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#1
第061回国会 農林水産委員会 第33号
昭和四十四年六月四日(水曜日)
    午前十一時三十分開議
 出席委員
   委員長 丹羽 兵助君
  理事 安倍晋太郎君  理事 仮谷 忠男君
  理事 藤本 孝雄君 理事 三ツ林弥太郎君
   理事 湊  徹郎君 理事 兒玉 末男君
   理事 森  義視君 理事 稲富 稜人君
      大野 市郎君    金子 岩三君
      小山 長規君    白浜 仁吉君
      菅波  茂君    瀬戸山三男君
      田澤 吉郎君    中尾 榮一君
      中垣 國男君    中山 榮一君
      野原 正勝君    八田 貞義君
      福永 一臣君    藤波 孝生君
      松野 幸泰君    伊賀 定盛君
      工藤 良平君    佐々栄三郎君
      實川 清之君    柴田 健治君
      永井勝次郎君    美濃 政市君
     米内山義一郎君    神田 大作君
      斎藤  実君    樋上 新一君
 出席国務大臣
        農 林 大 臣 長谷川四郎君
 出席政府委員
        農林政務次官  小沢 辰男君
        農林大臣官房長 大和田啓気君
        農林省農地局長 中野 和仁君
        自治省税務局長 降矢 敬義君
 委員外の出席者
        国税庁直税部審
        理課長     元木精一郎君
        農林省農政局参
        事官      中澤 三郎君
       専  門  員 松任谷健太郎君
    ―――――――――――――
六月二日
 農地法の一部を改正する法律案の成立促進に関
 する請願(久保田円次君紹介)(第七八四〇
 号)
 同(西岡武夫君紹介)(第七八四一号)
 同(福永一臣君紹介)(第七八四二号)
 同外七件(三木武夫君紹介)(第七八四三号)
 同(坂村吉正君紹介)(第七八九九号)
 同外五件(齋藤邦吉君紹介)(第七九三六号)
 同(桂木鉄夫君紹介)(第七九八〇号)
 同(久保田円次君紹介)(第七九八一号)
 同(瀬戸山三男君紹介)(第七九八二号)
 同(野原正勝君紹介)(第七九八三号)
 同(福永一臣君紹介)(第七九八四号)
 同外二件(古内広雄君紹介)(第七九八五号)
 同(田中正巳君紹介)(第八〇一三号)
 同(永田亮一君紹介)(第八〇一四号)
 同(松浦周太郎君紹介)(第八〇一五号)
 国有林野の活用に関する法律案の成立促進に関
 する請願(佐々木義武君紹介)(第七八四四
 号)
 同(秋田大助君紹介)(第七八九六号)
 同(渡辺美智雄君紹介)(第七八九七号)
 同(坂村吉正君紹介)(第七八九八号)
 同外一件(齋藤邦吉君紹介)(第七九三五号)
 同(久保田円次君紹介)(第七九八六号)
 同外五件(古内広雄君紹介)(第七九八七号)
 農山村住民及び林業労働者の生活安定に関する
 請願(華山親義君紹介)(第七八九五号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 農地法の一部を改正する法律案(内閣提出第一
 四号)
     ――――◇―――――
#2
○丹羽委員長 これより会議を開きます。
 この際、おはかりいたします。
 去る五月二十九日の農林水産委員打合会の記録につきましては、当日の会議録の末尾に参照として記載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○丹羽委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
     ――――◇―――――
#4
○丹羽委員長 農地法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。美濃政市君。
#5
○美濃委員 今回の農地法改正で、農地の流動化を促進するということにかなり重点を置いているわけですが、農地がなぜ流動化をしないのか。流動化をする、するといいながらしないのですが、私は、農地が簡単に流動化しないという根本的な原因は、単に法律だけの問題でない、こう考えておるのですが、これをどのように考えておるか、先に御意見を承りたいと思います。
#6
○中野政府委員 農地が流動化しない原因につきましては、ただいま御指摘がありましたように、われわれも農地法が阻害をしているというだけであるというふうには考えておりません。
 その原因としますればいろいろあるかと思いますが、一つには、高度成長経済がずっと進んでまいりまして、地価がかなり上がってきたという、これは農業内部での原因ではない場合が非常に多いと思いますが、都市周辺を中心にしまして、最近ではかなり農村地帯にまで転用含みの価格というものが広がってきております。したがいまして、農家としましては、自作農が同時に土地所有者でございますから、土地についての執着といいましょうか、そういうものが当然あるわけでございます。よく資産保有的な傾向が強まったということがいわれるわけでございますが、そういう問題が大きな原因としてあるかと思います。
 それから、農業内部の問題といたしましても、農業の経営規模拡大が、順次離農が進みましてはかられていく場合にも、日本の場合はかなり兼業化の方向で進んでいる場合が、北海道は例外でございますが、内地では多いわけでございます。そうしますと、兼業農家では農業をやり、かつ件兼業先でも働くということでございますので、なかなか土地は手放さないという問題がある、こう思います。
 ただ、最初に申し上げましたように、農地法のみが阻害要因ではないと申し上げましたけれども、そういう全体の経済事情なり農業事情の中にありまして、現在の農地法はやはりいろいろな面で、制度としてもその流動化を阻害している面があるというふうに私たちは考えておるわけでございます。
#7
○美濃委員 流動化について起きておる状態を検討しておりますが、その中で都市周辺の、いわゆる宅地を加味した価格というのは、これは別に私は考えております。都市周辺の宅地になるのじゃないかという地価というものは別としまして、そうでなくて、現在農地の価格について、農業の生産手段としての地価、これを私どもが算定すると、前回の質問のときにもちょっとお話がございましたが、米価を決定する基準反収の問題は別といたしまして、米価の中における地代として、米の買い入れ価格に補償しておるものを収益評価に逆算しますと、田一反七万二千円ということになるわけです。それから、ことしは米審の事情は何かよくわかりませんが、聞くところによると反収を引き上げて計算するようですが、そういうふうに反収を引き上げて計算すると、さらに反収からのメリットというものは出ませんから、だんだん出なくしようという政策をとっておるわけですが、それはそれとして、大体七万二千円。それから酪農であれば、保証乳価から計算しますと、搾乳牛一頭当たり十二万ということになるわけです。これは草の成長率の反別は、一番高いところであれば三十アールで一頭飼育できるでしょうし、あるいは、ずいぶん成長率の低いところであれば一ヘクタール要るでありましょうし、これは別として、とにかく十二万。それらの価格から見ると、宅地を加味するのでなくて、いわゆる農地価格の中に非常に実情が無視されて、資産保有の地価というものが形成されておるわけでありますが、現実に私はそれが農地の流動化を阻害しておる最大の要因だと考えておるわけです。そういう地価で土地を取得しても、経営上全然間に合わないわけです。
 たとえば、先年私は新潟その他の水害の調査に行きましたが、あの辺の純農村に入って田が四十万くらいするわけです。それを買って米をつくるということになると、米価の中で補償されておる家族労働賃金は四万ちょっと切れるわけです。ところが、信託に入れて七分の利回りであるとしても、大体家族労賃くらいの利子収入になるわけですね。そういう高い地価で米をつくってもそれは間に合わないわけです。この問題をどういうふうに考えておるか。流動化が阻害されておる最大原因は、日本の農地というものが非常に資産保有としての価格を形成しておる、全然収益評価を離れた価格が形成されておる、これが私は最大の原因だと思うのです。
 たとえば、それを貸し付け地にする場合でも、地主の立場でいえば資産価格としての代償を求めるでありましょうし、耕作者の立場になれば、そういう資産価格としての高い価格の代償を求めるような小作料を払っては、それをつくらないほうがいいのですから、そういう問題が若干――やみ小作地があるとかなんとかいっておりますが、これは面積は少ない面積でありまして、今回の法律改正によって大幅に経営が拡大される、農地がスムーズに流動するとは思ってないわけですね。最大の原因はやはり価格にある。これをどういうふうに考えておるか、そういう点を今後政策上どういうふうに考えておるか。
#8
○中野政府委員 お話の中に、いまの統制小作料を資本還元いたしますと七万二千円というお話でありますが、統制小作料の資本還元したものが現実の地価だというふうに考えればそのとおりだと思いますけれども、現実には、先生御承知のようにこれは地域によって、農業地帯におきましても農地の価格は非常に違いがあります。しかしながら平均的に見ますと、不動産研究所の調査では二十四万くらい、それから農業会議所の調査では三十八万くらいというふうになっております。このこと自体どういうことかといいますと、どうも純粋の農業地帯では、やはり農業採算価格としての価格になっておるのではないかと思います。高いか安いかという問題は別にあるかと思いますが、転用含みの問題がない以上は、農業採算価格でそういう地価が成立しておると私たちは考えておるわけであります。
 と申しますのは、いまやみの話がちょっとございまして恐縮でございますが、たとえば、やみの小作料が二万円だといたしますと、これを五分で資本還元いたしますと四十万というような価格になるわけでございます。このやみの小作料がいいかどうかは別でございますけれども、そういう価格が現実に発生するということで、どうも農家が買います場合の考え方としましては、よく農村では、粗収入の十年分までは買えるのだというような言い方をしている場合もあるわけでございます。ただ、こういう形がいいかどうかということになりますと、経営規模を拡大する場合には、農地の価格はやはり安いほうがいいのに違いないと私どもも考えるわけでございます。
 ただ、そうかといいまして、昔、戦後何年間か農地価格の統制をやりましたように、統制小作料を資本還元するだけでは、よほど強制買収でもかけて、農家から取り上げて売るとか、あるいは買う場合にはできるだけ高く買ってやって、そして売る場合には、何といいましょうか、農業収益価格、それも公定的に計算した価格で売るというような手段をとらなければ、そういうことにならないかと思います。しかしながら、実際問題といたしましては、売る農家からは高く買って、そして規模拡大する農家には非常に安く売るということは、財政問題もありましょうし、その他いろいろな問題があって、なかなか困難かと思います。
 したがいまして、今後の考え方といたしましては、一つには、都市周辺を中心にしまして地価が上がっておるわけでございますから、都市計画法が近く施行になりますと、市街化区域と調整区域を分けるということになりますと、調整区域では、われわれとしましては、ここは市街化が抑制される地域であって、農業を振興すべき地域だと考えております。その上に農業振興地域の法律が通りますれば、できるだけその指定をいたしまして、農業の振興をはかるということになりますと、そこでの地価は、少なくとも農業採算の地価として考えられるように原則的にはなるのではないかと思います。
 ただ、地域によりまして、農地の需要が非常に多いと上がるとか、あるいは現在は農業地帯であっても、いずれ縦貫道路が通るとか、そういうような問題もありまして、やはり農家としてもなかなか土地は放せないという問題があるかもわかりませんけれども、そういう問題がありましても、原則的には、やはり純粋の農業地帯であれば、農業採算価格として成立するのではないかというふうに考えるわけでございます。したがいまして、今後とも低利の融資というものを重点的に考えていかなければならないのではないかというふうに思われます。
#9
○美濃委員 私は、農業の採算価格に農地価格が合っておる地域が全然ないとは言いませんけれども、私の調べておるところでは、全国的に見て、農業のいわゆる採算価格をえておる地価のところが多い、私はそういうふうに見ておるわけです。それが流動化を阻害しておる最大要因であろう、こういうふうに考えておるわけです。たとえば、田に例をとってみますと、反二万円と局長は言われますが、たとえば水稲で二ヘクタール耕作すると、反二万円というと四十万になります。いまの米価で四十万円の小作料を払って、それで経営が成り立ちますか。
 一体、今度の農地法の改正から見ると、借地型自立経営、これはどのように考えておるか。経営の形態としては借地型自立経営、自作型自立経営、共同型自立経営と三つに分類されると思うのです、今度の法律改正からいっても。共同化ということは、最近は昔と違って農業政策で、総理大臣の施政演説にまで共同化を言っているようなわけですから、私も原則的には共同化が悪いとは思いません。共同化を進めることは賛成なわけですけれども、しかし、ただアイデアで演説をぶっておったら、そういうふうに農村はなっていくというようなものではないのですね。その原因を突きとめて、政策手段を講じませんと、実際の起きておる現象と、政策とが全く食い違ってしまっておったら、これはそうはならないのです。そういう問題が農政には多いわけですね。政策のアイデアは出すけれども、そのとおりにならないという現実。
 そこで、いま言ったように地主が資産価格の代償を求めてくる場合、そういう借地型自立経営というものは成り立つと思っておりますか、どうですか。
#10
○中野政府委員 今後の農地法の改正でわれわれ考えておりますのは、純粋の借地型だけでの自立経営というところまでは、なかなか考えにくいというふうに判断をしております。と申しますのは、農地改革の結果、大部分の農家は自作農になっております。もちろん一部小作をしておりましても、自作兼小作ということで、純粋の小作というものはほんのわずか、十万戸ぐらいだというふうに記憶しておりますが、その程度になっております。その中で、先般来るる申し上げておりますような農業事情の変化の中で土地が動いてくる。その場合に、売買もありましょうし、貸し借りもあるということになってまいりました場合には、やはり規模拡大する農家は、たとえば中型のトラクターを入れた場合に、自分の面積が三ヘクタールしかないが、中型のトラクターなりバインダーなり入れてやりますと、五ヘクタールやれるということになりますと、あとの二ヘクタールを買ったり借りたりするというかっこうの農家になってくると思います。したがいまして、われわれは自作農的な土地所有というものが、急速にこれによってくずれるということも判断しておりませんけれども、それにプラスアルファが加わって、一部借地が加わってくるような発展が、一つの農家の型ではないかと考えます。
 もう一つは、先ほど先生もお触れになりましたが、協業経営と申しましょうか、協業化と申しましょうか、そういう問題での発展も非常に期待をしておるわけでございます。そういう面から、農業生産法人制度の改正も今後やろうとしておるわけでございますが、やはり一つのまとまった生産単位をつくりまして、その場合には、その生産法人の経営を中心にやっていくものと、順次補助的な労力を出し、あるいは土地だけを出すというような農家も出てくるかというふうに思いますが、そういう型での生産法人としての経営なり、生産規模の拡大をはかりたい。
 この二つの型が進んでいくんではないかと考えますけれども、基本的には、約十年あるいは十五年で家族的な自作農的経営がくずれるというふうには考えておりません。
#11
○美濃委員 次の問題に移る前に、地価の問題でちょっと集約の御意見を承っておきたいと思うのですが、私は、農業のいわゆる経営採算価格を地価が上回っておる、こう申しておるのですが、これをいま、しからば農地法改正の中で、法律でどうするこうするというのではなくて、法律事項でこれを制限するといっても、私はなかなか容易でないと思います。しかし、原因はそこにあるんだということをやはり認識しないで――宅地とか何とかそれは別ですよ。都市周辺で宅地を加味しておる価格は別として、いわゆる純農村地帯においても、農業の採算価格を地価が上回っておる、これはどうですか。上回っておるから、法律事項でどうせい、こうせいというのではないのです。政策としてそういうものをきちっと踏まえて、直ちにその地価の抑制ができないにしても、原因だけは少なくともきちっと掌握して農政をやらないと、ピントが狂っておると、こうなれば流動化するんだろうといったって、なかなかならないのです。ほかに原因があるわけですからね。それを最終的にどう考えるか。
#12
○中野政府委員 私の先ほどから御答弁申し上げておりますのは、農業採算価格で全部地価が支配されておるということを申し上げておるわけではないのでございます。原則的には、純粋の農村地帯におきますと、現実に行なわれています地代といいましょうか、そういうものを資本還元と考えてもよろしゅうございますし、あるいは農産物価格から逆算をいたしましてそういう地価になっておるというふうに思います。その価格自体が、高い地帯がかなり多いと私も思うのです。しかし、それをそれではどうするかといった場合には、先生もおっしゃいましたように、これを統制で低めるということは非常に困難だと思います。そういうことになりますと、やはり規模拡大をはかっていくためには、買いたい農家にはできるだけ低利の金を貸す方向へ持っていかなければならないのではないかというふうに考えておるわけでございます。土地を持っている農家といたしまして、自分の土地を売る場合には、どうしても高く売りたいという気持ちがある間は、やはりほんとうの農業採算価格よりプラスアルファの面がかなり――これはまた特に公開市場があるわけじゃございませんし、そういう問題から考えましても、どうしてもほんとうの農業採算価格の計算からは、若干高いということはあるというふうには思います。
#13
○美濃委員 次に、農地保有合理化促進事業団、この構想をひとつお聞かせ願いたいと思います。大体町村でつくろうとした場合どうなるか、特にこういうものをつくる場合には町村長が主体になるのか、役員構成、それから事業はどこまで、どういう事業をやろうと考えているのか。
#14
○中野政府委員 農地保有合理化法人につきましては、農地法でこれを創設するということでの規定ではないわけでございます。そこで農地法では、こういう法人ができました場合に、そういう法人が農地を取得し、そしてそれを売ることができるという権能を与えるということで改正農地法に規定をしたわけでございます。
 その前提といたしましてわれわれの考えましたのは、今後第二次構造改善対策が行なわれます場合に、町村を中心にしまして、農地管理事業といいましょうか、経営整備事業をやっていくことが一つございます。そういう場合があり、それから都市近郊では、やはり畜産等を中心にしまして公害の問題が出てきておりまして、市街地の中でなかなか畜産がやれないといった場合に、市街化調整区域なりその他の地域に農家を移転させるという問題もあるわけでございます。それから未墾地といいましょうか、過疎的な地帯で農地とあわせて未墾地も買いまして、そこに育成牧場等をつくって、いわば一つの農場をつくってそれを売り渡すという事業も考えたほうがいいのではないか。この辺につきましては、それぞれの県から、それぞれの県の特殊性に応じてこういうことをやりたいという希望もいろいろ出てきておるわけでございます。
 そういうことを背景にいたしまして、今後農地法でこういう規定を置いたわけでございますが、その場合に考えられますことは、一つには町村で、これは主として構造改善事業と結びついた場合だと思いますが、町村でそういう事業をやるということでございます。この場合は、市町村そのものがやるわけでございますから、当然議会で予算化をしまして、あるいは特別会計を置きましょうか、そういうような考え方で市町村がやっていくというようなことになるわけでございます。その場合には、当然農業委員会の意見を聞いてやっていくことになるかと思います。
 それから、もう一つ考えましたいまの畜産公害の問題なり、あるいは過疎的な地帯での既耕地と未墾地あわせての開発の問題になりますと、地域も広がりますから、これは町村段階では無理ではないかというふうに思っております。そこでわれわれとしましては、県段階での公社がいいのではないかと思います。この場合に公社、これは通称そういっているわけでございますが、われわれの考えておりますのは、原則的には県と市町村の出資によってできる法人にしてもらいたいというので、公益法人を考えておるわけでございます。株式会社までは考えておりません。
 そこでどういう事業をやるかということになるわけでございますが、いま申し上げましたような実態を踏まえまして、それぞれの地域に応じましての土地を買う、あるいは借りる、そして規模拡大をしたい農家にそれを売るなり貸すなりをしたい、そしてその間に未墾地も入っておりますればそれを造成してもやれる、こういう考え方をとっておるわけでございまして、具体的には、そういう法人は民法法人でございますから、民法法人は認可になりますし、市町村はれっきとした公共団体でございますので、ここが条例をつくりましてやることになるかと思います。
 その場合に、われわれとしましては、どういうふうな売り方をするとか貸し方をするとか、そういうものの相手方の基準なり、あるいはどういう値段でやったほうがいいかとか、あるいは貸す場合にはどういう条件がよろしいかというような指導は、具体的にはいたしたいと思っておりますが、これを具体化いたしますのは、四十五年度の予算からどういうふうに考えていきますか、これからの政策課題だというふうに考えておるわけでございます。
#15
○美濃委員 さっきちょっと構想の中に、牧野の建て売りも考えたいと、こう言っておりますが、こういう場合に資金関係はどうなりますか。こういうものをつくらした場合に、そういう取得資金は、たとえば土地取得資金で見て、そして建て売りする場合には、それがスムーズにいくような資金関係の裏づけ方式をとるのか。資金関係はどういうふうに考えておりますか。
#16
○中野政府委員 現行の農林漁業金融公庫の資金でありますと、こういう法人には、法律改正がありません限り貸せないわけでございます。
 そこで、まだこれからの研究課題だと思っておりますけれども、現行法で対応するためには、買い受ける農家のほうに優先的にそういう金を貸せばいいのではないかというふうに考えます。ただ、それではそういう公社なり市町村が農地を造成する等の金をどうするかということになるわけでございますが、これは、売る相手方を大体明確にしておけば、そんなに長い金の必要はございませんので、あるいは農協資金を使いますか、その辺のことはまだわれわれ農地局としては考えておりませんけれども、具体的にはそういうつなぎ的な資金が必要ではないかというふうに思います。その場合、金利が高いものをどうするかということもあるかと思います。そういう問題につきましては、われわれとしましては、四十五年度の予算を目標にしまして具体化を考えていきたいというふうに考えております。
#17
○美濃委員 次に、こういう事業団をつくる、あるいは農業振興地域法によって自立農家というものを位置づけしようと考えておるのですが、この場合、前回の質疑の中でも出ておりましたが、わが国の農家戸数から見た経営構造というものは、どういう構造に焦点を合わしてこういう事業団をつくり、あるいは農業振興地域整備法の中で個別経営の位置づけ、あるいは二次構造改善をする場合の自立経営の標準というものは、どういうふうに考えておるか。
#18
○中野政府委員 自立経営の標準というお尋ねでございますが、たしか官房長からもいろいろその辺の問題について、どの先生の御質問かちょっと記憶にないのでございますが、御答弁があった問題でございます。これは、お答え申し上げましても非常に抽象的になるわけでございますが、一応いまの農業基本法では、能率的な家族経営で、それで農業として立っていける農家が目標だということを抽象的にいっておるわけでございます。それとあわせて、そういう自立農家と同じ収入の得られるような協業ということを考えておるわけでございます。こういうことを申し上げましても、なかなか具体的な概念が出てまいりません。そうかといいまして、それでは具体的に、どういう地帯では米作農家は何ヘクタールがよろしいとか、あるいは酪農地帯は、どういう地帯の酪農は何頭飼養がよろしいとかいうことをきめていかなければならないということは、先生お話しのように私もそういうふうに思います。しかし、なかなか現実にはむずかしい問題があると思うのです。
 ただ、そのむずかしいと申しました一つの例といたしまして、たとえば、かつて初めて根釧のパイロットファームをつくりましたときも、当初はたしか耕地十四町幾らで、牛の数がたしか成牛で十頭ということで目標を立てたわけでございます。しかし、その後の事情の変化から見ますと、とてもそれでは自立経営的なものにならないということで、現在われわれとして考えておりますのは、耕地として二十町歩、そのほかに採草放牧地が要ります。そして搾乳牛で十六頭でございますから、牛の数にすると二十頭以上要る。そういうことで、その地帯の農業の最低といいましょうか、そういうことで成り立つのではないかということで、現在あの地帯の開拓農家の指導をしております。そういうようなことが、一例でございますがありますので、非常に目標はつくりにくいと思います。
 しかし、どの地帯におきましても、そしてどの作目にいたしましても、やはり農業でめしの食える規模ということが必要ではないかというふうには考えるわけでございます。現に総合資金制度をつくりました場合でも、一応こういう目標を立てた農家に対して金を貸すのだというような例はつくっておりますけれども、ぴしゃっとそういうことで農業委員会等においてはどうだということは、一律になかなかきめにくいということでございます。
#19
○美濃委員 きめにくいけれども、それをきめなければ、そういう政策をきめなければ、お話にありましたように、あるいは最近総合農政の考え方なんかというのを官房から出しておりますけれども、やはり抽象論で行政の立場は逃げてしまって、結局はどうやればよいのか、どれだけのものをやれば、あとは自立経営農家として経営的に不安がないのかということが明確でないわけですね。これはある程度明確にしなければならぬのではないか。これを不明確にして、そして自立経営を推進するといっても、その点が不明確であると、いかなる経営も、農民自身が経営意欲が起きてこないと思うのです。結局は貿易の自由化、そういうものに対する不安が先立ってしまって、投資意欲も改善意欲も、やったらいいのか悪いのかわからぬわけです。
 たとえば農産物も、自由化に押されてどんどんなくなっていくものがあるわけですね。これは二、三もう崩壊しようとする農産物もあるわけですが、需要が減退したのかというと、その用途の需要は減退しないのにかかわらず、もう農民が経済作物として取り入れて生産することができないという作物が、最近だいぶ出てきておるでしよう。そうなってきますと、これはもう農地法を改正してそこの限界を明確にしなければならぬ。その明快性は金融法でもいかぬし、何か農地法に根拠を持たすべきではないかと私は思うのです。農地法にその根拠を持たして、そうして、たとえばいま局長は根釧の開拓パイロットの例を話されましたが、この場合であれば、現行の保証乳価を恒久的に政策維持をして、そしてこれで自立経営として経営ができるのだ、離農しなくてもいいのだ、こういう一つのめどづけをしてやらなければならぬと思うのです。それが根釧パイロットのところであれば、二十頭くらいであればいいと私も思うのです。
 しかし、最近EEC共同体あたりはものすごく輸出補助金を出しておるわけですね。乳製品あたり、輸出補助金を出してダンピングをしてくる。あるいはニュージーランドやオーストラリアのああいう大規模畜産から見れば、自由化をやられた場合には、もう二十頭でもやれぬわけですから、そういう政策の位置づけをすると同時に、土地取得資金あたりの資金ワクも少ないわけですから、土地取得資金あたりも、その農家を、経営意欲を持ってその段階になろうとする者にまず優先貸し付けをする。それで現在の社会ですから、それ以上土地を持ってはならないと法律上規制する必要はないと私は思うのです。それ以上の経営構造をやれば、所得はそれなりに上昇するわけですから、たとえば、総合資金なりあるいは近代化資金なり、多少利子コストは高くても、それ以上の規模があればそれ以上の所得が発生するのだから、支払い得るではないかと思う。
 こういう土地取得資金あたりも一つの方針を示さないと、いまの土地取得資金の貸し付け要領のように、業務方法書で、その地域の平均面積を下回る取得には貸さないというのです。こういう不親切な農政はないと思うのです。その地帯の標準面積といったら、抽象的に逃げてしまって、限度がないわけです。こういう土地取得資金のあり方などというものも私は全然了解できないのですが、なぜ平均面積を下回った者には貸さぬというのか、こういう点はどういうふうに考えておるか。
#20
○中野政府委員 最初のほうのお尋ねの標準経営といいましょうか、そういう目標を示せという問題につきまして、金融面あるいはそれぞれの政策としてそういう目標を示し得ることは可能な場合があるわけでございます。たとえば、さっきもちょっと触れました総合資金でも、一応こういう経営でよかろうということをいっておりますし、それから先生御承知の北海道のマル寒資金の法律によりますと、地域を十四等分いたしまして――これはかつてはもっと多かったわけでございます。かつては小さな目標であったわけでございますが、先般改定をいたしまして、これは自立経営直接の目標でございませんで、それに引き上げるための一段階でございますけれども、一応こういう地帯ではこういう経営ではこの程度のものだということを示しながら、それに向かって営農計画を立てていく農家に金を貸すということを現実にやっておるわけでございます。
 ただ、御指摘の取得資金の問題につきましては、これが非常に広範な農家に金を貸すとい制度になっておるものですから、いきなりそういう標準をつくりまして、その標準に達しようとする農家だけにしか貸さないということになりますと、かなり問題が起きるかと思います。と申しますのは、もちろん各農家が自立経営的な農家を目標にしてやっていただけることは非常にいいわけでございますけれども、現実の土地の売買を見ますと、自立経営農家までは届きそうもないという農家の農地の取引というのがかなり多いわけでございます。これにつきまして、一切世話をしないということにはなかなかまいらないという問題がございます。
 そこで、われわれといたしましては、限られた低利融資の資金でございますので、できるだけ効率的に使ってもらいたいということで、少なくともその村の平均の経営面積、土地取得後その面積に達するような農家、いわば農家らしい農家にまず金が行き渡るようにというふうに考えた結果、土地取得資金制度につきましては、そういう考え方をとったわけでございます。
#21
○美濃委員 ちょっと局長の受け取り方が、私の言っていることと違うのですがね。段階的に農家らしい農家にしていくと言われるが、法律では最低五十アールという線を出しております。この五十アールを全国的に見ると、画一的五十アールではないと私は理解しておるわけですが、それはいいんです。しかし、標準面積まで取得する者に土地取得資金を貸して、その標準面積を越える取得、越えてさらに拡大しようとするのは、所得も多くなるのだから、近代化資金なり総合資金でもいいではないか。あるいはそうじゃなくて、土地取得資金一切を政策的に、三分五厘の土地取得資金を需要額全部調達できますか。ことしもずいぶん足らぬのですがね、土地取得資金は。調べてみますとかなり足らないのですね。これはどうなんです。さしあたりそれなら、そういうことを言われるのだったら、ことしの土地取得資金あたりは、公庫の繰り上げ償還ワクか何かでこれを調整して、全国の需要額全部出す用意がありますか。どうなんですか。
#22
○中野政府委員 答弁を申し上げるのが、先生のいま御指摘のところまで触れませんで恐縮でございましたが、確かに土地取得資金の需要が、最近非常にふえてきております。おそらく農家の希望を全部達しますと、とてもことしの予算ワクでは足りないと私も思っております。
 その場合に行政の措置としてやりますことは、よく地域別の割り当てをやるということをやるわけでございますが、現在までは、そういうふうにして行政的に上から割り当てするというのをできるだけ避けるという趣旨から、やっておりませんでした。ただし、ことしの場合にもう少し――北海道の需要が非常に多いわけでございまして、まだ都府県側の需要を全部把握しておりません。その辺の事態が明確になりました際には、ただいま御指摘がありましたように、これ以上買うのはひとつほかの資金でやってくれというような、先生御指摘のようなことを、あるいはやらざるを得ないかという気もいたします。もう少しその辺の事態の推移を見たいと思います。
#23
○美濃委員 次に、同じく土地取得資金で、これは去年ずいぶん農林省内部からも、どの人この人と私は名前を申しませんけれども、農地法が通らないから土地取得資金の限度額を引き上げられない、こういうことを言って、私ども地元でもそういう意見がかなり出ましたが、その実情はどうなんですか。いまでもそう考えておりますか。今回この農地法の改正が通ったら、土地取得資金の限度額は何ぼ引き上げるのですか。私は土地取得資金の限度額は、資金ワクを伴わない限度額だけ引き上げたって、絵にかいたもちになると思うのですよ。
 たとえば現実に、卑近な具体的な例を申し上げるために、失礼ですが私のところの村の例を申し上げても、私のところの村で、去年の道庁から示された土地取得資金は三千万切れるのです。二千八百万くらい。それに対する需要は四千万をこえるのです。それを、そういう資金ワクの状態で限度額だけ引き上げたって、選別融資にして特定の者だけに満度、限度額四百万なら四百万貸して、ほかの者には貸さないという措置はできませんね。結局は、分割融資の協調融資になるわけです。そういう政策的な、実情を無視して、なぜ農林省内部から、農地法が通らぬから土地取得資金の限度額が上がらないという宣伝を国民にするのか、これをちょっとお伺いしておきたいと思います。
#24
○中野政府委員 農地法が通らなければ、土地取得資金の限度を上げないというふうには、私たち説明をした記憶はございません。
 ただ、ちょっと誤解を受けたとすれば、おととし農業構造の基本方針を立てました際に、農地法の改正をやる、それからその場合には、農地法でございますからそういう資金のあっせんその他は法律でやらないわけでございますけれども、経営規模の拡大のためにはやはり低利融資の拡充が必要であるから、そうなりますと、当時限度百万円でございましたので、これではなかなか土地の取得がしにくいということから、農地法の改正とあわせまして、土地取得資金の限度の引き上げをやりたいということを同時に出したわけでございます。そういうことで、いま当時の記憶をたどってみますと、大蔵省の予算折衝その他をやっておりましたので、それが並行しておるというふうに受け取られたかと思いますけれども、現に先生御承知のように、農地法は廃案になりましたあとでも、大蔵省と私たち折衝いたしまして、去年限度を倍に引き上げたわけでございますから、その辺はひとつ御了承いただきたいと思います。
#25
○美濃委員 今度この法律が通れば、限度額は何ぼに引き上げるのですか。二百万なんか足りないですよ。そんなもの話にならぬですよ、限度額二百万なんか。少なくとも移動に伴って進めるということになると、私は二百万なんという限度額では、何といいますか、帯に短したすきに長しということわざがありますが、二百万ではたすきぐらいになるかもしれぬが、帯にはならぬですよ。どうですか。
 それからもう一つ、私は人の名前は申し上げませんけれども、農地法が改正されないから――これは農地局の人じゃないです。どっちかというと、融資を担当しておる課のほうですが、私に直接言いましたからね。農地法が通らないから限度額は上げられないのだ。それが帰ると、農業会議や何かに全部伝わっておるわけです。農地法が改正されないから限度額に引き上がらぬ。これはかなり出ておりますよ。農地局の人でなくて出ております。どの人この人ということはここで申し上げませんけれども、それが間違いであれば、自今そういう間違ったことを言わぬように。同時に、あれだけのことを言っておるのですから、たすきみたいな限度額じゃだめですよ。帯になるだけの限度額は何ぼにするのか、この方針を聞きたいと思う。
#26
○中野政府委員 重ねて申し上げますけれども、もしそういう誤解を招くようなことを言ったとすれば、はなはだ恐縮でございますので、遺憾の意を表したいと思いますが、われわれとしましては、先ほど申し上げましたように、農地法の改正とそれから低利融資の拡大ということを、あわせて考えたいという気持ちからやったわけでございますので、ひとつ御了承をいただきたいと思います。
 そういうような考え方で、農地法の改正があるなしにかかわらず、昨年倍にしたわけでございます。その以前は、八十万を百万にしたような事態でございまして、先生御指摘のように、農家の希望からすれば、上限なしで幾らでもということになるかと思いますけれども、なかなかこの百万から二百万にするのも容易ではなかったわけでございますので、いま直ちに、それじゃ農地法が通ったら三百万にするとかということまで、お約束するということは私できないと思いますが、できるだけの努力はいたしたいと思います。
#27
○美濃委員 約束してもらわぬでもいいです。局長だけでその資金はきめられるものじゃないですから、計画を話してください。計画もなしということば私ども了解できない。計画は何ぼに考えておるか。何ぼにしますという約束は要らぬですよ。あなたが約束してくれてもちょっと行き過ぎになるだろうし、この段階で、農地局長権限で何ぼにしますということは言えないということはよく承知しております。しかし、農地局としては何ぼにしなければ実情に合わないという計画はあるわけでしょう。その計画もないというのだったらおかしいですよ。それでは、計画のない仕事を農地局としてはしているということになる。こういう法律を提出しながら、その裏づけの計画性さえ全然持っていない、行き当たりばったりの法律を提案しておると私は考えざるを得ないのですよ。計画を言ってください。
#28
○中野政府委員 はなはだ申しわけないのですけれども、いま私の頭に、計画といたしまして三百万にするというところまで、具体的には計画を持っておりません。規模拡大をはかるためには、どうしても限度を上げる必要があるということでやっと二百万にして、去年の十二月から実施したばかりでございますので、すぐまたそれをということまでには、相当のデータも集めてやらなければなりませんので、今後検討させていただきたいと思います。
 と申しますのは、二百万ということにいたしますと、もし反三十万といたしますと七反歩、北海道の場合は、あるいはもう少し水田が安いかもしれませんから、一町というようなことになりますが、確かに御指摘のように、二町買いたい農家には帯に短しということになるかと思いますけれども、引き上げたあと去年やりましたけれども、去年の資金量は、もうほとんど年度末に近くて終わりでございますので、ことしそれを実施してみましてどうなるかという問題でございますので、もう少し推移を見さしていただいた上で判断をいたしたいと思います。
#29
○美濃委員 私は、いまの話では了解できません。これはやはり計画はいま持つべきですね、できるできぬば別として。実情は大体そういう必要があろうという判断だけれども、ここでそれを煮詰めろといってもなかなか困難でしょうが、しからば、その計画はいつごろまでにつくるか。私は、それでは無責任だと思うんですね。話を聞いておると、何か農地の平均価格は、農業の生産経済にペイしておるような考えを述べてみたり必ずしも全部がそうだとは言ってないけれども、そういう点が、私ども局長の話を聞いておって、やはりこの法律に伴う政策として、大体よかろうという気持になれないわけですがね。二百万という限度じゃ、いまの実情からいうと、ほんとうに推進するに足る融資ではないですから、これはやはり少なくとも、あなたのほうは原局ですから、計画を持って融資対策をやらぬければ、大蔵省のほうから、土地取得資金の限度額は少し足りぬようだから、少し上げたらどうかということになりますか。どうなんです、計画を立てて先に話を出すのはどこなんですか。大蔵省からなんですか、農林省が先なんですか。
#30
○中野政府委員 もちろん。要求いたしますのは農林省が先でございますし、大蔵省のほうから限度を上げろというようなことは、まず言うことはないのではないかという気がいたします。
 いまのお話でございますが、私たちといたしましても、ことしの資金の状況を見まして、どう対処するかということを考えなければ、とにかく大蔵省との折衝――まあ内幕の話をして申しわけないのですが、去年あの問題を解決するのに約半年以上かかっておるものですから、倍に引き上げたあとの実態が一つもまだ把握されていないのに、またすぐというのは、なかなか事務的にはやりがたいというふうに思います。ただ、気持ちとしては、土地の価格も上がっていることでございますし、規模拡大ということになりますと、もう少し何とかしたいという気持ちはございます。そういう気持ちから、もう少し実態を把握した上で妥当なところを、また財政当局とも折衝したいというふうに考えます。
#31
○美濃委員 昨年の土地取得資金の申し込みにあたって、ことしもだいぶ足らぬようですが、これはやはり限度額があるから、限度額で融資申請を――取得が少ない者は限度額まで申し込めませんけれども、限度額以上の土地取得をする者も、一応最高の借り入れ申し込みが限度額なんですよ。それでなおかつ足りないのですからね。したがって、昨年の土地取得の全国状況から見て、実際に土地を取得した需要額と、実際に土地取得資金を貸したパーセントは何ぼになっておるか、これは調査しておるでしょう。
#32
○中野政府委員 こまかい数字はいま調べますけれども、私の記憶では、これは北海道と都府県と非常に違っておりまして、全体の土地移動についての公庫資金に対する依存率は、北海道がたしか六〇%をこえております。だから、北海道の土地の移動の中での公庫資金によっての移動が六割、都府県の場合はたしか二割五分程度が公庫資金によって行なわれておるというふうに見ております。
#33
○美濃委員 そこで質問を、いわゆる標準経営面積に戻しますが、その前に、ただいまの土地取得資金の需要と貸し付けの状況という資料をいただきたいと思うのです。これは提出してもらえますか。大ざっぱなものでなくて明細にですね。
#34
○中野政府委員 柴田先生のときに若干、公庫資金の過去十年の貸付け状況等府県別にお出しをいたしましたが、いま先生お話しの需要のほうは出しておりませんので、資料を調べましてそういう資料がありますれば、需要のほうもお出ししたいと思います。
#35
○美濃委員 そこで、自立経営を促進するために、いわゆる標準的な経営の指標というものは必要である、こういうお話なんですが、しかし、これは公庫の業務方法書や何かでやっただけでは足りないと思うのです。これはひとつ法律根拠を持つべきだと思うのですが、この点どう考えるか。金融の業務方法書や何かでするのはおかしい。それもいいですけれども、それじゃ足りないと思うのです。やはり現在の農業不安というものを解消するには、法律根拠を持ってそれを明確にしなければだめだ、私はそう思うのです。それはどう考えるか。
#36
○中野政府委員 ただいまのお尋ねが、もし農地法の中でそういう標準経営の規模をつくるということを置けということでございますれば、なかなかこれは困難なことではないかというふうに考えます。
 と申しますのは、農地法はいわば権利を調整するような法律でございますので、その場合にその地帯、地帯の標準経営といいましょうか、日本の場合はそれがその地帯、地帯の最大の経営になるかと思うのですが、そういう最大の経営に向かってあらゆる権利を調整しろということになりますと、現実の農地の取引といいますか、売買とか貸し借りは、そういう農家に向かっての貸し借りは、先般も申し上げましたようにまだほんの一部でございます。大部分は農家が農家として生きていくといいましょうか、そういうための移動が非常に多いものですから、そういうものでの移動は認めないというものの考え方になってまいりますと、これは相当な問題になるかと思いますので、農地法へ入れることはなかなかむずかしいのではないかというふうに思います。
 そういうことになりますと、別の法律をつくりまして、それぞれの地帯ごとに、この地帯はこういう標準経営をつくらなければならないというような法律になるかと思いますけれども、それには、やはりそういうことに持っていくための施策が必要だということになりますと、やはり補助なりあるいは金融なりというものをやります具体的な政策にあわせまして、それもそういう政策との関連で目標を立てるほうが、実際の運用としてはいいのではないかというふうに思うわけでございます。
#37
○美濃委員 大臣がおいでになりましたから、いまのお話を承りたいのですが、いま局長は、別の法律がよかろうというのですが、別な法律についてお考えがありますか。
#38
○長谷川国務大臣 まだ来たばかりだったものですから、美濃さんのおっしゃったことをちょっと承っておらなかったのでお答えができませんが、いま一度ひとり……。
#39
○美濃委員 農地法を改正して、農地を流動化して自立経営を促進するというのでありますが、その中で前々から私、申し上げておるように、やはり日本の農業事情から見て、自立経営の標準というものを明確にすべきである。これは最近官房で、総合農政の方針的なもののプリントもいただきましたが、その面は全部逃げてしまっているわけですね。ただ非常に抽象的なアイデアだけしか表現してないわけです。これでは全然農業者、農民側から見れば、自由化に対する不安やその他は解消できないわけですよ。ですから、国は政策をもってこれだけの規模のものを、日本の農産物は非常に多様化しておりますから、それぞれの地域で、作物によって、その標準経営というのは、単に面積だけではいけない問題でありますけれども、これを、いわゆる政策的に明らかにして、それに向かって立自経営を促進する必要があるのではないか。
 そこで、農地法にその標準をうたうべきである、こう私は思うのですが、局長は他の法律がよかろう、こう言うのです。その点はどうお考えになっておりますか。
#40
○長谷川国務大臣 ごもっともなお話なんです。私も農林省へ参りまして以来、総合農政をやるというが、総合農政をやるのには何か基本がなければいかぬじゃないか。たとえば、いま美濃さんがおっしゃったように、どうやれば、どのくらいなら、どういう生活ができるか、どういうふうに食っていけるか、今後いかに省力していくか、省力の程度もどのくらい省力化することができるのか、そうすればどのようなもので、どのような作物になればどういうような生活基準というものができ上がっていくか、こういうようなものを、まず基礎として当然考えなければいかぬ。ですから、至急にそれらをやってもらいたいということでやりまして、いままだはっきりしたものは出ておりませんけれども、いろいろ総合的な、そういう面がまだ発表する段階ではございませんけれども、鋭意課長クラスがみんな集まってずっとやっておるわけでございます。
 しかし、いまおことばの中にあった自立経営の標準化、これを農地法の中に入れろというお話ですが、農地法の中では、ちょっとどうかと私も思うのです。皆さんのほうが農地法の中のほうがいいということになりますと、これはたいへん広くわたりまして、たとえば、米なら米をつくるのはどのくらい、あるいは、いろいろ多様化しておるものですから、こういう面をどうやるということは、農地法の中自体ではちょっと御無理ではないでしょうか。
 いずれにいたしましても、いま美濃さんおっしゃるような標準といおうか、標準化といおうか、自立経営できる、こういうような面と、また、これほどいろいろ兼業農家が定着しておる今日でございますから、兼業農家はどのくらいあったら、どうやればその経営がよりよく、そしてその目的を達することができるか、こういう二点にわたって大いにやらなければならぬだろう、つくらなければならぬだろう、こう考えておりますが、この中に入れるということは、非常にむずかしく困難性を伴うであろう、こういうふうに考えます。
#41
○美濃委員 それでは別の面で、そういう政策をきちっと出すというふうに解釈してよろしゅうございますか、私も考えるのですが、これは局長も言っておるように、権利調整の法律ですから、必ずしもこの法律に入れなくても、それが別な角度で明らかになれば私はいいと思うのです、農地法だけがすべての法律ではないですから。そういうふうに解釈してよろしいかどうか。
#42
○長谷川国務大臣 ぜひそれは出さなければなりませんし、そうして皆さん方にさらに御審議を願って、そして法律にすべきか、これを一つの基準として、このようなことでいくべきだということを政令で出すべきかは、そのときによってでありましょうけれども、いずれにしてもその原案といいましょうか、その標準化はどのくらいの程度までにすべきか、そしてどういうような姿勢をとるべきかというような面にわたっても研究しておるわけでありますから、そのときになって、皆さん方の御意見によった方向に向かってそれらの処理をしていきたい、このように考えております。
#43
○美濃委員 それは、ぜひそういうことで進めてもらいたいと思います。
 そこで、次に大臣に、これは大きな政策としてお伺いしたいですが、手元に参りました「農地法改正に関する参考統計資料」にも出ておりますが、すでに四十二年でわが国の一次産業は、就業人口にして千百三十九万人、そのうち農業は、四十三年において一千万を割ったわけでありますが、四十二年では一千六十万人となっております。
 そこで、総合農政のプリントを見ますと、あまり所得の低い農業よりも、もうかる勤労者のほうがいいのではないかという表現も出ておるわけですが、これは現実に日本の全体社会を見て、そのことが絶対間違いない正しいことであれば、これは人間の生活ですからそれでいいですが、片やわが国の三次産業には四三%、すでに四十二年で二千百六十五万。それで、農業の就業人口を五百万にするとかなんとかいい出すと、これは三次産業がふえていくのではないか。こういう社会形態で、一升ますは一升ますですから、国土と資源には限りがあるわけですから、工業にも限界があるわけですから、そういうことでいいのかどうか。これは大きな政策としてどうお考えになるか。三次産業しかないわけです。二次産業にも限度があるわけです。
 そうすると、農業政策というものは非常に大切だと思うのです。いわゆる一億の国民の就業構造を位置づけする非常に大切な問題だと思うのです。軽々と何ぼでも少なくなればいいのだというものではないと思うのです。その点、限られた資源と限られた領土の中で、一億の国民の生活を基準的にどう位置づけすることが、日本の社会経済の安定であるか。これはどうお考えになっておりますか。
#44
○長谷川国務大臣 三次産業だけが大きくなることを、どうこう申し上げておるわけではございませんので、要するに、非常に兼業農家が多いことも御承知のとおりでございます。ですから、兼業農家が協業化していくということになれば、おのずからその中の省力ができてまいります。ですからその分がはけ口に行っても、協業ですから、その協業化の運営というものは、ある程度それにこたえることができるのではないだろうか。でありますから、そういうような点について、利益があってもうかるからそっちへ行けという意味ではなくて、もしそうであるなら、協業化したものならば省力化ができるから、協業化しておいて、そのうちの幾人かは他の産業に従事するということもできるのではないだろうか、こういうようなことを申し上げておるのでございます。
 農業がもういかに重要であるか、農業がなくて国民の生活なんというものはあり得るものでもございませんし、国の政治なんというものもあるはずがございません。特に、わが国のような周囲海に囲まれた日本が、農業は輸入物資で全部まかなってそれでいいじゃないかというような考え方が、毛頭でもどこかにあるとするならば、これこそたいへんなことだと私は考えます。でありまするから、農業の重要性というのは、私が申し上げるまでもないのでございますけれども、そういうような協業化の上に立った省力、その省力化した部面を他産業に振り向けていくというようにして収益をあげていくというふうな方法が、これも一つの道ではないだろうか、こういうようなことを申し上げておるわけでございます。
#45
○美濃委員 もうちょっとそこを大臣からお伺いしたいのですが、私の言っておるのは、現在でも、私の見方では、社会の職業構造として三次産業は過大ではないか。農業だけをやかましくいうけれども、その点どうでしょうか。
 たとえば、牛乳一つ見てもどうなんでしょう。牛乳の価格を一例として申し上げてみると、農民の売る、いわゆることしきめた加工原料乳の保証価格でも、西欧諸国、デンマークあたりと比較すると、デンマークは農業国でかなり安いようですが、その他の国々と比較すれば、いま日本の農産物が、世界のトップレベルで高い高いとマスコミに非難されるほどそう高くないですね。ただし、消費価格となったら問題にならぬわけです。私は、これは日本の流通と第三次産業に原因があると思うのです。農民だけを何ぼいじめて経営拡大しても、さらに一次産業の就業人口が減って三次産業が三千万にもなって、そして六〇%も三次産業だなんということになれば、社会構造というものはどうなるんですか。
 たとえば、ミカンに一例をとっても、消費価格は、東京でミカン一つどこか食堂で買ったら六十円、七十円。消費者が食べる価格は、生産者が販売した価格の四倍ぐらいです。それを十ぱ一からげにして農産物は高い、こう言うんですよ、価格保証には限度があるとか言い出すんですね。ほんとうに高いのかといって調べてみると、それは一番大きい、特別の条件に恵まれた外国の農産物は別にいたしまして、普通国際水準のレベルからして、生産者価格はそう高くないのですけれども、いまの日本の流通、特に食品流通というものは、われわれには了解できない現状にあると思うのです。そのしわ寄せを全部農業に持ってくるわけです。
 農林大臣は通産大臣と話し合って、流通面をもっと積極的に切り詰めて、消費者価格を安くする努力をしたらどうです、農民だけにこんなやかましいことを言わぬで。最近になると、何か農産物の自由化あたりになると、農民がじゃまになるようなことを言うんですね、経団連あたりで。今度の米価大会でも、農民の中からやかましく出ておりました、大臣は出席されてなかったけれども。何か農協が、窃盗犯か何かの次に悪いことをやっているような、こういう風潮をマスコミがかもし出す。それを政治家が黙って見ているという農政はあり得ないと思う。どうなんですか、その面をあれしないと、ただ農業の構造改善、自立経営といって農業だけを刺激しても、こう中間経費が膨大であったら、これはどこまでいっても際限がないと思うのです。そして三次産業部門がふえていくということは、私は社会問題として大きな問題だと思うのです。その点の大きな政策はどうお考えになっておるか。
#46
○長谷川国務大臣 これはほんとうに重要なことで、私も常にこの問題に対しては意を用いているところでございますし、いまお話にございましたような会議に出ましても、私が言うことを聞かないから日本の貿易ができないとか、私がうんと言わないから、妨害するのはいつでも農林大臣だとか、しょっちゅうそのようなことばを浴びせかけられているのは御承知のとおりでございます。何と言われようとも、私の立場は、日本の農林漁業というものをいかに育成し、そしてその生活の向上と、また再生産の妨げにならないような施策を加えることが私の立場でございます。
 こういう上に立って、いろいろ輸入の面についてはお話を申し上げておるのでございますが、ただ一つ、いまも牛乳のお話が出ましたとおり、何としても牛乳をガラスのびんに入れて寝床まで運ばれなければ飲むものではないというような長い間の習慣、こういう点をサービス過剰と私は申しますけれども、こういう点をカットすることになれば、たとえば、今日どこの家庭へ参りましても、冷蔵庫のない家庭は、全国を通じて全くないというほどの普及ぶりでございます。そうしますと、この間もこれを調べてもらっておるのでございますけれども、真夏になって三十度前後という時期になって、牛乳を冷蔵庫へ入れて幾日もつだろうか。私など古いからよくわかりませんけれども、たとえば五合ビンでなくて、ポリエチレンか何かの回収しないものに入れて、それを販売店まで奥さん方に取りに来ていただくということになったら幾らでできるか、ぜひ牛乳などはそのような方向に持っていって、そうして消費の拡大をはかっていきたい、こういうような考え方で、これも先日来、いろいろ畜産局長に命じて、あちこち調査をして歩いておるところでございます。
 果実のお話もございましたが、何といっても流通段階において、格というか、少し段階があり過ぎはしないだろうかという点。といって、小売り屋の実態を見ますと、小売り屋さんにもなかなか言い分があるようでございます。
 いずれにいたしましても、流通という面につきましては、ひとつメスをというか、一大改革的なものを行なうときにきている、これだけははっきりと申し上げられると思います。したがって、たとえば今回の総合というようなことばを使う場合におきましても、必ず流通面の改革ということを申し入れてあるわけでありまして、口先ばかりではなくて、流通面には本腰を入れて、何とかこれらの解決に当たってまいりたい、このように考えております。
#47
○美濃委員 大臣の御答弁はそれで了解できるわけですが、しかし、政策面でそれを推進すると、三次産業がこれ以上ふえる状態にならないでしょう。そことの調整はどう考えておるか。先ほど申し上げたように、日本の現況と置かれている立場の中で、農業の生産人口を圧縮すれば、どこかへそれはふくらんでいくわけです。それを大臣はどうお考えになるか。二次産業にも限界があり、二次産業にどんどん吸収されている状況ではありません。結局、三次産業はそういうことをやるということになると、農業の標準経営の位置づけと他産業との関連、これは大きな国の人口就業構造政策ということになってきて、それでどこかでぶつかるわけです。大きな問題ですから、それをいますぐはっきりどうこうということは言えないと思いますけれども、その調整まで見きわめて、ひとつ農業の自立経営目標というものをきちっと立ててもらいたい。これは大臣も、いま立てる方針だと言われましたから、これを強く私の立場から要請したいわけです。
#48
○長谷川国務大臣 流通機構を改革したら、第三次産業でクロスするというようには考えられないと思うのでございます。ですから、流通機構を改革するということは、基本的には、現在農産物がこれだけつくられておるものが、その価格と最末端の価格とがあまりにも格差があり過ぎはしないか、こういうような点から流通機構というものは改革すべきである、こういうふうに私たちは考えております。
 そこで、第三次産業でクロスするだろうとは考えられないのでございますけれども、いずれにしても、それらの点も十分配慮に入れて、早急にこれらの問題を――われわれよく皆さんからいろいろな御質問を受けておるいわゆる総合農政、これは何といっても、いま皆さんがおっしゃったようなものが基本となって考えられていかなければならない大きな問題だと思うのでございまして、十分これらには意を用いて、今後行政の面を行なうとともに、また、御審議を願う面がたくさんあるだろうと考えております。
#49
○美濃委員 次に、共同経営について若干お伺いしたいと思いますが、これは生産法人の進め方、共同経営を具体的にどういう方法で進めようとしておるか。
 まずその地帯を分けると、専業地帯の生産法人、通勤地帯の共同経営のあり方、出かせぎ地帯の共同経営のあり方、こう三分類できると思うのですが、これらの地帯要件の上に立って、これだけ法律上からも政策上からも、もう口を開けば共同経営を言っておるのですが、これは具体的にほんとうに本腰を入れて政策的に進めるのか。アイデアだけなのか、具体的な政策はどう考えておるのか。
#50
○中野政府委員 農地局長の立場からだけでは、あるいは不十分だと思いますけれども、いま御指摘のように、通勤地帯、あるいは出かせぎ地帯、専業地帯、いろいろ経営形態は変えていかなければならないということは、先生御指摘のとおりだと思います。
 それと協業とをどう結びつけていくかといった場合に、たとえば通勤地帯におきましては、土地の少ない零細な農家は、非常に安定的な兼業に向かえば向かうほど、農業から足を洗ってくるというようなことになるかと思います。したがいまして、法人をつくりました場合には、その中核になる農家が中心になりまして、そこへその土地は貸していく、あるいは出資をしていくというような形での生産法人が進んでくるのではないかというふうに考えます。
 それから、出かせぎ地帯になりますと、これはたいていの場合、冬出まして夏は帰ってくるわけでございますから、おそらく大きな機械がその法人に入ってまいりますと、全部その出かせぎ者が運転をするというようなことでなくて、むしろ補助的な労働に参加するというような形での生産法人になってくるかと思うのです。
 純粋の専業地帯になりますと、この場合には、協業がいいのかあるいは自立経営農家がいいのか、その辺はいろいろな問題が出てまいりまして、私の感触といたしまして、その地帯については、ほんとうのいわば協業経営といいましょうか、そういうものに将来発展する場合もありましょうし、なかなかそうはいかない、単なる作業の共同というような場合もありましょうし、そういう形になるのではないかというふうに、非常に大ざっぱでございますが、考えるわけでございます。
#51
○美濃委員 最後に、委員長にお願いをしておきたいと思います。
 私の質問中、第一は、制限小作料について、ひとつ法的基準を持つように検討する、こう大臣が言われております。それから第二は、小作料の分離課税について、これは局長答弁で検討する。それから第三点は、ただいま大臣から、この標準面積を明らかにしたい、これはこの法律の中に入れられぬけれども、できるだけ早く別な制度なり法律なりで明らかにしたい。この三つの問題をひとつ今後、大臣も約束された事項でありますから、理事会等で政府当局と煮詰めていただきたい。この法案の採決前にこれをお願いして、私の質問を終わりたいと思うのですが、委員長、いかがでしょう。
#52
○丹羽委員長 善処いたします。
#53
○美濃委員 以上で終わります。
#54
○丹羽委員長 午後二時に再会することとし、これにて休憩いたします。
   午後零時五十六分休憩
     ――――◇―――――
   午後二時三十一分開議
#55
○丹羽委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 午前の会議に引き続き質疑を続行いたします。神田大作君。
#56
○神田(大)委員 農地法の一部改正案につきまして、若干御質問申し上げますが、農林大臣がまだ見えておらないようでございますから、基本的な問題についてはあと回しにいたしまして、この法案の内容等につきましてお尋ね申し上げたいと思います。
 まず第一に、この改正案によって、政府は農地の移動を達成しようとしておるようでありますが、はたしてこのような一部改正でもって農地の移動、いわゆる耕作の拡大というようなことが達成できるかどうかにつきまして、政務次官にまずお尋ね申し上げます。
#57
○小沢(辰)政府委員 午前中の御質問でも、農地の移動を困難にしているものは、土地の価格の問題が非常に大きいのじゃないかというようなお話があったのでございまして、したがいまして、この法律改正をやっても、そう簡単には流動化が進まないだろうというような御意見もございました。私どもは、農地の移動につきましては、売買による移動のみならず、やはり借地による規模拡大というものも考えつつ、自営農家の規模の拡大をより一そうはかってまいりたいと考えておるので、今回の改正も御理解をいただきたいわけでございます。
 なるほど、おっしゃるようになかなか一挙にはまいらぬと思います。しかしながら、本改正によりましてその促進がはかられることは、私どもは必ず促進をしてまいることができるのではないか、かように考えておりますので、今後とも一そう努力をしてまいる所存でございます。
#58
○神田(大)委員 この法案の重要な改正点といたしまして、下限面積の制限を、いままで三十アールまでの者でなければ農地を取得することができない、そういうようになっているものを、今度は、取得後五十アールになればだれでも農地を取得できるというような改正でございますが、このようなことは、農地を実際に耕作しておらないような者が五十アールの農地を買って、見せかけの農業経営をやって、その後農地の転換等をするというようなことになりまして、いわゆる地主制が復活するというようなおそれも出てくるが、この点についてどうお考えになりますか。
  〔委員長退席、安倍委員長代理着席〕
#59
○中野政府委員 現行の農地法では、ただいま御指摘のように、現在土地を持っていなければ、農地が取得できないようなことになっておりまして、それの基準が三十アールということになっているわけでございますが、これは農地法を制定いたしましたときにも、いろいろ国会でも御議論がございまして、政令で現在でも、農地を持っていない人が三十アール以上取得すれば、その人が農業に精進する限りは認めるということにしてございます。今回、現在の法律と政令とあわせまして考えたわけでございまして、その際に三十アールを五十アールに引き上げたわけでございます。
 われわれといたしましては、単に資産保有のために取得をするということは、これは農地法上今後とも認めないつもりでございますので、その許可にあたりましては、その人が農業をやっていくかどうかという点を十分判断いたしたいというふうに考えておりますので、いま御指摘のように、五十アールを耕作しないで取得するということはないというふうに思います。
#60
○神田(大)委員 それは、いままで政令で定めたものを、今度法律の中に入れるということに対しましてもやはり問題があると私は思うのですね。政令というようなものの場合は、一つのやはり条件があったわけです。しかし、法律でもって今度、取得して五十アールになればこれを認めるということになりますと、先ほど私が言ったように、見せかけの耕作者が出てきて、やがて一、二年たってからそれが宅地になったり、あるいは工場場敷地になったりするような、そういうおそれが私はあると思いますが、その点について、全然耕作してない者が、農業をやるのだといって見せかけに出てきた場合に、それをチェックする方法はないだろうと思いますが、そういうことに対しましてどう考えます。
#61
○中野政府委員 ただいま申し上げましたように、土地の移動につきましては、村内の移動は農業委員会、それから村を越えますと知事の許可ということにいたしておりますので、許可制度の運用によりまして、いま御指摘のように、耕作する気がない人に対しまして許可をするということはやらないつもりでございます。
 したがいまして、いま見せかけと言われましたけれども、やはりその農家が土地を取得する以上は、農機具をどれくらい持っているかとか、あるいは遠くから通うということになりますと、それはとてもできないというような判断もございましょうし、十分審査をいたしますので、そういう耕作をしないで取得をするということはさせないというつもりで、運用を厳重にいたしたいと思います。
#62
○神田(大)委員 第二の問題として、不在地主の復活を心配しているものに、いわゆる小作地の所有制限を緩和しておるようでありまして、いままでの一ヘクタールを拡大いたしましてその所有ができるようになっております。こういうことも、一つの不在地主の復活につながってくると思いますが、その点はどうお考えになります。
#63
○中野政府委員 今回の改正におきまして、御指摘のように個人につきましては、現在は在村地主一ヘクタールまでの所有を認めておるわけでございますが、不在地主は認めないというのに対しまして、親子二代にわたりましては、不在になっても一ヘクタールまでの所有は認めるということにしております。それからもう一つは、農業生産法人あるいは農協の経営委託、そういうところに土地を貸す場合には、一ヘクタールという制限はなく、不在になりましても所有を認めるということにいたしておりますので、形式的には、御指摘のように不在地主、それも小さな地主が出てまいります。
 しかし、反面、現在のような農業事情、けさほどからも御議論がありましたようないろんな事情がございまして、どんどん兼業化が進んでおるという事態を見ますと、いまのままにしておきますと、その土地は結局荒らしづくりにしておくか、あるいはやみ小作に出すというようなことになりますので、あるいは過渡的というふうにお考えいただいてもよろしいわけでございますが、せっかく限られた農地でございますので、それを効率的に使うためには、若干不在地主ということで認めるということにいたしましても、これによりまして、戦前のような旧地主制に戻るということは、もはやわれわれとしてはないという判断をいたしました上で、こういう緩和措置を講ずることにしたわけでございます。
#64
○神田(大)委員 この不在地主一ヘクタール程度のものを認めるということになりますと、いままで在村している地主が小作に入れた人の場合と、差額ができると思いますが、この点はどう考えますか。
#65
○中野政府委員 ちょっと恐縮でございますが、在村地主と不在地主との差額と言われたのは、ちょっとよくわかりかねるのでございますので、もうちょっと御説明いただければと思います。
#66
○神田(大)委員 小作を入れて土地を離れても、小作地としてこれを認められておりますが、その人たちが二代小作地としてずっと持っていた場合――その点、ちょっと私のほうで考え違いをしましたから、あとで質問します。
 次に、農地等の賃貸借の解約等の制限緩和でありますが、合意の解約等については、いろいろと問題があると思いますが、この場合に、いままでは解約は農業委員会の承認というようなことでやっておりましたが、今度は、合意の解約ということになりますと、力の強い人に、いろいろと力関係でもって非常に不利な立場に立たされる場合があると思いますが、小作人の場合、このことについてはどうお考えになりますか。
#67
○中野政府委員 今回の改正案におきまして、合意解約の場合は知事の許可が要らないということにしたわけでございます。
 その理由としますところは、戦後農地改革をやりましてから、二十数年たちまして、もはや小作人の地位も、戦前のようなああいうみじめなことではなくなった。そこで、農地の流動化を促進するためには、お互いの貸し借りの約束をまず農業委員会の許可でやりまして、それからあと貸し借りがずっと続くわけでありますが、そこでの話し合いがつけば、そこはもう知事の許可なしに解約しても、小作人が一方的に不利になるというようには判断されないではないかというふうに考えまして、こういうことにしたわけでございます。
#68
○神田(大)委員 この合意の解約の場合、非常に不当である、こういう解約は不当であるというようなことがあった場合に、農業委員会にこれを申し出ると、農業委員会において、これを調停するとかなんかというようなことがあるようでありますが、はたして農業委員会にそのような調停をする権限があるのかどうか、また、そういうものが法的に裏づけられておるのかどうか、お尋ねします。
#69
○中野政府委員 今回の改正案におきまして、農業委員会に和解の仲介ができるということにしております。これは従来から農業委員会が、事実上そういう農地問題をめぐります紛争については、あっせんなり調停をやったわけでございますが、それを法律として制定をいたしまして、当事者、これは両方からあるいは一方から申し出があった場合には、農業委員会として和解の仲介をやる義務があるということにいたしまして、今回一節を設けまして、そういういま先生の御指摘のような場合の仲介に入り得るということに制度上いたしたわけでございます。
#70
○神田(大)委員 その場合に、法的根拠はどうなんですか。
#71
○中野政府委員 改正農地法案の中の四十三条の二から四十三条の六まで規定を設けまして、第六節で和解の仲介という一節を設けてございます。これを根拠にして和解の仲介を進めていきたいというふうに考えております。
#72
○神田(大)委員 この場合、和解の仲介が成立しなかった場合はどういうことになりますか。
#73
○中野政府委員 もめごとの内容にもよりましょうけれども、和解の仲介のほかに、現在でも民事調停法によります農事調停を裁判所が行なうことになっております。その調停でも話がつかない場合には、最終的には裁判できめるということになるわけでございます。
#74
○神田(大)委員 次に、小作料の規制を緩和する重大な改正があるようでありますが、いままでの小作料の規制は、それなりの大きな理由があったわけです。農地法を守り、耕作農民が安心して耕作できるように、この規制があったわけでありますが、これをはずすということになりますと、これはいろいろな意味において問題が出てくると思います。小作料の規制緩和をいたしまして、相対でもって小作料を話し合うということになりますが、これもやはり力関係によりまして、力のある者が力のない者を圧迫するというようなおそれが出てくると思いますが、これに対して、どうお考えになりますか。
#75
○中野政府委員 農地法によりまして小作料を統制してまいりましたことにつきましては、神田先生御指摘のように、われわれも意義があったと思っております。十分その意義を果たしてきたというふうに考えております。
 ただ、最近に至りまして、その小作料をめぐる問題にいたしましても、戦前からありまして、農地改革によって残りました在村地主一ヘクタールについての小作料の統制は比較的守られておりますが、最近、やみ小作というと申しわけないわけでありますが、あるいは請負耕作と呼ばれ、いろいろな名前で呼ばれております、そういう農地法上からは農地法違反の小作関係につきましては、事実上、もう小作料統制ができない段階にまでなってきております。
 それはなぜかといいますと、戦前のように地主と小作人との対立という関係よりも、むしろ農地改革後に自作農化しましたあと、その後の事情で兼業化していく、あるいは離農していくといった場合の土地の貸し借りでございますから、いわば農家同士の費し借りということになってきました。しかも、技術の向上その他から見まして生産力も非常に上がってきておりまして、全国一律に現在やっております統制小作料では、もはや守り切れないという問題もございますし、それから、そういう統制小作料がなくても、一方的に借りるほうが不利だということでももはやないんではないか。しかも、最近の傾向といたしましては、どちらかといいますと兼業的な農家が農村に残って、農業をやっていこうという農家に対して貸すというような事実がだんだんふえてきておりますので、そういう事態の中からでは、むしろ農家同士の話し合いで小作料をきめたほうが妥当ではないかというふうに考えたわけでございます。
#76
○神田(大)委員 それが、お互いにそういう小作料がきまらなかった場合は、どのようにいたしますか。
#77
○中野政府委員 新しい契約でございますから、貸し借りの話し合いをしまして、小作料がきまらなければその契約は成立いたしません。したがいまして、そこで終わりになるわけでございます。
 ただ、貸し借りという問題がいろいろ起きるということになってまいりますと、今回、農業振興地域法にもそういう規定を設けたわけでございますが、農業委員会が土地の集団化なりあるいは規模拡大なりの方向に向かいまして、そういう権利関係のあっせんをやるということにいたしておりますので、その辺の規定ができますれば、それによりまして、われわれとしましてはできるだけそういう間に入ってあっせんをさせたいというふうに考えます。
#78
○神田(大)委員 その場合、この農業委員会で、これらの小作料に対する標準額をきめるというようなことでありますが、一体この標準額というようなものは、どういう方法でこれをおきめになりますか。
#79
○中野政府委員 農業委員会の管轄をしております区域内の農地につきまして、自然条件なりあるいは利用上のいろいろな条件がございましょうから、そこで必要な区分をいたします。普通は田畑、それから樹園地というようなことになるかと思いますが、そういう区分をいたしまして、区分ごとに上田あるいは中田、下田、あるいは上畑、中畑、下畑というようなさまざまな標準を置きまして、そのそれぞれごとに、大体この辺の水準でいいんではないかというきめ方をさせたいというふうに思っております。
 そのきめる方法といたしましては、この法律にも出ておりますが、考え方といたしましては、それぞれのいまの中田なら中田で、普通の経営が行なわれた場合にどれだけとれるか、それの値段は幾らかというようなこと、それから、それをつくるにはどれくらいの経費がかかるか、労賃はどう見るかということを計算いたしまして、そしてなお、経営者でございますから、われわれの考え方といたしましては、経営者としての報酬を幾らに見るかという計算をいたしました残りを地代というふうに考えまして算定をさせたいというふうに考えておるわけでございます。
 ただ、これは地域によりましてかなり生産力の差が出ておりますので、従来のように全国一律に、六等級のところなら四千五百円程度というふうには今度はならなくて、村のそれぞれの実情に応じてきめていくということになるわけでございます。
#80
○神田(大)委員 そのような農業委員会の標準額というふうなものは、どのような権威を持っておるのですか。
#81
○中野政府委員 法律上は、この標準額を出しました場合に、その管内の契約は標準額によってもらいたいわけでございますが、それを守らない契約者、当事者が出てまいりますと、ある二、三の契約だけが非常に高い小作料でやっていて、ほかのものに影響を及ぼして非常に困るというような事態では、農業委員会が勧告をするということにしております。それ以上の強制は、今度の改正案では加えないということにしております。
 と申し上げますのは、この標準額というものをそもそもきめる場合、村の中で農業委員会を中心にいろいろな意見を聞いて、村として守ろうではないかというふうにしてきめたものでございますから、大体社会的強制といいましょうか、協定といいましょうか、そういうものの考え方でやっておりますので、その村の秩序として守ってもらいたい。それで、守らない人には勧告をするということでやっていきたいと考えております。したがいまして、もし権威という意味が法律上の強制ということでありますれば、それは強制はございません。
#82
○神田(大)委員 そうなりますと、この小作料というものが、世間一般に考えるよりも高騰をしてくる、非常な高い小作料というものが出てくるおそれがあると思います。そうなりますと、それでなくとも土地の価格が上昇をいたしまして農地移動を困難にしておる現在、そういう面からも、この小作料を野放しにするということは、大きな問題を招来すると思いますが、その点についてどのようにお考えになっておりますか。
#83
○中野政府委員 行政当局がこういうことを申し上げると非常に恐縮なわけでございますが、先ほどもちょっと触れましたように、農地改革前からの残存小作地についての統制というのは、過半数は守られております。しかし、最近の請負耕作その他の名前でいわれております小作ということになりますと、これは、先生御指摘のように非常に高い値段になっておりまして、むしろ標準をつくりましてそれに下げさせるという努力をいたしませんと、高過ぎる場合があり得ると私も思います。
 その場合に、現在の農地法によりまして全部統制が守られておりますれば、御指摘のようなことになるわけでございますけれども、新しい契約ということになってまいりますと、やはり相対で話し合いをさせた額によりましての契約にいたしませんと、どうも全国一律に反当四千五百円の小作料だということで、かつ、許可を受けて貸し借りをやれということを申しましても、これはなかなか実際上むずかしいのではないかというふうに思いますので、先ほど申し上げましたように、村の中の秩序といたしまして標準をつくって、できるだけそれを守らせるようにして、貸し手借り手のバランスをとりながら農地法上の秩序をつくっていきたいというふうに考えているわけでございます。
#84
○神田(大)委員 それから、もう一つ問題になりますのは、従来の小作料は、そのまま現在の農地法にのっとって小作料の制限をしているが、片方の新しい契約に対しましては野放しにするという、この矛盾をどうお考えになりますか。
#85
○中野政府委員 確かにいまお話のように、賃貸借によります小作料のものの考え方が違うというのは、御指摘のように、一面から見ますれば非常におかしいというふうに思えるわけでございます。
 ただ、先ほどからも申し上げておりますように、現在あります小作地の大部分は、農地改革のときに残りました残存小作地でございます。これについては従来からの経緯がありまして、農村の実態といたしましても、どうも別扱いであるという認識が非常に強うございます。これは実態調査をいたしましてもそうなっておりますし、現に農業会議所等の調査によりましても、農地改革前からあります小作地の小作料と、それからその後できました、最近できました小作料とは、大体額も倍近くも違っているというような実態でございますので、先生御指摘のように、制度的におかしいではないかという御指摘がある反面、やはりわれわれといたしましては、そういう過去の経緯を尊重して区別をして、しかもそうしてまいりませんと、現在まであります小作地につきましては、先ほどから申し上げたような経緯があるものですから、非常に小さな農家が借りてやっているものが多いわけでございます。それにつきまして一挙に統制小作料をはずすということは、現在の小作人に非常なショックを与えるといいましょうか、農業経営上非常な影響を与えるものですから、十年間は引き続き統制をしたほうがいいのではないかという政策的な判断をしたわけでございます。
#86
○神田(大)委員 そうすると、現在の法定小作料が、今度の農地法の改正によって小作料の野放しというようなことになりますから、これに刺激されてやみ小作が公認されるというような傾向になってきて、農地解放のときから小作地としてつくっておる農民を圧迫するようなことはないですか。
#87
○中野政府委員 新しい小作契約につきまして、先生野放しというふうなお話がございますが、われわれとしましては、制度としましては先ほど御説明しましたような形でのいわば小作の考え方をとっておるわけでございますが、それによりまして既存の小作地に影響があるかどうか、全然ないとはあるいは申し上げられないかもしれませんが、しかし、先ほども御説明いたしましたように、過去の小作地につきましては非常に小作人の権利意識も強うございまして、新しい契約につきまして、小作料が従来の統制額よりも非常に高くきまったからといって、過去の小作地についての小作料がすぐにそれに引きずられて、みんな上がってしまうというふうには考えておりませんし、その程度の小作人の力というものもついてきておるというふうにわれわれ考えておるわけであります。
#88
○神田(大)委員 しかし、同じ一ヘクタールの小作料でも、前にきめたのと今度新しく契約するのと非常な差額、少しばかりの差額でなく、相当の大差ができてくると思うのです。それに対する地主側からいいますれば不満があるし、また、今度の新しい小作料と比較いたしました場合に、それらにつられてそういういままでの規制しておる法定小作料というものは足並みを乱すというおそれがあると思うので、この際、私はかえって適正な小作料の規定をしていくべきじゃないか、野放しにしないで、適正小作料というものを政府は考えてこれをやはり規制すべきじゃないか。農業委員会というようなものにまかせるというのじゃなしに、もっと権威のあるものでこれを規制する方法がよいのではないかと思いますが、それはどう考えます。
#89
○中野政府委員 今度の改正案のように、農業委員会に標準小作料をつくらせないで、適正小作料を政府がきめろというお話でございますと、現在、現行の農地法では政府が全国一律に小作料をきめているわけでございます。それを引き上げろというようなお話に、あるいは解釈しますとなるかと思います。
 われわれは、今度のようなものの考え方にいたしましたのは、どうも政府が統制しますと、やはりそれは全国一律にならざるを得ないということになるわけでございます。しかも、政府が統制をする以上は、小作料は低くなければ――低くなければというのはあるいは言い過ぎかもしれませんけれども、少なくともどういう農家でもそれが払える額でなければいかぬという水準にきめざるを得ないと思うのです。農家の能力によりまして、高いものあるいは低いものというようなきめ方もできませんので、やはり政府が一律にきめるということになりますと、多少現在の小作料が上げられるにいたしましてもやはり一律になる。そうしますと、地主側からは統制小作料によって許可を受けて貸そうというふうにはなってまいりません。おそらくやみのほうがいい、よけいもらおう、こういうことになるわけでございます。
 そうしますと、それを借りるほうはやみで借りておるわけでございますから、全然耕作権がないわけでございます。そうしますと、地主は貸しておいてもいつでも返せということが言い得るという事態になりまして、やはりこの際は、まず農地に関係します賃貸借をひとつ農地法上の軌道に乗せて、それには相対の話し合いに立って標準をつくっていくという考え方もいたしませんと、どうも一律に統制をするというやり方は、もはやむずかしいのではないかというふうにわれわれは考えております。
#90
○神田(大)委員 私は、この小作料の野放しについてはいろいろ問題があると思いますが、一応先へ進みます。
 農業委員会は、この小作料の標準額をきめたり、あるいは和解の仲介をやったり、いろいろと今度は農業委員会に大事な仕事が振りかかってくるわけでありますが、いまのこの農業委員会の機構でもって、これらの重大な問題を処理することができるかどうか。この農業委員会の構成、機構等について、当局はどのような考えを持っておるか、お尋ねいたします。
#91
○中野政府委員 農業委員会は、農地行政の末端の仕事、それ以外の仕事もいろいろやっておるわけでございますが、事務分量的に申しますと、八割程度は農地の仕事をやっておるわけでございます。今度の改正案では、農業委員会の権限といたしまして、村内の農地移動につきましては、従来は賃貸借だけしか農業委員会の許可制になっておりませんで、あとは全部知事の許可で、単なる意見具申ということになっておりました。今度は村内の移動統制につきましては、全部農業委員会が責任を持つということになりますので、農業委員会は、従来よりもみずから非常に自覚していただかなければならぬ点が多いのだろうと思います。
 そういうふうに考えてまいりますと、現在、農業委員制度は選挙制でやっておるわけでございますので、機構といたしましては、現在の選挙制度のままでよろしいのではないか。一部には、農業委員会を廃止して、市町村長の単独の権限にしたらどうかという御意見もありますけれども、われわれといたしましては、こういう農地問題のようなむずかしい問題を中心にやります農業委員会といたしましては、やはり民主的な選挙で選ばれる機構が、最もふさわしいのではないかというふうに考えておるわけでございます。
#92
○神田(大)委員 現在のような農業委員を選挙で選ぶ、学識経験者等も選出するようでありますが、その場合、私はまだ統計を見ませんからわかりませんが、行政庁の長が農業委員会の会長になっているところが非常に多いようであります。そういうことがいい悪いは、よい点もあるが、悪い点もあろうと思いますが、私は独自な立場で、農業委員会がこのような大きな権限を持つ以上は、少なくとも選挙によって選ばれた農業委員によって構成されるという筋を通してやるべきではなかろうかと思いますが、その点をどうお考えになりますか。
#93
○中澤説明員 お答え申し上げます。
 御質問は、農業委員会に市町村長が兼務するのはどうかというふうに理解申し上げましてお答え申し上げますが、現在、農業委員会の委員数が約七万人でございまして、そのうち、市町村長といたしまして農業委員をしている方が約九百三十名ほどございます。残念ながらその農業委員会の会長といたしまして、市町村長がどれだけ兼務しておるかどうかの資料がございませんので、あるいはいま申し上げました九百三十人という市町村長である委員の方が全部会長を兼ねているといたしましても、七万人中の九百名余りである、こういう数字でございます。
 ただ、行政委員会としての農業委員会と漁業調整委員会とが、各種の行政委員会と区別されまして、そういう市町村長という公職にある人の兼務を認められているわけでございまして、これはやはり農村の実情に即した制度であろうということであって、農業委員会の委員を市町村長が兼務をし、またその会長を兼務する場合があっても、かえって農村の実態からいいまして、農業委員会の行政に非常にプラスになる面があるという趣旨であろうというふうに考えられるわけでございます。
 もちろん、御指摘のように、その市町村長が都道府県市町村という行政機構とは別個の性格を持っています行政委員会の会長を兼務するということにつきまして、問題があろう場合もあるかもしれませんが、逆に考えますと、プラスの面もかなり考えられるということが、農村の実態ではなかろうかということであります。
 ただ、兼務をするということによりまして、非常に、何といいますか、問題があるというようなことも考えられますので、そういうことに関しましては、研修とか講習とか指導を通じまして、そういう批判を受けることのないようにしていきたい、こういうふうに考えるわけでございます。
#94
○神田(大)委員 一番大事なことは、学識経験者というような形で、農業協同組合長とか、あるいは共済組合長とか、町長とか、そういう人たちを選んでおくことがはたして農業委員会の大きな権限を行使する上においてプラスであるかマイナスであるか。私は筋からいえば、全部選挙でもって委員というものは選ぶべきものであろうということを申したのですが、その点はどうお考えになります。
#95
○中澤説明員 お答え漏れがあったようで恐縮でございますが、確かに純粋なる行政委員会というふうに考えますと、まさに選挙をされた者だけというお考え方もあるかと思いますが、しかし、現在の農業委員会の構成は、農業委員会法が施行されましてかなりの年月がたっておりまして、また、そういうふうにしてスタートしましたところの農業委員会をめぐる農業情勢が、かなり変化はしているとはいいましても、ここかなりの年月にわたりましてやってきました農業委員会制度の構成を、いま変えなければならぬというほどの変化にはまだなっていないのではないかという感じでおるわけでございます。
 しかし、御指摘のような問題は、もともと制度の発足当時にあった問題でもあるというふうにも考えられますので、なお今後の農村の実態の変化というものとのかね合いで考えていくべきことではないかというふうな感じでおるわけでございます。
#96
○神田(大)委員 そうすると、今後この農地法の運用の上において、いまの農業委員会の機構は改善を要するというようにわれわれは考えておりますが、当局においても、これらの推移を見て農業委員会の機構には考慮していきたい、こういうわけでございますか。
#97
○中澤説明員 現在の段階で、いま先生がおっしゃいましたような問題意識を明確に持っているという意味でお答えしたわけではございませんけれども、御指摘のような問題がないということを申し上げているわけではございませんで、確かにあり得ると思いますので、そういう問題につきましては、情勢の変化との関連において考えるべき性質の問題ではなかろうか、現在こういうふうな受け取り方をしておるという意味で申し上げているわけでございます。
#98
○神田(大)委員 今度この新しい農地法の改正がもし通過するとなりますと、いまの農業委員会の事務的機構においても、私は相当欠陥があると思うのです。また、財政的にも私は問題があると思いますが、これらについてどのような考えを持っておるか、お尋ねします。
#99
○中澤説明員 先般も、たしか柴田先生でございましたか、同じような趣旨の御質問がございましたが、今回の農地法の改正による農業委員会に課されました仕事まで含めまして、現在の農業委員会の事務執行体制に非常に大きな欠陥があるというふうには、私どもといたしましては考えてはいないということを申し上げたわけでございます。
 ただ、具体的な問題といたしまして、農業委員会の基本をめぐる問題以外に、その事務執行体制といたしまして、いわゆる超過負担というような問題が指摘されておるわけでございまして、この問題につきましては、過日もお答え申し上げましたように、自治、大蔵、農林三省の共同調査による結果、超過負担というふうに見られる分につきましては、三カ年計画でこれを是正するというたてまえで、四十四年度是正の第一歩を踏み出したわけでございます。したがいまして人件費に関する限り、そういうマイナスは三カ年計画で埋められるというふうに考えられるわけでございます。
 なお、このほか具体的に農業委員会が担当する事務につきまして、国が補助すべき事業につきましては、やはり適当な補助単価で補助をしていくつもりで、現にしておりますし、また、今後もそういう考え方でございますので、現状におきましては、農業委員会の事務遂行上大きな欠陥があるというふうに私どもとしては考えていないわけでございます。
#100
○神田(大)委員 この問題は、私は今後重要な問題となってくると思うのです。当局におきましても農業委員会の整備強化について、特段の努力と考慮を払うべきであると考えます。
 次に、農地等の転用でもって違反をした者に対して、現在どのような処分をしておるのか。実際に転用というものは相当行なわれておる、委員会の承認なしに横行しておると思いますが、これらの適正な取り締まりが現在行なわれていないと思われますが、これに対して当局はどうお考えになっておりますか。
#101
○中野政府委員 御指摘のように、最近の経済情勢の伸展に伴いまして、転用件数が非常にふえてきております。この場合大部分は、正式に知事なり農林大臣の許可を受けてやっておるわけでございますが、中には違反を犯しておる者があるわけでございます。
 その場合に、われわれといたしましては、先般この委員会にも御要求がございまして提出をいたしたわけでございますが、これによりますと、大体四十二年で約七千七百件くらいの違反がございます。これに対しましてどういう措置をとるかといった場合に、非常に悪質な者は告発をいたしております。しかし、全部告発に値しない場合が実際問題としてございますので、その場合には勧告をいたしまして、無断転用の場合なら至急許可を受けさせるとか、あるいは許可を受けた者で条件違反の場合には、条件どおりやれというような勧告をいたしますとか、また、ものによりましては始末書をとって適法な制度に乗っけるというような考え方で現在指導しております。
 しかし、御指摘のように、件数が何万件と非常に多いわけでございますから、中には行き届かない面もあるかと思いますが、今後とも厳重にわれわれ農林省としても転用許可をしなければなりませんけれども、また県知事がかなりの権限を持っておりますので、それに対しまして厳重な指導をいたしたいというふうに考えております。
#102
○神田(大)委員 最近、どこだったか県の出納長が、農地転用についての収賄事件で問題になったようであります。そのような例は各地にあろうと思いますが、これらに対する取り締まり等が非常に手ぬるいと思われておりますが、最近の出納長の収賄事件について、御報告願いたいと思います。
#103
○中野政府委員 御指摘の問題は滋賀県で起こった問題だと思います。われわれ公務員といたしましても全く残念な事件だと思っております。そういうことはないように厳重に注意をしなければならないというふうに思っておりますし、先ほども御答弁申し上げましたように、土地の問題をめぐりましてはどうしてもこういう事件が起きがちでございますので、われわれも十分注意したいと思っております。
#104
○神田(大)委員 今度の農地法改正によって、農地の権利の移動並びに耕作地の拡大をねらったようでありますが、一体そうなりますと、いまの零細な兼業農家が、結局は離農せざるを得ないというようなことになりますが、これら兼業農家を再就職させるとか、あるいはまたそれらに対する社会保障制度というようなものが非常に不備である。こういうような状態でこの農地法の改正が行なわれるというと、犠牲はこれら兼業農家に大きくかかってくると思いますが、これらに対して、兼業農家の離農に対する条件等について、どのようにお考えになっておりますか。
#105
○中澤説明員 お答え申し上げます。
 御指摘のように、兼業農家が多くなっておりますし、また離農農家も、主として兼業農家となった農家が、兼業部分を安定的に拡大して初めて離農するという形が現在の離農の実態であり、主流であるというふうに見ておるわけでございます。
 ただ、これは農地局長も前にお答え申しておったと思うわけでございますが、今回の農地法の改正そのものは、離農を促進するという観点からではなくて、むしろそういったような実態に対応するための制度改正であるわけでございます。しかし、事実といたしましては、そういう兼業農家が兼業の度合いを深めながら離農していくという場合に、先生が御指摘なされますような離農後の、あるいは離農するための各種の施策、具体的に申しますと、離農するために必要な住宅の問題だとか、あるいは、離農後の離農に必要な社会保障制度というような問題があろうかと存じます。
 ただ、この問題は、離農をどこまで推進するためにそういう施策を積極的にとり得るのか、また、とるという態度が、現在の離農の実態から見て妥当かどうかという問題に帰着するのではないかというふうに考えるわけでございます。こういう観点から考えますと、やはり現在の段階では、離農を積極的に促進するために、また、そういったような積極的な受け入れ側の施策を、どうしてもここまでしなくてはならないというところまで判断していいかどうか、それは疑問ではなかろうかと思います。しかし、現実問題といたしまして、離農が進んでおります観点からものを考えますと、やはりそれに対応する施策は必要であろうというふうに考えるわけであります。
 御指摘の中にある問題としましては、もちろん行政といたしましては農林省の行政を越える範囲の問題ではありますけれども、農林省といたしましてこの問題に対する場合の対処のしかたといたしましては、現実問題としまして、たとえば農業委員会を通ずるところの、離農をいたしまして他の産業に従事する場合の就業に関するあっせん活動の援助とか、あるいはまた、現在検討中でございますところの農業者年金制度の中身におきましても、リタイアというような形で農業を離れる、離農するというような問題につきましては、何らかの措置をとるというふうな方向で検討しているわけでございます。御指摘の問題はあるわけでございますが、離農問題に関するところの施策といたしましては、やはり広範の施策なり考え方を必要とする性質の問題を含んでおりますので、なお事態の推移に対応いたしまして慎重な対策を立てていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
#106
○神田(大)委員 この問題は、大臣がおいでになれば、この基本的な問題をただしたいと思っておりますので、私は、大臣が来てから大臣の考えを尋ねます。これは非常に重大な問題です。日本のように、耕作はするな、おまえらどこにでも行け、しかし、それに対する保障も何もしないでこのような農地法の改正を出しますと、これら小さな耕作者の犠牲によって規模拡大が行なわれるというようなことで、これに対する裏づけをしない限り、これは大きな社会問題になると思いますので、この点は大臣にお尋ねすることにいたします。
 次に、これらの一つの裏づけとなる農業年金を施行するというようなことを政府はいっております。現に一千万かの基礎調査の予算を出したようでありますが、早く農業年金制度をしくべきで、それがこれらの農業者に対する一つの保障になると思いますが、一体農業年金制度を今国会に出すつもりがあるのか、あるいはまたそういう構想を持っておるのか、政務次官にお尋ねします。
#107
○小沢(辰)政府委員 私どもも、いまや農業者年金制度の確立は世論でございますし、前々からの公約でもございますから、鋭意その準備を進めておるわけでございます。
 そこで、おそらく国民年金審議会におきます専門部会の専門的な意見のまとまりが、近く出てくるだろうと思われます。審議会の委員の御都合等、それぞれいま打ち合わせをいたしておるようでございまして、審議会が近く開かれることになりますと、専門部会で検討されました農業者年金の一応中間的な考え方がまとまりまして、そこに報告をされます。その国民年金審議会のほうで、総会といいますか、そこで結論が出ました場合には、政府はその答申をいただきまして、できるだけ早く、準備のでき次第国会の御協賛を願いたいと考えておるわけでございます。
#108
○神田(大)委員 この問題も、大臣が来ましたらその所信をただしたいと思いますので、先に進みたいと思います。
 この農地取得について、私は税制面においても改善しなくちゃならぬ点があると思いますけれども、農地の取得について税制面においてはどのような配慮をされようとするのか、これはひとつ自治省のほうにお尋ね申し上げます。
#109
○小沢(辰)政府委員 神田先生の御質問は、税制のどういうような問題点か具体的に伺いませんと、おそらくいまの御質問の趣旨では、農地拡大をした場合の取得税の問題ではないかと思いますけれども、なお具体的にひとつおっしゃっていただければ、お答えいたします。
#110
○神田(大)委員 農地取得税と、それから農地の固定資産税等についてどのような考えを持っておられるか、お尋ねします。
#111
○小沢(辰)政府委員 取得税につきまして、これは特別に農地法の改正によって税制をさらに変更するような考えは、今日まだあらわれておりません。ただ、おっしゃる意味は、おそらくこの前も御質問が出ましたように、新都市計画法による市街化区域と、それから農業振興地域の指定を受けました市街化調整区域の関連におきまして、特に市街化区域に指定を受けたといいますか、設定をされたところの農地等につきまして、これがいわゆる固定資産税の再評価の問題をめぐっての御質問がございましたが、その点だろうかと思いますけれども、固定資産税について急激な変更がある場合に、実は市街化区域であっても現実には農業をさらに継続している者が非常に不利になる、負担にたえないようになるというような御懸念からの御質問じゃないかと思います。
 この点は、過般もお答え申し上げましたように、自治省と私どもがよく協議をいたしまして、なお農地として継続して利用するような面につきましては、著しい変更を来たさないような措置をとってもらうように、いまいたしているわけでございます。
#112
○神田(大)委員 農地の拡大をはかる上において、現在のような農地取得税あるいは固定資産税等が、来年は改定期で上がるというようなことですが、この点を考慮しなければ規模の拡大は促進されない。そういう観点に立って御質問申し上げたわけでありますので、これはいずれ後日、担当官庁を呼んで詳しく御質問申し上げたいと思います。
 次に、農業所得税等について。本年度農業所得税が、例年に比して非常に高額に取られたようであります。農業所得税というものについて標準課税というものをやっておりますが、この標準課税のつくり方が、税務署独特の考えのもとにつくっておるようでありますが、この点についてお答え願いたいと思います。
#113
○元木説明員 農業の課税にあたっての標準の作成についてのお尋ねでございますが、これはまず、私どもサンプル的に農家の実態、農業の実態を調査いたします。それから農林省の統計調査事務所の収穫量の統計でございますとか、あるいは物価、賃金の統計でございますとか、そういったものを参考にいたしております。
  〔安倍委員長代理退席、委員長着席〕
また、あるいは農協等におきますところの農家の方々の生産資材の購入状況、そういうようなものを資料といたしまして作成いたしておるのでございます。
#114
○神田(大)委員 農業所得税というものは、やはり基本は申告所得税でありますから、税務署が一方的に標準額をつくってこれを押しつけるというようなことは、私は税法上遺憾だと思います。特に本年度の生産の基準は、作報事務所等によるところの統計によったものにのっとらずに、税務署自身の作報調査によってこれを行なっておるというような点は、これは農家といたしましても非常に不満なことでありますし、特に、耕作しておらない裏作を見積もらせておる。こういう点につきましても、私は不公平な点がたくさんあろうと思いますが、この点はどのように考えます。
#115
○元木説明員 ただいまお説のとおり、申告納税でございますので、それぞれの所得計算ができます限におきましては、おっしゃるとおりに計算をしていただいて申告をしていただくということは、まことにけっこうな方向であろうと思いますが、現状といたしましては、農家の所得につきまして、先ほど申し上げましたようなやり方で標準的なものをつくりまして、所得税を納めていただくということも、またやむを得ないことであろうかと思います。
 作付、作柄、非常に千差万別にわたると思いますので、多様なものをある程度標準的に押えるということで、多少おっしゃるようなこともあろうかと思いますが、今後その辺のところにも十分に配意をいたしまして、実情にマッチした課税を行なってまいりたい、こういうふうに考えております。
#116
○神田(大)委員 農地に関連いたしたことでありますから、所得税の問題はあとの機会にまた御質問申し上げることにいたします。
 このように農業の拡大をはかる上において、政府はもっとやらなければならぬことをゆるがせにしているようでありますが、農用地の整備、あるいは農道の整備、あるいはまた機械化、近代化をはかる上においての施策等が非常に欠除しておるのではなかろうか。農地を拡大いたしましても、そのようなことをやらない限り生産性は上がらない、このように考えるのであります。
 特に、政府が機械化農業を推進する上において、業農機械化技術者養成訓練事業というものをやっておりますが、これらについては予算もほとんどやっておらない。そのために、農業用の機械を操作する技術者が非常に不足しておる。そのために、農家といたしましても無免許でもって農業用機械を運転いたしまして、非常に事故を起こしておりますが、この農業機械化技術者養成訓練事業については、どのようなお考えを持っておられるか、お尋ねをいたします。
#117
○中澤説明員 お答え申し上げます。
 機械化が非常に進んでまいりまして、機械を扱う者の技術研修の必要性がございますので、先生御承知のことと思いますが、従来から各県に助成をいたしまして、機械の運転者、オペレーターの養成施設を設置いたした次第でございます。
 しかしながら、最近のように高性能の機械、体系的な機械化というものが進んでまいりますと、従来助成をいたしまして設置いたしました農業機械化センターということで、はたして今後十分に対処していけるかどうかという問題もございますので、十分その点を考えて、今後拡充のために努力していきたい、こういうふうに考える次第でございます。
#118
○神田(大)委員 日本においては、一年に約五万人からのオペレーターが必要であるというのに、実際は一万名程度の養成機能しかないということになりますと、今後機械化を推進する上において大きな支障を来たすと思いますので、この点十分考慮していただきたいと思います。
 農林大臣がまだ見えないようでありますから、私は農地法の一部改正問題につきましては、農林大臣が来てから、農林大臣に重要な問題をお尋ねすることにいたしまして、一応私の質問を終わることにいたします。
#119
○丹羽委員長 樋上新一君。
#120
○樋上委員 現行法の第一条の規定のうちに、「耕作者の農地の取得を促進し、その権利を保護し、その他土地の農業上の利用関係を調整し、」とある部分を、「耕作者の農地の取得を促進し、及びその権利を保護し、並びに土地の農業上の効率的な利用を図るためその利用関係を調整し、」こう法案を改めております。すなわち、「土地の農業上の効率的な利用を図る」という新しいことばが挿入されているのでありますが、このわずかな一句の挿入は、何でもないように見えて、実は農地法の根本趣旨が大きく変わったことを示す重要な意味を持っていると思いますが、この点はいかがですか。
#121
○中野政府委員 ただいま御指摘のように、今度の農地法の改正によりまして、目的の一部を直しております。それは御指摘のように、土地の効率的利用をはかるという観点を加えたわけでございますが、これは、現在の農地法が、耕作者が土地を持つのが一番望ましいということの上に立ってできておることは、先ほどお話しのあったとおりでございます。われわれといたしましても、そういう基本的な考え方を捨てたわけではございません。
 しかし、昨今の農業事情の変化から見ますと、このままの形で置きますと、零細な経営のまま零細な土地所有というものを維持していくだけということに、だんだん農地法がなってきているわけでございます。しかし、一方では農業生産の増大あるいは経営規模の拡大ということがいわれてまいりますと、構造政策を進めてまいらなければならないわけでございます。
 それをどうするかといった場合に、現在一方では、けさほどからも議論がありましたように兼業農家がふえてきております。兼業農家は、兼業の仕事が安定すればするほど農地から手を放していくという事態が起きております。それを現行の農地法でありますと、一ぺん貸しますとなかなか取り返せないというような問題もあり、それから小作統制の問題もあり、いろいろな事情からなかなか貸しにくい、あるいは売りたくないというような問題もございますので、農地法をいろいろな面で改正をいたしまして、限られた農地ができるだけ効率的に使われるという観点を、一つ農地法の中に加えたらどうかということでございまして、根本的に農地法を、これによって従来の考え方を引っくり返すというふうにはわれわれ考えていないわけでございます。
#122
○樋上委員 前段で自作農主義の原則がうたわれているにもかかわらず、後段ではこれと全く異なる原理の上に立つ、いわゆる土地の効率的な利用云々という原則をうたい、この両者を第一条の中で、「並びに」でつなげているのでありますが、このことは、従来の自作農主義をくずす新たな原則を導き入れたことであり、いわゆる自作農主義を主体とした農地法の意義を決定的に後退させるように私は思うのですが、この点はいかがですか。
#123
○中野政府委員 ただいま申し上げましたように、現行農地法によりますと、別に零細な経営のままの土地の所有というのを進めておるつもりはございませんけれども、どちらかといいますと現在の農地法は、農家が土地を所有するのが望ましいという観点からだけでいろいろな規制が行なわれているわけでございます。しかしそれでは、こういういろいろな事情が変わってまいりますと、あるいは五反歩の経営、六反歩の経営では、農家が農家らしくやっていけるということからは無理がきているわけでございます。しかも、そういう五反歩、六反歩の農家は、先ほど申し上げましたように兼業農家が大部分でございます。五反歩や六反歩で農業をやっていくことは無理でございます。集約経営その他は一部にあるとしましても、農地を中心とした農業は無理でございます。そこで、自作農主義といいましても、もう少し農家らしい経営がやれる自作農主義が最も望ましいのではないかとわれわれは考えるわけでございます。
 したがいまして、先ほどから申しておりますように、自作農主義、家族経営主義というものを変えていこうというつもりはございません。しかし、その規模を大きくしたいという考え方があるわけでございます。そうなりますと、現在の六百万ヘクタール前後の農地が、片や荒らしづくりになり、あるいはほうっておくといわれるものを、いわゆる農村に残って農業をやっていこうとする農家に、なるべくその土地が動いていくように仕向ける必要があるのではないかというふうに考えまして、こういう改正案を提出したわけでございます。
 先ほど先生御指摘になりましたように、この改正によりまして自作農主義を後退させたというふうには、われわれは考えていないわけでございます。どの先生かにたしかお答え申し上げたと思いますが、比喩的に申しますと効率的な自作農を中心につくっていきたい。その場合に、やはり過渡的には、その土地は売らないけれども貸すという農家がありますれば、それを借りて規模を大きくするということもあわせて加えていく必要が、現段階ではあるのではないかというふうに考えているわけでございます。
#124
○樋上委員 政府が打ち出した土地の効率的利用とは、いわゆる所有と経営、または労働との分離をもたらすものではないか。これによって、大農への道を開いていくつもりですか、どうですか。
#125
○中野政府委員 この法律によりまして、御指摘の所有と経営と分離させていくということを、積極的に進めるという意味ではございませんが、たとえば、現在各地で行なわれております集団的な生産組織を見てみましても、順次その生産組織が純化と申しますか、進んでまいりますと、大型機械が入りますとオペレーターを雇って、それで大部分の農家は補助労働的な労働を提供するということになるわけでございます。そうしますと、経営をやっているのは、そのオペレーターを中心とした二、三の農家がその経営の管理をやって、あとの農家はだんだん補助労働力を提供し、そして土地を提供しているというようなことになってきておるわけであります。
 そうなりますと、これはその集団的生産組織を一つの経営として考えますと、やはり所有と経営の分離が起きてきているわけでございます。その場合に、一軒の農家が全部土地を集めて買ってしまえば、それは所有と経営はまさにイコールでございますが、なかなか流動化がそうはかばかしく進まないという段階にありましては、ある意味では過渡的の面もあるかもしれませんけれども、一つの大きな生産規模をつくっていくためには、所有と経営がある段階で分離する場合もありましょうし、そういうことでなければ、規模の拡大はなかなかはかりにくいのではなかろうかというふうにわれわれ考えておるわけでございます。
#126
○樋上委員 それじゃ、非効率的土地利用については、どのような対策を講じていられるのですか。
#127
○中野政府委員 農地法の中で、権利の移動統制というのが非常な中核をなしているわけでございますが、その中で、いま御指摘の非効率的な利用というものについては、許可をする場合にいろいろ考慮を払っております。
 その一つは、従来、生産力が明らかに低下をするという場合は、許可をしないということになっております。これは、そういうはっきりした条文でございますので、めったにそういうことはあり得ないわけでございます。しかし、実際問題といたしましては、都市近郊を中心にしまして、都市周辺で土地を売って、非常に遠くで土地を買うという事態も非常にふえてきております。そういうことになりますと、通作ができる範囲ではよろしいわけでございますが、それより飛び越えた先で土地を、農家であるからといって買えるということになりますと、その行った先で農家は、その地域の共同防除にもなかなか参加しませんし、場合によっては、そこで請負にさせておいてほっておくというようなこともございますので、今回は、こういうような場合は許可をしないというようなことを考えまして、できるだけ効率的に使いたいというふうに考えているわけでございます。
#128
○樋上委員 そういたしますと、私は土地の生産基盤の推進に全力をあげるべきではないかと思うのですが、この点どうでしょうか。
#129
○中野政府委員 御指摘のとおりだと思います。農林省といたしましても、何といいましても農業生産を行なっていきます上における基盤は、積極的にこれを強化していかなければならないと考えておるわけでございます。
 われわれといたしましても、土地改良長期計画がちょうどことしで五年目でございますので、この際、農業の事情も変わってきておりますし、積極的に経営規模の拡大をはかりながら、適地適産をはかっていくためには、長期計画の改定が必要であろうということで、現在調査に入っております。できれば来年の予算までに仕上げをいたしまして、生産基盤の整備はより積極的にはかっていきたいというふうに考えております。
#130
○樋上委員 土地の効率的利用を行なうには、総合的な土地の流動化の政策を進めるべきであり、農地法の改正にそのすべてをたよることは妥当ではない、こう思うのですが、どうでしょうか。
#131
○中野政府委員 御指摘のとおりだと私も考えております。われわれも、農地法の改正だけで経営規模の拡大がはかれるとは考えておりません。むしろ、農地法を今回改正しようといたしますのは、そういう規模拡大の方向に向かっていろいろな施策をスタートさせる場合の一つの――一つのといいますか、重要な条件整備だと考えております。ただいま御指摘の基盤整備を進めるなり、農用地造成を積極的にはかりまして、外延的な拡大と申しましょうか、そういう面からの規模拡大もあわせて強力にやらなければならないというふうに考えております。
#132
○樋上委員 権利取得者が農作業常時従事者でありさえすれば、何人雇っても、何ヘクタールを経営しようと自由になるように思うのですけれども、このことは自作農主義を脱皮し、富農育成主義へ移行することを意味するのではないか、こう思うのですが、この点はどうでしょう。
#133
○中野政府委員 今回の改正案で、御指摘の上限の面積制限をやめまして、自分で農業を経営し農作業に従事する限りは、取得面積の制限をしないということにいたしたわけでございます。
 その理由とするところは、先生御指摘のように、現在こういうふうに改正しましたからといって、直ちに、どんどん雇用労力を入れた経営が、日本の農業の中心になるとはわれわれ考えておりません。少なくともここ十年、十五年を考えましても、やはり家族経営が中心になって経営が行なわれていくと思います。
 しかし、その場合に、たとえば果樹農業なりあるいは酪農というようなものをとらまえてみますと、現在でもかなり雇用労働が入ってきております。しかし、それは量での計算なら、あるいはその一つの経営全体の労働量の半分以上雇用労働があるかもしれませんが、経営の中心になっておりますのはその経営主、それは農家でございますから、そういうふうな経営が今後進められるということを、はばむ必要はないんではないかというふうにわれわれは考えまして、そういう現在の上限面積、内地平均三ヘクタールというものをやめたわけでございます。
#134
○樋上委員 現行法では、自家労働力中心主義という考えが含まれているのに対して、今度の改正案では、この点が明確ではないように思うのですが、この点はどうでしょうか。
#135
○中野政府委員 自家労働中心ということに関する限りは、今後も自分で農業経営をやり、かつ農作業に従事する限りは、農地の取得が無制限に認められるということでありますので、その点では明確にしておるつもりでございます。
 ただ、経営を自分の労力だけでやらなければならないとか、あるいは、主として自分の労力だけでやらなければならないという現行法よりは、今回は、もう少し雇用は入れてもよろしいというふうに割り切ったという点は違うわけでございます。
#136
○樋上委員 権利取得者は、農地の一部についての常時従事者であればよいとされているのですが、現実問題として作業の大部分を雇用労働者に従事させた場合、農地は耕作者みずからが所有することを最も適当であるという自作農主義に反するのではないか。その点はどうでしょう。
#137
○中野政府委員 自分の経営の一部だけというような御指摘がございましたが、われわれとしましては、この改正条文にもございますように、本人か世帯員が、その取得後において行なう耕作または養畜の事業に必要な農作業に常時従事するということでございますので、少なくとも自分がその経営にタッチする限りは、自分でやれる範囲は全部自分でやるという必要がございます。
 そこの経営が、たとえば本人と奥さんがおのおの百五十日ずつ働かなければならないといっておるときに、自分は働かないで人を雇うというようなことになりますと、かなり問題が出てまいりますので、われわれとしましてはよくその辺を判断いたしまして、自分は働かないでだれかを雇ってやらせるという経営については、取得は認めないつもりでおります。
#138
○樋上委員 下限面積を、取得後五十アールに改めているが、その目的は何のために改めておるか。また、零細兼業農家に及ぼす影響はたいへん大きいと思うのですが、その点の対策はどのように考えていらっしゃるのですか。
#139
○中野政府委員 今回の改正案によりまして、下限面積の制限を三十アールから五十アールに引き上げました理由でございますが、かつて農地法を昭和二十七年につくりました場合に、大体三十アール程度の農家の約七割五分はもう第二種兼業でございました。ところが現段階になりますと、五反未満の農家の八割は第二種兼業農家でございます。第二種兼業農家は、農業が従で兼業先が主でございます。
 こういう事態でございますし、片や規模拡大をはかるといった場合に、そのあまりに小さい農家が一反、二反を取得するということになりましても、今後の農業経営をしょっていくということにはならないのではないかというふうに考えまして、われわれとしましては、限られた農地を若干でも利用制限いたしまして、望ましい農家の方向に土地が動いていくようにというふうに考えたわけでございます。
#140
○樋上委員 改正案では、どうも上を育てるために、下限面積を五十アールとしてその制限を設けておりますが、現行法が中堅自作農を育成することにあたったのに対して、今回の下限面積の設け方と比べた場合、たいへん意味が違うように思うのですけれども、その趣旨はどこにあるのですか、お伺いしたい。
#141
○中野政府委員 戦後農地改革をやりましたあと、中堅自作農を育てるというものの考え方はございました。その場合に、当時の議論といたしましても、中堅自作農というのが、三反あればそれが中堅になるとは当時も考えていなかったわけでございます。ただ、現実の農家は、ほんの二反、三反の農家から、上は三町、五町の農家まであるわけでございます。それを農地法上どういうふうに規制していくかといった場合に、あまりにも面積取得の制限を上に上げますと、相当数の農家が土地を買えないということになるわけでございます。そこで、少なくとも農業をやる以上は、三反ということで当時はきめたわけでございます。
 それを、先ほど申し上げましたように、最近ではその程度の規模ではなかなか農業をやりにくいということから、五反ということにしたわけでございます。と同時に、当時の思想といたしましては、まだ機械化も進んでおりませんし、大体自分の労力でやれる範囲は三町だろうというようなことから、そういう規模を設けたいきさつがございます。しかし、三十七年度の農地法改正によりまして、上限面積につきましても例外的に、主として自家労力でやれるのであれば、もっとこえてもよろしいということを第一段階で直したわけでございますが、今回の改正では、もう少し事態が、専業的な農家については進んできておりますので、そこの制限はする必要はないのではないかというふうに考えたわけでございます。
#142
○樋上委員 下限面積の制限を、五十アールに上げなくても問題はないのではないか。要は、農地が効率的に利用されるかどうかに問題があるのであって、零細農が経営の向上ができるような施策を推進することが急務ではないか、私はこういうように考えているのですが、どうでしょうか。
#143
○中野政府委員 先ほどから申し上げておりますように、今度の五反というのは、現在二反の農家あるいは三反の農家でも、あと二反を取得して五反になるということなら取得が認められるわけでございます。したがって、そういう取得はしない、三反の農家そのままでやりたいという農家を、今度の農地法でどうしようということまで申し上げているわけではございません。
 それからもう一つは、今度の法律にもございますが、地域によりましては五反では無理な地帯があります。確かに山村なりあるいは漁村、それから都市近郊の集約農業経営地帯では、その五反は無理であります。その場合は、知事が四反にするとかあるいは三反にするとかいうことはきめられる制度を置いておりますので、大体全国的には五反、それから特殊事情のあるところはその面積を下げるということで、運用でやっていけるのではないかと考えております。
#144
○樋上委員 権利を取得しようとする者、またその世帯員の農業経営の状況、通作距離から見て、農地を効率的に利用して農業を行なうことができると認められない場合に、その取得を認めないことにしているが、ただ「農業経営の状況」とのみ規定するだけで、あとを知事や農業委員会にその裁量の権限を与えているのには私は問題があると思うのですが、この点はどうですか。
#145
○中野政府委員 先ほどこの問題にちょっと私、触れたわけでございますが、非常に遠いところに農地を取得をするといった場合に、本気で経営するかどうかということが非常に問題になる場合がございます。そこで通作距離等を考えまして、土地が効率的に使えるかどうかという判断をしたいというふうに考えておりますので、その場合の具体的なものの考え方としましては、もちろんわれわれは通達その他で指導はいたしたいと思っております。
 そこで、先生がおっしゃいましたそこが非常に問題だということについて、もうちょっとお話いただきますれば、もう少し私もわかるかと思いますが、われわれとしましては、そういうふうに考えておるわけでございます。
#146
○樋上委員 現行法の第三条二項の八号で、農業生産の低下が明らかな場合のみ不許可であったものが、今回の改正案では、経営の状況が効率的であるかどうかにポイントが置かれている。したがって、このことによって許可の基準が、個人的基準から国の農業政策上の基準によって左右されるのでは問題ではないか。すなわち、農民が安心して農業に力を注げない面が出てくるのではないだろうか、また、農民の権利保護に欠けるのではないかと思うのですが、この点はいかがです。
#147
○中野政府委員 結論を申し上げますと、われわれとしましては、いま先生御指摘のふうには考えていないわけでございまして、現行法は、農業生産が低下することが明らかな場合は許可しないということになっているわけでございますが、今度はもう少しその辺の裁量の範囲を大きくいたしまして、いろいろな判断をした上で、その農家がほんとうに効率的に使えないといった場合だけは許可しないということにしておりますので、農民的な経営を否定するということでは決してないというふうに考えております。
#148
○樋上委員 また、土地の効率的利用という観点から、権利取得の許可を受けられず、切り捨てられる人たちが出てくるのではないか。その具体策はあるのかどうか、この点。
#149
○中野政府委員 本人が農業をやる限りは許可になるわけでございますから、もしそういうことで許可にならない場合は、本人が農業をやる気がないのにごまかしにやるというふうな場合ではないかと思いますので、その点は御心配はないのではないかと思います。
#150
○樋上委員 その点はそのくらいにしておきまして、農地または採草放牧地の権利移動の制限について、現在、県知事の認可権を農業委員会に移すことについては、農業委員会内部に種々の問題があるように思うのですが、この点はどうでしょうか。この権利移動に関する反対意見が多いように聞いておるのですが、この点いかがですか。
#151
○中野政府委員 今回の改正案によりまして、村内の権利移動は、所有権、賃借権その他の権利全部農業委員会の許可でよろしいということにいたしまして、村を越える場合、それから生産法人などの許可は全部知事にいたしました。これは、こういう農地法の現行法を運用してまいりましてすでに二十年たっておりまして、農業委員会が非常にその辺には習熟をしてきました。と申しますのは、知事の許可ではございますけれども、現在農業委員会が全部意見書をつけて出しております。村の事情は一番農業委員会がわかっておりますので、もうこの段階で、農業委員会にまかしてだいじょうぶではないかというふうに判断したわけでございます。
 反対意見もあるという御意見でございますが、確かに反対意見もありますけれども、それはむしろ、農業委員会ではなくて市町村長の権限にしないかという御意見は聞いたことがございますけれども、こういうふうに村のことを村にまかせることについて、非常に大きな反対があるというふうにはわれわれ聞いておりません。
#152
○樋上委員 農業委員会に不正事件また汚職事件が発生しているからそういう問題も考えられるので、いまおっしゃるように、絶対信頼しているかというとそうではない。最農の農業委員会の不正事件というものは、新聞に報ぜられておりますとおり多々あるのですが、そういう点を考えてみますと、こういう反対意見も多いのだと思うのですが、あなたは農業委員会の不正、そういうことはもうないとおっしゃるのか。過去にもいろいろあったと思うし、最近でもありましたが、どうですか。
#153
○中野政府委員 農業委員会の不正事件がないと私も申し上げません。若干でございますけれども、都市周辺を中心にいたしまして、土地の問題に携わった関係上いろいろな事件があったわけでございます。
 この点につきましては、今度の都市計画法で一番問題になります市街化区域周辺の問題は許可制をはずしましたので、都市周辺におけるそういう問題は、おそらく解消するのではないかというふうに考えます。
 しかし、もちろん農業委員会は都市周辺だけでございませんので、われわれといたしましても、改正法案がもし通りますれば、その機会にもう一度農業委員会の委員、職員の研修をやり直しまして、十分そういうことのないように注意をしたいというふうに考えております。
#154
○樋上委員 最近の農業委員会は、権利のとりこになっているようにいわれてもしかたがない事件が続発しておるのでありまして、これはいまおっしゃったように、今後は研修を厳重にして、健全な運営をやっていかなければならない。その対策を十分に考えてもらいたいということを、重ねて申し上げておきます。
 もう一つは、第一に、農業委員の高齢化が顕著になってきており、農地を守る、また地元の農業の振興のために、使命を燃えたぎらせているという委員がたいへん少なくなってきたのではないか、こういうふうにも思われるのです。
 それから第二には、公選法を適用して委員を選ぶことになっていますが、最近は、各地で無投票に持ち込んだ例が多くなってきています。その結果、農業委員会の民主的制度が生かされなくなって、委員会の増長をもたらしているのではないか。農業委員会は、小さいながらも独立した行政委員会であります。ゆえに、市長にも、府県農業会議にも、全国農業会議所にもこれを監督する権限がない。これらに対してどのような具体策を持っていらっしゃるか、この際お聞きしたい。
#155
○中野政府委員 農業委員会の委員の高齢化の問題につきまして御指摘があったわけでございますが、そこまで私自身よく把握はしていないわけでございます。
 ただ、農業委員会は、一般の日本の農業の、兼業あるいは専業農家の分布からいたしますと、専業的な農家がかなり委員の中心を占めておるように考えております。そういう農業委員会につきまして、選挙が無投票ではないかということでございますが、本来選挙でございますから、りっぱな候補者が立っての選挙が行なわれることが当然望ましいわけでございますが、実体問題といたしまして、あるいは部落での話し合いその他で出しておるという実態もございますけれども、これは選挙制のことでございますので、役所のほうから、全部無理して候補者を立てて選挙しろというところまではまいらないわけでございますので、その辺は御了承いただきたいと思います。
#156
○樋上委員 そういうことが行なわれているという現実はあるのですから、それも頭に入れておいてほしいのです。
 農業委員会に対して、農林省と自治省との間に考え方の対立があるようにも聞いておるのですが、どういう点か。また農林省の考え方、そういうものをお伺いしたいのです。
#157
○中野政府委員 正式に対立して、けんかしたというようなことではございませんけれども、御指摘の自治省のほうが、昨年でしたか一昨年でしたか、地方自治体に対して、農業委員会だけでなくて、いろいろな農林行政の面でのアンケートを出したことについての回答だと思いますが、その中での多数の意見は、農業委員会を廃止するなりあるいは諮問機関にして、町村長の権限を強めてはどうかということではなかったかと思います。
 しかしながら、この農地法の御審議いただいている中でも、いろいろ農業委員会の権限の問題が出てきております。と同時に、この土地をめぐる問題は非常に複雑な、いろいろな利害関係の対立する問題でございますので、そういう市町村長というような、独任制といいましょうか、そういう一人の人がものを判断するというのは、私たちは望ましくないというふうに考えております。やはり中心は、選挙によります委員の民主的な合議によってきめるということが非常に望ましいというふうに判断をしておりますので、この点は農林省としましては、あるいは自治省側と意見が違うかもしれませんが、これは譲るつもりはございません。
#158
○樋上委員 政務次官、この点について……。
#159
○小沢(辰)政府委員 私は大臣とともに、実は現在の農業委員会については、むしろ他のいろいろな農業関係の団体の中では、最も良識を持って、またいろいろと仕事に実際協力していただいている、一番私どもが信頼していい団体ではないかとさえ思っておるわけでございます。一部確かに御指摘のような不正事件等のこともございまして、今度農地法の改正によって、農地関係の権限がより一そう大きくなりますので、したがって、それだけ責任も重くなります。
 そういたしますと、農業委員会自身もその責任を自覚して、一そう自重自愛されることと期待しますし、また、農村の関心も強くなってまいりますし、一方、私どもも研修あるいは指導等強化してまいりますので、今後は十分御期待願っていいのではないかと思うわけでございます。
#160
○樋上委員 農業生産法人の動向の特徴として、いままで労働力を全農家から従事させていた状態から専従者中心に移行し、さらにこれが経営管理労働と作業労働というように、おのおの専門的に細分化していくように考えるのですが、政府としてこれらの傾向に対してどうお考えになっていますか、お伺いしたいと思います。
#161
○中野政府委員 農業生産法人の経営の中身につきましては、いろいろな形態があると思います。全員同じような規模の農家が集まりましての経営もありましょうし、それから、御指摘のように、専業的な農家が中心になりまして、先ほどからも私、申し上げましたように、補助労働をその他の農家が出しておるという場合もありましょう。
 しかし、将来の方向としてだんだん考えますと、やはり機械が入り、規模が大きくなりますと、どうしても全員が同じような形で、同じような手の労働で働くということはだんだん減ってまいりまして、やはり経営管理をやっていく人、農作業をやっていく人と、だんだん分かれてくるのではないかというふうに判断をしておるわけでございます。
#162
○樋上委員 労働力が専従者中心となってきますと、その構成員の一部の人の従事によっても可能であり、事実上兼業農家の増加がもたらされるのではないか、こう思のですが……。
#163
○中野政府委員 御指摘のように、そういう場合は兼業農家がふえてまいります。しかし、それは決して悪いことではないとわれわれは思います。
 農業法人に土地を提供して、その法人の経営規模が大きくなり、そこでは効率的な経営が行なわれると、若干の地代収入が入るわけであります。と同時に、その農家は外での工場その他安定的な兼業で働くということになりますと、それは望ましいことではないかというふうにわれわれは考えておるわけでございます。
#164
○樋上委員 農家としては、企業としての農業と、出資加入し、他の収入をはかることができるように思うのですけれども、この点はどうでしょうか。
#165
○中野政府委員 御指摘の場合もあり得るかと思います。
 ただ、いまの農業生産法人は、金で出資というものは認めておりません。土地を出すか労力を出すかというのが基本でございますけれども、いまのような場合、土地を出して、そして自分はほかの工場で働くということは、あり得るというふうに考えております。
#166
○樋上委員 また、農業生産法人という共同経営体が、実質的には、自立経営か資本主義的な会社企業への転化していく踏み台として考えてもいいでしょうか。この点はどうでしょう。
#167
○中野政府委員 農地法の考え方は、そういう生産法人が発展しまして、株式会社経営になるということは決して考えておりません。
 御承知のように、今度の改正案におきましても一、人的な結合体の色彩が強いという考え方から、有限会社それから農事組合法人、そういうものについてしか認めないことにしておりますので、そういう御心配はないというふうにお考えいただいてけっこうでございます。
#168
○樋上委員 株式会社が依然として含まれていないというその理由を、もう一度お聞かせ願いたいと思います。
#169
○中野政府委員 生産法人を考えましたのも、やはり規模を大きくしたい、それも農家の集まりでの規模を大きくしたいと考えておるわけでございますので、株式会社のように、資本の集まりというようなことで農業経営をやっていくということは、現段階では、まだそういうことは考える必要もありませんし、また、それは日本の農業の将来のためにも望ましくないというふうにわれわれは考えておるわけでございます。
#170
○樋上委員 農業生産法人の発展上直面する問題は、自己資本の不足であります。現在制度金融では、土地・施設資金の道は開かれておりますが、運営資金は除外されておるのです。したがって、自己資金充実の見地から、他人の資金を借用して使える利点を持つ株式会社システムを、生産法人として考えるべきですが、この点、政府はどういう見解をお持ちですか。
#171
○中野政府委員 零細な農家の集まりでありますから、なかなか資本の充実ができないということは、御指摘のとおりであります。
 しかし、そういう法人に外部の資本が金を出していいということをいたしますと、たとえば、大きな不動産会社がその土地を乗っ取るために出資をして、そして二、三年たったら農業をやめてしまって、その土地はその不動産会社のものになるというような事態も起こり得ますので、われわれとしましては、農村の土地を守るために、そういうことは認めないという考えでおります。
#172
○樋上委員 それでは小作地の所有制限についてお伺いしたいのですが、不在地主を認めること自体、自作農主義の精神に反するのではないか。この点はどうでしょうか。
#173
○中野政府委員 現在でも、在村地主は一ヘクタールは認めているわけでございます。したがいまして、いまの農地法が、耕作しないものは一切土地を持てないというふうに割り切っておりますれば、先生のおっしゃるようなことになるかと思いますが、現在でもそういうことになっております。
 それから、今度若干緩和をいたしましたのは、先ほどからもるる申し上げておりますような、農業の事情の変化に対応しようということでございますので、その辺御了承いただきたいと思います。
#174
○樋上委員 農協の権利取得ができることになったのですが、請負耕作、荒らしづくり等が委託可能となった反面、農協の組織がさらに強大化し、弊害もできるのではないか。この見解をお伺いしたいと思います。
#175
○中野政府委員 先般御審議いただきました農協法の改正で、農協が農業経営の委託を受けられるということにしたわけでございますが、これは農協が、いま御指摘のように、強大化をするというような考え方からではございませんで、おそらく都市周辺等に多いかと思いますけれども、土地はまだなかなか売る段階ではない、しかし、そこの経営も自分ではやりたくない、そういうような場合が非常に多いわけでございます。それを、農協が経営の委託を引き受けまして、大型機械等を入れて、またそれが将来の大型機械経営のモデルにもなるというような場合もございましょうし、そういう観点からやったわけでございまして、御指摘のようなものの考え方から、農協の委託経営を認めたわけではないわけでございます。
#176
○樋上委員 離農者の相続人に対しても同様の権限を認めているのですが、はたして合理的な運用ができるか、この点に私は疑問を感ずるのです。また、少なくとも配偶者以外の他の共同相続人にもこの権限を拡大すべきではないか、こう思うのですが、いかがでしょう。
#177
○中野政府委員 離農者が村から出る場合に、農業委員会の確認を受けまして土地を貸していくわけでございます。その離農者の子供までは不在地主として土地所有が認められますが、それについては、法律で農業委員会に届け出をするということになっておりますので、その辺混乱することはないというふうに思っております。
#178
○樋上委員 不在地主の特権を有する相続人が、帰農した場合はどうなるか。
#179
○中野政府委員 農地を貸しまして不在地主になったわけでございますから、借りている農家と話し合いがつきまして合意が成立しますれば、帰農いたしまして、もう一ぺんその土地を使うということは可能でございます。
#180
○樋上委員 この場合も、相続人はおそらく農地取得権の相続を放棄しないという現象が起きると思う。またこういった場合、不在村相続人の土地取得権は一ヘクタールのワク内であるといっても、多分に寄生地主的な性格を帯びてくるという危険性があると思うのですが、この点はどうでしょう。
#181
○中野政府委員 一ヘクタールのワク内でございます。その一ヘクタールのワク内の土地を持っておる不在地主を、寄生地主だときめつけてしまえば寄生地主であるかもわかりませんが、いわゆる寄生地主といわれました戦前のような意味での寄生地主ではもはやないのではないか。むしろ、土地持ち労働者という表現をしていいかどうかわかりませんけれども、一時土地を村の人に預けて外で働くというような考え方からこういう制度をとったわけでありまして、寄生地主として小作料に乗っかって農民を搾取する、こういうような考え方には、もはやならないのではないかというふうに考えております。
#182
○樋上委員 在村地主の土地を相続した不在村相続人は、一般の不在地主としての所有制限を受けるのに対して、不在地主の土地を相続した不在村相続人は所有制限を受けないということは、どういう見解をもとにしたのか、不公平ではないか、こういう意見もあるのですが、その点はどうでしょう。
#183
○中野政府委員 御指摘のような場合があるかと思います。しかし、今回考えましたのは、われわれは地主をたくさんつくろうという観点からこういうことを考えたわけではございませんで、現在農業をやっている農家が、いろいろな事情から兼業のほうに行きたいといった場合に、なかなか土地を売りたくないという場合の措置といたしまして、こういうことを考えたわけでございます。
 いま御指摘のように、現在の在村地主のむすこさんが東京におりました場合には、そのむすこさんに所有を認めるということはいたしたくないわけでございます。これは、すでにもうだれかに貸しておりますから、新たに土地が流動化していくという問題にもなりませんので、そこまでは考えなかったわけでございます。
#184
○樋上委員 農業委員会に小作料の減額勧告や、農地紛争の仲介をやらせる、その意図はどこにあるのか。
#185
○中野政府委員 第一点の小作料の問題につきましては、先ほどからもいろいろ御論議がございましたように、今度標準小作料をつくりまして、それをできるだけ守らせたいという考え方でございますので、それに違反をするような著しく高い小作料で契約しておる農家に対しまして、おまえはまけたほうがよかろうという勧告をしたいという考え方でございます。
 それから、現在でも農村では、いろいろ農地問題をめぐりまして紛争がございます。これにつきまして、いきなり村の中から裁判所に行きまして、農事調停をやってくれとかあるいは裁判をやってくれというのは、なかなかやりにくいわけでございますので、農業委員会に和解の仲介を義務づけるということで新しく制度を設けたわけでございます。
#186
○樋上委員 私は、今後法的に強制力を持たせていくつもりじゃないか、こういうように思うのですけれども、この点はどうですか。
#187
○中野政府委員 美濃先生のときにも御論議がございましたように、われわれとしましては、この小作料の減額勧告に、法的強制力を持たせる考えはございませんし、それから和解の仲介もまた、将来それを法的強制まで持っていくという考え方は持っておりません。
#188
○樋上委員 新しい小作地について小作料統制を廃止した場合、いわゆる標準小作料の決定は困難になるのではないか。またこの決定にあたって、どういうような規則をもってやるのか、この点はどうでしょう。
#189
○中野政府委員 われわれ考えておりますのは、新しい小作地が発生するといいますか、賃貸借契約ができる場合の、お互い貸し手と借り手の標準としての小作料をきめたいというふうに考えておりますので、標準小作料の設定が困難になるというふうには考えておりません。現にわれわれとしましても、法律が通りますれば、できるだけ早く全国的に農業委員会に対してこの設定をさせるようにいたしたいと考えております。
 その場合の考え方といたしましては、これも何度か御答弁申し上げたわけでございますが、通常の経営におきましての生産量、生産物の価格、それから生産費というものを考えました上で、その土地に帰属すべきものは幾らかという観点から、それぞれの村で標準をつくらせるという考え方で指導をいたしたいと考えております。
#190
○樋上委員 農地等の賃貸借の解約等の制限についてお伺いするのですが、合意解約については、許可制から農業委員会への届け出制の考えはあるかないか。
#191
○中野政府委員 今回の改正案では、これは先ほど申し上げたと思いますが、現行法が合意解約についても、一々知事の許可をとらなければいけないということになっておるのをやめまして、先生御指摘のように、農業委員会の届け出制で合意解約ができるということにいたしておるわけでございます。
#192
○樋上委員 賃貸借を通じて、農地の流動化ということで一番問題になることは、農業の機械化とか近代化とかを考えるとか、土地改良とか道路を直すとか、基盤整備といわれる固定的な投資がどんどん大きくならざるを得ないと思うのですが、どうでしょう。
#193
○中野政府委員 農地の流動化をはかるだけでは、なかなか農業が進んでいかないということは御指摘のとおりで、これも先ほど申し上げたと思いますが、農業の機械化、基盤整備というものの推進は、できるだけはかっていきたいと考えております。
#194
○樋上委員 戦前においては、土地改良投資をやれば小作料がふえるので有利だという勘定もあって、地主がかなりやった。しかし現在は、土地を貸すのは大体兼業農家であって、つまり農業に関心を持っていないゆえに、地主が土地改良をする見込みはほとんどない。そうすれば、借り手がやらなければならないことになってくる。契約期間が相当長くて、十五年、二十年とかいうことで投資の部分の償却が済む見込みがあればいいのですが、しかし、非常に短期間になると、借地人は投資しても損をしてしまう。土地を取り戻されたら損をするという問題があって、借地の上に農業経営の拡大を考えるとき大きな問題となってきますが、どういう対策を用意していらっしゃるのですか。
#195
○中野政府委員 現在の土地改良法のたてまえも、耕作者が土地改良事業をやるための資格者になっております。地主は例外的になり得るということにしておりますので、その点はそういう方向で今後も進める必要があろうかと思います。
 ただ、賃貸借期間が非常に短くて、たとえば、五年で返すというような場合には、小作人が土地改良をやりましても、その費用の回収ができないという問題がございますが、その場合は、民法によりまして、小作人に有益償還の権利がございますので、地主に対しまして、土地の価格の上がった分、増加分を返せということができるわけでございます。
#196
○樋上委員 また、農地の売買を困難にしている地価の高騰は、農地の賃貸をも困難にするのではないか、こう思うのですが……。
#197
○中野政府委員 その話は、地域によりましょうけれども、むしろ逆でございまして、地価は転用含み価格で一反百万円する、二百万円するというところでありましても、地代というのは、それの五分とかいうことではございませんで、やはり農業採算が成り立つような地代が発生してきております。むしろいま問題になりますのは、地価と地代とが分離をしてきたというような事態が農業の中にも非常にふえてきております。その辺はそういうふうに御了解いただきたいと思います。
#198
○樋上委員 政府は、将来の農業規模の指標は、たとえば何ヘクタールで、そこに対応する技術、機械、そういった点はどの程度を水準にするのか、こうした具体的なビジョンを明らかにすべきではないかと思うのですが、この点はどうでしょう。
#199
○小沢(辰)政府委員 おっしゃるとおりで、先ほど神田先生の御質問にもございましたが、私どもは、ただいま生産性の目標につきまして、農政審議会に私どもの考えも示しながら諮問をいたしております。答申をいただきまして、それぞれの農業種類ごとのそうした目標、ビジョンをつくり上げたい、かように考えております。
#200
○樋上委員 地価や都市の雇用条件、農業金融や税制に手をつけずに、農地法だけをいじくっても農地は流動しない、こう思うのですが、この点どうですか。
#201
○小沢(辰)政府委員 最初に御答弁申し上げたことでございますが、確かに一つの大きな問題は地価の問題で、土地の規模の拡大というものが阻害されておることは事実でございますけれども、しかし、やはり今日の改正法のようなことで促進をはかってまいらなければいかぬことも事実でございますので、ぜひ御協賛をいただきたいと思うわけでございます。
#202
○樋上委員 農地の流動は、十年後の新旧世代の交代期まで絶望という意見を述べる者もあるのですが、政府は農地の流動、規模拡大ということにどのような見解を持っておられますか。
#203
○中野政府委員 御指摘のように、学者あるいは評論家の方々で、農地の流動化が本格化するのは昭和五十年代に入って、世代交代が行なわれてからだということがよくいわれます。
 しかしながら、現実の事態を見ていただきましても、現在でも売買、貸し借りで全国で、都府県だけでも七万五千ヘクタールというものが流動化しております。それをどういう方向で持っていったほうがいいかという問題はあるといたしましても、それまでの間は流動しないということではございません。ただ、そのテンポが徐々に進むだろう、こういうことでございます。
#204
○樋上委員 これら経営面積を拡大するための農地の購入に対しては、その状況に応じ、金融措置の緩和などの施策を講ずるべきだと思うのですが、政府はその点どういう意思がありますか、お伺いしたいと思うのです。
#205
○中野政府委員 この問題につきましては、午前中美濃先生ともるる御議論があったわけでございますが、われわれとしましては、農林漁業金融公庫資金のワクの拡大、それから条件をもう少し緩和するとか、いろいろな問題があるかと思いますが、そういう面から、農家の土地取得に対する援助をはかりたいと思っております。
#206
○樋上委員 新規に農地を買って規模を拡大したくとも、高米価や都市計画の影響などで、地価は年々値上がりに拍車をかけております。したがって、農地を買っても採算の合わない勘定になるが、政府としてはどのように考えていらっしゃるか。
#207
○中野政府委員 地価問題は非常にむずかしい問題でございますが、われわれとしましては、やはり農業をやっていく以上は、農業の採算に合う価格で買えるようにしたいというのが原則的な考え方でございます。
 それを、直接統制でやるというのは非常にむずかしいわけでございますので、やはり農業をやるべきところ、あるいは都市化をしていくべきところ、これの土地利用区分を非常に明確にいたしますと、思惑的な農地の価格というものもだんだん冷えてまいりますので、順次農業の採算に合うような価格の地帯をふやしていきたい、こういう考え方で進めていきたいと思っております。
#208
○樋上委員 もう結論に入りたいと思いますが、転用後の利用状況ということについては、どのようになっているか。
#209
○中野政府委員 現在、農地法によります転用の取り扱いの中で、先生御指摘のように、転用の許可を受けてもそのままほっておくというのが若干あるわけでございます。これに対しましては、昨年でございましたか、そういう御指摘もいろいろありましたので、通達をいたしまして、そういう転用事業者に対する警告を発して、計画どおり工場なら工場、住宅なら住宅をつくれという指導を、現在やっておるわけでございます。
#210
○樋上委員 これは埼玉県農業会議の調査ですが、四十三年の三月で、農地法の四条許可どおり着工したのは七二・九%、農地法五条転用が四四・六%、それから許可の一部変更というのが、農地法四条転用が一四・六%、それから農地法五条転用は一〇・一%、それから計画を全部変更というのが、農地法四条転用が三・一%、農地法五条転用は一・三%、着工していないが、農地法四条転用が九・四%、農地法五条転用は四四%、こういうぐあいになっているんですね。ですから、農地法の四条転用と五条転用とによって工事の着工状況に大きな差があると思うのですが、現状はどうでしょうか。
#211
○中野政府委員 埼玉県農業会議の調査、私、直接存じませんが、いまの先生の数字を伺っておりまして感じましたのは、四条の転用は、本人が農地を農地でなくする場合でございますから、そこにうちを建てたり工場を建てたりするのは非常に簡単でございます。しかし、五条のほうは、そういうことをやるために、農家と工場を建てる工場なら工場がありまして、それの売買の許可でありますから、その許可を受けたあとで工事に着工するということでありますので、若干はおくれてくるかと思います。
 それから、御指摘のように、こういう場合に、当初の計画どおりやらないで相当放置してあるのがあるわけでございます。先ほど申し上げましたように、そういうものに対しては警告を発しておるわけでございます。
#212
○樋上委員 五条転用は、工場、宅地などを建設するためにとりあえず用地だけを確保しようとし、そしてまた用地取得後、資金繰りなどにより計画を変更したり、申請どおり工事が行なわれるものが少ないと聞いているのですが、こういうことば事実ですか。
#213
○中野政府委員 農地の転用の許可にあたりましては、工場を建てる場合、具体的な工場の建設計画、資金計画も含めましてとっております。したがいまして、先ほどの数字にもございましたし、われわれの調査によりましても、そんなに用地取得だけをしておいてほっぽらかしておるというのが多いとは考えておりません。あるいは、ありましても一割とか一割何分というような程度ではないかと思います。
 これの中で、大きな工場になりますと、経済事情の変動によりまして、あるいはその会社がつぶれるということで転用できないという事例も若干はあるかと思いますけれども、大部分は目的どおりやっているというふうにわれわれ見ておるわけでございます。
#214
○樋上委員 未着工の理由は何かということは、御調査になったことはありますか。
#215
○中野政府委員 全国一斉調査はやっておりませんけれども、この問題は、かつて若干国会でも問題になりました節、われわれも調査をいたしましたところ、大部分はやはり資金不足であります。だから、経済事情の変動との関連がかなり見受けられると思います。
#216
○樋上委員 四条転用についてはほとんど問題はないのですが、五条転用については、資金難が五九・四%、それから病気などの事故五・七%、建設会社の都合が八・四%、その他が二六・五%、こうなっているのですね。だから、資金難による工事の遅延が多いように思うのですが、この点はどうでしょうか。
#217
○中野政府委員 先ほども申し上げましたように、資金難の場合がかなり多いようでございます。
#218
○樋上委員 それで、資金難に関しては、転用許可の時点でチェックができていないのではないか。すなわち、申請者の事業内容を深く検討すべきではないか、こう思うのですが……。
#219
○中野政府委員 われわれとしましても、転用許可をいたします場合に、資金計画等もとりまして、十分審査をしておるつもりでございますが、今後とも、その資金計画が真実であるかどうか、厳重に調査をした上で許可をいたしたいと考えます。
#220
○樋上委員 未着工のものについては、今後の見通しがついているのか。その状況は、常時農林省においてはつかんでいらっしゃるのかどうか。
#221
○中野政府委員 先ほど申し上げましたような事態が起きましたので、われわれとしましては昨年から、未着工のものにつきましては、三カ月に一度はその状況を報告しろということで、現在運用をしておるわけでございます。
#222
○樋上委員 いまの未着工のものについては、常時農林省でつかんでおるかということを申し上げましたが、こちらで調査しますと、一年以内に着工できるものが四二・三%、見通しが立たないが五七・七%あるのです。見通しの立たないものはどのくらいあるか。先ほどの埼玉県の農業会議の調査の場合では五七・七%ある。都市近郊ほど農地転用後の利用が放置されている例が多いのですが、なぜか、またその対策はどうするかということが問題なんですね。
 農地転用の目的別に見た工事の着工状況も、目的によって格差があるように考えるのですが、この点どうでしょうか。
#223
○中野政府委員 転用の場合に、農林大臣許可と知事許可とがございますので、われわれのほうとしまして全部を把握しておりませんし、私が先ほどから申し上げておるのは、主として農林大臣許可の分でございます。埼玉県農業会議の場合は両方が入っているかと思いますが、百坪とかあるいは百五十坪とかいう個人の住宅の許可につきましては、普通一年以内という許可条件をつけております。
 しかし、その中でかなりのものが、いま御指摘のように、その期限の延期をいろいろ地元と折衝してやっておるというような状況もございます。そういうようなことで、工場を建てる場合、個人が住宅地にする場合、かなりその辺の状況は違っておるかというふうにわれわれも思います。
#224
○樋上委員 一般個人住宅は四三・三%が許可どおり着工、それから工場用地は五〇%が許可どおり着工、道路、水路などでは三五%着工、農業用施設が七五%で、この道路、水路等の六〇%が未着工であり、農業用施設が二五%が未着工、こういうことになっているんですね。
 そこで、農地転用の正常な活用、指導を強めることに終始するのか、また規制事項を設けるつもりか、その辺の見解を聞かしていただきたい。
#225
○中野政府委員 御指摘のような事態は、都市周辺各県にあろうかと思います。
 そこで、われわれといたしましては、今度の農地法の改正で、お願いしております一つといたしまして――現在の転用行政の運営は、事実上行政指導でやっているわけでございます。農林大臣なり都道府県知事の権限が、法律上は明確にはなっておりません。そこでわれわれとしましては、法律の改正をいたしまして農林大臣なり知事が、無断転用の場合なりその他の場合には、許可を取り消したり、あるいは条件を変更しましたり、新しく条件をつけたり、場合によっては工事の停止を命じたり、いろいろなことをやりたいというふうに考えまして、改正法案の八十三条の二で、違反転用に対する処分の規定を新しく設けたわけでございます。
#226
○樋上委員 最近の経済、産業の発展は、都市近郊の農村地帯や、神奈川、埼玉、愛知など都市の隣接県にも進出し、優良農地を侵食している状態にあるのですが、この現状をどう見ますか。
#227
○中野政府委員 経済の発展によりまして都市近郊が、いま御指摘のような事態にあることはそのとおりでございます。
 そこでわれわれといたしましては、都市計画法が先般の国会で通りましたので、近くそれが施行になりますので、その運用によりまして市街化区域と市街化調整区域とを分けまして、農業上それから都市利用上、その辺の利用区分を明確にした上で、農業としての施策を進めていきたいと考えております。
#228
○樋上委員 これらの優良農地を有する市町村でも、経済第一主義の立場から企業の誘致条例をきめて、工場の誘致に全力を注いでいるが、農地保存の観点からどう見ているのか。また農林省、県などとこれら市町村の間に、考えが一致しない場合が多いように思うのですが、どう対処していくのですか。
#229
○中野政府委員 都市周辺で土地をめぐる問題は、いま御指摘のように、市町村の考え方、農家の考え方、あるいは企業側の考え方とが違うと思います。その辺を今度調整いたしまして、市街化区域、調整区域を分けてくるわけでございますが、農林省といたしましては、その区域を分ける場合に、優良な集団的な農地につきましては、市街化区域に含めないのを原則にしたい。それから、土地改良事業を実施中のところも、同様に市街化区域に入れないということで運用をいたしていきたいということを現在考えておりますし、近く都市計画法が実施になりますと、そういう方針で都市周辺は全部やっていかなければならないわけでございます。
#230
○樋上委員 特に、国が農業構造改善事業などを実施した地域においても、これら工場などへの転用申請が著しいと聞いているのですが、その事実があるのかないのか、また対策はあるのか、その点をお伺いしたいと思います。
#231
○中野政府委員 構造改善事業だけに限りませず、土地改良事業をやったところが宅地化するということはあります。これを全面的に拒否することは、経済の発展に対してむずかしいかと思います。
 しかし、せっかく構造改善をやり土地改良をやりましたところを、事業が完了したらあくる日からそこを宅地にするというのは、これは非常に国費なり農家の投資としてもむだでございますので、われわれはそういうことばやらしたくございません。農林省としましては、そういうところは市街化区域にしない、宅地化を認めないという方針でやっておりますし、現在の農地転用の運用といたしましても、そういうところは第一種農地と考えまして、原則的には許可をしないということにしております。
#232
○樋上委員 政府がばく大な資金を投入して改善した優良農地でも、転用申請があれば許可をする場合があるのか、またその条件はどうなのか。
#233
○中野政府委員 先ほど申し上げましたように、全然許可しないということはございませんけれども、現在の農地転用の許可基準によりましても、第一種農地、これは集団的な優良農地でございますが、これは原則として許可をしないということになっております。そして第三種農地、これは市街地に近いとかあまり生産力が高くない、こういうところを優先して許可をしております。実際のパーセンテージをとりましても、第一種農地はわずか数%程度しか許可をしておりません。大部分が第三種農地で、次が第二種農地、これはちょうどそのまん中くらいのところの農地でございますが、そういうところに許可が集中しております。
#234
○樋上委員 政務次官にお伺いしますが、農林省はこれら農地転用の許可を、直接の事務処理を地方農政局に一任されておるのですか、どうですか。
#235
○小沢(辰)政府委員 現在は、全部地方農政局に移管をいたしております。
#236
○樋上委員 農林省はことしになって、優良農地保存とせっかくの農業投資をむだにしないよう、構造改善事業終了後八年間は原則として転用を認めないという通達を出しているが、その後の状況はどうなっているのですか。
#237
○中野政府委員 ただいま御指摘の問題は、私が先ほどから御説明しておりますように、都市計画との調整上の農林省の態度でございます。それで、現在事務的な調整を県段階ではやらしておりますが、正式に都市計画法ができますれば、いま御指摘のように優良農地、それから土地改良が済みましたあと八年間は、原則として認めないということでやっていきたいと考えております。
#238
○樋上委員 終わります。
#239
○丹羽委員長 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#240
○丹羽委員長 では速記を起こしてください。
 次回は明五日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時二分散会
ソース: 国立国会図書館
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