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1949/05/09 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 労働委員会 第10号
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1949/05/09 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 労働委員会 第10号

#1
第005回国会 労働委員会 第10号
昭和二十四年五月九日(月曜日)
   午前十一時四十五分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
五月七日(土曜日) 委員森田豊樹君
及び田口政五郎の辞任につき、その補
欠として岡田喜久治君及び小串清一君
を議長において選定した。
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○職業安定法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○緊急失業対策法案(内閣提出、衆議
 院送付)
○労働者災害補償保險法の一部を改正
 する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(山田節男君) 只今より労働委員会を開会いたします。
 先ず職業安定法の一部を改正する法律案を議題といたします。本法案についた何か御質疑はございませんか。速記を止めて……
   午前十時四十六分速記中止
   ―――――・―――――
   午後零時五分速記開始
#3
○委員長(山田節男君) 速記を始めて……
#4
○田村文吉君 三十三條の二の卒業後六ヶ月経つた者は全然お入れにならないということは、事実問題としては随分昨年の卒業生が相当おつて、紹介を受けてやつておるのでございますが、これは六ヶ月でお切りになる必要はないのじやないかと思いますが、それに対して……
#5
○政府委員長(齋藤邦吉君) この規定は、御承知のように但書で、大学、高等学校、専門学校以上の卒業生については期限を切らない、即ち中等学校以下について期限を切るわけであります。即ち大学及び高等学校以外の学校の長がその学校を卒業した者に行なう場合には六ヶ月、これは中等学校以下でございます。
#6
○田村文吉君 分りました。第三十三條の四ですが、「料理店業、飲食店業、旅館業、古物商、質屋業、貸金業、両替店その他これらに類する営業を行う者は、職業紹介事業を行うことができない。」何故これだけの人たちにお互いにできる自由な仕事を禁止になるのでございますか。
#7
○政府委員(齋藤邦吉君) 三十三條の四の兼業禁止の規定でございますが、これは一九三三年の國際條約の趣旨に定められましたものを今回明記いたそうというのでございます。即ち世界各國とも職業紹介事業につきましては、職業がないということの弱みにつけ込まれまして、いろいろな弊害が釀し出されておるわけでございます。こういう意味合から、こういう料理店、飮食業、旅館業を行なつてはならないという意味でございます。
#8
○田村文吉君 今の世界のあれで、決められたという職業はこれに書いてあるだけ明記してあるのですか。
#9
○政府委員(齋藤邦吉君) 明記されて、この通りの文字が明記されております。尚この規定につきましては、船員職業安定法、船員の職業紹介でありますが、これにつきましても同じようなこうした兼業禁止の規定が掲げられております。
#10
○委員長(山田節男君) ほかに第三章について御質問ございませんか。
#11
○早川愼一君 四十四條の規定ですが、現在労働省で施行規則を出しておられますが、あの中にある労務供給の四項目のうちで、旅行細則の四條ですが、この四という規定はみずから提供する機械、設備、機材若しくはその作業に必要な材料、資材を使用する又は專門的な機械、技術を必要とする作業を行う、單に肉体の労働力を供給するものでないこと、これが非常に現在解釈上現場で、或いは安定所とこういう仕事をやつているものとの間に見解の違いがあるのですが、その機械とか設備とか機材、例えば自轉車は機械じやない、オートバイ以上のものというようないろいろなむずかしいことを言われているのですが、これは何か決定された只今の御方針はどういうことになつておりますか。
#12
○政府委員(齋藤邦吉君) 第四條の労働者供給事業の定義の問題でございますが、この第四條四項の問題につきましては、私共の方では土建事業或いは港湾荷役事業、そういつたような各種のこうした関係のある事業につきまして、それぞれの基準を実は定めてございます。併しながら根本の事業をするところのものは、肉体的労働力を提供するようなもの、それが労働省供給事業だという根本の思想に基いて考えておるような次第でございます。尚各事業ごとにはいろいろ各方面の意見もありますので、十分私共の方でも研究いたしまして、安定所において余り勝手な解釈をしないように基準を定めてございます。尚その基準の実行に当りましても、実行不可能或いは又実際行う場合に適当でないというようなことでありますれば、地方の意見も聽取いたしまして、適当な是正の方法も講じておりますが、全國一律にやりまする関係上、一律の基準を定めて実行いたしておるような次第でございます。
#13
○早川愼一君 それは基準が現在出ているわけですね。
#14
○政府委員(齋藤邦吉君) 現在相当の部分につきましては一應の基準を定めてあります。定つてない非常に解釈の下しにくいものもありますので、全部が全部基準を下したというわけにはまだなつておりません。
#15
○田村文吉君 尚繰返しますが、三十二條の「但し、美術、音樂、演藝、その他特別の技術を必要とする職業」というのは、お考えになつてどういう職業か、何か省令で決めてありますか。
#16
○政府委員(齋藤邦吉君) 後程それでは省令の書いたものをお届けいたします。美術家、音樂家、演藝家、化学者それから医師、歯科医師、獸医師、藥剤士、看護婦、助産婦、弁護士、弁理士、計理士、或いは美容師、栄養士そういつたふうなものでありまして、即ち営業開始に当りまして、國家試驗なりそうした類似のものが営業開始の要件になつておるというふうなもの、或いは美術、音樂というような特殊な專門の技術を必要とする、こういうものを考えております。尚一應今申しましたものを省令では定めておりますが、尚これに類似の業がありますれば、中央職業安定委員会の意見を聞きまして、こうした職業を拡充して行くというふうに考えております。
#17
○委員長(山田節男君) 他に御質問ございませんか。
 次いで第四章の第四十八條から第六十五條までの間に御質疑ありませんか……。別に御発言もございませんようですから、質疑は一應終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#18
○委員長(山田節男君) 御異議ないと認めます。
#19
○田村文吉君 さつき問題になりました、速記は付けてありませんでしたが、全然死文のものが、入れてあるということは、私共はこれは当然削除すべきものと、こう考えますので、当然修正が必要だと思います。そういう意見もありますので、改めて修正案を提出するかも知れません。
#20
○委員長(山田節男君) それでは只今田村委員から修正意見が出るかも知れないということでありますから、先ず今日は質疑は終局したものといたしまして、午後一時半まで休憩いたします。
   午後零時十四分休憩
   ―――――・―――――
   午後二時十分開会
#21
○委員長(山田節男君) これより午前に引続いて労働委員会を再会いたします。先ず緊急失業対策法案の一般質疑を続行いたしたいと存じます。労働大臣、安本長官並びに大藏大臣がお見えになつておりますので、御質問をお願いいたします。
#22
○門屋盛一君 もう先日から大分質問も長く続いておるのですが、結局土曜日の委員会で、この緊急失業法案の質問が財源の問題に追い詰めておるわけであります。と申しますのは、大体この失業対策の問題について労働省、安本、商工省等から沢山の資料を頂いたのですが、時間の関係上細かいことを略しまして申上げますと、政府の方でお考えになつておるのは、この九原則を実施するために産業合理化をやつて、今日この事業が一つ縮少して合理化をやつて、ここの左の事業から千人なら千人の失業者が出ると、今の政府の説明通りに考えると、明日は直ちに右の方の事業が興つて、そこへまあ九百人なら九百人が吸收されるという表になつております。併しこれはまあ御事業をなさつていない大臣方だから分らないかも知れないけれども、我々事業をやつておる者の経驗から行きまして、労働者の立場から考えて見ても、経営者の立場から考えて見ても、今日合理化した仕事から出た失業者が、明日ここで吸收されるということは絶対に考えられない。この失業者の数の多い少ないの考え方も非常に違つておるんです。いずれにしても企業合理化をやつて、それが他産業に吸收されるまでの間には相当の数の失業者が出る、これは私の想定では二百万人くらい出ると思う。それに対して今賄ない得るものは失業保險と、この緊急失業対策法案の裏付けになつておる、数字の上から見れば八億ばかりしかないのですけれども、その八億もすでにもう実質は使つてしまつておるような金なんです。この間をどういうふうにして食い繋いで行くか、これがどうしても今までの質疑、應答で割切れない、それが一つと、そのことに対して更に説明があれば説明して貰いたい。説明と申しますのは、お前の考え方が違つておる、左の事業が今日止れば、右の事業は明日から始まるので、今日吐き出された労働者は明日からすぐ吸收されるのであるから、この表の上から見ると、大して本当の失業者というものは出ないようになつておる。併し実質は他産業に吸收されるまでの間の数百万の失業者をどういうふうに処理して行くか、これが労働者の方からいうと一番不安であるし、又経営者からいうと、そういう労働者が不安に陷るようなことでは、結局思い切つた企業の合理化はできない、そうして折角大きな看板を掲げた、九原則の実施というものが、本当の腹の底の膿を出すのではなくして、皮膚を切つて少しばかり何か膿汁を出しただけのことで、本当に日本の自立的な経済を確立するということはできないと思います。その財源の面になると、安本長官も労働大臣もはつきりしたお答えができないというので大藏大臣においで願つたわけでありますが、私は公務員法を審議する折にも、ただ立法的な処置だけ國会が決めればいいわけのものではないのであつて、一つの法律を制定して出す以上、その法律に対するところの財政的の裏付けというものはどういうふうになつておるかということを一應確かめないと、この法律案を審議する上において非常に良心的に困るということを、私は公務員法のときからそういうふうに言つておる。繰返して申上げて置きたいことは、形の上ではそういう失業者が出るから緊急失業対策法案を作つてちやんと備えて置くのであると労働大臣は言われるのであるけれども、ちやんと備えて置かれるところの法案に、財政的な裏付けがないのでありますから、先ずその活字の方では安心できるかも知れませんけれども、実際労働者は安心できないし、又経営者も安心できないということになつておるのですが、この良に対して外の委員からも足りないところを補足して貰おうと思いますが、私は要約しますると、この間からの質問は失業者の出る時間的のずれに対して、政府のお考えが余り十分でないんじやないかということと、その時間的なずれのあるものを一時プールしなければならん。そのプールの財源がない、こういうことの話ですが、この点について各大臣から一つ腹を打割つた御説明を願いたいんです。この間労働法が上程されました折に労働大臣に申上げて置きましたように、法案を早く通そうと思えず政府の腹を割つた話を早く聽かして貰えば、今後ぐずぐず言いたくないので、不安の点があれば何遍でもこれは質問を繰返さなければならんと思います。一つ今日は思い切つて本当の腹を打割つた御答弁を願いたいと思います。若しそれが公開の席でいけなければ非公開ででも、我々だけでも眞相を知つて審議したいと、こういうふうに考えております。
#23
○國務大臣(池田勇人君) お話の通りに、財政的には公務員の行政整理をやりまして、相当数の失業者が出ることになります。又企業経済の方面からも、これを九原則に副い、又爲替一本本レートの設定、國際市場への参加ということからも失業者が出る見通しがつくのでありますが、併し片一方では臨時でございますが、退職資金を出すとか、又企業整備をいたしますと同時に、輸出産業の振興を図つて、そうして時間的ずれと申しますか、整備があつてから後に輸出産業ができるか、輸出産業ができて受入態勢ができてから企業整備になるか、これはいろいろな場合がありますが、うまく行けば私の通りになるし、惡く行けば企業整備が先に起ると思います。そうして企業整備の問題にいたしましても、官廳方面では予算を取つておりまするが、一般企業体においては退職金制度は置いておりまするが、これが果して直ぐ金融がつくかどうか、退職積立金が機械、器具、土地、建物になつておる場合もあります。退職金を出すための金融というものはなかなか困難でございまするが、私といたしましては、先般來こういうことがあることを予期いたしまして、日本銀行をして、企業整備を行わんとしておる会社、並びにこれが企業整備をしたならばどの程度の金融の途をつけなければならんかということは一、二ヶ月前から調査し、或いは中にはもう企業整備の金融をつけている会社もございます。こういうような方法でやつて行きたいと考えておるのであります。而して全般的に申しますとそういうふうに失業者が出る情勢になつておる場合に、これが救済策を相当予算を持つて受入準備をして置くのか、或いは予算なしで、出たところ勝負で行くか、それにはどういう財源を目当てにするか、こう二つの考え方があると思います。私は当初從來の考え通りに、予算上できるだけ失業対策費を取つて置いて、そうして出た場合においそれと事業を考えようという考え方も一時はいたしておつたのでありまするが、経済九原則が予算にはつきり出まして、それだけ前以て取る財源がございません。然るに片一方では対日援助見返資金という特別会計ができまして、これが失業対計にも使い、とにかく國の経済再建に必要な方面に使つていいということになりましたから、実質的には從來考えておつたような予算を置いておくのと余り変りはないし、又始めからこれだけ失業対策費があるのだというので、金を積んで置くより積まずに置いて、本当に出たところで千七百五十億の相当部分を使つて失業者を受入れる方へ行つた方が、これより現実的と申しますか、経済的だという考えの下にこういうふうな予算に相成つたのでございます。で予算上見積つた失業対策費というものは少うございますが、先程來申上げましたようないろいろな対策をいたしまして、輸出産業の振興に、又國土の開発に相当使い得る金があるのでありますから、関係方面の了解を得て、そうしてこの失業対策に有効的にいろんな金を使つて行くという考えで進んで行きたいと思つている次第でございます。
#24
○門屋盛一君 只今の大藏大臣のお話でまあ大体分りかけたのですが、新聞等で方ましてもこの援助資金の使い方というものは、大体新聞ではこの割振りはついたように恰好になつておりますが、果してどれくらい失業対策に財源が廻されるのですか。援助資金にも枠があるのですから、そういう失業者の出た折に援助資金をオーバーしようが何しようが、構まわなというふうに使えるのがどうかということを大藏大臣に伺いたい。
 それから安本長官にこの間からお尋ねしていることで、金は何とかしてできるとしても、その金のできた折に、例えば浜口内閣の失業救済のように、切羽詰つて、遊ばしておけないからこれでもやつて置け、あれでもやつてお置というような仕事をやつたのでは、これは使つた金が全部マイナスになつてしますのです。そこで只今幾ら援助資金で出て來ようが税金から出て來る財源にしても、國家的財源でありますから、國家的の財源はこの失業対策事業をやるにしても、他日日本の産業面にプラスになる方に使わなければならん、こういうことを考えた場合に、安定本部としてはどういう事業を予定されているか。金は大藏大臣の方で大丈夫と言うのであつたら、これは労働大臣と安本長官の方ではもう少し本当の計画を立てているのですか。出たところ勝負で、失業者が出たとき、それからやるというこの法案には、私は肯けない。安本長官の方が失業者が何人出るかは労働大臣より先に知つている筈ですから、これだけの失業者が出るならばこれだけの事業をやらなければならん、その事業はどういう種類の事業をやつたらいいか、どういうふうにやるかということは御計画があると思う。今まで立てた五ヶ年計画などというものに吸收して行こうとしても、それはなかなか思う通りに行かないから、一應この失業対策としての計画を安本はお持ちにならなければならん。大藏大臣に対してはその財源の使い方と申しますか、数字的にどれくらい当てになるのかということ、それから安本長官に対してはどういうふうにそういう御計画ができているが、これはこの法案そのものはでき上りましても、労働大臣と安本長官がそういうことを共同で確立しなければならん責任があるのですから、法律は、これは出れず直ぐ実施に入るのですから、御計画はもうできている筈です。それだけお伺いして置きます。
#25
○國務大臣(池田勇人君) 対日援助見返資金の使い方についてのことがちよいちよい新聞などに出るようでありますが、あれは午前中の閣議、或いは衆議院の委員会で言つて置きましたが、これは單に事務当局が、こういう方面に金が使いたいと言うことだけでございまして、安本長官も私も関知いたしておりません。勿論大藏省の職員も出ますし、各省の職員も出るようでありますが、私は常に大藏省の職員に言つております。まだこの見返資金の使い方についてはつきりしないのだ、これを論議して、そうして新聞に出したりなんかするということは誠に不思議で、僕としては困る、こういうことは私の省に関係したものにつきましては、これは言つておりますし、安本の職員にも知つている人がありますので、私は言つておりますが、あれで行こうとは私も考えておりません。これは他の機会で申上げました通りに、早く分つておればあなた方に御審議を願うべき筋合のものかも分らんと思うのでございまするが、お金の出どころの性質上まだ時間的にも決まつていないので、安本長官とも話し合つておりますが、余程重要なことだと思うのです。だから余程愼重に考えなければなりません。而もこれはそのときどきの情勢によつて考えなければならん部面も相当ありまするし、或いは又一部の考えておられるような生産計画、長期に亘る生産計画的に見なければならんという見方もあります。又相当部分は復金債の償還に充てるということも、これは御承知の通りの事実でございまして、千七百五十億の残りの千四百八十億について、今から発電事業にこうだ、石炭にこうだ、造船にこうだとか言うようなことは少し早過ぎるのではないか、私はこれに関する限り向うがどういう方面に使うということをまだはつきり言つていないときに騒ぎ立てるのはどうかと思いますが、併しやはり事務当局としては一應の見当は見積つて置かなければならんのではないか、今はその見当の途中でございますが、この機会にあそこへ出たからあれ以外の枠には使えない、あの枠にはどうしても使うということを本席を通じて一般に周知せしめて貰いたいと思うのでございます。從いまして大藏大臣としては千七百五十億円のうちから失業対策費として、どれだけ今準備しておるのかということを今申上げられない状況に相成つておるのであります。併し日本経済再建のために失業者をそのまま放つて置くというわけには勿論行きません。又失業者をどんどん有効な方面に使つて、國土の開発、輸出産業の伸展を図るということが、この見返資金の使い方の重大目標でありますので、そのときどきに補足をいたしまして万全を期したいと考えておる次第でございます。
#26
○門屋盛一君 大藏大臣に今少しお伺いしたいのですが、若しそうしました場合にやはり我々の考えておりましたように、見返援助資金というものの使い方には相当の制約を受けるわけですね。そうするとさつき冒頭に申上げましたように、失業者が出てそれが他産業に吸收されるまでの間に、他産業の方が先に景氣が出ておれば、こつちで馘られてもそつちの方へ流れて行くから、恐らく緊急失業対策の金は一銭もなくて済むかも知れないけれども、我我はそう見ることはできない。政府だつてそういう乱暴なお考えはしないと思う。それで他産業の方には見返資金の計画は立つ、この産業に出してよいか惡いかという計画が立つから、それについて私の心配することは、他産業に吸收するまでの間プールになつている労働者を漫然と遊ばして置いて、失業保險の金で賄いきれなくなつたので、遊ばして置けないから何でも行き当りばつたりの事業をやるというのでは困るから、安本の方の計画を立てて貰いたいと言うのですけれども、幾ら計画を立てても、見返資金の性質からいうと、これから持つて來て救済事業に使うということは困難な問題で、やはりこれらは日本の税金の方で集つて來た金の方から、そういう失業対策の方にやらなければならん場面に追い込まれると思うのですが、これに対する見通しはどうですか。何でも採算の採れない事業にでもこの金は使わして貰えるのですか。
#27
○國務大臣(池田勇人君) この米國対日援助見返資金特別会計に書いてありますように、何も採算が採れる事業ということに決まつておりません。採算の採れない場合にも、必要がある場合には出し得るという彈力性があるということは相成つております。而して私は対日援助見返資金ばかりによつて行く考えもないのでございます。御承知のように私は毎日のように見返資金会計にもう入つたか、或いは入る指令が出ているかということを聞いておるような状態でございますが、これは早急に二、三日のうちということは期待できません。又二、三日うちに指令があるにいたしましても、その金額につきましては段々に入つて來るような状況でありますので、私としてはこういう期間中でも金融市場に梗塞を來したり、或いは再建を遅らしたりするようなことのないように、先程申上げましたこの企業を再建するためには資金がどれだけ要るとか、どういう事業にどういう金を貸すということが、今復金がなくなつた関係上、ちよつと今端境期と申しますか、困つておるような状態でございます。金融は先程申上げましたように三千百億程度であります。全般的な問題として今考慮をいたしておるのであります。行く行くは対日援助資金に相当期待をいたしておりまするが、それまでにおきましては、できるだけのことはいたすべく努力をいたしております。
#28
○國務大臣(青木孝義君) 一昨日ここでお答え申上げましたように、我々はその見返勘定等の中の資金のどれだけがどういうふうに廻し得るかというようなことが、只今大藏大臣の言われたように明白でもございませんので、大体一昨日申上げたような意味で、できるだけ建設的な方面にそういう資金が持つて行かれるようにということを期待しておりまするし、又そういうことによつて本來の事業関係、或いは輸出振興というような面で積極的に活用のできるような、そういう方面へ失業者の吸收ができるような対策を考えておる次第でありまして、それには特に電源の開発であるとか、更に五ヶ年計画のうちで特に取上げ得るようなものは、是非ともそういう方面へ取上げて行きたいということも考えております。尚この電化の問題等も、我々としては失業対策というような面をも強く考えまして、期待をいたしておるような次第でございます。尚これを吸收する数というようなことで、一昨日数字のいわゆる推定数のようなものを申上げましたような次第でありまして、結局どの産業に、或いはどの建設的な事業に廻し得るかというような資金がだんだん明白になり、それを決定づけて参るに應じてこの対策が、失業対策も具体化されて行くというように考えておる次第でございます。
#29
○國務大臣(鈴木正文君) 私からも、もう失業対策の大体の構想というような問題につきましては、しばしば申上げましたけれども、この際もう一度申上げたいと思います。今までの御質問に対するお答え、その他でも、凡そ分つて頂けたと思いますが、大体失業対策は三つの範疇といいますが、段階に分かれている。第一は、一番直接的な失業保險の問題、或いは行政整理の場合の退戰金の問題もその意味を含むかもしれませんが、そういつた直接的な給與、又は失業保險料の支拂いの問題、それからその次には又緊急失業対策法の中に失業対策事業として考えられているような、直接的な失業対策の事業を遂行して行くという面、それから第三には電源の開発とか、國土の総合開発、或いは輸出の振興政策の推進というような最終的の雇用の面を高めて行くという政策、門屋議員の御指摘の通り、本当の失業対策はそういつた積極的な建設的な面に力を入れなければならんということも、これは痛切に私達もそう考えております。ただ現段階においては、この三つを援用して行かなければならん。而もそのうちどの程度にこの三つが緊急性を持つて、ウエートと申しますか、重要性を持つて來るかというふうなものは失業の出方により、又輸出産業あたりの振興の、政策の度合にもよると思いますけれども、いずれにせよ失業保險の問題は別といたしまして、これはしばしば申上げた通りでありますが、いずれにせよ本格的な、建設的な事業の中に失業対策としてそれを吸收するというだけでは、來年初めあたりは足りないのであつて、それが根本的な考え方ではあるけれども、段階的には緊急的な失業対策というような問題を都市の周辺とか、地方において行われなければならないという段階が來ると思うのでありまして、これは御指摘の時間的のずれに対する措置としては、主としてここに主力が注がれて行くと思うのであります。この点につきまして、考え方につきましては門屋議員もすでに了解して頂けたと思いまするが、その財政的の裏付はここだということが累述の御質問の中心であつたと思います。大体大藏大臣の御答弁によつて御了解を頂けたようにも思いますけれども、尚私として補足いたしますれば、失業救済事業は、労働大臣、労働省は勿論必死になつてこれを遂行しますが、いわば政府全体のこれは責任であつて、その責任においてなすべきことでありますからして、そういう第二の方式に極力段階的に力を入れなければならないという段階におきましては、更に別個のこの財政的措置を取つて援護して貰うということが当然であり、恐らく大藏大臣は、そういう場合におきましては、今の御説明と併せて、そういう措置を取つて頂けるものと確信しているわけであります。
#30
○門屋盛一君 大藏大臣にお願いして置きたいと思うのですが、今労働省や、安本の方から出ている資料を、本当のものと思つて財政的計画を立てると飛んでもないことになつてしまう。それはこの労働省で出ている資料の中にも、安本の資料の中にも、日本の潜在労働力というものが一つも見込んでない。私は産業合理化に着手しますと、この潜在労働力が、他産業がずつと興つて行くときには、これは潜在でなくして、本当の労働力に費やされてしまうのですが、企業の合理化というやつは政の府コントロールは直接効かないんですから、不景氣だと見たる企業家はどんどん人を減らして行きます。そうすると企業家が人を減らすような状態になると、これは今日の現在の状態で分るんです。料飲店が再開になつたので非常に料理屋が喜ぶかと思つたら、今の皆さんの懷では再開しても余り飛び込んで來ないというふうになつている。そうするとこの潜在労働力の中の露店業とか、それからあの闇のかつぎ屋、それから農村の潜在労働力というものは非常に多い。これは失業者の数と、失業する人の見込の数というものが、安本の方の調べも、労働省の調べも大きな間違いがある。これはまあ後で同じ政府同士ですから、よく本当の腹を割つたことを聞き合わしておかんと、純失業者が今安本の表で行くと、二十万人なんですが、そんなところなら私はこんなに何日も何日もお忙しい大臣を引張り出して聞かなくていいんですが。やはりこれの十倍、二百万人、今の潜在労働力は、本当の失業者と考えられるのが二百万人くらいあるということを考えているんですから、これは私はお願いですから、相当の財源を用意をしておいて貰いたい。それから安本長官に重ねてお願いして置きますが、行き当りばつたり今のお話を聞いていると、二百万人出ることと計画しておいででなかつたから……。二百万人くらい出て來る。而もそれは都会地周辺に出て來るものと言つて、それを最も有効に……、この間中野先生の言うどぶ渫いみたいなことでなくて、もつと有効に使える仕事が幾らもあるのですから、そういうものを計画して置いて、今度の血の出るような金は、今の日本の金は一円の金でも血の出るような金を使つて行くのだから、これを立派な計画を立てて置いて貰いたい。これだけでもうしようがないから、希望意見で打切ります。何ぼ聞いておつても分らない。了承と言われるけれども、分らんじまいです。ただこの表は信用できないということだけは声を大きくして言つて置きます。
#31
○中野重治君 大藏大臣にお尋ねしますが、千七百五十億の見返資金というものをどう使うかということは、今更日本政府側としてかれこれ言うことはできない、こういうわけですか。
#32
○國務大臣(池田勇人君) 最後の決定は、関係方面の承認を得て決定することになつておることは御承知の通りでございます。私といたしましては向うと折衝と、向うに應ずる材料は考えておりますが、今安本の事務当局案として世間に発表しておる線とは相当違つておるのじやないかと考えます。
#33
○中野重治君 安本の案として世間にどう発表されておるかということとは別に、大藏大臣の考え方では千七百五十億円の使い途について承認が要るのはいうまでもない、細目的な問題は……。この中から失業救済費にどれだけくらいを捻り出すつもりだ、そういうつもりで交渉して、そうして承認を得たいと思つているのだというのでさへも現在は発表できないと、こういうわけですか。
#34
○國務大臣(池田勇人君) その通りでございます。私の腹を率直に申上げれば、失業者の出ることを予想しながら事業も考えて行かなければなりませんし、そうして又國土開発その他のことも考えて行かなければならんと思います。これは國策の最も重要なる部分でありまするから、内閣職員が全智全能を絞つて進めて行きたいと思います。
#35
○中野重治君 それで大藏省内としては、まあそういうふうな数字のことなんかを口軽にいろいろ喋り散らすなというような戒めまでも大臣の方から與えておるという話でしたが、今日までの委員会での質問應答を繰返して來た結果、今日は三人の大臣に顔を並べて貰つたのですが、大体先程の大藏大臣の意見には、安本長官も労働大臣も賛成されて、尚且つその上にこれをそれぞれから補足されたというわけですから、根本的に一致しておると思いますが、そうしますと、現に目前に失業者がどしどし出ておる。又二十五日の労働大臣の言葉によれば、爲替レートの決定によつて民間企業の首切りは、一二ヶ月早まつて行くとか、こういうふうな話があつて、多くの失業者が出るのですが、それに対する現在具体的に計上されておる予算は一銭もない。これは三人一致された見解でよく分りました。それから、それに千七百五十億というものが、これは今大藏大臣が繰返し説明されたようなものでありますからして、別の言葉でいえば、これは使えんかも知れん金、千七百五十億円という莫大な金額であるけれども……。そういうことになります。ゼロプラス、使えないかも知れない千七百五十億円の金と、そういうことになつて、併し労働大臣としてはそういうことについては、大藏大臣とも話してあるし、いざという場合には粉骨碎身されて、何とか或る程度漕ぎつけることに話合はなつておる、こういうわけです。そうすると金がなければ話にならんことは勿論のことであつて、労働大臣に言わせると、大藏大臣によろしく頼んである、大藏大臣に尋ねると見返資金を何とかするつもりだ、併し見返資金をどう使うかということが、その見返資金という言葉が表明しておるように、関係筋の決定に俟たなければならん。首を切つて民間企業を潰す、そこまでは日本政府が自己の責任において実行するけれども、その後始末をどうするかという政治責任からは、労働大臣から大藏大臣、大藏大臣から見返資金、見返資金から関係筋と、この方式で行けば完全に解放される。日本の政府は莫大な失業群の救済に関して、失業者を出すということの実行は責任は以つてやつているけれども、後始末の責任からは完全に解放されるということになりますね。そうすると出たとこ勝負とか何とか、まあそういうようなことが、政治上の方針として使われるということがそもそもおかしいと思うのですが、これは出たとこ勝負じやなく、どこへも出ない。大藏大臣の言われる失業対策の交渉何というものは、失業対策の交渉、失業対策の無交渉ということになると思いますが、そうなれば日本の政府の政治責任というものが完全に解除されるという点は便利かも知れんけれども、首切られる方では実にたまらない。そういう筋途をどうしても取ると思うのです。現に日本の工場の中では給料の未拂い、滯納というか、未拂、遅拂いというのが一万件にもなつております。労働基準法の適用によつて、それがびしびし処理されているということは殆んどない。行政整理から來る首切りと、それから民間産業から出て來るこの大きな失業者群に対して今説明されたような失業対策の構想とかいうようなことは、ただ日本政府のこの問題に関する政治的責任遅れに非常に工合のいい方式である外はないということになると思いますが、その点どうでしようか。
#36
○國務大臣(池田勇人君) お答え申上げますが、失業対策とか、或いは企業整備とか、いろいろな問題はそう机の上で時間的に、数字的に議論するものであるかも分りませんが、又そこにいろいろな綾のある問題だと思うのであります。私が先程説明申上げましたように、見返資金がおいそれと出ないというときに、民間企業の企業整備の資金がないという場合におきましては、できるだけそれを調査しまして、整備資金を出すようにいたしておりますし、又それが出る前に輸出産業で起さなければならないものにつきましての金融上の措置をするということは先程申上げた通りでございます。今日失業者が出たから、或いは或る会社が賃金不拂いになつたから、すぐ金を積んで置け、こういうこともございますが、実際には当らんのじやないかと思います。生きた政治でございますから、できるだけの努力はいたします。片一方では見返資金を早く使えるような方法を講じますと同時に、片一方では企業整備を促進し、これが整備資金を出すようにも努力し、又將來有望なところにはどんどん金融を続けて行つて輸出産業を振興する。こういう一体の政策で行くのであつて、あなたのおつしやるような何日までにどうというような問題は、我々の努力によつて相当援和できることと考えておるのであります。又そうすべく準備をいたしております。
#37
○中野重治君 生きた政治とか綾があるということを言われて非常に結構かも知れんと思いますが、手持の金は一銭もない。それから見返資金はあるけれども、それはどう使えるか分らない。併し綾を含ませて、生きた政治家として何とかやつてく積りだということが一方にあつて、併し首切りはどしどしやつて行くということになれば、私がさつき言つた方式、政治的責任遅れ以外の何か方式になると、こう相手を納得させられるとあなたは思いますか。
#38
○國務大臣(池田勇人君) 失業対策については見返資金に限つたことはございません。時間的なずれはいろいろな金融措置を講ぜられるし、又講じなければならないことと私は考えておる次第でございます。
#39
○中野重治君 いろいろな対策を講じなければならないことは分り切つていることであつて、そんなことに対してはお答えに及ばんと思います。どう講ずるかということで、我々はここで議論しておる。質問しておる。だからどう講ずるか、何も見返資金ばかりでなくていろいろな方策を金融面から講じなければならないことになれば、これは門屋委員が頻りに問われている、財源はどこにあるかというような問題、そういうような問題についてせめて見当でも付けることはできませんか、政府は……
#40
○國務大臣(池田勇人君) こういう問題は見当をつけてやらなければならない問題かも分りませんが、繰返して申上げますが、政府職員の退職につきましては退職金を考えておりますし、又民間企業におきましての退職金も今考慮を続けて、出すべく調査をいたしておりますし、又有望な輸出産業につきましては、金融上の処置をとり得るのでございます。何も失業対策といたしましては、この見返資金が出るまで一つも出さんというのではございません。予算上、或い見返資金で取り得るときになつたらこれによりますけれども、それまでに失業者が続出いたしまして、経済界に惡影響を及ぼすというときには、失業対策費の金としてどんどん出す予定であるのであります。ここに或る会社が企業整備をした。さあそこへすぐ金融上の措置を取る。こういうけれども簡單に行くものではないのであります。これは日本経済を建直す場合におきまして、どうしても採算がつかんような会社、企業につきましては、これはもう廃止せざるを得ない会社も出て來ると思います。併しそこに又相当の彈力性もありまして、これ亦賃金の引下げとか、或いは又経済の再建の面にみずから進んで労働力を捧げて行くというようなことも考えられるのじやないかと思います。從つて私といたしましては、所管している財政金融の面につきまして、一方では企業整備を計り、経済の再建に向いつつ、他方では万人その処を得せしむるような方策を取つて行きたいと念願している次第であります。
#41
○中野重治君 そうしますとこういうことになりますか。この緊急失業対策という大事な問題のうちの大藏省所管の問題に関しては、日本人は大藏大臣の委して置けばいいということになりますか。
#42
○國務大臣(池田勇人君) 先程労働大臣から言つておられますように、これは労働大臣、大藏大臣だけのあれではないのでございまして、内閣全体といたしまして万全の措置を講ずる準備をいたしております。
#43
○中野重治君 その問題に関してもう一遍繰返せば、そうすれば日本人はこの問題は関して政府に全く頼つていればいいということになるわけでありますか。
#44
○國務大臣(池田勇人君) 我々といたしましてはできるだけ努力いたしまして、國民のそういう期待に副うべく日夜苦心いたしている次第であります。
#45
○委員長(山田節男君) 他に御質問ございませんか。それでは別に御発言もありませんようですから、一般質疑はこれで打切りたいと思いますが御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#46
○委員長(山田節男君) 異議ないものと認めまして、それではこれから逐條審議に移りたいと思いますが御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#47
○委員長(山田節男君) それでは緊急失業対策法案の第一章、第二章、第三章、章別に御質疑をお願いいたします。第一章総則の第一條から第三條まで御質問ございませんか……
 ないようですから、次に第二章第四條、第五條、第六條、第七條、第八條、第九條、第十條、第十一條まで御審議を願います。この章に関しまして御質疑ございませんでしようか……
 ないようですから、続いて第三章第十二條以下第十六條まで御審議をお願いまします。
 別に御発言もございませんから、続いて第四章雜則、第十七條より第二十二條、並びに附則、これにつきまして御質疑ございませんか。
 別に御発言もありませんようですから、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#48
○委員長(山田節男君) 異議ないものと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方はそれぞれ賛否を明らかしてお述べを願います。他に御発言ございませんか。
#49
○中野重治君 私はこの法案に反対です。その理由を簡單に申上げます。國又は地方の力で事業を起して失業者を吸收して行くということは誠に尤もでありますけれども、わざわざ失業者を作つて置いて、それから失業者が出て安定所に群がつて、困り切つてどこどこの地方で、どれだけの人数の失業者で出て來たということになつてから、それを救う方式を考えて行くというやり方は、これは根本的に非常に無駄なやり方であつて、これは日本の経済再建の趣旨に根本的に合わない。根本的な無駄遺いの方式に立つておる、この点が一つ、それから予想される失業者の数は、政府発表でいろいろ出ておりますけれども、そういうものは今までの労働大臣その他の人達の責任あるというお答えによるというと、どうもはつきりしない。要するにはつきりしない。それですから法律案ができてこれを実行するというための数的基礎が誠に曖昧である。そういうものの上に法を立てて実行することは、これは実際上不可能ですから、これが非常に大きな欠陷になつておる。それから第三には、これも今まで繰返し明らかにされたことであつて、現に今ここでも明らかにされたことですが、失業者を救済するための金が一銭もない。又今後この方面で金を幾ら使うかという当も一銭もない、それだからこれは失業者を救うためという目的は立派に立つておりますけれども、それを裏付け得るべき物質的基礎を欠いておりますから、これは法となる資格を持つていない。その他さまざまな問題がありますが、簡略に言つてこの三つの主要な欠陷からしてこの法案に反対します。
#50
○村尾重雄君 私は、近く失業者が発生するという予想の下にという前提において法案を説明されておりまするが、近くどころかすでに失業者は出ておるのであります。
#51
○委員長(山田節男君) 村尾委員に御注意申上げます。先ず賛否を明らかにして……
#52
○村尾重雄君 その前提をおいているのです。その立場上失業者に対する対策については、却て遅きに失する感じを持つのであつて、本案に対しまして私は賛成をするのであります。ただ賛成するについて、この運営について少し希望を申述べておきたいと思いますが、過日來から審議の中心となつておりました政府の失業対策に対する考え方というものが非常に曖昧というか、それとも不用意というか、熱意がないというか、我々はその失業対策の今後の運営について非常に不安を感ずるのであります。例えば失業者を予想するその数においても、政府の行政整理において失業者が何人出るかということは、これは政府みずからが自分で首を切るんだからして、これは行政整理において明確な数は出ることははつきりしておるんだが、例えば企業整備において、例えば又潜在失業者の顯在化においてその政府の数の出し方というものは非常に杜撰極まるものだと、こう思うのであります。企業整備においてどれだけの人員が出るかということは、大工場においては大体推定は、九原則の実行に伴うて、又レートの制定に伴うて明確にされるでありましようが、日本の大部分を占めておるこの中小企業に対する企業整備の大体失業者というものは、そういう政府の、上からの見方でなくして、実際にそれにタッチしておる、例えば我々京阪神におる者ですが、すでに阪神における中小企業というものは非常に金詰り又企業整備の、企業合理化の線がすでに始まつておつて、多数の倒産工場が現われておつて、失業者が多数、すでに段段現われておるのであります。この点で企業整備なり潜在失業者の顯在化等においても、非常に政府が暫定的にこういう数を基礎としたのだとおつしやるが、非常に私は少なく見方をされておるのだ、こう思うのであります。これらの現われた失業者を吸收する一つの政府の対策というものは、この失業対策事業に盛られておる、基礎をなしておる意図というものもこれ又非常に我々は杜撰だと、こう思うのであります。例えば失業保險だとか又想定するという、日雇保險制度によるとかいう一つの保險制度において、或る程度の間失業者を救済するという考え方がある、而も失業保險によつて又保險制度において或る程度の間、保証した期間ののちに企業整備から來るところの、例えば今後の輸出産業に対して、又新らしいその産業に吸收するのだという考え方を持つておりますが、これすら我々は十分に得心することができないのであります。それよりか反対に企業整備の合理化と共にまずまず中小企業においては、不安な悲観すべき前途を我々は実際に持つておるのじやないかと思います。こうなつて参りますと、失業者の而も再び就業希望する見込数においても政府と根本的に違いますし、又これらの就職方法における失業対策においての対策の立て方においても非常に我々は不安を持たざるを得ないのであります。こういうような立場から十分この失業対策については、眞劍な態度を政府而も労働省だけがお持ちになるのではなくて、やはり総合的に政府の責任において十分立てられるべきだと思うので、今後の運営について十分な確信をもつてこの失業対策事業法に対する裏付けのための熱意を持たれんことを希望して賛成いたします。
#53
○田村文吉君 私は本案に対しまして結論において賛成するものであります。由來この失業対策ということくらい面倒な仕事はないのでありまして、大体ならば失業者を出さないように考えることが一番肝腎なことだと思いますので、今日日本の当面した問題としては、いわゆる九原則に從つて起る失業の問題なんでありますが、この九原則がなぜかように失業者を多くさせる結果になるだろうかということを考えますると、結局今日においては税金が高過ぎる、多過ぎるということと、金融が非常に梗塞しておる、この二つがあらゆる方面に失業者を出さんとする傾向におることは、只今村尾議員から御説明があつた通りであります。殊に大工業に対しては新聞にも発表されてよく分るのでありますが、中小企業がこれがために非常な痛手を被つておりまして、今後その方面に現状のままであるならば多大の失業者が出るのではないかと考える。でありまするから失業対策の第一の根幹は、失業者を出さないようにする。それには金融の融通をつけて、現在のような梗塞した金融状態に置かないこと、余りに過当な税金を課せられておるということを緩和してやる。このことが第一の根本の要件であろうと考えるのであります。
 次にすでに失業対策は非常な面倒な仕事であつて、又完全を期するということは非常に困難でありまするが、一應先ず失業対策に対する法律を作つて準備をする、こういうことについては大体において必要なことであろうと考えますので、私は賛成するのでありまするが、一言尚この運用において注意をして頂きたいということは失業保險の関係、その他この関係するところが非常に大きいのと非常に又デリケートな関係があるのでありまして、まかり間違いますれば、いわゆる惰民をつくるという虞れがないでもない。又國家の事業の能率を落し、又一般産業の能率を低下させるということも因をなさないても限らんのでありますので、その辺を非常に総合的によくお考えになつて、失業対策をお考えにならないというと、悔を千載に残すようなことが起るかも知れない、こう心配するのであります。
 以上の点を十分に戒心されましてこれが運用をお図り願うということにいたしまして、私は本案に賛成いたす次第であります。
#54
○委員長(山田節男君) 他に御発言はございませんか……。別に御意見もないようでございますが、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#55
○委員長(山田節男君) 御異議ないものと認めます。
 それではこれより採決に入ります。緊急失業対策法案について採決をいたします。
 緊急失業対策法案を原案通り可決することに賛成の方の御挙手をお願いいたします。
   〔挙手者多数〕
#56
○委員長(山田節男君) 多数であります。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。尚本会議における委員会の口頭報告の内容は、本院規則第百四條によつて予め多数意見者の承認を経なければならないことになつておりますが、これは委員長において本案の内容、本委員会における質疑應答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとして御承認願うことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#57
○委員長(山田節男君) 御異議ないと認めます。
 それから本院規則第七十二條によりまして委員長が議院に提出する報告書につき、多数意見者の署名を附することになつておりまするから、本案を可とせられた方は順次御署名を御願いいたします。
 多数意見者署名
    村尾 重雄  小串 清一
    岡田喜久治  竹下 豐次
    一松 政二  田村 文吉
    平野善治郎  門屋 盛一
    早川 愼一
  ―――――――――――――
#58
○委員長(山田節男君) 御署名漏れはございませんか……。署名漏れはないものと認めます。
  ―――――――――――――
#59
○委員長(山田節男君) 続きまして職業安定法の一部を改正する法律案を審議いたします。
#60
○政府委員(宿谷榮一君) 午前中に御審議を願いました職業安定法の一部を改正する法律案につきまして、案の第九條第二項の点について政府委員の方で特に説明の足りない点がございました。これを残して置きました理由は國家公務員法の適用されていない分がございまして、從つてこの國家公務員法の全部が適用になつた場合に、初めてこの條項が死文化するのでありまして、尚当分これを存続して置くの必要を認めまして、政府におきましてはこの規定を残して置いたのでございます。いずれこれらの必要性が全部なくなりました上は、本案の整備を研究いたしまして、適当な機会に又御審議を願うことといたしたいと存じます。以上足りない点を補足して御説明申上げました。
#61
○委員長(山田節男君) 御発言の方はおられますか。
#62
○田村文吉君 只今次官から御説明のありましたことは、今の公務員法の中のこれに関係する條項はまだ適用になつていない、いないからそれが必要である。こういう意味を解釈してよろしいですか。
#63
○政府委員(宿谷榮一君) その中の一部が適用になつていないということになります。全部というのではございません。
#64
○田村文吉君 了承いたしました。
#65
○委員長(山田節男君) それでは、午前に引続きまして本案は質疑終了いたしておりますので討論に移りたいと思います。御意見のおありの方はそれぞれ賛否を明らかにしてお述べをお願いいたします。別に御発言ございませんか。
#66
○田村文吉君 私は本案に賛成するものでありますが、ただこの職業安定法の精神が、できました当時もそうであつたろうと思うのでありますが、今日に至りまするというと、先刻もお話がありましたように、如何にしてこの失業問題を解決するかという事態にありまするので、職業安定法の精神は、よろしく失業者を如何にしてないようにするか、早く轉職の便宜を與えてやるかという方面に力を入れて頂くようなことでないと困ると思うのでありますが、徒らに取締りを嚴にするというような考え方、或いは、統制範囲をもつと拡張してやるというような、こういうような考え方のものであつては困ると思うのでありますが、この片鱗を見られるものと考えておりますのは、学校に対する職業の周旋、斡旋でありますが、こういうものを今度この中に総合的に取入れられるというようなことが、ややもするとただ徒らに安定局長の権限内にすべてを統制するような考え方にのみ走ることは、非常に危險であると考えておりますので、この職業安定に関しては、今度の修正と同時に、できるだけ一つ失業者を深切に早く轉職の便宜を與えてやる、こういうことになつて貰わないと困る。今日はいわゆる営利企業のもの、すべて民間の職業の斡旋が事業としてはできないことになつたわけなんでありますから、國の責任が非常に重大だと私は考えております。この特に失業者が多いということを叫ばれておる時代に、この運用に当つては、よほど安定局長初め、これの運用にお当りになる方は注意して頂かないと困るということを申上げて、私は本案に賛成する者であります。
#67
○小串清一君 私は本案に賛成いたします。そうして同時に田村君から注意されている問題については、やはり同感でありますから全部は言いません。同じ意見であります。
#68
○一松政二君 私も本案に賛成するものであります。ただ今、お二人から申述べられたことは私も同感でありまして、職業安定法の基本法においても、亦この一部を改正する法律案におきましても、どうも我々のこれによつて受ける感じは、一つの枠の中にすべてを統一してしまおうという方面の意識が非常に強いように感ぜられるのです。そういう法律を一つ施行するという考う方よりも、田村さんの述べられましたように、一人でも多くの人に職業を與えて、又人を求めている人に一日も早くその人を世話する。それをやるだめには、できるだけそういう方面の人が簡單に役所の窓をいろいろな手続を通じてくぐらなくてもやれるといつた方面に私は考えて貰いたいと思う。取締ということよりも、職業を與えるという考え方にものを考えて頂けば、この法律の中においても、私はその運用のみならず、法文の上においてもまだ大いに取拾選択しなければならんところがあると思います。どうか今後の運用におきましては、徒らに取締に流れず、一人でも多くの人を世話する。それで成るべくそういう人に不便をかけない、深切にやるということをお考えの上に、今後の運用に当つて頂きたいと思います。それだけを述べまして、私の賛成の意見といたして置きます。
#69
○委員長(山田節男君) 他に御発言はございませんか。別に御意見もないようでございますが、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#70
○委員長(山田節男君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に移ります。職業安定法の一部を改正する法律案について採決をいたします。職業安定法の一部を改正する法律案、原案通り可決することに賛成の水の御挙手をお願いいたします。
   〔総員挙手〕
#71
○委員長(山田節男君) 全会一致でございます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。
 尚本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四條によつて予め多数意見者の承認を経なければならないことになつておりますが、これは委員長において本案の内容、本委員会における質疑應答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとして御承認願うことに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#72
○委員長(山田節男君) 御異議なしと認めます。
 それから本院規則第七十二條によりまして、委員長が議院に提出する報告書につき、多数意見者の署名を付することになつておりまするから、本案を可とされた方は順次御署名をお願いいたします。
 多数意見者署名
    村尾 重雄  小串 清一
    岡田喜久治  竹下 豐次
    一松 政二  田村 文吉
    平野善治郎  門屋 盛一
    早川 愼一
#73
○委員長(山田節男君) では御署名漏れはございませんか。御署名漏れはないと認めます。
#74
○委員長(山田節男君) 続きまして本委員会に付託されております労働者災害補償保險法の一部を改正する法律案につきまして御審議願いたいと思います。本案につきましてはすでに政府委員より提案理由の説明並びに一般的な説明がございましたので、直ちに逐條審議に入りたいと存じますが御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#75
○委員長(山田節男君) 御異議ないものと認めます。これより各章の逐條審議に移ります。それでは各逐條的に御質疑願いたいと思いますが、先ず第三條について御質疑ございませんか。
#76
○田村文吉君 今後もあることでございますが、こういうふうに相当多くの條文の御修正があるときには、やはり本條を入れて置いて頂くと大変便利なんでございます。これは労災法だけでございませんが、今後こういうものをお出しになるときは、原文も必ず対照表なんかをお入れ頂くことを委員長から御要求願いたい。実は私も災害補償法をちよつと見ようと思つても持たないものですから、どうか今後これだけ多くの條文の御修正のときは必ず各條文を入れて頂きたいと思います。
#77
○委員長(山田節男君) 第三條に御質問ございませんか。では続いて第十八條、第二十五條、第二十八條……
#78
○田村文吉君 この方二十五條が私は失業保險にも問題になるのでありまするが、一体、簡單に言えば賞與金の性質のものを皆入れてしまつた。元は入つていなかつたのですが、それを入れたということが大変な変りなんでありますが、これから殊に九原則の実施でお互の給料はそう余計は上げられないが、後で成績がよかつたら暮に賞與をやることは現在も行われておるのでありますが、そういうものを標準賃金に入れられることは不穏当であり、誠に困るじやないかと思うのでありますが、これはどういう御趣旨でお入れになりましたか。
#79
○政府委員(池邊道隆君) 只今田村委員からの御質問は賃金総額に三ヶ月を趣える期間に支拂われる賃金とか、その他物給のものを加えるのと、これは保險の性質からいつて非常に不穏当ではないか、こういうような御質問の要旨と存ずるのでありますが、御承知のように労災保險は、これは健康保險とか、失業保險とか、或いは社会保險のように労働者個々の保險の制度ではございません。御承知のように労働基準法が制定せられまして、その第八章に災害補償の規定が設けられまして、その事業に使用される労働者が万一業務上疾病したような場合は、使用者がその補償の義務を負わされておるのであります。ところが基準法で規定いた補償額と申しますと相当多額なものでござまして、小さな事業におきましては、一度事故が発生したような場合は、その災害補償の義務を遂行することはできないというような結果になりますと、折角基準法で労働者に補償を受ける権利を與えて來たところが空文になつてしまう。それで平生そのような労働者を使用しておるような事業につきましては、一定の額を事業主に掛けて頂いて、そうしてその事業主に基準法上に課せられたところの義務を政府が代つて行う、こういう制度でございますので、他の保險のように個々の労働者から取るのでなくして、事業主の事業全般からいくら頂くということになつておるわけでありますから、その際に成るべく簡易なものでなくてはならないといつた意味で、賃金総額を保險料の算定の基礎として納めて頂き、そして給付面において基準法で定めたものを支拂う、こういうように考えたわけであります。
 それから又三ヶ月を超える期間ごとに支拂われる賃金というものを除くことによりまして、中にはこの三ヶ月を超ゆるものが労働攻勢のために今までの賃金の差額として支給する場合と、そうじやなく單なるボーナス的に支拂われるものとありまして、その識別は実際問題として困難を來す場合が多いのであります。そうしますと却つてこの規定であることによりまして、正直なる使用者の人達は非常に正当な保險料を拂い、又不正直なものは得をするといつた結果になりまして、事業相互における不均衡を生じ易いという結果になりますので、現在保險料は賃金一円当りについていくらということを全面的に再檢討しております。
#80
○田村文吉君 前段の御説明は私は逆に言つたので、賞與金を入れないという元の方がいいと思います。後段の説明によりますと中には三ヶ月ごとぐらいに支拂われる臨時の給料を含めないような不都合のことが過去には行われたかも知れません。長い目で見るとやはり六ヶ月ごとの賞與金というものは、これは全く不確定のものでありまして、事業の盛衰によつて多くもなり少くもなるような、こういうようなものを保險料のうちの計算の基礎にされるということはよくないと、こう私は考えるのですが、なにか他に理由でもあつてそういうことをするのか、これは災害保險だけでなく、失業保險でもそうなつておる。体のよい値上である。そこで私はこういうものをどうしてお入れにならなければならないのかお伺いしたいわけであります。
#81
○政府委員(池邊道隆君) 先程の御説明が不十分だつたと考えるのでありますが、御承知のように他の保險は個々の労働者が保險契約者になり……
#82
○田村文吉君 その話は分りました。
#83
○政府委員(池邊道隆君) この事例を申上げますと、この保險制度の前例は労働者災害扶助責任保險でやつておりまして、その場合はやはり請負金一万円当りで保險料を取つておつたので、今回も事業を対象として取ることにしました。外國の例におきましても大体屋外の土建なんかにおきましては、アメリカでは一階建の建築物は幾ら、二階は幾らと、これも請負金額で取つております。災害保險そのものが事業として幾ら支拂うか、それに相当するような保險料を頂ければいいわけでありまして、結局その基礎となるものは、便利なものが非常にいいとこういうような工合に諸外國の例においてもなされておるわけであります。
#84
○田村文吉君 それは分つておるんですが、そういうことを伺つたんじやなくて、どうして今まで入つていなかつた賞與金を今度勘定にお入れにならなければならなくなつたのか。
#85
○政府委員(池邊道隆君) 先程申しました後段の理由が強いのであります。
#86
○田村文吉君 前段の理由は意味はなさないですからね。
#87
○政府委員(池邊道隆君) 後段の方です。
#88
○田村文吉君 純然たる意味の賞與金であるならばお除きになる意味なんですか。前は除いてあつた、今度入れたんですね。御趣旨は本当の意味で拂う、不確定の賞與金というものは入れないおつもりなんですが、だが併し取締上仕方がないから入れると、こういう意味ですか。
#89
○政府委員(池邊道隆君) さようでございます。
#90
○委員長(山田節男君) 引続きまして二十九條から三十五條までの間で御質問願います。
#91
○田村文吉君 三十條の二でありますが、三十條はいいですか。
#92
○委員長(山田節男君) よろしうございます。三十五條の二までよろしうございます。
#93
○田村文吉君 三十條の二のところの場合でありますが、追徴金は百分の十をお取りになるのでありますが、余計通り過ぎてもお返しのときはやはり百分の十お返しになりますか、どうですか。
#94
○政府委員(池邊道隆君) 追徴金の問題だと考えるのでございますが、この点は使用者から出されるところの保險料を以て、全部の災害補償料を支拂うことになつております。從つて二十三年度の実際の成績を見て参りますると、從來はこうした制度がないために非常に保險料の納入が惡くて、災害補償は非常に遅延いたしたのでございます。今回報告書を出さなかつたような場合には、この保險全体の運営が非常に阻害されることが何よりも心配でございますので、三十條の二の規程といたしまして、使用者に納入保險料の報告書の業務を深く認識して頂き意味におきまして、追徴金の制度を設けた次第であります。この條文を適用するという趣旨ではなくして、むしろ使用者に保險料の報告を促進せしめる、こういうような意味の下に設けたのでございまして、返還の規程にはそういうものは入つておりません。
#95
○田村文吉君 すべて政府の作る法律というものは取るときだけは保險料を十銭、二十銭と取つて置いて、返すときは返さないで、その次の保險料に充てるという法律になつておるのですが、随分これは考えて見ると、片手落ちの仕事をなさつていらつしやると我我はいつも考えるのでありますが、そこでお取りになるのもよいけれどもこの法律だけじやない、外の法律も大抵日歩十銭、たちの惡いのは日歩二十銭というような、こういうような取り方をなさるのですが、日歩十銭ということをかるがるしく政府が考えたり二十銭ということを考えることは、どうも今のインフレということについてもお考えになつていらつしやらないのじやないかと思いますが、この後で二十銭というのが三十二條のあるのですが、昔の利息は日歩四銭、それだと五倍ぐらいになるようですが、もう少し常識的にこういうものは扱われないのだろうかと考えるのでありますが、どういう根拠で三十二條の日歩二十銭、新たにお作りになつた三十二條の二は日歩十銭、こういう比をお出しになりましたか。
#96
○政府委員(池邊道隆君) 三十二條の規定でございますが、これは他の社会保險制度並びに國税法における延滯金、そういうところからいつたものでありまして、その根本的なものは最近の金利が非常に上廻つておる。ですから保險料の納入を成るべく多くした方が使用者側には有利であるということになりまして、運営自体が非常に阻害されるに至つたということが、根本の理由ではなかろうかと考えておるわけです。
#97
○田村文吉君 まあ三十條の二は、新たにお作りになるので大藏省ではこの税金を取つておるのですからどうもありませんが、三十二條の場合、旧法によれば一日四銭、金利も上つたとおつしやるが金利は五倍になつておりませんよ。どうも途方もない金をただ大藏省がお決めになつたから取るという、大藏省自体も私共改めてやろうと思つて今話をしておる最中です。どういうところから政府はこの高い金利をお出しになるのか知れませんが、日歩二十銭取るということは幾ら罰則的なものでも程度がある。こういう考えだが、ただ大藏省が言つて準則だからやろうじやないかと、今まで日歩四銭のものを二十銭に上げる。こういうようなことは甚だ穏健を欠いたいわば考え方が甚だインフレであるのです。こういう点をもう少し穿鑿してなさるべきじやないかとこう思うのですが。
#98
○政府委員(池邊道隆君) この点につきましては從來の労災保險は、他の社会保險に比べまして最も低い。百円について一日四銭という割合であつたのですが、すでに健康保險とか、他の厚生年金保險におきましては日歩二十銭ということになつておるのでありまして、今日そういうような他の社会保險制度に倣うという意味で、百円につき一日に二銭といたしたようなわけでありまして、これまでは余り底くかつたと言つたような実情だつたんです。
#99
○委員長(山田節男君) それでは続きまして三十六條以下第五十三條、並びに附則についての質疑に移ります。
#100
○田村文吉君 今度五十一條が削除になつて、その削除になつた理由は公務員法に機密の漏洩の場合における取締があるから、特にこの法規は置く必要がないとこういう御趣旨のように伺いましたが、そういう意味ですか。
#101
○政府委員(池邊道隆君) 御説の通りであります。
#102
○田村文吉君 それで伺いたいのでありますが、在來の六ヶ月以下の懲役又は五千円以下の罰金というものは公務員法によりますとどうなつておりますか。
#103
○政府委員(池邊道隆君) 公務員法の第百九條には「左の各号の一に該当する者は、一年以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する」こういうようになつておるのでありまして、その十二号の「第百條第一項又は第二項の規定に違反して秘密を漏らした者」ということになりまして、從來のこの規定よりも重くなつておるわけでございます。
#104
○田村文吉君 分りました。
#105
○委員長(山田節男君) 別に御発言ございませんですか。他の御発言もございませんようですから質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#106
○田村文吉君 質疑はございませんがね、今のこの保險と失業保險法との罰則が、みな二十銭十銭の税金、罰金なんですがね。これは私どうもちよつと高過ぎると思うのですが、余りにアブノーマルな決め方をするのじやないかと思うのですが、若し直ぐ討論にお入りになるというと、その辺についてちよつと問題が起りますので、若し討論をここで皆さまがそのままでおやりになるということであれば私も強いては反対いたしません。実は明日失業保險の質問がありますので、その場合に伺いたいと思つたのですが……
#107
○一松政二君 私は今の田村委員の説に賛成です。その大藏省が自分の方はまあ大藏省とも限りませんが、元締めが大藏省ですから、特に大藏省と言いたくなるのですが、拂う方は拂わないで、これは民間でしよつちゆう議論になつておる問題であるが、そうして拂うものは一文も利息を付けないで、幾ら遅れたつて遅れ放し、片方は期日が過ぎれば必ず二十銭付けるのは、凡そこれはデモクラシーの世の中ではありません。いわゆるもう全く專制政治の行き方と一つも変らんと思います。であるから私は田村議員も御賛成のようですから、この点はむしろ丁度失業保險問題もありますから、一括してこれは大藏大臣をここに呼んで意見を交換した上で、我々の考え方をよく当局に響かせる必要があると思います。
#108
○委員長(山田節男君) ちよつと速記を止めて下さい。
   〔速記中止〕
#109
○委員長(山田節男君) それでは速記を付けて……。もう時間もございませんので、本日の当委員会はこれを以て散会いたします。
   午後三時五十六分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     山田 節男君
   理事
           一松 政二君
           平野善治郎君
           早川 愼一君
   委員
           原  虎一君
           村尾 重雄君
           小串 清一君
           岡田喜久治君
           門屋 盛一君
           竹下 豐次君
           田村 文吉君
           中野 重治君
           水橋 藤作君
  國務大臣
   労 働 大 臣 鈴木 正文君
   大 藏 大 臣 池田 勇人君
   國 務 大 臣 青木 孝義君
  政府委員
   労働政務次官  宿谷 榮一君
   労働事務官
   (職業安定局
   長)      齋藤 邦吉君
   労働事務官
   (職業安定局失
   業保險課長)  龜井  光君
   労働事務官
   (労働基準局災
   害補償課長)  池邊 道隆君
   総理廳事務官
   (経済安定本部
   労働局次長)  石井 通則君
ソース: 国立国会図書館
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