでございますね。
#213
○梅田説明員 前段の(1)の「特定事業者がある程度自由に価格、品質等を操作し、市場支配ができる状態」というのは、これは判例の説を要約したものと理解いたします。
#214
○中谷委員 「エコノミスト」の三八ページから三九ページ、そうすると正田さんは次のような引用のしかたをしておられるのです。統一解釈というものははっきりしないけれども、その統一解釈というものは、こういうことになっていると――三八ページの下段でございます。「「競争の実質的制限とは、合併した企業が価格操作による市場支配力を発揮できる状態となって、他の企業は、好むと好まざるとにかかわらず、これに追随せざるを得なくなることをいう」とあります。こういうふうに引用されて、そのことと、同じく三八ページの下段ですが、判例として、「競争自体が減少して、特定の事業者または事業者集団が、その意思で、ある程度自由に」――「ある程度自由に」という点に特に注意点を打っておられますけれども、「価格、品質、数量その他、各般の条件を左右することによって市場を支配することができる」状態としているものがあげられる。」として三九ページ、「前者は、このような力を確保するとはいえないが、プライスリーダーとしての地位を獲得し、」云々、「後者が合併によって成立する企業の力が決定的かつ圧倒的であり、」云々、こうなっているわけです。そうすると、公取委員会の立場からいうと、先ほど判例の立場と同じですということになると、最初に引用した統一見解なるものの現象は、判例の現象と読みかえてもいいんだということになるわけですか。
#215
○梅田説明員 「エコノミスト」の三八ページを御引用になりましたが、私ただいまこれを見ましたので、ちょっと読む時間を与えていただきたいと思うのであります。
#216
○中谷委員 そういうふうなお答えがあった場合にはどういうふうにお尋ねしたらいいんでしょうか。――それではこういうふうにお尋ねいたしましよう。
 要するに、「競争の実質的制限とは、合併した企業が価格操作による市場支配力を発揮できる状態となって、他の企業は、好むと好まざるとにかかわらず、これに追随せざるを得なくなることをいう」というこの文言は、公取のお立場からいいますならば、これは公取の統一見解と称されるものです。そのお立場からいいますと、判例が従来示している「競争自体が減少して、特定の事業者または事業者集団が、その意思で、ある程度自由に、価格、品質、数量その他、各般の条件を左右することによって市場を支配することができる」ものとイコールで結ばれる。逆に言いますと、統一見解なるものは「競争の実質的制限とは、合併した企業が価格操作による市場支配力を発揮できる」とあります。そうすると、「ある程度」ということばが脱落しているわけですね。統一見解として伝えられているものは判例と全く変わらないのだということであるならば、「ある程度」ということばが脱落をしているのだ、公取の立場は「ある程度」のという判例の立場なんだ、こういうことなんでございますね。要するに、厳格に解釈をすると合併は通ります。広く解釈すると合併は通りません。そういうことでいわゆる厳格に解釈し過ぎているのではないかというのが従来の人たちの批判でございますね。「ある程度」というのは厳格な解釈ではなく、ゆるやかな解釈だと通常いわれておりますね。そうすると、そういう解釈なんだから、いわゆる統一見解なるものは「ある程度」ということばが抜けておるんですね。
#217
○梅田説明員 統一解釈という名前をわれわれつけた記憶はございませんので、これはおそらく報道機関が便宜上そういう名前をつけたと思うのでございますが、私どもといたしましては、いわゆる統一解釈として新聞に載せられた表現がいかようであれ、従来の判例の文字あるいは範囲、趣旨をいささかも変更したつもりはございません。
#218
○中谷委員 こういうふうに伺いますが、「エコノミスト」三八ページ下段にある「競争の実質的制限とは、合併した企業が価格操作による市場支配力を発揮できる状態となって、」云々とあるのは、判例の立場を厳守されるという限り「ある程度」ということばが脱落しているというふうに理解してよろしいわけですか。
 いま一点は、「東洋経済」の一八ページに同じく「「競争の実質的制限」とは、合併企業が自由意思で価格、品質、数量などを操作して市場支配力を発揮できる状態をいい、」という文言がありますが、これも「ある程度」ということばが脱落している。さらにまた、ある新聞の報道によれば、「「競争の実質的制限」とは、合併した企業が価格操作など市場支配力を発揮できるようになって、」とあるのは「ある程度」というふうに理解すべきであって、「ある程度」ということばが脱落をしているというふうにお伺いをしてよろしいですね。
#219
○梅田説明員 「ある程度度自由に」ということばが脱落しているように思いますが、先ほどの「エコノミスト」の三八ページのカッコ書きのところでございますが、「好むと好まざるとにかかわらず、これに追随せざるを得なくなることをいう」という点を御朗読になりましたのですが、あわせてお答えいたしますと……
#220
○中谷委員 けっこうです。あとでお聞きします
 そうすると「エコノミスト」三九ページ上段「もし前述の統一見解なるものを、公取委の正式見解とするならば、この判例とも、基本的な点で異なるものであることはあきらかであろう。合併して成立する企業が「ある程度自由に」取引条件を左右し、市場を支配することができる状態というのと、価格操作による市場支配力を発揮できる状態となって、「好むと好まざるにかかわらず、これに追随せざるを得なくなること」とするのとの間には、決定的な差異が認められる。」とある。この正田教授の指摘は、公取にとっては「ある程度」というのが統一見解の立場にあるんだから、全くいわれなき指摘であって、正田さんの意見と公取の見解は、この文章に関する限りは全く同じだということになるわけでしょうか。
#221
○梅田説明員 「エコノミスト」三九ページの「もし前述の統一見解なるものを、公取委の正式の見解とするならば、この判例とも、基本的な点で異なるものであることはあきらかであろう。」……
#222
○中谷委員 そこで答弁してください。その点は間違いないかどうか。
#223
○梅田説明員 間違いありません。
#224
○中谷委員 そうすると、統一見解なるものが公取委の正式の見解とするならば、この判例において「基本的な点で異なるものであることあきらかであろう。」という指摘は正しいし、公取は統一見解なる見解はとっていない、判例の見解であるから、この点に関する、正田先生が言っておられる統一見解なるものは公取委の正式の見解ではなくて、公取委の正式の見解はこの判例の立場なんだから、この点についての言いがかりはまさに公取委の真意を理解しないものだということになるわけですね。
#225
○梅田説明員 さようでございます。
#226
○中谷委員 私はその次に、実は十五条を少し勉強してみましたが、これは有賀委員にお尋ねしたいと思うのですけれども、その前に梅田さんにお尋ねいたします。
 先ほどの石川委員の質疑に対する御答弁の中に、好むと好まざるとにかかわらずというふうな判例の立場というおことばがあったと私は記憶いたしますが、好むと好まざるとにかかわらずという、いわゆる統一見解に出されているようなことばは、少なくとも引用されました三つの裁判例の中には出てこないのじゃないでしょうか。
#227
○梅田説明員 先ほどちょっとその点に触れるつもりでおりましたのですが、好むと好まざるとにかかわらずということが、統一見解として報道機関の文章の中に表現されておりますが、これは三つの判例ではそういうことは言っておりません。野田醤油事件についての判決にそういう表現があったのを、おそらく間違って引用したのではないかと存じます。
#228
○中谷委員 そこで、次に私はお尋ねをいたしますが、そういたしますと、どういうことになるのでしょうか。統一見解は、競争の実質的制限とは、合併した企業が価格操作による市場支配力を発揮できるようになって、他の企業は好むと好まざるとにかかわらず、これに追随せざるを得ない状態をさすと報道されているのです。あとの経済雑誌二誌も同じような趣旨だったと思います。ところが梅田委員は、十五条の統一解釈は、これは「ある程度」ということばが入るべきだというふうに御答弁になったわけです。そうすると「ある程度」ということばが入っても、他の企業は好むと好まざるにかかわらずこれに追随せざるを得ない状態ということに結びついていくのでしょうか、この点はいかがでしょうか。
#229
○梅田説明員 判例には好むと好まざるとにかかわらずということは申しておりません。
#230
○中谷委員 そうじゃないのです。私の聞いておるのはそうじゃないのです。前回盛んにここで論議されましたのは、好むと好まざるとにかかわらず、これに追随せざるを得ない状態をさすのだということでございましたね。そういう点が論議されました。それはしかし、合併した企業が価格操作など市場支配力を発揮できるようになって、ということばとのつながりにおいて論議されたのです。そうすると「ある程度」の場合であっても、そういうふうな好むと好まざるとにかかわらず追随せざるを得ない状態ということになるのでしょうか。それでは少し解釈が違ってくるのではないでしょうかという質問なんですが、これは私は一番この点だけをきょうは調べてきたのです。この点をお答えいただかなければ困ります。−梅田さん、じゃ御答弁いただかなくて、私のほうからさらに疑問を提起いたします。これは有賀委員にお尋ねしたいと思っていたのです。と申しますのは、一体この判例の立場をとるかということなんですけれども、判例の立場というのは、はたしてこの判例は正しいのかどうかという点について、私は非常に疑問を持ちます。だからきょうの質問は非常に簡単にしますというふうにお尋ねを申し上げたのです。と申しますのは、審結集五の一三八ページをお開きいただきたいと思います。審結集五は言うまでもなく審結集三の判例を受けた判例でございますね。受けたというかそれを引用した判例でございますね。そこで判決は、まさに経済的な勉強はしておられる、経済政策とか経済知識についての勉強はしておられるけれども、必ずしも専門家とはいえない裁判官というふうに私はあえて申し上げてもいいと思うのですが、こういうふうな判例になっている。一三八ページから一三九ページまでですが、「競争を実質的に制限するとは、競争自体が減少して、特定の事業者又は事業者団体がその意思で、ある程度自由に、」また「ある程度」これが大事な点だと思うのですが、「自由に、価格、品質、数量、その他各般の条件を左右することによって、市場を支配することができる状態をもたらすことをいうのであって、」と、こうありまして、「いいかえれば」とこう続いておりますね。「いいかえれば」と続いているのです。そうすると私は従来の世間に報道されているあの統一見解なるものが、好むと好まざるとにかかわらず、ということばで続いていることとの間に関連があるような気がするのです。ここの判例の批評ですが、従来から有賀委員は公取でずっと御勉強になっておられるので、非常にお詳しいので私はお尋ねするわけですが、この判例の「ある程度」云々「をもたらすことをいう」ということが「いいかえれば」と以下にいって言いかえることがはたして正しいのかどうか。ある程度市場を支配することができる状態、「ある程度自由に、価格、品質、数量、その他各般の条件を左右することによって、」という、こういう状態が「いいかえれば」云々ということに論理的に続いていくのかどうか。そんなふうに言いかえることができるのだろうかどうか。これは言いかえておられるけれども、それは別のことを言っておるのではないか。「ある程度」ということならば、「いいかえれば」以下の状態になる場合もあるだろうけれども、ならない場合もある。むしろならない場合のほうが多いんじゃないか。これは私、おそらく公取の事務局の方なんかでも、私なんかでもこういう点が非常に疑問として気がつくのですから、ずいぶん御論争になったところではないかと思うのです。この点は判例批評をひとつ聞かしていただきたいのです。いかがでしょうか。
#231
○有賀説明員 たいへんむずかしい御質問で、この事件は前の東宝とスバル、オリオン座の賃借の十五条の問題とは違いまして、これはたしか東宝・新東宝のケースだったと思います。ですけれども、競争の実質的制限、ここでは「競争を実質的に制限するとは、」と動詞に出ているわけでございますが、内容的にはスバル、オリオンのケースの場合は、これは抽象的な「競争を実質的に制限するとは、」と動詞の形で出ておりまして、内容的には同じでございますが、ここに一つ違いますのは、御指摘のように、「いいかえれば」、その「いいかえれば」という事態が前段のものと同一であるかどうかという御質問だと思います。その判例批評の点でございますけれども、私どもは従来の解釈と申しますか、この判例の理解におきましては、結びつくというふうに考えておりますけれども。
#232
○中谷委員 いっそういう結びつくというふう汁御見解を公取委としてお出しになられたのでしょうか。たとえば「公正取引」など、ずっと続きナンバーで拝見いたしましたが、特にそういうことについての判例批評は私の調べた範囲では、私は藤見できなかったのですが、その点について、そういうふうな従来の見解があるのかどうか。そうすると、近経グループの諸君が非常に問題にしているこの点ですね。もう一度お尋ねいたしますけれども、それでは十五条の統一解釈のほうにいきます。
 統一解釈というのは、ある新聞ではこういうように報道されているのです。競争の実質的制限とは、合併した企業が価格操作など市場支配力を発揮できるようになって、他の企業は好むと好まざるにかかわらず、これに追随せざるを得ない状態をさす、でございますね。こういう状態なんだ。これは経済的合理性というようなことばで説明がされました。そうすると、競争の実質的制限とは、合併した企業が価格操作など市場支配力を発揮できるようになってというのを、「ある程度」ということばが入って読むのだ、これは「ある程度」が抜けておるけれども、「ある程度」ということばを入れて読みなさい、それが判例の立場を――公取ではそう読みなさいというのですね。そうすると、従来の統一解釈といわれておったものよりもいわゆる広い弾力的、厳格でない解釈というものを公取はとっておるのだ。そうすると、統一解釈というものが従来発表されたときに、「ある程度」ということばが抜けたから、これで合併ができたといって八幡や富士の社長さんが喜んだということが伝えられておりますけれども、そうではないことになりました。私の理解ではそうなったと思うのです。「ある程度」はあくまでも厳守するのだということになれば、従来どおりの判例の立場を厳守するのだということになる。そうすると、いま一つ有賀委員にお尋ねしたいのは、「ある程度」ということばが入ったとしても、ある程度であっても、好むと好まざるにかかわらず、これに追随せざるを得ないことになるのでしょうか。ある程度であっても、追随せざるを得ないのでしょうかという質問なんです。
#233
○有賀説明員 判例の解釈それ自体「ある程度自由に、」「自由に、」に「ある程度」という制限がつけられております。この「自由に、」に対する制限はそもそもどういう意味なのかということは、一般の市場構造というものが、これは合併事件にかかわらず――合併事件について申し上げるわけじゃございませんで、一般的に申しましても、そもそも市場構造というものが完全競争的なものでない部分が非常に多うございますから、そういうこともこの中に読み込まれているのではないかと私自身は思っておりますけれども、委員会としての統一見解というものは出しておりませんので、いろいろごそんたくをいただいたことがありますけれども、この「ある程度」というのは、私自身そんなふうに理解していますけれども、委員会でそれを教えて一緒に議論をしたり、あるいはいままでこの点についての経済学者なりあるいは法律学者からの十分な御教授も、私はまだ勉強不足でもって存じないのでございます。
#234
○中谷委員 菊池さんにお尋ねいたします。
 こういうことなんでございましよう。「エコノミスト」三九ページには「ある程度」の場合であるならば、「このような力を確保するとはいえないが、プライスリーダーとしての地位を獲得し、それが、次第に競争を排除していくだけの力をもつ場合、いいかえれば、このような指導力をもつ場合をも含めて、競争制限をとらえていることは、文言上からもあきらかだと思われるのである。」こうあるわけです。そのことは、先ほどの私が引用いたしました判例審決集五の一三九ページの「いいかえれば」以下にはつながっていかないと思うのです。要するに「ある程度」であれば、逆に言いますと、統一見解として報道されている「好むと好まざるにかかわらず、これに追随せざるを得なくなる」場合にはならない場合があるという趣旨の解釈を示しているわけだと思うのです。そうすると、「ある程度」であっても――「ある程度」と読みなさいということなんですね。まず、この実質的制限については「ある程度」と読みなさい。ある程度であっても、好むと好まざるにかかわらず、追随せざるを得ないということになるというその法解釈をひとつ。「ある程度」が入るのと入らないのではえらい違いだと思うのです。「ある程度」が入ってないのにあなた方は読みなさいとおっしゃるのだから。そうでしょう。だから、その「ある程度」が入るのに追随せざるを得ないというそのわけは一体どういうふうな法律解釈になるのでしょうか、この点を御答弁いただきたい。逆に言いますと、実質的制限については「ある程度」ということばが入ると思います。そうすると、それが好むと好まざるにかかわらず追随せざるを得ないという法律解釈をあらためてこの機会に菊池さんのほうからお答えをいただきたい、こういう趣旨の質問です。
#235
○菊池説明員 先ほどから御指摘になっております「エコノミスト」をまだ読んでおりませんので、私の解釈に誤解があるかもわかりませんけれども、「ある程度」と申しますのは、「ある程度自由に、」、完全に自由に、思うままにというところまでは要求しないけれども、ある程度自由にそういうことができる、こういう趣旨でございますから……
#236
○中谷委員 ちょっと、私の質問と若干違うんじゃないでしょうか。
#237
○菊池説明員 先ほどから「ある程度自由に」というところに御指摘がございますけれども、ある程度自由に……
#238
○中谷委員 そうです。そういう意味で聞いているんです、私も。
#239
○菊池説明員 そうしますと、ちょっと御質問の意味を正確に理解しかねておりますのですけれども……。
#240
○中谷委員 どうしてですか、お答えいただけませんね。「ある程度自由に」ということばが判例の中には入っている。その点を近経グループの諸君は盛んにそれが判例の立場なんだといっている。「ある程度自由に」とある。いわゆる解釈はそれをはずしてしまった。公取のいわゆる統一見解なるものよりも弾力的に解釈できるんだとこういっている。ところが従来の統一見解なるものは、どうもはっきりしないけれども、全部「ある程度」ということばが落ちてしまっているをうですね。しかしいま確認したことは、それは心配要りません、「ある程度自由に」ということばは、公取の意見をもとにしていえば、ある程度自由なんですということなんですね、おっしゃるのは。そういうことだとすると、だからそういうふうに従来伝えられている統一見解を読みなさいということなんですね。そういうことですというのです。そういうふうに「ある程度自由に」ということなら、いわゆる正田さんがいっているように「「好むと好まざるにかかわらず、これに追随せざるを得なくなること」とする」というふうにはならないじゃないか、「ある程度自由に」ということを除いてしまっているから「好むと好まざるにかかわらず」という文言になるんだ、論理的帰結としてそういうことになるんだ、「ある程度自由に」ならそうならないはずだ、こういつているんです。総合的意見は、私はそうだと思うのです。きょう私が質問しました収穫というものは、「ある程度自由に」ということばは、公取としてはそれを入れているのですとおっしゃるのだから、そうなれば「好むと好まざるにかかわらず、これに追随せざるを得なくたる」ということとの結びつきは一体どうなるのですかということなんです。
#241
○菊池説明員 「ある程度自由に」と申しますのは、先ほど申しましたように、完全にもう思うままに、絶対自分の自由ということではないけれども、これはやはり自由に――自由にという意味は完全な自由という意味ではない。そこに制約がふることは、判例の明文に書いておりますように、これは私どもも認めますけれども、やはり自由にできるということが前提でございますから、後難のことと関連がある。それがもう徹底した、もら思うままにかってにやるということは実際の市場ではあり得ないことかと思いますけれども。
#242
○中谷委員 何べんも「エコノミスト」を引用させていただいたので、もうお読みいただいたと思いますが、もう討議された点ですから、ではこういう点についてはどういうふうに御説明いただけますか。こうなっているんですね。私もこう思いますから、この一点で質問を終わります。「合併して成立する企業が「ある程度自由に」取引条件を左右し、市場を支配することができる状態というのと、価格操作による市場支配力を発揮できる状態となって、「好むと好まざるにかかわらず、これに追随せざるを得なくなること」とするとの間には、決定的な差異が認められる。」とあるわけです。決定的な差異があるのですかないのですか、まず一点です。
 それと、なぜか、そのわけはと続くのです。文章は「後者が合併によって成立する企業の力が決定的かつ圧倒的であり、価格操作により、競争事業者に競争の余地を与えないようなものである場合に限定して、競争の実質的制限につらなるものとするのに対して、」これは公取の従来の統一見解になるものはそういうものだというのです。ですからあわせてお答えいただきたいのは、公取の統一見解なるものは指摘しているようなものなのかどうかなということです、第二点の質問は。「前者は、このような力を確保するとはいえないが、プライスリーダーとしての地位を獲得し、それが、次第に競争を排除していくだけの力をもつ場合、いいかえれば、このような指導力をもつ場合をも含めて、競争制限をとらえていることは、文言上からもあきらかだと思われるのである。」とあるのです。だから私の質問は、決定的な差異があるのかどうか、これが一点。そうして、実質的制限というのは後者の場合になるのですか、前者の場合になるのですか。ドイツやアメリカやフランスの判例までお調べになったとおっしゃるのだから、それは明確にお答えいただきたい。――委員長、もう一度説明させてください。
 要するに、ここに書いてある後者のような場合を解釈としておとりになるのか、前者のような場合を解釈としておとりになるのか。そうして決定的な差異があるのかどうか。だから質問は二点です。
#243
○菊池説明員 ただいま何度も「エコノミスト」をお読みいただきまして伺っておりましたが、やはり読んでみませんとはっきり頭に入れかねまして、問題の要点を――この場合「追随」とかいろいろな字句が出てまいりますので、その意味というものを正確に理解しませんと、何度もお読みいただいてまことに恐縮でございますけれども……。
#244
○中谷委員 ちょっと違うのですよ。それは追随ということばはあなたのほうからおっしゃったことばですよ。この委員会で、追随せざるを得ないというのは、さっきあなた自身も言われたじゃないですか。梅田さんも言われましたね。追随せざるを得ないのだ、好むと好まざるにかかわらず――それで私はさっき好むと好まざるにかかわらずなんという判例はないですね、そこまで言いましたでしょう。だからあなた方は、たくまずして、統一見解なるものを言っておるのですよ。石川委員の質問に対して、好むと好まざるにかかわらずとおっしゃったでしょう。だからそんな判例はありませんね、いいかえれば、合併の判例はありますけれども、と言ったのです。そうすると、何か別な判例でそういうのがあるかもしれませんけれども、少なくとも合併に関する判例というのにはそういうのがないでしょうが、と私は言いましたですね。ですから追随ということばは出てきているし、山田委員長もそのことばをお使いになったのだから、いまは菊池さん、追随ということばは知りませんよとか、追随ということばの解釈を――これは公取がおっしゃって、公取が伝えているのだという意味のことを、従来の判例との違いが決定的ですよ、こう言っているのだから、追随ということばの解釈を自分がおっしゃっておいて、追随ということばはとにかく分析しなきゃとか、掘り下げなきゃとか、文言を解釈しなければというのは、ちょっと私は聞こえません。
#245
○菊池説明員 いま私の申し上げましたのは、追随ということばがわからないということではございませんで、ここに追随ということばが先ほどお読みになりました中で出てきたように伺いましたので、その前後の文章を読んでおりませんと、正確な意味を理解しかねて間違ったことを申し上げては恐縮でございます、そういう意味で申し上げたわけであります。
#246
○中谷委員 「エコノミスト」の文章の問題じゃないのですよ。判例の「ある程度自由に」ということと、皆さんがおっしゃっておる追随ということとが決定的な差異があると、こう言っているのです。しかし、では「ある程度自由に」ということになるのだったら、決定的な差異はなくなってくるのですね、ということを言っているのですよ。そうでしょう。私が言っているのは、「ある程度自由に」ということを公取はほってしまったから、判例を修正されたから、それで「好むと好まざるにかかわらず、これに追随せざるを得なくなること」ということの公取の統一見解なるものとは、決定的な差異が出てきた、こういうふうにいっているんだから、「ある程度自由に、」という立場をおとりになるなら少しも違わないじゃないか、正田さんが違うといっているのはおかしいじゃないですかということになるのじゃないでしょうか、こう聞いているのです。
#247
○菊池説明員 「ある程度自由に、」ということばはここに書いてございますようにわれわれも認めておるわけでございます。ただ公取の統一見解と申しますのは……。
#248
○中谷委員 統一見解ということにこだわらぬで、あなたの解釈を教えてください。
#249
○菊池説明員 私の解釈は統一解釈ということでございます。
#250
○中谷委員 あなた個人の解釈を教えてください。
#251
○菊池説明員 私の解釈は統一解釈と同じでございます。
#252
○中谷委員 統一解釈はあるのですか。
#253
○菊池説明員 統一解釈は文言で正確な文章にしたものはございませんけれども、十分に合議しまして、そういうもので判断したわけでございます。基準がなくてものを判断することはできませんから、その点は十分議論してございます。
#254
○中谷委員 では菊池さんにお尋ねしますが、統一解釈というのは結局あるのですね。
#255
○菊池説明員 統一解釈はございます。それは判例の考え方によってやるということでございます。
#256
○中谷委員 前回御出席いただいて、山田委員長が、統一解釈については、委員会で合議をして統一解釈を出すか出さないかきめるとおっしゃったことは矛盾はしないのですね。
#257
○菊池説明員 ただいま申し上げましたとおり、文章にしてこれこれが統一解釈というものはございません。それを文章にして出しますには、字句等につきましても十分慎重に検討しなければなりませんので、おそらく山田委員長はそういう趣旨で発言なさったものと考えます。
#258
○中谷委員 ではあと二つだけ別の質問をいたしますが、従前統一解釈といわれているものが従来下の判例と非常に違うのだという立場があちこちでいわれておるわけです。そうすると、同じ土俵で公取と論議することが非常に問題がある。前回などの御答弁では判例の立場だというようなお話もありましたので、きょうは私は判例の立場、要するに「ある程度自由に、」ということばが入るのか入らないのか、この点をひとつ確かめてみたかったわけです。ずいぶん同じ質問を長くやりましたけれども、この点でそういうことだとすると、率直にいって統一解釈が出たとたんに八幡、富士の社長さんがあの統一解釈が出たので合併ができるといって喜んだというようなこともないわけでもないように思いますし、はたして統一解釈の立場からいってどうかということであらためて検討をして質問の機会を持ちたいと思うわけです。
 そこで私は、質問の準備をたくさんしてきたのですけれども、一点だけ公取のほうにお尋ねをいたしておきます。
 実はこれは私、委員長に対してお尋ねしたい質問として用意をしたのですが、委員長御病気で御出席がないので、皆さんそういうことについては非常に御検討になったと思われるのですが、前回委員長は次のような御答弁をしておられるわけです。独禁法と独禁政策の間に幅があると申したのは、これは理念として理想としての独禁政策というものとそれから現実の法の運用というものの間にはある程度の差がある、こういうふうに申したわけなんだ、こういうふうに言っておられるのです。要するに、理念としての独禁政策と現実の独禁法という間には幅がある。その幅というのは、ズレとかまた矛盾だとかいうふうなことばで私は解釈できるのではないかと思うのですけれども、実際のあるべき独禁政策と独禁法との間には幅がありズレがあるということについては、具体的にそういう幅がありズレがあるということになるのかどうか。
 それをお答えいただいて、第二の質問としては、十五条の問題というのは、木を見て森を見ざるようなことではいけないというような議論はずいぶんたくさんあるのですけれども、先ほどからの公取の御答弁をお伺いしていますと、やはり菊池委員がさっき午前中に御答弁になったように、十五条という実定法を全く離れてしまうわけにはいかない、こういうような趣旨の御答弁があったと思うのです。そうすると、十五条について実定法に基づいての合併を認めるか認めないかという判断についていまここで御答弁いただくわけにはいきませんが、あるべき独禁政策の立場からいって、十五条による八幡、富士の合併というのは好ましいのか好ましくないのか。いわゆる八幡、富士が権利として合併ができるということと、それがあるべき独禁政策の立場からいって好ましくないということとは別だと思うのです。ここで好ましいとか好ましくないという御答弁があったとしても、これは合併の御判断には別に影響がないわけだと思うのです。
 そこでお尋ねいたしますが、委員会としては、十五条の判断、要するにこの合併の法律的判断の前提として、あるべき独禁政策の立場から見て、八幡、富士の合併は好ましい好ましくないというふうな点についての合議はなされたのかどうか。ことに菊池委員は、私は実は午前中の質問をいろいろ聞いておりまして、かなり不規則発言も多かったと思うのですが、私は率直に申しまして、いままでかつて公取の方が御出席いただいた中での不規則発言というものはなかったのです。これは私は法務委員会へときどき出ますけれども、裁判所に対する質問のときに不規則発言が出ないと同じような態度をもって従来われわれは公取に対しておった。しかしきょうの不規則発言というものは、ある意味では公取の一つの危機、公取が非常に危険な状態にあるということの一面でもあろうかと私は思うのです。だから私は公取というものの権威が非常にいま問われているのだと思うのです。そういう点で重ねてお尋ねしますが、あるべき独禁政策の立場から見て、八幡、富士の合併は好ましい面があるとすればどんなこと、好ましくないとすればどんなこと、これはひとつ菊池委員のほうから御答弁をいただけるかどうか。いただけるとすればまずその点についてお答えをいただきたい。
#259
○菊池説明員 ただいま御指摘のありました不規則発言の問題でございますが、私不規則発言というのはどういう内容か実は存じません。あまり国会答弁に出ておりませんので、不規則発言という内容がわかりませんので、ちょっとお答えいたしかねます。
 あるべき独禁政策ということにつきましては、これは固定したあるべき独禁政策というものが書いてあるわけではございませんで、各国それぞれいろいろな独禁政策というものを追求しておるわけでございます。これも現実に即して、あるいは各国それぞれの国情に応じまして独禁政策の理念を追求しているわけでございますが、現実とのかね合いでそれぞれの国においてそれぞれの独禁政策、独禁法制があるわけでございまして、ただ観念的にどういうものがあるべき独禁政策かというようなことについては、私ども特別に議論をしておりません。
#260
○中谷委員 梅田さんにお尋ねします。
 要するにこういうことなんでしょうか。十五条の問題は、実定法があるんだということになれば悪法でも法なんだ、最後はとにかく合併は好ましいとか好ましくないということがあっても、権利としての合併であればそういう判断はもう判断の外になるんだ、悪法でも法なんだから十五条にあたれば認めざるを得ないのだということになるわけですか。
#261
○梅田説明員 まことに単刀直入の御質問でございますが、私といたしましては、十五条を解釈するにつきまして第一条の理念というものは当然解釈の基準として取り入れらるべきものと考えます。しかし理念は理念として、十五条は十五条として、その理念ではこう解釈したいけれども、その文言、法律の概念からしてどうしてもそれを飛び越えることはできないという場合があれば、悪法もまた法なり、私は従わざるを得ない、こう思います。
#262
○中谷委員 ですから、先ほどから各委員がやかましく言ったことは、とにかく一条を見ろということですね。ところが公取のほうは、ひょっとしたら裁判所へいって負けるかもしれぬ、だから十五条の実体法解釈ということで、しかもその十五条を、どうも評判が悪いのは厳格に解釈しているような傾向があったということで、それで私、ほんとうに厳格に解釈しているんですかということをいま指摘したわけですね。そうしたらどうもそうじゃないんだということなんですが、ほんとうにそうかどうか私もう一ぺん検討させてもらいますけれども、そういう問題がありましたね。
 そうすると梅田委員のお立場は、要するに八幡、富士の合併というのは独禁政策から見て好ましい好ましくないというふうな問題があったとしても、それと十五条とはどこかでずれる、はみ出してくるものがあることはやむを得ないのだ、十五条があって、権利として申請してくれば、認めるか認めないかわからないけれども、はみ出してくる場合があるということになるわけですか。要するに、独禁政策から見て八幡、富士の合併というのは好ましくないというものがあっても、しかしそれは十五条があればもうしかたなしにだ、悪法でも法なりだということになる。しかし法の一条でできるだけひとつ、そういうことが好ましくないならがんばってみますということになるのでしょうか。要するに、通産大臣が言った、会社の権利だから申請してきたのじゃないかというふうな立場だけはおとりになりませんね。
#263
○梅田説明員 十五条の解釈につきましては、なるべく――なるべくじゃございません、法律の解釈でございますから、法の目的というものは当然尊重して、それにのっとって解釈すべきもの、こう考える次第でございます。
#264
○中谷委員 どうも長いこと失礼しました。終わります。
#265
○堀委員 委員長ちょっと。お約束の時間が三十分しか私の分がなくなりましたから、そこで国鮮がこの間に入れるかどうかちょっと疑問がありますから、もし国鉄の分が、入られて時間がない場合には、近江君の質問が終わったあとでちょっと国鉄に関する分だけはやらしていただきたいと思いますから、御了承いただきたい。
#266
○大久保委員長 承知いたしました。堀昌雄君。
#267
○堀委員 最初に、この間から議論をいたしましてどうもはっきりしない点がありますから、一つだけはっきりさせていただきたいと思います。
 この間梅田委員に私事前審査の法的根拠を伺いましたらば、そのときには、独禁法上の法律的根拠はありませんというのが梅田委員の御答弁でございました。きょうはひとつ各委員に、事前審査の法律的根拠について、お一人お一人から法律的根拠があるのかないのか、あるとすればどの法律に基づくか、もう一ぺんちょっとお答えをいただきたいと思います。梅田委員にこの前伺っておりますから、最初に梅田委員からお願いをいたします。
#268
○梅田説明員 この前の御質問に対する私のお答えはややことばが足りなかった点を私自覚しております。
 お答え申し上げましたのは、たしか法律の根拠はないというふうに申し上げたと思います。私、実は直接の明文はないというつもりでおりましたが、はなはだ雑な表現を使いましたことをおわび申し上げます。
 根拠でございますが、これは公取事務的の組織令がございます。八条でございますが、企業課の所掌事務が規定してございます。
#269
○堀委員 ちょっとこれの何ページかおっしゃってください。
#270
○梅田説明員 二三四ページです。下欄でございますが、第八条の四号「会社の合併等に関する届出の受理」に関することとございます。それによりまして合併の事前相談に当たっておる、かように考える次第でございます。
#271
○堀委員 それはあなたのほうの一種の内規のようなものですね。皆さんのほうの公正取引委員会事務局組織令というのは、公取委員がおきめになっておるもので、国会がきめたものではございませんですからね。よろしゅうございますか。私どもは、行政当局が少なくともそのもとになる根拠法規、国会の私どもがきめた法律は一体どれになるのかを言っていただかないと、それはあなた方の内部の取りきめで、そんなことをおっしゃったってこの場所では通用いたしません。法律上第何条と言っていただかなければ困りますね。
#272
○梅田説明員 ただいまの事務局組織令は国家行政組織法第七条の七項に基づくものと考えます。
#273
○堀委員 第七項は「委員会には、法律の定めるところにより、事務局を置くことができる。第三項、第五項及び前項の規定は、事務局の内部組織について、これを準用する。」とあるだけで、法律が定めておるのは「事務局を置くことができる。」というのを定めておるのじゃないですか。どうですか。そしてあなたの御指摘になったいまのあれは、届け出の受理に関する事務ということでしょう。これは届け出がされていないじゃないですか。どうなんですか。届け出の受理ということは、届け出がされたときに発生することじゃないでしょうかね。まだ届け出もされてないのに届け出の受理というのはどういうことですか。
#274
○梅田説明員 国家行政組織法七条七項には御指摘のとおり「事務局を置くことができる。」次に「第三項、第五項及び前項の規定は、事務局の内部組織について、これを準用する。」とございまして、その前の六項によりますと、「庁、官房、局及び部には、課及びこれに準ずる室を置くことができるものとし、これらの設置及び所掌事務の範囲は、法律の範囲内で、政令でこれを定める。」これがかぶってくるものと思うのでございます。
 そういたしまして、次の、まだ届け出が受理されてないのに、どうして事前審査、事前相談にそれがかぶるのかという御質問でございますが、それは「関すること。」ということで、相談の段階でございますから受理はございませんけれども、しかし行く行くは受理されることになるかもしれないということで、受理に「関すること。」というふうに読んだのでございます。
#275
○堀委員 一つの見解ですから、それは一応承っておきましょう、きょうは時間がありませんから。各公取委員の皆さん、そういう見解かどうか、きょうは一人ずつ見解を承りたい。
#276
○菊池説明員 私もさように考えます。
#277
○亀岡説明員 お答えいたします。まず独禁法でございますが、先般お尋ねになりました三十五条の四というところに「経済部においては、左の各号に掲げる事務をつかさどる。」こう一号、二号、三号ございまして、この中にはいまの合併に関する事前審査等の事項がございません。それから次は、三十五条の三「官房においては、左の各号に掲げる事務をつかさどる。」この中で、二号に「渉外、こう報及び文書に関すること。」ここで」こう報」というのが一つ問題になると思います。最初にちょっと法律記事だけ説明させていただきます。それから、その次は総理府設置法、二三一ページでございます、十八条で「前条の規定による外局の組織、所掌事務及び権限に関しては、他の法律に別段の定のあるものを除くの外、それぞれ次の表の下欄の法律(法律に基く命令を含む。)の定めるところによる。」その一番最初に公正取引委員会、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律というのがございますので、総理府設置法から見ますと、この規定だけでは――「他の法律に別段の定のあるものを除く外」これを組み合わせて読みますと、先ほどの三十五条の四とそれから三ということがまず出てまいります。
 それから、他の法律という関係でひとつ考えてみますと、国家行政組織法、ただいま梅田委員が御説明されたと思いますが、七条の六項、七項でございますか、ここに、七項で委員会の内部組織について準用規定が置かれて、六項で部課の設置、所掌事務というものは政令できめられる、こうなっております。そこで政令を見ますと、先ほどの公正取引委員会事務局組織令というものがございまして、二三三ページでございますが、第二条の六号に「こう報に関すること。」これは先ほどの独禁法の条文と関連しておりますもので、組織法との関係で一つ問題があるかと存じますが、ここでは一応組織法の関連で「こう報に関すること。」こう出ておると思います。
 それから、その次は、これもただいま梅田委員が御説明申し上げました八条に、「会社の合併等に関する届出の受理に関すること。」こうございます。組織権限、所掌事務、こう考える場合に、関係する法令を申し上げたのでございますが、そこで問題になるのは「届出の受理に関すること。」これは現実に届け出が出ておりません。したがって、受理に関する、受理の事務ということにはならないと思います。しかしながら、「受理に関すること」という場合に、その受理と無関係ではない。事前審査が無関係ではない。こういう意味で、この所掌事務がかかってくるかと思います。
 それから総務課の職務として二条の六号に「こう報に関すること。」これは一般的な解釈として、いわゆる行政相談というような場合にこの「こう報に関すること。」ということで読んでいるように聞いております。したがって、これらの規定をあわせて考えてみますと、いまの合併の届け出以前の事前審査ということは、いまの関係法に応じて一応公正取引委員会の権限ある所掌事務というふうに考えていいのじゃないかと思っております。
#278
○堀委員 有賀委員、簡単に……。
#279
○有賀説明員 いままで三委員がお話しくださいましたとおり、私もそういうふうに考えて、ちゃんと根拠のある手続に沿っておると確信いたしております。
#280
○堀委員 その点はそれで終わりまして、次に移ります。
 きょう前段で、中村委員その他の質問に答えて、建設省のほうでは、鋼矢板というのは、何か参事官の答弁では一〇〇%われわれは関係がありますという答弁が実はあったわけです。それはおそらく建設業務については一〇〇%関係があるという表現だったろうと思うのですけれども、建設省自体が、要するに建設省が直接契約するものと、それから建設業者を通じて契約をするものとがありますから、その二手に分かれると思いますが、要するに国の公共事業として鋼矢板を使用する量というか、比率はどのくらいか、ちょっと建設省、お答えをいただきたいのです。
#281
○浅間説明員 具体的な数字は調査しておりませんが、四十二年現在で全量約五十万トンと統計に出ております。このうち約三十万トン程度公共事業に使われているものと推定いたしております。
#282
○堀委員 実は今度のこの問題の中で、私は国として非常に関係がある部分が二つあると思うのです。いまお答えのありました鋼矢板は五十万トンの生産量中、大体三十万トンを国が使用しておる。六〇%は実は国が使用しておる。それからレールですが、レールは国鉄として、要するに国が使用しておるのは一体全体のどのくらいですか。
#283
○高野説明員 国鉄が消費いたしておりますレールの数量は、年度によって若干の相違がありますけれども、大ざっぱに申し上げまして大体二十万トンでございます。そしてこれは鉄道用レールの日本の全体から見ますと八〇%をこしております。
#284
○堀委員 私どもはそういう意味では、ある意味で国民を代表して、国という、あるいは国有鉄道というユーザーの立場に立っておるわけです。そこで今度内示がされたわけでありますけれども、鋼大板については、日本語で通例にないような表現か使われておる。事務局長にお伺いをいたしますか、ちょっともう一ぺん言ってくださいませんか。
#285
○柿沼政府委員 いまのお尋ねの、鋼矢板についてはにわかに同条に抵触しないとはいえないといりことばを使っております。
#286
○堀委員 菊池委員にお伺いをいたしますが、これはどういうことなんですか。私ども、日本語では普通こういうことはあまり使わないですね。私はあれをちょっと読んで、非常に含蓄のある表現かしてあるのだろうと思うのですが、これはどういうことをほんとうは意味しているのですか。一般的用語で平易に教えていただきたいのです。
#287
○菊池説明員 お答え申し上げます。書いてございますことは、違反でないということも言えないけれども、違反であるということもいまのところ言えないということでございます。
#288
○堀委員 これはいまの御答弁たいへん重大なんですけれども、そうすると違反であるとも言えないし、ないとも言えない、わからないということですか、それは。
#289
○菊池説明員 あの時期におきまして直ちに結論が出なかったということでございます。
#290
○堀委員 結論が出なかったということは、私がいま端的に伺ったように、あの時点ではわからないということですか、それじゃ。
#291
○菊池説明員 御承知のように十五条の判断をいたしますときは、将来の蓋然性でいろいろものを判断するわけでございますが、鋼矢板につきましては、いろいろ競争業者の新規参入という問題がございまして、これをどう評価するか、その評価につきましてその当時は結論が出ず、直ちに違反、違反でないということは言えないということでございます。
#292
○堀委員 そうするとこれはいつになったら――これは問題は二つあると思うのですよ。材料が十分整ってないから判断ができないという問題が一つあるでしょう。もう一つは、いまの時期ではできないけれども一年たったらできるという問題もあるかもしれませんね。整理をするとそういうことになる。ほかにもありましょうか。もっとあればちょっと答えていただきたいと思うのです。
#293
○菊池説明員 お答え申し上げます。将来のことを推理いたしますには、将来になってみなければわからないこともございますけれども、現在において将来のことを判断する上に、大体蓋然性で判断しておるわけでございますから、現在判断するに確信の持てるものがあればそれで判断するということもございまして、あのときはこういうことでまだ委員会として違反じゃないということは言えないということでございました。
#294
○堀委員 そうすると、材料が整えばさらに判断は正確になり得るという可能性は残されておるのでしょう。
#295
○菊池説明員 そういう可能性は考えられると思います。
#296
○堀委員 そうすると、材料が、やはりけさの段階でもそうですけれども、任意提出によってされたものですから、やはり材料をもう少し整えて、強制権によって、四十条によって処理されるような材料が整った場合には、いまやや判断に困っておることは、いまあなたの御答弁からすれば、判断がはっきりする可能性もあり得る。これははっきりするかどうかはとってみなければわからないでしょうけれども、あり得る、こういうことですね。
#297
○菊池説明員 お答え申し上げます。その判断に使う資料は、両当事者が出せるものと出せないものとございまして、また両当事者以外でも、四十条の規定でとらなければ信頼できないというものかどうか、それはまた別個の問題であると存じます。
#298
○堀委員 いや、私が聞いておるのは、材料がもし整えば判断の可能性は高まるんではないですか、こう聞いておるんですよ。その手段としては四十条もあるだろうし、いろいろあるだろうけれども、要するに材料が不十分であるということも一つのの判断の定まらない理由ではなかったかと言えば、あなたはそうだと言うから、それならば新しい材料が出てくれば判断の可能性はふえますねと、こう聞いておるわけですよ。
#299
○菊池説明員 そのとおりでございます。
#300
○堀委員 そこでこの問題について、ちょっと私は特に行政当局の意見を聞いておきたいのですが、さっき実は重工業局長が将来需要者の側に立って不安のないようにしたいという表現だったか、ちょっと表現私も記憶してないんですが、そういうことのために予測せられるようなことのない、そういうことの起きないようにするために何か考える必要があるとすれば考えたい、こういうような趣旨の答弁だったように思うのですが、ちょっとあそこのところ、もう一ぺんお答えいただきたい。
#301
○吉光政府委員 指摘されました問題点の解消につきまして、両当事者である会社がこの解消策をつくってまいるということは、これは当然だと思うわけでございますけれども、これはかりにの問題でございますけれども、かりにその解消策がどういう形で出てくるか、まだわかりませんけれども、何らかの解消策が講じられながら、公正取引委員会の御審議の段階でかりにもし合併が認められるというふうなことになりました場合、使用者側、あるいは需要者といってもけっこうだと思いますけれども、需要者に不利益が起こらないようなそういう措置について検討の余地があるかどうか、また余地があるとすればそれをどういうふうに考えていくか、そういうことについて現在勉強をいたしておるというふうにお答え申し上げたわけでございます。
#302
○堀委員 ちょっとここで公取の委員に、もう一ぺん話を戻して伺うのですが、この前公取委員会から資料を提出していただきまして、そうして私この資料をずっとそろえて調べてみますと、この間ちょっと私、引用したわけですけれども、レールの場合には昭和三十三年下期と四十二年下期で、比率でマイナス一・一%しか四十二年下期は下がっていない。そうして一番下がったときでも、マイナス一・八%しか下がっていない。シェアはこの場合、レールは一〇〇%二社がやっている。鋼矢板は現在が、四十二年下期九六・七で三・三%下がっておりまして、そうして一番最低に下がったのが五・二%下がっておる。これはシェアが九六%。その次に今度はブリキの場合には、四十二年の下期がマイナス八・四、これは少し下がっております。一番下がったのが四十一年の下期で一三・九%下がったときである。これはシェアが六三・六%ぐらい。鋳物用銑鉄は三十二年の下期に対して四十二年下期が八九・七%で、マイナス一〇・三%下がっておる。さらに最低がマイナス一〇・三%ぐらい下がっておるのがこの時期になっている。これはシェアが五四・二%、ちょうどいま二社で持っております。要するにシェアが高くなれば高くなるほど、価格は硬直的である。そうしてシェアが減れば減るほどフラクチュエーションは生じてきておって、価格差も大体傾向としては下がってきておる。ですから、私はこれをずっと見ておりまして、レールと鋼矢板というのは、管理価格という表現は私は使いませんけれども、価格硬直性がある、その価格硬直性というものはシェアに関係があると、こう私は理解したわけです、この資料から見て。これについては皆さんどういう御見解か、ちょっと菊池委員からお答えを願いたいと思います。
#303
○菊池説明員 お答え申し上げます。シェアは、競争の実質的判断ということについて非常に重要な要素ではございますけれども、同じシェアでも、ものによって事態が違うわけでございまして、たとえば競争者が非常に強い者がいるいないというような事情で違ってまいります。そういう点で、画一的には言い得ないのではないかというふうに考えております。
#304
○堀委員 伺ったことを答えてください。私はいまレールと鋼矢板について伺っているのですから、一〇〇%と九六%で強い競争者があるはずがないでしょう。私が伺ったことだけに答えていただかないと、時間のロスになりますから、お答えください。――私が言っていますのは、要するに一〇〇%のものの価格差というのはわずかである。価格の硬直性というのは、公取の資料から見て、この二品目については明らかにシェアに関係があると思う。いま二社ですよ、今度一社になるのですからね。だから一〇〇%とか九六%というような異常なシェアがある場合には、価格硬直性があるという事実があるんじゃないですか。私が言っているのは事実ですよ。仮定のことを言っているのじゃないですよ。十年間における事実を言っている。この事実に対してあなたはどう判断しますか、こう言っているのですよ。だからシェアが一〇〇%に近づくにつれて硬直性が高くなるという事実を私は言っているんだ。あなたもそれを認めますかと言っているのです。事実を認めないというなら話は別です。
#305
○菊池説明員 シェアの高い場合あるいは業者の数が少ない場合には、流動の幅が少なくなるわけでございまして、いまの国鉄につきましても、従来から国鉄は非常に厳格な原価計算によって値段をきめておられるということを聞いておりますが、確かに結果としてシェアの高いということからかあるいは国鉄の査定が厳重だということなのか、理由があると思いますけれども、下がってはおりますが大幅には下がっておりません。もっともこれは国鉄の方に伺いますと、品質は非常によくなっているんだ、値段がかりに同じであっても品質を非常によくしてあるという説明もございますけれども、そんなに……
#306
○堀委員 質問に正確に簡単に答えていただきたいんですよね。私はいまの余分のことを伺っているんじゃないです。国鉄のことは国鉄にあとからゆっくり聞きますから。伺っておることは、あなたは下がっていると言われるけれども、例示をしたでしょう。一・一%十年間に下がっている。ほかのものはみんな一〇%ぐらい下がっているのですよ。一・一しか下がっていないということは、価格硬直性があるということなんでしょう。どうですか、そこは。価格硬直性があるかないかだけちょっと言ってください。
#307
○菊池説明員 価格の変動の少ないことはそのとおりでございます。ただこれが硬直という評価をすることができるかどうかは内容によってまた違ってまいります。
#308
○堀委員 じゃ硬直化というのはあなたの場合はどういうことを言うんですか。あなたが価格が硬直するということばを使うときはどういうときですか。
#309
○菊池説明員 一般的な価格の硬直化といわれますのは、コストが下がっておるのに需給の操作等によって値段を動かなくするということが硬直された価格というふうに使われていると存じます。
#310
○堀委員 そうすると、鉄の価格はみな下がっているのですよね。この間宮澤さんが、要するに十年前には鋼材の平均価格は輸出価格では百二十ドルぐらいだった、ところが今日日本では九十ドルになりました、アメリカは百四十ドルになりました、こういうふうに宮澤さんがおっしゃったわけですね。これは前企画庁長官ですから当てずっぽう言っておられるとは思われない。現在私どもがちょうだいをした資料でも、全体としてはたいてい一〇%ぐらい下がっている。下がらないのはいまのレールが一番下がらないで一・一、鋼矢板が三・三しか下がっていない。こういう情勢なら、あなたの言われたようにいうなればコストなんというものは、それはどこへぶっかけるかということが恣意的に行なわれるんなら別ですけれども、全体のベースが下がっているときにはコストも下がるのがあたりまえだと私は理解しているわけですよ。レールのようなものは特殊技能でも何でもない。普通の技術でやれる。きわめて特殊の複雑な技術を要するというような場合は別だけれども、これも終末製品ではあるけれども、二次製品程度の加工度であって、そんなに高い加工度ではないと私は思うから、そうなれば私は当然硬直性があると思うのですが、どうしてあなたは硬直性があると言いたくないのか、そこを言ってほしいのですよ。
#311
○菊池説明員 ちょっと話がそれるかもわかりませんが、プライスリーダーとか管理価格という問題につきまして調査をいたしておりますけれども、そういうときには表面の動きと同時に、コストから何から調査いたしまして硬直性というような判断をするかどうか考えるわけでございまして、私はその内容を存じませんので、価格の表面的の動きは確かに小そうございますということは認めているわけでございます。ただ評価をするには私知識がございませんので差し控えたいわけでございます。
#312
○堀委員 それではちょっと中断をさせてもらって、あとでゆっくりやらせてもらいます。
#313
○大久保委員長 近江巳記夫君。
#314
○近江委員 先ほどから種々な問題が出ておるわけでございますが、同じようなことをお聞きするかもわかりませんが、私の立場でお聞きするわけでございます。
 三品種は問題がある、鋼矢板は灰色である、この判断をされた具体的な根拠、これがはなはだはっきりしないわけです。また他の主力製品にも問題がないとなさったその具体的な根拠、これをひとつ公取委員の方からお聞きしたいと思います。まず菊池委員。
#315
○菊池説明員 具体的品目につきましては、先ほどから申しておりますように一つ一つの品種についてどうしてどういうふうに判断した、どういう材料でどういう判断をしたということにつきましては、法律の規定によりまして、われわれ個人的にいまここで事実の有無あるいはその判断ということを申し上げるのは差し控えさせていただきたいと存じます。
#316
○近江委員 しかし、これが白であってこれが黒だ、そういう点について非常にいろいろな疑問があるわけですよ。ですからいかなる場合に競争制限になるのか、だれがやっても客観的にそういう結論になるというそういう基準というものが私はあると思うのです。あなた方だって何かの基準を一つのものさしとしていろいろ判断されたと思う。法律に基づくことはわかっていますよ。もっと具体的に、あなた方が基準になさったその点を言ってもらいたいと思うのです。
#317
○梅田説明員 その点は、先ほど判例によって考えるということにつきまして、一体判例と違うのかどうかという際にこう申し上げましたのですが、判例の趣旨、それがものさしでございます。
#318
○近江委員 私も限られた時間ですので、その問題はもう少しあとにしたいと思いますが、今回の審査というのはなぜ品目別な審査というものに重点を置いたのですか。先ほどから総合的な経済全体の問題に非常にウエートを置かれてなかったということが明らかになってきたわけですが、その点もう一度明確にお聞きしたいと思うのです。
#319
○菊池説明員 法律十五条の規定は、一定の取引分野の競争を実質的に制限するかどうかという規定でございまして、この一定の取引分野というものをどういうところで見るかということに関連してまいります。で、私どもは一定の取引分野というものはある商品の品種によって原則としては考える。同じ品種のようにいわれておりましても、特に品質的に違うようなものはまた取り出してみることがございますけれども、そういう品種別に取引分野を考えましたから品種別に結論が出る、こういう結果になるわけでございます。
#320
○近江委員 いろいろ私も考えておった質問がいままでだいぶ出ておりますので、どんどん飛びたいと思いますが、この統一解釈の問題でありますが、これは一月の二十八日に各紙にも出たわけでありますが、この統一見解が出る前にあなた方がいろいろな判断の基準となるべきものを持ってされてきたと思うのですけれども、統一見解と称されるものを発表するまでに、もっと具体的にどういうような内容をもってその基準としてやってこられたか、その辺のところをもう少し言ってもらいたいと思います。
#321
○柿沼政府委員 独占禁止法の第十五条の解釈につきましては、十五条はやや抽象的なことばで書かれた法文でございますので、いろいろな学説がございます。それから公正取引委員会といたしましては具体的な事例に当てはめての審決はあるわけでございまして、本件の検討にあたりましてこれをどういうふうに当てはめるかということで、本件の審査の途中におきまして委員会といたしましてそれぞれの字句についての議論をいたしました。委員会としてのある程度の見解の統一をはかって当てはめを行なったということでございます。
#322
○近江委員 たとえば市場の占有率とか、あるいは企業数とか、あるいは規模の順位とか、あるいはまた生産能力の比較とか、あるいは関連業界における企業との取引状況、あるいは新規参入の可能性、あるいはまた代替品との競争関係、あるいは輸入品との製造関係、いろいろあなた方もチェックするところがあるわけでしょう。もっと詳しく言ったらどうですか。
#323
○柿沼政府委員 ただいま御指摘のような点については、すべて委員会といたしましてはチェックをいたしております。ただ、現段階は事前相談という段階でございまして、これに続きまして予想せられる正式届け出ないしは正式届け出以後の審査という問題がございますので、本件についての審査が終了いたしました段階におきましては、従来の例に見られるように、それについての委員会としてのある程度の見解を公表するということになると思いますが、現段階で委員会の見解をまとめて公表することをいたしますことは、今後の審査なり、それから公聴会その他から意見を聞くという場合におきましても、いろいろ予見を与えることになりますので、やはり差し控えますのが行政的には常識ではないかというふうに考えております。
#324
○近江委員 だから白黒おきめになった、当然こういうことは全部チェックなさっているわけでしょう。ですから私が申し上げたのは、あなた方がいろいろなチェックをなさった、そうした点をもっと突っ込んで、私は、こうこうこういう点をチェックをして白あるいは黒という点をきめた、その辺のところを先ほどからお聞きしているのですよ。実際上三品種について対応策が出れば、このまま自然的に認可というか、合併が認められるようないまの空気じゃないですか。そうすればあなた方は完全に白であるとおっしゃったことについては、あらゆるそうした問題をチェックなさっているはずなんでしょう。だからチェックなさったところを言ってもらいたい、先ほどかう言っている。どうなんですか。
#325
○柿沼政府委員 現在がまだ正規の届け出もない段階でございますし、それから今後正規の届け出があってからの審査を控えておりますので、この段階では申し上げかねるというふうに申し上げておる次第でございます。
#326
○近江委員 だから白のところについては、正式な届け出があったとしてもあなた方はチェックする必要はないわけですよ。正式に審判をやるのですか。その点はどうなんですか。はっきり言ってください。
#327
○柿沼政府委員 正規の届け出がございますれば、法律の規定に従いまして厳正にその手続を進めていくということでございます。
#328
○近江委員 私がいま何項目かのそうしたチェックのところをずっと申し上げたわけですが、あなた方としてほかにこういう点も私たちはチェックをしておるというところがあれば、そこで言ってもらいたいと思うのです。
#329
○柿沼政府委員 いまの御質問の意味がちょっとわかりかねるのでございますが……。
#330
○近江委員 私はいろいろな生産能力の比較とか、いろいろな問題を言いましたね。何項目か言ったでしょう。ですから、それ以外にあなた方が特にこの点を力を入れましたというような点があれば、ここで教えてもらいたい、こう言っている。
#331
○柿沼政府委員 ただいま御指摘のございましたような点について重点を置いて審査をいたしてまいりました。
#332
○近江委員 だからそれ以外にはもうないのですか。どうなんですか。重点というのはもちろんわかりますけれども、特にあなた方がチェックしたほかに重要なそういう条件というものがあったのですか。
#333
○柿沼政府委員 一応審査の重点を、本件合併につきましては、シェア三〇%をこえる相当な大きさを持った商品である九品目にしぼって重点を置いた調査をいたしたわけでございますけれども、そのそれぞれの品目につきまして重点になりました項目は、それぞれ若干の違いがあろうかと思います。で、その問題になりました点はおおむね御指摘のような点の範囲内の問題が多かったように記憶いたしております。
#334
○近江委員 それから統一見解を一月の二十八日ですか出されておるのですが、これを出された背景をもう少し突っ込んだところを聞きたいと思うのです。菊池委員。
#335
○菊池説明員 統一見解が出された事情と申しますか、ちょっと御質問の意味を理解しかねましたのですが……。
#336
○近江委員 要するに、こうしたあなた方が統一見解と言うておるのかどうかよくはわかりませんが、この十五条のところで「一定の取引分野」あるいは「競争を実質的制限」あるいはまたこの最後の「こととなる場合」、こういうような見解を出された、そこまで煮詰まってきた背景ですね。
#337
○菊池説明員 十五条の規定は、合併の問題を扱う根本的な規定でございますから、これの意味、内容を各自統一しておかなければ、てんでんばらばらの判断になってしまうわけでございまして、まずその同じ頭にそろえるというところが基本的な問題でございますので、それをそろえようとしたわけでございます。
#338
○近江委員 この富士、八幡の合併が問題になってきましてから、そういう非常に煮詰まった段階でこうした考え方を発表なさったわけです。そうしますと、この三つの点からいきますと、「一定の取引分野」これは実際に商取引が行なわれておることが条件である。そうなってきますと、問題になってきておるこの粗鋼の問題なんかは、たとえばこの前に、横田さんのときだったと思いますが、三〇%が危険ラインだとはっきり答弁なさっておるわけですよ。そうでしょう。それなのに、粗鋼などは全然対象になっていないわけですよ。そういうような、ここに抜け道があるわけです。先ほどからこれはずっと問題になっておりますが、要するにこういう考え方というものは、いかにも富士、八幡を合併に持っていくような背景づくりをずっとしているような感じがするわけです。私は、恣意的なということは断言はしませんけれども。だから、こういう見解が出されるということは、公取委員の皆さんは全部でそうした結論というか、それに至ったのですか。
#339
○亀岡説明員 お答え申し上げます。ただいまのお尋ねでございますが、合併を実現させるとか、そういう考えでそういうことを考えたことは毛頭ございません。そういう恣意的なことは、また法律の運用をするたてまえとして許されないことがと思います。
 それから先ほど、最初に粗鋼でございますかシェアの点お尋ねがございましたが、ここでちょっと、これは法律的になるかと思いますが、十五条の規定を見ますと、「一定の取引分野における競争を実質的に制限」こうございますので、ことでやはり競争ということをまず考えなければならない。そうしますと、競争の定義がこの法律の第二条の四項にございまして、「二以上の事業者がその通常の事業活動の範囲内において、且つ、当該事業活動の施設又は態様に重要な変更を加えることなく左の各号の一に掲げる行為をし、又はすることができる状態をいう。」それで一号は「同一の需要者に同種又は類似の商品又は役務を供給すること」したがって、ここで問題になりますのは、同一の需要者に同種または類似の商品を供給する関係、こういう関係でないと競争の制限ということは考えられませんので、したがって、ことばは非常に単純になるかと思いますが、いわゆる最終製品について検討申し上げた。したがって、粗鋼でも、もちろん、いまのお話の中で、ちょっと私忘れましたけれども、商取引でございますか、こういうものに合っておれば問題になるでしょうけれども、粗鋼は結局中間製品として、そしてだんだん精製されて最終製品になる、こういうものでございますので、いま申しましたような同一の需要者に直接結びつくということはない。したがって、いまのお話の、確かに粗鋼は三〇%をこえておったかと存じますけれども、それ自体はそれとして、三〇%をこえているという事実をもって特段に判断をすることはございません。
#340
○近江委員 それから、この「制限」ですね。「制限することとなる場合」のところでありますが、これはここ二、三年後の期間における見込みである、このように私は聞いておるのです。とすると、反対に、この制限することとならない場合も、同様に、ごく非常に短い期間における見通しによって判定すべきこととなるわけですが、ある会社がそういう計画を持っているということだけで競争がありと判定するのは、これは私は間違っておると思うのですが、どうですか、お考えは。
#341
○亀岡説明員 お答え申します。十五条の一項に、「こととなる」、これは先ほどからいろいろ論議されておるようでございますが、非常にむずかしい内容の事項でございまして、簡単に申しますと、可能性ではなく蓋然性、それから刑法上のことばを使いますと抽象的危険性、そういうふうにいわれております。したがって、お尋ねの、将来の計画、これをどういうふうに評価するか、これは非常に蓋然性の問題と結びつけて重要な問題かと存じます。そこで、将来の計画が現時点において――将来どうなるかということではなしに、現時点において、法律上その蓋然性なり抽象的危険性というものから見て、どう判断されるかという問題に帰着するのではないかと存じます。
#342
○近江委員 それから、鋼矢板について、たとえばコンクリートの代替品があるからよいとか、あるいはまたブリキ、あるいはまた薄板、トタン板等についても、あるいはプラスチック、あるいはセメントがわら、何でも代替品がある、そういうことで、鉄鋼の合併を議論しておるのに鉄鋼以外のそうした代替品を判定の要素に持ってきておる、こういう話も聞いたのですが、その点どうなんですか。
#343
○亀岡説明員 この事件に関する問題として、個個の品目についてここでお答え申し上げることは、先ほど来出ていますように、ちょっと法律上適当でなかろうかと存じますが、一般的に申し上げますと、確かに、先ほど競争の定義のところで申し上げましたとおり、代替品がございましたら、その同一または類似の商品という考え方でもって競争を考える場合に入ってくる場合があると思います。しかしながら、代替品であるからと物理的に、抽象的に言っても、そのことだけでもって競争の関係において代替品になるというわけのものでもございません。
#344
○近江委員 公取は、三品種、それから鋼矢板のこれを指摘されたわけでありますけれども、こういう結論にひとしいような、そういう問題そういう内容になったわけですが、予想の対応策というものを受け取っておられたわけですか。どうですか、あなたのほうで。
#345
○亀岡説明員 ただいま対応策というお話が出ましたけれども、現時点においては全然承知しておりませんし、また、そういうものがあるのかないのかということも、われわれにはわかっておりません。
#346
○近江委員 いろいろなうわさをわれわれ聞くわけでありますが、たとえばレールについては監視機構をつくる、こういうような話も出ているわけですが、こういったことについて、もしもそういうことを考えておるとした場合、あなた方はどう思われますか、その問題について。
#347
○亀岡説明員 ただいま監視機構というおことばで一つ例をおあげになりましたが、これらの問題はすべて法律に照らして競争制限にならないかなるかという判断できめるべき問題かと存じます。したがって、具体的にいま監視機構がどうであるか、こうであるかということは、直ちにはお答えしかねる次第でございます。
#348
○近江委員 だから、それはあくまでそういうことを聞いておるという範囲で私も言っておるわけです。ですから、これは仮定でもいいですよ。その場合に、こういう監視機構をつくるともしも言ってきた場合、これは仮定でありますが、どういうお考えを持っておられますか、参考にお聞きしたいと思います。
#349
○亀岡説明員 監視機構ということばがよく理解できないのでございますが、かりに政府でもって価格を監督するとか、チェックするとか、そういうことを考えますれば、それは政府の一つの措置でございまして、われわれはどういう立場に置かれているかと申しますと、あくまで法律に照らして競争制限になるかならないかという判断以外にないと存じます。
#350
○近江委員 鋳物用銑鉄については需給委員会をつくるとか、あるいは業者間の何らかのそうした委員会、そういうようなことも話として聞いておるわけですが、行政指導カルテルとでもいいましょうか、そういうような、われわれが首をかしげるようなことがいろいろと論議されておるわけです。そういういろいろな話が世間では飛んでいるわけですよ。そういう一例としてお話をしたわけであります。
 そこで、先ほどの、あなた方は統一見解ということばを使われないか知りませんが、局長のほうから、特に三つの点について記者会見のときに発表があったが、私はもっと詳しい話があると思うのです。ですから、もう少しこの三つの範囲から中に入ったそういう点があれば、ここでお聞きしたいと思うのですが、いかがですか。
#351
○柿沼政府委員 十五条の解釈につきましては、学説におきましても、独禁法についてのたくさんの書物がございまして、それらには相当詳細な十五条の解釈というようなものが載っております。それから、いろいろこの条文の中の字句をめぐっての学術論文もございます。今回、委員会といたしまして意見を統一いたしましたのは、それらの学説やら、それから過去の判例やらにつきまして、委員会として、本件の合併を判断するに必要な点についての意見を統一したというふうに私承っております。
#352
○近江委員 時間がありませんから進みますが、この事前審査の問題であります。先ほどから相当問題になっておったわけでありますが、この対応策は一応オーケーとなれば、このまま通るわけですか。もう一度確かめておきたいと思うのです。
#353
○菊池説明員 どういう対応策が出てまいりますかわかりませんが、正式の受理がありましたら、おそらく公聴会というようなことで意見を聞くという手続が踏まれるのだろうと思いますし、また、われわれが、その対応策で十分だと考えれば、受理されて期間がたちますと、合併が成立します。その対応策で不十分だと考えれば、勧告なり審判開始の手続に入っていくということになると思います。
#354
○近江委員 ですから、白黒の線を出されて、いま問題のものがあがっているわけです。その対応策は、あなた方が見られて、これならいいということになれば、合併はそのまま認められるわけですか。もう一度。
#355
○菊池説明員 先ほど申し上げましたように、公聴会等の手続も踏まれてまいると思いますので、私ども最終的にここでそうなるということを断言する筋合いではございませんが、従来からも十分時間をかけて調べたつもりでございますから、それがいいかげんな調べだったとは思っておりませんです。したがいまして、いま最終的に申し上げることはできませんけれども、そうなることも考えられると思います。
#356
○近江委員 ここで、きょうの朝から中村委員等からもいろいろ質問があったわけですが、要するに、先方へ必要な資料をあなた方が要求して、それをけられたというような話がありました。そういうあやふやな、あなた方が知りたいという資料もなくしていろいろ検討してきた、その結果黒白という品種が決定したわけです。そうしたあり方なんですよ。いまのあなたの話では、要するに対応策がオーケーであれば、公聴会等は開くけれども、そのまま認められる。そんなあやふやなことがありますか。あなた方が知りたい資料も出してもらえず、そんな審査をして、そこで白黒を出すこと自体も、これは問題なんです。ですから、要するに私は、あとの問題は対応策いかんにかかっておると思うのです。この対応策を完全にあなた方が認めてしまえば、公聴会をやるにしても、このまま通ってしまうことは間違いない。私がここで言いたいのは、先ほど一、二こういうような話も出ているんだというようないろいろなことがありましたが、そういうようなことがあなた方にいろいろ来ると思うのです。そうでしょう。ですから、この対応策について、あなた方に向こうから正式な届け出をするまでにいろいろ相談に来られた場合、あなた方はどういう態度でいくのですか。
#357
○亀岡説明員 お答えします。われわれは対応策をどうするかとかしないとかということではなくて、かりに一つの考え方を申し上げますと、対応策というものに乗っかって、新しい事態の合併ということでもって会社が意思表示をされるということであれば、その合併について、法律に違反するかしないかということを検討する立場に置かれているものだと思います。
#358
○近江委員 先ほどの菊池さんの答弁では、もちろん正式な届け出を受けて、対応策が問題がないとすればそのまま通るというニュアンスの答弁ですよ。そうでしょう。ですから、この対応策についてこうだああだと、正式な届け出をするまでに向こうは何とかしてそれを通したいということで、あなた方のほうへいろいろなことで相談にも来ると思うのですよ。そうした場合、あなた方はどういう態度をとるかというのです、ここまでの段階に来て。
#359
○亀岡説明員 何回も言うことになるかと思いますが、われわれは、その対応策について話し合いでどうするかという問題では決してございませんので、あくまで法律に照らして、これは違法な合併か、合法な合併かという観点で判断する。判断する場合に、公正取引委員会の一委員として、これは厳正、公正でなければならない、これは言うまでもないことでございます。したがって、そういう立場でやらしていただく、これがまた法律の忠実な運用のしかたかと存じます。
#360
○近江委員 事前審査のそういうことはいままでどのくらい例があったんですか。確かに相談所というのがあることは私も聞いておりますが、あなた方が公取委員のメンバーで相談なさった、こういう事例を聞かしてもらいたいと思います。
#361
○柿沼政府委員 事前審査というものは、どちらかと申しますと、合併しようとする会社にとっては通常これは秘密に属することではないかと思うのでございます。そういう意味で、ごく非公式に公正取引委員会に相談があったというケースがあったことは私も聞いております。ただ、やや公開的なかっこうで事前相談が行なわれたというのは、昨年以降、王子三社の合併、それから今回の八幡、富士の合併、二件だけのように記憶いたしております。
#362
○近江委員 ここで委員会自身が直接正式届け出の前にタッチする場合に、私はいろいろな基準があると思うのですよ。それはまたあなた方客観的にとおっしゃるかもしれませんが、そこのところをもう少し明確に答えてもらいたいと思うのです。菊池委員。
#363
○菊池説明員 ちょっと御質問の意味を十分わかりかねておりますが、委員会として相談に応ずるか、あるいは応ずるには何か基準があるかというお尋ねでございますか。
#364
○近江委員 要するに、正式の届け出の前に委員会自身がタッチするでしょう、今回の合併のように。その場合の判断というか基準というか……。
#365
○亀岡説明員 先ほど基準ということで近江先生いろいろおあげになりましたのですが、法律を解釈し、また適用する場合に、行なわれてまいりますところで基準があるかないかというお尋ねでございますが、これは先ほど来お答え申し上げましたとおり、統一見解というかっこうで、こういう問題を処理します場合は、われわれ委員の仲間、また事務局入れまして、意見が右へいったり左へいったり後退したりということになりますと、これは時間的な制約もございますので、できるだけ意思統一をはかろうじゃないかということで、先ほど事務局長がお答え申し上げましたとおり、過去の学説であるとか、それから判例であるとか、外国の例であるとか、そういうことを加味して、こういう考え方でこの問題を法律的にと申しますか、処理しようじゃないかというのが、おことばの中の基準に当たるのじゃないか。これは口でそう言ってみてもお答えにならないかと思いますが、いってみれば、先ほど来いわれておるいままで出ております幾つかの判例、こういうものに乗っかって十分処理していきたい、こういうことになるかと思います。
#366
○近江委員 私がさきに言ったのは、各判例の競争制限のそうした判断の基準と、それからいままたお聞きしているのは、委員会が正式届け出の前に事前審査をやるでしょう。その場合にこれは事前審査しよう、これはしないというような、そういう基準があるかということを聞いているんですよ。
#367
○柿沼政府委員 特にそういう基準はございません。
#368
○近江委員 公取委員のほうから、菊池さん。
#369
○菊池説明員 そういう基準はございません。
#370
○近江委員 全然基準も何もないのにこれを事前審査しよう、どうしようという。そんな何も基準もなしにやるというのはおかしいでしょう、これは。たとえばどのくらいの規模とか、何らかの判断、基準というものを持っておられるでしょう。あなた方が目安にされるそこのところを聞かしてもらいたい、そういうことを言っているわけです。
#371
○柿沼政府委員 公正取引委員会の事務局の経済部で、合併の届け出を受理する窓口がございますが、そこに正式の届けを出します前に、あらかじめこの合併ができるだろうかということで非公式に相談に参る例はございます。その場合に、相当重大な案件だと事務局で判断いたしました場合には、委員会にはかって事務局としても回答するというような事例は過去においてございます。ただ昨年来の二件の大型合併につきましては、これが過去において過度集中力排除の法律に基づいて分割された会社であるというような経緯でございますとか、それから、規模からいたしましても非常に大きな規模の水平合併のケースであるというようなことから、特に慎重な事前審査をいたしたということであろうかと存じます。
#372
○近江委員 問題が非常にあるわけですが、いずれにしても対応策が出てくる。このままでずるずるといってしまえば富士、八幡が六月一日から発足するだろう、こうしたことも記事に出ておるわけです。この合併のメリット、デメリットについては先ほどからもいろいろな論議が出ておりますが、要するに、管理価格を形成する危険が非常に大きい今回の合併である。もうこの合併ができれば事実上独禁法というものはあってなきがごとしだ。ですからそれだけに慎重にしなければいけない。ところが、先方の資料を要求してそれもけられておる。そういうような事前審査のあり方で白黒をきめて、あとその三つの対応策が一応合えばそのまま合併が認められるというような方向になってきておる。こうなると、そのようなあなた方の事前審査は、われわれに納得のできない問題が浮き彫りにされてきたわけですよ。ですから、そういういろいろな疑問点、さらにはこれだけの大きな国民的な問題でありますから、当然この正式な届け出がなされた場合に、審判の手続をとるべきである、私はこのように考えているわけです。あなた方として、その対応策を一応判断して、まあいいだろうと思うような内容であっても、この内容にかかわらず、この際もう一回正式な審判をすべきである、私はこう思うのです。それに対してあなた方はどうお考えになっておりますか。菊池委員。
#373
○菊池説明員 先ほどから繰り返し申し上げておりますように、違反の事実ありと認めれば審判開始いたしますし、それが認められないのに審判開始することは手続上許されないかと存じます。したがって、そのことは対応策を見てからの問題であろうかと存じます。
#374
○近江委員 あなた方、要するにそういう向こうの都合の悪い書類、立場の悪くなるような書類は出せといったって出さない、そういう資料をもとにして白黒のそれをきめた。ところが、あなた方が判断をされたその基準を出せと言ったところが、あなた方は結局言わなかった。抽象的なことばかりで言ったわけです。ですからわれわれは、その除かれた、白となった他の九品種についても、はたしてそれが合っているのかどうか、結局そういう点まで入っていけば、あなた方はそこまでしゃべるということは秘密の問題があるから言えないという。ベールに閉ざされたままでこのままずるずるとそんな大型合併が認められたら、たいへんな問題ですよ。アメリカなんか、二位と五位の合併だって却下されているのですよ。しかも正式な審判手続をやって、審判一つにしたって二年、三年かかっています。こういうことでは国民は納得しないですよ。ここまで大きな問題になってきているわけです。あなた方はそれを違反があるかないか、おそらくチェックをするのは鋼矢板と三品種だけじゃありませんか。当然向こうは、あなた方からのいろいろなことを聞いて、それだけの対応策を持ってくるでしょう。それはそのまま通すというような答弁もなさったじゃないですか。強制調査もないような、あなた方はほんとうに知りたいような資料もなくして、都合のいい資料ばっかり出されて、それを根拠に判断しておる。そんなことで国民が納得できますか。あなた方が公正な立場でやってきた、それをはっきりと表明するためにも、正式な届け出があったときにその審判を開始する、これはあなた方の立場からいっても一番当然だと思うのです。国民は皆さん方を、ほんとうにわれわれを守ってくれる味方だと思っているのですよ。あなた方が中立的であるないということは、そんなことは私は結論的には言いません。おそらく中立的にやってもらっておる、われわれもこのように期待しております。それであるがゆえに、この正式な審判をしろという声は、これは世論としても非常に強い。そういう背景があるわけです。これだけのことを押えて、対応策がすっと通ればそのまま通す、そういうあり方でいいのかと聞いているのです。これはあなた方公取委員の自殺行為ですよ。一方的のことばっかり言わずに、もう少しそういう国民的な背景ということをお考えになったらどうですか。もう一度今度は全委員にお聞きしたいと思います。
#375
○菊池説明員 先ほど、三品目について問題がなければ通すのだということを確定的に申し上げたわけではございません。そういうようなこともあり得ると申し上げただけでございまして、いま私がここで、公聴会の済まない現在において、そういうことを申し上げる時期ではないというふうに申し上げたつもりでございます。それから調査資料のことにつきまして、具体的にどういうものをほしい、どういうものが出なかったかということを具体的に承知しておりませんものですから、何か要求しても都合の悪いものは出さないで、都合のいいものだけ出したというふうな印象をあるいは与えるような私の発言があったとすれば、それは大きな間違いでございまして、あらゆる方面から資料を十分とりまして判断しているわけでございまして、必ずしも出さなかったから、わからないままでそれをうのみにしているというわけではないのであります。その点どうぞ私どもの真意を御了承いただきたいと思います。
#376
○近江委員 他の委員は同じ意見ですか。
#377
○梅田説明員 かりに対応策なるものが提出されまして、法第十五条に照らして違法でないと一応考えましたとしても、これはこういう事案の性質上、当然かなり大規模の公聴会は開かるべきものと私個人は考えておる次第であります。その際、各方面からの御意見を拝聴いたしまして、虚心たんかいにそれを受け入れ、反省して、結論が間違っておれば、それは当然またそのときに考え直すべきものじゃないか、私個人はそう思う次第でございます。したがいまして、一応対応策が出たからといって、それですべてオーケーだ、そういうことは私はあり得ないと思うのでございます。またかりに対応策が不十分である、十五条に照らして違反であるというのにかかわらず、届け出を出されたということになれば、これは当然審判開始をなすべきだというふうに私個人は考える次第でございます。
#378
○亀岡説明員 私、ただいまの梅田委員と同様に考えておるのでございますが、何と申しましても非常に重要な問題でございますので、現段階に至るまで全精力を注ぎ込んで慎重に厳正に審議してまいった、こういうことでございます。そして今後届け出が出てまいるということになりますと、これは申すまでもなく合併に関するいわゆる契約ということになりますので、合併に関する全容は公になるのじゃないか、そうしますと、われわれとしましても、当然のこととして公聴会を開いて、そして大方の皆様、関係者の御意見をお聞きした上で、間違いがないように、不都合のないように手続を進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
#379
○有賀説明員 私もいまお答え申しました他の委員と同じく考えております。この問題は国民の多くの方からの非常な関心の的にあること、そしてたいへんに心配され、公取のあり方についても御心配いただいていることは重々承知しております。私はその責任の立場にございまして、この対応策が出ました場合に、独禁法の十五条に違反する部分が十分に全くきれいに払拭されているかどうかにつきましては、厳正に判断いたしたいと思います。そしてその後におきましても、梅田委員、亀岡委員の申されましたように、多くの方々の御意見を伺いまして、さらにそれを検討の上、厳正な判断をいたしまして、必要の場合には、あるいはなお調査を必要とする場合には開始という点に至るかもしれないと思っております。
#380
○近江委員 平行線になりますので、それはそれでおいておきますが、国鉄来られておりますね。
 レールの問題ですけれども、八幡、富士の合併によって独占的な供給になっても、結局需要者として支障はない、こういう意思表示をしておる、このように聞いておるのですが、どういう根拠に基づいてそのようにおっしゃったのですか。
#381
○小林説明員 お答えいたします。国鉄といたしましては八幡、富士両社の合併の問題につきましては、一応ユーザーと申しますか需要家の一人といたしまして、合併そのものについての意見を公にしたことはないつもりでございますが、ただいまお尋ねの合併した場合に支障はあるかないかという点につきましては、私どもといたしましてのレールの買い方の問題につきまして、若干御説明をさせていただきたいと思います。レールは八幡、富士両社のみで製作されておりますが、国鉄といたしましての買い方は、これはレールくず等を一部支給いたしまして、それをも材料の中に取り込みまして、製作請負という形――いわゆる売買という形ではございませんで、国鉄の規格に合いましたレールというものに合わせて製作請負という形をとっております。また、その製作過程におきましては、いわゆる製作監督と申しますか、厳格な各段階ごとの国鉄みずからの手によるチェックをいたしまして、品質の管理あるいはコストの低減等に遺憾なきを期している次第でございます。そういった買い方と申しますか価格の決定を含めました状態になっております。私どもといたしましては、両社の合併そのものにつきまして国鉄といたしましての見解を申し述べる立場ではございませんが、かりに現在と違った状態に、先生お尋ねのようなことになった場合におきましても、レールの供給並びに価格につきましては国鉄として特に困ることはない、かように考えております。
#382
○近江委員 時間がないようなので残念ですけれども、できるだけ簡潔にお答えをお願いします。
 原価計算は厳重にやるということをわれわれいつも聞いておるわけでありますが、あのような多品種のマンモス会社の製品の原価計算というのははたして適正に審査できるかどうかという問題なんです。どういう方法で現在原価の査定をなさっておるのですか。簡単に説明してもらいたいと思います。
#383
○小林説明員 ごくアウトラインだけ申し上げますが、国鉄では御承知のように数十年にわたりましてレールを直接購入いたしておりますが、その工程の過程等は、先ほど申し上げましたとおり、いかなる工程をたどり、またいかなる段階でどういうようなチェックをしながら製作するかという過程にきつましても厳密な注文をつけております。そういった意味で私どもといたしましては、数十年の経験値に基づきながら私どもなりの一つの原価計算積算といたしましての基準データを持っております。また、技術の革新によりまして、八幡、富士の両社におきましてもレールの製法等も日進月歩いろいろ進化して今日にまいっておりますので、そういった変化する要素を国鉄も従来から積み上げてまいりましたし、また経験値として把握しております。原価に照らし、なお会社からもそのつど原価計算等にきつましてのデータを、見積もり価格以外にも提出させまして査定する、かようなかっこうにいたしております。
#384
○近江委員 これは、専門家の話によりますと、あれだけのマンモス会社の原価計算をやろうと思えば、ばく大な専門家が要るというのですね。いま国鉄のレールの原価算定に携わっている人は何人でやっておりますか。
#385
○小林説明員 直接購入をいたします窓口は本社の資材局でございますが、その資材局におきます担当は課長以下、これはそうたいした数ではございません。しかしながら、先ほど来申し上げておりますように、価格積算の基礎になります諸データとしては、製作監督を実施いたております係員いわゆる監督員並びにレールの使用部門であります施設局あるいは研究部門の技術研究所等におきましても、技術的な面から、そういったデータを使って専門職員を配置しておりますので、レール価格そのものにきつましてのそれぞれのデータというものの把握には遺憾なきを期しております。したがいまして、そういった数を全部総合いたしますと、ただいま先生お尋ねの件にずばりお答えできないことは遺憾でございますが、かなりの数になると思います。そう一人や二人の人で巨大な会社の原価計算をするということではございません。また非常に長い間かかりました基礎のデータというものを資材局としては持っておりますので、そういったものを基礎に積算をする、かような事務を進めております。
#386
○近江委員 この世の中のものはみな移り変わるんですよ。ましてやこれだけの科学技術の世の中です。鉄鋼なんていうものは、われわれしろうとはわかりませんけれども、すごい進歩をしているわけです。あなた方も過去のデータはわかります、いろいろな情報もとられることは知っております。だけれども絶対にそれはだいじょうぶだという、それはちょっと国鉄さんとしてことばが過ぎたんじゃないか。これはいろいろな誤解を与えているわけですよ。こういう点で、実際購買者としては、売り手というものは数多いほどやはり有利になるということは自明の理であります。そこで、なぜあのようなだいじょうぶだという見解を出されたのか。その辺何か富士と八幡から話があったのか、いろいろ憶測もするわけですよ。その辺のところをちょっとお聞かせください。
#387
○小林説明員 お答えいたしますが、ただいま先生お尋ねの件にきつましては、先ほどお答え申し上げましたとおり、全くそういうことにきつましての話は両社からございません。もとより私どもとしては、両社の合併問題については、これは全く第三者の立場でございまして、両社が一緒になったほうがいいとかいかぬとかいう見解を表明すべき立場にないと考えます。
#388
○近江委員 これは国鉄だけに限りませんが、いずれにしても、資材の調達のそうした根本原則というのは、国の会計法からしても一般の公開入札制度というのがこれは正しいわけです。ですから資料を持っておりますが、日本国有鉄道会計規程にそのことがはっきり出ておりますが、そういう原則に反するような業界の動きというものについては私はむしろ反対の立場をとるのが当然だと思うのです。国鉄はこの合併したほうが国鉄に利益だ、このように考えているのですか。
#389
○小林説明員 国鉄は、先ほど来申し上げておりますように、合併したほうが利益だ、かようには考えておりません。現在の契約形式は、先生いまの御指摘であげられましたそういった国の方式及び日本国有鉄道法四十九条に書いてあります購買契約の一般原則というものからはずれているではないかという御指摘でございましたが、これは四十九条のただし書きのところにも――条文を引きましてはなはだ恐縮でございますが、特に例外として認められる場合が規定してございまして、このレールの場合等にきつましてはただし書きの条項に該当するということで処理をいたしておる次第でございます。
#390
○近江委員 私も書き抜いたのを持ってきておりますが、この国鉄のあとには非常に国鉄から比べて力の弱い私鉄が続いているわけですよ。そういう中にあって、国鉄さんの購入するそういう価格に全部追随せざるを得ない、そういう立場にぼくはなってくると思うのです。そういう点において国鉄のレールは八幡、富士の合併によって独占供給になっても需要者として支障はない、そういうような意思表示というのは、これは非常に慎しまなければならない、まあこういうことだと思うのです。この供給者が集中度を高めるということは、購買者にとって非常に不利益である。
 管理価格の問題とかいろいろなことはもう時間もありませんし、そういうわけで、ここで国鉄として――これからあと堀委員もなさるそうでありますが、私はそういう独善的な態度ということをここで強く指摘をしておきたいと思うのです。その点、これからの国鉄のそういう態度について最後にお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
#391
○小林説明員 国鉄の購入価格は、先ほど来申し上げておりますような方法で決定をしてまいっておりまして、一般には公販価格といわれるレールの価格は別に設定をされておりまして、それぞれ国鉄以外の個所におきましては独自の立場で購入されている、かように考えておりますが、国鉄といたしましては、もとより財政事情、先生御承知のとおりな事情にもございますし、またそういった意味からも、レールの価格をはじめ、資材の安定的、合理的かつ有利な調達ということには鋭意心がけているつもりでございます。また、国鉄の値段が、ほかの一般の国鉄以外の購買者の方々に対しまして悪い影響を及ぼすというようなことのないようには十二分に今後も戒心、留意をしてまいる、かように考えておる次第でございます。
#392
○近江委員 終わります。
#393
○大久保委員長 堀昌雄君。
#394
○堀委員 国鉄にお伺いをいたしますが、四十四年度のレールの購入予定価格、現在予算審議中でありますけれども、この購入の予定価格はトン当たり幾らでございますか。
#395
○小林説明員 ただいま堀先生お尋ねのことでございますが、ちょっといまデータを持っておりませんので正確なことがわかりませんが、大体四十三年度に国鉄として買いました価格を基準に考えておる、かように思います。
#396
○堀委員 時間がまだ少しありますから、至急にちょっと調べてお答えいただきたいと思います。四十一年、四十二年、四十三年の三年間について、国鉄のレール購入のトン当たり価格は幾らなのか、ちょっとお答えをいただきたいのです。
#397
○小林説明員 四十年から申し上げますと、四十年は、これはレール平均でございますが、トン当たり四万四千円でございます。それから四十一年は四万三千円、四十二年は四万三千円、四十三年も四万三千円、かような数字になっております。もとよりこの中にはいろいろの品種がまざっておりますので、ただいまトン当たりの平均で申し上げました。
#398
○堀委員 いまお聞きのように、国鉄は非常に赤字をかかえて毎年実は運賃値上げをやっておる、国民の負担を要求して今日に至っておるわけですが、実はこの四十年から四十三年までの間にその他の鉄の価格が下がってきておることは、すでに公正取引委員会から資料でわれわれもちょうだいしておるとおり、大体一〇%以上みな下がっておる。その他の価格は下がっておる。レールだけが三年間全然下がらないで買っておるということは、さっきからいろいろと原価計算とかなんとかおっしゃっておられますけれども、国鉄の購入方法は必ずしも適切でないのではないか。これはたいへん問題がある購入のあり方じゃないかと思うのですが、三年間にわたってともかく四万三千万、ちっとも動かなかったというのは、これは一体――あなた、他の鉄の価格が下がっておることは御承知でしょうね。生産性がこれだけ上がっておることですから、鉄の価格は下がるのはあたりまえなんですね。現状としては競争があれば下がる。ところが、鋼矢板とレールだけは下がらないのです。この一方の買うほうが独占になっておるときには、上がりはしないけれども下がらないという現象が非常に明らかに出ているのですね。事実は、なるほど上がってはいないです。しかし下がらない。国鉄は運賃の値上げもさることながら、あなたのほうは一年間に約百億近く、九十五億円ぐらいレールを購入しておりますね。一割下がれば九億円実は下がるのですね。たいへんな金額なんです。ところがちっとも下がらないというのは、この面についてのあなた方のさっきからいろいろお話しになっておるチェックや原価計算というものは、私は国民が信用しないだろうと思うのですよ。運賃の値上げは片一方でどんどんやりながら、買うほうのものは、八幡と富士から一〇〇%買っておるものについては、毎年同じ四万三千円で三年間も続いておる。ことしも、この基準だということになれば――ちょっといまの四十四年の予定購入価格を調べてください。ひとつここの委員会で言ってもらいたいのです。たいへんこれは問題がある。
 そこで、いまの事実はおいて、公正取引委員会にお伺いをいたしますが、この対応策というのは八幡と富士の対応策であって、通産省なり国鉄なり運輸省なり建設省が何らかの行政的な取りきめをすることは、対応策の対象にはならぬ、私はこう理解しておるわけですけれども、これは梅田さん、いかがでしょうか、それについてちょっとお答えいただきたい。
#399
○梅田説明員 仰せのとおり、われわれは本件合併が十五条に違反するかどうかということを考えますならば、もっぱら当事会社を主体にして対応策も考えるわけでございます。当事会社がいかなることをなさるか、これは私は特に関知しないところでございます。
#400
○堀委員 さっき重工業局長がおっしゃったことも、合併になった後においてという前提があったように思いますから、私は特にここで運輸省、国鉄、通産省、建設省にはっきり言っておきたいことは、事前に何らかの行政的な取りきめをやって、この行政的な取りきめがあるから合併が起きてもこれが十五条の違反にはならないなどというような、国が介入をすることによって私的企業の独占禁止に関する法律をねじ曲げるようなことはないかどうか、この点をひとつ各省の本日の出席者から明らかにしておいてもらいたい。
#401
○藤尾政府委員 通産省といたしましては、事前に行政的に介入をいたしまして、公正取引委員会の判断、そういったものを狂わせるというような意図もございませんし、そういった事実もございません。
#402
○堀委員 意図も事実もないということは、これからもしないということですね。(藤尾政府委員「さようでございます。」と呼ぶ)ちょっと、正式に言わなければだめだ。
#403
○藤尾政府委員 もちろん、今後もその事態が公正取引委員会において正式に処理されるまで何らのステップもとりません。
#404
○堀委員 これは建設省その他は事務官しか来てないのだけれども、考え方としてちょっと建設省……。
#405
○浅間説明員 富士、八幡の合併問題につきましては、建設省がただいま申す立場にないと思います。ただ、御指摘のように、鋼矢板につきましては建設工事にほとんど使用されておりますので、いずれ両社から公取委員会に対しまして対策が出るように聞いておりますので、その段階におきまして建設省といたしましては十分に対策を立てたいというふうに考えております。
#406
○堀委員 ちょっと待ってください。いまの話ですね、私が言っておることは、何か行政的な取りきめをすることによって公正取引委員会の判断に影響を与えるようなことはしないという意味のことを聞いておるわけですから、ちょっと先にそっちから。あとの問題はまたあとの問題で聞きますから。
#407
○浅間説明員 いまのところ公正取引委員会から、別に何にも意見を求められておりませんので、現在対応策がもし出ましたならば、それにつきまして検討したいというふうに考えております。
#408
○堀委員 いや、私が聞いたのは、皆さんがいろいろな対応策に対する行政的な処置をして、こういう行政的な処置があるから公正取引委員会としては問題がないな、というようなことになるようなこと、行政が、要するに私的独占のワクの中にまで入り込んできて、手助けをするようなことはしないか、こう聞いているわけです。
#409
○浅間説明員 建設省といたしましては、そういうようなことはいたしません。
#410
○高野説明員 先ほどから、午前中もお答えいたしましたように、運輸省といたしましては、国鉄及び私鉄を所管いたしておるわけでございます。いわばレールのユーザー側の立場に立っていることになっているわけでございますが、それで、この問題につきまして運輸省といたしましてとやかく申し上げる立場ではないわけでございます。しかしレールにつきましては、運輸省といたしましては、現在非常な関心を持っているということでございます。
#411
○堀委員 そこで、いまおのおの行政的な取りきめをやることで公正取引委員会の私的独占に関する判断に影響を与えないということは、おおむね確認をされたと思うのでありますが、通産省がやはり関係があるわけですから、ここには事務局しか来ていないから、その点は通産政務次官として、政府を代表して、特に十分配慮をして、公正取引委員会の中立性に影響を与えないようにしてもらいたいと思います。
 そこで公正取引委員会にお伺いをいたしたいのは、審判は公開を原則とするということになっておりますね。それからもう一つ、四十三条で、「必要な事項を一般に公表することができる。」こういうふうになっていますね。私は、これらの規定があるのは、国民に公正取引委員会で行なわれるいろいろなことが明らかにされて、国民の納得の上で問題が処理されるということを必要としておるから、こういうふうな条項が設けられておる、こういうふうに考えますけれども、この点柿沼さんどうですか。
#412
○柿沼政府委員 ただいま御質問のとおりだと思います。
#413
○堀委員 そこで委員のほうにお伺いをいたします。
 実は今日までいろいろと当委員会で、この事前審査の問題についてはお尋ねをしても、皆さんからお答えをいただいていないわけです。この国会という、われわれ、国民を代表しておる国権の最高機関においてすら、皆さんがお話しになっていないということは、きわめて事前審査というものは秘密裏に処理がされておって、何がどうなったのかさっぱりわからないというのが実は現在の状態ですね。しかし、これほど国民生活に重大な関係があるもの、特に、御承知のように今日、鉄の製品というものは、かつてはわれわれの家庭には火ばしと鉄ぴんとそれから火ばちくらいが鉄の製品だったろうと思うのです。しかし、今日われわれの家庭から鉄の製品を除外して一日たりとも生活が成り立たないというのが近代生活の状態ですから、そうなれば、国民生活にきわめてゆゆしい問題を持っている鉄製品の問題である。そこで、さっき私が申し上げましたように、われわれとしては、公共事業として六〇%の鋼矢板、国鉄については八〇%のレールというように、国の利益を考えなければならぬ非常に大きな問題もここらに含まれておるということになりますと、要するに、これらの問題の取り扱いの経過が、やはり国民の前に明らかにされないで、どこかでこそこそとないしょのうちにやられて、結果だけが表に出されたということでは、私は国民が納得しない。独占禁止法というのがいま四十三条、五十三条に規定をしておることは、やはり国民の前に、公開の原則のもとに、どういう点がどういうことであったのかということが明らかになり、同時に私は、現在の裁判においても行なわれておるように、もし何らかの決定が行なわれたときは、少数意見をも含めて、四十三条のように、事業者の秘密は除きますけれども、必要な事項を一般に公表するということが、私は必要なのではないか、こう考えておるわけですけれども、その点について梅田委員はどうお考えでしょうか。
#414
○梅田説明員 職務執行を公正にするために、なるべくガラス張りと申しますか、公正が疑われないような手続をとるということは、一般論として重要なことだろうと思います。また先生御指摘のとおりの条文も、まさにそういうところにあると思いますが、ただ私、はなはだ不勉強でございまして、四十三条によって公表することができるかどうかは、ちょっと研究させていただきたいと思います。
 なお、そのほかに四十二条の公聴会の開催も、やはりそういう広く意見を聞くというだけではなしに、プラスの、進んで公正さを公取のほうからも守っておるんだという趣旨での公聴会ということを考えていいのではないかと思うのでございます。お答えになるかどうか知りませんですけれども……。
#415
○堀委員 四十三条は、「公正取引委員会は、この法律の適正な運用を図るため、」と、こうありますからね。だから私は、この公正な、適正な運用をはかるということが、こういう重要問題については特に必要でありますから、それについては「事業者の秘密を除いて、必要な事項を一般に公表することができる。」とあるのは、当然国民は、どうしてこれが該当しなかったのか、したのかというようなことは、事業者の秘密を除いては公表されるべき性格のものではないだろうか、私はこう考えているわけです。まず、いまの問題が一つ。
 もう一つは、私どもはかねてから主張しておりますように、これが審判に付されますならば、これも事業者の秘密を除けば公開の原則になるわけですから、やはり私は問題としては、そういうことで処理がされる――御承知のように、日本はいま裁判公開制でございますね。これは梅田さんに申し上げるまでもないことです。要するに、民主的に処理されるということを国民が納得の上に認めよう、私はそういう意識の上に成り立っておると思いますから、まさに裁判と同様の決定が行なわれようとするときに、そういう公開でない形のままで処理がされてしまったということになることについては、国民に大きな疑惑を残すことになるので、その点について私どもが審判を要求するのも、公開をしてもらいたいということが非常に大きな要素になっておるということを、これは特に理解をしてもらいたいと思うのです。これはもう国民のすべての願いだと思うのです。これほど重要な問題ですからね。その点、特に梅田さんは法律家でもあって、そういう裁判についての公開の原則というものが、今日裁判の公正を守っておるということから見ても、ひとつ十分お考えをいただいておきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#416
○梅田説明員 もちろん審判の可能性――審判手続をとらない、あるいはとれないということはないと思います。しかし審判の手続を開始するのには、先生御承知のように条文に、違反ありと認めるときはというしぼりにかかっておりますから、ありと私が考えたならば、私はそのように善処するつもりでおります。これは一般論になりますけれども……。
#417
○堀委員 これは判断の問題でございますから、要するに、触れると判断するかしないかということはきわめてむずかしいことですけれども、裁判では疑わしきは罰せずということがありますね。しかし、この際は罰するんじゃないのですからね。疑わしきはひとつ公開にしよう、こういう考え方に立ってもらいたいと思うのですよ。それでないと、さっきからこちらでも声がありますように、どこか国民の目に見えないところで何か、私どもがこの間から暮夜ひそかにというような表現を使うのも、どうもそういうにおいが感じられてならぬものですから、それが公開のところでやられれば、われわれはそんなことを言う必要はちっともないのですよ。ですから、どうかひとつ疑わしき場合には審判をして、それは審判は公開ということが原則だ。そこでガラス張りの中で、国民の注視の中で双方の意見が交換されて、なるほどそういうことならそれは当然そうだというふうに国民が納得をする処置をどうしてもとってもらいたいというのが私の強い希望なんです。これについては亀岡さん、それから有賀さんからもひとつお答えをいただきたいと思います。
#418
○亀岡説明員 ただいまのお尋ね、まことにごもっともなお話だと思います。そこで、審判を開始するという場合、これは五十三条にございますとおり公開にする、これは裁判所の公開原則と同・様の考え方かと存じます。それから審判を開始するかどうかと、これまた規定が四十八条にあります。この法律の定めるところによってきめたい。それから先ほどおあげになりました四十三条の「必要な事項を一般に公表することができる。」これは確かにガラス張りと申しますか、そういうかっこうで関係者のいろいろな方の御意見をお聞きしなければいけない。そういう意味で四十二条――これは公聴会の規定でございますが、公聴会の際に十分御意見を伺いたい。それから法律的に、ただいま梅田委員も申しましたとおり、四十三条の規定がどういう趣旨なのか、ちょっとこの席で答弁は……。
#419
○堀委員 私が伺ったのは、疑わしければひとつ審判にしてもらいたいという私の意見について、疑わしきは罰するのじゃないのですから、疑わしきはひとつ審判に付して、判断の基準を公開の原則でやるということにしてもらいたい。そこのところを伺っておるのです。
#420
○亀岡説明員 公開という御趣旨はまことにそのとおりだと思います。
#421
○有賀説明員 私も同じ意見でございます。
#422
○堀委員 そこで、いまの問題はそういうことで国民の願いを考えてもらいたいと思うのですが、私は菊池委員のさっきの御答弁を聞きながら非常に遺憾な感じがするのは、どうも菊池委員のお答えを聞いておりますと、私ども伺った以上の発言が非常に多いのですよ。その部分の発言はおおむね当事者側に有利な見解をお述べになっておるというふうに私は受け取られてならない。公正取引委員会というのは、菊池さん、これはどういう役所なんでしょうか。これは国民の利益を守るためにあるというふうに第一条は書いてあると思うのですが、企業者の利益を守るほうが先でしょうか、国民の利益を守るほうが先でしょうか。
#423
○菊池説明員 これは法律に書いてございますとおり、結局は国民の利益を守るためでありますが、「一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進すること」が目的でございます。
#424
○堀委員 ですから、私がさっき伺っておる中で、あなたは国鉄の問題にまで触れられて、レールはたいへん品質がよくなっておるから、それで高くなっておるのはしかたがないのだということを、国鉄が何にも言わないうちにあなたはおっしゃっているのです。それは一体だれに利益を与えておるかといえば、このことは、決して高いものを売ってはおりません、値段が下がっておらぬのは品質がよくなったからですという業者の利益を代弁されたことばになっておるわけです。私が伺ったならいいのですが、あなたは私が伺わないのにそれに触れられておるわけです。公正取引委員というのは、出身のいかんを問わず、少なくとも委員になられたら、第一条の精神に沿って処理をしてもらわなければ、国民の疑惑を招くと思うのですよ。だからその点は、特に菊池委員は、私どもが伺っておる感じでは、何か第一条の目的に必ずしも忠実でないような感じを受けますから、今後の取り扱いについては十分注意をしてもらいたいと思うのですよ。少なくとも第一条の精神は厳格にこれを守っていくという考え方に立ってもらいたい。一般論ですけれども、どうでしょう。
#425
○菊池説明員 従来ともそういうつもりでおったつもりでございますし、今後もそういうつもりでございます。先ほどちょっと特別なことを申し上げましたのは硬直化と言われましたので、それは内容を存じませんと申せばよかったのですが、たまたま聞きましたことを申し上げてしまいましたので、決して事業者の弁護をするという趣旨では全然ございません。この点どうぞ誤解のないようにお願いいたします。
#426
○堀委員 国鉄、どうですか。四十四年度の予算における購入価格、わかりましたでしょうか。
#427
○小林説明員 四十四年度の予算につきましては、ただいま国会で御審議をいただいておりまして、まだ成立しておりませんので、購入量そのものにつきましてまだ具体的にどうという確定的なことはお答えできませんが、いま予算案におきましては、数量は約二十万トン程度でございます。なお、価格はおおむね四十三年度の横すべりというかっこうになっております。
#428
○堀委員 皆さんお聞きのように、予算価格として当然購入数量、購入価格は予算の積算の基礎になっておるはずですから、それからくれば、レールについてだけは四十一、四十二、四十三、四十四と四年間続きで、国鉄というところは非常な赤字をかかえながらも同じ価格で買っておるということは、これは国民感情から見て、今度の国鉄の値上げ問題に関して重要な問題をはらんでおると思うのです。ですから、この点はひとつ十分考えてもらいたいのと、それから建設省にもう一つお伺いしますが、鋼矢板というのは、実はこれも下がっていないのですよ。あなたも認められると思うのですが、価格はこの十年間に下がっていないけれども、生産量は非常にふえまして、昭和三十三年に比べて四十二年は十二・八九倍、約十三倍くらい生産量はふえておる。需要がふえてきたわけですね。それだけ需要がふえてきていて、生産性は全体に上がっているのだから、私は、鋼矢板というのも本来値段が下がってしかるべきものであろうと思う。これは下がっていないのはレールと鋼矢板だけなんですよ。あとは、今度問題になったところの食かん用ブリキについてもあるいは鋳物用銑鉄についても、両社のシェアが低いものですから、フラクチュエーションもあるし、価格は少し下がっておるわけですね。ところが、この二つだけは下がらぬ。しかし、いまさっきのお話のように、国の公共事業でこの五十万トンのうちの三十万トンも使っておるということになりますと、これは建設省としては今日までこのまま見過ごしてきたのは一体どういうわけなのか、それをちょっと承りたいと思うのです。
#429
○浅間説明員 お答えいたします。現在の建設省の工事費の積算でございますが、これは市況価格、いわゆる物価資料によりまして単価を計上いたすことになっておりまして、直接建設省においては購入いたしておりません。したがって、物価資料等によりまして価格を計上するというたてまえでございますので、建設省といたしましては、国鉄のように直接購入しないので、原価計算のような方式はとっていないわけでございます。
#430
○堀委員 しかし、私がこの資料をちょうだいしておるところによりますと、官公需としてある中に、建設省の所管であるかどうかは別なんですけれども、主として使うものは建設省が多いのだろうと思うので、実際に使っておるものも建設省が直営工事をやっておるものがあるのじゃないですか。全部請負ですか。直接やっておるものもあるとすれば、建設省もやはり需要者である点があるのじゃないかと思うのです。請負に出して、そのうちの部分に入っておるものももちろん入って三十万トンですが、それはわかっておりますが、直接の部分もあるのじゃないですか。
#431
○浅間説明員 建設省におきましては、直轄でやっておる事業も補助事業も、自分のところで買っておるものはございません。
#432
○堀委員 何か指導したことはあるのですか。もう少し安く買えないかという指導したことはあるのですか。
#433
○浅間説明員 ございません。
#434
○堀委員 そうすると、これは要するに高くいけばもうしようがない、こういうことなんですね。指導したこともなければ何もないということは、値段が硬直して高いのにどうしようもない、六割も国が使っておりながら一それは間接にしろ建設省は承知しているでしょう。大体価格がこんなに硬直しているということは承知しておっても、これまでは何もものも言わなかったということですね。
#435
○浅間説明員 鋼矢板につきましては、過去十年ほど価格は安定しておりますので、そのことは調査の結果わかっておりますが、設計におきましては、時価主義でございますので、現在はとにかくその価を設計の価格にあげているということでございます。
#436
○堀委員 これは日をあらためて財政当局に入ってもらって――一体そんなルーズなことでいいのか、公共事業に三十万トンも使っているものが、価格がこんなに硬直しておって、ちっとも値段は下がらないというのは一体どういうことなのか。建設省は何も言わないが、これも妙な話だけれども、これは財政当局に入ってもらって、引き続き残りの質問はやらせていただくことにして、本日は時間がまいりましたから、以上で終わります。
#437
○大久保委員長 本日の議事はこの程度にとどめます。
 次回は、来たる七日金曜日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後七時二分散会
ソース: 国立国会図書館
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