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#1
第061回国会 法務委員会 第23号
昭和四十四年六月二十四日(火曜日)
    午前十時五十四分開議
 出席委員
   委員長 高橋 英吉君
   理事 大村 襄治君 理事 進藤 一馬君
   理事 田中伊三次君 理事 濱野 清吾君
   理事 中谷 鉄也君 理事 畑   和君
      大竹 太郎君    鍛冶 良作君
      中馬 辰猪君    中村 梅吉君
      藤枝 泉介君    松野 幸泰君
      村上  勇君    猪俣 浩三君
      神近 市子君    黒田 寿男君
      田中 武夫君    山内  広君
      岡沢 完治君    山田 太郎君
      松本 善明君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 西郷吉之助君
 出席政府委員
        内閣法制局第二
        部長      田中 康民君
        法務政務次官  小澤 太郎君
        法務大臣官房長 辻 辰三郎君
        法務省入国管理
        局長      中川  進君
 委員外の出席者
        法務省入国管理
        局次長     瀧川 幹雄君
        法務省入国管理
        局参事官    辰己 信夫君
        専  門  員 福山 忠義君
    ―――――――――――――
六月二十四日
 委員西村榮一君辞任につき、その補欠として岡
 沢完治君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員岡沢完治君辞任につき、その補欠として西
 村榮一君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
六月十八日
 出入国管理法制定等反対に関する請願外八件(
 神近市子君紹介)(第八八四七号)
 同(井岡大治君紹介)(第八九九〇号)
 同外十一件(唐橋東君紹介)(第八九九一号)
 法の威厳と秩序の回復に関する請願(田澤吉郎
 君紹介)(第八九五七号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 出入国管理法案(内閣提出第九〇号)
     ――――◇―――――
#2
○高橋委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、出入国管理法案を議題といたします。
 前回に引き続き質疑を行ないます。質疑の申し出がありますので、これを許します。大村襄治君。
#3
○大村委員 本法案の提案理由の説明書を読んでみますると、「最近における出入国に関する状況等にかんがみ、現行制度を全面的に改善して、出入国手続を簡素化するとともに在留管理の合理化を図り、」云々と書いてございます。そこで、最近におけるわが国を中心とする出入国の状況の概要を、あまり長いのは困りますから、要点だけ簡明に御説明願いたいと思います。局長お願いします。
#4
○中川(進)政府委員 まず、一番近いのは昭和四十三年の出入国の状況でございますが、日本人で外国に出ましたのが五十四万千七百十六人、外国から帰ってまいりました日本人が五十三万四千百八十六人、合計百七万五千九百二人となっております。それから外国人で、日本から出てまいりました外国人が四十一万四千三百五十八、日本へ入ってまいりました外国人が四十一万八千五百二十二、合わせまして八十三万二千八百八十名、そして出入国しました内外人は、合わせまして百九十万八千七百八十二名となっております。そのほかに、船員でありますとか、飛行機の搭乗員でありますとか、それから船舶でありますとかいうものに特例上陸というものがございますが、そういうもので上がりました数が百七十二万千七百九十七人、非常に多いのでございまして、合計いたしますと三百六十三万五百七十九人というのが、昭和四十三年に入国管理局で扱いました数でございます。
 どれぐらいのふえ方かと申しますと、これに対応いたします数が昭和四十二年には、簡潔にということでございますから数だけ申し上げますと、日本人の出入国が八十四万九千四百六十八、外国人の出入国が七十四万九千三百六十三、合計で百五十九万八千八百三十一、それから特例上陸が同じく百五十四万五千五百六十三ということで、合計三百十四万四千三百九十四というのが、昭和四十二年の数でございます。昭和四十一年は、もっと簡単に、全部合わせまして二百七十一万千五百二十一人、こういうふうになっておりまして、これでわかりますように、大体年率一五%ぐらいはふえていっておるということでございます。
 ことにこの時期におきましてこの法案を提出いたしまして御審議願いますのは、申し上げるまでもございませんが、来年の三月から九月にかけまして万国博が大阪で開かれますので、いままでのように一五%アップというよりははるかに多くの外国人の入国が予期せられるということでございます。
#5
○大村委員 いま言われた外国人の中で、いわゆる戦前から長くいる人たちですね。在日朝鮮人でありますとか台湾人でありますとか、そういう方はどのぐらい含まれているのでしょうか。
#6
○中川(進)政府委員 ただいま申し上げましたのは日本に出入国いたしました外国人の数でありまして、このうち戦前からおられた人がどのぐらいになるかということは必ずしも明確でないのでございますが、これは中国人と朝鮮人と韓国人でございますが、これを合わしまして大体五十四、五万人じゃないかと思います。しかし、こういう中で、ただいまの統計に載っております出入国をした人の数でございますが、これは正確にはちょっとわかりかねるのでございますが、大体私どもの目分量では三万七、八千じゃないかと思うのでございます。
#7
○大村委員 いまのお話でも、年率一五%というたいへんなふえ方でございます。そこで、この法律の第一条の目的を見ますると、「すべての人の出入国を公正に管理することを目的とする。」とはっきりうたわれております。ところで、この法律案の全体を見ますと、全文で九十一条、最近の政府から提案される法律としては、条文の数もかなり多く、内容も豊富であるようでございます。ところが、日本人の関係の規定は、六十七条と六十八条ですか、わずか二条しかない。あとは全部これは外国人の関係のように見受けられるわけであります。そこで、いま言われましたような出入国の現状からいたしまして、この法案の重点が外国人と日本人のどちらにあるのか、そういう疑問がしろうとなりにしたわけでございます。ただ、この法文の「日本人の出国及び帰国」この章を見てみますると、六十七条で「入国審査官から出国の確認を受けなければならない。」それに対応する現行令の六十条は、出国の証印を受けなければいかぬ、ちょっとことばが違っております。また局長の補足説明の際に用いられた逐条説明書の六十七条のところを見てみますると、将来における手続の簡素化を考慮に入れたものであるという趣旨のことがうたわれております。そうすると、これは外国人についてもそうだろうと思うのでありますが、少なくとも日本人については、最近におけるような国際交通のひんぱん化に伴って、できるだけ手続を簡素化していこうということが、当局の立案者の頭の中に相当大きいウエートを持ったのじゃないか、そういう気もするわけでございます。その点について、立案当局はどのようにお考えになっておるのか、御説明ください。
#8
○中川(進)政府委員 御指摘のとおり、現行令は証印になっております。それから新法案は確認ということになっておりますが、これも先生ただいまお述べになりましたごとく、行く行くは、一々判こを押してサインをするというのはたいへんでございますから、見ただけでオーケーというふうに、手続の簡易化ということを実施したいと考えております。その場合、どちらにでもとれるように、こういう「出国の確認」という文字を使ってございます。
#9
○大村委員 一応わかるのですが、将来は簡素化したい。この法文では、出国の確認を受けなければいかぬ。現行令では、証印を受けなければいかぬ。見せさえすればよいようにもとれるのですが、いますぐなぜやらないのですか。
#10
○中川(進)政府委員 一度に新しく変えるのもいいかがかということで、若干経過期間と申しますか、まずこの法律が通りましたら、今度は新しい確認のやり方というものをきめまして――きめますといいますか、それに少しならしまして、それでやっていきたいので、この法律がすぐに変わってしまいますのも若干いかがかと思われますが、確認とさえ書いておけば、こちらでよしと思われるときにいつでもやれるというつもりでございます。
#11
○大村委員 それはそれといたしまして、国際間で査証の相互免除でありますとか、いろいろ事務を簡易にして出入りの煩瑣な手続を省こうという傾向が進んでいるように思うわけでございますので、わが国の出入国管理法令を整備するにあたっても、そういった点は十分注意しなければいけないと思うのであります。
 そこで伺いたいのは、この法律案に関係の深いと思われる外国人登録法、あるいはこれは日本人の関係が多いと思うのでありますが、旅券法、そういったものとの関係はどうか。今国会には旅券法の改正も提案されておるようでありますが、その点について管理局長の御説明をいただきたいと思います。
#12
○中川(進)政府委員 この法律が万一通りました場合に、これに関連いたしまして改正をします外国人登録法は、例の短期滞在というカテゴリーを設けましたので、その関係で、現在は、外国人が入国しまして六十日たちますというと登録する義務があるのでありますが、それを改正いたしまして九十日とするという点でございまして、そのほかには、外国人登録法は、さしあたってはこの新しい出入国管理法とともに改正するというつもりはございません。ただそれだけでございます。
 それからお尋ねの第二点の旅券法の点でございますが、旅券法は、これは申し上げるまでもなく、日本人の出入国に関しますことでございまして、この出入国管理法自体に直接どうという影響はございませんので、直接的な関連はないと申し上げたいと思うのでございます。旅券法の内容いかんにつきましては、これは所管が違いますので、御説明は省略させていただきたいと思います。
#13
○大村委員 引き続いて伺いますが、いまのような国際間の状況にかんがみまして、提案理由にも示されているように、わが国の出入国に関する管理法令を、現在及び今後の状況に適合するように改める必要はあると考えます。しかしながら、一部においては、この法案が、諸外国に比べても非常にきついのではないかというような説も行なわれているように見受けられるのでありますが、法務省の主管局としては、立案にあたりまして、諸外国の外国人管理法令もいろいろ十分研究、検討されたと思うのでありますが、一々比較して申し上げますると、それこそ何時間でもかかると思いますから、ごく要点でけっこうでありますが、御説明願いたい。特に、これは参事官、ひとつポイントをはっきり示していただきたい。
#14
○辰己説明員 この出入国管理法案と諸外国の外国人管理法令とを比較して、外国人の便益がどうなるか、こういうことでございますので、御説明を申し上げます。
 まず、外国人がわが国に出入りいたしまする手続の関係について申し上げます。
 第一は、この法案におきまして、現行令の観光客、これは在留期間が六十日でございますが、この在留資格にかえまして、短期在留期間九十日の在留資格を設けまして出入国手続の簡素化をはかったのでございますが、これは、従前、職業または報酬を受ける活動に従事しない短期の旅行者につきまして簡易な出入国手続を採用しているといわれておりました西ヨーロッパ諸国とほぼ同様の簡素化でございまして、国際旅行容易化の国際的要請に応ずるところと確信する次第でございます。
 出入国の第二点でございますが、これは提案理由の説明にもございましたように、この法案におきましては、査証を必要としない一時上陸、すなわち寄港地上陸及び通過上陸の対象者の範囲を拡大いたしましたが、これは国際旅行容易化の点では欧米諸国よりさらに一段進んだ制度であるというように考えております。
 出入国のその三でございますが、その三は、職業についたり生業についたりあるいは報酬を受ける等の活動に従事するような人たち、こういう活動は、すなわちわが国の国民生活に影響を及ぼす外国人の問題でございますが、このような活動を行ないます外国人の入国につきましては、わが国の特殊事情、すなわち国土が狭くて人口が稠密であるということから、相当な規制をしなければならないのでございますが、この法案におきましてとっておりますところの在留資格制度と申しますのは、欧米諸国とほぼ同様の制度でございまして、わが国だけがこうした活動を行なう人の入国について過重な負担をかけているものではないということが断言できます。
 第二の問題といたしまして、それでは入国をした外国人の在留の管理をどのようにするかという外国人の在留管理の問題でございます。これにつきまして、この法案におきましては、在留資格制度ということによりまして、その外国人の職業及び職業的な社会活動を規制するというたてまえをとりますほかに、先般来いろいろ御質疑がございました法案第八条及び三十三条によって準用いたしますところの遵守事項の規定を設けてございます。この遵守事項の規定は、現在の現行令よりもさらに公正な在留管理をする目的で設けられたものでございますが、これは諸外国、すなわち欧米諸国におきまして、ごく一般的なことでございます。外国人の入国に対しまして、その入国、在留を許可するにあたりまして、入ってきてからどういう活動をするかという点につきまして、いわゆる条件をつけます国は数えるにいとまがございませんで、アメリカ、イギリス、スイス、オランダ等のいわゆる先進国と称されておる国におきましても、一般的なものとしてつけておる次第でございます。時間があれば、なおその資料については詳しく申し上げますが、欧米諸国においてきわめて一般的なことであって、わが国においてだけがこのようなことで在留管理を強くするという見解は、当たらないものであるというふうに申し上げていいと思います。
 外国人の在留管理の第二の問題といたしまして、この法案におきましては、在留資格外活動を行なった者とか遵守事項の定めに違反した者につきましては、中止命令制度を設けまして、その中止命令に違反があった場合、中止命令をかけまして、それによって是正を求めるわけでございますが、是正されればそれでよし、是正されないときに至って罰則による退去強制もするという間接強制の制度を取り入れた次第でございますが、さらにまた在留期間の延長を許可しない場合におきましても、直ちに違法在留に落とすことなく、出国準備のために必要な期間の在留を許可するようにしたのでございますが、この点は、諸外国と比べまして、進歩的な制度であると断言できます。欧米諸国におきましては、在留の条件に違反した外国人に対しては、直ちに在留許可を取り消したり、国外退去をもって臨むとするのが、一般的でございます。この中止命令制度という間接制度は、より寛大な措置だと申すことができると思います。
 さらに、在留管理につきまして第三の点として申し上げておきたいと思いますのは、主としてヨーロッパ諸国におきましては、外国人に宿泊届けの義務を課すことが、当然一般的な制度として認められておるようでございます。さらに、共産圏国につきましては――共産圏国のことを申し上げても、これはきびしいのは当然でございますけれども、申し上げますと、外国人の旅行経路及び居住地を官憲が指定をいたします。さらに、外国人をおらせているところの機関、学校、旅館住民等に戸口報告の義務を課しております。さらに、外国人に対して公安当局へ随時出頭義務を課しておるという国が共産圏国にはあるのでございますが、かような、いわゆるきびしい在留管理の制度は、この法案には盛らなかったわけでございます。
 さらに大きな柱の第三の、好ましからざる外国人を、上陸を拒否する、さらに好ましからざる外国人を、わが国の国外に退去させる、追放させるという問題につきまして、諸外国と二、三点比べてみて申し上げたいと思います。
 その一は、この出入国管理法案におきましては、いわゆる上陸拒否事由、さらに退去強制事由というものを現行令とほぼ同じように、詳細かつ具体的に規定をいたしております。一見たくさんな事由があがっておるために、きびしいのだという考えがあるかもしれませんが、それは当たらないのでございまして、退去強制事由、上陸拒否事由を具体的に詳細にあげることが、外国人の人権を保障するゆえんでございます。諸外国の例を見まするに、かように詳細に規定をしている国はあまり多くはございませんで、たとえば国の安全、利益を害する者といったような包括的、抽象的な規定をして、行政庁の運用にまかしているという国が多いのでございます。
 その二は、上陸拒否事由または退去強制事由に該当するということを調べまして、まさにこれに該当するに間違いないという手続を踏むわけでございますが、この点につきまして、この法案は、入国審査官または入国警備官に第一段的な審査ないしは調査をやらしめたあと、次に地方入国管理官署の長にヒヤリング、すなわち口頭審理をやらせて、証人を呼びたければ呼んであげる、証拠が出したければそれを調べてあげるというふうに、いわゆる直接口頭審理をやることを制度といたしておる。さらにその口頭審理の結果に不服がある者に対しましては、法務大臣に対して異義の申し立てもできるというふうに、三段、四段の手続規定を設けておるのでございますが、これは諸外国の例に徴しまして、かほどまでに事実の争いにつきまして慎重な手続を定めている国は、多くはございません。
 第三といたしまして、かように入国及び退去強制の事実の認定に関しまして慎重な手続をこの法案は定めておるのでございますが、さらにこの法案におきましては、人道主義の見地から、上陸を拒否されるべき外国人あるいは退去強制をされるべき外国人につきましても、法務大臣に対しまして特別在留許可の出願を認める制度をとっておるのであります。いわゆる特別許可の制度を法定しておるわけでございますが、かように当該外国人から外国人管理の主管大臣に対しまして特別許可の出願を認めるといったような国は、世界でわずか一、二にとどまるわけでございまして、非常に人道的な見地に立った考え方である、かように思うわけでございます。以上をもって御説明を終わります。
#15
○大村委員 個々の点ではまた関係事項について詳細にお尋ねをしたいと思いますが、以上の調査にあたってはおよそ何国ぐらいを調査されたのか。またお話にもありましたが、いわゆる共産圏国等も含まれているのかどうか。その点を参考に御説明願いたい。
#16
○辰己説明員 約三十カ国を調査いたしました。おもなる国を申し上げますと、ユナイテッド・ステーツ・オブ・アメリカ……(大村委員「個々の具体的な国名はいいです。国数とそれから共産圏の国などが入っているかどうか。」と呼ぶ)共産圏国におきましては、いわゆる中華人民共和国、ソビエト連邦、それから東欧圏諸国のユーゴスラビアあるいはハンガリー、ブルガリア等を調査いたしております。
#17
○大村委員 法制局の政府委員来ておりますか。――では法制局の第二部長にお尋ねしますが、一般論でありますが、外国人の憲法上及び国際法上の地位について、簡明に説明をお願いしたい。
#18
○田中(康)政府委員 この点につきましては、もう法務省当局からあるいは答弁があったかと思いますが、私のほうから法制局としての見解を申し述べさしていただきます。
 今日、国際慣習法上、外国人をどう取り扱うかということにつきましては、これは主権の存する国がもっぱらその入国または在留というものの許否を決することができるということになっておりまして、その入国を許すにあたりましても、そこに内国人と違うような特殊性にかんがみまして、外国人に、必要とあれば、一定の制限を、しかも最小限度のものであることはもちろんでございますけれども、必要な制限を付することは、当然許されることであるというふうに考えられておりままして、これはすでに先進国におきましては、すべての国がそういう趣旨でもって外国人の入国及び在留管理をやっておる、こういうことになっております。
 ところで、わが国の現行憲法が、当然こういう国際慣習法というものを前提に置きまして、その国際慣習法上の前提に立って、外国人の地位につきましても、一般の国内人とは違った制限を付することを全然できないというふうに考えておるものではない。すなわち、合理的な理由があり、しかも必要最小限度の範囲内におきまする制限を、内国人と違って、外国人に課することは、わが国の憲法がもともと認めておるところである、かように外国人の地位については考えられると思うのです。
#19
○大村委員 お話しによりますると、合理的理由があり、また必要な範囲を越えない限りにおいては制限を加えることができるというのが、国際的に確立された慣習ですと、そういうようなお話でございましたが、だとすると、日本国憲法の保障する基本的人権に関する保障規定、そういったものは、一体外国人に対して適用があるのか、それとも適用がなく、が、趣旨は尊重されなければいけないというのか、その合理的理由あるいは必要な範囲内云々との関連において、御説明願いたい。
  〔委員長退席、進藤委員長代理着席〕
#20
○田中(康)政府委員 今日、基本的人権の規定は外国人に適用があるかどうかということにつきましては、いろいろ争いもございますが、一般的に申しまして、憲法の規定が、何人もこういう権利を持つんだというような趣旨で書いております規定ば、これは外国人にも適用があるというふうにいわれております。そのことにつきましては、これはもう通説でございまして、われわれも疑っておりませんのでございますが、ただ、その場合におきまして、外国人と内国人とは、先ほど申しましたように、その地位につきまして、特殊性の違いがあるというふうに考えられますので、そういう特殊性にかんがみまして、わが国の利益を守るために、あるいは公安を守るために必要であるというようなことがあります場合におきましては、そこにその合理的理由に相応する最小限度の制限も、当然その基本的人権について加えられることもあり得る、こういうことと私は考えておるわけでございます。
#21
○大村委員 日本人といえども、基本的人権について公共の福祉の観点から制約が加えられることがあるというのは、日本国憲法のたてまえでございます。そこで、外国人について、憲法にいう公共の福祉という観点からする制約と、いまあなたの言われた合理的理由、必要な範囲云々ということとは、どうかみ合うのか。日本人以上に、必要があれば、また、合理的理由があれば、制約が加えられることもあり得る、こういう意味なのか。
#22
○田中(康)政府委員 その合理的な理由が、あるいは結果的には公共の福祉による制限の原因となります合理的理由というものと一致することはもちろんございますが、ただ、私が申し上げますのは、それだけでいいのか、それだけでしかないのかということでございますが、そうではございませんで、やはり外国人というものに対しましては、国際慣習法上――先ほど申しましたように、外国人に対する諸外国の取り扱いもそうでございまするし、国際慣習法上、主権の存する国家がその外国人についてはその入国及び在留の許否を決することができるという特別のものでございますので、憲法上も当然、憲法が初めからそういう外国人の地位を予定してでき上がっておりますということから申しますと、わが国のみがそういう国際慣習法とかけ離れまして、主権の作用である、外国人について合理的な制限を付してはいけないという制限を憲法上課しておるというふうには考えられませんので、その合理的な範囲は、いまの公共の福祉上の要請である合理的な範囲よりはより広く、特に外国人の地位というものの特殊性から見て、合理的であれば、そこに相当広い範囲の制限を課することができるというふうに相なると思います。
  〔進藤委員長代理退席、委員長着席〕
#23
○大村委員 じゃ、具体的に伺いますが、この法律案の中で、遵守事項を付することができるという規定がございます。そうすると、資格内の活動でも、遵守事項を守らぬと、いろいろ制約を受けるということが出てまいります。また、資格外の活動でも、許可を受けないと、資格外の、ことに営利活動ができないという線がございまして、そういった点が、たとえば職業選択の自由でありますとか、いろんな言論の自由でありますとかというものと表面上は抵触する可能性もあるわけですが、その辺はやはり、あなたの先ほど言われたあれによると、合理的理由の範囲である、こういうことになるわけですか、まあ、念のため伺っておきます。
#24
○田中(康)政府委員 資格外の活動を制限し、または資格内におきましても、遵守事項等によりまして一定の事項を制限するということは、私といたしましては、先ほど来申しましたように、外国人の特殊な地位にかんがみる必要最小限度の制限である、このように考えるわけでございます。
#25
○大村委員 ちょっと問題を変えまして、また、今度は法務省にお尋ねいたしますが、これは先輩の鍛冶委員もすでに触れられた点でございますが、この法案におきまして、政治的亡命者の保護について直接の規定を置かなかった理由と、また、この法案で政治的亡命者についてどのように従来と違う取り扱いをしたか、局長、ひとつ御説明を願いたい。
#26
○中川(進)政府委員 まず、政治的亡命に関する規定を置かなかった理由でございますが、これは先般鍛冶委員にもお答え申し上げましたとおり、まず、わが国の憲法には政治的亡命云々に関する規定がないということ、それからわが国は難民の地位に関する条約その他政治的亡命に関連する条約には入っておらないということ、それからわが国の置かれました地位というものが、御承知のごとく、周辺にあるいは近辺に対立する政権をかかえた国が、現実の問題として朝鮮、中国、ベトナムというふうにございまして、政治的難民あるいは政治的亡命者というものが起こり得る可能性がかなり大であるというようなこと、まあいろいろなことを考えまして、規定は設けなかったのでございます。
 しかしながら、それでは現実に政治的亡命者が日本へ参りました場合にこれを日本に置けないかと申しますと、そうではございませんので、救済といたしまして、まず第一には、日本に入国を認めない規定がございまして、入国が無資格者と申しますか、その中に一年以上の刑罰を受けた人というのが入っております。しかし、その一年以上の刑罰を受けた中にも、政治的理由による刑罰を受けた者はこれは除くとなっておりまして、いわゆる政治犯によって刑罰を受けたという人は、日本に入国する資格があることになっておるのでございます。
 それから第二には、日本に入ったあとで、まあ在留資格がないということで問題になるのでございますが、これは法務大臣の特別在留許可という制度がございまして、法務大臣におきまして、この人は政治的亡命者である、日本にかくまってやることしかるべしという決断を下されましたならば、この法律によりまして、この政治的亡命者を日本に置いておくことはできるのでございます。要するにケース・バイ・ケースによりまして、法務省と申しますか、日本政府の判断によりまして、政治的亡命者をかくまう現実の必要が起こりましたときには、これはかくまえるのでございまして、何も法律にうたわなくても、政治的亡命者の庇護というものに欠けるところは起こらない、かように考えて、規定はないのでございます。
 それから第二の御質問の点の現行法令との違いでございますが、これは退去を強制しますときの送還先ということに関しまして、現行法では、特定の地域に帰すことができない場合には云々ということがございますが、今度の新しい法律案によりますと、特定の送還先に帰すことが適当でないと認められるいろいろな事情があるときには、こういうふうに本人の希望その他というようなことが出てまいりまして、そういう点で、解釈と申しますか、法律の規定がゆるやかになっておるという点でございます。
#27
○大村委員 なぜ政治的亡命者の保護に関する条約に入らないのか。これはむしろ外務省の所管事項かもしれませんが、局長さんも外務省のほうに御経験が深いということを聞いておるので、全然門外漢ではないと思いますので、その点をできれば御説明を願いたい。
#28
○中川(進)政府委員 難民の地位に関する条約というのは、御承知のように一九五一年ジュネーブで、七月でございましたか、できた条約でございますが、現在たしか五十四カ国入っております。御承知のごとく、これの加盟国はヨーロッパ諸国と、それからアフリカと中南米でございまして、スエズ以東のアジア諸国でこれに加盟している国ば、一国もございません。と申しますのは、この条約の内容というものが、今度の第二次世界大戦におきまして、ヨーロッパで非常な国境の変動が行なわれたのでございます。そこで、その人々によりましては、また再びもとの国に帰りたくないというような人が多分に出てまいりまして、そういうような人を本人の意思に反して新しくできた政治的な、人為的な国境に基づいてむげに帰すというようなことはしないというようなことがおもな内容でございますので、そこで日本には直接関係がない。日本のみならず、いま申しましたようにアジア諸国にはあまり関係がないということで入らない。それからまた、むしろ入ることが日本にとってあまり得策ではないというようなことで入らないというふうに私は聞いておりますが、先ほど大村委員もおっしゃいましたとおり、私の所管する事項ではございませんので、あるいは聞き間違いあるいは誤解があるかとも思いますが、私個人はさように解釈しております。
#29
○大村委員 条約のことはまた別の機会でお尋ねいたしますが、今度はその条文についてお尋ねしたいと思います。
 改正案の五十六条二項を見ますと、六号ほど列挙してだいぶ長い規定がございます。ところが、これに対応する現行令の五十三条二項を見ますと、「本人の希望により、」云々と書いてある。趣旨説明を読んでみると、改正案のほうが本人の希望が尊重されるように書いてあるのですが、これだけこうさらっとながめた限りにおいては、現行令のほうが本人の希望が尊重されるのじゃないかというふうな感じもいたします。そこで、この新旧両条文からして、はたして改正案が、趣旨説明にいうがごとく、本人の希望なり事情なりが相当しんしゃくされるものであるということになるのかどうか、これはこまかいことになりますから、局長さんかあるいは参事官に簡明な説明をお願いしたいと思います。
#30
○中川(進)政府委員 確かに私も先生と同じような疑問を持ちまして研究したのでございますが、この新しい法律の五十六条をよく読みますと、六九ページ、七〇ページに分かれましたところに「又は送還することが適当でないと認めるに足りる相当の事情があるとき」という、ただいま私御説明いたしましたが、文句がございます。そこで、「送還することが適当でないと認める」ということの内容でございますが、これには本人の意思ということが非常にあるのでございまして、本人がどうしても帰りたくないというところに帰すのは、適当でないわけでございまして、そこにすでに本人の意思ということが十分織り込んであるということが、一つの理由でございます。それからもう一つは、本人が帰りたいとかあるいは帰りたくないとか言いましても、送還というものは、常識といたしまして、受け入れ国との話し合いと申しますか、受け入れ国で受け入れないという場合には、たとえ本人が幾ら希望しても行けないということが起こるのでございまして、そういう点から、いま先生御指摘のごとく、現入管令によりますと、「本人の希望により、」ということが二の冒頭にありまして、そして六つに小さく区分けがあるのでございますけれども、これは立法技術上、いまの「適当でないと認める」云々ということで、本人の希望はそこに織り込んであるということを前提といたしまして、あとは、そこでまた第一番に「希望するもの」というように持ってくるのは立法技術上どうかというので、そこで六つ目に持ってきたのでありまして、これは一、二、三、四、五、六と書いてございますが、決して順番にどうということでなくて、これはただ全くこのうちどれでもいいということでございまして、本人の希望を一番最後に持ってきたから本人の希望を最も無視するというわけではないのでございまして、先ほど申し上げましたように、「送還することができない」という現行令に比べまして、「適当でない」ということにむしろリラックスした、かように私は考えております。
#31
○大村委員 だいぶわかってきたような気もいたしますが、なお一問お尋ねいたします。改正案は、本文のほうに「希望」云々が入っておらない。そのかわり第六号に「希望する国」、ここに「希望」が入っております。しかし私は、やはり本文の第一段の「前項の国に送還することができないとき」の解釈が問題じゃないかと思うのであります。現行令においては、「送還することができないとき」と、客観的に見てできないときに限って本人の希望が認められる。改正案においては、できないときの解釈判断は同じであるが、「又は」――これは「及び」「又は」と解すれば、本国その他に送還することが客観的にはできる場合においても、それが「適当でないと認めるに足りる相当の事情があるときは、」本人の気持ちを尊重する、そういうふうに受け取れば、改正案のほうが選択の範囲が広くなるというふうにも読み取れるのですが、この点はそう受け取っていいか。せっかく改正するのだといっているのですから、ひとつこれは明快なるお答えを願いたい。
#32
○中川(進)政府委員 ただいま大村先生御指摘のとおりでございます。
#33
○辰己説明員 これまでの局長の御答弁によりまして明らかになったものと思いますが、なお補足的に御説明を申し上げます。この法案五十六条と現行令の五十三条との対比につきましては、立法技術的に、解釈的に三つの問題があろうかと思っております。
 その一つは、法案五十六条二項の各号、それから現行令五十三条二項の各号というものを、反対論者は順番が書いてあるのだというふうに言うのでございますが、これは荒唐無稽でございます。法案の五十六条の二項には、「次に掲げる国のいずれかを送還先に指定することができる。」のであり、現行令五十三条におきましても「左に掲げる国のいずれかに送還されるものとする。」ということでございますから、そこに一番最初に書いてあるから一番で、一番最後に書いてあるからあと回しだというようなことはないわけでございます。この点が、第一点として明白にしておかなければならない点だと思います。
 第二点は、第五十六条の第二項は「地方入国管理官署の長は、」「送還先に指定することができる。」と書いてある。ところで、現行令五十三条はだれがするということは書いていなくて、「されるものとする。」と書いてある。だから、地方入国管理官署の長がかってに指定をするのだという非難があるやに聞いておりますが、これは次に申し上げるような事柄から、当たらないのであります。と申しますのは、退去強制をされる人は、法律上日本に置いておけない、好ましくない外国人であります。それを国外に出すのでございますが、この法案におきましても、現行令におきましても、領海の外に追い出せばいいということにはなっておりませんで、御丁寧にも日本の国費をもちまして送還先の相手国にまで届けるという、世界にあまり例がないのでございますが、非常に親切な規定であります。でありますから、相手先に届けなければならない場合において、送還をする官憲のほうでどこに送るかということを指定するのは当然であります。現行令五十三条二項で見ますと、抽象的に「されるものとする。」と書いてありまして、だれがきめるかさっぱりわからない。そして現行令五十二条の三項に見ますと、五十三条二項に規定したところに帰すというふうな形に書いておりまして、手続的に明確ではない。それでこの法案におきましては、五十五条の三項におきまして、退去強制令書にはっきりと送還の方法、送還先を書くということにしたわけでございます。そしてその令書を相手方に執行する際には示さなければなりませんから、送還先が自分の意思に合っていない、気に食わないということであれば、行政訴訟も起こせるというふうになるわけでございますが、かようにはっきり退去強制令書に送還先を書かせる。そして書かせる以上は、それをだれがきめるか、退去強制令書を発付する地方入国管理官署の長が指定をするのだというふうにしたわけでございまして、その指定が役人の独善に流れる、役人が独善的にやるというだけで「指定」としたわけでないことは、おわかり願えると思います。
 第三点は、その指定が、それでは現行令五十三条の二項のように「本人の希望により、」ということが抜けてしまったから、本人の希望も聞かずして指定されるのではないか、こういう反対論があります。それにつきましては、先ほど来局長及び大村先生から十分御理解のあるお尋ねがあったわけでございますが、現行令のように「できないとき」という絶対不能ないしは客観的な不能というものにふくらみをつけまして、「送還することが適当でないと認めるに足りる相当の事情があるとき」というふくらみをつけております。しかも、そのふくらみは「適当でないと認めるに足りる相当の事情があるとき」という表現でございますから、客観性を帯びているわけでございまして、地方入国管理官署の長が主観的に適当でないと認めるわけにはいかないわけでございます。そういたしまして、「送還することが適当でないと認めるに足りる相当の事情があるとき」というふうにふくらめましたがために、「できないとき」という客観性、絶対不能というものがふくらみまして、本人の希望が一番重要な要素として当然に含まれて第一項ではだめで第二項にいくということでございますから、まさに本人の意思ないし希望――それは政治的な迫害が待っておるから帰りたくない、あるいは自分の本国はAという国であるが、自分の親族がBという国にたくさんいるから、そちらのほうに帰してもらいたいという意思というものが、まさに今度新しい法案に入れましたふくらみによって解決されるわけでありまして、人道的な見地に立っているということは明白であります。
 ただ、ここで問題としてちょっと申し上げておきたいのは、本人の意思によりすべて送還先が決定されるというものでは、退去強制の本質にかんがみてあり得ないということであります。日本に一番近くの国から日本に不法にやってきまして、それが日本から一番遠い、いい国に送還してくれと言われましても、局長から御答弁がありましたように、その相手国がそれを引き取らなければどうにもならないわけであります。また、その本人がそれを希望するに足る客観的な事情、すなわち迫害があるとかあるいは親族がそちらにいるとかいう事情がない限りは、単純な意思だけで送還先が指定されるものではないということは、これまた一面明らかであると思います。蛇足を加えたようでございますが、以上でございます。
#34
○大村委員 次に進みます。在日朝鮮人及び台湾人の法的地位、特に長年在留しているこれらの方方を含める外国人に、この改正案が不利益をもたらすことはないか。この点については、すでに鍛冶委員が質問された点でございます。講和条約発効の際の一二六協定の問題、あるいは日韓条約の際の地位協定の問題等を引き合いに出してすでに御説明をされておりますが、これは重要な問題でありますので、特に政務次官から、不利益をもたらすことはないかという点について、明快なる御答弁を願いたいと思います。
#35
○小澤(太)政府委員 お尋ねの件に関しまして、いわゆる一二六に該当する方々に対しましては、この法律によって従来と特に不利になるという点は少しもございません。その方々は、日本に在留する在留資格なしに日本に居住いたしておるのでございまして、資格がないということは資格による制限がないということでございます。したがいまして、従来どおりであるということは、附則の第十四条にも明記いたしておるところでございます。ただここで従来と同じでありますけれども、実際の行政の運営上そのことを行なわなかった問題、つまり生活保護を受けるということによって退去の対象になるということは、従来の例においてもあったわけでございます、現在の管理令においてもあるわけでございますが、これは法律第百二十六号が制定されるときにおきましての国会における主管大臣の答弁にも明確でありますように、そういう方々の従来の日本の国との関係、さらに平和に日本に長く生活しておられる、そういう特殊の関係を考えまして、生活保護を受けるということの理由によって従来実際上国外退去をいたしておりません。これは今後におきましても堅持いたすつもりでございます。
 それからもう一点、やはり疑問になっております、これもまた従来と同じでございますが、そういう方々の子供さんで講和成立後生まれた方々に対しまして――これは御承知のようにその御両親とは違った立場に置かれておるわけでございます。つまり外国人として生まれたわけでございますから、こういう人たちに対しまして、ともすれば、たとえば外国人登録の書きかえのような時期、あるいは三年間の在留の延期、こういう時期におきまして、いわゆる遵守事項を適用いたしまして、いろいろな理由からこれを国外へ送り返すとか、あるいはまた中で学校にあがったり職業につく場合にいろいろの制限を加えるというような懸念があると思います。これは法の上ではそのようなこともなし得ないということではございませんけれども、これは絶対の方針としてそういうことのないということを、従来どおり変わらずに行なうつもりでございます。
 以上申し上げましたように、二、三点疑点はございますけれども、これは行政の運営と国会における皆さん方とのお約束、こういうことによりまして、そのことの懸念のないような行政措置をいたしたい。しかし、これはただここでそう申し上げただけで、まだはっきりしたものがないという懸念もございます。(発言する者あり)いまそこで何か言われたように、御心配もあると思いますから、これはいろいろな法制上の形の上で明確にいたしたい、このように私ども考えておる次第でございます。
#36
○大村委員 明快なる御方針で、これをぜひ実行していただきたいと思うのであります。きょうは法務大臣が参議院の質疑の関係で御出席になっておりませんので、当委員会の空気は政務次官からお話しくださって、今後の審議過程をも尊重の上、善処していただきたいと思うのであります。
 続いて、いま遵守事項のお話が出ました。この問題も、なかなか問題が多いように見受けられます。すでに鍛冶委員がおもな点についてはお尋ねになりましたので、私は重複を避けたいと思うのでありますが、一点参事官に、先ほど諸外国の実例との関連の御説明もございましたので、お尋ねしたいのでありますが、この在留の関係を規制するために、諸外国においても条件を付している例が多い、こういうふうな御説明もございました。そこで、この法律案で設けられておりますこの遵守事項というのは、一体条件なのかどうなのか。まあ私しろうとでよくわかりませんが、これを守らぬ場合には中止命令が出るとか、間接強制で、最後は退去命令とかいろいろな制約もあるようで、そういったことを念頭に置けば一種の条件でもあるというふうにも受け取れるのですが、立案者である参事官のその辺のお考えを参考に伺っておきたい。
#37
○辰己説明員 行政法の理論でございまして、いろいろないわゆる行政条件についての法的性質につきましては諸説があるわけでございますが、一般には、この第八条及び三十三条において準用する場合を含むわけでございますが、これの遵守事項の定めは、行政行為の付款といわれているものであろうと考えます。ドイツの外国人法におきましても、在留の条件ということばでこれをし得るようになっておりますが、さように解しておるようでございます。
#38
○大村委員 私も三十年前の学校で教わったことで記憶はおぼろでございますが、いまの御説明のように、行政行為の付款だといわれましても、付款の中にもまたいろいろある。先ほど参事官が、外国の例では条件を付している例が多いと言われました。それと同じようなことなんだということなのか。あまりにもむずかしい法律論は私も苦手ですから、端的にお答え願います。
#39
○辰己説明員 一般的には、遵守事項の定めは現在行政法理論でいわれておる行政行為の付款であるというふうに了解をするのが、当たると思います。
 そこで、若干時間をいただければ、諸外国の例でどういうことをつけておるかということを申し上げますと、一般には条件を付することができるという規定を置きまして、どういう条件をつけるのかということを例示していない国ないしは例示している国とがありますが、例示をしていない国のほうが多いようでございます。その中で、在留の条件でどういう条件をつけるのかという例示をしておるところの国について見ますと、イギリスにおきましては、自分の在留活動につきまして警察へ報告する。それから入国当初ついておった職業、雇用に関しまして条件をつけられて、それ以外の活動はできない。フランスにおきましても、やはり職業の制限をいたしております。ドイツ法におきましては、政治活動は禁止または制限ということをはっきりうたっております。スウェーデンにおきましては、行動範囲の制限ということを例示的に掲げております。ハンガリーにおきましては、労働ないしは職業への制限、それから官憲からの呼び出しがあった場合の出頭の義務。中共におきましては、旅行通路を指定する。さらにちょっと旅行をするのでも許可を得ろ。それから呼び出しがあれば必ず出頭のこと。こういった条件。その他スイス等におきましては、やはりフランス等におきますような就職の職種の制限等がございます。オランダにおきましては、行動範囲の制限といったようなことで、私たちのほうで先般御答弁申し上げた遵守事項の定めとして想定されるものと申し上げたものと一致いたしておる、こういうふうに考えております。
#40
○大村委員 ちょっと具体的な例でお尋ねしたいのでありますが、最近岡山県はじめ西日本各地におきまして、イタリア人の行商人がフランス航空の搭乗員であるという証明書を自分でかってに偽造いたしまして、イギリス製と称する服地を民家や会社の事務所あたりに持ち込んで、原価の十倍くらいにつけてたいへんもうけておるのが発覚してつかまった。調べてみると、何か母国のイタリアで三年の懲役を課せられたこともある。そこで、現在の管理令のもとでは、一体そういうことが事前にチェックできないものであるかどうか。また、観光客だとすれば、現行令では六十日以内のあれで入ってきておる。改正案では九十日ということになるのでしょうが、いずれにしましても商売することはできないたてまえではないかと思うのでありますが、現行令ではその点が多少不備な点がありはしないかと思うのであります。これは改正法との関係におきまして、必ずしも遵守事項そのものの質問ではございませんが、ちょっと私郷里でそういうことを見聞しましたので、気になりますので、その辺ひとつ御説明願いたいのです。
#41
○中川(進)政府委員 ただいまのイタリア人のお話でございますが、事件はただいま当局で取り調べ中でございますので、詳細は必ずしも承知いたしません。ただ、新聞で読みました範囲におきましては、イタリア人でございますので、これは日本との間におきまして査証免除協定がございまして、査免で入ってきたのでございます。査免は、そういう営利活動なんかをやってはいけないということになっておるのでございまして、その意味におきまして、この人は資格外活動をやったということに入国管理令上はなるわけでございます。それがまた詐欺とかなんとかいうことで日本の刑事犯になるかどうかということは、これは私どもの権限外の問題でございます。そういう人がなぜ入ってきたかという問題でありますが、これは査証免除協定を結んでおって、イタリアのほうで渡航先日本ということで本人に旅券を発給します限りは、私どものほうとしては、これを尊重して入れてやらざるを得ない。しかし、何らかのことで、先ほど私ちょっと聞き違いかもしれませんが、イタリアですでに何か三年なんとかというふうにおっしゃいましたが、そういうふうにイタリアですでに三年以上の刑罰を受けているということであれば、先ほど申し上げましたように、現在の入管令の五条というもので日本に入ることができない欠格者でありまして、それ自体がすでにもうはなはだ間違ったことになっておるのでございますが、今度からはそういう人には私のほうでもあれをつけましてチェックをいたしまして、その人が再び日本に入ることは不可能になるのでございます。しかし、三年の刑を受けたということをわれわれが知らない限りは、これはイタリアの有効な旅券を持って、しかもイタリア政府が渡航先日本ということで旅券を持たしてくる限りは、入国を差しとめるわけにはいかないのでございます。今度新しい法律で若干違う点は、こういう者が何かで――そういうことはないかもしれませんが、かりに牢屋なりあるいは警察の留置場なりから逃げ出して、そして無断で出国しようとしたときに、今度の法律でございますと、おい待ったということで、二十四時間は出国を差しとめることができるということになっております。
#42
○大村委員 何か、伺いますと、改正案でもたいして変わらぬように思うのでございますが、せっかく改正する以上は――来年は万博がある。従来から日本におる外国人のほかに、たくさん出入りも多いと思うのですね。そのときに不心得な者が入ってくるということは防がなければいかぬし、また不心得な活動がある場合に、ちゃんとチェックできるようにしておかないと、法律だけ詳しくなっても、国民の利益は守れない、こう思うのですが、この点について重ねてお尋ねします。
#43
○辰己説明員 局長の御説明がちょっと不足したようなところがございましたので、その点をお尋ねかと思いますので、御説明申し上げます。入国は査証免除で入ってまいりますが、その者は、法案二十五条に書いております短期滞在者としての資格外活動の制限を受けるわけでございます。現行令におきましては十九条におきまして、外国人は「在留資格をもって在留するものとする。」としか書いてございませんので、資格外活動というものは明確でなかったわけでございますが、御指摘のようないわゆる詐欺的な商行為等をやる人間に対しまして、二十五条は「職業につき、若しくは報酬を受ける派動をしようとするときは」許可を受けなければならぬといたしまして、明確にこれを規制できるようにいたし、さらに、そういう行為が行なわれました場合には、これまで重々御審議をいただいております二十七条の中止命令によりまして、それは相ならぬ、やめろという中止命令を入管の所長から発する。そして、やめればよろしいのでございますが、やめない場合には退去強制をしていくという、いわゆる適正な管理の方式をつくっておりますので、先生御指摘のような御心配も、この法案によれば薄らぐのではないか、かように考えております。
#44
○大村委員 この点も、こまかい点はなおいろいろございますが、次に入ります。
 この法案では、退去強制の手続が現行令よりも簡素化され、すみやかに送還ができやすくなるようにつくられておるのではないかというような説があるようでございます。そこでお尋ねしたい点は、強制送還について、行政訴訟による救済を制限して、事実上裁判を受ける権利を剥奪しようとしているのではないか、この点につきましてはたしか鍛冶委員の御質問もあったと思いますが、重ねてお尋ねいたします。
#45
○辰己説明員 退去強制手続におきまして、退去強制令書の発付と特別在留許可の処分とを二つに割ったからいろいろ不都合が出てくるという反対論があるやに聞いております。この問題は、二つに分けて考えてみなければならないというふうに考えます。その一つは、行政手続においてどのように利害があるのかということ、あと一つは、行政訴訟に反射いたしましてどのような利害があるのかという問題と、二つに分けて考えないと、行政手続の利害とそれから行政訴訟の利害というものを、あまり法律的でない頭で混同すると、そこでは何かおかしげな議論に発展するかと思うのでございます。
 まず、行政手続におきまして退去強制令書の発付と特別在留許可を二つに分けた利害――害はありませんので、利益について申します。現行令におきましては、入国審査害の違反審査、それから特別審理官の口頭審理、さらに大臣に対する異議の申し出の三段階になっておるわけでございます。しかし、特別在留許可を法務大臣からいただきますには、異議の申し出をした者に限られまして、違反審査、口頭審理の段階では、特別在留許可の恩典に浴し得ないのでございます。これははなはだ不都合でございますので、事実本人がたとえば密入国をしてきたということについて頭を下げまして、間違いない、しかし、日本に特別在留許可で置いてもらいたいという人につきましても、口頭審理の段階等で特別在留許可をもらい得る制度にするのが、公平の観念からいっていいのではないかというのが第一点でございます。
 第二点は、法務大臣に対して事実の存否を争う異議の申し出をした者について、法務大臣は現行令五十条一項によりまして、それに事実の争いに関連いたしまして特別在留許可をするということになっておるのでございますが、これはまことに幅が狭い。やはりはっきり当該本人の情状といいますか、日本に特別に在留を認むべきかどうかという情状を当該本人にはっきりと出させて、それをまともに法務大臣が審査をして特別在留許可をするかしないかを決するのがいいのではないか、それが第二点であります。
 第三点といたしましては、違反調査、口頭審理で終わったものは、それで終わり、異議の申し出で特別在留許可をもらえなかったものは、それで終わり、あとは再び行政救済は与えられないのであります。したがって、行政訴訟に持ち込むということになるわけでございまして、そこにどうも無理がある、こういった現行令のこれまで申し上げました一、二、三の三つの欠陥を行政手続的に改めますために、この法案におきましては、事実の争いがないという人は、それで事実の争いはやめ、しかし、そこで特別に在留を許可してもらいたいというのであれば、それはまた別途の手続で法務大臣に出願をすることを認めようというふうに踏み切ったわけでございます。そういたしまして、法務大臣に特別在留許可の出願をしておる者につきましては、退去強制令書は発付されてはおりますけれども、出願をしてから三日間はもちろん、その後法務大臣が特別在留許可をするかしないか御決定になるまでの間は、送還は絶対にしない、収容もおおむね停止をする、かような考えで歯どめをしておるわけでございまして、退去強制令書が発付されて出願をしておる人につきましては、その退去強制令書の発付が気に食わないということであれば、少なくとも出願期間の三日ないしは法務大臣が御決定あるまでの間、行政訴訟の準備は十分にできるのでありまして、ここに歯どめを求めておるわけでありますから、非難は当たらないと思うのであります。
 ところで、これまで申し上げたのは、行政手続における救済の問題を申し上げたわけでございます。そしてそれが現行令より数段よくなっていることは間違いないと思うのでありますが、それは行政訴訟ではどうかという問題について、この前瀧川次長のほうから御説明を申し上げたのでございますが、端的に申し上げますと、退去強制処分の違法性、すなわち退去強性が手続を違反しておる、さらには法令の適用を誤っておる、事実を誤認しておるという違法性の争いを争う面におきましては、これは行政訴訟に当然持ち込めるわけでございます。しかも、先ほど申し上げましたように、退去強制令書が発付されて、少なくとも出願中の三日間は執行を停止しておるわけでございますので、十分に行政訴訟はできるのであります。
 次に、しかし違法性の争いではなくて、特別在留許可をもらいたいと出願したのにくれなかった場合に、それを法務大臣がくれないから裁判所にもらってもらおうという考えがあるとすれば、それは裁判の本質を知らない言い分であります。行政庁が自由裁量で行なう事項につきましては、裁判所が給付命令を出すとかそれの無効確認をするということが認められないことは、通説、判例の一致するところでございます。でありますから、行政訴訟を制限したということは当たらない。もっとも、そうした特別在留許可を法務大臣がよこさないのはけしからぬ、裁判所が特別在留許可をしてやってくれということが成り立たないことは、明白であります。訴訟を起こされることは自由でありますが、しかし、それは通説、判例で成り立たないことは明白であるからであります。こういうふうに見ますと、行政手続において、十分な改善を加えたわけであります。それが行政訴訟に反射した場合において、現在と少しも変わっておらないわけでありますから、害はないわけでありまして、退去強制令書の発付処分と特別在留許可を二分したことが送還をすみやかにするという非難は当たらない、これは明白であると思います。以上であります。
#46
○高橋委員長 ちょっと私からお聞きしますが、行政手続の面で、従来特在の申請をするために再審制度というふうなものがあったが、それがなくなってしまうので、非常に窮屈になってしまうんだというふうな反対の声があるようだが、再審制度というものは、今度のあれとどういう関連がありますか。
#47
○辰己説明員 現行令におきましては、先ほども御説明申し上げましたように、退去強制令書が発付されましたあとは、いかなる行政救済もないわけであります。しかし、それでは窮屈であり、かつ退去強制令書が発付されたあとすぐに送還ができた場合は別といたしまして、子供さんを産んだとかいろいろな事情で仮放免で送還が延びておる間に事情が変更いたす場合があります。そういう場合に、さきに出た退去強制令書によって退去強制するというのは、公平の観念からうまくないということでございますので、実務上、行政慣行といたしまして、委員長御指摘のような再審制度、事情の変更があればもう一回考え直して、それまでに出ておった退去強制令書を取り消して、特別在留許可を与えるという運用をいたしてきておったわけでございます。それにつきまして、今度の法案においてどのようになるのかというお尋ねでございますので、その点について次に申し上げます。
 この法案におきましては、外国人につきまして特別在留許可の出願を認めております。退去強制令書が発付されて三日間のうちに出願ができるという一種の権利を与えておりますが、一方それと並行いたしまして、地方入国管理官署の長、いわゆる所長さんに上申権というものを与えております。特別在留許可の上申権というものを与えております。ところが、その地方入国管理官署の長の上申権というものは、当該外国人の出願権のように、三日という期限を切っておりません。強制送還されるまでの間は出願ができるわけであります。でありますから、この地方の所長の特別在留許可の上申権というものによって、一時的には、送還されるまでの間は地方の所長がその送還を指揮するわけでありますから、それが指揮するのを待って上申をすれば、現在運用で行なわれております再審というものは十分にまかなえるということを立法的に解決いたしたわけでございます。したがいまして、現在より悪くなるということは、退去強制につきましても絶対にございません。
#48
○大村委員 たいへん丁寧な御説明でございましたので、だいぶわかったような気がいたします。そこで、もしわかれば参考に教えていただきたいのですが、従来、この特別在留許可というのは相当出ているのですか。件数は大体どのくらい出ているのか、わかれば参考に教えてください。
#49
○中川(進)政府委員 昭和二十七年から昭和四十二年までが、二万九千人の特別在留許可を与えております。そして不許可になりましたものが、一万七千四百五十八人であります。
#50
○大村委員 何年間で一万七千が不許可ですか。
#51
○中川(進)政府委員 昭和二十七年からでございますから、十五年間であります。
#52
○大村委員 そうすると、打率が四割強ですな。
#53
○中川(進)政府委員 いや、許可したほうが多いんでございます。許可したのが二万九千人で、不許可が約一万七千人でございます。
#54
○大村委員 いままでの御答弁で、私のお尋ねしました強制送還に関連する救済制度、救済措置と現行令との関係は、おおむね明らかにされたと思います。しかし、この問題につきましては、なお問題の多い点もありますので、今後また機会があればお尋ねをしたいと思っております。
#55
○中川(進)政府委員 ちょっと補足させていただきますが、昭和四十三年の特在は七百九十名となっておりますが、朝鮮の方が非常に多くて六百六十五、中国が五十五、そのほか七十名となっております。それから退去強制が六百九十七、こういうふうになります。それで昭和二十七年の入管行政始まって以来の特在の累計が二万九千七百九十人、それから退去強制の累計が一万八千百五十五人、こういうふうになっております。
#56
○大村委員 次にお尋ねしたい点は、この法案において入管職員の事実調査権を新設した理由は何であるか、またこれが乱用されるおそれはないか。この点につきましても鍛冶委員がすでにお尋ねになった点でございますが、重要な点でございますので、重ねて以上二点についてお答えを願いたい。
#57
○中川(進)政府委員 行政調査権が非常に問題になっておるのでございますが、これは何も密入国などの容疑者の犯罪と申しますか、そういう事実を確認するということではなくて、むしろ、たとえば資格外活動を許してもらいたいとかあるいは在留期間を延長してもらいたいとかいったような場合に、すなわち外国人から自己の在留に関しまして何らかの出願がありました場合に、その出願がはたして正当なものであるかどうかということに関して疑念がある場合に限ってその関係人に関して調査をするということでございまして、関係人から書類を提出してもらう、あるいは必要によっては物件を提出してもらう、あるいは関係のある問題について質問を発してその回答をもらうというようなことでありまして、これはあくまで外国人の在留を認めることに関しまして、公正を期するというための必要から設けられた規定でございます。
#58
○大村委員 そこで、その関係人の範囲なんですが、本人については黙秘権の関係もございますし、関係人の範囲はどういう範囲になるのか。取引先とかいろいろな友人関係とかまで含まれますと一これも合理的な限度は当然あると思いますが、その辺がもし拡大解釈されると、いわゆる乱用のおそれがあるという心配を招きはしないか。その辺はどのようにお考えですか。
#59
○中川(進)政府委員 確かにその御疑念はあるのでございますが、これは「関係人」とここに書いてありまして、何でもかんでもちょっと顔を見ただけでも関係があるということでは決してございませんで、直接にその外国人の在留に関して関係があり、しかも客観的に関係が認められるという場合に限る。すなわち非常に狭く考えるわけでございまして、その外国人の家族とか、雇い主とか、あるいは招請人とか、あるいは受け入れ機関の責任者という者に大体限るつもりでございまして、知人、友人というようなものは含まないのでございます。しかもここに書いております、文書、物件の提出義務でありますとか、あるいは質問に答える、供述をしなければならぬというようなことに関しましても、これは正当な理由があるというときには拒否できるのでございます。
#60
○大村委員 法制局の方、まだ残っておられますね。この関係人の不提出、不陳述に対する罪、この場合におきましては、罰則が一万円以下の罰金となっておりますが、このような類似の規定は、税法にも見受けられますし、また麻薬取締法とか、古物営業法とか、その他にも見受けられるのであります。ただ、どうも見てみますと、罰金の金額があるいは十万円以下なり、あるいは三万円以下なり、一万円以下のものもあるようでありまして、非常にばらばらになっている。これはその法律の性格なりまた関係条文のあれから見て分かれているのだろうと思いますが、その辺どのようにお考えになっておるのか。あるいは刑事局のあれかもしれないですが、法制局の部長さん、せっかくお残りですから、伺います。
#61
○田中(康)政府委員 ただいま仰せられましたような行政調査権は、税法その他およそ規制を加えておるというような法律については、大体認められておるのが通例となっております。その場合に、その違反と申しますか、そういう違反に対しましていかなる程度の罰を科するかということは、これは一応刑事政策の問題でございますが、われわれがこの基準といたしますのは、いま仰せになりましたように、そのことによって守られるべき法益の大きさによるものだと思います。この出入国管理に関しましての調査権は、やはりその及ぼす影響が大きい、この行使によりまして受ける利益、それから相手方に与える害と申しますか、そういうようなものを総合的に勘案いたしました場合に、やはりそこに守られるべき法益というものが大きいのではないかというふうに考えまして、私たちといたしましても、刑事局と相談の上、ここにありますような罰則の金額といいますか、そういうものを定めたわけでございます。
#62
○大村委員 予定の時間が参りましたので、私の質問は以上で終わらせていただきますが、せっかく大臣がお見えになりましたので、一点だけ強く要望しておきます。
 先ほど私は小澤政務次官に対しまして、長年わが国に在留している外国人にこの改正法律案が不利益をもたらすことはないかということをお尋ねいたしましたところ、関係の法律の規定も援用され、またそれらの法律ができたときの当時の所管大臣の声明も援用されまして、絶対に不利益をもたらすことのないようにするという明快な御答弁がございました。この法律案の審議上最も重要な点でありますので、大臣におかれましても、十分念頭に置いて今後臨んでいただくよう強く要望する次第であります。終わります。
#63
○高橋委員長 本日は、これにて散会いたします。
   午後零時二十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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