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1949/05/09 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 文部委員会 第10号
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1949/05/09 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 文部委員会 第10号

#1
第005回国会 文部委員会 第10号
昭和二十四年五月九日(月曜日)
  ―――――――――――――
 本日の会議に付した事件
○年齢のとなえ方に関する法律案(田
 中耕太郎君外十七名発議)
○学校教育法の一部を改正する法律案
 (内閣提出)
○教育委員会法の一部を改正する法律
 案(内閣提出、衆議院送付)
○理事の辞任及び補欠選任の件
  ―――――――――――――
   午前十一時四十七分開会
#2
○委員長(田中耕太郎君) それでは今日の文部委員会を開会を開会いたします。会議に付する件の第一といたしまして、年齢のとなえ方に関する法律案の審議に入りたいと思います。この法案は、大体文部委員会の諸君によつて発議されておるのであります。でどなたかに提案の理由の御説明を願いたいと思います。
#3
○三島通陽君 仰せの通り、この法案は全員が提出者でございますが、我々は山本委員より提案の理由を説明して頂きたいと思います。どうぞ皆さんの御質成を得たいと思います。
   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(田中耕太郎君) それでは三島君の動議に御異議ないものと認めます。山本君。
#5
○山本勇造君 御指名によりまして、私からこの法案の提案理由を御説明申上げます。只今お話がありましたように、この発議者は各党、各派から出ておりまして、これは文化問題でありますから、党派を超越した問題であると存じますので、法案の中にありますように、これは年齢の数え方を、これから習慣の上でも満で数えるようにしたいというのが、この法案の趣意でござります。何故そういうようにした方がいいかと申しますと、法律においては明治三十五年にすでに法律五十号というのが出ておりまして、満で数えることになつておりますが、世間の習慣は昔からの慣習のために今以て数え年になつておりますけれども、やはりこれは慣習も満で数えるよしにして行つたならば、さまざまの点においてよいことがあると思います。
 その理由を簡單に申しますと、第一には、今の世の中は非常に暗い世の中である。税金は取られ、物はない。國民は非常に暗い氣持になつおりますが、こういうときに年齢を満で数えますと、数え年の上からいうと、年齢が若くなつたような氣がいたしまして、國民の心が何となく明るくなるような氣がすると思います。そういうことは別に予算を必要とするわけでないし、簡單にそういうことができるのであれば、こういうことは政治的にも國民に與える影響が大きいのでありますから、第一には今言うように國民の心を明るくする、こういう意味で私がこの案はよいと思うのであります。第二には、今まで子供が生れましても、それを届出をするのにはつきり生れた日の届出をいたしていない人が沢山あるのでありますけれども、殊に十二月等に生れました子供ははきつりその日を届出ない者が多いようでありますけれども、生れたときからそういうふうな正確でない届出をするということは、國民生活の方において面白くない。これから日本が新らしく生れ変つて行く上には、生れたときから皆さんが正確にやるようにという習慣ができますことは、國民生活の上で非常に大事な点だと存じますので、その点から見てこれは大事だと思うのであります。第三の理由は、國際的に考えまして年齢の統計というものは各國とも満で数えておるのが普通でございますので、各國の統計と合せて行く上からも満で数えますというと、外の國との関係上國際的に非常にいいと思います。今のような理由の外にもう一つは、配給の問題であります。これは実際は事務的に非常に厄介なものでありますが、現在は数え年で配給しておりますが、本來は農林省が配給公團に命じてやらしておることでありますから、法律五十号によつてこれは当然満でやられるものであるにも拘わらず、そうでなく慣習に從つている。ところが國民に分けておるところの配給量はどういうところから出て來たかというと、これはそれぞれの年齢に從つてカロリーを定めておる。そのカロリーから何グラム必要であるというところから出て來ておるのでありますが、現在だというと秋に生れた子供が翌年一、二月になりますと、もう二つになる。そのためにその赤坊はまだ何にも食べられないのに、もう菓子の配給があるというような不合理が起つて來ますが、満になるとそういう不合理はなくなりまして、そういう点からももともとこれは満のカロリーから出て來ておりますから、配給の方も当然満になるべきだと思います。併しながらただ現在の配給の上から見ますというと、便宜上数え年でやつておりますが、この点も配給公團やら農林省やら、或いは総理廳の自治課等に聞いて見ましても、方策は立つということでありまするから、ただこの法案が通つたら即日施行ということは無理でありまするけれども、或る期間を置いてこれを施行するならばできるということであり、又そういうことになりますれば配給も公正になり、又本当にその年齢に適つた配給が行くことになるのでありまするから、その点からもこれは惡くないと思うのであります。
 そういう意味合におきまして、我々は各党各派挙つてこれを提案したわけであります。のみならずこれにつきましては法律廳、それから統計局、農林省、或いは総理廳、東京都、或いは配給公團と、それぞれの関係方面とも再三再四この問題について討議をいたしました結果、いずれも皆賛成なんでありまするから、その点からも支障がないと思いますし、又新聞等にもこの問題は非常に書かれておりまして、これは恐らくは國民の輿論でもあると信じますので、我々はこれを提案した次第でございます。
#6
○委員長(田中耕太郎君) 本法案の原案作成処理に当りましては、御承知のように各関係方面といろいろ連絡を取り、又意見を聽取して十分愼重を期されたのであります。
 尚委員会に付託されました以上は、やはり関係官廳の方面の意見も参考に聞く必要があるかと存じますので、初めに増田官房長官のこれについての御意見を伺いたいと思います。
#7
○政府委員(増田甲子七君) 委員長さんから官房長官に意見をお問いになつたのでございまするが、政府といたしましては、まだ閣議に掛けて参議院提出のこの法律案に対する統一した意見を決定したことはないのであります。結局官房長官たる増田の意見――公的の勿論意見でございますが――ということになると思いまするから、その点はどうか御了承の上お聞き下さることをお願いいたします。
 私は官房長官として、この法案を拜見いたしまして、非常に結構な法案である、こう思つております。世界各國殆んど数え年というような勘定の仕方をするところはないのでありまして、どこの國の人に自分の年齢を話すにいたしましても、生れた時が一歳である、今日でも一歳であるし、或いは十二月三十一日までは一歳である。こういつた考え方は余程説明を要するのでありまして、科学的か非科学的かの見地から見ますれば、科学的であるとは言いにくいという感じがいたしております。ただ併しながら又この勘定の仕方は、非常に便利な点もあるのでありまして、結局当歳の人は、法律的に勘定しますと、零歳ということになるんじやないか、或いはこの法案で見ますと、月で勘定するというようなことになつておるようでございまするが、まあ便利であるというようなこともあります。が併し全体といたして考えますというと、この法案の方が遥かに文化的であり、進歩的である、欧米の文化というものを取入れて、文化生活、科学生活をする日本人としては、当然西洋式の計算法によつた方がよろしいという感じを私は積極的に強く抱いておる者でございます。ただ併しながら日本の政治生活、法律生活、経済生活というものは、一切数え年で勘定しておると思います。尤も民法の結婚適齢等は昔から満で勘定いたしておりまするが、配給なんかの関係は、恐らく数え年である。学齢等は必ずしもそうではございませんが、とにかく数え年が一つの社会習慣になつておるのでございまして、その社会習慣を一應切り替えるということは、なかなかこれは不便もございましようし、余程の勇氣も亦要ると思います。殊に統制経済下において、消費物資は配給されることになつておりまするが、この配給の主要なる消費物資として主要食糧がございまするが、これは年齢別によつて非常に配給量が違つて來ます。ただ併し從來の標準が少し変るだけであつて、この切替えの不便、困難というものも、やがては克服できるんではないかというふうに考えまして、余り機械的にこの西洋式計算法といいますか、この計算方法を、配給制度その他に適用されないことに御諒恕下さるならば、非常に配給の係官、政府といたしましても喜びとするところでございます。そういうような條件を附けて頂きまして、我々はこの法案に対しまして心から皆樣のこういう考えを持つて頂くことについて感謝をし、歓迎をする次第でございます。
#8
○委員長(田中耕太郎君) 次に農林省の食糧管理局需給課長武田誠三君から御意見を伺いたいと思います。
#9
○説明員(武田誠三君) 私農林省の需給課長をやつております武田でござあます。配給関係につきまして年齢呼称を満歳計算に切替えますことにつきましては、我々の方といたしましては特に異議はございません。大いに賛成をいたしたいところでございます。ただ現在の配給方法が御承知のごとく数え年を以てやつておりますので、これを切替えますにつきましては、即刻いたしますと年齢を二つ縮めにやいかん人と、一つ縮めればいい人と両方出て参りまして、非常に現在の配給実務を処理いたします上に混乱を生ずる虞れが多いのでございます。從いまして我々の方といたしましては、満歳計算を以て配給を実施いたしますにつきましては、明年の一月一日から切替えるということにいたしたい。十二月三十一日二十四時現在で切替えるという考え方でおつたのでございますが、今度の法案で明年の一月一日からということになつておりますので、この点も又問題がないと思つております。尚その切替えをいたしました後に、丁度誕生日が來ましたときから直ぐ切替えるかどうかという問題でありますが、これも事務上の関係からいたしまして、現在の配給が各地区地区によりまして、且つ又配給の物資に種類によりまして一ケ月に五回配給するときもありまするし、三回のときもありまするし、いろいろになつております。併しながら大体一ケ月が單位に考えられて参りますので、その後の年齢の切替えにつきましては、誕生日の來た人は直ぐに町村長のところへそれを届け出て頂きまして、その翌月から配給上の年齢変更をいたして参りたいという考え方で、現在このやり方を檢討中でございます。從いまして、大体誕生日の來ました翌月から配給年齢を変えて整理をして行くということで進みたいと存じております。特にこの点についても差したる支障はないかと思つております。
#10
○委員長(田中耕太郎君) 本法案に対する御質疑はございませんか……。別に御発言がございませんければ、質疑は終了いたしたものと認めますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○委員長(田中耕太郎君) 御異議ないと認めます。若し御異議がありませんければ、本法案につきましては討論を省略いたしたいと存じます。如何でしよう。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#12
○委員長(田中耕太郎君) 御異議ないものと認めます。それではこれから採決に移ります。
 本法案を可決することに賛成の方の御起立を願います。
   〔総員起立〕
#13
○委員長(田中耕太郎君) 全会一致でございます。年齢のとなえ方に関する法律案は全会一致を以て可決することに決定いたしました。尚本会議におきます委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四條によりまして予め多数意見者の署名を経なければならないことになつております。それから委員長におきまして本案の内容、本委員会における質疑應答の要旨及び表決の結果を報告することといたしまして御承認願うことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#14
○委員長(田中耕太郎君) 御異議ないと認めます。ちよつと速記を止めて……。
   〔速記中止〕
#15
○委員長(田中耕太郎君) 速記を始めて……。それから本院規則第七十二條によりまして委員長が議院に提出する報告書につきまして多数意見者の署名を附することになつておりますから、本法案を可決することに賛成せられました方は順次御署名を願います。
  多数意見者署名
    松野 喜内  山本 勇造
    岩間 正男  左藤 義詮
    河野 正夫  若木 勝藏
    三島 通陽  木内キヤウ
    鈴木 憲一  堀越 儀郎
    高良 とみ
  ―――――――――――――
#16
○委員長(田中耕太郎君) 次に日程の第二といたしまして、学校教育法の一部を改正する法律案、これにつきましてはすでに前回質疑が相当行われたわけでございます。尚今日特に御質疑をなさる方がございますれば御発言を願います。……本案については質疑は終了したものと認めまして御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#17
○委員長(田中耕太郎君) 御異議ないものと認めます。尚討論でございますが、討論を省略することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#18
○委員長(田中耕太郎君) 御異議ないものと認めます。それではこれなら採決に移ります。本案を可決することに賛成の方は御起立を願います。
   〔総員起立〕
#19
○委員長(田中耕太郎君) 全会一致でございます。では学校教育法の一部を改正する法律案は全会一致を以て可決することに決定いたしました。尚前の法案と同じような手続をとることにいたしまして御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#20
○委員長(田中耕太郎君) それでは本会議の報告はさように取計らいます。又多数賛成者の署名につきましても同樣に御署名を願います。
  多数意見者署名
    山本 勇造  松野 喜内
    岩間 正男  左藤 義詮
    河野 正夫  若木 勝藏
    三島 通陽  木内キヤウ
    鈴木 憲一  堀越 儀郎
    高良 とみ
  ―――――――――――――
#21
○委員長(田中耕太郎君) 次に教育委員会法の一部を改正する法律案につきまして前回に質疑がなされたわけでありますが、尚質疑が残つておいでになる方は御発言を願いたいと思います。速記を止めて……。
   〔速記中止〕
#22
○委員長(田中耕太郎君) 速記を始めて……では教育委員会法の一部を改正する法律案について、前回の質疑を継続いたします。
#23
○岩間正男君 ちよつと簡單な條項ですが、第八十六條の点について伺いたい。それは「第五十條第二号の規定にかかわらず、用紙割当制の廃止されるまで、文部大臣が行う。」というので、地方の教育委員会の檢定権というものが、一應こういう形で文部大臣に委讓されるという條項に改正されておるのでありますが、この経過についてどういうような理由からであるかということを伺いたいのであります。
#24
○政府委員(稻田清助君) 現在施行されておりまする教育委員会法の附則におきましては、用紙割当制が廃止されるまで、文部省の、文部大臣の檢定した教科書を都道府縣教育委員会が採択するという趣旨の規定が設けられておつたのであります。つまり用紙割当制が廃止されるまで、文部大臣のみが檢定を行うという趣旨は現行法通りでありますが、ただ都道府縣委員会のみが採択するというのを、市町村委員会も……それがない場合には都道府縣委員会も採択を行う。こういう趣旨に変つたわけでありまして、その変えます理由でございますが、昨年この教育委員会法が第二國会で成立いたしました。それと同時に、同じ國会で教科書発行に関する臨時措置法が通過いたしました。教育委員会法制定の当初におきましては、まだこれは試みて見ないことであり、教科書発行に関する臨時措置法によりまして、ああした方法で教科書の需要を纒めることが、果してうまく行くかどうか、相当懸念をいたしたわけであります。その懸念から差当りは、採択は都道府縣委員会のみがやるのがいいという趣旨であつたのであります。ところが、昨年の夏実際に見本展示会をやり採択カードの取纒めをやりましたが、非常に成績がよろしうございました。その点から見ればむしろこういう附則の特例を止めて、本則の方へもう還たらついいのではないかという、こういう趣旨で今回改正を提案した次第であります。
#25
○若木勝藏君 私もこの八十六條について質問したいと思うのですが、用紙割当制が廃止せられるまで、文部大臣の方で檢定するというふうな趣旨について、理由について聞きたいのです。この教育委員会ができまして、教育の民主化という方面が重んぜられて、檢定も一先ず教育委員会で行われるように本側でできているのでありますが、特に五十條を設けて、檢定を文部大臣がするということになつておるのでありますが、それが結局教育の重要性を、用紙の割当ということによつて束縛しておるのじやないか。こういうふうに考えられるのであります。教育の面におきましては、往々そういうようなことが多いのであります。これに関しましてはむしろ文部省といたしましては、用紙の割当を増額して、そうして檢定を教育委員会においてやらせるという、本旨に副うような方法をとるのが本当ではないかと思うのであります。その辺の文部省の考えについてお伺いいたします。
#26
○政府委員(稻田清助君) お言葉のごとく教科書に関しまする用紙割当を増額するという点につきましては、私共も非常にその希望も持ち、又努力もいたして参つておるわけでありますが、このところ年々よくはなつて参つておりますけれども、併しながら本年度の教科書に関しましても、我々としては、まあ少くとも六千万ポンド程必要だと思つておつたのでありますが、見際に割当てられたのが四千八百万ポンド、又それも割当てられた期間に現実に入手することは非常に困難で、期間を遅れて用紙を入手するという状態でありますので、全國的に教科書の需要数を取纒めまして、或る物については何%発行する。或る物については全額を発行するというような種々の操作を経て、漸く教育の必要に間に合うようにいたしておる現状でございます。この現状が著しく改善せられれば、そこは又別途の案があると思います。併しながら昨年教育委員会法ができまして、又今年その改正をやります現状におきましては、まだやはりこの用紙の割当と教科書の発行というものとを密接に関連せしめて、そのときどきの状況に應じて、そのときどきの発行をやつて行くということがまだ撤廃され得ない状況にありますことは、我々としても非常に遺憾に思うのでありますけれども、現状においては止むを得ないことと思います。
#27
○若木勝藏君 用紙の割当がたとえ限定されておるとしましても、教科書を使う子供の数は変らないのでありますから、それを地方に檢定に移しても一向関係がないように思うのでありますが、その辺何か、どうしても文部省で檢定しなければ用紙の制限をされるというようなことがあるのですか。その点、私は一向数量において変りはないものと考える。変りはなかつたならば、教育の民主化という方面から、むしろ八十六條を削つて、地方に檢定させた方がよかろうとこういうふうに考える。
#28
○政府委員(稻田清助君) 只今の状況から申しますと、用紙割当を受けます場合には、非常にまあ詳細な教科書の製造行政の計画を作りまして商工省、安本と協議し、関係方面の関係各部局の許可を得て決まるわけであります。でこれに対しまして今度教科書を発行いたします場合にも、何部というその單位まではつきりした数字を以て、関係方面の許可を受けて逐次的行しておると、そういうようなまあ状況でございます。從つて教科書の用紙の割当と、教科書の実際の発行というものを一つのところで結び付けないと現在の発行ができないと、こういう状況にあることを御了承願いたいと思います。
#29
○岩間正男君 大体見通しを伺いたいのですが、用紙割当制がどのくらいの程度でこれは廃止になるかというような見通しを、文部省はどう立つておるかという問題であります。今年の用紙の生産量は非常に増加しておると聞く、そうしてそれをどのように使うかということと、これは商業新聞ではなくて、実は教科書と、それから学用品、何かノーとなどに使うということが、この前成田長官の説明によつてなされたのであります。この文部委員会で……。そういうことを聽いておるのでありますが、教科書方面の用紙割当の見通しがどういうふうに持つておられるか、この点伺いたいのであります。
#30
○政府委員(稻田清助君) 教科書に向けられます用紙は、御承知のごとく全印刷用紙の二十三%に及んでおるわけであります。一般出版用紙が約十%程でないとか考えております。從いまして現在國内で生産される用紙の枠内において、外に振り当てられておるものを割いて教科書に持つて來るというのには、余りに教科書に現在使用しておるパーセンテージが大きい割合を占めておるのじやないかと思います。從いまして教科書の用紙をこれ以上増すためには、どういたしましても國内における用紙の生産を飛躍的に増加するか、或いは輸入に俟たなければならないというような状見にまああろうかと思うのであります。その方は勿論私共その衝にないのでよく分りませんけれども、実際問題として教科教を扱つて常に苦労いたしておりますことは、先ず第一にパルプの問題、パルプの隘路以上に又問題になつておるのが石炭の問題、石炭の隘路が解決されれば、まあ國内のパルプの隘路まで到達する。その隘路まで到達しても尚且つ教科書用紙として果して何%増し得るかどうか。その差というのは非常に少いのじやないか。要するに輸入でも非常に増額する、パルプとしてなり、或いは製紙としてなりというような事態が立ち至るまでは、恐らく用紙の統制というものは撤廃されないのじやないか。こういうふうにまあ私共の立場として想像いたしておるわけであります。
#31
○河野正夫君 八十六條の問題でありまするが、稻田局長の説明ではやや了承できないのであります。この文部大臣が檢定を行なうという必要は、用紙割当制のみではなくして、その他にも十分に局長側においても必要を認めておる他の理由を持つておるのだと私は思うのであります。一体日本の法律はなぜそういう不正直にやるのであるか。私はその点があらゆるそういう場合にぶつかるごとに一種の忿懣を覚えるのでありますけれども、用紙割当制の問題だけであるならば、学童数、教科書の需要数、ページ数等を考えれば、当然全國的には或る一定の数量が出て來て、それだけ取れるとすれば文部省で檢定しようと、地方教育委員会が檢定しようと、それは同樣なわけであります。特に自由競爭で幾種類もの本をストツクに取つて置くということでない以上は、今日行われておるのは展示会において数量を事前に纒めて印刷しておるのでありますから、その点は割当の問題とは別個の問題となるのであります。その割当制度に隠れて何事かを主張しようとしておる。それならばそれで正面を切つて堂々と主張すればいいのに、我々は何も知り得ない問題だとすれば非常に政府当局は國会議員を愚往しておるということになる、だけれども、いろいろな事情を私は知つておるから、そういうことを詰問はいたしませんけれども、とにかくここでは実際に我々が國民を代表してこの檢定問題を問題とするところの十分な理由があるということを十分了承して貰わなければならん、その点如何なものでありますか。つまり我々の意のあるところがお分りになるならば、この文部大臣の檢定制度というものが現実に行われておつても、その制度そのものがやはり能率的に民主的に運営せられる面に十分の努力を拂う必要があると思うのであります。私はそう考えておるのであります。昨年度の檢定の実績に徹しましてもそういうことは言えるのじやないかと思うのであります。如何なものですか。
#32
○政府委員(稻田清助君) お話のごとく教科書行政におきましては、今後檢定制度の充実ということが中心になつて、多くその方角に強力に推進せねばならんという点につきましては、私共もとよりそういう点について考えております。昨年の檢定制度の実績でありまするが、これを檢定制度を昨年実施する場合には十分議論もあり、考慮をされたのであります。若し初年度から好成績を以てやろうといたしますならば、もつともつと編簒にも余裕を與え、審査にも愼重を期するために時間等を取つてやらなければならなかつた、そうなりますと、本年度から使用できるように昨年において檢定を実施するということがそれ自体むずかしかつた、一年か二年遅らして十分な準備の下に実施いたしましたのならば、もつと昨年の成績はよかつたろうとこう思われるのであります。併しながら結局我々といたしまして結論に到達いたしましたのは、最初の年においてはそう好成績を挙げ得ないにしろ、一年も早くこの制度を実施して一般の人も、或いは採択する側も、この制度に慣れて実施した方がよいと、こういう希望を以て昨年出発したわけであります。本年も引続きいたしたいのでありますけれども、昨年よりも一般にまだこれは途中でありますけれども、いろいろな点において支障がなく円滑に進行しておるように考えられまして、この点非常に力強く考えております。將來におきましては勿論、これは各地方々々で檢定が行われる方に一刻も早く我々としては持つて参りたいと、それにはいろいろの教材の関係その他の関係もございますけれども、先ず中央において実施しておる今日の檢定をより実績をよく挙げて参りますれば、やがては地方において檢定する時期も早く招き來るのじやないかと、そういうような期待を以て只今のところは中央における檢定の実績を向上するという点に必死になつて努力しておる次第であります。
#33
○岩間正男君 問題はこれは附則であつたのを、本則に直したというところにあるので、それで附則でこういうように早く地方に檢定ができるようにというような意思が文部省にあるならば、これは附則でもいい筈なんです。それをこういうように本則に直すことによつて、つまり教科書行政というものを文部省の統制下に強力に置こうとするような意思の現われであるとしたら非常に問題だと思うのであります。從つてこれに対して、文部省はこういうような措置からその本章を設けないということが必要だと存ずるのでありますが、文部省の見解をお伺いいたしたいと思います。
#34
○政府委員(稻田清助君) 岩間委員只今附則を本則に直したというお話でございますけれども、そういう事実はないのであります。依然として附則でございます。その点御了解願いたいのであります。
#35
○委員長(田中耕太郎君) 別に御発言ございませんか。本案に対する質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#36
○委員長(田中耕太郎君) 御異議ないものと認めます。ではこれにつきまして御異議ありませんければ、討論を省略いたしたいと思います。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#37
○委員長(田中耕太郎君) では御異議ないものと認めます。ではこれから採決に入りたいと思います。教育委員会法の一部を改正する法律、本案を可決することに賛成の方の御起立を願います。
   〔総員起立〕
#38
○委員長(田中耕太郎君) 全会一致を以て可決することに決定いたしました。尚本会議における委員長の報告その他につきましては、慣例に從いまして処置いたしまして差支ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#39
○委員長(田中耕太郎君) 御異議ないものと認めます。それでは本案に多数意見者の御署名をお願いいたします。
  多数意見者署名
    山本 勇造  松野 喜内
    岩間 正男  左藤 義詮
    河野 正夫  若木 勝藏
    三島 通陽  木内キヤウ
    鈴木 憲一  堀越 儀郎
    高良 とみ
#40
○委員長(田中耕太郎君) それでは午前はこの程度に止めまして、午後又引続いて委員会を開きたいと存じます。
   午前零時四十二分休憩
   ―――――・―――――
   午後二時十分開会
#41
○委員長(田中耕太郎君) 只今より再開いたします。速記を止めて……
   午後二時十一分速記中止
   ―――――・―――――
   午後四時十八分速開始
#42
○委員長(田中耕太郎君) この際皆樣にちよつとお諮りいたします。高良とみ君から理事辞任の願いが出ておりますが、承認するに御異議ありませんか
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#43
○委員長(田中耕太郎君) 御異議ないと認めます。次に理事互選を行います。互選の方法は如何いたしますか。
#44
○河野正夫君 成規の方法を省略して、その指名を委員長に一任いたします。
   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
#45
○委員長(田中耕太郎君) 御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#46
○委員長(田中耕太郎君) 御異議ないものと認めます。では指名いたします。若木勝藏君。木内キヤウ君。本日はこれにて散会いたします。
   午後四時二十分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     田中耕太郎君
   理事
           若木 勝藏君
           松野 喜内君
           木内キヤウ君
           岩間 正男君
   委員
           河野 正夫君
           大隈 信幸君
           高良 とみ君
           堀越 儀郎君
           三島 通陽君
           山本 勇造君
           藤田 芳雄君
           鈴木 憲一君
  政府委員
   内閣官房長官  増田甲子七君
   文部政務次官  左藤 義詮君
   文部事務官
   (社会教育局
   長)      柴沼  直君
   文部事務官
   (教科書局長) 稻田 清助君
  説明員
   農林事務官
   (食糧管理局需
   給課長)    武田 誠三君
ソース: 国立国会図書館
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