くにさくロゴ
【PR】姉妹サイト
 
#1
第061回国会 地方行政委員会地方公営企業に関する小委員会 第4号
昭和四十四年十月九日(木曜日)
    午後一時十五分開議
 出席小委員
   小委員長代理 塩川正十郎君
      古屋  亨君    井岡 大治君
      細谷 治嘉君    山口 鶴男君
      小濱 新次君
 小委員外の出席者
        自治省財政局長 長野 士郎君
        参  考  人
        (交通評論家) 角本 良平君
        参  考  人
        (横浜市交通局
        長)      川村 政雄君
        参  考  人
        (大阪市長)  中馬  馨君
        専  門  員 川合  武君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 地方公営企業に関する件
     ――――◇―――――
#2
○塩川小委員長代理 これより地方行政委員会地方公営企業に関する小委員会を開会いたします。
 小委員長は所用のため出席されませんので、小委員長の指名によりまして、私が小委員長の職務を行ないます。
 地方公営企業に関する件について調査を進めます。
 本日は、参考人として交通評論家角本良平君、横浜市交通局長川村政雄君、大阪市長中馬馨君、以上君名の方々が御出席されております。
 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
 参考人各位には、御多用中のところ小委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございました。地方公営企業に関する件のうち、特に都市、交通に関する問題について、それぞれの立場から何とぞ忌憚のない御意見をお述べ願いたいと存じます。
 なお、議事の順序でございますが、初めに御意見を、それぞれ約十五分程度に取りまとめてお述べいただき、次に小委員諸君からの質疑に対してお答えをお願いいたしたいと存じます。
 まず、角本参考人にお願いいたします。
#3
○角本参考人 いま御提示ございました問題点について、私の意見を申し上げます。
 まず第一に考えなければいけないことは、公営交通の経営難につきまして、それが公営交通固有の理由に基ずくものか、あるいは公営であろうと民営であろうと、都市交通の現段階における理由に基づきまして起こるものか、その区分けが必要であると思います。
 で、私は、公営交通の現在起こっております経営難は、固有の問題というよりも、むしろ都市交通自体から発生している面が大きいと思います。したがいまして、その点から申し上げてまいります。
 従来は公営であろうと民営であろうと、路面電車、バス、地下鉄、こうした公共交通というのは、都市交通の主体でございまして、しかも独占的な地位を占めておりました。しかしながら、現在、乗用車がこのように普及してまいりますと、もはや代用品でしかない。公共交通が都市交通の主体ではなくて、乗用車が主体であります。そうして、われわれは、まず自分のうちにある乗用車に乗って行けるかどうか、それが困難であるという場合に、初めて電車に乗るとかバスに乗るとかいう選択をするわけであります。この代用品の地位にかわったということをまず理解いたしませんと、現在の経営難に対する対策が生まれてこないと思います。代用品がございますから、それがほんとうにそれしか方法がない場合に利用されるわけでありまして、たとえばラッシュのときの都心部向けの通勤、これは乗用車で行きましても、道路がたいへん混雑するということになりますから、こうした場合には、公共交通が利用されますけれども、それ以外の時間帯には、公共交通の利用というのは、これからはむしろ減少あるいはぜいぜい、停滞ということも予想されるわけであります。多くの国の経験も、乗用車が普及してまいりますと、そうした経過をたどっております。しかし、代用品でありましても、それは非常に重要な代用品でありまして、それがなければ都市交通は維持できないという性質であります。
 さらに考えてみますと、道路交通が混雑してきたために地下鉄を必要とするという段階も出てまいります。ドイツのフランクフルトが昨年地下鉄を開通させた。あるいは現在わが国におきましてて、横浜市とか札幌市におきまして新しく地下鉄建設を始めておられます。そうした段階は、道路がもし混雑しないで、大正、昭和の初めと同じように路面電車がかなり速い速度で大量に旅客を運べるといたしましたならば、おそらくこんな議論は出なかったであろうという性質であります。したがいまして、こうした代用品の地位にあります公共交通がさらに積極的な投資をしていくわけですから、経営難がますます深刻になっていく。これはある程度避けられない方向であろうかと思います。
 そこで、経営難の解決につきまして、これもすべての都市交通の公共交通に通ずる解決策を申し上げますが、まず第一は、バスの優先通行でございます。現在バスの平均速度が低下して、日本じゅう各都市の公共交通が困っております。その速度の低下の場合に、昼間の速度の低下もございますけれども、朝晩のラッシュ時の速度低下が市民として最も苦痛になっております。また、それが企業者にとっても経費を一番大きくするゆえんでございます。このラッシュ時に最大の旅客を運ばなければいけないのに速度が上がらない。そのためにたとえば百台のバスを用意する。もしもこのラッシュの時間帯だけ速度が二倍になるといたしましたならば、おそらく五十台か六十台のバスの台数で足りるであろうと思います。
 そこで私が申し上げたい解決策の第一は、ラッシュの時間帯だけ、バスあるいは加えましてもタクシー、この二つだけを通すという案でございます。これは都市全域にわたりまして実行が困難であるといたしましても、特に通勤時に混雑のはなはだしい道路だけでもこれをしていただきますれば、市民としても企業としても大きな便益を受けるだろう、そしてまた経費の節減に役立つというふうに思います。
 第二番目の解決策は、運賃の引き上げあるいは制度の改正でございます。物価政策との関連で運賃抑制策がずっととられておりますけれども、社会全体としてかかりますコストはだれかが支払わなければいけない。利用者が支払うか納税者が税金の形で支払うかどちらかであります。公平な立場を維持するためには、直接利用する者が支払うというのが経済の原則であり、またそのことが資源の浪費を少なくする方法であろうと思います。したがいまして、特に支払い能力のない人の問題は別といたしまして――これは交通に限らず、すべての生活費に補助が必要となる人々であります。それに対しまして、ラッシュ時には会社、企業の雇用主が通勤費を支払ってくれるという通勤者がたくさん含まれております。もちろん学生のような自分で負担する者もありますが、これはやはり文教政策の一環として解決すべきものであろうと思うのです。そこで、私が申し上げたい制度の是正というのは、こうした現状にかんがみましてて、定期運賃の割引をやめることであります。現在の定期運賃の割引は、明治の初めから続けられてきた制度でありまして、西ヨーロッパにもそのような例はございます。ロンドンの地下鉄もかなりの程度の割引をしております。しかしながら現時点でこれを割り引かなければいけない理由は、私は見出すことができない。せいぜいで、運賃の前払いによる利子の負担軽減といった程度のことしかないだろうと思います。そこで、ニューヨークやモスクワの地下鉄の場合には、この定期割引がございません。全部均一でやっております。純理論的に考えますれば、時間帯別にコストをはじきまして、それぞれの時間にはこの運賃、というふうにきめるのが妥当かと思いますけれども、そこまで進む前に、とりあえず定期割引率はやめてしまう、せいぜいで現在の回数券の割引程度にしてしまうということが考えられるのではなかろうかと思います。
 第三番目は、いま申し上げた一、二の方法をとりましてもなおかつ残ります欠損、これに対して国と地方団体とが補償するということであります。いままでのわが国の公共交通企業に対する政策は、それが独立採算ができるという当然の前提のもとに出願させる制度でございました。申請をいたしました者が免許を受けまして、その企業を営むという行き方でございました。現在もその制度のもとで独立採算を維持しておる企業も、もちろんございます。しかしながら都市交通の大勢といたしまして、今後はそのような可能性は全く失われていくであろう。いかなる企業者が公共交通を営みましても、おそらく欠損でしかない。しかしながらそれが社会として必要な代用品であるといたしましたならば、国あるいは地方団体が、それによって生ずる欠損を補償するという契約のもとに、公共交通を地方公共団体あるいは民間株式会社が経営するという形に変わらなければいけない。そこのところで従来の制度から切りかえが必要であると思います。そうした切りかえの思想が一番現在進んでおりますのはフランスであろうかと思います。別にフランスを直接まねする必要はありませんけれども、だんだんそういう方向に進まざるを得ない。これはモータリゼーションが進んでいきます場合の公共交通が進むべき必然の方向であろうと思います。
 そこで、かりに地方団体と公共交通とが補償契約をするといたしました場合に、その補償金を支払う財源に何があるかということになりますと、これも過去の経験におきましては、一般財源から支払うこともございますし、あるいは特定地域に固定資産税を課するという方法もあろうかと思います。あるいは都心部のオフィスに負担をかけるという方法も考えられます。さらに土地の開発利益がございますから、建設段階におきまして開発利益を徴収するというような方法もあると思います。これらの方法につきまして、一義的にどれか一つだけで済ませるということも考えられますし、幾つかの組み合わせで進むということも考えられます。そこらの段階になりますと、具体的に市民としてどれが望ましいかという選択の問題で、単純に理論できめられることではないと思います。経営難の解決につきましては以上のとおりでございます。
 その次に、公営交通固有の問題点について申し上げたいと思います。公営交通が民間企業に比較いたしまして能率が悪い、親方日の丸的な思想が入っているということはしばしばいわれることであります。しかしここで考えなければいけないのは、そういう点を離れまして、もっと本質的に二つの点が出てくると思うのです。
 その第一点は、市とか県とか地方公共団体として非常に忙しい行政を担当しておられる。その担当しておられる方々が、さらに公共交通にまで責任を持つ余力があるのかどうかということであります。これは需要が小さければ八百屋のように何でも扱う、しかし需要が大きくなれば専門店に分業するということと同じでございまして、都市内のいろいろなサービスが必ずしも市役所から提供されるというわけではなくて、それはガスや電力の例を見れば明らかでございます。したがいまして中都市におきましては、日本でも外国でも市有、市営ということが将来とも続けられるかもしれないと思いますけれども、大都市になりますと、その市全体の行政の責任者がはたしてそれを存続できるかどうか。むしろ責任を分担するように組織を切り離したほうがよくないかということが出てまいります。大都市の場合に、たとえばニューヨークとかロンドンとかパリとかでは、もちろん市当局は発言権あるいはある程度の責任は持たれましても、直接の経営ではなくなっている。わが国でもおそらく同じ問題点が出てくると思います。
 第二番目の点は、公共交通が行なわれるべき都市交通の範囲と現在の行政の範囲とが一致しないということであります。昔は小さな東京市、その中で市電が動いておりましたけれども、現在は東京二十三区の範囲が東京市になり、それが二十三区になると同時に三多摩を含んだ大きな東京都ができている。ところがさらにもっと広い範囲から東京の都市交通、通勤が行なわれてくるということになりますと、もはや地方団体の範囲と都市交通の範囲とが食い違ってしまう。そうしたことがロンドンやニューヨークでももちろん起こっております。そこらのところではだんだん広域の特殊な企業体を持つという方向に進んできているのではなかろうか。わが国の公営交通の将来を考えていただくときも、いま申し上げた二点を念頭に置いていただいて、将来の方策あるいは再検討をしていただいたらどうだろうかと存じます。
 以上が私の意見でございまして、もし御質問がございましたら、あとでまた答えるようにいたしたいと存じます。
 どうもありがとうございました。
#4
○塩川小委員長代理 ありがとうございました。
 次に、川村参考人にお願いいたします。
#5
○川村参考人 ただいま御紹介にあずかりました横浜市の交通局長の川村でございます。私は、これから横浜市におきます交通事業の現状を簡単に述べさせていただきまして、その後いろいろ問題点につきまして述べさせていただきます。
 横浜市の交通事業は、現在電車事業と自動車事業と無軌条電車事業を行なっております。このほかに、先ほどちょっとお話のありましたように、営業は開始しておりませんが、地下鉄の建設をいま行なっております。これは四十六年度営業開始という目標で、いま建設段階に入っております。
 簡単にいまの事業の規模を申し上げますると、電車事業につきましては、現在撤去中でございまして、現在は二十八キロ三百六七、これを七系統で行なっておりまして、大体、稼働車両数が百両、乗車人員は一日平均十四万人を数えております。自動車事業につきましては、営業路線長は三百九十キロでありまして、百一系統で行なっております。稼働車両数は七百六十七両でございまして、大体一日に三十六万人の乗客を数えております。このほかに、貨し切り観光自動車、この仕事を小規模でありますが行なっております。それから、無軌条電車事業、トロバスでありますが、これは九キロ四百八十二のところを二系統で、大体稼働車両数二十一両で行なっております。乗車人員は一日平均約二万五千人運んでいる段階であります。
 高速鉄道事業、いわゆる地下鉄、これは、横浜市の全体計画は六十四キロ、四路線ということでありますが、このうち一部、約十一キロ五十八の区間を、これは都市の中心地の路線でありますが、ここを緊急に整備する、こうゆうことで、都市交通審議会の答申もありまして、この区間をいま建設段階に入りまして、先ほど申しましたように、四十六年に営業開始をしようというようなことで仕事を始めているわけでございます。
 大体横浜市の交通事業は以上でありますが、むしろ問題点に入っていったほうがよかろうと思いますので、そいう交通事業を実際に現場でやっております私といたしまして、そういう面からいろいろ述べさしていただきたいと思います。
 まず第一点は、先ほど角本先生のお話もありましたように、経営悪化の問題でありまして、これについては、あるいは合理化をやるとか、あるいは路線の再検討をやるとか、いろいろ内部的な問題の処理に腐心してまいりましたが、いかにも外部的な要因が多いということであります。われわれが内部的にいろいろ一生懸命やりましても、都市の発展、そういうところのしわ寄せがわれわれの交通機関にほとんどかかってきている、こういう外部的の要因が非常に多いということであります。
 先ほど角本先生もおっしゃったように、大量輸送機関の優先通行、こういう問題もそうでありまして、大きな問題でありまして、これによりまして運行速度が極端に低下している。横浜市の場合でいいますと、バスでいきまして大体いま十四キロ、電車では十二キロ、これは相当混雑している区間では十一キロにも下がる、こういうことで、したがいまして、これをカバーする自動車をつぎ込むあるいは人件費がよけい要る、また乗客はこれに伴いまして減ってくる、これによって乗車料収入が減ってくる。こういうことで、非常に道路交通のふくそうによるしわ寄せがバス、電車にきているということであります。
 これはもう一つ、こまかい話でありますが、事故発生の原因にもなっておりまして、バス、電車がそういうふうに交通戦争の中で追いやられるために、非常に事故を起こしている原因にもなっております。あまり詳しいことを申しませんが、この事故の中でも車内負傷が多い。これは急停車による車内の乗客の負傷が多いということで、急停車そのものが、たとえばバスの前に急にタクシーが急停車して、そのためにバスも急停車しなければならぬ、こういうような事故が非常に多い、これがまたわれわれの経営にも相当の問題になっているということもいえると思います。
 それから外部的要因といたしまして物価の上昇の問題もありますが、これは公共料金、これの問題もからんできまして、毎年毎年ベースアップの問題が起こってきますが、当然賃金が上がるということは、私が申すまでもなく物価が上がる、これに伴って上がっていく問題でありまして、そうしたならばやはり料金も公共料金とはいえ上げざるを得ない、そういうふうな悪循環、こういうものが非常に影響しているということであります。
 それからもう一つは、大都市交通の一元化というようなことを私たち申しておりますが、現在横浜市内には――これは関東の通弊と申しましょうか、東京、川崎等もそうでありますが、市内の乗り入れの民営会社が七社ございます。しかもこれは市内の全バス路線の四〇%を占めておりまして、市営の路線の六〇%はそういう会社と競合してやっているというような状況でございます。これはもちろん市民の方たちは非常に不便を感じるでしょうし、また経営面においても、協定はありますが、不当の競争におちいらざるを得ないというような問題が出てきまして、この民営バスと市内をこうした競合をして――共通の定期というような解決策もありますが、これはもう根本的な解決策ではないと思います。いろいろ状態が違いますので、そういう問題で解決はなかなかできない、こういうことで、ぜひ大都市の交通はそういう一元化をしていただいて、市民にもサービスをよくする、また経営もそれによってよくする、こういうことで解決していきたい、こういうふうにも思っております。
 それからもう一つ大きな財政的な問題は、現在横浜市――これはほかの大都市、東京、大阪、名古屋、神戸、京都等同じなんですが、財政再建の団体に指定されております。横浜市の場合は、財政再建になりました、これを行ないましたのが四十一年でございまして、現在この財政再建団体になっております状況は、横浜市の場合は四十一年度から五十四年度までに財政再建をする、こういうことになっております。横浜市のその当時の交通局の財政状態は非常に悪化しておりましたので、地方公営企業法におきまして、財政再建の条項が入れられました時点でいち早く財政再建団体になったわけであります。実施は四十一年十一月一日でしたが、いま申しましたような四十一年から五十四年度まで、この当時の不良債務六十六億八千万円を一応財政再建債に切りかえまして、内容的には路面電車を四十六年度までに順次撤去し、あるいは電車、バスのワンマン化の速度を早めるというふうに計画いたしまして、現在実行しております。市電につきましても現在ではもう四五%撤去して、その赤字の出る根処をなくしつつあるわけであります。
 現在この財政再建計画の中でも、分解いたしてみますると、その当時としてはやむを得ずこういう計画を立てましたが、現在、四十六年度時点で電車はなくなるのですが、そのときに残す欠損金と申しますのは九十二億六千万円ございます。しかもそれを再建債を返していくその後の利子、これが約十五億ありますから、五十四年度までに電車の赤字をなくするという額は百七億にも達しているわけであります。これを全部自動車の料金で返していく計画にいまなっておるわけでありますす。もちろん皆さん御承知のように、バスの初乗り三十円といういまの料金は、バス自体を経営していく料金になっております。それを無理にかせいで、乗客数をふやして料金をふやしまして、その余力で百七億を返していく、こういう計画になっておりますので、だれが考えても非常に無理な計画になります。そういう計画をどうして立てたのだといわれますとちょっと困るのですが、やはりこうした無理をこの際除いていただいて、いろいろ、電車の赤字につきましては全部が全部これは国の責任というわけにもいきませんでしょうけれども、少なくも都市交通の電車の果たしたいろいろな効果、そういうものもあったので、少なくも立ち直るまで電車のこの赤字をたな上げしていただいて、すっきりした財政再建計画にぜひしていただきたい。これはもう私たちが申せば、財政再建計画と申しましても、電車事業につきましては撤去計画なんでありますので、これを一時たな上げさせていただきまして、バスの立ち直り――いま道路交通のふくそうを見ますると、むしろバスも料金の減少を来たしているような実績もありますので、これをぜひ電車の赤字をたな上げしていただいて、すっきりした財政再建計画、もちろん自分自身の経営内のいろいろな問題の内部的な要因は消していかなければいけませんが、こういうことで大都市の交通経済の立ち直りをぜひお願いしたいということでございます。
 それから、時間もありませんので、いろいろ後ほど話題に出ると思うのですが、もう一つの大きい問題は地下鉄の問題でございます。横浜市がこの地下鉄計画をしたときにも、市会で相当経営の問題が論議されました。と申しますのは、大阪をはじめ東京あるいは名古屋で実際に営業を開始している都市では、相当の赤字を出しております。横浜市がこれを計画するときに、普通の電車、バス事業でさえ赤字を出しているのに、そうした先輩の都市が赤字を出している事業をなぜやるのか、こういう問題が出ましたが、やはりもう皆さん御承知のように、都市のこういう交通のふくそう、路面交通のふくそうを考えますと、必然的にやはり地下鉄にその交通を求めなければいけない、こういう必要性から、やはり地下鉄計画をしているのであります。そうした中で、われわれがいまそういう道路交通の緩和、通勤、通学のそういう人たちの足の確保、そういうことを考えまして、あえて電車も撤去し、バスもなるべく電車のような結果にならないように再編成いたしまして、基本線は地下鉄に求め、その補完機関としてバス、こういう交通機関を考えておりますので、この地下鉄は都市が発展していく中で非常に重要な必要ということで計画しております。
 現在、大体横浜市の場合も、いまの料金で、いまの国庫補助、こうしたものを勘案していきますと、相当数、おそらく七十年度までもう計算し、その後も延ばしていくまで、赤字経営でやらざるを得ない。黒字が出てまいりません。どうぞこの点も十分御了承願いまして、少なくもいま話題に出ておりますトンネルの構築部分、これを交通事業以外の、たとえば国、地方公共団体で負担していただいて、そのほかをこの料金収入でやっていく、こういう体系にぜひお願いしたいと思います。
 いろいろ問題もございますが、時間もまいりましたので、以上をもって私の陳述は終わらしていただきます。
#6
○塩川小委員長代理 どうもありがとうございました。
 次に、中馬参考人にお願いいたします。
#7
○中馬参考人 中馬でございます。
 地下鉄問題につきまして、大阪市といたしましては、大阪市の交通事情から、もはや地下鉄の積極的な建設以外に都市交通問題を解決する道はないという考え方で、ここ数年来かなり積極的な建設をいたしてまいっておるのでありまして、今年度末で大体六十四キロ程度の地下鉄ができ上がる見込みであります。そうして路面電車をことしの三月に全部撤廃いたしたのであります。百十四キロの路面電車を撤廃いたしまして、地下鉄が本年度末で六十四キロできる。その地下鉄を根幹をなす交通機関として、バスでこれを補っておるわけでありますが、しかし、百十四キロ撤廃して地下鉄六十四キロ、これをバスで補うとしまして、そのバスがどういう状態にあるかということを申しますと、先ほど角本先生からもお話がありましたように、自動車のはんらんのために、バスはほとんど走れなくなっております。路面電車も走れなくなって撤廃の運命をたどったのでありますが、バスの一時間当たり走行キロを調べてみましても、大阪が最も悪いのであります。十年前くらいまでは、大体十五キロばかり走れたのでありますが、現在は十一・八キロしか走れない。東京が十三・四五キロ、名古屋が十四・七七キロと、これは道路事情等にもよるのでありますが、いずれの都市も自動車にさえぎられて、路面電車もバスもほとんど走れなくなっておる実情であるのであります。私どもの現実の問題としては、バス事業の若干の合理化を必要とすることで、閑散な路線の間引き等をいたしたのでありますが、これが直ちに市民生活に非常な刺激を与えて、大阪市に向かっての投書など、バス路線の間引きに対する不平が殺到しておるような状態であるのであります。
 かような交通事情であるのでありまして、私どもは、今後はさらに路面電車をはずした程度の地下鉄というものは急いでつくって、市民の足を確保しなければならぬというふうに考えて、今後といえども、建設のピッチを落としてはならないと思うのであります。
 それと申しますのも、諸外国の都市を先般一通り見て回ったのでありますが、ロンドンやニューヨーク、パリ等は、われわれの国の路面電車と同じ、それ以上のキロ数を、地下鉄として三十年前あるいは六十年前にもうすでに完備しておる。ロンドンが文久三年からですか、地下鉄に着手いたしまして、そしてほとんど六十年前に現在の三百五十二キロを完成して、その後は建設をいたさない。ニューヨークにおきましても三百八十五キロ持っておりますが、そして二十年、三十年前からすでに地下鉄の建設をやめておるのでありますが、しかし、先ほど角本先生のお話しのように、その後二、三十年間はもっぱら自動車の時代として、道路の建設に専念をしたのが欧米の都市の姿であります。いよいよ道路の建設を進めたけれども、それでも大都市の市内交通は道路では追いつかないという認識の上に立って、再び地下鉄時代に返ってきておるといわなければならぬと思うのであります。ニューヨークでも、シカゴでも、ロンドンでも、パリでも、非常な勢いで地下鉄建設をしようとして、計画を立てて、現に工事を進めておるのであります。かようなことを考えますと、路面電車をはずさざるを得なくなったわが国の大都市というものは、よほど急いで地下鉄を建設していかなければならぬと痛感をいたすような次第であります。
 都市の膨張の傾向も、わが国の都市化の勢いが世界を驚かしておることも申し上げるまでもないところであるのでありますが、大阪の例を申しましても、昼間流入人口が、昭和四十年の国勢調査の前に、私どもは日々七十数万という推定をいたしておりましたが、国勢調査をやって、ふたをあけてみますと、八十八万という流入人口である。そういうようなことで今日推定をいたしますと、日々百十六万人の市域外の市民が市内に流入しておる。非常な勢いで伸び続けておるのであります。このことは同時に、地下鉄やその他の交通機関の経営を非常に困難にいたしております。郊外から市内に入ってまいります流入人口は朝夕のラッシュ時に殺到するのであります。梅田とか難波あるいは上六等に殺到します朝の人たち、これはターミナルから職場までの比較的短い距離を運んで、職場におさめなければならぬ。そのためにたくさんな車両を用意し、たくさんな乗務員を用意しなければならぬが、昼間はがらあきになるというようなことで、非常な経営難が、そうした点からももたらされておるようなわけであります。
 さようなことでありますから、私どもはすでにいろいろな機会に国会関係の皆さまにもお願いをしてまいっておるのでありますが、どうでも地下鉄建設に対する大幅の国庫補助をお願いしたい。これも諸外国がすでにそういう時代に入っておる。これは一々申し上げません。いろいろな機会にすでに御報告もいたしておるのでありますが、たとえばサンフランシスコのごときは、連邦政府の補助が八千五百万ドル、また公債償還に不動産税を充てておる。あるいはベイブリッジの通行料も地下鉄建設にほうり込んでおる。さらには不足分に州税のセールスタックスを充てて、全額を料金外の負担において建設を進めておる。シカゴにおいても三分の二は連邦政府の補助であり、三分の一が市の負担。またニューヨークも同様でありますし、パリも政府が二分の一、パリリージョンが二分の一ということで、料金を建設費には全然充てようといたしておりません。ロンドンの場合だけが運輸省の直轄の傍系団体のような形をなしておるのでありますが、七五%が国の補助であり、二五%を国庫借り入れ金という形を残しておりますが、ロンドン市長また営団の最高責任者も、これが払える見込みがあるのかという質問に対して、おそらく払えないであろうと、はっきり申しておるのであります。その証拠には、現在の地下鉄経営の経常的赤字すらも国庫でしりぬぐいしているのだ、この分について払える見込みは持っていないというようなことで、世界じゅうの都市を見ますと、ほとんどどこの都市においても、地下鉄の建設に公共料金、運輸収入を充てておるところはないということが非常に徹底しておるように思われるのであります。さようなことを考えてみましても、わが国の場合に一挙にそこまでいき得ないとしても、地下鉄の建設については、何としても国庫の補助、また地方公共団体の一般的な会計からの支出等をもって建設を進めていかざるを得なくなるのではないかというふうに思うのであります。
 そこで、私はこまかいことを申し上げることを省きますが、ただ地下鉄、高速交通機関への補助が、国の全体の立場から、均衡上から考えても、大幅の補助をしていただいていいものじゃないかと思いますことは、道路に対する補助であります。これを調べてみますと、東京都と指定都市六市の全体といたしましては、昭和四十二年度において六百八十八億円の国庫支出を受けております。四十四年度では、大阪市だけでも二百三十七億円の補助、国庫支出、国道等に対する国の支出も入れておりますが、これを受けておるのでありまして、道路には道路目的財源を持っておるためでもありますが、これだけ大幅の助成がなされておる。また首都、阪神高速道路公団だけについて見ましてすらも、これも自動車がふえればふえるほど非常に豊かな収入のある企業でありながら、四十四年度で六十四億円の国の助成を受けておるのであります。道路は自動車等を利用する人たちが使う交通の基盤であります。しかし地下鉄はもっと大衆的な、足で日々通勤、通学をしておる人たちのための交通機関である。道路よりももっと大衆性のある機関であり、国が補助するとすれば、私は道路と同様の考え方で補助をしてしかるべきではないか。すでに諸外国の都市は、完全に道路と同じ公共事業的性格を持って建設だけは進めておるという状態にあることと考えあわせて、痛感をいたす次第であります。また、出がけに、大阪の港は年間一体どのくらい国庫の補助を受けておるかと調べてみましたが、大体三十億、二十九億幾らになっております。海の交通の基盤のためには年々それだけの支出を国がいたしておるのであります。それら等を考えましても、こうした大量の高速輸送機関である地下鉄には、あまりにも国の措置が貧弱過ぎる。現在建設費の八%、管理費等を除きましたら一〇%と称されておるのでありますが、その程度の補助しかないのが現状であります。何としてもそれらの均衡がとれる助成をしていただかなければならないと考えておるような次第であります。
 それから補助につきまして、私鉄との関係などがしばしば論議されるのであります。公共的な機関に補助するならば、私鉄との均衡という問題が論議されるのでありますが、大都市の交通機関の場合には非常に特殊な事情にある。路面電車が、長年にわたって非常に健全な交通機関として市民の足を確保してまいっております。そして経営も非常に順調でありましたから、大阪市の例などをとってみましても、もちろん軌道敷は電車みずからの負担でつくっております。さらに余力あるときは道路の建設費まで負担をしておるという過去の例もあるのでありますが、いまは自動車にその軌道も奪われ、そうして老衰産業としての赤字を背負ったまま、地下鉄にやむを得ず転化せざるを得ない。そして地下鉄に入ります場合にも、交通事業全体としてはたいへんな赤字を背負っていっておるわけであります。大阪市で、九十九億円程度の路面交通機関への補給を、一般会計からいたしておるのであります。また大阪市の場合など、路面電車を全部撤去いたしましたが、その乗務員等はそのまま地下鉄にいま配置がえをいたしております。これは非常に老齢乗務員をかかえておるわけであり、しばしば営団等との賃金が比較されて、非常に誇張されて、公営企業の労賃等が非常に高いんじゃないかといわれておるのでありますが、そういう悪条件を背負いながら地下鉄に転じていっておるという事情等も考慮していただきたいと思うのであります。
 それからもう一つここで申し上げてみたいと思いますのは、ヨーロッパ、アメリカの都市を見まして、過去の地下鉄というものは非常に老朽してきたないことは御承知のとおりであります。ニューヨークの地下鉄でもシカゴの地下鉄でも中に行っておると、騒音のために会話も非常に聞こえにくいくらい古い地下鉄であります。パリもまた同様、ゴムタイヤにかえたといっておりますが、わずかに一路線をかえた程度でありまして、第二路線に着手しようとしておりますが、これとてもたいへんな金を食うのでなかなか進行しない、こう申しております。そしてパリにして五十年以上使っておる車両がまだ三〇%残っておる、車両にして五十年以上使っておる、こういうことを一面では聞かされます。それと同時に、パリで新しくつくっておる路線というものは実にぜいたくな、すばらしいものをつくっておる。凱旋門の下につくっておる駅などは、それ自体が名所になりはしないかというような、実にすばらしい駅をつくっておるのであります。またストックホルムの地下鉄を見ました際に――ソ連も北欧の諸国も、地下鉄が非常に深いことは御承知のとおりであります。非常に深いエスカレーター、その中二階にうば車を引いて入ってきた主婦があります。一体どうするんだろうと見ておりますと、横の壁に行ってベルを押すと、すぐ下からエレベーターが迎えに来て、うば車ごと下におろしてやっておる。実に整備された駅舎をつくっておるのであります。これを見て痛感いたしましたことは、私どもが現在つくっておる地下鉄も、今後百年、二百年使わなければならない。東京、大阪、といったようなわが国の中枢都市の非常に長期に使命を持たせる交通機関であるということを考えますと、いまの時点に合わせたけちな交通機関をつくっておるならば、必ず将来に悔いを残すときが来るであろう。国民生活が非常な向上をしてまいっておりますが、そうしたときに、エスカレーターなどもつくっていない。それで老人やからだの不自由な人が壁や手すりを持ちながら乗りおりするということは、やがて矛盾を来たすときがあるんじゃないか、これは独立採算制とかいったような形でやっておりますならばそうせざるを得ない。私どものほうの天王寺駅というあれだけの人通りの多いターミナルの駅にして、エスカレーター五、六基つくらなければならぬのですが、どうしてもそんなわけにいかないので、三基程度でまかなっておる。これは必ず後世に侮いを残すであろう。ですから、地下鉄の建設というものは、地方の問題ではなくて、一国の中枢都市の、しかも百年、二百年の使用に耐えなければならぬ重大な交通機関として、国策としてこれに取っ組んでいただかなければならぬ問題じゃないかということを痛感いたしておるような次第でありまして、皆さん方の御検討をいただき、何とか大都市交通というものの政策を確立するということをしていただきたいということをこいねがっておる次第であります。
#8
○塩川小委員長代理 ありがとうございました。
 これにて参考人の方々からの御意見の御開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
#9
○塩川小委員長代理 質疑の申し出がありますので、これを許します。
 なお、質疑の際は、参考人の御氏名をまずお示し願いたいと存じます。井岡大治君。
#10
○井岡小委員 角本先生にまずお伺いをして、順次局長さん、市長さんにお尋ねをいたしたいと思います。
 角本先生が言われた、現在の都市交通といわれる公営企業の経営難というものは、これはそれ自体が持つものでなくて、外部的要因からきたものが多い、こういうことでございました。私は全くそのとおりだと思う。そこで問題は、これの解決策として、先生は二つの点をあげられたわけです。
 その一つは、公営企業という市自体が行なうのではなくて、あるいは都自体が行なうのではなくて、別個な組織を考えるべきではないか、こういうお話でございます。もちろん私は、一面それは新しいものとして考える場合、理由があると思うのですが、このことは、私は後に中馬市長にお伺いしたいと思っておりましたが、新しい都市をつくる場合における考え方、しかもそれをガスとかあるいは電力と比較をされたところに、少し私にはひっかかるものがある。というのは、ガスは独占であり、電力は国家権力によって戦時中統制をしたわけです。ところがいま入り組んでおるといわれる私鉄経営があるわけです。これらの問題をどのように位置づけなさるのか、この点をまずお聞きしたいと思うのです。
 もう一つの第二の問題は、補償金という財源をいろいろ言われておりますが、受益者負担、たとえば会社が従業員を運んでもらうのだからこれを負担すべきだ、あるいはまたそれを開発することによって地価が上がる、これは戦前大阪市で関市長がおとりになった政策の一部だと思うのです。ところが現実の問題として、現在の地方自治体として、そういう制度を開く道が法律的に許されておるかどうか、これは問題だと思うのです。学説としては私はけっこうだと思うのですが、学説でなくて、現実の政治の問題の中で、そういうことが許されるのかどうか、もし許されるとしたらどういう方法でやればいいのか、この点についてお教えをいただきたいと思う。
#11
○角本参考人 いまの御質問にお答えいたします。
 都市交通において、経営難が外部的要因から起こるということを申し上げましたそのあとで、公営交通を別個の組織、現在の企業体から別個の組織にするという場合の私鉄経営との関係ということであったと思いますが、現在市が行なっておるあるいは都が行なっておる部分のほかに、外にたくさんの私鉄経営がございます。これは、先ほど申し上げました都市における公共交通が企業として採算がとれるという前提のもとに、たくさんの出願者にそれぞれの路線を認めていった所産でございまして、歴史的には、これは何もわが国特有のことではなくて、たとえばロンドンでもそうであったと思います。ただ、そうした段階におきまして、これらの企業が破産したために、そうしたものを統合せざるを得ないというのが過去における一元化の経過であった。したがいまして、もしもこれらの企業が現在なお健全経営を、特に恵まれた条件なるがゆえにまだ続けられるという段階におきまして、一元化を強行するといたしましても、それらの企業の買収価格が非常に高いものにつく。現在それらの企業は株主に配当を払っております。したがいまして、この配当を保障するだけの金額を支払いましてその私鉄を買収するということになりますと、一元化ということがはたして経営的に見て有利であるかどうかという疑問が起こります。もちろん乗る側といたしまして、利用者が一つの駅から一枚の切符でというような便利さは、これは望ましいことでありますけれども、しかし一つの企業体が経営しましても、鉄道とバスを通して乗る切符というようなものは、手続的になかなか発行しにくいわけでありまして、路面電車とトロリーバスとバスがあった場合でも、別々な切符で乗せざるを得なかったといういきさつがございます。で、もちろん一元化して便利が得られる面もございますけれども、現在のわが国の段階におきまして、採算がとれておる私企業の私鉄までも買収して一元化することは、私は困難ではなかろうか、というのは、差し引きまして利益がそれほど大きくないというふうに考えて、まだ時期尚早ではなかろうかというふうに、まあ慎重に考えたほうがいいという考えをとっています。
 第二の御質問の、補償金ということを申し上げました。確かに現在の法律体系では、そのような思想は入っておりません。したがいまして一つの学説としてといいますか、私個人の意見として申し上げたわけであります。ただ現実の問題として、ある県の中でバス会社が赤字である、その赤字路線に対して県が補助をするということが出てきているように聞いております。そうした場合の補助金というのは、形式的には現在の法律のもとにおける補助金であります。しかしながら従来の補助金の観念は、単にある企業が一時的に経営状態が悪くなった、それをささえてやるために一時補助をして、やがてそれが立ち直ればその補助金は打ち切りにするとか、あるいはそれを返させるというような考え方であったと思います。しかしながら、今後公共交通というのは、都市交通におきまして、永久に赤字が出るというふうな性質であるといたしますれば、それらの赤字を積極的に補償する約束をしまして、将来に対して約束をすることによりまして、それらのサービスを提供させる。で、地方団体とあるいは国と、そうした公共交通企業との間に取りきめをするというような制度を新しくつくるべきであろう、その財源は何によるかはこれは別の問題といたしまして、現在おそらくバス会社に出される県の補助というのは、われわれ一般納税者の税金から出ている、それが一番手っとり早い方法だと思いますが、何らかそういう制度をこれから考えていただくという意味で申し上げたわけでございます。
#12
○井岡小委員 重ねてお尋ねをいたしますが、第二点の問題は、全く私たちもそのように考えます。ただ考える場合に、会社あるいは受益者といわれる地域開発をされた方々、そこから取るかどうかということについては、若干の問題が出てくるだろうと思います。ただ、国がいわゆる広域市町村政策をとっているわけですから、それに伴う現在の市内交通というものの、どう申しますか、経営難というものが増大しておることは当然でありますから、先生の言われる何らかの補償の道を開けということについては、私はそのとおりだと思いますが、当面それは国が負うべきではないのか。国の社会開発という立場から負うべきではないのか、こういうように考えますが、この点についての先生の御所見をいただきたいことと、第一点の問題で御指摘いただいたように、各国における、いわゆる経営が悪化をして、これを統合した。しかし、わが国のいわゆる私鉄経営というものは、私はここ当分の間悪化をしない。ということは、関連事業を非常に多く持っているわけです。たとえば不動産事業あるいは百貨店事業、いろいろ持っている。これらの問題がありますから、なかなか私は悪化への方向をたどらない、こういうように思うわけです。そうだとすると、当面やはり公営交通でやる以外にない。公営交通でやるとするならば――これは私鉄経営でだれかにまかすということになると、これだけしかやれない市内交通というものは、私はたちまちお手あげになるだろう、こう思うのです。その結果、国の産業、経済に大きな影響を与えますから、やはり公営交通がやらざるを得ない。公営がやらなければいけない。そうだとすると、これまた国の政策として考えるべきではないのか。いわゆる外的要因からくる、したがって、現在の公営企業法という法律のワク内においてこれを処置するのでなくて、何らかの方法を考えるべきではないのか、こういうように思うのですが、この点についてもう一度お伺いをいたしたいと思います。
#13
○角本参考人 いまのお尋ねに対してお答えいたします。
 まず第一の、国が現在の政策を進めているという責任から見て、国がこの補償の責任を負うべきではないかということでございます。私は、国か地方団体かというふうに申し上げまして、現実論として考えましたときに、費用を負担する側と利益を受ける側と、両面の公平を考える。そうして、どれくらいの割合で分けるのが最も公平であるかということになりますと、人それぞれの主観が入りますので、考え方に若干の差があろうかと思います。しかし、単純に国だけが負うということでありますと、利益を受けるのはその都市交通圏内の人々がおもであります。もちろん圏外から行く人も、その都市で働くときには利益を受けるわけでありますけれども、主として利益を受けるのはそこに住んでいる人であるということになりますれば、単純に国だけが全額払うというのは、受益の立場から見れば不公平の感じが出てまいります。それからまた、費用を負担するという側から見まして、これを全国民の負担にするのがいいのか、ある程度その土地の人間も負担するから全国の人も出してくれというほうがいいのかということも考えておかなければいけない。したがいまして、割合は半分半分がいいかどうかはわかりません。たとえば三分の二と三分の一という分け方もあると思います。しかしまず二分の一、二分の一か、三分の一、三分の二か、そうした程度、その三分の一がどちらで三分の二がどちらだということも議論が出ると思いますが、そこらのところできめるのがさしあたり妥当な点ではなかろうかと思います。
 それから第二番目のお尋ねの、受益の範囲ということでお話がございましたけれども、これも公営交通企業が赤字であっても続けざるを得ない、それは全く御指摘のとおりであろうと思います。そこでこの点につきましての国の政策としては、いま最初に申し上げたお答えと同じになりまして、それが国の責任である以上、国として続けなければいけない、国も金を出さなければいけない。ただ同時に、地方団体としてもある程度出していただくという結論になろうかと思います。
#14
○井岡小委員 どうもありがとうございました。
 そこで、次に川村局長さんにお尋ねをいたしたいのでございますが、再建策の中で、電車事業というのは、現在再建をするのでなくて、撤去のための計画だ。その計画に基づいてやらない限り、とうてい再建などということは考えられない。したがって、電車が累積をした赤字は、これは当分の間たな上げにしてもらいたい――実は、この問題は、私たち地方行政委員会の中で交付税法の問題を審議をした際に、われわれのほうからも政府の所信を尋ね、そしてわれわれのほうからの提言をいたしたことなのですが、幸い自治省のほうでは、八月十日に財政局長通達をもって、特別交付税を支給する、こういう措置をとっていただいたわけです。私はまことに適切な処置だ、こう考えておるわけですが、そこで、これらの問題で具体的に――財政局長もそこにお見えになって目を光らしておりますけれども、遠慮なしに、ここでその後財政当局とどういうようなお話をなさったか、そこらのところを聞かしていただきたい、こう思います。
 それからもう一つ、これは角本先生のほうから、大量輸送――大量輸送というのがいいのか、大衆輸送というのがいいのか、学説的にはいろいろあるようですが、私たちは大衆輸送、こういうように定義づけをしているわけです。角本先生は、そのために一定期間バスあるいはタクシーだけ通行を認める、そういうようにしたほうがいいのではないか――ただ、この場合起こってくる問題は、路面トラックの問題、これをどこで荷受けをするのかという問題が出てくるわけです。したがって、私たちそこらのところになってくると、現在のバスターミナルあるいは貨物ターミナルの問題等々から考えて、かなりわが国の交通政策の中には跛行的なものがある、びっこのものがある、こういうようになにしているわけです。したがって、大衆輸送優先という学説というか、スローガンはわれわれも考えるわけですが、まだなかなか実際問題を処理する場合に、私たち政治ですから、実際問題を処理しなければいけません。そこで、どのようなことをお考えになっているのか、ここらのところをひとつ具体的に聞かしていただければ幸いだと思います。
#15
○川村参考人 お答えいたします。第一点の、軌道に対する赤字の政府の援助方法、これは確かに井岡先生おっしゃるように、実はこの問題が初めて出ましたときに処理されたのは、第九次賃金改定に伴います再建計画の変更のときに、そういう問題の自治省の指示が来まして、処理をされたわけなのであります。これはこの席をかりて厚く御礼申し上げますが、その処理のしかたは、一応これはいまの法の体系の中ではむずかしいとは私たちは思うのですが、直接そういうふうな軌道の赤字を政府が見るという方法にはなっておりません。これはあくまで一般会計が、そういう交通へ援助する分につきまして、これを特別交付税で見ようじゃないか、その見るのも、あくまで都市の財政需要に応じて――確かにそれだけの問題は、都市の一般会計の中でそういう問題が処理されたその中で見るのであって、内容的には、結果的には交通のそういうふうな赤字が処理されている、軌道の赤字の負担を一般会計がしているということになっておりますが、たてまえは、そういう方法で一般会計を通じてやる。あくまで一般会計の財政需要の問題ですから、ずばりこれが全額そういうものがならない場合もございましょうし、いま私たちは全額くれと自治省のほうにもお願いしているのですけれども、そういうことも、財政需要の中で処理されることなのですから、なかなかそうもいかないと思います。これも一歩私たちについては前進した形でありましょうが、すっきり私は、そういう方法も、今後それがきっかけになりまして、軌道の赤字のたな上げということに、結論的にいくかもわかりませんが、財政再建計画そのものが、もうそういう軌道の撤去計画の赤字をバスのいまの料金でまかなうというたてまえになっている、そのこと自体お考え願いたい、こういうことを強くお願いするわけであります。結果的には、そういうふうな方法でありますので、横浜市の今回の第九次賃金改定につきましての再建計画の変更の援助も、決して軌道の赤字全額にはなっておりません。一応再建計画、四十年度末の軌道の赤字の元金分、四十一年度以降に出ます赤字についてはまだまだこれは自動車で返していくというようなことになっておりますので、もう少しこの話を進めて、もう少し前進さしていただきたい、こういうふうに考えます。
 それから二番目の大衆輸送機関の優先通行の問題ですが、先ほど角本先生からの御提案もありましたのも一つの方法でありまして、実は私たちも具体的にいろいろ検討いたしております。一つの例をとりますと、さっきも申しましたような車種別に時間帯別、朝夕のラッシュの地帯に、そういう交通規制を何らかできないものか。たとえていいますれば、先ほどお話がありました乗用車とバスだけの乗り入れということもそうでしょうし、それから貨物自動車の一定地域内の通行禁止あるいはこれを制限するという方法も、東京で一時とったことがございます。それもその後またもとへ戻ったようにも聞いておりますが、そういうふうなこと。それから流しタクシーの一定地域内の通行禁止あるいは制限、こういうことも、朝夕のラッシュ時にだけでもそういう方法をとっていただけないか。
 それからもう一つ、ちょっとお話もありましたように、実は駅前の広場の使用の問題も、私たちは、こういうふうな市電を撤去いたしまして、その代替としてバスの路線を設定したときに、特に横浜市内の駅前の広場というのはなかなか十分とられておりませんので、どうしてもそうした駅を中心にしたバス路線を描かざるを得ないのですが、そこにつぎ込むだけの余地がないので、やむを得ず路線を切ってしまうというようなことも出てきまして、大衆輸送機関の駅前の広場の確保、こういうことが非常に重要な問題になっております。
 御承知のように、私たちのひがみかもしれませんが、どこの駅を見ましても、まずタクシーの乗り場が、おりる客のすぐそばにありまして、バスの乗り場というのは出入り口の遠くに置かれておるというのが現状でございます。こんなのもお考え願って、むしろ大衆の輸送機関のほうを駅の近くにして、もう少し大事にしてもらう、こういうことも考えられます。そういうふうな考え方、もう少し大衆輸送機関を重要視してもらいたい。あるいは外国等の例でありますが、ある地帯、主要道路上には、バスの専用地帯が設けてあるそうであります。こういうことも、ある地帯、主要道路上におけるバスだけ走る路線、こういうことも考えられるのではないか。そのほかいろいろございますが、さっきも申しましたように、ひがみかもわかりませんが、いまあらゆる乗用車あるいはトラック、バスも含めて、いろいろ車の制限がございますが、一番きつく制限されておるのがこういう大衆輸送機関のように考えられます。バスは一応路線を敷くにいたしましても許可、あるいは停留所を移動しますのも許可が要る。あらゆることが制限されておる。それもけっこうと思うのですが、簡単なことはもうその都市の長にまかせてもいいような問題もありましょう。見ますと、タクシーあるいはトラックはどこを通ってもいいしどこにとまってもいいというような中で、バスだけはもうここにとまってはいけない、ここを走ってはいけない、ひがみかもわかりませんが、そういうことがどうも強く感じられます。そこら辺のところを、大衆輸送機関優先通行というより、もっと大衆輸送機関を重要視して、いろいろな問題を解決していきたい、こういうことを強く感ずる次第であります。
#16
○井岡小委員 どうもありがとうございました。
 そこで中馬市長にお尋ねをいたしますが、いまの問題を聞きまして、私はなるほどそうだ、長いこと交通に携わっておってそういうことに気がつかなかったのは、私自身の不明だと思います。
 そこで問題は、都市計画との関係が非常にやはり密接な関係を持ってくると思うのです。たとえばハイヤー、タクシーの駐車場は、ここだけしかとめない、そうしてバスをここにする、こういうようにやっていく、これはなるほどそうだと思います。その場合に、都市計画との関係でこういう問題を討議する時期が来ておるのではないか。もう一つは、やはり私は単にこうしてくれというだけでなくて、大衆輸送を優先さす、あるいは時間帯をそれだけに許す、こういうことになってきますと、当然、先ほどもちょっと触れましたが、路線のトラックをいらわない限り、これはなかなかできないのではないか。わずかにできるのは、自家用車だけだろうと思う。これだけはやはり規制はできると思うのです。この時間帯だけは自家用車はいけません、こういうことはできると思うのです。荷受けをどこかで考えてやらなければならぬ。したがって荷受けの問題などを考える都市計画、こういうものをいまこそ積極的に、おれのところはこういうようにする、そのためにはこれをこう規制してもらいたい、こういうことでないと、なかなかいかないのではないか、こう思うのですが、この問題について、自治省の御意見をお伺いしたいと思うのです。
 それから、実は私は角本先生から聞く前に、経営の主体を握っておいでになる市長に、ぜひそのことを聞きたかったわけです。というのは、いま自治省なり運輸省あるいは学者の一部の中で、いまのような公営企業だけではいかないのだ、だから全部が何か公団とか地方公共企業体とかというようにしてやらなければいかぬ、こういう説のあることは事実なんです。しかし、実際問題として、それをやろうとしてもなかなかやれるものではない。たとえば大阪の場合、この間も聞いたわけですが、千里ニュータウンをこしらえる、泉北ニュータウンをこしらえる、輸送のことは考えていない。そこでこれの輸送を考えれば、市域内における交通は大阪市にまかしておるけれども、市域外に出ていくということになると、たいへんいろいろな問題が出てくる。そこで泉北高速鉄道株式会社というようなものをこしらえてみたり、千里なにを考えてみたり、おのおのかってなことをやっている。かってとは言いませんが、必要悪だと思うのですが、やっている、こういうかっこうになっている。これらの問題を考えながら、いま言われたような問題をどのように考えておいでになるか、ひとつ具体的にお知らせをいただきたいと思います。
#17
○中馬参考人 都市計画との関係でありますが、これは当然今後の都市計画というものを、よほど大胆な再開発を進めていかなければならぬ問題でありまして、ただ現在の状態では、道路率が六大都市でわずかに一一・二%、そういう状態の中でバスの優先通行というようなことを考えましても、特殊な道路において可能であっても、一般的にはほとんど不可能に近いのじゃないか。バスだけを通して、その間を常にあけておくといったような余裕は全くない。バスも、あのタクシーやその他の流れの中にはさまれて、そして徐々に動いているのが都市の現在の交通事情、道路事情。極端に不足している。外国の道路の半分の道路率も持たずにおって、道路が混乱して困っておると嘆いておるこっけいな姿がわれわれの国の道路事情である。大阪など、私はかなり大胆に道路建設を進めておるつもりでありますけれども、そこに配布した資料にも載っておりますけれども、依然として交通麻痺の回数はぐんぐんふえておる状態であるのであります。昭和三十六年に九百四十八回だったのが、昨年などは一萬一千四百二十四回の交通麻痺現象を起こしておる。こういう状態でありまして、それを区分けして運営する、通行せしめるといった、もう可能な段階は過ぎてしまっているのじゃないか。かようなことで、どうでも一方では道路の建設をさらに急ぐと同時に、そして都市計画等についても、道路の問題だけでなくて、副都心等をつくって交通の流れを変えていくといったようなこと、これは今後大胆に進めていかなければならぬ問題だと思って、大阪などでも二十五年後の長期計画を立てて、副都心計画などを進めておるわけであります。それから、幸い日本の場合には、道路率だけは非常に悪いのでありますが、高速道路建設が東京、大阪等でかなり進んでまいりますから、そういうもので幾らか緩和できると思いますが、しかし道路率の現在の貧弱な状態というものは、この自動車時代を迎えて、もう収拾つかない状態にまできていると思うのであります。おっしゃるとおり、都市計画の問題として今後よほど積極的な方針をとっていかなければならぬと思っております。
 それから、経営主体の問類でありますが、外国の都市がおおむねオーソリティーをつくってやっておる状態にあります。しかし先ほど角本先生がおっしゃったように、日本の場合はたしてこれはもう時期がきているのか。私もまだ時期尚早であるというふうに考えておるのであります。しかし長い将来を考えたならば、近畿一円は一つのオーソリティーをつくって、十分な調整された交通体系を確立しなければならぬ、これは将来の方針として徐々に準備しなければならぬものだと思ってはおります。しかし現実に大阪とその周辺の交通事情をごらんになりますと、言うまでもなく、ああして五私鉄が非常に長い企業経験、そうして企業力をもって、これは非常な徹底したサービスをいたしておるのであります。これを打って一丸とするような機構をつくって、現在の私鉄以上のサービスが期待できるのかどうか。公団等、公の性格を持たした交通機関をつくって、現状以上のサービスを期待することがはたしてできるかという問題が一つあるのです。そしてまた、先ほどお話が出ましたように、それらの企業がはたしてこれを譲る気持ちになれるのか。ある人が私に申しましたが、郊外電鉄も、電鉄に関する限りは企業はかなり苦しくなっているから、電鉄を一つにまとめることには、あるいは乗ってくるのじゃないかというようなことを言う人もありましたが、私は、そんなことは期待できない、井岡委員からお話がありましたように、やはり私鉄というものは、百貨店経営をやったり、沿線の開発をやったり、この利益で総合的な企業経営をやって、非常に豊かな経営をやっておるわけでありますから、軌道をはずした経営というものは考えられない。そういう点からいっても、私鉄をも包含したオーソリティーをつくるということは、まだ現在の段階では実際問題として不可能である、そう思っております。
 また、公営企業としての大阪の問題でありますが、大阪市は、非常にすぐれた先輩たちが、市内交通の一元化を完全に実現しております。地下鉄も路面電車もバスもトロバスも、そしてかつては民営バス等がありましたのも買収して、一元的に運営いたしております。この一元運営の利益というものは非常に大きなものと評価されておるのであります。たとえば地下鉄を建設するときにも、大阪市内の梅田から大国町に行く地下鉄の建設等については、まあ大阪市民が非常に協力的である点もありますが、沿道の人たちも路面電車をあらかじめはずすことに協力してくれた、労働組合もこれに協力するということで、路面電車を先にはずして、そうして工事をやった。東京のように路面電車を走らせながら工事をやるとすれば、工事費にキロで十億の違いがあるだろうという。そういうようなことで、路面電車の乗務員を直ちに地下鉄に転勤させることができるというような利便もあって、この市内交通の一元化というものの利点は非常に大きいと私どもも思っておるのであります。
 そして、それが若干広域化して市外に足を伸ばすために、一体どうだという問題でありますが、これは今日までのような独立採算の時代は、もちろん郊外に延ばそうが、どこまで延ばそうが、企業体として行政区域に関係なくやれる問題である。それですから、大阪の実例を言っても、上六から堺市まで路面電車を延ばしておった。また現に地下鉄を吹田市まで延ばしました。さらにバス路線も、周辺の都市に走る線を隣接都市に延ばしておるのでありますから、独立採算の企業体としてならば、採算可能であるならば、どこまででも延ばしていい性質のものだと思っておるのであります。
 しかし、こうして政府と地方自治体が相当の一般会計等の負担を持って今後運営するという方針になった場合にどうするか、堺市に延ばした場合に堺市も負担をするか。モントリオールの例が、モントリオールはああして連邦政府と多少対立するところがありますから、立場を違えておりますが、モントリオールの市長は、市自体が独力で、一般会計で地下鉄建設を万博前に完了しております。二十六キロつくり上げておりますが、初めは市の一般会計で負担する、途中でストライキがあって、賃金倍増の要求をある程度のまざるを得なくなって、経営の見通しが悪くなったということで、周辺二十市に三分の一を負担せしめるということを州法を改正して行なっております。ですから一般会計等で負担をするというようなことになりました場合には、それらの利益を受ける隣接都市というものがどういう負担をするかというような問題が関連して起こってくるかと思うのであります。しかしこれも大阪市が基市として周辺に足を伸ばした場合に、その国庫補助、また若干の地方の負担というようなことで、その負担分をあるいは交付税等で配慮するというようなことになれば、個々の小さい周辺都市に負担をさせずに済む手もあるかと思うのであります。いずれもそういうことで、大幅の国庫補助また地方負担という問題が出たとき初めて検討されねばならない問題が若干あるように思いますが、現在の状態においては、私は大阪の実情から申しますと、まだ現在の段階では市営主義というものを押し通していいんではないか。もちろん諸外国でシカゴでもニューヨークでもオーソリティーをつくっております。先ほど角本先生のおっしゃったように、これはだんだん経営が困難になりましたものを引き受けたりして、そして今日オーソリティーをつくっておる段階に来ておるわけであります。しかしそうした場合といえども、基市の都市計画と関連して路線を決定して、基市が建設費を支出して建設をいたしておる、経営はオーソリティーにまかせる、こういう姿であります。シカゴのオーソリティーの総裁も、ニューヨークの総裁も、かつて市の計画局長であった者がやっておるのであります。ですから、市の傍系団体的な性格をはっきり持っておるのでありますし、先年公営企業法が改正されて、その公共団体の自主性を強化されたああいう処置がさらに強化されれば、オーソリティーの方向に一歩前進する、企業責任者を明確にして、先ほど角本先生がおっしゃったように、非常に広い行政を担当しておる最高執行機関が、それまで全責任を負うという形を幾らか変えていくというような、漸進的な処置もあり得るんじゃないかと思っておるわけであります。
#18
○井岡小委員 非常によくわかりました。
 そこで、最後にもう一つだけ……。現在の機構のままでは、なかなか市域外に伸びていこうとしても困難である。もちろんそれは建設費等の関係もあると思いますが、しかし私は、少なくともやはり都市計画というのは昭和七十年を目途とした都市計画を立てない限り、実際の都市計画にはならない、こう思うのです。その際に当然起こってくる問題は交通の輸送の問題ですから、この問題をあわせて考える、こういう点から、積極的に市議会なりあるいは府県なりで討議をする場をやっぱり与える必要があるのではないか、そういう意味で、各府県――都は一体ですから別ですけれども、府県でそれらの問題の協議会を、交通を担当しておる側から提起をなさる、そして研究会というか、協議会というか、そういうものをつくる必要があるのじゃないか、こういうように思うのですが、この点、最後に一点お伺いをして、私の質問を終わりたいと思っております。
#19
○中馬参考人 ただいまのお話、現にそういう方針をとっておるのであります。地下鉄が現在六十四キロでありますが、これを今後五年間に、私どもは百八キロまで伸ばしたいという既定計画を持っておりますが、その計画は、御承知のように堺市の中百舌鳥まで行く、あるいは守口市――これはどこまで行くか、中央環状線まで伸ばすべきじゃないかという検討をいたしております。さらに東大阪市に入る、これも交通運輸審議会――大阪を中心とした審議会をつくって、そして路線決定をいたしておるわけであります。運輸省の全体の交通審議会の下部組織みたいな形で、大阪市を中心としたそれらの運輸機関のあり方をどうすべきかということを検討しておるわけであります。近くまた将来の計画についても、そうした機関によって検討をして、市内と周辺に及ぶ調整等をはかっていかなければならないと考えておるわけであります。御質問のような趣旨に沿うことになるだろうかと思っておるのであります。
#20
○塩川小委員長代理 この際、委員各位に一言申し上げます。
 角本参考人は、三時十分ごろ退席の申し出がありますので、角本参考人に対する質疑を優先せられんことを望みます。
 細谷治嘉君。
#21
○細谷小委員 時間の関係もあるようでありますから、角本先生に最初お尋ねいたしますが、地方公営企業、特に都市交通の問題について、先生が冒頭、大体現在の都市交通というのは乗用車の代用品だ、しかし代用品というけれどもきわめて重要な役割りを演じているんだ、こういう位置づけがあったわけであります。現状において、私は若干これに抵抗を感じます。むしろ現在の都市交通を守るという意味においては、やはり都市交通というものを主役に仕立てるというのがよろしいのではないか、将来のモータリゼーションの中においては、あるいは先生のおっしゃるようなことになるんではないかと思いますけれども、そういう感じがいたします。
 そこで、先生が現在の問題を解決するためにいろいろ指摘された点については、私もほぼ同感なんでありますが、一つお尋ねいたしたい点は、現在の地方公営企業法というもの、それによって、都市交通というのは、少なくとも地方公営企業としての都市交通というのは律せられておるわけであります。したがって、現在のこの法律は、第一にきわめて厳格な、言ってみますと、きわめて古典的とも考えられる独立採算制の原則に貫かれております。ところが今日経営外の要因というのが非常に大きくかぶさってまいっておりますし、特に東京とか大阪なり横浜等の、かなり力を持っておる、しかもその地域においてシェアを持っておるところはよろしいのでありますけれども、地方の中都市あたりは、公共団体それ自体が力を持っておりませんから、既得のシェアもどんどん行政面を通じて侵蝕をされていっております。そういう点からいって、行政的な要因あるいは外部のもろもろの社会経済の激変に伴う要因等によって、もはや独立採算制というのは、あの現行の法律の独立採算制というのは改められなければならぬ段階に来ているのではないか、こう思っております。特に、この独立採算制に関連して、現行法の十七条の二と思いますけれども、一般会計との負担区分については、法律自体がかなりきびしい形でうたわれておりますけれども、それを受けての政令というのが、また輪をかけたようなきびしさであります。そういうことでありますので、しかも国の財政上の援助というのは、単に訓示的な規定にすぎない、こういうところにありますから、現在の地方公営企業法そのものについては、現状に立って抜本的に検討する時期に来ておるのではないかという感じがいたすわけでありますが、この点について、ひとつ先生の率直な御意見をお聞きしたい。
 それから第二の点は、横浜の市長さんのおことば――おととい私は、東京都の都市交通の事情を朝七時から調べて、東京都の交通局長にもお伺いしたわけでありますけれども、先生がおっしゃったラッシュ時の規制、これは言っておりますけれども、容易に実現できないことなんですね。横浜市長のことばをかりますと、もしラッシュ時における規制というものを、その都市の事情に一番通じておる市長にその権限がゆだねられるならば、現在の都市交通の経営の危機というものも、かなりの程度克服できるのではないか、こういうことばがございました。そういう点で、先生のおっしゃるような順序、そういうものでありますけれども、これは、具体的に、先生としてはどういうふうにお考えになっておるのか、この点をひとつお尋ねいたしたいのであります。
 それから、この間東京都の交通局長が言っておったわけでありますけれども、なかなか経営外の要因というものを測定することは困難でありますけれども、一例として、たとえば時速というのが、適正速度が十八キロである。いま大阪は十一・何キロになってしまった。東京のほうも十三、四キロしか走れない。たとえばその時速が一キロ落ちるごとに、燃料はよけい食うわ、お客さんは乗らなくなるわということで、いよいよじり貧状態になるわけなんで、そういうもので、たとえば時速が一キロ落ちた場合、その分については、一般会計なり国のほうで――なかなか抽象的で、基準というのを具体的につくることはむずかしいのでありますけれども、これは、ひとつ一般会計なりあるいは国のほうで負担していただかなければ、いかに適正な料金といってもだめなんだ、こういうことばがありました。先ほども一つ話がありましたが、都市計画――先だってロブソンが来まして、多摩ニュータウンというのは失敗なんだ、こういう批判をしておるわけなんですね。言ってみますと、もっとこれからの都市計画というのは、交通政策と一体のものとしてとらえて、職住、職場と住居というものを切り離して考えてはだめなんだと、こういうことを指摘しておりました。そういう点については、明らかに経営外の問題なんですから、これはやはり見てやらなければならないのではないか、こういうふうに考えられます。さらに広域的な対策が必要だ、こういうことでありますけれども、現実にやはり行政区域外に出るとなりますと、たいへんな抵抗があります。私鉄なら、これはもう行政区域がありませんから、線路の認可さえいけば簡単でありますけれども、そういう点でいろいろ問題点があります。
 こういうようないろいろな問題点、具体的に測定することは困難でありますけれども、独立採算制にからんだ今日的な重要な具体的な課題があるのではないか、この辺についての先生の御見解をひとつお聞きしたい。
#22
○角本参考人 いま私はお聞きしまして、五つに分けてお答え申し上げたいと思います。
 まず最初に、私、公共交通ということばで申し上げましたが、これは先ほど出ました大衆的な交通ということばでもけっこうでございます。ただ、いずれにいたしましても、乗用車がこれだけ普及してまいりますと、市民の意識の変化ということは、もう避けられないのではなかろうか。かなりの所得水準の範囲まで乗用車を持って、その人たちが、まず自分の乗用車を使う、それが使えないときに電車に乗るというふうな選択のしかた、これはもう避けられない。ですから、鉄道の利用者が、いままでは年々大きく伸びておりましたけれども、東京にしても、大阪にしましても、四十二年と四十三年とでは伸び率が非常に小さくなっております。それは、やはりそうしたことをあらわしているのではなかろうかということで申し上げたわけであります。
 第二番目の点で、地方公営企業法のお尋ねでございますが、これは地方公営企業法に限らず、交通に関する法規は、昭和二十年代のわが国の実情を前提としてつくられております。その段階におきましては、ごく一部の人しか乗用車を持てない、あるいは自家用のトラックにしましても、ごく一部の企業しか持たない。したがいまして、すべての交通企業者は、ほぼ独占に近い地位を享受できるという前提で立てられていた。そしてまた、独占に近いがゆえに、独立採算が可能であり、また反面、独占の暴力をふるうおそれがあるということで、それらを抑制するということで、いま御指摘のように非常にきびしい法律、政令がつくられていたと思います。こういった事態は、昭和四十四年の今日、すべて前提条件が違ってしまっておりますから、私は交通関連の法規は、すべてこの際再検討して、根本的に改めるべきだと思っております。
 第三番目に、ラッシュ時の規制でございますが、現実に現在買いもの通りとかあるいは子供の遊び場のために自動車を入れないというような処置がとられておりまして、買いもの通りの場合には、商品の搬入も時間を限っているということで、たとえば午後の三時から七時までは、すべての車を入れない、そういった方法が現実に行なわれているわけであります。具体例として、たとえば私が調べたのでは、立川駅の南口の通りは、非常に狭くて混雑しております。こうしたところへ乗用車とバスがかんでしまいますと、バスの速度がのろのろになってしまいます。たとえば朝の七時から八時までの一時間だけ、あの通りにバスだけしか入れない、あるいはバスとトラックを入れるという方法は、やる気ならば、あしたからでもできると思うのです。これは地元の方々が賛成さえすれは――警察のほうとしては、やはり地元の方々の意向を第一にということで考えられやすいのでちゅうちょされるわけですけれども、地元の方々が賛成されれば、これはもうたちどころにできることだと私は思います。先ほどパリや何かの広い通りで、バス、タクシー優先の車線を持つという制度のお話が出ましたけれども、このほうは、日本の道路幅から見ましてちょっとむずかしい。ですから、私ができると思いますのは、朝の一時間だけ、まず特定の狭い通りについて、いま申し上げたようなことを実施するというところから始めたらいいと思います。
 それから第四番目に、経営外の要因の測定のお話が出ました。これはなかなかむずかしいけれども、時速一キロ落ちるごとに一般会計で負担するというようなこと、これはやはりそうした負担が重なっていくという前提で、国なり地方団体が負担していくということは避けられないと思いますが、ただ、ロブソンの意見につきまして一言だけ申し上げておきたいのは、ロブソンの意見というのは、ニュータウンということばにとらわれまして、南多摩とか千里のニュータウンをかなり誤解していると思います。と申しますのは、南多摩や千里のニュータウンは、ロブソンが別な場所で言いました区域外住宅としてわれわれがつくっていったものだと思います。ところが、ロブソン自身は、横浜の港北区に東京の区域外住宅――彼は英語でオーバースピルハウジングと言っておりましたけれども、それをつくることは逆に認めているわけであります。ですから、職住一緒の町をつくるということよりも、とりあえず住宅不足のために住宅を供給する。職場は都心のほうにあるわけですから、その人たちに住宅をつくるという意味のことは、別な場所で認めているのでありまして、ニュータウンということばにとらわれて、そしてそこにはイギリス流に職住一緒でなければいけないと彼がとったところに彼の誤りがあったと私は思います。ただ、横浜の港北区と東京というものを結ぶ場合にも、彼がそれを区域外住宅として認めていながら、彼自身が交通の必要性を指摘していない。これは非常に奇妙であり片手落ちであると私は思うのです。ですから、私は今度のロブソンの報告については、それほど尊重する必要はないんじゃないかというふうに理解しております。むしろわれわれとしては、横浜の港北区と東京都心とをいかにして結ぶか、この交通を考えることが、住宅政策と交通政策とを調整することであろうと思います。
 それから第五番目でございますが、区域外に都市交通が出れるかどうか、この点につきましては、ストックホルムとかトロントとか、観念としましてはちょうど水道組合に似たような一つの連合体を交通のためにつくっていると思います。このことは、たとえば大阪市と周辺の市町村、先ほどからのお話の点でございます。そういった組織を交通の目的のためにつくりまして、そうしたところで、ある程度補償金を負担するというような制度で交通網を周辺に延ばす、そのことが、通勤圏がだんだん拡大していく今日、必要な方向ではなかろうか。
 以上、五点についてお答え申し上げました。
#23
○細谷小委員 ちょっと一点先生に、もうお答えは要らない。
 モノレールについて、都市交通の問題としてどういうふうに評価されておるか、これを伺いたい。
#24
○角本参考人 いまモノレールのお尋ねでございますが、現在のように地下鉄が地下深くもぐるようになりまして、経費がだんだんかさんでまいります。それからもう一つは、地下というのは人間生活にとって決して望ましい場所ではございません。なるべくならば地下深くまで入らないほうが将来のためにいいと思います。その意味におきまして、モノレールは高架の構造物として、従来の鉄道よりも騒音が少ないという点でたいへん有利であります。
 ただ、既成市街地内で高架の構造物をつくるということが、もし土地買収を伴います場合にはたいへん高くつきますので、おのずから限定される。ただ、もしかりに土地がありますれば、これは地下鉄をつくるよりもモノレールのほうが、利用者としての快適さとそれから経費の点で非常に有利であります。ただ、中央線の十両連結で満員といったような形の大きな駅設備を、たとえば道路の上につくれるかといいますれば、その点では若干問題点が残りますので、駅の大きさをその環境に合わせた限度に輸送する、それで輸送需要がまかなえるならば、ぜひとも将来はモノレールを考えるべきではなかろうかと存じます。
#25
○塩川小委員長代理 角本参考人には長時間御出席いただき、まことにありがとうございました。時間も参りましたので、御退席をお願いいたします。
#26
○細谷小委員 次に、中馬市長さんと川村局長さんにお尋ねいたしたい点でありますが、せんだって私は東京都の交通局に事情を聞きましたが、地下鉄が現状では料金収入の二・五倍の利子を払っておるわけですね。大阪の場合には一号線というすでに償却済みのものがあるから、それでもたいへんな財政構造になっておるわけですけれども、これから新線をやる東京とか横浜なんというのは、おそらく料金収入の何倍くらいも利子を払わなければならぬ、こういうことになってくると思うのです。
 そこで、お話にありました、道路と同じように、トンネル部分については国なり地方公共団体が三分の二を持ってほしい――道路には四分の三というのもあるわけですけれども、持ってほしい。そうしますと、現行金利で三分の一を、残りの三分の一を地下鉄の事業体が負担するということは、適正料金という前提のもとにはたして可能なのかどうか。むしろトンネル部分というのは、いってみれば道路でありますから、理屈からいうならば、レールをかけるのはしようがないけれども、国庫補助を三分の二もらったら、三分の一というのはやはり一般会計が持ってやる。そうしてレール部分等実際に地下鉄を走らせるものだけについて、いってみますと、それもむずかしいかもしれませんけれども、ずばり言うと経営経費について――建設部分がもうここでないのだから、経営経費についていわば独立採算的にやるということ以外に、大衆輸送機関としての地下鉄は立っていけないのではないか、採算とれないのではないか、こう思います。同時に地下鉄は利子が高いわけですね。農業関係というのは三分五厘というのが多いわけですが、この場合にはみんな七分程度ですから……この辺についてはどういうようにお考えになっておるのか、これを一つお尋ねしたいと思っております。
 それから、ずばり市長さんにお尋ねしたいのですが、大阪の交通の特徴は、たいへんな財産を無料で国道等に貸しておりますね。お聞きいたしますと、国道部分だけでも数百億円にのぼるものを無料で国道に提供しておると聞くわけですけれども、これはひとつやっぱりぴしゃっと国との間で買収等を完了していただきますのが筋でありますし、たいへんよろしいのではないか、こういうふうに思っておるわけでありますが、いかがか、こういうことです。特に先ほども話がありましたように、路面電車の赤字まで地下鉄のほうにしわ寄せさして、そしてやっていこうという地下鉄の経営の苦しさ、こういうものも含めているわけですから、いまのような数百億にのぼるそういう財産の処分ということは、大阪の交通問題を解決するには重要な資金になり得るのではないか、こう思うので、この辺の率直な希望といいますか、あるいは要望といいますか、むしろ要求といっていいかもしれませんが、ひとつこの辺をお聞きしたい。
#27
○中馬参考人 ただいまの国庫補助、トンネル分の問題でありますが、これは先ほど申しましたように、諸外国の都市ではトンネル分というような限定をせずに、いずれの都市も、建設費の全額を補助対象にいたしておる、それがかなり徹底しておるわけであります。パリだけが車両を補助対象の建設費から省いておりますが、その他の都市は車両まで含んでおる。もちろんレール等も建設費全額を補助対象にし、しかも大まかにいって三分の二とか、パリの場合は二分の一が政府、二分の一がパリリージョンとかというようなことで、建設費のほとんど全額を企業外の負担において建設しておる、こういうことに諸外国はすでに進んでおる。ですから、私たちの日本の都市交通の実情からいっても、公共料金をそう自由に上げていけない実情等から考えますと、やはり諸外国が歩んできた方向に進まざるを得ないのじゃないか、さようなことで、どうでも道路に準じて、少なくとも建設費の三分の二の補助をお願いしたいというのが、私ども地下鉄を経営しておる者の立場からの強い希望であるのであります。
 それで、ただその場合、三分の二を国が補助して、かりにトンネル分あるいは主体構築物の分として六四%の三分の二というようなことを国において負担してもらうとして、その残りの三分の一も非常に大きな金になるわけでありますが、それを現在の地下鉄を経営しておる――東京は多少事情が違いますが、ほかの六大都市が簡単に負担し得るかという問題が、これは一般財政問題、地方行政の立場から検討していただかなければならぬ問題だと思うのでありますが、大阪市で私はいろいろな機会に申し上げておりますように、大阪市の市内からあがる税収は、七三%が国税にいっておる、一七%でしたかが府税にいっておる。大阪市が指定都市として行政のほとんど全部をひっくるめてやっておるにかかわらず、わずかに一一%しか、大阪市の自主財源に帰属していない。戦前は二四%であった。こういうような実情にありますから、どうしてもその税制改正というものを伴わなければ、日本のとうとうたる都市化に対応する都市経営は不可能だ。この構造問題一つとってみましても、こうした適切な処置がとられるとしても、その三分の一の負担すらにも大きな問題が残ってくるという実情にあることだけを、この際申し上げておきたいと思うのであります。しかし何としても地下鉄の健全経営をし、さらにかつての路面電車網程度に地下鉄網を張りめぐらすことによって、市民の足を確保しなければならぬということは非常な急務だと思うのであります。経営が成り立たないからといって、消極的な態度で安易な方針をとっておるわけにはいかない。私どもかなり乱暴なことばをもってして、ともかくもがむしゃらにとろうじゃないか、経営の問題はあとから解決する、というつもりでやってまいった。将来に向かってもそういうのでなければ、都市経営の責任は負っていないことになるというようなつもりでおるわけでありまして、これに対する対策を特にお願いをいたす次第であります。
 それから赤字の問題でありますが、これは私どものほうの経営では、現在四十五年から計算いたしますと、毎年百二十数億、百三十億ばかり――現在の六十四キロを完成した姿で計算いたしまして、毎年現状のままならば百三十億前後の赤字を続けることになるのであります。これはたいへんなことであります。したがって先ほど来申しますような何らかの処置をとっていただかない限り、都市交通は破綻に瀕してくるというわけで、私が最初に申しましたように、これは単なる一地方の問題ではなくて、一国の中枢都市の産業基盤を整え、またこれだけ密集した都市民の生活を確保する重大な国策的な意味を持ったものであるということで、もっぱら政府また国会の皆さんに御期待をいたしておるような次第であります。
#28
○川村参考人 いまの中馬市長さんのおことばで全部尽きると思うのですが、立場が市長と交通事業管理者の立場で違うのは、私たちは、この国庫補助については三分の二、三分の一は交通企業会計以外のところで負担していただきたい、こういうことを強くお願いしておるわけなんであります。それによりますれば、相当先の経営――料金の問題もありましょうが、公共料金、これに見合う料金を相当上げなくてもやっていけるのではないか、そういうふうな計算を立てております。
#29
○細谷小委員 市長さん、例の国道とかなんとかの措置。
#30
○中馬参考人 失礼いたしました。
 大阪市が、先ほど申しましたように、市内の路面電車を建設する過程におきましては、路面電車の収入をもって軌道域を吸収いたしましたのはもちろんであります。その分が現在国道の分があります。あるいは都市計画街路の分などがあるのでありますが、これを換算すると相当大きな金になることは御指摘のとおりであります。これについては、もし路面電車をはずしてこれを国道なり道路として提供するならば、道路の機能も非常に拡充強化するのじゃないか、さようなことで、新線を築造する場合あるいは道路拡幅の場合に、建設省としては三分の二の国庫補助を出しておるのだから、そういう意味で、これを補償する国庫補助助成策をもらいたいというのが、私ども六大都市の非常に強い要望として、ここ数年繰り返しておるところであります。なかなか実現しない状態にあって、まことに遺憾に思っておる次第であります。
#31
○塩川小委員長代理 中馬参考人並びに川村参考人には、長時間にわたりまして、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚くお礼申し上げます。御退席をお願いいたします。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後三時三十分散会
ソース: 国立国会図書館
【PR】姉妹サイト