くにさくロゴ
【PR】姉妹サイト
 
#1
第061回国会 社会労働委員会 第14号
昭和四十四年五月六日(火曜日)
    午前十時三十二分開議
 出席委員
   委員長 森田重次郎君
   理事 澁谷 直藏君 理事 竹内 黎一君
   理事 谷垣 專一君 理事 橋本龍太郎君
   理事 渡辺  肇君 理事 河野  正君
   理事 田邊  誠君 理事 田畑 金光君
      海部 俊樹君    倉石 忠雄君
      齋藤 邦吉君    世耕 政隆君
      田川 誠一君    高橋清一郎君
      中山 マサ君    広川シズエ君
      増岡 博之君    箕輪  登君
      枝村 要作君    加藤 万吉君
      後藤 俊男君    島本 虎三君
      西風  勲君    八木 一男君
      山本 政弘君    本島百合子君
      和田 耕作君    大橋 敏雄君
      伏木 和雄君    谷口善太郎君
      關谷 勝利君
 出席国務大臣
        労 働 大 臣 原 健三郎君
 出席政府委員
        人事院事務総局
        職員局長    島 四男雄君
        厚生省医務局長 松尾 正雄君
        林野庁長官   片山 正英君
        労働省労働基準
        局長      和田 勝美君
        労働省職業安定
        局長      住  榮作君
        労働省職業訓練
        局長      石黒 拓爾君
 委員外の出席者
        文部省初等中等
        教育局職業教育
        課長      大崎  仁君
        参  考  人
        (雇用促進事業
        団理事長)   万仲余所治君
        参  考  人
        (雇用促進事業
        団理事)    竹内 外之君
        専  門  員 濱中雄太郎君
    ―――――――――――――
四月二十五日
 委員世耕政隆君、本島百合子君及び大橋敏雄君
 辞任につき、その補欠として廣瀬正雄君、池田
 禎治君及び小川新一郎君が議長の指名で委員に
 選任された。
同日
 委員廣瀬正雄君、池田禎治君及び小川新一郎君
 辞任につき、その補欠として世耕政隆君、本島
 百合子君及び大橋敏雄君が議長の指名で委員に
 選任された。
    ―――――――――――――
四月二十五日
 生活保護法の一部を改正する法律案(八木一男
 君外八名提出、衆法第三三号)
同月二十八日
 母子保健法の一部を改正する法律案(柏原ヤス
 君外一名提出、参法第一六号)(予)
同月三十日
 労働基準法の一部を改正する法律案(藤原道子
 君外一名提出、参法第一七号)(予)
 看護婦国家試験の受験資格の特例に関する法律
 案(藤原道子君外一名提出、参法第一八号)
 (予)
同月二十五日
 療術の新規開業制度に関する請願(上林山榮吉
 君紹介)(第五三一一号)
 医療労働者の増員等に関する請願(神門至馬夫
 君紹介)(第五三一二号)
 同外一件(石橋政嗣君紹介)(第五四三一号)
 同(神門至馬夫君紹介)(第五四三二号)
 同(武部文君紹介)(第五四三三号)
 同(楯兼次郎君紹介)(第五四三四号)
 同外一件(浜田光人君紹介)(第五四三五号)
 同外二件(美濃政市君紹介)(第五四三六号)
 衛生検査技師法の一部改正に関する請願外一件
 (八田貞義君紹介)(第五三一三号)
 同(竹内黎一君紹介)(第五四二八号)
 同(武部文君紹介)(第五四二九号)
 同(和田耕作君紹介)(第五四三〇号)
 ソ連長期抑留者の処遇に関する請願外四件(天
 野公義君紹介)(第五三一四号)
 同外十一件(小山省二君紹介)(第五三一五
 号)
 同外一件(塩谷一夫君紹介)(第五三一六号)
 同外七件(藤山愛一郎君紹介)(第五三一七
 号)
 同外二件(大石八治君紹介)(第五四一九号)
 同外四件(西村直己君紹介)(第五四二〇号)
 同外一件(中川一郎君紹介)(第五四二一号)
 同外十四件(福田篤泰君紹介)(第五四二二
 号)
 同外四件(帆足計君紹介)(第五四二三号)
 同外七件(武藤嘉文君紹介)(第五四二四号)
 同(和田耕作君紹介)(第五四二五号)
 医師及び看護婦の増員に関する請願外三件(川
 村継義君紹介)(第五四二六号)
 社会保険池袋中央病院の再建に関する請願(河
 野正君紹介)(第五四二七号)
同月二十八日
 療術の新規開業制度に関する請願(宇野宗佑君
 紹介)(第五五四四号)
 同(河上民雄君紹介)(第五五四五号)
 同外一件(山中貞則君紹介)(第五五四六号)
 同(内海清君紹介)(第五六四三号)
 同(植木庚子郎君紹介)(第五七三八号)
 同(橋本登美三郎君紹介)(第五七三九号)
 ソ連長期抑留者補償に関する請願外二件(福田
 篤泰君紹介)(第五五四七号)
 同(和田耕作君紹介)(第五五四八号)
 同(和田耕作君紹介)(第五六四六号)
 同(小峯柳多君紹介)(第五七四二号)
 医療保険制度改悪反対及び医療保障確立に関す
 る請願外二件(後藤俊男君紹介)(第五五四九
 号)
 同(西風勲君紹介)(第五五五〇号)
 同外一件(林百郎君紹介)(第五五五一号)
 同(美濃政市君紹介)(第五五五二号)
 同(八木一男君紹介)(第五五五三号)
 同(安宅常彦君紹介)(第五六六七号)
 同(阿部昭吾君紹介)(第五六六八号)
 同(阿部助哉君紹介)(第五六六九号)
 同(赤路友藏君紹介)(第五六七〇号)
 同(淡谷悠藏君紹介)(第五六七一号)
 同外一件(井岡大治君紹介)(第五六七二号)
 同(井手以誠君紹介)(第五六七三号)
 同(石川次夫君紹介)(第五六七四号)
 同(石田宥全君紹介)(第五六七五号)
 同(石野久男君紹介)(第五六七六号)
 同(石橋政嗣君紹介)(第五六七七号)
 同(板川正吾君紹介)(第五六七八号)
 同(稻村隆一君紹介)(第五六七九号)
 同外一件(江田三郎君紹介)(第五六八〇号)
 同(小川三男君紹介)(第五六八一号)
 同外二件(大出俊君紹介)(第五六八二号)
 同(大柴滋夫君紹介)(第五六八三号)
 同(大原亨君紹介)(第五六八四号)
 同(岡田利春君紹介)(第五六八五号)
 同(岡田春夫君紹介)(第五六八六号)
 同(岡本隆一君紹介)(第五六八七号)
 同(加藤勘十君紹介)(第五六八八号)
 同(加藤万吉君紹介)(第五六八九号)
 同(勝澤芳雄君紹介)(第五六九〇号)
 同(勝間田清一君紹介)(第五六九一号)
 同(金丸徳重君紹介)(第五六九二号)
 同(神近市子君紹介)(第五六九三号)
 同(川崎寛治君紹介)(第五六九四号)
 同(川村継義君紹介)(第五六九五号)
 同外一件(河上民雄君紹介)(第五六九六号)
 同(河野正君紹介)(第五六九七号)
 同(木原実君紹介)(第五六九八号)
 同(北山愛郎君紹介)(第五六九九号)
 同(久保三郎君紹介)(第五七〇〇号)
 同(久保田鶴松君紹介)(第五七〇一号)
 同(栗林三郎君紹介)(第五七〇二号)
 同(黒田寿男君紹介)(第五七〇三号)
 同(小林信一君紹介)(第五七〇四号)
 同(小松幹君紹介)(第五七〇五号)
 同外一件(河野密君紹介)(第五七〇六号)
 同外一件(佐々木更三君紹介)(第五七〇七
 号)
 同(佐藤觀次郎君紹介)(第五七〇八号)
 同(佐野憲治君紹介)(第五七〇九号)
 同外二件(佐野進君紹介)(第五七一〇号)
 同(阪上安太郎君紹介)(第五七一一号)
 同(實川清之君紹介)(第五七一二号)
 同外七件(島上善五郎君紹介)(第五七一三
 号)
 同(島本虎三君紹介)(第五七一四号)
 同外一件(下平正一君紹介)(第五七一五号)
 同(田中武夫君紹介)(第五七一六号)
 同(田邊誠君紹介)(第五七一七号)
 同(只松祐治君紹介)(第五七一八号)
 同(千著佳男君紹介)(第五七一九号)
 同(戸叶里子君紹介)(第五七二〇号)
 同外一件(中嶋英夫君紹介)(第五七二一号)
 同(米内山義一郎君紹介)(第五七二二号)
 同(成田知巳君紹介)(第五七二三号)
 同(野口忠夫君紹介)(第五七二四号)
 同(野間千代三君紹介)(第五七二五号)
 同(芳賀貢君紹介)(第五七二六号)
 同(長谷川正三君紹介)(第五七二七号)
 同外四件(原茂君紹介)(第五七二八号)
 同(平林剛君紹介)(第五七二九号)
 同(帆足計君紹介)(第五七三〇号)
 同(広沢賢一君紹介)(第五七三一号)
 同(細谷治嘉君紹介)(第五七三二号)
 同(安井吉典君紹介)(第五七三三号)
 同(山口鶴男君紹介)(第五七三四号)
 同外一件(山花秀雄君紹介)(第五七三五号)
 同(華山親義君紹介)(第五七三六号)
 医療労働者の増員等に関する請願(三木喜夫君
 紹介)(第五五五四号)
 同外四件(美濃政市君紹介)(第五五五五号)
 同(八百板正君紹介)(第五六四七号)
 医療保険制度改悪及び健康保険等臨時特例延長
 反対等に関する請願外一件(小川三男君紹介)
 (第五五五六号)
 同(大出俊君紹介)(第五五五七号)
 同(田代文久君紹介)(第五五五八号)
 同(谷口善太郎君紹介)(第五五五九号)
 同(中嶋英夫君紹介)(第五五六〇号)
 同(平林剛君紹介)(第五五六一号)
 同(松本善明君紹介)(第五五六二号)
 同(加藤万吉君紹介)(第五七三七号)
 ソ連長期留抑者の処遇に関する請願外九件(臼
 井莊一君紹介)(第五五六三号)
 同外四件(吉川久衛君紹介)(第五五六四号)
 同外四件(斎藤寿夫君紹介)(第五五六五号)
 同外七件(重政誠之君紹介)(第五五六六号)
 同外二件(高見三郎君紹介)(第五五六七号)
 同外一件(古屋亨君紹介)(第五五六八号)
 同外一件(本名武君紹介)(第五五六九号)
 同外三件(谷川和穗君紹介)(第五六四四号)
 同(和田耕作君紹介)(第五六四五号)
 同外七件(菊池義郎君紹介)(第五七四〇号)
 同外五件(始関伊平君紹介)(第五七四一号)
 健康保険等臨時特例延長反対等に関する請願
 (後藤俊男君紹介)(第五五七〇号)
 同(中嶋英夫君紹介)(第五五七一号)
 同外一件(八木一男君紹介)(第五五七二号)
 同(加藤万吉君紹介)(第五七四三号)
 失業保険法の改悪反対に関する請願(後藤俊男
 君紹介)(第五五七三号)
 同(中嶋英夫君紹介)(第五五七四号)
 同外一件(八木一男君紹介)(第五五七五号)
 同(加藤万吉君紹介)(第五七四四号)
 同(工藤良平君紹介)(第五七四五号)
 同(田原春次君紹介)(第五七四六号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 職業訓練法案(内閣提出第九一号)
     ――――◇―――――
#2
○森田委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出の職業訓練法案を議題とし、審査を進めます。
 本日は、参考人として、雇用促進事業団理事長万仲余所治君及び同事業団理事竹内外之君の両君に御出席を願っております。
 質疑の申し出がありますのでこれを許します。加藤万吉君。
#3
○加藤(万)委員 きょう審議をする問題は職業訓練法でありますが、今回の職業訓練法は、今日の日本の経済、技術革新、これに伴う労働者の質的な向上をどうするかという課題でありますが、技術革新の過程でいろいろな問題が出ております。最初に、多少一般的質問でありますけれども、林業における技術革新、合理化の過程から起きた白ろう病の問題について、お伺いをしてみたいというふうに思います。
 もうこれは、私が申し上げるまでもありませんが、国有林の伐採等に使用されるチェーンソーあるいは下刈り機といわれている機械、ブッシュクリーナー、こういうものの使用によって、国有林に働く労働者の中に、たいへん危険な職業病の発生があるわけです。いまこれは職業病として認定はされておりますが、職業病の認定に対する治療、あるいは予防処置、あるいは補償の問題等が今日置き去りになっておりますので、多少本筋とはそれますが、白ろう病の現時点の問題についてお伺いをしておきたいというふうに思います。
 最初にチェーンソー、ブッシュクリーナー、それから造林の際の穴を掘る機械、あれは何というのですか、それらはいつごろから使用されて、いま全国にはどのくらいあるのかお聞きをしたいというふうに思います。
#4
○片山政府委員 林業のいまのチェーンソー、ブッシュクリーナーの機械化の問題でございますが、一番初めは昭和二十三年ごろからほんのわずか始まったわけでございますけれども、ある程度大幅に体系の中に組み入れまして実施をいたしてまいりましたのが昭和三十六年、こう見てよかろうかと思っております。
 そこで、チェーンソー等の台数でございますけれども、国有林におきまして、四十三年一月一日現在で調査いたしましたのを見ますと、チェーンソーで約四千九百台、それからブッシュクリーナー、刈り払い機でございますが、これについては一万一千七百台、大体そういうふうに林野庁といたしましては所有をいたしております。
#5
○加藤(万)委員 民有林を含めると、どのくらいあるものでしょうか。
#6
○片山政府委員 民有林におきましては、チェーンソーは、概数でございますが七万五千台、それからブッシュクリーナーにおきまして四万八千三百台、大体以上のように調査いたしております。
#7
○加藤(万)委員 そうしますと、国有林関係では昭和三十六年ごろから全面的にいわゆる手のこからチェーンソーにかえて、チェーンソーが主たる伐採の機械として使用されている、こういうふうに理解してよろしいのですか。
#8
○片山政府委員 そのとおりでございます。
#9
○加藤(万)委員 昭和三十六年からこの機械が使用されて、今日白ろう病という問題がたいへん社会的な問題になっておるわけですが、白ろう病が訴えられた時点というのはいつごろでしょうか。いわゆるチェーンソーを全面的に使用し始めてから何年後くらいに、白ろう病という現象があらわれたのでしょうか。
#10
○片山政府委員 三十三年から始まりまして大々的にやったのが三十六年でございますが、私の記憶ではやはり三十六、七年ごろからそういう手が白くなる、あるいは手がしびれるという話を承りまして、林野庁としましても、そういう問題について検討いたしておったわけでございますが、実際に職業病として指定いたされましたのは四十一年でございます。
#11
○加藤(万)委員 いま白ろう病を訴えている国有林関係の労働者はどのくらいあるのでしょうか。
#12
○片山政府委員 ブッシュクリーナーとチェーンソーに従事いたしております国有林の労働者は、実は大体一万二千七百名いるわけでございます。そのうちで訴えておる人数は、概数で申し上げますと二千六百名でございます。そこで、あと医師の診断によって確認いたしました人数が約八百名でございます。さらに公務上の認定となりましたのが、四十四年三月三十一日現在でございますが、四百八十四名ということになっております。
#13
○加藤(万)委員 一万二千七百名のうち、二千六百名が何らかの形で白ろう病的症状を訴えている、こういうことになりますと、おおむね二割強ですね。従事する労働者の二割強が職業病にかかっている、ないしはそういう訴えをしている、そういう職業病というのは、私ども聞く範囲ではきわめて珍しいといいましょうか、これだけの員数が出ておって、昭和三十六年ないしは七年ごろからそういう症状があらわれておって、昭和四十一年に初めて職業病としての認定を行なったというわけですが、これだけの員数が出ておるわけですから、当然その過程には、一割ないしは一割前後の時代から、白ろう病患者としての問題が林野庁では捕捉をされて、対策が講じられてしかるべきであったというふうに私は思うのですが、その間の経過というものはどういうことなんでしょうか。
#14
○片山政府委員 白ろう病、すなわち振動によって起こる現象、あるいは病気でございますが、三十五、六年ごろから訴えがございました。したがいまして、われわれも国内の事情はもとより、外国の――実際外国では、ほとんどチェーンソーでございますから、外国の事情等をいろいろ聞いておったわけでございます。しかし、われわれの調査の中におきましては、端的に申しますと、外国に比べましてそれほど出ておらないということが実態であったわけでございます。しかしながら、そういう手の白くなる、あるいはしびれの出るという訴えがございますから、われわれのほうとしましても検討をいたしまして、三十八年には労働科学研究所に託委をいたす、あるいは東京大学にも委託をする、そういう権威と思われる各方面に、実は実態を、あるいは究明を委託してきたわけでございます。そのような形で経過をたどりまして、職業病の認定は人事院でいたすわけでございますけれども、四十一年に認定を受ける、このような経過でございます。
#15
○加藤(万)委員 労働省労基局長、よろしいですか。
 いまお聞きのように、二割強が職業病の認定や、あるいはその認定に近い訴えをしているわけですね。この場合にどうでしょう、普通の民間企業は、たとえばさく岩機でもよろしいですけれども、あるいは一般的危険物としての取り扱い事業場で二割以上の職業病があった場合に、これは一般論でけっこうですが、その機械の使用を禁止をする、ないしはその使用に対する厳重な監督監査ないしは勧告を行なう、これが一般的常識ではないかというふうに私は思いますけれども、林野庁がブッシュクリーナーなり、あるいはチェーンソーを使って、二割以上の職業病認定者、ないしはそのおそれのあるものを出した場合の処置というものは、いまの民間の一般的な危険物作業に比べて、対処のしかたとしてはいかがなものでございましょうか。
#16
○和田政府委員 二割という問題は一応別にいたしまして、私どもとしましては、これによって危険有害であることがきわめて明確であるというもの、あるいはその緊迫した事情にあるというような場合におきましては、工事の停止とか、あるいはそういう機械の使用停止というようなことを、基準法としてはやることができるようになっております。
 ただそれがどういう場合にやるかということにつきましては、一般論的にやらずに、その具体的な事件、事件に即しまして、これはあぶないからやめる、差しとめる、こういうようなやり方になっていまして、必ずしも二割出たからどうとか、二割出る可能性があるからどうだというようなことでは処置をいたさない、こういうことにいたしております。
#17
○加藤(万)委員 しかし、どうでしょう、一般的にいって一業種産業の中で、二割強が職業病の症状を訴えているという場合に、それは個々のケースということにはならぬのじゃないでしょうか。たとえばエチルならエチルを使っていたときに、偶発的にそこに二割のエチル患者が出たとかなんとかという場合には、個々のケースということがありましょうけれども、三十八年ごろからそういう症状が訴えられ、今日では対象患者がいまやお話がありましたように二千六百人、しかも、認定患者が四百八十四人、そういう大量の者が、しかも、継続的に使用されている場合には、それは私は一般論としては申し上げましたけれども、その場合には、労働基準の監督的立場から申し上げましても、そういう機械、危険物に対する何らかの処置をすべきではないかと私は思うのですけれども、この辺はいかがでございましょうか。
#18
○和田政府委員 この白ろう病につきましては、ただいま林野庁長官のほうから、国有林について数字的な説明がございましたが、この問題は、実は医学的にいいますと非常にむずかしいようでございまして、林野庁でも努力をされておりますし、私どものほうでもこの認定、治癒、障害の問題について、専門家にお願いをしておるのでございますが、なかなかはっきりしない。非常に問題がある。どこからを病気として認定していいかというのは非常に問題が多うございまして、労働省としては、とりあえず四十年からその振動に基づくものとして、業務上の病気であるということで、医者が治癒すべき状態であると思うものは治癒をするようにということで、業務上の認定をいたしましたが、しかし、治癒のしかた、いずれの点をもって治癒とするか、治療のしかた及び治癒の認定が非常にむずかしいというような医学的な問題がございまして、これをもって直ちにチェーンソーの使用、ブッシュクリーナーの使用が危険有害といえるかどうかというのは、非常に問題があるように思います。
 それとこれにつきましては、実は世界的にいいますと、もうずいぶん前から使っておるわけでございますが、その文献が乏しいわけでございまして、直ちに世界的に利用されているこのものをもって危険有害にしなければならぬほどの共通性があるかどうか、そういう点も非常に疑問でございます。
 現在私どものほうも、このために学識経験者の方に研究会をお願いをしてやっているところでございます。これは主として予防の問題について御議論をいただいておりますが、振動のあることは確かでございますが、それがどういう予防措置が講ぜられるかどうかという問題につきましても、いま検討をいたしておりまして、それらの検討の結果を見まして、これは何とも防ぎようがないというような状態になりましたときには、その時点で判断をするしかない、かように考えております。
#19
○加藤(万)委員 労働省は四十年の五月に労働基準法施行規則三十五条十一号条項に指定したわけですね。いわゆる危険物としての指定を行なったわけでしょう。したがって、治療の方法とか、あるいはその予後の保障とか、あるいはその病源体の発見であるとか、いろいろあるでしょうけれども、現実的にさく岩機と同じように、これは危険物取り扱い物として認定をされた以上、いわゆる予後の治療であるとか、予防対策であるとかいうことは別にして、その使用そのものについて労働省が何らかの見解、あるいは何らかの勧告を林野庁になされてしかるべきだと私は思うのです。
 ただ、私は人事院との関係はよくわかりませんからあれですが、人事院の場合にも国家公務員災害補償法がありますね。その観点から見ても、これは四十年の五月ですか、職業病認定の際に、その条項をお入れになったのですから、労働省ないしは人事院からその使用そのものについて何らかの勧告があってしかるべきではなかったかというふうに私は思うのですが、その点についてはどうでしょう。
#20
○和田政府委員 ただいま先生御指摘の四十年五月二十八日の通牒によりまして、このチェーンソー使用による振動からくる局所障害の問題につきましては、業務上の疾病として取り扱うようにという指定をいたしておりまして、その機械そのものが、直ちに危険有害であるという意味合いでの指定ではないわけでございます。といいますのは、その当時チェーンソーによって局所障害が出ている、いわゆる俗にいわれる白ろう病の障害があるということで、それを治療する必要がある。しかも、それを業務上として治療の対象にする必要があるという指定でございますので、直ちにチェーンソーは使用禁止さるべきものである、こういう指定ではなかったわけでございます。
 その後人事院では、いま先生の御指摘のように、四十一年に私どもと同じような態度をとられたわけでありますが、そのしかたにつきましても、どういう場合にどういう治療をするか、どういう治癒認定をするか、それからどういう治癒後の障害認定をするかということにつきましては、人事院でもずっと研究を重ねられております。私どもも、もちろん共同して研究をさしていただいておりますが、いまのところまだ具体的な結論が出ないということでございますので、そういう病気が発生するようではございますが、直ちに使用を禁止しなければならないほどのものであるのかどうか、にわかに、むずかしいというのが実際のいまのところの問題でございます。
#21
○加藤(万)委員 私は直ちに使用禁止とは言っていない。この機械を使って、この機械から起こる症状ついては、難病として認定する以上は、その機械から職業病にならないように、防止処置が労働省の場合には起きてこなければいかぬわけです。職業病として認定するだけでは――これは有害だ危険だということで認定ができる、しかし、労働省の場合には、そういう症状が起きないための処置が前段の処置として行なわれなければいかぬじゃないですか。それは使用上の問題もありましょうし、使用上のいろいろな勧告条項もあすもしょうし、あるいは労働基準局の監督行政全般も、そういう林業に対する監督行政を強めるという措置もありましょうし、何らかのそういう処置が望まれてしかるべきではなかったかということを聞いているのです。
#22
○和田政府委員 先生御指摘のとおりでありまして、病気になってなおす、障害認定をするというのが本筋ではありません。どうやって予防するかというのが問題であります。これは振動からくることは確実でございます。したがいまして、チェーンソー自体の振動に二つ要件があるのでございます。一つはモーターからくる振動、一つはチェーンが回ることからくる振動、これをどの程度まで押えれば白ろう病のような、いわゆるレイノー現象とか、そういうものが出ないかという点については、なかなか問題であるようであります。だから、どれまでに制限をすれば、確実にそういうものが出ないかということを科学的に検討いたしておりますが、結論が出ていない。世界的に見ましても、ソ連と東独なんかにある――ソ連のほうは一応の規則がございまして、重量とか、振動の数とか、あるいは使用時間の問題とか、あるいはこれはたしか寒い場合によく出るということで、暖房の問題というような規定がございますが、日本の科学者では、まだ決定的な結論は出ておらないというのが実態でございますので、にわかにこれこれでは必ずこうなるということから結びつけたものが、いま出ていない。せっかく私ども、先ほど申しました研究会でお願いしておりますが、それは振動をできるだけ少なくする、しかしながら、振動がどれだけの度合いのものであればかならずレイノー現象が出ないということになれば、そういうことになりますが、それが科学的に現在出ていないところでは、法制的に強制するようなことにはまだむずかしいのじゃないか、こういうのが結論でございます。
#23
○加藤(万)委員 人事院見えていますね。いまお聞きのとおりなんですね。最終的には、これは国家公務員ですから、人事院が職業病の認定を行なうことになると思うのですが、いま言ったようないわゆる予防処置について、現在使用して、しかも病勢がどんどん発展している、労働省のほうでは、どうすればそれが起きないかということを研究中であるという話ですが、研究している過程にも患者は実は発生しているわけですね。そうしますと、人事院の立場からいけば、そういうことが起きない処置を――労働省の場合には監督行政という立場ですけれども、人事院の場合は、むしろみずからの職員、国家公務員という被用者の立場からいって、何らかの使用上の注意、勧告ないしは善後処置、これがあってしかるべきだと思うのですが、いかがでしょう。
#24
○島政府委員 法律的に申しますと、一般的な国家公務員でございますと、そういった職員の健康管理、安全管理、これに人事院も一半の責任を負っているわけでございますが、ただ、林野庁職員につきましては、現業職員でございますので、この点につきましては、直接人事院の責任からははずされているわけでございます。ただ災害補償を所管するものといたしましては、やはりそれの発生がなるべく少なく、しかも、それについての適切な予防がとられるべきであろうということについては、十分関心を持っておりますが、いま先生が御指摘になりますような勧告なり、あるいは具体的な処置というものは、林野庁職員については、人事院は直接の権限なり責任はございません。
#25
○加藤(万)委員 それでは当該局の林野庁に、いま言ったような全般的な情勢の中から、現在どういう予防処置、どういう善後処置をとられておるか、お聞きしたいと思うのです。
#26
○片山政府委員 レイノー現象は、チェーンソーばかりでなしに、振動機械全部に大体発生する現象のように承っておりますけれども、なお振動現象により発生するレイノー現象に対する治療、あるいは予防というものは、検討しておりますけれども、なかなかむずかしい問題のようでございます。しかし、林野庁といたしましても、数年前から、先ほどちょっと申し上げました労働科学研究所、あるいは東京大学、あるいはその他のそういう専門のほうに委託しまして、いろいろ検討を進めておるわけでございますが、現在におきましては、まだ完全ではございませんが、それらのものを集約した中で、一つの予防措置というものを打ち出しております。
 それを御説明を申し上げたいと思いますが、まず第一点は、振動の振動数を少なくする、あるいは振動を少なくするという意味におきまして、なるべく機種の小さいものに転向しておる。しかし、その間におきまして、大きい機械も使っておりますから、振動防止装置というものを全機種につけること、これが第一であります。
 それから第二点につきましては、先ほど申しました健康管理の問題、したがいまして、山に入る事前のときでございますとか、それから春秋二回、都合三回は健康診断をしてまいる。しかし、これは事前になかなか把握できないということで、非常に困難でございますので問題はございます。しかし、そういう意味で健康管理に注意してまいりたい。これが第二点でございます。
 それからもう一つは、作業機械の整備の問題があります。これは使っていただく労働者の方が、これは一つののこぎりでございますから、目立て等を十分にやっていただく。これはわれわれも指導いたしております。十分にやっていただかないと、非常に切れないのこぎりでぎりぎり切っていく、力が要る、これがやはりマイナスになって病気の原因になるという考え方でありますので、切れるのこぎりにするということで、機械の目立て等を十分にしていく、われわれもこの指導をしていく、これが第三点。
 それから第四点は、先ほどちょっと労働省のほうからお触れになりましたが、寒いところで手を冷たくするということにおいてこれが起こるという現象のように思いますので、防寒の手袋を設置する、あるいは寒いときの休む小屋をつくる、そういうものをやっていく。
 それから第五番目には、やはり振動用具をなるべく少なく使うということでございましょうから、われわれといたしましてもある程度時間の制限、短縮をやっていただくということでやっていこう。ソ連あたりで見ますと、ソ連のこういう予防措置というものはやはりございます。それには、いま申しましたような点でソ連としても予防をやっておるようでございます。御参考までに申し上げますと、やはり振動工具についての基準をつくっておるようであります。それから振動の作業時間、それを使っておる作業時間を、大体作業時間五〇%、半分にしてしまうというようなのが書いてございます。それから寒冷具、寒いときの屋外作業の場合は休むときにあたたかくするということが書いてあります。それからもう一つは、やはり年一回定期健康診断をする、あるいは手袋なんかをしなさい。それがソ連のわれわれが調査した中での予防の対策のようでございます。そういうものを十分考えまして先ほど申しましたような形で今後進めてまいる、かように思っておる次第でございます。
#27
○加藤(万)委員 いろいろ予防措置はあるでしょうけれども、いま言ったようなことは研究中ですか、それとも実際に移しておるのですか。たとえば使用時間の制限は、いまのお話ではソビエトでは五〇%、こう言っておられますけれども、わが国においては何時間に制限をされたのですか。あるいは健康管理ですけれども、春秋二回と入山のとき。入山のときは、一般診療所で相当医療機械を通して診療はできますけれども、春秋二回定期診断というのは、たとえば巡回車を配車して定期診断をやる、こういうようなことが行なわれておるのですか。そういう五つあげられました予防処置を、具体的に現在どのように実施をされているか、お聞きしたいと思います。
#28
○片山政府委員 先ほど五点ばかり予防対策を申し上げましたが、まず第一点の、その機械の振動を少なくする、これにつきましては、すでに防振装置といった機械を全部そろえております。さらに、なるべく小型にしようということで、これも逐次入れていっている段階でございます。
 それから、第二点の健康管理の問題でございますが、これは春秋二回、ある一定の場所に来ていただきまして、そこで検診をするということを実施しております。それからいまの目立て等も、切れないのこでぎりぎり切るということがないように、実は前々から指導をいたしておるわけでございますが、この点、使っていただく方も整備していただくわけでございますから、十分連絡をとりながらやってもらうということで、これもやっております。
 それから三番目の手袋と、それから休むときの小屋をつくってあたたかくする、これは今度から実施してまいりたい。
 それから最後に、使用時間の問題でございますが、これはいまソ連では、先ほど五〇%ぐらいだと申し上げましたが、われわれとしましては、いま八時間労働で、実際に振動源にさわっておる時間が、われわれの調査では、三時間からせいぜい四時間ではないだろうかというふうに実は思っておるわけでございます。しかし、そういう現象が出てきているということは、われわれも十分に考えなくてはいけませんので、交代制――一日交代制か、あるいは一カ月交代制かということで、なるべく少なくするというのはどうだろうということで、労働組合のほうにも提案いたしております。しかしなお、そういう点でもまだ詰まっておりませんが、いずれにいたしましても、ある程度の時間を制限するということで、組合とも十分打ち合わせましてやってまいりたい、かように思っておる次第でございます。
#29
○加藤(万)委員 たとえば一台二人制の問題、昭和三十五、六年ごろは、聞くところでは一台二人制によって交代制でこれを使用する、こんなことが実際行なわれたようです。その後、伐採の合理化といいましょうか、あるいは生産量増大のために一人一台制、そういう結果が、よりそういう症状を促進しておるのではないかというふうに判断される余地があるわけです。またその使用時間も、確かにそれは木から木に移る時間もあるでしょうし、労働疲労によってちょっとした休憩というものもあるでしょうけれども、しかし、四時間前後、三時間から四時間といわれましたが、一日に四時間それを使用するということは、きわめて重大な症状を起こすことは間違いがないわけですね。組合からいろいろ要求があるそうですが、大体一人一日当たり二時間前後、こういうようなことが、当面の予防処置としてはよいのではないか、こういう提議がされておりますが、この辺はいかがなのでしょうか。
#30
○片山政府委員 先生御指摘の一人と二人の問題は、確かに過去にございました。しかし、その当時われわれが調査をした段階では、二人でやっているという場合に、必ずしもツーマンソーでやった場合に少ないという調査は出ておりません。したがいまして、そういうことよりも、やはり一人一人の時間の制限というものが必要であろうかもしれないということを考えまして、今回の組合との折衝などでも、一応二時間という目標を立てておりますが、しかしそのやり方、それからいろいろな問題がございますから、そういう問題でいま詰めておるわけでございますが、即座にやれるという問題は、交代制などは早くやれるのではないかと思いながら提案をいたしておりますけれども、合意に達しておりません。したがいまして、二時間というようなことで、これはいろいろなその他の整備することがございますので、そういうものとの関連でいま打ち合わせておるというのが現状でございます。
#31
○加藤(万)委員 先ほど労働省からもお話がございましたように、この問題はまだ発生原因が明確にならないことと、発生する原因そのものはわかっているのですけれども、それに対する対応策がどういう形で、しかも治療の形がどういうものが一番効果的かということがわからないものですから、そういう意味では、発生の原因も多様的だと私は思うのです。したがって、当面それがいいといわれている諸外国の経験なり、あるいは実績なり、あるいは組合が要望するものを、とりあえず取り上げてみる。取り上げて、それが結果的に、現在までの状況とこれからの形の中で、どういう変化を及ぼすか、そういうものを積極的に予防処置として行なう、こういうことが私は当面必要だと思いますから、いまいわれたことをより積極的に組合側と話をされて、そうして二割強もその症状を訴えるようなそういう業種というものは、民間ではまずまずないといってもいいくらいですから、そういう意味での林野庁と組合との話し合いの詰め方といいましょうか、あるいはこれを監督指導する労働省、人事院の積極的な監視を私はお願いしておきたいというふうに予防処置の段階では申し上げておきます。
 それから先ほどお話がありましたように、四百八十四名の人が職業病認定になっているわけですが、この職業病の治療というのは、いま一体どういう形で実際に行なわれているのですか。
#32
○片山政府委員 ただいま申されました治療というのは、明確と申しますか、これで完全だと言うのは、実はなかなか問題のところでございます。しかし、いまわれわれがやっております治療としましては、血管の拡張剤というのがあります。それから栄養の問題も多少関連するのではないかというような意味でビタミン剤、そういうものを併用しまして、そしてこれを直していくということでやっております。
 そのほか、いろいろな問題につきましては、人事院の諸制度もございますから、いろいろお打ち合わせをしてやってまいるという形でございます。
#33
○加藤(万)委員 私は、職業病の認定になった人にお会いしてみたのですが、認定書はもらいましたけれども、何も治療していないと言うんですよ。結局あなたは白ろう病としての、職業病としての認定をいたします、したがって、チェーンソーの使用時間はなるべく少なくします――私は、専門的なことばですからよくわかりませんが、伐採のほうから盤台というのですか、運搬部門に私は配置転換されました、しかし、それだけだと言うんですね。配置転換を行なっただけだと言うんです、職業病の認定があった者が。いま栄養の処置だとか、あるいは血管のマッサージというのですか、あるいはそういうような方法があるかもしれないと思いますが、四百八十四名のこの認定者で実際に治療を受けている人は一体何人くらいですか。
#34
○片山政府委員 四百八十四名の人が、実際にどういう治療をしているかというのは、実は現在のところではわかっておりません。先ほどは、ただ抽象的なことを申し上げたわけでございます。
#35
○加藤(万)委員 私は、どんな治療の方法があるかということを聞いているんじゃないんですよ。職業病認定になっても治療をしていないんですよ。いわゆる配置転換によって自動的に回復するのを待つという処置はあるけれども、職業病になったから治療処置が講じられているということはないというんですよ。そういう認定患者もおるんじゃないですか。その処置は一体どうなっているのですかということを私は聞いているのです。
#36
○片山政府委員 十分な資料でお答えできませんけれども、われわれの手元にある資料におきましては、それぞれの局において治療をいたしている実績がございます。ただ、たまたまそこに行かなかったかという場合に抜けている人が、いまの調査では一応十八名いるようでございますが、なお正確に調査いたしたいと思いますが、あとは大体治療に行っている、治療しているというふうにわれわれ調査いたしております。
 なお具体的な詳細につきましては、手元に資料がございませんので、不十分なことを御了承いただきたいと思います。
#37
○加藤(万)委員 これは人事院の方にお聞き願っておいたほうがいいと思いますが、いま申し上げましたように、職業病の認定があれば、従来民間ではその回復ないしは治療がまず優先的に行なわれる。たとえばじん肺などの場合は、その治療を一方で受けながら、労働が可能な場合は配置転換を行なう、こういう並行処置が講じられているわけです。私の聞く範囲では、林野庁の場合には、治療の方法がないということもあるでしょうけれども、どうも治療がおろそかにされて、当面あなたは配置転換によって、血管の循環をよくするとか何とかという形でおやりなさい、どうもそういう措置が講じられている分野が多いように、私の推定ですけれども判断をするわけです。そうしますと、これは人事院もわかるでしょうけれども、林野庁の職員の賃金は、出来高制があるわけですね。格づけ賃金と両方あるわけです。両建てになっていますね。したがって、その格づけ賃金のほうに職種が変わりますと、賃金は下がるわ、治療は行なってないわという状態が実は起きるわけです。ですから、先ほどの発表でも、二千六百人のそういう症状を訴えている者があるといいますけれども、私どもの聞いているところでは、チェーンソーを使っている半分以上はそういう症状を訴えている、こういうわけです。ところが、職業病の認定になると、逆に、いま言ったように、収入は減るわ治療は行なわないわというような状態で、職業病認定になることを生活上の問題からして忌避せざるを得ない、こういう現象があることをしばしば聞くわけです。いわゆる賃金が下がってしまいますから、しかも現場も変わりますし、等々を含めて、そういうことで、職業病に認定されること自身を実は生活上の立場から忌避せざるを得ない、こういう現象があることを聞くものですから、したがって、そういう面では賃金の問題、それから職業病の認定の問題を、相関連して判断をされる、このことがきわめて必要な条件ではないかと私は思うのです。したがって、これから職業病の認定を行なう場合には、そういう角度からの問題の把握もぜひ心しておいていただきたい、このように私は申し上げておきたいというふうに思うわけです。
 それから、職業病の認定という問題ですけれども、裁判は、御承知のように、疑わしきは罰せずという原則があるわけですね。ところが、今度のこの病気、白ろう病については、どうも疑わしきは罰せずということが逆の意味に理解されて、あなたの症状は白ろう病の症状、いわゆるチェーンソーからくる、ないしはブッシュクリーナーからくる症状だかどうかはわからないから、したがって、あなたは職業病の認定としてはなかなかむずかしいんですよという、そういうとらえ方が、林野庁なり人事院の出先では多いような気がする。これは労災法の改正の際にも私ども申し上げたのですけれども、労働災害については疑わしきはそのまま労働災害にすべきだという原則なのですね。たとえば、これはフランスなんかでもそうですけれども、通勤途上上の災害を、労災と見るか見ないかということで、わが国ではたいへんもめているわけですね。あるいは桜木町事件がありまして、電車が衝突してたいへんな事故がありました。あの際にも、一体あの通勤途上の労働者を労働災害として認めるか認めないか等々の問題が当時論議になったわけです。これは全般的な傾向もそういうことにあるのですけれども、職業病の認定という問題について、疑わしきは罰せず主義これはきわめて、法定的な取り扱いと労働者災害の取り扱いとが同一視されるような、そういう職業病認定を忌避するきらいがあるような気がしてならないわけです。労災は、もし他の条件に基因することが発見をされない、たとえば白ろう病が、従来神経痛であるとか、リューマチであるとか、そういう観点からことによったら手先が不自由になったのではないか、そういうことの原因が発見されない限りは、本人がチェーンソーによって起きた、ないしは作業環境条件が、二年なり三年なりチェーンソーを使ってどうもそういう症状が起きてきた、そういう場合には、いわゆるそういう片方の実証ができない限りは一般論としては職業病として認定をする、そういう立場をとられるべきだというように私は思うのですが、この辺については、今度の白ろう病の労災認定という問題について、人事院なり、あるいはこれは出先にだいぶ権限もまかしているようですから、林野庁なりでは、その認定の段階では、原則的にどういう方向をとっておるかお聞きしておきたいと思う。
#38
○島政府委員 一般の公務災害の場合でございますと、やはり公務との因果関係というものを積極的に証明しなければならぬわけでございますが、本件につきましては、いわゆるそういった振動作業に従事する者が、レイノー現象をとった場合にはこれを公務上の疾病として扱うということでございますので、ただいま先生のおっしゃったような、疑わしきは罰せずという裁判上の原則が、これにもいかにも当てはまるのじゃないかというような御趣旨の御質問がございましたが、私どもは決してそうではなくて、やはりチェーンソーなり、ブッシュクリーナーなり、そういった局所振動を伴う作業に従事する者が、そのような現象をとった場合には、これを公務上の疾病として扱うということでございますので、その点はそのようなことはない、このように申し上げておきたいと思います。
#39
○片山政府委員 認定の問題でございますが、認定は、原則は営林局にさしております。特殊の問題につきましては、林野庁並びに人事院と相談の上いたしておりますが、原則は営林局でやっております。その場合には、医者の診断によりましてその認定をいたしておるわけでございますが、その際――ちょっと付言いたすわけでございますが、その際医者が、これは治療する必要はないと言う場合もございますし、そういうやり方もございます。したがいまして、医者の診断に基づきまして認定をする、こういうことでございます。
#40
○加藤(万)委員 労災認定はできる限り、私が先ほど言ったように、反証があがらない限りはそれは労災として認定する、これは労働省にもそうですけれども、ぜひ、この次にまた労災法の改正もあるようですから、そういう立場で労災というものの見方をしてほしいというように私は思うのです。労災法の改正の中で、通勤途上上の問題とか、あるいは技術革新、産業開発の中で新しい職業病がいろいろ起きるわけですから、その場合に前の、いろいろな病原体といいましょうか、あるいは機能によってそれが推定されていま起きたのじゃないかという、そういう判断はできる限り避ける、そういう方向を基本的にとっていただきたいというように思うわけです。
 それから、いま治療の問題について、あるいは認定については医師の診断を中心として行なうという御答弁でしたが、これは治療についてもそうですか。治療についても医師の診断、たとえば、この病気について温泉療養が必要であるといったような場合には、その医師の診断について、あるいは治療の方法について、職業病の治療基準としてチェックをするということはありませんか。
#41
○片山政府委員 これはいわゆる療養上相当と認められるものということに治療の場合になっております。そこで、そういう療養というような問題もございますが、人事院が基準を示しておりますそういう療養上相当と認められるものということで治療に当たっておるわけでございます。
#42
○加藤(万)委員 治療の方法がまだ見つからないんでしょう、完全な治療の方法が。私は人事院の職員局長の通達についても、少し問題があると思うのです。たとえばいま言ったように、療養、病院の入院、これについては人事院の判断を仰ぐ、こうなっているわけですね。ところが、いま治療の基準が見つからないのに、人事院は判断のしょうがないと私は思うのです。とするならばこの場合には、医師が、こういう方法がある、あるいは医師の診断の結果、こういう治療方法をとってみてはどうか、それを今日の段階では、率直に言ってうのみにせざるを得ないと思うのです。たとえば寒さに対して起きる症状あるいはチェーンソーの振動によって起きる症状、それが両肩から起きるか、手先に起きるか、あるいは私は地域的な条件によっても違うと思うのですね。平地ということはないでしょうけれども、山を、伐採する場合の傾斜の位置にある場合には腰が悪くなるとか、比較的平地の場合には腕とか手に症状が起きるとか、そういうように地域的条件によっても違うでしょう。そういうことになって、しかもそれに対する治療の方法が、現在のところ、これが最善ということがない以上は、その地域における医師、あるいはその症状を診断した医師のその診断の結果による治療の方法、これをとりあえずは優先的に処置をさせる、このことが必要ではないかというように私は思うのですけれども、入院であるとか、あるいは療養については、人事院の職員局長名をもって人事院の協議事項にし、これを制限をされているというのは、どうも私は、前後の関連からいってつじつまが合わない、こういうように思うのですが、いかがでしょう。
#43
○島政府委員 一般論としては、先生のおっしゃるとおりでございます。現在私どもでは、この白ろう病につきまして三つほど制限しております。一つは副じん皮質ホルモンを使ってはいけない、それから交感神経節切除、これもいけない、それから治療のための入院を認めない、この三つを実は職業病に指定するときに、林野庁にこの旨を通知申し上げたわけであります。確かに治療の基準がはっきりしないのに、なぜそういう制限を設けるのか、これはまさにそのとおりだと思うのでございますが、実はこれを職業病に指定いたしましたときに、私どもでは、実は人事院のほうに健康専門医員、十六名ございますが、その他この病気に関係の深いその道の権威のあるお医者さんの意見をいろいろ聞きまして、それでたとえば副じん皮質ホルモン、これにつきましては、それをしょっちゅう使っていくと、いざという場合にきかなくなる、それから交感神経節切除は非常に危険な手術であるから、これはなるべくやめたほうがよろしいのじゃないか、そういったような意味で、非常にある意味においては老婆心でそういう制限を設けたわけでございます。しかしながら、それから約三年ばかりたちます。その後実際の運用を見てまいりますと、そういった弊害もございませんので、その種の制限は近く全部撤廃したい、かように考えております。
#44
○加藤(万)委員 これは河野先生のように、専門的な医者でなければわからないことですから、これ以上私なんか追及はできませんけれども、しかし、少なくとも私どもが考えて、マッサージがいいとか、あるいは温泉治療がいいとか、そういう意見のある医者もあるようですけれども、相当症状が重い人には、多少入院あるいは温泉地にある共済年金病院でもいいですが、そういうところに入院加療させて、長期的に療養の症状を見るとか、そういうこともこの際行なうべき処置ではなかろうかという良心的な医者もあるようですから、そういう意味で、そういう療養、ないしは入院治療、そういうものは認められてしかるべきではないかというように私は思うのですよ。前段の、薬の投与によってどういう身体的な障害が起きるか、あるいは将来それが薬との関係で悪症状を起こすとか、そういう科学的な、技術的な問題はあるでしょうけれども、われわれが常識的に考えて、たとえばしびれがきたときに温泉に行ってマッサージをする、こういうものは、長期的にとらえれば、一つの治療の方法として検討に値をするし、現在は治療の方法がまだ見つからないわけですから、一つのいわゆるサンプルといってはおかしいですけれども、対応策としてもそういう治療方法を認めて、そして診療認定を行なう、こういうことも必要ではないかというように私は思うのですが、いかがでしょう。
#45
○島政府委員 一般的に、そういうような治療に伴うリハビリテーション、あるいは温泉治療等が効果があるのではなかろうか、これは私どもの常識からいってもそのとおりだと思います。ただ、私のほうの立場といたしましては、災害補償法の一種の責めに任じております人事院といたしましては、乱診乱療にならないようにしてもらいたいという気持ちが一つあるわけであります。それからまたお医者さんによりましては、多少治療の範囲をこえて、やや研究目的のためにいろいろやってみようという、これはもちろん良心的だと思いますが、そういう方も中にはおるのではなかろうかという気もいたします。しかしながら、ただいま先生のおっしゃったような御意見も、十分私どものほうでは検討に値すると思いますので、しばらく時間をかしていただきたいと思います。
#46
○加藤(万)委員 これは林野庁にもお願いしておきますが、この治療の方法は、単に机上の科学的な論争ではないと思うのです。実際に、その臨床実験を――臨床実験といってはおかしいのですが、臨床のデータ等積み重ねて、その中から治療の方法を生み出す、そして一方では科学的な検討を行なう、この両方が相まって、最終的に治療という問題に対する結論が出るものと私は理解するわけです。そういう意味で、でき得る限りそういう要請があった場合にはこれに応ずるという方法を、職業病認定の場合の治療の方法として、そういう応ずるという方向でこれからの認定、治療の拡大をお願いしておきたいというふうに思うわけであります。
 最後に、補償の問題について多少お伺いをしておきたいというように思います。
 この場合、職業病認定になりまして、治療にかかる期間は休業補償になるわけですね。そうしますと、国家公務員災害補償法によって百分の六十、すなわち六割の休業補償でありますが、どうでしょうか、この休業補償にプラス何か付加給付がされていまの白ろう病に対する給付は全般的に行なわれておりますか、どうですか。
#47
○島政府委員 白ろう病につきまして、休業援護金といたしまして百分の十上積みされております。したがって、百分の七十ということになります。
#48
○加藤(万)委員 労働省にお聞きしますが、民間の場合に休業補償、たとえば指を一本なくした、腕を一本なくした場合には、休業補償と、それから障害等級補償、これが併給されておりますね、いかがでしょう。
#49
○和田政府委員 休業補償を行ないまして、治療をした後、障害があるということになりますれば、障害補償をいたします。したがいまして、治療中に障害補償を行なうということはございません。
#50
○加藤(万)委員 チェーンソーを使うと、非常に騒音が出て、難聴状態が多くなるというのです一ね、難聴、いわゆる耳が遠くなる。この場合に、どうでしょうか、白ろう病の治療というものと、それから難聴というものとは、実は治療が違うわけですね。難聴の場合には、ほとんど治療というものがもうその時期にはない、したがって、一方では白ろう病の症状を治療するために休業補償を行なう、一方では難聴という形の補償を行なう、こういうことが併給をされていいのではないかというように私は思うのですけれども、この場合は、どうでしょう、たとえば労災法では、障害補償について難聴の場合には、あれは幾らだったか、ちょっと忘れましたが、四十センチ以上離れた場合には十一級ですかにランクをされて、その補償金額がありますね。難聴そのものは、もうそのままで固定化してしまって、しかも、白ろう病症状がずっと続くという場合には、障害等級と、それから休業補償とが併給されてもいいのではないかというふうに私は思うのですが、この辺はどうでしょう。
#51
○和田政府委員 難聴はたいへんむずかしい問題でございまして、難聴でも、これは治療のしかたがないということになって、なおらずにずっと耳鳴りがするという状態の場合には、医師の判断で、いま先生の御指摘のございましたように、等級はそれぞれ違いますが、難聴としての認定をお受けになって、障害補償をいたします。難聴に関する限り、そういう意味においてはほとんど休業をせずに仕事に従事しておられますので、休業補償というものは、こういう場合はないということになります。ただ、難聴の状態が固定してしまった状態で仕事を続けておられるなら、それで障害補償を行なう、こういうことになります。
#52
○加藤(万)委員 いや、難聴の状態が固定化してしまって、白ろう病現象がなお治療の段階である場合は、片一方の障害等級の認定は行なわれ、これは給付されて、そして片一方の休業補償は併給される、こういう形になるわけでしょう。
#53
○和田政府委量 違った病気が二つございまして、一つについて障害補償が行なわれる。それは固定したということで障害補償を行なう。もう一つ違った白ろう病という問題が併存してある場合において、片一方ではまだ治療中であるという場合には、そのための休業を行なう場合には、もちろん休業補償をいたす、こういうことでございます。
#54
○加藤(万)委員 林野庁、いまお聞きのこと、わかりましたですね。チェーンソーを使う場合には、一方の白ろう病症状と、それからたとえばの例ですけれども、難聴という問題を私は提起してみました。人事院のほうでは休業補償の百分の六十プラス援護金の百分の十を給付をしておる。これは民間でいえば付加給付の形で健康保険組合が労災法認定の人に対して特別に加算給付をするという、いわばそういう措置に匹敵するものだと思うのです。そうしますと、そのほかにいわゆるチェーンソーの騒音によって――私も実験を見てみましたけれども、たいへんな騒音ですよ。それから労災法の規定では難聴の場合には四十センチ離れて普通のことばで話をして聞こえなかった場合には、労災認定になる、こうなっておるわけです。そうしますと、いわゆるチェーンソーないしはブッシュクリーナーを使って、白ろう病現象プラス何かの症状が起きた場合には、併給されることがあり得るということをいま言われたわけですが、もし林野庁なりあるいは人事院で、そういう症状の審査が請求された場合には、いまいった形で障害等級の認定をされて、さらにそれに加算して併給をされるということが考えられるわけですが、いかがでしょう。
#55
○島政府委員 通例の場合におきましては、ただいまのような設例でいきますと、その病気が完全治癒、またはそれ以上治療効果が期待できないという場合に、これは初めて治癒ということになるわけでございまして、障害補償は、一応そういった完全治癒またはそれ以上治療効果が期待できない、そのときになお障害が残っているという場合に、それに対する補償でございますので、普通のいまのような場合でございますと、まだ治癒の認定が現在その基準ができておりません。いかなる場合にそれがはたして治癒になるのか、そういうことがまだわかっておりませんので、現在のところは、まだ障害補償を支給するということにはなっておらぬわけでございます。
#56
○加藤(万)委員 私は、白ろう病について治癒の認定は、いま局長が言われたとおりだというふうに実は思うのです。白ろう病じゃなくて、チェーンソーを使うことによって起きる他の障害状況ですね。たとえばいわゆる難聴である。それからいま一つは、これは林野庁にもお聞きしておきますが、いま混合ガソリンをチェーンソーに使っていますね。あれはハイオクタンを使った場合には、あの排気ガスの関係で、一体どういう症状の変化が起きるかということもひとつ研究してもらいたいと思っているのです。いま混合ガソリンを使っていますから、それによって排気ガスの心臓への影響、ないしは身体的影響があるのではないかという気がしているのです。
 それから、いまいった騒音の場合には、完全に現象が出ていますから、しかもそれが労災法の十一等級の等級に適合するような形になっているわけですから、これはひとつ実際問題として人事院は単に白ろう病の現象の治癒の問題ではなくて、チェーンソーを使って起きてくる障害等級についての認定は、別の角度からひとつ考えてほしい、こういうふうに思うわけです。これはこれ以上申し上げても結論がここでは得られませんから、検討しておいていただきたいと思うのです。
 最後に、本来私は、この場合の治癒の方法が見つからないという段階では、休業補償というものは何らかの方法で百分の百本人に支給しながら、しかも治療の方向をさがす、ないしはその人の治療の完全な回復をまつ、こういうことが必要だろうと思います。いまかりに、休業補償を受ける場合には、三カ月前の平均賃金をもってその基礎賃金とするわけですね。そうしますと、林野職員の場合には、出来高払いでやっておったものが、格づけ賃金に変更された場合に、賃金の格差が起きるわけですね。私、専門的用語はわかりませんけれども、たとえば伐採でやっておったものが、どうもおれは白ろう病の現象があって職業病に認定されたので、今度は盤台におりてきた。盤台におりてきたところが、盤台でも、なおその症状が悪くなってしまって、三カ月後に治療の段階に入る。こうなりますと、本人は伐採のときの出来高賃金から、今度は盤台の格づけ賃金に変わって、それの三カ月の平均賃金の六割ということになる。この場合には私は、病気が発生する原因を持った職場、かりに百歩譲っても、そこにおける賃金を基礎賃金として百分の六十をかけるべきではないかと思うのですけれども、この辺の見解はいかがでしょうか。チェーンソーを実際に使っておったときから起きてくる症状が六カ月後に出た場合には、三カ月間の平均賃金ではなくて、六カ月以前のときの平均賃金のたとえば六割プラス援護金でいいますとそれに一〇%、そういう休業補償の基礎賃金をとるべきではないかと思うのですけれども、人事院でもよろしいし、林野庁でもいいですが、いかがでしょうか。
#57
○島政府委員 ただいまの御質問は、白ろう病について、非常に優遇したらどうかという御趣旨になると思うのでございますが、やはり一般の公務災害全般にはね返る問題でございますので、白ろう病だけについて特にそういう措置をするということになりますと、いろいろ問題があるいは起こるのではなかろうかというような感じがいたします。ただ、この問題につきましては、私どもだけが独走するわけにもまいりませんで、労働基準法なり、労災保険との均衡をはからなければならないことになっておりますので、労働省とも十分相談して検討してみたいというふうに考えております。
#58
○加藤(万)委員 時間がありませんから反論はしませんけれども、潜在的疾患に対する休業補償の基礎賃金をどうとるかという問題は、非常に重要な問題なんです。たとえば、現場で手を切ってしまった。それからすぐ休業補償に入ったという場合は、その現場時点での賃金の三カ月とれますけれども、白ろう病のように、やや潜在的要素を持ちながら高進する病気の場合の基礎賃金はどこでとるかという問題は、非常に重要な問題でありまして、たとえば粉じんの場合なんかもそうですけれども、粉じん作業から次に配置転換されたときに症状が起きて、そこから三カ月になりますと、今日職能給的要素が民間の場合でも多いから、賃金は、たとえば三万円の六〇%と五万円の六〇%では、基礎賃金としては非常に変わってくる。したがって私は、治療の方法ないしは予防の措置が、今日完全に発見されないという白ろう病の場合に、一つの特例事項としては、少なくともその病気が発生するであろう現場における三カ月の平均賃金、それが六カ月たって、あるいは一年たって、物価等によって賃金が変われば、物価指数をかけていけばいいわけでありますから、それを基礎として補償賃金を得るべきではないかと思います。これは林野庁のほうでも、あるいは労働省のほうでも御検討願って、できる限り休業補償に対する生活上の不安をなくするように御検討願いたい、こういうように思います。
 最後に、林野庁の職員の場合、常用と定員外職員と日雇い作業員、日雇い労働者という幾つかの身分を持った人がこの病気にかかるわけですね。常用の場合には共済年金、あるいは国家公務員の災害補償法ですね。ところが、定員外職員の場合には、政府管掌健保、そして対象は労災法ですね。いわゆる民間の労災法の適用になるのですか。それから日雇い作業員、この場合には、人によっては国民健保にかかっていますね。国保と政管健保と共済健保、そして対象の労災法が国家公務員災害補償法、それから一般の労働者災害補償保険法等、いわゆる対象になる保険給付の義務対象組合が違う場合が存在するわけですね。したがって、この身分上の差による補償費の差がもしもあるとするならば、たとえば国保によって治療を受ける場合の、これは労災認定になれば別ですけれども、労災認定以前の場合は、国保、共済あるいは政管健保、それらによってそれぞれの給付額が違うわけですから、この給付の差というものを、一体どういうようにお考えになっているのですか。この辺を最後に聞いておきたいと思うわけです。
#59
○片山政府委員 先生いまお話しになりました中で、労災関係につきましては、いずれの職種でありましても、国家公務員災害補償法でやるわけでございます。健康保険の場合、これは常用につきましては、先生御指摘のとおり共済組合の関係でやります。それから常用以外、すなわち定期月雇いにつきましては、一般健康保険というもので適用いたしております。その間のいろいろな金額の差と申しますか、そういうものにつきましては、特にいま林野としまして付加するようなことはしておりません。それなりの姿でやっておるわけでございます。
 先生の御指摘の点、その辺をどう思うかということにつきましては、われわれは今後検討してまいりたい、こう思います。
#60
○加藤(万)委員 その問題は終わりますけれども、ぼくの言うのは、労災認定になった場合には、確かに同じなんです。ただ労災認定以前の治療の段階では、健保と政管健保と共済と、給付内容が違いますね。共済の場合にも私は何か付加給付があるのじゃないかと思うのですよ、共済組合の内容はよくわかりませんけれども。したがって、その間のアンバランスを何かの形で補償していくことが、どういう形であるかは別にして、やはり均衡化する必要があるのじゃないかという意見を申し上げておきたいと思うのです。ひとつこれは検討してみていただきたいと思うわけです。
#61
○島本委員 関連。白ろう病に対しての関連です。
#62
○森田委員長 島本君、なるべく簡潔に願います。
#63
○島本委員 一点だけ。これははっきりさしておいて、他日またこの問題について結論を得たいと思います。
 いままで白ろう病が現に起きている問題については、いま政府委員からの答弁によって、われわれもはっきり理解することが、その程度ではできるのです。大臣もいらっしゃいますけれども、これはいまに始まった問題じゃございません。もうすでに職業病として認定をされておる。最近の公害関係の病気も、公害病として認定された以後数年間は、まだその治療の開発もできておらない、それからまた同時に予防するための技術の開発も行なわれておらない、これが現状であります。ことに公害の面では、これは最近顕著に指摘されてきている。白ろう病も、これもすでに職業病として認定されて、そしていまだにこの治療方法が具体的に開発されていないということ、これははっきりあるのであるかどうか、またこれを予防するための技術の開発が行なわれていて、これを使用さしているのかどうか、これは今後の面で大きい問題があろうと思うのです。私は、この二点だけははっきりさしておいて、今後の一つの資料にしておきたい、こう思いますが、この白ろう病についての治療方法の開発、それから予防方法の技術的開発、これが十分行なわれているのかどうか、これに対してはっきりした答弁を林野庁にお伺いしておきたいと思う。あわせて厚生省にもこの点、両方に伺いたいと思います。
#64
○片山政府委員 白ろう病の問題につきましては、われわれも、先ほどもちょっと触れましたが、諸外国の関係を調べておりますけれども、まだ不十分でございます。ただ、諸外国の例を見ましても、あまり出ておらないというようにいままでの段階では調査されております。しかし、そういうものはなおざりにすべきものではございませんので、われわれとしましても数年前から、先ほどちょっと触れました東京大学、それから労働科学研究所、そういうところに対しまして、治療はどうあるべきか、どうなったらいいかということを委託してお願いしておるわけでございます。そういうことで、われわれも今後さらに抜本的に検討を進めてまいりたいと思いますけれども、当面はやはり治療よりも予防、まず発生しないということにわれわれ林野庁といたしましては重点をいま置きまして、そして先ほど申しました五つの方向で進めていく、こういう段階でございます。
#65
○松尾政府委員 治療方法につきましては、厚生省でも四十一年以来治療研究助成金という研究費によりまして研究を続けております。先ほど来お話がございましたようにこれ一つやれば決定的になおる、こういうようなものはやはりいまだ完全に報告はされておりません。ただ、薬物療法としましては、先ほどお話がございましたように血管の拡張剤、あるいは自律神経の遮断、あるいは精神神経安定剤、それにビタミンのB1、B6、B12というようなものをそれぞれ投与するというやり方、それから非常に重症の例に対しましては、先ほどお話もございましたが、交感神経節の切除術というものも考えられておるわけでございます。そのほか全身の温浴療法あるいは局部のマッサージという治療方法が有効である。症状が軽度のものであれば、これは相当回復するということが、すでに臨床的にも証明されております。
#66
○島本委員 これで終わりますけれども、私聞いたのは、抜本的にこの方法ができているかどうかということを聞いたのです。それがわりあいに効果があるようだ、この程度の問題は聞きたくはないのです。いままでやってこの程度は、少しぐらいは――効果のない方法をやっているとは思いません。それから林野庁でも、こういうようにしてもう技術の開発をして、白ろう病が起きないような措置をして、そしてあなたの従業員を働かせるのが正しいのです。この技術の開発も十分できておらないようだ。このままにしてやっても、人事院としては、これだけ特に優遇する治療方法は云々という発言があるのです。これをやっておいて、優遇するとは何ですか。もうすでにあなたのほうで、これははっきり職業病として認定しておる。認定していながら、これを優遇する云々という、こんな発言はちょっとおかしいのです。そんな考えだから、これは抜本的な技術の開発も治療方法も出せない。出せないままに優遇することはできないということは、患者だけが困るのじゃないですか。これは重要ですから、他日あらためてこの問題を徹底的に究明させてもらうことをお願いして終わります。
#67
○加藤(万)委員 職業訓練法が審議の対象になっているわけですが、最初に大臣に質問いたします。
 職業訓練法が、今回、抜本改正ではありませんけれども、相当部分が修正をされて提起をされているわけですが、私は職業訓練という問題が、国の行政の中で生かされる場合に、一体今日の労働力というものが、どのように配置をされているかという問題が、第一に論議をされていかなければいけないのではないかというように実は考えるわけです。すなわち、私は前回も当委員会で要請をしましたけれども、どうも最近の傾向を見ておりますと、これは政府なり、あるいは国の経済政策にもよるのでしょうが、第三次産業に若年労働力が流れて、第一次産業ないしは第二次産業に必要とする労働力が確保されていない。いわば消費者の側、あるいは一般市民の社会からいうならば、高度成長政策というものが消費の押し売りになっているのではなかろうか。あるいは大資本の高度成長政策というものが、どうも第三次産業の中にその経済政策を求めていく。第二次産業の飛躍的な拡大から第三次産業への消費を求めていく。そういう経済政策と相まって、若年労働力がそのほうに流動化をしてしまっている。したがって、必要とする第二次産業に、第三次産業労働者を流動化するとするならば、そこにまた再び再訓練という問題が、あるいは労働力開発という問題が生まれてきてしまうのではなかろうか。したがって、職業訓練全般を国の段階でとらえる場合には、労働力の配置という問題を一方に考えていかなくてはいけない。いうならば第一次産業、第二次産業における労働力というものを確保する、あるいはここに重点を置く労働力の計画性というものがあってしかるべきではないか。このようにまず第一に考えるわけであります。
 したがって、大臣は労働大臣と同時に国務大臣でもありますから、そういう意味で閣議においても、あるいは政府の施策の中においても、第二次産業に若年労働力というものをどのように定着をするのか、この観点をどのように見ておられるのかということが第一。
 それから第二には、中高年労働力というものが、いま若年労働力の不足を補っているという段階では、多少失業の緩和ということにはなっておりますけれども、全般的にいいますと、やはり中高年労働力の需要というものが少ないわけですね。したがって、中高年労働者、ないしは婦人労働力というものを、第三次産業に活用していくならば、完全雇用政策という面の一端もになうことが可能ではないかと私は思うわけです。そういう意味では若年労働力の第二次産業への配置計画、第三次産業における中高年労働力の配置、これによる雇用政策の安定といいましょうか、あるいは完全雇用に近い道筋というものを計画的に行なうことができるのではないかというふうに私は第一に考える。一体この点について、労働大臣であり、同時に国務大臣である大臣としての所見をお伺いいたしておきたいと思います。
#68
○原国務大臣 加藤さんのいまの御説、全く同感でございまして、御承知のように、第三次産業へ若年労働力が非常に流れております。その第三次産業にもいろいろございますが、あまり健全でない、バーとかキャバレー、飲食店等へ労働者の数がおよそ百万人ぐらい流れておるという報告が出ております。それがしかも逐年増大しつつある。これは非常に文化が進んでいくと、やはりそういう第三次産業も、世界的に見ましてもかなりそういう産業が栄えておるのでございますが、日本のように、いま御指摘のように、若年労働力が非常に不足してまいっておりますから、ぜひこれは第二次産業のほうへ回したい、こう思って私どものほうの職業安定所を通じましては、もっぱらそういう第二次産業への御紹介をしていく。そういうことでございますが、第三次産業へいくほうは、国家の公共職業安定所を通さずに、どこか裏口から出ておるというような実情で、非常に残念に存じております。できれば、そういうことでこれからももう少しよく――若年労働者に対しても将来のことを考えると、第二次産業へいくほうが適当であるというようなことを、もう少し教育もし、PRもして指導いたしたい、こう思っております。
 それから次にお話のありました、労働力不足であるから、中高年労働力の確保、あるいは婦人労働力を確保するという問題。これも、日本ではいま中高年労働力とか、婦人労働力の活用が乏しいのですが、世界的に見て、日本などはやはりこの方面はおくれておると思いますが、だんだんこの中高年労働力、あるいは婦人労働力が強まってきております。たとえばデパートなんかでも、婦人の若年者が一番よけいに働いておるのは日本でございまして、将来は外国並みに、婦人の中高年者が、デパートなんかも非常な数でございますので、だんだんそういう方面にかわっていただく、こういうようなことをいたしたい。
 それからまたこういう職業についていただくためにも、職業訓練をやりまして、そういう職種に定着して働いていただくような訓練制度を、今度の法案におきましても訓練法を抜本的に改正して、もっと労働者を多数練訓できるようにいま積極的に進めていきたい、こういう趣旨でやっておりますので、ひとつよろしくお願いいたします。
#69
○加藤(万)委員 大臣、私はわざわざ大臣を、国務大臣という形で御答弁をいただきましたのは――政府がつくられておる社会発展計画がありますね。私はあの中で一番問題になるのは、一つは物価の問題でありましょうけれども、いま一つは労働力のどのような配置がなされるべきかが、あの発展計画の遂行の非常に重要なきめ手になるような気がしてならないのです。前回の経済五カ年計画が破綻になりましたのは、一つは物価政策が安定をしなかったということと、いま一つは労働力配置がそれに伴うことができずに、結果的には指摘されている賃金の上昇、あるいは中小企業の若年労働力の不足からくる労務倒産、そういう方向が非常に阻害をしたということが問題点になっているわけでありますから、そういう意味では今度新しく策定された社会発展五カ年計画ですか、あの計画の中に、労働力の配置というものを計画的に、しかも労働省としては流動的に配置をされる、そういうことが閣議の中でも、あるいは政府の施策全般の中でもとらえられていかないと、再びあの計画が単なる机上のプランになってしまって、本物の計画にならないおそれがありますので、これは大臣としては十分留意をしていただきたいというふうに思うわけです。
 そういう観点から今度は職業訓練というものを見てみますと、いわゆる職業訓練の基本的な目標というものは、そういういわば日本が持っている若年労働力、ないしは潜在的労働力を含めて、どのように社会と個人にその労働力を貢献をさせ、あるいは労働力を価値高いものならしめるか。それが職業訓練の基本的な原則といいましょうか、基本目標になっていかなくてはいけないと私は考えるわけです。
 ところが、今度この職業訓練法を見てみますと、部分部分には多少そういう問題には触れておりますけれども、どうもそれよりも今日若年労働力が不足をしたから、ないしはそういう部門の産業の労働力逼迫に対する供給源としての訓練、そういったところに視点が置かれて本法案が提起をされているといううらみが、私どもから見て非常に強いわけであります。
 そこで、これは訓練局長にお伺いしますが、私は職業訓練の基本的目標というものは、いま前に述べましたようにいわば社会的に高い地位と、わが国に最も豊富な資源である労働力を有効に、しかもそれが個人の労働力評価としては社会的に賃金の面でも地位という面でも高く評価をされる、そういうために職業訓練を行なうべきである。いわば極端に言えば、第三次産業から転職をしてそれを補うための職業訓練、これは再訓練ということに今度はなりますけれども、そういうことが何か基本になってしまうような政策というものは、訓練法のたてまえからいっても誤まりであるというふうに私は思うわけですが、この職業訓練法の基本的目標、この辺について局長の御見解を聞いておきたいと思います。
#70
○石黒政府委員 職業訓練の目的というものが、そのときどきの労働力の需要に応じて、人が足りないから中高年をあわてて回していくというような、そういう産業の需要に一方的に従属するものであってはならない。むしろ労働者が、その職業によって社会に貢献することのできる、そういう労働者を養成していく。それがおのずから産業の需要を満たしていくという姿であるべきであると私どもは考えております。法案の書き方につきましては、あるいは私どもの至らないところがあるかもしれないと存じますけれども、私どもといたしましては、従来の職業訓練法の第一条の「目的」におきまして、工業その他産業に必要とする労働者を養成するという書き方をしておりまして、どうも需要に従属するというニュアンスが強過ぎたんじゃないかということを反省いたしまして、今回の職業訓練法におきましては、「職業人として有為な労働者を養成し、もって、職業の安定と労働者の地位の向上を図る」ということで、労働者の職業人としての人格完成ということが主たる目的である。それがおのずから雇用対策と相呼応するものだという書き方にいたしました。私ども、考え方といたしましては加藤委員と異なるところはないと存じます。
#71
○加藤(万)委員 職業訓練というのは、先進国においてはいま言ったような角度で、国の政策の中でもきわめて重要な政策になっておるわけですね。これはドイツにおきましても、イタリアにおきましても、フランスにおきましても、そうであります。イギリスにおいては、もちろんそうであります。そういう観点から見て、単に今日の産業の必要な労働力、その需要に対応するという職業訓練ではなくして、いわば日本にある一番豊富な資源といわれておる労働力ですから、これを社会発展のためにも、また訓練によって労働力の価値というものが全般的に高められる、労働者という人格が社会的にも高められる、そういう方向の原則は常に失わないようにこの法の運用をお願いをしておきたいというふうに思うのです。私はよく言うのですけれども、たとえば家内労働法がこの次に問題になってまいりますけれども、家内労働法というものは、私は必要悪だというふうに思っておるわけです。本来はあの法律は、あるべき姿の法律ではない。労働力が完全に計画的に配置をされるならば、家の中で労働をするということはあるべき姿ではない。あるいはパートタイムでもそうですが、あるべき姿ではないのであって、本来第二次産業なり、第一次産業の中の一人の労働者として存在をするということであって、今日家内労働というものが存在をするから、必要悪として家内労働法を制定せざるを得ない、私はそういう観点で常にとらえているのです。そういう意味でもいま言った原則というものをぜひこの法の運用にあたっては、またこれから法を審議をされるあるいは次の段階には、もっとよりよく発展をするかもしれませんが、そういう段階にあたって、いま言いました原則を忘れずに、ひとつ法の運用をお願いをしておきたい、かように思うわけです。
 今回の法律の具体的な問題について、逐次お伺いをしてまいりたいというふうに思います。前回、私どもの枝村委員が質問をいたしておりますから、できる限り重複を避けて質問をしてみたいというふうに思います。
 今度この法の内容で一般訓練所ないしは総合訓練所が学校、いわゆる校という名前になりました。この校という名前を、名称の変更を行なったその内容的なものは一体どこにあるのでしょうか。いわゆる従来の訓練所というものが、校という名前になった内容的な変化というものは、実質的にどういうところなんでしょうか。お伺いしておきたいと思います。
#72
○石黒政府委員 職業訓練所という名前を、職業訓練校というふうに名前を変えましたことは、これは名前を変えたということで、実態の変更と不可分のものではございません。しかし、従来の職業訓練所は、訓練法が成立いたします前の、補導所というものからの引き継ぎの訓練所が多うございまして、どうも昔の、すなわち失業対策事業の一環的な補導所のイメージがどうもまだ残っておるという受け取り方が多いわけでございます。今日の職業訓練行政に期待されるところは、昔の補導行政とは全然違うわけでございます。先ほど御質問がありまして私からも申し上げたとおりでございます。
    〔委員長退席、谷垣委員長代理着席〕
 そこで訓練所の実態、あるいは訓練行政の性格というものが変わったにつきましては、もし訓練所という名前にそういうイメージがついているならば、この際これを名前を変えてイメージアップしたほうがよかろう、そうして校という名前は、人を教育する場所という意であるというふうに書いてございます。そういう気分を入れて名前を変えたというのが経緯でございます。
#73
○加藤(万)委員 専修訓練校、高等訓練校ですね、前回も論議がありましたけれども、いま労働者が必要とする職業訓練というのは二つの点で問題があると思うのです。一つは、今日の技術革新なり、あるいは合理化に即応する、科学的に形成をされた多能工というものをこの際つくる必要がある。それからいま一つは、きょうの熟練工でもあしたは無能な工員になってしまう、いわゆる無能工ヘの転落を、どのように再訓練をして阻止をするか、ないしは転換をはかるか、この二つの観点があると思う。いまお話がありました専修校ないしは高等訓練校、これを通して一体いまの技術革新なり、あるいは合理化に対応する多能工の養成というものは、職業訓練校、専修訓練校ないしは高等訓練校という段階別によって形成をされるものであろうか。それとも養成校から高等訓練工、といってはおかしいですが、高等訓練校に至る一貫した知識と技能の養成が必要ではないかというふうに私は思うのですけれども、あえて専修校と高等訓練校というふうに分離をされた、その面は一体どういうようにとらえたらよろしいのでしょうか。
#74
○石黒政府委員 おっしゃるとおり、当面の必要といたしまして、多能工の養成ということと、それから技術革新に対応いたしまして、職種転換が容易にできるようにという二つの点がございますけれども、実はこれは二つのようであって一つにつながる問題である。すなわち職種転換でも、非常に狭い単能工として養成された場合には、ゼロからやり直しをしなければならない。幅の広い多能工であるならば、転換訓練も非常に容易にできるという点があると存ずるわけでございます。したがいまして、今後の職業訓練の基本は、多能工的な幅の広い訓練をするというところに重点を置いてまいりたいと考えておるわけでございます。従来の一般訓練所と総合職業訓練所の区別、これがほぼ専修訓練校、高等訓練校の区別に対応するわけでございます。おっしゃるとおり、すべての訓練校を全部多能工を長期的に養成する訓練施設に一ぺんに切りかえたいというのが私どもの理想でございますが、しかしながら現在のところは総合訓練所は八十何カ所しかございません。一般訓練所のほうは三百幾つかあるわけでございます。それを一斉に切りかえるということは事実問題として不可能である。そこで、専修訓練校を、できますならばできるだけ能力の及ぶ限りにおきまして高等訓練校のほうに切りかえていくということと、それから専修訓練校の教育そのものを、狭い単能工に限ることなく、時間的にはやや不十分であるけれども、多能的な基礎を与えていくという、両面立てで当面努力いたしたいと思います。
#75
○加藤(万)委員 これは少し重要ですから、いま少し突っ込んで聞きますが、職業訓練審議会でこの問題を相当論議になったというふうに聞いておるわけです。いわゆる養成コースというものは専修校、高等訓練校を問わず、一つのコースとして考えるべきではないか。同時に、いま一つ重要なのは、最近の中学卒がきわめて少ないということですね。これから職業訓練を受けるであろう対象者は、中卒よりもむしろ高卒のほうが全般的にふえるであろう。そうしますと、高校を出ているわけですから、一応多能工としての学問的素地はあるというふうに見なければいかぬわけですね。そうしますと、いまお話しにありましたように総合訓練所が八十二、いわゆるこれから高等訓練校になるであろうところが八十二ですか、それから一般専修校が三百幾つですかね。そうなりますと、その比重というものが、単なる学問、中の訓練課程の、教科課程の充実というよりも、むしろその比重が高校を卒業した者が対象になるという以上は、高等訓練校のほうに全般的な比重がかかるべきではないかというように私は思うのです。とすると、いま言いました専修校が比較的量としては多くて、高等訓練校が少ないというものを、段階的に切りかえるといいましても時間的にはそんなにないわけですよ。今日高校入学者はもう全国では八〇%をこえるわけですし、都市ではもう九〇%以上が高卒なんですから、そうなってくると、必然的に高等訓練校の拡大というものがこの時期から考えられてしかるべきだし、また受講の対象も専訓よりも高訓のほうに比重を置く。員数的にも確保する。訓練校の定数の上でも拡大をされてしかるべきではないかというふうに思うのですが、審議会ではこの辺の論議はどういうようになったのでしょうか。それを受けて労働省では、これを過渡的にはいま言われた処置をとるにしても、将来の展望としてはどういう方向を求められようとしておられるか、お聞きしておきたいと思います。
#76
○石黒政府委員 審議会におきましては、おおむね加藤委員御指摘のような、今後は多能工を中心とする訓練に切りかえていくべきである、したがって、専修訓練校というものの立場で大いに考えなければいけないのであるという御議論がございました。私どもも、全く同感であります。一ぺんにそうはいかないけれども、重点をできるだけ早く移すようにいたしたいというふうにお答え申し上げております。で、御承知のごとく高等訓練校、従来の場合の総合訓練所は雇用促進事業団立でございまして、都道府県は一般訓練所すなわち今度の専修訓練校しか設立を認められていなかった。これが従来ネックであったわけであります。現に都道府県がもっと長期の本格的な多能工訓練をいたしたいという希望も内々持っている県もたくさんございます。今回の法律では都道府県並びに市町村も高等訓練校を設置できるというようにいたしました。これがどのくらい設立されるかということにつきましては、これは地方公共団体の自主性に待つわけでございますが、私ども補助金の運用等におきましては、重点の置き方は、できるだけ高等訓練校、多能工養成校というほうに補助金の重点を置いて、この誘導を積極的にいたしたいと考えている次第でございます。
#77
○加藤(万)委員 どうでしょう、現在の実態から見て、いわゆる専修校のものを高等訓練校にするには、いま地方自治体にある施設は、時間的にはどのくらいの期間を置けば、総合訓練所がやっておっただけの設備ないしは機能を持たせられるようになりますか。
#78
○石黒政府委員 現在の専修訓練校の全部にいまの総訓と同じような設備、能力を与えるということは、それは近い将来には不可能でございます。しかし、都道府県立の訓練所におきましても、非常にレベルの高いのがございます。国立の総訓よりはむしろりっぱであるというような訓練所もあるわけでございます。これは教室も若干の建て増しをするというようなことで、急速に高等訓練校に変わり得る。それはまた、都道府県の財政の強さにもよるわけでございまして、具体的に申してよいかどうかわかりませんが、たとえば大阪府あたりの府立訓練所というのは、総訓が少し恥ずかしいくらいりっぱな訓練所を持っております。したがいまして、都道府県立の訓練所が高等訓練校に切りかわり始めるのは、来年度からでもどんどん始まると思います。しかし、それが何年でもって何%くらい切りかわるかということにつきましては、私どもまだ府県に特別な問い合わせもしておりませんので、この際は確たることは申し上げかねます。これはできるだけ早急にいたすべきものと考えるわけであります。
#79
○加藤(万)委員 先ほどお話しのありましたように、総合訓練所が八十二ですね。それから地方の訓練所が三百幾つかですね。私は、ここ二、三年の間に高訓になる地方自治体のいまの訓練所ですね、これが倍、少なくともその将来の率からいけばフィフティー・フィフティーくらいにならなければいけないような気がするのです。それが先ほども申し上げましたように、高校卒の人が事実上そこに入所するようになるわけですから、そうなってきますと、専修校があってもそこに入所できる資格といいましょうか、あるいはそこを越えた資格の者が多く存在してくるわけですから、実質的には地方の三百幾つかのうちの半分以上がいわゆる高訓の施設と能力を持つ、そういう誘導的な政策というものをとられないと、事実上地方自治体にそういうものをつくってもよろしいという法律体系をつくりましても、実質上それが使用できないということになるわけです。これはひとつあとで大臣にもお聞きをいたしますから、御記憶を願いたいと思うのです。地方自治体のいわゆる一般職業訓練所をそういう形にしない限りは、いまの高卒という人が対象となる限りは、職業訓練所が無用の長物になってしまう、このことをひとつ御記憶を願いたいと思う。当然脆弱な地方自治体についての財政の補助、交付という問題をこの次には爼上にのせなければならない課題であるということを含めて御記憶願っておきたいというふうに思います。
 そこで、そういう現状から見て、昭和四十三年度、それから昭和四十四年度の訓練生の募集について明らかにしてもらいたいというふうに思うわけです。労働省が考えておられる今日までのそういう客観的な条件、いわゆる高卒が非常にふえたという条件の中で、高訓の場合と、専修訓練の場合と、計画定数をどのように四十四年度は見ておられるか、四十三年度と対比してどのように変化があるか、その辺をお聞きしておきたいと思う。
#80
○石黒政府委員 計画定数で申し上げますと、公共職業訓練所、一般職業訓練所−今度の専修校でございます。これが四十三年度七万九千五百七千五に対しまして、四十四年度は八万五百六十五、すなわち一千名の増加でございます。それから総合職業訓練所につきましては、四十三年度四万二千百六十五に対しまして、四十四年度は四万四千二百九十、二千名強の増加と相なっております。そのほか身体障害者や大学がございますが、これはちょっと……。
#81
○加藤(万)委員 局長、この数字では私が先ほど言ったことにならないように思うのです。審議会ではおそらく、専訓が従来は二、それから高訓が一ならば、これからはでき得る限りその比率を逆になさい、いわば専修訓練を一にして、高訓を二の方向に持っていきなさい、こういう、委員の非常に多くの意見があったというふうに私聞いているわけです。少なくとも四十四年の卒業生を見てみますと、高校卒と中卒との比率はずいぶん変化してますね。したがって私は、中卒、高卒の年度別の比率の差、それをそのまま参考にして、高訓あるいは専訓の計画定数をこれからは定めるべきではないか。そうでないと、確かにまだ中卒の分野が非常に多いですから、募集すれば集まらないことはないと思いますけれども、実際の国の労働力の活用、開発という面から見れば、高校卒の若年労働力を、どのように国として訓練をするかということが、より重要な課題になってくるのじゃないでしょうか。したがって、昭和四十四年度あるいは昭和四十五年度の計画定数をつくられる際には、いまの中学卒の比率をある程度参考にしながら、その定数の確保、同時に高訓の事業場設備の拡大を行なうべきではないかというふうに私は思うのですが、いかがでしょう。
#82
○石黒政府委員 御指摘は、まことにごもっともでございまして、実はただいま、四十三年度と四十四年度の数字を申し上げましたが、四十四年度の数字をもって、この訓練法改正後のビジョンを描いたものとお取りいただきますと、非常につらいわけでございます。これは法律改正案ができます前の、実質的には昨年の八、九月ごろに編成した予算でございます。この中には、県立の訓練所を高訓に切りかえるという見込みは、全然入っておらぬわけでございます。改正法がもし成立いたしました場合におきましても、その切りかえというのは、早いものでも四十四年の四月からできないわけでございます。それが全然入っておらない。それからもう一つは高校生の訓練、高校卒業生の訓練基準というものは現在まだつくっておらない。現在の高校生は約一割強入っておりますけれども、全部中卒と同じ訓練をしておるわけでございます。それではいけないので、高校卒訓練基準をつくらねばいけない。これもまた法律が国会を通過いたしましたならば、直ちにその作業に取りかかって、本年度の夏から秋にかけましては、審議会は高校卒基準でたいへん御多忙をお願いしなければなりませんよということを審議会にもお願いいたしました。したがって、改正後の姿というものは、四十五年度以降に入りますので、四十四年度は不十分なことは重々申しわけございませんが、まだビジョンが実現には至っておらないということで御了承願いたいと思います。
#83
○加藤(万)委員 その答弁でいいと思いますが、ただ四十三年の七月二十九日に、職業訓練審議会は、本問題に対するあり方について答申をしているわけです。この中身をずっと読んでみましても、新たに多能工の訓練については当然配慮していかなければならないということが言われ、これが今回のこの法律の提起になったわけですけれども、しかし、その段階でも、もうすでに去年の七月の際に提起をされて、おそらくこの審議会で答申が出るまでにはそれよりも数カ月前から審議があったものと思いますから、しがたって、本法案の提出と同時に、本来は、私どもはそこまでの予算化と、そこまでのビジョンをもって提起をされてほしかったと思うのです。これは来年度に持ち越される課題ですから、そういう意味での配慮を、あるいは行政指導というものを十分になされるように要請をしておきたいというふうに思います。
 そうなってきますと、先ほど原則的に申し上げました職業訓練のあり方というものは、日本におけるそれと、いま言いましたような職業訓練の対象が非常に変化をする、多能工的に変化をしていく。ですから訓練法令が出た当時の職業訓練の計画内容とは、相当抜本的にある意味においては変えていかなければならないわけですね。したがって、この職業訓練の基本計画、この問題については、単に従来の職業訓練をやや近代的条件に即応するという手直し程度のものではなくて、むしろ今度の場合には、民間の認定事業場等にもその影響力が拡大をしていくわけですから、そういう意味では、労働省が提起をされる職業訓練の基本計画というものは、きわめて重要な要素を私は持つと思うのです。いわゆる一般会社的要素を持つわけですね。労働省が、従来あった失業者を再訓練するとか、あるいは中卒者を多少専修訓練を行なって、一定の技能工に仕上げるという問題ではなくて、国全体の中の技能力、技能というもの、あるいは多能工というものを、どういうふうに労働省は指導するのか、こういう観点になってまいりますと、基本計画というものが従来のしきたりから一歩手直しをしたということから、違った観点から、基本計画――違ったというのは、抜本的な日本の労働力の再編成、あるいは日本の労働力の有効活用、そういう方面から、非常に視点の変わった基本的な施策というものが必要じゃないかと思うのですが、この辺はどうですか。
#84
○石黒政府委員 御指摘の点は、私ども全く同感でございます。現行の訓練法におきましても、職業訓練計画という規定はございますけれども、内容につきましてはあまり規定はございませんし、現実に行なっております訓練計画というものは、全部トータルの数だけあげて、何年間で数をどのくらいに持っていくということぐらいしか書いていません。今後の訓練計画というものは、そういうラフなものであってはいけない。したがいまして、法律におきましても、「経済の動向、労働市場の推移等についての長期見通しに基づき、かつ、技能労働力の産業別、職種別、企業規模別等の需給状況、労働者の労働条件及び労働能率の状態等を考慮して定められなければならない。」さらに、その中の中小企業等特定の職種などについて特別の規定ができるということで、従来よりよほど具体性を持つわけでございます。
 その手続につきましても、従来のように中央職業訓練審議会に聞くだけではなくて、さらにその際に関係官庁と打ち合わせをすることはもちろん、都道府県知事の意見も聞くというような手続を経て、労働力の実態、あるいは各地の実態というものを、より正確に反映し、かつ大きなビジョンを持ちまして、それに引っぱっていくという強い性格を持った計画にぜひともいたしたいと考えている次第でございます。
#85
○加藤(万)委員 今度は訓練校という名前で、学校という名前に非常に似通ってきたわけですが、この際やはり文部省で、学校教育法との関係を明確にしておかなければいけないというふうに思うわけです。いまも質疑の過程にありましたように、これからは高校を出た者が高等訓練課程を受ける、こういうことになってまいりますと、それから一方では、いわゆる学校教育法では、ほとんどが高校入学ということになっているわけですから、労働省の行なう訓練校と、高校までの文部省の教科課程というものを、どのように位置づけるか、逆に言えばどのように区分をするか、あるいは関連を持たせるか、この辺が非常に重要な課題になってくると私は思うのです。
 そこで、今度の答申の中にもありますけれども、たとえばいわゆる学校教育法における職業科目について、労働大臣が、その科目について異議といえばおかしいですけれども、意見がある場合には、文部省に勧告をしたらどうかというようなことが、この答申案の中にも実は含まれているわけです。したがって、この訓練校の基本目的と、学校教育法に基づく高校教育の基本目的、この辺を明確にする必要があるというふうに思います。
 そこで文部省が見えていますね。
#86
○谷垣委員長代理 速記をとめて。
    〔速記中止〕
#87
○谷垣委員長代理 速記始めて。
#88
○加藤(万)委員 それでは、これからは多少いまの学校教育法と職業訓練校との関係がありますので、この辺で一ぺん休憩をして午後に回したいと思います。
#89
○谷垣委員長代理 この際、午後一時十分まで休憩いたします。
    午後零時二十九分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時三十四分開議
#90
○森田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続けます。加藤万吉君。
#91
○加藤(万)委員 午前中質疑を残しましたので、続行いたします。
 午前中問題になりました、今度職業訓練校ということになるわけでありまして、文部省の学校教育法との関係をこの際明確にする必要があろうかと思います。質疑の中でも明らかになりましたように、これからは高校卒の訓練生が入校するわけですから、必然的に普通教育と職業教育との観点、あるいは普通教育を受けた訓練生に次の専門教育をする関係、この区分と、それぞれの訓練校なり学校教育法に基づく目的条項とが――関連性はありますけれども、目的というものは明確に区分をしていかなければ相ならないと思うわけです。そういう観点から、職業訓練校の基本的目標と、学校教育法上の訓練校に対する要請といいましょうか、あるいはあり方といいましょうか、そういう観点からの文部省の御意見並びに訓練局長の御意見をお聞きをしておきたいというふうに思います。
#92
○石黒政府委員 学校教育と職業訓練との関係は、一般的に申しますと、学校のほうは、一般教養的な、あるいは社会人養成といったような観点からなされるものであり、職業訓練のほうは、りっぱな職業人を養成するという観点からなされるものでありまして、一見その分担というものは明白でございます。が、しかしながら、具体的な姿に相なってまいりますと、御指摘のごとく、職業訓練校において行ないます職業訓練と、学校、なかんずく職業系の高等学校の教科というものは、相当程度重複をする面がございます。これにつきましては、たとえば訓練所に通いながら定時制高校に通うというような人につきましては、その重複をできるだけ省きまして、どっちか一方を履修すれば片一方の履修としても通用するという制度を設けております。しかしながら、基本的には、職業訓練がさらに普及いたしました暁には、学校制度そのものにつきまして、職業訓練との関連でいろいろ考えていただかなければならない点もあるんじゃないかと考えておりますが、これにつきましては、午前中申し上げましたように、高卒の訓練をどうするかということにつきましても、私どもまだ具体案をつくっておらない段階でございます。将来の問題としてこれは引き続き、きわめて重要な問題として検討すべきものと考えておる次第でございます。
#93
○加藤(万)委員 文部省の答弁はあとでいただきます。
 訓練校の教科課程の単位は何時間とりますか。専修校では何時間、それから高訓では何時間ですか。
#94
○石黒政府委員 時間数には若干の出入りがございますが、総訓の機械科の訓練生は二カ年間に三千六百時間というふうに相なっております。
#95
○加藤(万)委員 おそらく労働省が出されております一般訓練所ですね、今度の専修校、それから高訓、それは一年について千八百時間、二年については三千六百時間というように私は理解しておるのです。そうしますと、この時間の単位というのは、一体どこからはじき出された時間単位ですか。いわゆる一年間に千八百時間という時間単位というものは、何を基礎にしてその時間にされたのですか。
#96
○石黒政府委員 おおむねこれは労働者の場合を参考にいたしまして、一日八時間、年間約五十週という計算でございまして、それに若干の休日を差し引くわけです。そこで一年千八百時間ということに相なります。
#97
○加藤(万)委員 文部省にお伺いしますが、高校の一年の時間単位は何単位で何時間ですか。
#98
○大崎説明員 高等学校の卒業に必要な最低単位数は八十五単位でございます。これは三年間に八十五単位でございますので、一年にいたしますと、大体大ざっぱに申しまして、三十単位と考えてよろしいと思います。一単位三十五時間の授業でございますので、大体一年間の授業時間数は千五十時間程度だろうと思います。
#99
○加藤(万)委員 いわゆる学校教育の時間単位と、それから職業訓練の時間単位は、いま千八百時間とおっしゃいましたが、大体似通っている。それを基礎にして――いま労働省は、労働者の一日当たりの時間単位に稼働日数をかけた、こうおっしゃっておりますが、そういう関係で生まれたのではありませんか。
#100
○大崎説明員 ただいまお答え申し上げましたのは最低の時間でございまして、標準で申しますと、大体千百九十時間が標準でございます。したがいましてほぼ類似しております。
#101
○加藤(万)委員 職訓局長、いまお伺いしたとおり、職訓の時間単位は、おおむね学校教育法に基づく時間単位を参考にしながらつくったように私には思われる。そこで、そういうことになりますと、職訓校と、それから一般学校教育法に基づく観点とは、おのずとその性格と目的が違うと言われましたけれども、実際上は、時間単位の関係等を見て、そういう関連というものはあるのではないかと私は推定するのです。同時に、職訓の時間単位が多いということは、たとえば企業で働いておる場合等の実習時間は実習時間として、所によっては訓練の時間単位に編入をしておるようですから、それを差し引きますと、学校教育法上の時間単位といままでの総訓なり一般訓練所の時間単位とが、非常に似通った時間単位になっているわけです。したがって、そういう関連というものは、ここに存在をするのではないか。いわゆる学校教育法に基づく教育時間単位と職訓の時間単位とは、結果的にではありますけれども、普通教育課程というものを一応頭に入れながら、同時に職業訓練の新しい専門的知識を与えるということに関連があるのではないか、こういうふうに私は見ているのですが、いかがでしょう。
#102
○石黒政府委員 どうも、どういう御趣旨でいまの御質問がございましたか、私よくわかりませんのですが、公共職業訓練の場合には、一般的な場合一年間千八百時間でございます。高校の場合には、ただいま文部省からの御説明では、最低が千五十時間、平均的な標準が千百九十時間、約六百時間の食い違いがあるわけでございます。それでもまあ似ているじゃないかとおっしゃれば、似てないとも別にしいて申し上げる必要もないわけでございますけれども、私どものほうは、一日の労働時間かける労働日に若干の休暇を加えるという計算で出しておりますので、かなり食い違っておりまして、私どもとしては、ふだん気にしておる点、たとえば夏休みなんか、とても学校の子供みたいにたくさんやれないという点が気になっておる点でございます。
#103
○加藤(万)委員 いま神奈川県には、いわゆる一般訓練所プラスその上に技術高等学校を定時制として継続をさしているわけです。これは先ほどの基本目的からいきますと、いい方向なのでしょうか。悪い方向なのでしょうか。
#104
○石黒政府委員 それは全国できわめて例外的な存在でございまして、それについてのいいか悪いかという評価も、私の個人的感想としてお聞き取りいただきたいと存じますが、非常に野心的な企てであると考えております。しかし若干の無理もある。そういう無理をおかしてああいう制度をつくらなければならないという点につきましては、訓練と学校との関係の調整というのがまだ十分にできていないために、ああいう制度を若干の無理をおかしてやったものというふうに私は考えております。これは私の個人的な評価でございます。
#105
○加藤(万)委員 どうでしょうか、文部省の学校教育法の立場から見て、いま相模原の職業訓練所は、一年間は職業訓練所の教科課程、そして二、三、四年、合計で四年間をとって全日制という形の技術高等学校、こういうふうにしているわけです。この方向というものは、学校教育法の立場から見て、あるいは文部省の教育政策から見て、いい方向なんでしょうか。それとも直されていくべき性格のものでしょうか。
#106
○大崎説明員 文部省といたしましては、中学校卒業後の青少年ができるだけ教育の機会を得るということが最重点だと考えておるわけであります。その中心的な存在といたしまして高等学校がございまして、現在七七%近くの青少年が高校へ進学しておりますけれども、ひとり高校に限りませず、十五歳から十八歳までの教育を、いわゆる後期中等教育という形でできるだけ多くの青少年に教育の機会を与えるということが、文部省としてはかねてからの施策であるわけであります。その考え方の一つといたしまして、高等学校におきまして普通教育、職業教育両面やってはおりますけれども、先ほどお話がございましたように、技能面の教育という点につきましては必ずしも十分でない面もございますので、そういう面を職業訓練所でおやりになる。片や後期中等教育の完成という観点から、高等学校で履修をされるという勤労青少年の数がかなりあるわけでございます。私どもといたしましては、この種の勤労青少年の方の教育というものが、できるだけ勤労青少年の過剰な負担にならないでりっぱな成果があげられるようにというごとは念願しておるところでございまして、その意味では、神奈川県では非常に御苦心をなさってああいう一つの方式を編み出されたということは、一面敬服しておるわけでございます。ただ、ただいまお話がございましたように、一つの授業が、片面から見ますと職業訓練、片面から見ますと高等学校教育という行き方が、はたして一般的な行き方としていいかどうかという点については、なお問題があるのじゃないかというような内部の考えでございまして、私どもといたしましては、むしろいわゆる技能提携でございますね、職業訓練所で実習いたしました成果と申しますものを、一定の条件のもとに高等学校の単位として認めていくという形のものを推進しておるというのが現況でございます。
#107
○加藤(万)委員 これはぼくはたいへんな問題だと思うのですよ。専修訓練校を経た者を高校進学の一定の単位として認めるということは、先ほど私は基本原則のところで申したのですが、いわゆる普通教育、義務教育を受けて一応人間的な形成ができている、それに対して専門的な知識と能力を与えるという意味で職業訓練校があるわけですね。ところが、いま文部省のお話のように、専修校の単位を高校の、たとえば全日制でもいいし定時制でもいいのですが、その単位として繰り入れることを一ぺん検討してみたい、そういう方向でものを見てみたいといういまの御答弁ですけれども、そうなってくると、学校教育法に基づく教育というものと、それから職業訓練上必要ないわゆる訓練校というものと、区分が、あるいは原則が明らかにならないことになるのですよ。したがって、ここに一つ問題があるということですね。
 それからいま一つ、実態的に今度はお話しますと、いま言ったように、神奈川県の場合には、いま文部省が言われたことをある程度踏んまえながら、技術高等学校をつくっているわけですね。今度の法案の改正では、地方自治体が高等訓練校を持つことができるわけですね。高等訓練校は、今度のこの法案では、いままでは二年ですけれども、三年にしてもいいということになるわけですね。二年ないしは三年ということですから。そうすると、その訓練校を基礎にして地方自治体が地方自治体立の大学をつくることも可能になってくるわけです。いわゆる技術大学ですね。どういう形になりますか、短期になりますか、あるいは普通の大学法に基づく大学かわかりませんけれども、そういうことも実は可能になってくるわけです。そこで実は私もこの辺は、この法案を審議している間に、どちらが正しいのか非常に迷ったところなんです。この審議会の答申には、学校教育法の中における職業の課程については、もしもそれが職業訓練法上の訓練校の問題とダブる、ないしは本来そちらに寄せるべき教育内容があるならば、労働大臣は文部大臣にこの問題について勧告することができるという答申が出ているのですね、その問題点について。したがって、そうなってくると、どうも審議会のほうの意見は、学校教育法に基づく教育は、人格形成ないしは人間としての素地、社会的な条件をつくる。それを受け継いで、今度は専門的な立場になった場合には、むしろその所管は、いわゆる職業訓練に関する限りは、労働省のほうの所管に本来戻すべきではないかということが実はうかがわれるわけですよ。これは審議会の中に私は入っていませんからわかりませんけれども、そういう方向にうかがわれるわけです。そうなると、いまのあなたの答弁は、そうではない、職業訓練校の課程も高校の一単位として認めるような方向をとるというようなことになると、いまの答申と全く逆な方向を文部省が指導される、こういうことになるわけですが、その辺はいかがでしょう。
#108
○大崎説明員 少しことばが足りなかったためにあるいは御了解いただけなかったのではないかと思いますが、これから検討するというのではございませんで、昭和三十六年に、各方面からの御要望が非常に強いということもございまして、実は技能連携制度というものを発足させたわけでございます。それが、その条件がまだきびし過ぎるという御指摘等もございまして、昭和四十二年にさらに学校教育法の施行令等を改正いたしまして、労働省の御当局とも十分御相談申し上げながら条件を緩和いたしまして、連携をしやすくしたという形をとりました。
 それの前提となる考え方でございますが、私ども、学校教育というもので職業教育というものを行なわないのだという考え方はいたしておりませんで、学校と申しますものは、教育基本法に掲げてございます教育の目的と申しますものを系統的、段階的に達成していくための基本的な制度であるというふうに考えております。有為な国家社会の形成者として世に送り出すという中には、当然職業の教育ということが含まれているということで、私ども、中学、高等学校、大学、高専等でその点についての努力をいたしておるわけでございます。したがいまして、ただ勤労青年の立場、生徒の立場から見ますと、たまたま一部が重複しておるのを、形式的に制度が違うから両方受けろというのは、あまりにも画一的過ぎるのではないかということと、それから高等学校は、やはり一定の普通教育というものをどうしても必須といたしますので、技能の習熟という点においてはどうしても欠けるところがございます。その面では、やはり職業訓練所で訓練していただくということの成果も十分評価すべきではなかろうかというふうな考え方で、現在の技能提携という考え方がとられておるというふうに承知しておるわけであります。
#109
○加藤(万)委員 技能提携という問題なら、その範疇で理解できるのですよ。しかし職業訓練校の一年なり二年、今度は高校になりますと三年制というのがあるのですけれども、それをたとえば高校の一つの単位として見る、あるいは今度三年になれば、大学の問題が一つの単位として考えられる場合が想定されるわけですね。となると、学校教育法と訓練法との単なる技能提携の問題ではなくて、学校制度という問題についての接点でどうかという問題が出てくるわけですが、その辺はどうでしょう。これは訓練局長からも、その辺どういうように一この審議会で、職業課程についての高校のカリキュラムについても、おそらく労働大臣が何らかのサゼスチョンを与えていいというように答申ではなっているようでありますけれども、その辺の見解というものはどういう審議の過程で生まれてきたのでしょうか。
#110
○石黒政府委員 審議会におきましては、実は私、昨年の秋から訓練行政に携わっておりますが、私の承知しております限りにおきましては、文部大臣に対する労働大臣の勧告、あるいはその逆の文部大臣からの労働大臣の勧告というものにつきましては、高校にどういうカリキュラムを入れる場合にどういう相談をしてどういう勧告をするという、具体的、特定な勧告が問題になったのではなくて、学校行政と職業訓練行政というものについてはなお調整を要する点が多々あるので、それについてお互い勧告ができるような制度にしたほうがいいだろうという、かなり一般的、ばく然的なものであったように承知しております。それが非常にばく然として特定していないということ。また、審議会の答申にありました要綱に載っておったものが今度の法案で落ちまして、たとえば通産大臣に対する労働大臣の勧告というのは、安全基準という非常に特定した問題になっておるわけでありますが、それが、非常に特定しない一般的なものについて両省が勧告し合うということは、あまり例がないし適当でないということも、あの規定が落ちた一つの原因になっているわけであります。非常に特定したものを考えているわけではございません。
 ただ、御指摘のごとく、職業訓練行政と学校行政との接点の問題というのが、まさにその一つがたまたまあの形であらわれておると私も思っております。この接点をどうすり合わせるかという問題につきましては、私ども目下鋭意検討中であり、外国の事例も検討いたしておりますが、直ちにどうごうという確信がある案は、まだなかなか時間がかかると思いますけれども、かなり問題がある、現在の調整措置だけでもって接点は十分解決されたものであるというふうにも言い切れない点があるのではないかというふうにも考えております。
#111
○加藤(万)委員 ここはひとつ大臣答弁をいただきたいと思うのです。私はかかってやはり職訓の基本計画にあると思うのです。職業訓練の基本計画の策定の中に、この問題の接点を求めていくということがどうしても行政上は出てくる。たとえば職訓の基本計画の中に、いわゆる普通教育課程における能力というものを専門的能力に転換をする場合に、たとえば定時制の高校の位置づけをどうするのか、あるいは、それとの関連を持たして、専修訓練校の場合にはカリキュラムはどうするのかという問題等が出てくると私は思うのです。したがって、ここでいま研究中であるということですから、すぐどうということはできないと思いますけれども、職業訓練基本計画の策定にあたっては、職業訓練と学校教育との関係、それから先ほど私はずっと言いましたけれども、高訓課程の比重の増大等は相当慎重に配慮する必要があろうかと思うのです。したがって、そういう意味の中央職業訓練審議会の意見を十分尊重する必要が私はあろうかと考えるのですが、いかがでございましょう。
#112
○原国務大臣 加藤さんのお説のごとく、職業訓練と学校教育課程との関係、接点、それからまた職業訓練の基本計画の中にそういうものを盛り込んでやる等、さらに午前中の御質問のように、高等訓練校をもう少し強化する等、お説のとおりでございまして、御趣旨に沿うように善処したいと思っております。
#113
○加藤(万)委員 文部省にいまの点は要請しておきますけれども、現実には、訓練校一年と見て定時制の高校制度をとっているところが、神奈川県の場合にはあるわけですね。それから、今度新しい法案では、高等訓練校が三年制度まで設けて、しかも地方自治体に設置することができるということになりますと、当然いうところの専門的短大の制度というものが関係して生まれてきます。したがってこの辺は、学校教育法との関係を、労働省との間にしっかりと調整をしていただく。同時に訓練審議会で、いま大臣の答弁がありましたように、慎重に配慮するということですから、その際に文部省側の意見も十分反映できて、いまの体制がいいかどうか。これからまだ見てみなければわかりませんけれども、そういうもののよりよい発展の方向に検討を願っておきたいと思います。
 その次に、職業訓練団体についてお伺いをします。今度の場合に、新しい法案の中でも特徴的な要素でありまして、職業訓練団体を中央につくる、あるいは地方につくる、私はこういうように実は思うわけです。職業訓練団体をつくる際にやはり一番問題になって、基本的にその焦点を置かなければならないのは、ILOが勧告をしている内容に沿った、そういう国家的な施策といいましょうか、それをサゼスチョンする、そういう中央会になっていかなくてはいけない、あるいは地方自治における訓練団体になっていかなければいけないというふうに実は思うわけです。その中央会なり地方の訓練団体が、産業に必要な、ないしはその地域に必要な労働力の需要をどうつくるかということにもし内容的に変化をするならば、これはたいへんな団体になってしまうと私は思うのです。本来、日本にある労働力の再開発であるとか、あるいは多能工の必要性、それを個人に対しても国に対しても奨励をし、それを育成していく、そういう団体にならなければ、この団体のほんとうの価値はないと私は思います。
 そこで訓練局長にお聞きしますが、今度できる職業訓練団体の基本的な目標、目的というものを、一体どういう観点からあげられたのでしょうか。
#114
○石黒政府委員 職業訓練団体の使命につきまして、たいへん御理解ある御質問をいただきましたが、直接的には私ども非常に遠大なことを考えているわけではございませんで、従来ございました中小企業の共同職業訓練というのが、法人格もなく、したがって主体性もはっきりしない、財産帰属もはっきりしない、こういうものに法人格を与えることによって中小企業の共同職業訓練を伸ばすことができるのじゃないかという、中小企業の共同職業訓練主体に法人格を与えることが第一の目的でございます。そういうものができた暁には、これがばらばらになっておっては非常に力が弱いので、連合会をつくりまた全国団体もつくるということで、相互に助け合い、また連絡もし合うということが必要であろうというふうに考えておる次第でございまして、現在のところ、民間の職業訓練をこの団体のみが代表するというような、非常に大きな強力なものを考えておるわけではございません。もちろん職業訓練事業を行なっている法人は、協同組合以外にも連合会や何かには加入できるわけでございます。けれども、これをもって職業訓練団体の大同団結というところまでは考えておらない。とりあえず、末端の法人育成としては当面のものであって、連合会、中央会ができますのはなおしばらく時間がかかるのじゃないかというふうに考えております。
#115
○加藤(万)委員 私が一番心配するのは、何かそれが労務政策であり、あるいはその団体が産業別につくられることによって、産業の中に必要な労働力の再開発なり、あるいはそれに必要な多能工のみを政府が行なう職業訓練計画に強要する、そういうことが起きてはたいへんなことになるわけです。局長、御存じでしょうけれども、ILO勧告は、いわばその国における労働力のそういう意味での有効的活用を中心にして職業訓練は行なわれるべきであって、その産業の需要や使用者側の需要によってのみ行なうべきでないということが反対的には読み返されるわけです。そういう意味では、この訓練団体がそういう道筋を踏まえながら行く。そういう道筋を行えるような行政指導というものは、この場合にはきわめて重要なウエートを持っているわけです。そういう意味で、いま言いました目的とこれからのあり方、それから政府の行政指導のあり方、そういうものをこの際明確にお聞きしておいたほうがよろしい、こういうように思ったわけです。
 ちょっと補足をしてお聞きしますが、この訓練団体に対して政府の財政的な援助はありますか。
#116
○石黒政府委員 職業訓練法人につきまして、これが政府に強い圧力を加えるような団体になるほど大きくなれば、私どもとしてはむしろ頼もしいくらいのもので、当面はなかなかそんな強力な団体にはなれません。これの育成にはかなり時間を要するであろう。したがいまして、その間におきまして、御注意のありましたような点は十分留意いたしまして、へんてこりんな団体にならないように指導いたしたいと考えます。
 なお、補助金の点につきましては、末端の職業訓練法人に対しましては、中小企業の共同職業訓練に対する訓練生一人当たりに幾らという補助金が参ります。すなわち、末端の法人には参りますが、連合会及び中央会の上部構造につきましては、現在のところ補助金というものは考えておりません。
#117
○加藤(万)委員 引き続いて職業訓練審議会についてお伺いをしておきたいと思います。
 私は今度のこの法律案を読みまして、労働省令で定めるものが非常に多いわけですね。たとえば先ほどの期間の問題にいたしましてもそうですし、それから訓練実施計画、この問題も労働省令で定める。労働省令で定める分野が非常に多い関係上、いわゆる官製訓練になる危険性が非常に考えられるわけです。それもいい意味の官製訓練ならこれは歓迎すべきでしょうけれども、率直に言って実際に必要な、たとえば労働者側に必要とする訓練、あるいは企業側で必要とする訓練等を吸収する場所というものは、この訓練審議会を通してしか実はないわけです。そういう意味では訓練審議会の仕事が非常に重要になってくると思うのです。聞くところによると、中央の職業訓練審議会はときおり開催をされて論議をされているようですけれども、地方自治体においては、今度は高訓までできるわけですけれども、あまり活発に動いていない。また訓練審議会の設置状況も、ない府県もあるように聞いているのですが、この辺はいかがでしょうか。
#118
○石黒政府委員 中央職業訓練審議会が非常にしばしば開いていることは御承知のとおりでございます。地方につきましては、現行法では、御承知のごとく設置することができるということで、必置機関ではございませんので、訓練審議会をつくっております都道府県が三十八、つくっておりません府県がなお八つ残っておるわけでございます。これは今回全都道府県に強制設立になるわけでございます。その回数につきましては、多いのは毎月一回あるいはそれ以上やっているところもあります。少ないほうでは半年に一回しかやっていない。非常にまちまちの運営に相なっておりまして、これは予算というよりもむしろ県ごとの熱意のいかんによる点が多いのではないか。この辺も、法律制定を機会といたしまして、さらに強力に指導いたしたいと考えております。
#119
○加藤(万)委員 問題は、地方の場合には審議会にかかる事案ですね。審議会が本来機能的に果たさなければならない役割り、任務といいましょうか、それをもっと与える必要があるかと思うのです。どうでしょうか、これは一つの例ですが、今度は認定事業所がたくさんできますね。それから民間の職業訓練についても、いろんな意味での法的擁護ないしは職業訓練法との関係が起きるわけです。そこで、認定事業所をどこにするかというような問題は、まあ地方の場合は地方の審議会にかけてその意見を聴取をして決定をする、そういう行政指導をやられると、その審議会に一つの任務を与えるということになるのではないかというように私は思うのですが、この辺はいかがでしょうか。
#120
○石黒政府委員 たとえば民営の有料職業紹介の認可は全部職業安定審議会にかけております。というように、事業内職業訓練の認定を審議会にかけるということも可能ではございますけれども、民営の有料職業紹介は全面禁止のうちの例外的に特に許可するものだから、慎重を期して審議会にかけてまで、許可されるものをしぼりにしぼっておるわけでございます。認定職業訓練の場合は、これはそれほどしぼりにしぼる必要はないのであります。むしろどんどんやってもらいたいという趣旨でございます。審議会の開催まで認可できないということではない。むしろ一般の基準に問題なく当てはまるのは審議会にかけぬ、ただし、疑問のある要指導というようなものについては審議会にかけるというようなところではなかろうかと思います。
 なお、審議会につきましては、今後都道府県の職業訓練計画をかけるとか、あるいは訓練校の職種増、あるいは訓練校そのものの増設というような、審議会にかけなければならない仕事はたいへんふえてまいりますので、今後は審議会がひまで困る、仕事がないから開かないというようなことはなくなるものと考えております。
#121
○加藤(万)委員 いまおっしゃられたように、認定事業所がふえればふえるほど歓迎すべき処置ですね、確かに。それならば、そういう仕事の拡大を要望されればされるほど、もし一カ月に一ぺんずつ、ないし三カ月に一ぺんずつ、認定事業所の申請があったということであれば、それをかけるために審議会を開かせる。これは一つの例ですよ。そういうことが、従来眠っておった、ないし従来設置をされていなかった府県に、審議会の本来的なあり方をつくり出していくのではないでしょうか。そういう意味で、確かに局長が言われるように、審議会の仕事がこの法案によってたくさんふえたことは事実でしょう。しかしそれも年に一回かないしは二回で済む問題でもあるわけですよ。どうしても月日を追って開催をしなければならない事項を、私はある程度、今日の段階として、過渡的な処置でしょうけれども、設定されることが審議会のより有効な運営になるのではないか、こういうふうに思うのですが、いま一度答弁を願いたいと思います。
#122
○石黒政府委員 御示唆のありました点は、今後の審議会の運営上十分考えたいと思います。ただ、事業内職業訓練というのは、やっぱり四月から始まるものでございますから、その認定というものは、年に何十件ございましょうと、わりかたその前の一時期にかたまるということもございまして、年間ばらしてくればいつでも審議会の仕事があるということになりますが、一時期にかたまってまいりますから、やはりシーズンオフのときには審議会がないということにもなりかねませんので、その辺は年間を通じていろいろ仕事がありますように十分考えたいと思います。
#123
○加藤(万)委員 ひとつ行政指導の中でその辺は眠らないようにしていただきたいと思います。
 それからいま一つ、これは長期的な展望ですけれども、イギリスに産業訓練委員会がありますね。どうでしょうか、これから日本の単能工ないしはこれからの労働力を、そういう意味での再開発、再訓練、あるいは有効活用という問題まで含めてまいりますと、英国がとっておるような訓練委員会というようなシステムも、これからの検討事項に値しはしないか。単に上がってくるものを諮問的に審議するというのではなくて、むしろ積極的に労使双方が職業訓練の開発を行なう、そういう意味での委員会制度、そういうこともこれから考えられていいのじゃないかというふうに私は思いますが、いかがでしょうか。
#124
○石黒政府委員 御指摘のごとく、イギリスにおきましては、労使の委員会が職業訓練について直接の責任を持っておるような形になっております。それから、私よく存じませんけれども、ドイツ、スイスあたりでは、やはり商工会議所とかそういった団体に労働組合が全面的に協力をして訓練をする。そういうふうに、民間が主体となりまして訓練を行なう、役所はそれを監督するだけというような国も多々ございます。私は日本も一日も早くそうなってもらいたいと思っております。しかし現状におきましては、むしろ職業訓練法施行以来、役所が一生懸命ここまで引っぱってまいりまして、まだまだ現在では、役所が監督だけにとどまったのでは、役所が積極的に引っぱらなければさらに発展するのはむずかしい。将来の姿としてはそういうことは大いに検討に値する問題であると思います。
#125
○加藤(万)委員 そうだと思うのです。私が言いたいのは、いわゆる審議会のあり方が、単なる諮問事項を審議するというのじゃなくて、やはりそういう能動的な役割りを果たされてもいいのじゃないか、過渡的に。そういう意味で申し上げておるのです。したがって今度、日本の場合には、審議会しか事実上われわれの労働者側の意見あるいは使用者側の意見を吸収する場所がないだけに、そういう能動的な役割りをある程度を与えながら審議会の運営を行なう、そういうことが必要ではないかということを実は言っておるわけなんです。いかがでしょう。
#126
○石黒政府委員 その点はまことにおっしゃるとおりでございまして、単に諮問事項だけではなくて、積極的な建議というようなことによって、訓練の行政発展にさらに審議会が活用できれば非常に好ましいことでございまして、私どももそれには御協力をいたしたいと考えております。
#127
○加藤(万)委員 訓練法の運営と特典について、多少ここで問題を明らかにしていただきたいというふうに思います。
 前回、職業訓練法ができたときに附帯決議がありましたね。その附帯決議の中に、いわゆる雇用促進事業団が行なう総訓について一般会計からの財政的な援助を行なうべきであるということが、たしか附帯決議条項にあったというふうに承知しておるわけですが、いま総訓、これからなる高等訓練校、これらに対する財政援助はどのくらいの金額で、どこから支出をされておるのですか。
#128
○石黒政府委員 御指摘の附帯決議は、私もちょっとうろ覚えでございますけれども、総訓に一般会計の金を入れろというのじゃなくて、雇用促進事業団全般について――訓練法の附帯決議ではなくて、失業保険法か事業団法の附帯決議であったように思います。現在のところは、総合訓練所は失業保険の保険施設としてこれを運営するというふうに失業保険法及び雇用促進事業団法に書いてございます。目下のところ私どもはそれで参っておるわけでございます。ただ、将来、都道府県立の高等職業訓練校ができましたときに、これを失業保険がまるがかえにするわけにはまいらないと思います。この場合には、財源についてはまた新たにいろいろ検討をする必要があろうかというように考えております。
#129
○加藤(万)委員 これは雇用促進事業団にお聞きしますが、いま失業保険から交付をされておる資金、特に職業訓練に関係する交付金は全額どのくらいですか。
#130
○竹内参考人 雇用促進事業団に交付されておりますところの職業訓練関係予算は、失業保険特別会計からの出資金が三十六億三千五十四万一千円、それから交付金が四十三億八千三百八十九万円でございます。さらに一般会計からの交付金が三百九十四万一千円でございます。それから石炭特会からの補助金が七千二百三十五万八千円、合計八十億九千七十三万円ということでございまして、まあ大部分が失業保険特会からの出資金、交付金でまかなわれておるわけでございます。
#131
○加藤(万)委員 いま発表がありましたように、職訓法ができるときに、附帯決議で一般会計から財政の援助を行なうということが、いまのお話では三百九十四万円ですよね。職業訓練法の附帯決議が出ているときに、雇用促進事業団全般の一般会計からの交付ということがまさか附帯決議になったんじゃないと思うのです。おそらく、職業訓練法に伴う一般会計からの雇用促進事業団への資金の交付、こういうことに私は当時のこととしては理解ができるわけです。それがいまお話しのように、一般会計からの分は概算三百九十四万円ですね。これはあまりにも附帯決議に沿った措置ではないのではないですか。いかがでしょうか。
#132
○石黒政府委員 職業訓練法が三十三年に制定されました際には、そのような附帯決議はございません。御指摘のは、雇用促進事業団法の成立の際に、――「政府は、雇用促進事業団に対し、第十九条第一項の業務に相当な金額を一般会計より支出することを目途としてその交付金を増額することに努めること。」ということで、職業訓練について増額につとめることということがあったわけではございません。ただ、もちろん職業訓練につきまして一般会計からの金もよけい導入することは、きわめて望ましゅうございます。私ども、職業訓練に支出する金額は四十四年度で百三十四億円でございまして、特会以外の分はほとんど一般会計及び若干労災及び石炭特会というふうに、いろいろなところから金を集めている次第でございます。
#133
○加藤(万)委員 当初から論議をしておりますように、これはいわば国としての政策、これからの日本の経済の発展あるいは高度成長政策に伴う技術革新に必要な労働力の確保という、きわめて重要な課題なのでありますから、そういう意味では私は、訓練生については、たとえば月謝的要素を取るようなことはやめるとか、あるいは教材費を生み出すというようなことはやめるとか、いわゆる無料によってそういう労働力を拡充発展をさせる、そういう方向にあるべきだと思うのです。それには失保からの資金の交付ではなくて、やはり一般会計で相当の部分をこれから見ていく、そういう方向が必要ではないかというように私は思うわけです。
 同時に、午前中に御質問申し上げた際に、これからは地方自治体でも高等訓練校ができるわけですね。したがって、財政が富裕な府県においてはこれは自前でできるでしょうけれども、今日のように、労働力が全国的に流動化をしている、ないしは全国から吸収をしてくるという過程を見ますと、いわゆる富裕な府県でないところにも財政援助をしていかなくてはいけないと私は思うのです。そうなってまいりますと、いまもお話がありましたように、失業保険会計からこの地方自治体に交付をするというのは、きわめておかしな話になってくるわけですね。当然のことですが、一般会計から地方自治体にいかに支出すべきかという問題も出てくるわけです。したがって、これからの職業訓練に必要な雇用促進事業団への交付については、地方自治体のこういう問題とかね合わせて一般会計からの財政交付をより強めていただきたい、このように思うわけです。そういう方向がこれから検討されるかどうかということについて局長の答弁をいただきたいと思います。
#134
○石黒政府委員 私ども実は、ともかくとれる金は何でもとってこようということで従来一生懸命かき集めてきたわけでありますが、御指摘のような点もまことにごもっともな点でございます。将来は一般会計からの財源獲得により一そう努力いたしたいと思います。
#135
○原国務大臣 ただいまの御説ごもっともなので、私もそれを痛感いたしております。あまり一般会計のお金が少な過ぎる。来年度予算要求にはこれをちゃんと体系づけて要求するし、大蔵省とも交渉して善処いたしたいと思っております。
#136
○加藤(万)委員 訓練校の特典についてこの際明らかにしておいていただきたいと思います。
 今度は、名称も訓練校という、いわゆる校という名前になりますし、高等訓練校については、その業種によっては二年、三年というふうに延長されるわけですね。そうしますと、私は多能工としての措置が質的にも量的にも相当付与されるというふうに見るわけです。したがって、訓練校の特典というものは、従来の、たとえば電気工事人であるとか、あるいはアセチレンの溶接工であるとか、そういう範囲ではなくして、もっと多能工としての恩典の分野を近代的な技術革新に即応するものとして拡大されるべきではないかと思うわけです。この訓練生の特典について、たとえば三年制の場合にはどの範疇まで考えられますか。あるいはどういうことがこれから考えられていくものがあるのか、この点をお聞きしたいと思います。
#137
○石黒政府委員 どの範囲までかというお尋ねは、実は具体的にお答えする用意はございませんが、政府関係だけでも、いろいろな工事あるいは製造等についての資格を要するものが、非常にたくさんあるわけでございます。それにつきまして、私どもは、訓練種目と重複しておりますものにつきましては、できるだけ訓練卒業生にはそういう他の法令に基づく資格というものを認めるように、こちらの訓練種目も整備いたしたいし、また関係各省の御協力もいただきたいと思っておりますけれども、現在のところは約十ほどの資格が認められているだけでございます。これは今後できるだけ拡充するように精力的に努力いたしたいと考えておる次第でございます。
#138
○加藤(万)委員 雇用促進事業団の方にお聞きしますが、たとえば電気工事人の免許は、今度の場合高訓を――専修校でもいいですが、出た場合には国家試験は無試験になりますか。
#139
○石黒政府委員 そちらのほうは私どものほうの所管でございますから、私から御説明申し上げます。
 電工または電路工の職業訓練を修了した者につきましては――もちろんいまいろいろな訓練の種類がございますから、全部の訓練ではございませんが、通産大臣の指定を受けた訓練施設である限りは、電気工事士試験の全部が免除されるというふうになっております。
#140
○加藤(万)委員 そうしますと、訓練事業場、認定事業場が今度できますね。その場合に、その認定事業場が通産大臣の指定を受けていた場合には、電気工事人のやつは免除になりますね。私は今回の訓練法の改正によってそういう処置というものはあると思うのです。したがって、そういう意味では、そういう訓練校なり認定訓練事業場に大ぜいの人が入って、多能工的要素をたくさんつくる、そして社会的な労働力の価値を高めるという意味でも、私はどうも技能士補ということばはあまりよくないような気がするのです。どうも大臣、政府はこのごろ、勲章でも何でもそうですけれども、安上がり行政が多いのです。社会的な身分をつくるということと、その人の労働力の価値を高めるということは、一致をしなければいかぬわけです。技能士補という名称は確かにいただきます。しかし、この労働省のパンフレットによりますと、技能士の勲章ですか、記章ですか、これも制定はされておりますけれども、それ自身がそのまま社会的な価値として、あるいは賃金なら賃金として見返ってくるという条件がなければ、技能士補としても、あるいは技能士の場合には認定を受けるわけですから、認定を受けても、それが何らかの形で社会的な評価になっていくというものがなければ、それは意味がないのではないか。そういう意味では、それぞれの訓練校を卒業した者に国家試験の資格を与えるということは、事実上そこで価値が生まれてくるわけですね。したがって、そういう意味の拡充強化を行なうべきではないかというふうに思うわけです。技能士補というような形よりも、むしろ今日では高校卒業生なりあるいは中卒の労働者というのはより合理主義なんですから、そういう観点のところをもっとしっかりととらえられて、資格制度の特典の拡大というものを考えるべきであるというふうに私は思うのですが、これはひとつ大臣から御答弁いただきましょうか。
#141
○原国務大臣 技能士という資格もあながち悪いものではございません。これも上げるし、いまおっしゃったような検定試験の無試験の資格を与える、こういう両々まって得られるように関係各省とも連絡して、この法律が通りましたらそういうふうに積極的に善処する考えであります。
#142
○加藤(万)委員 局長にこれまた研究の課題として投げかけるわけですが、たとえばイタリアなんかでCGILが職業訓練所を持っておりますね。この労働組合が持つ職業訓練所の訓練、認定を政府が非常にバックアップしておるわけですね。それを組合が逆に取り上げて、労働手帳に記入をして、それがその産業なり業種における最低賃金的な役割りを事実上果たしておるわけです。私は、労働省がこの際積極的に、もし意思があるならば、たとえば労働手帳のようなものをつくって、これはどこどこの職業訓練校のなにを卒業し、何の認定資格を持ち、そしてこれはこれだけの社会的な価値がある一これは金額で表示をしますと問題があるでしょうけれども、そういう労働手帳的な要素をもっとつくられて、それを労使間の協議にゆだねて、そこでたとえば一級旋盤工なら一級旋盤工の価値は労使間では一体幾らになっていくのだというような政策を取り入れられてもいいのではないか。もちろんこれはたとえばイタリアのCGILもやっておるようですから、そういう面も研究をしながら、いわゆる社会的評価価値というものを何らかの形で位置づけることがきわめて必要ではないかと思うのですが、これはどうでしょうか。
#143
○石黒政府委員 御指摘のありましたような点は、将来の問題として非常におもしろい研究対象であろうかと思います。現在のところは一番目につきやすいバッジなどをやっております。それからまた、横断賃金、横断賃率というものが日本では全くございませんで、審議会でもだいぶん問題になったのでありますけれども、結局そういうようなものを法文に盛るのはあきらめたわけでございます。直ちにやることはまだなかなかむずかしい点があると思いますが、将来は検討いたしたいと思います。
#144
○加藤(万)委員 いまの問題は、へたをすれば標準賃金制をつくってしまうこともあるわけです。あるいは、官製のいわゆる標準賃金をつくったつもりだけれども、結果的にはそれが最低賃金になってしまったということもあり得るわけです。私は、賃金をきめるとすれば、それは労使間の労働契約にゆだねるべきだと思うのです。しかし、職業訓練を経て一級旋盤工になったら、それが何らかの形で社会的評価を得られるというものについては、積極的に研究なりあるいは実施に移される方向というものを考えるべきであると思います。これは当初申し上げましたように、研究の課題として、あるいは審議会にもおはかりを願いながら、ひとつ結論を得るように努力をしていただきたいというふうに思います。
 最後に、訓練大学校と教科書の問題についてお聞きをしておきたいと思うわけです。
 現在訓練大学校は、私が労働省にお聞きした範囲ではきわめて少数ですね。私は、これからの技術革新なり合理化に必要な多能工をつくるとするならば、職業訓練大学校はもっと多くあっていいと思うのです。東京に一つというのではあまりにも少ないと思うのですが、どうでしょうか。先ほど申し上げましたように、これからの訓練生は高卒が非常に多くなるわけですから、そういう意味では訓練大学校から派遣をされる訓練指導員の再開発といいましょうか、再養成といいましょうか、そういうものが非常に必要になってきて、訓練大学校の存在あるいは拡大ということがより必要な条件は目に見えて明らかなんです。したがって、この辺に対するこれからの考え方あるいは計画、あるいはこれから予想される事態に対してどういう対処のしかたをしようとしておられるのか、まずお聞きしておきたいと思います。
#145
○原国務大臣 御説ごもっともでございまして、訓練大学校を強化しようというので、小平にある現在の職業訓練大学校を近く移転いたしまして、大拡張をやる計画でございます。予算のほうも、ことし二十億の敷地移転の経費がすでに予算で通過いたしております。近く移転して大拡張をやることにもう進んでおります。
 それから、東京だけでは困るというので、大阪方面から職業訓練大学校を将来関西にも置いてもらいたいという知事からの陳情も受けておりまして、一挙に大学校新設もむずかしいので、まずとりあえず本年度から訓練大学校大阪分校というのを設置する、そして将来は独立した大阪の訓練大学校にいたしたい、こういう方針でいま進めております。
#146
○加藤(万)委員 今度の答申の中に、職業訓練指導員について、大学校修了者はきわめて少なく、実務経験を中心とした資格認定によっての免許取得者が多く、学科の訓練にはかなりの困難があるという意見答申がなされておりますね。これは一体何をさしておられるのでしょうか。
#147
○石黒政府委員 指導員につきましては非常に問題が多々ございます。一つには、一番指導員の主流をなすべき職業訓練大学校卒業生の数が非常に少な過ぎるということがございます。それから従来補導所以来の指導員でずっとそのまま引き続いてきておるという人たちの技術が陳腐化しているという問題もございます。それから指導員の経過措置として、実務経験を主体として、それに若干の講習等を受けることによって指導員の資格を認める。指導員不足に対する経過措置として認めた者について資質が十分でないというような批判も一部からございます。そういうような指導員の資質につきましては、全般的にいろいろな資格の者がまざっておりまして、その間資質が不斉一になっておるという点が現在の大きな問題となっております。
#148
○加藤(万)委員 これは雇用促進事業団が実際に当たっておられるわけですから聞きますけれども、いまの職業訓練大学校のいわゆる教授陣といいましょうか、それをもって、いま私が指摘申し上げました、あるいは局長が言われました弱点を補うことはできますか。
#149
○竹内参考人 現在職業訓練大学校の教授陣は、定員といたしましては百五名でございます。それから指導員定数が四百八十名でございます。指導員定数四百八十名に対しまして教授陣が百五名でございますから、内容といたしましては、少なくとも国立の理工系大学以上の教授陣容を満たしておるということは言えると思います。ただ、先ほど大臣からお話がございましたように、今後さらにこの大学が拡充発展されていくことになりますれば、もちろん教授陣容もそれに即応いたしまして、それぞれ強化されなければならないということは御承知のことでございます。
 なお、立ち上がりましたついでに御参考までに申し上げますと、現在、訓練大学校ができまして三十九年度から第一期生を出しておりますが、三十九年度から四十三年度までの卒業者の総数が三百七十一名でございます。そのうち総訓に就職した者が二百四十一名、約六五%。それから県立の訓練所に就職した者が三十六名、約一〇%。それから民間の事業内訓練の指導に当たっておる者が七十五名、約二〇%でございます。その他十九名、五%。こういう分布状況になっております。
#150
○加藤(万)委員 これは、きのうの熟練工がきょうの無能工になると同じように、日々追って迫る技術革新あるいは科学の進歩に追いつく教育、このことは非常に重要だと私は思うのです。たとえば電子工学が原子力の問題に変化をする。いまのお話では、教授陣はそろっているようでありますけれども、それに対応する教育の内容、あるいはその大学校の対象になる人に、それに沿うような条件というものを整えてやらなければいけないと思うのですね。同時にまたその卒業は、いまもお話にありましたように、総合訓練、いわゆる高等訓練校に六五%、県立には一〇%以上と、いわゆる各地域における指導層としてまさにその中核的役割りを果たすわけですから、それらの人の、たとえば時代に即応した新しい科学の知識、新しい技術、あるいは午前中に質問いたしましたように、新しい機械に適応でき得る指導員の再訓練といいましょうか、こういうことがなければ、もう指導員としての資格を失すると私は思うのです。そういう意味では、いま労働大臣からお話がありましたように、訓練大学校の整備、設備の拡充はもちろんでありますけれども、同時に、それに対応でき得るカリキュラムなり、あるいは教授陣なり、あるいは財政措置というものを積極的に講ぜられなければ、それこそ時代おくれの指導員が新しいものに追いつこうとする訓練生を教育するなどという、全くちぐはぐな状態が起きてしまうわけですから、この辺は最善の配慮を、政府としても、それから雇用促進事業団としても、ひとつ行なっていただきたいというふうに思います。
 次に教科書の問題についてお伺いをしておきます。
 今度の法の第十一条では、教科書を使用する場合に、労働大臣が認定したものを「使用するように努めなければならない」と書いてありますね。この「努めなければならない」ということは絶対的義務ではないというように私は思うのですが、いかがでしょう。
#151
○石黒政府委員 御指摘のごとく、絶対的な義務ではございません。努力義務でございます。
#152
○加藤(万)委員 そうなりますと、実際的にはどういうことになるのでしょうか。たとえば地方の自治体が持つ専修訓練校、これがその地域に必要な教材としてある一定の教科書を使用している、あるいは民間の事業認定を行なったところがその業界に必要なものとして一つの教科材料を使っている。これは認定を絶対的に受けなければならないということではないわけですから、あるときには、その地方自治体なりあるいは認定事業場なりが、みずから選択をしてそれを使ってもいい、こういうことになるのでしょうか。そして、もしそれがいいとなれば、その比重ですね、全般的な教科課程の中における。たとえば労働省が認定をするものをどのくらいの割合で使用しなければならないのか、あるいは教科課程の中に取り入れなければならないのか、その比率の問題はどうでしょうか。
#153
○石黒政府委員 現在私どもが作成しております教科書というのは、全体をカバーするに至っておりません。したがいまして、今後は認定制度を入れまして、民間でつくったものでも、いいものは認定していくということでまいりたいと思います。これが十分に発達いたしました場合には、おそらく八〇ないし九〇%は国定教科書並びに認定教科書でカバーできるというふうに持っていきたいと思っております。しかし現在のところは、これは職種によって非常に違うわけでございます。教科書のかなり完備している職種と、まだ非常に不完全な職種とございます。何%までいけばよろしいというようなことはとうてい申し上げかねるのが、若干お恥ずかしいのでございますが、実情でございます。地方の特殊性あるいはその企業の特殊性に基づく例外的な認定以外の教科書の使用、あるいは特別の科目については非常にレベルの高い訓練をやっております事業内容等につきまして、その実情に応じた教科書の使用ということにつきまして、私ども現在これを制限的に縛ってまいるというつもりはございません。
#154
○加藤(万)委員 私は、これは大学紛争問題を見るまでもないですけれども、やはり訓練生の中にも、こういう勉強をしたい、こういう教科書を主体とした教育を受けたいという意見もありましょうし、あるいは地方自治体によっては、その地場産業を擁護するという立場からの問題もありましょうし、教科書の選択については相当自主的な選択の範囲を拡大すべきだ。もしその拡大がまあ法律上問題になるとするならば、たとえば大臣が認定をする際には、そういうものはいわば無条件的にいわゆる大臣が認定した教科書として、労働省が認定した教科書としてその使用を認めていく、そういう方向というものは必要だというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
#155
○石黒政府委員 それぞれの地域的あるいは業種的な特性に応じたものにつきましては、私ども先ほど申し上げましたように、特にこれをいじめつける、締めつけるというようなことは、現在のところ考えておりません。それから、それを積極的に認定していくという点につきましては、教科書の認定は、ただいまのところでは全国一般に通用できる教科書というふうに考えて、これを認定するというふうに考えております。一つの企業あるいは一つの地域だけしか使えない教科書、これは認定には載せないけれども、例外使用は喜んでお認めしましょうという運用でまいりたいと思います。
#156
○加藤(万)委員 そのことが相当緩和をされてないと、当初申し上げました、国が今日の労働力として必要な分野だけの訓練計画を行なう、こういうことにまあ疑われるわけですから、そういう意味で私は、教科書の選定というのはきわめて重要な問題だと思いますので、いま局長が最後に答弁された部分ですね、いわゆる地方なりあるいはその業種が必要とする場合には、検定は全国的なものでしょうけれども、そういう自主的なものについては大幅に緩和をする、ないしはまあ認定条項からはずしてもそれ自身を認めていく、そういう措置をぜひとっていただきたいというふうに思います。
 最後に、検定協会について一言だけ御質問申し上げておきます。
 検定協会は今度の場合新しい制度でありまして、それ自身が行なう仕事については、私ども、技能士がそういう意味でたくさんつくられていく、社会的な労働力の価値水準が上がっていく、そういう立場で非常によいと思うのですけれども、問題は検定協会の運営ですね。この運営の分野にやはり労使の意見が相当吸収されていかなくてはいけないというふうに思うのですが、この辺についてどういうお考えをお持ちでしょうか。
#157
○石黒政府委員 この点は御指摘のとおりでございまして、従来の経験を参考にいたしまして、くふうをこらしてまいりたいと思います。
#158
○加藤(万)委員 以上で質問は終わります。
 ずっと述べてまいりまして、私は幾つかの疑念をこの問題について表明をしてまいりました。それは第一には、今日の産業や資本の側の要請に応じた、そういう意味での職業訓練であってはいけないし、またそういう内容が、ときによっては労働省の省令によって可能になる条件というものが幾つか中身に見えるわけですから、それらについては、いまの御答弁のやりとりにありました点を十分踏んまえながら、法の運用あるいはこれからの省令の制定等に当たっていただきたいというふうに思いますし、職業訓練の必要性というのは、先進諸国ほとんどがその事実を認めてますし、その発展的な方向というものはこれからは飛躍的に拡大をするというふうに私は思うのです。それだけに、たとえば先進諸国にあるような労働者の人格形成、能力開発あるいは多能工としての素地、そういうものに主眼を置く。これからの審議会の意見の聴取あるいは次に発展をする職業訓練法の制定、そういう方向に格段の努力をお願いをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
#159
○森田委員長 和田耕作君。
#160
○和田委員 いま加藤委員からの御質問がございましたけれども、ほとんどその大部分は私も御質問申し上げたいと思ったことでございますので、それについての政府側の答弁がありましたから、できるだけ重複を避けて御質問いたしたいと思います。
 まず第一に、今度の訓練制度の一番の中核はどこですか。
#161
○石黒政府委員 一言に申し上げますと、労働力不足と技術革新の進展する時代に、この激しい技術革新、経済進歩に十分に対応できるようなりっぱな職業人としての労働者を、しかもその将来にわたって何らかの段階で職業訓練を常に体系的に行なっていくのがねらいでございます。
#162
○和田委員 文部省の方、いらっしゃいますか。――それじゃあとでいたしますけれども、いろいろな訓練のタイプがあるのですが、養成訓練というところの専修のコースと高等訓練コースとありますね。この二つの種類に入る資格と申しますか、中学校、高等学校、これは関係ないんですか。なしに入るんですか。
#163
○石黒政府委員 それは、この法律に申します専修訓練校と高等訓練校は、中卒以上であればどれでなければならないという資格は設けてございません。
#164
○和田委員 専修のように、必要な技能をできるだけ早く一年くらいのうちに習得するというものであればそれはわかるのですけれども、高等訓練コースのように、三年くらいのかなり長期の訓練をしようというところで中学校卒業と高等学校卒業とを同じように扱うということは、教育内容からいって無理はないですか。
#165
○石黒政府委員 従来はもっぱら中卒を目標として訓練所をつくって運営しておりました。たまたまそれに高卒も入っておったという実情でございましたので、区別しておりませんでした。今後は、先ほどの御質問でも御指摘もございましたように、高卒が圧倒的にふえてまいりましたので、高卒を主体とすると申しますか、中卒、高卒同じウエートを持って訓練所で訓練しなければならぬ。その際には現在の中卒を対象とした訓練基準をそのまま高卒でやっていくというのはたいへん無理があります。したがって、高卒用の訓練基準というものを新たに開発しなければならないと考えております。
#166
○和田委員 それでは高卒と中卒とは、養成訓練の高等訓練コースでは、おのずと分かれた訓練が行なわれるというふうに理解していいのですか。
#167
○石黒政府委員 高卒であっても、専修訓練校に入る人も高等訓練校に入る人もあると存じます。その場合の訓練の教室が同じか別かは別といたしまして、訓練基準は今度は異なるものを適用してまいりたいと考えております。
#168
○森田委員長 和田さん、恐縮ですが、少し声を上げてください。後のほうに声が通らないようですから、もうちょっと高目に・・・。
#169
○和田委員 文部省の人は三時に来るのですね。文部省の方がいないとちょっと質問しにくいのですけれども・・・。
 つまり私は、いまの後期中等教育に当たる、文部省の学校教育法の中の職業教育ですね、その教育のしかたでは、下級の技能者は別として、中級の技能者の養成はできないかどうか。あるいは現状が非常に不十分であるし、あるいは今後もなかなかその発展の可能性がないから、労働省でこのような企画を急いでつくらなければならないのかという、そういう問題について御質問したいのですけれども、局長さんひとつ……。
#170
○石黒政府委員 文部省のやっておりますことを別に私は批判するつもりはございませんが、文部省の場合には実技の教育時間が非常に少のうございますけれども、実技対学科の時間というものが、文部省の場合と私どものほうの場合と比べますと、ちょうどさかさまになっておるというところでございます。したがって科目によるのだと思います。たとえば簿記であるとかタイプライターなんというのは、三年間に何百時間の実技は要らないかと思います。機械工であるとかなんとか、そういうようなものにつきましては、文部省のやり方では、頭は十二分に発達するかもしれませんが、腕の点におきましてはこれで一人前の労働者ですというところまで持っていくのは無理ではなかろうかと私どもは見ております。
#171
○和田委員 つまり文部省の教育の内容を変えて、もう少し実技を教育できるような学校にすることはできないと思われますか、労働省のあなた方の目から見て。
#172
○石黒政府委員 これはどうも私がお答えする筋ではないと思いますけれども、現在の高等学校のあり方とというものにつきましては、歴史的にも制度的にもかなりいろいろワクがきまってございまして、それを訓練所並みに一ぺんに変えるということは、たぶん非常にむずかしかろうと思っております。
#173
○和田委員 つまり私は、最初に職業教育ということばで――これには訓練ということばを使っているのですけれども、この訓練のねらっているものは、教育と言っても同じような問題をねらっているのじゃないかということ。そこでわざわざ訓練ということばを使ったり、あるいは学校と言ってもいいところを、学をのけて校ということばを使ったり、大学でいいところを大学校ということばを使う。そういう一連のところに、いまのこういう教育あるいは訓練というものの突き当たっている一つの行政上のいろいろな壁がありはしないかという感じがするのですけれども、問題は、非常に大きく変わっていく技術的な革新に対応して、それに耐え得るような高度の技能者を養成するということなんですけれども、その養成する場合に、文部省の学校教育といういままでのパータンと、労働省が今後開いていこうとする職業教育のパターンとが、本来一つのものとして考えられたほうがいいと思うのに、何かわけのわからないような感じを受けるんですけれども、その問題、どういうようにお考えですか。
#174
○石黒政府委員 これは非常に歴史的なものがございまして、ヨーロッパにおきましては、徒弟制度以来の職業訓練というものと後期中等教育というものが並行してずっと進んできている。その間の調節が常に考えられておった。ところが日本の場合には、私どもが少しぼやぼやしておりまして、学校制度のほうが六・三・三でさっと進んでしまったあとに、訓練所というものがいま進んでおるわけです。その間の調整は、前の質問者に対しましても申し上げましたけれども、いろいろな調整を試みてはおりますけれども、調整が基本的に見当がついたとか積んであるというにはほど遠い状態である、まだまだその両者の関係というのは非常に問題が多いのじゃなかろうかと思います。
#175
○和田委員 文部省の方がお見えになったようですから・・・。
#176
○森田委員長 ちょっと速記をとめて。
    〔速記中止〕
#177
○森田委員長 では速記を始めて。
#178
○和田委員 課長さんりっぱな方のようですから、ひとつ課長さんに御答弁いただきたいと思うのですけれども、いまのこの法案が目的にしている、いろいろな飾りは別にして、養成しようとする技能者というのは、新しい技術革新という大きな波がある、これに対しての十分な技能者が養成
 できない、ここですね。これをふさごうとしてこのような訓練の計画がなされておるということですね。現在の学校教育法、つまり文部省が担当しておられる教育の現状でこのような人の教育ができないかどうかということですね。完全にできなくても、現在の状態を、カリキュラムを変えるとか、あるいはふやすという形でできないかどうかということについてお伺いしたい。
#179
○大崎説明員 現在、学校教育の各段階におきまして、職業教育には努力をいたしております。ただ、御質問のございました段階で一番縁の深いものは、高等学校の職業学科だと思います。これにつきましては、従来やはり技能面の習熟という点では多少欠けるところがあったのではないかというような御批判もいただいておりまして、私どもといたしましては、高等学校教育の多様化ということで、新しい職業分野の発展なりあるいは産業技術の進歩なりということに即応いたしました職業教育内容の適用ということで、施策は進めておるところでございます。したがいまして、技能面を重視した職業高校というものも現に多少は生まれておりますが、ただ、高等学校としての同一性を保持するという観点から、最低単位と申しますか、週当たりの時間で申しますと、十二、三時間というものは普通教育に充てるという制約がございますので、その制約の分ということを考えますと、やはり職業訓練所における技能訓練というものほどの技能の習熟ということは期せられないという点がございます。
#180
○和田委員 ちょっと私、これから読み上げる文章をお聞きいただきたいと思うのですけれども、これは、中央職業訓練審議会の委員で三木幸四郎さんという人が、「労働と福祉」という雑誌にこの問題について書いた論文なんですが、こういうことを書いている。いまの養成訓練というところですね。「「専修コース」は従来の公共職訓の一年程度に相当するもので、短期戦力化のための実技中心の速成訓練である。「高等コース」は従来の認定事業内職訓三年程度のものでヨーロッパにおけるアプレンチィスに相当するものであり、この長期訓練は職業訓練制度の中核をなすものであって、現在の高校教育に代る後期中等教育の形成をねらったものである。」こういうことばがあるのですけれども、こういうことばを石黒局長さんどういうふうにお考えになりますか。
#181
○石黒政府委員 中央職業訓練審議会の三木委員の主観も若干入っていると思います。私どもといたしましては、高等訓練校は事業内の認定訓練だけでなくて、現在の総訓も高等訓練校に移行させる、いずれにしましても、後期中等教育が現在の高校制度あるいは職業教育をしておる高校制度に全面的にとってかわるということは、現在遺憾ながら力不足でございまして、そこまでは考えておりません。
#182
○和田委員 文部省の方、どういうお考えですか、いまのは。
#183
○大崎説明員 後期中等教育の問題につきましては、昭和四十一年に中央教育審議会の答申が出ております。その答申の趣旨、細部については多少記憶違いがあるかも存じませんが、趣旨を申し上げますと、要するに十五歳から十八歳までの問の青少年に対しては、できる限りすべてのものに教育の機会を与えろという方向でいく。それの具体的な方策としましては、現在ございます高等学校、各種学校あるいは社会教育の諸事業、職業訓練というものを充実させていくということで、それぞれの教育訓練機関の特色を生かして、青少年の適性なりあるいは社会の要請というものにこたえていくというような、大体の方向の御答申をいただいておるわけでございます。現段階ではその線に沿いまして努力をしておるという段階でございます。
#184
○和田委員 私もこの文章を拝見しておかしいなと思ったけれども、これはつまり現状がこういうふうなものの言い方をさしているのじゃないかという感じがするのです。本来、これは職業訓練といっても、その大部分は職業教育というものですね。そういうものですから、文部省として、学校教育法の高等学校教育あるいは中等学校の教育あるいは大学、短大の教育において、現在の技術革新化していくこの状態を反映して、これにマッチするような教育制度の大改革、あるいはあれをしなければならないのになかなかそれができない、現実の要請にこたえられない、そういうところにこのような形の訓練計画――これはさっと見れば、先ほど石黒局長もおっしゃっておるように、文部省の教育とこの教育の違いはないと言っていいかもわからない、あるいは相互補完していると言ってもいいかもわからないけれども、しかし、これを実際審議をした人が客観的に見た場合、この教育の、特に養成訓練の中の三年コースというものは、文部省のやろうとしている内容に変わってきた、ここをねらっておると書いてある。こういうところに問題があるのじゃないかと私は思うのですけれども、そういう点、御感想でいいですけれども、どうです。
#185
○大崎説明員 御質問の性質上多少私見にわたるかとも存じますけれども、要するに学校制度と申しますものは、青少年というものをりっぱな社会、国家の形成者として世に送り出すという際に、それを幼稚園から大学まで段階的系統的に構成をする制度ではなかろうかと思っておるわけであります。しかし、それはあくまでも基本的な教育の体系でございまして、それがいわば教育訓練の機能というものを独占するわけではございません。当然学校卒業後のいわゆる継続教育という問題が起きてまいります。お話しございましたように、特に最近は、生涯を通じましての教育というようなこともいわれておるぐらいでございます。
 それで、これは非常に個人的な感想で恐縮でございますが、その意味で、職業訓練、あるいは各種学校、あるいはその他特殊な要請に基づまして生まれました制度というものが、学校教育に接続して青少年を受けとめ、それぞれの特性に応じた教育訓練をしていただくという姿は、それ自体を、必ずしも混乱している、あるいは重複しているというふうに受けとめなくてもいいんじゃなかろうかという感じを持っております。
#186
○和田委員 私が一等最初に、中学校の卒業者と高等学校の卒業者を一つの訓練機関に同じ資格で入れる、そういう訓練のしかたというのはちょっと問題があるのじゃないかと申し上げたのは、そういう問題と関係があるわけなんです。つまり中学校を出てきた人は、数はだんだん減ってきておりますけれども、現在の産業の要請からいえば貴重な人たちだといわれる。中学校を出て、その中でなお勉強していこうという、たちのいい人だというふうに判断されるわけですね。この人たちに対する教育としては、普通の高等学校で考えられる一般教養の問題を、かなり強く加味されなければならない、技術も教えると同時に。そういう感じがするんですね。したがって、高等学校を卒業した者と中学校を卒業した者を、ここでは同じような教育をしてはいけない。もう少し高等学校でやるような内容のものを、このコースの中に一応含まなければならないのじゃないかという意味で、入学資格として中学校以上、つまり高等学校も中学校もごったにしてここで教育しようとするかまえに問題があるということですね。問題があると同時に、そういうことは労働省のほうも考えただろうけれども、そういうことになると、文部省のほうの学校教育法との関係が事実上出てくるのですね。そういうようなことを感ぜられて一応ごつたの形をとったのじゃないかという判断をするのですけれども、その点はどうでしょう。
#187
○石黒政府委員 実はそこまで考えたわけではないのです。あっと気がついたら中卒が少なくなって高卒が多くなった、それに対応するしかたが、私どものほうが非常にまごまごしておったというのが実態でございます。したがって、もう数年前に、高卒訓練基準というものを中卒訓練基準以外に別個につくっていなければならなかったのが、この法律の全面改正の問題等ございまして、いましばらく、いましばらくということで延び延びになっておった。一緒でよろしいと思ってやったわけではなくて、分けなければならないと思っていながらおくれてきてことしに至ったというのが事情でございます。
#188
○和田委員 しかしそれは、職業訓練を考える場合の一番大事な問題の一つじゃないですか。中等学校を出た労働者に対して高度な職業教育をしなければならないという場合に、一番大事なことは、つまり高校程度の一般教養を中学卒業の者にも与えなけりゃならない、これはぜひとも科目の中に入れなければならないということは、こういう訓練を考える場合に最初に考えなければならぬ問題の一つだと私は思うのですがね。そういうような意味で、この訓練所へ入る資格を、単に、あっと気がついてみたら中学出が少なかった、高校出もはめなければ数が足りない、そういうふうにこの問題は考える問題ではない。内容としてもっと真剣に考えるべき問題だ。しかしそれを考えてくると、いまの文部省の高等教育の問題との関連が出てくる。重複ということばにはならぬと思いますが、関連が出てくる。高等教育でやるべき中心のことを職業訓練のところでやるわけですから。こういう問題が出てくると思うのですけれども、どういうふうにお考えですか。
#189
○石黒政府委員 非常につづめて申し上げまして失礼いたしましたが、現在の高等職業訓練の基準というのは、すべて中卒者を前提としてつくっておるわけでございます。高卒者が入るであろうということは予想しておらなかった。しかるに今日一割強の高卒者が入ってきておる。これは適切な基準を新たにつくりさえすれば、もっともっとふえるであろう。その中卒を対象とした基準がどういうふうに科目を分けておるかと申しますと、普通学科でございます。これは高校と完全にダブるやつでございます。これが全体の一一%。それから専門学科、これは高校とダブる場合もダブらない場合もある。これが全体の一八%。残りが応用実技及び基本実技になっておる。つまり全体の三〇%弱が学科になっておるわけでございます。高卒に対する教育訓練をいたします場合には、普通学科は全部省けるわけでございます。専門学科は、これは科目によりますけども、半分くらい省ける場合もある。実技につきましては、これはほとんど重複はない。ただ年をとっており能力があれば、少し早く覚えられるかもしれない。そこで、そのダブっておる分をまずカットいたしまして、そのほかの分につきまして、より高度の教育を受けた者はより早く覚えるかもしれないということを考えまして、この総訓であれば二年。二年を何カ月に圧縮できるかということをいま検討中でございます。しかもこれが、二年が一年に圧縮できれば問題ないのですけれども、それは無理なんで、その場合に、一年半というような中途はんぱな訓練期間でもって一体いいのか。会社ではどこでも三月に新しいのをとるわけです。九月ごろに新しい訓練所卒業生を送り出しても一体いいのかという問題もあるわけです。もちろん短大制度とのからみもあるわけで、非常にからみ合う問題がたくさんございますので、高卒訓練基準をつくるのは非常にむずかしい問題がたくさんある。それを検討しながら、ついついおくれてまいったわけでございます。しかし、今度法律改正になりますので、どうしても今年中には何とかこの基準をつくらなければならないということで、目下鋭意努力中でございます。
#190
○和田委員 その問題をひとつぜひとも解決してもらいたいと思うんですけれども。つまり文部省の考えとして、そのような中学校を出た人に対して、高等教育の幾つかの非常に圧縮した中心の教養科目をそこでやるという問題を、どのようにお考えになりますか。
#191
○大崎説明員 先ほど申し上げました中央教育審議会の答申の中には、普通教育に対する配慮というものを、後期中等教育の段階の配慮の一つとしてあげてございます。私どもといたしましても、その点は留意してまいります。
#192
○和田委員 その問題と関連しましてもう一つお伺いしたいのは、五つの訓練のパターンがあるわけですね。これは下級というんですか、養成から向上あるいは能力、五つありますね。これは、たちの変わったものがありますけれども、養成、向上というのはリンクしていくんですか。そういう制度も考えるわけですか。
#193
○石黒政府委員 養成訓練の上に向上訓練がのっかるわけでございます。しかしこれは、小学校、中学校、高等学校、大学というふうに、必ずしもつながるわけではございません。しかし将来はできるだけそれに近い系統的なものにいたしたいと考えておるわけであります。
#194
○和田委員 そういうふうに、下級から上級に連なっていく、このパイプを、学校教育の段階がありますね、これと何らかの課程で結び合わすということはお考えになっておりませんか。
#195
○石黒政府委員 この点は、実はこういう公の席で申し上げるのにはいささかはばかりもございます部内の検討でございますが、御質問でございますので申し上げますけれども、技能というものは、ある程度まで行きますと非常に高度の教育を必要とする段階が来る。その場合に、現在の学校制度というものは、一ぺん技能界に身を投じた者が大学に入るというのは非常に狭い。検定という例外的なもの以外はないわけでございます。私どもは、一ぺん技能界に身を投じて、実務を二年なり三年なり五年なりやったという者がまた大学に入って、そこで技能に必要な頭にみがきをかけるというような、有機的な関連というものが学校制度の間にほしいなと思っているわけでございます。しかしこれは非常に大きな問題でございまして、早急には解決できないと思います。さらに研究を積みました上で文部省とも将来においては御相談いたしたいと思います。
#196
○和田委員 それは非常に重要な問題点だと思うのですけれども、私見でもけっこうです。文部省の方は、代表意見でなくてもけっこうです。どういうふうにお考えですか。
#197
○大崎説明員 まず中学校までは、これは申すまでもなく義務教育でございますから問題ないわけでございまして、その次の高等学校段階につきましては、先ほど申し上げましたように、できるだけ高等学校就学の機会を与えたい。その観点から、現在職業訓練施設その他の技能施設と、高校の定時制、通信制との併修というものを容易にするための措置を講じておりまして、一昨年その範囲を拡大したわけであります。
 それでまいりますと、大体技能教育訓練施設で一定の条件のもとに履修しました者でございますれば、高等学校におきまして半分、二分の一の範囲内で高校の教育を履修した者とみなすという形で、連携措置をはかっておるわけであります。これは労働省の御当局とも御相談申し上げたと思います。したがいまして、高等学校教育段階での連携というものは、現段階ではそのようになっておしります。また今後あるいは改善すべき点があろうかと思います。
 高等教育段階につきましては、要するに受験資格問題と、それから現実に入学できるかどうかという問題と、両方二つございまして、受験資格の点でございますと、現在の通信教育、定時制教育、あるいは大学入学試験、検定試験というようなものを御活用いただきますれば、それと、その連携措置を御活用いただきますれば、かなりのところまでは受験資格、いわゆる高校卒の資格を確保できるのではないかと思います。ただ、現実にそれが大学に入学できるかということになりますと、率直に申し上げまして私ども職業高校でも同様の悩みを味わっておりまして、現在の入学試験のもとでは、普通科の生徒に比べて困難であるというのが現状でございます。
#198
○和田委員 これは単にいまの問題の関係だけでなくて、たとえば厚生省関係だと思いますが、看護婦さんのような問題がある。十五年も二十年も働いて、実際は医者よりもずっとよく処置できるのに、看護婦さんは学校に行ってない、資格がないために、インターンのひよっこ医者というと失礼ですけれども、そういう医者のなにをしなければならない。そういう場合に、看護婦さんにはもっと適当な資格を与えるというような道が必要になってくる。
 同じような問題が、たちは違いますけれども、実際に中学校を出て、あるいは高校を出て、職場に入って苦労をして労働をするかたわら勉強をする、そして十年なり十五年なりしていろんなりっぱな一つの技術者、技能者ができ上がる。しかし片一方、世間は技師とか、大学を出たとかということだけで、そういう問題を特殊化する。これはもうそろそろ何とか解決しなければならない問題点だと私は思うのです。したがって、こういう職業訓練の、かなり画期的ないいねらいを持った法案だと思うのですけれども、こういうものを考える場合には、そういう問題を解決する問題意識を持つべきだと私は思うのです。もっとはっきりそれが出てくるべきだと思うのです。
 何か文部省の教育と、一般の職業的な教育訓練とが、言うことをはっきり言っていないという感じがするのです、これはいろんなことばの中にも。たとえば大学といっていいところを大学校といってみたり、何々学校といったらいいところを何々校といってみたり、そういう問題は、いまのような問題と関係しているんじゃないかと思うのです。大臣、どうでしょうか。
#199
○原国務大臣 率直に申し上げて、いまあなたのおっしゃたように、日本には各役所のセクショナリズムがはなはだ熾烈をきわめております、内部へ入ってみますと、たとえば各工場や企業内において。私どもはことしは予算要求をした。中高年齢層の方が働くのに保育所をやらんならぬ、保育所という名前をやるとこれは厚生省のものでございと一ぺんに向こうは飛んでくる。しょうがないから託児所、託児所施設というようなことでいかざるを得ない。名前は何でもいいのですが、私どもは同じそうした名前にしておいたらいいと思うのですが、これは厚生省のものです。託児所という名前を使うと、ここれは労働省のやるものですが、これは厚生省の管轄である、こう一ぺんにくる。どうもその間の調整がつかなくなる。予算要求を、大蔵省にさせておいたら、ややこしいからやめてくれ、学校にしてくれ、――これを大学とやると、文部省にすれば、大体学校教育というのは文部省の管轄である、労働省なんかあまり出しゃばらぬでもいいという感がなきにしもあらずである、実際は。だから大学、職業訓練大学というと、文部省に移管せいという、われわれからいうとそうはいかないのです。こういう技術なら技術だけではなくて、そういう職業意識、職業精神、及び技能等をやるのに、やはり労働省管轄でやるというところがなかなか精神も入っておるし、実際にいいのです。ほかの官立の大学なんかゲバ棒を持って騒いだりするが、職業訓練大学校ではそれをやらない、非常に違いがある。実際私はそれを視察に行ってきた。そういう点がありますので、残念ながらなかなかいきませんが、私は、だからこういう職業訓練教育は、労働省所管でやるべきであって、そうして労働省、文部省におきましては、たとえば単位は、職業の専訓とか高訓でといったものを高等学校の単位に認めるとか、そういうもうちょっとお互いに寛大な気持ちで両方が、本人の意向が、十分発揮できる、あるいは大学に行く場合には、高校を出ておる者は単位は何ぼ認めるとか、あるいはその他検定試験が通りやすいようにしておいてやるとか等々いろいろありますが、そういうなわ張りをなるべく少なくする、そうして教育なんというものは、それは厚生省でやる教育、運輸省でもやっております、船員、海技大学校というのも大学校をつけております。海技大学というと文部省がごちゃごちゃ言うから、これも大学校というようにして、運輸省の専属の学校をつくっております。だから、それはいまでも、どちらかというと、文部省のほうは粗製乱造型でございますから・・・(発言する者ありちょっと言い過ぎかな。)そういう傾向がございますので、われわれのほうは実質的にそういう職業訓練をじみちに、ほんとうに能率をあげてやる。こういう方針でやっております。(発言する者あり)粗製乱造は取り消しておきます。大いに大教育方針でやっております。私のほうはそういう訓練的なじみちな、魂の入ったものをやる、こういう違いがあるのですが、これは将来どうしても――日本では残念ながら、役所内部に入ってまいりますと、セクショナリズムは顕著なことは言うまでもありません。これはもう各政党、わが党の与党でも、なかなかそこまで手が伸びぬというくらいの実情でございますので、こういう委員会を通してもだんだん是正をしていくようにいたしたい、こう思っております。
#200
○和田委員 いまの答弁、非常にりっぱな答弁だと思います。いろいろ失言もあったようですけれども、失言を拡大するような質問はいたしません。よくわかります。今後、そういう問題はひとつ率直に話し合われて、いまの大きく転換していく技術化時代にふさわしい技能労働者をつくり上げていく、あるいは下級、中級、高級の技術者をつくり上げていくということでこの問題をひとつ運用していただきたい、このことは要望したいと思います。
 もう一点御質問したいのは、この職業訓練によって、労働者の正しい流動化が行なわれる条件ができるという一つのねらいがあるようですけれども、よろしゅうございますか。
#201
○石黒政府委員 これは広い意味の職業訓練、すなわち職業訓練と技能検定と両方相まちまして、労働力の横断的な相場というものができていくということは期待いたします。
#202
○和田委員 現在、中学校、高等学校を出て職業へついた人が、一年あるいは二年のうちには、半分ぐらいは転職をするということはよくいわれておりますけれども、この実情はおつかみになっておると思いますので、もしあらましの資料がありましたら、一年間にどれぐらい移動していく、あるいは一年か二年間にどれぐらい移動していくという数字をお教えいただきたい。
#203
○石黒政府委員 数字の点は、いまちょっと資料を調べますのでお待ちいただきたいと思います。
 一般論で申しますと、職業訓練を受けた人たちは、腕に職がございますので、かりに転職いたしましても同種の職種に転職する。これは必ずしも悪いことではないわけであります、といういい傾向はございます。ただし、これにつきましても、数字的な資料は実は持っておりません。一般的な新卒の移動状況につきましては、ただいま調べましてから申し上げます。――職業安定局の調査では、各年度を通じまして、就職後一年間に二〇%以上の者が離職する。四十年三月卒と四十一年三月卒について見ますと、一年後から二年までの間に一七%以上、さらに四十年三月卒について見ると、二年後から三年までの間に一三%以上が離職している。四十年三月卒については、三年間に合計五二・五%が離職しているというような非常に大きな数字になっております。
#204
○和田委員 つまりそのような問題は、現在の最大の問題だと思うのですけれども、そういうふうな意味からいいましても、自分が職業だと思うような職業訓練が必要なわけです。単なる速成の技能訓練ではなくて、やっぱり自分はこれができるんだ、こういう資格を持っているんだという意味の対策が必要なんですね。そういうようなことから考えましても、訓練の内容並びに資格の問題は、もっと真剣に考えてみる必要があるのだというふうに思うのです。
 若干長くなりましたけれども、私の質問はこれで終わることにいたします。ありがとうございました。
#205
○森田委員長 大橋敏雄君。
#206
○大橋(敏)委員 新しい産業体制また技術革新に対応して、職業訓練を通じて実力ある技能労働者をつくり出そうという立場から、職業訓練法ができたわけでありますが、このたび、その職業訓練法の全面的な改正といいますか、その法律が提出されたわけでございまして、私はそれにかんがみまして、福岡県の職業訓練所を何カ所か見てまいりました。共通して実感したことは、そこの所長さんあるいは部長さんの熱意というものは想像以上です。いまの労働大臣の情熱そのままでした。それは非常にうれしかったのですが、それに反しまして、国の施策というものが冷たいなという感じを受けるわけですね。職業訓練法の大幅改正につきましては、非常に好ましいという感じを持つわけでございますけれども、若干疑問の点がございますので、その点を時間の許す限りお尋ねしてみたいと思います。
 たまたま私が参りました職業訓練所の中に八幡の青少年技能者養成所というのがありました。これは市が直接担当運営している養成所であるというわけでございますが、それは文部省が所管をしている養成所だというのですね。したがいまして、職業訓練法の適用も受けない。また労働省関係の補助等も一切受けられないで、その設備といい、内容といい、非常に粗雑な感じを受けたところでありまして、そこの所長さんも言っておりましたが、どうか職業訓練法が適用を受けられるようにぜひとも改正してもらいたい、こういう内容であったわけですが、今回の改正で、こういうのは一体どのような立場に置かれるのかお尋ねいたします。
#207
○石黒政府委員 現行の職業訓練法におきましては、市町村等が訓練施設をつくりますのは非常にまま子扱いになっております。今回法律を改正いたしますにつきましては、こういう市町村立の専修職業訓練校あるいは高等職業訓練校というものを正規に認めるようにいたしたい。八幡のような非常に熱意を持っておられるところは、まっ先になられるのじゃなかろうかとお待ちしておる次第であります。
#208
○大橋(敏)委員 いまのお話では、専修職業訓練校また高等職業訓練校を市町村が設置することができるという法律内容に改正されているようでありますけれども、これは労働省のほうからそうした勧告をするのか、それとも市町村の申請を待つのか、その点はどうですか。
#209
○石黒政府委員 これは市町村側の申請をまちまして、私どもが認可をするという手続でございます。
#210
○大橋(敏)委員 とにかくこうしたところは、福岡県のみならず至るところにあるであろうと私は思うわけです。内容を見ますと、文部省所管とはいいながら、職業訓練の実態は、一般職業訓練所と何ら変わるところはないわけですね。だからむしろ申請をまつというような手ぬるいことではなくて、もっと労働省のほうから慫慂すべきではないか。専修訓練校あるいは高等訓練校に設備を改めるべきではないか、このように積極的に指示を与えるべきだ、こう思うのです。同時に、そういう立場をとった場合、文部省との関係はどういうふうになるのか、その点をお尋ねいたします。
#211
○石黒政府委員 文部省所管に相なっておりますのは、私、詳細は存じませんが、北九州市立八幡青少年技能者養成所付属の八幡高等理美容学校、この分が各種学校として、文部省所管になっているのではなかろうかというふうに考えるわけでございます。で、私どもといたしましては、美容という訓練職種も持っておりますけれども、これは重点職種ではございませんので、この付属理美容学校のほうは、これはどちらが便利であるか、市のほうの御判断におまかせしたいと思います。本校のほう、技能者養成所それ自体は、どうも職業訓練所に非常によく似ているので、私どもが表立って指示するというのも変なものでございますが、福岡県の職業訓練所あたりで、内々に接触させてみたいと考えております。
#212
○大橋(敏)委員 これは昭和二十五年から認可されておるわけですね。そして、いまの理容美容学校は、昭和三十一年から付属になっているわけです。もともと職業訓練を主体とした学校であるわけです。
 労働大臣にひとつ答弁をお願いしたいのですが、いま私が申し上げたように、こういう実質的な職業訓練を行なっている市町村関係のものを網羅して、積極的にこれを専修ないしは高等訓練校になすような働きをなさる意思があるかどうかという問題です。
#213
○原国務大臣 御趣旨の点は賛成でございまして、大いにそれを奨励し、進めていきたいと思っております。
#214
○大橋(敏)委員 それでは次に移りますが、いま雇用促進事業団が経営しております総合職業訓練所というものがありますね。ここには炭鉱離職者を収容している個所があるわけでございますが、皆さん御承知のとおりに、石炭産業はものすごく衰微しまして、特に九州関係の石炭の山が、なだれ的に閉山をするという傾向があるわけです。したがいまして、離職者が膨大に出るということも予想されますし、いろいろな立場からこの離職者に対しては措置はされておりますものの、職業訓練を受けて転職していくその実態から見まして、非常に好成績であるわけです。そういう立場から、私は、炭鉱離職者を何とか職業訓練所に吸収して転職を進めたい、進めるべきではないか、このような思いがあるわけでございますが、この炭鉱離職者の職業訓練についてどのような対応策をお考えであるか、お尋ねいたしたいと思います。
#215
○石黒政府委員 御指摘のごとく、炭鉱離職者が他産業に就職する場合には、職業訓練を経て就職されることがきわめて望ましいわけでございます。ただ、家庭の事情その他で、必ずしもすべての方が、炭鉱離職者の職業訓練を受けるようには相なっておりませんけれども、四十四年度におきましては都道府県及び雇用促進事業団双方におきまして四千百六十名の訓練定員を予定しておりまして、大体従来の実績から申しますと、この程度で希望者は十分収容できると考えております。なお、訓練手当等も若干の引き上げをいたしまして、できるだけ炭鉱離職者が積極的に訓練を受けやすいように配慮いたしたいと思います。
#216
○大橋(敏)委員 ただ、問題点と思われるのは、入所時期が一年間一回ないし二回というふうに定期的に行なわれているわけですが、炭鉱離職者の場合は、炭鉱がつぶれたときがいわゆる離職になるわけですから、そういう点、非常に問題点ではないか。それを吸収するにあたって、何か臨時的な措置を講じられるかどうか、その点をお尋ねいたします。
#217
○石黒政府委員 炭鉱に限らず、離職者につきましては来年の四月まで待てないという方がたくさんございます。そこで、特に炭鉱を中心といたしまして、等差循環方式という、妙な名前を考えたわけでございます。要するに始終入所できるという方式を考えたわけでございますが、これは施設並びになかんずく指導員の手数の問題から、非常にむずかしいわけでございまして、年に二回とか、あるいは三回、四回やっているところもあるわけでございまして、これを年に六回できますと入る方は非常にやりやすいわけでありますが、取りあえずのところは、訓練手当の前に、訓練所に入所できるまでの訓練待期手当というものを出しまして、待ちやすいようにするということと、それから二回のところは三回に、三回のところは四回にということ交できるだけ入所時期をふやすように両面で努力したいと思います。
#218
○大橋(敏)委員 この総合訓練所に行ったときに、特に感じたことは、専門訓練生については実習負担金というものを月に五百円徴収されておりまして、今度の改正案を見ましても、「法定職業訓練で求職者に対して行なうものは、無料とする。」とありますね。私は、この専門訓練生の実習負担金というものは撤廃すべきではないか、こう考えるのですけれども、その点どうですか。この点は労働大臣からも答弁をお願いいたしたいと思います。
#219
○石黒政府委員 実習負担金の月五百円につきましては、非常にむずかしい問題でございまして、高校に行けない人がとかく訓練所に来る場合には、コンプレックスを感ずる向きがあるそうでございます。そのコンプレックスの解消策はいろいろやっておりますが、一つは無料にすると、慈善施設に入れられたような気がするという声もあるわけであります。そこで、五百円というのはプライド料であるという説もある。ところが、五百円払うのもつらいという家庭もあることも事実でございます。そこで、とりあえずの措置といたしましては、奨学金制度をできるだけ拡充いたしまして、五百円はいただくけれども、そのかわりそれ以上のものを貸しつけるということで実質的な負担がなくなるようにということを、とりあえず本年度から始めているわけでございます。その五百円の負担金というものがプラスマイナスいかなる差額が出るかということにつきましては、もうしばらく検討させていただきたいと思います。
#220
○大橋(敏)委員 いまのような御説明で一応は理解できないこともないのですが、やはりとられるよりとられないほうが賛成だという人が、絶対的に多いわけです。したがいまして、その一部の声でなくて、やはり多数の声を中心に判断をなさって決定していただきたい。職業訓練の目的から考えましても、あるいは将来の技能労働者の養成の立場からいいましても、これはやはり実習負担金などというものは撤廃するほうが至当である、私はこう思うのです。大臣、その点どうですか。
#221
○原国務大臣 こういう撤廃してもらいたいという御意見が非常に多ければ、撤廃してもよろしい。なぜかというと、五百円ぐらいですと、財源的にはどうということはございませんので、いま局長がおっしゃったような点があるのかないのか調査して、撤廃するならしてもいい。財源的にはたいした金ではございませんので、撤廃するなら撤廃してもいいのでございますが、よく検討いたしたいと思います。
#222
○大橋(敏)委員 それじゃ、それで了解いたします。
 先ほど奨学金の話が出ましたけれども、もう少し具体的にその点を説明願いたいと思います。
#223
○石黒政府委員 奨学金制度は、従来の訓練大学校及び沖繩からの入所者についてだけございます。四十四年度から総合訓練所全般に奨学金制度を新設いたします。これはまだ大蔵省と折衝中でございますが置くことはきまっており、金額は月千円から二千円ぐらいの間できまるのではないか。現状はそういうところです。
#224
○大橋(敏)委員 特に福岡県は、いま言ったように、炭鉱の離職者の家族の子弟が、かなり職業訓練を希望しております。家庭経済が非常に困窮しておるわけですね。そういう立場から、奨学金はいままでの範囲をぐっと拡大されまして、一般に適用されるように強力に改正願いたい。強い要望をしておきます。
 それから技能検定についてでございますが、現行の技能検定等級区分は、上級熟練工の技能程度を見るためには一級技能検定というのがあるわけですね。また下級熟練工の技能程度を見るためには二級技能検定という、二段階に分かれてきておるわけであります。今回の改正で、技能士というのが出てきますね。これとの関係はどういうようになるんでしょうか。
#225
○石黒政府委員 従来、二級検定を受かった人は二級技能士、一級検定を受かった人は一級技能士でございます。今回は、法律上は検定等級を法定いたしませんで、労働省令で等級をきめることになっております。従来の一級、二級の技能士は、規則におきまして今後技能士と称することができることになっております。これからできます等級というのは、今後訓練審議会の議を経るわけでございます。従来の二級、一級に準ずる者が大体生き残るわけでございます。そのほかに、たとえばマイスター検定とかテクニシャン検定とか、技術革新に伴う熟練段階に応じたいろいろなランクの検定をいたしたいと思います。それにはたとえばマイスター技能士とか――これは全く仮定の問題でございますが、そういったいろいろな名前の技能士ができるというふうに御了解いただきたいと思います。
#226
○大橋(敏)委員 現在の検定職種の立て方というものは、業種別に、また企業規模別に、現場作業の実態等を考慮して定められている。その結果、職種によっては、大企業と中小企業におけるその作業内容との折衷的な内容をもって職種立てとしてある、こういうふうに私は聞いておるわけです。ここに問題点があると思うのですがね。つまり、合格者の処遇等の改善についていつも問題になるのは、この点だということを聞いておるのですけれども、こういう点はどのように改善なさるわけでしょうか。
#227
○石黒政府委員 おっしゃる点は、技能検定の種別は、これは別に規模別に分けているわけじゃございませんが、一つの職種をとりましても、その中身が、大企業と中小企業とでは、ふだんやっている仕事が非常に違うという点がしばしばございます。この場合は、中小企業の代表者、大企業の代表者、両方にお集まりいただきまして、ともかく一つの職種にいろいろな試験があってはぐあいが悪うございますから、その場合に、折衷的な試験問題になるということも、現実問題としてときたまあるかと存じます。この点は、どうも今後とも残る問題じゃないかと思います。
 ただ、基本的な問題といたしまして、現在までに行ないました技能検定の職種は六十九職種でございます。ところが、技能的職種を全部検定の対象にするといたしますと、二百ないし三百職種はどうしてもほしい。そこで検定協会なんかもつくりまして、急速に検定が拡大できるような体制を整えたわけでございます。二、三百職種が検定の対象になりました場合には、先ほど申し上げましたような規模別の矛盾というものもある程度解消できるのじゃないかと考えておるわけでございます。
#228
○大橋(敏)委員 それでは、指導的技能及び職業訓練修了時の技能について検定実施の要望の声が強いということをよく聞くわけですが、この点について今回の法改正ではどのように改められるのでしょうか。
#229
○石黒政府委員 職業訓練修了時の検定につきましては、これは二年ないし三年の訓練を終わった人について、一斉に国家検定をするということはやや無理でございますが、それに準ずる措置といたしまして、高等訓練課程を終わった者は、国の定めた基準に従った照査を行なってそれで照査にパスした者は技能士補ということで、まあ一種の準国家検定のような形をとるということで、訓練修了時の問題は一応今回解決したと思います。
 それから、指導的技能の検定という問題は、一ころ技能長というようなことも考えましたが、これもなかなか無理がございますので、この構想はやめまして、いましばらく時間をかけまして、先ほど申し上げましたようなテクニシャンとかマイスターとか、あるいは職種によりましては下級熟練工、上級熟練工、その上に超上級熟練工というのもございます。いろいろな種類がございますので、その職種も実情に応じた上級検定を逐次設けるようにいたしたい。一律に技能長という考え方は、やめたわけでございます。
#230
○大橋(敏)委員 いま、技能照査に合格すれば、技能士補というのが今度できると言いましたね。その技能士補というのは、高等訓練校も専修訓練校も両方ともに設けられるものでしょうか。それとも何か別にありますか。
#231
○石黒政府委員 技能士補は、高等訓練課程修了者に限っております。専修課程ではそこまでまいりません。
#232
○大橋(敏)委員 それでは、立場は変わりますけれども、わが国の技能労働者が非常に不足している、はなはだしいということですが、技術革新の進展に伴って、この不足はさらに深刻化していくであろう、こういうことで、たいへん心配されているわけでございますが、この一番の原因は一体何でしょうか、どこに問題があるのでしょうか。
#233
○石黒政府委員 一番の原因というふうに申されますと、これは労働力不足というのは、不可避的に深刻化する、その一つの過程として、技能労働力もまた不足していくというふうに申し上げざるを得ないと思います。
 ただ、その一般問題だけじゃなくて、特に技能労働者がなぜ不足するかという点につきましては、実はここ数年の労働者のふえ方は、年率三%ふえておりますが、技能労働者は四%ふえておるわけでございます。したがって、一般労働者よりはよけいふえておるのですが、それでもなおかつ足りない。これはやはり急速な設備投資、技術革新の問題それから第二は職業訓練がずいぶん拡充いたしましたけれども、まだ非常に拡充のしかたがおそいということ、それから第三には技能者に対する待遇、賃金その他の労働条件面におきまして、まだ十分でない点があるので、ホワイトカラーのほうを選考するというような、いろいろな原因があるのじゃなかろうかと考えております。
#234
○大橋(敏)委員 ちょっとダブるかもしれませんですが、その技能労働者のいわゆる社会的評価といいますか、それと、その処遇を受けられるような何らかの措置これをあらためてお聞きしたいと思います。
#235
○原国務大臣 御説ごもっともでございまして、この技能労働力の不足ということは、いま日本の切実な問題でございます。その一つの原因は、いま局長からも御答弁申し上げましたが、どうも学歴偏重、ホワイトカラー偏重の幣風が日本にはかなり充満いたしております。なお、官尊民卑の幣風もかなり行き渡っております。それで私ども労働省としてその対策を講じようと思いまして、過般も中央雇用対策協議会、これは経営者の代表が集まっておる、そこにおきましても、いま申したように技能労働者をもっと尊重するように、処遇も改善するように、わけても、いわゆるその学歴偏重の結果、大学を出ていない技能者は、たとえば工場長にしないとか、重役にしないとかいうような人事管理方式を改めて、人材登用の低い天井を打破して、青天井人事管理方式をやるべしということを盛んに強調いたしまして、その雇用対策協議会においては、趣旨は大賛成であるし、現に日本の若干の、ソニーとかナショナルとかいうところでそれをもう実行しておるところもあるし、現に実行しようとしておるところもあるし、これからそういうふうにやる考えであるからという非常に力強い答弁もございました。で、私ども労働省といたしましては、そういうブルーカラーをもつと尊重するように、人材登用についてもこれを大いに重要視するように、これはやはりもっと労働省が中心になってPRをして、世間に知らすことが大事だと思いますが、幸いにマスコミがこれを取り上げてくれまして、かなり宣伝がいま進行中でございますので、一回や二回では効果がありませんが、だんだん蒸し返し繰り返し、こういう精神、こういう心がけを進めていきたい、こう思っております。そうすることがまた若年の技術者などがやはり自信を持って働くことができるようになるのであろう、こういうことをだんだん進めていきたいと思っております。
#236
○大橋(敏)委員 いま大臣がおっしゃるとおり、技能労働者の不足の一番大きな原因は、やはり社会全般に学歴偏重といいますか、一般事務労働者に比べまして、技能軽視の風潮が強いということですね。この技能労働者の処遇あるいは身分等が非常に差がある。いま大臣がおっしゃるとおりだと思います。ここに強力なてこ入れをしない限り、ほんとうの意味の改善にならない、対策にならないと私は思います。
 そこで、技能検定協会というのが今度うたわれております。その技能検定協会について、ごく簡単でいいですから説明願いたいと思います。
#237
○石黒政府委員 技能検定は先ほども申し上げましたように、数百職種に拡充いたしたい。そのためには役人の力だけではとうてい不可能でございますので、民間の力を積極的に動員いたしたい。そのために、民間の技能検定に熱意を有せられる方々の組織というものをつくりまして、民間の力を借りて技能検定の飛躍的向上、拡充をはかるというのが技能検定協会の趣旨でございます。
#238
○大橋(敏)委員 法案を見ますと、中央に一つと各都道府県に技能検定協会というのが設置される、これは予算化されているのですか。どういうような予算案が盛り込まれているのですか。
#239
○石黒政府委員 技能検定に対する補助金、その中に――現在でも補助金があるわけでございます。その中に、検定協会に対する補助として支出できる費目が組み入れられております。
#240
○大橋(敏)委員 金額はわかりませんか。
#241
○石黒政府委員 本年は初年度でございますので、半年予算で一億五千五百万円でございます。
#242
○大橋(敏)委員 それでは次の問題に移りますが、事業内訓練というのが従来ありましたですね。今回の法改正によってこの事業内訓練というのがどのような見方になるのか、これを御説明願いたいと思います。
#243
○石黒政府委員 従来の事業内職業訓練というのは、事業主だけがやっておりましたが、今回は公益法人、労働組合等が行なうもの、全部ひっくるめまして認定職業訓練ということにいたしました。二十四条以下にその規定がございます。
#244
○大橋(敏)委員 そうしますと、従来の事業内職業訓練も認定されれば、とにかく労働省所管のもとに一本化されるということですね。
#245
○石黒政府委員 従来の認定を受けております事業内職業訓練は、当然認定を受けたものと見なしまして、新法の認定職業訓練に相なるわけであります。
#246
○大橋(敏)委員 いままでの事業内職業訓練所からの陳情でございますけれども、いままで事業内訓練を終了して、卒業していった人に対しては、資格、恩典がない、これらの人々に対しては、資格付与の措置をさかのぼってやってほしいというような声があるのですが、それについてはどのようなお考えでしょうか。
#247
○石黒政府委員 終了者が技能検定を受けます場合には、実務経験の短縮、試験免除等の若干の恩典がございます。これは従来もあるわけで、今後も変わりございません。
 それから、各種の職種資格認定につきまして、国家試験等を要する職種につきまして、一部または全部の試験免除という制度がございます。これは先ほども御質問にお答えいたしましたが、約十職種について行なわれております。これについてはそのつどでございまして、ものごとの種類によりまして遡及を認める場合と認めない場合とあるわけでございます。必ず遡及いたしますというお約束もいたしかねますけれども、遡及する場合もしばしばあります。
 それから、過去、職業訓練校を終了して照査に合格した者に技能士補の名称を与える。これは照査を行われなければなりませんので、照査を受けなかった人には技能士補の名称はいかないということで、これは遡及は少しむずかしいのじゃないかと思います。
#248
○大橋(敏)委員 陳情書には、せっかく努力して卒業するのに何らの資格、恩典も待遇もありません。ぜひ早急に、第一回卒業生にさかのぼって資格を与えるようにしていただきたい、こういう陳情なんですが、具体的に、一、二の例でいいのですが、こういう場合はさかのぼってやれる、こういうように説明願いたいのですが。
#249
○石黒政府委員 先ほども御質問がございましたように、電工または電炉工訓練を終了した者については、電気工事士の試験の全部を免除するというようなことがございます。こういったものが十職種にわたってございます。こういった場合につきましては、おおむね、過去に訓練を終了しておる者につきましても、新たにそういうことが認められればこれは認められることになると思います。しかし、その中には、終了時試験に合格すればというような条件がついておる、といたしますと、この試験のやり方というものが、当該所管省との相談づくできめられるので、その前の分は入らないというのも出てくるわけであります。これはそのつどきめていかなければならないことだろうかと存じます。原則的には昔の人にもできるだけ恩典を与えたい気持ちは、私ども全く同じでございます。
#250
○大橋(敏)委員 二級技能検定受験について、同じく陳情があっておるわけでございますが、従来は法的経験年数――訓練期間三年、それから経験二年、計五年が受験資格であった。この法的経験年数を撤廃して、訓練生に対していつでも受験できるようにしてほしいのだが、こういう陳情なんですけれども、この点はどう考えられますか。
#251
○石黒政府委員 これはやはり訓練所を出ただけで一人前の熟練工というのは、原則として非常に無理でございます。非常に天才的な人がいれば別でございますけれども、一般論といたしましては、法的経験年数というものがどうしても必要であろうと思います。ただ、これが一律がよろしいのか、職種によっては訓練年数の長短があってよろしいのかという問題につきましては、研究の余地があると存じます。一律に全部撤廃するのは、この際ちょっと無理だろうと思います。
#252
○大橋(敏)委員 いずれにしましても、中小企業の技能労働者不足が特に問題になっておるわけでございますが、中小企業の経営基盤というものが非常に薄弱であります。したがいまして、これは中小企業の職業訓練に対しては、投資も困難な場合が多いわけでありますので、中小企業みずから行なうこのような事業内職業訓練といいますか、こういうものに対しては、特別の推進をしていく措置を講じていただきたい、このように思うのですけれども、今度の法改正では、認可さえとればというようなことでございますけれども、特別に措置をなさるのかどうかといとことについてお尋ねいたします。
#253
○石黒政府委員 今度の法律改正で、認定職業訓練が今後とも認可によって行ない得ることは申し上げたとおりでございますが、そのほかに、職業訓練法人という制度を設けております。これは中小企業の共同訓練をする方々に、その訓練主体に法人格を与えるというのが主たるねらいでございまして、この法人格をおとりになりました場合には、財産保全その他に非常に便利であるのみならず、わずかでございますけれども、若干の免税措置もつきます。
 それからそのほかに中小企業の共同職業訓練につきましては、従来から補助金が出ております。本年度、これは従来の三千二百円を六千四百円、わずかでございますが、倍増をいたしました。
 それから融資につきましても、従来の三億七千万円を四億円、これもわずかでございますが、融資額も拡大をいたしました。
 そのほか、今後ともあの手この手、あらゆる手を考えまして、中小企業が訓練をいたしやすいように努力をいたしたいと思っております。
#254
○大橋(敏)委員 それではもう一つの陳情でございますが、三十五時間制の廃止がいまいわれているそうでございます。たとえば、従来は十五年間の実務経験を持った者は、三十五時間の訓練を受ければ指導員の資格が得られた。これが昭和四十五年の六月以降は廃止になるということを聞いているのですけれども、その理由を御説明願いたいと思います。
#255
○石黒政府委員 長期の実務経験者にいわゆる三十五時間講習ということで指導員の資格を与えましたのは、訓練法施行直後の指導員不足に対応するための経過的な措置でございまして、いかに長期の実務経験がありましても、率直に申しまして三十五時間、すなわち一週間程度の講習で、りっぱな指導員ができるというのには少し無理があると思います。経過措置といたしましては、来年六月で御指摘のごとく切れるわけでございます。それを全廃してしまうか、あるいは形を変えて何らかの方法を考えるかという点につきましては、これは中央職業訓練審議会とも十分御相談をいたしまして、何らかの方法を考えたいと思います。
#256
○大橋(敏)委員 いまの三十五時間講習制は全廃ということは、私はやはり問題があろうと思います。いまお話がありましたように、何らかの形でこれは残していくべきだと思うのですが、労働大臣はこの点についてはどうお考えでしょうか。
#257
○原国務大臣 いま打ち合わせましたところが、まず審議会の意見を求めます。それから、どういう審議会の意見が出るかでございますが、なかなかむずかしい問題でございまして、御意見はよくわかりましたので、なお審議会の答申を待って検討してきめたいと思っております。
#258
○大橋(敏)委員 経過措置として従来この制度がとられてきたわけでございますが、だからといって全廃ということは、先ほども言うように問題であろうかと思います。むずかしい内容であることは予想はつくわけでございますが、近代的な産業、生産体制に即応する優秀な職業訓練指導員をという立場から見た場合、技術だけではだめだということだろうと思うのです。やはり問題点としては、そうした長い実務経験を持った人に対して、学科の立場からもっとテコ入れをして、そういう方々がいままでどおり簡単に、という言い方は問題であろうと思いますけれども、指導員になれるような道を講じてもらいたいと思います。この点について、審議会の検討を待つのではなくて、もっと積極的に、こうあるべきでないかという方向を示唆すべきではないかと思います。その点についてもう一回御答弁願います。
#259
○石黒政府委員 現在の三十五時間講習の講習しっぱなしという制度には、なかなか問題が多うございます。これは先生もよく御承知だろうと思います。しかし、何らかの試験をやって指導員になるということの道は、ふさぐつもりはございません。実情を十分勘案いたしたいと思います。
#260
○大橋(敏)委員 もう一つの問題点ですが、現在家具工科と建具工科が一緒になって訓練されているようでございます。そこで、それを総合した名称としまして、木工科というのをつくってほしいという要望なんですが、この点についてはどうですか。
#261
○石黒政府委員 たいへん申しわけございませんが、私、家具と建具について、訓練内容がどういうふうに違って、統合が可能であるかどうか、ちょっといまお答え申し上げるだけの勉強をしておりませんので、御趣旨も十分勘案いたしまして、さらに研究さしていただきたいと思います。
#262
○大橋(敏)委員 これは事業内訓練所からの強い要望でございますので、しっかり研究してもらって一本にしていただきたい、こう思います。
 それから先ほどの質問にさかのぼりますけれども、総合訓練所を見たときに、職種別に教室が設けられておりました。けれども、クラスは職種よりうんと多いわけですね。八職種に対して二十二クラスありました。非常にに不合理な点があるということで、職種別ではなくてクラス別に教室がほしい、こういう強い要望があったのですが、この点についてはどのようなお考えをお持ちでしょうか。
#263
○石黒政府委員 御指摘のごとく、総合訓練所でありましても、施設が基準に合致しない場合がございます。これはたいへん遺憾なことでございます。年次計画を立てまして、その解消につとめております。御指摘のは、特にひどい例であろうかと存じますけれども、できるだけ早くそういう状態が解消いたしますように努力いたします。
#264
○大橋(敏)委員 それでは、最後に労働大臣の総合的な所感を伺って終わりたいと思います。
#265
○原国務大臣 さいぜんからの御意見、十分拝聴いたしました。やはり技能労働者不足、わけても若年技能労働力の不足を来たしておりますので、これらを大いに補う意味において、積極的に職業訓練を増強いたしまして、このただいま提案しておりまする訓練法を通していただいて、職業訓練万般の施策を今後積極的にやって御期待に沿いたいと思っております。
#266
○大橋(敏)委員 終わります。
#267
○森田委員長 次回は明七日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
    午後四時十八分散会
ソース: 国立国会図書館
【PR】姉妹サイト