くにさくロゴ
【PR】姉妹サイト
 
#1
第061回国会 地方行政委員会 第36号
昭和四十四年六月六日(金曜日)
    午前十時三十八分開議
 出席委員
   委員長 鹿野 彦吉君
   理事 大石 八治君 理事 塩川正十郎君
   理事 古屋  亨君 理事 細田 吉藏君
   理事 保岡 武久君 理事 山口 鶴男君
   理事 山本弥之助君 理事 折小野良一君
      青木 正久君    岡崎 英城君
      奧野 誠亮君    桂木 鉄夫君
      亀山 孝一君    吉川 久衛君
      斎藤 寿夫君    渡海元三郎君
      永山 忠則君    山口シヅエ君
      井岡 大治君    太田 一夫君
      河上 民雄君    野口 忠夫君
      細谷 治嘉君    依田 圭五君
      門司  亮君    小濱 新次君
      樋上 新一君    林  百郎君
 出席国務大臣
        自 治 大 臣 野田 武夫君
        国 務 大 臣
        (総理府総務長
        官)      床次 徳二君
 出席政府委員
        内閣法制局長官 高辻 正巳君
        人事院総裁   佐藤 達夫君
        人事院事務総局
        任用局長    岡田 勝二君
        人事院事務総局
        給与局長    尾崎 朝夷君
        総理府人事局長 栗山 廉平君
        自治政務次官  砂田 重民君
        自治省行政局長 長野 士郎君
 委員外の出席者
        厚生省社会局老
        人福祉課長   永原 勘榮君
        労働省労政局労
        政課長     大坪健一郎君
        労働省職業安定
        局業務指導課長 保科 真一君
        自治省行政局公
        務員部長    鎌田 要人君
    ―――――――――――――
六月六日
 委員小川新一郎君辞任につき、その補欠として
 樋上新一君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員樋上新一君辞任につき、その補欠として小
 川新一郎君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
六月五日
 地方公務員法の一部を改正する法律案反対に関
 する請願(安宅常彦君紹介)(第八〇四五号)
 同(阿部昭吾君紹介)(第八〇四六号)
 同(阿部助哉君紹介)(第八〇四七号)
 同外一件(赤路友藏君紹介)(第八〇四八号)
 同(淡谷悠藏君紹介)(第八〇四九号)
 同外一件(井岡大治君紹介)(第八〇五〇号)
 同外一件(井手以誠君紹介)(第八〇五一号)
 同(井上泉君紹介)(第八〇五二号)
 同(猪俣浩三君紹介)(第八〇五三号)
 同(石川次夫君紹介)(第八〇五四号)
 同(石田宥全君紹介)(第八〇五五号)
 同(石野久男君紹介)(第八〇五六号)
 同外一件(石橋政嗣君紹介)(第八〇五七号)
 同(稻村隆一君紹介)(第八〇五八号)
 同外二件(江田三郎君紹介)(第八〇五九号)
 同(枝村要作君紹介)(第八〇六〇号)
 同(小川三男君紹介)(第八〇六一号)
 同外二件(大出俊君紹介)(第八〇六二号)
 同外一件(大柴滋夫君紹介)(第八〇六三号)
 同(大原亨君紹介)(第八〇六四号)
 同外一件(岡田利春君紹介)(第八〇六五号)
 同(岡田春夫君紹介)(第八〇六六号)
 同(加藤勘十君紹介)(第八〇六七号)
 同(河上民雄君紹介)(第八〇六八号)
 同外一件(中嶋英夫君紹介)(第八〇六九号)
 同外一件(細谷治嘉君紹介)(第八〇七〇号)
 同(安井吉典君紹介)(第八〇七一号)
 同外一件(柳田秀一君紹介)(第八〇七二号)
 同(山内広君紹介)(第八〇七三号)
 同外三件(山口鶴男君紹介)(第八〇七四号)
 同(山崎始男君紹介)(第八〇七五号)
 同(山田耻目君紹介)(第八〇七六号)
 同(山中吾郎君紹介)(第八〇七七号)
 同(山花秀雄君紹介)(第八〇七八号)
 同外一件(太田一夫君紹介)(第八一六三号)
 同(田中武夫君紹介)(第八一六四号)
 同(依田圭五君紹介)(第八一六五号)
 ドライブインにおける酒類の販売禁止に関する
 請願外一件(井出一太郎君紹介)(第八一三二
 号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 地方公務員法の一部を改正する法律案について
     ――――◇―――――
#2
○鹿野委員長 これより会議を開きます。
 地方公務員法の一部を改正する法律案に関し発言を求められておりますので、順次これを許します。河上民雄君。
#3
○河上委員 昨日少し質問をいたしましたが、きょうは法制局長官お見えになっておりますか。――それじゃ、ちょっと待ちます。
#4
○鹿野委員長 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#5
○鹿野委員長 速記を始めて。
 この際、委員長より政府委員各位にお願いをいたしておきます。
 政府委員各位に時間の指定をして御出席をお願いいたしたおりは、これを厳重に守っていただくことを特にお願いをいたしておきます。
#6
○河上委員 きょうは法制局長官がお見えになっておりますので、去る五月十九日、当委員会におきまして、定年制の問題について五人の参考人の方に来ていただいて御意見を承ったわけでありますが、その中の一人であります山内参考人が、現在の地方公務員法は違憲の疑いがある、そのような違憲の状態を解消する意味において、今回の定年制には賛成であるというような意味の意見の陳述があったわけでございます。
 御承知のとおり、地方公務員法は昭和二十六年以来もう十八年にわたって施行されているわけでありまして、もしそれが違憲の状態であるということになりますと、これはたいへんな問題でございます。つきましては、法政局においては、こういうような意見についてどういうようにお考えになるか、長官の権威ある御答弁をいただきたいと思います。
#7
○高辻政府委員 ただいまお尋ねがありました件につきましては、私も当時の速記録を拝見いたしまして十分に中身は承知しておるつもりでございます。
 結論から申しまして、いまの山内教授が言われますものも、もしも自治省のような解釈を前提とするのであれば、いまの地方公務員法は違憲と考えざるを得ないのではないかというようなことを言っておったように思います。私は、実はそうは思いませんが、そういうことを結論的に申し上げただけではむろん御満足が得られないと思いますので、私は山内教授の立論の基礎から、問題をむしろそちらのほうに焦点を合わしながら話をさしていただきたいと思います。
 山内教授の立論の基礎として、国家は、地方自治に対しても、そこに公益上の理由がある限りは、法律をもって制限を加えることができないわけではない。しかるべき法律の理由がないにもかかわらず、みだりに制限を加えれば違憲のそしりを免れないであろう、こういうことを言っているのが筋でございます。つまり、教授の話によれば、法律の制限による公益上の理由があるならばその制限は合憲である。それから、法律上の理由がないなら、それは違憲であるということを立論の基礎としておるようでございます。
 ところで、この考え方に示されております公益上の理由の有無、これは、結局人々の公益判断にかかることでありまして、各人の判断が各人を通じて必ずしも同一であるというわけのものではないものであろう、考え方によっていろいろ考えられる余地がそこにはあり得るということがまず一つでございます。ある人々は、公務員の地位の保障を重視しまして、定年制が採用されないでいることもまた公益上の理由と考えられないわけではないという考え方で、その制限は違憲でないという考え方をとるでありましょうし、また、他の人々は、これは山内教授もそうでありますが、これを公益上の理由とは認めがたいとして、その制限は違憲だという考え方をとることもまたあり得る。現行の地方公務員法がそのいずれの考えに立脚するものであるか、これは法の明文からは確かにさだかでございません。このような両用の考え方があります場合に、しかも法の明文がさだかでないという場合に、われわれの解釈上の関心としましては、おのずから地方公務員という具体的な存在の現実的な利害、そういうものに関心が注がれやすいのもまた事実でございます。自治省の従来の解釈もこのようであったわけでございまして、そのような考え方が誤りだと頭から断定するのは、私は一方的に過ぎるのではないかというふうに考える次第でございます。
 かようなわけでありますから、定年制の採用を是とする政策を実現するためには、法の立案事務に携わりますわれわれとしては、当然のことながら、まず法の規定において事を明らかにするのが最善だと考えるわけでございます。これが今回の法改正をお願いするに至ったほんとうの気持ちでございます。つまり、内閣法制局としては、当然のことでございますが、この定年制の問題についての地方公務員法の改正について責任を持っております。いま申し上げましたようなことからいって、いままで自治省が再三確認しております解釈を前提といたしまして、それが違憲につながるというふうには毛頭思いませんが、しかし、同時に、そうでない考え方のあることも、山内教授が言っておるように、そういう考え方もないわけではないと私は考えますけれども、ともかくもそういう姿がいまの地方公務員法の姿でございますので、それを新たに定年制を採用するという政策を実現するためには、まず法を改正して事を明確にして処理するのが、われわれの態度としては当然であろうということで法の改正をお願いしたというのが立法の趣旨でございます。
#8
○河上委員 私がお伺いいたしましたのは、今回立法いたしました法制局としての見解ではないのでありまして、つまり自治省の公権的な解釈が憲法違反の疑いがある、それに基づいて運営されておるところの地方公務員法は違憲の状態を構成している、こういう解釈は、他にそういう説もあるということではなくて、法制局としてはこういう考え方をとっておるかいないかということだけをお伺いしたのであります。その点については、大体御趣旨は察せられるのでありますが、もう一度お尋ねしたい。
#9
○高辻政府委員 ただいまのお答えの中に入れたつもりでございますが、自治省が何べんかそういう行政実例、いわゆる有権解釈をしておりますが、その有権解釈によった地方公務員法のあり方というものが違憲であるというふうには私どもとしては考えておりません。
#10
○河上委員 わかりました。それで、なお五月十九日の参考人の御意見の中には、実は山内教授だけではなく、栗山参考人からも別な角度から、定年制をしくことがむしろ労働権の制約という意味で憲法違反の疑いがあるのではないか、こういうような御意見も出ているわけでございます。一日の参考人の意見の聴取でございましたが、別な角度から二つの違憲論が出ているわけでありますけれども、こういうような問題が起こりましたときに、政府から、これらの見解について法制局のほうにあらためて問い合わせなり諮問なり連絡などというようなものがございましたでしょうか。
#11
○高辻政府委員 私は、かつてこの席で違憲問題に関連して、二十七条論をたしかどなたかとしたことがございます。そういう意味では、私自身が突はお答えをしておりますからよく存じておりますが、そのほかの点につきまして、私自身が実はお尋ねを受けたことはございません。ただ何でもかんでもみんな法制局長官のところにくるわけでございませんので、私のところには有能なる次長、部長、たくさんおりますので、あるいはその辺にお話しがあったかもしれません。私は承知いたしておりません。
#12
○河上委員 私は長官にということではなくて、法制局に対してそういうようなお尋ねがあったかどうかということを伺ったわけでございますが……。
#13
○高辻政府委員 私の知るところでは、二十七条の関連で、私のほうに憲法資料調査室というのがございますが、そこに何か自治省の方が見えてお尋ねがあったということは聞いておりますが、全般的にそのほか何か伺っているかどうかということは私は承知いたしておりません。
#14
○河上委員 それでは自治省にお尋ねいたしますけれども、自治省は責任をもってこういう地方公務員法の一部改正法案を提出されておるわけでありますが、それに関連して非常に権威ある参考人の方々の中から、違憲論、ことに山内教授のような斯界の権威が違憲の状態があるというような意見を述べられたわけですけれども、この問題について、法制局に自治省として重ねて確かめる意味で何らかの連絡をとられたことがございますか。
#15
○長野政府委員 もともと法律の改正案を内閣提出としてまとめますまでには、法制局の審査ということはやっておりますけれども、むしろ法制局が立案をしたという立場からは責任者でございます。したがいまして、そういうことでございますから、大体見解としては一致をしていなければ出せないわけです。山内教授のお話がございましたあとも、公聴会での御意見の要旨につきましては、もちろん法制局と連絡はいたしております。それは山内教授の見解といいますか、そういう御発言があったということだけを御報告をいたしたわけでございます。
#16
○河上委員 それでは、あまりショッキングな山内教授の見解でありましたけれども、歯牙にかけない、と言っては非常に表現が悪いかもしれませんが、聞き流したような形で考えるというふうに理解してよろしいでしょうか。
#17
○長野政府委員 歯牙にもかけないとかなんとかいうことはもちろんございません。私どものほうでも、山内教授の発言に対しましては検討はいたしました。そして、山内教授の発言がありますけれども、私どもとしては、いままでの考え方というものは変える必要はないというふうに考えております。
#18
○河上委員 それでは重ねて自治省の方にお伺いいたしますが、私どもに配付されております自治省監修の現行自治六法四六二ページにはこの二十七条の解釈として自治省の公権的解釈といわれるものが書いてあるわけでございます。それによりますと、実例として、「本条第二項には、職員は同法に定める事由による場合でなければその意に反して免職されることがない旨規定されているが、停年制は、これにてい触するものである。なお、公務に堪えぬか否かは、その個人々々について判定すべきものであって、画一的に年齢をもってするのは妥当でない」こう書いてございます。これは自治省の公式の見解と考えてよろしいと思うのでありますが、この点については、少なくともこの解釈については変更されるつもりはないわけでございますか。
#19
○長野政府委員 これはたびたび申し上げたとおりでございまして、現行法のもとでは、従来からそういう解釈をとっております。したがいまして、定年制の道を開くということをいたしますためにはやはり法律改正が必要だ、こういうことでございます。改正法が成立いたしますならば、その意味ではその解釈は当然に変更されるわけであります。
#20
○河上委員 私が伺いたいのは、つまりこの二十七条の解釈というものを変更するのか、それとも現行のままで定年制をしくことが可能だという解釈があって、ただそれを確認する意味であとに二十七条の二をつけ加えるのか、それが一つの見方であります。
 もう一つは、解釈の変更の余地はない、これに関してはこのとおりである、したがって二十七条の二を加える必要が出てきたというような立場に立っておられるのですか。
#21
○長野政府委員 現行法のもとでは従来の解釈のように考えております。と申しますのは、現在の公務員法のたてまえ全体から考えまして、現行法のもとで定年制をしくということは、いずれにいたしましても二十七条等の規定から考えまして、やはり法律に根拠がなければいかぬという考え方を全体としてはとらざるを得ないのではないか。定年制をしくということは狭義の意味の分限免職とは違うというふうには考えておりますが、やはり広義の意味では分限の規定と考えられる。そういうことから考えますと、現在の地方公務員法のたてまえからいいまして、やはり法律を根拠とするということが必要ではないかという考え方を持っておるわけでございます。その意味で、現行法のもとでは定年制をしくことはできない。そこで、そういう法律の根拠ということを兼ねまして離職に関する規定を今回整備し、そして離職の事由だとか手続とか効果について、法律で特別に定めております場合を除きましては条例で定めるものとするという改正規定を加えることによりまして、そこで法律上定年制を施行し得る道を開くことにいたすわけでございます。そういう意味では広義の意味での分限の規定の適用はあるけれども、狭義の意味での分限規定の該当はないということをはっきりいたしまして、そして定年制の道を開き得る体制を整えたい、そういうことでございますから、この従前の行政解釈というものはおのずから変更されるということに相なると考えております。
#22
○河上委員 それでは確認の意味で申しますが、二十七条の文面だけを読む限りにおいては、定年制はこれに抵触するという解釈を出さざるを得ない。しかし、それでは定年制はできないので二十七条の二がどうしても必要になる。つまり二十七条の二を加えない限りは、二十七条だけでは定年制は不可能である、こういう解釈がまだ残っておるのかどうか。つまり、二十七条をそれだけ単独に読んだ場合にも定年制はしけるのだけれども、なお確認の意味で二十七条の二を加えて、そこに定年というものを特に明示するという考え方なのか。それとも、二十七条だけでは定年制ができないから二十七条の二を加えたということなのか、私はそれを伺っているわけでありますが、最終的に法律というのは各個条関連して判断するものであろうと思いますけれども、ややこまかいことを言って恐縮ですが、二十七条というものをただ読む限りにおいては、前の公権的な解釈に立たざるを得ない、そこで二十七条の二が必要になったというふうにわれわれのほうでは理解してよろしいものかどうか。
#23
○長野政府委員 現行法のままでは定年制を地方団体が自主的にしくということはできないということが、現在まで自治省が堅持しております解釈でございます。したがいまして、そのことは、いまお話しがありました現在の二十七条がどうだとかいうことの関連でいいますと、現在の二十七条がある限りにおきましては、二十七条のままでございますと定年制は条例をもって地方団体が自主的にしくことはできない、こういう考え方をとっております。しかし、世間には、先ほど法制局長官からも御紹介がございましたけれども、このままでもいけるという考え方もあり得る。山内先生などはそういう考え方をお持ちだと思います。そういう考え方もあるわけでございますけれども、自治省としては、現行法のままではできないという解釈をとっております。したがって、そういう道を開きますために、御指摘のありました二十七条の二及び二十九条の二という規定を入れまして、二十七条の二では離職に関する規定の整備をはかりながら、その離職という概念の中で分限免職あるいは懲戒免職、任期満了による退職、そういうもののほかに定年による退職という一つの分野をはっきり明示をいたしました。そして、それについての手続とか効果は法律に定めるもの以外は条例で定めるという道を二十九条の二で開いたわけでございます。したがいまして、二十七条の二と二十九条の二を改正案のようにつけ加えることによりまして、定年制につきましてもその一部でございますが、離職の態様の一つであるところの定年制も地方団体で条例でしくようにしたい、こういうことでございます。
#24
○河上委員 いろいろお話がございましたが、要するに山内教授の解釈は、今回の改正にあたってはとらないということだけは明らかなようでございます。
 ついでに、ここで山内教授の見解に関連してお伺いしたいと思いますけれども、地方自治の本旨という考え方が出ているのでありますが、地方自治の本旨ということと、労働者の基本的な権利の保障の問題の優劣関係と申しますか、その関係について法制局ではどういうようにお考えになっておりますか、法制局長官の御見解を承りたいと思います。
#25
○高辻政府委員 そういうお尋ねも当然あり得ると思いましたので、最初は結論だけ申し上げないで、いろいろくどくどと実は申し上げたつもりでございます。要するに、地方自治の本旨というものを非常に強調される山内教授自身でも、地方公共団体に対する法理上の制限、それは彼の説明によれば、公益上の理由があるのならばその制限はかまわない、しかし、公益上の理由がないのならばその制限は違憲である、こういう態度をとっておることはさっきも申し上げたとおりでございます。その公益上の理由ありやなしやというのは、ほんとうに各人の公益判断に帰着することになりますから、山内教授のように、それは公益上の理由にならぬという考え方もあり得る。これを妙な考えだと私は申し上げるつもりはございません。しかし、同時に、地方公務員の身分保障というようなことに徹した考えでもって、具体的な地方公務員の現実的な利害というようなものを見ていくことも一つの公益判断の資料になり得ると思います。したがって、そういうものが法律の文言上明確でない場合には、われわれの態度としては常に法律の上で規定を明確にして事を処理していくというのが、少なくとも法制局あたりはこれを非常に重視しておるところでございますので、いま申し上げたような点で、御質問の点は地方自治の本旨とそれとの関係でありましたが、山内教授の見解との関連でのお尋ねでございますので、山内教授自身が申しておりますように、公益上の理由ありやなしや、そこでその公益上の理由というのは、いま申したような公務員の身分保障的な見地からするものも一つの理由になり得るであろう、したがって、それが理由にならないとして違憲であるというふうには断定できないことであろうということだけを申し上げておきます。
#26
○河上委員 この問題はなかなか複雑な問題だと思いますし、すでに同僚議員が前の委員会でかなり詳しく質問いたしておりますので、この程度にとどめたいと思います。
 五月十九日の参考人の意見聴取の際に一つ問題になりましたのは山内教授の発言、いわゆる違憲論でございますが、もう一つは、この定年制法案を公務員制度審議会にかけるべきであるという議論とその必要はないという議論との対立の中で、参考人の意見がいろいろ述べられたのであります。その参考人の中には公務員制度審議会の委員の方が三人もおられたわけですけれども、その御報告と、さきに当委員会において政府側が答弁したこととの間に非常に大きな食い違いがあることが判明したという点であります。総理府の説明によりますれば、去る昭和四十一年に政府が定年制の問題について公制審に諮問いたしましたけれども、それはまあちょっと意見を聞いただけであるというような御意見でありまして、また内閣総理大臣の諮問という場合には、総理府においてははっきりとした公文書をもって、総理大臣名をちゃんと明記したものを諮問というというような解釈を述べておったのでありますが、過日の公聴会における三人の、しかも公制審の委員を兼ねておられる参考人の御意見では、公制審では昭和四十一年の諮問は正式の諮問であると受け取っている、しかも今回提出するにあたって政府は公制審に何ら諮問をしないで、いきなり国会に提出したことをはなはだ遺憾に思っているという御意見があったのでありますが、この食い違いはきわめて重大なことでありますので、この点について大臣の御意見を伺いたいと思うのであります。
#27
○鹿野委員長 関連して太田一夫君の発言を許します。
#28
○太田委員 関連して。ちょっと議題が公制審ということばが出てまいりましたので、その前に、それに関係する前段の違憲問題、憲法上の権利の保障問題に関連して、私はちょっと法制局長官並びに自治省当局にお尋ねいたします。
 まず一点法制局長官にお尋ねしたいことは、山内参考人の違憲論というのは、これは必ずしも当を得ていないという御回答であります。したがって、それは現行法体系をそのまま是認されておりますから、定年制がしかれないということを認めていらっしゃるのでありますから、自治省と同じ見解をとり、自治省の長野局長がおっしゃったように、こういう状態の中で定年制をしこうとすれば、これはその二をつくらなければならない、こういう議論につながってくる。これはよく筋が通ってわかるわけです。そういうことになりますと、少し角度が変わりますが、法制局長官、いかがですか、現在地方公営企業労働関係法というのがあるのです。地方公営企業労働関係法というのがありまして、その第七条に、許容される団体交渉の範囲というものがある程度例示されております。その団体交渉の範囲の中には「昇職、降職、転職、免職、休職、先任権及び懲戒の基準に関する事項」こういうのが第二号にある。第四号には「前各号に掲げるもののほか、労働条件に関する事項」というのがあるわけです。現在の法体系では定年制がないという前提のもとにおいては、ここに定年制という文句が出てくる道理はございません。したがって、列挙されたもの以外の労働条件に関する事項が労働協約の対象となるとなれば、当然定年というものも、かりにこれを地方公務員法において制定されるとすれば、この公営企業労働関係法によるところのこの労働条件に該当し、当該経営者側、当局者側と当該労働組合との間に団体交渉の対象としてこの定年制の問題が、労働協約に織り込むか織り込まないかという問題が出てくると思う。もしこれが条例に抵触した場合には条例のほうを変えなければならない。労働協約優先というのがたてまえになっておるということからしまして、現行法体系の定年制を認めないという法体系を違憲論でないとあなたが認定されておることは私も賛意を表します。そのたてまえからいけば、地方公営企業の労働者諸君は、今後団体交渉によって労働協約によってこれをきめるということはあり得る。そういうことは合法でございますね。いまあなたの議論から言いますと、そういうことは当然あり得ることであり、想像されることでございましょうね。
#29
○高辻政府委員 御指摘の地方公営企業労働関係法の第七条の第四号に「労働条件に関する事項」というのがございますが、この定年制の採用に関する問題はやはり労働条件に関する事項に入ると思います。したがって、お話しのとおりにこれは団体交渉事項になると思います。
 ただ、その条例との関係については、その団体協約が締結されれば条例はそれに拘束されるというかのごときお話がございましたが、それはそうではございませんで、第七条の次の第八条をよくお読みになるとわかりますが、その点は違っておりますから違うと申し上げますが、交渉の事項になることはお話しのとおりであります。
#30
○太田委員 労働協約の対象になることをお認めになれば、労働協約そのものが当事者間の協議によって締結をされるというのは、あくまでこれは労使の関係においては基本でございますね。したがって、条例は五十七歳ときめてあるけれども協約が六十歳だったら、六十歳に条例を変えるのがほんとうじゃありませんか。
#31
○高辻政府委員 第八条を先ほどもごらんいただけばと申し上げましたが、それじゃ第八条を申し上げますけれども、第八条の第一項で「地方公共団体の長は、当該地方公共団体の条例にてい触する内容を有する協定が締結されたときは、その締結後十日以内に、その協定が条例にてい触しなくなるために必要な条例の改正又は廃止に係る議案を当該地方公共団体の議会に付議して、その議決を求めなければならない。」これはそのとおりでございます。ところが第二項「前項の協定は、前項の条例の改正又は廃止がなければ、条例にてい触する限度において、効力を生じない。」という規定がございますことをお読みいただきたいという趣旨でございます。むろん第一項にありますように、地方公共団体の長が議会に付議してその議決を求めなければならない、そこまでは確かにそうでありますが、住民の代表機関としての議会がそれを条例で制定しなかったというときには話が別である、それは八条の二項に書いてありますので、そのことを申し上げたつもりでございます。
#32
○太田委員 大事な点だと思いますから、長官いささかくどいようですけれども、もう少しお尋ねをいたしますが、条例のほうを直さなければならないというのは本則でございます。本文、主文です。ただし書きとして例外、やむを得ざる場合はというのですね。これはただし書きで本則じゃございません。この辺のところを長官、ものの軽重ということがございますね。軽い重いということの判断は特に大事な点でございますからはっきりしておいてもらいたい。これは条例を変えるのがほんとうなんです。労働協約というのはそれほど大事なんです、労働に関する基本、労働条件ということは。その認識のもとに私はこの第八条を読みますと、当然この書き方からでもそうじゃございませんか。最初に書いてあるから重くて、あとに書いてあるから軽いということじゃないでしょうけれども、この書き方はあくまでただし書きですよ。そうじゃございませんか。
#33
○高辻政府委員 あなたのおっしゃることはよくわかりますが、要するに国会で議決をされて成立をしております地方公営企業労働関係法、これをよく見ていただくとおのずからいまの御疑問はわかると思うのでございますけれども、確かに、ただいま御説明申し上げましたとおりに、全く法律の条文どおりに私は読んでおりまして、ほかのことは申しておりません。この条文によりますと、いま申したように、協定が締結されたときには長は条例の改正あるいは場合によっては廃止にかかる議案を議会に付議して議決を求めなければならない、それは全くそのとおりでございますが、ただし書きではございませんで、その第二項をよくごらんいただきたいのですが、第二項に「前項の協定は、前項の条例の改正又は廃止がなければ、条例にてい触する限度において、効力を生じない。」こう書いてございますので、そのことを申し上げておるわけです。むろんこの趣旨として、長が提出したら、地方住民の代表機関である議会は、それを廃止なり修正をするようにやるべきであるという御意見はよくわかりますが、その地方住民の代表機関がそういうことをしなかった場合には、それは協定が、条例の規定にもかかわらず、大いばりで、条例のほうがむしろだめになるんだということにはなっておりませんよということを申し上げておるわけです。別に軽重を間違っておるとは思いません。
#34
○太田委員 その点を、最初書いてあるから重くて、次に書いてあるから軽いということではなかろうと私は言うたのです。その点はそうなんです。ただしかし、書いてあることを読むと、前のほうは条例を変えなければならぬという、しなければならぬという義務づけになっておるでしょう。そうじゃないですか。ところが、議会はそれをやるかやらないかわからぬですよ。それは議会の議決を要するのですから。しかし、その議会の議決が得られない間はこの効力を生じない、これは自動的なんです。作為的でない。この法律の条文がそのままいっておるわけですから、作為的ではありません。しかし理事者は、議会に付議して、議会の議決を求めて、労働協約を尊重するというたてまえで努力しなければならないという義務づけです。これは義務じゃないですか。その点どうです。
#35
○高辻政府委員 それはきわめてあたりまえのことでありまして、長が付議して議決を求めなければならないと法文に書いてございますから、むろん議決を求めるのが長の義務であるということは当然であります。
#36
○太田委員 では自治大臣にお尋ねしますが、いまの議論をお聞きになって――今後あなたのほうはこの定年制を実施されますね。そうすると、地方公営企業の職員各位、労働者各位のことを言いますよ。第七条によって、労働協約の対象として、この定年制の問題は、それでは早過ぎる、五十七、八では早いから、あなたが六十一だ六十二だと言ったときに、その協約はできたといたしますよ。その長、市長なり知事なりは、これはすみやかに議会に付議して条例の改定を求めなければならないわけですね。その場合に、あなたのほうの指導精神はどうなんですか。それはもめますね、一応は。なるべく第八条の第一項にあるがごとくに、これはなるたけすみやかに議会の議決を得て労働協約と抵触しないように協約を尊重すべきだとおっしゃるのか。それとも、なるべくほっておきなさい、ほっておけば、この第二項によって効力は生じないんだといって、第二項のほうをあなたのほうは推奨されるのか、それはどちらですか、大臣。
#37
○野田国務大臣 いま御意見を拝聴し、また政府の答弁も聞いておりまして、法律の解釈は別として、法律の精神は、私はやはりできるだけ協定を実現するようにその法律のたてまえはできておると思っております。したがって、指導といたしましては、これはもちろん、結果は、地方自治体に対しては特別の干渉はいたしませんが、その場合の指導方針として、やはりできるだけ協定に沿うたことが実現するように指導するのがたてまえじゃないか、こう思っております。
#38
○太田委員 この際特に公務員部長の御見解を承ります。
 あなたの見解は、ほとんど地方自治団体の通例の見解になるわけですね、いまは。長野局長も、もう長くあるのかないかわからぬが、長野なんという名前はいま出ませんよ。もう鎌田要人、鎌田要人。その要人ということばがあなたの本名で、決して字をかりておるわけじゃない。あなたの見解は地方自治団体を指導しますよ。非常に自治体に影響を与える。あなたは、この七条の労働協約との関係において相克摩擦があったときに、あなたのほうはどういう指導をなさいますか。いまの大臣と同じでございますか。
#39
○鎌田説明員 大臣がただいま御答弁申し上げたとおりでございます。
#40
○太田委員 あなたが大臣と同じだとおっしゃれば私は安心をいたしますが、いまを時めく自治省の行政局公務員部、これはあなたの見解というのは大事ですよ。あなたは常にりっぱな見解をされるし、微に入り細をうがち、そしてまた縦横無尽の理論の構成をされる。その中で、いまおっしゃったことは、労働協約を尊重されると言われた。それはけっこうです。それは労使の関係において、あなたは近代的認識がある。私は、もうちょっと違うかと思ったが、見上げた。
 そこで、法制局長官、もう一回お尋ねしますが、栗山参考人が、やはりこの間の参考人の陳述の際におきまして、定年制そのものは憲法二十七条に違反する疑いが濃いということをおっしゃいました。この定年制というのは、画一的に退職させることでしょう。いままでの分限関係は個々でございます。個々の具体的な事例を対象とするところの、個々の免職ないしは離職でございますが、今度は定年の場合には画一的にすべて一網打尽――一網打尽と言うとことばがあれでありますけれども、定年制によって、いいとか悪いとか、役立つとか役立たないとかいうことでなしに、定年によって一様にないしは画一的に離職せしめることは、これは憲法二十七条に抵触する、違憲の疑いが濃厚であるから、現行法体系を根本から変える問題であるから、これは重大な労働関係の基本問題だ、こういうふうにおっしゃったのですが、あなたの見解はいかがですか。
#41
○高辻政府委員 お答え申し上げます。
 この二十七条との関連におきまして、いつか私もこの席で門司さんとお話しをいたしましたが、憲法二十七条に定年制が違反するということが御質疑の中心だったように思いますが、これは私は、山内参考人が答えておりますのと全く同一の見解を持っておりまして、この二十七条というものは、全般的に、就労の機会、勤労によって生活設計を立てる機会を与えるという、一般的な責務として考えて、これは前に私は経済的社会権といいますか、社会権のほうの性格を持つものであろうということをお答えいたしましたが、山内教授もほぼ同じような見解に立っているわけでありまして、そういう就労の機会を与えるということがどうしてもできないというときは、失業保険のほうとか失業対策というようなことで結局はお金を出していくというようなことになることを、そういうような政策を立てることを国の責務としている規定だと思います。したがって、そういうものが定年制とじかに抵触をする、定年制はいま申した憲法の二十七条の勤労権に抵触して違憲であるというような筋合いの関係を持つ規定ではないというふうに考えております。この点は山内教授がもうすでに答弁して、彼自身はその見解を述べておりますが、私はこの見解に賛成でございます。
#42
○太田委員 私は、栗山委員長が定年制そのものは憲法違反の疑いが濃い、特に二十七条の勤労の権利保障の規定に違反するものなりということをおっしゃって、しかも今度の場合、定年制というのは画一的に離職を強要するものでありますから、特にその点が重大だということを付言されておるわけです。
 そこで私は、いまあなたがおっしゃったように、必ずしも違憲でないといたしまして、定年制そのものをいいといたしまして、では二十七条の第二項です。この第二項には、労働条件というのは法律で定める。この法律というのは労働基準法でございますね。労働基準法と読みかえました場合に、労働者と当局者との間に労働条件のきめ方の態様というのは、これは原則的にいうなら労働協約でございますね。ところが、地方公務員には労働協約締結権がない。これはどういうことなんですか。
#43
○長野政府委員 地方公務員法におきましては、いまお話がございましたように、全体の奉仕者、公務に従事している公務員の特殊性というような考え方のもとに、そういう面での公共の福祉という観点から、労働協約の締結権というようなものが制限をされておるということで、あれは地方公務員の場合あるいは国家公務員の場合の一般的な制約ということになっておるわけでございます。
#44
○太田委員 私は、長野局長さん、あなたの憲法論とかなんとかを聞こうと思っておるわけではないので、憲法論の立場から「法律でこれを定める。」とあるが、これは一体どうなっていますかということを長官にお尋ねをいたしておるわけです。
#45
○高辻政府委員 確かに二十七条の二項の「勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。」ということでありまして、一般の労働条件に関する事項については、御指摘もございましたように、労働基準法等においてきめられておるわけであります。ところで、公務員につきましては、いま長野局長のお話がございましたように、公務員についてはまた公務員についての法律がございまして、その法律によっていろいろな規定が置かれておる。このいろいろな規定というものは、御質疑でもあればお答えしなければなりませんでしょうが、これはあらかじめ何を申していいのかわかりませんが、地方公務員、国家公務員についてはそれぞれの法律によってきまっておるということは御存じのとおりであります。
#46
○太田委員 だから、地方公務員法できまっておるという現行のきまっておりますそのものは、定年制はない、地方公務員法の仕組みでございますね。これは定年制を認めないのは違憲であるから今度変えようというのではない。あなたのおっしゃったとおりにということなら、合憲的な地方公務員法ができておるとする場合に、今度それを根本から変えるように画一的な労働者解雇の態様を押しつけていくわけですから、いままでの個々人主義的な立場に立っている解雇の態様とはだいぶ違うわけですから、その重大な変更に対して、私は二十七条第一項と二項に抵触するのじゃないだろうかという気がしてしようがない。だから、二十七条に抵触するというこの栗山参考人の指摘は正鵠を得たことだという気がしてしようがない。そこで、かりに法律で定めるとするならば、定年制というものが合憲であるためには法律で定めなければならないから、今度二十七条の二をつくった、そういうお考えは筋としてはわからぬわけではない。しかし、その具体的なものは、これはそれぞれの労働職員団体と当局者、理事者との間の団体交渉ないし労働協約によってきまっていくということになれば、それはそれでよろしい。ところが、地方公営企業の労働者諸君にはその制度があるが、一般地方公務員労働者にはありませんから、したがって、その場合の勤労の権利の保障とか労働条件法定主義というものからいささか逸脱して離れていってしまって、理事者の恣意的な問題にこれがまかされていくような気がしてしようがない。その点は憲法違反ではございませんかということをお尋ねしておるわけです。
#47
○高辻政府委員 御質疑の中にございましたように、定年制の態様については、地方公務員法を改正して、条例で――具体的な中身でありますが、そういうものを条例できめられるということにしたことは、やはり法律で規定したことになるという筋はわかるがというお話がございましたが、そのとおりでございまして、法律で定年制を採用することにしたということでございます。しかも条例は、国でいえばちょうど法律に相当するような形式のものでございます。地方住民の意思によってそれを決定していくということでございまして、それが憲法に違反するというのは、私どもどういうふうに考えたらいいのか、おっしゃることがむしろよくわからないのでございます。
#48
○太田委員 それでは、これは長野さんにお尋ねしますが、そうすると、いままで地方公務員として採用された場合の、その際の地方公務員法ないしは各種条例というのは、そのとき現存した条例というものは、労働契約の具体的内容であったのか、関係ないのですか。
#49
○長野政府委員 地方公務員の勤務条件につきましては、地方公務員法で規定しておりますように、議会の議決によりますところの条例によって定められる、これが根本原則でございます。定年制も、そういう意味で今回の改正法におきましても「条例で定める」こういうことになっておるわけでございます。そこで、現在採用しておる職員は、採用したときには定年制というものがなかったじゃないかというお話だろうと思いますが、そういう意味で、条例によって勤務条件が定められるということが一つの勤務条件の根本の定め方になっておるわけでございますから、そこでそういう条例であらためて定年制を定めるということになりました場合にも、私は、そういう意味で勤務条件の内容というものが条例によって定められるということは、当然に理解しておるところであろうと思いますので、そういう意味では、その条例が定年制をしくということになりました場合には、そういう勤務条件の中で公務員としてのつとめを果たすことになるということに考えていいのであろうと思うのであります。そういう意味で、現在採用しております職員が、定年制のないことを条件として就職しておるということが一応はいわれておりますけれども、そういうことの中で条例によって定年制をしくという法制ができました場合には、それはそういうことで勤務条件の変更が起きた、こういうことだと思います。
#50
○太田委員 だから、起きたということであるには違いないが、一番最初の雇用されたときのその労働者とその雇用する側との間の労働契約というものが、その当時の法体系そのものを前提としてなされるのでしょう。あくまで労働の契約じゃありませんか。だから私は、別なことば、あなたのおっしゃることばで言うならば、定年制がないという身分保障があるという、そういう前提のもとにそこに職を求めて、そこで働き、一生をささげようとしてきましたが、にわかに労働職員組合の意思も聞かないで定年制をつくるということになれば、これは全く奴隷的な扱いになりますね。これはやはり十八条にあるでしょう。憲法に、奴隷的な扱いをしてはならないとあるじゃないですか。奴隷じゃありませんか。アメリカの奴隷も日本国の四十六都道府県のものも同じようなことじゃありませんか。いつ自分が首になるか、いつ街頭にほうり出されるか、いつお払い箱になるかわからないというので、きゅうきゅうとしてその主人のおひげのちりを払うということになるのは奴隷的なものですよ。だから、労働協約を締結して団体交渉の対象にするならよろしいが、その団体交渉権を認めないという立場においては憲法違反だ。それでは労働権なんというものはありませんよ。ではどうしてその場合に団体交渉権、労働協約締結権もないままに、一方的に街頭にほうり出されて、どこに労働権の保障というものがあり得るのですか、そこのところをちょと聞きたい。
#51
○長野政府委員 公務員の勤務条件は、公務員の雇用についての権限と責任を最終的に持っておるところの住民の代表によって構成されました議会が条例で定めるというのが根本原則でございます。その条例に従いまして、合法的に定年制の施行ということが行なわれる限りにおきましては、その勤務条件の一つとしての定年制というものは公務員に当然に適用になる。そこで、そういう意味では、現在定年制がないということだけで常に既得権ができておるのだというふうには私どもは考えていないのであります。条例によって勤務条件が定められる、その定められる道を合法的に設けられました場合には、その道に従いまして新しい条例をつくっていく、それによって新しい勤務条件、勤務態様というものができ上っていく、これが一つの公務員に定められましたところの勤務条件のあり方であり、公務員がそれに従っていくということは当然のことであろうと考えるのであります。
#52
○太田委員 法制局長官、十八条の何人も奴隷的な拘束を受けないというこの表現のしかたですね。これが直接二十七条とどう関連するかということをいま持ち出すのはいささか変のようですけれども、いま長野局長のおっしゃったように、そのときの法律、そのときの条例――条例も法律として見れば、そのときの法規に従ってあなたは行動しなければならぬ。規制を受けることはよろしいです、義務だとか権利とかいろいろあると思いますね。それはよろしいけれども、死ぬとか生きるとか、暮らせるとか暮らせないとか、命という問題、これは至上命令です。この解雇されるということが死を意味する限りにおいては、食っていけなくなったときには、そのときの条例に従うべきだというだけの理屈で、一向に職員団体の意思も反映しない、当該労働者の意思も反映しないままにずばりと首を切られるということが合憲であるなんという理屈はどこにも出てこない。それならまさに昔の権力者に仕えた私的奴隷と異ならないじゃありませんか。そういうことを経験ない人は一向に関係ないのだから、私は、その辺のところはどうだという、権利という問題から……。
#53
○高辻政府委員 御存じのことでございますが、すでに国家公務員については、一部の公務員についてでございますが、定年制がしかれていること、これは奴隷的な拘束だとはお思いにならないと思いますが、これが一つはあるということと、それからもう一つは、確かにお話しのような考え方というものはある、持っている人がいるわけでございまして、労働契約に定年制がしかれていない、それがその後に定年制がしかれて、それは契約違反というか、そういうことで訴えられたことがあります。これが最高裁に参りまして――比較的最近でございますが、昭和四十三年の十二月二十五日に判決が下っておりますが、最高裁の考え方は、労働契約に定年制がないということ、そのことは別に将来にわたって定年制を採用しないことを意味するものではないということを判示いたしております。それ以上詳しく申し上げることもないと思いますが、国家公務員、地方公務員につきましては、法律なり条例で定年制がしかれるわけでありまして、私はILO問題などでジュネーブへ行ってきたものでございますが、やはり、法令による保障と申しますが、法令によってきまるということが公務員の場合には一つ一般の場合と違ったものであるということを付加しておきたいと存じます。要するに、定年制がないということは、将来にわたって定年制を採用しないことを意味するわけではないという最高裁判所の判例があることを御紹介いたしておきます。
#54
○太田委員 私は別に定年制をしくしかないということの是非ということよりは、現在定年制のない、そうして分限事項によりまして身分保障をされておるところの地方公務員各位が、突如として五十七とか五十八とかいう定年制というものが実現をしまして、その法的な拘束を受けて職を退き人生の設計を台なしにされるということについては、労働基本権を保障した憲法の二十七条にも問題があるであろうし、十八条の奴隷的な拘束を受けないという趣旨にも抵触するのじゃなかろうかという気がする。ただ、それを免れる道は、当事者の意見というものが反映することだ。職員組合があるから職員組合の意思がこの条例制定に反映し、その意思の合意のもとに行なわれるならば私は何をか言わんという……。だから先ほどから、地方公営企業の労働者諸君にはあるが、なぜ一般の地方公務員にはそれが認められないのか、ここは今度の制定を、地方公務員法をあれしましても、そういうバランスのとれないものが出てくるわけですね。そこを申しておるわけです。
#55
○鎌田説明員 地方公務員に関しまするいわゆる公務員労働法制というものにつきましては、釈迦に説法みたいな話になるわけでございますけれども、公営企業なりあるいは単純労務職員というものにつきましては、民間企業の従事者の場合との職種の共通性という面を尊重いたしまして、御案内のとおり労働組合法でございますとか、あるいは労働基準法の適用をいたしておるわけでございますけれども、それ以外の一般的な地方公務員、警察、教育をひっくるめまして一般的な地方公務員につきましては、国家公務員の場合と同様に、公務の特殊性ということから現在のような法制のたてまえをとっておる。したがいまして、一般職の公務員の場合でございますと、いわゆる労使対等によって労働条件をきめてまいるという労働基準法の第二条の規定の適用を排除いたしておるわけでございます。それにいわばかわるものといたしまして、先ほどから長官、局長が申し上げておりますように、法律または条例で住民の意思によって労働条件をきめてまいる、これが最高の保障であるという基本的な立て方をとっておる、そこから淵源する問題であろうかと。したがいまして、そういった公務員法制というたてまえのもとにおきましては、定年制というものを住民の意思によってかかわらしめておる。片方の公営企業の場合におきましては、団体交渉、労働協約というものにかかわらしめておる。それがこの条例と抵触する場合の措置は、先ほどるるお話しのあったとおりでございます。賃金の問題一つとりましても同様な状態になっておるわけでございますので、この点は私ども現行の法制のもとにおいては当然の成り行きではないだろうかというふうに考える次第でございます。
#56
○太田委員 私はくどいようで、関連ではなはだ長くなって、どうもおこられておるような気がするのだけれども、これは先ほどからの権利問題と違憲問題の論争点のあと始末としてちょっと聞いておかなくてはならぬからお尋ねするわけですから、時間をかしてください。もう長くやりませんから。
 しかし鎌田さん、あなたそういうことをおっしゃったけれども、国家公務員の場合には人事院がありますね。それから地方公務員の場合はそれに準ずるという扱いを受けておるわけです。これは、その体系のことは何回も議論されておるからあなた百も承知でしょう。しからば、同じような態様のもとにある職員でも、中央、地方とも公社公団等の職員というのは完全な三権を持っておるわけです。そういう場合に、あなたのおっしゃるように、地方公務員は一番不利な立場に置かれて――住民のコントロールのもとに労働条件が置かれるようなことをあなたおっしゃったけれども、そういうことはあり得るのですか。少なくとも民主主義というのは、これはまた釈迦に説法であるかしれませんが、人の上に人をつくらず、人の下に人をつくらずという、こういう考え方でありませんか。その住民に奉仕する地方公務員、地方公務員の労働条件をつくるという場合は、よくするほうにつくるならいざ知らず、悪いほうに制限をする場合、それを住民コントロールのもとにある議会がつくれば何をつくってもいいんだという議論は、私はいささか勇み足のような気がしてしようがない。なぜ当該職員の団体との団体交渉の結果というものを、その中で一つの条件として入れないのか。入れ得られないのか。現在は団体交渉権が地方公務員にないのだからこれはやむを得ないでしょう。やろうとしてもやれません。現行法体系、それまで制限するのだったら、画一的解雇方式であるところの定年制というものに対しては、住民のコントロールだなんということでなしに、何かほかの方法を考えるべきだ、ここのところを私は言っておるわけで、これが即違憲論につながるのではないか、栗山さんのおっしゃる二十七条に違反するというところにつながるのだというこの疑問が私は解けない。なぜ住民が住民の意思を反映する議会できめれば、それが最高至上のものであるということになるのでしょう。労働組合、職員団体の意見というものは全然反対であってもかまわぬという証明を一ぺんしてください。
#57
○鎌田説明員 私の発言に関連したことでありますのでお許しをいただきたいと思います。
 ただいまお尋ねがあったわけでございますけれども、これもまた釈迦に説法みたいな話でございますけれども、現在公務に従事する公務員、先ほど私、いわゆる一般職の公務員、こう申し上げたわけでございますが、それに対して団体交渉を認めておらない基本的な法理と申しますのは、やはりその公務員の雇用の根拠と権限というものは地域住民に起源をしておるというところに基本的な考え方があるのだろうと思うわけであります。したがいまして、その公務員の労働条件というものは、その地域住民の意思の発現でございますところの議会、そこで制定をいたしますところの条例というものにかかわらしめておる、これは十分根拠のある考え方であろうと私は思うわけであります。
 なお、付言いたしますと、先ほど高辻長官が御説明になられました例の秋北バスの最高裁の判決におきましても、これは就業規則を改正いたしまして、いわゆる管理職員に定年制をしいたケースでございますけれども、そこでいわれておりますように、「労働契約に停年の定めがないということは、」「法律的には、労働協約や就業規則に別段の規定がないかぎり、雇用継続の可能性があるということ以上には出でないものであつて、労働者にその旨の既得権を認めるものということはできない。」云々、こういう判例があります。憲法違反の問題はこれによっては出てこないというような判断でございます。
#58
○太田委員 鎌田さんのおっしゃったことそのものは、一応それなりにわからぬわけじゃないのです。私は、それが全然間違っておるとか、とんでもないことをおっしゃっていると言うわけではない。私は法制局長官と本来問答しておるつもりで言っておるのですから、あなた方が補佐してうまいことを言ってくれれば、私はいつでもやめるつもりです。
 本来言うならば、二十七条にあるごとく、国民の勤労の権利そのものを具体化した労働の基準事項は法律で定めるとある。その法律にはいろいろな態様がありまして、地方公務員法も一つだ。だから地方公務員法でおつくりになるということに対して、何ら私はそれが憲法違反だなどということは言っておらない。おらないけれども、これを具体的にさらに解明していきますと、国家公務員の場合には人事院制度があります。これは国家公務員として特殊なそういう制度をとっておりますから、地方公務員がすべてそれに準ずるならば私はとやかく言わないが、特殊なものをつくろうとおっしゃるからいささか問題になるので議論をしておるのであります。
 そこで、地方公営企業の労働者諸君は団体交渉権あり、労働協約締結権あり、したがって定年制の問題も団体交渉の対象となり、労働協約上の協定事項となるのであります。その道があれば条例がどうあろうと、労働協約優先主義という考え方が基本に流れていて、理事者はすみやかに条例を改定しなければならない、こういう義務を負います。これに抵抗されればしかたがありません。それは条例そのものに従うということに自動的になりますけれども、理事者はすみやかに条例を変えて協約に合わせなければならない義務を負うのであります。ここへくれば公営企業の労働者諸君にはいわば勤労の権利とか人格の尊重という面が保障されておると私は思うのであります。ところが、一般地方公務員の場合はどうでしょうか。団体交渉権そのものが否定されておりますから、労働協約なんか全然できないでしょう。そういうときに、幾つになるかわかりませんが、自由に条例によって定年制を設けて、画一的解雇主義をとるということは、二十七条の労働条件法定主義にももとることであるし、それから本則の勤労する権利の保障の精神にももとる。十八条の奴隷的拘束を受けないという保障にももとる。こう思うので、私はそこで団体交渉権を持たない地方公務員の意思をどこで反映させるか、おまえら黙っておれなのか、これは黙れであるかどうかということを聞いておる。憲法はそんな精神ではないでしょう。高辻さん、どうですか、無礼者黙れというそんなものじゃないでしょうね。地方公務員の場合にどうもそういう精神に思えてしょうがないから、違憲の疑いがありませんかと言っておる。
#59
○高辻政府委員 私もおっしゃっておられるお気持ちがわからぬわけではむろんございませんが、法制局長官としてのお答えでございますから、法律論議が主になってしまいます。憲法二十七条なり何なりの関係につきましては、私はもうだいぶお答えしておりますので、繰り返して御答弁申し上げるのもどうかと思いますから、それはやめることにいたします。また、御質疑の中で、必ずしも違憲だとか法律違反だとかきめつけてないというお話もございましたところから見まして、なるほど確かに国家公務員については国会が、あるいは地方公務員については国会ないしは地方議会がこれをかってにきめていいというわけにはむろんまいりません。その上には憲法というものがございますし、条例の場合には法律に違反しない限度においてということがございますから、その限度であれば確かに法律違反という問題は生じません。しこうして、また同時に、今度の地方公務員法の改正は条例で定年制を設けろといっているわけではなくて、条例で定年制を設ける道を開いておるわけでございまして、その条例をつくるかどうかはその地方公共団体の住民の意思にかかるということでございます。これが見方は、御質疑の立場はだいぶ違うようでありますけれども、やはり国家公務員は国民こそがその使用者であり、それから地方公務員は地方住民こそがその使用者である。これは憲法をよく御引用になりますので、私も申し上げれば、憲法の十五条一項にそのことが書いてあります。そういうことが憲法のたてまえでございまして、公務員については国民の代表機関あるいは住民の代表機関、もっと間接的ならば国民自身あるいは住民自身がそれを決定していく、それがむしろ公務員にとっては大きな保障であるというふうにも考えられるわけでございます。
 ほかには先生のお話もむしろ政策論、こうあったほうがいいのではないか、あるいはそういう意味では立法論を御説示のように私には伺えるわけでございますが、現行法との関係についてはただいままでに申し上げたとおりでございます。
#60
○太田委員 じゃ、押し問答になりますからもうやめますけれども、高辻長官、そうするとあなたの認識からいいますと、定年制という道を開くということは重大であるというのか、単なる仕事がなくなったからやめていく人と同じように、そうたいして重要な条件ではないとおっしゃるのか。定年制そのものの軽重ですね、これはどんなふうにお考えでございますか。
#61
○高辻政府委員 これはどうもやはり法律問題ではなくて感触の問題だと思いますが、この定年制の法案についてこれほど御熱心な御意見があるところから見ましても明らかなように、これがきわめて簡単な、すっすっとやっていけばいいような問題であるかどうかというのは、すでに御質疑の中に詳しくいろいろお尋ねがございました。そういうことに関連して、私がこれは何でもない問題であるなんと言えばおしかりを受けるだけのことでありまして、だから言わないというわけではございませんが、十分に審議に値する問題であるということだけは確かだと思います。
#62
○太田委員 それではもう一つ、そうすると、日本に何千万という労働者がおりますが、その労働者が自分の身分上の大問題である定年制を含めて、基本的な労働条件について――労働条件ですよ。労働条件について、その所属する労働組合ないしはそのグループの意思が反映されないで、当局者ないしは相手側の自由意思、一方的意思によってきめられた規則、法律等によって自由に身分を左右されておるのはどれくらいあるとお考えになりますか。どういう層だとお考えになりますか。私は、日本の民間等の多くの労働者諸君というのは、ほとんど労働協約のもとにおいてその基本的な労働条件は確保されておる。保障されておる。就業規則によって改悪は許されない。幾ら会社が一方的就業規則をつくっても、社則をつくっても、それによっては労働協約を変更することはできないことになる保障があるわけです。そうすると、その他三公社五現業とか地方公営企業の労働者諸君というのは、団体交渉権があって、労働協約締結権があって、守られておる。残されたものというのは国家公務員並びに地方公務員だけでしょう。しかも国家公務員の場合には、人事院制度を設けて国家公務員に対するまた別の保障の制度が考えられておるが、地方公務員に対してどこに保障がありますか。地方公務員の労働条件、身分というものを保障するのはいま何があるのですか。いま法体系の中にどういう保障があるかをひとつお示しいただきたい。
#63
○高辻政府委員 おそらくは御満足はいただけないと思いますが、何度も申しておりますように、公務員の労働条件については、国家公務員については国家が、地方公務員については地方公共団体がきめるということが基本的な保障でございます。そのほかに何があるかということであるかもしれませんが、それが何と申しましても基本であるということをお答え申し上げたいと思います。
#64
○太田委員 終わります。
#65
○野田国務大臣 先ほどの河上さんのお尋ねでございますが、さきに総務長官から意見を公務員制度審議会に求めた、それが正式の諮問ではないかというような感じだったと思いますが、間違っていますか。間違っていたら、またあとで……。
 そこで、それはしばしばお答えいたしておりますとおり、その当時意見を求めまして、結論においては、公務員制度審議会では議題とならなかったという一つの事実と、それから、これも申し上げておきましたが、今度の定年制につきましては政府の見解が、つまり諮問事項ではないという見解に統一をいたしております。したがって、その政府の統一見解に基づきまして、この法案提出にあたりましても正式な諮問を審議会にいたさなかった、こういう経過でございます。
#66
○栗山政府委員 私、公務員制度審議会の事務局をやっております人事局長の栗山でございます。先ほど公務員制度審議会のお話が出ましたので、私のほうからその後の経過等を含めましてちょっと御説明いたしたいと思います。
 安井総務長官のほうから、昭和四十一年でございますか、おじゃまにならぬ程度でちょっと御意見をということで、地方公務員の定年制のことについて御発言があったわけでございます。その点につきまして先月の二十六日に開かれました公務員制度審議会でいろいろ話が出たわけでございまして、会長のほうから、いろいろ出ました発言に対しましてこういうお話があったわけでございます。前に安井長官のほうから、諮問事項とは考えないが、おじやまにならぬ程度で御意見をというお話があった。それに対してある委員から、この内容は公務員制度審議会に課せられている本来の目的には合致しないのではないかという発言がありました。この二つの点も含めまして、審議会として相談をしていきましょうということになっておったのであります。そういうことをおっしゃったわけでございます。そうしてその後、審議会はついに相談をするには至らなかった。そこで現在、それではこの問題をどうするかという点でございますが、会長のほうからの発言では、公務員制度審議会における審議の取り上げるべき問題というのは、御承知のように端的にいいまして労働基本権、いわゆる労働三権が本質的な問題であるわけであります。ところで、定年制の問題はこの基本権そのものではないことは事実であるということを申されたわけでございます。それから、ただいま国会で審議中の時期に、あらためてこの問題を審議会としまして独自に、あるいは自主的に取り上げまして審議をするということは適当ではないと思う、いわんや答申をするということは考えられない、こういう意見を述べられたのでございまして、これに対しまして審議会としましては了承されたというのが先月の二十六日の経過でございます。
 それからさらに、総理大臣のほうから諮問があらためてあればどういうのかということに対しましては、総理大臣からあらためて諮問がなされた場合には取り上げる、これは諮問でございますから審議すべきだと思う、こういうようなあれだったわけでございます。
 それからなお、先ほど河上先生がおっしゃいました私の当審議会におきまする発言、すなわち総理府におきましては内閣総理大臣の諮問というものは公文書をもっていたしておりますという発言を私いたしたわけでございますが、これに関連いたしまして河上先生のほうから、審議会としては諮問と考えておるのではないかというような参考人の発言があったというところで、食い違いの問題があるのではないかという御質問であったと存じますが、私の申し上げましたのは、ただいま申し上げましたごとく、少なくも総理府におきましては、総理大臣の各種審議会に対する諮問は公文書をもっていたしております。そういう点から考えまして、正式の諮問とは考えられませんということを私は申し上げたわけでございます。形式的な問題でございます。そこで、しかしながら、これを審議会がどう受けとめられまするかは、これは審議会独自の問題でありまして、私がとやかく申し上げられる問題ではございませんということも同時に申し上げたはずでございます。これは、私の申し上げたことに対するもう一ぺん繰り返しての釈明でございますが、それで先ほど申し上げましたような先月二十六日の審議会の経過に相なっておりますということを御報告申し上げておきます。
#67
○河上委員 先月二十六日というのは五月二十六日でございますね。――私どもが伺っておるところとだいぶ事実もニュアンスも違うようなんでございますが……。それに、前回の五月十九日の例の公聴会と申しますか、参考人の意見の聴取の際に、菅原委員、宝樹委員などからもるる述べられましたところによれば、おたくが言われたような受け取り方は審議会はしておられない。まあ、審議会がどう受け取られるかは私の知ったことじゃないというのがおたくの立場のようですけれども、しかし主体は審議会であるわけです。その点は間違いないようにしていただきたいと思うのですね。たとえば宝樹委員はこんなふうに言っておられます。経過をいろいろ述べられまして、「事実上結果的には、昨年十月の二十四日まで審議会は中断されるという状態になりました。昨年の十月の二十五日再開されました公務員制度審議会の第一回の会合で、このこともありましたので、定年制の問題という重要な課題は、国会でそのまま審議するようなことなく、事前に前もって連絡してもらいたいということが、労働者側の委員からも発言されておったのであります。ところが、これらに対して何らの連絡もなく、十二月末国会に提案の手続がとられて、今日になっておるのでありましょう。」こうおっしゃっておられます。
 のみならず、私どもが伺っているところでは、去る五月二十六日の公制審の結論の概要というものは、一に、政府は一度はこの委員会にはかったのに、何らの連絡もなく国会に提出したことは遺憾である旨記録にとどめ、会長から政府に今後注意してくれということを申し伝える。二に、国会が定年制法案について公務員制度審議会に付議すべきであるときめて、総理大臣から意見を求められたときは審議することとしたい。こういうような二点が結論として出ているという報告を私ども受けているわけでございます。いま局長さんが言われたところとは、だいぶ事実といいますかニュアンスが違うのでございます。これはこの委員会で、前からのいろいろいきさつもございますので、明確にしていかなければ先へ進まないと思うのであります。いかがでありますが。
#68
○栗山政府委員 お答え申し上げます。
 安井総務長官から四十一年のときに話がありまして、その後相談するということになっておりましたことが相談に至らなかった、これは事実でございます。先ほどの、中断されて昨年の十月下旬に再開されたという参考人のお話、これは中断は確かに一年間ほどございましたが、そのいまの相談をするという話がありましたのはずっと前のことでございまして、審議会は何回も開かれましたけれども、ほかの議案もいろいろあったわけでございますので、そちらのほうが優先したということがあったかとも思いますけれども、要するに、相談をするということになっておって相談はしなかった、こういう事実があるわけでございます。直ちに中断したわけではございません。この点は事実でございますから、ひとつ申し上げておきます。
 それから、定年制法案を国会に提出することに際しまして、政府が審議会に連絡をしなかったということについて、審議会として遺憾の意を表明すべきではないかという委員の意見があったことは事実でございますが、これにつきましては、審議会で遺憾の意を表明すべしというふうに取り上げられたわけではございませんで、そういう意見の表明があったということを記録にとどめましょという会長の御発言がありました。ただし、この際、そういう遺憾の意を表明するということは時期が熟していない、未熟であると思われる、まあ、ことばはちょっとおもしろいことばでございますが、要するにその機ではないということを会長が発言されまして、これは了承されたわけでございます。
 それからもう一つ、国会でいろいろの結果、総理大臣からあらためて諮問があるという場合にはどうなるかということでございますが、その点につきましては、先ほど申し上げましたごとく、あらためて総理大臣から正式の諮問がなされるならば、それは審議をすべきであると思う、こういうふうに会長は答えておられまして、それも皆さんに了承されておるということでございます。
#69
○河上委員 この問題はだいぶ大きな食い違いがあるようですし、もう少し責任ある御答弁をいただきたいと思うのでございます。いま総理府長官お見えになっておりませんし、私のあとで山口委員がこの問題についてさらに詳しく追及される予定でございますので、私はこの問題はこのまま留保して先に質問を進めたいと思うのであります。
 そこで、大臣にお伺いいたしますけれども、政府としては、この前諮問をして、今度は諮問をしなかったというのは、前に諮問したという態度が間違いであったというお考えに立っておられるのかどうか。あれは俗なことばで言えば、いわばチョンボであったというようなお考えでおられるのかどうか、その点をお伺いしたいのでございます。
#70
○野田国務大臣 先ほど栗山人事局長からもその間の事情を申し上げたのでございますが、先般の総務長官の取り扱いは、先ほどの栗山人事局長のことばをかりて言えば、おじやまであろうけれども一応意見を聞きたいというので、これはいわゆる正式の諮問をいたしたのではないのでございます。したがって、この前意見を聞いたから云々とありますが、それに対して審議会から何らのお答えも得ておらぬし、また、もう一つ、政府の立場といたしましては、これは公務員制度審議会に諮問する事項ではない、こう解釈いたしておるものですから、この前は正式の諮問をいたしたのではございません。
#71
○河上委員 この前は正式でない、今度も、正式でなくても諮問してもよかったわけでございます。その問題については、またあとで同僚委員よりさらに深い追及があろうかと思いますので、この程度でやめておきたいと思います。
 ただ、大臣にお伺いいたしますけれども、公務員制度審議会に定年制法案を諮問しなかった理由は、公務員制度審議会で取り扱うべき労働関係の基本に関する事項でない、これはあくまで勤務条件の一つである、そういう立場に立ってのことであるということをいままで再三承っておるのですけれども、その点についてもう一度確認してよろしゅうございますか。
#72
○野田国務大臣 河上さんの御意見のとおりでありまして、そういう態度をとっております。
#73
○河上委員 話は違うのでありますけれども、大臣御年輩の方でありますから、よく御存じかと思いますけれども、加納久朗さんという人を御存じでございましょうか。
#74
○野田国務大臣 存じております。
#75
○河上委員 加納さんは明治十九年生まれで、旧藩士の家柄で、海外生活も非常に長い方であります。そういう方が、昭和三十七年に千葉県の知事になられて、わずか四カ月で急になくなられまして、現在の友納知事が副知事からその後選挙を通じて知事としておられるというふうに承知しておるのですが、この加納さんがわずか四カ月の任期の間にやられた一つの大きな仕事に、土曜日隔週休日ということがございます。それはよく覚えておられると思うのであります。千葉県が他に先んじて、お役所の土曜半休といいますか、一週おきに休むということを民間のビジネスマンの感覚をもって、加納知事があえて官僚的なしきたりを打破して実行されたのでありますが、それがわずか一週間かそこらで中止せざるを得なくなりました。この中止の理由を大臣はよく御存じでしょうか。
#76
○野田国務大臣 何か一週間おきに土曜日休日云云ということは知っておりますが、その中止の理由は、私心がまじるといけませんので、その当時の事情をよく知りませんから、政府委員から申し上げさせます。
#77
○長野政府委員 私、その当時それに直接関係しておりませんでしたが、私どもが聞いておりますところでは、一つは、現在の日本の労働慣行の中でそういう勤務のしかたというものはなお一般的であるとは考えられない。さらに第二点としては、特にいわば国民の負担、つまり税金で給与を受けておる公務員が、そういう一般的な労働慣行とはいえないような勤務形態をとっていくということは差し控えるべきではないかというような考え方であったと思います。
#78
○河上委員 自治省にお伺いしますが、加納知事がやめられたのは、加納知事がこの制度は正しくない、いろいろ都合が悪いということで再検討の末やめられたのですか。それとも自治省の強い指示に従ってやむなく中止されたのか。その辺の事情をお伺いしたいと思います。
#79
○長野政府委員 当時の知事としては、そういう新しい勤務形態というものを採用したいというお気持ちでおやりになったことは、おそらくそのとおりであると思います。それにつきまして、世論といいますか、世間の反響が非常に大きなものがありまして、賛否両論が非常にあったというふうに私ども記憶しておりますが、そういうときにいま申し上げましたような考え方のもとに、自治省としても千葉県に勧告をして千葉県を説得したという事実はあるようでございます。
#80
○河上委員 大体そのとおりだと思うのでありますが、ここに読売新聞の切り抜きがございます。それによりますと、加納知事の弁でございますが、「法治国家なので自治省の指示を中止命令と解釈してこの制度をとりやめた。中止の決定はこの制度の再検討からでなく命令によるもので、私としては不本意で、現在でも正しいと考えている。この制度の実施以来全国的に反響を呼んだが、ほとんどが私に好意的であったと思う。遠からず世論が盛り上がって全国的に実施されることになろう。中止を引きのばすことも考えられたが、中止するからには一日も早い方がよいと思った」、こういうふうに言っておるのであります。さらに、聞くところによりますと、この中止の指示をいたしました自治省の根拠は、地方公務員法の第二十四条の五項「職員の勤務時間その他職員の給与以外の勤務条件を定めるに当っては、国及び他の地方公共団体の職員との間に権衡を失しないように適当な考慮が払われなければならない。」こういう条項によったというように聞いておるのです。加納さんは民間的な感覚でやろうとしたわけでありますけれども、ところが、地方公務員法によれば、第二十四条の三項によりますと、職員の給与というものは民間の事情を十分参酌しなければならないとは書いてありますけれども、「職員の勤務時間その他職員の給与以外の勤務条件を定めるに当つては、国及び他の地方公共団体の職員との間に権衡を失しないように適当な考慮が払われなければならない。」この条項によって中止を命令したというように聞いておるわけであります。そういうことになりますと、先ほどから大臣は、定年制は勤務条件の一つである、したがって公制審にかける必要はないというのが政府見解である、こういうようにるる力説されたのであります。このいわゆる長丁場の審議の過程で終始一貫言っておられたわけであります。そうなりますと、この地方公務員法二十四条の五項に当たる勤務条件の一つであるということになるわけであります。そうなりますと、これは国に準じてやらなくてはならない。どうも政府のお考えは、定年制は民間では大部分取り入れていることである、民間にあるものが地方公務員にないのはおかしい、これまた長野局長が何度も言われたことであります。ところが、加納知事は、かつて民間でもやっておることだから、すでにやりつつあることだから、地方公務員もこれにならって隔週土曜休日を実施しようとしたら、勤務時間その他の給与以外の勤務条件については民間にならうべきではなくして国にならうべきである、こういうことでこれを拒否されたのであります。
  〔委員長退席、保岡委員長代理着席〕
あっちを言えばこう言う、こっちを言えばああ言うという御答弁になるのでありますが、これは一体どういうことでございましょうか。自治省のお考えを承りたいと思います。
#81
○長野政府委員 先ほども申し上げましたように、当時の状況を聞いておりますところでは、民間では一般的だとおっしゃいましたけれども、私どもから考えますと、いまでもなお民間でもそういうことは一般的な労働慣行とは申せないと思います。外国ではそうであるかもしれませんが、わが国ではまだ一般的ではあるまいということがいえるのではなかろうかという気がいたしますが、当時もそういう意味で現在の日本の労働慣行としてはなおまだ一般的ではない。特に税金をもってまかなわれておるところの公務員について、そういうことを率先して行なうということはいかがであろうかという考え方があったということでございまして、そういう意味で民間との関係においても一般的でないという考え方も、そういう考え方の基礎には非常に強くあったということのように記憶しております。
#82
○河上委員 私は、その当時すでに民間でも一般的であったというふうには――あるいはそう聞こえたら申しわけなかったのですが、すでにそういうように土曜を休むという傾向は、日本でもトップレベルの一部にはあらわれているわけですし、ましてや加納さんは、三十年以上海外で生活して、東京湾三分の二埋め立てしようというべらぼうな、われわれの常識を越えるような雄大な構想を発表されたような方でございますから、将来を考えてそういうふうに言われたと思うのであります。
 先ほど地方自治の本旨というのでいろいろ問題がありましたけれども、この程度のことは、ある意味で地方自治体にまかしてもいいという考えさえ出てくると思うのですけれども、こういうことになると、これは地方自治体にまかせるべきでない、しかし定年制を実施するかどうかだけはともかく地方自治体の判断にまかすべきである、こういう御意見で、この辺になりますとだいぶ論拠が混乱してくるように私どもは思わざるを得ないのであります。その点、大臣いかがでございましょうか。
#83
○野田国務大臣 ただいまの勤務条件の問題ですが、これは当時加納知事の考え方というのは世間的に非常に関心を呼んだ事件で私も覚えております。いま私はどういうふうに注意したかということは知らなかったものですが、いまのお話でわかったわけです。それは地方自治の本旨から言うと、やはり地方団体の意思を尊重してやる、これが基本的な考え方である。
 そこで、定年制の問題と並んでいまの例をおあげになりましたが、この加納知事がとりました土曜日休日の問題は、加納知事の独自の見解でおやりになりましたので、これに対する自治省の態度というものは、いわゆる一般的の問題ということと、やはりこの行政をやります場合には根本は常識というものが働かなければいかぬ。加納知事のやられたことが非常識というわけではありません。傾向としては私自身も非常に関心を持っておるし、あの当時もなかなかやるわいと思って見ておった甘貝ですから、その自治省の態度に対して私はかれこれ批判はいたしませんが、しかし、自治省といたしましては、自治省の権限でもってこれはやることではございませんのはよく御存じのとおりです。それに対する特別の権限はございませんが、指導助言と申しますか、一般の常識上まだその時点にいっていないのだ、どうもそれをやると、国家公務員法の関係もあるし、一般の労働関係においても影響するというようなことからいったのだろう、こう私は想像します。私の気持ちはそう感じております。それが悪いとかいいとかいうことよりも、そういう社会的また労働関係に対する影響を考えた常識論からいったのではないかと思っております。
 したがって、いまの定年制の問題でございますが、これはしばしば申し上げますとおり、条例をもって定年制を実施する道を開くので、これも強圧的な圧力をかけて条例をつくらそうということは私自身は毛頭思っておりません。自由な判断でもって、常識的に考えて、その実情に即してやるところはやってよろしいという態度でございまして、特別にこれによってやらなければならぬという姿勢はとっておりませんから、必ずしもいま河上さんの御心配のような考え方は持っておりません。
  〔保岡委員長代理退席、委員長着席〕
#84
○河上委員 私が申しましたのは、加納さんの構想がいいか悪いかという問題ではないのでございまして、加納さんのせっかくのこういう、あるいは破天荒といってもいいような、しかしこれは三十年たてば常識になると思いますけれども、こういうような構想が中止された。それは自治省の指示による。そしてその自治省の指示の根拠というものが、勤務条件の勤務時間その他、要するに給与を除く勤務条件については、地方公務員は国との権衡を重んじて配慮しなければならぬということを理由にしてやられたということですね。にもかかわらず、現在地方公務員の定年制は、国家公務員との関係、均衡を無視して、いまここに提出されておる。そして、自治省では、これを推進するにあたって、民間がやっていることだからということで、つまり加納知事に拒否したところの理由を第一の理由としてあげて、きわめてわかりいい理由でありますから、それをあげてやっているというところに、論理の矛盾があるではありませんか。そういう論理の矛盾はどこから出てきたかといえば、定年制というものは勤務条件の一つである。労働関係の基本に関するものではない。つまり公制審にかけたくないというところから出発しておるのではないかというように私はいわざるを得ないのであります。この委員会にこの法案をかけられて以来、この長い法案審議の過程で政府側が一貫してとってこられた論理というものがいろいろ矛盾しておるのは、要するにこの一点から出発しておるのではないかということを、私はここに強調したいのであります。大臣は、おそらく内心そうだと思っておられると思うのでありますけれども、まあ、ここにきて河上の言うとおりだともなかなか言えないと思いますけれども、私はこのことを最後に一つ申し上げておきたいと思うのであります。
 なお、いろいろこまかい点もございますけれども、私の時間も残り少なくなっておりますので、私の意見だけを申し上げて、次に移りたいと思うのであります。
 大臣、この前五月十九日の参考人の意見聴取の中で、宝樹参考人が次のような注目すべきことに言及されておるのであります。それはどういうことかと申しますと、一九七〇年の九月、ILO創立以来五十一年目して、初めて官公庁労働者のための公務員合同委員会を開く、国際的に官公庁労働者の争議権、団交権、団結権の基準をつくろうとしている、こういうようなことを言っておられるのであります。伺うところによりますと、ことしは大正八年ILOが創立されてから五十年目に当たるそうでありまして、ILOの創立の記念日に生まれた日本の労働者がジュネーブに特に招待されるというような話さえ聞いておるのであります。そういう際でございます。そして、こういう機運が盛り上がりましたのも、公務員労働者というものが、公務員としての特殊性とともに、労働者としての権利というものをさらに一そう保障しなければならないという形になってきていることをあらわしていると思うのであります。
 そこで、お伺いいたしますけれども、日本政府にとっては、ILOというのはかなり鬼門のようでありますけれども、もしここで公務員の定年制の問題が論議されて何らかの結論というかそういうものが出た場合に、ILOの出す結論といま政府がやろうとしていることとの間に食い違いが起こったら、政府としてはどういうふうに処置されるおつもりでしょうか。これはILOのドライヤー勧告以来、それに類似した問題は現に何度も起きているわけでございます。この問題をひとつ大臣からお答えいただきたいと思います。
#85
○野田国務大臣 ILO五十年の経過を経て何か国際的な会議、公務員の権利保障の問題に触れるという――私は存じませんが、そのようにお聞きしまして、そこでその結果においてどういう結論が出るか、その場合どうするか、これはまあどういう結論が出るかという予測は、決して逃げことばじゃありませんが、一々それを、こういう場合はこうだということは言えませんが、しかし、やはり公務員労働者の権利というものは、これは十分考えなければならぬ。労働問題というものは必ずしも固定したものではございませんし、やはり時代によっていろいろ考えることが出てくると思います。まだ結果は全然予想できませんから、こうだということは言えませんけれども、その場合は虚心たんかいな態度をもって十分見守っていきたい、こう思っております。
#86
○河上委員 それは今後の問題として、いまの大臣のお答えは、私ども記憶しておきたいと思うのであります。
 今回の法案を出されるにあたりまして、どういう立法効果を考えておられるか、期待しておられるか。それについて先般同僚の細谷委員からもお話が出たのでありますけれども、資料要求のまま今日まで確たる御返事がないようでございます。つまり、この法案を実施した場合にどういう人が、何人ぐらいが対象になるか、また、再雇用の希望者はどのくらい出るか、また、再雇用にたえられる者はどのくらいであるか。それから、この問題については当然高年齢という問題がありますし、同じ自治体労働者でも、過疎地帯と過密地帯では当然違うと思うのであります。そういう場合、この定年制を実施した場合、どういう効果が起こるかというようなことについて、自治省としては当然準備しておかなければならないと思うのです。島根県のようなところとか、山形県のようなところの自治体労働者の場合、あるいは大阪とか兵庫とか東京とか、そういうようなところの場合とは相当違うと思うのですが、そういう数字は十分出ておるのでしょうか。
#87
○長野政府委員 定年制につきましては、今度の改正法案におきましても、定年制をしき得る道を開くというようなかっこうであることは、もう御承知のとおりであります。したがいまして、この法律が実施されました場合、一体どれだけの者が、あるいはどれだけの団体が、いかなる年齢についてどういうふうな形と内容を持って定年制をしくかということについての確たる資料が得られないのは、これはやむを得ないことだと私ども思っておるのでございまして、この点は御了承をいただきたいと思います。それについて実施する、しないということについては、全く地方公共団体の自主的な判断によって行なわれるわけでございます。
 ただ、定年制の期待される行政効果というものはどういうものがあるかということについてのお話が、私はあの当時あったように記憶しております。そういう数字が出るということは、事柄の性質上、私どもとしては非常に困難だということを申し上げざるを得ないのでございます。行政効果としては、いつも申し上げておりますように、組織の新陳代謝を推進する、そのことによって公務能率の向上をはかり、高年齢者の退職によって若年職員に昇進の道を開き、士気の高揚が期待される。そういう定年退職というものについての職員の数をあらかじめ的確にはっきり予想できまずから、長期的、計画的な人事管理の計画というものが立てやすい、こういうようなことを中心にいたしまして、また現在の勧奨退職制度から生ずるところの摩擦とか、職員間の不平等というようなものが避けられ、退職管理が円滑に行なわれる、あるいは長期的には財政構造に占める人件費の累増傾向というものを緩和する作用もあることは当然でございます。
 それからまた、定年制の採用によりまして、職員につきましては、一定の期間というものについての、ある意味では身分保障的な作用もいたすわけでありますから、その間は安心して職務に精励できるという面ももちろんあるわけでございます。そういうような行政効果につきましては、一般的なこととしては、繰り返し申し上げておるわけでございますが、具体的なデータをいま御要求になるということは、これはちょっと、事柄の性質上無理でございますので、御容赦を願いたいと思います。
#88
○鹿野委員長 関連して山口鶴男君の発言を許します。
#89
○山口(鶴)委員 いまの長野局長のやむを得ないという答弁は、私は、非常に遺憾だと思うのです。五月十五日に太田委員、十六日に細谷委員、ともに質問をいたしました。そして太田委員の質問に関連いたしまして、私は、文部省関係の再雇用の道が一体どれくらいあるのか、具体的な需給のバランスを資料として出すべきことを要求いたしました。また、太田委員もこれに関連いたしまして、自治省としてもこの再雇用の道が一体どれくらい保障できるのか、具体的な資料を要求いたしました。また、翌日の十六日には、細谷委員が再びこの問題について要求をいたしておるのであります。少なくともこの地方公務員法の一部改正案を審議する過程で、その資料を出すのが当然ではありませんか。しかるに、ただいまの長野局長の答弁は何ですか。やむを得ぬとは何ですか。そういうことでは、当地方行政委員会を無視するものだ、かようにいわざるを得ないと思うのです。ただいまの御答弁は、ひとつ訂正してもらいましょう。
#90
○長野政府委員 先ほども申し上げましたように、具体的な数字がどれだけ予想されるのかというような意味でのお話としては私ども受けとめていないのでございまして、確かに細谷先生のほうからそういうお話がございましたが、どういう行政効果が期待できるかというお話としては承っております。そこで具体的な数字といいましても、これは地方団体が定年制をしく、しかないということは、自主的にきめることでございますから、いまからどれだけの者について、どれだけの団体について定年制をしき、そしてどれだけの年齢について定年制をしく以上は、本年度どれだけの者が退職し、したがってその再雇用の道がどれだけ見られておるかということをはっきりつかむことがなかなかできないということは、御了承を願いたいと思います。
#91
○山口(鶴)委員 少なくともあなたは、しばしば、この定年制をしくことは老齢者の方々の老後の生活を不安定にするじゃないかという指摘が各党からございました。それに対して、いや、再雇用の道を開いてあるからそれでいいではないか、こういう御答弁だったのです。再雇用の道を開いておるとするならば、一体どの程度再雇用ができるのか、具体的な青写真を示さなければ、ただ単に法律にそういうものを書いただけであって、効果はあがらぬじゃないか。こういうことがしばしば議論をされております。その中で青写真を示せという要求があったわけでありまして、そういうものが一切無理だということでは、これは老後の生活の安定云々なんということは、全く一片のことばだけであって、何ら実効はあがらぬということになるではありませんか。そういうことでは当委員会の審議を無視するものですよ。そんな答弁では私ども納得できない。もっと、太田委員、細谷委員の要求いたしました点に関しまして責任ある自治省の対処のしかたをお願いいたします。そうでなければ、老後の安定というものは一切保障できないのですというふうに答えなさいよ。そうすれば、私ども、そういう意味では納得をしましょう。しかし、老後の安定が再雇用でもって保障できるんだということを言って、それに対する資料が出せなくて一体何でそれが実効があがりますか。
#92
○長野政府委員 再雇用についての職種等につきましては、御質問のありましたたびにお答えをしておったところでございます。また、定年制の採用に伴う期待される行政効果というものにつきましても、随時お答えしておったとおりでございます。そういう意味で、そういう資料としてのものをまとめてみるということでございますれば、それはそういう具体的な数字ということでない限りにおいては、整理をしていくことはできると思います。
#93
○山口(鶴)委員 ここに議事録がありますがね。少なくとも資料要求を私どもしておるのですよ。それに対していまもって御回答がない。そういうことは無責任ですよ。
#94
○鹿野委員長 関連して太田君の発言を許します。
#95
○太田委員 これは文部省の別府説明員が特にいらっしゃったときですね。これは十五日でございますが、この日はこういうことになっておるのです。講師というお話がありましたから、そんなにみんな講師になれるのか、そういうことを言っておっても、ほうきを売って歩くんじゃなかろうねということを私が申しまして、山口委員がそれに関連をして、いろいろと説明の不十分さを指摘しまして、「数字を出してください。資料を出してもらわなければ審議できませんよ。それでなければ再雇用は不可能ということになるじゃありませんか。」こう申しまして、私も同時に「出していただけますね。」と念を押しましたところ、これは別府説明員の説明でありますが、「いま先生御指摘の教員の需給関係というものを将来五年間にわたってできるだけわかるようにしたものを、所管の課と連絡いたしまして調製いたすようにいたします。」こういうふうにおっしゃったものですから、私はそのことについては一応打ち切ってあるわけですね。ですから、これは明らかに約束もされております。これは学校のところだけをいま調べたのでございますが、そういうことも自治省御承知だと思いますので、資料そのものは、十五日からだいぶたっておりますから、この際何らかの形でお出しいただかないとまずいと思うわけです。
#96
○鹿野委員長 関連して細谷君の発言を許します。
#97
○細谷委員 私も十六日に「法律案をつくって国会に出す以上は、どういう行政効果が期待されるのか、新陳代謝の問題とか財政とかいろいろあるでしょう、そういう問題についての自治省なりの評価というのがなければならぬと私は思うのです。ですから、ひとつ時間もなにですから、次の委員会までに、自治省がこの法案に期待する行政効果というのはかくかくのものである、こういうものをひとつ資料として出していただきたい、」そうして「委員長、いいですか。」と質問したら、「けっこうです。」と委員長答えているのですよ。まだ出ないのですよ。これはどういうことなんです。
#98
○長野政府委員 細谷先生のお話しの中の具体的な数字という問題については、いま申し上げましたような状況で、事柄の性質上、地方団体のどれだけの団体が定年制をいついつまでに実施して、そしてどういう年齢を対象者にするということは、これは地方団体の自主的にきめることでございます。それを想定するということは困難でございます。数字としてあらわすことは、これはできないということを申し上げざるを得ないのでございます。ことばの上におけるところの期待される行政効果というものでございましたら、これは提出をさしていただきます。
#99
○細谷委員 そんならそのとき具体的に出ないと言っておけばいいのに、委員長オーケーと言っているわけです。それでもう半月以上たっているのですよ。出てこないのですよ。あるいは質問者からいろいろ話があるでしょう。こんな、その場限りで、法律さえ通せばいいのだという態度がよろしくない。めちゃくちゃですよ。委員長、責任をもって処理してもらわなければ、法律を上げてしまったらこれは意味ないですよ。
#100
○鹿野委員長 質問を続行していただきます。総務長官も見えましたので……。
#101
○山口(鶴)委員 いまどなただか、「定年制の採用により期待される行政効果」というものを、これだけ問題になってからあわてて配るという態度はどういうことなんですか。資料要求しておるのだから、先にこの審議の過程で配っておいて、そしてこの行政効果という資料が十分であるかないかということは、また委員会の中で議論すべき問題じゃないですか。これほど問題になって、それからあわてて配るというそういった自治省の態度は、委員長としていかにお考えですか。委員長もそのようにいたしますと言っているのですから、このように問題になってからあわててこのような資料を配るということについては、委員長としては一体どうお考えになるかということを聞いてから質問を進めることにしましょう。
#102
○鹿野委員長 ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#103
○鹿野委員長 速記を始めて。
#104
○河上委員 いま私の最後の質問の点であります立法効果というものをどう考えておるか。具体的な資料は、すでに同僚委員から要求してあるけれども、まだ出てないではないかということに対しまして、いまその問題の取り扱いをめぐってわれわれとの間に意見の食い違いが起きておるわけですけれども、われわれとしてはどうもこういうままでこの法案の審議を進めることはできないという気持ちでありますが、この取り扱いについては理事の方々におまかせいたしまして、私の質問があと一点だけ残っておりますので、それを終えて、いま総務長官もお見えになりましたので、総務長官に対する質問を予定しておられる山口委員にあと譲りたいと思います。
 大臣に申し上げたいのでありますが、この定年制の問題というのは突如として出てきているのでありますが、しかし世界の大勢から見ますと、老人の数はだんだんふえていくわけであります。その点については日本も同様でして、昭和五十年になりますれば、六十五歳以上でも八%以上というような人口比率を持つようになるのであります。そういう場合に、こういう地方公務員に関して定年制を実施することは時代の大勢に逆行することじゃないか、こういうふうに私は思うのであります。これは私だけじゃなくて、中央社会福祉審議会に対する厚生省の諮問の十項目の中に、定年制が妥当であるかどうかということを諮問しているわけでありまして、これは政府部内においてもそういう意見があるのじゃないか、こんなふうに思うのです。
 私はもうここであれこれ質問はいたしませんけれども、大臣はすでに相当の御年配でありますが、この老人の問題は、実はいま四十歳代、五十歳代の人間が年取ったときに、むしろより深刻な問題になるわけでして、われわれとしてもこれは看過できない大きな問題だと思うのであります。これは社会保障全体の問題でありますけれども、われわれとしては五十五歳とかあるいは五十八歳とか、そういうような人生の半ばで定年がくるという、こういうあり方は、近代先進諸国の中ではおそらく日本だけではないか。定年というものは人生の終わりに来べきものではないか、こういうふうに私は思うのであります。夕暮れになっても光があるように、これがわれわれ今後二十年、三十年かかって、お互いに政治に身を置く者として共通に取り組まなければならない課題だと思うのですが、大臣、そういう世界の大勢、あるいは日本が今後十年後、二十年後に直面しなければならない問題の中で、この定年制をあえて出される心境というものを、私は非常に遺憾に思うのであります。大臣、この問題について、一応定年制の問題を離れて、この法案を離れて、この問題についての大臣のお考えをわれわれにお聞かせいただきたいと思う。
#105
○野田国務大臣 河上さんの御意見のように、国際的に高年齢層の問題、これは労働問題もありますし、社会問題、経済問題、非常に重要視されてきております。それが帰するところは、いまお話しのとおり、特に先進国は年々人間の寿命と申しますか、それが伸びていく。これは事実であります。これらにつきましては、もとより政治的に大きくわれわれの関心を持たねばならぬ問題であります。したがって、私はこれはこの法案に関連しての御質問ですから触れておきますが、この定年制の従来五十歳から出てきて五十五歳とか五十七歳とか五十八歳とかいうふうに順次伸びてきている。したがって、このわれわれの考え方からいたしますときに、ここに地方自治体の自主的な判断があるということは、やはり従来の画一的な何歳というようなことは、これはなかなか――いまのちょうど河上さんの御意見と同じような気持ちで、相当な高年齢層まで含めてひとつ考えてもらいたいという考えがあるわけです。
 それから、これも御承知のとおり、職種によりましては定年制を設けなくてもいいじゃないかという考え方を持っておりますのと、いろいろ勘案いたしまして、できるだけ年齢という問題はやはり社会の大勢に従うたような気持ちでひとつ各自治団体が判断しておきめ願いたい、こう考えております。
#106
○河上委員 私の質問はこれで終わります。
#107
○鹿野委員長 関連して山口鶴男君の発言を許します。山口君。
#108
○山口(鶴)委員 総理府総務長官、人事院総裁、自治大臣お見えでありますから、主として十九日の当地方行政委員会の参考人の意見陳述、それからその前後における政府の答弁、こういったものの食い違いの問題を中心にいたしまして二、三の点をお尋ねをいたしたいと思います。時間の関係もございますから、きわめて端的にお尋ねをいたしますから、ひとつ端的に御答弁をいただきたいと思う次第であります。
 まず最初に、御都合もあるようでありますから総務長官にお尋ねをいたしたいと思いますが、公務員制度審議会が五月の二十六日に開かれました。総務長官も御案内だと思います。この際、公務員制度審議会としては定年制の問題に関し、政府が一度はこの審議会にはかったのに、何らの連絡もなく国会に提案したことは遺憾である旨記録にとどめ、会長から政府に今後注意してくれということを申し伝えるという話し合いになったことを私どもは聞いておるわけであります。総務長官は公務員制度審議会の前田会長から御注意を受けましたか、これをまずお尋ねをいたします。
#109
○床次国務大臣 ただいまのこと、端的に申し上げますと、まだ承っておりません。なぜそうかと申しますと、審議会におきましては、定年制法案の国会提出に関し政府が本審議会に連絡のなかったことについて、審議会としては遺憾の意を表明することに対しましてはまだ未熟と思われるという意見がありましたので、さようにきまったために、申し入れがなかったものと思われます。
#110
○山口(鶴)委員 栗山人事局長もおられるから、どうせ公制審におったと思うのですが、今後注意するということで会長から政府にその旨を申し入れるということは、これは全員の了解事項になっておるわけでしょう。
#111
○栗山政府委員 ただいまの件でございますが、遺憾の意を表明したほうがいいではないかという発言がある委員からございまして、それに対しまして遺憾の意を表明させるということは、ちょっとまだ未熟だと思いますという会長からの発言があったわけで、この点は了承されたわけでございます。
 それからもう一つは、ただし、そういう御発言があったということは記録にちゃんととどめましょう。それから、場合によっては会長から総務長官に、そういう発言があったということを申し上げることもあり得る、こういうように会長はおっしゃったわけでございます。
#112
○山口(鶴)委員 あり得るわけだから、当然御注意することもあるだろうと思いますが、まだそれはきていないということですね。
 それではお尋ねをいたしたいと思いますが、結局この公務員制度審議会の意見を、昭和四十一年の三月二十八日安井総務長官が公制審で発言したことは、これはちょっと意見を言ったのか、あるいは諮問したのかということがずいぶん議論になりました。しかし、十九日の参考人の御意見によれば、公務員制度審議会の運営小委員をやっております菅原さん、宝樹さん、それから山内さん、このうち菅原さん、宝樹さんにつきましては、明確にこれは諮問を受けたものと考えると、こういうことを申しております。しかも菅原参考人は、当日の会議録を引きまして、前田会長がその日に、「それでは会議を開きたいと思います。きょうは、あらかじめ二つの点で御協力をいただきたいと思いますが、その一つは前回石川委員からお話がありまして、」云々ということと、第二は、「それから第二点は例の地方公務員の定年制の問題につきまして、閣議の結果この審議会に意見を聞きたいという申し出があり、私は総務長官からその申し出を受けました。つきましては、私としては」私というのは会長ですね。「私としては総務長官に出席を求めまして、その旨を皆さんにも説明していただき、それについて総務長官は出席するということになっておりますが、出席の時間がまだ確定しておりませんので、それも御了承いただいて、長官出席と同時にその問題にも触れたいと思います。」ということをあらかじめ総会の席で確認した上で、安井総務長官が出席をして述べておる、こういう経過であります。
 したがって、この宝樹、菅原両参考人としては、当然これは諮問を受けたのだ、こう思っております。そうじゃなければ筋が通らぬということを発言し、それから中立の公制審の運営小委員である山内参考人も、そのことをあえて否定はなさらなかったのであります。
 それから公務員制度審議会、五月二十六日の結論によれば、政府は一度この委員会にはかったのに、何ら連絡もなく国会に提案したことは遺憾だ、こういう発言が非常に多かったということはそのことを裏づけておると思います。先ほど河上委員からもいろいろ議論がありましたが、少なくとも公制審の運営小委員の方々の御意見、それから二十六日の結論、その際にありました委員の方々の御発言、こういうものから、これはちょっと発言してしゃべったのだというようなことではないという事態は、私は床次長官はお認めになると思うのですが、この点はいかがでございますか。
#113
○床次国務大臣 ただいまの問題は、公務員制度審議会がただいまの定年制の問題を議題として対象になるかならぬかという問題から実は考えるべきものだと思うのであります。その当時の審議会におきまして話題には出たかと考えまするが、今日公務員制度審議会におきましては、かかる問題は諮問の対象ではないと私ども考えておるわけでございます。
 簡単に理由を申し上げますと、公務員制度審議会は総理府の設置法にありますとおり、「内閣総理大臣の諮問に応じて、国家公務員、地方公務員及び公共企業体の職員の労働関係の基本に関する事項について調査審議」する機関として設けられておるのであります。ここにありまするところの「労働関係の基本」ということは、国、地方公共団体、公共企業体等、公務員等の関係のうち、公務員等が一定の条件のもとに労務を提供し、国等がこれに対して給与等を支給するという関係に着目して、その労働条件のきめ方についての基本的なあり方という意味であり、より具体的に申しますると、公務員等の団結権、それから当局の当事者能力の問題を含めたところの団体交渉権、争議権等のあり方をいうものであります。したがって、個々具体的な労働条件の内容についてまでこの審議会で審議事項としているものではないのでありまして、ただいまお話しの定年制は労働条件の一つに考えられるものでありまして、この審議会の本来の調査審議事項ではないわけであります。
#114
○山口(鶴)委員 長官、実はいまの御答弁は問題だと思うのですね。労働条件の一つであるから公務員制度審議会の審議対象ではない、こう言われましたね。しかし、あれではないですか。昭和四十一年三月二十八日に、当時の安井長官が結局閣議できまった――先ほどの議事録を再び読み上げて本けっこうでありますが、少なくとも公務員制度審議会の議事録には前田会長の発言として、「閣議の結果この審議会に意見を聞きたいという申し出が」あった。そして申し出たということじゃないですか。したがって当時、政府は、公務員制度審議会に意見を聞くのに適当な事項である、こう認めたからこそ意見を求めたのじゃありませんか。そうすれば、政府の態度は首尾一貫しないということにならざるを得ないじゃないですか。
#115
○床次国務大臣 閣議におきまして決定いたして諮問したのではないかというお話でございますが、閣議におきましてはさようなことは決定しておりません。したがって、諮問もいたしておらないのでございまして、審議会でもって話題となったというふうに私ども了解いたしております。
 なお、審議会自体の態度といたしまして、審議会本来の審議事項であるかどうかということを含めて相談をしていくことになったのでありますが、その点は相談されなかったままになっておるのが現状でございます。
#116
○山口(鶴)委員 それでは前田会長の発言は誤りだというのですか。公務員制度審議会の議事録には「例の地方公務員の定年制の問題につきまして、閣議の結果この審議会に意見を聞きたいという申し出があり、私は総務長官からその申し出を受けました。」こう公務員制度審議会の議事録には残っておるじゃないですか。その議事録が地方行政委員会の第三十三号、五月十九日の議事録にもそのまま残っておる。こういうことですよ。そうすると、当時前田会長は誤った発言をしたということになるのですか、いまの総務長官の御答弁では。
#117
○床次国務大臣 その当時のことを聞いてみますと、閣議の決定によりまして諮問いたしたのではなくして、閣議のありました日に話が出まして、そして安井長官の話が出たというふうに解しております。
#118
○山口(鶴)委員 そうすると、この三月二十八日の公務員制度審議会の議事録に残っておる前田会長の発言は、誤りであるということにはっきり理解してよろしいですか、その点をひとつ。
#119
○床次国務大臣 ただいま申し上げましたとおりでありますので、したがって前田会長の発言が、記録にそのまま残っておる文字どおりではないのでありまして、これはある程度まで誤解に基づいた発言と申しますか、間違ったと申しますか、さような表現が行なわれておると私ども解しております。
#120
○山口(鶴)委員 公務員制度審議会は政府の重要な審議会の一つだと思いますが、その際に前田会長が発言した発言が、総務長官としては誤りであるということは、私は非常に問題だと思います。これは当然公務員制度審議会で再び問題になることだろうと思いますが、これはそういうことですから一応おきましょう。
 次にお尋ねしたいと思うのですが、その審議の対象にならないとしばしば言っておるわけです。しかし、五月二十六日の公務員制度審議会は、二項として、国会が定年制法案について公務員制度審議会に付議すべきであるときめて、総理大塩から意見を求められたときは審議することとしたい、こう言っているわけですね。手続の問題があります。しかし、公務員制度審議会としては、意見を求められたときは審議したいと言っておることは、公制審としてはこの問題が審議対象になるのだということを十分認識しているということじゃありませんか。そうすると公制審の認識と政府の認識が違うということになる、それでいいのですか。
#121
○床次国務大臣 審議会自体は本来の対象ではない、問題は労働基本権の問題でありまして、基本的なものでありますので、対象とすべきものではない、定年制の問題は基本権そのものではないという考え方を持っておるのでありますが、しかし、あらためて総理大臣からこの問題を諮問されるという場合には審議すべきものだと考えるということを審議会は言っておるのであります。すなわち、繰り返して申しますと、あらためて総理大臣から諮問された場合にのみ審議すべきだと思うというわけでありまして、当然その審議会の権限としてこれを審議しようというわけではない、聞かれれば審議すべきだと思うという態度でございました。
#122
○山口(鶴)委員 十九日の参考人の御意見では、この公務員制度審議会の対象は、皆さんがしばしば申しますように、いわゆる労働三権、労働基本権ですね、公務員の団結権、団体交渉権、争議権、この三つをもちろん審議するのだけれども、しかし、たとえば公務員の政治活動の自由の問題であるとか、いわば労働基本権におのずから関連をする問題については当然審議するものだ、こういうふうに公務員制度審議会の運営小委員である宝樹、菅原両委員とも理解をして発言をしているのです。しかも山内参考人は、これは中立の公制審の運営小委員ですが、私がその問題について答弁を求めても否定もしていないのですよ。ですから、そういうふうに狭く公制審の権限を理解するということは私はおかしいと思う。公制審自体、審議対象になるからこそ、求められたときは審議をしたいと言っておるじゃありませんか。私は、そういった何か逃げるといいますか。昨年の本会議で私が質問をして、それに対して御答弁があったのに固執をして、いわば逃げておる。しかも自治大臣、あなたは次のような答弁をやっておりますね。「安井総務長官の意見を求めたことを今回問題としていろいろお話しでございますが、これは諮問事項ではございませんので、その当時何らの回答を得なかったので、その問題はいま公制審との関係は断たれておる、こう解釈をしております。」非常に明確に答えておる。しかし公制審とすれば、前回はかったのに、今度は連絡もなく国会に提案したのは遺憾だ、こういう意見が委員の中から多数出ておるという現状があるじゃありませんか。そうでしょう。それから公制審の付議事項であるかないかということについては、公制審自体、意見を求められたときは審議することにしたいと言っておるのであって、これは先ほど大臣が言ったように、関係は断たれておる、一切これは公制審と関係がないのだというような断定のしかたは、少なくとも誤りだということは大臣もお認めになると思うのです。総務長官と自治大臣の御答弁を求めます。
#123
○床次国務大臣 先ほど基本的な基本権以外のことも議論しているじゃないかというお話がありましたが、関連したことはやはり論じられることはあるわけであります。しかし、諮問は労働の基本権自体を対象として考えなければならないと思っております。
 なお、ただいま一部の委員の方の発言があったそうでありますが、これは一人の委員の発言でありまして、委員会全体の了承を得たものではない、同意があったものとは考えておりません。
#124
○野田国務大臣 しばしばお答えいたしておりますとおり、ちょうど総務長官の御答弁にもありましたように、公制審の審議事項としてこれを諮問するかしないか、諮問があって初めて審議会はこれを取り扱うのでございまして、その当時の経過はこれもお答えいたしております。安井総務長官が御意見を聞きたいということで、それに対する何らの御回答も得なかった、また、政府全体から考えまして、総理もはっきりとお答えいたしておりますとおり、この問題はいわゆる労働者の基本権の問題ではない、労働条件の一態様だという解釈のもとに、諮問をする意思はない、総理大臣が諮問する機関でございますから、総理が諮問する意思はないと言っておるのでありますから、したがってこの法案と公制審の関係は今日の場合ありません、こういうことをお答えしたと思っております。
#125
○山口(鶴)委員 第一回の公務員制度審議会、第二回の公務員制度審議会、総理大臣が出席して読み上げた文章、これだけが諮問事項で、公務員制度審議会はこれ以外一切議論はしないのだということはないでしょう。安井総務長官も出席して意見を聞きたいといって、その取り扱いをどうしようかとして相談をした事実もある。それからまた、五月二十六日の公務員制度審議会は、意見を求められたときは審議をすることにしたいということも言っている。また、総務長官も、正式に総理大臣が読み上げた以外に、こういうことについては意見を聞きたいというようなことも当然あるわけでしょう。総理大臣が文書で出したものしか公務員制度審議会は一切議論しない、こういうことになっておるのですか、現実は。それを伺いましょう。
#126
○床次国務大臣 審議会の審議、議論というものは、審議会自体がなさるわけでありますが、諮問というものは一定の様式によりまして出ておるのでありまして、諮問されましたものに対しまして御審議をいただき、答申を願うという形をとっておるわけであります。
#127
○山口(鶴)委員 重ねて聞きますが、意見を求められたときは審議することにしたいというのは、公制審全体の総意ですね。ですから、あくまでも定年制問題は公務員制度審議会とは関係がないのだ、こう断定をすることは私は誤りだと思うのです。労働基本権に関係する問題の一つとして、これは公務員制度審議会としては、意見を求められれば十分議論はします、こういうことを言っておるのですから、この問題は公制審とは関係がないということは誤りなのであって、意見を求められれば公務員制度審議会としては議論をしたいということは、十分公務員制度審議会の議論の対象になり得るものである、かように理解することが正しいのじゃないですか。
#128
○野田国務大臣 私のお答えを御引用になりましたから、誤解があってはいけませんから、私から一応申し上げます。
 つまり、この法案を提出するにあたりまして、公制審のいわゆる諮問事項として取り扱うべきだという御意見がありました。公制審の御議論がどういう問題をおやりになるか、これは私が直接かれこれ申し上げることじゃありませんし、これはいろいろな御議論もあり得るわけでありますから、それは御自由ですが、要するにこの法案と公制審との関係はどうかというお尋ねでございましたから、諮問するのは、これも山口さん御承知のとおり、総理大臣が諮問する機関でございますが、その総理大臣が諮問する意思がないということを表明しておりまするから、別にその公制審の構成とか、あるいは議論の内容とか、こういうものに私は言及する立場にもございません。ただ事案問題として、この法案と公制審はどうかということでございましたから、その諮問すべき総理大臣が諮問する意思がない、こう表明しておりますから、現在のところ関係がない、こういうことを申し上げたのですから、誤解のないようにお願いいたします。
#129
○山口(鶴)委員 昨年の衆議院本会議における佐藤総理大臣の答弁があるから、だからやらぬのだ、こういう趣旨の御答弁です。そういう趣旨ならわかります。総理大臣がそう言っておるんだから、やりたくてもやれぬのだということならわかりますが、そうではなくて、対象ではないというようなことを言うから問題を残しておると思うのですね。長野局長さん、あなたも、いや、労働条件の一つである、したがってこれは公制審の審議の対象ではないということを言っておりますね。議事録に載っております。五月六日の大出委員の質問に対してそういうことを答えておりますね。そういう無理な、押しつけの答弁をするから問題になるのですよ。どうですか、長野さん。
#130
○長野政府委員 公務員制度審議会は、総理府の所管でございますが、総理府設置法にありますとおり、労働関係の基本に関する事項について調査審議するということでございますから、労働関係の基本と申しますものは、結局労働条件のきめ方についての基本的なあり方という意味であるということを私どもは伺っております。そういう意味で、よりそれを具体的に言いますと、公務員等の団結権とかあるいは当局の当事者能力の問題も含めた団体交渉権、争議権等のあり方をいうものだというふうに伺っております。したがいまして、定年制は労働条件の一つと考えられますので、この審議会の本来の調査審議事項ではないというふうに考えておるのであります。
#131
○山口(鶴)委員 それから長野さん、あなたはこう言っているのですよ。「その問題について審議会に意見を聞くというようなことをする必要があるかないかということも確かめてみたわけでございますけれども、関係の方々ひとしく、そういう必要はない、あの問題はあのときのことで終わったのだという御意見でありましたので、」云々、こう言っておるわけです。ひとしく、この問題はそういう必要はないんだ、こう言っておるわけです。ところが、公務員制度審議会の有力な関係者といえば、これは運営小委員の方じゃないですか。運営小委員の方が三人来られて、そのうちお二人とも、そんなことはおかしい、あのとき意見を聞いておいて、今度は一方的に、相談もなしに国会に提案をしたことはおかしい、こう言っておるじゃないですか。ひとしく、そういう必要はないなんということを断定的に言うことは、これは誤りではありませんか。五月六日の答弁は撤回されますか。
#132
○長野政府委員 私がそのときお答え申し上げましたのは、公務員制度審議会を直接所管しておられますところの総理府の関係の方々等の御意見を伺いまして、そういう意味で、そういう関係の方方が、私がいま申し上げましたようなお考え方であるということを伺いまして、お答えをいたしたわけでございます。個々の委員の方々の御意見まで伺って申したわけではございません。
#133
○山口(鶴)委員 栗山人事局長、いまの御答弁ですと、総理府の方の意見がひとしくその必要はないんだ、こう言うのですよ。ところが、栗山さんは公務員制度審議会で委員の人と絶えず接触しておられるわけでしょう。運営小委員の人の意見も聞いておるはずじゃないですか。それなのに、ひとしくこの問題は終わったんだ、公務員制度審議会の意見を聞く必要はないんだというようなことを言われたとすれば、これは問題ではありませんか。いかがですか。公制審の中で議論がいろいろあるじゃありませんか。
#134
○栗山政府委員 山口先生が先ほどおっしゃいました参考人の方三人とも、たしか運営小委員とおっしゃったと存じますが、それはお二人までが小委員でございますので、訂正さしていただきます。
 それで、公務員制度審議会におきまして、先ほどからいろいろお話がございましたような経過がございましたのですが、この間の、二十六日のときにおきましては、とにかく公制審としては本質的に労働基本権を取り上げるべきである、定年制の問題は基本権そのものではない、したがって、いまは定年制問題を取り上げる時期と環境にない、まして答申をするようなことは疑問に思われるという、これは先ほど私申し上げましたのでございますが、われわれのほうの見解といたしましても、公務員制度審議会を規定しました総理府設置法の解釈といたしまして、先ほどから大臣はじめ皆さんが申し上げておられまするように、基本権が中心であるというふうに考えておるわけでございます。
#135
○山口(鶴)委員 総務長官に私は申し上げたいと思うのですが、この公務員制度審議会を構成しているのは、労、使、中立ですね。三者構成です。当然労の代表も三者構成の一つですね。そういう中でいろいろな御意見がある。それに対して、全然そのような御意見を無視して、そうして公制審とはもう関係がないのだというようなことを総理府のほうから自治省に言われるということは、問題じゃないのですか。
 それから先ほどの、前田会長の御発言はこれは誤りだったというようなことを長官は言われました。私は、公務員制度審議会の今後の運営というものを考えた場合、労働者側の意見は全く封じる、政府のほうはそういうものは聞かない、それから前田会長の発言についてもいろいろ御批判をされる、こういうことが政府の重要な機関の一つである公務員制度審議会の運営に決していい影響を与えないということを私は心配するのです。もっと政府は、公制審は三者構成なんですから、公制審は一体どう思っているでしょうと言ったら、これは三者構成でありますから、一致した意見がかりに出ていないなら出ていなくても、労働者側にはこういう意見があります、使用者にはこういう意見があります、中立の方はこういう御意見ですというようなことを十分総理府は聞いて、そうして国会なら国会、政府機関なら政府機関に伝える、こういう配慮が必要だと思うのです。この点はひとつ今後の公制審の問題として私は総理府の御反省をいただきたいと思うのですが、いかがでしょう。
#136
○床次国務大臣 審議会の審議のあり方につきましては、本来その性格が三者構成でありますので、三者それぞれ十分な意見を述べ合ってそして結論を出す。いま山口委員のお話しになりましたその趣旨でもって運営すべきであり、私どももさように考えておるのであります。ただし、前回のこの定年制の問題につきましては、諮問せられました問題でもなかったので、そういう審議をいたさなかった、また、それに対する各委員の意見もいろいろ違っておったということは、先刻お答え申し上げましたとおりであります。
#137
○山口(鶴)委員 もうこれ以上この問題は、繰り返しになりますからお尋ねはいたしません。ただ、この際申し上げたいことは、いま長官に対して御注意を申し上げました。長官からお考え方も承りました。特に三者構成でありますから公制審の内部にいろいろな意見があることはもう御指摘のとおり。そういうものに対して、一方的な見解を政府が国会に述べるということは、これは今後慎んでいただきたい。しかも、この公制審自体意見を求められたときは審議をしたいと言っておるのです。だから、この問題は一切公制審と関係がありません、こういうような形での御答弁については、これはやはり政府側も慎んでいただかなければならぬ。今後の公制審の運営、それから国会と政府との関係、こういうものにつきまして、いま申し上げた点を特に私は政府にこの際要望をいたしておきたいと思うのです。われわれとしては、せっかく公制審が意見を求められたときは審議をしたいと言っているのですから、当然この問題はいま一度政府がこの公制審に意見を聞くべきである、このことが何としても必要である、こういう党としての考え方であると同時に、かつての地方行政委員会の理事懇談会の席では、わが党のみならず、民社、公明、共産、この野党四党もそろって、この問題はやはり公制審の意見を聞くことが妥当であるということも一致して表明をしているということを、私は特にこの際申し上げておきたいと思う次第であります。
 もうあれですから、資料のほうはひとつ明確にしていただきたいと思いますが、人事院総裁にお尋ねしたいと思います。総務長官はけっこうです。
 人事院勧告の時期になりました。民間の労働者諸君は今次春闘におきましておおむね一四%ないし一五%賃上げをかちとっております。また、公労協の諸君も、八%プラス千円、それに定期昇給という形で仲裁裁定が出ておることは人事院総裁御案内のとおり。
 そこで私は聞きたいのですが、当然こういった春闘相場というものは人事院勧告に反映すべきだと思います。その場合、いつも問題になりますのは、四月一日以降妥結をいたしましたいわゆる積み残し分を一体どう見るかという問題であります。当委員会でも議論をしたのでありますが、これは算術計算による積み残し分のいわば計算ということになっておる。しかし、当然これは加重平均でなければいけない、こう私どもは申し上げてきました。従来どおり、この簡単な算術平均による不十分な積み残し分の計算ということは、私はことしはやっていただきたくないと思うのです。そういうことをすれば、春闘相場がそのまま人事院勧告に反映されないと思うのです。特に定年制の問題ではやめるときの退職金にかかわりがあります。あるいは年金にかかわってまいります。この年金あるいは退職金のもとは給与であります。そういう意味では、今年度の人事院勧告が民間相場を十分反映するかどうか、私は大きな課題だと思うのです。そういう意味で今年度の人事院勧告に対する総裁の考え方をひとつお聞かせいただきたいと思います。
#138
○佐藤(達)政府委員 いわゆる春闘積み残しがことしの場合どういうことになりますか。これもいまのところ正確な判定はつきませんけれども、ある程度のものは出てくるだろう。といたしますと、そこの処置の問題になるわけでありますが、私どもの立場は、これはたびたび申し上げたと思いますけれども、四月調査である以上は、四月に支弁されたものをとらえてそれによって計算をしていけばいいので、そのあとにおくれて出てきたものは、しかたがない。来年に回すのだという理屈になります。しかし、最近春闘のおくれというものは非常に顕著なものがありますから、そう理屈にばかりこだわっておれない。公務員諸君のためにもこれは気の毒だということで踏み切って、いまお話しにありましたように、非常に不十分な形ではありますけれども、積み残しの計算を入れて勧告を申し上げてきておるわけです。ところが、それが不十分じゃないかというおしかりを受けるのは、私どもとして非常に心外なことなんで、それならば春闘をもっと早目にやっていただくか、あるいはわれわれのほうの調査を春闘に応じてずらして、七月調査、八月調査というふうにするか、その二つになるわけでございまして、私どもとしては、一応の暫定的な措置としてそれを出す。そしてその精算は翌年度の勧告の際に出てくるわけです。そうすると、御承知のように数年来、この積み残しを取り入れて以来、本来の格差は五%くらいしか出ていません。したがって、私どもの積み残しの概算は大体うまく当たっておったというような自信を持っておるわけでございまして、その辺の事情は十分御了察を願いたいと思います。
#139
○山口(鶴)委員 佐藤総裁はユーモアを解する方ですから、私はそういう意味で春闘を早目にやってもらったらいいということを申されたと思いまして、私はそのことで総裁を責めようとは思いませんが、総裁が春闘を早くやってくれというようなことを言ってくること、これはあまり適切なことではなかったのではないか、こう思いますから、その点は申し上げておきましょう。
 積み残し計算について、われわれは加重平均のほうがより正確に反映をするのではないかということを申し上げておるわけであります。ですから、そういう方式をとろうとすればとれぬことはないと私は思うのです。しかし、どうもその点、人事院総裁は算術計算のほうがお好きのようでありますから、これ以上申しませんが、人事院総裁は何回も人事院勧告に携わっておられるわけですから、春闘相場それから人事院勧告というものについては、もう長い間経験があるわけですが、ことしはおおむね人事院勧告は何%くらいになりますか。
#140
○佐藤(達)政府委員 これはもうたびたび申し上げてまいりましたとおりに、私どもは七千の事業所を一々歩いて、四十数万人の従業員をつかまえて調べた上で、その結果を集計するわけでございます。その集計に基づいて厳正なる比較を行なう、こういう立場をとっておりますから、これはいつも申し上げるのでありますけれども、開票までは絶対に当落はわからぬ。開票待ちの状態だということで御了承願いたいと思います。
#141
○山口(鶴)委員 開票するまでは当落はわからぬ。われわれお互いそういうことは経験しておりますから。
 そこで、お尋ねしたいと思うのですが、ことしの予算は、給与改定分については七月から五%の賃上げを実施するに必要な経費を給与改定費として見込み、さらに予備費でもって三%分を見込んでおりますから、八%人事院勧告がありました場合に、七月から実施するに必要な経費しか計上されておらないということですね。地方公務員、国家公務員もそうです。しかし人事院は、いまのおことばによれば、七千にのぼる事業所を正確に調べて、そうして何ら政治的な考慮なく計算をされているようでありますから、結局そういった政府の予算を考慮されるという形で八%というような低い勧告になることは私は万々あるまい、少なくとも民間相場を十分反映するならば一〇%をこえる勧告であるべきである、かように思うわけであります。その点はお答えできないでしょうが、少なくとも政府の予算などを考慮されることはない、あくまでも民間賃金を調べた上で正しい勧告をされるという御決意だけはお述べいただけると思うのです。いかがですか。
#142
○佐藤(達)政府委員 いまさらこういう席でその点をお尋ねいただくというのはまことに私は悲しいことだと思います。もう十分御承知のとおり、予算というのは一応の見積もりでございますから、それにとらわれるべき筋は全然ないわけでございまして、私どもとしましては、先ほど申しました官民比較ということを厳守してまいっておりますから、その結果に基づいて公正な勧告を申し上げ、そうしてぜひこれは完全実施していただきたいということをこの機会に追加してお願いをしておきます。
#143
○山口(鶴)委員 人事院総裁にあと一つだけお尋ねをしておきます。
 臨時行政調査会が定年制に関して答申をいたしております。総裁も御存じだと思いますが、これには、地方公務員に対してホイットレー方式等の一つの団体交渉方式を認めるべきであるということ、それから退職手当等に対してこれを改善をすべきであるということ、それから定年制をしく場合には六十歳以上、こういっているわけです。国家公務員に対して定年制をしくつもりがございますかどうかということが第一。それから、退職手当につきましては、国家公務員法百八条で意見の申し出ができるという権限を人事院はお持ちであります。いま地方公務員に定年制が強行されようとしている。われわれはこの法案が通ることはないと思っておりますが、しかし、それとは別に、退職金を改善するということは私は必要ではないかと思います。そういったお考え方が人事院にございますか。
#144
○佐藤(達)政府委員 いま御指摘の臨調の答申はもちろん十分承知をしております。
 また、定年制の問題は、公務員制度の問題としてはまた一つのポイントをなす問題である、これもわれわれとしては当然心得ているわけであります。したがって、基礎的調査はずっと前からやってまいっているわけであります。ただ、それを実行する段階にまだ至っておらないというだけであります。
 なお、あとでおつけ加えになりました退職手当あるいは年金制度もあると思いますけれども、こういう種類のものについては、実はこの機会にちょっと恐縮でありますけれども、私どもが給与勧告をいたしますと、公務員は民間と給与ばかり比較して、退職手当なり年金なりで非常に公務員が有利になっていることを抜かしているじゃないかという批判も一部から受けているわけであります。そういう立場から、われわれ、現実問題でもありますので、民間の退職手当あるいは退職金がどうなっているかということも調査しておりますが、それらのことも勘案して、適切な結論が出ればまたそのほうの措置もとらなければなるまいというのが現在の段階でございます。
#145
○山口(鶴)委員 法制局長官おられますね。
 国家公務員は、定年制を、特別のものは別でございますが、一般職の公務員はしいていない。また当面実施されるお考え方はないようであります。ところが、地方公務員についてはこの法律が出ている。先ほど河上委員からもお尋ねがありました。長官も聞いておられたと思うのですが、地公法の二十四条だったと思いますが、その他の勤務条件の中に定年制の問題は入るわけですね。これは民間との権衡ということは入っていません。自治省は民間との均衡を適当なところでお使いになる。大臣も定年制の提案理由の説明に、民間との権衡ということを言っておられます。ところが、加納久朗千葉県知事の場合においては人事院はそういったことをお考えにならなかった。国との権衡で文句を言われた。
 さてそこで、この地公法の規定によれば、いわば定年制を含むその他の勤務条件は、国家公務員との権衡を考慮しなければいかぬということになっておる。そうなれば問題ではありませんか。どうですか。法制上にも問題があるんじゃないですか。
#146
○高辻政府委員 二十四条の五項に確かに御指摘のような規定がございます。ところで、この問題はたしかこの間参考人をお呼びになりまして意見をお聞きになった際にも出ていたように思いますが、やはり私も実はそのときの参考人のお答えとあまり違わないお答えを申し上げることになると思いますが、今回の法律案は、もともと地方公共団体が地方公務員につきまして条例で定年制を採用することができることを法律で明示しようというものでございます。国として国家公務員について法律で定年制を採用することができるものと、いわば平仄を合わせたものでありまして、それ自体から国との権衡を失するという問題は生ずることはないんじゃないかという気がいたします。ただいまの御質疑にはございませんでしたが、問題としては、あるいは憲法の十四条の平等の原則との関係はどうかというようなこともございましょうが、ただいまの二十四条の五項の問題とすれば、きわめて形式的に言えば、片方は法律であるし、片方も法律であるということも言えますが、中身に入りましても、ちょうど国家公務員について国が法律で定年制を設けることができるように、地方公務員については地方公共団体が条例で定年制を採用しようと思えばできるということでございますから、その限りから申しまして、二十四条の五項が直接にそれに違反してどうのこうのというような問題にはならないように考えます。
#147
○山口(鶴)委員 長官の御答弁ですからね。しかし、ずばり二十四条五項を言えばおかしいじゃないかということになるのですよ。先ほどから河上さんが問題にされましたが、自治省は公制審との関係になれば勤務条件だと言う。勤務条件のその他のものになるわけだから、地公法二十四条ということになれば、これはおかしいじゃないかということになりますと、都合のいいときは民間との権衡の問題を持ち出すとかということで、非常に首尾一貫しない態度をとっているのでありまして、私は非常に遺憾だと思うのであります。
 そこで私は、この際自治省に御注意申し上げたいと思うのですが、当委員会でしばしば自治省のお役人の方の論文が問題になりました。それ以外に理事会でも高級公務員の方の発言について実は問題になりました。私は、今後自治省のお役人の方が論文を書く場合、あるいは記者等にいろいろ御発言をされる場合、やはり十分注意をしていただきたい、こう思っておるのです。この点に対してひとつ大臣どうですか。私はそういう不必要な刺激をする発言をされるということが、定年制の問題についても地方公務員諸君を非常に心配させる原因にもなると思うのですよ。そういう意味で自治省のお役人の方の御発言について、ひとつ大臣の御所見をいただきたいと思います。
#148
○野田国務大臣 私は、山口委員のいまの御注意は、むしろ御親切なことばと思います。これはひとり定年制の問題ばかりではないのです。地方行政全体の問題もありますから、やはり役所の責任のある役人の言論というものは、その表現によっては非常に真意と違ったようなものが出てまいりますし、非常に刺激したり、影響が大きい場合がございますから、やはりその点は慎重に考えて今後はやってもらいたいと、私は注意いたしております。
#149
○山口(鶴)委員 けっこうです。別に定年制の問題のみ言っておるわけじゃないのでありまして、三千幾つの地方自治体に対して、いろいろ悪い影響を与えることはいかがかというつもりで申しあげておるわけでございまして、大臣のおことばでありますから、今後十分実行いただけると思いますが、その御発言が十分実効をあげますように、私どもとしては心からお願い申し上げたいと思います。
 それから、再雇用の問題につきましていろいろ資料の要求がございました。この点いろいろ打ち合わせるということでございましたが、私は、やはり委員会で私どもが要求いたしました事項はひとつ十分守っていただきたい。再雇用の機会があるかないかということは、もしかりに定年制が実施された場合、われわれはこの法律が参議院において通ることはないと確信をいたしておりますが、それは別といたしまして、とにかく審議の際に要求した資料、しかも老後の安定というものを自治省の皆さんが言っておる以上は、それを裏づける資料というものは当然必要だと思います。そういう意味で、資料の問題につきましてはあとで相談するということになっておるようでありますから、それはその上でなお発言する必要があればいたしたいと思います。
 最後に、私は一言申し上げて終わりたいと思います。
 公務員制度審議会に対する扱いの問題、さらには勤務条件云々という問題についての政府側の御答弁等、これは一つの事例でありますが、そういうものをとりましても、あるときは非常に都合のいいことを引き、あるときはまた一方の例を引くというような、首尾一貫しない意味での御説明というものは、私どもは納得をすることができません。したがいまして、今回のこのような無理な法律というものは、御撤回になることが至当ではないだろうか。そのいい方法としては、公務員制度審議会に意見を聞くということが、政府もまた与党も傷のつかない一番りっぱな方法ではないだろうかというふうに思っておる。そういうことは野党一致しての考え方でもあるということを申し上げまして、私の質問は一応終わっておきたいと思います。
#150
○鹿野委員長 関連して山本弥之助君の発言を許します。
#151
○山本(弥)委員 時間がございませんので、端的に御質問をいたしたいと思います。
 人事局長にお尋ねいたしますが、国家公務員の定年制につきましてはどういうふうにお考えになっておりますか、その点お聞かせ願いたいと思います。
#152
○栗山政府委員 国家公務員の定年制につきましては、先ほど人事院総裁からいろいろ研究中の旨のお話がございまして、人事院においてしかるべくいろいろ御研究中のことでございますが、われわれのほうとしまして、関連しましてはやはり国の行政を能率的に維持するための職員の新陳代謝をはかるという必要があるわけでございますが、しかし、その方法といたしまして、退職の勧奨制度とか定年制、いろいろ考えられますが、定年制につきましては、いずれそういう見地から、必要があれば実施をするということで考えておりますけれども、いま直ちにこれを実施するというところまでには至っておらないということで、目下研究中という段階でございます。
#153
○山本(弥)委員 地方公務員は、国家公務員に準じていろいろな勤務条件がきめられておりますことは、局長も御承知のとおりだと思います。地方公務員に先立ちまして国家公務員が定年制を実施できないという当面の理由、それをお聞かせ願いたいと思います。
#154
○栗山政府委員 非常に荒っぽい問題でございますが、大約申し上げますと、退職勧奨制度が相当活用されておる、それから老齢者があまり見受けられないというようなものが、大体の大きないまの理由になっておろうかと存じます。
#155
○山本(弥)委員 地方公務員にも退職勧奨制度が実施されておるわけでありますが、国家公務員の場合、先ほど検討しておられるということでありますが、どういう点が問題となり、どういう検討をしておられますか。
#156
○栗山政府委員 国家公務員の職種は、先生御承知のごとく、非常に多種多様にわたっておりまして、これを一律にどうこうというのは、なかなかむずかしい点があることは御承知のとおりでございます。したがいまして、各種の職場の実態と申しますか、職種の複雑性、それからまた研究職等もございまして、事務ばかりではございません。そういう点につきまして、目下人事院のほうでも研究中でございますし、われわれのほうでも研究中でございますけれども、どういう点かという御質問でありますと、まだそこまで熟しておるところに至っておらないというところでございます。
#157
○山本(弥)委員 次に、厚生省の方にお尋ねいたしますが、五月十二日に厚生大臣が中央社会福祉審議会に、最近における社会経済情勢の急激な変動に伴い、老齢者の生活の全般にわたり諸種の問題が発生しておるが、この傾向は、今後ともますます深刻化するものと考えられる、よって、老人問題に関する総合的諸施策につき、社会福祉事業法第六条第三項の規定に基づき会の意見を求めるということで、十項目につきましていろいろ御説明があったと思うのであります。第一に、現在の定年制が適当かどうかという項目がございますが、これはどういう趣旨でございますか、お聞かせ願いたいと思います。
#158
○永原説明員 実は、五月十二日に厚生大臣から審議会のほうに諮問がございました。これは最近、老齢人口が非常にふえている、それから一方では、核世帯が非常に増加をし、また老人だけの世帯が非常にふえているということで、そういう点から老後の生活の安定をいかに守っていけばよろしいかということを長期的に御審議いただくということでございますが、定年制の問題に関しましては、定年制と定年後の生活保障、それから再就職の問題等をからめまして、審議会のほうで専門家の御審議をいただく、そういう趣旨でございます。
#159
○山本(弥)委員 この定年制の問題につきましては、厚生省としては、老人の老後の保障といいますか、あるいは福祉対策という見地もあろうかと思います。日本の場合は、この老人対策は、世界の先進諸国に比較いたしまして非常におくれていると思うのでありまして、私どもこれらの推進をしていただかなければならない、かように考えておるわけであります。しかし、いまのお話しの老人対策を福祉行政面のみで解決するということは、現在の情勢では非常に容易ならぬ状況ではないか、かように考えております。
 それと関連しまして、現在寿命が延びたといいますか、そういうことに関連して厚生省としては、どれだけ老人の職場の開拓あるいは老齢者がそれぞれ適職について――ただいまお話しの家族の細分化だとか、あるいは青少年の非常な移動によって老人が扶養の対象にないという実態、そこで働き得る能力のある者は働かせるという立場におきまして、社会福祉と相まって、定年制といいますか、中高年齢者の問題の解決に当たろう、こういう意味だろうと思うのでありますが、いかがでありましょうか。
#160
○永原説明員 実は、最近の老人対策としては、やはり社会参加をしてまいりたい、あるいは再就職をしてまいりたいという希望が非常にふえております。そういう意味からいきましても、老人に生きがいを与える意味からも、就労対策というものについては今後とも十分考えてまいりたいと思います。
#161
○山本(弥)委員 聞きたいことはたくさんございますが、時間の関係がありますので、さらに労働省に、雇用対策の面からこの定年制をどういうふうにお考えになり、どういう施策を進めておられるか、お聞かせ願いたいと思います。
#162
○大坪説明員 労働省といたしましては、現在の雇用情勢全般から考えますれば、民間にはいろいろ定年制をやっているところもございますけれども、なるたけ定年制の年齢を延長するなりして、現在の労働力の不足の状況に合わせるようにしていただくのが至当であろうかと存じており、そのような一般的な定年を延長して労働力の不足に合うような形の雇用対策を、それぞれの企業なり何なりにおとり願うようにおすすめてしているわけでございます。しかしながら、もちろん日本には従来からそうした雇用慣行がございまして、定年制そのものを一がいにやってはいかぬ、あるいはこの際廃止すべきであるというふうには、われわれ労働省としては考えているところではございませんで、地方公共団体につきましては、るる御解明がありましたように、行政目的をもって活動しておられます組織体の中には、職員の年齢構成その他から申しまして、当該組織体の活動が十全の形で行なわれないというようなものもあるやに承っておりますので、そういう場合には、新陳代謝を行なって、組織体の活力を取り戻す意味で定年制をしく必要があるものもあるであろうということは、否定するわけにはまいらないと存じます。したがいまして、そういうものについて、何らか定年制の制度が取り入れられるようなことを法制上とるということは、一がいに否定するというわけにはまいらぬと思います。
#163
○山本(弥)委員 労働省では、いま労働力人口というのは、年齢的にはどういうふうに見ておられますか。
#164
○保科説明員 最近、出生率の低下あるいは死亡率の低下傾向等がございまして、労働力人口に占める中高年齢者の割合が増加しているというような状況でございますが、雇用需要につきましては、就労規模の拡大あるいは交代補充の必要ということから、雇用需要全体としては、今後相当高い水準を維持するのではないかというように考えております。
 労働力人口でございますが、昭和四十年度の調査によりますと、十五歳から十九歳までの割合が八・四%、二十歳から三十九歳が五二%、四十歳から六十四歳が三五%、六十五歳以上が五%というような状況でございます。年々労働力人口につきましては年齢が高くなっておるというような状況でございます。
#165
○山本(弥)委員 労働省の統計調査部の調査課長の佐竹さんの書かれた本でございますが、その中に厚生省の人口問題研究所の男女年齢別推計人口というのが資料の出所になっておりますが、それによりますと六十歳以上が九・七%、六十年には一四・四%になるというふうな資料が出ておりますが、これは間違いございませんでしょうか。
#166
○大坪説明員 先生のお示しになりましたのは、ページ数から申しますと三五ページでございましょうか。
#167
○山本(弥)委員 三七ページです。
#168
○大坪説明員 いま御指摘のございました資料によりますれば、六十歳以上が昭和三十五年で九%、昭和六十年では一四・四%となっております。
#169
○山本(弥)委員 三七ページ、間違いないわけですね。六十年に一四・四%。
 それから労働力人口をいま何歳くらいまで見ておられますか。
#170
○保科説明員 生産年齢人口が十五歳以上でございますが、労働力人口につきましては、これは個人別に事情も違う点もございまして、上限は見ておりません。
#171
○山本(弥)委員 労働力人口を十五歳なり十四歳から統計上どういうふうに見ておられるのですか。六十何歳くらいまでと押えて労働力人口の年齢別比率といいますか、そういうものを考えておられましょうか。
#172
○保科説明員 ただいま申し上げましたように、高齢者の場合は個人によりまして非常に能力の違いがあるかと存じます。一般的に年齢をもちまして労働力人口の考え方はできないかと思いますけれども、六十まではもちろん労働力人口と見なければなりませんので、六十五くらいまではできるだけ就職のあっせんをするということで進めております。もちろん六十五以上の方でございましても、安定所においでになれば、十分働ける能力のある方でございましたらば就職のあっせんをしておるわけでございます。
#173
○山本(弥)委員 先ほど三七ページといいましたが、三五ページには年齢別労働力人口の将来推計という表がありますね。これには六十五歳以上という数字が出ておりますね。これはどういう意味でありますか。単なる年齢ですか。労働力として見ておられるのでしょうか、どうですか。
  〔委員長退席、細田委員長代理着席〕
#174
○大坪説明員 ただいまの御指摘は、この著者の佐竹さんのお考えで分類された表でございまして、労働力統計とは関係ございません。
#175
○山本(弥)委員 労働省で、いわば若年労働力の不足からあるいは中高年齢者の活用というふうなことを国として計画をお立てになる、そういう場合に、いろいろ個人差はありましょうけれども、一定の年齢をどういうふうに押えるかということによって中高年齢者の対策というものは変わってくるのではないか、私はそう考えられるわけですが、これをどういうふうな基礎数字に基づいて――これは佐竹さんの個人的な集計だということであれば、労働省としてはどういうふうにお考えになっておりますか。
#176
○保科説明員 先ほど申し上げましたように、昭和四十年度の労働力調査におきまして、六十五歳以上で労働力として働いておられる方が二百二十九万人おられます。割合にいたしまして四・八%でございます。生産年齢人口の構成が今後どういうふうに推移していくか、それから六十五歳以上の方の労働力の率はどのくらいであるか、こういうような過去からの推計、将来の見通しを立てまして、六十五歳以上の方で労働力としてどのくらいお働きになるかという推計を立てております。
#177
○山本(弥)委員 その数字はわかりました。
 ただ、私のお聞きしたいのは、その数字に基づいてどういう――二百何十万あるとかいうお話でしたけれども、老後の保障でいかれる方もありましょうし、健康を害しておられる方もありましょうが、しかし国の政策、労働省の政策としてどの程度の年齢層まで拡大して対策を考えるかどうかということの計画が立っておられるかどうかということをお聞きしておるわけです。
  〔細田委員長代理退席、委員長着席〕
#178
○保科説明員 ただいま申し上げましたような方法によりまして推定をいたしまして、昭和五十年の推計でございますが、四十歳以上六十四歳までの方、これが全体の労働力人口のうち三九・五%、人員にいたしまして二千百十六万という推定でございます。それから六十五歳以上の方、これは昭和五十年におきまして労働力人口のうちの五・二%になるだろう。人員にいたしまして二百七十八万人、かような推計を立てまして、かような状況に応じるような高齢者の就労対策を考えてみたということでございます。
#179
○山本(弥)委員 そういたしますと、相当高年齢者までも労働力として今後対策を考えていかなければならぬということで施策を推し進めるというお考えなんですね。
#180
○保科説明員 年齢的にどの程度労働力として上限を考えるか、これはいろいろ問題もあろうかと思います。それから社会保障との関連も考えまして、どの辺で大体の目安を立てるかということは考えなければいかぬと思いますが、六十五歳ぐらいまでは十分働ける能力をお持ちでございますし、六十五歳ぐらいまでの方は私どもとして就労のあっせんに努力したいと考えております。六十五歳以上の方は個人個人の能力に応じまして働ける方は働いていただこうという考え方でございます。
#181
○山本(弥)委員 すでに相当長くこの問題につきまして本委員会で論議を尽くしてまいったわけでありますが、私は論議は尽きないと思っております。
 自治大臣にお伺いしたいと思うのでありますが、自治大臣は、この趣旨の説明におきまして、現行の地方公務員法が施行になる以前には定年制が行なわれており、民間の定年制の実施状況その他を勘案して、地方公共団体の人事の停滞を解消する、いわば一定の年齢者を離職させることによって地方自治体の能率をあげるということを一貫して強調してまいられたと思うのです。また定年制の採用に関連して各種調査会あるいは審議会の意見を聞いたということで、それらも定年制の採用を慫慂通しておる。こういうふうな答弁でいままで終始してまいられたと思うのでありますが、この審議を通じまして、そのお考えは多少お変わりになったと思うのでありますが、大臣、御所見はいかがでございますか。
#182
○野田国務大臣 法案提出の当時といまでは、ことさら私の考えは違っておりませんが、私は、しばしば申しますとおり、これは定年制の道を開くものであって、強制的にやるものではない。したがって、実情に照らし、年齢その他にいたしましても、これは地方公共団体の現実の情勢を把握して判断してもらいたい。したがって、定年制を無理にやりたくないところは条例をつくらぬのもけっこうだし、それは道を開くということで、しかもまた、定年制の条例によって、高齢者がやめられた場合に再雇用の道を開いて働いてもらう、いろいろなことでございまして、その間の考え方は、やはり各自治団体が実情に基づいて良識ある判断によってこういう条例をおつくりになったらいいということは、いまも前も変わっておりません。
#183
○山本(弥)委員 いろいろ問題になりました鎌田さんの論文も、いろいろな調査会の諮問を得ておる、いわば定年制の問題は解決済みだというふうな意味のことを書いておられるわけです。三十一年ころの地方制度調査会あるいは公務員制度調査会、これらのときの答申は、やはり二十五年以前の定年制は廃止しなければならぬということに対する人事管理の地方公共団体の対応のしかた、もう一つは、財政事情が非常に苦しいという財政的な見地からの答申が強要されたというふうな印象を受けるわけです。しかし、最近の三十九年の臨時行政調査会の答申は、いわば老後の保障だとか、あるいは公務員の待遇の改善だとか、あるいは身分保障という考え方になっていますね。ですから、待遇の改善をはかりながら、当面六十歳の定年制ということ、将来は諸外国の例に従ってその定年制の年齢を高めるべきだというふうな答申だったわけですね。しかも四十一年に公制審に諮問なすったときは、自治省としては、一応閣議で決定したものを取り消して、重要な問題であるのでこれは公制審の意見を聞くという態度になられた。そのことは、経済の成長に伴い、いわば高年齢者をいかに労働戦線に参加させるかという大きな要素が入ってきたと私は思うのであります。また、国の施策としても、地方公共団体の施策としても、いわば高年齢者をいかに職場に合わせてそれらを活用していくかというように考え方が大きく変わってきていると思うのですね。そういう考え方を今度は、二年後には――昨年もことしもそうでありますけれども、いわば定年制を設けることができるというような道を開くということから一歩前進して、定年制を非常に軽く見て、離職の一態様――これも議論を尽くしたところでございますが、離職の一態様として規定をしておる。いわば条例で公共団体がその手続関係をつくらなければならぬというふうに追い込むような法律のしかたになっている、こう思うのですね。ですから公制審に対する諮問も必要ない。私は、民間との比較において、公制審であるいは団交権だとかあるいは争議権というものが論議される過程において、これら定年制の問題を職員組合との話し合いにおいてどう解決をつけるかという問題も当然出てくるんじゃないか、そう考えますと、定年制の採用というものを、まさに時代に逆行するようなことで強行しようという印象を強く受けるわけであります。大臣、そういうふうにお考えになりませんか。
#184
○野田国務大臣 強行しようという考え方を私自身持っておりませんので、各地方公共団体はそう受け取らないと思っております。また、そういうような指導をしたいと思っております。したがって、いまの山本さんのせっかくの御意見でございますが、私どもは、しばしば申しますとおり、その道を開くのだ、そこで実情に照らしてやってもらいたいというような、きわめて弾力的な考えを持っておりますので、いま御指摘のような、これを強行するとか、あるいはそういう強力な指導をするということは毛頭考えておりません。
#185
○山本(弥)委員 条例で定年制を採用することを慫慂しないということでありますが、市長会だとか知事会はなかなか熱心のようであります。府県ではどのくらい直ちに条例を制定するか、あるいは市町村ではどのくらいこれを採用するか、見通しをお聞かせ願いたいと思います。
#186
○野田国務大臣 それは山本さん、山本さんはおわかりになって質問しておられると思いますが、いま慫慂しないということをさらに数字などなかなかわからない。もう一つは、やはり職員組合その他の意向が当然地方自治体――私はなぜ慫慂しないということを強調しているかと申しますと、自治体が条例をつくるという腹をきめた場合には、当然職員団体なんかの意向を相当しんしゃくしてやる、これは常識でございますから。したがって、どのくらいなんということは逆であって、私が強要するならば大体予想されますかわかりませんが、強要しないのでありますから数字なんかなかなかあらわれてこないと思っております。
#187
○山本(弥)委員 労働団体側の意見は十分お聞きにならないで、市長会あるいはその他とは十分御連絡をとっておられると思うのであります。あるいは鎌田公務員部長は、市長会等において鞭撻を受けるるいは激励するというような措置をとっておられると思います。実際に仕事をなさる鎌田さんどうですか。お見通しありませんか。全部おやりになりますか。どういう状況ですか。実務的に御答弁願います。
#188
○鎌田説明員 大臣がお答え申し上げたとおりでございます。
#189
○山本(弥)委員 大臣のとおりという御答弁、おかしいですね。地方公共団体がこの定年制の問題を強く主張しておるということが理由になっているじゃありませんか。それに対して、大臣のとおり慫慂しないというとあれですか、準則だとかそういうものをおつくりにならないで、府県なり地方公共団体の自発的な意思に待たれますか。どうでございますか。
#190
○鎌田説明員 地方公共団体それぞれの自主にまかせるという趣旨を繰り返し申し上げているわけであります。したがいまして、どれだけの団体がこの法律の施行を契機といたしまして定年制を実施するようになるか、これは全く把握することはできないという状況でございます。
#191
○山本(弥)委員 私は枝葉末節に、あなたの論文にこだわったわけじゃありませんけれども、あなたは高齢者がおる団体に対して、新聞の報道を引用されて、老人天国というような酷評をし、四十そこそこで首を切る会社を賞揚しているような意味の論文の書き方になっておる。私は老人天国という日本の体制ができ上がるということは、日本が非常に繁栄で、各階層の人間に繁栄が均てんするというふうに解釈しております。しかし、能力の低下した者まで無理に働かせるという体制は、自治体としてもとるべきではないということはよくわかっております。しかし、あたかも、ある程度、大臣の答弁にもありましたが、年齢構成の適正な配分は、従来考えておった考え方が変わりつつあるわけです。どこが適正な年齢構成の配分というか、私ども詳しくお聞きしたいのであります。そういうことから考えますと、公共団体の中にはどうにもならぬという団体がある。国家公務員も実施しないような定年制を地方公務員にやるのには、三千有余の各団体は事情が複雑である。複雑であるので定年制を採用しなければならぬ当面差し迫った事情にある団体があるので、国家公務員に先がけてこれをやるのだというふうな御説明もあったと思うのであります。それでは、やるかやらぬかは別として、府県では何団体、市町村では何団体ぐらいと自治省は見て、当面定年制を施行せざるを得ないというふうに見込みをつけておられるかということについては御答弁願えると思います。ひとつお聞かせ願います。
#192
○鎌田説明員 私ども、どれぐらいの団体が実施をするのであろうかという推計は、率直に申し上げましていたしておりません。御参考までに、昭和二十六年地方公務員法施行時に定年制を持っておりました団体は、当時の一万有余の団体の中で八百八十八ございました。それから年齢構成の面におきまして、国家公務員の年齢構成よりも高い団体というのを、たとえば市の場合において申しますと、五百余りの市の中の大体百二十程度のものが国家公務員よりも年齢構成が高いという実情にございます。
#193
○山本(弥)委員 そういうところはあるいは革新市政であって、人事管理がなっていないというふうな御指導あるいは御発言もあったように思いますが、なぜそういう何割かの団体に対しまして定年制によって安易に老齢者を淘汰するという方法をとらずに、もっと適正な人事管理を指導なさるという熱意をお持ちにならないのか。定年制というのは、一定の年限がたちますとどんどんやめてまいります。これはまことに理事者側としては安易な方法である。職員組合との話し合いの中に全職員を活用するという体制からいいますと、私は団体交渉権のない職員組合との話し合いの中に退職勧奨等の円滑にいっている団体はたくさんあると思うのです。それは人事管理の不手ぎわというよりも、私は人事管理を定年制という安易な方向に自治省で指導される心配が多分にあると思うのです。こういうことではなくて、もっと真剣に全職員との話し合い、あるいは折衝の中に人事管理の万全を期する、あるいはその中におきまして私は老後の保障であるところの退職金の問題等もおのずから解決がついていくと思うのであります。それらについてなぜおやりにならないか、最も安易な、あるいは職員にとりましては最も重大な問題として受け取られるような措置に依存せざるを得ないのか、その点の実情をお聞かせ願いたいと思います。
#194
○鎌田説明員 人事管理の重要性ということは、これはもうただいま御指摘のとおりでございまして、私ども公務員部といたしまして、及ばずながら地方団体のそういった意味での人事管理の適正化あるいは近代化ということにつきましては、及ぶ限りの指導をいたしておるところでございます。そういった人事管理の一環といたしまして、退職管理の一つの手段として現在定年制の道をふさいでおる、その道をふさいでおるものを採用し得る道を制度上開いておく。これはやはり人事管理の手段としていろいろあるわけでございますので、そういった意味で、現行法上道をふさいでおるその不合理を取り除くということは十分許されるところではないかというふうに考える次第でございます。
#195
○山本(弥)委員 時間がありませんので結論を申し上げますが、大臣に確認を願いたいと思うのでありますが、それではこの法案がかりに通るといたしましても、今日勧奨退職をいたしております年齢は五十五歳から六十歳、六十歳以上の者もあるようでございます。よく今日の高年齢層の国として行なわれなければならない対策等を考えまして、ほんとうに自発的に、慫慂しない、もし指導をする場合におきましても、その辺の配慮を十分なさる、そうして摩擦を起こさないということについての大臣の御所見を承りまして、私の質問を終わらしていただきます。
#196
○野田国務大臣 私は、先ほどからお答えしているのは、その場のがれのことばではございません。やはり定年制という道を開くということは、これは労働問題ばかりでなくて、社会問題としても考えなければならぬ。したがって、いまの山本さんの御意見と大体私は一致しております。働ける年齢層は大体どのくらいかというと、だんだん年齢が上っておることも私は認めております。そういうことでございますから、役所として指導を必要とする場合におきましては、私は私の気持ちを率直にひとつあらわしたいということをまじめに考えております。よく山本さんの御意見了承いたしました。
#197
○鹿野委員長 先ほどの資料の件につきまして、行政局長から発言を求められておりますので、この際これを許します。長野行政局長。
#198
○長野政府委員 ただいまお手元に提出いたしました資料について一言御説明申し上げます。
 最初の白い紙のほうは「定年制の採用により期待される行政効果」という資料でございますが、これにつきましては、先ほどもお断わり申し上げましたように、計数的な資料は提出できませんので、一般的な効果について列挙いたしたものでございます。一は新陳代謝の促進による公務能率の向上、以下でございます。先ほど申し上げたとおりでございます。
 次に「公立小・中学校教員の需給見込み」については、これは文部省の資料でございますが、将来の需給見込みを推計したものでございまして、この中をごらんいただきますと、退職補充を要するものが最初の需要という中の欄のまん中にございます。そして、それに対応いたしまして、右のほうの供給に教員養成大学・学部というのがございまして、教育養成機関としては、たとえば四十八年の一番最後のところを見ていただきますと一万五千九百五十人の補充の必要に対しまして、教員養成機関としては一万七百二十人ということになっておる。したがいまして、その以外の供給というまん中の欄にございますところの七千七百四十人というものを他からの補充で充足をしていくということになるわけでございますが、定年制の実施につきましては、今後の具体的な実施状況を見なければわからないのでございますけれども、この一般補充というものの中で再雇用その他のものが含まれている。しかし、その計数は現在そういうことでははっきりつかめないことを御了承願いたいということでございます。
 なお、資料の提出その他につきましておくれましたことをおわびを申し上げます。今後はおくれないように努力をいたしますので、御了承願いたいと思います。
#199
○鹿野委員長 この際、太田君の発言を許します。簡単に願います。
#200
○太田委員 ただいまの資料説明に関連して、一言発言をお許しをいただきます。
 ただいま長野行政局長から御釈明のありました資料の問題については、これは非常に大事な資料としてわれわれは重視してきたのでありますが、それが十分なものが出ません。したがって、いまの局長だけの発言ではわれわれとしては心もとないのです。したがって、大臣の確たるお約束をこの際いただきたい。大臣の所見をこの際あわせて委員長から発表を促してもらいたい。大臣でなければ、局長だけでは困る。――それでは、わからないようですから、さらに申し上げます。大臣、私質問の形でやりますから答えてください。
 私は、いまの資料は十分でなかったけれども、今後十分注意して出すべきものは出しますというお話であったと思います。しかし、われわれがお願いしました資料というのは、実は再雇用問題につきまして相当こまかいものをお願いしてあります。それはどの程度出るかわかりませんが、最大限の努力をしてもらいたい。たとえば、定年制の道は広いけれども、再雇用の道は狭いといわれておる。この世論に対してどうこたえます。再雇用するのは一体どれくらいの人が再雇用できますかという場合に、いままでどなたも、必要のある人を必要な職種というだけの以上には出ておらないわけです。したがって、この文部省の資料を見ましても、これには再雇用者を入れるべき余地がどれだけあるか示されておりません。大臣、いかがですか。再雇用する職種は、あなたのほうからおっしゃったものはわかっておるでしょう。つまらぬ職種、つまらぬといってははなはだ――職業に貴賎の別はありませんけれども、料金徴収員とか守衛、小使、あるいは庁舎管理人等に至る若干の職種が示されておりますけれども、たとえば再雇用を欲した者がどの程度それが認められるかというパーセンテージのお示しがありません。だからわれわれは資料を盛んに求めた。その点、いかがですか。大臣の所見をちょっとこの際発表しておいていただきたい。
#201
○野田国務大臣 先ほど役所の事務的な立場からお答えいたしましたのと大体同様でございまして、これは、この法律が発効すれば、直ちに画一的に全国の自治団体が定年制の条例を設けるということではございませんので、いま御指摘のありました予想される数字というものをはじき出すのは非常に困難だ、この事情は御了解いただけると思っております。しかし、先ほど申しましたとおり、これはもちろん役所といたしましてもできるだけ御趣旨に沿うように努力するのは当然でございます。この点ははたして御満足いただけるかどうか知りませんが、努力だけはいたします。これは決していいかげんなことでなくて、やらなくちゃならぬことですが、ただ数字を何%というところは、いまあらためて申し上げておきますが、なかなか困難も出てくる。これは常識論を言っております。そういうことでございますから、努力いたします。
#202
○太田委員 大臣、それはおっしゃるとおり、あなたの誠意というものを私は信じますよ。ですから、一番最後は、再雇用が画竜点睛になろうと思う。この制度がしかれても、再雇用の道が開けなければ、これはたいへん冷たい制度になりますから、再雇用の道というのは広い道でなくちゃならぬというのです。本人が希望するのに、再雇用の道はありません。あるいは東京で就職したいというのに、いやそれは横浜ならばあるけれどもとか、あるいは静岡県ならばということでは困るわけです。でございますから、今後再雇用を希望する人は極力その能力を生かし、その生活を保障するという立場において、基本原則にのっとって、その人の意思を相当尊重して実現をさせてもらうということをしなければならないと思うのです。ですから、希望した者がどのくらいその希望がかなえられるものか、大体事務系統の者はこういう仕事だ、このような基準を示してほしいと思いましたけれども、いままでなかった。ついこの間、東京都の都営電車からごみ焼却場のほうにおかわりになった方が熱湯を浴びて死亡されるという事件も、きのうかおとといか起きておるでしょう。そういうようなことで、職場がかわるということは非常に大問題なんです。ですから、再雇用というのに魂を入れるということは並みたいていのものじゃない。ですから、単にこのような資料では、右から左、バランスシートが合っておりますけれども、これは教職員の場合は再雇用の道というものはない、そういうようなことでは困るのでございまして、これを大きく再雇用の場所を選び、これをつくり出す、そうしてその要望にこたえる、実情に即してこたえるということだけは、あなたに確言しておいてもらいたいと思う。確言できますね。
#203
○野田国務大臣 太田さんの御意見よくわかりました。そういうように努力します。
#204
○鹿野委員長 この際、山本弥之助君、門司亮君、小濱新次君、林百郎君から発言を求められております。順次これを許します。山本弥之助君。
#205
○山本(弥)委員 私は日本社会党を代表し、内閣提出、地方公務員法の一部を改正する法律案に反対の意見を申し述べたいと存じます。
 まず第一に、地方公務員は地方公務員法第二十八条及び第二十九条の規定により、個人の能力あるいは言動等に基づく分限条項や懲戒処分に該当しない限り、その意に反して免職されないことになっております。一定の年齢に達することにより一方的に離職させる、いわゆる定年制導入の改正は、憲法第二十七条の国民の勤労の権利に違反するおそれがあり、なお十分慎重に検討する必要があると思います。
 第二に、地方公務員の任免、給与その他の勤務条件は国家公務員に準じて決定すべきたてまえになっております。国家公務員につき今日なお定年制を採用することが検討の段階であるにもかかわりまぜず、地方公務員にとってその生活に重大な関係を持つ定年制を先行すべき緊急性に乏しいのであります。しかも高年齢者の構成比率も変わりなく、三千有余の地方自治体の中に特殊の場合があるからといって、それなりに長い事情があり、定年制の採用により一挙に、いうところの人事の停滞を解消するがごときは、地域住民のためにあらゆる努力を管理者が払うべきにもかかわりませず、人事管理を安易な方法に依存するにすぎないのでありまして、全職員が全体の奉仕者として地方行政に専念して能率化をはかることには決してならないと存じております。
 第三に、自治大臣の提案理由の説明では、民間企業において定年制が広く採用されていることを理由としていますが、民間企業においては労働協約や就業規則で定められ、労働者の参加によりその意思が反映されているのであって、団体交渉権や争議権を持たない公務員に一方的に強要する理由にはならないのでございます。むしろ現在多くの地方自治体が実施している退職勧奨制度を活用すべきであると存じます。また、現行地方公務員法施行前採用していた定年制は、政府の怠慢による地方財政の窮迫からとられたやむを得ない措置であり、昭和二十八年から昭和三十年にかけての地方制度調査会や公務員制度調査会の定年制を必要とする答申に、定年制を必要とすることが認められておることは、当時の地方自治体の地方財政の実態から、主として財政上の見地に立って考えられてきたきらいがあり、しかも地方公務員制度は国家公務員制度の改正に準ずべきことを明示しているのでございます。さらに、昭和三十九年の臨時行政調査会の答申は、定年制につきまして、公務員処遇の改善という項目で取り上げ、地方自治体の能率向上から公務員の退職後の保障という観点を明示し、その年齢も当面六十歳とし、将来外国の例に見られるような相当高い年齢の定年制を指向すべきであるとしているのでございます。昭和四十一年三月に定年制を内容とする地方公務員法の改正法案の提出を一たん決定しながら、その与える影響の重大さにかんがみまして、方針を変更して、公務員制度審議会の意見を聞きながら、その意見が明らかにされないままに、政府の責任において昨年提案し、しかも廃案となった法案を、今回さらに提案したことにつきましては、何としても承服できないのでございます。
 最後に、わが国の経済成長に伴い、若年労働者の不足、労働人口の高齢化、核家族の細分化、あるいは青壮年者の職域、あるいは地域的に激動しておる今日、中高年齢者の就業対策は、政治的、経済的また社会的に、国として重要な施策となってまいっておるのでございまして、今後この問題は、地方公務員にとりましては解決した問題ではなくて、すべての定年制の問題は、今後科学的に労働条件やあるいはその他の問題も含めまして究明しなければならない段階にきておるのでございまして、自治省の狭い、公務能率の向上という見地のみから本案を提出するということにつきましては、強く反対するものであります。
 以上をもちまして、私の意見といたします。
#206
○鹿野委員長 門司亮君。
#207
○門司委員 私は、民社党を代表いたしまして、かかる法律案の国会に提案されることを、きわめて遺憾に考えるものでございます。
 このことは、すでにいろいろ論議の中で述べられておりますが、一つの問題は、法制局の解釈と自治省の解釈とが――提案理由のときには自治大臣は、これを労働者の、いわゆる憲法二十七条にいう勤労者の権利は自由権であるという説明をされておる。しかし、法制局長官はこれを是正して、社会権または経済権という表現を使っておるのでございます。このように、政府内部において、かかる重要な法案を出すにあたって、憲法の解釈上の問題が違っておったということは、私はきわめて遺憾に考えておる。少なくともこの種の法案は、人の生命に関する、と言えば少し言い過ぎかもしれませんが、少なくとも労働者が労働によってその生活のかてを得ておることは事実であって、それを年齢によって制限しようとする案でありまする限りにおいては、だれが何といっても国民生活に及ぼす影響はきわめて重大である。しかも本人の落ち度もなければ何もない、したがって分限令でこれは定められないということもまた自治省は声明をしておる。そうなってまいりますと、ことさらに重要であって、そうした問題が、政府の憲法に対する統一見解もなくして出されたということについては、私は重ねてきわめて遺憾の意を表します。こういうことであってはならないのである。少なくとも人の問題に対して、こういうずさんなものは出してはならないということで、まず私は撤回を求めることが当然だと考えております。
 この法案を多数でここで通されるでございましょうが、かりに通すといたしましても、国として考えていただきたいことは、社会権であり経済権であるということを規定いたしてまいりますならば、そこに社会権としての国の責任が当然出てこなければならない。いわゆる、老後の安定したものが十分にあるということになってまいりますならば、一国の国内において働いております労働者が、その社会から要求される一つの問題として定年制をしいられるならば、そこには社会の義務というものが当然起こってこなければならない。ところが、今日の日本の現状は、それが完全に行なわれていないことは御承知のとおりであります。したがって、もしこれを社会権として解釈するということができるならば、憲法の趣旨に違反しないという答弁をされていますが、私はここで憲法論を議論しようとは申し上げませんが、かりに違反しないというならば、法理論上の議論は成り立つといたしましても、憲法の趣旨からはおよそかけ離れたものであるということを申し上げても、私はちっとも差しつかえないのではないかということが考えられる。日本の憲法は、国民の生活を保障するという意味においては、数カ所においてこれを保障することが出ておりますし、また憲法自身の前文にもそのことは明らかに書いておる。
 私どもは、こういう観点からまいりますならば、この法律案の審議にあたっては、きわめて不十分であり、またきわめて不可解なものが出てくるのでございます。同時に、この法案に対して申し上げてまいりますならば、どういう結果になるかということでございます。政府は、単にこれはこういう制度を設けることができるという問題であって、実施の法案ではないのだ、単に一つの道を開くというか、あるいは一つの訓示規定のようなものであるから、実行する法律ではないのだという解釈をされておりますが、しかしこの法律案は、どこが実施するかといえば、地方の自治体が実施をしなければならない。したがって、自治体の条例によってこれを定めようとするその根拠を与えたものであるからという言いのがれをいたしております。
 しかし、日本の憲法、法律あるいは地方の自治体の条例の関連性は一体どういう形になって行政上の処置としてあらわれてくるかということでございます。私は、少なくとも地方の自治体の意思を尊重するというならば、憲法に書いてあります九十二条から九十五条までの間の一とおりの解釈をいたしてまいりまして、地方の自治体があくまでも地方の住民の意思によってその運営をしなさいという、これは憲法の趣旨であることに間違いはないのである。そういたしますときに、国の分限に属するものについては問題はございません。しかし分限にも属さないものをこういう形において出すということがどういう結果を見るかということである。御承知のように、地方の自治体に対します自治省の行政権の干犯とまで申し上げても差しつかえないような容喙は、かなり強く行なわれておる。そうして、いろいろな問題について法律にあらざる問題が往々にして行政指導の範囲内としてなされておることは御承知のとおりであります。たとえば、この国会に法律として出てはおりませんが、広域市町村圏に対する構想というような名前で、地方の自治体に五十二カ所の指令が出されておる。しかも予算までがこれにはくっついておる。これは国会のわれわれは何も審議しておりません。しかもこの内容は、地方の町村における、ある意味においては共同の処理をなすべきものであり、また、ある意味においては、そうした一つの具体的な大きな問題を持っておるという、いわゆる府県の行政権との関係すらここに出てきはしないかということが考えられる。こういう地方の自治体に対しまする基本的なものの考え方が、自治省は最近だんだんと官僚化してきておって、そうして自治省の意見のままに地方の自治体が動くのだというような錯覚を最近は持っておるのではないかということが私どもには考えられる。こうした時期にこういう問題がここにあらわれてくるということになってまいりますると、強要はしないとおっしゃっておりまするが、地方の自治体の運営の中に、必ず私は何かの問題が出てくると思う。たとえば起債の問題でありますとか、あるいは再建団体の申請があるとかというようなことになってくれば、この法律が今度は強要として作用することはいなむことのできない事実だと私は考えておる。おまえさんのところはそれだけお金がたくさん要るだろうが、しかし内容、職員構成についてはこういうものがあるじゃないか、こういうところはもう少し節約すればできるんじゃないかということをあなた方は言うでしょう。これを言わないという保障がどこにかありますか。これは私は必ず出てくると思う。そうすれば、この法律はやがて地方の自治体の自主性を干犯する一つの大きな原動力になると申し上げてもちっとも差しつかえない。こういう事態があるのであります。
 ことに、先ほどからこの法案の審議の内容の中でいろいろ議論されてまいりましたが、いま申し上げました自治省の最近における地方の行政に対しまする一つの大きな考え方の変わりというものは、この法案を出された昭和三十一年の「自治思想」という雑誌を見てごらんなさい。これは自治省の役人の諸君が書いた雑誌であることに間違いはございませんが、このときの自治庁の次長であります、いまの事務次官に相当する鈴木俊一君が書いたこれに対しまする意見というものと、ついことしになって同じ「自治思想」という雑誌の中に書かれておる自治省の公務員課長の理由というものを比べてみますと、私がここでこれを披露して比べる必要はないと思いますが、非常に大きな差異ができておる。鈴木君の場合は、どこまでもこうした規定を設ける必要がありはしないかというようなきわめて謙虚な態度でこれが論じられておる。ところが、最近の論評はそれと全然変わったものであって、こうしなければならないというような決定的な、あるいは断定的なものの言い方をして論文が書かれておる。この自治省のものの考え方の違いというものは、やがてこれが地方行政に作用するであろうということは火を見るよりも明らかでありまして、この点私どもは非常に憂えるものでございます。
 同時に、これらの問題が定年制の問題というような問題を論議する場合に、少なくとも労働の基本権と、あるいは憲法にいう勤労に対しまする国民の基本権とのかみ合わせというようなものがほとんど説明の中にもなければ、あるいはこの議案書を全部見てまいりましても、どこにもあらわれておらない。労働者には二つの面がある。一つは国民としての勤労の権利、一つは労働者としての立場から、その職場における立場から、働く者の基本的の権利というものが当然考えられなければならない。したがって、前段において憲法を引用して申し上げました、この労働者のというよりも、勤労者としての国民の勤労の権利というものと、労働者の基本的の権利というものとの間には、かなり大きな開きがあると考える必要がありはしないかということであって、少なくとも働く者に与えられた労働の権利を制限しようとするには一方的のものであってはならない。あくまでもこの規定の中には、少なくとも当該関係者と十分話し合いの上でものをきめるというような一つの大きな示唆が当然なければならないが、そのことはどこにも書かれておらない。
 もちろん、このことについて団体交渉権がないから、そういうことは書けないのだというお話があるかもしれない。しかし、いま地方の実態において職員組合があることは事実である。話し合いをしようとすれば幾らでも話し合いはできるはずである。そんなことは愚にもつかない――と言うとおこられるかもしれませんが、法律の条文だけにこだわって、おまえさんのほうには団体交渉権がないのだから、相手方がないじゃないかというような、そういう愚にもつかない三百代言みたいなことを言わなくとも、道は幾らでも開けているはずである。
 私はこういうことを考えてまいりますと、この法律はまだ非常に時期が早い。さっき冒頭に申し上げましたように、憲法に規定する勤労の権利というものが社会権であり経済権であるということの政府の解釈が正しいとするならば、この法律が出されるにはまだほど遠い時間的の問題がありはしないかということでございます。われわれがこれを了承するには、少なくとも老後における何らの不安のない社会ができたそのときにおいてのみこういう問題が出てくるのではないかということが考えられる。諸外国の例を見てみましても、いずれもほとんどこういう趣旨が織り込まれておりまして、したがってごく簡単に申し上げてまいりますならば、年齢層からいっても高いところは七十五歳である。大体世界全体の定年制のしかれておりまする国の最低は六十歳である。平均いたしまするならば六十五歳になっておるのである。私は、一面において社会保障が充実し、一面においてやはりその労働者の立場からくる社会環境というものを十分考えて、平たく言うならば、隠居をしてもいいという年ごろというものは、やはり私は考えなければならないかと存じております。
 同時にまた、最後に申し上げておきたいと思いますことは、こうした規定を設けまして、そうして再雇用の道が開けるというようなことをこしらえること自身に私は非常に大きな問題がありはしないかということである。いわゆる首は切るが、あと二、三年は使ってやるのだからというような、いかにもお役所式のものの考え方というものは誤りではないかということである。これらの問題をきめようとするならば、やはり組合との間に、対等な立場に立って、労使が対等な立場でそういう一つの規定を設けることが、これはむしろ労使間における一つの方法とも考えるが、しかし法律によって、条例によって一ぺんはここでおまえさん首を切るが、しかしその次には給料を六〇%くらいに下げて使ってあげるというような、いかにも旧時代的の恩恵的ものの考え方で処理をしようということは、私は近代国家の公務員法として受け取ることができないということを最後にはっきり申し上げまして、この法案に対する反対の意思を表明したいと存ずる次第でございます。
#208
○鹿野委員長 小濱新次君。
#209
○小濱委員 私は公明党を代表して、ただいま審議中の地方公務員法の一部を改正する法律案に対して、反対の意見を述べるものであります。
 その理由の第一は、地方公務員が一定の年齢に達したという理由のみでその者の職を奪うことは、憲法に規定されている基本的人権を侵すものであります。
 すなわち憲法二十七条には「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。」とありますが、この定年制法案は、現在のような社会保障制度が低い水準である場合は憲法に規定されている勤労の権利を奪う結果となるおそれが多分にあると考えるものであります。
 第二は、最近民間企業においては、労働力の不足によって定年年齢の延長ないしは定年制の再検討の方向に向かいつつある現在、地方公務員に定年制を設けることは時代に逆行するものであります。また、労働力の有効利用という見地から見ても、大きな国家的損失であると断ぜざるを得ないのであります。
 第三、本法案は定年の年齢が法律に規定されておらず、地方公共団体の条例にゆだねております。したがって、地方公共団体では、自治省の行政指導よりも低い年齢で定年制を施行するおそれが十分に考えられるのであります。
 第四、地方財政の赤字対策を定年制という強制的人員整理によって行なうべきではないということであります。すなわち、政府は、現在の地方財政の赤字の原因は地方公務員の人件費にあるとしており、高齢者を退職させることにより地方財政の赤字を打開しようとしているのであります。これは問題の筋道が違っているのであって、財政問題を定年制による人員整理に振りかえたものであると考えるのであります。
 第五は、現在の日本の社会保障制度は不十分であり、職を失った者の老後の保障がなく、将来における不安は大きいということであります。
 日本の最近の経済成長は目ざましく、この点に関しては世界の注目を浴びておりますが、一方、社会保障制度は全く立ちおくれております。しかもこの社会保障制度については、後進国といわれている国々でも、日本より進んでいる国が相当あるのであります。このような不十分な社会保障制度の日本において定年制を施行することは、全く人道上許しがたいものであります。しかも本法案は、「定年に達したことにより地方公共団体の職を退いた者が当該地方公共団体の特定の業務に期間を定めて雇用される場合」と規定してあるだけであり、定年退職者の再雇用に関しては何ら具体的に内容が示されておりません。また、定年退職者の再就職のあっせん等に関して、当該地方公共団体の責任が全然ないということであります。佐藤総理はたびたび人間尊重ということを申しておりますが、この法案は総理の理想と正反対の施策であると思うのでありまして、まさにこれでは昭和のおば捨て山といわざるを得ないのであります。
 第六は、国家公務員に比べて地方公務員は再就職の機会がきわめて少ないということであります。国家公務員はそれぞれ各官庁のルートによりまして、それぞれ再就職の機会が比較的多いと考えられますが、地方公務員においては再就職の道がきわめて少ないのであります。
 第七は、国家公務員においては、裁判官等の一部の特定職業にのみ定年制が設けられておるのにすぎず、一般公務員には定年制がないのであります。しかるに今回地方公務員には定年制を設けようとしております。いままで公務員の地位もしくは給与に関しては、地方公務員は国家公務員に準ずるとなっております。このようにすべてのものに対して地方公務員は国家公務員に準じている現在、地方公務員が国家公務員に先んじて定年制を施行することは、全く納得がいかないのであります。
 第八は、この法案成立により、各自治体の該当者の多くは、あの八年間の戦争中、赤紙ただ一枚の令状によりまして兵役に服し、国の内外で転戦し、悪戦苦闘の末かろうじて生き残り、帰還した人が多いのであります。内地に帰って、まず待っていたのは生きるための就職難であったのであります。やっと職を得た人々も生活難に転々と職を変え、数年を経過して、初めて職の安定を得たのであります。その人たちの多くは、自分の年齢を考えれば、定年のある民間の企業を避け、たとえ給料は安くても、将来のためと思い悩んで、定年のない公務員を望んで就職した人が多いようです。定年のことはみじんも考えていなかったのです。特に長い戦争と戦後の経済難に直面して、戦後無一物で出発した人々の耐乏生活は実に長期にわたっていたのであります。もちろん結婚期を著しくおくらせ、長子がやっと高校在学中という人も少なくないのです。また、ほとんどの人がいまだ中、小学生及び子を扶養しているのです。その子供たちは非常に出費の多い時期に差しかかっているのです。かりに独立した子を持つ人であっても、老後の生活を子に託し得る可能性はきわめて少ないのであります。戦争の責任はだれにあるのでありましょうか。このように、いわゆる戦争犠牲者といわれる人に対して、政府は何ら血の通った措置がとられていないのであります。まことに無慈悲といわざるを得ないのであります。
 最後に、政府に特に要望いたしたいことがございます。定年制を地方自治体に条例で設けることができる、あとは住民の意思によるといわれますが、市長会はこぞって本法案には賛成の態度のようであります。したがって、多数決で本法案採決の暁には、野田自治大臣の確信ある、あたたかい、思いやりの深い御答弁がいままでにたくさんございました。その御答弁の御精神のように、本法案成立によりまして、少数でも犠牲者を出すことのないよう、冷酷な取り扱いのないよう、行政指導を十分に御配慮されますことを私は心からお願いをする次第でございます。
 以上をもちまして、政府提出、本法案の成立に反対し、公明党の反対討論といたします。
#210
○鹿野委員長 林百郎君。
#211
○林委員 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となっている地方公務員法の一部改正案、いわゆる定年制法案に対して反対の討論をするものであります。
 最初に、この審議の経過において私が痛感いたしました問題の一、二を申し上げたいと思いますが、その一つは、このような重要な、二百万近い地方公務員の生活権に重大な影響を及ぼす法案が、自民党の諸君によって強行採決と称する暴挙が行なわれたことであります。このようなことは、その後議長あっせんによって多少是正はされましたけれども、再びこのようなことをしてもらいたくないということを、特に自民党の委員諸君に強く望みたいのであります。
 次の問題は、自治省の資料提出の問題であります。このような地方公務員の生活権に及ぼす重要な法案に対して、たとえば私が、かりに定年を五十五とした場合に、その該当者が何名であって、その該当者の家族構成はどういう家族構成で、再就職を希望する者はどのくらいあって、その該当者のうちの家族に在学中の扶養家族を持っている者は何%であって、さらに何とか自分が老後の生活ができるような有業者はどのくらいのパーセントで、一方継続してなお働かしてもらいたいと希望する者は何%であって、さらに年金をもらえる者はどのくらいの比率で、退職金の比率はどのくらいかということを聞いたのでありますが、何一つその資料が提供されておらないのであります。これは御承知のとおりこの法案に反対する有力な理由の一つが、機械的に定年によって退職しなければならない地方公務員の諸君の老後の生活がどのような事態になるだろうかということが重大な問題であり、このことは自治省も十分知っており、国会でこのことが質疑されることは知っておりながら、一つの資料も準備しておらないということは、これは全く許しがたい態度だと思います。だからわれわれは、かりにこの法案が参議院に送付された後においても、このような自治省の態度はすみやかに改められて、この法案の審議中に各委員から要求された資料は必ず自治省は責任をもって提出されることを強く要求するものであります。
 さて、この法案に反対する理由の第一は、この法案が地方公務員に対し、働くことを欲し、または働く能力があるにもかかわらず、強制的に退職させてその生活の道を断つという、実に過酷きわまる憲法に違反する制度を新たに設けようとするこの点であります。地方公務員がかりに五十七歳前後で退職させられるとなると、これはいろいろの資料、労働省の資料によって調査しましても、まず大体、公約数としてはちょうど家族構成も平均して四人前後となり、また就学中の扶養家族を必ずかかえており、生活費が最も高まる時期であります。そうして、そのほとんどが働かなくては生活に困るという時期に逢着しているときであります。そして、仕事を継続して生計をはかりたいということを最も強く望んでいる時期であります。しかるに、これを直ちに、最悪の場合には十二万名にも及ぶ人員がやめさせられる、そういう道を開くということにわれわれはとうてい賛意を表するわけにいかないのであります。かりにその一部の者を選別して料金徴収員あるいは守衛あるいは用務員など現業関係部門に再雇用するとしても、その俸給は離職前よりはるかに低いと予想されるのであります。しかもいつ再解雇されても異議すら差しはさむことが許されないというものであります。これは明らかに働く意思と能力がある者から勤労の権利を奪うものであって、憲法の二十五条、二十七条に違反し、地方公務員に対する労働基本権の剥奪であります。われわれはこのような制度を絶対に許すことはできません。
 反対の第二の理由は、地方自治体においては、言うまでもなく地域住民に直接接触し奉仕する部門が多く、そのような部門では長年の経験と知識が必要とされるのであります。しかるに政府は、このたびの定年制によってこの部門の者を最も多く一定の年齢で強制的に離職させた上、この部門に人員削減等により合理化を強行するとともに、この部門を民間の下請に移行する道を開き、さらにはこの部門の廃止にまで持ち込もうとしているのであります。このことは北九州の例を見ても明らかであります。
 このように、地域住民に奉仕することを使命とする地方自治体の本来の機能をますます後退させる反面、地方公務員と地方自治体を政府の意のままになるように仕上げることによって、大資本本位の国づくりや街づくりの政府・自民党の政策に奉仕させようとするものでありまして、これは地方自治体をしてそのような機能をさらに強化する道を開くものであります。
 さらに、われわれが警戒しなければならないことは、このような法案をテコとして、一九七〇年に備えて国家機構を反動的に再編成する一環にしようとするこの意図をわれわれは警戒せざるを得ないのであります。定年制はその推進の役割りを果たすとわれわれは考えております。われわれがこの法案に反対する第二の理由は以上のとおりであります。
 第三の反対の理由は、政府はこれによって地方公務員の人事の停滞を打破して、新陳代謝を果たさんとするものであると説明しております。しかし、政府が真に地方公務員の新陳代謝を云々するならば、まず自治省から地方自治体に対する天下り人事をやめるべきであります。いまこのことが地方公務員の勤労意欲を停滞させる重大な原因になっております。
 一方、定年制は再雇用制度と両々相まって、地方公務員に安い賃金と身分の不安定を一そう押しつけまして、その民主的な権利を奪い、勤務評定の実施、職階制の強化、職務給の導入等をはかっておるものであります。ことに再雇用の名のもとに、従前の仕事を、自分の年金や退職金で補いつつせざるを得ないような、こういう低賃金で前と同じ仕事をさせるという不条理が許されることになるわけであります。このような政府の意図こそが、かえって地方公務員の身分を不安定にし、勤労意欲を喪失させ地方自治体の機能を後退させるものになると思います。このような政府の意図を取りやめて、地方公務員の賃金安定と生活の保障を確立することこそが、真に地方公務員の勤労の意欲を高めることになり、そして、そのことこそが真の地方公務員の勤労意欲に対する新陳代謝の役割りを果たすことになると思います。これが第三の理由であります。
 最後の私の反対する理由は、この制度によって今後予想される実態は、他の資本主義諸国のそれと比較してみましてもあまりに隔たりがあり、不公平だということであります。すなわち、年齢の点においてもしかり、また高齢者に対する社会保障的な給付額を比較してみましても、日本のそれは他国に比して比較にならないほどの少額であります。だからこそ、昭和三十七年の第四十六回ILO総会においては、事務局長までが「差別待遇の最も極端なあらわれ方は、雇用または勤務停止を決定する年齢を決めることである。日本においては、停年は、比較的低く定められており、重大な問題を提起している。」と、日本の定年制を特に引き出して非難しているのであります。このように、日本における定年制なるものが国際的にも非難され、恥ずべき制度になっているときに、政府はこれを地方公務員に公然と持ち込もうとしておるのであります。よってわが党は、これに断じて反対します。
 わが党は、働く意思と能力を持っている限り、働く権利は保障されるべきであるとの立場に立って、地方公務員の民主的権利を保障するとともに、地方自治体をして、その本来の使命である地域住民に奉仕する真に民主的な制度として確立することを要求して、本法案の撤回を強く政府に求め、反対討論といたします。
#212
○鹿野委員長 これにて発言は終了いたしました。
 この際、念のため確認をいたします。
 地方公務員法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#213
○鹿野委員長 起立多数。よって、賛成多数で可決されたことが明確になりました。
 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後三時二十五分散会
ソース: 国立国会図書館
【PR】姉妹サイト