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1949/04/27 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 労働委員会 第8号
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1949/04/27 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 労働委員会 第8号

#1
第005回国会 労働委員会 第8号
昭和二十四年四月二十七日(水曜日)
   午前十一時三十三分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○失業保險法の一部を改正する法律案
 (内閣送付)
○職業安定法の一部を改正する法律案
 (内閣送付)
○緊急失業対策法案(内閣送付)
○労働者災害補償保險法の一部を改正
 する法律案(内閣送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(山田節男君) これより労働委員会を開会いたします。この政府提案にかかります失業対策に関する三法案並びに一昨日提案されました労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案、これに対しまして総括的な質問を続行いたすのでありますが、それに先だちまして、一昨日提案になりまして、労働大臣より昨日提案理由の説明がありました労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案の逐條説明をして頂きまして、その後に只今お見えになつておる稲垣商工大臣から、総括的質問に対する御回答をお願いすることにいたします。実は寺本政府委員がアメリカに参つておりますので、本日は池邊労災補償課長を説明員として、逐條説明をお願いすることにいたします。
#3
○説明員(池邊道隆君) 今回労働者災害補償保険法の一部を改正することにつきましては、前に労働大臣から提案理由の説明があり、詳細申上げたと思いますが、尚逐條につきまして簡単に御説明申上げたいと思います。
 先ず第三條関係でございまするが、従来船舶につきましては、一部は船員保険法ならびに船員法が適用されておりましたのですが、他の一部分につきましては、基準法が適用されておつたのであります。これはどういう点かと申しますと、従来三十トン未満の漁船および五トン未満の船舶、かような小さい船舶につきましては、船員保険法も或いは船員法も適用されずに、基準法のみが適用された。ところが二十三年度の我々の経験から申しますと、漁船につきましては、しばしば災害が発生いたしまして、この場合に事業主が基準法で定められましたるところの災害補償の義務を完遂することができないというような事例をしばしば見たのであります。そういつた意味から、どうしてもこういうものを労災保険法の強制適用事業に入れまして、それらの漁船業者或いは五トン未満の船主につきまして、災害補償を簡易ならしめるためにこの法律を適用するというような工合に考えましたわけであります。
 それから第三項の点でございますが、従来国の直営事業とか、或いは同居の親属の者を使用する者、或いは船員というものについてはこの法律から適用を除外しておりましたのでありますが、この規定を尚明確にするために、「前二項の規定にかかわらず」というところを挿入いたしました面が第三條の改正の要点でございます。それから第十八条でございますが、この保険は大体事業の開始前に保険料を大雑把に納めて頂く、これを我々は概算保険料と言つております。それから事業が終わつたり、或いは継続事業におきましては、年度末におきましては、実際にその年度で使用したところの労働者に拂つた賃金、或いは又その事業に使つた労働者に支拂つた賃金総額によつて保険料を精算しておつたのでありますが、そういうものにつきまして、十八條の旧法によりますと、位置二十八條又は二十九條となつておりますが、二十八條は概算保険料であります。二十九條は途中で賃金が上つたような場合に、その上つた部分を取るという規定でございます。これを変更保険料、こう言つております。こういうものにつきまして、その保険料の納付を怠つたような場合に、これに対しまして給付の制限をするという規定であつたのでありますが、位置今回概算も精算も、或いは変更も、全部に対しまして、保険料の納入を怠つたものに給付制限をしようというので、一八條の規定を一部改正いたした次第であります。
 二十五條でございますが、従来保険料を取る場合におきまして、労務の対價として支拂う一切の賃金を対象といたしまして保険料をとつており、ただその中で三ヶ月を超える期間毎に支拂われるようなボーナス、こういうものは除くことになつておつたのでありますが、実際の運営の上におきまして、三ヶ月を超える期間ごとに支拂われるボーナスというものを除くことは、事務的にも非常に煩瑣でありますし、又一面こういうような規定を置くことによりまして、使用者の賃金の負担におけるアンバランス、つまり大きな事業主と小さな事業主との間のアンバランスが起りますので、今回そういつたものを取りまして、一切の賃金総額労務の対價として拂う一切の賃金に対して保険料を取る。こういうことに改めたのであります。
 それから二十八條でございます。これは従来は保険料を取る場合は使用者から報告をしていただくことになつておつたのですが、その報告の義務は従来は省令で規定しましたものを、今度は法律の上に明記いたしました点でございます。それと今ひとつ重要な事柄は、どうしても報告を出さないような場合には、我々としましても保険料を取る場合にこれまでの経験によりますと、非常な支障がございましたので、今回どうしても報告の出されないような使用者に対しましては、政府において認定決定するというような規定を設けたわけでございます。それが第二十八條の改正の要点でございます。
 次に二十九條でございますが、これは今までの規定によりますと、「賃金総額の見込額に変更を生じたときその他必要がある場合においては、概算保険料を追加徴収することができる。」というようなことがありまして、変更を生じたとき或いは必要がある場合というようなことで、甚だ不明確な言葉で現されておりましたものを、今回これを二割以上の賃金に変更を生じたときには差額をとるというようにはつきりいたしましたことと、
それから「必要がある場合」ということを、二十九條の二の規定を設けまして、政府が保険料率の引上げを行なつたときには政府の必要がある場合だということをはつきりといたした次第でございます。
 次に三十條でございますが、これは事業が終つたり或いは継続的な事業におきましては保険年度、つまり一年の終りに精算する規定がございまして、この場合にも従来の規定では報告義務が明記されていなかつたのでございます。それをはつきりいたしましたことと、二十八條と同じように、どうしてもその報告を出さないような使用者に対しましては、政府において、認定決定する規定を設けたというのが改正の要点でございます。
 それから三十條の二でありますが、これは認定決定したような場合に尚且つ保険料を怠つたような場合、そういうような使用者に対しましては、懲罰的な意味と申しますか、或いは他の被保険者利益を侵害するというようなことにもなりますので、そういつた場合には百分の十の追徴金を取るという規定を新たに設けたことでございます。
 それから三十一條は、単なる今までの滞納ということが会計法上の滞納と紛れやすいので、納付しない者というように、つまり納付期限が法律で明記されておりますので、会計法上の滞納というものと間違わないように「納付しない」というように字句を改めた点でございます。
 次に三十二条でございますが、従来は延滞金が1日について四銭というような非常な低額であつたので、今回他の社会保険或いは税法に倣いまして、1日について二十銭というような割合に変えるという点でございます。
 それから三十三条でございますが、従来の規定では保険料の先取特権の順位というものは「市町村その他これに準ずべきもの」と規定されておつたのでございますが、これは地方自治法によりまして、「その他これに準ずべきもの」という「もの」がもう現実にはございませんので、こういう不用の規定を取るということにいたしたような次第であります。
 それから三十五条の二は、更正決定を二十八条とか或いは三十条で設けましたので、事業主の権利の保護の規定というような意味で、そういう更正決定に対して不服のある者が都道府県労働基準局長にその審査の請求をし得る途を設けましたということと、更に又三十七条におきまして、都道府県労働基準局長の審査請求に対しまして、その決定した事項に対して異議のあるものについては労働大臣にこの不服を訴願する途を開いたわけであります。
 それから三十六条の規定で、「若しくは吏員」ということが従来の規定に入つておつたわけでありますが、現在この保険法は労働基準局関係官署で司掌されておりますので、「若しくは吏員」というような字句が不必要になつたわけであります。それで削除いたしました。
 三十七条は、先程申上げました通り主務大臣に対する訴願の規定を設けたことでございます。
 それから三十八条でございますが、従来の規定が主務大臣ということになつておりましたので、それを都道府県労働基準局長と改めたわけでございます。つまり一々保険審査機関の委員を選ぶのに労働大臣がやつておつたのでは、事務を簡素化する意味にはにはならない、こういうので都道府県労働基準局長にそういうような委員の任命権を與えた、こういうことでございます。
 四十八条は同様に「又は吏員」というものを削除いたしました。
 それから五十一条でございますが、これは官吏の秘密漏洩に対する罰則規定でございますが、今回国家公務員法の百九条の十三号に官吏の秘密漏洩に対しますところの規定が設けられておりますので、更にここで同じような条文を規定することも不必要ではなかろうというので削除いたしました点でございます。
 五十二条は、事業主に対する罰則の規定、それから五十三条は労働省とかその他この方面に関係のある者に対する罰則の規定でございますが、そういうものを五倍或いは六倍上げる。これはこの法律の制定しました当時とは大分経済情勢も違つておりますので、これに応じまして引上げる点でございます。
 以上が大体この法律に対する改正の要点でございます。簡単でございますが、この程度にいたして置きます。
#4
○委員長(山田節男君) それでは続きまして、今回提案されました失業対策に関する法律案に対しまする総括的質問を行ないます。稲垣商工大臣がお見えになつておりますので、稲垣商工大臣に御質問の方は御質問を願います。
#5
○門屋盛一君 商工大臣忙しいところ恐縮ですが、この緊急失業対策法案が出て以来労働大臣、経済安定本部長官あたりの御説明を伺つておるのでありまするが、私の一番心配いたしておるように、この失業対策、言葉を換えて言えば産業建設対策というものがどうしてもやはりはつきりしておらない。この点がどうも非常に不明でありまして、殊に昨日失業対策の問題で安本長官に質問した場合には、これは今度内閣にできたところの失業対策審議会とかその他の委員会、北海道の開拓委員会等も考えられるが、そういう委員会で極めて権威あることをやつて行くのだという御答弁があつたのですが、今日別の委員会で官房長官に質しますと、あれはほんの茶飲み話をやる程度のものである、こういうふうなことなので、どこにこの内閣は失業対策、即ち言葉を換えて言えば我が国の産業建設対策というものがあるかということが不明でありますので、遂に商工大臣にご出席を煩したという経緯になつているのであります。そこで極めて簡単にお伺いしたいのでありますが、大体私は、この終戦以来の日本の経済の行き方から見まして、今回労働省の出しておられるところの百三十万及至百六十万の失業者というものに対しては、甚だこれは内輪に見過ぎているのじやないか、こういう百三十万なり百六十万なりが本当のものであるという下に対策をお立てになつているから中途半端の対策になつているので、どうしても潜在失業者というものが沢山あつて、それが企業の合理化によつてこの潜在失業者が比較的速やかに、露出して来るのではないかという考えを持つているのですが、これに対して商工大臣が企業合理化、企業整備関係に最も関係の深い大臣でありますから、次の点を一つ挙げて御答弁願いたいのであります。
 企業の合理化によつて、いわゆる潜在失業者が極めて速やかな時期に露出して来るのではないか。若しそうとすると、その人員はどれくらいに見られているか。それからいわゆる企業整備によつては如何なる業種が整備されるのであるか。それからそれが大体地域的にどういう方面に、その業種と発生の時期はいつであるか、総括した人員はどれくらい一時的に失業する人員があるかということ。それからその次には、吸収される事業、一応企業整備で整備されたものがどういう方面の事業に吸収される見込みであるか、これは臨時的なものと基本産業面とに分けてお答え願いたい。それからもう一つお伺いして置きたいことは為替レートの決定によつて、現状においてペイする事業の種類と、ペイしない事業の種類、業種別、それを御面倒でしようが、やつて行けるものと、経営困難になるものと、今日詳しく御説明願えれば結構でありますが、御都合が悪かつたら後で何か又の機会に政府委員からでも御説明を願いたいと思いますが、私は為替レートの決定ということが企業の合理化に対して腹を割つてメスを一本加えたことになるのでありますから、これは是非やる必要がある。その結果困難な事業から一時的にどのくらいの失業者が出る見込みか、出ることを予想されているか。これに対する対策はどうかということであります。
 以上述べましたようなことで、この労働問題に対して、非常にこの経済面の研究、連絡が労働省の今のスタッフでは困難のように思うから、昨日からいろいろやつているのでありますが、労働大臣は現在のスタッフで十分である。十分できているというので、このように関係大臣に出て頂かなければならないということになつたのですから、甚だ御迷惑でしようが、一つ御答弁願いたい。
#6
○国務大臣(稻垣平太郎君) 今お尋ねの件ですが、実は大変面目ない話ですが、一々全部覚えていませんが、ただ一体どれくらいの失業者が出るかという問題でありますが、これは非常に困難な問題であると思います。これはまあ考え方によつては又想定されておりますように百六十万、百七十万というものが出る或いは又私共の考え方によつては、これより少いことも想定されるし、多いことも想定されるだろうと思うのです。と申すのは、例えば商工省で仮に三百三十円のレートの場合に輸出産業が一体どうなるか、こういつたことを考えた場合に、三百三十円のレートでちよんぎられる。こういうことを考えて、これはただ数字的な話ですが、数字的に輸出が不可能になる。こういう業種のものではこれはもう仕事を止めるのだとこういう建前から考えますというと、この製糸業と造船業を延べてだいたい二十六万ばかりの人がこれは仕事ができなくなる。こういう想定が立つのでありますが、併しこれは本当に数字の上の問題で、或る意味において数字の上の弄びであつて、実際問題としてこの人達がそれじやもう引
合わなくなつた輸出を止めるということは無論なかろうと思うのであります。この人達も無論努力してそれこそ合理化によつて今度は輸出ができ得る建前に持つてくるだろう。今日又三百六十円になりましたので、そのうち二割くらいは尚数字の上から言つても生きて来るのではなかろうか、こういうことが考えられる。そういう点からもう数字の上から言つて二割と言うなら二十一・二万の人だけで済む、こういうことも言えると思うのであります。そこで一体数字の上でどれだけ出るかということについての私は見当は非常に困難であつて、合理化の面もあります。それからしてその次に考えなければならんことは仮に企業を整備する場合に退職者が出る。退職資金の手当がないために、合理化がなかなかだらだらになつてできない。それで実は合理化をするために、或る種の退職者を出さなければならんという場合も、まあ本当の徹底した合理化ができないでだらだらに引張つて行かれる。そこで時期的に或る時期に何十万失業者が出るといつても、これを一口に何十万の失業者というわけにいかないような時期的のずれも出て来る、こう思うのであります。一概に何十万出るかという想定は非常に私は困難な問題であつて、一応の想定がまあ大体これである。と労働大臣が恐らくお答えになつたのだろうと思うのでありますが、そういつた想定の数字を政府としては出しているのであります。これは一応の想定数字と私共は言わざるを得ないので、実際問題としてはこれだけ出るかどうか。ただ一番ここで大きな問題は、さつき多分門屋さんが御指摘なすつたと思うのですが、潜在失業者が、一体このやり方によつて潜在が顕在になる度合いがどうなるかということだと思うのであります。それで只今政府が何らかの対策を講ずるというと、潜在の失業者が顕在にならないで、そのまま有職者になつてしまうということになると、一体潜在失業者がどれだけあつたのかというような議論もこれも少々おかしなことになつてしまうのじやないか、こういうように私は考えますので、従つて一応の想定は想定として、ここに出されておる今の数字で一応の対策を立てるというより外は仕方がないのじやないか、かように考えておるのであります。そこで商工省としては、然らば一体こういう失業者をどうするつもりだ、こういう御質問が出て来るだろうと思うのでありますが、これは無論今日言われておりますように、できるだけ輸出産業に片寄せる、こういうことでありますが、併しながら輸出産業に片寄せると言いますけれども、輸出産業自体もこれが十分に資本の蓄積をするために、又十分の利潤を上げなければ今後伸びないと私は思うのでありますが、その意味の資本の蓄積をするためにも、或る程度こういう輸出の仕事は、合理化をするための整理も必要である、これに吸収できるという議論は直ぐには成立たないと思うのであります。併しながらとにかく十分に資本の或る程度の蓄積がされて、そうしてその産業が高利潤を得るということであれば、その方へ片寄せ得ると私は考えておるのであります。併し私自身として、商工省の立場として一番考えられることは、先ず第一に一つの方策といたしましては、将来の日本の産業樹立のためといいますか、復興のためといいますか、そういつた根本的の仕事に失業者を吸収するということを考えるべきである。そこで商工省の建前から申しまするならば、例えば電源開発のごとき、或いは新炭鉱の開発のごとき、こういつた問題、或いは今後自由貿易になつた場合に必要と想定されますところの金山の再整備、こういつたような面へできるだけ失業者を吸収するという方策を立てて行きたいものだと思うのであります。それと同時に又一面においてこの一つの統制の枠を外すことによつて、その仕事が失業者を吸収し得るという形にあるもの、言い換えれば統制の枠を外しさえすれば、その失業者を出さないでも済むといつたようなものについて、できるだけてそういう趣旨に副うところの方策を講ずるということを考えなければならないのではないか。そこで商工省の立場期といたしましては、電源開発の復興五ヶ年計画を御承知の通り我々の方で立てております。大体これに必要なのは百十五万キロを出すためには二千億の金を想定しておるのでありますが、こういつた面についてもできるだけ例の見返勘定から電源開発の資金だけは一つ余計頂いて、今年度の分からずつと着手して行きたい。これはもう失業対策如何に拘わらず日本の産業の今後のあり方として、電源開発は必要だからこれの方に金を持つて行きたい。また金鉱開発につきましても、あの勘定の中から幾らかでも頂戴して行きたいと、かように考えておるわけであります。このいわゆるそういつた面への仕事を起すということは日本の再建のためでもあり、同時に失業救済の目的になることとこういうように考えておりますので、商工省としては、できるだけ、そういう面に力を盡すことにいたしたいと考えておるわけであります。それで企業合理化の実現によつて生ずる失業人員に対して、如何なる業種が、或いは地域と発生の時期、総括した人員と、こういう御質問でございましたが、大体私がお答えしたところで、この点を一応御了承を願いたいと思うのであります。業種ということについては先程申上げましたように、例えば輸出産業について考えれば、先程の申上げた、三百六十円で打切ると、これだけの失業者が出るということを申上げたわけであります。然らば三百六十円のレートの場合にどれだけの産業が輸出可能であり、どれだけの産業が輸出不可能であるということにつきましては、いずれ細かい数字を、後程細かい業種のリストを差上げたいと思うのであります。大体これに入るところのものは、今のところでは造船とか或いは生糸、大きな面ではそういつたもの、それから雑貨類の中でも一部のゴム製品、皮革製品、陶磁器、そういつた面が入ると思うのであります。
#7
○門屋盛一君 レートの方も後でどうぞ。
#8
○委員長(山田節男君) レートの方は、後で大体表にして差上げます。大体以上を以て…尚御質問がありましたら…。
#9
○門屋盛一君 ただ簡単に潜在失業ということを大ざつぱに質問したものですから、この点十分でなかつたが、私の心配しておるのは、中小商工業の保護のあり方でありまして、この潜在失業者の中には、いわゆる担ぎ屋さんという、あつちこつち少しずつ仕入れたものを売ることによつて生活をやつておるような、これも一つの、今の国勢調査の面では、何か商売の中に入つておると思います。それから露店商なんかもあるのですが、おいおいと経済が自由経済の方向に向つて行きますから、大資本の方へ吸収されるということが一つと、それから又そうでなくても、物を買うのには纏つたデパートなんかで買つた方が買い易いということになるのであります。今戦災者なり引揚者なんかが主になつてやつておるところの露店商がおいおいやつて行けなくなる。そこへ今度一番問題になるのは、行政整理でやはり三十万なり、四十万なりの官吏が市場にはみ出て来るわけです。これは一時的にやはり官廳では、三十万、四十万の或る部分を負担することになるだろうが、それからあとの人は、何かそういう仕事を始めようということで、中小商工業方面に非常な不安が起りやせんか。これに対してやはり相当の商工大臣として注意を喚起して頂きたいということを附け加えてお願いして置きたいと思います。
#10
○国務大臣(稻垣平太郎君) これはもう私、一番中小工業の問題が大きな…今の将来の電源開発なり何なりの仕事を起して行くことと並行的にこれを収容させるために中小商工業対策が起ると思つておるのであります。それで今のお話の通りに、一体日本の製品のコストを下げると、日本の自立経済をやつて行くという場合には、どうしてもこの集中化ということが取り行われなければならんことは、これはもう止むを得ないことだと存じておるのであります。その集中化の過程において、できるだけ中小工業の特異性を生かすということと、そうして中小工業の下におけるところの仕事の分野をできるだけ育てて行くということに対して種々なる方策を立てることをいたしたい。かように考えておるのであります。ただこの面から出るところの失業者についても、相当数に上るだろうということが予定されておりますので、それに対する事柄につきましても、先程申し上げましたことと併わせて十分考慮してやつて行きたい。かように考えております。
#11
○委員長(山田節男君) 稲垣商工大臣に外に御質問ございませんか。それではないようでございますから、大臣に対する質疑をこれで打切ります。
#12
○門屋盛一君 大臣というのは、商工大臣のことですか。
#13
○委員長(山田節男君) 商工大臣に対して。尚お諮りいたしますが、本日午後再開することに御異議はございませんか。
#14
○門屋盛一君 安本長官は暫く準備期間をおいて呉れというお話であつたが、そうするとどうしますかね。
#15
○委員長(山田節男君) 数日間おいて呉れという話でしたね。
#16
○門屋盛一君 数日間置いて呉れと…。
#17
○委員長(山田節男君) 御異議がなければ、午後一時半から続行することにいたしたい。
#18
○門屋盛一君 何をやりますか。
#19
○委員長(山田節男君) 逐条審議に入ります。
#20
○門屋盛一君 昨日御出席がなかつたようですが、原委員と私の要望は、速記の済んだ後であつたかも知れませんが、国務大臣に対する総括質問の終らないときには、逐条審議には入らないということを当初から申し合わせておるから、逐条審議に入りたかつたら、安本長官からこちらの要望のものを一日も早く出して貰いたい、安本長官が出席がなかつたら、逐条審議に入つてこない。これは最初からの申し合わせでしよう。
#21
○委員長(山田節男君) どうでしよう。今の門屋委員の御意見がありますが、例えば職業安定法の一部改正法案は可なり技術的なものが多いんです。ですから今の総括的質問と並行して、こういう例えば職業安定法案の技術的の問題ですね。こういうものを…。
#22
○門屋盛一君 昨日安本長官の方に、私の方はこれをいつまでも待つけれども、それが遅れれば遅れるだけ審議が遅れるということをはつきり青木国務大臣に言つてあります。それを国務大臣が承知して、一週間待つて呉れと言つたから、我々はこれを早急に通す必要はないと認めていいと思います。一応この審議方針を立てて、逐条審議、逐条説明も聴かない前に、国務大臣のあれを聞こうというくらいに重要に考えておる。その国務大臣に対する質疑も終らないのに、逐条審議に入るということは、私は委員会の審議計画として面白くないつていうことを当初から私は申し上げておる。
#23
○委員長(山田節男君) 如何でしよう。今門屋委員から御意見もありますが、総括的な質問が終わるまで逐条審議に入らない、こういう御意見ですか。
#24
○門屋盛一君 今日は欠席になつているが、これは原委員も昨日主張されておつた。私は当初から言つておる。
#25
○委員長(山田節男君) 私はそれは採決で決めておりませんがね。
#26
○門屋盛一君 採決だ決めなければ申合わせができないというならば、第一この委員会は定足数に達していない。そこまで委員長が法規を楯に取られるなら、それで運営なさつてもいいでしよう。本案に重きを置いたならば、それについての国務大臣に対する質疑応答中なんです。その答えができないというのは安本長官にそれだけ計画がない。
#27
○委員長(山田節男君) 速記を止めて。
#28
○門屋盛一君 速記は残して置いて下さい。杜撰なる計画の下にやるからいけない。私は決して無理な要求をするのではない。これは国会のみの責任ではなくして、政府は出すべき資料はどんどん出すべき責任がある。質疑によつて了解すれば三十分でも通過させる方法はある。
#29
○委員長(山田節男君) 門屋委員の国務大臣の回答は青木安本長官と、それから…。
#30
○門屋盛一君 青木安本長官の答を聞いて、それが納得できればいいけれども、すでに問題になつておるところの失業対策は杜撰であるというのが我々の突いておるところです。昨日中野委員からも同様の意味で杜撰であるという観点も変えて突かれてをおる。それに対する完全なる答えが安本長官からも労働大臣からもない。昨日安本長官の答えのうち重大な喰違いができておることは、私は労働失業対策審議会というものを設けてやるという答えがあつたから、私は、それは民自党の不平をなだめる委員会で、何ら権威のないものだろうと言つたら、そういうものではない、資金の関係で給料こそ出していないけれども、権威のあるものだと言われた。しかも運営委員会では、官房長官は、そういう正式のものではありませんという。だから結局は国会議員は、第三十九条で就任できない。安本長官のお答えの結果、それで納得できればいい、納得できなければ更に総理の出席を要求する。そうして納得を得た上でなければ審議に入らないということ昨日から言うておる。それを採決をとつて申合わせていないから審議を続けて委員長の権限で逐条審議に入るというなら御随意です。
#31
○委員長(山田節男君) 技術的な部面があるので…。
#32
○門屋盛一君 技術的なことはあとですよ。これだけの数百万という失業者が果して食つて行けるような政策を持つているのか、いないのか、内閣の方針から見極めずに、この委員会が逐条審議に入るというような、そんな不見識なことはできないと私は思います。技術的にそうむずかしくないですよ。それさえはつきりすれば…。行き詰つているのは失業対策で行詰つておる。何ら我々の納得できるような答弁は一つもない。商工大臣も今の通りです。あれ以上突いたつて何も出て来ない。それ程現内閣は労働問題、失業問題には関心がないのだ。そうしてこんな緊急失業対策というような訳の分からない、労働大臣に権限があるのか、安本長官に権限があるのか、訳の分からない立法で来ている。技術的に審議をいじくることは一日でも済む。私は大きい政府の所信も質すのです。
#33
○委員長(山田節男君) そうするとどうでしよう、今の門屋委員の御意見によると、今の質問に対する大臣からの責任ある具体的な回答が済むまでは…。
#34
○門屋盛一君 昨日は安本長官に念を押して、我々の方は待つて呉れと言われれば一週間でも待つておる。併しそれだけ遅れますよ。国務大臣に対する質疑応答が終らないうちは、逐条審議に入らないという申合わせで審議に入つておる。私は決まつた通りに早く政府の方が運んで来ればよいと思う。
#35
○委員長(山田節男君) 数日間待つて呉れという青木安本長官の…。
#36
○門屋盛一君 数日間が数十日間でもよい。政府の都合で資料ができなかつたら…。ただ私は今後の審議には入らないだけだ。
#37
○委員長(山田節男君) 中野委員御意見ありますか。
#38
○中野重治君 私は大体において門屋委員の意見に賛成です。というのは、問題は新らしい法案を議するための基礎がない、必要なものが出ていないということですね。ですから今までの質問と答えの有様を見ていますと、委員会に出た法案を審議すべき土台に関する質問に対して答えが出ていない。或るいは答えを出す誠意があるかどうかも曖昧であるという状態であるわけです。ですから出た答えが正しいか、正しくないかという判断はともかくとして、とにかく政府が誠意を以つて答えを出さなければ、土台が出なければいじくつて見たところでしようがないわけですから、だから問題によつて小さなことを併行してやることを飽くまでも拒否しなければならないということはないけれども、併しとにかく土台を出すということが肝腎ですから、そういう点では政府側が政治的な意味で責任ある答弁をして貰わなければならん。若しそれができないとすれば、それは政府側自信が問題を真剣に提出していないのだということを自ら告白するものと、こう団ぜざるを得ないわけです。
#39
○門屋盛一君 その通りなんだ。大体実際上労働問題なんか余り重い問題に考えていないのだ、この内閣は。
#40
○委員長(山田節男君) どうでしよう。只今の門屋委員並びに中野委員の意見を総合しますと、この根本的対策の説明が我々に納得の行くまではそれ以上の細部の質疑に入ることは暫時中止する、こういうことになりますか。
#41
○門屋盛一君 それは今日起きた問題ではない。この本案の審議に入るに先立つての申合わせの折に、委員長は非常にこの逐条を説明、逐条審議をお急ぎになるが、私は逐条説明、逐条審議に入る前に、先ず国務大臣に対する質疑応答を先にすべし、それが終らない先には逐条審議には入らないということを当初主張した。その主張によつて今日まで国務大臣に対する質疑を続けておる。その国務大臣に対する質疑の続いておる間に、昨日安本長官が、これは数日間待つて呉れと言つておる。その数日間後に安本長官に提出された資料によつて答弁を聞いたところで、納得ができればよいが、納得ができないときには、更に総理大臣の出席を求めるという私から発言があつて、そういうふうに最初から順序よく審議が進んでおる。今こういうことを改めて決めなくても、昨日から決まつた通りにやればよいので、この法律を出す基礎が、政府の考え方がはつきりしていないのだから、それをはつきりした上でそれをどういうふうに了承するか、しないか、それ以上の説明ができないというなら、それはその程度の了承にして、それからこの技術的なことに入るということになるが、順序として安本長官が出すという答えを待たなければならない。安本長官の答えで納得できなければ総理大臣の出席を求めるということは大体予告してあるのですからね。
#42
○中野重治君 私が申して置きたいことは、国務大臣が出て来てちやんと答えなければ、私は逐条審議に入ることを拒否するということではない。逐条審議に入ることができない。政府側は我々がまじめに審議に入ることを妨げておる。(「そうだ、その通りだ。」と呼ぶ者あり)その責任は政府側にある。このことをはつきりさして頂きたいと思う。そうでないと、今までの答えを聞いておりますと、或るいは失業対策とか、緊急失業対策とか、いろいろ言うけれども、それは首を切る、或いは民間企業と為替レートの問題で幾らか首切りが早くなるだろうと、こういうことが必要対策であつて、この首を切られた人間をどうするかということは失業対策でないかのごとき形であるわけです。そういう状態では審議に入ることはできない。繰返して言いますが、今までの委員会における政府側の答弁によれば、我々が具体的な問題に入ることを政府側が妨げておる。こういうことです。我々が駄々をこねて拒否しているのじやないのです。
#43
○門屋盛一君 今委員長が改めてお諮りになることはどうかと思います。
 決まつた方針でこつちは熱心に一日も休まずに出て来るのだけれども、政府の方でどうしても待つて呉れということになれば、私の意見を言えと言えば、安本長官の答弁を督促して貰いたい、それでなければ審議を促進するわけに行かない。
#44
○委員長(山田節男君) それでは今の門屋委員、中野委員からの御意見にございまするごとく、本委員会の申合せに従つて青木安本長官の具体的な回答があるまで、暫時この労働委員会を…。回答があり次第開くということにして…。
#45
○門屋盛一君 外のものがあればやつていいのじやないか。
#46
○委員長(山田節男君) 外にありません。
#47
○門屋盛一君 それから又労働省の方も多急ぎにやつて頂きたい。一つの労働省という日本に単科大学みたいな単独省があるならば考えられるけれども、内閣連帯の責任だからね。これくらい連絡不備なことはないですよ。労働大臣は連絡は十分だというけれども。
#48
○政府委員(宿谷榮一君) 今問題になつております安本の方からの資料を労働省からも極力早く出して貰うよう慫慂いたします。これは法案を早くおあげを願いたいから私の方も十分連絡しますから、それでちよつとお願いしたいのは、今緊急失業対策法が一番問題になつているわけで、その外失業保険とか、そういうものは如何でしよう。先に御質疑願えれば、職業安定関係とか、労働関係とか、一番問題になつている職業安定法案だけは残して、後保険の分やなんか早くやつて頂く方が、これから発生して来る労働者のためにも直ぐ役立つて参りますから、ご審議を一つ特にお願いしたいと思うのです。
#49
○委員長(山田節男君) ですから、今1番問題になつているのは緊急失業対策法ですね。これに対する政府の納得の行く説明がないからこういうことになつておる。それを一つ労働省からも昨日青木長官が約束された期限以内に…。
#50
○門屋盛一君 政務次官の言われることは一部は了承できるのですが、我々はこの内閣の労働政策になるものが一つの案として上程されたのは本国会これが初めてなんです。このすべて政府から出さるる労働問題に対する案を審議する前に、政府が労働者に対してどういう考えを持つておるかということを総括的に質すのが総括質問なんです。この緊急失業対策だけの総括質問というふうに我々は限つていないわけなんです。限つていないわけなんですが、それは後で理事会でも開いて別に研究してください。
#51
○委員長(山田節男君) 尚只今政府委員からもう御希望がありました労災法の一部改正もありますし、本委員会の初めからの申合せを尊重いたしまして、成るべく早く提出して頂き、尚又他の法案については準備のでき次第…。
#52
○門屋盛一君 政府委員の方に予告して置きますけれども、本国会中にあげたいという希望を持つておられるということも仄聞しておるところの、労働三法がまだ本日まで正式提案がないのはどういうわけですか。
#53
○政府委員(宿谷榮一君) これは昨日内閣から離れまして、漸く向うへ行つております。これもいろいろの手段を盡して急いでおりますが、まだ一両日はかかるのじやないかと思つているのです。昨日漸く総理大臣の決済を得ました。
#54
○門屋盛一君 この国会が五月十六日までというのは政府は御承知なんです。我々は労働大臣から内示を受けたのは二十三日、今まで国内的の政府の責任でひつかかつておつた、審議に入るに先立つて三、四、五、六、七と五日間政府自らがサボつておつたということに解釈して置きますよ。
#55
○政府委員(宿谷榮一君) その点につきまして、結果としては今日になつていますけれども、内閣から、手離れになるまでにはまだ技術的に細かい点で向うとの折衝の点がありますから、そういう点であとから少し遅れて…。
#56
○門屋盛一君 いずれにしても政府の怠慢で提案が遅れたということに結論としてはなるわけだ。国会はこの案の説明を聞いて慎重な審議を要するのだから、それを予めお含み置き願いたい。
#57
○村尾重雄君 昨日安本長官に対する門屋委員の質問の要点を今少しく記憶がはつきりしていませんが、政府側の今後の行政整理・企業整備又現れていない潜在失業者の数とか、そういうものについて総合的に明確じやないのです。それに対する対策も非常に不明確なんです。その点を明確に御答弁願えるように委員長なり、今日おられる方がよくお膳立をして今度御答弁願わんと、非常に誠意を欠いておりますから、その点……。
#58
○政府委員(宿谷榮一君) 今の御要望に対して私の方は印刷にいたしまして、数字的なものはお配りいたすようにいたします。
#59
○中野重治君 今までの問答の結果こんなふうになつておるように思います。首を切るのはどこかで切る、首を切られていよいよ問題になつたら労働省が対策を扱う。今政務次官自身も数字を印刷にして我々に配つて下さるというわけなんです。一日も早く配つて頂かなければならん。なぜ今日まで配られていないのか。政府部内に首を切るところと、面倒になつたから安定所やなんかを中心にして労働省が仕事をやる、後始末をやる、こういうセクションができていて、省と省の間にセクショナリズムがある。それが濃いか薄いかは別として、こう受取られるわけです。ですから我々としては政府全体としてこういうもの上から抑えて全体の網をしぼるようにしてしぼつて頂いて、労働省がよそへ掛け合うなりして数字を早く出して、我々にもつと早く出して貰わなくちやならん。これからいろいろ問題になつた結果数字が出て来る、これは幾ら遅くても我々出て来る方がいいのですけれども、そういうことを労働省なら労働省側がイニシアテイーヴを発揮してやつて貰わなきやならん。そうしないと、そういうセクショナリズムが残れば残る程犠牲を受けるのは首切られる人達です。犠牲は首切られた人達を中心にして半径が大きくなつて拡がるのですから、その点はつきり願いたい。
#60
○委員長(山田節男君) 承知いたしました。外に御意見もないようでありますから、本日の労働委員会はこれを以つて散会致します。
   午後零時二十九分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     山田 節男君
   理事
           一松 政二君
           平野善治郎君
   委員
           村尾 重雄君
           門屋 盛一君
           竹下 豐次君
           田村 文吉君
           中野 重治君
  国務大臣
   商 工 大 臣 稻垣平太郎君
  政府委員
   労働政務次官  宿谷 榮一君
   労働事務官
   (職業安定局
   長)      齋藤 邦吉君
  説明員
   労働事務官
   (労働基準局労
   災保険課長)  池邊 道隆君
ソース: 国立国会図書館
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