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#1
第061回国会 本会議 第5号
昭和四十四年二月十二日(水曜日)
 議事日程 第五号
  昭和四十四年二月十二日
   午後二時開議
 一 国務大臣の演説(昭和四十二年度決算の概
  要について)
 二 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正す
  る法律案(内閣提出)の趣旨説明
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 議員請暇の件
 人事官任命につき同意を求めるの件
 社会保険審査会委員任命につき同意を求めるの
  件
 中央社会保険医療協議会委員任命につき同意を
  求めるの件
 福田大蔵大臣の昭和四十二年度決算の概要につ
  いての演説及び質疑
 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法
  律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
    午後二時五十分開議
#2
○議長(石井光次郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 議員請暇の件
#3
○議長(石井光次郎君) おはかりいたします。
 議員田川誠一君及び同古井喜實君から、海外旅行のため、二月十四日から三月六日まで二十一日間請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(石井光次郎君) 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。
     ――――◇―――――
 人事官任命につき同意を求めるの件
 社会保険審査会委員任命につき同意を求めるの件
 中央社会保険医療協議会委員任命につき同意を求めるの件
#5
○議長(石井光次郎君) おはかりいたします。
 内閣から、人事官に島田巽君を、社会保険審査会委員に中村隆則君を、中央社会保険医療協議会委員に圓城寺次郎君、鈴木武雄君を任命したいので、それぞれ本院の同意を得たいとの申し出があります。右申し出のとおり同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#6
○議長(石井光次郎君) 起立多数。よって、いずれも同意を与えるに決しました。
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説(昭和四十二年度決算の概要
  について)
#7
○議長(石井光次郎君) 大蔵大臣から、昭和四十二年度決算の概要について発言を求められております。これを許します。大蔵大臣福田赳夫君。
    〔国務大臣福田赳夫君登壇〕
#8
○国務大臣(福田赳夫君) 昭和四十二年度の一般会計歳入歳出決算、特別会計歳入歳出決算、国税収納金整理資金受払計算書及び政府関係機関決算書につきまして、その大要を御説明申し上げます。
 昭和四十二年度予算は、昭和四十二年五月二十七日に成立いたしました本予算と、昭和四十二年十二月二十一日に成立いたしました補正予算とからなるものであります。
 昭和四十二年度本予算は、景気に対し中立的な立場を堅持することとし、公債発行を伴う新しい財政政策の弾力的運営の方向を確立するとともに、国民福祉向上のための諸施策を着実に推進するため、効率的、重点的な財源配分を行なうことを基本として、住宅及び生活環境施設の整備、社会保障の推進、社会資本の整備、農林漁業、中小企業の近代化、貿易の振興と対外経済協力の推進、産業体制の整備及び労働力移動の円滑化、文教、科学技術の振興、交通安全、公害対策等の強化、物価安定施策の推進、地方財政の充実等の重要諸施策を重点的に推進することとして編成されたものであります。
 なお、本予算成立後、給与改善費、災害復旧等事業費、食糧管理特別会計へ繰り入れ、交通安全対策費、産業投資特別会計へ繰り入れ、輸出保険特別会計へ繰り入れ、診療報酬等の改定に伴う増加経費、地方交付税交付金その他義務的経費の追加等に関し、所要の予算補正を行なったのであります。
 昭和四十二年度におけるわが国の経済を顧みますと、年初来予想を越えた拡大を続け、海外景気の低迷も加わって国際収支の赤字が続き、ために昭和四十二年九月から本格的な景気調整策が行なわれることとなったのであります。すなわち、日本銀行は、公定歩合を引き上げるとともに、都市銀行等に対する貸し出し増加額規制を復活し、また政府は、国、地方を通ずる財政執行の繰り延べ措置を決定し、金融財政両面から総需要の抑制をはかることとしたのであります。
 このような景気調整策がとられたのでありましたが、民間設備投資及び在庫投資の顕著な増加があり、調整が完了しないうちに年度が終了したこともあり、昭和四十二年度の国民総生産は四十三兆千百六十七億円となり、前年度に対し一七・五%、実質一三・三%というかなり大幅な伸びも示すことと相なったのであります。
 また、鉱工業生産は、このような内需の動きも反映して前年度に対し一八・七%と大幅な伸びを示し、国際収支は、国内景気が大型化したこと並び世界貿易が期待に反して不振であったことを反映して輸出の伸びが前年度に対し八%と振わず、それに引きかえ、輸入が前年度に比べ二二・一%と大幅に増加し、この結果、総合収支では五億三千五百万ドルの赤字と相なったのであります。
 このようなわが国経済の状況を背景として昭知四十二年度予算が執行されたのでありまするが、以下、その決算の内容を数字をあげて御説明申し上げます。
 まず、一般会計におきまして、歳入の決算額は五兆二千九百九十四億円余、歳出の決算額は五兆千百三十億円余でありまして、差し引き千八百六十四億円余の剰余を生じたのであります。この剰余金のうち四億円余は、国立病院特別会計法の一部を改正する法律附則第八項の規定によりまして国立病院特別会計の療養所勘定の昭和四十三年度の歳入に繰り入れ、残額千八百六十億円余は、財政法第四十一条の規定によりまして一般会計の昭和四十三年度の歳入に繰り入れ済みであります。
 なお、昭和四十二年度における財政法第六条の純剰余金は二百二十八億円余であります。
 以上の決算額を予算額と比較いたしますと、歳入につきましては、予算額五兆二千三十四億円余に比べまして九百六十億円余の増加となるのでありますが、このうちには、昭和四十一年度の剰余金の受け入れが予算額に比べて九百八億円余増加したものを含んでおりますので、これを差し引きいたしますと、昭和四十二年度の歳入の純増加額は五十一億円余となるのであります。これは専売納付金、雑収入等におきまして二百八十四億円余を増加しましたが、公債金等におきまして二百三十三億円余を減少したためであります。
 一方、歳出におきましては、予算額五兆二千三十四億円余に昭和四十一年度からの繰り越し額三百九十億円余を加えました歳出予算現額五兆二千四百二十五億円余に対しまして、支出済み歳出額は五兆千百三十億円余でありまして、その差額千二百九十四億円余のうち、昭和四十三年度に繰り越しました額は千七十二億円余となり、不用となりました額は二百二十二億円余となっております。昭和四十三年度への繰り越し額がかなり多額になっておりますのは、景気調整の見地から財政執行の繰り延べを行なったことに伴いまして生じたものであります。
 次に、昭和四十三年度への繰り越し額の内訳を申し上げますと、財政法第十四条の三第一項の規定によりあらかじめ国会の議決を経て繰り越しましたものが千三十六億円余、財政法第四十二条ただし書きの規定により避けがたい事故のため繰り越しましたものが二十一億円余、財政法第四十三条の二第一項の規定により継続費の年割り額を繰り越しましたもの十四億円余であります。
 次に、予備費でありますが、昭和四十二年度一般会計における予備費の予算額は五百三十億円でありまして、その使用総額は五百二十七億円余であります。
 次に、一般会計の国庫債務負担行為について申し上げます。
 財政法第十五条第一項の規定に基づく国庫債務負担行為の権能額は千七百十億円余でありますが、このうち実際に負担いたしました債務額は千六百億円余でありますので、これに既往年度からの繰り越し債務額千百九十億円余を加え、昭和四十二年度中に支出その他の理由によって債務が消滅いたしました額千二百三十八億円余を差し引きいたしました額千五百五十二億円余が翌年度以降に繰り越された債務額に相なるのであります。
 財政法第十五条第二項の規定に基づく国庫債務負担行為の権能額は百億円でありますが、実際に負担いたしました債務額はありません。また、既往年度からの繰り越し債務額九千万円余は、昭和四十二年度中に支出その他の理由によって債務の全額が消滅いたしましたので、翌年度以降に繰り越された債務額はありません。
 次に、昭和四十二年度の特別会計の決算でありまするが、同年度における特別会計の数は四十六でありまして、これらの特別会計の歳入歳出の決算額を合計しますと、歳入決算において十兆七千四百七十五億円余、歳出決算において九兆五千七百二十三億円余であります。
 次に、昭和四十二年度における国税収納金整理資金の受け入れ及び支払いでありまするが、資金への収納済み額は四兆千九百三十二億円余でありまして、この資金からの支払い命令済み額及び歳入への組み入れ額は四兆千八百三十一億円余でありますので、差し引き百億円余が昭和四十二年度末の資金残額となるのであります。これは、主として国税にかかわる還付金のうち、支払い決定済み支払い命令未済のものであります。
 次に、昭和四十二年度政府関係機関の決算の内容につきましては、それぞれの決算書を御参照願いたいと存じます。
 以上、昭和四十二年度の一般会計、特別会計、国税収納金整理資金及び政府関係機関の決算につきまして、その大要を御説明申し上げました次第でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説(昭和四十二年度決算の概要について)に対する質疑
#9
○議長(石井光次郎君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。順次これを許します。丹羽久章君。
    〔丹羽久章君登壇〕
#10
○丹羽久章君 ただいま大蔵大臣から御報告がありました昭和四十二年度決算外二件につきまして、自由民主党を代表して、総理大臣、大蔵大臣に対し、二、三の点について質問をいたしたいと存じます。
 昭和四十二年度決算につきましては、これからその詳細を決算委員会で逐次審議してまいる段階でありまして、したがって、ただいまその内容について詳細なお尋ねをするよりも、かねてから私が国の財政運用並びに決算上の問題として気づいております諸点につきまして、政府のお考えを承って今後の決算審議に資したいと存ずるのであります。
 第一は、毎年巨額にのぼる財政投融資が、はたして所期の目的に沿って効果的に運用されているかどうかという点であります。
 私どもは、国の財政活動につきましては、一般会計、特別会計にまたがる各省各庁の予算執行にのみとかく目を奪われがちでありまして、これと表裏一体をなす財政投融資につきましては、ややもすると看過しがちであります。しかしながら、その規模において、その業務分野が国家財政活動の補完的役割りを果たしている点において、財政投融資の重要性は、予算、決算審議の上で大きなウエートを占めるべきものと存ずるのであります。
 すなわち、目下本院で審議中の昭和四十四年度予算におきましては、一般会計予算の規模六兆七千億円に対しまして、財政投融資計画の規模は三兆七百億円に達しております。さかのぼって、昭和四十二年度の予算におきましては、一般会計総額五兆二千億円に対して、財政投融資の規模は二兆三千億円に達しておるのであります。これら財政投融資の資金の大半は、申し上げるまでもなく、郵便貯金、厚生年金、国民年金あるいは簡易保険など、いわば国民大衆の零細な蓄積によってまかなわれておるのでありまするが、これが国立病院、国立学校などの特別会計のほか、公社、公庫、銀行等政府関係機関、公団、事業団、地方公共団体、特殊会社等の活動資金として広く利用されているのであります。
 戦後の経済復興、産業再建から、最近の道路、住宅、上下水道等公共投資あるいは中小企業、農林漁業等、国民生活の向上発展に、また地域開発の推進、輸出並びに海運の振興等に大きな役割りを果たしつつあることは、もとよりこれを認めるにやぶさかではございません。戦後の復興から今日の経済繁栄、国民生活の向上をもたらしたにない手の一つは、この財政投融資であると申しても過言ではありません。しかしながら、財政投融資の対象となっている公社、公庫、公団、事業団等の事業運営のあり方等が、はたして現在の状態で十分満足すべきものかどうかとなると、これは幾多の疑念を抱かざるを得ないのであります。
 この点につきましては、私がこと新しく申し上げるまでもなく、すでに昭和三十九年の九月、臨時行政調査会が、公社、公団等の改革に関する意見として、その運営の非能率性、天下り官僚が高給をはむ悪弊を生じ、中には、すでに設立目的を達成し、あるいは重複して設立されたものまでそのまま存続するなど、乱立現象を呈している事態を指摘いたしておるのであります。公社、公庫、公団、事業団等の整理統合については、その後行政監理委員会の指摘を受け、これを受けて政府においては行政改革閣僚協議会を設けて検討されたはずでありまするが、その後、これが具体的にどのようにまとめられたのでありますか、今後どのような方針で、いかなる線まで進められるお考えであるか、これらについて総理大臣に所信を伺いたいと存じます。(拍手)
 政府関係機関、公団、事業団等の効率的運営と、さらに存続の意義がなくなったものはどしどし統合改廃をすることが、貴重な財政投融資資金の活用に直結するものであると私は確信いたすものであります。国民大衆の零細な汗の結晶の集積が大半を占める財投資金が、一部高級退職官僚の温床に利用されることは、決して許されるものではないと存ずるものであります。
 第二にお尋ねいたしたいことは、公社、公団等の役員の給与についてでありまするが、例示的に政府関係機関である日本専売公社、日本電信電話公社、日本開発銀行の役員の月額俸給を調べてみると、総裁が四十七万円、副総裁が三十八万円、理事二十九万五千円となっており、退職手当は、一期四年を終了すると総裁一千四百六十六万円余、理事九百二十万円余で、大体二期八年間をつとめるようであるから、総裁二千九百三十二万円余、理事一千八百四十万円余の額となり、このほかに、期末手当は月額の四・四倍を受け、交際費等の資金の使用を行なっているのであります。また、政府関係機関以外の公団、事業団等のうち、電源開発株式会社は、政府関係機関と同様の俸給であり、その他の公団、事業団等も、四十一万円から二十三万円余の給与を受けており、退職金の計算方式は、政府関係機関と同様の取り扱いとなっております。この俸給額は、公社、公団、事業団等を数段階の格づけに区分しているようであるが、その区別した基準がわからないのであります。
 一方、一般公務員はもちろんであるが、内閣総理大臣、国務大臣、政務次官から国会議員、各種主要な委員会、審議会の各委員の給与については、特別職として、法律により具体的に国会の審議を経ているにもかかわらず、その職務が公務的仕事である公社、公団、事業団等の役員の給与については、公社、公団法に、役員の給与等は基準を定め、所管大臣の認可を受けることとなっているが、法律にこの規定のない公社、公団等もあり、しかも、これら機関の例規集には、職員の給与規程はあっても、役員の給与規程は一般の目には触れることができず、不明朗な感を与えるものであります。(拍手)
 さらに、公社、公団、事業団等を監督する立場にある国務大臣は四十万円で、その監督を受けるはずの政府関係機関等の総裁は四十七万円から四十一万円の俸給となっており、きわめてその基準については官僚独善の定め方になっているのであります。(拍手)
 そもそも、この公社、公団、事業団等は、現存の非能率的官庁機構から離れて、最も国民的事業に近い道路、住宅、金融、鉄道等の建設を能率的に行ない、もってこれが国民にサービスをする現業機関として生まれたもので、そのためには、有能な民間識者等の企業意識による事業経営を期待したものでありまするが、役員の大部分は、各省庁の高級官僚に割り当てられ、事務部門の主要ポストも、同様に役人の天下り人事により占められている現状であり、いかなる民間の有能な人をもって国民のために働いてもらおうと思っても、働けない仕組みになっているのであります。(拍手)そして、これらいわゆる特殊法人は、昭和四十三年十月末現在百八の多きにのぼり、前述のごとく、役員は事業実績等の評価も受けず、多額の給与を受けていることは、国民の税金や零細な郵便貯金等による財政投融資の資金でこれがまかなわれていることを考えると、まことに理解に苦しむものがあります。
 役員の給与等については、法律により統一ある整備をなし、国会の審議を経るよう、明確な措置をとることが適当でないかと思うが、総理大臣並びに関係当局のお考えを伺いたい。
 最後にお尋ねいたしたいのは、国家公務員共済組合連合会の運営についてであります。
 国家公務員共済組合連合会は、御承知のとおり、公務員の年金業務とこれに関連する支払い余裕金の運用並びに各種の福祉事業を行なっている機関であります。国家公務員は毎月の俸給からその千分の四十四を積み立て、国の積み立て分千分の六十一を合わせて将来の年金支給財源をつくっているのでありますが、連合会は、これらの資金の大部分を余裕金として、預金、有価証券、不動産等の形で運用いたしておるのであります。
 昭和三十四年連合会発足以来、この長期経理余裕金は年々増大しておりまして、昭和四十二年度決算におけるその総額は二千四百三十四億円に達しております。これがいかに運用されているかと申しますると、現金、預金などに七十九億円、資金運用部に対する預託等に一千百七十一億円、不動産等に四百六十二億円、各省共済組合に対する貸し付け七百四十一億円になっております。私は、これら資金の運用について、特に不動産の取得にあたって一部適切でないものが見受けられるのを指摘せざるを得ないのであります。
 その一例が、東村山における土地約十万平方メートルの購入でありまして、昭和四十年の二月、購入価格七億八千万円のうち、三億九千万円を支払って所有権移転の仮登記を済ませたのでありまするが、その後、地元土地所有者等との交渉が停とんし、放置されたままになっているばかりか、昨年十月には訴訟事件になっておるのであります。かように土地の取得にあたって紛議を引き起こすような事態を招いたのは、連合会当局が慎重な配慮に欠けるところがあったからではありますまいか。数年前、京都本圀寺境内の購入にも同様の事例がありました。
 国家公務員共済組合法には、資金の運用は、「事業の目的及び資金の性質に応じ、安全かつ効率的にしなければならない。」と規定されておりまするが、連合会を監督している大蔵大臣はこれらの事態をどうごらんになるか、所見を伺いたいと存じます。(拍手)
 なお、先ほども触れました役員報酬の点でありまするが、連合会理事長の俸給は、昭和四十二年、前理事長の時代二十三万円であったものが、いまは一挙に三十六万円に引き上げられております。理事長の職責が重要なものであることは十分理解できますが、かような引き上げ方がはたして妥当なものかどうか、疑問を抱かざるを得ません。あわせて所見を承りたいと存じます。
 以上、政府当局の明確な御答弁を期待いたしまして、昭和四十二年度決算の概要に対する質疑といたします。(拍手)
    〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#11
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 丹羽君にお答えいたします。また、私からは二点ばかりお答えいたしまして、他は大蔵大臣に譲りたいと思います。
 特殊法人の統廃合につきましては、昨年郵便募金管理会ほか三法人を整理いたしましたが、今国会では糸価安定特別会計を廃止して、日本蚕糸事業団との機能を一元化するため、法律案を提出する予定であります。
 また、今後具体的な日程にのぼっているものとしては、漁業協同組合整備基金ほか二法人の整理を予定しております。
 今後も社会、経済情勢の推移に応じ、必要なものがあれば統廃合を進めるとともに、その事業運営についても、すべてが非能率、不満足とは考えませんが、不十分なものにつきましては、さらに改善をいたすつもりでございます。
 次に、公社、公団の運営を能率的に行なうためには、お説のように、広く人材を求めて優秀な経営者を確保することが必要であります。そのために、公社、公団等の役員給与については、特別職並びに一般職の指定職の給与を参考にするほか、民間会社の役員給与をも勘案して決定することとしております。一部の公社、公団等の役員給与が国務大臣の給与を上回っていることは、御指摘のとおりであります。これは以上のような理由に基づくものであり、むしろ問題があるとすれば、国務大臣の給与の水準にあると考えられます。
 次に、公社、公団の役員給与については、主務大臣の認可、大蔵大臣との協議等の手続を経て定めることが法律に定められており、また、私も特にこれを秘扱いにする必要はない、かように考えております。この程度は、公開のもとにそれぞれ処置すればいいと、かように考えます。(拍手)
    〔国務大臣福田赳夫君登壇〕
#12
○国務大臣(福田赳夫君) 公社、公団の役員の給与につきましては、主務大臣がこれを認可を上る、こういうことになっておりますが、主務大臣は大蔵大臣にまた協議をする、こういうことになっておりますので、各公社、公団等政府関係機関の役員の給与につきましては、統一的な基準をもちましてきめております。そのきめ方につきましては、いま総理からもお話がありましたが、大体この規模に応じまして、四種類に分けましてその額をきめておる、かように御了承願いたいのであります。大体適正にきめておると思いまするが、なお注意してまいります。
 国家公務員共済組合連合会の余裕金運用につきまして御注意をいただきまして、ありがとうございます。東村山、また京都の本圀寺におきまして連合会が買い入れた土地、買い入れようとした土地につきまして紛争がありますることは、私も承知をいたしておるのであります。どうも途中において何か手続上の不備があったように存じますが、今日になりますると、これを何とか妥当な解決をしなければならぬ、しかも、訴訟に相なっておるような問題でありまするから、何とかこれを善処いたしたい、かように考えております。
 公社、公団の乱設等を防げ、また天下り人事等を抑制せよ、こういうお話でありまするが、御注意ありがたく拝聴いたし、そのようにいたしたい、かように考えます。(拍手)
    ―――――――――――――
#13
○議長(石井光次郎君) 華山親義君。
    〔華山親義君登壇〕
#14
○華山親義君 日本社会党を代表し、決算に関連いたしまして、若干の問題に限って質問をいたします。
 近年、決算の推移におきまして特徴的と思われることは、防衛庁の増大し続ける調達費の中に国内調達の占める割合が次第に伸びてまいったことであります。すなわち、国内調達は、第一次防において総額二千八百億の六二%、第二次防において五千七百億の八一%であり、第三次防においては九千二百億の九〇%を予定されているのであります。これで明らかなことは、日本の兵器はようやく自前生産に乗り、日本の兵器産業は、次第に準備の段階を脱して発展の道を進んでいることであります。近代工業の発展が、国内需要をまず足場といたしまして輸出に向かうことは、本質的な傾向ともいえるのでありましょうが、ごたぶんに漏れず、今日、日本の産業界また個々の兵器製造業者は、近い将来の輸出を待望し、政府がその政策に出ることを公然と要望いたしておるのであります。しかし、平和憲法を柱とする日本が兵器輸出国になることには、私どもは強く反対するものであります。(拍手)
 これについて私の心にかかることは、さきに私の質問に対し、日本の製造する兵器は自衛のためのものであるから、輸出は差しつかえないとされた総理の答弁であります。自衛のための兵器、攻撃のための兵器を、戦闘の態様にかかわらず概念的に分けようとするようなことは、ナンセンスというほかはありません。大国間の大規模戦争においては、防御用と思われる兵器であっても、局地的戦闘、近接する戦闘においては攻撃用兵器になる。さきのインド、パキスタン両国の間に緊張を来たした際、日本の機関銃メーカーに対して両国から引き合いがあったといわれております。ベトナム戦争で使われた兵器は、B52や戦闘爆撃機や航空母艦だけではありません。これに抵抗したのは多くの小兵器なのであります。
 日本国憲法は、世界の国際平和のうちに、これをささえとして戦争を放棄することを誓った。これは、日米安保条約以前の理念でなければなりません。われわれは、アジア特に極東の平和を念願する。しかし、今日アジア諸国の間の関係は、安定した状態ではありません。これらの国々に兵器を輸出し、日本がアジアの兵器廠になろうとするような実業界の考え方は、危険なものと申さねばなりません。中立国スイスは兵器製造国であります。最近も短距離軽量ミサイルを開発、輸出し、国際間の物議をかもしております。スイスが中立の皮をかぶる危険な国であるとの批評のあることも、ここから出てくるのであります。日本は、平和憲法を掲げた危険国家になってはならない。平和日本のイメージはより高く掲げられ、これこそが日本外交の核心にならなければならぬと信ずるのであります。
 さて、今日まで政府は、共産圏国家及び戦争当事国には兵器を輸出しないことにしてきた。そしてベトナム戦争に参加するいわゆる七カ国もこの制限に入ると私に答えてきた。しかし、このベトナム戦争はいま終局の段階に入り、ベトナムに平和のもたらされた暁、この拘束は解かれるのであります。産業界はこれをねらっている。ここであらためて兵器の輸出について慎重な考慮がなされなければならない。私は、メード・イン・ジャパンの兵器によって人間同士の殺し合うことのないことをこいねがい、人道的立場からも総理の心境をお聞きいたしたい。
 大蔵大臣にも伺いますが、兵器の輸出は、国内における調達単価を引き下げることに役立ちます。これは否定いたしません。この財政的立場から兵器の輸出を喜ばれるのであろうか。そろばんと人の命、大臣はベニスの商人になっていただきたくない。心境をお聞かせ願いたいと思います。
 長い間の友人大平通産大臣に、死の商人の先達や旗振りにはどうしてもなってもらいたくない。大臣の兵器産業と輸出についての所信を述べていただきたいと存じます。
 次に、会計検査院の検査報告、また、委員会における質疑、答弁を通じて痛感されることは、建設業界の経営の面における非近代性であります。
 その一つは、国または公共団体との間の契約のあり方であって、契約にあたって業者間に広く違法な談合が行なわれていることであります。これは、私の経験からくる独断ではありません。国鉄総裁は私の質問に対し、国鉄は談合のあることを想定して契約を行なっている、こう答弁をいたしておるのであります。運輸大臣、この実態は国鉄法第四十条を空文化するものではないか。承りたい。
 刑法は、第九十六条ノ三第二項に談合の罪を規定し、判例は、あらかじめ特定の落札者をきめておくために話し合うことだとしております。私のごとき門外漢でさえも知っているこの判例の趣旨を、委員会に並みいる建設省の政府委員は一人として知らなかったのであります。不勉強なのではない。普遍化され、常識化されたこの犯罪に多くの役人は無関心になっているのではないか。法務大臣、世に満ち満ちたこの犯罪の摘発された例をあまり知らないのでありますが、犯罪の番人、検察官でさえも無関心におちいっているのではないか。承りたい。
 建設業界の経営の非近代性は、労働管理の面にあらわれております。特に出かせぎ者について端的に示されております。出かせぎの人たちの現場宿舎は、不衛生かつ危険きわまりないものであります。東京タコ部屋といわれるのはこのためであります。われわれの長い間の要請によって、労働省もようやく昨年四月、土建飯場の規格を定めたのでありますけれども、われわれの実地調査したところでは、いまだ四分の三は改善されておりません。さらに悪質なことは、賃金の未払いがあとを断たないことであります。土建事業は、一般に数段階の下請に流され、末端はいわゆる人入れ稼業、手配師にすぎません。この前時代的悪習が賃金未払いを生み、労働災害を招き、第一流会社にも見られるような会計検査院から指摘される不当事項となるのであります。
 この際、総理にお願いしておきたい。全国百万といわれる出かせぎ者に一片の関心を持っていただきたい。政府が出かせぎ対策を立てることによって、関心の一端でも示していただきたい。この人たちは、屋外の夜間重労働に従事している。彼らなくしては都市建設は進まないのであります。この人たちは、また工場において下積みの重労働に従事し、不足を告げる日本の労力の源泉として定着しつつあります。そうして、半年もの間、いま雪深い山村にこの人たちの妻は家と子供を守っている。私には、人道上の問題だと思われるのであります。とにかく、とりあえず直ちに飯場の総点検を労働省は行ない、改善を徹底すべきであります。
 また、さきに小平労働大臣がなすって一応の効果をあげたように、さらに建設業界に、出かせぎ者の処遇について重大な注意を喚起していただきたい。建設業界は、一ぺんや二へんのことではなかなか聞かない非近代性があります。
 次に、農林大臣に申し上げたいのでありますが、かん排事業等の農地改良事業を決算の上から見ますと、当初の計画どおりに年度に完成したものは一つとしてない。現在進行中の国営土地改良事業の受益総面積は約八十万ヘクタールであります。その進捗率は約四〇%であります。これに進行中の補助事業も加わるのでありますが、これらの地域はおおむね米の増産を目的としたものでありますから、今後次第に完成するにつれて、米の増産の要因となることはに明らかであります。われわれには批判はありますけれども、米の増産と、増産を押えようとする政策と、この問題をどう調整していこうとするのであるか。無理をすれば、受益者の負担とも関連し、現地の混乱も覚悟しなければなりません。会計検査院がかねてから留意を求めたように、限られたる財源の中で、あまりにも多くの個所に手をつけて個々の事業の完成をおくらせたことが、農政の弾力性をなくして今日の問題になったのであります。農業構造改善事業についても、会計検査院は、実施の調査に基づいて、草地の荒廃、繭生産の不成績、農業機械導入の採算に合わないものがあることなどを重ね重ね指摘しております。農林大臣、いまここで私の述べました個々の問題について、詳細な答弁を求めようとはいたしません。決算のあとは、過去の農政の苦悩、すなわち農民の不安を示しております。あなたは、この決算を通じて過去の農政の、またその実施について何を反省されているのか、そして、これを将来の農政にいかに反映されようとしているのか、大臣の所懐を伺いたいのであります。(拍手)
    〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#15
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 華山君にお答えいたします。
 兵器の輸出につきましては、従来から国際紛争を助長する結果となる、さようなおそれのある場合には絶対に輸出を認めない、こういう基本的な方針を堅持しております。そこで、ベトナム和平が実現すれば、お話しのように、南北ベトナムは直接の戦争当事者ではなくなりますが、だからといって、さっそくこれらの国に対して武器の輸出を認めるということは、これはやはりはなはだしく妥当性を欠くものだ、かように私は考えております。
 なお、平和憲法のたてまえから武器の輸出は禁止すべし、こういう御議論でございますが、日本の国も、御承知のように、平和憲法のもとにおいて私どもはりっぱな自衛権――自衛権の装備のために、わが国の安全を確保するために、外国からの武器を輸入しております。わが国自身が武器の輸入をしておる、このことは御承知だと思います。わが国と同様に、各国とも自衛権は持っておりますから、その限りにおきまして、武器の輸出は絶対に認めない、こういうのはやや行き過ぎではないだろうかと私は考えます。ただし、さきにも申し上げましたように、いやしくも国際紛争を助長するようなこととならないよう、慎重な配慮が必要であることはあらためて申すまでもありません。
 次に、出かせぎ人対策についてお答えをいたします。
 政府といたしましては、さきに閣議決定を見た雇用対策基本計画、これに基づきまして、出かせぎ労働者自身及び留守家族の福祉の向上をはかるための施策を積極的に講じております。しかしながら、なお今日も出かせぎ労働者の問題があとを断たないということは、まことに残念であります。どうか、政府も政府でありますが、出かせぎ労働者の諸君自身も、できるだけ正規の就職経路をとっていただいて、そうして明確な労働条件のもとに、安定的に働いていただくことが大切だと私は思います。この意味におきまして政府も、今後ともこの出かせぎ労働、労務についての関連省事務当局をも鞭撻いたしまして、対策の充実をはかっていきたい、かように思っております。
 その他の問題については、それぞれの所管大臣からお答えさせます。(拍手)
    〔国務大臣福田赳夫君登壇〕
#16
○国務大臣(福田赳夫君) 武器輸出の問題でありますが、国内調達が増加する傾向にあることは、これは御承知のとおりであります。そうすると、もし海外輸出を考える、つまり海外市場を拡大するというようなことがありますれば、国内調達の武器の単価もまた安くなるではないか、こういうふうな関係になるかと思いまするが、ただいま総理からお話がありましたように、平和を進めるわが国といたしましては、そういう考え方のもとに武器輸出をするというようなことはいたしません。また、実際問題といたしまして、武器の輸出につきましては、最近ずっと減少の傾向にあります。
 それから、公共事業を行なう場合において、談合の問題につきましての御指摘でありますが、会計法が御承知のように一般競争を原則とする、この競争下におきまして契約の公正と国費の効率的使用をはかる、こういうたてまえでありまするから、談合はまさにこの精神を乱す行為であります。したがいまして、これは刑法にも関係するのでありまするが、同時に、政府内部の規定といたしましても、予算決定及び会計令におきまして、そういう行為がありますることを防止する、もし万一そういうような行為がありますれば大蔵大臣に通報する、また別に、そういう行為をした者に対しましては、二年間は競争への参加を停止するというような措置をとることにいたしておりますが、近年、私どもに対しまして各省から談合の行為につきましての通報はありません。しかし、お話のようなことがありますので、昨年三月に大蔵省から各省に対しまして、必ず通報することを励行してもらいたいという要請をいたしておるのであります。国の公共事業の公正なる執行につきましては、なおこの上とも努力をいたしたい、かように考えます。(拍手)
    〔国務大臣大平正芳君登壇〕
#17
○国務大臣(大平正芳君) 武器輸出行政につきましてお答えいたします。
 武器の輸出につきましては、総理大臣が仰せられたとおりの精神に基づきまして、華山議員が御指摘のように、三つの原則に抵触する場合は輸出を認めないことにいたしております。すなわち、共産圏諸国向けの場合、国連決議によりまして武器等の輸出が禁止されておる国に向けた場合、さらに、国際紛争の当事国またはその当事国になるおそれのある国に向けた場合、この三つの場合につきましては、輸出を承認しないことにいたしております。しかして、具体的なケースでこの三原則に抵触するかどうかの判断にあたりましては、外務省等と十分協議いたしまして慎重を期しております。
 この輸出の実績でございますが、いま大蔵大臣が明らかにされましたように、漸減の傾向にございます。四十年度は三億一千五百万、四十一年度は二億四千二百万、四十二年度は七千七百万、四十三年、これは十二月までの実績でございますが、五千九百万円でございます。これはもっぱら護身用、警察用の拳銃、小銃でございます。私どもといたしましては、今後ともこの方針を踏襲してまいる所存であります。(拍手)
    〔国務大臣長谷川四郎君登壇〕
#18
○国務大臣(長谷川四郎君) お答え申し上げます。
 国営のかんがい排水事業につきましては、着工年次が比較的古い地区の中には、大幅に着工事業の変更がございまして、それがためにたいへん工事がおくれていたものがございましたけれども、最近に至りましては、一般的に見て、工事のおくれはおおむね解消しつつあると申し上げられると思うのでございます。さらにまた、新しい地区の採択にあたりましては、前年度完了地区数、当該地区事業の緊急度、地元体制等をあわせて考慮することとしております。このために、継続地区の工期に影響を与えていることは考え得られないと思うのでございます。しかし、今後とも工事の早期完了をはかるべく努力してまいりたいと思います。
 次に、増産についてのお話でございましたが、近年の米の需給事情等とからんで見まして、新規の開田は極力抑制することとしておりまして、また、既水田を対象とするかんがい排水事業や圃場整備事業等は、米の増収効果も伴うが、直接のねらいは、営農労力の節約による生産性の向上や老朽施設の更新等でありまして、このため、今後も適地における稲作経営の合理化をはかる観点から、この種の土地改良事業を進めていく考え方でございます。
 次に、構造改善事業につきましては、国及び都道府県の指導、援助のもとに、市町村長の作成した計画に基づきまして、農協その他関係団体協力を得て実施をしているものでございまして、従来、事業の実施について一部適切を欠くものがあったことは、まことに遺憾であると思うのでございます。今後とも関係機関に対する指導を十分に行ないつつ、この事業の目的が達成されるように努力いたしてまいるつもりでございます。
 最後に、現行の農業構造改善事業が、これらの主産地の形成を通じまして、農業経営構造の改善に相当大きな役割りを果たしてきましたが、一面、その対象地区が狭く、また経営規模の拡大が必ずしも進まない等の事情がございましたので、第二次農業構造改善事業におきましては、この上を勘案いたしまして、事業規模を拡大いたしまして、従来の農業近代化のための事業を拡充するとともに、自立経営、協業経営等の、規模の大きく、生産性の高い農業経営を育成することに特段のくふうをしてまいりたいと念願をしている次第でございます。(拍手)
  〔国務大臣西郷吉之助君登壇〕
#19
○国務大臣(西郷吉之助君) お答え申し上げます。
 先ほど大蔵大臣もお触れになりましたが、競売入札妨害罪並びに談合罪は、国または公共団体が施行する競売入札の公正を害し、かつ、本来自由競争によりきめられるべき最低販売価格、落札価格を不当につり上げることなどにより公の競売入札の執行を妨害するものでございますから、検察当局におきましては、従来ともこの種事犯については厳正な処理を行なっておりますが、お話もございましたので、今後なお、こういう問題については厳正な態度で臨みたいと存じます。(拍手)
    〔国務大臣原田憲君登壇〕
#20
○国務大臣(原田憲君) 国鉄総裁の答弁は、工事契約の当事者であります国鉄総裁が、適正な契約価格を確保するため大いに努力をしていることを趣旨とするものであると考える次第でございます。
 なお、国鉄の入札に際しての手続は、日本国有鉄道法第四十九条に定められておりまして、これに従って厳正に運用されるべきものと考えます。談合が法に違反する行為であることは言うまでもないことでございまして、そのようなことのないよう、今後とも国鉄を十分指導してまいりたいと存じます。(拍手)
    〔国務大臣原健三郎君登壇〕
#21
○国務大臣(原健三郎君) 華山さんにお答え申し上げます。
 私に対する質問は、建設業などの出かせぎ労働者の労務管理がどうであるか、うまくいっていないというお尋ねでございましたが、華山さんの御指摘のとおり、はなはだ遺憾の点が多いのでございます。昨年四月一日から、建設業附属寄宿舎規程というのを実施いたしております。その規程に従いまして、昨年九月、労働省におきまして建設業の労務者の寄宿舎を総点検いたしました。およそ五千件点検いたしましたところが、違反率がおよそ七割五分にも達しました。まことに遺憾でございます。これが是正処置について、いま労働省で大いに努力いたしておる最中でございます。
 さらに、華山さんから御注意のございました東京都内における建設飯場がいかがであるかというので、これもただいま監督、指導いたしておる最中でございます。
 次に、賃金不払いの事件でございますが、これも四十一年以来、建設業者及び請負業者の中で賃金不払いの事件がときおりございますので、国及び政府関係機関の公共事業発注機関に対して、賃金不払いの事業者、こういう不良業者には今後公共事業を請け負わせることを禁止する処置をいまとっております。
 それからさらに、出かせぎ者の就職経路の正常化、これもはかっておりますし、雇い入れの際における労働条件の明確化もいたしたいと思っております。さらに、労働災害の防止対策の強化等もいたして、建設業に対しては重点的な指導、監督を前向きに、積極的にやる考えであります。毎年、建設業労働災害防止大会というのをいままでもやってきておりますが、今後もやる考えであります。その機会を利用して、御指摘のありましたような点も注意を与え、労働省の指導、監督を強化いたす考えであります。
 さらにまた、御指摘のように、今後現場の点検、指導、監督等も積極的にやる考えでおります。(拍手)
    ―――――――――――――
#22
○議長(石井光次郎君) 吉田賢一君。
    〔議長退席、副議長着席〕
    〔吉田賢一君登壇〕
#23
○吉田賢一君 私は、民社党を代表して、ただいま御報告の昭和四十二年度一般会計決算等につき、佐藤総理その他担当大臣に若干の質問をいたします。
 まず第一には、昭和四十二年度の財政計画と運営の実態を批判したいのです。
 四十一年度は、前年の不況、税収不足等のあとを受けまして、景気刺激型の予算を編成せられ、本格的な公債導入の年でありましたが、四十二年度は、経済成長率も政府の予測を上回って、早くも経済界は好況に入りました。しかし、前年にも増して国債は八千億円、及び財政投融資、公募債は九千百余億円を見積もりましたので、きびしい世論の批判となりました。好況時における公債無用の論、民間融資への圧迫、国債の不消化等々であります。これらは、いずれも公債政策の不健全性、また安易な財源の端緒としての批判と考えねばなりますまい。また、同年度の税収の過小見積もりで、自然増収は約六千億円近くにものぼり、ここにも財政計画の基礎の不確実性が露呈いたしました。
 次は、一群の重要国策の財政的病源の放置でありました。
 一つは、食管会計です。すでにきわめて不経済な、膨大な中間諸経費にも長年目をつぶって、毎年赤字累増して一般会計の負担は重く、来年度は赤字三千億円をこします。このままでは三カ年を出でずして崩壊の危機に直面しておるといわねばなりません。
 二は、健保財政です。これまた不健全な構造も原因して、累積赤字は二千億円にも達しました。政府管掌の保険制度など、抜本的対策はいまだなっておりません。
 三は、国鉄の赤字であります。昭和四十六年度には国鉄赤字は三兆円となり、元利の償還に身動きもならぬ実情で、根本的改革を迫られております。
 これらは例示にすぎません。これを国の財政に内包する重要な病源と見て、早期根本治療に手をつけ、財政の健全化をはかるべきでなかったでしょうか。いまになりて、これらがいずれも財政上、国策上の重要課題として論議せられておりますが、政府は、すべからく強く反省すべきではないでしょうか。(拍手)
 一方、四十二年度はおおばんぶるまいの予算といわれ、あるいはまた、好況に依存いたしまして気がゆるんだか、国と地方の行政改革はおくれ、財政のひずみは内攻して次第に重大化していったこともいなみがたいことです。
 次には、会計検査院の批難事項の指摘は、いわゆる九牛の一毛と称されておりますが、これは財政計画と政策の実施、予算の執行について、その経済性、効率性などの精査検討をしますれば、批難事項は報告に手をやくほど膨大となることを忘れております。佐藤総理もここに着目せられて、過誤なきを期して綱紀を粛正し、財政の計画に、予算の執行に当たらねばなりますまい。すべての国民はひたいに汗をして、血税を政府に託して、その福祉のため、ひたすらに適切に使われんことをこいねがうゆえんのものでありましょう。政府は、国の決算について、むしろ予算以上にこれを重視して、慎重を期すべきは当然であります。(拍手)佐藤総理並びに福田大蔵大臣の御所見はいかがです。
 次に、会計検査院と国会の関係についてであります。一つの提案をしつつ、私は御所見を伺いたい。
 元来、憲法その他の法令によりまして、その検査は、法令と予算上の違法、不当のあるなしがものさしであります。予算の執行の経済性と効率性の評価はほとんどありません。国会は、費用と効果こそ重視すべきです。しかし、現状は不可能に近い。検査院法制定時の貴族院の速記録を通じて見ましても、旧制度の反省がほとんどありません。民主時代にふさわしい検査には幾多の支障のあることが明らかであります。いまは科学時代、その合理性、経済性を求めるのは、ひとり企業社会のみではありません。行政、財政、ことに予算の執行面において脱皮し、体質を改善すべきではないでしょうか。昨年六月、東京で開催しました世界七十カ国の最高検査機関会議において採択した動議、議案等にも、以上の要請を満たすものがあります。
 私は提案したい。決算検査の結果を早期に国会に提出する方法、予算執行の実績と効率をすみやかに国会において把握する方法、会計検査院長は、憲法上の機関として国会の本会議に出席し、意見を述べる機会を持つことが適当でないか、その方法はいかん。これらにつきまして、総理大臣の御所見を伺いたいです。(拍手)
 次は、補助金の問題であります。これはわが党委員長も若干触れましたが、まことに古くして新しい課題です。全国会議員は身近な関係もありまするので、勇猛果敢な整理は至難でありましょう。しかし、一般会計、特別会計、政府関係機関に占むるその比重は、きわめて大きいです。池田内閣の時代から、合理化審議会、全国の知事会議などが長年の懸案としておるところです。もし、しさいに検討しまするならば、廃止、減額、統合あるいはメニュー方式または存続等、分類は可能であります。さらにまた、国民福祉のために、もしそれ定額予算化、国庫支弁を当然とすべきものがあるならば、それは当然になす責任があります。大蔵省としましては、昭和四十四年度案を模範的に策定して、その責任を果たされてはいかがでしょうか。
 次は、野田自治大臣にアンケートについて伺ってみたい。
 昨年七月、全国の都道府県、市町村など三千六百余に対して、行政合理化のために、国の財政に重要関係もある百二の項目の行政、事業等のアンケート調査を行ないました。この問題は、具体的に問題点を指摘して、面接もしたり、ないしは書面等で問い合わせをしたり等々、各般の手続を経て意見を求めました。賛否の意見は全国から来ました。そして国及び地方の行財政の改革の上には貴重な資料と見えました。八月に自治省に回付せられ、各主管省庁に送付となりまして所見を求めたところが、結果はいかん。予想に反して、大半が反対、賛成は僅少とのことであります。地方団体は大部分が賛成、中央庁は逆に反対と聞きます。とすれば、一体民主主義のこの時代に、国民は迷わざるを得ません。その後は行政改革本部におきまして処理することでしょうが、そもそも発案省である自治大臣の感想及び所見はいかがでしょう。(拍手)
 そのほか、建設大臣に一点伺いたいです。
 日本の経済の発展、社会資本の充実、ないしは国土の総合開発時代の要請に応じまして、道路整備の計画、宅地造成等、公共事業に所要の土地量はますます増大していきます。この際、特に市街地地域の地価高騰が目ざましく、事業遂行の上、財政負担ば不当に重圧となっておることは、これまた顕著な事実であります。昨年度、市街地地価は過去十三カ年間に約十倍となっております。しかがって、用地費、補償費の全工事費に対して占むる比重はきわめて高いです。例は、高速道路の中央、東名、名神などの実例がこれを証明しております。そこで、政府としては、すみやかに長期計画を立てねばなりません。いまある長期計画なるものは予算要求の計画にすぎません。すべからく、経済と財政について一定の期間誤りなき名実伴う長期計画を策定して、国の財政負担が予定せられ、不当に累進増大することを防ぐべきではありますまいか。もちろん物価対策、地価対策等、抜本的国策の樹立が必要でありましょうが、建設省自身の責任でこの基本要請にこたえるべきではないでしょうか。また、全国に散在する膨大なる国有地あるいは公有地などをすみやかにこの際精査の上、宅地造成の地域として積極的に活用するということが土地需要への重要な手法とも考えるが、いかがでしょうか。
 最後に、私は、行政管理庁の長官にお尋ねしたい。
 申し上げるまでもなく、財政の実態はその計画並びに実施にあります。特に中核としての予算の執行を重視すべきであります。行政管理庁は、常に行政の実態、その運営について、こさいな観察を遂げられ、その改善につとめておられることを認めるが、特に日本の行政が激しい時代の進運にふさわしく近代化し、合理化し、能率化して、絶えず本来の任務を完遂し得る体制へと改善、改革を遂げていかねばなりません。けれども、はたしてこの実績があがっておりましょうかいなや。実情は遅々としてはかどっていない。例を、たとえば行政改革にとってみましても、特殊法人の整理は未了であります。行革の三カ年計画は、昨年の六月に出そろっておらねばならぬはずであります。幾たびか国会の委員会においてこの点は質問されておる。一体、全体として行政改革への熱意が政府は後退したのではないでしょうか。閣僚会議も行政改革本部も開店休業でないかとさえ私には思われるのであります。年じゅうお経読みではだめであります。詳しくは別の機会で伺いまするが、この際、新長官の計画と決意のほどを明らかにしてもらい、一つは国の財政の健全化のため、具体的に行政改革のプログラムを伺って、私の質疑を終わりたいと思います。(拍手)
    〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#24
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 吉田君にお答えいたします。
 四十年の不況から立ち直り、順調な経済の発展を見ていることは、国債による景気浮揚策を中心とした財政金融政策のもとに民間経済活動が活発に行なわれた結果と考えます。この場合、確かに実績は計画を上回る力強さを示しましたのでありますが、私は、この経済の発展を持続させ、かつ、経済発展によりもたらされるひずみ、ゆがみ、これを最小限にするためには、経済の成長率を適度のものにとどめるための施策が必要と思っております。四十四年度予算がこのような配慮のもとに編成されたものであることはたびたび申し上げたとおりであります。
 なお、経済予測の技術にはさらに改善を要する点もあるとは考えますが、要は、機動的、弾力的な態度を失うことのないようにつとめていくことが最も大事なことだと思います。
 決算の重要性についてお触れになりましたが、私もそのとおりだと思っております。その重要性、全く同感であります。しばしば言われることでありますが、予算の執行と決算、これは車の両輪だといわれておる。もちろん、私どもの支出が十分の成果をあげるように、また適正でなければならない、こういう意味からも、決算というものがさような意味の指摘もしてくれますし、また予算編成にあたりましても、とうとい資料を提供してくれる、かように私は考えております。
 次に、国会法を改正して会計検査院長にも本会議に出席させて説明させたらどうかという御趣旨の御提案がございました。従来は必要に応じて委員会に出る、こういうことでございますが、委員会に出て国会の審議に参加していただくことで特に問題はなかったようにも私は思っておりますけれども、せっかくの御提案でございますから、なお十分これらの点についても検討いたしたいと思います。
 その他の点につきましては、それぞれ所管大臣からお答えいたさせます。(拍手)
    〔国務大臣福田赳夫君登壇〕
#25
○国務大臣(福田赳夫君) 会計検査院の検査をもう少し質的なものにし、それに関連して、国会でもさような審査をするほうがいいんじゃないかというような御説でございますが、私もさように存じます。法的方面ばかりでなく、実際上、経費が効率的に使われているかどうかということを、経済面の尺度からも考えていただく。私は、予算の執行を公正にするために有益な考え方である、かように存じます。
 また、食管会計、健保会計、国鉄会計につきまして赤字対策をとれというお話であります。まことにごもっともな御意見と存じます。これらの会計におきまして多額の赤字を露呈しておりますことは、戦後異常な形であったわが国、また、その立ち直りから非常に急速なスピードで今日に至ったその過程、そういうことを考えますと、これらの会計で赤字ができたのも無理からぬところがあるとは思っておったのであります。しかし、今日になってみますと、これらが累積して、いわゆる硬直化の体制をつくる根元になっておるということを考えますと、もうこの問題に手をつけざるを得ない段階に来ておると思うのであります。
 健保につきましては、さような見地から、医療保険全体にわたりまして総合的な施策をいま検討いたしておりますることは御承知のとおりでありまして、なるべく早く成案を得て御審議を願いたい、かように存じております。
 また、国鉄につきましては、国鉄当局も合理化を推進する、また政府においてもこれを援助する、さらに利用者におきましても、その再建の一部を担当する、三者一体で協力をして国鉄を立て直すというための施策を今国会において御審議を願うことにいたしております。
 食管につきましても同様でありまして、自由米制度の導入、また生産者米価並びに消費者米価据え置きの方針のもとに、この会計の改善をはかっていきたい、かように考えておりますので、いずれも困難な問題でありまするが、ひとつ御協力のほどをお願いしたいのであります。
 補助金の整理につきましては、鋭意その努力をいたしておるのでありまするけれども、なかなかこれがむずかしい問題であります。これも国会の皆さんの御協力を得なければ、どうしても実現できない問題でありますので、私ども政府においても努力をいたしまするけれども、なお一そうの御協力のほどをお願い申し上げたいのであります。
 予算の執行にさらに注意をいたせというお話につきましては、全く同感でありまして、なお一そう精進をいたしたいと存じます。(拍手)
    〔国務大臣荒木萬壽夫君登壇〕
#26
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 吉田さんにお答え申し上げます。
 御指摘のとおり中央、地方を通じまして行政改革を行なう、国民のためにあるいは地方住民のためにという立場で行政改革を行なうことの重要性は、政府としても十分に考えておるところであります。御案内の臨時行政調査会の答申を尊重しつつ、国民のための行政の実現を期して、その簡素、能率化につとめてきておる次第でございます。
 行政管理庁としても、各省庁に対する機構、定員の審査及び行政監察の実施を通じまして、さきに実施いたしました一省庁一局削減、審議会の整理、再編成等の機構の統廃合、特殊法人の整理、許認可等の整理等、全庁の機能をあげて一体的にその推進に当たってまいっておる次第でございます。引き続き行政改革本部を中心としまして、おおむね三カ年を目途とする行政改革計画の作成を鋭意検討中でございます。この点について、予定しました時期を幾らかおくらしておりますことは御指摘のとおりでございまして、恐縮いたしております。いま申し上げましたように、関係者全員をあげて一生懸命努力しておりますことを申し上げて、一応の御了承を得ておきたいと思います。
 特に行政改革の柱である定員管理につきましては、三年間五%の削減措置を実施いたしますとともに、行政需要の消長に応じて定員配置の機動的、弾力的運用をたかるため、行政機関の職員の定員に関する法律案、いわゆる総定員法案を重ねて御提案申し上げているような次第でございます。さらに吉田さんをはじめ各位の御鞭撻、御叱正に応じまして、一生懸命努力してまいりたいと存じております。
 以上、お答え申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣野田武夫君登壇〕
#27
○国務大臣(野田武夫君) お答えいたします。
 いまお述べになりましたように、自治省は、地方行政の改革を推進するために、昨年全国の都道府県及び市町村に対しましてアンケート調査を実施いたしました。その結果に基づきまして、地方公共団体の立場から見て国の行政について改革を必要とする項目を取りまとめまして、地方行政の合理化に関する行政改革意見といたしまして、政府の行政改革三カ年計画の一環として、その実現をはかるべく努力しているところでございます。ただいま行管長官からも申しましたとおり、行政改革本部におきましても、これらの資料に基づきまして、われわれの、つまり自治省のまとめました意見書につきましてもきわめて慎重に御検討を願っておるのでございまして、自治省といたしましては、関係各省の協力を得て、ぜひともその実現をはかりたいと、こう考えております。(拍手)
    〔国務大臣坪川信三君登壇〕
#28
○国務大臣(坪川信三君) お答え申し上げます。
 まず第一の御質問に対しましては、建設省は、急激な都市化に対処し、国土の均衡ある発展をはかるため、長期的な観点から計画的に道路、住宅、河川、下水道等の公共施設の整備を進めるため、これらの各施設につき、五カ年を目途とする長期計画を策定、実施しておりますが、これらの計画は、経済社会発展計画等の、国の総合的、長期的な経済計画と整合を保ちつつ、閣議決定または閣議了解されており、財政的な裏づけをもって策定されたものであります。しかしながら、計画策定後における予期以上の経済成長に伴う交通需要の増大、その他の社会的経済的条件の変化等によって、計画期間の途中において改定せざるを得なかったものがありますことは、お説のとおりであります。これは、計画策定当初予期し得なかった経済、社会的条件等の変化に弾力的に対処するためには、ある程度やむを得ない措置と考えますが、今後はできる限り見通しを的確に行ない、財政の裏づけその他についても、計画の実行を確保するよう一段の努力を払ってまいりたい所存でございます。
 また、御質問の第二点につきましては、御指摘になりましたとおりでございまして、都市計画の推進並びに都市開発事業の推進を行なうにつきましても、また住宅政策の推進を行なうにいたしましても、優先する問題は、やはり地価、土地の問題であろうと考えるのであります。したがいまして、政府は、昨年の十一月、地価関係閣僚協議会を開きまして、その答申、またその決定を得たわけでございます。その決定に沿いまして、政府は目下鋭意これらの対策を講じつつあるのでございますが、第一、長年の懸案でございました地価公示制度の問題につきましても、来年度の予算措置を講じ、本国会においてこれの制定の御審議を願う予定になっておりますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 また、国有地、公有地の活用につきましては、都市地域における国有地、公有地の民間への払い下げを原則として停止いたし、未利用あるいは高度利用可能な国有地、公有地について、公共用地、公用地としてその適切な活用をはかることとしております。建設省といたしましては、関係各省庁の協力を得まして、特に東京、大阪等の大都市地域における住宅建設、都市の再開発推進の見地から、これらの国有地、公有地の積極的利用を推進し、特に公営住宅、公団住宅等の建設のためには、できるだけ低廉な用地を確保する必要がありますので、公用または公共施設の上部を利用するとか、低層の公営住宅の建てかえを促進するとか、市街地またはこれらに隣接する地域に必ずしも位置する必要がない国有地の施設を移転して、そのあと地を活用するとかの方法によりまして、国、公有地の活用を積極的に推進してまいりたい所存でございます。
 以上、お答えいたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#29
○副議長(小平久雄君) 小濱新次君。
    〔小濱新次君登壇〕
#30
○小濱新次君 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま御説明のありました昭和四十二年度決算等に関し、佐藤総理並びに関係各大臣に御質問いたします。
 ただいままでの質問の中で、会計検査院と談合罪についてお話がございましたけれども、私は具体的にこの問題についてお尋ねいたしますので、よろしくお願いしたいと思います。
 質問の第一は、決算制度のあり方についてであります。
 決算は、国民の血税や零細な預貯金等を含む予算や財政投融資が、正当かつ効率的に執行されているかどうか審議するものであります。そこで、四十二年度決算検査報告によれば、不当事項は二百六十件、約十二億円にのぼっているが、これは全体の数字ではなく、氷山の一角であって、まだまだ多くの不当事項が温存されていることを私は強く指摘したいのでございます。それは、たとえば昭和四十一年度における全体の必要検査個所は三万七千七百十二カ所であるのに対し、実地検査施行個所は二千六百四十五カ所で、その施行率はわずか七%にすぎないのでございます。また、個々に取り上げてみても、租税検査は三八ないし三九%程度の検査率であります。農林省公共補助は五%程度の検査施行率であります。これでは全体の不正事項が指摘されるわけはないと思うのでございます。これだけ複雑になった社会機構の中で、国の資金が多方面に活用されている現実から判断してみましても、この検査対象は年々増加すべきであるにもかかわらず、会計検査院がその対象を減らすような姿勢、方向については、私はまことに理解に苦しむものでございます。
 その他、本来不当事項として批難さるべきことが、留意事項という穏やかなベールの中に包まれているのも納得しがたいのでありますが、総理の御見解をお伺いいたします。
 さらに、毎年決算を審議するたびに、予算の効率的執行並びに不当事項の根絶ということを繰り返し叫んでまいりましたが、今日まで依然として改善の実はあがらないばかりか、その場限りの警告、勧告として委員会の結論は全く無視されてきたのであります。今後決算審議の結果をどう反映されるのか、指摘事項をどう処置されるのか、総理の決意をお伺いいたしたいと思います。
 また、会計検査院は、近年多くの公団等の検査対象機関に、事務総長、局長等の高級官僚を役員として送り込んでいるのでありますが、これで国民のためのほんとうの検査ができるのかどうか、疑わしく思うのであります。会計検査院が唯一の検査機関であるならば、国の決算をだれからも干渉されないためにも、給与その他の身分保障を考慮し、厳正な検査事務ができるよう処置すべきであると思うのでありますが、総理大臣のお考えはどうでありましょうか。
 検査官の任命は、御存じのように、国会の議決を経て内閣総理大臣がこれを任命すると検査院法に示されております。佐藤総理は、この決算制度の実態をどのように考えておられるのか。また、これと関連して、他の一般公務員の天下り人事に対しても厳に戒めるべきであると思いますが、総理の見解をお伺いしたいと思います。(拍手)
 次に、第二は、入札制度についてであります。
 会計法第二十九条によれば、国の機関が売買、貸借、請負その他の契約を締結する場合には、公告して申し込みをさせることにより競争に付さなければならないことになっております。すなわち、一般公開競争入札が原則となっておりますが、現実には、ほとんどの契約が指名競争入札ないし随意契約となっているのであります。一般公開入札によると悪質な業者がもぐり込むからというのが、従来のこれに対する弁解であります。しかし、予算決算及び会計令第七十二条によれば、悪質業者をチェックする方法として、あらかじめ適格者のみを選抜して登録するという制度があり、政府部内では、すでにこの登録制を採用しているのであります。しかるに、なおこの登録業者の中から、さらに五ないし六社を指名するという会計法違反の運用を全部の官庁が行なっているのはいかなる理由によるものなのか。明らかにしていただきたいと思います。(拍手)
 業者の間では、指名をもらうのはお役所から、注文をもらうのは業者仲間からということばがあります。少数にしぼられた指名業者の中に入れてもらうためには役所に猛運動をする、あとは指名業者内部の談合で落札者をきめる。指名制度は、この談合と密接不可分の関係にあるのであります。関係者は、お互いに暗黙のうちにこの間の事情を承知の上で、法をゆがめて運用しているのであります。最近では、保谷市長の汚職事件がよい実例であります。
 また、四十二年度の公務員の検挙人員数は七百十四人であります。そのうち、わいろによるものが、何と五百十人となっているのであります。以上は検挙数であります。このゆがんだ背景を持つ公の契約が幾多の欠陥を持っていることは、年々の会計検査院の報告によっても知ることができるのでございます。業者の中には、指名にわいろを使い、談合でピンはねされ、つじつまを合わすために、やむを得ず手抜きをしなければならない、まじめに仕事をすれば倒産をする、官庁請負は一切やらないという者まで出ている事実がございます。最も厳正であるべき公の契約が、このように最も乱れているということは驚くべきことであると思うのでございます。この会計法違反の疑いのある行為について、政府はどのような措置をとるつもりなのか、指名競争入札は原則として禁止するという措置をとられるかどうか、お伺いをいたします。
 また、この入札の実態に汚職と談合の原因があるともいわれております。これと関連して、刑法第九十六条ノ三の談合の罪の適用がほとんど見られない。そのような事実はないというのか、それともまた摘発の意思がないからなのか、これらの点について、国民の疑惑を晴らすために、総理並びに関係各大臣の明確なる御答弁をお願い申し上げたいと思います。
 次に、第三は、電電公社の未収金問題についてお伺いいたします。
 電電公社は、米軍基地の使用する電話料金を毎年請求しているのでありますが、アメリカ側はこれを拒否している。いわゆるこれは地位協定の七条及び二条の解釈の相違によるものでありますが、昭和二十七年以来、十七年間も争われており、その累積額は七十七億八千万円にも達しておるのであります。その間、国会においては、予算、決算、逓信、各委員会等で十数回も論議されていながら一向に進展していないのであります。相手が払わなければ、一方的に泣き寝入りしなければならないのであろうか。言うべきことまで言えない弱腰外交をなぜ続けなければならないのか。これは北方領土や沖繩のような問題ではございません。もう少し積極的であれば、十七年間も放置されているはずがないのであります。この解決の見通しはどうなのか。また、この負担を、電電公社の負担のままで放置することは、電話料金の値上げが実施されようとしているおりでもあり、これは大きな問題であると思うのでございます。この補償を国でする意思があるかどうか、総理並びに関係大臣に御答弁をお願いしたいと思います。
 次に、第四は、公害問題についてであります。
 激増する公害問題の実情を見ますると、特に行政面の推進が重要視されております。しかるに、最近の政府の動向を見たときに、最も重要な予防対策において何ら新しい構想が見当たらないのでございます。すなわち、公害行政において最も必要な各省の公害担当官の増員に対して、来年度は、警察官、自衛官に至っては五千人、六千人の増員を行なっているのに対して、厚生省の公害担当官は、わずか七名の増員の要求さえ全く認められないのでございます。また、四十二年、四十三年においても同様に増員は認められていないのでございます。したがって、現在では何種類もの公害を一人で手がけなければならないのであります。このようなことで、はたして解決ができるのでありましょうか。
 また、公害の事前防止対策の経費について見たときに、地方自治体では政府の予算措置を待ち切れず、各自治体とも大幅な予算措置を行なっているのであります。それに対して、政府はわずかの予算しかとっていません。これでは人命に多大な影響を与える公害対策を軽視しているといわざるを得ないのでございます。総理並びに関係大臣の御見解をお伺いしたいと思うものでございます。
 次に、第五は、公営ギャンブルについてであります。
 最近世論の対象となっている公営ギャンブルについて見ますると、四十二年度において約一千百億円にのぼる膨大な金額が、国、地方公共団体並びに民間の公益法人等に支出されているのであります。しかしながら、わが国の競輪等のいわゆるギャンブル競技は、戦後、国民が衣食住にも極度に困難であった中で、単に国または地方公共団体が戦災復興のための財政資金を得るために臨時的に行なってきたのであり、すでに法の目的は達成していると思うのであります。また、これまでの運営状況を見れば、国民に健全な娯楽を与えてきたものではなく、むしろ弊害のみをもたらしていると私は思うのでございます。この際、早急にいわゆる公営ギャンブルを廃止して、現在のギャンブル依存の財政から健全な財政を確立すべきであると思うものでございますが、佐藤総理の見解をお伺いいたします。(拍手)
 また、今後の財政対策等についてはどう考えておられるのか、御答弁をお願いしたいと思います。
 次に、第六は、国の出先機関と事務等の委譲についてお伺いいたします。
 国の地方出先機関及び事務を地方公共団体に委譲することによる行政改革は、国家及び地方団体の数百億円にのぼる膨大な額が節約され、また同時に、陳情行政の弊害が改善されるとともに、住民に直結する総合的な行政が期待されると思うのでございます。しかしながら、地方財政に負担をかけないことが最も重要なことは当然であります。したがって、地方自治体に対して適当な財源措置を講じて、国の出先機関や事務等の地方委譲の行政改革をすみやかに実施すべきであると思いますが、総理の御見解をお伺いいたします。
 最後に、一昨年わが党によって追及いたしましたタクシー汚職事件にかかるLPガス課税に関してでありますが、四十年二月、国会に提出されながら、その実施時期を大幅に後退させ、この間業界の陳情攻勢はすさまじく、二億円に及ぶ政党ぐるみの買収作戦が活発に展開され、これによって第四十九回臨時国会では継続審議となり、第五十回臨時国会では審議未了として廃案、その後第五十一回通常国会で、政府はこの課税法案を再び提出いたしましたが修正され、さらに課税延期の改正案が第五十五回国会で成立し、課税実施が四十四年三月まで延期されたのであります。このため、総額三百七億円に及ぶといわれるばく大なる減収を招いたのであります。このように、一部業界の圧力によって政治が左右されるようなこういう姿であっては、ますます国民の政治に対する疑惑を招くばかりであります。
 今後かかる政治不信を招かないためにも、総理が常々口にする政界の浄化をはかり、政治資金規正法の改正を今国会においてすみやかに成立をさせるべきであると私は思いますが、総理の決意をお伺いいたしまして、昭和四十二年度決算の概要に対する質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#31
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 小濱君にお答えいたします。
 会計検査院の検査の対象とすべき個所に対する実地検査は、従来から、重点検査対象については大体三年に一度という基本線は維持しております。検査の程度が年々少なくなっているようなことはございません。私は聞いておりません。しかしながら、検査の結果の指摘件数は若干低下の傾向にあるようであります。確かに、この会計検査でやります検査は全部ではございませんし、そのパーセンテージも非常に低いのでありますから、氷山の一角だ、こういうことも当たっておろうかと思います。しかし、最近の指摘件数が減ったということは、これはむしろ零細補助工事自体が減ったことと、一面、世の中が落ちついてき、また検査の実効があがってきたということを示すものとして、これはきわめてわずかではありますが、全部をこれで想定することはむずかしいと思いますけれども、いまあげたような理由であれば、これはたいへん慶賀すべきことではないだろうか、かように私は思うのであります。
 次に、決算審議なり検査指摘事項をどのように考えているかとのお尋ねでありますが、先ほど吉田君にもお答えいたしましたように、予算の執行が政策目的を果たしているかどうか、また、不正、不当、そういうようなことはないかどうか、これを予算執行後トレースしていただく意味におきまして、予算の執行とこの検査は、先ほども申したようにいわゆる車の両輪、こういう関係にあり、またその役割りを持つものであり、その重要性につきましては私も深く認識しておるつもりであります。今後とも、従来にも増してその審議の結果を予算の編成にも、また執行にあたりましても十分に取り入れていくよう、各省に対しましても徹底させてまいります。
 次に、検査担当官のあり方についてでありますが、身分の確立については、任免進退について完全な身分保障を与えられている検査官のもとに、担当官の公正かつ独立な検査が行なわれているものであり、まず問題はないように考えております。
 天下り人事の問題につきましては、たびたび御指摘をいただいております。特に検査の厳正を保持するためにも、検査担当官について一般公務員にも増して慎重な配慮が必要との御指摘かと思いますが、私も、いやしくも天下りにより弊害が生じないように、一そう注意してまいりたいと考えております。
 次に、契約のあり方として、指名競争入札や随意契約が多過ぎはしないか、そこで談合のもとになっているのだ、かような御指摘であります。しかし、それにもかかわらず、どうも談合罪の数が少ない、これはどうも適用を怠っているのではないのかというような御指摘であったかと思います。最近、指名競争入札がふえておることは御指摘のとおりであります。私もこれを否定するものではありません。元来、契約は安ければ安いほどよい、こういうような簡単なものではなく、他面、契約が確実にりっぱに履行されるということが要請されます。この二つの要請を調和させるものとして指名競争の方式がとられているのであり、問題は、その運用が適正に行なわれているかどうかにあろうかと思います。談合罪の適用が少ないのではないかというようなお話でありますが、私は、基本的には全体的に契約の公正は保たれている、かように考えますし、また、今後とも、契約の実施にあたって制度の趣旨が完全に生かされるよう、十分な配慮、指導を行なってまいります。
 次に、電電公社の未収金の問題、また公害等についてのお尋ねがありましたが、それぞれの所管大臣からお答えいたさせます。
 次に、公営の競馬、競輪等のいわゆる公営競技を廃止せよ、こういう御意見でありますが、本来、地方団体、住民の自主的な判断でこの廃止は決定されるべきものであって、その場合には、当然その団体の財政状態なり、あるいは行政水準なり等を勘案して決定されるものだろうと私は考えます。私としては、いずれにせよ、この種競技が良識と節度をもって健全な姿で行なわれることを期待するものであります。
 次に、LPGの問題についてお話がありましたが、課税の問題については、これは大蔵大臣からお答えさすことにいたしまして、私は、お尋ねのありました政治資金規正法案について、これは本会議でも申し上げましたとおり、ぜひ皆さま方の賛成を得て成案を得たい、成立を期したい、かように考えております。(拍手)
    〔国務大臣福田赳夫君登壇〕
#32
○国務大臣(福田赳夫君) いま総理からお答えがありましたが、指名競争入札制度です。これは、どうしてもこの制度を使わなければ国益に合わないという場合もありますので、これを廃止するということは困難かと思います。運営には注意してまいりたいと存じます。
 それから、公害問題で財政援助をせよというお話でございまするが、これはもちろん、公害問題は当面している最大の社会問題であります。したがいまして、国の予算の面におきましても、あるいは税の面におきましても、金融の面におきましても、それぞれ適切なる援助をいたすことが適当である、かように考えております。
 増員問題についてでありまするが、これは公害担当官が必要でないからというので増員を認めなかったというんじゃないのです。これはもう既定の定員の中でやりくりをしていただきたい、これはもう皆さんの御趣旨にも合うことかと思いまするが、さような趣旨でありますことを御了承願いたい。
 地方団体と中央の出先機関との調整の問題、これは御説のとおり、非常に重要な問題だと考えます。非常に困難な問題でありまするが、くふうをしてみたい、かように考えております。
 LPのあの不祥事件、はなはだ遺憾に思います。ただ、あれと何か国会の審議が関係して三百億の損失を生じたごときお話でございまするが、私もあの推移はずっとよく見ております。あの事件がありましたこと自体、それはもうまことに遺憾でありまするが、それが国会の審議に影響してあんなことになったというふうには見ておりませんです。これはまじめに取り組んでおった議員に対して非常に冒涜な見解である、かように考えます。増税案はそもそもむずかしいもので、これはいろいろな角度から審議をしなければならぬ、そのことはひとつよく御了解を願いたいと思います。(拍手)
    〔国務大臣河本敏夫君登壇〕
#33
○国務大臣(河本敏夫君) ただいま電電公社に対する米軍の電話料の未払い問題について御質問がございました。
 御承知のように、現在米軍が専用線を使用しておりますが、これは第一には、戦後、アメリカ軍がドルを出して自分で建設したもの、それから旧陸軍の所有しておったものを接収されたもの、それから第三には、終戦処理費で建設したもの、それから第四には、安全保障諸費で建設したもの、分析をいたしますと、この四つに分かれておるわけでございます。そして、先の二つは全然問題がございませんが、あとの二つ、つまり終戦処理費及び安全保障諸費で建設したものに対して、アメリカ側は、米市の地位協定の第二条と第二十四条によりまして無償で使えるんだ、こういうことを主張しております。それからわがほうは、同協定の第七条によりまして、当然料金を支払うべきである、こういう主張をいたしておりまして、ずっと見解が相違しておるわけでございます。その金額は、先ほど御指摘のように七十七億八千万でございますか、ただいま日米合同委員会を通じ、また外交交渉によりまして折衝を継続中でございます。
 政府がこれに対して補償すべきではなかろうか、こういうふうな御質問がございましたが、これは電電公社と米軍の契約に基づくものでございますので、政府のほうでは補償する考えはございません。(拍手)
    〔国務大臣大平正芳君登壇〕
#34
○国務大臣(大平正芳君) 公害行政の要員と公害関係の予算が十分でないじゃないかという御指摘でございます。仰せのとおりでございます。私どもの省でも、中央、地方を通じて五十数名しかおりませんけれども、各物資別の原局の諸君が公害行政を自分の仕事として一緒になってやっておりますので、ただいまの人員で、十分ではございませんけれども、公害行政の推進に支障があるものとは考えておりません。(拍手)
    〔国務大臣斎藤昇君登壇〕
#35
○国務大臣(斎藤昇君) 公害関係の予算が十分ではないじゃないかというお尋ねに対しまして、先ほど大蔵大臣、通産大臣もお答えになりましたが、厚生省関係といたしましては、御承知のように、公害対策基本法案が一昨年成立をいたしまして以来、やっと公害関係について本腰を入れてきたというのが今日の現状でございますが、本年は、御承知のように公害防止事業団に対する出資にいたしましても、あるいは利率の低下にいたしましても、ことに公害防止事業団でやりまする事業容量をほとんど消化できる最大限といえるところまで財投融資をつけてもらったわけでございまして、大蔵大臣も公害には相当熱心に協力をしていただいておるわけであります。
 事前調査の予算が地方費に比べて少ないではないかというお尋ねでございますが、おっしゃるとおりでございます。しかし、公害問題は、国、地方公共団体、事業主、お互いに協力してやっていかなければ効果があがりません。厚生省の事前調査の予算といたしましては、本年は昨年の一億に比べて一億一千万円、そのほか、特別調査として千五百万円、二千五百万円を増加いたしました。
 なお、警察関係に七千人も増員をしながら、公害関係の七人の増員を認めなかったということでございますが、私のほうも、人が多ければそれに越したことはないのでございます。しかし、厚生省の何千人の予算の中で七人ぐらいやりくりがつかぬかといわれますと、こちらもそれでやりくりをつけざるを得ないという、こういう気持ちになりまして、厚生省関係及び付属研究機関等の職員にやりくりをつけまして、公害対策の推進には遺憾なきを期してまいりたい、かように思う次第でございます。しかしながら、今後ますます大事と思いまするから、予算にはこと欠かないように努力をいたしたいと思う次第でございます。(拍手)
    〔国務大臣野田武夫君登壇〕
#36
○国務大臣(野田武夫君) 自治省に関係する御質問に対しましては、おおむね総理大臣からお答えをいたしてありますので、私は、総理のお答えない部分だけお答えいたします。
 地域における行政の問題でありますが、これはできるだけ当該地域の実情に即し、住民の意向を反映して行なわれるべきものでありまして、この意味におきまして、私も御意見のように、国の出先機関の整理の促進ないし国の事務の地方公共団体への委譲を積極的に行なえという御趣旨には同感でございます。
 当省といたしましても、かねてからこの趣旨に基づきまして行政改革の推進につとめてきたところであります。また、地方公共団体も、先ほど吉田さんにもお答えいたしましたとおり、昨年地方行政の合理化に関するアンケートの調査を行ないましたことも、同じ意向を示しているところでございます。今後、行政改革本部とも協議いたしまして、できるだけその実現を期してまいりたいと存じております。(拍手)
#37
○副議長(小平久雄君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
#38
○副議長(小平久雄君) 内閣提出、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。国務大臣有田喜一君。
    〔国務大臣有田喜一君登壇〕
#39
○国務大臣(有田喜一君) 法律案の趣旨説明に先立ちまして、去る二月八日、金沢市において発生いたしました自衛隊機F104Jの墜落事故について申し上げます。
 今回の事故により、地元住民の方々のとうとい生命、財産に多大の被害を与え、また、各方面に御迷惑をおかけ申したことは、まことに遺憾にたえないところであります。ことに、不幸にして、とうとい生命を失われた四名の方々に対しましては、ここにつつしんで哀悼の意を表し、その御冥福を心からお祈りいたしますとともに、負傷された方々が一日も早く御全快されるよう祈念してやみません。
 ここに、被害を受けられた方々にはもちろんのこと、広く国民の皆さまに対し、深くおわびを申し上げます。
 政府といたしましては、何よりもまず、御遺族をはじめ被害を受けられた方々に対する補償について最善の措置を講じ、誠意をもってこれに当たるとともに、鋭意事故の原因を究明し、再びこのような事故が発生しないように、万全の策を講ずる所存でございます。
 さて、次に、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
 わが国の防衛力の整備は、日米安全保障体制を基調としつつ、国力、国情に応じて漸進的に行なうこととしております。この基本的な考え方のもとに、逐次防衛力の整備をはかってまいりました。特に、陸上自衛隊につきましては、第一次防衛力整備計画以来、十八万体制をとることとなっていたのでありますが、諸般の事情により、やむなくその整備を第三次防衛力整備計画まで持ち越した次第であります。このたびの改正案の定員増のうち、おもなものは陸上自衛隊に関するものでありまして、日米安全保障体制を前提といたしまして考えるとき、陸上における自衛力としては最小限度必要な人員であります。
 防衛庁設置法の一部改正の内容は、自衛官の定数を七千七百二人増加するものであります。
 増員の内訳は、陸上自衛隊については六千人の増で、普通科部隊等の整備に充てることとなりまするが、これによって三個連隊等の増設が可能となって、現在の十三師団のうちで九千人の師団が、四個師団から七個師団に増加することとなります。
 海上自衛隊については千二百二十二人の増で、艦船の増加に伴って必要となる人員並びに航空関係の部隊及び後方支援部隊等の充実のために必要な人員でございます。
 航空自衛隊については四百八十人の増で、ナイキ部隊の編成及び警戒管制、救難等の部隊の充実のために必要な人員でございます。
 次に、自衛隊法の一部改正について御説明申し上げます。
 第一は、海上自衛隊の航空集団の編成を改めることであります。
 現在、航空集団は、司令部及び五つの航空群からなっておりまするが、今回の改正は、これらの航空群と並列する直轄部隊を設けることができるようにするためのものでございます。さしあたっては、これらの航空群のうちの一つの航空群に属している部隊の中に、各航空群に共通する航空機の運用等の研究、試験及び訓練指導を行なっている部隊がありますが、これを直轄部隊として加えることを予定しております。これは、海上自衛隊に属する航空部隊の任務遂行の円滑をはかるためでございます。
 第二は、自衛隊の予備勢力確保のため、予備自衛官を三千人増員して、合計三万三千人とするものであります。
 以上がこの法律案の趣旨でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する
  法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
#40
○副議長(小平久雄君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。大出俊君。
    〔大出俊君登壇〕
#41
○大出俊君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま趣旨説明のありました防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案、いわゆる防衛二法案に対しまして、以下若干の質問を行ないます。
    この防衛二法案なるものは、佐藤総理みずかが、第三次防衛力整備計画のきわめて重要な柱といたしまして、また、今年秋に予定されている佐藤・ニクソン会談への手みやげとして、今国会における成立を強力に指示しているという事実に基づきまして、まず何よりも自衛官を七千七百二人増員するというこの法案の中心について、総理の所見を伺いたいと存じます。
 そこでお尋ねをいたしたい第一は、総理が昨年来提唱されている総定員法案との関係についてであります。
 御承知のように、総定員法案は、三カ年間に公務員の定数を五%削減することがそのポイントでありまして、今年の削減定数は、行政管理庁の正確な資料によれば、内閣の機関においてゼロ、各省庁において四千四百四十二名、国立学校において九百九十四名、計五千四百三十六名となっております。つまり、国家公務員定数を五千四百三十六名減らすということであります。国民の名において公務員を減らすと言われる総理が、総理みずからの名において自衛官をそれ以上にふやすと言われるのかどうか。また、首切り、配置転換の不安の中で、家族のためになおかつまじめに働いている公務員諸君に対して、総理の言う五%削減は、自衛隊をふやすためのものだからがまんをしろとでも言われるおつもりかどうか。そうしてまた、同じ内閣委員会におきまして、片や公務員の削減を、片や自衛隊の増員を、しかも公務員の削減を上回る数字において、同じ次元で通過を求めるといわれるのかどうか。もしそうであるならば、厚顔これに過ぐるものはないと存じますが、総理の所見をしかと承りたい。
 第二に、自衛官の増員中、陸上自衛隊の六千人増員について承りたい。
 予算編成の過程において、全く突如として、警察機動隊等五千名の増員とともにあらわれてまいりましたこの六千人増員は、一体いかなる経緯によるものか。特に防衛庁筋からは、昨年廃案となった八百三十名プラスアルファという形で、今年はよろしくお願いをしたいと言っていたやさきのことでもあり、この点は防衛庁長官より納得し得る御説明をいただきたい。
 また、ただいまの有田防衛庁長官による趣旨説明によれば、普通科部隊等の整備充実のためと説明をされております。全く心外な説明であるといわざるを得ません。もしまた、七〇年対策であると受け取られたくないという配慮から出たものだとすれば、事はなおさら重大であり、国民の目をごまかす意図という意味において許しがたいことであると申すべきでありましょう。単に普通科連隊といった場合は、千百八十五名の編成であり、完全な戦闘能力に欠けるものであります。防衛庁の他の資料によりますと、この陸上六千人の増員は、連隊戦闘団三個の新編に伴う増員であるとされております。今日まで連隊戦闘団なる名称が公式に法案等の説明として用いられた例がございません。したがって、今回初めて表に出てきたものと解釈をいたしますが、それだけに問題はきわめて大きいといわなければなりません。
 旧来、RCTなることばが防衛庁内部で使われておりますが、米式自衛隊の性格をあらわしておると存じますけれども、レジメント・コンバット・チーム、この三つの英文の頭文字をとって、レジメント、すなわち連隊、コンバット、すなわち戦闘、チーム、すなわち団、称して連隊戦闘団と訳しているわけであります。その内容は、普通科連隊千百八十五名、特科部隊四百十三名、戦車中隊九十三名、施設中隊百十一名、対戦車小隊三十一名、偵察小隊二十四名、通信小隊四十一名、武器隊三十名、輸送小隊十六名、衛生小隊三十六名、連絡機、小型ヘリ等の飛行隊六名、師団司令部付隊十名、計二千十名の編成による完全な戦闘能力を有する連隊であります。
 まず承りたいのは、この私の見解をお認めになるかどうか、この点であります。
 さらにまた、この部隊の配置についてでありますが、第九、第六師団のいる東北方面隊のうち、山形県神町の第六師団を離れてわざわざ福島に一隊、中部方面隊のうち、第三師団のいる大阪の伊丹を離れて京都の宇治に一隊、さらに中部方面隊の広島県海田市に一隊を配置することになっており、施設費四億一千八百万円が計上されております。しかも、この三隊は来年三月にでき上がることになっているわけであります。総理、一体この部隊は何を目的にし、何に使われる部隊だと理解すればよろしいのか。
 三次防下の陸上自衛隊には、大型大量兵員輸送用のバートル107型ヘリコプター、HU1の中型ヘリコプター計八十二機、装甲輸送車百六十両等の新規装備も行なわれつつあります。七〇年安保の国論沸騰の中で、いつの間にか東京周辺に、または大阪周辺にきわめて危険な即席編成部隊の出現がないとは断言できないのであります。また、すでに予算委員会等を通じて論ぜられておりますように、東京練馬の第一師団九千人、群馬の第十二師団七千人、千葉習志野の空挺師団千四百人等は、いままで年間四十五時間の暴徒鎮圧訓練と称するものを約三倍から四倍にふやす、東富士、相馬ケ原各訓練場で市街地や国会周辺を想定して、部隊の運用、行動の訓練を行なっております。
 さらにまた、四十三年度中に防衛庁が用意した治安部隊の新装備品は、ジュラルミン防石たて一万八百九十八個、催涙ガス液三・二九トン、警棒代用としての木銃千七百七十五丁、防石面のついたヘルメット一万四千七百十個さらに照明器、通信機器、拡声機に至るまで、大都市周辺部隊に配置をいたしております。今年以降、この体制を一体どのように強化しようと考えておられるのか、有田防衛庁長官に承りたいのであります。
 さらに、治安部隊の主要な兵器は、原則として小火器、ガス銃に限られておりますが、ある記者が第一師団のある指揮官に直接尋ねたところによりますと、いまでも治安行動草案は訓練の参考にしているが、草案自体は無効扱いになっており、実際どんな制圧方法をとるかはわれわれの裁量できめますと答えております。全く危険きわまりないといわなければなりません。指揮官心得をつくる気持ちがあるのかどうか、これを公表するのかどうか。ひとつ間違えば、国民のために国を守る自衛隊ではなく、守るべき国民に犠牲をしい、弾圧をして、国を危うくする自衛隊にもなりかねない危惧を感じますが、総理並びに防衛庁長官の見解を明確に伺いたいのであります。(拍手)
 特にこの際、現行自衛隊法七十八条による治安出動は、国会に対して事後承認を受ける形になっておりますが、七十六条の防衛出動同様に、事前承認を原則とすべきものと考えますが、総理の見解を念のためとくと承りたい次第であります。
 第三に、陸上十八万体制なるものの考え方について承りたいのであります。
 第一次防衛力整備計画は、昭和三十二年六月の国防会議で決定をいたし、三十三年から実施されたはずでありますが、このときに陸上十八万体制なる目標が明らかにされたわけであります。しかし実際には、これに先立ち、池田・ロバートソン会談の結果、日本側が十八万体制というところでアメリカの要求をのんだ結果であります。総理がもし、この連隊戦闘団の新編は七〇年対策ではなく、十八万体制をつくるものだと答えられたとしても、まず七〇年対策という国民的疑惑は消えるものではありません。だが、しかし、十八万体制なるものにはそれなりの大きな意味があります。今回、陸上を十七万九千人に改め、九千人と七千人の師団の比率を七対六とするわけでありますが、まず、この体制が一体なぜ必要かということ、この点であります。その根拠を明らかにしていただきたいのであります。
 さらにまた、北大西洋条約軍、すなわちNATO軍のいうところの攻めるには二倍の兵力、したがって守るためにはその二分の一というのであるとすれば、そしてまた、日本は陸続きでなく海があるというのであれば、その海を渡って侵入する他国の軍隊の輸送力を計算して、防衛庁のいうところの初動体制をとり、米軍の救援を求めるまでのつなぎとする防衛庁の計算が明確にあるわけでありますから、その侵入するであろう他国とは一体どこの国が対象であり、その国の輸送力は一体どうなっているのかを明確に承りたいのであります。
 第四に、自衛隊募集の方法について承りたいのであります。
 陸上自衛隊の四十三年十一月末における定員は十七万三千人であり、充足率は九〇・九%でありますから、現在員十五万七千百八十四名となります。したがって、その差は一万五千八百十六名であります。つまり、定数を六千名ふやさなくても、それをはるかに上回る一万五千八百十六名は欠員として今日存在をし、いつでも採用ができるはずであります。にもかかわらず、ばく大な国費をもってなぜ六千人の増員を求めようとするのか、ワクの拡大、ますの拡大をしておくことが有事即応のため必要だというなら、徴兵制度でも持ち出さざるを得ないはずであります。なぜならば、今日自衛隊に応募する青年も、あるいは隊員である一般の士の諸君も、その大部分は、彼らが除隊までに身命を賭して銃をとらねばならぬという予測は持っていないはずであります。有事であればなおのこと、募集率は下がる道理であるからであります。だとすれば、文字どおりバンデンバーグ決議に基づく安保条約第三条の防衛努力を背景にいたしまして、佐藤総理訪米にあたり、池田・ロバートソン会談の約束を果たしたというていの手みやげ以外の何ものでもないということになりますが、この点、明確な総理の御見解を賜わりたいのであります。
 また、今日の自衛隊の募集には、四十二年の自衛隊の募集要綱などがあるはずであります。実際には、やたらと目につく募集の広報看板等、自衛隊のパレードやブラスバンドを先頭に戦車を繰り出し、防衛博覧会を開き、青少年の好きそうな見せものを出し、伊東ゆかり君などのかっこいい女性に歌を歌わせ、あいきょうを振りまかせ、男の子を集め、そこに集まった青年に何と言っているかと申しますと、自衛隊は待遇がよい、だからいらっしゃい、技術が覚えられる、だからいらっしゃい、五千円の小づかいを使って、四年在隊して百万円の貯金ができるのだから、どうぞいらっしゃいとやっております。どこにも身命を賭して国に殉ずるなどという観念はないわけです。ますます質の低下していく自衛隊員を集めることになると思いますけれども、総理、これでもなお未充足定員の一万五千八百十六名の上に、さらに六千名もふやそうとお考えなのかどうか。また、おそらくこの募集方法は、募集広報費二億二百万と募集経費を含めまして四億四百万あるわけでありますが、ますますこの金を使って空疎にしてはでな方向をたどると考えなければなりません。総理はそれで一体よいとお考えなのかどうか、所見を明確に伺っておきたいのであります。
 また、大蔵大臣に対しましては、この募集経費にしろ、先ほど申し述べました施設費にしろ、かくのごとき不明確な定数改定に対しては、当然異議を差しはさむべきものと考えますが、あえてこれを安易にお認めになったのかどうか、お考えを承りたいと存じます。
 昔、軍閥支配下の中国において、軍隊は人民から重税を取り上げ、さからえば武力で鎮圧をする、したがって、農民や労働者出身者が雇い兵になることは、金に目がくらんで仲間を裏切ることになる、だから男子は戸籍に入れない、こういった抵抗があったことが歴史的事実として明らかであります。そこで男子を集める方法として思いついたのがサーカスであります。青年たちが、好きな芝居やサーカスをやる、思わず集まる青年たちを、なわ囲いしてつかまえて軍隊に入れたという徴兵の原始形態が存在をいたしました。時代は今日移ってまいりましたが、その本質において変わるところがないわけであります。好鉄くぎにならず、好人兵にならずということわざが、かくて生まれました。好鉄、つまり、よい鉄であります。よい鉄はくぎにならない。りっぱな鉄はくぎにならない。鉄くずだけがくぎになる。したがって、りっぱな人間も雇い兵にはならないということわざであろうと思うわけであります。
 私も軍隊時代の経験を持っておりますから、今日の自衛隊におられる方々を誹謗する気は毛頭ありませんけれども、今回六千人をこえる無理な雇い兵計画をお立てになって、たいへんな御苦労を末端の各方面にかけるのであるとすれば、なぜ一体総理は、日本国憲法にいう平和国家の理念と戦争放棄の信念に立って、日中国交の回復、国連加盟実現への努力を尽くし、沖繩の即時無条件全面返還を求め、国内基地の撤去につとめ、非核三原則堅持の上に安保廃棄の方向をお求めになる平和努力をなさろうとされないのか。(拍手)見せかけでなくて、真に平和を求める誠意こそ、思想を越えてコンセンサスを求める道であろうと私は信ずる次第でありますが、総理の御見解を承りまして、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#42
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 大出君にお答えいたします。
 たいへん多岐にわたっておりますので、後ほど防衛庁長官から、私の答弁に対して補足があることを、前もって御了承おき願いたいと思います。
 私が申し上げるまでもなく、政府は、行政簡素化あるいは能率化というものをはかって、これによって国民負担の軽減に資する見地から、いわゆる公務員の定員の計画的削減をはかっておりますが、自衛官は一般の公務員と性格を異にしておりますので、その定数は防衛の特殊性に基づくものでありますから、この意味におきまして、自衛官は一般の公務員の削減計画からこれを別にいたしております。削減計画の対象にならないということであります。
 今回の自衛官の増員は、私が申し上げるまでもなく、第三次防衛力整備計画における方針及び整備目標にのっとりまして増員しようとするものでありまして、一般公務員の三年間五%削減、この措置は決して自衛官増員のための布石ではありません。あまり皮肉にごらんにならないようにお願いします。
 今回予定している増員は、わが国に対する侵略を未然に防止する有効な防衛力を整備しようという基本方針のもとに、ただいま申したように、三次防計画においてその整備目標として定めたものによるのでありまして、増員の時期がたまたま昭和四十四年度であるからといって、決して、いわゆる一九七〇年対策として、治安上の観点から増員を計画したものではございません。これははっきり申し上げておきます。
 編成定数を十八万人とすることとしているが、これは日米安全保障体制のもとで、国力、国情に応じた陸上防衛力として最小限度の必要なものであり、わが国の国土、地形に応じて編成された、いわゆる五方面隊十三個師団体制を維持するに足りるものであります。
 次に、治安行動草案あるいは指揮官心得等々のお話がありましたが、これは後ほど有田君からお答えすることにいたしまして、私はこれには触れません。
 ただ、この際に触れておきたいことは、いわゆる治安出動の問題であります。治安出動には、命令によるものと要請によるものと、この二通りあることは御承知のとおりであります。内閣総理大臣が防衛庁長官に対し、自衛隊の出動を命じた場合は、発令後二十日以内に国会の承認を求めることになっており、都道府県知事の要請に基づく出動につきましては、国会の承認を必要としておりません。
 大出君の御提案の趣旨は、自衛隊法の規定に基づいて内閣総理大臣が治安出動を命ずる場合に、総理の独断におちいることを懸念してのことだと思います。しかし、治安出動というような重大な問題は、当然閣議の決定を経て行なわれるものでありますから、いわゆる総理の独断におちいるようなことは絶対にありません。また、治安出動を行なうにあたっては、自衛隊法に基づいて防衛庁長官と国家公安委員長が事態の情勢判断について綿密な事前連絡をすることになっており、特に現行の規定を変える必要はない、私はかように考えております。
 わが国は平和主義のもとに、仮想敵国を持っていないことは、たびたび御説明したとおりであります。したがって、特定の国がわが国を進攻することなどは想定しておりません。そのような観点から、外国軍隊の輸送力がどうなっておるとかいうようなことを分析してはおりません。この点は誤解のないようにお願いします。
 次に、相当の定員が充足されておらないということでありますが、これは御指摘のとおり、陸上自衛隊におきましては、充足率はただいま九一%であります。今後この充足にもちろん努力してまいります。また、今回の陸上自衛隊の増員は、陸上自衛隊の防衛力向上のため、かねてからの計画であります。その計画に基づいての今回の処置であります。お尋ねになりましたように、私の訪米とは何ら関係はありません。ましてや池田・ロバートソン会談など、ここに引き合いに出されましても、今回の増員には全然関係はございません。これもはっきり申し上げておきます。
 次に、自衛隊の充足率はたいへんむずかしくて、ずいぶん無理な募集をしておるじゃないかというお話でありますが、自衛隊は、募集背景のきわめて困難な現在におきましても、良好な募集成績をあげております。また、隊員の処遇改善、募集体制の強化等によりまして、今後必要な質及び量の隊員を確保することは可能だと政府は考えております。特に災害時の救助活動などから、自衛隊は国民に非常に親しまれており、国民の自衛隊に対する認識と理解はますます深まっていくものと私は確信しております。したがいまして、この点は御心配はないと思いますから、ぜひ御協力願いまして、今回のこの法案を通過さしていただきたいと思います。
 なお、大出君は、いろいろ議論を発展させられて、自衛隊を持つよりも、さらに日中関係をもっと改善したらどうか、あるいは沖繩の祖国返還、祖国復帰、それと真剣に取り組めと、かような御意見が開陳されました。この二つとも、いずれも私どもも頭にあり、ことに沖繩の祖国復帰については、ただいま最善を尽くしておるのでございます。これらの点も御了承いただいて、今回の自衛隊増員法案にぜひとも御賛成願うようお願いしておきます。(拍手)
    〔国務大臣福田赳夫君登壇〕
#43
○国務大臣(福田赳夫君) 私に対しましては、六千名をなぜ承認したか、また募集費を承認したいきさつはいかん、こういうことでございますが、まあ、私は大蔵大臣といたしまして、今日日本の国の経済情勢がここまできた、非常に私国民とともに喜んでおりますが、しかし、それは平和が保たれてきたということが前提である。この平和はなぜ保たれてきたか。世界じゅうが聖人君子の国でありますれば問題はないわけでございますけれども、やはりそういう現実の状態じゃない。わが国をうかがう外国というものに、わが国においてそのすき間を与えなかったという、この二十五年の戦後の歴史が私はそうさした、こういうふうに思うのであります。しかし、そのすき間を与えなかった力は、これは主としてアメリカの庇護のもとにそうなってきたのだ。もうここまで日本の国の力がついてきた今日、アメリカばかりにたよっておるわけにいかない。わが国もわが国の国力に相応した努力をしなければならぬ。私も防衛庁の予算要求に対しましては真剣に考えてみましたが、もうふん切りをつけるべき時期である、かように判断をいたし、さような結論をいたしたわけでございます。(拍手)
    〔国務大臣有田喜一君登壇〕
#44
○国務大臣(有田喜一君) 総理大臣から御説明がありましたが、その一部を補足さしていただきます。
 今回の六千人の増員は、総理がおっしゃいましたように、第一次防以来の問題でありまして、今回は第三次防衛計画に従いまして連隊戦闘団を三個編成できるようにするための要員であります。この連隊戦闘団というのは、陸上自衛隊においては前から使っておったことでありますが、これは普通科連隊を中核といたしまして、これに特科、すなわち火砲の大隊、それから戦車中隊、偵察小隊、通信小隊といったようなものを加えたものを連隊戦闘団といいまして、今日十三個師団ございます。いわゆる七千人師団と九千人師団というものがありますが、その七千人師団はこの連隊戦闘団が三つでありまして、九千人師団では四つある、こういうたてまえになっておるのであります。
 次に、治安出動についてのお尋ねでございますが、治安出動の部隊の行動というものは非常に慎重にしなければならぬ、かように思っております。したがいまして、法令に基づく権限の行使等につきましては、基準を明確にいたしまして、部隊の指揮、運用の適正をはかることが必要でございますので、目下指揮官心得を作成中でありまして、近くこの成案を得るつもりでおります。これを公表するかどうかというお尋ねでございますが、成案を得た上で検討してみたいと考えております。
 なお、防衛出動の場合は国会の事前承認が要るが、治安出動のときは事後承認ということになっておるということでございますが、御承知のとおり、防衛出動の場合は、外国からの武力侵略またはそのおそれがある場合でありまして、わが国の安危に関する非常に大事な問題でありますので、事前に国会の承認を求めることがたてまえになっておりますが、治安出動は、一般の警察力をもってしては治安を維持することができないと認められる場合に行なわれるものでありますので、事後に国会の承認を受けるという差異があってもよいのではなかろうかと、かように感じております。
 なお、治安出動も自衛隊の大事な任務の一つでございますから、常日ごろから治安出動の場合の訓練に励んでおるようなわけでございます。しかし、われわれがこれをやっておるからといって、いわゆる七〇年対策でやっておるんだというわけでもないので、これは平素からのわれわれの訓練として当然のことと考えております。
 最後に、一万六千人の欠員がある、それに増員するのはどうか、こういうお尋ねでございまするが、最近の陸上自衛官の欠員は、たしか御指摘のように一万六千ばかりあります。今後その充足向上につとめていくのでありますが、自衛官の定員は編成上の定数でありまして、他の一般公務員とはやや趣を異にしております。本来、自衛隊の編成は、有事の際に即応できる所要の装備を平時から整備しなくちゃならぬ、また訓練も行なっておきまして、万一の事態に備えるためのものであります。したがいまして、ある程度の欠員があっても、必要な定員の増加は必要と考えております。自衛隊は最近だんだんと充足率も増加いたしまして、向上してまいっております。最近は、御指摘のように九一%までいっておりますが、今後とも一そうの努力を払いまして、必要な隊員の獲得を可能ならしめたい、かように思っております。
 なお、一般の誤解を招くような募集は、私のほうではそういう方法はとらない、かような考えであります。(拍手)
#45
○副議長(小平久雄君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#46
○副議長(小平久雄君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後五時三十九分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  佐藤 榮作君
        法 務 大 臣 西郷吉之助君
        大 蔵 大 臣 福田 赳夫君
        厚 生 大 臣 斎藤  昇君
        農 林 大 臣 長谷川四郎君
        通商産業大臣  大平 正芳君
        運 輸 大 臣 原田  憲君
        郵 政 大 臣 河本 敏夫君
        労 働 大 臣 原 健三郎君
        建 設 大 臣 坪川 信三君
        自 治 大 臣 野田 武夫君
        国 務 大 臣 荒木萬壽夫君
        国 務 大 臣 有田 喜一君
        国 務 大 臣 保利  茂君
 出席政府委員
        内閣法制次長  吉國 一郎君
        公正取引委員会
        委員長     山田 精一君
        防衛庁防衛局長 宍戸 基男君
ソース: 国立国会図書館
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