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1949/04/27 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 農林委員会 第10号
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1949/04/27 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 農林委員会 第10号

#1
第005回国会 農林委員会 第10号
昭和二十四年四月二十七日(水曜日)
   午前十時四十五分開会
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  本日の会議に付した事件
○食糧確保臨時措置法の一部を改正す
 る法律案(内閣提出)
○食糧管理法の一部を改正する法律案
 (内閣送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(楠見義男君) 只今から農林委員会を開会いたします。本日は食糧確保臨時措置法の一部を改正する法律案及び食糧管理法の一部を改正する法律案、以上の二件を議題にいたします。昨日も申上げましたように食糧確保臨時措置法の一部を改正する法律案は参議院に先議として付託されましてこの委員会にかかつております。あとの方の食糧管理法の一部を改正する法律案は予備審査として付託されておるのでありますが、関連しておることも多いと思いますので、二つの案件を議題にいたしたいと思います。最初に二つの法律案につきまして、池田農林政務次官から提案理由を伺いまして、後程大臣が見えるそうでありますから、大臣が見えましてから質疑に入りたいと思います。順序は、関連しておる点もあると思いますが、まず食糧確保臨時措置法の方から質疑をはじめて頂きたいと存じます。
#3
○政府委員(池田宇右衞門君) 食糧確保臨時措置法の一部を改正する法律案の提案理由を申上げます。食糧確保臨時措置法は食糧供出制度の根本的改善を図るため、第二回國会に提案し、法律として成立を見たものでありまして、今年産主要食糧農産物からこの法律に基き農業計画を各生産者に指示し、これにより今年産主要食糧農産物の生産及び供出の確保を期していたのでありますが、昨年末経済九原則が公表され、日本経済の自立安定はひたすらこの線に副つて強力に推進されることになつた結果その最も重要な一環を占める主要食糧農産物の集荷も從來の制度に改善を加え、その能率の向上を図らねばならん次第に相成つたのであります。右九原則の具現化に当りましては、特に財政の実質的均衡、物價及び賃金の安定がその根幹となるのでありますが、絡戰以來の経驗に鑑みましても明らかな通り、経済全体の改善につきましては、食糧配給の確保がその大きな基礎的な役割を持つているのでありますから、この際急速に経済の自立安定を図らんとするならば、食糧配給は必らずこれを確保せねばならんのであります。終戰以來我が國は食糧の不足を輸入食糧により補つていることは今更申上げるまでもないことでありますが、今日我が國は配給主要食糧の約二割五分を輸入食糧に仰いでいるのであります。そうして今日までこれはすべて連合軍の占領地救済基金により供給されているのでありまして、我々が自力で調達し得たのではないのであります。即ち我々は連合軍の絶大なる援助により、終戰以來今日まで國民生活の破綻を防止して参つて來たといえるのであります。併しながらいつまでも連合軍の好意ある援助にのみすがることはできないのでありますから、我々はこの際その必要とする食糧を自力によつて最大限度に確保することについて、從來に増し一層の努力を傾けなければならないのであります。これがためには先ず國内産食糧は可能な限り余すところなく集荷し、これを公平に配分するのが第一でありまして、その十分なる実現をして後にこそ、初めて眞の不足量の輸入につき、連合軍の援助を引続き期待することができるのでありますし、又今後極めて乏しい我が國の輸出代金を食糧輸入に割くことが期待できるのであります。
 現行の食糧確保臨時措置法は、主要食糧農産物の生産、供出その他に関する農業計画の指示を作付の事前にこれをなし、爾後供出割当数量は増加せられないことを規定しているのでありますが、これは國内産食糧の超過供出を農民の自発的意思にのみ期待するものといたしますため、最大限の食糧を集荷しようとする面から見ると、経済自主化を急速に促進しなければならない現段階におきましては、適当でない点がありますため、旧臘連合軍最高司令部からも九原則に関する書簡の発表に相次ぎ、主要食糧集荷に関する覚書が発せられ、この点の法律改正が指令せられたのであります。從いまして、今般の改正は、この覚書に基き、減收があつた場合は、これの減額補正を実施すると共に、食糧需給の均衡を図るため、特に必要がある場合は、作況を考慮して、供出数量の変更をなし得るような措置を講じるための法的措置を主たるものとしているのであります。
 以下順次内容の重要な点を述べますと、第一に、現在地方農業調整委員会を置いた場合、都道府縣知事は、地方農業調整委員会の管轄区域については、地方農業調整委員会の議決を経て、その区域の市町村別の農業計画を定めているのでありますが、從來この点については明瞭な法規上の規定を欠いておりますため、新たにこれを設けたのでありまして、農業計画に対する異議の申立に関しても、地方農業調整委員会を関與せしめるものとしたのであります。
 第二の点は、現行法によると、農業計画が公表されてもそのまますべての生産者が納得するとは限らないので、生産者が自己の農業計画に対して異議があるときは、農業計画の公表のあつた日から十日以内に、市町村長に対して異議の申立をすることができることになつているのでありますが、異議の申立の期間を、公表のあつた日から十日以内とすると、各市町村の農業計画の公表が時間的に差異がありますため、市町村の農業計画により縣の供出数量に変更を生ずる場合、その事務処理に支障があるのであります。即ち、現状においては、農業計画の変更は、國全体の食糧事情を考慮して決定しなければならないと事情にありますため、最後の異議申立があるまで全体が決定し得ないことに相成るのであります。特に、現在法規上は、知事の承認を要する場合の決定は、異議申立期間経過後四十日以内となつておりますため、この関係からも実際の決定が著しく困難となるので、農業計画に対する異議の申立は、都道府縣知事が定める期間内にこれをすることに改めたのであります。
 第三の点は、これまで市町村長が生産者に農業計画を指示する場合において、その指示は一定の形式によることを特に定めておりませんでしたので、個人別割当が曖昧となり、特別價格の支拂等につき不都合がありましたので、個人別割当を常時明確ならしめるためにも、個人に対する割当の指示は、農林大臣が樣式を定めた書面によるべきことを明文化したのであります。
 第四の点は、本改正法案の主眼点であります。前述の通り、政府は生産者が災害等眞に止むを得ない事由により、当初に定められた供出数量の供出が不可能となつたと認めた場合及び收量が当初の見込に比し増加し、生産者に供出の余力があり、且つ國の食糧事情からも食糧需給の均衡の保持上必要があると認めるときには、中央農業調整審議会及び都道府縣知事の意見に基いて、事前に割当てた供出数量の変更をなし得ることとしたのであります。
 次に供出数量の削減の場合の手続の点であります。現行法によると生産者から市町村長に対し減額請求があつた場合に、供出数量の削減を行うことになつているのでありますが、これによつては農家の現状から見ても、減額請求の手続を逸して補正を受け得ぬ農家が生ずる虞れがあり、補正の完全を期し難い事情があると思われますので、災害等のあつた場合は、政府の指示するところにより、市町村長がこれを行うことと変更したのであります。
 以上の供出数量の増減変更の場合にも、農業計画の事前割当の指示の場合と同樣に、生産者の意思を尊重し、供出数量の変更に対する異議の申立を認め、割当変更の公正を期し、農家の納得の行く供出を行なつて貰おうとするものであります。尚供出数量の変更を受けないものにつきましては、市町村長がその旨公表し、これに対し異議の申立をなし得る途を開き、かかる場合の救済措置を講ずる次第であります。ただ供出数量の変更に対する異議の申立については、供出期限の関係もあり、生産者別の供出数量を迅速に決定する必要がありますため、市町村長は異議申立期間経過後十日以内に、都道府縣知事の承認を要する場合は、異議申立期間後二十日以内にこれを定めることとし、当初の農業計画に対する異議申立後の決定の場合に比し、その期間を短縮したのであります。
 改正の第五としては、農業計画の変更の場合の措置のつき、これを円滑に運営いたしますため、いわゆる地元補正を明らかに法的制度として認めようとするものであります。即ち、特に必要ある場合には、都道府縣知事は都道府縣農業調整委員会の議決を経た後に、農林大臣の承認を経て農林大臣が指示した農業計画に変更を來さない場合に限り、事前に割当てた供出数量の変更について農林大臣の指示と異つた指示を市町村長にすることができることとした点であります。これは全体としての食糧確保には支障なく、而も市町村の実態に郷して合理的補正を行うための措置であります。尚この場合においても、指示を受けた生産者が異議の申立をなし得ることは勿論であります。
 以上の如く今般の改正は、内外に要請から災害等の場合の減額措置に併せて、食糧需給の均衡保持上必要ある場合は、收穫の増加した生産者に対し供出数量の増加を命じ得る途を開いたのでありますが、若し努力して收穫した数量のすべてに対し追加割当を命ずると、まじめな農民の勤労意欲を阻害する虞れがありますため、政府は追加割当の場合、食糧事情の許す限り、超過供出をする生産者が超過供出の一部を保有することができるように、増加数量を定めなければならんこととしたのであります。
 最後に改正の第六点について申述べますと、主要食糧農産物の生産を増進すめため、生産障碍除去に関する市町村農業調整委員会の指示権の中にかげ樹の伐採を加えた点であります。今日耕地に隣接する林木のかげのため、その耕地の食糧の生産力が著しく低下している事例がありますため、かくのごとき場合、かげ樹を伐採し得ることといたしたのであります。これの運営につきましては、具体的事実を十分に考慮の上、愼重に運用せしめるつもりでありまして、その際の補償の措置についても、受益者は市町村農業調整委員会の指示に從つて、損失を受けた者に補償しなければならんこととし、かげ樹伐採に関する指示を円滑になる得るようにしたのであります。
 以上が食糧確保措置法改正法案の骨子となる点でありますが、要旨とするところは、経済九原則の具体化を中心とする日本経済再建に関する近時の動向に即應するため、供出制度の能率的な改善を図らんとするところにあるのであります。何とぞ速かに御審議の上、御可決下さいますようお願いする次第であります。
 次に食糧管理法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申上げます。このたびの改正法律案の要点は大体三点あるのでありますが、その第一点は、主要食糧の配給統制の嚴正且つ効率的な運営を目的として、主要食糧の配給計画の策定に当つて、中央及び地方の間の齟齬をなからしめること、配給計画と一致する配給割当を行うこと、及び配給割当に即應した配給を実施することを法律を以て明記せんとするものであります。御承知の通り我が國の主要食糧につきましては、國内産を以てみずからを賄うことができず、その配給量の約四分の一に及ぼものを輸入食糧に仰ぐ状態でありまして、今後とも嚴正且つ計画的な配給統制を続けて参らなければならないものであります。而してこのためには何よりも先ずその配給統制の機構を確立し、且つこれを適切に運用することが先決條件であります。このうち前者につきましては、御承知の通り現在すでに十分に近い整備がいたされておるのでありますが、後者の適正なる運用の点につきましては、尚若干の改善の余地があるのではないかと考えられるのであります。即ち主要食糧の配給統制を行なつて参りますためには、行政廳におきまして配給対象となるべき消費者人口、つまり一般消費者、労務省、轉落農家の数等を正確に把握いたし、これに基いて適正な配給計画を策定し、更にこれによつて配給を行なつて参ることが必要なのでありまして、政府といたしましても從來より、一般消費者、労務者等の人口調査、轉落農家に関する実態調査、食糧管理台帳の整備等を行うと共に、必要な配給通帳の点檢、切替等を実施して、これらの措置によつて配給の適正化に努力して参つたのであります。併しながら一方において罹災証明書の濫発、轉落農家の実体把握の困難、就業労務者数の不正申告等の原因から、一部において不正受配が行われ、貴重なる主要食糧が尚相当量徒らに消費され、延いては政府の配給計画に支障を來していたという事実も亦否定できぬものがあるのであります。このような状態を放置して置きますならば、その結果は食糧の輸入に惡影響を及ぼすことは言うまでもないことであります。特に九原則の実施により経済の自主安定化を強く要請されておる我が國においては、國内産主要食糧の最大限の活用を図つて無用の輸入を避けることが絶対に必要なのであります。
 今般連合軍総司令部より三月二日付を以ちまして、「主要食糧の配給制度の強化に関する件」なる覚書が日本政府に発せられましたゆえんも亦ここに存するものであります。即ちこの指令は「実際の配給が毎月の都道府縣に対する配給割当を超過することなからしめるため、あらゆる必要な方策を講ずべし」とし、その例示的内容として、消費者人口並びに消費者中主要食糧を耕作しているものの耕作面績に関する正確なる資料の蒐集、不実在人口の撲減、消費者として許容さるべき主要食糧作付面績の最高限の設定、右のため必要な消費者の再区分及び完全保有農家に対する不必要な配給の撲減を挙げておるのであります。而してこれらの例示的な六つの内容につきましては、政府としてできる限りの必要な措置を考究実施する用意をいたしておるのでありますが、これらの措置の効果を確保いたしますためには、是非とも主要食糧の配給統制の基本法規たる食糧管理法の一部を改正する必要があるのであります。即ち從來同法において欠いていた主要食糧配給割当手続をこの際明確に定めますと共に、主要食糧の購入通帳乃至購入切符の交付は、この配給計画に則つて行わるべき旨の規定を新たに設けまして、主要食糧の配給計画の設定と配給の実施との一体化を図ることとし、この明文上の根拠に基きまして、強力なる措置を講じたいと考えるのであります。主要食糧の配給統制の嚴正且つ効率的運営は、これらすべての措置の総合によつて初めて達成し得るのであります。
 改正の第二点は、食糧管理法第九條の規定を民主化しようとするものであります。食糧管理法は昭和十七年二月制定されたものでありますが、主要食糧の配給統制が嚴正且つ精密に亘つて行わなければならないばかりでなく、不測の事態に対應して臨機の処置を執る必要があるために、從來より主としてこの第九條におきまして、可なり廣範囲の委任命令がなし得るような規定を設けているのであります。即ち同條は、政府は特に必要があると認めるときは、政令の定めるところによつて主要食糧の配給、加工、製造、讓渡その他の処分、使用、消費、保管及び移動に関して必要な命令をなし得ることを定めているのでありまして、これに基きまして現在移動制限、讓渡制限、主要食糧購入通帳制等の各般の措置がなされているのであります。併しながら主要食糧の配給統制ということは、これによつて影響を受ける範囲も廣く、又國民全般の最大の関心事と言つて差支えないでありましよう。又新憲法の下においては、統制を行うに当つてもでき得る限り民主的に運用いたすことが望ましいものと思われます。それ故先程申述べました統制の機動的運用の必要性をも勘案し、政府といたしましては、第九條に基いて委任命令を発した場合には、その命令の規定について、直接の利害関係を有する者から経済安定本部総裁に不服の申立をなし得る途を開き、この場合経済安定本部総裁は、公聽会を開催して廣く識者の意見を求めた上で何分の決定をし、その結果を関係者に通知するものとし、その民主化を図りたいと考えるのであります。
 改正法律案の第三点は食糧配給公團の基本金の増額の問題であります。この件につきましては、前國会におきましても、当該の八千万円に対し五千万円の増額をいたすことを御承認願つた次第でありますが、この合計一億三千万円の基本金は、公團として必要な額と申すより、むしろ國家財政上の都合から止むを得ず決定せられたものであります。即ち食糧配給公團は他の諸公團と同じくその什器、備品すべて基本金を以て所得すべきものと定められているのでありまして、全國に亘り末端配給までを行いまする同公團が能率を昂揚し、消費者に対するサービスを十分に行なつて参るためには、この少額の基本金を以てしては、必らずしも十分とは申し得ないのであります。例えば配給のための小運搬器具、計量器、金庫等消費者に対し適正な配給をするため、又は公金保管のために必要なものの購入は、現在ともすれば不足勝ちで、その事業運営に支障を來たしている状態にあるのであります。それ故政府といたしましても更に財政の許す範囲でその基本金を五千万円増額し、緊急必要なものの購入に充当せしめたいと考えている次第であります。尚以上の主な三点の外今回統制の対象となる藷類の加工品の範囲を明確化したこと、及び地方自治法との関連において政府の都道府縣知事に対する委任規定を法律中に設けたことの二点について改正を行いたいと考えております。
 以上食糧管理の一部を改正する法律案の提案理由を極く簡單に申し述べな次第でありますが、何とぞ愼重御審議の上速かに御可決を賜りますよう切に希望いたす次第でございます。
#4
○委員長(楠見義男君) 先に申上げましたように大臣が見えてからこの法案についての質疑に入りたいと思いますが、ちよつと速記を止めて……。
   午前十一時十五分速記中止
   ―――――・―――――
   午後零時六分速記開始
#5
○委員長(楠見義男君) 速記を始めて下さい。それでは食糧確保臨時措置法関係、及び食糧管理法の改正関係の二件につきましては、本日はこの程度にいたしまして、明日午後から本式に質疑に入るようにいたしたいと思いますから、本日はこれで散会いたします。
   午後零時七分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     楠見 義男君
   理事
           羽生 三七君
           石川 準吉君
           藤野 繁雄君
   委員
           北村 一男君
           柴田 政次君
           星   一君
           加賀  操君
           徳川 宗敬君
           山崎  恒君
           板野 勝次君
           岡村文四郎君
  政府委員
   農林政務次官 池田宇右衞門君
ソース: 国立国会図書館
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