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#1
第061回国会 文教委員会 第16号
昭和四十四年五月九日(金曜日)
    午前十一時開議
 出席委員
   委員長 大坪 保雄君
   理事 久保田円次君 理事 河野 洋平君
   理事 高見 三郎君 理事 谷川 和穗君
   理事 西岡 武夫君 理事 唐橋  東君
   理事 長谷川正三君
      稻葉  修君    櫻内 義雄君
      周東 英雄君    竹下  登君
      中村庸一郎君    南條 徳男君
      広川シズエ君    藤波 孝生君
      増田甲子七君    八木 徹雄君
      川村 継義君    小林 信一君
      斉藤 正男君    原   茂君
      岡沢 完治君    有島 重武君
      石田幸四郎君
 出席国務大臣
        文 部 大 臣 坂田 道太君
 出席政府委員
        文部政務次官  久保田藤麿君
        文部大臣官房長 安嶋  彌君
        文部省管理局長 岩間英太郎君
        文化庁長官   今 日出海君
        文化庁次長   安達 健二君
 委員外の出席者
        専  門  員 田中  彰君
    ―――――――――――――
五月八日
 委員広川シズエ君辞任につき、その補欠として
 三池信君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員三池信君辞任につき、その補欠として広川
 シズエ君が議長の指名で委員に選任された。
同月九日
 委員岡沢完治君辞任につき、その補欠として西
 村榮一君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員西村榮一君辞任につき、その補欠として岡
 沢完治君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
五月七日
 山村へき地の医療対策として医学専門学校設置
 に関する請願(松浦周太郎君紹介)(第五八五
 五号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 著作権法案(内閣提出第一〇三号)
 昭和四十四年度における私立学校教職員共済組
 合法の規定による年金の額の改定に関する法律
 案(内閣提出第四八号)
     ――――◇―――――
#2
○大坪委員長 これより会議を開きます。
 著作権法案を議題といたします。
 去る四月二十五日の会議において提案理由の説明を聴取いたしておりますが、この際、提案理由の補足説明を聴取いたします。安達文化庁次長。
#3
○安達政府委員 去る四月二十五日、本委員会において行なわれました文部大臣の提案理由の説明を補足いたしまして、私から著作権法案の内容について御説明申し上げたいと思います。
 第一は、この法律の目的、用語の定義及び適用範囲を定めることについてであります。
 この法律は、著作物並びに実演、レコード及び放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護をはかり、もって文化の発展に寄与することを目的とすると規定いたしまして、この法律の目的が著作者等の権利の保護に重点を置き、あわせて著作物等の公正な利用を確保するための方途を講ずることにあることを明らかにしたのであります。
 用語の定義におきましては、「複製」とは、印刷、写真、複写、録音、録画その他の方法により著作物を再製することをいうこと、「美術の著作物」には、美術工芸品を含むこと、「映画の著作物」には、映画の効果に類似する視覚的または視聴覚的効果を生じさせる方法で表現され、かつ、物に固定されている著作物を含むものとして、固定されたテレビ著作物は映画とみなして取り扱うことなどを規定いたしました。また、「上演、演奏、口述」には、これらが録音物、録画物を再生して行なわれる場合を含むこととして、従来出所の明示を条件として自由利用が認められていたレコードを用いてする音楽等の演奏にも著作権が及ぶことを明らかにしたのであります。
 この法律の適用範囲につきましては、著作物に関しては、日本国民の著作物のほか最初に国内において発行された著作物等が、実演に関しては、国内において行なわれる実演等が、レコードに関しては、最初に国内において音の固定が行なわれたレコード等が、また、放送に関しては、国内にある放送設備から行なわれる放送等が、それぞれこの法律の保護を受けるものと定めました。なお、実演に関しましては、当分の間外国人の実演家には、原則としてこの法律を適用しないことといたしております。
 第二は、著作者の権利を定めることについてであります。
 その一は、著作物についてその例示を類別して詳細に掲げるとともに、憲法その他の法令等その性質上この法律で定める権利の目的とすることが適当でないものを明定いたしました。
 その二は、著作者について、著作者の推定に関する規定を設けるとともに、法人等の従業者が職務上作成する著作物で法人等の著作名義で公表されるものの著作者は、特約がない限り、その法人自体であるとして、法人等が著作者となり得る場合を明らかにし、また、従来その取り扱いが明らかでなかった映画の著作者について、製作、監督等を担当して映画の全体的形式に創作的に寄与した者を著作者とする旨を定めたのであります。
 その三は、著作者の権利の内容について、著作者は、何らの方式の履行を要せずして、著作物を創作したときから、著作者の人格的利益にかかわる著作者人格権と、著作物の経済的利用にかかわる著作権を享有するとして、著作者の権利が著作者人格権と著作権に大別されることを明らかにいたしたのであります。
 著作者の人格的利益の保護について、現行法は、他人の著作物の著作者名を隠匿し、その題号、内容に改ざん、変更を加えてはならないと規定しているにとどまるのに対し、この法律案では、私法上の権利として積極的に著作者人格権を規定いたしました。その内容としては、未公表著作物の公表を決定する権利、著作者名の表示のいかんを決定する権利及び著作物の改変を禁止して著作物の同一性を保持する権利を定め、さらに著作者の名誉、声望を害するような方法で著作物を利用することもまた著作者人格権を侵害することとなるものとするなど、著作者の人格的利益の保護に十全を期したのであります。
 著作権については、複製権、上演・演奏権、放送・有線放送権、口述権、展示権、映画の著作物等の上映・頒布権翻訳・翻案権等を含むものとして、それらの内容を明らかにするとともに、翻訳物、翻案物等の利用について原作となった著作物の著作権が及ぶことを規定いたしました。
 その四は、映画の著作物の著作権の帰属等について特例を設けました。映画の著作物の著作権につきましては、映画の著作者の多様性、映画の製作における映画製作者の寄与の大きいこと、映画の利用を容易ならしめるため、権利を集中させる必要があることなどの理由により、この法律案においては、ベルヌ条約や諸外国における立法例をも勘案し、かつわが国の映画製作の実態をも考慮して、通常の映画の著作物の著作権は、映画製作者に帰属するものといたしました。さらに、映画の著作物の著作権が映画製作者に帰属した場合には、著作者は、その公表に同意したものと推定する規定を設けて、著作者人格権の面でも、映画の著作物の特性に着目した措置を講じております。
 なお、従来、嘱託による肖像写真の著作権は、嘱託者に属することとされていましたが、このような規定は設けないことといたしております。
 その五は、著作物の公正な利用をはかるため、今日における複写、録音手段等の発達普及及び公共の利益との関係を考慮して、著作権の制限の規定を整備いたしました。
 従来の私的使用、引用、教科用図書等への掲載、時事問題に関する論説の転載、政治上の演説等の利用、営利を目的としない上演等及び裁判手続等における複製に関する規定を整備するとともに、新たに、図書館等における複製、学校教育番組の放送、学校その他の教育機関における複製、試験問題としての複製、点字による複製等、時事の事件の報道のための利用、放送事業者による一時的固定、美術の著作物等の原作品の所有者による展示、公開の美術の著作物等の利用及び美術の著作物等の展示に伴うカタログ等による複製について規定を設けることといたしました。さらに、著作物を利用する場合にそれを翻訳しても利用することができる場合等について明定し、その他、出所の明示、著作権の制限の規定によって作成された複製物の目的外使用について規定いたしております。これらを規定するにあたっては、著作権の制限による著作物の利用の要件を厳密にし、また、教科用図書等に掲載する場合には所定の補償金を支払うべきものとするなど、著作者の権利を害しないよう配意いたしました。
 なお、従来問題となっております適法に作成された録音物を用いてする著作物の興行及び放送については、さきにも申し述べましたように、著作権が制限されるたてまえを廃止することとし、また、文芸、学術の著作物の楽譜への充用等の規定は、設けないことといたしました。
 その六は、保護期間について、著作権の原則的保護期間を、著作者の生存間及びその死後三十七年間から著作者の生存間及びその死後五十年間に延長することといたしました。これに伴って、無名、変名の著作物及び団体名義の著作物の保護期間は、公表後五十年間とし、映画の著作物については、公表後五十年間保護することといたしました。また、写真の著作物については、現在発行後十二年間であるのを公表後五十年間と大幅に延長することといたしました。なお、遺著の保護期間に関する現行の特例規定は存置しないこととし、さらに無名、変名の著作物に関し、その著作者の死後五十年を経過していると認められるものは保護しない旨を定めました。
 その七は、著作者人格権及び著作権についてそれぞれの性質を考慮して規定を整備し、著作者人格権の一身専属性、著作権の譲渡性その他について定めました。
 その八は、裁定による著作物の利用について著作権者不明等の場合の著作物の利用及び当事者間で協議がととのわない場合における著作物の放送にかかる裁定に関する現行規定を整備いたしました。また、新たに、音楽の著作物を商業用レコードに録音することについて裁定の規定を設けました。これは、音楽の著作物についての録音権が長期間にわたり独占されることのないようにし、音楽の著作物の利用を容易にするためのものであります。さらに、これらの裁定の手続、補償金の供託手続等に関し、規定を整備いたしております。
 その九は、著作物にかかる登録について、従来の規定を整備するとともに、著作物の著作年月日登録の制度を廃止して、新たに著作物の第一公表年月日登録の制度を設けました。
 第三は、出版権についてであります。
 出版権に関しては、その存続期間の起算点について「出版権の設定後」を「最初の発行後」と改めたこと等若干の改善を行ないましたが、おおむね現行の出版権に関する規定を踏襲し、これを整備するにとどめました。
 第四は、著作隣接権制度の創設についてであります。
 わが国では、現在演奏歌唱及び録音物については、著作物として保護することをたてまえといたしておりますが、これらはその性質上著作物としての保護になじまない点もあり、また、一九六一年に実演家、レコード製作者及び放送事業者の保護に関する条約が成立したことをも考慮して、著作物の利用に関連を有する実演家、レコード製作者及び放送事業者を保護するための著作隣接権制度を創設することといたした次第であります。
 実演家とは、演奏歌唱者のみならず、俳優、舞踊家等著作物を演じる者及び著作物を演じないがこれに類する芸能的な性質を有する行為、たとえば曲芸などを行なう者をいい、さらに演劇等の演出家及び音楽の指揮者を含むものとすることを明記いたしました。実演家は、実演の録音・録画、その録音物・録画物の増製及び実演の放送に関し、これらを許諾する等の権利を有し、また、商業用レコードが放送または音楽有線放送において使用される場合に二次使用料を請求する権利を有することとなります。この二次使用料の請求権は、国内において実演を業とする者の相当数を構成員とする団体で特に指定するものがあるときは、その団体によってのみ行使することができるものといたしました。
 レコード製作者は、レコードを増製する権利を有し、及び商業用レコードが放送または音楽有線放送において使用される場合に二次使用料を請求する権利を有することとなります。二次使用料の請求権は、実演家の場合と同様に、国内において商業用レコードの製作を業とする者の相当数を構成員とする団体で特に指定するものがあるときは、その団体によってのみ行使できるものといたしました。なお、実演家及びレコード製作者のレコードの二次使用料を請求できる範囲につきましては、これを広範に認める立法例もありますが、わが国の実態に照らし、放送及び音楽有線放送に限定することといたしております。
 放送事業者は、放送を録音・録画し、その録音物・録画物を増製する権利、放送を受信して再放送する権利及びテレビジョン放送を拡大装置を用いて公に伝達する権利を有することとなります。
 これら実演、レコード及び放送にかかる権利の保護期間については、それぞれ実演が行なわれたとき、レコードが作成されたときまたは放送が行なわれたときから二十年間これらを保護することといたしました。その他、著作隣接権の制限、譲渡、消滅、行使、登録等に関しては、著作権に準じて取り扱う旨の規定を設けております。
 第五は、著作権等に関する紛争処理のための制度を設けることについてであります。
 著作権等に関する紛争について実情に即した簡易な解決をはかるため、あっせんの制度を設けることとし、著作権紛争解決あっせん委員を置くこととしました。
 第六は、権利の侵害について定めることについてであります。
 この点につきましては、特許法等の例にならい、著作権等の侵害の停止、予防のために必要な措置の請求権について規定し、あるいは著作権等の侵害にかかる損害額の推定規定を設ける等この法律が認める権利の侵害に対する救済が有効に行なわれるようにいたしました。また、著作者の死後におけるその人格的利益を保全するため、著作者の遺族または著作者が遺言で指定した者が、死亡した著作者の人格的利益を害するような行為に対し、適切な措置を講ずることができるよう定めました。
 第七は、罰則についてであります。
 著作権の侵害につきましては、現行の二年以下の懲役または五万円以下の罰金を三年以下の懲役または三十万円以下の罰金に引き上げるとともに、著作者人格権の侵害についても著作権侵害の場合と同一の刑罰を科することとするなど、罰則を整備いたしました。また、新たに、いわゆる商業用レコードの海賊版を防止するため、不正競争防止的な観点に立ってこの法律によって著作隣接権を認められないレコードの原盤の提供を受けて国内の業者が製作した商業用レコードを商業用レコードとして無断で複製した者は、一年以下の懲役または十万円以下の罰金に処するものといたしました。このほか、罰則を実効あらしめるため、法人等の従業者の行為についてのいわゆる両罰規定を設けております。
 最後に、この法律の施行に伴う経過措置のおもなものについて御説明申し上げます。
 この法律は、従来の保護期間の暫定延長の措置をも考慮し、昭和四十五年一月一日から施行するものといたしております。この法律は、著作物に関しては旧法による著作権が消滅しているもの以外のすべての著作物に適用され、また、実演、レコード及び放送に関してはこの法律の施行後に行なわれた実演等に適用されますが、従前の演奏歌唱及び録音物につきましては、旧法によるこれらの著作権の存続期間のうちこの法律の施行の日において残存する期間か、この法律の施行の日から二十年間かのいずれか短い期間、この法律の著作隣接権の制度が適用されるものといたしました。
 次に、翻訳権につきましては、現行法におけるいわゆる翻訳権十年留保の制度は、世界の大勢や著作権保護の精神などから、これを廃止すべき段階に来ているものと判断し、今般廃止することといたしました。ただし、急激な変動を避けるため、すでに翻訳権が消滅している著作物について遡及適用しないこととするとともに、この法律の施行前に発行されている著作物についてはこの制度の適用があるものとし、実質上この制度をなお十年間維持する等の経過措置を講ずることといたしております。
 また、適法に作成された録音物を用いてする音楽の著作物の演奏につきましては、さきに申し述べましたように現行法のたてまえを改めることといたしておりますが、わが国におけるレコード使用の実情を考慮して、当分の間、音楽喫茶等政令で定める営利事業において行なわれるものに限って、権利を認めるような経過措置を講ずることといたしました。
 以上がこの法律案の内容についての補足説明でございます。どうぞよろしくお願いします。
#4
○大坪委員長 以上で提案理由の補足説明は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#5
○大坪委員長 昭和四十四年度における私立学校教職員共済組合法の規定による年金の額の改定に関する法律案を議題とし、審査を進めます。
 質疑の通告がありますので、これを許します。広川シズエ君。
#6
○広川委員 私学共済についての質問に入ります前に、私学全般についてお尋ねいたしたいと思います。
 文部省当局は、現在の日本教育の中に占める私学の位置づけについてどうお考えでしょうか。私は私学関係者の一人といたしまして特にこの問題について深刻に考えておるものでございますが、これにつきまして詳しく将来の見通しを含めてお答えいただきたいと思います。
#7
○久保田政府委員 お尋ねの私学の位置づけといいましょうか、教育における立場というようなことをお尋ねのことかと思いますが、私学が持っております教育界における重要な役割り、ことにいままで果たしてきました功績とでもいいましょうか、特に最近の学童の急増時における私学の高等学校分野における活動、功績といったようなものは格別のものであったことを私も十分心得ております。また、今後とも引き続き私学の重要な役割りというものについては十分心得ておるつもりでございます。したがいまして、いま学生が減ってきておるとか、いろんな悩みがございますのでたいへん御心配であろうかと思っておりますが、これらについても十分責任を持った態度で臨みたい、こう思っております。
#8
○広川委員 高校以下に分けて考えました場合に、高校と中学の経営が、ただいま政務次官おっしゃいましたようにたいへんむずかしくなっております。それで政府は、私学振興と口では申しておりますけれども、この現実につきましてどのようなお考えを持っておられるか、伺いたいと思います。
#9
○久保田政府委員 特に高等学校、中学校における減少期を迎えておりますだけに、そうした分野に学校当局がたいへん御苦労なさっておるということも十分承知いたしております。当面の問題としては、急増期に学校側がしょい込まれた多くの施設を確保するとかいったような意味の負債を、私学振興会の貸し付け金でもって金利の差額を補うといったような意味の切りかえの支出、こうしたことが第一であろうかと思っております。
 それからもう一つは、学生が急に減っておるわけですから、これは公私の割合を考えてもらって、公のほうから私のほうにどれだけ譲ってもらうといいましょうか、その持ち合いを調整するといったようなことが大事なことであろうといったようなことで、その辺の調整はいささか進展しておるつもりでございます。今後財源措置の裏づけという問題で、都道府県に経常費の助成などをお世話いただいておりますが、これらをできるだけ拡充していくといったことであろうかと思っております。
#10
○広川委員 ただいまお話の中にございました私学の建設資金または施設費の大半は、授業料でまかなっておることは御存じのとおりでございますが、この授業料を、足りないからといって極端に値上げするというわけにはまいらないと思います。そこで非常に困難ということを考えなければならないと思いますが、その中で特に人件費などは国庫補助に踏み切るべきである、このように考えますけれども、文部省当局としてはどのようにお考えでございましょうか。
#11
○久保田政府委員 お話の御趣旨は十分私ども心得えておるつもりであります。先般の予算段階におきましても、広川先生はじめ皆さんにもたいへん御心配をいただいたところであります。御趣旨のように十分到達はできておりませんけれども、方向あるいはそれに対する努力、また現在もその意味合いでお話を進めており、あるいは私より広川先生のほうがよく事情を御存じであると思いますが、御趣旨の点は十分心得ておるところであります。
#12
○広川委員 私学の小学校、中学校の義務教育についてお伺いしたいと思うのでございますが、義務教育はすべて国がやらなければならないというような考え方をお持ちではないでしょうか。私学の根本的なものを考えました場合に、義務教育の振興を特にお考えいただく御意思はないでしょうか。私学の行なっておる義務教育に対しまして、これを維持し振興するために今後どのような対策を当局はお考えでございますか。
#13
○久保田政府委員 義務教育と私学との関係という問題は、これは基本的にはこう考えております。また従来もそうであったはずだと考えておりますが、親に対する義務づけと国家に対してつけられた義務づけと両面これは意味合いがあるのだと心得ております。したがいまして、私学のあることが決して国公側から見た義務づけをはずれておるという考え方ではありません。したがって、国公立のほうが主たる義務であって私学のほうの部分はむしろ少ないのだという、これは数の上ではそういうことがいえるかもしれませんが、考え方、思想の意味合いでは決してそこに格差のあるものとは心得ておりません。いままで義務教育をやっておられる小、中学校を持っておられる私学側に対する予算的な助成が足りないではないかという御趣旨の点については、先ほど申しました意味合いと全く同じようなことでありまして、当然それらについてももっともっと努力しなければならぬもの、また手当においても十分されるべきものだと思っております。
#14
○広川委員 ただいまに関連いたしまして、公立の一面的な教育と、それから私学のいわゆるスクールカラー、また、おのおの建学精神によって築き上げられる人間というものが、将来やはり対立的な立場に立ちましてお互いに練摩し、そうして日本の将来をになって立つ子供たちのためになくてはならない存在であると、私は私学の義務教育に対してこのような見解を持っておる一人でございます。どうぞただいまおっしゃったことにつきましては、必ず実現可能になられますように切に御努力賜わりたい。お願い申し上げます。
 次に、私学教育を振興しようとする場合に、当然できる限り優秀な人材を集めなければならないと思います。そのためには私学で教べんをとる人々が安心して教育に専念できるような積極的な制度をつくり上げる必要があると思うのでございます。公立の教職員には退職金制度、年金、共済の制度が確立いたしております。しかし、私学の場合は、一時金としての出費がおのずから限度がありまして、その意味でも、この制度のみでは十分ではなく、国立の教員に対して行なわれている退職金制度に準じた方法が必要と思われます。政府は、これについて具体的な政策を行なうという御意思がありますでしょうか。
#15
○岩間政府委員 ただいま御指摘のございました退職金制度につきましては、これは先般の臨時私学振興方策調査会におきましても御答申がございまして、私ども本年度から研究に着手を始めたところでございます。せっかく私学の各団体の御協力を得まして、いい退職金制度ができるようにひとつ努力したいと考えております。
#16
○広川委員 ただいまの研究をなされた詰果、実施を早くしていただくように切にお願いを申し上げたいと思います。
 私学共済についてお伺いいたします。この制度ができ上がりました趣旨についてお伺いいたしたいと思います。
#17
○岩間政府委員 このたびの改正の内容につきましては、一つは、既裁定年金、もうすでに支払われております年金の額の引き上げ、それから最低保障の引き上げ、それから標準給与の引き上げというようなものが大体大きな柱になっておるわけでございますが、これは私立学校の共済組合の方式が国家公務員、国立学校の先生あるいは公立学校の先生と同じような給付内容を持つような制度にしていきたいということがねらいでございまして、いままで既裁定年金につきましては引き上げが行なわれておりませんでした。これをこのたび一挙に引き上げを行ないたいということが一番大きなねらいでございます。その他、最低保障の引き上げあるいは標準給与の引き上げというふうな内容になっております。
#18
○広川委員 私学共済といいましても、大ぜい教職員のおる学校と、そうして教職員が非常に少ない幼稚園もその中に含まれると思います。こうした私学の実態を私どもとしては知らなければならぬと思いますが、私学共済の掛け金や標準給与の取り扱い等につきましてどのような配慮をなされておられるか。特に幼稚園のような小規模なものにつきまして詳しく御説明をいただきたいと思います。
#19
○岩間政府委員 掛け金の基礎になります標準給与の問題につきましては、これは私立学校の給与というものが、公立学校あるいは国立学校のようにはっきりきまっておりませんので、一応標準給与というふうなものをつくりまして、実際の給与にできるだけ近い給与によりまして処理をしていくというふうな考えをとっておるわけでございます。現在のところ、最低の標準給与が一万二千円、それから最高が十一万円というふうになっておりまして、その標準給与に基づきましていろいろな給付等を行なうというふうな仕組みになっています。
 ただいま御指摘のございました小規模幼稚園等につきましては、これは実際には給与が低いわけでございますから、それに最も近い標準給与を当てはめるということでございます。この仕組みは別に間違った仕組みではないと考えますけれども、ただいま御指摘のございました点は、おそらくこのたびの標準給与の引き上げの問題、改定の問題についての御意見だと思いますが、今度の改正によりまして、標準給与の最低を一万二千円から一万八千円に引き上げたい、それから最高の十一万円を十五万円に引き上げたいというふうな内容の改正をお願いしているわけでございます。まあ、上限の改定につきましては、これはほかの共済との関係もございまして、別に異論はないところではないかと考えるわけでございますけれども、下限の一万二千円を一万八千円に引き上げるという点につきましては、それは私どもも、低い給与の者がそのために高い掛け金を払うようなことにならないかということを非常に心配いたしまして、いろいろと検討いたしました。その結果、まず第一には、標準給与の引き上げは大体四年ごとぐらいに行なっておりますが、四年前の一万二千円を基礎にいたしまして、その後のベースアップ等を見込みますと、大体四十四年度には一万八千円をこえるような金額が出てくるんじゃないか。それから、実際に四十四年度の国家公務員等の最低の給与を考えましても、やはり一万八千円をこえておるんじゃないかというふうなことがあります。
 それからもう一つは、この標準給与の最低を引き上げることによりまして、実際に支払われております低い幼稚園の給与がどういうふうに動いていくのかというふうなことを過去の実績を調べまして検討いたしてみますと、三十九年度に一万二千円以下でございました者が約二万人ございましたが、それが改正によりまして四十年度に約一万五千人、それから四十三年度に約一万人、四十四年度に六千人ちょっとというふうに、まあ、かなりの勢いで一万二千円以下の者が減少いたしております。それから考えますと、あるいはこの標準給与の引き上げが、低く押えられております実際の賃金、給与というものを押し上げる役目をしているんじゃないかというふうなことも考えるわけでございまして、そういう意味から申しましても、今度の改正はそう間違った方向じゃないんじゃないかというふうなことが考えられたわけでございます。
 なお、実際に現在、長期給付と短期給付に分かれておりますけれども、長期給付の場合には、標準給与を引き上げますことによりまして、それに応じた給付内容というものがある程度保障されるということになるわけでございます。実際問題としまして問題になりますのは、短期給付のほうがあるいは問題になるかもしれません。と申しますのは、掛け金を従来どおり少なく払っていたからといって、短期給付の給付の内容が落ちるわけではないわけでございます。このたびの標準給与の引き上げによりまして給付内容が変わるということはないわけでございますから、その分だけ高い掛け金を払うというふうなことになるんじゃないかということも心配したわけでございますけれども、現在短期給付の一人当たりの給付というものが、計算いたしますと、大体三万三千円ぐらいになっております。今度の標準給与の引き上げによりまして一万二千円を一万八千円に引き上げることによりまして、年額約七千五百円の支払いということになるわけでございます。実際の給付に対しまして大体四分の一程度の掛け金を払うということになるわけでございますが、従来からの一万二千円に対する掛け金と一万八千円に対する掛け金を比較してみますと、二百円の増加ということでございます。引き上げの金額もそうたいして多くはならない。それから、実際に給与の高い人も低い人も、あるいは病気になるとかそういうことで短期給付を受けるその機会というのは、大体同じように考えてよろしいんじゃないか。高額所得者があまり多くの掛け金を払って、それから低額所得者が非常に少ない掛け金を払うという、方法としてはそういう方法が適当であると思いますけれども、その間の格差があまり大きくなっては、かえって公平の原則に反するんじゃないかということも考えられるわけでございます。そういうふうないろいろな事情を勘案いたしまして、月額にいたしまして二百円程度の掛け金の増加ということで、一万二千円から一万八千円に標準給与規定を引き上げるということにいたしたわけでございます。
#20
○広川委員 ただいまの御答弁でわからないわけでもございませんけれども、実際の幼稚園の職員の給与というものが全国的にたいへん低いと思うのでございます。ただいま一万八千円に引き上げた場合に、この幼稚園の教職員が苦しむというような結果にならないであろうかと、私はこれをたいへん懸念する一人でございます。ただいまいろいろ御説明もございましたけれども、そういうような思いやりのあるきめ方によりまして、たまたまこれが一万八千円に昇格するというように経営者が考えてやってもらえば一番よろしいのでございますけれども、実態はどうであるかというと、私、どうかなと考えておりますが、どうぞこういう意味におきまして無理のないようなこと、そして、さらにまた実際に実行できるような昇給と申しますか、そういう面にお考えを及ぼしていただきたい、このように考えております。
 それから、ただいま説明がございましたけれども、今回の法律案の内容を拝見しますと、長期給付の改正でありますが、これを実施した場合の問題は、財源がどうであるかという点でございますが、先生一人一人の負担額が増大するようでは改善とはならないと存じますけれども、今回の改正によりまして、掛け金率は据え置くとございますけれども、掛け金率を据え置いたまま、よりよい制度ができるということはどうも信じられないのでございます。そこで将来掛け金率のはね上がりとなって、何か形にあらわれてくるのではないか、こういう懸念を持つのでございますが、こういう場合に立ちまして、特に詳しい御見解を含めた説明をいただきたいと思います。
#21
○岩間政府委員 御指摘のように、給付内容を向上させますと、当然それに必要な財源が要るわけでございます。そこで、いま私どものほうで試算しましたものといたしましては、本年度約四千二百万円、平年度化いたしますと一億四千六百万円ぐらいの増加になるんじゃないかというふうな推定をいたしているわけでございますので、これを掛け金率にいたしますと大体千分の三・〇一というふうなことになるわけでございます。ところが実情を申し上げますと、現在千分の一・〇二の過分がございます。これは悪いことばで言えば取り過ぎといいますか、少しよけいに取っておる分がございまして、その分を差し引きますと、実際には千分の一・九九というふうな率の引き上げになるわけでございます。それを使用者とそれから折半するわけでございますので、これは千分の一足らずということになるわけでございますが、この不足分につきましては、四十四年度におきましては、現在財源調整のための積み立て金が三年間で約一億ばかりございます。そういう意味では、さしあたり掛け金率を引き上げる必要はいまのところないというふうに考えているわけでございますが、四十五年度以降におきましても、資金運用面に当分の間利益差が生ずるということが、いままでの、実績から申しまして予想されるわけでございます。そういう点も考えあわせますと、手直しが要るかどうか。これは四十五年度に掛け金率等の再計算をするというふうなことが予定されておりますので、その際に十分検討したいというふうに考えております。
#22
○広川委員 将来、物価の変動によりまして、さらに年金等のベースアップも予想されるのではないかと思うのでございます。これに対しまして、厚生年金の国庫補助率は、昭和三十九年には二〇%に引き上げられましたのに、私学共済の補助率は二八%でございます。政府は少なくも来年度におきまして国庫補助率を二〇%に引き上げて、私学共済の健全化をはかるという意向が当局にございますでしょうか。
#23
○岩間政府委員 これは予算の問題でございますが、私どもただいま御指摘のございましたように、厚生年金等で百分の二十の国庫補助金が行なわれているという点にかんがみまして、農林共済と一緒にこれをぜひそろえて、百分の二十まで持っていきたいということで予算の要求を従来やってまいったわけでございます。なかなかむずかしい議論もあるようでございますけれども、私どもとしましては、引き続き百分の二十ということに努力を傾けてまいりたいというふうに考えております。来年度予算につきましても、御指摘がございましたような点を十分考えまして努力をしたいと考えております。
#24
○広川委員 先ほど幼稚園の問題につきまして、中に短期給付の問題も御説明がややございましたけれども、私学共済の短期給付は赤字であると伺っておりますが、その実態がどうか。そしてその原因の一部が幼稚園及び各種学校などのいわゆる低所得の組合員が多いということを聞いておりますが、政府は、私学共済の短期給付に対して、その健全化をはかるための補助金等の対策を十二分に御考慮いただいておるか、お伺いいたしたいと思います。
#25
○岩間政府委員 御指摘のございましたように、短期給付につきましては、実は私、管理局長に就任いたしまして、私学共済のほうと話をいたしました際に、短期給付に赤字があるというので非常に驚いたわけでございますが、今年度も約一億ちょっとの赤字が出るのではないか。累積いたしますと、五億をこえる短期給付の赤字が出るというようなことでございまして、この問題は私学共済の内容の健全化という点から申しますと、きわめて大きな問題だと考えております。
 その理由につきましては、ただいま御指摘のございましたように、給付内容の増加、それから健康保険制度の改正という点もあると思いますが、一つには、低い所得の方がかなりおられるという点は御指摘のとおりだと思います。今後これをどういうふうにしていくか、私もいまのところにわかに知恵がないわけでございますが、この問題につきましては、さっそく文部省と私学共済協力いたしまして、その原因、それから今後の対策につきまして、これから検討をいたしたいと考えているような次第でございます。
 なおその際、ただいまお話しのございました国庫補助の問題が一つあるわけでございます。これもほかの共済組合との関連から、なかなかむずかしい問題ではあろうと考えますけれども、いままで文部省といたしましても、この実現につきましていろいろ努力をしてまいったわけでございます。引き続きまして努力を重ねてまいりたいというふうに考えております。
#26
○広川委員 以上で終わります。
#27
○大坪委員長 谷川和穗君。
#28
○谷川委員 私は、私学振興方策は現下の急務であると思うのであります。その中でいろいろな方策があろうかと思いまするが、およそ私学に教べんをとっておられまする、あるいは私学で働いておられまする教職員の方々に対する施策としては、せっかく昭和二十九年以来非常に活発に活動を続けてきてここまで発展をしてまいりました私学共済制度、これをさらに拡充強化させていくことが一番大事なのではなかろうかというふうに考えております。昭和四十年四月二十三日、さらに昭和四十一年五月二十七日、二回にわたりまして衆議院文教委員会においては、各党の共同提案によりまして、「私立学校教職員共済組合法の適用外にある私立学校の教職員に対し、すみやかに、同法を適用するため必要な措置を講ずること。」という決議がなされております。この決議の趣旨は、私学共済がかつて新しい制度として諸制度を一本にして発足をしましたいきさつから、幾つかの特に大きな大学において、この共済の中へ入ることによってかえっていままでの制度による手当よりも不利益な手当になってはいかぬというような懸念から、この共済制度に入らなかった学校が生まれたために、その外におる学校の教職員をできるだけ中に入れるべきではなかろうかということでなされた決議でございます。
 まず、その趣旨にのっとって、文部省は、将来こうしたいわばアウトサイダーといいますか、いろいろな問題をかかえておってこの制度の中に入りにくい私学の教職員に対して、どう考えておられるか。あるいはこの私学共済制度全体について、この問題については特にどう考えておられるか、御説明をいただきたいと存じます。
#29
○岩間政府委員 現在未加入校といわれているものがございまして、これが私学共済の一つの非常に大きな問題になっておることは御指摘のとおりでございます。現在未加入校が百十九校でございます。人数にいたしまして三万五千人の者が未加入になっておるわけでございます。現在の組合員の数が四十三年度におきましては十八万人でございますから、かなりの数の者がはずれておるという失態でございます。
 そのいきさつは、これは先生も御案内と思いますが、昭和二十九年当時新しく私学共済制度ができました際に、選択加入という制度をとりまして、教職員の過半数の者の意見によりまして、私学共済に入るか、厚生年金あるいは健康保険組合、そういうものでいくかというふうな選択の際に、ただいま先生の御指摘のございましたように、給付内容あるいは掛け金が有利であるという点でそちらのほうに残ったというふうな実情でございます。この問題につきましては、実はこの前の法律改正の際にかなり文部省といたしましても努力しまして、ある程度までまいったわけでございますが、これが実現を見なかったわけでございます。
 詳しく申し上げますと、まず私立学校の側から非常に強い要望がございまして、未加入校を解消しようという要望がございまして、それを受けて文部省としましては厚生省といろいろ折衝いたしました。厚生省の御意見によりますと、未加入校がばらばらにどちらかに入ってきたり出たりするというふうなことは困る、できれば入るなら入るし、出るなら出るというふうにはっきりしてほしいということが厚生省の御意見でございました。私学共済に全部一緒に入るならばこれを認めようというふうな話がございました。そこで文部省としては、これは局長から大臣折衝まで上げまして、文部大臣と厚生大臣とが両方でお話し合いをいたしました結果、長期給付につきましては私学共済のほうにこれは一挙に入る、それから短期給付につきましては、三年間の猶予をもちまして健康保険組合いをなお存続することができるというふうな話し合いがついたわけでございます。これを私立学校側と相談いたしましたところが、私立学校の理事者のほうは大体そういう線でこれは了承するという方向にいったわけでございますけれども、実際に私立学校の教職員の方々から異論が出まして、特に現在有利である掛け金率あるいは給付の内容、そういうふうな既得権の問題からだと思いますけれども、教職員の方々からの反対によりまして、これは改正を断念せざるを得なかったというふうないきさつがございます。これは直接利害に関係のあることでございまして、単なる考え方あるいは筋というふうな問題ではございませんので、したがいまして調整がそれだけにむずかしいというふうな事情がございます。この前の改正のときに非常な努力をいたしましたが、そういう結果によりまして、なお時期が早いというふうなことを感じたわけでございます。
 このたびの改正の際にもそういう問題を考えてみたわけでございますけれども、なおそういうふうなむずかしい事情というものはなくなっておらないというふうなことでございまして、今後給付内容あるいは国の助成というものをふやしていって、だんだん利害関係というものが実際的に取り除かれていくというような段階におきまして、こういう問題を処理するということにならざるを得ないのじゃないか、というふうに考えておる次第であります。
#30
○谷川委員 いま、だいぶ詳しく御説明いただきましたが、私は、どうしてこの制度がほかの健康保険だとかあるいは厚生年金、こういった社会保険制度にちょっと類のないようなアウトサイダーがよけいおるかという問題は、大体三つ原因があるのじゃないかというふうに考えております。
 一つは、不安あるいは不利。まだ共済制度が定着していなかったから、一体どうなるだろうかというような、この共済制度そのものが将来発展する基盤がほんとうに固まったかどうかということに対する不安、それから掛け金や給付の面についての不利、これはいま局長から御指摘かございました。これが一つ。
 それからもう一つは、一種の既得権を確保しておきたい、尊重したいという気持ち、これが一つあると思います。
 さらにもう一つは、法律の附則二十条の適用除外ということが、これは法律があるからそういうことがあるというのじゃなくて、そういう事態があるからそういう法律が残っておるということなんでありましょうけれども、こういう三つの問題があってアウトサイダーが相当の数おられるということだと思うのです。
 私は、外に出ておってはいけないのだとか、外に出ておる人が中に入るべきだ、こういう議論を申し上げようとしておるわけじゃございませんので、いろいろ考えてみますると、いずれにしてもさっき最初に申し上げさせていただきましたように、私学振興を少なくとも人の面から考えた場合には、この共済制度をもっともっと下張りを厚くしてしっかりした制度にしておかなければならないという点と、もう一つは、ほとんどの学内年金、つまりアウトサイダーのやっておる制度を調べてみますと、負担の割合は、設置者である学校のほうが先生方の出す負担よりも大きくしてきたわけでありますが、こういうことが便利であったわけでありましょうが、その原資はほとんどが入学金を充てておったのじゃなかろうか。しかし、私学全体がむやみやたらな入学金を取ったりあるいは授業料値上げをそう簡単にすべきじゃないというような現状から見ますると、やはりそういうほんとうは教育プロパーのものにできるだけたくさん使うべき学生さんからの出費を、ただ安易な気持ちでそちらに充てるということは、いつまでも許されるものじゃなかろうというような感じもするわけでございます。したがって、私学共済自体は創立後もうすでに十五年も経過いたしておりまするし、さらに国や都道府県あるいは私立学校振興会の補助の道も確立して、これはいま審議されておりまする農林共済なんかとちょっと違った、言うならば非常に手厚く制度として下張りができた制度でもあるのであるから、やはりいろいろむずかしい問題はあるのであろうけれども、文部省としては思い切ってこの際、私学共済そのものの健全化から見ましても、やはり全私学が喜んで加入できるような共済制度にすべきじゃなかろうか、そういう意味の加入促進対策を真剣に考えるべきときがきたのじゃないかと私は思います。私はきょうはこの席で、しからば具体的にどういう施策が加入促進策としてあり得るかということは、すでに私の手元である程度用意してみましたけれども、この場所でそれについて議論するつもりはございませんが、こういう大筋からいって、将来の私学振興の中で特に人的な問題に対する保障、張りつけといったようなことから考えた場合には、この未加入校あるいは未加入者の加入促進について積極的に努力するという方向で文部省としては進んでいただきたいような感じがいたします。
 それから、もう一点お尋ねをいたしておきたいのでございますが、今回の法改正は、私は、全体として見てよくもここまで努力してやってこられたと敬意を表するわけでございますが、もちろん内部にいろいろとまだまだ努力しなければいけないこともありまするし、それから、さらにこまかく努力を続けねばならない問題もあるかと思います。厚生年金保険法が改正されて、どちらかといえば、この種の制度はとかくほかの制度が上がっていってもあとへ取り残されてくるということが多かったのでありますが、その点につきまして、今回文部省が思い切ってこの種の法律を出されたということは、非常に敬意を表しておるわけでございます。
 さらには、先ほど広川委員も御指摘がございましたが、とかく私学の関係者は、日本の教育の中に占める私学の位置づけについてはずいぶんと積極的に――文部省当局からいうなれば感謝に近いいろいろな意味の表現をいただいておるけれども、実際から見ると、国公立関係のものと私学と比べると、私学は冷たく扱われているというような、私学側から見れば、えてしてそういう感じをお持ちのようでございますが、今回思い切って、そういう意味では国公立関係と私学とを平仄を合わしていこうというような努力も認められるわけでございまして、これまた非常に敬意を表したい点でもあります。
 ただ一つ、私自身は、特に私学というものは、国立大学、公立学校の先生方、教職員にない高齢者が非常に多いところだと思います。特に私学におられます教職員の比較的年をとられた方々、あるいはこの制度の中で非常にむずかしい一つの問題点だろうと思いますが、旧私学恩給財団の年金、これに関連した問題について、今回の法改正ではどういうふうにこの点を取り上げてきたか、この点について、一点御説明をいただきたいと存じます。
#31
○岩間政府委員 旧恩給財団の関係は、このたび一・三二倍でございますかの倍率でもって増加させるというふうな方法をとっております。御承知のように、私学の恩給財団に基づきます年金の支給は、これは定額でもってきまっているわけでございまして、その定額にいま申し上げました率をかけましたものを保障するというふうなことにいたしたわけでございます。この一・三二倍と申しますのは、これはちょうど三十七年に改正が行なわれましたが、その際の倍率を、このたび別表第一でもって書いておりますけれども、その三十六年から七年にかけましての倍率をとりましたわけでございまして、十分ではないかもしれませんが、適当なところじゃないかというふうに考えておる次第でございます。
#32
○谷川委員 先ほど私は、国公立学校の教職員と私学の教職員との間にいろいろな意味の格差があるというようなことをちょっと触れましたのですが、一ついままでどうしてもよくわからなかったことがあります。すなわち、国公立学校の教職員の場合には、最終俸給額を基準として、いろいろな退職金制度その他計算がなされておりますが、私学の場合には、いままでどうして最終三年間の平均給与を標準にしておったのか、その点どうしてもいままでわからなかったのですが、その点について御説明いただき、今回の法律改正でどういうふうにその点が取り扱われておるか、御説明をいただきたいと思います。
#33
○岩間政府委員 御指摘のように、私学共済におきましては、最終三カ年間の平均給与というものをとりまして、それを基礎にして年金等をはじいていることにいたしておりますが、国家公務員あるいは公立学校の教職員につきましては、これは最終の俸給をとっているわけでございます。
 その理由でございますけれども、それは別に私学を疑ってというわけではございませんが、国立学校、公立学校につきましては、はっきりした給与の基準ないし昇給の基準というものがあるわけでございますけれども、私立学校の給与というものはなかなかつかまえにくいわけでございます。たとえば、やめる一年前に急に多額の俸給を出すということなどもあり得るわけでございます。あるいは、いままで校長先生などをしておられた方がさらにつとめられるという場合に、給与を非常に低く押えられるということもあり得るわけでございます。そういうことで私立学校の教職員につきましては一定の基準がないために、やむを得ず最終三カ年の俸給をとるというような計算にいたしたわけでございます。その際に、最終俸給をとる場合と、過去三カ年間の平均給与をとる場合では、これは当然ベースアップ等がございまして差があるわけでございます。そこで、このたびの改正におきましては、旧法の適用者につきましては、最終三カ年間の平均給与と、それから最終俸給をとった場合との相違を計算いたしまして、その倍率をかけまして補正をするというふうな方法をとりまして、国家公務員あるいは公立学校職員との均衡をとるというふうな措置をとったわけでございます。
#34
○谷川委員 いま局長が最後に触れられました方策などは、非常に努力したあとが顕著であって、私学関係者もそういうようなものの考え方をとられたことに対して賛意を表しておると私は思います。
 そこで、最後にお聞きしたいと思いますが、今回の法律改正によって、一体どのくらいの費用を新たに財源措置として必要とするか。また、それについてはどういうふうな予算上の仕組みになっておるか、お尋ねいたしたいと思います。
#35
○岩間政府委員 先ほど広川先生からもお尋ねがございまして、お答えしたわけでございますけれども、このたびの改定によりまして、財源といたしましては約四千二百万円が今年度必要じゃないか、平年度化いたしますと一億四千六百万円程度が必要ではないかということを申し上げたわけでございます。これは財源率にいたしますと、先ほど申し上げましたように、約千分の三というふうなことになるわけでございますが、過分が現在千分の一・〇二ばかりございますので、結局千分の一・九九ということで、その不足分につきましては、現在ございます約一億の財源調整のための積み立て金がございますし、また四十五年度以降におきましても、資金の運用面におきまして利益差を生ずる可能性があるというふうなことで、四十五年度にその結果を見まして、この問題については適当な措置をとりたいというふうに考えておりますが、ただいまのところ、掛け金率を改定するという必要はないんではないかというふうに考えておる次第でございます。
#36
○谷川委員 その点について、念のために私の理解していることを重ねてお尋ねして、私の質問を最後にいたしたいと思いますが、給付の内容を改善しようと思えば、共済制度でありますから当然掛け金率にはね返りがくる。掛け金率をいじらないで給付の内容を改善するということは論理的に合わない。すなわち、ほかの原資をどこかから引っ張ってくるか、あるいは掛け金率に手を加えるかしなければ、給付内容を改善するということは、少なくとも組合員の人数が異動しない限りそれは不可能なことだ、これはだれが考えてもそうなんですが、今回このように非常に下張りの厚くなった制度を文部省が出されて、法律改正をしても、一つにはそれに対する全体の必要とする経費、費用が、まず初年度においてはきわめてわずかな額で済むということ。だからその額は何も掛け金にはね返らなくても何とか国庫のほうでめんどうが見られましょう。それから二つには、私学の場合には、さっき局長が広川委員にお答えになっておられましたが、標準給与がよろしいということが、やはりこの制度をさらに改善するときに非常にいい意味のささえになっておる、これが第二点。第三点が、ちょっと農林共済などにはめずらしい制度と思いますけれども、振興会からの金も使える。それから政府は、さっき局長の御答弁の中にございました現在の財源の一種のバイヤスといいますか、それを集めてその額が千分の一・九九以内におさまるから、したがってこのぐらいのことであるならば全体掛け金率についてははれ上がらないで済むだろう。この四つが、今回これだけの手厚い改正をしながらも掛け金率をいじらないで済んだということです。こういうふうに判断してよろしゅうございますか。
#37
○岩間政府委員 御指摘のとおりで大体よろしいわけでございますが、一つだけ、今度の標準給与の引き上げによりまして、長期給付につきましては、これは標準給与を引き上げますと、やはりそれに応ずる高い年金を将来支払わなければいかぬというような問題が起こりますので、これは現在直ちにその金が必要であるかどうかは別にいたしまして、将来それが必要になってくるという意味合いから申しますと、掛け金率との関係におきましては、これは無視してよろしいのではないかというふうなことで、一応無視して計算をいたしておるような次第であります。
#38
○谷川委員 最後に、掛け金に関連してでございますが、要望を申し上げておきたいと存じます。
 先ほどの御答弁の中にもございましたが、四十五年度の予算の編成のときには、さらに本年一年やってみたぐあいを勘案して、将来の具体的な政策を打ち立てなければいかぬだろうというような意味の御答弁がございました。どうぞひとつ、私学共済のこの制度の拡充強化といいますか、進展は、私学振興そのものに私は直接関係してくると思うのでございます。したがって、共済だからやりたいみんながお互いに金を出し合えばいいじゃないか、これはそのとおりかもしれませんが、ひとつ私学振興という大きな柱の中から、支部当局は、非常にむずかしいことを要望して恐縮ですが、なるべく掛け金率はあまり大きなはね上がりがないような、知恵を働かせていただいて、その上にさらに長期、短期ともにこの制度が発展をするような――非常にむずかしいことを要望して恐縮ですが、そういう制度を何とかつくり出されますように、これは私からの要望でございますが、要望いたしまして質問を終わります。
#39
○大坪委員長 本会議散会後直ちに再開することとし、暫時休憩いたします。
   午後零時十四分休憩
     ――――◇―――――
   午後四時十四分開議
#40
○大坪委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 昭和四十四年度における私立学校教職員共済組合法の規定による年金の額の改定に関する法律案について質疑を続行いたします。唐橋東君。
#41
○唐橋委員 時間が非常におそくなったようでございますから、私の質問も要点だけを申し上げますので、答弁のほうもそれを十分考えてお答え願いたいと思います。
 第一点は、私学共済の運営と内容についてお伺いしたいのであります。私学共済の運営や内容について、運営審議会ができておる、こういうことでございますが、組合関係の代表、法人役員関係、学識経験者、こういう三者構成によっておると聞いておりますが、その選出の方法等についてはどのような方法をとって任命されておるのでございますか。
#42
○岩間政府委員 御指摘のように、私学共済におきましては、他の共済の二者構成と違いまして、三者構成という構成をとっております。これは使用者の代表、被使用者の代表、それから学識経験者と分けているわけでございますけれども、使用者並びに被使用者の関係につきましては、私立の関係の団体のほうから推薦を受けまして、それに基づきまして文部大臣が任命いたしております。学識経験者につきましては、文部省が私学共済の役員等と相談をいたしまして、任命をいたしております。
#43
○唐橋委員 その人員比率等はどういう根拠といいますか、内規等において配分しておるのですか。
#44
○岩間政府委員 別に根拠はございませんが、会議の運営その他から考えまして、二十名程度ということで、いずれも七名の委員をお願いしておるわけでございます。
#45
○唐橋委員 このような場合、一般論で申しますが、法人関係それから組合員関係となりますと、いま御答弁にありましたように、二者構成というような場合には必ず対等の姿というのが原則に考えられる。こういうことでございますが、三者とも七名ずつである、こういうことになってまいりますと、組合員側のほうが多少何か、現実はそう不利でなくても、こういう場合に必ず不利になるんじゃないかというような危惧感というものが出てくると思うのでございますが、それに対する配慮は十分されて、この選任をされているわけですか。
#46
○岩間政府委員 この運営審議会の構成につきましては、以前にも国会におきましていろいろ御注意があったようでございます。したがいまして、私どものほうも、ただいま御指摘のございましたように、三者構成でございますので、いろいろ先生のおっしゃいましたようなおそれもあるということで、委員の人選につきましては格別に注意を払ってやっているつもりでございます。そういうことで、現在、私就任してからこの問題につきまして特別な御注意なり、あるいは御不満なりをまだお聞きしたことはないわけでございまして、私どものほうでいろいろ注意をしてやっておる結果ではないかと思いますが、何かまだ不備な点がございましたら、今後とも注意をいたしまして、改めるようにいたしたいと考えております。
#47
○唐橋委員 問題は、あとでも質問したいのですが、審査委員会というようなものもいろいろございますが、要は全体の運営の中で、組合員関係を推薦するという場合が一番問題になろうかと思います。その場合、組合員関係ということで、やはり全私連からの推薦だけで、現在の組合員関係の七名を推薦しておるのですか。それとも、組合員関係といいますと、大学関係の教員組合等がございます。あるいは職員組合等がございます。それらの方々の代表というような形、あるいはそれらの方々の推薦というような形を受けて、現在の組合員代表の七名は任命しておるのでしょうか。
#48
○岩間政府委員 私学共済は、もちろんこれは組合員の方々のためにあるわけでございますから、組合員の方々の御意向というものを一番反映できるようにしなければならないということは御指摘のとおりでございます。そういう点で私どもは、ただいま公の形でそういう組合の意見を聞くとか、そういうことはいたしておりませんけれども、実質的にそういう形と違わないように特別に配慮をしてやっているつもりでございます。
#49
○唐橋委員 大体意思はわかりますが、そうしますと、現実としてこの組合員関係の代表を推薦するには、推薦団体等についての意向を聞いて任命される、こういうような形で、現実は各種の学校から出ておりますけれども、そのような形で相談された教職員組合はあるのですか。
#50
○岩間政府委員 私どものほうが直接組合の方々とお話したり、あるいは御意見を聞いたりというような形ではございませんけれども、全私連を通じまして、実際にそういうふうな御意見が反映するような形でいままでお願いしておるわけでございます。
#51
○唐橋委員 そうしますと、全私連のその人たちが、いま申しましたように教職員組合と話された結果によって推薦されたものと受け取って、文部省は推薦しておるのですか。
#52
○岩間政府委員 先ほど申し上げましたように、私どもの直接の窓口は全私連でございますけれども、ただいま先生がおっしゃいましたような内容でもって御推薦があったものというふうに受け取っております。
#53
○唐橋委員 全私連の方に、いわば参考人、そういうような形で私のほうからお聞きする時間もなかったので、私は、それではいまのような意向であるとするならば、文部省のほうで、あとからでもいいですから、私の手元まで、全私連のほうに文部省からお聞きくださって、どういう団体と相談されて推薦したかという経過を、ひとつ簡単な文書でけっこうでございますから書いて、あとで私のところに届けていただきたい。
#54
○岩間政府委員 承知いたしました。
#55
○唐橋委員 いまの問題で、もう一つは、現在日教組では私学部が中心になって、やはり運営審議会委員を推薦するための署名運動等を始めておると聞いております。その署名がどのような形でどれだけ集まっているかは、まだ私聞いておりませんが、そういう形で大ぜいの人が、各種団体の推薦を得た中から、この重要な組合員の利益を守る代表を出したい、こういうような形で出てきますとするならば、いまのような手続の中で当然全私連も受け入れる、そして文部省もそれを認めてやる、こういうように理解していいですか。
#56
○岩間政府委員 ただいまの先生のお話、私まだ直接は承っていないのでありますが、日教組の私学部がどの程度の団体であるかどうかも私うかつでちょっと存じませんので、具体的にそういうふうなお話がございましたら、それをもとにして相談してみたいというふうに考えております。
#57
○唐橋委員 先ほどの答弁の内容と一緒にいまのような状況をつけ加えて、ひとつあとで私のほうにお話し願いたいと思います。
 それでは次の質問に入りまして、先ほども問題になりましたが、未加盟校ですね。この問題は、今後発展させていく中で一番大切な問題だと思います。それは先ほどの議論にあったとおりでございますが、この百十九校の未加盟校の中で、大学が三十六校、こういうふうに聞いておりますが、この大学はおそらく総合大学で最も大きな、いわゆる著名の大学ではないのか、こういうように予想されますが、これはどうですか。
#58
○岩間政府委員 そのとおりでございまして、早稲田、慶應はじめ、非常に大きな総合大学がほとんど未加盟校でございます。加盟しております大きな大学としては日大ぐらいといってもいいくらい、大きな大学が抜けております。そういう状態でございます。
#59
○唐橋委員 高校の二十六校というこの未加盟校も、いまの総合大学と関係ある高校が多いと思いますが、この系列はどうですか。未加盟校の中で高校だけでなしに、短大十一、高校二十六、中学十三、小学六、幼稚園二十、各種学校七、そういうふうになっておると聞いておりますが、これをいまの大学の系列に分けてみたときに、この高校、中学あるいは短大等含まれておりますか。そういうような系列で分ければ、もっと分類できると思いますが、その分類はできておりますか。
#60
○岩間政府委員 手元に資料がございませんが、たとえば天理大学、共立女子大学あるいは同志社大学というところは、やはり傘下の高校も一緒に未加盟校になっておるというふうな状態でございます。
#61
○唐橋委員 いまの二十六の高校あたりで、いまあげられたような大学のほかに、やはり早稲田、慶應、こういうような点の中で少し分類したものございませんか。そうしますと、もっともっとこの数が実は減ってきて、むしろ今後加盟を促進する上において非常に参考になろうかと思うので、もう少し詳しく御答弁願いたい。
#62
○岩間政府委員 先ほど申し上げました大学の中で、おもな大学関係の付属学校を申し上げますと、法政大学の第一高等学校、第一中学校、第一工業高等学校、明治大学の明治高等学校、明治第三局等学校、慶應大学の女子高等学校、中学と幼稚園、それから慈恵大学の慈恵高等学校、そういうふうなものが入っておるわけであります。
#63
○唐橋委員 いまのような系列を考えてみますと、この百十九校というものは、ブロックあるいは系列ということばが適当かどうか、もっともっと整理して、その系統が一つ入れば、ずっと高校も付属中も入る、こういうふうになってくると思うのでございますが、その場合一番障害になっておるもの、先ほどもだいぶ議論が出ましたが、私立共済と公立共済と比べてみましても、長期給付は同じであり、短期給付は同じである、法定の給付は同じである。こういうので長期と短期と同じであって、私立と公立のこの共済で違うのは、付加給付だけだと思うのです。ですから、これらのいわゆる未加盟の大学でまだ加盟したくない、こういうのは、要は付加給付の問題に焦点が集まってくると思うのでございますが、先ほどちょっと広川委員からの質問もありましたが、ほんとうの掛け金あるいは付加給付、このような点で、入るのがまだ進んでいない直接の原因を分析し、そうしていわゆるそれらの、こちらのほうと比較したものがございますか。
#64
○岩間政府委員 ただいま御指摘ございましたのは給付の関係でございまして、給付の関係につきましては、ただいま先生御指摘ございましたように、付加給付が一番大きな違いでございます。
 そのほかに、たとえば加盟していない大学を見ますと、掛け金、特に本人の掛け金をある程度学校のほうで肩がわりするというふうな状態が見られておりまして、たとえば短期給付で申しますと、慶応では事業主、つまり学校法人が千分の五十、それから本人が千分の二十、それから早稲田大学では学校が千分の三十八、本人が千分の十七というふうに、掛け金の面でかなり本人のほうが有利になっておるという点があります。
#65
○唐橋委員 本人が有利であるので、いままでの経過措置がありましたように、半数以上のものがまだ入りたくないというようなことでまだ入らない、このような経過の中に現在の状態が生まれていると思うのですが、要は、学校側と話し合って、本人に不利益にならないような状態、そういうものを、やはり話しさえ出ればこれは進められそうな気がするんですが、それらの点についていままで交渉された中の見通しはどうなんですか。
#66
○岩間政府委員 先ほどもちょっとお答えしたわけでございますけれども、この問題につきましては、この前の改正のときにかなり本格的にこの問題に取り組んだわけです。そこで、学校法人側とはほぼ話がついたということを先ほど申し上げましたが、政府部内それから学校法人の話を聞きましたが、やはり組合員、つまり教職員の方々の御納得が得られなかった、こういうことでございます。これは単に話がなかったから納得しなかったというふうな問題ではなくて、ただいま例をあげて申し上げましたように、かなり直接利害関係のある問題でございまして、この問題、私、まだ就任して日が浅いのでそこまで突っ込んで研究するいとまはございませんでしたが、この問題は今後さらに、私学共済の最も大きな問題でございますから、真剣に取り組みたいと思いますけれども、いまのところ、これをどうしていいかということは、この前の経過を見ますと、なかなか容易じゃないんじゃないかというふうな感じがいたしますが、今後とも検討を進めたいというふうに考えます。
#67
○唐橋委員 まあ、真剣に取り組むことを要望いたしまして、次の質問に入ります。
 先ほども問題になりましたが、一万二千円から一万八千円に引き上げた場合に、これに伴って掛け金も今度は納めてくる。こういう場合に、先ほども問題にされたように、一万二千円の場合は、先ほどの御答弁ですが、三十九年度まあ二万人、四十年度になると一万五千人と、こうどんどん減っていって、四十四年度では、ちょっと私聞き違いかもしれませんが、六千人と、こう聞いたのですが、非常にこれはいわば待過を向上させる原因にもなった。こういうような御答弁だったと思いますが、一万八千円に今度上げた場合、その実態の推計は一応とっておありになりますか。
#68
○岩間政府委員 今度一万二千円から一万八千円に標準給与を引き上げました場合に、一万八千円以下の人数を、四十三年度の資料でもって見ますと約一万三千三百人程度じゃないかということが推測されるわけでございます。これは四十三年度の資料でございますから、四十四年度になりますと、これはベースアップの関係もございまして、これがまたかなり減っておるんじゃないかと思いますが、これは過去の例から見ますと、かなり低い数字でございます。全体のパーセントから申しましても、従来一〇%以上でございましたが、このたびは七%程度ということでございます。
#69
○唐橋委員 問題は、これらの人は実際の俸給が低いにもかかわらず、掛け金はよけいに取られる。ここに非常に組合員を保護するためのものが、一番恵まれない者から掛け金をよけいに取る、こういうことなので、あとでも質問したいのでございますが、私は、私学共済全体の会計の中で、それ以上の者は、金額にしてみたってそう膨大なものにならぬと思うので、このくらいは、やはり全体会計の中から補充してやる。まあ、ことばを変えていえば、一万三千三百人の人は、やはり実際の俸給額によって算定して掛け金だけは取っておく。給付の場合はそういかないから、最低限をきめておく。こういうことにすれば一番問題ないと思うのですが、そういう形にしていった場合と、それから、いまのようにともかく最低一万八千円だということで率をかけたときの差はどのくらい出ますか。
#70
○岩間政府委員 ただいまの御指摘は、一万八千円以下の給与の者につきまして、給与の実際の額を基礎にして掛け金は取る。給付のほうは一万八千円として給付をする。そういう意味でございましたら、そういうふうにうまくいけばたいへんによろしいのでありますけれども、はたしてそういうふうにうまくいくかどうか、ちょっと疑問なわけでございますが、その場合の差と申しますか、一万二千円を一万八千円に引き上げました場合の私学振興会への掛け金の納入額の増加額の見込みというのは、大体千五、六百万ではないか。全体は六千万円ぐらいと予定しておりますが、十一万円を十五万円にするほうが約五千万円近く、下のほうを引き上げます場合の増加額が千五百万ぐらいではないかというふうな一応見当でございます。したがいまして、先生おっしゃいましたような、一万八千円の給付でどれぐらい増加するかわかりません。一応収入の増加はわかっておりますが、その中でどれぐらい支出の増加があるか。先ほど申し上げましたように、支出の増加の全体が本年度は四千二百万円でございますから、その中でどれぐらい下限のほうの職員のために支出の増加があるか、その点はちょっとわかりません。
#71
○唐橋委員 いま急にその資料といっても、いまのような点で、資料等もいまの答弁で現時点では了承せざるを得ないと思うのですが、要はそこだと思うのですね。だから、実質給与に率をかけて入ってくる金の減、それからあと、今度給付で出していく場合の増を考えるとき、給付のほうは、予算に出ていると私は思うのです、一万八千円の最低限を見てから考えているんですから。要は、私がここで申したいのは、収入の見込み減、いままで一万八千円で見たときの額と、実質の率でかけていったときのこの差額というものは、これはそんなに私学共済全体の中でどうしようもないような、あるいはものすごい赤字の原因になっていくとも考えられないので、この点だけはやはり、私は共済の精神からいっても当然改善していくべきではないのか、こういうように考えますが、もう一度差額問題について……。
#72
○岩間政府委員 先生のお話、たいへんうまい話でございますけれども、ほかの共済でも同じような仕組みでやっておりますし、給付と実際の掛け金というものをそう分離してやれるかどうか、これは非常に大きな問題じゃないかと思います。まあ、先ほども申し上げましたように、また短期給付につきましては、高額所得者はかなりたくさんのものを払っておって、最高十五万といたしますと、年額にいたしまして七万程度でございますかのものを払って、しかも平均一人当たりの短期給付の給付額が三万三千円程度、それから低額所得者一万八千円程度の者は、年額七千五百円の掛け金でもって平均三万三千円程度の給付を受ける。その差があまり大きくなりますと、かえって相互の互助と申しますか、そういうたてまえでもってこの私学共済が運用されているというたてまえから申しまして、特に短期給付のように、同じように病気にかかる率が高額所得者も低額所得者もあるというふうな場合におきまして、あまり大きな差が出るということはいかがかという問題もあるかと思います。
#73
○唐橋委員 それらの点についてはいろいろ考え方も出てくると思いますので、その程度にとどめまして、次に質問を進めさせていただきたい。
 短期給付の赤字というものは、先ほども数字で出されました。私の手元にも私学共済からの数字があり、目を通してみたのですが、この赤字と、それから長期給付の関係、こういうのはどのように――短期給付は短期給付としてこの赤字の問題があり、長期給付は長期給付として、いわゆる整理資源の問題、いわゆる元金と言ってもいいのですが、そういう問題が含めてあるのですが、要は、短期給付の赤字を、現在のところでもやはり予想される、こういう場合に対して今後の基本的な方針、それは先ほども質問でちょっと出ましたが、組合費を上げないで解決しろ、こんなふうな要望を含めた先ほどの質問ですが、もう少し赤字の取り組み方、長期給付との関係等を二つ比べてみた場合の取り扱い方はどういうふうにしてあるのですか、これをひとつ伺いたい。
#74
○岩間政府委員 短期の経理と長期の経理、これは厳然として区別して運用されるという、そういうふうな性質のものだと考えています。短期給付というのは単年度主義でございますし、長期給付は将来を見通していろいろ計算しなければならない点もございます。
 そこで短期給付の赤字でございますけれども、先生御指摘のように、これはいまのところ実際に容易ならない事態になっておるような感じがいたします。本年度も一億一千万、昨年の赤字程度のものが出るのじゃないか。累計いたしますと、五億四、五千万というふうな大きな赤字になる。まあ大きな組合でございましたら別でございますけれども、私学共済はまだ比較的小さな組合でございまして、その経営におきまして五億円以上の赤字が出るということはいわばたいへんな問題でございまして、この問題をどうするかということは、今後の私学共済の運営につきましてもきわめて重大な問題であると思いますが、これも先ほど申し上げましたように、私は就任してまだ日がないわけでございますが、その就任した最初の役員会におきましてその実態を知りまして、直ちにこれは文部省と、あるいは私学共済独自で検討いたしまして、両方で知恵を合わせて、何とかしてこの解消につとめなければならないのじゃないかということを申しておる次第でございます。解決の方法としましては、一つは、一番簡単なやり方は、もちろん掛け金を上げるということでございますが、そういう安易なやり方でなくて、何かいい方法はないか。実はこの問題については従来から国庫補助の要求もいたしております。そういう点を総合的に考えまして、何とかこの赤字を解決していきたいというようなことを考えておる次第でございます。具体的な案がなくて恐縮でございますけれども、この問題につきましても、早急に何らかの方策を出すようにひとつ検討していきたいと考えております。
#75
○唐橋委員 私は、この点非常にふしぎに思うのですよ。と言いますのは、四十四年度国庫補助の査定の結果、要求額と比べてみまして、短期給付事業費として四十四年度の国庫補助の要求を七千六百七十九万二千円出した、しかし復活はゼロだ、こういう点が出てきておるわけですね。そうしますと、いま答弁があったように、基本的な赤字の解消額に対して、要求額も七千六百七十九万であった。この点が実際非常にふしぎに思うのですが、この七千六百七十九万という要求額はどのような考え方から一体出したのですか。
#76
○岩間政府委員 補助金を要求いたします場合には、一応ほかのこういう類似の制度でもってどういうふうな補助金が出されておるかという点を参考にしてやりませんと、独自の要求というのはなかなか通りにくいわけでございますので、文部省としましては、五人未満の小さな規模の幼稚園の掛け金につきまして国の補助をするというふうな方式でもって計算をいたしまして、要求をいたしておるような次第でございます。
#77
○唐橋委員 先ほど、他の大きな総合大学の加入、こういう点が問題になって、今後努力をするという方針はわかるのですが、私学共済自体の経理内客がいまおっしゃったように、長期のほうは一応今度は百分の二十に上げる問題は残っていますけれども、短期給付の中で、たとえそれは国がいわゆるバックアップしてくるのだ、こういうようなことが一応理解されても、いまのように五億三千万なり四千万の赤字を今度はかかえておるのだ、こういうことになれば問題があり、そしてまた、いまの答弁では、今後重要な問題であり、まだ具体的案は持たない、こういうふうに理解される。そうしてまた、当然こういうような五億の赤字が出たのに、実際の要求額は七千六百八十万程度しか出ていない。こういうことになれば、何か再建に取り組んでいる姿勢といいますか、考え方といいますか、全然ばらばらで非常に理解できないのですよ。この点をもう一度。補助金はほかのほうとのつり合いによってそれと並べて要求するんです、こういうことだけでは、五億四千万円になろうとする赤字を、これは年次的にどうするというのは今後具体的に考えますと、こういうところまではわかりますが、実際私がいま質問をしていくときに一番の疑問はここにあるわけです。いまの答弁でも、何かこの場限りの、今後真剣に取り組みますというだけであって、何といいますか、力強いものを感じないのです。ひとつもう一度御答弁願いたい。
#78
○岩間政府委員 ただいま先生御指摘のとおりでございまして、これについては私一言もないわけでございます。いままで単年度の赤字は一億程度ということで、それが累積して今日に至った。累積してみると非常に重大なことであったというふうなことでございまして、いままでもそういう問題に対する正式な取り組み方が不十分であったという点はございます。この点につきましては、前からその赤字が心配されておったわけでございますけれども、私学共済全体としましては、先生御指摘のございましたように、長期給付の百分の二十の問題がございまして、そういうものとのかね合いで、実際の予算になりますと、どちらにウエートを置くかという点で、やはり長期のほうの問題がいままでは重点が置かれてきたというふうな点がございます。
 それから、七千万円程度の要求で少ないじゃないかというお話がございましたが、一応いままでの赤字はたな上げしまして、ともかく単年度の赤字というものをストップして、それから再建計画を考えたい、そういう気持ちで要求をしたというふうなことでございます。
#79
○唐橋委員 さらに私、疑問に思うのは、長期給付事業費の中に今度新しく五百七十八万の予算が制度改正費としてつきました。こういうことになっているのです。長期給付と短期給付の中で、同じ制度の中にあっても財源は一応別だ、こういう先ほどの御答弁もありましたが、いまのような問題を実際にどうするのかという基本的な制度改正のための費用か、こう思って見たら、そうではないようです。ですから制度改正の五百七十八万、こういう金の使途といいますか、それはどんな形で考えられてくるのですか。
#80
○岩間政府委員 ただいまおあげになりました数字は、これは今度の法律改正に伴いまして、先ほど申し上げましたように六千万程度の費用が今年要るわけでございますが、それの百分の十六見当ということで国の負担分と申しますか、その分を予算に計上したわけでございます。
#81
○唐橋委員 そうしますと、長期経理の中と短期経理の中の問題で、やはり私はそこで制度改正費、こういう名前が非常にわからないのです。だからいまの給付の内客に対する――いま私この説明書やその他にあるとおりに見ていったわけです。そうすると、別のほうから制度改正費というものが出てきたわけですね。非常に疑問に思うのですが、ちょっとくどいようですが、この内客は給付改善であって、制度の改正、いままでの制度をどうするんだというようなものではないんだ、こういうように理解していいわけですか。
#82
○岩間政府委員 これはことばの扱いの問題でございますけれども、先生がそういうお感じでございましたら、そういうふうに理解していただいてもけっこうでございますが、私どもとしましては、今度の法律改正、これはいままで私学共済の内容が、国立学校あるいは公立学校に比べて劣っておりました点を、国公立学校の先生並みに引き上げるということで、これは一つの大きな制度の改正じゃないかというふうな意味で使っているわけでございまして、別に内容的に先生と違っているわけではございません。
#83
○唐橋委員 給付の引き上げが、いわゆる公立との差額を解消していくのだということが制度だ、こう言われればなるほど制度かと思うのですが、実際私はいま申しましたように、給付の内容の改善であって、いま私学共済の今後、たとえば短期給付というようなものをどういうような形で再建するのだ、こういうことが一番重要であり、そういうところにほんとうに着実なる金を使いながら再建策を立てていかなければならない、こんなように考えていたわけですが、一応理解いたしまして、そういうような赤字改善というのに、今後全力を注いでいただきたいと思うわけでございます。
 次に質問に入るのは、十六カ所に及ぶ私学共済の福祉施設というのですか、これがございますね。これが全国的にできまして、それは独立採算制で実際やっておると思うのでございますが、この経営の実態はうまくいっているのかどうか。具体的にいえば、この料金でいっていわゆる赤字になっているようなところがないのか。これを文部省のほうでは一応調査されたことがございますか。
#84
○岩間政府委員 新しい施設につきましては、当初二、三年の赤字が出るというふうなことがございますが、大体におきましていまのところ大きな赤字は出ておりません。順調にいっていると申し上げてよろしいかと思います。
#85
○唐橋委員 ただ、いわば長期給付の場合の積み立て金といいますか、原資といいますか、そういうものの使い道の中からこれが出てきておる、こう考えるのでございます。そのためには実際この厚生施設に投資した。投資したものが、今度投資した分として、一応こちらで見込んでおる利潤というものがあがってきて初めて投資の効果がある。こういうことですが、実際投資した額だけ、その利潤が当然予定されているわけです、七分何ぼですか、のような形で、率はちょっとあれですが、それだけの要求に応じて経営されているかということなんです。
#86
○岩間政府委員 福祉施設の採算につきましては、これは当然減価償却も含めまして、利益があがらない程度にとんとんにいくというのが福祉施設の理想であろうと思います。そういう意味からいたしますと、ただいまのところ大体においてうまくいっておる、たいした赤字がないということを先ほど申し上げたわけでございますけれども、別にこれから利益を得まして、またもとの共済の資金に繰り入れるということは考えておらないわけでございます。
#87
○唐橋委員 大体福祉施設というのは、会社の福祉施設であればそういう考えでできていると思うのです。先ほど私が申しましたように、他方に赤字があり、そして他方には、議論しましたようにほんとうに給付を、実際金をもらっていない金額をもらった形にして、今度金を出していかなければならない。掛け金を出していかなければならない人を置きながら、今度の北海道だけで見ても、三億八千万のうち、それならばここから幾ら出ているのか。しかもそれは利益をあげません。こういうように、この全体の経営を見るときに、福祉施設もさることながら、利益があがっているならばいいと思います。黒字であるならばあえて反対なんという――他方においては、いまも申しましたように掛け金を上げざるを得ないじゃないか。そうして今度は実際の俸給をもらっていない額まで掛け金を納めておる。そういうものがありながら何億という、十六カ所に投入した額というものはばく大なものだと思います。それは一銭の利潤も見ないのです。ここに問題の一つの焦点があるんじゃないか。金の投資先はここに出ておりますから読みません。そうすれば、多少なりとも利潤を生むところに投資しておいて、それによって赤字解消の原資に充てていく、こういうような全体的な運営こそが必要ではないか。なるほど事業としてはりっぱですよ。ですが、片一方はいま申しましたように、ほんとうに俸給の少ない人から掛け金をよけいに取っている。それさえも補充できない。片一方は何十億という金を投資していて一銭も利潤を見ない。こんな運営がいいのかということです。これは大臣の考えです。どうです、大臣。これは事務的な問題でないですよ。厚生施設はいいですよ。もう一度申しますよ。時間があれですからもう一問くらいで終わりたい。大臣、共済の事業全体の問題ですから、事務的レベルの問題でなくて……。
#88
○坂田国務大臣 唐橋先生、ちょっともう一度。
#89
○唐橋委員 いままで他の委員の方々からも質問いたしましたように、問題になりましたのは、一万八千円以下の人の俸給からも掛け金は一万八千円の率で取ってくるのです。さらに今度は、短期給付の赤字を見てみますと、五億三千万、四千万に及ぶ、こういうのです。この再建策はまだ十分できていません、こういうのです。ですが、その中に長期給付の積み立て金、そういうものの利用を見てみますと、十六カ所に合計出た金は、私は聞きませんが何十億と出ておるのでしょう。厚生施設がりっぱ、それはいいですよ。そこから利潤を見ないのです。利潤を見ない金をそこに投資しておいて、こういうような赤字、たとえば短期給付の赤字解消は計画的にやるとしても、少なくとも一万三千人程度の人の掛け金をこれは見てやれないんだ。それで何十億の金を利潤が入らないようにしておく。利潤の入るものに実際使っている金も一ぱいあるのですよ、この中を見てみましても。厚生施設を早急につくるよりは、もっともっと利潤を生むほうに回しておいて、そうして健全経営にして、健全経営になったところで初めて厚生施設をふやしてもいいじゃないか。片一方は赤字をどんどん積む、片一方は全然利潤を生まないところに金を投資している、この矛盾はどういうようにするのですか。
#90
○坂田国務大臣 唐橋先生おっしゃる意味はよくわかったわけでございます。やはりこれは組合員のためにあるわけなんで、この組合員の負担、それから給付というものがやはり調和を保たなければいかぬし、均てんしなければいけないので、その辺のところをどうやって調和をさせるかというところにくふうがあると思います。一応はそういうつもりをもってやっておるわけでございましょうけれども、なかなかうまくいかないという点もあろうかと思いますが、十分そういう点を注意しながら今後改めるところは改めてまいりたい、かように考えておる次第であります。
#91
○唐橋委員 この一問で終わります。
 もう一つ、前々からの懸案の審査会というのがようやくできました。これは組合員にとっては非常にたよりになる制度であり、それは十分慎重に組合員からの申し立てをいただきたいと思うのですが、できましてからの受付件数、そこで処理されたもの、そういう内容をひとつお聞きしたいのです。
#92
○岩間政府委員 ただいままでに受け付けました件数が二十二件でございます。そのうち裁決のございましたのが三件、取り下げましたのが三件、審理中のものが一件、それから回答いたしましたものが一件、照会回送中のものが十四件というふうな数字になっております。
#93
○唐橋委員 その件数と同時に、その件数の中身ですね、内容の分類的なもの、こういう点が一番多く審査にかかっておるというようなこと……。
#94
○岩間政府委員 事項といたしましては、組合員の資格に関する決定につきまして取り消しを求めるもの、それから標準給与に関する決定につきまして取り消しを求めるもの、それから被扶養者に関する決定につきまして取り消しを求めるもの等でございまして、いままで判定の下ったものにつきましてはその三件でございます。
#95
○唐橋委員 その中で、昭和二十五年十月九日厚生省の保険局長からの、解雇の効力につき係争中の場合における健康保険等の取り扱いについて、という都道府県知事あての通牒が出ておりますが、これにからんだ件数はどのくらい出ておりますか。
#96
○岩間政府委員 ちょっと資料がございませんので、たいへん恐縮でございますが、後ほどお手元に届けさせていただきます。――失礼いたしました。一件だそうでございます。
#97
○唐橋委員 一件ということは私も知っています。ただこの通牒のために受け付けにならない。あれはあそこに問題がある。こういう通牒が出ておるので受け付けませんということがある。受け付けて審議していただくならばいい。そうして却下され、あるいは審査されるというならば、こういう問題を私は質問しないのですけれども、通牒があることによって受け付けがだめなんです。初めから受け付け件数にあがってこないという問題が出てくる。この点については、受け付けてないからあなたのほうには資料がないと思うのですけれども、こういう状態を私は具体的事項をもって質問したいと思っていたのですけれども、時間も五時十分になったので、具体的事項をお聞きしてもあるいはここで答弁できないと思いますので、あとでおりがあればお伺いしたいと思うのですが、この通牒について十分御検討しておいていただきたいのです。といいますのは、私立学校というものは他の公立と違いまして労働給合もはっきりとつくれるのです。その中でいろいろ問題が出たときの根拠になる通牒なんですよ。しかもこの通牒が障害になっておるということは、やはり私は見のがしてならないことと思うので、この点については機会があればお伺いすることにして、本日の質問を終わります。
#98
○大坪委員長 次回は、来たる十四日水曜日、午前十時より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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