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1949/05/11 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 文部委員会 第12号
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1949/05/11 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 文部委員会 第12号

#1
第005回国会 文部委員会 第12号
昭和二十四年五月十一日(水曜日)
   午前十一時四十分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○社会教育法案
 (右案に関し証人の証言あり)
#2
○委員長(田中耕太郎君) 只今より開会いたします。本日は社会教育法案について質疑を行います。速記を止めて……
   午前十一時四十一分速記中止
   ―――――・―――――
   午前十二時二十九分速記開始
#3
○委員長(田中耕太郎君) 速記を始めて……。それでは午前はこの辺で休憩いたします。
   午前十二時三十分休憩
   ―――――・―――――
   午後一時三十三分開会
#4
○委員長(田中耕太郎君) それでは午前に引続きまして文部委員会を継続いたします。
 先づ今日おいで願いましたところの証人の方々に御迷惑ですが宣誓を願います。横山さん。
   〔総員起立、証人の次のように宣誓を行つた〕
   宣 誓 書
 良心に從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。
        証人 横山 祐吉
#5
○委員長(田中耕太郎君) 有賀さん。
   〔総員起立、証人の次のように宣誓を行つた〕
   宣 誓 書
 良心に從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。
        証人 有賀 三二
#6
○委員長(田中耕太郎君) 山本さん。
   〔総員起立、証人の次のように宣誓を行つた〕
   宣 誓 書
 良心に從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。
        証人 山本 敏夫
#7
○委員長(田中耕太郎君) 北條さん。
   〔総員起立、証人は次のように宣誓を行つた〕
   宣 誓 書
 良心に従つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。
        証人 北條 清一
#8
○委員長(田中耕太郎君) 江口さん願います。
   〔総員起立、証人は次のように宣誓を行つた〕
   宣 誓 書
 良心に從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。
        証人 江口 泰助
#9
○委員長(田中耕太郎君) 森さん願います。
   〔総員起立、証人は備のように宣誓を行つた〕
   宣 誓 書
 良心に從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。
        証人 森  光世
#10
○委員長(田中耕太郎君) 戸田さん願います。
   〔総員起立、証人は次のように宣誓を行つた〕
   宣 誓 書
 良心に從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。
        証人 戸田 貞三
#11
○委員長(田中耕太郎君) 神近さん願います。
   〔総員起立、証人は次のように宣誓を行つた〕
   宣 誓 書
 良心に從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。
        証人 神近 市子
#12
○委員長(田中耕太郎君) 關さんお願いいたします。
   〔総員起立、証人は次のように宣誓を行つた〕
   宣 誓 書
 良心に從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。
        証人 關  忠志
#13
○委員長(田中耕太郎君) どうも有難うございました。
 それでは御発言を大体只今の順序に從つてお願いいたしたいのでございますが、戸田さんがお急ぎになつておいでの関係上、先ず御意見を伺いたいと存じます。甚だ早急にこの会を開きまして、案等も昨日お届けしたばかりで甚だ恐縮なんでありますが、思い付きになつたことを一つお願いいたします。
#14
○証人(戸田貞三君) どういうことを申上げていいのか私初めてのことでよく分りませんが、社会教育法ということにつきましては、昨年の四月でありましたか、教育刷新委員会で社会教育の問題を研究して呉れというのでございまして、私丁度その委員の一人で、主査を命ぜられまして、大体こういうようなことをやつたらいいじやないかということを、そのときにいろいろ委員の方が研究いたしまして総会に提出して総会で採択されたのでありますが、それは昭和二十三年四月九日の教育刷新委員会の総会の報告の中に出ております。詳しいことはそれを御覧下さいますれば分ります。大体そのとき内容は私が今拜見した社会教育法案に盛られていると思います。ここでこういうものを刷新委員会でやりまして、その後民間團体といたしまして私共の関係いたしておりまする社会教育連合会でも社会教育法案はどういう内容のものがよかろうとずつと研究しておりました。文部省でもやつておられましたようでありますが、大体我々の方では成べく早く有力なものにして貰いたいということを考えておりました。文部省の方の方の御意見も承り、我々の方も研究いたしました。昨年の秋は社会教育連合会におきましては全國の社会教育関係者の協議会を開きまして、そのときに大体の案の内容を示しまして、皆んなに賛成を得まして、速かにそういうものを作つて貰いたいということを決議したわけであります。その中文部省で段々研究せられました結果、今日のようなものができたのでありますが、この法案の内容は、私共大体において大変結構と思います。強いて附加えることを許されるならば、これは我々の希望意見でありまして、直接関係はないかも知れません。民間の社会教育團体をもつと積極的にそういうような自由活動ができるようにする工夫が法案の上でもう少し盛れなかつたものだろうかということの希望を一つ申上げて置きます。それからもう一つは私共非常に関心を持ちますのは法案の第三十五條であります。第三十五條は、これは「予算の定めるところに從い、」この公民館の運営に要する経費の補助、その他必要な援助をすることができる。」これは非常に大事な点であると、私共思うのでありますが、この三月から四月頃に掛けまして、私の方の連合会で全國八ブロックに分けまして、八ブロックで各ブロック附近の府縣の公民館関係の方々にお集りを願いまして、全國で八ブロックで協議を開きました。各ブロック毎に皆百名以上出席されたのですが、公民館のことについては、非常に各地共熱心であります。是非共公民館というものを充実して行きたいという熱意が強いのであります。殊に若い人たちはその熱意が強い、この時期でありますから、是非ともこの三十五條のようなこういう規定の内容を有力に今後行われるようにして頂くことができれば、我々一般の國民は喜ぶのではないか、こういう考えであります。
#15
○委員長(田中耕太郎君) 戸田さんに対して何か御質問ございませんか。ございませんければ先ず先に進行いたしまして横山さん。
#16
○証人(横山祐吉君) この社会教育法案を拜見いたしまして、この法律全体が國及び地方公共團体の社会教育事業に対する態度というものについていろいろ具体的にお示しになつておられる点に対しては敬意を表するのでありますけれども、現在社会教育というものは國及び地方公共團体がやることよりも、むしろ社会教育というものは一般の國民がみずからできるだけ自分の立場で、いわゆる教育を自分たちがやつて行くというようなことは、みずから学び、みずから修めるというような、そういつたような態度で行くのが一番望ましいのじやないか、そうして又現在までの日本の社会教育というものも私は大体においてそういう形をとつて來ておると思うのです。從つてこの法律が國及び地方公共團体のことだけに非常に重点が置かれておつて、一般のそういつたような、本当に民間の團体などを作つて社会教育をみずからやつて行こうという團体に対しては非常に冷淡であるということを感ずるのです。この法律の第二章に社会教育関係團体という項目が挙げられておりますけれども、ここに取上げられておることも、ただ國及び地方公共團体が社会教育関係團体との関連というものを單にここに挙げただけであつて、そういう社会教育團体をできるだけ援助し、助長し、そうして社会教育を推進して行こうという方向というものに対しては非常に冷淡なような氣がするのであります。例えばこの中の第十三條で國及地方公共團体は社会教育團体に対して補助金を與えてはならないということがありますが、これは憲法ですでに決つておることであつて、当然のことであるし、又今の社会教育関係團体は恐らくこういつた氣持では仕事をしていないだろうと思うのです。併し社会教育團体が伸びて行くためにいろいろと、國及び地方公共團体からむしろ援助されるよりマイナスをされておる面が可なりあるのです。例えば社会教育関係團体に対して社会教育を本当に振興する氣持でこの寄附をした人たちに対しても相当な税金が掛かつて、その金額の大部分はむしろ國庫に納まつてしまつて、相当に社会教育を振興するための経費にはならない、或いは社会教育関係團体が所有しておる土地、建物というものに対して税金が掛けられる、或いは社会教育関係團体が社会教育の目的のために行ういろいろな興行等に対しても興行税が課せられるというような状況で、本当にそういう團体に対しての、そういう團体がみずからの力によつて行はうとする力に対して、むしろ國家がそういう点からマイナスをしておる面が非常に多い、そういう点について何らこの法律がそういう点を温かく救うような條項が盛られていない、これに対しては実は文部省内にありますところの青少年團体委員会がこの法案について研究をいたしまして、そうして文部大臣宛に建議をいたしておりますが、その建議の一番中心になる條項はその点でありますが、それについて何らこれが考慮されておらないというような点について非常に私としては不満を感ずるのであります。それからもう一つは、公民館の点でありますが、この公民館が、この法律によつて非常に援助されておることは、私は非常にやはり敬意を表するのでありますが、そのうちで公民館のいわゆる館長というような重要な職員がこの規定で参りますと公務員になつておる、そういうことは、私はむしろこの社会教育というようなものを中心にして行く場合においては、むしろ公務員でなくても良い人が得られれば、そういう人を館長等にするということがいいのではないか。こう思うのです。むしろ館長というのはそういつたいわゆる專任の職員よりはむしろボランタリーな人を置いた方がよりいい運営が、望まれるのではないか、何故館長はそういう人を置いた方がいいか、公務員でない方がいいかというと、現在でも多少こういう弊害はあると思うのですが、例えば中学校或いは小学校長あたりのもう現役を去つた非常に年を取つた人を姥捨山みたいに置くというような危險が感ぜられるのではないか、或いは館長がそういう公務員であつては、いわゆる國及び地方公共團体から非常に公務員というものはコントロールされる危險があるのではないかということを感ずるのであります。これについては、この法律では非常に巧みにそういう点ができないように、例えば公民館運営審議会というようなものを作つてやるような仕組にはなつておりますけれども、そこのところは私はもつともつと研究をして頂いて、できるだけそういつた館長というような人は地方の有志を置き、そうして一般の書記などの俸給等は國及び地方公共團体から受けてもいいような人が就任するというようになされた方がいいのではないか、この二点を特に感じたわけであります。併し今まで社会教育について法律が設けられたということはないのでありまして、今回社会教育の重要性というものを非常に認識されまして、そしてかような法律を設定しようという政府の御意図に対しては全面的に敬意を表します。
#17
○委員長(田中耕太郎君) 有難うございました。次に有賀さん。
#18
○証人(有賀三二君) 私、有賀であります。私はこの社会教育法、このような法案を拜見いたしまして、非常に敬意を持つたわけなんでありますが、それは私自身が中学校と公民館をお預りしておるといつたような建前において、同法案が立案されるかのようなことにつきましては、非常に喜んだわけであります。と申しますのは、私、的が外れるかも知れませんが、この法案の中に公民館、それから学校施設の利用、このような事柄が大きく取上げられておるわけでありますが、元來、私としまして、一定地区の住民に接しておりますその立場から考えて見ますときに、而も学校教育といつたような面に從事して参りました私としましての感じから考えまして、このようなことを考えていたわけであります。と申しますのは、できるだけ学校施設というものを開放する、そうして地区の人ごとに利用して貰うということが、学校経営の上から非常に大事であるといつたような考え、尚学校経営の面から、どうしても全村教育的な経営をやつて行かなければならないといつたような、そういつたような私の考え、このようなものから考えて見ますときに、本案に盛られた御精神が非常に有難いものであるという考えを持つわけであります。同時に又直面しております新学制が施かれまして、義務教育を終つた者、青年の教違の機会をどうするかという問題であります。これは一應新らしい制度におきます高等学校の、從來ありました青年学校に代るような組織において、定時制又は夜間制の教育をするというようなことで一應考えられておりますものの、併しそういつたような事柄が、從來、全國的に各町村にありました青年学校、あのような施設から考えて見ますと、まだまだ新制高等学校における勤労大衆の教育というものが徹底しないのじやないかというふうに考えられる向もありますので、この際社会教育法というものを制定いたしまして、その拠り所というものをはつきりするというようなことは、今のような観点から考えて見ましても非常に重要な問題じやないか、こう思つておるわけであります。更に尚私の廻りにあります青年男女の修養の團体、このようなものから考えて見ましても、何か社会教育法といつたようなものがあることによつて、一連の関係を付けて、共々その機能を十分に発揮するといつたような建前において、この法案が非常に有効であるというようなことを考えたわけであります。そういつたような関係から考えまして、私としましては、実は中学校の裏の考え方でこれを公民館的なものとしまして、現在その運営に当つているわけであります。要するに今日の國家の課題であります平和な或いは文化的な再建途上にある立場から考えて見まして、老いも若きも、或いは男も女も思想、感情といつたものを同一方向に一致するような機会、いわば教養の場というようなものを明確に取上げまして、國家がこれを推進するといつたようなことによりまして、地区そのものがこの法案の趣旨に副うて方向付けられるというようなことが非常に意義あるものと、かように考えたわけなんであります。内容そのものに当りましては、先程戸田先生のおつしやつたように、私としましても、教育刷新委員会で取上げました社会教育、この委員会に所属しておりまして、内容に関する事柄は一應檢討しておつたわけであります。戸田先生のおつしやる上に、私としましても別段ここにとやかく申上げるような事柄はないわけであります。從つて私の申上げました事柄は、この法案の内容について申上げたということよりも、同法案の必要性を申上げたようなことになつたわけです。以上で話を終ります。
#19
○委員長(田中耕太郎君) 有難うございました。次に山本さんにお願いします。
#20
○証人(山本敏夫君) 第十條で、『この法律で、「社会教育関係團体」とは、法人であると否とを問わず、公の支配に属しない團体で社会教育に関する事業を行うことを主たる目的とするものをいう。』とありますが、この公の支配に属するということについての解釈でありますが、起案されている文部省の御関係の方では、当該團体の組織運営その外に関して、國や地方公共團体が一般法人に対する以上の監督権を有する関係にあることを指す、一般法人に対する以上の監督権というふうに解釈をされておられるようでありますが、この一般法人に対する以上の監督権ということが、はつきりしているようでなかなか実は解釈の幅のあるところに又なつて來ると思うのであります。それでこの起案者は、勿論市町村のごとき團体、これは地方公務員が運営に当りまするししますから、この範疇に入らない、それから市町村立の公民館のごときは、このいわゆる公の支配に属するので、社会教育團体ではない、こういうふうに解釈をしているのであります。そういたしますと、一方ではこの一般法人に対する以上の監督権というところに幅があるようでありますが、又一面から考えますと、実際に組織運営を行う者が公務員でない場合は、公の支配に属してないというような解釈をしているように思うのであります。そうして公の支配ということの範囲が、割合に窮窟に解釈されているのではないか、こういうふうに思うのであります。勿論これは憲法八十九條の問題でありますが、憲法八十九條もこれは英訳で見ますると非常にはつきりするのでありますが、公の支配というものをアンダー・パブリック・コントロールと訳しているものもあります。又アンダー・パブリック・オーソリティーと訳しているものもある。このアンダー・パブリック・オーソリティーの場合は、どちらかと言いますと、この場合の解釈と同じでありまして、もつとはつきり言えばアンダー・ガヴァメンタル・オーソリティーであります。この解釈は、私は非常に問題の存するところであろうと思うのであります。直ぐここに問題になつて参りますのは、市町村営の公民館は別でありますが、民法法人が運営をいたしましたところの公民館の場合であります。民法法人が運営しております公民館の場合でありましても、この法律が行われれば、一般法人に対する以上の監督権がこの法律によつて直ちに施行されるのであります。その場合に対する民法法人の運営しておるところの公民館に対して如何なる処置が講ぜられるかと言いますと、この趣旨から言えば恐らく補助が行かないということになるのではないかと思うのであります。この辺が非常に問題の存するところであり、もう一つはこれを公のという問題を窮窟に解釈いたしました場合におきまして、地方自治体が自治体自身の考えによりまして適当な團体を実際に補助したいという場合に、この法律によつて拘束を受けるのであります。御承知のように一方から言いますと、地方自自体のように非常に廣汎な裁量というものが奨励されるべきことが憲法の趣意でありますに拘わらず、一方これによりまして拘束を受けることになりやしないか、私は教育長の講習会の指導者といたしまして、地方自治、殊にこの教育委員会の問題につきましては相当デスカツションもいたしまして、これの問題もそこで出たのでありまするが、この地方自治に関する考え方自体に少々私は時間的にずれがあるのじやないか、地方自治体と申しましてもすでにその自治体の長は公選されておる、そこの教育政策というものは公選された教育委員会が決定して、地方議会の予算によつて執行されるのでありますので、地方自治体がこれを援助して差支えないと考えた場合においては、直接民主制に最も人民に近い者がこの社会教育事業を援助していいと考えた者に対しての拘束が余り多くなりますることは、地方自治の本旨に戻るのであります。從つて私は、これは條文を解釈することは面倒になりまするから、公の支配というものについての解釈の仕方を左程窮窟に考えないで行けば甚だ結構じやないかと思います。尚私はこの通信教育の調査委員並びに通信教育委員会の委員を長年やつておりました関係上、通信教育について申し述べますと、この通信教育の委員の章は甚だよろしくこれはできておると思います。第一にこの通信教育の定義がはつきりしておりまして、この定義がはつきりしないために非常に混乱を來し勝ちでありましたのが、とにかくこの法律において指導というものが徹底的に行われるものであるということ、必要な指導者がなければならない、ただ本を賣りつけるものでないということをはつきり定義しておるということ、並びにこの認定制度によつて奨励して行こうということも、現在の段階におきましてこれ以外のやり方がないと思うのであります。尚郵便法によりましてこの費用が非常に減ぜられて、通信学生の負担が軽減される、この点も甚だ結構でありまするし、取消の條項、これも非常に先の先まで考えたことであります。現在認定を得ましても十年、二十年経ちまして、実質が伴わないようなものができた場合に、これはそれによつて取消しもできるということは甚だ結構であります。ただ第五十四條のところで、通信教育審議会のことがありますが、その委員の中の学識経驗者の中からとありますが、この学識経驗者の意味を、経驗者という意味も十分に考える必要がある、從來はただ学識者ばかりを採つております。いわゆる学校の先生ばかりを採つておる、これは私が学校の教師でありますから公平に言えるのでありますが、学校の教師ばかりに偏らないで、経驗者の中から採るという、本当の経驗者の中から採るということにも解釈を願いたい。
 私の以上述べましたところは皆解釈の問題で済むのでありまして、法案全体から申しますれば、甚だ結構でありまして、この法案が可決されますことを吏心から祈る次第であります。
#21
○委員長(田中耕太郎君) 有難うございました。
 次に北條さんに願います。
#22
○証人(北條清一君) 私はこの法案全部についての知識を持ち合せませんので。通信教育に関する点だけについて、実際のこの仕事をやつております体驗上のお話をいたしまして、皆さんの御参考に供したいと思います。
 終戰後いわゆる講義録という言葉がなくなりまして、殆んど全部通信教育というふうな文字を使つておるのでありますが、今度のこの法案によりまして通信教育の定義ができたのであります。ところが、現在日本におきましては、大学の通信教育協会と、文部省認定の通信教育懇談会を民間の團体でやつておりますところの日本通信教育協会と、この三つの團体に属する通信教育が全部なんであります。ところで、実際通信教育の本当に眞價を発揮してこの法案の中に盛られたような教育をやつておりますのは、大学の通信教育と文部省の認定によるところの通信教育でありまして、それ以外の中にも勿論いいものもありまするが、その多くは甚だ怪しげなる、いわゆる出版物を作らんがためのものが相当にあつて、可なり全國の勤労しながら勉強しようという人たちに取つては迷惑を與えておる事実があるのであります。そこで、この定義の中に考えますことは、通信教育というのは、文部省の認定した通信教育というものだけがいわゆる通信教育という言葉を使えるようにして貰つた方が、私ははつきりするのでないかと思うのであります。講義録が皆この頃では通信教育という文字を使つて、内容見本、学側を取つて見ますと、ガリ版で甚だひどいものを以てこれが通信教育だ、そうすると通信教育とはこんなもんだというような印象を與え勝ちでありまして、私共その点可なり一生懸命に本当の通信教育の在り方を説明し、又身を以てそういうものを出しておるのでありまするが、可なり方々でそういう話を聞いております。この点を何か御考慮が願えると大変結構だと思うのであります。
 次に文部大臣認定の意義と効果ということについてでございますが、今日通信教育は委員会の審査を経まして文部大臣の認定を受けたものが文部省のいわゆる通信教育として授業を行つておるのでありまするが、これに対する助成と申しますか、こういう点で、認定の特典と申しますか、そういう点を考えますると、現在のところ文部省の認定を受けますと、非常に嚴重な監督も受け又テキストやその他教材の内容についても可なり苦心し、そうして全くこれは献身的な努力を以てやつておるのでありまするが、それに対して認定を與えておりまする文部省が我々に対してそれじやこれだけのことをしてやるという点で、まだまだ薄いのでないかと思うのであります。現在では用紙の点でお前達を見てやつておる、この用紙の点も私共が要求する程に十分なものは頂いておらん、例えば非常に勤労者の篤学の勉強する人たちが多くて、これだけのものが出したいという場合でも、なかなかそれが思うようには用紙の裏付というものがはつきり來ないのであります。今回郵便料金の方は特別の取扱を受けることになりましたが、更にもう一歩進んで、通信教育生のいわゆる受講者というものに対して、或る特定の集会には運賃の割引ということを是非これは実現して欲しいのであります。何故ならば、私は今日の会合の通知を受けまして、中國から九州の学生大会に出張しておりましたのを、急拠今秋帰つたのでありまするが、私共の方が今回岡山、廣島、福岡と三ヵ所で学生大会をやつて、その実際を見ますと、近縣の一晩も或いは一晝夜以上も掛かるようなところから、はるばるとこの学生大会に來て先生に面接して指導を受けるというふうな人たちが皆勤労者でありまして、今度の運賃値上ということから考えて是非郵便料金と関連して鉄道運賃も然るべく御考慮が願いたい、更にもう一歩進みましては、私共社会教育の関係の認定を受けておる團体は現在九つありまするが、殆んど大部分が職業技能の教育でありまして、技術者になる、例えば私共の例を申しますると、ラジオの技術者になる、この場合にクレデットがないのであります。ラジオを勉強いたしますると一番最低がラジオ受信級という一つの資格があるのでありまするが、せめてこの通信教育を完了して終了試驗を合格した者に対してはこれはれの最低のこういう資格だけは附くのだというふうなクレデットの点につきましても、これは各地で学生の諸君から、いわゆる勤労学生の諸君から要望の声が非常に多いのでありまして、こういう点についても何とぞ御考慮をお願いいたしたいと思います。以上で終ります。
#23
○委員長(田中耕太郎君) 有難うございました。次に江口さんにお願いいたします。
#24
○証人(江口泰助君) 政府委員に質問があるのでございますが、お許し願えますか。
#25
○委員長(田中耕太郎君) 後で懇談の際にお願いするとして、一つ先に御証言願います。
#26
○証人(江口泰助君) では申上げます。先ず第一番目に私はこの社会教育法案を前の國会で審議いたして教育委員会法との関連で考えて見たいと思うのでありますが、教育委員会が昨年の十一月一日から発足しました。その後約半年の間で私のタッチしている範囲内では、教育委員会法の精神が少し枉げられて解釈されており、実施されておるのじやないかとこう思わるる節があるわけであります。それは教育委員会は執行機関である、而もこれこれの事柄を行う、そうして教育長はその下にあつて委員会の命を受けて仕事をするところの役人に過ぎない、それが法律の中にははつきりと謳われておりながら、その後各方面で聞くところによりますと、教育委員会よりも教育長の権限が実際には非常に重くなつております。教育委員会がロボット化しつつあるようなところさえ見られるわけでありまして、例えば教育方面の官廳の代表者として出る場合は教育長が出る、教育委員会は一歩会議を外して外に出たならばこれは教育行政の担当者としての権限はないというようなことさえ言つて、会議のために存在する委員会というようなことになつている、これを言い換えますというと、教育行政が從前のような教育官廳の、俗に言う教育官僚の手によつてがつしりと握られておる、この点戰時戰前の教育行政のあり方とは少しも変つていない点が私達察知できるわけであります。その現実から私社会教育法案を眺めて見ますというと、横山さんがおつしやつた点に全く同感の点があるのであります。それはこの社会教育の面に全面的に教育行政官廳の力が滲透して行つて、端的に言いますと、社会教育、即ち成人とか、青年、婦人、労農者、青少年等の社会生活におけるところの教育を一つの行政機関の意思によつて一方的に統制して行こうというようなことが現実に行われる可能性があるということは指摘できます。從來これは公述人の方もたびたび申されたようですが、どうもいわゆる官吏が行うところの社会人に対する教育というものは余り一般社会人から受入れられないわけなんです。非常に生半可な、統制的な、いわゆるお役所風の教育では社会人はなかなかそれに興味を持つて魅力を持つてその教育を受けようというようなところがないわけなんです。そういうところから言いましても、それから教育そのものの基本的な考えから申しましても、私はこの法案の各方面に窺われるところの教育官僚の統制或いは容録指導というような面に対しては、これは何らかの方法を用いて條文を改正する必要があると考えております。その具体的な例を申上げますというと、例の委員を選出する場合の教育長の推薦という問題、それから横山さんが触れていらつしやいました、公民館の職員に館長を置きその下に役人を置くようなやり方、これは全く民衆のものであるところの公民館、民間の人、人民の樂しい集いの場所であり、教養の場所でなければならない公民館を、今一般の民衆が役人というとどういうふうな感覚で迎えるか、これを考えますときに、私は公民館の中に役人を持つて行くというようなやり方には、横山さんと同樣にどうしても感心ができないわけなんです。これもやはり一般民間人の手によつて運営するような措置をとつた方がよいと考えております。そういうふうな官廳の経営するところの社会教育事業に対する統制は、延いては今社会教育事業團体とか或いは個人がやつておる本当の民間の社会教育事業に対してまでも、條文の中にありましたように指導とか或いは資料を提出させることができるというような條項に引つ掛けて、その内容にまでも私は容喙して行くようなことを恐れるものであります。それが第一点であります。
 次に第二点は、社会教育委員、公民館運営審議委員、通信教育委員、こういうふうな委員を一方的に教育長或いは文部大臣の推薦によつて教育委員会並びに文部大臣が委嘱任命するということは、これは今の各方面のやり方からいたしますれば全く解せないところであります。それで私の考えとしましては、そういうふうな委員はやはり民主的に選挙せねばならん、併しこれを一般フリーな普通選挙のように選挙するということは困難なので、教育團体とか、学術團体とか、文化、産業、労農、宗教、社会事業、青年、婦人或いはPTA、そういう社会團体がありますから、そういうふうなものの中で協議して、そうして民主的に浮び上つた人の中で再び練つてこういう委員を選挙して行くようなやり方をすると私は非常に都合良く行くのじやないかと考えるのであります。
 それから第三点でありますが、この第三点が私が最も申上げたいところでありまして、いわゆる社会教育事業の経費の面であります。そこで私先刻政府委員にききたいと申したのですが、第四條の中にははつきりと、予算の範囲内において、財政的援助をすることができるとこうあつて、而もこの法律は公布の日から施行するとある以上は、当然本年度の当初予算によつて幾ばくかの社会教育事業に対する予算があるとそう考えております。而もこれだけ厖大な事業をするのですから、私は相当の予算が含まれているものではないか、こう考えておつたわけなのですが、これはお伺いすることができません。そこで私はこれだけ、教育委員会が社会教育に対して十四項、それから縣の教育委員会が五項目に亘つて厖大な社会教育事業をやつて行くというときに、予算の範囲内において財政的援助を國がする、地方公共團体に対して行うことができるくらいの程度で表現されているところに、私は予算面からこの法案は空文化するであろうということは申上げることができる、この法案が本当に狂つている面は実施できないであろうということは私は申上げることができるのであります。
 それから第三十五條で、私は或る関係でこの最後案の前に文部省の立案者の方にお伺いしたときに、三十五條で公民館の設定のときに、その設置並びに補助の費用の半額を國家で負担するとこうはつきりなつておつたと思つております。それがこの法律案によりますというと、非常に曖昧なふうになつております。そうして國家は公民館を「予算の定めるところに從い、その運営に要する経費の補助その他必要な援助を」やるというふうになつております。こうなると六・三の新制中学の建築費が本年度は零にまでなつた、而も地方財政は困窮のどん底で破綻の一歩前に來ているときに、國家からの補助がその運営に対する必要な補助を予算の範囲内でやるということになると、これはこれだけの事業は行うとはつきり書いて置きながら、而も公民館を設置するとはつきり書いて置きながら、義務付けて置きながら、國はその経費に対して責任を負わないでスルリと逃げているところに対しては、私は立案者のその責任が、國政を預る者の責任を疑と者でありますが、それで尚それに附加えまして、今衆議院の委員会で討議されておりますところの地方財政法の一部改正案によりますと、博物館とか、それから植物園とか、動物園、水族館等のああいう社会教育の立派な施設にまで対して、これもどなたか触れておりましたが、あんな施設に対してまでも、或いは一般社会教育團体が催すところのいろいろな観せ物等に対してまでも、六割の入場税を掛けているということは、まさにこの社会教育法案の狙うところと逆行するところの財政的措置を政府が講じようとしている、これに対してどうしても我々としては不可思議で堪らないのであります。そこで結論としましては、私はこの法律案は財政的な裏付ができなくては空文に等しい、これは権威あるところの國会においてはこの地方財政が全面的に破綻に瀕していようとするときに、裏付のないところの、而も地方においては六・三の三の学校さへ建て得ないで、一人の父兄に対して一千円、二千円という多額の寄附まで仰いで、そしてそれでさへ家が建たない、半分建つて立ち腐れているというような現状です。公民館の設立の負担、運営の負担、その他の社会教育事業全般の厖大なこの事業に対する負担を地方に負わせようとするところは、私は國政に與かる人の責任を疑うと共に、國会の権威においてこのことについて十分愼重に御討議なされて、そして策を講じて頂かなければ、これは重大な問題が起るということをはつきり申上げることができます。
 以上三点に亘つて簡單に御意見を申上げました。
#27
○委員長(田中耕太郎君) 森さんどうぞ……
#28
○証人(森光世君) 私まだ若輩の身でありまして、この法案につきまして何と申上げていいのかはつきりしたことは言えないのでありますが、この法案を見まして先ず一番先に感ずることは、公民館につきましてのことが非常に強く取上げられておるのに拘わらず、一般社会教育関係團体、こういう問題が非常に簡單に扱われておる、この点が非常に私として考えられるところじやないかと思います。公民館は政府が相当な援助を行なつて行かれる、社会教育團体は勿論政府の援助を受けるというような考えは一つもございませんが、先程來横山先生や江口先生が言われたようにいろいろ税金面、そういうような面で縛られておるというところが非常に多いと思います。そういう点でもう少しこれを考えて頂きたい、でき得れば、これは公民館の法案としまして、公民館法案を別に作りまして、社会教育法案はもつと別な面で、もつとはつきりと言いますか、社会教育関係團体というようなもの、その他の面をもつと強く出して頂いてやつて頂きたいとこう考えるのであります。
 尚この條文的に見まして私今青年團のことが一番にありますので、一應考えますのは、この十一條、十二條にありますところの文部大臣及び教育委員会との関係、國及び地方公共團体との関係、こういうものにつきまして十二條には全然地方公共團体は不当に統制的支配を及ぼし、その事業に干渉してはならない。これは結構なことでありますが、各地方にある小さな社会教育関係團体、例えば地域の青年團のような場合には、非常に、こういう公共團体と緊密と連絡をとつていろいろ事業を行なつておる場合もあると思います。そういうような関係でここに第十一條の場合に文部大臣や教育委員会においていくら助言を與えたり、何かして呉れるということがあつても、これはこの上だけの問題でありまして、そこで文部大臣や教育委員会に地域の團体がいろいろ相談をするということができるかどうか、そういう点でありまして、この求めに應じてはやはり地方公共團体においても地方公共團体の社会教育関係者、こういう方たちが助言を與えることができるというような点が一つ欲しいと思うのであります。それにつきましてはこの前に遡りまして、第六條にありますところの教育委員会の権限の中に第二号に「社会教育を指導する者の養成」ということがありますが、この「社会教育を指導する者の養成」というのはどういう人を指しておるか、というのは、これの中に地方公共團体の社会教育に関係の係の方々も社会教育に或る程度のリーダーシップを持つてやつて頂きたい、そのためにはこういう人たちが或る程度の試驗制と申しますか、そういうものを望んでおりまして、そういう人たちによつた相談を各地方の團体としてはしたいんではないかと、こういうように考えるのであります。で、全体的から見ましては青年團はこういうような社会教育法案を作つて頂くことを全般に望んでおります。私は小さな面で、青年團のことが大体主体になつておりますので、いろいろ外の通信教育や教育委員会等のことにつきましてはそれ程くわしく分りませんですが、今言いましたようなことを第一番に取上げて頂くことが地域の、地方にある團体を育成する、國が援助するという形になるんじやないかと、こういうふうに感ずるのであります。誠に私の意見としましてはそれほどございませんですが、そういうようなことを汲んで、愼重に御審議されて頂ければ非常に結構だと思います。
#29
○委員長(田中耕太郎君) 有難うございました、神近さんどうぞ。
#30
○証人(神近市子君) 大分前の公述者の方々のお話と重複して來ると思いますけれど、特に横山さん、江口さん、戸田先生、そういうふうな御意見と、ちよつと私の考えが重複することがあると思います。私のお話よりももつと力強く表現して頂きましたのでございますけれども、大体重複を厭わないで、極く簡單に私の考えを申上げてみたいと思います。で、社会教育法のこの問題につきましては、私は非常に賛成でございます。こういうものを作るということに、今まで私共非常にその点では遅れていたのでございますけれども、先進諸國に比べまして、殆んどそういう機関も、或いは理想も持たなかつたと言えるくらいでございますから、御趣旨は大変結構でございます。これをこの精神において、今日ここへ取上げられております精神において強力に遂行して頂きたい、ただ先つきからも問題になりました日本のこの現実、それから機構、それからその衝に当る、まあ普通の意味で常識人たちにこの仕事をお任せしたときに、どういう結果が出るかということにつきましては、非常に私も不安を持つのでございます。
 第一に今回この制度を地方の自治体に義務化するというお考えのようですけれども、地方の自治体の貧困というものは、今日お話にならないのでございます。教育、六・三・三制のお話もございましたし、その外のお話もございましたのでございますけれども、この教育、それから社会事業、しなくちやならんことが山積して、甚しいのになると、警察の維持さえ問題で、必要な人員を任命することができないというような状態にございますときに、この法律案のような事業を奬励するということが、國家にとつて非常な必要でございますならば、又勿論必要でございますけれども、これは相当國家で肩替りをして、そうして先つきおつしやつたように、若し半額を負担するというような條文を入れようというお考えがあつたとすれば、これは入れる必要があるのではないかと私は考えます。ところがこの法案を見ますと、國家が必要を認めながら、さてその國家がその仕事を分担しなくちやならなくなると、非常に内氣であつて、非常に消極的に出ておる、第四條の「財政的援助並びに物資の提供及びそのあつ旋を行うことができる。」それから三十五條のやはり先つきおつしやつたようでありますけれども、「その運営に要する経費の補助その他必要な援助をすることができる。」この「できる。」ということは、私共法律に関係のない者から見ますと、できるけれどもやらなくてもいいというふうにとれるのでございます。これははつきりするというような文句で表現できないものか、その点私共はお考えをききたいと思います。で都道府縣市町村の任務、或いは義務化を促進しながら、國の方は逃げ腰でいるということには、私共は不満を持ちます。勿論自治体が平和のときで、そうして余裕があり、國民も税負担が樂であるという時代でございましたならば、私はこれは自治体にやらせて、この方が又うまく行くというふうなことを考えますけれども、只今の時世に学校も建てられない、警察力の維持さえできないというような時代に、これを勧奬なさろうとなさるならば、もつと國家が本腰でおやりにならなくちやならない仕事でないかと思います。で、今この法案に挙げてございますような社会教育の各項目は、今までにすでに個人や團体や組合などでやつて來ておるのでございます。私共は大体そういうような所に、まあ殆んど最近日本國中呼ばれて行つたという経驗があるのでございますが、この人たちの熱情、そうして政府にできないことを我々の力でやつて行かなくちやならんという、素朴ではございますけれども、非常に熱心にそういうことをやつて、そうして相当成功して、非常に辺鄙の所で、恐らく講習会をやつても沢山人が集らないかと思うと、何十円かの入場券を拂つてそうしてそこへ大勢出て來る、こういうことはこの郡ならばこの郡、この村ならば村で初めてだというように大勢出て來て、そうしてそれが成功しておる、その既定の事実の上にこの制度を持つて行くときには、その既定の事実をよく保護するようなやり方でおやりにならなければいけない。それで例えばこの公民館委員ですが、それから社会教育委員、こういう者を教育委員会が、教育長の推薦によつて委嘱するということになつておりますけれども、大体教育委員会は、いろいろの委員会の樣子を見てみますと、教育長が推薦する者は大体無事に通すというのが慣例なのであります。そこで審議するということは殆んど行われない、そうすればその教育長の一人の判断で社会教育委員、或いは公民館委員というような者が選ばれるということは私非常は危險がある、このことについては、今例えば婦人團体とか或いはPTAとか、或いはその外のいろいろな團体の組合とか、そういうものによつての選挙制度がよかろうというふうなお考えがあつたようですけれども、私もそれは結構だと思います。私がその前に考えておりましたことは、少くも終戰後三年間の過去において、そういう地域地域でそういうことを考えて計画して成功した人たち、その人たちを、記録がある筈でありますからそれによりまして招集して、私は最初はそれは互選がいいか知らんというふうなことを考えたのでございます。で、この趣旨は、今まで熱意を持つて、こういう法案も、公共團体の保護もない時にこれをやつた人たちの熱意というものは、これは買つて上げなくてはならないし、又純粹に名譽とか或いは利権とかいうことを狙つたものでなくて、本当に民衆を啓蒙し、育て上げたいという氣持からやつた人でございますから、これとの摩擦を絶対に私は避けて頂きたい、この意味からでもございますが、引続き國家が、或いは公共團体が、その事業を、今まで無力、孤立無援でやつた人たちの仕事を國家なり公共團体などでその精神を引継ぐというような意味からもその人たちを無視なさらないようにして頂きたい、それからこの條文の中には婦人の團体については一行も書いてないのでございます。例えば文化團体、或いは社会事業團体の中に婦人團体を含めたおつもりかも知れませんですけれども、これは私はどこに行きましても婦人團体というものは存在しておるのでございますし、そうしてその土地の代表的な人たちがそれを應援しておるという実情から、婦人團團体という項目は労働組合、その他公共團体、或いは社会事業團体という所に列べて婦人團体というものを條文の中に入れて頂きたい、そういうふうに考えるわけでございます。それからもう一つは先つきもございました興行税の問題でございます。社会教育事業でやるものは、講習会からリクリエーションのすべてを無料でやるというようなおつもりだつたらこれは話は別でございますけれど、例えばその経費をカヴアするという意味から入場料をお取りになるという場合に、興行税をこれにお掛けになつては殆んど実行不可能になり、聽覚、視党の教育ということが何ヶ所かに出ておりますけれども、聽覚、視覚の教育ということは非常に日本の子供たちのこれからの科学的進出においても必要なことでありますけれども、極く良心的な人が、例えば自分の作品、作曲を発表してこれを皆んなに聞いて貰い、序でに聽覚の教育に資して行きたいというようなことをお考えになつても、今は十五割の入場税ということで経営ができないのでございます。そういう人たちが皆んなこれを中止しております。もう默つて自分で仕事をして行くより外はないから、そういうことはできない、これも社会教育の一翼としてお考えになつておるならば、この案文の中にも興行税はこれを課さないというようなことを私は入れてお置きになることが絶対に必要であるというふうに考えます。非常に私の口述はばらばらでございますけれども、大体その辺に私の要点があるのでございます。
#31
○委員長(田中耕太郎君) 有難うございました。次に關さんにお願いいたします。
#32
○証人(關忠志君) 関忠志であります。自分の意見を申上げます。
 この法案の立法の趣旨が、第一條においてはつきり「教育基本法の精神に則り、」云々とあります。この教育基本法のそれに該当するところを探して見ますと、第七條に、「家庭教育及び勤労の場所その他社会において行われる教育は、國及び地方公共團体によつて奨励されなければならない。」ということが明記されておるのです。ところがこの法案を見ますと、現実に社会教育を実施しておる団体というものに関して規定するところは非常に少ないのです。ということは、つまりその教育事業に実質的に奨励を與えていないということになるのであります。却つて例えば補助金を下附の禁止ということを考えて、下付ということに反対の面のみが目に立つていうことを先ず感ずるのであります。そういう実際に教育運動をやつておるという團体については、第二章にいわゆる「社会教育関係團体」というふうにして挙げられておりまするが、現実に第二條にいうような組織的な社会教育をみずから実施しておる團体というものをこれは「社会教育関係團体」というよりも、むしろ「社会教育團体」というべきだと思いますが、非常に少ないのであります。組織的な社会教育活動といつたようなふうなものは、最低の要件として組織を持つておるということ、指導というものがあるということ、はつきりしたプログラムを持つておるということ、そういうものは少なくとも最低の條件だと思うのでありまするが、そういつたものを持つて現実に社会教育というものをやつておる團体は、例えば從來の名前で言うと地域青年團の中にあるものとか、外にYWCAとかYMCAとかボーイスカウト、ガールスカウトといつたようなふうなものがあるに過ぎないのであります。勿論その外に團体にもその團体の組織、目的というものの一部分に社会教育的意図を持つておるというものもありますし、又抽象的に社会教育を推進するために役立つておるといつたようなふうな、つまりそれこそこの表題にいう関係團体だと思うのでありますが、そういつたものがありますが、直接やつておるという團体はかように少ないという外ないのであります。併し最初の趣旨にあります社会教育の奨励ということのためには、直接社会教育をやつておる團体が強化されるということが一番正しい社会教育が奨励されたということになるというふうに我々は考えるのであります。それで私共の希望するところは、こういつた本当の社会教育團体というものは、それぞれ独自の組織と教育方針というものを持つておるのでありまして、又それが本当の社会教育の在り方だと思うのでありますが、私共の希望としては、國とか地方公共團体がそれぞれその特殊性というものを認めて、その強化発達に便宜を付與するといつたようなふうなことで團体を保護、強化して頂きたいというふうに思うのであります。そういうことのために一番適切な問題は、先程來大勢の証人の方からお話がございましたが、こういつた團体の存立に対する先ず一番先の経済的な意味で國家的な保障を欲しいということであります。これは社会教育というものの價値を学校教育と同じような必要性、又意義、價値というふうなものを社会教育に若し認めるとすれば、学校教育に対して與えられるものと同じものが社会教育團体に対しても與えらるべきであります。又社会教育というものは社会事業というふうな見方からいたしますと、一般の社会事業とか兒童福祉事業、これは何れも文部省所管でありませんで厚生省所管のようでありますが、これと比べると大変の差がありますが、これもやはり同じような保護を当然受けるべきだと思います。というのは、いわゆる法律的な意味の、県在ある法律でいう意味の社会事業とか兒童福祉法、主に救済とか矯正とかいうものを主な目標にしておるようであります。又國家がそういうことをやるべきことを民間團体がやつておるから十分な保余をしてやるというようなお考えがあるんじやないかと思いますが、併し救済とか矯正とかいうことに至る前の段階で、そういうふうにならないようにしようとする社会教育に対しても同じように実施されなければならない、特に兒童福祉法なんかの関係を見ますと、兒童の福祉、兒童の衆合せということから教育というものを除外することは到底できないのであります。それにも拘わらずこういつた学校とか、又社会事業の関係に與えられておるような國家的保護を社会教育に対しては與えられていないということを自分たちは非常に感じておるのであります。先つき申上げましたように、國でやるべきことを代りにやつておるからというふうな意味でそれを補助するといつたふうな意味があり、又社会教育は方は民間でやるべきだから、これは野放しにして置くんだというふうなことでは教育基本法の趣旨にも反するものだと私共は思うのであります。こういうふうな事味で先程横山さん、又只今神近さんからおつしやいました税金問題を先ず取上げらるべきであります。この税金の問題について実例を申上げれば、兒童福祉決の方では明らかに兒童福祉施設というものを定めて、これに該当するものはいろいろの税金、地租とか臨時の取得税とかいつたようなものを全部免除しております。ところが社会教育の方にそれが全然ないということについて一つの実例を申上げて見ますと、昨日聞いたばかりの実例でありますが、YWCAでこういう実例があります。YWCAはアメリカの復興援助資金というものを受けまして、日本でのこの仕事を拡張するためにその土地の購入費を貰つたのであります。都内に四百五十坪程の土地を買おうとしたところが、その土地の取得税は十二、三万円取られる、一年間に地租が一万円強取られるということは計算によつて分つたのでありまして、どうにもならないというのであります。こういつたことは、その仕事の性質上から見ても、当然先つき申上げましたような外の教育事業、社会事業と同じように免税さるべきだというふうに考えます。その理由は税務署でのそういう取得税を概算して呉れた理由は、YWCAというものは宗教團体でもないし、社会事業團体でもないし、又学校でもないかと免税の方法がない、こういうことだつたのであります。その外に同じ團体でのやはり実例でありますが、このYWCAは東京の駿河台に自分の本館を持つておるのであります。これは戰前にはその建物の八割くらいを各然学校ということで教育事業を行なつておりましたので、その本館の家屋税は無税だつたのであります。ところが現在は進駐軍にそれが接收されておりまして、家賃を政府から支拂われております。從つて收入の元になつておるということで、これの家屋税をこつちから掛けるということを税務署から言われておるそうであります。これはこれまでの事業実態そのものとちつとも違わないのでありまして、その團体がそのために非常に財政的な窮迫を告げておるというのであります。
 只今申上げましたのは團体の存立そのものに関する援助がされていないということでありますが、その次の内容的にもこう言つた社会教育団体に対しての援助をし、ということをこの法律の上で現わす方法がないかと考えます。例えばこの十一條を見ると、何かいろいろ御指導下さるように思うのでありますが、併し実際中央官廳又は地方廳公共團体とか、教育委員会、そういう力が一体この法律によつてできるだろうかということを私共危ぶむものであります。逆に考えますと現在の社会教育の内容に関して指導的の立場をとるような方法が何も講ぜられていないということは心配しないでいられないのであります。これは委員会といつたようなものをもつと充実して内容的に本当の充実し得るようなものがなぜできないものだろうかということを考えます。これは実例を申上げて見ますと、私共は先程横山さんから発言がありましたが、大体似たような希望を持つておりますが、集つていろいろ組織を持つたり、又文部省にいろいろお手傳いをしておるのでありますが、実際を言うとこの法律の中に示されたようなお世話、例えば指導の方面で指導して下さるとか、物資の斡旋をして下さるとか言つたようなお世話をまだ一遍も受けたことはないのであります。例えばその物資の面で言いますと、この法律で物資の裏付けができるのかと言うと恐らく実情から、物資がないからとおつしやるかも知れませんが、外の事業團体、外の省の、外の役所の関係なら取れておるものが文部省では取れていない、当然教育のために必要な物資がそのために非常に不自由をしておるということが、幾つか挙げることができます。それに反して逆に私共の團体が文部省がお世話をしておるというと失礼を申上げまするが、昨年秋以來アメリカ自動車を買つて貰つと社会教育の指導の講習会というものをやつているのでありますが、これは実を言うと、私共幾つかの團体があつたから、きたでのであります。今年もそういうことになると思いますが、そういうことならば私共喜んでそれをやつておる、それが又大事なことなんですが、そういうことをなぜ法案の中に入れないかということを、疑念を持つのであります。民間の力を借りて國がやるというふうにすることが民間の力を強くするということにもするので、そういうふうな考えが浮ぶのであります。更にその問題に関して附加えますと、何もお世話をして頂いていないということをもう少し申上げてみたいと思います。それは先程横山証人からお話がありました、この法編のもう一つ前、ここに提出されたもう一つ前の原案について、私共文部省青少年團体專門委員会から建議を出しました、その建議の内容についてはこの委員会の石丸專門員にもお渡ししたのでございます。文部省にございますからどうぞ御参考に御覧願いたいのでありますが、それは主に税金問題とかその團体の独立性を認めると言つたようなものでありますが、その建議はこの議案に対して三字か四字以外に入つていないようであります、ということは單に冷淡であるといつたばかりではない、そういつた指導能力を疑うということになるのであります。ただこんなふうなことをお願いしていますが、逆に注意をしなければならないと思いますことは、從來のいろんな形で以てあり勝ちな形式的な奬励ということが、これからの世の中では何とか協会を作るとか、何とか連合会を殖やすとかいつたものを行われるのは困ると思います。それは実際活動をしない実際教育活動をしていない、極言すればブローカー的な存在を殖やすということになると思います。そういうふうなことがないように御注意願つて頂く必要があるのじやないかと思います。それからもう一つ先程民間團体を直接活用して欲しいということを申上げましたが、例えばこれは文部省の例でなく、地方廳の例でありますが、何かこういつた社会教育的な事業を地方廳が自分でやるということをやらずに、民間團体にそれをやるように薦めるということは、やはり民間團体を強くする一つの在り方じやないかと思います。これも一つ例を挙げて申しますと、この例を挙げるのはいけないかと思いますが、極く最近東京都社会教育課でお伽列車というものをやりました。約二千人ばかりの子供を小田原まで連れて行つて、東京都でやつた仕事でありまして実にくだらんことだと思います。そういつたことを民間にやらしたらどうか、そういつたことによつて民間は強くなるだろうと思います。我々はそんなことをやるために私共は目の飛び出る程税金を拂つているのではないのです。只今申上げましたような内容の問題又財政的な、教育内容の問題、こういつたふうなことがもつとこの法案で取上げられるべきだろうと思います。若しそういうものがないとすれば、私共のように現実に、組織的に教育活動をしておる者にはこの法案はむしろ無用なものという外ないのであります。その次の点にこういうことがあります。第六條第二号を見ると教育委員会の事業として、指導者養成といつちようなことを挙げているのでありますが、これは少し小さい問題、具体的な問題になります、と申しますのは私共具体的の問題をやつておりますので、いろいろなことを考えるのでありますが、これは文部省で以て昭和二十三年の発社第百九十七号というので地方における社会教育團体の組織における通牒というものが出ております。それによりますと、こういつたことが特定の運動の指導者の養成ということにはできないということが明らかにされているのでありますが、今度のこの法律によつてこの通牒が消えるだろうかということをいろいろな細かい疑念を持つのであります。そういうことの通牒が私共社会教育をしている者に大きな影響を與える沢山な條文がありますので、この際そういつたことを明らかにされる必要がある。それが実際運動をやる者に対する便宜を與えることになるというわけであります。特にこんな小さいことを申上げますのは何ですか、実情といたしまして、地方ではそういう通牒があるにも拘わらず、縣の費用といつたふうなものをカムフラージュして縣で仕事をやりたがつて講習会のようなものをやつて、或いは外の費目からそれをやる、或いはそれを全然表に現われない金でやつているというふうなことをやつております。それは全部縣によつて違うのでありまして、そういつたその通牒に引つ掛かりそうなもののために、非常に不便を感じておる、各種の民間團体を縣廳が置いてはいけないということを、縣で金を出して置くといつたというふうなことが行われております。こういう点を明らかにそれるということが非常に望ましいのではないかと思います。その次の問題も社会教育團体に対する干渉というものがはつきり禁止されているし、又当然統制というものは禁止さるべきだと思うのでありますが、例えは第十七條第一号を見ますと、社会教育委員という者の仕事のうちに、社会教育に対する方策の立案といつたようなことがあつて、それが教育長への助言として現われたということがあります。ところがそれをもう少し外の條文から考えて呼んでみますと、この社会教育委員というものはその前十六條によりまして公民館運営審議会の委員を充当してもよいということがあります。併し公民館というものは非常に間接的な盲のだということは第四章の全條を見てもよく分りますし、その公民館の大きな仕事のうちにこうした各種團体の連絡というようなことが言われておる。そういうことを全部総合して考えますと、先程來これに関連したお話がございましたし、社会教育全般の統制機関といつたようなことは非常に按じられるのであります、そういう意味で仮にそれを救済すめば、例えば第十六條そつくり削券してしまうということによつて、或る程度までは防ぐことができますが、公民館そのものの在り方についても、又別に考えなければならないのであります。併しながら公民館の在り方についても横山さん、江口さんのお話がございましたが、ずつと読んで見まして頃常に國家の機関だというような色が強過ぎるように思います國家の監督下にある町村がそれを作る、又そうでなければ認可を得た者が、それを設置することもありますし、財政的な援助が與えられ、人事についても同じことが言えるということであります。併しながら國家の仕事としても勿論必要になるかも知れませんがこれも御意見のありましたように本当の民間の仕事として行くためには、本当に民主的な仕事であるためには、國家のやる仕事と並行して、同じことを民間でもやるような途を講ずる、例えば認可を得たものがやるというような認可の制度は止めてしまつたらどうかといつたふうなことが考えられるのであります。尚その公民館のことについて言えば、この法案の全部を通じて見て、やはり一番先に感じますのは、この法案が公民館法とか、若しくは公民館設置奬励法とかいつたふうな感じが非常に多くあるのでありますが、まだそういうふうに発達していないものを奬励するということよりも、既定の事実をもつと尊重しろという意味で、すでにある一切の教育團体をもつと強化するということ、この点も重ねて申上げて置きたいというふうに思います。
 更にこの法案全部を通じで感ずることは、こんなことが感ぜられるのであります。それはこの法案は社会教育といつたふうなものでありながら國民自身の、何か爲し得る力をつけてやるというふうなことが、これは考えられていない、その例として申上げて見ますと、第五條の六号、第二十二條の二号なんかに、いろいろな討論会、講習会といつたふうな、いろいろなことを挙げておりますが、こういつたものは全部その上に別な指導者がいて、結局それが主催者になるわけでありますが、これをやつて行く、引つ張つて行くという形を採られるのが多いのであります。これは青少年團体委員会でも、特にその建築案に入れたのでありますが、なぜ本当に國民たちが、自分たちで以て話合い、考え合うそういう形をとつている討議というものを入れて見なかつたのだろうということを重ねて考えて見るということは、飽くまで引つ張つて行こうという形がここにも現われているというふうに言う外ないのであります。重ねと最後にこの法案の提出理由は、二、三行述べてありますが、社会教育実施の法的根拠を與うる必要があるから出したということが書いまあります。けれども只今申上げましたように社会教育團体に対して、その團体の在存ということは、社團法人とか、或いは財團法人とかいつたことで、一應法的根拠はあるのですが、社会教育実施ということに対して何も実際上法的根拠を與えられていないようにこの法律では見えるのであります。從つてそうすると、この法律の提出理由というものは、外のところにも目標があるというふうに考えなければならないのであります。更に大分逆になるのでありますが、第二條で社会教育というものの対象を主として青少年及び成人に対して行われる組織的な教育活動というふうに対象を掴んで、この法律の対象とすべきものを言つておるが、教育基本法の方では、最初に読みましたように家庭教育と並べて勤労の場所、その他社会において行われる教育といつたような教育の場面を言つている、社会教育というものは特に赤ん坊から死ぬまで、年寄りまで全部が受けるべきものであり又受けるべき権利を持つているものでもあります。從つてこの法律についても、第二條に教育の場面を示してその法の適用する範囲というふうに考えた方がよろしいと思います。
 大分いろいろな苦情や不平やらよく分らんような意見を申上げましたが但しこの法案の後の方にくつ附いております学校施設の利用とか、通信教育とかの点については、共共團体としても、若しそれを我々がやるつもりなら適用をさして頂ける。又若干の利益を與えて頂けるという点が盛られてあるという点は有難く思います。以上であります。
#33
○委員長(田中耕太郎君) 以上をもちまして各証人の方々の証言を終りました。いずれも非常に有益な御証言でありまして、委員会といたしまして法案の審議上非常に参考になる所が多いのであります。つきましては委員の諸君でいろいろ只今の御証言で少し立入つてお尋ねしたいという方もおありになるかと思いますから御発言を願いたいと思います。
#34
○河野正夫君 山本さんに一つ伺いたいのですけれども、先程の法律的な御解釈は非常に参考になつたのですけれども、ちよつと聽きはぐつたことがあるのでございますが、公の支配というものの解釈のしようで、つまり山本さんの御趣旨は公の支配というものの解釈のしようで、社会教育團体を公の支配に属しておると受取ることによつて補助金やなんかを與えるようにしたい、こういう御意見でございましたでしようか、その点がはつきりしなかつたのですが……
#35
○山本証人 私の意見の趣意は、今おつしやつた通り、最後の眼目はそれなんです。それでここに第十三條で、國及び地方公共團体は社会教育関係團体に対して補助金を與えてはならないということになつておるのですが、この社会教育関係團体というものの定義が第十條にあるわけです。そこでこの公の支配に属しない團体で、公の支配に属しないということの解釈が非常にこの幅で以て大分違つて來る、これを窮屈に解釈しますと、どうもこの法案で見ます、先程來お話がありましたように、公民館に例をとりましても、市町村立の公民館、それは公務員が実際に運営に当つて行く。そういうものを公の支配に属しておるものと、こう考える、その場合ですと、これは國の補助も出るわけです、使えるわけでありますが、一歩進んで、この法人が設立しました公民館となりますと、非常に漠然としておる、併しながらその場合に法人は民法上の規定以外にこの法律によりまして、こういうことをしちやいけないということを二十三條で非常にはつきりと決められてもおりますし、一方又この公民館の審議会からのいろいろな指導も與えられておるのでありまして、いわゆるパブリックなコントロールというものは、財團法人による民法法人の公民館でも非常に受けておる、まあこれは一例であります。そういう公の支配というものの解釈を少しく幅を廣く解釈をしますれば、この法律によつても、補助金というものがいわゆる地方自治体からも亦國からも相当與えることができる。地方自治体が與えたいと思いましても、それを狹く解釈してしまうというと、地方自治体の活動が狹められる虞れがある、それを私は恐れておるのであります。現にそういうふうになりますと、補助金という名目を避けるために、名前は委託にするとは何とか別の、金で與えないで、物で與えるとか、いろいろ余計な手数を掛けてしまうことになるのじやないか、それで地方自治團体の創意工夫といつた本旨というものの自治的な活動が却つて妨げられるのじやないか。
 それからこれはちよつと附け足して申上げますが、國からの補助ということも結局は地方自治團体にそれが行くのでありますから、いわゆる地方配付税で行くのでありますから、國から補助が行つても、地方自治團体の自治的なこの決定の幅が狹ければ、國の補助が、先程からお話がありましたが、行つたところで今度は使えないということにもなります。ですから社会教育團体のデフィニションのところに、公の支配に属しないという、公の支配という解釈の幅を廣く解釈する必要があるのじやないか、こういうふうに考えます。
#36
○岩間正男君 有賀さんにお伺いしたいのですが、先つきのお話では、勤労大衆の教育の拠りどころがこの法案によつてはつきりするということを言われましたが、更は國は、青年男女の修養に有効であるというような趣旨のことを述べられたと思うのであります。尤もお話でも内容には触れないというようなことで結ばれたのでありますが、実は私達のおききしたいのはその内容なんであります。法案の趣旨そのものが、法案から離れて、そうして仮に有賀さんにしても、この法案の内容そのものがそれを実現しておるかどうかということが我々の審議の対象となるので、その点について意見を伺いたい、法案に関連してどういう点について今のような点を御指摘なさるか、お伺いしたいと思います。
#37
○有賀証人 今の御質問の御趣旨にお答えするわけですが、先程來存年修養團体といつたようなことは一例を取上げたわけでして、仮に学校施設の解放とか、或いは公民館がこのような目的によつて、指標によつて、実施されるということであるならば、必ずや緊密なそういつた團体との連繋も取り得られるものと、かように考えた上で申上げたわけです。飽くまで公民館の目標とか、学校解放の精神とか、そういつたようなことの線に沿つて頂くならば、私の考えておることにも全く一致しまして非常に賛成するというわけなんですが、それでお答えが十分でないものでしようか。
#38
○岩間正男君 どうも自分としては余り……。もつと結び付けて内容的にお聞かせ願いたいと思うのですが、特に先つきのお話では指摘された勤労大衆の教育の拠りどころが、どういうところにこの法案の中にあるかということ、これは非常に重要な問題になるわけで、青年男女の修養に非常に有効である学校の解放とか、公民館の解放というのは、今までもやつておつたし、それがこの法案によつてただ法私に措置されるということになるのですが、そういうようなところもこの法案としてもつと強調するだけの内容があるかどうか、そういう点を御指摘願いたい。
#39
○有賀証人 例えば二十二條の、公民館は第二十條の目的達成のためにそれぞれの事柄を実施する事業を行うというところの、一項なり、二項なりといつたような、例えば定期講座を開設するとか、乃至は講習会、講演会を実施するとかいうことによりまして、先程來申上げた線に沿うものと、これは一例ですが、そういうものと心得てまあ申上げたわけなんですが。
#40
○河野正夫君 北條さんに伺いますが、先き程非常に参考になる御意見を伺つたんですが、私がこの社会教育法案を見まして、学校の通信教育、学校過程としての通信教育、それとここの法案では通信教育の定義がすつかり教科過程と離れておることになつておりますが、北條さんがおやりになつていらつしやるのは確かに或る意味では学校教育法による学校のあれじやございませんでしようけれども、併し、通信教育の修了者に資格を文部省が、或いはその他で、認定をするということを要望されておるので、そうなると一つの教育過程を踏むものになつて來はしないかと思いますが、如何でございますか、それをそう解釈しないで欲しい、そういう御意見もございましようが……
#41
○北條証人 教科過程を踏まずに、私共が現在実施しておるようなものに対して、通信教育によつてこういう過程を終つたというふうなことの何が出るようになると、大変いいと思うのでありますが……
#42
○藤田芳雄君 今通信教育のお話がございましたが、ここでいうような通信教育を今までやりまして、何か國家から特別な援助なり便宜なりを與えて貰つておる例がありますか、北條さんに……
#43
○北條証人 現在までのところですと、用紙の点で便宜を與えて貰つておることと、今月から郵便料金の点で便宜を與えて貰つております。
#44
○藤田芳雄君 すでにそれが與えられておるわけですね。
#45
○北條証人 はい。ただ用紙の面では満足する程にはないですけれども、大体において與えられております。
#46
○岩間正男君 森さんに伺いたいのですが、先つきの森さんのお話では、現在の青年層に対する指導、そういうものは地方の指導者というか有力者から、リーダーシップをとつて欲しいというようなお話があつたんですが、青年團の組織としてはそういうようにおやりになつていらつしやるのですか。
#47
○森証人 青年團の組織としては、大体において各地方において小さな青年團として活動しておるために、一應地方公共團体を主体として、中央からの連絡機関としていろいろ利用しておる、こういうわけで、必然的に地方の公共團体の社会教育に関係されておる者が、非常に指導というか、助言を與える機会が多いと思うのであります。そういう関係で先程私申上げたのでありますが、まあ一番手つ取り早く、いろいろ中央から流れる資料はそういう所で掴めると思うのですが。
#48
○岩間正男君 そうすると、私達の考えております青年團としては、やはりもつと自主的に発展して行くことが望ましいと考える。できるだけそういうような指導者の援助は、これはそういうものを否定するわけじやないけれども、そういう一つの何というか、地方の有力者とか指導的な階級の指導というものを、余り受けない方がいいのでないか、率直に言いますれば……。その面が青年團の組織に非常に重要な変化を持つのでないかと、私達は把握しておるわけでありますが、それはどうお考えですか。
#49
○森証人 勿論青年團においても、リーダーを養成するということにおいては十分に考えて、横山先生の方の日本青年館の方ともいろいろ手を携えて、いろいろ指導者の養成に努めております。現状においては青年團というのは地域にあるために、非常に網羅的というか、日本國まあ到る所に青年國があると言つていいくらいに現在青年團が出ております。それに対しての連絡がいろいろ組織立つてまだできておりません、そういうような関係で、育成する意味においての地方の公共團体のこういう関係者は、そういう條件といいますか、青年團体の運営に対して管理するというより、その青年團体を育成する意味においてのリーダーとなつて頂きたが、あらゆる團体が生まれて直ぐにでき上るものでないと思います。
#50
○岩間正男君 そういう現段階にあるといえばそれまでなんですが、同じように青年團の特殊な問題の内容と、それによつて、つまりそういうような地方の何といいますか、有力者、指導者、そういう人たちに青年團そのものが影響を受け、又左右されることが発生しないか、更に先つきのお話ではこの法案の……。つまりこの法案は今非常に問題になつておるわけです。これは私達二日審議したわけなんですが、非常に官僚統制の嫌いが濃いということは、先つき証人の方が言われたように出ておる、それを何か先つきのお話では、むしろそういう面が望ましい、指導面そういう面が望ましいという、これが聞き違いかも知れませんが、聞いたわけです。この点どうですか、そういう官僚統制というようなものは。
#51
○森証人 勿論官僚統制の面が非常に十二條にも出ておりますけれども、「不当に統制的支配を及ぼし、又はその事業に干渉を加えてはならない。」この第十二條は私達も賛成して、この條文があるということは非常に賛成するものでありますが、我々は第十一條にある文部大臣と教育委員会との関係、これは社会教育関係團体との関係でありますが、これについて文部大臣と教育委員会において、各地方の團体がこういうことは言われておつても、文部大臣のところへ行つて一々どういうふうにしたらよいかというようなことを自分たちの方から自発的に相談を持ち掛けるということは不可能だと思います。それで必然的に地方公共團体の方へぶつかつて行くということは多いのではないか、そのために地方の公共團体の人たちが、社会教育面の十分なリーダーであつて欲しい、こういうようなわけなんです。
#52
○岩間正男君 一應日本の実情も言わないと抽象論になりますけれども、私は多くの場合、そういう指導者というものは、或いは邪魔になつておるのではないか、そういう形に日本の民主化というものは今進行しておる、從つて新らしい性格の青年團を本当に結成するには自力で結成して行くというそういう面を強力に考えるべきであつて、そういう面の指導というようなものを、むしろ、これは批判的に言われるのは差支ないと思いますけれども、そういうものに頼るとか、そういうものとの連関を考えて行く方面は、非常に將來の発展のためにはむしろ危險じやないかというふうに、私は率直な感じを持つわけです。その点はどうお考えですか。
#53
○河野正夫君 ちよつとお答えになる前に、森さんは誤解があるのじやないかと思いますが、それを一つ申上げてからお答え願つた方がいいと思いますが。……
#54
○委員長(田中耕太郎君) それでは河野君。
#55
○河野正夫君 第十一條の、文部大臣及び教育委員会だけがいろいろ援助するようなことになつておるという御不満のようですけれども、これは附則に、市町村に教育委員会の置かれていない場所では市町村、名前は市町村長になつておるかも知れませんが、それがやるということになつておりまして、これは教育委員会が今できていない各市町村に置かれるときには、もうこれは十一條でもいいわけです。置かれていないところに御不満があるのだと思いますが、それは読み替えができておりますから、その点は御心配はないとい思ます。ただ岩本君の御質問は別です。
#56
○委員長(田中耕太郎君) 他に何か御質問はありませんか。
#57
○岩間正男君 今の……
   〔「討論はいいじやないか」と呼ぶ者あり〕
#58
○委員長(田中耕太郎君) 実は大分本会議の定足数が足りないので、運営委員会からの申入れがありますので、今日の証言を伺うことはこの程度にいたして置きたいと思います。どうもいろいろ有難うございました。散会いたします。
   午後三時二十四分散会
 出席者は左の通り。
   委員長
           田中耕太郎君
   理事
           若木 勝藏君
           松野 喜内君
           木内キヤウ君
           岩間 正男君
   委員
           梅津 錦一君
           河野 正夫君
           堀越 儀郎君
           三島 通陽君
           山本 勇造君
           藤田 芳雄君
           鈴木 憲一君
           西田 天香君
  政府委員
   文部政務次官  左藤 義詮君
   文部事務官
   (社会教育局
   長)      柴沼  直君
  証人
   日本青年館事務
   局長      横山 祐吉君
   小平公民館長  有賀 三二君
   慶應義塾大学社
   会部長     山本 敏夫君
   ラジオ教育研究
   所常務理事   北條 清一君
   日本教員組合法
   制部長     江口 泰助君
   東京都青年團体
   連絡協議会委員
   長       森  光世君
   社会教育連合会
   長       戸田 貞三君
   民主婦人協会理
   事       神近 市子君
   ボーイスカウト
  日本連盟総主事  關  忠志君
ソース: 国立国会図書館
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