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#1
第061回国会 大蔵委員会 第35号
昭和四十四年六月十日(火曜日)
    午後一時二十六分開議
 出席委員
   委員長 田中 正巳君
   理事 毛利 松平君 理事 山下 元利君
   理事 只松 祐治君 理事 村山 喜一君
   理事 竹本 孫一君
      伊藤宗一郎君    大村 襄治君
      奧野 誠亮君    木野 晴夫君
      河野 洋平君    笹山茂太郎君
      正示啓次郎君    西岡 武夫君
      本名  武君    山中 貞則君
      吉田 重延君    阿部 助哉君
      井手 以誠君    久保田鶴松君
      佐藤觀次郡君    多賀谷真稔君
      中嶋 英夫君    広沢 賢一君
      広瀬 秀吉君    春日 一幸君
      河村  勝君    田中 昭二君
      広沢 直樹君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 福田 赳夫君
 出席政府委員
        内閣法制局第三
        部長      荒井  勇君
        大蔵政務次官  上村千一郎君
        大蔵省主税局長 吉國 二郎君
        国税庁長官   亀徳 正之君
 委員外の出席者
        専  門  員 抜井 光三君
    ―――――――――――――
六月九日
 租税特別措置法の一部改正に関する請願(竹下
 登君紹介)(第八三一八号)
 同(山村新治郎君紹介)(第八三一九号)
 同(岡本茂君紹介)(第八四三四号)
 退職公務員の医療制度に関する請願(永山忠則
 君紹介)(第八三二〇号)
 同(野田卯一君紹介)(第八四三五号)
 同(藤井勝志君紹介)(第八四三六号)
 同(坊秀男君紹介)(第八四三七号)
は本委員に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国税通則法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第三〇号)
 国税審判法案(広瀬秀吉君外十一名提出、衆法
 第四号)
     ――――◇―――――
#2
○田中委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出の国税通則法の一部を改正する法律案及び広瀬秀吉君外十一名提出の国税審判法案を議題といたします。
 質疑の通告がありますので、順次これを許します。広瀬秀吉君。
#3
○広瀬(秀)委員 国税通則法の一部改正について若干の質問をいたしたいと思います。
 まず最初に、国税庁長官にお伺いしたいのですが、国税庁統計年報書の昭和四十二度版が出ているわけですが、その中で、四十二度の滞納件数が三百五十一万八千九百九十六件、税額にして二千七百七十一億三千三百万、こういう数字になっております。特に昭和四十三年では、これは五月二十二日の新聞にも出ているわけですが、「国税滞納一千億円、大口ばかりふえる傾向」こういう新聞記事も出ておるわけであります。絶対額はかなりふえている、あるいは件数もふえている。しかし、二十九年当時を比較すれば、比率としてはかえって減少しているんだというようなことを、一応国税当局としては言っておるようでありますが、この滞納について、一体国税庁長官は率が減っているのだからというようなことでいいと思っておるのか。その内容、質の問題、こういうような面等について、大口がふえるというようなことが、今日の経済状況の反映としての税制という問題も、徴税行政の上では経済情勢の展開がどういうぐあいになっているかということと重大な関係があるわけでありますが、そういう立場を考慮しながら、こういう傾向に対してどのようにお考えになっておられるのか。また、それについてどういう詳細な検討をなされて、滞納を、より一そう質もよくなり、さらに絶対額も減少の方向に持っていこうとなさっておるのか、その対策についてどういう御構想をお持ちか、まずこういう問題について……。
#4
○亀徳政府委員 いま先生のほうから、パーセンテージは確かに減っておるだろうがということで、先におっしゃったような感じですが、やはりその点は、ちょっと私としても触れさしていただきたいと思っております。
 年間の滞納の見方は、いろいろな角度からございましょうが、一応年度の徴収決定額に対してどれだけ滞納があったか。もちろん過年度分の問題、その他もございますが、一応年間の滞納の発生割合という数字にまず最初しぼって申し上げますと、昭和二十四年、二十五年度は、率直に申してたいへんひどいときでございました。当時の年間の徴収決定済み額に対する年間の新規発生の比率をとってみますと、二十四年度が四一・八%、それから二十五年度が三五・五%、徴収決定したうちのほとんど半分近くが滞納になるという事態、二十六年度も三六・三%、二十七年度も三二・九%、こういう激しい姿がだんだん減ってまいりまして、三十年度当時では一〇・七%、それから三十一年度以来ずっと一〇%台を切りまして、四十二年度を申しますと四・二%、四十三年度は三・七%、こういうぐわいに総体の徴収決定済み額に対します年間の発生割合は減った。この事実はやはり御認識願いたい。
 それから、確かにことしの滞納がふえはいたしましたが、年度末の総滞納、これは過年度分、それから新規発生分、含めまして、年度末の滞納総額が四十一年度で九百九億、四十二年度で九百五十八億、それから四十三年度が千三十億、したがいまして、もちろんこういった滞納額が減ることは当然望ましいわけでございますが、賦課徴収決定額も四十一年度の三兆二千二百三十九億から四兆六千七百八十七億と、相当徴収決定済み額もふえておりますので、徴収決定済み額がふえていく姿と対比しますと、絶対額では若干ふえておりますが、そこで滞納が著しく急に目立ってふえたというには当たらないのではないか、かように考えております。
 ただ問題は、大口滞納、小口滞納、特にいろいろ具体的な滞納につきましては、やはり納税者の方々の資金繰りとかいろいろな要因でやむを得ず滞納になる、また、ある程度納付計画をお示しいただければ延納していただくことも、納税者の方々の便宜をはかってけっこうですという場合もあるわけですが、ただ、こういうケースが間々中にございますのですが、例の大口滞納といいますか、非常に大きく課税が漏れておりまして、前長官あるいはその前の長官時代から相当大口の案件を、課税額も二十億、三十億というようなケースを思い切ってやっております。そういう場合にある程度取れますけれども、残念ながら相当額がやはり滞納として残る、こういった問題。それからまたもう一つは、非常に訴訟にかかります。それで税額も大きい。訴訟にひっかかったような案件は徴収面でも最終納付がなかなかできないという点がございます。しかし、その余の問題につきましては、われわれも小口の滞納があまりいつまでも残るということはおもしろくないし、それから集中して問題を処理する体制を進めるということで、ここ二、三年特に地方の税務署ではほとんど滞納をなくして年度を過ごすという署が相当出てまいったわけでありますが、東京あたりはまだまだ小口の滞納がございますので、いなかの局から応援を求めて、短期でございますが、集中的に小口の滞納を整理するというような特別の施策もやっておりまして、極力こういった滞納を少なくするように百方手を尽くして努力しているような次第でございます。
#5
○広瀬(秀)委員 いま私が問題にしましたのは、これはもう少し詳しく中身を調べないと、私どもなかなか国税庁から出された統計だけでは中身がわかりません。特に新聞では見出しに大口がふえているということなのであります。この大口がふえているというのはやはり非常に問題があるのではないか。今日は景気全般からいっても上昇の過程にある。そういう中で大手企業というようなものがかなり活発な活動をし、当然所得もふえているはずだ、経営の内容もよくなっているはずだ、そういうように客観的には国民の大多数の者は思う。そういう中で滞納が大口に多い。新聞に出た数字は四十三年度、まだそれしかありませんので、それを引用させてもらうと、滞納額が一千万円をこえる大口は千七十九人だ、前年度はそれよりも五十人少なかった、金額についても三百七十四億で、前年度は三百五十一億だ、こういうように書かれておるわけでございます。こういうことをどういうようにお考えなのかということをお聞きしたいわけです。なぜそうなのか。
 資金繰りの問題ということがいまちらっと出たわけでありますが、それも一つの原因としてあるかもしれないということもわかります。この滞納の所得階層別のパーセントはどのくらいになっておるのか、全体的には二十九年度が二二・八%、四十三年度は三・七%程度、こういうお話だけでは、滞納というものがどうして出るのかということについて、経済情勢というものと密着した中で問題を把握していこうという立場からは非常におかしく見えるというようなことから、階層別にどういうような滞納の状況になっておるか。こういうことについて研究されておりましたら、その点をまず聞いて、それから先ほど答弁が残った、なぜこういうような状況になるのかということについての所見を求めたいわけです。
#6
○亀徳政府委員 先ほどの話に付加させていただきますが、この間新聞発表しました数字を先生御引用になっておると思いますが、四十三年度で大口滞納だけにしぼってみますと、滞納税額が一千万円以上の人がいま先生のちょっとおっしゃいました千七十九人――これは滞納処分の執行停止を許している者がございますから、その分を除きました純滞納の額を申し上げておりますが、一千万円以上のものが人員で千七十九人、税額で三百七十四億円ということになっております。したがって、税額で占めるパーセントは確かに多うございます。それから人員では〇・三%。ですからあとは相当小口が多い。
 ただ先ほど私、抽象的な資金繰りというふうに簡単に申しましたので、十分な説明の感じが読み取れなかったかと思いますが、全般の小口を含めた滞納の原因として資金繰りということを申し上げましたので、いわゆる大口滞納の、あるいはむしろ同じ人の滞納がやはり引き続き残っているというケースが実は残念ながら多い。その場合のケースは、先ほど申したように、査察なんかをやりましたあれで、案外納付がスムーズにいっている例もございます。しかし同時に、そういったあれで課税はきっちりいったけれども、実は金を使ってしまってあまりないということで滞納になっている、あるいは訴訟に係属中でどうにもならないというように、したがって、ただ大きい会社とか大口の納得者即大口の滞納者ということではございませんので、やはり非常に大口滞納の場合には一件一件申し上げませんとその理由が的確でないかもしれませんけれども、一つ一つが訴訟にひっかかっているとかいうこと、それからまた平均にしますとあれですが、この三百七十四億円のうちでも非常に大口の脱税でひっかかってなお滞納が残っております者の税額がまた多うございますので、そういう特殊なもののために大口一千万以上の者の総体の税額が多い形になっております。
 ただ、こういった数字までは署ではなかなかうまくいきませんものですから、おそらく一千万以上のものは大体国税局の特別整理部門の徴収官に専担させて、場合によればこういった問題は単に普通の徴収のあれだけでは不十分でございまして、国が原告になりまして訴えて、債権の差し押えとか、そういう面ではっきりしない点を、これは確かに納税者の債権ではないかということでその債権を差し押える、それについてすぐまた裁判の上で問題になるというたいへんむずかしい問題がそれぞれからんでおりますが、そういう点も配慮いたしまして、そういった大口滞納を極力整理するように督促しておるような状況であります。それでそういったものの大半は国税局で処理さしております。
#7
○広瀬(秀)委員 大口の分でずっと継続をしているものがあるという。この新聞によりましても、森脇文庫系統のものが、森脇将光さん本人のものと、それから組織の文庫のほうと、それから関連のものなどを入れると、上位五つのうち四つはそうだということも出ておるわけであります。これは訴訟の問題ともからんでおるかもしれませんけれども、こういう大口の滞納というようなものについて、この滞納処分の状況というようなものについてはどういうようなぐあいにやっておられますか。この森脇関係のものなんかは、訴訟の関係で換価処分までいかないというような状況にあるのか、大手であるというような形から比較的ゆるやかな処置を認めておる立場をとっておるのか。これは森脇だけに限りませんけれども、大口の場合に債権の可能性の問題、滞納はしているけれども、やがてよくなるだろうというようなことで見ておるのか、ここらのことはどういうことになっているのですか。
#8
○亀徳政府委員 こういった問題について、差し押えし、また預金その他で取り得るものは全部取り尽くしておりまして、むしろいろいろ問題になっておりますものは、やはりこういう金融業ですからいろいろ債権を持っておる、それについてむしろこちらから進んでやはり訴訟も起こしてそれを争わなければいかぬ問題がございますし、それから不服申し立て中というために換価処分が制限されるという問題もございまして、率直に申してままならない状況があることも事実でございます。しかし、そのために手をゆるめるとかいうことは一切いたしておりません。その点は十分御認識していただきたいと思います。それから大体国税庁といたしましても、大口のこういう滞納案件の進行状況については、やはり個別に注目いたさせておるような次第でございます。
#9
○広瀬(秀)委員 滞納の問題につきましても、こういうぐあいに大口ばかりふえる傾向だというようにいわれるということは、やはり非常に問題があると思うのです。われわれが接している庶民大衆の場合には、滞納するとすぐに差し押えが来、あるいはまた換価処分、差し押えの執行までされるというような事例が非常に多い。ところが、大口の場合にはいろいろ訴訟でさらに延ばしていくというような方途も講ずることができる、大手の企業等については。そういうことになると、いわば小さいところが結局血も涙もないというような形で執行までやられてしまう、大口はいろいろな防御の手段も講じてそうはいかないというような印象を与えないように、この滞納処分の問題についてもぜひひとつ的確な厳正な、特に大口に対しては私はむしろ一般よりはきびしいくらいの態度で臨んでいただかねばならぬと思うのです。
 続いて、脱税の問題も、最近、五月に国税庁から発表になっておる。脱税摘発を六十数億にわたってやった、こういうことでありますが、これもこのような不当な脱税、しかも大型であり、非常に巧妙化し、悪質化しているということがやはり指摘をされておるわけですが、この問題についての対処のしかた、それからいまどういう傾向――そういうものが悪質だ、あるいは巧妙だという、そういうようなものでどういう傾向が今日あるのか。大型化と巧妙化ということで表現されておるわけですけれども、そういう問題についての国税庁としてこの脱税摘発の問題に対してどういう立場でこの問題に対処をして脱税のないような状態というものを期しているのか、そういう点についてお答え願いたい。
#10
○亀徳政府委員 やはり申告納税制度を確実にしていく、まじめな納税者を一人でもよけいにふやしていくというためには、反面、先生おっしゃいますように、大口の脱税をどこまでも追及して摘発していくということが、やはりまじめな納税者の方が正直に申告される、いわば動機という気持ちにもつながるわけでございまして、われわれといたしましては能力をフルにあげまして、そういった点の追及に努力いたしておるような次第でございます。機構的には、先生御存じのように、国税局に査察官の制度を設けまして、査察官はどこまでも強制調査ができるわけでございまして、強制調査の手を尽くして真実をつかむ努力をする。また国税局に、やはり大法人あるいは問題事案については、日数とかそういうところに制限なく調査するという体制を片やしいております。そういうことを通じて、極力大型の、また悪質の脱税者のまた同時にいろいろな資料の交換、またいろいろな調査を通じて、何かチャンスがありますとすぐそれを資料化して通報する。それから第三者の通報もございます。いろいろな点を活用して、そういった端緒をつかんでおります。
 巧妙という点になりますと、実はいろいろなタイプがございまして、一々申し上げにくいのですが、たとえばいろいろなケースがございまして、あるケースは、収入金額はわりと一応ほんとのことを言うのですけれども、架空仕入れということで大きく計上する。それから、よくありますのは、やはり利益率はわりと一見正しいようにしておるわけですが、売り上げをごっそり抜かすことによって所得の通脱をはかる。またそれのいろいろな組み合わせということがございます。大体、残念ながら隠匿しましたそういった所得が何らかのかっこうで資産を形成いたしておるわけでございます。それが、あるいは土地とかいう不動産に隠れておる場合もございます。また、これがやはり預金で、例の匿名、架空名義の預金になる、あるいは無記名が利用される、あるいはそれがいろいろな証券の形に変わっているということでございまして、一応調査した過程、表面上を見ますと、いかにも帳簿の上ではつじつまが合うような形をしていて、実は大きく基本が抜かされている。それから架空仕入れの例でも、ほとんどもう印刷までして、仕入れがあったごときことを計画的にやるとか、こういった場合はなかなかつかみにくいわけでございます。しかし、あらゆる障害を越えて、真実の所得をつかむべく全員を督励して努力いたしておるような次第でございます。
#11
○広瀬(秀)委員 そこで、脱税摘発の一番多かった業種といいますかそういうものに、遊技場、あるいは飲食業、医師、不動産業、さらに建設業なども入るようでありますが、そういうような指摘もされておるわけですね。そういうところにわりあい大口脱税が多いということであります。そういう場合に、査察官に対する通報があるとか、あるいは第三者通報というような形でそういうものがあったりするわけでありますが、そういう場合が大体摘発の契機といいますか、チャンスになっていることが多いのか、それともやはり定期的な調査活動、そういうようなものの中から発見する場合が多いのか、一体その辺のところはどうなっているか。
#12
○亀徳政府委員 発見の端緒はいろいろなケースがございまして、画一的なことは申し上げられませんが、先ほど言った通報による場合、それからいろいろな資料面からの通報連絡による場合もございますし、また、一般の税務署なり局なりの普通の調査の過程において非常に大きな脱漏があった。それでちょっと署の体制では手に負えない、やはり査察官の調査でないと不十分ではないかということで査察官にその調査をお願いして、査察官に仕事を引き継ぐといいますか、まかして査察が行なわれる場合もございます。
#13
○広瀬(秀)委員 どっちが多いですか。
#14
○亀徳政府委員 大体半々ぐらいではなかろうか、ということでございます。
#15
○広瀬(秀)委員 こういう新聞記事が出れば、脱税をして、免れて恥なしというのはかなり多いんではないかと、当然見られるわけです。六十億を摘発した――これなんかは、たいへんな成果だと見る人もあるけれども、国民の大多数は、大体においてこれはほんの氷山の一角だという見方をするだろうと私は思うのです。これがやはり実態ではなかろうか。実態をそういうぐあいに推測せしめるような問題だと思うのです。脱税の摘発問題というのはですね。そういう場合に、通報連絡というようなものを待ってやるというようなことは、いわば非常に受け身の立場で、脱税しているものをしっかり捕捉してのがさないという、そういう積極的な、脱税を許さぬ体制というようなもの、このためには、やはり半々だというような言い方ではなしに、特にこういうようなものが大型化し、巧妙化しているという、そういう段階においては、大きな資本あるいはそういう特に指摘されて最近多くなったというようなところ、そういうところには積極的な調査というようなものがなされて当然だろうと思うのです。そういう点についての、そのときの事態に応じて、それから脱税のおそれというものが非常に色濃く存在するというようなところに対しては、ある程度中小零細の国民の間違いによる申告の脱漏、狂いがあるようなところばかり調査をやってないで、そういうものに集中的に調査をやるというような、やはり計画的なもの、それから積極的な、大口でしかも悪質な脱税などを許さぬのだというようなかまえというものは、全体的な、租税公平の立場からも、公共的な立場からも、民主主義の貫徹の立場からも、また漏れているものをしっかりつかんでいくという、そういう立場からも、非常に必要なことじゃないかと思いますが、そういう点についてのお考えはいかがでございますか。
#16
○亀徳政府委員 その点の御質問でございますと、われわれの体制のことも申し上げたほうがいいかと思いますが、現在査察官が約六百名配置されています。それから大きな、六十億以上の資本それからまた問題の事案というものを、特官とわれわれは通称して、特別国税調査官という制度を設けておりまして、これは時間的な余裕のある体制のほうがいいということが、これについては一人が一年間一社を大体やればいいだけの人員をそこには配置いたしております。それから資本金五千万以上の法人でございますが、こういったところの調査課所管の法人に対しましては、一人が大体一年に十件調査すればいい体制にしております。それから税務署所管の法人につきましては、一人が大体百件担当、もちろんその中にまじめな人もおりますから、調査省略とかいろいろな問題がございます。そういうものを込めまして人員配置の体制を、一人が百件持つような体制、それから所得税でございますと、一人が大体二百件ないし三百件、ところによっては四百件という分担にいたしております。と申しますことは、問題に応じて人員の配置を、そしてまた同時に調査能力をも考えてやっておりますから、そういった点で漏れなく把握できるような体制は少なくとも整えております。
 それから、先ほどの資料なりいろいろな第三者の通報というケースもあるわけですが、ただそういう受け身の体制ではございませんで、いろいろな経営分析、この業種については大体ことしの情勢はどうだというその業種の状況というものも把握しております。大体こういった業種では利益率はどのくらいあるだろうということが長年の調査でもわかっております。この申告はおかしいというものをそういう限られた人員で調査するにしても、ただおしなべてのあれでは薄くなるわけですから、経営分析、そういったものから見て、申告の状況がおかしいではないかというものを極力選ぶように配慮をいたしております。また同時に、その合い間合い間に第三者の通報もありということで助けられている点もございますし、いま言った経営分析でおかしいという申告のあったものを進んで積極的に取り上げて調査する。その調査の過程でおかしいと思ったらまた査察に切りかえる。したがって、決して受け身でかまえているようなわけではございません。
 ただ、これは私の夢物語みたいにときどきぽっと思うのですけれども、桃色、赤、白、正しい人は白で、悪い申告をしていたら思わず顔がぽっと赤くなる、こういうようなぐあいになればいいのですが、そういうきめ手になるようなあれが残念ながらない。
 それから同時に、私たちがもう一つ忘れてはならないことは、やはりまじめに申告――ですから、納税者というのをみんな脱税をしているんだ、こう見てかかるということは問題だ。いろいろくどいようになりますが、先生が、われわれがいろいろ発表することに関連して、ほかにみんなそういうものがあるんじゃないか。確かにああいったものの公表については、われわれも二とおりの効果があると考えております。一つは、われわれもそういうところで努力しているということがまじめな納税者のためにプラスになるのじゃないか。しかし残念ながら、新聞は必ずしもわれわれが思うような書き方をしてくれませんで、みんなああいうことなんだ、こういう冷たい批評もされます。しかし、私はこの点考えてみまして、全体がそういう人であるとは決して思っておりません。同時に、私は、まじめな納税をしておられる方々のために国税当局が苦労しながら脱税摘発に努力しているということは、調査の秘密にわたることは避けながらも、ある程度その事実を公表するということがプラス面があるのではないか、かように考えております。
 いずれにしろ、調査対象の選定といいますか、どれが脱税しているかということの選別ということがたいへんむずかしいことであるということをまた御理解いただきたい。その中でわれわれは精一ぱい努力していることを御認識いただきたい、こう考えるわけでございます。
#17
○広瀬(秀)委員 重ねてお聞きいたしますけれども、大企業、中小企業と分けまして、これはあなたのほうの税法関係では一億以上が大資本だ、こういうようにいっておるわけですが、それでもけっこうです。資本金一億に満たないものが中小企業だ、それ以上が大企業だ、こういう考えでけっこうですから、その調査の密度というものはどっちが高いのか、この点についてわかっていたらひとつ答えてもらいたいと思います。
#18
○亀徳政府委員 先ほど分担件数を申し上げましたのも、先生のいまのそういうお気持ちにこたえるつもりで申し上げたはずでございまして、具体的には、大きいところには一人でございません、三名とか四名とか組になっていっておりますが、たしかいま大体、先ほどの特官の所管するところにつきましては六割をこえるものを調査いたしておるかと思います。それから調査課所管は大体三割を調査の対象にしておる。それから税務署所管はその半分の一四、五%。所得税に至ってはとてもそうはまいりませんで、一〇%を若干欠けるようであります。それからまた、私たちが特に近ごろ申し合わせておりますことは、これは問題がありそうだといって徹底して疑ってかかる調査もございます。また、残念ながら全然店先に行かないとだんだん申告が低下していくという方の場合には、ある程度臨戸調査といいますか店に臨んで状況をいろいろお聞きするということによって申告水準も上がるようなケースがございます。いろいろ多極多様でございます。
 同時に私たちは、もう一つ推進いたします点は、やはり青色申告も極力ふやしていく。また法人の中でも、この店は優良な店だというけじめを極力早く見きわめたい。そしてまじめなグループというものを別にすれば、それだけ今度はわれわれの調査余力というものが大きく脱税しているところに向けられるということが本来の筋ではないか。したがって、大きなところをとことんまでやるとともに、本来はまじめに一それは若干は税法の間違いはございますが、まじめに申告しようとかまえている人に疑ってかかったり、重箱のすみをつついて水をぶっかけるということが片やあってはならない。これは前回以来田中先生もよくおっしゃっていらっしゃいますが、いわゆる指導的な立場というものをはっきり維持していかないと、申告納税制度全体を育成するということが基本でございますので、その点も忘れてはいけない。同時に、大きく抜けたところはとことんまで調査していく。残念ながらいまの所得税というのはわりに調査余力がないところですけれども、所得税でなくて、私いろいろな査察の結果を見て心が痛むのですが、十分の一くらいの申告で済ましているところが査察で発見されるというような事態にぶつかりますたびに、やはりわれわれはしっかりやっていかなければならぬということを日々反省し、感じておるような次第でございます。
#19
○広瀬(秀)委員 先ほどは、査察官一人について十社なら十社というような分け方をしている、あるいはまた、税務署段階では一人が百件ぐらいの調査をする、こういうような比率を言われた。それでは実際に密度の点ではどうかということになりますと、六〇%、三〇%あるいは一四%という数字をあげられたわけですが、そういう形でほんとうに本格的な調査を大企業にむしろ密度が高く――大きいところが脱税をするというようなことになれば、やはりこれは金額も大きいし、社会的な責任というような面からもまた非常に不当性というものはより高いウエートを占めるわけであります。そういうことがその数字どおりにほんとうに実効をあげるように厳格に運用される。いま国税庁長官が最後のところで触れられたそういう配慮というものを十分しながら調査すべきところはきちんと調査する。特に大手の脱税などというものは、これはもう利益も非常に大きいし、社会に及ぼす影響も重大であるだけに濃密な調査をより一そう徹底さして、大口の中で脱税が絶対起こらないようなそういう体制というものはより一そう強化すべきだろう、こういうように思うわけであります。
 滞納、脱税の問題はそれくらいにいたしたいと思います。個別の事案についてはあるのですが、きょうはやらないことにいたしておりますので、これはまたいずれあとでやりたいと思います。
 それから、実は国税通則法のネットの問題について質問をする前に、税務関係の争訟等において判決が出たというような問題について、これは主税局長にも答弁を願いたいわけですけれども、まず課税標準率表の秘密性という問題について若干御質問をしておきたいのです。これは推計課税の有力な根拠になるものであることは申すまでもないわけであります。所得標準率表あるいは効率表、こういうようなものがこれに当たると思うのでありますが、大阪地裁の昭和三十七年(わ)の二三一二号、昭和四十二年五月十一日の判決で、これは公務員の守秘義務に該当しないのだという判決が出ておるわけですね。これは全体的に公務員の守秘義務の問題としてではなしに、その中でいわれている実体的な判決の趣旨というものは、やはりこの標準率表、効率表というようなものの秘密を実体的に保つ必要がほんとうにあるのかどうかという本質論から判断されている、こういうように私は思うのです。その事件では国側が敗訴になった。その後これはどういうようになっておりますか、まずそれから伺います。
#20
○亀徳政府委員 先ほど先生がおっしゃいましたような判決がございまして、直ちに控訴いたしております。
#21
○広瀬(秀)委員 控訴をして最高裁まで行かなければこれは事案が確定したとはいえないわけですけれども、しかし、標準率表というのは、税法上の意義としては、「営業庶業等の年間総収入金額または売上額(基本金額)にたいする所得の比率の業種日別一覧表であって、基本金額にたいする差益率、所得率、雑収入率、固定資産税加算率、標準経費等を示し、実際の使用にあたっては、基本金額についてこれらの比率を適用して計算された所得金額から特別経費を控除して得た金額を所得金額として算出するようになっております。効率表というのは、従業員数、在庫品高などの外形標準により右基本金額を示す比率の業種日別一覧表であり、調査により把握した効率項目に効率を乗じて計算した金額になお若干の加算減算を施して右基本金額を算出するようになっております。
 こういうことでありますが、これは税務行政執行にあたっての非常に重要な問題だと思うのですね。推計課税を許しておるという場合であっても、推計課税が許されているということと、これをあくまで大衆に示さないで、税務当局だけの秘扱いのものとして公表は絶対しないんだという、なぜそういうことが税の執行上必要なのかということについては、私どもわからないわけです。その大阪地裁の判決によれば、私どもまさにそうだろうという判断が下されておるわけであります。ちょっと読んでみましても、
 「税務行政においては租税法律主義が貫徹される結果、法的安定性の要請上、税務当局の行う租税法規の解釈、適用およびその前提たる租税要件事実の認定は納税者たる国民の側において予測されるものでなければならない。いかなる基準にしたがって租税要件事実が認定されるのか、認定された事実にたいしていかなる租税法規が適用されるのかということを納税者が予測できてこそはじめて税法の領域における国民の法律生活が安定するものであり、これらの点が不安定で予測不能であるかぎり税法秩序は成立せず租税法律主義の営む国民の財産権の保障的機能は滅却してしまう。」であろう、こういうことが述べられております。「本件標準率表および効率表はその性質上税務当局によって秘密にされるべきものではなく、いわゆる実質的秘密性を有しない。」
 こういう判断で、これは中段を略しましたけれども、そういうことが述べられておる。私どもこれは全く賛成なんですね。これは高裁、最高裁で争うこともいいでしょうが、こういう正しい判断が最高裁で最終的に確定されることを私どもは心から望んでおるわけですけれども、なぜこういうものを秘密にしなければならぬのかということ、こういう点について、われわれが納得できるような説明をひとつこの際してみてください。
#22
○亀徳政府委員 租税法律主義の見解について、私は裁判長と見解を異にいたします。租税法律主義というのは、やはり与えられた課税標準、たとえば所得をどう計算していくか、その課税標準の確定のところについての問題であろうかと思います。それで本件の標準率の問題はあくまでも事実認定に関する問題でございまして、所得税法の第百五十六条に、「推計による更正又は決定」「税務署長は、居住者に係る所得税につき更正又は決定をする場合には、その者の財産若しくは債務の増減の状況、収入若しくは支出の状況又は生産量、販売量その他の取扱量、従業員数その他事業の規模によりその者の各年分の各種所得の金額又は損失の金額」カッコを略しまして「を推計して、これをすることができる。」といいまして、本来は、やはり日々の記録を簡単でもよろしゅうございますからつけていただく。そうしなければ事実申告はできないわけでございますから、しておくことを期待し、また事実青色申告が最近非常にふえておりますので、こういう推計課税をする必要は少なくなっておりますが、およそ帳簿が何もない、こういう場合にはやむを得ず推計課税をせざるを得ないという論拠が所得税法にはっきり規定されておるわけでございます。これはもちろんその事実がきまらなければ税金がわからないという意味では確定しなければいけませんが、問題は何が経費と認められるか認められないかということが法律にしっかり書かれなければいけないということが租税法律主義の意味ではないかと私は考えております。
 それで、問題の効率、標準率ですが、効率は大体普通の、たとえば喫茶店だったら、大体どの辺で、いす一つでお客の入りぐあいで、従業員が何人おれば一人平均どのくらいの収入があるだろうかということをいろんなサンプルをとって平均的に調査したものでございます。そういうことでそれの基本をきめ、そして標準率は、経費が大体その業種ではどのくらいか。これはいわゆる卸、小売りで分けておりますし、それから地区によっても分けておりますということで、大体標準的な経費はどうか。それから同時に、ほかの標準外の経費は先ほど先生おっしゃったように別個に引くというかっこうで、やむを得ず推計して課税せざるを得ないというまさに例外的な措置でございます。
 したがいまして、これを公表してその数字でみんな申告すればいいんだということはたいへん誤解を生ずる話で、またそうすべき筋合いのものでは決してない。むしろたてまえは、やはり御自身で記録をとどめて申告していただくということが本来の筋でございまして、これを公表することによって、みんなそれで申告すればいいのかということで申告されるということは、やはりいまの申告納税制度というものを守っていくたてまえからいきますと邪道ではないか。同時に、これは単にそういうあれでございますとともに、この申告がいいかどうかをチェックするためにも使っておるものでございまして、やはり事柄はあくまでも秘密にすべきものだと考えております。それで、事柄が秘密であると考えておりますし、また同時に効率、標準率を形式的にも秘扱いにしております。
 それでついでに、誤解がありますといけませんから本件について申しますと、これは秘扱いにしておるものを特定の税務署員が商工会に路上で渡した。印刷して公表することを前提としておったのでありましょう。それを渡したそのことをとらえられて、それが公務員法違反に問われた。それで本件は、内容の秘密もありますし、形式的な秘密をそういう形で渡すということ自身がやはり問題であるということで公務員法違反に問われたケースであることを申し添えさせていただきます。
#23
○広瀬(秀)委員 いま判決と全く反対だというお話があったわけでありますが、白色申告等について推計課税が行なわれるということも、これは所得税法にもちやんと規定がありますし、そういうことについていまここで問題にしているわけじゃないのです。そういう推計課税ということもあり得るという前提に立って、しかし、その推計をされる場合にこの標準率が使われ、あるいは効率が使われるということになっていくわけですね。そういった場合に、そういうものではあるけれども、やはり現実に課税要件というようなものが推計によって確定をされる、その基準になるものがそういうものだということになれば、それを隠しておく必要はないのではないか。なるほど、それを公表すれば、それに合わして出てくるだろうという考えもあるだろうと思います。そうすれば、その段階でチェックは幾らでもできるのです。実際は、これはおかしいじゃないか、その人を呼んで更正決定をするときに、あなたのところはこうじゃないか、一般的にこうなんだけれども、どうして標準率と違うような計数を出しているのだ、特殊事情はどうなんだというようなことをチェックすればちゃんとわかるわけですね。そういうことはとても煩瑣でたえられないと言うかもしれないけれども、やはりそういう問題をもっと――国民の租税民主主義というのも、一つのやはり租税法を貫く原則になっておると思いますし、また学者等の考えによりましても、いろいろそういう点について、私有財産制のもとに人民の財産権を保障し、課税という形での財産権の収奪は国民の総意のあらわれともいうべき法律の定めによるべきものとすることによって経済生活の安定をはかり、経済活動の予測可能性を与えようとするものであることは言うまでもない。こういうことがやはり租税法律主義の中にもちゃんと含まれているのだ。こういうものをやはり租税法の原則と見なければならぬということも、税法学者からいわれておるわけですね。当然そういった場合には、その予測可能性あるいは経済の安定、生活の安定というような面から国民の総意が得られるようなもの、そういうようなものを租税法として示していくのだということが税法の中における民主主義の要請にかなうものであり、しかもそれが全く否定されるということであってはならないと私は思うのです。すぐれてこういうものを公表することこそが、こういう原則にもかなう道ではないかという立場に立たざるを得ないわけです。
 したがってこの国税通則法、これは税を貫く共通の問題が体系的に整理された法典になっておるわけですが、こういうものにこそやはり租税法の原則というようなもの、たとえばドイツの租税調整法というようなものには四つの原則が掲げてある、こういうようなものなどを参照しながら、やはりこういうものをしっかり書いていくというのでなければ、単に権力的な行政の効率というような立場からのみ税法の解釈、あるいは税法の運用というようなものがなされ、また租税行政、そういうもののよって立つ根拠、原則というようなものがどうも欠けているような気がするのです。そういうものをやはりこの通則法にこそあげるべきではないのかということ。そうでないと、やはりいま国税庁長官が徴税行政の最高の地位にある立場でものを申せばそういうことにもなるだろう、それはやはり通則法にそういう原則がないからだ、こういうことにもなるのではないか。これは主税局長、次官からも答弁をいただきたいと思う。
#24
○吉國(二)政府委員 租税法の諸原則について、これを国税通則法に規定するかどうかにつきましては、先生御記憶と思いますが、先年国税通則法を制定いたします際にいろいろと問題があったところでございます。当時税制調査会では、ドイツ租税調整法の第一条第二項の「租税法の解釈に当っては、国民の通念、租税法の目的及び経済的意義並びに諸事情の発展が考慮されなければならない。」といったような趣旨の規定を設けるべきではないかという意見も非常に有力でございました。ただ、こういう一種の原則的な規定が法律制度として絶対に必要なものであるかどうかという点は問題があるし、逆に、これが当時の客観情勢としては、こういうものを入れることが租税の実施にあたってかえって国民の疑惑を生むのではないかという批判があったことも御承知のとおり。そういうことから国税通則法制定の際には、こういう諸原則というものを特に書かずに、やはり一般の原則、法律前の原則として当然のこととして前提をした通則法によるべきではなかろうかという議論が支配的であった。当時、国会の議論等もそうだったと思います。そういうことからわが国ではこれらの諸原則をうたわずに来ているわけであります。たとえば租税法律主義等はすでに憲法で明らかなところでございます。租税負担の公平ということも、これはむしろ法律前に租税というものに内在する本質的なものであるということも申せましょう。租税民主主義というものも、現在の民主主義体制のもとにおいて、租税が法律によって確定され、その法律のもとに行政が行なわれるということのもとにおいて実現されているわけでございます。それらを法律として規定する必要があるかどうかという点は、今後も検討する必要があるかと思います。
 ドイツの租税調整法は、そういう意味では世界でもかなり異例のものだと思いますが、おっしゃるような意味で法律解釈の前提としてのこれらの諸原則を法律に書くかどうかという点については、今後とも私どもとしては検討いたしたい。すでに税制調査会では実はそれらのものを書くべきであるという結論が一時出た。それらを削りました経緯は、当時国税通則法を制定しました際の論議等で御承知かと思います。今後さらに国税通則法を補充いたしまして、こういう規定を設けるかどうか、あらためて検討をいたしたい、かように考えます。
#25
○上村政府委員 ただいま広瀬先生からいろいろと標準率表あるいは効率表、その他につきまして公表すべきものじゃないかという御意見が出ております。一審判決の場合には、これは実質的な秘密性はないじゃないかというような意見もあるわけですから、いろいろな論議のあることは御指摘のとおりだと思うわけでございますが、要するに、徴税の実務過程におきまして、少なくとも行政官庁に自由裁量の点を与えているわけでございます。それに対して原理原則をどの程度法的に確立させるかどうかということは、これはいま主税局長も過去の経過を御説明申し上げておりますが、これはそのときの社会情勢なりあるいはいろいろな情勢がからんでこれを法定化する――法定化するということは非常に固定化するわけでございます。そういうほうがいいのか、あるいはまだそういう時期ではない、社会通念に基づいていくのが実質的な具体的な妥当性を持つものだというような判断、いろいろあるだろうと思うのであります。いま標準率表その他につきまして、国税庁長官がまだ秘匿性が要るのだという見解の意見を述べ、また一審判決につきまして控訴の申し立てをした、こういうわけでございますが、いま国税庁長官が言われたような意味におきまして、現在の段階では、私は、国税庁長官が言っておるのがいいのであろう。しかしながら、先ほどの通則法に対しまして、徴税関係の原理原則というもの、これを法定化するかどうかにつきましては、これは将来の一つの情勢のいろいろな進展、変化というものを考えまして、私は検討していく重要な課題である、このように存じておるわけでございます。
#26
○広瀬(秀)委員 御存じのように、ドイツの租税調整法では、「国民の通念、租税法の目的及び経済的意義並びに諸事情の発展などが考慮されなければならない。」ということが第一条第二項でございますか、書いてあると伺っておるわけですが、特にこの「国民の通念、」これはすぐれて租税正義を願っておる国民の通念という意味だろうと思うわけであります。そういうような立場などを原則的に掲げる、あるいはまた公平の原則というようなものを掲げるというようなことを、かりに通則法にドイツの調整法と同じような形で入れたとする。そういうものがきちっと原則としてあるということになれば――私はやはり、国税庁長官のような権力徴税的な考えというものは、どうしてもこれは一番強く、あらゆる行政の中で租税行政ほど権力的な契機というものが前面に押し出されて、俗なことばでいえば、泣く子と地頭には勝たれない、あるいは泣く子と税務署には勝たれない、警察よりもこわいところだというような国民の考え方というものは、やはり払拭されないのではないかというように考えるのです。ですから、やはりいまの標準率表、効率表というようなものについても、それをやったためにどういう結果になるだろう。租税の公平も害されるだろう、あるいは国を成り立たせていくための歳入というものに重大な支障がはたして起きるのかどうか、公共性というような点も否定されるというようなことになるのか。あるいはまた租税法律主義というようなものの中で、標準率表、課税効率表というようなものが、実質的にはもうそれで税法に基づかざる、そういう国税庁の内部で準備をしたものによって実際には徴税が行なわれる、税額決定も行なわれるというような形になるわけです。そういうものが国会の論議にも何にもされないし、そしてそういうものが国税庁の内部で大手を振ってまかり通るし、それが実質的に国民の納税義務を実際に実現させるものになる。それに不満があろうと何であろうと、やはり推計課税というものが許される以上、こういうことでやったんだ、おまえらの言い分は通らぬのだ、こういうことになったんではいけないのだ、こういうような客観的なものさしもありますよというような形でそれを表現しておいてなぜ悪いのか。あくまで秘密を守らなければならないという根拠は、もう一ぺん聞かなければ何としてもわかりませんね。どういう結果が出るのですか。決定的な租税民主主義あるいは租税法律主義というようなもの、公平の原則あるいは租税の公共性、あるいは国の財政収入の確保というような目的だけが、一つのそれだけの原則だ。そしてそのためには財産権を侵してもいいんだというのが税法なんだという権力的な契機というものが前面に出るならば、あなたのおっしゃることもいいけれども、やはり租税民主主義の原則というものはあるだろう。そういうようなものが税法に書いてないにしても、そういうものがあることはだれも認めていることだ。そういう中で、それを秘密にしなければならないという合理的な根拠は、私はどうしてもわからない。
#27
○亀徳政府委員 私の申し上げておるのは、何も権力行政をやりだいとかいうことではさらさらございません。また、誤解がございますと困るのですが、私は租税法律主義のときに、やはり一つの、こうなるだろうということをあらかじめ予見しておらなければならないということは、やはりどういうものが経費になったり、どういうものが経費にならないとか、自分で所得を計算するときにそういう原理、原則がわからないと困るというところに働くべき筋合いで、幾らの収入であり幾らの所得でありということは、だれよりも御自身が知っておらなければなりませんし、また、御自身が計算して出されるということが申告納税制度のたてまえだ、かように考えております。したがって、もちろんこういう推計課税をやっても、御自身が、それはかりに粗雑であっても、私の帳面ではこういうことになっていますということの意思表示をしていただければ、直ちにわれわれのほうはくずれる話でございます。
 それから、先ほど来どういう弊害があるかというお話でございますが、やはり私はこれの一番の問題は、そういうことで申告すればいいのかということで、帳面をつけずに、ただ公表された標準なり基本を使って出しておけば、これでいいんだということになったら、私は申告納税制度というものが何だということになると思うのです。やはり民主的な税制の志向というのは、ただ帳簿をもっと簡略化するというところでは知恵を出さなければいけません。また私たちも努力しておりますが、やはり申告納税制度というのは、御自身が収入、所得を計算して申告する制度で、そういう人から与えられたもので、そのまま平均的なものでやればいいというものではない、私はかように信じております。したがって、そういうものを公表することによって、それで申告すればいいんだというような一つの誤解、それはやはり申告納税制度の本来の趣旨を伸ばすゆえんではないと私は信じております。
#28
○広瀬(秀)委員 申告納税を大いに伸ばしていきたいという政策意図というものは私どもわかります。そういう方向にだんだん前進していくということについては一つも反対ではありませんし、現実の場においても、たとえば農業者についても申告納税できる人はおやりなさいよという、これはまあ指導も実はやっておるようなわけです。しかし白色申告で、まだ家族労働で商売をやっておって、とてもつけているひまはない。しかし、もうちょっと規模が大きくて、事務員がおって帳面をつけられるというようなところもある。しかし、実態的には、大体の商売の動き、それから売り上げ高、そう大して違わないというような場合に、片方は記帳しておったからということによって、その経費の問題でも、あるいは売り上げの問題でも、きちんとそれはつかまえられる。片方は同じことをやっておっても、そういう場合には不利になっていいんだという一般的な標準的なものさしを当てて、そしておまえのところの申告の売り上げ高は少な過ぎるじゃないか、あるいは経費が多過ぎるじゃないかという、そういう表を国税庁だけでつくっておいて秘密にしておいて、その表によって文句を言う。しかし、それに対してなかなか反証が出せない。そういう意味では不利になる。しかし、実際にはその標準率と同じようなものになるんだ。またそれよりも、もっと家族労働で本来必要経費と認められるものなんかも経費と見ないでカバーをしているというようなところもあるでしょう。家族労働でやっている場合には、そういうようなものの経費の落とし方というものはできない。しかし実際に、そういう事態になったときに、同じような売り上げであり、本来ならば帳面をつけておけば同じような経費が出るのだけれども、その経費は、おまえのところは書類がないから、これだけかからなかったはずだと言われれば、それで泣き寝入りしなければならぬ、こういうことになる。ところが、やはり全体的な立場から標準率が、青色申告をしている人たちのものなんかも、あるいは参考にされているかどうか知らぬけれども、そういうものではなしに、やはり白色申告でやっているクラスのものをいろいろサンプル調査かなんかをやって、ある程度客観性を持ったらしいものを持っておる、それがほんとうに客観性を持っておるという確固たる自信があるならば、それを堂々と出していいのじゃないですか。そうでなければやはり取り扱いの面においても、同じような売り上げがあり、同じような収益があるものに対して、取り扱い税額というものにも表現される公平という問題が、非常にアンバランスがそういう点でも出てくるということになると思う。そういう面というものも当然考えられてしかるべきだと思うのですね。そういう点は一体どうお考えになりますか。
#29
○亀徳政府委員 同じことのまた繰り返しになるのかもしれませんが、やはりこれはあくまでも平均的な話でございます。効率なり標準率なり、そういったものを公表して、それで申告しておけばいいんだという性格のものではないわけであります。やはり私たちが納税者の方にお願いしたいのは、あくまでも日々の売り上げとか、そういったものをつけ、そして非常に少ない場合には現金主義も認めるというふうに割り切ってもおりますし、したがって、こういうものを公表することによって、それでやっておけばいいんだということにどうしても相なる。そのことはほんとうのわれわれの仕事の目標をますます阻害するものである。したがって、私たちはこういったものは公表すべきではない。あくまでもチェック資料であり、参考にすぎない。あくまでも納税者の方が御自身で所得を計算して出されるということが申告納税制度のたてまえではないか。
 それから、幸い最近課税最低限が相当引き上げられ、また、白色者にも専従者控除が認められるということに相なっておりますので、ほんとうは相当な方がむしろ無資格といいますか、申告義務がなしで済ますという人が相当多くなっておる。したがって、課税最低限をこえるぐらいの方については、一つの商売をやっておりながら、何にもつけられないということはあり得ないのではなかろうか。私は、やはり御自身でとにかく日々の売り上げその他をつけていただくという慣習をつけていかれることこそほんとうの道ではないか。こういうものがあるために、つけなくとも大体これで申告しておけば税務署はのんでくれるということでは、一そう記帳への意欲なりそういうものを失わせる。それは申告納税制度の本来の趣旨に背馳するのではないか、かように信じております。
#30
○広瀬(秀)委員 それでは聞きますが、申告納税制度を増強させるための政策手段としてこういうものがあるんだ、こういうように理解していいんですか。
#31
○亀徳政府委員 申告納税制度の発展のための一番の基調は、やはり青色申告制度を拡張すること、一人でも多くの人が青色申告をされて、正しく記帳をされることがあくまでも基本でございます。現に当初スタートをしてなかなか青色申告が伸びておりませんでしたが、最近所得税でも約五一%、百工、三十万の方が、半分以上の方がすでに青色申告をしておられます。それ以外の白色の非常に零細な方々は、ほとんど専従者控除なり、課税最低限で相当見られておるということを考えますと、やはり本質的には、私はこういうことで出しておるのが申告納税制度のあれかとおっしゃるのは、私の気持ちとは違う。私の気持ちとしては、本質的には青色申告者の方を一人でもふやしていくということが本質的な話だし、われわれが努力いたしております最重点は、青色申告者をふやすということでございます。
#32
○広瀬(秀)委員 裁判の判決でも、「標準率、効率の税務行政において果している機能にてらし、標準率、効率には租税要件たる課税標準の認定に適用される客観的経験則としての意義を付与されているのであって、当然、納税者たる国民に予測されるべき性質のものである、」こういう見解に対しては長官、どう考えておられますか。
#33
○亀徳政府委員 その裁判長の見解には、私は全幅的に賛成できないのでありまして、租税要件というものは、やはり与えられた事実に対して、どれが経費となるかならないかということの話で、一体収入が幾らか、何かというのは、御自身が計算するところで、その上に適用――ですから、一体納税者の方に期待するところは、日々やはりまじめに売り上げをやり、そして経費があればその経費を引いて、そしておのずから所得が出てくるはずで、何も平均的なあれは幾らになるであろうかということは、本質的には無縁の話であろうかと私は考えております。その点では、やはり租税法律主義で云々ということは、平均的なところはどうかということを知ることは、私は具体的な要件というふうには考えておりません。
#34
○広瀬(秀)委員 どうもその辺のところ見解が食い違うわけですけれども、長官はなるほどいまの御説明によりますと、五一%くらい青色申告がふえてきた。これは一ころから見ればたいへんなふえ方である。そういう方向は正しいとしても、たとえば商売をやっておる人たちと、あるいは小さな町工場というような、もうほんとうに事務員を置けないほどの経営の状況にある、しかも忙しい、そういうようなところで、青色申告をなし得るだけの帳簿記載というようなものはとてもできない。こういうようなものが非常に数としても日本の場合に多いわけです。これは徐々には五〇%、六〇%くらいまでいくかもしれないけれども、なおおそらく四〇%や三〇%のものは、どうしても白色申告という形で残らざるを得ないだろうと思うのです。これはやがて指導のしかたによっては、こういうようなものを続行していけば、それじゃ白色申告というようなものはなくなって、みんな青色にかわる、そういうような楽観的な予測を持たれておるのですか、見通しはどうなんですか。
#35
○亀徳政府委員 私、一つ補足しておきたいのは、その白色の人が全部標準率でやっておる、こうおっしゃるのもあれで、現在所得税の更正は三・四%にすぎない数字になっておりますので、したがって、何か相当多数のものに標準率をつけてやっておるというわけではございませんで、更正の中には当然標準率だけでなしに、調査したところでおかしいということで更正しておるものも相当含んでおるわけであります。全体の更正が三・四%に現在はすぎないという状況をお考えいただきますと、やはりこれは公表して、それでやればいいのかという感じを起こさせることではなしに、やはり御自身で計算する努力を少しでもやっていく方向、ただやり方については簡素でいい。したがって、現金主義を取り入れ、また帳簿も簡素にするという点では、極力私は簡素にする努力はしなければいかぬと思います。どうもこういうものを公表して、それに右へならえすればいいという風潮は、申告納税制度を盛り立てるという観点からいって、どうであろうかと私は考えるわけであります。
#36
○広瀬(秀)委員 どうも国税庁長官は、この標準率表を公表したら、みんなそれでそのとおりに、標準率表どおりに施行するだろうと頭からきめてかかっておるわけですね。現実の問題として、白色申告の人が申告を出すという場合に、この標準率に照らしてみて、どうもこれはおかしい、おまえさんのところはどうなんだ、更正決定する前にやる。書類がない、帳簿がないという場合には、全部これで当てはめるわけでしょう。これはいろいろ言ったことが通る場合もあるかもしれない。なかなかおそらく通らないだろうと思う。そんなことを言ったって証明するものは何もないじゃないか、現実にはそういう運用がなされておるわけでしょう。
#37
○亀徳政府委員 これも単に機械的なことではございませんし、いわゆる昨年の売り上げの状況がどうだというようなお話もいろいろ聞きます。やはりこういうものでどうしてもやらなければいかぬというような、よくよくの例外の場合でございまして、その例外の場合にやむを得ずやる話は、やはり私は公表しないほうがいい。あくまでもこれは例外的な話になっております。また、いろいろな調査対象の選定ということの一応チェックに使うことはございますが、やはり私は、これは公表すべきものではない、まあ、申しわけございませんが、そう考えておるわけでございます。
  〔委員長退席、山下(元)委昌長代理着席〕
#38
○広瀬(秀)委員 いま非常に例外的な場合にしか使わぬと言うのですが、私はそうは思わないですね。これはかなり実体的に税務署では使っているんじゃないかと思うのです。そうでなければ、これはもう白色申告のところに調査を集中したって、これは追っつかないことになるだろうと思うのです。効率表で固まるというものが長官は非常にレアケースだ、特殊なケースでしかこれは発動していないようなことを言われるけれども、むしろそれは逆じゃないかという反問をしたいのです。ほんとうに特殊な場合だけしかやってないのですか、使わないのですか、これは。
#39
○亀徳政府委員 その前に私は、いろんな調査する体制は、やはり基本的に、非常に零細な方々のところに集中的に調査する、それほどの余裕はございません。また、そういう零細な方々はほとんど課税最低限で落ちるか落ちないかというすれすれの方が多うございますし、むしろわれわれは、相当高額な申告をされるところに集中して努力いたしております。そういう零細なところ、まあ、ただ、一、二若干、あくまでも基本的に調査の抵抗をする、いろいろな調査妨害をされるという、どうにもしようがない分野については、これはやむを得ざるあれでございますが、やはり零細な方々のところでは、大体状況をお聞きすれば、あまりやかましいことを言わぬでも大体見当はつく話でございまして、やはり全体の、われわれが調査をし、申告水準を高めていきたいというところは、いま先生がしきりにおっしゃっているところではございませんで、むしろ、それ以外に大きく漏れているところ、また相当高額なところに重点を置けと、われわれはこう言っておるわけでございまして、むしろ私たちの仕事の重点はそういうところには実はないということを御了解いただきたい。その意味において、先生のおっしゃったような、意識したところはまことに例外的な分野に属すると私は申し上げたいと思います。
#40
○広瀬(秀)委員 白色申告の場合に、何%ぐらい更正決定事案がありますか。
#41
○亀徳政府委員 三・四%は、青白全体を通じた数字になっておりまして、実は、青のほうが、相当高額者がふえ、また青がおもなものでございますから、あまり青白区別しておらない。全体の更正の件数も、合計で三・四%程度でございますから、白青分けて計数をとっておりませんので、白だけに限って幾らという数字が手元にございません。御了承をいただきたいと思います。
#42
○広瀬(秀)委員 白色申告をやりまして更正決定をするという事案がどのくらいあるかということが、まあわからないようでございますが、おそらく、更正決定をされる場合に、調査をして、それから決定をするという場合と、調査をしないで決定をする場合と、両方あるだろうと思うのです。この比率はどのくらいになっておりますか。調査をするほうが多いですか、しないほうが多いですか。
#43
○亀徳政府委員 更正は、調査をした上でやるのを原則といたしております。
#44
○広瀬(秀)委員 調査をしてやられる。そのときに、青色申告者と同じような帳簿はないはずですね。これは聞き取り調査、いろんなことを、この日にどんなものを買ったとか、どのくらいの数量を買ったとかいうようなことなんかはあるいは聞かれる、そういうようなものから推計をされるというようなこともあるでしょうし、しかし、なかなかそれで的確につかめないということになれば、やはりそういう場合には、この何%かは知らぬけれども、更正決定をするというような場合には、おそらく標準率表に照らして、申告が、売り上げ高が過少であるとか、あるいは経費が過多であるとか、そういうような判断を下すのには、ほとんどやはり標準率表、効率表が使われているんじゃないか、こういうように思うのですが、その点を否定するだけの証明ができますか。
#45
○亀徳政府委員 いろんな調査をやっておりますから、私は、その一つ一つについて的確に全部網羅的にキャッチしておるわけではございませんが、やはり調査のときに機械的に効率表、標準率表の適用だけでそれでおしまいというだけでなしに、やはり極力、お客の入りその他を見るとか、実態を少しでも把握する努力をいたしております。しかし、残念ながら、帳簿がないということで足りざる場合には、標準率、平均的な数字に依存するという場合もあろうかと思いますが、しかし、私たちの気持ちとしては、機械的にこういうもので全部出すということじゃなしに、やはり極力、われわれのできる限りにおいて実態をつかむという努力を片やし、しかし帳簿がどうしてもない、あるいは調査が抵抗されるということでやむを得ず一応こういう平均的なものの助けをかりるということはございますが、それにいたしましても、極力実態を把握するという努力を捨ててはいけないということで指導をいたしております。
#46
○広瀬(秀)委員 国税庁長官としてはそういう気持ちでおられるということはよくわかる。しかし、そのとおりに第一線の税務職員が、長官がいま私に答えられたような気持ちでやっているかどうかということについては、これは非常に疑わしいのであります。調査を絶対にやる、必ずやるということでなくて更正を出すというような場合だってこれはあり得ると思うのです、現実の場合には。それで、この標準率表をぽっと適用してしまう。こういうようなことでなければ、なかなか第一線も、数多い事業所に対してその調査を一〇〇%やってからしか更正をしないという、このとおりに必ず調査をしなければ更正決定しないという、そういうことが担保されておりますか、いまの制度の中で。これは確信を持って言えますか。
#47
○亀徳政府委員 ちょっといまの先生のお答えには直ちになりませんが、先ほどこの白色の場合の数字が手元にないように申し上げましたが、先ほどのは、その他所得を含めた数字でありましたのでその区分けがと申したので、営庶業だけに限りますと、四十一年分の数字がいま手元にございますが、要処理のものが百三十一万件ございますが、その中で更正決定しておりますのは、一万九千件、一・四%でございます。したがいまして、この一万九千件、一・四%の処理の話でございますから、その中でも、やはり基本的には極力実態をつかんで処置をするということで努力したいと思いますが、帳簿がないためやむを得ずこういう標準率表を使うということは、それは再々申し上げましたようにございます。しかし、これだけの一万九千件というように少なくなっておりますし、やはり私はそういう平均的な話――これは残念ながら先生と若干見解の違いがあるわけでございますが、それだけのわずかな話の処理、しかもそれを機械的に適用する、ただそれだけでいくというわけでもないわけでございますが、やはりそういうものを公表することによって、ああ、それで申告すればいいのだということのマイナス点を私としては強く感ずる。したがって、やはり公表しないほうがいい、かように私は考えるわけでございます。
#48
○広瀬(秀)委員 事業所得者の中でも営庶業というものと農業の場合もあるわけですが、白色申告をしている人、これは農業には非常に多いと思うのです。営庶業以上に白色申告の比率が圧倒的に高いと思うのです。そういう場合に、農業の場合にはある程度標準率というようなものが公表に近い扱いを受けているだろうと思うのですね。そういう農業の場合と、同じ事業所得者でも営庶業という場合にはあくまで秘密にするのだということ、この取り扱いを違えている理由というのはどういうところにあるのですか。
#49
○亀徳政府委員 農業の場合にはある程度標準率をお示しして、大体こういうことで御申告願いたいという指導をしておることは、先ほど先生のおっしゃるとおりでございます。ただ、農業と営庶業と本質的に違う点は、農業は大体表にあらわれて、水田一反当たり大体どのくらいの収穫があるか、そしてその標準も何も全国一律な話ではございません。やはりその村、その字、それぞれこまかく区分して標準をつくっておりまして、そしてそこの収量は大体わかっている、また肥料は幾らぐらいかけるかということもわかっておりますから、大体一反当たりの所得というのはわかりますし、それから人を雇ったというのは標準外の経費で引くということで、やはりこれはそうしないと、なかなか帳簿のつけ方、そういった点の度合いも営庶業と農業とは比較にならぬほど違っておるという点もありまして、そこは実態に即して、農業の場合には基本的にそれで正しい所得がある程度つかめるということでそういう扱いをしておる。そこの実態による差は率直に申してあります。また、営業の場合には非常に農業と違いまして、人によっての個人差が非常に多いので、やはり標準ということは非常にミスリーディングではないか。突き詰めていえば、農業だって違うぞということはあろうかと思いますが、しかし、大体何反歩つくっておるというのははっきりわかっておりますし、それからまた、おおよその経費、大体一反には幾らくらいの肥料をやるかということもわかっておりますし、その点はやはり違いがあるのではないか。最近農業面でも青色申告がある。それでも一〇%程度でございますが、そういったニュアンスの差があることはおっしゃるとおりでございます。営業の場合にはそういった個人個人の差がいろいろあるから、やはり平均的なものというのはできれば極力避けたいというところに実質的な差があるわけでございます。
#50
○広瀬(秀)委員 農業と営庶業の差というものについてはある程度わかりました。しかし、先ほどから長官が言われておるように、この標準率というものを後生大事に持って、それでこれを公表することは絶対まかりならぬのだ、決定的なデメリットもあるのだということを主張されるわけだけれども、これを使うのはほんのレアケースだということも言われておる。なぜそれほど後生大事にするのか。それで、いまおっしゃったように百三十万のうち一万数千件ぐらいしか白色申告の場合には更生決定しておりません。その場合だって一%幾らくらいのところで、さらにそのうち標準率を適用するのは今度はぐっと少なくなるだろうというようなことなんですね。この問題はやはり青色申告のほうにだんだん切りかえていかせたいという――それは私どもも先ほどから何回も申し上げるようにけっこうなことだ、それについて当然いろいろ事務の簡素化ということについても、青色申告できる最低の条件というのはこの辺のところだというような指導をなされることも非常にけっこうなことだし、そういう方向に向かっていくことを大いに進めてもらいたいことも当然だというわけであります。それはそれでいい。しかし、どうしてこれほど秘密を、それほどレアケースでしか使われないものが重要な意味を持つのかということが、また今度は逆にわからなくなってくる問題にもなる。むしろ青色申告をほんとうにふやそうとするならば、青色申告についても更生決定の場合には理由を――これはするということがようやく法律上義務づけられたけれども、その前はそれすら、算定が非常に低調だからというようなことが理由だというようなこともやっておったけれども、最近は幾らか改善された、そういうような時代もこの前あった。白色申告の場合も、せめて更正決定をやるのだという場合に、推計課税をやったのだからこの標準率を使いました、この標準率はこうでしたということになると、これはおれのところでかえってえらい損をするということになれば、ちゃんと帳面をつけておったほうが得だということになるわけだし、むしろそういう形で、白色申告についても更正決定をする際には、やはりかくかくの理由によって、あるいは聞き取り調査で、あなたのおっしゃったことでわれわれはこういう心証を得ている、そしてまわりの商店の例などから考えても、あなたが出されたような売り上げ高ではないはずである、
  〔山下(元)委員長代理退席、委員長着席〕
こういう経費はよそのどこにも同じようなところで使っておりませんというようなことをちゃんと書いてあるというようなことにすれば、それじゃ毎日毎日ちゃんと帳面をつけて、一番簡単な方式でも何でもとにかく帳面をつけて青色申告したほうが得だということになって、政策的にもそういうことが考えられるのじゃないか。より具体的で、より実効のあがる方法じゃないか。青色申告へのいざないというような意味においても、もうこんなようなものはむしろ堂々と公表して、何ら私は国家歳入にえらい穴があくようなものになるとは思わない。こんなものを後生大事に持っているということがそういうおそれがあるということにはならない。むしろ青色申告への誘導をやっていくのだったら、そういう方向で指導を進めたいというならば、そういうことを解決するというほうが実効があがる方法ではないか、こういう気がするのですよ。
 これについては主税局長もひとつお考えを述べてもらいたいけれども、だから青色申告については更正に理由を付記する、白色申告の場合はそれを免れる、こういうことはやはりあなた方のおっしゃっていることと逆に自己矛盾を露呈しているのではないかとすら考えるわけです。だから白色申告の場合も、更正決定をしたらかくかくの理由である、推計課税に標準率表、効率表を使いましたという、それだってやはり書くべきだ。したがって、白色申告にも更正決定に理由付記ということを当然のこととして私は考えるわけなんですが、その点いかがでございましょうか。
#51
○吉國(二)政府委員 現行法で青色申告者につきまして更正の理由の付記を命じております趣旨は、帳簿記録を設けて義務を果たしている納税者に対しまして、その帳簿の結果にかかわらず課税をするについては、その帳簿に対する不備の点を指摘しなければ正当ではないという公平感から出ておると思います。したがいまして、正当なる記帳をした納税者の記帳の成立の担保という趣旨からこの理由の付記が命ぜられたものと考えられるわけでございます。そういう意味から申しますと、帳簿の記録もなく資料も提供しないというかっこうの白色申告者に直ちに更正の理由を付するということは、かえって記帳の奨励あるいは記帳に対する尊重という趣旨から見て適当ではないということで、現行法では白色申告者に対しては理由を付記しないというたてまえをとっておるわけでございますが、その推計課税なり更正結果に対して異議のある者が異議申し立てをした際には、先般来お話し申し上げておりますように、異議決定の際あるいは異議申し立てをして三カ月を経過し、さらに審査請求をしてもいい段階になった場合には、更正の理由と申しますか、その決定の理由を示して内容を明らかにするというたてまえを今回とることにいたしたわけでございます。
#52
○亀徳政府委員 先ほどの先生の、少ないからいいじゃないかという問題についてちょっとお答えいたしますが、私たちは逆に、少ないからそういうことの公表が一そう問題だという認識。それから先生は、標準率を見ると、やはり青色申告で出したほうが少ないから有利だ。これはあくまで平均的な話ですから、有利な人と不利な人と双方ありますから、へたすれば標準率のほうが有利となれば、自分の計算したよりそちらのほうがいいということにも相なりましょうし、いずれにしろ私の気持ちは、むしろ少なければ少ないほどやはりこういうものは本来弊害があるものですから、少ないからやはり公表しないほうがいいという気持ちでございます。
 それから、いまの理由付記の問題は主税局長がただいま申したとおりであります。しかし同時に、今回の改善で、更正を受けまして、異議の申し立てがあって、それに決定をする場合にはやはり理由を付さなければいけないということで、その点は――と申しますことは、次の不服審判の段階で、問題点が明らかにされないまま議論がされるということは問題ではないか。したがって、処分庁もいかなる理由でこれを正しいとするかという論点をはっきりさせなければいけないではないかということとの関連で、そういう場合には理由を白色といえどもっけるということになりました改正原案は、やはり税の民主化の一歩を進めるものではないか、またその点、法の趣旨に沿うように処理していきたい、こう考えております。
#53
○広瀬(秀)委員 長官は、非常にものわかりのいい立場をとられたかと思うと、また一転して、納税者、タックスペイヤーに対してきわめて不信を表明されるような、納税者というものは信用すべからざるものだという立場、国民をきわめて信頼してないという立場を表明される。そういうことについては、やはりもっと大胆率直に、納税国民に対して信頼してかかる。そして、そのかわり悪いことをやったらそれは絶対逃げさせないという、そういう立場というもの、最初はまず信頼してかかる。それがやはり民主主義社会における、民主主義国家における当然の立場だろうと私は思うのです。そういう点で、いまの答弁に、少ないからそしてまた逆に標準率というもののとり方、効率表のとり方というものは、それじゃやっぱり客観性がない、普遍性というようなものがないということの告白にもつながるのではないかと思うのです。それだったらむしろそんなものは一切なくしたらどうかということさえ言いたくなるわけですね。その点をもう少し答えてもらいたいのであります。
 それから主税局長、答弁されましたけれども、白色申告に理由を付さない。これは政策の問題もあろうし、また、記帳に基づいて数字を確定していくという税務行政のこれはイロハかもしれないけれども、しかし、白色申告でそういう帳簿をきちっと整理をして、それを申告の材料にしていくというのはなかなかできないという現実というのも、これは現にあるわけですね。そういうものに対して、なぜあなたは申告のとおりにいかないのかということについて理由を付せないということについての決定的な理由には、いまの主税局長の答弁ではならぬとぼくは思うのです。これは理由を一々つけるというようなことは、どうしても繁雑にたえないのだ。言うなれば、せめてその理由をやる担当の専門家一名ぐらいずつふやしたっていいだろうと私は思うのです。それで本質的な理念的なものとして、これは差別があってしかるべきなんだ、差別をしなければうまくいかないのだ、そのことについてはどうしてもまだわからない。理由を付記してやるということはこれは当然のことです。一定の処分をするのには一定の理由があるはずなんですよ。これは書かないだけのことなんで、理由はあるはずでしょう。理由がなくしてやるということはないでしょう。その理由を国民に示すということは、やはりすぐれた租税法を貫く一つの大きな原則から逸脱した行政的な恣意的行為である。言うなれば、きついことばでいえば、やはり権力徴税の思想がそういうところに顔を出すというようなことが言えるのじゃないかと思うのですね。なぜ理由付記をやったらぐあいが悪いのか。これは青色と白色の間には差別をつけておきたいという気持ちはわかります。しかし、こっちに理由をつけないということは、これはやはり筋として通らない、理論として通らない、そういう立場なんです。もう一ぺん両者から……。
#54
○亀徳政府委員 私は、やはり納税者を基本的に――基本的にといいますか、逆にやはり納税者を信頼する立場でございます。それからまた、私は親切に考えるという気持ちは、たとえば帳簿のつけ落としがあったというようなことでぎしぎし言わない、そういうような処理のしかたに親切心を向けるべき話で、それから商売をしておれば、一日の売り上げが幾らかという計算もしていないということは、私はあり得ないと思う。また、それはどんなに零細な事業でも、とにかく現金できょう入って、経費のこまかい点のつけ落としはありましょう。しかし、収入とかそういう基本的なところは、メモにしてでもつけておられるはずだという前提に実は私は立っておるわけです。やはりそういう前提に立ちますと、私の気持ちとしては、メモでも帳簿でもいいからつけていただきたい。
 それで、これはそんなに信憑性のないものかというお話、これは統計学的にはやはり標準サンプル数その他が標準的なある程度の制度が保てるように、地域的に業種別に、それから標本数というものは統計学上要請される数値はとっております。とっておりますが、しょせんこれは平均的なものであることには間違いない。あくまでも事実は一つしかないわけで、本来、申告納税制度は、その一つの事実というものを尊重するということが本来の姿ではないか。したがって、これを公表しないことが、国税庁長官は納税者に対して冷たい、こう言われることは私としては非常に心外なんで、私はあったかい気持ちでやっておるつもりでございます。あったかいつもりでやっておっても、おまえは冷たいと言われればこれはやむを得ないのですが、私は、こういうものはやはりすべきものではないと思うわけでございまして、その点ひとつよろしく……。
#55
○吉國(二)政府委員 白色申告について理由を付さないのは不適当ではないかというお話があったわけでございます。これは租税政策の問題もございましょうが、まあ諸外国でも大体課税所得については、納税者、税目、年度所得金額、不足税額というものがあれば、それで十分というのが一般の通念でございます。むしろわが国では、青色申告制度というものを導入いたしました際に、この青色申告制度の尊重あるいは助長という意味で当時は特典といっておったわけでありますが、青色申告をすると更正決定の際に理由を付してもらえる、正確な事実がわかる、これが特典であるといっておりました。そういう事情から申しますと、青色申告に理由を付したということが税務行政の世界的水準から見ても一歩前進だったと思うわけです。時代が変わってくれば、先ほどのお話のように、時代の発展ということからその事情がだんだん変わってくるということは当然考えられますけれども、ただ一つ私が申し上げたいと思いますのは、租税原則の中で、先ほど来申し上げておりますとおり、民主主義の原則というものは当然必要でございますけれども、同時に、民主主義の原則をとります以上は、一たん法律が一定の納税義務というものを定めました場合に、ある納税者が定められた手続をとらずに、所得がわからないという場合に、そのままほうっておいていいということにはならないわけだと思います。大きく申せば、ある納税者が税を納めなければ、租税収入というものが一定額必要であるとすれば、立法その他の手段によって税率を引き上げるというような結果になるわけでございまして、結局民主主義の原則というのは、それぞれの人間が民主主義的な手続できまった租税を履行する義務を課する、これが基本でなければならないと思います。そういう意味で、税法におきましては、帳簿の記録をもとにして納税者はそれぞれ所得を確定して、それを明らかにする義務を負っているというのが基本的な問題ではないかと思います。そういう意味では、自分の所得を確定できないということは、納税義務者としては、民主主義の原則から申しますと、やはり抜けているといわざるを得ない。そういう場合にほうっておくわけにいきませんので、いわば二次的な策として租税法では推計課税の制度を設けたといわざるを得ないと思うのです。もし相手が何も資料を提出しないでいる場合には、税を課さないでいいということになった場合には、民主主義の原則は根本からくずれると思います。そういう意味で推計課税という制度がございますので、それだけに推計課税というのは問題であると同時に、これはやはりいわば次善の策であると思います。
 そういう意味から申しまして、またそういう推計課税をいたしました場合には、納税者自身も所得について明確な認識がないということになれば、これは全くの水かけ論でございます。納税者自身は、おそらく大部分の場合は、自分についての所得の認識はあると思います。そういう際には、あくまでも不当と思えば争えばいい。これは一面において、自分は義務違反をしておっても、また不当な課税を受けないという権利もございます。したがって、権利救済制度に乗ってくればいい。その場合に、権利救済制度としては、税務行政としては今回の改正によりまして、その際税務行政側の見たところも示す、お互いにそこをぶつけ合って審査請求を通じて明らかにしていく。したがいまして、現在更正決定を受ける納税者がだんだん減ってきたという事情の変遷がございますけれども、制度の立て方といたしましては、推計課税を受けるような者については、これは理由を示すよりも、その推計課税の結果に基づいて納税者がみずから判断をすればいいんではないかという前提があったと思います。将来の問題としては、私が申し上げましたように、不服のある者についてはその内容が明らかになるという制度をここで新しく導入するわけであります。やはり税務行政あるいは租税の法律関係も時代とともに変わっていくということが、今回の改正である程度頭を出しておるのではないか、かように考えるわけでございます。
#56
○広瀬(秀)委員 いろいろ御説明をいただきましたけれども、白色申告について、その更正決定になぜ理由を付したらぐあいが悪いのかということのお答えにはなっていないと思うのです。
 ちょうど、大臣もおいでになりましたから、いままで私が国税通則法の一部改正で質問してきましたのは、標準率、効率表というものがある。これが推計課税の有力な手段となっておる。推計課税の際にこれが実際に使われているということでありますが、そこで私のお聞きしたのは、こういうものは公表をすることがむしろ税法の基本原則に照らして正しいことではないのか。そして、そのことによって国が決定的な不利な立場に立つというようなことはないのではないかということを申し上げたわけであります。そういう立場で、しかも大阪地裁で、昭和四十二年の五月に国家公務員法第百条の職務上知り得た秘密についてこれを漏洩してはならないということに触れるということで、この標準率、効率表を民間の者に税務職員が公表した、渡した、こういうようなことで公務員法上の守秘義務違反ということで起訴されたが、これに対して無罪の判決をした。これは標準率、効率表というものが、いわゆる国民に当然示されるべきものであるのだという立場を、税法の基本原則に照らして判断を下されておる。こういうような状態から見ましても、しかも国税庁長官からいろいろお話もございまして、この標準率、効率表というようなものは、ほんとに使う例はまことに数少ないのだ、ごく例外的なレアケースとして使うにすぎない、こういうことも言われました。しかし、これを秘密にしておかなければならぬというのは、やはり青色申告をもっともっとふやして、そういう制度の発展をはかっていきたいという一点のようなことを言われておるわけですけれども、むしろそれならば白色申告にも、この更正決定の段階において、青色申告と同じように理由を――この青色にも当初政府は理由を付さなかった。付しても、それはほんとにお義理一通りの何言っておるかわからない権力的な立場での理由付記、おざなりの理由付記だけであった。こういうようなことも、実質的な理由を付記するように、これも国側が裁判で負けた結果、法上の改正も行なわれるということで理由付記というようなことも行なわれて、幾らかその面は改善されてきている。それならば、むしろ青色申告を助長するというような政策的な立場からも、白色申告の更正に対して理由付記というのを青色にならってやるということが、むしろ青色申告を発展させるというような政策目標にもかなうことではないのか、そういう形でいままで論戦をしてきたわけなんです。
 この標準率、効率表の取り扱いについて、もはや非常にレアケースの場合しか使わないのだというようなこと、しかもそれが青色申告を助長発展させる方法だから秘密にしておかなければならぬのだ、標準率、効率表に基づいてみんなが申請を出されたらたいへんだというような、そういう考えがあるようなんですけれども、大蔵大臣としてその問題についてどのようにお考えになるか、この点をまずお聞きいたしたいと思います。
#57
○福田国務大臣 税務当局としては、青色申告制度、これが普及されることを切に期待しておるわけです。いま標準率表のお話でございますが、これは公表されるということになると、青色申告制度、これが一番正確に納税者の負担力を表明する行き方である、こういうふうに思いますが、この普及を阻害するというような結果になる。これは御想像をお願いできるんじゃないかというふうに思いますが、そういうことから標準率表を使うということは、これはそういうやり方はやっておりますけれども、必ずしも理想的なものであるというふうには考えておらないのです。そういうようなことから、何とかして標準率表というようなものが一般化されるというのと逆に、青色申告制度によって正しい納税者の負担能力というものが表明される、こういうことを期待しつつ税務行政を進めておる、これは私は正しい一つの行き方である、かように考えておりますが、そういう基本的な考え方に即しながらやっておる、そのことでひとつ御理解願いたいと思います。
#58
○広瀬(秀)委員 大臣はいままでの論戦を聞いてなかったのでそういう平面的な、一般的な答弁しかなさらなかったわけなんですけれども、私どもも青魚申告制度というものが発展するということについて、ちっとも異議をはさむものでもないし、むしろそのほうを助長すべきであるという点については変わらないのだ。しかし、なぜ白色申告の場合に――これはあなたも御存じのように、町の夫婦かけ向かいで商売をやっている、それで朝から晩まで立ち通しで物を売ったりというような、そういう小売り商というようなところで、記帳の義務を課し、青色申告にたえるだけの帳簿記載というものができない現実というものはあるじゃないか。そういうような場合に、どうしても白色申告というものは、ある程度いまの日本の経済社会情勢の中で、そういう階層というものは存在するんだ。そういうものに対して、白色申告をする、そしてそれに対して更正決定をやっていくという場合に、何にも理由を付さないでそのままぽんとやる。おまえのところは幾らだよ、これだけを通告する、こういうことでは何のためにやられたかわからない。どういう理由があるのかわからない。そこでそういう人たちが考えるのは、税務署というところはかってなところだという、むしろ怨嗟の声になるだろう。やはり親切に、あなたのところは白色申告ではあるけれども、かくのごとき理由で更正決定で増額更正されたんですよということを、むしろ知らしてやったほうが、これは、ああそうか、それならばちゃんと記帳しておったほうがいいな、無理に無理をしてでもそういう方向に行ったほうがいいんだなということにも考える。納得もする。やはりこの近代的な民主主義税制の中で、民主主義の要素というもの、国民の納得、国民の通念、国民の抱く納税正義というような感じ、そういうものを考慮する場合には、やはりこれに理由の付記は要らないのだ、すべきじゃないのだというような考え方のほうがむしろ、そういう人たちが無理をしてでも青色申告の方向に行こうという気持ちを押えることにもなりかねないではないか、こういうふうにも考える。なぜ理由を付することができないのかということについて、これを改善して理由を付してやったら、これはいい結果こそあらわれるけれども、悪い結果というのは私は一つもないと思う。
 そういう点について、税制をあずかる最高の責任者として、大臣は、将来の正しい展望に立って、そして青色申告制度というものを発展させるという立場に立って、そういう方向への前進というものをはかるべきではないのか。事務上の煩瑣ということでできないのかといえば、そのことについてはそうではないというむしろ消極のお答えを局長から言われておる。そうだとすれば一体どうなんだ、なぜそういう理由付記ができないのかということについては理解できないのだ、こういうことなんです。大臣としてのひとつ責任ある答弁を、改善の方向というものを示唆する答弁をこの際願いたい。
#59
○福田国務大臣 ただいまの御質問もいまお答え申し上げました。青色申告を無理なく助長しようじゃないか――それは青色申告と白色申告とある。青色申告のほうは、ちゃんと記帳をして所得納税能力というものを明らかにして、そして税務署に持ってくる。これに対しましては、もし見解が行き違いますれば、理由を付して違うゆえんを明らかにする、こういうことはやっておるわけであります。
 ところが、白色申告につきましては、理由は私は二つあると思うのです。この白色申告というあまり帳簿なんかに準拠しない申告方式、これに対して一々答弁をするということ、これは事務上なかなか煩雑なやっかいなことである。事務上支障はないんじゃないかというようなお話もありましたが、これは事務上なかなかやっかいなことだろうと思いますし、先ほど申し上げておりますとおり、青色申告を、広瀬さんの御意見ではありますけれども、逆にディスカレッジすることになりやしないか、こういう見解に基づくものであります。非常に反対的な御見解のようでありますが、そういう二つの理由に基づきまして、白色申告につきましては理由を付さない、こういう態度をとっておるわけであります。
#60
○広瀬(秀)委員 どうもやっぱり大臣も局長から耳打ちされておったようだから、局長ベースでの答弁に終始をしたわけだけれども、私が言ったことはわかると思うのですよ。なぜ一体白色申告だからといって更正決定するのに理由を付してやれないのか。理由を付したらぐあいが悪いのですか。税務行政上重大な支障がありますか。あるいはまたそれ以外の理由がありますか。その点ひとつ大臣から、もう一ぺん大臣らしい答弁をお聞きしたいのです。
#61
○福田国務大臣 ただいま申し上げましたとおり、二つ問題があるのです。一つは、事務上なかなかたいへんなことだということが一つ。それからもう一つは、やはり白色申告と青色申告、これはけじめがあるわけでありまして、どうしても青色申告のほうに申告納税制度全体が移行するということを期待しなければならぬ。こういう二つのことであります。
#62
○広瀬(秀)委員 私どもも青色申告制度を発展さしたいということについては賛成の立場をとっているんだということを私も言ったわけですよ。それであなた自身住んでいるところで、町の商店で、小売り商というような人たちが、夫婦かけ向かいで、だんなさんが仕入れに飛び回ったり、奥さんが朝から晩まで立ち通しで、食事をするひまもないくらいにちょこちょこ商いをやっているというような人たちが、一日の売り上げくらいはながめやるというような方向に行くことは非常にいいことだから、そういう方向にしむけるということもけっこうだけれども、これは税理士制度などとも関連をするかもしれないけれども、一人で青色申告の形式をきちんと整えてやれるだけのものが、なかなかできないんじゃないか。やはりわれわれがみんなで力を合わせて進めていっても、営業、事業所得者といいますか、そういう人たちのうち三〇%や四〇%というのはやはりなかなか、幾らいいことはわかっておってもその方向に移れないという人がある。そうすれば、そういう人たちはほんとうに取り残した形において民主主義的な機会は与えられない、そういう考えでいつまででも残しておいていいのかということにもなるわけです。だから、そういう点をも踏まえてせめて――国税庁長官の答弁によると、白色申告者が百何十万かあるが、そのうち更正決定があるのは一万何千件だ、一・何%だ。そういうものくらいに、せめて更正決定をする際の理由付記くらいどうしてやれないのか。その理由を書くのにそれほど事務が繁雑になりますか。これをやれないというのは、いかにも大臣、庶民大衆に対する思いやりというものが足りない立場だし、またほんとうに青色申告をふやそうというのは、青色申告をやったほうがいろいろ利益があって得だという、法律上のそういう制度をそのままにしておくことがむしろあれだ、あるいはまた標準率とか効率表をどんどんつくって推計課税でやっていくのだというたてまえで、租税実態というものを把握しないで、不利な立場に立たしているのだという見解に立たなければ、大臣のような御答弁にはならぬだろうと私は思うのです。理由を付記してやれば、なるほど青色申告をやったほうが得だし、眠い目をこすってでも記帳もして青色申告をやれる方向に行こうという気持ちもそういう中から出るだろう。むしろそのほうが青色申告制度を発展させるためにもプラスではないかという議論をいたしておるわけなんです。だから、そこらに焦点を合わせて答えていただかなければならぬと思うのです。
#63
○亀徳政府委員 同じ青色申告制度を推進することは広瀬先生も御賛成。大臣が先ほど御答弁になりましたように、あくまでも青色申告制度をやはり伸ばすという観点で、まさに更正決定の理由の付記の問題も青色制度の特典の一つ、また同時に、やはり納税者の方が所得を計算されるということを片や期待しているという結果であります。それからもう一つ申し上げたい点は、青色と白色とのいまの制度の恩典という観点からとらえている問題だと思います。しかし、そとでやはり最後の審判所に持っていくときにそのままでいいかどうかということで、その更正があって、異議の申し立てをするというときにはその理由を付記するということによって、いまの問題の接点をつないでいく。そういう意味で先生のおっしゃるようなお気持ちは今度の改正で取り入れられているのではないか。
 それから、先ほどの理由の不記の問題は、やはり本質的に御自身で所得を計算をしていただきたい。また、そのために青色申告制度ができているし、また先生のおことばを返すようですが、むしろ課税最低限になるような零細な方が青色申告を相当しておられるという事実を私は御指摘しておきたい、かように考える次第でございます。
#64
○田中委員長 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#65
○田中委員長 速記をとって。
 関連して只松君。
#66
○只松委員 いま広瀬委員が質問を行なっておる問題点は、きわめて税制上重要な問題であります。これはこの場だけで――言ってはなんですが、論議していても、国税当局もすんなりした答弁がないようであります。税制の小委員会も開かれましょうし、小委員会なりあるいは理事会でもう少し別な角度からこの問題を進めていってはいかがか、こういうふうにも思います。私自身としてもこの問題で、たとえば一例をあげますと、青色申告、青色申告で逃げの一手を打っておりますが、二、三年前までは青色申告をもう少しふやすべきではないかということを私は盛んに言った張本人ですけれども、なかなかそのころは青色申告をふやすことに泉前長官なんかはちゅうちょいたしておったわけなんです。したがって、そのときの泉さんならばどういう論陣を張るかと思って私は聞いておったのですけれども、それぞれに、またそういう人によって問題の取り上げ方が違うだろう。したがって、この問題についてはまた他日論議をするということにいたしまして、せっかく大臣がお見えでございますから、ひとつ大臣との問題に論議を移して進めていったらどうかと思います。
#67
○広瀬(秀)委員 いま関連で只松委員からありましたが、私も午後ずっとこの問題を議論してきまして、それでこの問題はやはり非常に重要な問題であるし、これは何らかの形で正しい結末というものをつけたいわけですが、きょうは大臣も途中からひょっと出てこられたものですから、その問題については質問はこれ以上いたしません。あとでまた、いま発言がありましたような方向でこの問題を継続して討議をしていくことにいたしまして、きょうはその問題はいたしません。
 せっかく大臣お見えになっていますから、あと国税通則法の改正の中身について、この法の条文についての見解はあと回しにしまして、きょうは大臣にお尋ねしたいと思う点だけお伺いいたしたいわけです。
 今度の国税通則法の改正の契機になったといいますか、やはり税制調査会の税制簡素化問題としてこの問題が取り上げられたという経緯があるわけであります。その答申を得て通則法改正ということにこぎつけてこられたわけです。私はそういう点についても、税調のあり方また大蔵省なり国税庁、主税局、こういうようなところが税制簡素化問題との関連において、本来国民の間に根強く存在している権利救済制度の確立という問題を、税制簡素化の立場から取り上げたということについて非常に不満を感ずるのです。むしろ納税者における権利救済のための小委員会というようなものを設けて、本格的に取り組んだ中でこれは出して来られるべき性格のものであったのではないか、こういうように考えるわけです。それでその権利救済と密接不可分の関係にある税務行政、徴税行政といってもいいでしょう。こういう問題について、今日まで税制調査会で論議することは比較的少なかった徴税行政のあり方、その中での本格的な立場での権利救済のあり方、こういうようなものなどについては、税制簡素化という、そういう立場での論議ではなしに、税務行政、徴税行政についての税調の中の小委員会あるいは税調全体会議においても、そういう立場での論議というようなものが非常に必要ではないか、こういうように思うのです。そういう立場からいままで抜けておった視点というものにもう一つ焦点を合わせた形で、税調に徴税行政全般についての問題点をあげて諮問をされるというような立場というのもこれから考えていくべきじゃないかと思うのですが、大臣、いかがでございますか。
#68
○福田国務大臣 今回の法改正は、税調の答申に端を発しておるわけです。御指摘のように税調の答申が税制の簡素化、こういうところから出発いたしたという点はそのようでございますが、しかし、結局これは納税者の権利を擁護する、また国の債権を確保する、この両面から考えられた制度です。それが徹底的に行なわれればこれは簡素化にも通ずるという非常に間接的な関連はあるのですが、しかしながら、非常に直結的な関連は私はないと思います。しかし、関連とはいいながらそういう問題が論議されたということは非常によかったと思います。そういうことからこれを大蔵省としては取り上げ立法化いたしまして、いま御審議を願っておる、こういうことでありまして、端は税調の税制簡素化から出発しておりまするけれども、国民の権利を擁護する、また国の債権を擁護する、この問題はこの両面からながめられなければならぬという根本方針はいささかも傷つけられてはおらぬ、かように御理解願います。
#69
○広瀬(秀)委員 大臣も認められたように、税制簡素化という視点からこの権利救済というものをながめる、いわば反射光的な考えというものであったということを大臣も認められたわけなんですが、そうじゃなくて、ほんとうに本格的に徴税行政のあり方、その中での権利救済という問題をまつ正面から取り上げるような税調に対する諮問のしかたというようなものもこれから考えていくべきだということをまず強く要請をいたしておきたいと思います。
 そういう程度の考え方というものから、やはり今度の場合においても、たいへん悪いことばだけれども、不服審判所が設けられても、依然としてこれが国税庁長官のもとに置かれている。内閣直属の独立機関というのはわれわれの法案で主張しておるところでありますが、せめて大蔵大臣直属の機関という程度にはいけなかったものですか。かぜその点も否定をされて、依然として協議団にほんとに毛がはえたぐらいの、審判所としての独立性というようなものについて、長官のもとにこれを置くということになったのか、ここらのところについての大臣のお考えはどうでございますか。
#70
○福田国務大臣 国税庁長官のもとに今度の審判所が置かれますが、しかし、その独立性ということについては非常に気をつけておるわけであります。ただ、人事が国税庁長官に属しておるという点がありますが、これとても大蔵大臣の承認を要する、こういうふうにこまかい気づかいをいたしておるわけなんです。
 審判所といいまするけれども、これは国税庁の仕事と非常に関連のあるものでございまして、これが大蔵大臣直属というようなことになると、事務の運行上非常に支障があるのじゃあるまいか、そういうふうに考えまして国税庁長官に所属するというたてまえをとったのですが、しかし独立性、公正なる審判を下すということにつきましては格段の配意をしてある、かように考えております。
#71
○広瀬(秀)委員 大臣、特にいままでこの権利救済制度について不服申し立て前置主義というようなものをとられているというようなこと、あるいはまた不服申し立てと異議申し立てということ、あるいは審査請求というような形でやられましても、いわば異議申し立てが初審的な立場、第二審的な立場は審査請求だ。その段階において協議団という制度もあった。しかし、その協議団の協議官がこれも国税庁長官のもとにおける税務職員であるというような形で、その公正な運用というようなものが期待できない。いわゆる組織としても、異議審判あるいは異議裁決というようなものに対する独立性が保障されない。こういうところに非常に難点、泣きどころがあったという批判が国民全体のものになって、そういう世論が税調にも反映をし、この税制簡素化特別部会において答申も出されるということになってとられたわけですけれども、いま大臣がおっしゃったように、人事の面もこれありということであります。特にこの独立性、いわゆる国税庁長官通達というようなものに拘束されることなしに、そしてまたその主管部との指示関係というようなものなしに、独立して税法のすべての原則を十分にわきまえ、税法の立場というものをしっかり実現をするという形においては、やはり何としても独立性が保たれた組織でなければ公正な審判というものはなし得ないのだ。こういうことから、いままでよりは幾らか前進だ、協議団制度よりは幾らか前進だということは確かに私も認めるにやぶさかではない。しかしながら、いま大臣がはしなくも言ったように、人事の面等において大蔵大臣直属というところまでもなかなか来にくかったということを言われた。だが、そういう人事の面ということが一番問題点であって、独立性の問題を論ずる場合において、人事がそういうことで国税庁長官と密着をしているというようなことだったら、独立性というのはまずないわけです。だから、そういう方向での前進というものはないということ、それから権利救済というよりも行政のたてまえ、行政の運営というものをきわめて強く前面に出し、優先さしている。こういう立場では、今度の通則法の改正で国税不服審判所をつくったところで、やはり同じ穴のムジナ論というものはどうしても国民の前に解消できない。こういうことは大臣も認められるだろうと思うのですね。しかも人事の問題があるからというようなことを言われたのでは困るのですね。それについて大臣の承認ということもあるんだからいいだろうということを言われたかもしれないけれども、人事の面においてもこれは明確に区別をしなければ独立性の確保にはならぬという立場をとられなきやならぬので、そういう意味からいっても、国税庁長官のもとに組織を置くんじゃなくて、人事の面もすぱっと切り離して独立性を保たせるというためには、私どもからいえばたいへん不満なんだけれども、少なくとも大蔵大臣のところまでも持ってこれなかったという積極的な理由というのはあるんですか。
#72
○福田国務大臣 積極的な理由はあるわけなんです。それは税務執行という問題なんです。つまり、この審判所の地位はどういうものであるかというと、これは行政救済の手段、その段階の権利救済であります。いよいよこれは不服であるというならば三段階の司法裁判所に訴える、こういう手が残されておるわけであります。その前に、そこまで行かぬでももう少し手軽にどうだ、こういうことから審判という行政訴訟的な機構というものを考えたわけなんです。
 そういうことでこの審判というものは、仕事がてきぱきと行なわれなければならぬ、それが何か別に司法裁判所もあるのにそれに似通ったような非常に手続の繁雑なところになったのでは、これは迅速を欠く、この迅速を欠くということが権利救済にならない、こういうことにもまた通ずるわけであります。迅速にかつ公正に審判される、こういうところにこの行政救済機構の妙味がある、こういうふうに考えるわけでございます。そういうことで、国税庁長官に所属するという点からいろいろな感触もありましょうが、しかし、それは私から言いますれば理論上のことだと思う。実際的にはほんとうの権利救済にならないのではないか、私はさように考えておるのであります。
#73
○広瀬(秀)委員 その点は一番問題になるところであって、きょうは時間もたいへんだっておるものですから、この線であまり論戦をしておりますと何時間たっても終わりませんから、きょうはこの程度にしておきまして、あと残った質問は今週の金曜日に留保いたしまして、きょうはこれで終わります。
#74
○田中委員長 次回は、明十一日水曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後四時十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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