くにさくロゴ
【PR】姉妹サイト
 
#1
第061回国会 農林水産委員会いも、でん粉等価格対策に関する小委員会 第1号
本小委員会は昭和四十四月九月十日(水曜日)委
員会において、設置することに決した。
九月十一日
 本小委員は委員長の指名で、次の通り選任され
 た。
      大野 市郎君    小山 長規君
      佐々木秀世君    白濱 仁吉君
      瀬戸山三男君    福永 一臣君
      兒玉 末男君    芳賀  貢君
      美濃 政市君    稻富 稜人君
      斎藤  実君
九月十一日
 大野市郎君が委員長の指名で、小委員長に選任
 された。
――――――――――――――――――――――
昭和四十四年十月六日(月曜日)
   午前十一時一分開議
 出席小委員
   小委員長 大野 市郎君
      佐々木秀世君    白濱 仁吉君
      瀬戸山三男君    芳賀  貢君
      美濃 政市君
 小委員外の出席者
        農林省農林経済
        局統計調査部長 岩本 道夫君
        農林省蚕糸園芸
        局長      小暮 光美君
        農林省蚕糸園芸
        局砂糖類課長  小島 和義君
        専 門 員  松任谷健太郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 いも、でん粉等価格対策に関する件(昭和四十四年産甘しょ、馬鈴しょの予想収穫量、需給事情及び政府買入価格等に関する問題)
     ――――◇―――――
#2
○大野小委員長 これよりいも、でん粉等価格対
策に関する小委員会を開会いたします。
 このたび私が小委員長に指名されましたので、よろしくお願い申し上げます。
 いも、でん粉等価格対策に関する件について調査を進めます。
 この際、昭和四十四年産カンショ、バレイショの予想収穫量及び需給事情並びに政府買い入れ価格等について政府から説明を聴取いたします。岩本統計調査部長。
#3
○岩本説明員 最初に、昭和四十四年産カンショの九月二十日現在の予想収穫量を申し上げます。これは九月二十日現在の予想収穫量を調査いたしまして、去る十月三日に公表したものでございます。
 九月二十日現在におきまする主産県の予想収量は二百三十二万二千トンでございまして、十アール当たり収量は千九百九十キログラム、作況指数は九三になっております。この調査は主産県九県に関する調査でございまして、この主産県は全国の収量のおおよそ八割をカバーしております。カンショにつきましては、関東、東海地方におきまして、六月下旬、七月上旬の低温、寡照のために茎葉の伸長が抑制されましてイモ個数も少な目となり、イモの肥大がおくれました。八月末以降、好天候に恵まれましたので、イモの肥大は順調に進んでおります。作柄は東海地方で平年並み、日照り不足の影響の大きかった関東地方で不良でございます。また九州地方におきましては、六月下旬、七月上旬に降雨が多く、集中豪雨のため、初期生育は不良でございました。さらに七月下旬―八月下旬の干天のためイモの個数は少なく、イモの肥大もおくれておりました。その後好天候に恵まれて肥大は順調に進んでおりますが、作柄は不良でございます。
 次に、昭和四十四年産春植えバレイショの予想収穫量を申し上げます。これは去る八月二十九日に公表したものでございます。
 全国の予想収穫量は三百三十五万四千トンでございます。主産地であります北海道の予想収穫量は百九十一万四千トン、都府県の収量は百四十四万トンでございます。これは非常な豊作でありました前年と比べますと、全国の計では五十五万九千トン、一四%の減少でございますが、北海道におきましては四十二万三千トン、一八%の減少になります。一方、作付面積は全国で十六万七千三百ヘクタールでございまして、そのうち北海道が八万九百ヘクタール、都府県で八万六千四百ヘクタールとなっております。前年に比べまして北海道が四千六百ヘクタール、五%の減少になっております。都府県が七千ヘクタール、七%の減少になっております。全国計で一万一千六百ヘクタール、六%の減少になっております。
 作柄の概要を見ますと、北海道におきましては融雪がおそかったために、平年に比べて植えつけが三日程度おくれておりまして、萌芽期も五月下旬から六月上旬の低温、寡照よってやや長引き、不整一でありました。その後、七月上旬に一時低温でありましたほか全般的に高温、多照に経過いたしましたため、地上部の生育は回復いたしましたが、開花期が平年に比べて三日から五日程度おくれました。イモの個数はやや多目でございまして、イモの肥大がおくれておりましたが、茎葉の枯れ上がりがおそく、病虫害の発生も少ないので、イモの肥大は順調に進むものと予想され、作柄は道北、道南で良、道央、道東でやや良、北海道全体では良の見込みでございます。
 都府県におきましては、植えつけ期から萌芽期にかけまして、一部の県に晩霜、降雪の被害が発生いたしましたほかは、全般に萌芽はおおむね順調でございまして、その後も好天に恵まれ、生育は順調に進み、開花期は全般にやや早まりました。それ以後概して低温、多照、寡雨に経過いたしましたので、地上部、地下部ともに成育は順調で、イモ個数は平年並みないしやや多目でございまして、イモの肥大はよく、病虫害の発生も少なく、作柄は良となりました。
 地域別に見ますと、東北、関東・東山、近畿地方では収穫期に雨が多く、湿害、疫病等が発生いたしましたが、作柄に影響する程度ではございませんでした。しかし、四国、九州地方の一部の県では、萌芽期の低温と四月下旬から五月上旬にかけての高温、乾燥によって作柄がやや不良ないし不良となっております。
 次回の公表は、北海道の予想収量を十月九日に公表する予定でございますが、情報によりますと、多少よくなっておる見込みであります。
 以上で作柄、予想収穫量の御説明を終わります。
#4
○大野小委員長 続いて小暮蚕糸園芸局長。
#5
○小暮説明員 ただいま統計調査部長から作柄の説明がございましたが、こうした状況でございますので、まだ新しいでん粉年度のでん粉の需給の見通しを立てるにはやや時期が早いかと思いますが、四十三でん粉年度のでん粉の需給事情はほぼその結果が出てまいっております。これを見ますと、四十三でん粉年度の総供給量は約百三十万トンをちょっと上回っております。それに対して需要量が百二十一万トンという事情でありますので、差し引き約十万トンの、単年度で見ますとでん粉の供給過剰になったという状況でございます。この十万トンはお聞き及びと思いますが、うち七万トンを政府が農安法に基づいて買い上げる、あと三万トン前後のものは団体が調整保管をしておるというような形でございます。しかし、いま統計調査部から話がございましたように、この秋の、特にバレイショの作柄、昨年の作柄に比較いたしますと、やや量が少ないようでございます。ただ、最終的にどの程度におさまりますか、なおもうしばらく様子を見る必要があるだろうと思います。しかし、今日までわかりましたところを織り込んで考えますと、昨年よりは国内産のでん粉の供給は減ることになると思います。ただ、四十三でん粉年度の様子を見ておりますと、先ほど約十万トン余りましたということを申し上げましたが、問題の外国産のコーンスターチにつきましては、四十二でん粉年度がたしか五十二万トンとなっております。四十三でん粉年度にはこれを五十一万トンということで推量いたしておりますけれども、外国産のでん粉の供給がふえたわけではございません。むしろ国内での需要の面にやや技術の伸展に伴って原料の選択が行なわれておるようなケースがございまして、でん粉の価格にもよるのでしょうけれども、必ずしもでん粉に依存しなくても、ほかの原料から二次製品ができるというような技術が一部にやはり出てまいる、そういった面で需要面にやや減少の傾向の見られる分野が一、二ございます。
 それから、今年のでん粉の場合には、前年の供給が潤沢であったということから、当然甘味のほうに回りましたものもかなり潤沢に回りまして、いわば製品在庫の面に若干のしわが寄るということが、現実の経済行為でございますから当然あろうかと思います。これが新しいでん粉年度にどういうかっこうで出てくるかというような点も、慎重に見守る必要があるだろうというふうに見てまいりますと、作柄の面にやや不安がございまして、前の年よりも国産のでん粉の供給量が減るだろうと思いますが、しかし需給全体としては必ずしも手放しで楽観を許さない状況にあるのではないかというふうに見ております。
 こうした状況を、目下整理中でございまして、これらの需給の見通し等も整理いたしまして、また生産費の動向あるいはパリティの動向等を整理いたしまして、できるだけ早い時期に新しいでん粉年度に適応さるべき基準価格を決定いたしたいということに、目下鋭意作業中でございます。
    ―――――――――――――
#6
○大野小委員長 以上で説明は終わりました。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。美濃政市君。
#7
○美濃小委員 最初に需給事情をお尋ねいたしたいと思いますが、ただいま御説明のありましたこの資料に基づきまして、出回り量百二十七万七千トン、この内訳をちょっと明確に説明してください。
#8
○小島説明員 お答え申し上げます。
 百二十七万七千トンの内訳は、カンショでん粉が三十六万七千トン、バレイショでん粉が三十二万トン、小麦でん粉が六万トン、コーンスターチが五十一万トン、輸入デン粉が二万トンということに相なっております。
#9
○美濃小委員 ことしのこの経過から見まして、持ち越し三万トンとなっておりますが、バレイショでん粉を、六万トン残って業界に抱かせたわけですが、これは消費されていない。現在もまだ受け渡しが終わっていないのが実情でしょう。この関係はどう見ておりますか。三万トンは前半のたまったものでしょう。業界契約は成立したけれども、物は動いていないというのが現実だと思います。若干は動いておりますけれども、ほとんど産地の倉庫に積まれておるのです。契約は終わっておるが、まだ受け渡しは終わっていない。これは消費されたとは私どもは考えていないのです。でん粉年度末で繰り越されたと思うのですが、これはどういうふうに考えますか。
#10
○小島説明員 御指摘がございましたように、契約は完了いたしておりますが、実は受け渡しは完了いたしておりません。ただし、これはほかの消費面でもそうでございますけれども、調整団体の手を放れました段階で一応この需給バランス上は消費というふうに見ておりますので、その点はほかの部分につきましても同様でございます。
#11
○美濃小委員 しかし、ことしの場合は異常だったんです。その三万トンというのは受け渡しは終わっていないのですから、明年度の需給を考えるときに、そういう見方で需給を考えてよろしいかどうかという問題が出てくると思います。物は現実にあるわけですからね。形式としてはそういうふうに言えるけれども、形式はそのとおりであったとしても、物は動いていないし、私どもの見方では、通常在庫――通常の市場在庫というものは六万トンのほか、大体前年度程度の通常在庫はあるものと見ておるわけですが、そうすると余ったものは六万トンと見ておるわけですね。この見方はどういうふうに考えればよいか。形式的にはそういう答弁でいいと思うのです。物の需給を考えるときに、そういう形式だけでよろしいのかどうか。
#12
○小島説明員 その点は私どもも全く同じ認識を持っておるわけでございまして、先ほど局長からも申し上げましたように、そういう見えない在庫というものを計算に入れますと、数字の上の需給バランスは一応成り立つわけでございますけれども、楽観を許さない状態であるというふうに思っているわけでございます。
#13
○美濃小委員 いまのところ、ことしの国内産でん粉の生産を的確に見込むということは、これはきょうの時点ではちょっと無理だということはわかりますけれども、しかし、おおよそ若干の――この時点ですからおそらく大体生産量としてはカンショ、バレイショ、こういうふうに見て、あと爾後の推移で何%ぐらいの狂いがあるだろう、このくらいの見込みはもう事務当局は持っておると思うのですが、それをひとつ聞かしていただきたいと思います。若干狂うことはこれはやむを得ぬと思いますけれども、今日で見た生産量はどのくらいか。
#14
○小暮説明員 先ほども申し上げましたように、非常に気候の状況等もなお流動的でございますので、判断しにくいので弱っているのでございますが、しかし外国産のコーンスターチについて、従来どおりの約五十万トンの規制を加えるという前提で考えました場合に、四十四でん粉年度の全体としてのでん粉の総供給量が、おおむね百二十万トン程度になるのではないかということは、裏返して見ますと、国産のでん粉につきましては、カンでんで約三十五万トン、バでんで二十三、四万トンという程度のものが一応予想されるのではないかというふうに見ております。
#15
○美濃小委員 そうすると大体あれですか、昨年よりは八万トンぐらい減るであろうという見込みですか。大体いまの国内産でん粉八万トンぐらい減る。多少違うことはこれはやむを得ぬと思うのです。
#16
○小島説明員 計算上は御指摘のようなことになると思います。
#17
○美濃小委員 これはちょっと念のために聞いておきたいのですが、昨年二次関税を下回ってコンスが製造されたものがあるのかどうか。あるいは巷間伝えられるところによると、えさから回るものがあるという風評が立っておるのですが、その点の確認なり調査なりはどういうふうにしておるか。そういうものがあるのかないのか。
#18
○小島説明員 ただいまお話がございましたえさから回るものというのは、これはえさの承認工場制がございますので、その数量確認の上免税措置をいたしておるわけでございますので、万々そういう事態はなかろうかと考えております。
 それから二次関税率を用いての輸入がどのくらいあるかということでございますが、関税局を通じまして調べた範囲によりますと、ほとんどその数量はないと考えております。
#19
○美濃小委員 これはもう私は需給が一番大切だと思うのですが、需給対策を立てないで、昨年の経過から見ますと、大体昭和四十四年度のでん粉も五十万トンで計画を立てたいというわけです。そういうふうに受け取れるわけです。この場合、昨年もそういう計画で需給計画を立てたわけですが、ことしの場合、先ほど申し上げた三万トンというものは、業界の契約で引き受けたものはそのまま消費されておりませんから、ことしのでん粉はアウトサイダーの期間が終わると――いまアウトサイダーのでん粉が出ておると思いますが、そういうものが荷もたれしておりますから、どうしてもこれはいま言ったような需給計画でいくと、最小限度早期買い上げをしなければ価格の維持ができないという問題が出てくると思います。その点はどういうふうに考えておられるか。
#20
○小暮説明員 まあ先ほど来申し上げておりますように、生産が前年より減ることは確実でございます。どの程度減るだろうかという予測がまだ非常にむずかしい段階でございます。今後の需給の見通しの微細な点につきましては、まだ今日の段階では申し上げるデータがあまりにも不足だというふうに考えております。しかし過去の運営の経過から見ましても、基準価格の確保のためには系統団体と役所が一体となりまして販売に努力し、なおかつ必要がある場合には農安法に基づき処理していることは、これまでもやってまいっております。この路線を正しく守ってまいりたいというように考えております。
#21
○美濃小委員 次に生産対策についてお尋ねしたいと思いますが、需給計画からいくと反別がこういうふうに減って、昨年は需給計画が百三十万であったものが現実には百二十万トン、これは業界の引き受け三万トンを入れれば百二十万トンをちょっと割ったと私は思うのですが、そのいきさつは別としても、とにかく十万トン以上前年度の需給計画よりも消費は減退した。これはどういう理由に基づくものか、前年度は百三十万トンで需給計画を立てた、これはどういうわけで十万トン減少したのか、その理由を明らかに説明してもらいたい。
#22
○小暮説明員 一つは、先ほど申し上げましたようにやや供給過剰ぎみでございました。前年度に甘味用にこなしましたでん粉の量が翌年そのままは実現しない現実の姿がございました。これは糖化用そのものの需要が減退したというよりは、原料が潤沢であった年にある程度つくられたものが翌年に若干の影響をするというふうに見るかと思います。これが三万トン程度どうしてもあるのじゃないか。そのほかに、たとえばグルタミン酸ソーダの業界では、先ほどもちょっと触れました製造法の転換ということで、でん粉からほかのものに用途を転換する姿がございます。これも数量の予測はやや困難でございますが、局として、おおむね六万トン程度これがマイナスの要因になるのじゃないか、その他にも若干こまかいところで需要の転換というのが行なわれて、単年度で見ますとおおむね十万トン程度需要が減っておるというように観測いたしております。
#23
○美濃小委員 農産物の国内需給というたてまえから、ことしは反別が減少した、これはどういうふうに次年度において――四十五年度ということになりますが、四十五年度においてはやはり減ることを期待しておるのか、それともこれは増加する方向へ、国内需給率の向上に持っていくのか、この政策はどういうふうに考えておるのか。
#24
○小暮説明員 ただいま申し上げた中で、年により状況が若干異なるというものが、年度を限って申しますとふえたり減ったりする部分につきましてはこれは別といたしまして、基本的に製法が変わりまして原料をほかのものに求めるというような企業がございました場合に、それを強引につなぎとめるような価格政策をとるわけにはまいらぬだろうと思います。そういった面についての需要の減退は国内産いも、でん粉のためには残念でございますが、客観的な条件として受けとめざるを得ないと思います。ただ全体として見てまいりますと、特に北海道のバレイショに着目してものを考えますと、内地の食用のバレイショは、都市近郊の賃金の上昇その他農業をめぐる御承知のようなさまざまの現実がございまして、年々残念ながら減ってまいっておる。しかし食用のバレイショの需要そのものは決して目に見えて減退しておるわけではございません。やはり北海道のような、バレイショに適した地帯からはもう少し内地に野菜用にバレイショを出すというようなことも努力する余地があるのではないかということで、局といたしましても流通施設等の助成も始めております。そういった要素も含めて、やはり総合的に問題をこなしてまいりたいというように考えております。
#25
○美濃小委員 先ほど別室でちょっと要請があったので、これは念のためにお尋ねしておきたいと思いますが、本日から行なわれておるのですか、日米自由化交渉、この五十品目の中にタピオカでん粉が入っておるのか入っていないのか、これをちょっとお尋ねしたい。
#26
○小暮説明員 外交交渉に若干かかわる問題でございますので、具体的な品目についてこの席で触れることは、ひとつごかんべんいただきたいのです。
 ただ、考え方の大筋といたしまして、でん粉という形態での輸入の自由化は現在考えておりません。
#27
○美濃小委員 次に、グルタミン酸ソーダの問題は、これは将来どういうふうになっていくという見通しですか。
#28
○小暮説明員 農産物を原料としておりました加工食品の一部が、近年技術の進歩によりまして、たとえば石油をもとにした原料に転換するというような動きがございます。グルタミン酸ソーダもその一つの例でございます。先ほど申しましたように、原料を他の農産物に転換するという問題でございますれば、なお若干、私どもの力でそれを操作することも考えられますが、全く別の新技術に転換するというものを価格政策でつなぎとめるというのは、経済政策としては無理ではないかと考えております。しかし、まだ急激にこの面の需要が減るというふうには見ておりません。
#29
○美濃小委員 急激という表現では、どういう動向を示すだろうか、わからぬのですが、昨年は大体六万トン程度であったという報告ですが、明年のでん粉年度までですか、四十四年度産のものに与える影響、これは需給上どのくらいの影響を与えると予想しておるのですか。
#30
○小島説明員 四十二年度が、グルタミン酸ソーダ全体で約八万トンのでん粉を消費いたしておりますが、四十三年度は、それが六万トンくらい減少いたしまして二万五千トンくらい。四十四年度は、おそらくその横ばいくらいの消費はあるものと想像しております。
#31
○美濃小委員 のりの関係はどうですか。いわゆる合成樹脂ののりとでん粉のりとの需給関係、どういうふうに見ておられますか。
#32
○小島説明員 のりとしての用途の中には、でん粉そのものを使いますものと、それからさらに高次の化工でん粉という形で使われるものの両面があるわけでございます。その中でも特に繊維、段ボール等に使われますのりの形としての用途というものは、近年それらの業界の好況を反映いたしまして非常に強気でございます。
 それから化工でん粉のほうにつきましても、年年科学の進歩とともに新しい分野が開けてまいりました。その意味では、やや見るべき消費というふうに見てよろしいかと思います。
 ただ非常に残念なことは、工業の進化が著しいということから、より精度のすぐれたものを工業は要求する傾向がございまして、そのために国産のカンでんを用いておりましたものが、どちらかといいますと、コンスのほうに対する指向性が強くなってきておるということはいえるのじゃないかと思います。
#33
○美濃小委員 コンスに対する指向性というのはどういうことですか。基本的にコンスの質がいいというのか。価格上からの指向性なのか、質上の指向性なのか。
#34
○小島説明員 もちろんこれは需要筋のことでございますから経済性が全然からんでいないということは申し上げかねるわけでございますけれども、ただ品質的な安定性という点につきましてコーンスターチの優秀性ということをいっておるわけでございます。
#35
○美濃小委員 それは経済上からそういうのじゃないですか。他のでん粉は安定性がないのですか、どうですか。バレイショでん粉なんか特にああいうふうに大型工場にして統一したところの製品をとっておる。質はきわめて不安定ですか。ばらばらですか。
#36
○小島説明員 やや専門的な問題で非常に恐縮でございますが、たとえて申しますれば、バレイショでん粉の粒子といいますのは、百ミクロンと申しますから大体十分の一ミリくらいのものまであるわけでございます。それに比べますとコーンスターチのほうは粒子がさらにその何分の一かのこまかい粒子になっておるというふうなことも、使い道によりましてはかなり違ってくる点がある。決して国産のバレイショでん粉がバレイショでん粉として品質が落ちておるということを申し上げるつもりはございません。のりの特性としてバレイショでん粉よりもいい面を持っておって、その面に着目いたしましての需要があるということを申し上げておるわけであります。
#37
○美濃小委員 あとから価格問題を御質問したいと思っておりますが、その前にここで聞いておきたいのですが、政策の方向としては、たとえばグルタミン酸ソーダとか合成樹脂が出回って、そういうもので需要が圧迫されてくるという場合に、国内産でん粉を規制する方向に政策を持っていくのか、それともコーンスターチを規制するのか、あるいはグルタミン酸ソーダを規制するのか、でん粉政策の基調として、農政として、これからどういう政策をとっていくのか。これはどれかを規制しなければ、あれもよろしゅうございます、これもよろしゅうございますというと需給がダブつくわけですから。国内産を規制する政策をとるのか、コンスを規制する政策をとるのか、それとも他の製品を規制する政策をとるのか伺っておきたいと思います。
#38
○小暮説明員 先ほど来たびたび触れておりますように、科学技術の進歩につれて、全く新しい原料を開拓いたしますような分野を制度的にあるいは価格政策的につなぎとめるということには私は無理があると思いますので、そういった点はやはり進歩の方向に即して合理化していく以外にないのじゃないか。しかし全体として一番量が多いのは甘味用の用途でございます。ブドウ糖あるいは水あめというところに回ります分でございまして、この用途におきましては国産のでん粉もコーンスターチもそれほどの差異があるわけではございません。どこまでも価格並びに受け渡しの条件ということで二次加工業がこのいずれを選択するかということでございます。この面で国産と輸入原料によるでん粉との調整をはかってまいりたいというふうに考えております。
#39
○美濃小委員 調整という表現ではちょっとわからないのですが、私の聞いておるのは、どちらに重点を置くか。どちらかに重点を置かなければならぬわけですが、調整をはかるという表現では私の問いたいことはわからないわけだ。どちらに重点を置く政策をとるか。
#40
○小暮説明員 非常にむずかしい問題でございますので調整と申し上げておるわけでございますが、現在やっておりますこと自身が、たとえば加工企業の側から見れば明らかにコンスを調整しているというふうにいっていいのじゃないかと思います。と申しますのは、コーンスターチに対する需要は実はいろいろな形でふえようとしておるわけです。段ボール関係あるいはその他かなり強い需要の伸びがございます。ただ、私どもとしては、国内産のでん粉との関連を考慮いたしまして、コンス業界がかなり膨大な設備を持っておりますことをあえて無視して、年間の処理量を十万トンぐらいということに押え込んでおるわけでございますから、その限りにおいてはコンスが規制されておるというふうに御理解いただけたらと思います。ただ、そのコンスの使い方の中に、甘味資源として国産のでん粉と価格関係さえ合わせれば彼此流用できる部分と、企業の実態から見て、若干の価格差がかりにあってもコンスのほうを望むという部分と二通りあるだろうと思います。やはり、その仕事の性質上コンスをぜひほしいというものを拘束することは経済の進歩の方向に反するのじゃないかというようなことを申し上げた次第でございます。
#41
○美濃小委員 どうも、コンスがほしい、国内産でん粉がいやだという理論がわからないのですがね。でん粉というのは、私はそういうものじゃない。カンショでん粉にしてもそう質的に大きな差はないと思うのですがね、需要側の好む質的な差というものは。結局は価格上の問題だと思う。価格上の問題が主原因と私は見ておるわけです。
 そうすると、いまのような話でいくと、たとえば、来年作付意欲を喚起して――でん粉は、いま国内産七十万トンぐらいの処理はわけないわけですが、それ以上ということはちょっと作付の動向から見ても……。片や、そういうことで、百二十万トン、百三十万トンというでん粉の需要の見方は過大ということになります。百二十万トンで需給計画を立て、七十万トン国内産ということになれば、コンスを三十万トンに規制しなければならぬ。そういうことは現実に考えておるかどうか。そこまでやってでも、これはやはり国内の畑作地帯にどうしても適応しておる作物ですから、七十万トン生産というのは、つい前年――前年は六十万トンちょっとですか、その前の年だと、七十万トンぐらいの生産は二、三年前はずっと続いておった。その前はまだ多かったわけですね、国内産というのは。それを、だんだんと生産締め出しをやるから国内産でん粉は減ってきておるわけです。これをさらに圧迫をして減らそうとするのかと尋ねておる。それとも、たとえば、この表にもありますように、九十万トンぐらい国内産でん粉で供給した年度も過去においてはかなりの年度あるわけですね。すると、七十万トンにすると、コーンスターチは三十万トンということになる。九十万トンで生産計画を立てるということになる。コーンスターチはほとんど要らない、こういうことになるのですがね。まあ十万トンもあればいいということになるわけです。そういう基本政策をどう考えておるか。ただ小手先で調整だとかなんとか言うておったって、それではだめですから、どういうふうに考えておるか。
#42
○小暮説明員 先ほど来、コンスの需要というのが、純粋に技術的な問題なのか、あるいは価格関係なのかというような御指摘がございましたが、課長からもいろいろお答えしましたけれども、やはり経済行為でございますから、経済上の判断がからむことは当然あると思います。ただその場合でも、やはりこれはブドウ糖などにして甘味資源として使用するのではなくて、段ボールをつくる場合ののり、あるいは輸出の繊維をつくります場合の繊維用ののりその他さまざまな特殊用途がございますが、これはそれ自身が一つのいわば国際競争にたえながら生産され流通しているものでございます。また工場製品として品質の継続性と申しますか均質性を要求する、あるいは加工いたします機械自身が、やはり二次原料としてののりの組成が変われば機械の調節もまたしなければならぬといったような問題がございます。したがいまして、どこまでが価格の問題であり、どこまでが粒子の大きさ、その他言われますような技術の問題であるかというような点にはかなり微妙な問題がございますけれども、企業体としては、やはり加工業として立ちます際には、そこにある一定の品質の副原料がコンスタントに供給されることを強く期待するという気持ちがあろうかと思うのです。これらの点はやはり一がいに否定し去るわけにはいかないだろう。しかし私どもは、国産の原料で十分これに対応できるというようなものにつきましては、できるだけ国産を使ってほしいと思いますけれども、しかしこれまでのところ、国内のでん粉全体の生産の状況は年によって若干の変動はございますけれども、甘味用にこれを大きくさばくことによっておおむね需給を安定させることはできるというようなことでまいっております。コーンスターチの需要そのものを根本的に置きかえて、国産のでん粉にこれを強制的に向かわせるというようなことは現在考えておりません。
#43
○美濃小委員 その国内産でん粉の国有用途そのものは国際競争力もあるといいますけれども、その用途は少ないですか、どのくらいですか。どういうふうにそれを認識しておるか。固有用途というのは確かにありますね。その固有用途をどの程度くらいの量に認識しておるか。
#44
○小島説明員 ただいまいわゆる固有用途と称するものにつきましては、同じく関税割り当て制度によって一〇%の割り当て制を実施いたしておるわけでございます。それらを全部合わせまして年間二十二、三万トン程度というただいま規制をしておるわけでございます。実際の潜在的な需要がどのくらいあるかということについては正確には把握いたしておりませんが、かなり強い潜在的な需要があるものというふうに見ております。
#45
○美濃小委員 次に、二次関税の問題をお聞きしたいと思います。去年はああいう条件がついておりますが、二次関税がはずれた場合どうなるか。固有用途はどのくらい転落するか。どういうふうに考えどういうふうに進めようとするか。二次関税と限らぬでもいいのですが、恒久対策はどう考えておるか。
#46
○小暮説明員 ただいま、今年度適用いたしておりますトウモロコシの二次税率は、トウモロコシの国際相場によって若干動きますが、達観しておおむね四割程度の高い関税率になっておるわけです。これでも、すなおに計算してみますと、一部この二次税率で輸入してコーンスターチをつくっても引き合うような需要があるようでございます。先ほど申しましたように、イモ作の保護のために私どもがコーンスターチを一定の量の中に関税割り当てで押え込んでおりますから、すなおな形での相場なのか、数量の行政権による規制といういわば不自由さから起こってくるやや仮の姿での高い相場なのか、その辺は必ずしも明確でございませんけれども、端的にいえば、幾らでもいいからコーンスターチが少しほしいといったような需要が一部にあるやに聞いております。しかし私ども、いまその二次税率でもし輸入をしコーンスターチをつくるなら、いまの制度のもとでは国産との抱き合わせ用の無税のトウモロコシを一緒に渡さないという行政上のいわばペナルティーを課するということを関係者に明言いたしておりますので、業界としては二次税率での輸入を控えるということでやっております。しかし、そのことが、いまの約四〇%の率が保護の水準としてはやや低いのじゃないか。安全を見ますと、もう少し高くいたしませんと、価格政策としてはそこに危険があるというふうに見ております。しかし、四割をこえる関税率が何割が妥当かという議論はなかなかむずかしいのですけれども、きわめて常識的に原材料で二割をこえ、加工品で四割をこえますと、かなり極端な高い税だというふうに理解するのが一般でございます。いま問題にしておりますトウモロコシは原材料ですから、原材料で現に四割強の関税障壁を設けております。それ自身相当高い保護の水準だということになります。これをさらに五割、六割というところまで上げるというのは、かなり関税政策上は抵抗があるのではないかというふうに思います。しかし、イモ作の保護の万全を期するために、いろいろな角度からの対策がいま研究されておりますけれども、いずれの措置にも実は一長一短があるということでございますので、私どもとしては、二次税率を若干引き上げて、いまのような仕組みをさらに継続実施するという路線も一つの可能性としてはいまだ生かしておきたいというふうに考えております。ただ、過去二年間の関税率審議会との経緯から言いますと、これは相当強い反対があるというふうに思います。
#47
○美濃小委員 現在、さしあたってできる政策、まずことしさしあたってやる対策は、これは二次税率も一年、一年でありますから、どういうふうにお考えになっておるか、さしあたりことしやる対策はですね、その関係。その他にもあるというが、その他が間に合うような政策が立案されておりますか、どうですか。
#48
○小暮説明員 その他というふうにことばを濁しましたけれども、まだいずれも検討中でございますので何でございますが、たとえば、二次税率ということでなしに、むしろ外貨割り当てそのものに返すべきではないかという議論も検討の過程では一つの議論として出ております。そのほかに、輸入の原料トウモロコシについて課徴金を取る、その課徴金を見合いに国内に国産のでん粉原料に補給金を出すといったようなことができないかというような議論も検討の過程には出ております。しかし、いずれにいたしましても、これらの措置は、一つには、いま政府全体として相談いたしております総合農政の考え方の全体のおさまりとの関連を持ちますし、他面、日米交渉その他で、常にいわれておりますような国際社会との経済的な話し合いという問題とも非常に密接に関連いたしますので、これらのものを慎重に考て合わせた上で、できるだけ早い機会に具体的な方向をきめたいと考えております。ただそれが行政措置でできます場合と、立法措置を必要とする場合があろうかと思います。いずれにいたしましても、来年の三月末でいまの暫定的な関税割り当て制度が単年度のものでございますから、切れる四月以降に空白を生ずることのないように措置したいというふうに考えております。
#49
○美濃小委員 そうすると、いずれかまだきまらぬということですが、これはいつまでにきめるか。空白が起きないように措置したい、こういうお話ですが、しかし、いつごろまでにそれをきめる予定であるか。
#50
○小暮説明員 総合農政との関連で、できるだけ早く議論を詰めたいというふうに考えておりますが、四月以降空白を生ぜしめないということから、逆に言いますと、本年の十二月の関税率審議会のときには、そこがはっきりいたしておりませんと、たとえばいまやっておりますような仕組みを――いろいろな手段を慎重に検討し尽くした結果、やはりいまの仕組みが現状において最良の知恵だということになれば、いまの仕組みを継続することも、先ほど申しましたように、一つの可能性としてはあるわけです。その場合には、四月一日からまた関税割り当て制度を継続しなければならぬ。それから、そうでなしに外割りなんというように、逆に直球を投げるような施策がただいまの国際的な環境のもとではおそらく許容されないと思いますけれども、しかし、理論としては、外割りということであれば立法措置を要しませんから、暫定措置が終わります三月末の経過措置だけで十分こなせる。もし立法措置を必要とするような案になりました場合には、これの審議に相当の期間を要するだろうと思います。そうした場合には、二次税率によるいまの措置が、ことばの本来の意味での暫定措置として四月以降継続されるというような事態もあろうかと思います。いずれにしても、関税率審議会が十二月に開かれます段階では、その辺についての基本的な姿勢並びに行政措置としてこれを空白なからしめるために必要とする微細な措置に至るまで、その段階では整理し尽くされていなければならないというふうに考えます。
#51
○美濃小委員 次に本年度のイモ類でん粉の価格についてお尋ねしたいと思いますが、まず前段にこれはどのようにお考えになっておるか。御承知のように、生産費は上がっておる。やはり物価高で総合パリティは上がっておるというふうに、具体的に前年度対比は具体的な金額でも上がっておるわけです。これらの関係から、これからきめようとするところでは何ぼ上げるというふうに考えておるかと言えば一番いいのですが、それがいかぬければ方向だけでいいですけれども、具体的な考え方があれば具体的な考え方を……。
#52
○小暮説明員 御指摘のように、農産物でございますので、年々の調査で生産費も上がってまいります、また農業パリティ指数も上がってまいります。これらのものを適正に反映したような原料イモの価格を考えなければならないだろうというふうに考えますけれども、他面、先ほど来先生との間でも非常に詳細な議論が取りかわされましたような現実の需給の情勢というものを考慮に入れ、価格決定の場合におきましても経済事情を参酌するということがうたってあるわけでございます。これらの点をどのように適切に配慮をしたらよろしいかということにつきまして、各方面の御意見を十分承りながら、慎重に考えてまいりたいというふうに思っております。
#53
○美濃小委員 その各方面というのはどこですか。
#54
○小暮説明員 もちろん当小委員会の御意見も承り、また財政に密接にかかわる問題でございますから、財政当局の意見も承り、また生産者団体の意見も承ることが必要かと存じます。
#55
○美濃小委員 そこで、さっきから問うておるのですが、需給事情を勘案しということになれば、これはもう国内産の需給を低下さす方向へ、どうしても経済上生産できない方向へ追いやっていくわけです。こういうふうに生産費が上昇してくるわけですから、どうしてもこれは生産費から見た、言うならば生産費所得補償方式の考え方で価格決定をしないと、国内産でん粉を生産できない方向へ逐次追いやっていくのではないですか。それをまた期待しておるのではないですか、あなた方のやる農政は。その関係はどうですか。
#56
○小暮説明員 これは原料農産物全体の供給の問題でございまして、いま日本の農業がかかえ込んでおります非常にむずかしい問題の一つだと思います。しかしビートの場合あるいは砂糖キビの場合等を振り返ってみましても、砂糖大根、キビなりの値段は上がらざるを得ないということがございます。これも、できるだけ生産のほうを合理化して、単位当たりの生産費が軽減されるように努力はいたしておりますけれども、しかしその努力を越えて物価、賃金等の値上がりで原料価格が若干上がるということはございます。しかしこれを、加工面での努力で、最終製品単位当たりのコストは、その値上がりを食いとめるといったような努力の分野もございます。しかし日本の経済全体の運行の中で、競合する産品との競争力をつちかうという場合には、原料面と加工面と両方あわせて考えていかなければならないというふうに考えておる次第でございます。
#57
○美濃小委員 この競合する問題ですが、まず国際経済の競合を考えると、ことし肥料二法を審議したときに、あなた方のほうから、いわゆる農林省から出てきた資料を見ても、たとえば窒素肥料一つを見ても、四〇%くらい安く輸出しておるわけですね。トン当たり十七ドル安くしておる。それと、たとえばこれから機械化を進めていきますが、特に日本のガソリンは倍するということですね。機械を使えば燃料は倍するということ、こういう不正常な政策からくる農民の通例コストでなしに、国際経済情勢から見たら不正常なものを――あるいは織物、鉄鋼にも輸出カルテルはかかっておるのですよ。作業着一着買ってもかかっておるわけです。そのカルテルを除いたら、日本の輸出はどうなるのですか。まことに了解できない経済事情が、非常に大きく発生してきておるわけですね。しかも、このように物価が上がっていくと、またカルテルは高まるのじゃないですか。四十二年度で窒素肥料トン当たり十七ドルです。最近になると、もう二十ドルをこしているのじゃないですか。これから輸出する窒素肥料は、二十ドルこすのじゃないですか。こういう不正常なものを、陰に隠しておいて、国際競争力といってみたって、そういう面をどうするかという問題が出てくる。これは農政だけの問題じゃないのですが……。そうすると、これを政策的に絶縁するというのであれば、私どもから言わせるならば、でん粉は、そういう不当な生産費圧迫を政策的に絶縁するというなら、やはり政府が買い上げて三五%か三八%安く売る。それは何も国内産でん粉が高いからそうするのではなくして、不当なる、狂ってしまっている日本の経済状態、そういう不当な経済行為から農業のコストを財政で守ってやるということになるのじゃないですか。財政で絶縁するということになるのじゃないですか。そうすると、でん粉なんか政府が買い上げて、三五%か三八%安く市場へ放出する。それは、いまのカルテルあるいはガソリン高あるいは機械の高いということを計算してみると、その程度のことをするのは、政策上あたりまえということになる。そういう政策が加わらなければ、単に国際競争力といったって、不当条件を押しつけておいて、それで片やそういうものをうしろに引っ込めておいて、農政の表面にある農林省の方が、国際競争力というのでは少しおかしいじゃないですか。そういう条件を加味しなければならぬ。ですから、きめるものはきめて、不当条件を排除するということになれば、安く売ったっていいじゃないですか。それまでは、何も農民の国内産でん粉を保護したということじゃないですよ。農業生産に対する不当なる日本の経済事情の圧迫を財政的に絶縁してやったのだということです。価格の保護政策には入らぬですよ。それ以上になれば別ですよ。買い上げたでん粉を半分で売るということになれば、確かにその状態では一五%くらい価格保護だといえる。そうでなければ、買い上げて三五%くらいにまで安くして売ることは、何も国内の農民が悪くてコストが高いというのではないんですよ。製造がへただとかそういう計算が成り立ってくるわけですが、そういう点を、特にこれからの価格政策では加味しないと、国内の農民を――総合農政だとかなんだとか変なアイデアだけで国内農業の自給力を破壊してしまうと思うんですよ、こういうやり方では。アイデアで総合農政といってみたって、かすみを食って農民は食っていくわけにはいかぬのです。ですから、アイデアで農業生産をし続けるわけにはいかぬわけです。心理的な問題であれば、これは別ですが、心理的な問題はアイデアでいいのですけれども、経済的な問題はアイデアではだめなんです。それは、どうお考えになっておりますか。そこまで考えてことしの価格政策をやらなければならぬと私は思う。
#58
○小暮説明員 先ほどビートとか甘蔗等の例で国際競争力云々と申し上げておしかりを受けたわけですけれども、これは別に国際糖価水準を裸で日本に持ち込んで、それに対抗できるようなビートや甘蔗をつくるわけではありませんで、御承知のように、むしろ世界に類例のない程度の関税及び消費税あるいは課徴金というものを二重、三重に取りまして実現した糖価水準、それに対して、さらに生産の努力をしながら、逐次その人為的に大きく高められた水準を一つの努力の目標として生産の改善をしようというようなことをしている例として実は申し上げたのでございまして、これ自身非常に手厚い保護主義のもとに、しかし一つの努力目標を掲げ、甘味資源の生産性の向上をはかるというようなことをうたっているわけです。カンショ、バレイショの場合は、糖安法のような複雑な仕組みではございませんけれども、先ほど申しましたように、たとえば現状でいえば四割と原材料に対しては国際的な常識から見てかなり高い関税をかけることによって、一応国際価格との間に一線を画しながら、なおかつ国内でその年余りました場合には、農安法を適用して余剰を買い上げるという措置をやっておるわけでございまして、決して国際競争場裏に裸でほうり出すということを考えておるわけではございません。しかしながら、やはりいもの問題一つ考えましても、先ほど来申し上げておりますように、工業原料としてののりとか、あるいはウナギの養殖の場合のえさとか、それぞれ特殊の用途がございますけれども、百二、三十万トンのでん粉の全体の需給の中で半分以上が実は甘味資源に活用されておるということでございます。そうしますと、そこで出てまいりますブドウ糖あるいは水あめといったようなものは日本国内でいま私どもがビートあるいは甘蔗糖といったようなものの国産を保護しながら砂糖について現出いたしております一つのいわば甘いものの価格水準がございます。そういうものの一環でそういうものと全く無縁に価格を形成し得るものでないという角度が一方ございます。他面、輸入のトウモロコシから出てまいりますコーンスターチ、あるいは関税なり、その抱き合わせという手で水準を引き上げていくわけでございますが、そういった一つの価格が片一方にある。そういう両者を十分にらみ合わせて需給の状況を勘案しながらものを考えていくという角度がやはり一つ必要ではないかというふうに考えておる次第でございます。
#59
○美濃小委員 私の尋ねておるのは、もちろん裸でほうり出したとは言っていないのですね。裸でほうり出してはいないが、いま言った、たとえば片や国際競争もいろいろな観点から見なければならぬと思うけれども、しかし、置かれておる条件というものが、ガソリン消費税だとか貿易カルテルから見ると非常に不正常な生産費圧迫が加わっておるわけですね。そうすると、いま言ったように人間は欲望のかたまりですから、安いものを希望するということは人間の本能で、経済の原則ですね。しかし、高いか安いかということを検討する前に、いま言ったようにそういう不当な、不正常な、たとえば窒素肥料を中国へは二百七十万トンくらい輸出しておるでしょう。私のもらった資料では、政府資料ですけれども、それは十七ドルも安いのです。あるいは衣料品を輸出してもそうなっておるわけです。そういう関係で、入ってくるものが安いと言ったって、貿易状態から見ても外国の生産費が安くなるように日本の企業が協力して、それを国内価格にスライドして国内生産費が上がるようにしておいて、そうして高いとか安いとかそれを勘案して、片や安いものもあるのだからというものの考え方そのものがおかしい、私はこう言っておるのです。関税をかけております、あるいは政府買い上げをやっておりますと言ったって三五%の狂いがあるわけです。それはあたりまえのことであって、政策の責任を埋めておると言ったって、三五%以下の措置であれば私は不十分だと思う。それをこえておればどうなるかわかりません。まあ砂糖あたりは関税全部ひっくるめると三五%こえておりますから、確かに砂糖には若干保護があると私自身も解釈しておりますけれども、しかし、そういうことを全然加味しないで、いまのような状態でいくと農業をつぶしてしまうと思うのです。そうしてそういうことは全然裏に引っ込めて政策の表に出してこないわけですから、政策上責任があるからこれだけのことはやります、これは当然な措置なんです。ですからそういう姿勢でなしに、何かちょっと政策をやれば国内農業を保護しておるのだというような恩に着せた態度、そうしてアイデアで総合農政なんという変なアイデアを出しておるが、中身は何だといえば何にもないのです。かすみを食って生きておるわけにはいかぬわけですから。
 この価格をきめる直前ですから、他の面は他の面としてこれから論議をすればいいのです。ことしの価格を決定する腹がまえとして、そこまでやはり考えを入れて政策を考えないと、単に表面、農安法で七万トンくらいでん粉を買い上げておる、それを恩に着せてやっておる、裸でほうり出したわけではない、あなた方は私どもにこう言われても、私どもはすなおによく政策としてやっておるとその功績を認めるわけにはいきません。さっき言ったように不十分なものがあるわけですから。潜在しておる、不当に生産費が高くなるように政策をもって圧迫を加えておるわけです。ですからどんなことがあろうと――それからまた物価が上がるのも決してこれは、四十二年度で出してきて、賃金が上がるから物価が上がるとか農産物が上がるから物価が上がるとかいうけれども、これとて四十三年度のパリティの回復で――これは余談になりますけれども、これから行なう国家公務員のベースアップだって四十二年度の物価上昇の回復でしょう。賃金や農産物が先行して物価をつり上げたという例がいままでにありますか。全部一年おくれの下積みなんですから、ものの上がる原因はどこにあるかといえば、ちゃんと別のところにあるのです。無計画に紙幣を造出する、あるいはこの中から国際通貨の信用価値等の狂いをカルテルで調整する、物価が上がるという原因は、全然ほかのほうに大きな原因があるわけですから――皆さん方だって公務員でしょう、皆さん方だってその中にあって国政を十分やってくれておると私は思っておる。局長の賃金が上がる、上がることが先行して物価をつり上げた、そうではないと思うのです。賃金も農産物も全部一年おくれで下積みになっておるのです。その回復をしておるわけで、物価が上がるという原因は別のところにあるわけですから、その中からそういう問題が出てきておるのであるから、どうしてもこれはどんなことがあっても最低、やはり農業の総合パリティの上がった分は価格で回復してやらぬで、価格で政策支持をしないで、そういう不当条件を農民に押しつけて、そうして土地改良だとか生産性の向上だとか変なアイデアで農民を愚弄したら、全部国内農業というものは逐次破壊していくわけです。大豆はまず消えてなくなる、もう六%くらい、日本の唯一の繊維である亜麻繊維あたりも全然消えてなくなっておる、大豆も消えてなくなろうとしておる、でん粉もだんだんなくなるのではないですか、一年間に反別がこういうふうに減っていく。そうすると、日本の農業というのは何が残るのか。総合農政というのは、私がいま言ったそこにかなめを置かなければならぬと思うのです。全然ピントの狂った総合農政なんというアイデアは農民にはありがた迷惑です。それが農業生産を減退させていくわけです。いやしくもあなた方は農林省ですから、農林省はもっとびんとしてもらわなければならぬ。きょうのような答弁でごまかして通ろうとすることは私は許されぬと思うのです。これから価格の最後のそろばんをはじくのですから、そういう点は単に――需給事情なんかは別ですよ。こうなってきたら需給事情はわからぬわけですから、百二十万トン、五十万トンしかないのですから、農政の基本から見たら、需給事情から言ったら、基本的に国内生産が余った場合に問題が確かに出てくる。しかし減退していって輸入が増大しようとしておるのだから、需給事情からいったら高くはじかなければならぬと思うのです。どうですか。その需給事情というのは、生産を回復する方向で需給事情をあなたは私に言っておるのか。どういうことなんですか。生産を回復するほうで需給事情――価格は上がるということになりますよ。パリティは上がる。需給事情は低下したのだから、それを回復するということになったら両方とも価格を上げなければならぬ要素です。どうですか。
#60
○小暮説明員 るるお教えいただきましたけれども、価格の決定にあたっていろいろ勘案いたしますのは、需給事情ももちろんございますが、その他経済事情全般を十分参酌してということでございます。御指摘のようないろいろな角度からの判断も私ども慎重に検討いたして誤りなきを期したい、かように考えております。
 なお、イモの問題につきましては、確かに昔と事変わりまして、コーンスターチの扱いはという、非常にむずかしい要素が一本加わっております。先生の御指摘の点も私重々理解できておるつもりでございますけれども、しかしいかんせん、あれをゼロにすれば足りないはずだという形でイモの値段そのものを議論するということは不可能ではないと私思いますけれども、やはり関連するたくさんの企業なり、あるいは先ほどもちょっと触れましたように、砂糖とブドウ糖というようなかっこうで、糖価政策とも横につながりがある、やはり経済現象でございますから、縦、横に網の目のごとく相互の関連を持っております。それらの点についても十分な検討と配慮を加えながら、やはり今後において慎重に検討すべき課題ではないかと考えております。
 御了解いただきたいと思います。
#61
○美濃小委員 以上で終わります。
#62
○大野小委員長 午後一時半に再開することとし、これにて休憩いたします。
   午後零時二十二分休憩
     ――――◇―――――
   午後一時四十五分開議
#63
○大野小委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 午前の会議に引き続き質疑を続行いたします。芳賀貢君。
#64
○芳賀小委員 局長にお尋ねしますが、カンショ、バレイショ並びにカンショでん粉、バレイショでん粉の、政府が告示する価格決定の予定作業をどういうふうに組んでおるわけですか。
#65
○小暮説明員 例年できるだけ早くきめて告示してほしいという御要望がございます。そうした御要望を体しまして、何とか昨年度のタイミングまでに話をまとめたいと思って財政当局と折衝は始めておりますけれども、なかなかその需給の見方その他困難な事情もございますので、できるだけ急ぎたいと思いますが、そういう状況でございます。
#66
○芳賀小委員 農安法の政令による期日は十月二十日ですが、昨年の場合には十月九日に決定して告示しているわけですね。それから一昨年は十月の七日告示ということになっておるわけです。ですから、特別の事情がなければ、昨年あるいは一昨年の例を見ても少なくても九日――九日はちょうど農林委員会のある日なんですよ。小委員長におかれても、きょうの六日、第二回が八日ということも、大体過去の二年間の決定日を考慮に入れて当小委員会を開かれておるわけですが、それがおよそのめどがつかぬと、おそくとも二十日にはきまるということじゃ、ちょっとたよりにならぬですけれどもね。だから、昨年と同様であれば、九日までにきめるならきめる、もう少しそういう点をきちっと説明してもらいたい。
#67
○小暮説明員 二十日までにきめればいいといったような考え方ではございません。できるだけ昨年と同様のテンポで話を進めたいというふうに念願いたしておりますが、多少相手のあることでございますので、ただ本日の段階で九日には何とかなるだろうというふうに申し上げるわけにまいらないだろうということでございます。
#68
○芳賀小委員 そこで価格決定に必要な、たとえば収穫量の確認にしても、バレイショの場合は十月の九日に実収高の公表をやるということになっておるわけですから、それが必要であるということになれば九日ということになるのですね。それともカンショと同じように予想収穫高でいくということになれば、八月十五日の予想収穫高は公表されて資料としてもすでに配付されておるのですから、その点はどういうふうに扱うわけですか。
#69
○小暮説明員 可能な限り新しい資料を参考にして判断したがよろしいと思いますけれども、しかし価格決定のためには、過去の例で見ましても、必ずしも実収高がなければきめられないということではございません。しかし、実際にいろいろ議論してまいりまして、許されます範囲内でできるだけ新しいデータを見たいというふうに思います。
#70
○芳賀小委員 次は農業パリティ関係ですが、八月パリティは明白になったのですか。
#71
○小暮説明員 八月パリティは明らかになっております。
#72
○芳賀小委員 じゃ、パリティの関係は材料はそろったわけですね。
#73
○小暮説明員 八月までの数字を使うということでございますので、パリティ関係の数字は整っております。
#74
○芳賀小委員 そうすると、附録第一、附録第二の関係は、必要な要素というものは全部そろったと見て差しつかえないですか。
#75
○小暮説明員 例年、この価格を検討いたします際に必要とする最小限度の数字は大体整っております。ただ、午前中申し上げましたように、需給の推算といったようなものにつきましては、例年にも増して実はいろいろ判断を要する要素がございます。そういった点についての見解の統一と申しますか、かなり手間どっておるというようなことがございます。
#76
○芳賀小委員 その点はあと回しにして、従来四十一年から毎年問題になっておりますこの附録第一によるところのいわゆるパリティの基準価格算定の方法に誤りがあるということで、昨年、一昨年も相当議論をしておる。これはまだ明快な解決ができないで今日に至っておるわけですから。結局、当時の大口食糧庁長官、去年は池田局長、ことしはあなたで、これは三代目ということになるわけだから、まあ三年まてば、相当頭の悪い子供でも宿題に答えは出すわけだから、ことしはこの点について、従来の懸案事項をどうするかということに対して明快にしてもらいたいと思う。
#77
○小暮説明員 附録第一の算式の問題につきまして、当委員会を通じてこれまでに御議論のございました点につきましては前任者からも十分承っております。その問題をどのように判断するかということもあわせて目下財政当局と議論をしておるところでございます。
#78
○芳賀小委員 きょうは財政当局じゃないですからね、国会のわれわれと議論をするのにあなたは来ておるのでしょう。昨年の場合は、この政令改正を行なうという形でなくて、そうしてパリティの欠陥については若干の修正を行なったわけですね。それはあなたもわかっておると思うのです。局長も課長もみんなかわっちゃったから――経過はわかっておるでしょう。ですからそれを基礎にして、ことしはもう少し筋道の立ったパリティの用い方をするというのは、これは当然だと思うのです。だから、昨年より後退しない姿勢でどうするかということについて、できるだけ率直に言ってもらわぬと、閉会中にわざわざ小委員会を開いておるのですからね。
#79
○小暮説明員 ただいま申し上げましたように、附録第一の算式をめぐってのこれまでの御議論がございますので、それをことしの価格の決定上どういうように取り扱うかということにつきましては、昨年のことももちろん一つの事実として念頭に置きながら議論いたしておるわけでございます。しかしながら、この問題をめぐりましては、いろいろ政府部内にも議論のあるところでございますので、なお十分検討いたしたいと考えておるところでございます。
#80
○芳賀小委員 そう慎重にかまえる必要はないんじゃないですか。何も取って食うといったわけじゃないんだから。去年は、附録第一の場合、これは政令に書いてあるとおりにやれば、パリティの上昇率は一・〇九ということになっていたのです。約一・一%ですね。毎年の農業パリティの上昇率というものは過去三年ないし四年、大体前年度に比較すると五%程度上昇しておるわけです。それを、このカンショ、バレイショの価格算定に使うパリティ算式というものは、パリティの目的に全く反したような用い方をしておるわけです。だから年率五%も上がっておるのに対して、一・一程度の低い率にいつも置かれておるわけです。この点は、昨年も池田局長はそれは認めておるのですよ。ただ、いきなり政令改正までに持ち込むということについては、若干決断に欠けるところもあるということで、しかし、それにかわった修正は加えておるわけです。去年は大体三・二%くらいの上昇率をとっておるのじゃないですか、附録第一の関係は。
#81
○小島説明員 昨年は三%弱のパリティ上昇率を採用いたしております。
#82
○芳賀小委員 それは、政令の附録第一算式にはそういうことはうたってないのですよね。しかし、去年は確かに一歩前進だと思うのですよ、そういう欠陥を是正する努力を事務当局がやったわけですからね。そうなれば、それを踏み台にしてことしは根本的に解決するというのが当然じゃないですか。これは法律事項じゃないですからね。政府が法律に反した政令をつくったわけだから、そこに誤りがあれば、閣議で政令の改正をやれば、これは簡単にできるわけなんです。ことしはどういうふうにやるかということをここではっきりしてもらわぬと、事務当局の折衝とはこれは違うでしょう。
#83
○小暮説明員 御承知のように、政令では、「価格決定年の前年の九月から価格決定年の農林大臣の定める月までの各月の農業パリティ指数」を平均するというのが計算の方式として示してございます。この方式に即して計算をいたしますにあたって、昨年の御議論を十分念頭に置いて研究したい、こういうことでございます。
#84
○芳賀小委員 だから、また去年程度の修正でやるのか、あるいはもう少し前進したやり方でやるのかですね。それはどうなんですか。
#85
○小暮説明員 その点を含めて目下検討中でございます。
#86
○芳賀小委員 これは局長、いまに始まる問題じゃないですよ。もう去年の価格がきまれば、ことしのいまごろきまるということは、これはわかっておるのですからね。もう一日か二日前に迫っておるのに、何もかもそういうものを含めて検討、検討、これは何もやってないということにもなるんじゃないですか。じゃ、一年間いままで何もやらなかったのですか、きょうから始めるというわけですか。
#87
○小暮説明員 価格の決定にあたりましての勘案すべきたくさんの項目の中の一つでございますので、これにつきましては、常時検討を加えておるところでございます。
#88
○芳賀小委員 ことしの三月にてん菜糖の原料であるてん菜の価格決定を行なう前に委員会で審議をしたことがあるわけです。その際、あなたの園芸局から資料が提出されて、その中には、農業パリティ指数が三十八年度から四十四年度にわたって記載されておるわけです。それからまた、ことしの米価決定にあたっても、委員会あるいは米価審議会に資料が出ておるわけで、こういうことは、私が特に指摘しなくても、事務当局がよくわかるわけです。たとえば昭和四十年から四十三年までの各年において、前年度に比較してパリティ指数が総合でどうなっているかということは、これはもう農林省提出の資料に明らかになっておるわけです。たとえば昭和四十年は前年度に比較して五・一六パリティが上がっておるわけですね。これは総合パリティですよ。四十一年は前年対比が五・七一、四十二年は前年対比が四・八三、四十三年は前年対比が五・二九ということになっておるわけですけれども、少なくとも毎年のパリティ指数が前年に比較してどの程度上昇しておるかということは、大体五%台ですよ。これは明らかになっておるわけです。ですから、いも、でん粉にしても、毎年度毎年度これは決定するわけですからして、パリティを反映させるということになれば、前年度の価格をことし決定する場合には基準価格として、それから一年間のパリティの動向というものが前年度に対してどれだけ上昇したかということが正しく反映できなければ、これはパリティによるところの基準価格ということにはならぬと思うのですよ。それが一・一%とか一・三%ということで四十一年、二年はやってきたわけですね。毎年議論して、去年はようやく実質三%程度のところまでいったわけだから。だから、ことしは、まじめに考えれば、前年度に対しての年率の上昇というものがパリティのいわゆる基準価格に正しく反映できるというのは当然なことなんですよ。これに対して議論があるということはないと思うのですね。もしそういう点に疑問を持つような役人がいれば、きょうでも八日の日でもいいですから、ここへ来てもらって、十分認識を改めぬと、農林省の中堅幹部が、一体農業パリティというものは何であって、それを価格に使うときにはどうするかということがわからぬようじゃ、たよりにならぬですからね。農政が順調にいっているときはいいですよ。危機に当面しておるということで、そういう欠陥を擁護するような方向があるとすれば、重大問題ですから。小暮さんはそういう考えはないと思うのですよ。たとえばビートの価格決定についても、前年度の七千二百六十円の基準価格を七千五百円とあなたはきめたでしょう。ことしのバレイショでん粉の買い上げにしても、二月三万トン、三月四万トンで、七万トンの買い上げ、これはあなたになってからきめたわけです。八月末も指定生産者団体である全販連に対して三万トンの凍結保管を指示したのもあなたでしょう。残り三万五千トンについては九月以降メーカー側に対して抱き合わせ方式で早期引き取りをやらしたのもあなたですからね。そこまではいいのですよ。だから、その調子でことしのいも、でん粉の価格を決定するということになれば、そう足踏みする必要はないと思う。そうじゃないですか。
#89
○小暮説明員 先ほど政府がどうも法律の趣旨に合わないと申しますか、あるいは間違った政令をつくっておるということがございましたけれども、いろいろこれは見解の分かれるところであろうかと思いますが、農業パリティ指数の取り扱いにつきまして、ただいまの法律で、政令の定めるところにより農業パリティ指数で算出した価格、これを基準とし、その他のいろいろな算出方法もございましょうけれども、議論の場合には、政令の定めるところにより農業パリティ指数に基づき算出した価格というものを基準にしろ、こういうことになっておるわけです。その政令の定めは先ほど申したようなことでございます。これが法律の趣旨を取り違えたものなのかどうかという点につきましては、いろいろ議論のあるところでございますということを申し上げたのでございまして、その点について、なお十分意見を交換して検討してみたいということでございます。
#90
○芳賀小委員 四十一年に、農安法、これは委員会で改正したわけですからね。あなた方が熱意をもって改正したのじゃないですよ。法律は委員会が改正したが、政令は政府にまかしてあるわけだから、政府が出した法律改正であればその趣旨を生かして政令をつくるということもあるいはあり得るかもしれぬが、あの当時は政府の希望しない改正を委員会でやったわけですから。しかし、国会というところは、立法府であるが、政令までつくるところじゃないですからね。政令は、たまたまこれは政府が閣議決定できめるということになっておるわけですから、議員立法軽視という形でああいう間違った政令が出たわけなんで、それでは四十一年から毎年、いまの農安法の附録算式によるところのパリティの上昇は、前年度に比較してどうなっているのですか。農林省が公表しているあたりまえの当然のパリティ指数の変化は、いま私が言ったとおりですね。いまの計算に用いた毎年のパリティの上昇率が前年度対比どうなったかということをこの際明確にしておいてもらいたい。昭和四十年からです。
#91
○小島説明員 四十年産は、御承知のように、必ずしもパリティに基づきます価格が基準となっておったわけではございませんけれども、当時計算いたしましたものといたしましては、前年の九月から八月までを分母といたしまして、価格決定年の八月を分子といたしまして、一〇六・四という数字になっております。四十一年産につきましては、一〇二・七七という数字でございます。四十二年産は一〇一・六九でございます。四十三年産は、先ほど三%弱と申し上げましたが、一〇二・九〇ということになっております。
#92
○芳賀小委員 昭和四十年は旧農安法時代ですからね。これはパリティの場合は過去三年間の平均パリティですからね。基準価格も、過去三年平均の価格に三年平均パリティを乗じた指数ということでやっておるわけだから。これはいも、でん粉以外にも用いているところです。だから、農林省の四十年が前年に比べて五・一六、これは一月―十二月の平均ですから、イモ年度の九月から始まって翌年八月までのものと、同じ一年にしても若干違うのは、これはふしぎではないわけですね。
 とにかく、その一―十二月の四十年の平均の五・一六に対して、イモの場合は六・四だから、これはもう別にふしぎはないですね。ところが、四十一年から今度は新しい農安法に入って、この附録の算式が変わってきたとたんに、普通でいけば五・七一であるべきものが今度は二・七七でしょう。そうじゃないですか。いま小島課長の言ったのはそうじゃないですか。比較すればですね。四十二年は、これはあたりまえにいけば四・八三というのが、一・六九ですからね。四十三年は、これは最初の附録第一どおりの計算でいくと五・二九の正当な指数に対して、一・〇九ぐらいにしかならなかったのですよ。それを池田局長の時代に相当苦心して、いま言われたとおり、一〇二・九〇ということになったと思うのですけれども、こういうふうに大きく変わっていくと――それでは、一体法律の中で、そのパリティ価格を基礎にして、あと附録第二等で勘案するというわけだから、あくまでもたてまえはパリティによる価格が中心になる。中心になる価格をきめる場合、一%と五%じゃずいぶん違うのです。だから、議員立法の法律だから仕返しのために政令は何をつくってもかまわぬというわけじゃないでしょう。いまだにそういう思想が残っておるとすれば、これは問題ですから、八日には長谷川農林大臣に来てもらって、一体いまの農林省の幹部というのは議員立法に対してはあくまで抵抗するという考えでやっているかどうか、これは明らかにしてもらわなければならぬ。
#93
○小暮説明員 議員立法であるから、あるいは政府提案の法律であるからということで、政令のきめ方なり、あるいは価格政策の運用なりを左右するような考え方は、少なくとも私には全くございません。そのことよりは、先ほどもいろいろ議論のあり得るところだと申し上げ、あるいは全く誤った政令であるかどうか、その点についてはなお少し考えさしていただきたいという趣旨のことを申し上げたのは、これはあるいはお耳ざわりかもしれませんけれども、私率直に考えたとおりを申し上げますと、農産物の価格安定ということで、米麦に次ぐ重要農産物、特にイモについていま御承知のような一つの制度をもって支持いたしておるわけでございます。やはり一つの価格の支持の仕組みである、政府が直接イモを買い上げあるいはでん粉を買い上げて、それに価格差補給をして処理するという仕組みはとっておりません。イモ並びにそれから生産されますでん粉ができるだけうまく流通することをこいねがいながら、これを価格政策でできるだけ、いわば下限を支持していく、こういう考え方でございますために、しかもこのイモがイモ自体としてどんどん、たとえば野菜用に、直接消費者に消費されるというようなものでございますとまた考え方が別かと思います。一つの加工業形態を通じてさらに次の加工へ向かうための二次製品をつくるというような形で、その面から需要を確実に確保してまいりたいというような問題もございます。
 そこで価格支持のためにどのような程度まで下限を押えたらよろしいかということにつきましては、そのものの生産、流通、消費の姿を通じていろいろな見解があり得るのではないか、いずれを正しいとするかはよく議論しなければ軽率にはきめられませんけれども、しかしいろいろな見解があり得るのではないかということを申し上げたかっただけでございます。
#94
○芳賀小委員 いまあなたの言う価格に対する勘案ということになれば、これは特に農林大臣が価格決定上勘案できるということになっている。いままでは、去年も一昨年もマイナスの勘案はしなかったと思うのです。しかし、ことしの米価に見るように、食管法の中に今度は需給事情を持ち込んで据え置きなんというむちゃなことをやり出したから、ことしの場合にはむしろ農林大臣の勘案で下げる考えがあるいはあるかもしれぬと思うのです。しかしパリティというものは神聖なものですから、この中で勘案するということになるとなにもパリティの必要はもうないのです。附録第一もなくしてしまってつかみでやるとか、大臣の勘案事項を中心にしてやるとかということをやればいいわけです。旧農安法の場合には需給均衡価格でいったわけだから、そこに問題があるということで法律の改正をしたわけですから、法律に、農業パリティの動向を正しく反映して基準価格を定めて、それに諸般の勘案を加えるということになっておることはもうだれでもわかっておるわけなんです。一番大事な基礎になるパリティ指数をかってに手かげんするというようなやり方は邪道ですよ。据え置くとか下げるというのであれば、もっと別な形で理由をつけてやるのであればまだ議論の余地があるが、神聖なパリティをかってに手かげんして、これで間違いないなんという議論は成り立たぬ。あなたの時代にこの政令ができたわけじゃないから、間違ったものを忠実に踏襲する必要はないでしょう。去年だって池田前局長は、これは問題がある、十分再検討の必要があるということを正直に言っているわけですから、それを今度はあなたが政治性を加えて逆戻りさせるようなことはよろしくないですよ。そこらをもう少し姿勢を正してもらいたい。
#95
○小暮説明員 御了承いただきたいと思いますが、私はものごとを悪いほうへ巻き戻すような意図もございませんし、そういった力もございません。そういうことでなくて、価格政策のあり方を私どもなりに一生懸命考えます際に、確かに農林省がやっております幾つかの農産物、それも特に今日の場合むしろ原料農産物に限ったほうがよろしいかと思いますが、途中に加工段階を経るような、そういうものについてやっております間でも、いろいろなこまかい点は実は横並べで同じではございません。しかし、それにはそれなりに、それぞれのものの値段をきめてまいりました過去の経緯なり、あるいはそういうものを考えますときに連続性という問題もあっただろうと思います。ある工業原材料でございますから、原料が高ければ高いほどよいと思う直接生産者と、これを加工して、先ほど申しましたように需要を確実につかんでいきたいという加工段階の人たち、さらにそれを第二次原料として最終商品をつくるような人たち、みんなが相集まってイモならイモの需要というものを安定させ拡大していくという願いがこもっておるだろうと思います。そういう角度から、ものに即してそれぞれいろいろと値段のきめ方と申しますか、どうしても高いほうがいいというものと安いほうがいいというものと利害が錯綜するものを、いわばなるべく公正妥当に定める仕事でございますので、先ほど御指摘のように、農林大臣が最後に鉛筆をなめてきめればいいと言われたら、ほんとうに私どもは困るのでございます。やはり幾つかの客観的な基準を求めまして、それをよりどころにしながら各種の勘案事項を御相談する、こういうことが本旨ではないか。その場合の基準とすべきものについての考え方は、先ほど申しましたように、政令である程度ワクがしぼってございます。それを踏み出すようなことはできません。その中でいろいろ判断する余地はあるのではないか。しかし、それはどこまでも基準でございますので、政令でなるべくわかりやすくこれが限ってあったほうが適当ではないかというふうに考えます。現在の政令が御指摘のように全く間違ったものであるかどうかという点につきましては、私としてはまだそのように割り切ってはおりません。この問題につきましてはいろいろなお検討いたしたいと考えておるわけでございます。
#96
○芳賀小委員 それではこの問題は、明後日の八日に第二回の小委員会がありますので、それまで十分検討して、その結果をまた小委員会で明らかにしてもらいたいと思います。
 次に、これは価格決定上当然一番問題になるわけですが、四十四年の新しいイモ年度における需給見通しというのはまだ明確にはなっていないわけです。これは毎年の価格決定前の委員会においては、いままでは新しいイモ年度の需給見通しというものは、これは資料を出して説明が行なわれたわけなんですが、ことしはそれができないというのはどういうわけなんですか。
#97
○小島説明員 お答えいたします。
 お配りしてあります資料の中に、四十四でん粉年度の需給推算が入っていないという点につきましては、昨年も実は非常に大まかな推定として入れたわけでございますが、その後におきましてかなり生産のほうが大きくふくれ上がってきたということから、結果的には相当大きな狂いを生じてきておるわけでございます。したがいまして、でん粉の生産量のいまだ確定的な見通しが立たない現段階におきまして、印刷されました資料としてお出しするのはいかがかということでことしは入れていないわけでございますが、午前中にも局長からおおよその説明は申し上げたわけでございます。
#98
○芳賀小委員 そうしますと、ことしのでん粉価格については、需給見通しというものを持たないできめるということですね。
#99
○小島説明員 先生も御承知のように、たとえば附録第二式等におきましては、生産の見通しがどうなるかということが一つの価格決定の要素になってまいりますので、そういう必要な範囲におきましてはそれなりの需給というものを見通さなければならないわけでございますが、でん粉それ自体の確定的な需給見通しというものは現段階では立たないということで御遠慮申し上げておるわけでございます。
#100
○芳賀小委員 しかし大体わかっているのじゃないですか。九月の十日の当委員会において山下参事官が八月十五日現在のバレイショの作付状況を報告して、あの作況を基礎にすれば、四十四年度のバレイショでん粉の出回りはおおよそ二十二万トンないし二十三万トン程度と思うということを言っておるわけですからね。そうなれば、一カ月前に委員会においておおよその見通しを言っておるわけですからね。それが昨年のように実収の結果とか最終的な実績が大きく狂うような年もありますけれども、ことしの場合には、そういう大きな変化はもうないと思います。しかし、自民党政府のやる計画見通しというものは、五カ年計画を立てても二年くらいしか続かないですからね。もうきちっとした計画経済に基づく見通しというようなことをわれわれは言っておるわけではないですからね。しかし、価格決定にあたって、大体ことしのカンショ、バレイショの生産数量あるいはまたそれを基礎にしたでん粉の生産及び出回り見込みというものは毎年やっているわけですからね。あとで少しくらい狂ったって、けしからぬじゃないかと指摘したことは一度もないのですからね。自民党政府の体質から見て、そういうイモでん粉だけ確実な計画とか見通しができるはずがないですからね。しかし、価格決定にあたっては、おおよその見通しとか推算というものがなければ、これは附録第二にしても小島課長の言われたとおり計算ができないでしょう。だから、現段階における農林省の四十四イモ年度における見通しはこうだという程度のことは説明をしてもいいじゃないですか。
#101
○小暮説明員 午前中に他の委員の御質問に関連して申し上げたのですけれども、昨年が御承知のように非常に豊作でございまして、かなり見込みと異なる実績が出てまいった。これは昨年だけの特殊事情だというふうに思ってもよろしいかと思いますけれども、事が価格並びに需給の問題に非常に密接にからむ問題でございますので、ことし特にない知恵をしぼって、できるだけ現実に即した需給の見通しを考えてみたい。これはしからばいかなる機関のどういう調査に基づいてというふうにいわれますと、正式には何も昨年と違った新しいものがあるわけではございませんけれども、関係の方々がいろいろにおっしゃるあらゆる情報をできるだけよく聞きまして、可能な限り価格決定の段階において私どもとしての見通しを立てたいというふうに思っております。山下参事官がだいぶ前に委員会の席で申し上げたのは、まさにあの時点における大ざっぱな見通しでもいいから言えということで申し上げたはずでございます。あの数字に必ずしもこだわるつもりはございません。午前中たしか、私二十二、三万トンというようなことがいまのところ念頭にございますが、なおもうしばらく様子を見たいというふうに申し上げたつもりでございます。
#102
○芳賀小委員 それではこれも明後日の小委員会までに、大体のものでいいですから、その時点においてできるだけ確実と認められるようなものを出してもらえばいいと思います。
 そこで四十四年のでん粉年度で一番問題になるのは、昨年の実績からいうと、イモ類の豊作もあって、単年度で見ると、約十万トン程度国産でん粉の過剰傾向があらわれているわけですね。その中身は、七万トンの買い上げとか三万トンの凍結保管だけとっても十万トンだからそれはわかりますが、ただ来年度の場合、百二十万トン台以上に消費が伸びないということになれば、そのワク内でやればできるだけ均衡のとれた供給体制というものを考える必要がある。ですからその場合、コンスを重点にして、コンスの年間供給量というものを先に固めて、あと不足分を国産のカンでん、バでんで補完するというような政策に今後いくのか、国産でん粉に対して、特にこの時代に急激な生産拡大をしろとは言いませんが、国内で生産されたカンショでん粉、バレイショでん粉の供給力というものを基礎にして、そして需要の動向とにらみ合わせて、不足する分については、これは当然コンスあるいはその他のでん粉でまかなうという考えが、これが一番大事な点なわけですが、この点について明確にしてもらいたい。
#103
○小暮説明員 コーンスターチと国産でん粉との関連は、御指摘のように今後のイモ対策を考える場合に非常にキーポイントになる点だと思います。これを農業保護の立場から明快に割り切ることができれば、イモ問題の課題の半分以上は解けたということではないかと私は思います。ただその際に、そう遠くない過去には、原因は別としまして、日本ででん粉が不足するという事態が現実にございましたし、その時期に外国産のトウモロコシが値下がりをして、これを原料としてでん粉をつくれば十分引き合うという事実がございました。わずかの期間に、製造能力にして百万トン前後のコーンスターチ企業ができ上がってしまったという事実はございます。そのことのよしあしは別といたしまして、そのときには日本の国産のでん粉で、でん粉の需給が間に合わないという事実があったわけです。その間隙を縫ってそういう企業ができた、これはやはり同じ日本の企業でございます。この百万トンの設備能力を持つコーンスターチ企業を今後どうするかということは、イモ作保護の問題もさることながら、やはり一つの経済の問題として政府がこれについて考えなければならない要素を持っておると思います。そういう事実は、これは理屈でございませんで、過去の事実からそういうものが一つの問題の背景としてございますので、それを現状ではおおむね五十万トン程度の生産に関税率等を使って押え込んでおる。できてしまった能力の半分くらいのところにその消費を押え込んでおるという事実はございます。そのこと自身は、私どもはコンスを押えておるというふうに理解いたしておりますが、イモ作の立場からは五十万トンもコンスをつくらしておるというふうにいわれる向きもあると思うのです。そこがこの問題非常にむずかしいところでございます。私どもとしては、このコンスをやはり現状において政府が押え込んでおるというふうに理解しておりますということを申し上げておきたいと思います。
#104
○芳賀小委員 どうも歯切れが悪いですね。いいですか。四十一年のコンスの出回りは三十七万トン、四十二年が五十二万トンで、昨年が五十一万トンということになっておるんですね。そのほか輸入ものとしては外でんの二万トンが四十三年度はありますが。だから、たとえばいまの局長の説明から言うと、昨年のコンスの五十一万トン、これを縮小することはできないということを言いたかったと思うのです。それは四十二年から見れば一万トン、政策努力でむしろ圧縮しておるではないかということも言いたかったと思うが、それでは一歩譲って、四十四年度のコンスの供給量を五十一万トンに据え置くということになれば、来年の一年間の消費量が百二十万トンを割るようなことはないでしょう。そうなれば、結局若干の外でんあるいは小麦でん粉等を入れましても、カンでんとバでんとどのくらいの数量が要るかということは出てくると思うのですよ。そうじゃないですか。だから、私の聞いておるのは、これからのでん粉に対する政策として、従来、いままではこれは国内生産というものを重点に置いて少なくとも自給度を確保することはやってきたと思うのですよ。いまの政府のやり方は、米に一例を見ても、先般の農政審議会の答申の内容を見ても、米を中心にして国内の農業生産というものは縮小の方向に持っていくということを露骨に打ち出しておるわけだから、そうなれば、イモでん粉といえども例外ではないという考えがいまの自民党政府また皆さんの気持ちの中にあると思うのですね。ですから、今後はコンスを中心とした輸入のでん粉でまず供給を確保して、それに不足する分だけを補完的に国内のイモでん粉で補充するという考えに切りかえるのかどうかということを聞いておるのです。切りかえないということであれば、従来どおり国産のイモでん粉というものをまず――これは当然国の政策をやる場合に、自分の国でとれた農産物はあと回しというばかな国はないですからね。だんだん減ってはおるけれども、国内で生産されたイモ類でん粉を中心にして、まずこれを優先的に供給して、そうして不足する分についてはコンス等によってこれを充足する、こういうことでいくのか、これが一番大事な点ですからね。これだけは検討してというわけにいかぬですよ。いま考えておる点を明確にしてください。
#105
○小暮説明員 とにかくただいまのトウモロコシの国際価格と日本国内でのイモの支持価格水準というものから考えれば、もし政府がコーンスターチをもってまずでん粉の需要をまかない、足らざる部分をイモでん粉でというような態度で出ましたら、国内は全部コーンスターチで制圧されてしまうことは明かだと思います。そういうことをいたさないために、コーンスターチの製造能力が百万トンあっても、私どもはそれを五十万トン程度の操業に押え込んでイモ対策をやっておるというのが実情でございますから、その意味においては、御指摘の点についてのお答えは事実で示されておるというふうに思います。
 ただ、そのようなコーンスターチ企業を何も農業政策が好んで育成したわけではない。国内でイモでん粉が短期的に足りなかった時期があり、たまたまその時期にコーンスターチの技術のほうのめどもつき、トウモロコシの値段も下がったということから、わずか一両年の間に爆発的にコーンスターチ企業が国内にできてしまった。それを急遽、かきの中に追い込んで押え込んだという歴史的事実がある。そういたしますと、そのものをイモのために、たとえばいま百万トンの操業能力に対して五十万トンの製造しか認めていないものを、さらに三十万トンに減らし、二十万トンに減らし、十万トンに減らすという議論は実際問題としてできないのではないか。やはりそれを一応現状維持のところに押え込んでおるところがものごとのバランスであって、それを一つの与件として国産のイモでん粉の円満な需要の確保と流通をはかってまいりたい、このように考えておる次第でございます。
#106
○芳賀小委員 いま局長言われましたが、爆発的に急にコンスの大増産になった、それはうそですよ。あなたはまだ青年時代かもしらぬが、ずっと前に斎藤誠君が食糧庁長官をやったことがある。彼の時代は、コンスが二万トンぐらいしか生産されていなかったですよ。将来これは一体どうなるのだという、コンス企業に対する見通しを当委員会においてはしばしば指摘したことがあるわけですが、その当時は、農林省は全く安易な考えで、いや、これはたいしたことはありません、しかし需給の動向から見ると、どうも国産でん粉が不足ぎみであるので、そういう補完的な意味である程度コンス企業というものを育成する必要があるということをいっておったわけです。ところが、その後、ちょうど倍、倍にふえているのですからね。二万トンが四万トン、四万トンが八万トンになり、ガマの油を売ると同じですよ。ですから、その発足時代における農林省の判断が甘過ぎたというのと、農林省がそういう国内の競合性のある農産物の食品加工等に対して明確な指導をしなかったところに最大の欠点があるわけですから、何も国民的な要請でコンスの企業が百万トン規模になったんじゃないですよ。安い原料トウモロコシを入れてでん粉を製造すれば、国産でん粉よりも非常に割り安で市場に出されてくる。そうなれば、カンショでん粉やバレイショでん粉を原料に用いるよりも企業としては利潤が十分追求できる、そういう点からコンスが伸びてきたわけですからね。だから、私の言っているのは、この五十一万トンを急激に来年は四十万トンにしろとか三十万トンにしろと言っているのではないのですよ。来年度においても少なくとも百二十万トン程度のでん粉の需要というものはあるのですから、その場合、一体、コンスを重点にして、国内でん粉を補完的な立場に置きかえる政策を進めるのか、従来同様に、国内の農産物を中心にして、不足する分は外国から原料を入れて、それによって国民の要求を満たすのかということを聞いておるわけだから、前者か後者かということを言ってもらえばいいのですよ。そうじゃないですか。わからぬければわからぬでもいいですよ。
#107
○小暮説明員 急にコンスを解き放すつもりはございませんから、その意味では従来どおりだと考えております。
#108
○芳賀小委員 それでは四十三年の実績の五十一万トン、大体五十万トンですね。来年の需給計画の場合には、コンスの供給をそれでは五十万トン程度ということで農林省としては需給計画を立てるというように理解していいですか。
#109
○小暮説明員 需給計画は、先ほど申しましたようにまだできておりませんので、ここで数量を確定して申し上げることはむしろ差しさわりがあると思いますが、先ほどから申しましたように、コンスの量については従来の考え方を踏襲せざるを得ないと思っております。大幅に動くことはないと思います。
#110
○芳賀小委員 その基礎は大体わかりましたから、それでは来年度カンでんの出回り予測はどう見ているのですか。原料カンショは昨年よりもまた相当減産ということになっておるわけですけれども、そうなれば四十三年度の三十六万七千トンということはこれは期待が持てないと思うのです。これはどのくらいに見ておるわけですか。
#111
○小島説明員 四十四年度のカンデンの生産量といたしましては、大体三十五万トン程度ではないかというふうに見ております。
#112
○芳賀小委員 そうするとバでんについては、山下参事官の説によると二十二万トンないし二十三万トン、小暮局長の説によると二十三万トンないし二十四万トンですね。一番大きな数字をとって二十四万トンとしても、カンでん、バでん合わして六十万トンに至らぬですね、これは。そうじゃないですか。そうなればコンスが五十万トンということであっても、これは合わして百十万トンですね。あと小麦粉でん粉とか外でん輸入というものを考えても、コンスを大体五十万で押えていくという行政的な努力を行なえばそれほど心配はないということになると思うが、どうですか。
#113
○小暮説明員 数字はいま先生のおっしゃったものとほぼ同じように私ども理解しております。ただこれには、いまイモ年度の最後の始未のところで、政府が七万トン買い上げており、それから全国団体が三万トン調整保管をしておりますほかに、若干のものを関連業界に引き取らしたというような事実もございまして、それで現行のイモ年度は一応終わりますから、そのことが次のイモ年度にやはり直接間接に若干の影響はあるだろう。しかしそれも、今後作柄その他も動きましょうし、経済自体ももちろん生きものでございますから、その中を縫いながら可能な限り努力をしてうまくさばいていきたいというように思いますが、そういうやや重若しい要素がその中にくっついているということを現実認識としては持っております。
#114
○芳賀小委員 ですから、そういう凍結した在庫があるわけですから、それを国の負担で何年も、あるいは永久に金利、倉敷を払って保管するというのもたいへんですし、またわれわれ農協としても困るのですよ。でん粉は十年置いても品質が変わらぬですから、その点は米と違って古米とか古古米とか非難を受ける必要はないですけれども、とにかく保管するほうでも迷惑と言えば語弊があるが、いつまでも抱いておくというのはお互いにあまり喜ばしい現象ではないですが、いわゆる自由化政策がこれは巻き起こした現象ですから、需要は百二十万トンもあって国内の供給がどんどん後退していくわけですから、昭和三十年前後は、農安法が二十八年にできた当時は国産でん粉だけで過剰傾向になったので、それを法律で有効に運営するためにこれはできた法律ですから、その当時から見ると全く状況が変わってきておるわけですから、結局でき得る限り、コンスの操業能力は百万トンあるとしても、五十万なら五十万にこれを押える行政努力というのはやはりやってもらって、そうして傾向としてはカンショでん粉もバレイショでん粉も、十年に一度というような豊作のときは別ですけれども、趨勢としてはやはり生産減少のほうに向いておると思うのですよ。ですから凍結分に対しても、昭和三十年ごろのようにカンでんだけで十三万トン持ったとか、バでんが三万五千トンというような、そういうことが繰り返して起こるということは考えられないので、こういう点については相当確信を持って運営してもらいたいと思うのですが、そういう点はどうですか。
#115
○小暮説明員 コンスのほうにも特定の業種にはかなり原料難があって困っておる面もあるやに聞いております。しかし日本経済全体として困るのだということで、関係の業界にも、私ども会うたびに口をすっぱくしてお願いしまして、いろいろ問題はあろうが、何とかいまの五十一、二万トンのワクの中でやっていただきたいということで説明しております。大かたの方は御了解いただいておると思います。ただ、やはりほんとうに経済は非常に具体的な問題になるわけでございますから、段ボール業界のように、一ころ生産調整をしておったところが、業界が非常に立ち直ってきた。そこで急激に段ボールの需要が伸びて製造をどんどんふやしたいというときに、結局日本にはどこかにカンショでん粉とバレイショでん粉が余っておるはずだといってみても、企業の実態としては使いなれたコーンスターチを使ってつくりましたのりが、その工場の機械設備あるいは労働の事情等にマッチしているわけでございますから、そういう意味で、できるだけコンスがほしいというようなことを言ってまいり、あるいは輸出の繊維関係の人たちが国際市場で輸出という形で他国の商品と戦う場合、大部分の国もコーンスターチからつくった特殊ののりを使っておりますから、自分たちも使いたいのだということからそういうようなことを言ってくるというようなことで、コーンスターチの実需者のほうでは、いまの五十万トン程度という私どものやり方に対して、非常に強い不満があるということは事実です。こういう人たちにいろいろ御納得いただかなければならないということで、かなり苦しい局面はあろうかと思いますけれども、私どもとしてはできるだけ耕作保護の趣旨を理解してもらって、関連の業界にも納得してもらいたいという姿勢で今後も臨むつもりでございます。
 それから政府の手持ちのでん粉あるいは団体が調整保管しておりますでん粉につきましては、先ほども申しましたように、また先生からも御指摘ございましたように、関係者と十分打ち合わせながら可能な限り適期をつかんでこれを処理していきたいというふうに考えております。
#116
○芳賀小委員 そこでこの際、輸入でん粉は今度自由化するということにしたわけですか。きょうから日米貿易交渉が始まり、農林省としてはいままでの非自由化品目のうち二十五品目だけを自由化に回すというふうに決定をしたということが出ておりました。その中に、でん粉が入っておるように記憶しておるのですが、それはどうなんですか。
#117
○小暮説明員 でん粉質ということでございますと、いろいろ検討の素材にのぼっておるものがございます。はっきり申し上げると、でん粉が熱を加えられて固化してしまったもの、そういうものが検討の素材にのぼっているものが一つございまして、新聞などにちらちら誤り伝えられるものですから、関係の向きは御心配なさる向きはあるかと思います。しかしいわゆるでん粉質そのもの、これを自由化する考えは現在ございません。
#118
○芳賀小委員 それでは、これは今後の根本対策に関係ある問題ですが、いまのコンスの原料トウモロコシはAA制で、関税面ではTQ制でやっておるわけですが、この点についても、昨年運営上再検討する必要があるのではないかということを私から二点ばかり提起したわけです。
 一点は、砂糖価格安定法に基づく砂糖価格安定事業団があって、輸入粗糖は全部事業団が扱っておるわけですが、ここで安定価格を中心にして操作しているわけです。上限価格、下限価格、その中心に安定価格があるわけです。ですから一応買い入れ、売り渡しの形を輸入粗糖についてもとっておるわけだから、でん粉と砂糖というのは非常に密接な関係があるわけです。ですからこの際コンスの原料トウモロコシのみについて新しい対策として砂糖事業団がその原料トウモロコシを扱うというような方式をとることがいいではないかということを一点提起したわけです。
 もう一点は、これはでん粉そのもので買い上げをしても、効果は同じだと思いますが、結局いまカンショでん粉、バレイショでん粉についても、大きな需要ということになれば、ブドウ糖だと思うのですよ。ブドウ糖が一年二十何万トン生産されておるわけですから、その場合、いまの砂糖価格安定法から見ると、ブドウ糖の政府買い入れ価格をきめる場合には、政府が決定したカンショでん粉の買い入れ価格を基準にして、それに諸経費を加算して買い入れ価格をきめる。そうして買い入れが必要がある場合には、瞬間タッチで買い入れ、売り戻しを行なっているわけでして、それにさらにバレイショでん粉を加えてブドウ糖メーカーの希望によっては選択をまかせる。だからバでんを使った場合には当然それだけコスト高になるわけですから、そういう点についても弾力性を加えて、国内における消費の拡大をはかる必要があるんじゃないか。
 この二点について提起したわけですが、ブドウ糖の原料にするという点については、昨年は池田局長は、それは直接的にでん粉の政府買い入れをやったほうがむしろはっきりしていいというようなことを言っておりましたが、砂糖価格安定事業団が原料トウモロコシを扱うという点については、これは十分研究しますということになっておるわけです。農林省としても、たとえば現在の農安法をそのままにして、そうして関税政策を通じて二次関税のいま大体四〇%ですね、これをさらに強化して、一年きりということでなくして、半恒久的にこれを継続するやり方でいくか、課徴金の制度とか、いろいろ考えておると思うが、これはやはりことしの価格をきめる場合に並行的に今後の方針についても明確にしておく必要があると思うのですよ。そこで根本対策について原料トウモロコシあるいはコンス対策についてどの程度作業が進んでおるか、そういう点についてここで明確にしてもらいたいと思います。
#119
○小暮説明員 基本対策の問題につきましては農林省のほうで学識経験者をお願いしてやっておりました研究会のほうがいま最終的な整理の段階に入っておりますが、別途いわゆる総合農政ということで農政全般について検討いたしておりますので、そちらのほうとしてのその角度からの検討もあわせてお願いいたしております。両者の突き合わせを十月中にはぜひ試みたいと考えております。しかし最終的には午前中申しましたように、十二月の関税率審議会を目途にきわめて具体的な形で提案することになるかと思いますが、その際御指摘のような点につきましても、たとえば糖価安定事業団というものがございますので、これを組織としては活用して価格の調整をはかるという方向が一つの研究の方向としてあり得るのじゃないかということでの議論もいたしました。
 ただ、いま大体それぞれの角度からの検討を終わりながら最終段階で非常に思い悩んでおる点がございます。それは価格の調整という形でものごとをおさめようといたしますと、これは必ずしもいまの自由化を品目の数として迫られております非常につらい問題と正面衝突しないでいろいろやれそうな案ができるわけですが、しかしこれにはやはり経済の体質と申しますか、いわゆる過当競争の問題が必ず随伴してまいりまして、ある形で価格操作だけでやれそうに見えますが、量的規制を伴わないと所期の価格水準が維持できないといったような問題がどうしても随伴しがちなんです。しかもその場合にこの問題が非常に複雑になっておりますのは、トウモロコシからできるでん粉、イモからできるでん粉、そのほかにでん粉そのもの、たとえばタピオカ、そういうようなものがございます。さらにはその他の面でまたでん粉質がよく余るというようなたいへんな問題がございます。価格の仕組みだけでほんとうに万全を期し得るだろうか。やはり何らかの量的規制を伴わなければならないのじゃないかという心配がございます。ところが他面糖価安定事業団のようなものを最大限に活用してものをやろうとしますと、外国の側からこれを見ますと、いわば新たな国家貿易あるいは輸入制限にかえた国内方式をとったというふうにもとられるわけです。そこまでおやりになるなら、ひとつ懸案のタピオカの自由化をしていただきたいというような形で話がほかに波及する面もあるわけです。それらの相関連します点を最終的にどのように考え方を整理し、イモ作保護の万全を期するかという角度から綿密な、きわめて作戦的な思想の整理が必要じゃないかというようなことで、検討に非常に時間がかかっております。その点は御了承いただいて、できるだけ適切な措置をこの中から導き出したいというふうに念願しておりますことを申し上げて御了解願いたいと思います。
#120
○芳賀小委員 この点は大事ですからもう一度確認しておきますが、われわれの主張は、輸入トウモロコシの年間たとえば四百三十万トン、それを全部対象にしてどうせいと言っているわけじゃないのです。その二〇%足らずの大体八十万トンそこそこのいわゆるでん粉の原料に供される分のトウモロコシだけを取り上げて対処すべきであると言っておるわけです。それから二次関税を関税率審議会――これは大蔵大臣の諮問機関ですが、毎年毎年やかましく言って一年限りでしかもことし限りというような意見が付せられるので、これが非常に不安、動揺を生産者側に対しては与えておるわけですが、しかしガットの精神からいってもいわゆる二次関税、この関税割り当て制というものは、何もこれはガット違反ではないですからね。自由化を割り当てに戻せというのではないですからね。ですからガットの精神にこれは根本的に反しないというようなやり方の中で、この二次関税というものは、これが効果があがらなければ何にもならぬですから、効果的に運営するということは、これは自分の国の農業なり産業を保護する立場の上から見て必要最小限度の措置は当然だと思うわけなんです。これは自民党の憲法九条の解釈よりも強力にやってかまわぬと思うのです。それからまた課徴金制度等にしても、これは諸外国においても行なっておるわけですからね。これは大蔵大臣の諮問議関であって、外務省の役人の古手とか、それから会社の重役とかそういう連中だけが集まれば、いまの米価審議会と同じように満足な答申はしないわけなんですよ。その辺はやはり農林省の皆さんが相当き然とした態度で、必要なときは堂々と論陣を張ってやってもらわなければ、日本の農民は一体政府のどこをたよりにしていいかわからぬということになるわけですから、この点小暮局長として十分努力してもらいたいと思うのです。それはこっちで期待するところですけれども、いかがですか。
#121
○小暮説明員 御指摘のとおり、イモ作を保護する必要性あるいはその日本の農政上の位置づけという問題は、何と申しましても政府の諮問機関としては農政審議会、あるいは国会といたしましては農林水産委員会といったような農政の立場から十分御検討いただき、それを確立すべきであると考えます。関税率審議会ではイモ作の保護そのもので是非を議論するというよりは、保護のあり方を国際的にあるいは国内的に諸般の経済、あるいは経済外交等と照合して最も適切な方法を議論する場であろうかと思います。従来、ややもしますと、相互にお互いの守備範囲を越えた議論が行なわれることが間々あるように思います。その点のけじめは私どもとしても十分主張いたしたいと考えております。
#122
○芳賀小委員 それでは局長はよろしいです。
 次に附録第二の算定に関係のある点ですが、先ほど統計調査部長のほうから四十三年度のカンショ、バレイショの生産費調査の内容について説明を聞きましたが、いずれも十アール当たりの生産費というものは相当高まっておるわけですね。ただ北海道のバレイショについては、十アール当たりの反収が、大豊作の関係で百キロ当たりの生産費はやや低減したようなことになっておるが、総体としては労働費あるいは農機具費の部面で相当生産費は上昇しておるわけです。昨年のような豊年時をとらえて生産費ができておるわけですが、四十四年度の生産費を推定する場合は、やはり統計調査部の四十三年度の生産費を基礎にして、それに物価修正等を加えて、一応の四十四年度の推定生産費というものを算出することになるわけでありますが、これは今年度の作況等から見て、修正した生産費の場合はどういうことになるのですか。
#123
○小島説明員 御指摘のように、各費目につきましては物価修正等を行なうわけでございますけれども、それを単位重量当たりの生産費に換算いたします場合には、過去の収量ではなくてことしの収量、しかも生産費調査対象の農家の推定の収量というものをもとにいたしまして四十四年度の推定生産費を出したいというふうに考えております。
#124
○芳賀小委員 それではカンショ及びバレイショの今年度の調査農家の十アール当たりの平均収量はどうなっておりますか。
#125
○小島説明員 カンショは大体十アール当たり二千四百五十六キログラム、バレイショは二千六百三十一キログラム、そのように推定いたしております。
#126
○芳賀小委員 これは統計調査部長にお尋ねしますが、もうこれは判明したのですか。四十四年、ことし収穫されるカンショ、バレイショの調査農家の実収量というものは……。
#127
○岩本説明員 ただいま調査中でございまして、まだ公表いたしておりません。
#128
○芳賀小委員 いま小島課長からカンショについては二千四百五十六キロ、バレイショは二千六百三十一キロという説明があったわけですが、公表する場合はこれと同じ数字になるわけですか。
#129
○小島説明員 これは、四十四年度私どもが用います生産費は、四十三年度の実績から推定をいたすわけでございます。ただいま統計調査部長がお答えになりましたまだわかっていないということは、ことし行なっております、調査中でありますところの生産費調査の対象農家の単位当たりの収量が幾らかということは、まだはきりわかっておらない段階であるということを申し上げたわけであります。ただ、そういうことで四十四年の生産費調査は各費目の全額ももちろんでございますし、単位当たりの収量もわからないわけでございますので、四十三年度の実績を踏まえまして、それを四十四年度に物価修正等を行ないました結果、推定の十アール当たりの収量を出しまして、最後に単位重量当たりの生産費を出します際に割り算をいたします、その十アール当たりの収量が問題になるわけでございます。これも実績としてはわかっておらぬわけでございますので、作柄から見まして、生産費調査対象農家の十アール当たりの収量を推定で出しまして割るわけでございます。その意味では各費目の金額、それから割り算をいたしますところの十アール当たりの収量もともに推定をいたして出しておるわけでございます。
#130
○芳賀小委員 ちょっとおかしいと思うのです。たとえばカンショの場合、四十三年度の調査農家の平均反収が二千四百四十四キロでしょう。それに対して、ことしのカンショの予想収穫量から見ると、作況指数が九三ということになっておるわけですね。それにもかかわらずことしの、四十四年度の調査農家の平均反収が昨年よりも若干ですけれども上回った二千四百五十六キロというのは、これは当を得ないと思うのです。全体のカンショの作況が去年よりも下回っておる中において、調査農家の反収だけが若干でも上回るというのは、そういう傾向はおかしいと思うのですよ。
#131
○小島説明員 ちょっとその辺は私もあまりつまびらかでございませんので、後ほど吟味させていただきたいと思いますが、おそらくいま申し上げました作況指数は、前年の収量に対して何%の割合であるということではなくて、平年作に対する割合だろう、その意味におきましては、前年対比の一定の比率が直ちに乗ぜられまして四十四年度の数字を割り出しておるわけでございません。
#132
○芳賀小委員 作況指数というのは平年の一〇〇に対して九三か一〇五かということですけれども、しかし作況概況を先ほど統計調査部長から伺った印象によると、昨年よりもやや生産は下回っておるというふうにわれわれは判断しておるわけですが、昨年同様かやや上回っておるというのなら別ですけれども、その辺を統計調査部長からもう一度明確にしてもらいたいと思うのです。
#133
○岩本説明員 統計調査部で把握しております四十四年産カンショの九月二十日現在の予想収穫量は午前中に御説明したとおりでございますが、十アール当たり収量で見ますと千九百九十キロということで、作柄を示す作況指数は九三、すなわち平年作に比べて七ポイント下がっているという意味合いでございます。蚕糸園芸局の小島課長から御説明の数字は私承知しておりませんが、私どもの調査の結果、見通しはこういうことに相なっております。
#134
○芳賀小委員 別にあなたのほうが間違っていると言っているのではないのです。ただ先ほどの部長の報告を聞いておりますと、平年作に対して九三というのは、これはわかりますが、昨年度、四十三年度に対してカンショについてもやや下回っておるというふうにわれわれは受け取っておるわけです。それが園芸局のほうでは、昨年よりも調査農家の平均反収はやや上回ったというような数字を用意しておるので、それはちょっと変じゃないかということを言っているのです。だから統計調査部のほうがいや去年よりはやや上回っておるんだということであれば、これは別ですけれども。
#135
○小島説明員 これは例年そうでございますけれども、全国の平均的な収量と生産費調査の対象農家の収量との間にはある程度の開きがございまして、大体生産費調査対象農家のほうが反収はやや高目でございます。そこでその単位面積当たりの生産費といものから重量当たりの生産費を出しますにあたりまして、全国の平均的な収量を用いますことには問題がございますので、その修正をいたしておるわけでございます。その修正の結果が先ほど申し上げましたような四十四年度の生産費調査対象農家の単位当たり収量の推定ということになったわけでございます。
#136
○芳賀小委員 だから、全体が昨年より下回って、調査農家が上回るということになれば、調査農家の選定を誤っておるということになるのですよ。全体の趨勢に合致しないようなそういう抽出をやったのでは、これは正確なものは出ないのじゃないですか。全体の作況が前年度より下回るという場合には、やはりその中から抽出された調査農家の平均反収も昨年度に比べては減少するというのは当然だと思うのです。そこに統計の妙味があるのですからね。蓋然率と調査農家の平均値が違うというのはおかしいのです。
#137
○小島説明員 これは四十二年度の生産費調査におきまして、全国の平均収量と生産費調査対象農家との間の収量の差――比と申し上げたほうがいいと思いますが、その比率がそのまま四十三年産の調査対象農家についても実現しておるということでは必ずしもございません。同様に四十四年産につきましても四十三年産の平均収量と生産費調査対象農家の収量の率がそのまま移行するわけではございませんので、過去の数年間をとりまして、その間の平均的な比率をもちまして四十四年度を推定いたしたのであります。したがいまして、四十三年度と四十四年度だけを比較いたしますと逆のような現象が出てまいりますが、そのかなりな期間をとりました平均的な比率を用いました結果、このようなズレが出てまいったものと思われます。
#138
○芳賀小委員 それは小島さん、おかしいじゃないですか。法律にうたってある農林大臣の行なう生産費調査というのは、ただ事務屋が過去何年かの動向だけを推計してきめればいいということになるわけですか。農林大臣の行なう生産費調査というのは、少なくとも機関として行なっておる統計調査部の行なった調査の結果というものが中心になっておるのですからね。あなたの説明だとそうじゃないということになっちゃうのですね。小島課長の頭の中でこのくらいだろうということでやるのは、農林大臣の行なう生産費調査と違うと思いますよ。
#139
○小島説明員 これはほかの価格を決定いたします場合にも、同じように生産費というものを一つの基準もしくはその参酌事項に採用いたしておる場合がございますが、いずれも実際の数字として採用できますものは、過去の、つまり前年度程度の生産費しか物理的に得られないわけでございます。そこでその前年の生産費をそのまま参酌事項に用いるということもあり得るかと思いますけれども、私どものほうではその前年の結果というものをもとにいたしまして本年の生産費を一応推定いたしまして、それを参酌事項として用いるということを従来からやっておるわけでございます。
#140
○芳賀小委員 いや、去年まではそういうことをやっていないですよ。それと、毎年これは問題になっておるわけですが、結局、附録第二の算定をやる場合には、十アール当たりの生産費というよりも、むしろ百キロ当たりの生産費がどうなっておるかということが価格に反映するわけですからね。そういう場合、一番価格を左右するのは反収ということになるのです。ですから、昨年の場合にも、二千四百四十四キロというのが調査農家の平均反収ということになっておるわけです。それでは四十三年度の実収反収がどうなっておるかというと、これは毎年ですけれども、カンショあるいはバレイショについて、実収平均とそれから調査農家の平均と十アールで大体四百キロないし五百キロ差があるのです。だからこれをどういう調整をして実収と調査農家の懸隔があまり広がらぬようにするかということは、統計調査部としても十分努力してもらわなければならぬ点なんです。反収四百キロ、五百キロというのは大きいですからね、百キロにしても。そういう点があるわけですから、四十四年度の予想収穫高は――主産県が主としてでん粉を生産するわけですからね。主産県の収穫予想は千九百九十キロ、それに対してあなたのところでつくった予想反収が二千四百五十六キロだから、四百六十六キロ違うわけです。これでやられると今度は結局百キロ当たりの生産費が相当安くなるんですよ。無理に高くしろとは言わぬが、実態に合うような生産費調査ということは、価格の算定上一番大事な点ですからね。これはそういうふうにきめてこれで計算するというわけじゃないと思うから、もう一度統計調査部ともよく相談して、八日の日までにカンショの二千四百五十六キロというものに対しては、実態に合うように作業してもらいたいと思います。
 それからバレイショについては二千六百三十一キロと、これはことしは相当大幅な減収をしているわけですけれども、調査農家はこれだけとれるということになるのですか。
#141
○小島説明員 先ほどカンショについて申し上げましたと同じように、ことしの平均的な収量というものをもとにいたしまして、過去の実績収量と生産費調査対象農家の比率をもちましてこのような数値を算定いたしておるわけでございます。
 なお、御参考までに申し上げたいと存じますけれども、昨年の織り込みの収量を申し上げますと、二千六百九十六というふうな織り込みでございます。結果的にはそれが三千百二十五というふうな収量になってきているわけでございます。ことしの採用数値といたしましても、同じような意味におきましては若干の狂いが後になって出てくることはあり得るかと思いますが、それほどの無理な数字ではないというぐあいに考えておるわけでございます。
#142
○芳賀小委員 バレイショについては統計調査事務所の収穫量からいうと、ことしは千九百十四キロということになっています。――十アール二千三百七十キロですね。
#143
○岩本説明員 ただいま芳賀先生が千九百十四キロとおっしゃいましたが、これは収穫量でございまして、十アール当たり収量は二千三百七十キロでございます。
#144
○芳賀小委員 それにしても反収で二百六十キロぐらい違うということになる。これは作業として実収に近づけるということは絶対できないものですか。
#145
○小島説明員 生産費のとり方というのは非常にむずかしい問題でございまして、極端に申し上げますと、各農家によりましてみな違うということになるわけでございまして、ここで申し上げますのは、あくまで平均的なものをとらえたというふうに考えておるわけでございます。しかしながら実際に生産費調査農家に――これは私の知る分野ではございませんが、調査をお願いするにあたりましては、農家らしい農家と申しますかに、記帳をお願いをいたすわけでございますので、ある程度農作について御熱心な方が調査対象農家に選ばれておるという傾向は従来ともあるようでございまして、バレイショについて申しますならば、実収収量に対しまして生産費調査対象農家の実収量は一割強程度上回るという結果が常に出ているわけでございます。
#146
○芳賀小委員 一割でなく二割ぐらいいままで上回っておるのですよ。だから平均より上回った農家は、たとえば肥料代とかいろいろ生産に要する費用がかさんでおるということも言えると思うのですが、しかし収穫量の差額ですか、これが全部必要生産費に回っておるということは考えられぬ。この点はどうですか。四百キロとか三百キロ分が全部、上位農家はそれだけ経費を投下しておるからよけいとれるのだということになるわけですか。
#147
○小島説明員 その間の因果関係は私どもも必ずそのようになるということを確信しておるわけではございませんけれども、一方において収量が高い。これは重量当たりの生産費にいたしますとコストが減る要因でございますけれども、一方においてコストがそれだけかさんでおる要因もあるわけでございまして、平均的な生産費としてながめます場合には、それで大体よろしいのではないかというふうに考えておるわけです。つまりコストアップ要因とコストダウン要因とがそれぞれ相殺して正常の姿を反映しておるというふうに考えます。
#148
○芳賀小委員 そこで岩本さんにお尋ねしますが、実際問題として一年経過したあとの実収高による平均反収とそれからごく限定された生産農家だけの平均反収というものは、いずれが実態に合った平均的な反収ということになるのですか。
#149
○岩本説明員 実は、はなはだむずかしい問題でございまして、私どもとしても取り扱いに苦慮する面があるわけでございますが、先ほど園芸局の小島課長からも御答弁ございましたように、生産費調査の調査対象としましては、できるだけバレイショを商品生産をする農家を選ぶということで、十アール以上の作付をする農家を選びまして、これは統計的手法で北海道のバレイショ生産農家の十アール以上の作付がある農家の中からランダムに百戸選んでおるわけでございますが、そういう選び方をして、しかも商品生産をする農家ということでできるだけ生産地と申しますか、作付の多い市町村から農家を選ぶようにしておりますために、収穫高の調査の場合と若干ずれた結果が出てくることは、調査の性格としてどうしてもやむを得ない点があるのではないかというふうに判断しております。収穫高のほうは全数を推計するということで、作付面積がどんなに小さかろうと、それを自家消費に使おうが商品として販売しようがそういうことにおかまいなしに全体の収量を押えるという目的で調査をしておりますために、非常に零細な規模、しかも商品として販売しないものまで参加をするわけです。しかも生産費調査の場合は生産費を調べるという目的がございますので、災害を受けて天災等の事由で極端に生産費が高くなったものを入れたのでは実態を反映しませんから、災害農家は除く。かりに調査対象に入れておりましても一定限度以上の災害があれば集計から除外するというような措置をとっておりますために、生産費調査と実収高調査で調査の結果にズレが出て、しかも生産費調査のほうが若干上層に片寄るということは、調査の性格としてこれはやむを得ないことじゃないかというふうに判断をいたしております。まあそのどの辺の範囲が妥当であるかということは非常に論理的にむずかしい問題でございまして、なおこれは今後検討をさせていただきたいと思います。
#150
○芳賀小委員 次に、自家労賃はことしも日雇い労賃になっておるのですか。
#151
○岩本説明員 この問題は前から先生が御疑問を抱かれておるようでございますが、春のてん菜のときにもお答えいたしましたように、生産費調査におきましては、個別経営でてん菜に支払った代金をつかまえて生産費を出すということを原則にしております。ただ、農業の場合には自給部分があるものですから、この評価が問題になる。この自給部分の評価についてもいろんな論理的な立場がございまして論争があるわけでございますけれども、農林省は戦前の帝国農会時代以来、生産費調査については自給部分については市価調査主義をとっております。市価主義をとっておって、これが一番いいのだということでずっとやっておりますので、統計の連続性といったようなこともございますので、農家が労働力を他から雇う場合には、その雇った実際の市価の賃金を計上し、自家労働を集計する場合は、その農村で形成されておる労働市場の市価、つまり農村臨時賃金というものを取り入れまして、しかもそれを、平均をとるのじゃなしに、作業別、季節別にとりまして、それを労働時間によって加重平均して出す、こういうやり方をとっております。したがいまして、御質問のとおり、従来のやり方を今後とも踏襲していくつもりでおりますし、現にそうやって自家労賃も評価しております。
#152
○芳賀小委員 そこで、自家労賃を特に日雇い労賃なら日雇い労賃ということに固定させない方法があると思うのですがね。方法論として、自家労賃に日雇い労賃を当てはめるか、あるいは米価のように他産業、製造業五人以上の平均賃金を当てはめるか、それは必要に応じて賃金評価を当てはめられるようなやり方というものは、できないことはないと思うのです。自家労働何時間ということが出てくるわけですからね。その自家労働の投下時間に対して一時間当たりあるいは一日八時間当たり幾らの労働評価をやるということですから、必ずしも、もう五十年以上も前からの帝国農会方式だけを金科玉条にしてやるというのは、いまの時代に適合しないと思うのです。統計調査部はそれでもいいと思うのですよ。しかし同じ農林省の食糧庁とか園芸局が農産物の価格算定上の重要な要素として用いる場合に、そういう不当な、安定性のない臨時日雇い労賃を、これが農家の自家労働の正当な報酬であるというように間違えられると、これはたいへんなことになるわけですからね。統計調査部だけそういう計算をして保存をしておくならそれはいいですよ。しかし、それを今度は農産物の価格決定上にそのまま使うわけです。ある意味では悪用するわけなんです。これはもう毎年繰り返して言っていることですから、それをやめてこうせいというところまでいかぬでも、その投下時間はことしはたとえば十アール何時間になったということでとどめておけば、あとは日雇い労賃を当てはめる場合には自家労賃が幾らになる、あるいは五人以上の製造業賃金を当てはめた場合はどうなる、それは必要に応じて計算してみれば出てくる労賃の評価方法だと思うのですよ。だから素材だけを統計調査部で正確なものをつくっておいて、あとそれを使用する場合は、やはり生産者がそのことによって大きなマイナスを受けないようにするという予防措置も必要だと思うのです。これはむずかしい問題ですけれども、もう過去十何年前からなま乳の価格の場合でも、てん菜の価格の場合でも、イモでん粉の場合でも――米はいまはもう製造業賃金ということになっておりますから、統計調査部の生産費は参考的に見るということでいいのですが、その辺を岩本さんの時代に何とか前進させるわけにいかぬですかね。
#153
○岩本説明員 先生のおっしゃいます意味、お気持ちは身にしみてわかるわけでございます。ただ、生産費といいます以上は、収穫物が単位当たりどのくらい費用がかかったかというのを計数として、しかも金額として出さないと意味をなさないわけでございまして、これは工場生産における原価計算と同様でございます。原単位と称しましてどういう製品をつくるのにどのくらいの歩掛かりがかかるかというのは当然出るわけでございますから、その歩掛かりをやはり金銭的に評価して、市場価格で評価したものが生産費として、原価として意味があるわけでございますので、それるやめるわけにはまいらぬと思います。ただ、その計算をして金額表示をします以上は、一定の約束がありませんと、ずっと長い間統計を見ていきます場合に混乱を生じますので、これはやはり約束というのは一ぺんきめたらそんなに動かしちゃいけないという論理が立つと思います。ひとりこれは労賃の問題だけでなしに、農業には自給部分がかなりありますし、また生産物にそれほど直接算入する経費でなくてもたとえば地代、特に自作地地代とかそれから資本利子等につきましても似たような性格の経費がございます。これはいずれも一定の約束を設けまして、その約束のもとに評価をして出しているわけでございます。したがって直にその数字が市場支配的なものとして使えるかどうかという点については、これは生産費調査、原価計算という立場からの制約がありますから、お使いになる立場立場の方が実際の向き向きにお使いになる。たとえば利子の計算上ある一定の利率を使っておりますけれども、それが現実の市場でいま流通しておる利率と合致するかどうかというのは別問題でございますから、お使いになる場合に、それは評価がえしてお使いになればよろしいのじゃないか、こういう考え方であります。したがいまして、いまの約束を急に変えますと、やはり統計の連続性上問題を生じますので、これはこれとして一応固定をして、お使いになる上でしんしゃくされたらいかがか、こういうふうに考えます。
#154
○芳賀小委員 賃金統計の場合は、何といっても労働省の毎勤統計等のほうが正確だと思うのです。毎勤統計は全国と地域別とで毎月一日、十五日と出ていますけれども、その中には通年雇用の月給制の賃金と、それから日雇い賃金というのが別に出ているわけですよ。通年雇用の賃金と臨時日雇いの場合とでは、指数にすると通年に対して六〇%ぐらいの低い賃金になっているわけですね。ですから、一般労賃の場合は、いわゆる日雇い賃金を採用するというようなやり方は全然ないですね。ただ、農村の生産物の価格等をきめる場合に限って、農村における地域の農業日雇い労賃を基礎に採用するということは、これは賃金制度の上から見ても誤りじゃないかと思うのです。皆さんの公務員給与にしても、これは民間の百人規模以上の賃金動向というものを正しく人事院が反映させるということにしてあるわけですから、それをむしろ日雇い労賃のほうがいいということになればたいへんな混乱が起きるんじゃないかと思うのです。ですから、農業労働でも工業労働でも労働の価値というものに変わりないと思うのですよ。一方では近代的産業部門における適正な労働賃金というものを基準にとる。一方農業の場合には、帝国農会時代からの農業の臨時日雇い労賃を農家の正当な奉仕に当てはめるというやり方は、どう考えても理論的にもわれわれとして承服できないですね。ただ先ほども言ったとおり、統計調査部だけの生産費の資料としてそういう計算をなさって保存されるというのであればこれはいいですよ。しかしそれをなまのままに、イモでん粉にしてもてん菜にしても、いまある制度的に保護されておる農産物の生産費の一つの重要な要素として勘案するということになるとこれは問題があると思うのですね。これは農林大臣なんかに政治的な質疑をしたって片づかぬ問題ですからね。やっぱり純統計理論の上に立って一体どうかということで皆さんに十分検討してもらう必要があると思うのです。
#155
○岩本説明員 毎勤統計を労働省でつくります場合と、私どもの各種農産物の生産費調査の場合におきまして、労賃の考え方は若干やはり違った面があろうかと思います。労働省のほうはやはりそういった支払われた賃金の全国的な統計、全国的にエスティメートするという立場でとっておりますが、生産費調査の場合にはそういう全国的な水準のエスティメートということではなくて、農家に記帳をお願いして、その個別農家が現実に支払った対価を計上するわけでございます。ただ、自給物がかなりありますために、これは現実の支払いがありませんものですから評価をしなければならない。その評価をします場合に、その現実に支払ったと同じような状態のもとに評価をしないと、個々の経営の生産費調査という目的を達し得ないわけでございますので、その地方の農村で行なわれておる臨時日雇い賃金というものが、その経営で支払ったであろう賃金に相当するという立場で評価をしてあるわけでございますから、毎勤統計をそのままとってくるということは、調査の立場なり論理からいいますとやはり矛盾を生ずるというふうに私は考えます。したがいまして、いまのやり方は生産費の理論構成なりやり方として間違ったものでございませんし、間違ってないからこそ長年にわたってこれが採用されておるのだと思います。したがって、先生のおっしゃいます点は、使う立場のほうで十分お使いになっていただくように私ども努力したいと考えております。生産費のほうの考え方を変えて計算のしかたを変える必要はなかろうかと考えております。
#156
○芳賀小委員 農家が雇い入れ労働に賃金を支払ったものはそのままこれは出てくるわけですから、それはいいのですよ。ただ農家が自分で働いた自家労働の報酬というものを、地元の臨時日雇い農業労賃で計算するというところに問題があるわけですよ、一番の問題は。それじゃいま臨時日雇い労働といわれる労働の質というものはどうだということは、これは御存じでしょう。大体農村においては、市街地に定住する給料取りとかあるいは農業以外の家庭の婦人の労働が一番多いですからね。それからまた工場へ行って労働できないような高齢者ですね。それもいまの農村の労働力不足を補ってくれるからありがたいのですよ。しかしその評価をする場合、それではもう十年、二十年農業に専念したいわゆる自営農家の家族労働の一時間あるいは一日の労働生産性と、それから臨時労働の一時間あるいは一日の労働生産性というものは、どっちも一〇〇と一〇〇ということではないと思うのです。ここに問題があるのです。作業によっては農家の労働の一〇〇に対して五〇程度の生産性しかあがらぬ日雇い労働もあるわけです。そうすると一人前の生産をあげるためには、日雇い労働を二人雇い入れなければ一人前にならぬということになるのですね。労働の生産性の価値というものをあくまで時間とか一日で同等であるというような考え方の上に立った評価というのは、そこに根本的な間違いがあると思うのです。やはり労働生産性の比較というものを全く無視するという、そういう評価というものはないと思うのです。その点も間違いないというのですか。
#157
○岩本説明員 私が申し上げておりますのは、生産費の計算というのは非常に技術的な立場から、自給物と申しますか、自家労働とかあるいは自作地地代とか、そういったものを評価する場合に時価主義をとるのが一番その経営の実態に近いということから、そういう評価の方式が行なわれておるわけでございまして、たとえば地代の場合におきましても、小作地の小作料は実際支払われますから、支払われたものを計上すればいいということは、これは一目りょう然でございますが、自作地の場合は支払いがありませんから評価しなければならない。その場合にやはり全国ベースの一般的な自作地の地価水準から推定したものを当てはめるのではなくて、やはりその農家が居住しております地域の近傍類地の、実際支払われる小作料を代入するというような形で自作地地代を評価するたてまえをとっております。同様に労賃の場合におきましても、労働省の調査等を代入するのではなしに、その地方で行なわれております労働市場を形成して、そこで支払われております臨時雇用労働の賃金を代入する、こういった考え方をとっております。その場合にも、とります基準としましては、農作業に一人前に働いたらこれくらいの能率をあげるということを頭に置いて、能力換算をしつつこれを計算をしておりますので、たとえば男の一人前とそれから婦人の一人前、これは一とか〇・八とかあるいは病人の場合にはもっと下がるということで、〇・六とかということで、能力上も労働生産性に着目し得る係数をかけて計算をしておりますので、そういう生産性を無視してやるということではないと思います。
#158
○芳賀小委員 きょうはこの問題で十分な議論はできませんが、たとえば水稲に例をとりますと、農家の自家労働では一日十アールの稲刈りをやる。これは相当熟練した場合ですね。ところが日雇い労働の場合は、一人でなかなか十アールの稲を刈るというわけにはいかぬですよ。能率のあがらぬ場合には五アールくらいしか刈れないということになれば、十アールの稲刈りに、日雇い労働の場合には、熟練度の低い者は二人雇わなければならぬということになるのですね。そうでしょう。実際作業してみればわかるわけですから。十年も十五年も農業だけに専念している者、これはやはり労働の生産性が高まっているわけです。自家労働の場合には十アールの稲刈りをやる、雇い入れ労働の場合は五アールしか刈れぬということになれば結局二分の一ということになるわけです。これは実際にあるのですよ。しかし自家労働というのは、自家労働を十アール当たり何十時間投下したという時間しか出てこないわけですから、それを、二分の一あるいは六割程度の生産性しかない臨時日雇い労賃を生産性の高い農家の労働時間に機械的に当てはめるというような計算というものは問題があるのですよ。そう思わぬですか。――思わぬのじゃ、これはあなた、現地へ行ってよく実見しなければわからぬでしょう。だからそういう非常に根拠の薄弱な日雇い労賃というのをわざわざ当てはめなくて、自家労働が十アール、何十時間ということで、そこまでの作業にして、あと自家労賃を当てはめる場合には多様性を持たしたやり方を使ってもいいと思うのですよ。たとえば日雇い労賃でいった場合には幾らになるとか、他産業労賃でいった場合にはどうなるというような、帝国農会の時代からだけにこだわっちゃって、統計だから変えられぬというものじゃないと思うのですね。農業パリティだって戦後三回ぐらい変わっているでしょう。最近は四十年パリティをとっているわけですけれども、大事な農業パリティでさえその時代の経済動向になるたけ合わせるというようなことで時点を変えておるわけです。きょうここで結論を出しなさいというのじゃないのですよ、長年論争している問題ですからね。毎回統計調査部長がかわっても前進がないのですよ。だからこの際、特に岩本さんの時代に抜本的な検討をして、矛盾があれば漸進的にでもこれを改善するということは必要だと思うのですがね。
#159
○岩本説明員 私も過去の記録を読みまして、当委員会でいろいろこの問題が問題になっていることは承知しております。昨年来芳賀先生、美濃先生からこの問題をつかれまして、ここでたびたびお答え申し上げておりますので、問題の本質はわかっておるつもりであります。非常にむずかしい問題で、生産費調査の原価計算としての性格に関連する問題でございますので、私ももう少し掘り下げて慎重に検討してみたいと思います。先生の御心配の点は、私よく身にしみてわかっておるつもりでございますが、非常に理論に関する問題でございますので慎重な検討をやりたいと思います。
 従来長い間これを踏襲してきたのには、それなりの合理性がやはりあったのではないか。理論として正しいから守られているのではないかという評価を私自身はしておるわけでございますが、もし私の思い違いでございましたら私はいつでも改めるのにやぶさかではございませんけれども、そういう歴史を背負っておる問題でございますので、なお検討の時間をいただきたいと思います。
#160
○芳賀小委員 そこで局長は退席しましたけれども、担当の砂糖類課長にお尋ねしますが、いま言ったようなたとえば附録第一、附録第二等を中心にして価格算定をやるとなれば、特に生産面においては昨年よりも生産が下回っておるというような事実もあるわけですから、総体としては、昨年の政府の決定価格に対して各要素は、それぞれ去年よりもこの点が下回るというようなものはないと私は考えておるのですが、その点はどうですか。
#161
○小島説明員 生産費の中で大部分の項目につきましては、従来いわゆる経営パリティをもって修正いたしておりますので、そういう意味ではほとんどのものは上昇要因ということになろうかと思います。ただしかし、ただいまも統計調査部長のお話にちょっと出ましたような、いわゆる評価がえというような形で擬制的に置いておりますものはさらに問題を掘り下げて検討する必要があるという分が残っているわけであります。
#162
○芳賀小委員 それではこの程度にして、あと第二回の八日の小委員会のときに続けて質問したいと思います。
#163
○大野小委員長 次回は明後八日開会することにして、本日はこれにて散会いたします。
   午後三時五十五分散会
ソース: 国立国会図書館
【PR】姉妹サイト