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1968/04/10 第61回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第061回国会 農林水産委員会 第19号
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1968/04/10 第61回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第061回国会 農林水産委員会 第19号

#1
第061回国会 農林水産委員会 第19号
昭和四十四年四月十日(木曜日)
    午後五時三十六分開議
 出席委員
   委員長 丹羽 兵助君
  理事 仮谷 忠男君 理事 三ツ林弥太郎君
   理事 湊  徹郎君 理事 兒玉 末男君
   理事 森  義視君
      大石 武一君    大野 市郎君
      佐々木秀世君    菅波  茂君
      瀬戸山三男君    田澤 吉郎君
      中尾 栄一君    中垣 國男君
      中山 榮一君    八田 貞義君
      藤本 孝雄君    松野 幸泰君
      芳賀  貢君    神田 大作君
      樋上 新一君
 出席政府委員
        農林政務次官  小沢 辰男君
        農林省蚕糸園芸
        局長      小暮 光美君
 委員外の出席者
        農林省農林経済
        局統計調査部長 岩本 道夫君
       専  門  員 松任谷健太郎君
    ―――――――――――――
四月八日
 委員田澤吉郎君辞任につき、その補欠として松
 澤雄藏君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員松澤雄藏君辞任につき、その補欠として田
 澤吉郎君が議長の指名で委員に選任された。
本日の会議に付した案件
 農林水産業の振興に関する件(てん菜価格問
 題)
     ――――◇―――――
#2
○丹羽委員長 これより会議を開きます。
 農林水産業の振興に開する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。芳賀貢君。
#3
○芳賀委員 砂糖価格安定法によると、本日の四月十日が、原料であるてん菜の価格告示の日でありますので、政府においては、すでに決定の最終段階にあると思うわけであります。
 そこで、農林省にお尋ねしますが、いまの時点で農林当局として、これは農林大臣が価格を決定して告示するということになっておるので、当然農林省としての案を作成して、そして財政当局の大蔵省と折衝を進めておると思うわけでありますので、きょうは率直に、農林省が試算したてん菜の告示価格の案について説明をしてもらいたいと思います。
#4
○小暮政府委員 ただいま財政当局と種々協議いたしておる最中でございまして、まだ的確な政府の案という形に相なっておりませんが、議論の基礎といたしておりますパリティをもととした価格は七千三百二十五円で、前年の決定が七千二百六十円であったはずでございます。四十四年の二月のパリティ指数が一八八・四四でございます。昨年の四月から十月までのパリティ指数の平均値一八六・六八と比較いたしまして、一〇〇・九%ということに相なっておりますので、これを昨年の決定に乗じましたものが七千三百二十五円でございます。
 これを一応基礎にして、目下財政当局と種々協議いたしておるところでございます。
#5
○芳賀委員 それでは、農林省案というのは七千三百二十五円で、これを基礎にして大蔵省と折衝しておるということですか。
#6
○小暮政府委員 御承知のように、パリティ価格をもとといたしまして、その他各種の勘案事項を総合勘案して決定するというならわしに相なっておりますので、議論の出発点を、ただいま申し上げました数字にいたしておるわけであります。
#7
○芳賀委員 私どもの長年の経験からいうと、農林省の試算したいわゆる原案と申しましょうか、それから大蔵省との折衝の結果というものは、農林省の案より、折衝の結果大蔵省の考えが上回るというようなことは考えられないわけですね。
 しかし、いまの局長の説明でいけば、農林省の原案というものは七千三百二十五円ということであれば、これはあまりに低過ぎて、このままなら無条件で大蔵省はオーケーというと思うのですが、どうしてこういう低い案を農林大臣のもとで作成して折衝しておるか、その点明確にしてもらいたいと思います。
#8
○小暮政府委員 パリティ指数に基づいてはじき出しました金額を基準といたしまして、その他各種の勘案事項があるわけでございます。政府全体として相談しながら価格を考えていくという仕組みでございますので、七千三百二十五円がいわば農林省原案であるというふうには、必ずしも申し上げておらないわけでございます。
 パリティを基準とした価格が、前年の七千二百六十円に対して七千三百二十五円であって、そのほかに、申し上げるまでもないことでございますが、生産費の数字ももちろん参考にいたしますが、これは、昨年は一昨年よりも下がっておるわけでございます。その他競合農作物として、北海道の場合バレイショが畑作として一番直接的な競合作物でございますので、バレイショをつくりました場合の十アール当たり粗収入といったようなものとの比較の数字をもちまして、また、昨年の現実の取引価格といったようなものも、従来一つの勘案事項にいたしております。それらのものを彼此勘案しながら、目下慎重に協議を進めておるということでございます。
#9
○芳賀委員 それでは、農林省としての固まった案はないということですね。なければないということを言ってもらえばいいのですよ。
#10
○小暮政府委員 やはり、話し合いながらだんだんきめていくという姿勢でございます。
#11
○芳賀委員 最近、農林省の悪いくせで、先般の加工乳の保証価格の場合も、決定の時点まで固定した案というものは何もないのです。案のないままに大蔵省と話し合いをするというような態度は、法律の規定に基づいても全く無責任きわまることだと思うのです。だから、これは毎月新しい価格をきめるというのであれば別ですが、一年に一回の年中行事ですから、もう去年の四月十日にきまれば、一年後の四月十日には翌年の価格をきめるということはわかっているわけです。それを、一年間かかって最後の日に案がないというようなことでは、信頼のできる価格というのはきめることができないじゃないですか。案のないままにどういうわけで大蔵省と折衝しておるのですか。それは最近の農林省の方針として、無為無策でやるということになっておるのか、いまの長谷川大臣の方針に基づいて、案を持たないで、相手の出方次第できめる一ということになっておるのか、それはどうなんですか。
#12
○小暮政府委員 先ほど申しましたように、パリティ指数に基づいてはじき出しました金額を出発点として、種々協議いたしておるということが一つの姿勢であろうかと思います。
 と申しますのは、他の勘案事項として考えます場合に、たとえば生産費といったようなものが、四十三年産が比較的作柄がよかったことを反映いたしまして、生産費計算としては下がっております。したがいまして、下げるほうの議論をする向きも、実は議論の経過にはあったわけでございます。私どもといたしましては、パリティ価格が上昇しておるということを踏まえまして、さらに、北海道におけるてん菜の営農上の重要性と申しますか、そういうもの等も勘案しながら、これを検討してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
#13
○芳賀委員 砂糖価格安定法では、二十一条で最低生産者価格のきめ方が出ておるわけです。内容は読まぬでもわかるでしょう。それから、それに基づいて政令の十三条で、最低生産者価格の決定については、「附録の算式によって算出される価格を基準とし、当該甘味資源作物の生産費、競合農作物の状況、物価その他の経済事情を参酌し、当該甘味資源作物の再生産を確保することを旨として定める」とある。また、これを受けて施行規則の十条で、甘味資源作物の生産費とはどういうものであるかということを明らかにしておるわけであります。だから、これらの法律や政令、省令に基づいて計算するわけですから、単にパリティ価格だけというわけにはいかぬわけですね。
 特に従来は、勘案事項として前年度のいわゆるてん菜の取引価格というものがありますね。最低生産者価格と別に、実取引をやる価格というものが、会社と生産者との話し合いにおいて毎年設定されておるわけですね。これが昨年はトン当たり七千五百円で、毎年きめる場合には、前年度の取引価格というものをやはり勘案事項として配慮しているというのがもう事実なわけです。ですから、この七千五百円というものを重要な勘案事項にするということになれば、やはり七千五百円というものを基礎にして――パリティとの関係もあるが、とにかく〇・九%なんというようなパリティ、そんなものはパリティと言えないでしょう。昨年の価格決定の時点と今年の価格決定の時点の一年間の農業総合パリティの変化率というものを、前年度の基準価格に対応させるというのがパリティの算出方法ですから、それが一年間に〇・九%しかパリティの変化がないというばかげた話はないですよ。そうすると、これも有力な根拠にならぬわけですね。そうなれば、結局生産費にしても、これはあとで統計調査部長に聞きますけれども、実収の平均反収と全くかけ離れた架空の平均反収を使って、ことしは去年よりもトン当たりの生産費が大幅に安くなっておるというようなことも、これはまともに使うわけにはいかぬわけです。
 だから私が聞いたのは、これらの総合的な事情というものを、結局どこに重点を置いて農林省の原案を作成して、それを中心にして実現するために努力しておるかということです。とにかくあしたの朝はもうわかっているわけですから、何時間ぐらいの時間をかせぐために、このパリティが〇・九%しか上がっておらぬから、七千三百二十五円のトン当たり価格を農林省の原案として話し合いを進めておるというようなことでなくて、一体農林省としては、どこにその実現すべき価格のめどを置いてやっておるのだということぐらいは言えないことはないですよ。委員会に秘密主義で臨んでも、どれだけの利点があるのですか。
#14
○小暮政府委員 先ほども申し上げましたように、附録算式ではじき出されたものというのがパリティによるものでございまして、それが七千三百二十五円だということを申し上げたのでございます。
 あわせて申し上げましたように、てん菜の生産費、また競合農産物の粗収入と比較した場合の均衡価格、あるいは昨年の実際の取引価格というもの、すべて勘案要素として掲げまして、本年のてん菜の生産を振興するという見地から、その価格を決定いたしたいというように考えておる次第でございます。
#15
○芳賀委員 それでは、率直にこちらから尋ねますが、大体の方針は、去年の取引価格の七千五百円のトン当たり価格、これを農林省としては最低生産者価格のめどとして努力しているかどうか。そんなことは考えておらなければおらぬでもいいですが、その点はっきり言ってください。
#16
○小暮政府委員 ただいま申し上げましたいろいろな数字は、それぞれ一つの勘案事項であるというように考えております。
#17
○芳賀委員 じゃ、あなたは大蔵省へ行って、主計局長あるいは次長と、私にいま答弁しているようなことで話をするのですか。あなたが方針を持ってきめようとする内容は何だということを聞いておるのですよ。いまの委員会の発言と同じことで大蔵省と話をこれから詰めるのですか。あるいは、これが終わってから与党の自民党へ行って、いま発言したようなことで与党に対しても説明して了承を求めるのですか。そうであればそうだということをはっきり言ってください。
#18
○小暮政府委員 パリティではじき出しました金額に若干の加算と申しますか、参酌値を加えて決定したといったような昨年、一昨年の経緯もございます。これらのことも十分念頭に置きながら、折衝をいたしたいと考えております。
#19
○芳賀委員 〇・九%のパリティ価格による七千三百二十五円というのは、去年の最低生産者価格の七千二百六十円と比較すると、トン当たりわずか六十五円しか変わっていないのです。六十五円ということになると、前年価格に対して一%も上がっておらぬでしょう。もっともその基礎になるのが〇・九%ですから、そういう端数なんというものはパリティには要らないのですよ。何%というのなら話はわかるが、〇・九%とか〇・〇一%なんということじゃ、これは何もパリティの変化なんということにならぬと思うのですよ。
 だから、これに対してどれだけの上積みをして、再生産の確保、それから国内における砂糖生産の拡大を国の政策として進めるという、そういうものが加算されなければ話にならぬでしょう。それを聞いているのですよ。何もあなた、二十分もかかって満足な中身のある答弁ができないようじゃ、局長がつとまらぬじゃないですか。
#20
○小暮政府委員 ただいまも申し上げましたように、北海道畑作におけるてん菜の重要性ということを勘案いたしまして、昨年も一昨年も、パリティではじき出されました金額に何がしかの加算をいたして決定しておるという事実がございます。
 本年も、北海道におけるてん菜の重要性は、昨年、一昨年といささかも変わっておるわけではございません。むしろ重要性はますます増しておるというふうに考えております。これらの事情を十分勘案して折衝いたしたいというように考えております。
#21
○芳賀委員 別に局長に知恵をつけるわけではないが、この最低生産者価格というものは、これはことしの十月、てん菜糖の政府買い入れ価格をきめる場合の原料価格となるところに意味があるのです。生産者が直接販売する価格というのは別途に、取引価格というものはまたこのあときまるわけですから、だから、取引価格は高くなるのだから最低生産者価格は安くてもいいじゃないかというような、そういう安易感でこれを処理するというのは間違いなわけですよ。
 それからもう一つは、牛乳やイモでん粉と違う点は、原料価格を上げても、秋きめる政府の買い入れ糖価というものをその割合で上げる必要はないということです。昨年はキロ当たり九十七円でしょう。だから、これがまた九十八円になるとか百円になるというおそれは、おそらくないんですよ。だから、そうなれば最低生産者価格を上げても、それが財政負担に響くというおそれは、他の農産物のようにないと思うのです。これは、私は確信を持って指摘できると思うわけです。
 そうすると、何も特別に財政支出がかさむというわけではないからして、大蔵省もそうやかましいことは言わぬと思うのです。だから、こちらであまり萎縮して、大蔵省の顔色だけうかがって、案もない、策もないということで努力しても大きな成果があがらぬわけです。そういう特徴を持っておるわけですからして、もう少し自信を持って問題の解決に当たるべきだと思うわけです。
 それから、最近の国際的な糖価の動向を見ても、幸いにしてことしの当初に国際砂糖協定が復活して、最近、毎月のように国際的に原料糖の市況が上昇しておるわけです。三月下旬は、ポンド当たり大体三セント八十あるいは九十にいっているわけですから、これを国内の砂糖価格に置きかえると、大体百七円か百八円ということになるわけです。だから、昨年のように一セント八十とか二七ント以下で低迷しておったときから比べると、国際的に協定復活の関係もあって、まだ相当上昇するということが判断できると思うのです。私より、皆さんのほうが実務を扱っているわけだから判断ができると思うのです。そうなればてん菜糖、別途甘庶糖もありますが、これらの農産物というものは、国内における砂糖の自給度をこの際大きく飛躍させる絶好の機会だと思うわけです。パリティがどうなったとか、あるいは統計調査部の生産費調査がどうであるとか、単に競合作物をバレイショだけに限定して、これとの比較がどうであるとかいうようなことだけに局限しないで、やはり大きな政策的な見地あるいは国際的な砂糖の動向というものを考えた場合には、相当自信を持って、ことしは価格政策の面においても、従来よりも積極的な最低生産者価格をきめる、これがてこになっててん菜の拡大的な生産が順調に進む、そうなれば、企業面においても期待した合理化は相当進むと思うのです。
 ですから、この際局長としても、それはあなたより大臣がえらいとしても、やはり事務当局がそういう政策配慮等も十分行なって、具体的な案をつくって、大臣これでやりましょうということでやれば、単に前年度の取引価格の七千五百円でとどまるなんていうことでは事足りぬわけですから、その辺は、やはり皆さんの所管の農林委員会ですから、あまりおどおどしないで、意のあるところがあれば大胆に言ってみたらどうですか。それがよければ、われわれは大いにそれを認めて、バックアップするにやぶさかでないわけだから、あまり萎縮して、秘密主義だけでやっても農政というものは進まぬですよ。ですから、もう一段明瞭に、責任のある局長としての価格上の考え方というものを、ここで述べる絶好の機会ですから……。
#22
○小暮政府委員 だんだんのおことばでございますが、御指摘のように、本件は何と申しましても、てん菜が順調に増産されますと、現在ございます九つの工場の操業率がよくなるということを通じまして、かりに原料価格が、単位当たりの単価として若干の引き上げがございましても、工場の操業の好転ということを通じて、必ずしもビート糖の価格を押し上げないという要素がございます点、他の直接的な消費物資である場合の農産物とやや事情を異にするということは、私どもも常々てん菜の価格の決定にあたっては主張してまいっておるところでございまして、特に、順調な生産の伸びが見られますことが、この企業全体のためによいということでございますので、生産者の生産意欲と申しますか、あるいは期待と申しますか、そういうものにこたえ得るような価格であることが必要であろうというふうに、基本的には考えております。
 その他いろいろ御注意の点、十分本日の価格折衝に対してまいりたいというように存じております。
#23
○芳賀委員 次に、先般来問題として保留しておきました圃場からもより集荷場所までの運賃問題ですね、搬出費。これは、どういうふうに整理してことしの価格決定において善処するつもりですか。
#24
○小暮政府委員 搬出費の問題につきましては、これまでも申し上げておりましたように、四十三年産の最低生産者価格を決定いたしました場合に、搬出費を具体的に何円織り込むという計算はいたしておりませんが、総合勘案して価格水準をきめて、中間搬出場所における最低生産者価格というふうに定めたわけでございますので、平均的な搬出費はあの価格でもってまかなわれておるはずであるということを、当時申し上げたと承知しております。
 したがいまして、今回生産費調査をいたします際に、いろいろと搬出費につきましてもその実態を調べるということを統計調査部のほうにも依頼いたしまして、典型的な形での搬出の費用といったものが調査されております。これらを見てまいりますと、やはり昨年の最低生産者価格で平均的なと申しますか、典型的な搬出費用というものはまかなわれておったというふうに判断いたします。
 今回の最低生産者価格の決定にあたりましても、これらの点を十分念頭に置きながら、適正な水準にこれを決定してまいりたいというふうに考えております。
#25
○芳賀委員 前回の委員会でも問題として指摘したのは、まかなわれたかどうかということじゃないのですよ。そうではなくて、搬出費の実態というものを農林省としてどういうふうにまず把握したかという点と、その平均的な、たとえば搬出費というものは最低生産者価格とどのような関係づけで今後合理的に解決するかというような点について、速急に結論を得て委員会において明確にしてもらいたいということを私から申しておったわけです。
 先般の局長の答弁によると、昨年度来統計調査部に搬出費の実態調査を依頼してあるということがありましたので、きょうは統計調査部長から、調査された搬出費の実態というものはどういうものであったかということを説明してもらいたいと思います。
#26
○岩本説明員 本来生産費は、圃場における作物の収穫調製によって計算期間が終わるわけでございまして、従来、搬出費は調査していなかったわけでございますが、昨年御要望がございまして、参考といたしまして、生産費調査の対象農家に対しまして、事例的に搬出費を調査することにいたしたわけでございまして、生産費調査のワク外のことでございますので、平均的な経費を出すということを目的とせず、事例的に参考として考えるということで調査をいたしたわけでございます。
#27
○芳賀委員 だから、その結果を当委員会に明らかにしてもらいたいと言っているんですよ。
#28
○岩本説明員 参考までに事例として調査いたしたものでございますから、平均を取りまとめてございませんので、全体の平均がこうでございますということは申し上げかねるわけでございます。
 農家によりまして、搬出の手段、方法が非常にさまざまでございますし、また、圃場と集荷場の距離もまちまちでございまして、一般的な傾向をつかまえることは非常に困難なわけでございますが、事例的に申し上げますと、たとえば、農家が自力でトラクターで搬出をいたしましたような場合にはトン当たり二百六十三円、外部に委託をしてトラックで輸送いたしました場合にはトン当たり二百五十三円、こういう事例の数値が出ております。
#29
○芳賀委員 じゃ、これは実態として参考にはなるわけですね。
#30
○岩本説明員 そのとおりでございます。
#31
○芳賀委員 そこで、園芸局長に尋ねますが、統計調査部が参考的に実態調査をされたわけですが、自搬の場合にトン当たり二百六十三円、業者に運搬委託した場合にはトン当たり二百五十三円で、おおよそ搬出費がどのくらいかということがわかったわけです。ですから、これを今年の価格決定の場合どう扱うかということが非常に大切なわけですね。既往において含まっておったとかまかなったとかいうことは別にして、今年の最低生産者価格をきょうきめるわけですから、それと搬出費の関係というものをどのように位置づけるかという点については、どう考えておりますか。
#32
○小暮政府委員 昨年の場合に、具体的な調査なしに、しかし価格の性格上、平均的な搬出費がまかなわれておるはずだと申し上げましたことが、調査の結果確認されたというふうに私ども考えております。
 本年の最低生産者価格の決定にあたりましても、いま統計調査部長が述べられましたような事例的な搬出費につきまして、これも総合勘案の一つの基礎的なデータというふうに勘案いたしまして、こうしたものが平均的に十分まかなわれ得るような価格であるように、価格を決定してまいりたいというふうに考えております。
#33
○芳賀委員 まかなわれるという論拠ですが、おそらく統計調査部が発表する毎年の生産費調査によるトン当たりの価格、その価格と、政府が決定する最低生産者価格というものの間には、ある程度の価格上の幅があるわけなんですよ。幅があるので、その幅の範囲内で二百六十円とかあるいは三百円というものはおさまる、そう言いたいのじゃないですか、局長。
#34
○小暮政府委員 先ほど来申し上げておりますように、最低生産者価格の水準というのは、種々勘案したもののいわば総合的なものでございますので、どの部分がどれだというふうに申し上げるのは不適切かと思いますが、いま御指摘のような角度から見ますのも、一つの見方であるというふうに考えております。
#35
○芳賀委員 先ほど統計調査部長が言われたとおり、統計調査部の生産費なるものは搬出費というのはないのです。だから、ない価格に搬出費を結果論として加えてある、評価されているということであれば、結局、生産費の価格に搬出費をプラスして、それが最低生産者価格の中でおさまるということになれば、最低生産者価格と統計調査部の生産費の価格の差額で、これは農家が搬出できる、負担できる、そういうことになるわけじゃないですか。そうでないということであれば、もう少し明確に、これだからこうなるということを説明してもらいたいわけですよ。
#36
○小暮政府委員 生産費調査の数字とただいまの搬出費用というものの合計が、最低生産者価格を下回っておるということは、一つの判断の基礎になりますが、ただ、その差額がすべて搬出費であるべきかどうかということは、またおのずから別の問題であろうかと思います。
#37
○芳賀委員 これは非常に重大な問題ですよ。われわれとして絶対そういう局長の詭弁を認めるわけにいかぬです。あなたも前回の委員会の答弁のときまでは、そういう断定的なことを言っていないのですよ。二月の予算の分科会のときは、これは入っているとも言えるし、いないとも言えるし、まことに不明確なので、ことしは方針を明らかにしましょうと言っておるわけですから、いまになって、それはもう中に入っちゃって、それを認めておるんだということになると、これは全くの豹変した答弁にしかならぬですよ。そうじゃないですか。そうなると、最低生産者価格というものにこの搬出費を加えてあるということが、そもそも間違いですからね。そうでしょう。
 去年の四月十日の告示においても、一トン当たり七千二百六十円ということが、これは西村農林大臣の名で告示されておるのですよ。ただ、あとに備考として、「この価格は、てん菜の生産されたほ場に最も近接した集荷場所において受渡しが行なわれる場合の価格である。」これは備考だから告示ではないでしょう。どうですか。
#38
○小暮政府委員 告示に付記いたしました備考でございますから、価格の告示の説明と申しますか、その内容をなすものであるというふうに考えております。
#39
○芳賀委員 いや、それは内容じゃないですよ。内容であれば備考じゃなくて、ただしこの価格は云々ということになれば、これは告示の一環ということになりますが、これは備考でしょう。だから、それは最低生産者価格というものの中には搬出費が入っていますということを明確にすることができないのですよ。これは理論的にもできないですよ。できないので、こじつけに備考として、もよりの集荷場所というふうに書いてあるわけですよ。もしあなた方が、これは告示の内容をなすものであるということならば、これは法制上からいっても問題があるのですよ。もし私の言うことが違うと強弁をなさる気であれば、ここで明確にしてもらいたいのです。私は、これは絶対に告示の内容をなすものでないというふうに判断しておるわけですから、もしあなたが告示の内容をなすものであると言うのであれば、ここではっきり発言しておいたらどうですか。
#40
○小暮政府委員 告示の本文が千キログラムにつき七千二百六十円、備考としていま御指摘のような文章があるわけでございますから、これは告示を説明しておるものであるというふうに考えます。
#41
○芳賀委員 それはもよりの集荷場所がないところ、もよりの集荷場所よりも工場距離のほうが近接しておるとか、もよりの集荷場所を必要としないという場合には、生産者としてもよりの集荷場所に渡しようがないのです。こういう実態は統計調査部長もわかっておると思うのです。北海道における全耕作者が、全部もよりの集荷場所に搬出しているわけじゃないですからね。そうなると、相当距離をもよりの集荷場所まで生産者の責任で搬出して、その場所の受け渡し価格というものが最低生産者価格であるということになれば、これは非常に内容が不平等になって、また複雑になるわけです。そういうことを農林省がわかっておるから、この告示の内容として、ただしこれはもより集荷場所における受け渡しの価格であるということを明記できないのです。できないが、何とか事を糊塗するためにいろいろ知恵をしぼって、備考として告示のうしろへ書いてあるわけですから、もしこれが告示の内容であるということになれば、これはいままでのてん菜の受け渡しの実態があるとか、これからの扱いをどうするかということに大きく発展するのですよ。
 あなたは現地の実態がわからぬから気軽に言っておるのですが、これは渡邊課長にしても、小沼参事官にしても、岩本統計調査部長にしても、現地の実態を調査してわかっているのです。わからないでものを言う場合とわかって言わない場合とじゃだいぶ違いますからね。これは責任がありますから、これからもこういうことで我流の解釈でやるつもりかどうか、その点はどうですか。
#42
○小暮政府委員 御指摘のように、圃場から直接工場に運びますような事例もあるというふうに承知しております。またその場合に、工場側がその運賃を持つという場合も一部あるというふうに存じております。また、中間受け渡し場所がかなり圃場から遠いということで、先ほど来統計調査部長が申しておりますような平均的な事例と申しますか、そういうものの費用ではまかなえないような距離を運ぶというような場合もあるというふうに承知しております。
 したがいまして、最低生産者価格としては、備考に説明しておりますように、「てん菜の生産されたほ場に最も近接した集荷場所において受渡しが行なわれる場合の価格である。」ということを説明しておるものというふうに存じます。
#43
○芳賀委員 去年のいまごろあなたは担当局長でないですから、あなたといま去年の問題を議論してもしようがないのです。ただ、ことしまた、実際は搬出費の入っておらぬ価格をきめて、そして告示の備考に、もよりの集荷場所渡しというようなことを書くつもりであれば、これはもう少し議論を進めなければならぬと思うのですよ。元来生産者価格というものは、米にしても、イモ類にしても、大豆、なたねにしても、てん菜にしても、甘蔗にしても、生産者価格というものは、先ほど統計調査部長が言われたとおり、その中に搬出費が加算されているということはあり得ないのですよ。
 ただ、ビートの搬出とか受け渡しの歴史的な事実というものがあるわけです。昭和二十八年の、あのときはどういう法律の名前だったですか、てん菜生産振興臨時措置法ですか、その当時からの経過というものがあって、もう十五、六年にわたってこういう変則な状態が残っておるが、しかしその当時は、別途に搬出費というものは距離別に加算するという方式、あるいは会社を経由して支払うという、そういう形式がとられてきておるわけですから、十年あるいは十五年先にさかのぼれば、備考に書いてあるようなことが告示の内容だということには絶対ならぬわけなんですよ。だから、これはもう一度勉強し直してもらいたい。きょうはもう時間がないですから、この議論は次に譲りますが、少なくとも本日きめる場合には、最低生産者価格と統計調査部の生産費との開きがあるから、搬出費はその中におさまっておるというような、そういう詭弁だけは使わないでもらいたいと思うのですよ。いいですか、その点は。
#44
○小暮政府委員 てん菜の集荷のあり方が、地帯により、あるいは会社により、組合によって千差万別であるという事実がございまして、御指摘のようになかなかこの点がすっきりいたさないということは確かにあると思います。バレイショでん粉の場合のように、ほとんど全量が農業協同組合によって原料集荷が行なわれるというような実態が成熟してまいりますと、それに見合って非常にすっきりとした価格の仕組みができるというようなこともございますので、てん菜の場合にも、今後できるだけてん菜の集荷の仕組みと申しますか、これがてん菜全体を通じて合理化の方向に向かいますように、関係の業界と十分話し合って、徐々にその方向に持ってまいりたいというふうに念願いたしております。この点の苦衷は、ひとつ御了察いただきたいと存じます。
#45
○芳賀委員 時間の都合でもう一、二点にしておきますが、この問題については、あくまでも原料の最低生産者価格、それから統計調査部が調査しました搬出費の実態というものをどの線できめるかということは、それはあなたの責任できめるわけですから、だから純粋の最低生産者価格と、それから搬出費というものをそれぞれ価格上明らかにして、それを原料価格の中に算入して価格をきめるということであれば、内訳がわかるようにしなければならぬと思うのですよ。
 それからもう一つの方法は、たとえば、農安法によるバレイショでん粉の原料運賃のごとく、もより集荷場所までの搬出費と、集荷場所から工場までの運搬経費というものを合算して、そのうちの搬出費というものはおおよそどの程度のものであるということが明らかになれば、何も複雑な取り扱いをして、原料価格の中にどうしてもこれを上積みで加算しなければならぬという一つの方法だけに限らぬと思うのですよ。むしろ合理的には、全体を砂糖の製造経費のほうに入れて、そのうち搬出費はトン当たり幾らということにすれば、むしろ明確になるんじゃないかと思うわけですよ。
 それで糖価決定の場合には、原料の運賃というものは、去年の場合は大体トン当たり千七百円見ておるわけですね。その千七百円というものはどの程度の内容のものであるかということは、これはきょうは時間がないので私も指摘しませんが、たとえば、千七百円がもより集荷場所から工場までのあらゆる経費を入れた運賃であるとすれば、それに、たとえば二百六十円とか三百円を加算すれば、トン当たり二千円なら二千円の運賃というものは出てくるわけですから、そのうちの、たとえば三百円なり四百円というものは、これは搬出費に相当するものであるわけです。だから実際に搬出した分については、そうなれば今度は会社のほうから支払わなければならぬということになるんですよ。実際に搬出した農家だけに対して、距離や実態に応じて支払いをするという、そういう義務が会社側に生ずるわけですから、そのほうが農林省としては取り扱いやすいと私は思うのですよ。実際に搬出の要のない農家とか必要のある農家すべてに原料価格に加算してきめるということになれば、これは相当混乱するとか、複雑な現象がどうしても起きると思うのです。だからこの点は十分配慮をして、いずれにしても将来前向きになるような形で、この搬出費というものは必ず処理してもらいたいと思います。特に、くどいようですが、先ほど局長の言った、従来の最低生産者価格の中にすでにそれは織り込み済みでありますということは間違いですから、この点だけは強く私は指摘しておきます。
 それから、最後に統計調査部長にお尋ねしますが、四十三年の生産費調査の内容を詳しく検討したわけですが、どうも実態に沿わないわけです。百戸の調査農家の平均反収ということになれば、あるいは十アール当たり四・四トンになる場合もあり得るかもしれぬが、同じ統計調査部が発表された北海道における昨年のてん菜の実収の平均反収というものは、これは三・八六トンということになっておるわけです。そうすると十アール当たり〇・六トン反収の差というものができるわけです。それを去年の価格にしても、大体それは反当にして生産費の上で五千円違うということになるわけですから、どういう方法で百戸の調査農家を選定されておるかわからないが、やはり統計の業務として適正に抽出してきめるということであれば、結果的には、やはり平均的な収量が出てくるような農家の選定をやってもらいたいと思うのです。どうも大きな規模、あるいは上層農家を選んでおるわけですね。だからてん菜の耕作面積にしても、去年は一・七三ヘクタールでしょう。実際は一・三六ヘクタールということになるわけですから、だから平均のてん菜の耕作規模においても、大きな差異があるわけなんですよ。
 それを、結果的には生産費が去年よりも何千円下がりましたというようなことになって、それをなまのまま園芸局長が悪用するということになるものだから、結局搬出費も入っていますというような、そういう口実を与えることになるんですよ。だから、四十四年度からは調査農家の選定についてももう少し慎重を期して、全体に適応できるような形で農家の選定あるいは規模の選定というものをぜひやるべきだと思うわけですね。そういうことが生産費の上で大きく狂ってくるわけです。
 それからもう一つは、先般も言いましたように、日雇い労賃はおそらく一時間当たり百四十六円ぐらいで計算しておると思うのですよ。一日八時間にしてこれは千百円ですからね。そうすると、月二百時間の労働で換算すれば、月額二万三千円の勤労者の収入と同じでいいということになるわけですね。いまどき一人前の農家が月二万三千円の自家労賃で生活できるなどということにはならぬですよ。大体これは要保護世帯に対する国の配慮の金額に近い数字ですからね。厚生省からお世話になるような生活費の範囲内で農業を継続して、しかも、国民的な要請にこたえるような農業を展開しろといってもできないですよ。だから自家労賃の評価にしても、何も日雇い労賃でなければならないということじゃないでしょう。
 たとえば、てん菜が北海道だけに限定されておる作物であるとすれば、牛乳方式でいけば、北海道における他産業の平均労賃はどうなっておるかというと、これは労働省の調査によると一時間二百五十円ですから、八時間労働で二千円ということになるのですから、他産業並みであれば一日二千円で、日雇い労賃並みにすれば千百円ですから、ずいぶん大きく違ってくるのですよ。こういうものをすべてなまのままてん菜の最低生産者価格の有力な材料に悪用されるということになっておるわけです。
 ことしの統計調査部の発表の中には、これは備考じゃないが、利用上の注意をわざわざ二つ書いてあるのですね。「四十三年産の調査農家は選定替えを行なったので、四十二年の調査結果とは必ずしも継続していない。」これは接合してないということですから、いままで同様にこれを使うことは危険であるということをわざわざいっておるのですね。それからもう一つは、「この生産費には、てんさいの搬出に要する費用は含まれていない。」これも、こういうことをはっきりしておかないと、また園芸局長が含まっておるというようなことでごまかすおそれがあるので、統計調査部が良心的にわざわざこの二点について、悪用防止のためにちゃんと書いてあるわけです。いままではこんなことは書いてないのです。その労は他とします。
 そこで、反収のとり方、つまり調査農家の選定の方法、農家の自家労働の報酬の評価がえ、この二点ですが、これはまたこの次の機会に出席してもらって、この問題だけで十分あなたと議論したいと思いますが、これに関してあなたから適切な答弁をしてもらいたい。
#46
○岩本説明員 まず最初の点でございますが、農産物の生産費調査の目的は、その作物につきまして個別の農家の生産過程に投入されました諸費用、物財とか労働とかサービス、用役の内容を平均的に明らかにすることを目的にしております。そのために標本農家を選びまして、その選びます場合にも、農家の全体を代表できるような配慮をしまして、その標本農家につきまして必要な生産費を個別に積み上げて算定するわけでございます。したがいまして、その生産費用と生産された生産物の量とは相関関係があるわけでございまして、その個別の農家の生産量を確保するのに必要な生産費を調べておるわけでございます。
 一方作物統計の考え方は、収穫高統計をとることを目的にしておりまして、全国の全生産農家における収量を把握することが目的でございます。したがいまして、収穫高統計の考え方は、生産費調査のような個別の農家の生産量なり生産費を押えるという考え方とは本質的に考え方を異にするわけでございまして、そのために調査の方法も違いますし、調査目的が違うわけでございまして、ある程度結果の数値が異なることはやむを得ないことだと考えます。
 ただ、その調査目的が違うということ、調査の内容が異質であるという点から見まして、この数値を相互に置きかえて使うということは、調査設計上理論的に許される問題ではなかろうと考えます。
 御指摘のてん菜生産費調査百戸の選定が、上層に片寄っておるのではないかという点でございますが、私どもは細心の注意を払って選定をしておるわけでございまして、そういう心配はないと考えております。
 ただ、先生が私どもの発表しました生産費調査の備考と申しますか、最後に書いてあります利用上の注意でお読みいただきましたように、四十三年産の調査農家につきましては選定がえを行ないまして、北海道におけるてん菜の生産の実情がよりよく反映されますように、北見とか帯広とかいうてん菜の主産地になるべく調査農家を集中いたしました結果、四十二年の調査農家と対象が変わっておりますので、四十二年と四十三年を直につなげることには問題があるという意味で、利用者が間違わないように御注意を申し上げたわけでございますが、選定にあたりましては細心の注意を払っておりますので、それほど上層に片寄っておるという心配はないと思います。現に、てん菜の作付面積二ヘクタール以下の農家が六割に達しております。百戸のうち六割は二ヘクタール以下でございまして、面積規模の大きいところに片寄っておる心配はないと思います。
 ただ、四十二年と比べますと、札幌、函館の管内を減らしまして、北見、帯広の管内をふやしました結果主産地に集中した。主産地は土地条件もよろしゅうございますし、てん菜の生産力も高いと思いますので、その点の影響は多少あったのではなかろうかというふうに反省しておる次第でございます。
 それから、第二点の自家労賃の評価の問題につきましては、先般の乳価の御審議の際に御質問がございまして、官房長からも私からも若干お答えを申し上げましたが、その後私、生産費調査の沿革を調べてみたわけでございますが、米の生産費調査は非常に古くて、大正時代から始まっておりますけれども、そのときから一貫して、農林省におきましては自家労賃の評家につきましては、臨時雇用労賃を採用いたしております。自家労賃をいかに評価するかということは、生産費の理論構成の問題としましていろいろ議論のあるところでございまして、たとえば、労働力の再生産の価格である生計費を基準にすべしという議論やら、また先生がおっしゃいますように、他の工業労賃で評価すべしという議論やら、あるいは農業雇用をとるにしましても、年雇いの賃金をとるべしとか、いろいろな議論がございまして、いまだに論争が続いておる点でございますが、農林省の態度としましては、古くから一貫して臨時雇いの賃金を採用している次第でございます。
 それにはそれなりの理由がございまして、生産費計算上労賃は自家労賃と雇用労賃とから形成をされておるわけでございまして、雇用労賃の圧倒的な大部分は、その地方で形成される労働市場の日雇い雇用労賃を基準にして賃金を支払っておりますので、それとの均衡から考えましても、また労賃の性格から考えましても、それが至当であると考えます。もし工業労賃を採用いたしますとしますと、農業と工業とで労働の質が違うわけでございまして、異質な労働を同じ基準で評価するという誤りをおかすことになりまして、生産費の実態を反映しないと思います。
 もちろん、先生がおっしゃいますように、所得均衡という面から農業の労働の成果と工業労働の成果とを均衡さすべしという議論があることは承知しておりますし、農業基本法以来農林省はその方向で努力をしてきておるわけでございますが、それは生産費の構成の問題ということよりも、むしろ統計の利用面において、これを行政に反映いたします際に評価がえをする場合の考え方の問題に帰着するのじゃなかろうか、かように考えるわけでございます。
#47
○芳賀委員 統計調査部長とは後日ゆっくりと論争することにして、そのときは十分資料を整えて負けないようにやってもらいたいと思うわけです。
 これで終わりますが、先ほど触れましたパリティの問題ですね。昨年までは、価格決定の場合、昨年の四月から十月までの平均パリティを分母にして、決定年、ことしの二月ですね、二月の単月のパリティを分子にするというやり方できたのですが、これは非常に矛盾があるわけですね。これは昨年バレイショの基準価格をきめる場合にも論議した点ですが、バレイショの場合はこれよりももう少し質が悪くて、前年の九月から当年の八月までの一年間の平均パリティを分母にして、決定年の八月を分子にする、こういうやり方なものだから、ずっとつながってきて変化率が出ないわけですよ。これは昨年、池田局長だったか、それから小沼参事官や渡邊課長がいろいろ苦労一して、この点は全面的ではないが、以前に比べるとだいぶ改善して、そうしてカンショ、バレイショの基準価格がきまった経緯があるわけです。だから、今度は小暮局長ですから、このてん菜決定におけるパリティの矛盾、欠陥というものを、一年のうちに正確にやるということはむずかしいかもしれぬが、これをあなたの能力の範囲内において相当程度改善して計算する必要があると思うわけですよ。これは私の期待ですが、どう考えていますか。
#48
○小暮政府委員 同じパリティと申しましても、それぞれの価格の仕組みごとに沿革があるように承知いたしております。てん菜の場合には、てん菜の圃場生育期間に見合う時期の農村物価動向と申しますか、そういうものと、できるだけ最近のものということでやってまいっておるようでございます。過去の沿革等を十分勉強いたしまして、いろいろと研究はいたしてみたいと考えています。
#49
○丹羽委員長 次回は来たる十五日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後六時四十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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