くにさくロゴ
【PR】姉妹サイト
 
#1
第061回国会 内閣委員会 第5号
昭和四十四年二月二十七日(木曜日)
    午前十時四十一分開議
 出席委員
   委員長 藤田 義光君
   理事 伊能繁次郎君 理事 佐藤 文生君
   理事 塩谷 一夫君 理事 塚田  徹君
   理事 大出  俊君 理事 浜田 光人君
   理事 受田 新吉君
      赤城 宗徳君    井出一太郎君
      菊池 義郎君    藏内 修治君
      渡海元三郎君    葉梨 信行君
      細田 吉藏君    松澤 雄藏君
      三池  信君   三ツ林弥太郎君
      三原 朝雄君    淡谷 悠藏君
      稻村 隆一君    木原  実君
      華山 親義君    伊藤惣助丸君
      鈴切 康雄君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 愛知 揆一君
 出席政府委員
        外務大臣官房長 齋藤 鎭男君
        外務省アメリカ
        局長      東郷 文彦君
        外務省条約局長 佐藤 正二君
        外務省国際連合
        局長      重光  晶君
 委員外の出席者
        外務大臣官房領
        事移住部長   山下 重明君
        専  門  員 茨木 純一君
    ―――――――――――――
二月二十六日
 委員華山親義君辞任につき、その補欠として山
 中吾郎君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員山中吾郎君辞任につき、その補欠として華
 山親義君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十七日
 委員内海英男君、野呂恭一君、古内広雄君及び
 華山親義君辞任につき、その補欠として細田吉
 藏君、藏内修治君、渡海元三郎君及び山内広君
 が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員藏内修治君、渡海元三郎君、細田吉藏君及
 び山内広君辞任につき、その補欠として野呂恭
 一君、古内広雄君、内海英男君及び華山親義君
 が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 外務省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
 出第一七号)
 在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する
 法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二〇
 号)
     ――――◇―――――
#2
○藤田委員長 これより会議を開きます。
 外務省設置法の一部を改正する法律案及び在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。
 質疑の通告がありますので、順次これを許します。淡谷悠藏君。
#3
○淡谷委員 愛知大臣にじっくりお聞き願いたいのですが、実はブラジルの農業移民の問題についてひとつ実情を、私のほうでも若干資料を持っておりますので、お聞かせ願いたいと思います。
 これはずっと前に、戦後またブラジル移民が始まりましたときに、この所管を外務省でやるか農林省でやるか、だいぶ問題のあったことなんですが、どうも外務省自体が、農業移民について万全のお世話をしているだろうと思いますが、職掌柄若干問題が出るだろうということは予想しておりました。実は私の友人で青森県の県会議員をやっております工藤一成君というのが海外移住事業団の地方の仕事をしておりまして、熱心な男なんですが、ブラジルに行ってまいりまして、数回行ったのですが、今回は六カ月ほど滞在して帰りました。むすこもブラジルへ行っておるのであります。この間帰ってきましてつい二、三日前ですが、たいへんにむしろ憤激に近いような感じで戻ってきたのであります。きょうはその実情を私のほうから申し上げますが、その前に現在ブラジルに行っております農業移民はどれくらいの数に達しておるか、ひとつ係の方でけっこうでございますからお答え願いたいと思います。
#4
○山下説明員 ブラジルへ行っておる農業移民の数ですけれども、大体戦後行きました人が五万七千名あって、その大体九割以上がほとんどブラジルへ行っています。五万数千名という数字はもちろん家族を入れてでありますが、それが移住者の数でございます。
#5
○淡谷委員 これは内地の開拓もそうですが、当初入った人が長く続けている例がたいへん少ないのです。特に海外でなれない仕事をするわけなんですから、同じ農業でもだいぶ様相が変わりますので、当初入った人と現在いる人との比率はどれくらいになっておりますか。
#6
○山下説明員 われわれは脱耕と呼んでおりますけれども、一たん移住地に入ってそこから出ていく人、この場合も、よくて、さらにいいところに移るという人と、それから悪くて夜逃げ式に逃げ出していく、そういう両方のあれがあると思いますけれども、われわれは移住事業団のほうの直接の移住地であればわりあい把握しやすいわけでありますが、実際には広いブラジル各地に入っておりますので、正確な数字は把握しておりませんけれども、大体表にしてみると二、三割は最初に入ったところから脱耕しているのじゃないかというふうに思います。
#7
○淡谷委員 これは開拓の場合に非常に問題になる点なんですが、大体とか想像だけで出されますと、これは別の役所が言うならかまいませんが、外務省が所管しているのですから、特に海外に行っている同胞でございますので、もう少し正確な数字を出してもらわないと責任上困るのじゃないですか。大臣、いかがですか。
#8
○愛知国務大臣 仰せのとおりと存じます。
 正確な数字もあるはずでありますが、なおそういう点については十分責任を持って実態を掌握するようにいたしたいと思います。
#9
○淡谷委員 いや、しかし、もう始まってから十数年たっておるわけですから、これから掌握したのじゃおそいじゃないですか。もうすでにこれは外務省は掌握していなければならないはずです。現在までは掌握していなかったと思ってよろしいですか。現在はどのくらいかわからぬ……。
#10
○山下説明員 移住地ごとには集計が出ておりますけれども、それが全部の移住者ということになると正確な数字が出ておりません。ですから、移住事業団のほうで世話して入れた直轄地及び向こうの州、連邦政府の移住地、少なくとも移住事業団、われわれ政府のほうの手で世話した者の数字はつかんでおりますから、さっそく調べてその範囲の正確な数字をお届けしたいと思います。
#11
○淡谷委員 向こうの移民の直接世話をしたとかどうとかいうことを聞きますけれども、それでは分類をいたしましてブラジルの農業移民はどことどこが世話をしているのですか。外務省が直接おやりになっているのもおありでしょうし、ほかにあるとすれば一体どういうルートで行って、だれがその責任を負ってやっているのか、それは把握されておりますか。
#12
○山下説明員 移住事業団のやっている場合とそれから全拓連がやって、現地のコチアの産業組合などを通じて雇用の形式で入っている場合と、そのほか数は少ないと思いますが、個人的なルートで行く場合とあると思います。
#13
○淡谷委員 海外移住事業団というのは、現在理事長は前の国防会議の事務局長の廣岡さんがやっておるはずですね。このほうは資料ももらっておりますからはっきりつかまえてあるわけです。では全拓連というのは一体どういう組織ですか。
#14
○山下説明員 全国拓植農協連、これは農林省所管で前の農林次官をやっておられた平川さんがやっておられます。
#15
○淡谷委員 それでは大体の数字はおつかみになっておると思いますから、海外移住事業団の責任で行っている人は何名、全拓連のほうから行っているのは何名、外務省直接の移民は何名という数字ははっきりわかりますか。
#16
○山下説明員 さっそく調査してお届けいたします。
#17
○淡谷委員 大臣、これから調査するそうですが、いかがでしょうか。九年の間、十年の間調査できなかったのでありますか。
#18
○愛知国務大臣 いまお答えした意味は、ここに持っていないという意味ではないかと思いますけれども、私もよく調べてみます、実情がどうなっておるか。ここにはいまそういう分類によりました数字がないようですが、集計していまのをさっそくお届けできると私思っております。
#19
○淡谷委員 これはぜひ資料をお出し願いたいと思います。
 それから現地でいろいろ困ったことが起こったり問題が起こった場合には、三つの系統で移民が行っておるとしても総括して責任を負うお役所というものはあるのですか。わざわざ全拓連の場合は農林省に、たしかこの海外移住事業団は外務省が掌握されておると思いますので、一本で掌握されておるのか、あるいは役所が違うのか、この点もはっきりお伺いいたしたい。
#20
○山下説明員 移住事業団が直接直轄移住地として経営しておるものは、移住事業団が全責任をもって援護措置をとって、外務省が監督するわけでありますが、そのほかブラジル側の経営しておる移住地においては、移住事業団がいろいろ監督したり指導したり、そのほか教育とかいろいろな問題が起こったときに在外公館が一緒になって援護措置を行なっております。それ以外に、個々に入っておる場合には、領事館が世話をするという形式になっております。
#21
○淡谷委員 あとのほうの移民はいろいろございましょうけれども、農業移民というものはやはり特殊なものですから、外務省の在外公館、領事館に農業を指導するような技能を持った人がいるのですか。特にブラジル農業ですから、どうしても営農の指導になると技術の点まで指導しないとうまくいかないのは事実なんです。そういうふうな準備はございますか。
#22
○山下説明員 外務省の中に直接営農を指導するような専門的なところはありませんけれども、その点は農林省と常に連絡をとっておりまして、また現地公館でも特に移住地の重要な点には農林省から現地の公館に出向してもらっておりまして、また移住事業団の中にも農林省関係の人が出向していろいろ指導していただいておりまして、農業関係の役所とそれから事業団の中に農業関係の専門の人もかなり入っておりますので、そういう人たちが一緒になって営農の万全を期しております。
#23
○淡谷委員 農林省から出向しておる人の数は外務省で把握しておるのですか、これは外務省把握しておるでしょうな、やはり海外に行くのですから。
#24
○山下説明員 移住に関係のある南米でありますと、リオとサンパウロとそれからボリビアのラパスの大使館、この三カ所に農林省の人が駐在しております。
#25
○淡谷委員 何名くらい行っておりますか。
#26
○山下説明員 いまの移住関係ではその三名で、それ以外の全世界の公館になると私のほうではなくて官房のほうで調査いたします。
#27
○淡谷委員 全世界は要りませんけれども、ブラジルの農業移民を直接指導しておる農林省の出向職員は何名か。三名では少ないのではないか、五万名も行っておるのに。
#28
○山下説明員 現在のところ、南米の各事業団支部の中に農業関係の専門の人が三名くらいずつ出向しておられます。
#29
○淡谷委員 それでは私、手元に持ってきました工藤君の報告書がございますので、これについて若干お伺いしたいのです。
 場所は、まあ五万人もいる農業移民でははっきりしたイメージも出てこないでしょうが、部分的ですが、こういう例はおそらく全体だろうと思うのです。バイア州都のサルバドル市郊外約百キロのところのクビチェックという地区です。これは海外移住事業団の地図にも出ておりますが、大西洋岸のほうです。そこに青森県関係で入った人が当初十四名、現在残っておりますのは七名という報告を持って帰りました。そして、その年間収入の平均は二千コント、十八万円、ブラジルで十八万円、したがって、その生活というのは非常にみじめなものであります。もう土間の上にじかに寝ているような状態です。青森県ですから、リンゴ箱なんかいくらしいのですが、リンゴ箱を並べて、その上に寝ているという形、これが入植して十年の姿であります。しかも現在では、もう農耕ができなくなってしまっておる。中央市場から野菜を買い入れて、街頭で地べたにすわってこれを売りながら細々と暮らしているという実情を見てきているのです。向こうではフェランテと言っているそうでありますが、土地の人たちも山ザルのような暮らしだと言って笑っている。こういう実情を、これまで外務省はお調べになったことがございますか。またあとのほうの移民地はこうではないということになっておりますが、どうか。いままで九年も十年もたっているのですから、農業移民の実情がどうだぐらいは、幾ら東京の外務省でもつかまえておられないと、この移民政策というのは成功しませんが、こういうふうな事例について、ほかにありましたらお伺いしたい。
#30
○山下説明員 大体ブラジルの移民のうちで、北のアマゾン地区と東北の地区、これは移住事業団の直営の移住地としてやっておるわけでありますが、それ以外のブラジル側の移住地区がアマゾン地区に十四、東北のほうに八、この向こう側の経営している移住地は、一般に非常に悪くて、最初の向こう側の大体の計画である道路なんかの整備も進んでおらず、非常に悪かったものですから、四十一年にわれわれのほうは調査団を派遣して、各移住地について詳しく調べ、その後も継続的に現地の移住事業団が調査を続けておりまして、特に悪かった東北地区のプナウ、ピウンについては、ほとんど全部に対して漸次いいほうに移っていただくとか、それからごく一部の人だけ残って続けるというふうな、全般的な調査に基づいた対策を講じまして、現在もその政策を徐々に推進しておる段階でございます。
#31
○淡谷委員 愛知大臣、私は、この報告を受けまして思い出したことがあるのです。これは戦前、移民について石川達三さんが「蒼氓」という小説を書いたことがあり、映画化されましたが、「蒼氓」という字が出ると、蒼氓とはもろもろの民のことであるというタイトルが出ます。そして落ち葉が散っております。そのような姿が、あの戦前の移民であったのですが、戦後は、こういうことがなくなったかと思うと、なくなっていない。いまお答えになったアマゾン地区ですが、これも、この地区の移民については、当時だいぶ議論したのです。外務省は無理だろう、やはり農林省が直接に指導すべきじゃないかという説がかなり強かった。しかも、いま道の話が出ましたが、この事業団がやっておりますクビチェックの地区でも、野菜をとっても卵をとっても、これを運搬する道路がないのですよ。したがってトラックなどへ乗って、がたがたの山を走っているうちに、サルバドル市という市へ出るまでに半分は壊れてしまうというのです。商売にならぬという実情であるのです。中でも、昨日私は事業団を呼んで聞いてみたのですが、いま帰ろうかと言っておる人に福原千代三郎という人があるのですが、トラックで野菜を運搬している途中で、道が悪いために、そこから落ちて、ひざの皿を割ってしまって、もう労働ができなくなって、近く帰還するというのです。この道路についても、九年前からつくる、つくるということをしょっちゅう約束しているそうでありますが、さっぱりつくってくれない。野菜と鶏がおもなる営農の姿なのですが、鶏も成功し、野菜も成功しましても、道路がないために、全然輸送の道が閉ざされているために、これを販売できないで、全員がほとんど山ザルのような暮らしをしているという状態です。これを九年間もどうして放置されていたのですか。こういうふうに半分も離脱するまで黙って見ている手があるのですか。移民の契励をやっておいて、あとはこんな暮らしをさせて、道もつけてやらないというそんな手はない。外務省は一体どういう調査をし、どういう対策を講じたか伺いたい。
#32
○山下説明員 このクビチェックの移住地においては、最初移住者はトマトをつくっておりまして、最初のうちはかなりよかった。ところが、その近所のリオ・ボニートの移住地でもそうでありますが、日本人がトマトで成功すると、ブラジル人も同時にトマトをつくり出す。そのためトマトの市況が非常に悪くなった。そこで適当な段階において、ほかの永年作物や養鶏、養豚に切りかえて、そうしてバランスのとれた営農をするというふうに現在指導しております。
 それから道路の問題でありますが、これは、ここの移住地は、事業団の直営の移住地ではございませんので、直接事業団がやるというわけにいかないので、どうしても向こうの政府にやってもらうということで、何回も移住事業団並びに在外公館から向こうの政府側に交渉しておりますが、一時向こうはブルドーザーを入れて工事を始めたのですが、そのブルドーザーが故障したために、その工事が中途でとまっている。そこで移住地の中で道路の非常に悪い地区ができまして、そこに住んでいた移住者は、大体ほかのもっと道路事情のいいところに行って、現在二戸の人たちがまだそこにとどまっているというのが、われわれの受けている報告であります。
#33
○淡谷委員 二戸ではなくて七戸まだ残っているんですよ。正確にいいますと、もっといるらしいのです。きのう事業団に調査してもらいましたが、大体十戸いる。ですから、二戸と十戸とではだいぶ違うんですがね。
#34
○山下説明員 移住地全体として見ると、大体十戸というのがわれわれのあれで、特に私が申し上げた移住地の中でケブラッコというところが非常に道路が悪くて、そこに入った人をなるべくほかに移していただいて、その悪いところに残っているのが二戸というわけで、移住地全体としては十戸というのがわれわれの調査であります。
#35
○淡谷委員 このケブラッコというのは、大体十四戸のうち七戸残っております。そして中にはどうにもしようがなくて、帰ろうと思っても旅費がないし、ひとつ向こうから追放でもされたらと思って、どうも領事館で刃傷ざたを起こしたような人まで出ているんですが、それを把握されておりますか。これは私、名前を出したくありませんから申しませんが、そういうことまでして移民の苦しみを訴えております。要するに帰還をするための直接行動みたいになっているのです。こういう実情は、やはりはっきり把握されて、早く手を打ちませんと――これは青森地区の十四戸だけの問題ではない。五万人の農業移民がまだおりますから、その実態がこういうような形になっているとすれば、これはこの辺でひとつ大臣、心を入れかえて本格的に取り組まれるか、もし農業移民は外務省では無理だというなら農林省に移すとかなんとか処置をとりませんと、また前の移民と同じような悲惨な結果をもたらすと思いますが、いかがでありましょうか。
#36
○愛知国務大臣 先ほど来政府委員から御説明申し上げているような点でまだ御不満のところもおありになろうかと思いますけれども、実は先ほどもおあげになりましたが、青森県の工藤さんという県会議員の方が、非常に熱心に現地でみずから調査に当たられて最近お帰りになった。また淡谷委員からも非常に御熱心な御指導をいただいておるということをつい最近も私耳にいたしまして、自分でも事情を聞いてみたわけでございますが、クビチェックの現状というものはほんとうに寒心にたえないことであろうと思います。いままで外務省あるいは出先あるいは事業団でも決して看過していたわけではないようでございまして、それ相応に熱心に、たとえばいまの道路の問題にいたしましても何べんか折衝してきたようでありますけれども、何分これは先方の州の仕事であるために、向こうさんがなかなか動かないためにじんぜん日をむなしゅうしたというところもあるようでございますが、今後そうした現地の実情については在外公館等に一そう熱心に、関心を深くしてお世話ができるようにしたいと思います。
 それから一番最後におあげになりました事案も私も承知しております。たいへん不幸な事件だったと思います。御本人につきましては国援法が適用にならないようですから、何とかそのほかの方法で旅費を調達することはできないだろうか、こういう方については早く帰国を、御希望をかなえるようにしてあげなければいけない、かように考えておるわけでございまして、従来足らざる点がいろいろあったようでありますが、ますますそういったことに気を配りまして、ひとつできるだけ御心配をかけないようにしたい、かように考えておる次第でございます。
#37
○淡谷委員 愛知国務大臣、私この質問は決して政府をいじめようとか、何か党派的な対立でやろうというのでございませんので、その点は誤解がないように特にお願いしておきますが、開拓事業というのは国内でもたいへんむずかしいのです。国内でさえ歩どまりが非常に悪くなっていまして、二転、三転開拓者はかわって実績があがらぬという事例がたくさんございますので、開拓行政全般についてこの際再考する必要があろうと思うのですが、特に海外に出た農業移民というのは内地で想像もできないような苦しみをなめていると思うし、またさまざま政府としても苦労もあるだろうことはわかっております。特にいまお話しのような道路一つにしましても、日本の場合は日本政府を動かせばいいのですが、外国の場合は外国の政府なり自治体を動すのですから、これは外務省が努力されることは私は絶対必要だとは思うのです。具体的に詰めるのが一番いいと思いますが、クビチェックという地区は最初入植の場合に相手方、受け入れ側と何かはっきりした契約をとっているのですか。たとえば道路一本を九年間も放置されておくような契約ではたよりないのですね。入植条件というものがはっきりした文書で相手側と取りかわされていたかどうかというような問題が残る。
#38
○愛知国務大臣 これは具体的には事務当局からお答えしたほうがいいと思いますが、やはり入るときには相当こまかい条件ができておるはずだと思うのでありますけれども、それが守られなかったりしておるのが現状じゃないかと思います。
 それから、ただいまもお話しのように、私自身も、数年前のことであまりこまかいところまでは入れませんでしたけれども、ブラジルの移民の状況なども実地で勉強したのであります。ほんとうにこれは手の届かぬところが多い。それからブラジルもやはり国内の政策の転換、国内のいろいろの条件の変化でございますね。たとえば、都市周辺ばかりが発達して、そうして取り残されたようなところは、ブラジル全体としても取り残されてしまって、たとえば、農業にしましても、都市周辺の農業はうまくいっているけれども、遠隔の土地では、先ほどお話しがありましたように、これはトマトあるいは養鶏、養豚にしましても、やっても需要地に対してあまりに遠隔になり、それから人口の移動も近来多いようでございますから、そういうふうな向こう自体の経済事情の変化というようなことがからんでまいりますから、ほんとうにこれは行っている方々はお気の毒だと思います。そこで、いま現在行っておって非常にお困りの方々にいろいろの対策を講じてあげることは急速にやらなければなりませんし、また将来の問題としては、日本の国内事情もまた大きく変わっておりますから、移住計画については出すといいますか、出ていく前の計画が非常に具体的であり、また近代的であり、そうして向こうでも快的に仕事ができるようにお役に立つように、そのことが一番必要じゃないかと思います。ともすると、従来は、特に農業移民は出してやりさえすればいいんだ、言い過ぎかもしれませんが、そういう気持ちが関係の当局の中にもあったんじゃなかろうか。これはもうこちらの事情も変わりましたし、大いに反省して前向きの移住政策というものに取り組まなければならない。何も農業だけに限らないと私は思います。たとえば、中小企業の団体がプラントとして出かけていくというようなことなどもこれからの移住政策の眼目ではなかろうか、こんなふうにも考えておるわけでございます。
#39
○淡谷委員 これは移民全体としては相当広範な問題もあるでしょうが、きょうは農業移民だけに限って御質問申し上げたいと思うのですけれども、いまお願いしました当初の契約書というのは手に入りますか。
#40
○山下説明員 このクビチェックの移住地については、事業団の前の海協連というのと向こうの州政府との間で契約書を取りかわしておりまして、これは手に入ります。必要ならば、あとで提出いたします。
#41
○淡谷委員 ぜひこれも資料としてお出しを願いたいと思う。
 それからもう一つ気になりますのは、アマゾン地区なんですが、これは直接どこの県に関係あると問わず、アマゾン地区というのは向こうのほうの受け入れの責任はどこになっておりますか。
#42
○山下説明員 アマゾン地区の場合は、先ほど申し上げましたように第二トメヤスは移住事業団が直接やっておりますけれども、それ以外のところは場所によって連邦政府が直接やっておりますし、あるところはその州の政府が経営しておるのが大体多いのでございます。州もしくは連邦でございます。
#43
○淡谷委員 土地の所有者はだれになっております、アマゾン地区は。
#44
○山下説明員 これは当初入るときに大体地権を受けるという契約になっておりますけれども、実際に地権を受けるのはばらばらの適当の時期にあとになってから行なわれますので、半分ぐらいはまだ州政府のものになっており、半分ぐらいは金を払う段階になった人が自分の名義に変えておるというのが現状でございます。
#45
○淡谷委員 愛知大臣、これも大臣もたぶん御記憶にあるだろうと思いますが、アマゾン地区一帯の非常に広範な土地に移民を送る場合に、農林委員会などでもしばしば問題になったのですが、たしかニューヨークの市中銀行に日本も若干投資をして広大な土地を確保するというあれがございました。その土地を確保する目的は、日本から農業移民を送るんだというので、これは土地をただ銀行が買いたいために日本の農民を看板にするのじゃないかということを私どもはかなり激しく追及したことがございますが、あの計画はその後どうなっておりますか。私も聞いておりませんが、大臣たぶんそのほうにも関係が深いのですからおわかりだろうと思いますので……。
#46
○愛知国務大臣 私も率直にいって思い出しました。いま御指摘のような案を考えたこともありますし、またそれに片棒をかついだことも私もございますが、どうもあの話はそれっきりになったのじゃないかと思います。
#47
○山下説明員 先生のお尋ねの件かどうかあれですけれども、一回アメリカのほうの銀行から金を借りて、それが移住事業団の原資に入りまして、それを二年くらい前に返しているという経緯がございます。
#48
○淡谷委員 これは大臣、やっぱりおやめになってよかったと思うのです。もう日本の農業移民が看板になって向こうの土地投資などに使われたのでは、実際に移民は泣くにも泣かれぬ目にあうと思いますので、これはおやめになって非常に賢明だと思いますが、今後の問題もそれに関係があるのじゃないかと思って私もだいぶ心配しました。
 それで残る一つの問題点として、離脱していった人たちの行くえの追跡ですね。これは日本の内地でさえも出かせぎした人で行くえがわからないという例がたくさん出てきておるのですが、向こうでもこの移住地を離脱した人が、青森県関係で十四戸入って七戸しか残っておりません。この出て行った人の行き先は把握されておりますか。
#49
○山下説明員 先ほど申し上げましたように、かなり成功をして、他のいいところに移った方の場合には大体把握しておりますけれども、そうじゃない場合にはなかなか把握できない分が多くなっております。そうなると、在外公館がやっておる一般的な在留邦人の調査ということで調べておりますけれども、ある程度はわかっております。ただし、全般ではわからない分が大部分でございます。
#50
○淡谷委員 この農業移民なども外務省が所管するという必要がそこにあるだろうと思うので、これはもう国内でもなかなか追及はむずかしくなっているのに、さまざまな失敗が重なって、それでなくても行くえをくらましたいと思っているのを、外地で追跡するのは非常にむずかしいと思いますけれども、やはり責任上これはひとつはっきりさしておいたほうがよいように私は思うのです。これは当然の話だろうと思う。たいへんむずかしいだろうと思います。五万何千人という人でございますから、一々の把握はむずかしいだろうと思いますけれども、そこにもやっぱり移民政策のむずかしさがあると思う。これは絶えずいわれてきたのですが、移民が棄民になってはならない。海外へ日本の移民を捨ててくるだけではいかぬということがずいぶん長い間主張されておるわけなんですが、今日の姿を見ますと、またしてもそういうふうなあやまちが繰り返されておると私には思われる。これでは非常に心配になりますので、この辺でひとつ――内外ともに必要ですけれども、国内の開拓事業をもう一ぺん検討すると同時に、特に海外でさまざまな困難をなめております移民についても、抜本的に政策を立て直すか、運営を改めるか何かしなければならぬと思うのですが、大臣どうお考えでございますか。
#51
○愛知国務大臣 先ほども率直に申し上げましたように、いまおあげになりましたようないろいろの点については、ほんとうにひとつの日本の移住政策の転機に来ておるわけでありますから、ここでいろいろの意味で考え方も新たにし、また過去の実績に顧みまして、改善しなければならぬ点は大いに率直に改善をしていかなければならないのではなかろうか。御意見の点については、私も大体御同感に考えております。
#52
○淡谷委員 特にこのクビチェック地区の問題に限って申し上げますと、郊外といっても百キロも離れておったんじゃ、日本で考える郊外とだいぶ違っているのですね。そのために、ここの補助の形としては、トラックを入れる、あるいはトラクターを入れているようですが、このトラックが通る道がないということは、トラックがあってもなくても同じことなんです。むしろ道がないところをトラックをやったものですから、負傷者が出てまた失敗があるといったような、非常に不合理な話も出てまいっております。これは国内の郊外地の観念と、あの広いブラジルの郊外の観念じゃ、だいぶ違うと思いますので、その点なども入植当時から調べて考えておかなければならない条件だろうと思うのです。そのために生産資材の搬入はできず、生産物の販売はできず、そのためにもこじき同然の生活をしなければならないという土地を持っていながらそのような状態になっているということが出てきているのです。この際、早急に州政府と交渉をされて道路をつくらせるという可能性はございますか、ございませんか。九年間放置されたというのですから、これは契約書を見なければわからぬでしょうけれども、その可能性はあるかどうか、見通しはいかがです。
#53
○山下説明員 この道路の問題ですが、われわれのほうからずいぶん何回もあれして、向こう側でもやる意思を持って、ブルドーザーの機械を入れて現在やり始めたのですが、それが故障で、パーツが入らないということで延びているわけでございます。これはパーツが入ればまた再開されるということになっておりますから、いずれだんだんによくなっていく。われわれとしてもできるだけ早くやるようにあらゆる努力をしていきたいと思います。
#54
○淡谷委員 これは国内開拓の場合でも、第一条件は道路なんです。北部パイロットファームなんかでも、非常に金をかけて道路までつくって、それから開拓に入っているわけなんで、実際遠隔地の開拓地というのは、道路がなければ孤島みたいなものですからね。だんだんよくなるといっても、九年間できなかったわけですから。道路がよくなる前に移民が死んじゃったらしようがありませんからね。早急にこれは向こうのほうと交渉しまして、道路をつくるのか、つくらなかったらもっと別なところへ移転させるといったような構想をお持ちになる必要があると思いますが、いかがでございますか。これは大臣から御答弁を……。
#55
○愛知国務大臣 これも全く仰せのとおりで、長年の間道路ができなかったわけですから、期待しておりましてもなかなか今後も運ばない場合もあろうかとも思うのです。そこで、やはり次善の策としては、比較的道路の整備された他地区に移転をしてもらうということもやらなければならぬ。現にケブラッコ地底ですか、ここの場合におきましては、同移住地内の他地区に転住して、現在二家族だけ残っておると、先ほどもこれは報告がありましたとおりでございますが、そういう次善の策もあわせとっている。このことはもうやむを得ざる措置じゃないかと思います。
#56
○淡谷委員 これはクビチェック地区に限るかどうか知りませんが、全体の農業移民を見た場合に、こういうふうに道路その他の設備が十分でないところは、受け入れ側の責任者と早急に交渉して、第一には便利な道路をつくってやることが一つ、それがなかったら、やはり第二には道のあるところへ転住させることですね。これは幾ら生産してもしようがないわけですから。それがもしできない場合は、やはりいまおっしゃったとおり、どこかもっと有利な移住地を見つけてやる。現にこのクビチェック地区でも、ボリビアのサンファンとかあるいはパラグアイのイグアスとかブラジルのトメアスといったような、希望するような移住地がたくさんあるようですから、これは移民の諸君が死ぬ前に――もう九年もがまんしてそんな生活をしているのですから、ひどい目にあわぬ前に、早急にこれは外務省のほうでも手を入れてやっていただきたい。もしそれがどうしてもできない場合は、今度みたいな刃傷ざたなどの起こる前に、日本へ引き揚げるような策も考えなければならないと思う。同じ貧乏しましても、内地の貧乏と向こうの貧乏では、だいぶニュアンスが違うと思いますし、その点も政策としてはっきり取り上げる必要があると思うのですが、大臣、ひとつお考えをお聞かせ願いたい。
#57
○愛知国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、いまの御心配の点を十分体して善処してまいりたい、かように考えております。
 現に他地区に移住するということも、実際問題としていろいろの事情でなかなか困難かと思いますけれども、これらについては、現在の現住地における移住者の方々の御希望もよく聞き、それから転住先の条件などもよく政府側でも調べた上で、円満に移転をしていただく。また、どうにもならない場合には最後の措置も考えなければならない、かように考えております。
#58
○淡谷委員 これは五万数千人のうちのほんの十四戸の例でございますけれども、サンプルケースにはなると思うのです。特に工藤君という人は、自分の子供を向こうに送っておりますし、異例のことですが、自費で半年間、克明に歩いて、この地区だけじゃなくて、方々見てきた報告でございますので、私まだブラジルは見たことありませんけれども、信憑性のある報告だと思いますが、ひとつこれを例にしまして、個人の力でもこれくらいの調査はして帰るのですから、政府が外務省の力をもってして、現在の農業移民の実態が調べられないはずはないと思いますから、委員会の質疑応答なども、言った、答えただけじゃ意味がありませんから、きょうお願いしました資料などもお出しの上――あとのほうはいろいろございましょうが、さしずめ農業移民の実態がどうなっておるのか、問題点がどうなのか、こういうのを全部お調べの上、できるだけ早く御回答願いたい。それによって、あらためてまた大臣にいろいろお聞きしたいこともできると思いますので、ひとつその点のお約束をしていただきたいと思うのです。大臣からひとつ……。
#59
○愛知国務大臣 喜んでお約束いたします。
 それから先ほども申し上げましたように、工藤さんという方が――まだ私はお目にかかっておりませんが、自費で半年もほんとうに詳細にお調べになった。私も非常に敬服しておるわけでございます。工藤さんの御意見なども、われわれも参考になることたくさんあると思いますから、直接にもまたお聞かせをいただきまして、今後の施策に大いに参考にいたしたいと思います。
#60
○淡谷委員 私も近くまた会いますので、その大臣の気持ちを伝えまして、ぜひそういう機会をつくっていただきたいと思います。
 いろいろ結論は出ませんけれども、現在ブラジルにおける日本の移民の実態の一端として申し上げました。今後の善処方を――これは形式的じゃない善処方を早急におやり願いたい。
 質問を終わります。
#61
○藤田委員長 鈴切康雄君。
#62
○鈴切委員 大臣にお聞きしたいことがあるのですが、一九五〇年の十月十七日のいわゆる三十八度線突破決議と国連軍の問題について少々お伺いいたします。
 一九五〇年の六月二十七日、安保理事会決議の勧告決議は、国連憲章第四十二条によるいわゆる制裁措置、すなわち軍事的措置をとるという決議であると思いますが、その点間違いありませんか。
#63
○愛知国務大臣 ただいまお尋ねの点は、国連憲章で申しますと第三十九条の安全保障理事会の一般的権能、この規定に根拠をするものという解釈でございます。この中の「国際の平和及び安全を維持し又は回復するために、勧告をし、」と書いてありますが、その勧告がもとになっておる、こういうふうに解釈しております。
#64
○鈴切委員 国連憲章第四十二条によるいわゆる制裁措置、これに対してはどうですか、お聞きしておきます。
#65
○愛知国務大臣 それではこの点は国連局長からお答えいたさせます。
#66
○重光政府委員 四十二条は軍事的措置でございます。これは安保理事会がまず平和の破壊ないしは侵略の存在という事実を決定いたしまして、その決定しましたあとでやる行為が二つあるわけでございます。勧告と決定でございます。ただいま大臣から御説明申し上げましたのは、現実に朝鮮事変に関連して安保理事会でやりましたのは勧告でございまして、この四十二条というのは決定のほうなんでございます。法律的に申しますと、四十二条の決定は朝鮮事変に関しては行なわれなかった、こういうことでございます。
#67
○鈴切委員 それでは、この決議の国連加盟国に対する拘束力はどういうことになりますか。
#68
○重光政府委員 この安保理事会の決議でございますが、これは三十九条による勧告でございますから、この安保理事会の決議そのものがいっておるように、加盟国に対して要請をしておるわけでございます。したがって、国連軍として朝鮮に軍隊を派遣しました国は、その要請を受諾して、すなわち勧告を受諾して出した、すなわち安保理事会の決定によって、その法的拘束力を受けて出したということではないのでございます。
#69
○鈴切委員 それであるならば、結局、結論というのは、義務的であり、勧告決議は強制力はない、こう判断していいわけですね。その点……。
#70
○重光政府委員 勧告そのものとしてはおっしゃるとおりでございます。
#71
○鈴切委員 一九五〇年十月七日の、いわゆる三十八度線突破決議といわれる総会決議があります。一般論として総会決議の加盟国に対するところの拘束力はどのようになっておりましょうか。
#72
○重光政府委員 一般問題といたしまして法的拘束力はございませんで、勧告的な性格のものでございます。
#73
○鈴切委員 そうしますと、総会の決議というのは、勧告的なものであって、実際には拘束力はない、このように判断していいわけですね。その点……。
#74
○重光政府委員 法律的な拘束力がないということでございます。
#75
○鈴切委員 国連による制裁行動もしくは軍事行動については、元来安保理事会の専権事項だと解釈をされます。だとするならば、一九五〇年十月七日の総会の、三十八度線突破という重大な内容を持った議決は、総会においてなし得ない、すなわち総会の越権行為となるのではないか。その点について……。
#76
○重光政府委員 この問題につきましては、前の、去年の通常国会におきまして、政府の統一見解を求められた問題だと私了解いたしますが、そこで統一見解として御説明いたしましたように、法律的に申しますならば、三十八度線を突破してもいいという法的根拠は、ただいま初めに先生がおっしゃった、この六月の安保理事会の決議からしか出てこない。したがって、十月七日の総会決議は、ちょうどその時期が現地における戦闘状態の進展と合っておるのでございますけれども、しかし法律的には三十八度線を越えて行動するという道義的裏づけを行なったというふうに私どもは解釈しております。したがって、法律的にこの総会が安保理事会の権限を侵して法律的な決定を行なったというふうには解釈していないわけでございます。
#77
○鈴切委員 総会は軍事行動をとるという権限はないわけであります。国連憲章第十一条の二項の解釈からするならば、これは当然出てくるわけです。そうすると、総会は紛争問題や平和を維持する問題を審議する機関であって、当然三十八度線突破という重大な内容を持った決議は総会においてはなし得ないという結論になると思いますが、その点の判断はどうでしょうか。
#78
○重光政府委員 法律的に総会が決定をなし得ないということは、お説のとおりだと思います。
#79
○鈴切委員 一九五〇年の六月二十五日、同二十七日、七月七日の決議は、それぞれ安保理事会でありました。しかるに突如として十月七日の決議が総会で行なわれた。それは、前の三つの決議の際には、ソ連が安保理事会を欠席をしていたためでありまして、その後、ソ連が再び出席するようになったので、安保理事会での決議が不可能となったため、アメリカは総会を利用することになった、私はそのように判断をしております。だから、アメリカは、前のように総会において、本来ならば安保理事会でなされるべき事項を総会において強引に決議することになったのではないか、そのように見るのですが、その点については、どのように御判断なさいますか。
#80
○重光政府委員 政治的に申しますならば、いま先生のおっしゃったような事情があったと私ども理解しております。しかし安保理事会の法律的権限を総会にやらせたということは全然ございません。
#81
○鈴切委員 一九五〇年十一月二日の総会において、いわゆる平和のための結集決議がアメリカの提案によって採択をされております。この決議は、安保理事会において拒否権のために適時の決議ができず、その機能が停滞する場合には、総会は国際の平和のため、軍隊の使用も含む措置について適当な勧告をする決議を行なうというものであります。しかし、この平和のための結集決議については、安保理事会の権限を侵害するものとして、いろいろの論議がなされておるわけであります。しかし、この平和結集決議を一応認めたとしても、この決議は、三十八度線突破の十月七日の総会決議が行なわれたちょうど一カ月後の十一月二日であります。だから、あの時点における三十八度線突破決議は、安保理事会の権限を侵し、総会に与えられた権限外の事項を決議したものとして違法性の疑いがある、このように思われるのですが、その点いかがでしょうか。
#82
○重光政府委員 いままで申し上げましたとおりに、また先生が御自身でおっしゃいますとおりに、総会の決議は勧告でございます。そして勧告をすることは、国連の機関として権限を持っておるわけでございます。したがいまして、同じ内容のものを理事会の決議で決定した場合には、法的拘束力が生じてくる。しかし同じ内容のものを総会でやれば、それが勧告になるということでございますから、理事会の権限を総会が侵した、あるいは総会が持っていない権限を決議した、そういうことにはならないと考えます。
#83
○鈴切委員 それでは、一九五〇年の六月二十五日、二十七日、七月七日の安保理事会の決議及び十月七日の総会決議は、今日もなお効力を継続しておる、そのように判断をされておるか。決議の効力の継続性については、いろいろと論議のあるところでありますけれども、政府の見解はどのようにされているか、その点について……。
#84
○重光政府委員 この決議の効力に関して法律的に定説があるとは私は思いませんが、実際問題として、いまあげました朝鮮のあの時代に関する諸決議は、その後休戦協定の締結及び国連総会における休戦協定の確認、またその後における諸決議、すべて休戦協定を確認した決議を引用しながらやっておりますから、法律的には有効であっても、その武力行使に関する事項は、休戦協定の成立によって事実上消えている、こういうことになるものと考えております。
#85
○鈴切委員 昭和四十三年の四月十六日の外務委員会において、私の同僚の伊藤委員から、六月二十五日、二十七日の決議は死んでいるのではないか、そういう質問に対して、三木外務大臣は、休戦協定ができたわけであるから、三十八度線を越えて国連軍が行動するときには、新たなる安保理事会などによる決議がなければ、休戦協定ができているのに、またこの決議によって三十八度線を越えることはできないと答弁をしております。また昭和四十三年三月二十九日の予算委員会における私の質問に対しましては、佐藤条約局長も、今後もし朝鮮で何らかの動乱が起こるような形になりますれば、おそらく総会としてはもう一度何らかの措置をとらざるを得ないと思うと答えておられます。そうすると、当時の一連の安保理事会及び総会の決議の効力は、事実上もはやないということになると思うのですが、その点について。
#86
○重光政府委員 この軍事行動に関しては、休戦協定前の決議、これは休戦協定によって事実問題がずいぶん変わっているということからくる問題だと思いますが、厳密に申しますれば、かりにこの五十年六月の安保理事会の決議で三十八度線を突破してもいいということ――いいといいますか、軍事行動ですから、そういうことになった。ところが御承知のように、休戦協定は、厳密に申しますれば、三十八度線ではないのでございます。御承知のように、韓国のほうは、東のほうは三十八度線を北のほうに置いているわけであります。西のほうは反対でございます。しかし、これらの事態というものは、休戦協定で、いまの休戦ラインを中心にして戦闘行動を停止するということになって今日になってきているわけでございますから、その点は、主として休戦協定によって、軍事行動に関する部分は変更されている、こういうふうに解釈できると考えます。
#87
○鈴切委員 四月の十六日の衆議院の外務委員会で三木外務大臣は、こうも言っております。すなわち、要するに休戦協定ができたから、軍事行動に対しては、やはり新たな決議でもなければできない――これはわかりますね。しかし他の項目に対しては、死んでいるとは思えない。ところが、いまおっしゃったそれに対しては、やはりその決議というものは生きていると言っておられます。ところが重光国連局長は、休戦協定ができました以後は、軍事行動については、それまでの決議の内容、すなわち軍事行動に関する決議の部分は、法律的にないものになっている、しかし、それ以外のこと、軍事行動以外のことは生きているとおっしゃっておりますが、これは政府の確定解釈ですか。その点についてどうですか。
#88
○愛知国務大臣 これは政府の確定解釈と聞いていただいてけっこうでございます。
#89
○鈴切委員 では、六月二十五日、それから二十七日、七月七日、十月七日の各決議のうち、どの事項が無効になるか、その点を明示していただきたい。
#90
○愛知国務大臣 休戦協定以外の部分でありますが、この点のこまかい点については、局長からお答えいたさせます。
#91
○重光政府委員 この条文について、一々ここでこの字が生きている、この字が生きていないということを申し上げる用意がございませんが、たとえば最近まで、去年もそうでございますが、朝鮮半島の問題で平和的手段による統一を目ざすんだというような部分は、当然休戦協定後も生きておるわけでございます。御質問でございますが、このあげられました三つの決議案の前文も主文もございますけれども、一々についてこの字はどうだということをいま直ちに申し上げる用意はないのでございますが、御了解願います。
#92
○鈴切委員 休戦協定ができました以後は、軍事行動についてはそれまでの決議の内容、すなわち軍事行動に関する決議の部分は法律的にないものになっている。しかしそれ以外のこと、軍事行動以外のことは生きていると言っておられるわけですから、それについて政府の確定解釈である、そういうようにいまお話がありました以上は、いまここで直ちにそのことが言えない状態であれば、どうかひとつ政府として確定解釈の上に立って、六月二十五日、二十七日、七月七日、十月七日の各決議のうち、どの事項が無効になるか、その点をはっきりして私に示していただきたい。その点を委員長にお願いいたします。
#93
○重光政府委員 この点はいままで申しましたように、軍事行動に関連のあるものは全部死んでおる。関連のないものはそのまま生きておる。そこで各字句に対して、この字はどうだということは、これはなかなかむずかしい問題で、軍事行動に関連したものは死んでおるということで御了解を願えるのではないかと私は思いますが、いかがでございましょうか。
#94
○鈴切委員 軍事行動に関するものは死んでいるということをあなたが言われる以上は、少なくともこの条項とこの条項とこの条項は、これは死んでいるんだ、条約は条項によってすべて判断されるという一つの見解にせめて立つならば、それを拡大解釈しながら、それが拡張されるというようなこと、そのつどそのつど政府の考え方が違うというような状態であってはならぬわけですから、その点についてあなたがそうはっきりおっしゃっている以上、少なくともその点については統一した見解を示していただきたい、その点をお願いしておきます。
#95
○重光政府委員 おことばを返すようなことで申しわけないのですが、先ほどから申しますように、この決議というものは決して法律でも条約でもないわけでございます。また法律的効果を持った文章でもないわけでございます。したがって勧告でございますから、その勧告の文章をどれが死んでおる、どれが生きておる、条文を一々当たるのは普通やらないことでございますし、技術的にも非常にむずかしい問題でございますから、武力行使に関係のない部分だけが生きておるということで御了解を願いたいと思います。
#96
○鈴切委員 そういうあいまいなことでは私は承知できないわけであります。いろいろあなたが、三木さんが答弁をされた内容、それから伊藤委員に対する答弁の内容等をいろいろ検討してみますと、非常に食い違いがある。そういうところから考えて、拡大解釈されるということも十分考えられるので、その点についてはやはりいまここで私はすぐにどれとどれとどれはどうだということは申し上げませんけれども、少なくとも軍事的行動をとるというものについては死んでいると言う以上、死んでいるものについてははっきりしなければ死んだうちに入らないわけです。生きているか死んでいるか中途はんぱではわからない。あなたが死んでいると言う以上は、死んでいるものは何と何が死んでいるんだということを明らかにしてもらいたい。――じゃ、次にいきます。
 もし国連軍として軍事行動をとる場合は、再び新たな決議を必要とするならば、現在の国連軍はすでに戦闘を目的とする軍隊の機能を失っているばかりでなく、戦闘行動はできないわけでございます。とするならば、現在戦闘を任務とする韓国にある軍隊はアメリカ軍そのものであるが、もはや国連軍として韓国にもまた日本にも在留する理由はないのではないか。そういうふうに考えるのですが、その点についての見解をお願いいたします。
#97
○重光政府委員 休戦下にいまあるわけでございますから、北鮮も韓国側も戦闘行動をすることはできないわけでございます。国連軍も当然でございます。しかしこれは、完全なる平和状態ではないので、国連軍の存在というものはまだ続いております。事変当時は十六カ国の軍隊が現におりましたが、いまは連絡将校その他で、アメリカ軍、たしかタイの軍隊が一部おると思いましたが、その程度で国連軍を形成しておるわけでございます。実際問題として、アメリカ軍以外の戦闘部隊というものは非常に縮小されておるけれども、しかし朝鮮半島における、国連軍としての休戦下における任務というものは、そのまま持ち続けておるわけでございます。
#98
○鈴切委員 そうしますと、いまあなたのおっしゃる現在の国連軍は、もうすでに戦闘を目的とする軍隊の機能を失っておるわけですね。そうであるならば、戦闘行為はもうできないわけです。そうすると現在戦闘を任務としての韓国にある軍隊というものは、たとえそれがわずかであろうとも、国連軍であるという状態であるならば、これは韓国にもまた日本にも在留する理由はない、このように私は判断するのですが、その点についてもう一度。
#99
○重光政府委員 いまお話のありましたように、休戦下における軍隊としての任務は持っておるわけです。たとえば休戦協定の違反行為に対する措置とか、そういうものは当然持っておるわけでございます。そして休戦下における国連軍の任務というものは持っておるわけでございますから、当然国連との関係におきまして、国連軍として韓国に駐在しておるという、法律的な根拠を持っておるわけでございます。
#100
○鈴切委員 どうもその点がはっきりしないのですが、それでは日本にいる、要するにアメリカ軍は日米安保による在日米軍、それから米韓条約によるアメリカ軍、韓国にいるのは米韓条約によるアメリカ軍そのもの以外ではあり得ない、私はそのように判断しておりますが、その点についてどうでしょうか。
#101
○重光政府委員 日本との関係におきましては国連との関係、それから国連軍の地位に関する協定、これがございます。したがって、米韓条約その他は、日本と関係ないわけでございます。日本といたしましては、ただいまあげましたような法律的関係から、国連軍としてわれわれは見ておるわけでございます。
#102
○鈴切委員 私のほうの考え方からいきますと、現在の国連軍というものは、戦闘を目的とする軍隊の機能を失っておるばかりでなく、戦闘行動はできない。とするならば、現在戦闘を任務とする韓国にある軍隊は、もはや国連軍として韓国に、また日本にも在留する理由はないという判断ですね。そうなった場合には、国連軍は当然撤退をして、その後あらためて国連の安保理事会または総会において、休戦監視団またはそれに類した組織を決議して、これを派遣すべきである。そういうように私のほうは考えておるのですが、現在のように、アメリカが国連の司令官を任命したり、アメリカのもとにある統一司令部を設置するというような国連軍は廃止をして、事務総長の指揮監督のもとに置かれるのがより一そう国連の精神に沿ったものといえるのではないか。現在の反共国連軍は国連精神にもとるものである。この間も、愛知外務大臣が言われましたように、国連憲章の中に敵国というふうなことがあるということは、これは国連憲章の精神には非常に沿わないということについては、受田委員からもお話があったとおりであります。現在の反共国連軍は国連精神にもとるものであり、またこのこと自体が、結局南北朝鮮の敵対感情を薄らいでいくことに役立っていくんじゃないか。もしアメリカが米韓相互防衛条約によって韓国に軍隊を置きたいというのであるならば、それはアメリカ軍そのものとしてとどめておくべきではないか。しかし私は、それは国連軍ではないという判断に立っておるのですが、その点について。
#103
○重光政府委員 先生の御意見は御意見として、一応そういう意見があるということは私もわかっておりますが、しかし現実問題として、国連軍というものについて毎年の国連総会においては、結論として大多数の賛成をもってその維持が決議されておるわけであります。それからまた、日本といたしましては、いま申しましたように国連軍との関係、法律関係もございます。したがって、それを前提として、いまある韓国におけるアメリカ、またタイ国――タイにもございますが、これらの軍隊は国連軍であるという立場にならざるを得ない。また、それ以外にこれを解釈する方法はないわけでございます。
#104
○鈴切委員 じゃ、日本にありますところのアメリカの軍隊は、国連軍であるかあるいはアメリカ軍であるかという関係についてはどうですか。アメリカ軍か国連軍か、どっちかということ。
#105
○佐藤(正二)政府委員 これは私からお答えしたほうがいいかと思いますが、日本におきます米軍に対しましては、わかりやすく申し上げますならば、国連軍と米軍と両方の鑑札を持っていると申しますか、両方の性格を持っている軍隊が一部にある。こういうことは言えると思います。ただ、米軍に関して、日本においてどういうもので規律しているかという点から見ますれば、これは全部安保条約及び地位協定という、あの一連の協定によって規律されている、こういうふうに御了解願いたいと思います。
#106
○鈴切委員 どうもその点がはっきりしないので、それじゃ具体的にお伺いします。
 それじゃ、たとえば板付から韓国に飛んで行った瞬間に国連軍になるのか、あるいはアメリカ軍それ自身が国連軍であるのか、あるいはどのような処置をとったときに国連軍になるのか、その点について一つ一つ明らかにしてもらいたい。
#107
○佐藤(正二)政府委員 先ほど申し上げましたとおり、国連軍と米軍との二枚鑑札というと非常に卑俗なことばでございますが、そういうふうな性質を持っております軍でございますが、これは法律関係から申しますと、――そういうふうなことを申しますのはあまり意味のないことでございまして、日本におります米軍につきましては、全部安保条約の系統で規律しておりますものでございますから、そこのところ、日本における法律関係を申しますれば、いわゆる安保条約下における米軍というふうに御理解願ってけっこうなんでございます。ただ、いわゆる性格と申しますか、普通の法律的関係を除きまして、性格的に考えれば二枚鑑札を持っているというふうにお考えを願いたいと思います。
#108
○鈴切委員 その二枚鑑札というのはまことに不明朗なことでありまして、常に都合のよいほうに解釈されますので、いま私が申し上げましたように、第一点の板付から韓国へ飛んで行った瞬間に国連軍になるのか。まずその点をお願いをしたい。
 それから次は、アメリカ軍それ自身が国連軍であるのか。
 それからどのような処置をとったときに国連軍になるのか。これについて明快な答弁をしていただかないと、二枚鑑札で都合のいいようにそこをすり変えられては、とてもじゃないけれども、国民は安心していられないわけですから、いま申し上げた点だけでけっこうでございますから、お願いします。
#109
○佐藤(正二)政府委員 板付から飛び出すという……。
#110
○鈴切委員 たとえての話ですが。
#111
○佐藤(正二)政府委員 もちろん仮定の問題としてお答えいたしますが、これは飛び出すときの日本の中でのいろんな規律と申しますか、これは米軍とお考えになってけっこうでございます。したがって、何かそういうふうな事態が起こりましたときに、事前協議の問題ももちろんかかります。それが向こうに行ったときにどういうふうになるかという問題は、これはむしろ何と申しますか、日本の法律関係とは関係のない問題でございまして、米軍自体が軍の規律上、国連軍司令官の指揮下に入るか入らないかという問題でございまして、むしろ日本の法律関係から申しますと、日本から出るときの法律関係は、全部安保条約のことで規律をされますから、それから先の話はどういうふうになりますか、これは米軍のほうの軍の規律と申しますか、軍の中の構成といったほうがよろしゅうございますか、そういうふうなものできめられるものだ、そういうふうに私了解しております。
#112
○鈴切委員 そうしますと、一点の板付から韓国に飛んで行った瞬間に国連軍になるかという点についてちょっと要約いたしますと、日本の国にいる間は在日米軍として日米安保条約のもとに置かれる。ところが、日本の領空を去ったときには、直ちに国連軍にもなり得るという判断に立ってよろしゅうございますか。
#113
○佐藤(正二)政府委員 その国連軍にもなり得ると申しますところが、そのとおりでございますが、なり得るかなり得ないかという問題は、むしろアメリカのほうの関係でそういうふうな関係が出てくると思います。
#114
○鈴切委員 それはアメリカのほうでそれについてはあれするにしても、いまそれはあり得るということの判断に立っておられる。
 それじゃ、アメリカ軍それ自身が国連軍であるかどうか、この点について。
 それからもう一つは、どのような処置をとったときに国連軍になるか。これを、たとえば陸軍の場合、海軍の場合、特に空軍の場合においてはどういうふうな考え方に立っておられるのか、その点について。
#115
○佐藤(正二)政府委員 アメリカ軍それ自体が――私了解いたしますのは、日本におりますアメリカ軍それ自体がという意味だろうと了解いたしますが、これもアメリカのほうの、何と申しますか、構成の問題でございまして、全部が全部、日本におります米軍が、国連軍司令官の指揮下に入っておるとは私は考えておりません。むしろそうじゃない軍があると思います。ただし、それがどういうふうに色分けされようと、日本とアメリカとの関係におきましては、同じ安保条約の規律下に入っておりますから、その区別と申しますのは、法律的にはあまり意味のない区別だと私考えております。
#116
○鈴切委員 いや、法律的には意味がないにしても、国連軍の行動となるけじめがはっきりしていないわけです。そこにやっぱり大きな問題がありますので、陸軍の場合とかあるいは海軍の場合、特に空軍の場合、こういうふうな状況が起きたときには、国連軍の行動をとるのだという、そのけじめをやはりはっきりとこの際お答えをいただきたい、そう思うのです。その点がはっきりしませんと、これは事前協議の対象等の問題についても、非常に重要な一つの役割りをなしてくるわけですから、この点について。
#117
○佐藤(正二)政府委員 けじめとおっしゃいますと、非常に抽象的にしかお答えできないと思うのでありますが、国連軍司令官の指揮下に入ったときが国連軍になったとき、とこういうふうな非常に抽象的なお答えしかできないと思います。事前協議のときにちょっとおっしゃいましたが、事前協議に関しましては、全部安保条約でやりますから、国連軍になりましょうと、ならなくても同じことでございます。
#118
○鈴切委員 それでは、あなたはそのように抽象的なことをおっしゃいましたので、では私は具体的にひとつ申し上げたい。
 現在もアメリカの軍用機が韓国を往復しておりますが、これは米軍としての行動であるか、あるいは国連軍としての行動であるか、その点について。
#119
○東郷政府委員 いま往復しておりますという飛行機はちょっとどういう飛行機かわかりませんが、韓国にあります米国の陸軍、空軍というようなものは、統一司令部としての米国のもとに置かれた、すなわちそういう意味で、これは米軍ではありますが、同時に国連軍という地位を持っておるものだと私は思いますが、国連軍に属する米国の飛行機が日本に来るという場合には、先ほどから条約局長が申しておりますように、安保条約、地位協定の系列に入るわけでございます。
#120
○鈴切委員 そうしますと、たとえば韓国を往復しているところのアメリカの軍用機が日本の領空に入ったとたんに、今度それは安保条約の中に置かれた行動になる、こういうことなんですか。
#121
○東郷政府委員 さようでございます。
#122
○鈴切委員 プエブロ及びエンタープライズの日本海における行動は米軍としての行動であったかまたは国連軍としての行動であったか、そのどちらですか。
#123
○東郷政府委員 これはアメリカ側の問題でございまして、当時エンタープライズなりプエブロなりを国連軍の指揮下に置いたかどうかという問題でございまして、これはその点アメリカはいずれとも発表しておりません。
#124
○鈴切委員 あなたはいまそのことについてどのように判断されておるか。それが在日米軍であるかあるいは第七艦隊であるかどちらであるか、その点についてあなたはどのようにお考えになっておりますか。
#125
○東郷政府委員 在日米軍という観念は安保条約ではないわけでございますが、いずれにいたしましてもエンタープライズなり――プエブロは日本に来たことはないと思いますけれども、そのような米国の軍艦は日本に関する限り安保条約の系列に入る問題だと思います。
#126
○鈴切委員 外務大臣、日米安保条約によってわが国における米国の軍隊と、たとえアメリカ軍であっても、国連軍とでは明らかに目的及び性格を異にしているわけです。先ほどから一個の人格が二面の性格を持つというふうなことを言っておられますけれども、一個の人格が二面の性格を持つことはできないはずであります。そのような二重性格は結局は御都合主義に流れてしまうというふうに思いますが、その点について外務大臣はどのように考えられますか。
#127
○愛知国務大臣 これは従来から、また今日政府委員からお答えいたしましたとおりでございまして、日本に関する限り、日本におりまする米国の軍隊、これは日本とアメリカとの関係におきましては全部安保条約の適用下にある。適用下ということは法律用語ではないかもしれませんけれども、いま政府委員が申しておりますような系列下にあるということは、日本とアメリカとの関係におけるところの日本にあるアメリカの軍隊というものは全部安保条約のもとにある。したがって、交換公文その他の了解あるいは地位協定というものが全部アメリカ軍隊にかぶる、こういうふうに考えておるのが政府の見解でございます。
#128
○鈴切委員 去る四十二年四月十六日の外務委員会において、私の同僚の伊藤委員の、朝鮮問題について休戦というのは、平和条約でないかという質問に対して、重光国連局長は「平和条約ではなくて、休戦状態を始めた協定でございます。完全にと言えば、まだ戦時でございますが、」――この「戦時」というところはちょっと問題かと思いますが、「まだ戦時でございますが、戦闘行為が行なわれていない戦時にあったということでございます。」と答弁をしておられます。
 第一にお尋ねしたい問題は、この「戦時」というのは国際法上の戦時であるかどうかという問題についてお伺いいたします。
#129
○愛知国務大臣 これも先ほど国連局長からお答えしたとおりであると思いますが、と申しますのは、休戦協定はできた、しかし平和な状態ではない、これは歴史的にもよくあることだと思いますけれども、つまり平和条約あるいは講和条約等が結ばれておるわけではございませんで、休戦の協定ができたという状態がいままで続いておる、したがって正常な姿ではない、そういう意味を国連局長が昨年も申し上げたのだと思います。
#130
○鈴切委員 中川条約局長は、ベトナム戦争は宣戦布告がなされていないから戦争法による戦争ではないと言われております。だから戦争法規の適用はない、中立法規の適用もないのだという答弁をされております。朝鮮戦争も宣戦布告はなかったわけであります。しかるに、朝鮮戦争については、たとえ国連軍の行為であっても、戦時であり戦争法規の適用があるというのに、北ベトナムは戦時でなく、その適用はないというのはこれは矛盾ではないかと思うのですがね。その点について、重光国連局長と中川条約局長とのいずれが正しいのか、外務大臣に答弁をお願いしたい。
#131
○佐藤(正二)政府委員 大臣から御答弁することかもしれませんが、先生御承知のとおり、第二次大戦以降いわゆる戦争という観念が国連憲章においてなくなったと申しますか、いわゆる従来の国際法における戦争という観念が自衛の戦争というものに限られてしまったわけでございます。したがって、戦争法規と申します中にいろいろ問題があるのでございますけれども、たとえば、ジュネーブ条約、ジュネーブでつくられました捕虜の関係だとか、文民の関係だとかという、いわゆる戦争をやる――戦争と申しますか、戦闘行為が行なわれたときに、種々人道的な問題がございますものですから、そういうふうな人道的な関係で、戦闘行為が行なわれているときに両戦闘当事者が守るべき準則、そういうふうなものに対しては当然いわゆる戦争法規と申しますか、従来いわれておりました戦争法規というものが適用されるということになりますが、昔のいわゆる戦争、宣戦された戦争というふうな観念はなくなったわけでございます。それは一番もとにあるわけでございますが、ベトナムの問題にいたしましても朝鮮の問題にいたしましても、侵略がありましてそれに対して自衛権が発動されたというふうに観念いたしておりますものですから、いわゆる戦争法規と申しますか、中立とかなんとかいうような旧来の戦争法規というものは、この際いわゆるベトナム戦争にいたしましても朝鮮戦争にいたしましても、そのまま適用されないというふうに考える、国連憲章下において考える場合にはそういうふうに考えるべきじゃないかと私は考えております。したがって、重光君が前にお答えいたしましたいわゆる戦時というようなものはいわゆる戦闘行為が行なわれまして、休戦の形につきましてまだ最終的な平和的な解決が行なわれてない状態、こういう意味で重光君お話になったと思います。中川さんのお話の場合にもそういうふうなものが頭の裏にありまして、戦争ではないという観念で、重光君、ことばが違いまして非常に誤解を受けるところがあるかもしれませんが、考え方としては同じ考え方じゃないかと私は考えております。
#132
○鈴切委員 どうもいまお話を聞いていると、さっぱりすっきりした御答弁でないわけでありますが、その点について、いま私が申し上げました重光国連局長と中川元条約局長の矛盾について、外務大臣はこうなんだという決定版をひとつここで出していただきたい、こう思います。
#133
○愛知国務大臣 いまも条約局長から申しましたように、私どもは両方の答弁は矛盾していないと思いますけれども、念のために私から申し上げます。
 私は条約とか法律の解釈あるいは国際法というふうなものの全部ではございませんけれども、常識的に政治家としてこういうふうに理解しております。
 たとえば、長い間続いておりました戦時国際法というふうなものに基づいて、戦争というものは宣戦布告をもって始まるものであって、それを前提として戦争ということばがずっと使われておったと思いますが、そういう意味においての戦争ではない。これは現代におけるいわゆる戦争というものの形態が、いまも説明がありますように変わってきているのではなかろうか。したがって、旧来の戦時国際法的な意味での戦争ということばでは律しられない状態を両君とも意味していたのではなかろうか、こういうふうに私は考えます。したがって、現在の朝鮮半島における状態というものは正常な状態ではない。これは常識的にいえば戦争だと思います。それからベトナムの場合におきましては、従来慣行されておったような国際法的な意味からいえば、戦争ということばは使うのにはなじまないかもしれないけれども、しかし事実上、現代人のお互いの感覚からいえば、私はこれは戦争というて間違いのない状態である。私の申しますのは常識でありあるいは政治家としての意見であって、これを条約論的にどういうふうに解明するかということは専門家にまかしたいと思いますが、私の考えはこうであり、また政府全体も政治の問題としてはかように理解しておると申し上げてよろしいのではないかと私は思います。
#134
○鈴切委員 そうしますと、ベトナムにおきましてもまた朝鮮におきましても、やはり関係性は同じである。厳密にいえば戦時である、こういうふうな解釈でよろしゅうございますか。
#135
○愛知国務大臣 厳密なとおっしゃられますと、それは国際法学者がどういうふうに解明するかということも含むかとも思いますから、私の申しますのはそういう意味では厳密でないかもしれませんが、常識的にわれわれお互い世界じゅうの人がベトナム戦争ということばも堂々と使い、またそれがだれからもおかしく思われていない状態でございますということを常識的に申し上げたわけであります。
#136
○鈴切委員 それでは重光国連局長にお伺いいたしますが、朝鮮において戦時が完全になくなり、通常の状態、すなわち平時になるとはいかなる手続を必要とされるか、その点について。
#137
○重光政府委員 御承知のとおり、朝鮮半島の事態は分裂国家同士の戦争でございます。したがいまして、これがどういう状態になったときに完全なる平和状態になるかということは、一つの問題点であろうと思います。国連の側から申しまして、国連軍でございますが、国連の朝鮮半島における活動、ことに休戦状態における活動というものが全部なくなって、国連がかりに、朝鮮半島には平和が訪れたのだから、特に平和維持のために国連が活動する必要はもうないと判定する、こういうことも将来の問題として一つ考えられるのではないかと思います。そういう状態になった場合に、休戦状態がまだ続いているかどうかという点は大いに疑問であろうと思います。と申しますのは、問題は、普通の場合は休戦協定のあとは平和条約でございます。しかし、分裂国家同士の平和条約という観念はいままではあまりないのでございまして、したがって、平和的な統一で問題が解消するか、あるいはその前の段階におきまして、いま申しましたように、朝鮮半島には完全なる平和状態ができたのだという判定が国連の側から行なわれる、これも一つの考え方ではないか、こういうふうに考えております。
#138
○鈴切委員 私はあの休戦協定が成立したあとは法的には平時に返った、そのように理解するのです。残された南北の統一の問題は朝鮮内部の問題であって、国連といえども干渉する余地はないはずであります。憲章第二条の第七項は内政不干渉の原則を明確にしておりますし、アメリカ政府と日本政府がいうように、再侵略を防止するというのであれば、あらためて別の決議を国連において行なう必要がある。だから、休戦協定が成立した後には一九五〇年の屡次の決議はもはや失効してしまっている。その当時の決議に基づく国連軍がそのまま無期限に残留する法的根拠はないはずになっておる。もっとも米韓条約による米軍の駐留とは別の問題であります。ただし、この軍隊は国連の旗を立てることはできないはずです。その点についてお答えいただきたい。
#139
○重光政府委員 この問題は先ほどお答え申し上げたことの繰り返しになるのでございますけれども、しかしとにかく国連において、毎年の総会で圧倒的多数で国連軍というものの存在及び活動が支持されておるということ、それから法律的関係から申しますれば、国連の関係と国連軍の地位に関する協定という関係で認めておることからいって、日本の立場からいいましても、それから国連全体の立場から申しましても、現在の国連軍というものは休戦下における任務を持つ軍隊として認められておる、こういうふうに解釈いたします。
#140
○鈴切委員 三木前外務大臣、重光国連局長も言明しておられますが、休戦協定が成立し休戦が実現したのであるから、屡次決議のうち軍事的事項はもはやすべて失効している、これは先ほど言われたとおりであります。とするならば、国際連合軍隊の地位に関する協定第二十四条の「すべての国際連合の軍隊は、すべての国際連合の軍隊が朝鮮から撤退していなければならない日の後九十日以内に日本国から撤退しなければならない。」との規定によって国連軍は撤退するのが当然になってくるわけであります。したがって、同二十五条の「この協定及びその合意された改正は、すべての国際連合の軍隊が第二十四条の規定に従って日本国から撤退しなければならない期日に終了する。」という規定によって、国際連合の軍隊の地位に関する協定はすみやかに失効させるのが当然ではないか、この点についてひとつ御意見を伺いたい。
#141
○愛知国務大臣 すべて詳しく御承知のとおりでございますから、いま私からこういうことを申し上げるのも不必要なことかと思いますが、試みに一九五三年七月二十七日に板門店で署名されたいわゆる休戦協定をあらためてごらんいただきましても、その中の前文には、「最終の平和的解決を達成するまでの間」という文句がございまして、「それまでの間個別的に集団的に、また相互に次の条項に掲げる休戦の条件を受諾し」というのがこの休戦協定の内容でありまして、したがっていま最終の平和的解決の達成がされていない状況である、こういうふうに理解してよろしいかと思います。なお、この休戦協定の当事者は朝鮮における軍事休戦に関する、一方国際連合軍司令部総司令官、他方朝鮮人民共和国軍最高司令官及び中国人民義勇軍司令、これが両方の当事者でございます。したがいまして、こういう関係やあるいはその後毎年の国連の総会の動向、決議等に徴しまして、いままだこの関係相互間、あるいはこれに関連する国連全体が最終的な、平和的な解決をまだ見るに至っていない状況であるということは、あらゆる機会に関係者が認識しているわけでございますから、私どももそれと同様の見解を持っている、これが日本政府の態度でございます。
#142
○鈴切委員 これは在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案、設置法に関係する問題でありますので、少し触れておきたいと思うのですが、在外公館に勤務する外務公務員の給与改定については、「物価の上昇を勘案し、」「各手当の額を合理的水準に定めるとともに、地域間の格差を是正する。」とありますけれども、物価水準の算定の基礎をどこに置いてこれをお考えになるのか、これについてお伺いいたします。
#143
○齋藤(鎭)政府委員 この点につきましてはいろいろの方法がございます。一番資料がよく整っておりまして正確であるというものは、IMFの生計費調査でございます。そこで、生計費の指数をドルに換算いたしまして、実質的な生計費指数というものを基準にして、それに住居手当につきましては実態調査を行ないましてそういうものを勘案して定めてございます。
#144
○鈴切委員 先進国においては確かに物価水準を算定する基礎資料があると思いますけれども、発展途上国においては基礎資料はないという国もやはり私はあるのじゃないか。この点について的確な把握がなされているかどうか、そしてIMFだけのあれでいいのかどうか、現地はそれではたしてその点だけを押していってそして全部が満足の状態にあるかどうか、その点について。
#145
○齋藤(鎭)政府委員 IMFは大体後進地域をカバーしております。それのないところにつきましては、実態調査を行なうというのが現状でございます。
#146
○鈴切委員 距離とかあるいは気候、衛生、社会制度等の格差のある国におけるところの生命身体を守るということは、これは非常にたいへんなことであり、また当然なことだと思うのですが、そういう点についてなぜ特殊勤勉手当というような、そういうものを設けなかったか。含まれているというものでは私はないと思うのですが、その点について、特に特殊勤勉手当というものを、こういうところに行くについてはやはりこういう問題があるということをもう少し大きくクローズアップした上においての手当の支給ということが必要ではないか、こう思うのですが、外務大臣どうですか。
#147
○愛知国務大臣 たいへん御理解のある御意見をいただきまして、特にありがたく思うわけでございますが、そういう点につきましても、できるだけ配慮をいたしたいと思いまして、いろいろこの案をつくりますときには努力をいたしたわけでございますが、率直に言えば、まだ足りないところがたいへん多いと思いますけれども、いろいろのほかとのつり合いとか、あるいは給与の問題でございますから、なかなか一挙に解決いたしませんでしたので、その点私もまだ不十分であるということを考え、かつ今後の努力にまちたいと思っておるわけでございます。
#148
○鈴切委員 先進国においては非常に教育費というのがかさんでいるわけです。過日も自民党の議員の方が言われたのですが、その点について非常に高いところの子弟を持っているところの教育費について、どのように今後考えていかれるか。
 それからまた、在外職員が、たとえば転勤をする場合は、旅費規程から実情に合わない場所があるわけです。その点、その転勤をされる方に対して十分に実情に合っているかどうか、この点もお伺いをいたします。
#149
○齋藤(鎭)政府委員 第一の点でございますが、先生の仰せのとおりに、ぜひ子女の教育のための手当というものをつくりたいと考えております。現在もまだ考えておりますが、今般は住宅手当をつくるということに専念いたしまして、財政的な関係もございまして、今回の改正においてはこれは見送るけれども、次にはぜひ実現したいというふうに考えております。あわせて全日制の学校をつくるとか、あるいは講習場を持っているところに講師を派遣するとか、そういうところでとりあえずはやってまいりたいというふうに考えております。
#150
○鈴切委員 日本の紹介、宣伝をする広報宣伝費は、昭和四十四年度予算にどのくらい組み込まれておりますか。
#151
○齋藤(鎭)政府委員 ただいま数字を申し上げますが、ちょっと先ほどのお話のうちで、旅費の点を落としましたが、これは在勤手当の問題とうらはらでございますので、来年度はぜひ実現をしたいというのでただいま準備をしております。
 それから、二十億五千万円でございます。
#152
○鈴切委員 在外職員に対しては休暇をどのくらい与えているのでしょうか。
#153
○齋藤(鎭)政府委員 これはぜひ実現したいということでございますが、法律がございまして、低開発国は二年を経過した後、先進国につきましては四年という限定がございます。ただそれが、その法律がございますけれども、その範囲も予算の制約によって実現しておりませんので、努力をいたしまして法律の範囲内においてはぜひ実現するようにというように考えておりまして、予算もそれに見合って立てておりまして、百六十名毎年実現するようになっております。
#154
○鈴切委員 最後に、外務大臣にお聞きいたします。
 いま後進国においては二年に一ぺん、先進国においては四年に一回、こういう状態で日本に帰ってこられるわけでありますけれども、しかし、現在のように日進月歩する国際情勢並びに日本の発展というものを考えたときに、日本の国のその発展を海外において正しく紹介をする、並びにそれを把握するためには、二年に一ぺんや四年に一ぺんぐらい帰ってきたって、それこそ昔のお江戸時代のような感覚で日本を紹介されたのでは、私はまことにこれは日本の発展の上においても重大問題ではないかと思うのですね。その点について、また在外職員自体の志気高揚の上からも、やはり私はそれをもう少し在外職員に対してはこの際改正をしていく必要があるのではないか、もう少しその期間を詰めて日本に帰らせ、いろいろの点を勉強させて、そうしてまた海外に行かせるということのほうが非常に私はいいのではないかと思うのですが、その点について最後にお伺いをいたします。
#155
○愛知国務大臣 この点は、やはり非常に御理解のある御意見でありがたいのでありまして、私どもとしては、いまの二年、四年をできれば一年、二年ということに将来していただきたいと考えております。できるだけ御趣旨を生かすように努力をいたしたいと思います。同時に東京に勤務しております者も、率直にいいまして、私はじめしばしば外国へ出なければならない、そういう必要もあわせて私は痛感しておりますので、その点もあわせて御理解をお願いいたしたいと思います。
#156
○藤田委員長 受田新吉君。
#157
○受田委員 時間の制約がありまして、本会議が始まるまでには採決にもっていく運びのようですから、四、五分だけ……。
 この法律案によりまして、実は私、多年主張しました在勤俸が在勤手当という名称に変更せられまして、日本に勤務する職員との均衡が保たれるようになったことを、私としては一応満足するわけです。外務省が古い伝統にとらわれて、がんこにこの俸の字を使い続けてきたことを、私の主張どおりに、このたびやっと愛知さんのときになって、これを直してくれたわけです。私はその意味において、一応この在勤手当関係の諸法規に賛意を表します。同時にこの法律の中で問題になってくるのは、物価、為替レート、生活水準という関係を、一体どういうふうな関係で、これを閣議決定されたかという中身の問題ですが、これは論議すると時間がかかる問題で、きょうは残念ですが、IMFの調査という言い分だけでは、納得できない要素が別にあると思うのです。各国の国情というような、ものは、決してそういうしゃくし定木にいくものではない。
 それからもう一つ、あなた方は非常に、ここに不親切な資料を下さっているのですが、新しく改定される在勤基本手当につきましては、これを月額に計算されておられる。従来の法律は、これは年額にしてあったわけですが、比較検討するのに、これは非常に困る。たいへん不親切です。こういうことについて、特に在勤手当の十一号というというところと、一号、二号、総領事、一等書記官、参事官、そういうあたりが、先進諸国家においては本俸の上下が非常に圧縮されておるのですから、外国の公館につとめておる人と比べて、日本の人は本俸が開き過ぎておる。そうでしょう、明らかに開き過ぎておる。先進諸国家は大公使と初任の書記官と大体五、六倍くらいの差しかないと思います。日本は大公使と初任の書記官との間の給与というものは、もう十何倍も開いている。こんな大きな格差がある。それだけ人間に差をつけておるのが日本独得の制度で、これは外交官が一番よく知っている。
 私は過去久しきにわたって在勤手当について終始海外に勤務している人の実態に即した改正をしてもらいたいと要求してまいりましたが、三十六、七年に改正をされて、さらに四十一年に、そして今回三年目の改正をされる、こういうことです。これはできれば毎年改正されるのが筋であって、まとめて改正されるというのは筋ではないと思うのです。そこを、今後毎年できるだけ国情に応じて、諸外国の実情に応じて改定されるのが実態に即すると思うが、どうか。これが一つです。
 それから下級者をもっと優遇してもらわなければいかぬ。理事官や書記官の初叙の人などは非常に低いのです。これをもっと引き上げていく感覚をここでつくるべきだ。これをもっと具体的に御検討を願いたい。私は、あとから、法案がとおってからでも、便宜ちょっと外務省にこの問題は相談します。
 それからもう一つ最後に、在外公館に勤務する職員と、在外におる日本人と、その子弟がだんだんふえる。これからどんどん国際交流が多いから非常にふえます。そのふえる子弟の教育について海外における学校というものを、一応これを文部省の学校教育法による小学校、中学校というようなものにしても、それに当てはまるような法改正を必要とする。また、そこへ勤務する職員がいない、その先生がいない。そこで、外務省の教職員という制度をつくって、在外学校に勤務する教職員は公務員の身分を確保して、そうして在外公館の教職に当たるというかっこうで、私立の学校へ勤務してもいいわけです。身分がはっきりしておれば人事の交流もできる、人材も海外へ行ける、外交官の子弟の教育に対する道が開ける。それをお答え願って質問を終わります。
#158
○愛知国務大臣 たいへんごもっともな、また御激励をいただいて感謝申し上げます。
 今度のこの改正案につきまして率直に私申し上げますと、一つは子女の教育手当ということをぜひ実現したかったのが、これができなかったことであります。その点につきましては、ただいまの学校教育法の問題とあわせて今後前向きに実現するようにいたしたいと思いますので、どうか御協力をお願いいたしたいと思います。
 それから毎年やはり実態調査をいたしまして、これは内地におきましても人事院勧告が毎年出されておる、こういうようなことと照合してみましても、ぜひ在外勤務者に対しましても、毎年実態調査をやりまして、できれば年ごとに改正するのが本筋であろうと私も考えております。
 それから上下の格差につきましても、私も御同感でございます。ただ在外公館ということでありますから、今回も若干の改定をしていただきましたが、公館長あるいは公館長のすぐ次席とかいう立場にある人は、やはり外交機能を活発にするという意味でも相当の待遇が必要であろう。これは外交官の特質であろうと思いますので、その点につきましては御了解をいただきたいと思います。
 それからもう一つは、住居手当ということを今回考えていただくことになりましたために、全体としての格差の是正と、全体の格上げということについては、まだまだ不十分であった。この点についても努力を新たにしたい、こういう考え方でございます。
 それから学校制度につきましては、これも私、実は文部行政を担当いたしましたときにも、この点をもう少し積極的にやりたいと思いましたが、今日まだそこまでいかなかったのを非常に遺憾に思っております。ぜひひとつ実現の方向に向くように関係方面の理解と協力を得たいと思っております。
#159
○受田委員 以上で終わります。
#160
○藤田委員長 これにて両案に対する質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#161
○藤田委員長 これより両案について討論に入るのでありますが、別に討論の通告もありませんので、直ちに採決に入ります。
 まず、外務省設置法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#162
○藤田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次に、在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#163
○藤田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 なお、ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#164
○藤田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
    ―――――――――――――
  〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
#165
○藤田委員長 次回は来たる三月四日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
   午後一時散会
ソース: 国立国会図書館
【PR】姉妹サイト