くにさくロゴ
【PR】姉妹サイト
 
#1
第061回国会 大蔵委員会 第24号
昭和四十四年四月二十三日(水曜日)
    午前十時四十五分開議
 出席委員
   委員長 田中 正巳君
   理事 金子 一平君 理事 倉成  正君
   理事 毛利 松平君 理事 山下 元利君
   理事 渡辺美智雄君 理事 只松 祐治君
   理事 村山 喜一君 理事 竹本 孫一君
      伊藤宗一郎君    大村 襄治君
      木野 晴夫君    河野 洋平君
      正示啓次郎君    中村 寅太君
      西岡 武夫君    坊  秀男君
      本名  武君    山中 貞則君
      吉田 重延君    井手 以誠君
      平林  剛君    広沢 賢一君
      河村  勝君    広沢 直樹君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 福田 赳夫君
 出席政府委員
        大蔵政務次官  上村千一郎君
        大蔵省主計局次
        長       相沢 英之君
        大蔵省主計局次
        長       海堀 洋平君
        通商産業政務次
        官       藤尾 正行君
        通商産業省鉱山
        石炭局石炭部長 長橋  尚君
 委員外の出席者
        専  門  員 抜井 光三君
    ―――――――――――――
四月二十三日
 委員北山愛郎君辞任につき、その補欠として島
 上善五郎君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員島上善五郎君辞任につき、その補欠として
 北山愛郎君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 石炭対策特別会計法の一部を改正する法律案(
 内閣提出第三四号)
     ――――◇―――――
#2
○田中委員長 これより会議を開きます。
 石炭対策特別会計法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質議の通告がありますので、順次これを許します。村山喜一君。
#3
○村山(喜)委員 私は、石炭政策に関する問題について、政府が今日までとってまいりました対策が、はたして実情は所期の目的を達成をしたのかという立場から考えてみると、これは意欲的に処理をしようというかまえはとってみたけれども、どうにもならなかった。言うならば、ガンの症状を持っている病人に対する投薬をやってみたけれども、どうにもしょうがない、こういうような症状が今日の石炭対策の現状だろうと思うのです。そしてなおここに新しく石炭対策特別会計法の一部を改正をいたしまして、そして対策を講じようとしても、これもまた一生懸命努力はしてみるけれども、どうにもならない。結局のところは石炭山というのはつぶれてしまって、その地位を石油に譲るのではないか、こういうふうに私たちは見なければならないのではないだろうか。
 そういう立場から、今日まで取り組んでまいりました施策が間違いだということを言って、それで責めるつもりはありませんけれども、しかしながら、今後とろうとする対策ではたしてその目的を達成することができるだろうかどうかというこことを考えますと、それはむずかしいと思わざるを得ないのでありますが、あなた方は、この法案の要旨の上から見て、その所期の目的を達成する自信がおありでございますか。その点を率直にやはり国民に披瀝する段階が今日の段階ではないだろうかと思うのですが、その点について説明をいただきたい。
#4
○海堀政府委員 私がお答えする立場にあるかどうかと思いますが、御説明申し上げますと、結局いままでとってまいりました施策がうまくいかなかったのにはいろいろな原因があろうかと思いますが、一番なには、やはり何といいましても前提に置きました要件が多少無理があったということが一つあるだろうと思います。それから日本経済の伸長に応じまして、一般的に労働力不足というような点から、労務者の確保等につきましても意にまかせないというふうな点からうまくいかないで今日の事態を迎えた。それで今回の措置をとるについて考えました点は二つほどあります。
 一つは、あまり無理なことを考え方の前提にとるなということで、たとえば賃金のアップについては一〇%を前提とする、それからたとえば原料炭のごときは、国際的に見ましても今後相当な需要超過といいますか、そういう点から値上がりも考えられるかと存じますが、これも現在の炭価を横ばいに置くというふうに、まず前提を現在考えられるところとしては妥当なところに置いたということが第一点でございます。
 それから、二番目に考えましたのは、従来の措置は常に過去の欠損といいますかそういうものをただ救済してきたということであって、その点今後はそういう考え方を捨てて、多少国費の負担はふえても、そのときどきでものごとを解決していこう。たとえば安定補給金、要するに出炭についての安定補給金を相当に増額する。それから、いままで政府関係の金融機関を含めまして金融機関からの非常に無理な融資をしていたものを、事業団からの無利子の貸し付け金にするということで、そういったその場その場でそのときどきの措置は完結していこうというふうな考え方に立って措置をとったわけでございます。
 ただ、しかしながら、この措置をとったから、現在の石炭産業の全体がこの措置で十分にやっていけるかということになりますと、これには先生のおっしゃるように疑問があろうかと思います。したがいまして、石炭鉱業審議会の答申におきましても、この措置は国家が考えられる措置としては極大のものであるから、この措置を前提として、もしこれでやっていけないというところにつきましては、早くみずからの進退を判断をして決していただきたい、こういうふうにいま申しているわけでございます。したがいまして、現在の出炭のベースがそのまま持続するというふうには政府としても考えておりませんので、大体五年後には三千五、六百万トン程度という出炭ベースになろうか。ただ三千五、六百程度になりますと、現在の措置で相当――それが多少ずつ縮小するかと思いますが、ある程度安定的な出炭が五年後以降は確保していけるのではなかろうかというふうに考えております。
#5
○上村政府委員 村山先生がいろいろ石炭対策につきまして御指摘になりました点は従来いろいろと石炭の鉱業対策については政府もその政策を樹立した、けれども、これはガンみたいなものでなかなかうまくいかぬじゃないか。それが証拠には、従来の施策を大きく手直ししなければならぬという事態になっておるのではないか。そういう点からいえば今回の対策もこれまたそううまくいかぬじゃないかというような御趣旨かと思うのございます。先生も御案内のように、石炭鉱業対策というものが、現在非常にむずかしいものである。なおこれは日本だけでなくて、世界的にいろいろと石炭鉱業に対しまして各国において苦労されておるということだけは、これはおわかりかと思うわけでございます。
 それで、御案内のように、昭和四十三年の四月二十六日に通商産業大臣が、今後の石炭対策はいかにあるべきかというのを石炭鉱業審議会に諮問をされた。そして昭和四十三年十二月二十五日に答申が出ておる。それに基づきまして、昭和四十四年、今年に入って一月十日に閣議決定をいたしておるわけでございます。その閣議決定の線に沿いまして、結局、今後の石炭対策に対する政策を樹立して、それに関連しまして、結局今回大蔵省のほうとしましては、石炭対策特別会計法の一部改正というふうな状態になってまいりましたことは、先生御案内のとおりだと思うのでございます。
 それで、私は、率直にいいまして、非常にむずかしい問題である、けれども、何とかして日本の石炭鉱業に対しましてこれが対策を講じなければならぬというふうに考えられるわけでございまして、この基本的な問題につきましては、石炭鉱業審議会の答申のはしがきにございまするように、「わが国経済は、高度の成長を遂げた結果、諸産業におけるエネルギー源の流体エネルギーへの転換を加速するとともに、石炭鉱業にとつて死活問題ともいえる労働力の需給に著しい変化をもたらした。加うるに、採掘条件が次第に悪化するという事情もあって、今日のわが国石炭鉱業は、現行の対策のもとにおいては、その存続自体が困難な状態となつている。」という基本的認識のもとに対策を樹立するということになった。こういう点からいいますれば、先生も御指摘のように、結局従来いろいろと石炭対策については政府その他においても施策をとってきたじゃないか。しかるに、現在においては、このままでいったならば存続自体が困難な状態になるということになるとすると、従来の施策というものはどうもうまくいかない、見通しを誤ったのじゃないか。そうすると、今回やるやつも同じように見通しを誤りはせぬかというような点になるかと存じまするけれども、しかし、慎重に石炭鉱業審議会におきましてもいろいろ対策を協議し、あらゆる石炭鉱業に対しましての施策を検討された結果、今回の法案審議ということになり、特にただいま御審議を賜わりまするのは、それに関連いたしまして、特会法の一部改正をお願いしておる、こういう段階になっておるわけでございます。でございますが、簡単にいくかということになりますれば、そうですと安易に答えるほど簡単な問題じゃない。しかしながら、とにかく大きく今後この対策によって改善措置を講じ、ひとつその所期の目的を達するように全努力をあげて取っ組んでいかなければならない、こういうふうな心がまえでおる次第であります。
#6
○村山(喜)委員 今度新しい石炭対策のために再建交付金制度の創設であるとか、あるいは安定補給金の拡充であるとかいう措置がとられたわけですが、そういうようないわゆる対策効果をそれぞれ第一次肩がわり、第二次肩がわり等と合わせて計算をしてまいりますと八百十円だ、こういうふうに聞くわけであります。ところが、トン当たりの損失を計算してみると九百十円だ。とするならば、その百円というものは企業努力によって達成をしなさい。その企業努力ということは悪いところを切って捨てる、そういうふうにしてやりますと、なるほど採算部門だけが残っていく、こういうことになろう。そうなれば、やはりトン当たり八百十円くらいの収支の差額を補うことができるのだという計算基礎は私も聞いたのであります。しかし、一体そういうふうにしていったときに、石炭のトン当たりの価格は変わらない、対策効果は八百十円くらいのものが出るという想定でやられる。ところが、一体そういうところに労務者を集めることができるだろうか、労働者を集めることができるだろうか。私は、その点がこれからの一番ボトルネックになってくると思うのですが、その点をどういうふうにあなた方は解決しようとしておられるのですか。
 この前、雄別の炭鉱がああいうような事故を起こしました。保安対策の上から見ましても、これからなお災害が発生する可能性はあるわけです。そういうようなところに、今日でさえも人手不足時代なのに、わざわざ保安状態もよくない、しかも賃金もあまりよくない、労働強化は迫ってくるというようなところに入って命をかげながらやるというのは、若い人はもう出てきませんわね。中高年齢層の人は残っておるけれども、それももう早く山をおりて、どこかほかの仕事につきたいというようなかっこうになって浮き足立っておるわけでしょう。そこへ持ってきて、あなた方が今度つぶれそうな山については特別サービス、特別閉山交付金等をやるからというようなことで退職金等についても非常に優遇措置がとられる。こういうようなことになったら、ますますうちの山も早くやめてくれぬかなということになってしまって、何のために働くのかというようなことになりかねない。私は、そういうような意味においては、このような対策を打ってしまっても労働者が山に働かなくなるのではないかと思うのですが、その点はだいじょうぶですか。
#7
○海堀政府委員 先ほどの先生の二つのうちのまず初めの、この対策による効果と損益の見込みという問題でございますが、これは現在どこまでをとって考えるかという点にもかかってこようかと思いますが、一応大手の非常に悪いところを除きました十社をとって考えました場合には、対策の効果が、先生から先ほどお話がありましたように、四十四年度では八百五十円前後というふうなところかと思いますが、その後四十五年度以降は多少それがふえるという面もありまして、特に悪いところを除きましてはほぼ自産炭損益で均衡する。それに兼業部門なんかで多少の黒字を見れば、これは減価償却も全部含めたところで考えておりますので、十分収支を償っていけるのではなかろうか。しかし、いま申し上げましたのは、全部が全部生きていくという意味ではございませんで、たとえば兼業の三社のごときは石炭部門の損益は非常に悪い。こういうところは、はたしてそんな悪い損益で石炭を続けなければいけないのかどうかという点も、基本的に考えてみていただかなければならないのではなかろうかというふうに思っております。
 それから労務者の問題、これは確かに現状がすでにそういう問題をかかえて各鉱山とも非常に苦悩していることは事実でございます。その点につきましては、今回の対策の前提として考えました賃金の上昇は、一応平均一〇%というものを前提としたわけでございます。この前の対策のときにはたぶん七%を前提として考えたのじゃなかろうかと思います。しかし、この一〇%が十分であるかどうかという問題になりますと、今後の推移にかかるわけでございまして、その点はやはり能率のいい山を続けていくためには、そのときどきの一般的な賃金動向というものを十分踏まえて、施策をそのときどきでまた考えていくという以外にないのじゃなかろうか。予定しました一〇%で必ず押えるとか、それでいくのだというふうにかっちりきめてしまうのも危険だし、また一〇%必ず上げるのだというふうにも考えられないわけでございまして、それはそのときどきの労働情勢によりまして弾力的に考えていく以外にないのではなかろうかと思います。
#8
○村山(喜)委員 私は、もう一つ問題になるのは、過去において石炭の安定政策のためといいますか、石炭の再建のために三千億くらいの金を使った、けれども今日このような状態になった、こういうことがよく言われる。一体交付金なり補助金なりというものは、その産炭地域の事業団やら石炭鉱害事業団あるいは合理化事業団等の出資金等いろいろ合わせて、そういうような出資金、交付金、補助金、これを合わせたときに、一体そういうような金になるのかどうかですね。これ、ちょっと年度別に明らかにしてもらいたいと思うのですが、その点はどういうことになっておりますか。
#9
○海堀政府委員 まことに申しわけございませんが、ちょっと御質問の意味がくみ取れなかったのでありますが、もう一度……。
#10
○村山(喜)委員 昭和三十五年からですか、石炭対策のために国費をつぎ込んできたのが約三千億といわれる。その国費の中には、交付金であるとかあるいは補助金であるとかあるいは出資金であるとか、あるいは融資金といいますか、そういうような形のものがあるだろうと思うのです。そういうような資金がどういうようなふうに年度別に支出をされているのか、それを明らかにしてもらいたい。それでその総額がどういうふうになっているのか。今度また五カ年間で四千五百億の金をつぎ込もうとしているわけですから、やはり過去のその三千億つぎ込んだ実績というものをこの際分析をして、それが何にもならなかったという事態が生まれたら、今後においても四千五百億の金をつぎ込んでみたってこれは何にもならぬわけですから、意味ないわけですから、その数字を明らかにしてほしい。
#11
○海堀政府委員 いま資料は手元に大体あるのでございますが、計算をさせておりますので、後刻お答えさせていただきたいと思います。
#12
○村山(喜)委員 それはあとで示していただきたいと思います。
 そこで、関税収入の見込みを、四千六百億ですか、そして剰余金百億、合わせて四千七百億というのが向こう五カ年間の収入として見積もられるわけですね。これには重油等が主になるわけでしょうが、一体原油、重油というものを日本の港にそのまま入れて、そしてコンビナートで処理をする、そういうような方式をこれからもやはりとり続けていくという形で考えれば、なるほどそういうことになろうと思うのですね。まだ重化学工業の発達に伴ってそれだけ消費量というものはふえていくでしょうから。しかし、だんだんに――私もこれははっきり実情を押えているわけじゃございませんが、最近輸入原油の中に占める硫黄の含有率が少ない石油と、それから硫黄分がまだ相当多くて公害の源になるような石油がある。そこで、日本のようなこういうような人口が密集をした地域にわざわざそういうような公害源を含む原油を持ち込んできて、日本のコンビナート地帯で脱硫装置をつくる、そして五十億も六十億もかかるような脱硫装置をこしらえて、そこで盛んに公害源を発生をさせながら精製をするようなやり方は、これはやり方としておかしいのじゃないか。もうこの際、いわゆる原油の生産地においてそういうような精製をするような装置をつくって、そこから入れるような長期的な構想をこの際持つべきではないか、こういうような話がありますね。そうなってくると、一体いまのような関税収入というものが収入として将来にわたって得られるという見通があるかということが一つ。
 それからもう一つは、従価税率一二%のうちの一〇%を特別会計のほうに入れて石炭の救済策に使うという考え方、残り二%をそのほかのものに使うのだという割り切り方を今日までやってきたのですが、これは一体今後もそういうような考え方でいくべきだというふうに大蔵省はなぜ考えているか。私たちは、国内のエネルギー資源を活用するということはよくわかります。しかしながら、その金を入れてそれだけ効果があれば、またこれもけっこうでしょうが、効果がない。しかもそれは私的資本に対して担保力も設定をしていない。担保能力もない、担保物件も設定もできないような企業に金をつぎ込んでいる。しかもそれはわずかの金ではありません。この五年間に四千数百億という金をつぎ込む。それで自立達成できるようなことになれば、これも一つの政策としてはあり得るでしょう。しかしながら、それもどうもあやしいというようなのに、なぜ――関税というのはやはり国民の税金です。税金をその部門だけになぜつぎ込まなければならないのか。これはやはり今日の私の素朴な質問だけではなしに、国民の中にそういうような考え方があるのじゃないかと私は思う。盛んに食管の赤字を云々します。しかし、食管の赤字以上の問題としてやはりこの際考えるべき段階に来ているのではないか。そういうようなことを考えますと、いまのような資本の所有形態の中に企業というものを置いておくということは、国民に対して良心がある官僚の皆さんであれば、申しわけないという気持ちに立たなければならないと私は思うのですが、今後もやはり一二%の従価税率のうちの一〇%を特別会計に入れていってやるのだという考え方をずっととり続けていくつもりなのですか。これは国民の税金をどう使うかという問題に関係をするわけなのですから、その点をはっきりと説明を願いたい。
#13
○海堀政府委員 今後の石油関係の、原油で輸入して精製するか、または精製して製品の形で入れるかという問題は通産省の問題でございますので、通産省から後刻お答えをしていただきたいと存じます。
 問題は、財源の確保でございますが、たとえどういう形になりましても、ここで御審議いただいております対策費として五年間に約四千数百億というものは、いまここで法案を特別会計法、それから実体法のほうを含めまして御審議いただいて可決いたしますれば、この財源は何らかの形で確保せざるを得ないということに相なろうかと存じます。したがって、それが製品で入る場合にもやはりそこに適当な課税を続けていかざるを得ないのじゃないかというふうに考えております。
 それから、二つございまして、なぜこれだけの厚い施策をとるのかということ、なぜそれを原重油関税に財源を求めるのかという点だろうと思います。
 なぜこれだけ厚い施策をとるのかという点につきましては、これにはいろいろ御意見もあろうかと思いますが、相当石炭産業についての従業者の数も減ってきておりますし、またエネルギーとしての日本の中におけるウエートも非常に落ちてきているということは事実でございますけれども、やはりこれが地域と関連のある、要するに移動性のない企業なものでございますから、その地域にとりましては相当重要な意味を持っている。したがって、これが急速に衰退していくということは、やはりそれぞれの地域にとっては非常に重要な問題でございますので、今回の対策は決して無理に従来のように五千万トンを維持していこうということではなくて、非常に厚い施策でございますが、この厚い施策を限度といたしまして、その範囲内で徐々に非能率なものはやめていただいて適正な規模に持っていっていただくというために、忍びがたきを忍んで国が措置をとったのだというふうに私どもは考えております。
 それから、なぜ原重油関税にその財源を求めるのかということでございますが、これはやはりエネルギーということで、そのエネルギーの一環である非常に需要の伸びている原重油にその財源を求めたわけでございまして、これはドイツとか同じように対策をとっている国等の先例等も参考にいたしましてとりました措置でございまして、特にこれでなければならないという積極的な理由というものはないのではなかろうかと思います。ドイツ等の先例を参考にしてこういう措置をとったわけでございます。
#14
○上村政府委員 事務的以外に政策的な内容を非常に含んでおりますから、私から少し答弁をさしていただきます。
 実は、先生が御指摘されておりますことは基本的な点であり、なおきわめて重要な点であるかと思うのでございます。先生のお考えにつきましては、これは一つの大きな見識あるものの考え方であると思います。
 ここで問題になるのは、石炭鉱業というものは一体必要なのか必要でないのか、必要であると考えますればこれは再建しなければならない。ここのところの基本的認識かと思うのでございますが、これはいろいろ考えもございますが、先生御承知のとおりに、石炭鉱業審議会などもこの点についてはっきりと基本的姿勢を打ち出しておる。そして、わが国の石炭鉱業は困難な局面にあるが、需要面から原料炭についてはわが国鉄鋼業の基礎原料である。長期的見地から国内における出炭の確保が必要である。どのくらいにするかということにつきましては、すでに先生も御承知のとおりでございます。また一般炭についても、電力需要などを中心としてなお相当量の需要がある。そういう見地から安定した出炭供給ができるという出炭体制を確立するために、ぜひこの石炭鉱業の再建が必要である。こういう基本的な認識のもとに立って、その方策を答申されております。
 先ほど先生が御指摘になりました労働力の確保というものはどうか、これも審議会の答申の一番基本的も姿勢におきましても、それが非常にむずかしい重点であることがうかがわれるわけでございます。でございまするが、石炭鉱業の再建がぜひ必要であるという基本的な認識のもとに、この労働対策につきまして指摘をして、そして、今日の炭鉱をめぐる労働条件、労働環境はなお十分とは言いがたい状況にあるのであるから、ひとつ炭鉱労働者の定着及び確保とか、閉山に伴う離職者に対する退職手当の充実とか、あるいは離職者の対策の改善などについて、政府は十分配慮をする必要があるというような御指摘のもとに、これがそうであろうというような意味において閣議決定をして、そしてその方向でまあひとつぜひ所期の目的を達していこう、こういうわけでございます。
 いま先生がいろいろと御指摘をされました点につきましては、ある意味におきましては基本的姿勢につきましての御指摘もあるわけでございまするが、ただいま政府としましては、結局この審議会の答申の線に沿いまして、しかも従来、とにかく石炭関係につきましては日本の経済再建について大きなエネルギー源を供給した重要なものであるので、その施策でやっていき、なお今後とも再建の必要があるということになりますれば、むずかしいけれども、とにかく所期の目的を達する意味において全努力をあげていこう、こんなような考え方になっておるわけでございます。いまの御指摘のような点につきましては、私どもほんとうにいろいろと考えさせられる点も率直にあるわけでございますが、そんな次第で全努力をあげておる、こういうわけであります。
#15
○村山(喜)委員 ここまで国のほうからめんどうを見てもらい、そして税金を使わしてもらって、そして私企業としてよくも涼しい顔をしておられるものだと、実は石炭協会の経営者の人たちをそういうふうに私は思うのですよ。それは国民の声だと思うのです。その石炭協会の会長が、事もあろうに参議院の特別委員会に出てきて、これはわれわれの責任じゃない、今日石炭産業がこういうようになったのは政府が悪いんだ、国会が悪いんだ、こういうような発言をしたのでしょう。これは一体どうなんですか。石炭部長は、その石炭協会の会長が発言をしたそのことについてどのような措置をとられたのですか。大体、石炭協会というのは政府の資金をかすめるような存在として今日おるのでしょう。そういうような状態の中にあって、そしてそのようなことを国会に出てきて堂々と発言をする。それであるならば、もうそういうような企業というものの存在は許さないという立場に立つべきじゃないですか。私は、少なくとも企業家の責任というのは、人間として従業員が最低の生活が保障できる、文化的な生活が保障できる賃金が支払える企業でなければだめだと思うのです。命がなくなるような、そういうような保安施設の中で働かせるというのはもってのほかでしょう。そういうような状態において、そして仕事をやってもうけよう、もうけることができなければ国の政策が悪い、国会が悪い、そういうようなことを言うて、しゃあしゃあとしている。今回も八百八十四億ですかの金をつぎ込んでやろうとしている。それでも将来については見通しはあまり好ましくない。一体こういうようなのに、なぜ特別会計法の一部を改正してやらなければならないのか、私たちは疑問を抱きます。その石炭協会長が発言をしたその後の措置については、どういうような措置をおとりになりましたか。
#16
○長橋政府委員 ただいま御指摘の先週の十六日におきます石炭協会大槻会長の参議院での発言につきましては、業界指導の責めにございます通産省といたしまして、まことに申しわけなく存じておる次第でございます。
 さっそくに当日、石炭協会長を当省に招致いたしまして、十分に説諭をいたしますとともに、業界といたしましても翌十七日には社長会を開きまして、あらためてここで事態を反省し、今後に向かっての所信と決意というものを明らかにいたした次第でございます。業界のほう全体といたしまして、会長の発言問題につきましては深く反省をし、問題になりましたただいま御指摘の、前回の抜本策がくずれた原因は政府、国会の段階で業界の要望がいれられなかったことにあるといったような発言につきましては、これを業界といたしましては取り消しをお願いし、あらためて過去についての反省と今後に向かってこん身の努力を経営者としていたす、こういう所信と決意を表明いたしている次第でございます。
 御指摘の経営者のあり方につきましては、石炭鉱業審議会の昨年十二月二十五日の答申におきましても「石炭鉱業の再建の成否は、石炭企業自身の経営努力の如何に係つている。今日のこの深刻な事態に至るまで企業が局面打開のため必らずしも全力をふりしぼったとはいいがたいので、この際、各企業とも、自己責任原則の自覚のうえにたつて、事業の運営に臨むべきである。」そしてこの五年間にわたって四千二百億というふうな国の助成の限界とも申すべき格段の措置を講ぜられるにあたって企業としての責任を明確にして今後に処すべきであるということを随所にうたっているわけでございます。当省といたしましても本月二日、北海道の茂尻炭鉱で起こりました重大災害にあたりまして、四月七日には経営者を、大手につきましては全社の社長を大臣が拓致いたしまして、ややもすれば石炭経営者は国の助成に安易に依存する傾向があるというふうな世間の批判がある事態のもとで、ひとつここでその真を明らかにする意味において格段の奮発をされたいということも大臣から直接に戒告をいたしておるわけでございます。今後につきましては、通産省といたしましても十分に業界指導の責めを果たしてまいりたい所存でございます。
#17
○村山(喜)委員 その石炭協会長は発言を取り消して陳謝したんですか、どこで陳謝しましたか、陳謝しておりますかおりませんか、いかがですか。
#18
○長橋政府委員 陳謝いたしております。当日の委員会のあと、またその後協会全体といたしましてあらためて決意を表明いたしましたあとも、関係の先生方に陳謝の意を表して回った次第でございます。
#19
○村山(喜)委員 私は、そのような思い上がった態度をとるのには何か裏があるような気がしてなりません。そういうようなことを国会の場においても発言をしてしゃあしゃあとしておる。そういう態度の中にはまさに、私企業の自分たちの利益のために国民の税金を縦横に使い得る力が自分たちにあるのだという思い上がった考え方を持っておるのじゃないか。私は、自分のところに石炭一きれ出るわけじゃございません。しかしながら、今日炭鉱で働く労働者の諸君が、エネルギー資源を確保するために、命の危険な状態の中にもかかわらずがんばってきた、気の毒だなという気持ちは持っておる。しかしながら、石炭山を経営する諸君が、今日までこういうような恩恵を受けながら、今後においてもなお四千五百億円くらいの資金を仰ぎながら――これは国民の税金です、それを使わしてもらいながら、そういうような状態で私企業の体制を維持しながら、しかも国民に対して、国民の代表である国会に出て議員の前でそういうようなことを発言をする。まさにあなた方もなめられたものだし、また国会のほうもなめられたものだと思うのです。そういうような意味において、一体今度のこの特別会計法を通してやるのがいいのかどうか、もう少し反省の実が見られるまではこの委員会で採決をしばらくはしない、反省の実を示してもらうまではしっかりこの法案をかかえておくという必要性が出てきたと私は思うのです。そういうような意味から、他院で発言をしたことであるとはいえ、われわれのところには――新聞紙上では発言をしたという事実は知りました。私はそれを見て憤慨にたえません。それでこの法案については通したくないと思っている、反省がなければ。そういうような気持ちがしてなりません。それは、そういうような態度をその当事者には示されたかもしれないけれども、われわれのところには聞こえてきておりません。そういうような問題を考えてまいりますと、もう少しあなた方が、業界の指導については適切な厳正な措置をおとりになるのが正しいのではないかと思います。そこで、その点については今後どのような措置をとられるかひとつ見ておりたいと思います。
 それからもう一つ、大臣もお見えになったので、先ほど以来いろいろエネルギー資源対策の問題で質疑をしておるのですが、一体こういうような関税収入を、五カ年間四千六百億くらいの収入見込みがある。その一二%のうちの一〇%をこれに充てて、そして四千五百億くらいの金をつぎ込んで再建措置をしようとしておるのだけれども、どう考えてみても再建の見込みは私はないと思う。大体人が集まらぬと思うのです。もう若手は就職をしませんから、いま働いている人たちがやめたあとは新規の労働力は補充できません。命の心配があるような職場で働く者はいないはずです。そうなってくると、賃金はどうかというと、賃金は安いです。もう中学校を卒業しただけの初任給のほうが高いくらいになっている、平均賃金が。そういうようなところでは、働こうとしても人は集まらぬです。人が集まらなければ、機械化しようとしたってそれには限界があります。一体企業として、あなた方はこうして提案をされましたが、これは成り立っていくのだという自信がありますか。あとはもう国の資金をつぎ込まぬでも五年後には完全に一人前で存立をするようになりますという自信があって提案をされたものだと思いますが、間違いございませんか。
#20
○福田国務大臣 今回の法律は、石炭鉱業審議会で、各界の専門家、有識者が集まりましてきわめて念入りな調査をしてくれた、その答申に基づいて御提案を申し上げておるわけです。この審議会の主宰者、皆さん方の御意見では、これ以上の案はできない、これが最終のものである、これによって必ず石炭鉱業の再建ができる、かように申しております。政府もぜひこれを実行してもらいたい、こういうことでありますので、大体そのまま立法化いたしまして、いま御審議をお願いをしておる、こういうことであります。通産省でもよく検討されまして、これでいくほかはあるまい、これでだいじょうぶだ、かように考えております。
#21
○村山(喜)委員 紋切り型の答弁をいただいたわけですが、どうも私は自信がない。いままでの実績から見ても自信がない。これからやろうとしておる中身を見てみても自信がないと思う。しかたがないからやっておるのだというふうに受け取っておりますが、結果を今後見てみなければ何とも言えませんけれども、中身についてちょっと事務的にお尋ねしておきます。
 それは企業ぐるみの閉山ですね。この場合には退職金の手当は、労働協約あるいは退職金の支給規程によって七五%ですか、支給をするということの中身の問題です。これは大手十三社のいわゆる平均賃金、それにいわゆる退職給与規程というのですか、これをもとにして支給をする、こういうことになったのですか。そうなると、労働条件の非常にいいところと悪いところとありますね。いいところは平均になったら下げられ、悪いところは上がっていく、こういうことになりますね。そういうような問題が出たときにはどういうふうにされるのか。それから社内預金、未払い賃金等については七五%相当額が出される。その他が五〇%ですか。そういうようなことで債務については保証をするというのですね。片一方組夫については、離職金というのは今後検討しましょう、こういうことですね。そうすると同じ人間でも、正式の従業員ですか、イコールそれは労働組合の組合員でしょうね。それについては非常に優遇規定ができ上がる、これはけっこうなことです。組夫は離職金の交付については今後検討をしたいというので、全然見込みはないわけですね、いままでのところは。そういうような措置のやり方というものは石炭政策に対する政府の指導として正しいのかどうか。特別閉山交付金というようなものを支給する、これは国家資金を出してやるわけでしょう。しかも期末手当に見合う分も五万円やる、解雇予告手当も三十日分やるというのでしょう、片一方は。退職金も七五%は保証します。片一方のほうは何にもやらない。一体そういうような政策がいいことかどうか。私はこの中身を見ながら、そういうふうになっていると思いますので、それが違っておったらかんべんをお願いしたいのですが、その問題についてあなた方はどういうふうな措置をされたか。
 それからもう一つは、同じ会社でも赤字をかかえてやめる会社がありますね。その会社の中で、この山は残すんだというのがありますね。そうすると、それは二、三年間は山として残るかもしれないけれども、もうやめる会社が、三つくらいやめる山がある。そうすると残りのほうは、おれもこの際やめさしてくれということになって、二年先にはやめるのですから、二年先のことよりもいまやめて別なところへ就職したほうがいい、これだけの金をもらって、こういうことになりませんか。二年間なお残りの山は一生懸命働きますということになりますか。私は、そういうような問題を考えていきますと、これから炭鉱ももう災害は絶対に発生しないんだ、安心して健康で働きいい場所で、まことに快適な労働ができるんだ、こういうようなふうにはならなとい思いますね。やはり保安に幾ら金を入れてみても災害はやってくる。ましてや左前になりつつあるのですから、保安は手抜かりになるでしょう。だから、国のほうから金をつぎ込んで、本来会社が保安業務をやらなければならないのに、国のほうがめんどうを見るということになっているんでしょう。そういうような状態の中で、はたしてその労働者を確保できるでありましょうか。どうも怪しくなってくるのですが、こういうような退職金制度で企業閉山をするところは何とか処理ができる。そういたしますと、今後さらに、おれのところももう赤字があるからというので、赤字をつくって企業閉山に持っていこうということになりませんか。
#22
○長橋政府委員 お答え申し上げます。
 まず、企業ぐるみ閉山の制度で閉山をいたします会社の離職者に対する退職金の取り扱いでございます。これは御指摘のように、金融債務あるいは一般債務、鉱害債務等各種の債務とのバランスも十分考慮しながら取り扱いを考えてまいったわけでございます。
 まず、各企業ごとにいままで取りきめられてまいりました退職金規程があるわけでございますが、それの中で、まず本人の都合で退職いたします場合の退職金規程というのが一つございます。それから会社の都合で、たとえば閉山等の会社の都合で解雇をするという場合の加算規程があるわけでございます。先生御指摘のように、大手の平均でプールすることを考えましたのは、会社の都合で退職させます場合の加算分について、各企業かなりの凹凸もございますので、国の政策として交付金を出すという筋合いからいたしまして、この退職金の一部分でございます加算分について大手の平均値をとったわけでございまして、全体といたしまして、こういったプールによって非常に得をするところと損をするところが出てくるというふうな結果には相ならないものと考えております。
 それから、組夫の取り扱いでございますが、これは現在、組夫につきましては、石炭鉱業合理化臨時措置法によりまして規則が加えられております。政府といたしましても、できるだけこれを最低限度に押える、臨時的な仕事に一定の届け出と承認を受けた人数の範囲内で使う、こういうふうな制度になっておりますが、申し上げるまでもなく、組夫は、組頭と申しますか、それと炭鉱との契約に基づいて、坑内等におきまして作業をいたしているわけでございますが、従来からこの合理化法に基づきます鉱山労働者に支払われる離職金の対象にはなっておらなかったわけでございます。今回、企業ぐるみ閉山等に対処いたしまして、各企業は、そういう離職金が組夫には出ない、こういう前提のもとで善処をいたしてまいったわけでございまして、通産省といたしましても、御指摘のような、同じ穴の中で働いている者の間に大きな差別があってはいけないというような観点から、企業ぐるみ閉山を企図しております経営者に対して、組夫に対しても所定の賃金の未払い分が残らないように、それからまた最後にせんべつというような意味におきましても、一定の要件を備えた者に対しては一カ月分程度の金が支払われるように指導をいたしてまいった次第でございます。
 それから第三点、今後炭鉱労務者を確保していけるかどうか、雇用の安定を期し得るかどうかという御指摘でございます。この点につきましては、まず退職金につきまして、他の債務とのバランスを考えながらも、できるだけ手厚い措置を講じましたのも、最後まで残った労務者が著しく不利な扱いを受けないように、これが今後の雇用の安定を期していく一つの大きな前提要件である、かような考え方に立っているわけでございます。
 それから、保安の確保につきましても、補助金を、保安に限りましては安定補給金のほかに特別に拡充創設をいたしたわけでございますが、保安について経営者が、できるだけ政府の補助金がないから保安確保ができなかったということにならぬように、国へのもたれかかりという面をできるだけ排しますように、補助金としては特定のガス抜き、密閉等のものに限りまして、あとはできるだけ安定補給金に助成体系を統合をするという方向で助成の仕組みが考えられているわけでございまして、そういう助成面からも経営者の国へのもたれかかりということを排しながら、自主保安ということにつきまして一そうの監督規制をきびしくいたしまして、労務者が安心して働ける職場の造成に企業として最大限の努力を払わせることを考えている次第でございます。
 労務者の確保につきましては、そのほか、炭鉱住宅の整備、北海道あたり寒冷地におきます外便所、外水道の炭鉱労務者住宅というふうな面につきましても、合理化事業団の無利子融資の一部をさきまして、これの解消に逐次つとめてまいるということも考慮いたしている次第でございます。
#23
○村山(喜)委員 そうすると、一人平均幾らになるのですか。退職金と自己都合分の全額、それから会社都合分のものとして国が定めるもの、それに期末手当の見合いの五万円、それから解雇予告手当の一カ月を入れて、平均一人幾らになります。そのほかに未払い賃金と社内預金の七五%相当分を交付するでしょう。これが百三十億ありますね。そうすると企業ぐるみ閉山の場合には一人幾ら見てくれるのですか。それによってあと最後まで働いてもらう労務確保のためにも役に立つ、なるほどそれはそうです。それはそれで一生懸命働いてもらったのですからいいのですが、そういうような措置が今後とられるとした場合には、だんだんに山の経営者がほかの部門に手を出したりして、企業ぐるみ閉山をしなくちゃならぬというようなところがほかにも出てくるのじゃないか。経営能力のない経営者の場合に、そういうような場合もあり得るわけでしょう。そういう心配はないのかということを言っているのですよ。それはありませんか。それだけです。はっきりお答えをいただいて、もう時間がありませんから私も質問をやめますが、その点明確に……。
#24
○長橋政府委員 お答え漏らしました。企業ぐるみ閉山の制度を考えましたゆえんは、今後新しい石炭対策でできるだけ再建の軌道に石炭鉱業全体を乗せてまいるという中で、現実に企業としてどうしてもやっていけない、非常に大きな長期負債をかかえている、こういうふうな状況の企業が存在しているわけでございまして、これをいわば野たれ死に的な状態にいたします場合には、従業員に多大の迷惑をかけるばかりでなく、関係債権者はもとより産炭地の地域社会に非常に大きな混乱を生ずることになるわけでございまして、そういう社会的な混乱を回避するための特別臨時の制度として考えた次第でございます。そういう意味合いにおきまして、期間もできるだけ短いことが筋合いであるわけでございますが、二年間の臨時制度ということを考えた次第でございます。
 それで、今後こういう制度がある限りは、できるだけ借金をつくって早くこの制度に乗ったほうが得だ、こういう経営者の判断にならないか、こういう御指摘でございますけれども、この点につきましては、今後の金融情勢、石炭鉱業に対しましては非常にきびしい面があるわけでございますから、政府としても全体として石炭を再建の軌道に乗せるということで、この際各企業に最大限の努力を要請いたしますとともに、どうしてもやっていけない企業は、今後はこの制度がなくなりましたあとも残ります一般閉山交付金の制度のもとで対処してもらう、かように考えているわけでございまして、御指摘のような借金をどんどんつくって企業ぐるみ閉山制度にもたれ込んでくる、こういうふうな御心配はないものと考えております。
 それから、退職金について一人当たり幾らくらいになるかという御指摘でございますが、これは各企業ごとに平均勤続年数も違っておりますし、また、規定そのものにも内容の相違がございまして、いま全体の一人当たり平均の数字をちょっと手元に持ち合わせておりませんが、企業ぐるみ閉山を受けます三社につきまして労働者一人当たりの平均といたしましては、先ほどの一人頭五万円の特別加給金及び一カ月分の解雇予告手当というものを除きましたいわゆる退職手当相当分といたしましては、大体七十万円から九十万円ぐらいの各企業別の一人当たり平均になろうかと思います。これは先ほど申しました平均勤続年数の相違で修正されないなまの数字を申し上げた次第でございます。
#25
○村山(喜)委員 特別閉山交付金という制度が創設をされる、そういうような中において非能率炭鉱の整理をやる、こういうような計画でございます。それに伴う労務者対策、従業員の生活を考えてやるというこの面については、私は異論があるわけじゃございません。しかしながら、先ほども申し上げましたように、これから四千五百億、ことしは八百八十四億、こういうような膨大な国の金を使わしてもらいながら、経営者の考え方というものがあまりにも甘え過ぎておるというのですか、もう企業としての経営者としてのそれがないのだったらいさぎよく責任をとってもらいたいと私は思うのですよ。そういうような意味において、ほんとうに国がこれほどまで考えてやるのに、それを受けて立つ意欲がないような経営者はとっとと辞表を出してやめなさいというところまであなた方は強く指導すべき立場にあるんじゃないですか。そうでなければ、それはもう国に全部献上したらいいわけですから、そういうような経営能力がない人は財産を預かる責任がないと私は思うのです。
 ですから、これは委員長に要望申し上げておきますが、何らかの措置を――石炭協会の会長が発言をしたことに関連をいたしまして、この委員会においても適切な措置をとってもらわなければ、この法案を上げる気はいたしませんので、その点は委員長に要請を申し上げまして、私の質疑を終わります。
#26
○田中委員長 ただいま村山委員の御発言につきましては、後刻理事会ないしは理事懇談会で御相談を申して、結論を出したいと思います。
 井手以誠君。
#27
○井手委員 石炭特別会計の性格から、私は石炭問題についてたくさん意見を持っておりますし、お伺いしたいこともございますが、きょうは主として大蔵大臣に対して財政処理の基本について二、三点お伺いをいたしたいと思います。
 その前に、通産省のほうに一言苦言を呈しておきたいと思います。
 ただいま村山委員から大槻石炭協会長の参議院内における暴言についてきびしい批判がございました。私は、石炭の関係者としてもっときびしい考えを持っておるのであります。石炭部長という立場もございましょうが、石炭協会の弁護のようなことじゃなくて、もっと厳格な態度をとってもらいたい、これが私の要望です。二、三年前ですか、エコノミストにこういうことが書いてありました。石炭協会とはいかにして政府からよけい金を取るかという金もらいの団体である、こう書いてありました。私はそれを取り上げてどうこうということは申しませんが、やはりそれには言われるほどの裏があるといわねばならぬのです。一体大槻協会長はそんなことを言える立場ではないと私は思うのです。
 私の近所で一昨年の暮れ、全国に喧伝された、生産能率日本一とまで一時いわれた古賀山炭鉱が閉山をいたしました。その閉山に先立って、せっかく法律によって、かねがね泣き寝入りをしておった鉱害被害者に鉱害申告の権利を与えておるにもかかわらず、全面的に打ち切り補償をしたのであります。被害者は家屋だけだろうと思って判を押したところが、あとになってみれば、ちょうど質屋の裏書きのように、家屋に付随する構造物というものも入っておりますので、井戸の水が出なくなったことも同時に打ち切り補償をされました。その他一切のものもそれに関連をして打ち切りをされておったのであります。多くの人々が泣いておりました。古賀山はまた炭鉱を始めるのであろうというので、多久市では、多久市内の貧乏な村が、三菱の社有地の、当時農地であったものを、農地解放の際地方公共団体がわざわざ離作料百万円を支払って社有地を保有してやったこともありますが、その社有地はかってに処分されました。
  〔委員長退席、倉成委員長代理着席〕
いわゆる政府金融機関から借り入れた金でりっぱなアパートをたくさんつくりましたが、その大部分は、利子の関係か何か知りませんが、一年有半にわたっていまなお放置されておる、不良の巣になっています。地元ではたいへんな問題になって、夕方からはもうその近辺に寄りつくことができませんので、やっと最近になって有刺鉄線を張って出入りができないようにいたしました。ボタ山はいまにもくずれそうだという危険な状態にあったにもかかわらず、なかなか防災工事をしなかったが、やっと私や石炭協会、保安局が努力して若干の防災工事はやらせました。自分の炭鉱の閉山処理すらろくろくしない、そういう石炭協会長、私は断じて許すわけにはまいりません。通産省はもっときびしい態度をもって石炭協会を指導してほしい、この点を私は強く要望しておきます。
 そこで、国の財政について、私から申し上げるまでもございませんが、国民の税金によってまかなわれる支出は公正にまた効率的でなければならないことは申し上げるまでもありませんし、また鉄則として、目的外に使用されてはならないことはもう御承知のとおりです。
 そこで、その点についてお伺いしたいのは、先般の委員会でも申し上げました、石炭企業が民間金融機関から借り入れた金を社外に投入したものについて、それは三つのケースがあります。いわゆる炭鉱の第二会社、それが一つ。その次には炭鉱の関連企業、この中には問題点もあります。それと、炭鉱の企業とは全然関係のないレジャー、いわゆるホテル、観光施設などの、石炭企業とは全く関係ないもの、これが第三。以上合わせますと八百六十億円にのぼっておるのであります。私は第二の石炭関連企業については問題があると思いますが、これは一応おくといたしましても、第三の、レジャー産業などに投資されたもの、投入されたもの四百二十億円。これはいかに石炭企業が大事だとはいえ、先刻も主計局次長は、忍びがたきを忍んで私のほうは金を出すことにいたしましたとおっしゃった。それほど忍びがたきを忍んで出す国費であるならば、石炭企業以外に出したものについては目的外でございますから、当然四百二十億円というものは一千億円の第二回の肩がわりから差し引くのが当然であると私は信じております。議論の余地はないと思っております。大蔵省はいままでその方針で明治以来終始一貫して財政処理に当たってこられたと私は思っております。今後もそうでなくてはなりません。将来を嘱望される福田大蔵大臣ですから、国民の納得する御答弁が当然あると思いますが、念のために、いかがなさるか承っておきたいと思います。
#28
○福田国務大臣 過日の当委員会で井出さんから、例をあげまして、特に三つの点につきまして御意見を交えられての御質問があったわけです。その御意見を私も拝聴いたしておりまして、井出さんのおっしゃることは一々ごもっともだと思います。そう考えたのです。そこで、大蔵、通産両事務当局におきましても、御質問の要点につきましてこれを検討いたしたわけでございます。
 そこで、ただいま御設例の社外投融資の問題ですが、この問題につきましてははっきりした意見統一をいたしたわけでありまするが、石炭以外の事業を営んでおる子会社に対しまして投融資をする、あるいは他事業に設備投資をする、そういうために銀行の借り入れをする、そういうことが明確になっておるというものについては一切再建交付金の交付はいたさない、こういうふうに考えていきたいのであります。今度四千数百億円の膨大な金を出して石炭対策をいたすわけでありますが、これはことごとく国民の税金である、この税金が石炭の再建以外の目的に流れるというようなことがありますれば、これはまことに相済まぬことだ、さようなことのないようにこれは最善を尽くさなければならぬ、かようにかたく決意をいたしておりますので、どうかひとつ御期待のほどをお願いいたします。
#29
○井手委員 たいへんりっぱな御答弁のようでございます。しかし、お話の中でレジャー産業などに投資したものが明らかな場合にははっきり交付をしないとおっしゃいましたが、そこがなかなかむずかしいのです。御承知のとおり、投融資したものについてはその石炭企業の考課状には明らかに財産として載っておるのでありますから、それはレジャー産業などに投入した分については処分してしかるべきであろう。処分しないならば別個にその金は調達して整理に充てるべきがほんとうではないか。この前も申し上げました。これはきょうの本筋ではありませんが、第一回の肩がわりのときには、一千億円借り入れ金の帳じりによって肩がわりをするということがございましたので、その直前にはいわゆるかけ込みと申しますか、力のある石炭企業はたくさん借り入れをいたしました。これは過去の数字によって明らかです。これはすでに済んだことですから私はとやかくは申し上げません。けれども、そういうことをしたということはお互い念頭に置かねばならぬのです。銀行から金を借り入れて、そしてその金を石炭企業に使ったか、あるいは社外投融資に使ったかは、それは番号がついておりませんからわかりません。しかし、苦しい石炭企業がレジャー産業に手を出すほどの余裕のある金はないはずです。余裕があるならば、今日のように石炭企業は衰微をしていないでありましょうし、国が肩がわりするような措置の必要はないはずです。レジャー産業、いわゆるホテルや観光施設に出した投融資というものは財産として明らかですから、その石炭企業が借りた借金の中には当然その財産は含まれているはずです。したがって、私が申し上げるように、その財産については第二回の肩がわりから差し引くべきであるということになるのであります。
 大臣、一言言ってもおわかりだろうと思うのですが、余った、もうけた黒字の会社じゃございませんよ。いままで長い間国の助成を得てきた苦しい石炭企業が銀行から金を借りて、そして借りたその企業ではレジャー産業に投資する余裕はないはずである。にもかかわらず、四百二十億円という膨大な金を投資しておる。そして考課状には財産としてきちんと載っておりますから、今回のほとんど銀行の借金をなくそうという特別な措置においては、当然その四百二十億円の金は、明らかなものというのじゃなくて、全部差し引くのが筋じゃございませんか。これほど手厚い恩恵を与えるならば、石炭企業に関係のないものは整理なさい、処分しなさい、そしてほんとうの石炭企業の実態に対してお救いいたしましょうというのが本筋じゃございませんか。先刻申し上げたように、私は不思議でたまらぬ。借金の多い金社にはよけい貸してやる、それならうんと借金しておこう、そしてどんどん第二会社やあるいはレジャー産業に投資していこう、そういう態度をとってきた石炭産業を許すことはできないのです。
 繰り返し申しますが、この大事な金を国が使うのですから、国民の皆さま方に、明らかなものは差し引きますと言う程度では国民は納得しないはずです。井出さんそう言うけれども、レジャー産業にうんと出ているじゃないか、三池開発はあそこにグリーンランドをつくっているじゃないですか、あれは銀行から借りた金ですよ、こう言われた場合に、明らかなものは差し引くことになっておるはずです、では国民は納得するはずがないのです。ホテルはそのままあるじゃないですか、こうおっしゃる。明らかなものとか明らかでないものとかいうことじゃない。それは石炭企業は苦しいから借金をしておる、だから国は恩恵を与えておる。筋はもうはっきりしておりますから。その点はひとつ国民が納得するように、世間ではそういううわさも強いのですから、その点ははっきり四百二十億円は――四百二十億円は明確ですよ。これは差し引きますということをはっきりおっしゃっていただきたいと思うのです。
#30
○福田国務大臣 ただいま申し上げておりますように、これは石炭企業の再建に使わなければならぬ金であります。そこで、そうでなくて、どうもレジャーだとかなんとか、そういうものに借り入れ金が使われておるということが明確なものについてはこれを差し引く、こういうことを申し上げておるわけです。それで三井鉱山について例をあげられて、井出さん先日からおっしゃっておられるのですが、これについては通産省のほうでいろいろ言い分がありますので、時間がありますればお聞き取りも願いたいところでございますが、とにかく再建の役に立つように、これは一銭一厘といえどもむしなしゅうしては相ならぬ、かように大蔵省としてはかたく考えております。
#31
○井手委員 いまのところはまだ四十点ぐらいしかいっていないですね。まあ当局は大体わかっておるはずですがね。
 そこでお尋ねしますが、レジャー産業などに投融資したものは石炭企業には関係がないということは明らかでございますか。これだけは事務当局、一言でいいですから。
#32
○藤尾政府委員 まことに恐縮でございますが、私から答えさせていただきます。
 レジャー産業に投融資いたしておりますのも、石炭会社自体がその企業を救いたいということで、レジャー産業を通ずる利益をもって石炭会社の穴を埋めて石炭企業に資したいという意向も私は十二分に見受けられたと思います。
#33
○井手委員 政務次官、そんなことが世の中に通るでしょうかな。ほかのほうに、たくさんの従業員をかかえておるから、もう石炭は先細りでもあるしという意味もあってレジャー産業を思い立ったということは、私はわかる。しかし、ずっと損益対照表を見ておりますと、黒字の部分になって石炭企業に返ってきたのは一万円かあるかもしれませんけれども、私はほとんど見たことがないのです。また初めからそう甘いものじゃございません。そんなふうに善意であったから、石炭企業を守るためにレジャー産業をやりましたからこれも関係があるとは言えないのじゃございませんか。
 これは財政の立場から大蔵省大臣にお伺いいたします。一言でけっこうでございます、何にも注釈は要りませんから。レジャー産業に投資したものは石炭企業に関係があるかないか。ないならないでいいです。
#34
○福田国務大臣 どうもこれは一言ではなかなか言えないのですね。これは会社を何とかしなければならぬという執念というか、熱意をもってレジジャー産業を営む、土地の開発をやる、こういうようなケースはよくあるわけですから、そういう問題をどういうふうにケース・バイ・ケースで考えていくかということが問題なんだろうと思います。
#35
○井手委員 ようございます。それはもう国民が判断するでしょう。レジャー産業に出したものが石炭企業に使われておるかどうか、ほんとうに石炭企業に役立つものであるかどうか、そういうものに国が肩がわりしていいかどうかの判断は、国民がすると思います。もっと福田さんだから八十点ぐらいの答弁はできるだろうと思っておったのですが、この問題はよろしゅうございます。
 それじゃ第二に移ります。今回第二回の肩がわりによって有価証券なり土地という会社の財産が担保から解除されたもの、それを今後の石炭企業の担保力として活用しようという考えで、それに対しては損失補償までしてやろうという、きわめて恩情あふるるような措置まで講じられておると思うのです。ところが、実際私どもが聞きますと、会社は有価証券なり土地というものを次々に処分しかけておるということをしきりに聞くのです。政府の説明のとおり受け取りますならば、せせっかく国が一千億円という大事な金を肩がわりして担保を解除してやろう。その有価証券なり土地を今後の担保力として活用しようというその財産が、会社によって次々に処分された場合はどうなりますか。それを活用する場合は損失補償いたしましょうというけれども、会社がそれを売却した場合はどうなります。ばかをみるのは国じゃございませんか。国民がじゃございませんか。その分は国が金を貸してやる。本来ならばその分だけは、担保解除したものは国が取り上げてもいいはずのものですよ。それをなお担保力として活用しようというものに対して、活用した場合は損失補償までしてやろうというあたたかいやり方に対して、そのあたたかい温情に反して、会社がその有価証券なり土地を処分した場合はどうなるのです。――ちょっとお待ちください。私は主として財政当局、財政処理の方針を聞いておるのです。
#36
○福田国務大臣 これもまことにごもっともなお話なんですね。この間あなたの御意見、傾聴したのです。担保抜きの財産が会社の恣意のままにこれが処分されるというようなことがもしありとすれば、これは再建の趣旨にも沿いませんし、再建に資するゆえんでもない。そういうようなことで、この担保抜き資産につきましてはこれを再建に役立たせる、こういう方向へ必ずこれを活用する、こういう方針でございます。
 どういうふうにやっていくのかということにつきましては、これは再建整備法の運用、活用、これに待つほかはないのでありますが、この再建整備計画、またその実施状況の監査、資産処分のしかた、それから社外投融資の届け出、またその他の必要な勧告もできるわけでありますから、それらの法の運用、活用を通じまして、これはとにかくさようなことは絶対に相ないように確保していきたい、さような考えであります。
#37
○井手委員 大臣は絶対にないようにという声だけは大きかったのですが、法人が法人の意思として処分するものに、それでは法的にこれを歯どめをする、規制をする方法がございますか。私はもうなるべく短い時間で、お互い忙しいからだですから、効果的に質疑を終わりたいと思っておりますから、そのつもりでまだ答弁をお待ちください。ただ注意いたしますとか厳重指導しますということは、私は聞きません、これだけは。
 私がはっきり申し上げておるのは、法人としてそういう処分を、たとえ注意を受けてもしてしまう、処分するものを、どうして歯どめできるかということをお伺いをしておるわけですから、ただそういう法律上の根拠をもし御答弁ならひとつそういうふうにおっしゃっていただきたい。
#38
○長橋政府委員 石炭鉱業再建整備法に基づきまして、事前段階で、再建整備計画の認定をいたします際にその辺を十分確約させた上で認定をするという事前チェックの段階が一つございます。それからその後資産の処分を行なうとか社外投融資を行なう、こういう法人としての意思決定をいたします場合は、これに届け出の義務を課してございます。そしてその届け出内容が、石炭鉱業の再建整備計画の実施に支障を来たすおそれがあるというふうな場合には、その矯正の勧告の規定がございまして、その勧告に従わない場合には、元利補給契約ないし今後の新しい再建交付金交付契約を政府として解除をするというきめ手が用意されているわけでございまして、そういう背景のもとで通産省といたしましてもただいま大蔵大臣が御答弁になりましたように、厳重にチェックをしてまいり、およそ再建整備に支障を来たすことのないような措置を厳格に励行してまいる所存でございます。
  〔倉成委員長代理退席、委員長着席〕
#39
○井手委員 その程度では非常に心もとないのです。いままで石炭産業に対して、生産についても保安についても、事業停止などという規定はあったけれども、どんなことをされてもそういうことの発動があったためしはございません、自由経済、戦前から今日に至るまで。たとえそれが政治力が旺盛であろうとも、あんなことをしてと思われるものについても、厳重注意の程度でございました。私は、はたしてそれが歯どめになるとは甘くは考えたくないのです。企業がどんなに裏面で活発に動くかということについては、私は多くを申し上げるまでもございません。現にそういう計画が着々と各社で進められておると私は聞いておるのです。私は、この第二の問題については、大蔵大臣が「絶対に」というおことばを使われましたから、その点を特に評価いたしまして、第三に移りたいと思います。
 第三の問題について、いわゆる会社の分離であります。九州の御三家の一つといわれるある石炭産業は十億の資本金を持っておったのを、この前もお話し申し上げましたが、いい部門だけは、六億のいい財産をつけて分離いたしました。残った石炭企業はたくさんの負債をかかえて四億円の資本金になりました。これだけの石炭政策の恩恵を受けて、今後そういう会社の分離傾向は私は次々に出てくると予想しなくてはならぬのです。私は、先般も資料を見せましたように、子会社の育成強化ということが新聞にも麗々しく報道されておりました。これは会社の裏面の活躍を雄弁に物語っているものです。これほどの恩恵を受けてなおかつ子会社を優位に財産を処分して分離しようとするものに対して、政府はこれを歯どめすることができますか。方法がございますか。借金だけ石炭企業に残してまた石炭政策の恩恵にたよろうとする、そういう態度を改めさせるためには、そういうかってなふるまいをさせないためには、きちんとした措置が必要であると考えますが、大蔵大臣の見解を承っておきたいと思います。
#40
○福田国務大臣 いまお話しのような事態がもし起こるとすると、これはたいへんなことだと思うのです。さようなことは許され得ないことだと思います。通産省も従来とも意を用いてきたところと思いますが、今後また四千数百億円の援助をする、こういうことでございますから、この分離によってその会社に損失を及ぼすというようなことは、これも絶対にないようにひとつ措置していきたい、かように考えます。
 ただ、さしつかえないと申しますか、分離いたしましてもこれは別に会社の石炭事業の経営に支障のない、また国に損害を及ぼさないというケースもあるだろうと思うのです。ですからその辺はケース・バイ・ケースの問題になるだろうと思いますが、とにかく要点は、分離ということが行なわれて、よって国損を生ずる、こういうようなことがないようにこれはもう極力戒心、努力をしなければならぬ、かように考えます。
#41
○井手委員 大臣もご存じでしょうけれども、戦前の日本の産業、いわゆる財閥系企業の資本金の半分は石炭産業の利益から回されたものだといわれておりました。本来ならば、こんなに苦しいときならば、三井、三菱、住友、一切の企業が恩恵をこうむったそういう系列の成長産業からその利益の一部を回してもいいぐらいのものなんです。最近になって石炭産業は斜陽になって国の石炭政策の保護を受けておる、恩恵を受けておる。それにもかかわらず小会社をどんどん育成強化して分離していこう、先刻取り上げた九州の御三家の一炭鉱は顕著な例であります。そういう石炭産業にただ注意をいたしますということではなくて、何かそこに国民が安心して、政府の財政処理に信頼できる措置がとられてしかるべきだと私は思っております。
#42
○長橋政府委員 不当な分離についての歯どめがあるかどうかという点についてお答え申し上げます。
 元利補給金、再建交付金を受けます企業につきましては、再建整備法に基づきまして、再建整備計画の認定に際しましての十分なチェック、それからその実施状況の監査、それから監査に基づきまして必要な場合の勧告、勧告に従わない場合の契約解除、それからまた資産処分、社外投融資、そういうことに関連いたします面につきましては届け出義務を課しております。必要な場合におきます勧告、また、矯正のための契約解除処分というふうなことが用意されております。それから再建交付金、元利補給金の交付対象になっておりません企業につきましても、今回国会の御審議をお願いしております石炭鉱業経理規制臨時措置法の面におきまして、やはり事前事後におきます経理規制措置が講ぜられておりますので、同じように不当なものにつきましてのチェックができる体制になっております。
 このような制度を十分に活用いたしまして、およそ再建整備に分離によって支障を来たすというふうなおそれが万々ないように、厳正に十分に措置してまいる考えでございます。
#43
○井手委員 私は、その程度のものでは非常に甘いと思っております。それでは安心できません。しかし、すでにそういういろいろな約束ができて今日に至っておることも知っております。私は、こういう国が一千億も金を出そうというものに対しては、何人も納得できるような財政措置でなくてはならぬということをかねがね強く主張してまいりました。私は今回の措置について――私は、長い間国会において財政問題と取り組んでまいりました。あれほどきびしかった大蔵省としてはこれはどういうことであろうか、実は不審でたまらぬのです。しかしこれ以上は申し上げません。ただいままで大臣から、あるいは次官、部長から御答弁のあったように、ことばでなくて、現実に石炭企業の経理については厳格な監査指導を実行していただくように強く要望しておきたいと思います。
 すでに今日まで石炭企業に対しては三千億円、新たな石炭政策において、利子を含め四千五百億円、四十九年度以降はなくなるかといえば、通産政務次官そうではないのです。あなたは四十八年度で石炭政策は終わりますとおっしゃった。そんな甘いものじゃございません。元利補給金がなくなるはずはございません。再建交付金がそれで終わるはずのものではないのです。炭価を押えられたままに補給金が打ち切られるはずのものではないのです。公害だって依然としてふえていくでありましょう。それらを考えますと、今後毎年九百億円前後石炭政策に支出を予定されておりますが、四十九年度以降においても、若干金額は減るかもしれませんが、六百億円ないし七百億円の支出は当然出てくると私は思うのです。五十一、二年ごろまで考えましても、一兆円をこえるような石炭政策の費用、この膨大な石炭対策費の支出についてはもっと厳格にしてほしい。すべてを国家や国会にもたれかかろうとする石炭企業、何人も石炭業界は経営の努力に欠けておるということを言われておる。その欠けておる石炭企業に対しては、財政処理の立場からも、企業指導の立場からも、もっと厳重に監督指導せられんことを特に私は要望いたす次第であります。
 それとともに、この石炭特別会計の採決にあたっては、委員長もこの空気を察せられて、適正なる国会の意思をまとめていただきますことを特に要望いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
#44
○田中委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
   午後零時三十七分散会
ソース: 国立国会図書館
【PR】姉妹サイト