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1968/06/10 第61回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第061回国会 法務委員会 第20号
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1968/06/10 第61回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第061回国会 法務委員会 第20号

#1
第061回国会 法務委員会 第20号
昭和四十四年六月十日(火曜日)
    午前十時五十五分開議
 出席委員
   委員長 高橋 英吉君
   理事 大村 襄治君 理事 進藤 一馬君
   理事 田中伊三次君 理事 永田 亮一君
   理事 濱野 清吾君 理事 中谷 鉄也君
   理事 畑   和君
      大竹 太郎君    鍛冶 良作君
      千葉 三郎君    中馬 辰猪君
      中村 梅吉君    藤枝 泉介君
      松野 幸泰君    村上  勇君
      猪俣 浩三君    神近 市子君
      黒田 寿男君    田中 武夫君
      山内  広君    岡沢 完治君
      山田 太郎君    松本 善明君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 西郷吉之助君
 出席政府委員
        法務政務次官  小澤 太郎君
        法務大臣官房長 辻 辰三郎君
        法務省入国管理
        局長      中川  進君
 委員外の出席者
        法務省入国管理
        局次長     瀧川 幹雄君
        専  門  員 福山 忠義君
    ―――――――――――――
六月十日
 委員西村榮一君辞任につき、その補欠として岡
 沢完治君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員岡沢完治君辞任につき、その補欠として西
 村榮一君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
六月九日
 出入国管理法制定等反対に関する請願(板川正
 吾君紹介)(第八二七二号)
 同外十六件(唐橋東君紹介)(第八二七三号)
 同外三件(千葉佳男君紹介)(第八二七四号)
 同(美濃政市君紹介)(第八二七五号)
 同(山崎始男君紹介)(第八二七六号)
 同(田畑金光君紹介)(第八三二九号)
 同(美濃政市君紹介)(第八三三〇号)
 同(大出俊君紹介)(第八四二九号)
 同(大柴滋夫君紹介)(第八四三〇号)
 同(勝間田清一君紹介)(第八四三一号)
 同外八件(広瀬秀吉君紹介)(第八四三二号)
 同(美濃政市君紹介)(第八四三三号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 出入国管理法案(内閣提出第九〇号)
     ――――◇―――――
#2
○高橋委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、出入国管理法案を議題といたします。
 この際、本案について、先日の提案理由説明に引き続き、政府より補足説明をしたいとのことですが、先日の提案理由説明の際多少混乱をして聞き取りにくいところもあったようですから、補足説明に先立ち、法務大臣より念のため御説明を願いたいと思います。西郷法務大臣。
#3
○西郷国務大臣 委員長のお申し出によりまして、先日説明いたしました出入国管理法案につきまして、念のため、さらに提案理由を御説明申し上げます。
 現行の出入国管理令は、昭和二十六年十月四日いわゆるポツダム政令といたしまして制定されたものでございますが、制定後十七年を経過する間に、わが国の国際的地位の向上と国際旅行意欲の増大及び航空機の目ざましい発達によりまして出入国者が飛躍的に増加いたし、また、これに伴いまして、時には好ましからざる外国人の入国する事例の存することも否定できないのでございます。このような最近におきまする出入国に関する状況等にかんがみまして、現行制度を全面的に改善いたし、出入国手続を簡素化するとともに、在留管理の合理化をはかり、現下の国際的諸要請及びわが国情に応じた出入国管理制度を確立する必要があるのでございます。
 この法律案は、このような観点からいたしまして、出入国管理令を廃止いたし、新たに、すべての人の出入国を公正に管理するための法律を制定しようとするものでございます。
 次に、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 第一点は、短期間わが国に在留する外国人についての出入国手続の簡素合理化をはかったことであります。すなわち、出入国者の過半数を占めるいわゆる短期滞在者の在留資格としては、現行令では観光客に限られておりますのを改め、観光のほか、スポーツ、親族の訪問、会合への参加または業務連絡等の目的をもちまして短期間本邦に滞在するいわゆる短期滞在者の在留資格を設けましたほか、査証を必要としない一時上陸、すなわち、寄港地上陸及び通過上陸につきましても、その対象者の範囲を拡大することとしたのでございます。
 第二点は、わが国に在留する外国人の在留管理を合理化する諸規定を設けたことでございます。すなわち、法務大臣は、必要があるときは、外国人に対し、わが国に在留するについて順守すべき事項を定めることができることとしたこと、在留資格による活動以外の活動を行なっている外国人等に対しましては、現行令では直ちに退去強制手続をとることとしておりますのを改めまして、まず中止命令を発し、中止命令に違反したときに初めて退去強制の手続をとることとしたこと、在留期間の延長を許可しない場合でも、出国準備のために必要な期間の在留を認め得ることとしたこと、さらには、重要な犯罪について訴追されている外国人等について、関係機関の通知により、一定時間出国を保留して、その国外逃亡を防止することができることとしたこと等が、その主要な点でございます。
 第三点は、その他出入国管理行政事務の改善をはかったことでございます。たとえば、永住者には再入国期間の延長を認め得ることとしたこと、退去強制の手続における必要的収容を緩和するとともに、容疑者を収容できる期間を短くしたこと、法務大臣による上陸または在留の特別許可について本人からの出願を認めることとしたこと等でございます。
 第四点は、いわゆる政治的亡命者の取り扱いについてでございます。いわゆる政治的亡命者に関しましては、わが国の置かれている国際的、地理的環境の特殊性等にかんがみまして、現行令と同じく、その取り扱いに関する特別の規定を設けず、法務大臣の特別権限である上陸または在留の特別許可の制度を活用して、具体的事案に応じ、その入国または在留の許否を決することとしておりますが、その退去強制につきましては、本国に送還することが適当でないと認めるに足りる相当の事情があるときは、本国以外の国を送還先に指定できる旨の退去強制に関する一般的な規定を新設いたし、この規定の活用によりまして妥当な取り扱いをはかろうとしているのであります。
 なお、この法案による法律が成立いたしましても、昭和二十七年法律第百二十六号ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く外務省関係諸命令の措置に関する法律第二条第六項の規定に何らの影響も生じませんので、戦前から引き続きわが国に在留している朝鮮人及び台湾人の法的地位には全く変更がないことを付言いたします。
 以上が、この法律案の提案の理由であります。
 何とぞ慎重ご審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
#4
○高橋委員長 この際、本案について補足説明を求めます。中川入国管理局長。
#5
○中川(進)政府委員 大臣の御説明を補足いたしまして、出入国管理法案の条文について御説明申し上げます。
 この法律案は、本則十一章九十一条、附則二十五条で構成され、第一章総則には、目的及び定義を規定し、第二章入国には、入国を規定し、第三章上陸は、四節に分け、第一節には上陸許可を、第二節には上陸許可の手続を、第三節には一時上陸を、第四節には直行通過区域を規定し、第四章在留は、二節に分け、第一節には在留の原則を、第二節には在留資格の区分の変更等を規定し、第五章出国には、出国の手続、出国確認の留保及び再入国の許可を規定し、第六章退去強制は、四節に分け、第一節には退去強制の対象者を、第二節には違反調査を、第三節には口頭審理及び異議の申し出を、第四節には退去強制令書の執行及び特別在留許可を規定し、第七章船舶または航空機の長及び運送業者の責任には、事前通報等の義務、報告の義務、船舶または航空機の長の行為の代行、上陸防止の義務、送還の義務及び指示に従う義務を規定し、第八章日本人の出国及び帰国には、日本人の出国及び日本人の帰国を規定し、第九章管理機関には、入国審査官、入国警備官、小型武器の携帯及び使用、地方入国管理官署の長の職務の代行等、事実の調査並びに制服の着用及び証票の携帯を規定し、第十章補則には、刑事訴訟法の特例、刑事手続等との関係、収容場の設置、被収容者の処遇、手数料、報償金、権限の委任及び省令への委任を規定し、第十一章罰則には、罰則を規定し、附則には、施行期日、出入国管理令の廃止、これに伴う経過措置及び関係法律の一部改正等を規定しております。
 以下、逐条的に御説明申し上げます。
 第一章 総則
 第一条は、この法律案の目的について規定したものであり、現行令第一条と同じく、本邦に入国し、本邦から出国するすべての人の出入国を公正に管理することを目的としております。
 第二条は、定義について規定したものであります。第一項におきましては、本邦、外国人、乗員、日本国領事官等、旅券、乗員手帳、出入国港、運送業者、在留資格及び在留期間の各用語の意義を定めましたが、運送業者に運送業者を代理する者で法務省令で定めるものを加えたこと、新たに在留資格及び在留期間の定義を置き、それぞれ外国人が本邦に在留することができる資格及び在留資格を有する外国人が本邦に在留することができる期間をいうものとしたほかは、現行令第二条とほぼ同様であります。第二項におきましては、在留資格の区分を定めたが、現行令第四条第一項に相当いたします。第百万は外交官としての在留資格、第二号は公用活動者としての在留資格、第三号は宣教師としての在留資格、第四号は報道員としての在留資格で、それぞれ現行令第四条第一項第百万、第二号、第十号及び第十一号と同じであり、第五号は教授としての在留資格で、現行令第四条第一項第七号及び第八号に相当し、第六号は商用活動者としての在留資格、第七号は留学生としての在留資格で、それぞれ現行令第四条第一項第五号及び第六号と同じであり、第八号は技術研修生としての在留資格で、公私の機関により受け入れられて産業上の技術または技能を習得する者の増加傾向にかんがみ、新設いたしました。第九号は興行活動者としての在留資格、第十号は熟練特殊労働者としての在留資格、第十一号は永住者としての在留資格で、それぞれ現行令第四条第一項第九号、第十三号及び第十四号と同じであり、第十二号は家族としての在留資格であるが、現行令第四条第一項第十五号に規定するもののほか、日本人、永住者及び公用活動者の配偶者または二十歳に満たない子で配偶者のないものを加えました。第十三号は短期滞在者としての在留資格で、現行令第四条第一項第四号の観光客にかえ、観光のほか、保養、スポーツ、親族の訪問、見学、講習もしくは会合への参加または業務連絡の目的その他これらに類似する目的をもって、短期間本邦に滞在する者の在留資格を設け、これに該当する者について査証の取得手続を容易にし、かつ、上陸の手続の簡素化をはかりました。第十四号は右各号以外の者で法務省令で定める特定在留者としての在留資格で、現行令第四条第一項第十六号に相当するが、法務省令においては、ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く外務省関係諸命令の措置に関する法律(昭和二十七年法律第百二十六号)第二条第六項に該当する者の子で同法施行の日以後本邦で出生したもの及び法務大臣が特に在留を認める者を規定する予定であります。第三項においては、在留資格を有する者の在留期間は、政令で定めることとしました。政令においては、在留期間の最上限を、宣教師、報道員、教授、商用活動者については三年、公用活動者、留学生、熟練特殊労働者については一年、技術研修生については六月、興行活動者については三月と定めるとともに、これをこえない範囲内において用務のため必要と認められる期間を在留期間として定める等弾力的な運用ができるようにし、その他の者の在留期間は、日本人または永住者の家族については三年、在留活動者の家族についてはその在留活動者の在留期間の満了するまでの期間、短期滞在者については原則として九十日、特定在留者については法務大臣が定める期間とする予定であります。
 第二章 入国
 第三条は、入国について規定したもので、現行令第三条とほぼ同様であり、第一項においては、外国人は、有効な旅券を所持しなければ本邦に入ってはならないこととし、有効な乗員手帳を所持する乗員について、その例外を認め、第二項においては、本邦において乗員となろうとする外国人等は、前項の規定の適用について乗員とみなすこととしました。
 第三章 上陸
  第一節 上陸許可
 この節には、上陸許可、上陸許可の要件、特別上陸許可、順守事項及び事前認定を規定しました。
 第四条は、上陸許可について規定したもので、現行令第九条第五項と同じであり、外国人はこの節及び次節に定めるところにより上陸許可を受けなければ本邦に上陸してはならないという上陸の原則を定めたものであります。この法律案においては、その特例として仮上陸、一時上陸等を規定しております。
 第五条は、上陸許可の要件について規定したもので、現行令第六条第一項及び第七条とほぼ同じであります。第一号においては、新規に入国する外国人について、永住者を除く在留資格のいずれか一に該当していること、査証を受けていなければならない者にあっては査証を受けていること及び法務大臣の事前認定を受けなければならない者にあっては事前認定を受けていることを要するとしました。なお、査証の免除は、条約または政府間の取りきめによることを明らかにしました。第二号におきましては、再入国の許可を受けている外国人について、再入国の許可を受けた当時における在留資格に該当していることを要するとしました。
 第六条は、上陸拒否事由について規定したものであり、現行令第五条に相当し、内容はほぼ同じであります。第一項においては、上陸を拒否する外国人を列挙し、第一号は伝染病患者とらい患者、第二号は精神障害者と麻薬中毒者、第三号は公共負担のおそれのある者を規定し、それぞれ現行令第五条第一項第一号、第二号及び第三号と同じであります。第四号は一年以上の刑に処せられた者で、現行令第五条第一項第四号に相当するが、刑の執行を終わった後十年を経過したものを除きました。第五号は麻薬取締関係法令違反者、第六号は売春関係者で、それぞれ現行令第五条第一項第五号及び第七号と同じであります。第七号は新設の規定であり、他の外国人が不法に本邦に入り、または上陸することをあおり、そそのかし、または助けたことのある者を規定し、第八号は麻薬等不法所持者、第九号は銃砲刀剣類等の不法所持者、第十号は麻薬等、銃砲刀剣類等の不法所持を理由に退去を命ぜられて退去した後一年以内の者を規定し、それぞれ現行令第五条第一項第六号、第八号及び第九号と同じであります。第十一号は退去を強制されて退去した者を規定したものであり、上陸拒否の期間が、現行令では第五条第一項第九号及び第十号において退去強制の事由により退去後一年または永久と区別されているのを、一律に退去後三年としました。第十二号から第十四号までは暴力主義的破壊活動者またはその団体関係者、第十五号は法務大臣において日本国の利益または公安を害する行為を行なうおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者を規定し、それぞれ現行令第五条第一項第十一号から第十四号までと同じであります。第二項につきましては、相互主義に基づき、前項各号以外の事由により日本人の上陸を拒否する国の国民に対する同一の事由による上陸拒否について規定し、現行令第五条第二項と同じであります。
 第七条は、特別上陸許可について規定したもので、現行令第十二条に相当し、上陸許可の要件に該当しない外国人または上陸拒否事由に該当する外国人であっても、再入国の許可を受けているもの、かつて日本人として本邦に本籍を有したことがあるものまたは法務大臣が特別に上陸を許可すべき事由があると認めるものに対し、法務大臣は特別に上陸許可をすることができることとしました。特別上陸許可の手続については、第十三条に規定しました。
 第八条は、順守事項について規定したもので、新設の規定であります。現行令運用の実績にかんがみ、また、諸外国の例に徴し、法務大臣において、特別の事案については、外国人が本邦に在留するについて順守すべき活動の範囲その他の事項を定めることができることとし、さらに公正な管理を期し得るようにしました。第一項においては、上陸許可を受けようとする外国人に対し、あらかじめ、順守事項を定め得ること、第二項においては、特別上陸許可を受ける外国人に対し、順守事項を定め得ることとしました。
 第九条は、事前認定について規定したもので、現行令第四条第三項及び第四項に相当します。第一項においては、入国前に法務大臣から、本邦に在留することが適当であると認める旨の事前認定を受けなければならない外国人について定め、現行令運用の実績にかんがみ、現行令より広く教授、商用活動者、留学生、技術研修生、興行活動者、熟練特殊労働者、家族または特定在留者としての在留資格の決定を受けようとする者としたが、一方そのうち、法務大臣の定める要件に該当するものについては、事前認定を要しないこととしました。第二項においては、教授、商用活動者、留学生、技術研修生、興行活動者及び熟練特殊労働者の事前認定をし、または事前認定を要しない要件を定める場合には、法務大臣は関係行政の所管大臣に協議することとしました。
  第二節上陸許可の手続
 この節には、上陸許可の申請及び審査、口頭審理、異議の申し出、特別上陸許可の手続、仮上陸並びに退去命令を規定しました。
 第十条は、上陸許可の申請及び審査について規定したもので、現行令第六条第二項、第七条及び第九条の規定を整理したものであります。第一項においては、外国人は、出入国港において、入国審査官に上陸許可の申請をして、その審査を受けなければならないこと、第二項においては、入国審査官は、審査の結果、外国人が上陸要件に該当し、かつ、上陸拒否事由に該当しないと認定したときでなければ、上陸許可をしてはならないこと、第三項においては、上陸許可をする場合には、在留資格の区分及び在留期間を決定しなければならないこと、第四項においては、上陸許可は、旅券に在留資格の区分及び在留期間を記載し、上陸許可の証印をして行なうものとすること、第五項においては、再入国の許可を受けている者に上陸許可をする場合には、在留資格の区分及び在留期間の決定を要しないこと、第六項においては、入国審査官は、順守事項が定められているときは、旅券に記載しなければならないこと、第七項においては、入国審査官は、上陸許可をすることができない場合には、地方入国管理官署の長に報告しなければならないこととしました。第八項においては、入国審査官は、何人に対しても、審査場所への出入を禁止することができることとしましたが、審査が平穏円滑に行なわれることを確保するため、新たに設けたものであります。
 第十一条は、地方入国管理官署の長が行なう口頭審理について規定したものであり、現行令第十条に相当し、第一項においては、入国審査官から報告を受けた外国人に対し、すやみかに口頭審理を行なうこと、第二項においては、口頭審理に関する記録を作成すること、第三項においては、外国人またはその代理人は、口頭審理にあたって、証拠を提出し、及び証人を尋問することができること、第四項においては、外国人は、親族または知人の一人を立ち会わせることができること、第五項においては、職権に基づきまたは外国人の請求に基づき証人の出頭を求め、宣誓をさせ証言を求めることができること、第六項から第八項までにおいては、地方入国管理官署の長は、口頭審理の結果、上陸許可をする場合には在留資格の区分及び在留期間を決定し、上陸許可をすることができない場合には、理由を示して、その旨及び異議の申し出ができることを通知しなければならないこととしました。
 第十二条は、地方入国管理官署の長から、口頭審理の結果、上陸許可をすることができない旨の通知を受けた外国人が不服のある場合に法務大臣に対してすることができる異議の申し出について規定したもので、現行令第十一条と同じであります。
 第十三条は、特別上陸許可の手続について規定したものであります。現行令においては、第十二条により法務大臣から特別上陸許可を受けるためには、上陸の手続において事実の存否を争う異議の申し出をしなければならないこととなっているのを改め、この法律案においては、事実を争う異議の申し出とは別個に、地方入国管理官署の長の上申または外国人の出願に基づき、法務大臣が特別上陸許可の許否を決定する制度を設けました。第一項においては、地方入国管理官署の長は、特別上陸許可の上申をすることができること、第二項においては、外国人は、口頭審理の結果、上陸許可をすることができない旨の通知を受けた日または異議の申し出が理由がないと裁決した旨の通知を受けた日から三日以内に、特別上陸許可の出願をすることができること、第三項から第五項までにおいては、法務大臣が特別上陸許可の許否を決定する場合の手続をそれぞれ規定しました。
 第十四条は、仮上陸について規定したものであり、仮上陸を許可する際に納付させることができる保証金の最高額が現行令では二十万円となっていますのを五十万円としたことのほかは、現行令第十三条と同じであります。
 第十五条は、退去命令について規定したもので、現行令第十条第八項及び第十一条第五項に相当し、第一項においては、地方入国管理官署の長は、一、口頭審理の結果上陸許可をすることができない旨の通知を受けた後、異議の申し出及び特別上陸許可の出願をしない旨を明らかにしたときまたは異議の申し出及び特別上陸許可の出願をすることなく三日を経過したとき、二、異議の申し出が理由がないと裁決した旨の通知を受けた後、特別上陸許可の出願をしない旨を明らかにしたときまたは特別上陸許可の出願をすることなく三日を経過したとき、三、特別上陸許可をしない旨の通知があったときは、特別上陸許可の上申がなされている場合を除き、出国期限を定めて退去を命じなければならないこと、第二項においては、退去命令は退去命令書を交付して行なうこと、第三項においては、退去を命ずる場合には、送還の責任を負う船舶もしくは航空機の長または運送業者に通知しなければならないこととしました。
  第三節 一時上陸
 この節には、査証を必要としない一時上陸許可制度として、寄港地上陸、通過上陸、緊急上陸及び避難上陸を規定するとともに、これらの許可の取り消しを規定しました。
 第十六条は、寄港地の周辺に一時上陸する寄港地上陸について規定したもので、現行令第十四条に相当しますが、現行令においては許可の対象者が同一の船舶または航空機により出国する場合に限られているのを、他の船舶または航空機に乗りかえて出国する場合をも含め、上陸の期間が七十二時間となっているのを政令で定める期間とし、上陸中の行動の範囲を拡大し、船舶または航空機の長のほか運送業者に毛申請権を与えて出入国手続容易化の国際的要請に応じました。第一項においては、入国審査官が許可の権限を有すること、許可の対象者、申請者及び上陸の期間を定めており、政令で定める上陸の期間としては五日ないし七日を予定しております。第二項においては、許可を要式行為とすることを定め、現行令どおり許可書の交付によるほか、旅券への記載によっても行ない得ることとしました。第三項においては、許可にあたって順守事項を定め得ることとしましたが、現行令において行動の範囲その他必要と認める制限を付し得るとしているのと同趣旨であります。
 第十七条は、通過上陸について規定したもので、現行令第十五条の観光のための通過上陸及び第十六条の転船上陸のほか、現行令第四条第一項第三号の通過しようとする者として査証を必要とする者の上陸をも含め、乗員または通過者が本邦を通過して他の出入国港から出国するまでの間の上陸を認めることとし、出入国手続容易化の国際的要請に応じました。第一項においては、入国審査官が許可の権限を有すること、許可の対象者、申請者及び上陸の期間を定めており、政令で定める上陸の期間としては七日ないし十五日を予定しております。第二項及び第三項においては、寄港地上陸と同様に許可を要式行為とし、許可にあたって順守事項を定め得ることとしました。
 第十八条は、疾病その他の理由により生命身体の危険を避けるための緊急上陸について規定したものであり、現行令第十七条と同じであります。
 第十九条は、避難上陸について規定したものであり、現行令第十八条の水難による上陸に相当しますが、航空機が遭難した場合における避難上陸について明文化したこと、警察官が遭難者を救護した場合の許可手続を海上保安官の場合と同様にしたこと及び遭難した船舶もしくは航空機の長またはその運送業者に対して申請権を認めるとともに、これらの者は遭難者の上陸中の費用を支弁すべきものとしたことのほかは、現行令と同じであります。
 第二十条は、一時上陸の許可の取り消しについて規定したもので、新設規定であります。地方入国管理官署の長は、一時上陸の許可を受けた外国人が順守事項の定めに違反した場合または在留活動をし、職業につき、報酬を受ける活動をした場合には、許可を取り消すことができることとしました。一時上陸の性質にかんがみ、これらの違反があった場合には、許可を取り消して退去強制することが適当であると考えられたからであります。
  第四節直行通過区域
 第二十一条は、直行通過区域についての新設規定であり、航空機により本邦に入国した外国人が同一の出入国港において、その航空機に乗って、もしくは他の航空機に乗りかえて出国するため、他の出入国港におもむくため、上陸許可の手続のため、または一時上陸の許可を受けるため、相当の期間、とどまることができる場所として出入国港内の一定の区域を直行通過区域とする制度を定めたものであります。第一項においては、直行通過区域にとどまることができる者の範囲及び法務大臣による直行通過区域の指定、第二項及び第三項においては、地方入国管理官署の長はゆえなく直行通過区域にとどまっている者に対して退去を命ずることができること、第四項においては、直行通過区域にとどまる者については、当該区域以外の本邦の地域に立ち入ることをもって上陸とすることについてそれぞれ規定しました。
 第四章 在留
  第一節 在留の原則
 この節には、在留の原則、在留活動者、家族、短期滞在者、一時上陸者等、中止命令並等びに旅券等の携帯及び提示を規定しました。
 第二十二条は、外国人は在留資格を有しなければ本邦に在留することができないという在留の原則について規定したものであります。この法律案においては、その特例として第三十二条において出生その他の事由により上陸に関する手続を経ることなく本邦に在留することとなった外国人及び一時上陸許可を受けている外国人を規定しております。
 第二十三条から第二十六条までは、在留活動者、家族、短期滞在者及び一時上陸者等が本邦に在留するについて行なうべき活動または行なってはならない活動について規定したものであり、現行令第十九条に相当します。
 第二十三条は、在留活動者(公用活動者、宣教師、報道員、教授、商用活動者、留学生、技術研修生、興行活動者または熟練特殊労働者をいう。)について規定したものであり、第一項においては、在留活動者は、その在留資格に属する在留活動を行なうべきものとして本邦に在留すること、第二項においては、在留活動者は、その在留資格に属する在留活動を行なう場合を除き、在留資格の区分を変更することなく在留活動をし、職業につき、または報酬を受ける活動をする場合には、法務大臣の許可を要すること、第三項においては、資格外活動の許可は、入国審査官に旅券に許可の内容等を記載させて行なうこととしました。
 第二十四条は、家族は、在留資格の区分を変更することなく、在留活動をし、職業につき、または報酬を受ける活動をする場合には、法務大臣の許可を要することを規定したものであります。
 第二十五条は、短期滞在者は、在留活動をし、職業につき、または報酬を受ける活動をする場合には、法務大臣の許可を要することを規定したものであります。
 第二十六条は、仮上陸の許可を受けている者または一時上陸の許可を受けている者は、在留活動をし、職業につき、または報酬を受ける活動をしてはならないことを規定したものであります。
 第二十七条は、中止命令等について規定したもので、新設規定であります。現行令運用の実績にかんがみ、また、諸外国の例に徴し、許可を受けないで資格外活動をした者または順守事項の定めに違反した者に対し、直ちに退去強制の手続をとることは必ずしも適当でないので、まず中止命令その他の命令を発してその是正を求め、これに従わないときに至って退去強制の手続を進めることとしました。第一項においては、地方入国管理官署の長は、在留活動者、家族、短期滞在者が許可を受けることなく資格外の活動を行なったとき、または順守事項の定めに違反したときは、書面をもって、その違反行為の中止の命令その他必要な命令をすることができること、第二項においては、地方入国管理官署の長は、在留活動者が正当な理由がないのに相当の期間その行なうべき在留活動をしていないときは、書面をもって、その在留活動を行なうことを命ずることができることとしました。
 第二十八条は、旅券等の携帯及び提示について規定したものであり、現行令第二十三条と同じであります。
  第二節 在留資格の区分の変更等
 この節には、在留資格の区分の変更、永住許可、在留期間の延長及び出国猶予期間、在留資格の取得等並びに順守事項の定めに関する準用を規定しました。
 第二十九条は、在留資格の区分の変更について規定したものであり、現行令第二十条に相当します。第一項においては、法務大臣は、適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り、在留資格の区分の変更を許可することができること及び許可の申請をすることができる者を在留活動者、家族及び特定在留者とし、現行令よりもその範囲を広げ、短期滞在者は現行令の観光客と同様に在留資格の区分の変更を認めないこと、第二項においては、事前認定の場合と同様に、在留資格の区分の変更についても関係行政の所管大臣との協議を要すること、第三項においては、許可は、入国審査官に旅券に新たな在留資格の区分及び在留期間を記載させて行なうこととしました。
 第三十条は、永住許可について規定したものでありますが、特定在留者から永住者への在留資格の区分の変更を認めたこと、永住許可の申請要件に引き続き五年以上本邦に在留することを加えたほかは、現行令第二十二条と同じであります。なおこの法律案においては、現行令運用の実績にかんがみ、現行令第四条第五項に規定している入国前の永住許可制度及び現行令第二十二条の二第四項に規定している永住者の在留資格の取得制度は、採用しませんでした。
 第三十一条は、在留期間の延長及び出国猶予期間について規定したもので、現行令第二十一条に相当しますが、出国猶予期間は、在留期間の延長を申請した者に対し、これを許可しない場合でも、出国準備のために必要な期間の在留を許可し得ることとし、やむを得ず不法残留する者のないように新設した規定であります。第一項においては、法務大臣は、適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り、在留期間の延長を許可することができること、第二項においては、前項の許可は、入国審査官に旅券に新たな在留期間を記載させて行なうこと、第三項においては、法務大臣は、六十日の範囲内で出国猶予期間を定めて在留を許可することができること、第四項においては、前項の許可は、入国審査官に旅券に出国猶予期間を記載させて行なうこと、第五項においては、法務大臣は、順守事項の定めに違反があったときは、許可を取り消すことができることとしました。
 第三十二条は、在留資格の取得等について規定したものであり、現行令第二十二条の二に相当しますが、新たに、家族の身分喪失による在留資格の取得について規定を設けました。第一項においては、日本の国籍の喪失、出生その他の事由により上陸に関する手続を経ることなく本邦に在留することとなる外国人は、六十日を限り、在留資格を有することなく在留することができること、第二項においては、法務大臣は、前項の外国人に対し、適当と認めるに足りる相当の理由があるときは、永住者を除く在留資格の取得を許可することができること、第三項においては、在留資格の取得の申請は、三十日以内にしなければならないこと、第四項においては、許可は、入国審査官に旅券に在留資格の区分及び在留期間を記載し在留資格取得許可の証印をさせ、またはこれらの事項を記載した在留許可書を交付させて行なうこと、第五項においては、事前認定の場合と同様に、関係行政の所管大臣との協議を要すること、第六項においては、家族がその在留資格の決定の基礎となった身分関係その他の要件がなくなった場合には、その在留資格を失うものとすること、第七項においては、家族の在留資格を失った者は、上陸に関する手続を受けることなく本邦に在留することとなる外国人とみなすこととしました。
 第三十三条は、法務大臣は、在留資格の区分の変更、在留期間の延長または在留資格の取得の許可をする場合には、外国人に対し、本邦に在留するについて順守すべき活動の範囲その他の事項を定めることができることを規定したものであり、上陸許可をする場合に順守事項を定めることができることとした第八条と同趣旨の規定であります。
  第五章 出国
 第三十四条は、外国人の出国の手続について規定したものであり、現行令第二十五条に相当し、本邦外の地域におもむく意図をもって出国しようとする外国人(一時上陸の許可を受けている者を除く。)は、出入国港において、入国審査官から出国の確認を受けなければならないこととしました。出国の確認としたのは、将来における手続の簡素化を考慮に入れたもので、当面は、法務省令では現行令と同様の手続を定める予定であります。
 第三十五条は、外国人の出国確認の留保について規定したもので、重要犯罪について訴追されている外国人その他の不良外国人の国外逃亡を防止するため、諸外国の例にならい新設した規定であります。第一項においては、入国審査官は、一、死刑もしくは無期もしくは長期三年以上の懲役もしくは禁錮に当たる罪につき訴追されている者またはこれらの罪を犯した疑いにより逮捕状等の発せられている者、二、禁錮以上の刑に処せられ、執行猶予の言い渡しを受けなかった者で刑未執行のもの、三、逃亡犯罪人引渡法により仮拘禁許可状または拘禁許可状が発せられている者について関係機関から通知を受けているときは、二十四時間を限り、その者について出国の確認を留保することができること、第二項においては、入国審査官は、出国の確認を留保したときは、通知をした機関にその旨を通報しなければならないこととしました。
 第三十六条は、再入国の許可について規定したもので、現行令第二十六条に相当しますが、第一項においては、法務大臣は、在留資格を有する外国人に対し再入国の許可をすることができること、第二項においては、再入国の許可をする場合には、一次または数次往復の別を定めるとともに、一年をこえない範囲内において有効期間を定めるものとすること、第三項においては、再入国の許可は、入国審査官に再入国許可書を交付させて行なうこと、第四項においては、再入国の許可を受けている者のうち日本の船舶または航空機等の乗員として出入国する者については、出国の確認及び上陸許可を要しないこと、第五項及び第六項は新設規定であり、再入国の許可を受けて出国中の永住者が、その有効期間内に再入国できない相当の理由があるときは、一年をこえない範囲内で有効期間の延長を許可することができることとし、その事務を日本国領事官等に委任すること、第七項及び第八項においては、法務大臣は、再入国の許可または再入国許可の有効期間の延長の許可にあたって、順守すべき渡航先その他の事項を定め得ること及びその順守事項の定めに違反した外国人に対しては、再入国の許可を取り消すことができることを明文化し、再入国許可制度のより公正な運用をはかりました。
 第六章 退去強制
  第一節 退去強制の対象者
 第三十七条は、退去強制の対象者について規定したものであり、現行令第二十四条に相当し、内容はほぼ同じであります。第一号は不法入国者、第二号は不法上陸者、第三号は仮上陸中の逃亡者等を規定し、それぞれ現行令第二十四条第一号、第二号及び第三号、第六号と内容を同じくします。第四号は、新設の規定であり、上陸許可の申請をした外国人で上陸許可を受けられず退去を命ぜられたにもかかわらず、本邦から退去しないものを、第五号も新設の規定であり、ゆえなく直行通過区域にとどまっている外国人で退去を命ぜられたにもかかわらず、本邦から退去しないものを規定し、第六号は、日本の国籍の喪失、出生その他の事由により上陸に関する手続を経ることなく本邦に在留することとなった外国人で、在留資格を取得することなく法定の期間をこえて残留するものを規定した点は現行令第二十四条第七号と同じでありますが、第三十二条第六項及び第七項により新たに、家族は、その有する在留資格の決定の基礎となった身分関係その他の要件がなくなったときはその在留資格を失い、右の外国人とみなされることとしましたので、在留資格を取得することなく法定の期間をこえて残留する場合をも含めてこの号に規定することとしました。第七号は、在留期間経過後の不法残留者を規定した点は現行令第二十四条第四号口と同じであるが、出国猶予期間の規定の新設に伴い、出国猶予期間経過後も残留する考及び出国猶予期間中に順守事項の定めに違反して許可を取り消された者を加えました。第八号は、一時上陸の許可を受けた者で期間経過後も不法に残留するものを規定した点は現行令第二十四条第六号と同じであるが、一時上陸の許可の取り消し規定の新設に伴い、一時上陸の期間中に順守事項の定め等に違反して許可を取り消された者を加えました。第九号は、第二十七条の中止命令等の規定の新設に伴い、中止命令等に違反した者を規定したものであります。現行令第二十四条第四号イに規定するもっぱら資格外活動を行なっている者についても、まず中止命令を発し、これに従わないときに、はじめて退去強制の対象とすることとしました。第十号は、らい患者、第十一号は精神障害者と麻薬中毒者、第十二号は公共負担者、第十三号は外国人登録関係法令違反者、第十四号は麻薬取り締まり関係法令違反者であって、それぞれ現行令第二十四条第四号ハ、二、ホ、へ及びチと同じであります。第十五号は、売春防止関係法令違反者であって、現行令第二十四条第四号ヌの売淫従事者を改め、刑に処せられた者に限定したものであります。第十六号は少年の刑罰法令の違反者、第十七号は刑罰法令違反者、第十八号は不法入国幇助者、第十九号から第二十一号までは暴力主義的破壊活動者またはその団体関係者、第二十二条は法務大臣において日本国の利益または公安を害する行為を行なったと認定する者であって、それぞれ現行令第二十四条第四号ト、リ、ル、オ、ワ、カ及びヨと同じであります。
  第二節 違反調査
 この節には、違反調査、通報、容疑者の取り調べ等、臨検・捜索または差し押え、調書の作成、押収目録の交付及び押収物の返還、収容、収容の場所及び留置の嘱託、要急収容、並びに容疑者の引き渡し等を規定しました。
 第三十八条は、入国警備官は、退去強制の対象者であると思量する外国人(以下「容疑者」という。)がある場合には、違反調査ができること及び強制の処分は特別の規定がある場合でなければすることができないことを規定したものであり、現行令第二十七条及び第二十八条と同じであります。
 第三十九条は、一般人または国もしくは地方公共団体の職員が容疑者を知った場合の通報について規定したものであり、地方入国管理官署の長が通報を受理し、入国警備官に違反調査を命ずることとしたほかは、現行令第六十二条と同じであります。
 第四十条は、入国警備官による容疑者の取り調べ等について規定したものであり、現行令第二十九条及び第三十条に相当するものであります。第一項においては容疑者もしくは参考人の取り調べ及び物件の領置、第二項においては取り調べ場所への出入禁止、第三項においては公務所等への照会についてそれぞれ規定しているが、現行令第三十条に規定している証人を参考人と改めました。
 第四十一条は、入国警備官の行なう臨検、捜索または差し押えについて規定したものであるが、現行令第三十一条と同じく、あらかじめ地方裁判所または簡易裁判所の裁判官の許可を必要とすることとしました。
 第四十二条は、前条の臨検、捜索または差し押えをする場合の手続及びこれらに付随する処分について規定したものであり、現行令第三十二条、第三十四条、第三十五条及び第三十六条に相当するものであるが、臨検、捜索または差し押えをする場合には、これらの処分を受ける者に許可状を提示すること、入国警備官がこれらの処分をするに際し必要があるときに警察官または海上保安官の援助を求めることができることを明文化したほかは、現行令と同じであります。
 第四十三条は、調書の作成について規定したものであり、現行令第二十九条、第三十条及び第三十八条に規定するところと同じであります。
 第四十四条は、押収目録の交付及び押収物の返還について規定したものであり、現行令第三十七条と同じであります。
 第四十五条は、容疑者の収容について規定したものであり、現行令第三十九条及び第四十条に相当するものであるが、外国人の人権を尊重する精神から、現行令の規定している必要的収容を緩和しました。第一項においては、入国警備官は、退去強制の対象者であると疑うに足りる相当の理由があるときは、収容令書により、収容することができること、第二項においては、地方入国管理官署の長は、入国警備官から収容令書の発付の請求があった場合においても、一、刑事訴訟に関する法令、刑の執行に関する法令等の規定により身体を拘束されている者、二、老幼、疾病その他身体の故障により収容にたえることが困難であると認められる者、三、逃亡のおそれがなく、かつ、収容を猶予すべき事情があると認められる者については、収容令書を発付しないことができること、第三項においては、収容令書は一定の方式によること、第四項においては、容疑者を収容したときには、指紋を採取し、身長体重を測定し、または写真を撮影することができることとしました。
 第四十六条は、容疑者を収容する場所について規定したもので、現行令第四十一条に規定するところと同じであります。
 第四十七条は、収容の手続について規定したもので、現行令第四十二条と同じであり、第一項においては、入国警備官は、収容令書により容疑者を収容するときは、これを容疑者に示さなければならないこと、第二項においては、収容令書を所持しない場合でも急速を要するときは、容疑事実の要旨及び収容令書が発付されている旨を告げて容疑者を収容することができることとしました。
 第四十八条は、要急収容について規定したもので、現行令第四十三条と同じであり、第一項においては、入国警備官は、明らかに退去強制の対象者であると認められる場合で、収容令書の発付をまっていては逃亡すると疑うに足りる相当の理由があるときは、収容令書の発付をまたずに、容疑事実の要旨を告げて容疑者を収容することができること、第二項においては、前項の規定により容疑者を収容した場合において収容令書が発付されないときは、直ちに容疑者の身体の拘束を解かなければならないこととしました。
 第四十九条は、容疑者の引き渡し等について規定したもので、現行令第四十四条に相当します。第一項においては、入国警備官は、容疑者を収容したときは、身体を拘束したときから四十八時間以内に、容疑者を地方入国管理官署の長に引き渡すこと、第二項においては、必要的収容を緩和したことに関連し、容疑者を収容しないで違反調査を終えた場合には、違反事件を地方入国管理官署の長に引き渡すこととしました。
  第三節 口頭審理及び異議の申出
 この節には、口頭審理、異議の申し出、収容、収容の一時解除及び一時解除の取り消しを規定しました。
 第五十条は、地方入国管理官署の長が行なう口頭審理について規定したものであります。現行令第四十五条から第四十八条までに規定している入国審査官の審査及び特別審理官の口頭審理にかえて、入国警備官から引き渡しのあった容疑者または違反事件について地方入国管理官署の長が口頭審理を行なうこととしました。第一項においては、地方入国管理官署の長は、容疑者または違反事件の引き渡しを受けたときは、容疑者に対し、時及び場所を通知して、すみやかに口頭審理を行なうこと、第二項においては、容疑者は、親族または知人の一人を口頭審理に立ち会わせることができること、容疑者またはその代理人は、口頭審理にあたって証拠を提出し、及び証人を尋問することができること、第三項においては、地方入国管理官署の長は、口頭審理の結果、退去強制の対象者であると認定した場合には、容疑者に対し、理由を付した書面をもってその旨を通知するとともに、三日以内に異議の申し出ができることを通知しなければならないこととしました。
 第五十一条は、地方入国管理官署の長が口頭審理の結果退去強制の対象であると認定をした場合において、これに不服がある容疑者が法務大臣に対してすることができる異議の申し出についての規定であり、現行令第四十九条と同じであります。
 第五十二条は、口頭審理及び異議の申し出中における容疑者の収容について規定したものであります。第一項においては、地方入国管理官署の長は、第四十五条第二項各号の一に該当する者を除き、収容令書を発付して入国警備官に容疑者を収容させること、第二項においては、収容令書の方式、収容の場所及び収容の手続は違反調査中の収容に関する規定を準用すること、第三項においては、第一項の収容が違反調査中の収容に引き続くものであるときには、新たな収容令書の発付にかえて、すでに発付されている収容令書に容疑者の引き渡しを受けた日時等を記載すれば足りること、第四項においては、収容することができる期間について現行令第四十一条の規定している最長六十日を四十日と短縮したこと、第五項においては、現行令第四十八条第六項及び第四十九条第四項の規定を整理し、口頭審理の結果退去強制の対象者でないと認定したときまたは異議の申し出が理由があるとの裁決の通知があったときは、収容令書はその効力を失うこととしました。
 第五十三条は、収容の一時解除について規定したものであり、地方入国管理官署の長は、職権により一時解除をすることができることとし、保証金の最高額が現行令では三十万円となっているのを百万円としたことのほかは、現行令第五十四条中収容令書に関する部分と同じであります。
 第五十四条は、収容の一時解除の取り消しについて規定したものであり、収容の一時解除の取り消しにより保証金を国庫に帰属させる場合において、保証金にかえて保証書を差し出した者に対する納付命令は、執行力のある債務名義と同一の効力を有するものとしたことのほかは、現行令第五十五条と同じであります。
  第四節 退去強制令書の執行及び特別在留許
     可
 この節には、退去強制令書、送還先、退去強制令書の執行、退去強制令書の執行停止、執行停止の取り消し及び特別在留許可を規定しました。
 第五十五条は、退去強制令書について規定したものであり、現行令第四十八条第八項、第四十九条第五項及び第五十一条に相当し、第一項においては、退去強制は退去強制令書によって行なうこと、第二項においては、地方入国管理官署の長は、一、口頭審理の結果退去強制の対象者である旨の認定を受け、異議の申し出をしないことを明らかにしたときまたは申し出期間を経過したとき、二、異議の申し出が理由がないと裁決した旨の通知を受けたとき、三、上陸許可の申請をした外国人が上陸許可を受けられず退去を命ぜられたにもかかわらず、本邦から退去しないときは、退去強制令書を発付しなければならないこと、第三項においては、退去強制令書の方式について、現行令第五十一条の規定している事項のほか、送還の方法及び送還先を記載しなければならないこととしました。
 第五十六条は、送還先について規定したものであり、現行令第五十三条に相当するが、外国人の人権を尊重する精神から、現行令の規定している本国送還の原則を緩和しました。第一項においては、退去を強制される者は、その国籍または市民権の属する国に送還されるものとし、第二項においては、本国に送還することができない場合のほか、木国に送還することが適当でないと認めるに足りる相当の事情がある場合には、本国以外の国を送還先に指定することができることとし、この規定の活用によりいわゆる政治的亡命者について妥当な取り扱いがなされ得るようにしました。
 第五十七条は、退去強制令書の執行について規定したもので、現行令第五十二条第一項から第五項までと同じであり、第一項においては、退去強制令書は入国警備官が執行すること、第二項においては、警察官または海上保安官は、地方入国管理官署の長が依頼をしたときは、退去強制令書を執行することができること、第三項においては、退去強制令書を執行するときは、退去を強制される者に退去強制令書を示した上、すみやかに送還しなければならないこと。この場合において、船舶もしくは航空機の長または運送業者がその責任と費用で送還するときは、これらの者に引き渡せば足りること、第四項においては、退去を強制される者がみずからの負担によりみずから退去しようとするときは、地方入国管理官署の長はこれを許可することができること、第五項においては、直ちに送還することができないときには、入国警備官は、送還可能のときまで入国者収容所等に収容することができることとしました。
 なお、現行令第五十二条第六項に規定している放免の制度は、運用の実績に徴し、採用しませんでした。
 第五十八条は、退去強制令書の執行停止について規定したもので、現行令第五十四条中退去強制令書に関する部分に相当します。第一項においては、地方入国管理官署の長または入国者収容所長は、退去強制令書の執行によって退去を強制される者が著しく健康を害するときまたは生命を保つことができないおそれがあるときは、送還または収容を停止させること、第二項においては、地方入国管理官署の長は、退去を強制される者のうち、特別在留許可の出願期間内にある者について送還を停止させなければならないこと、第三項においては、地方入国管理官署の長は、特別在留許可の上申または出願があったときは、法務大臣の通知があるまでの間は送還を停止させなければならないこと、第四項においては、地方入国管理官署の長は、特別在留許可の上申または出願があったときは、法務大臣の通知があるまでの間は収容を停止させることができること、第五項においては、地方入国管理官署の長または入国者収容所長は、関係人の請求に基づき、特に必要があると認めるときは、収容を停止させることができること、第六項から第十項までにおいては、地方入国管理官署の長または入国者収容所長は、収容を停止させる場合には、住居を指定し、順守事項を定め、百万円をこえない範囲内で保証金を納付させ、またはこれにかわる保証書を提出させることとしました。
 第五十九条は、執行停止の取り消しについて規定したものであり、収容の停止の取り消しにより保証金を国庫に帰属させる場合において、保証書を差し出した者に対する納付命令は、執行力のある債務名義と同一の効力を有するものとしたほかは、現行令第五十五条と同じであります。
 第六十条は、法務大臣の特別在留許可について規定したものであります。現行令においては、第五十条により法務大臣から特別在留許可を受けるためには、退去強制の手続において事実の存否を争う異議の申し出をしなければならないこととなっているのを改め、この法律においては、事実を争う異議の申し出とは別個に、地方入国管理官署の長の上申または退去を強制される者の出願に基づき、法務大臣が特別在留許可の許否を決定する制度を設けました。第一項においては、法務大臣は、退去を強制される者が、永住者であったとき、かつて日本人として本邦に本籍を有したことがあるときまたは法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると認めるときには、特別在留許可をすることができること、第二項においては、地方入国管理官署の長は、特別在留許可の上申をすることができること、第三項においては、退去を強制される者は、特別在留許可の出願をすることができること、第四項から第六項までにおいては、法務大臣が特別在留許可の許否を決定する場合における手続、第七項においては、特別在留許可に伴う退去強制令書の失効、第八項においては、上陸許可を受けられず退去を命ぜられたにもかかわらず、本邦から退去しないととにより退去を強制される者は、特別在留許可を受けられないことについてそれぞれ規定しました。
  〔委員長退席、進藤委員長代理着席〕
 第七章 船舶または航空機の長及び運送業者の
    責任
 第六十一条は、船舶または航空機の長が入国審査官に対して行なう事前通報、入出港届け出及び乗員名簿または乗客名簿の提出の義務について規定したものであり、現行令第五十六条及び第五十七条に相当するものであります。
 なお、法務省令で定める船舶または航空機については、入出港の手続の簡素化をはかるため、事前通報及び入出港届け出を要しないこととしました。
 第六十二条は、船舶または航空機の長が入国審査官に対して行なう不法入国者または不法出国者に関する報告の義務について規定したものであり、現行令第五十七条と同じであります。
 第六十二条は、船舶または航空機の長の行為の代行についての新設規定であります。前二条の規定により船舶または航空機の長がなすべき行為は、運送業者も行なうことができることとしました。
 第六十四条は、船舶または航空機の長は不法入国者の上陸を防止しなければならないことを規定したものであり、現行令第五十八条と同じであります。
 第六十五条は、送還の義務についての規定で、現行令第五十九条とほぼ同じであり、船舶もしくは航空機の長または運送業者は、その船舶または航空機に乗ってきた外国人であって、上陸許可を受けられず退去を命ぜられた者または一定の事由により退去を強制される者等を、その責任と費用ですみやかに本邦外の地域に送還しなければならないこととしました。
 第六十六条は、船舶もしくは航空機の長または運送業者が入国審査官の審査その他の職務執行上の指示に従う義務について規定したものであり、現行令第五十六条に相当します。
 第八章 日本人の出国及び帰国
 第六十七条は、日本人の出国についての規定であり、現行令第六十条に相当し、本邦外の地域におもむく意図をもって出国しようとする日本人は、有効な旅券を所持し、出入国港において、入国審査官から出国の確認を受けなければならないこととしました。
 第六十八条は、日本人の帰国についての規定であり、現行令第六十一条に相当し、本邦外の地域から本邦に帰国する日本人は、有効な旅券を所持し、出入国港において、入国審査官から帰国の確認を受けなければならないこととしました。出国及び帰国の確認としたのは、将来における手続の簡素化を考慮に入れたもので、当面は、法務省令では現行令と同様に定める予定であります。
 なお、第六十七条第一項ただし書き及び第六十八条ただし書きは、日本船舶等の乗員で乗員手帳を所持する者等については、出国及び帰国の手続を要しないこととしたものであります。
 第九章 管理機関
 第六十九条は、入国審査官についての規定で、現行令第八条、第六十一条の二第一項及び第三項に相当するものでありますが、現行令第八条が上陸審査の際の船舶等への乗り込み権を定めているに対し、この条第二項では、その職務を行なうため必要があるときは、船舶等に乗り込み、または関係人に対し質問し、もしくは旅券、乗員手帳その他の文書の提示を求めることができることとしました。
 第七十条は、入国警備官についての規定で、現行令第六十一条の三に相当するものであるが、新たに第四項において、不法上陸の防止のため必要があるときは、船舶等に乗り込み、または関係人に質問し、もしくは旅券、乗員手帳その他の文書の提示を求めることができること、第五項において不法上陸がまさに行なわれようとするのを認めたときは、その予防のため関係人に必要な警告を発し、またはこれを制止することができることとしました。
 なお、入国警備官の階級についての政令は、現行の入国警備官階級令(昭和二十五年政令第三百十三号)と同様に定める予定であります。
 第七十一条は、小型武器の携帯及び使用について規定したものであり、現行令第六十一条の四に相当するものでありますが、小型武器は、入国審査官及び入国警備官が特に必要があるときに携帯することができることとしました。
 第七十二条は、地方入国管理官署の長の職務の代行等に関する規定であります。
 この法律案においては、上陸許可の手続における口頭審理、仮上陸の許可、退去強制手続における口頭審理、収容令書及び退去強制令書の発付等地方入国管理官署の長の権限は広く、かつ、いずれも緊急を要する性質のものでありますから、地方入国管理官署の長に事故のあるときまたは欠けたときは、直ちにその官署の入国審査官がその職務を代行できることとし、また、口頭審理についても地方入国管理官署の長が法務大臣の指定にかかる入国審査官にこれを取り扱わせることができることとしました。
 第七十三条は、事実の調査に関する新設の規定であります。第一項においては、法務大臣がその権限に属する事項を処理するため必要があるときは地方入国管理官署の長に事実の調査を命ずることができることとし、第二項においては、地方入国管理官署の長もその権限に属する事項を処理するため必要があるときは事実の調査ができることとし、第三項においては、地方入国管理官署の長は前二項の調査のため必要があるときは、入国審査官または入国警備官に関係人に対し質問させ、または文書もしくは物件の提示を求めさせることができることとしました。外国人の公正な管理のために法務大臣及び地方入国管理官署の長の権限行使の適正をはかるには事実の調査を必要としたからであります。
 第七十四条は、入国審査官及び入国警備官の制服の着用及び証票の携帯について規定したものであり、現行令第六十一条の五及び第三十三条の規定に相当するものであります。
 第十章 補則
 第七十五条は、刑事訴訟法の特例として、不法入国被疑者等を逮捕した司法警察員から入国警備官へ被疑者を引き渡すことができる場合を規定したものであり、現行令第六十五条に相当するものであります。
 第七十六条は、退去強制手続と刑事手続等との関係について規定したものであり、現行令第六十三条に相当するものであります。刑事訴訟に関する法令、刑の執行に関する法令または少年院もしくは婦人補導院の在院者の処遇に関する法令の規定による手続が行なわれている者について退去強制令書が発付された場合には、原則としてこれらの手続が終了した後その執行をするものとしますが、刑事訴訟に関する法令の手続の場合を除き、関係機関の同意があったときは、手続中でも退去強制令書の執行ができることとしました。
 第七十七条は、地方入国管理官署に収容場を設置する旨の規定でありまして、現行令第六十一条の六に相当するものであります。
 第七十八条は、収容令書または退去強制令書により入国者収容所または収容易に収容されている者の処遇に関する規定であり、現行令第六十一条の七に相当するものであるが、第一項においては、収容場所の保安上支障がない範囲内において被収容者には自由が与えられなければならないこと、第二項においては、被収容者には一定の寝具を貸与し、一定の糧食を給与すること、第三項においては、給養の適正と収容場所の衛生、第四項においては、被収容者の身体または所持品等の検査及び所持品等の領置、第五項においては、面会の制限または禁止について明文化するとともに、通信の検閲またはその発受の禁止もしくは制限、第六項においては、被収容者の苦情処理について明文化し、第七項においては、その他の必要事項を省令に委任すること、第八項においては、退去強制令書の執行を警察官または海上保安官に依頼した場合における当該官署の処遇についてそれぞれ規定しました。
 第七十九条は、手数料についての規定であり、現行令第六十七条に相当するものであります。なお、政令においては、おおむね現行令の規定する手数料の二倍に相当する額を定める予定であります。
 第八十条は、通報者に対する報償金について規定したものであり、現行令第六十六条に相当するものであります。
 第八十一条は、権限の委任について規定したもので、新設規定であります。法務大臣の権限を政令で定めるところにより地方入国管理官署の長に委任することとしたものでありますが、政令においては、現に訓令で定めている在留資格関係事務の専決事項を委任事項とする予定であります。
 第八十二条は、この法律の実施のための手続その他その執行について必要な事項を法務省令で定める旨の委任規定であり、現行令第六十九条に相当するものであります。
 第十一章 罰則
 第八十三条は、不法入国者、不法残留者等に対する規定であって、現行令第七十条に相当し、法定刑も同じであります。第三万は不法入国者、第二号は不法上陸者、第三号は仮上陸中の逃亡者等を規定し、それぞれ、現行令第七十条第一号、第二号及び第三号、第六号と内容は同じであります。第四号は新設の規定であり、上陸許可の申請をした外国人で、上陸許可を受けられず退去を命ぜられたにもかかわらず、本邦から退去しないものを規定しました。第五号は、日本の国籍の喪失、出生その他の事由により上陸に関する手続を経ることなく本邦に在留することとなった外国人で、在留資格を取得することなく法定の期間をこえて残留するものを規定し、現行令第七十条第八号と同じであります。なお、第三十七条第六号において説明したのと同様の理由から、家族の在留資格を失い法定の期間をこえて残留する者も、本号に規定することとしました。第六号は、在留期間経過後の不法残留者に対する規定であり、新たに出国猶予期間を在留期間に含めたほかは、現行令第七十条第五号と同じであります。第七号は、一時上陸の許可を受けた者で期間経過後も不法に残留する者に対する規定で、現行令第七十条第七号と同じであります。
 第八十四条は、不法に本邦から出国しまたは出国することを企てた外国人及び日本人に対する規定で、現行令第七十一条と同じであります。
 第八十五条は、収容令書または退去強制令書によって身体を拘束されている者の逃走の罪を規定したもので、現行令第七十二条第一号と同じであります。
 第八十六条は、第二十七条の中止命令等の規定の新設に伴い、同条の規定による命令に違反した者に対する罰則を設けたものであります。現行令では、右の命令の対象となる者のうち、資格外活動をもっぱら行なっていると明らかに認められるものについては、第七十条第四号で三年以下の懲役もしくは禁錮または十万円以下の罰金に処することとし、また、資格外活動をしようとする者で許可を受けなかった者については、第七十三条で六月以下の懲役もしくは禁錮または三万円以下の罰金に処することとしております。この法律案においては、資格外活動、順守事項違反及びなすべき在留活動を行なわないことを直ちに処罰の対象とはせず、まず中止命令その他の命令により違法状態の是正をはかり、なおかつ命令に従わなかった者を処罰することとしたものであり、法定刑も六月以下の懲役もしくは禁錮または五万円以下の罰金としました。
 第八十七条は、第八十三条から前条までの罪を犯した者には、情状により懲役または禁錮及び罰金を併科することができる旨の規定であり、現行令第七十四条と同じであります。
 第八十八条は、上陸許可の手続または退去強制の手続において地方入国管理官署の長の行なう口頭審理にあたって出頭を命ぜられた証人の不出頭、宣誓及び証言の拒否並びに偽証に対する規定で、現行令第七十五条と同じであります。
 第八十九条は、旅券等不携帯の罪等を規定したものであります。第一号は、旅券等の不携帯及び提示拒否についての規定で、現行令第七十六条と同じであり、第二号は新設の規定であり、入国審査官が職務遂行のため、または入国警備官が不法上陸防止のため、関係人に対して行なう質問もしくは文書提示要求を拓否し、または質問に対し虚偽の陳述をした者に対する規定であり、第三号も新設の規定であり、地方入国管理官署の長から事実の調査を命ぜられ、入国審査官または入国警備官が関係人に対して行なう質問もしくは文書提示要求を拒否し、または質問に対し虚偽の陳述をした者に対する規定であります。
 第九十条は、船舶もしくは航空機の長または運送業者の義務違反に対する過料の規定であり、現行令第七十七条に相当し、過料の額も同じであります。第一号は、事前通報、入出港届け出及び乗員名簿・乗客名簿の提出の各義務違反、第二号は、不法入国者または不法出国者を発見したときの報告義務違反、第三号は、不法入国者の上陸を防止する義務違反、第四号は、仮上陸中の逃亡その他一定の事由により退去を強制される者を自己の責任と費用で送還する義務の違反、第五号は、入国審査官の指示に従う義務の違反をそれぞれ規定しております。
 第九十一条は、不法入国に使用した船舶または航空機の没収についての規定で、現行令第七十八条に相当するものであります。
 附  則
 附則では、この法律の施行期日、出入国管理令の廃止とこれに伴う経過措置、関係法律の一部改正とこれに伴う経過措置及び罰則の経過措置について規定しました。おもなものは、次のとおりであります。
 第一条は、この法律の施行期日について規定したものであり、公布の日から起算して六月をこえない範囲内で政令で定める日から施行することとしました。
 第二条は、現行の出入国管理令の廃止について規定したものであります。
 第三条から第十三条までは、現行令の廃止に伴う経過措置であり、現行令に規定する許可、申請等は、それぞれこの法律の相当規定によるものとみなしてこの法律を適用することとしましたが、上陸に関する手続及び収容、違反審査、口頭審理等の退去強制令書発付前の退去強制の手続については、その手続進行中においてこの法律を適用することが困難でありますので、なお従前の例によることとしました。
 第十四条は、昭和二十七年法律第百二十六号の一部改正について規定したものであり、同法第二条第六項は、平和条約発効の日に日本国籍を喪失したいわゆる朝鮮人及び台湾人は引き続き在留資格を有することなく本邦に在留することができる旨規定しているが、この規定をそのままこの法律に引き移し、これらの者はこの法律の施行後も引き続き在留資格を有することなく本邦に在留することができることとしました。
 第十五条は、法律第百二十六号第二条第六項該当者の再入国等に関する規定であり、第一項においては再入国について、これらの者には上陸許可の要件中在留資格に関する部分を適用しないこと、第二項においては再入国の許可について、これらの者は在留資格を有する者とみなすこと、第三項においてはこれらの者の子について、政令で定める日まで在留期間の延長の手続料を免除することとしました。
 第十七条は、出入国管理特別法の規定による永住の許可を受けている者の再入国に関する規定であり、第一項においては再入国について、出入国管理特別法の規定による永住の許可を受けている者には上陸許可の要件中在留資格に関する部分を適用しないこと、第二項においては再入国の許可またはその許可期間の延長について、これらの者はこの法律による永住許可を受けている者とみなすこととしました。
 第二十条は、外国人登録法の一部改正について規定したものであり、外国人登録の申請期間を、新規入国者については六十日から九十日に、出生等により本邦に在留することとなった外国人については三十日から六十日に、それぞれ伸長しました。
 第二十五条は、罰則に関する経過措置であり、この法律の施行前にした行為及び附則において従前の例によることとした上陸の手続または退去強制の手続等に関しこの法律の施行後にした行為に対する罰則の規定の適用については、なお従前の例によることとしました。
 以上であります。
#6
○進藤委員長代理 これにて補足説明は終わりました。
#7
○進藤委員長代理 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。鍛冶良作君。
  〔発言する者あり〕
#8
○進藤委員長代理 ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#9
○進藤委員長代理 速記を始めて。
 この際、暫時休憩いたします。
   午後零時三十一分休憩
     ――――◇―――――
  〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕
ソース: 国立国会図書館
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