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1949/05/10 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 文部委員会 第11号
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1949/05/10 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 文部委員会 第11号

#1
第005回国会 文部委員会 第11号
昭和二十四年五月十日(火曜日)
   午前十時五十分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○社会教育法案(内閣提出)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(田中耕太郎君) 只今より文部委員会を開会いたします。本日は社会教育法案を議題に供します。速記を止めて……
   午前十時五十一分速記中止
  ―――――――――――――
   午前十一時二十七分速記開始
#3
○委員長(田中耕太郎君) 速記を始めて。
#4
○河野正夫君 第四條のことについて御質問をいたしますが、第四條には國はかくかくのことを行うことができるとこうある。先程鈴木君なども質問されたように、これを「行う」として、「これができる」を省いてはいけないかということなんです。なぜなれば第五條第六條の方面では、市町村当局が種々の社会教育事業を行うということになつておるのに対して、第四條は國がそういう補助斡旋を行うことができると、こういうふうに明瞭に文章の上で区別があるし、予算の範囲内において行うということになりますれば、予算は当然國会の協賛を経ることになるのでありますが、予算の範囲で行うということは決して差支ないことであつて、不当に國に責任を負わせることでもなければ、行政当局に責任を負わせることでもなければ、又それによつて経済状態を混乱に陷れるということにもならないのでありますが、その点如何でございますか。
#5
○政府委員(左藤義詮君) いろいろの関係がございますので、この点につきましては尚研究をいたしまして、後刻御答弁申上げたいと思います。
#6
○岩間正男君 特に聞きたいことは、文部省ではこの案を立案して、これを施行するに当つて、地方の財政負担が大体どの程度ぐらいになるか、こんな廣汎ないろいろな重要なる課題を沢山挙げているのですが、これを全部励行しなくとも、仮にできるところからするにしても、大体どのくらい地方財政の負担になるかというようなことについて、一つの見通しなり、そういうものを持つておられるかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
#7
○政府委員(柴沼直君) この法案の実施は、先程お答え申上げましたように、実は現実に各地で行われますことを土台として研究いたしましたので、直ちには著しい経費の増額は來さないだろうと考えておるのであります。ただ非常に熱心な地方で、特別な計画を立てるところでは、若干の増加を來すこともあるかと思うのでありますが、第五條に挙げておりますものの中には、或る程度收入を見ながらやつて行くものもございますので、直接の負担というものはそう著しく増加しないのではないか、恐らく毎年社会の進歩と共に少しずつ逐次地方経費も増して参るというふうに考えております。
#8
○岩間正男君 どうもそういう認識に私達は賛成することはできないので、さつきも挙げましたように恐らくこういう項目が出されるというと、それに対して実施しようと努力し、又そこに競爭が起る。それで而も國家の大体これに使う金というものを見ますというと、八千二百四十五万八千円というような非常に問題にならない貧弱なものであります。これを一万一千町村で割つて見ると、大体一町村に対して七千五百円、月に割つて見ると大体六百五十円、從つてあとの全部が地方の負担というようなことになるので、現在の窮迫しておる大衆の負担というものは、物凄く寄附という形で強化されるのではないかというふうに思うのですが、どうも今の答弁では、実に微温的で、曖昧で、現状を掴んでおられないのではないかということを感ずるのですが、それくらいの程度で一体文部省は満足しておられるのでありましようか。
#9
○政府委員(柴沼直君) 地方の負担の点につきましては、この法案を実施しまして、若し負担が増加するとなれば、縣の教育委員会の部分が一番増加するのであろうと考えておるのであります。市町村の部分につきましては、実際には公民館の運営にいたしましても、その他の施設にしましても、比較的経済的なやり方、場合によつては收入を見てやるというふうなやり方もありますので、そう著しい変化がないのではないか。ただ、例えば府縣が指導者の養成などということについて特に乘り出したような場合においては、これは相当な金額の増加を來すかとも思うのでありますが、こういう点につきましては、青年團指導者の養成というようなことについて、國でも相当國自身の計画でそれを間接に援助して参るような計画もありますので、直接に府縣に與えます影響が、これがために前と後と極端に差の出るというふうには考えておらないのでございます。
#10
○岩間正男君 どうもそこの認識の程度が大分食違つておるのではないかと思うのです。それでこの法案を出すことによつて、さつき心配した、六・三制とか、それから教育委員会とか、いろいろな今までの教育改正法案について起つたような、予算の裏付がないことによつて空廻りするという形が始まると思うのでありますが、この問題、まあ今審議の過程で、やつて見ても意見がどこまでも対立して行くだろうと思いますから、一應打切つて置きます。
#11
○三島通陽君 今段々この五條、六條についての両委員の御質問でありますが、私これを別の角度から、昨日もちよつて申上げましたが、一應文部省の御見解をはつきりして置きたいと思います。それは、一体この社会教育というようなものは、教育委員であろうと、何であろうと、余り統制的なことをされない方がよいと思うのです。社会教育というようなものは、それぞれのおのがじしと言いますか、それぞれいろいろなバラエテイーがあつて、そうしていろいろな人がいろいろな方法、いろいろなやり方で自由にやつてよいのではないかと、こう思われるのです。そこで何か予め教育委員会なり或いは公民館というようなものが、丁度文部省とか、公共團体に代つて社会教育というようなものを統制しようとする考えが、若し出て來たとするならば、それは私は間違いであると、こうまあ思うのです。社会教育を熱心にやつておる團体なり個人なりというものを、これを大変結構であるからと言つて、公共團体なり、公共團体と言いますか、市町村の教育委員会なり或いは公民館が助けるということは、これはまああつていいでしよう。併し、そのために何か統制的なことが出て來ると、これは面白くないということを昨日も申上げたのですけれども、ここでやはり問題になつて來るのは、そういうことじやないかと思うのです。ここに沢山羅列してありますと、これをやるいろいろな各種の團体がある。労働團体もあろうし、教育團体もあろうし、職域團体もあろうし、いろいろなものがいろいろなことをやろうとするのを、一々市の教育委員会というようなものが監督指導するというような立場に立つのでしようか、そういうものは勝手に皆やるがよい、併しものによつてはこの中のどれかを適当に援助しようというのでありましようか、そこを一つ先ずはつきりして頂きたいと思います。
#12
○政府委員(柴沼直君) お話の前半の部にございました、社会教育が統制的なことにならないようにというお説は、我々も全く御同感に存じまして、その趣旨で実は立案に取掛かつたつもりでございます。実際問題といたしまして、教育が地方分権化されまして、やはり地方が中心になつて教育のことを行なつて行くということと同時に、又個人の自由に委すべきものはできるだけ自由活動に委せて、それらを援助することが適当なものだけ援助するというつもりの立案でございますので、如何にも中央の施設する部分が予算的に見て少いということが目立つのでございまするが、社会教育の本質から見て或る程度止むを得ないのではないかと思うのであります。從いまして、第五條、第六條にあります各号の仕事につきましても、これを全部國が例えば援助するとか、或いは教育委員会が経費を出すとは必ずしも限らないのでございまして、そのときの状況に應じ、又その土地の予算の負担力に應じまして、適切なものについて、地方公共團体が経費を負担するという形になつて行くことになるのであります。
#13
○三島通陽君 どうもこう書いてありますと、やはりそういう意味でないと仰せられますけれども、どうも間違いがあるんではないか、そういうような意味の御質問も段々あるのではないかと思いますけれども、この点につきましては、他の委員から又御質問があると思いますので、又後で伺うことにいたしまして、もう一つついでに伺つて置きたいと思うのですが、六條の法人の設置する公民館の設置、及び廃止というのがあるのですけれども、一体この法人の設置する公民館というものは認可の権能ということは政府が持つておることになつておるのみならず、この廃止、設立等の変更についても同様であります。それから事業内容についても制限規定があります。そうするとこれはいわゆる公の支配ということになるのではないかと思うのです。公の支配になるということであれば、國の補助ができないという理由がないのではないか。どうも矛盾がないかと、こう思われるのです。それで法人の設置する公民館は、むしろ届出ただけでいいのではないか。ここに廃止の認可に関することと、設置及び廃止の認可に関することと謳つてありますのは何故でございますか。これを一つ伺いたいと思います。
#14
○政府委員(柴沼直君) 法人の設置する公民館の、設置及び廃止の認可につきましては、実はこの設置及び廃止の認可の程度までは公の支配に属するというふうには普通考えておらないのであります。私立学校につきましても、設置の、廃止認可ということが從來あつたのでありますが、これはやはりそういうことがあつても、私学は公の支配に属しておらないという解釈を受けておつたのでございます。それからここでは無論お説のように單なる届出でもよろしいのでありますけれども、法人公民館として事業をする場合に、やはりいろいろと目に見えない特典が出て参ります。実際に收入を図りますために事業を行うような場合には、一私人が営利事業としてやる場合と違つて相当な便益があるわけでございますので、そういう点につきましても、法人の何と申しまするか、性格というものをはつきり教育委員会が掴んで置くということの必要を考えまして、こういうようにいたしたのでございます。
#15
○三島通陽君 要は余りその社会教育というようなものを統制的にやらないように、どうしてもこの委員会などができて、そして或る程度の補助をするというようなことになりますと、何かその補助に対して、やはり統制的なことになりはしないかということを私は懸念をする。成るべく社会教育のようなものは、おのがじしといいますか、そういう自由な方面においてうんと活動して貰う。そして國家とか、公共團体とかいうものは、もつと大きなところからこれを助けて行くというやり方がいいのではないか。例えば公共團体に寄附をする寄附金に税金をつけないとか、或いはこういう社会教育として催す興行には、十五割の税金を取らないとか、いろいろそういう方法は沢山あろうと思いますが、まあここでそれを論じても、時間もございませんので止めますけれども、そういう考え方というものは、政府も段々そういう御答弁でありますけれども、十分にはつきりできるようにして頂きたい。こう思いまして一應申上げました次第であります。
#16
○藤田芳雄君 今の三島委員の発言とちよつと重複するかも知れませんけれども、只今五條に項目がずつと挙つておりまして、それは「予算の範囲内において、左の事務を行う。」ということにして、これこれと挙げてある。そうすると、実際におきましては、職業教育指導にしろ、産業に関する科学技術指導にしろ、或いは生活の科学化の指導、運動、競技、体育指導、音樂、演劇、美術というふうなあらゆるものは、むしろ別なそうした團体があつて、そうしてそれらが計画をし或いは企画をしてやつておるのでありますが、ここに改めてこういうものが書かれるとすると、やはり先程のお話のように、何かそうしたものは全部町村の教育委員会が行うというふうなところに持つて行くように見受けるのですが、こんなふうにやはり書かなければならないのですか
#17
○政府委員(柴沼直君) 五條の七号、八号、九号に関連して統制的な懸念が生ずるのじやないかというお話でございますが、実は七号、八号、九号のうち、團体或いは私人が実施できるものは無論私人に実施して貰うということがよろしいのでありまして、そのためにここに「その奨励に関すること。」というふうに漠然とした用語でありますが、この用語によりましていろいろな便益を図る。例えば場所を斡旋するとか、或いは講師の依頼を斡旋をうるとかというような、そういうことまでも含めてここに規定したのであります。ただ教育委員会自身も、或いは市町村自身も、七号、八号、九号のようなものにつきまして自分がやりたい、或いはやる方がよろしいという場合も自然あるのでございまして、そういう意味で実はこれは自分がやる場合と、外の人がやるのを奨励する場合とを併せて書いたのでございます。
#18
○藤田芳雄君 そういう意味のことがどうもこの文面でははつきりいたしませんので、何か工夫しなければならんと思いますが、先程岩間委員からお話のありましたように、予算の裏付のないことを書き上げてもこれは空文に等しいというのと同じように、実際今三島委員からもお話が出たように、開催して貰うのにも奨励ならば奨励として、例えば演劇なんというものも実際やるについて困つておることは、むしろちよつとやるというと、莫大もない税を取られてやれない。而もレクリエーシヨンというような形において、兒童の日であるから、それに慰安の会合を開きたいと言つて金費も取らないでやつたところが、それを行うためにまあ六、七千円の金が掛かつた。それは皆やる方で負担した。ところがそういう掛かつた経費に対して又税金を課けたというようなことも出て、今地方で問題になつて中止するかどうかという問題が起きておるのでありますが、そうしたような事柄については、何にも斡旋も盡力もする力がないのですね。例えば設備、資材及び費用に提供に関することで何をやつたか、今までの形から見て何にもできておらない。そうすると、こういうことを書いてやる以上は、これに対する相当やる得る一つの丁度予算の裏付と同じように、本当の根拠になる裏付がないとちよつと困るのじやないかと思うのですが、それについてはどんなふうにお考えですか、伺いたい。
#19
○政府委員(柴沼直君) 初めのお話の税金の問題につきましては、実際に我々として現在等に芸術活動について一番困つておる点なのでございます。併しこの問題は社会教育法というようなものではちよつと解決つきませんので、勢い税制改正と睨み合せて解決して頂くということになるかとも思うのでありまして、文部大臣初め関係の方方もできるだけそういうことを実現したいというふうに志しておられるように我々伺つておるのでありますが、できればこういう点につきまして、明るい世相になりますようなことを希望する次第であります。
 それから資材の斡旋等につきましては、実はこれも臨時物資調整法によりまして、或る制限を受けているものが相当あるのでありますが、そのうち社会教育関係の枠も物によりましては若干取つております。最も典型的なものとしては建物がございますが、公民館を作るという場合、図書官を作るというような場合の建物、資材、そういうものは或る程度の枠が文部省として取つてありますので、こういうものを地方の要望に應じて分けるということもいたしております。その外体育の資材につきましても、現在文部省体育局におきましていろいろと実際に資材を斡旋するようなことをいたしているような状況であります。
#20
○梅津錦一君 大体今のお話で分ると思うのですが、この四條、五條こう続いて第六條を見ますと、「都道府縣の教育委員会は、社会教育に関し、当該地方の必要に應じ、予算の範囲内において」と又ここに予算の範囲内と出ておりますが、「前條各号の事務(第三号の事務を除く。)を行う外、左の事務を行う」やはりここで殆んど決定的なものをここに裏付をしているわけであります。そのうち特に、その第六條第二号の「社会教育を指導する者の養成及び研修に必要な施設の設置及び運営、講習会の開催、資料の配付」というような事務的なことをここでやれるということになつているわけであります。事務的な結果を処理するとすれば、どうしてもこれはやらなければならん、やらずに置けばお前は何をしているのだ、お前の方の社会教育委員会は何にもしていないじやないか。この事務の処理を見ても何もしていないじやないか、こういうような批判を受けるためにむりやりにこれを社会教育委員が始めるのです。これはもう明瞭にそういうことをやらせるつもりであるか、そういうことは構わんで放つて置くのか、若しこれをこのままにして置けば殆んど義務付けられているのであるから、だから指導主事なり、或いは社会教育主事ですが、そういう者も非常に責任を感ずると言えば、責任を感ずることになりましようが、そういう一つの事務上の仕事の能律を上げるために、この事務処理をするために、この第五條に規定されていることを、これをどんどんやらせて、そうして帳面を作る、ただ帳面を作るだけではいけないから、やはり形だけは一應やつて見る、その費用とか、負担の大部分も市町村に委せられている。その指導主事なり、社会教育主事なる者は、こういうふうに法文で規定されているから、あなたの方の村長さんなり、町長さんは是非やつて貰わなければ困るのだ、どこの村ではこうやつているとか、どこの町ではこうやつているとか、これはきつと必ず出て來る問題であると思いますが、こういうことに対して文部省は予期しているかどうか、その点の御見解を伺いたいと思います。
#21
○委員長(田中耕太郎君) ちよつと申上げます。その点は大分、前回以來今日も又問題となりまして、当局の方でも答弁があつて、一應それはこの程度にして先に進むということになつております。
#22
○梅津錦一君 それを第六條のこの法文に絡んで御答弁頂きたい。こういう蒸し返しですが、事務上の処理の問題です。
#23
○政府委員(柴沼直君) ここに例示的に條項が五條、六條に挙げてありまするのでありますが、これは無論あらゆる場所で全部この各條をそのまま実施しなければならんというのではないのでありまして、ここにも書いてありますように、当該地方の必要に應するということが一つと、それから当然予算を要するようなことにつきましては、予算の範囲内において実施するというようなこと、そういうことによつて、いわば重点的にこれらのうち、或いはこれらは例示でございますので、外にもまだまだ方法があるんだと思いますが、そういうものを重点的に各地でやつて貰うということがこの法文に狙いなのであります。
#24
○鈴木憲一君 只今いろいろ委員から質問があつて、委員長はその点はもう大体了承して先へ進みたいというような御意向でしたけれども、私はこの四條がはつきりしなければ、もう先へ行けば行く程混乱が起きて來るんじやないか、こう考えるのです。そうしてそれを救う一つの方法としまして、最前河野委員が四條のこのことを「行うことができる」この行うをはつきりするようにしたら、どうかという質問がありましたが、私は若しそれをそういうふうにして置くならば五條、六條の「行う」は行うことが望ましいというくらいのところに納めなければならんのじやないかと思います。そうして第三條の方の國及び地方公共團体は最後にかくかくのことを努めなければならないというふうに非常に強く言つてあるのですけれども、こういうようなこともやりますというと、三島委員が言われたように、何かこう統制的なものがこういうところから出て來て、次の五條、六條のような断定的に行う、金もないくせに行うというようなことになつて來ると思うのであります。そこで第三條の環境釀成をすることがやはり望ましいくらいにして、総じて社会教育法というものを社会教育奬励法とでもしたらどうか、私はこう思うのであります。そうしてこの内容をそういうふうにずつと統一して行けばいいのであつて、それを社会教育法案としてやつて、而も第四條をそのままで持越して行けば、もう次へ次へとやつて、もう地方の財政力だつて限界点に達しちやつておるのでその上に地方では五條、六條でいろいろなことを行うようなこととか、國では行うことができるというような生やさしいことを決めて置くというと、先程も言いましたように又総理大臣は苦しい答弁をして、文部省が余りやり過ぎたからいけないんだというようなことになるので、私は文部省應援のためにこういうことを言つておるのです。社会の実情から言つてもそういうふうに奬励法と改められたらどうか、こう思うのですが、如何ですか。
#25
○政府委員(左藤義詮君) 第四條の文字に関しましては知研究をいたしますということを申上げましたが、全体を社会教育奬励法と改めます意思は今のところ持つておりません。
#26
○三島通陽君 これは分り切つたことでありますけれども、ちよつと念のために一應速記に残して置きたいと思います。公共團体や國の補助を受ける公民館というものは、例えば一宗教宗派の活動はできないし、又政党の活動もできないわけですけれども、社会教育全般的に考えれば、場合によつて社会教育を宗教がやろうと、それから政党がやろうとちつとも差支ないし、又結構なことだと思われることが多々あるのです。それから運動会、競技会、音樂会、演劇会、美術というようなものを政党がやられる場合もあろうし、一宗教宗派がやられる場合もあろうと思います。そういうものはやはりこの教育委員会としてはタツチできないことになるように思われるのですが、そうすると今度は何か統制的のような考えで、そういうものは何が惡いのだというように考えて來るということは間違いであつて、そういうものをどんどんやつてよろしい、宗教活動も社会教育活動もどんどんやつてよろしい、日曜学校のようなものはどんどんやるだろうし、又或いはいろいろの政党がそれぞれのことをやるだろうと思われるので、それも非常に結構なんだという廣い意味での考え方があるということをはつきりして置かないと、どうもやはりそういう統制的な考えと、ごつちやになることを恐れますので、一應御答弁願いたいと思います。
#27
○政府委員(左藤義詮君) 御趣旨は全く同感でございまして、本法案もその建前で立案をいたしたようなわけであります。
#28
○若木勝藏君 第四條、第五條、第六條について、先程からいろいろお話があつたのでありますが、この問題は要するにこういうところにあるのじやないかと思うのです。それは社会教育というようなものは、國が本体となつてやるのが本当か、それからその地方において、地方公共團体においてやらせるのが本当か、これによつて決まつて來るだろうと思うのです。これに関しまして、文部省の見解をお聽きしたいのです。それによつて決まるだろうと思うのです。
#29
○政府委員(柴沼直君) その点につきましては、文部省といたしましては、社会教育それ自身は、個人の活動が一番の元であると考えるのであります。そうしてそのうち、國及び地方公共團体が援助すべきものというものが、若干あるだろうというふうに考えております。それも教育が地方分権でございますので、中央が直接乘出しますよりも、これは地方に分けまして、地方の市町村なり、教育委員会なりが、その部分で直接に担当して参ります。丁度お話のように、社会教育が実際に行われますときに、地方が中心になつて動くということが、我々も方針として考えておることでございます。
#30
○若木勝藏君 今のに関連してでございますが、そうしますというと、社会教育という面は、個人を主体としてやらせるのだというような御答弁であつたのでありますが、それにいたしますというと、第五條のようなものは、先程からお話があつたように、どうもこういう「左の事務を行う」というような工合に、統制するような形が、強くこの法案についても現われておる、こういうように思うのですが、如何ですか。
#31
○政府委員(柴沼直君) 個人が中心であると申しますのは、第三條の「すべての國民が」云々とあります、それを指して申しておるのでありまするが、その國民があらゆる機会、あらゆる場所を利用して、文化的に教養が高まつて行くためには、國及び地方公共團体が、そういう環境を作つてやらなければ、なかなかやりにくいだろうと思う。或いは図書館を作つてやらせる、或いは博物館を作つて利用に供する、というようなことは、個人ではなかなかできませんので、それらの点については、國又は地方公共團体が應援するような形でこれを施設して参る、そういう場合にどこまで、國又は地方公共團体が、自分の任務として、その環境情勢の範囲を考えるかということが、五條、六條で例示的に挙げられて來ておるわけなのであります。
#32
○若木勝藏君 個人の主体に関する、國と地方公共團体の任務において、先程の御答弁では地方公共團体にその任務の大部分を負わせる、こういうふうにお考えですね。社会教育は学校教育と同じように、より以上に重要な部面があるのじやないかと思う。それを地方の負担に大部分を負わして、國が殆んど予算も與えないということになつておる。これはどういうようにお考えですか。
#33
○政府委員(柴沼直君) 教育地方分権の建前から申しまして、やはり教育が小さい地域を單位として行われる。それが主体となつて行われるということは、現在の我が國としては当然のことだと思うのであります。ただそのうち、國が全國的に見て何らか援助しなければならんというようなものができました場合には、これは無論國でも予算を組んで援助する、或いは物資の斡旋をする、そういうことが出て参るのでありまして、やはり活動の主体、これは形式的な議論のようでございますが、活動の主体として考えます場合には、こういう教育活動に対する仕事も教育委員会というものが、或いは現在では市町村というものが中心となつて貰わなければならんというふうに考えておるのであります。
#34
○若木勝藏君 教育の地方分権という立場から、地方に負担を負わせるということは、意味が分りますけれども、その蔭に隱れて國が地方財政に何らの裏付をしないことは了承できない。その点について今後十分お考え下さることを希望します。
#35
○委員長(田中耕太郎君) 他に第五條、第六條について御質疑ありませんければ、一應この程度にして置きまして、第七條。
#36
○政府委員(柴沼直君) (教育委員会と地方公共團体の長との関係)
第七條 地方公共團体の長は、その所掌事項に関する必要なこう報宣傳で視覚聽覚教育の手段を利用しその他教育の施設及び手段によることを適当とするものにつき、教育委員会に対し、その実施を依頼し、又は実施の協力を求めることができる。
2 前項の規定は、他の行政廳がその所掌に関する必要なこう報宣傳につき、教育委員会に対し、その実施を依頼し、又は実施の協力を求める場合に準用する。
第八條 教育委員会は、社会教育に関する事務を行うために必要があるときは、当該地方公共團体の長及び関係行政廳に対し、必要な資料の提供その他の協力を求めることができる。
#37
○岩間正男君 大体この際、第七條の場合は「こう報宣傳で視覚聽覚教育の手段を利用し」云々とあるのですが、この際やはり一應明らかにして置きたいのは、社会教育をやる責任の主体、これがこの條文で少し不明瞭になつておるところがあるのじやないか、七條と八條において、これは地方公共團体の長にあるのか、教育委員会にあるのか、その間の関係を一應明確に説明して頂きたい。
#38
○政府委員(柴沼直君) 第七條は、実は現在の教育委員会法を土台として規定してありますので、現在の実状から御覽になりますと、聊かおかしいようにお考えになるのかと存じまするが、この七條、八條共に教育委員会が全部設置されたものとしての前提から規定しておるのでございます。從いまして教育に関する事務は、全部教育委員会に一應行つたということを、土台として規定しておるのであります。それがために実情に合いませんので、附則におきまして、この場合の、第七條のような場合の教育委員会というものは、当分の間実際にはこの七條が必要でない場合も出て來るわけでございますが、地方公共團体の長と読み替えるような規定を作つて、その辺を救つておるのでございます。
#39
○岩間正男君 私の質問には答えがなかつたようですが、責任の主体が、それでは教育委員会ができれば教育委員会にあるというふうに解釈してよろしいのですか。
#40
○政府委員(柴沼直君) 教育委員会法によりまして、社会教育も教育委員会がこれを掌ることになつております。その趣旨に從つておるのでございます。
#41
○委員長(田中耕太郎君) それでは第九條。
#42
○政府委員(柴沼直君) 第九條 図書館及び博物館は、社会教育のための機関とする。
2 図書館及び博物館に関し必要な事項は、別に法律をもつて定める。
#43
○委員長(田中耕太郎君) 第九條について御発言ございませんか。
#44
○鈴木憲一君 博物館に対する法律というのは、どういうふうなことを意味されるのですか、もうできておるのですか、これから作られるのですか、或いは國でやつておる博物館とは意味が違うのですか。
#45
○河野正夫君 それに関連して、同樣のことを図書館について伺いたいと思います。図書館法というものが起草せられておるということを噂に聞くこと久しいのでありますが、図書館法乃至はこれは社会教育とは関係がないかも知れんけれども、学校図書館法といつたようなことが考えられておると聞いておつたのですが、それらについて今別に法律を以て定めると第九條にある。この法律の予定乃至運命というようなもの……
#46
○政府委員(柴沼直君) 図書館及び博物館に対しましての考え方は、図書館につきましては國立のものは全部國立國会図書館に行つております。それで公立の、或いは私立の公共に開放されるいわゆる公共図書館についてその制度を確立するような法案を作りたいと思いまして、この方は或る程度の事務的な成案を得たのでございまするが、到底今会期に御審議を願うまでの進行には至らなかつたのであります。それから博物館に関しましても國立のも公立、私立のもいろいろあるのでありますが、國立のものにつきましては國立博物館並びに國立科学博物館につきましては、これは文部省設置法の中に入つて参りますので、特別な法制は予定しておらないのであります。その方に委せるつもりなのでありまして、その他の公立、私立につきましてやはりこれも図書館と同じように、その制度の基本が確立できるような法制的な措置を必要とするのじやないかと考えておるのでありますが、その方に関しまする研究補導も実はまだ進んで参りませんので、と申しますのは博物館と称せられる種類が余りに数多く、種類が雜多なために非常に規定が作りにくいという点もございます。尚事務的な成案を得るにも至つておらないのでありますが、近いうちにこれも何らか、研究をして見たいと考えております。
#47
○鈴木憲一君 そうしますと第九條の二項というものは、まだ眼も鼻もないような見当のつかない、見当もつかないということでもないのですが、芒洋たるものですから、一應これをこの際除いて置いて九條の本文だけにして置かれたらどうかと思うのですが、如何でしようか。
#48
○政府委員(柴沼直君) これをこれから除きまして……法律の基礎を置きませんと、例えば將來政令や何かで政府が適当にやつてしまうのじやないかというようなことも考えられるのでありますし、やはりここで一應別に法律を以て決めたということで縛つて置いた方が將來のために明確になるのではないかと考えられます。
#49
○河野正夫君 第一章が丁度終りましたので時間も、この辺で休憩したらどうかと思います。
   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
#50
○委員長(田中耕太郎君) 河野君の動議に御賛成ならばこの辺で休憩いたしたいと思います。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#51
○委員長(田中耕太郎君) では休憩いたします。午後は一時半から開きます。
   午後零時十四分休憩
   ―――――・―――――
   午後二時五分開会
#52
○委員長(田中耕太郎君) それでは再会いたします。速記を止めて。
   午後二時六分速記中止
   ―――――・―――――
   午後三時五十九分速記開始
#53
○委員長(田中耕太郎君) 速記を始めて。本日はこれにて散会いたします
   午後四時散会
 出席者は左の通り。
   委員長     田中耕太郎君
   理事
           若木 勝藏君
           岩間 正男君
   委員
           梅津 錦一君
           河野 正夫君
           梅原 眞隆君
           高良 とみ君
           堀越 儀郎君
           三島 通陽君
           山本 勇造君
           藤田 芳雄君
           鈴木 憲一君
  政府委員
   文部政務次官  左藤 義詮君
   文部事務官
   (社会教育局
   長)      柴沼  直君
ソース: 国立国会図書館
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