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#1
第061回国会 大蔵委員会 第26号
昭和四十四年五月七日(水曜日)
    午前十時十八分開議
 出席委員
   委員長 田中 正巳君
   理事 金子 一平君 理事 倉成  正君
   理事 毛利 松平君 理事 山下 元利君
   理事 渡辺美智雄君 理事 只松 祐治君
   理事 村山 喜一君 理事 竹本 孫一君
      伊藤宗一郎君    大村 襄治君
      奧野 誠亮君    木野 晴夫君
      河野 洋平君    笹山茂太郎君
      正示啓次郎君    地崎宇三郎君
      辻  寛一君    中村 寅太君
      西岡 武夫君    坊  秀男君
      本名  武君    山中 貞則君
      吉田 重延君    井手 以誠君
      久保田鶴松君    佐藤觀次郎君
      多賀谷真稔君    中嶋 英夫君
      広沢 賢一君    広瀬 秀吉君
      河村  勝君    田中 昭二君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 福田 赳夫君
 出席政府委員
        大蔵政務次官  上村千一郎君
        大蔵省主計局次
        長       相沢 英之君
        大蔵省主計局次
        長       海堀 洋平君
        大蔵省主税局長 吉國 二郎君
        大蔵省銀行局長 澄田  智君
        大蔵省国際金融
        局長      村井 七郎君
        国税庁長官   亀徳 正之君
        文部省管理局長 岩間英太郎君
        通商産業省鉱山
        石炭局石炭部長 長橋  尚君
 委員外の出席者
        議     員 広瀬 秀吉君
        大蔵大臣官房審
        議官      林  大造君
        専  門  員 抜井 光三君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 石炭対策特別会計法の一部を改正する法律案
 (内閣提出第三四号)
 交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改
 正する法律案(内閣提出第六一号)
 国税通則法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第三〇号)
 国税審判法案(広瀬秀吉君外十一名提出、衆法
 第四号)
 国の会計に関する件
 税制に関する件
 金融に関する件
     ――――◇―――――
#2
○田中委員長 これより会議を開きます。
 石炭対策特別会計法の一部を改正する法律案、及び、交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
 まず、石炭対策特別会計法の一部を改正する法律案について議事を進めます。
 本案についてはすでに質疑は終了いたしております。
 この際、本案に対しまして、自由民主党、民主社会党、公明党を代表して、山下元利君外六名より修正案が提出されておりますので、提出者の趣旨説明を求めます。山下元利君。
#3
○山下(元)委員 ただいま議題となりました石炭対策特別会計法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、提出者を代表してその趣旨を御説明申し上げます。
 案文は印刷してお手元に配付いたしてありますので、朗読は省略させていただきます。
 御承知のように、政府原案では、この法律は昭和四十四年四月一日から施行することといたしておりますが、御説明申し上げるまでもなく、現在すでにその期日を経過いたしておりますので、これを公布の日から施行し、改正後の石炭対策特別会計法の規定は、昭和四十四年度の予算から適用することに改めようとするものであります。
 何とぞ御審議の上御賛成くださいますようお願い申し上げます。(拍手)
#4
○田中委員長 これにて修正案の趣旨説明は終わりました。
 本修正案につきましては、質疑の申し出もありません。
    ―――――――――――――
#5
○田中委員長 これより討論に入るのでありますが、本案につきましては、討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
 まず、山下元利君外六名提出の修正案について採決いたします。
 本修正案を可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#6
○田中委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。
 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除いて、原案について採決いたします。
 これを可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#7
○田中委員長 起立多数。よって、修正部分を除いて原案は可決し、本案は修正議決いたしました。
    ―――――――――――――
#8
○田中委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、自由民主党、日本社会党、民主社会党、公明党を代表して、渡辺美智雄君外八名より附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 この際、提出者より趣旨の説明を求めます。渡辺美智雄君。
#9
○渡辺(美)委員 四党を代表いたしまして、お手元に配付をいたしました石炭対策特別会計法の一部を改正する法律案に対する附帯決議についての趣旨の説明を申し上げます。
 案文はお手元のとおりでありますから、朗読は省略をいたします。
 本附帯決議案の趣旨は、政府に対し、石炭対策特別会計の運営にあたっては、いやしくも私企業の救済であるというような批判を招かないように、厳正かつ効率的に執行すべきであるというのが趣旨の主たるものであります。
 御承知のとおり、石炭鉱業の再建につきましては、四十二年度から抜本対策が講ぜられてまいりましたが、ここに再び新対策を実施せざるを得ない事態を迎えることになったのであります。もとより今日の石炭鉱業がもはや自力をもってしては再建をはかることが不可能となっていることは否定し得ないところでございますが、われわれは今次の対策が石炭鉱業に投入し得る財政資金の極限であると考えるのであります。しかしながら、他面、石炭対策に膨大な財政資金をつぎ込むことを過保護であるというような批判のあることも事実であります。この批判にこたえるためには、まずこの際、各企業が自己の責任原則の自覚の上に立つことが最も肝要であり、再建整備会社は与えられる助成のワク内で全力を振りしぼって事業再建に向かって努力すべきことはまた当然であります。そしてまた、政府がそのように厳正なる指導を強く要求をしたいと思うのであります。
 特に、今回の実施することといたしております新石炭対策は、繰り返すまでもなく、四千五百億円に及ぶような将来巨額の財政資金の支出を伴うものでありますから、政府は租税負担をしておる国民の感情あるいは他産業との均衡、こういうことも考慮をいたして、次の二点について特別の配慮、御指導を願いたいのであります。
 その第一は、金融債務について、今回交付金を交付するわけでありますけれども、現在石炭企業の大手十六社の金融機関の借り入れ額は約二千三百六十八億円あります。そのうち元利補給金の第一次肩がわりの対象となっておったものが約八百五十億円あります。こういうような状態でありますが、これらの交付金を会社の借り入れ金について今度は交付をするという場合におきましては、その会社が石炭関係以外に巨額の投資あるいは融資をしておる、しかもそのお金は金融機関から借り入れておる、こういうようなものにまで政府が補給金を出さなければならないのかということについては、非常に疑問のあるところであります。具体的にいえば、石炭会社がホテルをつくっている、そのホテルの借金は再建会社がどこかの金融機関から借りてきておる、そうして全然別勘定になっておるのだが、実際はその借金として石炭会社に残っておる、それを政府が補給金でしりぬぐいをしてやるということは、とても国民感情から納得するわけにはいかない。したがって、石炭関係以外に投融資されたために生じた石炭会社の借金、こういうようなものは、これは当該交付金の対象債務から当然控除すべきであるというのが第一点であります。
 第二点は、せっかく政府が国民の税金で石炭会社の再建のために借金のしりぬぐいをしてやるというのでありますから、石炭会社もその意をくんで極力自己の経営努力というものをしてもらわなければならない。ところが、ややもすると石炭会社が自分の土地なり何なりを系列会社等に安く売却をする、安く現物出資をする、こういうようなことがあり得ないとは申しません。それは非常に困ることであります。したがって、われわれとしては、今後の問題については、再建交付金の交付を受けたためにいままでの借金の担保に入っておった物件が解除をされる、解除をされた財産の処分等にあたりましては、これが不当に安く売られるとかあるいは時価よりも安く売られるとか、縁故関係で特別な便益を第三者に与えられるとかいうようなことであってはならない。したがって、この交付金の交付によって解除された担保物件の処分にあたっては、当該再建整備会社にとって最も、これ以上有利な処分方法はないというような処分のしかたをしてもらいたい、これは当然のことであります。そういう点を特に政府は厳重に監督し規制をしてほしいというのが、今回の附帯決議の趣旨でございます。
 以上をもって趣旨説明を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
   石炭政策特別会計法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
 今次石炭政策は、石炭鉱業の縮小再建と閉山に伴う産炭地の混乱を緩和するため、巨額の国費支出を約束するものであることにかんがみ、特別会計の運営に当つては、負担する国民の感情、他産業との均衡をも考慮し、左記の通りいやしくも私企業救済の批判を招かないよう厳正かつ効率的に執行すべきである。
     記
一、金融債務にかかる再建交付金の交付に当つては、石炭関係以外に投融資されたため生じたと認められる借入金の額を、当該交付金の対象債務から控除すること。
二、再建交付金の交付により解除された担保物件の処分については、当該再建整備会社に最も有利に措置されるよう厳重に規制すること。
    ―――――――――――――
#10
○田中委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 おはかりいたします。
 本動議のごとく附帯決議を付するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○田中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 本附帯決議に対し、政府より発言を求められておりますので、これを許します。福田大蔵大臣。
#12
○福田国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、政府といたしましても、御趣旨を尊重して善処いたしたいと存じます。
    ―――――――――――――
#13
○田中委員長 次に、交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案について議事を進めます。
 本案については、すでに質疑は終了いたしております。
    ―――――――――――――
#14
○田中委員長 これより討論に入ります。
 通告がありますので、順次これを許します。大村襄治君。
#15
○大村委員 私は、自由民主党を代表して、交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案に対し、賛成の意見を表明せんとするものであります。
 本改正案は、別途今国会に提出されました、地方交付税法の一部を改正する法律案による昭和四十四年度の地方交付税にかかる特例措置に対応し、交付税及び譲与税配付金特別会計法に所要の規定を設けようとするものでありまして、基本法の改正に伴う措置として適切妥当なものと認める次第であります。
 御承知のとおり、四十四年度の地方財政は、地方税及び地方交付税等の一般財源の大幅な増加が見込まれており、最近における財政需要の著しい増加を考慮に入れてもこれまでより好転しているといわれております。
 すなわち、四十四年度の地方財政計画によりますと、地方税は住民税を中心に八百七十億円にのぼる減税を実施することとしているにもかかわらず、前年度に比べ二〇・三%の伸びが予想せられており、また、地方交付税も今回の特例措置を考慮に入れても、前年度に比べ二五%の伸びが見込まれております。この結果、一般財源の歳入全体に占める割合も前年度の六三%から六五%へと上昇することとなっているのであります。
 一方、国の財政を見ますと、硬直化の現状は、これを一朝一夕に打開することは困難でありまして、四十四年度におけるいわゆる当然増経費のうち、地方交付税の増加が占める割合はかなり大きい状況であります。
 また、公経済に占める地方財政のウエートを見ましても、最近ではその規模がむしろ国家財政よりも大きくなっており、公経済全体を論ずる場合に、地方財政を抜きにしては語れない状態となっております。
 特に、本年度の経済運営にあたりましては、財政金融政策を中心とする経済政策の慎重な運営が要請されており、地方財政においても国と同一の基調により、重点主義に徹し、節度ある運営を行ない、その一そうの健全化をはかることが期待せられているのであります。
 このような状況を考慮いたしますとき、四十四年度における地方交付税の総額について特例措置を講ずることとし、この地方交付税の特例措置に対応して、交付税及び譲与税配付金特別会計法について所要の改正を行なうことは、時宜を得た適切妥当なものと認められるのであります。
 最後に、政府においては、今後における国及び地方を通ずる財政運営の一そうの円滑化をはかるため、そのあり方等につき引き続き検討を加えられ、適切な方途を確立せられるよう希望いたしまして、賛成討論を終ります。(拍手)
#16
○田中委員長 村山喜一君。
#17
○村山(喜)委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案について、反対をいたしたいと思います。
 反対の理由といたしまして、第一に、昨年四百五十億円に引き続き、本年度六百九十億円を地方が国に貸し、国が地方から借金をするという方式をとりましたのは、地方公共団体の自主財源である交付税の増加分を国が一部吸収する方式であり、地方財政計画を圧縮することにねらいがあったものであり、地方自治団体の有効需要を抑制し、景気調整機能を地方財政に持ち込むものであります。この思想は、地方自治団体を準禁治産者扱いにし、地方自治体に対する不信の表明であり、地方財政の本質を見誤った措置であるといわなければなりません。
 第二点といたしまして、地方自治団体は六百九十億円国に貸すほど余裕が生まれたものであるのかどうか。四十二年度の決算では府県が三百八十五億円、市町村が四百九十六億円の黒字が出ておりますが、これは何もしてくれない地方団体の姿であり、自治省の財政運営の指導の誤りであるといっても過言ではございません。今日、標準税率以上の超過課税をはじめ、超過負担の未解消などの問題があるし、また過密、過疎の発生等に伴う新しい行政需要に対応する地方財政は、豊かになったのではなく、やるべき仕事はあまりにも多いのであります。かりに余裕があるとするならば、応益の原則のもとに、生活保護すれすれの所得まで課税している住民負担を軽減すべきであると考えるのであります。
 第三に、四十三年度補正によって六百八十四億円を四十四年度に繰り入れ、それに見合う六百九十億円を交付税総額から控除してつじつまを合わせておりますが、補正しないときは、決算上四十五年度収入になるものであって、大臣同士の覚え書きに合わせた苦しまぎれのごまかしの措置が今回の措置であります。今後は、四十三年、四十四年度にとられた特別措置は避けることとし、別途地方交付税の年度間調整の措置を検討すると両大臣が協定をしたと伝えられておりますが、その内容は確定をされたものでもなく、むしろ交付税の本旨にもとる土地基金制度の創設に見られるように、地方自治がゆがめられるおそれがあります。
 以上の理由によりまして、交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案について、反対を表明をいたしたいと思います。(拍手)
#18
○田中委員長 河村勝君。
#19
○河村委員 私は、民社党を代表して、交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案に対して、反対をいたします。
 もうすでに、本法案の前提となっております地方交付税総額についての特例措置に対して、われわれは、地方財政が幾ぶん楽になったとはいっても、なお地方における公共投資のおくれ、そういった現象がはなはだしい現在において、なおこのような措置は好ましくないという理由で反対をいたしております。したがって、それに対応する措置であるところの本法案について、反対をするものであります。(拍手)
#20
○田中委員長 田中昭二君。
#21
○田中(昭)委員 私は、公明党を代表して、交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案に対して、反対の意見を表明するものであります。
 その第一の理由は、今回もまた、地方交付税から国の一般会計に六百九十億円の貸し付けをしたことであります。
 昨年、同法の審議の際、地方交付税より国へ貸し付けることは、四十三年度限りの措置ということでありましたが、今回も同様な措置をとったことは、まさに地方財政を圧迫する何ものでもありません。しかも最近、地方財政は、国の財政に比べてゆとりがあるとの見方がありますが、これは地方財政の実態をあまりにも認識しない考えであります。地方財政が多少伸びを示しているといっても、依然として借金によってまかなわれているにすぎず、しかも住民サービスのための事業は山積しており、その事業のため借金はふえる一方であります。このような現状を認識しない今回の措置は、全く納得できないのであります。
 第二に、最近の人口の都市集中、都市化の現象が顕著になっております。特に都市、大都市においては、財政需要がますます増大しており、このような財政需要の増加を今後どの程度見るのか、またこれに見合う地方の自主財源、その他の財政措置はどうするかという問題についての基本的な構想が、何ら見られないのであります。
 また、人口急減地域においては、総合的な法律もなく、ますます過疎現象は進行する一方で、深刻な問題を提起しております。すなわち、学校統合問題による校舎の建設、それによる通学用スクールバス、寄宿舎の問題等、非常に財政的に困難な問題が山積しております。
 このような地域に、政府はもっと手厚い財政政策を講ずる必要があり、今回の現状を認識しない措置には反対の意をとらざるを得ないのであります。
 以上をもって反対の討論といたします。(拍手)
#22
○田中委員長 これにて討論は終局いたしました。
 これより採決いたします。
 本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#23
○田中委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
    ―――――――――――――
#24
○田中委員長 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#25
○田中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
     ――――◇―――――
#26
○田中委員長 次に、福田大蔵大臣より発言を求められております。これを許します。福田大蔵大臣。
#27
○福田国務大臣 皆さまの御協力によりまして成立をいたしました国際通貨基金の改定案件、あれに基づきましてきょう閣議で決定いたしまして、あと国際通貨基金に対しまして、わが国がこれを承認をする、こういう通告をいたすことに相なりました。
 皆さんの御協力に御礼を申し上げるとともに、御報告申し上げる次第であります。(拍手)
     ――――◇―――――
#28
○田中委員長 次に、内閣提出の国税通則法の一部を改正する法律案及び広瀬秀吉君外十一名提出の国税審判法案を議題といたします。
    ―――――――――――――
 国税通則法の一部を改正する法律案
 国税審判法案
  〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#29
○田中委員長 順次提案理由の説明を聴取いたします。福田大蔵大臣。
#30
○福田国務大臣 ただいま議題となりました国税通則法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 政府は、昭和四十四年度税制改正の一環として、最近における社会、経済の諸情勢の進展に則し、納税者の権利救済制度の整備充実をはかることが必要であると考え、この法律案を提出いたした次第であります。
 以下この法律案につきまして、その大要を御説明申し上げます。
 第一に、国税に関する審査請求については、現在、各国税局に置かれている協議団が審理を行ない、協議団の議決に基づいて国税局長が裁決することになっておりますが、今回の改正では、課税等の処分に関与する税務の執行系統から切り離された機関として国税不服審判所を国税庁に設け、納税者の審査請求について審理、裁決を行なわせることといたしております。なお、国税不服審判所には、事案の能率的な処理に資するため、所要の地に、その支部を置くこととしております。
 第二に、不服申し立て期間の延長、不服申し立てについての審理手続の合理化等の措置を講ずることといたしております。すなわち、異議申し立て等の期間は、これを一カ月から二カ月に延長することといたしております。また、納税者の不服に関する審理手続については、国税不服審判所長は、一定の手続を経て、国税庁長官が発した通達に示されている法令の解釈と異なる解釈により裁決ができることとする等の整備合理化をはかることとしております。
 第三に、納税者が誤って税額を過大に申告したと主張する場合の更正の請求について、現行二カ月の請求期間を一年に延長するとともに、やむを得ない後発的な理由による更正の請求については、さらにその特例を設ける等所要の改善を行なうことといたしております。
 なお、以上のほか、差し押えにより国税の徴収を確保する措置がとられた場合または十分な担保が提供されている場合には、差し押え等がされている期間の延滞税率を日歩四銭から日歩二銭に軽減する措置を行なうことといたしております。
 以上、この法律案につきまして、その提案の理由と内容の大要を申し述べました。
 何とぞ御審議の上、すみやかに御賛同下さるようお願い申し上げます。
    ―――――――――――――
#31
○田中委員長 提出者広瀬秀吉君。
#32
○広瀬(秀)議員 私は、提案者を代表いたしまして、国税審判法案につき、提案の理由及びその内容の概要を御説明申し上げます。
 戦後二十数年を経た今日、納税者の税金に対する不平と不満は依然として非常に多いのが現状であり、また、その不平不満を内容的に見ましてもきわめて切実なものがあることは、周知のとおりであります。
 ところが、このような納税者の不平不満に対処すべき現行の権利救済制度は、その不平不満、すなわち、租税事案を正当に解決するにはあまりにも不備であり、かつ、欠陥の多いものであることは、つとに指摘されてきたところであります。
 すなわち、現行の租税事案にかかる権利救済制度のもとにおきましては、処分庁及びその直近上級庁が不服申し立ての処理機関とされておりますため、不服申し立てについての決定ないし裁決の公正は十分に確保されていないといわなければなりません。もちろん、審査請求の段階では協議団の制度が設けられてはおりますが、この協議団の制度につきましては、執行機関の系列内に置かれた付属機関であり、裁決権を有するものではなく、国税局長の指揮監督に属し、かつ、協議官はすべて税務職員で構成されていることなどから、協議団に期待されている裁決の公正をはかるための担保的機能はきわめて不十分なものにとどまっているのが現状であります。
 さらに、協議団が執行機関の系列内にある限り、租税事案の審理にあたって国税庁長官の通達と異なる取り扱いをすることは困難であり、そのため、本来国民は法令に拘束されるが、通達には拘束されないものであるにもかかわらず、不服申し立て、すなわち、行政不服審査の段階では国税庁長官の通達による拘束から脱することができない結果となっており、これでは納税者の権利利益の完全な救済が何ら確保されないことは明らかであります。
 一方、租税事案についての裁断の公正の確保という見地から申しますと、裁判所による救済が最もその目的に合致するものではありますが、しかし、裁判所による救済、すなわち、訴訟は、費用や時間を要する点に問題がありますので、裁断の公正を保持しつつ、比較的簡素な手続により事案が処理されるような制度が現在強く要望されているといわなければなりません。
 すなわち、現行の協議団制度には裁断の公正を保持することができないという致命的ともいうべき欠陥が存するという批判、その批判からもたらされる完全な第三者機関の公正な裁断による救済への要求と、裁判のように費用や時間をかけなくても済むような租税救済制度が望ましいという納税者の立場、すなわち、行政段階での比較的簡素な手続きによる救済への要求という両者の要請を満たすような新しい租税救済制度を確立することが必要不可欠であるといわなければなりません。
 以上のような考え方によりまして、現行の協議団の制度を廃止し、行政段階の新しい租税救済機構として、執行機関から完全に分離独立した裁決機関としての国税審判庁を設けることとし、この国税審判庁が純粋の第三者機関として租税事案につき比較的簡素な手続きで公正な審判を行なうことによって、納税者の権利利益の救済をはかることとする必要があることを強く認識し、ここにこの国税審判法案を提案した次第であります。
 以下、この国税審判法案の内容についてその概要を御説明申し上げます。
 まず、第一に、この国税審判法案による制度の基本的な仕組みでありますが、内閣総理大臣の所轄のもとに国税に関する不服申し立ての処理機構たる国税審判庁を設置することとし、この国税審判庁による審判を、行政段階における租税救済制度の中心的な地位を占めるものといたしたのであります。ただ、事案が簡易少額であるなどの事情から納税者が現行の制度によってより簡易迅速な処理を期待する場合も存することを考慮いたしまして、全面的にこの国税審判庁による審判の制度を強行するのでなく、現行の税務不服審査の制度のうち、二審的審査請求は廃止して、二審の段階ではすべて国税審判の権利の救済によって不服の救済を求めるべきことといたしますが、異議申し立ての制度と始審的審査請求の制度は存置し、すなわち、一審の段階ではこれらの制度と国税審判庁による審判の請求のいずれかを選択することができることといたしました。
 第二は、国税審判庁の機構でありますが、国税審判庁は、中央国税審判庁及び地方国税審判庁とし、中央に中央国税審判庁を、地方には全国を通じて十一の地方国税審判庁を置き、さらに、所要の地に地方国税審判庁の支部を設けることといたします。各国税審判庁には、審判官、調査官及び事務官を置くことにしておるのであります。
 第三は、審判請求先でありますが、国税庁長官のした処分に対する審判の請求は、中央国税審判庁に対し、国税局長、税務署長、税関長または登録免許税に関する登記、登録機関のした処分に対する審判の請求は、所轄の地方国税審判庁に対して行なうべきことといたしておりますが、しかし、その処分が、形式的には税務署長のした処分ではありますが、処分書に、その調査が国税庁の職員によってされた旨の記載がある場合及びその不服が国税庁長官の通達が法令に適合しないことを理由とするものである場合におきましては、すべて中央国税審判庁に対して審判の請求をすべきことといたしております。
 第四は、審判の請求期間でありますが、これにつきましては、原則として、始審的審判の請求については、処分があったことを知った日の翌日から起算して二月以内、二審的審判の請求については、異議申し立てについて決定の通知を受けた日の翌日から起算して一月以内といたします。
 第五といたしまして、審判権の行使の公正を確保いたしますため、審判官の除斥及び忌避の制度を設け、審判官が事件や当事者と特殊な関係がある場合におきましてはその職務の執行から除斥される、三とし、また、審判官について審判の公正を妨げるべき事情があるときは審判請求人、処分庁または参加人はその審判官を忌避することができることといたしております。
 第六は、審判の請求と国税の徴収との関係でありまして、これにつきましては、審判の請求は、処分の効力等を妨げないことといたしておりますが、審判請求人が滞納処分による差し押えをしないことを求めた場合には、審判の請求について明らかに理由がないと見られる場合及び繰り上げ請求の理由に該当する事実がある場合を除き、国税審判庁は、処分庁に対し差し押えをしないことを命じなければならないこととし、また、審判請求人が相当の担保を提供して差し押えの解除を求めた場合には、処分庁に対し差し押えの解除を命じなければならないことといたしております。
 第七に、国税審判庁の裁決に不服がある処分庁は、その裁決を取り消さなければ著しく公益を害すると認めるときに限り、裁判所に出訴することができることといたしております。
 第八に、事件関係人の審理期日における意見の陳述、証拠申し出の順序、国税審判庁の審理のための調査権等について、所要の規定を設けることといたしております。
 以上が国税審判法案の提案の理由とその内容の概要でありますが、納税者の権利救済制度の根本的改革という問題は、周知のように、かねてからの国民的課題ともいうべきものであり、処分庁から完全に独立した純粋の第三者機関による権利救済制度の実現は、真に納税者の権利利益の救済を万全ならしめるものとしてこの国民的な課題の解決への大きな前進を意味するものであることは明らかであり、国税審判法の制定が必要であるゆえんがここに存することを深く認識していただきたいのであります。
 国民の待望するこの国税審判法案につきまして、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願いいたしまして、国税審判法案の趣旨説明を終わります。
    ―――――――――――――
#33
○田中委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。
 両案に対する質疑は次回に譲ることにいたします。
     ――――◇―――――
#34
○田中委員長 次に、国の会計、税制及び金融に関する件について調査を進めます。
 質疑の通告がありますので、順次これを許します。広沢賢一君。
#35
○広沢(賢)委員 いま問題になっている利子配当の優遇措置の廃止、その他税制調査会における問題点について御質問いたしたいと思います。
 まず、利子配当の優遇措置の廃止について、国会の強い決意、総理大臣、大蔵大臣の御答弁を受けて、大体新聞紙上で拝見しますところでは、大蔵省事務当局は終始敢闘しております。これについては敬意を表します。しかし、最近の新聞紙上を見ますと、ずいぶんいろいろと証券界、それから銀行協会等の巻き返しが非常に強くなっております。私のところにもいろいろと強迫じみたことが行なわれておりますが、これは四年前にあいまいになったいきさつがございます。そこで強く念を押したいと思います。
 新聞によると、証券界はZ旗をあげて、この間の新聞では、自民党三役と経団連が次のように会談しているという記事が載っているのです。これは大臣も御承知だと思いますが、その中で一番に御質問したいのは、田中幹事長は、今後の税制の体系について間接税中心の体制をとりたいと言って財界に協力を申し入れておりますが、これは自民党全体の御意見なのですか。間接税の問題は、前の水田大蔵大臣のときから大きな問題になっておりますが、この際はっきりとした御所見を承りたいと思います。
#36
○福田国務大臣 私は、さようなことは全然、田中幹事長本人よりも、その他の党の責任ある方々からも承知しておりません。
#37
○広沢(賢)委員 それでは、これは経団連に対する田中幹事長の一人相撲であって、自民党全体の意見でもないし、政府側としての意見でもない、このように受け取ります。
 次に、利子配当については、今年度では総額八百五十億円ですか、優遇措置廃止について財界側の意見に同意したというように新聞では報道されております。いろいろ四年前のことを思い出して、最後には財界側と取引してしまうのではないかということで、私にいろいろ国民の中から質問が参ります。こういう心配は国民の声だと思います。そこでよく新聞を読みますと、いまですら大蔵省の見解として、先ほど敢闘したとは言いましたけれども、いやもうこういう状態になると三年程度の経過措置をもって分離課税の一五%の引き上げ、それから配当控除率の引き上げ等で何とかごまかしてしまう。ごまかすということばは変ですが、そういうような意見があります。交際費の課税の問題についても、泰山鳴動ネズミ一匹ですから、したがって、この問題について初めから新聞記事にああいうものを出すというのは、これはやはり大蔵省としては初めから弱腰ではなかろうか、このように思うのですが、これについて基本的な態度を承りたい。
#38
○福田国務大臣 利子配当課税に関する問題について、私ども大蔵省として見解を申し述べておりますのは本委員会だけであります。いまだかつて他の場所において公式見解を申しましたことはございません。公式見解は、来年の三月三十一日には特例措置の期限が到来する、この機会にあらゆる方面の意見も聞き、慎重に利害得失を検討して結論を出す、こういうことであります。その結論を出す作業につきましてはまだ始めておりません。この九日に税制調査会が集まりますが、だんだんと懇談みたいな形から入っていきます。秋ぐちになってから本格的な検討に入る、こういうことに考えております。
 いずれにいたしましても、慎重に考えまして、一部の人の利益のためにするというようなことはありません。国民のための税制改正、こういうことを期してやりたいと考えます。
#39
○広沢(賢)委員 私はそれを聞いて私なりに、しかと安心した方向に持っていくように期待しておりますが、それについて今度は学問的にお伺いします。
 これは何もいまの問題についての御答弁でなくていいのですが、第一番目に、利子の優遇措置と貯蓄の関係について、たとえば銀行協会の会長さんは、これは関係がある。中小企業は、直接資本市場で調達ができないから、間接金融が非常に重要だから、したがって貯蓄が必要だ、こういう議論をされておりますが、これはへ理屈もはなはだしいと思うのです。第一番目に、利子の税金の優遇措置と貯蓄との関係について、前に税調でいろいろ答申が出ておりますが、大蔵大臣はどう思われますか。
#40
○福田国務大臣 貯蓄がわが国の経済運営の上においてきわめて重要な問題であるということは、これは論をまたない、広沢さんも御回見かと思うのであります。この貯蓄というのがまたなかなかむずかしいわけなんでありまして、どうしても最近は昭和元禄といわれるように消費しがちである。そういう中において貯蓄を推進するということは、難事中の難事とも称して差しつかえないかと思うのでありますが、そのためには政府としてもあらゆる努力をしなければならぬ。また、何かいい貯蓄推進の策があれば、これを取り入れてその刺激としなければならない、こういうふうに考えておるのでありますが、税の関係について優遇をするということも有力なる一因である、かような見地から従来とも利子に対する税法上の優遇措置というものがとられてきた。これが数字的に見てどういう貢献があるかということは、これはなかなか申し上げることがむずかしいんじゃないか、これは御賢察いただけると思います。しかし、もしこれがはずされた場合に一体どうなるかということを考えますときに、またそれがどういう影響を及ぼすであろうかということも私は想像にかたくはない。数字的にはなかなか申し上げることは困難ではありますけれども、これがかなり大きな影響を持ち、また重要な問題であるということについては、私はそういう認識を持っております。
 しかし、これはまた一方、貯蓄に対して税という問題もあるわけで、税はまず公平を旨としなければならない。また、その能力に応じて支払うということも旨としなければならない。いろいろ税の立場の原則もあるわけであります。その間の調整を一体どうしていくかということが問題であろうと思います。その調整が時代の進展に従ってどういう変化をたどるかということ、これが当面の課題である、かように考えておるのであります。これが全然無益のものであるという、貯蓄サイドの立場からするとそういう考え方はいたしておりません。かなり役割りを果たしておる。ただ問題は、税制のプリンシプルとの調整をどうするかということにあると思うのであります。
#41
○広沢(賢)委員 時間がないですから……。
 大体いまの銀行界、証券界は、たとえば配当の問題では株が下落するなんというおどかしをかけてきています。そこで、昭和三十九年十二月の税制調査会の長期答申、これはいつも主税局長といろいろやり合っているのですが、これにははっきりと書いてありますね。「貯蓄が利子に対してそれほど弾力的ではないこと、」云々の次に、税制の変更とはほとんど関係ない、個人貯蓄は個人可処分所得の伸びと相関している。これは、この間大蔵省の方とそれから銀行、それから学者の人たちの討論の中にいろいろ出ておりますね。可処分所得をふやしたほうがかえって貯蓄のほうにいいのじゃないか。そのとおりでして、大体庶民大衆の貯蓄というのは社会保障が足りないから、それから住宅、教育のためだ、そのために貯蓄をするのだ。だれももうけようと思って貯蓄しておる、利子の計算をしておるのじゃないということがいわれておりますが、それで税制調査会のこの答申の関係について、三十四年、二十八年の「利子課税の特例の圧縮にもかかわらず、貯蓄が前年に比し大幅に伸びた年もあれば、」そのほか云々と書いてありますが、「特例の拡充にもかかわらず鈍化した年もある。」という反証がみんなあがっておるのです。とすると、この三十九年の答申について、大蔵大臣はどう思われますか。
#42
○吉國(二)政府委員 三十九年の答申につきまして、技術的な点がありますので、私からちょっと申し上げておきたいと思います。
 三十九年の答申は、昭和二十六年以後分離課税が行なわれまして後に、その税率がある場合にはゼロになった場合があり、ある場合には五%になった場合があり、ある場合には一〇%になった場合がございます。それらの場合をすべて通じたマクロ的な姿で見ますと、貯蓄の増加と可処分所得の増加が最もよく相関をしておる。したがって、税制のいかんにかかわらず貯蓄というものが可処分所得が増加すれば増加するし、可処分所得が減れば減るのだという趣旨のことを書いているわけでございます。具体的な例としては、制度を変えたときに、その意図に反して貯蓄が増大しておるとか、あるいは意図に反して貯蓄がむしろ減っておる、そのときには可処分所得が増加しあるいは可処分所得が減少しておるのだということをいっておるわけでありまして、これはあくまでもマクロで見た統計の相関関係を示したもので、客観的な事実として述べられております。
 ただ問題は、この期間はすべて分離課税というもので共通した現象があるということがございます。わが国の歴史において完全な総合課税を行ないました時期は、御承知のとおり昭和二十三年以降昭和二十五年まででございまして、その間の資料が十分ございません。したがいまして、分離課税をいたしました後の分離課税の税率の変動については、いまのような主張が成り立つと思いますが、その先については必ずしも明確なことはいっていない。そこに限界があると思いますが、分離課税を実施した時代においては、そういうような貯蓄の増減に対する相関関係としては、得られるものとしては可処分所得が一番相関度が高いということをいっているわけであります。
#43
○広沢(賢)委員 主税局長が一生懸命いま長々と申しましたが、それは大体私の言っておることを裏づけておるものだ。最近の資料がなければ最近の資料をつくりまして、それで税制調査会にはっきりとお示し願いたいと思うのです。いま大蔵大臣は数字的に確かめることはなかなかむずかしいと言ったけれども、今度反証は数字的にあがっているのです、ずっといままで。最近の資料がないというのは、最近の数字を出せばこれはまさに操作を加えるわけにいかぬから、これは主税局としては断固として廃止するつもりなんだから――そうでしょう。だからやはりこの最近の資料でもってもう一回、税調の審議と同時に国会の審議も並行してやって、しっかりと確かめなければいかぬ。
 その次は、貯蓄は全世帯の九七%で株式は一六%、だから貯蓄はサラリーマン即利子生活者だなんというとぼけた議論を言う方がいるんですよ。いろいろ統計数字を見ますと、たとえば年間収入階級別一世帯当たり平均貯蓄保有高というのがあるのですが、これは四十年からの資料しかないのだけれども、最近の資料でも大体この傾向には間違いないと思うのです。
 主税局長にちょっとお聞きしますが、たとえば月収六万円くらいのところをとりますと、貯蓄は二十九万円くらいですね。そうするとこれは合算課税にしたって分離課税にしたって、金額からいったらほんの少々ですね。ちびちびですよ。それよりも八百五十億、たとえば浮いた財源ができれば、それをサラリーマン減税をやる――重役減税じゃないですよ。ほんとうのサラリーマン減税に回して可処分所得をふやして、それで貯蓄を増強したほうが、ほんとうの税の公平はできるし貯蓄は増強になると思いますが、どうですか。
#44
○吉國(二)政府委員 確かにそういう面があると思いますけれども、可処分所得の増加というのは本来総所得の増加が一番大きく響くと思います。税の部分が大小であるということはもちろん可処分所得に影響させる問題でございますけれども、国民経済全体の成長があって個人の所得が伸びるということが可処分所得の基礎にあると思います。私どもは、もちろん税制の直接の効果等につきましても検討いたしておりますけれども、税制全体の効果が国民経済全体に及ぶという点を考慮する必要があるかと思っておる次第でございます。
#45
○広沢(賢)委員 いまの御答弁は非常に回りくどいのですが、簡単にいえばやはり両方、税の公平からいっても貯蓄の増強からいっても、このほうがいいのじゃないかということについては、主税局長は否定してないのでしょう。国の経済になるというのだったら、たとえば利子の優遇措置をして資産階級にそういう大幅な減税をした。それが国民経済の上で、国民所得の総ワクをふやす上にどのくらい増加するかということについては、数字的に確かめようがないのですよ。勤労大衆というかサラリーマンに可処分所得をふやしたほうがいいのじゃないかというのは、これは大体勘でいえると思うのです。ですからその御答弁では、この問題は、いわゆる業者関係でいうサラリーマン即利子生活者だというへ理屈は成り立たないと私は思うのです。これについて大蔵大臣は率直にいっていかがですか。
#46
○吉國(二)政府委員 もちろん税金を軽減をするということは御承知のとおり毎年やっておりますし、その部分の限界貯蓄性向は高いということも事実だと思います。御承知のとおり、昭和二十五年以来の減税を現状で見てみますと、おそらく現在の所得税の十倍以上のものが減税になっていると思います。その限界貯蓄性向というものが非常に高くて、日本の貯蓄の相当部分を占めているだろうと思います。したがいまして、一般減税が貯蓄に大きな影響を及ぼすことは事実だと思います。また、それゆえにこそ毎年減税が行なわれてきたものだと思います。
#47
○広沢(賢)委員 そういうわけですから、大体いまの銀行側の言っておることはこれは私は成り立たないと思うのです。
 その次に、配当の優遇措置をやめると株が下落すると言うのですけれども、こういうおどかしが最近ずいぶん私のところにもいわれていますが、よく調べてみました。調べたら株の下落の原因は、これは何年、何年とありますけれども、むしろ株をうんと増資してしまって、増資することはいいけれども、あまり増資し過ぎた。それから株の投資信託制度に対する国民の不信感ですね。これはこの間共同証券その他起きました。その他経済的または経済外与件によるものである、株の下落は。そういう点については大蔵大臣はいかがですか。
#48
○福田国務大臣 それはそのとおりかと思いますね。
#49
○広沢(賢)委員 その次、自己資本の充実ということがいわれていますが、いままで自己資本の充実ということはいわれながら比率は下がっているのは、この間も御質問しましたけれども、それは日本では間接金融が非常に重要な地位を占めておる。したがって、こういう問題を直さなければ、自己資本の充実とそれから税制の関係というのはそう関係はない。むしろそっちのほうが大きい。もしくはこのくらいの自己資本の比率が下がっていても心配はないという意見が、学者それから大蔵省の専門家の方々にも最近ある程度いわれている。国際競争力が非常に日本は強化したという点で、やはりこれの税制優遇措置の唯一の一番出してくる旗じるし、これはあまり関係はないと思いますが、どうですか。そのほかの措置が必要だと思いますが、どうでしょう。
#50
○福田国務大臣 いま自己資本比率がだんだん悪くなってきておる、これはそのとおりであります。これは私は、いま日本の経済が非常な勢いで成長発展する、その発展する一つの大きな要因は設備投資ということにあると思う。その設備投資が急速に伸びる、その資金をどうやって調達するか、こういうことになりますと、どうも間接金融というほうがきわめて手軽で有利である、こういうことです。それは税制の関係もかなりあると思うのです。そういうことから自己資本比率というものが悪くなる傾向がこの経済成長の現状の中から生まれておる、こういうふうに私は見ておりますが、やはりこれは是正しなければならぬ。是正する方法いかんということになりますと、経済の成長発展という大きな波の中でなかなかむずかしい問題ではありますけれども、また、それなりにいま努力をしなければならぬ。一つは税制のほうにも問題がある。そういう問題をこれから真剣に検討してみたいというふうに考えておるわけであります。
#51
○広沢(賢)委員 全体で自己資本の比率を高める問題については、設備投資その他についてはあとでお聞きしますが、どっちかというと国、経済全体のたとえば証券市場の育成とか、その他の金融再編成にからむいろいろの問題、こういう問題の手当てとか、その他大きな問題から手を打たなければ、税制をいろいろやっても、いままでの歴史がそうなんですから、税制についていろいろいじくり回してもだめだ。どっちに重きを置いたらいいかというと、さっき私が言った前者のほうが重要である。この点についていかがですか。
#52
○福田国務大臣 それはそのとおりと思います。しかし、大きな波をどういうふうに持っていくかということはまた非常に重大にして困難な問題であります。利害得失いろいろの面があるわけなんです。私は、安定成長ということを言っておるわけでありますが、低成長というふうに言っているわけではないのです。国際収支や物価、そういう面をいろいろ踏んまえまして、そして波の高さ低さ、これをなるべく低目にしながら、継続的な発展ができるような経済体制ということを考えておるのですが、そういうことを国益全体から考えて、いま成長の速度を極端に押える、よって間接金融、直接金融のアンバランスを解消するという考え方、これはなかなか徹底した措置はとりにくい、こういうふうに考えます。その間におきまして、一体直接金融をどういうふうに助長していくかということが問題であり、その間にありまして、税制というものがかなりの働きをしておる、こういうふうに見ておるのであります。
#53
○広沢(賢)委員 自己資本の充実、証券市場の問題については、金融再編成の問題でもう一回議論したいと思いますが、その中の一つの大きなワクとしての経済成長率の問題をいま大蔵大臣はおっしゃいました。そこで、その経済成長率で、この間から日本じゅうが大蔵大臣の答弁で大騒ぎしています。
 それは、一二、三%が高過ぎる、それから七、八%は低過ぎる、実質一〇%が政治家の勘として妥当なものと思う、こういうふうに言っておられますが、率直にいいますと、これはいろいろ今後の生活設計を立てたり、企業設計を立てる場合に、非常に大きなメルクマールになるので、大蔵大臣のお話は非常に波紋を描いておるわけです。私たちは、結論からいいますと、七、八%でいいじゃないかという結論なんです。気持ちなんです。まず第一番に一〇%にする、ずっと五年間ぐらい継続するというが、これはかげり論争じゃないけれども、これは片づいたけれども、技術革新が最近もう満ぱいになってきたのですね。新しい産業、いわゆる新興産業、これが自動車といい、電気器具産業といい、その他について、新しい技術革新の方向はどうだろうかということが議論されている。それから労働力不足の問題もあるということ、それから国際情勢の上からいって一〇%がそのままするするいくと大臣は思われておりますか。勘ですか。
#54
○福田国務大臣 経済社会発展計画というものをつくりまして、これをやってみた。やってみますと、そのねらいとしておったところの八・二%成長、これがとても低過ぎたということが現実の問題として露呈されておることは、御承知のとおりであります。四十一年、四十二年、四十三年と、いずれも一二%から一三%という高い成長をしてきておるわけであります。それで、しかも国際収支は非常な、安定どころか強化されておるという状態であり、物価もどちらかといえば、西欧各国に比べてそうひけ目をとらない状態にいま落ちついておる。
 そういうことを考えますときに、今後一体経済政策をどういうふうに運営していくか。私は、基本的な考え方としては、経済運営におきましては、物価と国際収支、この二つの眼目を常に注視していかなければならない。戦後の経済二十四年間を顧みてみましても、常に一、二年の不況、二、三年の好況、一、二年の不況、二、三年の好況、この景気の波を反復して今日に至っております。それはなぜかというと、物価の問題も一面にはありますけれども、同時に大事であった問題は、これは国際収支の問題であります。国際収支が好況時には必ずというように逆調になる。そこで、それを押えるには総需要を押えなければならぬというので、設備投資をはじめとする総需要抑制、そのための金融引き締め措置がとられたわけなんです。金融引き締め措置で総需要の抑制が実現できた、そこで国際収支は改善された、そこで金融引き締め措置を撤廃する、そこで経済は再び好況に転じ、そして二、三年続くと、またこれが国際収支の悪化となってあらわれる、こういうような状態であります。
 しかしながら、今日この時点になって考えてみますときに、国際収支は一二、三%成長で、しかもなお健在である、こういう状態であります。しかし、お話しのように、今後日本産業の再編という問題も出てきます。また、労働力の問題も出てきます。そういうことを考え、また、不測の事態に備えておかなければならぬという慎重な配慮を加えますときに、この三年間続いた一二、三%成長は高過ぎる、何とかしてこれをもう少し低目にしなければならない、そういう見地から、四十四年度は九・八%、つまり一〇%というところをねらいとしておるわけでございます。
 さて、それじゃ経済社会発展計画がねらっておった八・二%成長まで下ぐべきかというと、いま私はこの時点で考え、物価の状態、国際収支の状態を踏んまえるときに、そこまで下げるという必要はないのじゃあるまいか。これから十年先、二十年先ということになると、これはいろいろな問題が出てくると思いますけれども、ここ当面、たとえば五年間くらいの時点でこれを考えるときに、まずその中間の一〇%という程度が、政治家としての勘としてまずまず妥当な点ではあるまいか、こういうような考え方をいたしておるのです。もとより、この問題は経済社会発展計画の改定という問題に当面しております。この改定作業を通じまして、科学的、合理的にきめていかなければならぬ問題でございますが、まあおおむねの勘としてはそんなところであろうか。あまり押え過ぎるという考え方がはたして国益に通ずるものであろうか、また、あまり高い成長を考えるということが国益に合致したゆえんであるかというと、さにあらず、その中間くらいのところをねらうことが最も妥当ではあるまいか、私はそういうふうに考えておるのであります。
 つけ加えておきますが、よく福田蔵相は安定成長論を放棄したのか、こういうことを言われますが、私は放棄はいたしておりません。つまり、景気の高さ低さが激しい波動を描きながら進むという状態は、国民経済的に非常にロスだ。そうじゃなくて、そう高くなくてもいいから、国際収支と物価に非常な影響がないような高さにおいて経済が運営されていくということが好ましい、こういうふうな考え方、つまり息長く成長が続くようなそういう高さの成長が望ましいということを言っておるので、必ずしも低成長ということを言っておるわけでもなし、また、ましてや安定成長という考え方を放棄しておるわけでもない。安定成長とは、あくまでも国際収支と物価を踏んまえて、息の長い経済成長をねらう、そこに一つの大きな根拠がある、かように御了承願いたいのであります。
#55
○広沢(賢)委員 一〇%だと、物価は大体五%でしょう、いままで言われているのは。そうすると、毎年五%ずつ上がると、五年間で二割五分、十年間で五割、半分上がっちゃうのですね。そうすると物価という面から考えた場合は、安定成長とかいろいろ言われているけれども、一番重要な政策の物価面として考えた場合、銀行利子すれすれですね。すれすれというのは危険信号のところを綱渡りしているようなものです。これじゃ物価安定の役目は済まされないと思うのです。したがって、この一〇%というのは非常に危険だ。物価についてぴしっとした態度がとれればそれはいいと思うのですが、この点が一つ。
 もう一点は、大蔵大臣は一〇%の成長率にしても、いまの民間設備投資は多過ぎるということを言われています。私もそうだと思うのです。この民間設備投資の中には、事務用、マンション用のビルをぶっ建てたり、それから公害をうんと出す工場をいっぱいぶっ建てたり、それから汚染防止のためにやったのが、これがみんな国民総生産の中に入ってしまう。そういうことを考えますと、民間設備の中身も大切だ。量と中身についてどうやって規制するかという問題が出てくるのですが、これについては具体的な考え方を明らかにしていただきたい。一つの私の考えとしては、法人税はイギリスと並んで世界で一番安いですから、これを取って、中小企業、農業の近代化、これは物価安定になります。それから社会のゆがみの是正の、社会資本の充実、住宅等に回すということを基本的な方向にすれば、いまの日本でかかえている大きな悩みがずいぶん解決すると思うのですが、具体的なことについてお聞きしたいと思います。
#56
○福田国務大臣 まず物価の問題でありますが、私は五%ということは言っておりませんから、これは誤解なきようによく御理解願いたい。昭和四十四年度は五%、こういうことを言っておるわけでありますが、今後物価をどうするかということにつきましては、これはなるべく下げるような方向に誘導したい。と同時に、四十四年度につきましても、ほぼ五%とは言っているものの、これをめり込ませるという最大限の努力をしてみたい、かように考えておるわけであります。いま国際社会全体が物価高の状態でございまして、イギリスのごときは六%近い物価上昇、フランスは五%台である。アメリカも四%台である。その中におきまして、わが国も四%台である。ドイツの二・二%でありましたか、二%というのを除きますと、先進国の中では、とにかく四十三年度の段階では、わが日本の消費者物価が、それに次いで低い状態でございますが、この物価問題というのは、わが国の経済社会におきまして、どうしても真剣に取り組んでいかなければならぬ問題で、ただいま申しましたように、四十四年度も五%とは言うけれども、これをさらにめり込ませたいし、四十五年度以降におきましても、さらにこの問題は強い姿勢で取り組んでいきたいという考えであります。決してあなたが言ったように、五%と固定した安易な考え方を持っているわけではないのです。
 それから民間設備投資の問題でございます。この民間設備投資が多過ぎるのじゃないかというような御意見でございますが、これは社会資本との関連において考えなければならぬ問題だと思います。それで、たとえば道路の問題をとらえてみましても、自動車がずいぶんはんらんをする。公共事業にずいぶん力を入れますが、なかなか道路が自動車の流通に追いつかない、こういう状況であります。そういうふうに民間の設備投資と公共社会投資、このバランスにつきましては、よほどこれからも考えを慎重にしていかなければならぬのではあるまいか、そういうふうに考えておるのであります。
 しかし、結論的にいいますと、私は経済の成長政策は進めたい。進めたいが、その成長の推進力をどこに置くかというと、これはいまのレジャーとかなんとかいう世の中でございますけれども、国民消費が経済の推進力の主軸になるという片寄り方をしてはならない。やはり個人におきましても蓄積、これが大事である。それから社会におきましても蓄積、つまり社会資本、道路であり、港湾であり、そういうようなものの蓄積ですね。それから産業においてもそうなんです。産業消費でなくて産業投資、そういう蓄積であり、投資が中心になって経済が成長発展をする、こういうことに常に心がけていかなければならぬ。つまり、消費が中心になって経済が押し上げられるという形は、長い目で見て、はなはだ国のためにならないことである、こういう考え方をいたしておるわけであります。
 民間設備投資が、そういう大きな角度から考えて行き過ぎであるという場合に、これをどうするか、量と中身をどうするか、こういうお尋ねでございますが、これは民間資本は一に金融政策に依存をする、こういうことになるわけであります。日本銀行を通ずる金融調整、これでいままでもやってきておりまするけれども、今後もこの方針をとっていくと同時に、日本銀行の金融調整だけでカバーし切れない面がかなりあるわけであります。この分野を一体どういうふうにするかということが、私はまた金融政策の当面しておる一つの課題である、こういうふうに考えております。それはまた、いませっかく検討中でありますが、金融全体として、この設備投資の量的あるいは内容的調整に効果をあげるような方向を何とかして充実をしたいというのが私の念願でございます。
#57
○広沢(賢)委員 時間が迫ったのですが、非常に問題が多いのですね。たとえば五%は今後ずっと続けるつもりはないし、もっと縮めたいんだと言われますけれども、いままでの経済成長率と物価との関係からいいますと、やはり一〇%ときめてしまえば、五%もしくはそれをこえるのではないかという懸念は、ほかに施策がなければ――農業、中小企業の安定、近代的な施策がなければ、これはどうしてもそういうふうに見てしまうのですよ。願望だけではだめなのでして、この点相当考えないと、一〇%と言ったからには、国民は大体そうだなということで、いろいろのものをはじきます。生活設計ではじけば、それが一つの既成事実になって今後動き出すということがあるのです。
 もう一つは、民間設備の規制については、金融政策で日銀でやると言うけれども、これはいままでアップアップもてあましているのですね。たとえば自動車産業についても、日銀総裁がいろいろ心配していても、強気でもって突っ走る。これを押え切れなかったのですよ。総体としてのワクは押えられるけれども、質的な問題は一つも押えられない。それでいままでほぼ野放しになってきておる。しかも今度は公定歩合の引き締め政策もきかないという事態になってきた。そうすると、これにまかせるだけではだめなんだし、しかも中小企業の近代化、農業の近代化といわれながら、農業は荒廃するし、中小企業は倒産をしているし、それで民間設備投資は野放しに大きなビルディングが一ぱい建つというのでは、大蔵大臣の言われた蓄積を大切にするという、ほんとうに堅実な蓄積ですね、昭和元禄でない、ほんとうの蓄積を大切にするという点からいくと、なかなかその趣旨に合わないのではないか、そういう方向へ行かないのではないか。この悩みをどうするか、大臣はどう思われますか。
#58
○福田国務大臣 これは非常に大きな悩みなんです。いかに設備投資を調整してまいるか、これはやはり経済のかじとり、この上から見て大事な問題ですが、いまの制度下においてはどうしても金融を中心とするほかない、こういうふうに考えておりますが、その金融を中心としたやり方についてもう少しこれが充実された方向はないか、こういうことをいま考えているのです。その第一が、やはり日本銀行だけじゃどうもぐあいが悪い。その他の日本銀行のタッチし得ない部面をどういうふうにするかというような点ですね。これはデリケートな、またいろいろな反響のある問題でございますが、ひとつ御協力いただいて、何とか日本の経済のかじとりが、公共部面においては財政で、また民間投資におきましては金融で、そういう形で動けるように仕組みを整備していきたい、かように考えているわけです。
#59
○広沢(賢)委員 時間がもう来ちゃったそうですが、その仕組みの整備について具体案をいろいろお考えになると思うのですが、私どももそれを首を長くして待っておりますから、ひとつこれからその問題について討論、議論をしたいと思います。
 あと残っている問題として、たとえば経済成長率がうんと伸びたらば対外援助に、何と計算してみたら一兆八千億、これは年に一兆八千億出すなんてたいへんなことを言って外務大臣帰ってまいりましたが、一兆八千億、これどういうふうに約束してしまったんだろう。それから、これはいいものも悪いものもみんなごったに含まれているから、対外援助は必要だなんということを幾ら言ったって、これは非常に悪い方向に使われるおそれがないかという国民の心配があります。戦前満州が生命線だといってちっとも生命線じゃなかったということもありますし、ですから、この対外援助の問題について今後十分検討したいと思います。
 もう一つは、日大の関係で文部省の方も来ておりますし、それから国税庁の方も来ておりますが、この次の機会に延ばすとしまして、一つだけ、この間日大がとほうもないものを出しましたね。つまり国税庁はこれについて――唐橋議員がもう聞いているのですが、もう一回聞きます。国税局長の補足説明という文書を印刷して全国にばらまいた。ところが、これは発表したともしていないともお答えできないという渡辺国税局総務課長補佐の談話に対して、さらに追及したところ、これはあくまで国税庁としては関知しないということが出ているのですね。国税庁長官としてこの問題について関知していないということをはっきり後々の討議のために言っていただきたいということが一つと、もう一つは、源泉徴収の問題についてだけということを言いますが、実際日大がやったことというのは、ここにいろいろ書いてありますが、裏口入学の問題、それで数十億円。それからいろいろ建築費が節約できたから、それについて慰労金だといって配る。その他、ものすごい土地の買い占めはやる。全部合計して三百数十億円の利益をあげている。それでほかの大学と人件費比率を比べますと、ほかの大学、明治大学が七三%の人件費比率、日本大学が五一%の人件費比率、たいへんなもうけをしている。こういうことについては国税庁としてはどうにもできない。たいへんなもうけです、三百二十億。それから使われ方がでたらめ。それから政治献金もやっている、池田正之輔さんにやっている。こういういろいろの問題が出ていますが、これについては国税庁としては全然知らぬ顔をしているのですか、どうですか。
#60
○亀徳政府委員 日本大学は学校法人でございまして、営利事業は営んでおりませんので、そういった面からの調査はいたしておりません。ただ御案内のように、やはり源泉徴収は正しくやっていただかなければいけないということで、源泉徴収につきましては先ほど調査いたして落着を見たところでございます。
 それから、先生先ほどおっしゃいました点、おそらくは学校が声明書を出したその内容のことだろうと思いますが、それは学校が独自に出したものでございます。
#61
○広沢(賢)委員 学校が独自に出したから、自分が出したのじゃないけれども文句もほとんど言えない。言わないのか何だかわからないけれども。国税庁は、ほかの問題だったらかんかんになってぎゅうぎゅうひねりつぶしますよね。国の権威あるものだから。ところが、日大問題についてはそういうものをばらまいたけれども、それは関知しないのだということでそのまますうっとなっちゃっている。検察庁でもあいまいだということなんです。これはあとでまた時間があるときお聞きしますが、もう一つは、検察庁には二つの件で告訴されて大騒ぎになっている。脱税問題がある。それから土地の買い占めでもって大騒ぎになっている。それからこれは何というのですか、いまから五年前、十年前からこの問題は始まっているのです。たとえばずいぶん前の実習船の密漁から古田会頭ら二十二名を告訴したり告発したりする問題がずっと起きている。文部省というものがこれについてほとんど介入できなければどこが介入するかということなんです。そうすると、昔から私立大学に対して金は出すが口は出さないという、イギリスの昔からの伝統があるし、日本でもそうだと思うのですが、今度は大学紛争処理なんということで、その内容を見ますと、結局大学が申請したら休校、廃校に強硬処分をやる。それについて、それを聞かなかった教職員がいたらば、それは首にしてしまうというのですがね。日大の場合だと、日大のこういう裏口入学というのは、青少年に対してたいへんな疑惑を与えているのだ。四十数億の裏口入学のお金がある。これが公然の秘密になっているから、日本の教育上たいへんな問題だということについて、それについて文句を言った教職員が首になってしまって、それで古田会頭はやめるかと思ったらそのまま全然やめないのですよ。ずっとまだがんばっている。新聞にも書いてあるのですよ。これについて日本の政府も文部省も何も言えないなんていうのだったら、これは何で紛争処理法案を出すのですか。とぼけた話ですよ。古田会頭について何かびしっとした処分ができるかできないか、どのくらい文部省が権限を持っているのか、そういうことをはっきりさせないで大学紛争処理法案を出そうなんて全くおこがましい。その点について文部省の見解を承りたい。
#62
○岩間政府委員 ただいま御指摘がございましたように、私立の大学の一部におきましていろいろ問題が生じております。特に経理の面で国民の疑惑を招くような事態が生じておりますことは、まことに御指摘のとおりで遺憾に思っております。私立大学に対しましては、学校法人がこれを設置するということになっておりまして、学校法人の中には役員、特に監査等の規定がございまして、経理の問題等につきましてはみずからこれを正すというふうな仕組みになっております。文部省といたしましても、私立学校法によりまして、私立学校につきましてはその自主性を尊重するという立場で一貫してまいったわけでございます。
 しかしながら、特に御指摘のございました日大の問題につきましては、いろいろ御指摘のような点もございますので、昨年の十二月の末に寄付行為の改正を認可いたしまして、いままでどちらかと申しますと上からいろいろものごとをきめてまいりましたのを、下から積み上げてものごとをきめていくというような評議員会あるいは理事会の構成をとるというふうな改正もいたしました。また常任の監事を置きますと同時に、公認会計士の認証書を特定の書類につきましては添付するというふうな改正も行なっております。まだ大学の紛争が尾を引いておりまして、具体的に評議員の構成、それから理事の選出、そういうものがおくれておりますけれども、今月末ぐらいを目標にいたしまして、鋭意その選出につとめているようでございますので、いましばらくその状況を見守っていきたいというふうに考えている次第でございます。
#63
○広沢(賢)委員 それでは、それはどのくらいたよりになるかわからないけれども、坂田文部大臣に席をあらためて追及します。将来総理大臣になるかもわからぬといわれている大蔵大臣が、これについて所見を話したいようですが、これは後の機会に坂田文部大臣にお話を聞きます。
#64
○田中委員長 広瀬秀吉君。
#65
○広瀬(秀)委員 大蔵大臣にまず、先ほどの広沢委員の御質問と関連をして、今日非常に波紋を描いております大蔵大臣の今後五年間大体一〇%成長論というものについて、若干疑問点をただしたいと思うのです。
 高度成長をして安定成長ならば、これは非常にけっこうなことであります。そういう点ではあなたのおっしゃることも十分よくわかるわけであります。しかし、今日まで高度成長をやってきたために、日本の国民は一番物価値上げという問題で苦悩をなめてきておるはずであります。つい最近、私も西ドイツを訪れる機会があったわけでありますが、西ドイツでは経済成長率はそれほど高くない。せいぜい五、六%というところでずっときた。あるいは最近では四%とかそこらの成長をやっておる。これはドイツの大使館筋やその他からいろいろと話を聞いてみましても、ドイツとしては幾らでも高度成長をやれるだけの力はあります。しかし、物価を上げることになるから、高度成長をやらないのだ。毎年そのかわり安定的に成長していく、波を打たせない、そういう考えでやっておるということを言われたわけであります。そういう点からいいますと、一〇%成長で五・二%あるいは五%ぐらいは物価が上がるのはやむを得ないのだという、そういう政策態度というものにやはり非常に大きな問題があるのじゃないか、こういうように私は思うのです。物価値上げの問題について、一〇%成長でいった場合に五%程度でおさまるのか、そしてまた五%ぐらいはというその感覚がそれでいいのか、こういう点についてまずお伺いしたいと思うのです。
#66
○福田国務大臣 私は、先ほどから申し上げているのですけれども、五%ぐらいはいいんだ、こういうふうに申し上げてないのです。四十四年度の目標は五%ということにはしておりますが、しかし、これは何とかして五%をできるだけめり込ませたい、こういう考え方をいたしておるのであります。それから四十五年度以降におきましても、物価はなるべく下げていく、こういう努力をしてみたい。四十一年、四十二年、四十三年と成長は一二%、一三%という高い成長であった。それにもかかわらず、物価はどうであったかというと、四十一、四十二、四十三と連続四%台であります。それ以前はどうだったかというと、公共料金オールストップをいたしました三十九年、この年を除きまして全部三十六年からずっと六%台です。四十年度のごときは七%になるかならぬかというところまでいったわけなんです。それから比べますと、この高い成長を示した四十一年、四十二年、四十三年というものはとにかく四%台を維持し得た、こういうことでありますので、少しこの点は評価していただきたいと思うのでございますが、しかし、今後とも五%というようなことではいかぬ、こういう考え方もありまして、三年間の一二ないし一三%成長というものは押えたい、そういうことからことしは一〇%成長という、正確にいえば九・八%という見通しを立てた。また今後も一二、三%ということでなくて一〇%見当か、こういうふうに考えておるということでございます。いろいろ物価との関連がどうなるかというような精細な点につきましては、経済社会発展計画を改定をするつもりでございますので、この検討をまってやっていきたいという考えでございます。
 繰り返して申し上げますが、経済政策運営の基本的な態度といたしましては、常に、国際収支、物価、この二つを眼目としてにらんでまいる、かような考えでございます。
#67
○広瀬(秀)委員 四%台におさまったということ、これはいままでの六%とか七%という、高成長時代にそういう数字が出たところから見れば、同じぐらいの高成長の時代を迎えて四%台でとどまったということは、確かに若干の改善を見たという印象は受けるわけであります。しかし、恒常的に物価が四%ないし五%の上昇を続けているということになりますと――デンマーク等ではやはりその程度の物価上昇があるということを聞いておりますが、しかし、賃金も物価に必ずスライドしてアップする。あるいは、あそこは非常に年金の発達しているところでありますが、年金も必ずスライドアップやるということで、国民生活というものはそういうことでいい。ところが日本の場合には、たとえば四%だということを評価してもらいたいと大臣言われたわけですけれども、私は手放しでは評価できないのです。というのは、それは前よりはいいという点では評価することはできるけれども、西ドイツのごとく、二%以上には絶対しないというたてまえで、逆にメルクマールをそこに置いて成長率を考えていく、そういう政策態度というものがやはり必要だろうと私は思うのです。日本の場合には四%とか五%というものがあまりにもなれっこになっているという点があるのです。しかもそういう中で、特に年金受給者というような固定収入の人たちが今日非常に苦しんでいるという問題、老人が苦しんでいるという問題、そのほか社会資本の充実ということを言ってみても、そういう中からなかなか前進しないということも出てくるわけでありまして、そういう点を考えたら、ドイツ並みの二%以内にはとどめますというぐらいの気持ちがあるならばけっこうなんですが、まだまだそういう点で物価感覚、物価値上げに対する為政者としての感覚というものが非常に甘い、そういうことを言わざるを得ないわけです。
 どうですか大臣、物価をほんとうに安定させていくという立場でむしろ経済成長――経済成長は要するに国民生活を豊かにするということです。そういうことに焦点を合わせるならば、やはり物価値上げにならない、物価をほんとうに安定させていくというところに目安を置いて成長の度合いをかげんしていく、そういう態度というものは考えられませんか。一〇%を維持して、なおかつ二%以内というようなことが可能でありますか。
#68
○福田国務大臣 とにかく四十一年、四十二年、四十三年を見ましても、とにかく一二%も一三%も実質経済の成長を見ておる。その中において四%台の物価上昇である、こういうことでございます。それを今度は成長を一〇%に押えよう、なるべく成長をその辺に持っていこう、こういう考え方、これは物価のことも考えておる考え方、こういうふうに御了解願いたいのです。とにかく物価だけが安定して、それでいいというものじゃございません。物価も、また成長も、この二つのものをねらいとしなければならないわけでございます。そういう点で、成長もできる限りのことはしなければならぬが、物価もまたこれを克服してまいらなければならぬ、こういう両面の施策が必要だろうと思うのです。物価だけに限定するという考え方なら、これは経済政策、そうむずかしいことじゃございません。しかし成長ということ、これが新日本国の建設、発展にどういう役割りをしておるか、これは私から申し上げるまでもございませんけれども、これをまた度外視するわけにもまいらぬ。そこにむずかしい点がある。精一ぱいの努力をそういう方向でやっておる、かように御理解願いたいのであります。
#69
○広瀬(秀)委員 まあそれはそれなりに大臣の考えもわかるわけであります。しかし、経済の高成長をやるという場合には、その高成長のメリットというものが一体だれに帰属するかということが問題で、国民の生活面において生活を豊かにするということが、政治の最高のこれは集約したねらいだと思うのです。
  〔委員長退席、渡辺(美)委員長代理着席〕
そういう場合に、高成長をやればやるほど利益の帰属するところには非常に片寄りがある。そしてその恩恵を受けない部面が、また非常に一段と格差がついた形で不公平というものが発生をする。そういうような問題が、今日の社会保障の問題にしても、あるいはそれとの見合いにおける社会資本というような問題にしても、きわめて立ちおくれがある。そういう面についての配慮というものは、あとで問題にいたしますけれども、大蔵大臣はアジア開銀の総会において、海外援助、特に東南アジアに対して五年間で倍にいたしますという非常に画期的な発言をしたわけでありますが、そういうものを日本の社会保障なりあるいはいま庶民大衆が困っておる問題について、何かそういうものと高成長を打ち出す考えの裏づけとして、物価はこうしますよ――それからたとえは今日保育所が非常に足りないという問題がある。医療の問題や社会保障の問題がまだまだ、児童手当の問題もまだできていない。そういう問題について、それではこういうことをやったらばこうしますというような表明というものが、いまあなたの脳裏に浮かんでいる問題があれば、これを同時に示すことがやはり私はいいことだと思うのですが、その点いかがですか。
#70
○福田国務大臣 いま高成長の経済状態でございますが、それによっていろんな国の施設が進んでおるわけですね。特に社会投資、それから社会保障、これは非常に立ちおくれておったわけです。その取り戻しをいましておる。その取り戻しのスピードですね、これが世界先進国に比べますと比較にならないようなスピードでやっておるわけです。ただ、わが日本が、広瀬さんから御指摘がありますが、社会投資やあるいは社会保障においてまだ十分でないというような感じがある。それは何かというと、立ちおくれがあるわけです。まあいま都市公害、過密状態というようなことがいわれて、新しい都市問題が論ぜられる。パリの町なんかは百年前に万博が行なわれ、今日とたいへん似通ったような都市づくり、下水道、上水道の施設、町並み、道路、そういうものがもう整っておるわけです。わが国は、戦前においてはそういう配意というものがほとんど行なわれないままに来たわけでありますが、戦後経済力もついてきた。その経済力の大きな部面というものをそういう方向に振り向けて、いまおくれの取り戻しをしておる。
 そういう段階でございますので、これを諸外国に比べますと、どうもひけ目がまだ出る段階でございまするが、えらい勢いでいま取り戻しをしておる。したがいまして、またその取り戻しも諸外国と比較にならないようなスピードで達しておる。その原動力は何かというと、わが国の経済力が発展しておるからこそであります。この経済を発展させ、さらにおくれたわが日本の国づくり、これと取り組む、これをたゆみなく続けるならば、私は、わが国の国づくり、全体として西欧諸国に決してひけをとらない日本国がそう遠くない時期にでき上がるのではあるまいか、そういうふうに考えておるのであります。決して社会保障や社会投資というものを閑却しているのじゃない。それどころじゃない。それにこそいま猛烈な馬力をかけておるというのが現状でございます。
#71
○広瀬(秀)委員 この際、大蔵大臣に強く要望しておくわけですが、そういうお考えを持っておられる。特に社会保障の問題については、やはり先進諸国から立ちおくれているものを先進諸国並みに、できる限り早く高度成長とともにそういう面についても積極的な努力をするんだということを要請をし、またいまの答弁の中でそういうことを確認をしておきたいと思うわけです。
 問題を変えたいと思いますが、ドゴールの例の上院の機能を制限する法案と地方自治強化に関する法律を国民投票に問うた結果が、しかもおれはこれに政治生命をかけるといって敗れたということになって、そのことが直接的なきっかけにはなったわけでありますが、そのほかにもいろいろ経済的な問題が当然裏にもあるわけでありますが、いずれにいたしましても、国際通貨危機という問題が再燃をいたしてまいりました。しかも、これが昨年の十一月ほどではないとかいろいろなことがいわれておりますけれども、なかなかこれはやはり根深いものがあるのではないかというように見られるわけであります。IMFできめておる為替相場変動幅の上限、下限というようなものが、マルクではもう上限をあるいは越える、ポンド、フランはもう下限にひっついてしまった、あるいはそれを割ってさえもいるというような取引が現に行なわれておるわけであります。そういう中からこのマルクの切り上げ、フランの切り下げというような問題が起きておる。しかもフランの切り下げが行なわれれば、むしろ実勢としてフランよりも弱いといわれるポンドもおそらく影響を受けて再切り下げの危機を迎えるのではないかというようなこともある。しかし、ドゴールの退陣のあと、ポストドゴールの選挙が六月一日だというので、そういう段階では切り下げ、切り上げというようなこともそれ以後に持ち越されるのではないか。新聞の論調を見ておりましても、非常に落ちついたという情報があったかと思うと、きょうはまた再燃したというように、一日ごとに非常に流動的であります。これはやはりフランを中心にした通貨危機というものがかなり深刻で長引くものでないのかというように考えられるわけなんですが、これについて日本の大蔵大臣の福田さんは一体どのようにこの現象をとらえられて見通しを持っておられるか、この点をひとつお聞きしたいと思います。
#72
○福田国務大臣 いまヨーロッパの通貨不安といいますが、不安は私はフランスとイギリスにあると思います。いずれの国におきましても国際収支、この問題から問題が出ておる、こういうふうに見ておるのであります。ただ国際収支につきましては、これは両国とも懸命になっていま克服の努力をしておる最中でありますが、一番むずかしい点は賃金問題にあると思うのです。イギリスでは賃金のオールストップというようなことを打ち出しており、これに対して労働組合がどこまで協力していくか、その辺が問題ではあるまいか、そんな見方もしますが、幸いに労働党内閣でございますので、何とか乗り切るかどうかというふうに見ておるのであります。
 フランスの問題は、あれだけ金を貯蔵した、六十億ドルもの外貨保有高を積み重ねたというフランスでございましたが、昨年五月のゼネストが非常に大きく打撃を与えておる、こういうふうに見ておるのであります。これはゼネストですからたいへんな損害です。いろいろな見方がありますけれども、五十億ドルの生産を失ったというふうにもいわれておる。ですからこれが外貨保有、そういうものに影響しないわけにはいかない。六十億ドルの外貨保有が今日どうなっておるかというと、三十億ドル台に転落いたしておる、こういうような状態であります。しかもゼネスト打開の際、ドゴール大統領が労働組合との約束に従いまして、昨年は一五%の賃上げということをやっておるわけであります。ことしは労働組合が一〇%を要求しておる。ドゴール政府はこれに対して四%でどうだ、こういうことでなかなか話し合いがつかぬ。こういうようなことが不安の根源であるように見ておるのでありますが、まあしかし、フランスも何とかこの問題を乗り切って、そうして国際収支の安定をはかりたいという努力をしておる、そういう段階であります。
 私は、日本の大蔵大臣として、両国とも何とかして国内のそうした困難を乗り切って、そうして通貨の安定を期せられたい、こういうふうに考えておりまするが、さて通貨不安の根源にあるさような社会あるいは経済の諸問題がどういうふうになっていくか、私どもはしばらく形勢を注視してまいらなければならぬ、こういうふうに考えております。いかなる事態がありましても、わが国としてはこれに対して万全のかまえを取り得るような体制、これを整えておる、こういうふうに御理解を願いたいと思います。
#73
○広瀬(秀)委員 通貨危機の起こった原因について大蔵大臣としての見解を承ったわけですけれども、単にゼネストによる影響――これで確かに生産も停滞しただろうし、国際収支に及ぼす悪影響もあっただろうことは事実だろうと思います。しかし、それだけでこういう通貨危機になったのかどうか。特にフランの場合に、フランスの最近における物価値上がりというものはああいう危機が起こる前から存在をしておった。相当激しい姿で消費者物価も上がってきておった、こういうような事態があるわけであります。そういうところから、やはりあのゼネストも起こるべくして起こったという見方だって当然できるわけであります。これはドゴールの政策に対する批判みたいになって心苦しいけれども、フランスの栄光を守るという外交の舞台においては非常にはなやかなことをやったけれども、実際に国内の庶民の生活というものに対する施策というものが十分でなかったというような考えが立つわけであります。そういうようなことから、どんどん物価値上がりというようなものが起こっている。こういうフランス経済の特にここ二、三年来かかえてきたいわば病根というようなものが、やはり経済的には一つの問題点であったと思うのですね。
 いずれにいたしましても、いまのような状態というものがだんだん長引いて、新しい大統領の選挙後にその切り上げ、切り下げというような事態がマルク、フランあるいはポンドというようなものに発生する、そういう状態にいくというところまで見通してかからないといけないと思うわけです。特にフランスは六十何億ドルかの外貨準備を持っておったのが、一挙に三十七億ドル程度にまで落ち込んだ、こういう非常にドラスティックともいうべき外貨準備における変更もあった。ところが、逆に今度は日本の場合には、ここわずか一年くらいの間に十二億ドル以上も外貨準備が急速にふえる。しかも先行きも、今日楽観的な見方をすれば、昭和四十四年度末には四十五億ドルくらいのところまでいくのじゃないかという楽観説まで飛び出すような始末だ。こういうようなことになりますと、そういう事態になった場合には、むしろ最近はドル以上に円が強い、マルクに次いで強いのではないかというようなことが逆に言われるというようなことになりますと、日本の円の切り上げというようなことも諸外国から要求される可能性もあるというようなことも新聞等でもちらほら出ておるわけであります。それらについて大臣としてはどういうようにお考えになっておられるのか。
#74
○福田国務大臣 私は、この通貨不安というものが、英、仏両国の国際収支改善対策、これが奏功いたしまして、そうして切り下げというような事態のない解決ということを切に願っておるわけであります。先ほど申し上げたとおりであります。ただ、それに成功するかどうかという問題につきましては、注意しながら見守っていかなければならぬ、こういうふうに見ておるのであります。
 わが国の円が相対的にその地位が高まってきておるということはお話しのとおりであります。どうも昨今株式の価格が上昇し続けておる。きょうあたりはどういうふうなことになっておるか存じませんけれども、きのうは千九百二十円台というようなダウ相場を現出しております。その中で外人の日本株式への投資ですね、外人の日本株買い、これがかなり大きく響いておる、こう見ておるのであります。そういうようなことから考えまして、国際的に円に対する信頼、安定感というものが日に日に高まっておるということは、私は率直にそう考えます。これは決して悪いことじゃないのでありまするが、それだからといって円の価値をここで切り上げ改定をするかというようなことですね、これは私はとんでもないことだ。円価値の変更というふうなごときは、これはいろいろの角度から総合的に考えなければならぬ問題である。いま私の考えるところでは、円の価値を改定する、また切り上げをするというような状態まではなっておらぬ。どこまでも円の価値というものは堅持してまいる、現行水準を堅持してまいる、これを基本的な考え方としなければならぬ、かように考えております。
#75
○広瀬(秀)委員 円の切り上げというような事態にはしないというかたい決意のように見受けるわけでありますが、それはそれといたしまして、その決意を聞きたかったわけでありますが、今日のような事態、ポンド、フラン、特にフランをめぐってああいう危機が出ているということによってどういう影響がわが国の輸出――欧州向けの輸出は全体的にはそれほど大きい比重ではないけれども、しかし、これについても最近は、ここ二、三年欧州向けが、特に去年、昭和四十三年というのは比較的欧州に対する輸出が伸びたということも、輸出が増強し外貨がたまってきた一つの原因になっているわけでありますが、これがかなりの影響を受けるのではないか。しかも三カ月も先の先物フラン相場というものが二〇%もディスカウントされているようなこともあるということで、日本の貿易業界筋でも長期の商談というようなことについてはどんどん手控えが始まっているというようなことも聞くわけであります。こういう点について、それらに対するいわば臨床的な、対症的な対策といいますか、こういうものについては大臣としてどういう手を打たれ、どういうようにお考えになりましょうか。
#76
○福田国務大臣 日本に対する影響、これはもう誤解があっては困るのですが、つまり仮定の話なんです。ポンド、フランの切り下げがあるという仮定の場合、そういうことは希望しませんけれども、仮定の場合としてどういう影響がわが日本にあるかということです。
 それは、一つはわが国のイギリスなりフランスに対するポンド、またフランの債権債務が一体どうなるかという問題が一点だと思います。これにつきましては、私どもはそう心配はしない状態であるということを申し上げておきます。
 それからもう一つの問題は、わが国の対英、対仏の貿易が一体どうなるかという問題があります。これはそう大きな貿易はしておりませんし、わが国の貿易全体に対してどうのこうのというくらいの問題ではあるまいと考えております。
 それから第三には、世界の貿易市場においてフランスあるいはイギリスと日本との輸出競争にどういう影響があるか、こういう問題でありまするが、これはわが日本には、フランの切り下げだ、ポンドの切り下げだということがありますれば、それなりの影響はありますが、これも両国とそう激しい競争を世界のマーケットにおいてしておる状態ではございませんので、これもそう心配する必要はなかろう、こういうふうに考えておるのです。
 しかし、繰り返して申して申しわけございませんけれども、私は、ポンドやフランの危機というものが切り下げというような形で解決されるということは、ほんとうに好ましいこととは考えておりません。これは両国が基本的に国際収支というものの危機を克服する、そのためにはこの両国の経済の体質を改善する、こういうことでなければならぬ。その問題を未放置のままに通貨措置だけを講ずるということになれば、通貨措置による影響というものは半年かせいぜい一年とか続くくらいであって、また同じ事態に当面せざるを得ないということになるでありましょう。そういうようなことを考えますときに、どうしても両国とも経済の立て直しに成功されることをお祈りするというのが私の心境であります。
#77
○広瀬(秀)委員 時間があまりありませんのでこの問題だけをやっていられないのでありますが、切り下げ、切り上げというような最悪の形で収拾されないで、現状のままでいけるようなことを祈っているということなんですけれども、そういう事態を避けるというためにはいま何が一番必要なのか、日本の大蔵大臣として祈るだけでなくて政策としてまたいろいろな手というものが、やはり世界的に国際協力の中でどういう有効な手がそういう祈りを実現させる道だというようにお考えになっておられるか、それが一つです。
 それから、日中貿易の問題とも非常に関係が深くなるわけなんですけれども、日中貿易がいろいろないきさつ、ジグザグをしながら今日どうやら協定もできたという段階で、ポンドが切り下げられたときにフランに切りかえた、ところがまたそのフランがあぶない、こういうことになると、やはり日中貿易をできる限り発展の方向に持っていくために決済手段、決済方法というようなものが新しいものとして円・元表示第三国通貨決済制度というようなものが考えられているというわけでありますが、それらの問題については大蔵省はどういうようにお考えになるか、そのことをできるだけ要領よく簡単にひとつ。
#78
○福田国務大臣 国際通貨不安に対してわが国がどういう役割りを演じ得るかというと、基本的にはただいま申し上げましたように、不安の存在する国々の国際収支、その前提としての経済体質の改善ということがうまく行なわれるかどうか、こういうことでありますが、そういうそれぞれの国々の努力と並行いたしまして国際協力体制というものがしかれると思います。これは戦前ではそういうことはなかったのですが、戦後はIMFを中心として、あるいは十カ国蔵相会議というようなものを通じて、何とかして通貨の不安を乗り切っていこうという努力がなされる仕組みができ上がってきておるわけであります。そういうようなことで、おそらくいろいろな形の国際協力のための会議だとか懇談とかが行なわれると思う。そういう際には先進十カ国の一員として、またIMF加盟国としてわが国はこれに当然参加、出席をするわけでございますが、その際にわが国としても国際通貨不安を何とかして乗り切るという中においてできる限りの役割りを尽くしていきたい、これが日本がこの問題に協力し得る唯一の道ではあるまいか、私はさように考えております。
 それから、日中の決済問題につきましては、いまお話しのように、円・元建て第三国通貨決済方式というものが一応提案をされたのですが、これは少し難点があるようでありまして、またこれが再検討だということになっております。中共側がどういう態度を示してきますか、わが国といたしましては何とかして通貨の問題で日中貿易が阻害されるということがないように弾力的なかまえで対処したい、こういうふうに考えております。
#79
○広瀬(秀)委員 最後に、これはまたがらっと問題が変わるわけですが、金融制度調査会等においてもいろいろ議論されておることと思うわけでありますが、先ほどのように大蔵大臣は安定高成長という大きな旗を掲げられたわけですけれども、そういう中でやはり中小企業の新たなる発展というものを含まなければ、これはやはり正しい姿ではないと思うのです。そういう前段は抜きにしまして、いま中小企業がやはり何といっても大きな金融機関――都市銀行というようなところからはなかなか設備資金は借りられない。わずかに興長銀がほんのおつき合い程度に設備資金を出している、あるいは中小企業金融公庫がそれとのタイアップによってわずかに出すという程度であるわけです。こういうことでは、やはり中小企業が日本の高度成長の中で発展をするというわけにはいかぬわけです。そういうものに対して、すでにもう金融二法も昨年通ったということで、しかも中小企業専門金融というようなことで、信金なりあるいは相互銀行というようなところに新しく明確に使命が与えられたわけでありますが、そういうものに対して、もっと長期資金を貸し出せるだけの力をつけるような――国の金融政策というものによって、あるいは予算の支出等によってそれだけの力をつけるような方法が考えられてしかるべきだと思うのですが、その点についての大蔵大臣の明確な見解を聞かしていただきたい。
#80
○福田国務大臣 中小企業に対する一般金融の融資は、その額においてはもちろんでございますが、その割合におきましても、逐年増大をいたしておるわけであります。今日四七%は中小企業というくらいまできておるわけです。しかし、それにしても中小企業というものは特別の配慮を要する、こういうことで、政府といたしましては、いわゆる中小三機関を通じましてかなり大幅な融資をするという政策を進めておるわけであります。現に四十四年度予算においても、御承知のとおりの状態でございます。今後といえども、中小企業の近代化、合理化につきましては、金融面からもできる限りの努力をいたしたい、かように存じます。
#81
○広瀬(秀)委員 時間がありませんので、これで終わります。
#82
○渡辺(美)委員長代理 河村勝君。
#83
○河村委員 どうも時間を守らない人ばかりおるものですから、私に与えられた時間がわずかになりましたので、疑問に思っております点を二、三点だけお聞きします。
 きょうの委員会の冒頭に大臣から、きょうの閣議でSDRの条約の批准の決定をされて、これから関係各国に通告をするというお話がありました。批准そのものにもちろん異議はございませんけれども、この前SDRの法案がかかった際に、大臣に質問をいたしまして、この際、日本としてはSDRに参加するかしないか、選択権を持つことだから、IMFのクォータをふやす交渉をしたらどうだという質問をいたしました。そのときに、あなたからはっきりした御返事をいただけなかったのですけれども、その後、他の委員会やその他の場所で、この際割り当て増額をやろう、努力しようというような発言があったようです。ところが批准をしてみますと、交渉にあたって一つの切り札――まだほかにあとに時期もあろうと思いますけれども、一つの切り札を失ってしまうように思われるのですが、その点は一体どうお考えになってこれから対処されるおつもりか、それをお伺いしたい。
#84
○福田国務大臣 IMFのクォータにつきましては、これをなるべく早く拡大をいたしたい、かように考えておりまして、着々そのための手を打っております。私どもがタッチした範囲内におきましては、日本のこの態度を支持するという趣でありますので、おそらく私は、これが次の機会に実現をするのではないか、そういうふうに見通しをいたしておるわけであります。SDRの問題、承認の通告をする、これがその妨げには全然相なりませんから御安心を願います。
#85
○河村委員 妨げにならないということは、批准前に何らかの確約があって、その上で批准に踏み切られた、そういう意味でありますか、どうですか。
#86
○福田国務大臣 それは確約というような問題ではございませんけれども、それぞれの向きにはある程度話をいたしまして、そうして見通しを持っておる、その上に立ってのことであるというふうに御了承いただきたいと思います。
#87
○河村委員 この点も、いまの日本の経済力に引き直した場合に、IMF創設当時の計算方式でやったらどのくらいの割合になるか、いまの三・四%の割合がどのくらい上がるかという質問をしましたら、この点のはっきりした御返事がなかった。だいぶ上がりますというような返事が村井さんからあったのでありますが、そこまでいっておれば、大体の目安をつけて交渉しておられると思うのですが、大体どの辺の見当でやっておられるのですか。
#88
○村井政府委員 いろいろな条件を前提といたしませんと、そういう割合がはじき出せないという状況でございます。たとえば一般的にあの五年ごとに行なわれます増資というものがどの程度のものであるか、過去におきまして二五%とかそういうようなものがございましたが、そういうものの上にさらに上乗せとして、日本が特別の伸びを示している、その伸びをどの程度織り込むかというようなことになってまいりますと、確かに一般の割合以上ではあるということは大臣も申されたとおりでございますし、大臣からもたびたびそういう意味の根回しと申しますか、そういうことをされているわけでございますので、確かに一般を上回った伸びを示すことになるというふうに私たちも考えておりますが、それを数字でいま言えということになりますと、いろいろな関係もございますし、ここで非常に申し上げにくい問題でございます。
#89
○河村委員 これは交渉の問題ですから、これ以上お伺いいたしません。
 そこで次に、海外経済協力の問題でありますけれども、この四月十四日にインドネシアの債権国会議で一億二千万ドルの日本からの援助を決定されたようであります。この点も三月の末ごろに大蔵大臣に質問をしましたところが、現在何もきめておらぬ、こういうようなお話でありました。ところが実際には、昨年の十月の債権国会議で総額五億ドルのインドネシア側からの援助の要請があって、関係各国がそれでいこうかという話し合いになって、日本の場合も一億二千万ドルの満額、それに応ずるというような話が自然のうちに伝わっておりました。ところが、大臣は三月の末になって何もきめておらぬと言っておられて、四月の十四日、はたせるかなといいますか、やはり満額の回答が出ている。その辺の過程を見ますと、どう考えても、われわれから見ますと、何か裏になければならないという印象を持たざるを得ないのでありますけれども、その点大蔵大臣はどうお考えでございますか。
#90
○福田国務大臣 別に裏があるわけでも何でもありません。基本的な考え方といたしましては、わが国がアジアの先進国といたしまして、応分の経済協力をして、これらのアジア諸国の安定に貢献する、これはわが国が当然国際社会において果たすべき義務と責任というふうに考えておるのであります。
  〔渡辺(美)委員長代理退席、委員長着席〕
日本の国が世界の三等国、四等国といった当時は、わが国がひとりよしというような状態も許された。しかし、今日のように強大な経済国となってくると、もうそういう状態は許されない。そういう状態を続けること自身が、わが国の発展を妨げる。国際的なエゴイストというような扱いを受けざるを得ないということになる。そういうことから、わが国としては、もうそろそろ頭の切りかえが必要である。つまりわが国は、わが国を伸ばすというわが国の非常に狭い意味の国益から考えてみましても、世界の経済が発展する、その発展はどこに重点があるかというと、低開発国が繁栄するということでありますが、そのために日本が協力をする、そしてその低開発国の発展によって世界全体が繁栄をする。その中においてわが日本の成長の路線、発展の路線というものがまた切り開かれていくのではあるまいか、そういうふうな頭の切りかえを今日要する段階に来ておる、こういうふうに基本的に考えているのであります。
 いま問題のインドネシアにつきましては、この二、三年援助を特に強化をいたしておるわけでありますが、昨年一億一千万ドルというふうにいわれておりますが、ほんとうに約束をいたしましたのは、去年は八千万ドルの約束をいたしたわけであります。その上にさらに、これは約束じゃございませんけれども、適当なプロジェクトがありましたならば御援助いたしましょうという額が三千万ドルあったわけであります。これは約束じゃございません。それで合計いたしますと一億一千万ドルということになったわけでございますが、その後昨年の十月の債権国会議におきまして、インドネシア政府は、総額五億ドル、六九年度の新規援助を要請したわけであります。その要請をするにあたりましては、世界銀行、IMF、その専門家がその立案に参加をいたしまして、したがいまして五億ドルという援助要請に対しましては、世銀及びIMFがこれを支持する態度をとったということは当然の帰結であります。ことしの一月になりましてインドネシア政府から、この五億ドルのうちわが国に一億二千万ドルの新規援助を期待するという旨の要請がなされたわけであります。これに対しまして、わが国としてはずっとどうするかという検討を続けておったわけでありますが、いま河村さんがおっしゃるこの前のこの委員会の段階、ああいう段階においては、わが国としてはインドネシアに対しましては意思表示を一切しない、ただ基本的な考え方だけを述べるにとどめる、万事スケベニンゲンの会議においてわが国の数字的な結論は出すという態度で応酬をいたしてきたわけであります。そのスケベニンゲンにおける会議の結果、六九年度の援助額ということがきまり、わが国としては一億二千万ドルというものに対しまして、正確に申し上げますと、いわゆるBE援助方式で五千五百万ドル、それからKR食糧援助といたしまして一千万ドル、プロジェクト援助といたしまして一千万ドル、合計して七千五百万ドル、そのほかに去年話題になった三千万ドルという中で、もしいい計画が六九年の経過においてできるならば、一千万ドルを限度といたしまして協力をいたしましょう、そうすると、総額といたしまして八千五百万ドル、こういうことに相なりますが、八千五百万ドルの約束をいたしたわけであります。その他、経済協力の意図表明、去年の三千万ドルに相当する額を加えますとちょうど一億二千万ドルになる、こういうかっこうでこの国際会議においてわが国の態度を表明した、かように御了承願います。
#91
○河村委員 大蔵大臣は、何か私どもは頭が切りかわってないような話をされましたけれども、われわれは別段海外経済協力全体について、いまよくわからぬ、裏に何かありはしないかということを言ったのではなしに、いま問題になっているインドネシアの問題だけについて私は言ったので、その点は誤解のないようにしていただきたいと思います。
 大臣は、四月十日のアジア開銀の総会に行かれて、五年間に援助を倍増するという演説をされて、たいへん現地ではほめられて、内容も豊かだし格調も高いということで非常に絶賛をされたそうでありますけれども、それはそれでよろしいのですが、われわれが知るところによれば、何か初めから一億二千万ドルときまっておって、最後もやはり一億二千万ドル、おまけに四月の七日、八日にインドネシアの大臣がやってきて、即座にまとまった。それから十日にアジア開銀、それから十一日か二日ですか、大臣がジャカルタに行かれた。十四日がスケベニンゲン、非常に段取りがぐあいよくできております。その上に一億二千万ドルというのは既成の事実のように言われておって、こういう結果になりますと、どうもわれわれから見ますと、大臣は何か国会での予算の審議の際にこれが問題になるのを避けて、知らぬ存ぜぬということで、実際は内々きめておったというふうにとられてもしかたがないような経過だと思うのですが、一体それをどうお考えになるか。それから海外経済協力基金からこの分には一体どれだけ出すことになっておるのか。二つの点についてお伺いいたしたい。
#92
○福田国務大臣 国会をどうのこうのという考え方は、私は何の工作というか、特別の配慮をいたしておりません。ただ、私がただいま申し上げたとおり、この海外経済協力につきましては、私はかなり積極的な考え方を持っておるのです。特にインドネシアにつきましては債権国会議というものがある。その債権国会議において世界銀行だ、IMFだというものが参加をして立案をし、日本にも期待するという計画がありまして、そしてスケベニンゲンというところで会議が開かれる。それをかりに日本が全面的に拒否したというような形でこれが成り立たないというようなことになると、わが国の責任というものはきわめて重大になる。わが国が今後経済をわが国自身として発展させる上においてもずいぶんむずかしい事態になるだろう。あれやこれや考えまして、結局スケベニンゲンの会議においては一億二千万ドルというかっこうをつけるということになったわけでございますが、実際約束いたしましたのは八千五百万ドルなんです。決して他意はございません。スケベニンゲンまでの時期において、金額は一切わが国としてはきめておらぬ。考え方、基本方針というものはきめておりましたが、金額はスケベニンゲンの会議において初めてこれをきめるということになった点につきましては、ひとつ御了承を願いたいのであります。
 その八千五百万ドルのうち、いまのお尋ねは、経済協力基金から幾ら出るのだというお話でございますが、これは村井局長から申し上げます。
#93
○村井政府委員 先ほど大臣から言われました八千五百万ドルのうち、KRの食糧援助、これは一般会計からの普通の支出ということになるわけでございますので、それ以外、つまり七千五百万ドルが基金から支出されるということに御了承いただきたいと思います。
#94
○河村委員 七千五百万ドルというような大きな額が経済協力基金から出される。それが何も説明なしに結局予算として成立していくわけですね。ですから、その点にわれわれは何か非常に割り切れないものを持つわけですが、それは時間がありませんから議論をやめます。
 大臣はいま、前年度も八千万ドル、ことしも八千五百万ドルと言われましたけれども、前年度の将来の三千万ドル、これは約束ではないというふうに話をされました。ことしもたしか四千五百万ドル、それと同じ性格のものがあるのですね。これは約束ではないのに金額が上がっているというのは一体どういう性格のものでありますか。
#95
○福田国務大臣 これは一方において一億二千万ドル日本では協力してくれぬかという要請があった。しかし、現実にそこまで私どもは支出をするという形の援助をする必要はあるまい。現に一億一千万ドル協力を約束いたしました四十三年度ですね、これにおきましても、現実の支出は五千八百万ドルであります。したがって、一億一千万ドルといっても、そうなかなか実現されるものではない。したがって、八千五百万ドルという約束はしましたが、その上にさらにいいプロジェクトがあればひとつ協力をいたしましょう、こういう意味合いをもちまして、これは将来のものでありますから、将来四千五百万ドルという約束をいたすということにいたしたわけであります。この約束と実際かなりまた違ってくるのじゃないか、こういうように思います。
#96
○河村委員 それがたいへんおかしいと思うので、前年度ですら三月末までに五千八百万ドルですか、それしか使われていない。そういったプロジェクトとしても計画がないから使えないということになるのだろうと思うのですが、商品援助が――この支出の五千八百万ドルの内訳は私も知りませんけれども、これだけしか使われないものを前提として、ことしまた八千五百万ドルを約束するというところに、何かただ言われれば出せばいいだろうというようなもので、実際中身の具体的な計画は何にもないということにしかならないだろうと思うのですが、その点は大臣、それでよろしいとお考えなんですか。
#97
○福田国務大臣 四十三年の五千八百万ドルというのは大体BE援助です。これは商品援助ですから、きちんきちんといく性格を持っております。その他の援助、これはこれからどういうふうにするか、いわゆるKR援助ですね、これは米を考えておるのですが、どういうふうになりますか、これから詰めていく問題です。それからあとのプロジェクト援助、これはプロジェクトができなければこれはどうしようもないのでありますが、一応のものはありますけれども、わが国としてもわが国のいろいろな立場、意見というものを持っております。そういうものが合致して初めて支出しようということになる。スケール、つまり計画全体としては七千五百万ドル、プラス四千五百万ドルということでございまするが、そういうことでございますので、実行がどうなりますか、実行がなるべく進んで、インドネシアがすみやかに再建されることを期待しますけれども、実際問題として結果はどうなるか、これはそういう内容のものでありまするから、計画との間に若干の違いが出てくる、これはまたやむを得ないのじゃあるまいか、かように考えております。
#98
○河村委員 いま大臣は、四十三年度のうちで商品援助が一番多いから、その分は当然こなせるという御説明でありましたけれども、商品援助だけで総額六千五百万ドルですね。実際使われたものが五千八百万ドルということになりますと、商品援助だけを対象にしてもそれだけは使われておらない。そういう状態のもとでなぜそういった実績を踏まえて今後の交渉をなさらないのか。ただ相手が一億二千万ドルだから、どうも義理があるから出さなければいかぬというのじゃ、大臣、それこそ大切な国民の税金を使うことでありますから、政府の責任としてははなはだおかしなものになるのじゃないか、そう考えますが、いかがですか。
#99
○福田国務大臣 国際社会におけるわが日本の立場、そういうようなものを考えますと、国際社会における一般の通念というか、考え方の動き、これとわが日本があまりかけ離れた動きということはなかなかむずかしい。そういうことになる結果、わが日本自体の狭い意味における国益、これにも大きな影響があるであろうというふうに考えるわけでありますが、そういう中において、これは国際交渉ですから、きちんきちんと理詰めの国内の予算を執行するようなわけにはまいりません。これはもう河村さんといえどもよく――よくというか、容易に御理解がいける問題ではないかというふうに思いますが、そういう機微の関係もあるということをお察し願いたい、かように考えます。
#100
○河村委員 大臣はどうも一般論に問題をすりかえられるので、たいへん答弁がずるいのでございまして、なかなか容易に理解できないのです。それは全体のスケールとして、いまの日本の経済援助は決して多いとは言いません。ですけれども、具体的にインドネシアの問題になりますと、ほかとのつき合いといったって、日本は非常に大きい。去年の実績でいえば、アメリカが二億ドルちょっと、日本が一億一千万ドル、アメリカのやつはほとんど余剰農産物を片づけるために出しているやつですから、日本が抜群に奉仕しているわけなんで、これを減らしたからといって、そんなに他国に義理合いを欠く性質のものでもない。そうなれば、過去の実績というものを前提にして、一体どれだけ消費できるのか、どれだけのプロジェクトができるのか、その計画があって初めて金額がきまるのであって、相手の言いなりというのは、そこに何かほかの政治的理由があるという以外には考えられないと思うのですが、いかがですか。
#101
○福田国務大臣 これは繰り返して申し上げるようでございますが、国際社会におけるわが国の立場ということ、これはどうしても慎重に考えなければならぬ。それからインドネシアの問題で、かりにわが日本がスケベニンゲンにおいて、IMF、世界銀行、そういうところも参加して立案されたこの計画に日本は承服できないのだ、こういうようなことで、かりにこの会議が決裂をしたというようなことになりますと、これはかなり大きな影響があるだろうと思う。
 インドネシアという国は、アジアにおきましては非常に大事な国です。これは資源も豊富です。かつ人口も多く、アジアの平和、そういう点から考えても、また繁栄というような点から考えましてもきわめて重要な国であり、わが日本もインドネシアの再建のためには、アジア以外の域外の国までが心配しておるそのときに、わが日本がそしらぬ顔というわけにもまいりません。そういうようなことから、わが国としてもこれに対しては積極的な態度をとらなければならぬ立場にある、こういうふうに考えますが、ただ実行につきまして、去年は受け入れ体制が整備されなかったというような問題もありまして、インドネシアの経済行政機構というような問題もあるのですけれども、そういう問題もあって、去年はだいぶ計画と実行との間に違いが出てまいりましたけれども、だんだんそういう面もわが国も協力いたしまして整いつつあるのです。そういうようなことから、今後は幾らか促進されると思います。思いますが、河村さんは四千五百万ドルという、また去年でいえば三千万ドルという、いわゆる協力意図表明というものを考えるものですから、その差がえらい大きいように思われるようですが、これは実際約束をするのは、ことしでいえば八千五百万ドルなんです。その八千五百万ドルが、さあ来年どういうふうに実行されるかというようなことになりますと、私はそう大きな違いは出てこないのではないか、そういうふうに見ております。
#102
○河村委員 私は、別段インドネシアの問題に知らぬ顔していろというふうに言っているわけではないし、インドネシアが大事であることも知っております。ですから、日本としてそれに値するだけの、インドネシアをほんとうに再建して経済自立ができるようにするために適正な援助をすることに何ら異存はないのですけれども、私がさっきから申しておりますのは、どうも実績も考えず、あまり具体的な計画もなしに、何かインドネシアにばかり気を使っている。大体アジア全体の経済援助の中で、インドネシアに対する分は非常に大きいのですね。半分以上じゃないでしょうか。そういうことまでしなければならないかという点について非常に疑問を持っているものですから、それで質問しているわけでございます。約束の時間ですからやめますが、一体いまこの援助の中で一番大口を占めております商品援助というやつは、援助のやり方としては決してりこうなものではないということは定評があるわけですね。インフレ収束のためにやむないとはいうものの、その内容自体もかつては何か生ゴムのはずであったのが怪獣映画と座頭市になったというような話もありますが、いまそれほどのことはないのでしょうけれども、やはりかなり問題があるようです。
 もう少し伺いたいところでありますけれども、時間がありませんので最後に、それではこの商品援助というものを、インドネシアとの合意の中でも、これは減らしていくのだという約束があるはずですね。一体その点をどう考え、これから一体いつまでこうしたものを続けていくのか、それを最後に聞いておきたい。
#103
○福田国務大臣 インドネシア援助はまた来年度も続くと思います。これは、インドネシアがいま五カ年計画というものに取りかかっておるわけでありまして、ことしがその起点になるわけであります。その期間かなり国際収支について不足が出てくる。こういうことからおもしは来年、再来年くらいのところへ大きくのしかかってくるのじゃないかと思いますが、しばらくの間そういう状態でありますので続くのじゃないか。しかし、インドネシアが安定し繁栄するということになることは、アジアの安定のために非常に大事なことでありますので、今後とも日本は、日本の経済の状況、財政の状況、そういうものを勘案しなければなりませんけれども、また日本の今後の国際社会における立場も考えながら、応分の協力をしなければならぬじゃないかというふうな感じをいま持っておるわけであります。
#104
○河村委員 私が伺っておるのは商品援助のことを伺っているので、五カ年計画を遂行するにあたってインドネシアの国際収支をカバーしてやるといった意味であるならば、何も商品援助でなくてもよろしいので、経済開発に必要なプロジェクトの援助でも差しつかえないわけですね。商品援助そのものというものは、私どもは少なくともインフレ収束上やむなくやっておるのだというふうに了解しておるので、国際収支そのものじゃないはずなんです。ですから、こういう望ましくないものは早くやめるべきだという意味から、一体いつまでこういうことをおやりになるのか、こういうことを伺っておるわけです。
#105
○福田国務大臣 商品援助につきましては、去年インドネシア援助をする際にインドネシア政府に対しまして、これは漸減をいたしたいということをわが国として申し入れ、インドネシア政府もそういたしましょうということであったわけであります。ことしはその約束に従いまして、商品援助は去年は六千五百万ドルであったものを五千五百万ドルに一千万ドル減らしております。今後もこの考え方は続けていきたい、こういう考え方であります。
 私ども日本政府としては、なるべく資源開発に役立つ援助、こうしたい。資源が非常に豊富である、その資源を開発して、その資源によって借りた金なんかの返済にも充てる、こういうような考え方、これが私どもはこれからのインドネシアとしてはとるべき考え方じゃあるまいかといって、それをおすすめいたしておる最中でございます。
#106
○河村委員 終わります。
#107
○田中委員長 次回は、来たる九日金曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
   午後一時四分散会
ソース: 国立国会図書館
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