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#1
第061回国会 法務委員会 第4号
昭和四十四年三月四日(火曜日)
    午前十一時一分開議
 出席委員
   委員長 高橋 英吉君
   理事 大村 襄治君 理事 進藤 一馬君
   理事 田中伊三次君 理事 永田 亮一君
   理事 濱野 清吾君 理事 神近 市子君
      大竹 太郎君    鍛冶 良作君
      千葉 三郎君    渡海元三郎君
      中垣 國男君    黒田 寿男君
      中谷 鉄也君    岡沢 完治君
      山田 太郎君    松本 善明君
 出席政府委員
        法務政務次官  小澤 太郎君
        法務大臣官房長 辻 辰三郎君
 委員外の出席者
        法務大臣官房司
        法法制調査部長 影山  勇君
        最高裁判所事務
        総局総務局長  寺田 治郎君
        専  門  員 福山 忠義君
    ―――――――――――――
三月四日
 委員柳田秀一君及び西村榮一君辞任につき、そ
 の補欠として中谷鉄也君及び岡沢完治君が議長
 の指名で委員に選任された。
同日
 委員中谷鉄也君及び岡沢完治君辞任につき、そ
 の補欠として柳田秀一君及び西村榮一君が議長
 の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内
 閣提出第一八号)
     ――――◇―――――
#2
○高橋委員長 これより会議を開きます。内閣提出、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。大村襄治君。
#3
○大村委員 政務次官の御出席がおくれておりますので、裁判所のほうに対して最初にお尋ねします。
 今回の判事十五人の増員は、高等裁判所における訴訟事件の適正、迅速な処理をはかるためであるというふうに説明されておりますが、最近の高等裁判所における訴訟事件の受理件数及び事件処理の実情はどのようであるか。また、将来高等裁判所に脚ける訴訟事件の審理期間を、今回の増員によって将来どのように短くしていこうとするお考えであるか、この点をまずお尋ねします。
#4
○寺田最高裁判所長官代理者 ただいま大村委員からお尋ねのございました高等裁判所の判事の増員の関係でございますが、お手元に法律案の参考資料というものが参っておると思います。その七ページに第五表というのがございます。その表の左の端のほうに、民事、刑事と分かれておりますが、民事の訴訟のところの合計欄、上から四段目の数字でございます。昭和四十年に九千八百二十件、それが四十一年に一万三百九十七件になりまして、昭和四十二年には一万百八十五件と若干減っておるわけでございます。四十三年は、実はこの資料をつくります際にまだ間に合いませんでしたが、その後計算いたしましたところが一万百八十八件、大体横ばいということでございます。
 それから刑事の関係でございますが、刑事は下から三段目に訴訟の控訴審というのがございます。その数字を一々読み上げることは省略させていただきますが、漸減、少しずつ減ってまいっておる。昭和四十三年は一万五百八十九件ということで……(大村委員「一万五千じゃないですか」と呼ぶ)いいえ、一万五百八十九件ということで、大体四十二年と横ばいということでございます。
 いま申し上げましたのは、刑事の下から三段目の訴訟の控訴審だけの関係でございます。ちょうど昭和四十二年に一万四百九十七件となっておりますものに見合う数字でございます。いま大村委員の御指摘のございましたのは、あるいは全体の合計かと思いますが、雑件を入れました合計数は、四十二年におきましては一万五千二百十五件とそこに出ておりますが、それに見合う四十三年の数字は一万四千六百十四件、これはやや減っておる、こういうことでございます。
 それから審理の状況でございますが、同じ資料の一一ページに第九表というのがございます。その第九表をごらんいただきますと、高裁の関係は上二段でございますが、昭和四十一年に平均審理期間十七・七カ月でございましたのが、四十二年には十七・四カ月と若干短縮されており、刑事の関係でも、昭和四十一年の六・四カ月が四十二年六・二カ月というふうに若干短縮されておるわけでございます。四十三年の関係は、まだ平均審理期間まではデータが出ていないわけでございます。これは非常に多くの事件の平均でございますから、こういうふうにわずかでも短くなるということは、やはり全体としてかなり審理が短縮の方向に向かっておるということは申し上げられるかと思います。
 しかしながら、これを戦前と比較いたしましても、また諸外国と比較してみましても、どうも高裁の部分が比較的訴訟がおくれがちである、ことに民事においてその領海が強いように見受けられますので、高裁に重点を置いて増員の処置をとったわけでございまして、将来の目標といたしましては、せめてこれの半分に近い期間にまで持ってまいりたい、少なくとも民事におきましては一年を割るところまで参りませんことには問題にならない、かように考えておるわけでございます。
#5
○大村委員 ただいまの御説明で、いままでの審理期間が非常に長い、それをできるだけ短縮していきたいというお話でございました。ただ、民事を、いま一年半程度かかっておるものを一年を目標にするといわれましても、実際問題としてはなかなか実現の道は困難のような気もいたすわけであります。ただ、これは定員だけふやしましても、人が伴わなければいかぬ。そういった点につきまして、今回増員になる判事の充員、充足の点をどのように行なう予定であるか、裁判所の御見解を伺いたい。
#6
○寺田最高裁判所長官代理者 大村委員御指摘のとおり、裁判官の増員につきましては、常々国会から非常に御支援をいただいておりますばかりでなしに、内閣のほうにおいても比較的好意のある御見解をいただいておるわけでございますが、肝心の給源の点に足を引っぱられまして、なかなか思うような増員の処置がとれないというのが、現在までの実情でございます。今回の場合も、やはりもう少し多い数をとも考えたわけでございますが、いろいろ給源等を考えましてこの程度ということにおさまったわけでございまして、お手元の資料の二ページに第二表というのがございますが、その第二表に現定員、現在員、欠員とございます。第三段目が欠員の欄でございます。その右のほうに合計欄がございますが、その中の一番右の端が簡裁判事、その隣が判事補、右から三つ目に長官・判事の欠員が、そこに三十五という数字がございます。これはこの資料を作成いたしました昨年の十二月一日現在における欠員でございます。その後またさらに定年退官等がございまして、結局年度末には六十人前後の欠員になる関係になつておるわけでございます。そうして今回十五人増員していただきますと、合計で七十数名の給源が必要になるということでございます。たまたま本年度におきまして判事補から判事に昇格すべき年限に達しております者が、大体七十人前後ございます。そこで、これをもちまして大体において四月には埋められる、こういう見通しでございます。
 なお、若干検事から転官される方、弁護士からおいでになる方も、きわめて少数でございますが、予定いたしておりますが、これは両方通じまして五名程度のものでございまして、大部分は判事補から判事に昇格させる、こういう見通しを立てておるわけでございます。
#7
○大村委員 次に、今回の簡易裁判所判事増員二十八名となっておりますが、これは簡易裁判所における交通関係の業務上過失致死傷事件の増加に応じようとするものであるという説明になっておりますが、昨年七月一日から実施になった交通反則通告制度ができてから以降の状況を見ますると、最近の簡易裁判所における交通関係の事件の受理件数は、一面減った面もあるように聞いておるのでありますが、この点はどのようにお考えであるか、御説明を願いたい。
#8
○寺田最高裁判所長官代理者 いま御指摘の点は、お手元の資料の九ページの第七表というものの関係でございます。そこに簡易裁判所の新受件数が出ておりまして、その下のほうの欄が刑事の欄でございます。それのまん中辺のところに略式命令という欄がございまして、一般、業務上過失致死傷、道路交通法違反、こういう三つに分かれております。で、いま私どもがお願い申し上げております増員の関係は、その中の業務上過失致死傷という、いわゆる人身事故の関係でございます。この件数は、その資料にございますとおり、昭和四十年度は約十九万件、四十一年度に約二十二万件、四十二年度に約二十七万件ということになっておりまして、四十三年度は、この資料には出ておりませんが、その後の調査によりますと、三十七万五千七百五十件という数字になっておるわけでございます。こういうふうに、非常な勢いで人身事故の事件が激増してまいっておる。おそらく四十四年度には五十万件近くになるのではないか、こういうふうに推定されるわけでございまして、これを処理するために、今回お願い申し上げております簡易裁判所判事二十八人の増員ということによって切り抜けてまいりたい、かように考えたわけでございます。
 一面、いま大村委員の御指摘のございました反則金制度の発足に伴う事件減はどうかという点でございます。御指摘のとおり、事件は減っておるわけでございますが、ただ、この点も、これはこの表でまいりますと、道路交通法違反は、いまの欄のすぐ下の欄になりますが、四十二年度までしか出ておりませんので、この表の上でははっきりいたしません。四十二年に三百九十万件となっておりますが、これに見合います昭和四十三年の件数が二百三十八万七千四百五十一件と、これは概算でございますから若干の動きはあるかもしれません、大まかに申し上げまして約二百三十九万件ということになっておるわけでございます。つまり四十二年に比べますと六割程度に減っておるわけでございます。ただ、いまお話のございましたとおり、七月からの施行でございますので、これを年間に換算してみまして、かつやや経過的な点の要素等をも考慮してまいりますと、大体従来の四割程度になるのではないか。普通の交通関係の事件は大体四割程度に落ちつくのではないかというのが、私どもの当初の見通しであったわけでございますが、その見通しが実施後半年の経験で大体裏づけられておりまして、おそらく四割か、若干下回るかもしれません、その前後に落ちつくであろうというのが、ただいまのところの見通しでございます。そういう関係では、この件数は相当減るというふうに御理解いただいてけっこうだと思います。
#9
○大村委員 業務上過失致死傷の件数が、非常にふえてきている。一面道交法の違反のほうの件数が減ってきている、この点の説明はわかったのであります炉、今回締めて二十八人を増員するということでありますので、これは一体どの方面に振り向けるのであるか。この減るところとふえるところとが地区的に一致しておれば相打ちということも考えられるのでありますが、その辺どうなんですか。
#10
○寺田最高裁判所長官代理者 この道交法違反で事件が減ります関係につきましは、実は昨年この委員会で御審議いただきました定員法の際にも申し上げましたとおり、簡易裁判所判事七人の減員という措置を講じたわけでございます。そういたしまして、これは主として東京、大阪等の簡易裁判所からそれを減らすという含みで処置をしたわけでございます。もっとも、同時に一面、昨年の定員法の際には、借地法関係等で増員の御処置をいただいて、簡易裁判所判事としては差し引きゼロという計算でございましたので、実際にはそういう具体的な減員の措置を講ずるまでもなく、観念的な問題でおさまったのでありますが、この減の関係はそういうことでございます。
 それから本年の増員関係でありますが、これはいまお話のございましたとおり、大体においてこういう業務上過失致死傷の関係の事件がたくさん出ておりますのは大都会の裁判所でございますので、大都会の裁判所を中心に配置する予定でございまして、東京、大阪、名古屋、福岡というようなところがおもなものでございますが、その他の裁判所にも一名程度増員できるところもあろう、かように考えておるわけであります。
#11
○大村委員 次にお尋ねしますが、今回は地方裁判所の裁判官の増員はないようでございますが、最近の地方裁判所における訴訟事件の受理件数及び事件処理の状況について、御説明を願いたい。
#12
○寺田最高裁判所長官代理者 地方裁判所の関係は、資料の八ページの第六表でございます。
 まず、民事のほうでは、訴訟というのが上のほうにございまして、合計欄で、これは一々読み上げることを省略させていただきますが、漸増いたしておるわけであります。四十三年度には、さらに十二万七千三百件というふうにふえておるわけでございます。
 それから刑事、訴訟の関係では、これはその表でごらんいただきますと、下から三段目にございますが、横ばいないし漸減という傾向でございまして、昭和四十三年度には七万二千五百九十件ということで、さらに四十二年度よりも若干減少しておるわけでございます。
 一面、処理の実績でございますが、一一ページの第九表のまん中の欄が地裁の欄でございます。その表でごらんいただきますと、四十二年は四十一年より若干審理期間が短縮されておるということになっておます。しかしながら、私どもの実感から申しますとこれは地方裁判所の審理も、決してそう自慢できるような成績ではないように思います。平均審理期間としては若干減っておりますけれども、まだまだ努力の余地があろう、かように考えておるわけでございます。
 たまたま今回の増員は高裁を中心にお願いを申し上げておるわけでございますが、これは現在地裁から高裁へ応援に参っておりますいわゆる代行判事というものがございますので、そのものを高裁の判事の増員に伴いまして若干地裁のほうへ戻すということも、一面考えてまいりたい、かように存じております。
 さらに、地方裁判所のいろいろな施設なり設備の関係におきましてくふうをいたしますとともに、処理の関係におきましても、いろいろ検察庁なり弁護士会とも御相談しながら処置を講じてまいっておるわけでございます。たとえば簡裁と地裁との権限の調整の問題が、非常に重要な問題でございますが、この点につきましては、弁護士会となかなか意見調整が難航いたしておる状況でございますので、今後どういうことになるか、いまのところ見通しは立っておりませんが、そういう方法もあわせ講じながら処置をはかってまいりたい、かように考えてあるわけであります。
#13
○大村委員 いまの点で重ねてお尋ねしますが、応援に行っていたのは何人あったか。それからもう一つ、先ほどあなたの説明で、高裁の民事は一年くらいにするのが目標である、こう言われたのでありますが、地裁は、この資料によりますと、民事はすでに一年程度になっておりますが、地裁のあり方としては、民事なり刑事の将来の目標をどの程度の審理期間に置くのがいいのか、その点もあわせて御説明願いたいと思います。
#14
○寺田最高裁判所長官代理者 地裁から高裁へ応援に参っております裁判官は、その時点で若干変動いたしますので、正確には申し上げられないわけでございますが、四十名ないし五十名程度とお考えいただければ大過ないと存ずるわけでございます。
 それから審理期間の点でございますが、これはいろいろな見方が立とうと思います。先ほど私が高裁は一年以内と申し上げましたのも、これは当面ということでございまして、私どもの目標は、審理期間を半減するというところにあるわけでございます。それと地方裁判所の関係でございますが、実は私どもの立場としては、地方裁判所はある程度十分な審理をするということによって、むしろ高等裁判所はそれを単にレビューするという方向にいくべきではないか。そういう点では、かりに地方裁判所が一年かかっても、高等裁判所はむしろ半年という方向にいくべきで、高等裁判所のほうが長くかかるということは、現在の審級制度なり訴訟構造からいっても、あまり感心したことではないのじゃないか。何と申しましても、地方裁判所は新しいなまの証拠が出てくるわけでございます。そこで十分に審理をすることがたてまえで、高裁はそれをレビューするのがたてまえでございますから、むろん民事と刑事で若干訴訟構造は違いますけれども、基本的な考え方はそうあるべきではないかという点からいたしますと、どうも諸外国と比較いたしましても、この高裁の審理期間が目につくわけでございます。そういう点で、先ほど申し上げましたが、やはり当面は高裁に重点を置きたい、しかし同時に、地方裁判所も決してこれで満足できる状態ではない、かような趣旨でございます。
#15
○大村委員 政務次官がお見えになりましたので、法務省と裁判所、両方にお尋ねしたいと思います。
 わが国の裁判における現下の最も重要な問題は、訴訟遅延の問題であると考えます。これに対処するためには、単に裁判官の増員だけではなく、施設の充実等、ほかの適切な施策とあわせて講ずる必要が大きいと考えるのでありますが、これまで問題とされてきた裁判官の執務環境の整備その他の施策は、現在どうなっているか、御説明を願いたいと思います。
 なお、最近集団訴訟といいますか、訴訟の大型化、長期化という特殊な現象も顕著であると思いますので、こういった問題に対する方針、対策をまず政務次官にお尋ねいたします。
#16
○小澤(太)政府委員 裁判所の問題でございますので、裁判所のほうから先に……。
#17
○寺田最高裁判所長官代理者 便宜裁判所のほうから先に説明させていただきたいと思います。
 いま御指摘にございましたとおり、裁判制度におきましては、一番問題はやはり訴訟の遅延の問題であろうと考えておるわけでございます。いろいろ問題はございますけれども、とにかく訴訟のおくれということを何とかしなければいけない、そういう点で、それに対する対策でございますがそれがまた単なる増員だけで済まないものであるということも、これはかねて臨時司法制度調査会の意見でも指摘されたとおりでございますし、私どももその趣旨に沿って処置してまいっておるわけでございます。
 まず、御指摘の施設の点でございますが、たとえば本年度におきましても、営繕費約三十五億ということになっておりまして、現に約三十五庁の裁判所の新営工事をいたしておるわけでございます。また、いわゆる宅調問題というものが先年から非常にお耳に入るようになりましたが、宅調廃止ということで、研究庁費というものを毎年一億七千万ずつ計上していただいておりまして、最初の五年間で大体高裁、地裁の本庁と甲号支部まで行き渡らせたいということでやっております。大体四十五年度ぐらいまでには、その目標が到達できるのではないかということでございます。で、資料あるいは施設等が相当充実してまいっておるわけでございます。その点は、あるいは裁判所の従来の施設、裁判官室等を御存じの方は、現在の裁判官室をごらんいただきますれば、その際お気づきいただけることと思うわけでございます。それからなおそのほかに、いろいろな能率的な器具をも調達いたしまして、一々読み上げることを省略させていただきますけれども、特にコンピューターの関係につきましては、いま予算委員会で御審議いただいております四十四年度予算で研究費等が入りまして、現在やや小型のものを使っておりますのを、もう少し大型のものを導入いたしまして、それによってもう少し幅広く利用してまいりたいということで研究を進めておるような状況でございまして、そういう具体的な施策としては、そういうような方向でいろいろ努力を重ねておるというのが、裁判所の実情でございます。
#18
○大村委員 ただいま宅調をやめるかわりに研究庁費云々という御説明があったのですが、これは裁判官個人に渡すのではなくて、やはり裁判所の中にそういう勉強の研究室を設けるとか、そういう御趣旨であるかどうか。
 それからもう一つ、あわせてコンピューター云云のお話もあったのでありますが、判決そのものをコンピューターにかけるというのは、ちょっと早過ぎると思うのであります。やはり訴訟の記録の整理でありますとかその他の面においては活用の余地が大きいと思うのでありますが、海外等にそういう事例があるかどうか、この点もあわせてお尋ねします。
#19
○寺田最高裁判所長官代理者 まず、研究庁費の問題でございますが、これはいわゆる庁費でございます。旅費とか人件費とか申します、それと対立する概念としての庁費でございます。その庁費の中で、研究のための庁費ということで研究庁費という呼び方をいたしておるわけでございます。そしてその予算の使い方の点でございますが、一応裁判官一人当たり幾らという形で予算は計上されるわけでございます。しかしながら、これはその金をそのまま直ちに裁判官に支給するのではなくて、その予算でもって、若干は施設もございますが、主として図書を購入いたしまして、それを裁判官室の書架に備えつける。それからなお、それに伴いまして裁判官室を幅広くとる、こういうことによって、従来裁判官は部屋も十分でなく、図書も役所にないために、自宅へ帰って執務しなければならないという状況でありましたのが、裁判官室で図書も利用できるし、ソファー等もあって、くつろぐときにはくつろぐ、そして仕事をする、こういうことができるようにはかってまいっておるというのが、実情でございます。
 それから次に、コンピューターの点でございますが、これは大村委員の御指摘のとおり、判決をコンピューターで出すということは、諸外国でもそこまではいっていないようでございます。アメリカなどが一番進んでおるようでございますが、アメリカ等では、判例とか学説を検索する。たとえばある一つの法律問題が起こりましたときに、どういう判例なり学説がある――特に判例でございますが、アメリカは御承知のとおり、いわゆる判例法国でございますために、おびただしい数の判例があるわけでございます。その判例を検索する作業をコンピューターにやらせるというのが、非常に大きな仕事のようでございます。現在その仕事は、日本では判例大系などという書物がございまして、その書物を裁判官が繰るという形でやっておるわけでございますが、これも将来の方向としては、コンピューターにかけるということが日本でも考えられようかと思います。ただ、私どもが当面まずやっておりますのは、統計表の作成にコンピューターを利用しておるわけでございます。それから、当面の目標としていろいろ考えておりますのは、いま御指摘がありましたような事務的な仕事の手伝い、その中には、たとえば裁判部門では速記の反訳というようなこともあるいは可能になろうかというので、これは研究段階でございますが、そういうようなことも含まれますけれども、それらを総合いたしまして、いわば事務的な裁判官の補助機関として利用したい、こういう目標でございます。
#20
○大村委員 先ほどの質問で一つお答えがなかった点でございますが、集団訴訟がふえてきておるようであります。また、法廷の秩序維持という点が、裁判所はもちろん、国民の関心が高まっている問題だと思います。これに対する対策をどうお考えであるか。これは裁判所ですか、法務省ですか、どちらでも適当なところから……。
#21
○寺田最高裁判所長官代理者 まず、裁判所のほうから申し上げさせていただきますが、集団事件につきましては、従来から法曹界全体として頭を悩ましておる問題でございます。御承知のとおり、メーデー事件とか大須事件というようなものの経過があるわけであります。しかしながら、同時に集団事件でございましても、円滑に処理されて、比較的早く処理の終わっている事件のあることも御承知のとおりでございます。私どもといたしましては、過去に二十年の経験を持つわけでありまして、これはひとり裁判所ばかりでなしに、検察庁は検察庁としてその経験に基づく御意見がおありと存じます。弁護士会にもまた弁護士会として御意見がおありになろうと思うのでありまして、現在いろいろ起こっております具体的事件につきましては、それぞれの裁判所が中心になりまして、その地元の検察庁なり弁護士会と十分な意思の疎通をはかり、お話し合いをしながら円滑に処理する、そのためにはどういうふうな処理方法でやればいいかということを、現在御相談中の状況でございます。そういう相談がととのいますれば、事務当局としてもできるだけそれをバックアップして、予算面その他で支障のないようにしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
 それから法廷の秩序維持の問題も、きわめて重要な問題でございまして、これはおそらく十年くらい前に非常に問題であったことでございますが、その後比較的法廷も平穏のうちに過ぎてまいったかと思います。最近になりまして、また非常に法廷が荒れる状態を一部に現出しておるわけでございます。しかしながら、法廷というものは国会と同様に、きわめて冷静な雰囲気のもとで秩序正しく進められる理性の場でなければならないわけでございまして、そういう意味におきまして、秩序を維持するということは、いかなる立場をとろうとも、絶対に必要なことであろうと思います。その点につきましては、裁判官としてはかたい決意を持って処してまいらなければならない。そのために、たとえば庁舎の構造その他で手直しをする必要のあるところは、予算的措置を講じてやってまいりたい、かように考えておるわけでございます。
#22
○大村委員 いろいろ集団事件につきましては御研究中のようでありますが、ひとつ衆知を集めて、いい結論が出たら、できるものから実行に移すように要望いたします。小田原評定にならないようにお願いします。
 それから法務省におかれましても、施設から、人の問題から、全般にバックアップしてあげませんと、裁判所は国民の期待に沿えるような公正かつ迅速な審理ができないというようなことになるおそれもありますので、その点を特に要望して次の質問に入ります。
 次に、今回の改正案におきまして、家庭裁判所調査官の増員の点が組まれておりますが、最近の家庭裁判所における事件受理の状況を御説明願いたいと思います。
#23
○寺田最高裁判所長官代理者 家庭裁判所の関係は、お手元の資料の一〇ページの第八表にございます。これも数字がこまかくなりますので一々読み上げることを省略させていただきますが、ごらんいただきますればおわかりいただけますとおり、家事の関係では、審判事件が漸減しておりまして、調停時事件が横ばいからやや増というような形の数字でございます。両者合わせましてほぼ横ばいというような数字でございます。それから少年事件は、いまのところ横ばいになっておるようでございます。昭和四十三年度には、少年の交通関係の事件が若干減っておるようでございます。しかしながら、一般の保護事件は大体横ばいというような形になっておるのが、実情でございます。
#24
○大村委員 最後に、執行官関係会計事務のことについてお尋ねをいたします。
 今回の改正案によりまして、執行官会計事務を処理するために裁判所事務官の増員が組まれておりますが、執行官関係の金銭保管事務は、すべて地方裁判所が行なうことになるのは、一体いつごろになる見通しであるか。現在、執行官法附則第十条の暫定措置でしばらくは許されておるようでありますが、これは本来なるべく早く正常化すべきだと思います。この見通しについてお尋ねをいたします。
#25
○寺田最高裁判所長官代理者 御意見のとおり、執行官法では裁判所が扱うということになっており、附則で例外措置を認めていただいておるわけでございます。ただ、増員措置との関連がございまして、最高裁の規則のほうで、当分の間処置のできないところでは執行官自身にやらせるというような規定になっておるわけでございます。
 そこで、その現状と将来の見通しでございますが、お手元の資料の一三ページにその関係の表がございまして、執行官法が施行になりました昭和四十二年以降増員の措置をとっていただいておるわけでございます。その増員は四十二年に二十人、四十三年に二十人でございますが、それをそのお手元の資料の中にありますとおりの、地方裁判所千葉以下のところに四十二年度には配置いたしました。四十三年度には、浦和以下のところに配置いたしました。それらの庁ですでにこのとおり実行しておるわけでございまして、すでに二十庁でその処置がとられておるわけでございます。同時に、小さい支部等で増員措置を必要といたしませんところでは、この表にはございませんが、すでにこの処置をとっておるわけでございます。本庁といたしましてはこの二十庁でございます。本・年は三十人の増員を計上していただいておりますので、特に東京、福岡というような大きな裁判所に重点を置いて配置したいと考えております。そうなりますと、人数はふえますけれども庁数はやや減りまして、おそらく五庁程度になるのではないか。これは受け払い回数の推定からまいりますので、本年度の増員による処置は約五庁ということになります。そういたしますと、あとまだ二十数庁残ることになるわけでございます。人数としては大体あと七十数名増員すれば全部できることになるわけでございますので、できますれば明年度、最悪の場合でもあと二年ぐらいのうちに全部の裁判所に配置を終わりたい、かように考えておるわけでございます。
#26
○大村委員 終わります。
#27
○高橋委員長 次回は、来たる七日午前十時より理事会、理事会散会後委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
   午前十一時三十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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