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#1
第061回国会 社会労働委員会 第34号
昭和四十四年七月三日(木曜日)
   午前十時二十七分開議
 出席委員
   委員長 森田重次郎君
   理事 澁谷 直藏君 理事 竹内 黎一君
   理事 谷垣 專一君 理事 橋本龍太郎君
   理事 渡辺  肇君 理事 河野  正君
   理事 田邊  誠君 理事 田畑 金光君
      阿部 喜元君    内海 英男君
      藏内 修治君    佐々木義武君
      齋藤 邦吉君    菅波  茂君
      世耕 政隆君    田川 誠一君
      高橋清一郎君    中川 一郎君
      中山 マサ君    丹羽 久章君
      福井  勇君    箕輪  登君
      枝村 要作君    大原  亨君
      加藤 万吉君    後藤 俊男君
      島本 虎三君    西風  勲君
      平等 文成君    八木 一男君
      山田 耻目君    山本 政弘君
      和田 耕作君    大橋 敏雄君
      北側 義一君    谷口善太郎君
      關谷 勝利君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 斎藤  昇君
 出席政府委員
        大蔵省主計局次
        長       船後 正道君
        厚生政務次官  粟山  秀君
        厚生大臣官房長 戸澤 政方君
        厚生省医務局長 松尾 正雄君
        厚生省薬務局長 坂元貞一郎君
        厚生省保険局長 梅本 純正君
        社会保険庁長官 熊崎 正夫君
        社会保険庁医療
        保険部長    加藤 威二君
        労働大臣官房長 岡部 實夫君
        労働省労働基準
        局賃金部長   小鴨 光男君
 委員外の出席者
        大蔵省主計局主
        計官      辻  敬一君
        厚生省薬務局企
        業課長     信沢  清君
        厚生省保険局保
        険課長     木暮 保成君
        厚生省保険局医
        療課長     松浦十四郎君
        参  考  人
        (日本赤十字社
        人事部長)   宮島 久義君
        専  門  員 濱中雄太郎君
    ―――――――――――――
七月三日
 委員中野四郎君、広川シズエ君及び増岡博之君
 辞任につき、その補欠として中川一郎君、内海
 英男君及び菅波茂君が議長の指名で委員に選任
 された。
同日
 委員内海英男君、菅波茂君及び中川一郎君辞任
 につき、その補欠として広川シズエ君、増岡博
 之君及び中野四郎君が議長の指名で委員に選任
 された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する
 法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第九
 三号)
     ――――◇―――――
#2
○森田委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出の健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律等の一部を改正する法律案を議題として審査を進めます。
 この際、厚生大臣より発言を求められておりますので、これを許します。厚生大臣斎藤昇君。
#3
○斎藤国務大臣 昨日山田委員から御質問のございました春闘のベースアップと標準報酬との関係につきましては、その後調査をいたしました結果、政府委員から答弁をいたさせますから、よろしく願います。
#4
○加藤(威)政府委員 昨日お答え申し上げましたとおりに、本年度の中小企業の春闘の実績がまだまとまっておりませんので、正確な資料に基づいてどうこうするというわけにはまいりませんので、一応、過去の中小企業の春闘の実績と、それから私どものほうの平均標準報酬のアップの実績、そういうようなものとの関連において推計の数字をつくってみましたので、それを御説明申し上げたいと思います。
 なお、昨晩、関係各省と集まりまして早急につくりましたので、若干ラフなところもございますので、その点はあらかじめお許しを願いたいと存じます。
 お手元の資料について御説明申し上げますが、労政局調べの事例調査で、調査対象規模等、各年において若干の相違はありますが、春闘妥結後の中小企業、これは大体千人未満でございますが、の過去五カ年の賃上げ率の平均は、一二・九%であります。これに対し、過去五年間における政府管掌健康保険のベースアップを反映する十月の平均標準報酬月額、これは十月は、昨日御説明申し上げましたとおり、政管健保におきましては、十月に定時決定というのをやりまして、全部の被保険者の新しい賃金によって標準報酬をきめる、こういうことでございますので、ベースアップが十月に反映するということでございますので、十月の平均標準報酬月額をとったわけでございますが、その対前年十月の増加率の平均は一〇・五%であります。その左側の数字が中小企業の過去五カ年の賃上げ率、それを各年度ごとに書きまして、一番左の平均賃上げ率が一二・九%でございます。
 それから、その次に過去五年間の十月における平均標準報酬月額の対前年増加率。その次のページでございますが、これが政府管掌のほうの十月の平均標準報酬のアップ率でございます。その平均増加率が、左側にありますように一〇・五%であります。したがって、春闘ベースアップ率のおおむね二・四%減、中小企業のほうのベースアップ率と比べますと政管の十月のアップ率が約二・四%低い、こういうことになっております。
 かりに、本年の中小企業の春闘のアップ率を、昨日、労働省のお話では、大手百五十二社が一五・八%というようなお話もございましたので、二通りの仮定の数字を出したわけでございます。中小企業が本年一七%上がった場合、それから一六%上がった場合、二通り計算してみたわけでございます。Aのほうが、一七%であるとすれば本年十月の政管の平均標準報酬月額は四万一千八百七十九円、これは予算で積算しておりますところの数字でございますが、これではなくて、さらに上がりまして四万三千四百七十一円ということになりまして、本年度の保険料収入は約七十四億程度増加する、こういうことになります。それから、かりに一六%の春闘アップである、こういうぐあいに仮定いたしますれば、十月の標準報酬月額は四万三千九十二円となりまして、本年度の保険料収入は五十六億円程度増加するということでございます。ただし、右の増収の約一割程度は現金給付、主として傷病手当金でございますが、それのほうにはね返りますので、支出増ということになりますので、ただいま申し上げました一七%の場合の七十四億というのは、約一割減って実質六十七億程度になる。それから一六%の場合の五十六億は約五十億前後になる。こういう数字が出たわけでございます。
 これは、一応仮定の数字で計算すればこういう数字が出る、こういうことでございまして、山田先生、昨日いろいろ御指摘ございましたけれども、まだ中小企業の本年度の春闘の実績がわかっておりませんので、私どもといたしましては、その段階におきましては、現在の標準報酬の見込みというものを変えることはひとつ御かんべん願いたいと思います。
#5
○森田委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。山田耻目君。
#6
○山田(耻)委員 ようやくここまでの資料を出していただきまして、ありがとうございました。
 問題は、四十四年度の保険財政を確立なさいますのに、その基礎である標準報酬月額というものが少なくとも当を欠いていることは間違いございません。これはもちろん、算定の月が四十三年十月になっておりますので、その変化は認めますけれども、やはりここに推定される資料が出ておりますように、七十四億の増収になります。あるいは二八%であった場合は五十六億の増収でございますから、いわゆる審議を求められております予算雷を見ますと、今年度は二十七億の赤字です。それが転じまして、一七%で推計される場合は四十一億の黒字、五十六億で推計される場合は二十九億の黒字に転化をいたします。
 私は、国会で審議をいたしますときには、こうした保険財政が赤字であるか黒字であるかということ以前に大切なことがございますけれども、特に特例法で議論を行なっておりますので、やはり赤字であるから特例法をつくりたい、保険財政が危殆に瀕するから特例法をつくるのだ、これが少なくとも四十二年の本委員会並びに国会における大きな論争の争点でございました。このようにながめてまいりますと、この特例法をめぐって健保財政論争をいたしますときに、赤字、黒字の分岐というものはきわめて政治的に重大であります。そうしたことが、当然この審議にあたって重要なポイントになりますにあたって、二十七億の赤字を計上され、しかも総額において千四百二十三億の赤字を計上されて、しかも存続を求められて、なおその上に千分の一の料率を引き上げていきたいというのが今回の政府の態度でありますだけに、承服できないのであります。赤字ではないでしょう。この推計は推計だとおっしゃればそれまででございますけれども、労働省なり関係各省の検討の中で、私は、この推計がそう大幅に狂って赤字に転化をすることは、万々ないと存じております。
 この表の中で、一つお気づきになっておられると思いますけれども、いわゆるベースアップ率と標準報酬との差に二・四%の開きがございます。この二・四%の開きの傾向値を見ていただくとわかりますけれども、四十年は三・一%の開きがございます。そうして昭和四十三年は二・一%の開きに縮まっております。最近の中小企業雇用対策の中で大きく問題になりましたのは退職金です。退職金の算定基礎は基本賃金であります。過去の中小企業というものは、基本給は安く、関連する基準内賃金に算定されない給与が多かったのであります。こういう傾向では雇用安定対策にならないから、労働省みずからの指導も手伝って、基本給の引き上げにつとめてきた姿がこういう傾向値をたどっておるのであります。これは昭和四十三年、四十四年、四十五年と進んでいくに従いまして、この二・四%の差というものは縮まっていくのであります。
 このように見てまいりますと、私は、ここにいただきました資料というものが、もちろん試算でございますし、推計でございますけれども、この中にもまだ甘さがあると思うのです。千分の一の料率を見ましても、六十三億と出ておりますけれども、おそらく七十億近くなるでしょう。このようにして、収入面は減らし支出面はふやし、意識的に、目的的に赤字を累増していって料率を引き上げていく、この思想というものを解明をしていかない限り、具体的にそのことを例示していかない限り、私は本問題の審議に入ることにちゅうちょいたします。いま私、いただきましたこの資料ではまだ不十分で、これから私が審議に入りたいと思う二百二十五億の政府の助成についても、今日の疾病構造の変化などによって生ずる姿の中に、どれだけそれが影響値を保っていくのか、これからただしていかなくちゃなりません。いまの千分の一の料率についても深めていかなければなりません。しかし、こうした赤字の現状というものが、このような状態で資料の再提出をなさらないということになりますと、私の審議をこれ以上進めていくことに実はちゅうちょするのであります。これから審議の過程を通しまして、私は随所においてこの問題について解明を試みてまいりたいと思いますが、本日は委員長、理事各位におはかりいただきまして、私のこれからの質問については留保させていただいて――この状態ではとても私は赤字解明への審議ができない。このことは委員各位、政府各位もおわかりいただけることと思うのです。そういう意味から私は、もっと事態というものを、赤字、黒字の処理を明確にしていく政府の資料をお出しいただく中で審議を進めていきたいと思いますので、どうかひとつ理事各位におはかりをいただきまして、私の発言は留保して、次の問題に対して進めていけるようにお取り計らいをいただきたいと思います。
#7
○森田委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午前十時四十二分休憩
     ――――◇―――――
    午前十一時三分開議
#8
○森田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 ただいま提出された政府資料についてはなお検討の必要を認めますので、山田委員の質疑は留保し、山本委員の質疑に入ります。山本政弘君。
#9
○山本(政)委員 山田委員の質問に引き続いて御質問を申し上げたいと思いますが、私は、財政効果と薬価の問題についてお伺いいたしたいと思います。
 その前に、特例法実施を見た結果、予想以上に財政効果があがっている。このあがっているということについては、政府のほうから言わせれば、政府のほうに非常に便利なといいますか、好都合な、しかし被保険者のほうから言えば、これはあることばの使いようによれば、収奪というようなことで言われるかもしれません。ともかくも実施以前の計画と実施後の実績というのがかなり違っておる。たとえば、そういうことで見てみますと、外来患者だけでいま一日五百五十万人おる。それが政管健保だけでなしに全保険として考えてみると、かりに薬を一日一剤十五円というふうに考えれば、一日だけで八千三百万円という金が入ってくる。だから一部負担のきき目というものはかなりあると思うのですけれども、ただその前にちょっとお伺いしたいことがあるのです。
 会計年度で昭和三十八年四月一日から三十九年三月三十一日まで、これは保険庁のほうからいただいたのですけれども、昭和三十八年度の政管健保の赤字が八十七億二千六百万円、こういうふうになっているのですが、これは間違いございませんでしょうか。
#10
○加藤(威)政府委員 三十八年度の単年度赤字は百三十一億でございます。
#11
○山本(政)委員 そうしますと、三十八年度の赤字がいまおっしゃるように百三十一億。保険庁からいただいた資料には八十七億二千六百万円という数字が出ておるのだけれども、この差異というのは一体どこから出ておるのか。つまり資料のとり方がどこか問題があるのか、その辺をひとつ御説明願いたいと思います。
#12
○加藤(威)政府委員 この八十七億の数字についてはあとでよく調べまして、その差異についてはまた御報告申し上げたいと思います。
#13
○山本(政)委員 これはあなた方のほうに、日本と西ドイツ、イギリス、そういうものの比較をひとつ出してほしいというようなことで、実は私が資料を請求したものなんですよ。だから、ここにあるのはあなた方が出してきた資料だと思うのだけれども、三十八年の八十七億のマイナス、これはあなた方のほうでいますぐ私は御返答がいただけると思うのです。
#14
○加藤(威)政府委員 その八十七億というのは、三十八年度のころはまだ黒字の積立金がございまして、三十八年度に八十七億の積立金の取りくずしをやっております。したがって、その結果その赤字は消えまして、実質的に百三十一億という赤字になった、こういうことでございます。
#15
○山本(政)委員 四十二年度の財政に対する効果というのは、初診時が百円から二百円に上がることによって、それから入院時が三十円から六十円に上がることによって――一部負担金については九月ということですから、一部負担金は別といたしまして、初診時と入院時の保険料率の実施によって二十二億という金が出ておりますね。そうすると、四十四年度は初診時が十六億、入院時が三億、合わせて十九億。二十二億と十九億という差が出ておる。患者の受診率というのは頭打ちだけれども、やはり漸増しているのだと私は思うのだけれども、そういう条件のもとで、初診時と入院時の金額というものが、四十二年度と四十四年とでは違っておる。しかも四十四年度のほうが金額的には少ないというのはどういう理由によるのだろう、この辺を御説明いただきたいと思います。
#16
○加藤(威)政府委員 初診、入院の一部負担でございますが、四十二年度特例法制定当時の見込みは、それによる財政効果は、先生御指摘のとおり二十二億でございます。それが決算の段階におきましては、若干受診率が減ったというようなこともございまして、十九億という財政効果にとどまったわけでございます。
 それから、四十四年度に予定いたしております初診、入院の財政効果でございますが、八月分までの財政効果が約十七億。それから、特例法が延長されたといたしまして、九月以降の分が十六億でございます。合計いたしまして、四十四年度年間にいたしまして三十三億。
 なお、先ほど申しましたような四十二年度のは、御承知のとおり、九月に四十二年度の特例法の一部負担が実施されましたので、九月以降十九億ということでございます。
 それで比較いたしますると、四十四年度――九月以降と申し上げたほうがおわかりやすいかと思いますが、四十四年度の九月以降は、初診時で十六億、入院時で二億で、約十八億という数字でございます。
#17
○山本(政)委員 そうすると、非常に小さくなりますけれども、昭和四十四年度は、八月から実施されても、九月から実施されても、初診時は十六億として変わらないということなんですか。
#18
○加藤(威)政府委員 それは一カ月違えば違うわけでございますが、九月以降年度末までで初診時が十六億、それから年度初めから八月までが十七億。ですから合計いたしますと、年間で三十三億ということでございます。それから入院時は八月までが二億七千万、切り上げまして三億でございます。それから九月以降が二億五千万、切り上げまして三億と申し上げたほうがいいかもしれませんが、それで入院時は年間で五億でございます。したがって、九月以降の四十四年度の初診、入院の一部負担は大体十九億ということで、四十二年度とほとんど変わらない、こういうことでございます。これはやっぱり受診率の伸びが若干落ちておりますが、そういうことでほとんど変わらない数字が出ておる、こういうことでございます。
#19
○山本(政)委員 そうすると、薬剤投与の一剤一日十五円、これが四十二年度は六十二億ですね。そして四十四年度の見込みによると三十一億、これはどうなるわけですか。
#20
○加藤(威)政府委員 外来投薬の一部負担でございますが、これは四十二年度の実績、四十二年の十月から実施いたしました実績は十八億でございます。財政効果は十八億。特例法が通りましたときは十五億程度と見たのでございますが、これが決算のときには十八億になっております。それで四十四年度の外来投薬本人一部負担の財政効果、これは九月以降でございますが、予算上は三十一億という数字になっております。
#21
○山本(政)委員 そうすると、四十二年度の薬剤投与一剤一日十五円という特例法実施による六十二億という金額というものについては、大幅なあなた方の見通しの誤りがあったということは、これはお認めになるわけですね。
#22
○加藤(威)政府委員 先生おっしゃいました六十二億というのは、臨時国会で政府案を出したときの数字でございますが、これは私どもの政府原案には低所得者の免除の規定がなかったわけでございます。それが国会で修正されまして、例の二万四千円以下の免除の規定が入りまして、その結果財政効果が非常に減った、こういうことで、この点の食い違いは見通しの違いということではないわけでございます。
#23
○山本(政)委員 四十二年に経済審議会――これは会長は木川田一隆さんですが、四十二年の経済社会発展計画を打ち出しております。そして一月二十四日に中間報告をまとめて、「経済社会発展計画と実績」というものを明らかにしておりますけれども、その中で健康保険について「医療保険制度の抜本的改正の方向はいまだ確立されるに至っていないが、従来の医療費の急激な伸び率が近年落着きを示した」と、こう述べております。そしてさらに「一昨年の健保特例法の実施によって医療費ののびが鈍化したことを示すもので、特例法の一部負担増が大きく影響しているものとみるむきが少くない」、こう言っております。つまり私は、ここに言っていることは受診率の低下だ、こう思うんですけれども、財界の人ですらそういうふうに見ておるんだけれども、どうも全国課長会議の席上での加藤さんのお話では、受診率の低下というものではないのだ、こういうお話があったと思うんですけれども、あなたはいまこの席上でどういうふうにお考えになっておるのか。受診率の低下というものが、やはり私どもが二年前に主張したようにあったのかなかったのか、この点をひとつはっきりとお示しいただきたいと思います。
#24
○加藤(威)政府委員 四十二年度、それから四十三年度、受診率の低下があったのかなかったのかという御質問に対しては、これはありましたというお答えをする以外はないと思います。現実に受診率の伸び方が鈍化いたしております。ただ私がそれについて申しておりますのは、その鈍化というものが全部特例法ができたから、特例法の影響によってそうなったのかどうかということは、必ずしもはっきりしないということを課長会議なんかで述べておるわけでございます。
 その理由といたしましては、本人の外来、これが特例法ではいろいろな一部負担、特に薬の一部負担等があって受診を抑制するんじゃないかという御議論が国会でもあったわけでございます。しかしながら、四十二年度の外来本人の受診率というものは、特例法が実施される前、したがって三月、四月、五月、その辺から伸び方が鈍化しておるわけでございます。こちらの予定よりも受診率が低い、こういう実績が出ておるわけでございます。私ども、その受診率の傾向は、ずっと年を追って比較してみておるわけでございまするけれども、政管本人の受診率というものが、かつては組合健保よりもはるかに下回っておったわけでございますが、それが三十八、九年ごろから急激に伸びてまいりました。現在では組合健保の本人の受診率をはるかにオーバーしております。そういう伸び方がやや四十一年度の末から四十二年度にかけて鈍化し始めている、こういう傾向が出ておるわけでございます。したがって、四十二年度の受診率の低下というものが、そういう傾向によって生じたものもあるだろう。それから、確かに、薬の一部負担その他の一部負担というものをやれば、全然受診率に影響しないということも言えないと思います。しかし、その下がったどの部分がどれだけ特例法の影響によるのかということははっきりしない。したがって、非常に下がったけれども、それがすべて特例法の影響によるものということは考えられないのじゃないか、こういう説明をしておるわけでございます。
#25
○山本(政)委員 四十二年の七月の五日のときに、さきの山田委員の質問と関連をいたしますけれども、私は、経済の状況を反映して、春闘における賃上げ率というものがどの程度になるかということも考え合わせなければならぬだろう。特にあの時分は非常に好況のときでありましたから、私は、標準報酬月額というものも上がるだろう、したがってあなた方がお考えになっている以上に収入というものは上がるのではないだろうか、こういうお話をお伺いをいたしましたところ、加藤さんのほうで、四十二年度は二千七百六十五円ぐらいのアップになるだろう、こういうお答えをしたはずであります。しかし現実には、それよりはるかに大きくなった金額になっておりますね。そして、いままた山田委員の質問によって、大きく標準報酬月額も変わるような可能性というものが出てきているわけです。その点について、これも山田委員のほうから話があったけれども、どうも厚生省のほうは、収入のほうを過小に見積もって支出のほうを大きく見積もっておる傾向があるのではないだろうか、こういう気がするわけです。あなた方のほうの見通しについて私は再三お伺いしているんですけれども、加藤さんはそういうことはないという御答弁を固執をされておるわけです。ここに速記録がありますけれども、その点について一体あなたはどうお考えになっておるのか。それから今後の見通しについても、いま先ほど留保されましたけれども、一体どうなさろうとされておるのかというお考えをこの際お伺いしたい、こう思います。
#26
○加藤(威)政府委員 四十二年度の標準報酬について、確かに、先生の御質問について、ただいま御指摘のような答弁をした記憶があるわけでございます。私どもといたしましては、当初、四十二年度の平均標準報酬を三万一千六百十五円、こういうぐあいに見込んでおりまして、対前年比二千七百六十五円の増、こういうぐあいに見ておったわけでございます。それに対しまして、先生のほうから、低過ぎるじゃないか。具体的に幾ら低いという御指摘はなかったと思いますけれども、とにかく低過ぎる、もっと上がるはずだということで、私どもといたしましては、それは必ずしもそうじゃないんじゃないかという議論になったと思います。結果は、確かに先生御指摘のように、四十二年度の実績といたしましては三万二千百十一円ということで、見込みの標準報酬よりも約四百九十円ばかり高い数字が出た。そういう限りにおいては、数字は別といたしまして、確かに、あの当時のもっと高く出るだろうという先生の御意見のほうが、結果論といたしましては正しかったということで、その点は申しわけなかったと思います。
 ただ、その数字につきましては、私のほうでは別に操作をして出した数字ではなくて、その節も御説明申し上げましたように、過去の二年の実績に基づいて数字を推計する、こういうことでございます。過去二年といいますと四十年、四十一年を参考にするわけでございますが、四十年あたりは、御承知のように必ずしも景気はよくなかった。四十一年も、後半からは景気が立ち直りましたけれども、前半は必ずしも景気がよくなかった。そういう年を基礎にいたしまして推計いたしました結果、四十二年度からは相当景気が上昇期に向かったということで、そういう不況の時代の数字を基礎にいたしまして計算いたしましたので、結果的には違った数字が出てまいった、こういうことでございます。
 四十四年度につきましては、山田先生にいろいろお答え申し上げましたので、あらためて繰り返しませんけれども、四十三、四十二を基礎にいたしました。この年は景気が相当よかったわけでございますから、普通の景気ならばあまり変わらないと思いますけれども、四十四年は異常な好況になったということで、またある程度の相違が出てくるかもしらぬということは認めざるを得ないと思います。
#27
○山本(政)委員 そうしますと、ここにいま先ほど「春斗のベース・アップと標準報酬との関係について」という資料をいただいたのですけれども、かりにこれに従ってやるならば一体標準報酬は何百円ぐらい上がりますか。
#28
○加藤(威)政府委員 先ほどのこれの試算でございますか。
#29
○山本(政)委員 それによって……。
#30
○加藤(威)政府委員 先ほど一七%上がる場合と一六%上がる場合を資料としてお手元に差し上げたわけでございますが、一七%として計算いたしますと、平均標準報酬は四万七百二十五円であります。それから一六%として計算いたしますと四万五百六十七円、こういうことになります。
#31
○山本(政)委員 ですから加藤さんの初めのこの予算における試算と、一七%もしくは一六%上がった場合の、要するに差額ですよ。あなた、いま先ほど、四百九十円ほど違っておった、こういうお話でしたね。そうすると、一七%もしくは一六%上がれば大体何百円ぐらい違うだろうか、こうお尋ねしているわけです。
#32
○加藤(威)政府委員 前の標準報酬との比較で、一七%の場合には六百六十円、それから一六%の場合には五百円、そういう差が出るということでございます。
#33
○山本(政)委員 四百九十円見込みが違うことによって保険料は八十三億増収になったわけですね。そうですね。
#34
○加藤(威)政府委員 保険料の収入増というのは、確かに四十二年度は見込みよりも八十三億ふえております。しかし、それは二つの要素がございまして、一つは確かに標準報酬の見込み違いといいますか、標準報酬が予定よりも高かったということ。もう一つは、保険料の収納率の向上、これがございます。それが大体半々ぐらいの割合であるわけでございます。そういうことで、平均標準報酬の見込み違いだけで八十三億ということではございませんで、見込み違いはその約半分の四十億程度、こういうことでございます。
#35
○山本(政)委員 四十二年度には行政努力の二十五億円というのがありましたね。今度の予算の中には行政努力というのは入ってないわけですが、それではこれは金額として幾らぐらいお考えになっているんですか。
#36
○加藤(威)政府委員 確かに、四十二年度におきましては行政努力を二十五億というふうに、別ワクといいますか、そういう形で計算を出しておるわけでございます。ただ、この行政努力と申しますのは毎年毎年続けておるわけでございまして、その行政努力の内訳は、収納率の向上、それから標準報酬の適正な把握、給付面におきまするレセプトの点検、こういうようなことでやっておるわけでございます。そういうことで毎年毎年の行政努力によって、たとえば保険給付におきましてはレセプトの点検によってある程度むだが省かれてくる、それから収納率も毎年毎年だんだん上がってくる、そういうことでございますが、一応そういうことをここ数年来強く実施してまいりまして、それぞれ各年度の実績の中にそういうものが織り込まれている、こういうことでございます。それからたとえば収納率にいたしましても、毎年毎年上がってきておりますけれども、現年度につきましてはほとんど九〇%をこえているということで、これはちょうど手ぬぐいをしぼるのと同じように、だんだんしぼってくれば出てくる水分は少なくなってまいるわけでございます。そういうこともございまして、やればやるほど行政努力は効果があがるというわけでもない。こういうようなことで一応別ワクには計算いたしておりません。しかし、従来どおりの努力をするということで、私どもがそれによって見積もっております数字は大体二十五億くらい。行政努力の結果はそのくらいと見ております。
#37
○山本(政)委員 四十二年度二十五億の行政努力というのは、私の記憶に間違いがなければ、十七億くらいのものになっておったんじゃないかと思うのですけれども、これどうでしょうか。間違いじゃないでしょうか。
#38
○加藤(威)政府委員 四十二年度、最終的には十七億八千万でございます。
#39
○山本(政)委員 そうしますと、四百九十円上がつたために六十六億という保険料の増収があった。一応八十三億から十七億差し引きますと六十六億になりますね。あなたのおっしゃるように、四百九十円を上げることによって、見込み違いによって六十六億の増収になった。そうしますと、六百六十円という、つまりプラス面が出てきているのだったならば、これは六十六億をはるかにこえて、一七%の場合には七十四億をはるかにこえる金額になるはずだと思うのです。そうなるでしょう。一六%の場合には五十六億をはるかにこえる金額になるはずですよ。つまり六百六十円と四百九十円の差額というのは百七十円ですから、それだけのものが結局差額として出てくるのだったらば、四百九十円の大体三分の一強ですから、三分の一強だとすれば、二十数億という金が少な目に見てももっと増収されるはずでしょう。そう
 なるでしょう。そうすると、あなたのおっしゃるような七十四億というものでは済まぬのじゃないだろうか。あなたは、行政努力でいま二十五億程度やりたいとおっしゃるのだったならば、これをかりに七十四億にして、これに二十五億が加わるわけでしょう。そうすると、単純計算でいけば九十九億という金になってくるわけですよ。保険料の増収というものは、金額としてははるかにふえるはずだと私は思いますが、その点いかがでしょう。
#40
○加藤(威)政府委員 四十四年度の行政努力の二十五億というのは、すでに収支の中に組み込まれておりまして、その二十五億の行政努力をやった結果なお二十七億の赤字が出る、こういう計算になっておるわけでございます。
 なお、標準報酬のアップによります財政効果でございますが、先ほど申し上げましたように、四十二年度におきましては保険料の収入増が八十三億でございますが、そのうちの標準報酬、それは先ほど申し上げましたように、標準報酬のアップと、それから収納率のアップということで両方あるわけでございます。収納率がこの年にはものすごく上がりまして、一・二%くらい上がっておる。それの財政効果が約四十億くらいあるわけです。したがいまして、標準報酬の上昇分というのが大体四、五十億、こういう計算でございます。
#41
○山本(政)委員 加藤さん、どうも私の申し上げておることを取り違えておるようですが、八十三億の中には二十五億の、もっと正確に言えば、あなたのおっしゃる場合には十七億八千万ですか、それだけの行政努力というものも入っているんだ、つまり標準報酬と収納率とのプラスが八十三億になっている、こういうわけでしょう。そうしますと、かりに一七%春闘のアップがあれば七十四億円程度増加をすることになれば、いまあなたの言をお借りするならば、二十五億円程度行政努力をしてみたい、こうおっしゃっているけれども、かりに一歩譲って、四十二年度の実績と同じように、十七億の収納率向上が行政努力によってできたとしたならば、七十四億円プラス十七億円になるんじゃないだろうか。そうすると、実際の保険料の増収というものは、九十一億円になりませんか、こう言っておるのですよ。
#42
○加藤(威)政府委員 先ほどの十七億八千万、この行政努力は収支両面にわたっておるわけでございます。収入面の行政努力と支出面の行政努力とあるわけでございますが、この十七億八千万円は、主として支出面の行政努力の数字でございます。レセプト点検による財政効果が十七億八千万。先ほど私ちょっと申し違えましたけれども。したがって、四十二年度の行政努力は二十五億、そのうち十七億八千万がレセプト点検でございます。それで、二十五億の行政努力の中には、レセプト点検の効果のほかに収納率の向上等あるわけでございますが、それはわずかに六億くらいの見込みでありましたが、これが大幅にふえて約四十億くらいふえた。したがいまして、実質的に四十二年度の行政努力は、見込みが二十五億であったわけでございますが、七、八十億になっておる、こういうことでございます。
#43
○山本(政)委員 そうすると、四十四年度において、あなた方はどれだけをお見込みになっておるのですか。
#44
○加藤(威)政府委員 先ほど申し上げました四十四年度の二十五億の行政努力というのは、レセプト点検――要するに、四十二年度の十七億八千万に対して、四十四年度はレセプト点検を二十五億やる。そのほかに、収納率につきましては、先ほど手ぬぐいの例で申し上げましたけれども、限度一ぱいだということで四十三年度と同じ収納率でございます。それから標準報酬の適正把握というものを全部それをこえまして、先ほど申し上げましたように、四万六十何円の標準報酬、こういう組み立てになっておるわけでございます。
#45
○山本(政)委員 ともかくも仮定の問題としたら、七十四億プラスアルファというものが出てくるごとはお認めになるわけでしょう。そうならないとおかしいはずだ。つまり私が申し上げたいのは、八十三億の保険料の増収があったというのでございますけれども、先ほどの春闘のアップというようなことで考えれば、七十四億では済まされない、百億近くになるのではないだろうか、そういうことをあなた方はお考えになりませんか、こう言っておるのです。
#46
○加藤(威)政府委員 一応一七%のアップということであれば、数字的にはじきますれば七十四億ということでございます。一応いままでの収納率はそういう状況で七十四億ということでございます。したがって、この一七%がどう動くかということによって、また七十四億というものは変わってくる可能性はもちろんあります。したがって、一七%がもうちょっとふえれば、また七十四億も変わるだろうということでございます。
#47
○山本(政)委員 だから、当初から仮定の問題として、七十四億というものはそのままにしておいて、あなたのおっしゃることから類推すれば、保険料の増収の中には、その上にプラスアルファというものがあるのでしょう。標準報酬と、それから収納率とかその他のプラスアルファがあって結局八十三億になったのだったら、かりに七十四億というものを上下することはあるにしても、それにプラスアルファというものがつくということは考えられるでしょう、こう言っているのです。そうでしょう。
#48
○加藤(威)政府委員 四十四年度収納率については九七・九という収納率でございますが、これは過年度も合わせまして九七・九でございます。現年度は九九%まで取ってあります。したがって、収納率が一〇〇%までいくというようなことがありますならば、これはまた変わってくるかもしれませんけれども、私どもといたしましては、収納率は、これは地方税、国税に比べて絶対に負けないくらいの努力をやっておりまして、これは取り得る最大限に近い収納率ではないかというぐあいに考えておりますので、それがさらに一〇〇%くらいになるということであれば、また違ってくるかもしれませんけれども、一応私どもといたしましては、行政努力をした結果が、ここに申し上げますような数字になるだろう、こういうことでございます。
#49
○山本(政)委員 加藤さんね、逃げちゃいけませんよ。収納率というものについて、あなたは九十何%が一〇〇%になるという、それだけのことをおっしゃったけれども、あなたのおっしゃるように、レセプトの点検もあるでしょう。標準報酬というもののきちんとした調査による徴収というものがあるはずですよ。そういうものが入った場合には、これはもっとプラスアルファがつきませんかと、こう言っているわけですよ。収納率というものは、それは九十何%が一〇〇%に持っていくのはなかなか至難でしょうよ。つまり、収納率と言ったらことばが悪ければ、徴収率でもいいですよ。しかし、あなたのほうでレセプトを点検することによって、あるいは標準報酬というものを正確に把握することによってプラスアルファというものが出てきませんかと、こう言っているのですよ。
#50
○加藤(威)政府委員 この一七%の七十四億というのは、これは収入面でございます。したがって、たとえばいま先生御指摘のように、レセプト点検の問題が出ましたけれども、レセプト点検は、私どもは四十四年度二十五億程度見込んでいるということを申し上げたわけでございますが、これはうんと努力して、たとえば五億伸びたということであれば、あるいは二十七億の赤字がそれだけ減少するかもしらぬということは言えると思いますけれども、この保険料収入は、これは収入面の財政効果でございますので、これは、標準報酬をどう見るかということと、収納率をどれだけ見るかということによって動くわけでございます。そういう意味におきまして、収納率は、まあ私どもとしてはぎりぎり一ぱいまで取っているという感じがいたします。標準報酬も、したがいまして一七%の場合には七十四億ということでございますが、これがさらに、この一七%がたとえば一七・五になるとか、そういうことになった場合に、またこの七十四億の数字は変わってくる可能性はあるかもしらぬ、こういうことでございます。
#51
○山本(政)委員 どうも議論がかみ合わないようですけれどもね。四十四年度の場合には、いいですか、保険料が千分の一上がる。四十二年度の場合には、千分の六十五から七十になったわけでしょう。それから、ここには、初診時、入院時、外来投薬時の一部負担、そうして国庫補助と、こう書いてあるのですよ。ここまでは同じなんですよ。ところが、四十二年度の場合には行政努力というものを書いているけれども、四十四年度の場合には、行政努力というものがここに書いてないわけだ。そうしてちょっと奇妙なことには、行政努力が二十五億円、これはプラスの面として四十二年度には入っているけれども、四十四年度の場合には、逆に、分娩費の改善ということで、同じ金額の二十五億円ということがマイナスに入っている。そうしたら、行政努力というものは、全然あなた方はお考えになっておらないのかどうか。これからまずそれじゃお伺いしましょう。
#52
○加藤(威)政府委員 確かに、そういう予算のあらわし方の面におきましては、四十四年度にその行政努力というものの数字が表に出ておりませんので、その点、確かに食い違いがあるわけでございますが、まあ、私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、行政努力を四十四年度やらぬということではございません。特例法の延長という非常に申しわけないことをお願いしているわけでございますから、行政努力はさらに一そうやらにゃいかぬ、こういうことでございます。
 それでその数字は、すでにあげておりますところの保険料とか、それから給付費の中に織り込み済み、内訳として入っておる、こういうことでございまして、外ワクにしなかったということでございます。したがって、給付面のたとえばレセプト点検の行政努力につきましては、一応二十五億というものを――あるいは、給付面の見込みを二十五億ふやしまして、別ワクとしてレセプト点検の行政努力二十五億、そういうことで給付を差っ引くという方法もあるわけでございますが、そういうことをやらぬで中に込めて書いた、こういうことでありますので、何とぞ御了承願いたいと思います。
#53
○山本(政)委員 そうするとなおさら問題が出てきます。保険料の改定ですね、千分の六十五から千分の七十二に上げることによって百九十五億円、四十二年度は増収の見込みがあるわけですね、実施をされた場合には。千分の六十五から千分の七十二に上げることによって、この間には二年間という年月が経過をされ、標準報酬というものの上がりもあるでしょう。そういうことになれば、行政努力も全部含めちゃって、四十二年度と四十四年度では二億しか差がないということなんですか。つまり、保険料の増収というものについて、特例法の実施によって。片一方二年前は百九十五億贈収になります、今度四十四年度は行政努力一切そういうものも含めちゃって百九十七億になります――その中には一切がっさい含めちゃって、二億の違いしかないわけですね。そんなばかなあなた方の予算の組み方がありますか。
 もっとはっきりとお答えをしていただかぬと、もう一ぺん繰り返しますけれども、あなた方は、前には行政努力というものも五十五億、四十二年度に入っている、しかしこっちには入っていません、しかし同じような努力をしてみたい、こうおっしゃっているわけだ。それで、特例法が実施されれば、保険料の改定によって要するに四十二年度百九十五億の増収になります、しかし今度は、二年後の四十四年度は、行政努力から全部ひっくるめて、特例法が延長されれば百九十七億増収になります――そうすると、たった二億円しか違わぬわけですか。二年間に二億円しか違わぬということは、数字的にはぼくは非常におかしいと思うのですよ。
#54
○加藤(威)政府委員 先生の四十二年度の保険料収八百九十五億円という数字は、これは政府提案の数字でございまして、このときには、保険料率は千分の六十五から七十二に上げる、七十二まで上げた場合に八月実施で百九十五億と、こういう数字だったわけでございます。ところが御承知のように、国会で千分の二修正されまして、千分の六十五から千分の七十に引き上げる、千分の五の引き上げにとどまったわけでございます。その結果、八月実施で保険料収八百三十九億でございます。それに対しまして四十四年度は百九十七億、こういうことでございます。
#55
○山本(政)委員 それでは、とにかくかりに千分の一アップすることによって、四十四年度は、四十四年九月からかりに――かりにですよ、特例法を実施することによって幾ら上がります。
#56
○加藤(威)政府委員 料率千分の一上げますと、三十三億でございます。
#57
○山本(政)委員 そうすると、たいへん済みませんけれども、信険料率の改定で四十二年度は千分の七十になったわけですね。このときはこれは幾らになったわけですか。
#58
○加藤(威)政府委員 千分の七十二のときに百九十五億でございますから、それが千分の七十にして百三十九億でございますから、差額が六十億。したがって、千分の一は約三十億、こういうことでございます。
#59
○山本(政)委員 だけれども、八十三億の増収があったわけでしょう。だからこれは二百億をこすわけじゃありませんか。そうしたら四十四年度は、少なくとも保険料の増収というものは百九十億か、二百億をはるかにこすはずじゃありませんか。私は山田委員とは別の観点から、あなたにお伺いしておるわけですよ。
#60
○加藤(威)政府委員 繰り返すようでございますが、四十二年度におきましては、その八十三億の収入増というものについては、収納率の向上が非常に大きかったわけでございます。具体的に数字を申し上げますと、当初見込みは収納率が九六・六と見ておりましたのが、実績では九七・八になったわけでございます。一・二%という非常に大きな行政努力というものをやったわけでございます。したがいまして、その結果、保険料収入が非常にふえた。しかしながら、四十四年度になりますと、この九七・八という数字は非常にきつい数字でございまして、わずかに〇・一上げまして九七・九が今年度の収納率でございます。したがって、保険料の収納率の上昇による収入見込み増というものは、四十四年度ではほとんど期待できない。そういう点が事情が違うということを御了察願いたいと思います。
#61
○山本(政)委員 収納率はなるほど上がったでしょう。上がったでしょうけれども、それは四十二年度、四十三年度、四十四年度も、同じような率でずっと継続していく努力というものは続けられるだろうし、大体それは可能でしょう。つまり、一〇〇%にはならないにしても、四十二年度の収納率とほぼ同じような収納率というものはできるはずだと思うのですよ。しかも、あなたのおっしゃるような言い方をすれば、行政努力も四十四年度は入れましたということで、百九十七億の中に入っておるわけでしょう。それも入って収納率も四十二年度と同じような収納率になっていくならば、百三十九億というものに増収が八十三億あったんだから、二百二十二億ですか、これだけのものが結局は保険料の収入として出てくるはずだと私は思うのですよ。それが四十四年度には百九十七億にしか出ておらないというところに問題があるのですよ。つまり、標準報酬とか、山田委員の言ったようなベースアップとかなんとかというものを一切抜きにしても、百九十七億というあなた方の延長による増収見込みというものが非常に少な目に、過小に評価されてないか、そういうことを申し上げたいのですよ。
#62
○加藤(威)政府委員 繰り返すようでございますが、四十二年度には保険料の収納率というのが――率直に申しますと、四十一年度以前はまだ努力が足りなかったということが言えると思います。したがって九六・六というような収納率を当初見込んだわけでございますが、それを最大限の努力をいたしまして、九七・八という収納率に引き上げたわけでございます。それを今後はずっと維持していく、こういうことでございます。したがって、四十三年度も九七・九くらいだと思いますが、ほとんど四十二年度に達成いたしましたその行政努力の収納率を落とさないようにということで四十三年度はきたわけでございます。四十四年度もそれでいく、こういうことでございますので、収納率によるプラスアルファというものはほとんど期待できない。したがいまして、収入面での見込み違いというものがあるとすれば、先ほどから議論になっております標準報酬の見込み違いということでこの保険料の額は違ってくるかもしれない、しかしその他の行政努力の面における違いというものは、私どもとしては、ほとんどもうこれが目一ぱいじゃないか、こういう感じでございます。
#63
○山本(政)委員 論点が違うのですよ。いいですか、千分の六十五から千分の七十に改定になったわけでしょう。しかしそのことによって百九十五億というものが百三十九億に減った。だけれども、決算をやってみたら八十三億という増収が出てきた。そうすると、百三十九億と八十三億を足してごらんなさい。二百二十二億になるでしょう。だから二百二十二億というものは四十四年度にも引き継がれるのではないかと、こう言っているのですよ。さらに、増収をそれだけ残すのではなくて、八十三億の増収分というものは、そのままずっと四十三年度も引き継がれるわけじゃありませんか。四十四年度にも引き継がれるわけじゃありませんか。そうすると、かりに四十二年度と同じように四十四年度も踏襲をされるとしたら、この四十四年度のものは、標準報酬のアップということを考えないでも、二百二十二億という数字というものが出ていいのじゃないだろうかというのです。私が申し上げたいのは、二百二十二億出たら、分娩費の二十五億を差し引いてごらんなさいよ。赤字、黒字なしですよ。ここはゼロになるのですよ。そうなるじゃありませんか。
#64
○加藤(威)政府委員 確かに八十三億という数字が出ておりますが、これは保険料の収納率の向上と標準報酬のアップというものとの合計でございますが、それを先生のおっしゃるように計算いたしますためには、これは根っこから入っているものでございますから、それの七十分の五だけが、四十四年度の千分の五の場合にははね返ってくる、こういうことになると思います。要するに全部の努力としてそれだけ入っているわけでございます。だから、千分の五に対応するものといたしましては、それの七十分の五の金額というもので考えなければいかぬという感じがするわけでございます。
#65
○山本(政)委員 それじゃ、かりに昭和四十四年度の保険料を千分の六十五から千分の七十として、千分の一アップしないということでやってみましょうよ。そうしたら、昭和四十二年度は百九十五億という見込みであったけれども、国会において料率のアップというものが修正されたから百三十九億に減ったというのが、あなたのお答えなんです。しかし決算によったら八十三億の増収があった、こういうことでしょう。それは皆さん方の努力もあったでしょう。しかし、ともかくも八十三億の増収があったんだから、決算からいけば百三十九億プラス八十三億、合計は二百二十二億というのが実際の数字として出てくるでしょう。そうしたら、それをそのまま、四十四年度に千分の一アップしなくても、その数字というのが四十四年度のところに記載をされていいんじゃないか、こう言っているのですよ。これは初等数学じゃないかとぼくは思うのです。ぼくのほうに間違いがあれば別ですけれども、そういう計算が成り立ちませんか。
 なお付言すれば、それに千分の一アップをするんだから、だからあなたのおっしゃるあれからすれば、プラスの三十三億というものがそれに加算されはしないだろうか。かりによしや加算をしないで、四十二年度と同じような金額で、私が申し上げたように踏襲してしまうと、分娩費の改善二十五億というものがマイナスの勘定になっておっても、結論としては、据え置き後の単年度見込み赤字というものはゼロになるはずだという計算になりはしませんか、こう言っているんですよ。
#66
○加藤(威)政府委員 具体的に申し上げますが、百三十九億というのは、千分の七十まで千分の五上げて八月から実施いたしました場合に百三十九億の財政効果がある。それに対しまして実績はどうか。決算ではその百三十九億がどういうぐあいに変わったかといいますと、百四十五億に変わったわけであります。それと、さっき私が申し上げましたように、百三十九億との比較において八十三億を見る場合には、八十三億に七十分の五を掛けてみなければ――百三十九億に対応する増加分というものは、それの七十分の五でございます。そういうことで実質的には百三十九億が百四十五億になった、こういうことでございます。
#67
○山本(政)委員 そうすると、今度は千分の一上がるわけですね。そうでしょう。つまり昭和四十二年度は、あなたのおっしゃりようからすれば、結果的には百三十九億になるわけだ。百三十九億になって、今度は昭和四十四年度には、千分の七十から千分の七十一にするわけですから、要するに千分の一上がるわけですね。そうすると、三十三億というものが加算されるわけでしょう。百三十九億に三十三億加算すれば百七十二億。百七十二億出てくるとすれば、残りの二十五億というのがそれじゃ行政努力になるわけですか、四十四年度の百九十七億というのは。これはおそらく標準報酬のアップということになるわけでしょう。そうじゃないのですか。
 私が申し上げたいのは、百九十七億から百七十二億を引けば二十五億になるわけですよ。その二十五億というのは標準報酬のアップも入っているし、あなたのおっしゃる行政努力も入っているし、収納率の向上も入っているのかというお伺いなんですよ。いずれにしても、しかし百九十七億なんというばかばかしい――ばかばかしいというのは言い過ぎですから訂正しますけれども、百九十七億の見込みというのは非常に少ない。保険料の増収としてあなた方が試算をしているのが、きわめて少な目な試算しか行なっていないということを申し上げたいんですよ。
#68
○加藤(威)政府委員 まず、その一つの百三十九億と百九十七億と比較します場合に、もっと早く申し上げればよかったのですが、百三十九億のときは実施が八月でございます。それから百九十七億は九月実施でございます。そういう一カ月のズレもある。また百九十七億という数字も、先生御指摘のとおりに、百三十九億に比較しまして相対的に小さいといわれる点は、そういう点もあることをお含み願いたいと思います。
#69
○山本(政)委員 それではその一カ月のズレでどれくらい違うのですか。
#70
○加藤(威)政府委員 三十三億でございます。
#71
○山本(政)委員 九月の実施で三十三億、平年で六十三億と、こうおっしゃったんですよ。一カ月で三十三億違うのですか。そんなに違いますか、ちょっとはっきりしてください。
#72
○加藤(威)政府委員 千分の五を千分の六に引き上げるのが一カ月おくれれば三十三億ということでございます。
#73
○山本(政)委員 だからあなたは、百三十九億というのは八月の実施だ、百九十七億というのは九月の実施だ、こうおっしゃったでしょう。そうすると、もし八月にこれを実施するとしたら、百九十七億よりか多くなるわけなんですよ。それで片一方は百三十九億というのは、昭和四十二年度の場合には八月から実施しておるんだ、こういってお答えをしておるわけだ。だから一カ月違えばどれだけ違うんですかとぼくは質問しているんですよ。だから、百三十九億がかりに九月に実施されたとしたら決算はどうなりますかということを聞いたほうが、わかりやすいかもわかりませんね。
#74
○加藤(威)政府委員 百九十七億はとにかく六カ月分、それから百三十九億は七カ月分でございます。したがって、たとえば百三十九億は、一カ月おくれれば、これを七で割りました二十億足らずのものが、それだけ減になる、こういう計算になるわけでございます。百九十七億のほうは、それを六で割りまして、それで一カ月分が出ますから、一カ月早めればそれだけ財政効果がふえる、三十三億ばかりふえる、こういうことでございます。
#75
○山本(政)委員 そうすると、約二十億というんですから、かりに九月から四十二年度に実施された場合には、百二十億ぐらいになりますね。そうでしょう。そしてあなたのおっしゃる千分の五をこれにプラスしたら幾らになりますか。
#76
○加藤(威)政府委員 千分の五というのは……。
#77
○山本(政)委員 つまり八十三億の中には、八十三億まるまる入れられない……。
#78
○加藤(威)政府委員 七十分の五です。
#79
○山本(政)委員 それを結局入れなければならない。そうすると、七十分の五というものをこれに入れるとどうなりますか、一カ月おくれで。
#80
○加藤(威)政府委員 百三十九億として計算いたしますと、さっき申し上げましたように、それに七十分の五を加えるということになりますと百四十五億ぐらい、こういうことでございます。
#81
○山本(政)委員 それは八月からでしょう。かりに九月からとすればどういうことになりますか。
#82
○加藤(威)政府委員 九月からやれば百二十四億です。
#83
○山本(政)委員 そうすると、百二十四億と百九十七億を一応比較してみましょう。百九十七億の中には、あなたのおっしゃるように、行政努力が二十五億ぐらいですか、先ほどのお話だったら。
#84
○加藤(威)政府委員 先ほど私が申し上げました四十四年度の二十五億の行政努力というのは、レセプト点検のほうの行政努力でございまして、これは支出面の行政努力でございます。したがって、この収入面の百九十七億には直接関係ない、こういうことでございます。
#85
○山本(政)委員 そうすると、百九十七億から百二十四億引きますと、大体七十三億ですね。七十三億というと、ここに出ておる一七%アップをすれば七十四億という見通しになるというのと、ほとんど違わぬじゃありませんか。本来ならばもっと多かるべきはずだけれども……。
 そうすると、あなたのおっしゃる七十四億というのは、これは標準報酬のアップというものを考慮して入れたんではないでしょう。つまり私の申し上げておるのは、百九十七億プラスの七十四億というものが、実際は山田委員のおっしゃるようなあるべき姿だろう、こういう論理になっておると思うのですね、山田委員の場合は。そうすると、この七十四億と、ここでいう七十六億の差というのは、一体原因はどうなんでしょうかね。これはやはり標準報酬のアップですか、二年間にわたる。
#86
○加藤(威)政府委員 これは結局、四十二年度におきましては、当時の平均標準報酬というものによって、それに料率をかけて、収納率をかけて、そしてそれの千分の五が、修正後で申せば百三十九億、そういうことでございます。したがって、要するに私どもといたしましては、その百九十七億が変わるとすれば、山田先生の御指摘のような、標準報酬のアップ率が私のほうの見方が少なかったということによっては、これは変わることがあるかもしれません、こういうことでございます。
#87
○山本(政)委員 この七十六億の差というのは、四十二年と、それから四十三年というものの経過を経て、七十六億という差が出てきているわけですね、結論から言えば。そうすると、標準報酬を単純に計算をしていくと、一年間に三十八億ずつ標準報酬のアップが出てきておる、こういう計算になるんだろうかどうだろうか、その辺をちょっとお伺いしたいのですけれどもね。
#88
○加藤(威)政府委員 先ほどの百九十七億というのは、特例法だと千分の六十五から千分の七十でございますが、分べんの一が入っておるわけでございます。したがって、先ほどの四十二年度の百三十九億と、それを修正いたしまして、いま先生のおっしゃるように、百二十四億というものと比較するといたしますれば、百九十七億から千分の一を引いた百六十四億というものと比較する、こういうことになると思います。
#89
○山本(政)委員 一応それで了解いたしますけれども、そうすると、行政努力は限界に達したということですね。こう見てもいいわけですね、収納率の点から見れば。
#90
○加藤(威)政府委員 収納率の点について見ますれば、もうぎりぎりで、いまのベースを落とさないように最大限の努力をしている、こういうことでございます。
#91
○田邊委員 関連質問。いま行政努力について質問がされておりまするけれども、その中で特に収納率については、もう目一ぱいの努力をしておるからこれ以上無理だ、こういうお話が再三繰り返されております。ところで、あなた方の行政上のやり方に対して、毎年会計検査院が検査を行なっておりまするけれども、その中で、特にこの保険料収入に対する徴収不足についての検査を行なって、あなた方に御報告があると思うわけでありますが、三十八年以降、摘出調査によるところのこの徴収不足についての不当事項としての指摘を、ひとつ調査済みの事業所数、それの被保険者数、それに対する不当利用者数、同じく不当被保険者数、同じくそれに対するところの不当割合、これは一体三十八年から四十二年までどの程度になっておりますか。
#92
○加藤(威)政府委員 三十八年には、会計検査院で調査いたしました事業所が四千四百二十五でございます。それで不適当であると指摘を受けた事業所数が千八百二十五。これは健康保険と厚生年金と両方かかっておりますが、私の所管の健保だけを申し上げますと、健康保険について指摘を受けました金額が二千五百三十八万円でございます。それから指摘事業所だけ申し上げますが、三十九年の指摘事業所が千八百七十、不当金額が二千五百十八万円、四十年度が指摘事業所千三百、指摘されました金額が千五百六万円、四十一年度が千四百九十二指摘事業所、指摘されました金額が千九百六十一万円であります。四十二年度が指摘されました事業所が二千三百十、金額が三千二百十九万円、こういうことでございます。
#93
○田邊委員 そこで、調査をいたしました被保険者の数に対していわゆる徴収不足として認められた不当な被保険者数、そのいわゆる不当割合を比較をいたしますると、三十八年が七・六%、三十九年七・五%、四十年が四%、四十一年が五・一%、四十二年は上がりまして六%、こういう形になっておるわけであります。
 そこで私は、これは摘出調査でありまするから、二十人から百人の事業所数と、同じく二十人から百人の事業所におけるところの被保険者数、これに引き直してみます。そうすると、一体どのくらいの不足があるかと推定をいたしますならば、三十八年度において五億九千六百万、三十九年度は五億八千四百九十六万、四十年が三億四千七百六十九万、四十一年が五億二千九百十八万、四十二年は増加をいたしまして六億八千八百九十二万六千、こういう形になるわけでありまして、いわゆる徴収不足の金額は、いまの私の推定から言いまするならば、四十年を境として再び増加をしている、こういう状態になっておるわけでありまして、会計検査院の指摘から見まして、いわゆる徴収不足の金額は四十年から増加の一途をたどっているということ、すなわち行政努力について欠ける点ありと指摘をされていると思うのであります。
 そこで、私は関連質問ですから、あらためてまた私の質問のときに詳しくお伺いいたしまするけれども、この行政努力の一環として、社会保険の事務所において、こういった面に対する徴収不足の是正に対して、その衝に当たっているのは一体どなたでございますか。
#94
○加藤(威)政府委員 社会保険事務所におきましてこういう関係の仕事をやっておりますのは、社会保険調査官というものがございます。
#95
○田邊委員 その社会保険調査官による徴収不足の是正は、最近の例でけっこうでございます、四十一年、四十二年、四十三年は、一体どのくらいの是正をいたしていますか。
#96
○加藤(威)政府委員 社会保険調査官によりましてあげました財政効果につきまして、健康保険では、四十年度におきまして十一億九千八百二十九万円でございます。それから四十一年度は十四億五千四百六十二万でございます。それから四十二年度は二十二億二千四百八十八万円。四十三年度、これは見込みでございますが、二十九億五千万程度の見込みということになっております。
#97
○田邊委員 今年においては、一体どのくらいのこの調査官による徴収不足の是正を見込んでいらっしゃいますか。
#98
○加藤(威)政府委員 積算の基礎といたしまして、社会保険調査官による財政効果として別ワクの計算はやっておらないわけでございます。いま申し上げましたような、調査官によって節約されました保険給付費というものは、結局その年の保険料収入の増という形で入ってきているわけでございます。そういう実績を基礎にして四十四年度の数字を計算する、そういう形になっておりますので、その積算の基礎としては、特に社会保険調査官の分がこれだけという計算のしかたはしておりませんけれども、この従来の傾向から見て、少なくとも三十億をこえるものがその中に含まれるというぐあいに考えられます。
#99
○田邊委員 それに対してはちょっと意見がありますけれども、あとに譲りまして、この調査官の予算定数は四十年以降一体どのようになっていますか。
#100
○加藤(威)政府委員 予算定員は四十年度五百七十九名でございます。それから四十一年度五百九十名、四十二年度六百十三、四十三年度六百二十七、こういうことになっております。
#101
○田邊委員 四十四年度は……。
#102
○加藤(威)政府委員 四十四年度は六百三十名でございます。
#103
○田邊委員 その予算定数に対して、毎年の二月一日の現在員は一体どのくらいになっておりますか。
#104
○加藤(威)政府委員 四十一年度からの数字でございますが、四十一年度で現在員が五百三十八名でございます。それから四十二年度が五百四十一名。四十三年度が、これは四十四年二月現在でございますが、五百四十四名、こういうことでございます。
#105
○田邊委員 行政努力をしなければならぬというあなた方の使命がある。そういった中で、社会保険調査官によって徴収不足の是正をはかっており、今年も約三十億以上のものを見込んでおるという形でありますけれども、予算定員に比較をして現在員があまりにも少ないですね。四十三年においても、わずか六百二十七名のところ、四十四年二月現在において五百四十四人しかおらない。これは一体どういうわけですか。こんなことで、一体、行政努力は最善を尽くしているというふうにあなた方はお考えですか。わずかの調査官によって徴収不足の是正をしておる。これ以上は行政努力はできないと言ったけれども、調査官の現在員において定数を満たしておらないじゃありませんか。定数一ぱい働いてはおらないじゃないですか。それであなた、行政努力はぎりぎりですか。なぜこれだけの不足をあなた方は充足をしないのですか。
#106
○加藤(威)政府委員 たとえば保険料収納についての行政努力をやります場合には、私どものほうには二百をこえる社会保険事務所がありますが、その職員をほとんど総動員して、たとえば保険料徴収の場合には、どういう仕事をやっているかということはそのときには全然問題にしないで、全員町に出ていくというような努力のしかたをやっております。総員というと語弊がありますけれども、係が違っても、たとえば年度末とか年末に保険料収納の努力をするという場合には、その職種のいかんを問わずやってもらう、こういう形になっております。
 先生御指摘のとおりに、確かに、それを専門にやるべき社会保険調査官について欠員があるということはまことに申しわけないことでございますが、この調査官の任用についてはいろいろ基準もあるようでございまして、その適格者でないとなかなか任用できないというようなこともありまして欠員があるというような状態があるようでございますが、これについては極力補充につとめまして、そういう定員と現員との食い違いということのないように今後つとめたいと思います。しかし行政努力というものは、そういうことに関係なしに全力を尽くしてやっておるということだけは、お含み置き願いたいと思います。
#107
○田邊委員 予算定員に比べて現在員の少ないことに対するあなたの釈明は了承できません。了承できませんし、一審最後の答弁は何ですか。調査官の定数とは関係なしに行政努力をしているとは何だ。調査官は要らないね。総動員でやっているんだから要らないね。調査官がやっているところの徴収不足の是正が、十四億から近年三十億になんなんとする是正をしているんじゃないですか。このことは行政努力の一環じゃないですか。そういうことが必要ないというのなら、調査官はやめなさいよ。
#108
○斎藤国務大臣 調査官が定員を十分満たす程度になっていない、一割前後も欠員があるということにつきましては、私もいま聞いて意外に思っておるのでございます。この原因をよくきわめまして、定員一ぱい充実できるように努力をいたしたいと思います。
#109
○田邊委員 したがって、そういった面では行政努力を一〇〇%やっておって、収納率はこれ以上はだめだ、行政努力はこれ以上は積み重ねられない、そういういままでの御答弁は間違いですな。
#110
○加藤(威)政府委員 この会計検査院の指摘については、収納率については指摘を受けてないわけでございます。会計検査院の指摘で、ただいま先生の御指摘によりまして申し上げましたようなのは、結局、標準報酬といいますか、報酬の適正な把握に欠けている、そういうことによって保険料の取り方が足りない、全部そういう指摘でございます。保険料の収納率が低いからということの指摘ではないわけでございまして、保険料収納率についても、これ以上絶対にできないという言い方は、もし私がいたしたとすれば、これは取り消しますけれども、非常に限度に近いだけの努力はしておる。しかし標準報酬の適正把握、これはとにかく千二百万おる被保険者の賃金の実態はどうかということを一々調べなければいかぬわけでございます。これは、事業主がみな正直に申告してくれますと、そういう努力は要らないわけでございますが、申告漏れがある場合が相当あります。したがって、そういうものを一々事業所に出向いて帳簿を調べて、それぞれの被保険者の標準報酬がほんとうに実態賃金に合っているかどうかということを調査するわけでございます。その調査が、事業所が六十万ばかりありますので、なかなか行き届かない。そういうところに会計検査院が行って調べると、実態の賃金と届け出ている標準報酬が違っているじゃないか、それを是正する、是正すればこれだけの保険料収入がある、こういう指摘でございまして、そういう面の行政努力は今後ともますますしていかなければならないというふうに考えております。
#111
○田邊委員 私の聞いているのは、そういうことと違いますよ。いずれの形であっても、徴収に対してあなた方は責任を負わなくちゃいけない。したがって、国民に対してこれだけの迷惑をかけるのですから、行政官庁としては当然完ぺきな配置をしなければならぬ。一番いま問題になっている行政努力の面の一環として、いわゆる調査官の配置が、これは百人近くも毎年不足をして、これを平然と過ごしておって、もう行政努力は足れりということは、私は国民に対して言いわけが立たぬと思うのですよ。そういった点に対してはほおかむりしておって、それでもって、もうこれ以上はできませんというあなたの答弁は、私どもとしては了解できない。一体、これはどういう形でもってこの調査官の不足を補っていくつもりですか。いままで補わなかったことによる行政努力の不足に対して、一体あなた方はどういう責任を負おうとしているのか、その点に対して明確にしてもらわなければ、私は了承できません。
#112
○斎藤国務大臣 先ほども申し上げましたように、調査官の定員充足が十分できていないという点につきましては、私は遺憾であると思います。どういう原因で定員が充足できないのか、よく究明をいたしまして、そして御趣旨に沿うように努力をいたしたい、かように考えます。
#113
○島本委員 関連。ただいまの田邉委員の関連質問に対する大臣の答弁、百人ほどの調査官の不足、これを認めながら、資格要件がきびしくてこれを満たし得ないのだという答弁がいまあったわけです。資格要件がきびしくて満たし得ないものを百人も水増しして要求していたということはどういうことですか。これは国民を侮辱しておることになりませんか。同時に国会を欺瞞しておることになりませんか。こういうようなやり方は許されません。いまの答弁が間違いですか、大臣。これは重要です。いままで全然満たし得ないものを要求していたという結果になりませんか。これからの努力じゃないのです。いままでの欺瞞なんです。これは許されません。大臣、答弁願います。
#114
○斎藤国務大臣 先ほども申し上げますように、どういう理由で充足されていないのか、どういう努力をしておってもできないのか、私はその点をよく究明をいたしましてと申し上げておりますので、資格要件の点でと私は申し上げておるのではありません。またそのほかにも理由があるだろう、かように思いましたから、よく究明をいたしまして、さようなことのないようにいたしたい、かように申し上げておるわけであります。
#115
○田邊委員 大臣、過去数年間予算定員に要求をしているのですからね。それに比較をして現在まで足らなかった、これの原因をひとつ究明していただきたいと思うのです。あわせて、こういった状態の中で行政努力というものが完ぺきであったという言い分は、私は成り立たぬと思うのです。調査官による徴収不足の是正を三十億前後やっているわけですから。今年も行政努力の中ではかなりの部分を占めているわけですから。したがって、これの充足を前提としながら行政努力を積み重ねていくということは当然の義務である。これが明確にならなければ、やはりこういった特例法の審議についても支障がある、私はこういうように思いますから、これはきょうでなくてもけっこうでありますから、ひとつ調査をいたしまして、委員長、その状態を当委員会に御報告願えるように、委員長から御指示をいただきたいと思います。
#116
○森田委員長 了承いたしました。さよう取り計らいます。
#117
○山本(政)委員 それではもう一つ行政努力についてお伺いいたします。
 四十二年度に行政努力二十五億円という金額がありますけれども、これは収納率が六億と見ておったわけでしょう。これはほとんど見込みどおりに達成することができた。あとはレセプトの点検、これが十七億八千万円で、二十五億のうち、二つを合計すると二十三億八千万円になるのですけれども、政府は審議会の総合部会での答弁でこういうふうにお答えになっているのですよ。四十二年度の行政努力として二十五億円の財政効果を目標として一そしていま申し上げた内訳を御説明になって、そのあと四十四年度にもこの程度の行政努力を織り込んでいる、こう言っているわけですね。これはどなたが御説明したのか私は知りませんけれども、ちゃんと文書になって出ております。そうしますと、二十五億円の行政努力というものは−私は加藤さんが、片一方は収入であり片一方は支出の減である、こうおっしゃるけれども、やっぱり四十四年度の予算の中には、行政努力というものを、四十二年度のこの説明資料と同じような入れ方というものをすべきではないか、こう思うのですよ。そうじゃございませんか。かりにもし加藤さんがお認めになるとすれば、百九十七億というのは、これは二十五億円、先ほどの御議論からすれば、減らしたことになってしまうのじゃないだろうか、実は私はこういう疑問がわいてくるわけですよ。この辺についてのお答えをちょっとお願いしたいと思います。
#118
○加藤(威)政府委員 四十二年度の行政努力につきましては、一応行政努力の目標として掲げましたのは、先生御指摘のとおり、レセプトの点検について十九億、保険料関係六億、合計二十五億。実績は若干食い違っておりますけれども、そういう努力をした数字を掲げたわけでございます。四十四年度につきましては、先ほど申し上げましたように、いまの二十五億の大半はレセプトの点検でございますが、レセプトの点検につきましては、四十四年度特に別に数字を掲げなかったわけでございますけれども、レセプトの点検は四十二年度、三年度と同様に励行していく、それに基づいて四十四年度は二十五億程度のレセプト点検による支出減ということが考えられるわけでございます。それにつきましては、もうすでに四十二年、三年あるいは四十一年からそういう努力を続けておりますので、そういうものが給付費の中に組み込まれて、給付費のある程度の減という形ですでに実績となって出ておるわけでございますから、それを基礎にして医療費なり何なりを積算するという形になりますと、四十四年度の医療費の積算の中には、すでにそういう行政努力が組み込まれた形の四十二年度、三年度の医療費というものを基礎にしてやるわけでございますから、当然組み込まれてくる。こういうことで別ワクにしなかったわけでございます。したがって、レセプト点検なら四十四年度は二十五億程度のものが出てくる、それはすでにその予算の中に組み込まれている、医療給付費の中ではそういうものを減らしたあとの形として出てきている、こういうぐあいに御理解願いたいと思うのでございます。
#119
○山本(政)委員 私は、あなたのおっしゃる意味がちょっとつかみかねるのですけれども、簡単でいいのです、百九十七億の中に、四十二年度にあった行政努力と同じような二十五億というものが入っているのか、入ってないのか、それだけでいいです。
#120
○加藤(威)政府委員 百九十七億というのは保険料関係の収入の数字でございますが、保険料率につきましては、先ほどからるる申し上げておりますように、もうほとんど限度に近い数字でございますので、一応九七・九という数字、これは四十三年度と同様な数字でございますが、それを入れてある。あとは標準報酬の適正把握という面、これはまあ賃上げの影響とかそういうものがありまして、したがって、そういう影響であるいは動くことがあるかもしれぬということでございますが、先ほどの先生御指摘の二十五億のうちの大手はレセプトの点検の数字でございます。そうすると、これはこの百九十七億に関係なくして、むしろ支出面の減、こういう形で出てくるわけでございます。そういうことで、もう織り込み済みの数字だ、こういうことでございます。
#121
○山本(政)委員 入ってないとすれば、四十二年度には行政努力として十九億、実績で十七億八千万円というものが、つまり収入面としてこれは計算されているわけです。そうでしょう。
#122
○加藤(威)政府委員 支出面ですね、先生のおっしゃるのは。
#123
○山本(政)委員 ええ、支出面ですね。そうすると、四十四年度に、これは別に、あなたのおっしゃる十九億というものがここに書かれなくてもいいのかな、そういう疑問が実はどうしてもわくんです。片一方には二十五億をちゃんと書いておいて、片一方にはこれを書いてない。どうも私は納得いかないんですが、その辺は記入すべきであったのではないだろうかという気がするんですが、それだけでけっこうですから、あなたのお考えだけ聞かしてください。次に移りたいと思いますから。
#124
○加藤(威)政府委員 これは予算のあらわし方の問題だと思います。ですから、これを別ワクに外に出して、そして給付面を削っておくというやり方もあると思います。ですからとにかく結果としましては二十五億。たとえばレセプト点検なら二十五億やるということにはもう変わりございませんので、表現のしかたは、先生おっしゃるような表現のしかたもあると思います。
#125
○山本(政)委員 政管健保の保険料の千分の一を上げるとすれば、そうして標準報酬の伸び率を各年一〇%として計算をした場合の資料をここにいただいておりますけれども、それによれば、四十四年度が約六十三億円、四十五年度が七十一億円、四十六年度が八十一億円、四十七年度が九十二億円、四十八年度が百四億円、こうなっておるのですが、これに見合う分娩費の費用というものをお示しをいただきたいと存じます。
#126
○梅本政府委員 給付費のほうのお尋ねでございますけれども、これを長期的に見込みますことは非常に困難でございます。しかし、一応のいろいろの仮定を置きまして、しいて計算をしてみました場合に、先ほど先生がおっしゃいましたあれに相当しますものとしまして、四十四年度から順番に申し上げますと、四十二億、四十五億、四十八億、五十一億、五十三億、こういうふうな数字になります。
#127
○山本(政)委員 そうすると、四十四年からとにかく、先ほどの山田委員の話じゃありませんけれども、大体一〇%以上上がっておる。一〇%以上上がっておって、分娩費は、これは額からいえば、そうはなはだしい額の上がりじゃないと思うのです。たとえば四十四年度は六十三億で、標準報酬ですよ、そして分娩費の費用は四十二億ということになる。しかし、四十八年までいくと、片一方は伸び率がかりに一〇%として百四億になるわけですね。そして片一方、分娩費は五十三億になる。標準報酬の伸び率がはるかに高い。分娩費のほうは、わりとテンポからいえば低いということが言えるのだけれども。
 そうしますと、私にもしこういうことを言わしていただくと、どうも分娩費というものを支給することによって保険料千分の一上げるという、つまり目玉商品を出して、そうして被保険者からは千分の一という料率で保険料というものを取り立てていく、こういう考え方というものが背景にあるような気がするわけです。つまり私が申し上げるのは、少なくとも政管健保に関しては、収入というものを非常に少なく見込んで、そして支出というものを非常に多く見込んでいる。これが一つ。もう一つは、さらに、目玉商品と言ったらおかしいですけれども、何かを結局サービスをするという形を示しながら、片一方では保険料のアップという収奪というものを非常に大きくしている、こう私は思うのです。この二つの点に対して、これはどなたになりますか知らぬけれども、ひとつお答えをいただきたいと思うのです。
#128
○梅本政府委員 まず、先生の先ほどの御質問は、非常に長期的な数字の御質問でございましたが、この点につきましては、年金と違いまして短期保険でございますので、われわれといたしましては、あまり長期的な計算はいつもやっておりません。少なくとも、御審議をお願いしております問題につきまして、明確に支出の増加額は今年度二十五億円でございます。料率にいたしまして千分の〇・七に相当いたしております。これを結局千分の一に引き上げるということで〇・三の差が出てくるわけでございまして、その点を御指摘だろうというふうに思いますが、千分の一でお願いいたしました理由といたしましては、御承知のように、政府管掌の健康保険は被保険者、家族を含めまして二千五百万の数でございます。そして、この保険料率の納付の事務をやっていただいております適用の事業所は、約六十万に及んでおるわけでございます。そういう点がございますので、この政府管掌の健康保険を中心にしました、特に政府管掌の保険におきましては、やはり窓口事務の簡素化なり、あるいはその複雑化を避けるという観点から、当初から制度が成り立っております。したがいまして、御承知のように、これは別の観点からでございますけれども、標準報酬制というのをとりまして、ぴちっと毎月の月給額そのままということでなしに、一定のランクの間に入りましたものを一つの幅をきめまして、標準報酬のところで当てはめて保険料を納めていただく。あるいは定時決定の制度を導入いたしまして、十月に定時決定をいたしましたらそれで一年間標準報酬を固定するというふうな、非常に事務簡素化その他の、窓口事務の複雑にならないようにというふうな観点で制度を組み立てておるわけでございます。そういう観点から、今回の分娩の問題につきまして、財源としましては千分の〇・七でございますけれども、こういう制度のたてまえからしまして、慣例的に従来から、保険料率につきまして、少数点以下の端数のつきました料率はきめてきておりません。したがいまして、最低の千分の一の料率のアップをお願いをしたわけでございます。
 この千分の〇・三の分でございますけれども、これは財政計算におきましてお取り上げになるかどうか。申し上げておきますと、やはり先日来御議論になっておりますように、われわれのほうは単純に過去の実績をそのまま用いまして、そして計算をしておりまして、千分の〇・七になっておるわけでございます。しかし、この計算におきましては、御承知のように、直近の実績といたしまして、世間を騒がせましたいわゆるひのえうまの年でございます四十一年の状況を含んで、過去の実績で計算しておりますので、財政計算としましては、やはり少し余裕を持っておるわけでございます。
 また、この分娩の関係でございますが、明確に数字計算であらわせとおっしゃいました場合には非常に困難でございますけれども、最近の傾向といたしまして、女子の被保険者の占める割合が非常に増加をしてきております。中でも出産の年齢階層の女子被保険者の増加も予想されます。また四十四年度以降は、戦後のベビーブーム期に生まれました被保険者が出産年齢に達するというような時期でございますので、分娩費の増高傾向もあるというふうに考えられるわけでございます。そういう点から見まして、先ほど申しましたように、慣例的に千分の一ということにいたしましたが、〇・三の分につきましては、そういう傾向も含めましてぜひお願いをいたしたいということでございます。
#129
○山本(政)委員 あなた方からいただいた資料によってでも、四十四年度の診療報酬の伸び率を一〇%とした場合には、千分の一に上げた場合に六十三億になるわけでしょう。そして、その分娩費の支出が二十五億ということならば、差し引きは幾らになりますか、三十八億か何かがプラスとして出てくるわけですよ、この面だけからいえば。そうすると、この予算は二十七億の赤字だと言っているけれども、結果的には黒字になるのですよ、それだけ。だからこの予算というのは、先ほど私が申し上げたように、二つの考え方からすれば、入ることをはかって出ることを非常に押えている。少なくとも予算上からいえば黒字になる予算であると思うのです。それが二十七億の赤字になっている。この辺がおかしいと思うのですよ。私はあとでいろいろ五十条についてもちょっとお伺いしたいと思うのですけれども、予算から見れば、決して二十七億の赤字になるのではなくて、むしろ黒字になると思うのだ、四十四年度というのは。しかも山田さんのお話のように、一六・二一上がればもっと黒字が出てくるはずなんですよ。だから、あなた方のお考えでは赤字になっているということですが、私どもから言わせれば当然黒字になると思うのだけれども、一体この予算について、やはり赤字になるのだというお考えを依然としてお持ちになっているのかどうか、保険料率を上げても。これを午前中の最後の質問にさせていただきたいと思うのです。
#130
○梅本政府委員 昭和四十四年度におきまして、補助をされることになっております国庫負担は二百二十五億円であります。今回御審議をわずらわしております特例法の延長法案は、四十二年に成立した特例法をそのまま延長していただくこととしているので、国庫負担につきましても同額を計上しておりますが、昨日来お話しになりました本年の春闘で、中小企業におきましてかりに一七%という非常に高い率になったと仮定いたしましても、財政効果としましては六十七億円にとどまります。また、本年の九月以降の特例法による効果見込み額もとうてい埋めることができないわけでございまして、こういう点から見まして、総体的には財政が相当困難を来たすというふうに考えております。
#131
○山本(政)委員 それでは大臣にお伺いいたします。赤字が累積をするということでこの予算をお立てになって、千分の一も料率を上げるというのでしょう。その場合に二十七億の赤字が出る、こうおっしゃっているのですよ。しかしあなた方の資料によれば――これはあなた方からいただいた資料ですよ。そうしたら、四十四年度は一〇%の標準報酬の伸び率で、約六十三億円の増収になるのだ、こうおっしゃっているわけでしょう。そうして支出は分娩費が二十五億円、その他が二億円で、二十七億円の赤字になるというわけです。六十三億円の増収で二十七億円の赤字だったら、差し引き三十何億円の黒字になるじゃありませんか。何で千分の一アップするのです。
#132
○加藤(威)政府委員 先生御指摘の千分の一、六十三億というのは満年度でございまして、九月以降だと三十三億になります。したがって九月以降の実施の場合に千分の一の財政は三十三億……。
#133
○山本(政)委員 かりに三十三億にしても、二十七億の赤字だから六億黒字になるじゃありませんか。それだけでも黒字でしょう。赤字は二十七億と言っているのだけれども、現実に三十三億というものが増収になって出てくるわけでしょう。そうしたら、少なくとも予算上からいえば赤字になるはずがないじゃありませんか。六億の黒字というものが予算上に出てこなければうそですよ。そうでしょう。これはあなた方の資料で、私どもがつくった資料じゃありませんよ。しかも控え目に見た資料じゃありませんか。一六・二%とか一七%という数字じゃありませんよ。一〇%という標準報酬のアップ率で、千分の一によって六億円というプラスの数字が出てくるでしょう。そうしたらこの予算は明らかに間違っておるでしょう。間違っておるのだったら、これは訂正するということをあなた方やらなければだめですよ。これは黒字でしょう。あなた方の予算からいえば赤字になるのか黒字になるのか、それだけははっきりしてくださいよ。
#134
○加藤(威)政府委員 これは一応二十七億の赤字になるわけでございます。それで分娩につきましては、さっき申し上げましたように、千分の一引き上げによる保険料収入の増が半年度で三十三億、それに対しまして給付費が二十五億でございますから、約八億の黒字になります。それを入れて計算した上で二十七億の赤字、こういうかっこうなのでございます。分娩に関する限りは黒字でございますが、全体をとりまして、その八億をプラスに入れました結果二十七億の赤字、こういうことになります。
#135
○山本(政)委員 梅本さんは、千分の〇・七でいいのだけれどもそういう慣例というものがあるので千分の一といたしました、こうおっしゃったじゃありませんか。そうおっしゃったでしょう。あなた方の意見というものは食い違いがあるのですよ。
#136
○森田委員長 山本さん、いま休憩いたしまして、あとで整理して御答弁させます。
 この際、暫時休憩いたします。
 本会議散会後直ちに再開いたします。
    午後零時五十九分休憩
     ――――◇―――――
    午後三時十四分開議
#137
○森田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続けます。山本政弘君。
#138
○山本(政)委員 資料をお願いしておったのですけれども、まだ来ないようですから、たいへん申しわけないのですけれども、資料が来るまで、ちょっともとへ戻らしていただきます。
 加藤さんにもう一ぺんお聞きします。
 この資料ありますね。「政管健保昭和四十二年度特例法による財政効果」と、それから「昭和四十四年度特例法延長等制度改正による財政効果」というのと二つありますね。これによりますと、保険料の当初原案は、千分の七上げることによって二百四十八億円、それから臨時国会提出原案では、千分の七上げて八月実施することによって百九十五億円。国会でこれが修正されまして千分の五、そして八月実施ということで百三十九億円になったのですね。それが決算で百四十五億になったわけでしょう。四十四年度に政管健保の特例法延長による財政効果ということで百九十七億出ておりますね。百九十七億円というのは九月以降の金額ですか。
#139
○加藤(威)政府委員 四十四年度におきます百九十七億というのは、御指摘のとおり九月に千分の六十五から七十一まで上げまして、その結果九月以降に入ってくる保険料収入、こういうことであります。
#140
○山本(政)委員 すると、千分の一アップして六十三億、九月からですから三十三億ですね。百九十七億から三十三億引きますと百六十四億になるでしょう。四十二年から二年たって四十四年度の保険料収入が百六十四億。四十二年度は百四十五億、そうすると十九億ですか。十九億しか保険料は上がらないということになりますね。そういうことになりませんか。
#141
○加藤(威)政府委員 それは先ほど申し上げましたように、四十二年度の百三十九億と申しますものは、八月から千分の五上げまして、八月からそれを実施した場合財政効果が四十二年度百三十九億。それから百六十四億、これは四十四年度におきまして千分の五を九月から上げました場合の財政効果、そういう一カ月の食い違いがございます。
#142
○山本(政)委員 それでは先に進みます。
 分娩費のことですけれども、五十条の条文が改正になって、いままで六千円を支給するものが二万円を支給することになった。ただ先ほど保険局長のほうから、私の聞き違いではないと思いますけれども、分娩費というのは短期的なものであると考えておる、こういう御発言があったと思うのです。そうしますと、短期的なものであるならば、先ほどの標準報酬が一七%上がりましたら、これは七十四億円増収になるわけでしょう。そうすると無理に千分の一アップする必要はないと思うのですよ。千分の一アップしなくたって黒字になるのですから、何をもって千分の一料率を引き上げるのか、これが私にはわからないのです。これが第一点。
 もう一つは、標準報酬が上がるということは、つまり即被保険者の賃金が上がるということを意味するのですから、「一万円ニ満タザル」云々というものはだんだん少なくなってくるわけでしょう。つまり該当者は減るわけでしょう。該当者が減るということになれば、先ほど局長が言われた四十四年度が四十二億円、四十五年度が四十五億円、四十六年度が四十八億円、四十七年度が五十一億円、四十八年度が五十三億円というふうに分娩費の支出が上がるはずはないと思うのです。私がいま要求した資料はあとでおそらく持ってきていただけると思いますけれども、つまり、人口の出生率の減少ということと、そういうものを考え合わせると、分娩費というものは少なくなってくるんじゃないだろうか。むしろ、局長のおっしゃるように漸増傾向ではなくて漸減傾向になるのではないだろうか。にもかかわらず、局長のほうは漸増傾向を示すようになるだろうという数字をお示しになっておるのだけれども、私は、漸減傾向になるだろう、そういうふうに考えるわけですよ。その場合に、先ほど申し上げたように、標準報酬も上がるんだ。つまりこれは、たとえば五十九条ノ四の配偶者の分べんについては一万円に満たない場合には一万円を支給するというようなことがだんだん少なくなってくるのではないだろうか。そうすると、何も千分の一というものを、料率を上げる必要はないじゃないか。おつりが来る、つまり黒字になるという傾向がますます大きくなってくる可能性がある場合に、それを何も上げる必要はない、こういうふうに私は思うのです。ですから、千分の一を取っ払ってもかまわぬじゃないかというのが私の意見ですが、その辺についての御見解をひとつ……。
#143
○梅本政府委員 先ほど四十五年度まで申し上げました数字との関係でお話しになりましたが、先生のおっしゃるとおりでございます。私が申し上げましたのは、まずきのうから問題になっております、いろいろこちらの数字の計算率について、短期保険でございます。分べんが短期ということではなく短期保険でございますので、やはりその翌年、あるいはその次くらいのところでいろいろ計画を、よかれあしかれ計画を立ててまいったわけでございます。それは結局、その給付の面におきまして非常に不確定であるということから慣例的にそういうことをやっております。特に分娩給付につきましては、現金給付でございますけれども、医療給付につきまして、非常に変動が激しい過去の経験がございましたために、やはり未確定の要素がございますので、その辺一定の長期的な見通しを立てませんでそういうふうになったわけでございます。おっしゃるとおり千分の〇・七という計算で千分の一上げたわけでありますが、それは先生おっしゃるような長期的な見通しに立ちました厳密な計算でなしに、非常にラフだとのおしかりを受けるかもしれませんが、先ほど申しましたように慣例的に最小の千分の一という保険料率を採用いたしましてやったわけでございますし、私も先ほど、別に財政数理計算上できないというふうに申し上げましたとおり、感じといたしまして被保険者の数がふえたり、あるいは分べんがふえるではなかろうか、こういう点で何とか〇・三という面につきましては、寛容なお気持ちでお認めいただけないだろうか、こういうふうに申し上げたわけでございます。
#144
○山本(政)委員 梅本さんから寛容と言われるとちょっと困るんです。四十四年度が一応推計としても四十二億円というのでしょう。そして四十五年が四十五億円、短期だということは、ある意味では特例法があなた方のお考えからいえばあと二年延長する、だから三年以降は分娩費についてもこれは別に抜本のほうでお考えになるんだということを意味しているのかもわからぬと思うのです。しかし、それにしても四十四年度の九月から三十三億円、平年度でいけば六十三億円ですよ。そして四十五年度でいけば七十一億円という増収というものが見込まれているわけでしょう。しかもそれは千分の一で一〇%の伸び率だということの中でそういうふうにおっしゃっているわけですよ。そうするとそれはあなた方の話からいえば、いまのこの予算の中にすでに計上されているんだ、だから二十七億という赤字があるのだ、こうおっしゃるかもわからぬわけだ。しかしそれはそれで私は理解できるのです。理解できるけれども、標準報酬が一七%でなくて一六%である場合でも、五十六億円の増収なんですよ。七十四億円でなくて、五十六億円ですよ。これは私は少なくともあなた方が計算をなさるときには、何といいますか予算を百分の百でなくて、百分の九十か百分の八十ぐらいに見るということはよくわかります。わかりますけれども、ここまで数字がきちんと出ているんですね。しかも、昨日の労働省のお答えからいっても、ちゃんと出ている。しかも、私が持っている資料からいえば化学同盟とか全国金属とかいうような、むしろいわば小さな組合、これは私は政管健保を適用すると思うのですけれども、この賃上げの率というのが、二%ないし三%平均の賃上げ率よりも現実に高いんですよ。それならば、これは上がるということは間違いないはずでしょう。最低二八%上がることは間違いないですよ。そうすると五十六億円という金額というものは、千分の一という保険料率を上げなくたって出てくる金じゃありませんか。そうしたら二十七億といういまのあなた方の計算で赤字が出るということは埋まって、なおかつ黒字が出るんですよ。何のために千分の一を新たに計上する必要があるのか、アップをする必要があるのか、なぜ取っ払うことができないのか、その辺が私は疑問でならないのです。数字が出ているでしょう。出ている数字に対して、その上に立ってあなた方が千分の一というものを上げるということによって黒字が出るんだということになれば、黒字が出るというよりか、むしろ赤字が解消されて黒字になるんだということになれば、当然それは取っ払っていいはずじゃありませんか。私は、大臣はそういう意味では非常に慎重であると思うけれども、同時に、しかしあなたは、そういう点では非常に理解があると思うのですけれども、答弁をお願いしたいと思います。
#145
○斎藤国務大臣 山本さんの御意見は、今度の春闘ベースの率が予想よりも非常に高かった。当初、昨年の十月に算定しておったよりは高かった、少なくとも五十億か六十億はふえるだろう。したがって、分娩給付を上げるにしても、もうそれで足りるじゃないか、分娩給付用のために千分の一というのは不要だ、こういう御意見だろうと思うのであります。その点からだけ申しますと数字が合うようでございますけれども、この春闘ベースのために保険料収入が予想よりも若干上回ってきたということは事実でございましょう。しかしながら、そのためにやはり今度は診療報酬もまた上がってくる、こう考えなければならぬわけでございます。支出のほうの算定には、診療報酬の引き上げというものは全然見込んでおりません、昨年の十月でございますから。しかしながら、御承知のようにすでに緊急是正が中医協において論議をせられております。しかも、その緊急是正は、春闘ベースの上がる前の昨年の八月のものでありますから、この予想外の春闘の率の上がり方というものは、診療報酬制度の改正に相当はね返ってくるということを覚悟しなければならぬと思うわけでございます。したがいまして、春闘ベースが上がったために保険料収入が上がってきたということは、診療報酬額の引き上げがそれぐらいで済めばいいが、私はおそらく済まぬのじゃないかという感じがいたしておるわけであります。ことしの一月から施行しました薬価基準の引き下げは、すでに支出のほうに引き下げられるものということで算定を支出でいたしております。したがって、今度の報酬制度の改正というものは全然これに見込んでおりませんので、それぐらいはもう優に食ってしまうであろう、かように思いますので、これを分娩費に引き当てるということはこれは無理だ、かような見地に立っておりますので、その点は御了承いただきたいと思います。
#146
○山本(政)委員 それは大臣、私はたいへん重要な問題だと思うのですよ。私は物と技術の分離ということについて、もとより異存があるものではありません。だから、診療報酬を上げることについては、必要の範囲においては上げることは大いにけっこうだと思います。だけれども、それならば二十七億円というものについては、もっと赤字が出るということになりますね。赤字は二十七億でなくなりますね、あなたのおっしゃるとおりだとすれば。
#147
○斎藤国務大臣 場合によればそうなるのじゃないかと思って心配をいたしております。大蔵大臣も心配をいたしております。
#148
○山本(政)委員 前に、昭和三十五年の三月から昭和四十一年の三月まで千分の六十三、これはその前は千分の六十五だったのです。それを千分の六十三に引き下げたことがあります。これは厚生省のほうでお下げになったと思うのです。黒字だから下げたというのが理由だと私は理解しておるのです。しかも、その千分の六十三というのは、正確に言えば三十五年の三月から四十一年の三月まで続いているのですよ。ずっとその後、その翌年ぐらいから連続して赤字になる傾向があるにもかかわらず、あなた方はずっとかなりな金額について赤字なのをそのままにしておかれたわけだ。そして、料率というものを下げておるわけでしょう。いま黒字になるというときに――私は黒字になる可能性は、確率からいえば一〇〇%黒字になるというあれだと思いますよ。そのときに、なぜ料率というものを千分の一だけ下げることができないのだろう。私は賛成でありませんけれども、その場合になれば、またあらためて料率をどうするかということを御審議なすったっていいじゃありませんか。いままでの厚生省のやり方というのは、ずっとそういうやり方できておるのですよ。いまこの四十四年度の段階だけ、診療報酬が上がるだろうから、黒字になるべきものをその料率を下げないでそのままにほったらかしておく。私は斎藤大臣ともあろう者が、そういうことに対しては被保険者に対してたいへん不親切だと思うのです。そうじゃございませんか。
#149
○斎藤国務大臣 この点は、御理解をいただきたいと思うのでございます。昨日からも政府委員が説明をいたしておりますように、この保険の収入、支出をどう見るか、過去二カ年の実績からいままでの趨勢を織り込んで、というのは過去の趨勢をそのままいくものと見て織り込んで、そして収支を計算をしているというのがずっといままでの計算のやり方でございます。そのやり方によって昨年の十月、十一月現在をとってやってきたわけです。
 ところが、過去の賃金の上昇率よりも、ことしの春闘は非常に多かった。これは経済の実態その他から、予想せざるような状態になってきたというわけであります。当初から黒字だ、こう見込んでいるならば、私はまた考えは別であろうと思う。昨年の十月現在でいくならば二十七億の赤字、千分の一を上げるということをしない、いわゆる分べんというものを除いても、二十二億か三億の赤字になるということできているわけです。それから出てきた。きのう来から問題になっておりますのは、予想外の賃上げだということがその後に起こってきたわけです。それに伴ってまた診療報酬制度の改正というものも起こってくるだろう、現に審議をしているわけでありますから。経済の実態に合わせてやっていくわけでありますから、経済の実態が予想外にそうなってまいれば、その点もまたはね返ってくる、こういうように考えていくのがあたりまえであって、予算編成当時の最初には私はそこまで考えていなかった。むしろ予算編成当時には、薬価基準の引き下げがもうすでに行なわれ、それは見込んでいる。しかし、診療報酬制度緊急是正が出て、中医協で審議中だというにもかかわらず、それを全然見込まないでやってきたという点は、むしろ支出を少なく見積もっておった、こういうようにいわれても私はやむを得ないのじゃないか、かように思います。
#150
○山本(政)委員 慎重な大臣が、にこにこしながら御答弁になること自体、内心じくじたるものがあるからそういうことを言っておるのだと思うのですよ。たとえば保険料の収入が上がって、そうして分娩費というものが漸減傾向になるだろうという、まあこの傾向が出ているわけでしょう。しかも保険料の収入というものは、もう数字としてはここまではっきり出ているわけですよ。赤字のときには赤字を埋めるのだからといって、あなた方は保険料というものはずっと上げてきているわけだ。しかも、今度は黒字になる見通しが出たときには、診療報酬が上がるでしょうということで、それをストップしているのですよ。そんなばかなことはないでしょう。上がったら上がった段階でお考えになったらいいのですよ。それが親切じゃありませんか。それが公正じゃありませんか。
#151
○斎藤国務大臣 それでありますから、診療報酬が上がったら上がった段階で考えてくださいと、私は大蔵大臣にもすでにもう言っておるわけです。この中には織り込んでおりません。それから賃金のアップは、これは当初見込んでいなかったからやむを得ません。それから、分べんは漸減の傾向にあるとおっしゃいましたが、長い将来をとってみれば日本の分べんは漸減の傾向にありましょう。しかしながら、むしろここ数年は、政管健保に入ってこられる婦人の人の数は多くなってくる。それからまた分べんも、ちょうどベビーブームで生まれられたこれらの人たちがいま非常に多くなって、これからいよいよ分べん適齢期。ここ数年の間は、おそらく日本でいままでにない、分べん適齢期に入られる方が多いわけであります。しかも、それが政管健保の適用を受ける労働者として入ってこられるという数も多くなってくる。したがって、ここ数年の間は、この政管健保における分べんの数というものはふえてまいる、私はかように思います。
#152
○山本(政)委員 だから、その診療報酬が上がった段階では上がった段階でお考えになる、こういうのでしょう。そうですね。そうでしょう。
    〔斎藤国務大臣「考えざるを得ない、予算に見てないんだから」と呼ぶ〕
#153
○森田委員長 私語してはいけません。
#154
○山本(政)委員 そうすると上がる見込みが、つまり標準報酬によって増収の見込みというのが立った場合には立った場合のことをお考えになったらどうだろうかと言うのですよ。私は重ねて言っているのです。
 それから、分べんをする方々が多くなるであろうとおっしゃるのでしたら、保険局長、そのデータはありますか。私にもあとからデータを持ってきていただけると思うのですけれども、食い違いのないように言ってくださいよ。
#155
○梅本政府委員 先ほど申しましたように、財政数理計算上データというわけにはまいりませんけれども、というふうに申し上げたわけでございます。先生の御要求になっておりますのは、日本国民全体の出生率のようでございまして、いま取り寄せておりますが、いま大臣のおっしゃいました政管健保の被保険者という範囲に限りました場合は、データは出ません。
#156
○山本(政)委員 じゃデータが出なければ、大臣の、分娩費を要する人々は多くなるであろうという結論も出ないことになるでしょう。議論からいえば、そうなりますよ。
#157
○斎藤国務大臣 最近の政管健保に入ってこられる婦人の方々の数がふえてきているという傾向、それから日本のこれからの出産率と申しますか、女一人に対する出産率というものと、出産の実数とが違うわけであります。出産の実数から申しますと、ちょうどベビーブームで生まれてこられた人たちが、結婚適齢期に入ってまいるわけでありますから、そういう意味におきまして、出産の実数は上がってくるというのが統計の調査の結果で、両方あわせて考えますとそうなるであろう、かように考えます。
#158
○山本(政)委員 加藤さんにお伺いしますけれども、標準報酬が予想以上にアップして八十三億円の収入増、これは間違いないですね。それから借り入れ金の利子の一部を国庫余裕金でまかなっているので二十二億円の減、現金給付費が二十六億円減少した。それから医療給付費が特例法の実施で受診率の低下によって四十八億円減少した。だからこれを一年間に換算すれば九十八億円の減少になる。そうすると、これは小さいことですけれども、合計二百二十九億円になるのですよ。あなた方は二百二十七億円で、三十五億円くらいが受診率だろうとおっしゃった。ここに二億円少なくなって三十三億円になったのです。これは小さいことですけれども、小さいといったらおかしいのですけれども、その辺の数字は間違いはありませんね。
#159
○加藤(威)政府委員 いま先生の御指摘の数字は、四十二年度における赤字見込みの減少の数字でございますか。
#160
○山本(政)委員 そうです。
#161
○加藤(威)政府委員 赤字見込みの減少につきましては、特例法制定当時、特例法を実施いたしましても三百二十億の赤字が出るだろうというのが、決算においては五十八億に減いたしまして二百六十二億の赤字見込みの減少でございます。その内訳は、保険料収入等の増によるものが八十三億、それから保険給付費の減によるものが百五十七億、利子の節減等が二十二億、大ざっぱに分けますとそういう数字でございます。あるいは一億、二億というのは端数の切り下げで違ってくる場合があります。
#162
○山本(政)委員 政管健保の被保険者数に対する投薬時一部負担免除対象者の割合というのが、四十二年の十月では六〇・九%、四十三年の十月では五三・五%、四十四年は四七%、四十五年の十月で四一%、こういうように漸減の傾向がある。同時に、証明書の交付の割合というのは、実際の対象のパーセンテージよりか少ないわけですね。たとえば四十二年の場合には五一・二%、四十三年の場合は四二・一%、それぞれ九・七%あるいは二・四%実際は少ないのですけれども、これは実際に交付を受けてない人がおると思うのです。これによる支出減といいますか、決していいことではないと思うのですが、これは幾らくらいになりましょう。
#163
○加藤(威)政府委員 御質問の意味は、薬代一部負担につきましての免除証明書の交付対象者と、それから現実に交付した者との間に数字の違いが若干あるわけでございます。これは、結局免除証明書の交付というのが、申請によって交付する、こういうことになっておりますので、非常に軽微の場合、あるいはほとんど病気にかからないというような人たちは、あるいは申請をしないかもしれぬ、そういうようなことで、現実に免除の対象者になっている者と、現実に交付を受けた者との閥に差があるわけでございます。先生の御質問の趣旨は、結局、たとえば交付数が少ないけれども、それが全部対象者に交付したとした場合に、どのくらい給付費が減るか、こういうことでございますか。――それは計算して後ほど御返事いたします。
#164
○山本(政)委員 これはたしか審議会だと思うのですけれども、薬代の一部負担の免除基準というものは二万四千円、これを上げなさいという意見があったと思うのです。三万三千円くらいから三万四千円くらいまでに上げたらどうであろうかという意見があったときに、梅本局長は、これを上げることについて否定的な見解をお示しなさったと思うのです。これはなぜそういうふうに否定的な見解を示されたのか。保険料の料率は上がる、標準報酬の月額は上がってくる、増収になってくる、にもかかわらず薬代一部負担の免除基準だけは上げない、これはあまりにも厚生省としてはがめついのではないか、こういう感じがするのですけれども。
#165
○梅本政府委員 その免除基準の点でございますが、これは特例法が先般成立いたします前に、当委員会において修正が行なわれたわけでございます。それで修正の趣旨につきまして蔵内先生が申されております点は、「薬剤の支給を受ける際の一部負担金について、所得の比較的低い方々に対する配慮を講ずることとして、標準報酬月額が二万四千円、被扶養者がある場合には一人につき六千円を加算した月額以下の被保険者は支払いを要しないこととした」というふうな御説明でございます。この法律の修正の趣旨がそういうことでございまして、この御意思としましては、確かにこれによりまして、結果的には六〇%内外の免除者が出るという結果は出ておりましたけれども、法律の御修正の御意思が、そのパーセントを常に維持していくというスライド的な考え方でもございませんし、課税の標準額にリンクしたという意味で、一定の方々を必ず除くというふうな法律の趣旨でもなかったように伺っておるわけでございます。そういうこともございまして、この趣旨は、あの制度ができますときに、やはり制度ができますときのいわばショックの緩和の意味におきまして、二万四千円以下の者の免除をおきめになったというふうにとったわけでございます。
 それで、そもそもそういう問題よりも、この特例法全体につきまして、確かにこれが恒久立法として御審議をお願いするということでございましたら、いろいろの諸条件につきましていろいろ検討いたしまして、また提出もしたかもわかりませんけれども、一年半――二年足らずの前に、あれだけの経緯をもちまして国会で御審議願って、委員会で御修正になったということでございますので、薬剤の一部負担だけでございませんで、いろいろな点につきまして、恒久立法ならばいろいろ手直しすべき点もございましたけれども、その点は前の国会でおきめになりましたまま、そのまま二年間もう一回延長していただきたいという立場をとったわけでございます。そういう趣旨でございます。
#166
○山本(政)委員 そうしたら分娩費については分娩費の支出が少ない。しかし、千分の一上げることによって保険料は増収する。差し引きは、保険料を上げることによってインカムのほうが多くなる。だけれども、薬剤の一部負担による免除基準というものは、これは出る一方だからやめる、こうしか私にはとれないのですよ。
#167
○梅本政府委員 ただいま特例法について申し上げましたので、薬剤の一部負担は特例法の問題でございます。分娩費の問題は健康保険法の本法を恒久的に改正するという形をとっておるわけでございまして、特例法はあくまで千分の七十で前のままの形でございます。いろいろ傷がございますけれども、そのままの形でお願いしておるわけでございます。
#168
○山本(政)委員 健康保険法というのは基本ですよ。特例法というのは、それを補助するといいますか、そういうものですよ。むしろ論理的にいえば健康保険法をそういうことによって、あなたのおっしゃるように変えることのほうに実際は問題があるのですよ。基本法を変えることになるでしょう。片一方は健康保険法、片一方は特例法。特例ですよ。特例についてはいじらないで、基本法である――基本法という言い方は、ことはとしては妥当かどうか知りませんけれども、健康保険法というもとになる法律を変えることについては、何の問題にもならぬということでは、これは議論にならぬでしょう。特例法はどんなに議論になろうが、これはあくまでも基本法を補うといったらおかしいが、あなた方は不備と言いたいのだと思うのですけれども、そういうものに対する法律でしょう。それを、さかさまですよ、あなた方のおっしゃり方は。どんなに国会において議論になろうが、健康保険法というのがあくまでももとでしょう。変えることについては何らあなた方は問題にならないから――現実には問題になるのですよ。そういうことは筋が通らぬと思いますよ。
#169
○梅本政府委員 私が申し上げましたのは、ちょっと誤解があったかもしれませんけれども、ただいま投薬費一部負担の免除基準の問題を御指摘でございましたので、その点、どうして基準を変えなかったかという点につきまして、特例法が先国会の経緯から見まして、そういうことでおきめ願いましたので、そのままの形で提出をさしていただいたということでございます。そしてしかもお願いいたしておりますのは、二年間延長していただきたいということでございまして、その二年間に先般来大臣も答えておりますように、われわれの必要なことはできるだけ早く抜本改正をつくりまして、この二年のうちに抜本改正ができ次第移りかわっていくということでございます。だから非常に極端には申しませんが、一年あるいは一年半のうちに、もし抜本改正の法律が次の国会にでも御成立願えれば、その附則でこの特例法を廃止していくというわずかな期間でございますので、しかも、あれだけの経緯がありました法律でございますし、委員会の修正のことでもございますので、この点は前のまま出させていただきまして、期間の延長だけをお願いしたという次第でございます。
#170
○山本(政)委員 たとえばかりに二万九千九百四十五円取っておれば、これは薬剤の一部負担というものは出さなければなりませんね。
#171
○梅本政府委員 そのとおりでございます。
#172
○山本(政)委員 そうすると生活保護基準の四人世帯の基準額が二万九千九百四十五円ですね。その人も結局一部負担をしなければならぬ。論理的にはそうなりますよ。理論から言えばそうなるじゃありませんか。そんなばかなことが許されますか。これは大臣が答えてください。
#173
○梅本政府委員 いまおっしゃいました生活保護基準の点、私、所管局長でございませんではっきりいたしませんが、これは四人世帯で扶養家族も含まれておりますけれども、私のほうの標準報酬は被用者本人でございます。その点ちょっと食い違いがあるのじゃないかと思います。
#174
○山本(政)委員 私は、被用者本人とかなんとかいうことを言っているのじゃないのですよ。かりに標準報酬二万九千九百四十五円をもらっている方々は、税金も取られるわけでしょう。辻さん、そういう場合には、四人家族で税金を取られるわけでしょう。それをちょっとお答え願いたいと思います。
#175
○辻説明員 所得税の課税最低限のお尋ねでございますのでお答え申し上げます。
 給与所得者の場合、四十四年度で申しますと、夫婦と子二人の場合には七十八万七千円ということでございます。
#176
○山本(政)委員 そうすると税金はかからぬわけですね。かかりますか。
#177
○辻説明員 それ以下でございますれば、所得税は非課税でございます。
#178
○山本(政)委員 二万九千九百四十五円というのは月額でしょう。そうすると賞与もあるのですけれども、かりに十五倍にしたとして、その方々には一般的な問題として税金がかかるかかからないか。
#179
○辻説明員 賞与の率をどの程度に見るかにも関係いたしますが、かりに三カ月といたしまして十五で割るといたしますと、五万二千円程度になろうかと思います。
#180
○山本(政)委員 そうすると、その人は税金がかからないとして、しかし、一日一剤十五円はかかる。そうすると、被保険者であるなしは別として、標準世帯四人の場合にはこれは生活困窮者ですね。これだけのお金を政府としてお出しになっておって、そうして生活困窮者が病気になったときにはお金を取ります。これは論理としては矛盾じゃないですかね。これは大臣がひとつお答えください。
#181
○斎藤国務大臣 政管健保に加入しておられる方で、そして生活保護基準よりも下の給料だということであれば、生活保護が受けられるわけでありますから、したがって、医療扶助を受けるわけであります。生活保護を受けていない、上の人たちは、結局医療扶助の適用は受けない、こういうことでございます。
#182
○山本(政)委員 熊崎さん、せっかくお見えですからちょっとお聞きしますけれども、二万九千九百四十五円の給料をもらっている人は、これは政管健保の場合には、一日一剤十五円というのを出すわけでしょう。病気になったときには出すわけですね。そうすると、生活保護を受けている人で二万九千九百四十五円、これは一級地です。一級地の人が、そういう扶助をもらっている人は、病気になったときには――よくわからないから教えていただきたいのですが、この人たちは一日一剤十五円というものを出す必要があるのかないのかということをお伺いしている。長官からひとつ聞かしてください。
#183
○熊崎政府委員 いまの山本先生の御質問は、標準報酬が二万四千円の人と、それがたまたま生活扶助の基準額の二万四千円に該当する場合に、薬剤費一部負担が負担できるかどうか、こういう御質問だと思いますけれども、この薬剤費一部負担につきましては、御承知と思いますけれども扶養家族につきましての加算分がございます。その加算分を入れますと、こういう被保険者の標準報酬をもらっておる被保険者については、薬剤費一部負担はないわけでございます。しかし、根本論といたしまして、生活扶助を受けておるような方々につきましては、先ほど大臣が申し上げましたように、医療保険のほうではなしに、医療扶助のほうで適用されますので、被扶助者であるとすれば、医療扶助の免除がある。医療扶助でもって本人の薬剤費を負担する、こういうように御了承をいただきたいと思います。
#184
○梅本政府委員 私のほうも混乱しておりましたが二万九千九百四十五円とおっしゃいましたのは生活保護の四人家族でございます。だから、いま議論になりましたこれと比べてみますと、三人の扶養者があるとしますと、六千円かける三で一万八千円、二万四千円に足しますと、四万二千円のものと比較をしていただくということになりますので、そういう二万九千九百四十五円の生活保護世帯の比較をする場合には、これは免除になっております。だから四万二千円とこれとの比較になるわけでございます。
#185
○山本(政)委員 要するに、保護世帯の人たちは、一級地の人たちでも医療については心配ないわけですね。――わかりました。ありがとうごさいました。
 その次に、それでは二万四千円というものについてもう一ぺん話を戻しますけれども、二万四千円というものについては、標準報酬というものが上がるんだし、それから保険料率も上がる。しかし、二万四千円の人、そこまでの人については一部負担を取らないけれども、二万四千百円になったら一部負担を取るわけですか、いまの段階では。
#186
○梅本政府委員 おっしゃるとおりでございます。
#187
○山本(政)委員 そうすると、厚生省はその限りにおいてはやらずぶったくりの方針だということを確認してもいいですか。
#188
○梅本政府委員 まことに申しわけございませんが、ちょっと間違えました。二万四千円というのは標準報酬制をとっておりますので、十五等級二万四千円、法律もそういうふうになっております。したがいまして、先ほどおっしゃいました二万四千円を百円でもこえたらということでもございませんので、幅がございまして、標準報酬十五等級でございますので、二万五千円以下、二万三千円から二万五千円までの間ですから、二万五千円以下の人々は免除になる、こういうことになります。
#189
○山本(政)委員 すみませんがもう一度。
#190
○梅本政府委員 二万四千円というのは、標準報酬の十五等級、法律は十五等級という表現になっております。十五等級のまん中の数字が二万四千円でございますので、その具体的な数字ですと、二万五千円をこえるということであれば負担がかかりますが、それ以下でございましたら免除になります。
#191
○山本(政)委員 それは一人の場合ですね。本人の場合ですね。そうするともう一ぺん確認いたしたいのですけれども、扶養者がおる場合には、先ほど御説明のあった六千円ですね。そういうわけですね。−どうもありがとうございました。
 薬務局長にお願いしたいのですけれども、閣議決定で、十月一日から医薬品等の製造承認を地方に移譲する薬事法の施行令の一部改正というものが行なわれる、こういう話で、地方に移譲されるのは承認基準のできているかぜ薬と殺虫剤だ、こういうお話ですけれども、お伺いしたいことは、地方移譲する場合に、各地方庁ごとにアンバランスができぬだろうか、それが第一点です。
 第二点は、事務量の増加に伴う人員増強とその財源というものを一体どこに求めるのだ。
 第三点は、許認可権とからんで、事故発生に伴う責任の所在というのは一体だれが負うのか、それを一つ御説明いただきたいと思います。
#192
○坂元政府委員 御指摘のかぜ薬等の薬品を、十月一日以降地方都道府県のほうに移譲することになったわけでございます。この考え方といたしましては、確かに私どももいま御指摘の第一点のアンバランスができるということを極力避けなければいかぬ、こういう配慮のもとでこの考え方を進めてきたわけでございます。
 そこで、いまお触れになりましたけれども、具体的な承認の基準というものを作成をいたしまして、かぜ薬等についてはそういうものがありますが、今後もそういうような移譲する対象品目についての具体的な承認基準というものをつくります。これは御案内のように、効能、効果なり、成分なり、その配伍量なり、あるいは用法、用量なり、そういう審査承認をする際のめどになります具体的な基準というものができないと、いま御指摘のようにアンバランスができ得るわけでございまして、そういう具体的な承認基準というものが作成されたものについてだけ移譲していく。もしそういう基準ができますならば、われわれとしましては都道府県の担当者が、基準に従いまして誠心誠意適正な審査なり承認をやりますならば、ほとんどアンバランスというものはでき得ないじゃないか、こういうふうな考え方で、その承認基準をつくることが前提だ、それに従いまして適正に審査する、こういう二つの要件によりましてアンバランスを防止したい、こういうふうに考えて、そういう考え方に基づきまして作業を進めておるわけでございます。
 それから、第二の点の、人員なり予算措置等でございますが、当面、本年度中に移しますのはごく一部でございます。たとえば、かぜ薬といわれるものにつきましては、現在年間大体二百五十件程度でございます。したがいまして、これを都道府県ごとに割りましても非常に数は少のうございます。したがいまして、本年度は大体現状の体制で私どもはできるんじゃないかと思いますが、明年以降地方移譲される結果、事務量がふえていくということになりますと、そこに何らかの手当てをしなければいかぬ。この点につきましては、現在私ども省内において、また関係省とも相談中でございますが、とりあえず一部の薬剤につきましては、手数料を取れるような仕組みになっております。したがいまして、こういうような手数料を、都道府県のほうで取れる仕組みが逐次できてまいりますと、それによって財源が生まれてくるというふうに考えているわけでございます。
 それから、責任の所在がどこにあるのかという最後のお尋ねでございますが、これは確かに都道府県知事に権限を移譲するわけでございますので、第一次的には都道府県知事が責任を持つわけでございますが、しかしながら、厚生大臣が一定の方式によって事務を移譲し、都道府県知事にまかすわけでございますから、最終的にはやはり厚生大臣、こういうことになりますが、一般的な事務の移譲というのは、大体そういうような形で、第一次責任というのは、やはり事務担当者たる都道府県のほうで責任を持つということに相なろうかと思うのでございます。
#193
○山本(政)委員 そうすると、いま製造承認の基準が設けられておる薬剤というのは百五十点ぐらいですか、どれだけあるのですか。
 それから、基準のないものについて一体どういう根拠をもって承認をするのか、この点をひとつ……。
#194
○坂元政府委員 先ほど申しました具体的なきめこまかい承認基準というものは、現在できておりますのはかぜ薬と殺虫剤といわれる二種類程度でございます。したがいまして、この分のものは十月以降逐次おろしていこう、かように考えておりますが、それ以外のものについては現在まだ具体的な承認基準ができておりません。したがいまして、現在これは厚生省当局において検討中でございまして、その案ができますならば、中央薬事審議会に諮問をいたしまして、その答申を得まして、それを逐次承認基準として規定をいたして、都道府県のほうにその承認基準に該当するものについてだけ逐次おろしていく、かように取り運びたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
#195
○山本(政)委員 ことしはかぜ薬と殺虫剤、引き続き来年は、これは私もはっきり存じませんけれども、胃腸薬、解熱剤、鎮咳去痰剤、それから点眼、点鼻剤など、六、七品目が地方移譲される予定になっておりますね。そして四十七年度中には代謝性の薬剤を含めたものも移譲をする、こういう予定になっておるそうですけれども、これはサービス業と違うのですよ。安全性というものを一番重視しなければならぬ医薬品の製造承認というものは、私はやはり一元的、画一的にどこかでやらなければならぬのではないだろうか、こういう気がするわけですよ。それをはたして地方に移譲していいのかどうか。たとえば、それでは二、三年前にアンプルのかぜ薬によってショック死をした、その責任というのは都道府県知事が負うわけですか。厚生省の責任はないわけですか。この点はどうなりますか。
#196
○坂元政府委員 地方移譲に伴います、いま御指摘のような懸念というものは、確かにあるわけでございます。医薬品につきましては、非常に最近は安全性、副作用というものが特に重視されているわけでございますし、今後もそういう傾向は強まるものと私どもは覚悟しております。したがいまして、そういうようなことを考えますと、安易に都道府県のほうに事務を移譲するということは、むしろ逆行ではないかという見方、これも確かにあるかと思いますが、私どもとしましては、今回の地方移譲の基本的な考え方は、そういうような副作用なり安全性について若干でも懸念がありそうなもの、そういうものについてはできるだけ本省のほうで事務を運びたい、また運ぶつもりでおります。都道府県に移譲していきたいと考えているものについては、およそ承認基準なるものができまして、その承認基準が適正に運用されますならば、まあまあそういう副作用面というものがさほど懸念されないような種類のものを今後おろしていきたい。
 で、先ほどおあげになりましたものは、まだまだ私ども一つの試案でございまして、将来二年、三年の間にどういうような薬剤を今後地方移譲の対象にしていくかということにつきましては、まだ確固たるものを持っておりません。したがいまして、一応の考え方としましては、そういうお述べになりましたような薬剤の種類を考えておりますが、ここらあたりにつきましては、もう少し薬事審議会の専門の方々ともよく御相談をしながら、いま御指摘のように、安全性の面から懸念されるような地方移譲のやり方は避けていきたい、こういうふうな基本的な考え方を持っているわけでございます。
#197
○山本(政)委員 そうすると、そういうものに対する財源は一体どうなるのですか、もう一度御説明いただきたいと思います。
#198
○坂元政府委員 先ほども申し上げたように、地方移譲しますと、当然都道府県のほうの事務量もふえますので、そういう財源というものにつきましては、現在一部のものにつきましては、厚生大臣のほうで手数料というものを取るような仕組みになっておりますが、これを都道府県のほうの歳入に移しかえしますような手順を逐次考えていかなければいかぬ、さように思っているわけでございます。
#199
○山本(政)委員 六月二十九日だったと思うのですけれども、アメリカで薬の問題で、オーレオマイシン、テラマイシン、それからテトラサイクリン、そういう三種の抗生物質について、一九五四年から六六年の間に、不当定価のために一億二千万ドルを使用者に返さしたという記事が載っておりましたけれども、これは御存じですか。
#200
○坂元政府委員 テトラサイクリンにつきまして、アメリカにおきまして価格維持行為により不当な利益を得たというようなことによりまして、いわゆる独禁法違反ということに問われ、一九六七年有罪の判決が関係メーカー五社にありまして、同時にまた損害賠償請求があったということも承知しております。現在この点につきましては関係メーカーのほうから控訴中でございますので、その控訴裁判の結果がどうなっていくかというようなこと、それからまた損害賠償についての和解の申し入れがメーカー側からあったようでございますので、その和解の申し入れというものがその後どういうふうになったか、こういう点につきましては現在アメリカ政府のほうに問い合わせ中でございますが、今日までのところ、まだ具体的なことについての返事はいただいておりません。
#201
○山本(政)委員 それではお伺いします。私もちょっとわかりませんけれども、ブドウ糖の注射液が二〇%の二十ミリグラムで薬価基準十一円、同じブドウ糖の注射液で五%の二十ミリグラムがやはり同じく十一円、点数でいけば両方とも十一・八です。これは四十一年ですけれども、おそらく変わっていないでしょうね。私はしろうとですからよくわからないのですけれども、二〇%二十ミリグラム、五%二十ミリグラムでは値段、つまり点数が違ってしかるべきだと思うのだけれども、これが同じだというのは一体どういうわけですか。ちょっと説明していただきたい。
#202
○松浦説明員 この薬価基準は、保険局で仕事をやっているわけでございます。この場合、これは調査をいたしまして、実際に調査であがりました数字の九〇%バルクラインというのがございますが、それを適用して機械的にやっているということがございますので、それの適用でこういうことになっているわけでございます。
#203
○山本(政)委員 私が申し上げたのは、バルクラインが云々だとかなんとかというのじゃないのです。ブドウ糖の注射液の二〇%二十ミリグラムと、五%二十ミリグラムとでは、容器の大きさも違うのじゃないだろうか、中身も違うのじゃないだろうか。しかし、点数が同じだというのは私には理解ができない。同じ十一・八で、値段が十一円というのは私には理解できないけれども、その辺、何で同じなのだろうかということをお伺いしているのです。
#204
○松浦説明員 これは五プロ二十ミリリットル、二〇プロ二十ミリリットルということでございますので、量は二十ミリリットルということでアンプルの大きさは同じでございます。ただ問題は、中に入っておりますブドウ糖が、五プロであるか、二〇プロであるかというたったそれだけの違いでございます。そういう関係で、ほとんど価格に差がなかったのじゃないか、こういうふうに考えます。
#205
○山本(政)委員 それではもう一つお伺いしますけれども、注射用の蒸留水がありますね。これは五ミリグラムが九円、二十ミリグラムが十円と、一円違うわけですね。中身は同じなんですよ。あなたのおっしゃるようだったら、片一方は容器の大きさが同じだ、中身だけが違うから同じ値段だ、こうおっしゃるのだけれども、蒸留水の場合は中身は同じで、片一方は五ミリグラム九円、片一方は二十ミリグラム十円というのはどういうわけだ。その辺の矛盾ですね。蒸留水とブドウ糖の注射液と比べた場合に、あなた方のお答えは、片一方は中身がちょっと濃いか薄いかということで、ビンの大きさ、容器が同じだから値段が同じだ、こうおっしゃっている。蒸留水の場合は中身は純粋な水ですよ。そしてこれは一円違う。これは一体どういうわけなんですか。
#206
○松浦説明員 先ほど申しましたように、価格の決定はそのような調査に基づいておるわけでございますが、この場合、いまの先生の、理由がどうであろうかということを推測いたしますと、先ほどのブドウ糖の例では容器の大きさが同じで中身の質が違う。今度先生のおっしゃいました蒸留水につきましては、中身は同じだけれども、容器の大きさが一方は五ミリリットル、一方は二十ミリリットル、要するに容器の大きさの差が比較的大きく響いている。むしろ中身の差よりも、容器の差のほうが価格に響いているのじゃないだろうか、こういうような解釈で考えられます。
#207
○山本(政)委員 そうすると、中身がきわめて濃いという場合には値段も違ってくるのですか。つまり私が申し上げたいのは、調査ということだけで、あなた方が価格の指導については何もタッチなさっておらないのか、こういうことです。
#208
○梅本政府委員 ちょっと私からお答えいたしておきますが、いま御指摘になっておりますのは、薬価基準の基準表の価格でございます。薬価基準の性格でありますが、これは薬価そのものではございませんで、お医者さんが薬をお使いになりましたときに、お医さんが現実にどれだけの値段でお買いになりましたかは別といたしまして、医療機関から支払基金に請求をいたしますときの一つの基準をきめまして、その基準によりまして保険者としてはお支払い申し上げます、こういう基準でございますので、その点は調査の結果に基づきまして、先ほど言いましたように九〇バルクライン、一定の方式で基準を出しておるものでございます。
#209
○山本(政)委員 つまり前々からいわれているのは、医療費の中の医薬品の占める金額が、かなりなパーセンテージを占めている。ある場合には四〇%をこえている、そういう場合に、一円でも――蒸留水の場合は一円違うわけですね。そうしたらブドウ糖の場合だって、一円くらい違っていいんじゃないかというのがしろうとの考えなんですけれども、違うことによって医療費が下がっていくんじゃないだろうか、私は基本はそこに置いているつもりなんです。そういう御指導をやっておるかやってないか。ただ、薬価調査をしたら同じ値段だったから、お医者さんが買う買わぬは別として、そういうものを収載したんだというのでは、これは少なくとも厚生省の指導にならないのじゃないですか。私はそう思いますけれども……。
#210
○梅本政府委員 先ほど申しましたように、薬価基準の性格が、薬の価格ではございませんで、支払いの一つのめどでございますので、昔はこの点につきまして、保険財政の面から政治的なきめ方をしているのじゃないかという非難が相当ございました。最近におきましては、関係団体の了解も得られるようになりましたので、薬価調査をやることになりました。この直近の薬価基準のきめ方におきましても、販売サイド、購入サイド両方の調査をいたしまして、調査の結果を機械的に客観的に計数をはじきまして、それによって薬価基準をきめておるということでございます。
 御指摘の、その薬価基準のもとになります現実の価格の問題につきましては、これは薬務行政の問題といたしまして、いろいろ合理化でございますとか、輸出振興、そういう面からの価格の指導ということはございますけれども、保険局といたしましてはそういう形で薬価基準をきめております。
#211
○山本(政)委員 昭和四十三年二月に全国的な薬価調査をいたしました。調査対象は約三千、医家向けの医薬品販売業者に対してなされておる。告示された六千八百七十四品目について旧価格に比べて値上がりしたものが約三百品目なんですね。それは主として局方品が多い。もう一つは医療の必要性の高い、基本的な薬剤として長く使用され、価格についても長年にわたる販売競争の歴史を経ている品目が値上がりをしている、そして六割以上は値下がりをしている、こういうのですけれども、この値上がりをしているということについて、私理解できないのですよ。これだけマスプロがあり、それからいま梅本局長のおっしゃったように、合理化が進んでいるのだったら、もっと値下がりをしていいはずなんだけれども、三百品目というものが、しかも医療の必要性が高いということになると、生産はずいぶん高くなっていると思うのだけれども、それが逆に値上がりをしている。ただ調査だけなら、何も厚生省が調査をしなくたって、ほかのところで調査できると私は思うのです。厚生省が調査をする役目というのは、そういうことに対して薬価というものを実勢価格に近づけるための調査ではないだろうか。だから、約六割というものは現実には下がっておる、しかし、三割というものが上がっておるということについて私は理解がいかないわけですよ。何でそういうことが行なわれているのか。そして、どういう指導を一体厚生省はなさっておるのか。この辺が私にはたいへん疑問なんですけれども、御説明いただけますか。
#212
○信沢説明員 ただいま先生のお話がございました、多少値上がりをいたしました品目でございますが、これは先ほど先生のお話にもございましたように、局方品が中心でございます。局方品は、先生御承知のように、古くから使われている、その意味では非常にいい薬でございます。したがって、もう長い間にかなり値下がりをしてしまって、むしろ今日ではどちらかといいますれば、労務賃が上がるとか、あるいは運賃が上がるとか、容器代が上がるとか、こういう要素によって値上がりを考えてやらなければならないような品目もあるわけでございます。一般的に、薬は確かに下がっておりますが、局方品についてはいま申し上げたような事情もございまして、これについては値上げを考えてやらないといい薬をつくらなくなる。つくらなくなるということはつまり、医療上いい薬を使っていけなくなる、しかも値段の安いものを使っていただけなくなるということにもなりますので、そういう意味合いで、私どものほうとしては決して値上がりそのものものを指導しているわけではございませんが、薬価基準価格をきめるにあたりまして、そういう点の御配慮は保険当局と御相談しながらやっていただておる、こういう事情でございます。
#213
○山本(政)委員 私は、いまの御説明には納得できないのです。長い問使われているのだったら、そして医療の必要性が高いのだったら、もっとマスプロができるだろうし、そしてそれについての値下げの努力もなされているのじゃないかと思うのですよ。少なくとも、現状から下げることがかりにできないにしても、上げるという手はないでしょう。しかも多くのメーカーというのは、いまあなたがおっしゃった約三百の品目以外に、多くの薬品をやっているわけでしょう。なぜ三百だけ上げているのか。あなた方は、メーカーに対して、たいへん親切過ぎると私は思うのですよ。常識的に考えてごらんなさいよ。だんだん物というものを下げるべき時期に、特にこういう化学薬品については下げるべきときに、それをなぜ好んで上げるのだろうか。しかも、薬価というものは下げなければいけないというのが多くの声ですよ。大きな声になってきているはずですよ。それはおかしいじゃありませんか。少なくとも据え置きというのなら話はわかりますよ。だけれども、何を上げる必要があるか。
#214
○信沢説明員 先生お話しのように、一般的には価格を据え置くか、あるいは下がるような指導をすべきだ。この点については私どもも同じような考え方を持っております。ただ、いま問題になっております品目につきましては、先ほど私の御説明が不十分だったと思いますが、確かに医療上重要な薬ではございますが、他の新しい薬に押されて、その使用頻度というものはだんだん減りつつあるわけでございます。したがって、生産の実態を見ますと、実は大きなメーカーが昔はやっておったが今日ではやってない、こういうようなものが非常に多いわけでございます。そういう意味合いでだんだんコストが高くなって、採算がとれないということで、大メーカーから中小メーカーへ移ってきているような実態があるわけであります。したがって、こういう状態を放置しますと、もはやそういう薬をつくらなくなるような心配すらある。現にそういうような現象が一部の薬に出つつあるわけでありまして、さような意味合いで、この種の薬についてだけは、先ほど申し上げましたように、たとえば賃金が上がるとか、運賃が上がるという場合に、ある程度の値上がりは考えてやらないと生産ができなくなる、こういうものがいまお話にございました三百品目の大部分でございます。
 なお、三百品目を私正確には承知いたしておりませんが、その中にはかなり生薬を使ったものがある。生薬は御承知のとおり値上がりいたしておりますので、そういう原料面の値上がりというものもやはり薬価に反映させていただく必要があるのではないだろうか、このように考えております。
#215
○山本(政)委員 たとえば、一番端的な例というものを一つあげて示していただけませんか。たとえば、こういうものについてはこうだ。私は中小のメーカーをいじめるつもりはないのです。だから、あなた方が言うことで私納得さえできれば、その三百品目について、それをことさらにいけないというような気持ちは私は持っておらないのですから。
#216
○信沢説明員 私も技術者でございませんので、正確なお答えはあとで調べて申し上げたいと思いますが、たとえば私が記憶いたします中でリンゲル液というのがございます。これは手術の際に使う輸液という範疇に入る薬だそうでございますが、これにつきましても最近はいろいろ新しい輸液が出てきているわけでございます。しかし、やはり昔ながらリンゲルを使うという手術もかなりたくさんあるわけで、そういうような製剤については、なかなか大メーカーがやらないで中小メーカーのほうに移っていく。したがって、そういうリンゲルのようないいものがなくなるということは、医療上たいへんな問題でございますので、いま申し上げたようなほんの一例でございますけれども、そういう薬を中心に値上げを認めていただいた。もちろんこれは調査の結果も値上がりを示して出てまいりましたので、その結果をそのまま薬価基準に反映させていただいた、こういう経緯でございます。
#217
○山本(政)委員 それじゃ、時間の関係もありますので……。
 中医協で昭和四十二年九月十日に、診療報酬体系の適正化及び医療経済に関する調査、薬価基準を内容とする建議書を全員一致で採択しておりますね。そのときに、薬価基準については、薬価調査は毎年一回実施する、調査項目、調査対象など調査の細目は中医協調査実施小委員会で検討するということになって、ことしはいろいろトラブルがあるようでございますけれども、私がいま聞いている範囲では、最近薬価調査の時期にその二、三カ月前に薬価を上げている。そして、そういう指示というものをメーカーから受けて、今度は薬価の調査があったときにはその値段で調査を受けて、かりに薬価基準が何%か下げられたときには、もとと同じ薬価になっておるというような傾向があるということを実は私は耳にしております。そういう点について薬務局長さん、何かお気づきになった点があるかないか、ちょっとお伺いしたい。
#218
○坂元政府委員 薬価調査を実施いたします現段階におきまして、メーカー側のほうが、いま御指摘の趣旨のような動きをしたということにつきましては、実は一昨年の特例法を審議していただく際に山本先生から御指摘を受けまして、事実を調査しました結果、そのような事実が出てまいったわけでございます。その際に、私どもとしましてはメーカー側に、今後このようなことが二度と起きないようにという厳重な警告をやりましたと同時に、またメーカー側のほうも、そういうことについては今後御迷惑のかからないようにいたしたいということになっておるわけでございますが、現在までのところ、昨年の三月に実施しました薬価調査につきましては、そのような動きがあったことについての具体的な事実は承知しておりません。また、ことしの分につきましては、いま仰せになりましたように薬価調査がまだできておりませんので、そういうような具体的な動きがあるということについての事実は私ども承知していないわけでございます。
#219
○山本(政)委員 一昨年薬価問題が非常に世論の批判を受けたときから、メーカーの卸あるいは薬局に対するやり方というものは、非常に巧妙になったと私は思う。たとえばゴルフの会員にして会費を月々徴収をしながら、そしてこれがリベートのかわりになっておるというような話も実は聞いております。率直に申し上げまして、そういう事実を、回ってみても、これは卸屋さんでも、小売りの薬局でも、そういうことをあまり話したがりません。ただここに、私のところに手紙を送ってきております。これは無名でございますけれども、しかし、これをちょっと読みます。「私は或る問屋の販売員ですが、日常大変矛盾を感じておることをお知らせし、御善処いただきたいと思います。別紙のような販売拡大(医家向けおよび薬局向けと両方あります)のための具体例をあげて販売会議をやり、それぞれノルマを与えられます。そのノルマを達するためにメーカーからの種々の条件とのかね合いを表にしてくれます。その条件がずい分各社によって違うのです。薬品という人命に関する商品をあつかっていながら、定価から一〇%−二〇%、時にはもっと下がります。又メーカーが下げて売るよう指示します。しかし、それをいろいろの品物なぞでやりとりして値引したことにせずに値引するのです。二月の薬価調査という時は大変でした。又別表をみてお気付でせうが、S製薬という名が出ていません。」これはあえて名前は申し上げません。「これは取引が少いせいもありますが、Sは二年位前から(薬価基準の問題が、論議されるようになってから)添付、値引きを一切やらなくなったのです。値引出来るものもしたら取引停止とおどすのです。私の言いたいことは、よいお薬を、少しでも安くが私達薬屋のモットーだと思います。これが逆なのです。薬価基準という統一価格があるためにそれより値引きして医家からよく思われて売込む会社と、薬価基準が下がるからという理由で値下げ出来る商品も値引させない会社とどちらが正しいのでせうか。私はどちらもわるいけれど、値下げすればいつかは薬価基準が下って安いお薬になります。然し値下げしない会社はいつまでも薬価基準が下りません。販売価格が下りません。」云々と、こうあるのです。
 そうしてここに資料を送ってきております。
 たとえば、薬価調査をしておる最中に、こういうものを現実にメーカーがやっておるのです。ネオラミン3Bというのは五十アンプルで、これは一アンプルの薬価基準が四百七十四円、五十アンプルですから二万三千七百円、納入価格は二万一千円、そうして添付は二〇%ついておりますけれども、券つきカッター、米洗い器、こういうものがまたプラスをされておる。デリバーという薬は二百五十ミリグラムですか、一カプセル二十六円六十銭、これが納入価格では十五円二十四銭、そして三〇%の添付、そして券つきカッター、米洗い器がついている、こういうのがあります。ノイチームという薬ですが、これは千タブレット、これは薬価基準では四万一千七百円、これが販売価格では三万五千円になっておる、シカ皮の手袋、そして電気カミソリがこれに添付されておる。これは薬価基準の調査中ですよ、調査中にそういうことが行なわれておる。
 薬価基準の調査が終わったあと、これはますますはなはだしくなっています。
 MDSですか、これが千タブレット、二と書いてありますからおそらく二ケースでしょう、これをとにかく買うと、双眼鏡がもらえる。アデホスというのもそうでしょう、これは一と書いてあるから一ケースか何かわかりませんが、そういうふうになっておる。
 一番ひどいのは、MDS、これはやはり千タブレット、これは五十ですから眼底カメラが来ます。それからアデホスというのが千タブレット、これも五と書いてありますから、ケースか何かわかりませんが、これも眼底カメラ、眼底カメラというものは値段からいけば二十二万八千円です。こういうものが添付してついておるわけです。
 このほかに、たとえばエムデーというものは千タブレット、これも二と書いてありますが、これはケースか何か知りませんが、世界時計という時計がっくのです、腕時計か何かが。メーカーを言えばほとんどのメーカーです。こういうようなことが全部ある。これは私はたいへんおかしいと思うのです。
 MDS千タブレット、これは薬価基準では二十五円四十銭です、二十四円何ぼで入っておる。アデホス二十五円七十銭、二十三円で入っておる。その上にいま申し上げたように大量に納入すれば双眼鏡がついたり、それから眼底カメラですか、そういうものがついたりしておるのです。そういうばかなことが行なわれておる。オノブローゼなどというのも同じです。そしてすべてほとんどが、私が申し上げたように二〇%から三〇%の添付がついているのですよ。アフタゾロンなんというのは――一番ひどいのは一〇〇%から一五〇%の添付がついていますよ。それで医療費が高い。医療費の中で薬剤が四十何%も占めておる。これを征伐しなくて、保険料を幾ら千分の一やったって赤字というものは埋まりっこありませんよ。そうでしょう。抜本改正をやるんだったら、これをやらなければ抜本改正になりませんよ。あなた方、そう思いませんか。これは大臣、ひとつお答えください。
#220
○斎藤国務大臣 抜本改正は健保の仕組みだけでなしに、ただいまの薬価の問題、あるいは診療報酬制度の問題、これらも抜本的に考えなければならないと考えます。それはそれで、それぞれ考えているわけでございます。いまの薬の問題で私もそういう話をちょいちょい聞いております。
 そこで、自由主義経済のもとにおいて、そして医療、医薬、これを全額保険をするという場合に、どうしてそういう不正をなくすることができるかということに非常に頭を痛めているわけでございます。いいお知恵があったらぜひおかりをいたしまして、実行に移してまいりたい、さように思うわけでございます。
 ただいまおっしゃいました景品であるとか、あるいはリベートであるとか、そういうものをやらないようにという通達を、局長からもたびたび出しておるようでありますが、やはりその裏が行なわれているという面は絶無ではない、こういう事実があるわけであります。
 どうしてこの事実をなくしていくか、あるいは法律でもつくって、そういう事実があったら処罰をするというところまでいかなければならないかどうか、医薬分業の制度を確立をいたした場合に、こういうことがほんとうに絶滅できるであろうか、これも一つの検討課題として考えているわけであります。医薬を完全に分業制度にする、そしてその場合に患者の方は処方せんをどこの薬局へでも持っていって買ってもよろしいという形になる、しかし、その買った薬は全部国でまかないますということになりますと、いまおっしゃったような裏が行なわれやすい。一部負担ということになれば社会的に問題がある。なかなかむずかしい問題です。この点は中医協におきましても、これは支払い側の代表もおられるわけであります。私は、ほんとうにいろいろと衆知を集めて検討をしていただきたいと願っているところでございます。
#221
○山本(政)委員 たとえばユベラニコチネートというのは五百錠、これは七ケースですか、そういうものを買えばナショナルポータブル螢火灯がつくのですよ。しかも、これはほとんど有力メーカーばっかりですよ。名前を申し上げましょうか。吉富製薬、興和、藤沢、エーザイ、科研、中外、武田、山之内、大日本製薬、第一、全部こんなものをつけていますよ。こんなものを征伐しないで、七千か八千あるいはそういう薬品が、全部これで二〇%か三〇%高くなっているのでしょう、ひどいものになると、一〇〇%から一五〇%の添付がついておって、それにもう一つリベートがついているのですよ。こんなばかなことがどこにありますか。あなた方が抜本改正をやるんだといったら、まずきちんと薬をやりなさいよ。それができなかったら、抜本改正なんかできっこないじゃありませんか。そういうことをきちんとやらないで、それで情報だとかなんとかいっておったって、もっときちんと私は監督のしようがあると思うのですよ。毎年、抜本改正なり特例法なりというもの、が問題になったときには、これが出てくるでしょう。いつまでたってもこれが改まらぬですよ。極端にいえば、薬価というものをきちんとしたら、抜本改正というものはしなくたってかなりな赤字というものが克服されますよ。黒字になるかもしれない。しかもビタミンなんというものだって、こんなものはずしたらいいのです。もう一ぺん答弁してください。
#222
○斎藤国務大臣 先ほども申しますように、私はそういう事実のあることは断片的には聞いております。いまおっしゃいましたように、詳しいなにはありませんけれども、断片的に相当ひどいことを聞いております。
 そこで、そういうものをどうしてやめさせるか、局長からたびたび通達を出して、そしてその事実があったという場合には、まあ警告もするでありましょう。これを絶滅するのには、これは不当販売でありますから、公取委員会のあれで、公取委員会で規制をしてもらうというのが現在の法律の中にただあるだけでございます。あとは自主統制と、こういうことだけでございますから、しからばそういうような場合に、先ほどから申しますように、何か法律でもつくって、違反があれば処罰をするというところまでいかなければならぬか、しかし、そういう問題かどうか、いま非常にお知恵があるようでございますから、お知恵を拝借いたしまして、できるだけそういうものを減らしてまいりたい、かように考えるわけであります。
#223
○山本(政)委員 私は冒頭に、アメリカでの抗生物質のことについてお伺いしたが、アメリカでは一億二千万ドルですか、これを払い戻すというところまで来ているのですよ。そのくらいな大胆な処置というものをとり得ているのですよ。日本だってこれくらいのことをきちんとしなければ、私はいつまでたっても百年河清を待つにひとしいと思うのですよ。
 ダイアデミルというのは二千タブレットで原価は一万八千円ですよ。これは買ってもらえば五〇%の添付がつくのですよ。それにプラス二〇%の特別の添付がつくのですよ。そしてプラスの千円がつくのですよ。こんなばかなことが一体どこにありますか。しかも、お医者さんのほうで、日本医師会で抵抗があったからということで、あなた方はことしは薬価の調査をやっておらないでしょう。薬価の調査をやれば必ず幾らかは下がるはずですよ。なぜ薬価調査をやらないのですか。お医者さん待ちでなくて、なぜ、あなた方はやらないのですか。最善の策ができなければ、なぜ次善の策というものをあなた方はおやりにならないのですか。
#224
○梅本政府委員 薬価調査の点でございますが、先ほど先生申されましたように、建議が出まして、毎年一回薬価調査をやるという合意が、約二年半かかりました中医協においてやっと結論が出て、ああいう建議が出たわけでございます。それは御承知の中央医療協議会におきましては三者構成でございます。診療側の委員も全部出られまして賛成して、そういう合意が出たわけでございます。
 それで、第一回は去年やったわけでございますが、ことしになりましてから、大体二月前後の月に調査をやろうということでございますが、それにつきまして、先ほどの建議にもございましたように、調査の方法その他は中央医療協議会できめるというふうに合意ができておりますので、ことしの調査につきましての方法は、前のとおりでよろしいかどうかということを、調査の所管局であります薬務局から、中医協にも相談をしたわけであります。これが争いのもとでございますが、大体出席の方々の了解では、これでよろしい、時期は保険局長と薬務局長で相談したらよかろう、こういう形になったわけでございます。
 そういう形になりまして以後、一週間もたたないうちに、日本医師会長のほうから、各都道府県の医師会長あてに、購入サイドの調査については協力できないという通知が出たわけでございます。御承知のように調査の問題でございますので、やはり調査の対象になります医療機関、そういうところが調査表に記入をしていただくなり、調査に御協力を願えません場合には、調査が成り立ちませんので、その点何とか了解を得るという形で、中央医療協議会の公益委員その他も裏面におきまして、非公式に相当御尽力を願いましたが、現在のところ、まだはっきり協力するという線が出てないわけでございます。そういう事情でございますので、やはり調査の問題だけにあるいは強制的にそういう形で行ないましても、十分な結果が出ませんので、鋭意折衝をしておる最中でございます。
#225
○山本(政)委員 それではあらためてお伺いしますけれども、四十二年は調査しましたね、薬価調査。そのときは、これは販売サイドからやったわけでしょう。
#226
○梅本政府委員 四十二年度は、販売サイドだけの調査でございました。その前まで、三年ばかり、やはり先ほど申したと同じような状態がございまして、医療機関側の御協力が得られませんので、やはり三年間ばかり空白がございまして、そういうことで販売サイドだけの調査をしたわけでございます。その次からは購入サイドも、やはり中医協におきまして、むしろ診療側からの申し出がありまして、これは抽出調査でございますがチェックの意味において、購入サイドの調査も御協力を願って、両サイドでやったわけでございます。
#227
○山本(政)委員 四十二年度に、販売サイドの調査をやっている。やはり薬価というものは下がったわけですよ。購入サイドの協力を得られなければ、販売サイドだけでやったって薬価というものは下がるだろう、こう私は思うのです。それは現実に薬価調査をやった段階では必ず下がっているのですから。
 同時に、先ほどから申しておりますように、物と技術の分離、けっこうですよ。しかし、それはそれとして、もっと第三者の、治療を受ける側のことを考えていいと思うのですね。先ほどから議論になっているのは、月額報酬は、これはもうずっと入っているのでしょう。しかも、保険料はやはり上げようとあなた方はなさっているじゃありませんか。しかも、考えなければならぬことは、薬価の調査だけで事足れりとするのでは、厚生省の行政指導としては十分じゃないと思うのです。あなた方は一体どんな行政指導を――薬価で行政指導はすべて終わりだとお思いにならぬはずですよ。とるべき手段というものがあるべきはずでしょう。少なくともそれがなければおかしいですよ。年に一回の薬価調査によって、それで薬価の値段というものをきちんとできる、多少下がるだろう、それで指導したというのだったら指導になりませんですよ。厚生省の薬務局という存在価値は、そんなものじゃないと思う。何かほかにきちんとした指導というものをやらなければならぬでしょう。それはただ一片の通知だけでもないと私は思うのです。あなた方は、お金をお取りになるときは、審査官とかなんとかいうのですか、支払基金に対しても審査官が置かれているだろうし、それから月額報酬に対しては、人が足りないながらも、あなた方はちゃんと精一ぱいやっているとおっしゃっている。それならなぜメーカーのほうに対しても、あなた方が行政機関としての目を光らせて、そうして審査なり、査察なり、調査なりをおやりにならないのですか。そういうものがなければならないはずでしょう。赤字の克服というのは、そこから生まれてくるのですよ、率直に言えば。
#228
○坂元政府委員 先ほど来からのいろいろ御指摘願いました事実、大臣からも御答弁いただきましたように、私どもも従来から医薬品メーカーの、いわゆる販売側の姿勢の問題につきまして、いろいろメーカー側に対して指導監督をしてまいったわけでございますが、確かにいま御指摘のような事実が、まだ現在行なわれているようでございますので、今後さらに私どもは、この際、こういうメーカーの販売姿勢について、省内はもちろんのこと、関係各省とも相談をいたしまして、何らかの根本的な対策を検討をするように、早急に前向きにやっていきたい、かように考えております。
#229
○山本(政)委員 それでは、最後に大臣のお考えを再度お伺いをいたして、次の質問に移りたいと思います。
#230
○斎藤国務大臣 ただいま薬務局長がお答えをいたしましたように、できるだけ業者に対しまして指導監督をやり、厚生省だけでは力の足りない点は公取委員会その他とも相談をいたし、できるだけ御意見に沿うようにいたしてまいりたいと思います。
#231
○大原委員 関連。私もいずれ御質問するわけですが、いまの厚生大臣のは非常に重要な点ですね。というのは、診療報酬の引き上げがあるわけですね。これは私は技術尊重のたてまえで、医者や歯科医師や薬剤師等の技術は尊重するたてまえで思い切って上げるべきだ、こういう理論です。しかし、技術を尊重するということと、薬でもうける、薬を売れば売るほどもうかる、こういうことと、概念は全く別なんですよ。つまり売薬医療を克服しなければいけないということは大きな課題なんです。あなたは標準報酬の赤字や収入の問題についていろいろ話がありましたけれども、その根本に対して、はっきりした考え方を持たなければいけないわけです。幾ら保険料を上げたって保険財政の問題は解決しないし、あるいは良心的な医師の要望に沿うことはできないわけです。ましてや、いま山本委員から指摘されましたように、添付にいたしましても、一〇〇%というような、二十何万円の景品をつけたような事実がある。それで実勢価格を調べたとか、調べないとか、あるいは国会で約束している政策について、いまだに適正な調査がなされていない、あるいは薬務局の中には汚職問題がある、そういうことがずっと重なったわけです。これは私は決して医者だけを責めるわけではない。そういう状況に追い込んでいる行政の責任がやはりあるわけです。そういう点では根本はメーカーです、メーカーとの関係です。ですから、調査のしかたや、あるいはいま指摘された事実や、あるいは診療報酬体系や、医療費の問題や、こういう診療費引き上げの問題に関係いたしまして、いまの点は本質に触れる問題ですよ。ですから、これは私は、この審議のなされておる過程中に、いま指摘された問題については、納得できるような、厚生省として、政府として意思統一をしたそういう方針を出してもらいたい。これは重大な事実を指摘されておるわけですから……。そういう事実が全部薬価の中に入り、医療費の中に入るということになれば、保険財政だって問題でしょう。このことは、あらゆる観点から納得できるような厚生省の施策を、考え方を整理して出してもらいたいと思う。これは、私は、ことさら時間をかけて引き延ばしをするということでなしに、審議をほんとうに実効あらしめるために、このことを厚生大臣に強く要求いたします。いかがですか。
#232
○斎藤国務大臣 御趣旨はごもっともでございます。私も、根本はそこにあると考えております。たびたびこの委員会でも、そういった趣旨につきまして、いまの薬販売の場合の、いま山本委員がおっしゃいましたああいう具体的な問題については、初めてでありますけれども、根本趣旨につきましては、いまおっしゃったとおりでございます。したがって、いま山本さんから御指摘になりました点につきましては、十分検討をいたしまして、そして最善を期する方途を考えたい、かように思っております。
#233
○大原委員 つまり実勢価格の調査のしかたとか、こういう実態に対する克服の方法とか、あるいはこれに関連をして、適正な医療費の算出のしかたとか、あるいは保険財政のあり方、そういう問題について納得できるような、そういう点を整理をして、この審議中に答弁してもらいたい、こういうことですよ。
#234
○斎藤国務大臣 薬価調査をまだいたしておりませんのは、これは薬屋のほうからのあれというのではなくて、先ほど保険局長が申し上げましたように、薬価調査をもう少し学問的な要素を取り入れて調査をやってもらいたい、そこで、学問的な要素を取り入れてやるのには、どうやったらいいかということで、いまいろいろ協議をしておるわけでございまして、決してこれはやらないわけではございません。また、やる場合において、いまおっしゃいますようなことのないように調査を進めてまいりたい、かように思います。
#235
○大原委員 つまり、メーカーと厚生省との間におけるいろいろな問題があったわけですよ。汚職の問題があったわけですよ。これは新聞でも伝えられたとおりですよ。そういうものを克服する、ちゃんときちっと姿勢をただす、それからメーカーがやっているそういうふうな添付をしたり、景品をつけたりしている――健康保険でみんな赤字、赤字といって苦しんでいるそういうときに、そういうことまでちゃんと薬価の中へ入れて請求するようなそういうしかたについて、克服をどうしてするか。これらの問題を整理すればどうなるのだ、こういうこと等は、当然やるべきことなんです。だから、そういうことについて、可能な限り、できる限りそういう問題について姿勢をただす、その上で技術を尊重する、医療費をどうする、あるいはこの診療報酬をどうするという問題も議論されるわけですから、そういう点をできるだけ可能な限りやってもらう。それの一つの方針を示すことが一つ。
 それからもう一つは、もう少し長期的な視野に立って抜本改正に触れるようなこういう問題についても、当然今後の議論においてはやっていくけれども、問題点だけは出してもらう必要がある。そうしないと、特例法を延長したって、もう簡単に保険料を上げてしまう、それで保険料を上げなくても――標準報酬は、名目賃金の上昇に合わせておるのだから、それだけはね返りがあるはずです。保険料をその中でできるだけ合理的に措置することが健康保険のたてまえでしょう。ですから、そういう点を考えて、いま申し上げたような諸点については、根本的な問題の処理のしかたについては、明確な方針を出すべきである、そうしなければ、特例法はほんとうに審議したことにならない、こういう点で、ひとつ、この審議中にそういう問題について具体的な、納得できるような方針を出してもらいたい、こういうことです。
#236
○山本(政)委員 いま申し上げたように、薬価基準が八千四円であるのに、とにかく納入価格は五千八百円、たいへんな差額だと思うんです。それについて添付が二〇%もつくというようなことについては、いま大原委員が言ったように、ひとつ徹底的にやってもらいたいと思います。
 それで、これは薬局にも同じようなことがあると思うんですよ。たとえばリポビタン一つとっても、薬局のほうは、冬場と夏場とでは値段が違っておりますよ。だから、小さなお薬屋さんというのは、冬場に仕込んで、それで品物を寝かしておく。夏に仕入れると高いから、冬に仕入れて、そうして夏になって売っているわけです。それが実情ですよ。上原さんは、りっぱなことをおっしゃっているけれども、そういうものも、大衆薬についても、ひとつきちんとあれしていただきたいですね。そういうものを一切含めて、あなた方は、それこそ抜本改正をやってもらいたいと思うのです。健康保険の抜本改正でなくて、そういう意味の抜本改正をきちんとやっていただきたい、そういうことをお願いしまして、次の質問に移りたいと思います。
 基金審査をやる場合に、事務費というのがかかりますね。その場合に、これは私もよくわかりませんから、ひとつ教えていただきたいのですけれども、たとえば国鉄の共済組合などというのは、これは日本医師会と話し合いをして、各都道府県連合会に審査委員を依頼して、そうしてこの審査委員というのは、三者構成になっておって、各鉄道管理局ごとに支払いをしていく、こういうふうになっていると思うのです。そういう場合は、これはいいと思いますが、政管の健保のように、非常に全国に散らばっている場合に、それをやるのはどうか。社会保険事務所というのですか、そこでやるわけでしょうが、そういう事務費というのは、一体いま幾らになっているのか。つまり単価というんでしょうかね。
#237
○木暮説明員 四十四年の支払基金の事務費でありますが、これはレセプト一件について十七円六十銭でございます。
#238
○山本(政)委員 そうすると、伺いますが、十七円六十銭ということで一いろいろないま郵便とか、そういう事務的な手続があるでしょう。それが十七円六十銭で現実に間に合っているわけですか。
#239
○小暮説明員 支払基金の事務費につきましては、毎年改定をしてまいっているわけでありますが、本年は十七円六十銭で一切の事務費がまかなえる、こういうふうに考えております。
#240
○山本(政)委員 件数があまり伸びていないわけでしょう、受診率の頭打ちというようなことで。そういう場合に、諸物価の高騰があるだろうし、人件費も上がっているでしょう。あなたのおっしゃるように、確かに一円四十銭は上げられた。つまり十六円二十銭から十七円六十銭になったのですから、一円四十銭上がった。しかし、その一円四十銭で、今日のような人件費の上がり方とか、あるいは物価の上がり方とかいうことに対して、現実にまかなえるだろうか。そういう意味では、基金の審査に関する予算というものは、かなり窮迫化しているのではなかろうか、こう思うのですが、この点いかがですか。
#241
○木暮説明員 支払基金の予算でございますが、御指摘のように人件費が七割をこえております。人件費の部分が国家公務員の給与ベースに合わせて増加をいたしますので、支払基金の事務費も、毎年御指摘のございますようなふうに上げなければならない情勢が毎年続いているわけでございます。しかし本年は、十七円六十銭ということで年間の見通しを立てておりまして、現在これでやっていけるというふうに考えております。
#242
○山本(政)委員 たとえば、レセプト一枚審査するにしても、きわめて機械的で、なれた方にしても、十秒くらいのものはかかるわけでしょう。それをどんどんやっているという中で、つまり審査員というのですか、そういう人たちの不足というものはないのだろうかどうだろうか、この辺はどうでしょう。
#243
○木暮説明員 審査員につきましては、件数の増に応じまして、逐年増加をはかってまいりました。現在二千六百四名でございます。二千六百四名の審査員の先生方にお願いいたしまして、審査をやっている状況でございます。
#244
○山本(政)委員 たとえば、審査の場合には、それぞれ共済の場合は大蔵だとか、いろいろ担当の局がありますね。予防局もあるだろうし、社会局もあるだろうし、薬務局もあるだろうし、それから児童局もあるだろうし、援護局もあるだろうし、そういう担当局があるでしょう。
 それからもう一つは、いま問題になっている政管の場合には、保険局で、全国には結局社会保険事務所というのがあるのでしょうけれども、人件費並びにそういう事務的な、これはたとえばもの一つ送るにしたっていまの郵便では十五円ですか、かかるわけですね。そうすると、それが送られた。もう一つ今度は送り返す場合もあるだろうし、私しろうとですからよくわかりませんが、またどこかほかのところに送るような場合もあるだろうと思うのです。そうすると、一件について十七円六十銭という金額では間に合わぬのじゃないかという気が実はするのです。そういうものを結局国で負担するというような考えはおありにならないかどうだろうか、私の聞きたいことはそこなんです。
#245
○木暮説明員 先生御指摘のように、支払基金の人件費も年々ベースアップをしてまいらなければなりませんし、それから取り扱いの郵便料その他につきましてもアップがございますので、それに即応しまして、経費の見積もりを立てていかなければならないわけでございます。現在までのところ、そういう事情がございますので、昨年からことしにかけましては、十六円二十銭から十七円六十銭に改定をしていただいたわけでございますが、その前の年、昭和四十二年は、十五円十銭でございましたものを十六円二十銭に増加をしていただいたわけです。その前年で申しますと、十四円二十銭でございましたものを十五円十銭ということで改定をしていただきまして、その事務手数料で経費をまかなってきておるわけでございます。御指摘のように、年々経費が増高いたしますので、そういう形で消化してきておるわけでございまして、現在本年度につきましては、先ほどの十七円六十銭で事務は運営していける、こういう見通しでございます。
#246
○山本(政)委員 とにかく支払基金の審査というものが、正確に迅速に行なわれるということは、一つは行政努力とも関連するわけですけれども、人件費に食われてから、基金の予算はかなり窮迫しているのじゃないだろうか。そういう場合に、もっと国のほうから補助というのですか、私はよくわかりませんけれども、そういうものがあっていいんじゃないかという気がするわけです。そういう点について、辻さん、どうでしょう。そうすることがむしろ私は保険財政といいますか、そういうものの増収をはかる要素になるのではないか。一文惜しみの百文損というか、そういうことになっては、かえってたいへんじゃないだろうか。だから、予算をとって正確に迅速に審査をするという場合には、ある程度の金を出したほうが、今度は逆にインカムを呼び起こすことになるのじゃないか、こういう感じがするのです。その辺についての配慮というものがないだろうかどうだろうかということです。
#247
○辻説明員 支払基金の事務費につきましては、ただいま厚生省から御説明申し上げましたように、逐年単価を増額いたしまして予算を計上いたしております。したがいまして、四十四年度におきましても、本年度の単価の十七円六十銭の範囲内で事務が円滑に運営される、かように考えておるわけでございます。
#248
○山本(政)委員 いずれにしても、先ほど申し上げましたように、予算の問題、これはやはり考えていかなければならぬ問題がたくさんあると思うのですけれども、現実に増収というものは、一〇〇%といっていいほど確実じゃないだろうか。それから、いまの薬価の問題、支払基金の財政の硬直化の問題、そういう点についてもう一度考え直していただく必要が厚生省にありはしないだろうか。そして、とるべき措置は大胆にとっていただきたい。そのことが、いまの政管健保というよりか、むしろ保険財政に寄与するのではないかと思いますので、最後に大臣にお考えをお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
#249
○斎藤国務大臣 ただいまおっしゃいました支払基金の人員並びに調査の内容を充実をして、そしてレセプトを完全に審査をするということは、これは非常に必要なことだと存じます。したがいまして、それに必要なものは毎年増加をしておる、こう申しますが、いまおっしゃいますように、これを保険経済の中だけでまかなわないで、政府の金を入れてやったほうがいいじゃないかというお話もございますから、その点はよく検討さしていただきたいと思います。
#250
○山本(政)委員 これで私の質問は終わります。
#251
○森田委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
    午後五時二十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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