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1949/05/22 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 文部委員会 第18号
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1949/05/22 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 文部委員会 第18号

#1
第005回国会 文部委員会 第18号
昭和二十四年五月二十二日(日曜日)
   午後二時四十四分開会
  ―――――――――――――
 本日の会議に付した事件
○國立学校設置法案(内閣提出・衆議
 院送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(田中耕太郎君) 只今より開会いたします。
#3
○河野正夫君 十二條の点について第十三條と関連をして実例を挙げて質問をいたします。ここの別表に決められた教職員の定員というものは一体どういう標準或いはどういう手続によつて決定されたかというのが私のお尋ねしたいことなのであります。一例を申上げると、東京工業大学九百十八名の総定員のうち、將來政令を以て発布さるべき内容を予め通達したと言われる発学三百十二号の内容から見ますると、事務職員において七十七名現実よりも多く、教務及び技術職員において八十七名少いという、こういう実情にそぐわない通達が行つているのであります。まあこれは一例に過ぎないけれども、とにかく沢山の大学においてこういうことが我々起るのではないかと思う、そこでつまりこの表に掲げる定員、更にその内容として考えられておる各項目別の人数というようなものは、本当に包括さるべき各学校或いは新大学の設置委員会といつたようなふうなものとよく連絡をとつてやつておるかどうか、又それについては講座数とか何とかいう方面からも標準が立つて、それで査定したというような事実があるのかどうか、その点を明瞭に承りたい、こういうのであります。
#4
○政府委員(剱木亨弘君) 今回の通牒は、申しましたのは新制大学の発足が目睫に迫つておりますので、予算の点につきまして一應準備をいたすという意味において学校に内報したのでございまして、その数字は勿論國会の御承認を得ましたあとで修確な数字につきましては学校当局と十分打合せの上で決定をする予定にいたしておるのでございまして、現に近くこの國会終了後大学の事務当事者に來て貰いまして十分話合いをするということにいたしておるのでございまして、今お尋ねになりましたこの表を作りましたのは、今度の新制大学につきましては幾つかの專門学校等が大体合併して成つたのでございますから、その定員は各学校に割当てておりました予算定員を機械的に集めまして、これを今まで組まれておりました予算の種類に應じてこれを計上したのでございまして、今お尋ねの工業大学の例の場合でも分りまするように、実際上はこの定員につきましては各大学におきまして事務職員と教務職員との間に学校の事情によつて予算定員と異つた任用をいたしておつたのでございまして、その点で相当な実際の定員とは開きがあり得ると考えます。ただその際に具体的には今申しました数字が果して正確であるかどうかは、私共ももう一遍調べないと分らないのでございまして、例えば事務職員が七十七名も現在のものよりも多いということは、恐らく私が想像いたしまするのに、この事務職員の中には守衞でありますとか、いわゆる雇傭人までも計上しておりますので、それらの者を入れて考えておるのかどうかということは尚調査を要すると思います。併しその点をのけましても、この点につきましては今申しましたような関係がございますので、実際におきましては、今後学校の実情に合いますような定員の決め方をいたして参りたいと思うのでございます。
#5
○河野正夫君 最後にもう一つ伺いたいのですが、ここの定員がずつと決まつておりまするが、或る政府委員が学校当事者に対して内輪話をしたということを聞いておるのであります。それによりますると、新制大学が出発するに当つて現在の各大学になるべき学校の職員のいろいろな職種内容などの動きによつて相当数退職をしなければならんのじやないか、若しこの國立学校設置法の別表乃至予定されておる政令についてそうでないとしても、全然無関係な方面から、いわばいわゆる定員法によつてそういうことが來るのではないかと、こういうので、この点についても新制大学の出発に当つて甚だ面白くない不安を巻き起しているのであります。これは定員法の方に重点があつてそういうことが起つているのかも知れませんけれども、私のこれに関連して質問したいのは、政府は大学はもとより小学校の方をも含めて教職員の整理は行わないという言明をしているのでありまして、いわゆる行政整理は行わないという言明をしておるのでありまするけれども、現実にそういうものが出て來るということを先程申しましたように、予想せざるを得ないということでありまするが、それが事実であるかどうか、そうして更に予想せられることが事実であるとすれば、この人々の退職手当は定員法による行政整理の面からは何ら触れられないというので、非常に不合理であるというようなことを聞くのでありまするが、それはどうなつておるか、この点について。
#6
○政府委員(剱木亨弘君) 現在の定員法は教育職員につきましては定員のまま、事務職員につきましては欠員の二分の一が減少しておるわけでございますが、從いまして現実の意味におきましては行政整理その他具体的な人の減少、いわゆる職を離れるということはこの定員法からはないのでございまして、只今申されましたことにつきまして私共思い当りますのは、実は各学校と新制大学を作ります場合に私共の一つの予定人員といたしまして各学校の教授の定員二割増を以て計画をいたして貰つたのでございます。從いまして二割増の程度におきまして講座その他の組織をいたしまして、外部から相当な優秀な人を入れ得るというような計画をして参つたのでございますが、而も最後まで相当の教授の増員を我々としましては努力して参つたのでございますが、行政整理をしない代りに現在の定員の範囲内においてこれを実施しなければならないという実情になりましたので、それらの新らしく入つて來るように約束をしておりました先生方は、これはもはやこれ以上新たにお願いすることができないかも知れないということは申して参つておるのでございます。ただその場合でも現在欠員がありますれば多少は勿論可能であるのでございまして、今おる人を罷めて頂くということは定員法からは出て参らないのでございます。尚新制大学につきまして大学設置委員会に掛けまして一應教員組織の審査をして貰つたのでございますが、そのまま大学の教授になることは必ずしも適当でないと判定いたされました者につきましても、尚現在におきましては旧制の大学が残る限りにおきましては直ちに罷めるというような問題は起つて参りませんので、先生につきましては全然行政整理ということは考えておりません、從つて退職者に対しまして行政整理の退職金が適用されるような場合はないと考えております。
#7
○岩間正男君 この前私のしました質問に関連することでありますが、今日は大臣が見えておりますので、改めて質問したいと思います。その第一の要点は、この法案を審議する上において明かにして置かなくちやならないのでありますが、大学設置委員会と國会との審議権の関係であります。聞くところによりますと、委員会において決定された修正であつてもこれは一應大学設置委員会に掛けてそうしてその決定の結果に從わなければならないというようなことがこの審議の過程に衆議院の方においては起つたという事実を私は聞いておる、こういうようなことが果してあるのか、あるとすればこのようなことは一体國会の審議権とどのような連関を持つのであるか、これは今後の國会の審議の続行に当りまして非常に重大な問題であると思いますので、この点特に大臣から明かにして貰いたいと思います。これが第一点……
#8
○左藤義詮君 議事進行について……この問題は昨日岩間委員は欠席でございましたが、政府委員と相当問答を往復したのであります。重複になると思います。
#9
○岩間正男君 速記が見えておりますので、殊にこの問題を明かにして置くことが必要だと思います。特に大臣に要求します。
#10
○委員長(田中耕太郎君) それでは記録にとどめる意味におきまして簡單に……
#11
○國務大臣(高瀬荘太郎君) 昨日詳しく御説明があつたそうですから、成るべくなら一つ、同じ質問は同じ委員会では繰返して頂きたくないと思います。併しお答えをいたします。只今の御質問は学校教育法によりますと、大学の設置につきまして大学設置委員会に諮問して文部大臣が決めるということになつておる、それで文部大臣が決める場合に設置委員会の意見を聽くわけでありますが、それと國会へ法案として出された場合に國会でこれを審議する、この審議権との関係がどうか、こういう御質問じやないかと思います。私の考えといたしましては國会の審議権は無論独立してあるものと考えております。併しながら学校教育法の精神も無論尊重すべきものであろうと思いますので、技術的な手続といたしましては成るべくならばやはり大学設置の場合は設置委員会の意見を聽くのが至当であろうと考えておるのでありますが、法制上の見解といたしましては國会が学校教育法に規定されております設置委員会によつてその審議権を制限されるものとは私は考えておりません。
#12
○岩間正男君 私の聽きたいことは、大学設置委員会というものは一体諮問機関であるか、それとも執行機関なのかどうかということ、それから事前に文部省が参考意見を聽き、原案を立てる場合にそういう意向を聽かれることは一向差支ない、そういう審議会があつても。併しな員ら国会が例えば審議の過程において修正を要する、そういうような修正事項についてもう一度これを大学設置委員会に戻してそうしてその方の一應の檢討を経なければならないというようなことが大体あり得るかどうか、そういうところの見解を聽いておるのであります。ですからその点に対する明確な御答弁を頂きたい、今の御答弁ではどうも十分でないと思います。
#13
○國務大臣(高瀬荘太郎君) お答えいたします。文部省の最初の原案の中に、設置委員会に掛けて確定してなかつた点につきまして、あとから設置委員会に諮問した、こういう点だろうと思います。そういう事実は確にありましたが、決して國会の御要求によつてやつたわけではありません、文部省が自発的にやつたわけであります。そうして若しもそういうことが、若し前から地元等の相談によりまして、はつきり解決ができて、案ができるものでありましたならば、國会へ原案として出す前に、設置委員会に諮問をしてやるべきであつたのであります。併し地元方面の非常な熱望があり、又或る程度におきましては、地方方面の要望にも理由がないわけではないということから、一層研究をしようということで、原案をはつきりさせないで残しておつたわけであります。ところが地方方面でも國会に掛かつて各地の新制大学が出発をするということになるとすれば、やはり未解決になつておる方面の、地元方面でもなんとかこの際はつきり決めたい、こういう要望が非常に強く出て來たのであります。そうしてそういうところからいずれ國会で審議されるにつきましては、その御参考になるよにに、設置委員会に諮問しまして、意見を聞いた、これが事実であります。
#14
○委員長(田中耕太郎君) ちよつと申上げますが、文部大臣は衆議院の本会議に社会教育法案が今上程されるのでありまして、もう直ぐだそうでございますから、一言だけ……
#15
○岩間正男君 大体原案として出された、これは政府の責任で私は出されると思うのであります。そうしてそれが離された限りは國会の責任じやないかと私は把握しております。その過程において、設置委員会ではまだ十分に檢討しない問題があつたから、それでこれは文部省の参考意見として出された、こういうようなことで、そういうふうに今のお話をなにしていいわけですか。
#16
○國務大臣(高瀬荘太郎君) 只今のお話しはつきりいたしませんが、無論文部省原案は初め出した通りであります。併し御承知のように、各地の新制大学設置につきましては、地元と協議をして、原案を作ることになつておるわけであります。で地元から何とかして早くその原案を作つて呉れという非常に協力な要望が文部省の最初の原案を出した後にあつた、その結果として、文部省は設置委員会に諮問した、こういうことになるのであります。
#17
○高良とみ君 この定員についてお伺いしたいのでありますが、特にこの東京文教大学の定員、それから東京藝術大学の定員、順々に申上げます。東京文京大学の、今度は教育大学になつたその経過を一應承つて記録にとどめて置きたいことと、そのことによつて教授数が変更があるのか、ないかということを伺いたいのであります。
 第二点は、東京藝術大学の定員数でありますが、別表によりますと、二百九十四人となつておるのが、外の定員調におきましては九百二十六名になつております。非常に差があるのですが、どちらが本当であり、どちらに行く方針であるかということが第二点。
 第三点は、この名称のことでありまして、東京教育大学は、將來ともその名称で行き、その目的は、教育の科学的、文化的研究を中枢として教育に專念する大学であるのか、或いは文理の研究をも併わせて二本建の大学であるのか伺いたい、從つて教授の陣容等にも影響があるものであります。それと共に、お茶の水女子大学とう名称は、地元から要望もありまするが、將來変更し得る性質のものであるかということを第三点として伺いたい、内容は、教授数と、経過と名称のことについて、お伺いしたいのであります。
#18
○政府委員(日高第四郎君) 教授数のことは別の政府委員からお答えいたします。
 東京教育大学、これについて名称を衆議院でお修正を頂いたのでありますが、これにつきまして、多少現在問題が起つておりまするので、從來の経過を一應申上げたいと思います。実に昨年の夏に、東京文理科大学と東京高等師範と東京農業教育專門学校と東京体育專門学校と、この四つが集まりまして、一つの大学を作りますにつきまして、いろいろ名称の選択等について意見の不一致があつたのでありますが、私共といたしましては、この大学が東京帝國大学と、從來の東京帝國大学と違つた特別の存在理由と、性格とを明らかにいたします点で、教育大学にいたしてはどうかという案を提示いたしまして、一應四校の代表者の間でその名称を認めたのであります。その後文理科大学の側におきまして、東京教育大学という、その教育大学という名称には、過去のいわゆる師範学校の昇格運動と連関するような点もありまして、これを是非避けて欲しいというような話もありましたので、本年の初めに更に話合いをいたしまして、東京文教大学という名称で、相互の間の多少の不一致はあつたのでありますが、折合いによつて東京文教大学という名前になつたのであります。この東京文教大学に文部省が期待いたしておりますのは、教育の問題並びに原理的な、実証的な研究を徹底的にやつて頂くことと、これと連関して、文科的、理科的な学問の理論的研究をも期待するという第一点と、第二点は、その学問的研究を前提といたしまして、これが應用によつて全國に模範的な教育養成の大学になつて欲しい、こういう二つの点を四校の代表者には話をいたしまして十分な了解が得てある筈だと信じております。併し後で教育養成が目的であつて、学問はその單なる手段であるというような見解も出て参りましたので、文部省といたしましては、そうでないのだ、学問研究は学問研究として独自の意味を持つておるのであつて、その学問研究を前提に、必要條件としていい教育養成の大学にして欲しいのだ、こういうことで了解を更に深めたわけであります。この意味において、二本建という御質問がありましたけれども、そういう意味においては二本建と申してよいと思うのであります。但し單純に学問や純粹な理論だけを研究するのではなくて、同時に應用や実用の方面をも結び附けて考えることを念願いたしておるわけであります。こういう意味において文部省といたしましては、東京文教大学で、双方の話合の決つたものを原案として出したのでありますが、これについて御批判がありまして、教育大学の方が一層適切であるという結論を頂いたわけであります。それからお茶ノ水女子大学のことにつきましては先程も御質問が出たのでありますが、始めに東京國立女子大学という名称を選んで來られたのでありますが、大学設置委員会においていろいろ論議がありまして、東京大学と特別な関連があるというような誤解も正ずり恐れがあるし、又東京女子大学というものが現実に前から存在しておるのであるから、それと紛わしいという意味においてこの名称は一應適切でないから、これを何とか変えろというような話がありましたので、これについては東京女高師の方でいろいろ檢討された結果、お茶ノ水大学という名称を持つて來られたのであります。それを原案にいたしたわけであります。
   〔委員長退席、理事若木勝藏君委員長席に着く〕
#19
○岩間正男君 ちよつと動議を提出したいのですが、本会議のりんが鳴つておるので、ちよつと一時委員会を休憩して、本会議の終了を俟つて……。免許法案が掛かるというようなときですから、是非その間休憩したいと思います。
   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
#20
○理事(若木勝藏君) 今の岩間君の動議についてお諮りいたしますが、如何がですか。
#21
○左藤義詮君 免許法が済み次第直ぐに再開ということに……
#22
○理事(若木勝藏君) それではさように決定していいですな。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#23
○理事(若木勝藏君) それでは休憩にいたします。
   午後三時十三分休憩
   ―――――・―――――
   午後四時二十一分開会
#24
○委員長(田中耕太郎君) それでは委員会を開会いたします。第十二條まで進行いたしておりますが、別に御発言がなければ第十三條。
#25
○政府委員(稻田清助君) (國立学校の職)
 第十三條 各國立学校(附則第三項及び第五項に規定する学校を含む。)に置かれる職の種類及び定員については、文部省令で定める。
#26
○委員長(田中耕太郎君) 第十三條は別にございませんか、第十四條。
#27
○政府委員(稻田清助君) (國立学校に置かれる職員の任免等)
 第十四條 國立学校に置かれる職員の任免、懲戒その他人事管川に関する事項については、國務公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)及び教育公務員特例法(昭和二十四年法律第一号)の定めるところによる。
#28
○委員長(田中耕太郎君) 第十四條について差に御発言ございませんか、ありませんければ第六章。
#29
○政府委員(稻田清助君) 第六章雜則(命令への委任) 第十五條 この法律又は他の法律に別段の定めのあるものを除く外、國立学校の組織及び運営の細目については、文部省令で定める。
#30
○委員長(田中耕太郎君) 第十五條につきまして、御発言ございませんか、ありませんければ附則。
#31
○政府委員(稻田清助君) 附則
 1 この法律は、公布の日から施行する。但し、第一條の規定は、学校の修業年限及び学年の進行に関しては、昭和二十四年四月一日から適用があるものとする。
 2 左に掲げる勅令は、廃止する。
 3 第三條に規定する大学は、それぞれの包括する学校の課程を存置するものとし、それらの課程の履修、卒業及びそれらの課程を担当する教職員の身分等に関する事項並びに第三條に規定する大学に包括する学校に附置される学校については、なお從前の例により取り扱うものとする。
 4 前項の規定に実施に関し必要な事項は、文部省令で定める。
 5 学校教育法第九十八條の規定により学校のうち、國立大学に包括されないで、当分の間、なお從前の例により存続するものは、左に掲げる通りとする。但し、東京医学歯学專門学校は、昭和二十五年三月三十一日まで、東京医科歯科大学、大阪工業專門学校及び大阪青年師範学校は、昭和二十六年三月三十一日まで、存続するものとする。
   東京医科歯科大学
   東京医学歯学專門学校
   秋田鉱山專門学校
   秋田師範学校
   秋田青年師範学校
   上田繊維專門学校
   大阪工業專門学校
   大阪青年師範学校
 6 水産講習所のうち、東京水産大学に包括されないもの(第二水産講習所)については、水産講習所官制は、別に農林省の設置に関する法律が制定施行されるまでの間、なお効力を有する。
 7 從前の規定による國立の大学の大学院は、当分の間、なお從前の例により取り扱うものとする。
 8 國立大学に包括される学校に置かれる職員の定員は、それぞれの学校を包括する國立大学の職員の定員に含まれるものとする。
 9 第五項に掲げる学校に置かれる職員の定員は、別表第四による。
 10 第十二條及び前項の規定は、別に政府職がの定員に関して定める法律の適用に影響を及ぼすものではない。
 11 國立学校のうち、東京水産大学は、第一條第二項の規定にかかわらず、昭和二十五年三月三十一日まで、農林大臣の所轄とする。
 12 第八條、第十三條第十五條及び第四項中「文部省令」とあるのは、前項に定める日まで、東京水産大学にあつては「農林省令」と読み替えるものとする。
 13 第四章に定める國立の各種学校は、昭和二十五年二月三十一日まで、存続するものとする。
 以下は朗読を省略いたします。
#32
○岩間正男君 重要な條項の審議のときに、やはり関連を持つておられる人が出席されないで、どんどん進められたようですが、その場合には出席を求めてやつて頂きたい、これを要求します。(「異議なし」と呼ぶ者あり)そういうことを質さないうちにぐんぐん今重要な関連のあることを進められる、その点について、若し伺うことができれば伺いたい。
#33
○委員長(田中耕太郎君) これは遡つて御質疑をおやりになつても、ちよつとも差支ありません。
#34
○岩間正男君 それは分つておるのです。この前もそうなんです。この前も委員の出席を待つてやつた例があるのです。それと深し関連を持つておる人を予想しておるときには、そういう人の集りを待つてやつて頂きたい、民主的な運営のことについて私は切望したい。
#35
○堀越儀郎君 会期が迫つておる際に、この前も岩間君の趣旨のようなことを言われたので、特に今日に延ばしたのです。更に延ばすということになれば、恐らくこれは間に合わない、そうすれば全國の沢山の子弟が迷うことになるから、できれば早く審議を進めて、貰いたい。
#36
○岩間正男君 それは私も賛成だが……
#37
○委員長(田中耕太郎君) 速記を止めて。
   〔速記中止〕
#38
○委員長(田中耕太郎君) 速記を始めて。
#39
○河野正夫君 この前総括的な質問のときにも触れたのでありますけれども、速記が附けてなかつたししますので、この際もう一遍このことを速記に留めて置きたいと思います。
 第十五條のところに「國立学校の組織及び運営の細目については、文部省令で定める。」こうあり、十三條にもあり、その他にもあつたかと思いますう、特に伺いたいのは、この十五條の命令の委任であります。この國立学校設置法について一般に不安を起しておる理由は、人によつて違うでありましよう、又動機によつても違うでありましようが、純眞な学生諸君などが心配しており、又有能な大学教授諸君も聊か心配しておるという点は、曾て文部省第一次試案と言われましたか、大学法試案要綱といつたようなもので巷間に傳えられており、それらについて多くの議論を捲き起しておる、そのような大学管理機関といつたようなものが、十五條の政令によつて含められるのじやないか、こういう点が不安に思われる一つであります。更に私は殆んどその可能性を信じませんけれども、学内の学生自治会といつたような組織が、この省令などで左右されるのではないか、こういう不安が一方に生じておるのであります。先ずその二つの点について、明瞭にそういう意思であるかないか、そういうものを含むか、含まないか、ということを説明を願い、更に今予定されておる、政令によつて定めを付する事柄を列挙して頂きたい。
#40
○政府委員(日高第四郎君) 只今御質問のありましたいわゆる大学法試案というようなものがこの委任事項の中に入つて來やしないかというような懸念が一部にあるそうでありますが、そういうことは絶対にございません。で、それは、この法律の御承知のように五十四の勅令及び官制を廃止すると共に、その勅令の根幹的な大綱を組織法に基いて法律化したものでありますので、枝葉細目の部分は政令或いは省令に讓るようになつておりますが、その内容は、すでに官制によつて決められておるものを合目的に整理統合して規定するようになるだろうと思います。方法としては、成るべく当事者との打合せを十分にしてこれを規定して行く方針であります。で、もう一つ大学法試案というようなものがこの委任事項の中に入り得ない理由は、一つは國家行政組織法の中に基く系統の法律であります。大学法試案というのは、いわば行政法系統の法律でありまして、地方教育委員会等と同じように学校の組織ばかりではなくして、むしろ学校の運営、行政面に関する法律なんでありまして、法律の系統が違うという重大な相違もあるのであります。この中に織込むというような意思は毛頭ございません。
 それから自治会その他の問題につきましては、むしろこれは学校当事者の教育的観点からなされるべきものであつて、こういうものまで規定する意思は、只今のところ必要を認めておりません。
#41
○河野正夫君 今最後に聽いた第三点、ここの十五條において予定しておる省令の内容を承わりたい。
#42
○政府委員(稻田清助君) 第十五條の省令としては、尚いろいろ研究中でございますけれども、大体ことの性質上國立大学に分校を置く場合には分校支所を置くとか、事務部局につきまして、所要の部課を置くとか或いは國立大学に包括される学校の課程に関する必要な規定を設けるとか、定員の内訳等に関しまして必要な規定を設けるとか或いは又学長、校長に再委任いたします規定を置くとか、そういうような事項であります。
#43
○河野正夫君 この附則の第五項でありまするが、ここらに残つておる学校はどういう理由で残つておるか。それから暫定的にはこういう旧專門学校或いは旧制大学の形で運営されておるからいいでありましようけれども、先き行きどういうふうになる見込みであるか、その点が第一点。
 序でもう一つ第七項、從前の規定による國立大学の大学院は尚從前の例によつて取扱うというのでありますが、新らしい新制大学にも尚大学院というものが必要ではないかというのであります。それにつきましては將來は当然國立学校設置法に追加さるべきものではないかと思いますが、その点についての予定はどうなつておるか、その二点をお伺いします。
#44
○政府委員(稻田清助君) 第五項の学校のうち東京医科歯科大学につきましては現在予科の二年、三年がございます。それが本科に進学いたしまする時期に新制大学に扱われることになつております。東京医学歯学專門学校につきましても尚学制があるわけであります。それで東京医科歯科大学が新制大学になりますと共に第三條の各大学と同樣に取扱われることになるだろうと思います。それから次の秋田、上田については修正せられております。それから大阪工業專門学校、及び大阪青年師範学校は府立の大学の方に包括せられることになつておりますので、一時一年間経過的にこちらに残つておるわけであります。
 それから大学院に関しましては、大学設置委員会においてその根本となるべき事項を審議せられることになつております。新制大学の四年が進行いたしますまでには新らしい大学に附置せらるべき大学院に関しまする根本が明らかになると考えております。
#45
○河野正夫君 それから附則の第十項に、「第十二條及び前項の規定は、別に政府職員の定員に関して定める法律の適用に影響を及ぼすものではない。」とこういうので、只今出ておる定員法だろうと思うのですが、それを予想して、それは別に定員法によつて制限を受けることは差支はないとしておるのでありまするが、我々この委員会に定員法は掛かつておらないし、私自身がまだ研究しておらないので、甚だ恐縮ですけれども政府委員に答弁を煩わしたいのは、今日出しておる定員法においてはこの十二條及び前項の規定というのと牴触する部分があるかどうかということを承わりたい。
#46
○政府委員(稻田清助君) 定員法の定員の総数の方がここに掲げておりまする定員総数より百二十三名少いのであります。この開きは先般もお答え申上げたように教員については整理をしない、事務職員は欠員の半数を整理するという方針を立てまして、予算を作りました場合には大学の病院の事務職員については手を付けない予定であつたのでありますが、やはりそれも外の事務員並みに欠員の半数を落すということになりましたので、この百二十三名の開きが生じて参つたのであります。
#47
○堀越儀郎君 河野君の質問と多少重複いたしまするが、この法律案を見ますると、政令又は省令で決めるというようなことが多数に散見するのであります。それは將來大学の自治を取上げるのであるというようなことで非常な不安を抱いておる教授なり学生がおるのであります。これを理由として一部爭議が起りかけておる際に、こういう省令、或いは政令というものを一歩間違うと、將來非常に寒心に堪えないような事態が起りやしないかと思いますので、これの取扱について政府のはつきりした見解をお伺いして学生なり教授なりに対して不安の念を除かれるようにしたいと思うのでありますが、御答弁をお願いいたします。
#48
○政府委員(日高第四郎君) 先程御答弁申上げましたように、大学法試案と普通に呼ばれております法律案の内容は、主たる目的は大学の学問及び教育の自主性を如何にして確保すべきであるか、如何なる方法によつてこれを確保し得るかというところに問題がありまして、望むとことは大学の自主性の確保という基準でありますので、その線は守りまして、先程申しましたように廃止されます勅令及び官制の中で、これを一挙になくしてしまつては当分の間の運用にも組織にも差支るようなものだけを、只今申しましたような大学の自主性を目標にして合目的に整理をいたしまして、省令に規定いたしたいと思つているのでございます。これについても先程申しましたように成るたけこれは時間の余裕もそう沢山はございませんので、大仕掛けなことはできないと思うのでありますが、できるだけ大学の代表者たちと打合をいたしまして、適当に自主性の確保に資するように規定いたしたいという方針であります。
#49
○河野正夫君 尚二、三点質問申上げます。昨日も審査をいたしましたので、或いは重複する分があるならば委員長の方で仰せ下されば質問を取消します。遡つての質問でありますが、第八條の講座その他のことを省令で定ねるとありますが、何故この法律で、大体話合が各大学の講座についてはできている筈でありますから、決めるべきものを何故ここで決めなかつたのであるか、この法律の本文において不可能であるならば、施行法というようなものを別に拵えるなり、或いは暫定的なものであるならば附則などでも決め得られると思うのであります。別表というふうにでもすれば、ずつと並べれば簡單にここで審議ができるわけであります。それが何故ここでこの法律の上に載せることができなかつたか、更にもう一つは今後この省令で定めるとありますが、すでに文部省では相当直ちに出発し得るように用意ができていると思います。それらの講座を定める場合の手続が各大学と遺憾なく円満に協定がどきているものかどうか、この点を……
#50
○委員長(田中耕太郎君) ちよつと申上げますが、この点も昨日相当に詳細な答弁がございましたので、簡單に局長から……、速記を止めて。
   〔速記中止〕
#51
○委員長(田中耕太郎君) 速記を始めて。
#52
○河野正夫君 それから第四條の研究所の附置の問題ですけれども、聞きますところによると、この表に抜けているものであるということがあつたのですが、この件も審議は済んだのですか。
#53
○委員長(田中耕太郎君) それも済みましたが、抜けているものはないということです。
#54
○河野正夫君 具体的な例を挙げての質問はありましたか。
#55
○委員長(田中耕太郎君) 一般的な問題でした。具体的な点があれば質問して頂きたいのです。
#56
○河野正夫君 山梨高校の醗酵研究所、或いは九州大学の附属の木材研究所というのがあつたのですが、これは京大の方になつてはいないかと思います。それで九州大学の方にない、これは勿論各大学当事者の話合で研究所が移轉するとかいうことがあつたならば別ですが、そうでなくして抜けているとすれば抜けているだけの理由があつて、廃止しようという経緯があつてこの機会に廃めたというのであれば分りますが。もう一つは濱松高校にテレヴイジヨン研究所があつた筈ですが……尤も勉強していないので濱松高校がどの大学に入るか。これは如何でございますか。
#57
○政府委員(剱木亨弘君) 從來大学研究所と申しますのは大体大学に附置されることになつておつたのでありまして、專門学校におきましては、研究所に相当するような研究施設はございましても、研究所という名称を用いませんで、実際上は研究施設として認められておつたのでございます。從いまして今般これを各大学の研究所に直しますので、例えば山梨高專にございました醗酵科学研究施設及整濱松高專のテイヴィジョンの研究施設等は今後も研究施設として残るのでございまして、これは將來研究所になるかどうかということは今後の問題になるわけであります。それから九州大学にございました木材研究所につきましては、今般久留米高專と九州大学が合併いたしまして、久留米高專に研究所を統合いたしまして、生産科学研究所を統合新設することになつたのでございまして、その中に包接されて参つたのであります。
#58
○若木勝藏君 昨日以來文部省令で定めるというような場合には、文部省としては民主的な方法でこれを行うから、文部省を信頼して貰いたい、心配がないというふうなことであつたのですが、私はこの点について伺いたいのであります。というのは昨年義務教育國庫負担法の一部を改正する法律案のときに、職員の範囲、それから定員、定額は政令を以て定める、こういう項目がある、これにつきましては、私は相当しつつこく質問をしたのでありますが、その際において政府委員の方から十分これは関係團体方面とも協議して民主的に行う、こういうふうな答弁があつたと思うのであります。ところが事実といたしまして、今度の二十四年度の予算と定員は、小学校における場合も中学校における場合も昨年の九月三十日の現在員に対應するような形で決められたのであります。そのために今非常に各地方において問題が起つているのでありますが、あの決め方を私は文部省の方で一方的に決めたのではなかろうか、本当に民主的な……、どんな方法でやつたか、それについて御答弁を願いたいのですが、小学校、中学校の方のような問題でありますけれども、掛かつてこの沢山あるところの省令委任事項に関係して來ると思いますので、その点をお伺いしたいと思います。
#59
○政府委員(剱木亨弘君) 定員定額は政令で定めるということでございますが、今年度は予算におきまして、小学校は從來五十人について一・五が一・三五に、又中学校におきましては一・八が一・七に減少されて予算に計上されたのでございまして、これに即應いたしまして定員、定額を決めなければならない状態にあります。先程もちよつとこれにつきましては触れましたように、二十四年度の定員及び定額につきましては、只今文部省におきましては各附縣のいろいろな実際上の資料を持つて來て頂きまして、附縣の特殊事情というようなものを十分お聞きして只今決めるように努力中でございまして、その決め方につきましては、できるだけ地方なり一般の実情なり特殊事情を考慮して決めたいというふうに考えております。
#60
○若木勝藏君 その点につきまして地方の実情、そういうことを実際の資料の上に立つて決められるというふうなお話がありますけれども、これはいわゆる地方の教育委員会とか、そういうふうな役所系統の者のみによつてやられるつもりか、或いは職員組合というふうなもの、教員組合というようなものを通して、そういうふうなものとも関係を持つか、その点をお伺いいたしたいと思います。
#61
○政府委員(剱木亨弘君) 只今縣の方から参つておりますのは、縣当局、地方教育委員会の当局及び組合の方からもしばしば文部省に参つておられるのでありまして、來られる方につきましてはできるだけの各方面の意見を聞いて決めたいというふうに考えております。
#62
○鈴木憲一君 今若木委員が尋ねられた点に続いてお尋ねしたいと思うのですが、この定員、定額の件は、結局実情に即して今始められておるとおつしやいましたが、予算の枠の中でこれを行なつておいでになるのですか。
#63
○政府委員(剱木亨弘君) さようでございます。
#64
○鈴木憲一君 そうするというと、一方では減るところができ、一方では殖えるところができるという結果になるわけですが、減るところは相当できる筈だと思いますが、その通りですか。
#65
○政府委員(剱木亨弘君) これは十分に定額がございますれば、定員、定額が予算上取れておればそういう困難はないと思いますが、現在非常に予算上減少されました現状におきましては、相当各府縣に対しまして御希望通りには各府縣とも行きませんので、その関係はできるだけ各府縣の事情を開きまして公平な結論を得たい、そういうふうに考えております。從いまして減つ参りますところも、多少殖えるというようなものも実情によつてはあるかと思います。
#66
○岩間正男君 新らしく六十八になりますか、この大学が発足するのでありますが、この予算的な措置についてまあ大体の今とられておる方向について一應説明を先に求めたいと思います。
#67
○河野正夫君 関連して、私も質問しようと思つたのですが、つまり私はその内容といたしまして、岩間君のは現在とられておるという点でありましたが、一体これだけの計画を現下の経済事情からいつていろいろ困難はありましようけれども、文部省としてはどのくらいの予算を持つてやつたら適当であると最初考えたかということを承りたい、そうして更に九億四千万円だつたかの予算だと承りましたが、その中新規のものが三億程だと承つておりますが、その新らしい三億円をどういうふうに使われる予定であるかということが第二点、更に第三点といたしましては、新制大学を設置するために地元といいますか、地方で可なりの運動をしたわけであります。そうして相当の負担を申出ておるわけでありますが、これを古い施設等をも改めて國が買取つて始めると仮定して、そういう創設の費用の地方負担がどのくらいになつておる見積りであるかということを承りたい、この最後の項は教育ばかりでなくして、地方財政という観点からも重要であると思いまするので、新制大学設置に伴う地方負担がどのくらいあるか、総額を承りたい。
#68
○政府委員(稻田清助君) 只今の御質問の前段につきましてお答え申上げます。お言葉にもございましたように、二十四年度の予算につきましては、既定経費六億四千万円と、それから新たに三億円を計上いたしました。その三億円を何に当てるかという点につきましては、それは設備その他の経費として充当する予定でございます。尚新制大学がどのくらいな費用を以て完成する見込みであるかという御質問に対しましては、昭和二十五年度に経常費約一億円、臨時費五億円、合せまして約六億円、昭和二十六年度におきましても同じく六億円、二十七年度に約六億円、合計十八億を將來得まして完成する見込みにいたしております。尚地方経費のことにつきましては、学校教育局次長の方から御説明があると思います。
#69
○政府委員(剱木亨弘君) 今回の國立学校設置に対しまして、地方で非常な熱意を持ちまして協力をして頂いておるのでございますが、それにつきましてはこの設置の計画をいたします当時に、縣その他でこのくらいの負担はするというようなことを申出ておりました、その予定計画は大体全部で十八億二千万円ぐらいになつております。併しながらこれは当初の計画でございまして、その後経済九原則の線に沿いまして、中央のみならず、地方の経費も非常に困難になつて参りましたので、この予定計画に基きます地方の協力は、現在の状況では到底望み得ない事情であると考えられますので、正確に只今地方がどのくらい負担するかということはちよつと分りにくい状態でありますけれども……
#70
○河野正夫君 物も土地も換算して十八億でしようか。
#71
○政府委員(剱木亨弘君) 大体これは金で見積りました。
#72
○岩間正男君 これは河野君の質問と連関するのですが、この程度で大学を……、こんなに六十八も発足させて、それで相当これはやれるという見込をお持ちなんでしようか、その点お伺いします。
#73
○政府委員(日高第四郎君) 最初にこの大学の切換えを計画いたします場に、私共基本的な線を建てまして、現在の日本の財政的状況から申しまして、著しく設備なり内容を充実してこの際出発するということは極めて困難であると考えましたので、一面幾つかの学校を合して、一つの大学にするのと、その施設につきましては、大体現在の施設を基礎にいたしまして、この計画を進めて参りました。大学の内容充実につきましては、我が國の経済状態と睨み合せまして、漸を逐つて逐次これを立派な内容なり設備なりに持つて行きたいという計画を建てて参つているのでございます。從いまして、この当初の予算といたしましては、決して私共十分であると思いませんけれども、少くとも本年度から発足する最小限度のものは計上して頂いていると考えております。
#74
○岩間正男君 日本の学制改革の全般とも睨み合せなければならない問題ですが、そうすると六・三制は御承知のような状態に今なつているわけです。それから新制高校はどうかというと、これも完な運営ということには甚だ遠い状態であります。定時制はどうかというと、これは過般の我々の視察によつて見て來たのでありますけれども、この実際定時制に入つている、つまり定時制の恩惠を受けると言いますか、とにかくそういうような制度の実情を見ますと、大体実際は全体のものの四%から十%程度のものです。東北ではこういうような実情が非常に出ているわけであります。そこへ二、三日前に通過を見ました社会教育法案によつて、また地方負担というものは厖大になつている、そこに新制大学というものが発足する、誠に何と言いますか、この二年の間におきまして、全般的な教育改革が一時に発足したということ、そうしてそのことのために、日本の教育改革全般の問題が、どつちもうまく行かないという情勢が発生しているんですが、なぜこのような、つまり計画性のない、企画性のない方式を採らざるを得なかつたか、その理由を伺いたいと思います。
#75
○政府委員(日高第四郎君) 御承知のように六・三制が十分行つておりませんときに、大学を立派に出発させることは、私共も初めから十分な自信を持つていたわけではないのでありますけれども、併し今日の日本の状況を顧みますと、殆んどどこにも満足なところはないのであります。そういう意味において私共は完全を期していつまでも延ばすよりは、不完全でも新らしい精神を以て、新らしい制度に乘つて行くのが適当であるとの確正を以て出発したのであります。こういう意味において、或る人は新制大学は單なる專門学校の看板の塗り替えに過ぎないとおつしやる方もあるかと思うのでありますけれども、これは先日も申上げましたように新らしい合目的な組織換えをすることと、いい教師を成るべく集めるような施策を講ずること、教育の内容をできるだけ自由に闊達に、そうして教育の機会均等をできるだけ図るというような意味においては、積極的な意味があることを確信いたしまして、不完全であることは我々も十分承知の上で、しないよりはこの方がいいという確信を以て計画を建てているのでありまして、決して無計画とは考えておりません。
#76
○岩間正男君 今の御答弁の中でしないよりはした方がいいというその考え方ですね、そのことが今日六・三制をああいうぶざまな形に陷れている根本的なものじやないかということを私達は指摘したいのであります。実は私の質問した要点には答えて頂けなかつたと思うのであります。私はなぜこういうような事態に追込まれたような形で発足せざるを得なかつたか、その理由はどこにあるかということをお尋ねしているのでありまして、これについてお伺いしたいと思います。
#77
○政府委員(日高第四郎君) これは日本の今日の特殊事情に基くものと御判定頂きたいと思います。
#78
○岩間正男君 まあ特殊事情ということに含みがあるように聞いたのでありますが、一つはこうなんですか、ところてん式に段々六・三制を発足させた、ところが成長して行く、それの受入れ態勢がない、そうすると大学を早く発足させないと間に合わない、こういう事情があつたわけですね、これが一つ。それからもう一つその裏の方に特殊事情があつた、こういうふうに解釈する、そういうわけでありますか。
#79
○政府委員(日高第四郎君) そういう表面的な事実だけではございません。
#80
○岩間正男君 その特殊事情なるものをもう少し分析して話して頂くわけには行かないかと思うのであります。
#81
○政府委員(日高第四郎君) これは日本の敗戰という特殊事情であります。
#82
○岩間正男君 そうすると何かどうも特殊事情という恰好で追込まれたというような印象を受けるのですね、今の御答弁と伺うと……。どうもそれは頗るまずいと思うのでありまして、やはり日本の教育改革は、日本が世界にポツダム宣言並びにいろいろなそういう諸條件によつて公約した教育民主化を通じて、日本の平和、自由、独立というものを確立する、民主主義を確立する、こういうところにあると思うのでありますが、そうすると文部省はそういう受身の立場で、止むを得ずしてどうしてもこれはやらなくちやならない、敗戰という特殊事情によつてどうしてもこれはやらざるを得ないという消極的な態度によつてこれをなされたのであるかどうか、その点を伺いたい。
#83
○政府委員(日高第四郎君) 決してそういう消極的な事情だけではありません、日本を如何にして眞に民主的な眞に平和は文化的な國家にするかというような積極的な意味も十分考えての上でいたしたのでありまして、私共は決して單に受身でこれをやつているのでないことを御了承頂きたいと思います。
#84
○岩間正男君 日本の平和、民主化というものを狙われるということは非常に結構でありますが、それがつまり裏付のない基盤のない、もつとはつきり言えば経済的な、それを受入れて情勢を本当に成熟させるというそういう基礎的な條件を欠いておるような実情の中で、そういうものを発足させるということで、果して眞の民主的な裏付のある実体のあるものにすることができるかということは、非常にこれは論議のあるところだと思う、それでこれは古い言葉でありますが、殷鑑遠からず六・三制がすでに前車の履りを見せておるのではないか、そういう中においてなぜこういうような一つの混乱の收拾のつかないさなかにおきまして、このような大学法案を一体提出しなければならないのであるか、というその眞の理由が私にはよく分らないのでありますが、この点もつと徹底的に一つ御答弁を願いたいのであります。
#85
○政府委員(左藤義詮君) 日本をこの苦しい状態から再建いたしますのには、教育というものの持つ力が非常に大きいと信じますので、只今申しました非常に苦しい中にも何とかして六・三がここまで進行しまして、大学も発足して、その努力によつて、國民の努力によつてここに経済的な充実ができて、十分な裏付をするように、鐘が先か撞木が先が、相並んで進んで行きたい、かように存じておりますので、その点一つ御了承をお願いいたしたい。
#86
○高良とみ君 議事進行を願いたいと思うのであります。この質問は私共も幾らでも論ずる問題は多いのでありますが、この教育改革の大切な通に当りまして、無限の質問をやつて行けば、切りもないのでありまするので、この法律に從いましていい学校のできますることを期待いたしまして、暫らく仮すに時を以てし、私共も監視を怠らないで行きたいと思いまするので、この辺で御採決を願うことの動議を提出いたします。
#87
○委員長(田中耕太郎君) 高良君の動議に……
#88
○松野喜内君 岩間委員を初め、熱心に連日この問題については論じて來た次第です。実に徹底的にいつまでも論議したい氣持は誠に同感でありますが、何にしても今期は明日に迫つておるのであります故に、この点我々今高良委員のおつしやる通り、質疑を打切つたらどうかということに御同調願いたい、私も賛成いたします。
#89
○岩間正男君 今の動議の前に……
#90
○委員長(田中耕太郎君) どういう御発言です。
#91
○岩間正男君 やはり明らかにしなければならないのは、今の経済の問題と教員の質、その問題は一番重要です。
#92
○委員長(田中耕太郎君) すでに動議が出ておりますから。
#93
○岩間正男君 こういう問題は、残つておるうちにやはり十分盡して、時間がまだ三十時間以上あると思う、だからそういうことは明らかにされることがそれ程差迫つておりませんと思うので、外の諸君にもまだ質問があると思うのでありますが、これを継続されることを切望いたします。
#94
○委員長(田中耕太郎君) ちよつと申しますが、まだ請願が沢山残つております。それの審議にも相当時間が必要じやないかと思いますので……
#95
○委員長(田中耕太郎君) ちよつと速記を止めて。
   〔速記中止〕
#96
○委員長(田中耕太郎君) 速記を始めて。それでは質疑は十分間として、今十五分ですから、二十五分までお一人二分ぐらいにして頂きたいと思います。
#97
○岩間正男君 それでは地方財政にどういう影響を與えるかということを第一点としてききたい、それから第二点は教員の、これは非常に多くの教員がおると思うのでありますが、これを一体どのように補充し、どのように養成するかということが、大学法を発足させる重要な問題であると思うのであります。この二点についてできるだけ詳しく説明して貰いたい。
#98
○政府委員(剱木亨弘君) 地方財政につきましては、私共地方に強制するということはいたさないのでございまするから、地方財政の許す限りにおいて、大学への援助をお願いしたいと思つております。それから教員の補充でございますが、これは程度、素質を向上するためには、早急に立派な教授が充実されるとは考えられませんので、相当の年月を仮して頂かなければなりませんが、併し尚完成年度までは四年間ございますし、できるだけこの教員の再教育その他によりまして、現在の人の向上、及びいい教員を養成する方途に向つて全力を注いで参りたいと考えております。
#99
○鈴木憲一君 極く簡單に答えて頂きます。簡單に問いますから。六十八校中十七校程研究所を持つているようでありますが、この研究所の設置は今後非常に増加されるのでありますか。
#100
○政府委員(剱木亨弘君) 研究所のあるべき姿につきましては、只今今回できました学術会議におきまして相当研究をさるべきものだと思います。恐らく学術会議におきまして、將來の研究所を如何にすべきか、多くすべきか、若しくは統合すべきか、そういつたような問題について研究をされたものが、政府に対して勧告になる問題だと思いますので、その勧告を俟つて考えて参りたいと考えております。
#101
○鈴木憲一君 今度のこの研究所の予算は、先に予算が取つてあつて、後で新らしくできたものまで入れて分配したものですか。
#102
○説明員(森田孝君) さようでございます。
#103
○鈴木憲一君 もう一点だけ。沢山の研究所の中に……、東京教育大学などに、教育研究所というものを設置されるべきが当然ではないかと思いますがそういうことは……
#104
○政府委員(稻田清助君) 教員養成につきましては教員養成協議会の答申を待つて將來考究されるだろうと思います。
#105
○梅津錦一君 重大な質問でありますので政府の態度なり、或いはこれに対する対処方法を明快にお答え願いたいと思うのですが、目下大学生がこの大学設置法案に絡まる幾多の疑惑のために、今期の新聞では百十一校すでにストに入つておつて、そのストがますます拡がるような樣相を呈しておるのでございます。この問題は單に学生を刺戟しているということばかりでなくして、その学生の裏に、後におるところの父兄も或いは一般大衆も大きな関心を持つておると思う、腕を拱いておつていい問題でないと思いますが、こうした問題がこと程さように刺戟しているその実体がどこにあるか、それに対して政府は調査が進んであるか、又進んでおとするならば、このストに対するところの善後措置をどうするか、これを野放図に構わんで置くわけには行かないのでありまして、この点に対しましては單に文部省ばかりの問題ではないと思う、日本政府の問題であると私は考えますので、文部省並びに政府、政府といつても最高責任者はおりませんので、総理大臣にききたい問題ですが、文部省だけの見解を成るべく丁寧に御説明を願いたいと思います。
#106
○政府委員(日高第四郎君) 今度の学生のストライキの中には相当誤解とそれから臆測が入つておると思うのでありまして、先程もお話がありましたように、学校設置法の中に先程申しましたようないわゆる大学法試案というようなものが織込まれて、隱されて、そして頭を將來出して來るのではないかというようなこともあつたように聞いておりますし、私はそうであろうと思うのでありますが、学生諸君が日本の將來のために、日本の文化を低くしないために憂うる氣持は私達と全く同感でありますけれども、ただ現実の事実を十分に突止めないで結論に走ることは、やはり政治的訓練が足りないと私は思つておるのでありまして、この点は將來と雖もこういう誤解の起らないように、文部省も十分事実を表明いたしたいのと同時に、学校当局にもこの事実を成るべく速かに知らせて、学生諸君の誤解を予め防ぎたいと思つておるのであります。
 それからもう一つは、この法案を國の最高の決議機関であり、又最も信頼すべき國会において御審議になつてこれが通るようになりますれば、誤解は一掃されるものと期待いたしております。その他のものについて、目的のために特にストライキそのものを目標としてやるようなものについては、これは別に指導を要するかと存じております。
#107
○梅津錦一君 河野君の時間もあるのですが……、そうしますというと、この誤解を解くのは國会の審議によつてなされるということでございますが、すでにこの法案の通ることを惧れておりますので、若しこの法案が通つてもこの誤解は私は解けない、そこで政府並びに文部当局はこのストライキに対して声明を発する用意ありや否や、このことをおききしたいと思います。
#108
○政府委員(日高第四郎君) これは情勢如何によつては声明を発するかも知れませんけれども、私は國民が國会を信頼する限りは、國会自身が差支ないとしてお通し下さるようなことがあれば、國民はこれに信頼して誤解は解けるであろうと期待いたしております。
#109
○委員長(田中耕太郎君) 別に御発言ございませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
#110
○委員長(田中耕太郎君) 御発言ございませんければ本案に対する質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#111
○委員長(田中耕太郎君) 御異議ないものと認めます。
 それでは討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願いたいと思います。
#112
○鈴木憲一君 私は誠に抽象的な言い分で相済まないと思うのでありますが、由來大改革が行われますときには常に行き過ぎることが多いということを反省させられるのであります。すべて事が大改革、大革新というときには非常にその振幅が大に過ぎまするので、いつも反動が予想される通りに起つて來るのであります。そこでいつも過ぎることを心配する者は、ややともすると大事をとり過ぎて眞に定まり止まる所に及ばないで、又一歩過ぎるときには、これ亦眞に止まる所を逸してしまうのであります。この法案はそういう見地から見ますると、我が國の教育制度の一大改新に当面しておるときに、その眞を決すべき非常に大きな法案であると考えておる者であります。併しながらこの内容がどうも一面から見まするというと、心配の度が中に盛り込められ過ぎておるように思いまして、却つて安きを図ろうとして不安を増大しておる点が多いのではないかと思うのであります。例えば政令、省令というものが多く中に取込められておる点はそういうふうに私は考えられるのであります。こういう点を繞りまして本案は非常に論議が繰返されたのでございまするが、私は尚更に論議を十分盡して、眞に改革時における法案として至れり盡せるものを自然のうちに纏め上げたいというような氣持を強く持つておる者なのであります。併しながら大分時間も迫つて参りましたので、その靜かに磨きを掛けるということが欠乏して参つたように考えられます。これが一たび議を盡されて安定しました法案になりますれば、自然に不安というものは除去されまして、そうしてそこからこの法案の目的というものが自然に運行するようになる筈であると思います。連日幾多の法案審議がむしろ急速に行われ、短時間にこれを結末を見なければならないというように追い込まれて來たのは本委員会、本法案ばかりではないのでありまするが、特にこういうふうに会期が迫つて参りますると、何とも不十分の感が強くて仕樣がない、少くともこの法案は我が國教育学問の画期的な而も最高の学府である新らしい大学を発足せしめるというようなその決定をすべき重大な法案でありますところから考えまして、どうしてもこの法案は更に更に内容的にももつと深く檢討されてでき上らねばならないのだと確信をするのであります。文部省自身もこの出発には自信がないというようなことまでも言つておられるところから考えまして、私はこの感を深くするのであります。そういうようなわけでありまして、この法案は幾多の疑問を含まれながらも本委員会において採決の段階まで來たわけでありまして、自然に磨かれて安定し、決定して行つた法案だとはどうしても考えられないし、こうした不十分な一点からしましても、少くとも新大学の発足に対しましては私は心配があるのであります。こういう意味よりしまして私は本案に賛成だと言う勇氣を出し得ないのであります。で、ここに率直に私は反対を表明しなければならないと思うのであります。
#113
○堀越儀郎君 私は緑風会を代表いたしまして本案に賛成いたします。
 我が國の教育制度の発展に画期的な改革をしまして発足するものであり、一日も早く法案の成立を見まして発足されることを希望する者であります。ただ先程から政府委員の説明を聽いておりましても、その予算措置において十分でない点が非常に遺憾と思うのであります。そういう点から地方負担が増加して地方財政を圧迫することのないよう今後十分の予算措置を講ぜられるよう希望いたしまして、この法案の中に盛られておりますような政令、省令というようなことの不安に対する先程からの政府当局の御答弁がありましたが、我々はそれを信頼してこの法案が十分に運用されるよう希望いたしまして賛成いたします。
#114
○藤田芳雄君 私は國立学校設置法案というものが、立派なものが一日も早くできることを希望する者でありますが、残念ながら只今議題になつております法案には賛意を表し難いのであります。理由が重複いたしますけれども、自分の思つていることを述べさして貰います。
 先ず第一に、先程も各位から申されましたように財政的な裏付が誠に少いのでありまして、殊にそれが結局今最も窮迫しております地方財政への圧迫を來す原因とも思われ、それなくしてさえ地方財政は今や崩壊せんとしておりますのに、そこへ加えて又こうしたものが出て行くことはそれに拍車を掛けるものとしか思われないのであります。その点今の形で発足することが非常に危險な形になる。
 第二は、只今も鈴木委員からお話があつたのでありますが、この重要な法案を審議する期間が非常に少かつたために私共の質問なり、或いは私共の考えております点を十分に聽き出し、又その修正する余地さえ持つ得なかつたことなのであります。ですからこの法案の不備なことはすでに質問のところどころに出ておりまして、例えば單なる学校の名称にいたしましても、ここへ載せたものを又変更しなければならなくなりましたし、或いは同じ國立大学でありながら或るものは國立の名前が付き、或るものは付かないとか、或いは又妙な形から特殊な何か因縁があるのかないのか分らないような名前を特に付けなければならんというような点もあり、その他いろいろ審議すべき不備な点が多々あつたと思うのであります。それらも仮すに時日を以ていたしますならば今少しそうした欠陷を直し得たと思う。
 それから堀越委員からもお話のありましたように、重要な部面に政令並びに省令によるというようなものが出ておりまして、これが相当一般社会、殊にこの方面に熱心に、殊に我が國の最高学府の学問の独立を願い、健全な発達を希望する者であればある程、そこに非常に不安を持つて出て來ておる、それに対して先程私留守にはいたしておりましたけれども、特に御質問下さつて文部当局からその点不安のないような御答弁があつたそうでありますけれども、私といたしましてはそういう答弁に拘わらず、法案そのものにすでに誰が見ても一見してそうした不安のないような形に修正がしたかつたのであります。それらの根本的なものといたしましてこれの裏付になるところの大学令とでも申しますか、或いは大学管理機関とでも申しますが、そうしたような関係した法律がここへ出て來なければならない、或いは私立学校の法案にいたしましても、このが出て來なければ完全に理解のできない法案になるのではないかと思う。ですから仮すに審議の時間がありますならば、若しも政府の手でできないならば我々の手ででもそうした法案を作りまして、そうしてこの國立学校設置法案が、誰が見えても手離しに、説明なしに安心して、本当に最高学府として発足でき、学問者独立も自主性も持ち得られるような法案となし得ることができたと思うのですが、そうした審議を遂にやらなかつた、こうした形の上でこの法案を今出して行くということは、必要なことは確かに必要だと私も痛感いたしますけれども、その結果、又先程指摘されましたように六・三制の教育のごとく甚だしく混乱に陷ることを惧れますために、このままの形においては残念ながら賛成いたしかねるという意味を申述べまして、反対の意思表示といたします。
#115
○岩間正男君 私はこの法案に反対であります。その理由はいろいろありますが、先程から述べられましたように、先ず財政的な裏付けがない、そうしてそのために先程質問いたしましたように、日本の統一的な、教育改革の系統的な発展の上にこれは立つていない、そうしてそこに計画性が非常にない、そういう形で一番重要な教育の内容を本当に培つて行くところの裏付けとしての財的措置がないということが、基本的なこの法案に対して反対せざるを得ない理由であります。
 先程から申述べましたように、六・三制で我々は実にもうああいうような無計画、そうしてその置かないよりはある方がいい、一寸でも進むということによつて現実はどうかというと、実は何百歩か後退しておる、教育内容は最初の目標に対して接近するどころか非常に逆の傾向を辿つておる、殊に六・三制の六の場合なんか、教育の非常な重荷と破壞的な條件が起つておるのであります。そういうような最中にありまして、地方財政を非常に圧迫するようなこの法案の実施が、地方財政の混乱の中で、而も地方自治というような自治体の上に乘せて発生させるような形で、國庫からもこれは負担が非常に少いという本來の性格の下に発足させることはとても不安でたまらないのでありまして、我々はこの大学の眞の発生、眞の育成を望むが故に、その第一点におきまして先ず反対の意向を持つ者であります。
 第二点は、この法案は、大体この法案が成立する過程を見ますというと、十分に御主的な寸法がとられていないということであります、先ず第一に、設置基準というものが設定されておりますけれども、この設置基準そのものは、多くの関係者の意向を十分に聽き、その上に立つてなされているのでなくて、実は設置委員会なるものが、そのような人民の意思とい無関係にいつの間にか作られ、そうしてその設置委員会にこの問題の重要な、この問題を解決する権能を與えまして、その中で設置基準が設定され、更にこの法案が立案されたというような形を辿つておるのであります。この委員会そのものの形、更にそれによつて作られたところの設置規準というものは、十分にこれを御主的なものは我々は断定することはできない、こういう措置によつて急速に而も十分な自信がない形で、発足しないよりは発足する方がいいのだ、或る場合には不十分で自信が持てないが発足させる、こういうような形で発足することは非常に危險であります。そのことが今日の例えば今全國に起つておりますところの学生盟休のようなものを惹起したところの主なる原因ではないか、こういうことが考えられるのであります。もつと当事者の要求というものを眞に聞き、把握し、これを一つの立法措置の中に十分に含めるということは今後のこれは教育行政の中で非常に重要な問題なんでありますが、そういうような措置が十分とられていない、だから從つてこういうような天下り的な法案に対しまして、今まで当事者の、殊にこの大学に対して最もその將來立体的な立場をなすところの学生たちが、反対の運動というようなものを展開しておるというような形で現われておるのでありまして、この問題を文部省が十分に取上げてこの問題を十分に解決するというようなそういうような民主的な方法がとられなかつたならば、たとえこのような法案が実施されたとしても、今後の運営において果して円滑を期し得るかどうかという点において非常に疑問を持たざるを得ないのであります。こういうような点を私は第二点の反対理由とするのであります。
 第三点ではこの大学の一体、実はどうなるか、内容はどうなるかという問題であります。即ち私は大体この法案によりますというと、今までも述べて來たのでありますが、内容は非常に低下するのではないか、いわば從來の高等学校にちよつと毛の生えたものに大学という名前を付けて発足させる、成る程日本の各府縣に一つ以上の大学ができて喜ばしいというような形になるかも知れません、これは日本人が今まで持つたところの大学に対する迷信に近いような、信仰に近いような一つの幻影、そういうようなものをこの國民が何といいますか非常に愛好しておつた、そういうような心理と連関しまして、結局まあ大学ができる、そういうことにおいて一應形においては喜んでおり、又それに努力をしたというようなことが見えるのであります。殊に去年あたりの請願を見ますというと、この部分が大学設置に関するところの運動であつて、各地方で爭奪戰が行われ、名称についてもいろいろの問題が起き、それから更にこの中心の学校を運営する機関をどこに置くか等で爭奪戰が展開された、併しながらこういうような形でこの問題が小さい地方の方に段々累積されて、大きな基本的な問題がこういうようなものにすり替えられるという方向について、私は今後の教育行政上これを警戒しなければならない、これは人民が大学の設置に対して非常に熱愛しておるというふうな、文部省の若し考え方でこういうことを取上げておるとしたならば、私は更にそれに開きがあるのじやないかと思うのであります、それはそういうようなことではなくして大学という名前が欲しいのであり、その実体については恐らくこれを実施して見れば私はそのような人たちの間に非常な不満が起るのではないかと思うのであります。從つてこの專門的な研究、從來日本の学の中に持つておりました、これはよい意味も惡い意味をも含めて言うのでありますけれども、よい面、そういうような專門的な研究の方向において質的低下があるのではないか、学の尊嚴確立というものは殆んど維持されるような態勢になつておるかどうか、これには疑わしい点があるのであります。更に大学院というようなものが当然この法案の中で規定され、そしてもつと高度な学の系統というものが打立てられることが望ましいのでありますが、そういうものに対する顧慮も十分にやる暇もなくて早急にこのような法案で提出された、こういうことにつきましては私は第三の反対の理由とするのであります。
 その外の問題としましてはこの法案の設置に当りましていろいろな問題があると思いますが、例えば名称の問題、こういうような点については先程からこれは心配がないのである、飽くまでも民主的に運用するのであるから、この点については何ら不安がないのだというような文部省側の答弁があつたのでありますけれども、併しながら今までの行政の中におきまして学生の自治を相当彈圧する、そういうような行政措置がしばしば行われたのであります。こういうような不安が残つておるからして今日やはり文部省令によつて定められるということに対して学生たちは十分に心の底から承服することができない、こういうふうな不安がもつと明確にもつと法律化される必要があると思うのでありますが、そういうような法制措置をとるだけの十分の時間もこの法案の審議のときには與えられなかつたのであります。
 こういうような以上の点を総合して考えてみますときに、どうもこの法案を日本の現実の態勢の中で発足させるということは、恐くら徒らに大学という名目を掲げて、実は内容のないところの実態に陥るということが余りに我我としては先が見られるのでありまして、そういう点におきまして我々文部のこの立法に携わつておる者としましては、このような見通しを持つた法案に対しましてはこれは自分の職責におきまして俄かに今ここで賛成するということは当然これはできない。もつともつとこの法案を練り直して、もつともつと民主的な手段を講じ、そうして十分に関係者の参加を望んで、そうしてこのような法案が、本当にこれは人民大衆のものであるという形において発足することが望ましいのであります。こういう法案の性格、並びに日本の経済的な現実、こういうものとの連関におきましてこの法案が持つておる危險性を指摘して私は反対討論といたしたいと思います。
#116
○委員長(田中耕太郎君) 外に御発言ございませんか。
#117
○河野正夫君 社会党の立場からこの法案についての意見を述べます。この法案の我々にとつて不満だとするところは、第一に法的な準備が不完全があるということであります。この國今走と共にいや、それ以前から國立大学の設置基準法、大学行政法というようなものが相当に公開審議されて、而も法律的な制定を見ておらなければならなかつた、こう思うのであります。それなくして突如としてこういう設置法のみ出て來るので、多くの不安と、而もいろいろな障碍を予想せられるということが我々の不満の一つであります。
 第二に他の委員からも発言がありましたが、新しい出発に際して予算的な裏付けが少いということが不安の第二点でありまして、これは先程年次計画的なものを伺いましたけれども、六・三制、新制中学の出発に際して極めて少量の予算しか得られず、その後長い間の政治的期待を以て、而も今日において國家支出が零になつているというような現状からこの予算の將來というものに対して我々はこの責任を以て考えることができない、こういう不満があるのであります。第三に政令委任について、勿論実施に当る場合にについて政令の委任することは差支えないでありますけれども、こういう情勢下にあつていろいろな諸般の情勢を勘案いたしますると、今少し深切に施行法という別の法律を以上ててでもここに大網は法律で以て決定すべきであるとこう思うのであります。岩間委員も言われましたけれども特に我が社会党としては從來の態度からしても当然ここで修正案を提出する義務を感ずるのであります。併しながら時間とにその余裕がないのと同時に正直に告白いたしますと、我我々その資料が十分に揃つておらないのであります。各十六歳つか大学のおのおのについての、例えば定員、職種、そういうものについての別表を作らなければならん、講座についての別表を作らなければならない、こういうことが我々には不可能なのであります。ただ先程政府委員からの説明のあつた程度の何ケ條から政令ならば我々としてもそれを法案化して法律で以てすることは可能であろうと思うのでありますけれども、それさえもこの際修正の余裕がない、こういうふうに追い詰められて法案が出されたということ、而も政令委任事項が多いということが我々の不満の第三点であります。
 最後に我々はこの法案について確にその必要性を痛切に感ずるのであります。昨年來各府縣の当局乃至は住民、学生、教授諸君というような方々が新らしい大学法の設置を自覚して猛烈な運動を展開し、支も多くの地方負担を敢て申出でているくらいでありまして、或いは新制高等学校が卒業生を出した、この卒業生の行先ということについては、これは当然逡巡を許さない、時間的にもはや三月卒業以来今日まで遊んでおるということに対しても我々は責任を感ずるのであります。併しながら一方において、法案に最高の完全性を要求しないとしても、もう少し満足するものを作るだけの時間的余裕がない、一方においてその必要性を痛感する、こういう態度決定の困難さに追いやられておるので我々の現状であります。この故に我々は非常に長い間文部委員として社会党に属する者は非常に愼重に論議したのでありまするけれども、結論としてこの法案が通つて、新制大学が出発した場合に、將來に亘つて責任を負うことができない、我々はこの法案を通すことは簡單にできますけれども、將來に対して責任を負うことができないという一点が結論となつたのであります。故に遺憾ながら反対をいたします。
#118
○委員長(田中耕太郎君) 御意見も盡きたようであります。討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#119
○委員長(田中耕太郎君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に移ります。
 衆議院の修正しました國立学校設置法案を議題といたします。本案を可決することに賛成の方の御起立を願います。
   〔起立者多数〕
#120
○委員長(田中耕太郎君) 多数でございます。よつて國立学校設置法案は多数を以て可決することに決定いたしました。
 尚本会議における委員長の口頭報告等は正規の手続並びに、慣例に從いまして、処理いたすことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#121
○委員長(田中耕太郎君) 御異議ないと認めます。それでは左樣取計います。尚署名も型の通りにお願いいたします。
 多数意見者署名
    高良 とみ  木内キヤウ
    堀越 儀郎  深水 六郎
    山本 勇造  大隈 信幸
    西田 天香  左藤 義詮
    松野 喜内
#122
○委員長(田中耕太郎君) それでは本日はこれで散会いたします。
   午後五時五十七分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     田中耕太郎君
   理事
           若木 勝藏君
           松野 喜内君
           木内キヤウ君
           岩間 正男君
   委員
           梅津 錦一君
           左藤 義詮君
           河野 正夫君
           大隈 信幸君
           深水 六郎君
           梅原 眞隆君
           堀越 儀郎君
           高良 とみ君
           西田 天香君
           山本 勇造君
           鈴木 憲一君
           藤田 芳雄君
  國務大臣
   文 部 大 臣 高瀬荘太郎君
  政府委員
   文部政務次官  左藤 義詮君
   文部事務官
   (学校教育局
   長)      日高第四郎君
   文部事務官
   (文部省学校教
   育局次長)   剱木 亨弘君
   文部事務官
   (教科書局長) 稻田 清助君
  説明員
   文部事務官
   (大臣官房文書
   課長)     森田  孝君
ソース: 国立国会図書館
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