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#1
第061回国会 地方行政委員会 第32号
昭和四十四年五月十六日(金曜日)
    午前十時三十九分開議
 出席委員
   委員長 鹿野 彦吉君
   理事 大石 八治君 理事 塩川正十郎君
   理事 古屋  亨君 理事 細田 吉藏君
   理事 保岡 武久君 理事 山口 鶴男君
   理事 山本弥之助君 理事 折小野良一君
      青木 正久君    奧野 誠亮君
      桂木 鉄夫君    亀山 孝一君
      吉川 久衛君    斎藤 寿夫君
      竹下  登君    渡海元三郎君
      永山 忠則君    二階堂 進君
      山口 敏夫君    井岡 大治君
      太田 一夫君    河上 民雄君
      細谷 治嘉君    依田 圭五君
      門司  亮君    小川新一郎君
      小濱 新次君    林  百郎君
 出席国務大臣
        自 治 大 臣 野田 武夫君
        国 務 大 臣
        (総理府総務長
        官)      床次 徳二君
 出席政府委員
        人事院事務総局
        任用局長    岡田 勝二君
        総理府人事局長 栗山 廉平君
        社会保障制度審
        議会事務局長  福田 芳助君
        自治政務次官  砂田 重民君
        自治省行政局長 長野 士郎君
 委員外の出席者
        労働省労政局労
        政課長     大坪健一郎君
        自治省行政局公
        務員部長    鎌田 要人君
    ―――――――――――――
五月十六日
 委員青木正久君、奧野誠亮君及び桂木鉄夫君辞
 任につき、その補欠として山口敏夫君、竹下登
 君及び二階堂進君が議長の指名で委員に選任さ
 れた。
同日
 委員竹下登君、二階堂進君及び山口敏夫君辞任
 につき、その補欠として奧野誠亮君、桂木鉄夫
 君及び青木正久君が議長の指名で委員に選任さ
 れた。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 地方公務員法の一部を改正する法律案について
     ――――◇―――――
#2
○鹿野委員長 これより会議を開きます。
 地方公務員法の一部を改正する法律案に関し発言を求められておりますので、順次これを許します。細谷治嘉君。
#3
○細谷委員 大臣にお尋ねいたしますが、地方公務員に定年制を設けることで、政府はどこかに約束をしていらっしゃいますか。
#4
○野田国務大臣 いや、特別何もどこにも約束していません。
#5
○細谷委員 どこにも約束していないということでございますけれども、全国市長会が出しております「地方公務員の定年制の即時実現に関する要望参考資料」を見ますと、ほとんど毎年のように決議がなされております。その決議の一例でありますが、たとえば昭和三十四年六月十九日の第二十二回全国市長会議では、「政府は自治庁長官その他のしばしばの言明にもかかわらず、国家公務員停年制との関連等を理由として、未だにその実現をみないことは、誠に遺憾に堪えないところである。」それから四十一年十一月三十日の全国市長会の評議員会の決定によりますと、「政府も再三にわたりその実施を公約しているものである。」と、こういうふうに書いてございます。そういたしますと、これは大臣のことばと違いますね。
#6
○野田国務大臣 従来、どういういきさつがあったか知りませんが、私は陳情、要望は受けたことはありますけれども、約束した覚えはありません。ただ、政府は、定年制の法案をつくりたいという意思があったから、それを言ったかもしれませんが、前にしたかせぬかということは、そこまで私はわかりませんけれども、私は別に約束したことはございません。強い要望を受けたことは事実です。これは各方面からいろいろ御意見を聞いておりますから、そのとおりでございます。
#7
○細谷委員 この決議をずっと読んでいきますと、大臣は自分の任期外のことについてはしばしばよく存じないということで、私どもから見ますと、どうも自分以外の大臣の言明については責任のがれのような、おおよそ大臣の人格らしくないようなことばがしばしば聞かれるのでありますけれども、これは大臣でありますから、前の大臣なり元の大臣のやったことでありましても、現在の大臣が責任を負わなければならぬのでございまして、単なる要望、陳情として承ったというものではないことは、この資料の決議なりを見ますとはっきりいたすわけですよ。単なる要望であったのですか。陳情に過ぎなかったのですか。
#8
○野田国務大臣 細谷さんのお話を聞くと、わからぬではありませんが、いろいろなこのやりとりその他、概括的に、政治的にどうだというふうな大きな政治論からいえば別でしょうが、いまの御質問は、私に約束したかどうかと聞かれたと私は解釈していますから、私は別に約束して、特別この問題を最初から取り上げておりません。しかし、いろいろな私の政治的判断によって、定年制をきめたほうがいいという判断のもとに私はやっておる。だから、前の大臣その他のやられたことを否定するということではございませんが、私に約束したかとおっしゃるものだから、私はことさらに約束しておりませんものですから、そういうお答えをしたのであります。しかし、自治省として今日までの態度はどうであるかというと、それは、私はその場におりませんから、その決議が間違っているとか正しいとかという――一貫して定年制法案を出しておりますから、おそらく今度は実現しようということはあったかと思います。私のときには、強い要望はだいぶ受けましたけれども、やってみなければなかなかわからぬことですから、私はこういうたちの男ですから、必ずこれは実現するなんてことはなかなか――この法案は、長い間のもので、いろいろむずかしい法案であることは私は知っておりまして、要望に沿うていろいろ検討した結果判断したのですから、その点は、細谷さんの御質問に対して、私自身のことだと思ったものですからそうお答えしたのでございます。
#9
○細谷委員 この問題は、鹿野委員長のことしの全国市長会における発言等とも関連いたすわけでありまして、私はやはり無視できない問題ではないか、こう思うのです。しかし、大臣といたしましては、それは要望、決議があったということを聞いたのであって、はっきりと約束した覚えは自分としてはない、自分の信念に基づいて提案をいたしたのだ、こういうことでありますから、まあ、そういうことで私は了承しておきたいと思うのであります。
 そこで、お尋ねいたしたいのでありますが、三十一年に法律が出されまして、四十三年までおおよそ十二年間ばかりブランクになっておったというのはどういう理由なんでしょうか。
#10
○長野政府委員 三十一年と申しますか、むしろ、定年制の問題は、地方公務員法が二十五年に制定をされまして、二十六年に施行になりましたときに、問題としては始まったわけでございます。従来定年制をしいておりました地方団体が、公務員法施行後は、定年制を自由に施行することは法律に違反するという考え方がとられましたために、その後直ちに問題になっておるわけでございます。三十一年には参議院を通過いたしまして、衆議院で審議未了になり、その後四十三年までブランクというわけでございませんで、その間にも絶えず研究はし、検討はいたしておったように私どもは聞いております。その間、ますますそういう必要が高まっておることではございましたけれども、改正案を提案をして実施するということまでに至らなかったということではなかろうかと思います。
#11
○細谷委員 いまのお答えでは納得できないわけですね。おっしゃるように、三十一年に、地方公務員に定年制を設けることができるという内容の法案が出されまして、参議院を通過して、衆議院で継続審議になり、最終的には廃案になったわけですね。それから、四十一年にほぼ同じ内容、同じ性格の法案が準備されたわけでありますけれども、この委員会でも問題になりましたように、やはりこれは労働の基本的なものであるから、公務員制度審議会に検討をしてもらおう、こういうことになりまして、四十一年の三月十一日ですか、そういうことで提案をしない、こういうことになったわけですね。ところが、四十二年に公務員部ができまして、四十三年に出された内容というのは、三十一年法案、四十一年法案とはその質を異にする、現在出されている法案と同じものが出てまいったわけですね。でありますから、どうも私は、少なくとも三十一年から四十一年の間、そして四十一年から四十三年にいって突然変異を起こしているわけですね。この辺の経過がのみ込めない。いまのことばだけではわからないですよ。これは一貫性がないですよ。
#12
○長野政府委員 三十一年から四十一年までの間は、そういう三十一年の国会の経緯もありますので、自治省としては、その必要を認めながらなお検討を続けてきたということであろうと私は思います。
#13
○細谷委員 なお検討をしたと言ったって、三十一年から四十一年まではおおよそ十年間ですね。検討を続けて同じ内容のものが出たわけでしょう。四十一年から四十三年になって突然、内容、質を異にする法案が出てまいったわけですね。この経過がわからないですよ。ですから大臣、あなたはどうも再三にわたって約束しておる、こういうことで大臣が自主的に判断してやったのだというけれども、そういう外部の政治的な圧力が非常に強かったのではないかと、自然の形で想像せざるを得ないわけです。いかがですか、大臣。
#14
○野田国務大臣 確かに三十一年から四十一年の空白があって、御疑念があるのはわかります。だいぶ時間が長い。そこで、いまお話のありました四十二年に公務員部ができた。そこでやはり私、就任後いろいろ説明を聞きまして、その中にこの定年制というものが懸案事項の中に入っていた。そこで、公務員部もできておりますし、その必要であるかどうかということを検討しようということで、公務員部を中心として、たとえば定年制を設けるということについてはどういう案がいいか、いろいろ検討を重ね、結論においては、やはり地方公共団体に定年制の道を開くのがいいという結論に達しましたので、過去のいろいろな事情もさることながら、つまり懸案でございましたから、それから、新たに公務員部ができておりますし、この案に対する検討も加えておったようでございますから、この法案を提出するにあたっては最も妥当、適切な案をつくったがいいということで、三十一年の法律案と今回提出しました法律案の内容がやや違っている内容を含んでいるということでございまして、私の知る限りにおきましては、長い間この問題は、先ほど申しましたいわゆる役所の懸案として保留されておった。そこで、新たな公務員部を中心として法律案の内容の検討を重ねてきた、こういういきさつを聞いております。
#15
○細谷委員 いま大臣のことばを聞きますと、いみじくも私が昨日質問いたしました、四十二年に発足した公務員部というのは、巷間伝えられておるように、地方公務員に定年制を設ける、それともう一つは、先ほど、三原則というのがありますけれども、それは実際はたな上げして、地方公務員の基本的権利というものを剥奪する役割りで生まれたのではないかと当時いわれ、今日でもそういうふうにいわれておるのを、文字どおり地でいっている。言ってみますと、四十一年法案の内容、質を根本的に変えた四十三年法案というのが出てきた。そうしてやっきになって定年制の問題をかつてないような意欲を燃やしてやっておる。きのうも私が例を申し上げましたような形で、いろいろな形で地方公務員の、言ってみますと、ことばは適切じゃありませんけれども、基本的な権利を縮小する、剥奪する方向で動いておる、こういうのが時代の流れから客観的に証拠立てられるのではないかと思うのですが、いかがですか。
#16
○野田国務大臣 私は、遺徳ながら細谷さんの御解釈とは違います。公務員部というものができたのは、やはり地方公務員に関するあらゆる問題を検討する、これは私は非常に地方公務員を重要視しているというたてまえから公務員部を設置した、こう考えております。その意味におきまして、私が先ほど申しましたとおり、定年制のごときは、いま論議があっておるようでございまして、できるだけ適正な、しかも妥当な案でなければいかぬというのは当然でございます。公務員部におきましてこれに関与するということは、公務員部の設置の目的からいたしましても当然でございます。定年制を設けるために公務員部ができた、これはちょっと私の解釈とは違うし、それならば、定年制が成立したら公務員部を廃止するかというような極端な話になるわけでございますが、そういう意思は毛頭ございませんし、あくまでも公務員の問題を親切に、しかも妥当な方法で考えていくということが公務員部設置の目的でございますから、そう御解釈になるということは私の解釈とは食い違うわけでございます。決して定年制を強引にやるためにわざわざ部をつくったのではございません。これは何も部をつくりませんでも、法案というものは――これは百も御承知でございましょうけれども、特別その法案をつくるために部をつくる必要もございませんし、ことにいま、三十一年もこうやっておりますが、しかし公務員部ができましたから、やはりそれに、どうすればこの法案が、いま申しましたとおり適正なものができるか、これを研究し検討するのはあたりまえのことだ、こう私は理解しております。
#17
○細谷委員 大臣のことばで、地方公務員を重要視しておる、これはたくさんおりますし、いわゆる地方行財政の第一線で活躍しておるわけですから、重要視しなければならぬのは当然でありますけれども、四十二年に、大臣も御存じだろうと思うのですけれども、自治省が大蔵省に予算要求をした中には、行政局内に公務員部を設ける、財政局内に地方公営企業部を設ける、二つの要求をいたして、最終的には二者択一で公務員部だけができたのでしょう。今日の地方公営企業というのはたいへんな問題になっておりますけれども、その後はこの問題についてはからっきり熱意を失っている――というと少しなんでありますけれども、少しも前進していない。そういうことから言いますと、大臣は地方公務員に重点を置いていると言うけれども、私の考えからいきますと、その重点の置き方は、定年制を設けること、あるいは地方公務員の権利剥奪というところに重点が置かれているのであって、大臣のしばしば言う、前向きの姿勢でこれを重点として取り組んでおるのではないのじゃないか、こういうふうに私は思うのであります。いかがですか。
#18
○野田国務大臣 繰り返しお答えいたすのでありますが、たとえば公営企業の問題、部ができた、できなかったということでございますが、実は私どもは非常に頭を痛めて、何とか公営企業の問題を一歩でも前進させたいということを一生懸命考えております。これはほんとうの気持ちです。同時に、地方公務員は何といっても直接のいわゆる働いている方でございますから、私どもとしてこれを重要視するのは何も私がことさら言う必要はない、当然のわれわれの使命でございます。役所の使命を体得している役人でございますれば当然これは重要視すべきことだ、こう考えております。したがって、公務員部というものは、私が先ほど申し上げましたとおり、その目的において一生懸命働いている、こう私は解釈いたしております。
#19
○細谷委員 大臣、その正しい姿勢、地方自治の本旨を達成するという前向きの姿勢で取り組んでおらぬ、こういうふうにいわれておりますし、私もそう考えますから、ひとつ特段の配慮、努力を要請しておきたいと思います。
 そこで、これは大臣にお伺いしたいのでありますけれども、三十一年法というのには、当時の提案理由の説明を読んでみますと、改正の第一点は、市町村の公平委員会を廃止してその事務は都道府県の人事委員会に処理せしむるということが一点であります。第二点は、地方公共団体において条例で職員の停年制を設ける道を開く、これが第二点であります。第三点は、臨時待命制度を引き続き当分の間実施する、これが第三点であります。
 この法案を読んでみますと、公平委員会というのは、言ってみますと職員の身分を守る機関ですね。これは廃止して定年制を設ける、こういうかっこうになっておるわけですね。そして臨時待命制度を当分の間引き継ぐ、こういうかっこうになっております。
 ところで、これが参議院を通過する際にいろいろな付帯条件がつけられておるわけですね。この参議院通過の際の付帯条件というものは御存じですか。
#20
○長野政府委員 三十一年の参議院地方行政委員会で出されました附帯決議は、一は、「教職員については、その特殊性にかんがみ、停年制の急激な影響を避けるため予め特別の考慮を加え、本年度の実施により教育を阻害することなきよう努めること。」これが第一点でございます。第二点は、「条例の実施については、相当の猶予期間を置くこと。」第三点は、「海外引揚者又は長期にわたり兵役に服した者又は他の者をもつて代うべからざる知識技能を有する者等については、これが適用につき相当の斟酌を加えること。」第四点は、「停年者には過渡的に待命制度等を考慮すること。」第五、「単純労務に従事する者については停年年令につき特別の斟酌をすること。」こういうことが、三十一年の参議院におきます附帯決議であるように存じております。
#21
○細谷委員 あとで私は質問いたしたいと思うのでありますが、この参議院審議中に、質疑等を通じて、国家公務員はどうなっているか、こういう質問に対して、公務員制度調査会が検討中であり、内閣の調査室で公務員制度の改革について準備中である、こういうように答えて、今日まで十五年近くなったのでありますが、これは、どうなったのでしょうか、総理府……。
#22
○鹿野委員長 栗山人事局長が来ましたから、細谷委員、もう一ぺん繰り返して質問願います。
#23
○細谷委員 三十一年、参議院で審議した際に、国家公務員についてはどうなっているか、こういう質問に対して、公務員制度調査会が検討中であり、内閣の調査室で公務員制度の改革について準備中である、確かに公務員制度調査会が検討して答申が出たことは事実でありますが、後段の内閣の調査室で公務員制度の改革について準備中であるということでありますから、今日は昭和四十四年、三十一年でありますから十三、四年たっておるのでありますが、これはどうなったか、こういうことであります。
#24
○栗山政府委員 先生のいまの御質問は、公務員制度調査会で、内閣の公務員制度調査室がいろいろ研究するという話があったがどうなったかという御質問だと了解いたしますが、当時総理府の官房に公務員制度調査室というものが設けられておりまして、いろいろ公務員制度の問題についての研究をいたしたわけでございます。いろいろ研究いたしたわけでございますが、表に出すところまで至らなかったというふうに私は聞いているわけでございます。
#25
○細谷委員 おかしいじゃないですか。それはもうことばのあやでごまかそうとしている。質問のやりとりで要点でありますが、内閣の調査室で公務員制度の改革について準備中であるというのですから、改革しようと考えたのでしょう。そうでしょう。準備中だというのですから、何もないということはないでしょう、十何年間して、いまの答弁じゃだめですよ。
#26
○栗山政府委員 先ほどちょっと申し上げましたように、総理府のほうに公務員制度調査室というものがございまして、先生のおっしゃいました内閣調査室のことは別途にございますから、いまの公務員制度のほうをおっしゃったものであると了解いたしますが、総理府のほうも、公務員制度調査室におきまして、ただいまおっしゃいましたように、公務員制度のことにつきましていろいろ研究をいたしたわけでございます。
 そこで、いまの先生の御質問の中の意味をくみますと、おそらく制度そのもののいろいろの改革というような点についてどうだったかという御質問が中心だろうと思いますけれども、ここの公務員制度調査室でいろいろ研究いたしました結果の一つとしまして表に出ましたものは、給与制度の改正ということはいたしております。当時の給与の制度をいろいろ改革しまして、十二等級の制度であるとか、そういうものをつくりまして、法案といたしまして国会に提出をして法改正を願ったという経緯はございます。
#27
○細谷委員 それは答弁にならないですよ。質問は、国家公務員についてはどうなるか、こういうような問いに対して、内閣の調査室で公務員制度の問題として検討中だ、こういうことでしょう。私が問題にしておる点は、その場限りの答弁、法案の審議の際に、何とかその場のがれの答弁をしておけばあとは野となれ山となれ、言ってみますれば国会軽視の答弁、それはすでにこの委員会でも論議されましたように、四十一年に法案を出すにあたって、三月九日の日には一応担当五人委員会の大臣で決定しながら、十一日には公務員制度審議会で検討をいただこう、そしてその問題の取り扱いについては運営小委員会にゆだねておるにかかわらず、今日雲散霧消をしておる。全くあなた方は責任を果たしておらぬじゃないですか。公務員制度審議会の運営小委員会にゆだねたままで決着をつけないじゃないですか。これが問題なんですよ。無責任な態度ですよ。
#28
○栗山政府委員 ただいまの公務員制度審議会のお話でございますが、その前に、先ほどの調査室の件につきまして、私ちょっと舌足らずな点がございましたので少し補足させていただきます。
 先ほどの昭和三十年ごろの公務員制度調査室でございますが、申し上げましたごとく、給与の改定につきましていろいろいたしました。これは申し上げたわけでございます。そのほか公務員制度並びに機構の改正につきましてはいろいろ研究をいたしました結果、案はいろいろあったようでございますが、表に実を結んで出たのはございませんで、結局、最終的には先生よく御承知だと存じますけれども、例のILOの八十七号条約の批准に伴いまして、いろいろ国家公務員法、それから国家公務員法の中に書いてあります人事機構の改正という、現行法のかっこうに実を結んだという、形式的にはそういうことに相なっておりますので御承知おきを願いたいと思います。
 それから、今度は審議会でございますが、公務員制度審議会は、御承知のごとく安井総務長官からちょっと御意見をというお話があった、これは事実でございます。それにつきまして審議会におきましては、はたしていまの総務長官のお話が公務員制度審議会の審議の権限内にあるのかどうかという疑問をお出しになった委員もあるようでございます。それから、審議はするのかしないのか、するとすればどうするのかというようなことについて、やはりこれは運営小委員会で、いまおっしゃいましたようにそこで協議をした上でなければということになった、そこまでは事実でございます。そこで、その後審議会のほうに、何といいますか、矢を放されたといいますか、お渡しになってしまった問題でございまして、あとは審議会のほうでこれを受けとめるか受けとめないか、それから、受けとめたらどうするという問題は、審議会のほうで独自に今度お考えになるということになったわけでございますが、御承知のごとく審議会のほうでは、それはそのままにいたされたというのが事実の経過でございます。
#29
○細谷委員 審議会がそのままにされた。確かに審議会は運営小委員会にこの取り扱いはまかされた。その後任期満了になった。新しく第二次の公制審というのができた。それについて、あなた、この間の答弁では、総理大臣から一々やらなければ話にならないのだ、そういう答弁をしているでしょう。私は、あなたのほうが全く無責任じゃないかということを申し上げているのですよ。公務員制度審議会がこれを議論しないのだから公務員制度審議会が悪いのだなんという、そんなことを言っているわけじゃないのですよ。そういう経過できちんとしておるのに、あなたは、いやILOが途中できたから結果は御存じのとおりだとか、あるいは公務員制度審議会がこれに取り組まなかったのだとか、こういうふうに言うこと自体が無責任きわまるものじゃないか、こう私は申し上げておるのです。無責任だったでしょう。どうですか。
#30
○栗山政府委員 私が申し上げておりますることは、審議会が怠慢であったとか、あるいは政府側が働かなかったとかいう問題を申し上げているわけではございませんで、結局審議会におきまして自発的といいますか、独自にいろいろお考えになるべき問題ということで、政府側からああだこうだということを申し上げるべき筋のものではないというふうに考えておるものですから、そういうふうに申し上げたわけでございます。
#31
○細谷委員 この問題は後ほどまた詳しく質問をしたいと思うのであります。
 そこで、大臣にお尋ねしたいのでありますが、四十三年四月二十五日の第五十八回国会の衆議院本会議において、山口鶴男氏の質問、社会保障制度審議会の答申について尋ねた部分があります。それについて当時の自治大臣はこう答えております。「今回は、とりあえず定年制の施行時に在職する職員が定年で退職し再雇用された場合における当分の間の暫定的な措置としたものであります。今後答申の趣旨を十分に検討の上、善処してまいりたいと考えております。決してこの審議会を無視したなどということではございません。」こういうふうに当時の赤澤自治大臣は答えております。
 ところで、せんだってこの委員会で大臣は、「当分の間の暫定的な措置」ということばではなくて、大出委員の質問に対して「ほんの暫定的」な措置、こういうふうに答えたと私は記憶しております。「ほんの暫定的」な措置というのはどういうことなんでしょうか。
#32
○野田国務大臣 これはことばの使い方ですが、やはり当分の間、ほんのといいますか、何かことばの口走りの関係でしょうか、当分の間の暫定的措置、こう考えております。
#33
○細谷委員 ことばの印象としましては「当分の間」というのと「ほんの暫定的」というのとは違うのですよ。大臣も御承知のように、地方自治法附則八条、地方事務官制度、これは昭和二十二年に地方自治法ができたときにできて、今日では昭和四十四年でありますから、二十二、三年たっておりますけれども、まだ「当分の間」が続いているのですよ。もはや戦後でないといっていますが、この「当分の間」はまだ戦後ですよ。ところが大臣は、「ほんの暫定的」な措置、こういうことでありますが、私は大臣の「ほんの暫定的」な措置というのはかなり意欲的なものとお伺いしたのでありますが、お取り消しになりますか。
#34
○野田国務大臣 これは赤澤自治大臣のお答えと同じように、私も先般お答えしましたが、ほんの暫定的か、当分か、この当分も期間がいろいろありましょうが、できるだけひとつ善処するということばを申し上げておるとおりでございまして、それが早ければ早いほどよろしゅうございますが、まあいつごろかということはいま検討して、いろいろ制度上のものでもございますから、これでもって突き通そうということでなく、できれば早いほうがいいという考え方でそういうことばを使ったと思います。それは期間はいつごろかとか、当分という期間の解釈ということになりますが、私の気持ちはそういう気持ちでお答えいたしたのでございます。
#35
○細谷委員 「ほんの」というのはどうもお取り消しになったようであります。取り消したのでしょう。
#36
○野田国務大臣 まあ取り消したというか、できるだけ早くという気持ちでございますから、どういうふうに解釈できますか。しかし、時間的なこともございますから、当分ということばがどこにはまるか、私の気持ちの中では、できるだけいいほうに持っていきたい、適法でいきたい、いろいろな制度上の摩擦が起こらぬようにしたいという気持ちがあるものですから、そういう気持ちをあらわしたと思っております。
#37
○細谷委員 大臣、お取り消しにならないわけですから、大臣の腹がまえは、やはり文字どおりほんの当分の間だ、こういうお気持ちだろうと思うのです。
 まずお尋ねしたいことは、四十三年法と今回出ておる四十四年法案というのは一字一句も変わってないわけですね。一年たっているわけですが、この間検討を加えたのですか。
#38
○長野政府委員 お答え申し上げます。
 その間におきましても、社会保障制度審議会の答申の御趣旨がございますので、関係各省との間ではしばしば研究を重ねてまいりましたけれども、ただいまのところまでではなお結論を得ないということでございます。
#39
○細谷委員 四十三年三月一日に社会保障制度審議会の会長から自治大臣に出された答申には、「全く他を省みない短見である。」という表現を使っておりますけれども、これは「短見」ということば以上のものですよ。そうでしょう。こんなばかなことはないですよ。「短見」ということになりますと、若干でも合理性なり理論的なあれがありますけれども、これは合理性もあるいは公平性も何もないですよ。「短見」なんということばで表現できるものじゃない。内容はそうですよ。確かに答申は「短見」ということがありますね。その前に書いてありますのは「社会保険制度の区画を変更しようとすることはものの順序が逆である。」こういうふうにいっておるわけですね。内容は、短見どころじゃないですね。でありますから、大臣がほんの暫定的なものだ、こういうことでありますから、私は、大臣のことばは当然だろうと思うのです。「ほんの」というのを大臣が取り消さないのは、あたりまえのことだと思うのですよ。にもかかわらず、四十三年法と四十四年法の関係は、一字一句も変わらない。客観的には、検討をした痕跡も認められない。こういうのはまことに遺憾だと思うのですが、大臣、どうですか。
#40
○野田国務大臣 これは各省間にわたっておることでありまして、検討いたしておることは事実でございますが、まだ今日まで結論を得ておりませんのは非常に遺憾と思っております。
#41
○細谷委員 一体、共済年金というものは、使用者と被使用者がフィフティ・フィフティで出し合って、プールで成り立っておるものなんですね。そういう制度に、こういう定年制で離職した者を乗っけるなんてことは、これはもう社会保障制度を破壊する以外の何ものでもないのですね。不合理きわまりないと私は思うのですよ。検討したけれども何も出なかった、ただ単に、これは困るということで、当分の間の暫定的な措置という、そういう答弁で逃げておる、こういうことなんですね。いまの答弁では、大臣、納得できないですよ。
#42
○鎌田説明員 大臣の御答弁を若干事務的に補足さしていただきたいと思います。
 昨年三月一日に社会保障制度審議会から御承知のような答申が出たわけでございます。再三この席上でも御答弁申し上げておりますように、もともと私どもの考え方は、共済組合員として再雇用職員も残りながら年金を受給できる道はないものであろうか、こういうことから出発をいたしたわけでございます。ところが、現行の国あるいは公共企業体、地方公務員を通じてでございますけれども、共済制度におきましては、御案内のとおり、在職老齢年金の制度がないわけでございます。厚生年金の場合でございますと、男子の場合、通常の場合でございますと六十歳からつくわけでございますが、六十五歳になりますと在職老齢年金の支給の道があるわけでございます。私どもといたしましては、再雇用職員に対して、年金をもらいながらつとめられるという、そういう意味におきましては善意であったつもりであるわけでございますが、役所をやめて他の企業に行かれる、あるいは自家営業される、あるいは引退される、あるいは当該団体に非常勤の形で勤務される方は、いずれも年金がつくわけでございます。たまたま当該団体に再雇用という形でおつとめになられる場合だけ年金の支給の道がないということも、その面から見ますとアンバランスという感じがするものでございますから、そういうことでは八方手を尽くしたわけでございますけれども、結局在職のまま支給するということは、現在の共済制度としてにわかには関係各省間の話がつかなかったわけでございます。
 ただ、基本的に大臣が先ほど将来の方向として申し上げたかと思いますけれども、将来の方向といたしましては、この答申の後段でございますが、しかしながら共済組合員のまま支給できる道を開くということは考慮し得べき方法であろう、この趣旨に沿いまして、在職老齢年金というものを公務員の共済制度に導入できないかということを考えておる次第でございます。
#43
○細谷委員 大臣、この答申にも書いてありますように、「定年制の採否は、各事業主の人事管理上のいわば私的な政策であつて、その便宜のために公的な社会保険制度の区画を変更しようとすることはものの順序が逆である。」そのとおりですね。「もしこれを強行すれば、民間の同様なケースに対してもこれを拒むことはできなくなるであろう。また実体的に同様な勧奨退職者との間にも明らかに権衡を失する。現に実在する国家公務員等の同様の例への影響も何ら考慮されてはいない。失業保険、災害補償等の適用は従来どおり公務員の扱いということも中途半端である。さらに管理上の手数が不便となることも確かである。このような案が政府部内においてまとまったことは理解に苦しむ。要するに定年制導入のために、経過的に必要な定年再雇用者の立場のみに着目し、全く他を省みない短見である。」短見どころじゃないですよ。るる大臣が答えているように、この法律ができてからも、各自治体の意思によって条例が制定されるんだ、自治省は何も強制をしないんです、こう言っていますね。たとえばAの市が条例を制定した、そして再雇用した、Bの市はその条例を制定しない、ところがBの市の使用者も被使用者、職員も、プールでありますから払っていくわけですね。その負担をしているわけですよ。自治体個々の実情によって条例を制定すれば足りるんだ、こうおっしゃいますけれども、プール制なんでありますから、人の負担でやろう、これは政令の内容はわかっておりませんけれども、新聞等でうかがいますと、大体において、やめてもらって再雇用した者には、そのやめるときの給料の六割くらいにして、残りの四割というのは共済組合で補てんしてもらおうということでしょう。そうして、大体においてやめたときの給料くらいにしようというのが自治省の考えでしょう。こんなばかなことはありませんよ。条例を設けた市が自分の負担をするんなら別として、これは人のふんどしで相撲をとっているんでしょう。これは短見どころじゃないですよ。共済制度の基本をくずすものですよ。こんなばかなことは許せるものじゃありません。具体的な例をあげれば幾らでもありますね。たとえば国家公務員が府県や何かの地方公務員になっていったとする。そういう場合もいろいろ問題があるでしょう、人のふんどしで相撲をとっているのですから。ですから大臣、あなたはほんの暫定的というので、赤澤さんよりも当分の間ということで――法律さえ通ればあとはもう知らぬというのが従来の例ですが、大臣に限ってそんなことはなさらぬと思うのですよ。それがほんの暫定的な措置ということばになってあらわれたものと私は思うのでありますけれども、これは許されないでしょう。そんなことできませんよ。かりに定年制ができて、条例ができて、再雇用するんならば、それは当然なこととしてその自治体が負担すべきでしょう。共済の、人のふんどしで相撲をとって、四割はそこで見てもらって、賃金を切り下げて六割くらいで再雇用しようというのですから、こんな制度は許されないと思うのですね。ですから私は、短見どころの問題ではない、こう申し上げているのですよ。大臣、これは明確にお答えいただかぬといかぬと思いますよ。
#44
○野田国務大臣 答申の趣旨も私も存じておりますし、また細谷さんの御意見も傾聴しております。ただ、定年制を実施する場合に、退職者の方の生活保障と申しますか、そういうものに重点を置いたのでございまして、この共済組合の問題と関連いたしますのは、いま事務的に申しましたとおり、厚生年金をどうするかとか、いろいろな点を検討いたしましたが、やはりいまのところ事務的に各省間の話し合いもつかないし、また御指摘のありましたように、今度の法案に出ております再雇用者に対する共済年金というものが的確なものじゃないということもわかっておりますから、できるだけ早く各省間の話し合いを進めまして、そしてなるべく早く改革していきたいというのが私どものいま持っている考え方でございます。これはとてもほっておいていけるものじゃない。すでにいまの社会保障制度審議会の答申もありますから、とうていこれを、法案が通ったらほおかむりしてわからぬうちにいこうなんということは許せないと思っております。しかし、各省間でずいぶん検討いたしてみましたけれども、最後の結論が出ないのでございますから、とりあえず退職者の方の生活ということに重点を置き過ぎたといいますか、置くべきことですから、そういうことから出た一つの案でございまして、これがいい案であるからこれを続けていこうなんということは毛頭考えておりませんし、なるべく早く手をつけて改革していきたい、こう思っております。
#45
○細谷委員 ですから、あなたも私どもの尊敬する政治いちずに生きてきた先輩なんですよ。この社会保障制度審議会の答申に書いてあるのを読むまでもなく、これは短見どころじゃなく、誤りなんですね。人のふんどしで相撲を取るなんということを許してはいけないです。当分の間ということも誤りなんですから、一日でもそういうことをやってはいかぬのでありますから、検討をし直されたほうがいいのじゃないか、この一点だけでも、そう私は申し上げざるを得ないのであります。
 ところが、残念ながら、大臣は出した手前、少し大臣らしくないえこじを張っておるように思うのですが、とにかく当分の間じゃなくて、ほんの当分の間にするから何とかしてくれ、こういうおことばでありますけれども、曲がったものは一曲がったもの、これは通すわけにいかぬと私は思うのですよ。ですから、この一点だけでも、この法案は練り直していただかなければならぬ。それを四十三年法、一年過ぎた四十四年も同じものを出してくるということは、これは残念ながら、いかに大臣のことばでも、このままほおかむりするつもりだ、幸いといいますか、私ども国民にとってはたいへん不幸でありますけれども、あるいは職員にとっては不幸でありますけれども、共済なんというのは、大体自治省が権力的に押えることができるのだから、それでやっちまえということにつながるのではないかと私は思うのです。重要な点でありますから、ひとつ大臣に再答弁願いたい。
#46
○長野政府委員 この共済につきまして、再雇用いたしました場合に、共済の関係からはずれまして、そして年金をもらうことが共済自体に影響を与えるではないかという御議論でございます。それはその点においては確かにそのとおりでございますが、ただこれは、昨日も御説明申し上げましたように、勧奨退職、定年退職をいたしましたような現在の場合でも、民間営業なり自家営業なり、いろいろなところへ事実上の再就職をする人も相当おるわけでございますが、こういう人はやはりまず第一に、年金年限に達しておりますものについては年金をもらうということになってくる。したがって、民間に再雇用される場合と地方団体に再雇用される場合と同じように考えていくということのほうが均衡を得るゆえんではないかということでございます。
 もう一点は、民間におられた方が地方団体に就職をされる、こうなりますと、今度は、地方団体のほうに中途でお入りになりますれば、これはまた当然にその方は共済組合員となって共済法の適用が受けられる。また地方団体をやめまして民間に雇用されますと、厚生年金なり健康保険なりの適用を受ける。民間の人が公務員に中途で採用されれば、厚年法の適用から共済法の適用に移っていく、こういうことになって、相互の関係は同じような関係でございますけれども、社会保障制度審議会の答申では、そういうことで共済の世界から厚年の世界に移っていくというようなことは、区画変更でおかしいという御意見をいただいておることは御指摘のとおりであります。
 それからまた、第二点目には、地方団体が定年退職によって行政の合理化、能率化、刷新がはかれるということだから、その利益は地方団体だけでそれを補てんするようなことを考えるために、退職手当の増額なり私的な有期年金等を団体ごとで考えるべきではないかという御意見があることもそのとおりでございますが、これにつきましては、共済というものが各種の公的年金を公務員については統一するという考え方でありますし、その点の検討もいたしておりますけれども、まだ十分な結論を得ておりません。申し上げたとおりであります。しかしまた、答申におきましては、これは人事交流とか、そういうものもあるから、いろいろな実情を考慮しながら、共済制度の中でいわゆる在職老齢年金的なものを見つけ出していくというようなこともまた考えられる道であるということをお書きになっております。そういう答申もいただいておるわけであります。したがって、筋を違えるということは、共済と厚年というふうなものが入り組むことが筋が違うじゃないかという御指摘であります。
 それからもう一つは、定年退職によって利益を得たのはその団体だから、その団体が払ったらいいという御指摘が一つあります。しかしながら、第三番目には、そうはいうけれども、いろいろな観点から人事交流とか、そういう実情、あるいはまた恩給法の仕組み、厚生年金保険の在職老齢年金等の趣旨から考えて、共済の中でそういう退職者について考えることはできないかという御指摘をいただいておるわけであります。私どももそれにつきましていろいろ検討いたしておりますけれども、なお先ほど来申し上げておりますとおり、各省間での十分な話し合いを得るまでに至っていない、こういうことでございます。今後も、大臣の御発言のとおりに、できるだけ早い機会に結論を得次第、答申の趣旨の実現のほうへ向かってまいりたいと考えております。
#47
○細谷委員 いまのは詭弁ですよ。たとえば現在の社会保障制度、いわば保険制度でありますけれども、そういうものの適用は部分的で中途はんぱだということも言っておりますが、とにかくA市は再雇用をする、その再雇用というのも、きのうも門司委員から質問がありましたように、今度の法律では、地方公務員法三条三項三号「準ずる者の職」の下に「並びに定年に達したこと、により地方公共団体の職を退いた者が当該地方公共団体の特定の業務に期間を定めて雇用される場合のその者の職」というのですから、これは言ってみますと任命権者の恣意ですよ。あのやろうは少し気に食わぬから絶対に再雇用しない、これは客観性がないですよ。あの人は採ってやろう、しかもそういう形になる可能性、いわゆる公務員制度を非常に破壊する、動揺させる可能性の改正まで、きのう指摘されたように行なわれようとしておるわけですね。それが何かわからぬ、嘱託なら嘱託とあるのでありますけれども、その下にわざわざ長文のものを修正しよう、手を加えようというわけです。それでB市のほうにそういう制度を設けておらない、そういうものの負担でやっていく、これはおかしな話ですよ。そんなことは許されないと私は思うんですね。ですから、一年間やったけれども結論が出なかった、あるいは、いってみますと、四十一年法、これは出さなかったわけですけれども、それから今日まで数年の期間があったわけですから、こんな結論を出すのなら、結論が出ないはずはないわけですよ。それを出さないで「当分の間」で逃げ込もうというのは問題があります。大臣、これはどうしても納得できない。人の負担で定年制度を設けようなんという、そんなばかな話はありませんよ。ですから、どうしても通したいというなら、この再雇用者についての扱いの部分は削除なさったらいいでしょう。私はそう思う。大臣、いかがですか。
#48
○野田国務大臣 いまいろいろと御意見も拝聴し、また政府委員からも御答弁いたしました。経過は政府委員の答弁しましたとおりでございます。これは、私もたびたび申しましたとおり、やはり社会保障制度審議会の答申もあったことでございますから、十分この点を勘案いたしまして、この案が決して最善だとか適当だというのじゃございませんから、なるべくすみやかに各省間の話し合いと、社会保障制度審議会の意向等も尊重しまして改正していきたい。しかし、帰するところは、いま申しましたとおり、定年退職なさった方方で再雇用される方、また民間に行かれる方もありましょうし、自分で仕事をなさる方もございましょうし、いろいろな事情を総合的に考えまして、やはり退職者の方の生活というものを考えた結果、なかなかその結論が出ないままに、いまのこの提案をいたしました共済制度を利用していく、こういう結論に達しました。しかし、これは何べんも申しますとおり、まことに暫定的でございまして、なるべく早く合理性のある案にかえていきたい、こう考えております。
#49
○細谷委員 これはまことに暫定的だということばがまた出たわけですけれども、私は大臣のことばとしてはきわめて遺憾ないまの答えだと思うのです。こんなものは短見的のものだからだめだ、ですからやり直せということができないのならば、少なくとも大臣みずからが、この部分は削除なさったほうがよろしいのじゃないかということを申し上げておきたいと思うのです。
 そこで、時間がありませんから次に進みたいのであります。
 昨日、門司委員の質問に対して大臣と法制局長官の答弁が違いまして、憲法二十七条の労働権というのは法制局長官におまかせします、こういうことになって、これは社会権だということになったわけであります。私は法律の専門家ではありませんので、簡単な本を読んでみました。宮沢さんという憲法学者が社会権ということについてこういうことを書いております。これは二十七条、二十八条の問題でありますが、「ここで社会権と呼ぶものは、社会・経済権とか、生存権的基本権とか呼ばれることもある。自由国家の理念の下では、それらはかならずしも自然権の性質を有する人権とは考えられなかったが、社会国家の理念の下では、各国民に人間らしい生活を保障することが国家の任務だと考えられるから、そうした社会権を人間の尊厳の理念に由来する自然権的な性質を有する人権だとされるようになる。」こう書いてあります。
 さらに菊池勇夫さんという九大の教授であった人でありますが、こう書いてあります。「「労働の保護」と「団結の自由」に関するもので、第二十七条と第二十八条がそれである。労働者のために特有の権利として、労働基本権と称される。」あるいは生活保護等は生存権的基本権だ、こういうものは社会権的基本権に属する、こういうものは侵しちゃいかぬのだというふうに書いてあります。菊池さんの論文では、「労働の単なる自由権よりも進んだ社会権として労働者の雇用を確保する意味を持っている。働く意思と能力を持っているすべての国民に、就職の機会を与えることを国の責務とする意味の「労働権」である。したがって、労働者の意に反して生ずる失業に対しては、国がこれを放置しないで対策を立てなければならない。」こういうふうに書いてあります。そういうことからいきますと、憲法二十七条、二十八条という基本的精神、社会権ということで意見を統一したようでありますが、この精神からいきますと、定年制を設けることは、憲法違反なんと大きな声を出して言いたくありませんけれども、少なくとも問題があるのではないか、こういうふうに思うのでありますが、大臣、いかがですか。
#50
○野田国務大臣 昨日の質疑応答で、憲法二十七条の労働権というものに対する解釈、これは社会権と申しますか経済権と申しますか、政府の見解は統一してお答えいたしたのであります。これはやはり国民に勤労獲得の機会をなるべく保障するといういわゆる憲法上の解釈からしましても、政治的にもこの姿勢をとるべきだ。これは私もわかります。そこで、定年制と憲法の問題でございますから、憲法の問題は私あまりつまびらかでございませんし、憲法の知識は非常に乏しいのでございますが、常識的に申しますと、定年制は一つの組織体において一定の年齢に達した場合に、その組織体における雇用関係をなくすることを定めるにとどまるものであって、その人の勤労を阻むものではないということが基本でありまして、そこで勤労の機会を奪うというような基本権の侵害ということではない。また定年制は、職業選択の自由とか生存権とか勤労の権利――憲法上いろいろなものがたくさんあります。したがって、この定年制の法案の裏に、再雇用とか、あるいはその他の道を開くように、決して勤労の機会を奪うという趣旨は全然そこに入っておりません。したがって、定年制そのものと憲法の二十七条の解釈というものが全然矛盾するものだという考え方は持っておりません。
#51
○細谷委員 大臣、最近最高裁の判例で、例の昭和三十三年ですか、都教組のいわゆる勤評闘争に対する最高裁の判決が出ましたね。あるいはごく最近になりますと、日教組の官之原委員長等がいわゆる人事院勧告の完全実施という形で行動をしたことについて、その責任者を追及して起訴されておりました。この起訴を取り下げたじゃないですか。こういう一連の最近の事例、あるいは全逓の中郵問題についての判決、こういうものを見てみますと、この労働権というものは非常に重要な、言ってみますれば侵すべからざるものだと私は思うのですよ。それはあとで質問しますけれども、分限だか何だかわからぬようなえたいの知れないもので、たくさんの中に一本ちょこんと「定年に達したとき。」なんということで入れて、労働の権利を奪っていく。これは私はたいへん大きな問題ではないかと思うのですが、大臣、そうお思いになりませんか。
#52
○野田国務大臣 私は、先ほど申しましたとおり、定年制が必ずしも労働の権利を奪うものだとは思っておりません。民間の定年制もある。これはもちろん団体交渉なんかできめておりますから、別にそれをもってあれこれ私理由としませんけれども、たとえば、国家公務員の中でも、御承知のとおり法律をもって定年制をきめている職種もございますし、これが必ずしも憲法上労働権を奪うというのとは直接つながらない。もちろんわれわれは労働権を非常に尊重しなければならぬことは十分わかっております。そこで、特にこの定年制の道を開く場合には再雇用の道を開くべきだという考え方も、やはり労働権を尊重いたしておりますから、そういう考え方でもって調整しよう、こう考えておるのでございます。
#53
○細谷委員 それは、再雇用の道という問題じゃなくて、労働権というものを、いや再雇用してやるから、そんなものですりかえられる筋合いのものじゃないわけですね。大臣がそういう答弁をなさるとは私は予想外でした。そんなものじゃないですよ。最近の最高裁の判決を見ても、あるいはほかの例における――少数意見でありますけれども、そういうものの最高裁の判例等を読んでみても、そんな簡単なものではない。再雇用してやるのだからいいんだ。憲法の二十七条なり二十八条はそんなものじゃないのですよ。それは民間の場合には、大臣も御承知のように団体交渉権、団結権、こういう権利があります。そういうものによって労働協約として確認されているわけですね。お互いの合意の上で労働協約ができているわけです。就業規則によった場合でも、就業規則の場合には、それをちゃんと労働組合が認めて、そしてでき上がっておるのが就業規則でありますから、その場合とこの公務員の場合とは全く違いますよ。そうでしょう。それを、再雇用するからそれでいいのだ、こういうものにはならないですよ。大臣、いかがです。
#54
○長野政府委員 私ども、憲法については政府部内の解釈を統一されるわけでありますから、どうこう申し上げるわけにはまいりませんが、二十七条は、いわゆる勤労の権利と義務の基本規定であることは御指摘のとおりでありますけれども、この点につきましては、いろいろな解説なり学説もございますが、結局のところ、それは具体的な権利や義務ではないということになるのが、これが通説だと私ども考えております。そうして、結局のところ、憲法の二十七条の勤労の権利と申しますものは、国民が自主的に完全に就業し得るような体制を国家としても実現すべく努力をする、また、それが不可能な場合には、就業し得ない労働者に対しまして就業の機会を与え、あるいは生活を確保するための資金等の給付をなすことが国家の正常の責務であるというような意味の宣言的な性格を持っておるということでありまして、国家が各国民個人個人に対して具体的な権利や義務をそこでこういうふうに保障するというものではないということが通説だというふうに考えられております。そういうことでございまして、そういう意味で、二十八条になりますと、団結権、団体交渉権、争議権というものになってまいりますが、二十七条の基本の権利というものは、そういう抽象的、政治的な宣言であるということでございます。
 先ほど来大臣もお答え申しておりますように、そういう場合に定年制がどういう関係に立つかということになりますと、やはり定年制は、一定の年齢に達しました場合に一定の雇用関係を断つということではございますけれども、それをもって、他の代替的措置と申しますか、他の勤労の意欲のある者に勤労の機会を国家全体としてはなるべく保存するというかっこうでものを考えていくということに全く反するということにはまいらないというふうに私どもは思うのであります。そういう意味でも、大臣の申し上げました再雇用の道も開く、それから国家としてといいますか、年金の与えられる道もなるべく開いていくというようなことで、今回の法案自体でも、なるべくそういう趣旨の考え方を出しておるわけでございますが、全体としてもやはりそういう意味での体制の中でものが考えられていると思うわけであります。そういう意味で、私どもは、憲法の二十七条に抵触するものではないというふうに考えておりますし、法制局ももちろんそういう考え方のもとに内閣提出の法案として認めてもらっておる法案でございます。
 それから二十八条の関係につきましては、これはいわゆる公務員の全体の奉仕者といいますか、公共の福祉といいますか、国民生活に重大な影響を与えるような仕事に従事しておる者といいますか、そういう関係からでありまして、いわゆる団体交渉権でございますとか、争議権でございますとか、団結権等につきまして制約がある、こういうことになっておるわけでございます。そこで、公務員の勤務条件なり、そういうものにつきましては、国家公務員については法律をもって、地方公務員については条例をもって、具体的にも基本的にもものをきめていくというのが現在のたてまえになっておるわけであります。その意味では、やはり条例なり法律なりで給与その他の勤務条件をきめていくというのが、またそういう意味で法律による保障という意味も兼ねまして、やはり公務員の利益を保障するという考え方があるから、そういうことで、公務員の特殊性と申しますか、国民に対する重要な活動の基礎になる仕事に従事しておる者についての労働三権のある程度の制約ということも認められる、こういう考え方になっておるのだろうと思うのでございます。その点は、団体交渉なり団体協約なりというものが――公務員の場合には、公務員の勤務条件等をきめる場合には、法律なり条例できめていくということとのかね合いにおきまして制約されておるということは、そういう一つの制約は、憲法上合憲的なものである、あるいは合理的なものであるというふうに考えられておるのだろうと思っておるのであります。
#55
○細谷委員 この問題はたいへん重要な点でありますが、時間もなんですから、次にちょっと質問しておきたいと思います。
 三十一年法、四十一年法というのは分限でしたね、二十八条でいったのでしょう。今度の場合は新しい条文を起こしたわけですね。二十七条の二。昨日門司委員の質問に対して、分限であるか分限でないか、こういうことについては、狭義の分限ではない、広義の分限である、こう言っておるのですね。分限というのは公務員の身分の変更なんですから、たいへん重要な問題なんですね。そういうふうに三十一年法、四十一年法というのは明らかに分限の二十八条に項目を入れておるということであったのですね。定年制を設けることができる、それについては云々と、こういうふうに数項目を設けたわけですね。それが四十三年法からは一挙に分限であるか分限でないのか、いや退職とは離職の一態様である、こういう形で逃げてしまっている。そういうふうに大きく変化をした理由は、大臣、何ですか。
#56
○長野政府委員 昨日もお答え申し上げましたが、確かに当時の三十一年とかそういうときに考えました場合には、お示しのように地方公務員法の二十八条の規定の中に一項を加えた、こういう改正案であったことは御承知のとおりでございます。それで、いろいろな経過がございます。いろいろ研究いたしますと、たとえば国の場合にも、ごく少数ではございますが、定年をとっているものもございます。自衛隊法等におきましても定年のことが規定してありますが、国家公務員のそういうものをずっと研究しておりますと、狭義の分限ということでなくて――分限でありますと分限免職という考え方になりますが、国家公務員の場合でもやはり退官という考え方で別個の概念規定をとっております。一般論ではない特殊な問題だから、そんなものは問題にならないという御議論もこれはございましょうけれども、やはり定年というものを考えます場合に、狭義の分限かどうかということを考えます場合の法律的性格は同じだろうと思います。そこで、いろいろ検討いたしました結果、やはり分限免職というのとは違う、国家公務員でいえば免官でありましょう。免官というのと違って退官であるというのは、これはごく一部の国家公務員についての定年制のありますものについての関係でございますけれども、そのことは非常に明らかに国家公務員の関係において規律しておるようであります。そういうものを考えてみますと、やはりこれは狭義の分限という規定の中に入れるのはふさわしくないのであって、やはり定年退職、国家公務員でいいますと退官という考え方の規定に整理をしていくということがいいのじゃないか。だんだんそういう研究を進めてまいったわけでございます。しかしながら、公務員の身分に関する規定でありまして、身分の得喪に関する問題でございますから、広い意味の分限に入る、懲戒とかいろいろなものも分限に入るのと同じような意味で分限にもちろん該当する。しかしながら、それは狭義の分限免職というものとはやはり概念が違う。狭義の分限には該当しないものと考えるのが正しいのではないか。そういうことにいたしました場合に、広い意味での職員の身分に関する分限という意味ではいろいろ離職の態様があるわけで、その離職の態様につきまして、従来法律が不備でございますから、この際そういうものを明らかにいたすことも一つは考えておいたほうがいいということで、分限免職、懲戒免職、失職、任期満了による退職、辞職というようなものの一つに離職の態様といたしまして、定年退職というもので整理をして、広い意味の分限離職の関係の整理を考えた。同時に、二十九条の二におきまして、法律に特別な定めがある場合を除いては、職員の離職の事由、手続及び効果については、条例で定めるものとするということで、その根拠規定を置いた、こういうことにいたしたわけでございます。
#57
○細谷委員 長々と答えられたのに、私の質問に答えていない。それから、三十一年法案、四十一年法案は明確に分限でいったのに、四十三年法案、いわゆるいま審議している四十四年法案――同じものでございますが、それが分限だか分限でないような、言ってみると広義の分限に入るかという質的な転換をしたのは一体どういう理由なのか、こう私は聞いているわけです。長々とその説明を受けたってどうにもならない。分限というのは職員の身分の変更ということですから、どうしてそういう質的転換をしたのか、これがどうしても、いまの答弁では長々とありますけれども、時間ばかり食って私の質問に答えていないですよ。
#58
○長野政府委員 いま申し上げたとおりでございまして、私どもは、狭義の分限には該当しない、過去の法案の規定の取り扱いというものは、あたかも狭義の分限に該当するからその特例を開いたというような印象が与えられるような規定になっております。これはどうも適当でないという結論に達しましたので、今回の改正案のように直しまして、そして改正案としてまとめさせていただいたわけであります。
#59
○細谷委員 そうしますと、今度のが正しいのであって、三十一年法案とか四十一年法案というのは誤りであったということなんですね、分限の取り扱いについて。大臣、そうなりますね。三十一年に提案した法案、四十一年に提案しようとした法案は、考え方として質的に誤りであったということなんでしょう。
#60
○長野政府委員 いま申し上げましたとおり、三十一年等の改正案におきましては、どうも事柄が分限免職とは全く違うカテゴリーに属するものでありますと私ども考えるのでありますが、それを二十八条の中の改正案に入れますことは、そういう狭義の分限の例外を開くというふうな誤解を与えるおそれがあるというふうに私どもは考えたわけでございます。そういう意味で、いままでの改正案が全く間違いであるとは私ども申しませんけれども、より適切な改正案として今回の改正案に直したほうがよろしいというふうに考えたわけでございます。
#61
○細谷委員 それは答弁にならないですよ。言ってみますと、分限というのは、公務員の身分保障の重要なよりどころである、これに触れる問題がありそうだから、分限か分限でないか明確にせず、ごまかして二十七条の二というものを設けた。二十七条の二というのを見ますと、六号までありますけれども、大体そのうちの四だけですね。あとは何もいままでになかったものじゃないのですよ。現行法でもやれるわけですよ。二十七条の二の四号だけじゃないですか。いまのでは答弁になりませんよ。そうしますと、一体、分限ではないのだ、あなたのことばをかりますと、これは労働基本権、そういうものも侵しておらないのだ、勤務条件なんだ、こういうようなことで、そうして離職の一態様としてなんだ、分限ではないのだ、そういう形にした。そうして、設けたいものは設けなさい、自治体の自由であります。しかし、二十七条の二といいますと、これは一から六号まであるわけですけれども、四だけ残して条例なんというのは、これはできっこありませんよ。法律では一から六まであるのに、四だけ残して、そうして条例をつくれったって、これはできっこありません。あなた方、非常に高等戦術を使っておる。そうして法律的な根拠というのをごまかして、地方自治体がしゃにむにこの条例をつくらざるを得ないようにやっているじゃないですか。大臣、そうとしか考えられないでしょう。どうなんですか。
#62
○野田国務大臣 三十一年のやっと今回のやっと、分限問題、これはただいま政府委員からお答えいたしましたとおりでございます。より適正なものを法律の中に織り込むということ、これは適正と思えば、そのほうが政府としては正しいことでございます。疑惑のあることよりも、一歩進んだ、なるべく疑惑を伴わないものということで、より適正なものというので、先ほど答弁いたしております。
 それから、これはいま細谷さんのおことばですが、何でもかんでも地方自治体にこの条例をつくれと押しつけるのではないかというおことばでございますが、これは繰り返して申し上げておりますとおり、地方自治体の実態に沿うてやってもらうのでございまして、何も自治省が強制的に圧力的にこういう条例をつくれと指導するということは私は全然考えておりません。これはいかなる場合においても、また、こういう意味において地方団体に声明を出してもよろしい、私自身は毛頭考えておりません。実情に照らして地方団体が自主的に判断しておやりなさい、その道だけ開いておこう、こういう考え方でございます。
#63
○細谷委員 道だけ開くというが、開くというのは大臣の考えですから、それに対して大臣の真意をはっきりしたいと私は思っておるのですよ。いまのは、分限でもなさそうだ、分限でもありそうだ、ということで何が何だか一向わからない。分限でないというなら、あとでいろいろ出てきますけれども、地方公営企業の労働関係等いろいろ問題があるわけであります。一例として、地方公務員法二十九条の二に適用除外の規定があるわけですね。分限でないなら、これはあなた、この二十九条の二、あるいは勤務条件、こういうことであるなら、二十九条の二――これは二十九条の三にずれるわけですけれども、この内容も変えなければいかぬでしょう。大臣、どうですか。
#64
○長野政府委員 二十九条の二と申しますのは、改正案におきましての今度は二十九条の三になるわけでございますが、その二十九条の三になります改正案につきまして、今回の改正の適用を排除しております。
#65
○細谷委員 どうして排除したのですか。おかしいじゃないですか。
#66
○長野政府委員 「条件附採用期間中の職員」あるいは「臨時的に任用された職員」につきましては、従来もそういう関係の規定の適用を、懲戒分限とか分限免職等につきましても排除しておるわけでございまして、そういう意味で、今回の関係規定の場合も、離職の関係の規定を整理いたしまして、また離職に関する条例の制定という関係におきまして、そういう手続規定も入るわけでございますので、そういうものも排除することにいたしたのであります。
#67
○細谷委員 この辺にも私は問題があると思うのです。分限であらざるごとく、実質的には分限で持っていこう、たいへんなごまかしだと私は思うのです。百歩譲って、大臣、あなたが大出委員に答えたように、労働の基本ではありません、ですから公制審にかけなくてもよろしいのです、勤務条件だ、こうおっしゃったわけですけれども、勤務条件なら話し合いも何もせぬでよろしいのですか。四十三年二月の「地方自治」というのに公務員部長が書いております論文を見ますと、「定年の年齢のきめ方、定年退職時の退職金のきめ方は勤務条件の一であり、当然に交渉事項であるから、職員団体等の意見は十分に表明できるのである。」なかなか文章はうまく書いてありますけれども、大体こういう法案を出すという通告も職員団体にしてないでしょう。話し合うことは文章には書いてありますけれども、行ないは全然件わないで、そうして勤務条件でございます、こんなことでこれは済むのですか。今度この法案を出すにあたって、関係団体、たとえば自治労なら自治労、日教組なら日教組に、こういう法案出しますよ、大体の内容としては、四十三年提案のものと内容は変わりませんが、出しますと、こういう通告でもしたのですか、お答え願いたい。
#68
○長野政府委員 定年制につきまして、その道を開くということがこの改正案でございますが、具体的な定年年齢をきめる、そうしてその効力の発効の時期でありますとか、あるいはその手続でありますとかいう問題につきましては、個々の府県なり市町村におきまして定年制をしく必要があると認めた場合に、その具体的な案がつくられるわけでございます。その場合には、当然勤務条件の一つでございますから、職員団体との間の交渉事項として交渉が持たれる、こういうことでございます。改正法案につきましては、四十三年に提出いたしましたときには、関係の団体に通告といいますか、連絡をいたしております。今回の場合には、案の内容が前と同じでございますので、あらためて連絡をすることはいたさなかったようであります。そういうことになっております。
#69
○鹿野委員長 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#70
○鹿野委員長 速記を始めて。
 午後一時に再開することとし、この際、暫時休憩いたします。
   午後零時三十一分休憩
     ――――◇―――――
   午後一時五分開議
#71
○鹿野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。門司亮君。
#72
○門司委員 総務長官にお聞きするのはきのうの続きです。きのうはこういうことになっているのです。大体お聞きになっていると思いますけれども、地方公務員に定年制をしかれるということを前提として、地方の行政の状態を考えると、いわゆる国家公務員と称する――称するというと悪いかもしれないが、国家公務員の諸君が地方にかなりたくさん出先に出ているわけですね。そして、役所によってはほとんど同じような仕事をしている連中がたくさんいる。そこに国家公務員と地方公務員との間に、こういう制度上の大きな開きがあるということ。一方には定年制がない、一方には定年制があるというようなことは、必ずしも私は地方の行政の面からいって円滑に行なわれない、気分的に問題がありはしないか。このことについて労働大臣にお聞きをしようと思ったんですが、労働大臣はきょうおいでになりませんし、したがって総理府総務長官から、全体の公務員関係にこういう差別があってよろしいかどうかということについて、ひとつお答えを願いたい、こういうことです。
#73
○床次国務大臣 ただいま門司委員の御質問になりましたごとく、地方におきまして、国家公務員と地方公務員が一緒に仕事をしておるということは、現在においては御承知のとおりでありますが、しかし現在あります地方事務官というものは、自治法の附則八条によりまして、当分の間設けられておりますところの国家公務員であります。したがって、任用、給与等の取り扱いはすべて国家公務員としてこれを取り扱っておるのでありまして、任命は各省大臣がこれを行ない、給与とか、異動、退職等の場合におきましても、これは各省大臣の権限であるわけでございます。したがって、地方事務官は国家公務員法の一般職の給与支給方法、その他国家公務員と全く同様な法律の適用を受けておるわけであります。したがいまして、地方事務官は現在当委員会において御審議中の地方公務員の定年制とは全く別個の関係に立つものであるわけであります。御意見のように、不都合があるではないかという点につきましては、いわゆる「当分の間、」ということばがあらわしておりますのと同時に、現在地方事務官制度をどうするかということを別途御検討願っておるということによって、私どももその点は承知しておる次第であります。
#74
○門司委員 自治法附則にはそう書いてあることは間違いありませんし、「当分の間、」が当分の間であればいいのであるが、あまり当分の間ではないということですね。特に従来の関係なら私は、「当分の間、」と書いてあっても、別にそうやかましいことは言わなくてもいいのではないかというような気がする。それは制度自身の上からいえば非常に不都合であって、「当分の間、」ということはぜひ一日も早くはっきりすっきりさせたいというのが私どもの気持ちです。ところが、今度は身分上の問題で出てくるのですね。給与その他についてはそれはある程度任命権者が支払うことはあたりまえだ。ところが、その給与についても、ある一定のもの、たとえばオーバータイムをどうするかとか、あるいはその他の手当等については、地方からかなり出ている分がないわけではないのですね。絶対に国から来ているだけではないのであって、場所によってはそういうところがあるはずであります。そうなってまいりますと、この身分上の差があるということが、役所の中の行政を遂行していく運用の上にどういう影響があるかということであって、これは私は非常に大きな問題だと思うのです。これを画然として、国家公務員は中央官庁におり、出先には――かりに出先だけにおって、全然同じ役所にいない、仕事も全然別だというならまだいいのでありますが、実際はそうなっておらぬのに、身分上の差をつけるということは、公務員のたてまえからいっても、労働行政のたてまえからいっても、地方行政の運用の上に非常に影響を持つものだということを私は考えるのでありますが、この点は、いまの大臣の答弁では型どうりの答弁であって、そういう答弁だと、聞かなくたって、任命権者がだれか、給与がどうなってどれだけ要るかぐらいのことは、大体わかっておるのでありまして、私の聞いているのはそうではなくて、この法案の及ぼす影響がどういう形で出るかということをお聞きしているのであります。絶対に影響がないのだということは、私は言い切れないと思うのです、人間が仕事をするのですから。その辺がよくいわれておる国家公務員には定年制がないが、地方公務員には定年制があるということ、これが画然と別れた役所ならあるいはそれでいいかもしれない。しかし、末端にいくとそうなっていないから問題があるのであって、そういう片手落ちの法案で一体よろしいかどうかということです。「当分の間、」なんということが書いてあるからいいなんていったって、政府のいう当分の間なんというのは問題じゃないのであって、もし大臣がそういう御答弁をなさるのなら、この「当分の間、」とは一体何ですか。当分とは何をさすのだということをまず聞いておかないと、地方自治法を読んでおればみんな当分の間と書いてある。たとえば財政にしても、当分の間起債をどうするということを書いてあるけれども、二十何年問いつまでたっても当分の間、こんなことで、この法案を審議せられるとき、そう書いてあるからよろしいということは私は言えないと思う。もし「当分の間、」と書いてあるからよろしいとお言いなら、一体この当分の間とは何年をさすか。いつごろこれはなくなる予定か。それをはっきりしてもらわぬと、こういう片手落ちの法律を地方の自治体に押しつけるわけにはいかぬと私は思う。したがって、その辺の気持ちを聞かしてもらいたい。
#75
○床次国務大臣 今回地方公務員に定年制ができて、一緒に机を並べております地方事務官が定年制がないこと、こういう分限上の差ができたために、将来仕事をする上に影響が生ずるではないか、どういうふうに考えるかという御質問でございますが、現在でも身分上におきましてはかなり差があるまま机を並べて仕事をしているわけでございます。実際の点から申しますと、採用の問題、昇進の問題等の任用制度あるいは給与制度あるいは労働基準法の適用等につきましても、すでに現在身分上におきまして両者が違っておる次第であります。したがって、今回の定年制のためにある程度までは影響があるかとも、これは考え方でありますが、私は事務を遂行してまいりますのに差しつかえないものと考えております。
#76
○門司委員 そこに問題があるのでありまして、たとえばきのうもいろいろ私、法制局長官ともかなり長い間議論したのでありますが、憲法の二十七条にいう労働の権利義務というものから考えていけば、いまの長官のお考えのようなら――きのうは、自由権でなくて社会権であり、あるいは経済権というように解釈すべきだということで、大体二十七条の勤労者の権利というのは落ちついたようでありますが、こういう状態でありますと、はたしていまお言いになっているように――やめてもいわゆる社会権としてひとつ考える、あるいはこれを経済権としてひとつ考える、そうなりますときの条件というのは、やめるときに大体社会がその後の生活をすべて保障しているというたてまえが十分でなければならないはずであります。ところが、現在の場合は、仕事に差しつかえないと言われておりますが、これは最も大きな、首を切るか切らぬかという境ですね。給料の問題とは実際はちょっと違うのです。給料の問題については、おのおのの地方の自治体は、今日の自治行政のたてまえからいけば、豊かな町がコーヒーを飲んで貧困な自治体が番茶を飲んでいるということ、これは自治の精神からいけば私は当然だと思う。そんなことをあまりぐずぐず言う必要はないと私は思う。しかし、現在の社会情勢はそれが許されない。現在の社会情勢は、そうした自治体が自主的にすべてのものをきめてよろしいというような自治の状態ではないのでありまして、国家公務員といっても地方公務員といっても、この法案は裏から考えれば実際は首切り法案ですからね。首を切られる条件が違うということに対する労働者の不安であり、いわゆる地方公務員の不安であり、その不安はやがて地方の行政につながるということは当然でありまして、いまのような答弁で私は満足するわけにはまいりません。大臣も地方行政を長くおやりになっておったからよくわかると思うのです。地方の行政というのは、一つは地方の理事者に対してそこにおる職員が最大の協力をするということ、その役所のたてまえに立って地方住民がこれを理解していくということ、この協力と理解がなければ、地方の自治体の運営は円滑にいかないというのは、これは大臣のほうが私よりもよく御存じだと思う。そのまん中にあって、当然理事者に協力をして、そして住民に理解を与えて円滑に地方の行政を遂行していこうとする最も大事な役目にいる地方公務員に、国家公務員との間の差別感を与えるということは、地方公共団体の運営に非常に大きな支障になると私は思う。この点を大臣に聞いているのであります。大臣は、特に地方行政に対しては造詣の深い人だと私も考えておりますので、そのくらいのことは大臣もおわかりになっているはずだと思う。したがって、そういう断層といいますか、一つの差別待遇をするということは、私は必ずしも地方の公共団体のためにはならないという考え方を実は持っておるわけであります。こういう点について大臣からもう一度御答弁を願いたいと思います。
#77
○床次国務大臣 門司委員のお尋ねでございますが、しかし御質問の事柄は、むしろ地方行政の立場自体において考えるべきものであるのではないか。国家公務員の立場から申しまして、国家公務員が地方公務員と一緒になって円満に仕事ができないのだということになりますならば、国家公務員の立場におきましてもっと考えなければならないと思うのでありますが、国家公務員といたしまして地方事務官が地方で働きます場合におきましては、あくまで地方自治体の立場に立ちまして勤務に当たるべきだ、私はかように考えておるのであります。
 なお、現在におきまして地方事務官制度がいろいろな立場から検討の対象になっておることにつきましても、先ほど申し上げました。この点はやはり検討を続けていかなければならないと思う次第であります。しかし、先ほど申し上げましたように、いまの御質問の中心は国家公務員の立場でなくて地方自治の立場で考えるべきものだと思う。私の御答弁申し上げるにはこれは過ぎたことだと思います。
#78
○門司委員 私は非常に奇怪な答弁を聞くのでありまして、憲法には何と書いてあります。今日地方治法の中に「当分の間、」と書いてあることはどういう意味かということであります。それは憲法のたてまえからいけば非常に大きな誤りであります。御承知のように九十四条に何と書いてある。地方公共団体は、その財産を管理し、事務を執行する権能を有すると書いてある。したがって、地方の仕事については地方自治体が権能を持っているはずである。しかし、従来日本のあり方というものは、中央集権が非常に強かったので、これを
 一時にこの憲法に即したように、地方自治体に全部まかせるという態度はとりにくい。そこで、あそこにそういう条文が加わっているのであって、「当分の間、」ということは、これは逃げているのである。実際は九十四条から作用するものである。これで逃げているのである。その逃げていることがあたかもよろしいかのようなものの考え方は、私は非常に大きな誤りだと思う。そうならば、一日も早く地方の自治体の行政は地方の自治体にひとつまかせてもらいたい。地方事務官制度なんというものはやめてもらいたい。そうしなければこの問題はすっきりしない。私はその点を非常に憂うるのであって、混合しておると、そういうことで、同じ机を並べておって、片方は五十八だか五十六だか知らないが、その年になればやめる、片方はそこに依然としておられるということですね。要するに職を失うということは、結局生活の根拠を奪われるということであるから、そのことを私は聞いておるのであって、何も国家公務員の立場に立って聞いておるのじゃないのです。もう少し誤解しないように御答弁願いたい。
#79
○床次国務大臣 ただいまの御質問におきまして門司委員の御趣旨がわかったのでありますが、国家公務員の立場においていつまで国家公務員として地方事務官を放置しているのかという立場の御意見かと思うのでありまして、この点に関しましては、行政管理庁が主として当たっておるのでありますが、今日まで地方事務官をできるだけ整理する方針になってまいっておると思うのであります。施行規程の六十九条ですかの該当の事項につきましても漸次整理してまいりまして、いま三省の関係が残されているという実情であります。この三省自体におきましても、いつまでこういう形で置くかどうかということは、今日むしろこれを積極的に統合すると申しますか、整理するという方針のほうに向かって努力しておられるかと思います。この具体的の進捗状態につきましては、行政管理庁長官がお答え申し上げることがむしろ適切であると思いますが、しかし国家公務員といたしましても、できるだけすっきりした形になることがよいのではないか、かように考えております。
#80
○門司委員 行政管理庁の長官というといま荒木さんですか、また荒木さんに来てもらわなければならぬようになるかもしれません。私は、少なくとも、こういう国家公務員と地方公務員とが同じようなところで同じような仕事をしておって、そして、これは身分上の分限令ではないと言っておりますけれども、実際上の首切りであることに間違いがないのである。そういう差別をすることはいいことじゃないというように大体私は考えているのである。したがって、国家公務員と地方公務員との両方のものの考え方を、大臣に来ていただいて聞いておるのでありまして、あとの行政管理庁に聞かなければわからないと言うなら行政管理庁の諸君に私は聞いてもいいと思いますが、いま行政管理庁に聞くのは、一体どのくらいの数があるかとか、どういう職種がどうなっているかというようなことは、それは行政管理庁に聞いてもよろしいと思います。しかし、少なくとも国家公務員の関係をお持ちになっている床次大臣が、地方の自治体における国家公務員と地方公務員とのそうした明らかな差別待遇がよろしいとお考えになっているかどうかということだけを、この際聞いておけばいいのであります。
#81
○床次国務大臣 地方事務官制度そのものにつきましては、先ほど申し上げたのでありますが、政府といたしましては、これを解消する方針に向って今日まで努力してまいりました。政府の態度といたしましては、そういう態度を引き続き持っておると私ども考えております。また、国家公務員を管理しております私の立場から申しましてもそれが適当であろうと思っております。目下関係各省において、この点は検討中であると承知しておる次第であります。
 なお、国家公務員の立場から見まして、著しい地方公務員との差があることについてどうかという一般論としての立場において申し上げますと、国家公務員におきましても、私は同じ公務員として著しい差があることにつきましてはいかがかと思うのでありまして、すでに国家公務員の中におきましても、定年法等におきましてこれを事実上、たとえば大学のごときは定年をきめておりますものもありますし、また検察官あるいはその他におきまして定年の定められておりますものもあります。ただ、一般国家公務員といたしましては現在のところ、まだその年齢等全般的に見まして、地方公務員とは異なるものだ。地方公務員と比べますとやや低いということもあるし、また、その職種が非常に広いというような問題がありますので、検討をいたしておるところであります。いつまでも大きな差があって非常な不公平な待遇をすることがいいかどうかということにつきましては、私どもも検討いたしたいと思っております。
#82
○門司委員 大臣は時間がないそうでありますから、長く私は聞きませんけれども、いまの大臣の御答弁の中で考えていただきたいと思いますことは、国家公務員にもありますよ。ありますけれども、定年の一つの型で――私はきのうもここでお話ししたのですけれども、公務員の定年というのは三つの型があるはずであります。大体そういうことになっているはずであります。一つは、労働者の一つの権利として自由にやめることができる。ある一定の年齢から一定の年限の間は、自由にやめられるということがある。いま大臣のお話しになった国家公務員の中で、たとえば裁判所の判事とか大学の教授であるとかいう人はやめられることになっている。しかし、それは再雇用はしない。そのかわり、年齢が高い。再雇用しなくてもよろしいようになっている。二十七条の規定が社会権であるということは、そういうことから出てきているのであって、社会が保障している。七十になったらよろしい。六十五になったら、それから先は大体よろしいということになる。ところが、この場合はそういう形ではないのでありまして、また再雇用しようという形がとられてきている。したがって、国のきめております大学の先生あるいは裁判所の判事さんとはわけが違うのでありまして、そこに実は問題があるのであります。地方公務員の中にも、再採用だということで、一片の条例で差がつけられてくる。そうして、きのうまである一定の地位におった人が、同じ職場に置くかどうかそれはわかりませんが、しかし、いずれにしても、給与はダウンされることは間違いがない。しかもそれが一年とか二年とかいう、単なるお情けによってこれをつないでいこうという、肩たたきというよりもむしろ頭をなでるような施策になっている。同じように国家公務員にもあるからといわれても、それは全然違うのであります。それを混同されてここでお話しになるということになると、私もいささか迷惑するのであります。
 あと五分ばかりしか時間がありませんので、大臣これからお出かけになる御都合でしょうから、それを妨げるわけにいかぬと思います。
 最後に、聞いておきますことは、先ほど申し上げましたように、「当分の間、」と書いておることは、先ほど申し上げたことであの法律ができたと私は考えております。あの法律制定当時の意見というものは大体そんなことじゃないかと思います。したがって、これはあまり当てになることではありません。大臣がいまここではっきり言われるなら、当分の間というのはいつまでかという区切りをひとつきめておいていただきたいと思います。そういう方向だということだけで納得するわけにはいかない。それはなぜかと申しますと、現実にあるのですから、そういうものが全部なくなったときにこういう法律が出てくるなら、さっきの大臣の御答弁のようなことでよろしいかと思いますが、これが施行されると翌日からあるわけでありますから、その点は大臣、気持ちの上でもう少しはっきりした答弁をもう一回聞いておきたい。歯にきぬを着せないで――何かここで変な答弁をすれば国家公務員のほうに影響が出てきてというようなしんしゃくをあまりしないで――私は、同じ公務員にこういう片手落ちの法律をこしらえるということは、必ずしも国家の行政運営のためによくないと思います。
 それからもう一つ、私はなぜそう言うかということをついでに申し上げますと、実際は中央と地方が交流しているのです。御承知でしょう。そこで定年になりそうなときに中央に来ればいい。定年は延びるということですね。こういう危険がある。交流していなければいいですよ。地方と中央をぴしゃっときめておけばいいけれども、自治省から地方の役所にみんな行っている。おれは定年になるなら本省に帰してくれ、本省に帰れば定年がなくなるということになればたいへんだと思います。この法律を審議する場合にそういう配慮をしないわけにはいかない。そこで、もう時間がございませんから、これ以上聞きませんが、そういうことを歯にきぬを着せないで、この法律は妥当な法律であるかないかということは言いにくいでしょうけれども、それに近いことをはっきり御答弁願っておきたいと思います。
#83
○床次国務大臣 御要望のとおりの御答弁を申し上げることは、立場上なかなか困難でございますが、国家公務員が地方事務官の資格になって勤務しておりますことは、当分の間という字がありますけれども、しかし、これを漸次解消していくという方針につきましては、先ほど申し上げましたとおりでありまして、現在もすでにこの問題につきましては、政府におきましても検討中であります。できるだけ早く解決するように努力いたしたいと思います。
#84
○門司委員 これ以上床次大臣にお聞きをいたしません。
 あとは自治大臣にひとつ聞いておいていただきたいと思うのであります。いま床次大臣から御答弁のございましたように、なかなかはっきりした御答弁をしにくかったと思いますが、自治省としてお考えになります場合に、いま申し上げましたようなことはどういうふうにお考えになりますか。国家公務員とそういう開きがあって、同じ机を並べておって、そしてやってもよろしい。具体的にいえば、先ほどから申し上げましたように、自治省はかなり地方の役所に出ておるのであります。これらの諸君は、ある一定の年齢に達して、極端にいえば、あしたやめなければならぬようになっておる。しかし、それが本省に帰ればそれからまた続くんだというようなことがもし自治省内にかりにあったとすれば、これは非常に大きな影響を及ぼします。そういうことは絶対にやらぬということが言えますか。
#85
○野田国務大臣 自治省は、門司さん御存じのとおり、かねてから地方事務官の制度は好ましくないというので、いろんな議会に地方事務官の整理というわれわれの意見を述べております。政府もやはりこれを取り上げまして、数年前から地方事務官の整理の問題に手を染めておりますが、まだ最後の案までできておりません。一応案はできておりますけれども、何か実施しないのがたくさんあるようでありまして、これは御存じかと思います。そういう意味におきまして、私どもいまの門司さんの御心配の点はわかります。ことに、いまの地方事務官のうちで、本省から行っている者で、もうすぐ定年がくるから本省に帰る、こういうことになりますれば、これはお話しのとおり影響があります。その点は自治省が今度定年法をつくって、地方自治団体に条例による道を開くという考え方に踏み切っておりますから、地方事務官と地方公務員と国家公務員との取り扱いについては、これはその原則を守らぬで、そういう場合には引き取って定年制に触れないように逃げ道をつくるなんということは、これは一種の、極端なことばですが、自殺行為みたいなことになってしまいます。これは当然常識でございます。そういう小手先のことをやるかというようなことについて、私どもはそういう気持ちを持っております。
 それから、国家公務員につきましては、私は直接の関係ございませんから、国家公務員についての取り扱いについてここでかれこれとことばを触れることは遠慮いたします。まあ、いま基本的にお話しになっております国家公務員と地方公務員のできるだけ差がないような身分上の問題というものはやはり考えるべきことだ。国家公務員をどうするかというようなことは、これはちょっと私の立場といたしまして避けたいと思います。また、言うべきではないと考えておりますが、いま門司さん御心配の点は私ども十分理解いたします。そういうことができるだけないように、むしろ絶対にないようにつとめねばならぬ、こう考えております。
#86
○門司委員 ちょうど時間のようですから、もう一つだけ。
 いま大臣から一応お話を聞きましたが、自治省だけじゃないのですね。地方に出ております国の役所というものは、きのう聞きますと、何か課長さんが七百人くらいおるということを聞いております。四十一年度の統計を見てみますと、国から地方の事務官というのでなく、国の出先機関として地方に配置されている職員の数は、大体六万二千人くらいの数が書いてあるのですね。たくさんあるのですよ。そういたしますと、結局これは自治省と地方庁とのやりとりだけじゃなくて、あるいは農林省においても、同じ仕事をしておる者がここでは首になるんだから、国家公務員のほうに肩がわりができれば首がつながるという、こういう危険性が出てくるのですね。私は、何も地方事務官制度は、同じ机を並べて同じような仕事をして、差があってどうだというのではないけれども、地方へはたくさんの役所が国から出張しておって、しかも地方の最も実際的な仕事をしているわけですね。具体的にいって、私が心配をしておりますのは、その中には、ある高年齢に達した人を経験者として必要とする仕事があるのですね。これが地方公務員である場合には、県庁の役人である場合には、五十八歳なら五十八歳でやめるということになっておるが、その前の年に国家公務員のほうに、どういう形かでも採用されれば、これは適用を受けない。こういう筋が出てくると私は思うのです。したがって、地方の行政の中にはそういう人事面でかなり混乱を将来来たしはしないかということは、私は想像されないわけではありません。そのことを私どもは心配するのであります。
 もう一言大臣から聞いておきたいと思いますことは、そういう何も地方事務官制度の中からくる事務官との関係、あるいは自治省と地方都道府県、市町村等の職員の交流の関係だけでなくして、それ以外にそういう問題が必ず出てくると私は思うのです。出てこないわけにはまいらぬと思うのです。それがたとえ特例でありましても、その問題は地方にはいい影響は及ぼさない。そしてそこからいろいろ弊害が生まれてくる、こういう形になろうかと私は思います。大胆の権限ではないと思いますが、それにどう対処されるかということを、一応この機会に聞いておきたいと思います。
#87
○野田国務大臣 ただいまの御注意ごもっともだ、私自身も理解いたします。これは自治省だけの問題じゃございませんから、はっきりここでもってこうさせますということは断言できませんが、いまの御意見に沿うて、私ども今度の定年制がまず成立いたしました場合に、いろんな機会、いろんな方法において各省に対してこの点は相当注意するとか、何かの方法を講ずべきものだ。ただなるほどと思うだけでなくて、やはりある程度何か積極的な、法案に関連する考え方として各省に対しても注意を促す方法をとるべきだ、こう考えております。
#88
○門司委員 最後に、はっきりした御答弁を願っておきたいと思うことが一つあるのです。
 それは、いま申し上げましたように、国家公務員との間にもいろいろなこういう差別のある法律をこしらえると非常に問題が起こります。したがって、そういう諸般のいろいろな関係のあるもの全部を取り除いて、そうして不安のないように、いわゆる問題の障害をできるだけ取り除いて、そのあとでこういう法律を施行するということが、法律のたてまえとしては最もよろしいと私は考えるのですが、これはさっきもいろいろ話がありましたように、ここで法律ができたって、これを運用するわけじゃありませんからね。この法律は衆議院で議決しようと、参議院で議決しようと、本会議で議決しようと、動く法律ではありません。この法律が動くのはもう一つ下の段階で、よそのところで動くのですから、したがって、ここではどんなやりとりがあって、いろいろの形の問題が未解決のままこれが下におろされたら、その未解決のまま下におろされた事項というものは、下でより以上の紛糾の種になるのですよ。したがって、私はこの機会に、こういう法律はそういう性質を持っておりますので、自治省としてはもう少し慎重に考えてもらいたい。そしていろいろな障害を取り除いて、地方で直接仕事をしなければなりません都道府県や市町村のやりいいように、あるいはやれるような問題にぜひこれを変えてもらいたいということが私の一つの考え方であります。
 それからもう一つ、はっきりした答弁を要求いたしますのは、これらの問題は、いずれも法律事項ではないと私は考えているのです。これは地方の自治体で、おのおのの職員団体その他との話し合いの中で十分処理さるべき問題である。明らかに地方の公共団体の理事者、いわゆる首長の権限に属する仕事であります。それを、うしろである意味においては強制するかのような性質を持っている法律をこしらえるということは、今日の地方の行政の運営のたてまえからいけば、非常に大きな邪道だと私は思っている。中央集権の最もはなはだしいものだと思っているのです。この点は大臣どうお考えになりますか。こういうことは何も地方の自治体にまかしておけばいいので、法律をこしらえなければやれないという筋合いのものでは断じてないと私は思う。法律のたてまえ上からいっても、こういう問題をこしらえるということは誤りだと私は考えている。大臣はその辺の考え方をどうお考えになりますか。地方の自治体の権限に対する中央官庁の明らかにさしでがましい一つの大きな権力法案だといったほうがよろしいと私は思うのです。その辺は大臣どうお考えになりますか。私はどう考えてもこの法律は行き過ぎだと考えている。個人個人の労働者にとっては、労働権に対する基本的な一つの大きな問題であり、行政的には、国がこういう法律をこしらえて押しつけるということは行き過ぎだと考えている。そのことは御承知のように、戦前の地方の自治体には条例でこういうことがきめられておった。しかし現在の場合に、地方の自治体で条例できめられないとするならば、これを地方の行政の中でそしゃくできる、住民との間に十分接触できるはずである。そのことは従来の市町村長あるいは知事と異なって、今日の地方の首長は、すべて住民の、はっきり言えば――多少違うかもしれませんが、具体的には、過半数の支持を得て首長になられておる人に間違いがないのでありますから、したがって、行政運営について、それが自治体の十分ためになるというならば、自治体の中で当然そしゃくさるべきものである。中央官庁がこういう法律をこしらえて押しつけるということは、私はやめたいと思う。したがって、こういう自治運営に関する感想だけでもよろしゅうございますから、大臣からこの機会に聞かせておいていただければ非常に幸いだと思います。
#89
○野田国務大臣 この法案を実施するのは、もちろん御指摘のとおり地方自治体そのものでございます。この法案ができたから、成立したからといって、その日から実施されるものじゃない。これはお話しのとおりでございます。
 そこで、これを地方公共団体が条例をもってきめる場合には、その理事者は、そのときのつまり各関係のほうと、何と申しますか、連絡をとったり意見を聞いたりする。これは当然そういうことが行なわれる。相当準備期間が要ると思います。私が特に言っているのは、これはやっぱり地方公共団体の自主性にまかせるほかはない。その意味で、この問題の取り扱いについては、各地方公共団体は独自の考え方でもって相当いろんな準備をしたり意見を聞く、準備のうちに意見を聞くこともあると思いますから、これは、私は門司さんの御意見のとおり、おそらく地方公共団体でやるだろうと思います。
 それから第二の問題でございますが、これは地方の行政にまかせるということでございますが、現在地方公共団体の相当な数が勧奨退職というものをやっております。これも御存じのとおりでございます。どうしてもやりたいと思うけれども、それは勧奨退職の場合になかなかうまくいかない場合がある、行政の措置でなくて一応条例でやりたい、そういう希望も相当ございます。そこで私は、これもしばしば申し上げておりますが、この法律ができたから、さあさあ地方公共団体全部みな一緒にやれというような、そういう身がまえをすべきではない。たびたび言っておるとおり、やりたいところは道を開いてあるから条例をつくればいい。条例をつくる場合、おそらく各地方公共団体、先ほど申しましたように、相当な準備をするし、用意をしなくちゃいかぬし、かってなことはやれない、これはもう実情から見てもそう思っております。したがって、われわれは決してこれを強制するという意思も持ってませんし、また、今日までの実情に照らして、人事管理上やりたいと思っても、なかなか困難であるという実態ももちろん聞いております。いろんな諸般の事情からして、一応道を開くことはいいんじゃないかと思っておりますから、いまの門司さんの御意見のように、強制するとか圧力を強めて一斉にやれというようなことは毛頭考えておりません。また、やるべきでない、こう考えております。
#90
○鹿野委員長 次は細谷治嘉君。
#91
○細谷委員 先ほどの私の質問で、今度のこの法案の提案については、むろん自治省お気に入りの市長会等は、約束でありますから、密接な連関もとったようでございますし、ときには自治省の要請かどうか知りませんが、応援団体等もおいでておるようでありますが、一方の使用される側の意見というものについては、聞くどころか、こういうものを出すよという通告すらもしなかった。まことに、やり方は論文に書いたことと違った態度をとっておるわけでありますが、大胆、これについてどうお考えですか。
#92
○野田国務大臣 先ほど行政局長がお答えいたしましたように、これと同じ案につきましては、関係各方面に説明をいたしておるようでございます。私もいろんな陳情を受けておりますし、お会いいたしておりますから、もちろん関係方面の方方は、今回提案するということは十分御存じだし、また内容もすでに御存じだ、こう私は思っております。
#93
○細谷委員 しかし、内容が同じであろうと何であろうと、一度廃案になった法律案というものを再び出す場合には、これは大臣、儀礼上も、こういうものを出しますよというくらいのことはあってしかるべきでしょう。それをやらぬということになりますと、論文ではたいへんうまいこと書いてありますけれども、保障がないじゃないですか。道義的に、それはいいと思うのですか。
#94
○野田国務大臣 この前のときに、すでにもう同じ案でいろいろ御説明しておることでございます。私は、やはり丁寧に何べんでも繰り返しやるほうが、それは礼儀であるし、筋道だと思っておりますが、その点は細谷さんの御指摘のとおり、もう少し――もちろん御理解というか内容は御存じだということは当然わかっておりましても、やはり重ね重ね何べんでもやったほうがいい、それは私も全く同感でございます。
#95
○細谷委員 これは同感だということでございますから、やはり今後利害関係を持っておることでありますし、しかも、公制審にもあとで質問したいと思うのですけれども、そういう職員団体の連合体、そういうところには通知をする、少なくとも通告くらいはすべきであろうというように私は思うのです。今後は特にそういう点について気をつけられたほうが、労使間の円満な関係をつくるのによろしいのじゃないか、こう私は思いますから、強く要望しておきたいと思う。
 そこで大臣、地方公務員の一般職ということになりますと、憲法二十八条が保障する団結権というものはあるわけでありますけれども、団体交渉十団体行動権、こういうものは全くないわけですね。ところが、地方公務員の中でも、公共企業体につとめておる職員なりあるいは単純労務に従事する人たちは、団体行動権はありませんけれども、団結権と団体交渉権というのが認められておるわけですね。そうなりますと、この法案の二十七条の二というのは当然取り扱いが違ってこなければならぬと思うのでありますが、いかがですか。
#96
○長野政府委員 お話しのとおり、公営企業関係の職員につきましては、公営企業労働関係法の適用がございますので、同法に基づきますところの団体交渉の範囲にもちろん該当いたしますから、交渉事項でございます。
#97
○細谷委員 交渉事項であるということが確認されたわけですから、そうしますと、地方公営企業労働関係法の第七条に基づく団体交渉の範囲に入ると確認してよろしいわけですね。
#98
○長野政府委員 そのとおりでございます。
#99
○細谷委員 そうしますと、端的に大臣にお伺いしたいのですけれども、団体交渉できまったものが、そのとおり議会で条例制定がなされなかった場合はどうしますか。
#100
○野田国務大臣 条例の制定は、これは地方公共団体の自由にまかしておりますから、その場合はやむを得ないと思っております。
#101
○細谷委員 長野局長、この辺は大臣のことばじゃちょっと足りませんから、この辺を補足していただきたいのです。
#102
○長野政府委員 いま大臣が申し上げましたのは、団体交渉によりまして交渉の内容が協定として締結されましたときに、もちろんそれに基づきまして八条に書いてありますように、既存の条例に抵触をするというような場合には、必要な条例改正を議会に提案するということに相なるわけでありますが、その条例が議会でそのとおりに議決されなかった場合は、これはいたし方ないということを大胆申し上げたと思うのでございます。もちろん、そういう意味で協定がまとまりました場合には、それに基づきまして議会に条例を提案する、こういうことに相なります。
#103
○細谷委員 議会に条例をまとまったとおり提案する、議会が否決する、あるいは修正をする、こういうこともあり得るですね。そういう場合はどうなりますか。あるいは、なかなか話し合いがきまらぬということで、議会の議員提案で一気に条例が可決したというような場合にどうなりますか。
#104
○長野政府委員 議会に条例を提案いたしました場合に、議会の審議がなかなか結論を得るに至らない、あるいはまた、条例で一部修正が行なわれたというようなことに相なりました場合には、それはその点においては条例が優先をするというふうに考えております。また、そういう意味で、議会で独自に条例を提案するという場合にはどうかというお尋ねでございますが、そういう場合には条例はそのまま有効に成立するということに考えざるを得ないと思います。ただ、こういう職員の身分に関する問題でございますから、いわゆる執行機関の側から提案をする、その場合に、前提といたしまして、団体交渉による、企業関係の職員に関しましては、協定の締結ということが必要になる、こういうふうに考えております。
#105
○細谷委員 そうなりますと、私が公務員部長の論文を引き合いに出したように、大臣がどう答弁しようと、保障が一つもないわけですね。どういたしますか。保障が全然ないですよ。長と議会とが裏のほうでしめし合わして、おれのところではとてもやれそうもないから、ひとつ議会の議員提案で一気にやっちゃってくれ、こうやられたら全然――論文はなかなかうまいことをいっておりますけれども、保障は一つもないでしょう。どうしますか。
#106
○野田国務大臣 地方自治団体の自主的な判断でやりますが、私どもの常識からいいまして、地方公共団体が職員の意思を全然無視してやる、また対立してやる、これは地方行政というものをストップする傾向がございますから、私どもはやはり地方自治団体を信頼いたしておりまして、そういうトラブルのあるのを解決しないで強引にやるような事態というものは、これはいろいろなケースとしては想定の中には入るかもしれませんが、地方行政の運営上私どもはそういうことは好ましくないことでございます。大本地方自治体がやる場合には、当然常識的な範疇の中でこの問題を取り扱うものだ、こう思っております。
#107
○細谷委員 大臣はそうおっしゃいますけれども、国権の最高機関でも力づくということが起こるわけでしょう。三千数百の地方団体だってあり得ますよ。それはしめし合わせておけば幾らでもできるわけです。大臣がどうおっしゃろうと、大臣が善意でおっしゃっておろうとも、保障が何もありませんよ。したがって、大臣がそうお思いなら、保障をするだけの法的な措置を講ずべきです。先ほどの地公労法の第七条一項二号には「昇職、降職、転職、免職、休職、先任権及び懲戒の基準に関する事項」こうあるわけですね。免職だ、いやこれは離職なんだから当てはまらぬ、こういうことになりかねない。しかし、幸い行政局長は、はっきりこの第七条の団体交渉の対象である、こうおっしゃいました。おっしゃるならば、たとえば離職、免職というように直すのがいいでしょうし、さらには今度の法案の二十七条の二というのは地方公営企業法第三十九条の適用除外になっておるわけですね。言ってみますと、分限等は適用除外なんですよ、企業職員も。でありますから、これは分限じゃないというのですから、広義の分限かもしれぬけれども、こう言っているのだから、三十九条あたりも変えなければならぬのじゃないでしょうか。地方公営企業法の三十九条あるいは地公労法の七条、幸十七条、この辺は変えなければこれは保障がありませんよ、大臣。いいところばかりつまみ食いして独善ですよ。
#108
○長野政府委員 企業職員につきましても地方公務員法の特定の規定の適用除外はありますが、原則的には地方公務員法の職員の身分にかかわるような関係の規定は適用があるわけであります。したがって、今回の場合もそういう点では適用がある、こういうことに相なると思います。
#109
○細谷委員 今度の第二十七条の二というのは地方公営企業法三十九条で適用除外されておらぬでしょう。三十九条で適用除外になってないでしょう。三十九条の第一項、二十三条から二十六条まで、飛んで三十七条、三十九条第三項、こういっているでしょう。適用除外になっているならいいですけれども、分限でもないようなものを、単なる離職条件だ、七条の交渉対象事項だ、こう言いながら適用除外してないでしょう。おまえたちそうやられたら涙きの涙でおれということじゃないですか。大臣、確認されたことは、自由権か社会権かといいますけれども、十八世紀か十九世紀ころの社会権ということじゃないですよ。いまや社会権というのは国民の非常に重要な基本的権利だということが確認されておるでしょう。でありますから、憲法十四条、十五条よりも二十七条、二十八条のほうが軽いのだ、そんなものじゃないですよ。こちらのほうが主なんですよ。何でもかんでも公共の福祉というようなことで制限するということは許されないのですよ。大臣、お答え願いたい。
#110
○長野政府委員 地方公務員法につきましても、そういう意味で地方公営企業関係の職員につきましては、分限懲戒等の関係の規定の適用は原則としてあるということになっておるわけでありまして、今回の改正の部分につきましても、そういう意味で適用がありますから、改正法はそのまま企業職員等について適用があるわけでありますが、その場合におきましても、地方公営企業労働関係法の適用がまた当然ございますから、そういう意味で定年制に関する企業職員の関係の条例を制定をいたそうと思います場合には、当然その前提行為として団体交渉が持たれる、こういうことに相なるわけでございます。
#111
○細谷委員 私が言うのは、保障はできないじゃないか。おっしゃるように今度の二十七条の二というのは、公営企業職員なりあるいは単純労務者に対しても適用があるのだ、こういうことであります。適用があるのならば団体交渉事項で――第七条の団体交渉事項ということは確認されましたけれども、団体交渉で当局ときめたことと違った条例でやられてもどうにもならない、場合によっては議員立法でやられてもどうにもならないということであれば、何らの保障はありませんよ。それはしようがないや、こういうことでしょう。ですから私は、歯どめの意味において、二十七条の二というのは二十八条の分限じゃないのだ、広義の分限だ、こうおっしゃって、しかも自治大臣は勤務条件なんだ、地公労法の七条の適用の団体交渉の事項なんだ、こうおっしゃるのなら、保障する意味において、公営企業法三十九条、団体交渉権を保障されておる企業職員なり単純労務者に対しては、三十九条の一項もやはり改正して、二十七条の二は適用除外、こういうふうにすればこれは保障した、こういうことになりますが、ことばだけで何の保障もないじゃないか、こう私は言っているのですよ。大臣、お答え願います。
#112
○長野政府委員 この点に関しましては、いま申し上げましたとおりでございまして、地方公務員法のこの公営企業職員等につきますところの適用関係というものは、お示しのとおり第三十九条によって適用しないという条文を書き上げておるわけでございます。そういう意味で、その中で分限とか懲戒の基準に関する項目につきましては適用があるわけでございます。
 原則としてはそういう形の中の範疇に属する事項でございますので、身分保障なりそういうものとの関連において非常に至大の関連のある事項でございますから、今度の改正法も企業職員に適用があるということについて平仄を合わしておるわけでございます。その点では、そういうことで、私どもは公務員法と公営企業に関する企業職員との適用関係は平仄が合うと考えておるわけでございますが、もう一つ労働関係法におきまして団体交渉事項に入るか入らないか、これは勤務条件の一つとして考えられますから、当然に入るということでございまして、そういう意味で団体交渉の範囲として協定が締結されるということは、当然に起こるわけでございます。そういたしましたならば、その協定に従いまして、それに基づきまして条例を提出する、こういうことに相なります。
 しかしながら、先ほどお話がございましたように、議員が議会で条例を提案したらどうなるかということになりますと、やはりこの公営企業労働関係法の関係におきましても、結局は協定と矛盾するような条例は、当然条例を改正するために提案をする責任を長は持つわけでございます。それから、協定の実現を前提として、執行機関としては条例制定の必要がある場合にはそういうことで議会に条例を提案いたしますけれども、そういうことが所期の目的に達しない、つまり議会でそういうような意味での条例の改正とか制定というものが行なわれないという場合には、この労働関係法の八条の二項に書いてありますように、そういう場合には「条例にてい触する限度において、効力を生じない。」つまり協定が効力を生じない。つまり、それは何をいっているかといいますと、結局は条例が優先するということをいっているわけでございますから、そういう意味ではこの協定だけで事柄がきまるという意味ではないから、その点で協定が完全に保障されてないではないかというような点は確かにございます。
 しかし、これは公営企業労働関係法においてはやはり条例が優先する。つまり地方公務員の給与なり勤務条件というものは、条例制定主義というか、その条例で制定するということを基本のたてまえにしておりまして、その条例によって設けられたところに従っていくということを前提としておる。ただ、団体交渉の相手方となりますところの当局は当然執行機関でございますから、そこでどういう既存の条例がありましても、交渉によって締結をいたしました場合には、締結内容を実現するために、必要な場合は条例を提案をいたしまして、そして条例の通過に努力をするということは、もう当然の責任としてこの労働関係法が規定をしておるとおりだと私は思っております。
#113
○細谷委員 それはいまの法律をあなたが説明しただけであって、それでは何らの保障もないじゃないかというのです。現実にいろいろな問題が起こっているのは、団体交渉で取りきめておりながら、組合側のほうは議会と団体交渉はすることはできないし、議会もまたそういう権能はないわけでありますから、そういう条例も議会がやったことですからしようがありません、こういうことになることが労使関係を不正常にするゆえんであるし、問題を前向きに発展させない今日の根本的な原因になっていると思うのですよ。
 ですから、あなたのほうでやられるなら、七条の中にたとえば「転職、免職」とあるのだけれども、「免職」というのと「離職」は違うんだということであるならば、「免職」の上に「離職」ということを入れたらいいでしょう。それが筋というものじゃないですか。しかも分限でもないようなもので離職の一態様としての定年退職だということで勤務条件だとおっしゃるならば、筋としては三十九条の適用除外にしなければならぬのじゃないか。適用されればそのまま一般職と同じようにストレートできてしまうわけですから、そこで救済するところはどこもない。歯どめが一つもないわけですよ。言ってみますと、長とかあるいは議会というものは良心的に動くでしょう。交渉の結果を尊重するでしょうと、こういうことだけでしょう。そんなに何にもかにも、命がけの問題、生活権の問題を、白紙委任するわけにいきませんよ。いかぬところに今日の問題が起こっているのでしょう。
 大臣、これは、この論文もなかなかきれい。この法律も、論文よりもきれいなように見えますけれども、自分の都合のいいところでは、地方公務員法三条に、離職をした人、しょろっと入れて、思うとおりあそこのところでかき回そう。そして、うまいこと文章で書いてありますけれども、何らの保障措置も法的には講じない。これは問題ですよ。大臣のひとつ所見を伺いたい。
#114
○野田国務大臣 細谷さんの御心配の点もよくわかりますが、この職員の給与、また勤務条件というものは、これはやはり勤労者にとっては一番大きな自分の問題でございますが、これはやはり条例で定め、それに基づいて実行されておるのでございます。それで私どもは、今日まで給与や勤務条件その他が条例によって定められて実施されているということは、やはりその内容が常識に伴うた条例である、こう考えております。したがって、今後この問題を取り扱う場合には、いままでの給与や勤務条件が、条例に定められておるところに従って実施されておると同様に、きわめて常識的な、また、そういう紛争のないようなぐあいで各地方自治団体が、条例決定にあたっては十分の配慮をする、これを私どもは期待し、また信頼しております。
#115
○細谷委員 これは、あなたは最初自由権と言っておった。最後に社会権ということで法制局長官の意見に従った。この社会権ということを言っていても、あなたはその社会権という認識に立って常識的に問題を処理しておらないところに問題があるわけですよ。社会権というそれ以上に自由権ということまであなたはおっしゃったわけですから、憲法二十七条、二十八条は、これは勤労者にとっては重要な柱なんだ、これを守っていくためにはどうすべきか、そういう形で常識的に法律で対処していくべきですよ。それがなくて、ことばだけは常識だけれども、常識で踏むべきことをやらないで、非常識な、地方公務員法の三条の改正まで試みておる、こういうことでありますから、ことばは常識といいますけれども、常識の線に乗っかっておらない、基本的な考えの上に乗っかっておらない、こう申さなければなりません。
 大臣、私にいまこういう話を聞かしてくれました。ある大阪の人であります。職業安定所の課長をしておったわけです。先ほど門司さんがおっしゃった国家公務員か地方公務員かわからぬ、総定員法の中にも入っておらないような定数であります。地方自治法附則八条に基づいたもので身分がえたいの知れないものであります。その人がやめたというのであります。課長ですよ。出先の安定所の課長であります。やめて、そうしてその職務で再雇用されたというのであります。再雇用されたら、もとの部下の、高等学校を出て二、三年の人たちにこき使われているというのですわ。たいへんみじめなものですよ。給料は三万円以下だそうですよ。こういうたいへんな問題が現に起こっておるのですよ。それは、法律もないのに勧奨退職という名においてやられているわけですよ。この法律が今度かかってくるわけですから、大臣、たいへんな問題なんですよ。それを何らの歯どめも施さずにやるというのは、大臣はあたたかい血の流れた方だと私は思ったけれども、これは全く冷たいやり方、こう申し上げざるを得ないわけです。
#116
○野田国務大臣 私は、先ほど私の意思を申し上げましたし、また、それに対してのいままでの経過につきまして、また、法律上の問題につきましては、行政局長もお答えいたしております。同じことを繰り返すのでございまして、私はあくまでも地方自治の常識に期待する、そうしてそういうトラブルが起こらないように、われわれはこの法案の成立後には、もし地方自治団体からの相談を受けた場合は、われわれの考え方を率直に言いたい、こう思っております。
#117
○細谷委員 大臣、それはあまりに虫がよ過ぎると私は思うのですよ。こういう新しい、しかも性格がぼけたような、しかも地方公務員にとっては基本的な条項、そういうものを加える場合には、やはり少なくとも最低限の保障措置というのは要ると思うのですよ。それを何ら講じないのは、私はたいへん不満であります。ですから大臣、まだこの法律が上がったわけじゃありませんから再検討をいただけませんか。いかがですか。
#118
○野田国務大臣 細谷さんの御注意よくわかりますが、先ほど申しましたとおり、給与とか勤務条件等も、これは大事な、団体交渉に基づいていろいろきめることでございます。これらの問題も、今日まで条例の定めるところに従うて給与や勤務条件がきまって実施いたしております。私は細谷さんの御注意はよくわかりますが、各地方団体はこれらの点について十分に配慮して、やはり相当団体交渉その他の手続を経て条例の決定に当たる、こう自分は非常に期待し信頼いたしておるものですから、そのいままでの地方公共団体の条例のつくり方、いままでの運営のしかたというものから照らしまして、今回もいろんな各般の準備をしてこの条例ができ上がる、こう思っておりますから、ことさらいまこの法案の内容を云々するという考えは持っておりません。
#119
○細谷委員 大臣の答弁を聞いておるとまことに遺憾です。大臣のほんとうの腹はそうじゃないと思うのですけれども、出しちゃったものじゃ、もう無理であろうと何であろうとやってしまえ、こういうどうも与党の病気がうつっているのじゃないか、こういうふうにしか私は思えないのです。大臣、熊本生まれでしょう。肥後の人はそんなんじゃないですよ。この問題は保留しておきます。
 ところで大臣、あなたの提案理由の補足説明の中で、この法律ができて国家公務員と地方公務員は同列になるんだ、こういう提案理由の趣旨説出がありましたね。そうしますと、いままでが不公平であったということでありますか。国家公務員と地方公務員は、公務員は法のもとに平等ですよ。あなたは等距離論、この法律ができて初めて平等になるんだ、こういうことをおっしゃっておりますが、それではいままでは不平等な、憲法違反の形にあったというお考えに立っているのですか。お答え願います。
#120
○長野政府委員 この関係につきましては、そういう意味ではございませんで、国家公務員につきましては現在も自衛隊法なり検察庁法なり、一部の職員につきましては、特殊な必要と職務の責任の特殊性という問題もございますが、法律をもって定年制をしいておるわけでございます。つまり、そういう点からいえば、やや法律諦めきますけれども、国家公務員の場合には法律をもって定年制をしくということが考えられておるということに思えるのでございますが、地方公務員の場合には、先ほど来申し上げました地方公務員法が昭和二十六年に施行になりまして以来、定年制についての規定を欠いておりました結果、定年退職というものを地方団体が自主的に条例で定めることはできないのだという考え方で、自来今日まできておるわけであります。したがいまして、公務員で国家の場合には法律によりまして給与その他の勤務条件をきめる。地方の場合には、国の法律に相当いたしますところの条例によってきめる、こういうことになっておりますけれども、国の場合には法律できめ得るということは当然と考えられますが、地方の場合にはそういう解釈の結果、条例をもってしても自主的に定めることができないということになっておるわけでありますから、法制度的にはやはり条例で定め得る根拠を与えなければ、立法能力が地方団体から奪われておるということでございますので、その意味で条例で定め得る根拠を与える。つまり立法能力を認めるということによって初めて国と地方とが同じように、定年制について定めようとすれば定め得るというかっこうになり得たのだ、こういうことを申しておるわけでございます。
#121
○細谷委員 これは自治省も頭にきていると思うのです。そんな長野さんともあろう者が、「地方自治法」という日本の標準になるような注釈本を書いた人が、そんな理屈を言うのはおかしいですよ。
  〔委員長退席、保岡委員長代理着席〕
国では条例を制定できるわけはないでしょう。法律ができたら政令なり省令でそれを具体的にしていくでしょう。地方団体というのは法律を受けて条例をつくるわけです。その法律に違反した条例は無効ですよ。その条例に基づいて、あるいは地方団体の長がきめる例もありますけれども、そうでしょう。ですから、こんなことで子供だましの等距離論なんというのをはくのは、私は長野さんらしからぬ、大臣らしからぬ理屈だろうと思うのです。
 これだけ言って、そこで先ほど門司さんからも話があったわけですし、私が先ほど大阪の例を申し上げたわけですけれども、一向総理府もらちがあかぬ。新聞によりますと、国家公務員に定年制をつくると天下り人事が避けられるのではないか。たいへんですね。いま天下り人事、学校を出て三十年つとめて四、五百万円の退職金をもらったかと思うと、四、五年で千三百万も千四百万もかせいでおる高級官僚がおる。国会でも問題になっておる。そういう天下りは防がなければならぬ。そうすると、これはひとつ総理府と自治大臣にお伺いしますが、地方のほうに定年制ができた。府県と国との間ではずいぶん交流があります。自治省からもずいぶん強制的に――私は強制的とあえて言いますが、相当たくさんの人が行っておりますね。これは若い人だからいいですけれども、たとえば、定年前の人が行って定年直前になって本省のほうに帰ったら、これはどうなるのですか。これは不公平というものじゃないですか。そういう実態だって起こるでしょう。でありますから、やはり公務員制度というのは、国家公務員というのが親方であります。その子供というのが地方公務員法でありますから、これはやはり歩調を合わせなければならぬ、こう思うのですよ。いろいろ申し上げたくはありませんけれどもそう思うのです。
  〔保岡委員長代理退席、委員長着席〕
 この点について自治大臣と総理府、そんなふうな不合理なことも現実化してまいりますよ、こう思うので、どうお思いなのか、お尋ねしておきます。
#122
○野田国務大臣 私は、先ほどもお答えしましたが、やはりそういう場合は、いまのままに、何と申しますか、国家公務員のほうには別に一般的には定年制がない。したがって、そういういろいろなケースが想定されることはあり得ると思います。しかし、それを私は先ほども申しましたが、われわれがいわゆる行政上の指導とか、あるいは職員の規律とか、道義とか、いろいろなものから考えまして、地方に行っておる者が地方の定年制で退職するから本省に呼ぶ、こういうことが出てまいりますれば、これはいわゆる行政管理上、これはもうまことに不都合なことでございます。いわゆる官紀上非常に乱れてまいります。これは、自治省はもちろんでございますが、各省におきましても十分考慮するだろうし、また、考慮してもらうという方法を考えなければならぬ。したがって私は、今日国家公務員の一般の人に定年制をすべしとかすべからずとかということは、私の立場でございますから避けますが、いずれにいたしましても、今度の定年制の法案というのは、やはり私どもとしては地方公共団体の人事の実情に照らして必要だ。これが国家公務員にどう反映してくるか。これは私はここでもってはっきりとお答えをすることは避けます。だけれども、いま御指摘のようなことは、これは官紀の上からいたしましても、政府としては、ひとり自治省だけでなくて、各省とも十分留意して、そういうおそれがないようにすべきだ、これは当然だと考えております。
#123
○栗山政府委員 国家公務員の場合におきましては、各省におきまして必ずしも私全部を詳細に明らかに存じているわけではございませんが、たとえば五十そこそこ、あるいは五十前後というようなところで事実上やめておられるような省も承知いたしているわけでございまして、そういう点からいたしますと、必ずしも一がいにどうこうと言うことはできないのではなかろうかというふうに私は存じているわけでございます。
#124
○細谷委員 そうしますと、一がいにできないというなら、これは国家公務員の定年なんということはいまのところ考える余地がない、こういうことですよ。そんなんならば、これは憲法違反だ。法のもとに公務員も平等でなければいかぬわけですから、あなたがそうおっしゃるなら、いよいよこの法律はたいへんなものだ。先ほど来、できるだけ早く検討してという総理府総務長官の話でありますが、それぞれ違うから――地方公務員のほうが千差万別ですよ。それを、国家公務員に対する制度というものを考えないで地方公務員にやるというなら、これは憲法違反ですよ。たいへんな問題。大臣、いまそういう話が出たんです。こんなばかな話はないですよ。
#125
○野田国務大臣 私が言明できないというところは御理解願いたい。ただ、先ほど総務長官も言明はできないという前提でしたが、これは現に国家公務員におきましても、職種にもよりますけれども、定年制があるところもございます。だから、国家公務員関係で一切定年制がしかれないという原則は成り立っておりません。現に二、三の種目ではやっておるのでございます。
 そこで、いま御指摘のとおり、今後の公務員全体の運営、これは国家も地方もいわゆる公務員でございますから、しかしいま国家公務員と地方公務員とは分けていろんな身分その他についてできておりますから――この地方公務員の定年制というものの影響といいますか、今後の人事管理その他を大きな意味において国家、地方を考えました場合には、相当やはり国家公務員についてもいろいろの意見が出てくるだろう。それ以上私どもの立場としては申し上げかねますが、それは大体ニュアンスは総務長官の答弁の中にも一応感じられる点がございました。これまた総務長官の立場でございますから、この点を言明できなかったのも理解していただけるのじゃないか。ただ国家公務員は非常にさまざまな態様であるという理由だけでなくて、大きな意味の国全体の国家公務員、地方公務員というものをどう今後人事管理上運営していくかという大きな課題だと思っております。当然この問題は取り組んでいくべき問題だと考えております。
#126
○細谷委員 これについて、人事院いらっしゃいますね。
#127
○岡田政府委員 はい。
#128
○細谷委員 三月三日の新聞によりますと、おたくのほうは、天下り人事を防ぐ効果もあるだろう、地方公務員の定年制ができたら、国家公務員の定年制に対する推進論も強まるだろうから、そろそろ検討しようや、こういうことになったという新聞記事が出ております。そういうことですか。
#129
○岡田政府委員 御指摘の新聞にそのような記事がありましたことは、私も記憶いたしております。ただ、人事院といたしまして、そのような見解をまとめて世に出したというようなものではございません。いわゆる天下りにつきましては、私どもの職員局で担当しておるところでございますが、定年制ということになりますと、私のあずかります任用局で所掌する事項でございます。で、そういう新聞記事を見まして、私案にふしぎに思いましたのですが、私のところの任用局ではまだそこまで考えておりません。一部どなたがどのような話をされたのがその新聞に出たのか、その辺は存じませんが、私のところではそこまでまだ考えておりません。こういう状況でございます。
#130
○細谷委員 いずれにしても大臣、どうも国家公務員については、ことばはともかく、現実にはそういう制度を設けないで、地方公務員だけ設けようとするやり方は、これは公務員に対する平等、公平な取り扱いではないわけでありますから、憲法の精神にこれは反する、こう申し上げなきゃならぬと思う。
 そこで、大臣にお尋ねしたいのですが、この法律がかりにできた場合に、一体どういうような行政効果をあなたは期待しているんですか。
#131
○野田国務大臣 最近の地方公共団体の人事面が、ややもすれば沈滞ぎみであるし、能率上その他を考えまして、やはり行政の能力を上げていくという意味におきまして、定年制を設けたがよろしい、現にそのために御承知の勧奨退職が行なわれております。全部じゃありません。これがやはり同じ目的で行なわれていることでございまして、それと同様な考え方でこの際各地方公共団体の――これは実情にもよります。そんなことをする必要ない、何も能率が云々という関係ないところがございますが、そこは何も定年制を設ける必要はないという考えでございますから、条例をおつくりになるのは御自由でございます、というだけでございまして、その点は決して一つの自治省の方針でもって全公共団体一斉にこうすべしという考えは、繰り返し申しておりますとおり、そういう考えは持っておりません。
#132
○細谷委員 それはそうでしょうけれども、地方団体には強制しない、そう言わざるを得ないでしょうけれども、少なくとも一つの法律案をつくって国会に出す以上は、どういう行政効果が期待されるのか、新陳代謝の問題とか財政とかいろいろあるでしょう、そういう問題についての自治省なりの評価というのがなければならぬと私は思うのです。ですから、ひとつ時間もなにですから、次の委員会までに、自治省がこの法案に期待する行政効果というのはかくかくのものである、こういうものをひとつ資料として出していただきたい、こう思います。よろしいですか。
#133
○野田国務大臣 わかりました。
#134
○細谷委員 委員長、いいですか。
#135
○鹿野委員長 けっこうです。
#136
○細谷委員 じゃ、委員長から――大臣も、資料として出す、この期待される行政効果はこうだということで出すということでありますから……。
 私はいままでいろいろと質問をいたしたわけですが、きわめて答弁は不満であります。しかし、理事からの指示もありますから、一応このところで質問を打ち切っておきます。
#137
○鹿野委員長 次に、井岡大治君。
#138
○井岡委員 同じようなことを聞くようですが、この法案は強制はしないということですね。
 そこで、労働省に先に聞きます。職員団体というのは労働組合なのか、労働組合じゃないのか、この点ひとつ……。
#139
○大坪説明員 お答えを申し上げます。
 お尋ねの職員団体は地方公務員法の場合であろうかと存じますが、地方公務員法の第五十二条第一項によりますと、「「職員団体」とは、職員がその勤務条件の維持改善を図ることを目的として組織する団体又はその連合体をいう。」と明記してございます。一方、労働組合法の第二条も「この法律で「労働組合」とは、労働者が主体となつて自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体又はその連合団体をいう。」、かように定義をいたしておりますので、職員団体と労働組合とは、その法律条文から見まして、その構成員の勤務条件の維持改善をはかることを主たる目的といたします勤労者の団体でございますから、そういう趣旨では異なるものではないと考えるのでございます。
#140
○井岡委員 そうすると、職員団体いわゆる労働組合、こういうように理解していいですね。
#141
○大坪説明員 労働組合でございまするが、ただ公務員という特殊性につきまして、特殊の法律で種々制約条件が課せられておるということでございます。
#142
○井岡委員 公務員だから特殊な制約は加えられておるけれども、労働組合と見てよろしい、認定してよろしい、そうですね。
#143
○大坪説明員 法律の根拠は違いますが、性格は同じであります。
#144
○井岡委員 大臣にお尋ねをいたしますが、労働省の見解は、職員団体は労働条件の維持改善をはかる労働組合と性格は違うけれども――これは性格が違うというのは公務員法という法律の結果からくるものであって、本来それさえなければ労働組合、こういうように理解してよろしいという労働省の見解であります。そうだとすると、定年制の問題は条例できめるのでなくて、少なくとも労働組合との団体交渉の対象になる、こういうように理解していいですか。
#145
○大坪説明員 ただいまのお話でございますが、職員団体と労働組合とは性格が――構成員の勤務条件の改善を目的として行動するという点では、またその勤務条件の維持改善をはかるという点では同じ性格を持っておりますけれども、法律的根拠が違うと申し上げたわけでございます。したがいまして、定年制度のように、勤務条件にかかわる問題について、それぞれその勤務条件の交渉という形で当該団体がこれを交渉の目的とするということはできますけれども、そのできました定年制度についての合意が、それぞれの根拠法律によりまして違う扱いを受けるということはあろうかと存じます。
#146
○井岡委員 そうだとすると、少なくともこの問題は、いわゆる労働条件の維持改善という立場から団体交渉の対象として考える、それでいいですね。
#147
○大坪説明員 いまお話しにございましたように、職員の勤務条件は職員団体の交渉の対象となるものでございますから、仰せのとおりでございます。
#148
○井岡委員 行政局長、お聞きのとおりです。そうだとすると、なぜ先に定年法をおつくりになるのです。むしろこういう問題は、あなた方が必要と考えておいでになるというのであれば、自治労に対して、あるいは各団体に対して、公共団体に対して、この問題について労働組合と話をしなさい、これが行政指導じゃないですか。そう思いませんか。
#149
○長野政府委員 職員の給与とか勤務条件につきまして職員団体との間の交渉事項であるということは、そのとおりでございます。私どもそのように思っておりますが、ただこの定年制というのは、もう私があれこれ申し上げるまでもなく、職種等によって異なる場合もございましょうけれども、一定の年齢に達しました場合には、その年齢に達
 したある時点におきまして当然に退職をするという制度でございます。そういう意味では、ある意味で身分の剥奪と申しますか、そういうことを伴うわけでございますが、そういうことを制度的に合理化する、退職管理の方法として考えていくということに相なりますと、やはり現在の公務員法の体系の中におきましては、そういうものにつきましては条例をもって定めるということが公務員法の根本原則であると私は思っております。したがって、そういう定年制を採用いたします前提といたしまして、職員団体と当局との間におきまして交渉を持つということは当然のことでございますが、それを制度的に一つの退職制度として確立するということをいたそうと思えば、現在のたてまえでは法律なり条例なりの根拠が必要である、こういうことだと考えております。
#150
○井岡委員 私は逆だと思うのです。少なくとも職を離れていくわけですから、ある一定のなにできめて定年制という制度を設ければ、そこにいけば自動的に辞職をするわけですね。そうでなくて、団体交渉でかくかくかくようにするということがきまって、それから必要があれば公共団体が条例を制定するなり、あるいは適当な方法を講じればよろしいのであって、法律が先行するということは、明らかに団体交渉というものに制約を加える、こういうように理解していいでしょうか。
#151
○長野政府委員 今回の改正法におきましては、従来からの解釈によりまして、そういう定年制というものを地方団体で制度的に確立するということを当然にはできないということがあるわけでございます。したがいまして、そういう意味でそういうことのなし得るような根拠を与えるということではございますが、これによって当然にそれぞれすべての地方団体が定年制をしがなければならないという意味合いのものではもちろんございません。したがいまして、具体的なところでもし定年制をしくことがどうしても必要だということになりました場合には、そういう条例制定を行なうという道を開いたわけでございます。具体的なところにおきましてそういう定年制をどういうふうにやるか、必要だとしましても、その場合には、当局といたしましては、職員団体との間の当然交渉事項といいますか、交渉の対象になるわけでございますから、その意味で、まず交渉をいたしました上で、その結果に基づきまして当局との間の結論というか、そういうものが話し合いの中でまとまる場合もございましょう。まとまればまとまったところに従って条例を制定する、こういうことになります。まとまらない場合、それはもちろん御指摘のように条例案を提出いたしまして議会においてその最終的な判断を求める、こういうこともそれはあり得るかと思いますけれども、いずれにいたしましても、前提としては当局と職員団体との間の交渉を持つということに相なるわけでございまして、まずつくるということが先にあって交渉を持つということであるから、そのために交渉よりつくるということが先に出るではないかというお話かと思いますが、それは当局の間にそういう意図といいますか、目的がなければ交渉の対象にはならないだろうという点では、御指摘のような面もあるかと思います。
#152
○井岡委員 あなた方、この間から何回か答弁をされておる中に、一般民間会社等には定年制があるのだ、したがって定年制をしくことは決して不合理でない、こういう御答弁なんです。それといま御答弁いただいたお話とはだいぶ話が違う。だから私は、少なくともあなた方が行政指導として定年制を必要とするというようにお考えになるのであれば、法律をつくるのでなくて、民間会社等にも定年制があって新陳代謝を行なっている、あるいは業務刷新を行なっている、能率刷新を行なっている、だからひとつ話をしてみてはどうかという行政指導をするのがあたりまえであって、先に定年制という法律をつくって道を開いた、こういうこととは大きな違いがあると私は思う。あなた方の説明といまの答弁は大きな食い違いがあると認めませんか。
#153
○長野政府委員 定年制を制度的に確立するといいますか、その団体として制度として確立をしていくということを考えます場合には、地方団体におきましては条例を制定するということが、他の給与その他の勤務条件の扱いと少なくとも同じにしなければならないという意味で条例制定ということが当然出てくると思います。その前に、これが重要な勤務条件でございますから、内容がございますから、それが職員団体との交渉事項になるということも私は当然のことだろうと思うのであります。その点につきましては、やはり公務員につきましては、いわゆる団体交渉なり協約締結権というようなものにつきましては、必ずしも通常の労働組合等の持っておりますような力が認められておりません。そうして、そういうことのかわりに、国家公務員の場合であれば法律、地方公務員の場合であれば条例によってそういう制度的な取りきめをするということがたてまえとなっておりますから、したがいまして、定年制の場合におきましても、条例によってこれを行なうということに相ならざるを得ない、こういうことだと私は思っております。
#154
○井岡委員 あなたの言っておいでになるのに論理の矛盾があるんです。公務員の団体は、公務員という職員のためにほかの一般労働組合とは違って十分なものがない。だから条例できめるんだ、法律できめるんだ、こう言われる。それは団体交渉をやってきまったものをそうするということ、そしてそれは変更させられないようにやるということ、そういうようにするのがあたりまえだと思う。それをあなた方が強制をしようとしているのはほかに意図があるわけです。
 そこで、聞きますが、あなた方はこれは各公共団体にまかす、まかすと言っておいでになりますけれども、あなた方の鎌田部長は五十五歳と言っている。砂田政務次官は、この間五十七か八、こういうように言われた。おそらくあなた方は一つのメリットを考えておいでになる、一つの目安というものを考えておいでになる。もしこれが行なわれなかったとするならば、あなた方は必ずほかのところでけしからぬと、こうやってくる。財政援助のところであなた方やってくる。これがこの法律のねらいなんです。そう思いませんか。
#155
○野田国務大臣 井岡さんの御心配のようなことが先般来しばしば出ております。私は率直に申しますが、ただ財政上の問題でやるというような問題とはこれは質が違うと私は思うのです。しばしばお答えいたしておりますとおり、これは地方団体は三千幾つでございまして、おのおの実情が違ってまいります。その財政状態から一律にやるということになりますれば、これはまたこの条例問題の取り扱いも自治省としてこの姿でやるかどうか別でございますが、私は実情に照らして、そしてその年齢におきましてもいろいろ答弁があったかもしれませんが、私は何も五十七や八が適当だと考えておらないのです。いまの実情で、それが五十七や八、九、六十と、かりにどれがいいというのではありませんが、実情に照らしていろいろ出てくると思うのです。それから、その前におそらく交渉がある。各地方団体は、その交渉によってこの程度ならいいという判断をするだろう、こう思いますから、たとえば財政上の理由でございますれば大体五十五、六とかきめたほうが、そろばんをとる場合には楽にいきますが、私は基本的にそういうものではない。だから、いままで勧奨退職もやっております。これらのことを勘案して、一応条例をつくって、それを希望する地方団体はその採用をできる道を開こうということでございますから、そこまで勘ぐられると、私自身は非常に不本意でございまして、一切そういう考え方を持っておりません。
#156
○井岡委員 大臣はそうおっしゃるけれども、提案の理由の説明に書いてあるのです。「昭和二十五年に地方公務員法が制定される以前には、相当数の地方公共団体が定年制を設けていたのでありますが、同法施行後におきましては、定年制を設けることは解釈上疑義があり、定年制を廃止せざるを得なくなり、その結果、地方公共団体の中には職員の年齢構成が高齢化し、人事の停滞に悩んでいるものが相当多数存在しているのであります。」と書いてある。単にここには財政的なものということは一言も書いてありません。書いてありませんけれども、少なくとも「地方公共団体の中には職員の年齢構成が高齢化し、」高齢化するということは、これは給与がどんどん上がってくる、いまのような制度で上がってくるわけです。そのために鎌田さんの言われたように、いわゆる遅刻せず、欠勤せずというようなものが出てくるわけです。ここに問題がある。
 それからもう一つ、あなた方は地方団体の要請、要請ということをよく言われるわけですが、市長会のあなた方に対する要望の中で「地方公務員の人件費の伸び率は地方税収入のそれを上廻っている。地方公務員の人件費は、昭和四十二年度において総額二兆三百億円に達し、昭和三十六年度(一〇〇)に比し、倍増し(二四四)、地方税収入の伸び率(二三七)を上廻っている。」こういう状態だから定年制をしいてくれ。明らかにこれは財政問題とからんでおる。そうだとすると、あなた方は、もしやらないとするならば、当然、あなたのところはやらないじゃないか、こういうことで締めつけをやる。
 一つの例を申し上げると、この間私は公営企業の問題を言いました。公営企業の問題等についても、あれはまかしてある、まかしてあると言いながら、あなた方は、これをこうしなければ認めるわけにはいかぬ、こういうことで、地方自治体はどうにも手を出さないじゃないか、ようしないじゃないか。こういうように必ずあなた方は、この提案理由の説明、市町会あるいは知事会、議長会の要望にこたえてやっておる限りにおいては干渉する。こういうように理解するのが私は常識だと思う。そう思いませんか、大臣。
#157
○野田国務大臣 市長会の決議その他はいろいろありましょう。それは地方公共団体によってはいろいろ事情はございましょう。私の考え方は、すなおなことを申しますが、たとえば地方財政上の影響、それは高齢の方の給料は高いのでございましょうが、一ぺんに退職なんかうんと来れば、何年間ずいぶん地方財政に影響がありますし、財政面からだけ考えますと、なかなか異論があるところです。まあ、いまの市長会の方々はそういうお考えでございますが、私はそう思っておりません。
 それから、例をお引きになりました、こういうことだから役所のほうは強圧するだろう。地方公営企業の問題でもそういうことは言っております。それは強圧ではありません。私が現に言っております。ひとつ努力しなさい、そしてお互いに話し合おう、満点でなくていいからお互い努力しよう、私は現に責任ある理事者の方にもお答えしておるわけでございまして、今後ともそういう考え方を持っております。
 そこで、従来そういうことがかりに――なかったと思いますが、かりにあったといたしましても、私はこの定年制に関しましては、はっきりした私のすなおな気持ちをひとつあらわしたい、地方公共団体にお示ししたい、こう思っております。
#158
○井岡委員 大臣は、ほんとうの党人ですから、そういうお考えになっておいでになる、それは私はそのとおりだと思うのです。私は決して疑いません。けれども、役人さんはそういうものじゃないのですね。私も地方公務員でしたから、代議士になったために地方公務員法第何条により除籍するという辞令をもらってそれでぽんですわ。私も役人だったからよくわかるのです。一たんきまると、なかなか役人さんというのはそう大悟のように融通無碍じゃないのですよ。かちっと、このとおりですよと、こうやるのです。これが役人というものですよ。ですから、大臣が幾らこうだとおっしゃっても、きめてしまうと、あなたのところはやらぬじゃないか、そういうところに金なんか出せるか、こう必ず来ますよ。これをどうとめます、大臣。
#159
○野田国務大臣 まあ、井岡さんが御経験があるからというそれを、私は否定するわけじゃございません。だけれど、そういう指導とか行政上の運営ですか、私はそういうのは実に誤った考え方だろうと思います。やはりそこは、井岡さん、私にはあんまりのみ込めないのだ。しかしそれは、決してなかったとか私は否定するのではございません。そういううわさも一部には事実聞いております。しかし、強制ということは決してすべきことじゃありません。強制というのは、これは誤っております。しかし、指導助言ということばがある、その場合にあらわれてくるかと思っております。その指導助言の場合に、強制にならないような、これは当然のことです、これはもう本務としても。だから、強制は誤ったことですから、これはやるべきではない。その指導助言の場合に、やはりそういう心がまえでやるということでございまして、私は、いままでの質問応答をずっとお聞きしていまして、われわれの自治省の当局も来ておりまして、この問題については、相当重大であって、この運営についても慎重にやらなくてはならぬということを理解いたしておると思いますから、その点はひとつ井岡さんの御注意のように私もできるだけの指導をいたしたい、こう思っております。
#160
○井岡委員 大臣もたいがい腹が立たれたと思うのですよ、あの論文を平気で書くような人たち……。私は、たいがいつまらぬ論文を書いたものだと思って聞いていましたよ。そういう人たちがこれをやるわけです。もし大臣のようなお気持ちであるとするならば、私は、法律をつくるのでなくて、各団体に対して、どうも君たちはやかましく言ってくるけれども、人件費――市長会なんか人件費を出して言っているわけですね。言ってくるけれども、君たちは君たちの組合と話しをしたらどうなんだ、こういうように私は、大臣の気持ちとするならば、それが穏当だと思うのです。それを、先にこれをきめようという考え方は、あの論文に書かれたことがまずいとかまずくないとか、文章上がどうであるとかいうだけの問題ではなくて、あの書かれた思想というものは、私は、やはり大臣の気持ちとおよそかけ離れたものだ、こういうように思うのです。私は、時間がないそうですから、協力しますが、この問題は、したがってこれは引っ込めるべきだ、こう私は考えております。そして十分話し合いをやるべきだ、こう思う。
 そこで、次に移りますが、長野さん、再雇用するその人たちの身分は、どういうことになるのです。
#161
○長野政府委員 改正法案に規定しておりますように、再雇用をされる人は、特定の業務に期間を定めて雇用されるわけでございます。そういう場合は特別職として身分の取り扱いをいたしたいと考えております。
#162
○井岡委員 特別職であるとするならば、共済年金というものは出せないでしょう。その間は停止をするはずですよ。それは新たにこしらえるのですか。そんなかってなことをしてはいけませんよ。そう思いませんか。
#163
○長野政府委員 再雇用をいたします場合に、再雇用された特別職は、その地方団体の職員に相なります。したがいまして、そういう意味で、ほうっておきますと当然に共済法の適用があるということになるわけでございます。そういうことでございますと、退職後収入の減るような方があってはあれだということもございますので、そこでそういう場合の特例を開かしていただきまして、当分の間この定年退職をして再雇用された人につきましては、共済組合法上の適用においては職員でないものとするということで、年金年限に達しております人には年金を受けながら再雇用されていくことができる、こういうたてまえをとろうとしておるわけでございます。
 これはどうしてそういうことをしたかということに相なると思いますが、結局、従来から勧奨退職でありましょうが、自発的な退職でありましょうが、そのやり方はともあれ、職員は新陳代謝をいたしておるわけでございます。そういうことで、新陳代謝いたしておりますところの退職いたしました職員は、おおむね自家営業をやりますとか、あるいは民間企業に従事いたしますとか、あるいはもとの地方団体の非常勤の嘱託とか、そういう形でもう一ぺん特定の業務につくとかということをいたしております。そういう場合には、やはり年金を受けながら再出発をいたしておる、こういうかっこうをとっておるわけでございます。そこで、そういう人たちとの均衡も考えまして、当該団体に再雇用する場合にも、そういう方式を考えていくことがその均衡上もよろしいのではないかというような考え方から問題をまとめることにいたしたわけでございます。
 もちろん、そういうことでなくて、共済なら共済として、その職員でありながら共済の年金を再雇用職員に支給するということが考えられないかという問題も種々考えてみましたけれども、現在の共済制度なり、あるいは現在の共済法のたてまえは、退職時前三年間の報酬の平均というのが結局年金の算定の基礎額になっております。現在の給与は、御承知のように、いわば年功序列型の給与でございますので、再雇用職員が退職するときの三カ年の平均給与をとるということは、ほかとの関連で非常な例外をつくることになりなかなか困難であります。そこで、一たんやめたというクッションを置きまして、在職中に年金を支給するということをやりますのにつきましても、社会保障制度審議会の答申においてはそういうことはありますけれども、これもまた他との関連でなかなかうまく話がつきません。そういうことでございますので、民間に出ていくのと同じ形で問題をまとめてみたらいいじゃないかということで、再雇用職員については、年金を受けながらつとめられるという道を開きたい、こう考えておるわけでございます。
#164
○井岡委員 苦しい理屈をつけたものだと思いますが、その再就職をした方は公務員ですか、公務員じゃないのですか。
#165
○長野政府委員 先ほど申し上げましたように、特別職の公務員でございます。
#166
○井岡委員 特別職の公務員。特別職の公務員ということになるとどうなるのですか。政治活動はできるのですか。できないのですか。
#167
○長野政府委員 一般職と違いまして、政治活動も可能でございます。
#168
○井岡委員 もしそうだとすると、現実には再就職はできない、こういうことになる。おそらく、いわゆる地位の利用をして、政治活動ができるということになると、これはたいへんなことになる。だから現実には再就職はできない。政治活動ができるということになると、自分のところの行政区の中で、いわゆる仕事に関係を持って、そしてそれを利用する、こういうことがないとも限らない。そうだとすると、現実にはそれは再就職はできない、再雇用はできない、こういうように私は理解します。大臣そう思いませんか。これは大臣からです。あなたの見解じゃだめです。法律解釈じゃない。
#169
○長野政府委員 いま申し上げましたのは、地方公務員法の政治的行為の制限の規定との関係がどうなるかというふうなお尋ねと私は思いましたので、そこで、その政治的行為の制限の適用からは免れるということを申し上げたのであります。ただし、あなたのお話しのように、地位を利用してどうとかということに相なりますと、これは公職選挙法上の規制というものは当然ひっかかるわけでございまして、その点での問題は、はっきりと規制をすべきものは法規によって規制される、このことは当然でございます。
#170
○井岡委員 大臣、こういうことなんですよ。再就職した者は特別職だ、したがって政治行動、政治活動はできる、こういう話なんです。できるというのですか。
#171
○野田国務大臣 できる。
#172
○井岡委員 そうだとすると、地位の利用といわなくても、別に地位の利用というかっこうではないけれども、たとえば区画整理ならば区画整理の業務を担当している、そうして区画整理の話に来られる、井岡を頼むぜ、こういうことがこれはあり得るというのです。別にそれをどうこうという意味じゃありませんよ。どうこうという意味じゃありませんけれども、話をする前、あるいは済んだあと、こういうことは当然話がある。そうだとすると、現実にはこれは公職選挙法に違反しているからどうこうという問題でなくて、そういうことは間尺あるわけですから、そうだとすると、現実には再雇用というものはできない、こういうことになる。そう思いませんか。
#173
○野田国務大臣 いまのお話は、区画整理とか、あるいは河川なり、いろいろな問題がありましょうが、その際に、井岡さんがどうとか野田がどうとかという話が出る。その場合は、井岡さんが言われるとおり、公職選挙法では地位利用ですから、これは抵触――抵触というか、選挙法違反になってまいります。しかしそれは、再雇用される人はやはり自分の身分のことでございますから、そのために、そういう場合も想定されるから再雇用ができないというのは少し心配し過ぎるのじゃないかと思いますがね。その方えは、やはり自分の身分のことですから、そこは考えてやられるのじゃないか。そこまで勘ぐりますと、ちょっと動きがとれないようになりますから、私はそういうことはないという――断言じゃありませんが、やはりそれは相当高齢者ですから、自分の身分というものをお考えになれば、公職選挙法に照らして、これは違反になるとかならぬとかいうことは大体理解ができる年齢だ、というよりも、高年齢ですから、そこまで心配する必要はないのではないか、こう考えます。
#174
○井岡委員 別に私は心配をするわけではないが、われわれは法律をつくるわけですから、あらゆることを想定して、そうして最大限の条件というものを見つけ出しておかなければいかぬと思うのだ。そうだとすると、そういうことは常識として、というだけではとどまらないのですね。自分は特別職だからもういいんだ、政治活動はできるのだ、こう思うかもわからないですからね。そう思ったとしたら、それは違反が起こる。そういうことじゃいけないと思うのです。起こらないようにしておかなければいけない。そうだとすると、結局現実には採用はできない。
 大臣、ちょうどあなたがトイレへ行っておいでになるときでしたが、長野局長は、給与のことを、いまもう段階が何ぼでも上がっていく、だからやるのだということをはしなくも言われたのですが、これはやはり財政的な問題がからんでいるのです。だから、もしやらなかったら、おまえのところはなぜやらないのか、こういう干渉は当然出てくる。はしなくも局長言ったんですから……。そうでしょう。だから私は、現実の問題としてはこういう問題は法律できめるのでなくて、そしてもっともっとみんなで話し合ってきめる、そういうようにしたほうが実質効果というものはあがるんじゃないか。その場合、現実にやってないのはそうたくさんないわけです。話をしてほとんどやっているわけですからね。そこらのところを考えれば、私はこういう法律はあわててつくるべきでない、こう思うのです。そのほうがかえって効果がある、こう私は思うのです。
 時間がありませんからほかの問題を言おうと思っていましたけれども、私はやめます。しかし、この問題は大きい問題がありますから、あとで関連のときに足らないところは全部聞きます。
#175
○鹿野委員長 次は小濱新次君。
#176
○小濱委員 若干御質問を申し上げますが、自治大臣には非常に御高齢にもかかわらず、連日野党の質問に対してほんとうに元気かくしゃくとしてお答えになっている。そういう姿を拝見いたしまして私は心から喜んでおる次第でございます。
 そういう立場から、また自分のことも考えてみたんですが、私も、自治省でいわれるような定年制をしかれるというと、あと何年も寿命がない、かわいそうだなという感じを持つわけであります。私が定年になっていく年限はもう何年もないということになると非常にさびしさを感ずるわけでありますが、こういう点で私は今回の定年制については、政府のこの法案に対しては老後保障がないということで、わが公明党としても対案を考えながら反対をしてきたわけでございますが、きょうは具体的にいろいろとお伺いをしてみたい、こう思うわけであります。公明党を代表しますので多少重複する点もあろうかと思いますが、御了承いただきたいと思います。
 きょうは、自治大臣と長野行政局長と鎌田公務員部長にお尋ねをしていきたい。公務員部長はいま外出のようでありますから、お帰りになりましてからでけっこうであります。関係の問題についていろいろとその立場からお答えをいただきたい、このようにお願しておきます。
 第一にお伺いしたいことは、今度公務員が一定の年齢に達したという理由のみで、個々の働く能力のある人にもかかわらず、その職を奪っていくことになるわけでありますが、そのことがいろいろと論争の的になってまいりましたが、憲法でいうところの基本的人権を侵すのではないか。二十二条、二十五条、二十七条等をそれぞれ言われてきたわけでございますが、私はいままでの質疑を通して、どうしてもこの問題がからまってくるわけであります。また自治労でも、地方公務員でも、いろいろ発行をしておるそういう書籍を見ますると、これが一つの問題になっておるわけであります。どうかこの点に対しては、ひとつ自治大臣の率直な御意見をお聞かせをいただきたい。
#177
○野田国務大臣 いま憲法上のお話が出ましたが、特に先ほどから問題になっております二十五条、二十七条の問題、経済権、社会権ということばが使われておりますが、これは具体的に勤労獲得の機会をすべての国民に保障するという意味でございます。私はこの憲法の精神はもちろん尊重しなければいかぬ。しかし、定年制は一つの組織体の中において一定の年齢に達した場合、その組織体における雇用関係をなくすることをきめる必要があるのでございまして、働いてはいけないということは、働く権利を奪うということとは異なるのであります。そこで、定年制は職業選択の自由や生存権、勤労の権利を否定するものではないという憲法の、いまお示しがありました二十二条、二十五条、二十七条の規定に抵触するものとは考えていません。また、そのことは、しばしば申しますとおり、国家公務員におきましても、特殊な職種におきましては、法律において定年制をつくっております。したがって、今度の定年制の法案というものは、御指摘のような憲法の各条項に違反するというものではないという解釈をとっております。
#178
○小濱委員 大臣のそうした御見解に、われわれも納得をしたいわけでありますが、どうしても、ただいまの条項を見ますると、問題になる点が多いわけです。こういう点の理解を深めるというのか、話し合いの場所を持つというのですか、こういうことができなかったところに今度の問題が起こってきた、こういうふうに考えるわけですが、大臣の言われるような内容ならば問題はないわけです。こういう一つの問題を通してみても、どうしてもこれは、その提出にあせったといいますか、その話し合いができなかった。その問題がこうした大きな問題に発展しているものとわれわれは理解をするわけです。どうかこういう点も大いに問題を通して一つ一つ反省をし、そしていい方向に一切の行政というものを進めていかなければならない、こういうふうに私どもは考えるわけでございます。
 そこで、次にお伺いいたしますが、戦後二十数年たったわけでございます。この公務員の定年制は、社会的、政治的に長期にわたる懸案であったようでございます。また今回新たにこの国会に提出されましたが、定年制を設けるその理由は、社会的要請によるものなのか、あるいはまた、それは民間会社が定年制を設けていることによるのか、あるいはまた、社会的、経済的背景によるものなのか、あるいはまた、貧困なる地方財政の救済策なのか、こういう問題があげられるであろうと思うわけですが、このたびの法制化の背景について、ひとつ所信をお持ちになっているかと思いますが、そのことをお聞かせいただきたいと思います。
  〔委員長退席、大石(八)委員長代理着席〕
#179
○野田国務大臣 御承知のとおり、いま御指摘になりました民間に定年制がある。これは御存じのとおり、団体交渉によって交渉をやっていく、私はこのことを理由として高くあげるものではございません。先ほど申しましたように、国家でも、国家公務員としても特殊な仕事の人は、法律で定年制を設けている、こういうことでございますからして、だから地方公務員もやる、こういうことではございませんで、現在地方公務員の実態を見ますると、各地方公共団体で多く勧奨退職をやっておりますが、この勧奨退職というものは、何と申しますか、人事の刷新と申しますか、行政の沈滞、行政の能率化、こういうものが一番大きな要因のようにわれわれはとっております。勧奨退職の場合、退職される方もございますが、勧奨しても、おれはいやだというので退職されない方もあるというので、その間、何といいますか、相当地方公共団体の人事面においてトラブル――そこまでは当たりませんが、そこにスムーズに円滑に人事管理がいってない点もございます。その実態からいたしまして、地方公共団体で必要な団体――小濱さんも知っておられますとおり、三千幾つでございますから、一から十まで画一的な考え方でこの問題を考えることができないのは、おのおの内容が相当違ってくるからであると思います。そこで、そういう勧奨退職をやっているところ、やらないところ、やってもなかなかうまくいかないところ、こういうところがございますから、一応勧奨退職というものをやっているということは、実態において、これは地方公共団体が人事面においてその必要を認めてやっておると思っております。したがって、それにはいわゆる法律をもって地方自治団体が自由な意思によって、必要があればそういう条例を設けられて、そうして定年制の道を開くほうが妥当ではないか、こういうことでございまして、それに関連していろいろなことが出ましょうが、一応基本的にはやはり人事の刷新と申しますか、行政の能率といいますか、その他地方団体の今日までの実際の人事面から照らしてやっている勧奨退職その他の実態を把握いたしまして、今回条例をもって定年制をきめることができるという法案を提出いたした次第でございます。
#180
○小濱委員 自主的に自治体に定年制を設けることができるというそのことのお考えはよくわかりますが、御存じのように、各党が一致して反対しているように私どもはこの法案については考えているわけです。またいままでの質疑の内容を見ましても、非常に紛糾といいますか、激論を展開したそういう委員会の内容であったように私は見てきたわけです。こういう立場で、いろいろな問題はあろうかと思いますけれども、いままでの過程もそうであったわけですが、何がゆえに強行しなければならないのか。大臣の気持ちはよくわかるのですけれども、特にこの実施は、そういう意味合いを私どももう少し考える必要があったかと思うのですが、その点はどうも残念でならないわけです。大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#181
○野田国務大臣 これは、いまお答えいたしましたような理由に基づいて提案したわけでございますが、各党からのいろいろな御意見を拝聴しまして、非常に参考になりました。これを運営する場合に、私どもは、いろいろな面において自治体からの相談を受ける場合が多いと思っております。その際は、いまのような御意見の中で、われわれが傾聴すべき御意見は率直に取り入れまして、これを理解するように説明し、また御注意の点について大事な点は、こちらもやはり注意する。決してわれわれはこれが一〇〇%満足なものだといって意気込むものではございません。やはり法律というものは、どの法律でもそうでございますが、改正したり修正したりいたしますときには、適正なものは取り入れるのがあたりまえのことでございまして、それがもう金科玉条でがんばるというものではございません。したがって、いままでの御意見で、われわれがほんとうに耳を傾けるべき御意見は、この運営にあたって、地方公共団体に詳しく親切に説明して、できるだけ誤りがないように指導したい、私はこう考えております。
#182
○小濱委員 大臣の非常に率直な御意見を伺いましたが、やはりこの問題に限っては、自治省としては今後、あたたかいといいますか、そういう指導の必要性を私どもは感じているわけです。そういう立場から、大臣のいま言われました内容について、私も筆記させていただきましたが、どうかそういうお気持ちで、これからもこの点については大いに努力をお願いしたいと思います。
 そこで、もう一つ大臣にお伺いしたいのですが、佐藤総理大臣は、しばしば基本問題であるということで人間尊重ということを言われるわけでありますが、人間尊重、この精神に相反する無慈悲というか、まことに冷たい法案ではないか、こういうふうに私は考えるわけですが、人間尊重ということについて、非常に大事な関連性を私は感ずるわけでありますが、ひとつ大臣からお答えいただきたいと思います。
#183
○野田国務大臣 私は、佐藤総理が特に表現されております人間尊重、これはもう憲法にあろうがあるまいが、人間生活の基本的な一番大事な問題だと思っております。そこで、この定年制の問題も――もちろん人間尊重ということは大事なことでございますので、この定年によって退職された方に、生活の問題を考えてあげるのは当然でございますから、再雇用の道とか、あるいは地方団体において、できるだけ就職のあっせんをするとか、いろいろ親切丁寧に扱っていく。これは長い間おつとめになった方々ですから、当然なことだと思っております。同時に、生活のためを特に考えまして、退職後も年金を取りながら就職、つまり再雇用もできる。他の職種においでになればこれは当然なことでありますが、再雇用の場合も、そういうことまで考えて、やはりその方々の退職後の生活というものをわれわれは考慮する必要がある、こういう考え方でこの法案を作成した次第でございます。
#184
○小濱委員 人間生活の基本的な問題として、大臣から非常に力強いお答えをいまいただいたわけであります。そういう立場から、就職のあっせんも努力していきたい、その他いろいろなことで労を惜しまない、そういうお話があったわけであります。そういう精神の上から見れば、今回のこの定年制の問題は、その精神に相反するような法案になるように私どもは考えざるを得ないわけです。
 そこで、総理の御答弁のことばをとって大臣に御質問申し上げたわけでございますが、どうかひとつそういう立場から、これから大いに――人間生活の基本的なもの、それを前提にした自治法でなければなりませんし、自治体というものは、住民の福祉のために福祉生活を国民に与えていく、それが政治でなければならぬと思います。そういう立場から、今度の問題には、いろいろ異議がありますけれども、どうか今度の問題に対しては、今後強力な行政指導を心から要請しておきたいと思います。
 自治労のほうからいろいろ出されている書物を読んでみますと、あるいはまた新聞にも出ました前の書記長の記事を読みますと、自治労としては、三十一年の定年制の提案以来反対し続けているのは、これは定年制そのものではないのだ、定年制の法制化により、議会が私たちの勤労の権利を奪うことを決定することが第一の理由だ、こういうことになっているんですね。先ほども細谷理事からこの問題についての質疑がございましたが、こういう問題を提起しながら反対を続けてきたその自治労の方々の言いたいことは、一つ一つの問題について、血の通った話し合いを前提にした法案の提出がなぜ行なわれなかったのであろうか。今回このような取り扱いになったので、将来も非常に危惧を感じているのだろう、こう私ども思うわけです。そういう立場から、私どもは血の通ったその話し合いの場所、そこに妥協点があっただろうと思うわけですが、これは行政局長、いままでは行なわれなかったようでありますが、これから行政局長としては非常に大事な立場にありますので、しばしばこういう問題が起こってくるかと思いますが、これからの話し合いの機会を大いに持って、こういう問題を起こさないようにしていくべきであろう、この私ども思うわけです。この点についての局長のお考えはいかがでございましょうか。
#185
○長野政府委員 地方公務員の職員の勤務条件その他に関しましては、現在の地方公務員法におきまして、条例で規定をして具体的な措置をきめるということになっておりますが、それはもう私が申し上げるまでもなく、地方団体の議会というものは、結局は住民全体の意思を代表する機関でございます。そうしてまた、公務員の採用というものは、地方公共団体が雇用者でございますから、結局は住民の基本的な自治権に由来しておるものと考えられるわけでございます。そういう意味で、そういうものの基本的な関係は、常に条例をもって規定するということになっておると考えておるわけでございます。定年制につきましても、定年制を採用するということになりますと、これは条例をもって規定をするということがやはり現在の公務員制度のたてまえからいたしまして、当然の成り行きであろうと考えるわけであります。
 また、後段のお話でございますが、そういう場合にも、やはり具体的に条例をつくります場合、これは当然勤務条件の重要な内容をなすものでございますから、職員団体と当局とが交渉をするということも当然の前提に相なるわけでございます。そういう意味で職員団体の意向というものは当局なり、議会なりにも十分反映をさしていくことができるように私ども考えておりまして、また、そういうことは反映させなければならないものと思っております。また同時に、自治省といたしましても、今後この法律の運営を通じまして、いろいろ職員団体の関係者ともお話し合いを持っていくのがいいじゃないかという御指摘でございますが、私らもそういうことで双方に話し合いの機会をできるだけ持ちまして、この実施が円滑に進むようにぜひともいたしたいと思っております。
#186
○小濱委員 将来の労働人口の見通しでありますが、その需給関係には改善の見込みはなく、特に若年労働力の供給は確実に低下していきます。他方において平均余命は著しく延びてきておるのであります。とすれば、中高年齢層の労働力の活用を、これはいまから長期的に、慎重に、しかも計画的に考えていく必要があろうと思うわけです。こういう立場から、日本の経済発展の上からも、労働力の有効利用という見地から見て、今度のこの法案の内容については国家的損失であろう、こう私どもは理解するわけですが、この点については行政局長、いかがでありましょうか。
#187
○長野政府委員 閣議においてきめました雇用対策基本計画によりますというと、御指摘になりましたように、今後の労働力の需給の見通しにつきましては、一つは生産年齢人口の増加率が、過去の出生率低下の反映でありますが、四十年代の後半になりますというと、三十年代の後半の一二%から六%程度に減少する、こういうことの見通しを持っておるようでございます。
 また、二番目には、進学率が非常に上昇いたしますとともに、いわゆる新規の学卒の労働力というものが、四十二年度の約百六十万人から、五十年度には約百二十万人程度に減少する。
 第三番目には、昭和四十年代の後半には、引退あるいは死亡による労働力の減少を補充する、いわゆる交代補充需要がふえまして、新規学卒労働力が、年々交代補充に必要な需要にさえ足りなくなるようなおそれがありますことから、労働力の需給の逼迫は、一そう強まるというような予想をいたしております。また労働力人口のうちの中高年齢者の占める比重が高まりまして、五十年度には労働力人口のうち四十歳以上の者は、四十年後半に比べまして、五百万人近くふえるものと見込まれます。
 そういうことでございますが、以上のことは私ども承知しておりまして、そういう傾向はずいぶん認められるということの上におきまして、定年制の問題も検討いたしたつもりでございます。これらの数字は、申すまでもなく全国一括してあらわした数字でございますが、地域によりまして、また職種によりまして、企業その他の規模によりまして、そのあらわれ方が必ずしも同一であるとは見られません。また多種多様の地方公共団体の中におきましては、先ほど来申し上げますとおり、人事管理上の問題から定年制を必要とするものがございます。そういう意味で、制度として整備をしていくという必要もあるわけであります。そういう意味では、民間等におきましても、いろいろな関係におきまして、定年年齢の延長というようなことがありますが、定年制そのものを否定するという空気はないと私思っております。
 定年制の今後の方向としましては、定年制を構成いたしますいろいろな要素を勘案しながら、特に年齢の改定等を、いろいろな要件の中で、社会情勢の変化に対応して考えていくということが予測できるわけでございます。地方団体の定年制の場合も、その問題はそのように考えられる、また同様の経過をたどっていくであろうということも考えております。しかしながら、そういうこともございますが、地域によりましてどうしても新陳代謝を促進をし、そして職員の年齢構成を正常化し、士気の沈滞を防ぎ、同時に行政能率を向上させ、定年制本来の目的なり存在意義というものをどうしても否定するわけにはまいらないと考えておるわけでございます。そういう意味で、定年制を採用するかいなかの判断というものは、地方団体の自主性と申しますか、自主的な判断にまかしていくべきだという考え方で、定年制についての道を開くということにとどめておるわけでございます。なお、定年制を採用することができるように道を開きますが、そういうことと並びまして、以上のように中高年齢層の活用という問題もございますから、今回は定年退職いたしました者を、地方公共団体においてさらに再雇用いたしまして、これらの高年齢者の人たちの知識や経験を仕事の上でも生かし、そういうような適職についてはこれからも開拓につとめまして、そして地方団体としてもそういう希望者があります限り再雇用につとめるということを考えたいと思っておるのであります。
#188
○小濱委員 神奈川県庁で会っていろいろと意見を聞いてみたわけでありますが、公務員は非常に安いのだそうです。したがって、県庁としても人手不足である、このように言っておりました。人手不足が激しくなっている現状から見て、平均寿命は逆に今度は延びている。こういうおりに定年制の実施をするということは、これは時代逆行ではないか、実際そう思うわけです。この点についてお答えいただきたいと思います。
#189
○長野政府委員 定年制は、もちろん御指摘のありましたように、これからの予測では高年齢層が非常に多く残りまして、若年労働力というものは非常に減少する。そういうことでございますが、先ほども申し上げましたように、定年制をしくしかないということにつきましては、個々の地方団体におきまして組織の上での新陳代謝をどうしても必要とする。そして、そういうことでなければ士気の沈滞というものを防ぎ切れない。また職員の年齢構成が非常に正常でないというかっこうになってくるという場合におきまして、行政の能率の向上をはかるという観点から必要になるということは、これはどうしても認めざるを得ない場合があろうかと思うのであります。そういう場合におきましては、やはり全体の能率を高めていくというような観点も考え、かつまた高年齢層の活用ということを考えながら、もちろん職種によって年齢をどのようにきめるかということについては、個々具体の事情によって考えなければならないと思いますけれども、そういうことを考えながら定年制を実施して、組織本来の能率の向上をはかるということは必要な場合があるわけです。そういうことでございますので、その点については、やはり個々の特性あるいは特別な必要というものに応じて定年制の道を開くということは、これは認めざるを得ないと考えている次第でございます。
#190
○小濱委員 地方自治体に自主性を持たせて、幅を持たせて、今度の法案ができたのだというお話も先ほどございました。いろいろとお話がありましたけれども、いままでにも出ておりましたけれども、東京で市長会の大会を開きました。われわれも招聘を受けて参りました。ものすごい反撃、そういう攻撃があるわけですけれども、そういう点からもいろいろとまた猛運動を起こしております。そういう立場から今度の定年の年齢が法律で規定されていないので、若年定年が設けられる、こういうおそれを感ずるわけです。このことについては、政府はどのように対処していく考えなのか、具体的方策がおありになれば、これは行政局長からお答えいただきたいと思います。
#191
○長野政府委員 定年年齢の定め方につきまして、むしろ非常に低い年齢で定めるおそれはないかという御指摘でございますが、先ほど先生から、最近そういう若年労働層が非常に少なくなって、都会のある県などではとてもそういうときに定年制をしくような時期でないというような御意向があるというお話もあったようでありますが、そういう事態の中で職員の年齢構成の適正化をはかります場合にも、やはり今後の労働力の需給見通しとか需給関係というものも一つの大きな要素として考えなければ、行政組織体として今後適切な行政を執行していくということは、計画的にも人事の面でも行なえなくなるということになるわけです。したがいまして、私どもといたしましては、非常な若年で定年を設けるということはとうてい考えられない。また民間等におきましても、現在までは六〇%程度はなお五十五歳という定年を設けておりますけれども、最近の状況では定年年齢の延長を民間等でも考えて、次第にそれが実現しておるような状況でございます。もちろんその中にはいろいろなやり方がございまして、五十五で一度やめさせて定年退職をした上で、さらに二年なりなんなりということでもう一ぺん再雇用するという方式もあるようでございますが、そういうことはともかくといたしまして、年齢が延長の方向に向かっておる状況でございます。そういう場合に、地方団体が定年制をしこうといたします場合に、そういうものよりさらに下回った若い定年年齢をしくということは、これはもう組織を運営し、必要な行政事務を行なっていくという見通しから考えましても、とうてい考えられない問題だと思うわけでございます。私どもはその点につきまして、もしそれにもかかわらずそういうおそれが出るようなことがあるといたしましたら、これはもう強力に指導をいたしまして、そういうことのない適切な年齢に定まるようにぜひとも関係者一同努力をしてまいりたい、こう考えております。
#192
○小濱委員 若年定年制を設ける憂いはない、こういうことでありますが、いままでの成り行きから見て、これは一挙に条例化を推し進めるのではないか、こういうふうに私どもは考えるわけです。私が人づてに聞いたところによりますと、日本海のほうのある知事は、この定年について非常に若い年齢を示して、そうしてその談話をしてきたという話を聞いております。まあ雪国ということでありますが、私ははっきりと確認しておりませんのでこれ以上申し上げることはできませんけれども、そういうこともある。まあそうならなければけっこうでありますが、そうなる危険性は多分に考えられるわけであります。そういうところからお伺いしているわけでして、いま一度そういう事実があったのかどうか、また、その考えについてお答えいただきたいと思います。
#193
○長野政府委員 かつて昭和三十一年の法案の御審議の際であったように記憶をしておりますが、御指摘のような、その当時在職しておりました某県知事が、いわゆる四十五年説、第二人生論というのを国会で発表いたしまして、それがたいへんな反響を呼んだということは私どもも記憶をいたしております。しかしそれは、私ども公平に言いまして、その特定の人のいわば特定なお考えがあまりはっきりと出過ぎたという意味で、非常に多くの方たに異常な気持ちを起こさせたということではなかったろうかと思うのでございます。しかし、現在、そういう府県におきましても、いわゆる勧奨退職というのを実は行なっておりまして、勧奨退職というものがそういう突拍子もない年齢で一般的に行なわれているかというと、そんなことはございません。そういう意味から申しましても、その発言は、その当時でさえ、知事自身の特別なお気持ちであったということが推測できるわけです。定年制をしきます場合には、いろんな要素が問題になります。職種の関係でありますとか、労働力の需給の関係でありますとか、新陳代謝の必要度でございますとか、あるいは年齢構成の正常化でありますとか、いろんな要素が問題になりますが、同時に、もう一つの要素といたしましては、従来、勧奨退職等を行なっておりましたところでは――府県は全部勧奨退職を行なっておりますが、そういうところでは、現在行なっておりますところの勧奨退職年齢というものが、定年制をしきます場合にも年齢決定の際の重要なポイントになるということは当然予想されるわけでございまして、そういう場合に、それとは全く別個に、いまの四十五歳と申しますか、そういう若年定年制をしくというようなことができるものかどうかということで考え合わせてみますと、まずまずそういうことは良識をもってしてはとうてい考えられないということではなかろうかと思うのでございます。先ほど来、繰り返して申し上げておりますが、かりそめにもそういうことが起きるというようなことになれば、それがそう簡単に、どういう府県、市町村でありましょうとも、当然にそのとおりだということでそういうものが実現されるとは私はとうてい思っておりません。けれども、そういう事態が起こるようでございますれば、私ども、ぜひそういうことのない、良識の線に沿った適切な定年年齢をしくように、関係者一同、ぜひとも努力いたしまして、翻意してもらうようにつとめる所存でございます。
#194
○小濱委員 先ほどは、行政指導の面でそういうことにならないようにつとめていきたい、こうお答えいただきました。ただいままた、良識の線に沿って努力していきたい、こういうことですが、いま、某県の話が出ましたけれども、そういう例があった。いままでの市長会の運動体制からも、非常に危険視されるわけですが、このことについて自治労では、事実上は大量の首切りをねらいとするのにあるんだ、こういう不安感を持っているようであります。この点についても、ひとつ納得のいくようなお答えをいただきたいと思います。
#195
○長野政府委員 私ども見ますところによりますと、これは自治労の関係のほうから出ておる話かどうかは、確かな話は存じませんけれども、この法律が実施になりますと、十二万人首切りになるというような話を実は聞いております。この十二万人という数字はどういう数字かというので、私ども調べてみましたところが、どうやら、昭和四十二年度におきますところの給与実態調査にあります全地方団体の五十五歳以上の該当者がやや十二万人前後おるそうでございます。要するに、そういうことを一つの、まあどういいますか、根拠にされてだろうと思いますが、そういう意味で、そういう人たちの大量首切りが始まるんだというような御説のように伺っておるわけでございます。しかし、これはもう繰り返し申し上げますように、今回の法案は、この法律が制定になりまして直ちに全部の団体が五十五歳定年制を実行するということになるということは、およそこの改正法をごらんいただいた場合に出てくるとは私どもとうてい考えられません。また、大臣や私ども繰り返し申し上げておりますように、これは全く地方団体が自主的に定年制をしく必要があるという場合に条例で定年制を設け得る道を開くというにすぎないのでございます。先ほどある県のお話がございましたように、その県では必要ないというお考えがあるようでございます。そういうところでは、定年制をしかれる必要はごうもございませんわけでございます。そういうことでもございますし、また、五十五歳以上の人ということにつきましては、私ども申し上げました際にも、おおむねのところどうかというお話のときに、五十七、八歳ぐらいではなかろうかというようなことを申し上げております。政務次官からも申し上げました。そういうことから考えましても、十二万人出ないことも確かでございますし、また、それぞれの団体の自主性にまかせて考えていって、必要がある場合に行なわれるということでありますから、どうもそういうお話は、いささか誇大に、むしろある程度いわばためにするような一つの宣伝ではないだろうかというふうに考えております。むしろ私どもは、そういう意味で、事柄の真相が明らかにならないということを非常に心配をいたしております。今後、そういう間違いがないように、私どもの説明不足であるといたしますならば十分説明をいたしまして、納得がいくようにしてまいりたい、そういう努力をいたしたい、こう考えております。
#196
○小濱委員 次に入りますが、社会保障が不十分であり、職務を失った者の老後保障が、今回の法案を見まするというとないわけです。しかも本法案には、再雇用の道があるとするのみで、その具体的方途は示されておりません。この問題について、ひとつ同じく行政局長のほうからお答えいただきたいと思います。
#197
○鎌田説明員 事務的な説明にわたりますので、説明員から説明をさせていただきたいと思います。
 再雇用職員の制度につきましては、定年退職後まだ子女の教育に経済的な面で不安がある、こういう職員の方につきまして、かつは、高年齢層の労働力を活用するということをねらいといたしまして導入をいたしたいと考えておるわけでございます。この再雇用職員につきましては、いわゆる一般の行政事務でございませんところの特定の業務というもの、職種を限定をして再雇用をするということにいたしたいと考えておるわけでございます。
 その特定の職務といたしまして私どもが考えておりますのは、比較的軽作業でございまして、高年齢者に適する職種、それから、公務員として二十年、三十年の経験があったわけでございますから、そういった公務員の間につちかわれました学識経験というものを活用できるような職種、こういうものを中心にいたしまして考えておるわけでございますが、この前者の例といたしましては、単労的な職種ということになろうかと思います。監視あるいは清掃、こういった面になろうかと思います。あるいはまた、在職中の学識経験を生かせるような職種ということになりますと、たとえば人事関係でございますと、カウンセラーでございますとか、あるいはまた各種の資料の収集あるいは登記事務を行なう、登記事務の代行、あるいは用地の取得のために買収業務をやってもらう、こういうような業種というものを考えているわけでございます。
 この再雇用職員の再雇用の期間につきましては、一年を単位といたしまして更新をする、こういうことを考えておるわけでございます。さらにまた、その給与につきましては、その職務の質と責任に応じたいわゆる職務給というものにいたしたい。さらに、この定数でございますが、定数につきましては定数外、さらにその任用につきましては、これは公務員法のたてまえ上、一般職でございますと、試験その他能力の実証に基づくわけでございますけれども、選考任用の道を開く。さらにその勤務時間等につきましても、通常の勤務時間によりがたいものがございますので、そういった点をひっくるめまして、一般職でなくて特別職の職員としてこの職を位置づけるということが適当であろうというふうに考えておる次第でございます。
#198
○小濱委員 いまの問題について行政局長から補足の説明をしていただきたいと思います。
#199
○長野政府委員 退職手当の額その他につきましては、定年退職をいたします際に退職手当をもちろん支給をいたすわけでございます。そうして、そういう退職手当の額とかそういうものがどの程度になるかというようなことになりますと、そういう退職時の給料とか、その人の昇進の経過とか、あるいは勤続年数とかでそれぞれ違うわけでございます。また年金額というものも、退職後のそういう意味での生活が十分保障されるかどうかという一番大きな支柱になりますところの年金額につきましてもいろいろな要素がありますが、恩給条例の適用とか、共済法の適用関係とか、いろいろな関係がございますから、必ずしも一律には申せませんのでございますけれども、一例として申し上げますと、大体勤続三十七年ぐらいで退職しております者の額を計算してみますと、退職手当は四百七十万円程度に相なります。退職年金は約四十七万四千円程度に相なります。なお、これを昭和四十一年度の実際の実績で見てまいりますと、退職年金額で見ますと、地方公務員一人当たり二十八万二百七十二円でございますか、そういうことになっております。決して十分とは申し上げませんが、民間と申しますか、厚生年金でそれを考えますと、一人当たり年九万三千八百八十七円でございまして、その意味では公務員の関係におけるところの年金額は民間の厚生年金その他よりも相当優遇されておる。それは公務の特殊性に基づきまして、なるべく老後の保障を手厚くしようという趣旨に出るものだろうと思います。もちろんそれだけで十分だということを申しておるわけではございませんが、そういうことから、大臣も申し上げましたように、再就職、再雇用、就職あっせんというようなことによりまして、新陳代謝の必要がありますと同時に、その定年退職してまいります人たちの老後の生活についてもできる限り配慮を加えてまいりたい、こういうことでございます。
#200
○小濱委員 再雇用の道が具体的に示されていないがどうかというふうにお尋ねしたわけであります。いろいろと職種によって再雇用の道を開くというふうに言われましたが、内容を調べてみますと、いろいろな職種があるわけですね。もう職種によって特殊技術、技能というようなものは考えられないような、そういう立場の人もたくさんいるようであります。そういう人たちのために再雇用の道はどうやって開いていくのか。技術があって、技能があって、いろいろと使い道の多い人は問題ないわけです。そうでない人が非常に多くいるわけです。そういう人の再雇用の道を私は聞いたわけです。五十五歳定年到達者のほとんどが再就職を望んでおります。したがって、労働条件も非常に悪い現在の状態でありますが、こうしたときに、長い間生涯をささげて働いてきたそういう人たちが、全部を含んで、そしてやむを得ない、これはもう再雇用の道に進んでいく以外には方法がない、こういう立場の者が再雇用を願うわけでありますから、そういう人たちのために具体的な方途が示されていないけれども、どういうふうに政府はお考えになっておられるか、こういうふうにお伺いしたいと思うのです。もう一度鎌田公務員部長からお答えいただきたいと思います。
#201
○鎌田説明員 再雇用職員の概要につきましては、先ほど申し上げました内容のものを私どもの指導の基準といたしまして地方団体に対して指導してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#202
○小濱委員 社会保障制度が非常に不十分なんですね。これは日本と比較して欧米のほうが進んでおりながらも、逆に定年は長くなっておる、六十以上、こういう状態でありますが、わが国と実情が違うとはいえ、検討することがこれはもう当然要請されるわけです。こういう点で、社会保障が不十分である、職を失った者の老後保障ということについて、どうもいま示されている内容では非常に納得がいかないような内容なんです。局長さんは非常に喜ばれるような内容の説明がございましたけれども、私どもが聞いておるところによると、そうはなっておりません。この間ある人に会いました。この人は中学を卒業して四十年つとめ、幾らにもなりません。五万幾らくらいの給料でありました。それがいろいろな法律が違って、計算の基準に従って幾らもらえるのか、二百万弱のようでありました。それから、年金も幾らになるのかというと、これも少なかったようですね。こういうことでは、当然もう食生活ができない、家族を養っていくことができない、働かなければなりませんよと、その人はあきらめ切っておりましたが、そういう人、またあとでいろいろ事例を申し上げたいと思いますが、そういう人たちの声を聞くというと、これはもう局長さんの説明のような内容ではないようです。何回も法律も変わったようですし、自治体によってはまたいろいろと仕組みが違うようであります。ここで論ずるような、そう一律な内容では退職金も年金も出ていないようです。そういう点から、どうしてもこの老後保障という点が不十分だ、こういうことからもお伺いしているわけですから、この点については、現在まで示された内容だけなのか、あるいはまた、今後は何とか方策を考えていきたいというふうにお考えになっておられるのか、そういう点についていま一度公務員部長のほうからお答えをいただきたいと思います。
#203
○鎌田説明員 社会保障制度の充実ということにつきましては、私どもも、私どもの守備範囲でできるだけのことを考えておるところでございます。たとえば、ただいま例にお出しになりました中卒で四十年勤続ということになりますというと、確かに恩給条例なりあるいは退任条例なり、こういった制度の変遷がございますのでなにでございますが、純粋に共済制度だけに持たせるということになりますと、七〇%まで率といたしましてはいける。あるいはまた、退職手当の場合におきましても、いわゆる六十カ月という最高限度までこの方は行かれるという形になるわけでございまして、現在の公務員共済制度といたしましては、率等の計算におきましては比較的優位に立たれる方ではなかろうかというふうに思うわけでございます。
 まあ私ども、再雇用職員につきましていろいろ御議論がございましたけれども、年金を支給し得る道を開くということをいたしましたのも、やはりそういった面での老後の生活の安定に資したいという気持ちでございますし、さらにまた、現在私どもの段階で事務的に関係各省と折衝を進めてまいりたい、できるだけ早く実現の道を講じてまいりたいと考えておりますものの一つに、実は厚生年金の場合に、十五年年金、四十歳を過ぎましてから後の雇用期間が十五年ありますものにつきましては、特例といたしまして、年金の支給できる道があるわけでございますが、そういう制度を公務員年金の面にも導入することはいかがであろうか。午前中もお話がございました退職老齢年金の問題と、この十五年年金の問題というものを、当面の課題として私ども取り組んでまいりたいと思っておるところでございます。
#204
○小濱委員 いろいろ老後保障の問題が出ましたけれども、具体的に給与は考えているかどうか、この点ひとつ自治省の考えを率直に聞かしていただきたいと思います。再雇用後の具体的な給与は考えているか、こういうことでございます。
#205
○鎌田説明員 再雇用職員の場合、先ほど申しましたように、職種によりまして給与というものはおのずから職務給という形できまってまいるわけでございます。したがいまして、それぞれの自治体におきまして、再雇用の職に対応しますところの給与というものはきまってまいる。その水準というものがどれくらいのものになるかということは、したがいましてここで確定的なお答えはできないわけでございますけれども、民間におきまする再雇用の形態というものを、私ども、労働省の資料によって調べてまいりますと、大体定年退職時の給与より、再雇用後の給与というものはダウンをするというのが通例のようでございます。そのダウンをしますところの平均的なところというのは、大体六割から七割というところになるようでございます。で、公務員の再雇用職員の場合、どの辺の給与に落ちつくかという問題が一つあろうかと思いますけれども、その辺の民間の再雇用後の給与の実態というものも一つの目安に相なるのではなかろうかというふうに考えております。
  〔大石(八)委員長代理退席、委員長着席〕
#206
○小濱委員 再雇用後の給与ですね、これはいままでの法案の中で見ますると、年金によってあと給与は定まって、そして定年時の給与は減らないような方式のように聞いておりますが、間違いありませんか。
#207
○鎌田説明員 観念的には、いまの年金というものと再雇用後の再雇用職種の給与というものは、これは異種の問題でございます。再雇用職種の給与というものは、先ほどからるる申し上げておりますように、仕事の性質によってきまってまいる。その水準というものは、大体民間の再雇用後の給与というものが一つの参考になるのではないかというふうに考えておるわけでございます。それとあわせまして、先ほど申しましたような年金支給の道というものが開かれるわけでございます。年金支給の道が開かれますと、これは二十年で、五十五歳から退職時の給与の百分の四十というものが給付をされる、そういうものによって老後の生活というものをささえていただく、こういうことに相なろうかと思うわけでございます。
#208
○小濱委員 そこのところをもう少し具体的にお聞きしたいのですが、五十八歳で定年になった。その人は中年就職であって、まだ二十年になっておりません。この場合の給与はどういう計算になりますか。
#209
○鎌田説明員 二十年になっておりませんと年金がつきません。退職手当と一時金だけでございます。
#210
○小濱委員 それが非常に、私どもの聞くところによりますと、多いようであります。ですから、その人たちの給与が今度は大きく問題になってまいりますね。そういう具体的な内容が示されていないですね。そこらにやはり問題点があろうかと思うわけです。私の知っておる人でありますが、この方は農協につとめておりました。そして戦争で応召されました。そして二十一年に帰ってきたところが、農協に復職ができません。もうあとが入っていた。そこで自家営業をしたわけでありますが、それも非常な経済の行き詰まりで、できなくなって、県庁へつとめたのが二十四年、こういう人です。いまようやくぎりぎりのところまで来た。ところが、その子供が大きくなって、そうして家を出ていった。ですから、家に残ったのは老夫婦だけ。そうすると、仕送りもない。どうしても自分は働かなければならない立場にあります。こういう方がもう六十前後になっているわけですが、どうしても再雇用の道を求めていかなくちゃならない。この人たちは、これからの給与ということが大きな悩みになっておるわけですね。こうした人たちの老後保障、生活保障の道をやはりはっきりと明示してやるべきではないのか。こういう例はたくさんございますが、そういう立場からお伺いしているわけでありまして、いま一度公務員部長、お答えをいただきたいと思います。
#211
○鎌田説明員 先般塩川委員の御質問の際にもお答えを申し上げたわけでございますけれども、私どもの調査によりまして、現在勧奨退職でやめられた方の再就職の希望状況、それに対しましてあっせんをした状況というものを申し上げます。現在はいゆわる勧奨退職制という形をとっておるわけでございますが、そのもとにおきまして、都道府県の場合に、再就職を希望される方々のおおむね七五・八%、市の場合でございますと八五・四%、町村の場合でございますと七四・〇%、こういった形で再就職のあっせんが現在できておるという数字が一つございます。
 地方団体といたしましては、定年制を実施するということになりますと、当然従来のこういった形での再就職のあっせんというものに加えまして、当該団体におきまする再雇用ということに相なるわけでございます。ただ、きのうから議論がございますように、再雇用を希望すれば全部再雇用できるかという点につきましては、それぞれの団体におきまする職種なりあるいはその他の状況というものがあるわけでございますけれども、やはりその必要があり、また団体としてもそういう需要があるというものにつきましては、再雇用を含めまして、再就職のあっせんということは、いままで以上になしていくべきものであろう。それに加えまして、いまの例の場合でございますと、二十四年に県庁におつとめになられたわけでございますから、年金がつくという形になりますと、その年金と合わせて生計を維持され、子女の教育に当たられる、こういうことに相なろうかと思うわけであります。
#212
○小濱委員 だいぶ時間も過ぎましたので、次へまいりますが、法のもとに平等であるならば、地方公務員のみに定年制を適用することは、どうしても国家公務員との均衡を失することになるのではないか。このことについてひとつ行政局長さんお答えいただきたいと思います。
#213
○長野政府委員 国家公務員と地方公務員との関係におきましては、種々な点で同じような公務に従事しております関係から、似たような実態にあるものは似たような制度をとるべきだということは、当然そのとおりだと思っております。しかしながら、現在の国家公務員と地方公務員の間におきましても、制度的な取り扱いが全部一緒だというわけではございません。それは、それぞれの実態というものを考えながら出てきておる面も少なくないのでございます。たとえば単労の取り扱いとか、あるいは特別職の範囲でありますとか、あるいは労働基準法の適用の関係でありますとか、政治的行為の制限におけるところの対応のしかたが違いますとか、いろいろな点があるわけでございます。したがいまして、定年制の問題につきましても、国家公務員にないから地方公務員にもあるべきでないという御議論も、御議論としてはわかりますが、ただ定年制をしいて組織の新陳代謝を行なうということが非常に必要だとされておる団体も少なからずあるわけでございます。そういう場合におきましては、定年制の採用ということができるようにしていく必要があるということでございます。国と違いまして地方団体の場合は、規模も大小さまざまでございますが、公務能率いかんというようなことが地方団体の行政運用にも非常に影響を与える面が少なくないわけでございますから、そういう意味で、国と違って平均的にものを考えるわけには必ずしもまいらない。そうしますと、同じような状況にないというような点も大いに考慮しなければならないわけでございます。そいうことでありますから、そういう場合には、やはり職務の特殊性、それから職員構成の実態その他を考えまして、定年制の道を開く必要のあるところには開き得るようにするということは、その面で必ずしも法のもとの平等という点だけからいけないことだというわけにはまいらないというふうに考えております。
#214
○小濱委員 国家公務員に比べて地方公務員の再就職の機会がきわめて少ないという説があるわけです。これは一つの例でありますが、横浜のある区役所の課長が定年でやめました。ところが、その人がやめて数カ月たってもまだ仕事についておりませんでした。私に会ったときに、二、三万円でもいいのですよ、そういう職場がないでしょうかという、そういう悲痛な話を聞いたことがあります。どこに行ってもあっせん所もない。また、冷たいまなざしで見られるので、なかなか役所にも通い切れない。こういう立場からいろいろと問題を聞いているわけですけれども、国家公務員がそうだというわけじゃありませんが、比べて再就職の道が非常に少ない、こういうふうに嘆いている人がありましたので、こういう点についての考え方と、自治体の中にはそういうお世話をする機関がない。こういう点で今後はどうしても何らかの方策を講じていかなければならないのではないか。やめていく者はかまわない、自分で再就職の道をさがして食生活を立てていきなさい、こういう無慈悲といいますか、冷たい仕打ちの自治体のようにわれわれは考えられてならない。この点についていかがでございましょうか、ひとつ局長からお答えいただきたい。
#215
○長野政府委員 個々の職員の場合に、そういう再就職についての手当と申しますか、配慮が十分でないというような場合があるという御指摘でございます。私どもは、そういうお話を伺いますにつきましても、これは定年制をしくしかぬにかかわりませず、職員の退職後の生活の保障という点につきましては、多年地方団体におきまして公務に従事してきておったわけでございますので、そういうことで非常な身分上の制約もいろいろあったなかで公務員としての生活をりっぱにつとめ上げたのでございますから、こういう場合には市町村、県、相ともに就職あっせんと申しますか、そういうことにつきましては当然配慮いたしまして、実現につとめなければならないと思いますが、定年制をしくというような段階になりますれば、その必要性はさらに一そう高まるわけでございます。そういうことでございますので、そういうことの配慮を今後私どもも一緒に十分考えていくようにいたしてまいりたいと思います。
#216
○小濱委員 今後十分配慮していくということでありますので、そのように希望申し上げておきます。
 次に移りますが、現在の地方公務員の中には、戦後外地より引き揚げてきた者が多いわけであります。これらの方々は年金の支給がないとか、あるいはまた、支給があってもきわめて少額であるとか、こういう立場の方がだいぶいるわけです。しかも、そういう方々は、子弟が教育中のものが多いわけです。こうした方々を定年という名のもとにおいて職を今回は奪うことにもなるわけです。いうならば戦争犠牲者であります。こういう立場の人にすれば大きな不安を抱いているだろうと思うわけですが、こういう内容の方に対しては、やはり国のために尽されたこういう心情を考えたならば、これは人道上からも許されないことになるのではないか、こういうふうに考えるわけでありますが、この点いかがでございましょうか。
#217
○長野政府委員 戦争のためにたいへんな御苦労をなさいまして、そしておくれて帰還をしてきたそういう人は、大体昭和二十五年ぐらいで一応帰還者は一段落をしておるというふうに私どもは聞いておりますが、そういう意味では、そういう人は大体年金年齢に達するくらいになっておる方が、ほとんど大部分だろうと思います。しかしながら、中には途中でいろいろ職を求めまして、そしてあとでまた地方団体に入ってくるというような方も、必ずおられるに違いないと思います。私どもは、やはりそれぞれの団体におきまして、そういう事情というものを十分配慮するという考え方をとるべきだろうと思います。そういうことで、その点は他の職員間にも決して不公平じゃない、そういう特殊な人については、特殊な扱いを考えてしかるべきだということは当然理解がしてもらえると思うのでありまして、そういう場合には、定年制条例のしき方につきましても適切な経過措置を考えて、その点につきましては画一的なものの考え方でなくて、また、定年制全体の趣旨というものがそれで一ぺんにくずれてしまうというわけのものでもないと私は思いますので、そういう場合には適切な経過措置をとりまして、円滑な新陳代謝というものが行なわれるようにしてまいる、こういうことは、ぜひとも私どもの指導としてもやってまいりたいと考えております。
#218
○小濱委員 そういう内容の人たちは、非常に多いわけです。ぼくも十年間兵隊に行ってまいりました。終戦後帰ってきて、そして昔の兵隊仲間に会いますけれども、まともに生活の道に入っていった人は少ない。あの当時の経済状態がどうであったか、社会状態がどうであったかということは、皆さん方よく御存じのとおりです。そういう中で、私もずいぶんすすめられて、公務員になろうか、あるいはまた会社に入ろうかと考えてみました。ところが、家族を多くかかえて、そういうこともできません。食べられない。そういう立場から、私はまた新しい道を自分で切り開いたわけですけれども、恵まれてそういう立場にあった人はいいのです。そうでない人は、非常な苦境に立ちながら転々と職場をかえ、そしてかろうじて家族のために生涯をささげてきた、そういう人たちが多いわけです。戦争というのは国の責任です。その犠牲になった人たちのその後の老後保障、生活保障は、やはりあたたかい気持ちで考えてやらなければならないだろう、こういうように考えるわけです。お心はよくわかりますので、どうかこれからの行政指導の面でこういう点にも大いにひとつ意を用いていっていただきたいと思います。
 私、ある本に出ておった内容を写してみたのですが、少しく聞いていただきたいと思います。
 「人生五十年といわれた時代の五十五歳は、心身ともに老境の入り口にあり、社会の第一線を引退するのにかっこうの年齢であった。いまや人生七十年の時代であってみれば、五十五歳は壮年であり、人生の花盛りである。」と書いてある。五十五歳は人生の花盛りというように書いてある。昨日も六十三歳、六十四歳という県庁の職員の人とお会いいたしました。それはもうほんとうに元気でありました。こんなに元気なんですよ、これで私はこの定年制がしかれればやめなければならぬのですよ、いかがでしょうか。もうほんとうに心情がよくわかるのです。「戦後の生活水準は、わが国の平均寿命を欧米並みに引き上げた。これは主として食生活の向上といわれているが、確かに戦前の人との肉体と精神面との相違は目立ってきている。特に家庭的に見た姿もまた大きく変わったと思う。戦前の五十五歳では、すでに長子は三十歳に達し、ほかの子もほとんど成人していたし、また物価の安定は老後に備える貯蓄も可能であった。」私どもも思い出すわけでありますが、昔はほんとうに家庭的な、なごやかな雰囲気がありました。私はつくづくと私の小さいときのことをゆうべはおそくまで思い起こしながら、これを写しておったわけであります。こういう時代があったかと思うと、今度は「今日の五十五歳は結婚年齢が高くなった上に、子の教育期間が延長されてきたため、ほとんどの人がまだ子を扶養している。」五十五歳では当然そうでしょうね。私もまだ中学三年の子供がおります。この子を一人前に育てていくには、まだまだたいへんであります。昔といまとの相違が、ここにはっきり出ているわけです。特に八年に及ぶ戦争であります。シナ事変から大東亜戦争、八年間、そういうことから結婚期を著しくおくらせるという結果にもなっていったわけであります。現在、長子がやっと高校に入学したという人も少なくないわけです。「またかりに独立した子を持つ人であっても、子の収入が」――この雑誌には「彼」と書いてありますが、「彼自身の妻子を扶養するのがやっとである以上、老後を子に託し得る可能性はきわめて少ない。」こういうふうに書いてあるのですね。「さらに彼ら多くは戦後無一物で出発し、生命を維持し得るだけの生活の中に世帯を持ち、子を育てた。ようやく経済も復興し、収入も安定したときには、いやおうなく消費ブームの中に投げ込まれた。相次ぐ耐乏生活はレジャーを楽しみ、家を建てるどころか、ささやかな貯蓄すら意のままになっていない現状である。だからといって、老後に備える心がまえのなさを責めるのは彼らに対して酷である。」さらに「後顧の憂いなく悠々の自適生活に入り得た戦前の五十五歳」――戦前は五十五歳でこういう境涯が得られたのですね。「子を扶養しつつ、貯蓄もない現在の五十五歳、同じ年齢ながらその相違はまことに対照的であると思う。しかし定年と呼ばれる強制退職制度の年齢は、今も昔も変わることなく五十五歳」と書いてある。今も昔も変わることなく五十五歳が定年である。「今日五十五歳で第一線を引退できるほどの経済的基盤を持てるのはごく少数の恵まれた人に限られている。ほとんどの人に待ち受けるものは、乏しい貯蓄、限られた退職金、そして見かけだけの老齢年金である。勢い、家族を扶養し生きていくために、新しい職を求めて働かざるを得ない」、このように書かれておりました。私はこれを読みながら、偽りのない実相であろう、こういうふうに感じておったわけであります。
 こういういろいろな書物を読んで感ずることは、どおしても今回のこの定年制の問題については、やはり問題が起こってくるわけです。昨日のこの委員会で法制局長官の話を私聞いておったわけでありますが、二十一年の東京の例、あるいは三十九年の大阪での判例を読み上げておったようです。私はその中で、ふっと気がついたことは、職を欲する者は国は与えなければならない、このように説明しておったように記憶しております。こういう立場から、どうしても今度のこの定年制の問題については、もっともっと内容の示されたものが出てこなければ、われわれは納得できない、こういわざるを得ないわけであります。しかも当委員会のいままでの長い期間における質疑の内容からも、この法律を施行することにおいては、非常な危険を感ずるわけです。まあ地方議会で云々の問題がありました。それからまた労働権の問題も出ておりました。あらゆる事例、そういう過去の内容等も示されてまいりましたが、そういう立場からも非常な危険を感ずるわけですね。こういう立場からわれわれは憂えるわけでありますが、こういう危険性はないように今後自治省としては行政指導を強く行なっていくことをわれわれは信じておりますけれども、もしかこの問題が通った暁の話でありますが、こういう問題については行政局長はどのようにお考えになっておられましょうか、お答えいただきたいと思います。
#219
○長野政府委員 まあ、戦争によりまして国家のためにたいへんな犠牲をこうむられたというような方々の老後の問題などお話がございましたが、地方団体としても、先ほど来申し上げますように、そういう場合にあたたかい配慮が必要であるというような点については、私ども全く同感でございます。ただ、国家の犠牲になられたという方のすべての問題につきまして、地方団体がひとりその責任を負うという性質のものでもあるまいかと思いまして、これはやはり民間にもそういう方がたくさんおられるわけでございます。国家全体としてそういうものについての制度の整備はますますはかっていかなければならない問題だろうと思いますが、地方公共団体が必要な場合に定年制を実施いたします場合にも、地方公共団体として配慮できる範囲のことは当然に配慮いたしまして、円滑な定年制の実現ということをぜひともつとめるようにいたしてまいりたい、こう考えております。
#220
○小濱委員 いろいろと伺っていますと、自治体の中で県庁の出先に所長の権限で日々雇用といいますか、毎日雇用といいますか、これができるようになっているわけですね。これはいろいろと内容があるようでありますが、この人たちは毎日現場で働いておるけれども、何ら手当は示されていない、恩給、退職手当金ですね。あるいは退職年金等は通算されない、こういうことになっておりますが、三十五年一ぱいで選考試験の結果、準職員制度がしかれたようであります。これは人事課長の職権で六カ月採用、また更新をしていく形をとってらおれるようでありますが、この準職員制度がしかれれば、公務員並みに待遇はあるようですが、非常に日々雇用の期間が長い、そういう点で、長い間県庁で働いていながらも年金の対象にならない、こういう人が非常に多いわけです。このことについていろいろ調べてみたところが、土木関係あるいは林務関係、水道、集金あるいは庁務作業、これは県庁内で働いている人、あるいは清掃、守衛、病院で男がいろいろ洗たく等もやっているようです。寮生、この寮生の炊事も男がやっておるようです。こういう人たちが非常に多いんですね。こういう人たちが定年制をしかれて再雇用の道ができて、そしてその道にやむを得ず進んでいかなくちゃなりませんけれども、こういう人たちがどういう取り扱いになっていくのか。それからこういう方々は、非常に高齢者が多いわけです。この方々がやめたとするならば、もう再雇用も終わって、そしてやめていったとするならば、こういう人たちの補充がなかなか困難だ、このようにも聞きましたけれども、こういう人たちのあとの対策、こういうことも考えていかなくちゃならないだろう、こう思うわけですけれども、こういうことについては、どういうお考えを持っておられますか。
#221
○長野政府委員 過去におきまして日々採用された職員、それでお話の趣旨は、いわゆる臨時職員というのであろうかと思いますが、それがだんだんと本職員といいますか、そういうものに変わっていった。いまお話しの職は、いまおあげになりましたような、ある意味の軽労働であると申してはあれでございましょうけれども、そういうような現業職員に近い職種には、確かにお示しのとおり多いだろうと思います。しかもまた他にかわる人もなかなかいないというような状態も、場所によっては当然あろうかと思います。こういう場合のことを一体どういうふうにこの場合に考えていくのかというお尋ねだと思うのでございますが、私どもは、やはりそういう職種によりましては、年齢のきめ方というものも、その職の特殊性に応じまして、あるいはまたそういう人が通例であるということは、もう通例の能率を維持しておるということでもございましょうし、そういう場合の定年年齢のしき方というものは、当然その職の特殊性に応じて考えていかなければならない、そういう意味では年齢の引き上げということも当然に考えられるわけでございましょうし、また事情によりましては、そういうところにつきましては、必ずしも定年制を一律に実施することが不適当であるという場合もあろうかと思います。これはそれぞれの状態に応じまして、その適切な能率の維持ということを頭に置きながら、私どもは人事管理といいますか、定員管理なり職員の管理というものを考えていくことが必要だと思います。必ずしも画一的にものを考えていくという必要はないわけでありまして、その職の実態、あるいはその能率、あるいはその需給関係、いろいろなものを考え合わせながら適切な配慮を加えて、要は合理的に職務の能率が維持され、そしてそのことが全体の運営に支障を来たさないということを中心にして合理的な制度を考えていこうというのが、定年制というものの実行の一つのあらわれでもございますから、そういう点から考えまして、特殊な職については特殊な対応のしかたというものは、当然に考えていかなければならないものだと考えております。
#222
○小濱委員 局長にお尋ねいたしますが、大臣ちょっと聞いていただきたい。この準職員というのは、昨年から三カ年計画で、面接試験を行なって正規職員となることができる、こういうようになったのです。私の会った人は、五十八歳の人でありますが、県庁につとめて、二十二年に入ったわけです。三十五年にようやく準職員になった。ですから、実質的には幾らにもならないわけです。この人たちが準職員の試験を受けるのはたいへんだ。こういう人たちが試験に落ちれば、いつまででも、退職するまでそのままでいなくてはならないわけです。ですから、その子供たちは、うちを離れて生活をするようになります。どうしても老夫婦は自活の道を開いていかなくてはならない、こういうふうになるわけですね。先ほども申し上げましたように、土木、林務、水道、集金、庁務作業、清掃、守衛、病院、寮生、こういうものの関係の職場にある人が試験を受ける。だから、なかなかパスしない。何年でも置いておかれる。本人はあきらめて、そして準職員になれないことを、ほんとうに身の恥だからということで口にしないような、そういう人もいるそうであります。こういうかわいそうな人たちの再雇用の道、こういう人たちへのあたたかい思いやりのある処遇がやはり必要であろう、こう思うわけです。私はこういうことをあまり知らなかったのですけれども、いろいろと話をしていると、こういう内容が出てくるのですね。これは、ただ単なる自主性を持たせるだけなんだという簡単な内容ではないように、われわれは考えるわけです。どうかひとつこういう内容を、よく御認識をさらに深めていただきたいと思います。この点について、局長どういうお考えでありましょうか。もう一度お答えをいただきたいと思います。
#223
○長野政府委員 準職員というようなお話がございましたが、この点につきましては、定年制の問題といいますよりは、職員の身分取り扱いについて、それぞれの地方団体におきまして、その辺のいろいろな沿革もございましょう。そういうようなことで、その職に応じていろいろ採用なり昇進なりの計画があるわけでございますが、現在の地方公務員法のたてまえで、いわゆる能力の実証と申しますか、そういう関係もございますから、採用についても一定の手続というものを考えており、そういう場合に、いまお示しのように、伺いましたところでは、非常にきびしい試験制度をとっておるというような感じのように私伺ったわけでございますが、そういうところがどういう実態になっておりますか、私もそういうお話もございますので、さっそく調べてみたいと思いますけれども、これは職員の制度のあり方、あるいは採用なり昇進なり昇任なりという一定の人事管理の一つの方式なり、そういうもののお話のように承りましたので、なおよく実態について調べて、適当な機会に御報告を申し上げたい、こう考えております。
#224
○小濱委員 その点については、強く要望申し上げておきます。
 次に、婦人職員に対しては、聞くところによりますと、三十五歳くらいになると、子供が生まれたとか家庭の問題等を取り上げて、若年勧奨、若年定年化がある、このように聞いているわけですが、こういう点では、自治省はどういうふうに聞いておりますか。
#225
○鎌田説明員 ただいま御案内のとおり定年制がないわけでございますので、勧奨退職をされます際に、婦人につきましては、いまおっしゃいました比較的若年の線で勧奨しておられる、こういうことのようでございます。
 それから立ったついででございますから、先ほど先生がおあげになりましたのは、おそらく神奈川県の人事課で準職員の問題を処理しておられることだろうと思いますが、おあげになりました二十二年に採用になって三十五年に試験を受けて準職員になられたという場合でございますと、準職員になられます前の期間というのが、正規の勤務時間によりまして、月二十二日以上勤務された月が六カ月以上ありますと、その六カ月過ぎたところから年金の計算期間の基礎に入るということに相なっておりますので、もしそういう前提でございますれば年金はつく、こういうことに相なるわけでございます。
#226
○小濱委員 今回の制度の中で、婦人に対してはどういうふうになるのですか、公務員部長。
#227
○鎌田説明員 御案内のとおり、職種によりまして男女間、性別に差をつけることに合理的な理由があるというものにつきまして差をつけるということは当然可能でございますが、同じ職種の中でございますと、合理的な理由なくして男女間に差をつけるということは、(「憲法違反だ」と呼ぶ者あり)法律的にいまお話もあります憲法の問題もございまして、いかがであろうか、こういうふうに考えております。
#228
○小濱委員 婦人に対しては若年勧奨をいままでやってきたように先ほどの御答弁の中にございましたが、今回この制度がしかれれば、それはなくなるのですか。
#229
○鎌田説明員 そこが、今度の私どもの法律の考えております定年制というものは、強制的に各地方団体がやらなければならないというものではございませんで、結局定年制をしかれる場合にはそういう形になる、勧奨退職でこれまでどおり続けておやりになられるところはそのままその形で維持される、こういう形になろうかと思います。
#230
○小濱委員 次は女性に来るのだ、こういう確かなる情報なんという、そういう話も聞きましたが、その点はどうでしょう。
#231
○鎌田説明員 確かなる情報というのは、ちょっと私どもお答えのしようがないわけでございますけれども、そういう次は女性、こういったようなことは、私はないだろうと思います。
#232
○小濱委員 もう少しお時間をいただきたいと思います。臨時行政調査会の六十歳を基準とする、そういう提案に対して、本法案では定年は何歳になるのか、その点について自治省としては当然責任ある指導をすべきであると思うわけですが、行政指導の面からひとつお答えいただきたい。
#233
○長野政府委員 臨時行政調査会でお示しのような答申が出ておりますが、定年制につきましては、地方制度調査会あるいは公務員制度調査会あるいは公営企業制度調査会、いろいろな権威ある調査会からも定年制に関する答申があるわけでございまして、自治省といたしましては、これらの答申を参酌をいたしまして、今回の定年制に関する地方公務員法の一部改正を提案したわけでございます。そういうことでございまして、定年につきましてはいろいろな意見がございますが、私どものいま事務的に考えておりますところでは、この前政務次官もお答えいたしましたが、一般的に申せば五十七、八歳というところを基準にして定年制を考えるべきではなかろうかということを申しておるわけでございます。
#234
○小濱委員 一つ伺っておきたいのですが、いろいろな内容からあと二、三年で退職年金のつく人、こういう人に対して、勧奨退職はどういうふうな処置になるのか。この問題については、炭鉱離職者あるいは引き揚げ者、こういう人たちの中年就職者が多いわけです。それから将来は当然基地の離職者も起こってくるであろう、こう考えられるわけでありますが、こうした方々の老後保障の強化を講ずる必要がある立場から、どうしてもあと二、三年、まあぎりぎりのところ再雇用でも少し足りない、こういう場合が起こってくるかと思うわけですが、この境に立った人たちに対する勧奨退職に対する取り扱いですね、この点を伺っておきたいと思います。
#235
○鎌田説明員 この定年制が実施されます場合に、ただいまお尋ねになられましたように、この二、三年で年金がつくという者に対する経過措置ということにつきましては、私ども実は非常に頭を痛めておる問題でございます。と申しますのは、結局常にそういういわばボーダーライン、かりに二年なら二年までは猶予してやるという場合に、三年目はどうなるのだ、こういう問題が常について回るわけでございますので、結局この経過措置といたしまして、ある程度の救済措置を講ずるということにつきましても、限界があるだろうというふうに考えるわけでございます。この場合、私どもといたしまして、これは実はもう少し各省と話を詰めまして御審議をお願いいたすような運びにしたいと思っておるわけでございますが、そういう炭鉱離職者等を含めましての中高年齢層の年金ということになりますと、やはり先ほどちょっと私申し上げました十五年年金の制度というものを公務員年金の中にも取り込んでいくということを、この際腰を据えて取り組んでまいるということが、どうも手近な道ではなかろうかという感じがいたします。その経過措置として見るという場合に、どうしても限界がございますし、ただ再雇用という形に入りますと、いわゆる通算老齢年金という形で、厚生年金のほうから支給を受ける年金を、前後を通じまして二十年に達しますれば年金の支給を受ける。ただし、これは六十歳を過ぎなければいけないわけでございます。そういう道はあるわけでございますけれども、どうも先ほど申しました十五年年金の道というものが、この際一番早急に検討して実現をはかってまいるべき道ではなかろうかというふうに考えておるところでございます。
#236
○小濱委員 その点が非常に頭を痛めているところである、このようにおっしゃいました。実際そういう問題の救済策が非常に弱いわけです。また、頭を痛めるような内容だからというので、これはもう冷酷むざんなそういう取り扱いで処置をされることを、私どもは憂えるわけであります。そういうことからもぜひひとつ、これはこの問題に限っては再三申し上げますが、自治省の強い行政指導を心から念願するわけです。
 そこで、現在就業している地方公務員ば、定年という状況を認めて就職をしていない、こういう現状になるわけです。ところが、現在は非常に生活難といわれる時代を現出しているわけですが、その現在及び将来が不安であるという声も起こっているわけです。しかも年金の対象者は少ない。こういう人たちに対してこういう問題が起こるわけですが、この人たちが不安を感じていま成り行きを注目をしておる、こういう事態があるわけですけれども、こういう点については、どういうふうにお考えになっておられますか。
#237
○長野政府委員 退職に際しまして、自後の生活の保障につきましては、年金があるかないかということはたいへんな差になることは、もう御指摘のとおりでございます。そういうことでございますので、私も先ほども申し上げましたが、とりあえずの措置としてどういうふうに考えるべきかということになりますと、先ほど戦争で引き揚げてきたお話がありましたときにも申し上げましたわけでございますが、ある意味でそれぞれ地方団体としても自分たちのところで考えられるだけの経過措置というものは当然考えていって、むしろそれを考えることが円滑な定年制の実施に役に立つことであるという範囲では、できる限りそういうものを考えていくことも必要ではなかろうかというふうに思います。また、職種によりまして、そういった中途から入った方が非常に多くて、しかもそういうところにおきましても通常の能率は維持される。当然そういう方々が多いわけでございますから、そういう意味で、年齢構成などから単純に他の職種との関係で均衡を考えるというようなわけにまいりません。実態としてそういう恒常的な姿があるのだというような場合には、そういうところについて必要な措置ということになりますれば、定年年齢についての特例を考えるとか、あるいはそういう状況の職は単純な業務に多いようにも伺いますけれども、そういうところについては定年年齢についての施行を一定の期間は考えない、いろいろな方法を考えながら、そういう意味での実態にうまく対応したような、そういう全体として合理的な人事管理が進められていく、こういうことを考えていくことが必要ではなかろうかと思います。私どもも、そういう実態につきましてこれからもいろいろ検討を加えまして、実態に即するような考え方を示すようにぜひともいたしまして、円滑な実施ができるようにしてまいりたいと考えております。
#238
○小濱委員 財政事情も好転いたしましたし、あるいはまた退職手当債等の方策もできて、何ら困らないと思いますけれども、この間も山形県での例をあげられましたが、この定年に達したときの退職金の問題ですが、これは町によっては大きな負担になる場合も起こり得るわけですけれども、こういう点については、自治省はどういうふうにお考えになっておられますか、公務員部長。
#239
○鎌田説明員 現在、計画を立てまして勧奨退職をするものにつきましては、退職手当債を設ける道を開いておるわけでございます。定年制の実施ということになりますと、当然これに準じて退職手当債の道を開いてまいりたい、こういうふうに考えております。
#240
○小濱委員 次に入りますが、本人の意思によって継続勤務を希望する場合、定年時より何カ年間を認めようとされているのか、公務員部長、お答えいただきたいと思います。
#241
○鎌田説明員 先ほどもちょっと再雇用職員の制度化の内容につきましてお答え申し上げましたときに触れたわけでございますけれども、再雇用の期間につきましては、原則として一年ということにいたしまして、更新を認める、こういう形で運用してまいりたいというふうに考えております。
#242
○小濱委員 定年は行政指導の面で五十七、八歳、再雇用は一年限度ですか。最高は一年ぐらいになるのですか。
#243
○鎌田説明員 これは職種あるいはその職種におきます雇用の需給関係、こういったものにもよると思います。民間の再雇用の状態を見ますと、やはり二年ないし三年、あるいは職種によりましては五年、こういったような更新をしておる例があるようでございます。これから再雇用の制度というものを運用してまいります場合に、私どもの考え方といたしましては、やはりその辺の二、三年というところを一つのめどに置いてまいったらどうであろうかというふうに考えておるところでございます。
#244
○小濱委員 私どもは、その定年の五十七、八歳もまだまだ働ける年代だ、活躍できる年ごろだ、こういうふうに考えております。この点ももっと延ばすべきである、こう考えておるわけです。それからその再雇用の上限、下限というのですか、上と下、こういう問題も一応考えていかなくちゃならなかろうと思うのですけれども、そういう点では二、三年ということですが。五十七、八歳で二、三年――まだ非常に延びの余裕があるように私どもは考えておるわけですが、この点についてはもう決定的ですか。
#245
○鎌田説明員 これはいま私どもの考え方というものを申し上げたわけでございますし、上限、下限というお話でございましたが、まだそういった上限あるいは下限というものは、ちょっときめにくいのではなかろうか。もちろんその点の判断につきましては、各地方自治団体の意思もあるわけでございますし、私どもといたしまして、いま申し上げました二、三年ということが確定的なものだということではございません。
#246
○小濱委員 わが公明党の考え方としては、もちろん老後保障が条件でありますけれども、定年は六十歳、再雇用の道は五カ年間、六十五歳まで、こういう案を持っておったわけでありますが、そういう考え方はございませんか。
#247
○長野政府委員 いま申し上げた再雇用の関係とか定年年齢のきめ方というものは、一応事務的に考えましたところでございますが、これはもう繰り返し申し上げておりますように、定年制というものの定年年齢のきめ方あるいは再雇用のきめ方というようなものは、時代の推移と申しますか、いろいろな条件によってだんだんと変化をしていくものだろうと思っております。そういう意味で一番大きく推移していくのは、いま民間におきましては五十五歳の定年がだんだんと延長という方向へ向かっておるように聞いておりますが、そういう意味で定年年齢というものがだんだんと動いていくということも、当然起こり得る。その状況は、地方団体におきますところの定年制の場合にも同様な状況があり、また同様な経過をたどっていくものだろうと思っておるわけであります。また、地方団体ごとにあるいは職種ごとに、現在でもまた非常な特例的な考え方というものもとらざるを得ないという状況が、直ちにも起きてくるものだろうとも思います。したがいまして、私ども画一的にものを考えるということではなくて、それぞれの特殊性なり実態というものに応じてうまく対応していくべきものではないかと思いますが、現在までのところ一応考えておりますのは、先ほど公務員部長の申し上げました五十七、八歳、その上に、平均して民間の現在の再雇用等の状況を見ますと二、三年というのが多いようでございますので、大体そういうところが一般的な常識的なめどではないであろうかということを申し上げておるわけでございます。もちろんそういうものはだんだんとそれぞれに変化し、それと同じような状況で地方団体の場合にも推移をしていく、こういうことでお考えを願えたらよかろうかと思うのでございます。
#248
○小濱委員 具体的に公務員部長に二、三お伺いしますが、定年以前の役職は、再雇用後はどうなりますか。
#249
○鎌田説明員 再雇用になりますと、先ほども申しましたように、定年で退職をされるわけでありますから、いわゆる役職者が定年後はその役職というものを保有することはない、その役職ははずれるということになります。
#250
○小濱委員 定年後の収入については先ほどお答えいただきましたけれども、定年以前の給与より減少するのかどうか、この点はどうですか。
#251
○鎌田説明員 定年前の給与よりは下がるだろうと思います。
  〔林(百)委員「そんなことは鎌田君がきめることじゃない」と呼ぶ〕
#252
○小濱委員 しからば、昇給、ベースアップはどういうふうになりますか。
#253
○鎌田説明員 昇給ということは、まあ先ほど林先生のほうからも、それは鎌田君がきめるのではなかろうがということがございましたが、そのとおりでございまして、それぞれの団体で条例できめるわけでございますので、そのきめ方の問題でございますけれども、給与といたしましては、職務給ということで、職務の質と責任に応じた給与のきめ方に指導をいたしたいと思っておるわけでございます。そういうことになりますと、当然特定の業務について幾ら幾らを給する、こういう形に相なるわけでございますので、いわゆる昇給というものはない、こういうふうに考えております。
#254
○小濱委員 定年後の再雇用期間中の退職金は、どういうふうになりますか。
#255
○鎌田説明員 退職手当につきましては、再雇用期間につきまして、再雇用の期間の終了した段階におきまして、あらためてその部分について退職手当を支給するように指導いたしたいと思います。
#256
○小濱委員 最後に、大臣に一言お伺いしたいのですが、各党からいろいろな貴重な意見が相当提示されました。自治大臣においては、先ほどの決意でもよくわかるわけでありますけれども、その行政指導面において十分にその意向を取り入れて、責任ある行政指導を行なうように特に希望申し上げるわけでございますが、最後にその点の御答弁をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
#257
○野田国務大臣 私は、先ほどもお答えいたしましたとおり、本改正案が提案されまして、この委員会で多数の方の御質問がございまして、非常に参考になり、傾聴すべき御意見も拝聴いたしております。小濱さんの御意見のうちにも、私は、相当注意すべき事項、たとえば、いまの定年の年齢の問題とか、あるいは先ほど行政局長も公務員部長もお答えしましたとおり、年金の問題をどうするかという経過措置、いわゆる弾力的な措置とか、その他いろいろの示唆を得たと思っております。私は、その意味におきまして、できるだけ御意見のあるところを尊重いたしまして、今後の行政指導にあたりましては、定年によって退職される方々の身分に関しまして、生活の問題その他についてもできるだけ配慮すべきだという、その意味においての指導をいたしたい、こう考えております。
#258
○鹿野委員長 次回は、来たる十九日月曜日午後零時三十分から理事会、一時から委員会を開会し、参考人から意見を聴取することといたします。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後五時五十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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