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#1
第061回国会 商工委員会 第10号
昭和四十四年三月十八日(火曜日)
    午前十時三十七分開議
 出席委員
   委員長 大久保武雄君
   理事 宇野 宗佑君 理事 浦野 幸男君
  理事 小宮山重四郎君 理事 藤井 勝志君
   理事 武藤 嘉文君 理事 中村 重光君
   理事 堀  昌雄君 理事 玉置 一徳君
      天野 公義君    小笠 公韶君
      海部 俊樹君    鴨田 宗一君
      黒金 泰美君    小峯 柳多君
      坂本三十次君    島村 一郎君
      田中 榮一君    橋口  隆君
      増岡 博之君    石川 次夫君
      岡田 利春君    勝澤 芳雄君
      佐野  進君    田原 春次君
      中谷 鉄也君    古川 喜一君
      武藤 山治君    塚本 三郎君
      吉田 泰造君    近江巳記夫君
 出席国務大臣
        通商産業大臣  大平 正芳君
 出席政府委員
        通商産業省化学
        工業局長    後藤 正記君
        通商産業省繊維
        雑貨局長    高橋 淑郎君
        中小企業庁長官 乙竹 虔三君
 委員外の出席者
        参  考  人
        (日本合成ゴム
        株式会社副社
        長)      川崎 京市君
        専  門  員 椎野 幸雄君
    ―――――――――――――
三月十八日
 委員中谷鉄也君辞任につき、その補欠として柳
 田秀一君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員柳田秀一君辞任につき、その補欠として中
 谷鉄也君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 日本合成ゴム株式会社に関する臨時措置に関す
 る法律を廃止する法律案(内閣提出、第六十回
 国会閣法第九号)
 特定繊維工業構造改善臨時措置法の一部を改正
 する法律案(内閣提出第二五号)
     ――――◇―――――
#2
○大久保委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、日本合成ゴム株式会社に関する臨時措置に関する法律を廃止する法律案を議題といたします。
 本日は、本案審査のため、前回に引き続き参考人として、日本合成ゴム株式会社副社長川崎京市君が出席されております。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。中村重光君。
#3
○中村(重)委員 通産大臣の見解と申しますか考え方をお尋ねをしたいと思います。
 この法律案の審議の中で私どもが感じ取ったことは、通産省にしてもあるいは大蔵省にしても非常に不勉強だという感じを強く受けたということであります。その詳細にわたりましては、局長その他関係者から御報告あっておると思いますから、深くは申し上げませんが、この百万株、金額にして額面十億円になるのですが、そのような、私どもはあえて巨額と申し上げますが、株式の処分にあたって慎重を欠いたうらみがあると思うのです。株式の処分の方法にいたしましても、あるいは価格の問題にいたしましてもそうでございます。さらに附帯決議がこの法律案の制定にあたってつけてあるわけですが、その趣旨からいたしましても、国会に対する連絡が不十分であったということでございます。法十一条によりまして、会社の経営の基礎が確立したならば株式を処分するということが規定してありますから、私どもは、その処分すること自体に対しましては、いろいろ意見は持っておりますけれども、それが絶対にいけないとは申し上げないのであります。しかし、処分をしてしまって空洞化してから廃止法案だけを突如として国会の審議を待つということはどんなものであろうか、こう思うわけです。いま少しく慎重を期する必要があったんではないか。また法十一条にいたしましても、経理的基礎が確立したならばこれを処分しろということになりますが、三十八年の下期から一割配当をやっております。したがって、その時点からの会社の経営者あるいは労働者あるいはその他関係者の努力の結果であろうと思うのでございますけれども、その基礎が確立をした今日まで一割配当を続けている。そして処分はやっている。十一条によって処分したというのならば、その十一条の中には、すみやかに処分をするということになっておりますが、三十八年の下期から一割配当であった。だがしかし、いままで処分をしないできた。それにはそれなりの考え方があったんではないか。ところが、処分をいたしまして、倍額増資をするということが実ははっきりしているわけです。そうなってまいりますと、百万株を前に一割だけ公開競争入札をいたしておりまして、三千百六十円で処分をして、そしてそれから落として二千八百円でもって随意契約でやっているという、そういった方法ですね。倍額増資ということになってまいりますと、額面ということになってまいりましょうから、非常にそういう株式の所有者というものは安い価格で引き受けたという形に実際なるわけです。それから会社の経営者であるとか労働者に対しては、功労株という形で所有させることになっておるのでありますけれども、功労とは何ぞやということになってまいりますね。その他の利害関係者と同じような価格で引き受けさせたということになってまいりますならば、功労株ということは、ただ株を持たしたということだけが功労なのかということになってまいります。ですから、私どもが質疑の中に申し上げたのは、三千百六十円という競争入札の結果これを三菱化成が所有することになったわけです。それから倍額増質ということになって、明らかに株式所有者というものは安い株式を所有することになってまいります。だから随意契約である場合は三千百六十円でよかったのではないかということが一つの考え方であるわけです。それで経営者であるとか、あるいは特に労働者は賃金が非常に低かったわけです。この一、二年大体世間並みの賃金になっておる。そのようなこと等を考えてまいりますならば、やはりそうした功労者に対しては、できるならば額面ということでもよかった。そのようなもろもろの点を考えてみますと、処分の方法あるいは価格の面、それから附帯決議の趣旨等からいたしまして、国会に対して十分連絡をとる、そういうことが必要ではなかったのかということでございます。通産大臣から、私の意見を申し上げましたようなことについてのあなたの率直な考えをひとつお聞かせ願いたいと思います。
#4
○大平国務大臣 この法案の御審議について、いろいろ御心配をいただきまして恐縮をいたしております。
 いま中村委員から御指摘の第一の株式の処分の問題でございます。これは一応政府では、本法の十一条の規定に従って行なったものでございまして、その間の事情は、慎重な御審議の過程におきましても、政府側から十分御説明申し上げたことと存ずるのでございます。しかし、これは一応通り一ぺんといえば通り一ぺんでございまして、大切な国有財産の処分でございますから、仰せのように慎重の上にも慎重を期し、公正を期して、大方の心からなる御納得がいくような手順で、念を入れて運ぶべきものであったと私は思うのでございます。運び方につきまして、遺憾の点が多かったことはおわびを申し上げます。
 それから第二点として、株式の処分の時期が、すでに一割配当で会社の業績が三十八、九年に相当よくなっておったにかかわらず、処分の時期がおくれたという点でございますが、これは御案内のように、三十九年秋ごろから政府部内では内々この株式の処分につきましては検討が進められておったようでございますが、当時は株式市場が低迷期にございましたので、必ずしもこれを処理する環境ではなかったという判断で見送られておったと聞いております。その後四十一年に至りまして、景気は上昇過程に入りまして、株式市場も立ち直りまして、一応処分の環境が整ったと判断いたしまして、この決断をいたしたということでございますので、御了承をいただきたいと思います。
 それから第三点、この十億にのぼる大量の処分という重大な会社にとっての懸案の処理にあたって、国会をはじめといたしまして各方面に御報告を怠ったこと、とりわけ昭和三十二年の五月十四日に当委員会の御決議の第二項にございますように、「本法による会社の設立並びに運営の経過については、適時国会に報告すること。」ということが附帯決議に明瞭にうたわれておるにかかわりませず、時期を失してそういった重大な報告の義務を懈怠いたしたということにつきましては、万々私どものほうで陳謝することばがないのでございます。今後こういった点については十分戒めてかかるつもりでございますので、御了承賜われば幸いに存じます。
#5
○中村(重)委員 実は私どもといたしましては、三十八年の下期から一割配当がなされた、いままでどうして処分しなかったのか、その処分の時期がおくれたことを言うわけではないわけです。やはりこの合成ゴムという産業はきわめて重要な産業である。だがしかし、まだ輸入に待つという現状でございますから、この日本合成ゴム株式会社を設立した、国策会社として発足させたというのにはそれなりの重要な意義を持っておったわけですね。ですから現時点においてこれを処分することが適当なのかどうか。政策目的が十分達成されたかどうかということに対しては、私ども必ずしもその時期が到来したとは考えていないわけです。しかしそれは政府として、その時期は到来しておる、経理的基礎も確立したから、法に基づいて処分したということについて、これがだめだと声を大にして申し上げるわけではないわけです。ですから、この政策目的を達成したかどうかということが、通産省としても、特に通産大臣がこの処分にあたっては判断をしていただかなければならなかった点ではなかろうかという点を第一に指摘しておるわけですね。
 それから、くどくなりますから私は申し上げませんけれども、何か倍額増資というものがはっきりわかっておった。そういう際に三菱化成が落札したが、三千百六十円だって、これは上場すると五千円くらいになりましょうから、安いということが考えられる。そういう際に、それからさらに下げて随意契約でやったというところに何か意図的なものを感ずるのです。どうも明朗さというものが欠けるような感じがするところを一つの問題点としたわけです。まだいろいろありますけれども、きょうは簡単に大臣に、審議中に御出席がなかった関係上、考え方を聞かしていただきたいという意味でお尋ねをしておるのですし、私がお尋ねしますことは、実はあとで附帯決議でもって委員会としての意思を明らかにすることになっておりますので、これはあまり多く申し上げません。
 それからもう一点大臣に御注意を喚起しておきたいと思いますのは、これも広い意味の特殊法人になるわけですが、どうもこれら特殊法人に対する監査、監督というものがおざなりになっておるのではないかという感じを受けます。日本合成ゴムに対しましても、当然これは通産省が監査、監督をやらなければなりません。膨大な報告書というものも来ておるのでしょうが、それに目を通しておったのかどうか疑わしいわけです。立ち入り検査一回やっていないのです。どうもそういうことではルーズになってくると思います。だからしてこれからは、通産省の監査、監督というものをひとつきびしく特殊法人等に対しましてはやっていくということでなければならぬと思います。これらの点に対する大臣の考え方をお聞かせ願いたいと思います。
#6
○大平国務大臣 本法がねらっておる政策目的は果たされたかどうかという判断でございますが、私どもとしては、一応会社の経理的基礎も確立をいたしましたし、政策目的は一応達成したということで踏み切ったわけでございます。もっともゴム業界はこれから非常に未来を持った産業でございますので、これからさらに躍進を遂げていただかなければならぬわけでございますから、むしろ民間形態におきまして、活発に増資その他の挙に出てもらって、さらに生産力を高めていく。御指摘のようにいまも輸入があるという状況でございますから、国内の生産力を高めるというような方向に、民間企業形態を活用して、存分に伸びてもらいたいという期待をこめて、今度の法案を御提出申し上げたような次第でございます。
 それから第二点の三千百六十円、そのあとの随意契約二千八百円というのは低目じゃなかったかというような御判断でございます。値段の問題でございますけれども、いまの時点に立ってみますと、中村委員が御指摘のとおり、そういう御判断は正しいと私は思うのでございますけれども、当時としては相当目一ぱいの値段であったのではなかろうか、そういう判断で政府が踏み切ったと承知いたしております。
 それから第三の問題といたしまして、こういう政府関連会社の監督の問題でございますが、事務的には十分監査を行なってきておったと思いますけれども、それが御指摘のように十分行き届いた真剣なものであったかどうかという点につきましては、われわれは多数の関連会社を持っておるし、政府機関も持っておるわけでございますから、仰せの精神をもちまして、終始緊張した姿勢でこの種の監督、監査に当たらなければなりませんし、そういう決意で臨みたいと思いますので、御了承いただきたいと思います。
#7
○中村(重)委員 それから国有財産の扱いの問題ですが、実は大蔵委員会で附帯決議をつけてありますので、大蔵大臣を中心にいたしましてその他関係大臣が、今後の扱いをどうするかということについて御協議もあろうかと思います。国有財産法第六条では、普通財産は大蔵大臣がこれを管理し、処分するということになっておりますが、第八条でもってただし書きがついて、これらのいわゆる特別会計についてはこれを除外するというような形が実はあるわけですね。それと行政財産については、それぞれの所管大臣の権限でもって処分するということになっておりまして、中央審議会の議を経る必要はないというようなのが解釈です。解釈論としては問題ないと思うのですが立法論としては実はおかしいと思うのです。それから国有財産の処分に慎重を期するという方向であるのですから、やはりそうした条文にとらわれることなく、国有財産というものを慎重に扱っていくということから、大蔵大臣と協議をするとか、あるいは引き継ぐことはだめだということにはなっていないわけですから、進んで慎重を期していく、こういうことでなければならぬと思います。ですから国有財産法の再検討をやっていただきまして、大蔵委員会における附帯決議並びにこれから当委員会におきましても附帯決議をつけますから、十分ひとつ遺憾なきを期していただきたい、こう思います。その点に対するひとつお答えをいただいておきたいと思います。
#8
○大平国務大臣 いまの点につきましては、昨日の決算委員会で、非常にきびしい御決議がなされ御要請がなされたのでございます。私どもとしては、国有財産全体の問題はもとよりでございますけれども、国有財産たる株式の処分に関しましても、従来の制度に再検討を加えまして、処分の方法並びに評価が一そう適正に行なわれるよう、大蔵省とも十分協議いたしまして、適正な措置を講じたいと思います。
#9
○中村(重)委員 あとは質問ではなくて要望いたしておきますが、附帯決議の問題については大臣が率直に遺憾の意を表明されましたが、この合成ゴムに対するところの附帯決議だけではなくて、法律案の議了にあたりましては、実はいろいろの問題点もありますけれども、附帯決議をもって最大公約数として全会一致という形で扱われてきてておるわけです。ですから、附帯決議をつけましたあとで、大臣から、十分その趣旨を尊重してまいりますという発言があるわけですが、その発言がその場限りではなくて、いま大臣がお答えになりましたように、この後は十分附帯決議の趣旨を尊重して、それを生かしていく方向に指導していただきたいと思います。ひとつ大臣の最後の決意を伺いまして終わりたいと思います。
#10
○大平国務大臣 仰せの御趣旨を十分体して最善を尽くしたいと思います。
#11
○大久保委員長 これにて本案の質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#12
○大久保委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がございませんので、直ちに採決に入ります。
 日本合成ゴム株式会社に関する臨時措置に関する法律を廃止する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#13
○大久保委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
    ―――――――――――――
#14
○大久保委員長 次に、ただいま可決いたしました本法律案に対して、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 まず、趣旨の説明を求めます。佐野進君。
#15
○佐野(進)委員 ただいま提出いたしました附帯決議案につきまして、その提案の趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    日本合成ゴム株式会社に関する臨時措置に関する法律を廃止する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法施行にあたり、次の点につき特に留意すべきである。
 一、日本合成ゴム株式会社の政府所有株式を処分した際の措置に必ずしも当を得ていないものがあったことにかんがみ、今後、国有財産たる株式等を処分する場合には、その方法及び評価等に適正を期すること。
 二、日本合成ゴム株式会社が民間会社に移行した後においても、同会社を含む合成ゴム製造事業者に対し、強力な行政指導を行なうこと。
以上でございます。
 第一点は、各委員から繰り返し質疑のあったところでありまして、問題の所在は十分明らかにされております。今後国有財産たる株式等の処分にあたっては、この点をよく認識し、正当な手続と公開の原則のもとに処分の適正を期すべきものと考えます。
 第二点も質疑が活発に行なわれたところでありまして、合成ゴム企業の体質、資本自由化問題日本合成ゴムのシェア等から見て、今後においても合成ゴム製造事業者に対する指導と監視は政府において強力に続けられるよう要望するものであります。
 以上が提案の趣旨であります。何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)
#16
○大久保委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 直ちに採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#17
○大久保委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
 この際、附帯決議について通商産業大臣から発言を求められております。これを許します。大平通商産業大臣。
#18
○大平国務大臣 ただいま御議決をいただきました附帯決議につきましては、これを尊重いたしまして、御趣旨に沿うよう善処をいたしたいと思います。
    ―――――――――――――
#19
○大久保委員長 おはかりをいたします。
 本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#20
○大久保委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
  〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
#21
○大久保委員長 次に、内閣提出、特定繊維工業構造改善臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の提案理由説明は、去る二月二十五日聴取いたしております。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐野進君。
#22
○佐野(進)委員 私は、まず最初に大臣に総括的な面について御質問をしたいと思うわけでございます。
 特定繊維工業構造改善臨時措置法の一部を改正する法律案の内容は、メリヤス業並びに特定染色業ということになっておるわけでございますが、これに関連いたしまして、すでに紡績あるいはまた織布等がその実施の段階に入っておるわけでございますが、これら全体を見まして、現在の日本における繊維産業が日本経済の中に占める役割りと申しましょうか立場と申しましょうか、そういうものをこれからどのように発展さしていくべきか、あるいは措置していくというように通産当局は考えておるか、このような原則的な面について、簡単でけっこうですから、大臣の見解を聞いておきたいと思います。
#23
○大平国務大臣 先進諸国等の繊維産業と日本の繊維産業とを比較いたしますと、かっては世界で王座を占めておった日本の繊維産業でございますけれども、現在では、まず第一に、とてつもなく数は多い、近代化、自動化は非常におくれておる、生産性は非常に低い等、歴然たる格差がついておるわけでございまして、先進諸国との競争におきましては非常に弱い立場におることは御案内のとおりでございます。それにもかかわりませず、近隣のチープレーバー圏の追い上げがたいへん激しくなってまいりまして、対米輸出に例をとってみましても、だんだん日本のシェアが低下する傾向にあるということが憂慮されておるわけでございます。したがいまして、繊維産業の生きる道は、どうしてもみずからの体質を思い切って改善せねばならぬ、それで国際競争力を高めて、近隣諸国の追い上げに抵抗力を十分身につけねばいかぬ、そういう方向でいくことが繊維政策の当然の基本的な方向であると思います。
 第二の点といたしまして、まだ二百万近い労働者が雇用されておるということから、日本の第二次産業の中での比重は非常に重いと思うのでございます。したがって、この繊維産業は、日本の産業全体が重化学工業化してまいるという過程で後退を余儀なくされるというままに放置しておいてはいけないわけでございまして、どうしても、高度化と申しますか高級品化と申しますか、そういう方向にみずからの活路を時代に即して切り開いていかねばならぬことが要請されておると思うのでございます。非常に繊細な感覚を持った日本民族でございますから、必ずやユニークな特徴を持って、世界でりっぱな市民権を確保できると私は確信いたしますが、そういう意味におきまして、日本の繊維産業の存立擁護のためにも、また国際的な競争力を力強くつちかってまいりますためにも、構造改善政策につきましては非常に精力的に推し進めてまいらねばならぬ、そう私は考えております。
#24
○佐野(進)委員 大臣の御見解は、繊維産業について将来とも発展させるという方向で努力をする、こういうようにお聞きをいたしたわけでありますが、そこで、大臣の提案理由の説明の中で触れられました点を中心にして質問を続けてみたいと思うわけであります。
 まず第一に、いまもお話しございましたが、大臣は、「わが国の繊維工業を取り巻く内外の経済環境がきびしくなりつつある情勢の中で、」と、こう申しておられるわけでありますが、内外の情勢の中で特にきびしい情勢は、アメリカを中心にする輸入制限運動、それから韓国、台湾、香港等を中心にする低開発国に対する特恵関税をはじめ、あるいは繊維競争、そういうような問題があると思うわけであります。したがって、それらの問題についてまずお聞きをいたしておきたいと思うのでありますが、アメリカの繊維に対する輸入の自主規制の問題については、ニクソン大統領がその就任前、いわゆる立候補の段階から今日に至るまで、非常に積極的と言ってもいいほどの取り組みをし続けてきておりまするし、アメリカの議会内部においても、ミルズ法案あるいはその他議員提出法案の名のもとに幾つかの法案が準備せられあるいは提出されておるというような段階であります。したがって、この点については大臣も、国会答弁の中においてもあるいは記者会見の中においても、たびたび、いろいろな表現の違いはあっても、見解を発表しておられるわけでありますが、今日の時点の中で、このアメリカの輸入制限、いわゆる自主規制の問題に対して大臣はどのように考えておられるか、お伺いをしてみたいと思うわけでございます。
#25
○大平国務大臣 一月の三日にアメリカの第九十一議会が招集されて、またたく間にたくさんの輸入制限法案、これは大体輸入クォータをきめろという法案のようでございますが、鉄鋼とか繊維とか、あらゆる業種についてたくさん出てきているわけでございます。それでその成り行きが憂慮されておったのでございますが、二月六日になりまして新大統領の記者会見で言われたことは、まず第一に、ニクソン氏としては輸入クォータ法案はあまり賛成できぬということを言われております。彼は自由貿易論者のカテゴリーに属する人のようですけれども、ただその次に言われたことが気にかかるのですが、アメリカに対して輸出しておる国々の業者との間に自主規制が行なわれるといいんだ、これは政府がタッチしないで、業界の中で自主的にやってもらえばそのほうが望ましいんだという意味の発言があったようでございます。その発言に対しまして、アメリカ国内にいろんな反響があるようでございます。繊維業界、繊維労組、これはもとよりニクソンさんが選挙の公約実現に忠実に第一声を放ったということで、非常に歓迎しておるようでございますけれども、輸入業者や小売り業界では反対を表明しておるということのようでございます。それから各プレスのほうの反響はまちまちでございまして、有力紙では、そういうことをやることはアメリカの国益からいって必ずしも賢明ではないんじゃないかというような、「ニューヨーク・タイムズ」とか「ワシントン・ポスト」なんかはそういうような論説を出してくれているようでございまして、アメリカの国内の世論もまだそういうところに帰一していない、一本に結晶をしていないと言えるんじゃないかと思うのです。
 それから第二点として、それでは輸出国、つまりヨーロッパとか日本とか、その他アメリカに対して繊維品を輸出している国々に対してアメリカ側が何かアプローチを試みたかというと、いまの時点まで何も来ていないわけです。ないわけでございますから、このままずっといってくれたらいいわけでございますけれども、これから何が出てくるのか不安な気持ちが抜け切れないというのが正直な意味でいってわれわれの心境でございます。
 そこでどうするかということでございますけれども、まだ何もお話がないのに、こっちでいろいろあれやこれや論評するのもどうかと思いまするし、ことさら国会なんかで大きなことを言うのもどうかと思いますので、できるだけ黙っておりたいと思っているのですけれども、ところがこの問題は、新聞界でも、非常に大さな問題でございますから、結局話題になるわけです。
 そこで、ぼくは第一に業界は一体どう考えているんだというようなことで、各業界、これは綿ばかりでなく化繊のほうもいろいろ聞いてみたのですけれども、業界も多様な業界でございますから、ほんとうにかたまってくれているのかどうかというような点を心配しておったのでございますけれども、いろいろ聞いてみますと、業界のほうは今度は非常によくまとまっておるようでございます。万一ボランタリーな形でも相当輸入制限的な動きがとられた場合、こちらの足並みが乱れてはいけませんので、そういう点は心配ないかという点、いろいろ瀬踏みをしてみるのでございますけれども、そういう点の心配は今度はないようでございます。
 それから、政府部内では関係閣僚がしょっちゅう会っておりまして、これは文句なく、万一そういうことがあったら大いに反対せざるを得ないんじゃないかというようなことで、すでに駐米大使を通じて前広に国務省のほうにはこちら側の憂慮を伝えてあるという状況でございます。それから各政党でも、自民党はこの間決議をしていただいたようでございまして、静かなるうちに対応した用意をしつつあるというのがいまの状況でございます。
#26
○佐野(進)委員 実は去年のいまごろを思い出すのですが、課徴金の問題がやはり国会内外の非常に大きな問題になって、当時椎名通産大臣もこの問題について積極的な発言をしておられ、関係業界をはじめ、それぞれ積極的な対応策を講じられておったようでございます。それに比較いたしますると、この繊維の輸入の自主規制問題については、さっき大臣がお話しになられたように、アメリカにおける日本製品のシェアは毎年のように――いわゆる輸出量全体としてはそれほどの量の減少はないとしても、日本における繊維製品の輸出量全体のシェアから見ると非常に狭まってきている。ここ数年の比較を見ても、繊維製品全体が二十億ドル以下、十六億ドルから十九億ドル程度のシェアしか持たない。しかも、その中でアメリカに対するシェアも決して向上していない。こういうような状況下においてアメリカの繊維製品に対する自主規制が行なわれるということは、欧州をはじめとする先進国はもちろんこれ以上のきびしい措置をとることが考えられるわけでありますし、さらに低開発国は繊維製品の開発が最も安易に行なわれるというこで、むしろ日本とそういう面においては競争国になりつつある現状の中で、大臣がいかに繊維製品繊維産業についてこれを前向きに発展する方向で努力すると言っても、現実の面としてその希望が打ち砕かれていく、こういうことが予想されるわけです。したがって、大臣は触れたくないけれども触れざるを得ないのだという消極的な見解、これは一面からわかるけれども、この段階においては、去年の輸入課徴金に対する問題以上に積極的な取り組みをしない限り、日本産業の、現在というよりもいままで一つの中核的な役割りを果たした、いまもなお重要な柱の一つでありますが、この繊維産業全体に対して非常に大きな影響を与えることになるのではないか、こういうように考えるわけでありますから、もっと政府において、もちろん駐米大使を通じてこれに対する交渉をさしておるとかどうとかいうことがありますが、触れたくないけれども触れざるを得ないのだ、寝た子を起こすのだというような感覚でなく、むしろそういうような国内における世論の高まりがアメリカをして自主規制に踏み切らせない、そういうような条件もつくり出しておるのではないかと私は考えるのですが、もう少し積極的な大臣の対応策、対策というものについて意見を聞かしてもらいたい、こう思うわけです。たとえば去年の課徴金以上の決意をもって取り組む必要があるのではないかということに関しても、ひとつ御意見を聞かしてもらいたいと思います。
#27
○大平国務大臣 第一に、アメリカの繊維業界は最近ずっと非常な繁栄でございまして、なぜ輸入規制をやらなければならぬのか、ちょっと了解に苦しむわけです。
 それから対米輸出のシェアですが、日本のシェアは御指摘のようにほとんど変わりがないのです。ですから輸入クォーターはもとよりでございますけれども、自主規制にいたしましても、何でそういう政策をとらなければいかぬのか、明文はないじゃないかと思いますので、アメリカの繊維業界としてはそういうことはやる必要は一つもないじゃないかという対米PRは、政府も業界も盛んにやっておるわけでございます。
 それから第二点といたしまして、しかしながら、いま佐野さんの御指摘のようにちょっとわれわれが考えておかなければいかぬのは、この繊維の輸入制限問題というのは一つの孤立した問題ではないのでございまして、日米経済関係の複雑な一環になっておりまして、ですから日本はもうアメリカにとっては相当有力な、あらゆる部面において競争相手になってきておるわけでございますから、従来に比べて日本に対しては非常にきびしい態度にアメリカがなってきておるわけです。ですから、いまの残存輸入制限の自由化の問題とりわけ対米関心品目の自由化の問題とか、あるいは一番やかましいのは資本の自由化の問題です。そういった問題の取り組み方が、あんまりこっち側が横着をきめ込んで、いつまでもみこしをあげぬというような状態であると、非常に先方を刺激するわけでございます。だから全体の総合作戦でございますから、私どもとしましても、輸入の問題、資本の自由化の問題、そういった問題を含めて非常に用心深くアメリカとの交渉をやっておるわけでございます。それで、日本も非常に前向きにいって、そして日本の一億のマーケットを合理的にアメリカに開放するだけの用意を、手順を整えればやる用意があるんだという背景をよく認識さしておく必要が第一にあると思います。そういう方面は着実にやっておるわけでございます。去年の暮れに日米間の交渉がございましたけれども、なかなか農産物なんかむずかしい問題がございまして、工業品のほうも相当原局では各業界と非常にホットな議論をしまして、そしてある種の提案をいたして、いま鋭意折衝中のゆえんであるものも、そういうあんまりつれない姿勢で理解の糸を切ってしまうということは非常に危険だと思いますので、そういうような点で日本の資本の自由化と残存輸入制限の自由化をどのようなテンポで前向きに進めてまいるかという点を進めることが一つ対策として大事だと考えております。
 それから第三は、先ほど私がちょっと触れましたけれども、政府も業界もいろいろ――これは業界も商売でございます。それで日本のように蓄積が乏しい国、企業でございますから、アメリカと長い戦いをやって途中でまた脱落するものがあったりすると、これは十分効果的な対抗措置がとれません、そういうようなこともありますので、十分国内の世論も固めてまいりまして、みんな呼吸を合わせて、どんな事態にでも変に応じて措置するだけの体制を固めつつあるわけでございます。大いにPRをするとかいうことより前にそういった用意をやっていくことのほうが大事だ、そういうのがいまの段階のわれわれの仕事じゃないかというように心得ております。
#28
○佐野(進)委員 大臣は時間の都合があるようでございますので、それでは引き続き質問を続けたいと思います。
 対外情勢ですね。繊維産業を取り巻く対外情勢の中でいま一番大きな問題は、アメリカあるいは欧州の先進国、これらの輸入規制の問題あるいは自主規制の問題、こういうものが非常に大きな問題になりつつあるわけですが、これだけ議論しても一時間や二時間では尽きないと思いますが、きょうはそのほかの問題がありますので、私は、これについては、ひとつ絶対そういう動きに屈することなく、万全の対策を立て積極的に取り組んでもらいたいという要望をしておきたいと思うわけであります。
 もう一つ対外的な問題で大きな課題は、いわゆる低開発国の繊維産業における競合あるいは日本に対する輸入、こういうような問題が繊維産業の当面する大きな課題になってきておるわけであります。
 そこで私は、日本がOECDに加盟し、これの勧告を受け、あるいはUNCTADの勧告等があって、対外援助あるいはまた特恵関税の供与その他いろいろな低開発国向けの政策が世界的な情勢の中で日本に対して要望が非常に強まっているわけであります。そういう形の中で特恵関税供与問題がいま当面の課題になりつつあるわけでありますが、繊維産業における特恵関税問題について政府、通産省当局はどういう取り組みを現在されつつあるのか、これからしようとするのか、この点について、簡単でけっこうですからひとつ御説明を願いたいと思います。
#29
○大平国務大臣 三月の初めにOECDに約束どおり供与品目、例外品目――工業製品が例外品目で、農産物のほうが供与品目ですが、それのリストを提出しました。それでアメリカはまだ提出がないようでございまして、EECはもう提案になったかと思いますが、いずれにいたしましても、それが全部出そろったところでOECDでまず先進国側の会議が開かれて、四月の末に第一回の会合が持たれ、六月の末には第二回の会合が持たれて、UNCTADのほうにその結論を報告するスケジュールになっておるわけでございます。日本も約束どおり一応この間各省打ち合わせましてリストを出したのでございますけれども、これは一つの瀬踏みのリストでございまして、これから各先進国の間でも、いろいろ利害がございますから、いろいろ出し入れをやらなければいかぬのだろうと思いますから、これは世間に発表しないことにいたしておりますが、いまお尋ねの繊維工業製品につきましては最大限の配慮を加えてございます。それだけは私は申し上げられると思います。
#30
○佐野(進)委員 国際競争力を強化するために今度の措置が出たという大臣の提案趣旨の説明等もございますから、これらにつきましては、さらにあとで国際競争力のこの両業種の見通しの中で関連してお伺いしたいと思います。
 そこで私は、国際的な、いわゆる外的な情勢について大臣の見解を聞いたわけですが、引き続きまして国内の繊維産業界を取り巻く情勢等について二、三質問をしてみたいと思うわけであります。
 まず第一に、この繊維の構造改善の事業を遂行して、いわゆる国際競争力を強化する、規模の適正化をはかるとか、いろいろ説明をされておるわけですが、この問題の研究をすればするほど、繊維なりあるいは特定染色なり、こういうような業態、業界にとって一番問題になるのは流通過程における経費が非常にかかる、特にメリヤス関係においては、流通過程におけるところの経費がいわゆる生産段階における経費とほぼ匹敵する、そういうような形の中で消費者にこれが提供されるという形になるわけでありますが、この構造改善の案の内容を見ておりますと、それらの面に対する対策について、ほとんどといっていいほど配慮が払われていない。設備をよくする、あるいはまたグルーピングを進める、こういうような点については非常に力が払われているようですが、最も重要な問題であるこの流通改善というか流通問題に対する政策に配慮が行なわれていないということについては、この改善案の最大の欠陥でないか、こういうように考えるわけですが、その点、どうしてこの面についての対策が行なわれなかったのか、ひとつ説明を願いたいと思います。
#31
○高橋(淑)政府委員 お答えいたします。繊維の流通の仕組みを見てまいりますと、原糸の製造段階から、最終製品をつくるまでの間にいくつかの加工の段階を経ております。さらに卸と小売り、こういう段階を経て消費者に至りますその過程が非常に長く、しかも複雑であるというのが繊維流通の一つの大きな特徴であると思います。他面、こういうような各段階で繊維が持ちます独特の性格、つまり流行性であるとかあるいは季節性というものに基づきますリスクがございます。そのリスクがこういう流通段階において分担をされておる。かつまたそういう流通過程でいろいろ商品規格がなされておる。こういうようなことでございまして、流通部門というのが繊維の需給の面におきましてたいへん大事な役割りを持っておるということがいえると思います。したがいまして、繊維の流通の仕組みを近代化するということは、消費者にとっても、また生産、流通に携わる各事業者にとってもたいへん重要なことは言うまでもございません。それで、現在一生懸命実施しようといたしておりますこの繊維工業の構造改善の実をあげる意味からも、この流通面についての対策を行なうということが緊急な課題であるということはまさに御指摘のとおりでございます。そのため、従来から産業構造審議会の繊維の部分がございまして、その中で特に流通の小委員会を設けまして、いろいろと調査、検討を進めてきておりますが、この際さらに一段と基本的な調査をやる必要から、本年、昭和四十四年度の予算におきまして、海外それから国内の両面にわたります総合的な実態調査を行ないまして、またその結果を分析しまして、その近代化の方向あるいは方策をいかにすべきかということを把握し、必要に応じた対策を検討してまいりたい、ただいまこのように考えております。
#32
○佐野(進)委員 私も流通問題が大きな欠陥というか問題点だと思っていろいろ調べたわけです。ところが、いま言われた産業構造審議会をはじめ、いろいろな方面で問題点の指摘はしておるけれども、具体的な解決策というものがないわけです。ないということは、現在の経済機構の中で、この流通段階のおくれが一番大きな課題になっていることはだれも指摘するし、どの部門においても指摘するのですが、それが行なわれ得ないところに実際上生産者も消費者もともに苦しむという状況があらわれているわけです。だから、この問題についての具体的な取り組みを、いま言われたようなくらいの説明で考えていこうという程度ではたしてこのメリヤス業なり染色業なりがこの構造改善の中で十分国際競争にうちかつだけのものが経済的にも打ち立てることができるかということになると、私はたいへん疑問だと思うのです。したがって、せっかくこういうような構造改善を出すなら、提案する際、流通部門におけるところの対策について、もっと積極的な具体的な対策を提案されてしかるべきではなかったかと思うのです。これについては目下さらにことしは予算をあげて調査いたしますというけれども、調査は五年前くらいからやっているわけでしょう。実際上も審議会の答申が出てから二年近くなるわけでしょう。そういうような形になるとするならば、全くことばの上では必要ですとは言いながら、ここはどうしても手をつけることができ得ない。だから生産者から消費者に至る段階の中で流通経費だけが生産総額と匹敵するようなものにならなければ消費者の手に渡らない。こういうようなことになっておると思うのですが、いま少し積極的に取り組む考え方について、これは大臣からひとつこの点をお聞きしておきたいと思うのです。
#33
○大平国務大臣 いま正直に告白しまして、通産行政の当面している問題で一番むずかしい問題だと思うのです。それで体制整備と申しましても、生産段階の問題が論議もされ、施策もされておったのでございますけれども、実際上、御指摘のように、問題は流通面のほうが整備されないとどうにもならぬというような――これは繊維ばかりでございませんが、そこにいまどういうことを始めておるかと申しますと、御承知のように、小売りの段階ではボランタリーチェーンもずっと拡充していく、それから卸売り段階におきましては総合卸売りセンター、卸売り団地、そういったものを形成していく、これは中小企業振興事業団が、ことしは特に力こぶを入れて府県の協力を得てやって、ことしの予算の一つのハイライトであったわけでございます。それから割賦販売制度、消費者金融、取引の定型化と申しますか、そういった商慣習そのものも標準化していく、それから輸送過程では、いろいろな包装とかあるいは荷役、輸送、そういったものをできるだけ機械化する、そういった方面にともかくも一応手を染めておるわけでございます。しかし、これはこれからのわれわれが当面する最大の問題でございまして、いまいわば手を染めて出発したばかりの段階でございまして、佐野さんのおっしゃるように十分の成案を用意して今度の法案に盛り込むに至らなかった点は非常に残念でございますけれども、問題意識は十分とらえておるつもりでございまして、鋭意しかも着実にこれはやっていくつもりでございますので、いろいろ御指導をいただきたいと思います。
#34
○佐野(進)委員 次に、私は内的条件の一つの問題として繊維業、なかんずくメリヤス業あるいは染色業が当面する問題点について、大臣の見解あるいは繊維局長の見解をぜひ聞いておきたいと思うことがあるわけです。
 それはいわゆるメリヤス業は中小、零細あるいは家内工業、そういうような部門に属する業態が大部分といってもいいほど構成面において比重を占めているわけです。
 したがって、中と称せられる企業でも、いま構造改善をしなければならないほど追いつめられた段階にあるわけですが、小、零さらには家内工業、ほんとうに零ということになるのかならないのかわからない程度の人たちがこれらの業種に携わっておる状態を全国的に散見するわけです。こういう人たちが今度のこの改善事業の実施に伴ってどのような状態になるのかということは、非常に大きな問題点になるのだと思うわけであります。
 そこで、そういう問題に触れる前に、現在の情勢の中で、これらの人たちに対する対策についてどう考えておるかということをお聞きしてみたいと思うわけです。
 その一つは、いま大臣もおっしゃいましたが、いわゆる商慣習という形の中で、小、零細企業者が大規模経営者ないし大商社資本、こういうものから不当な取り扱いを受けている問題が幾多あるわけです。こういう問題について、せっかくの機会でありますから、どのような措置をとる必要があるかということについて検討をしておいていただかなければならぬと思うわけであります。いわゆる商社やデパートが納める品物について、自分かっての判断に基づいて返品をする、あるいは止め柄制度を設けて自由なる選択を行なう、あるいは手形期間の延長を自分たちの判断に基づいて行なう。これは通産当局から出してもらった資料の中にもあるわけですが、手形の支払いの延長という形の中では、相当長期にわたる、九十日をこえるものが五一・八%にも及ぶような現状がいまあるわけです。こういうことをそのまま認めておいて、いかに現在の小規模企業その他のグルーピングをはかったところで、それは結局大企業あるいはデパート等のそういうような業界を潤すことになり、現実にいまグルーピングをしなければならないという段階における小規模企業者の利益にはならないのではないか。したがって私は、こういうような不公正な取引をどうやって変えていくか、やらさないようにするかということが当面する大きな課題になっておると思うのであります。これらについて具体的な立法ないし制約をする措置、こういうものが通産当局においてはかられなければならないと思うのですが、これについてひとつ見解をお聞かせ願いたいと思います。
#35
○乙竹政府委員 一般制度といたしまして中小企業庁のほうからまず御説明させていただきます。
 先生御指摘のように、いま具体的なお話がございましたが、デパートと小さな卸屋さんとの間に返品あるいは止め柄または手形の期限が非常に延びているというふうなことは、われわれ事実としてつかんでおります。この問題を抜本的に解決いたしますのには、結局両者の力関係のバランスがとれるようになることが絶対必要である、これが一番ポイントであると思うわけであります。したがいまして、繊維の構造改善も、また近く御審議をお願いいたします中小企業近代化促進法の改正も、弱いメーカーの立場、弱い商社の立場を強くしてバランスをとらせよう、そしてこういう不当な取引慣習を打開していこうということをねらっておるわけであります。この根本的なことのほかに、さしあたり具体的な問題といたしまして、下請企業のあまりにもアンバランスな立場を保護いたしますために、政府が直接介入いたします支払い遅延防止の法律があるわけであります。この遅延防止の法律につきましては、御承知のように不当返品を禁止いたしておりますし、割り引き困難な手形を渡してはいけないというふうな規定もございますし、さらにこの法律の行政的な運用といたしまして、私たちのほうから、長期の手形はやめてもらうように標準手形サイトを示しておる、こういうふうな手配をしておるわけであります。
 ただ、この運用は公正取引委員会と私たちのほうとで連絡をとってやるわけでございますけれども、従来やや両者の間の連絡が欠けておった点もございますので、近く公正取引委員会と私たちのほうの運用がもっと円滑にいくように運用の改正をいたしたいということで話し合いがつきまして、三月から次のような諸点について運用改正をしようと思っております。その第一点は、両者間の連絡を強化するということでございまして、これは中小企業庁と公正取引委員会とがそれぞれ調査いたします企業を分担いたしまして、この間の有機的連絡をはかる。それから第二には、調査いたしました企業について、この法律違反の疑いが濃い場合には、直ちに立ち入り検査をする。また立ち入り検査をしたものにつきましては、従来とかくその後行政指導等で時間がかかったのでございますけれども、すみやかに処置をし、大体一年以内に事案として完結する。事案として完結すると申しますのは、悪質なものにつきましては、直ちにこれを勧告しまたは公表をする、こういうふうなことでございますが、こういう事案を一年以内には片づけるということで、この下請代金支払遅延等防止法の運用の強化をはかっていく、こういうことを近くやる予定でございます。
#36
○佐野(進)委員 いろいろまだほかにこのことに関連して聞きたいことがあるのですが、時間もだいぶたっておりますから、次の問題に移りたいと思います。
  〔委員長退席、武藤(嘉)委員長代理着席〕
 私は、このような内外情勢のきびしい状態の中で、繊維工業の構造改善の事業が行なわれるわけでありますが、そういたしますと、これらの法案の内容をよく読ませていただいて研究をすればするほど、この条文そのままでこれを適用した場合、いままでの紡績と織布の関係における過去の例等の関連の中から、このメリヤス業等については、いわゆる資本系列下に入るか商社の系列下に入る、こういうような形以外にこの改善臨時措置法に基づく対策が立てられていかなくなる危険があるのではないか、こういうような点が非常に心配されるわけでありますが、そういう点についての歯どめをどのように措置されようとしておるかという点が一つであります。
 時間がありませんから、二、三点まとめて聞きます。
 その次に、さっき申し上げたとおり、この対象業種は非常に中小零細業者が多いわけでありますが、特にこれは組合に対してそれぞれ措置をとるということに法律がなっておるわけであります。したがっていわゆる産地組合に入っていないアウトサイダーの業者、あるいはまたいわゆるグルーピングの対象にまでならないような零細企業は必然的に切り捨てられる、切り捨てられざる限り、この臨時措置法の対象としてのそれぞれの恩典を受けることができない、こういうような関係にならざるを得ないと思うのでありますが、こういう点について、切り捨てにならないという保障あるいはアウトサイダーもこの対象外に除外しないという保障は、当局は一体どのような方法で考えておられるのか、この際伺っておきたいと思います。
#37
○高橋(淑)政府委員 お答えいたします。今回実施いたします構造改善対策のねらいは、中小企業者の地位を向上させるということにございますので、たとえばメリヤスについて例をとってみますと、こういうような基本的立場に立って、産地の中小企業者の現地の事情を十分念頭に置いた上で実効ある方法で対策を進めていくようにいたしたい。そういう場合、もちろん中小企業者が中心になるわけでございますが、場合によりましては、ただいまお話のございました商社とかあるいはメーカーとの協調ということによって共存共栄がはかれる、あるいはそれが必要だという場合もあり得ると思いますので、一律にそういうような方式は好ましくないということも言えないのではないか。したがって、そういう点はケース・バイ・ケースに考えまして、適切な指導を行なってまいりたいと思います。
 それから第二点のアウトサイダーのお話でございますが、メリヤスに再び例をとって申しますと、たしか組合のアウトサイダーと称せられる方は全体の一〇%程度かと思われますし、組合はすべての人に門戸を開放しておるわけでございますから、そういう方は極力組合の中に入っていただくように指導をいたしますし、また今度の構造改善対策におきましては、強固なグループを組むということが主眼でございますので、この制度を積極的に活用するように、いわゆるPR活動をし、またよく趣旨を認識してもらいまして、このグループの中に入ってきていただくようにつとめたい、このように考えております。
#38
○佐野(進)委員 一番重要な問題であるにもかかわらず、これも非常に抽象的な答弁しかいただけないのは残念ですが、これは実施の段階でさらに積極的に取り組んでもらいたいと思うのですが、私はそれに関連して、今度の対策がグルーピングが主要な使命だというようにいま繊維局長が説明されておるのですが、そういたしますと、あのグルーピングを行なうということは、いわゆる近代的な設備と機構の中で、それぞれの業者が再建というか立ち直っていくということになるわけですが、しかし今日案外近代化されたことによって、設備を近代化したことによって、むしろ過剰生産あるいは経費倒れということで倒産が非常に大きくなるというような傾向があると思うわけです。メリヤス業の場合においては、季節的な関係において倒産例も出てくるわけですが、季節的な関係における倒産といえども、やはり過剰設備なり過剰生産なりあるいはまた力にそぐわない対策を立てておったがゆえに倒産する例も、例産の内容を調べると非常に多いわけです。もちろん季節的には、ここでもメリヤス業の倒産の資料がありまするけれども、前年度に比較して今年度は相当多い。前年度より今年度は非常に企業規模その他においても内外環境がきびしいとはいいながら、設備は近代化されており、結局過剰生産に基づく倒産ないし緊急融資対策が不足したことによる倒産ということをこの実例は示しておると思うのですが、そういうような形が出ると同時に、グルーピングをする反面、零細企業者はそこに吸収されることができなくなって、ついに家内労働者になるというような形になり、あるいはどこかの工場労働者になるという形になるわけです。こういうような過剰生産対策ないし労働対策は非常に大きな問題になってくると思うのですが、こういう点についての対策と、それからもう一つは、グルーピングをしたけれども同じような状況の中で運営をしておったのではどうにもならない。特に低開発国の追い上げ等に対しては、国際競争力を強化するという意味においても、いわゆる独特の高級な技術を持った製品をつくっていかなければならぬ。ところが、大企業は研究機関があるから独特の高級な製品をつくることに対する研究もできるけれども、グルーピングされた小集団は、小企業とまではいかないけれども、一つのそれらの単位の企業は、研究等に対する費用の支出がなかなか思うにまかせない。そういうことに対する、具体的なグルーピングをする費用については相当程度金融上の措置その他で考えておるけれども、こういう研究開発助成というものに対する対策はこの段階の中ではきわめて少ないように考えるわけですが、どう措置しておるか。この二点について御説明願いたいと思います。
#39
○高橋(淑)政府委員 第一点の、設備の近代化に伴います過剰生産が起こるおそれがある、あるいはそれに対してどう考えておるかという点でございますが、確かに設備を近代化いたしますと、商品を高級化することに役立つ面がある反面、当然生産能力の増加をもたらすということもございますので、構造改善業種について、このような過剰生産を防止するため、従来いろいろと措置を講じておるわけでございまして、織布については、織機のビルドを行ないます際に、いわゆる団体法に基づきます設備規制によります一対一の比率で廃棄をするというほかに、過剰織機を解消するために一定率の上乗せの廃棄を義務づけております。
 それから、特に御指摘がありましたメリヤス業については、これはいろいろ試算をいたしてみますと、需要の伸び率といいますか伸長性が非常に高いので、織布のような上乗せ廃棄をする必要はないと考えられますけれども、しかし必要最小限度の措置として、団体法に基づきます設備規制によりまして同じく一対一の比率で編立機の廃棄を行なう、こういうように考えております。
 それから染色業につきましては、その中で特に過剰であると認められますローラー捺染機について一括廃棄を行なうということを予定しております。染色のその他の分野におきましても、必要があれば一定のスクラップを行なうということも考えております。
 それからグループの技術開発につきましては、制度といたしまして、中小企業の技術開発補助金というものがございます。また大きな研究につきましては重要技術開発研究補助金というものがございます。ただ、遺憾ながらこの二つとも従来繊維についてはあまり活用されていないというのが実情でございますので、今後はこういう制度を十分活用するようにしていかなければならない、こういうように考えております。メリヤス部門にしましても染色部門にしましても、企業の資本力が弱い、研究開発に投ずる資金量もきわめてわずかであるというのはまことにそのとおりでございますので、今度の構造改善におきましても、この技術開発を積極的に行なう、共同開発体制を確立して行なうということを目標の一つとして掲げておる次第でございます。
#40
○佐野(進)委員 いま局長から過剰生産対策、スクラップ化についての見解が表明されたわけですが、今度の法律と既存の法律の関係の中で、そういう点を規制しますとはいわれながら、それじゃいままでの法律の精神に基づいてやるのかどうか、新しい法律というものはいままでの法律とは一体どういう関係を持つのか、そういう点についてこの際、やはり法律上の条文として明確にしておいてもらいたいと思うのです。ということは、いま言われた団体の組織に関する法律の第五十八条においては、設備新設の制限命令を主務大臣は出すことができるわけです。命ずることができる。それで施行令の第七条においては、メリヤス生地製造業、丸編みくつ下製造業、というような形の中で業種が指定されているわけですね。そういう形の中で指定されている業種で今度設備改善についてそれぞれいろんなことをやるんだということがいわれているわけですね。これは設備規制に関する問題との関連の中で一つの大きな問題点だと思うのです。さらにもう一つ、繊維工業設備等臨時措置法があるわけですね。この中で第一条は「この法律は、繊維工業設備の設置及び使用を規制し、」云々ということになっているわけです。ところが今度の新法の中には、特にこのメリヤス業その他の中においてはそういう条文というか対象がないわけですね。指導の中における方法としてはあっても、法律上の問題としては、前の二つの織布と紡績のほうの関連、この二つの中において示されているような具体的な明文がない。いわゆる設備を近代化し、グルーピングをし、そうしてどんどん国際競争力にうちかっていくんだというようなことは強調されている、そのための施策は講ずるということになっているけれども、いままでの法律はそれでなくして、いわゆる過当競争というか過剰設備というか、そういうものに対して一つの対策を立てているわけです。これの関連がなく、いま言われたような形が行なわれれば、一つにおいては零細規標における企業はどんどん切り捨てていってしまう、一つにおいてはある一定の条件、系列化された業界においてはどんどん近代化して生産量が加速度的に上昇する可能性を持つ、こういうような内容を持っているわけです、今度の法案を調べると。これらに対してやはり明確な基準を設け、誤りのない措置を講ずる、こういう点がなければならぬと思うのですが、これについてひとつ明らかにしておいていただきたいと思います。
#41
○高橋(淑)政府委員 いまお尋ねの中小企業団体法といわゆる繊維新法、それからただいま御審議をいただいておりますいわゆる特繊法、この三つの法律の関係、特に設備規制面についての関係についてお答えをいたします。
 まず第一に、中小企業団体法によりまして安定命令が出されておりますが、これは中小企業の過当競争からもたらされる不況状況を克服するために自主的な調整だけでは不十分である、こういう場合に発動されるものでございまして、いま御指摘のございましたように、織布、メリヤスについては法律五十八条による設備制限命令が出されております。
 それでは紡績業についてはどうかという点につきましては、紡績業はいわゆる中小企業業種ではございませんので、中小企業団体法による設備規制を実施することはできませんけれども、そのかわりいわゆる繊維新法によりまして、紡績業の主要な設備であります精紡機につきまして制限登録制を実施しておるわけでございます。これが先生御指摘の繊維新法の第一条の目的に掲げられておるところを実際にどうやって実施しておるかということの説明でございます。
 特繊法とのからみ合いでございますが、確かに特繊法におきましては直接設備制限の規定は設けておりません。しかし、各業種ごとにいま申しました設備の制限とリンクをいたしてそのことを考えております。第一は、紡績業につきましては、繊維新法によります制限登録制、これを前提としまして構造改善の一環として精紡機の一括処理を行なうというような過剰設備の処理を考えており、またこれを実施いたしました。それから織布業につきましては、先ほどの御質問の際お答えしましたが、織機のビルド一台に対して中小企業団体に基づきます設備の規制によってスクラップ一台を必づ義務づける。そのほかにいわゆる上乗せ廃棄と申しまして、綿・スフの場合は〇・六台、絹・人繊においては〇・五台の廃棄義務を課しまして過剰設備の発生を防止し、そうして生産性の向上をはかる、こういう措置をとっております。この上乗せ廃棄のいわゆる義務分については、国の措置としてはその半額を補助するということをいたしております。それからメリヤス製造業におきましては、グルーピングをやりますときに設備ビルドということが行なわれますに際しまして、同じく中小企業団体法に基づく設備規制による一対一の編立機のスクラップというものを行なうことといたしております。
#42
○佐野(進)委員 私はいまの質問に関連して、織布業、メリヤス業、まあ染色業は当然でありますが、そういうような業種について、いわゆる中小零細企業だという形の中で設備過剰問題その他いろいろな政策を立てながら今日構造改善を立てようとしておるわけですけれども、そうすると、この際これにつけ加えてちょっと聞いておきたいのですが、縫製加工業というのもほとんど零細というか中小ですね。同じような対象業種になってそれらの政策を立てられなければならないのに、メリヤス縫製加工業、まあ手捺染だとか撚糸だとかいろいろありますけれども、これらを対象業種からはずして、これらについては現状のままでよろしいということになり、メリヤス業――もちろんメリヤス業をやることが私、悪いとは言っているのじゃないけれども、なぜはずさなければならなかったかということについて、この際ちょっと質問しておきたいと思うのです。どういう考え方ではずしたのか。
#43
○高橋(淑)政府委員 いま御指摘の縫製業につきましては、その中で輸出縫製加工業につきまして、昭和四十三年度の予算で海外、国内の実態調査を行ないまして、目下その報告に基づきまして分析を行ない、結果をまとめております。それで、いかなる対策が必要であるか、またいかなる体系においてその対策を実施するかということについて、早急に検討を開始いたそうといたしておりますので、決して縫製加工業、なかんずく輸出縫製加工業について手を触れないということではございません。やはりこういう構造改善対策を実施してまいりますには、事前に相当な準備が要ります。そういうことで準備の整いましたメリヤス業及び特定染色業をこの際構造改善業種として追加していただきたい、このように思いまして法律改正をお願いいたしておるということでございます。
#44
○佐野(進)委員 同じ条件にあるのをどうして除外したかということになると、説明にならないと思うのですよ。準備が必要でございます、準備は同じでしょう。だからどういう形の中でこれがはずされたかということをもう少し明確に――では、これについてはいつごろ対策に取り組むのかということをひとつ聞かしていただきたいと思います。
 最後に、振興事業団の問題があったのですが、これは武藤委員が待っていますからはしょりまして、労働力対策の問題について質問をして終わりたいと思うわけですが、問題は、大臣の説明の中にもこういうことを書いてあるのです。「関連労働者の職業の安定につき配慮することといたしております。」この文章をそのまま読みますと、関連労働者の職業の安定につき配慮するということは、当然これらの対策を実施するという形になると、首切りというか、職場を離れる労働者が出てくるのだ、そういう前提に立ってお考えになっているというぐあいに受け取らなければならぬわけですが、これらの対策を実施する上において、労働者に対するそのような措置が具体的にどの程度出るか。対策を立てるときにどの程度生ずるという人員、そう具体的でなくていいですが、生ずると予想しているかということが一つでございます。
 それからもう一つは、いわゆる労働者の問題は、いま繊維産業だけでなく、むしろ中小企業全体に対して労働力が不足しているということは非常に大きな問題になり、ひいてはそれがコストの上昇の一つの原因になっているということもいろいろな面で指摘されるわけですが、結局この労働力を確保しようという形の中で、不公正な競争というか、そういうものが必然的に発生してくるわけです。労働力確保の問題について、この改善に対する対策として非常に大きな問題になると思うのですが、それらについてどう措置されるかということが二つ目であります。そして不公正な取引の条件としては、結局その説明にもありましたとおり、職業の安定という名のもとに事実上職場を離れていった人たちが、いわゆる零細家内労働的になって、長時間労働、深夜労働あるいはその他低工賃というような形の中で、全体的な混乱を招く一つの要因になるわけです。こういうことは臨時措置法の対象として追加される染色はもちろん、メリヤス業は特にそういう面に対する対策を立てておかなければならない問題だと思うのですが、この点どう措置されるかということを伺いたい。
 それからもう一つ、繊維産業全体においてもそうなんですが、特に今回対象になる業種については、企業間の競争というものが、グルーピングを進めたりいろいろな対策を進める中で、どうしても出てくるわけです。そういう中において、あそこの工場はうちの工場より賃金がいいとか、あるいは労働条件がいいとかいう形の中で、いわゆる労働者の移動、これはもう当然行なわれることがあたりまえなことなんですけれども、そのことのために奔命に疲れざるを得ない企業者というものもまた出てくるわけです。賃金問題に対する対策というものは、今日安定した対策がどう立てられるかということは、構造改善対策として非常に大きなウエートを占めてくると思うのです。いま最低賃金法というものが出ておりますが、実際上なかなか実施されておりません。こういう問題について、業者を指導する形の中で、適正なる賃金というか、そういうものがとられるような措置をどうやったらよいかということについて考えがあるかどうか、この点をお聞きしておきたいと思うのです。
 それから最後に――最後の最後なんだけれども、私は、労働者、特にこういう零細小規模企業、中を含めてですが、労働者の一番問題になることは、大企業労働者に比較して非常に福祉施設なり厚生施設というものがおくれておる。このおくれを取り戻してやらない限り、定着率というものは非常に弱いということは火を見るよりも明らかです。
  〔武藤(嘉)委員長代理退席、委員長着席〕
したがって、こういう措置をとり、近代化して、グルーピング化して、国際競争にうちかつということになるのですから、こういうような体制の組合に対して、福祉施設なりあるいは厚生施設なり労働条件なりという形の中で、政府はひとつ十分配慮した施策を行なってやる、これが絶対必要だと思うのですが、こういう点についてどのような措置をする考えかということを、これは中小企業庁長官あるいは繊維局長でもけっこうです。そして全体的には構造改善臨時措置法に基づく対象業種としてあがった業種に対して、非常にいろいろな問題点があったし、これからのその対策の成功ということが、日本の繊維産業全体に対して非常に大きなウエートを占めるようになると思うのです。これら私が質問した点について、ひとつ総括的に大臣の見解をお述べいただいて私の質問を終わりたい、こう思うわけであります。
#45
○高橋(淑)政府委員 縫製加工業の重要性については十分認識をいたしております。ただ、先ほど申し上げましたように、早急に国際競争力をつけて、開発のおくれた国々からの追い上げ、あるいは先進諸国の近代化に対応していくために緊急な措置を要するという業種の一つがメリヤスでございまして、規模から申しましても、従業員の数からいっても、非常に大きいということで、まずまっ先にこのメリヤス業を取り上げるということを申し上げたわけでございます。縫製加工業、その中の輸出縫製加工業、これに対しましても、調査の結果を待ちまして、できるだけ早い機会に対策を講ずることを検討させていただきたい、このように考えます。
 それから第二点の労務対策の問題は、労働省ともよく連絡をとりまして、現在あります雇用奨励金制度を、染色、メリヤスの場合にも適用していただくようにいたしたい。あるいは福利厚生施設の拡充につきましては、雇用促進事業団その他からの応援を得て、明るい職場環境をつくっていくように関係省と連絡をとって進めてまいりたい。また、たとえばメリヤスの業種にきつましては、地方の労働力を活用するように何かくふうをこらしていきたい。とりあえずいまこのように考えております。
#46
○大平国務大臣 いま佐野さんの御質疑を通じて指摘されましたいろいろな問題がございますが、とりわけ縫製業、それから流通業、そういった面、準備の手順等が手おくれになっておりまして、事態が深刻であるにかかわりませず施策のほうがあと回しになって、たいへん遺憾に思います。これは鋭意精力的に続けてまいる所存でございます。
 それから労務者対策、福祉対策、それは仰せのとおりでございまして、できるだけきめこまかく配慮してまいりたいと思います。
 で、できるだけ繊維産業全体を、冒頭に申しましたように非常なおくれを先進国に対しましてとっておりますので、こちら自身が早くキャッチアップしていかなければいけませんし、また日本独自の特徴を生かして開発性の多い高級品にだんだん持っていくようにいろいろくふうをこらしまして、各方面の意見も十分聞きながら施策をしてまいりますので、いろいろとまた御鞭撻をお願いいたしたいと思います。
#47
○大久保委員長 武藤山治君。
#48
○武藤(山)委員 きょうは大臣出席のもとで質問ができるわけでありますから、あまりこまかいことを言っても大平大臣にお答えできないんじゃないかと思いますから、総論をやるという気持ちで少しく尋ねてみたいと思います。一時半ごろには大臣のからだをあけないと本会議に間に合わないということでありますから、一時間くらいの間……。
 たいへん国民経済の立場から見るなら重要な繊維産業全体にわたる問題でありますから、かなり大臣も法の趣旨や性格はのみ込んでおることと思います。
 まず最初にお尋ねいたしますが、特定繊維工業構造改善臨時措置法というこの法律のねらいと申しますか、性質といいますか、そういうものは、競争原理が完全に働くような体制に持っていくためにいまのおくれを取り戻そうとねらっておるのか、いわゆる資本主義の完全な意味のコスト競争のできる企業にこれを押し上げていこうという考え方なのか、それとも、非常に数が多くて資本力が過小で弱小な企業という特別な性格を持っている繊維だから、これを保護するんだという保護政策的な性格を前面に出していこうとするのか、この法の精神というものを一体大臣はどのように御認識されておりますか。
#49
○大平国務大臣 総論的なことで恐縮でございますが、私は武藤さんの御質問に対して思い当たるのでございます。日本の産業全体について言えることだと思うのでございますが、これはほんとうの意味の競争ができる以前の状態にまだ足を引きずられておる状態でないかと思うのでございます。したがいまして、端的に申しますと、明るい健全な、ダイナミックな、近代的な競争ができるような状態にまず置くということが、これは繊維産業もとよりでございますが、その他の産業についても言えることではないかと、そう思います。
#50
○武藤(山)委員 そういたしますと、通産省がこの法律に基づいて指導することを、時限立法で五年間ということで、一定の目標を設定して、その目標に到達をした時点では完全競争というものが行なわれても体質的には心配ないんだ、そういうものを一応目ざして、いわゆる競争原理というものが完全にその段階で働いても心配ないんだ、こういうことをやはり目標にしておられるわけですか。
#51
○大平国務大臣 政策を立てる場合に、だらだらエンドレスな状態に置くことはいけませんので、一応の年限を画して、その間に鋭意やってその目標を達成するということでいくべきだと思います。しかしながら、過去におきましていろいろ例がございますので、この時限立法は、そのときの時点において再吟味いたしまして、あるいはまた国会に御延長をお願いする場合がないとは限りませんけれども、限られた時間の間でベストを尽くして、いま仰せのようなところに何としても持っていくようにやってまいるというのがわれわれの任務だろうと思います。
#52
○武藤(山)委員 繊維局長、あなたのほうから提出していただいた資料、なかなか詳細にできております。これはなかなか感心するほどよくできておりますが、この資料に基づいていろいろお尋ねしますが、四十年の工業統計によると、繊維工業全体の企業数が十二万五千二百二社ある。そのうち紡績業が二千二十五あると書いてある。この二千二十五の紡績業というものは多過ぎるのだ、これがフル稼働されたら、もう原糸関係では多過ぎて困るんだという判断なのか、それとも紡績のほうはそう過剰ではない――しかし、いままでの実績を見ると、過剰だからスクラップしておるわけですから、紡績は過剰なんだと思いますが、この二千二十五の企業というものを最終年度にはどの程度に整理を――もちろん自然淘汰でありましょうが、どの程度の企業数にすることが望ましいと考えておるのですか。
#53
○高橋(淑)政府委員 まず数字でございますが、私どもの資料のつくり方が、「企業数」と書きましたが、実は「事業所数」でございます。訂正をいたしておきます。
 それからその事業所数は、いまお話しのように、四十年で二千二十五でございます。これを一体幾つにするのかということにつきましては、そういう目標を立てておりませんで、たとえば五万錘以下の企業は極力グループ化していく、それから五万錘以下の企業で非量産商品をつくるものは、これはその独自性を生かしていくということを目標といたしておりまして、今回実施いたしまして過剰設備の処理によりまして、目標年次であります四十六年度には需給の面から見てもまずまずの姿になるのではないか、このように考えております。
#54
○武藤(山)委員 繊維局長も、まだ繊維局長になられて日が浅いものですから、非常に答弁が抽象的なのが特徴なんでありますが、そのまあまあとかいうことではっきりしないのは国会答弁ではちょっといただけないのですよ。その二千二十五ある事業所のうち、企業数は三百二十四で間違いありませんね。そのうちいまの局長の答弁では五万錘以下のものをグルーピングする。五万錘以上のものというと、この統計表でいくと大体二十社ですね。あとのこまかいやつがグルーピングされるのだとおっしゃいますが、五千錘以下というのが百四十一もあるのですね。この五千錘以下の百四十一というものは一口にいうと、局長認識されている程度はどの程度の規模ですか。
#55
○高橋(淑)政府委員 千錘から千五百錘くらいのものが多いと思います。
#56
○武藤(山)委員 従業員とかその企業の大体の形はどんなものだろうかということをちょっとおっしゃったらどうですか。どのくらいの規模ですか。ほんとうの零細ですか。家族企業ですか。それともやはり法人で十人くらいは従業員はおるのですか。
#57
○高橋(淑)政府委員 いわゆる個人企業ではございませんで、法人企業で数十人の従業員を持っておる、こういう企業でございます。
#58
○武藤(山)委員 私はなぜこういうことを尋ねるかというと、メリヤスと染色の今回の改正案を論議するにあたっては、過去の紡績の構造改善がどうなりつつあるのか、また織布の状況がどうなりつつあるのか、現状をまずおさらいしておかなければ、メリヤスと染色の対応策がはたして適正であるかどうかということの答えが出てこないと思うのであります。したがって、この二年間実施してきた問題について伺っているわけなんですから、直接メリヤスに関係ないじゃないかと思わないように願いたいと思います。
 一番問題は、やはり紡績の場合ですね。紡績に限っては過剰生産なんでしょう。局長いかがですか。
#59
○高橋(淑)政府委員 いわゆる特定紡績業につきましては、確かに過剰設備を持っていた、それを解消するためにこのたびの紡機の一括処理を中心としての措置をとりました。したがって過剰生産があったということは事実でございます。
#60
○武藤(山)委員 そうすると、過剰生産があったというのも過去形であって、現在はもう過剰ぎみではない、もうこれからスクラップしなくともいいという段階が来たのですか。まだスクラップをし、あるいはビルドをするのか、設備の更新、それだけで、スクラップのほうは一応段階は過ぎたのだ、こう考えていいのですか。
#61
○高橋(淑)政府委員 過剰設備はまずまず解消されたと考えております。
#62
○武藤(山)委員 それは過剰設備が解消されたということではなくて、糸の値が非常によくなって、それで採算ベースに乗るという段階が経済の循環の周期で来る。その循環の波の高いときにはスクラップはやめて、またそれがダウンしたときにはさあ国のほうでスクラップだというのが業界のかつての動きじゃないのでしょうか。したがっていまの輸出や内需というものを考えた場合に、絶対数というのは一体過剰ぎみなのか、これで好ましい生産状況なのか。というのは、価格の面だけの採算性で業者の意向を判断したのでは、私は日本全体の経済のこれからの目標というものに近づけることが――ときどき経済の循環に従ってストップをする、そういう傾向が出てくると思うのであります。しかし時間がないから、ここで綿糸の価格の変動とか、ずっとあなたのほうで出した資料を見ると、価格に対応してスクラップの傾向というものが動いておるのですね。そういうことを考えてみると、どうも特定紡績業の場合、まだまだこれは過剰ぎみの設備になっているのじゃないかと思うのであります。しかしその認識のほどは別として、四十三年度のスクラップ化の計画は、一律廃棄が六十万錘、それが実績として六十二万錘できた。ところが任意廃棄のほうは、四十万錘の計画が十六万八千錘しかスクラップできなかったわけです。これは一体どういう原因なんでしょうか。半分に達しないわけです。
#63
○高橋(淑)政府委員 今回の一括廃棄のやり方としまして二つに分けまして、二番目のほうがいわゆる任意処理でございますので、実はできるだけ目標の四十万錘を達成してほしいということで業界のほうにも繰り返し要請をいたしまして、率直に申し上げまして、ある時点においてははたして何万錘出るであろうかということが心配されたわけでございますが、業界の努力等もずいぶんありまして、まずまず四十万錘の約半数、二十万錘程度の処理が行なわれたということでございます。任意処理という性格上、政府からいわゆる強制をするということはできないわけでございますので、結果的にはこのあたりが当時の状況から考えてみればまずまずのところではなかったか、このように考えております。
#64
○武藤(山)委員 そうしますと、この実績はまあまあというところでいいのですね。
 それから四十四年度は通産省はどういう指導をなさるのですか。一律廃棄、任意廃棄は四十四年度は一切やらないといういま御判断なのですか。
#65
○高橋(淑)政府委員 こういう法律に基づきます一括廃棄は、もう今回で終わりでございます。
#66
○武藤(山)委員 過去の実績は、四十二年度でグルーピングしたのが三グループで十三社、四十三年度が二グループで六社、それから現在設立準備中が七社、資料にはこう出ておりますね。そうすると全体で見ると、これはいまの準備中のを入れてもまだ二十六社です。そうすると、三百二十四社のうち二年間で二十六社、比率からは非常に少ないような気がするのですよ。あと残されたのは三年間ですからね。これで一体五年間の時限立法であなたたちのねらった目的というものが果たせるのかどうか、それはどうお考えになりますか。
#67
○高橋(淑)政府委員 錘数のほうでお答えさしていただきます。約五十万錘の設備を持つ企業についてグループ化がいま行なわれております。あと百万錘程度をやはりグループ化することが目標でございます。これには大いに努力しないとなかなかむずかしいと思いますけれども、何とか百万錘をやっていきたい。あと九十万錘に対しましては、非量産品種、落綿とかいわゆる特繊紡績と称せられるものでございますので、これについてはグループ化を考えておりません。
#68
○武藤(山)委員 そうすると、あと全部で千二百六十万錘あるわけでしょう。四十三年八月十日現在大体千二百六十万錘ですね。そのうちこの構造改善で最終年度にこれを減らすというのは大体どのくらいを目標にしているわけですか。この数字は、千二百六十万錘が五年後には一千万錘になるのか、九百万錘になるのか、どうなんですか。
#69
○高橋(淑)政府委員 四十六年度を目標にしまして、基本計画を立てましたそのときは、過剰が二百四十ないし二百八十万錘程度であろうということで、それを目標にしまして現在までに処理を行ないましたのが、一括処理で約八十五万鍾、それからいわゆる格納紡機でスクラップ・アンド・ビルドあるいはスクラップ・アンド・オープンという方式で実際に減少させたものが三十万錘こういうことでございまして、そこの差額につきましては、その後の需要の動向を見てみますと、合繊糸を中心にした伸びが認められるというようなこともございまして、いろいろ計算のしかたはあろうかと思いますが、当初申し上げましたように非常に大きな過剰にはならないのではないか、このように考えておりました。
#70
○武藤(山)委員 次に、資料でいいですから、いままで十三社が四十二年度、四十三年度が六社、これは大体規模別でどのくらいな資本金の会社、従業員数がどのくらい、そういうもののグループの実態をひとつ資料で――わかっていますか。
#71
○高橋(淑)政府委員 わかります。お届けいたします。
#72
○武藤(山)委員 通産大臣、この数字を見ると、五千錘未満のものが全体の四三・五%を占めているのですね。これはほんの小さい業者ですね。これをグループ化するということは、口ではやすいがなかなか容易ならぬことなのであります。というのは、規模が違うから、大きいところとグループすると、自分のところのメリットが減るとか、いままで社長気どりでいられたのがいられなくなるとか、いろいろな感情もからむし、これはなかなかグループと一口にいってもむずかしいのであります。ですから、こういう対策を通産省としては――これは繊維だけじゃないです。軽工業あるいは流通部門、あらゆる零細企業にいえることなのでありますが、こういう現状をどう指導していくか。これはやはり中小企業者の一番聞きたい点なのでありますが、いまの中小企業白書を読んでみても、これについて適切な答えが書かれていないのですよ。大臣、おそらく短い大臣就任期間でしょうが、総理大臣になる前に、ひとつこういうことについて中小企業者の聞きたいというこれをどう国は指導していこう、また業界はどうしてくれ、自主的におまえたちはこうすべきだ、国はこうしていきましょう、その両面の側面を大臣どうしたらいいと思いますか、こういう小規模企業というものについての近代化は。
#73
○大平国務大臣 むずかしい問題でございまして、かつて三十五年に池田さんは所得倍増計画を出したときに、農民の数が非常に減るだろうと言われて、これは農業とか中小企業はいわば半雇用の状態ですから、どうしても所得をあげようと思えば完全な雇用の状態に持っていかなければならぬわけでございますから、所得倍増計画というのはあれはことばが悪いので、ほんとうは完全雇用計画への道とかいってやればよかったのだろうと思うのでございますけれども、そうすることによって中小企業者と農民の間でだんだん半雇用の状態からほんとうの雇用の状態に移り変わっていった過程が過去十年の歴史だと思うのです。これは政府の政策というよりは、むしろ技術革新と国際競争の圧力を受けまして、日本がそれだけの刺激を受けて、日本産業がそれに対応する姿勢をとらなければならなかった過程だろうと思うのです。その間に御承知のように農民も減ったし、中小企業者も減ってきたわけでございますから、こういう産業の高度化、近代化をやってまいるということは、そういうことばで言っているけれども、ほんとうは中小企業と農村との就業人口をより完全な就業状態に置くということを意味すると思うのでございまして、その過程はいまもなお駸々乎として進んでおると思うのでございます。したがって、そういう歴史の流れにさからうというような政策はむちゃな話でございまして、そういう方向に沿って、それをできるだけ円滑な姿で摩擦をできるだけ少なくしながらやってまいる配慮は私どもがやらなければならぬ仕事だろうと思うのでございまして、いまわれわれがいろいろな形で出しておる政策も、そういう角度から評価をしていただければ、それなりに歴史的な役割りを読み取っていただけるのではないかと思っております。それが一つでございます。
 それから第二といたしまして、最近中小企業庁長官や私どもがいろいろ話しておるのでございますけれども、中堅企業という概念、これをどのように概念するか、中小企業の上の層で、たとえば資本金十億未満、資本金五千万以上というようなところをかりに中堅企業、これは定立した概念じゃございませんし、また政策的な概念でもございませんけれども、そういったものを一応取ってみて調べてみますと、少しふえておるわけでございます。たとえば中小というような響きからくるものと、中堅ということばからくる響きとは非常に違うわけであります。政治的にも非常に違うと思うのでございまして、中小企業を拡大せよという議論が政策的な要請として各地にあるわけでございますけれども、これは中小企業を拡大すると、だんだんせっかくの資金も薄められまして効果があがりませんから、何か別なカテゴリーを――中小企業者はだんだん少なくなるほうがいいことなんで、それからだんだんと進級していく、中小企業、中堅企業というものへまず持っていくというような政策の道標を政治として打ち立てられないものかなというようなことが、いまわれわれの話題になりかけてきているわけでございます。
 いずれにいたしましても、いまの問題は非常にむずかしい問題でございますけれども、そういう歴史的な流れに沿って近代化を進めないと、国際開放経済下に置かれた今日、あまりゆうちょうなことも言っておれない立場も考えてみますと、鋭意これを進めてまいらなければならぬ。その過程の中でいま武藤さんが言われた中小企業者の明日の場をつくるということでなければならぬのじゃないか、大ざっぱに言ってそういうような感じがいたします。
#74
○武藤(山)委員 いまの大臣のお考えにやや私も賛成なんでありますが、ただ、大臣のいまの答弁の中で認識違いは、中小企業は減っていっていると言いますけれども、中小企業白書を見ても減っていっていない。年々企業でもって法人だけで三万五千件消滅しています。個人を入れるとおそらく七万件くらいが一年間に消滅していくでしょう。しかし新たにどんどん中小企業になってくる新規のもののほうが、減っていく%よりも五%多いのです。だから年々消えていくのもあるが、現実はそれがかなりふえてきている。だから構造改善政策にしても通産省の指導にしても、非常にむずかしいのは、新たに次から次へそういう零細なのがふえてくるというところから政策の貫徹が非常にむずかしいのですよ。そこでそれをどうするか、さっき私が伺った一番下の層の法人の中でも、そういう小さいグループをどうするのか、これが最大の問題です。そこで大臣はいま、大企業、中堅企業、小規模企業あるいは零細企業、カテゴリーを四つくらいに分類をして、もっと適切な指導、さらに同じような法のもとに平等な国の施策がそれぞれのグループ別に行き渡るような配慮をしたらどうかという示唆をされたわけですが、これはあなたが大臣のときにきちっとこのカテゴリーを確立をして、そしてなるほどわれわれ零細な者は零細な者なりに、また小規模企業は小規模企業なりに国は考えているんだなという、そういう政策をやることが親切な政策なんですね。いまは中小企業政策とばく然と一口で言っていますけれども、一口に中小企業といっても、四百二十三万あるのでしょう。そのうち法人というのが約八十万、あとの大半は個人ですよ。だから開放経済体制だ、いや資本自由化だ、いや特恵関税だといって、ああしなければならぬ、こうしなければならぬと言うけれども、そのならぬの中に当てはまっているのは、いま大臣がいみじくもおっしゃった中堅企業から上くらいなんですよ。それ以下の者の関心度は、そういうものよりも、いますぐやらなければならぬ金融の問題、税金の問題、取引の不平等の問題いろいろあるわけですね。そういうものを同じカテゴリーで解決しようとしてもだめです。抽象論です。まさにムードづくりで終わりです。構造改善政策も失敗します。私は、構造改善政策に乗り出して、これからいろいろな業種別に通産省は手だてをせざるを得なくなると思うのですよ。その場合にそれが有効に働くためには、いまのカテゴリーの完全な分類をこの辺で、大平通産大臣の時代に確立をすべきだと私は思うのです。私の希望は、大、中堅それから小規模企業、さらに零細業――零細業というのは大体原則として個人業、家業的なもの、その中でも内部留保が非常に蓄積されていて個人でも法人よりもすばらしい規模のものもありますが、それはどこかで何かで、取引量とか資産面とか何かのカテゴリーをつくって限界を設けるとか、そういう新たな構想を大平さんに打ち出してもらいたいと思うのですが、もう一度決意のほどを伺っておきたいと思います。
#75
○大平国務大臣 武藤さんのとらえ方は、企業の数でいまとらえていますけれども、私の申し上げたのは就労者ですね、これは減っていると思います。これは減るはずだと思います。また減らなければ近代化はできないわけでございます。
 そこで、しかし仰せのように、非常なたくましい繁殖力を持っていますから、どんどんふえておるのをどうするかという問題ですが、仰せのように、零細から小、中堅、大というようなものの階梯をできるだけスムーズに運べる手順が私どもでつけば、それはたいへんけっこうなことでございますから、非常にむずかしいことでございますけれども、一応取り組んでみたいと思います。
 ただ一つ、あなたも私も一緒に考えなければならぬと思いますのは、つまり新しい商品がどんどん出てきたり、新しい生産様式が出てきたり、あるいは最近のように情報産業でございますとか、いままでなかった産業がだんだん出てきますから、新しくできた産業へ労働力、企業がだんだん移動していますので、産業の構造が一定しておって、これが次の階梯にのぼっていったというような直線的な進化の過程はなかなかとれないと思うのです。いろいろな遊水地域があって、そういう方面にどんどん出ていって、またそこへの誘導も円滑にやってまいるという伴奏を心得ながらキーをたたいていかなければならぬというような仕事になるのではないかと思いますけれども、いま言ったサゼスチョンにつきましては、政策問題といたしまして十分検討してみます。
#76
○武藤(山)委員 紡績業のことはその程度にして、今度は織布のほうですね。織物業、これはまたたいへんつかみどころのむずかしい――団体法でいま規制をして織機登録をしておりますが、これもなかなかこれをどう構造改善するかというのはむずかしい問題であろうと思うのであります。現在全国で綿・スフの場合二十八産地組合、絹・人絹の場合は八産地組合、これで大体全国のおもな生産地は全部組合ができている、こう理解してよろしいですか。
#77
○高橋(淑)政府委員 綿・スフの産地組合は全国で六十三、それから絹・人繊は二十五、そのうちいまおっしゃいましたように綿・スフについては二十八、絹・人繊については八組合が構造改善を実施中でございます。ちなみにこの合計三十六組合で、生産シェアからいきますと、大体六五ないし六八%程度をカバーいたしております。
#78
○武藤(山)委員 そうすると、通産省のほうでは六十三組合全部を構造改善の指導対象にしないで、半分くらいでやめるという計画ですか。
#79
○高橋(淑)政府委員 織布につきましてはあくまでも産地主義あるいは組合主義と申しますか、構造改善を積極的にやろう、そういう意欲の高まりの強いところから発足をいたしまして、それを基盤として実施をいたしておりますので、決して私たちはたとえば綿・スフ六十三の組合の半分程度構革をやればよろしいというようには考えておりません。できるだけ多くの組合が構革に参加をしてほしい、このように考えております。
#80
○武藤(山)委員 そうすると、この表を見ますと、かなり大きな、有名な生産地が入ってないのですよ。四十四年一月現在で最初のページが十五組合、その次のページが十四組合、二十九組合ですね。これで見ると、私どものほうの栃木県足利なんというのはたいへんな織物場なんですけれども、これが全然ここに載ってないのはどういうわけだか、個別問題になりますが、ちょっと説明してくれませんか。
#81
○高橋(淑)政府委員 まだ四十四年度実施の予定を聞いておりませんので、どういう事情でありますか私この場でお答えできませんけれども、即刻調査させていただきたいと思います。
#82
○武藤(山)委員 そうすると、スクラップ・アンド・ビルドをやる場合に、全国の産地が足並みをそろえてやってくれないことには非常な不公平とでこぼこができるような気がするんですよ。そういう面については、通産省はこれはあくまで資本主義経済の中で自主的に業界から計画を策定させて、それで通産大臣の認可をとるんだ、だからこれは業界自体の問題なのであって、やるところがメリットがあって、やらぬやつが損するのはしようがないんだ、こういう指導方針なんですか。
#83
○高橋(淑)政府委員 繰り返しになりますが、決してそうは考えておりません。ただこの構造改善対策、しかもこういう特別な助成を与える反面、いろいろと制約もまた実施する者は受けるわけでございまして、そういうところで産地の組合でなかなか踏み切りがつかないというところもあるのが実情でございますので、この点については極力この制度に乗っかるように、引き続き絹・人繊、綿・スフの連合会等を通じていろいろと勧奨してまいりたい、このように思います。
#84
○武藤(山)委員 それはやはり全国的なでこぼこがあまりできたのでは、業界として足を引っぱる地域ができたのでは、国がそういう目標を定めて指導しても意味がないのですね。織物業の場合はもう完全に設備は過剰なんでしょう。どうですか、局長。
#85
○高橋(淑)政府委員 そのとおりでございます。
#86
○武藤(山)委員 いままでの答申案を読んでみたりいろいろ頭に入れてみますると、どうも織物業がやはり一番難問をかかえているようですね。あとでまたこの次の質問のときにトリコットの染色を専門に聞きたいと思うのですが、トリコットの場合などは数が少ないものですから比較的まとめやすいと思うのです。指導もしやすいと思うのです。ところが織物業の場合は非常に数が多のですね。事業場数が五万四千くらいありますか。これだけのもので、しかも資本金二百万円以下のものはおそらくこのうちの大体八割を占めているでしょう。そういう実情の企業ですから、織物業の取り扱いというのは通産省としてもなかなかたいへんな問題だと思うのですよ。
 そこで、あと三十分ですからこまかいことを聞いている時間がありませんが、過剰設備の処理をしようという通産省の方針で、答申案に基づいて四十二年度に計画六千台廃棄を一応策定したようですね。四十二年度の過剰設備の処理はどのくらい実施しましたか。
#87
○高橋(淑)政府委員 四十二年度の上乗せ廃棄分は四千六百三十六台でございます。
#88
○武藤(山)委員 大臣、いまお聞き及びになりましたように、四十二年度の計画は六千台をまず廃棄しよう、そのうち実施したのが一千台、それから上乗せ廃棄が、計画が九千六百台に対していまの四千六百台、半分にもいってない。それから四十三年度の計画は六千台、実施は四百七十五台、一割に達しない。上乗せが一万九千二百台計画しているのに七千台、こういう実情なんですね。このネックはどこにあるのでしょうか、繊維局長。
#89
○高橋(淑)政府委員 上乗せ廃棄の台数の非常に少ないことは仰せのとおりでございます。実はこの構造改善が始まりましてから織機の開発という意欲も非常に高まってまいりまして、その結果、革新織機もだいぶ出回りましたけれども、しかし一部の分野におきましては画期的な織機がいま試作されておる、これが早晩実用化されるということで、その発売を待っておるということで織機のビルドがおくれておる。それに上乗せ廃棄というのがリンクいたしておりますので、ただいまの御指摘のような上乗せ廃棄のおくれというのが出ておるわけでございます。
#90
○武藤(山)委員 新規発売の織機のことがいまちょっと出ましたので、私もしみじみ思うのでありますが、地元の機屋さんに遊びにいっていろいろ織機を見ると、日本の織機メーカーが非常に技術開発をサボタージュしている。日本の織機あるいは成型機や編み機もそうですが、優秀なものはみな外国製品ですね。日本のもので優秀な織物機械というのはない。どういうわけなのか。これだけ日本に業者がいて需要もかなりあるだろうと思うのに、日本の機械開発が非常におくれたというのは、どこに原因があるのでしょうか。これもちょっと教えてもらいたいのです。
 それともう一つ、新機械が発売されればかなり更新が行なわれるだろうというのですが、これはいまどういうメーカーが開発しておるのですか。どういう織機だか、名前も参考のためにちょっとお聞きしておきます。
#91
○高橋(淑)政府委員 あとのほうからお答えいたします。
 これから実用化されようとしておりますのはパーンレス、これは遠州製作所でございます。それからコップレス、これは豊和工業でございます。
 最初の、織機の開発がどうしておくれたかという点につきましては、率直に申し上げまして私よくわかりませんけれども、あるいは織機部門以外の部門に力を入れていたというような大企業もあったことが一つの原因ではないか。それからこういうような思い切った構造改善対策というものが打ち出される前の状況におきましては、やはり需要面からくる刺激というものもなくておくれがあったのではないか、このように思います。いずれにしましても、私は明確にお答えできません。
#92
○武藤(山)委員 まあ今後国が繊維機械に対してもかなり力を入れるという構造改善に比例してメーカーも開発に力を入れるようにはなると思いますが、残念ながらいままではイタリアやドイツの機械、トリコットというのは九〇%ドイツの機械にやられておるわけです。だからそういう点でやはり日本の繊維の機械というものについて、通産省も、外国にたよらなくともできるような体制をどうしたらつくり得るかという、そういう視点でもう少し勉強してもらうように、担当のほうに大臣ひとつ督励をしてもらいたいと思うのです。
 それから、いま大臣お聞き及びでしょうが、過剰設備の処理状況が四十二年度六千台の計画に対して実施千台、四十三年度が六千台に四百七十五台はあまりにもこの目標に遠いですね。原因はいろいろあるのだろうけれども、局長が、新しい機械がいま発売される目の先だから機械ができるまで足踏みしているんだ、機械ができれば入れかえになって、三台出して一台入れるとか、五台出して二台入れるとか、でも高性能なら採算ベースに乗るから、そうなればかなり上乗せ廃棄もふえるだろう、こういうような非常な楽観論も出ます。私はそう簡単に進まないと思うのですよ、その目標は。いままでやったことが失敗だとか効果があがっていないとかいうことを責めようとしているのじゃないんですよ。いまの織布の状況というものが非常に零細なんですね。ですから五反か三反百姓をやりながら、食べるだけはとって、それでかあちゃんととうちゃんが夜の十二時までかせいで、他の工場に働きに行った賃金よりはいいや、そういう感覚ですね。だから五万四千も業者がある。こういうのをどうするか。おそらく産地組合に入っていない機屋さん、これがかなりおる。だから指導が貫徹していかない。通産省がいろいろ通達を出しても下まで貫徹しない。それがコストの問題や製品の問題や規格の問題で足を引っぱっておる。片方は金をかけて構造改善だといって前向きに一生懸命力を入れている。この矛盾をどう解消するか。この問題がまた大問題なのであります。いま法律で登録制になっている。織機一台買えば必ず登録をしなければ入れられないことになっている。しかし、ことにはなっているが、実際には織機が動いている。やみの織機がいつの間にか入って機屋になってしまうのです。こういうものをどうするのか、これまたなかなかたいへんな問題なのであります。これはみな構造改善に関係しているわけですから、私聞いているわけなんですが、これは憲法上職業選択の自由というものがあるので、そういうものがたとえやみの織機であっても、商売やっている以上、通産省としてこれを封印して破壊するわけにもいかぬ。するぞとは言うのですね。封印はするのです。しかしなかなかできない。これは憲法違反だなんていってまた業界から騒ぎ立てられる。やはり織物業の場合は、そういう問題と真剣に取り組まないと構造改善できない。やった結果は、力のあるやつだけがグルーピングをやり、構造改善をやって、メリットのある資金を投入してばんばん伸びる。その格差はますます開いて、足を引っぱる者がうようよおる。これをどうしましょうか。大臣の考えだったら、おれはこんなぐあいにやってみたいがどうじゃろうかという、何か構想はおありでしょうか。ほんとうのしろうと論です。私、大臣の答弁のあげ足をとって、いや、こうじゃないかというつもりは毛頭ございません。しかしいまの話を聞いて、これの状況がこんなぐあいだと、これでは国が金を投資していろいろめんどうを見てもあまり効果ないじゃないかという疑問、そういうようなものをいまお聞きになって、大臣、どうしたらいいと思いますか。
#93
○大平国務大臣 それを言う前に、先ほどの技術開発の問題ですけれども、これは繊維産業ばかりでなく、全体として非常におくれておりまして、ロイアルティーの支払いが八百億円をこえているのに、六、七%くらいのリターンしかないというような、非常なびっこになっておりまして、おそらく明治、大正、昭和にかけて、日本は繊維を含めまして模倣時代であったと思うのです。模倣は非常に楽なんで、先人が開拓した道でございますから、目標ができて、同じようなことをやれば、ある程度限度がわかっておりますから、それに追いつくことはできるわけでございます。そのほうが安全なわけでございますが、独創的な技術の開発というような点、危険をおかして金をかけてやるというくふうが、日本の産業全体また産業政策全体になかったという点が非常に残念なことでございまして、このあたりからターニング・ポイントが来ているのじゃないか、そういう感じが非常にいたします。織機の問題ばかりじゃございませんで、そういう感じがいたします。
 それから、いまの非常に零細が多い、なかなか規制がむずかしい、成果があがらない、仰せのとおりでございます。これはアジア的な風土ですか、非常に腰の重い経済でありまして、画一的に規制してまいるということはなかなかむずかしいと思いますが、問題は、そういうところに滞留している労働力が滞留する経済的な余裕がない環境がだんだんできつつある、つくりつつあると思うのでございまして、できるだけ省力化していかぬと、また労働力の逼迫が激しくなってまいりまして、そういう旧式の生産過程の中で不完全雇用の状態においてあるというようなことが許されないような状態をできるだけつくる。それもしかし冷酷なことはできないのでございまするけれども、徐々にそういう環境をつくり上げて、だんだんと追い出していくということが一つ。それから第二は、業体のことは業体にお願いしなければいかぬ、それが原則で私どもも産業政策をやっておるわけでありますけれども、実際上武藤さんおっしゃるように、こういう時代になっておりながら非常に保守的なんですね。それで新しいことをいろいろ申し上げると、一年待ってくれ、二年待ってくれといって逆陳情が非常に多いというようなことは、要するにその業体の組織しておる組合でもなかなか手に負えない、コンセンサスをつくるのになかなか骨が折れておるのではないかと、非常にお察しするのでありますけれども、これは政府がだんだんと団体を強化し、団体の統制力をだんだん強める方向にお手伝いをして、それでその団体に従ったほうがやはり利益であるという保障も与えながら進めてまいるよりしかたがないのではないかと思うわけでございますが、いずれにいたしましても、抽象論でなく、個々のケース・バイ・ケースに気をつけて行政指導をやっていきたいと思います。
#94
○武藤(山)委員 その組合の力を強めるということがやはり第一だということは賛成ですが、問題は組合というのがやはり幹部組合で、どうしても余裕のある、地域では比較的規模の大きい、そういう人が大体指導的立場に立っている。だからほんとうのこまかい零細な者は、いっても議論の中でも、また対策の中でも全然メリットがないのですね。結局その中堅のものだけがうまみがある。たとえば商工会議所にしたって、商工会議所の運営の実態というものはやはり上のほうの層は直接いろいろなことがあるが、下のほうは全く恩恵がない。そういう段階だから、さっき言ったカテゴリー、中小、小規模零細、どういう形になるか、いずれにしてもそういうカテゴリーをこの際再編成して、それぞれの組合の中においても、ほんとうの零細なものに対する部会なら部会というものをきちっとつくらせて、下からのこういう層の人たちの声はこうだ、それから中堅の連中はこうなんだという――おそらく矛盾する意見が出てくるのですよ。そういうものを吸収できる組合体制にいまの組合自体がなっていない。そういうところにいろいろな問題がやはりあると思うのです。それは組合指導の場合には、通産省はこれからぜひそういう点まで配慮して指導してしかるべきではないか、こう私は思うのであります。これは提言でありますから、今後そういう方向でひとつ検討していただきたいと思うのであります。
 もう時間がありませんからやめますが、織物業、織布で、四十三年度はまだ年度が終わっていないから、どの程度企業規模の適正化が進んだか資料ではわからないわけですね。四十二年度はわかっていますが、グルーピングが七十八件ある。それから協同組合や合同企業、これを入れると二百十二件あった。四十三年度はどういう実情になっておって、規模別に、大体どういう規模のものはどういう形の合同あるいはグルーピングをしているか、四十三年度はどんな状況に進んできているのか、これはひとつあとで明らかにわれわれの前に提出をしていただきたいと思うのであります。いままで構造改善のために答申が出されておりますが、五年間に七万八千台の編立機と関連設備の近代化を行なえ、こういう大方針を立てて、非常な金のかかる方針を出しているわけです。ところが、政府の予算措置というのはまことに微々たるもので、こんな程度では答申案の実施にあたっては全くお話にならぬ。たとえば五年間に必要な資金量は三千九百億円の巨額を必要とする。初年度に七百八十億円の資金需要は計算しなければならぬ、こう答申をしている。ところが、政府の今回の予算の中でメリヤスに出したものを見ても、ほんとうにわずかなんですね。この次、今度は税制面、金融面、いろいろ詳細に伺いたいと思いますが、いずれにしても、政府のこういう努力がほんとうに効果あらしめる方向に進まなければ税金のむだ使いになるんじゃないか、こういうことを非常に心配をするわけであります。わが党もこの特定繊維工業構造改善臨時措置法の改正には賛成でありまして、何とか業界に混乱や格差や不公平、悪平等、そういうものが起こらないように最大の慎重な配慮をする必要がある、こういう立場からいろいろ質問をしなければならぬと思うわけであります。
 最後に一あとのメリヤスと染色はこの次の質問に留保しておきますが、きょうの質問の最後に、委託加工基本契約書例ですね。これは局長知っているでしょう。たとえば親企業が下請に出す場合に、いまの場合はほとんどきちっとした契約なんか結んでいない。失敗が出ればこれは下請のおまえの全額責任だ、かりに生地に原因があってもそれは加工屋のほうの責任が、こういう形で、力の弱い者が押しつけられる。したがって、この構造改善政策を推し進めるにあたっては、何といっても委託加工の契約書をきちっとつくる必要があるのじゃないか。そういうものをつくるべきだという提言が行なわれて、大手商社と染色業者あるいは大手商社と製造業者、そういう間における基本契約というものを通産省が指導すべきではないか。これは業者にまかしておいたのではやりはせぬ。また、やるにしても非常に一方的な、下請ばかり弱い立場の契約書になる可能性がある。この問題について、すでに染色業界からひな型が通産省に提示されて詰めたような話もちょっと聞いたのでありますが、それの指導方針はどうなったんですか。
#95
○高橋(淑)政府委員 いまおっしゃいましたように、染色業界から試案として提出をされておりますので、私どもの手元でいま鋭意検討をいたしております。
#96
○武藤(山)委員 鋭意検討しておる、ずいぶん検討の時間がかかるんじゃないかと思うのですが、大体こういう方向のものをつくるほうがいいと考えているのか。それは資本主義社会なんだから、契約の社会だから相対できめるのが当然で、通産省はそこまで行政指導はやれぬという考えなのか、その辺はどうなんですか、はっきりひとつここで言ってください。
#97
○高橋(淑)政府委員 構造改善の趣旨にかんがみまして、これを取り上げる方向で鋭意検討をいたしております。
#98
○武藤(山)委員 あとメリヤス、染色に質問が入るわけでありますが、時間がちょうど本会議前三十分になりますので、途中になりますから、あとは留保して、この次の質問の機会にゆっくりまたお尋ねしたいと思います。ありがとうございました。
#99
○大久保委員長 本日の議事はこの程度にとどめます。
 次回は、来たる十九日水曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後一時二十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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