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#1
第061回国会 社会労働委員会 第5号
昭和四十四年三月二十日(木曜日)
   午前十時十九分開議
 出席委員
  委員長 森田重次郎君
   理事 澁谷 直藏君 理事 竹内 黎一君
   理事 谷垣 專一君 理事 橋本龍太郎君
   理事 渡辺  肇君 理事 田邊  誠君
   理事 田畑 金光君
      海部 俊樹君    齋藤 邦吉君
      世耕 政隆君    高橋清一郎君
      中山 マサ君    藤本 孝雄君
      増岡 博之君    箕輪  登君
      枝村 要作君    加藤 万吉君
      島本 虎三君    西風  勲君
      八木 一男君    八木  昇君
      山田 耻目君    山本 政弘君
      本島百合子君    大橋 敏雄君
      伏木 和雄君    谷口善太郎君
      關谷 勝利君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 斎藤  昇君
 出席政府委員
        人事院事務総局
        職員局長    島 四男雄君
        厚生政務次官  粟山  秀君
        厚生大臣官房長 戸澤 政方君
        厚生省公衆衛生
        局長      村中 俊明君
        厚生省医務局長 松尾 正雄君
        厚生省児童家庭
        局長      渥美 節夫君
        厚生省保険局長 梅本 純正君
        社会保険庁医療
        保険部長    加藤 威二君
        運輸省船員局長 高林 康一君
 委員外の出席者
        大蔵省主計局主
        計官      辻  敬一君
        厚生省医務局看
        護課長     永野  貞君
        厚生省医務局管
        理課長     山高 章夫君
        労働省労働基準
        局監督課長   細野  正君
        専  門  員 濱中雄太郎君
    ―――――――――――――
三月十八日
 最低賃金法案(河野正君外十一名提出、衆法第
 一三号)
同月十九日
 児童扶養手当法及び特別児童扶養手当法の一部
 を改正する法律案(内閣提出第五九号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 小委員会における参考人出頭要求に関する件
 厚生関係の基本施策に関する件
     ――――◇―――――
#2
○森田委員長 これより会議を開きます。
 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。
 障害者対策小委員会において、障害者対策に関する件について調査のため、参考人より意見を聴取いたしたいとの申し出がございます。これを許すに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○森田委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
 なお、日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○森田委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
     ――――◇―――――
#5
○森田委員長 厚生関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。山本政弘君。
#6
○山本(政)委員 本論に入ります前にちょっとお伺いしたいことがございます。
 厚生省のほうで「看護婦確保対策費関係予算」というのがあります。その欄の中で国立療養所看護婦再教育費というのがありますけれども、これは前年に比べて大幅に削減されておるのです。四十四年度は、私のこのいただいた数字に間違いがなければ、一万九千円になると思うのですけれども、これは間違いございませんか。
#7
○松尾政府委員 国立関係の再教育費六百二十二万五千円が減額になっておりますのは、これは一般会計で組んでおりましたものを特別会計に移行いたしました関係で、特会のほうに移したものでございます。
#8
○山本(政)委員 特別会計では、それではどこにありますか。
#9
○松尾政府委員 細部の資料がございませんけれども、療養所勘定の中の看護婦養成費の中に入っているはずでございます。後ほど調べてもう一度お答えいたします。
#10
○山本(政)委員 それではおことばどおり受け取ることとしまして、看護教員の養成費は十五万二千円増額しただけですね。それも数字として間違いありませんね。
#11
○松尾政府委員 まことに申しわけありませんが、こまかい細目表を持っておりませんので、後ほどお届けを申し上げたいと存じます。
#12
○山本(政)委員 それではお伺いいたしますが、国立療養所の看護婦の再教育費が、かりに一般会計でもけっこうでございます、一万九千円でどれだけ全国に再教育がやれるのか、そのお考えをひとつお知らせいただきたいと思います。一万九千円で全国の看護婦さんの再教育をどのようにしておやりになるのか。
#13
○松尾政府委員 一万九千円の再教育費ということは、私はないと記憶いたしておりますが、実際は、各病院、療養所の看護婦を、それぞれのコースに応じまして集めて講習をやっているわけでございます。そのための旅費でございますとか講師謝金とか、いろいろなものを組んでおるわけでありますので、一万九千円で実施しているという計画は、私はないと存じます。
#14
○山本(政)委員 「看護婦確保対策費関係予算」ということで、実は昨日お届けをいただいたんで、そのときのあれですから、単位が千円ですから一万九千円になっているわけですよ。これは費目としてちゃんと国立療養所看護婦再教育費として一万九千円出ているのです。その御説明を一つお伺いしたいのと、それから、あなたのおっしゃるように、看護教員養成費で十五万二千円増額になっているんです。何人これで養成できるのか、あるいはどういうふうな要請で十五万二千円というものを増額なされたのか、この点について私理解がつかないのです。ですから、その点について松尾さんでもけっこうでございますが……。
#15
○松尾政府委員 十五万二千円というのは、講師料等の単価のアップというものによって増額をされた部分でございます。
 国立病院、療養所関係で養成いたしております数は、三年課程が四十八カ所で総定員が四千八百四十五人、それから進学課程が十七校で七百八十人、准看コースが五十八施設で二千三百九十人、合計八千十五人の定数で養成をやっておるわけでございます。
#16
○山本(政)委員 それでは、大蔵省のほうがお見えになったら具体的な根拠をひとつ質問さしていただくことにしまして、最近看護婦さんの不足がいわれております。それで私も昨年のたしか十二月十九日に本委員会でお伺いをしたと思いますけれども、そのときに、看護婦さんの不足がいわれてからもう十年近くになります、その中で解決の見通しが立っておらないということで私がお伺いしたのは、医療の需要の増加と、それから医師、看護婦の医育養成計画についてどういうふうにお考えになっておるかということをお伺いしたつもりでございます。しかしそれが現実には、予算面を見てもそういうふうになっておらないのですけれども、これは一体見通しが誤っておるのか。それとも計画が計画どおり実施されない状況にあったのかどうか。その点を、ひとつ簡単でけっこうでございますから、お伺いいたしたいと存じます。
#17
○松尾政府委員 先般もそのときに申し上げたかと存じますが、四十一年当時に、全国の病床等から計算いたしまして不足数を一応出して、それを漸進的に解消するという計画で、大体四十八年程度でバランスがとれるのではないかという計画でございました。その計画についてはほほ順調に養成人員がふえてきております。現在約三万人に近い卒業生を出しております。就業者も、その中で二万八千五百人程度が医療機関に就業するというところまでまいっておるわけでございます。
 ただ率直に申し上げまして、当時のいろいろな算定の中には、全国の医療機関の病床数全体をとらえまして、それに医療法上の計算というものを当てはめていろいろ算出した実績がございます。しかし、すでに御承知のとおりでございますが、看護婦の数を算定いたしますときには、やはり看護単位というものを基礎にいたしまして、その数によっていろいろ算定していかなければならぬという要素がございます。そういう点では、多少その計画に大まか過ぎた点があったのではないかというのが率直な反省でございます。
#18
○山本(政)委員 大まか過ぎると言われるが、鈴木善幸さんが厚生大臣のときに、これは昭和四十一年三月の参議院の答弁でございますが、昭和四十五年度の時点で看護婦は充足できるということを、四十一年三月二十六日、五十一国会、参議院予算委員会でおっしゃっておるのですよ。そしてそのときに、毎年二万五千人増加できる予定である、しかし同時に、いろいろな事情で一万人近くおやめになる、したがって純増は一万五千人であるけれども、昭和四十五年には百二万余にベッド数がふえるという推定をいたしておるということで、四十五年度の時点では看護婦さんは充足できる、こうお答えになっておるのです。そうして私が昨年の十二月にあなたにお伺いいたしたときには、四十八年に充足できる、こうたしかおっしゃったと思うのです。そうすると、四十五年に不足を解消すると言っておられたんだけれども、それが四十八年に延びるということになれば、これは計画というものがずさんであるとか大まかであるとかいうことでなしに、そのままなしくずしに延ばしてきておるのではないか、そういう感じがしてならないのです。その点いかがでしょう。
#19
○松尾政府委員 四十五年に充足ができるというお答えがあったということは私も承知しておるわけでございますが、私どもはそのときに配られた資料を見ますと、やはり四十八年に大体バランスがとれるという計画であったということでございます。したがいまして、私ども自身そのときの計画を逐次延ばしてきたという事実はないわけでございます。ただ、先ほど来申し上げましたように、その計画自体が不足に対して完全に妥当であったかどうかということは再検討を要するという段階でございます。
#20
○山本(政)委員 あのときの答弁で局長さんは、来年度の看護婦の養成の予算として、第一に、看護婦貸費生の補助金、昭和四十三年度六千四百四十人に対し約八千八百万円を、人員を倍にふやし、かつ奨学金の月額もふやし、二億九千八百万円要求している。第二は、養成所の整備の補助金、昭和四十三年度一億三千万円を約五億一千万円を要求し、特に高等看護学院の新設、増設をしていきたい、こうお答えになっているんですけれども、これは削減されたのではないか、私こういうふうに理解をしているんですけれども、あなたのおっしゃるような、飛躍的な改善として奨学金の三億円、整備補助金五億円の要求が、これは削減されたわけですね。それじゃ、それで増員計画は一体できるのですか、あなた方のおっしゃるように、四十八年までに、私は、四十五年にできない、そして四十八年にそれを延ばすというところに非常に矛盾を感じますけれども、かりにそれを譲るとしても、いま申し上げたように、奨学金、それから整備補助金を削減して、あなたのおっしゃるように、そして大臣のおっしゃるように――おっしゃったようにと言うほうが正確かもわかりませんけれども、それで充足できるのかどうか、その点でございます。
#21
○松尾政府委員 削減をされましたことは事実でございまして、来年の新設を前年の十三カ所から十五カ所に増額をいたしました。増築のほうは八カ所でそのままでございます。それから貸費生のほうは、昨年の四千四百四十名から六千九百八十五名というふうに増員をいたしておるわけでございます。
 これによりましてその四十八年計画が完全にそのままでいくかという問題でございますけれども、年によりまして多少の増減はございますけれども、いまのところ、就業人口というものが一年に大体一万五千人ふえております。これは先ほど先生のおっしゃったとおりの状態でございます。就業者と、それから自然減少、退職というものとの差し引きで、就業人口は大体一万五千人くらいふえておるということでございますので、そういう実績から判断いたしますれば、その当時の計画からいえば、何とか追いつくのではないか、こういうふうに見られておったわけでございます。
#22
○山本(政)委員 就業人口がふえているけれども、患者の数も飛躍的にふえておりますね。ですから、就業人口というのが飛躍的にふえなければ追いつかないはずですね。そうじゃございませんか。その点についての需給計画というのは、あなた方お立てになっているんですか。
#23
○松尾政府委員 その当時の計画の中でも、病床数の増加あるいは患者の増加というものは、一応推計に入れて計算をしておるわけでございます。ただ最近、一年間に四万二千ベッドほど平均して病院ベッドが増床しているという実績がございますので、そういう激しい医療の需要というものに対応いたしましては、御指摘のとおり、もっと大幅にやらなければ十分間に合わないというのが私どもの感じでございます。
#24
○山本(政)委員 大幅にやらなければならないということはお認めになったわけですね。
 それじゃお伺いいたしますけれども、四十三年の十二月十九日、これは参議院の大蔵委員会で北川次長は、看護婦の需給状況は相当に逼迫をしている。「看護婦になろうとする方々の供給面、つまりそういった若年労働力というふうなものの層が近年非常に激減をしてまいっておりますことも事実でございます。」ということをおっしゃっておるのです。しかし事実は私はそうじゃないと思うのですよ。看護婦さんになりたいという志願者というものはふえておると思うのです。あなた方の理解というものはどちらなんですか。減っているのか、ふえているのか。
#25
○松尾政府委員 最近数年間の看護婦養成所等の入学希望者の競争率は、御指摘のようにほとんど減少を見せておりません。三年課程で大体五倍から六倍、二年の進学課程で約二倍、准看では少し下がってまいりましたが、一・五倍という競争率であります。もちろんこれはかけ持ちがございまして、ほかの二つ以上の養成機関をかけ持っている志願数、あるいはほかの大学等々のかけ持ちの志願数というものも入っておりますので、絶対数がそのままだとは言いにくいかと存じますけれども、その傾向からいえば、決して志願者自体は減少いたしておりません。ただ、北川次長が前に言われましたのは、やはりベースになりますそういう若年労働者というものは減ってくるということだけは事実でございますので、そういうものの中からやはり看護婦というものに魅力あらしめるような配慮をしなければいけない、こういう趣旨でそのときお答え申し上げたと存じております。
#26
○山本(政)委員 北川さんのことばをそのまま受け取ったのだとしましたら、なおさらのこと、いまのうちに増員をしなければならないはずでしょう。あなたは五倍から六倍と言っているのですけれども、過去三年間は、四十一年が六・三倍、四十二年が六・一倍、四十三年が六・五倍ですよ。志望者は非常にふえておるわけです。それから准看さんについても、一・五倍とおっしゃっているけれども、四十一年は一・九倍、四十二年は一・六倍、四十三年は一・七倍です。だから、志願者はふえておるにもかかわらず、あなた方のほうでそういうふうに――これは予算の関係もあるでしょう。あとから辻さんにお伺いいたしたいと思うのですけれども、現実に行政面でふやそうとなさっておらないのですよ。だから看護婦さんが足らぬというこにとなっていろんな問題が起きてきているのです。北川さんのことばというのは、私はそのままに受け取りたいのですけれども、しかしあなたがおっしゃるように、先々のそういう若年労働力が減るということをおそれるのだったら、いまの段階で、つまりここ二、三年のうちに、すぐそういうようなことが予想されるのだったら、もっとふやすべきでしょう。しかし、それをふやしておらない、あるいはふやそうとしておらない態度に対しては、私は非常に疑問を抱くのです。その点についてはどうなんです。
#27
○松尾政府委員 私どもも、そういういろいろな条件がいわれておるにもかかわらず希望者が相当多いという事実に対しまして、その全員というわけにはまいらないと思いますけれども、その中の適格者というものはできるだけ吸収したい、これは私どものほんとうの念願でございます。したがいまして、やはり養成施設を拡充したいという希望も強く持っております。また各施設におきましても、その収容数と申しますか、入学充足率というものを十分にひとつ配慮していただきたい、一人でもよけいにとれる人間はとっていただきたい、こういう形でできるだけの努力をして吸収したいと思っておるわけでございます。ただ、御指摘のように、それだけの希望者がございますけれども、なお不合格者として排除しなければならないという事実がございまして、人員を拡大する上においてはまことに惜しいという気持ちは率直にいたしております。
#28
○山本(政)委員 つまり私はあなた方が努力をしているということに対して実は疑問を抱くわけです。たとえば四十二年度の看護婦養成貸与金補助、これは件数にして五千八百五十件、金額にして八千万円です。そして四十三年度は、件数にして六千四百四十件、金額は八千八百万円しかあがっていない。それから四十四年度では、件数は六千九百八十五件、金額は九千六百万円。比率からいえば、同じような比率、むしろ逓減をするとすら考えられるような比率でしかあがっていないのですよ。件数の増加に対する金額の増加というものの比率を出してごらんなさい。問題は大蔵省にあったのかもしれません。だから大蔵省の方々に対してはあとから質問するつもりですけれども。しかし、あなた方は努力していると言うけれども、努力の結果は数字としては出てないのですよ。志願者が多いにもかかわらず、その志願者を収容することができない。あるいは看護婦の養成の件数がふえているにかかわらず、金額的にはふえてない。それは努力のあとがないということでしょう。どうあなた方が強弁なされようとも、そういう実績が数字として出てこない点について私は疑問を抱くのですよ。四十四年度にかなり上がったというのだったら、それはそれなりに私は理解できます。しかし過去にさかのぼってみて、三年間も四年間も同じという傾向というものは、これはあなた方が、行政的には惰性でお考えになってそういう言い方をしているのかもしれませんけれども、そういうやり方でしか行なってきてないのではないですか。つまり取り組みに対する熱意というものが非常に欠けている。だからそのしわ寄せが看護婦さんとかあるいはその他医療従事者に出てくるのではないですか。その点いかがですか。
#29
○森田委員長 医務局長、なるべく大きい声で言ってください。
#30
○松尾政府委員 御指摘のような状態でございまして、私どもも決してこれで十分努力の結果があらわれているというふうに感じるものではございません。ただ、先ほど来申し上げましたような一応の需給計画というものがあって、それをベースに乗せようという計画があったことは事実でございます。むしろ、そういうような計画自体をもう一度私どもは洗い直しまして、そして新しい姿でこれに対応する措置を考えなければならない、そういうような気がいたしておるわけでございます。そういう点においては、計画自体のほうに、むしろいま御指摘の、惰性的だといわれるような要素があったのではないかというふうに反省いたしております。
#31
○山本(政)委員 私は惰性的だということばを申し上げましたけれども、参考に申し上げましょう。厚生省と文部省が政府に対して予算を出しているのです。そして人事院判定実施のための要求を出して、四十四年の予算で厚生省は、二千百名を三カ年計画で、第一年度として七百名要求されましたね。文部省は、千九百名を五カ年計画で、第一年度として三百八十名を要求された。
 そこで、ちょっと看護課長さんにお伺いしたいと思うのですが、看護婦さんの数というのは厚生省関係で約一万八千名くらいだと思うのです。正確な数字はけっこうなんですが、そのくらいですか。
#32
○永野説明員 看護婦と准看護婦と合わせて二十五万三千人が働いております。
#33
○山本(政)委員 間違いありませんか、その二十五万三千人という数字は。
#34
○永野説明員 いま私が申し上げましたのは、全国の働いている看護婦、准看護婦の数でございます。
#35
○山本(政)委員 厚生省関係では一万八千人くらいだと理解しておるのですけれども……。
#36
○松尾政府委員 国立病院、国立療養所合わせまして一万八千四百九十四名、これが四十四年の数字でございます。
#37
○山本(政)委員 文部省の大学関係の看護婦さんは八千人なんですよ。あなたのほうの要求は、一万八千人に対して二千百名です。片一方は八千人に対して千九百名要求しているというのですよ。惰性でなくて私は怠慢だと思うのです。一万八千名に対する二千百名の要求と、八千名に対する千九百名の要求では、比率を出してみても非常な違いがあるでしょう。そうじゃございませんか。そういう態度に私は問題があると思うのです。惰性とかなんとかいうことよりも、要するに医療という問題に対する姿勢として非常に大きな問題があるということを私は指摘したいのですよ。その点どうです。
#38
○松尾政府委員 この要求に対しましては、文部省と厚生省との間ではそれぞれ積み上げのしかたが違うかと存じます。したがいまして、結果としてはそういう比率において差があるようになっておりますが、私どものほうでは、国立病院や療養所の夜勤状態あるいは勤務状態というものから割り出しをいたしまして、この程度で大体解消するという算出をやったわけでございます。したがいまして、文部省のほうの大学病院等では、またそれぞれ積み上げて各大学からの要求をおまとめになったものと考えております。
#39
○山本(政)委員 私は、夜勤とかなんとかいうことでなく、それはあとで御質問したいと思うのですけれども、つまり納得がいかないのは、一万八千名の看護婦さんがおるわけですね。ということは、国公立病院というのですか、要するに厚生省関係の病院というものは、文部省関係の病院よりもはるかに多いし、看護婦さんも必要とするのではないだろうか。だからその比率だけをとってみると、一万八千名に対して二千百名というのは、大体二十六分の一ですよ。文部省の場合には八千人に対して千九百名。だから要求の人員からいえば三百人足らぬだけです。しかし看護婦の人員からいけば一万名違うのですね。文部省は二十一分の一になりますよ。
 それは積み重ねのやり方といいますか、あなたのおっしゃる試算といいますか、そういう考え方が違うのではなくて、基本的に違うものがあるのですよ。二人夜勤と夜勤八回というものを文部省は考えて、そして試算をお出しになっているのです。しかしあなた方のほうは、夜勤を八日にするというだけで、二人夜勤とかなんとかいうことをお考えになってないのですよ。その差がここに出ているのです。計算をしてごらんなさい、そういうふうになります。だから考え方に問題があるというのです。私は文部省を是とするのじゃありませんよ。文部省だって非常に少ない。しかしそれ以上に取り組みの考え方というものは、あなた方にあやまちがあるのか、あるいはネグレクトしているのか、どちらか態度としてあるのではないか、そういうことを私は申し上げたいのです。これはあなた方がそこまでお考えになった上の積算かどうか。あなた方が積算してこういうことをお考えになって、つまり二人夜勤と八日という文部省のような方から要求を出したのであれば、私はそれなりにもう一ぺんお伺いしたいことがあるのです。しかし、夜勤八回ということで出して、この数字で間に合うというのだったら、それはおかしいでしょう。現在最大の問題になっているものを解消するという意図があなた方にはないということになるのじゃありませんか。その点はどうです。
#40
○松尾政府委員 この算出の中には、御指摘のように、まず八日というものの解消ということを主体にいたしまして計算をしております。二人夜勤の問題については、病棟集約等のいろいろな整備状態というものと合わせてなお続けて考えていきたい、こういうことで、御指摘のように、夜勤回数の減少ということを重点に置いた積算でございます。
#41
○山本(政)委員 それで間違いないですか。管理課長でもけっこうですけれども、もう一ぺん説明してください。
#42
○山高説明員 ただいまの点について申し上げますと、四十四年度の看護婦の定員要求につきましては、さしあたり人事院判定を実施するために、まず夜勤回数八回を第一に置きまして、それを御指摘のように三回で年次計画をもって実現したい。一人夜勤の問題につきましては、これは病棟集約その他十分に検討して今後やっていきたいということでございます。
#43
○山本政委員 だから、文部省は二人夜勤ということで予算を要求されておるのですよ。あなた方は八日間の夜勤ということをお考えになっていますけれども、その中には一人夜勤ということしかお考えになっていないことの差が数字になって出てきているのですよ。もしもあなた方が二人夜勤ということをお考えになってやるならば、四千名をこす要求人員が出てくるはずなんですよ。そういうことが結局は、私は辻さんがおられるからあえて申し上げるのですけれども、査定に響いてくるのです。
 看護婦さんの話に戻りますけれども、これは朝日の四十四年の三月十二日、ついせんだってのことです。永野さんのお話で、「看護婦養成の定数のワクを広げることはもうこれではできない」、こう言っておられるのですよ。しかも国立病院に付属する高等看護学院の志願率というのは、国府台では十一倍ですよ。浜松病院は十三倍、小倉病院は十二倍、福岡十一倍、久留米は二十九倍です。そして刀根山の病院は十六倍、再春荘は十六倍。看護婦さんになりたい御希望の方はたくさんいるのです。しかも非常にまじめな気持ちで、これを聖職としてとらえて、なりたいという方があるのです。それに対して、それを受け入れる側について、惰性というよりもむしろ考え方の姿勢の中に問題がある。それを改めてもらいたいと私は思うのです。大臣がお見えになったら私はあらためてお伺いしたいと思うのですが、その点の局長さんのお考えをひとつ聞きたいと思うのです。
#44
○松尾政府委員 御指摘のとおり、志望者がたくさんおりまして、しかも一方看護婦不足という事態でございまして、先ほど来申し上げましたように、私どもとしましても、それをできるだけの施設をつくりまして受け入れたい、これが私どもの気持ちでございます。
#45
○山本(政)委員 辻さんがお見えになっているようですからお伺いいたします。
 もとに戻りますけれども、「看護婦確保対策費関係予算」の中で、国立療養所看護婦再教育費一万九千円が計上されております。一万九千円で全国の国立療養所の看護婦さんの再教育というものをどういうふうに具体的におやりになるのか、私ちょっとお伺いしたいのです。
#46
○辻説明員 ただいまお尋ねの国立療養所の看護婦の再教育費でございますけれども、一般会計におきましては、らい療養所の分を一万九千円計上いたしておりますが、その他の結核療養所、精神療養所の分は、国立病院特別会計の療養所勘定に六百二十二万五千円計上いたしております。それを合わせまして再教育の実施に当たる、こういうことでございます。
#47
○山本(政)委員 私には六百二十二万という数字が見あたらないのですが、これはどういう事項で計上されておるのですか。
#48
○辻説明員 これはただいま申し上げましたように、国立病院の特別会計の中の療養所勘定の中に経費として六百二十二万五千円計上になっておるわけでございます。
#49
○山本(政)委員 そうすると、一般会計で一万九千円というものは、これは私はある場合にはゼロにひとしいと思うのですけれども、なぜそういう――おそらく主計官の小づかいぐらいだと思うのですけれども、それをあげた理由をひとつ御説明願いたいのです。わからぬのです。一万九千円というものを全国の再教育費に出したその意味がわからないのですよ。百九十万というならまだわかる。だけど、一万九千円という数字がなぜ出されたのか。
#50
○辻説明員 これは御承知のように、従来療養所は一般会計に計上しておりましたけれども、四十三年度から、結核療養所、精神療養所につきましては国立病院特別会計に移管をいたしたわけでございます。そして、ただいま療養所といたしまして一般会計に残っておりますのは、らいの療養所が全国で十一カ所でございますが、その分だけでございます。したがいまして、予算の計上といたしましては、らいの療養所の分は一般会計、結核療養所、精神療養所その他は特別会計に計上するほうが適当でございますので、そのように組んでおるのでございますけれども、要するに合わせまして六百二十四万四千円の予算が療養所関係の看護婦の再教育の経費である、こういうことでございます。
#51
○山本(政)委員 わかりました。
 そうすると、しつこいようですがお伺いいたししますけれども、全国のらい療養所十一カ所ですか、それに対して一万九千円をどういうふうにお使いになるのか。私どうも理解できないのですよ。それだけだったら、いっそのことなぜ国立病院特別会計に入れないのですか。国立病院特別会計でけっこうじゃありませんか。このらい療養所だけを分けた理由というのはどこにあるのですか。
#52
○辻説明員 これはらい療養所の性格によるわけでございまして、結核療養所その他でございますと歳入というものがございますが、らい療養所につきましては、そういう歳入がございませんので、そういう性格にかんがみまして去年一般会計に残したわけでございます。ただいまこの一万九千円の積算の根拠を私ちょっと持っておりませんけれども、おそらく療養所の看護婦さんの再教育のための出頭の旅費であるかと思いますが、らい療養所の中で再教育を受ける看護婦さんが、再教育の場所まで出頭する旅費を計上しておる、こういうことだろうと思います。
#53
○山本(政)委員 そうすると、やはり再教育が必要だから一万九千円お出しになったということですか。つまり看護婦さんの再教育というのはやはり必要なんですか。これは皮肉な聞き方をするようでございますけれども。
#54
○辻説明員 先ほどから申し上げておりますように、療養所の看護婦の再教育の経費としては六百二十四万四千円でございまして、予算の計上の区分といたしまして、一般会計と特別会計に分けて計上しておる、こういうことに御了承いただきたいと思います。
#55
○山本(政)委員 だから、あなたは六百二十四万ということでお逃げになっておりますけれども、それではお伺いいたしますが、一般会計で四十三年度と四十四年度と比べてみますと、看護婦さんの講習会等経費というのは逆に減っているのですよ。五百九万九千円あなた方はマイナスされておるのですよ、教育費が必要だと言いながら。もっとも一万九千円というそういう教育に対する経費――旅費か何か知りませんけれども、それだけしかあげられないからここで削減をされたのかもわかりませんけれども。あなた方は六百二十四万円あげておると言うけれども、片一方では講習会費を大幅に削っておるじゃありませんか。
#56
○辻説明員 ただいまお話のございましたように、講習会等の経費で見ますと、五百九万九千円の減になっておりますが、これは実は四十三年度の予算の中に、結核、精神療養所等の、ただいま御説明申し上げました看護婦の再教育費六百二十四万四千円というものを一般会計の方で計上していたわけでございます。しかし、予算の計上区分としては必ずしも適切ではございませんので、四十四年度からこの分を、先ほど申し上げましたように、国立病院特別会計の療養所勘定に移したわけでございます。なおこの財源は、御承知のように、療養所につきましては収入の差額を見ることになっておりますので、その分は一般会計繰り入れの中で見ておる、こういうふうに御了承いただきたいと思います。
#57
○山本(政)委員 それでは辻さんにお伺いしたいのですけれども、昨年の暮れに私がお伺いしたときに、定員を全体として増加することを抑制するという方針もございますからということで、あなたは私の質問に対して答弁をあいまいにされました。私は再度確認したけれども、いまでもその看護婦さんの問題に対してはそういうお考えをお持ちですか。
#58
○辻説明員 国立病院あるいは国立療養所の看護婦さんの増員の問題につきましては、御承知のように、四十四年度におきまして二百六十一名、夜勤体制の改善ということで増員いたしております。そのほか、新生児の看護強化のため七十人という増員をいたしまして、全部合わせますと、総体といたしまして看護婦さんの数は四百四十一名ふえるということにしております。なお全体としては、公務員全般の定員を抑制するという方針があることは御承知のとおりでありますけれども、看護婦さんにつきましては、問題があることでございますので、重点的に増員をはかっておる、かようなことになっております。
#59
○山本(政)委員 国立病院と療養所の四十四年度の増員というのは何名ですか。
#60
○辻説明員 国立病院におきまして百六十六名、それから国立療養所二百六十四名、らいの療養所が十一名、合計いたしまして、先ほど申し上げました四百四十一名ということになっております。
#61
○山本(政)委員 らいの療養所のほうは別として、国立病院、国立療養所で四百三十名になりますね。四百三十名というのは、病院の大小の規模にもよるでしょうけれども、増員が平均二人回りますか。飛躍的な計画をお立てになる厚生省が、一病院当たり一名もしくは二名の増員で、今後四十八年までにあなた方の計画というのを遂行できるとお考えなんですか。
#62
○山高説明員 ただいまの御質問でございますが、今年度の看護婦の増員につきましては、人事院判定の実施につきましては、一施設平均一名、そのほかに新生児看護で七十名ということになっております。新生児看護については、まず来年度は、さしあたり夜勤体制の著しく多い施設の解消につとめてまいりたい、かように思っております。
#63
○山本(政)委員 私がお伺いしたいのは、一病院当たり平均一名もしくは二名ぐらいのことでそういうものが解消されるのかどうか。要するに、四十八年までの計画がそういうことで推し進められていった場合に、あなた方はそういうことで悩んでおられると思うのですけれども、看護婦の不足というものが充足されるのかどうか。絶対充足できませんよ。辻さんはうなづいておられるけれどもあなたは病気になった場合に――率直に言いますよ、差額ベッドに入れるかもわからぬ。だけれども、差額ベッドに入れない人は、あなた方どうするのですか。一病院一名もしくは二名ぐらいの割り当てで予算を計上するという神経がわからぬというのですよ。もっと大幅に要求できない厚生省の神経も、私には理解できないというのですよ。そういうことに対する答弁を、あなた方にきちんとしてほしいと思うのです。
#64
○松尾政府委員 先ほどの三年計画の数字で見ましても、なお十分でないという御指摘がございました。したがいまして、第一年度として入ったものが、三カ年間で十分このままで消化できるという数字でないことは、御指摘のとおりでございます。
#65
○山本(政)委員 大臣がお見えになるのがおくれているので、次官にお伺いしたいのですが、私は、次官も看護婦さんの問題を同性の問題としてお考おえになっていると思うのですけれども、これだけずさんな計画といいますか、これは私に言わしたら、やはり怠慢だと思うのです。そうして大蔵省自身も、率直に申し上げまして、たいへん非協力的だと思うのです。そのことに対して、次官としてどういうお考えをお持ちになるか。
#66
○粟山政府委員 この看護婦さん対策は、看護婦さん自身の問題としても、患者さんの問題としても、たいへん重要な問題だと思います。いままでの計画が当を得てないということは確かでございますので、目下いろいろな面から総合的な検討を進めております。これを早くしっかりした結論を得まして、そうしてこの看護婦さんの不足に対するはっきりした対策を打ち立てて実行するようにつとめたい、そういうふうに考えます。
#67
○山本(政)委員 時間がないようですから、看護婦さんの夜勤制限と人事院の夜勤判定についてお伺いしたいと思うのですけれども、全逓の中郵事件の判決がございました。御記憶だと思いますけれども、昭和四十一年十月二十六日です。その中で判決の理由として、「労働基本権は単に私企業の労働者にだけ保障されるのではなく、公共企業体の職員はもとより、国家公務員にも保障されている」として、「職務または業務の性質からして、労働基本権を制限することがやむを得ない場合は、これに見合う代償措置が講ぜられなければならない」と、こう言っているのです。この点について人事院のお考えをちょっとお伺いしたいと思うのです。
#68
○島政府委員 国家公務員は全体の奉仕者として公共の利益のために勤務するものでございますので、労働権の一部が制限されていることは十分御承知のことと思います。ただ、ただいま先生の御質問の中にございましたように、その従事する仕事の内容によっていろいろ制限の態様が違ってもいいのじゃないかという御趣旨かと思いますが、現在の法律のたてまえは、その従事する仕事の内容いかんにかかわらず、少なくとも国家公務員である以上はそのような労働権の制限はやむを得ない、このように理解しております。
#69
○山本(政)委員 看護婦さんの労働条件が非常に悪いということは、あなた御承知ですね。そしていまあなたは、公務員は全体の奉仕者というふうにおっしゃったのです。全体の奉仕者の中で、人間の健康と生命を扱う看護婦さんというのは、最も奉仕者としての任務といいますか、義務といいますか、そういうものが私は強く要請せられるものだと思うのですよ。それはイエス、ノーでいいですから、その点だけお答えいただきたい。
#70
○島政府委員 看護婦さんの勤務条件がきびしいということは、重々よく存じております。また、それなるがゆえに、私どもはあのような判定をいたしたわけでございます。
#71
○山本(政)委員 これはせんだって質問したときもそれをお伺いしたのですけれども、労働基準法では女子の深夜業を一般に禁止している。しかし看護婦さんという一つの特殊な業務から、深夜業というものについての適用を除外しているはずなんです。その場合に、労働基準法というものは、女性の深夜業禁止について適用除外を設けておるけれども、法の精神からいったら、それは深夜業についての女性の特殊性に対する考慮、それから健康と生命に及ぼす悪影響を保護するということについても適用を除外しているということではないでしょう。その点を基準局の方に伺いたい。
#72
○細野説明員 ただいま御指摘ございましたように、深夜業の規定の適用自体につきましては排除いたしておりますが、基本的に労働者の健康等の保護という観点をすっかり排除しているという趣旨でないことは、御指摘のとおりでございます。
#73
○山本(政)委員 だから人事院のほうで判定を出されたと私は思うのですよ。そうでしょう。そうすると、そういうことを頭に入れておった場合には、看護婦さんの労働条件について、人事院規則をもって規則化をするという権限は、人事院はあるはずなんですね。公務員についてはあるのだから、当然看護婦さんについてもあるはずなんですね。なぜそれはおやりにならないんです。理由はどういう理由でおやりにならないんですか。時間がありませんから簡単に。
#74
○島政府委員 職員の勤務条件を改善する方法として、いろいろな方法があるわけでございますが、ただいま先生がおっしゃいましたように、人事院規則をもってある程度規制をすれば、多少はその目的を達成するんではなかろうか、こういう御趣旨かと思いますが、本件につきましては、看護婦の絶対的な不足という問題がございますし、それを達成するためには、いろいろの条件が満たされなければならないわけでございます。当然それには予算なり定員なりという問題がございますし、単に規則をもって規制すれば解決するというなまやさしい問題ではございません。したがって人事院としては、この単なる空文化するような規則というものは、これはなかなかできないということでございます。
#75
○山本(政)委員 そうすると、給与の勧告については、完全実施をしなさいといって毎年あなた方はお出しになっておるけれども、看護婦さんの夜勤制限というような人事院の判定が出たのを四年間もほったらかしておいて、そしてこのことについて実施をしなさいということについては、あなた方は、率直に申し上げて四年間何もしていないですよ。予算とか条件があるんだったら、そのことについてあなた方は何かをすべきだと思います。簡単に何をしたかということだけお伺いしたいんです。
#76
○島政府委員 私ども、ただその判定を出しつばなしで事が終わるということではございません。四年間何をしておったかということでございますが、毎年その改善のあとについては、追跡調査といいますか、現に私どもは、施設、病院に出向きましてその状況も調べておりますし、また、厚生省なり文部省当局から、その改善についての御報告もいただいておるところでございますし、さらに側面的には、予算なり定員の増加についても、私ども直接の権限ではございませんが、事実上の問題として関係御当局にもお願いしておる、このようなことはやっております。
#77
○山本(政)委員 私は何か答弁に不満なんですよ。人事院の権限に属する事項として、人事院が人事院規則を制定することは、あなた方の権限でしょう。そうすると、そういうものをあなた方がおつくりになれば、そのことによって関係各省は忠実にそれを履行しなければならないという義務が出てくると思うんですよ。そうじゃございませんか。あなたのおっしゃる言い方をすれば、予算とか条件があるから、法が空文であるのはまことに遺憾であるということにしかなりませんよ。そんな消極的な考えというものが許されますか。二万八千人の志願者がおりながら、毎年一万五千人近くの人たちが何でやめていくのかという理由をあなた方がお考えになったら、人事院の権限として、人事院規則というのを、あなた方が変えるなりつくるなりすることができるはずでしょう。また、あなた方はそれだけの責任を感ずるはずだと思うんですけれどもね。あなたは御病気になったことがあるでしょう。何でそのことをおやりにならないんですか。権限がおありになるんだったら、その権限でおやりになったらいい。条件とか予算というものは別として、なぜあなた方の権限でちゃんとおやりにならないんですか。
#78
○島政府委員 この判定そのものがどういう性格かということは、先生よく御存じと思いますが、これはやはり関係当局においてその実現方について努力すべきものであるし、そういうことでこの判定の性格が位置づけられておるわけでございます。したがって、この判定そのものでできないものを人事院規則でつくったからといって、できるというものではございませんし、あくまでもその実現については関係当局の御努力に待つしかない、こういうことでございます。
#79
○山本(政)委員 そうすると、国公法の八十八条にいう、判定の結果については、人事院は「その権限に属する事項については、自らこれを実行し」というのは、何もやらないということですか。人事院、その点はいかがですか。
#80
○島政府委員 人事院として当然なすべきことはしなければならぬわけでございます。しかしながら、この規則をつくるということが、直ちにここでいう人事院のなすべきことというふうには、私どもは理解いたしておりません。
#81
○山本(政)委員 そうすると、そういう実態があっても人事院としては意思がないということですか。私のお伺いしたことは、国公法八十八条にあります「自らこれを実行し」ということばは、単に勧告だけなんですか。
#82
○島政府委員 判定の性格はあくまでも勧告でございますし、私どもとしては、この判定のあとについて、判定の結果について、それがどのように実行されているかということについては、十分これを見守る責務があろうとは思いますが、それ以上の権限は人事院にございませんので、いまのところ、関係御当局の御努力を待つ、こういうことでございます。
#83
○山本(政)委員 そうすると、今後勧告なり、あるいはその他の方法をとろう――あなたは初めからお見えになっていたのですか。
#84
○島政府委員 途中から参りました。
#85
○山本(政)委員 いろいろな悪条件がある中で、もうすでに新聞等でも御承知だと思うのですけれども、そういうことに対して、勧告以外に何かをしよう、措置をとろうというようなお気持ちはあるのかないのか。と申しますのは、おとといのことですか、参議院でそういうお話を伺いました。大橋さんに対して人事院から、上司と相談してあらためてその規則についても考えたいという御答弁をいただいたそうでございます。しかしきょうの御答弁は、大橋さんに対する御答弁よりか後退したような感じを受けるのですよ。だからその点についてどうお考えなのか。
#86
○島政府委員 参議院の社労において私がお答えしましたのは、そのような規則をつくることによってはたしてその効果があるかどうかということについて、一度上司とよく相談して検討してみたい、こういうことを申し上げたわけでございます。したがって、将来といえども規則をつくらないということを断言したわけではございませんし、その点について、はたして規則をつくることによって、いま先生がおっしゃったような趣旨の効果というものが期待できるかどうか、その点は十分検討してみたい、こういうことを申し上げたわけでございます。
#87
○山本(政)委員 そうすると、ともかくも法というものがあっても、かりにできた場合でもこれを守ることが必要ないというようなことにも私は受け取るのですよ。ということは、国公法の百六条に、「職員の勤務条件その他職員の服務に関し必要な事項は、人事院規則でこれを定めることができる。」と、こうございますね。定めることによって各省がそれを実施するようになる、そういう効果をあなたはお考えになったことはありませんか。実施できないとあなたは頭からきめつけないで、実施することによって、つまり規則をつくることによって実施をするのだ、させるのだという、それくらいな見識を人事院として持っていいと思うのですよ。その点はいかがですか。
#88
○島政府委員 やはり私どもは、人事院規則の権威というものを考えますので、そういう規則ができた以上は、それが実行可能なものでなければならない。したがって、たとえば勤務時間とか、あるいは休暇の問題とか、こういう問題は、これはもちろん予算なり人員に全く無関係とは申しませんが、これはそれなりにある程度の人事院規則でもって適宜変えるということは可能と思いますが、たとえば看護婦さんの夜勤について、月八回以上してはならないというような、かりに規則をつくったといたしましても、現実にそれが守れるような環境ではないということになりますと、これは全く絵にかいたもちということになりますので、やはりその点は、現在そういう現実と理想というものがあまりにもかけ離れている、こういう認識にございますので、そこで、いま直ちにそういう規則をつくることはいかがなものであろうか、こういうことでございます。
#89
○山本(政)委員 これはたいへん重大な問題だからあれしますけれども、現実と理想がかけ離れている、その最大の条件というのは予算だというふうに理解していいですか。人事院で一あなた人事院じゃありませんか。夜勤ができないということまで入ることができない。そうすると、その原因は一体どこにあるのか、大胆にあなたは言うべきでしょう。
#90
○島政府委員 人事院としては、判定において述べましたような内容が人事院の見解でございますが、それがなぜできないかということにつきましては、これは直接の御当局からお答えいただくしかないと思います。
#91
○山本(政)委員 あなたは先ほど、予算あるいは条件と言われたんですよ。だから、大蔵省と厚生省に責任があるというんだったら、それは責任がある、それはやるべきだということをはっきりやってくださいよ。人事院としては、あなたそれだけの責任があるでしょう。
#92
○島政府委員 それは先ほども申しましたように、この判定が一日も早くすみやかに実現するように、文部省なり厚生省御当局において十分お考えになるべき問題であるということは申し上げたとおりでございます。
#93
○山本(政)委員 文部省、厚生省だけではなくて、大蔵省にありませんかと言っているんですよ。予算要求を出しても、五億とか三億とかの要求が削られていっているんだけれども、そういう実態の中に問題がありやしないかということを私はお伺いしているんです。そのことに対するあなたの御見解を聞いているんですよ。なぜ大胆にそれをお答えできないのですか。
#94
○島政府委員 これは常識的に考えまして、当然予算にもはね返る問題でございますので、予算ということになりますれば大蔵省の権限に属する問題でございますから、当然予算当局においても御考慮を願わなければならない問題であることは言うまでもないところでございます。
#95
○山本(政)委員 辻さんは、せんだっての私の質問に対して、看護婦の勤務条件の改善をはかるとともに、いろいろの施設の整備を行なっておる、この施設の整備に伴う労働の集約により条件の改善をはかるということも可能である、こう言っているのです。問題は、看護婦の勤務条件の改善をはかるとともにいろいろな施設の整備を行なっているというのですけれども、施設の整備費は四十三年度と四十四年度とでは数字がどうなっているのか、お知らせいただきたいと思います。
#96
○辻説明員 ただいまお示しになりました点につきましては、私の申し上げた意味はこういう意味でございます。
 現在、御承知のように、国立療養所の大部分でございますとか、あるいは国立病院の一部は、旧軍時代の木造の老朽施設でございまして、病棟も不規則に散在いたしている例が多いわけでございます。したがいまして、ただいま施設整備費を投じまして、施設の集約整備を進めているわけでございますが、そういうことによりまして、現在よりも効率的な看護体制に切りかえることも可能であろう、こういう意味で申し上げたと思います。
#97
○山本(政)委員 そうすると、施設の整備というようなことだけで――施設整備というのは、老朽建物を改善することはけっこうです。そうすると、あなたがお考えになっていることは、施設の改善で勤務条件が改善できるということ、そういう意味に受け取っていいですね。たとえば文部省は、あなたのおいでになる前に、二人夜勤で八日間という要求をお出しになっていると思う。しかし厚生省の場合には、私が計算したところでは、おそらく一人夜勤の八日間のお考えでやっているような気がしてならないのですよ。そういうぐあいに、文部省と厚生省のかまえには違いがあるような気がするのです。非常に大きな違いがあるような気がする。
 そういう違いがあるから、あなたのお考えというものについてお伺いしたいのは、勤務条件の改善をはかるということは、そういう人をふやすということについては、勤務条件というものは考慮に入れているのかどうか、その点をお伺いしたいのですよ。
#98
○辻説明員 もとより、病棟の集約整備によります看護体制の効率化という問題だけで、すべてが解決されるわけではございません。したがいまして、先ほど申し上げましたように、四十四年度予算におきましては、増員につきましても、特に夜間勤務体制の改善ということで二百六十一名、その他合わせまして四百四十一名の増員をはかっておるわけでございます。
#99
○山本(政)委員 二百六十一名の数字というものは、各病院に対して申し上げれば、一病院一人しかふやさないことですよ。一病院二人ふやせないということです。病棟というのは病院の中に何ぼあるのです。あなた方は一体そういうことをお考えになっていないのですか。これはあなたの御答弁ですよ。看護婦の勤務条件の改善をはかるとともにいろいろの施設の整備を行なっている――もう一ぺん私のお伺いしたことを読み直してください。ちゃんと勤務条件の改善をはかりと書いてある。そして厚生大臣から、飛躍的に改善をしたいというお答えを私はいただいておるのですよ。だが現実にはそういうふうになっていないじゃありませんか。あなたに私は何回も確認したけれども、あなたはこの前の質問ではお逃げになっておる。一体、病院一人ということが――それはないよりはましですよ。だから一人でもふやしていただきたい。だけれども、一人夜勤の八日間ということが現実の勤務条件として妥当であるかどうか、あなたたちはそれをお考えになったことがありますか。それをひとつ考えてくださいよ。妥当であるかどうかだけでけっこうです。
#100
○辻説明員 勤務条件の改善につきましては、前回もお答えしたかと思いますが、勤務環境の改善ということで、四十一年度から四十三年度までの間に、緊急時の連絡設備でございますとか、あるいは仮眠室の設備でございますとか、そういう経費を合わせまして五千五百万円計上いたしております。そういう措置もとっておるわけでございます。
 なお、増員の問題につきましては、私どもといたしましては、運用上の改善をはかる余地もこれはあるのではないか。その一つの例として、先ほど申し上げましたような、病棟の集約化によります看護体制の効率化という問題もあろうかと思います。また、一人夜勤、二人夜勤等の、そういう夜勤単位の基準の問題もあろうかと思いますが、そういう運用面の改善、職員の配置の適正化ということと相まちまして、逐次勤務条件の改善に努力してまいりたい、こういう考え方でございます。
#101
○山本(政)委員 私がお伺いしていること、あなたは問題をよけて通られているのですよ。人員をふやすことについて、あなたたちはお考えになるのか、ならないのか。つまり労働条件というようなことで、環境条件というものの改善だけで済ませる問題ではないのですよ。現実に足りないのは九万から十万だ、そしてそれを改善するのには二十年かかる。看護課長さんですかがこう言われておるのですよ。四十八年に実態としては解消しないのですよ、もっときちんとしなければ。人事院の判定によってということで松尾さんが十二月十九日に私にお答えをいただいたのは、病棟間の連絡設備、仮眠設備、そのような環境条件をよくして解決をしたい、こう言っているのです。しかしこれは基本的な解決にはならないのですよ。人事院のお出しになっている判定の解決にならないのですよ。
 具体的に申し上げましょうか。国立北海道第一療養所は三個病棟です。それを独立の単位にして二人夜勤をやっているのですよ。国立東京病院は三個病棟、一人夜勤をやっているのですよ。あなた方がかりに病気になったら、それは看護婦さんが十分におつきになるかわからぬ。だけれども、一般の国民というのはそういうことになりませんよ。あなた方の考え方を聞いていると、何も考えてないじゃありませんか。国民の保健に対して人事院も大蔵省も何にも考えていない。申し上げましょうか。看護単位が拡大したという中には、受け持つベッドを増加させているのですよ。いままでは二十なり三十なりだったのが、四十なり五十なりにふえているのです。そういう処理のしかたもしているということです。それから、いま申し上げたように、病棟別の勤務者というものを夜は一カ所の詰め所に集めるわけです。たとえば国立北海道第一療養所の場合三個病棟ですが、それを一つの詰め所にして、そうして二人夜勤をやっているのですよ。あるいは患者を配置がえしているのです。重症患者は重症患者で一カ所に集めて、そうして軽症患者につく看護婦さんを減らす、そういうやりくりをしているのですよ。だけれども患者は患者なんです。重症患者も軽症患者も、患者は患者なんですよ。そういう実態というものをあなた方がもし知ったんだったら、法をつくっても予算とか条件というものが整わなければできません、そういう答えが出てこないと思うし、ただ環境を変えるとか労働力を集約することによってでは、条件というものを変えるということにならぬでしょう。もっと人間味を持ったらいかがですか、あなた方は。そのためにもっと大胆に人事院規則をきちんと出す。そうしてそれを施行する。規則を出せば施行せざるを得ないでしょう。そうじゃありませんか。施行不可能な法律だって幾らでもいま出ているじゃありませんか、極端なことを言えば。しかし法の名のもとにそれを施行 せている事実もあるじゃありませんか。人事院がこのために規則をつくるというのだったら、その規則というのはりっぱなものですよ。決して悪法でありませんよ。そのことを少しお考えになったらいかがですかというのです。人事院と大蔵省お二人の答弁をいただきたい。
#102
○島政府委員 人事院規則の問題につきましては、先ほどもお答えいたしましたように、そういう人事院規則をつくることによってはたして効果があるかどうかということを検討いたしまして、また追って報告いたしたいと思います。
#103
○山本(政)委員 検討していただけますね。それじゃ重ねてお伺いいたしますけれども、いつごろまでに検討していただけますか。
#104
○島政府委員 私限りではちょっとお答えいたしかねます。
#105
○山本(政)委員 予算の編成というのは、何カ月か先になったら始まるのですよ。それまでにあなた方はちゃんと検討していただけますか。時期的に私は何月何日とは申し上げません。しかし、おおむねそのころまでにはきちんと検討の結果を出したいということを、きょうは答弁としていただきたいと思います。それはいかがです。
#106
○島政府委員 上司に報告いたしまして、なるべくすみやかに結論を出したいと思っております。
#107
○山本(政)委員 辻さんにそれじゃお伺いいたします。最後です。
 あなた、私が申し上げたことに対して、増員のことについても、それだけのことについて一ぺん御検討願えるかどうか。つまり四十八年度までに何とかしたいという局長の話がありました。そのことについても大蔵省として十分にお考えになっていただけるかどうか、それをひとつ御返事いただきたいと思います。
#108
○辻説明員 先ほどお答え申し上げましたように、この問題につきましては、運用上の問題、職員配置適正化の問題もありますけれども、四十四年度においても増員を行なったことでもございますので、今後もそういういろいろな施策とあわせまして、人事院判定の趣旨に沿いますように財政当局としても努力してまいりたい、かように考えます。
#109
○山本(政)委員 大臣がお見えにならないので、お見えになったならば、もしお許しをいただけば最後に御質問したいと思うのです。それできょうは保険局長にもおいでをいただきましたけれども、時間がございませんので、たいへん失礼いたしました。
#110
○森田委員長 加藤万吉君。
    〔委員長退席、澁谷委員長代理着席〕
#111
○加藤(万)委員 きょう大臣が見えませんから、次官にまず最初にこれから問題を提起をいたしますから、大臣によく伝えていただきたいというふうに思います。
 なお、次官は前に社会労働委員会のメンバーですから、おそらく私が前回質問をしたことを御記憶だろうと思います。ただ、大臣はこの間の経過は知りませんから、次官のほうからぜひお伝えを願って、最終的に大臣の答弁をいただきたいというふうに思います。
 問題は、昨年四月二十五日に、私は当委員会で船員の失業保険の給付について問題を提起をいたしました。その際にそれぞれの担当局から答弁がありました。ところが、この答弁がきわめてずさんでありましたので、事後調査をして、その結果そういう事実があれば処置をしますという当時の園田大臣の御答弁でありました。いろいろ調査をされた模様であります。私のほうには、船員の失業保険の擬装解雇問題については、そういう事実がありませんという報告をいただきました。当時は船員の二級通信士から一級通信士に受講する過程における問題で、しかも当時は受講中でもありましたから、私はその結果を実は見守っておったわけですが、さらにそれが、当時は二十二期生でしょうか、二十三期、四期と、ことしはいま二十四期生が受講をしているわけですけれども、この間に、私が当委員会で問題にいたしました、擬装解雇ではないかという問題が明らかになっておりません。局の答弁では、そういう事実はありませんということですが、私がその後調査をした結果、また今日進行している事態は、どうも擬装解雇の疑いが濃い。したがって、そういう観点から幾つかの問題を提起をし、御答弁をいただき、善処するのなら善処する、そういう方向をとっていただきたいというふうに思うわけです。
 最初に労働省、職安局長見えていますか。
#112
○澁谷委員長代理 見えておりません。
#113
○加藤(万)委員 それでは最初に保険庁にお聞きしますが、失業保険法の十六条三項と船員保険法の三十三条ノ七の二項、これは同じ趣旨のものであるかどうか、まず確認をしておきたいと思います。
#114
○加藤(威)政府委員 船員保険法の三十三条ノ七の二項でございますが、この条文の趣旨は、「失業ノ認定ヲ受ケントスル者が当該海運局ノ長又ハ当該公共職業安定所長ノ指示二従ヒ職業ノ補導ヲ受クルトキハ当該海運局ノ長又ハ当該公共職業安定所長ハ職業ノ補導ヲ受クル期間に於ケル失業ノ認定ヲ行フコトヲ得」、こういう規定でございます。この規定の趣旨は先生も御承知と思いますが、要するに、失業の認定を受けて失業保険給付を受けますためには、一週間に一回ずつ安定所かあるいは海運局に出頭いたしまして、そして失業の認定を受けて失業保険金をもらうという仕組みになっておるわけでございますけれども、そういう職業補導を受けるために職業補導所に入っております場合には、その期間はもう失業しているものというぐあいに認定して、一週間に一ぺん出てこなくてもいいという趣旨の規定でございます。陸上の失業保険法にある規定も同じ趣旨の規定というぐあいに存じております。
#115
○加藤(万)委員 失業の認定と職業訓練所における失業の認定の取り扱い、これが十六条並びに三十三条、全般を含めてもいいのですが、全般を通して陸と海とでは同一趣旨、したがってその運用も同一の方針で行なわれている、こういうように理解してよろしゅうございますか。
#116
○加藤(威)政府委員 そのとおりでけっこうでございます。
#117
○加藤(万)委員 船員の一般的失業保険の給付については、おそらく同一の趣旨ないしは同一の運用に基づいて行なっておると思うのです。たとえば船員の場合に再訓練という形で神戸の海技大学校あるいは電波監理局の職員研修所から委託をされておる日本電波協会、これらの講習を受ける者は特異な立場にあると私は思う。一般的な失業者というよりも、再訓練あるいは技術の習得をするための講習というように理解をしておるわけです。私が先般問題にいたしましたのは、こういう技術訓練を行なうこと、あるいは技術習得を行なうこと、そのこと自身には決して異存はないわけでありますが、これらの講習生が失業保険を受給しながら講習を受けておるということは擬装解雇の疑いが非常に濃い。当委員会で問題にいたしましたときに、たしか保険部長だったと思いますが、この講習生はそれぞれの企業から解雇という認定を受けて、したがって解雇であるから当然失業という認定を受けて、それぞれの講習に行っております、そしてそれは失業保険を受給しております、こういう答弁でありました。ところが、私どもの調べた範囲では、たとえば神戸の海技大学校にいたしましても、あるいは電波協会で講習を受けている者にいたしましても、そのほとんどが原籍に戻っているわけです。いわば予備船員という形でそれぞれ企業に雇用関係が存続をし、しかも雇用関係の存続の中で失業という認定を受けている疑いがきわめて濃いわけです。二十二期生、二十三期生、いま二十四期生が通信士の場合講習中でありますが、当時私が国会で問題にいたしました講習生は、講習を受けたあとどこに就職をしたでしょうか。たとえば原籍に戻った者がどのくらいおるのか。これは船員局長にお聞きしたほうがいいと思いますが、あるいは講習を受けて原籍でなくて別の分野に行った人がどのくらいおるのか、これをお聞きしたいと思います。
#118
○高林政府委員 お答え申し上げます。
 各期別には調べておりませんけれども、大体聞いておりますところでは、相当多くの者がそれぞれもとおりましたところに行っておるように聞いております。
#119
○加藤(万)委員 相当多くじゃなくて、全員じゃないですか。もう一ぺん確認します。
#120
○高林政府委員 これは、たとえば二十二期生で申し上げますと、全体で八十五名受講しております。そのうち外労協関係が五十三名、中小労協関係が二十二名、その他十名です。この外労協関係、中小労協関係合わせで七十五名でございますけれども、これは大部分もとの雇用がありましたところへ行っておるというふうに聞いております。
#121
○加藤(万)委員 いわゆる解雇をしたわけですから、講習を受けて終了した者が、原籍に戻る場合もあるでしょうし、戻らない場合もあるというのが本来の姿でしょう。ところが、いまお聞きのとおり、ほとんど大多数が原籍に戻っているわけですね。そうしますと、講習の期間中というのは失業という認定を受けたけれども、事実上は予備船員という形で、あるいは、私は専門語はよくわかりませんけれども、陸上にある待機要員というような形で事実上身分関係が継続されている、こういうように私は見ざるを得ないのですが、いかがでしょうか。
#122
○高林政府委員 この点につきましては、先生御存じのとおり、昨年の国会でも御説明いたしたかと思いますけれども、外労協あるいは中小労協関係におきましては、そういう上級免状取得の場合におきまして、そういうものを予備員という形ではなしに、解雇という形でいたしております。ただ実際問題といたしまして、そういう人たちがもとの企業へ行っておるということ、それはただいま御指摘のありましたとおりでございますけれども、これはあくまでも労使合意のもとで解雇ということによって、いわゆる予備員という形でなしに、予備員給等を支給せずにこれを処理しておるというのが実態でございます。
#123
○加藤(万)委員 ここに「二十四期一通科受講について」という新栄船舶株式会社の船員課長さんが出した文書があるのです。これは公文書です。ある二等通信士の人に、これから受講に行くのだけれども、君はこうこうこういう待遇で行くという内容を記載したものです。これにいろいろありますけれども、その中に「記」として「受講中の身分」と、こう書いてある。「社内的には出勤待機員の扱となるが、表面上は受講期間中解雇されることになる」、こういう通達が二等通信士の人に出ておりますが、これはあなたの答弁とは違いませんか。
#124
○高林政府委員 その文書は私はよく存じませんが、しかし外労協ないし中小労協からの報告によりますれば、受講生については、「無線通信士協定覚書第三項第二号の規定にかかわらず、特例として労使の合意のもとに解雇する」ということで解雇処理をしておるというふうになっております。
#125
○加藤(万)委員 松岡汽船株式会社という会社がありますが、この会社実は受講生について同一の趣旨のことを言っているわけです。
    〔澁谷委員長代理退席、谷垣委員長代理着席〕
先ほどの新栄船舶あるいはこの松岡汽船等が、同一の趣旨のことを受講生に公文書として出しておるということは、あなたが言われたこと以外に、社内的には出勤待機員の扱となるが表面上は」云々という、そういうことにだれかが意図的にやっているというふうに思いませんか。
#126
○高林政府委員 現在非常に全般的に船員不足、特に通信士が不足でございます。そういう意味におきまして、上級免許を取得いたします場合、なるべくその上級免許を取得したところの者がやはり元おりましたところの企業に戻ってほしいと思うのは、これは企業としては当然期待しておるところだと思います。そういう期待感というものが、あるいはいま先生おっしゃいました意図的なものというものになるのかもしれませんが、しかし、それはあくまでも労使におきまして、こういう受講生につきましては、解雇という形でこれを受講せしめるということでやっておりまして、また、そういうような失業の認定を、私どももそれに基づいてやっておるというのが実態でございます。
#127
○加藤(万)委員 ここに外航中小船主労務協会が出している会社あての文書があります。私は先ほど、失業の認定については、陸と海とその運用についておおむね同一であるということを確認をいたしました。陸で失業の認定を受けるには、職安の窓口に参りまして、就労の意思と働く能力をそれぞれ確かめられ、しかもそれが適合した職場がない場合には、失業の認定をして失業保険の給付をする、こういうことになっているわけです。この中小船主協会の公文書、これによりますと、「失業の認定は入所日の前日に関東海運局東京支局船員職業安定所が一元的に行なう」、こうなっているわけです。どうでしょうか。陸の場合には、個人失業の場合、個人が職安の窓口に行き、その意思と能力が確認をされて、はじめて失業の認定ということになるわけですが、文書をもって失業の認定を一括的に職安の窓口にやる、このことは陸の失業の認定と運用上違いがあるのですか。それとも、同一ではあるけれども、この部分だけ特別に違うのですか。
#128
○高林政府委員 基本的には、先ほど厚生省からお話しになりましたように、陸の場合も海の場合も同じだというふうに考えます。ただ陸と違いまして、海の場合、大体、そういうふうな受講といいますか、再教育、再訓練と申しますか、そういうものが、たとえば通信士の場合でございますと東京というふうに比較的限定され、また一般の甲板部、機関部の船員については神戸というふうに、大体再教育機関といいますか、そういうものが一定の個所にあって、陸上の職業訓練所のようにばらばらになっていないわけです。そこで、補導所のようにばらばらにございませんで、ほぼ一定の個所にかたまっておるということが一つの特色でございます。それから、それが比較的長期にまとまった期間になるという点が、海上の再教育、受講というようなことについて、やや陸上と違った特色を持っておるかと思います。そういうような特色にあわせまして、受講の場所あるいは受講の期間等勘案いたしまして、一括して取り扱うということ、これもやはり行政の面からいいまして、そういう海上労働、海上教育の特性というような観点から出てくるのではないかと思っております。
#129
○加藤(万)委員 私は、おそらく窓口に船員の人は行っていないと思うのです。そして、一括的に書類を提出をして、一括的にそこで認定をしているのではないかと思います。職安局長がいらっしゃらないようですが、陸の失業保険の場合に、たとえば出かせぎ労働者が、ある事業が終わったら一ぺんに家に帰休しますね。そのときに海員と同じ条件が起きるわけです。出かせぎ労働者の場合は、御案内のように、ある一定の個所を行なえばそれで済むわけです。そうして失業の認定を受けて失業保険をもらうわけです。しかし一括認定ということは陸上の場合にはほとんどできない。もし運用上陸と海とがそんなに差異がないというなら、ある出かせぎ労働者は、一定の事業が終了してそれを通知をすれば、失業の認定が起きるということになりますよ。いまあなたが言われた、海員の場合に特殊事情があると同じように、陸でも特殊事情がある場合もある。運用上もし同一だということになれば、海員の場合と同じように、陸でも、一定の人を集め、一定のところで一定の書類で認定を受ける、こういうことが可能になるわけですが、運用上同じだというならば、そういうように陸の場合も理解をしてよろしいでしょうか。これは社会保険庁の保険部長に聞きましょうか。
#130
○高林政府委員 海上の場合におきましても、実態といたしましては、窓口で一人一人について確認して求職票を出しているというのが現状だそうでございます。
#131
○加藤(威)政府委員 私のほうの船員保険で失業給付をやります場合には、公共職業安定所かあるいは海運局の長が、これは失業者だという認定をした場合に、私どもはその認定を信用して保険金を給付する、こういうたてまえになっておりますので、その認定のしかたがどういう認定のしかたをしているかというところまでは、保険庁としてはさかのぼって検討するということはいたしませんので、私どもといたしましては、そういう職業安定所の長あるいは海運局の長が、これは失業者という認定さえされますれば失業保険金を給付する、こういうことになっているわけでございます。
#132
○加藤(万)委員 いまの点大事ですから、あとで大臣の答弁を願います。陸と海と、失業の認定の条件について、もし運用上差があるとするならば、これはたいへんなことです。そうなりますと、御案内のとおり、失業保険法の改正が労働省から出てくるわけですから、その点は大臣からしっかりした答弁をお聞きしたいと思います。
 保険庁に聞きますけれども、失業保険を受給している間には他の給付の受給は許されませんか。たとえば失業保険を受給している間に夏期手当を支給するということがもしあったとしたならば、その場合の支給条件はどうなりますか。
#133
○加藤(威)政府委員 失業保険の受給者というのは、失業しているという状態でございますので、だれかに雇われておりますれば失業という状態ではないわけでございますので、私のほうのたてまえからいいますと、失業保険の支給を受けている者が夏期手当をもらうということは理論上あり得ないというぐあいに考えているわけでございます。
#134
○加藤万委員 同じこの資料から問題を提起しますが、先ほどもお話しましたように、これは外航中小船主労務協会が各企業にあてて出した文書であります。この中に失業中の受講者の取り扱いについていろいろ述べているわけです。たとえばいまの夏期手当の問題のところを抽出してみますると、「解雇期間中に夏期手当を支給する場合は、従来の甲機講習科学生に準じて取扱う。」いいですか。この「甲機講習」というのは、先ほどお話に出ました海技大学校に行っている講習生と同一に取り扱うというのです。そして御丁寧に、そのあと、「一時解雇前、貸付金あるいは立替金の名目で処理した夏期手当を支給金に振替え精算すること。」こういっている。どうでしょう政務次官、この場合にこういう条件をつけてある講習生は、解雇された失業者と認定をしますか。それとも、何らかの形で雇用継続があるものというようにお考えになりますか。
#135
○加藤(威)政府委員 私のほうでは、繰り返し申し上げますように、海運局の長あるいは職業安定所の長が、この者は失業者であるという認定をした場合に、それに基づいて給付をする、こういうことでございます。したがいまして、いま御指摘のような問題については、私ども全く予想せざるところでございますので、実態につきましては、海運局長のほうからお答え願いたいと思います。
#136
○加藤(万)委員 いまのようなこと、そういう事実があった場合に、私は文書を読み上げたのですが、この場合に、あなたが失業として認定をする際に、窓口は窓口でしょう。いろいろ認定がきまって初めて失業保険金を支払うのですから、そういうことはあり得ない、夏期手当を失業中にもらうことはあり得ないという答弁と関連をして、いまのようなことが事実上取り扱われているとしたならば、その人は失業者でしょうか、失業者でないでしょうかということを私は聞いておるわけです。実際上の運用がどうのこうのということではないのです。あなたの見解を聞きたい。
#137
○加藤(威)政府委員 一般論として申し上げますならば、ほんとうの失業者ということであれば、雇用関係はないわけですから、したがって、そういう夏期手当とか何とかいうものが出るということは理論上あり得ないわけで、それを出しているとすれば、はたして雇用関係が切れているかどうかということについて相当疑問があるということを申し上げざるを得ないと思います。
#138
○加藤(万)委員 私は前回本委員会で問題を提起したときに、そういう疑いがあるから事実関係を調査をしてほしい。当時の大臣は、そういう事実関係があれば処置をします、こういう答弁だったのですよ。そうして、事実関係を調査してもらったと私は理解をして、御答弁をいただいたわけです。その御答弁は、擬装解雇という疑いはありませんでしたという答弁でしたよ。ところが、こういう資料を提出をしてまいりますと、いまも部長の答弁のように、それは基本的にそういうことはあり得ないことだから、もしあったとすれば、それは失業という認定にさかのぼって問題がある、疑問点がある、こう言われたわけです。事実関係を調査をしてないということじゃないですか。そうなりますと、去年の私の質問に対する答弁並びにその後の私どものいただいた結果は、事実関係は何も調査をされずに、単なる書面上の調査をもって解雇の認定が行なわれた、そういう報告だけをお答えしたということになりませんか、どうでしょう。
#139
○加藤(威)政府委員 昨年の加藤先生からの御質問で、私のほうで、調査に疑問の点があるので、調査をいたしますということを申し上げたわけであります。要するに、失業の認定というのは運輸省の権限でございます。それで、私どもといたしましては、運輸省のほうにそういう事実関係について調べてもらいたいというお願いをいたしたのでございますが、運輸省のほうからの御返事は、受講生については、要するに完全雇用の規定があるけれども、この場合には特例として労使合意のもとに解雇している。それから受講生に対しては、受講中会社から一切の金銭給付がない。それから解雇、受講、雇用に関しては、一切船員職業安定所を通じ所定の手続が行なわれているというふうな趣旨のお話がありましたので、私どもといたしましては、それならば一応解雇ということではない、失業ということではないという解釈をしておったわけでございます。
#140
○加藤(万)委員 いま一つ具体例をあげてみたいと思います。
 やはり同一の書類でありますが、「解雇者(二四期生)への手当等支給に関する事務要領」というのが同協会から出ております。この事務要領の中に、解雇前には何と何を支給すると書いてあります。たとえば「特別補助金、待機期間に対する補償金、夕食費、通所費、宿泊費、講習料等、夏期手当、般員保険任意継続保険者保険料、国民健康保険料の合計額を支給する。」。支給するのですよ、これを失業者に。そうして、解雇した者にそれを支給するけれども、失業保険と対比をして差額があるならば、失業保険が多ければ多いほう、もし少なければそれにいまの分を加えて支給する、こういっておるのです。失業して企業とは何ら関係のない者に対して、いま言いました幾つかの項目について企業は支給しなさい、それが失業保険金よりも少ない場合にはその差額を会社は支給しなさい、こういっているのです。
 これだけ明らかになってまいりますと、雇用の継続がないということは言えないでしょう。さっき次官がお聞きになっておりましたように、講習を受ける前日から解雇、そして講習期間に入ります。講習が終わりますと元の企業に戻ります。いいですか、この間全部失業保険金を支給するわけです。しかもとりあえず夏期手当は立てかえ金ということで払いますけれども、精算払いで支給する。どうでしょう、これは率直に言って、擬装解雇という疑いが濃いのではないでしょうか。いま幾つかあげましたが、まだたくさんあります。しかしこれ以上は言いません。こういう事実関係から見て、擬装解雇の疑いが濃いのではないかというように思うのですけれども、大臣はいまお着きですから、次官どうでしょう。
#141
○粟山政府委員 疑いがあるように思われます。
#142
○加藤(万)委員 大臣、先ほど質問を保留しておきましたが、いま次官からお話がありましたように、擬装解雇の疑いが非常に濃い事件が――実は前国会からこの問題を私は取り上げてきた。そして厚生大臣から、本問題については十分調査をしましょうというお話でありました。当時は受講生が受講期間中でありましたから、いずれはそういう適切な措置をとられるというので、私はそのときは態度を留保しておったのであります。ところが一月に再び講習が始まりました。いま幾つかお話をいたしましたように、講習生に失業保険を支給しながら講習を受けさせる。本来、企業が自己の責任で企業訓練教育を行なうべきであるところを、失業保険で代替をしているところに問題がある。しかも擬装解雇の疑いがあるという次官の答弁をいただいた。疑いが濃いということになりますと、事後の措置はどういうことになるのでしょうか。本問題に対して、いま少しく事実調査を強められて、そうして、私どもの質問に対する疑いをはらされる用意があるか、あるいは、私どもを含めてそういう事実調査に加わらしていただいて、そういうことがあるかないかを確定するか、まあいろいろな方法があると思うのですけれども、この事件で大臣はどういう処置をおとりになるのでしょうか。
#143
○斎藤国務大臣 いまちょっと伺っただけでよくわからないのですが、政務次官もお答えをいたしましたし、大体おっしゃるとおりの疑いがきわめて濃厚じゃないか、私は、そういま直感をいたしておるわけであります。したがいまして、私のほうで当然そういうものは事実をはっきり確かめる責任がある、そういう意味ではっきりいたしたい。しかし、委員会のほうで、皆さんのほうでおやりくださるというなら、それもまことにけっこうでありますから、私のほうはどんな御協力でも申し上げます。しかし、本来なら私のほうでやるべき事柄でございますから、私のほうでやるべきことと思っております。
#144
○加藤(万)委員 まだたくさん本問題に関して問題がありますけれども、これ以上私、申し上げません。いまの事実関係をよく調査をしていただいて、あらためて私にひとつ御回答をいただきたいというように思います。質問を終わります。
#145
○谷垣委員長代理 山本政弘君。
#146
○山本(政)委員 大臣がお見えになったので、再質問させていただきます。
 大臣に質問いたしたいのですけれども、私は、大臣がお見えになる前に、大体要約、前の鈴木厚生大臣のとき、四十一年のときに、四十五年までに整備をするというお話があった。と同時に、昨年、四十八年までに整備をしたいというようなことで、この点についてだんだんと計画がずれてきているんではないだろうか、そういうお話を申し上げて、同時に、厚生省の予算を要求するかまえに対して、厚生省と文部省とのかまえといいますか、姿勢というものが非常に違っておる。異なっておる。片一方は、二人夜勤で八日間の勤務、これは人事院の判定どおり、それから厚生省は、八回の夜勤をするようにしている。しかし、これは一人夜勤であるというように、数字からはじき出せばそういうようになってくるのだけれども、ということを実は御質問申し上げたわけです。それで、人事院の判定のことについて人事院のほうにお伺いをし、同時に、大蔵省のほうにも御見解をお伺いして、お二人とも、最善の努力をするというふうにお答えをいただいたのです。
 そこで、大臣にお伺いしたいのですけれども、昨年の十二月の十九日にここで私が大臣に御質問申し上げたことがございます。そのときに、看護婦の数が非常に足りないことは指摘されるまでもなく痛感をしている、来年度予算は相当の費用を計上して要求したい、来年はそうしてこれを貫徹したい、こう大臣はお答えになった。それで前年より、ことばどおり申し上げますと、「飛躍的な改善になるだろう」とお答えになっておるのですけれども、予算から見れば、決してそうはなっておらない。これは厚生省の方々もお認めになっておると思うのです。その点について、大臣として一体どのような御努力をなさったのか、この点をまずお伺いいたしたいのです。
#147
○斎藤国務大臣 結論として、飛躍的な前進ではないではないか、まことにそのとおりで、申しわけありません。まあ、若干の前進はいたしましたけれども、とうてい満足すべき飛躍的な向上ではございません。私は、そのときにも申し上げましたが、看護婦さんの需給計画、これからの勤務体制、それらを勘案して、現在、あの当時、あと三カ年で需給計画をあれをしたいという計画を聞いてみますと、相当実情に合わない。もっと今日の実情と今後の、先を見通した計画を根本的に立て直さなければいかぬのじゃないかということでここで申し上げましたが、そのことを事務当局に命じまして、いま根本的な方策を立てているところでございます。今月中か来月初めには、事務当局の計画ができるであろうと私に報告しておりますが、これを急がせまして、その基礎のもとに立って、私は、自信を持って大蔵省に当たりたい。昨日でしたか、どこの委員会でしたか、私は、今度はもう初めから看護婦の問題は、これはもう大臣折衝問題だということで取り上げていきますから、そのつもりで来年度予算の要求から、その意気込みで要求をいたしますと申し上げたのですが、そのつもりでやってまいりたい。それだけやるだけの私は必要な時点に迫られておると思っております。
 以上、まあ気持ちを申し上げたわけであります。
#148
○山本(政)委員 それでは、ことしは飛躍的にはこれは増進しておりませんね。そして、多少前進したとおっしゃるけれども、私は、予算面から見れば、これはそういうことばが当てはまるかどうかわかりませんけれども、当然増というような形式でしかないんじゃないか。ある部面においてといいますか、ある事項についてといいますか、教育の部面についてはむしろ削減をされているような実態があるわけです。
 そこで、ことばじりをとらえるわけでありませんけれども、大臣折衝でやりたいと、こういま大臣お答えになりましたけれども、大臣折衝はそれじゃ、四十四年度のときにはあなたみずからおやりにならなかったわけですか。
#149
○斎藤国務大臣 御承知のように、形式的に言いますと、最後、大臣同士と、それから党の三役を入れて、一番の問題として数点にしぼってやる、その問題にはこれは入らなかったわけであります。事務当局のところで――もちろん、それには一々私どもうしろにおって、ああだこうだと言ってやりますが、ことしはこの程度でまあやむを得ないと事務当局も考えた場合に、私どももまあやむを得ないだろうかというのが予算査定の実情でございます。
 そこで、私は、党三役のところに入れてやれるだけの、十分の自信を持ってやれるだけの計画を立ててくれ、ああ言われたらこう、こう言われたらこうというような自信のない案では私はやれないということで、そこで、自信のある案を出してくれ、私はそれをすっかり腹に入れてやりたい。ただ、来年度の予算編成まで私は現職におるかどうかわかりませんが、しかし、その意気込みを持ってやっていきたい。その意気込みが伝われば、私は、大蔵当局も応じてくださるだろう。こちらの合理的な根拠で熱情をもって当たれば、大蔵事務当局はもちろん、大臣もどなたも認めてくださるだろう、そう私は信じておるわけであります。
#150
○山本(政)委員 ただ非常に残急なのは、かなり計数的にもこの前の御質問のときには私は申し上げたつもりであります。そして、それを御理解願った上で、来年度はこれを貫徹したいという――ことばじりをとらえるわけではございませんけれども、貫徹したいというおことばをいただいておるのです。
 それからいま大臣は、私は大臣でおられるかどうかわからない、こうおっしゃったのですが、国民の厚生関係、特に患者を扱うことですから、鈴木さんは四十一年のときに四十五年と言われ、そして去年の暮れの私の質問に対しては、四十三年ですから、四十八年までにしたいと言われた。そうすると、大臣がおかわりになるごとに、そのことがあらためて再検討されるということでは、私は困ると思うのです。
 だから、私はきょう人事院にもお願いをし、それから大蔵省にもお話を申し上げたのですけれども、あなたのほうで計画の具体案というものが、非常に近い時日のうちに出るというお話でしたら、いまからおやりになってその素地をつくらなければ、たいへん失礼ですけれども、大臣としての職責をお果たしになるということにはならないと思うのです。その点について、大臣であるかどうかということでなくて、最善の努力をして――これは数カ月たてば予算の編成期に入るのですよ。それまでにきちんとした土台をつくり、動かざる事実を持って、人事院なり大蔵省なりにあなたが直接お話しになる、あるいは閣僚会議ででも、そういうことを決定するということだってできるはずじゃないですか、それはあなたがいま大臣であるかどうかとか、あるいはその先のことではなくて、現職の大臣のときになすべきことがたくさんあると私は思うのです。しかもこれだけ問題になっておることであります。あなた方が少なくともそういうことについて、閣議で腹をきめて御折衝になれば、閣議のほうとしては将来そういう方向に向かうという決定だって私はできるのではないかと思います。その点の覚悟のほどといったら何ですけれども、大臣のお答えをいただきたいと思います。
#151
○斎藤国務大臣 ごもっともでございます。大体、その根本的な計画がまとまりましたら、これでよろしいかどうか、厚生省だけの独善でもいけませんから、私のほうといたしましては、党のしかるべきところでもそれを検討してもらわなければなりませんし、また、この問題に非常に御熱心な山本先生をはじめ、他のお方の御意見も伺って、こんなことでどうだ、これじゃ欠点がある、ああだこうだということになれば、それを直していただくようにして、そしてできれば各党挙党一致でやっていただければなおよかろうかと思いまするけれども、私は私なりに、できるだけ最善を尽くして、予算編成というか、最後までに、大体こういう方針でというなにをいたしたい。私一人のやせ腕だけではとてもいけませんから、皆さま方の絶大な御支援をいただき、その上で最後の体制を整えてやっていきたいと思います。
#152
○山本(政)委員 大臣、私がお聞きしたいことは――あなたの誠意は疑いません。しかし、私は勇気を疑うのです。こういう申し上げ方は失礼ですけれども、党三役にもお話しを願い、閣議にもそれを出していただきたいということなんです。野党のほうは、おそらくみんなその気になっておると思います。ですから、そういう意味では、大臣のほうでおやりになることに対しては、私は決して反対でもないし、できるだけのお力添えは、微力ではありますがやりたいとは存じますけれども、ともかくも至急に具体的な計画を出すということ。第二番目には党の三役にもはかっていただきたいということ。第三点は閣議にも大いにこれを出していただいて、閣議の決定としてでもいいです。むしろそのほうがいいかもわかりません。そういうことについて、最善の努力をしたいという御返答をいただきたいと私は存ずるのです。
 と申しますのは、志願者はおるのです。将来にわたっては、若年労働者が非常に少なくなるかもわかりません。しかし、いまの段階では、志願者が非常に多い。このときにふやさなければ、もう永久ということばは言い過ぎかもわかりませんけれども、二十年、三十年にわたって、看護婦さんを充足させるということはできないのではないだろうかという気もいたします。同時に、看護単位の拡大についても私はいろいろ無理なことが出てきておるように思います。同時に勤務状態も変則勤務である。それからこれは御答弁をいただく必要はございませんけれども、基準看護にしても、国立病院の場合には付き添いといいますか、家族の付き添いを含めて患者五人に一人の割合というのが行なわれておるのですよ。国立の立川病院でも、患者百五十名中家族の付き添いが十五人、専門の付添婦が五人おります。これは全部基準看護をやられておる病院ですよ。保険局長はそういうのは取り消すとおっしゃっておるけれども、取り消すことによって事態が改善されるのかどうかという疑問もあります。結局は、医療従事者の不足というものが、そういう事態を招いているのでしょう。それならばそれだけの御決心があってしかるべきだと私は思うのですが、その三つの点について私はお答えをいただきたいのでございます。
#153
○斎藤国務大臣 ただいまおっしゃいますように、私もぜひやらなければならぬと思っております。誠意をもって手順を踏んで大いに努力をいたします。
#154
○山本(政)委員 たいへん不遜な申し上げ方で申しわけないのですが、それじゃ、いま私が申し上げた三点について、全力を尽くして措置していただけるというようにひとつ確認してようございますか。
#155
○斎藤国務大臣 さようでございます。
#156
○山本(政)委員 それじゃ私の質問を終わります。たいへんありがとうございました。
#157
○谷垣委員長代理 本島百合子君。
    〔谷垣委員長代理退席、竹内委員長代理着席〕
#158
○本島委員 ただいま社会党の山本委員から、いま問題として起こっている看護婦さんの問題について、るる御説明また御要望等を含めて非常に熱心な御質問がありましたので、私は簡単にこの点二、三質問してみたいと思います。
 いま大臣が、非常な熱意をもって今後看護婦の増員については当たる、こういうふうなことを言われて、私も来年度期待するものが大きいものがあるわけでありますが、大蔵省を口説くということはなかなか困難なことのように思います。私ども議員としても来年度予算に向かってはがんばってまいりますが、しかし、今日看護婦さんが要望されておるものの中で、予算を必要としないものもあると思うのです。こういう点の改善ということを、まず考えていただけないか。そこで、先ほどから言われておりますところの人事院判定の問題でありますが、その要求の中に、私どもいただいておるものに、四つこれをぜひ実行してほしいということが要求されておりますので、その点を申し上げます。
 一つは、看護婦さんの夜勤は月八日とすること。これは先ほどからも言われておりますが、厚生省では九・五回ぐらいですか、そういうようなことをおっしゃっているけれども、実際は十五回にもなっておる。これでは自分の肉体を守ることにもならないし、また過労のために、またもう一つは給与が低いために、民間の医師の、待遇のいいところへ移るという人も出てくる。長くつとめていられる方々は、天職として非常に努力をされておりますけれども、私どもが参りまして拝見いたしましても、ほんとうによくからだがもてる、こういうふうに思うわけなんですが、こういう点の改善ということは、必ずしも現在の予算ということでなしにでもできるんじゃないだろうかと思います。
 二番目が、夜勤の一名勤務を廃止してもらって、これは複数制にしてもらいたい。私は、国会に出て十一年、社労委員になって十年になりますが、その年からこの複数制ということは要望されておったはずであります。いまだにこれが実現されていないということ、それは看護婦さんの絶対数不足だということから起こるんだということであるかもしれませんが、私は、やはりここはくふうのしかたで複数制、最低二名くらいのことはできるんじゃないだろうか、こういう気もいたしますが、こういう点についての大臣のお考えを聞かしていただきたい。
 三番目は、産後六カ月程度の夜勤免除という措置をするようにというようなことがございますが、これはいまだに実行されていない。昨年でしたか、地方の看護婦さん大ぜい見えましてのお話しの中で、結婚しても、看護婦さんが不足ということからやめるわけにはいかない。そこで、がんばっているけれども、自分が妊娠しているということに気がついていても、その労働をかげんするわけにいかない。そういうことから流産をする人が非常にふえておりますというようなことを言われて、女性として、母性として、こんな痛ましいことがあるだろうか、こういうふうに私感じて、これは必ず何とか改善されるように私どもも努力をしますと約束したんですが、さて実際の面では、これが一つも改善されていない。この産後六カ月程度の夜勤免除ということくらいは、できるんじゃないでしょうか。こういう点、どういうふうにお考えになっておるのか。
 いま一つは、休憩時間を明示する措置を講じてほしい、こういうようなことがあります。休憩時間というから、私は八時間労働で考えていって大体一時間半か二時間程度休めるんじゃないのかななんと思っていたのですが、とんでもないことで、四時間働いて十五分、そして八時間で三十分、こういうことになっているそうでございますが、それすらも職場の状態からしてとれないことが多いんだ、こういうことでございます。現在、この休憩時間が明示されておるという病院等はわずか一六%程度しかない。かりに明示されておっても、それをとることができないのが現在の状況である、こういうことをいわれておりますが、こういう点を聞いただけでも、いかに看護婦さんたちの労働というものが重労働であるかということがわかるわけでありますが、このように、いますぐ予算措置をしなくてもできそうな案件というものに対して、大臣はどのようにお考えになるでございましょうか。
#159
○斎藤国務大臣 ただいまの点、まことにそうありたいと思う事柄ばかりでございますが、私は、やはり看婦護さんの数の問題と関係をすると思います。現在の数のままでこういうことができれば非常にいいと思いますが、その点は局長から詳しく専門的にお答えをいたします。
#160
○松尾政府委員 ただいま御指摘のございましたいろいろな点につきましてお答え申し上げます。
 いま大臣も申し上げられましたように、基本的にはやはり看護婦の絶対数の不足というものを解決しなければ、りっぱな解決はなかなかむずかしいかと存じます。しかしながら、現状の中でも、それぞれきちんとすべきものはきちんといたしまして、改善をはかるべきであることは当然でございます。したがいまして、御指摘のような、産後の休暇を六カ月間夜勤を免除するというような問題、この問題につきましても、たとえば国立病院、国立療養所等について申し上げますれば、やはり改善をされてまいりました。
 一例を申し上げますと、数字を申し上げますれば、四十二年から四十三年の一年間に産後の夜勤免除をいたしました日数というのが、平均で百二十三日という数字が出ております。これは前年が百四日でありまして、逐次そういうふうに努力いたしまして改善をはかってまいりました。それから休憩時間あるいは休息時間の明示ということもうたわれておるわけでございます。この点もやはりきちっとさせなければならぬということでございまして、ただいまのところ国立関係につきましては、休憩時間は、日勤については少なくとも一〇〇%明示ができております。それから準夜、深夜については、多少不徹底のところはございますけれども、大体九六%ないし九二%の施設はそういうふうに明示をいたしております。
 ただ、いま御指摘のように、そういう施設で明示をいたしましても、非常に激しい勤務でございますので、その時間にとれないという実態がございますことは御指摘のとおりであろうと存じております。したがいまして、基本的にはそういう数をふやす方向で大いに努力をいたさなければなりませんが、現状の中でもいろいろとくふうをいたしまして、できるだけその負担の軽減をはかるという措置は考慮しなければならないものと私ども感じております。
#161
○本島委員 改善された面と申されたけれども、実際問題としては、あなたがおっしゃるようにはなかなか行なわれていないということになると思います。
 そこで、人事院にお尋ねいたしますが、先ほどからの答弁を聞いておりましても、強制力を持てない。ただ勧告の程度だなんということをおっしゃっておったのですが、それでは人事院の権威失墜するのではないかなんと思って聞いておったのです。したがって、あなたのほうも、せっかく追跡調査の結果、これだけの判定をされたわけなんですから、しかも、それが一年にわたってなされたということを聞いております。それだけ努力されて、それで勧告程度で、その実効はあがらなくてもしかたがないのだというような先ほどからのことばを聞いて、むしょうに腹が立っていたわけなんですが、それじゃ人事院という権威は一体どこにあるのだろうか。あなたも非常に不満に思われるでしょうけれども、こういう点について、いま厚生大臣は、来年度予算に向かって一生懸命がんばってみる、こういうふうに決意表明をされておるわけでありますが、人事院としてはどうでございましょう。判定のしっぱなしで、やれてもやれなくてもいいのだというような考え方でしょうか。
#162
○島政府委員 私どもは、この判定を出した場合に、それがどのような形で実現されるか、最大の関心を持って見守っているわけでございます。したがって、四十年に出しました人事院の判定につきましては、私どもでも、これが一日も早く実現されるように心から望んでおる次第でございまして、そのために、毎年そのための調査も、私ども自体でもやっております。それから厚生省なり、文部省なり、そういう関係機関からも、毎年そのつど必要な御報告をいただいているところでございまして、最大の関心を持ってこの問題は見守っておる次第でございます。
    〔竹内委員長代理退席、委員長着席〕
#163
○本島委員 関心を持って見守っていただく程度では不服でございますので、やはり先ほど厚生大臣が申されたように、大臣折衝の中でもやります、こういうような決意であったのですが、あなたのほうも、もう少し積極的にやっていただかなければなるまい、こういうふうに思うわけなんです。私、時間があまりないものですから、人事院に対する質問はこの程度にしておきますが、特段の御努力を願いたいと思います。
 それから、先ほどから看護婦さんの絶対数が不足だということ、それからそれに対する養成等についての予算、あるいはその規模というようなことが質問されておったわけですが、仄聞するところによれば、その養成をすべき学校、それから教師、こういうものが不足しておる。そういうことのためにできないというような話も聞いております。そこで、たしか三年ぐらい前だったでしょうか、社会党の参議院の女の先生から、地方の定時制で使っておった高校等、これがだんだん生徒が減っておる、そういう関係から、そういうところを利用して、少なくとも看護婦さんの志望者、また准看護婦さんの志望者というのは多いのだから、そういうところで養成して、この絶対数不足を解消してみてはどうか、こういう御意見が出たと私は思っておりますが、こういう点についてはその後どのようにされておったのか、また今後どういうふうにしてみようかという腹案があるのでしょうか、この点お尋ねいたします。
#164
○松尾政府委員 養成所を拡充してまいりますためには、御指摘のとおりの、いわば教員になる看護婦さんというものがやはり必要でございます。この点につきましてはいまなお十分な数があるとは考えられません。したがいまして、私どものほうでは、そういう看護婦養成所において教育を担当される専任の看護婦さんをさらに再教育をする、こういう意味で、約半年間のコースの、長期コースというものを行なっておりまして、大体一回五十名ないし六十名程度の人員をもちまして教育をいたしております。終わりましたらそういう講習会の終了証書も差し上げまして、そういう方々によって教育が担当できるように、一方においてそういう準備を十分進めてまいっております。今後とも努力してまいりたいと思います。
 それから定時制高校のあいたところを利用するということにつきましては、私、不勉強でございまして、いま初めてそういうことを伺ったわけでございます。今後それに関連いたしまして、中学卒業生で高校進学者が非常に減ってまいります。そういうような実態も十分つかまえまして、時代のそういう傾向に合った養成計画というものに直してまいりたいというふうにただいま検討中でございます。そういう施設の活用につきましては、今後十分検討させていただきたいと思います。
#165
○本島委員 いま御答弁を聞いていてあまり熱意がなさそうなような気がいたしますが、もう一つお聞きしたいのですが、養成学校で教育をされて、そして一応つとめる、だがすぐこういう人々が民間に引っこ抜かれるというようなことで、せっかく養成してみたものの、それが国立関係に残ってもらえないというようなことがいわれておりますが、こういう点どうでございましょうか。先ほどのお話の中でもちょっと私気になっておったのですが、全体の、看護婦さんの資格を持つ人あるいはまたそういう資格者が五十五万人いらして、その中で実際に就労していらっしゃる数が二十五万三千人くらいだ、そしてなおかつやめていく人が半数くらいある、こういうようなことがいわれておるようです。そうすると、その補充もしなければならぬ、それから新規で働いていただく資格者、それの急増ができないままでもとにかくかかえていかなければならない、こういう操作をどういうようなやり方でやっていらっしゃるのか。いまの初任給等を見てみましても、民間に比べて非常に低いような気がするのですが、この点どうでございましょうか。
#166
○松尾政府委員 看護婦の就業者二十五万三千という実態でございまして、資格を持った方が、それとほぼ同数いるということは御指摘のとおりでございます。いま御指摘のように、一年間約三万人近い卒業生を出しまして、新しい人員も加わっていただいておりますけれども、就業人口としての増が約一万五千程度でございますので、その差し引きというものは大体看護婦さんの中から退職をしていかれる数というふうに推定をしていいかと思います。その問題につきましては、最近非常に結婚された看護婦さんが多くなっておりまして、国立関係でいえば四二%強というものは御主人がいらっしゃる看護婦さんでございます。そういうような形でつとめていただいておるわけでございますけれども、やはり家庭における保育の問題、その他の問題があって、いま申し上げましたような数で退職していかれる。何とかこういう方々がやはり少しでも長く残っていただきたい。それは非常に経験を積んだ方々でございますので、またそういう豊富な経験を持っておられる方々の看護というのは非常に大事な問題でございますので、そういう方々にとどまっていただきたい、こういうのが私どもの希望でございます。そのためにはやはり勤務条件の改善ということが基本でございます。
 それからまた初任給のお話がございましたが、看護婦自体について申し上げれば、人事院の御調査によりましても、国立関係の看護婦さんは民間の看護婦さんに比べてベースはいいわけでございます。しかしながら、ほかに女性としての職業が非常に開発されておりまして、そういうほかの方面にいろいろと吸収されるという考え方もございます。やはりそういう待遇改善というものは、今後とも努力していかなければならないと思います。従来から人事院当局におかれましても、そういう点は配慮していただきまして、先ほど来申し上げましたように、民間給与と比較いたしまして国家公務員の看護婦さんが高いにもかかわらず、なお、全公務員の平均を上回った改正率を出していただいておるということも、そういうことを十分御認識いただいておる結果だと思います。私どもも、やはり今後ともそういうベースを高めていくということには万全の努力を払いたいと思います。
#167
○本島委員 いま大臣お聞きのとおりで、町の病院等に比較すれば、国立は多少給与はいい、こうおっしゃっておりますけれども、やはりいろいろの意味で待遇面が違う。それから民間が非常によくなっておる。こういうような時勢の中ですから、やはりそうした点の基準の引き上げ、賃金の大幅引き上げということが常にいわれるわけでありますが、やはりその労働に見合っただけの賃金体系というものをおつくりいただかぬと、いつまでたってもこの絶対数不足というものは解消しないと思うわけなんです。この点は後ほど大臣にどうお考えになりますか、御返事いただきます。
 その前に、先ほども山本委員が簡単におっしゃっておったのですが、基準看護病院のことで付添さんのこと、これは私詳しく申しません。この新聞に、これは朝日新聞の三月十六日に出ております。これは厚生大臣お読みいただいておりましょうか。もしお読みいただいていらっしゃらなければこれを差し上げますから、ひとつこれをよくごらんいただいて、とにかく患者にいたしますれば完全看護だということでほんとうにほっとしたような気がするのです。ところが、完全看護のつもりで行ってみて、そうでなかった。そして付添さんを、そちらになければこちらの病院のほうで世話しますよといわれて、安くとも四万円、正規の看護婦さんに付き添ってもらうと、月に十五万円も取られるなんという、こういうことが書いてありますけれども、これでは普通勤労階層ではとても付添さんをつけることはできません。私のところで身の上相談をしておりまして、毎朝二十名近い人が来られるのですけれども、この中に病院の問題で来られる方が非常に多うございます。その中で一番悲惨だなと思うのは、これにひっかかった人たちです。自分のところは手がないし、どうしようもないのだけれども、病院では付添さんを置かなければ入院させませんよなんていわれると、もうおろおろして方法がつかない。そしてまた、それが保険等で見てもらえないなんていうようなことになってまいりましたときには、もう夜逃げします、そして病人を捨てていけば何とかしてくれるでしょうから、こういう悲惨な話まで出るわけなんです。こういう点について、この完全看護というものがほんとうに守られていくように行政指導というものをもっと強化してもらえないか、こういうものがどうしても必要な場合におけるところの何らかの措置というものを、役所は講じることはできないものか。民間に委託するから、こういうことで非常に高いものを取られる、こういうことになるわけで、これはこまかく書いてございますから、お読みいただきたいと思います。こういう点についてどうお考えになりますか、あわせて二点厚生大臣にお尋ねいたします。
#168
○斎藤国務大臣 処遇の問題と、完全看護の問題であったと思いますが、国立病院等におきましては、御承知のように初任給をきめておりますが、本年度は他の公務員の給与よりも、看護婦の給与のアップ率を高くしてもらったわけであります。人事院の勧告におきましても、もっと高い勧告を出してもらうようにしてもらいたいと私は事務当局からも言わしておって、大体その方向にいっているわけであります。いまおっしゃいましたように、大体国の公務員の給与よりも民間の給与のほうがいいという現状でありますが、看護婦さんの場合には、民間のほうが悪いということなんですね。私それは事実かどうか知りませんが、そういう数字だ、ちょっとこれは常識に合わぬような気がいたすのであります。しかし、あるいはそれが現状でもあろうか。しからば、一般とは違って、民間のほうが国立病院の看護婦さんの給与よりも悪いというのはどういうわけで悪いのか、ここもきわめてまいらなければならないと思うのであります。そしてどうしても、国のほうの給与をよくすることによって民間の病院の看護婦の給与をよくしていくという以外に道がなければ、国立のほうをもっともっと上げるように、さらに努力をしてまいらなければならないと思います。それしか手はなかろうかと私は思っているのでありますが、ほかにも手があればあれですが、看護婦さんの処遇を改善をするということが、まず何よりも大事なことかと思います。これが看護婦の数を増していくということと車の両輪だろう、これなくして数だけをいたずらに増そうとしても増せるものではありませんから、両々相まってやってまいりたいと思います。
 完全看護の点は「まぼろしの完全看護」ということで、それは私も見ました。それが非常に悪い一例ではなくて、ほとんどこういう状況だということであれば、まことに残念なことだと思います。さらに監督を厳重にいたしまして善処をいたし、病院がどうしてもそういった状態を続けるならば、とるべき措置は断固としてとってまいらなければなりません。そういう措置をとらないで――そういうことが現実にできるように、まず指導をし助成をしていくことも必要だ、かように考えます。
#169
○本島委員 絶対数不足の看護婦さんの問題等につきましては、現在看護婦さんたちが全国からのぼってきて、熱心な運動を続けていられるその心情をおくみ取りくだすって、来年度予算にはこういうことが起こらないように、ひとつがんばってくださることを要望いたしておきます。
 次にお尋ねいたしますことは、出産等の問題についてでございます。大臣のところにも、私ども全国から集めた七十万からの署名を持ってまいりまして、分べん費の引き上げ方等をお願いしたわけなんです。その主たる目的は、出産は健康保険で見るようにという運動となっておりますが、もともと私どもがこの運動を起こす前提となったものは、出産ということは、これは異常分べんであろうがなかろうが、国の宝を産むわけなんですから、国が全額持つのが至当である、こういうことで運動を始めてまいったのですが、なかなかその予算が取れない、こういうようなことであったものですから、少なくとも健康保険で見られるような程度までには引き上げてもらおうじゃないか、こういうことで昨年の運動をいたし、大臣にも陳情に参ったわけであります。分べん費の引き上げが見られたということは一応愁眉を開いた、こういうことになるわけでありますが、今後引き続いて私どもはこの出産については全額国庫負担、こういう形での運動を展開することになるわけであります。これは私どもばかりでなく広範な婦人の運動として展開される、こういうことになっておりますので、まず厚生大臣はその点を御認識いただきたいと思うわけであります。
 私どもいろいろ調べてまいっておりますと、日本は世界一妊産婦死亡率の高い国、こういうふうになっておりますね。これは統計が古くなっておるようでありますけれども、十万人に対する死亡率というものが、日本は昭和三十八年で百丁五人となっておる。先進国は大体その三〇%以下、こういうような状況になっておると思うのです。これだけを見てみても、いかに妊婦の死亡率が高いか、こういうことになるのです。
 それからもう一つは乳児の死亡率が一応低いような、世界の先進国並みのような数にはなっておるけれども、新生児死亡を死産というような届け出をしておる。そういうことのために率は低くなっておるが、実際は今日の率の大体二倍半から三倍というのが乳児の死亡率になるのだということを、お医者さんたちは申しておるわけなんです。こういう点について先ほどの問題と関連いたしまして、これは私仄聞したところですからはっきりいたしませんが、新生児の場合、看護婦さんは夜間一人で三十名くらいを持っていらっしゃる、こう聞いております。その点で非常に行き届かない点が出てくる。赤ちゃんの取り違え事件というようなこともずいぶん新聞でにぎわったこともありますが、しかし、そればかりでなく、この死亡率が高いという点をどのようにお考えになり、こういう妊産婦あるいはまた乳児の高い死亡率に対して、今後どのような措置をしようとしていられるのか、こういう点お尋ねいたします。
#170
○斎藤国務大臣 最初の出産手当は、今度若干手厚く増額をいたしましたけれども、それだけではまだ十分とはいえないじゃないかというお説、ごもっともだと思います。逐次改善をしてまいりたいと思いますが、本年はいままでに比べて、よほどの思い切った改善だ、かように考えておるわけであります。ただ、おっしゃいますように、これが現物給付が一番望ましいのか、あるいは現金給付が望ましいか。イギリスなんかは現物給付のようでありますけれども、保険として現物給付が望ましいかどうかという点は、若干まだ検討する必要があるのじゃないだろうか。現在よりもっと高めていく必要があるということは、私は同意見でございます。
 それから妊産婦、乳児の死亡率は、いま非常に低くなってはまいりましたけれども、しかし、これで自慢のできる状況ではございません。ますますこれを低めてまいりますように、妊産婦の、妊娠の初期から出産後に至るまでの、いろいろな手厚い医療的、またその他の社会保障的、社会福祉的な援助が必要であろうと思いまして、その方面にこまかい施策を本年におきましても講じたわけでありますが、だんだんとこれを講じてまいりたい、かように考えております。
#171
○本島委員 こまかい施策と、こう言われるのですが、妊婦にとって一番危険な時期というのは二、三カ月という、この線が一番危険だといわれておるのですが、そのほかにもあると思うのですが、正常分べんの場合は、これは病気ではないということで、保険は全然適用されておりませんですね。だけれども、一番危険なその肉体的条件を持っている時期であるこういう時期に対する措置、いま大臣は、こまかい点も見たつもりだとおっしゃったのですが、どういう点で見ていられるのか、お尋ねしたいのです。
 たとえば異常出産率というものは、看護婦さん、女教員というような人々に非常に多いという統計が出ているのを見ました。大体四〇%から六〇%程度が異常出産をされる、こういうことになっておるそうです。それからまた、一般家庭婦人と働く婦人、こういう人たちを見ますときに、家庭にいられる婦人たちの流産だとか死産だとか、そういう形のものは八・七%程度だが、共働きをする婦人、また結婚しても働いていらっしゃるそういう婦人たちには、非常にその率が高くて二二・三%になっている、こういうふうなことが、これまた今度の看護婦さんたちの要求書の中の説明にあったと私思うのです。
 これを見てほんとうに、女というものが出産すること、これはもういかにその人生にとって大きな難事件を果たしていっているのかということが、あらためてわかるような気がするのです。こういうような場合、そのつわりの期間が一番危険だといわれるのですが、こういうとき働いている人たちに休養をとらせる。先ほどは産後の六カ月夜間勤務を一応は見てくれということで、多少は見ておりますという御答弁でしたが、このつわりの期間において、何らかの措置をしてあげることができないか、こういうことですが、この点はいかがでしょうか。
#172
○渥美政府委員 先ほど大臣がお答え申し上げました新しいこまかな施策でございますが、昭和四十四年度、現在御審議をわずらわしております予算の中では、今回、いま先生御質問がありましたような、働くおかあさん、妊婦のためという点も加味いたしまして、従来ならば妊娠等につきまして、保健所で健康審査を行なう場合には無料で取り行なったわけでありますが、四十四年度予算におきましては初回妊娠の方等につきましては、もよりの病院あるいは診療所等におきまして、健康審査を行ないやすくするために、そういった方々に対しましても公費負担を行なうということにしたわけでございます。
 なお、従来の保健所でやりますところの健康審査は、大体一四%程度しか受けられなかったのでございますが、今回のような施策によりまして、多くの方々が、また働く御婦人等も公費負担によりまして健康審査が行なわれる、かようになると思うのでございます。
 なお、さらに晩期妊娠の方につきましての妊娠中毒症の治療あるいは糖尿病の方々の治療等につきましても、これらの疾病が死産を誘発しましたり、あるいは異常児の出生の原因になるわけでございますので、こういった疾病の入院治療等につきましても、公費負担を拡大するということをいたすわけでございます。
#173
○本島委員 いまのお答えのところで二つお聞きしたいのですが、病院あるいはまた保健所というのは、時間が大体五時以内に終わってしまうのです。働く婦人たちはそれを利用することができない。そういう人々の利用をどこでさせようとしておられるのか。
 それからもう一つ、先ほど申し上げたように、働いている婦人たちがつわりのためにからだを休める。先ほど一般家庭婦人と働く婦人の流産、死産の率を申し上げたわけですが、働いている婦人たちは、非常に影響を母体に受けているということになるわけですから、そういう意味で、このおかあさんたちに対して、これは労働省の問題かもしれませんが、厚生省としても何らか休養のとれる有給休暇的な措置を講じてみたらどうか、こういうことをやっている国々もあるわけなんですから。また、日本の国におきましても、たとえば身心障害者などの雇用をいたしますときには、適当な措置が予算上講じられる、こういうことになっているわけなんです。したがって、このつわりでも、非常に普通の病人より強い人もあるわけなんです。ほんとうに半死半生みたいな状況で三週間から四週間ぐらい過ごされる人も出てくる。こういう人々に対する措置というものはできないはずはないのではないだろうか、こういうふうに思うわけですが、この点いかがでしょうか。
#174
○渥美政府委員 第一点の、働く御婦人の方々に対する問題でございますが、先ほどお答え申し上げましたように、従来は保健所におきまして、妊産婦、新生児等の健康審査を実施してまいりました。保健所は夜間まで窓口を開いておりませんので、そういった問題も考えまして、昭和四十四年度におきましては、もよりの一般の病院なりあるいは一般の診療所等におきましての健康審査につきましても、公費負担をいたそうということでございますので、その点保健所で受ける健康審査よりは受けやすくなるということが言えると思います。
 それから第二点の、前期妊娠中毒症でございますところのつわりの問題でございますが、この問題につきましては、従来も市町村等からの保健指導ということもやっておりますけれども、いまの御質問の趣旨からいたしますれば、これらはむしろ私どもが労働省当局と、やはり雇用の関係も非常に重大な問題でございますので、そういうふうな担当の官庁とも相談をして、対策を検討する必要があろう、かように考えているわけでございます。
#175
○本島委員 もう一つ、妊娠中における母体に対して悲惨なことは、最近非常に性病が充満している、こういうようなことから、その影響で奇形児が生まれたり、あるいはまた流死産というようなことが多くなってきているというようなことも聞いておりますが、これは妊産婦と同時に、それと別個に性病蔓延のしかたというものが、一時非常にたくさん出たと発表されて、世間では、だから売春防止法なんてけしからぬ、復活したほうがいいのじゃないかということが、テレビの中なんかでも堂々と論じられてきたわけなんですが、その一翼を厚生省がになっているような気がするわけなんです。とんでもないことだ。私は、そういうことを言う男の人に対して、まず売春婦にあなたの娘さんを提供するか、自分の娘を売春婦にしますというならばいまの論法でもお聞きしますが、こう言うと、たいていの人が、いや、それはできないよ。では、どこの娘さんがするのだと言うと、どこかあるだろう、こういうことを言うのです。こういう無責任な論拠のもとをつくっているのが厚生省だ、こういうわけなんです。どうでございましょう。この点、性病の蔓延のしかたがどんな状況になっているのか、またそれが妊産婦にどのように影響しておるのか、こういう点お尋ねします。
#176
○村中政府委員 お答え申し上げます。
 何か厚生省がぬれぎぬを着せられているような御指摘でございますが、私どもは性病予防法に基づきまして、一生懸命対策を実施しておるわけでございます。戦後、昭和二十三年に、過去の統計を見ますと一番性病の届け出が多くございまして、これは約二十六万人の梅毒、淋病を含めまして厚生省に届けられている数字でございます。その後だんだん減ってまいりまして、昭和三十九年には一万が切れまして、約九千五百人程度の届け出よりなかった。これは患者が少なくなって届け出が減ったのか、あるいは御心配のように患者が潜在していて届け出が少なくなってきたのかというふうな問題もからんでまいるわけでございますが、御承知のように、性病予防法が改正になりまして、従来の強制的な健康診断及び届け出の方法がだんだん改正をされてまいりまして、端的に申し上げますと、届け出が非常に簡素化されてきたというふうなことも一つ原因して、届け出がなかなか守られないような実態が出てきたのではないかというふうな心配が出てまいったわけでございます。
 それは別といたしまして、その後四十年、四十一年とだんだん届け出がふえてまいりまして、昭和四十二年には約二万四千人の梅毒、淋病その他の患者の届け出がございました。昨年は、これはまだ概算でございますが、約一万九千名くらいの患者の届けがございまして、ひところの三十六万人に比べますとずいぶん数が減ってまいっております。
 このようなことで、せっかく法律によって届け出を実施するように、患者及び医師に対して協力を求めておるのでございますが、なかなかこれの実効があがらないということで、先ほどちょっと触れました、昭和四十一年の法律改正のときに、無料で健康診断を実施する対象をきめました。一つは婚姻のときに健康診断をする。もう一点は妊産婦は健康診断として血液の検査を受ける。この二つが無料で実施されることになりました。新しい数字では、妊婦につきましては約二十三万人程度が血液の検査を健康診断のときに受けております。一応対象が約七十五万といたしますと、三〇%程度が妊婦については血液の健康診断を受けておるというふうな数字になるわけでございます。
 これの成績結果でございますが、妊婦につきましては大体一・一くらいが%昭和四十二年から三年にかけての陽性率でございます。言いかえますと、大体百人に妊婦に、一人くらいに血液の梅毒反応が陽性に出たというふうな数字になっておりまして、血液の検査によって、妊婦が梅毒に感染している心配があるという場合には、早い時期では胎児に影響することなく治療ができるわけでございますが、四カ月以降の後半になってまいりますと、大体胎児への影響というふうなこともありまして、その他の措置によって手当てをいたしておるわけでございます。
#177
○本島委員 残り時間が少ない様子ですから、またの機会にこうした点をお尋ねしますが、いまお聞きのとおり、厚生大臣、やはり感染しておる婦人たちがあるわけです。婦人というものは、全く知らないで大きな身の危険を常に背負わされておるというかっこうなんですね。本来ならば、御主人がしゃべってくれれば一番いいのですが、たいてい御主人はしゃべらないから、その犠牲だけが妻にくる、こういうかっこうなんです。ですから、この妊娠、出産ということは、女にとってはほんとうに大きな難事であるわけです。しかも、子供というのはその国の消長にも大きな影響のあるものであるし、子供は国の宝だ、こういうことになっておるわけですね。国の宝であって、日本の国は社会保障が少々おくれておるものですから、貧乏人の子たくさんということばはいまだに解消されていない。りこうな方々は目標三名、実質二名、こういうことのようですが、統計上子供の数は一・九から一・八、こういう出生率に下がってきておるわけですね。こういう時期におきまして、異常分べんのときだけ健康保険が適用されるのではなくて、正常分べんであろうとも、これは全額公費負担という形で進めていくべきじゃないか。これは当然――女の出産の苦しみというのは男の人にわからぬから、まあまあなんておっしゃるかもしれませんけれども、妻に聞いてもらえばよくわかるわけです。したがって、全額公費負担、こういうことで踏み切ってやる意思がおありになるかないか、また、そういうことをするための予算が、どのくらい負担が増になるのかということを、前もって申し上げておいたから計算してあると思いますが、その点をお知らせいただきたい。ただし、この場合に保険料率を上げるということはやめていただきたい。これは国の責任において赤ちゃんを生むのですから、そういう意味においてどのくらい負担増になるか、こういう点、お聞かせいただきたい。
#178
○梅本政府委員 ただいまの費用の計算の点でございますが、一応保険サイドから健康保険の政府管掌におきまして計算をいたしましたが、本人、家族とも分べん費の額を二万円といたしまして、改善に要する経費は、昭和四十四年度では約八十億円、九月実施の場合は四十七億円という計算が出ております。
 ついでに、これを保険料でまかなうといたしますと、千分の一・三の料率に該当いたします。
 なお、国民健康保険につきましては、現在二千円の助産費を支給しておる保険者におきまして、この支給額を二万円まで引き上げるということで計算をいたしますと、改善に要する費用は約百七十億円でございまして、その財源を保険料でまかなうという場合につきましては、被保険者一人当たり保険料増加額は二百五十二円という計算が出てまいります。
#179
○本島委員 いま保険料を値上げしないでと申し上げたのですが、これは値上げをしないあれですか。
#180
○梅本政府委員 いま申し上げたように、これは国庫負担と、国庫負担をやめまして保険料でやった場合と、二通り申し上げたわけであります。
#181
○本島委員 そうすると、全額――全額といっても、標準が、今回の分べん費の値上げになったのは二万円になっているのですね。この二万円というのはどこの病院での標準であるのかということと、改善してみても百七億円あれば大体この二万円に相当する分べん費が公費負担として出る、こういうことなんでしょうね。そうすれば、百七億円ということになれば、えらい安い金ですね。いまの国家予算が六兆七千四百億円もあるというこの中から見れば、わずかな金で赤ちゃんを完全国庫負担において出産できる、こういうことになるわけですね。こういう点がどうでございましょうか。私の言っていることが違っておれば是正してもらうし、また大臣として、もしそうであるならばどうお考えになるか、御返事を願いたいと思います。
#182
○斎藤国務大臣 先ほど申し上げましたのは、二万円の現金給付、これでもう完全なお産の費用が払えるだろうとは思っておりません。払えるお方もありましょう。しかし、平均してなかなか払えないのではないかと思っております。幾らにしたらいいのか、出産の費用として五万円要る人もあるし、十万円要る人もあるし、それぞれ私は要るだろうと思いますが、それだからそういう現金給付でなしに、現物給付にしたらどうだ、そして点数制度でやれ、これも検討しておるのでありますが、ちょっとまだ点数制度になじまない点がございまするし、そういう分べんの現物給付がよろしいかどうか、各国で、やっておるところもありますから、それらの成績もわかっておりますけれども、なお考える余地があるのではなかろうか。いずれにいたしましても、二万円で十分な額とは思っておりません。それをまた三万円に上げていくかどうか、四万円に上げていくかというときがくるだろうと思います。それからこれを全部国費で見てしまうということになりますると、一般の保険全部国費で見るということになると、おそらく百億程度のものではないでしょう。なかなかこんな数字ではできないと思います。
#183
○本島委員 もう時間がきたようで、これでやめますけれども、いま私は看護婦さんの問題、それから女にとって一番大切な妊娠、出産等について関連して御質問をしたわけでございますが、どうかひとつ出産ということについては特段の配慮を願って、きめこまかな措置をするということ、特に妊娠中毒症の人々に対するつわり休暇なんというのは、日本の産業の中にも取り入れられているところがあるわけなんですから、こういう新たな考えもひとつ来年度予算の中で考えてみてほしい、こう思うわけなんです。
 同時に、看護婦さんが夜間一人で三十名もの赤ちゃんを見るということからも、これはもうたいへんな重労働だと思うのです。そういう点、社会党の山本委員からも言われたように、希望者はたくさんあるのに採用は少ししかしない、待遇はあまりよくない、だからしかたがないのだというのでは、ほんとうに日本の病人というものは救われません。何といっても病院に入った瞬間から、病人というのは何か命が助かったような気がしますし、またやさしい看護婦さんの手にかかったときに、その看護婦さんの顔を見て、自分はもう何か退院できるような気がしますなんという患者もいるくらいに、病人はたより切っている。そういう人たちが重労働のために十分な仕事もおできにならない。しかもそれが、長年要求が続けてこられていながらも、私たちの目から見ると少しも前進してない、こういうふうに思うわけなんです。こういう意味で、ひとつこういう面に対しまして、厚生大臣が今後政治をとられる上において一そうの努力を払っていっていただきたいことを、強く私、要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
#184
○森田委員長 次回は来たる二十五日午前十時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後一時二十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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